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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part27

1 : ■■■■ :2014/03/25(火) 01:55:18 XqvicpO6
上条さんと美琴のSSをじゃんじゃん投下していくスレです!
別に上条さんと美琴だけが出てくるスレじゃありません。
上条さんと美琴が最終的にいちゃいちゃしていればいいので、
ほかのキャラを出してもいいです。そこを勘違いしないようにお願いします!

◇このスレの心得
・原作の話は有りなのでアニメ組の人はネタバレに注意してください。
・美琴×俺の考えの人は戻るを押してください。
・このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。
・レスする前に一度スレを更新してみましょう。誰かが投下中だったりすると被ります。
・次スレは>>970ぐらいの人にお願いします。

◇投稿時の注意
・フラゲネタはもちろんNG。
・キャラを必要以上に貶めるなど、あからさまに不快な表現は自重しましょう。
・自分が知らないキャラは出さないように(原作読んでないのに五和を出す等)。
・明らかにR-18なものは専用スレがあるみたいなのでそちらにどうぞ。
・流れが速い時は宣言してから書き込むと被ったりしないです。投稿終了の目印もあるとさらに◎。
・創作しながらの投稿はスレを独占することになりますので、書き溜めてから投稿することをお勧めします。
・このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。
・以前に投稿したことがある人は、その旨記述してあるとまとめの人が喜びます。
・ちなみに1レスの制限は約4096byte(全角約2000文字)、行数制限は無い模様。

◇その他の注意・参考
・基本マターリ進行で。特に作品及び職人への過度なツッコミや批判は止めましょう。
・このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。
・クレクレ(こうゆうのを書いてください)等はやりすぎに注意。
・読んだらできれば職人にレスしてあげましょう。職人の投稿するモチベーションを維持できます。
・誰か投下した直後の投下はできれば控えめに。
・倫理的にグレーな動画サイト、共有関係の話題はもちろんNG。
・書きたいけど文才無いから書けないよ!
  →スレの趣旨的にそれでも構いません。妄想と勢いでカバー(ネタを提案する程度でも)。

◇初心者(書き手)大歓迎!◇

前スレ
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part26
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1381415914/

まとめページ
とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫 / 上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/81.html

まとめページの編集方針
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/213.html

スレ立て用テンプレ
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/82.html


2 : ■■■■ :2014/03/25(火) 01:56:42 XqvicpO6
■過去スレ
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1256470292.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part2
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1262324574.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part3
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1264418842.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part4
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1265444488.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part5
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1266691337.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part6
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1268223546.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part7
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1269624588.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part8
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1271074384.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part9
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1272858535.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part10
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1274888702.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part11
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1278386624.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part12
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1281121326.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part13
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1287267786.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part14
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1294570263.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part15
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1297888034.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part16
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1301665322.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part17
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1306158834.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part18
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1313080264.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part19
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1319498239.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part20
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1327581934.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part21
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1335861860.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part22
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1352112151.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part23
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1360844502.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part24
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1363802594.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part25
ttp://jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1369269992.html
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part26
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1381415914/


3 : ■■■■ :2014/03/25(火) 01:58:18 XqvicpO6
■関連ページ
とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/
とある魔術の禁書目録 Index
ttp://www12.atwiki.jp/index-index/
御坂美琴まとめ Wiki
ttp://wikiwiki.jp/misakamikoto/

■関連スレ
上条当麻×御坂美琴 専用雑談スレ 追いかけっこ13日目ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1394592431/
とある魔術の禁書目録 自作SS保管庫スレ
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とあるSSの禁書目録 PART11
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上条さんと○○のいちゃいちSS
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1269574273/
上条さんが好きそうな女キャラについて語ろう
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1361190443/
禁書目録シリーズヒロイン全般を語るスレ20
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1392724701/
上条さん専用スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1378522373/
【お姉様】御坂美琴スレ【ツンデレールガン】
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1137078534/
上琴の愛に溢れたSS・薄い本を教えあうスレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1372493514/
【とある魔術の禁書目録】上条当麻のあだ名はカ38んttp://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1392552832/
【とある魔術の禁書目録&超電磁砲】御坂美琴はウサミミかわいい233
ttp://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1394814125/

■関連スレ(R−18)
上条当麻×御坂美琴 いちゃエロスレ4
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1322814818/
禁書でエロばなし
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1137215857/
【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 38フラグ目
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1363161190/


4 : ■■■■ :2014/03/25(火) 02:03:56 XqvicpO6
2箇所も改行ミスってる  すみません


5 : ■■■■ :2014/03/25(火) 08:27:04 FAKU2JDE
スレ立て乙です


6 : ■■■■ :2014/04/01(火) 07:42:35 KrsLYJmg
新スレ乙!!


7 : ■■■■ :2014/04/01(火) 17:11:20 uJOcBY9o
>1乙
…さんがいちゃスレ卒業宣言された時、ちょっと鬱っちゃった
もうここに依存し過ぎだ


8 : ■■■■ :2014/04/01(火) 18:48:08 ugB98ocg
最近ようやくここにたどり着いたのに……。・゜・(ノД`)・゜・。


9 : 7 :2014/04/01(火) 20:57:14 CFU4XLyg
>>8
誤解させちゃったけど
…さん卒業はエイプリルフールネタだそうです

これからも楽しませて下さると思いますよ

でも最初に最後のアップって書いてあったから作品を純粋に楽しめなかったの


10 : ■■■■ :2014/04/01(火) 21:02:40 2eAjhw3s
そうか、今日は4/1か


11 : ■■■■ :2014/04/01(火) 21:17:26 dcOqPd4I
他のスレでは笑って楽しんでたのに本気でえええええ!って思っちゃったよ
やられたw


12 : 久志 :2014/04/01(火) 23:10:13 JLUGWzCg
こんばんは♪諸事情によりコメントは次回に回させて頂きまして←
とりあえず27スレ目に突入した記念の小ネタを次レスで投下したいと思います♪


13 : 27スレ目突入記念、上琴オープニングトーク :2014/04/01(火) 23:13:05 JLUGWzCg
美琴『あら?珍しいわね。アンタが先に来てるなんて』

上条『おぅ御坂。コレ見たか?』

美琴『ん?なに?』





PC画面【上条さんと美琴のいちゃいちゃSS Part27】





美琴『……////』

上条『お前と俺が主役張ってるスレがもうPart27だとよ』

美琴『そ、そうみたいね。意外に早いものね。うん////』

上条『こんなに続くなんて思ってもみなかったぜ…御坂、お前はどう思う?』

美琴『…ふぇ?! べ、別にどうって事もないわよ?////』

上条『ふーん? じゃあ嬉しいとかびっくりとかも全然無ぇのか?』

美琴『そそ、そうよ? べべべ別に嬉しいとかそんな事ちっとも無いんだからッ////』

上条『へぇ〜』(笑顔)

美琴『ななな何よその笑顔は!?////』

上条『いや、だって今日はエイプリルフールだぜ?こんな日にこの話題で
   嬉しくないって言い返されるって…いやぁ上条さん嬉しいですよ』(頭なでなで)

美琴『!!!???////』

上条『俺も御坂と一緒に過ごすの、すっげえ楽しいし…あ、ちなみに
   コレは嘘や冗談とかじゃなくマジな話だからな。』(更になでなで)

美琴『あわわわ…////』

上条『これからもヨロシクな、御坂♪』(なでながら満面の笑み)

美琴『…ふにゃー////』

上条『ありゃ、漏電気絶しちゃったか…んじゃ、今このスレ見てる皆もヨロシクな』

美琴『ふにゃにゃー////』


14 : 久志 :2014/04/01(火) 23:15:52 JLUGWzCg
以上です。さぁ次は皆さんからの上琴SSをお待ちしてます♪


15 : はりねずみ :2014/04/02(水) 00:11:28 RxoPB4Ns
スレ立てありがとうございます。
>>・・・さん
これが四月バカップルというやつですか。
引退予告には騙されました

>>久志さん
しょっぱなから甘甘なSSをありがとうございます!!

来年にはpart35記念のエイプリルフールネタを書ける勢いでやっていきましょう!!

はい。それでは投下します。


16 : とある父親の回想 :2014/04/02(水) 00:12:56 RxoPB4Ns
『ちょっと、買わないんだったらそこどいてよ』

それが俺と美琴との出会いだったんだ。

その前に一度会ったみたいらしいんだけど、俺は覚えてないんだよな。
その次の日だよ。あいつは泣いていたんだ。誰にも助けを求める事も出来ずに、けれども一人じゃ解決できない問題を抱えて。
俺は、放っておけなかったんだ。
なんとか解決は出来たけど、俺は入院してな、今でも言ってないけど、お見舞いにクッキーを買ってきてくれたのは嬉しかったよ。
そういえば俺が退院した日に美琴、何か言おうとしてたけど何だったのかなあれは。後ろに何か隠してたみたいだし。あれが何だったのか、未だに聞いてないんだよな。

それから俺は、美琴と関っていくようになったんだよ。
大覇星祭で勝負もしたな。え、どっちが勝ったかって?……美琴だよ。しょうがないだろ。あの時は他にやる事あったしクラスメイトも負傷するしで。
で、結局罰ゲームで携帯電話のペア契約をさせられたよ。その時に証明として2ショットを撮ったけど、ドキドキしたの、内緒だからな。
そういやその日の夜だったな。事件に巻き込まれて、美琴がいなかったらどうなってたかわからないな。

それからというもの事件に巻き込まれまくったな。いつの間にか、俺がやらなきゃいけないって、一人で突っ走ろうとしたんだ。
その時美琴に、『一人じゃない。アンタが背負っているものを私も背負う』って言ってくれたんだ。
正直救われたよ。思えば美琴を気になり出したのはその時からかもしれんな。

あれから気づけばいつも美琴がいたな。
あいつがいたから俺は戦えた。あいつが横に立ってくれていたから、こうしてその話をお前に出来るんだ。
どっちがという訳でもなく、いつの間にか付き合ってるみたいになってたな。
そして美琴が大学を卒業してから結婚して、麻琴。お前が生まれたんだ。







「……そろそろ美琴が帰ってくるな」
「もうちょっと聞かせてよ。事件の件とか詳しく」
「わざわざ話す事でもないぞ」
「えー」
(さすがに魔術とかクローンとかは言えんしな―)
「はいもう終わり!お前は夕飯まで宿題でもやってなさい」
「ぶー」


17 : はりねずみ :2014/04/02(水) 00:14:51 RxoPB4Ns


次回予告


「アンタなんか大嫌い……だからもう、私に関らないで」

(あの時、美琴の手を掴んで、無理にでも引き止めておけば、あんな事にはならなかったのかもしれない)

「ダメ!それ以上こっちに来ないで!!」

(もう二度と、あいつの泣き顔なんて見たくなかったのに)

「ごめん。それでも私はアンタに……」

「ごめん御坂。俺はずっと」


少女は少年の為に、心を壊し、少年を傷つける。
少年は、それでも少女の笑顔の為に立ちあがる。




なーんてね。エイプリルフ―…………あ、12時過ぎてる。
これは本当にしなくては。


18 : ■■■■ :2014/04/02(水) 01:27:15 rNxkgvWI
乙です
新スレも期待!


19 : ■■■■ :2014/04/02(水) 08:49:06 B1AqdG4M
きゃーはりねずみさんそんな予告っ
読みたくなるじゃないですかー!!
でも上条さんが本当にミコっちゃんが居たから戦えったって思ってて欲しいな

久志さん、美味しい所持っていきましたね!長編の続きも待ってます


20 : ■■■■ :2014/04/02(水) 18:47:20 njbjGWnk
職人の皆さん、いつも素敵な作品をありがとうございます

こちらに書き込むのは初めてなんですが質問があります
上琴前提で美琴と打ち止めと一方通行の関係を主題においた作品は
ここに投下するのはやっぱり駄目なんですかね?


21 : シラボネX :2014/04/02(水) 19:02:29 Vkb.EiE6
どうも、シラボネXです。
まずは感想を。

>>ましろぷーどさん
上条さんwwもう美琴をお嫁さんにしちゃいなさいよww
あと「佐天」でしたか。違和感感じてたのですっきりしました。

>>はりねずみさん
上条さんの美琴への思い最高でした!
予告の長編もぜひに!

>>・・・さん
嘘卒業は本気で焦りましたよ。
二人の甘い嘘は乙です!

>>久志さん
おみごとなオープニングです!
長編楽しみに待ってます。

それでは小ネタ投下します


22 : シラボネX :2014/04/02(水) 19:03:58 Vkb.EiE6
小ネタ 箱の中身は何だろな〜?パート2

御坂妹「もしもし、そこのアナタ、とミサカはアナタを呼び止めます」

上条「ん?俺?」

御坂妹「そうです」

上条「上条さんにいったい何のご用ですか?」

御坂妹「アナタにやってほしいゲームがあるのです」

御坂妹の前にはテーブルが置いてあり、その上には小さな箱が乗っている。

上条「またこれですか・・・・・」

上条は溜め息を吐いた。

御坂妹「?」

上条「で、箱の中身を手探りで当てろって言うんだろ」

御坂妹「そうです、とミサカは珍しく呑み込みの早いアナタに驚きます」

上条「当てたら賞品とか出るのか?」

御坂妹「ミサカを差し上げます」

上条「えぇ!?」

御坂妹「冗談です」

上条「ほっ・・・」

御坂妹「チッ・・・・箱の中身を差し上げます」

上条「まあそれなら」

今回は美琴が入れるようなスペースも無い。安心して箱に手を入れる上条。
早速手に何かが触れる。

上条「う〜〜〜〜ん」

布の感触、それだけだ。

上条「ヒントとかくれないか?」

御坂妹「ヒントですか、そうですね・・・・・お姉様です」

上条「美琴?」

謎の物体を手探りで調べる。少しずつ形も解ってきた。
どうやら衣服のようだ。そしてこの形で美琴と言えば・・・・

上条「短パン!」

御坂妹「正解です」

御坂妹は箱を開ける。そこには短パンが入っていた。

御坂妹「では賞品をお受け取り下さい」

上条の左手にしっかりと短パンを握らせる。

上条「正直、賞品としてはちょっと微妙だな」

御坂妹「何を言っているのですか?この短パンはお姉様がさっきまではいていた物ですよ」

上条「え?」

御坂妹「お姉様からこれを剥ぎ取るのにどれだけ苦労したか・・・・」

上条「おい・・・」

???「見つけたわよ・・・・」

後ろから聞こえた声に振り向く上条。そこにいたのは・・・・・

上条「美琴!?」

顔を真っ赤に染めた御坂美琴だった。

御坂妹「こんなに早く見つかるとは・・・・とミサカは想定外の事態に焦ります」

美琴「さっさと私の短パン返しなさい!」

御坂妹「残念ですがあの短パンは賞品としてこの方に差し上げました」

上条「おい!」

美琴「ええ!?ちょっと何?どうゆう事!?」

御坂妹「と言うわけでミサカは颯爽とこの場から退却します」

そう言うと御坂妹は逃げていった。

美琴「ちょっ、待ちなさ・・・・」

上条(すごく嫌な予感がする・・・・俺も逃げた方が良いな)

そーとこの場から逃げようとする上条、そこに

バチィ!

電撃が飛んできた。

上条「うわ!」

慌てて右手で打ち消す。

上条「美、美琴さん!?」

見ればどす黒いオーラと電撃を身に纏う御坂美琴。

美琴「アンタが妹を使って私から短パンを剥ぎ取る変態だとは思わなかったわ・・・」

上条「まて!誤解だ!」

美琴「問答無用!!」

上条目がけて走ってくる美琴。上条も慌てて走り出す。

美琴「待てやゴラァァァァァァァァァァ!!」

上条「だああ!不幸だーーーーーーー!!」

END(ひでぶ)


23 : シラボネX :2014/04/02(水) 19:12:14 Vkb.EiE6
以上です。

>>20さんへ
上琴要素が有るなら私個人としては有りだと思います。


24 : ■■■■ :2014/04/02(水) 21:02:52 xyA5ZuHY
>>20本編中に上琴いちゃ成分が描写されているかどうかが分かれ目だと思う
上琴前提でも上琴が実際にいちゃついてる描写がなければNGじゃないかな
あくまでもここは上琴スレだし、美琴と打ち止めと一方通行成分7割、上琴成分3割とかだったりすると、他所行けっていわれちゃうかも


25 : 24追記 :2014/04/02(水) 21:05:44 xyA5ZuHY
連投スマソ。個人的には最低でも半分、5割ほど上琴描写がほしいかな
それが出来てればおkだと思う


26 : ■■■■ :2014/04/02(水) 21:08:26 njbjGWnk
わかりました、余所に行きます
教えあうスレでも言われてたけど、やっぱりここはいちゃいちゃがない上琴は完全にNGなんですね
スレ汚しすみませんでした


27 : ■■■■ :2014/04/02(水) 22:42:59 1uh6zK86
スレタイいちゃいちゃスレだし
ここじゃなくても禁書SSスレいっぱいあるのに
いちゃいちゃが無いネタSSも投下されてるし


28 : はりねずみ :2014/04/02(水) 23:41:34 RxoPB4Ns
>>シラボネXさん
この美琴は今短パンはいてないんだよなー。ちょろっと風が吹けばあっという間に。上条さんですしねー。
強盗の責任は取らなきゃね!

>>26さん
個人的にはこっちで書いてほしいかなーって、思っちゃったりする。
一方通行と打ち止めの関係に悩む美琴と上条の恋愛とか。
一人でも、書き手は欲しいです。ここ以外であまり読まない私が悪いんですが。
まあ無理にとは言いませんが、もし上琴で書けたら、ここに投下して欲しいです。

あと皆さん謝罪があります。ぶっちゃけ>>17をやる為だけに書いたのでまったく構想が出来ておらず、けっこう時間がかかると思います。
それにしても、最近メモ帳を開けない。


29 : ■■■■ :2014/04/02(水) 23:42:50 OCY5LDdM
上琴イチャイチャしてないと
スレの意図にそぐわないと思うの


30 : ■■■■ :2014/04/03(木) 00:10:33 a3FcnfxU
正直、ここ最近は排他すぎる気がする
最終的に悲愛とかだったらまだしも、上琴が含まれてるなら俺は構わない
ただでさえ書き手さんが少なくなってる状態なのに
読むのが嫌だったら飛ばせばいいだけじゃん
ってかいちゃいちゃにしても原作のキャラクター無視したキャラ崩壊したもんも多いし
何を求めてるか人によって違うのに、勝手に追い出すような真似してんじゃねえよ


31 : ■■■■ :2014/04/03(木) 00:16:10 wDsn6UKg
個人的には
上琴であればそれだけでいいとおもうんですけどねぇ。

でも例えば、ゲス上さんに美琴が虐げられる構図なのに
「美琴が上条さんにベタ惚れなので、
これは上琴です。」
とか言われても困る。

あくまでも二人が幸せになってくれないとね。


32 : ■■■■ :2014/04/03(木) 00:44:52 BkT12gJ2
要は上琴の扱いの問題だわな
副題でも上琴を上琴として書くのなら別に問題はない
いちゃいちゃはその過程の副産物だと思うし

たとえば、いちゃいちゃも恋愛要素もないシリアス系でも美琴と上条さん主体で話が進むなら(二人の関係を何かしらの要素として書くのなら)
別に何の問題もないと思う


33 : ■■■■ :2014/04/03(木) 01:12:50 5XvTdRS.
正直スレタイのいちゃいちゃを外していろんなタイプの上琴が読みたい


34 : ■■■■ :2014/04/03(木) 08:27:38 iq7A7SO.
時分で探せ


35 : ■■■■ :2014/04/03(木) 09:03:12 qjwnt3Bs
短編はどうしても上琴要素を求められてしまうから仕方ないだろうな。ただ、それを言ったら、甘々以外はアウトってことになってしまうので、危うい書き手さんが何人かいることになる。
たとえば、(俺は楽しんでるけど)我道&くまのこさんの原作解説シリーズやくまのこさんのギャルゲーシリーズははいちゃいちゃ成分よりもギャグやツッコミに重点を置いているように思えなくもないだけに。
要するに、ここは上条さんと美琴さんの二人がいちゃついていようがいまいが二人仲良く見えるならそれでいいんじゃないか、というのが俺の意見。話の中心に二人がいればOK。


36 : ■■■■ :2014/04/03(木) 17:35:27 k8sCSl0Y
いちゃいちゃったって、恋愛要素以外も含まれるよ。
恋人ENDとか、友人ENDとかもあるからね。
ぐちゅ玉さんの作品だって、恋人ENDより友人ENDの方が多いんじゃないかな。

だからそんな定義付けなんて要らないと思う。
単に上条さんと美琴ちゃんの絡みさえあればいいと思うんだけどね。


37 : ■■■■ :2014/04/03(木) 19:16:04 Q5cNaQgQ
ぐちゅ玉氏の作品は友人ENDっていうか、恋仲と行かないまでも2人の距離が互いに縮まるENDかなー。
あのレベルの作品をここで再び読める日が来るのかな……。


38 : 我道&くまのこ :2014/04/03(木) 21:44:31 kQNhbRdA
>>久志さんGJです!
上条さん、それはそげぶっちゃ駄目〜!
>>14 オープニングから甘いのありがとうございます! part27まで来ましたか…

>>シラボネXさんGJです!
正解したんだから、責任持ってお持ち帰りしてください!
>>23 これは逃げてる途中でずっこけて美琴ちゃんのスカートに顔を突っ込むフラグですねわかります。

>>ましろぷーどさんGJです!
そっか…ミコっちゃんは「重い」のか……ゴクリ…

>>はりねずみさんGJです!
多分忘れてくれないと思うので、開き直ってずっと名前で呼んではいかがかな?
>>17 じゃあ、麻琴ちゃんが「できた」時の事を語るんだパパ条さん(ゲス顔)

>>・・・さんGJです!
いかん! ふにゃるぞ! 家電の為に今すぐ抱き締めろ上条さん!



どうも、くまのこです。
この流れで大丈夫なのか不安ですが、こぼれ話が完成したので投下します。
コテから分かるように、今回も我道さんとの合作です。
約3分後に8レスぐらいです。


39 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 21:47:22 kQNhbRdA
上条「は?」
美琴「何その第一声」
上条「いや、今回は時系列順からすればエンデュミオンか大覇星祭じゃねーの? 何このタイトル、原作1巻に戻ってんじゃん。今はこのシリーズでコンビ組んでる二人の作者たちが、このお話は、それぞれがピンでやったんだから、さすがにもうネタないだろ?」
美琴「はぁ? 何言ってんのよアンタ。タイトルをよく見なさい。『Bサイド』って謳ってるじゃない」
上条「び、『Bサイド』……?」
美琴「そ。つまり、アンタがあのちっこいのにかまけてた原作1巻、その裏で私が何をやっていたかを紹介しようってわけ。原作1巻の開始は七月十九日なんだけど、私はそれより前からちょっとした事件に巻き込まれてたのよ。マンガ『超電磁砲【外伝】』の1巻と2巻、『アニメ1期』第19話くらいまで、かしら」
上条「それこそ何で今さら? 興味ないことはないけど、そんなに重要?」
美琴「そりゃあ、私の凛々しい姿をアンタに魅せ……げふんげふん……じゃなくてアンタ、七月二十九日以前の記憶が無いんでしょ。だから、アンタにアンタの記憶の断片を提供しようってことよ。アンタ、前の自分が何してたかに興味ない?」
上条「まあ、知らないよりは知っている方がいいけど――って、ちょっと待て。記憶の断片ってことは俺が出てくるってことか? お前が話の中心なのに? インデックス編の裏サイドなのに?」
美琴「そ、そそそれはその……アアアアンタも結構活躍してるんだし、そういう事があったってことも知ってていいんじゃないっ?///」
上条「なんか釈然としないけど、まあいいか。了解。んじゃ、そろそろゲストに入ってきてもらおうぜ」
美琴「そ、そそうね。てことで自己紹介を兼ねて入ってきて」
??「やってくれましたね御坂さん。確かにあたしは都市伝説大好きっ子ですけど、さすがにこの人と一緒に待たされるのは大変でしたよ? どうりで前に呼ばれたのにゲスト室で待機させられたはずです。あの人を一人にしておけませんもんね」
美琴「あははー。そうなの佐天さん? 私はてっきり意気投合しているもんだとばかり」(ふ……作戦勝ち! 佐天さんに最初から入ってもらってると何言われるか分かったもんじゃないもんね!)
佐天「ええ。確かに最初は衝撃的でしたよ。ですけど、あの人と待たされるのはこっちが逆に恥ずかしかったですよ!」
??「私には同程度の露出であっても水着がOKで、下着がNGという境がよく分からないのだが…それにしてもここは蒸し暑いな…」
上条「って、いきなり何脱ぎ始めてんのこの人!?」
美琴「ちょ、ちょっと! 木山春生先生! ここは脱衣所じゃありませんから!? 相変わらずですけど、所構わず脱がないでくださいお願いだから!!」
佐天「はっはっはー。都市伝説ってのは噂で楽しむものであって、実際に出くわすのは勘弁してほしいって思っちゃいました。割とマジで」
木山「という訳で、よろしく頼むよ…御坂くんと――おや? そちらの彼も久しぶりだな…」
上条「へ?」
美琴「あ、ごめんなさい木山先生。コイツ、先生と出会ったときの記憶が無いんです」
木山「ふむ…そんなに私は印象が薄いのか――それともそちらの彼の記憶力が乏しいのか――」
佐天「いえ、木山先生の印象が薄い、などということは天地がひっくり返ってもあり得ませんので、ここはありていに言いますと上条さんがいわゆるバ――」
上条「言わせねえよ!!」
美琴「(んー佐天さんはコイツの記憶喪失を知ってるはずなんだけどなーちょっとフラストレーションが溜まってんのかな?^^;)てことで今回はこの四人で進めまーす」


40 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 21:53:58 kQNhbRdA
「ん?」
「あ、黒子」
「…通報にあった路地裏に連れこまれた女性というのは――お姉様の事でしたの……」


上条「あー……これがお前のこっち【外伝】の初登場シーン……」
佐天「ひーふーみー――五人がこんがりウェルダンになってますね」
美琴「え? 何かおかしいかな? こういうゴミ退治って悪いことじゃないと思うけど」
木山「レベル5の力でやると正当防衛でも過剰防衛に見えてくるから不思議だ…実に興味深い…」
上条「つーかお前、絶対わざとだろ。いつもゴロツキに絡まれているような気がするんだが?」
美琴「ふっふーん。撒餌が極上であればあるほど、こういう馬鹿は引っかかるのよ。ついで言えば私のストレス解消にもなるんで一石二鳥」
上条「お前なぁ……」
佐天「可愛いって自覚があるお嬢のレベル5って手に負えません御坂さん」
木山「昔あったアニメを思い出すな…えーと何だったかな…? 確か、暴れるモンスターあればとことんぶちのめし、輝くお宝あれば無理矢理一人占め、大胆不敵、電光石火、勝利はあたしのためにある、がキャッチフレーズの…」
美琴「木山先生? 歳がバレますよ?」
上条「ああ、確かドラゴンもまたいで通るっていう…」
美琴「アンタはアンタで、何でそんな余計な情報は覚えてんのよ。記憶喪失なのに」


 逃げまどう強盗の一撃をヒョイとかわしたまでは良かったが、如何せん、右手のものまではかわしきれなかった。
 結果。
 制服にべったり、まだ一口しか付けていないクレープが。
「あ――――黒子?」
「は、はい! ですの!」
「これは私が個人的にケンカを売られたってことだから、手、出してもいいわよね?」


上条「で、お前のことだから、この後、思いっきり超電磁砲をぶっ放したと」
美琴「あはははははーそうねー。でもまあ仕方ないじゃない?(ちょっと何でマンガ版なのよ! アニメ版は勇気を振り絞って子供を助け出した佐天さんの敵討ちでぶっ放したシーンなのに!!)」
木山「やはり、これは過剰防衛ではないのか…?」
佐天「マンガ版の私の登場はもうちょっと後なんですよね。アニメ版だとこの強盗事件のときにはもう御坂さんと知り合いでしたけど」
美琴「そ、そうよね! ここはやっぱアニメ版第1話で紹介すべきだと思わない!?」
佐天「まあ、そっちの方が御坂さんは格好良かったですもんね。上条さんにも良いところを見せられますし」
美琴「って、佐天さん!? さらっとそっちに話持ってく!?///」
上条「?」


『暗証番号ガ違イマス』
「は? いやそんなはずは」
『暗証番号ガ違イマス』
「何でだーーーーっ」
『暗証番号ガ違イマス』
「ああ! もうこなったら別のコンビニで…」
「どうせ門限は過ぎてんだし、コンビニで立ち読みでもしていきますか」
「ぎゃーーーー!! 今度はカードが呑み込まれて出てこないwwwwwwwwwwwww!!」


上条「……」
美琴「……」
佐天「……」
木山「……」
上条「まさかだよな? いや、まさかだと思いたい。まさかなんじゃないかな……?」
美琴「説明は不要ね」


「不幸だぁぁぁぁぁあああああああああああっ!!」


上条「うぉい! こっち【超電磁砲】でも顔出し一発目のセリフはコレなのかよっ!?」
美琴「もはやアンタの代名詞にして決め台詞」
佐天「その幻想をぶち壊す、よりも有名かもしれません」
木山「随分、前衛的な決め台詞だな…少なくとも私ならもっとウィットに富んだセリフを決め台詞にしたいと思うものだが…」
上条「いえいえいえいえいえいえ!! こんな決め台詞要りませんから!! というか、俺もこんなのを決め台詞にしたくありませんから!!」


「キミ可愛いねー うひょー しかも常盤台じゃん!!」
「今からオレ達と遊びに行かない?」
「帰りはオレ達が送ってやっから」


上条「っと、こっからは回想か」
美琴「あー…私とアンタが初めて会うシーンね」
佐天「運命の出会いって訳ですね?」
美琴「そういうんじゃないから!///」
木山「見た所、どうやらスキルアウトに絡まれているようだね」
上条「毎度思うんだけど、こいつらナンパしかやる事ないのか?」
木山「いや、異性を求めるのは生物としての本能だよ。三大欲求の一つだからね」
上条「いやそんなマジレスしなくても……」
佐天「つまり本能に身を任せて、上条さんも御坂さんを襲っちゃえって事ですね?」
美琴「佐天さんどうしてもそっちに話を持っていきたいの!?///」


41 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 21:55:11 kQNhbRdA
「いや――― 連れがお世話になりました はい通して―――」


佐天「おお! やっぱり運命の出会いっぽいじゃないですか!」
美琴「いやいやいや、コイツこんなのしょっちゅうだから。日常茶飯事だから」
佐天「えっ!? それって他の女の人にも同じ事してるって事ですか!?」
上条「いやー、何故かそういう場面に出くわす機会が多いものでして……」
木山「なるほど。つまりはそれが君のナンパの手口という訳だね?」
美琴「っ! ……ほほう…?」
上条「誤解にも程があるよ!!? 美琴さんも帯電させんの止めてください! 怖いから!」


「おまっ… 『知り合いのフリして自然にこの場から連れ出す作戦』が台無しだろ――――― 合わせろよっ」
「何でそんなメンドクサイ事しなきゃなんないのよ」


上条「あーあーもう、可哀想な過去条さん」
美琴「この時の私からしたら、ただのお節介だしね」
上条「多分だけど、この時は絡まれてるのがレベル5の人間だったなんて知らなかったんだと思う」
木山「まぁ、常盤台の生徒は全員レベル3以上なのだから、君が割って入らなくても解決していたのではないかな? 例え彼女が超電磁砲だと気づかなくてもね」
美琴「それは…どうですかね。ウチの学校って生粋のお嬢様が多いですから、こんな状況に陥ったら怖くて震えちゃうと思います。…まぁ、一部例外はいますけど。私以外にも」
佐天「でもやっぱり嬉しいですよね。あたしもよく絡まれるから、気持ち分かりますよ」
木山「よく絡まれるのか」


「大体おまえらが声かけた相手よく見てみろよ
 まだ 子供じゃねーか」


美琴「…思い出したら、また腹立ってきた」
上条「美琴さん漫画と連動してバチバチするのやめてくださいマジ怖いですすみません勘弁してください」
木山「これは何とも、綺麗な土下座だね。やりなれているのかな?」
佐天「将来、お尻に敷かれるのか目に見えますね」
美琴「しょ、将来とか!!///」
上条「だからバチバチすんのやめてってば!!!」
木山「ふむ…なるほど。怒った時だけでなく、照れた時も漏電するのか。興味深い現象だ」


「あ―― こんな雑魚共に能力使っちゃ…」
「っぶね――― 何だあ? 今の」


佐天「おお無傷! これが噂の『幻想殺し』ですか! てか都市伝説の『どんな能力もきかない能力を持つ男』って、やっぱり上条さんだったんですね!」
木山「これは…研究者魂に火を点けるような能力だね。どのような原理なのか、是非教えてはもらえないだろうか?」
美琴「原理は本人もよく分かってないと思いますよ。一般的な超能力と違って、演算使わずに勝手に発動するみたいですし」
上条「……ねぇ何か幻想殺しの話ばっかしてるけど、ここで御坂が電撃ぶっ放した事はスルーすんの? 俺以外みんな黒焦げなのよ?」


「身体検査では “無能力者”って判定なんだけど」


佐天「えー!? いいなー! あたしもレベル0なんですけど、こんなすごい能力持ってないですよ!?」
上条「いやいや、日常生活ではそんなに役に立つ能力じゃないぞ? 物理攻撃は防げないし、やたらと不幸に巻き込まれるし……それに能力だけで人の価値が分かる訳でもないだろ?」
佐天「うっ…! 耳が痛いです……」
美琴(こいつ【レベル0】が言うと説得力あるわね……私が言うと嫌味にしか聞こえなかったみたいだったし……)
木山「私もだよ…だがその言葉で理解したよ。君が何故レベル5の彼女と対等な関係でいられるかがね。それは君の能力を打ち消す能力のおかげ…というだけでなく、君自身、相手が高位能力者であろうとなかろうと、分け隔てなく接しているからなのだね」
上条「そんな大したモンじゃないですけど…例えばここにいる御坂だって、レベル5の第三位なんて言われてますけど、中身は普通に可愛い女の子じゃないですか」
佐天「!!?」
美琴「!!?///」
木山(さっきは子供扱いしていたけれど…と言いたいところだが、いい雰囲気になってしまったからツッコむのは止めておこう)


42 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 21:56:21 kQNhbRdA
「お前暇なんだからいいだろ?」
「いいだろじゃねえっつの! また適当にあしらおうったってそうはいかないわよ! 毎回のらりくらり適当なことばっかり言って! 今日という今日は……!」 
「いやぁ……それにしても暑いな……」
「うわ……」
「ぬわっ!」
「な、何をしているんですか……?」
「炎天下の中、随分歩いたからね……汗びっしょりだ……」


佐天「っと、回想シーンは終わりみたいですね」
上条「いやそれ以前に何よ!? この人!?」
美琴「それは私のセリフだったのよ! って、何で木山先生の初登場シーンはアニメ版なわけ!?」
佐天「はっはっはー。ちょうどこの日、都市伝説の話をしてましたよね。しかもピンポイントで脱ぎ女のお話を」
木山「私がそんな噂になっているとはな…しかし、私のように起伏に乏しい肢体を見て喜ぶ殿方などいるか…?」
上条「プロポーションとかじゃなくて、世の中、女性が公衆の面前で半裸になると、何もしてなくてもたまたま近くに居たってだけで男が濡れ衣を着せられる場合が多々あるんですから止めてください!」
佐天「そもそも女の人が人前で下着を晒すような真似をしちゃいけません!」
美琴(……………………どうしよう? ツッコミ待ちなのかな?)


「と、とにかく! シャツを着てください!」
「キャー! 女の人が襲われてる!」
「えー!? あの男の人が脱がしたの!?」
「ひぇ!? そうじゃない!?」
「ち…違う……誤解だあああああ!!!」


上条「ははは、あるある。みんなも笑ってやってくれよ」
美琴「乾いた笑い声で余計に悲しくなるわね…」
木山「君は少々、誤解されやすい性格をしているようだね」
上条「いや、こん時は半分以上アンタのせいですけどね!?」
佐天「ん〜…はっ! 御坂さん! ここは一つ木山先生に対抗して、御坂さんも文字通り人肌脱いでみては!!」
美琴「『みては!!』、じゃないわよ! それもその良いこと思いついたって顔は何!?」


「そうそう…あの彼にも御礼を言っておいてくれ…」
「彼?」
「知り合いなのだろう? 途方に暮れていた私に声をかけてくれたのだよ…」
「へぇ、あいつが?」
「いい子だな」
「お節介なだけですよ。だいたい声をかけておいて人に押し付けておいて姿くらませるなんて無責任ですよ。なんて言うか、人をあしらうのが上手いって言うか、適当って言うか、いろいろむかつくんですよ。いつだって自分が――」
「楽しそうだな…」
「え?」
「きみはアレか…彼が好きなのか…?」
「んなっ!? 何を……」
「ほら…好きな相手には冷たくしてしまうという…昔流行った…ツン…ツン…つんだら…? いや…ツンデレか…」


美琴「あり得ねえからっ!!!!!?!///」
上条「のわっ!? なんだいきなり!? びりっと来たぞ!!」
美琴「え? あは? 何でしょうねー何でもないですよきっと」
上条「何? その不自然な丁寧語」
佐天「ナイスです木山先生。ちゃんと分かってらっしゃいますね」
木山「そうか…? 実に分かりやすい反応をしていたと思うが…」
美琴「ちょ、ちょっと!?」
木山「これで分からないとすれば相当の鈍感か無神経かヘタレか無自覚か女心が分からないかまだまだ頭の中が中二にすら達してないか…」
上条「何でだろう? 誰を指しているのか分からないのに、そこはかとなく俺のことを言われているような気がする」
佐天「さすがです木山先生…ちゃんと分かってらっしゃいますね……」


「全滅だ……重要なタンパク源が……せっかく……せっかく二時間も並んだのに……」


上条「なあ? この時期の記憶がないんだけど何かあんま今の俺と変わらないんだが?」
佐天「上条さんは上条さんで上条さんだから仕方ありません、としか」
上条「うぉい! 何だよ、そのトートロジー! 意味分かんねえよ!」
木山「なぜ、ここまで不幸なのか…少し研究してみたい…」
美琴「この特売品卵全滅の話、私ちょっと納得いかないんだけど」
上条「何が?」
美琴「二次創作モノだとどういうわけか、これを私が割ったことになってる場合が多いのよ。でもどう見ても私の所為じゃないわよね?」
佐天「御坂さんは御坂さんで御坂さんだから仕方ありません、としか」
美琴「何それ!? コイツの不幸の原因の大半が私の所為みたいじゃない!!」
上条(……大半とは言わんが、結構な割合は占めているだろうな……)
木山「この関連性を調べても面白いかもしれんな…」


43 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 21:57:24 Wkmt3VDc
「――――よくも私を置いて逃げたわね!」


木山「このセリフだけだと、まるで夜逃げした夫を追ってきた妻っぽいな…」
美琴「って、どうして前後のセリフを無視してここだけ切り抜いてるんですか!?///」
佐天「素晴らしいです。木山先生。でも天然って怖い」
上条「オルソラ辺りがこの人と似てるな……」(ぼそっ)
美琴「……オルソラって誰?」
上条「地獄耳か!? 聞こえたのか!?」
美琴「オルソラって誰?」
上条「いや……それはその……」
木山「このやりとりだと、まるで旦那の浮気現場を見てしまった女房っぽいな…」
佐天「あー……今度は御坂さんの耳に入ってないようですけどねー……」


「こっちだって大変だったんだから! 汚れたスカート脱ぎ出すわ! しょうがないから洗ってあげるわ! 挙句の果てに、ツン……で………………」
「……ツン?」


美琴「ぽん!!///」
木山「どうした…? 急に顔が赤くなったようだが…」
美琴「あうあう……///」
佐天「木山先生、そこはニマニマしながら問いかけましょう。素で聞かれたら余計答えられなくなりますし、御坂さんのリアクションもあまり楽しめません」
上条「で、結局、何て言おうとしたんだ、お前?」
美琴「ええっと……その……///」
佐天「上条さん、160キロの剛速球で真っ直ぐ問いかけるのはやめましょう。それでは答えが引き出せません」
上条「つんで…る? 『詰んでる』かな? いやでも、これぐらいで人生詰んでるとか―――」
美琴&佐天「「………」」
木山「君は鈍感とかそういう以前に、少し頭が悪いのかも知れないね」


「と、とにかく勝負しなさい勝負!」
「勝負勝負って 今までオマエの全戦全敗じゃんか」


上条「あっ、これが例の『俺が御坂を弄んだ』っていうヤツですか?」
美琴「そうね。色んな場所で、色んな事をされたわ」
佐天「!!? いやいやいやいやちょっと待ってください!! その話、もんのすごく興味あるんですけど!!?」
上条「えっ…何が?」
木山「若いのだから、欲情を抑えられないのは仕方ないとしても、公衆の面前でそういった行為をするのはどうだろうか?」
美琴「っ!!! あああ違う違う違う!!! 二人が考えてるような事はしてませんからっ!!!/// ってかアンタに公衆の面前で云々って言われる筋合いはありませんから!?」


「じゃあ、どうしたら終わるんだよ?」
「え? そりゃあ勿論…私が勝ったらよ!」


佐天「なるほど…つまり負け続ければそれを口実に上条さんに会いに行けて、勝ったら勝ったで『私が勝ったんだから言う事を聞きなさいよね』っていう展開に持ち込めるって訳ですね?」
木山「どっちに転んでも利益が出るという事か。流石は超電磁砲【学園都市第三位】、抜け目がないね」
美琴「だから違うってばっ!!! この時はそんな事考えてないですよ!!!///」
上条(『この時は』、って…今はどうなんだよ)


「それで気が済むってんなら…相手になってやる」


美琴「はうっ!///」
佐天「えー、動画をお見せできない為分かりにくいですが、たった今御坂さんは上条さんのイケメンフェイスにやられた所です」
木山「彼のこの表情はAAとしても有名だね」
上条「ちょ、何か恥ずかしいから止めて!?」


「いつでもいいぜ かかってきな」
「言われなくてもこっちはずっとこの時を 待ってたんだからっ」


木山「しかしあれだね」
上条「? 何ですか?」
木山「いや、画面を観ずに君たちの台詞を聞くと、何だか卑猥に感じてしまうものでね」
美琴「ちょっ!!! 何言ってんの!!?///」
佐天「あ〜確かに! 『相手になってやる。いつでもいい。かかってきな』から『この時をずっと待ってた』ですもんね! 完全に夜の生活の会話ですよコレ♪」
上条「いやそれはさすがに無理があるだろ…なぁ御坂?」
美琴「そ、そそそそうよ!!! せめて『相手になってやるから服を脱げ』、『こうして抱き締められる時をずっと待ってた』ぐらい言わないと夜の会話になんないわよ!!!///」
上条「美琴センセー!? テンパりすぎてツッコミ方がおかしくなってますよ!? つーかそれ否定しきれてないじゃん!?」


44 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 21:58:32 kQNhbRdA
「やっぱ電撃は効かないか……なら!」
「あん?」


佐天「凄……砂鉄が渦巻いて御坂さんの手に集約していくところが迫力満点です……」
木山「このシーンはアレだな。『悪夢の王の一片よ 世界のいましめ解き放たれし 凍れる黒き虚ろの刃よ 我が力 我が身となりて 供に滅びの道を歩まん 神々の魂すらも打ち砕き――』というモノローグっぽいセリフを流すとピッタリだ…」
美琴「木山先生? だから歳がバレますよ?」
上条「俺には、星座をモチーフにした少年たちを描くバトルマンガに出てきた気流を巻き起こして相手の動きを封じる技に見えるんだけど?」
美琴「あー……『最初は何でアンタがそれを知ってるのよ、それって木山先生のセリフよりも前の時代なのよ』、って突っ込もうとしたけど、つい最近、続編があったからそれを見てると知ってなくもないわね」


「砂鉄が振動してチェーンソーみたいになってるから 触れるとちょ――っと血が出たりするかもね」


上条「完全に殺る気じゃねーか! よく無事だったな過去の俺!」
美琴「一応、アンタには能力が効かないっていうのを計算した上での攻撃だったんだけど」
上条「だとしても万が一って事もあるじゃないですかあ!」
美琴「う、うっさいわね! 実際効かなかったんだから別にいいでしょ!?」
上条「だからそれは結果論だろ!? もし直撃してたら上条さん死んでるよ!?」
美琴「アンタはこれくらいじゃ死なないの! 私が大丈夫って言ったら大丈夫なの!」
上条「その根拠の無い自信はどこから来んのさ!? 俺別に、超人でも何でも無いんだぜ!?」
美琴「十分、超人レベルでしょうがアンタは!」
木山「…仲裁に入らないのかい?」
佐天「いやあ、何とか喧嘩は犬も食わないって言いますからね♪」


「取った!! 飛んで来る電撃は打ち消せても!」(あ…電流が…流れて行かない!?)


佐天「何気に手を繋ぎましたね」
木山「ああ。これはまごうことなく手を繋いでいるね。もしかしてこれも計画通りなのかな?」
美琴「いやだから二人とも何観てるんですか! どう考えてもそういうシーンじゃないでしょこれ!?///」
上条「つーか手ぐらいで何で今さらそんなに大騒ぎしてんだ? だいたい俺と御坂が手を繋いでるなんてしょっちゅうじゃねえか。さっきのシャッターの前のシーンとか夏休み最後の日とか大覇星祭の借り物競走とかフォークダンスのときとかペア契約のときとかハワイに行く前の日とか」
美琴「ああああ、アンタは何を暴露してやがりますか!?///」
佐天「ほっほ〜う? 随分ツッコミどころが満載ですけど、この辺りのことはそれぞれのこぼれ話でやることにしまして、とりあえず言いましたね上条さん。じゃあ今から、御坂さんと手を繋いだままVTRを観てもらいますよ?」
上条「まぁ…別にいいけど。あ、勿論御坂が良ければだけどな」
美琴「ふぁえっ!!? いいいいやでも私結構手に汗掻いちゃう方だし動きづらくなっちゃうしそういう事はまだ早い気がするし!!!///」
上条「要するに駄目だってさ」
佐天「……御坂さん…」
木山「どうやら、君たちの関係が進んでいないのは、彼が鈍感なせいというだけではないようだ」


「ひっ!」
「えーっとぉ…」


佐天「あ、御坂さん涙目になってる。かっわいい〜!」
木山「意外だね。こんな顔もするのか」
上条「そうか? 俺の前だとよくこんな顔するぞ。泣き顔とかも見た事あるし」
佐天「その話!」
木山「詳しく聞かせてはくれないだろうか」
美琴「はーいそこまでー! この話ナシナシ!///」


「ギャーーーッ!! マ…マイリマシター」


佐天「これは……」
木山「うむ…さすがに……」
美琴「…でしょ?」
上条「おー、我ながら迫真の演技」
美琴&佐天&木山「「「………え?」」」


45 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 21:59:57 kQNhbRdA
「ふ  ふ  ふ ざ け ん なぁあッ」


上条「なぜバレたし!?」
美琴「当たり前でしょうがっ!!」
佐天「上条さん、大根大好きでしょ?」
木山「バレないと思っていたきみに驚きだよ…」


「マジメにやんなさいよっ!」
「だってオマエビビッてんじゃん」
「ビビッてなんかないわよっ」
「うそつけっ!! こーんな風に涙目になって、ビクゥってしてたら…」


佐天「おおぅ…何か御坂さんの意外な顔のオンパレードですね。白井さんが見たらどう思うんだろ」
美琴「あ…あんまり見ないでください……」
上条「だから言ったろ? 中身は普通に可愛い女の子だってさ」
美琴(っ! ま、また言われちゃった……可愛いって……)
木山「しかしそれは、相手が君だからなのではないかな?」
上条「? 俺の幻想殺しで、御坂の電撃が効かないからって意味ですか?」
木山「いやそれもあるが、それ以上に彼女が君の事を―――」
美琴「あーあーあー!!! ホンジャカバンバンホンジャカバンバン!!!///」
上条「え、何? 全然聞こえない」
佐天「ですからそれは、御坂さんが上条さんの事を―――」
美琴「あーあーあー!!! ホンジャカバンバンホンジャカバンバン!!!///」


「私だって今まで人に向けてこんな能力使った事ないわよっ」
「何で俺だけ〜〜〜っ!?」


佐天「上条さんだけ特別って事ですね!」
上条「そんな特別、嬉しくないよ!」
木山「ならば、どんな特別ならいいんだい?」
上条「えっと例えば…『恋人といる時の雪って特別な気分に浸れて僕は好きです』…みたいな?」
美琴「こここここ恋人おおおお!!?///」
木山(全く脈がない訳でもないのか…と言うか彼は、自分の感情にすら鈍感なのか?)


「ちゃんと私の相手しろぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!」


美琴(ま、マズイ……ここは絶対に突っ込まれる……!!)
木山「ふむ…どういうことだろう? なんとなくどこかで見たような風景なのだが…」
佐天「あたしもどこかで見た気がするんですよ。この電撃撒き散らしながら影絵で女の子が男の子を追いかける構図って……どこだろ……?」
美琴(あれ……? 二人してツッコミなし……?)
佐天「あ! 思い出しました! この御坂さんのセリフを『待つっちゃ! ダーリン!』にすればいいんですよ木山先生!」
木山「そうかなるほど…! …って、何だ…雰囲気がまったく変わらないじゃないか…」
佐天「ですよねー。MAD動画を作ったら『違和感仕事しろ』とか『混ぜるな自然』ってタグが付くレベルです」
上条「誰と誰だよ!? 俺と御坂みたいなその二人は!?」
美琴「……///」
上条「何で御坂の顔が赤くなってんの!?」
木山「『その二人』の関係を知っているからだろうな…」
上条「?」
佐天「上条さん? いい加減にしないとしまいにゃあたしの堪忍袋の緒が切れますよ?」


「黒子にはその方との諍いを楽しんでおられるように見えますのよ」


佐天「これは漫画版ですね。最後は白井さんの台詞ですか」
上条「…楽しまられてもですなぁ……」
美琴「あ、あくまでも黒子の感想だから。わ…私は別に楽しんでた訳じゃないし!?」
木山「いや、楽しんでいただろう」
佐天「楽しんでましたね」
美琴「二人は私をどうしたいの!?」


46 : 上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話(前編) :2014/04/03(木) 22:00:51 kQNhbRdA
佐天「さてと、今回はここまでですね」
上条「あれ…何か今日、早くないか? 俺はメインじゃないからよく知らないけど、この話ってもっと長いんだろ? この一話分だけで前編終わりでいいのか?」
木山「この話はネタにできそうな箇所が多そうだとの事でね、アニメで言えば♯4「都市伝説」、漫画で言えば01巻第3話「七月十七日②」の回だけでも十分な取れ高になるだろうという計算だったのだよ」
佐天「実際、10000文字以上にはなりましたし」
美琴「じゃあ次は、本格的に幻想御手編をやるの?」
佐天「幻想御手編と言うか…グラビトン事件とか盛夏祭とか、お二人の絡みが多い所ですけど」
木山「まぁ…ここはそういうスレだからね」
上条「ん〜…でもやっぱり、記憶を失くす以前の自分を見るのは何か複雑だな〜。見た感じ、あまり変わってないみたいだけど」
佐天「そうですよね〜。せっかくの運命の出会いも覚えてないんですし」
美琴「それもういいからっ!///」
木山「ではこういうのはどうだろう。記憶のない彼の為に、今から二人の出会いを演じてみるというのは」
上条「まためんどくさそうな提案を…」
佐天「いやいや、いい案だと思いますよ! という訳で御坂さん、この食パンをくわえて、そこの曲がり角から全力疾走してきてください」
美琴「私とコイツの出会いって、そんなんだったっけ!?」
木山「同じ事してもつまらないからね。新しい出会い方をした方がいいのではないかという、彼女なりの配慮だろう」
美琴「新しい出会い方っていうか、使い古された出会い方でしょ!」
佐天「まぁまぁ御坂さん。うまくいけば転校生フラグですよ? それで同じ教室で「あー! お前は今朝の!」から始まって、後は正ヒロイン街道まっしぐらです!」
美琴「っ! …ちょ、ちょっとやってみようかな…?///」
上条「えーと…何やら訳の分からない方向に話がズレ始めているようなので、ここらで締めます。次回は後編…場合によっては中編です。ではまたー」
佐天「ちょっとー! 勝手に締めないでくださいよ! ここからが面白くn」


47 : 我道&くまのこ :2014/04/03(木) 22:03:21 kQNhbRdA
以上です。
ちょっと暇ができましたので、
こぼれ話ではありませんが来週もう一本短編書く予定です。
リクが一本来ているので。
ではまた。


48 : ■■■■ :2014/04/04(金) 09:33:45 QfzPOmxQ
我道&くまのこさん
今回も面白かったです


49 : ■■■■ :2014/04/04(金) 10:19:43 JVGZuDHI
上琴っていうか上条と御坂がなんかわちゃわちゃやってりゃそれでいいと思うけど
というわけで我道さん&くまのこさんGJです


50 : ■■■■ :2014/04/04(金) 13:24:34 wtCW.toQ
こぼれ話最高です!
安定の佐天さんwwww


51 : くまのこ :2014/04/06(日) 01:39:25 YaZTc5Zc
>>47で言ってた短編を投下しにきました。
ミコっちゃん大学生設定で、ちょっと未来の話になってます。
苦手な方はご注意を。
約3分後に4レスです。


52 : たまにはちょっぴり攻め琴ちゃん :2014/04/06(日) 01:42:27 YaZTc5Zc
タクシーから降り、自分の家に帰ろうとする御坂美琴だったが、彼女は今酔っ払っていた。

大学三年になった彼女は、一足先に成人の仲間入りを果たし、
久々に会った白井や初春、佐天らと共に彼女達の「プチ成人式」の大義名分の下、
女子会【のみかい】を行ったのだ。
美琴を含め、メンバー全員がアルコール初体験だった為、
女子会は終始ぐでんぐでんのカオスな状況だった。
美琴も当然、初飲み&初酔いだ。会が終わる頃にはフラッフラであった。
しかし彼女にその自覚は無い。彼女はあくまでも、いつも通りだと思っている。
故に今のこの状態に、彼女は「?」マークを宙に泳がせているのだ。

スキルアウト達に囲まれているこの状況で、電撃の一つも出ない事に。

容姿端麗なほろ酔いなお姉さんが、一人で夜の街を歩くなど、スキルアウトの恰好の的である。
しかし彼女はそれを危険だとは思っていなかった。
彼女は仮にもレベル5の第三位であり、学園都市最強の電撃使いだ。
普段なら威嚇電撃一発で、こんな連中は裸足で逃げ出す。
だが今日に限って何故か能力が発動できない。

超能力というのは、基本的に高度な演算能力を必要とする。
(幻想殺しや第七位の能力など、一部例外は存在するが)
しかしアルコールが回っている状態で、寸分の狂いなく緻密な演算などできる訳が無い。
つまり、酔っ払った状態では能力は使えないのだ
だが今の彼女は、そんな事すら気づかない程酔っている。
「あれ〜? なんれビリビリしないんらろ〜」とブツブツ言いながら、フラフラクネクネしている。

スキルアウト達は「へへへ」とイヤらしい笑いをしつつ美琴を囲む。カモだと思われているのだろう。
しかもどうやら、金品を巻き上げただけでは帰してくれそうにないらしい。
こんな色っぽい(現在大学生なので、中学の時より大分成長している)女性を目の前に、
理性の外れやすいスキルアウト達が手を出さない訳がない。
というか何人かは、これを機にDTを捨てるつもりのようだ。良い子も悪い子も絶対マネしないように。

能力が使えない以上、美琴はただの酔っ払いの女子大生だ。
体術にも自信はあるが、この数相手では乗り切るのも無理だろう。
そもそも、酔った状態でまともに戦えるかどうかも分からない。酔拳じゃないんだから。
ここに来てようやく「ヤバイかな?」と思い始めた美琴だが、特に解決策が思いつく訳でもなく、
ジリジリと後ずさり、後ろの外壁にぶつかる。

だがその時だ。

「おーい! 警備員のお姉さん、こっちこっちー!」

と、誰かが大声で言っている。声質からして男のようだ。
どうやら警備員を呼び込んでいるらしく、大きく手招きしながらこちらを見ている。
こんな所を警備員に見つかったら、即ブタ箱行きだ。
スキルアウト達は「チッ!」と分かり易く舌打ちしながら、慌ててその場を逃げ出していった。

スキルアウトがいなくなったのを確認すると、警備員を呼んでいた男がこちらに歩いてきた。

「大丈夫だったか? …美琴」

そう言って手を差し伸べてきたのは、美琴のよく知る人物。上条当麻だった。
ちなみに警備員はいない。あれは上条の演技だったらしい。

美琴は、酔いとスキルアウトに囲まれて何も出来なかった恐怖。
それと上条が駆けつけてくれたという安堵から、その場でペタンと座り込んでしまった。


53 : たまにはちょっぴり攻め琴ちゃん :2014/04/06(日) 01:43:13 YaZTc5Zc
「お、おい美琴!?」
「あ、ははは。腰…抜けちゃった」

美琴の言葉を聞き、ホッとしたような溜息をつく上条。
もう大丈夫そうだが、このままここに置いておく訳にはいかないだろう。
またさっきのような事が起きないとも限らない。
しかも上条が警備員を呼んでいたのはスキルアウト達を追っ払う為のブラフなので、
今この場には上条と美琴の二人しかいない。
上条は「仕方ないな」と呟くと、その場で美琴に背中を向ける形で屈み込んだ。
「何してるの?」と美琴が聞くと、上条はアッサリと答える。

「ほら、負ぶされよ。美琴の家まで送ってってやっから」

上条は後ろに回した手をチョイチョイと動かし、美琴が負ぶさるのを催促する。
瞬間、美琴の顔に益々赤みが差していく。酔いのせい…というだけではなさそうだ。

「えっ!? い、いいわよ! 悪いし…それに恥ずかしいし……」
「あのなぁ…んな事言ってる場合じゃないだろ?
 てか今の美琴を放って帰れる程、上条さんは薄情じゃありませんことよ」

分っている。
上条が誰に対しても、こんな風に当たり前の優しさを見せるのだと、美琴は分かっている。
(もっとも、その優しさの出した答えが「おんぶ」と言うのも、どこか抜けていて上条らしいのだが)
きっと自分が特別な訳ではない。
けれど美琴は、それを分かった上で、

「……じゃ、じゃあ……お願い…しよう…かな?」

甘える事にした。
普段の美琴なら、ツンツンした態度を取って拒否してしまい、家に帰って後悔する、
というパターンなのだが、今日は違う。素直に上条の提案に乗ってきた。
それもこれも、きっと酔っているせいなのだ。そういう事にしておこう。

「よっ! …と」

美琴を負ぶさり、そのまま立ち上がる上条。
女性といえど大人の体重はそれなりにあり(本人には口が裂けても言えないが)、
ちょっとした衝撃がズシリと腰に来る。
が、背中にそれ以上の衝撃があるので、あまり気にならない。

「おんぶ」というのは、当然ながら相手を背負う事だ。
つまり、背中には相手の『胸』が当たり、落ちないように後ろ手で相手の『脚』を支え、
相手も落ちないように、背負う側の首に『手』を回す。
要するに、お互い色んな部分が触れ合ってしまう訳だ。仕方ないよね。
上条はそれを計算して美琴を負ぶった訳ではないが、色々当たってからその事に気がついた。
それだけでなく、美琴の吐息がモロに首筋に当たり、一気にイケナイ気分になっていく。

(うぉあああ! これ想像以上にヤベェ!
 い、いやでもここで『やっぱ、やめよう』ってのは流石にないだろうし……
 美琴の家まですぐだし! 頑張れ俺!)

上条が己の中の何かと戦い始めたなどとは露知らず、美琴はその身を素直に委ねる。

(…当麻の背中って…大きくて…温かい…な……)

唯でさえ酒や疲れが残っているのに、そこに安心感やら心地良さやらがプラスされたもんだから、
美琴はついウトウトし始めてしまった。
そしてそのまま、愛する人の背中の上で、彼女は夢の世界へと旅立って行ったのだった。



美琴が寝ていると気づいたのは、上条が美琴の家の前に着いた時だった。
それまでずっと、彼は『何か』と戦い続けていたので、気づかなかったのである。

ちなみに、二人ともこんなピュアピュアな反応をしているが、
美琴は21歳。上条は22(上条は水瓶座なので早生まれ)歳である。
純すぎるのもどうなのだろう。


54 : くまのこ :2014/04/06(日) 01:44:11 YaZTc5Zc
上条は美琴を背負いながら、美琴の住むお高いマンション…
ではなく、自分が住むボロアパートに来ていた。

美琴のマンションの入り口付近で美琴が寝ている事に気づいた上条だったが、
困った事にこのマンション、居住者の指紋と網膜を認証しなければ、
入る事すらできない仕様になっているらしい。本人が寝ていても指紋はどうにかできそうだが、
さすがに網膜は無理だろう。だって目を瞑っているのだから。
かと言って夜中にこんな所をウロウロしていては、今度は上条が不審者扱いになりそうだ。
で、考えた結果が、自分のアパートに連れてくるという結論だったのだ。

(い、いや、仕方ないよな!? 他に方法は無かったんだし、ホテルも高いし…
 け、決してやましい気持ちがある訳じゃありませんぞ!?)

誰に対してなのか、上条は心の中で弁解する。

去年大学を卒業した上条だが、彼の不幸体質は変わっておらず、不幸が不幸を重ね、
彼は今、就職浪人中である。現在バイトで食い繋いでいる状態であり、
その為、こんな築50年以上も経っているアパートで一人暮らしをしているのだ。
学園都市創設時から建っていると思えば、それはそれで味わい深いと思えなくも無いかも知れない。
ちなみに先程もちょろっと説明したが、今の彼は一人暮らしである。
高校生活中に魔術やら何やらの事件は全て解決しており、
元・同居人のインデックスは、イギリスで幸せに暮らしている模様だ。
もっとも別れる時、インデックス本人は泣き崩れていたが、
上条はその涙の本当の意味を知らないままである。死ねばいいのに。

そんなこんなで上条は、自分のベッドに美琴を寝かせる。二人以外、誰もいないこの空間で。
ついでに言えば、この部屋にはベッドは一つしかない。
一人暮らしなのだから当然と言えば当然だが、それでもインデックスと同居していた時は布団があった。
例の、浴槽に敷いていた時の物だ。
しかしそれもインデックスがいない今では使う事も無いので、
リサイクルショップに買い取ってもらっていた。まぁ、売値は二束三文だったが。
つまり、この部屋にはそのベッドしか寝るスペースがなく、
そこに美琴を寝かせてしまったという事は―――

(いやいやいやいや!!! さっきやましい気持ちは無いって誓ったばっかだろ上条当麻!!?)

そこまで考えた所で、上条は自分の頭に過ぎった事を自分で否定した。
どうも先程のおんぶの一件から、妙な感じになっているようだ。

上条は頭を冷やしつつ今日一日の疲れを取ろうと、シャワーでも浴びようとする。
今日は床に寝て、座布団を枕にバスタオルをかけて眠ろうか、などと考えながら。
しかしその時だ。上条は思わぬ事態に直撃する事となる。

ベッドを離れようとして立ち上がった瞬間、上条の腕を何かが掴んだ。
いや、何かと言っても、この空間には上条と美琴の二人しかいない。つまり、

「っ! み、美琴! 起きたのか!?」

だが美琴はすーすーと気持ち良さそうな寝息を立てている。
どうやら寝相だったようで、上条はホッとする。
が、しかし美琴の『たちの悪い』寝相は、それで終わらなかった。
掴んだ腕をそのままグイッと引っ張り、そのまま上条をベッドに引きずり込む。
一瞬の事で何が起こったのか理解できなかった上条をよそに、更に美琴は上条を抱きかかえた。
腕と脚を絡ませ、あたかも上条を抱き枕代わりにするかのように。

「ちょ、ちょっと美琴さん!? ホントは起きてんじゃなかとですか!?」

慌てて問いかけるが、やはり美琴は眠っている。寝相なんだから仕方ないね。
だがこのままでは上条の理性が持ちそうにない。
若干名残惜しい気もするが、絡んだ手足をそっと解こうとする。
だが解こうとすると尚更美琴が強く抱き締めてくる。「う〜ん…」と唸りながら。
…逃がしてくれそうにない。今日はこのまま寝るしかなさそうだ。不幸(?)である。


55 : たまにはちょっぴり攻め琴ちゃん :2014/04/06(日) 01:45:22 YaZTc5Zc
『仕方なく』美琴と一夜を共にする事となった上条だが、
やはりと言うか何と言うか、エロハプニングと格闘中であった。
本当にわざとやっているのではないかと疑いたくなるように、美琴は上条の身体を弄り、
しかも胸やら何やらを当てたまま、

「う……ぅ、ん…当麻ぁ…もっとぉ〜……」
(いやー! そんな甘えた声で変な寝言言わないで!? 上条さん理性崩壊の危機ですよ!?)

