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武具・道具・祭具

1言理の妖精語りて曰く、:2006/06/30(金) 16:50:56
主として武器や道具から日用品まで、様々な物に関する記述を行うスレッドです。

335言理の妖精語りて曰く、:2008/02/25(月) 23:38:05
【オッキーム】
意思を持つ長剣。『大地の中心の九十九騎士』の一振り。
思ったこと、というよりも思考にあがった全ての言葉が
実際の音声として外界に漏れ出すという呪いがかけられた。
しかも思念波が使えなくなっているので、メッセージを使う相手を絞ることすらできない。
だが前向き。

ガッラファンディとともに新大陸のデコラ半島に持ち込まれた。

336言理の妖精語りて曰く、:2008/03/08(土) 13:21:16
嘆きの投網


・・・妖精たちの溢れるイマジネーションで、この道具の用法や能力を解き明かしてくれることを望む。

337言理の妖精語りて曰く、:2008/03/08(土) 14:37:28
如何にも特別な品物っぽいが、しかしよくある投網である。

338言理の妖精語りて曰く、:2008/03/08(土) 15:00:02
嘆きの投綱自体はよくある投網だけど、ほら、これを使ってる人物がすごい有名じゃん。えっと、ほら、誰だっけ?

339言理の妖精語りて曰く、:2008/03/08(土) 15:46:41
投網か。

・・・たしか大食いの竜を妻にした時間魔術師が使っていた気がするな。
亜大陸南端に居を構えた・・・ええと、て・・・、て・・・、テアテラ、だったかいう名前の。

340言理の妖精語りて曰く、:2008/03/08(土) 16:01:51
>>339
あ、そいつの話ちょっと知ってるかも。
たしか、例の投網って、奥さんとの馴れ初め話に出てくるんじゃなかったか?

「投擲された投網は、天に飛びたたんとする竜の片足をとらえた。魔術師はすかさず投網の時間を止め、竜を地に繋ぎ止めた。」

という語りを、何かの話で見た気がする。

341言理の妖精語りて曰く、:2008/03/08(土) 17:41:52
竜すら地に繋ぎとめる投網って、相当な大きさだな。
よく個人で扱えたものだ。

342言理の妖精語りて曰く、:2008/03/08(土) 17:47:02
特に、巨きな竜だという注釈もないから普通サイズの竜なんじゃない?

343言理の妖精語りて曰く、:2008/03/09(日) 06:43:57
テアテラがすごい怪力の持ち主で、投網がすごい大きいんじゃなかったっけ?

344言理の妖精語りて曰く、:2008/03/09(日) 08:20:55
それだとテアテラも巨人ということになるが、これって巨人族の童話だっけ?

345言理の妖精語りて曰く、:2008/03/09(日) 10:41:14
>>340で言ってるのは、北方帝国のほうで有名な民話「テアテラと竜」のことだと思う。
話の内容はいくつかのバリエーションがあるらしいけど、その中のわりかし有名なタイプでは、「巨人にして時間魔術師のテアテラは、」ってあるから。
その民話のモデルというか元ネタになってるのが、亜大陸に実際にいたらしいテアテラさん。

346344:2008/03/09(日) 10:50:01
そうだったのか。
じゃあ俺が読んだ童話だと「テアテラは巨人」という説明は省かれていたんだな。
いやあ、竜をそのまま嫁にするとかいうから、てっきり小さな普通サイズの竜だと思ってたよ。
竜のほうも大きなヤツだったんだなー。

347言理の妖精語りて曰く、:2008/03/09(日) 11:06:25
ところでその童話って、どういう話なの?

348言理の妖精語りて曰く、:2008/03/09(日) 21:37:43
『嘆きの投網』

古代巨人族の伝承に伝わる。
その全長は小型の竜程度なら軽々と包み込むほどであり、使用者が正確に投擲さえすれば狙った箇所を確実に絡めとるという。
これを用いた時と糸を操るという巨人の魔術師は竜の片足を捕らえ、その時間を停止させる事で飛翔を妨げ、大地に繋ぎとめたという。

この言い伝えから、「妨げる」「大地に繋ぎとめる」「時間を停止させる」などの現象が確認されうる古代遺物と推定される。
時間を止めたなどのファクターは使用者固有の能力であるにせよ、そのような成果を残しているということは即ちそのエピソードが道具に神話化して同調する可能性をもたらすことを意味する。
神話化し伝播・波及するこの投網の性能は、やがて誇張が虚構を組み立て、正統な魔具の構築へと至る。


なお、この嘆きの、という修辞は飛翔を妨げられた竜が高く吼え声を上げたことに由来するという。

349言理の妖精語りて曰く、:2008/03/13(木) 21:11:04
セラメルの鉄槌


・・・妖精たちの溢れるイマジネーションで、この道具の用法や能力を解き明かしてくれることを望む。

350言理の妖精語りて曰く、:2008/03/13(木) 22:03:02
2匹目のドジョウは、釣り上げるのにとてつもない力が要るんだ。
糸を垂らす奴に工夫がなければなおさらだ。

セラメル・・・たしかこれも童話にでてきた品物だぜ。
でも教訓話くさくて面白くなかったな、俺は。

351言理の妖精語りて曰く、:2008/03/13(木) 22:16:10
セラメルの人物像を一言で表すと「甘い女」だな

352言理の妖精語りて曰く、:2008/03/13(木) 23:23:31
セラメルは生物じゃなかったけど、意思を持つ道具だった。
あれは・・・いや、彼女ははじめからおわりまでずっと優しい、母のような姉のような存在だった。
少なくとも、私にとってはね。

353言理の妖精語りて曰く、:2008/03/13(木) 23:43:02
記憶に無いのだが、私が幼児の頃、口にくわえたり噛み付いたりしてよく涎まみれにしていたらしい。スマン。

354言理の妖精語りて曰く、:2008/03/13(木) 23:51:17
>>350
その童話ってどんな話か、誰か知ってる人はいないかな?
よければ教えてくれないか。

355言理の妖精語りて曰く、:2008/03/14(金) 00:51:02
【千人長の外套】
メクセトが1032の英雄に与えた武器の一つ。

と、言ってもこれは直接攻撃の武器に使うのではなく、部隊長がこれを纏うことにより残りの部下達の意識を支配して自分の手足のように使うことが出きると言う支援兵器である。
(簡単に言えば部下がフ×ンファンネルやフ×ン×ルとかビッ×みたいに使えるようになるというも)
しかし、この武器の代償は、使用して一定時間後にはこの外套に精神を食い尽くされるというものであり、その呪いの効果は外套を脱いでも継続する。

356言理の妖精語りて曰く、:2008/03/14(金) 01:02:30
あー、たしか鍛冶屋の兄ちゃんが「叩くと何でも作れるハンマー」を拾って、王様お抱えの鍛冶屋になって、姫さんに気に入られて、戦に出ることになって、貴族に取りたてられて、でもだんだん王様の要求がエスカレートしちゃって(以下略

で、最後はハンマーの精と一緒に井戸に身投げするんだよな。
・・・分を過ぎた強欲は身を滅ぼす、と言いたいがために作られたような話だったなー。

357言理の妖精語りて曰く、:2008/03/14(金) 14:39:10
>>354>>356
鍛冶屋とセラメル(ハンマーの精)の会話が印象的だったなあ。

「何でも作れる?そんな馬鹿な道具があるわけがない。しかもそれが、女の言葉で喋るなど。なんて馬鹿馬鹿しい」
「ふふふ。子は母親から。世界はキュトスから。いつだって何かをつくるのは女なのよ。男はそばで見ているだけ」

あと姫さんに嫉妬して、鍛冶屋に心中しようとささやく場面もよかったなあ。女って怖いと思った。

358言理の妖精語りて曰く、:2008/03/30(日) 02:01:04
【永劫の柱】
メクセトの作った武器の一つで、封印兵器。
いかなる魔術を持った物も、魔法も、いかなる自然現象も封印できるというもの。
その原理は、その対象の周りの時間を凍結してしまう、というものである。
ただし、使うには膨大な魔力を必要とする。

ちなみに、この武器に関しては1032人の英雄のいずれにも与えられなかったらしく、また天上での戦争において使用されたという記録・伝承も残っていない。
何ゆえに、そして誰に託すためにメクセトがこの武器を作ったのか?は不明である。

359言理の妖精語りて曰く、:2008/03/30(日) 12:40:43
間違って永劫の柱自身を封印してしまった為に解除も出来なくなったというドジッ子メクセト。

