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物語スレッド

290二つの遺作・後編(13/20):2008/01/10(木) 01:33:57
「父は・・・崖から落ちたんです…私を助けようとして…」
切れ切れになりながら、私はその物語を始めた。
終わった時、彼も私も傷つくのは避けられないだろう。理解はしていた。それでも
・・・話さずには、いられなかった。



話し終わった後の静寂は、たまらないものだった。
長い長い話の果て、精も魂も尽き果て、うなだれた私の頭に、大きな手が乗る。
無言で撫でられたその感触は、いつかの父の手を思い出させた。
分かっているはずだ。彼だって傷ついている。
恋人だった男は四肢を切り裂かれ、呪物となり
父の形見もまた、多くの人を傷つける存在となっていた。
悲しいのは私だけではない。私だけではないのだ・・・・
・・・それでも、涙は止まらなかった。


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