と、やたらとエロい寝言を言ってくる。一体どんな夢を見ているというのか。
しかし美琴の攻撃はそれで留まらず、「んみゅ〜…」と艶カワイイ猫なで寝声を出しながら、
顔を埋めてくるわ、そのままスリスリしてくるわ、耳元で何かあむあむしてくるわ、
ふにふにしてくるわ、むぎゅむぎゅしてくるわ、さわさわしてくるわ、ぺろぺろしてくるわ(!?)…
要は好き放題されていたのである。

こんな状態で眠れる訳もなく、上条は朝まで、生き地獄を味わう事となったのであった。
「抜け出せるチャンスぐらいあっただろう」、とツッコミたい所だが、
それを言うのは野暮という物だ。だってそんな事をしたら、ぺろぺろもされなかったのだから。



朝である。
目を覚ました瞬間、美琴は異常事態である事を把握する。
昨日飲みすぎたせいで記憶は曖昧だが、学園都市でも第三位の演算能力で、
目の前の現状から自分の身に何が起きたのかを推理した。

・ここは上条の部屋
・上条のベッドで横になる自分。その隣には上条本人
・上条の乱れた着衣と、目の下のクマ(おそらく一睡もしていない)
・絡み合う手足
・いきり立った上条の…ゲフンゲフン

以上の事から導き出される答えは一つしかない。
疲れ果てていて全く爽やかじゃない上条の「あ……おはよー…美琴……」という挨拶に対し、
美琴は声量全開で返事をした。

「おおおお、おはよーじゃないわよっ!!!!!
 せっ、せせ……責任っ!!! 取ってもらうからねっ!!!」
「それどっちかっつーと上条さんのセリフーーー!!!」

二十歳すぎても、二人の関係はこんな感じなのであった。


56 : くまのこ :2014/04/06(日) 01:47:06 YaZTc5Zc
以上です。
美琴ちゃんをベッドに寝かせた後、エロい展開になるバージョンもありますので、
良かったらエロスレの方も見てやってください。
ではまた。


57 : ■■■■ :2014/04/06(日) 12:27:41 cVCf.uGc
エロスレも見てきました!くまのこさんGJです。

朝から上琴でニヤニヤできました。


58 : シラボネX :2014/04/09(水) 00:12:48 W4QsInTk
どうも、シラボネXです。
まずは感想を

>>我道&くまのこさん
お二人のこのシリーズ大好きです!
スレイヤーズネタはなんとも懐かしいwwGJ!

>>くまのこさん
二人とももう結婚しなさいよww
エロスレも良かったですGJ!

小ネタできたので投下します。


59 : シラボネX :2014/04/09(水) 00:14:24 W4QsInTk
小ネタ 箱の中身は何だろな〜?パート3

美琴「ちょろっと〜」

上条「ん?」

美琴「アンタよアンタ」

上条「上条さんに何のご用ですか」

美琴「アンタにやってもらいたいゲームがあるのよ」

美琴の前には箱ののったテーブルがあった。

上条「・・・・またこれですか・・・・・」

溜め息を吐く上条。

美琴「なに嫌そうな顔してるのよ」

上条「だってこれ三回目だぞ。いいかげんうんざりもしますことよ」

美琴「いいからやりなさい」

上条「やだ」

美琴「正解したらちゃんと賞品あげるわよ」

上条「いやだ」

美琴「へ〜〜〜〜アンタ、私にそんな事が言える立場?」

上条「へ?」

美琴「この前(パート2)アンタ私にとんでもない事したわよね?」

上条「げっ!」

美琴「アンタが中学生の短パン剥ぎ取る変態だったなんてね〜」

上条「あれは御坂妹が・・・・」

美琴「つべこべ言わずとっとと箱に手を入れなさい!」

上条「はいはい・・・・・」

しぶしぶ箱の中に手を入れる上条。
その瞬間、箱の中の右手を何かが掴んできた。

上条「うわ!」

驚いて箱の中から手を抜こうとするが、しっかりと掴まれていて抜くことができない。

上条「な、何でせうかこれは!?」

慌てながら美琴を見る。

上条(あれ?)

美琴は顔を赤く染め、視線はやや俯いていた。

上条(何で赤くなってるんだ?)

少し冷静になった上条は自分の右手を掴んでいる物を確かめる。
やわらかい。まるで人の手のような・・・・

上条(もしかして・・・・・)

箱を見てみると箱の側面にも穴が開いており、そこに美琴の右腕が・・・

上条「美琴の手!?」

美琴「せ、正解よ!」

上条「おいおい・・・・」

美琴「せ、正解したアンタに賞品をあ、あげるわよ!」

チュッ

そう言うなり美琴は上条の頬にキスをした。

上条「え?・・・・・・み、美琴!?今・・・」

美琴「じゃあ!私は帰るから!」

耳まで顔を赤く染めたまま、美琴は走り去っていった。

上条「・・・・・・・」

一人残された上条もまた、顔を赤く染めいた。

END


60 : シラボネX :2014/04/09(水) 00:16:11 W4QsInTk
以上です。
最近小ネタしかアイデアがでてこない・・・・


61 : ■■■■ :2014/04/09(水) 15:16:32 /M9axhSo
ぐうかわw
GJ!


62 : ■■■■ :2014/04/11(金) 10:45:36 vYKJRiGw
シラボネの進化パないの///
ミコっちゃんが可愛い
そしてくまのこさんは商業狙いましょうか
でもそうするとくまのこさん作品(上琴)読めなくなっちゃうか
寂しい


63 : 62 :2014/04/11(金) 15:14:42 VCM0mbJQ
シラボネXさん、敬称飛んですみません


64 : ■■■■ :2014/04/11(金) 19:50:32 SCfPUrCg
シラボネXさんGJ

しかしここの過疎ぎみも半端ないな
外の方が上琴の作品あるんじゃないか


65 : ・・・ :2014/04/12(土) 13:53:52 niN9XsvI
どうも、・・・です

まずは、謝罪しないといけないのに
だましてすみませんとかいわなきゃなのに、ごめんなさい、
みなさまの声がうれしくてごめんなさい


久志さん

エイプリルフールだからってわかり安すぎだよ御坂さーん
さて作者のみんな!! もっと御坂さん弄って遊びましょー!!!


はりねずみさん

とかいいながら話したいくせに〜〜
次回予告の方の御坂さんは大丈夫でしょうか?


シラボネXさん

>>21

活動的すぎるだろ妹
そのまま逃げるってことは、返さないという意思表示でよろしいか?(笑)

>>60
おお、積極的―!!!
後日は上条さんが「箱の中身はなんでせう」とか言うんでしょうかね?


我道&くまのこさん

美琴さんの「ちこくちこくー」ってビルの間を飛ぶだろうに、どう出会うんだよ
……上条さんならできかねないか

>>くまのこさん

どっちも見ました!!
どっちも純な二人だよねー




……いや、マンションの前で起こせよ


皆さまをだましたお詫びにちょっとした小ネタ投稿です。

それでは


66 : ぷらん :2014/04/12(土) 13:57:04 5.5J2vxc
美琴「まぁぁぁああああああああてぇぇぇぇえええええええい!!!」

当麻「御坂さん!! 俺は伝説的泥棒の三代目じゃねぇんだ!! こんなに追いかけまわされる必要はない!!!」

美琴「いや!! アンタは大変な物を盗んで行きました!!!」

当麻「はあ!!!? なにをだよ!!!!」

美琴「私の…………言えるかボケぇぇえええええ!!!!!!」

当麻「むちゃくちゃだぁぁぁぁああああああ!!!!」

佐天「二人とも!! もう少しです!!!」

美琴「負けるかあああああああ!!!」

当麻「逃げ切るうううううううう!!!」

佐天「ゴ――――ル!!!!」

当麻「ハァ、ハァ、速いな、美琴」

美琴「流石ね、ハァ、次は負けないわよ。ハァ」

佐天「二人とも、すごく速かったです!!
   それでは、さようなら!!!!!!」

当麻「じゃあな!!」

美琴「またね!!」

当麻・美琴「「さてと……」」

美琴「覚悟はできてるかコラァァァ!!!」

当麻「ぎゃあああ!! ついゴールの言葉で止まってしまたあああああ!!!」

美琴「くらえええええええええ!!!!!」

当麻「ちくしょおおおおおお!!!!!」

黒子「ちょっと待ってくださいまし」

当麻・美琴「「?」」

黒子「さあ、わたくしの後に続けてくださいな」

当麻・美琴「「なにを??」」

黒子「電気は大切にね!!!」

当麻・美琴「「ビリビリ!!!!」」

黒子「それでは失礼しますの」シュン

当麻・美琴「「さてと……」」

美琴「覚悟はできてるかコラァァァ!!!」

当麻「ぎゃあああ今のうちに逃げればよかったあああああ!!!」

美琴「くらええええ……っと」

当麻「ちくしょおおお……ん?」

美琴「ダメダメ」

当麻「あのー?」

美琴「電気は大切に、電気は大切に……」

当麻「……で、何の用だビリビリ?」

美琴「アンタ、なんで追いかけられてたかをもうちょっと……」

禁書「見つけたんだよ!!

美琴「あんたは!!」

当麻「ん? どうしたインデックス」

禁書「みこと!! とうまは本当ににとうまだよね!!!」

美琴「だからわたしには美琴って……って、あれ?」

禁書「いいから、とうまはとうまだよね!!」

美琴「え? え?」

禁書「だから、とうまはどこでもとうまでとうまがとうまでなくなったらとうまはとうまでないからとうまはとうまでないことはなくとうまはとうまで間違いないよね?」

美琴「は、はい、とうまはとうまです」

当麻「意味がわからん」

禁書「とうま!!」

当麻「うぉ!!」

禁書「みことはみことがみことだからこそみことでみことにとってみことはみことだってところにおちつくからみことはみことなんだよね?」

当麻「お、おう、みことはみことだ」

禁書「やっぱりそうか、よくわかったんだよ
   それじゃあ!!!」

当麻「あんまり遅くなるなよー」


67 : ぷらん :2014/04/12(土) 13:58:12 niN9XsvI
当麻・美琴「「さてと……」」

当麻「で、何の用だ美琴?」

美琴「当麻、なんで追いかけられたかをって、あれー?」

当麻「ん?」

美琴「えーと、そのー」

当麻「用事ないならもういいか?」

美琴「え?」

当麻「そろそろ特売の時間で……」

浜面「よう、大将!! 特売に行ったついでに大将の分も買っといたぞ!!」

当麻「お、浜面!! マジかよ!!! サンキュー!!」

浜面「気にすんな、またな大将、第三位!!」

当麻「おう!!」

美琴「さようなら!!」

当麻・美琴「さてと……」

当麻「用事ないならもういいか?」

美琴「え?」

当麻「大量の課題が「prrrrr」ん?……ピッ」

打ち止め『ヒーローさん!! かだい? だっけ? は終わったよー』

当麻「へ? なんで?」

打ち止め『あの人がいろいろなお礼なんだって!!』

一方通行『そこは言うなッつッただろォオオオオオオオオオ』

ピッ

当麻「んー、今度会ったら礼言うか?」

美琴「あの様子じゃ言っても嫌がりそうよ?」

当麻・美琴「「さてと……」」

当麻「で、何の用だ美琴?」

美琴「当麻……えーと、そのー」

当麻「なんか変に時間できたし、俺に用でもあったんだろ?」

美琴「え? あー、ふー、ふぇー」

当麻「なんか面白い声が出てるが、大丈夫か?」

初春「あ!! いたいた、御坂さーん、忘れ物です!!」

美琴「ふにゃ……初春さん、忘れ物??」

初春「はい、映画のチケット二枚。これがないとどうしようもないじゃないですか!!」

美琴「へ? 映画? チケット? 二枚??」

初春「それでは失礼します!!」

美琴「ちょ、ちょっと!!」

当麻「なんだったんだ?」

当麻「さてと……」

当麻「それが用事か?」

美琴「へ?」

当麻「違うの?」

美琴「そ、そう、これが用事!!」

当麻「じゃあ行くか」





















『以上でシミュレーションを終了します』

☆「あのインデックスやテレポーター、他にもこれほどサポートしてこれだけしかプランは進まないか」


68 : ・・・ :2014/04/12(土) 14:00:06 5.5J2vxc
以上です。

『育児日記」は休載します。自分の風呂敷をどこまで広げられるかが裏テーマでして、
苦戦してますので時間ください
完結はさせますよー


69 : ■■■■ :2014/04/12(土) 18:45:34 jaALpgW2
もしやこれはレムナントを流用したシミュレーターじゃなかろうな☆さん…


70 : ■■■■ :2014/04/12(土) 21:54:53 WTCg0FWo
くまのこさんのエロは破壊力パないの////
でもこっちのミコっちゃんの方が上琴の雰囲気が出てますね
シラボネXさん
シラボネさんのミコっちゃん、どんどん可愛くなってきますね
妹逹のネタテイストも好きです
・・・さん
キターーーー!!!
萌え殺して頂けるならどう料理なさっても結構です!!

>>64
ココッて昔から波はあるので、過疎ってる訳じゃないと思う
禁書SSでは一番賑わってない?


71 : はりねずみ :2014/04/14(月) 01:18:52 nUK2ueco
感想はまたおいおい。
私が最初に来た頃はかなり賑わっていた頃なんでしょうかね。アニメの放送が気待ってましたし。

次回予告なんてやったけど、流れすらできてないんです。
小ネタ投下します。


72 : 春の陽気に当てられて :2014/04/14(月) 01:20:08 nUK2ueco
「うだー」
「うにゅー」

頭をテーブルに乗っけてだらけている上条とインデックス。

「こら。まったくアンタ達は昼間っからだらけて!」

そんな二人を叱るのは美琴である。
だがこの二人には効果がない。

「だってー」
「このぽっかぽかのいいお天気には特別な魔力があるんだよー」
「…………」

二人の言うとおり、この春の天気はとても心地良い。
美琴だって今すぐ加わりたいのだが、彼女にはわかる。ここで加わればダメ人間が三人に増えるだけだと。

「美琴も早くこっちにこーい」
「温かいんだよー」

抵抗する美琴を誘惑してくる二人。
これだけではダメだと、インデックスは思った。

「とうまの横に行こーっと。そっちの方が暖かそうなんだよ」
「それはダメ!」

インデックスの策略。純白の衣の聖女から放たれた悪魔の言葉にあっさりと敗北した美琴。
まるで自分の寝床を守る動物の様にささっと、上条の横に構えた美琴は、インデックスを住処(上条)を狙う外敵と認識して睨みつける。

「な、何もしないんだよ」

その怒れる猫のような美琴に、インデックスは怖気づいてしまう。

「こーら。インデックスが怖がってるだろ」

美琴を落ち着かせる為に、上条が美琴の頭を撫でると、ふにゃー、とさっきまでの威勢はどこへやら。すっかり表情は緩み、テーブルに頭を乗せ、春の陽気と上条に頭を撫でてもらっている嬉しさから、しだいに眠気が彼女を遅い、スースーと寝息を立て始めた。
そんな美琴を見る上条も、もう少し寝顔を堪能したかったが、眠気には勝てず、美琴と並ぶように寝てしまう。
そして心底幸せそうな顔で眠る二人を見て微笑むインデックスもまた、大きな欠伸をして、眠りについた。


73 : はりねずみ :2014/04/14(月) 01:21:13 nUK2ueco
以上です。
私が書きたい上琴は、こういうのだったんだと再確認しました


74 : ■■■■ :2014/04/14(月) 01:51:14 iuxn1TPY
ほのぼのしますね
うん、こういう雰囲気素敵だと思います


75 : ■■■■ :2014/04/14(月) 02:02:24 HYpofDqU
乙です。
一年くらい前の『桜が咲く頃に』もそうですが、インさんとも仲良くほのぼのしている上琴はとてもイイですね。自分もこの上琴が理想の形です(^-^)

原作もこうならないかなー・・・(切望)。


76 : ■■■■ :2014/04/14(月) 02:09:02 HYpofDqU
↑「ひらり桜が舞う頃に」じゃね?
確かに、あれスゲー良かったわ。分かる。


77 : ■■■■ :2014/04/14(月) 07:07:46 H0m.NBzw
5月10日に新刊が出るけど、はたして美琴とインデックスの立ち位置はどうなるのかな?
予告だと「世界中を敵に回す」なんて書かれてただけに正直、嫌な展開が頭をかすめてしまう。前巻が前巻だけに。
前巻は正直言って、気分悪かった。一回読んだけどそれから開く気がまったく湧かない。


78 : ■■■■ :2014/04/17(木) 06:59:54 e20V3Vno
何か過疎っちゃったね

ここが過疎ると渋とかで上琴SSアップされてても覗く元気無くなりますよ

豊作だとあちこち思わず覗いちゃうけど

寂しいのぅ


79 : ■■■■ :2014/04/17(木) 07:34:03 CQ37lHKA
たまに荒れるからねーココ


80 : ■■■■ :2014/04/19(土) 21:06:53 6dsxhmvM
ぐちゅ玉さんとか蒼さんとか、D2さんとか……。
良い作品書いてくれてたのにここにはもういらっしゃらない方が何人もいますよね。
たまにはで良いので書いて欲しいです


81 : ■■■■ :2014/04/20(日) 16:27:22 HP4pznv2
…さんやはりねずみさん、くまのこさんも渋行きみたいだしねぇ


82 : はりねずみ :2014/04/20(日) 17:48:21 LtIMkvt6
ご安心を。一日一回はここをみてますからね。
新作は1レスだけできているのですが、ここに投下していいか迷う内容でしたので。鬱有りでもいいのなら今週中にでも投下します。


83 : ■■■■ :2014/04/20(日) 22:12:04 6lagEBI6
良かったァ
はりねずみさん
渋版も応援してます
…でもココ、鬱は荒れる原因になるかも
美琴スレに電磁通行読んで鬱ったとか言う馬○がレスした所為で荒れましたし
鬱有りハッピーエンドなら大丈夫だと思いますが


84 : くまのこ :2014/04/20(日) 22:49:22 CGTDFGjo
いや…自分もここを離れた訳ではないんですが……
確かに支部に新作書いて、こちらには投下していないんですが、
「麻琴が気になる人の話をしたら当麻はどうするか」っていう内容なので、どうかな〜と思いまして。
一応、二人が結婚してる設定なので上琴と言えば上琴なんですけど、二人のイチャイチャがメインの話じゃないので。
大丈夫なら書きますけど…どうなんでしょう?


85 : ■■■■ :2014/04/21(月) 01:01:49 tVHCP0Vw
おおっくまのこさんw
麻琴ちゃんネタならメシウマです
…麻琴ちゃん大活躍!な話じゃないですよね?
過去にもあったと思います


86 : ・・・ :2014/04/21(月) 10:02:48 FWAKM9cE
どーも、

私の場合はあっちは過去作を手直しする場、もしくは上琴じゃない物のところなんでね、
現段階ではあっちは過去作しかないはずですよー

ただ今執筆中、もう少し待ってね


87 : ■■■■ :2014/04/21(月) 18:47:44 6uUWbIZ2
別にここを荒らす気もないし中傷する気もないけどひとりの読者として今のここのあり方には疑問を感じます。

作者の人たちは頑張っているのはわかるんですが、俺には切磋琢磨して良いものを書こうとしている様に見えないんですよね。
それは作者の責任ではなく俺たち読者の責任なんだろうけどな。
なんで皆手放しで褒める事しかしないんだろう?
「ここはこう書いた方が面白い」とか言うアドバイスや意見が出ないのが不思議。
勿論、悪意ある中傷はダメだけどもっと色々な意見やアドバイスがあってもいいのでは?

ただ読むだけの人間が何を偉そうにと思われるかも知れませんが、
ここにはそういう空気が欠けているような気がする。

余計な発言で気を悪くしたらごめんなさい。
誰も言わないから言わせて貰いました。


88 : ■■■■ :2014/04/21(月) 19:49:45 4hFGB50E
>>87
ただ単に読者が執筆者程の執筆能力がないだけじゃないかな?
読者を批判している訳じゃなくて、例えば自分が上手いと思った絵に憧れて練習して上手くなった時に上手いと思った絵を振り返って見るとそうでもなかったみたいな
だから執筆した事がないから上手いと感じて批判出せないだけじゃないかな?


89 : ■■■■ :2014/04/21(月) 20:08:13 Oa51v6eE
褒めることばかりで批判無しがいちゃスレのスタンスではある。
だから「レス数が少ない」事が遠回しに作品の低評価につながり、そこに切磋琢磨はあった。
(まあ常連化すると技術向上もあって自然とレス増えていくんだけど)
これは昔のSS職人が投下後、名無しに戻って他の人の作品にレスしてたから成り立ってた。

今は職人同士で名乗りながら褒め合うから、レス数が常に均等。
これはこれで新人は育ちやすく居着きやすいメリットはあるんだけども、
読者視点をあんまり意識しない(裏をかこうともしない)作品になりがちかなあとは思う。


90 : ■■■■ :2014/04/21(月) 20:29:49 6uUWbIZ2
褒めるのは褒めるので良いと思うんだよ。でも、同じ褒めるなら「この件が良かった」とか具体例を挙げてやるのも手だと思うんだよね。もしくは8個良い事言ったら2個にになった点を指摘し合うとか。作者同士だと遠慮して言えないのかも知れないけどね。時には「本当にこれでいいのか?」と感じる作品もあるけど誰も言わないから作者もそれでいいと思い込む。
ある意味その作者って可哀相だよね。誰も本気でその作者の事思ってないって事だからね。俺も正直上琴好きだしもっともっと増えて欲しいと思う。確かに個人の嗜好の差ってあるから何が良い悪いって一概に言えるものじゃないけど、個人的には読み終わった後で心が温かくなったり幸せになれる様な作品で、しかもレベルの高い作品が読めたらと思っています。
俺個人の我儘だけどな。


91 : ■■■■ :2014/04/21(月) 20:47:46 tVHCP0Vw
商業SSじゃないし、読ませて貰ってるので職人さんも読み手も楽しければいい
意見があるのはいい琴だけど、なら自分がまずそういうレスをすればいい
同意見や自分なりに意見がある人は追随してレスしてくれるでしょ

>>90
今職人さん同士は割と渋でやり取りなさってるので、目くじら立てるほどのことではないし
作品が投下されない時期にあえて「個人の我儘」を入れるのは、逆に書き手さんを敬遠したいとしか思えません

作品が投下された時に、その作品の良かった点を挙げてみてはいかがでしょうか


92 : ■■■■ :2014/04/21(月) 21:00:31 6uUWbIZ2
前に書いたらシカトされ潰されたよ。批判ではなく疑問を呈しただけだったけどね。
褒めて伸ばすが現代社会の常識らしいから俺の考えがズレているだけなのかも知れないけどね。悪意のある中傷は論外だけど先ず無理矢理でも褒めなさいって風潮が出来上がっている様な気がする。そして少しでも厳しい意見に対してはスルーするか潰しに掛かるか。根本的にズレた批判ならそれは仕方がないと思うけどアドバイスしたくてもしにくい風潮はみんなで変えていかないと無理だと思いますが。
あと俺の我儘と言ったのは「こういう感じの物語が読みたい」と言ったのを我儘と言っただけですよ。誤解を招いてしまった様ですが。


93 : ■■■■ :2014/04/21(月) 21:01:30 NI5n8nKE
>>86
・・・さん、ご健在ご報告ありがとうございますw

首を長くしまくって待ってます!!
筋違いにならないうちに是非///


94 : ■■■■ :2014/04/21(月) 21:07:16 6uUWbIZ2

少し場を荒れさせてしまった様ですみません。
言いたい事を好き放題言ってしまいましたがこれで失礼します。
俺の書き込みで気分を害した人たちには心からお詫びいたします。


95 : ■■■■ :2014/04/21(月) 23:07:53 DmlU2uxU
そもそもここは上琴って共通の嗜好を持つ人間が集まる場所だからね
確かに少し厳しい批評を糧にできる人もいるだろうけど
全員が全員そうとは限らない
よほど酷い内容じゃない限り、過度な突っ込みはどうかと思う
要は人の感じ方は人それぞれだから匙加減が難しいんだよね
それこそ馴れ合いを好まない作者さんだったら外の掲示板で書いたりする
俺が個人的に連絡取ってる書き手さんもss速報で書いてるしね
本当は上琴が大好きなんだけど、スレの雰囲気的にそれを前面に出せないって言ってた


96 : ・・・ :2014/04/22(火) 01:33:51 ukdwc5sM
どうも、・・・です。

なんか私の投稿のあと面白いことになってる。

あくまで、個人的な意見として、いままで述べることを皆さまに聞いていただきたい。

上のような話はこのスレをよくしたいという思いが見えてとてもうれしく思いました。
私は未熟ですので意見があれば欲しいです。
しかし、それは技術面とかなら納得がいきますが、
「この作風が嫌い」だったり、「この設定はこのスレに会わないから出ていけ」っていう発想は
正直、こちらの表現方法を絞らせるために書く側はとても窮屈です。

現に最近シリアス寄りの作品、原作改編の作品が少なくなったのは、
これが原因かと思います。

これは今までなんどもあった私を含めた皆さまの「上琴」のラインの問題かと思います。
私が入るころは「いろんな上琴があってもいいじゃん」という空気でした。
故に初心者も自分の「上琴」を引っ提げて入りやすかったんです。
まぁ、個人的な体験談ですが。
しかし、今はなんとなくシリアスは書きづらい風潮です。

よろしければ、「こういう描写は見にくいからこう書いた方がいい」という『アドバイス』と
「こういう描写は、自分の上琴の定義に合わない」という『趣向の主張』の違いを考えていただきたく、自分の趣向に合わない物はスルーするなりして、その作風を好む人のことも考えていただきたいです。
私が楽しみにしていた作品もいくつかこのスレでは読めなくなりましたし

あと、書き手も人間です。
おもしろくないと言われたら、やはり辛いです。
GJと言われたら、やはりうれしいものです。
アドバイスをもらったら、なんとか吸収しようと思いますし、
単にけなされたら腹が立つものです。

そこを考えての発言をよろしくお願いします。
全員でこのスレをよくしていきましょう



さて、あまり堅苦しい話をしすぎで、実は赤面しています。
作品を投げて逃げたいと思います。
微妙に長編になりそうです。
通しタイトルは『勝者上条』
今回のタイトルは「VSインデックス」です
それでは


97 : ・・・ :2014/04/22(火) 01:34:40 ukdwc5sM
ある日、三人は出会った。

「あ、短髪」

「あ、ギンギラシスター」

「喧嘩売ってるね」

「大安売りだけど?」

「大人買いしてやるんだよ」

「……お二人はなんでそんなにも仲悪いの?」

「「アンタ(とうま)のせいよ(なんだよ)!!」」

「…………娘を持つお父さんたちって、こんな悲しい気持ちなのかしらん?」

アイツにかまっている暇はない。
これは、女の闘いなのだ。
こうして二人は、目的を忘れ、本命を傷つけたまま戦いを始める。

「とうま、そんなことより早く買い物に行こう。早くしないとハンバーグの材料がなくなっちゃうかも」

(こ、これは……!!)

属性、同棲

(これは、最強種とも呼べる属性!! 一緒に住み、私生活をともにしていることはとんでもないアドバンテージ!!)

シスターは上条の腕をとりながら黒い笑みを美琴に向ける。

(その属性を使った『今晩なに食べようか?』攻撃!! なんて破壊力なの!!?)

「おい、シスターさんや、居候のくせになに言ってやがりますか。今晩は食費ないため素うどんフルコースです」

(ま、負けられない!!)

「な、なによそれ、じゃ、じゃあわたしが、なんか作ってあげてもいいわよ。べ、べつにアンタのためじゃなくてそのシスターの栄養バランスが気になるっていうか、別にアンタのためじゃなくてさ……」

(属性、ツンデレ。確かに古くからある属性かも、でも……)

「へっ? いいよ別に、こいつ食えればなんでもいいんだからさ」

(属性、鈍感の前には無力なんだよ!! 心なしか無駄に私にもダメージがある気がするけど、全力でがっかりしている短髪がかわいそうなくらいかも)

「でもさ……」

「「???」」

「確かに御坂の料理はうまいよな、この前食べたとき感動すらしたもんよ。御坂の将来の旦那さんは幸せ者ですよーって……あれ?」

美琴は顔を真っ赤にしてバチバチしている。
さらに

「シスターインデックス!! 修業が足りませんぞ!! 噛みの慈悲を持って、て変換がおかしい神の慈悲を持ってこのか弱い子羊に救済の手をですなぎゃあああああああああああああああああああああ」

敗者・上条 美琴 インデックス
勝者・上条


98 : ・・・ :2014/04/22(火) 01:36:03 ukdwc5sM
ほんと今更ながら恥ずかしくなってきた

やばい、どうしよ


99 : ■■■■ :2014/04/22(火) 01:53:03 Wjpi3XqM
>>98
・・・さん、書き手さんの立場からの意見を
書いてくださってありがとうございます。
私も同感です。


100 : ■■■■ :2014/04/22(火) 16:36:38 Qm41uo5I



101 : ■■■■ :2014/04/22(火) 17:46:14 RRkP0/wI
乙。
ちょっと一か所。
「居候のくせになに言ってやがりますか」って台詞必要だったのかな?私自身正直インデックスに思い入れはないですが、この台詞だけ引っかかりました。
「居候のくせに」は人によっては悪意と受け取られかなません。その後の「なに言ってやがりますか」は一瞬上条さんじゃ無くてアニェーゼかと思ってしまいました。
この一文は無くても話通じるし、もし付けるにしても「何を仰ってるんでせうか」位でもいいのでは?
ここだけ棘の様なものを感じたので一応言ってみました。
私の見方が穿ち過ぎで見当はずれな意見でしたらごめんなさい。
ただ、私は他所でも美琴を悪く書かれるのは嫌なので、
その口実にされるような言い回しは出来る限り少ない方がいいのかな?
と考えた次第です。長々と失礼いたしました。


102 : ■■■■ :2014/04/22(火) 17:54:32 Qm41uo5I
ごめん、この間のような話題があったのに突っ込んで
>>101
いくらなんでも細かすぎ
この指摘は単に揚げ足を取ってるようにしか見えない
別にインデックスがどうこうって発言じゃなくて、単に我儘を諭しただけだろ?
上琴専門スレで他のキャラに必要以上に気を遣えっていうのは過剰なツッコミと変わらない
それに上条さんの口調は原作でも安定してるわけじゃないので、別にアニェーゼには見えない
本当に的を得た指摘なのか、自分でしっかり確認してからレスしてほしい


103 : ■■■■ :2014/04/22(火) 18:04:35 RRkP0/wI
もう何も言わないよ。実際余所でこういう細かい事の積み重ねで荒れるから言っただけ。
それが理解できない。重箱の隅をつついてるとしか思えない人たちに何を言っても無駄だからね。
余計な事言って悪かったね。


104 : ■■■■ :2014/04/22(火) 18:11:46 AbqJ6HpE
何かを発言するならオブラートに包んでなんたらかんたら

――っとSS乙でした


105 : ■■■■ :2014/04/22(火) 19:29:14 kt1Padt6
>>103
うん、そうだね
もう来ないでね


106 : ■■■■ :2014/04/22(火) 19:50:17 H8Ny9nMM
>>103
荒らしたい人にしか見えないよ
キャラの言葉は書き手さんが決めること、あなたのは個人的な意見の押し付け
なんで他所で言われるからって書き手さんが遠慮しなきゃならないんだ

>>98
・・・さん乙です


107 : ■■■■ :2014/04/22(火) 20:05:42 NJ8VNYeE
…さん、乙  面白かったです。
私はあの台詞を悪いようには受け取りませんでしたが過敏に反応する方々がいるのは確かです。
101さんはこのスレだからこそ一層配慮した方が良いのではないかと仰りたかったのではないでしょうか。
…さんの台詞を改変する必要はないと思いますが、101さんを荒らし認定するのも間違っているように思います。


108 : ■■■■ :2014/04/22(火) 20:10:30 NJ8VNYeE
すみません、お名前間違え。・・・さんでした。失礼しました。

また、下3行は・・・さん宛ではなく他のレス書き込んだ方宛です。


109 : ■■■■ :2014/04/22(火) 20:17:53 zzRJYpXs
>>103
「居候のくせになに言ってやがりますか」は何もおかしくない
語尾研究家のワタシが言うのです間違いない

そして指摘しておこう
キミが例として言った「でせうか」、上条さんは原作で使ったことないよそんな語尾
「でせう」ですら、記憶喪失以降では美琴系にしか使わない言葉です

重箱の隅をつつく、ってのはこういうことを言うのですヨw


110 : くまのこ :2014/04/22(火) 23:42:27 jIWV05Fs
>>シラボネXさんGJです!
ミコっちゃんきゃわわ!
勿論、もらった賞品はどう使ってもいいんですよね?(ゲス顔)

>>・・・さんGJです!
>>68 ああ…また☆さんのプランが狂っていく…w
>>98 美琴ちゃん、一歩リード。属性、料理上手のおかげですな。

>>はりねずみさんGJです!
平和やなー…
原作にも、こんな展開が欲しいですねー…



んー…自分の場合は批判され慣れているせいか、
どこか「なに言われてもいいや」って開き直ってる感がありますね。
いただいた意見で何も思いつかなければスルーしちゃいますし、
何か思いつけばそれをネタに新作書いたりもしますし。
まぁかなり個人的な意見なので、参考にならないと思いますので、
話を早々に切り上げて短編投下します。
最近未来設定が多かったので、初心に帰って現代ものです。
糖分控えめな所まで初心に帰っているので、ラブラブな二人が好きな方はご注意を。
約3分後に3レスです。


111 : ケロヨンとピョン子の、ほんのりデート :2014/04/22(火) 23:45:28 jIWV05Fs
物の価値というのは、人によって変化する。
どう見てもガラクタとしか思えないオモチャでも、
コレクターにしてみれば何十万をはたいてでも欲しい…なんて事はざらにある。

そんなコレクターがここにも一人。
ご存知の方も多いと思われるが、御坂美琴は「ゲコ太」と呼ばれている
カエルのゆるキャラにご執心である。
つい先日も、ゲームセンター限定のゲコ太ぬいぐるみ欲しさに、
UFOキャッチャーで自分の超能力【チートわざ】を使い、同じぬいぐるみを3匹ゲットしたばかりだ。
これには流石の白井もドン引きであった。

そんな彼女はラブリーミトンの公式サイトの会員に登録しており、
新商品の情報は、随時携帯メールに送信されるようになっている。
そして今日も美琴のケータイには、ゲコ太グッズの新たな宣伝広告が送られて来た。
美琴はラブリーミトンからの着信だと分かるや否や、0.2秒でメールを開いた。
ちなみに次元の早撃ちは0.3秒である。どんだけだよ。

広告内容は、今日からオープンするという、シルバーアクセサリー専門店の記事だった。
その店でオープンセールが行われる訳なのだが、その中に、

「っ! ケ…ケロヨンとピョン子のペアネックレス…
 しかも20セット限定(売り切れ次第終了)ですって!? …ゴクリッ…!」

があるらしい。…が、生唾を飲む程の事ではない。
だがこちらのネックレス、どうやらお買い求めのお客様にはある条件があるらしい。
察しの良い方も悪い方も、この後の展開がおおよそ予想が出来るだろう。

「で、でも……カップル限定…かぁ……」

でしょうね。
美琴はこの展開に、いつぞやのペア契約の一件を思い出す。
そして未だに渡せていない、ハワイで購入したペアリングの事も。
こんな事を頼めるのは、『あの馬鹿』しかいない。
他に男友達がいないという理由もあるが、それ以前に『あの馬鹿』以外の男と、
ウソでも恋人のフリなどしたくはない…と無意識に脳が命令を出しているのかも知れない。

ツンデレな彼女だが、その内訳はツン7割:デレ3割とツンが勝ち越しており、
こういった事を頼むのは苦手な性格である。相手が『あの馬鹿』なら尚更だ。
しかし今は迷っている時間はない。
なにしろネックレスは、20セット限定(売り切れ次第終了)なのだから。
…心配しなくても、大人向けなシルバーアクセ専門店で、
こんな子供っぽい商品を買う客は中々いないと思うが、ゲコラーの美琴はそうは思っていないらしい。

店の場所は第22学区であり、今美琴がいる第7学区のすぐ隣だ。
当然、『あの馬鹿』の通う学校とも近い。
美琴は無意識に全速力で駆け出していた。『あの馬鹿』を誘い出す【ゆうかいする】その為に。



一方その頃、近くでそんな事が行われているなど夢にも思わない、暢気な少年が一人。
本日は実に晴れやかな気分だった。
上条にしては珍しく、今日は小萌先生の補習も目立った不幸もなく
(とは言っても「弁当を忘れる」、「何も無い所で転ぶ」程度のこまごました不幸はあったが)
平和そのもの(?)であった。

「ほな、またなー」
「さいならだぜい」
「おう、じゃあまた明日」

学友と挨拶を交わし、帰宅の途に就こうとする上条。
今日は時間にも余裕がある事だし、ゆっくりとスーパーで買い物ができそうだ。
…などと一瞬でも思ったのだが、校門から一歩足を出した瞬間、
彼のお買い物計画は無残にも泡と消える事となる。
そして今日一日大した不幸が無かったのも、今から起こるであろう不幸イベントの為に、
不幸力を温存していたのだと、よく分からないルール設定で納得する。

上条が「じゃあまた明日」と口に出した直後、彼はすでに土御門と青髪の目の前にはいなかった。
瞬間、『何か』が上条を掻っ攫い、そして風と共に消えたのである。
しかしながらその『何か』、一瞬だけだったが、『常盤台中学の制服を着た女の子』のようにも見えた。
一体どんな状況なのかも分からないし、そもそも目の錯覚かも知れない。
だが普段の上条を良く知る二人は、こんな証拠不十分な状況でも一つの確信をする。
そしてその確信は、二人が明日の予定を立てるには十分な物であった。

「……明日はカミやんの命日かにゃー」
「……せやね。クラス全員でシバき倒さな」

明日の上条は、確実に不幸な一日になりそうだ。


112 : ケロヨンとピョン子の、ほんのりデート :2014/04/22(火) 23:46:17 jIWV05Fs
上条が引きずられて連れて来られたのは、第22学区だった。

「って、おかしいおかしい! 何か展開早すぎないか!?」
「うるさい! ちょっと黙って! お願いだから、少し気持ちの整理をさせて!」
「あれ、デジャヴ!? 前にもこんな事あったよね!?」

上条の目の前には、自分の腕を引っ張りながらここまで走ってきた張本人、
美琴が頭を抱えながら真っ赤になった顔をブンブンと振り回していた。
美琴は勢いに任せて上条と腕まで繋いで、店の前まで連れてきた訳だが、
いざとなるとやはり、恥ずかしくなってしまったようだ。難儀な性格である。
先程の行動も(彼女としては)かなり大胆だったようで、アドレナリンの分泌量が平常時となった今、
自己嫌悪モードに突入したのだ。もう一度言うが、難儀な性格である。

「はぁ……つーか美琴、何故にワタクシがこんな目に遭わなきゃならんのか、
 その辺の事を説明してはいただけませんかね?」

上条も慣れたもので、美琴がテンパっているのを察して、溜息混じりで冷静に聞き出す。
美琴も「うっ…」と口ごもった後、「実は―――」と今回の件を説明し始めた。



「…ふ〜ん……要はそのゲ…ゲコ太だっけか?」
「ケロヨンとピョン子! ゲコ太はケロヨンの隣に住んでるおじさんでしょ!?」

そこは別にどうでもいい、と思わずにはいられない上条である。

「…まぁとにかく、そのネックレスが欲しいから、一緒に店入ってくれって事な?
 ったく…言ってくれれば普通に協力すんのに」
「だっ! だだだだって! そ、それってつまり……こ、こここ…恋…人…に…ごにょごにょ……」

後半、小声で何を言っているのか聞き取れなかったが、言わんとしている事は何となく理解した。
そして理解した上で上条は言う。

「いや、そんな今更…海原ん時とかペア契約とか、今まで散々恋人のフリしてきたじゃねーか
 それに20セット限定なんだろ? こんな所でグズグズしてたら、売り切れちまうかも知れないぞ?」

冷静に理論で諭す上条に対して、美琴は感情で対抗する。

「だっ、だだだ、だからって慣れる訳ないでしょ!? てかアンタは何で平然としてられんのよ!
 アンタにとって私との…こ…いび……と…………のフリはそんなどうでもいい事な訳!?」

無理やり連れて来ておいて、無茶苦茶な事を言う美琴である。
上条とて本当は舞い上がりたい所だ。
ニセモノとは言え、モテない自分(?)にコイビトができるのだから。
しかし肝心の彼女役がこの体たらくでは、冷静にならざるを得ないのである。
上条は再び溜息を吐いた後、今度は上条が美琴の腕を引っ張り、店に入る。

「わっ! ちょ、ちょっと!?」
「何かもう色々メンドクサイから、とっとと買い物済ませちまおう」

デート慣れしていない二人による、実にデートらしくないデートが開始された。



店に入った上条は、まずそのお値段に圧倒される事となる。
純銀で出来た商品達は当然ながらお高く、殆どの値札にはゼロが4つ以上表示されている。
シルバーアクセサリーと言えど本来なら安い物もある筈なのだが、どうも置いてなさそうだ。
店内を見回すと本日開店という事もあってか、意外と賑わってはいるが、
お客は霧ヶ丘女学院や長点上機学園など、エリート校の制服を着ている者が目立つ。
どうやらここは、庶民とは縁遠い場所らしい。思わず上条は、「うへぁ…」と声を漏らす。

「なぁ美琴…本当にここでゲコ…いやケロヨンか。を買え………あれ? 美琴?」

話しかけた上条だったが、美琴からの返事はない。代わりに顔を真っ赤にしながら俯いている。
見ると、まだ腕を掴んだままだったようだ。

「ああ、悪い。痛かったか?」

と、相変わらず「そこじゃねーだろ」とツッコミたくなるような、見当違いな優しさを見せる上条。
美琴も美琴で、腕を離されて微妙に残念そうな表情を作る。
その時だ。


113 : ケロヨンとピョン子の、ほんのりデート :2014/04/22(火) 23:47:33 jIWV05Fs
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」

と、店員が話しかけてきた。

「あ…えと……あの、その………」

普段の社交性が高いミコっちゃんはどこへやら。
モジモジしながら口ごもる『彼女』を見兼ねて、『彼氏』がやれやれとばかりに助け舟を出す。

「あー…すみません。俺たち付き合ってるんですけど、
 カップル限定のカエルのペアネックレスってまだありますか?」
「あ、はい。ございますよ」
「ぶっふぉおい!」

余りにも自然に、しかも呆気なく『付き合ってる』宣言をする上条に、
美琴は思わず、そして盛大に吹き出した。
店員はそんな美琴の様子を、微笑ましそうに「くすっ」と笑いつつ、
例のペアネックレスをガラスケースから取り出した。

「こちらでよろしかったでしょうか?」
「あー、はい。これです………たっ!!!」

「たっけぇ(高ぇ)!!!」と口から出かかった言葉を、上条はすんでの所で呑み込む。
二つ1セットで、お値段29,800円。
このシンプルなデザインの、どこにこんなお金がかかっているのかと、
小一時間程問い詰めたいものである。やはりブランド力だろうか。
上条は学校を出た所で無理やり連れて来させられた為、こんな高額商品を買う金など無い。
この状況で年下の女の子に支払わせるのは、男として非常にかっこ悪いが、
無い物は無いので、仕方なく美琴にバトンタッチする。
美琴も元から上条に支払わせるつもりも無かったので、普通にカードを財布から取り出す。
埋まらない貧富の差に、泣きたくなる上条であった。



ともあれ、こうして無事(上条は若干、心に傷を負ったが)ネックレスを手に入れた美琴。
その表情は見事なホクホク顔をしており、
目は新しいオモチャを買ってもらった子供のようにキラキラさせている。
かなり喜んでいるようで、上条も恋人のフリをした甲斐があるというものだ。

「…良かったな。買えて」
「うん! アンタのおかげよ! ありがとう〜♪」

心底嬉しそうにネックレスを見つめる美琴。
するとこのネックレスに、あるギミックが隠されていた事に気づく。

「…あれ? このケロヨンとピョン子、二つ横に並べると手を繋げられるようになってる」

実はこのペアネックレス、ケロヨンの右手とピョン子の左手が接合できるようになっている。
ペアアクセサリーならではのギミックだ。
恋人限定で売られていた事からも、「この二匹のカエルのように、手でも繋いで末永く爆発しろ」
的な意味合いでも込められているのだろう。
そこに気づいた美琴は、ケロヨンのネックレスを取り外し、

「……はい、これ。…きょ、今日のお礼に、ケロヨンの方はアンタにあげるわ」

と上条に手渡す。

「…え、でも……お前、これ欲しかったんだろ? つーか俺が持ってても―――」
「い、いいから! お礼なんだから素直に受け取りなさいよ!」

正直ケロヨンとやらに興味は無いのだが、せっかくのご好意だ。
ここは受け取っておく事にしよう。14,900円相当のカエルのネックレスを。

「じゃあ、まぁ…ありがたく」
「た…大切にしなさいよね……」

言いながら、ぷいっとそっぽ向く美琴。
一瞬顔が赤くなっているように感じたのは、夕日に照らされているせいだろうか。

「…ん? 夕日…?
 ってヤバっ! もう完全下校時刻じゃねーか! 美琴、走るぞ!」
「おわぁ! ちょ、ちょっと待っ!」

急いで駅へと向かう上条。その右手には、しっかりと美琴の左手が握られている。
まるで、どこかのケロヨンとピョン子のように。

物の価値というのは、人によって変化する。
慌てていた上条にとっては何でもない時間だったかも知れないが、
美琴にとってこの日の下校は、一生忘れられない思い出になったのだった。


114 : くまのこ :2014/04/22(火) 23:48:47 jIWV05Fs
以上です。
次はどんなん書こうかな…
ではまた。


115 : ■■■■ :2014/04/23(水) 08:47:40 BnseNhtQ



116 : ■■■■ :2014/04/23(水) 11:09:09 5sIEUrZU
乙です。
しかし、久しぶりに覗いたけど酷い状況だね。
ここの住人っていうか読者っていつの間にこんなにレベルの低い勘違い野郎ばかりになったんだ?
職人の皆さんが気の毒になってしまうよ。
読者って何時から検察官や陪審員になったんだ?
101の人ってさ自分の思った意見や感想、代案を言っただけだよな?職人さんを非難した訳でも作品を貶したわけでもない。
その内容が良いか悪いか決めるのはその作品を書いた職人さんだけで良いんだよ。
読者が101に文句言ったり吊し上げるのはお門違いもいいところ。
他の読者がすべきことは101を批判する事ではなくて、
その作品が良かったと思うなら「ここがこういう理由で良かった」と言う具合に自分の言葉で褒めてあげることじゃないのか?
それを「俺が正義」「変な事言ったやつを批判する俺カッコいい」って思ってるんじゃないのか?
職人さんの事を考え育て良いものを書いて欲しければ作品に対する意見を言ってあげるべきなんだよ。
意見を言った人の揚げ足取るんじゃなくてさ。
ここにいる職人さんでも自分のスタイルを確立し他所のサイトでも評価されている人もいるけど、
最近のここの常連の職人さんでも他の所では評価が低い。
その原因はここの読者にあるんじゃないか?
職人さんは自由に書いて良いんだけど、場合によっては独りよがりに陥りやすい。
読者が良い意見悪い意見を出し合ってくれることで気づけることってあるはずなんだよ。
ただ「GJ」や「2828」しました。なんて貰っても最初は嬉しいけどただ嬉しいだけ。そんなの感想でも何でもないしな。
そこに職人さん自身の気づきも無ければ反省も生まれない。
だって、「どこが良かったのか」「どこが今ひとつだったのか」全然わからないんだからな。
ここの読者がいまやっている事って職人さんをただ褒めていい人を演じるだけで本当の意味で職人さんのこと考えてないんじゃないか?
だから自分たちにとって耳触りの悪い発言をした人を集団で袋叩きにする。
そうすることで優越感を感じてるだけだろ?
上でも書いたけど101の意見をどう考えどう受け取るかは職人さん自身がやればいい。
忌憚ない意見を言い合えるからスレが盛り上がるんだろ?
ここは今読者がスレを腐らせてる。そんな気がする。
あと、他人に気配りする必要はない?それは違うと思うぞ。
ここでそういう事に気配りできる癖がついてないと他で投稿した時困るのは職人さん自身だからな。
俺は通りすがりだけどSS書きのひとりとしてそう思うよ。俺自身の体験から言ってもな。


117 : ■■■■ :2014/04/23(水) 11:33:33 O22F6RsU
まあ何だ。
もう何も言わないよと捨て台詞吐いたんだから素直に去ってくださいお願いします


118 : ■■■■ :2014/04/23(水) 11:54:25 5sIEUrZU
ん?何のことだ?


119 : ■■■■ :2014/04/23(水) 12:01:24 5sIEUrZU
まあいい。確かに俺はここでは部外者だからな117みたいに自分たちのことを言われるとこういう発言をして身を守るっていう本当に情けない話。
読者はともかく職人さんにはこれからも頑張ってほしい。
投稿する場所や作品の方向性は違っていても同じSSを書く者として皆さんのご活躍を願い応援しています。


120 : ■■■■ :2014/04/23(水) 13:59:18 BnseNhtQ
そもそも部外者が専門のカップリングスレに来てどうこう言うのが筋違いだと思うの
まさに典型的な読者様って感じだよね
こういっちゃなんだがたかがssに、専門的な知識があるわけでもない読み手
>>101だって言い方と批評が的を得てれば叩かれることはなかった
凄い自演臭がするけど、もう二度と来ないでね
ただの通りすがりなのにここの職人さんの余所での評価に詳しいとか、矛盾を抱えてることに気づいてる?


121 : ■■■■ :2014/04/23(水) 14:35:09 5sIEUrZU
久しぶりに来たと言いましたが?
普段は別のサイトをメインにしてますが、ここでぐちゅ玉さんやかぺらさんとかのSSを読ませて頂いたのが俺がSSを書く様になった切っ掛けです。
だから自分の原点であるここに偶に訪問はしていますが、ここをホームベースにしている訳ではありません。
ホームベースもなく毎日来ている訳でもない。
だから通りすがりなんです。おかしいですか?
くまのこさんの作品は他所でもアップされていますしよく読ませて貰い参考に出来る所は参考にしてます。
他所をホームベースにしているからこそ、ここの雰囲気が昔と違う事もわかるしここの空気が淀み異常化していると実感できたと思ってますよ。
>>101の批判したければすればいい。それで職人さん嬉しいと言っているならね。
前にも言ったけど読者の声のどれを取捨選択するかは職人さん自身がすればいい事。
的外れな指摘なら職人さん個人が切ればいい。ただそれだけでしょ?
そんな事に労力を使うくらいなら>>120も感想のひとつも言ってあげたらいかがですか?
その方が余程職人さんの役に立つと思うし嬉しいんじゃないかと思いますよ。
実際俺も辛辣な意見貰う事はあるけど吸収できるところは吸収するし、捨てるところは捨ててる。
その取捨選択こそ書き手の権利だと思ってる。
俺の言う事が間違えていると思うなら思えばいいよ。
俺の言葉をどう受け取るかは個々に決めればいい。
拒むなら拒めばいいし、俺の言い分とは違っても考えて改善図ろうとする者がいるならそれでも良い。
全員が全員無条件でマンセー要員になる必要はないんだからな。


俺もここに書き込むのはもう止めにするよ。

俺自身の原点を失うのは残念だけどな。


122 : ■■■■ :2014/04/23(水) 14:54:08 BnseNhtQ
そもそも自分が意見の押し付けをしてるだけってことに気づかないのが酷い
上でも言われてる通り、指摘を吸収できる人もいればできない人もいる
もちろんより良いssを書こうって向上意識が高い人もいると思うよ
でも全員が全員そうとは限らない
少なくてもここは不特定多数の書き手さんがいるんだから
それを自分が書き手代表みたいな面をしてのがタチが悪い
こう言っちゃなんだがメンタルの強い人、弱い人
どっちに合わせるべきかは、簡単に分かると思うけどな
ちなみに俺も書いてる側の人間だけど、指摘が欲しいから余所で書いてる
俺もここじゃ投下したことがないけど原点はここ
確かに俺は新参者だから昔の雰囲気とかは知らないが、
スレ内であんまりギスギスした空気を作りだすのは良くないと思う
俺もあなたも含めてな


123 : ■■■■ :2014/04/23(水) 15:37:52 sonSmoyQ
作品以外の長文が苦痛


124 : ■■■■ :2014/04/23(水) 15:58:32 jjgIRwEU
>>123
激しく同意。

とりあえず皆さん>>1読もうね。
・基本マターリ進行で。特に作品及び職人への過度なツッコミや批判は止めましょう。


125 : ■■■■ :2014/04/23(水) 16:14:41 sonSmoyQ
言っている事は正しくても長文になるとスルーされるだけだと思うよ
一方的に自分の意見をだらだらと複数書いているだけだと思うし


126 : シラボネX :2014/04/23(水) 16:51:36 o7Mz7LnY
すごい事になってる…
私はここの作品好きです。
まあ、書き手としても読み手としても未熟な私ですが。

空気読まずにおバカな小ネタ投下します。


127 : シラボネX :2014/04/23(水) 16:53:19 o7Mz7LnY
小ネタ 上条美琴バカップルが「き○ちゃんの仮装大賞」に出場しました

き○ちゃん「エントリー14番、タイトルうに!」

デレレレーン!

上条美琴登場。
上条、ダンボールの中に入り髪だけ出す。

美琴「わ〜なんて大きなうに!」

ブ、ブブブ
カ〜〜〜〜〜〜〜ン(4点)

き○ちゃん「残念だったね〜」

上条「し、失格!?」

美琴「そんな〜」

上条「こうなったら…奥の手だ美琴!」

美琴「分かったわ当麻!」

美琴「砂鉄の剣!」

ズバシュ!

上条の右手切断。

上条「ぐああああ!」

上条「うううう…」

上条「はあ!」

ずるん!

竜王の顎バーーーン!

ブブブブブブブブブブブブブブブブ!

パパパ〜パパパパパパパ〜パパパパ〜パパン!(20点)

き○ちゃん「合格〜!ってとんでもないカップルだ〜!」

上条「やったぞ美琴!」

美琴「うん!きっと私たちが大賞ね!」






ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜

美琴「当麻〜努力賞だったよ〜当麻があんなに頑張ったのに〜〜!」

救急隊員「もうやだこいつら…」

END(ひでぶ!)


128 : シラボネX :2014/04/23(水) 17:08:52 o7Mz7LnY
以上です。

感想忘れてた!
>>・・・さん
アレイスターはなんのプランをすすめているのやらww
すごい勝負だww上条さん勝者で敗者ってww
>>はりねずみさん
この三人でまったり、私には書けないから凄く羨ましいです
>>くまのこさん
まさに微甘、こういう原作に近い二人の話も好きです

このタイミングでこんなおバカネタ投下してすみません…


129 : ■■■■ :2014/04/23(水) 17:31:01 qe5/JBA.
>シラボネXさん乙 仮装大賞ネタとはユニークですね
でもオチにグロ要素があるのでこのシリーズは素直に笑えないのが惜しいし勿体無いと思います


130 : ■■■■ :2014/04/23(水) 17:46:05 T8nnvJfY
仮装大賞が予想外で笑ってしまいましたw
シュールだなあ


131 : シラボネX :2014/04/23(水) 20:35:50 o7Mz7LnY
>>129さん
言われてみればたしかに右手切断はグロですね、すみません
切断ネタは封印します
前のバカップル合体攻撃の上条ぼろぼろネタはOKですか?


132 : ■■■■ :2014/04/23(水) 21:07:25 .syLeTig
乙です
しょーもないネタだなぁww


133 : ■■■■ :2014/04/23(水) 21:29:59 RV5Z9M2I
シラボネXさん乙です
ノリが好きw


134 : ■■■■ :2014/04/23(水) 22:18:18 qe5/JBA.
>シラボネXさん ありがとうございます
合体攻撃も上条さんが痛ましいですが戦略上の犠牲ですから個人的にはOKです


135 : ■■■■ :2014/04/25(金) 07:30:34 9NoROSsM
>>110くまのこさんGJ!
あなた、かまちーでしょ?!wというくらい言い回しが利いてます

>>126
こうオチをつければいい(錯乱)

冥土返し「(救急隊員から腕切断患者と聞いて来てみれば、腕再生した上条がいて、)またまた君かい?毎度毎度思うけど、君はだいぶファンシーな体してるよね?」


136 : シラボネX :2014/04/26(土) 00:13:09 sj6wdt5Q
>>134さん
合体攻撃の上条ぼろぼろネタはOKなんですね。ありがとうございます
>>135さん
その発想は無かったw
アイデアありがとうございます
しかし、腕切断の時点でグロになっちゃいますので


137 : ■■■■ :2014/04/27(日) 22:25:57 zmg2mwYU
いやもー漫レーで腕もげた後すぐ生えてたから…>上条さん
ファンタジー通り越して虚並みに超速再生してるから、シラボネXさん大丈夫ですよw


138 : ・・・ :2014/04/29(火) 08:58:16 QN6PLMpQ
どーも、・・・です

>>101さん
アドバイスありがとうございます!!
実はこのような意見も出るだろうなーとは思ってました
ですが、このシリーズの裏テーマが「鈍感かつ天然たらしな上条さん」でして、
女心がわからない上条さんとインデックスさんのドヤ顔の空回りを描きたくああなりました。
いろいろ試行錯誤したうえなので、このままにしますね
未熟な身ですので、1つでも多くの意見はありがたいです。
今後も何かあれば宜しくお願いします。



さて、感想を

>>くまのこさん

平和な日常ですねぇ
新刊の後には戻れるのかな、この日常に


>>シラボネXさん

大丈夫!!もう一回やればきっと大賞さ!!
これを見てるインデックスや白井たちが気になって仕方ない

さて、投稿します。
次のライバルは、彼女だ!!


139 : VS 姫神 :2014/04/29(火) 08:59:14 QN6PLMpQ
その日、3人は出会った。

「「アンタ、(上条君。)この人誰?」」

「うおぅ、いきなりの殺気に上条さんは恐怖を隠せません」

「「いいから」」

「……はい」

新たなる敵の出現。
目的を果たすため、互いにまずは情報収集だ。
そしてその目的はびくびくしながら情報を話すのだった。

「こっちは常盤台の御坂美琴、こっちは姫神愛沙、クラスメートだ」

「く、クラスメート!!?」

「そう。クラスメート。」

(まだこんな強敵がいたなんて!!)

姫神の後ろに見える、巨大な威圧感。
それは、学校。

「上条君。今日も一緒にお弁当。食べよう」

(日常を担当する、属性、クラスメート!! 憩いの場、帰ってくる場所、正ヒロインのためのキーワードが満載!!!)

「別にいいぞ、土御門や青ピも自炊はじめたみたいだし、みんなで食べようぜ」

(ま、負けられない!!)