360言理の妖精語りて曰く、:2008/04/12(土) 19:28:58

考えたくも無い事であるが、実の所神滅ぼしの武具というのは非常に効率的な機能を持つ兵器である。
これらは文字通り神を滅ぼす。使用者の命を奪う、という極めつけの代償を支払う事で、という但し付きでだが。
だがその代価、果たしてそれほどに割に合わない額なのか、ということを考えた時、実際はそれほどでもないことに気付くはずである。
当然の事だ。何しろ神を殺す。
人のみではどんな手段を用いて足掻こうとも決して手の届かぬはずの存在、神。
その神をたかが人間風情が殺そうと言うのだ。命一つで届くならこれ以上ないほど安上がりだと言えよう。
数値で表すなら。人を一として神を一万としよう。神を殺すために人から一万差っぴいて神にぶつけるのが神滅ぼしの武具だ。当然人の一は削られてマイナス九千九百九十九となるのだが、人は零から下は等しく死である。幾ら削られても死ぬのは同じなのである。
そう考えた時・・・・・・これらの手段は凄まじいまでにローリスクハイリターンなものであると捉えられるのだ。

361言理の妖精語りて曰く、:2008/06/04(水) 22:09:13
【マカトラム】
「大地の中心の九十九騎士」の一つである九つの鎧の一つであり「九つの鎧のかしら」と称される。
獅子王キャカラノートが愛用していたと言われるが、『獅子王と仔獅子の書』によれば彼の戦死した際に粉々に砕け散ったとある。
その破片のいくつかは後世に伝えられ、英雄シャーフリートの鎧フラーゴレースが破損した時に修理に用いられたという。

362言理の妖精語りて曰く、:2008/08/08(金) 07:44:50
>>360
人が支払う代償は本当に一で済むのだろうか?
死んだ後の事は衆目に晒されないから、知られていないだけではないだろうか?
差分の九千九百九十九が、どこから供給されているか…もっと慎重に考えなければならないのかもしれない。

363<<妖精は口を噤んだ>>:<<妖精は口を噤んだ>>
<<妖精は口を噤んだ>>

364<<妖精は口を噤んだ>>:<<妖精は口を噤んだ>>
<<妖精は口を噤んだ>>

365言理の妖精語りて曰く、:2008/12/27(土) 19:21:37
・魔王の斧。
・魔王専用装備。
・呪われています。
・実は通販で購入しました。
・投げると必ず当たります。
・但し戻っては来ません。
・道具として使うと十徳ナイフになります。
・武器として使ってもダメージがありません。
・植えるとトントロポロロンズの実が生ります。

366言理の妖精語りて曰く、:2010/01/02(土) 19:38:23
メクセトが作ったと言われる神滅ぼしの武具
その中でも最も狂力であったと云われている十二武具の事を
【デュオデクテットオブカーストゥパンゲオ(神滅ぼしの十二呪装)】と呼び、
その全てはメクセトの所有していた【墓標船】の蔵書内に書かれていた
【猫の国】由来の言葉を冠されており、有名な所では
氷血の魔女槍"コルセスカ"
無限の剣"スクラマサクス"
繁茂の粉塵宝玉"ニュークリアボム"
血色の戦場旗"ジョリーロジャー"
混沌の小箱"ブラックボックス"
などの武具が挙げられる。

367言理の妖精語りて曰く、:2010/01/19(火) 23:49:18
繁茂の粉塵宝玉"ニュークリアボム"……

爆発すると頭の中をクリヤーにしてくれる粉末が噴出される。
吸引した直後は至福極楽大天国であるが、少し遅れて
中空に無数の武器が浮き上がるのが見え始め、
間もなくひとりでに己が肉体に突き立てられる、そんな幻をみることになる。

幻に刺されれば人は死ぬ。それまで幸せでいっぱいであっても死ぬ。

もし生き耐え切ることができたなら、幻をじかに手に取り、数多の武具として操ることができるようになる。

368言理の妖精語りて曰く、:2010/02/01(月) 20:11:56
無限の剣"スクラマサクス"…

並行宇宙の本質的な無限性に着目し、メクセトの研究の結果生まれた武具。
別名、「数学的」武具のうちの一つ。

無限^無限の宇宙にてそれぞれに形の異なる刃を鋳造し、次元融合により重ねあわせた時、
剣の威力は、ゆうにπの九十九乗キロメガトンを凌駕するとされる。

無論、その力は指向性のコントロールが不可能なレベルであり、持ち主をも滅ぼしてしまう。

369言理の妖精語りて曰く、:2010/02/15(月) 15:28:55
混沌の小箱"ブラックボックス"……

膨張型ブラックホールを閉じ込めた箱。
その形が四角い(正方形)のは、封じる力を強めるための幾何学魔術。

使用者は、神に対し、箱を開けてみろと迫る。
開けられないなら神の名を捨てろと迫る。

神は自我崩壊を避けるため、罠と知りつつ箱を開けざるを得ない。
解放されたブラックホールは事象の地平線を拡大しつつ膨張を続け、神を飲み込む。

もし事象の地平線を超える能力を持つ者(例:扉の魔女)であれば、
脱出することも可能だろうが、多くの神は自らの完全性ゆえに
その種の逃避能力に疎いため、ブラックホールに飲み込まれて死んでしまう。

370言理の妖精語りて曰く、:2011/05/15(日) 20:21:52
カトラス

ザニの谷から広くチャカ大陸に広まった武器。
石化の法力を込めた刃を棒の先にはめ込んだもの。
刃の部分は使い捨て仕様となっており、そもそも切れ味からくる殺傷力を狙ったものではない。
あくまで相手に石化の影響を及ぼすのが第一義である。
そのあと、切れ味も狙って曲刀状になったり、吹き矢へと進化を遂げたりした。
こうした派生形もカトラスと呼ばれることが多い。

名前の由来は『ザニの谷』に本拠を構えていた秘教・ジュバルディェゥィタムシャィャース宗に伝わる霊鳥コカトリス。
コカトリスの嘴と吐息には石化の力があるとされた。

371言理の妖精語りて曰く、:2011/05/15(日) 20:25:14
カトラスの原型は、石化させた後に、残った棒で叩き割る、
という後代生まれる派生形にも劣らぬエグい使われ方をしていた。

372言理の妖精語りて曰く、:2011/05/21(土) 18:41:35
>>367
使用パネルは炎炎炎剣である。

373言理の妖精語りて曰く、:2011/08/16(火) 12:02:12
>>93
【ターペイタンスニーカー】
【MP】の一つ。履いている者が霞んで見えるほど足が速くなる靴。
ただし臭うので使用前によく洗濯すること。
ターペイタンはこの靴を最初に履いた巨人

374言理の妖精語りて曰く、:2016/06/13(月) 20:29:28
【焦熱刃】
メクセトが最初期に作った魔剣であり、失敗作である。
その刃は焔を上げ、数千度におよぶ高熱を発する。
しかし、アルセス製の武具に使用者を保護する機能など基本的に存在しないため、使えば炭や灰になる暇さえ無く一瞬で蒸発することになる。
後に改良されて【氷炎の双刃】となり、二つの刃が互いを補う構造へと変化した。
焦熱と極寒を同時に発生させることにより、使用者が即死せず、存分に苦しんで死ぬようになったのだ。

375言理の妖精語りて曰く、:2016/06/28(火) 19:59:16
【ニダ・イメア・ルセ=スー】
アルセスが最後に製作した1033番目の神滅ぼしの武具であり、究極の武具。
同時に、最高の人造人間であり、武具製造機でもあるように設計された、一人の少女である。

アルセスは、彼女に自身の持つ知識の全てと、これまでに製作した武具の性能を再現する能力を与え、究極の作品とした。
更に、彼女には如何なる地域、如何なる社会にも溶け込める潜入能力まで存在していた。
かの覇王は、これらの能力と共に、彼女に「あらゆる人間を己の製作した武具で最高の苦痛を与え、殺害する」使命を授け、自身を超える自身の後継者たるべき存在として遺したのだ。
彼女は、アルセスの死後に目覚め、その能力の全てを用いて、人類の歴史に幕を降ろすはずだった。

しかし、彼女が冬眠から目覚めてから最初に出会ったのは、よりにもよって自殺寸前の男であった。
自殺されては、使命である「己の製作した武具での殺害」が出来ない。
やむを得ず彼女は、男の自殺を止め、話を聞いた。
聞けば、男は職が無く、親兄弟を亡くし、婚約者に裏切られた、挙げ句の果てには不治の病が発覚したという。
悲嘆にくれる男だったが、彼女が来た以上、何も問題は無かった。
彼女は、かの覇王アルセスの後継者である。
アルセスは、生前万能の才人と称えられており、当然、後継者である彼女はその能力を受け継いでいた。
彼女は、衰退していた当時の医学では不治だった病をあっさりと治し、廃棄物の加工を手始めに大商会を設立し、孤児を養い、奪い取られた金を取り戻し、村を興し、町を繁栄させ、航路を開拓し、盗賊を退治し、侵略国を逆に征服し、その片手間に多くの自殺者や餓死予備軍を救った。
ただ、婚約者の代わりだけは、どうしても見つけることが出来なかったので、とりあえず自分が代行することにした。
斯くして、ようやく男が住んでいた地域が武具を買えるくらい豊かになった頃、自分達の国で製作した武具しか認めない二つの国が、その地域に侵略の手を