「ど、どーせアンタの事だから、栄養バランスなんて考えてない献立なんでしょうが。
 な、なんならわ、わたしがアンタの弁当を作ってあげてもいいわよ。
アンタが体調崩したら、わたしが本気で電撃出せる場所がなくなっちゃうから仕方なくなんだけどね!!」

(属性。ツンデレ。強力な属性。でも)

「ん? その必要なし。なんか自炊できる男子の意見も聞きたいらしくてさ、今日からクラスの女子数名がローテーションで弁当作ってくれるんだとさ。みんな勉強熱心だよな」

(属性。鈍感には相性が最悪。なぜか私にも余計な壁が立ちはだかったわけだけど。御坂さんが正しくorzの姿になっているのはさすがにかわいそう)

「それにさ……」

「「???」」

「お前かわいいのにさ、隈とかできたらもったいないだろ? どんなにきつくてもお前にならつきあってやるからってなんですこの空気?」

御坂はあうあう言いながらバチバチしている。
さらに

「おおう、姫神、それもはや、魔法のステッキじゃなくて魔法のこん棒ですよね。
 あ、パワーアップしたの、へぇー。
 でもそういうのは悪の怪人とかに向ける物であって、一般人のオレに向けちゃダメだと思」ガン

敗者・上条 美琴 姫神
勝者・上条


140 : ・・・ :2014/04/29(火) 09:02:10 QN6PLMpQ
自転車に二人乗りしてるカップルがいた。
バス停でキスしてるバカップルがいた。
桜の木の下、手をつないで立つ老夫婦がいた。

全部上琴に変換した。

今日も世界は上琴で満ちているなぁ。


141 : ■■■■ :2014/04/30(水) 08:21:58 CBfnLU6M
乙です
確かに巷のカップルを見てると、なぜか上琴の二人が浮かんだりします


142 : アクエリアス :2014/05/01(木) 22:24:42 i0UyGZTc
最高だよ


143 : くまのこ :2014/05/02(金) 01:47:37 WTvc85k.
>>シラボネXさんGJです!
「こんなに頑張ったんだからさ〜、上げてあげてよ〜!」ですねw
にしても毎度毎度、救急隊員の方はお疲れ様ですw

>>・・・さんGJです!
魔法のこん棒は異能の力を使っていないので、幻想殺しでも打ち消せません。
なので思いっきりやっちゃいなさい、姫神さん。



5月2日は美琴ちゃんとサトリナさんの誕生日!
という訳で誕生日ネタです。
2レスの小ネタです。約3分後に投下します。


144 : そんな15歳の誕生日 :2014/05/02(金) 01:50:22 WTvc85k.
上条は溜息を吐きながらトボトボと歩いていた。
無事、高校二年に進級し一ヶ月が経とうとしている今日この頃、彼はある悩みを抱えていたのだ。
…別に五月病とかそういうのではない。

「はあぁ…美琴の誕生日どうしよう……」

という訳だ。
上条は前年度、美琴に大きな恩があった。
と言うのも、進級できたのも彼女のおかげだったりするのだ。
仕方ないとはいえ、普段から無断欠席の多い上条の学園生活。
しかも大半は魔術師やら学園都市の暗部絡みなので、学校側にも理由を言えず、
加えて彼は、「そもそもの」成績も悪い。
進級する為には大量の課題をクリアしなくてはならなかったのだが、
そこで助けてくれたのが美琴だった。
ぶっちゃけ完全にズルだが、留年しては元も子もない。背に腹は代えられなかったのだ。

そんな訳で彼は、その恩に報いる為、「誕生日ぐらい何かプレゼントしよう」と思っているのだ。
もっとも美琴的には、そんな事では返せない程の恩を上条に感じているのだが。
更に言えば、恩以上の『別の感情』も持ち合わせているのだが。

しかしお相手は常盤台のお嬢様。それも学園都市に7人しかいない、レベル5の一人だ。
プレゼントするにしても上条のお財布事情では、買える物など高が知れている。
かと言って安物なんぞを渡しても、こっちが恥をかくだけだ。
もっとも美琴的には、上条から貰える物なら何でも嬉しいのだが。
更に言えば、物じゃなくても「何も無いけど、代わりにキスをプレゼントしてあげるよ」
とか言われたら卒倒ものなのだが。上条さん、そんなキャラじゃないのに。

そんな、ある意味無駄な悩みを考えながら歩いていると、ふと、とある看板が目に入る。

「…? 『手作りリング体験教室』…? …………」

看板を見つめる事8秒。上条は「これだっ!!!」と名案を閃いた。
この後、大方の予想通りの展開が巻き起こる。



美琴は大量のプレゼントを抱えながらトボトボ歩いていた。
本日5月2日は御坂美琴の誕生日であるが、そのプレゼントの多さから、
彼女がどれだけ多くの人から慕われているのかが伺える。

「にしてもこんなに…どこに置けばいいのよ……」

プレゼントをくれたのは白井を筆頭に、
初春、佐天、春上、枝先、婚后、湾内、泡浮、固法、(嫌がらせ目的の)食蜂、
それから常盤台中学の後輩たちetcetc…
しかも後輩たちの中には、ついでなのか何なのか、美琴に告白する者も数名いた。
常盤台中学は女子校なので、後輩も当然女子だ。更にその内の何人かは、目がマジだったのだ。
美琴も三年生になり、後輩が2倍に増えた訳だが、
これ以上、百合百合しいのが増えるのは、ちょっと勘弁である。

それにしても、せっかくの誕生日だと言うのに、美琴のテンションは低い。
どうやら、プレゼントの置き場所に困っている…という理由だけではないようだ。

「……あの馬鹿は…何もないわよね……
 下手をすれば、今日が私の誕生日って事も知らないだろうし………はぁ…」

という事だった。
―――だがそんな時だ。

「みっこーとちゃ〜ん! 誕生日おめっとー!」

と声をかけられた。その声はあろう事か、あの馬鹿の

「にょわわわわわっ!!! な、なな、何でアンタがっ!!?」

声だった。
ビックリしまくって言動がおかしくなる美琴に、不服そうに口を尖らす上条。

「何でって…だから誕生日だよ。
 上条さんは、あんだけ世話になったミコっちゃんの誕生日を祝わないような、
 そんな恩知らずな男じゃありませんことよ?」
「…っ!」


145 : そんな15歳の誕生日 :2014/05/02(金) 01:51:28 WTvc85k.
もう、その一言だけで泣きたいくらい嬉しくなっている自分がイヤになる。
美琴の心の中で、上条という存在がそれ程大きくなっていたのだと、再確認せざるを得ないからだ。
思わず口角が上がり、それに反比例して目尻が下がりそうになるが、グッと我慢する。
ツンを貫き通そうとする彼女は、決してデレを見せる訳にはいかないのだ。

「へ、へぇ〜…べべ、別に欲しくにゃんかにゃいけど、
 ア、アア、アンタがどうしてもって言うにゃら貰ってあげてもいいわよ?
 ぜ、全然嬉しくにゃんかにゃいんだけどね?」

ただしそれは、あくまでも本人の認識であって、周りから見たらバレッバレである。…上条以外には。
明らかに嬉しそうだ。思わずネコ語になる程に。

「まぁ、そう言うなって。せっかく作ったんだからさ」

言いながら、鞄からプレゼントを取り出す上条。しかしどうも、気になるワードが一つ。

「…ちょ、ちょっと待って。作ったって……ひょっとしてアンタの手作り的な…?」
「ああ。その方が安上がりだったし、何より気持ちも込めやすいしな。
 豪華さで勝負出来ない分、俺は『世界に一つしかない』っていうレア度で勝負よ!」

思わず上条に抱きついて、勢いのまま『好き』と言いそうになる衝動を何とか抑える美琴。
見ている方としては、その衝動通りに行動してほしいものなのだが。

「ふぇ…ふぇえ〜! て、てじゅくりにゃんだー…ふ〜ん……」

興味ないフリをしつつも、顔を合わせられないくらい赤面している美琴。
こんなに分かりやすい反応をしているのに、そこに気づかない上条。この男、どんだけだというのか。

「ま、確かに大したモンじゃないけどさ、一応は頑張って作ったんだから、大切にしてくれよ」
「ま、まままぁ、一応大切にするわ。一応ね」

おそらく、一生ものの宝となるであろう。
と、ここで家に帰って開けるのすら待てない美琴が、こんな提案をしてきた。

「ね、ねぇ…これ、今ここで開けてみてもいい…?」
「うえっ!? 今か!? う〜ん…ちょい恥ずいけど、美琴へのプレゼントだしな……
 美琴の好きなようにすれば―――って、早っ!!!」

上条が言い終わるその前に、美琴は高速でラッピングを剥がしていた。
ただし、ラッピングに使われたリボンや包装紙も取っておく予定なので、高速とは思えないほど丁寧に。
だが、中から出てきたその箱に、美琴の動きが止まる。
それは誰がどうみても、指輪用のケースだった。

「こ、れ…って……」
「手作りリングとか始めてだったけど、意外と出来るもんだな」

美琴の今の気持ちとは裏腹に、暢気な感想を述べる上条。
何故か美琴が固まっているので、上条がケースの蓋を開ける。
すると中から、手作り感満載の、不恰好な指輪が姿を現す。上条はそれを取り出し、

「ほら、指出せよ。付けてやっから」

と無自覚にそんな事を言っちゃったりなんかしちゃったり。
もう何かいっぱいいっぱいで、限界などとうに超えている美琴は、

「…ひゃい……」

と言われるがままに手を差し出す。
だがここで問題が発生した。

「…あれ? サイズが合わねーな……」

上条は美琴の指のサイズを知らなかったのだ。
勘で作った所で、不幸体質の彼が、合ったサイズを当てられる訳がないのである。
美琴の人差し指にはめようとしたのだが、指輪がちょっと小さい。
このままでは色々と台無しになってしまう事ぐらい、さすがの上条にも分かる。
焦った上条は、人差し指以外の指ならはまるかも、と安易な結論を出す。
だがそのおかげで、

「…おっ! ちょうどピッタリだ。いや〜良かった良かった」
「なっ! ななな! なあああああ!!?」

その指輪は、美琴の薬指に到着した。それも偶然か必然か、左手の、だ。
瞬間、美琴はいつもお馴染みのふにゃー【アレ】をしてしまった訳だが、
薄れゆく意識の中、天然無自覚な行動でここまで破壊力があるのかと、改めて思ったのだった。

そんな15歳の誕生日。


146 : くまのこ :2014/05/02(金) 01:53:49 WTvc85k.
以上です。
この後の予定としては、次が我道さんとの合作の「こぼれ話」。
その次は時期的に、新約10巻ネタって感じですかね。
ではまた。


147 : ■■■■ :2014/05/02(金) 07:26:26 l5Gp.mw6
くまのこさん、GJ!

現在準備中、今日中に投下できるかなぁ…


148 : ■■■■ :2014/05/02(金) 09:20:56 0b19/VZk
>>146
13577号「許すまじ」
10039号「いっそお姉さまの指をもいででも」
10032号「はっ!……頂いたネックレスを改造すれば!……意味がない!」
19090号「……(こっそり買っておいたペアリングをあの方につけてもらえば)」

カエル医者「君たち御坂くんへの誕生日プレゼントの話はどっかに行ったんだね?」


149 : ■■■■ :2014/05/02(金) 15:31:25 irz/qKcg
どうでもいいけど、美琴の誕生日って狙ったのか・・・?それとも偶然サトリナさんと一緒になったのか・・・?

あ、誕生日おめでとう!美琴、サトリナさん!


150 : はりねずみ :2014/05/02(金) 23:55:26 L.FDmYas
まだくまのこさんのも読んでないけど……今日中に投下したいんです。
ミコッちゃん、サトリナさん。誕生日おめでとう!!


151 : 人生一幸せな誕生日 :2014/05/02(金) 23:56:33 L.FDmYas
5月2日。それは御坂美琴の誕生日である。
彼女ももう15歳だ。髪も以前より伸ばしており、大人らしい落ちついた雰囲気も感じられる。未だにゲコ太は大好きだが。
そして今日、美琴は友人である佐天に、とある個室サロンに案内されていた。
約束をしていたわけでもなく、いきなり連れてこられたので、一体何があるのだろうかと不思議に思いながら扉を開けると、パンパンパン!!!と、火薬が破裂する音が部屋中に鳴り響いた。

「……ふぇ?」
「「「御坂さん(御坂様)(お姉さま)お誕生日おめでとうございます(の)!」」」

それは突然の事であり、美琴は茫然と立ち尽くすだけであった。
白井、初春、婚后、湾内、泡浮。彼女達が美琴の登場と同時にクラッカーを鳴らしたのだ。
部屋の中は飾り付けがされており、ついさっき借りたのではない事だけはにわかった。

「ふふーん。御坂さんの誕生日会をしたいって言ったら、皆快く承諾してくれたんですよ」

美琴の隣で佐天は、自慢げにそう言った。

「お、お友達のお誕生日を祝うなど、当然のことですわよ」
「そうですよ。そうでしょう?泡浮さん」
「はい」
「御坂さんには日頃お世話になっていますし」
「この程度の準備、なんともありませんわ!」
「……皆、ありがとう」

美琴自身は誰かの誕生日を祝う事はあっても、友達に自分の誕生日を祝われる事には慣れておらず、心の底から嬉しかった。
その後は騒いだり誕生日プレゼントを貰ったりと、どこにでもあるような幸せなパーティであった。
数時間経ってからだ。佐天が経ち上がり持っていたコップを上に挙げた。

「それでは最後に、サプライズがあります」
「サプライズ?」

今のままでも美琴にとっては最高のサプライズだ。
これ以上一体何があるのだろうと考えていると、扉が開き、一人の少年が入って来る。
見覚えがある。絶対に忘れる事の出来ない、美琴の心を占める、あの少年。あの馬鹿。

「誕生日おめでとう。美琴」
「アンタ、何で……?」
「お前が今日誕生日だって事を、“たまたま“聞いてな。お前には世話になってるし、少しだけでも参加させてもらうよう頼んだんだよ。ほら」

そう言って差し出したのは丁寧に梱包された小さな箱だ。

「出来れば、今開けてくれると助かる」
「う、うん」

美琴は包装用紙を破かないように丁寧に、開封する。
中身は銀製でハートの形のネックレスだった。

「これは」
「あんまり高いのは買えなかったけどさ、お前なら似合うと思って……」
「つ、着けていい?」
「ああ、頼む」

ネックレスに首に掛けながら、上条の顔を見る。
その顔は今までに見た事がないほどに嬉しそうだった。それを見て美琴も微笑む。

「似合ってる?」
「似合ってるよ。何だか今までより大人っぽく見えるぞ」
「ふふっ、ありがと」

突然の誕生日パーティ、上条からのプレゼント。
美琴は今年で一番幸せな気分だった。
今なら言葉に出来ると、美琴は思った。

「アンタから貰えて、私は幸せよ」

そう言われて上条の頬は赤く染まっていった。
そして美琴から目を反らし、

「じ、時間取らせるのも悪いし、俺の用事はこれだけだから、じゃあな!!」

そのまま部屋から出て行ったしまった。
その数分後にパーティはお開きとなってしまったが、その間美琴は、首のネックレスを両手で握って頬を赤らめていた。


152 : はりねずみ :2014/05/02(金) 23:58:20 L.FDmYas
何とか間に合った。以上です。
本当はフェブリとの電話とかさせてあげたかったけど、時間の問題でカットです。


153 : ■■■■ :2014/05/03(土) 01:53:55 9rmot4nI



154 : ・・・ :2014/05/04(日) 04:53:13 cQDtkWa2
どーも、・・・です


まず感想を

>>くまのこさん
こちらは鈍感で天然なカミやん
うん、このかわいさに気付かないのは、もう、いろいろだめだよ
GJ!!

>>はりねずみさん
こちらはかっこいいカミやん
うん、白井さんや、よく許したね



いやー、あれだよ、
あのー、そう、魔術師!!
反上琴派の魔術師が襲ってきてねー
うん、あー、そう、時間を操る魔術で
健闘したんだけど気付いたら2日たってい「その幻想をぶち殺す」ふべら



すみません、多忙で間に合わなかったよ
遅ればせながらミコっちゃんハピバ

宜しければお付き合いください
それでは


155 : ・・・ :2014/05/04(日) 04:55:15 cQDtkWa2
荒野の中を1台の車が走る。

「ねぇ、今日わたしの誕生日なんだけど?」

助手席に座った女性がぼやく。
彼女は大人になっていた。
特に女性である証は当時の彼女に見せたら歓喜に咽び泣きそうである。
しかし、彼女は現在体育座りでふくれっ面というなんとも子供じみた事をしていた。

彼女の名は御坂美琴という。

もちろん運転席にいるのはウニ頭のあの男だ。

「それは、この上条さんに言っているのでせうか?」

彼もまた大人になっていた。
当時の彼女に見せたら赤面したうえでふにゃーするのだろう。
彼の名は上条当麻と言った。

そして彼こそが

「運転席にいるポンコツ彼氏以外にだれがいるのよ?」

「あのなー、俺だって傷つくんだぞ」

御坂美琴の彼氏である。

この事実を当時の彼女が知ったら赤面してあうあう言ってびりびりした後にふにゃって漏電するのだろう。

が、今の御坂にはそんな様子は一切ない。

「せっかくのアメリカで、なんで誕生日を車ですごさなきゃならないのよ」

「あのなぁ、俺だってそんなことわかってるわい!! 
後ろのあれが見えないんですか美琴さんには!!!」

バックミラーで後方を確認する。
真っ黒の車がいくつも追いかけて来ていた。
いかついおじさんが助手席から身を乗り出している。
手に持っている黒いものは機関銃ではないと上条は言い聞かせていた。

そして後部座席には

「また、女の子だし」

「いやいや、これは私のお仕事である美琴さんのパパさんのお手伝いでしてね、そういう仕事だってわかったうえで3か月前ついてきたんだろ? 世界中回ってみたいとか言ってさ」

「そうだけどさ、昨日も私に隠れてインデックスと電話してたし」

「おい、いつの間に!!?」

「わたしの能力忘れた? 幻想殺しのせいでその時の会話はわからないけど、履歴はたどれるのよ」

「上条さんのプライバシーがほとんど存在しない」

「彼女に知られたくないプライバシーって何よ?」


156 : ・・・ :2014/05/04(日) 04:55:49 cQDtkWa2
正直本格的に面倒になった上条は遂にため息を吐きながらハンドルを回す。
ぎりぎり横を通り過ぎた何かが、遠くにある岩をハチの巣にしたのが見えた。

「あのですね、わたしが美琴さんの誕生日を無視したことがありましたか??」

「……恋人になるまではいくらでも」

「その後の話!! 一回もないだろ!!」

「そうだけど、今回はショッピングにも行ってないし、アンタがなんか買ったそぶりもないし」

「だからインデックスに頼んだんだよ」

「ふーん、なにくれんのよ」

「いや、メインのものは今、ここでも渡せるんだが」

「じゃあ、ここでちょうだいよ、なに? この子?」

「違いますよ、でも、ムードがさぁ」

「アンタにムードもへったくれもないわよ」

大分不機嫌である。
上条はやけくそになり、頭をガシガシ掻いてぼそっと言った。

「名字」

「へ?」

「上条さんの名字だよ!! きちんとしたデートの予定も立ててたし、シチュエーションもみんなに相談したし、その後は全員そろってパーティーまで考えて、ムリくり大勢に予定開けて貰ってたんだよ!!!」

「……」

「なのに、仕事の依頼が来て、楽な仕事かと思ったらアメリカ最大のマフィアが絡んで、なんか政治の思惑まで見え隠れし出した上に、会場とは逆方向に逃亡しているこの現実!!」

「……」

「そしてこんな形で言うことになって、美琴は少女趣味だからってこっちはいろいろ考えてたのに、後ろを走ってるやつらのせいで全部ぱー「……ねぇ、当麻」……なんだよ」

「顔真っ赤」

「……」//////////

「ねえ……」

「なんだよ」

「わたしで、いいの?」

「そっちこそ不幸人間が一生付きまとうことになるんだぞ? それでもいいのか?」

「いつから、考えてたの?」

「……3か月前に、お前がついてくるって言わなかったら、俺が誘ってた」

「インデックスや五和さん、オティヌスは?」

「?? なんで今そいつらの話になんだよ?」

「そっか、わたしで本当にいいんだ」

「……ああ、これから、お前に同じ名字を名乗ってほしいんだ」

「そっか、………………えへ、えへへへへ」

彼女は頬に手を当て、真っ赤な顔をして、



若干涙を浮かべて
小さく

「かみじょうみこと、かぁ」

と、呟く。

しかしその桃色空間に機関銃の弾が「空気読めや―!!!」飛んでくる前に機関銃の持ち主たちとともに黒ずみにされた。

「あー、美琴さんもウェルダン派ですか、上条さんもなのでよかったです」

でも焼く肉は選んでほしいなーと、付け加える。

「さーて、今からでも遅くない、引き返してそのデートプラン、途中からでもやるぞー!!」

「まじすか?」

「おそらく下っ端がやられたから真打ちとか黒幕とかでてくるだろうけどやるぞー!!」

「よし、このまま前に進もう。明日は前にしかないのだ!!」

「大丈夫って!!」

「どこにその要素が!!?」

「こ、こっのか上条さんに任せなさい!!」

「…………早めに慣れてくださいね、プルプル震える美琴さんもかわいいので上条さん的には構わないけど」

「な、なにいってんのよ!! アンタだって顔真っ赤じゃん!!」

「……とりあえず引き返すか、口閉じてないと舌噛むぞ」

「ちょ、無視すんきゃあ!!」

その後、結局悪魔崇拝がどーたらこーたらで一回もシナリオ通りのデートはできず、最後にはホワイトハウスで大立ち回りをすることになるが、二人の上条は顔を真っ赤にしながらもずっと幸せなオーラを出し続けていた。












「みてみてきれーい!! ってミサカはミサカは年甲斐もなくアメリカの夜景に大はしゃぎ!!」

「うっせーぞクソガキ」


「すごいんだよ!! 大量の食事がわたしを待ちかまえているんだよ!! ここでなら真の実力を発揮できるかも!!」

「待ちなさいインデックス!! 皆さんの分も考えて、ステイルもなにか言ってください」

「どうせ、出費はアイツ持ちなんだろう? いくらでも食べていいと思うよ」

「理后!! なに重たいものを持ってるんだ!! そういうのはオレに任せなさい!!」

「仕上、それ、ただのお箸だから」



「女教皇!! みなさん!! 大変です上条さんと御坂さんが今事件に巻き込まれ「だろうね(な)」……え? へ?」


157 : ・・・ :2014/05/04(日) 04:58:38 cQDtkWa2
以上です

恋愛ソングを聞くと、上琴に変換される
悲恋ソングを聞くと、悪いけど他のヒロインに泣いてもらって上琴に変換される。

今日も世界は上琴で満ちているなあ。


158 : ■■■■ :2014/05/05(月) 20:02:31 /fpfk.rc
はりねずみさん、・・・さんいつもいつもGJなんだよ!


159 : 我道&くまのこ :2014/05/06(火) 19:27:53 MdYFZKV2
>>はりねずみさんGJです!
ほんのり甘酸っぱくて、いいですね。この雰囲気。
ミコっちゃん、改めて誕生日おめでとうございます!

>>・・・さんGJです!
誕生日どころか、ご結婚おめでとうございます!
でもこんな大事な日にも事件に巻き込まれるのは…上条さんなら仕方ないですねw



くまのこです。予告どおり、こぼれ話ができました。
今回も勿論、我道さんとの合作です。
約3分後に、9レス使います。


160 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:31:05 CXJbdj3Y
上条「さて、と。そろそろ休憩も終わりか」
??「きゃー遅刻遅刻」
上条「ん?」
??「どっしーん」
上条「て、おい!? なんだなんだ!? しかも今の擬音、口で言ったよな!?」
??「いったぁーい。もう! 急に飛び出してくるんだからぁ!!」
上条「はい!? って、……ん?」
??「? ――はっ! ど、どこ見てるんよ! この変態!!」
上条「………………で? 何の真似かな佐天さん? ご丁寧に御坂に変装して。制服は御坂から借りたんだろうし、その髪はウィッグだろうし、スカートの中身も短パンだし、声真似も結構うまいと思ったけど、一目でバレバレだよね?(胸とか胸とかあと胸とか)」
佐天「ちちぃ! やはり愛おしい人の振りをしても偽物だと一発で見破られますか。さすがは上条さん、幻想をぶち壊すのをお得意なだけはあります」
上条「意味が分からん。で、何のつもりなの?」
佐天「いや単純に恋が芽生えないかなと。あ、もちろんあたしじゃなくて御坂さんと」
上条「あのなぁ……前編の締めにも言ったけど、こんな使い古したこんな方法で恋が芽生えるわけねえだろ……」
木山「ふむ……つまりはすでに恋に落ちているので今さらこの程度ではドギマギはしない、と……」
上条「いや……飛躍し過ぎです……」
佐天「じゃあ次はアレですね。地球の存亡をかけた鬼ごっこをして、プロポーズしながら、この吸盤銃で虎縞ビキニに扮した御坂さんのブラをはぎ取って――」
上条「……それやったら俺、黒焦げだっちゃ。あとネタが相変わらず古いし、今のご時世でそれをやったらBPOがすっ飛んできて放送禁止になっちゃうよね。で、御坂は?」
木山「彼女ならとっくにスタジオ入りしているよ。そろそろ我々も戻ろう。あ、御坂くん、もう一、二分で戻るから準備してくれないか」
上条「遊んでただけですかそうですか」


『三十秒後』がちゃっ(ドアを開く音)


美琴「!!!!!!!!!!!?!」
上条「!!!!!!!!!!?!!」
上条「み、みさか……こ、ここここれはだな……不可抗力であってわざとでは……!!」
美琴「なななななに堂々と覗いてんのよ! この変態っ!!///」(渾身のちぇいさー!!)
上条「おぶぉわぁ!? 何でお前着替えてんだよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!」
佐天「御坂さんに『スタジオに戻ったら制服を戻しましょう』という合図を送っておいて、わざと早く着いて、『うっかり鍵をかけ忘れたところで着替えをたまたま覗いてしまうハプニング的出会い』を演出してみたんですけど……」
木山「御坂くんの対応が、まさか上段回し蹴りというのは想像しなかったね」


161 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:31:59 MdYFZKV2
「おっすー。そっちはお友達?」
「はい。これから一緒に洋服を見に…」
「(ちょっと! あのヒト常盤台の制服着てんじゃない。知り合いなの?)」
「(ええと、風紀委員の方で間接的に…)」


佐天「は? あたしの漫画版初登場シーンやるんですか?」
美琴「ま、いいんじゃない? アニメ版だけど、木山先生の初登場シーンはやったのに佐天さんが無いのは不公平だし」
木山「……ん? この、頭の外がお花畑の子ときみは知り合いだったのかい? 彼女はAIMバーストのときには実にいい働きをしてくれたよ」
佐天「木山先生? 確かテレスティーナの事件のときにあたしも一緒に居ましたよね?」


「しかも、あの方はただのお嬢様じゃないんですよ」
「?」
「『レベル5』!」
「レベル5!?」
「それも学園都市最強の電撃使い! あの超電磁砲の御坂美琴さんなのです!!」
「ウソ…まさか、あの『超電磁砲』?」
「そうですよ。私この間、生で見ちゃいました」
「――――あの…あたし、佐天涙子です!! 初春の親友やってます!!」
「そ…そう、よろしくね」


上条「あれま。佐天さんが顔真っ赤にしてミーハーになってんな」
佐天「この時は本当に心臓バクバクもんでしたよ。だって、あのレベル5の超電磁砲ですよ超電磁砲。もうあたしたち女子中学生の間だと下手な男のレベル5よりも憧れの的です」
上条「そんなもんかねぇ」
木山「この学園都市の学生からすれば『レベル5』はスーパーアイドル並なんだろうね。もっとも、私たち科学者からしても魅力的な研究対象でもある」
上条「その言い方、何かちょっと嫌ですね」
美琴「仕方ないでしょ。学園都市ってそういうところなんだから割り切らないと。まあ置き去り【チャイルドエラー】のアレは酷い話だったけど」
木山「学生からは慕われて、大人からも必要とされる…良いことじゃないか」
美琴(それにしても……この頃の佐天さんは純真で可愛かったなぁ……それが今ではどうしてこうなったのかしら……)
佐天「ん? どうしたんです御坂さん? あたしをちらっと横目で見てから随分と盛大な溜息を吐いたみたいですけど。どうせだったら上条さんの横顔を見て、ウットリしながら吐く溜息の方がいいんじゃないですかどうですか?」
美琴(こういう所がっ…!)


「ウチって外出時は制服着用が義務付けられてるから服にこだわらない人結構多いし」


美琴「まっ、その代わりにワンポイントとかに拘ってる人は多いけどね」
上条「で、そのワンポイントが御坂的にはカエルの」
美琴「ゲっ! コっ! 太っ!!! 何度も言わすな!」
上条「……ゲコ太のグッズな訳か」
木山「しかし妙だね。そのカエルの」
美琴「ゲコ太ですってばっ!!!」
木山「……ゲコ太の関連商品は、私の生徒にも集めている子がいたが、アレは小学校低〜中学年向けのキャラクターではなかったか?」
美琴「いいんですよ! 少年じゃなくても少年ジャンプは読みますし、アンパンマンのOPの歌詞だって大人になって初めて意味が深い事に気づくんですから!」
上条「それは意味が違くないか?」
佐天「プリキュアやセーラームーンだって大きなお友達も見てますもんね」
上条「それは更に違う」


「へー『超電磁砲』てゲームセンターのコインを飛ばしてるんですか」
「まあ50メートルも飛んだら溶けちゃうんだけどね」
「でも必殺技があるとカッコイイですよねー」


上条「佐天さんはアレなの? 技に名前とかつけたいタイプ?」
佐天「え〜ダメですか〜? あたしそういうノリ、結構好きなんですけど」
上条「いや、ダメって事はないけど…」
佐天「多分、憧れもあると思うんですよ。あたしってほら、レベル0で大した能力使えませんから」
美琴「じゃあ佐天さんなら、自分の能力に何て名前つけたい?」
佐天「えっ!!? えっと…あたしの場合、空力使いだから…こう……ソ…ソニックブーム…とか?」
上条「……ビックリする程普通な答えだな」
美琴「きっとコマンド入力は、 ←タメ→+P(右向き時) ね」
木山「ふむ、風の能力か…では天魔剛神斬空烈風拳とか言うのはどうかな。若者向きだし、とても強そうだろう?」
上条&美琴&佐天(((木山先生、まさかの中二!!?)))


162 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:32:58 MdYFZKV2
「初春 こんなのどうじゃ? ヒモパン!!」


上条&美琴&木山「「「 」」」
佐天「ん? 何ですかみんなしてあたしの方見て。あ、もしかして興味があるんですか御坂さん? 確かにこれを穿いて上条さんにスカートめくらせれば、イチコロですもんね」
美琴「ないからっ!!!///」
木山「ツッコむ所がありすぎて、面倒なので『ないから』の一言で済ませたようだね」
上条(……『命』が二つあったら、ちょっと…見たい……)


「ねね、コレかわ……」
「アハハ。見てよ初春、このパジャマ!! こんな子供っぽいの、いまどき着る人いないでしょ」
「小学生の時くらいまでは、こういうの来てましたけどね」
「そ…そうよね! 中学生になってこれはないわよね」


上条「お前なぁ……もっと自分に素直に生きろよ……」
美琴「う、うるさいわね! 私にだって見栄とか色々あるのよ!! 恥と外聞無神経のコンボで服着ているアンタには分かんないのかもしんないけどさ!!」
上条「酷っ!! 何そのお前的俺評価!!」
木山「…私も趣味は人それぞれだと思うが…」
佐天「このシーン、あたし、ちょっと納得いかないんですけど」
美琴「え?」
佐天「だってほら。夏休みに(初春と白井さんも来ましたけど)御坂さんとリゾート施設のプールに行ったときに、御坂さん、ピンクのフリル付き水着選んだじゃないですか。アレ、あたしも結構気に入ったんだから、あたしがこのパジャマのデザインを否定するとは思えないんですよね」
美琴「は? 夏休みにリゾート施設のプール? 行ったっけ?」
佐天「……」
美琴「……」
佐天「ああ、アレは並行宇宙【PSP『とある科学の超電磁砲』】の話でしたか」
美琴「……ひょっとしてみょんな伏線張ってない?」
木山「並行宇宙か…今でも科学で解明できない謎の一つだな…曰く、宇宙開闢時のビックバンで我々が生きる宇宙とは別の宇宙が誕生して――」
上条「う゛……な、何か嫌な記憶が頭を過ったような……」


(いいんだモン。どうせパジャマんだから他人に見せるわけじゃないし! 黒子は無視)
(初春さん達はむこうにいるし、一瞬、姿見で合せるだけだなら)
 そろ〜り
(それっ!!)
「何やってんだオマエ……挙動不審だぞ」
「――――――ッ? ――――――ッ!?」


美琴「…………前のアンタって案外、私に気付くのね。しかも、ちゃんと声かけてくるし。タイミングは最悪だけど」
上条「い、いやちょっと待て。それじゃまるで今の俺は普段、お前を見かけてもスルーしてばっかいるみたい……あーごめん、否定できねえわ」
美琴「おんどりゃあああああああああああああああああ!! 地獄が己のゴールじゃあああああああああああああああああ!!」
上条「ば、馬鹿!! やめろ危ない!! 周り見ろ周り!! ここには木山先生と佐天さんが――って、二人ともちゃっかり避難してやがるぅぅぅぅぅううううう!!」

 スタジオの外

木山「なんとか喧嘩は犬も食わないについてだが、どことなくその犬の気持ちが分かるね…」
佐天「とばっちりで怪我したくないですもんね。しかも、後から間違いなく、殺意が芽生えそうですし」


163 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:34:16 MdYFZKV2
「お兄ちゃんって…アンタ妹いたの?」
「ちがう 俺はこの子が洋服店探してるって言うから案内しただけだ」


美琴「……アンタ、ホントに困ってる女の子とのエンカウント率高いわよね……実はわざとなんじゃないの?」
上条「まごうことなき偶然だよ! 第一、こんなちっちゃい子相手に下心なんざ出すかっ!」
美琴「ホントかしら?」
佐天「本当ですかね?」
上条「うわ。すっげえ疑われてる」
木山「まあ類は友を呼ぶ、と言うからね。確か、きみの友人(個人名は本人の名誉のために伏せておく)が真正の幼女好きという話を聞いたことがあるよ」
上条「だからってそんな決め付け!? と言うか、この場に本人がいたらihbf殺wqされますよ!?」
佐天「あれ? その言い方ですと、誰だか特定できるってことですか? あたしは誰かさっぱり分かんないんだけど御坂さんは?」
美琴「本人の名誉のために伏せておかないと、黒翼生やした白いヒョロったモヤシの悪魔が飛んでくるから知らないことにしておくわ」
上条「……お前……本人がいないからって強気だな……」
木山「では、私が駐車場で困っていた時にはどうだったんだい?」
上条「それもないですよ!」
佐天「大覇星祭であたしがお守りを貸した時は?」
上条「それもねーよ。つか、その場合困ってたのは俺の方だし」
美琴「じゃ、じゃあ『あの写真』を一緒に撮る時も、全然下心がなかったっていうの!?」
上条「それは……(ちょっとあった)」


「昨日の決着を今ここで…」
「お前の頭ん中はそれしかないのか?」


佐天「そりゃあ、御坂さんの頭の中には上条さんのことしかありませんから」
美琴「使い方としては、ある意味、間違ってないけど間違ってるわよっ!!///」
上条「えー……お前、まだ勝負に拘ってんの……?」
木山「私には佐天くんの言っている意味は分からないでもないが……どうやら私と佐天くんの見解と、当時と今の君の見解の間には相当の齟齬が発生していると思われるね」


(我ながら見境ないなあ)


佐天「ホント、上条さんのことになると周りを鑑みませんね。さっきとかもそうでしたけど、何でですかぁ?」
美琴「って、何で素で振ってきておいて、最後だけ、好事家みたいにニヤニヤして聞いてきてんのよ!?///」
木山「TPOは弁えた方がいいかもしれないね。時と場所くらいは選んだ方がいいぞ。まあ、二人だけのときならば周りの目を気にする必要はないが」
美琴「絶っっっっっっっっっっっっ対に私と二人の言葉の受け取り方の意味は違いますよね!?///」
上条「何でだろう。頭脳明晰で聡明な木山先生が言うことなのにTPOに関してはまったく説得力を感じられない……」


「どうもアイツが相手だと調子狂うのよね…」


上条「アレで調子狂ってんの? 俺には絶好調にしか見えないんだけど。態度とか電撃の威力とか」
美琴「意味が違うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
木山「では、どういう意味なのかね?」
美琴「え? そりゃあ、コイツと居るとなんとなく私が私じゃないって言うか、落ち着きが無くなるというか、変に意識しちゃうというか……」
佐天(あれあれ? 御坂さんが、あの御坂さんが素で答えてる!? 木山先生の合いの手のタイミングとセリフが完璧だったからかな!!)
上条「俺からすると、俺と一緒にいるときの普段のお前としか思えん発言なんだが?」
美琴「!!!!!!!!!!!!!?!///」
佐天(上条さんの馬鹿あああああああああ!! 何でここでツッコミを入れるんですか!! もうちょっとって御坂さんの本音が引き出されるところだったのに!!)


164 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:35:14 MdYFZKV2
 あの時 私の超電磁砲は間に合わなかった
 実際に――初春さん達を救ったのは――コイツだ
「ゲ 待ち伏せ?」


上条「おー…俺、こんな事してたのか」
佐天「って、えええええっ!!? そそそ、そうだったんですか!? 初春も白井さんも、勿論あたしも、今まで御坂さんがやったとばっかり………」
美琴「まぁ、黙ってるつもりはなかったんだけど、コイツがやったって言うと、またややこしくなりそうだったし、それに……」
木山「それに…何だい?」
美琴「いや、本人が」
上条「まぁ、誰が救ったとか、別に大した問題じゃないけどな。みんなが無事ならそれでいい訳だし」
美琴「……こんな調子だから///」
佐天&木山「「なるほど」」


「今名乗りだしたらヒーローよ」
「? 何言ってんだ みんな無事だったんだからそれで何の問題もねーじゃん 誰が助けたかなんてどうでもいい事だろ」


佐天「うっひょ〜! かーっこいいー!」
木山「ふむ…間近でこんな事を言われたら、それこそイチコロだろうね」
美琴「………///」
佐天「さっきから御坂さん、顔赤いですしね。思い出し笑いとかはありますけど、思い出し赤面って始めて見ました」
上条「やだ…上条さん、昔言った事と同じ事を自信満々に言っちゃった……は、恥ずかすぃ…///」
木山「彼も赤面しているね。理由は全く違うけれども」


「思いっきりカッコつけてんじゃないのよ!! しかも私にだけ!? だぁ――――ムカつく―――!!」
「……………なんか理不尽な怨念を感じる…」


上条「こん時の俺も言ってるけどさ、これ理不尽じゃね? 別にカッコつけてるつもりもないし…いやまぁ、この時の記憶はないから、何とも言えないけど。でも、ドア蹴るほどムカつかれるような事もしてないだろ」
佐天「まぁまぁ上条さん。これはただの照れか《ゴッ!》しですから」
木山「この頃すでに君の事が気にな《ガッ!》始め《ゴッ!》いた彼女は、こうやって気を紛《ゴンッ!》したのだろう」
上条「……あの〜御坂さん? さっきから壁を蹴る音で全然話が聞こえないのですが…?」
美琴「いやー! この時の事を思い出してたら、急に壁が蹴りたくなっちゃってー! あっはっはっはっは!///」
上条「何ちゅう迷惑な!」


――レベル0って欠陥品なのかな……――
「ごめんね……気付いてあげられなくて……」
 ――しょうがないよね……――
「頑張りたかったんだよね……」
 ――力が無い自分がいやで……でも、どうしても憧れを捨てられなくて――
「うん……でもさ……だったらもう一度頑張ってみよ……こんなところでくよくよしてないで……自分で自分に嘘つかないで――――もう一度!!」


佐天「……」
美琴「……」
上条「どうした? 二人とも?」
木山「きみの能力は確か『天然』だったよね?」
上条「あ、はい」
木山「だったら、きみには二人の気持ちは理解できないかもしれないな。『努力』が必要なかったきみは『栄光』と『挫折』の本当の意味を知らないからだ。二人は友人同士ではあるが『栄光【レベル5】』と『挫折【レベル0】』の典型例でもあるのだよ」
上条「っ!! そんな言い方!!」
木山「事実だ。そして、それは二人の心に常につきまとう呪縛でもある。もっともレベル0でも、本当の『無能力者』でも佐天くんは強い。きみよりもはるかに強い」
上条「どういう意味だよそれ!! それじゃあまるで俺が――!!」
木山「分からないのかい? きみは『能力者』なのだよ。『異能の力を打ち消す』能力を持つ『能力者』だ。しかし、佐天くんには異能の力も物理的な力も防ぐ手段はない。それでも彼女は『能力以外の力』によって苦境を脱する精神力を有している。そしてそれはきみはもちろん、御坂くんにも無い力でもある。『能力に頼ることができる』きみたちには決して到達することができないからだ」
上条「――――!!」
佐天「いえ……それは多分、この時の御坂さんの超電磁砲が私のもやもやを吹き飛ばしてくれたからですよ……」
美琴「そ、そうかな……あ、でも今なら言ってもいいわよね、あの時の言葉を。んで、佐天さんも受け入れてくれるんじゃないかな?」
佐天「レベルなんてどうでもいいじゃない、ですよね? まあ全部ってわけじゃないですけど、今の私なら受け入れられるかな」


165 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:36:18 MdYFZKV2
「水着のモデル?」
「はい…水泳部がお世話になってるメーカーから、どうしてもって頼まれたんです」


佐天「おお! これはあたし達がモデルやった時の話ですね!? みんなでカレー作ったりして、楽しかったな〜」
木山「ほう。俗に言う『水着回』という物だね。サービスシーンも入れやすく、よくテコ入れとして使われる手法だ」
上条「…やけに詳しいですね」
美琴「……………」
上条「? どうした御坂? 黙っちゃって」
美琴「…何か…激しくイヤな予感がする………」


「え〜っとぉ………あぁ、これじゃなくて、こっちか。
 …おおぉ! う〜〜〜やっほう! ランランランラーララー・ラ・ラーララー・ラ・ラーラーラーラーラーラーラ♪ あー、やっぱこれカワイイー!
 うはは! そぉ〜っれっ! あはっ! ランララー・ラ・ランララー・ラ・ラーラーラーラーラ♪ そぉ〜っれぇ〜!」
「ビリビリ…何やってんだ…?」
「そぉ〜れ、やっちゃうぞ〜☆」


上条「………」
佐天「…………」
木山「……………」
美琴「…………………………い………
   いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
上条「お、落ち着け御坂。この時の記憶は今の俺には無いから」
木山「だが今この映像を見たおかげで、新しく記憶したのだろう?」
上条「あ、はい。それはもうバッチリ」
美琴「いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
佐天「て言うか、あの時どうも御坂さんだけいないと思ったら、一人でこんな事してたんですね」
美琴「いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
木山「これ以上彼女にとどめを刺すのは、止めた方がいいみたいだね。御坂くんのライフはとっくに0のようだから」


「気にし過ぎ気にし過ぎ気にし過ぎ気にし過ぎ」


佐天「ん? ひょっとして『誰かが見てる』のお話?」
上条「何だそりゃ?」
木山「聞いたことがある。確か、微弱な電磁波のようなものを電撃使いに纏わりつかせて、あたかも四六時中、誰かの視線を感じさせて精神的に追い詰める悪戯のような機材を使った――」
美琴「何で真相まで知っているんですか?」
木山「一応、警備員の施設にお世話になったことがある身なんでね。この時期は、そういった犯罪関連の情報収集には事欠かなかったのだよ。本人からも話が聞けた場合もあったくらいだ」
上条「前科をここまで朗らかに明るく語れるってのも凄い話だ」


「ん? ようビリビリ」
「あんたのぉ〜〜〜仕業かぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」
「なにぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」


美琴「ねえ? さっきも言ったけど前のアンタは私を見かけるとちゃんと声をかけてくれるわね?」
上条「お前の対応は声をかけてもかけなくても変わんねえことはスル―すんのか?」
佐天「御坂さん、この時はいくら気が立っていたからってこれはないと思いますけど」
木山「まあ、彼の落ち度は今回は皆無だったからね」
上条「『今回は』って……」


166 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:37:18 MdYFZKV2
「何しやがる!」
「とぼけんな!!」
「あん?」
「アンタでしょ……ここんトコ、私のことをジロジロ見てたのは……アンタだったんでしょぉっ!!」
「あの……一体何の話でしょう……?」
「だから! アンタが私を――!!」
「はぁ……ったく、だいたい何で俺がお前のこと見てなきゃなんねえんだよ」
「んな! ん……何でって……その……それは……」
「顔赤いぞ。熱でもあんのか?」


佐天「記憶を失くす前と後でも上条さんの鈍感さだけはまったくもって変わってませんね」
木山「御坂くんもそろそろ彼には遠回しに言っても届かないことを学習してもいいかもしれないね」
上条「遠回しに言ってることがあるのか?」
美琴「い、いや別にそれはその……///」
佐天「ですから上条さん。御坂さんの発言を言葉通りに取るんじゃなくて、言葉に秘められた意味を御坂さんの表情とか態度から読み取るんですって」
美琴「ちょ、ちょっと!?」
上条「????? 全然分からんのだが?」
木山「一度、きみの頭を切開して特に(感情を司る)右脳をいじくった方がいいのかもしれないな」
佐天「『あっ あっ あっ』ってヤツですね」
上条「え、何? 念能力の6つの系統の、最も簡単な判別方法を言えばいいの?」


「あ、いやぁ……そ、そのぉ……」
「ああ、すみません。ちょっとコイツがじゃれてきただけで……」
「ちょっと! 私は別に!」
「はいはい。分かったから。もうすぐ完全下校時刻よ。早く帰りなさい」
「こちらは異常なし。学生カップルの痴話喧嘩でした」
「かっ……!」
「……痴話喧嘩って……」
「ほら、さっさと帰れ」
「は、はぁ〜〜〜い」
「か、か、か………」ぱたん


木山「ふむ…これが『ふにゃー』の走りというわけか」
美琴「って、何ですかそれ!?///」
佐天「しっかし、見知らぬ警備員から見てもお二人はそういう関係に見えるみたいですけど、上条さんはどう思います?」
上条「どう、って……まあ、最初の挨拶はともかく、俺から見てもそうとしか思えんかったが……」
美琴「ええええええええええええええ!? ななななななな何言っちゃってくれてやがりますかアンタは!!///」
木山「その割には複雑な表情をしているな?」
佐天「へ?」
木山「いや何、上条くんの表情だが、照れているとか戸惑っているとか言うよりも、むしろ何かを滾らせているような感じがしたのでな」
上条「まあ……この時期の記憶が俺には無いですから……」
佐天(おぉ! これはひょっとして嫉妬!? 嫉妬ですか上条さん!! 前の上条さんに嫉妬ですか!?)
美琴「佐天さん? 何悪い顔になってんの?」
佐天「御坂さん!? 気付いてないんですか!?」
美琴「何を?」
木山「上条くんの表情が何かを滾らせているような、がどういう意味かということだよ」
美琴「ん? どうせコイツのことだから、この時の私の態度を鬱陶しく思ってるだけなんじゃないの?」
佐天「えー……」
木山「どうやら鈍いのは彼だけではないようだね……」


「平素、一般へ開放されていないこの常盤台中学女子寮が、年に一度門戸を開く日。それが盛夏祭だ」


佐天「おっ! 次は盛夏祭ですか。寮監さん、心なしか張り切ってますね!」
美琴「ん〜…このイベント、ちょっと恥ずかしいから飛ばしてほしいんだけどな…」
上条「何言ってんだ御坂。恥ならさっき、これ以上ないくらいかいたじゃねーか。もう何も怖くないって」
美琴「いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
木山「トラウマをほじくり返すのは、どうだろうか」


「別にこの格好でなくても、おもてなしはできると思うんだけど…」


上条「っ!」
美琴「あー、ほらー…変に思われてる……どうせ私にはメイド服なんて似合わないわよ……」
佐天「そんな事ないですよ! めちゃくちゃ可愛いじゃないですか! ねっ、上条さん!?」
上条「あ、あー、まぁ…うん。そう…だな」
美琴「いいわよ別に。無理して褒めようとしなくても」
木山(いや…彼のこの反応はむしろ、ドギマギしすぎて逆に何も言えないように見えるのだが…?)


167 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:38:24 MdYFZKV2
「は〜い、は〜い、は〜い…いいよぉ…」
「いいねじゃないわよ! 何でアンタが撮ってんのよ!」


佐天「白井さん、ブレませんねー」
美琴「あははははは……ははは…………はぁ…」
木山「ちなみに、この時の写真はまだ残っているのかい?」
美琴「いえ、この後私がビリっておきましたから、多分中のデータもないと思いますよ」
木山「だ、そうだよ少年? 残念だったね」
上条「なななな何がですか!!?///」


「…やば…何か胸がドキドキしてきた……あ〜んもう! しっかりしろぉ!」
「あのぉ…」
「…? ………があぁっ! なっ!」


上条「あー、ここかぁ。以前こぼれ話で言ってた、記憶喪失後に初めて会った時って。うん、思い出した思い出した」
美琴「今頃ー!?」
佐天「じゃあ上条さん的には、この時が運命の出会いだった訳ですか!」
美琴「ちょ、だから佐天さんっ!!!///」
上条「運命…(う〜ん…確かに、この後の御坂と俺の関係を考えると…)まぁ、そうだな。運命って言えるのかも」
佐天「!!?」
美琴「!!?///」
木山「ついにデレ期かい?」


「お取り込み中すいません…実は、一緒に来た連れと逸れてしまって……こ〜んなちっこくて、白い修道服の女の子なんですけd」
「―――…こにいんのよ……」
「はぇ?」
「何でこんなとこにいんのかって聞いてんのよ!!!」
「ご、ごめんなさい。ああぁ、でも、怪しいもんじゃ…あ、ほら! 招待状だってちゃんと―――」
「人の発表、茶化しに来たわけ!? 慣れない衣装笑いに来たわけ!」
「いや…そんな…すげー綺麗だと思いますけ、どぉっ!?」
「バカああぁぁぁ!!!///」
「だあああああ!!!」
「何なのよアイツ! よりによって、人が一番テンパってる時に! ふっ! …あれ?」


佐天「ニヨニヨ」
美琴「な、何なのかしら佐天さん? その、やらしいニヨニヨ顔は…?」
佐天「いっや〜? べっつに〜? ただあの時、ステージの裏ではこんな事が起こってたんだなーって。あたしも見たかったなーって」
上条「そういや言ったな、こんな事…マジですっかり忘れてたわ」
美琴「アンタが余計な事言ったおかげで、私がどれだけパニクったか…」
木山「そうかな? 私には彼と話したおかげで、緊張が解れたように見えるのだが」
美琴「うっ! ま、まぁ…それはちょっと…無きにしも非ずですけど……」
佐天「でっ、でっ! その余計な事ってのは主にどの部分ですか!? 上条さんが、すげー何て言った所ですか!?」
美琴「もうそれ答え出てるでしょっ!!!///」
木山「では本人に直接聞いてみるとしようか。君はこの時彼女をどう思ったんだい?」
上条「いやだから、すげー綺麗だなって思いましたよ。普通に」
美琴「あああ、改めて言わなくていいからっ!!!///」
木山「と口では言いつつ、体は嬉しそうにクネクネしているね」
佐天「まぁ、御坂さんですからね♪」
上条「あ、でも」
佐天&木山「「?」」
上条「御坂って何着ても綺麗になるんじゃないかな…
   勿論、この服が可愛いのもそうなんだけど、例えばモデルの人って、一般人からしたら『これは無いわぁ…』って思う服も自然に着こなしたりするだろ?
   そんな感じで御坂も、どんな服も似合っちゃうと思うんだよ。そうなると、普段制服しか着れないってのはもったいない気が―――」
美琴「///」
木山「少年、その辺で止めたらどうだろうか。彼女が煙を出し始めている。それ以上彼女の好感度を上げたら、爆発【ふにゃー】する恐れがあるよ」
佐天「いや! ここはあえて止めずに、限界ギリギリまで上条さんのお話を聞きましょう! せっかく本人も無意識に言ってるんですから!」


168 : 上条美琴の禁書目録こぼれ話Bサイド(後編) :2014/05/06(火) 19:39:16 MdYFZKV2
木山「さて、今回はここまでのようだね」
佐天「あー、もうですか…やっぱり楽しい時間って終わるのも早いですね…」
美琴「私はこの企画をやる度に、毎回何か大切な物を失っていく気がするわ……」
佐天「そうですか? あたしとしては、逆に得るものの方が多いと思うんですけど」
美琴「例えば?」
佐天「上条さんとの距離とか」
美琴「……まるで近づいた気がしないけど…?」
木山「果たしてそうかな?」
美琴「どういう事ですか?」
木山「もし彼の気持ちが全く君に傾いていないとしたら」
上条「―――でもだとしたら、『御坂が着る物なら何でもいい』って事になるのか? いや、それは何か違う気が―――」
木山「あれだけ延々と君の服装について考えたりはしないのではないかな」
佐天「てかまだやってたんですか! どおりで締めに参加してないと思いましたよ!」
美琴「い、いやアレは…普段から何も考えてないから、逆にくだらない事で頭を使ってるだけですよ///」
木山「そうかな。私にはそうは」
上条「あ、そっか! 御坂って元が可愛いから何着ても似合うのか。いや〜、我ながら意外な結論……って、ん?」
佐天「木山先生ー! エマージェンシー、エマージェンシー!」
木山「あそこの壁に隠れたまえ! 緊急退避だ!」
上条「え、え、なになに?」
美琴「………………………ふny


169 : 我道&くまのこ :2014/05/06(火) 19:40:36 MdYFZKV2
以上です。
次のこぼれ話は、いよいよ大覇星祭になる予定です。
超電磁砲編も合わせると、こぼれ話史上最も長くなると思います。
下手すると、前・中・後編でも終わらないかも…
ではまた。


170 : ■■■■ :2014/05/06(火) 20:54:03 uKfr4UQg

しかし佐天さんの胸がみこっちゃんよりずっと大きいっていうのはアニメだけの幻覚なんだぜい


171 : ■■■■ :2014/05/06(火) 21:34:18 JyHqwnMc
つまんなかった・・・・・


172 : ■■■■ :2014/05/06(火) 22:20:38 xX4Ie2n2
乙ですぞー


173 : ツキサカ :2014/05/10(土) 07:38:00 jH/eqcUU
こんにちは。ツキサカです。

結局また期間が開いてしまいました……
今回は「消えゆくあいつの背中を追って」最終回です。

今回までのあらすじですが、手短に
・いろいろあって美琴が記憶喪失+能力を使えない状態になって転校を強いられそうになっています

とりあえずこのくらいです。

それでは9レスほどいただきます。


174 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:39:09 jH/eqcUU

寮監から「転校通知」を受けた翌日、美琴は、一人でとある公園のベンチに腰掛けていた。
そこへ、一人の少年が声をかけた。

「おっす」
「なんだ、アンタか……」
「なんか元気なさそうだな」

声の主である上条は、美琴が記憶を失ってからは、どちらかというと影で見守るような行為を続けており、
積極的に声をかけてくるようなことはしてこなかった。
しかし、今日の美琴は最近では珍しく一人でいて、なおかつ何かに悩んでいそうな雰囲気を出していたため、
上条は声をかけることにしたのだった。

「何かあったのか?」
「……あったといえばあったけど」

美琴は昨日の晩、ルームメイトの黒子に相談したときの事を思い出す。
発狂したのかと思わんばかりの彼女の様子は、今思い返しても心が痛む。
その件もあって、美琴は転校の件について伝えるのを少し躊躇していた。
しかし、他の友人達へもそうなのだが、伝えないわけには行かなかった。

「常盤台絡みの事だから、今は黒子がなんとかしようとしてくれてるみたいなんだけど……」

白井は常磐台中学に抗議にいっているらしい。
しかし、寮監の話し振りから考えても、彼女と言えど学校の決定を覆すのは難しいだろう。

「たぶん、どうにもならないでしょうね」
「そんなに大変なことなのか?」
「学校がさ……転校しろって」
「……は?」
「レベルの低い生徒は、在籍させるわけにはいかないんだってさ。……いろいろ、危ないとか言う理由で」
「そんなことで……」

上条はそれなりにショックを受けているようだった。
あまり喜ぶべき事ではないのだが、上条がそんな様子を見せてくれたことに、美琴は心の奥でほっとしてた。
ただ、今の美琴には、その感覚がどこか不可解なものだった。
彼女の他の友人が悲しんでいたときには、この感覚は起こらなかった。何が違うのだろうか。

推測も混じってはいるが、この少年とはそれなりに仲はいいものだと美琴は思っていた。
友人達同様、このくらいの反応はあって当然ではないか。

もしかすると、記憶を失う前の自分とコイツの関係は今とは違っていて、それほど仲は良くなかったのだろうか。
そして、今感じているのは、どこかに残っている昔の自分の感情なのだろうか。

「ふーん。アンタも一応、寂しがってはくれるみたいね」
「当たり前だろ! ……ってか、お前はそれでいいのかよ!?」
「私は、今のままじゃダメだって思ってた」

上条は美琴の言っている意味が理解できなかったようだ。
何も言わず続きを待っている。

「前から考えてた。私は、アンタと黒子の負担になってる
 アンタたちはそれでいいって言うんだと思うけど、私にはこのままでいいなんて思えない。
 だから、もし、前の私の事を 誰も知らないようなところに引っ越したら、アンタたちはさすがに追ってこないだろうし、
 そもそも危ないことも起こらないで、誰にも迷惑かけずに済むかもしれないとか、あるかもしれないでしょ。
 ……逃げるみたいで嫌なんだけどね。それに、みんなや、特に黒子には悪いとは思うけど……
 もちろん、ここにいるみんなのことは絶対忘れたりなんかしないわ。
 それに、いつか記憶も能力も取り戻せることがあったら、きっと帰ってくるから、アンタも心配しないで待ってて」

上条に転校の事を伝えると、用は済んだかのように美琴はその場から去ろうとした。
上条は、そんな美琴の姿を、ただ見送ることしか出来なかった。

「いつかって……いつなんだよ」

その場に一人残された上条のつぶやきは、誰にも届くことは無かった。

――――――


175 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:39:35 jH/eqcUU

美琴が去った後、上条は寮に帰っていた。
転校の話を聞いたときから、上条の胸の奥にちょっとした痛みが発生しており、
そしてそれは、時間がたつにつれ大きくなってきていた。

「とうま、ねえとうまってば!!」

胸の痛みに耐えていたため、上条はインデックスが話しかけているのに気が付かなかった。

「ああ、わりい聞こえてなかった」
「さっきからずっと上の空なんだよ」
「すまん。で、どうしたんだ?」
「とうま。何かあったのがバレバレなんだよ。何に苦しんでるのか、さっさと白状して!」
「いや、でもなあ……」
「わたしにも言えないことなの?」
「いや、むしろお前には言いにくいことというか……」
「むむ、だったらなおさら見逃すことはできないかも!」
「はぁ、わかったよ……聞いたあとで怒らないでくれよ……」

上条は観念し、インデックスに美琴とのことを全てを話した。

「……そっか」

インデックスは静かに上条の話を聞き、上条が話し終えると、ゆっくりと話し始めた。

「とうまは、自分のせいだとおもっているんだよね」
「ああ」
「でも、とうまは悪くないよ」
「そういうことじゃねえんだよ」
「じゃあ、とうまはどうなればよかったと思っているの?」
「……わかんねえよ」
「結局のところ、とうまが、どうしたいと思うかが全てじゃないかな」

インデックスの言っていることの意味がわからず、上条は呆然とインデックスを見上げていた。
インデックスは一瞬だけ寂しそうな表情をした後

「こもえのところに行ってくるね。今のとうまは一人になったほうがいいと思うから……」

上条を一人にしてあげるという選択をした。

「……すまん」

上条は、素直にインデックスの厚意に甘えることにした。


176 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:42:05 jH/eqcUU

一人になったあと、上条は考えていた。
インデックスに自分自身がどうしたいと思っているのかを問われたが、それが一番わからなかった。
美琴本人は、転校することを受け入れているようだった。
それに対して、嫌だから転校するなということは、かえってよくないのではないか。
だとするなら、自分にできることは何もないのではないかとも思える。

そう結論付けようとしたが、何一つ納得できなかった。
上条の心の中で、よくわからない感覚が暴れている。
しかし、それが何であるかが、全く見えない。

一人残された部屋で、上条はじっと考えていた。
突然、上条の思考を中断させるかのような音が、静かな部屋に響いた。
玄関の方で何かが落ちたようだ。

何かに惹かれるかのように、上条はドアの郵便受けを確認する。
そこには、中に何かが入っていると思われる封筒が入っていた。

差出人は、御坂美琴となっている。
その文字を見た瞬間、上条は即座に封を破り、中のものを取り出した。

「なんだこれ……レコーダーか?」

封筒の中に入っていたのは、小型のボイスレコーダーだった。
その中に、音声ファイルと思われるデータが一つだけ入っていた。

上条はそのファイルを再生した。


「えーっと、どうしよ……順番に言っていけばいいのかな……」


聞き覚えのある声だ。それも、ついさっきに。
それなのにどうしてか、長い間聞いていなかったような感じがする。
その理由はきっと、レコーダーから流れてくる声の主は、記憶を失う前の美琴だからだろう。


「じゃあまずは、黒子から……」


ある程度予想していたが、録音されているのは美琴のメッセージだった。
どこか懐かしい感じがするその声を聞くと、上条は胸の奥が暖かくなっていくような気がした。

彼女の友人達へと向けられたと思われるメッセージを、上条はしばらくの間、じっと聞き入っていた。

それにしても、あらかじめ録音してあったことといい、このメッセージは遺言のように聞こえてならない。
記憶を無くすことを事前に知ってでもいたのだろうか。
だとしたら……


「じゃあ最後に…………か、上条……当麻」


上条の思考は美琴の声で中断された。
思えば、いつも名前で呼ばれずにアンタだのこの馬鹿だの呼ばれていた気がする。
それに関しても、記憶をなくしても変わってなかったなあなどと少しだけ感慨にふけっていた上条だったが、
美琴が次の言葉を語りだしたため、そちらへと意識を戻した。


「その、アンタにはいつもきつく当たっちゃってた気がするけど、あれは別に怒ってたわけじゃなくて
 半分くらいはアンタのせいな気もするけど、私も悪かったとは……って、違う。こうじゃない」


177 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:42:24 jH/eqcUU

先ほどまでとは違って、上条の良く知る美琴の姿がありありと見えてくるような口調だった。
正直なところ、これまでのメッセージは完璧なまでに「お姉様」「お嬢様」といった風に思えてしまい、
どこか上条の知っている美琴とは違うかのような違和感があった。


「ずっと、アンタにはお礼を言わなきゃと思ってた。
 アンタのことだから、自分が勝手にやったことだーなんて言うんだろうけど……
 それでも私は、ずっと言いそびれちゃってたけど……ちゃんとお礼を言いたかった。
 こんなことが無ければ、いつか向き合って言うつもりだったんだけどね……

 あの実験から、私と妹達を救ってくれて……本当にありがとう。大覇星祭のときも……
 アンタには本当に感謝してる。私が今もこうしていられるのは全部アンタのおかげよ。

 だからっていうわけじゃないけど、もし、私がアンタを助けた結果どうにかなったとしても、
 気に病んだりとかしちゃだめだからね」


そこで美琴の言葉が途切れたため、上条は最後の美琴の言葉について自問した。
感謝されるのは嬉しいけど、あの実験を止めたのは、美琴達がいなくなるのが嫌だったからだ。
命を助けてもらって、その結果記憶を失わせることになるのは、どう考えてもつりあっていない。


「あー、その、ごめん。実は、アンタには伝えたいことがまだ残ってるの」


突然、美琴の声が復活する。どうやらメッセージはまだ終わっていなかったようだ。


「でも、ここで言うのはちょっとなぁ……
 何事もなかったら回収して消せば大丈夫かな……それに、もしもの事があったらやっぱり……」


独り言の後、若干の沈黙が続く。
しばらくすると、深呼吸をしたような音が聞こえた。そして、再び美琴が語りだした。


「いつからかわからないけど、アンタを見かけたら、自然と目で追うようになってた。
 それで声をかけたりするんだけど、いっつもアンタはそっけない態度ばっかりとるから、
 悔しくて怒っちゃって、そんなのばっかりだったから、きっとアンタには誤解されてたと思う。
 でも本当は、アンタと少しでも一緒にいたかっただけで……えっとね……だから、私が言いたいのは……

 私は、御坂美琴は、
 アンタの、上条当麻のことが……大好きです」


178 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:43:16 jH/eqcUU

そこで、レコーダーから流れていた美琴の声が途絶えた。
上条はその場で固まっていた。

続きが流れてこないかずっと待っていたが、やがて音声ファイルの終了部分まで来たらしく、再生が停止した。

(最後に御坂はなんて言った……? 好き……? 御坂が、俺のことを……?)

上条の全身から力が抜ける。
立ったまま聞いていたはずだが、気が付くと、膝をつくような姿勢になっていた。

大事なものを、失ってしまった気がする。
いや、正確には、今失われようとしている。
さっきまでわからなかった胸の痛みの正体を、ようやく上条は理解した。

どうして気が付かなかったのだろうか。

通学路で、ふと彼女と会ったときに感じた居心地の良さの原因に。
彼女を悲しませるような事の全てから、彼女を守りたいと思った本当の理由に。
わざとからかってみせて、怒られることですら楽しいと思っていた原因に。
自暴自棄になっていたときに、そばに居てくれた彼女の存在が、自分の中でこれほどまでに大なものになっていたことに。

そして、ほんの少し、彼女との距離が開くというだけで、こんなにも辛いと感じている原因に。

「ああ、そっか。俺は……あいつの事、好きだったんだな……」

口に出した瞬間、憑き物が落ちたかのように、上条は体が軽くなるように感じた。
そして、代わりにといわんばかりに、溢れるかのように焦燥感が沸き起こってくる。

このままでは、美琴が遠くに行ってしまう。
通学路で、偶然彼女とすれ違うことが無くなってしまう。
たまたま立ち寄った公園で、彼女と鉢合わせするということもなくなってしまう。

本当にそれでいいのか? 

そんなの、嫌に決まっている。
でも、どうすればいい。どうしようもないじゃないか。

(とうまは、どうしたいと思ってるのかな)

少し前にインデックスに言われた言葉が、上条の頭の中に響いた。

「俺がどうしたいって……? そんなの、決まってる」

上条から全ての迷いが消える。

(ありがとな。インデックス)

すぐさま携帯電話を取り出すと、美琴へと電話を掛ける。

しばらくのコールのあと、美琴が電話に出た。

「もしもし?」
「御坂か!? いま、どこにいる!?」
「今? ――駅だけど、それがどうかしたの?」
「ちょっと話があるんだけど……駅? どこかいくのか?」
「ん、まあ……手続きにね」

美琴は何の手続きかはあえて言わなかったが、おそらくは転校の手続きだろう。
このまま行かせてたまるか。上条はそう強く思った。

「今からそっちいくから! そこから動くな!」

そう言うと電話をきり、
次の瞬間には、上条は部屋の外へと駆け出していた。


179 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:44:01 jH/eqcUU

「動くな、っていわれてもねえ。あと数分で電車きちゃうわよ……」
「お姉様。それでしたらやはり、日を改められた方が……」
「そ、そうですよ御坂さん。いくらなんでも急すぎですよ……」

付き添い、というよりは引きとめのため、白井と初春が美琴に同行していた。

「うーん。でも一応、今日のうちに行けって言われてるからね……」

「そんなのは学校の都合ですわ! 第一、黒子はまだ諦めておりませんのよ!!」

「ちょっと黒子、声が大きいって……」

美琴の注意により声の大きさだけは下げるが、それでも白井の説得は続いた。
美琴がなんとかなだめようとしていたると、遠くから別の声が響いた。

「御坂さーん!」

声の方向を見ると、佐天涙子が駆け寄ってきている。

「佐天さんまで……」

少し困った様子をする美琴。
佐天は美琴のところまで全力で走ってくると、荒れた息を整え

「どうして黙って言っちゃおうとするんですかああ」
「ちょっと佐天さん、落ち着いて……」
「落ち着いてなんかいられませんよ!」
「今日はちょっとした手続きにいくだけだから。いったん帰ってくるから」
「でも!」

佐天が何かを言おうとしたところで、間もなく電車が到着するとのアナウンスが流れる。
泣きそうな顔になる白井達をどうなだめようか美琴が悩んでいると、誰かが彼女を呼ぶ声が聞こえた。
しかし、声の方向を見ても、誰もいない。
一瞬気のせいかとも思ったが、ふと、美琴は遠くのある一点に目を奪われた。

美琴達のいる駅は、周囲と比べると高い位置にあり、周囲の建物もそれほど高層でもないため、
ガラス張りになっているホームから、それなりに遠くまで見渡せるような構造になっている。
そして、その駅へと続く大きな坂道を、一人の少年が必死に走っていた。
美琴の視線は、そんな彼の姿をしっかりと捉えていた。

――――――


180 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:44:25 jH/eqcUU

上条は美琴との電話が終わった後、全力で駅に向かって駆け出していた。
待ってくれとは言ったものの、今朝の美琴の様子では、先に行こうとしてしまうかもしれない。
その場合、電車が出るまでに到着できる可能性はほとんど無い。
しかし、上条はじっとしていることなどできなかった。
幸い、美琴がいまいる駅は、上条の寮からはそれほど離れていない。
もし美琴が少しでも迷ってくれていたら、間に合う可能性は出てくる。
その可能性を信じ、上条は駅に向かって全力疾走していた。

全力で走ること数分、上条は駅までもうすぐというところまでたどり着いた。
ホームにいる人がギリギリ見えるくらいの位置で、その中の美琴を発見する。

「御坂!」

届くはずは無いと思いつつも、上条は叫んだ。
しかし、その声が本当に届いたのか、美琴は上条の方へと視線を向けた。

(間に合った!)

上条がそう思った瞬間。上条と美琴の視線を、たった今到着したと思われる電車が遮った。
間に合わなかった。
一瞬だけそう思う上条だったが、それでも諦めることはできずに、美琴のいた駅のホームへと向かう。

上条が駅に入り、改札を越えている間に、電車は走り出してしまう。
そして、上条はホームへの階段を駆け上がったところで、立ち尽くしている美琴を発見した。


181 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:44:39 jH/eqcUU

上条が美琴のもとへと駆け寄ってくる。
そこで、美琴は自分の思考がしばらくの間停止していることに気付いた。

「え? なんで?」

思えば、駅の外を走っている上条の姿を発見し、目が合ったと思ったときから、美琴は動けなくなっていた。
上条が、ただ自分のためだけに全力で向かってきている。
そう理解した瞬間、美琴は自分の胸の奥が、だんだんと熱くなってきているような気がした。
そして一瞬思考が停止し、次に動き出したときには、上条がすぐそばまで近づいてきていた。

上条はそんな美琴の様子に気付くことなく、美琴に声をかけてくる。
美琴の周囲には上条も見知った顔が何人かいたが、それは完全に意識の外に追いやっていた。

「御坂」
「な、なによ」
「いままで俺は、自分の気持ちに気付いてなかった」
「え?」
「今朝にお前が転校するって聞いたとき、軽くショックだった。
 でも、家に帰ってから考えたら、軽くどころじゃなかった。
 だんだん辛くなってきて、いてもたってもいられなってきて……
 そんなとき、お前のメッセージを聞いて、それでわかったんだ」
「な、なんのことよ……」
「聞いてくれ御坂。俺は、お前の事が――」
「待って!!」

上条の言葉を、突然美琴が制止した。

「今はダメ!」
「御坂? どうしたんだ?」

美琴は頭を両手で押さえて、急に苦しみだした。
そして、美琴の周囲には、青白い火花が飛び散っている。
能力は使えなくなっていたはずだが、この光景はどう見ても、美琴の能力が暴走して放電現象が起きているかのように思えた。
危険な状況であるため、誰も近寄れなくなっていたが、そこへ上条が飛び込んできた。
美琴を抱きかかえながら、右手をつかって美琴の能力の暴走を止める。

「バカ、なにやってんだ!」
「わか、わかんない……頭が急に痛くなって……うぅ」

そう言うと、美琴は意識を失った。

――――――


182 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:45:42 jH/eqcUU

先ほどの放電の後、しばらくまっても美琴の意識が戻らなかったため、心配した白井達が美琴を病院まで運んだ。
カエル顔の医者の診察によると、特に異常はみられないとのことだったが、
能力を使ったという白井達の証言により、意識を取り戻した後で念のため検査するということで、
意識が戻るまで空いていた病室で寝かされることになった。
結局、美琴が意識を取り戻したのは、翌日になってからだった。

「あれ……私……どうして」

ベッドの真横で待機していた白井が、美琴に声をかける。

「お姉様、よくぞご無事で……」

話しながらボロボロと涙を流し始める。

「く、黒子……大げさすぎよ」

どうしたものかと美琴が戸惑っていると、白井のすぐ隣から声がかかった。

「体とかはなんともねえのか?」

目が覚めたときには気付いていなかったが、白井の隣には上条が座っていた。
上条の姿を目にした美琴の脳内に、気を失う前の光景がフラッシュバックする。
なぜだか物凄く恥ずかしい気分になり、美琴は物凄い勢いで布団を頭からかぶった。

「み、御坂?」

上条が声をかけるが、反応は無い。
それでは代わりにと、後ろから様子を眺めていた佐天が割り込んできた。

「御坂さーん、上条さんが昨日の続きをやってくれるって言ってますよー?」
「いいいいい、今はいい!」
「佐天さん、さすがに俺もここでやるのはちょっと……」
「えー? でも、ギャラリーは前とほとんど変わらないじゃないですか」
「いや、確実に倍以上いるから! それに昨日は俺もちょっとおかしかったっていうか!」
「ええい、うるさいですの!」

白井に遮られ、上条と佐天は静かになる。

「お姉様、それでお加減のほうは……」

白井に問われた美琴は、ゆっくりとベッドの上に身体を起こして、腕などを動かした。

「ん、何とも無いみたい」

その言葉に、その場にいた全員が安堵する。

「あーでも、なんだか記憶があやふな感じがする……
 あれ? 私って、記憶喪失になってたんだっけ……?」
「お姉様……それでは……」
「なんだか、長い夢を見てたみたいな感じがするけど……記憶は戻ったみたい」
「お姉様ああああああああ」

美琴に記憶が戻ったということの歓喜からか、白井が美琴に抱きついた。

「こら黒子、暴れるな」

ビリッという音とともに、少しこげた感がある白井がその場に崩れ落ちた。
しかし彼女は即座に復帰し、美琴に質問した。


183 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:46:01 jH/eqcUU

「お姉様、いま、能力を……」
「あーそっか。そういえばそっちもできなくなってたんだった。
 でも、能力が使えないなんて今じゃ全然実感がないなあ……ちょっと確認してみるわね」

美琴は両手の指先を近づけ、軽く放電を行ってみた。
初めて能力を使ったときと同じように、青白い火花が発生した。

「うん。能力も問題なく使えそうよ」
「素晴らしいですわ」

またしても白井は大げさに喜び始めた。

「お姉様が能力を取り戻した以上、転校話を潰すことなど、造作も無いことですわよ」
「転校……? ああ、そういえば、転校とかいうふざけた話もあったわね……誰がするかっての」
「ああお姉様。なんとも力強いお言葉……ですが、お姉様のお手を煩わせる必要はありません。
 わたくしがこれから、理事会に話しをつけてまいりますわ」

そういうと、白井は突然テレポートを行い、姿を消した。

「え、黒子?」

さすがに展開に美琴も戸惑っている。

そんな中、初春と佐天がヒソヒソと話しをしていた。

「いまの、なんだかいつもの白井さんっぽくない気がします……譲ったんでしょうか?」
「譲ったって……誰に?」
「それは……ほら」
「ああー……でも、白井さんがよくもまあ」
「なんだかんだで、御坂さんを救ってくれたお礼なんじゃないですかね」
「素直じゃないなあ」

などと話している二人の間に、婚后が割り込んできた。
彼女も美琴を心配して見守っていた一人である。

「お二人とも。差し出がましいようですが……
 もしかすると、わたくし達は席を外したほうがよいのではないでしょうか?」
「あっ、そ、そうですね」
「えー、アタシめちゃくちゃこの後気になるんだけど……」
「佐天さん、邪魔しちゃダメです」
「ちぇー」

話がまとまったところで、初春が美琴に声をかける。

「御坂さん、私達ちょっと飲み物を買ってきます」

そして初春達が部屋を去り、部屋には上条と美琴の二人きりになった。


184 : 消えゆくあいつの背中を追って :2014/05/10(土) 07:46:26 jH/eqcUU

「な、なんか、みんないなくなっちゃったな……」
「う、うん……」

急に部屋が静かになったため、二人とも何を話していいのかわからずに、黙り込んでしまう。
しばらくして、このままではまずいと思った上条が話を切り出した。

「そういや、記憶無くしてたときのことも覚えてるのか?」
「うん、少し違和感がある気がするけど……アンタには、また世話になっちゃったわね」
「んなこといったら、そもそも俺を助けるためにやってくれたことだろ」
「そうかもしれないけど……」
「前からだけど、御坂にはいつも支えてもらってて、すげえ感謝してるんだぜ」
「それは、私だってアンタにはいつも助けてもらってるし……」

お互いに礼を言い合う状態になり、なんとなく気恥ずかしい感じになったため、
上条は一度その空気を変えることにした。

「そ、そういえば、どうして急に記憶が戻ったんだろうな」
「……」

記憶が戻った原因。美琴には、なんとなく理由がわかっていた。

「たぶん、記憶が無くなったのは、私が逃げてたからだと思う」
「逃げてた?」
「うん。あのときは、能力をギリギリまで使いすぎて、意識がどこかあやふやになってたんだと思う。
 しかもあのときは、アンタと会うのが怖くなっちゃってたから」
「怖いって……俺、お前に何かしたのか?」
「だって、アンタはいろんな女の子と仲良くしてたし、特にあの時は……って、そんなことより」

これ以上は自らの嫉妬の話になってしまうため、美琴は逸れてきた話を戻そうとする。

「記憶が戻ったのは、駅でアンタが……その……あんなことするから」

思い出して恥ずかしくなったのか、上条は黙って美琴の言葉を聞いている。

「あの時は凄く嬉しかった。でも、私は、記憶を無くしてる状態じゃなくて、「私」の状態でいるときに、
 アンタの言葉を聞きたかった。ちょっとしたワガママかもね」

おそらくは、美琴はあの場で上条が告白してくるのだと察していた。
しかし、美琴としては、記憶を無くしている状態ではなく、一つ一つ想いを積み重ねてきた普段の状態で告白を受けたかったのだ。
なお、記憶を失っていた期間もまた大事な思い出であるため、元の記憶が戻ったときに失われることはなく、
大事な記憶として元の記憶に統合されたのだろう。

「ねえ。昨日の続き……言ってよ」

甘えるような表情で、美琴が上条に言う

「わ、わかった」

上条は思わず唾を飲み込むと、真剣な表情になって美琴と向き合った。
美琴もそんな上条を見て、緊張して全身を固くしている。

「わりい、あのときは何を言おうとか、いろいろと考えてたんだけど忘れちまったよ。
 ……だから、単刀直入に言うぞ」

上条は美琴の手の上に自分の手をゆっくりと重ねながら、告げる。

「御坂……好きだ」

美琴は涙を浮かべつつ、上条の手を握り返した。

「うん、私も……好き」

ポロポロと涙をこぼす美琴。
そんな彼女がどうしようもなく愛おしくなって、上条はそっと美琴を抱き寄せた。

「お前が転校するって聞いたとき、どうしようもないくらい辛くなった」
「アンタなんか、何度も何度も死にそうになってたじゃない。どれだけ心配したと思ってんのよ……」
「わりい。でも、もうお前に思いはさせねえから……だから」
「だから?」
「お前も、もうどこへも行かせねえからな」
「こっちのセリフよ。馬鹿……」

二人はそのまま抱き合いながら、ようやく掴んだ幸せをかみしめていた。


185 : ツキサカ :2014/05/10(土) 07:48:55 jH/eqcUU
以上です。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
(手元の方で分割ミスってて、最終的に11レスになりました)

ようやく最後まで書くことができましたが、今回はさすがに手間取りすぎたので、
次はもうちょっと気軽に書ける話にしたいと思ってます。

それではまた。


186 : ■■■■ :2014/05/10(土) 07:54:36 tuBu4CfI
乙です
新約10巻発売日にいい話が読めた


187 : ■■■■ :2014/05/10(土) 09:00:50 qGtJXD9Q
リアルタイム遭遇きたーー\(^o^)

TSUTAYA開いたら速攻買いにいくぞー


188 : ■■■■ :2014/05/10(土) 09:04:51 xegqJ7l6

ずっと気になってた長編が完結すると
もやもやが晴れると同時に何か寂しい気分になるな


189 : ■■■■ :2014/05/10(土) 12:49:31 02DkIROI
乙です
面白かったなぁ


190 : くまのこ :2014/05/10(土) 17:13:00 Fr9bzNVk
>>ツキサカさんGJです!
長編お疲れ様でした。やっぱり長編が完結すると寂しいですね…
にしても、ああ…いい話だった……



ツキサカさんの後で恐縮ですが、短編書きました。
新約10巻ネタです。
今日発売されたばかりなので、まだ読んでいない方は注意してください。
ネ  タ  バ  レ
が満載ですので。
約3分後に2レス使います。


191 : 終章その後  のっぴきならない悲鳴の後で :2014/05/10(土) 17:16:02 Fr9bzNVk
第七学区にある、とある病院。
その一室に入院している、とある少年の見舞いにやってきた美琴だったが、

イ 「大体、最初からとうまがちゃんと説明していれば、
   こんな大怪我する必要もなかったかも知れないんだよガブガブガブ!!!」

上 「痛い! 痛いよインデックスさん!?
   つか、説明する暇も無かったし、聞く耳も持たなかっただろ!!!
   あと上条さん今、絶対安静で、しかも自分じゃ動けない状態なんですけど、
   頭とか普通に噛り付くのはさすがにどうなんでしょうかそこんとこ!!!」

オ 「お、おい! それよりもこの猫をなんとかしろ!
   完全に私をオモチャか何かだと勘違いして…ぎゃああああっ!!? 変なとこ噛むなっ!!!」

ス 「うみゃ〜ん!」

この状況に困惑していた。
全身包帯と点滴や輸血のチューブと電極のコードでがんじがらめになりながら
ベッドに横たわる「あの馬鹿」と、
動けないのをいい事にその馬鹿の頭を容赦なくかぶりつく「あのシスター」。
その傍らには、そのシスターが連れていた「三毛猫」が、
「グレムリンのボス」によく似た、喋って動くお人形を口でくわえてプラプラさせている。
おそらく学園都市の最先端技術が詰め込まれたオモチャなのだろう。
その人形は『まるで本当に生きているかのように』、自然に動いていたのだ。

美 「え…? な、何これ…?」

病室に入り固まる美琴。
瞬間、抵抗する事すらできずシスターにひたすらかじられ続けていたあの馬鹿こと上条が、
バッチリ美琴と目が合い、即座に助けを求めてきた。

上 「み、御坂さん! ちょ、助けてお願い! 上条さんの頭皮がピンチなの!」

「美琴」と上条がその名前を口にした事で、シスターことインデックスは、
不機嫌な態度を更に不機嫌にさせながら、病室の入り口に目を向ける。
するとそこにいる短髪…の持っているお見舞い用のフルーツ詰め合わせが目に入る。
反射的に、インデックスの機嫌が急上昇する。助かったようだ。

美 「で、結局あの後、何をどうしてた訳?」

とりあえずフルーツをインデックスに渡し、ベッドの近くにあったパイプ椅子に腰掛ける美琴。
インデックスはバスケットの上の果物を貪っており、
どうやら上条への見舞い品は上条の口に入る事はないらしい。上条は不幸だとは思いつつも、
どの道、今の状態では何も食べられないし、と自分で自分を納得させる。

美 「アンタへの殺害依頼も取り下げられたし、大統領もあんな演説してたから、
   とりあえず丸く収まったみたいだけど、あの女は…オティヌスはどうなったの?
   それとアンタとオティヌスの間で何があったのか、全部ちゃんと説明して!」

美琴に詰め寄られ、後ずさりすらできない上条は、

上 「えっと…とりあえず顔が近いのですが」

と距離感にツッコむ。
気づけば美琴は上条の目と鼻の先まで顔を接近させており、その事を指摘されて慌てて引っ込む。
一気に顔を赤く染めながら。
が、美琴だって黙って攻められる訳ではない。こちらが赤面した事を追及させる前に、

美 「は、はは、話そらすんじゃないわよっ!///
   きょ、今日という今日は、詳しく話してくれるまで帰んないからねっ!」

先手を打った。
まぁ、確かにいつまでもこのままという訳にもいかないだろう。
美琴はグレムリンとの戦いに大きく関係している。
なのでまずは、一番気になっているであろうオティヌスについて説明したのだが、

上 「オティヌスならほれ、そこでスフィンクスと戯れてるよ」

美 「………へ?」


192 : 終章その後  のっぴきならない悲鳴の後で :2014/05/10(土) 17:16:55 Fr9bzNVk
それが更なる混乱を招く。
スフィンクスというのは、この三毛猫だ。そして戯れているのは、オティヌスそっくりのお人形。
全長15センチ程のその人形は、
ギャーギャーと喚きながらスフィンクスの顔面をポカスカと殴っている。
そしてスフィンクスは、そんな事を意に介さずに、口にくわえたまま『それ』をブンブン振り回した。

オ 「うわっ!? ちょ、やめっ! 目がっ、回っ…………うっぷ」

上条の言葉を鵜呑みにするならば、つまり、この猫に振り回されて吐き気を催している人形が、

美 「ホン…ト…に……オ…オティヌス…なの…?」

上 「うん、そう」

美 「だだ、だって! 何かちっちゃいわよっ!?」

上 「うん、何かちっこくなった」

美 「ちっこ………」

美琴の思考が停止する。
以前、同じくグレムリンの構成員だったサンドリヨンという少女も身体を小さくしていたが、
そんな比ではない。身長が15センチに縮むというのは、あまりにも突拍子がなさすぎる。
「小っちゃいって事は便利だね」、なんて言っている場合ではないのだ。
美琴は人差し指を額に当て、難しい顔をしながら整理する。

美 「あー、えー…ちょっと待って。マジで待って。んー……うん。ごめん、やっぱ訳が分かんない」

学園都市第三位の演算を使っても、分からない物は分からないのだ。
なのでとりあえず、自分の分かる所から情報を探り出す。

美 「えっと…じゃあ私と別れた後の事を、順番に説明してくれる?」

だがその時だ。この男はまたもや余計な一言を発するのである。

上 「御坂と別れた後…? ああ、御坂が俺を抱き締めた後の事か?」

その一言に、フルーツを食べ終えたインデックスと、
スフィンクスからなんとか逃げ出せたオティヌスが、一斉に上条を睨みつけた。
一方、美琴は再び顔を紅潮させる。
しかしそんな三人の変化に気づかないこの鈍感男は、普通に話を続ける。

上 「あの後はオティヌスと二人でフレデリシアって街に―――」

だが当然、スルーできる訳もなく、

イ 「ちょーっと待つんだよとうま…短髪に抱き締められたって何なのかな…?」

オ 「おい人間…私が戦車【あし】を探している間に、
   キサマはそこの女とイチャついていたのというのか…?」

何故か不穏な空気が立ち込めたので、美琴も慌てて訂正する。

美 「イ、イイイ、イチャ、イチャつくとかそそそそんなんじゃないからっ!!!///
   あ、あ、あれはそう! その馬鹿を気絶させる為に仕方なく……///」

が、それは彼女たちの火に油を注ぐ結果となった。

オ 「ほう! そうかそうか! キサマはこの男を気絶させた後、
   あれやこれやと好き勝手したのかほうほう!!!」

美 「そ、そそそそこまでする訳ないでしょっ!!?///」

イ 「そ、そ、そんなの自慢にもなんないかも! 私だって、今回とうまに胸を触られちゃったんだよ!」

美 「んだとぉっ!!? …へ、へん! そんなの私だってあるもん!」

「あったっけ?」と首をかしげる、事件の中心人物でありながら現在は蚊帳の外にいる少年・上条当麻。
その出来事は上条的には、変装したトールだったと思っているので、記憶にございません状態なのだ。
だが一つ気になる事がある。

上 「……なぁ御坂。『そこまでする訳ない』って事は、多少は何かしたのか?
   俺が目を覚ます前に」

ピシリ、と空気が凍りついた。
一瞬の静寂の後、何が起こったのかは説明するまでもないだろう。
一人の少女が「ふにゃー」し、二人の少女は大暴れして、一人の少年が不幸な目に遭っただけの事だ。
もはや、グレムリンやら滅んだ世界の事やら、説明しなくてはならない事の山積みを、
片付けられるような状況ではないのであった。

ちなみに、

『初めて勝てたけど……思ったよりも虚しいわね、これ』

と上条が耳にしてから、彼が目を覚ますまでの時間、果たして『何』が起こったのか。
それを知っているのは、当の本人の美琴だけなのである。


193 : くまのこ :2014/05/10(土) 17:18:55 Fr9bzNVk
以上です。
念の為にもぅ一度。
新約10巻の

『ネタバレ』

が含まれています。
今から読まれる方はご注意ください。
ではまた。


194 : ■■■■ :2014/05/10(土) 19:25:41 O8TtEj8M
このスピードでこの内容、乙なんだよ!(涙目)

…これに使われてるネタは、要所要所をモチベ上げ+雑談で聞いてたから面白いんだけど

最悪月曜までお預けとは…


195 : ・・・ :2014/05/11(日) 07:44:46 9/xS/97I
ども、・・・です。

まずは言わせてほしい。

10巻読んだ。
ミコっちゃんの正妻ぶりに感動した!!

さて、感想を

>>くまのこ&我道さん
「いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
かわいそうにせっかく上条さん忘れてたのに
しかし、上条君、なぜバッチリ記憶したのかね君?ニヤニヤ


>>ツキサカさん
待ってて、よかった
上条さんの言葉にだけ、ミコっちゃんは足止めされた訳ですね
いい、ハッピーエンドをありがとう!!!

>>くまのこさん

「へ、へん! そんなの私だってあるもん!」
シスターさーん、レールガンさーん、それ

じゃあ触ってもらいたいみたいですぞー
そんで気付けやこのバカ!!

皆さまGJ!!


では投稿します。
母の日、ついでに子供の日記念作です
まあ、短い時間で書いたんで、読みにくかったらすみません
それでは


196 : 戦場 :2014/05/11(日) 07:48:17 9/xS/97I
担架が走る。

美琴は朦朧とする意識の中で周囲を見回す。

「しっかりして!! 美琴ちゃん!!」

近くに母の顔が見える。ならばその後ろの影は父だろうか?

それだけではない。

上条夫妻が、妹達が、佐天、白井、初春の姿が覗える。




しかし、アイツの姿は無い。


197 : 戦場 :2014/05/11(日) 07:50:30 9/xS/97I









「とうま!! ここは退いて!!」

「そうだカミやん!! ここでお前に何かあったらオレは超電磁砲に合わせる顔がない!!」

戦場には数十人の味方と千人近い敵。

しかし、

「退けるわけが、ねぇだろうが!!!!!!!」

上条は退かない。


198 : 戦場 :2014/05/11(日) 07:51:16 9/xS/97I









「双子で逆子なうえに早期胎盤剥離の可能性が高いです。とミサカはさすがあの人とお姉様の子の出産ですねと、内心不安に押しつぶされそうになりながらも明るく振舞おうと……」

妹の声が聞こえる。

「上条さん、しっかりして、わたしたちがついているから!!」

今は産婦人科医となった、かつてフレイヤと呼ばれていた人の声が聞こえる。

「僕は必ず君もお腹の子も救ってみせる。でも、君があきらめてしまってはそれもかなわないからね?」

あの医者の声が聞こえる。

そんな状況下で
苦痛に顔をゆがませながらも、彼女は笑って言った。

「はぁ、はぁ……あ、きらめる? そん、な、わけないじゃないですか。だって……」


199 : 戦場 :2014/05/11(日) 08:00:51 9/xS/97I









「退けるわけがないだろうな」

目の前の敵が重機のハンマーでまとめて吹き飛ばされる。
もちろんそれを操るのは

「ここで退くなんて選択をしたら、一番大切なもんを失っちまう」

浜面仕上

「ここは戦場だ」

ある一帯の敵がまとめて焼かれる。
その中心に立つのは、

「一瞬の読み違いが自分だけではなく、守らなくてはならないものまで傷つけることもある」

ステイル=マグヌス

「退くなんて選択肢はない」

負けることのない攻撃が数十の敵を瞬く間に宙に飛ばす。
それが積みあがった長点にたたずむのが

「だったら、やることは一つなんだぜ」

トール

「前に進ンで、さっさと片付けるしかねェ」

敵の総大将までの残りの敵が、暴風に吹き飛ばされる。
素知らぬ顔で歩いて来るのは、

「道は確保しといてやる、あとはどうすンだ? 三下」

一方通行

「どうするって? 決まってる」

そんな中、上条当麻は不敵に笑う。

「まっすぐこの道をゴールまで駆け抜けるに決まっている!! なぜなら!!」


200 : 戦場 :2014/05/11(日) 08:01:28 9/xS/97I





「わたしは、あの、幻想殺しの、嫁なんだから」

「オレは!! あの超電磁砲の旦那なんだ!!」


201 : 戦場 :2014/05/11(日) 08:01:59 9/xS/97I





夜が、明ける。
どたばたと音が耳に入った。、
「まずは治療を」と叫ぶ看護師の声を無視して、その男はドアを開けた。

「わりぃ、遅くなった」

「……まったくよ、どうせアンタのことだからまーた不幸にでもあったんでしょ?」

もう慣れちゃったわよなんて彼女は笑う。

「はいはい、立ち会えなくてすみませんね」

わたくしが悪いんですよーといい、彼は彼女に近づいた。


そして、目に入った。


彼女の横ですやすやと寝息を立てる新たな二人の生命が。

「あんな危険な出産だったのに、生まれたときはわたしの容体なんか無視して元気なもんよ」

アンタに似たのかしら、と言う前に、彼女は彼の腕の中にいた。



彼は、泣いていた。


小さく、ようやく聞き取れるほどの声で、ありがとう、という言葉が耳に入る。
彼女もまた、涙を流しつつ、ボロボロになるまで戦った彼の背に、腕を回す。
そのまま、しばらく二人は泣き続けていた。


202 : 戦場 :2014/05/11(日) 08:02:42 9/xS/97I
「やあ、フィアンマ」

「なんだオッレルス? 俺様になにか用か?」

戦場に残ったのは酔狂な二人だけ。
他のものはあそこに向かったのだろう。

「いや、用はないんだ。しかし、この状況はすごいな」

「魔術、科学、一般、それぞれの上条夫妻を憎むものが手を組み、たったひとつの病院を襲撃する」

「聞いたときはばかばかしかったが、実際立ち会えば、上条勢力というものは恐ろしい」

「貴様もそこに入っているつもりか?」

「いや、今回は気まぐれに手を貸しただけだよ。お前もそうなのだろう?」

紅の男は何も語らない。

朝日が彼の瞳に映すのは、全てが終わった戦場。
周囲一帯をただの荒野に変え、焼け跡、残り火が点在する。


だが、鬼気迫る上条の活躍により、



その中央に立つ病棟には、ひとつの傷もなかった。


203 : ・・・ :2014/05/11(日) 08:03:12 9/xS/97I
以上です。
結婚に続き、出産と相成りました(笑)

そしてどーも私は
「元ライバル全員集合」が好きで
「上琴を不幸な目にあわす」のが好きな模様。

映画で、とある主人公が
走る
叫ぶ
戦う

んでもってヒロインを救う


見終わった後、どうしても上琴ならと考えてしまう


かっこいー、惚れちゃいそうだぜ上条当麻!!


204 : くまのこ :2014/05/11(日) 13:31:25 MSrmSkSM
>>・・・さんGJです!
敵さん達…今日ぐらい、襲撃すんのはやめたげてよぉ…
ライバル集結って燃えますよね。



自分も母の日ネタ書きました。
オリキャラ・麻琴ちゃんが出てきますので、
苦手な方はスルーしてください。
約3分後に2レスです。


205 : 青いカーネーションの花言葉 :2014/05/11(日) 13:34:22 OsaEd1uQ
どこにでもある街のお花屋さん。本日はそのお花屋さんにとって、一年で指折りの『忙しい日』だ。
5月の第2日曜日は「母の日」。そう、カーネーションの売り上げが、粉塵爆発を起こす日なのだ。
この日だけでもバイトが欲しいと思う店舗も少なくなく、店員さん達は在庫確認と接客に追われている。

そしてここにも、店員を忙しく働かせ、花屋の売り上げに貢献しようとしている親子連れが一組。
30〜40代らしきツンツン頭の男性と、その娘と思われる10歳前後の少女だ。
二人は店の前で、腕を組みながら仁王立ちしている。

「……いいか麻琴。本当の勝負はこれからだぞ…?」
「うん…分かってるよパパ…!」

お花なんてファンシーな物の代名詞を購入するとは思えない程、二人には気合が込められている。
心なしか、バックでは炎が燃えている気さえする。イノケンティウスさんでもいるかのようだ。

「いつもママにはお世話になりっぱなしだもんなぁ…できるだけ、いいのを選んであげたいよな?」
「うん! ママ、喜んでくれるといいなぁ〜!」

どうやら、二人の気合の入り所はそこにあるらしい。
大好きなママに少しでも幸せになってもらいたいという、家族の愛である。

二人は意を決して、店の中に足を踏み入れた。

やはり店内は混雑していた。
さほど大きい店舗ではなかったが、それでも人通りが絶える事はなかった。
次々に売られていくカーネーション。
それでも売り切れにならないように、店員がせかせかと倉庫から出しては、すぐに店頭に並べている。

出されては売られ、出されては売られを繰り返すカーネーションを見つめながら、二人は悩んだ。
「どの色にしようか」、と。
カーネーションは意外と色のバリエーションが多く、
特に父親の方は「赤いのしかない」と思っていたようで、軽くショックを受けている。

「ねぇパパ、どれにする? どれが一番、ママが喜んでくれる?」
「う、う〜ん…そうだな……いっそ、全色買っちゃうってのは―――」
「それはちょっと、センスが無いと思う」
「―――ですよねー」

娘にセンスを疑われ、アッサリと引き下がる父である。

「やっぱりママの好きな色がいいんじゃない?」
「ママの好きな色か…確か緑だったよな? 緑、緑…あ、ダメだ。緑はねーわ」

緑色のカーネーションもない事はないのだが、珍しいタイプなので大型店でないと売っていない。
なので仕方なく、今ある物から選ぶ。

「じゃあ、麻琴の好きな色を買おうか」
「いいの? あたしのじゃないのに」
「大丈夫。麻琴が選んでくれた物なら、ママ絶対喜ぶから」

父親にそう言われ、「ホント〜?」と返しながらも、顔は、にへら〜とさせる娘。

「じゃあね! じゃあ、あたし青がいい!」
「ん! 青ならいっぱいあるな」

そんなこんながあり、青いカーネーションの花束を買った親娘なのであった。


206 : 青いカーネーションの花言葉 :2014/05/11(日) 13:35:17 OsaEd1uQ
母親は、洗濯物のシーツを取り込みながら、変にニヤニヤしている夫と娘を怪訝な顔で見つめていた。

「えっ…何?」
「えへへ〜、ママ! 今日は何の日だ!?」

娘の問いに、母は首をひねる。5月11日…それは何か特別な日だっただろうかと。
こどもの日…は一週間ほど前に祝った。自分の誕生日…も5月2日に祝ってもらった。
しかし今日は特に何かイベントはない筈である。

「んー…ごめんギブ。何の日なの?」

母の答えに満足し、娘は後ろに隠し持っていた花束を母親の前に差し出した。

「ジャーン! 今日は『母の日』だよ! ママ! いつもお家のお仕事ありがとう!」
「つー訳で、今日はママは家事お休みだ。
 残りは俺がやっとくから、ママはテレビ観ながらお茶でも飲んでなさい」

夫が朗らかに笑いながら、残りの洗濯物を引き継ぐ。

「ああ、そっか! 今日って第2日曜か……」

毎日家事をやっていると、曜日の感覚が鈍ってくるものである。
本日が母の日なのだと、今やっと気づいた母であった。

差し出された花束を受け取り、そのまま娘を抱き締めて、母はその精一杯の愛情で包み込んだ。

「ありがと〜麻琴ちゃん! ママすっごく嬉しい!」
「ホント!? ねぇホント!?」
「もっちろん! アナタもありがとうね!」
「気にすんなって! こんな時でもないと、感謝の言葉って言いにくいからさ」

そして振り向きながら、干してある衣類を無造作に洗濯かごに詰め込む夫にも礼を言う。
そんな事したらシワになるのだが、今の母は機嫌がいいので気にならなかったりする。

「ねぇねぇどう!? 色はあたしが選んだんだよ!」
「うん! とっても綺麗!」

淡く青いその花は、陽の光に照らされ優しく輝いていた。
ちなみに青いカーネーションの花言葉は―――



「はー、美味しかったー!」
「ごちそうさま、アナタ」
「おう、お粗末さん」

この日の昼食は夫が作り、「今日はママは家事お休み」を有言実行していた。
空になった食器をカチャカチャと重ね、そのままキッチンまで持っていく。

「そういえば、アナタの手料理って久しぶりに食べたわね」
「そうだっけか?」

母はキッチンに向かって、食器を洗い始めた夫に背中越しに話しかける。

「たまには作ってよ」
「いや〜、でもやっぱママの作ったモンの方が美味いからなぁ…」
「え〜? …あ、じゃあ麻琴ちゃんの意見も聞いてみましょうか」

母は娘の方に振り向き、尋ねてみた。

「ねぇ、麻琴ちゃん。麻琴ちゃんもたまには、パパの作る物が食べたいわよね?」

すると娘は腕を組み、その問いを真剣に考える。

「んー…パパのもママのも、どっちも食べたいっていうのはダメ?」

娘の答えに、両親はたまらず吹き出す。

「ぷっ! そっか、麻琴ちゃんはどっちも食べたいんだ」
「あはは! 麻琴は欲張りだな」
「えーっ!? ダメなの〜!?」

午後の空気は和やかに流れるのであった。



「あっ、そうだ。ママ、ちょっといいか?」
「なぁに?」

洗い物の途中だが、夫は妻を呼び出した。
夫はエプロンで手を拭くと、ズボンのポケットから小さな箱を取り出す。

「カーネーションとは別にプレゼント。昨日たまたま、ママに似合いそうなヘアピン見つけてさ」
「えっ、い、いいの? この前、誕生日プレゼント貰ったばっかなのに…」
「いいのいいの。その為にお小遣い切り詰めてたんだから」

恥ずかしそうに頭を掻く夫に、妻は薄紅色に顔を染め、思わず夫を抱き締めていた。
先程に娘を抱き締めた時とは、少し違う愛情を込めて。

「……ありがとう。すごい嬉しい…」
「ん…まぁ、その…喜んで貰えたんなら……俺も嬉しいけど…」

ほんのり甘い空気が二人を包む。トクントクンという、お互いの心臓の音が混じり合っていた。
しかしここで、両親が抱き合っている姿を見た娘が、

「あー、いいなー! あたしもギュ〜ってしたーい!」

とブーたれてきた。夫と妻は互いに見つめ、クスッと笑う。

「いいわよ。麻琴ちゃんもいらっしゃい」
「ほら、おいで。麻琴」
「わーい! むぎゅ〜〜〜っ!」

この瞬間、妻は頬を緩めつつ心の底からこう思っていた。
青いカーネーションの、その花言葉の意味―――

(「永遠の幸福」…って、こういう事を言うんでしょうね………なんてね♪)


207 : くまのこ :2014/05/11(日) 13:36:17 OsaEd1uQ
以上です。
二日連続で投下しちゃってすみません。
ではまた。


208 : ■■■■ :2014/05/11(日) 17:05:21 kVP3/tRs
乙乙

いいんやで、くまのこさん
ここ最近過疎気味だから
昔からの職人さんも、新しい人も大歓迎だ


209 : ■■■■ :2014/05/11(日) 18:15:06 vPraBTz2
大枠のプロットはできてるんだけど、どうやら新約10の展開(みこっちゃん版そげぶで)のためにちょっと自分の中で修正が必要に…

けれども新約10まだ入手できてない…orz

以下チラ裏
上条見舞い+課題手伝いに来たみこっちゃん→
オティヌスたんみて「かわいーー♪」
(イメージはいちゃレー3)

続きそうで続かない…


210 : 神浄 :2014/05/13(火) 17:46:15 0e0T/mbo
他の作品の続きが気になって夜も眠れん!!


211 : ■■■■ :2014/05/14(水) 10:35:58 F5.dScL2
職人さんだいぶみなくなったね(´・ω・`)
くまのこさんうぽつです(´・ω・`)


212 : ■■■■ :2014/05/14(水) 13:20:41 pG.dNZXU
悲しい!!悲しすぎぞー
。・゜・(ノД`)・゜・。


213 : ■■■■ :2014/05/14(水) 13:23:09 pG.dNZXU
カムバック職人さん(涙)
_| ̄|○


214 : ■■■■ :2014/05/14(水) 14:17:25 rZ6yEZyQ
今元気に投下しまくってる現役作者さんが居るのにそういう書き込みをするってのは相当失礼な事だと思うのですが・・・
或いはわざとそう書いて雰囲気悪くしようとしてる荒らしだったりして?


215 : ■■■■ :2014/05/14(水) 15:23:03 pG.dNZXU
すいませんでした。


216 : ■■■■ :2014/05/14(水) 15:26:26 pG.dNZXU
次からはこのようなことがないようにします。


217 : ■■■■ :2014/05/14(水) 15:30:45 pG.dNZXU
くまのこさん面白かったです。^o^


218 : ■■■■ :2014/05/14(水) 16:00:33 jh.M0Fr6
別に職人さんに戻ってきて欲しいってだけでどうこう言う方が過敏すぎる


219 : ■■■■ :2014/05/17(土) 12:45:54 G/KVLB3c
何にしろ過疎ってるのは事実だな


220 : ■■■■ :2014/05/17(土) 16:54:25 3P8YXwyg
むしろ今までが異常だったと考えるべき?


221 : ■■■■ :2014/05/17(土) 19:47:34 KE24K2CI
そうか?まあ、良くも悪くも安定期ってことじゃ?


222 : ■■■■ :2014/05/18(日) 02:03:23 iKjLdd4E
むしろフィーバータイム終わっていつものペースに戻ったって感覚なんだけど


223 : ■■■■ :2014/05/18(日) 11:22:57 Yf9Cpo52
にゃ、
にゃんですって**


224 : ■■■■ :2014/05/18(日) 13:46:30 .QF81UV.
Part23〜25あたりの速さは異常だったと思う


225 : ■■■■ :2014/05/18(日) 13:56:06 mKNKQyPk
未来から子供来訪系のマザコンシリアスって需要ありますかね?


226 : ■■■■ :2014/05/18(日) 14:25:29 nkQhrIy.
シリアスっても鬱とかじゃなければウェルカム


227 : くまのこ :2014/05/18(日) 19:20:31 4ozpy1N2
短編書きました。
新約10巻に関する重大なネタバレを含んでますので、
まだ未読の方は注意してください。
約3分後に、5レスです。


228 : 同型のマッサージ器がここに二つある理由 :2014/05/18(日) 19:23:18 4ozpy1N2
上条当麻の母・詩菜と、御坂美琴の母・美鈴は、いい意味で歳不相応な程に若々しい。
それでも歳相応に日頃の疲れは蓄積される訳で、
いつものスポーツジムの帰りに近くのカフェに寄った二人は、
「最近、肩が凝る」だの「家事は腰にくる」だの、
ネガティブな話題のベテラン主婦あるあるで盛り上がっていた。

「じゃあ上条さんも疲れが…?」
「ええ。近頃は眠っても、翌日に疲れが取れない事が多かったもので」
「ああ〜…やっぱりどこも同じなんですね〜……」

コーヒーをすすりながら相槌を打つ美鈴。
だが詩菜のそんな悩みを聞いているうちに、ふとある事を思い出す。

「あっ、そうだ! だったらこれ使ってみます? この前、美琴ちゃんから送られてきたんですけど」

バッグから何やらゴソゴソと探し始める美鈴。と、同時に、

「あ、でもこの前の母の日に、当麻さんからいい物を貰いまして」

詩菜も自分のバッグから何かを探し始める。
そして二人は、同時にそれを取り出した。

「これなんですけど、すっごく効くんですよ! ……って、ん?」
「お陰でここ数日は朝もスッキリ……って、あ、あらあら?」

二人が同時にバッグから取り出したのは、全く同じ形の低周波治療器だった。
聞けばお互い共、一週間前の「母の日」に、学園都市で暮らしている子供から贈られてきた物だった。
しかし同じ日に、同じ商品が、別々の人物からそれぞれ届けられる。それは果たして偶然なのだろうか。
否、それはきっと違う。全くの他人ならいざ知らず、詩菜の息子と美鈴の娘は『お知り合い』だ。
そもそも詩菜と美鈴も、子供達がきっかけで、
こうして一緒にスポーツジムへと通う仲になっているのだから。
そこまで考えた所で、二人はニヤリとする。

「あらあら。これはどういう事かしら♪」
「ん〜…これは本人に確かめてみないとですね♪」

二人の母親は、心の底から面白そうに、くすくすと笑い始めた。


229 : 同型のマッサージ器がここに二つある理由 :2014/05/18(日) 19:24:07 4ozpy1N2
遡る事一週間前、上条は同居人歴・約10ヶ月のインデックスと、
同居人歴・約半年のオティヌスを連れて、大型家電量販店に来ていた。
店内には軽快な音楽と共に「やまーーーだまーだまだ」と、その店のCMソングが延々と流れている。
こういう曲って夜眠る前とかにずっと頭の中で響いてるけど、完全記憶能力者のインデックスは、
頭がおかしくなりそうにならないのだろうか、とよく分からない心配をする上条である。
その時、そのインデックスがふくれっ面をしながら上条に話しかけてきた。

「…とうま。どうして私がオティヌスを持っていないといけないのかな?」

インデックスの両腕の中には、抱えられるようにしがみ付いている、
身長15センチ程の魔神がそこにいる。

「仕方ないだろ? オティヌスだけ家に置いてったら、スフィンクスが何するか分からないんだから」

スフィンクスはあれ以来、すっかりオティヌスを新しいオモチャとして認識したらしく、
更に厄介な事に、どうやらお気に入りらしい。
安物のねこじゃらしやカラーボールには目もくれず、隙あらばオティヌス目掛けて突進するのだ。
本質的には魔神に近しい存在だとしても、実質的な力は小動物以下だ。
下手をすればザリガニにも負ける。
そんな状態でオティヌスをお留守番させる訳にもいかず、こうして連れて来ているのだ。

「それに私には、この人間と近い場所にいなければならないという『罰』を食らっているからな。
 残念だが離れる訳にはいかないのさ」
「だったらとうまの所に行けばいいんじゃないのかな!?
 何で私がオティヌスを持たなくちゃいけないんだよ!」

いけしゃあしゃあと宣うオティヌスに、たまらず言い返すインデックスだったが、
そこに上条が嘆息しながら仲裁に割って入ってきた。

「…あのなぁインデックス……もし上条さんが今のオティヌスを持って歩いてたら、
 周りからどう思われるでしょうかね…?」
「うっ…」

フィギュア(にしか見えない)女の子を、男子高校生が持ったまま歩いていたら、
社会的に抹殺…とまではいかなくとも、半殺しぐらいはされるだろう。
しかしそれを、可愛い女の子【インデックス】がしていれば何も問題は無くなるのだ。
「ただしイケメンに限る」、とニュアンスが近いかも知れない。世の中は不公平で成り立っているのだ。

上条の言葉に押し黙るインデックス。
彼女としても、よく考えたらオティヌスが上条に抱かれているのをイライラしながら見つめるよりは、
自分で抱え込んだ方がマシだと思ったらしい。

インデックスも納得(?)してくれたようで、これで心置きなく買い物に専念できる。
上条は意気揚々と宣言した。

「じゃ、行きますか。マッサージ器コーナーに!」


230 : 同型のマッサージ器がここに二つある理由 :2014/05/18(日) 19:24:53 4ozpy1N2
同時刻、美琴もまた、上条と同じく大型家電量販店にいた。
店内マップを見て、目的の物が何階で売られているのかを調べる。

「えっと…健康器具は地下一階か」

目的地が分かり、エレベーターに乗り込む美琴。
エレベーター特有の無重力感を味わいながら、美琴はここへやってきた顛末を思い出していた。



『そういえばもうすぐ母の日ですね。皆さんは何か、贈り物とか考えてるんですか?』
『わたくしは特に何も…風紀委員のお仕事で忙しいのは、両親にも伝えておりますので』
『私も白井さんと同じ理由で……あ、でもやっぱりお花は贈りたいですね』
『あはは! 初春さんの得意分野だもんね。母の日って言ったら、やっぱりカーネーション?』
『そうですね。確かに定番と言ったらカーネーションですが、最近は他のお花を買う方も多いんですよ。
 アジサイやバラ、ランなども人気です』
『へ〜…知らなかった。ちなみに初春のオススメは?』
『オリエンタルリリーとかいいかも知れません。花言葉はズバリ、「子の愛」です』
『おお〜、ストレートでいいね! あたしはそれにしよっかな』
『むぅ…わたくしも、お花くらいなら何とかなりそうですわね……』
『ん〜…でもお花かぁ…ウチのママ、割と現実主義だからな〜……お酒とかの方が喜びそう』
『……お姉様…今の発言は風紀委員として、ちょっと聞き逃せませんの…』
『いや、買わないわよ。そもそも売ってくれないでしょ』
『あ、でしたらマッサージ器なんてどうですか?』
『どういう事? 初春さん』
『今ちょっと調べてみたんですけど、意外と人気みたいですよ。母の日のプレゼントに』
『あー…家事とか疲れるもんね。
 あっ! しかも学園都市製なら、外よりも高性能なのが揃ってるから、いいかも!』
『それもそうね…ママも最近、肩が凝るってメールで言ってたし……うん、決めた』



そんな会話が数日前に繰り広げられ、結果、美琴は今ここにいるのだ。

地下一階に着き、美琴は早速、健康器具コーナーに歩き出す。
すると目的の場所から、何やら聞き慣れた声が聞こえてくる。

「どうだインデックス? これ、さっきの店より安いか?」
「ううん。二軒前のお店よりは安いけど、一軒前のお店よりは378円高いんだよ。
 あ、でも『ぽいんとかんげーん』率はここの方が高いかも」
「ポイントなんざどうでもいいの。どうせ滅多に来ないんだから。それより現物が安い方が―――」

とても悲しい会話である。
つまる所上条が、オティヌスも一緒に連れてこなければならないという危険を冒してまで、
インデックスを連れてきたのはこの為であった。
何件も店を回り、その完全記憶能力を『無駄に』有効活用させ、
商品の名前と値段を覚えさせていたのだ。
インデックスは機械に滅法弱く、覚えた商品が一体どんな効果を持った物なのかはサッパリだが、
少なくとも「商品名」と「値段」だけを記号として記憶するのなら、彼女以上の人材はいない。
勿論、一番安い所で買う為ではあるが、この事がステイルの耳にでも入ったら、
速攻でイノケンさんを召喚され、上条は消し炭となるであろう。

美琴は思わず、「うわー…」と呟く。
その声を聞いた上条が、美琴の方を振り向き、声をかけてきた。

「お? 美琴じゃん。なに、健康器具コーナー【こんなとこ】来て。もしかしてお疲れ?」
「その言葉、そのままお返しするわ。
 しかも何かインデックス【ちっこいの】と…オティヌス【さらにちっこいの】まで連れて。
 私は母の日のプレゼント買いに来ただけよ」
「ああ、そうなんだ。俺も同じ。…で、これにしようかと思ってたんだけど」


231 : 同型のマッサージ器がここに二つある理由 :2014/05/18(日) 19:26:05 4ozpy1N2
そう言って上条は、一軒前の店よりも378円高い、ハンディ型の電気マッサージ器を手に取った。
すると美琴は「う〜ん」と唸り、首を横に振る。

「そういうタイプって気持ちはいいけど、実際疲れが取れるかって言うと割とそうでもないのよね。
 それよりこっちの、低周波治療のにした方がいいんじゃないかしら?」
「え、でもそういうのって、パッドにジェル塗ったりして面倒じゃないか?
 そのパッドも何回か使ったら買い換えなきゃだし」
「アンタね…もうちょっと学園都市の科学技術を信用しなさいよ。
 こっちのは最新型で、そもそもパッドもジェルも使わないの。
 てか、身体に直接付けなくても、低周波が流れるって代物なのよ」
「へー、そんなのあるんだ」
「そ。操作もコンセントと電源入れるだけで簡単だし、何より動きながらでもマッサージできるから、
 家事に大忙しなお母さんにもピッタリ! 母の日の贈り物にどうですか? …って、書いてあるわ」
「あ、なんだ…広告読んだだけか……てっきりミコっちゃんが家電芸人だったのかと……」
「誰が芸人だ、誰がっ!」

何だか話が盛り上がっている上条と美琴。
その様子をインデックスとオティヌスが、ムスッとしながら見つめていた。
インデックスは先程も述べた通り、科学技術に関しては門外漢だ。
オティヌスはそこまででもないが、健康家電の知識はあまり無い。
故に二人は、上条達の会話に混ざりたくても混ざれないのだ。

イライラした二人は、武力介入しようとする。インデックスは勿論、いつもの噛み付き【アレ】だ。
しかしインデックスの歯が上条の頭部に突き刺さる事はなかった。
もう一人の人物、オティヌスの発した言葉の暴力によって、その場の空気が固まったからだ。

オティヌスは現在、物理的な攻撃力は皆無だ。その上、魔術もろくに使えない程に弱体化している。
そんな彼女に残された武力は、言葉だけだったのだ。
彼女は口を開く。とんでもない事を言う為に。

「しかし人間。お前の持っているハンディ型の電マって、AVによく出てくる奴だろう?
 それって大人のオモチャ【エログッズ】ではなかったのだな。初めて知ったよ」

オティヌスの言葉に、上条は顔を引きつらせ、美琴は一気に赤面させ、
インデックスは意味が分からず首を傾げる。
だがオティヌスの口撃はこれで止まらない。彼女は更に恐ろしい事を言ってのけたのだ。

「だがキサマにはそんな物必要あるまい。キサマはその幻想殺し【みぎて】の代わりに、
 毎夜、私を右手の恋人として『使っている』のだからな。
 いやはやまさか、妖精化を破壊された私が、
 今度はオ☻ホ妖精としての第二の人生が待っているとは、何とも皮肉な―――」

オティヌスが言い終わる前に、上条は握り潰しそうな勢いでインデックスからオティヌスをひったくると、
その勢いのままに反論する。

「何言ってんの何言ってんの!!? お前ホント馬鹿なの死ぬの!!?
 やってないじゃん!!! そんな事一度もやってないしってかそんな発想すら浮んだ事ないよ!!?」
「何を焦っている? ただの軽いジョークだろう」
「重すぎるわいっ!!!」
「とうま? オナ☻妖精って何なのかな?」
「知らんでも良かです!!!」

インデックスに、今や日本が世界に誇れる文化、
『HENTAI』についての知識がなくて、心底安心した上条である。
ちなみに余談だが、江戸時代にはすでに『巨大なタコから触手攻めされる女性の春画』があったらしい。
この国は、ご先祖様からしてすでに手遅れなのであった。


232 : 同型のマッサージ器がここに二つある理由 :2014/05/18(日) 19:26:56 4ozpy1N2
しかしインデックスはそうだとしても、15年も日本で暮らしている美琴はそうはいかない。
「へー……そう……」と小さく呟くと、いつものように髪の毛をバチバチと帯電させる。
いつもと違うのは、その表情だ。
普段の彼女なら、怒りに任せてギャーギャーと喚きながら帯電させる所だが、今は違う。
その顔は完全に『無』であった。もはや旧式のロボットのように、表情からは感情が見えない。
多分だが、これは完全にキレている。

「どぉぉおおおおおい!!! ちょ落ち着いてくだされ美琴さん!!!」

上条は慌てて、その右手で美琴の頭を触り、能力を封じる。
ここは家電量販店なのだ。美琴が暴走でもすれば、どれだけの被害になるか分かったものではない。
しかもその弁償を、何だかんだで上条が支払わねばならない状況になるような気がする。
だって彼は、不幸体質であると自覚しているから。それだけは避けなければならない。

「落ち着け〜、美琴〜…」と恐る恐る美琴の頭を撫でる上条。
頭を撫でられた事で、美琴は一瞬だけ頬が緩みそうになるが、
それで許す訳にはいかず、キッ!と上条を睨む。
オティヌスの言った事がウソであるのは理解しているが、それでも腹は立つのだ。
怒りの矛先が矛盾していても、そこには何か、負けられない戦いのような物があったりなかったり。

「こ、ここ、こんなんで騙されたりなんかしないんだから!
 さっきの話がどういう事なのか、ちゃんと説明しなさいよ!」
「だからあれはオティヌスが勝手に言っただけでだな……」
「だが毎夜、私と一緒の布団で寝ているのは事実だろう?」
「仕方ないでしょ! 風呂場じゃないとスフィンクスが入り込んで来……
 いや待て待て待て。違うそういうんじゃないからホント落ち着いてください美琴様」

オティヌスの余計な一言により、美琴の怒りマークがまた一つ増えた。
上条も上条で、先程から「落ち着け」しか言っていない。

ふと、上条にある名案が思いつく。
何の根拠もないが、今の美琴を落ち着かせるにはこれしかないと、上条の本能が告げたのだ。

上条は美琴の背中に両腕を回して。
優しく抱きしめた。
『あの時』、美琴がしてくれた事を、そのまま上条が。

「!!?」
「!!?」

インデックスとオティヌスは、上条の突然の行動に驚いたが、

「っっっ!!!!!!!!?????」

当然、一番驚いたのは美琴本人である。

「よ〜しよしよし。大丈夫だぞ〜美琴。落ち着け〜落ち着け〜」

まるで子供やペットでもあやすかのように、そのまま美琴の背中やら頭やらを優しく撫でる上条。
とっさの事で他になだめ方が思いつかなかったのだが、その効果は絶大だったようだ。
美琴は見る見るうちに大人しくなり、顔を茹で上がらせたまま、その場で呆然と立ち尽くしている。
よく考えたら、この行動にどんな意味があったのだろうか、とか、
どうして自分は、あんな極限状態で『美琴を抱き締める』、
という選択肢しか頭に浮ばなかったのだろうか、とか後々で色々と疑問が浮んだが、
とりあえず、満足のいく結果だった【みことはおとなしくなった】ので考えるのを止めた。

が、それで丸く収まる訳がない。
あちらを立てればこちらが立たず、美琴の怒りが収まれば他の二人の怒りを買うのだ。
結局上条は、インデックスには頭を噛み付かれ、
オティヌスにはその小さい両手で、全力でほっぺを引っ張られた【つねられた】のだった。

一方、美琴はと言えば、

「…抱き締められちゃった………えへ…えへへ〜……♡」

と幸せそうにニマニマしながら、
先程に上条に抱き締められた感触の余韻を、暫くの間、堪能するのであった。



あ、それと母の日用のプレゼントは、この後二人共同じの買って、
そのまま実家に送られたんだってさ。めでたしめでたし。


233 : くまのこ :2014/05/18(日) 19:27:52 4ozpy1N2
以上です。
上琴成分が最後の方だけですんません。
ではまた。


234 : ■■■■ :2014/05/18(日) 20:50:47 mKNKQyPk
こういう上条さんと美琴らしい話は大好きです
しかしカー○○○だけであんな慌てふためいてたオティがこんなこと言うなんて

>>226さん
鬱はないです、絶対に
少し書き溜めたら投下しにきます


235 : ■■■■ :2014/05/18(日) 23:20:24 qP99m3p2
GJ


236 : ■■■■ :2014/05/19(月) 01:29:56 c0ukXsek
頬が緩みそうになるのを我慢しながら、上条さんを睨もうとする美琴を想像したら可愛すぎた


237 : ■■■■ :2014/05/19(月) 08:41:36 qaSSYOnU
やばい!メッチャニヤニヤした
自分のへやでよかったw
なんでみんなこんな面白いのがかけんの?羨ましい!


238 : ■■■■ :2014/05/19(月) 17:26:44 Maqaf0yA
>>234さんじゃないけど、
鬱エンドじゃなければOKという認識でおk?(もち投下時には注意書きあり)

今書いてる長編が下げてぶち上げる感じになりそうなんだよな…


239 : ■■■■ :2014/05/19(月) 17:41:53 T15VcWJs
下げるのが長すぎるとこの間の寝てる人さんみたいになるかもしれないし
下げてる段階でエタると目も当てられない
そこら辺をしっかり理解しとけばいいんじゃないかな?


240 : ■■■■ :2014/05/19(月) 17:50:09 Maqaf0yA
>>239
ですね

では、投下できるぐらいになったらぼちぼち行きます


241 : はりねずみ :2014/05/23(金) 00:26:51 bRr5p/O2
自分は鬱展開もやり方次第だと思います。救いがあるかどうかええすよ。今回凝り固まった思考を取り除く意味もこめて投下します


242 : げんてんかいき! :2014/05/23(金) 00:27:55 bRr5p/O2
美琴「いちゃいちゃするわよ!!」

上条「いきなりどうしたんだよ」

美琴「最近私達、いちゃいちゃしてないじゃない。というか殺伐としてるわよ」

上条「うーん、そうか?」

美琴「そうよ!!私と当麻が命を懸けてバトったり悪の研究員を消し炭にしたり首から下が潰されたり!!」

上条「いやそんな事一度もないからな?!てか何かエグいよ!?」

美琴「それもこれもはりねずみの奴が鬱展開しか考えて無いのが悪い!どういうことよ夢に私が出てきて当麻が居ないって、昔見た上琴の夢の続きはどこ行ったー!!」

上条「ストップ美琴さん!これ以上メタ発言しないで!!」

美琴「たとえ夢でももっと遊園地でデートしたいし二人でラジオ出演したい!というかもっといちゃつきたい!!」

上条「わかった。わかったから落ち着いて!!」

美琴「……じゃあ、いちゃいちゃしてくれる?」

上条「ああ、美琴の気が済むまでしてやるよ」

美琴「具体的にどうすればいいかわかってる?」

上条「えーっと、こうか?」ギュッ

美琴「……よろしい」

美琴「じゃあ今度は撫でてほしいなー、なんて」

上条「まったく、我儘な姫だことで」ナデナデ

美琴「エヘヘー」ニパー

美琴「ねぇ当麻」

上条「ん?」

美琴「ん」chu*

上条「ーーーーえ、あ、あわわわわ」////

美琴「大好き」

上条「お、俺もだ、大す、好きだ、ぞ−−−−ふにゃー」プシュー

美琴「と、当麻が壊れたー!!」


243 : はりねずみ :2014/05/23(金) 00:29:19 bRr5p/O2
以上です。ちなみに夢の件は全部本当です


244 : ■■■■ :2014/05/23(金) 23:50:13 dXvtL2fE
キスの日の上琴GJです


245 : ■■■■ :2014/05/24(土) 11:02:41 vDuC2eM.
GJ!!


246 : はりねずみ :2014/05/26(月) 02:06:32 6e3ILrtw
人いないし、連続だけどいいわよね?


247 : 新妻美琴は待ち侘びて :2014/05/26(月) 02:08:32 6e3ILrtw
(……遅い)

しかめっ面で椅子に座っている女性。上条美琴。
時刻は既に夜の10時。彼の仕事は4時には終わるし、このマンションからは歩いても1時間とかからない。
彼女らは結婚して半年にも満たない新婚であったが、出会って10年近く経ち、愛する旦那の帰りが遅い時は決まって何か事件(決まって女性が関わっている)に巻き込まれていると容易に想像できた。
せっかく彼のために作った味噌汁や肉じゃがも冷え切ってしまい、彼女の目の前は何もよそられておらず、ひっくり返された食器類が二人分。
もう我慢できないと立ち上がる美琴であったが、何かに気づくと、お腹を擦り再び椅子に座った。

「あーもう早くしないと一人で食べちゃうんだから!」

そんなことを言う美琴であるが、頬をプクーっと膨らませるだけど手を動かそうとしなかった。
旦那と一緒に食べることに価値があるのだと考える新妻美琴はかれこれ3時間、同じことの繰り返しである。
朝起きたらおはようのキスをして、旦那が仕事に行く時に行ってらっしゃいのキスをする。そして帰ってきたら一緒に夕飯を食べて、最後は同じベッドで愛を育む。それが美琴の新婚生活であり幸せである。一つでも欠ける事は彼女には耐えられないのだ。

(早く帰ってきなさいよ。馬鹿)

とうとう耐えきれなくなり、目元に涙を浮かべ始めた瞬間、玄関の扉が開く音がした。

「た、ただいまー」

袖で流れかけた涙を拭うと、そこには頭に包帯を巻き、顔にいくつかの擦り傷が出来ている、待ち侘びた愛しい人の姿があった。
美琴にとって、遅くなった事や怪我をしていることよりも、ただここに帰ってきたのが嬉しかった。
抱きつきたくなる気持ちもあったが、美琴は我慢してツンと構えた。
ここで抱きつきたいたら、また寂しがりやなどと言われるからだ。

「遅いのよ!この馬鹿当麻!!」


248 : はりねずみ :2014/05/26(月) 02:13:37 6e3ILrtw
以上です。今から投稿しようと思っていた方、気にせずに投下して下さい。


249 : ■■■■ :2014/05/26(月) 02:21:35 7shVAGKo
乙ですー寝る前にいいものが読めた


250 : くまのこ :2014/05/26(月) 06:44:34 7AxsMdcg
>>はりねずみさんGJです!
>>243 キスの日忘れてた…うー、自分も何か書きたかった…!
>>248 旦那さ〜ん! 早く帰ってきてあげて〜!