(中略)

そして、彼女は、男と沢山の子や孫、曾孫や玄孫に囲まれ、老衰で息を引き取った。
最高の医学、完全な防備、尽きることの無い富を以てしても、防ぐことの出来ない己の死。
そして、その死の後も、天寿が尽きるまで生き続けなければならない、彼らの生。
それこそが、彼女が与えられる「己という武具による、最高の苦痛を伴った殺害」である。
それが、彼女の結論だった。
今も、彼女が遺した都には、大神殿となった彼女の墓があり、そこには生命と繁栄の守護者である彼女への参拝客が、常に絶えることが無いという。

376言理の妖精語りて曰く、:2016/06/28(火) 20:36:18
【共命の銀杯】

アルセスが1032の英雄に与えた武具の1つ。
どれほど強大な生命力を持った者でも、毒殺可能な一組の杯である。
武具と言うより暗殺道具であるが、当時の「武具」とは、戦場に持っていく品全般を指す言葉であったため、これも当然武具に含まれる。

この杯には、二つの機能がある。
一つは、杯同士で乾杯をすることにより、内部の液体を至高の美味を持った毒酒に変える機能。
もう一つは、乾杯をした者同士の生命力を同化させて、均等に分配する機能である。
要するに、乾杯を続けていけば、杯を使用した者達はいずれ同時に毒に倒れることとなる、というそういう呪いの杯であった。

ただし、この杯を授けられた英雄【底無し】ボールドウィンが挑むことになったのは、無限の生命力を持つと言われた酒神だった。
酒神より先に酔い潰れれば、当然、乾杯して杯の呪いを再発動させることは出来ず、そのまま自分だけ死ぬことになる。
酒神は、呪いで生命力を削減されなければ、如何なる攻撃も毒も通用しないほどの強大な生命力を持つ。
そして、仮にも酒の神たる者が、酒に弱いはずも無い。
しかし、ボールドウィンは、あえてその無謀な勝負に乗った。
無限の生命力を持つという酒神は、同時に、無限に等しい貯蓄量を持つ酒蔵の主でもあったからだ。
二人の対決は、一杯の麦酒から始まり…………勝負は月が形を変え、また同じ形に戻るまで続いた。
様子を見に行った偵察兵の証言によると、無限の酒蔵の中身は全て飲み干され、酒神は、体液が全て無くなり、完全なミイラとなっていたという。
そして、ボールドウィンはと言えば…………彼は、酒神の死体の上で、杯を覗き込んだ格好のまま、死んでいたという。
因みに、彼の死因は、今で言う栄養失調である。
酒だけでは、一月以上生き延びるには栄養が足りなかったのであろう。

377言理の妖精語りて曰く、:2016/06/29(水) 20:29:15
【槍神還元槍(みんなあるせすになる)】

メクセトが1032の英雄に与えた武具の1つ。
槍の形をしたペンがくっついた白い槍であり、本体に周囲の状況を記載することで発動する。
効果は、周囲の人名を全て槍神アルセスに変えるというものであり、それによって対象の存在を塗り潰し、紀元槍に還元することが出来る。
対象が何をやっても、全て「アルセスのやったこと」になってしまい、対象の存在自体が無意味化するのである。
当然、この効果には、槍の使用者自身も巻き込まれる。
副作用として、使用範囲外の人名もいくらかアルセスに置き換わるが、こちらは必ずしも対象の存在が無意味化するとは限らないようだ。

378言理の妖精語りて曰く、:2016/07/01(金) 05:08:08
【虹の戦輪】

メクセトが1032の英雄に与えた神滅ぼしの武具の1つ。

外周部に刃が付いた虹色の輪であり、投擲武器。
外れる度に無数に分裂し、対象か使用者のどちらかをランダムで狙う。
【最速の神】シッツァに対して使用された。
使用したのは、【大道芸人】と呼ばれた戦輪の達人であり、彼は、戦いの間中、ひたすら戦輪を奇妙なポーズで回避し続けたという。そして、戦輪は、慢心したシッツァが余裕綽々でを避け続ける度に、その数を増し続けた。
「遊び」に飽きた彼が、星の反対側に逃げた時には、戦輪は、虹色の雲となって彼を挟み撃ちにして圧殺したという。
なお、伝えられている、この武器の使用者の言葉は「こんなことなら、格好つけずにきちんと朝食を食べて来るのだった…………」である。

379言理の妖精語りて曰く、:2016/07/18(月) 07:57:30
【無限延長のスリングショット】
メクセトが、1032の英雄に与えた武具の一つ。
自身の周囲に暗黒の迷宮を展開し、獲物を散々いたぶり、その恐怖を糧とする邪神「暗夜の追跡者」に対して使われ、これを滅ぼした。
使用した英雄は、ヴォールヴィ。
歴戦の傭兵ではあったものの、目立つ武功は無く、その異名の由来となった、ただ一つの取り柄を除けば、とりたてて特徴の無い男だった。
彼は、邪神に殺された妹と弟の復讐のため、神滅ぼしの戦に加わった。

この武具には、二つの長所と一つの欠点があった。
長所の一つ目は、的を絶対に外さない絶対命中の呪いによる必中性能。
二つ目は、何処にでも固定出来る柄と無限に延長し即座に収縮する紐による、理論上無限に引き上げることが出来る攻撃力。
そして、欠点は、その無限に上昇する攻撃力に耐えられる弾丸も、その反動に耐えられる射手も、どちらもこの世には存在しないことだった。

そして決戦の日「暗夜の追跡者」が長い追跡の果てに、獲物を袋小路に追い詰めてほくそ笑んだ時、【石頭】ヴォールヴィも、また邪神に向き直り、ニヤリと笑った。
その瞬間、彼は、ベルト代わりに巻きつけていたこの武具の紐を解放し、己自身を弾丸としたのだ。
その時、追う者と追われる者は、逆転した。

翌朝、闇が晴れた迷宮において、かつての邪神の囚われ人たちは二つのモノを発見したという。
それは、身体を完全に砕かれ、恐怖の表情を浮かべたまま死んでいる邪神と、安らかな表情を浮かべたヴォールヴィの首であったという。

380言理の妖精語りて曰く、:2016/07/26(火) 19:51:28
【レストロオセヘルム】
呪詛レストロオセの頭部を象ったと言われる面頬付きのヘルム。
形が大きく異なる贋作が多数あるが、肝心のレストロオセの頭部の形が不明であるため、どれが正しい形かは不明である。

381言理の妖精語りて曰く、:2016/07/28(木) 21:02:29
【紅眼の水晶球】
メクセトが、英雄に与えた1032の武具の1つ。
指輪の形をした、大量破壊兵器。
紅い瞳の入った水晶球が、大きな特徴である。

使用する時は、宝石に擬装されている水晶球を、敵目掛けて投げつける。
投げた水晶球は、空中で破裂。
砕けて、その欠片は無数の反射鏡となって、敵を自動的に取り囲むのだ。
そこへ、指輪本体の紅眼から「整列した光」なる紅色の光線を撃ち込む。
それによって、光は、無数の反射鏡で乱反射、敵を穿ち続ける光の檻となる。

ただし、この光および反射鏡には、指輪の使用者を選別する機能など無い。
そして、光から逃れることなど不可能であるため、この指輪を使った者は、ことごとく自滅の道を辿ることになる。

382言理の妖精語りて曰く、:2016/08/08(月) 20:32:26
【最強魔導剣ロストセルフ】
メクセトが英雄に与えた1032の武具の1つ。
手にするだけで、最高の魔法と剣技が使えるようになる、杖にして剣たる武具。100人の優秀な魔導師と同数の優れた剣士を、生きながら魔力加工することによって作られた。

この武具は、装備者の自我、すなわち欲望を吸収して稼働する。
しかし、この武具を手に取る者の大半が
「何の努力も無しに、最強になること」
「世人を圧倒し、世人に讃えられる存在になること」
だけを望んでいるため、これを手に取った時点で欲望が成就してしまう。
そして、全ての自我を失い精神的な死を迎えるのだ。
メクセトは、この武具を一万の自称英雄や自称英雄候補によって運ばせたが、本来の殺害対象であり、この武具の最終的な所有者となった【空虚なる神】のところまで到達出来たのは、その中のたった一人だけであったという。

【ポットアーマー】
阿女伊遅阿時代の国家「スモール・プリティン」こと「振国」の国軍における制式防具。
種別は、全身鎧。
この鎧には、大きな特徴がある。
パーツごとに分解することによって、調理器具として流用出来るのである。
振国は、美食で有名な国であるが、その国軍も食を第一としている。
これは、そのことが良く分かる一例であろう。

383言理の妖精語りて曰く、:2016/08/11(木) 21:02:42
【病馬の蹄鉄】
メクセトが、英雄に与えた1032の武具の1つ。
【猫の国】の神話に基づいて作られたモノであり、同タイプの武具があと3つ存在するという。

この武具は、病の精霊である蒼白い馬を召喚する機能を持つ。
蒼白い馬は、病原菌を撒き散らし、その菌のあるところへ高速移動出来る。
すなわち、この武具は生物兵器の散布による大量殺戮機能と、攻防に有効な高い機動力を併せ持つのだ。
しかし、蒼白い馬の高速移動能力を騎手が享受するには、騎手自身も、蒼白い馬の病に罹患していなければならないという欠点がある。
また、ところ構わず病原菌を撒き散らかすという、その能力自体も、かなり扱い辛いものである。

この武具の最後の使用者は、病の拡散を恐れ、最小限の範囲でこれを使用して敵対した神を倒したものの、最後には、自らが招いた病によって、倒れたという。

384言理の妖精語りて曰く、:2016/08/22(月) 19:07:18
【自在鋼スティルアイレス】
メクセトが、英雄に与えた1032の武具の一つ。
太古の地層から掘り出された【生きた鉄】によって作られた、流動する生きた鋼である。

その本質は、寄生生命体であり、担い手と一体になって機能する。
これは、変形する武具でもあり、状況に応じて、盾にも剣にも、鎧にも鞭にもなる。
また、この武具自体が、生命と知性を持ち、己自身で断して、戦う。
だが、その代わりにこの武具は、使用するたびに、少しずつ、担い手の肉体を削っていくという。

この武具は、1032英雄の一人、マムリカ・ペレククに与えられた。
彼女は、贖罪のために神滅ぼしの戦いに参加したというが、彼女が、いかなる罪を犯したのかは、知られていない。
また、マムリカは、己を空しくして戦ったことから、主のために全てを尽くす【メイド拳法】の創始者であるとされている。
彼女は、夢を具現化し、人心を操る邪神【悪夢の支配者】と戦い、これを倒す代わりに死んだ。
後には、もはや生命を持たなくなった鋼の断片だけが、残されたという。


〜ある少年と銀色の液体の会話、その一断片〜

「では、あなたは『生きた鉄』では無くて『異帯域』から来た、知恵ある生き物なのですか?」

「無論だ!【自在鋼スティルアイレス】とは、仮の姿。この私、エイルラッセーラ=マタディアスこそ、『異帯域』から来た旅人、『銀肌人』の冒険家である!メクセトの技術は、私の肉体をこの『帯域』でも活動出来るように改造し、若干の調整を加えただけに過ぎないのだよ!」

「では、マムリカさんは?彼女は…………」

「ああ、彼女は、私の『家主』だ。この『帯域』では、本来、我々のような無機知性体は、生命として世界に認定されないのだが、彼女のような現地の生命と同化すれば、なんとかその『検閲』を免れることが出来るのだよ」

「ええと、では、彼女は、人間なんですね?」

「ああ、それは、この私が保証しよう。少々変形することもあるが、彼女自身は、正真正銘のこの世界の有機知性体、つまり、ただの人間だ。」

「よ、良かった…………」
「ほう、彼女に興味があるのかね?良ければ、私が仲介しようか?」

「え、それは、その…………」

「安心したまえ!私と彼女は、あくまでビジネス上の付き合い、仕事仲間に過ぎないよ。私は、有機知性体に、そういった興味は無い。むしろ、私は、君を応援しよう!」

「じゃ、じゃあ、お願いします!」

「よろしい!では、このエイルラッセーラ、微力の限りを尽くして君を手助けすることを、ここに誓おう!だから、まあ大船に乗った気分で居なさい、少年!小心者は、モテないぞ」

「は、はい!」

「ところで…………その代わりというわけでは無いが、一つだけ、君に聞きたいことがあるのだが」

「はい、僕が知っていることでよろしければ、なんなりとお答えします!」

「あ、その…………」

「その?」

「美女の噂を聞いたことは無いか?いや、有機知性体の女性ではなく、電磁波が匂い立つような『ベリリウムの美女』の噂だ!」

「べ、べりりむ?」

「…………やはり、知らないか」

「すみません、お役に立てなくて」

「いや、良いさ。論理的に言って、この『帯域』にそんなモノが居るはずも無い。しかし、惜しい。異星のような別世界、見たこともない奇怪な生物たち、そして、時代にそぐわぬ高度な技術を持った文明に、傲慢な王…………後は、囚われの『ベリリウムの美女』さえ居れば、完璧なのだがなぁ!」

「本当に、すみません」

「だから良いさ、君のせいじゃない。」

「…………」

「そう、娯楽小説の内容が、現実になるわけが無い。『水星シリーズ』は、確かに面白いが、アレはあくまでフィクションであって、現実ではない。例え、異なる『帯域』にあってさえ。そんなことは、分かっていたさ」

「あの、お気を落とさないで下さい。事情は良く分かりませんが、あと一歩なのでしょう?それなら、そのうち、自然となんとかなるかもしれません」

「ありがとう、君は優しい子だな」

「いえ、適当なことを言ってしまって、すみません」
「いやいや、これだけ条件が揃っているのだ、あり得ないとは、誰にも言えないさ」

「はい!」

385言理の妖精語りて曰く、:2016/08/27(土) 07:01:35
『ファントム・ラバーズ 幻の恋人たち』
とは、美少女攻略アドベンチャーゲームである。

108人を超えるヒロインと、ルートによって別人のように性格が変わる主人公が話題を呼んだ。
種を明かすと、ゲームの舞台である浮遊学園都市・ゆらぎ市は、政府が少子化対策に製作したVRシミュレータ内の架空の存在であり、実在しない。
そして、主人公「有瀬幻火(あるせげんか)」は、ヒロインたちが創造した「理想の恋人」という一つの幻であり、やはり実在しないのだ。
そうした真相が明かされるフラベウファルートでの、「ゲームの外の現実」への反逆エンドや、唯一、主人公と同様の存在といえるシステム管理人格フラベウファとの心中エンドなどは評価が高い。
しかし、そこまでに107人のヒロインを攻略しなければならないという面倒臭さや、おざなりなルートの多さが大きく足を引っ張り、結局、このゲーム自体は、低評価で終わったのだった。

【迷宮斧ラビリュントス】有名な【万物を貫く矛】と【万象を防ぐ盾】に代表される「仮説の実証のために作られた武具」いわゆる【幻説武具】の一つである斧。

迷宮とそこに巣食う怪物、そして、その囚われ人たちについて書かれた【猫の国】の書物、ヴィクトル・ペレーヴィン著『恐怖の兜』
これは、それを元にして作られた武器。
人間が、根源的に抱える孤独を超越させる斧である。
すなわち、この斧は、「結局、人は孤独なのではないか?」という命題を打破するために作られたのだ。

この斧は、この世に存在するのは、所詮、自分一人に過ぎないとする「独我論」概念を、迷宮として具現化させる機能を持つ。

迷宮は、取り込まれた人々の個々の自我、「我」を絶対の壁で分断し、一つの巨大な迷宮、巨大な「我」を形成する。
しかし、孤独な「独り」が「個」であるためには、逆説的に「個以外の存在」すなわち「他者」が仮説上だけでも必要とされる。
「独我論」においては、「他者」を含むこの世の全てが「我」であるとされるが、この世の全てを、いやただ一人だけでも「他者」の全てを認識出来る人間など、果たして存在するのだろうか?
認識出来ず操作も出来ない「我」
「我」に含まれない「我」など、では無い。
よしんば、全ての小さい「我」を含む、より巨大な「我」「大我」が存在したところで、その「大我」と、それに含まれる「我」は明らかに別物である。
迷宮による分断は、その事を証明こそすれど、決して「大我」の絶対性を肯定することは無い。

すなわち、この斧は「独我論」の概念をあえて実体化させることによって、その矛盾を示す実験器具なのである。

また、この斧は、個々の自我を区切る迷宮の壁自体や、その壁があるにも関わらず自我同士が共鳴し、共感する現象の、その仕組みを理解することを目的として作られたとも言われている。
しかし、果たしてそれに、この斧は、不可欠なのだろうか?
斧があっても無くても、それらを理解するために払わねばならない労苦や、そのための手段は、結局は変わらないのではないだろうか?