朝っぱらから失礼します。
短編書きました。今回はかなりベタです。
約3分後に4レスです。


251 : 美琴ちゃんが熱を出して、上条さんがそれを看病するだけの話 :2014/05/26(月) 06:47:21 7AxsMdcg
上条はスーパーのレジ袋をぶら下げ、その洋館じみた建物を見上げた。
ここに来るのは二度目だが、やはり妙な緊張感がある。

ここは常盤台中学学生寮。美琴や白井が暮らしている女子寮である。
常盤台中学は学舎の園の中と外にそれぞれ学生寮を構えているが、
美琴達が住んでいるこちらの寮は、後者の方だ。
学舎の園の外にある為、こうして上条が寮の正面玄関付近に突っ立っていても…
まぁ、怪しまれはするがそれだけだ。
このまま何もせずに帰れば、風紀委員にも警備員にも通報はされないだろう。
しかし当然、用が無ければ女子寮【こんなところ】には来ない。
そう、上条は先程、ここへ来るように呼び出されたのだ。

「本当に…入って大丈夫なのか…?」

早くも不安と不幸の入り混じった空気が、上条の周りにまとわりついていた。



きっかけは携帯電話の着信だった。

「とうまとうま! でんわーが鳴ってるんだよ! 早く早く!」

インデックスに急かされ携帯電話を手に取る上条。
どうやらインデックスは、電話は早く出ないと爆発するとでも思っているらしい。
着信を見ると、そこには「御坂美琴」の文字。通話ボタンを押し、

「もしもし、美琴か?」

と相手の名前を確認する。
(ちなみにインデックスは、上条が「美琴」の名を口にした瞬間、唐突に不機嫌モードに突入した)
だが返ってきた言葉は、美琴の声ではなかった。

『あ、もしもし上条さんですか? あたしです。佐天涙子です。
 今ちょっと、御坂さんのケータイから掛けさせてもらってます。
 あ、ホラ、あたしって上条さんの番号知らないじゃないですか』

だからって人の携帯電話を使ってもいいのだろうか、とは上条も思ったが、
佐天もおそらく、それを承知で使っているだろうから、敢えてツッコまない。

「ああ、佐天か? それで美琴のケータイ使ってまで、俺に何か?」
『あー、いや実はですね。あたし今、御坂さんの家にいるんですよ』
「美琴ん家って事は、常盤台の女子寮だよな。
 あそこって部外者は立ち入り禁止じゃなかったっけ? 佐天はどうやって入ったんだ?」
『白井さんの空間移動があれば、セキュリティとかも関係ありませんから。
 あっ、ちなみに他にも初春って友達もいたんですけど、
 今は初春も白井さんも風紀委員の仕事に出てていませんので♪』

さらり、と割ととんでもない事を言ってのける佐天。白井の苦い顔が目に浮ぶ。
おそらくその初春という子も、佐天に無理やり連れてこさせられたのだろう。
それにしても、「今は初春も白井も仕事でいない」と言った時の、佐天の妙にご機嫌な声が気になる。

『あ、で。ここからが本題なんですけど、何であたし達が御坂さんの家にいるかって言うとですね、
 実はお見舞いに来てるんですよ』
「お見舞い?」

思わず聞き返す上条。お見舞いとはまた、穏やかではない。

『って言っても、そんなに大事じゃないですよ。ちょっと熱出して寝込んでるってだけで』
「……『あの』美琴が?」
『はい。「その」御坂さんがです』

普段、病気とは無縁そうな美琴からはあまり想像できないが、美琴だって人の子である。
たまには風邪ぐらい引いたりもするのだ。

「はー…それでお見舞いになぁ…」
『それでですね、ここからが本題の本題なんですけど……』

佐天はわざとらしく思わせぶりに、一拍置いて溜めてから、本題の本題とやらを口に出す。

『…上条さんも今からお見舞いに来てください! 今から? ううん、むしろ「今すぐ」に!』
「あ、ああ…別にいいけど……」

佐天の突然の勢いに、上条は思わず了承してしまう。しかし一つ問題が。

「いやでも待て。流石に俺が女子寮に行くのはマズいだろ」
『大丈夫です! あたしが何とかしますから!』

それでも佐天は折れない。何とかするって、具体的にはどうするつもりだというのか。
しかし何か妙案でもあるのか、自信満々である。

「……まぁ、いいけど。でも何でそこまでするんだ? 俺が行かないと困る理由でもあるのか?」

上条の問いに佐天は、

『はい! 上条さんがいないと、めちゃくちゃ困ります♪』

と全く困ってなさげに返事をした。


252 : 美琴ちゃんが熱を出して、上条さんがそれを看病するだけの話 :2014/05/26(月) 06:48:25 7AxsMdcg
「本当に…入って大丈夫なのか…?」

常盤台中学学生寮の入り口前で、上条は佐天が『何とかしてくれる』のを信じ、
美琴(と白井)の部屋番号を押そうとする。勿論、美琴のお見舞いをする為だ。

ちなみにあの電話の後、上条が「美琴の所に行ってくる」とインデックスに告げると、
インデックスは益々不機嫌になったが、「帰りにプリンでも買ってきてやる」と約束を交わし、
渋々納得してくれたようだ。
夕飯の用意も抜かりなく、ご飯はとりあえず炊いたので、
おかずは冷凍食品を適当にチンするだけでOKだ。それで本当に抜かりが無いのかどうかは疑問だが。
ただし、レンジの扱いはあくまでもオティヌスにやってもらうようにと釘を刺しておいた。
身長僅か15センチの体躯しかないオティヌスだとしても、
かつて風呂の給湯器を破壊したという前科があるインデックスよりは、ナンボかマシという物だ。

上条は208と番号を打ち、インターホンを押した。
するとスピーカーから、ノイズと共に佐天の声が聞こえてくる。

『もしもし? もしかして上条さんですか?』
「あー、うん。俺だけど」
『待ってましたよー! 今、玄関のロック外しますね!?』

佐天はそう言うとインターホンを切り、同時にガキガキバキンと何種類ものロックが外れる音が鳴る。
柵川中学生徒【ぶがいしゃ】がここまで勝手な事をしてもいいのだろうか、とは上条も思ったが、
流石に美琴と白井【やぬしたち】には許可を取ってあるだろうと、敢えてツッコまない。

玄関をくぐり、二階の階段を上る上条だが、美琴の部屋に辿り着くまでに、数々の問題が発生した。
主に寮生に見つかり痴漢と間違われたり、寮監に見つかり首をへし折られたり。
その都度毎に説明する羽目になり、部屋に辿り着いたのは、
玄関へ足を踏み入れてから数十分後だった。それでも、寮から叩き出されなかっただけ良かったが。
お見舞いに来たという上条の決死の弁明と、その類まれなるフラグ能力で、
何とか寮監の説得に成功し、特別に寮に入れる許可を貰ったのだ。
(つまり、この短い時間で『あの』寮監に何らかのフラグを立てたという事でもある)

佐天の言う「何とかする」は結局の所、ただのノープランであった。
要は「鍵を開けたら、あとは誰にも見つからないように気をつけて入ってきてください」という事だ。
不幸体質の上条にとって、この状況で誰にも見つからないというのは、ただのムチャブリである。

ボロボロになりながらも、やっとの思いで208号室のドアを開けた上条。そこに待ち受けていたのは、

「遅いですよ上条さん!」

という佐天の理不尽な一言だった。

「あー…佐天さん? アナタには言いたい事が山のようにあるのですが、
 とりあえず今のワタクシの姿を見て何とも思いませんかねコンチクショウ」
「うぐっ…!? ご、ごめんなさい……」

ノープランだった事には多少罪悪感があったようで、『一応』謝る佐天。

「でもまぁ、とにかく来れたんですから良かったじゃないですか。
 さっ! 立ち話も何ですし、入ってください」

しかし早々に反省タイムは終了する。
上条は色々と言いたい事があったが、何を言っても無駄っぽいので諦めた。


253 : 美琴ちゃんが熱を出して、上条さんがそれを看病するだけの話 :2014/05/26(月) 06:49:20 7AxsMdcg
美琴の部屋に入って真っ先に目に入ったのは、

「はぁ……はぁ……」

と苦しそうな息を吐きながらベッドに寝ている、美琴の姿であった。
熱に浮かされがらも、美琴は上条がそこにいる事に気づき、
こちらに顔を向けながらいつもの軽口をたたく。

「なん……で…はぁ…ア…ンタ……が…こんなとこに…いんの……はぁ…よ……」
「佐天に呼ばれて見舞いに来たんだよ。何か俺がいないと困るからって―――」

言いながら、上条はその事を思い出す。

「―――っと、そうだ。そろそろ俺がいないと困るっていう意味を教えてくれよ」

上条のその言葉に、佐天は「待ってました」と言わんばかりの不敵な笑みを浮かべる。

「ああ、そうでしたね! いや〜、実はあたしもこの後、どうしても急用ができる予定でして、
 初春も白井さんもいない今、誰かが御坂さんを看てないといけないじゃないですか。
 だから上条さんを呼んだんですよ♪」

ツッコんだら色々とボロが出そうな証言である。
それならばわざわざ遠くにいる上条を呼び出さず、他の寮生を呼べば済むし、
「急用ができる予定」という矛盾しまくった言葉も怪しすぎる。
が、ツッコミ所が多い事が逆に災いし、上条が何を言おうかと悩んでいる隙に、

「という訳で、後はヨロシクお願いします!」

と佐天は部屋を出て行ってしまった。
残された上条は、「えー…?」と困惑するばかりであった。



佐天の謀略により美琴と二人きりにされてしまった上条。
しかしこのまま美琴を放っておく訳にもいかず、上条は仕方なく看病をし始める。

「濡れタオル、新しいのに替えるか?」
「別に…いい……わよゴホッ、ゴホ!……うー…」

ぷいっと顔を背ける美琴。病気中ですら彼女はツンデレている。
だが彼女も熱で弱気になっているらしく、上条が

「あのなぁ、こんな時ぐらい頼れっての。ほら、新しいタオル」
「ちべたっ!(冷たっ!)」
「それと食欲はあるか? 一応スーパーで桃缶買ってきたんだけど、食うか?」

と優しく諭すと、

「…………食べる…」

美琴は呟くように、ちょっとだけ甘えだした。
いつものように突っかかるだけの元気が無いのか、それとも雰囲気に呑まれたのか。

ともあれ上条は、スーパーの袋から桃缶を取り出し、缶切りを借りて蓋を開ける。
そしてそのまま中の桃にフォークを刺し、

「よし! はい、じゃあ『あ〜ん』」

とそれを美琴のお口へと運び出したではないか。
これには流石の美琴も、

「ふぁえっ!? ちょ、じ、自分で食べ…ゲーッホゲホッ! …られる…はぁ、はぁ…から!」

と反論する。そんな事をされたら、余計に熱が上がってしまう。…風邪とは違う要因で。
しかし上条はお構い無しだ。美琴の様子を呆れ顔で見つめると、

「そんなんで無理すんなっての。
 今は上条さんが看病してんだから、これくらいのサービスはさせてもらいますよ。
 下手に動いて悪化でもしたらシャレになんねーだろ? 今は体を治す事だけ考えてればいいんだよ。
 俺だって、美琴が元気になってくれないと張り合いがないしな。
 それに…俺はやっぱり、いつもの美琴の方が好きだし」

などと相変わらず「わざとやってんじゃねぇか」と疑いたくなる様な事を無自覚に言いやがる。
上条が誰にでもこんな事を言う奴だというのは理解しているが、
それでも嬉しく感じてしまうのは、惚れた弱み、という物のせいだろう。
頭では分かっていても、心まではどうしようもないのだ。
美琴は先程自分で危惧した通り、熱が1℃上がる。勿論、風邪とは違う要因で。

「分かったら早く『あ〜ん』しろ。『あ〜ん』」
「……あ…あ〜…ん………」

上条に促され、素直に「あ〜ん」とやらに応じる美琴。
いつもよりも素直になっているのは、きっと熱のせいなのだ。そういう事にしておこう。

小鳥が親鳥からごはんを貰うように、上条からの「あ〜ん」を受け入れた美琴。
もぐもぐと小さい口を動かし、ゆっくりと味わう。
口の中に広がる甘さは、桃とシロップの味だけではないようだ。

「美味いか?」
「………うん…」

こくん、と頷く。
もっと食べられそうなので、上条は二つ目の桃をフォークに刺したのだった。


254 : 美琴ちゃんが熱を出して、上条さんがそれを看病するだけの話 :2014/05/26(月) 06:50:15 7AxsMdcg
しばらく経ち、美琴は眠くなったのか、うつらうつらと船を漕ぎ始める。
そろそろ白井も帰ってくる頃だろうと思い、上条は席を立とうとする。

「さて、と。俺はそろそろ寮監さんに挨拶してから帰るから、美琴も早めに寝て風邪治せよな」

だが上条が別れの挨拶を切り出した時に、異変が起きた。
立ち上がろうとする上条の服の裾を、美琴が掴んでいたのだ。
そしてそのまま、クイッと引っ張られる。不思議に思い美琴の顔へと目を向けると、

「………もう少し…一緒にいちゃ……だめ…?」

なんて事を、潤んだ瞳で見つめながらおねだりしてきたのだ。
先程の「あ〜ん」攻撃のせいで、頭の中の『ツン』を司る回路のネジが緩んでしまったらしく、
ここぞとばかりに『デレ』まくる。
上気し薄紅色に染まった頬と汗ばんだ肌。「はぁはぁ」と熱を帯びた吐息。
何よりも普段とは全く違い、守ってあげたくなる程に弱々しい美琴の姿に、
上条は思わずドキッとしてしまう。抱き締めてしまいそうになる程に。

「あ…い、いや……ダメって事はねーけど………も、もうすぐ完全下校時刻だしさ…」

慌てて目線を逸らし、言い訳をする上条。ヘタレである。
が、デレ期に突入した美琴の破壊力は半端ではなかった。
可愛い女の子が俯いきながら「…行っちゃ…やだ………」なんて呟いたら、流石の上条と言えど、

「〜〜〜っ! わ、わわ、分かったよ! み、美琴が寝るまでな!」

と了承せざるを得ないのだ。



すーすー、と可愛らしい寝息が聞こえてくる。『美琴が寝るまで一緒にいる』約束をした上条は、
彼女が眠りだしたので、そっと部屋を出…てはいなかった。まだ美琴のベッドから離れられずにいる。
そう、離れないのではなくて、離れられないのだ。何故なら…

「……あのー、美琴さ〜ん? 手を離してはくれませんかね〜…?」

いつの間にか美琴は、故意かそうでないかはさて置いて、
上条の左手を握ったまま眠りに就いていたのだ。おかげで動くに動けない状態なのである。
しかも厄介な事に、手を外そうとすると、「ん゛ー…っ!」と唸りながら帯電させるのだ。
その度に右手で抑えている訳なのだが、本当に眠っているのかとツッコミたくなってくる。

その時だ。むにゃ、と美琴が寝言を一言漏らした。

「…む〜……当麻ぁ〜……ふへへぇ〜…すぴー…」

瞬間、ドキリッ!とした。美琴から名前を呼ばれたのは、これが初めてだったのだ。
聞き慣れないせいか、妙にこそばゆい。しかしそれにしても、

「…幸せそうな寝顔してんなぁ……どんな夢見てんだ…?」

きっといい夢を見ている事だろう。夢の外でも中でも、隣に『当麻』がいるのだから。
ふと何気なく、何故そうしたのか自分でも分からないが、上条は美琴の頭をそっと撫で―――

「………何をしてやがりますの上条さん…?」

―――てみたこのタイミングで、白井が帰って来た。
気配無く部屋に現れた事から空間移動を使ったのは容易に推理できるが、そんな事はどうでもいい。
問題は彼女の全身から溢れ出す殺意をどうするかだ。

「い、いやあのですね。佐天に頼まれて美琴の看病をしていた次第でして、
 ちゃんと寮監さんの許可も貰っておりますので―――」

しどろもどろに説明する上条だが、当然白井はそんな事は聞いていない。

「それでお姉様の寝込みを襲ってベッドの中で
 組んず解れつ絡み合おうとしてやがりましたのねこの類人猿がっ!!!
 そのお役目は…そのお役目はこの黒子の物ですのおおおおおおお!!!!!」

訳の分からない事を仰りつつ金属矢を構える白井。
愛しのお姉様の事になると、彼女は簡単に暴走状態になれるのだ。
だが上条の不幸はまだ続く。次なる招かれざる客だ。
バンッ!とドアを強く開けながら部屋に入ってきたのは、その手にビデオカメラを持った

「あ〜、もう! ダメじゃないですか白井さん! もうちょっとでいい画が撮れたのに!」

佐天だ。どうやらあの後彼女は、帰ったフリをしながら、実はこっそり部屋の様子を盗撮していたらしい。
ここまですると、もはや逆に拍手をしたくなってくる。

白井と佐天。それぞれ違った視点からの不幸が上条を襲う。
上条は「あはは…」を乾いた笑いで顔を引きつらせ、美琴は、

「当麻………好…むにゃ…」

と幸せな夢の続きを見るのだった。


255 : くまのこ :2014/05/26(月) 06:51:46 7AxsMdcg
以上です。
ドタバタ→ほのぼの→やっぱりドタバタ
ってのを書きたかったんです。
ではまた。


256 : ■■■■ :2014/05/26(月) 13:53:14 QhCenwlA
>>255
寮監を手なずけるとは…w
流石上やんw

くまのこさんGJです、
(佐天さんを本編でどう呼んだんだっけ、上条さん)


257 : ■■■■ :2014/05/26(月) 17:52:24 7AxsMdcg
>>256さん
超電磁砲9巻時点で一度だけ「佐天さん」って呼んでますけど、
この時は初対面でしたし、お互いに美琴の友人って知りませんでしたから。
でも今回自分が書いた話のように、知り合い同士の状態で、
上条さんが相手を「さん付け」で呼ぶのは不自然かな〜と思って呼び捨てにしました。
上条さん、知り合いにはフランクですしね。


258 : ■■■■ :2014/05/26(月) 18:24:47 QhCenwlA
>>257
あーそうですね、言ってますな

上条さんは基本呼び捨てだからいいのかw
佐天さんが呼び捨てで呼ばれたことないからかな、ちらっと違和感あったのは


259 : ・・・ :2014/05/27(火) 07:32:41 avCz3EPY
どーも・・・です

くまのこさん
>>205
もぉ、理想の家族過ぎて、涙腺が
こっちまで幸せになれました

>>233
えーっと、助けないでいいの? ってだめだ、自分の世界に入ってら
さてと、二人ともー手伝うよー

>>255
流石だ(登場人物全員に対し)
特にノープランにはもはや感服するしかない(笑)


はりねずみさん

>>243
き、キスの日とかあったのか、知らなんだ
恋人らしいこと、できるようになったんですね

>>248
どうせ我慢しても上条さんから抱きしめてくれますよ
相変わらずのカミやん、もうすぐパパになることも考えてムリすんな



さてと、投稿しますね、
ようやくまとまったので後は書くだけ
……そんな時間が確保できないんだけどね
では、育児日記、続き行きます

それでは


260 : 公園デビュー2 :2014/05/27(火) 07:33:37 avCz3EPY
公園のベンチで美琴は目を覚ました。

「お、起きたか」

目の前には心から欲している彼の微笑み……って!!

「膝枕ーーーーーーーーー!!!!」

「うぉっ!!うるさいな!! そしてもう立てるのな」

「なにしてくれてんのよ!!」

「お前がインデックスのアイス食った瞬間気絶したんだろ」

「だけどほかにもやりようがあったでしょ!!」

「あーわかったわかった、いいから座れって!!!」

「……まったくもう」

「で? 大丈夫なのか?」

「へ?……うん、大丈夫」

ようやく周囲の状況が飲み込めてきた。
遊具が多いタイプの公園。
目の前の砂場で

「だー、ていっ!!……ぱーぱ!! まーま!!」

インデックスが遊び、二人に手を振っていた。
それに対し、上条は手を振り返す。
それを見た美琴も落ち着いたのか、インデックスに手を振り返した。

蝉の声とともに風が通り過ぎる

(あれ? コイツと一緒にいてこんなに静かだったことってあったかな?)

そして、気づいてしまった。

上条の視線に。

(……あっ……)

風が通り過ぎ、木々が揺れ、葉のこすれる音がする。
二人の視線が交差する。
心臓の音がうるさい。
静寂が、心地よい。
今なら、言える気がする。


261 : 公園デビュー2 :2014/05/27(火) 07:34:18 avCz3EPY
「……ねぇ」

「なんだ?」

「ずっと、言いたかったことがあるの」

「ん?」

「わたしね、アンタ「おっねぇさっまーーーーーーーーー!!!」ごぶふぁ!!」

ものすごいタックルを脇腹にくらった。

「オ姉様ですの!! oneesamaですの!! 夢にまで見た、お ね え さ まですのーーーーーーーーーーー!!!!」

「白井?」

「? き、貴様は類人猿!!」

「……ついに俺に対する嫌悪感を隠さなくなったな」

「なんであなたもここに!! なるほど、お姉様の露払いに私がいると知りながら、わざわざお姉様にちかづ「くーろーこー」ああ、お姉様、なんですの? 少し待ってくださいまし、今からこの寝癖頭類人猿に正義の鉄槌ぶぶへぶら」

雷電が白井黒子を黒い黒子に変える。

「あー、寝癖立ってたのか、さっき御坂が言おうとしたのもそれか?」

「へ? あ、えー、うん、そうそう」

上条に顔を背け涙する美琴。
アイツはありがとなーなんて言っている。

「ちょっと白井さん何してるんですか!!」

「うわー、ほんとに御坂さんいるし」

「初春さん!! 佐天さん!!」

「どもー」「こんにちは」

「おっす」

「あれ? 上条さん?」

「こんにちは上条さん、ご無沙汰してます」

「……ちょっと御坂さん借りますねー!! 初春もこっち来て!!」

寝癖頭類人猿は?を浮かべながらおとなしく頷いた。

「水臭いなー御坂さん!!」

「へ? なんのこと?」「なんのことですか佐天さん?」

「まさか上条さんと付き合ってたとは」

一瞬、確実に時間が止まった。

「な、な、何言ってんのよ佐天さん!!わたしが何でアイツと付き合わなくちゃいけないのよ!!!」

「そ、そうだったんですか!!! じゃあ、今日は……で、デート!!!! お邪魔してすみません!!!!!」

「だ、だから違うってば!!」

「デートだとぉぉおおおおおおおおお!!!!」

「あ、白井さん、おはようございます」

「だから違うってんでしょうが!!!」


262 : 公園デビュー2 :2014/05/27(火) 07:34:52 avCz3EPY
やかましいことこの上ない。

一方で、上条は視線を動かせないでいた。
その先にあったのは百面相する御坂美琴。
あれ? オレ、アイツのあんな表情見たことあったっけか?

御坂たちはその視線に気づかず話をしている。
そんな中、また呼ばれてしまった。

「ぱーぱ!! まーま!!」

そしてついつい二人は手を振っちゃうのだった。

それを見て固まる三人を置いて、
お話はまた次回に持ち越される。


263 : ・・・ :2014/05/27(火) 07:37:25 avCz3EPY
今回は以上です

7月以降は時間が作れるか?


264 : ■■■■ :2014/05/27(火) 07:44:49 XLEvhBZc
GJ!!


265 : ■■■■ :2014/05/27(火) 23:58:23 L7lfkT3g
グッジョブ**


266 : シラボネX :2014/05/30(金) 18:59:38 3Yn.kyhw
おひさしぶりです
まずは感想をと思ったんですが、すごくいっぱいあって
感想書くだけですごく時間が…
とりあえず皆様GJです!!

ごめんなさい、次からはこんな事にならないようssが投下されたら
感想レスを書くようにします…本当にごめんなさい
あと、感想レスだけ書く時はコテハンは無しの方がいいんでしょうか?

では、小ネタ投下します


267 : シラボネX :2014/05/30(金) 19:01:22 3Yn.kyhw
小ネタ 上琴バカップル合体攻撃 パート2


謎の敵の弟「ぐははははは、もうおしまいか!」

上条「ちくしょう!」

美琴「大ピンチね…」

謎の敵の弟「てめえらにやられたアニキのしかえしをしてやるぜ〜」

上条「美琴!こうなったらアレでいくぞ!」

美琴「よくってよ当麻!」

上条、助走をつけ大ジャンプ
そのまま敵目がけてとび蹴りの体勢をつけ、

美琴「砂鉄で当麻の足をコーティング!続けて電撃!」

上条「スーパー!」

美琴「イナズマ!」

上条美琴「「キーーーーーーーーック!!」」

謎の敵の弟「バ、バカなーーーーーーー!」

ズドオォーーーン!

上条「きまった!」

美琴「やったね当麻♪」





ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜

美琴「うえ〜ん、当麻の足が折れちゃうなんて〜(涙)」

救急隊員「だからさ…うん、もういいや…」

END(ひでぶ!)


268 : シラボネX :2014/05/30(金) 19:05:08 3Yn.kyhw
以上です

実は短編も書いたんですが、前に書いた王道物語の二番煎じみたい
になって投下してもいいのか迷ってます

では


269 : ■■■■ :2014/05/30(金) 22:27:01 fs5qaGGM
ガンバスターw


270 : はりねずみ :2014/06/02(月) 00:06:52 LWTNQN7A
>>くまのこさん
あーもう黒子。もう少し待てばもっと面白いことになったのに、惜しい。けどいつものくまのこさんクオリティ!GJです!!


>>・・・さん
デート?いいえ育児です。
あと、キスの日って、言われるまで知りませんでした。奇跡!

>>シラボネXさん
いい加減に……いやもういい。
二番煎じ?私がどれだけ同じネタを使いまわしてると思っている!
とにかく投稿していただければ嬉しいです。

さて、超電磁砲最新話ネタですけど、行きます。


271 : フォークダンスを踊り踊られ :2014/06/02(月) 00:07:43 LWTNQN7A
この状況は一体何なんだろうか。

「お嬢ちゃん。これから俺とフォークダンスしないかにゃー?」
「あ、えっと」

上条の目の前には、土御門に絡まれている美琴という、奇妙な構図が出来上がっている。
今回の大覇星祭では上条と美琴は同じ紅組であったし、魔術師の侵略とか木原の野望とか学園都市の壊滅を目論む復讐者とかもいない、健全で平和的な能力者の祭典であった。
そして今、何故土御門が美琴に絡んでいるかと言うと、ナイトパレードで一緒に踊る相手がいないところをたまたま見かけたからだ。本当に見知らぬ人間であったのなら土御門がここまでする理由はなかったのであろうが、上条と知り合いであったのが最大の理由だろう。
ちなみに青髪ピアスはそこらでナンパ中。今のところ全戦全敗である。
土御門の誘いに、美琴としては珍しくなあなあで済まそうとしている。自分の知り合いだからあまり気分を悪くさせたくないのだろうか、などと上条は考える。

(そんなの気にしないでさっさと断われよ)

上条は、自分でもわからないがそんな思いが頭をよぎった。
そんな上条に気づいて、土御門はニヤニヤととても意地悪そうに言う。

「おやぁカミやん。そんな顔して、ははーん。もしかしてこの娘に気が有るのかにゃー?」
「……そんなわけないだろ。それに美琴も、断る気が無いんだったらさっさと行けばいいだろ」

そんなとこ微塵も思っていなかった。だけども今まで感じた事のない気持ちに襲われてつい口にだしてしまった。

「そうね。アンタは私と踊る気は無いし、私も嫌だなんて思ってない。私、お誘いありがとうございます。先に行ってますから」

とても怒りながら美琴は、フォークダンスを踊っている男女の中へと入って行った。

「いいのか?カミやん」
「お前が誘ったんだろ。早く行けよ」
「じゃあお言葉に甘えて――――うおっ!」

ズデン!と何も落ちてない地面にわざとらしく、大げさに転げこんだ。

「うおー転んだ拍子に足をくじいてそのショックで屋台の食いものがアタッて痛くてどうしようもないにゃあ!」
「…………何やってんだよお前」

どこからどうみても演技。それも本当に演技だとわかるように。

(何を考えてんだ?)
「あーこれじゃあダンス踊れないにゃー。カミやん」
「何だよ」
「これじゃああの娘に悪いから、カミやん代わりに行ってくれないかにゃー」
「は?何でだよ」
「行くよな?」

殺気を放ちながら「どんちゅ?」と問いかける土御門に、

「い、いえすあいでゅー」

としか言えなかった。


272 : フォークダンスを踊り踊られ :2014/06/02(月) 00:08:10 LWTNQN7A


(あーもう!!)

土御門は本当に何を考えているのかわからない。
一体何の目的で自分と美琴を誘導しているのか。

「ア、アンタ」

上条は美琴を見つけると、何も言わずに美琴の腕を掴むと、中央の男女の中に混じっていく。
フォークダンス自体がわからないわけではないが、どうしても手足が固まって思うように動かない。
流れている曲は1年前美琴と踊ったのと同じであった。
曲が中盤まで流れた頃、口を開いたのは美琴であった。

「本当は、アンタに止めてほしかった」
「え?」
「本当はアンタと踊りたくて、ずっと探してて、でもアンタ、私が絡まれてるのにまったく止めてくれなかったからムキになって、ごめん」

美琴の告白に、上条の心は晴れた。

「俺も、美琴が土御門の誘いをちゃんと断らないからいらいらしてた。ごめん」
「ううん。ねえ、せっかくなんだし、もっと楽しみましょうよ」
「そうだな」

手足が軽くなったのがわかった。
美琴と踊るのが楽しいと、心から感じられるからだ。











そんな2人を遠くから見守るもう一組の男女。

「いやー上手く行きましたね」

黒髪の少女は微笑ましい顔で。

「禁書目録には悪いけど、カミやんには幸せになってもらいたいからにゃー」

目的は違う。
考えてる事も違う。
けれども2人は共通してある物を持っている。


ビデオカメラだ。


273 : はりねずみ :2014/06/02(月) 00:08:55 LWTNQN7A
以上です。最後に一言。
佐天さんはやっぱり俺達の佐天さんだった!


274 : ■■■■ :2014/06/02(月) 01:07:29 Sd.b2p56
最っ高だねェ


275 : ■■■■ :2014/06/02(月) 01:45:47 XD7puZjg
一年後の大覇星祭かな?
いいな〜こういうの


276 : ■■■■ :2014/06/02(月) 19:49:13 c9TQJ/us
はりねずみさん///
距離感が絶妙です

いちゃいちゃは大好物です(渇望)
ラブコメ物は微笑ましい

でも付き合ってないんだけど嫉妬してされてっていう友達以上恋人未満は上琴の醍醐味の一つですよね!!
勿論付き合っちゃってもいいのよ?(チラッ


277 : シラボネX :2014/06/03(火) 01:12:35 Dj91okKE
どうも、シラボネXです。

>>はりねずみさん
なかなか素直になれないお二人さん、最高ですわw
超電磁砲での佐天さんのアシストっぷりはナイスの一言につきますねw

ではお言葉に甘えて短編投下します。


278 : 上琴で神話パロディ :2014/06/03(火) 01:14:21 Dj91okKE
ギリシャ神話 アンドロメダの物話

昔々、とある町にアンドロメダ美琴という少女がおりました。
彼女はとても美しく、さらに男前な所もあって男女問わず人気がありました。

「お姉様〜!今日こそ黒子とデートをして下さいですの〜!」
「いきなり抱きつくな!」

ゴチン!

「うう〜〜〜〜痛いですの…」
「黒子!私にそっちの趣味は無いって何度言えば解るの!」
「ああ、怒っているお姉様も美しいですの…うえっへっへ」
「く〜ろ〜こ〜」
「お姉様…お姉様は何故にここまで美しいんですの!」
「人の話を聞きなさい!」
「もはや!天界の神々でもお姉様の美しさには勝てませんですの!!」
「いいかげんにしろ!」

ビリビリ! 

「あふうん!お姉様の愛の鞭は良いですの〜〜〜〜!」
「この変態!」


279 : 上琴で神話パロディ :2014/06/03(火) 01:15:09 Dj91okKE
天界

「おい、ゼウス浜〜面〜」
「何だよビーナス麦野」
「今、人間がクソ生意気な事言わなかったか?」
「そうか?俺は何も聞こえなかったが…」
「そうかい?私には聞こえたんだけどね〜。パラスアテナフレンダ、アルテミス絹旗、ヘラ滝壷、あんた達は?」
「聞こえたよ〜麦野」
「私にも超聞こえました」
「聞こえた」
「だそうだ浜面」
「……(面倒な事になりそうだからスルーしようと思ってたのに)」
「人間ごときが私ら神々より美しいなんて超思い上がりもいいところです」
「そうそう、結局一番美しいのはこのフレ…」
「ああん!」
「……む、麦野って訳よ…」
「そうゆう訳で、生意気な人間にはお・し・お・き・か・く・て・い・ね」
(やっぱり面倒な事に…)
「浜面、人間共にアンドロメダ美琴を怪物の生贄にするように命じなさい。でないと怪物に町を破壊させるともね」
「おいおい…ちとやりすぎじゃないか?」
「うるせえんだよ!だまって働け!!」


こうして、神々の怒りを買ったアンドロメダ美琴は怪物の生贄として岸壁に鎖で繋がれる事になってしまったのです。

「待ってください!神々の悪口を言ったのはわたくしです!お姉様の代わりにわたくしが生贄に!」
「良いのよ黒子」
「お姉様!?」
「神様は私を生贄にしろって言ってきたんだから、私じゃないと神様も納得しないわよ」
「お姉様…」
「それじゃ、ばいばい黒子」
「お姉様…申し訳ございませんの…お姉様ーーーーーーー!」


280 : 上琴で神話パロディ :2014/06/03(火) 01:16:08 Dj91okKE
所変わって、白いカブトムシに乗って大空を飛ぶ一人の若者がおりました。
若者の名はペルセウス当麻。
彼はゴーゴン退治を終え、帰路についてる最中でした。

「ふ〜〜〜〜。これでやっと単位がもらえる」

ふと眼下を覗くと、そこに見えた光景に彼は目を疑いました。
なんと!とても美しい少女が岸壁に鎖で繋がれているではないですか!
これは一大事と、当麻は少女のもとへと降り立ちました。

「きゃっ!」
「あ〜〜〜〜、驚かせてごめんな」
「だ、誰よアンタ!もしかして…私を食べにきた怪物!?」
「いきなり怪物は酷いな…俺の名はペルセウス当麻、ただの人ですよ」
「本当に…?」

じと目で当麻を睨む少女。
まあ、いきなり白いカブトムシに乗って現れては無理もあるまい。

「ところで君はこんな所で何やってるん…」

そこまで言って急に口ごもる当麻。やや顔を赤くして

「ああ…お楽しみの最中でしたか」

この言葉にキョトンとする少女。その後、顔を真っ赤にして

「んなわけないでしょうがーーーー!!」

叫ぶと同時に当麻めがけて電撃をぶっぱなしました。

「おわ!?」

慌てて当麻は右手で電撃を打ち消しました。

「何変な想像してんのよ!この変態!!」
「だってお前下着姿で…」(ちなみに原作のギリシャ神話ではアンドロメダは全裸です)
「見るな馬鹿ぁ!!」

再び放たれた電撃を打ち消す。

「はあっ、はあっ、何なのよその右手は…」
「と、とりあえず訳を聞かせてくださいませうか?」
「はあ…」

少女は溜め息を一つ吐くと

「私の名前はアンドロメダ美琴。こんな目にあっているのはね………」

と、美琴はこれまでの経緯を当麻に語り始めました。


281 : 上琴で神話パロディ :2014/06/03(火) 01:17:09 Dj91okKE
「とゆうわけなのよ」

一部始終を語り終えた美琴。その話を聞いた当麻は

「許せないな」

と、呟きました。

「許せないって…そんな事言っても神様が決めた事なんだからもうどうしようも無いじゃない」
「だからってこんな理不尽な事を受け入れられるわけねーだろ!」
「なによ!私が良いって言ってんでしょ!それにアンタは元々部外者でしょうが!!」
「お前に係わった時点でもう部外者じゃねえよ」
「なによそれ…」
「それとも何か?お前は死にたいのか?」
「………たくない」
「なんだって?」
「死にたくないわよ馬鹿!でも他に方法が無いからしかたないじゃない!」

涙目で叫ぶ美琴。そんな美琴に当麻は

「俺が助けてやる」

力強く言ったのでした。

「助けるって…ダメよ!」
「どうして?」
「だって神様が私を生贄にしろって言ったのよ!それに逆らったりしたら怪物が町を…」
「だったら俺がその怪物をたおしてやる」
「え!?」
「こんな理不尽な幻想、俺がぶち殺してやる!」

当麻が熱く叫ぶとまるでその叫びに応じたかのように海から巨大な何かが現れました。

「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかかーーーッ!!!」

現れたのはあらゆるベクトルを操作する怪物、一方通行だったのです!

「怪物め!これでもくらいやがれ!!」

当麻は左手に持っていた袋の中からなにかをとりだして怪物にむかってかかげました。
それはゴーゴンの首、死してなお見た者を石化させる恐ろしい瞳をもつ怪物の首なのです!
その石化の魔力によって一方通行は一瞬で石に…

しーーーーーーーーーん

「あ、あれ???」
『当麻さん、ゴーゴンの首右手で持ったらダメじゃないですか』

カブトムシがつっこみます。

「ええーーー!俺の右手でこれの魔力消えちゃったの!?」
『まったくあなたって人は…』
「どうすんのよド馬鹿!」
「こうなったら………カブトムシ!あいつの顔めがけて飛んでくれ!」
『やれやれ…』

カブトムシは一方通行の攻撃をかいくぐって顔の前までくると、当麻は拳を握り締め、

「歯を食いしばれよ最強(怪物)…俺の最弱(人間)はちっとばっかひびくぞ!!」

バキィ!

当麻の右拳が一方通行の顔面に叩き込まれると、元々打たれ弱い怪物はあっさり打ち倒されましたw


「………(本当に何とかしちゃうなんて…)」

当麻は美琴の拘束を解くと、美琴をカブトムシに乗せました。

「町まで送ってやるよ」
「あ、ありがと…」

そして二人は町をめざして飛んでいきました。
その道中…

「ね、ねえ」
「ん?」
「助けてくれたお礼なんだけど…」
「いらないよ」
「え?」
「俺が助けたいから助けただけさ。だから気にすんなよ」
「そんな事言われても納得できないわよ!」
「しかしな…」
「あーーーーーもう!いいわ!アンタ、私の下着姿見たわよね?」
「あれは不可抗力…」
「私の恥ずかしい姿見たんだから責任とって私をお嫁さんにしなさい!」
「ええーーーーーーー!?」
「なに?私じゃ不満だっての!?」
「そうゆう訳ではありませんが…」
「OKって事でいいわね。よし!帰ったらすぐ結婚式よ!」
「えーーーーー!不幸…じゃないか」

こうして二人は結婚し、幸せにくらしましたとさ。
めでたしめでたし。

END


282 : シラボネX :2014/06/03(火) 01:19:42 Dj91okKE
以上です。
では。


283 : ■■■■ :2014/06/03(火) 01:43:05 RxR/Wcp.
グッジョブ


284 : ■■■■ :2014/06/03(火) 12:40:10 bL8NFmPk
さすがシラボネxさん
荘厳系かと思いきゃギャグテイストw

あんまり関係ありませんがアンドロメダ神話はエチオピア辺りのお話なので黒人さんの天パな外見なんですよ
禁書じゃソーズティかウレアパティが相当しますかね>外見

金髪碧眼は十把一絡げなのに黒人さんは少ないですよね、禁書


285 : ■■■■ :2014/06/03(火) 15:05:38 xRluZROI
ゼウス浜面ビーナス麦野ペルセウス当麻に草不可避
サクッと読めて面白かったですw


286 : ■■■■ :2014/06/04(水) 22:33:49 Wng5CZBY
面白かった!配役もはまってましたし。
なんか初期のくまのこさんのにほひがする・・・


287 : ■■■■ :2014/06/05(木) 18:09:29 nX.QAtgk
面白かった


288 : くまのこ :2014/06/05(木) 20:02:43 li32Qqg6
>>・・・さんGJです!
もはや育児姿が板についてるぞ、ぱぱとまま。
次回も楽しみに待ってます!

>>シラボネXさんGJです!
>>268 一体どこまで行くんだバカップルw 救急隊員さん、いつもお勤めお疲れ様です。
>>282 配役がピッタリすぎて爆笑しましたw 面白かったです!

>>はりねずみさんGJです!
フォークダンス良かったですね〜!
大覇星祭が始まってから、あのシーンをずっと待ってた甲斐がありますよ!



短編書きました。
以前、「お客様、店内でのそういったプレイはお止めください」ってのを書いたのですが、
それ書きながら思いついたネタです。
なので設定や展開等がほぼそのままです。ご了承くださいです。
大体3分後に6レスです。


289 : グループ史上最悪の任務 :2014/06/05(木) 20:05:25 li32Qqg6
これは、学園都市統括理事会直属の暗部組織・『グループ』が活動していた頃の記録である。



第七学区にある、雑居ビルの密集地域。通称「蜂の巣」。
ここら一帯は基本的に商業施設として貸し出されてはいるが、その審査はゆるく設定されており、
そのおかげで大抵の利用者は、『よからぬ目的』を持った者が多い。
そしてその中には、

「あー…全員集まったかにゃー?」
「そのようですね」
「てか、見りゃ分かるでしょ。4人しかいないんだから」
「……くだらねェ事言ってねェで、とっとと始めろ」

学園都市の闇・暗部組織もいたりするのだ。
土御門元春、海原光貴(本名・エツァリ)、結標淡希、一方通行…
彼等グループは、決して仲間ではない。
それぞれが学園都市に人質を取られ、それぞれの理由で任務をこなしているに過ぎないのだ。
その任務も当然真っ当な物など一つもなく、敵の血を見ずに帰れる日など在りはしない。

「…じゃあ点呼も済んだし、早速任務内容を発表しようと思うんだけど…
 んー…あー、その。心の準備はいいかにゃー…?」

どうやら今回も厄介な仕事らしく、リーダー格(正式なリーダーではないが)の土御門も、
本日の任務内容を言いあぐねる。

「とっとと始めろっつってンだろ。クソみてェな仕事は、今に始まった事じゃねェ」
「同感ですね。そもそも我々は、どんな任務であろうと学園都市には逆らえませんし」

一方通行と海原に言われ、土御門も「……分かった」と重い口を開く。

「まず、今回のターゲットはこの二人だ」

そう言いながら、土御門は二枚の写真を取り出す。
ターゲット…やはり今回も、血なまぐさい任務となりそうだ。
…と、そう思っていたのだ。土御門以外の三人は。
しかし、その二枚の写真を見た瞬間、

「……あっ?」

結標は目を丸くさせ、

「…っ!!!」

海原はいつもの笑顔のまま表情を固まらせ、

「なンの冗談ですかこりゃァよォォォォォ!!!」

一方通行は額に血管を浮き出させながら声を荒げた。
写真の顔は、程度の差こそあれど、ここにいる全員と『関係』…延いては『因縁』さえある人物達、
「上条当麻」と「御坂美琴」であった。
だがこれで終わりではない。土御門はこのターゲットに対する、衝撃的な任務内容を3人に告げたのだ。

「……今度この二人がデートするから、オレ達はそれをこっそりサポートして、
 もし邪魔が入ったら迅速かつ秘密裏に排除する…ってのが、今回の内容だぜい。
 何か質問がある奴は?」

質問の代わりに、3人からの絶妙に微妙な表情と、何とも居た堪れない沈黙が返って来たのだった。


290 : グループ史上最悪の任務 :2014/06/05(木) 20:06:02 li32Qqg6
9月30日。上条は美琴に、大覇星祭で負けた時の罰ゲームをさせられたらしい。
傍から見ればそれはただのデートだった訳だが、
素直になれない美琴はそれを「罰ゲーム」と称し、鈍感な上条はそのままの意味で受け取った。
しかしその後はなんやかんやと邪魔が入った挙句、
前方のヴェントが0930事件が起こした事で、完全に不完全燃焼となっていた。
その結果、本日、罰ゲームのやり直しが決行されるらしい。
グループはその罰ゲームを、今度こそ成功させる為に、裏から二人をサポートする、
というのが今回の任務内容なのだが……

「じゃあそういう訳で、何も問題はないかにゃー…?」
「…あの、でも私これはちょっと……いや、別にいいけどさ……」
「ざっけンなボケェ! 俺は降りる! やってられっかよクソがっ!」
「……………」

4人からやる気と覇気が感じられない。
普段から、別にやる気満々で任務をこなしている訳ではないが、かなり意味合いが違う。
特に一方通行は不機嫌オーラを全身から惜しげもなく溢れ出させながらその場から立ち上がり、
海原に至っては未だに固まったままだ。

「いいのか? お前にも守りたい人がいるんだろう一方通行。
 どんなくだらねぇ任務でも、オレ達はやらざるを得ない筈だぜい」
「……チッ!」

そう。人質がいる以上、仕事を放棄する事はできないのだ。
一方通行は土御門に諭され、ドカッと腰を下ろす。
土御門はコホンと咳払いし、細かい作戦を伝える。

「あー、カミy…上条当麻と御坂美琴が接触する予定時刻は…
 まぁ上条の体質から多少遅れる事は有り得るが、14:00前後だ。
 場所は第七学区、ファッションショップ・セブンスミスト前。二人はここで買い物をする予定。
 ターゲットに直接干渉するのは極力避けるが、やむを得ない場合に限りオレが接触する。
 お前等3人はターゲットと顔を合わせる訳にはいかないだろうから、後方支援に専念してくれ」

「にゃー」だの「ぜい」だのを語尾につける、『土御門弁』を使わなくなった土御門。
どうやらお仕事モードに突入したようだ。
やる気がないのは土御門を含め、全員同じだが、何度も言うように任務は降りられない。

こうして、何のためだか分からない任務を決行する事となったグループであった。
胃に穴が開きそうである。海原とか特に。


291 : グループ史上最悪の任務 :2014/06/05(木) 20:06:47 li32Qqg6
12:42
グループの面々はセブンスミストの向かい側の喫茶店の中から、店の入り口の様子を伺っていた。
待っている間、仲良く雑談する…という間柄でもないので、
結標はアイスティーを口に含みながら、溜息混じりに不満を漏らす。
ちなみに相変わらず一方通行はイライラ絶好調で、
海原は笑顔のまま額にびっしょり脂汗を掻いている。その手に胃薬の袋を握り締めたままで。

「…流石に早すぎなんじゃない? まだ予定時刻まで、一時間以上もあるわよ」
「あくまでも予定は未定だ。カミや…上条にそれとなく探りを入れてみたんだが、
 どうやら早めに家を出るらしい。件の罰ゲームの時に遅刻しているから、気にしたのかもな」

お仕事モードの時でも、ついつい「カミやん」と言ってしまいそうになる土御門である。
その時だ。

「はぁ! はぁ! …ちょ、ちょっと早く来すぎちゃったかしら…?」

ターゲットB・御坂美琴が到着した。
例の罰ゲームの時は待ち合わせ30分に来ていたが、今回はその記録を大きく更新したようだ。
楽しみにしすぎである。
4人はサッと顔を下げ、あちらに気づかれないように喫茶店を出る。にしても…

「いくら何でも早すぎるでしょ…超電磁砲……」
「オレもカミやんの方が早く来ると思ってたから、ビックリだぜい……」

あまりの出来事に、口調が素に戻る土御門。

「早く来てくれりゃァ、仕事が終わンのもそれだけ早くなンだろ」

やっと落ち着いてきた一方通行は、色々考えるのを止め、
あくまでも今回の一件をビジネスとして片付ける。そうじゃなければ頭がおかしくなりそうだからだ。
一方で、全くそう考えられないのが、

「……御坂さん、とても楽しそうですね。窓ガラスを鏡代わりに、前髪を整えたりして……
 は、ははは……は………ううぅ…胃が痛い…」

海原である。

「……貴方、あの超電磁砲の事が好きなんでしょ? どんな気持ちで今ここにいるのよ」
「それを自分に聞きますか…? と言うか、見て分かりませんか…?」
「…うん。何かごめんなさい」

結標の心無い質問に、笑顔のままジロリと睨み返す海原。
結標も流石に酷かったかなと、アッサリ引っ込む。

海原の言ったように、美琴は今現在、ただひたすらに楽しそうだ。
きっと本人は真っ赤になって否定するであろうが、完全に付き合い始めの彼女が、
彼氏をまだかまだかと待っている構図にしか見えない。

「あそこまで露骨に幸せそうだと、こっちは腹立ってくるわね」
「とりあえずカミやんの顔面を思いっきりぶん殴りたいぜい」
「どォでもいい事をくっちゃべってねェで集中しろ」
「……胃が痛い」


292 : グループ史上最悪の任務 :2014/06/05(木) 20:07:43 li32Qqg6
4人は「自分は今、何をやっているのだろう」という思いを、頭の中で必死にかき消す。
考えたら負けである。
そうこうしているウチに、美琴がやって来た方角とは反対側の道から、
ターゲットA・上条当麻が走ってやってきた。

「ったく、何か不幸イベントが起こる事を計算して早く来れば、
 そういう時に限って何も起きないって、それも不幸なんですかね…?」

よく分からない事を言いつつ店の前に立つ。ターゲットの二名が接触した。

「あれ? 美琴も随分早いな。待ち合わせは2時だったよな?」
「あ、え、えと…た、たまたまこれの前に他の用があったんだけど、
 それが意外と早く済んじゃったから……べ、べべべ別にアレよ!?
 アンタとの…ば…罰ゲームが楽しみすぎて、早く着ちゃったとか、そんなんじゃ全然ないからねっ!?」

どの口が言うのか、と4人はツッコミそうになる。

「つーか、罰ゲームのやり直しとかアリなのか? 確かに何かこの前、最後はグズグズってなったけど、
 美琴は欲しいモン手に入れたんだろ? あの…カエルのストラップ」
「ゲコ太はカエルなんかじゃないわよっ! ゲコ太はゲコ太っていう生き物なのっ!」
「はいはい。そのゲコ太おじさんのストラップは美琴のケータイにぶら下がってる訳なんだから、
 これ以上、上条さんに何をしろと?」
「へっ!? あ、い、いやその…特に何かしてもらうつもりは…なかったんだけど……」
「……もしもし美琴さんや?
 それじゃあワタクシめは、一体何故に今日、ここへお呼ばれされたのでございましょうか…?」
「だ、だだだって! このままあやふやなままにするのは癪だったし!
 ええいもう、アンタは負けた側なんだから、文句言わずについてくればそれでいいのよ!
 買い物に付き合うくらいでグダグダ言…ああああ、ちちち違うわよっ!!?
 つつ、つ、付き合うって言ってもそういう意味とかじゃないからねっ!?」
「…何、急に一人でテンパってんの? この子」

必死にかき消した筈だったが、今度こそ4人の頭に過ぎってしまった。
オレは、俺は、私は、自分は…『今、何をやっているのだろう』、と。
若いカップル(としか見えない二人)の軽い痴話喧嘩を、
今日一日、延々と見続けなければならないのだ。
それは数々の地獄を潜り抜けてきたグループを以ってしても、今まで味わった事の無い、
異質な地獄であった。海原の胃も限界に近い。

店に入る二人をこっそり尾行しながら、
一方通行はグループ全員の意見を代表して、一言ポツリと呟いた。

「………帰りてェ…」

他の3人も、心の底から同意した。


293 : グループ史上最悪の任務 :2014/06/05(木) 20:08:27 li32Qqg6
罰ゲームのやり直し。それは簡単に言えば、所謂ただのお買い物デートであった。
美琴が気に入った服を試着し、上条が感想を述べる。それだけである。
あくまでも美琴の建前上としては、「男性側の意見も聞きたいから上条を呼んだ」との事だが、
誰がどこからどう見ても、それだけの理由ではない。
そもそも常盤台中学は校則として、外出時も制服着用が義務付けられている。
服を買った所で無駄になる…とまでは言わないが、それを着られる機会は少ないだろう。
つまり美琴は、単純に「新しい服が欲しい」のではなく、
「上条が気に入る服はどんな物なのか」を調査しているのが、もう見え見えなのだ。

上条の感想に一喜一憂し、笑ったり怒ったり赤くなったり、
最終的に「でも結局、美琴って何着ても可愛いし、俺の意見とかいらなくないか?」
というトドメの一言に顔を爆発させる美琴は見ていてとても面白いが、
それを無理やり見続けさせられる4人はたまったものではない。

「……ねぇこれ、本当に私たちって必要なの…? もうすっかりいい雰囲気じゃない…」
「…気持ちは分かるが我慢だぜい。
 逆に考えれば見てるだけでいいんだから、簡単なお仕事って事ですたい…」

無言になる一方通行と海原の代わりに、ボソボソと話す結標と土御門。
ターゲットをサポートしつつ、邪魔が入ったら排除する、という任務内容ではあるが、
何事も無く、且つ二人が自然といい雰囲気になってくれるのなら、
こちらとしては、ひたすらストーキング行為をするしかない。
だが「そろそろお腹すいたにゃー」と土御門が現実逃避をしようかと思ったその時、
ついにアクシデントが発生する。

「滝壺さんは実は超胸がおっきいんですから、いつもジャージなのは超勿体無いですよ」
「でもこれ楽だから。それに私、きぬはたみたいに可愛い服とか似合わないし」

「アイテム」。良からぬ来客だ。
暗部抗争時にはグループと直接かち合っていないが、
彼女たちもまた、学園都市の暗部組織である事には変わりない。
しかも資料によれば、アイテムと御坂美琴は、過去に一度交戦しているらしい。
かと言って何があるとは思えないが、不安材料は無いに越した事は無い。
土御門の「消せ」という冷たい一言を合図に、結標は手にした軍用懐中電灯を彼女たちに向ける。
瞬間、滝壺は何かに気づきこちらを振り向こうとしたようだったが、時すでに遅しだ。
今頃はここからさほど遠くない場所へ、座標を移動させられている事だろう。

邪魔は消えた。だがこれがきっかけで、アクシデントの連鎖が生まれてしまったようだ。

「……あれ? 今誰か、入り口から声が聞こえたんだけど……」
「そう? 気のせいじゃないの? …実際誰もいないし」

上条が先程の滝壺と絹旗の会話を聞いたらしく、入り口の方へと目を向ける。
だが当然、そこには誰もいない。
妙に思った上条は入り口付近へと歩いてこようとする。しかし、そこで発動するのが彼の『不幸体質』だ。
ガッ!という音と共に、彼は隣にあったマネキンに左手を引っ掛けてしまった。
グラリと倒れそうになるマネキン。それは美琴に直撃するコースだった。

「「っ!」」

冷静に考えれば、マネキンが倒れた所で怪我などしなかっただろう。
しかし上条と海原は同時に動いてしまっていた。
上条は美琴からマネキンを守るように彼女を抱き寄せ、海原はマネキンに黒曜石のナイフを向ける。
トラウィスカルパンテクウトリの槍でマネキンを分解しようとしたのだ。
だがその金星の光はマネキンに届く事はなかった。
とっさに上条が美琴を抱き寄せたおかげでその狙いは狂い、
結果的に上条と美琴の制服に当たってしまったからだ。つまり…


294 : グループ史上最悪の任務 :2014/06/05(木) 20:09:12 li32Qqg6
「……へ?」
「……き………きゃあああああああああっ!!!!!」

上条と美琴の制服は見事にバラバラとなり、「またつまらぬ物を斬ってしまった」と言わんばかりに、
二人は下着姿となる。
土御門、結標、一方通行の3人は、海原に白い目を向けた。

「いい、いや違いますよ!? と言うより皆さんも見ていたでしょう! ふ、不可抗力です!」

と言い訳をする海原だが、チラチラと下着姿の美琴を見たりしているので説得力は皆無である。
けれども今は、そこを追及している場合ではない。
何しろターゲットの二人が店の中でストリップショーを始めてしまったのだ。
美琴など、急に抱き締められたと思ったら次の瞬間には何故か服が破け、
しかもそれを上条にモロに見られてしまい、ついでに上条の下着姿もモロに見てしまい、
もはや自分がどの段階の赤面をしているのかも分からず、パニック状態である。

ここから、グループによる怒涛の手際のよさを見る事となる。
美琴の悲鳴を聞きつけて集まり始めた野次馬を、片っ端から座標移動させる結標。
この隙に一方通行はチョーカーのスイッチを押し、足元を叩く。
力のベクトルを操作し、上条たちは自然界では絶対にありえない方向からの重力(?)で引っ張られ、
二人は無人の試着室へと入っていく。勿論、下着姿のままで。

「うおっ!?」
「きゃっ!」

ドシン!と試着室内に叩きつけられたのと同時に、土御門が『偶然』その前を通りかかり、
試着室の外から上条に話しかける。

「カミやん! とりあえず二人分の着替えだ! 店の物だが、そのままって訳にはいかないだろ!」
「その声は土御門か!? 何がどうなってんだ!? 俺たちは急に何者かから攻撃を受けて…」
「説明してる暇はない! とりあえずそれ着ろ!」

土御門が上条サイドを対応しているその時間、厄介な人物が店にやって来ていた。

「風紀委員ですの!
 絹を裂くような女性の悲鳴が聞こえたとの通報がありましたのはここですのね!?」

白井黒子だ。
結標は一度彼女と交戦しているのでその能力は理解しているのだが、
彼女もまた結標と同じく空間移動能力者なのである。
しかし空間移動系能力者同士ではAIM拡散力場が干渉しあうため、移転させることはできない。
その事を海原に伝えると、海原は「では自分に任せてください」と一言結標に告げる。
海原の今の姿は海原光貴の物であり、その当人は常盤台中学理事長の孫である。
海原はその肩書きを活かし、白井を上条たちから遠ざける。

「こ、これはこれは白井さんではないですか。お仕事ですか?」
「あら? 貴方は海原理事長の…こんな所で何を?」

海原が白井の気を引いているその間、上条は土御門から唐突に差し出された服に着替えていた。
店の商品だが、確かにパンツ一丁でいる訳にもいかないので、悪いとは思いつつも袖を通す。

「ほら、美琴も着ろって! そんなカッコで外には出れないだろ!?」
「わわわ分かったから! 分かったからあっち向いててよ馬鹿ぁ〜〜〜っ!!!」

だが同じ試着室内には美琴もいる訳で、美琴も色々な感情で真っ赤になりながら着替える。
もはや半分涙目である。

結局二度目の罰ゲームも、よく分からない事件に巻き込まれ、
グズグズのままに終わってしまったのだった。



ここは第七学区にある「窓のないビル」。
その中央にある生命維持槽のビーカーの中で、
緑の手術衣のまま逆さまになって浮かんでいる『人間』を、土御門は睨みつけた。

「…今回の一件、一体どういうつもりだったのか聞かせてもらうぞ。
 お前のプランとやらがどんなものなのかは知らないが、『アレ』に何の意味があったのかぐらい、
 聞く権利はある筈だ」

すると薄く笑ったその『人間』は、土御門の問いに一言こう答えた。

「暇つぶしだ」

その瞬間、土御門は学園都市統括理事会をぶっ潰す事を、改めて固く決意したのだった。


295 : くまのこ :2014/06/05(木) 20:10:20 li32Qqg6
以上です。
上琴よりもグループがメインっぽい話ですみません。
ではまた。


296 : ■■■■ :2014/06/05(木) 21:05:21 8ditjZPg
wwwwwwwwwww


297 : ■■■■ :2014/06/05(木) 21:22:49 tDfJCwic
☆の暇つぶしかいw


298 : ■■■■ :2014/06/05(木) 21:48:34 kan2.xPI
乙です! 真グレムリンの僧正達も笑ってそうwwwwwww


299 : ■■■■ :2014/06/05(木) 22:16:55 MxV14T1o
乙です
アレイスターも気になるのか上琴の行方www


300 : シラボネX :2014/06/06(金) 01:33:03 X1YJxRds
>>くまのこさん
乙!
上条さんのラッキースケベと海原の魔術の見事なコラボですねw
あとグループの手際がずごすぎですw

>>284さん
そうだったんですか!うろ覚えの知識で書いたもので…あわわわ(汗)


301 : シラボネX :2014/06/07(土) 00:20:19 vGpDEeL6
どうもです。
小ネタできたので投下します。


302 : シラボネX :2014/06/07(土) 00:21:32 vGpDEeL6
 小ネタ 上琴バカップル合体攻撃 パート3

謎の敵の母「おほほほほ!もうおしまいザマスか?」

上条「くそっ………」

美琴「くうぅ………」

謎の敵の母「私の坊や達を傷つけたお礼をしてやるザマス〜〜〜!」

上条「こうなったら…アレでいくぞ美琴!」

美琴「解ったわ!当麻!」

上条「うおぉぉぉぉ!」

上条は敵目がけて拳を叩きこむ!

美琴「すかさず当麻の肘に鉄骨を叩きつける!」

上条「これが地を割る豪腕の威力だ!」

上条美琴「「サドンインパクト!!」」

謎の敵の母「ぎょえぇーーー!ザマスーーーーーー!!」

ズドゴボーーーーーン!!

上条「ナイスなタイミングだったぞ美琴!」

美琴「えへへ〜〜〜〜///」







ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜

美琴「エ〜ンエ〜ン、当麻の右腕が〜〜〜〜〜」

救急隊員「………今夜も飲みに行くか………」

END(ひでぶ!)


303 : シラボネX :2014/06/07(土) 00:22:58 vGpDEeL6
以上です。
このシリーズ、そろそろ限界かもしれない。
では。


304 : 1/2 :2014/06/08(日) 07:48:58 VVa1LQ/k
美琴(はぁ、どうして私がこっちの図書館まで)

ウワッ! ズテーン ドサドサ

美琴(騒がしいわね。まったく読書のマナーも守れないなんて……。ん?)

フコウダ...

美琴「何やってんのアンタ。こんなところで」

上条「御坂か? 転んだ拍子に棚の本が崩れて、う、動けねぇ」 

美琴「相変わらずね。手を貸してあげるから、ほら立てる?」



上条「ありがとな、御坂。本の山を戻すのも手伝ってくれて」

美琴「べ、別にいいわよこのくらい。それにしてもアンタが読書ねぇ」

上条「お前こそ、学舎の園の方が近いし蔵書も多いんじゃねぇか」

美琴「ちょっと天敵が居てね。ま、お陰でアンタと会えたしゴニョゴニョ」

上条「? 急にどもってどうしたんだ、聞こえねぇよ」

美琴「な、何でもないっ。それよりどんな本を読んでたの?」



上条「最初は漫画。意外と置いてあるんだよな」

美琴「ああ、手塚○虫とか?」

上条「近頃は肌寒くなってきたけど、空調も効いてて快適だし」

美琴「つまりはただの暇潰しってわけね」

上条「はは、まあ勉強しようって気にはならねぇな。でもそれじゃ勿体無ぇからさ」

美琴「さっき選んだのがこの図鑑? 『四季の山菜』?」



上条「その辺にも食える草が生えてんじゃねぇかなって」

美琴「アンタは……」

上条「無能力者の奨学金は雀の涙で、カミジョーさんには色々事情もあるんですよ」

美琴「いっそ家庭菜園でも作ってみたら?」

上条「それもいいかもな。河川敷とかでこっそり育てて」

美琴「まずはベランダから始めなさいよ」



上条「そっちは何だか危険な気がする。あとやっぱ不足してるのは動物性たんぱく質だな」

美琴「何よ、今度は釣りとか言い出すつもり?」

上条「趣味としてはフツーじゃないですかね。ただ実益を伴うだけで」

美琴「学園都市だったら川釣りかしら。第21学区の方」

上条「海には面してないからな。あそこは学園の水源だっけ?」

美琴「環境保全の一環で放流もされてたはずよ。釣りが解禁されてるかは知らないけど」



上条「ふーん。そんじゃ少し調べて、来週末にでも乗り込んでみますかね」

美琴「本気だったの? てっきり冗談だと思ってた」

上条「まあ半分な。別に釣れなくても、たまにはのんびりするのも悪くないだろ」

美琴「あ、そ、それなら」

上条「ん?」

美琴「私も着いてっちゃダメ、かな。なんて」 モジモジ


305 : 2/2 :2014/06/08(日) 07:50:20 VVa1LQ/k
上条「別にいいぜ。そうだな、インデックスや土御門も誘って」

美琴「……」 ジッ

上条「……騒ぎ過ぎて釣りにならねぇか。お前も素が出せないだろうし、だったら御坂妹とか」

美琴「……」 ジッ

上条「……ひょっとして、俺と2人きりがいいのか?」

美琴「!」



美琴「えっと、違うっていうか、違わなくもないんだけど」

上条「わかってるって。超能力者はいつも注目されてるもんな。気疲れしない時間が欲しいんだろ」

美琴「……もういいわよ、それで」 ハア

上条「だけどビリビリはやめてくださいね。電気で魚を気絶させる漁法は禁止されてた、はず……?」

美琴「お望みなら、いますぐアンタを水揚げしてあげよっか?」 ビリビリ

上条「ちょっ、御坂さん!? ここ図書館! いつものパターンは……!」



上条「……結局、追い出されちまった。本も借りれてねぇし」 フコウダ

美琴「何よ、アンタが悪いんでしょ!」

上条「はいはい、全部カミジョーさんのせいです」

美琴「またそうやってばかにして……!」

上条「そんなつもりはねぇって。ただの軽口だろ、御坂だってそういう関係を望んでんじゃねーのか」

美琴「……私が?」



上条「冗談言って笑い合える間柄ってやつ。気の置けない友人とか、腐れ縁の悪友みたいな」

美琴(そうだけど、そうじゃない。私の望みは……)

上条「それなのに、いちいちキレられたら、カミジョーさんにも遠慮が入ってしまいますよ」

美琴(むきになるのはアンタが私を……。女の子として意識してくれないから、で)

上条「俺には他意がないって信じてくれよ。御坂のことは頼りにしてるし、頼りにされてると思ってるんだからさ」

美琴(悪意がない代わりに好意もない。素直になれない私も悪いんだけど……)



上条「あの、御坂さん? ちょっと言い過ぎたか。いや別に説教でもなくてだな」

美琴「……何でもない。ところでさっきの約束、まだ有効よね?」

上条「ん? ああ、釣りの話か。俺は行くけど」

美琴「待ち合わせの時間と場所を決めてメールして。お弁当、作ってく」

上条「お、おう」

美琴「恋って結構、辛いのねボソッ」



上条「鯉? 俺は食ったことねぇな。川魚って言ったら鮎とか岩魚だろ」

美琴「ええ、アンタはそうよね」 ハァ

上条「?」

美琴「隠さなくてもバレる心配なんてないんじゃないの。それはそれで問題なんだけど」

上条「なあ、おい」

美琴「だから何でもないっ。ニブい大魚を釣り上げてやるんだから、すっぽかすんじゃないわよ!」

終わり


306 : ■■■■ :2014/06/08(日) 08:02:51 mKl7kvuM
いいはなしだなー


307 : ■■■■ :2014/06/08(日) 12:09:49 gJDmjBnY
乙、面白かった


308 : 我道 :2014/06/08(日) 18:53:35 /xjEptYQ
ちはーす。たぶん私が書く最初で最後の上琴SSなんでこちらに投稿させていただきます。
『御坂美琴の消失』は上琴風味が強いだけで、実際の主人公はどちらかと言えば白井黒子だったし、物語の趣旨もアドベンチャーでした。
でも、今回は紛れもなく話の中心に上条さんと御坂さんがいるので上琴SSに分類してもらえるんじゃないかなと。
とは言え、糖分高目とか恋人とか夫婦とかの雰囲気を期待するとそれは落胆に変わりますので、決してそれは求めないでください、というお話です。
なお、新約10巻ネタを含むメタネタがいくつか含まれていますので、そこら辺は注意してください。
ではどうぞ。何レスになるか分かりませんけど結構長いです。


309 : ■■■■ :2014/06/08(日) 18:55:23 4kGKFeVY
コピペかと思った


310 : 我道 :2014/06/08(日) 18:57:33 /xjEptYQ
「もう絶交だかんね!!」
「ああいいともさ!! こっちだってテメエの面を見ずに済むんだから願ったり叶ったりだ!!」
 よくある、かどうかはともかく、どことなく『よくある』シチュエーションである。
 ふとしたきっかけでケンカになり、感情が高ぶった所為で双方引っ込みがつかなくなって、決まり文句というか、この場で言い争いを打ち切るために使われる常套句。
 そんな定番なエスカレートした口げんかをやらかした二人の男女。
 一人はツンツン頭髪が特徴以外はいつの時代も普遍の定番学生服、学ランを着ている一人の男子高校生。
 一人は学園都市有数のお嬢様学校ゆえ高潔感を醸し出す常盤台中学の制服を身に纏う一人の女子中学生。
 ケンカの原因など、基本は些細なものだ。
 しかし、些細なことだとしてもそれが深みにはまればケンカ自体は大きくなってしまう。
 二人は正にそんな感じだった。
 むろん、原因など知る必要はない。原因が何であれ、少女が『絶交』を言い出すほど憤慨したということは、少年が言ってはならないことを口にしてしまったからだ。
 こうなるともう泥沼である。言い争いは苛烈を極め、言わない方がいいことまで言い合ってしまうから、これは完全に悪口合戦だ。
 ちなみに大抵の場合、口喧嘩は基本、罵り合いな訳で頭が冷えてくると、ずーんと頭をもたげ、濃い青の波線を三本ほどこめかみに浮かべながら『何であんなことを言ってしまったんだろう』と後悔する羽目になる。
 それは少年も例外ではなく。
 激しく後悔した。
 この何でもないケンカがまさかあのような事態を生み出してしまうとは。
 もちろん、この時の少年=上条当麻は知る由もなかった。
 少女=御坂美琴が踵を返すのを見てから自分自身も踵を返す。
 二人は振り返ることなく、それぞれの帰路に就く。


 バンっ!
 上条は部屋に戻るなり壁に鞄を叩き付けた。
 どうやらまだ怒りは収まっていないらしい。
 美琴に何と言われたかは、さておくが、ここまで上条が怒りを露わにするのは珍しいことだ。
 むろん、無かったとは言わないが、誰かにためにキレることはあっても、私利私欲でキレるのはおそらくなかった。
 まあ、何万何億と繰り返したオティヌスの作り上げた世界の中で、妹達の総体に吐露したセリフがそれに当たるのかもしれないが、それにしたって、今回の怒りはテイストが明らかに違う。
 さて、そんな様子を見てしまえば、この部屋の居候二人組、銀髪碧眼で白い修道服のシスター少女・インデックスと金髪隻眼でマントととんがり帽子以外は申し訳程度に黒布で秘部を覆うほとんど全裸の少女、に見える(すでに力の大半は失っているが)魔神・オティヌスは、ちょっと慄かざるを得ない。ちなみにオティヌスの体長は十五センチメートルほどなので、どんな姿だろうと今の彼女に下賤な思いを抱くのは男どころか人として失格である。
 とは言え、同居している以上、意味も分からず不機嫌な上条と一緒にいるのは正直居た堪れないわけで、
「えっと……とうま? 何があったのかな……?」
 インデックスが苦笑満面に問いかける。
「…………なんでもねぇよ」
 もちろん、上条はどこかやさぐれて答えるが、
「しかし人間よ。お前がそういう態度では我々もちょっと居辛いのだが?」
「……」
 オティヌスの珍しい苦笑の続きを聞いて、初めて上条は肩越しに二人に視線を送った。
 なるほど。
 確かに二人とも怯えている。これでは上条が悪者だ。
 少しだけ。
 上条当麻の頭は冷えた。
「ああ……実は……」
 切り出した声はそれでも少しドスが効いていたりするのだが。


311 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 18:58:25 /xjEptYQ
「「はぁ……」」
 上条の釈明を聞いたインデックスとオティヌスの答えは盛大な溜息だった。
「何だよその反応!」
 もちろん、上条はそんな二人の態度が気に入らない。
 別に味方をしてほしいとか、一緒になって美琴を悪く言ってほしい、などと思ってはいないが、心の底から呆れられた態度を見せられては、まだ頭に血が上っている上条では憤慨せざるを得ないというものである。
「いや……まあ、とうまの言い分は分かるんだよ。分かるんだけど……ちょっと二人とも大人気無さ過ぎるかなって……」
「だな。少なくとも後半分はどう聞いてもどちらにも非があるとしか思えん」
 ところが、先ほどまでとは違い、インデックスとオティヌスは上条に恐れを抱くことは無かった。
 というか二人の戦慄は完全に霧散していた。
 凄まれた声をかけられたところで、ムキになった幼子が喚いた、としか感じなかった。
 証拠に二人とも、両手を広げて、かぶりを振り、「やれやれ」と言ってたりするのだから。
「ねえ、とうま。前にひょうかが言ってたことがあるんだけど」
「何だ?」
「ケンカができる友達って本当はすごく仲が良いんだって。ケンカができるのは仲直りもできるって信じてるからだって言ってたんだよ」
「要するに本音をぶつけ合える相手、って意味だ。普段のお前はどこか本心を隠すというか、常に相手の立場で考えることを優先させることが多いから、腹を割って話し合える相手とは、お前にとって相当貴重だと思うのだが」
「む……」
「まあ、本音を言えば、私はとうまと短髪の縁が切れるならそれでいいんだけど、ケンカ別れはやめた方がいいと思うんだよ。仮にお別れすることになったとしても二人とも納得した形で後腐れなく、が一番いいかも」
 インデックスが無邪気な笑顔を向ける。
 見た目、聖少女の笑顔は心に安らぎを与えるものだ。
 むろん、上条も例外ではなく、しかし、少し納得できないので、
「お前は……俺の方が悪い、とか思ってんのか……?」
「ううん。とうまの方が、なんて言わないよ。というか、とうまの話を聞いてるとどっちもどっちって感じが思いっ切りするし」
「口喧嘩なんて本人同士はともかく、他者から見ればそんなものだ」
「う……」
 二人のなんだか自嘲気味の笑顔に、上条のボルテージはどんどん下がっていって、
「しかし私からすれば羨ましい話かもしれないな。貴様から本音というか貴様自身を余すところなくぶつけられる相手など希有な存在と言っても過言ではあるまい。私はもちろん、そっちの魔道図書館相手にそこまで激しく言い争う貴様の姿など想像できん」
「不本意だけど、その点は私も同じ意見かも」
 インデックスとオティヌスの柔らかな笑顔は、上条当麻のやさぐれた心を癒すには充分だった。
 今、初めて思う。
 上条当麻は、今この場に、この二人の少女が居てくれたことがこれほどまでにありがたいことだったとは、と。


312 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 18:59:10 /xjEptYQ
 次の日、上条当麻はインデックスとオティヌスに言われたという事もあるのだが、年上の自分が年下の美琴に対して逆上するのはどうかという思いも湧いて、頭が冷静になったものだから、一晩中思い悩み、朝が来たところで思ったことはただ一つ。


 ――とりあえず、御坂に謝ろう――


 である。
 というわけで放課後。上条はいつも美琴と出くわす公園のオンボロ自販機へと来ていた。
 あの自販機は美琴愛用でもあるし、ほどなく会う事が出来るだろう、と呑気な事を考えながら。
 そして予想通り。
 上条の視界には向こう側から歩いてくる見慣れた亜麻色のショートカットの少女が入ってきた。
(ふぅ……)
 ため息に苦笑を乗せて、上条は美琴へと進む。どうやら向こうも上条に気付いたようだ。
「よ、よう……」
 それでも挨拶が苦笑でどもってしまったのは昨日の後ろめたさがあるからだろう。
 対する美琴は、


「あ、上条さん。ごきげんよう」


 一瞬、上条は何が起こったのか分からなかった。
「今日もいい天気でしたね。とと、すみませんけど私、ちょっと用事があるんです。それじゃ」
 『笑顔』で美琴は一言二言だけ言って、実に自然な動きで慌でも焦るでもなく、するりと上条の横を通過する。
 しばし時間が止まっていた上条だったが、我に返って即座に振り返ってみたが、美琴の背中を眺めるまでしかできなかった。
 なんとなく。
 美琴が振り返るとは思えなかったから。
 上条はどことなく違和感を感じていた。
 さっき見た美琴は昨日のことを少しも気にしてなさそうだった。
 というか、昨日のことが無かったようですらあった。
 それに何より。
 つい昨日までは上条当麻のことを『アンタ』としか言ってなかった彼女が、初めて『上条さん』と言ったのだ。
 一体、これはどういうことなのか。
 美琴の機嫌は悪くなかった。それは絶対に絶対である。
 しかし、何か違和感がある。昨日のことをなかったことにしたとは思えないし、上条が知る彼女の性格を思えば昨日の今日で頭が冷えているとは思えない。
 仮に冷えているのだとしたら、彼女も上条同様、どこか後ろめたい態度を取ったと思うのだが、そう言った感じすらしなかった。
 一体どういうことなのだろう。
 上条当麻は頭の上にはてなマークをいくつも点滅させながら、とりあえず、昨日のことは許されたのだろうか、などと考えつつ、インデックスとオティヌスが待つ自室へと戻っていった。


313 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 18:59:42 /xjEptYQ
「で、とうま。短髪と仲直りできたのかな?」
 昨日の今日である。やっぱりちょっと気になっていたのだろう。
 インデックスが夕食時に何の気なしに問いかけてきた。
「あー……仲直りというか何と言うか……とりあえず御坂はもう怒ってなさそうだった……笑顔で挨拶してきたし」
「その割には浮かない顔をしているな?」
 オティヌスは上条の頭の上に正座して何故かメロンパンを食べている。
 おかげで、上条の髪はパンくずだらけだ。何と言ってもメロンパンのパン屑が落ちる率は半端ではない。
 何故かオティヌスはメロンパンが気に入って、ほぼ毎日、要求された上に、普段は上条の肩に座っているくせに食事のときだけは上条の頭の上で食べ散らかすものだから、一度、「止めてくれ」と懇願したことがあったんだけれども、その時の上条とオティヌスの会話である。


「何だ? 私は食事をしてはいけないのか?」
「いや、食うなとは言わんが俺の頭の上で食うのはやめてほしいってことだ。特に風呂上がりだった日にゃ目も当てられんし」
「……」
「? どうした?」
「えーい。うるさいうるさいうるさい」
「って、おいコラ地団駄踏むなよ! 地味に痛いんだぞ!?」
「まったく。本当に貴様はまったく。そう言えば貴様の髪の毛はチクチクするな。えーい抜いちゃえ抜いちゃえ」
「いていていていて。こら! マジで抜くんじゃない! てか、キャラ変わってんじゃねえかお前!!」
「ばーかばーか。貴様のばーか」
「ちょっと待て。なんだかこのやり取り、どこかで見た気がするんだが……」
「詳しくは、『とある魔術のインデックスたん』をどうぞ、なんだよ。ちなみにオティヌスがメロンパンにしたのは元ネタが理由かも」
「いきなり割ってくるなよインデックス! しかも、俺たちの方じゃなくてカメラ目線てのはどういうこった!?」
 とまあ、こんな感じだったものだから、上条の頭の上でオティヌスが食事することを容認というか、完全に諦めて受け入れた。


 さて話を戻して、オティヌスの言葉を聞いた上条は、
「何と言うかこう……昨日までの御坂じゃないような気がして、すげえ違和感があったんだよ」
「ふーん。短髪もとうまに悪いと思ったのかな? でも気まずいから逆に思い切って笑いながら声をかけたのかも」
「そう、かなぁ……」
 インデックスの予想にも上条は釈然としない表情を浮かべるのみだった。


314 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:00:28 /xjEptYQ
 そんなこんなで一週間ほど経過して。
 学校への道すがら、または遊びに行った町中で。
 上条当麻は何度か御坂美琴とすれ違ってはいたんだけれども。
 その間、笑顔で挨拶をされるのだが、今までのように勝負を申し込まれるとか妙に絡まれるとかはもちろんなくて、言葉を交わしても二言三言であっさり『美琴から』話を打ち切ってそそくさ離れられる日が続いていた。
 その間、美琴はずっと『上条さん』と呼んでいた。
 ただ、近寄ってはこないし、出くわした時の距離間のままで少し話をしただけですぐ立ち去っていく様に上条の違和感はまったく拭えなかった。
 そう。それはまるで――
「なるほど。そういうことでしたの」
 上条の説明を聞いて、白井は盛大な溜息を吐いていた。
 そんな日が続いたこともあって、インデックスとオティヌスは「気にする必要はないんじゃない?」と気遣ってはくれるんだけれども、どうしても上条はこの違和感がどこか嫌だな、なんて考えながら歩いていたところ、御坂美琴の後輩にして風紀委員のツインテールとですの調の丁寧語を使うのが特徴の白井黒子がたまたま自分を見かけて、『少しお話したいことがありますの』と声をかけてきたものだから、上条の方も聞きたいことがあったので即座に承諾してすぐ近くにあった喫茶店に入って、一週間前の美琴と自分のことと、ここ一週間の美琴の様子を説明した結果が白井黒子の反応だったのである。
「ということは、あの日、御坂は部屋に戻ってからも少しおかしかった、ってことか?」
「ええ、そうですわ。つい、その前の日までは必ずと言っていいほど毎日、わたくしが砂と血を吐きそうになるくらい、上条さんのことを話されておられましたのに、その日を境に突然、パッタリ何も言わなくなりましたの。これは何かあったのでは、と思ったもので上条さんに何があったかをお聞きしたまでですわ。お姉様にお尋ねしても、“まあそんなことはどうでもいいじゃない”と笑顔でやんわりと断れ続けられましたものでして」
 ここで白井はティーカップを上品に口に含み、
「まあ、わたくしとしてましては真相が分かりましたし、それはわたくしにとりましてとても有意義な事でしたから喜ばしいのかもしれませんの。これでお姉様と上条さんの縁が切れたかと思うと、内心、ザマミロ&スカッとさわやかの笑いがこみあげてきそうなことなのではありますが……」
「すでに笑っているようだが?」
「おっと、つい本音が」
 白井の答えに、今度は上条がため息一つ。
「で、俺はどうすればいいと思う?」
「どうすれば、とは?」
「だから、御坂が俺のことを顔見知りって反応するだけの現状をどうすればいいかってことだ」
「いや別にどうする必要もないんじゃないかと思いますわよ。わたくしの気持ちは別にして、上条さんもお姉様とは知人として振る舞えばよろしいのでは?」
「……それって『友達以下』だよな?」
「そうなりますわね。ですが、お気になさらずともよろしいかと。知人、顔見知り程度であれば、上条さんもお姉様に追い回されずに済むわけですし」
「まあ……それはそうなんだが……」
 上条は何か面白くない。
 確かに美琴に散々付きまとわれて鬱陶しいと思ったことはあったし、うんざりしたことも数知れずだ。
 しかしだからと言って、つい先日までは『友達』とか『妹分』とか思っていた相手に知人という『他人』扱いされるのは気分が悪い。


315 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:00:57 /xjEptYQ
「あれ? 黒子どうしたの? 上条さんと二人でこんなところで」


 突然、振ってきた声に上条と白井は同時に顔をそちらへと向けた。
 そこにいたのはきょとんとした表情の御坂美琴。
 その後ろには、なんだか困った笑みを浮かべた初春飾利と佐天涙子の姿もある。
「へぇ……さては黒子。とうとうアンタも倫理的にも真っ当な異性に興味が沸いたのかしら?」
 右手人差し指と親指で顎を挟んで目を細めるその姿は何とも面白いものを見つけた悪戯小僧の顔である。
 『上条と美琴以外の女性が一緒にいるツーショット』。
 そんなものを御坂美琴が見てしまえば、次の瞬間、この場が血を見る惨劇に見舞われる、もとい、すべてを一瞬で無に帰す最大級の雷撃が落ちることだろう。
 言い換えるとゼウスの雷。
 だから、それが分かる上条と白井は、
「ちょ、ちょっと待て、御坂! 誤解するなよ!? 俺は別に白井とは……!」
「そ、そうですわお姉様! わたくし、上条さんには思うところなど微塵もありませんし……!」
 二人揃って手と首をぶんぶか振りながら焦って答えるが、
「え? そうなの? それは残念。上条さんなら女性に優しいし、正義感も強いし、黒子にピッタリだと思ったんだけどなぁ……あ、でも上条さん、是非、黒子を同性愛から卒業させてくれませんか! 私も協力しますので!」
 実にいい笑顔の美琴である。そこには一切の不機嫌さも感じられない。むしろ本当に二人を応援しようという笑顔である。もちろん、からかってやろうという野次馬根性も加味されているわけだがそれはまあいいとしよう。
「(おい白井! お前、普段、御坂に何やってんだよ!?)」
「(べべべべ別に何もしておりませんわよ! じゃれついてくる子猫のようなスキンシップくらいですわ!!)」
「(ホントかよ!? あの御坂の態度、どう見ても厄介払いしたいって顔じゃねえか!!)」
「(う゛……それはその……)」
「ん? 何をひそひそ内緒話してんの? あ、ひょっとして私たち、やっぱり邪魔?」
 美琴は再び悪い笑顔になって二人を眺めてから、
「初春さん、佐天さん、私たちは外しましょう。ここは若い者同士でってことで」
 言って、二人の背中を押して出口へと向かう。
「お姉様!?」「御坂!?」
「それじゃ黒子ごゆっくり」
 満面の笑顔で言って美琴は姿を消した。
 残された二人。
「……こ、これは正直言って相当深刻な事態のようですわね……まさかあのお姉様が上条さんとわたくしの組み合わせであのように誤解されますとは……」
「……」
 心の底から引きつりまくった表情を浮かべる白井に、何故か上条はもやもやが内側から沸き起こり、黙り込んでしまうのであった。
 やっぱり面白くない。
 やり場のない怒りにも似た苛立ちを感じながら。


316 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:01:55 /xjEptYQ
「というわけで、心の底から大変不本意な事でございますが、お姉様と上条さんに本当に仲直りしていただく作戦を練るべく、みなさんに集まってもらいました次第ですの」


 白井黒子が、こほんと咳払い一つしてから宣誓する。
 ちなみにここは上条当麻の部屋だ。
 あの後、すなわち、美琴が上条と白井の話し合いの場に現れた後、どことなくイライラした表情の上条に、白井から提案して、初春と佐天を巻き込んでの作戦会議である。もちろん、インデックスとオティヌスもこの場にいて、二人は最近の、上条当麻の不貞腐れているようなそれでいて物悲しげな表情に耐えきれなくなってきていたこともあり、本音は上条と美琴の仲を修復させるつもりなどさらさらないのだが、だからと言って、今の上条と一緒にいるのはとても居た堪れないことから、白井と同じく不本意ながらもこの作戦会議に参加することにしたのである。恋敵を一人でも上条から遠ざけられる大チャンスでありながら、上条の不機嫌な表情を見せられるのはそれはそれで困るというのはまったく難儀なことだ、と二人は内心苦笑していた。
「さて、今回のお姉様と上条さんのケンカの原因は先ほど、お聞きしましたからどうでもいいとしてまして、問題はどうやってお姉様を元に戻すかでございますが」
「って、ちょっと待つんだよ。短髪は怒ってるんじゃなかったの?」
 いきなり『元に戻す』という意味不明の単語が出てきたので即座にツッコミを入れるインデックス。
「そうですよ白井さん。『元に戻す』って何ですか? てっきり上条さんが御坂さんに許してもらうための、そういう作戦を立てるものだと思っていましたよ?」
「私も、例えば、上条さんが平身低頭誠心誠意、お得意の綺麗な土下座を決めるとか、の話し合いだとばかり」
 もちろん、佐天と初春も追随してきて、
「そうは申されましても、佐天さんと初春もご覧になりました通り、先ほどのお姉様のあの態度、怒っているように見受けられましたの?」
「まあ……確かに怒っている、という感じはしませんでしたが……」
「上条さんは如何でした?」
「ああ……俺もケンカした後、何度か御坂と言葉を交わしているけど、怒っているふうには見えなかったし、あの笑っている顔も演技とは到底思えんかったが……」
「そういうことです。つまり、お姉様はすでに怒っているというわけではありませんの。むしろ平常心そのもので上条さんやわたくしたちと接しているのですわ」
「だとしたら、そこの男とその女はすでに仲直りとやらをしているということではないのか?」
 体長十五センチメートルのオティヌスが腕組みをしながら上条の右肩に座って疑問の声を上げる。
「いいえ違いますわ。仲直り、という言葉は適切ではありませんの。単刀直入に申し上げますとお姉様は上条さんに対して『他人行儀』の姿勢を取っている、ということですわ」


317 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:02:23 /xjEptYQ
 他人行儀とは、他人に対するように、打ち解けないこと。また、その様であり、すなわち美琴は上条を『知人』、『顔見知り』程度の認識で、無碍にはできないが、かと言って親密になるつもりもない、そういう余所余所しい礼儀正しさで上条と接している、そういうことである。
「あー……それで『元に戻す』、と……」
 佐天は困った顔になっていた。そして、初春もインデックスもオティヌスもようやく白井の言った意味が分かり、同じように困った顔をした。
 どうりで、あの美琴が上条のことを『上条さん』と呼んでいたはずだ。本来であれば『アンタ』よりも礼儀正しいはずなのに、言われてみれば、『上条さん』はどこか余所余所しい響きがあるし、『アンタ』と呼ぶ方がよっぽど親しみがあるように思える。
 とは言え、そんな簡単に切り替えられるものだろうか。
 が、実は、ある意味簡単に切り替えられるものなのである。なぜならば、
「そういうことですわ。お姉様は学園都市二三〇万人の頂点、七人しかいないレベル5の一人。そのハイレベルな『自分だけの現実』、いわば思い込みが災いして、本気で『上条さんと絶交する』を『自分だけの現実』にインプットしたものですから、今のような態度になってますの」
「つまり、短髪を以前の短髪に戻すには、そのインプットした『情報』を取り除くってこと?」
「そうなりますわね。ですが、誰よりも確固たる『自分だけの現実』を持つレベル5(お姉様)にそのような真似ができるとなると……」
 ちらり、と白井は上条に視線を送った。
「いや、それは無理だな。『意志』は『異能の力』ではない。『幻想殺し』でどうにかなるものではない」
 白井の意図を読んだオティヌスがあっさり否定。
「では上条さんが御坂さんを口説く、というのどうですか!」
 勢い込んで提案してきたのは、ぱぁっとした笑顔の佐天涙子。
 しかし、
「却下だな」「論外ですわ」「うまくいくはずないよ」
 即座に否定してきたのはオティヌス、白井、インデックスである。むろん、そこには根拠など存在しない。圧倒的なまでの感情論である。
 しかも、返答までわずか0.2秒。
「あの……お三方は『上条さんと御坂さんを仲直りさせる』つもりだったんじゃ……?」
「「「……」」」
 三人とも意見してきた初春と目を合わせようともしない。
 世の中には頭では理解しているつもりでも心では理解できないことが多々あるのだ。
「じゃあ逆に聞きますけど白井さんは何かアイディアがあるんですか?」
 ぶすっとして佐天が問いかける。
「ええ、もちろん。そうですわね、数十通りの方法は考えましたが、ただし、その場合、シミュレートしてみますと、すべての方法がわたくしの望む結果とは違う結果になりそうですから、わたくしの中ですでに却下した次第ですの」
 一体何を考えたのだろうか。
「じゃあ、私の案として、とりあえず、さっき私が言いました『上条さんの誠心誠意平身低頭土下座』で――」
「それも駄目かも。だって、短髪はとうまを『他人』扱いしてるってだけで、『怒ってる』わけじゃないから許しを請う意味が無いんだよ」
「あー」
「ふむ。ではとりあえず『トモダチ』になってみるのはどうだ? 他人行儀とは言え、知人で顔見知りというところをその女は崩していないのであれば、不可能ではないと思うが」
「なるほど。『まずはお友達から』ですか。いいですね。そんで上条さんのフラグ構築能力を鑑みますと前よりもいい関係になるかもしれませんし」
「だめだな。この方法は」
 佐天の言葉を聞いて、即座にオティヌスは自分の提案を取り下げた。当然、ずっこける佐天涙子。
「インデックスさんは如何ですの?」
「ううん……難しいんだよ……短髪ととうまを仲直りさせて、だけど、必要以上に親密にさせないとなると……」
「ですわよねー」
「えっとーお二人さん? 本当に御坂さんと上条さんを仲直りさせたいつもりあります……?」
 しみじみ頷き合っているインデックスと白井に、初春は苦笑満面でツッコミを入れた。
 結局。
 打算と保身が渦巻く中では妙案が浮かぶことはなく、作戦会議は成果もへったくれもなかった。
 そんなガールズトークの中。
 上条当麻は一人、ある決意を固めていた。


318 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:03:23 /xjEptYQ
 幸いというか何と言うか。
 おそらくはペア契約だったってことで二人揃わないと解約できなかったためか、はたまた『美琴から頼んだ』記憶が残っているからか。
 上条の携帯には美琴のアドレスが残っていたし、着信拒否設定にもなっていなかった。
 上条は、その晩、美琴に連絡を入れた。
 おそらく、夜分に呼び出しても今の御坂美琴は門限を理由にやんわりと断ってくることを見越した上で。
 また、平日でも完全下校時間を理由にやんわりと断られるような気がしたので。
 休日の土曜日に何か予定があるかをそれとなく聞いて。
 何もなさそうだったから、なら少しだけ付き合ってもらえないかと、あの鉄橋下の河原に午後三時頃の約束で呼び出した。
 夏の夜に、上条が初めて美琴と『まとも』に勝負した場所である。
 もっとも、その結末はかなりぐだぐだで、結局、決着はつかずじまいだった訳だが、今回は上条当麻の方から御坂美琴へ『勝負』を挑んだ。
 もちろん、美琴は微妙な表情を作って、
「ええっと……上条さん、今なんて……?」
「俺が勝ったら、前のお前に戻ってもらう。そう言った」
「何でまた? だって、私たち二人が望んだじゃないですか。『絶交』ってのは、なのにどうして?」
「……」
 美琴のキョトンとした表情はまったく崩れない。
 素なのだ。葛藤も動揺もない。本当に訳が分からないから上条に確認している、ということなのだ。
「ていうか、勝負って、まさか上条さん、私と、というか女の子とケンカするってことですか? 場合によっては女の子を殴る、ってことですか? さすがにそれはドン引きなんですけど」
「じゃあ、俺がお前を捕まえたらにしようぜ。いわゆる鬼ごっこってやつだ。ただし、テメエは俺に捕まらないために何やったっていい。電撃浴びせようが、砂鉄の剣を使おうが、超電磁砲を撃とうが。範囲はこの河原お互いの視界にお互いを捉えられる中だ」
「まあそれなら……てか、『鬼ごっこ』て。随分緊張感を感じない勝負ですよね?」
「そうでもないぜ。俺はお前の電撃攻撃をかいくぐらなきゃならねえ。相当の覚悟がなきゃできねえよ」
 上条当麻は怯まない。
 幾度となく御坂美琴の電撃を見て浴びて受けて来た身にも拘らず、だ。
「分かりました。でもさすがに制限時間無制限ってことないですよね? それじゃ上条さんが諦めない限り終わんないわけですし」
「制限時間九十分でどうだ? 人の集中力は長くて九十分。それ以上は続かない」
「あーうん。それくらいなら。でも多分ですけど私、負けませんよ? だって――」
 美琴はちょっと苦笑しながら呟く。強がりでも何でもない。純然たる事実のみを告げているのである。
 なぜならば、
「なら、行くぜ!」
 上条は吼えて、地を蹴った! 一直線に美琴へと向かう!
「まだ、私の口上の途中なんだけど……まあいいです」
 少し呆れたため息を吐いて、美琴は両手を天に向けて広げた。
 刹那、上条は足を止めた。視線を上空へと見やる。
 そこには美琴が呼び寄せた『雷雲』が渦巻いていて。
 それがあたかもこの周囲、全体を覆っているように錯覚して。
「くっ!」
 上条は右手を開いて、天へと向ける。
 しかし、




「――だって、私はもう、上条さんの『右手以外なら攻撃が当たれば効果がある』って知っているんですから」


319 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:03:52 /xjEptYQ
 美琴がどこか困ったように呟くと、
「あがっ!?」
 地面から発生した稲光の柱が上条を下から襲う! 足を貫き、制服を切り裂く!
 そのまま雷撃の余波で体が宙に浮き、
 直後に落とされる雷撃! 宙に浮く上条にかわす術はない!!
「ぐぉぉぉぉああああああああああああああああああああああああ!!」
 まともに喰らって地面にたたきつけられる!
「あ……ぐあ……」
 少し瞳孔開き気味なってもぞもぞと蠢く上条に、美琴は同情の眼差しを向けて、
「その……やめません? 私もう上条さんに負ける気しませんから勝負にならないですし。まあ電圧は抑えてありますので命に別条はないですけど」
 残酷なまでの宣言。
 上条当麻は、この初手でいきなり心が折れそうになった。あの何万何億と繰り返したオティヌスの創り上げた世界の中よりも心が折れそうになった。
 曲がりなりにも『あの世界』は何度も何度もやり直された。無限の地獄だろうと『次』があった。
 しかし、今回に限っては『やり直し』は存在しない。『一度きり』しかないのだ。
 だから、あの時以上に心が折れそうになった。
 これまで何度も美琴の雷撃をその身に受けてきた。それは鉄橋だったり銀世界だったり町中だったりどこかのグランドだったりと。
 その時の美琴の雷撃にはまだ、上条を思う気持ちを電撃越しに感じられたのに。
 打ち消した時でさえ右手の熱さの中に暖かさを感じられたのに。
 今の攻撃にはまったくそういった意志は見受けられなかった。感じられなかった。
 『仕方ないから相手してあげるけど止めた方が良いわよ』という気遣いながらの冷徹で寒々しい熱さだった。
 完全に『他人』に対する『行儀』でしかない冷たさだった。
 ――こんな美琴を本当に俺は戻せるのか――
 それでも上条は負けるわけにはいかない。折れそうになる心を奮い立たせて立ち上がる。
「バっカやろう!! 始まったばかりで諦めるなら最初から勝負を挑んだりしねえ!!」
 再び御坂美琴へと突撃!
 美琴は当然、対策を講じる。
 今度の武器は砂鉄の剣。
 いや、砂鉄の剣ではなくあの雪原で見せた美琴の周囲をうねる黒い砂鉄の鞭。その数もちろん八本。
 近づけさせない手段として『威嚇』もないこともない。確かに、この砂鉄の鞭はビジュアル的に結構怖い。まるで巨大で漆黒の蜘蛛がそこにいるような気がするからだ。
 無いのだが、なんとなくすべてを陥れる蜘蛛の巣の錯覚すら見える気がする。
 しかし。
(……アレは一本でも俺の右手が触れればすべて破壊されるのは知っているはずじゃ?)
 当然、上条には疑問が浮かぶ。あの時の美琴ならまだしも、今の美琴がそんな馬鹿な攻撃をするだろうか、と考えても無理はない。
 八本のうちの一本が上条めがけて進撃を開始した。
 鞭というよりは、まるで獲物を見つけた蛇のように素早くうねりながら。
 美琴の瞳は――
 前髪の影に隠していた。
 ゆえに美琴の考えは読めない。
 とりあえず。
 とにかく。
 それでも右手以外が当たればダメージがあることは変わりがないので上条は『右手』で砂鉄の蛇を粉砕する。
 当然、その一本を起点に砂鉄の『蜘蛛』は木っ端微塵に四散した。
 いや、正確には『砂鉄』に戻された。
 粉砕の余波と周囲に吹いている少し寒さを感じるそよ風に『砂鉄』が地に帰ることなく、上条と美琴の視界を覆い尽くすくらい霧のように漂っている。
 とは言え、お互い相手が見えないわけではない。しっかりとその視界に捉えることはできる。
「あー死なないとは思いますけど相当痛いと思いますから」
 美琴が困った笑顔で呟くと、
「!!!!!!!!!!!!!!?!」
 宙を舞う砂鉄の霧が『電磁力』によって四方八方どころか周囲三百六度すべての角度から上条へと襲い掛かる!
 言うまでもなく、この襲撃に右手一本では対応できるはずもなく。
 しかも砂鉄の霧はもちろん水分でできているわけではない。一つ一つの細かい粒子はすべて『固体』の鉄だ。
 それはすなわち、


 ミクロの『鈍器』にして『鋭利な刃物』という凶器であることを意味する。


「………………っ!!!!!!!!!!!!」
 上条は声にならない悲鳴を上げるしかできなかった。
 全身が黒い霧によって。
 右手以外の全身が
 叩きつけられ切り刻まれる。
 恐るべき攻撃だ、と上条は思った。
 初めて御坂美琴に敵わない、と上条は思った。
 再び地に倒れ伏す。
 美琴は相変わらず困った笑顔で頬をポリポリ掻いていた。


320 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:04:52 /xjEptYQ
 どれだけの時間が過ぎただろう。
 しかし、上条は美琴に触れるどころか、近づくことすらできないでいた。
 『幻想殺し』という唯一の武器という名の弱点を知られてしまっている相手には到底敵わない。しかも相手は『他人扱い』するから、ある意味『慈悲』もない。直情的にも感情的にもならないから、冷静に状況を分析して効果的な攻撃のみが繰り広げられる。
 だから、上条当麻に為す術は無かった。
 何度も地に叩きつけられて、地を舐めて、這いつくばり、起き上がる。
 それを繰り返すしかできなかった。
 しかし、繰り返せば繰り返すほど。
 相手は疑問が湧く。
 あの何万何億と繰り返した世界の中でもオティヌスは上条に疑問を持った。
 へこたれない上条に多大な疑問を持った。
 同じように。
 御坂美琴も疑問を持つ。
 どうして上条当麻が何度倒されても立ち上がり自分に向かってくるのかが理解できなかった。
 あの日あの時あの場所で、美琴が言った『絶交』を承諾したのが上条なのに。
 だったら、どうして縁を切りたいそんな相手にムキになって突っかかって来るのか。
 どうして、前の御坂美琴を望むのか。
 美琴には分からなかった。
 どう考えても解らなかった。
「……どうして、ですか?」
 だから聞く。
 分からないなら分かる相手に聞くまでである。
「……どうして、上条さんは前の私を望むのですか?」
「御坂……」
「『絶交』を言い出したのは確かに私の方からです。ですが、上条さんは『承諾』しました。なのにどうして『前の私』になってほしいのですか?」
 ただし、上条には分かっていた。
 今の質問は別に美琴の心境に変化があったわけでも何でもない、ただの確認作業でしかないことを。
 だから答える。
 上条当麻の気持ちが届かないと分かっていても。
 上条当麻の心の内を知ってもらえないとしても。
 それでも答える。


「お前に『アカの他人』扱いされるのが嫌だからに決まってんだろ」


「え?」
「白井が言っていたよ。お前は学園都市最高の『自分だけの現実』を持つレベル5だってな。つまり、俺なんかよりもずっと『確固たる意志』を持つことができるってことだろ。そいつが『俺と絶交する』という『自分だけの現実』を確立させたって言ってたんだよ」
「まあ、そうですね。だから私は上条さんに『他人行儀』な態度を取れるようになったわけですから」
 この期に及んでも美琴の素の表情は崩れない。
 しかし。
「けどな、俺は『レベル0』なんだよ。『幻想殺し』って能力を持っちゃいるが、『自分だけの現実』って観点で考えると、俺はお前の足元にも及ばないくらいずっと下にいるんだよ。それこそ文字通り雲泥の差とか天地の差だ。その意味が分かるか?」
「それは……えっと。ごめんなさい。分かりません」
「――っ!! あのなぁっ! あえて表現するけど『俺』は『都合よく』お前を『他人扱いする』なんてできねえんだよ!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!?!」
 初めて美琴の表情に衝撃が走った。


321 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:05:47 /xjEptYQ
「妹達の一件から始まったお前との邂逅! 夏休み最後の日! 大覇星祭! 罰ゲーム! 病院を抜け出した街灯下! ロンドン地下街! ベツレヘムの星! 呼び出された鉄橋! ハワイ! 一端覧祭! 東京湾! そしてデンマークフレデリシアまでの雪道! どれをとっても、どれか一つ欠けてもいいとは思わねえ!! 無かったことになんてできやしねえ!! だから『お前を他人扱いする』なんてもうできない!! そんな『都合よく』、お前みたいに意思を書き替えることなんてできないんだよ俺は!!」
 上条当麻の魂の叫び。
 しかし、先ほども言ったように上条はこの叫びが美琴に届くとは思っていない。
 単純に、今、自分の思いの丈をぶつけたに過ぎない。
 ただし、言葉にすることは大切だ。
 例え、届かないとしても、『言葉にしなければ』最初から届くことがないからだ。
 『届かない』よりも『届かないだろうけど』は、はるかにマシなのだ。
 事実、美琴は再び問いかけた。
 言葉にしなければ、おそらくはとどめを刺しに来て上条の意識を飛ばし、制限時間を越えさせたであろうけれども。
 言葉にしたからこそ、御坂美琴は再び上条当麻に問いかけた。
「だったら、どうして私の『絶交する』という提案を受け入れたのですか?」
「……」
「私の提案を受け入れなければ、今の私たちではなく、以前の私たちのままだったはずです。後から悔むならどうして、私の提案を受け入れたのですか?」
 少女の瞳はどこか怒りに満ちていた。
 これまでは愛想笑いくらいしか向けてこなかった彼女が、明らかに上条に対して『怒っていた』。
 『他人』であれば『怒る』必要などないはずなのに、流してしまえばいいはずなのに、彼女は『怒っていた』。
 とは言え、その怒りは『呆れ』に近いものでもある。『やらなきゃいいのに何でやったの?』といった白眼視のものである。
 こう言われてしまえば上条は自嘲するしかない。
「そうだな……謝って済むとはまったく思っちゃいないが、あん時の俺は頭に血が上り過ぎてたってことだろ。だから心にもないことを売り言葉に買い言葉で言っちまった、ってところか……だから、今、最大級の罰を受けている。お前に『アカの他人扱いされる』って罰をな……」
「……」
 今度は美琴が黙り込む番だった。
 過去を『思い出』にしてしまった自分と、過去を今でも『現在』と捉える上条。
 いくら『他人』でも、相手の気持ちは伝わってくるものなのだ。
 たとえ『何とも思ってなくて』も、真摯な相手の気持ちは伝わって来るものなのだ。
 が、伝わってきた来たのはまずかったのかもしれない。
 なぜならば、


322 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:06:13 /xjEptYQ
「う……」
 美琴の顔色が変わった。何かよろめき、目の焦点がずれ始めた。
「御坂……?」
 当然、その様子は眼前にいる上条は即座に分かる。
「だ、め……」
「え?」
 いぶかしげな声を漏らす上条だが、美琴は気付かず頭を押さえるのみ。
「何……書き換えたはずなのに……何かが私の中から……だめ……」
 美琴が狼狽し始めると同時に、彼女の身体から稲光が弾けた。
 それも一つや二つではない。数と輝きがどんどん増していく。
「かみ……じょうさん! 逃げて!!」
「!?」
「早く! 何かが私の中から理解不能の何かが!! 制御し切れない力が暴発します!! この辺り一帯を吹き飛ばします!! だから!!」
 御坂美琴が悲壮な表情で上条当麻に逃走を促している。
「どういうことだ!?」
「分かりません! ですが今、ここにいるのは危険です! だから逃げて!!」
「お前はどうなる!?」
「私なら……大丈夫です!! 爆発は私を起点に『外に広がる』から……です!! ですが上条さんは確実に巻き込まれます!! だから……早く!!」
 上条は考える。
 今、なぜ、美琴が暴発しようとしているのか。どうして爆発するのか。
 美琴が言っていた通りで『制御しきれない何か』が原因だということは分かる。
 では、それは何なのか。
 何がトリガーとなったのか。
 考えるまでもなかった。
 上条の言葉が、気持ちが美琴に届いたからだ。
 制御しきれない何かの正体は分からないが、上条当麻の『偽らざる心』が御坂美琴が自身で封じた『心』を揺さぶったからだ。
 だとすれば、上条当麻の取るべき道は一つだ。
 ここで、上条が逃げ出せば、おそらく美琴の暴発は収まることだろう。何と言っても原因は上条の言葉なのだから、その原因がなくなれば収束するのは自明の理だ。
 しかし、それは同時に、今、表に出ようとした『心』を二度と封じ込めてしまうことと同意語もであるのだ。
 だから、
「逃げない」
 上条当麻は力強く答え、そして右手を広げて御坂美琴へと翳した。
「何をしているのです!? 私には分かります! いくら上条さんの右手でも『この力』は防ぎきれません!! それは『過去』が証明しているではありませんか!!」
 そう。美琴の暴発は右手以外も呑み込む広範囲に渡るものだ。
 そんなもの、上条が受け切れるはずがない。
 現に、上条当麻は、妹達を助けるため命を投げ出そうとした美琴を制止するために立ちはだかったその時に、『その暴発』をその身に受けたのだ。
 右手があったか無かったかではない。全包囲攻撃では上条の右手は何の役にも立たないからだ。
 美琴はそれを言っているのである。
「逃げるわけにはいかねえ……ここで逃げちまえば、もう俺とお前は完全にお別れだ……だから逃げない!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!?!」
 一瞬、美琴は虚をつかれた表情を浮かべたが次の瞬間、




 御坂美琴を中心に、あたかも世界中が震撼したかのような爆撃音を伴って、上条当麻の意識も含めたこの地帯一帯を光の奔流が呑み込むのだった。


323 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:06:40 /xjEptYQ
(……)
 次に上条が意識を取り戻した時、いつの間にか周囲は闇に包まれていた。街灯すらその機能を果たしていなかった。
(いったい何があったんだっけか……)
 ぼんやりと、天を眺めて考える。まだぼやけていはいたが上条には厳かに瞬く星空が見えた。
(あ……そうか……)
 しばしの考慮で上条は思い出す。
 自分は御坂美琴の暴発に巻き込まれて意識を失ったことを。
 八月二十一日の夜と同じように意識をダークアウトさせられたことを。
「ん……?」
 不意に何かが自分の頬に跳ねた気がした。
 同時に声が降ってきた。
「やっぱり馬鹿でしょ……アンタ……」
 すぐ傍から静かな声が聞こえてきた。
 少しだけ視線をズラす。そこにはどこかどんよりした無表情の御坂美琴がいた。
 どうやら上条は美琴に膝枕されているらしい。
 八月二十一日の夜と同じように柔らかくも暖かな感触に身を委ねているらしい。
「……っ! 御坂お前……今……!」
 上条はハッとしたが美琴の耳には届いていない。
 しかし今までとは違う。
 届いていないのではなく、耳には入っているがそれどころではないので『聞こえていない』だけだ。
 だから美琴は続ける。
 静かに、少し重く。そして続ければ続けるほど、嗚咽が込み上げてくる。
「何も関係ないじゃない……目を瞑って……私のことを知人、アカの他人扱いしてしまえば、アンタはアンタの日常で生活できたのに……」
「うぐぁ……」
 起き上がろうとして、しかしダメージが残っている上条は再び美琴の太ももへとぽすんと落ちる。
「何でこんなにボロボロになって……短い間だけど……心臓も止まっていたかもしれないのに……」
「ん……へへへ……」
 思わず笑いを洩らす上条の頬に今度こそ実感して分かる何かが跳ねる音。
 ふと見上げると、御坂美琴が泣いていた。
 八月二十一日の夜と同じように泣いていた。
「何でそんな顔で笑ってられるのよ……」
 上条当麻には分かった。
 御坂美琴に何が起こったのか。
 御坂美琴の心に何があったのか。
 とめどなく上条の顔に跳ねる美琴の涙がそれを知らせてくれる。
 上条の呼び方が変わったことが教えてくれる。
 だから答える。
 八月二十一日の夜と同じように。
 しかし、
 八月二十一日の夜と違う言葉で。
「お前が戻ってきてくれて良かったと思ったからさ」
 そのまま『右手』を翳し、
「だから――」
 美琴の前髪へと弱々しく、しかし優しく触れる。
「捕まえ――た――」
「馬鹿……制限時間なんてとっくに過ぎてるわよ……」


324 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:08:17 /xjEptYQ
 翌日の放課後。上条はいつも美琴と出くわす公園のオンボロ自販機へと来ていた。
 あの後、美琴は上条に肩を貸して上条を上条の自室へと運んだ。出迎えたインデックスに上条を任せて立ち去った。
 インデックスは美琴に何か言いたげな表情を見せいていたが、美琴の前髪の影に瞳を隠した重苦しい表情に言葉を呑み込んだ。
 上条も美琴に何も声をかけなかった。
 もっとも、それでも上条にはなんとなく予感があった。
 あの自販機に来れば必ず美琴が待っている。そんな気がした。
 そして予想通り。
 上条の視界には自販機の前で佇んでいる見慣れた亜麻色のショートカットの少女が入ってきた。
(ふぅ……)
 鼻で一つ息を吐いてから上条は美琴へと進む。どうやら向こうも上条に気付いたようだ。
「よ、よう……」
 それでも挨拶が苦笑でどもってしまったのは昨日のことがあるからだろう。
 対する美琴は、
「はい」
 言って、上条へと何かを投げた。明るく元気に。
 それを『右手』で受け取る上条。手の中にはひんやり冷えた『ヤシの実サイダー』と書かれたジュース缶があった。
「昨日のお詫び。私の奢りよ。ありがたく受け取んなさい」
 実は本日は結構寒いのだが、『奢り』と言われてしまえば、冷たいものでも受け取らなければならないし、お礼を言うのが筋である。
「ありがとよ」
「ちょっといい?」
「何だ?」
「立ち話も何だし、あっちのベンチで」
「分かったよ」
 言って二人は肩を並べて歩き出す。ふと上条が美琴の手元に視線を移すとそこにはホットの『スープカレー』が握られていた。
「お前、また自販機を蹴って出したのか?」
「まさか。奢りって言ったでしょ。それに去年の秋から改修されたのかしんないけど、蹴ってもなかなか出なくなったのよ」
「どっかの誰かさんが蹴りまくったんで目撃者から通報でもされたんじゃねーの?」
「そんなドジ踏んでるつもりなかったんだけどなぁ。アンタと黒子以外に見られた覚えないんだけど――って、まさかその通報者ってアンタ?」
「んな訳ねえだろ。こちとら、就業時間中は校外に出てはならないって校則をかいくぐって何度も脱走したことある身だ。自分が悪事働いてんのに人の悪事をチクるなんて真似するかよ」
「なるほどね」
 そんなたわいもない会話を交わしながら歩く。
 しかし上条は嬉しかった。
 他人行儀ではないバカな会話を美琴とかわせる現実が嬉しくて楽しかった。
 昨日までの美琴だったら、自販機の時点で別れているし、何より奢ってもらえるはずもない。
 さて、お目当てのベンチが見えてきた。
 夏に『今の上条』が美琴と初めて会話を交わしたベンチ。その後、白井黒子とも出会い、そして忘れることなどできない御坂美琴の軍用クローン、妹達の一人、実験の最後の犠牲者、今は亡き一〇〇三一号と出会った場所だ。
 二人同時に座って二人同時のぽしゅっとプルタブを上げて二人同時に一口すする。


325 : 上条当麻の憂鬱 :2014/06/08(日) 19:08:41 /xjEptYQ
「……アンタに謝んなきゃいけないわね」
 ぽつりと美琴から切り出した。
「何を?」
「一週間前のことよ。アレは私もどうかしてた」
「仕方ねえさ。俺が言ってはならないことを言ってしまった所為だ」
「その原因は私の余計な一言でしょ。だったら、私の方が悪いわよ」
「……」
「ゴメン……」
「お互い様だ」
 言って上条は再び『ヤシの実サイダー』を一口すする。
「馬鹿……」
 呟く美琴もスープカレーを口元に運び、
「って、そういやちょっと待て! よく考えたら何でお前は『暖かい』飲み物で、俺は『冷たい』飲み物なんだよ!? この『寒い』時期に!!」
「っ!!」
 上条はジト目で睨みつけて美琴に詰め寄った。
「お前……確か、さっき、『今回は蹴って出したわけじゃない』っぽい言い方したよな? だとしたら、この結果はあり得ねえんじゃねえの……? 嫌がらせ目的だったら『少し話をしたい』なんて殊勝なことは言わないだろうし……」
「えーと……そのー……あははははははははは……」
 上条の問いかけに、美琴は気まずくて言葉を濁しながら上条と視線を合わせようともしない。それも上条が何度か執拗に視線を合わせようとするのを避けまくる徹底ぶりだ。
「ほっほ〜う。つまり美琴センセーは今回はたまたま二本出たんで冷たい一本を俺に押し付けようと?」
「べ、別にいいじゃない! アンタももう何口か飲んじゃってるんだから同罪で共犯なの!」
「テメエ! だったらお前のスープカレーをよこせ! 俺だってこんな寒い時に冷たいものなんて飲みたかねえよ!」
「あ、こら! 何してんのよ! てか、どこ触ってんのよ! こらぁっ!」
「へっへーん! もーらいっと!」
「ああ!」
 上条は手際良く美琴の手からスープカレーをひったくり、即座にゴクリと一口飲み、
「ぷっはー。相変わらずコンセプトは謎だけど、寒い時期は案外いけるなこれ――って、あれ? どうした御坂?」
 ふと美琴を見れば、そこにはなぜか顔を赤くしてあうあうしている彼女がいて。
「んー?」
 上条が少し様子がおかしい美琴を覗き込もうと顔を近づけたその瞬間、
「とうま……なんか短髪と『本当に仲直りできた』みたいだね……?」
「上条さん……どうやらお姉様を『元に戻した』ようですわね……?」
 いきなり思いっきりドスの利いた声が振ってきた。それもよく知っている声が二つ。
 ぎぎぎぎぎと上条が壊れたロボットのように首を声のした方へ向けると、
「お、お前ら……いつからそこに……?」
 上条はガタガタ震えながら問いかける。
「今日はとうまがほしゅーが無いって言ってたから、がっこーまで迎えに行く途中に、とうまと短髪が一緒にいるのが見えたから来たんだよ」
「わたくしは自販機の無線警報が詰め所に入ったので真相を確かめに来ましたら、お姉様と上条さんが一緒に歩いていたものですので」
 上条の全身から冷や汗と脂汗が噴き出す。
 問答無用。
 無言だというのに、上条当麻を見つめるインデックスと白井黒子の全身からその言葉が体現されていた。
 そう言えば、昨日の晩の様子からすれば美琴が白井に元に戻ったことを話しているとは思えない。
 まあ、しんみりした話し合いの最中であれば彼女たちの前髪を濃くした殺気の視線を向けられることはなかっただろうけど、その後の場面から見られてしまえば、傍から見れば弁解の余地はない。しかも、それが『上条から美琴が口を付けた飲みかけのジュース缶を強奪して、それを飲んでしまう』という暴挙であればなおさらだ。
 上条自身は、友達同士の回し飲みという意識だったかもしれないが、如何せん、相手が女の子でしかも思春期の入口に入ったばかりの女子中学生が相手ではあまりにもデリカシーが無さ過ぎたと言っても過言ではない。
 したがって。


 なんだか文章では表現してはいけない惨劇が御坂美琴の目の前で繰り広げられたことは語るまでもないだろう。


326 : 我道 :2014/06/08(日) 19:13:47 /xjEptYQ
以上です。最初の一つ目すみません。タイトルと名前を間違えておりました。
んで、基本、私はこういう感じの話を書こうとすると体が拒否反応をおこすのでこれが精一杯でございますし、おそらくはこれが最初で最後の上琴SSとなるのではないかと思っています。
なんたって体が拒否反応を起こすものですから文章もわたわたで、少しだけ(知ってる人いるかな?)神坂先生の作品『DOORS』の文章タッチになってる部分もあったりします。
今回書いてみて、改めて、ここに投下する皆さんは良く書けるなぁ、感心した次第でございます。私にはこれ以上は無理です。(笑)


327 : ■■■■ :2014/06/08(日) 21:39:29 mKl7kvuM
読み応えがあったなぁ グッジョブ


328 : ■■■■ :2014/06/08(日) 22:37:41 jheapdqg
寝てた人さんってもう来られないんですか?


329 : ■■■■ :2014/06/08(日) 23:14:22 WK.jD0Dk
>>我道さん
上条さんの魂の叫び部分がいいなぁ…
原作の上琴らしさがよく現れていたし、こういうお話大好きです


330 : くまのこ :2014/06/09(月) 21:29:23 VkaZS.8U
>>シラボネXさんGJです!
もはや救急退院さんが過労で倒れないか心配だぜw

>>305さんGJです!
ミコっちゃん、釣りは忍耐が必要なので諦めずに頑張ってね。
狙った獲物は鈍感という川の主だからw

>>我道さんGJです!
そしてこの惨劇の後は、ミコっちゃんが呆れながら介抱して、
そこから新たなフラグが立つ訳ですねわかります。
あ、それと「こぼれ話」はいつでもいいですからね〜。



支部でリクを受けたので短編書きました。
頂いたお題は
「嬉しいことや楽しいことが立て続けに起こるあまり『多分明日ぐらいに死ぬな』が口癖になる御坂美琴」
です。約3分後に4レスです。


331 : 命短し恋せよ美琴 :2014/06/09(月) 21:32:18 VkaZS.8U
その日、美琴は有り得ないほどツイていた。
朝食は好きなオカズばかりだったし、自販機でジュースを買えばもう一本当たり、
読みたくても既に絶版していた書籍は古本屋で見つかり、
抽選で3名にしか当たらないプレミアムゲコ太ヌイグルミは部屋に届き、
ラヴリーミトンの食玩入りチョコを買えばオマケのフィギュアをコンプリートする。

それに嬉しい事もあった。
海外で暮らしているフェブリからエアメールが届き、かと思えば、
久しぶりに旅掛【パパ】から電話が来て、何ヶ月ぶりかの会話もした。
ついでに常盤台中学の図書室で、柱に頭をぶつけて「ぎゃむっ!?」と叫ぶ食蜂の姿も目撃した。

偶然…が重なっただけなのだろうが、これだけいい事尽くめだと、逆に不安になってくる。
上条ではないが、これは何か不幸の前触れなのではないかと、疑いたくなってくるのだ。

「……私、明日ぐらいにでも死ぬんじゃないかしら…?」

ふいに、そんな事まで口をついて出てしまう。
だが美琴は上条ではない。彼女の右手には、当然ながら幻想殺しなどついていない。
なので勿論、これは「不幸の前触れ」などではない。単純に、今日が「運のいい日」なだけなのである。
その証拠に学校の帰り道、

「おー、美琴! ちょうど良かった。この後ヒマか?
 もし予定が無いなら、悪いけど今から俺と付き合ってくれませんかね?
 男一人だとちょっと行きにくいトコなんでさ。あっ、勿論イヤなら断ってくれてもいいんだけど…」

と、普段素っ気無い態度を取ったりスルーしたりするツンツン頭が、突然お誘いしてきたからだ。
美琴は再び、先程の言葉を口にした。

「私! 明日もう死ぬかもっ!!!」
「何でっ!!?」

美琴の急な遺言に、全力でツッコむ上条であった。

「えっ!? あ、あぁ、いやいや。ゴメン、何でもない…」
「そ、そうか?」

明らかに何でもなさそうだが、本人がそう言っているので、一応納得する。

「で、どうなんだ? 付き合ってくれるのか?」
「べあっ!?」

『付き合う』という言葉に、否応無く過敏に反応してしまう。
上条が「男一人だとちょっと行きにくいトコ」と言っている以上、
『そういう意味』じゃない事など分かりきっている筈なのだが、
それでも反応してしまうのだから仕方がない。

「ま、まままぁアレよね。わ、私はこの後ちょっとアレの予定がある訳だし、
 アレがソレしてちょっと忙しいかもだけど、
 で、でで、でも少しくらいなら時間を作ってあげてもいいかな〜? …なんて―――」

ナニがナニして忙しいと言うのか。美琴は別に、この後の予定など全く無い筈なのだが。


332 : 命短し恋せよ美琴 :2014/06/09(月) 21:33:02 VkaZS.8U
「あ、そうなのか? そっか、引き止めて悪かったな。じゃあ他に頼めそうな人を―――」
「あーーー!!! でもアレは別に明日でもいいんだったーーー!!!
 明日でもいいんだったなーーー、アレはっ!!!」

しかし謎の予定、『アレ』のせいで上条が引き下がろうとしたので、
慌てて『アレ』を明日に延期する。彼女は一体、何をやっているのだろうか。

「え、あ、そ、そうなのですか…?」
「そうなのっ!」
「じゃ、じゃあ……」

美琴の一連の奇行に不審な目を向けつつも、上条は元々の用件を切り出す。
薄っぺらいカバンに手を突っ込み、取り出したのは一枚のチラシだった。

「あ、これって……」

それは新しくオープンした、スイーツ専門店の広告だった。
昨日佐天から鼻息荒めの電話があって、その店の事を聞かされたので、
美琴もその存在は知っていた。その際「今度みんなで食べに行こう」、と約束もしたのである。
広告の中央には、『OPENセール! 全品半額!』と、
スーパーか家電量販店のような煽り文句がデカデカと掲げられている。

「実はインデックスがこのチラシを見つけちまってさ。
 『ケーキケーキ!』って駄々こねるもんだから、仕方なく、な。
 でもこういう店って女性客の方が圧倒的に多いだろ? 俺だけだと、ちょっと恥ずかしくてな」

上条は苦笑しながら説明する。インデックスの名前が出た事で、美琴は少しだけ不機嫌になる。

「ふ〜ん…? でもだったら、あの子を誘えば良かったんじゃない?
 その方があの子も、好きなのを選べる訳だし」
「……インデックスに好きなのを選ばせたら、上条さんは破産します」
「……なるほど」

胃の中がブラックホールと直結しているインデックスを、
「美味しそうな物がいっぱいある所」に連れて行くのは非常に危険だ。
スイーツ専門店とは言っても、別にケーキバイキングの店ではないのだから。

「だから2〜3個、良さそうなのをお土産に買っていこうと思ってな。
 それとわざわざ付き合ってもらうんだし、美琴の分もおごるぞ。
 さっき今月分の奨学金を下ろしたばっかだから、多少はリッチだし」

ホクホク顔で二カっと笑う上条。
その表情を当たり前のように「可愛い」と思ってしまう程、自分は重症なのだなと自覚する美琴。
ボッ!と顔を赤くしながら、美琴は上条から視線を逸らした。

「ま、まぁ……おご、おごってくれるって言うんなら……特に…断る理由も無いし……
 い…い、一緒に行って……あげなくも…ないけど………」

急にごにょごにょと言い出したが、とりあえず了承は得た。なので、

「そっか。ありがとな、美琴」

とお礼を言ったのだが、何故か美琴は更にモジモジとするのだった。


333 : 命短し恋せよ美琴 :2014/06/09(月) 21:33:51 VkaZS.8U
件の店にやって来た二人。自動ドアが開き、その店内の様子に上条がイの一番で漏らした感想は、

「うっわ〜…結構、混んでんなぁ〜……」

であった。しかもやはりと言うか何と言うか、客層の9割5分が女性である。
これは非常にマズイ展開だ。人ごみの中で、しかもその殆どが女性。
それは上条にとってハプニングが起きる条件が整いすぎている。
例えば、ぶつかった時に隣の客の胸を触ってしまい、痴漢と間違われるかも知れない。
例えば、足がもつれて前の客を押し倒してしまい、痴漢と間違われるかも知れない。
例えば、何かもうとりあえず、痴漢と間違われるかも知れない。
しかしそんな不幸自慢【ラッキースケベ】を美琴に説明する訳にはいかない。
そんな事を言ったら、何故か更なる不幸が待っている気がする。なので、

「い、いや〜、こんだけ人がいたら、俺たちもはぐれちゃうかも知れないな〜!」

と、わざとらしく保険を掛けておいてから、

「っ!!?」

上条は美琴のその柔らかい手を、ギュッと握ったのだった。
しかもその握り方たるや、
相手の手首を掴む一般的なタイプ(それでも美琴にとっては破壊力抜群だったのだろうが)ではなく、
指と指を絡ませる、所謂「恋人繋ぎ」だったのだ。
一応、建前上は「はぐれないようにする為」だったので、
すぐに離せない繋ぎ方をする必要があったのである。

「何で手ぇ握ってんの!? ねぇ何で手ぇ握ってんのおおおおお!!?」
「え、いやだから…はぐれそうだったし……」

美琴が上条の突然の行動にワタワタし始めた。
苦しい言い訳だというのは自覚しているが、他に理由が思いつかなかったのだから仕方がない。
もっとも美琴がテンパっているのは、そこが理由ではないのだが。

あうあう言いながら借りてきた猫状態になる美琴。
本当に今日は、とことん良い事が続く日である。



列に並び、適当なケーキを5ピース
(テイクアウト用が3ピース、イートイン用が2ピース)注文する上条。
流石に注文する時には繋いでいた手を離しており、
美琴はどこか名残惜しそうな、それでいて少しホッとしたような、そんな複雑な表情をしていた。

店内には、買った後そのまま食べられるスペースがあり、
しかもそういったお客様にはコーヒーか紅茶を、無料で提供してもらえるという、
行き届いたサービスまでついてくる。
せっかくなので上条は、自分と美琴の分はお持ち帰りせず、ここで食べるようにしたのだ。
…別に無料に釣られた訳では無い。

席に着き、ケーキを二つ取り出した。
上条はガトーショコラとコーヒー。美琴はベリータルトと紅茶だ。

「あ゛ー、美味ぇ! 甘いモンなんて久しぶりだよ。やっぱ、たまには贅沢もするもんだよな〜♪」

税込み237円(しかも今はセール中なので、その半額)のチョコレートケーキを、
アッサリと『たまの贅沢』と言ってしまう彼のお財布事情に、涙を流さずにはいられない。
ただ上条本人は幸せそうなので、それだけは救いである。

ご機嫌な上条とは対称的に、美琴は俯いたまま、もそもそとタルトを食べている。
口に合わない…という訳ではない。むしろ美琴も、美味しいと思っている。
しかし先程の余韻のおかげで、顔がポワポワしてどうしようもないのだ。
口の中に広がる甘酸っぱさは、きっとベリーのせいだけでは無いだろう。

そんな美琴の気持ちを知ってか知らずか……いや、100%知らずにだろうが、
ふいに上条が、新たな攻撃を仕掛けてきた。

「……美琴のも美味そうだな…一口貰っていいか?」
「ふぁっ!!?」

突然そんな事を言われて、美琴は手に持っていたフォークを落としそうになる。

「あ、その…べ、別にいいけど……でででもこれ、た、食べかけだし……」
「だから?」

素で聞き返す上条。
と言うか、聞いておいて美琴の返事を待たずに、既に美琴のタルトを一口サイズに切っていた。
勿論、切ったのは上条が使っていたフォークだ。


334 : 命短し恋せよ美琴 :2014/06/09(月) 21:35:17 VkaZS.8U
「あ、ああ、あ……」

真っ赤になる美琴をよそに、それを何の抵抗も無く口に入れる上条。
「んーめ!」と暢気に感想を述べている場合ではない事に、彼自身は全く気づいていない。
しかしそれでも美琴が『変な顔』をしている事には気づいたようで、

「わ、悪かったよ。勝手に食って……俺の分も一口食っていいから、そんな怒んなよ……」

と自分のケーキを美琴に差し出す。
美琴の気持ちに気づいていないくせに、美琴の気持ちを直撃する行動を取る辺り、
一級フラグ建築士の資格は伊達ではないと、感心せざるを得ない。
今度は美琴にやれと言うのだ。先程自分がやってみせた、間接的なキスっぽいモノを。

「いいいいや、わわ、私はいいわよっ!!!」

しかし美琴は、真っ赤なままの顔をブンブンと振る。
彼女の性格上、そんな事を自発的にできる訳が無いのである。

本人が思いっきり「いらない」と言うので、
上条は「あ、そう?」と差し出したケーキを戻そうとする。だがその時、

「あっ…」

と残念そうに声を出してしまった。瞬間、ハッとして口をつむぐが、時すでに遅し、だ。
上条はジト目で、こちらを見ている。
本当は食べたかった(上条の思っている理由とは少し違うが)事に、完全に気づいているようだ。

「……美琴、食いたいなら食っていいってば」
「〜〜〜〜〜っ!」

再びケーキを差し出され、色々な種類の羞恥心で耳まで赤くなる美琴。思わず、手で顔を覆たくなる。
ここで断ると余計に気まずくなるので、美琴は『仕方なく』上条のケーキにフォークを刺す。
勿論、それは美琴が使っていたフォークだ。

「………あむ…」

フォークの先にあるその甘い塊を、恐る恐る口に運ぶ美琴。
口の中に広がるホロ苦さは、きっとショコラのせいだけでは無いだろう。
…さっきも同じような事を言ったような気もするが。

「どうよ?」

と軽く感想を求める上条に、美琴は、

「………おい…ひぃ…」

と蚊の鳴くような声で答えるしかなかった。もはや限界寸前である。
しかしそれでも上条は、無自覚な攻撃の手を緩めてはくれなかった。
上条は呆れたように美琴の口元を見つめながら、

「…美琴、口の横にクリームついてるぞ」

と一言。確かに口の端に違和感がある。これ以上、恥ずかしい姿を見られたくない美琴は、
急いで口を拭おうとして、ハンカチを取り出そうとした。
…のだが。

ぺろっ

「………? ……っっっっっっ!!!?」

上条が、美琴の口元についていたクリームを指で掬い、しかもそのまま舐めたのだ。
あまりの出来事に、美琴は声にも出せずに絶叫した。

世の中には3秒ルールという物がある。
床に落ちた食べ物でも、3秒以内に拾えばセーフ、という衛生面を一切考えない精神論だ。
それは日本が生んだ美徳、MOTTAINAI精神の表れなのだが、貧乏性の上条は、
この場面でとっさにそれを出してしまったらしい。
つまり上条は、美琴が口を拭おうとした瞬間、「あ、もったいね」と思ってしまったのだ。
だからつい、指で掬って舐めてしまったのだ。
仕方ないのだ。
しかし顔が真っ赤なまま口をパクパクさせる美琴に、
流石の上条も自分が何をしてしまったのかを理解する。

「…あっ!? ご、ごめん! 女の子相手に、今のは流石に軽率だったよな! ホントすまん!」

慌てて取り繕う上条だが、その言葉は美琴には届いていなかった。
何故なら―――



この日、美琴は有り得ないほどツイていた。
突然、上条から「付き合ってくれ」と言われ、恋人繋ぎで手を握られ、
本人無自覚な間接キスを何度もさせられ…
結果的に、彼女が漏らした「明日、死ぬかも知れない」という一言は、奇しくも当たる事となる。
ただし、それは『明日』ではなく『今日』だった。

「…あっ!? ご、ごめん! 女の子相手に、今のは流石に軽率だったよな! ホントすまん!」

慌てて取り繕う上条だが、その言葉は美琴には届いていなかった。
何故なら美琴は既に、死んで【ふにゃーして】いたから。

あふれ出しそうな漏電の滝を、
上条はもはや条件反射のように、慣れた手つきでゲンコロするのだった。


335 : くまのこ :2014/06/09(月) 21:36:19 Ms7sByyY
以上です。
最近、王道っぽいのばっかり書いてる気がします。
ではまた。


336 : ■■■■ :2014/06/09(月) 22:28:31 r6Mj0dfQ
読んでにやにやした 乙


337 : ■■■■ :2014/06/09(月) 23:48:59 mJl1Jpek
細かい部分だけど
頭をぶつけたみさきちとそれをツイてることにエントリーしてる美琴に笑ったw


338 : ■■■■ :2014/06/10(火) 18:56:58 ou5j.CZA
久々にこのスレ開いたけどやっぱ素晴らしいね
顔がニヤケたまま戻らないやw


339 : ・・・ :2014/06/14(土) 01:28:28 pWksqkII
ども、・・・です

ちょっと来ない間にこんなに大量に……幸せ

シラボネXさん
>>267 302
弟に母親だと?
救急隊員さーん、パパの分、最低あと一回はあるぞー
もう、孫とか祖父とかまとめてかかってこいや!!