ともかく、壁は、今日も我々の前にある。
壁は、個人を区切ることによって自我を存在させ、それによって、唯一絶対の「大我」が己自身と対話するだけではなく、人間同士が互いに関係を持つことが出来る、という可能性を形成し続けているのだ。

386言理の妖精語りて曰く、:2016/10/24(月) 19:51:29
【夢見人の冠】
1 国の教育機関において居眠りをした生徒に被せられる紙の冠

2 1の元になった昔話に出てくる魔法の冠。

387言理の妖精語りて曰く、:2016/11/07(月) 02:05:35
【被召芯】

召喚魔法、召喚技術において、召喚に応じて現出した対象の核、軸、楔となるもの。
これの有無によって転移の術か召喚の術かは区別される。
例えばただポータルとかゲートとかを開いて相手にこっちに来てもらうのは転移の術である。

被召芯は術体系によって様々な形態をとる。それは明確にカタチをもった「呪具」であったりもするし、
文面によって表される「契約」であったりもする。

388言理の妖精語りて曰く、:2016/11/10(木) 01:36:34
全世界英雄協会で用いられる被召芯は七大理事の召喚に用いられているものを除き、時限式となっている。
これにより、ついうっかりメクセトを召喚してしまっても、所定の時間が来ればその構成体は崩壊し、災いはそこで止むことになる。
時限式になっているのは、こうした危機管理の意味合いの他、召喚に必要な魔力の節約のため、また良からぬ者に英雄が囚われた際の機密保持のため、といった理由もある。

389言理の妖精語りて曰く、:2016/11/19(土) 00:22:11
被召芯と総称されるものは最初からその名前のカテゴリに入れられていたわけではない。
ヅアート英雄協会の創立メンバーであるガク・テレツェゾンがこれを概念化した。
これは諸宗教、諸民族、諸地域における多種多様な術式にいわば「統一規格」を与える一環であった。
規格を合わせる事で「整然とした混合魔術」への道が開かれた。

帝国が各地で行った多種多様な封印を復元(応急措置)するにあたって、これはおおいに役に立った。

391言理の妖精語りて曰く、:2016/11/20(日) 15:16:00
ブリューナク

日本人錬金術師・扶桑崎大和が制作した槍。アーサー・P・マクドナルドが
世界各地の「信徒を失った古き神々」から協力を取り付ける際、太陽神ルーに贈られた。
五つに分かれた穂先からは光線を発射し、投げればどこまでも敵を追尾し、どんな場所でも召喚でき、灼熱を放ち、それ自体が雷電にもなる。
使い手の実力によってその性能はさらに高まり、ルーのような高位の超常的存在が持てば勝利は約束されているも同然である。
ルーが持つ複数の槍の力と、それらへの神話解釈を統合したような、多機能の魔槍。

マクドナルドの協力者であるが非戦闘員であるミハエル・”イエスマン”・ローゼンクランツの腕にも、
もしもの為の自衛用として小型化・低出力化されたブリューナクがインプラントとして仕込まれた。
1990年代末の「決戦」の直前に襲撃を受けた際、最大出力で解放し手首から先が消し飛んでしまうが、
現場での魔術的な治療によって回復。失った手首も復元するが、そのエネルギー源に埋め込まれていたブリューナクを用いた為か、
肉体と完全に一体化、彼の手は常に高熱を帯びるようになってしまう。
以後、日常生活では制御魔法を有する黒革の手袋の装着が必要不可欠になってしまった。

392言理の妖精語りて曰く、:2016/11/25(金) 19:44:56
友好の証として、握手を求められたときでさえ手袋を脱げないため、その度に怪訝な顔をされてしまうのが、彼の悩みであった。

ただ、扶桑崎の招待に応じて日本の『セントー』へ行った時は、少し事情が違ったという。
彼は、手袋の件で【クサナギノツルギ】なる聖剣の右手を持つ現地のエージェントと揉め

(中略)

襲来してきた巨大タコ相手に共闘したこともあり、所属する組織は違えども、同じ志を持つ仲間として、認め合う仲になったという。
それ以来、彼の悩みも、かなり軽くなったようで、時折柔らかい表情を見せるようになった。
恐るべきは、東洋の神秘『セントー』というべきだろうか。

なお、彼が土産に持ち帰った【タコヤキ】なるアーティファクトは、重要な証拠物件として、組織の研究課に永久封印されることとなったことを、ここに報告しておく。
研究課は、このアーティファクトに

「なんて冒涜的な代物なんだ!もっと持って来てくれ!」

と、大変な興味を示しているそうだ。
ローゼンクランツは、近いうちに、また日本を訪れることになるだろう。

393言理の妖精語りて曰く、:2016/12/06(火) 01:40:03
扶桑崎鷲太郎は扶桑崎大和の養子である。血縁上は彼の妹の息子、つまり甥である。
彼の妹は「信仰を失った古の神々」の一柱ゼウスの子を身ごもり、妬みにかられたゼウスの妻ヘラに殺された。
残された幼子を大和が引き取り、男手一つで育て上げた。

そして鷲太郎は大和のもとで錬金術と鍛冶の業を学び、父に匹敵する職人となった。
彼が生み出した作品と編み出した技術は父と盟友アーサー・マクドナルドたちの組織に多大な恩恵を与えた。

その研鑽の背後では妻がありながら浮気をし母を身ごもらせた挙句、自分の妻の凶行から守ろうとしなかったゼウスと、
殺害者であるヘラへの憎悪、母の死の後もゼウスやヘラたちと同盟関係を続けたアーサー達への不信感を抱えていた。
しかし、育ての親への愛情と恩義もあり、こうした気持ちをなるべく抑え込み、表に出さないよう自制してはいた。

394言理の妖精語りて曰く、:2016/12/13(火) 14:44:37
【クラウ・ソラス】
扶桑崎大和が、アイルランドやスコットランドの民話に登場するクレイヴ・ソリッシュ(光の剣)を基に作成したマジックアイテム、またそのシリーズ。

イルミナティによって伝承に登場するクレイヴ・ソリッシュの何本かが回収・保管されており、彼はそれを研究する事の出来る立場であった。
大和は民話に描写されたクレイヴ・ソリッシュの性能を再現した魔剣をいくつか制作し、
さらにアレンジとして独自の機能をつけた二振り「喰らう剣」「逸らす剣」をつくった。

「喰らう剣」は刃を当てた相手の生命力を、服や鎧ごしにも吸収して自己修復し、光や切れ味を強める機能を持つ。
「逸らす剣」は相手の武器と打ち合ったり、鍔迫り合いになった際に、使い手の望む方向に相手の武器をはじく機能を持つ。
これらはさらなる研究用に回された他、アレンジ剣を含む何本かは刀剣好きなレプティリアンたちに献上された。

その後、扶桑崎大和はアーサー・P・マクドナルドらと共に裏でレプティリアン打倒の計画を進め、その過程で世界各地の「信徒を失った古き神々」と接触。
その際ケルトのダーナ神族の長ヌアザにより、マジックアイテムを作成し提供することを求められる。これによりヌアザはアーサー、大和たちが協働に足るか見極めようとした。
扶桑崎大和はヌアザ用の剣として「喰らう、逸らす剣」を作成して提供した。
これはかつて作成した「喰らう剣」と「逸らす剣」の機能を併せ持ち、神用に出力を上げた品である。
ヌアザはこれを気に入り、彼の勧めで出力を落とし安定性を高めた量産型が生産された。これが「クラウ・ソラス」である。
ヌアザが持つ「喰らう、逸らす剣」は「クラウ・ソラス一号」と言える。

395言理の妖精語りて曰く、:2016/12/14(水) 08:55:23
「決戦」においてダーナ神族の本拠である地下異界を守っていたヌアザは襲来したドラコニアン二人に対し、
エリンの四至宝の一つである「ヌアザの剣」を持ちだし、「クラウ・ソラス一号」との二刀流で迎え撃った。
この戦いで「ヌアザの剣」は破損し、戦後「クラウ・ソラス一号」と合体させることで修復がなされた。

396言理の妖精語りて曰く、:2016/12/20(火) 12:31:02
扶桑崎鷲太郎は、海に面した崖の上に立っていた。
崖は高く、日没までまだ間があるというのに、もう既に、下の海面の様子を窺うことは出来なかった。
彼は、崖の上で初めての冒険を思い返すとともに、同時に、これからの自分の人生について、思い悩んでいたのだった。