>>278
これで単位がもらえるってセリフに号泣したのはおれだけではないはず。
怪物が口ほどにもなさすぎる(笑)
きっと手を抜いたゼウスさんは今頃ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イですな



はりねずみさん
>>270
最後の1行に感動をそげぶされた(笑)
まったく似た者カップルだから周りは苦労しますな
あ、焼き増ししといてー初春使って全国に放送すっからー



くまのこさん
>>288
偉い人に振り回される人ってたいがい可哀想なんですよね、禁書の世界。
もう、土御門シリアスモードなんかまったくねーし。
でもこれ以上このチームが心を1つにすることもないだろうなぁ(笑)

>>335
おお、美琴よ、死んでしまうとは情けない(笑)
しかし、>>337さんの言うとおりだ、しかもぎゃむって(笑)
まぁ、ふにゃーもいい勝負か



>>304
いやー、美琴さん、それって、デートだよ?
しかし、相変わらずの鈍感っぷり、とりあえず屋上に行こうか(返り討ち)
で、行ったらどうなったのですかね作者さん。続きはよ



我道さん
>>308
まぁまぁ、最初で最後とかは早計として、
インデックス、オティヌス、白井黒子も、嫌いじゃないからほほえましいわ。
だけど、やっぱり正妻は美琴さんで、二人ともあんなに感情を制御できないんだもん。



皆様GJです!!!



では、育児日記、続き投稿します。
公園デビューはこれにて終了っす
それでは


340 : 公園デビュー 3 :2014/06/14(土) 01:29:55 pWksqkII
あらすじ

上条がパパで美琴がママだった。


「お、お姉様……」

「なに? くろk……三人ともどうしたの?」

「い、今……」

「???」

「なるほど、彼氏じゃなくて旦那さんだったんですね」

「………………………………へ?」

「まーま!!」

「おーい、ビリビリー、呼ばれてるぞー」

「類人猿……これは、どういうことですの??」

「はい?」

「まさか、その子は、お姉様に無理やり産ませたのか!!
 こぉぉおおおのケダモノめーーーーー!!!」

「な、なんてことを言ってくれてんだ!!!!」

「む、無理やりって……」



『美琴、いいだろ……』

『な、なに言ってんのよ!! そういうのは順序が……』

『ちょっと、黙ってろ』

『な、ま、まって、い、いや、そんな ダメ「御坂さーん戻ってきて!! オレと一緒に否定して!!」

「ふぇ!!? あ、そ、そうよ!! 無理やりじゃなくて同意の上で「何言ってんだお前は!!!!」

「類人猿殺す!!!!!!」

「ま、待て!! 白井!!」

その時、

「だーだー、めっ!!!!」

白井の頭上になかなか大きな岩が落下した。

「ふぐぁ!!」

黒子は見事にかえるのポーズで気絶する。

「……今のは何でしょう?」

「わ、わたしに言われても」

(やばい!!)

魔術のことを3人に知られるわけにはいかない。

「こ、この子すごいでしょ!! もう能力が使えるのよ!!」

「そ、そうだ、すごいだろ、まだ3歳でこのレベル、将来が楽しみだろー」

インデックスを抱えた美琴と、インデックスを指さす上条。
はははははと乾いた笑いがむなしく響く。
それに対し二人は


341 : 公園デビュー 3 :2014/06/14(土) 01:30:43 pWksqkII
「そうなんですか!!」

「すっごーい!! 天才じゃないですか!!」

あ、信じちゃうんだ。

「かわいい顔してやりおるのう、お主」

「あい!!」

「それで、お二人をパパママと呼ぶこの子はいったい誰なんです??」

「ああ!!」

「それは!!」

「「オレ(わたし)の親戚!!」」

ハモった

((ちょっとおおおおおおおおおおおおお!!!!))

なんでそっちも言うんだ、とお互い思っている二人を周囲は許してくれない。

「へ? どういうことです??」

「両方の、親戚、ですか?」

「怪しすぎますの」

「あ、白井さん、おはようございます」

「お二人の親戚にしてはどうも外国の方のようですし、お姉様はともかくそこのサルが「猿って、お前」海外に親戚を持つような方には見えませんわ」

地面をいじくる上条と苦笑していた美琴はここで同時に肩を震わせた。

「そろそろ、正直に話したほうがいいのではないですの?」

柔らかい言葉とは裏腹に顔がすごい。
ほら、初春と佐天が抱き合って震えてるではないか。

そこにもう一組厄介なのが現れた。

「やっほーい二人とも、どうかしたのかー?」

「なんだどうした舞夏? ん? カミやんに超電磁砲か」

最悪だ。この組み合わせは最悪すぎる。

「ん? この子あのシスターに似てないか?」

「シスター? そういえば地下街で出会った方に瓜二つですの」

あ、終わったかも。


342 : 公園デビュー 3 :2014/06/14(土) 01:31:35 pWksqkII
「それはそうぜよ、この子は……」

白目になった上条と美琴はカタカタ震えながら土御門に視線を移した。

「この二人の共通の親戚、あのシスターの妹なんだからな」

へ?

「今度は妹の方を預かることになったのか? 大変だなカミやん」

え?

「……それは、ホントですの?」

「ホントだぜい、ちなみに兄もいるぞ。赤い髪の男なんだが、一度舞夏とも会ったとか言っていたニャー」

「おお、あの赤毛の不良神父はアイツの兄貴だったのか―」

歪んだラブはうちと同類か―、とか言う舞夏の隣で土御門は事実を織り交ぜて巧みに嘘[設定]を積み重ねる

「姉妹そろって外の能力者。しかも稀有な力を持っていてな、そのせいで何度も襲われている」

それは、白井にも心当たりがある。

「学園都市に来たのもそれの保護が目的だった」

「……だった?」

「ここにいる全員の記憶に新しい、『最後の審判』事件」

沈黙が流れる。

「あの日、一斉に世界中で動乱が起こった、お前さんたちも一端には関係してたんじゃないのか?」

「ぱーぱ? まーま?」

インデックスが二人の袖を引っ張る。
美琴はインデックスを抱きしめる腕に力を入れ、
上条は二人を何かから守るように美琴の肩をそっと抱いた。

「その中心にこの姉妹はいた。しかし、今はその脅威は去り、学園都市でその力を研究中。カミやんは以前姉を預かってたし、超電磁砲はなんたってLevel5。能力開発にこれほどの適材適所はないだろ? しかも親戚同士の3人だ、このかたちが、なにかと都合がいいんだよ」

途中から、白井は話を聞いていなかった。そして視線は一方に向かう。

(……どこまで……)

遠い。
おそらくあの二人は「そこ」にいたのだろう。

あれほどの騒動が一端で済むほどの混乱。
その中心に彼らは関わっている。

非力だ。

「……わかりましたの。しぶしぶですが、納得いたしますわ」

「よ、ようやくわかってくれたかー」

「まったく黒子ってば疑い深いんだから―」

こそこそと上条は土御門に近づく。

(や、やるなー、土御門)

助かった。というツンツン頭に、金髪アロハはサングラスをあげながら答えた。

(嘘をつくときは事実を織り交ぜるのは必須。さらに、話の主軸をずらすのも効果的だ。これで、昨日の借りはかえせたかな?)

見るとツンツン頭はポカンとしていた。

(ま、気にしていないなら、自己満足しとくぜよ)

(???)

(……言っとくが、オレはねーちんを応援してるからな)

(??? オレも神裂のこと応援してるぞ?)

(……これがカミやんクオリティか)

(?????)



一方。

「そ、そういうことでアイツとは、この子の保護者ってだけで、別に何ともないのよ!! そ、それで今日は三人ともどうしたの!!?」

さっきの土御門が解説した方法を真逆で全力疾走する御坂に、三人は呆れながらも

「そーですわねー、なんでもないですわねー」

「えーえー、わかっていますよー」

「それで、私たちが集まった理由ですけどねー」

優しさに満ちていた。
というよりもめんどくさかった。

そうして佐天は咳払いをした後ににやにやした顔でいった。

「一緒にプール行きません!!?」

美琴の直感が告げる。この流れはヤバイ。
その時、

「あい!!」

とインデックスの元気な返事が他人事のように聞こえた。。


343 : 公園デビュー 3 :2014/06/14(土) 01:32:56 pWksqkII
おまけ!!

――上条一家が家を出て数分後――


「悄然わたしは誰なのだろうな」

その男にはある日を境に記憶がなかった。

「悠然あのカエル顔の医者に言わせれば、判然この記憶喪失は精神性のストレスが原因らしいが……」

よほどの恐怖体験をしたのだろう、と話には聞いた
その後、その医者に勧められたまま教師の役職に就いた。
この都市ならではの特質なのか、研究職も兼ねている。
先生と呼ばれることも、研究室にこもることも、

おそらく

性に合っている

なのに

「凄然、なにかが、足りない」

そんな時、正面から学生のカップルが歩いてくる。

しかし、目が行ったのはその少女が抱えていた赤子の方であった。



世界が一瞬で明るくなった気がした。




「と、突然、すまない!! ハァハァ 公然、わ、私は名もなきただの教師だ!! 怪しいものではない。ハァ 惨然ただ記憶を無くしていて、それを取り戻すのにその赤子の力が必要なのだ!! ハァハァ 敢然どうかその子を抱かせて「「ちぇいさーーーーー!!!!」」ぐべるぶち!!!」

「なに?この変態」

「だぶ?」

「オレに聞くな……って、あれ? どっかで見たような?」

「え? こんなのと知り合いなの?」

「ゲコ!!」

「インデックス、髪が緑なだけだ。それに御坂よ、白井と親友のてめーが言うなって」

「……たしかに黒子も同類か、きっついなー」

「誰だったかなー? 気のせいかね?」


こうして彼らの散歩は続く。


344 : 公園デビュー 3 :2014/06/14(土) 01:33:51 pWksqkII
おまけ!!

『抱っこひも?』

『そ、これでだっこしてても両手が使えるのよ』

『だぁ!!』

『そんなのいるのか?』

『アンタ、両手使えなくていいの?』

『だぁ、きゃい!!』

『そ、そいつは、確かに大問題か』


それが数十分前

「さっそく役に立つとはな……」

「だう」

「インデックスもそう思うかー?」

「あい!!」

今、上条は抱っこひもをつかい、インデックスを抱っこしている。
そして両手は。

「ふにゃ〜〜〜〜〜」

「なんで気絶したんだろうな?」

アイスを食べた瞬間気絶した美琴をおんぶしていた。

「もうすぐ公園があるから、ベンチのひとつやふた「ふに〜〜〜」!!!!??」

「……お、 あう?」

急に立ち止まった上条の顔を不思議そうに見上げるインデックス。

彼は、冷や汗をかきながらも顔を真っ赤に染めるという器用なことをしていた。

(が、がががががががががああああああああああああ)

なにが起こったのか?
いや、わかっている、美琴の寝ぞう(?)がわるく頭を動かしたのだ、

し、しかし、なんで




うまいこと首筋に唇が当たっちゃってるのーーーー!!!

(や、やばい、急に、あっちこっちに意識が……)

今更だが、なんか女の子っていろいろ、やわらかいのである。

(そ、素数を数えろ!! 3.12369・・・・・・・・)

素数ではなく円周率(しかも結構序盤で間違えている)を数えだす上条。
その格闘は彼女が起きるまで続いていたことを、美琴は知らないのだった。


「ふぁにゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


345 : ・・・ :2014/06/14(土) 01:34:29 pWksqkII
以上です!!!


346 : 1/2 :2014/06/14(土) 12:11:37 tPuAQtwo
バス停・朝

美琴「毎回、私との待ち合わせは遅れなきゃ気が済まないわけ?」

上条「すまん、御坂。一応、早めに家は出たんだけど、どっかの飼い犬に追い回されちまって」

美琴「野良じゃなくて?」

上条「首輪してたし、多分な」

美琴「犬種は」

上条「……マルチーズ」



美琴「はぁ。アンタって本当に」

上条「御坂には悪いけど、俺の運はもう使い切ってるかも知れねぇ。天候に恵まれたからな」

美琴「確かによく晴れそうね。いいわ、この天気に免じて許してあげる」

上条「アリガトウゴザイマス、御坂サマ」

美琴「ところで、本当に普段着で大丈夫なの? 釣りをするんでしょ」

上条「ああ、流石に制服だと汚れちまうけど、動き易い格好で充分だってさ」



バス車内

美琴「キャンプ場の渓流釣り?」

上条「施設内のスペースをレンタルしてるみたいでな。出費は痛いが、道具もそこで揃えられる」

美琴「初心者には有り難いわよ。バス移動じゃ釣竿とか持ち運び難いし」

上条「だな。俺はクーラーボックスだけは隣人に借りて持たされたけど」

美琴「誰から?」

上条「修道服を着た食欲の権化」



上条「そういや御坂の私服って珍しいな」

美琴「野外活動だから、おしゃれのしようもありませんけどね。……おかしくない?」

上条「カミジョーさんには機能美の方がわかり易いです。活発な御坂に合ってると思うぞ」

美琴「素直に喜んでいいのかしら」

上条「何でだよ! ちゃんと褒めてるだろ」

美琴「暗に女の子らしくないって言ってるでしょ!」 ギャーギャー



第21学区

美琴「このあたりは緑が多くていいわね。うん、空気がおいしい」

上条「そう思ってひとつ手前のバス停で降りたんだ。少し歩くけど、構わねぇよな」

美琴「むしろ気が利くじゃない。この分だと、今日のエスコートは期待できそうね」

上条「アウトドアだからな。男としては、ちょっとは頼りになるところを見せねぇと」

美琴「釣りは経験あるの? ってアンタ、記憶が……」

上条「軽くレクチャーは受けてきた。そんな顔すんなって、せっかくの一日、気兼ねなく楽しもうぜ」



美琴「そ、そうね! どんな魚が釣れるかなぁ」

上条「ニジマスやアヤメだな。何匹かはその場で放してもらえるらしいぞ」

美琴「餌はどうするの? 虫とか使うんだっけ。うげ、私には無理かも」

上条「蛾の幼虫。苦手なのは女の子っぽいけど、うげ、って何だよ(笑)」

美琴「いいでしょ別に。アンタがつけてよ! 釣れた魚は串焼きにして……」

上条「あー、テレビなんかだとすげぇ旨そうだよな」


347 : 2/2 :2014/06/14(土) 12:12:32 tPuAQtwo
キャンプ場・昼

美琴「……全然釣れない」

上条「不幸なカミジョーさんはともかく、御坂センセのビギナーズラックには期待してたんだけどな」

美琴「頼りになるところを見せてくれるんじゃなかったの?」

上条「餌をつけるのは俺に任せろ! まあ前に言ったとおり、のんびりできれば満足なんですよ」

美琴「うー。ちょろっと場所を変えてみる、向こうの岩陰とかよさそう」

上条「足元に気をつけろよ。長靴履いてないんだから」



美琴「平気よ。私はそこまで運動神経が鈍く……。きゃあ!」

上条「――危ねぇ!」

美琴「ご、ごめん。ありがと」

上条「言わんこっちゃない。濡れた岩場は滑るんだって」

美琴「う、うん。って、どこ触って……!」 ビリッ

上条「咄嗟だったんだから仕方ないだろ。漏電はやめて、触れてるの左手……!」 フコウダー!



上条「はは、久し振りにまともに喰らっちまった」

美琴「本当にごめんなさい。今日は絶対、電撃は出さないって決めてたのに……」

上条「そんなこと考えてたのか? いまのは俺が悪い、御坂はいつもの不幸に巻き込まれただけだ」

美琴「何でアンタが慰めるのよ」

上条「大丈夫だって。俺だけはお前のビリビリに耐えてみせるから」

美琴「……ばか」



美琴「しばらく休んでなさいよ。どうせ平日は補習漬けで疲れが溜まってるんでしょ」

上条「お見通しか。そうさせてもらうかな、でも餌はどうする?」

美琴「ルアーに替えてみる。えっと、それでね、釣れないのは私の生体磁場のせいだと思うのよね」

上条「? ああ、魚も犬猫みたいにか」

美琴「眠ってる間、右手は貸してね。釣竿は片手でも何とか……。アンタはここよ」 グイッ

上条「」



上条「zzz」

美琴「……気持ちよさそうにしちゃって。膝枕ってそんなにいいものなのかしら」

上条「zzz」

美琴「結局、釣果はなしかぁ。大物を釣り上げるつもりが、ミイラ取りみたいで世話ないわ」

上条「zzz」

美琴「コイツは絶対、釣った魚に餌をあげないタイプよね。満たされてる私も私だけど」



上条「zzz」

美琴「……」

上条「zzz」

美琴「……」 カシャ

上条「zzz」

美琴「そ、そろそろ起こしますか! せっかく作ったお弁当、帰る前に食べてもらわないとね」



学生寮・夜

禁書「――とうま。今日は釣りに行ってたんだよね」

上条「そうだぞインデックス。どうかしたか?」

禁書「このめざしはさっきまで泳いでたのかな」

上条「気にしちゃダメだ。ほら、俺の分もやるよ」

禁書「とうまは食べないの」

上条「昼飯が遅めだったからな。何かもう満たされて、胸が一杯なんだよ」

終わり


348 : ■■■■ :2014/06/15(日) 01:17:31 fHet7z46
>>・・・さん
つっちーはさすがですねw
そして不憫なアウレオルスさん…いや、いきなりそれはないわぁちぇいさーやわぁ

>>346さん
>上条「大丈夫だって。俺だけはお前のビリビリに耐えてみせるから」
>美琴「……ばか」

なにこれたまらん
オチも含めて萌えました


349 : ・・・ :2014/06/15(日) 19:01:11 oCLgsdh.
どーも、・・・です。

>›347
つ、続いたーー!!
しかし、にやにやさせてもらいました。
もうすぐ釣れそうだこの大魚!! で、次はどこ行くの?(笑)




では、明日投稿する時間がなさそうなので、今日ちょっとフライングします。
父の日記念の小ネタです。
しかし、これは、上琴か?

ま、まあ、お暇でしたらどうぞ


350 : 祝杯 :2014/06/15(日) 19:05:00 oCLgsdh.
月明かりが壮年の二人を照らす。

「どうぞ」

「ん? ああ、すみませんね」

少なくなっていたグラスが再び黄金の輝きを放つ。
この二人で飲みたいとはだいぶ前から思っていた。

「アンタの息子には、申し訳ないな、ちょっとやんちゃに育ててしまった」

「いやいや、あなたに似てしっかりした強い娘さんですよ」

「そう言ってもらえると助かる」

酒が、いつもより進む。

「こちらこそ、すこしぼけっとした子に育ててしまい、娘さんに迷惑をかけてるようで」

「アンタにそっくりだよな」

「そこは否定するところでは?」

そこで間が入り、笑いが起こる。
なんともうまい酒だ。

「早いもんだな」

「ついこの間高校卒業を喜んだばかりなんですがね」

「ついこの間ぱーぱと呼ばれて泣いたんだがな」

「……流石にそれはついこの間とはいえないと思いますよ」

外は雨の後なので少し冷えている。
もうすぐ梅雨も終わるだろう。

「さっきの電話は、アンタの息子さんからだったよ」

「……あなたの息子でもあるんですよ?」

「おっと、先週からそうだったな」

「……こちらの電話も、新しい娘からでした」

「……そっか、なんでそっちにかけたのが先か、理由はなんとなくわかる」

「……私は恥ずかしく、こんなことは酒の力を借りなければ言えない、やはり、あなたの娘さんはお強い」

「おや? そちらの息子さんもシラフでしたぞ? あんなセリフをシラフで言えるあたり、オレなんかよりよっぽど強い。娘が惚れるわけだ」

気が利くことに、月は雲に隠れ、互いの表情は見えなくなった。
二人は酒に背中を押されながら、子供の言葉と一部変えた言葉を相手に伝える。



『お義父さん』 『お義父様』



「御坂美琴を育ててくれて、守ってくれて、ありがとう」

「上条当麻を育ててくれて、守ってくれて、ありがとう」

また、月明かりによってグラスの輝きがテーブルに映る。
これほど、うまい酒ははじめてだ。


351 : ・・・ :2014/06/15(日) 19:11:34 oCLgsdh.
以上です


352 : ■■■■ :2014/06/15(日) 23:29:36 U.qAX6wA
乙でしたー。
この親父コンビ、孫が生まれたらめちゃくちゃ可愛がるんだろうなあ。


353 : ■■■■ :2014/06/15(日) 23:43:59 oYoX0IeU
情景が目に浮かぶ短編が連続して投稿されてうれしいです。
>・・・さん、本人たちが出てなくても、十分堪能できました!あと、「育児日記」凄く好きなので続き期待してます!
>346さん、5〜6行ごとにニヤニヤできる小ネタがあって、それでいて全体が調和してて良かったです!


354 : ■■■■ :2014/06/16(月) 01:19:54 5aHfY5mk
父の日SSいいなぁ
>>346さんのお話も続いてほしいな


355 : くまのこ :2014/06/18(水) 00:37:15 PJ7vheRM
>>・・・さんGJです!
>>345 当たっちゃったんなら仕方ないですよね。もっと当たってもいいのよ?
>>351 親父〜ず、かっけぇ! 父の日ネタは思いつかんかったです……

>>347さん。GJです!
おお、続き来てたー! 今回も2828させてもらいました。
上条さん。胸が一杯なのは、昼飯のせいだけじゃありませんぜ?



短編書きました。
内容は、支部で受けたリクが元ネタになってます。
約3分後に5レスです。


356 : 上条当麻帰還祝。鍋パーティー :2014/06/18(水) 00:41:26 PJ7vheRM
上条はインデックスとオティヌスを連れて、第七学区にある鍋の店に来ていた。
いつかクラスメイト全員とすき焼きを食べた、あの店である。

「しっかし土御門の奴、急に呼び出したりしてどうしたんだ?」

そう。上条は今日…というか正についさっき、夕飯の用意をしていたその時に、
いきなり土御門から電話があり、

『よー、カミやん。悪いけど今から鍋食うから、カミやんもすぐ来てくれ。
 店はこの前行ったとこな。じゃ、待ってるぜい』

と一方的に言うだけ言って、こちらが断る間もなく通話を切ったのだ。
この作りかけの野菜炒めをどうしてくれるのか。
だがまぁ11月も半ばにさしかかり、お鍋が恋しくなる季節なのも事実だ。
行かなきゃ行かないで面倒な事になりそうなので、フライパンの野菜炒めには蓋をして、
同居人二人を連れて家を出た訳だ。

「おっなべ、おっなべ、おっなーべー♪」

久しぶりにお鍋が食べられるので、インデックスはご機嫌である。鼻歌を歌うほどに。

「しかし鍋か…最近冷え込んできたから、丁度いいな」

ふいに上条の頭の上であぐらを掻いているオティヌスがそんな事を言ってきた。
「だったらその、露出狂ギリギリな服装を何とかしたらどうか」とツッコもうとした上条だったが、
気分を悪くしたオティヌスに、反撃で髪の毛を毟られても困るので、そのまま黙った。

ガラッと店のドアを開ける上条。
しかしその瞬間、「パン! パンパン! パパパン!」と何かが弾ける音と火薬の臭い。
それがクラッカーだったのだと気づくと同時に、大勢の

『『『おかえりー!!! わちゃわちゃわちゃわちゃ!!!』』』

と上条たちを迎え入れる声。「わちゃわちゃ」したのは、
そこが「上条さん」だったり「カミやん」だったり「大将」だったり、それぞれ呼び方が違ったからだ。
店内には、上条の見知った面々がずらり。だがそのメンバーは、

「上条君。良かった。無事で」

クラスメイトの姫神だったり、

「相変わらず面白い人生送ってんねー! ギャッハ☆」

第三次製造計画で造られた美琴のクローン、番外個体だったり、

「いやぁ焦りましたよ。いきなり貴方への殺害命令が届いたものですから」

未元物質から生み出された、元・カブトムシ05、垣根だったり、

「わたくしとしては、貴方が亡き者になった方が都合が良かったのですけれどもね!」

風紀委員第一七七支部所属の白井だったりと、「知り合い」以外に共通点のないメンツであった。
そしてその中には勿論、

「ほらほら御坂さん! 御坂さんも、何か一言!」
「わわっ! さ、佐天さん!? 押さなくても…
 あっ! え、ええと…その……たっ…ったく! 心配させんじゃないわよ馬鹿っ!」

御坂美琴もいたりする。
クラスメイト、レベル5、元・グループ、アイテム、風紀委員、妹達、その他諸々…
総勢50〜60人程のこの大所帯は一体何なのか、呆気に取られている上条に土御門が説明する。

「よっ、カミやん。今回はお疲れ様だったにゃー」
「つ、土御門…? えと…この集まりは何なのでせう…?」
「いやぁ、今回の一件でカミやん、世界中を敵に回しただろ?」

今回の一件、というのは勿論、上条がオティヌスを救う為に戦ったあの事件の事だ。
一方通行、美琴、インデックス…ここにいるメンバーの中には、その際に上条と戦った者もいる。

「でだ、そん時のわだかまりを全部いっぺんになくそうと思って、
 事件の関係者とかに『カミやん主催の鍋パーティーに来ないか』って誘ったら、
 誘われた連中が更に自分の友人とかを誘い始めて、後はまぁネズミ算式に…」
「…で、この人数か……」

少し困ったように語る土御門。しかも勝手に上条が主催した事になっている。
だが上条も、ここで断って帰る程、空気の読めない男ではない。
せっかく開いてくれたパーティーだ。鍋はいただく事にしよう。


357 : 上条当麻帰還祝。鍋パーティー :2014/06/18(水) 00:42:27 PJ7vheRM
「こいつが例の、超オティヌスって奴ですか? 話には聞いていましたが、超ちっちゃいですね」
「可愛い!ってミサカはミサカは抱き締めてみる!」
「ずるい! 大体次は私が触る番だぞ! にゃあにゃあ!」
「んー…本当にコレがそうなのかー? どう見ても危険そうな奴には見えないぞー」
「そうかしらぁ。この露出力には、ある種の危険力があるとも言えるわよぉ?」
「や、やめろキサマら! 私はオモチャではないぞ! へ、変な所を触るなあああ!」

上条と離れた所で、オティヌスは女性陣に囲まれていた。
確かに今のオティヌスは女子受けしそうなビジュアルではあるが。

「はぁ…はぁ……ええなぁ、オティヌスたん………
 お、思わずボクの魔神も復活してまいそうになるわぁ……」

いや、一部の変態男子【あおがみピアス】にも好評なようだ。
急速に、オティヌスの背筋に悪寒が走る。

「〜〜〜〜っ!!! た、助けろ人間!!! 何か怖い…何か怖いよおおおお!!!」

少し涙ぐみながら助けを求めてくるので放っておく訳にもいかず、
上条は箸を置いて、オティヌスを摘み上げる。

「あー…まぁアレだ。珍しいのは分かるけど、あんまりイジメないでやってくれ。
 それと青髪。お前はアウトだ」

そしてそのまま、彼女の定位置(?)となっている自分の頭にちょこんと乗せる。
そのあまりにも自然な流れに、一部の女性陣…敢えて名前を挙げるならば、
インデックス、姫神、吹寄、雲川(姉)、食蜂などの、
要するに上条にフラグを立てられた者達が一斉にイラッとする。そしてその中には当然、

「…アンタ、な〜んかソイツに甘くない…?」

美琴もいる。美琴はジト目でこちらを見ながら、鍋の中の『しいたけ』を箸でぶっ刺す。
…『しいたけ』に何か怨みでもあるのだろうか。

「そうか? 別にそんな―――」

上条本人に自覚は無いので、美琴の言葉をやんわりと否定しようとする。
しかしそんな上条の返事を遮ったのは、

「ふんっ! この人間は私の唯一の『理解者』だからな! 当然だ!」

さっきまで半泣きだったとは思えない程に不遜な態度を取る、オティヌスだった。
彼女の一言により、先程イラッとした者達が割り箸をへし折り始めた。危険である。
そしてやっぱり、その中には当然、

「へー…? 理解者ね…ほうほう、なるほど……」

美琴もいる。無意識なのか意識的になのか、手に持っていた箸が消し炭になっている。
バチバチと帯電させながら、美琴はギロッ!と上条を睨みつけた。

「どういう意味なのかしら…?」
「え、いや…ど、どういう意味と言われましてもですね……」

美琴に詰め寄られ、しどろもどろになる上条。とりあえず、美琴の目が怖い。
しかしこれは、これから起こる『壮絶な不幸』の前触れにすぎなかったのである。


358 : 上条当麻帰還祝。鍋パーティー :2014/06/18(水) 00:43:20 PJ7vheRM
「大体アンタはね〜…女の子に甘すぎんのよ〜!」
「はぁ…すんません……」
「もっと私にも優しくしろと、こう言いたい!」
「…善処します……」

あれから小一時間。上条は正座をさせられながら、美琴から説教を受けている。
おかしい。今日のパーティーは、自分の為に開かれた物ではなかっただろうか。
それが何故、お説教【こんなこと】をされなければならないのか。

「ちゃんと聞いてりゅのっ!?」
「は、はい聞いてます!」

しかしそれを言ったら説教が長引くだけなのは分かっているので、上条も素直に返事をする。

「大体アンタはね〜…女の子に甘すぎんのよ〜! …ヒック」
「…………すんません」

さっき聞いた。だがしかし、どうもおかしい。
オルソラならばともかく、美琴はこんな、おばあちゃんみたいに同じ事を繰り返し言ったりはしない。
それに普段の彼女ならば、一言でズバッと文句を言い、
あとは電撃の一発でもお見舞いして終わりな気がする。
竹を割ったような性格の彼女が、こんなネチネチした言い方をするだろうか。
不思議に思った上条は、美琴の顔をよく観察してみた。すると…

「らぁ〜り見てんのよう。私の顔に何かついてるっての〜? …うぃ〜」

目は据わっており、顔は上気し、頭はフラフラと左右に動いている。
これは間違いなく。

「おおお、美琴【おまえ】! それもう完全に酔ってんじゃねーかっ!!!」

思わず上条は立ち上がった。

「このわらひがあ! 酔ってるわきゃないろ〜!」
「酔ってるよ! ろれつ回ってないし、あと今気づいた! すげぇ酒臭ぇ!」

一大事である。美琴は中学二年生な訳で、当たり前だが未成年だ。
そして当然、『お酒は二十歳になってから』である。
何故美琴が酒を飲んでいるのか…
というか、そもそも何故美琴のドリンクにアルコールが入っていたのかは分からないが、
とりあえずこれがもし周りにでもバレたら、ヤバイ事になるのは目に見えている。
白井や初春といった、風紀委員もこの会場にいるのだから。
そう思った瞬間、上条は周りの様子を見回す。
誰もこちらを見ていないか。仮に見られていたら、どう言い訳しようか。そんな事を瞬時に考えながら。
それが更なる混沌を見るハメになるとは、知る由も無く。

周りを見た上条は固まった。良いニュースと悪いニュースが飛び込んできたのである。
まず良いニュースは、幸いな事に美琴が酔っている事に気づいた者は、上条以外にいなかった。
いや、気づくことすらできない、とでも言うべきだろうか。それが悪いニュースである。つまり…

「ぅおらぁ、どうだあ! 私をナメんな童貞ごらボケェッ!」
「ぬぅぅぅ…やるな! まだ俺についてくるとは、根性あるじゃねーか!」

麦野と削板が飲み比べをしていたり、

「ショタが一人…ショタが二人……」
「ショタが二人? 確かに男の娘同士の絡みってのもいいものですよね」

うつらうつらと寝言を言い始める結標に、初春が訳の分からない相槌を打ったり、

「一発ギャグやりまァっす! …千手観音」
「きゃっはははははは! せ、千本もないじゃありませんの!」

何本もの義手を使って宴会芸をする黒夜に、婚后がズレたツッコミを入れたり、

「信じてるよ♪ あの日の♪ 誓いを♪ この瞳にーー光る涙そーれーさえもー強さにーなるけどー♪」
「よっ! はあ! あ、それ! よいしょ! 」

雲川がカラオケを歌えば、風斬は普段なら絶対に使わないボキャブラリーで合いの手を入れる。
その時の上条の心理状態を、どう表したものだろうか。
初めは、何もかもポイして帰ってしまおうかと思った。次に、実際問題どうしようかと。
とりあえず上条は、これがどういう事なのか、実際に主催した土御門に問い詰める。

「土御門さーん!? 何だか皆さん、お酒的な物をお飲みになっておりますけどもーっ!?」
「ああ、ちょっと裏から手を回して、アルコールを調達しといたぜい。
 この方が盛り上がると思ってにゃー」

まともに返してくる土御門。どうやら彼だけはシラフのようだ。
…と思ったら、土御門は上条の方ではなく、反対側にいる一方通行に話しかけている。
その一方通行はと言えば、

「………うっ…………おろれろろろろォォォォォ………」


359 : 上条当麻帰還祝。鍋パーティー :2014/06/18(水) 00:44:18 PJ7vheRM
元々悪い顔色を更に蒼白にさせながら、口からお鍋の具『だった物』を吐き出し、
酸っぱい臭いを充満させている。地獄絵図である。
どうやら不幸な事に、この会場でシラフなのは上条ただ一人らしい。
もう、泣いてもいいかも知れない。
呆然とする上条に、美琴が腕を引っ張って自分に注意を向けさせる。

「ちょっとお! わりゃひの話は終わってにゃりわよ!
 大体アンタはね〜…女の子に甘すぎんのよ〜!」

振り向かせておいて、また再放送をする美琴。
正直、美琴の相手をしていられる状態ではないのだが、話を終わらせない限り延々と続きそうなので、

「あ〜もう、分かったよ! ごめんってもう、美琴は俺にどうしてほしいんだよ!」

とりあえず相手が満足してくれるように要求を聞く。他にやらなきゃいけない事は盛りだくさんだが。
しかし美琴の要求は、

「……キス…しらさいよ!」
「………はい?」

とんでもない物だった。

「きしゅしろって言ってるれしょ! ちゅーよちゅー! ほら、んー…って!」

酔っ払い特有のムチャブリである。
上条はこめかみを押さえ、やんわりと断る。

「えっとね? 美琴、それは無理なんじゃないかな〜、と上条さんは思うのですが…」
「なんれよ! 他の子には甘いくせに、なんれわたひには冷たくすんろよ!」

別に冷たくしている訳では無い。
美琴以外であろうと、酔った女の子からのキスのおねだりなど、応じられないのだ。
勿体無い気もするが。
もう一度きちんと断ろうとしたのだが、上条が口を開く前に、美琴が間髪入れずに衝撃告白。

「私は…………私はっ! アンタの事が好きにゃんらぞこのやろーーーっ!!!」
「えええええええええええええ!!!!?」

それは正に、『衝撃』で『告白』だった。
美琴は叫ぶと同時に、照れ隠しなのか何なのか、電撃までぶっ放してきたのだ。
が、衝撃の方は幻想を殺せるから別にいい。問題は告白の方である。

「み、みみみ美琴さん! 急に何言ってんの!? 酔ってるからって、言ってる事無茶苦茶ですよ!?」
「むちょかちゅじゃらいもん! わりゃひはアンタが大、大……大っ好きなのっ!!!」

改めて、告白。
周りから「いいぞー! やれやれー!」だの「ヒューヒュー!」だの野次が飛んでくる。
どいつもこいつも。

「いやあのだからね!? 今美琴は正常な状態じゃないからそんな事を言ってるだけで……」
「………まら信じてらいわね…りゃあいいわよ! ショーコ見せてやりゅわよショーコ!」
「証拠って何…を……? ……っっっっっ!!!!!?」

気がつけば、上条はその唇を奪われていた。
お相手は勿論、目の前の酔っ払い【みこと】である。これが彼女の言う、好きだという『ショーコ』だ。

「……ぶあっ! な、なな、何、何、何をして、してやががりまままますですか!!?」

顔を真っ赤にしてテンパる上条に、美琴は。

「アンタがきしゅしてくれらいから、わらひからしてあげたんじゃらいろー!」
「いやいやいやいや!!! そういう事が聞きたいんじゃなくてね!?」

キスしてあげたのに、何が不満なのかと不機嫌になる美琴だが、
すぐに何か思いついたらしく、「にゅふふ」と妙な含み笑いで上条を見つめる。
これ以上、何が起こるというのか。

「もう〜! きちゅらけじゃまんじょくれきにゃいってことね?
 しっかたにゃいら〜! アンタってば、ホンロにエッチにゃんらかりゃ〜!」

と言いながら、美琴が制服を脱ぎ始めた。
周りから「いいぞー! やれやれー!」だの「ヒューヒュー!」だの野次が飛んでくる。
さっきとは意味が違うが。
流石に脱ぐのはマズイ!と瞬時に判断し、それを止めようとした上条だったが、
美琴がブラウスのボタンに手をかけた時、

「…………すぴー」

唐突に眠った。どうやら最悪の事態は免れたようだ。
ホッと胸を撫で下ろす上条。しかしこれでも、ただ美琴の処理が終えただけなのである。
周りは変わらず地獄絵図。
とりあえず上条は、一番厄介且つ緊急な、一方通行の吐瀉物の掃除から始めるのだった。



不幸を呼び込む自分の体質を、今日ほど呪った日は無かったと、後に上条は語った。


360 : 上条当麻帰還祝。鍋パーティー :2014/06/18(水) 00:45:15 PJ7vheRM
翌日である。

「うー…頭ガンガンする……」

美琴は頭を押さえながら、学校の通学路を歩いていた。
お酒が入っていた(飲んでいた本人達は知らないが)せいで、体調はすこぶる悪い。
それはルームメイトの白井もそうだったようだ。
と、そこへ見慣れたツンツン頭を見つける。

「あっ、ちょろっと〜?」

いつも通りに話しかける美琴だが、上条はいつも以上にビクッ!とする。

「ねぇアンタ、昨日の事覚えてる? 私も黒子も、何か記憶が曖昧なのよね」

どうやら昨日、お酒を飲んだ者はもれなく全員(完全記憶能力者のインデックスですら)、
何があったのか覚えてないらしい。
ただ一人、お酒を飲んでいない者を除いては。
その『お酒を飲んでいない者』は、美琴の方をゆっくりと振り返る。

「……覚えてないなら、その方が幸せですよ………はぁぁ…」

何かを諦めたかのように、深い溜息をつく上条。

「って事は、アンタは何があったのか覚えてる訳ね?」
「だ、だから知らない方が幸せだって」

美琴に詰め寄られ、慌てて目線を逸らす。
昨日はあの後大変だったから考える余裕も無かったが、
こうして思い出すと、今度は別の意味で余裕が無くなる。

『アレ』がファーストキスの思い出になるのも、一つの不幸なのだろうか。
そんな事を考えつつ、彼はほんのり顔を赤らめる。
しばらくの間は、美琴と目を合わせるのは無理そうだ。


361 : くまのこ :2014/06/18(水) 00:46:38 PJ7vheRM
以上です。
う〜ん…ちょっと大騒ぎ感が足りなかったかな……
ではまた。


362 : ■■■■ :2014/06/18(水) 13:31:33 8eKN9AUc
乙! 全員集合のようなSS、また待ってます!


363 : 1/2 :2014/06/20(金) 02:41:24 cV/qhqDA
上条「御坂の親父さんも釣りをするのか」

美琴「普段は海外だからよく知らないけど。帰国した時とか、たまに行ってるみたい」

上条「何か格好いいな。それで近々、釣った魚を送ってくれるって?」

美琴「うん。こないだの川釣りの話を母づてに聞いたらしくて」

上条「はは、趣味に理解を得られた気がして嬉しいのかもな」

美琴「私、魚なんて本格的に調理したことないのに。アンタはできるのよね?」



上条「独学だけど、まあ自炊の範囲で」

美琴「だったら届けてもらってアンタにあげる」

上条「待て待て。どうしてそうなる」

美琴「動物性たんぱく質が足りてないんでしょ? 前も結局はボウズだったし」

上条「そりゃ俺は助かるが、親父さんはお前に食べて欲しいんだろ」

美琴「私には無理だってば」



上条「んじゃ俺が料理するから、一緒に食おうぜ」

美琴「えっ」

上条「魚の種類はわかるか?」

美琴「えっと、お父さんがやるのは海釣りの方で、以前は確かクロダイとか」

上条「うーん。刺身……は、皮の処理が俺のスキルじゃ厳しいな。水炊きなんかどうだ」

美琴「そろそろ鍋の美味しい季節よね。って、本当に?」

上条「場所はうちでいいよな。親父さんの連絡があったら教えてくれよ」



上条「――さて。届いたはいいが、何だよこれ。すごく大きいですよ?」

美琴「お、お邪魔しまーす」

上条「ちょっと送り状を見せてくれ。……三十キロのクエ? 超高級魚じゃねぇか!」

美琴「そうなの?」

上条「俺も詳しくねぇけど、海○雄山がドヤ顔で講釈垂れるレベル」

美琴「あ、猫だ。かわいー♪」



上条「スフィンクスに避けられて凹んでる場合じゃねぇって! 悪いことは言わねぇ、御坂」

美琴「何よ。私が嫌われたわけじゃないわよ」

上条「寮の食堂で何とかしてもらえ。常盤台の厨房だったらその辺の飲食店よりマシだろ」

美琴「アンタは捌けないの?」

上条「これだけの食材、俺みたいな素人が手を出したら勿体無ぇよ」

美琴「そうね……。それじゃ、ここが無人島だと考えてみて」



上条「御坂さん? 意味わかんねぇぞ」

美琴「島に取り残されて二人きり。救助のあてはなく、自分たちだけで生き延びなきゃいけないの」

上条「ただの学生が、そんな映画みたいなシチュエーション……」

美琴「絶対にないと言い切れる? その右手を持つアンタが?」

上条「ぐっ」

美琴「この魚はようやく手に入れた食料よ。もしそうなった時、私に何て言うつもり?」



上条「……いいぜ、高級魚。てめぇに俺の腕が見合わねぇと言うなら、まずはその幻想を」 ブチコロス!

美琴「意外とノリがいいじゃない」

上条「お陰で気分が切り替わりましたよ。実際、カミジョーさんも高級食材には興味津々でして」

美琴「もっと楽にしなさいよ。無人島じゃないけど、本当に二人きり、なんだ、し……?」

上条「そうと決まれば、御坂。ここから先は共同作業だ」

美琴「はひっ」



上条「包丁は俺が持つ。お前はネットで情報を集めて指示してくれ。流石に独りじゃ戦えねぇ」

美琴「わ、わかった」

上条「その前に下準備が要るな……。出刃と鱗とりは調達しとくから、鍋の具材を頼めるか」

美琴「水炊きでいいのね?」

上条「薬味を忘れるなよ。万能ねぎはベランダの鉢に植えてる」

美琴「あ、家庭菜園も始めたんだ」



上条「――や、やっと下拵えが終わった。不恰好だけど刺身も何とかなったか」

美琴「お疲れさま。私のナビのお陰よね」

上条「そのとおりだと思うぞ。にしても、綺麗な白身だな。顔はいかついのに気品すら漂ってる……」

美琴「ボリュームもすごいわね。これって何人前くらいあるのかしら」

上条「ぺろっと平らげそうなのが浮かぶせいで、カミジョーさんには判断がつきません」

美琴「そういえば……。あの子はどうしたの」



上条「ちょっと出掛けてる。今日は御坂が腹一杯にならねぇとさ」

美琴「悪いことしちゃった、かな」

上条「お裾分けはしっかり頂戴するよ。それに、無人島なんだろ?」

美琴「! そ、そうよね。いつまた敵が襲ってくるかもわからないし」

上条「その設定は初耳ですが。まあいいや」

美琴「鍋よそうわね。それじゃ、いただきます!」


364 : 2/3に訂正 :2014/06/20(金) 02:56:19 cV/qhqDA
上条「ん……。何だこれ」 モグモグ

美琴「出汁は利いてるのに、身にクセがなくて、ひどく上品な感じ……」 モグ

上条「食感もたまらねぇ。肉厚のぷりっとした歯ざわりと、骨まわりのゼラチンがまた」

美琴「グルメ番組のコメントみたいになってるわね」

上条「だって旨ぇよマジで。御坂の親父さんに感謝しなきゃな」

美琴「そうね。アンタと二人でこんな時間が過ごせるなんて」



上条「うん?」

美琴「えっ?」

上条「御坂さん、それって」

美琴「ええっと、そう! ご飯って誰かと食べた方が美味しいから。あはは」

上条「だな、大勢の方が賑やかで!」

美琴「無人島、だけどね」



ニャー

上条「猫は生息してたか」

美琴「アンタも食べる? はい右手」

上条「幻想殺しを『お手』っぽく催促すんな! 『アンタ』じゃどっちを呼んでるかもわかんねぇよ」

美琴「と、当麻?」

上条「だぁー! 頭に触れればいいのか? もう好きに使ってくれ……」



ニャー

美琴「よしよし。たくさん食べなさい」 ナデナデ

上条「利き腕を取られたカミジョーさんはお預けを食らってるわけですが」 ナデ

美琴「私の頭も撫でてない?」

上条「嫌だったか」

美琴「別に。そんなことないけど」



上条「また釣りに行きてぇな。帰省ついでに、今度は海とか」

美琴「お父さんみたいに?」

上条「そこまで本格的なのは無理だろ。もっと手軽に防波堤あたり」

美琴「また図書館で旬の魚でも調べてみたら」

上条「土御門はキス釣りがお勧めだって言ってたな。食いつきがいいんだと」

美琴「き、キス?」



上条「顔が赤いぞ。魚の名前で変に意識してねぇか」

美琴「知らない。猫が可愛いから、勝手に熱くなってるだけ」

上条「御坂、お前さ。ひょっとして……って、中学生相手に何を聞こうとしてんだ俺は」

美琴「……どういう意味?」

上条「んー。ちょっと待ってくれ、いま自分に説教してる」

美琴「わけわかんないわよ! ああもう。――いい、私はアンタのことが」



上条「好きだぞ、御坂」


365 : 3/3 :2014/06/20(金) 02:57:02 cV/qhqDA
美琴「……はい?」

上条「くそ、脳ミソを通さずに言葉が出ちまった。整理がつくまでもう少し」

美琴「ちゃんと話して。考えてること全部」

上条「勘弁してください。俺にも尊厳ってものが」

美琴「話して」

上条「ワカリマシタ」



上条「ええとだな。最近のお前はよく赤くなったりで、もしや俺に気があるんじゃないかと」

上条「調子に乗ってるだろ? 勘違いだったらカミジョーさんの赤っ恥です」

上条「で、御坂の本心を確かめたくなった時にはっとしたんだ。俺って卑怯者じゃね?」

上条「たとえ仮の話でも、保身に走って女の子に恥ずかしい思いをさせるのかよ、ってさ」

上条「俺は男で年上だ。じゃあこっちから動こう、と決めたはいいけど、今度は自分の気持ちをすっ飛ばしてた」

上条「つまり、上条当麻にとって御坂美琴はどんな存在か。咄嗟に口をついたのがさっきの台詞なんだよ」



上条「とはいえ、俺はその辺が少し疎いみたいで……。って急に抱きつくな!」

美琴「少し? 抜けぬけとよくも」

上条「首絞まってる! まだ続きがあるんです最後まで聞いて」

美琴「たとえば不幸体質とか? 恋人を作って巻き込むことが怖いんでしょ」

上条「うっ」

美琴「却下よ。そんな理由で身を引かれた方がよほど不幸だわ」



上条「ち、中学生の御坂に交際を申し込むのはいささか早過ぎるって気も」

美琴「江戸時代だったら結婚適齢期よ」

上条「お願いします赤面しないで。カミジョーさんは現代の話をしています」

美琴「要は世間体じゃない。――耐えて」

上条「そんなばっさり!?」

美琴「うるさい。それより本題」



上条「……ああ。俺はある事情を抱えてて、誰とも付き合えない」

美琴「あの子のことね?」

上条「俺はインデックスを守ると決めたんだ。彼氏彼女の関係じゃねぇけど、こんな状況じゃ相手に悪いだろ」

美琴「何よ。周りの世界が含まれてる分、私の方が条件は上じゃない」

上条「御坂さん? ど、どこでそれを」

美琴「私は当麻を信じてる。気持ちは伝えてもらったもの」



美琴「あの子のためにも、一人で抱え込むのは限界があるわ。これからは二人で考えましょう」

上条「御坂……」

美琴「名前で呼んで。もう何の障害もないわよね?」

上条「しばらくごたつきそうだけどな。本当に俺なんかでいいのか美琴、ネットみたいに『釣りでした』ってオチは」

美琴「この期に及んでアンタは……。言葉で足りなければ態度で示してみせるけど?」

上条「とても魅力的な提案ですが、いまは告白の返事を聞かせてくれるか」



美琴「――私もあなたが好きよ。当麻」

おわり


366 : ■■■■ :2014/06/20(金) 20:36:01 ty.Po9x6
エンダァアアアアアア
まさか魚オチでラブラブっぷりが来るとは!!
意外性で禿萌


367 : ■■■■ :2014/06/20(金) 21:11:01 SFhv1rzM
すごいなほんと、発想力が違うな


368 : ■■■■ :2014/06/22(日) 03:21:25 P.NwCpYA
乙です!!


369 : 久志 :2014/06/22(日) 22:41:04 EjUitVfw
お久しぶりです…スレ頭以来です。
仕事が結構忙しくて、ネタ練る時間さえ減ってしまってる今日この頃です。
なので今回も申し訳ないですが感想やコメレスは略させて頂きます(ぉぃ

さて、頭とオチだけ決まってるけど展開に悩み中の長編はまだ進んでませんが
今回ちょうど6月…ジューンブライド系のネタを投下してみたいのと、
上琴SSだとオチや敵役に使われがちなあの人の強化ネタを投下したく
今回参上いたしました。この後すぐ1or2レスです。


370 : 祝福と紙吹雪と水無月結婚 :2014/06/22(日) 22:45:14 jBJjT8xw
<某年 6月 某月 昼間 学園都市内結婚式場の出入口前>





現在、この結婚式場では、上条当麻(22)と御さ…もとい、上条美琴(21)の結婚式・披露宴が執り行われている。
7年前のこの日に出逢って、その翌年から付き合い始めて、昨年婚約し、出逢った記念の日に披露宴である。
もうすぐ披露宴も終わって出入口の扉が開き、出席者が式場から続く赤絨毯の両サイドに列を成し、
そこを出席者からの祝いの言葉と紙吹雪が舞う中、新郎新婦が一緒に駐車場まで手を繋いで歩いて行…

おっと、扉が開き出席者が並びだした。もう披露宴が終わったようだ。



<数分後>


出席者全員が並び終わったところで、新郎新婦が登場。これより皆様にもその現場の声(の一部)をお伝えしよう。


「いよっ!お二人さんおめでとうございまーす♪」
「うん、佐天さんありがとう♪ 7年間色々助けてくれて…これからも時々相談するね」
「7年かぁ…懐かしいですなぁ〜あの頃はいつも私からの指摘に可愛らしい慌て方を…」
「ちょ、、佐天さん、その話はまた今度にしてね////」


「おめでとう。上条君」
「サンキュー姫神。今度はお前の結婚式に出席させてもらえる日を楽しみにしてるぞ」
「………うん。頑張ってみる(…上条君以外の相手なんて。見つかるとは思えないけど)」


「おめでとうございます!御さ…じゃなくて上条さん♪」
「ドレス姿すごく綺麗なのー♪ とっても似合ってるのー♪」
「初春さん、春上さん、ありがとう♪ 褒めてもらえてすごく嬉しいわ」
「そのドレス姿見て、あまりに綺麗すぎてどこのお城の王妃様かと思っちゃいました!」
「私もどこの映画のシーンかと思ってしまったのー!」
(あはは…初春さん相変わらず乙女な例えね…春上さんもすっかり似たもの同士になってるし…)


「上条ちゃんおめでとうです♪ でも新婚生活に浮かれすぎちゃだめですよー?」
「小萌先生ありがとう♪ まぁそもそも新婚生活以前に美琴と付き合い始めてからずっと浮かれてますけどね」
「か、か、上条ちゃん!! ちゃんと仕事の普段の生活もしっかりしないといけませんよ!?」
「だーいじょーぶですよー♪ 心配し過ぎないでちゃんと見てて下さいって!」


「「おめでとうございます。そして、素敵な披露宴に御招待ありがとうございます」」
「湾内さん、泡浮さん、こちらこそ来てくれてありがとう♪」
「昨日、婚后さんから言伝を頂きました。予定の調整がつかず出席できなくて申し訳御座いません、と」
「それから、後日御祝い持参して御宅に伺いますとも言ってました」
「あらら…そんな気にしなくても良いのに…でも楽しみにしてるって婚后さんに伝えてちょうだいね」


「上条当麻!まさか貴様に先を越されるとは思ってなかったわ」
「あー…でも吹寄も何だかんだいって昔ほど性格キツくねーし、案外次はお前なんじゃねーか?」
「どうかしらね…私はしばらくそれどころじゃないでしょうし(吹っ切れるのってなかなか時間かかるものだし…)」
「そっか、よく分からんが頑張ってくれ。応援してる(何だろう…色々と忙しいのかな?吹寄のやつ)」


371 : 祝福と紙吹雪と水無月結婚 :2014/06/22(日) 22:46:45 EjUitVfw


「お姉様、お義兄様、おめでとうございます。と、ミサカは1万人弱のミサカを代表して祝福します」
「あぁ、ありがとうな御坂妹…おっと、今日からは俺視点からも義妹(いもうと)だったな」
「そうですね、今後ともよろしくお願いします。と、ミサカは脳内で義妹の立場を利用し這い寄る計画を練り込みながら挨拶を…」
「ちょ!!それ脳内に収まってないから!ってかそんな事をしたら例えアンタでも手加減しないわよ!?」
「…冗談です。と、ミサカは依然としてからかい甲斐のあるお姉様を見てニヤリとします」
「「はぁ…まったくこの妹(義妹)は…」」


「とうま!みこと!2人ともおめでとうなんだよ!」
「ありがとうな、インデックス。わざわざ遠くイギリスから来てくれて」
「しかし…よく静かにしてくれたわね…以前なら私を見るや否や…」
「ん?私はあんな美味しいごちそうを目の前で大騒ぎするほど礼儀知らずじゃないだよ?」
「「あー、やっぱそっちが理由ですか」」


「固法先輩、ご出席ありがとうございます♪次は黒妻さんと固法先輩の披露宴楽しみにしてますね♪」
「今後は俺も警備員(アンチスキル)として先輩に当たりますし、これからも美琴ともども色々よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね♪……ところで、白井さん結局来なかったわね…」
「そうなのよね…私が両手合わせてお願いって言っても、一度も来るって言ってくれなくて…」
「マジかよ…美琴がそこまでしたのに来ないなんて…ん!?」
「え?どうしたのよ当麻…な、なにコレ!?」
「金と銀の紙吹雪…今日の出席者に渡された物じゃないわね…」


赤絨毯の終点、ちょうど車のすぐ近くの上空から、金と銀の紙吹雪がキラキラ輝きながら舞い降りてきた。
その美しい光景に感激する者も居たが、それより多かったのが「この紙吹雪が誰の仕業なのか」と騒ぐ声。
発射装置など置ける場所もなく、第一それらしき物は見当たらないし、出席者の手持ちの紙吹雪はもう無い。


いったい誰からなのか、わかる者は誰一人居な…否、タキシード姿のツンツン頭と白ヴェールを被った頭が向かい合い微笑んで

「サンキュー、白井」「ありがとう、黒子」

2人揃って、そう呟いた。









<同日同時刻 同式場裏手の駐車場>

「良いのか?白井。直接面と向かって祝わなくて」
「りょ、寮監様!?…どうしてここに!?」
「仕事上、次の移動時間が迫っていてな…一足早く御暇(おいとま)しただけだ」
「そうでしたの…相変わらずお仕事に熱心なのですね」
「…で、直接祝いの言葉をかけには行かんのか?」
「それは…遠慮致しますわ。今お姉様の前に出てしまうと、涙が止まらなくなってしまいますの」
「…そうか、祝いの席で涙は見せたくない、か…白井らしい気遣いだな」
「えぇ、ですので寮監様から、おめでとうございます、とお伝え下さいまし」
「承知した。あまり時間が取れないが、今週中にはあの2人に伝えておこう」
「よろしくお願い致しますの」


<再び、赤絨毯の最終地点>

「ったく…来てるなら来てるで面と向かって祝ってくれても良いのに」
「まぁ確かに俺もそう思うけど…でもコレはコレで白井らしくて良いと思うけどな」
「……うん、そうね。黒子って妙に強がりだから、涙見せたがらない方だし」
「そういう白井の祝い方としちゃあ、一番の祝い方なんだろうな」
「たぶん、そうでしょうね。…まったくあの子ったら」
「…に、しても。白井にまで祝ってもらえたとあっては、ますます気合入れなきゃでせうな」
「え?…何の気合よ?」
「そりゃぁ、もちろん―――





 ―――美琴と、その周りの幸せを、しっかり守っていく事の、さ」
「ふふっ、期待してるわよ。当麻」


372 : 久志 :2014/06/22(日) 22:50:34 EjUitVfw
以上です。…あ、タイトルのラスト5字は「ジューンブライド」とお読み下さい。

もうちょっとあの人この人混ぜたかったけど、さすがにそれやると
6月が終わってしまうので、それは久志版じゃなく他のどなたか版に期待で←


373 : ■■■■ :2014/06/22(日) 22:58:36 P.NwCpYA
黒子の立ち位置が新しい!!ジューンブライドネタ待ってました。
GJです!


374 : ■■■■ :2014/06/23(月) 01:40:30 PphxzzBM
黒子の演出素敵ですね
なんか黒子らしい気もする


375 : ムダムシ :2014/06/23(月) 22:26:10 cUx3x.a6
えっと、初めて書き込み&投下をさせて頂きます、ムダムシといいます

なんか微妙な上琴SSですが、温かい目で見て頂けると嬉しいです


376 : ムダムシ :2014/06/23(月) 22:26:25 cUx3x.a6
えっと、初めて書き込み&投下をさせて頂きます、ムダムシといいます

なんか微妙な上琴SSですが、温かい目で見て頂けると嬉しいです


377 : 上条「スキだ、御坂!」 :2014/06/23(月) 22:35:28 cUx3x.a6
ここは学園都市第7学区にある橋の近くの河川敷

そこではとある二人の男女が、ひと気のない夜に激しいファイティンをしていた


上条「だから言ってんだろ。お前の能力は俺には効かねぇって」

彼の名は上条当麻。学園都市に住む『無能力者(レベル0)』の少年


御坂「あ あ あ もーっ! 相っ変わらずうざったい右手ね!」

そして、彼の言葉に顔を真っ赤にしながらプンスコしている少女の名前は御坂美琴。学園都市に7人しかいない『超能力者(レベル5)』の少女だ


ちなみに、少年の肩書きは無能力者ではあるが、その右手にはどんな異能でも打ち消す特殊な力があり。その力のせいで御坂の心は傷物にされてしまったのだ

結果がこのファイティン! 気づけば彼女は少年の姿を捜して、昼夜問わずにファイティンのお誘いをするようなっていた

御坂「だったら、これなら!」


御坂が一気に前に駆け出し上条との距離を詰める! と、振りかぶった右拳に電撃を纏わせ、それを相手の顔面目掛け一直線に突き出した

ーーバキィン!