扶桑崎鷲太郎は、神を憎む復讐者だった。
彼は、母を殺したヘラと、母を捨て、見殺しにしたゼウスを強く憎んでいた。
その憎しみは、育ての親である扶桑崎大和や、その友人である無空和尚に幾らなだめられても、消えることはなかった。

ただ、その彼も、義父から習った鍛冶の技に集中している時だけは、その憎しみを忘れることが出来た。
そうした修練の結果、扶桑崎鷲太郎は、東洋一と謳われる【神具鍛冶】に成長した。
しかし、それでも、彼の心には、いつもどこかに神々への憎しみがあり、それは事あるごとに顔を出すのだった。

そんな彼が、最も熱中したのが【神滅ぼしの武具】の開発であった。
彼の義父である扶桑崎大和は、神々に対して中立を貫く組織の一員ではあった。しかし、そもそも神々に運命を弄ばれた鷲太郎の母は、義父にとっても妹である。
いくら彼が、組織に忠実だといっても、その内心が穏やかであるはずもなかった。
扶桑崎大和は【神滅ぼしの武具】を作るための高度な技術やアイディアを、それとなく鷲太郎に伝え、彼の息子は、それを乾いた地面のように吸収していった。
だが、大和は、鷲太郎自身が【神滅ぼしの武具】を扱うことだけは、決して許そうとはしなかった。
鷲太郎が、腹違いの兄弟である鍛冶神と同じく、脚が不自由であったということもある。
しかし何より、扶桑崎大和は恐れたのだ。
ヘラもゼウスも、強大な神であり、なおかつゼウスは、人間の浅知恵を見抜いた逸話までもつ狡猾な神である。
【神々の復活】以後も、そのような強大な神が滅ぼされた事例は、そうは無い。しかも、そうした事例の多くにおいて【神滅ぼし】を為し遂げた英雄は、同士討ちになって死亡しているのだ。
扶桑崎大和は、それを恐れた。

彼は、もう二度と、家族を亡くしたくはなかったのだ。

397言理の妖精語りて曰く、:2016/12/25(日) 00:46:40
神は殺しても良いが、滅ぼしてはならない。

神は殺されても蘇るか修復する。豊穣の神がそうであるように殺されて蘇ることで
自然の恵みをもたらす者もいる。蘇るという現象そのものが世界に波及して豊穣をもたらす。

しかし滅ぼしてしまうと蘇ることも修復することもない。蘇生や修復はなされず、
健在時に行われる神威もない。滅ぼしてしまうと、世界と世間には害しか無い。

「神滅ぼしの武具」は存在してはならない。
一柱、二柱と滅ぼされていけば最終的には地上に生物の住める所はなくなる。
一柱くらいなら……が積み重なれば、一万年後には地上は全て死の荒野となり、真水と海水のある所は全て澱んだドブになる。

398言理の妖精語りて曰く、:2016/12/25(日) 13:37:45
……という話を広めれば、神を滅ぼそうという輩はいなくなるだろうか?」
とバアルはモートに言った。
「殺すだけならまだいい、というのは死に慣れしてる俺ら基準の考え方だな」
モートは答えた。

二人はこれから七年ごとに行うプロレスの現場に向かっているところだ。
殺すことが前提だが、神である両者にとっては一時的な敗北、退場に過ぎない。
七年前、バアルとモトは戦闘を行い、相討ちとなり、その後バアルだけが蘇った。
相手であるモートが復活したのはその七年後、今現在から数日前である。
モートが蘇った地点をバアルが訪れ、そこから「リング」に向かってまた戦う。

彼らを称える神官も信徒がいなくなってからも、休まず続ける恒例行事であった。

399言理の妖精語りて曰く、:2017/01/03(火) 03:25:16
ケリュケイオンは四つ存在する。

ヘルメスが持つ一本目。
メルクリウスとの「習合」の際に彼に贈った二本目。
「全き人」としてデザインした分身ヘルメス・トリスメギストスに持たせた三本目。
「霊的な息子」として受け入れた異邦の子神ヘルマヌビスが修行を完成させた記念に与えた四本目。

「神秘の杖」のうちで最も著名なものであり、これを模倣・再現する多くの試みがなされた。
そうした模造品と区別して、以上の四本を「神のケリュケイオン」とも呼ぶ。

400言理の妖精語りて曰く、:2017/01/11(水) 19:11:41
翻訳AI【ヒギンズ教授】は、あらゆる言語をネイティブ以上に用いることが出来た。
ポジティブな面を挙げれば、それは、国家や階級を超えた対話の可能性を広げた。
しかし、ネガティブな面で言えば、【ヒギンズ教授】は、国家や階級という既得権益とアイデンティティを確保していた存在、「言語障壁」を破壊したとも言えるのだ。
それは結果として、不安を抱える人々による「異人狩り」異質な存在を見出だすことによって、自己を保全する活動を促すことになったと言われている。

しかし、その責任は、AIという一つの道具だけに負わせるべきなのだろうか?むしろ、異質な存在を「卑しい」として排除しなければ、自らの「高貴さ」を保てない我々人間自身の性質をこそ、見直すべきではないだろうか?

401言理の妖精語りて曰く、:2017/01/12(木) 12:41:48
【三蛇の杖】

「暗黒魔導師」ジョック・ラーカンが持つ杖。彼が命すら狙われる原因となっている秘法の主たるもの。
人造のケリュケイオンの中で至上の逸品とされ、人造の神具の中でも最高ランクと認められている。

ヘレニズム期のアレクサンドリアに存在した魔術結社によって造られた。
ヘルメス神のケーリュケイオンと医神アスクレピオスの杖の機能を再現し、一本の杖の中に合一させた。

レプティリアンによって奪取され、人類の集約意識に干渉する装置の一部とされた。
集約意識を一つの脳に見立て、ある箇所にこれを突き立てる事で、人類がレプティリアンの存在に気付きにくくする狙いがあった。
副作用として、ケーリュケイオンとアスクレピオスの杖が混同される風潮がホモ・サピエンス社会に広がった。

集約意識に殴り込みをかけたが失敗し無力化されたバアル軍団の救出作戦時に再発見され、外界に再び持ち出された。
救出作戦に参加し、大きな功績をあげたジョック・ラーカンは、神々から何が欲しいかを聞かれ、
この「三蛇の杖」を求めた。彼が各地の有力な魔術神のお気に入りであったこともあり、この希望は受け入れられた。

402言理の妖精語りて曰く、:2017/01/12(木) 20:11:03
【お兄様魔砲】
自己を【妹】だと確信する者のみが、用いることが出来る魔法兵器。
射出する対象を【お兄様】という【形相】に当てはめることで、あらゆる存在を【お兄様】に変え、無敵のパワーを与える。

403言理の妖精語りて曰く、:2017/01/21(土) 22:04:16
【ブレイスヴァ/ゼロシステム】とは、紀改神【ブレイスヴァ・ウィングゼロカスタム】に搭載されている未来予知装備である。
装着者は、あらゆる物事の終端を予見することが出来る。

404言理の妖精語りて曰く、:2017/01/26(木) 03:31:31
【万英殿】

【万雄殿】の遺構と遺物を元に「ヅアート英雄協会」が再構築した魔導施設。
万雄殿はレガ文明において偉人と見なされた男性の魂が祀られる場であり、
女性の魂は含まれなかったが、再構築の際に改良がなされ、男女両方の偉人の魂を保管できるようになった。
ヅアート英雄協会は「あの世」「霊界」と仮定した領域から英雄の霊をこの施設に呼び込み、
物質化させた上で待機状態に置き、必要なときに万英殿から召喚する、という術式を生み出した。

ムッガ動乱において襲撃され、万英殿のパーツ、また協会の極秘であった術式の中身が外部に流出する結果となった。
襲撃の原因の一つが、他宗教同士、異民族同士の偉人を、新しい術で混在させ活用していた事への反感だったと言われている。

【万英殿】はヅアート英雄協会が離散したのち、「全世界英雄協会」が設立される際に【万傑殿】として再建された。

405言理の妖精語りて曰く、:2017/01/27(金) 11:15:45
ムッガ動乱のあと、チャカ大陸、また本大陸西部各地において起こった内乱、革命において【英雄】の姿が見られるようになる。

神話や伝説、古い歴史書や伝承に語られる英雄たちが時を超えて出現し、
自分の同胞たちが求める分離独立、主権ある土地のためにその力をふるった。

406言理の妖精語りて曰く、:2017/02/02(木) 14:58:28
協会の英雄召喚技術で召喚される英雄は、知名度や民衆の支持と関係なく、
古ければ古いものであるほど強力な傾向がある。生前の実力では隔たりがあっても、
古いというだけでそれが逆転する事も珍しくない。

ヅアート英雄協会時代には「あの世」「霊界」に長く居たことと関係があるという推測がなされた。
全世界英雄協会の場合、その傾向があるのは認めながらも理由については例によって「ノーコメント」である。

407言理の妖精語りて曰く、:2017/02/03(金) 16:15:05
古い英雄のほうが強いなら古い英雄をたくさん召喚すればいい、というわけにもいかない。
新しい英雄と技術の原理は全く同じであり、多少の手間と必要な資材・エネルギーが殖えるだけである。
しかし、古い英雄の場合、「一時召喚」という形でなされることがほとんど。
これは文字通り一時的に英雄を召喚するもので、魔法や異能を行使してもらったら、その場で帰ってもらう方式である。

問題は彼らの価値観や思想背景である。古ければ古いほど、その価値基準は現代人と隔たり、
過去に起った歴史上の争いや対立も当事者であるなら、現代であろうと冷静ではいられない。
「常時召喚」をされた英雄が「不用意な発言」をしたり英雄同士、また対立相手の子孫とぶつかることになれば、その炎上の鎮火は大変である。

408言理の妖精語りて曰く、:2017/02/04(土) 18:47:55
【万英殿】には、召喚された英雄たちのために、武具や衣裳が用意された倉庫が設置されていた。
それは、段々と規模を拡大し、ついには【万具殿】と呼ばれる巨大施設となった。

409言理の妖精語りて曰く、:2017/02/06(月) 00:11:11
ムッガ動乱においては万具殿に納められた武具や衣装も盗み出された。

万英殿が万傑殿へと改築されるさい、万具殿とその収納物には霊体認証システムが導入され、それぞれの武具と衣装は登録された英雄にしか扱えないよう工夫された。

410言理の妖精語りて曰く、:2017/02/06(月) 15:24:04
全世界心技体育競技大会の上位入賞者、所謂「メダリスト」を没後、万傑殿に祀り上げるシステム。

これは「現代的な価値観を持ち、それ故に古き者よりは御しやすい英雄」を確保する手段である。
万具殿の衣装と武具によってパワーを底上げすれば、近世〜近代の英雄ほどの出力は発揮できる。

411言理の妖精語りて曰く、:2017/02/06(月) 18:41:48
通常、英雄と武具では英雄の方がより重要である。

それは、万具殿に用意された武具の多くが、召喚された英雄が扱うことで初めて威力を発揮するレプリカであり、古代に失われた武具の「再現品」であるということもある。

だが、一番の理由は、英雄が扱う武具には、成人男子十数人がかりでないと持ち運ぶことすらままならない棍棒や、担い手を選ぶ魔剣なども珍しくは無いということだ。
単純に、武具だけあっても役に立たないのである。

412言理の妖精語りて曰く、:2017/02/07(火) 20:44:39
【ラクルラール=カラテ=G3―Xアーマー】
略して、【ラクカラアーマー】とは、AIによるサポートで理想的な動きが出来るようになるパワードスーツである。

この装備は、身に付ければ変身ヒーローのように強くなり、天使的な存在をも倒せるようになる、という触れ込みで警察に売り込まれた。
しかし、これを使いこなすには、AIの指示に完全に支配される「無我の境地」を装着者が得ることが必要であり、そのため実戦配備は未だ難航している。

413言理の妖精語りて曰く、:2017/02/09(木) 20:02:00
「万具殿」に納められている武具には「英雄の残り香」すなわち、その武具を扱った英雄の力の残滓が残留している。

414言理の妖精語りて曰く、:2017/03/05(日) 17:58:01
『ふりくと学園メモリアル』とは、男性キャラ同士の接触・衝突を設計出来るゲームである。

キャッチフレーズは、「運命を変革するRPG」
公式からは、関係構築RPGとも言われている。

415言理の妖精語りて曰く、:2017/03/09(木) 20:17:50
【共有日記】
類感魔術の応用で、通信が可能な魔術書。
リアルタイムで更新される交換日記である。

416言理の妖精語りて曰く、:2017/03/14(火) 20:09:22
それでも女の子と女の子がおでことおでこをこつんとする事には勝らないと言われている。

417言理の妖精語りて曰く、:2017/03/14(火) 21:14:32
女の子同士の「こつん」は、二人を見ていた人の心をも震わせ、記憶を呼び覚ますからだ

そう、失われた記憶が甦り、過去の捉え方が変わるとき
それはある意味、光を越えた速さだと、言うことが出来るのだ

418言理の妖精語りて曰く、:2017/03/26(日) 18:34:18
メクセト王は『不滅の金属』をもって、多くの【神滅ぼしの武具】を作ったという。

419言理の妖精語りて曰く、:2017/04/27(木) 20:22:47
扶桑崎鷲太郎の『第一候補』案は、これ以上無いほど失敗した。
彼には、もはやそれに挑戦する意欲が無くなっていたのだ。
彼は、その案の虚しさを思い知っていた。
例え『第一候補』である【天空神の槍】を完成させたとしても、彼に訪れるのは虚しさと敗北だけであろう、と。
欧州で彼が体験した、ある奇妙な冒険の記憶が、彼にそう告げていたのだ。

420言理の妖精語りて曰く、:2017/04/28(金) 20:38:31
叔父であり、義父でもある扶桑崎大和の想いを知っていた鷲太郎は、表立って復讐を試みることは無かった。
しかし、彼はまた、自分と母を不幸にした神々への復讐のため、いかなる機会も逃すつもりはなかった。
しかも彼は、日本において『神々の復活』関連の問題を一手に引きうける機関に所属していたのだ。
実行部隊ではなく、バックアップ部隊の所属であるとはいえ、そんな彼にとって必要な情報を集めるのは、決して難しくはなかったのだ。

421言理の妖精語りて曰く、:2017/04/30(日) 06:06:29
だが、そんな彼であっても、【槍】のノウハウを持つ組織に接触することは難しかった。
それが海外の組織、ドイツの組織であること自体は、問題ではなかった。
鷲太郎の所属する組織は、世界中にある同様の組織と協力関係にあったからである。
当の組織が、治安側ではなく反権力側、もっと正確に言えば犯罪組織に近いものであることでさえ、接触することだけを考えれば問題ではなかった。

問題であったのは、その組織がよりによって『ネオナチ』と関わりがある組織であるということであった。
いくら世界中の『組織』が協力的な関係にあるとはいえ、自国の恥部を他国に解決させる『組織』など存在するわけがない。
『ドイツの【槍】に関わるな』
情報が判明してからすぐに、それが鷲太郎たちが所属する組織にとっての正式な決定事項となった。
それは、個人的な心情などを超越した、絶対的な禁止命令であった。

鷲太郎は、【槍】を作り出すノウハウを目の前にしながらも、それとの接触を禁じられてしまったのだ。

422言理の妖精語りて曰く、:2017/05/02(火) 21:29:45
しかし、それでも彼は決して、その組織との接触を諦めようとはしなかった。
その時の彼は、やっと見つけた復讐の機会に心を燃え上がらせていたのだ。

公式なルートで接触出来ないのなら、裏のルートを用いれば良い。
彼は、裏社会経由で渡りをつけ、フリーの神具鍛冶として密かにドイツへ渡った。
もちろん、所属『組織』には、出国前に辞表を提出していた。
いくら日本の『組織』といえど、脱退した人間を拘束することは出来ない。

そうして、準備を整えた彼は、後ろ髪をひかれる思いで故国を後にした。
もはや、二度と帰らぬ覚悟と共に。

彼の僅かな心残りは、実の息子のように可愛がってくれた伯父、扶桑崎大和にきちんと別れを告げていないことだけであった。
機上の人となった彼は、伯父と、その悪友である無空和尚の顔を思い浮かべながら、到着後のスケジュールを再確認していた。
もはや、あの二人の顔を見ることは、もう二度と無いかもしれない。
感傷に浸る扶桑崎鷲太郎であったが、その時の彼には、これから先に奇妙な冒険が待ち受けていることなど知るよしも無かったのだ。
さらに言うならば、彼の荷物の中には、その伯父当人が丹念に作り上げたお守りと、無空和尚による土産を催促する手紙が密かに仕込まれていたのだが…………当然ながら、そんなことなど彼には知るよしも無かったのであった。

彼が荷物の『仕込み』に気付き、嬉し涙を流したり、怒りの声と共に手紙を破り捨てるのは、彼が感傷に浸った、そのわずか2分後のことになる。

423言理の妖精語りて曰く、:2017/05/18(木) 17:56:39
18世紀に生まれた「最後のスラヴの神」その名はツィルニトラ。
この神の像がドイツ西部ブランデンブルクで「発掘」されたことがこの神の誕生の契機となった。

この地にかつて住んだスラヴ系民族の崇めた神、かつて崇められていた、と信用され、
その想念の「枠」が受け皿となり、この神は「受肉」した。

少なくとも「組織」はそう認識している。

この神の像が含まれる「プリルヴィッツの偶像」は地元の職人による贋作であることが後に暴かれたのは事実である。

スラヴの「信仰を失った神々」も、彼が古代から存在したなんて話は知らない、と言う。

ツィルニトラは寄る辺なき神であった。

424言理の妖精語りて曰く、:2017/05/18(木) 23:58:49
スラヴの神々からも、ゲルマンの神々からも距離を置かれている彼は、人間に化けてその社会に紛れ込む事にした。
「魔法の神」と言う彼にとっては事実である自己認識も、他の神々からは支持されない。
自己にとっての真実を確認し直すため、更新するため、人間の世界で一から魔術を学ぶ事にした。

このとき「像を造らせ『発掘』させる」力を大いに活用した。

425言理の妖精語りて曰く、:2017/06/16(金) 05:42:13
ヘレゼクシュ地方の鉱山では、【カボチャ灯】が愛用されている。
この灯火は「鉄皮南瓜」に「行き場を無くした魂」をまじないで変形させた「燃える金貨」を入れて作られる。
そうした作成方法はともかく、この【カボチャ灯】は、とても美しい照明である。
鉱夫たちの鎚音が響く薄暗い坑道では、ゆらゆらとかすかな風に揺らめくこの灯火が、唯一の明かりでなのだ。
この灯火は、橙色の光を投げかけ、小柄な鉱夫たちの影を何倍にも引き延ばし、さらなる薄い影と共に踊らせる。

426言理の妖精語りて曰く、:2017/06/27(火) 17:55:04
【齧る四肢】

審理的真理軍の長となったトーマが装着した、モナドリアクター内臓の義足と義手。
オルテガ通商連合ギルドのプラチナ会員企業「ビスカン商会」から流出した技術が用いられている。
装着者はこの名をとって「齧る四肢のトーマ」と呼ばれた。

手のひら、足の裏に触れたものを装着者の意図に応じて、モナドへと還元し、エネルギーとして吸収したり、
そのまま任意の方向に暴発させることができる。

法術を使用できないという宗教上の利用から、法術やその他の「異端的」「異教的」な術体系を使用できない唯信派の彼らは
それらに合致しないテクノロジーを追い求めた。モナドリアクターはそんな彼等が手にした力の一つである。

427言理の妖精語りて曰く、:2017/06/28(水) 06:06:32
【さいからミシン】があれば、誰でも裁縫の達人になることが出来る。

このミシンは、ファッション系企業が売り出した商品であり、専用のコミュニティである【VRものづくり工房】との連動機能がウリである。
このミシンさえあれば、提携ブランドの最新スタイルの服や洋服を、自分の手で作り出すことが出来る。
更に、コミュニティに自作した衣服のデータをアップロードすることで、デザインをSNS内で共有したり、工場委託して大量生産することも出来る。
更には、有料デザインとして売り出したりすることも可能なのである。

人気のあるデザインをした者や、定期的に行われるコンテストに入賞した者には、プロへの道が開かれているという噂もあり、このミシンは、今や品薄商品である。

そして、この好評を受け、販売元は【さいから3Dプリンタ】なる姉妹商品を売り出すとのことだ。
新時代のネットワーク連動製品の勢いは、まだまだ止まることはないであろう。

428言理の妖精語りて曰く、:2017/07/20(木) 05:34:15
扶桑崎鷲太郎は、あらゆる事態を覚悟していたはずであった。
彼は、ドイツの秘密結社と接触するにあたり、ドイツを完璧にマスターしていたし、裏社会の事情も探れるだけ探っていた。
汚い仕事に従事させられることも想定していたし、もちろん、いざという時に逃亡するためのルートさえ用意していたのだ。

それでも、どれだけ準備を積み重ねても、どれほど情報を集めても、力の及ばない事態というものも、存在する。
鷲太郎は、そのことも、きちんと肝に銘じていたはずであった。

429言理の妖精語りて曰く、:2017/07/21(金) 05:58:37
彼は、どれほど過酷な「仕事」 にも耐えるつもりであった――――実際には「仕事」と呼べるようなものは、ほとんど無かった。
彼は、多少の犯罪や悪事にも、その手を染める覚悟はあった――――しかし、求められていたのは、むしろ慈善行為に近い「仕事」であった
彼は、接触対象が小さな組織であり、カルト化した閉鎖的な集団となっていることも覚悟していた――――しかし、まさかその「秘密結社」が家族経営だとは、予想もしていなかった。
彼は、どんな厄介な上司や同僚をも、覚悟していた。
靴をなめさせられようが、どれだけ理不尽な命令をされようが、耐えるだけの備えと対応力は身に付けてきた。
だが、
だが、
だが――――彼の上司は、どこにでも居そうな主婦であり、彼に与えられた部下も、またどこにでも居そうな小娘であった。
確かに、彼には神具鍛冶としての技能は求められていた。
しかし「結社」の予算や、準備の関係のため、今のところそれらを振るうことは出来なかった。
どれほど腕の良い技術者でも、素材が揃わねば、その力を見せることは出来ない。

かくして――――陰惨でハードボイルドな「仕事」に従事するはずだった扶桑崎鷲太郎は、「上司」であり「首領」である話好きな主婦の身の上話と、ワガママで小生意気な「部下」子守りに付き合い続けるハメに陥ったのであった。

――――どうして、こうなった?

430言理の妖精語りて曰く、:2017/08/04(金) 07:13:49
【思晶石】とは、呪術結晶の一種。
それは、思いを内部に閉じ込める効果を持つ。
その製法は、鈴国が独占していることで有名である。

夏への憧れを封じ込めた石は、冬のさなかにもキラキラ輝き、暖かな思い出を刻んだ石は、暖炉の中であかあかと灯る。

431言理の妖精語りて曰く、:2017/08/05(土) 09:48:56
<<<<白いワンピースを着た幼馴染とヒマワリ畑を駆け抜け、ソーダの瓶をあけて入道雲の聳える青空をながめたものだった。>>>>

432言理の妖精語りて曰く、:2017/08/16(水) 02:24:13
センジュ・フォリアマールは全世界心技体育大会の金メダリストであり、死後、万傑殿での処置により英雄となった。

現代の英雄である彼は、死者としての時間が少なすぎて英雄としての出力に欠ける。
ここまでは他のメダリスト系英雄と同じだが、彼は莫大な資材を投じた追加パックの装着によりそれを補う。

433言理の妖精語りて曰く、:2017/08/17(木) 04:15:44
その追加パックは、いざ戦闘となると自動的に展開し、彼専用の鉄棒に変わるのだ

434言理の妖精語りて曰く、:2017/08/17(木) 04:43:15
扶桑鷲太郎は、東アジア最高の【神具鍛冶】にして、母を殺した神への復讐者たる半神である。
しかしそんな彼も、今では、すっかり子守りが板についてきてしまった。

まず朝は、誰よりも早く起きて、トレーニングをこなし、朝食の用意をする。
カルト教団【聖遺産協会】の正メンバーは二十人ぐらいいるらしいが、この本部(という名の山小屋)に暮らしているのは、わずか三名に過ぎないので、それも大した手間ではない。
次に、【偉大なる聖母】という仰々しい二つ名を持った一家の母親を起こし、続いて【栄光を約束されし麗しき妹君】なるワガママ娘を起こす。
ちなみに、後者の二つ名は、ワガママ娘当人にねだられて、鷲太郎がつけたものだ。
彼女には、それまでそのようなものが一切無かったらしく、つけた当日には飛び上がらんばかりに喜んでいた。
三日間に渡って苦労させられた鷲太郎も、これで報われるというものだが、彼女はなぜか、やたらと素直になりたがらない。
【聖母】様の前や【協会】の『公式行事』においては、別人のように素直で真面目な彼女なのだが、鷲太郎の前では、やたらと刺々しいのだ。
この時も、大喜びしたと思ったら、照れ隠しに蹴りを入れてきた。
まあ、中学生(くらい)の女子に蹴られてダメージを負うような鷲太郎ではないが、蹴られれば普通に痛いので、そこは避けておいた。
避けられた彼女は、鷲太郎の代わりにオーク材の堅固なタンスを蹴ってしまい、足の指を痛めてしばらく跳ねていた。
彼女は、しきりに悪態をついて鷲太郎を非難していたが、鷲太郎自身も、この時ばかりは自分を非難したい気分であった。
彼は、かわいそうでならなかった――――蹴られたタンスが。

そんな【妹君】を起こすことこそが、今のところ、この【協会】における鷲太郎の最大の任務であった。


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