御坂「!!」

…が、上条の右手に阻まれ、拳を掴まれてしまった

上条「残念。そんなミエミエのパンチが当たってたまるかよ」

御坂「そ、そんなの分かってるわよ! 今からすっごい大技出してやるから、くっ! ぬっ! その右手離しなさいよぉおお!」グイグイ

上条「……」

慌てる御坂をジッと見つめる上条

いつもの彼ならサッサと手を離して逃げるための距離を取るのだが。今回は何を思ったのか、とんでもない言葉を口にした

「ハァ……その短気な所が『好き』なんだよなぁ」

御坂「…………………………………………………へ、、隙?」

上条「ほら見てみろよ、お前の右手が俺の右手に掴まれてんだぞ。そりゃあ上条さんも心臓バクバクだったが、お前の好きが生まれるチャンスだからな、見逃してたまるかよ」

御坂「なな! しゅ、わたっ! しゅき!?」///

上条「ああ、正直に言うとかなりのレベルの好きだ。嘘じゃない」

御坂「 う、うう、嘘よ! 一体何処でどうなったら好きになんのよ! 適当ほざいてんじゃにゃいわよ!」

上条「どこって、…まぁ他にもあるし言わねぇとわかるわけないよな」

上条「えっと、すぐにカッとなってビリビリするところだろ? テンパッたらアタフタしてるところとか……はは、考えたらもう好きだらけだな。後は…」

『うわぁああああああああ!』

御坂は言葉を遮るように掴まれていた右拳を強引に剥がすと、真っ赤になった顔を伏せつつ、上条に向けて両手を広げて突き出した

でれ隠しの奥義。いわゆるもうやめてのポーズである

御坂「 も、もういい! 私の、その…き、は分かったから!」///

上条「……本当に分かってんのかよ」

御坂「えっと、その、そりゃあ、いきなりす…きとか言われても……分かんないわよ!」///


モジモジ御坂の返答に、上条は少し考えて…


「そっか。ならしょうがねぇ、特別に上条さんの好きをお前の体に直接教えてやるよ」


378 : 上条「スキだ、御坂!」 :2014/06/23(月) 22:40:00 cUx3x.a6

…………


御坂「うええええええ!! きゃきゃきゃりゃだぁああ! いいいいいいいいいから! 言葉でっ言葉だけでじゅーぶんだから!」///

上条「いや俺って頭悪いし、言葉だけじゃ絶対に無理っつーか。大体、分かんないって言ったのは御坂の方だろ? 教えてやるんだからワガママ言ってんじゃねーよ」

御坂「で、でも! わた、私、そういう経験ないし! まだ中学生だし、その、、」

上条「? 大丈夫だって、今からやるのはシミュレーションに決まってんだろ。それに、俺の好きを知ってどうするかは御坂自身が決めることなんだぜ。しっかりしろよ」ニコ

御坂「…………ん」///

上条「素直でよろしい。……あ、また好きを発見しちまったかな」

御坂「ふにゃ!!」

上条「純粋っつーか、なんっつーか…あーもう見つけだしたらきりがねぇな。好きが多すぎる」

御坂「な……ばっ…!」///

連続告白ラッシュを受け続けて頭の中がふらふらクラクラしている御坂美琴

彼女はまだ14歳の純粋な乙女であり、なんとなーーーく気になる相手にここまで直球な言葉を言われ続ければ、さすがの電撃姫もふにゃりかけるものである

そしてもちろん、これで終わるわけはなく


上条「まぁいいや、とりあえず」


言うと、上条は左手で御坂の腕を掴んで、強引に自分の側まで引き寄せ…そして優しく抱き寄せた


上条「いきなりで悪い、これが一つ目の好きだ。なんとなくだけど分かるか?」///

御坂「あの、え、は、はい!」///

上条「おお、御坂さんは物分りが良くて助かりますよ。まぁ、そんな所も好きなんだけどな」

御坂「はひぃ!」


上条当麻の言葉と抱擁によってふにゃふにゃ状態の御坂

そんなもうどうにでもな〜れな彼女に更なる追い打ちが!


上条「じゃあ次は…えっと、夏休みの最後の日に俺を押し倒したアレ、、やってみ」

御坂「ふへぇ、わりゃしが? なんで?」///

上条「なんでって言われても、これが俺の好きを教える手っ取り早い方法だし……御坂が良いなら俺が押し倒すけど」


御坂「いい! わたしゅがおしたおすから! アンタはジッとしてて!」

足元がおぼつかないながらも上条から少し距離を取ると、腰をやや低く落とし突撃体制に入った


上条「や、殺る気満々だな。……しゃあねえ、こいよ御坂!」


御坂は……思った

『もう…どうなってもいい…だから ありったけを』


御坂「ふにゃああああああ! ごめ〜んまったぁああああああああああ!!」


ドーン! とまさにあの時の再現通りのアメフトタックルが炸裂し、再び二人の体がコンタクトした

体が傾き、背後に地面が迫る中、上条は御坂を庇いながら背中からタッチダウン

青天はラインマンにとっては最大の屈辱なのだが、しかし上条はアメフト選手ではないから事なきを得た



上条「痛っ! 大丈夫か御坂」

御坂「あ……う」///

倒れこみ見つめ合う男女。完全下校時間はとっくに過ぎており、あたりに人の気配はない

そして、お互いの顔の距離はわずか数センチ

乙女の色々な部分が上条の身体に触れていることに気づいた瞬間、御坂のとった行動は…


上条「まぁ、この状況になったらいくらなんでも分かるよな、……後は腰を…」

御坂「こっ、にゃっ! ふっ!」///


上条「両足でホールドして相手に抜け出させないようにしつつ拳を……って」

御坂「ふにゃ〜〜」///

上条「ちょっ! みさぎゃばばばばばばばば!!!」


ふにゃ〜(漏電+気絶)だった


ーーー
ーー




あれから一時間後

時刻は午前1時

意識を取り戻した上条の胸元には、すーすーと可愛い寝息を立てる御坂の姿があった

上条(……あー、あのままお互い気を失っちまったのか)


御坂「……ふにゅ」zzZ

上条「……本当に隙だらけだよなぁ、御坂って」ナデナデ




後に、デンマークで上条当麻に教えられた技を実際に使うことになることを御坂美琴はまだ知らない


379 : ムダムシ :2014/06/23(月) 22:43:57 cUx3x.a6
これで投下終了です

なんか、上琴?なSSですみません


380 : ■■■■ :2014/06/24(火) 11:19:12 GpHyZaPw
GJですw
上琴のやりとりがアホすぎるw


381 : ■■■■ :2014/06/24(火) 18:52:24 gIcqXnzM
面白すぎ。最後の一行、そこに繋がるのかよ!って感じ。


382 : ・・・ :2014/06/24(火) 23:36:05 xrXO2Krg
ども、・・・です

まずは、感想を


くまのこさん

>>361
カミやんがいてくれて喜ぶメンツはこんなにもいるんだ。
自信をもって帰っていいんですよ



>>365さん
最後まで釣りや魚を使った物語の一貫性、お見事!!!
次は続きですか? 次回作ですか??



久志さん
>>372
そうですよね!! 白井っていい女ですよね!!!
ギャグでもシリアスでもこなせる白井は好きだけど、美琴はやっぱり当麻の横が似合うよね



ムダムシさん
>>379
文句なしの上琴、しかも本編につながるとは!!
しかし、このすれ違いは上琴の醍醐味の一つで、二人を正座させて説教したくなりますな!!



では、投稿します。
支部のほうの修正もうまくいきませんなー、
ま、こちらも気長に待っていただければ、
読んでいただくだけでうれしいです。
今回はイチャイチャが少なめで、ごめんね
それでは


383 : ・・・ :2014/06/24(火) 23:37:04 xrXO2Krg
太陽はさんさんと照り輝き、入道雲が朗らかに笑う中、
上条当麻の表情は死んでいた。

周りはきゃきゃとさわぐバカップルばかり。
真夏のプールなんてそんなものだ。

上条は思う。どうしてこうなった?

数度目の回想が頭をよぎる。




「……準備できたか―?」

「……もう、ちょっと」

「だぁーだい!!」

結局プールに行くことになった。
美琴は肩を落としながら荷物をまとめている。

あの時の嫌な予感は的中した。
佐天涙子という人物が自分を誘うだけでは済まないだろうなとは思っていた。
故に、あの一瞬で上条が誘われた時の予防策を5つは考え付いたのだが、

『土御門さんや上条さんもご一緒にどうです!!?』

まさか彼女が土御門兄に声をかけるとは思わなかった。
そちら経由で上条がついてくるなら、美琴には止める理由がない。
ちなみに、この作戦にはかの土御門ですら舌を巻いていたりする。

「どーしてこうなった?」

だって、こいつに、水着姿を見られるんだよ佐天さーーーん!!
そんな感情をこの鈍感が気づくわけがないのだった。

「それはこっちがいいてぇよ」

夏の水辺、去年からの短い人生だが、碌な思い出がない。

「いや、プールじゃなくても町でも山でも海でも平原でもいい思い出なんてねーけどね」

不幸だ、とぼやく
さらにドアを開けつつ、さっき美琴が言ったセリフを呟く。

「「「どうしてこうなった??」」」

おや? 両サイドのお隣さんも出てきたぞ?
さらに全員でハモったぞ?
そして、知り合いの、声だったような????

冷や汗を流しながら上条はゆっくりブリキ人形のように、みしみしと右を向く。

そこには、顔を真っ青にしてあんぐり口を開けた



一方通行がいた。


見なかったことにしてゆっくり左を向く。

そこには猫に追い込まれたネズミのような顔をした



浜面仕上がいた。

浜面と一方通行の目も合った。


そして三人は。





なかったことにした。

そのまま『あれ? なんで出ないのよ?』とか『早くいこうよアナターーってミサ』とか『はまづら?』とかの声がする方に進み、いったん扉を閉める。

その後


「「「不幸だーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」


という3人の声が近所迷惑になるほどまき散らされたのだった。



そう、この3人がご近所さんだった。
これで何もないわけがないのだ。
必ず何かが起こる。


384 : ご挨拶 :2014/06/24(火) 23:38:12 xrXO2Krg







いや、もう起きた。

暗い顔をしていたのは、上条だけではなかったのだった。

「ふざけんじゃねぇぞ第3位ぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいい!!!」

「お、白井じゃんよ」

「なんでアンタたちもここまでついて来るのよ!!」

「あ!! お子様!!」

「木山先生!! 水着を脱ぐのはさすがにアウトなの!!!」

「ショーーチーートーールーー!!!」

「隣にオリジナルが住んでいたなんて……」

「あなたは、 結標淡希!!」

「先生ぇー、なんでわたしたちが先生の面倒見てるんですかー!!」

「くろにゃんはっけーーーん!!」

「ぎゃーー佐天!! く、来るなーー!!」

「しかし、暑いのならば、仕方ないし、白井君の水着を見てみるんだ、あれなら着ない方がましではないかい?」

「なにがどうしてグループまで勢ぞろいしてるぜよ??」

「アホ毛ちゃん?」

「いつかの風紀委員のツインテちゃんやないかー!! これは運命の再会やでーー!!」

「なんでここにあなたがいるのよ白井黒子!!?」

「子供!!!」

「み、御坂さんが、どうしてここに??」

「にぎやかだなー、兄貴」

「すぴーーzzzz」

「やーめーろーよー!!!」

「フレメアさんも、打ち止めさんもきちんと準備体操をですね……」

「滝壺さん、超起きてくださいよ」

「だぶ、だーぶだ!!」


385 : ご挨拶 :2014/06/24(火) 23:38:57 xrXO2Krg





…………カオス!!

「……もう、帰りたい」

「奇遇だな大将、オレもだ」

「でも、帰った方が後で地獄なのもわかってるんです」

「……クソッタレ」

三人はまったく同じポーズで立っていた。
日差しが肌を焼く。蝉の音がそろそろ耳障りだ。
しかし、ここで、

『少しは静かにしやがれ』

『上条さんとしてもみんなで仲良く楽しく遊びたいです』

『はら、ここは大将に免じておとなしくしとこうぜ』

などといったところで、いうこと聞くどころか、悲惨な目に合う3人だ。
世の中正しいことを言っても認められるとは限らないのである。
よって、

「さ、行きますよー」

「ちょ、ちょっと!!」 


「あー、めンどくせェ」

「アナタ、どこに行くのーってっミサカはミサカはけなげについていく!!」


「じゃ、あそこらへんに行くか」

「はまづら、おはよう」


何もかもなかったことにしたのだった。




そして、そんなことできるわけがなかったのだった。

「水中バレー大会!! ってミサカはミサカは高らかに宣言!!」

こうして、ボロボロ3ヒーローの近くできゃいきゃい騒がしい音が響き渡っていた。
この3人がプールサイドで干からびるのは強制イベントだったらしい。

3人の目に青空と入道雲が映る。

やってられないのだった。


386 : ご挨拶 :2014/06/24(火) 23:39:39 xrXO2Krg
「不幸だ」

「もうやだ、あいつら」

「……」

しかし、

ここはロシアの戦場ではない。

「負けないわよーー!!」

暗部の襲撃もない。

「まーま!! がんがれー!!」

グレムリンの襲撃もない。

「むぎの、がんばって」

木原の陰謀も

「番外個体!! 下剋上だーってミサカはミサカはお姉様に宣戦布告!!」

統括理事の暗躍もない。





この青空が、暗く染まることはもうない、

「……ほんと、不幸だ」

上条当麻は、笑顔でぼやくのだった。


387 : ・・・ :2014/06/24(火) 23:40:27 xrXO2Krg
以上です。

あげてしまって申し訳ない


388 : ■■■■ :2014/06/25(水) 17:05:23 f/sg4CZ6
>>382
カオスすぎてだれがだれかわからん!(褒め)

最近忙しすぎて筆が進まないんだぜい…


389 : ■■■■ :2014/06/26(木) 00:39:46 XDsC4eqk
この勢いに乗って初めてですが地味に長い短編思いついたので投下してみます!
何分不束者ゆえ、行き届かぬ点は平にご容赦。


390 : 勝利の報酬 :2014/06/26(木) 00:41:00 XDsC4eqk
「……思っていたよりも虚しいわね、これ」

御坂美琴は無限に広がる雪原の中で呟いた。
両腕の中には少年・上条当麻が美琴の放った高圧電流で気絶していたが、加減をしていたため命の心配はない。

「さて、どうしましょうかね」

そっと上条を下ろすとふと、大事なことに気がついた。

「やば、顔がどんどん青くなってるうぅぅぅ!!!」

上条が極寒の中、意識をなくしたために寒さで凍死まっしぐらになってしまったのだ。
当の美琴はというと“電撃使い”の能力で暖をとっている。つまり…

「…しょうがないしょうがない」

上条の左手を握り、二人一緒に能力で暖まろうとした。

(これじゃあまるでかかっか、かかカップルじゃない……)

まるでじゃなくカップルにしか見えない光景に美琴は頭が混乱する。
上条の顔の血行が良くなりほっと一息をつく美琴だったが、みるみるうちに上条の顔が真っ赤になっていく。

「ぐ…」

「ややややばい!!!!」

能力が暴走したせいで上条が苦しみだしたのだ。美琴自身も顔がこの上なく真っ赤だが上条とは別の理由だ。
慌てた美琴は左手を離すが今度は全身から漏電し始めて、もはやてんやわんやである。


391 : 勝利の報酬 :2014/06/26(木) 00:42:06 XDsC4eqk

(もう、どうにでもなれ!!!)

と、美琴は咄嗟に上条の右手にしがみつく。
パキン!!!という音と共に美琴の放っていた電流は消えてなくなった。

「…あててんのよ。なんちゃって」

自分で言った言葉にさらに恥ずかしくなってもはや寒さなど感じられない。

「はぁ、アンタはここで離したらまたどっか行っちゃうわよね。…なによこの右手。もうボロボロじゃない」

そう言って上条の右手を、優しく両手で包み込む。
一人の少女を助けるために世界中と戦っているのは本当にこの少年らしいと思う。その少女が自分じゃないことが無性に腹が立つが、それでも上条のことを助けたいと思ってここまで来たのだ。

「結局私は、アンタにとって都合のいい女になっちゃうのよね」

添い寝をしているような形で美琴は辛そうに、しかしこの上ない愛しさを込めて呟いた。その美琴の表情は、自虐に放った言葉でさえも愛しいと思っているようであった。

「………」

無言のまま彼の眠っている穏やかな顔を見つめる。
未だに動悸は収まらないが上条の右手を離し、左手を強く優しく握る。

「………………と、当麻。」

初めて彼に向けて名前を呼んでみる。するとこの上ないと思っていた体温がさらに上がった気がする。

「初めて勝ったんだもんね、記念を残しとかないと」

よっと美琴は上半身を上げつつも左手をつなぎながら上条の横に座る。
美琴はポケットに手を突っ込むと、ゲコ太ケータイを取り出しカメラモードにする。
無言のまま眉間にシワを寄せ上条の顔にピントを合わせ、シャッターボタンを押すとき、

「…みさか…」

「うおわあああああああ!!!!!」

上条が寝言?で美琴の名前を呼んだのだ。持っていたケータイを放り出し、突然の事態にお嬢様らしからぬ大声を上げてしまう。

「ちちちちがうのよ!!これはなんというか、ついでき心で寝顔取っとこうかな〜とか、案外眠った顔は可愛いとか、そういうのじゃなくて!!!!」

必死に言い訳を並べようとする美琴だが、もはや自分が思ったことを言いまくっている。
今でも左手をしっかりと握り締めているのにも関わらずに、だ。
当の上条はというと

「すぴーーーー」

あんだけ美琴が騒ぎまくっていたにも関わらず、眠っている。

「………はぁ。ほんとこの馬鹿は人騒がせなヤツね」

騒いでいたのはどっちだ、と馬鹿呼ばわりされた上条は泣いているだろう。
溜息をつきながらも飛んでいった携帯を拾い、再び上条の傍に座る。
ちょっと冷静になった美琴はちゃちゃっと上条の寝顔をカメラに抑えてしまう。


392 : 勝利の報酬 :2014/06/26(木) 00:42:53 XDsC4eqk

「ふーーひとまず戦利品ゲットってとこかしらね」

撮った写真をさっそく待受画面に設定し、ちょっとニヤニヤしてから携帯をポケットにしまう。
のぼせていた心に余裕ができ、多少の照れはあるものの上条の左手を再び握り直す。

「…みさか…」

「ふふっ。なあに当麻?」

二度も名前を呼ばれた美琴は気を良くして上条の言葉についつい返事をしてしまう。

「………」

「うん?」

「………………ありがとう………………」

「えっ」

突然放たれた言葉に戸惑う美琴。しかしその意味をしっかりと理解する。

「…あのときのアンタの顔、絶対能力進化計画の時の私と同じような顔をしてた」

“全部の罪を償う。”
そう言った時の上条の顔は、罪の重さに苦しむかつての美琴と同じような境遇に見えたのだ。

「でもね…」

だからこそはっきりと言える。一度その場所から救ってもらえた美琴だからこそ言える。


「そんなふうにアンタが苦しんでも、だれも嬉しくなんかないよ」


“お前が死んで、妹達が感謝するとでも思ってんのか”

上条も美琴も押し付けられた罪に対し、本気で苦しみ、そのどちらもが自分以外の誰かのために命をなげうとうとした。
本当の意味で二人は同じ位置に立っていたのだ。

「なにより、アンタがそんなだったら私の立つ瀬がないでしょうが!!」

コイツから教えてもらった生きる力を教えることになるとはね、と美琴は少し苦笑する。
でも、わかってくれたようだ。
ありがとう。その一言がじんわりと身にしみていく。

「まったく、ほんと手のかかること。
 ちゃんと私に救われたことを忘れんじゃないわよ!
 私はアンタに救われたことを一瞬も忘れたことはないんだから!」

罪と一緒に得た大切なこと、それに美琴はつい笑ってしまう。
コイツと出会えて、一緒に実験を乗り越えられて本当に良かった、と美琴は感傷に浸る。

ふと、美琴は思う。
自分はこの少年にお礼を言ったのか?
自由研究やらクッキーやら後輩の登場やら、名前を……やらでうやむやになっていたことを思い出したのだ。

「そう、よね。この際だから言っちゃおう」

コイツも寝言だし、と美琴は呟く。
上条の顔をしっかりと見つめ、この上ない微笑みと、心の底からの感謝を口にする。


「ありがとう、当麻……」


上条の頬に優しく口付けをする。
顔が真っ赤なのは自覚しているが美琴は冷静に、“幸せ”というものを噛み締めていた。

「ふふっ。アンタも私も素直じゃないわね」

苦笑しつつも、美琴は上条と平行に前を向く。
しっかりと手をつなぎ、共に同じ道を歩んでいくかのように。
真っ白な雪原は二人が確かに“同じ”であることを際立たせていた。

似た者同士のそれぞれのストーリーはこれからも続く。


-Fin-


393 : ■■■■ :2014/06/26(木) 00:43:42 XDsC4eqk
以上です。
小ネタはどうしても思いつかないのでシリアスな感じになっちゃうなぁ〜
原作を自分なりに解釈するのが好きなので賛否両論でしょうね。


394 : ■■■■ :2014/06/26(木) 01:01:24 SKPGACYU
乙です
上条さんが気を失ってる間、美琴は何を考えて何をしていたのか…
気になりますよねw


395 : くまのこ :2014/06/26(木) 21:32:14 TBzE7X8.
>>365さんGJです!
ザッツ・ハッピーエンド! 良かったです〜!
ところで上条さん。江戸時代なら女性の出産適齢期は15〜17歳ぐらいなので、
そろそろそちらの方もどうですか(ゲス顔)

>>久志さんGJです!
お久しぶりです! 変わらぬイチャイチャっぷりにニヤニヤさせてもらいましたw
ジューンブライド物…自分も書きたかったのですが、ネタが浮ばなかったんですよね……

>>ムダムシさんGJです!
何やってんだこのバカップルw
というか、あの時のミコっちゃんの初勝利にはこんな裏事情があったのかw

>>・・・さんGJです!
まさにカオス!(褒め言葉)
3ヒーローさん達お疲れ様です。オールスター物っていいですよね〜。

>>393さんGJです!
上条さんが寝てると思って、ミコっちゃんてば好き放題しちゃって。
でもミコっちゃんの性格上、こんな時でもないと素直な言葉は言えないですよね。



短編書きました。
今回も支部のリクが元ネタになってます。
オリ設定が含まれますので、苦手な方はスルーしてください。
大体3分後に、8レスです。


396 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:35:07 TBzE7X8.
『繚舞祭(りょうぶさい)』。
それは毎年11月に開催される、繚乱家政女学校主催のダンスパーティーである。
学校側としては、ホールスタッフとして生徒を放り込み、
そこでメイドとしての修行【スキルアップ】させるのが目的だ。
しかし生徒は当然ながら裏方【メイド】なので、ダンスをする訳ではない。
だがご奉仕する相手がいなければパーティーとしての意味は無いので、
お客様は外部から招待されるのだ。

だがここに、ダンスパーティーなどとは無縁そうで、どう考えても招待されてなさそうな、
小市民が一応見た目だけでもタキシードを身に着けている感じの少年が一人、会場の入り口にいる。

「はぁ…不幸だ……」

言わずと知れたツンツン頭、『上条当麻』である。
彼は確かに直接招待された訳ではない。招待客の、「付き添い」という立場なのだ。
と言うのもこのパーティー、実は男女のペアでないと入場できないのである。
しかし上条が付き添うその招待客は、上条以外に異性の友人がいなかった。
(正確には異性の知り合いは数名いるが、『何故か』上条以外の男性を誘おうとはしなかった)

慣れないタキシードの着心地の悪さに、少し不機嫌な表情で相手を待っていると、

「……お…お待た…せ………」

と待ち人が現れた。
こんな不幸【イベント】に巻き込まれた事に、文句の一つでも言おうとした上条だったが、

「はぁ…あのなぁ、美…こ………と…?」

その相手のドレス姿に思わず見とれてしまい、何も言えなくなってしまった。

「えっ!? な、なに!? どこか変だった!?」
「……あ、いや、その……き、綺麗だな〜って…」

赤くなりながら正直な感想を言う上条に、彼女も負けじと赤面する。

「あ、あああ、あり、がと……」
「お、おう……」
「……………」
「……………」

一瞬の沈黙が流れたが、
『会場の準備が整いました。外でお待ちのお客様も、どうぞ中へお入りください』
という場内アナウンスに二人はビクッ!とする。

「あ、じゃ、じゃあ入ろうか!?」
「そ、そそ、そうね!」

ぎこちなくだが、いつもの調子に戻った二人である。

上条はこういう場所には不慣れだが、多少の礼儀【ルール】は分かっているらしく、
彼女の手を取り、慣れない手つきでエスコートする。

「そ、それでは参りましょうか。…『美琴』姫」

照れ隠しに冗談を言ってみた上条だが、自分で言った冗談の内容と相手の反応を見て、
墓穴を掘った事に気づき後悔した。

「ひ、ひひ、姫、姫って……ひ、姫ってえええええっ!!?」
「うおおおおい! ごめん今の忘れてお願いだから!!!」

招待客である『御坂美琴』は、顔から火を噴き出さんとばかりに真っ赤になっていた。


397 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:35:54 TBzE7X8.
事の発端は三日前。美琴が白井から、いつものファミレスに呼び出された時だ。
テーブルには白井のほかに初春もいた。二人は険しい顔をしながら、二枚の紙を睨んでいたという。

「お待たせ。何か、私に用があるんだって?」

二人の様子に何か良からぬ雰囲気を感じ取った美琴だったが、
ここは敢えていつもの調子で話しかける。

「あ、お姉様。わざわざお呼び出しして、申し訳ありませんの」
「いいわよ別に。私もヒマしてたから」
「さっそくですみませんが、コレを読んでみていただけませんか?」

初春は先程の紙の一枚を美琴に渡した。しかしてその内容とは。

『三日後に開かれる繚舞祭にて、大事な物をとりに行きます。
 風紀委員のお二人は決して邪魔をしないでください。
 そちらは今、こっちに人員を割いてる余裕は無いでしょうしね。
 もし会場に来るような事があったら…この先は言わなくても分かりますよね?』

それは正しく。

「これって…犯行予告? しかも『大事な物を盗りに』って、小説や漫画に出てくる怪盗じゃあるまいし」
「その上、脅迫まで仄めかしておりますの。
 敢えて『この先は言わなくても』…などと言葉を濁しているのが、何ともイヤらしいですわね」

と、ここで美琴はある一文に疑問を抱く。

「ねぇ、この『こっちに人員を割いてる余裕は無い』ってどういう意味?」

美琴の一言に白井は顔をしかめる。代わりに初春が答えた。

「実は最近、スキルアウトのグループ同士の抗争が激しくなってきたんですよ。
 あちこちでケンカが絶えなくて…おかげで風紀委員は今、人手不足なんです」
「へぇ…そうなんだ。知らなかった…」
「まぁ、流石に表立って目立つ行動はしませんからね。
 あくまでもケンカは『裏』で行われていますから、一般の方にはあまり知られていないんですよ」
「……全く、そのせいでここ数日睡眠不足ですの。いつお姉様に抱かれても良いように磨きに磨いた、
 わたくしの玉のお肌が荒れでもしたら、どうしてくれますの!?」
「でもそれって、犯人は風紀委員の内情をよく知ってるって事よね?」

何気に飛び出た白井からの衝撃発言に、美琴は華麗にスルーする。もはや慣れたものだ。

「はい。しかもそれだけではなく、私と白井さんそれぞれに手紙をよこした事から、
 犯人は少なくとも、私達の顔も知っているという事になります」
「…にしても、犯人の狙いが分からないわね。わざわざ犯行予告を出しておいて、
 『風紀委員は来るな!』でしょ? 行動が矛盾してるわよね。
 そもそも来て欲しく無いんだったら、初めから予告なんてしなきゃいいのに」
「確かにそうなんですよね…
 漫画とかの怪盗は、警察や探偵に挑戦状として送る意味合いで予告を出しますけど、
 この犯人の場合はそうじゃないみたいですし……」

む〜んと考え込む二人に、白井は紅茶を一口飲んでから意見する。

「……犯人の目的は不明ですが、とりあえず問題となるのは『これからどうするか』、ですの。
 勿論、野放しにする訳にはいきませんし、かと言って風紀委員を潜入させる事もできません。
 初春の言ったように、わざわざ風紀委員に犯行予告を届けた以上、
 犯人はわたくしや初春の顔を知ってる可能性が高いと思われますから」
「そこで御坂さんをお呼びした理由にも繋がるのですが……」

初春は心底申し訳なさそうに本題を切り出した。

「風紀委員【こちら】としては心苦しいのですが…お願いできますか御坂さん?」
「………へ?」

思わず素っ頓狂な声を出した美琴に、白井が苦虫を噛み潰したような顔で説明する。

「ですから、お姉様が潜入して犯人を捕まえてほしいんですの。
 レベル5とはいえ、本来なら一般人であるお姉様を巻き込みたくはないのですが……」
「あ、なるほど」


398 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:36:56 TBzE7X8.
犯人を野放しにはできない。しかし風紀委員を潜入させる訳にもいかない。
そこで白羽の矢が立ったのが、美琴だったのだ。
確かに彼女はこれまでいくつもの事件を解決しているし、
常盤台中学生でレベル5という立場上、パーティーにいても不自然ではない。
実際、舞夏から繚舞祭の招待状も貰っていた。

「そういう事なら任せて。絶対、犯人とっ捕まえてやるから!」
「私も会場の監視カメラをハッキングして、中の様子を見させてもらいます。
 御坂さんにだけ危険な事をさせる訳にはいきませんから」
「わたくしは例のスキルアウトの件で外回りでしょうから、カメラの映像を観る事はできませんが……
 初春、何かあったら必ず連絡を。わたくしの能力で、すぐにでもお姉様の下へ駆けつけますの!」

3人は犯人を捕まえるべく、それぞれの役割を確認しあう。
作戦は決まった。だがしかし、ここで美琴がふと疑問に思う。

「……あっ、でも繚舞祭って男女ペアじゃないと入場できないのよね?
 私のパートナーって誰がやる……の…?」

言いながら、ある人物が頭に浮ぶ。それは美琴以外の二人も同時だったようだ。

「あ、それなら上j」
「NOですわ!!! それだけは…あの類人猿だけは絶ぇぇぇっっっ対に反対ですの!!!」
「そそそそうよね! あ、ああ、あの馬鹿とかアリエナイわよね!!!」
「でも他にアテはいるんですか?」
「えっ!? えっと…それは……その……」
「だったらこの黒子がっ! お姉様の生涯のパートナーたるこの黒子がっ!!!」
「白井さん、今までの話し合いをもう一度するつもりですか?
 風紀委員が潜入する訳にはいかないって何度も言いましたよね。顔もバレているみたいですし」
「それ以前にアンタは男じゃないし、生涯のパートナーとやらでもないし」
「ぐぎぎぎぎぃ……ですがっ…! ですがっ!!!」
「御坂さんもこの際、変な意地を張っている場合じゃないですよ?
 他に候補がいないのなら、やはり上条さんをお誘いするしか…」
「お、おおおおさ、お誘いぃぃぃ!!?
 そ、そ、そんな事したら、アアアイツに誤解されちゃうじゃない!!!」
「(誤解ではない気もしますが……)とにかく、上条さんに連絡してみてくださいよ」
「〜〜〜〜っ!!! わっ、分かったわよ! で、でもアイツもなんだかんだで忙しい奴だし、
 こ、断られるかも知れないんだから期待しないでよ!?」
「お姉様ぁぁぁ!!! お考え下さいましぃぃぃ!!!」

泣きつく白井を初春が押さえつけている間に、美琴は上条に電話をしてみる。
コール音が耳に響く中、美琴は上条に電話に出てほしいようなほしくないような、
そんな複雑な思いが頭を駆け巡っていたのだが、

『はい、もしもし?』

幸か不幸か、出やがった。
電話越しに聞こえる『あの馬鹿』の声に、美琴は思わず体を硬直させ、うわずった声で返事をする。

「あ、あああ、も、もしもひっ!!?」

そして思いっきり噛んだ。

『もしもし美琴? どしたんよ』
「あ、あああのさ! もしアレだったら全然断ってくれてもいいんだけど!
 別に大した事じゃないしアンタも何かと都合があるだろうし!」
『…? 何、頼み事?』
「じ…実は、さ……」

美琴はこれまでの経緯を上条に話した。
ちなみに白井は、歯をギリギリと噛み締めながら血の涙を流しつつ、電話をする美琴を見つめている。
悔しいが、他にアテがいないのも確かなのだ。



『……なるほどな』
「で、でどうなの…? 勿論、無理なら無理で仕方ないんだけど―――」
『ああ、いいよ。俺でよければ』
「いいんかいっ!!!」

アッサリと決まった。
この瞬間、美琴は心の中でめちゃくちゃ嬉しい反面、
もはや犯人を捕まえるどころじゃなくなるであろう事を、覚悟したのだった。


399 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:37:41 TBzE7X8.
そんなこんなで、あれから三日後。
上条と美琴は繚舞祭の会場へとやって来た訳だが、

「ひ、ひひ、姫、姫って……ひ、姫ってえええええっ!!?」
「うおおおおい! ごめん今の忘れてお願いだから!!!」

さっそく二人はテンパっていた。早くもグダグダな臭いが炸裂している。



会場内はいかにもパーティーらしく、豪華な食事と着飾った人々で溢れている。
会場の南側には立食用のテーブルが並んでおり、
北側にはダンスをする為だろう、何も無いステージが広がっている。
上条は思わず、自分が場違いではないかと不安になってくる。

「……なぁ、美琴。俺って浮いてないか? 何かすっげぇ居心地悪いんだけど………あれ? 美琴?」
「……………ぁぅぅ…」

問いかける上条だが、美琴からの返事は無い。
振り向くと彼女は、顔を真っ赤にしたまま俯き、視線は繋がれたその手に向けられている。
上条がエスコートした時に取った手は、そのままだったのだ。
しかし上条、その事実に気づかず手を離さない。ある意味ファインプレーである。

「…? 美琴、どうした?」
「はにゃっ!!? ななな、何でもにゃいけどっ!?」

我に返り慌てて言葉を返す美琴。
しかし手が繋がっている事は上条に話さない辺り、彼女の心境を窺い知れる。

「そうか…? ならいいんだけど…けどしっかりしてくれよ?
 これから例の怪盗もどきを捕まえなきゃなんないんだからな」
「わ、わわ、分かってるわよ! べべ、別に今のこの状況に、浮かれてなんかないんだからっ!」

今のこの状況【てをつないでいること】に浮かれているのではないか、などと聞かれてはいないのだが、
美琴は勝手に自白で自爆で自決する。

明らかにしっかりしていない美琴に、上条は心の中で嘆息し、
怪しい者がいないかパーティー内の探索を開始するのだった。
無論、手を繋げたままで。


400 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:38:24 TBzE7X8.
周りを見回しながら歩く上条。
本来はその役目は美琴の筈なのだが、今の彼女は使い物にならない【それどころじゃない】ので、
上条が代わりを務めている。

招待客の中には、エリート校の生徒や高レベルの能力者が多い。
特に美琴を含むレベル5のメンバーは、客寄せパンダとしての役割も大きい。
今の所、怪しい者…はいないようだが、顔見知りがチラホラ。

「あっ! お姉様とあの人だ!ってミサカはミサカはテンションMAX!!!」
「チッ…てめェ等も来てたンかよ。……何だァその顔は?
 はァっ!? 俺は別に来たくて来たンじゃねェよ! このガキがどォしてもっつーからだな!」

招待客:一方通行   パートナー:打ち止め

「にゃあにゃあ! 大体美味しそうな物がいっぱいあって、どれから食べるか迷うな!!!」
「私も出来れば人目は避けたいのですが、この子がどうしてもと聞かないもので……」

招待客:垣根帝督   パートナー:フレメア=セイヴェルン

「……本当は上条さん【あなた】を誘おうとしたのにねぇ…
 どこかの誰かさんの邪魔力で、違う男と来るハメになっちゃったわよぉ」
「私がお相手では不服ですカ? これでもパーティーの基本的なマナーは心得ているのですがネ」

招待客:食蜂操祈   パートナー:カイツ=ノックレーベン

「おっ、大将じゃねーか! 意外だな、ダンスとか興味あんの?
 …って、んな訳ねーか。俺と同じでメシ目当てだよな」
「あ、いた。はまづら探したよ。もう私から逸れたらダメだからね」

招待客:滝壺理后   パートナー:浜面仕上

「…よぉ大将、またあったな……」
「浜面! 超何やってんですか!
 男女ペアじゃないといけないんですから、超勝手にいなくならないでくださいよ!」

招待客:絹旗最愛   パートナー:浜面仕上

「………大将、助けて…!」
「はーまづらぁっ!!! てめー、私一人置いてどこほっつき歩いてやがったぁ!?
 あ・と・で・オ・シ・オ・キ・か・く・て・い・ね!!!」

招待客:麦野沈利   パートナー:浜面仕上

「浜面率高ぇよ! 何で会う度に違う人のパートナーやってんだよ!」

思わず叫んだ上条である。
どうやら浜面は、滝壺のパートナーとして会場に入ったのだが、
その後すぐに会場を出て、今度は絹旗のパートナーとして入り、
同じ要領で麦野のパートナーとしても入ったらしい。
モテる男(笑)は辛いのである。

ちなみにここまで大騒ぎしたというのに、美琴は未だにだんまりを決め込んでいる。
理由は一つ。これまで、ず〜〜〜〜〜っと手を握られたままだからである。
しかも先程上条が浜面に対してツッコミを入れた際、叫んだ時に力が入り、更に強く握り締められた。
握られた手がじんわりと熱を帯び、それに比例して美琴の体温も上昇する。
尚、上条はまだ気づいていない模様。
鈍感にも程があるが、今はそれが功を奏していたりいなかったり。
だがここでようやく、

「はぁ…とりあえず俺たちも何か食おうぜ。
 周りをキョロキョロしっ放しだと、むしろ俺たちが不審者扱いされかねないし、
 犯人にも気づかれるかも知れないしな」

と食事をする為に手を離した。
危なかった。正直このままだったら、本当に犯人どころではなかっただろう。
しかし同時に、もうちょっとあのままだったら良かったのにな…と思う美琴もいた。
乙女心は複雑なのである。


401 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:39:14 TBzE7X8.
上条たちが会場に入ってから数時間。
パーティーは全く滞る事なく、正に平和そのものだった。
妙な事件が起こるでもなく、怪しい人物がいる訳でもなく。

「……なぁ、本当に犯人は現れるのか? ただの愉快犯って可能性は?」
「はえっ!!? あ、う、ん……な、な、無い…とは言い切れないけど!
 ははは、犯行予告に時間は記載されてなかったし! ま、まままだこれからかも知れないわ!!!」

話し合う二人。しかし何故美琴はカミカミなのか、それは、

「まぁ、犯人が何をするにしても今がチャンスだよな。周り、真っ暗だし。
 …てか大丈夫? よく考えたら俺、ダンスなんて初めてだから……」
「だだだ大丈夫でしょ! 私に合わせてステップ踏んでれば、それっぽく見えるわよ!」

現在チークタイム中であり、二人は社交ダンスで踊り狂っているからだ。
上条の右手は美琴の左手を握り締め、上条の左手は美琴の腰を抱き寄せる。
警戒しているとはいえ、周りに溶け込まなければこちらが浮いてしまうので、
『仕方なく』ダンスをしているのだ。

「てか近い近い近い!!! 顔近いし、変なトコ触ってるしいいい!!!」
「わっ、バカ! キョドるなよ! 犯人に気づかれるぞ!」

そして『仕方なく(?)』パニクる美琴。
だが、その妙な視線を感じた美琴は冷静さを取り戻す。

美琴は能力の反射波を利用して、レーダーのように周囲の物体を感知できる。
周りにこれだけ大勢いては、その人物がどこの誰なのかまで特定するのは難しいが、
少なくともその人物が、自分たちに目を向けている事ぐらいは分かる。
チークタイム中、真っ暗闇の中で、目の前にいるはずのダンスパートナーではなく、
『こちら』に目を向けているのだ。
いや、そもそもそれ以前に、その人物の目の前にいるはずの、ダンスパートナーの気配もない。

ありえない。

会場に入るには男女ペアでなければならない。
浜面のような例外もいるにはいるが、そういった者達は会場南側の立食フロアにいるはずだ。
少なくとも、ここ北側のダンスフロアにはいないはずである。
一人で社交ダンスは踊れないのだから。

「………ねぇ、振り向かずに聞いて…?」

美琴は小声で話しかける。

「多分…例の犯人が出たわ。それも…こっちに近づいてる」
「……間違いないのか…?」

上条も小声で返す。

「少なくとも、他の招待客とは明らかに纏ってる空気が違うわね。
 獲物を狙うような……こう…ギラギラした感じが伝わってくるわ」
「『獲物を狙うような』…ね。確か犯行予告には、『大事な物を盗りに』って書いてあったんだよな?」
「ええ。何を盗るつもりかは知らないけど、このままだと好都合な事に、ここを通り過ぎるわ。
 すれ違った瞬間にひっ捕らえましょ」
「………OK。タイミングは任せた」

美琴が目で合図する。

3…

2…

1!

二人は目と鼻の先まで近づいていたその人物を、一斉に取り押さえる。
幸か不幸か周りは暗闇に包まれており、この騒ぎに気づく者はいなかった。
犯人らしき人物は、痛みに耐えかねギブアップを宣言する。しかしその声は……


402 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:39:59 TBzE7X8.
「ちょっ! 御坂さん、上条さん! いたっ! 痛いですって!」
「えっ………さ…佐天さん!?」

驚いたのは、むしろ捕まえた側だった。
そこにいるのは紛れも無く佐天涙子。思いっきり友人である。
上条と美琴は、慌てて佐天から手を離す。
佐天は「いたた…」とよろめきながら苦笑いする。その手には何故か、ビデオカメラを構えながら。

「あ、これ暗視カメラに切り替えられるので、真っ暗でも録画できるんですよ」

どうでもいい情報である。

「えっと…ごめんなさい佐天さん。人違いしてたみたいで……」
「わ、悪かった。怪我とかないか?」
「ああ、いえいえ。大丈夫ですよ」

佐天が犯人とは思えないので素直に謝る。

「それで…佐天さんはどうしてここへ? 招待されたの? てか、パートナーは?」
「いやぁ、ウチは平凡な中学ですしあたし自身もレベル0ですから、招待状は貰ってないんですよ。
 でもせっかくなので招待状を貰ってる人に頼み込んで、連れて来てもらったんです」

そう言うと佐天は立食フロアの方に指をさす。
人差し指の先に目線を合わせると、そこには全くパーティーに似つかわしくない格好の男…
具体的には頭に鉢巻を締め、白い学ランの下には旭日旗のTシャツという、
昔ながらの番長スタイルの男が、口いっぱいにパスタを頬張っている。
見覚えがある…が、できれば関わり合いになりたくない。

どうやら佐天は、その番長野郎をナンパ(?)してまで、この会場に入ってきたらしいのだ。
だがそこまでする理由は一体何なのだろうか。
そう問いかけた美琴だったが、佐天から返ってきた言葉は、

「ふっふっふ………実は御坂さんたちに内緒で、
 大事な物、つまりは御坂さんと上条さんのダンスシーンを撮りに来たんです!
 あ、でもちゃんと初春と白井さんには断ってきたので、その辺は大丈夫ですよ」
「んんんっ!!?」

何だか重要そうな単語がてんこ盛りであった。思わず上条も、美琴に耳打ちして確認する。

「な、なぁ…犯人の犯行予告って……」
「だ、大事な物を盗りに……いや、待って。そういえば『とりに』って平仮名だったわ……」

つまりはこういう事らしい。

大事な物をとりに行くというのは、先程彼女が説明した通り、二人のダンスシーンを撮る事。
それが何がどうして『大事な物』なのかは知らないが、佐天には重要な事らしい。

そして風紀委員は人員を割けないだろうから、邪魔をするなというのは、
佐天は初春と仲がよく、例のスキルアウトの抗争の話も彼女から聞いていた。
なので気を使ったつもりだったのだ。意味合いとしては、
「初春たちはお仕事に専念してて。その代わり御坂さんの方はあたしがバッチリサポートするから!」
みたいな感じだろうか。

更に風紀委員が会場に来るような事があったら…というのは、
スキルアウトの事件をすっぽかして、会場【こっち】に来たら駄目だろうという戒めの他に、
大勢で押しかけたら美琴たちの邪魔になる、という意味も含まれていたようだ。


403 : とある二通の犯行予告 :2014/06/26(木) 21:41:06 TBzE7X8.
つまり佐天は、犯行するつもりもそれを予告したつもりも、脅迫したつもりもなかったのである。
何故気づかなかったのだろう。
『三日後に開かれる繚舞祭にて、大事な物をとりに行きます。
 風紀委員のお二人は決して邪魔をしないでください。
 そちらは今、こっちに人員を割いてる余裕は無いでしょうしね。
 もし会場に来るような事があったら…この先は言わなくても分かりますよね?』
という文面。これって、

(これって……ものっっっ凄く佐天さんが書いたっぽい文章じゃないの………)

この事実に気づいた美琴は、ヘナヘナと力が抜けていく。
しかし悪気も無く、そもそも事件を起こしたつもりも全く無い佐天は、無邪気に

「まぁ、あたしの話なんてどうでもいいじゃないですか!
 それよりせっかくのダンスパーティーなんですから、御坂さんももっと楽しんでくださいよ!
 その為にわざわざビデオカメラまで用意したんですからね♪」

と自分勝手な事を言いつつ美琴の背中を押す。
無気力状態だった美琴は、されるがまま押し出され、そのまま上条の胸にダイブした。

「おうっ!?」
「わきゃっ!」

そしてそのまま転んだ。上条を道連れにして。
ゴロゴロバタンと音がした、と同時に明かりが点く。チークタイム終了のお時間である。
暗闇から解き放たれたパーティー会場のお客様方は、目の前の光景にざわつき始めた。

倒れた拍子に、何がどうなってそうなったのか、上条が美琴を押し倒す形となっていた。
しかもそれだけではない。上条の右手は美琴の左胸にクリーンヒットしており、
左足の膝は美琴の両足の間にすっぽりと収まっている。
事情を知らない周りの人間は、チークタイム中の暗闇に乗じて、
『ナニ』を仕出かしたカップルに見えた事だろう。
暗い中でイチャイチャした者は他にもいたが、『これ』は流石にやりすぎである。

「いったたた…美琴、大丈夫か? …あれ、美琴?」
「…………きゅう〜…」

どうやら美琴は目を回しているようだった。
と、この最悪のタイミングで、

「風紀委員ですの! お姉様、犯人は捕まりまし……た、か…?」

白井が突如現れた。
おそらく監視カメラで会場の様子を見ていた初春が、
美琴たちの様子が不自然な事に気づいて白井に通報したのだろう。
しかし目の前には気絶するお姉様と、それを押し倒す類人猿。
しかも類人猿のイヤらしい右手は愛しのお姉様の慎ましくもお美しい左胸にクリーンヒットしており、
汚らわしい左足の膝は
愛するお姉様のカモシカの様なしなやか且つスベスベの両足の間にすっぽりと収まっている。
事情を知らない白井は、チークタイム中の暗闇に乗じて、
類人猿がお姉様に『ナニ』で『ソレ』な『フンガフンフ』を仕出かしたように見えた事だろう。
更に上条にとって不幸な事に、その瞬間、白井は犯行予告の一文を思い出す。
具体的には『大事な物を盗りに』…の部分だ。
佐天の一件を知らない白井は、まだ『とりに』の誤解が解けていない。
その上この目の前に広がる信じがたい光景。
『大事な物』とは、つまり、お姉様の―――

「うううううぉぉおおおんどりゃああああああ!!!!!
 犯人はてめぇかド腐れエテ公がああああああ!!!!!」
「えっ何がっ!!?」

当然ながら上条に見に覚えは無いのだが、白井はそんな事知ったこっちゃない。
謎のオーラを噴出させ、長い髪を逆立てながら、何かに覚醒している。
下手をすると、「クリリンのことか―――――っ!!!!!」とか叫びそうである。



この後会場は、覚醒した白井によって滅茶苦茶になり、
上条は口にも出せないような不幸を味わう事になるのだが、
その間も事件の発端を作り出した真犯人【さてん】は、事の一部始終をビデオに収めているのであった。


404 : くまのこ :2014/06/26(木) 21:41:57 TBzE7X8.
以上です。
自分が書くと、何故こうも佐天さんを暴走させてしまうのか…
ではまた。


405 : ■■■■ :2014/06/26(木) 22:00:33 rgoDN1Y.
乙です。いろいろ佐天さんがひどいwwwwww


406 : ■■■■ :2014/06/26(木) 22:40:48 4a2DC/eM
GJ! 美琴たんの照れ具合も、佐天さんの暴走も、浜面の引っ張りだこレベルも、見覚えのある某根性の人っぽい男性も、
うまく混ざり合ってめっちゃイイ味になってますね♪ 相変わらずくまのこさんの手作り上琴SSめっちゃ面白いですねー♪
それにしても、こうして見ると、やっぱり料理でも、SSでも、クッキーでも、手作りが一番ですよねー御坂さん?(ニヤニヤ


407 : ■■■■ :2014/06/27(金) 08:41:14 MdDxNd9E
GJです!!ミコっちゃんが目を回していたのが勿体無いwwww


408 : ■■■■ :2014/06/27(金) 15:29:01 Vu7MeKiM
くまのこさんの佐天さんはメイン食いがちですが
ドタバタのラブコメの挙げ句外堀(きせいじじつ)が積み上げられていく所、見事にかまちーテイストなんだよなぁ
漫レーのフォークダンスなんてくまのこさん原作!?とか思ってしまった


409 : ・・・ :2014/06/28(土) 03:21:06 MhYmxNFs
どーも、・・・です。

早速感想を。

>>393さん
ちょこんと隣に座ってる美琴ちゃんかわいかったですよね!!
上条の行動を「否定」までできるヒロインってすんごく限られてると思うの
GJ!!! 次はいつできますか?(笑)。



>>404 くまのこさん
考えてみれば、佐天さんって美琴と同様読者の応援で出世したキャラですよね。
でも、応援は手加減しないと美琴ちゃんいつも目を回すことになりまっせ(笑)
くまのこさんの佐天さん大好きです。GJ!!


漫レー、コミック派なんだよ、早く読みたい!!

さて、投下します。
……最近また流れが速くなってるような
大型新人さんもいっぱい出てきて楽しいですな〜〜
おいらはこのド長編をのんびり続けますよー
それでは


410 : ・・・ :2014/06/28(土) 03:22:05 MhYmxNFs
「なるほど、それで第3位と大将が一緒にいるのか」

血で血を洗う水中バレー大会が終わり、それぞれが各自で遊ぶ中、
3人はぷかぷか浮いている青髪、舞華とショチトルに攫われた土御門、海原をほっといて、プールサイドに座りゆっくりしていた。

「お前たちは魔術のこと知ってるしな、隠す必要はねぇし」

一方通行は視線すら向けることはなかった。

「大将も大変だな、でも第3位がいるから、まだましか」

「いやいや、面倒見るのが2人に増えたんだぞ?」

「でも、きっと1人だときついぞ、育児なんて」

「そんなもんかねー。……お前はまだみんなと住んでんだな」

「まぁな、ぐだぐだとこのままでいるよ」

「彼女と出て行ったりしないの?」

「……アイツにとってもアイテムは家族だしさ」

「ふーん」

「で、なんで黄泉川と一緒にいんの第1位?」

「……うるせェ、いろいろあンだよ」

「打ち止めや番外個体と住んでるのは知ってたけどな」

「なんだって!! ハーレムじゃんか!!」

「……よし、ここがてめェらの墓場ってことでいいンだな!!」

「ちょ、ちょっとした冗談じゃねぇか!!!」

「上条さんに至っては冗談すら言ってないではあーりませんか!!!!」


411 : ・・・ :2014/06/28(土) 03:23:15 MhYmxNFs

黒翼を出すなんていうちょっと激しいごまかし方をする最強から、
全力で逃げる負け犬やウニ頭をじーーーっと眺める人物がいる。

佐天涙子だ。

彼女はゆーーっくりと視線を隣に移す。

もちろんそこにいるのは

御坂美琴である。

佐天の予定では御坂美琴はここではなく、上条家の妻としてプールサイドで上条といちゃいちゃしているはずである。
ここで攻めないでどうするのだ御坂美琴よ!!

「御坂さん、わたしたちのことは気にせずに上条さんのとこに行っていいですよ?」

「どうして? 佐天さん?」

笑顔である。

「え、いや、上条さんのとこ行きたいんじゃないかなーって」

「どうして? 佐天さん?」

改めて言うが、笑顔である。

「お、おう!!? いや、昨日あんなに気合い入れて水着買ったし、積極的なアプローチしてもええんやないかと?」

言葉がおかしくなる佐天をよそに、

「どうして? 佐天さん?」

再三言うが、御坂美琴は笑顔であった。

「お、おおおぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅううううう!!?」

「……あたふたすらしませんね、御坂さん」

「あの類人猿のせいですの」

「類人猿って、上条さんですか?」

「そうですの。あれは、お姉様が水着に着替え終わった時のことです……」

「あ、回想シーン使うんですね」


412 : ・・・ :2014/06/28(土) 03:24:26 MhYmxNFs
お姉様はもじもじと類人猿に近づきましたの。
その時、わたくしはすでにハンカチを5つダメにしていましたわ。

『お、遅くなって、ごめんね』

体中真っ赤にして、類人猿に声をかけるお姉様は、
それはもういじらしいものでしたの。

ん? 白井さんってわたしたちより後に来たよね?
わたしたちは上条夫妻より後に来たのになんでその状況知ってるの?

……佐天さん、人の回想のモノローグに勝手に入らないでくださ……ってだれが夫妻ですのだれが!!

……こほん、とりあえず、そのいじらしくもかわいらしいという超絶レアなお姉様に、あの類人猿はぬけぬけとこう言いましたの。

『お、似合ってるな、かわいいじゃん』

その瞬間お姉様もわたくしも、周りが心配するほど真っ赤になりましたの。
わたくしに至っては、血管の破裂音すら聞こえましたわ!!

え? それならもっと違う感じになりません?

……いや、あの類人猿がこんなあほなことを付け足しましたの。

『妹とプールに来るとこんな感じなんだろうな、今日は存分に遊びたまえ妹よ!!』














「うわー」

「なんと可哀想なお姉様、そのお心を考えると、黒子は、黒子は!! 言葉もありませんの!!」

「ニッコリ笑顔のガッツポーズしてますけどね白井さん」

「なに3人だけで話してるのよ、遊びましょ、せっかくのプールだし」

「あはは……そういえば、このプール知り合いしかいませんね」

初春は佐天のそのセリフを聞き、周囲を見回しながら思うのだ。

確かに、浅くはない、広くもない、なんの変哲もないプールではあるが、
人っ子一人こっちに来ないのはおかしいのかもしれない。

しかしだ、
バレー大会で電撃とビームを交差させた第4位と第3位、その余波から幼女を守るために不思議な翼を広げた第2位、さらに現在進行形でプールサイドをめちゃくちゃにしている第1位。
これほどのメンツをそろえている中に無関係のものが紛れ込めば、恐ろしい悲劇に遭うだろう。
それは、先ほど女性の体つきについて熱く語っていた金髪グラサン、上条さんに泣きながら今の御坂との関係を聞いていた理事長の孫、女性全員にナンパし、全てから攻撃されていた青髪の人、三人に降りかかった、いやそれ以上の惨劇に違いない。
だれがこんな危険地帯に来ようというのか。

「……そういえばインデックスさんはどうされてますの?」

「ああ、黄泉川さんたちが見ててくれてるのよ」

美琴が視線を向けた先に、その赤子は母性の塊と一緒にいた。
それと、自分のそれとを比べ、関係ないところで落ち込む4人であった。

「「「佐天さんは悲しむ必要なし(ですの)!!!」」」

「えーーーー!!? なんで!!?」


413 : ・・・ :2014/06/28(土) 03:25:09 MhYmxNFs
「アイツら騒ぎすぎじゃんよ」

少し懲らしめるかという空気読めない友人を、芳川はたしなめる。

「まあまあ、もう少しだけ騒がしてもいいんじゃない? 
こんな経験が珍しいから、ちょっと自制しきれてないだけよ」

怪我しなければいいんじゃない? と、相変わらず友人は甘いようだ。
ため息を吐く黄泉川の手から、芳川がインデックスを抱き上げる。

「見てごらん、これが渦巻よ」

芳川は人差し指をくるくると回し、小さな渦巻を作っていた。

「うずーき?」

「そう、渦巻」

インデックスは興味津々のようである。

「じゃあ、こんなのはどうじゃんよ?」

そういって、黄泉川は腕を使って先ほどより大きな渦巻を作って見せる。

「あうっ!! うずーき!!」

「お気に召していただいたみたいよ」

「そいつはよかったじゃんよ」

インデックスの指が渦巻を作るように宙でくるくる回る。




その瞬間、なんの前兆もなく、プールのど真ん中に巨大な渦が出現した。


414 : ・・・ :2014/06/28(土) 03:27:10 MhYmxNFs
以上です
タイトル入れ損ねた。
「ご挨拶 2」 でお願いします。
あれ? なんか短い?


415 : ■■■■ :2014/06/28(土) 04:12:39 qG3hhH7I
「あ、回想シーン使うんですね」って斬新wwwwwww
こんなカオス見たかった!!GJです!!!


416 : 黒猫 :2014/06/29(日) 01:59:09 h3zBF8Nk

さて、皆さんが素晴らしい作品を執筆中の合間にどうも。
先日の初心者、これからは黒猫と申す者です。
前のシリアス系とはちょっと離れてみたくなり、無才ながら小ネタ?を作ってみました。
何分不束者ゆえ、行き届かぬ点は平にご容赦おおお!!!


417 : とある少年の泥酔騒動 :2014/06/29(日) 02:00:18 8pczlKYg


「それでは乾杯!!!」

「いやーどもども」

「………なンで俺が」

とある居酒屋の一角にて、3人の少年が杯を交わしている。
一人はツンツン頭の不幸そうな顔をした少年。その隣に座っているのが茶髪のいかにもチンピラという格好をした少年。そしてツンツン頭の少年向かいに座るのは色の抜けた白い髪、凄みのある紅い瞳を持つ少年がいた。

「…かぁ〜〜やっぱうめえ!!」

「俺にはまだビールの良さが分かんないな。やっぱ人付き合いのために飲めたほうがいいよな〜」

「大将はそのうちキャバクラとかでハーレム作ってそうだな」

「なんで?その手の話とは無縁だぞ」

「そりゃー謙遜にも程があるって」

「………」

「んなこと言ったら今、浜面も意外とハーレムじゃね」

「いや、あいにく俺は滝壺一筋だかんね。……他はありえないし」

「…てか麦野さん?だっけ。その人が俺の殺害依頼に乗り気だったのはマジ?」

「マジ。まあ第1位が敗北したから超能力者に頼るのは止め、って話にはなったな」

「………ふン」

「いや〜最初に一方通行と戦うのは正直ビビったけどそれが一番良かったんだな」

「大将が勝ったんだよな?」

「ああ。つってもあの手加減にはそういう意味があったのか、納得」

「チッ」

「え、どゆこと?」

「まあ俺が勝ちを譲ってもらったってことだな。でも他に手はなかったのか?あのあとすげー腫れたんだぞあれ」

「贅沢言ってンじゃねェよ。てめェが五体満足なだけ俺に感謝しやがれ」

「まあ確かに大将はこの通り無事に帰ってきてる訳だし!」

と一言言ってビールを流し込む茶髪の少年こと浜面仕上。それを不思議そうに眺めている不幸な少年、上条当麻はちょっと大人の世界に背伸びしてみたくなるものだった。

「苦くない?」

「ん〜まあ最初は苦いと思ったな。ビールはさ、飲み方があんだよ。舌につけないように喉に流し込む、これがのどごしを感じるってやつだな」

「ふーん」

「ま、今日は大将の帰還を祝ってるわけだからさ、グイっとな!!」

「へ?いやいやいきなりジョッキは無理でしょ!!」

「…クソ不味ィ」

ワイワイ騒ぐ2人(もう1人はずっとしかめっ面)。店内には多くの客がおり、夜はいけないテンションで更けていく……………


418 : とある少年の泥酔騒動 :2014/06/29(日) 02:01:09 8pczlKYg


ありがとうございましたー

店内から出た3人の少年たち。人が多くてバカ騒ぎしても気にならず、店長もユルユルだったため、気兼ねなく最初から最後まで楽しめたといっていい。とくに邪魔もはいらず満喫でき、これからどうするのかと思うが、

まず不幸な少年・上条当麻はこう言った。



「はまぶらべろぶろべらじゃん?」




「…………なぜこうなった」

ぼそっと浜面は呟いた。浜面はすっかり泥酔してしまった上条とまったく動かない一方通行の対処に頭を悩ませていた。

黙ってビールを飲んでいた一方通行が突然チョーカーのスイッチを入れたことには、はしゃいでいた二人共青くなったが一方通行は大人しいままだった。そしてその後はアルコールの含まれているものには一切手をつけなかった。

そして30分後………突然一方通行は横に倒れ、その後モゾモゾ動いていた。
どうやら体内のベクトルを操作してアルコール成分について対処していたらしく、且つ2人には男同士の見栄によって言えないためにバッテリーが切れるまで能力を行使していたのだ。

「どーすんだよこの状況!!!てか酒に対して能力なんか使ってんじゃねーよ!あっこら勝手に離れるんじゃありません!!!」

「うぃーーーー」

「大将を一人にするのは危険…なのか?いやでも酔ったきっかけは俺だしなあ」

「おい、しろいの。のっくだうんですかぁ?」

「うるせーなお前は!!!今ない頭で必死に考えてんだからおとなしくしてろ!!!」

「のおォォっくだああァァうンですかァァああ?」

「ああもう似てねーよ!!!!頼むから静かにしてて……」

いつものアイテムに対する対応をしてしまう浜面仕上。解決の糸口は見つからず、完全下校時間などはとうの昔に過ぎている。

と、そこに一人の少女が通りかかった。

「あれ?アンタは」

ん?とげんなりした顔を上げる浜面。
そこには何度か面識のある常盤台中学の超電磁砲こと、御坂美琴が立っていた。

(この娘は確かハーレムの時にいた…)

「ん?…げ!!またお酒を飲んだの!!」

「んんんんあ?あれえミコっちゃんじゃないの〜」

いくつもの修羅場を乗り越えてきた世紀末帝王HAMADURAは率直にこう思った。

(チャンス!!!!!)


「よし、君には大将を任せる!!家にお持ち帰りするなり、そこらの公園でイチャコラするなりなんなりとせよ!!!!!!!!!!!」


クワッッ!!と目を見開き腰に手を当て美琴に指をさす浜面。
急に言われたトンデモ発言によって美琴の周りの空気が一瞬にして固まる。

「え!!??ちょ、ちょっと待って!私にも心の準備があるとかあのその!!!!!!」

「ミコっちゃん〜」

「ひゃい!!宜しくお願いします!!!!」

「さらばだあああああ!!!!!!」

古いアニメの悪役のように一方通行を担いで全力ダッシュで逃げる浜面。
後に残されたのは「14月は何ヶ月後だ???」とか言ってふらふらしている上条と、空を掴んでいる美琴だけだ。


419 : とある少年の泥酔騒動 :2014/06/29(日) 02:01:46 8pczlKYg



「…てか冷静に考えれば家に送りゃいいだけの話だったわね」

「うい」

「はあ、なんで私がこんな事を」

とか言って嬉しかったりする複雑な乙女心。ちょっとニヤけそうになっているのを見られないように上条に対してそっぽ向いて歩く。
しかし上条にはそんな乙女心はわからないため美琴が自分のことで怒っていると勘違いしてしまった。

「……ミコっちゃん」

「なによ。あとミコっちゃん言うな」


「抱きしめたら許してくれる?」


今コイツはなんて言った?と歩くのをやめ、再び固まる美琴。それをなぜかOKサインと受けとった上条は

「うだあああああ〜」

「うにゃああああああああ!!!!!!!!!」

思いっきり後ろから抱きしめた。耳元に吐息付きで。

「は、はははにゃれにゃさいにょ!!!!!!」

「ミコっちゃんってうべだばだああーー」

「くっ!!この!!!!」

「か弱い女の子にゃむりい〜はなさねえぞおお」

再び固まる美琴。(いま、か弱い女の子って言った?しかも離さないってっ!!!)なんてことを頭の中で反芻しているうちに

「ふ、、」

「ふ???」

「ふ、ふにゃ」

ああもう駄目だと覚悟する美琴に対して上条は

「おっと、その手には乗りませんのことよおお!!!



はむっ」

「……ぎにゃあああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」

美琴の首筋を甘噛みしやがったのだッッッッ!!!!!

「まだ許してもらってないもんね〜」

「も、もう…許して………」

もはや美琴は度重なる異常事態に涙目である。嬉しいのは嬉しいんだがあまりにも過激すぎたのだ。

「うんいーよ。…ってあれ?立場逆じゃね?」

「こ、これ以上は、ほんと無理……」

「これ以上ってなに?」

「ふえっ!!」

「お持ち帰り?夜の公園?」

「」

「いやちがうな。お持ち帰り、しろいの、あくせられーた……」

「」

「…あ、そーだ!もやし買って帰らないと!!!」

「」

「んで野菜炒めでも作るか〜ってあれ?いま飯食ったっけ?」

「」

「まあいいかあ、どーせ穀潰しがいるし。そだ、ミコっちゃんもくるっしょ?」

「」

「おーいもしもし」

「」

「んじゃ決定ね。おっ持ち帰りい♪おっ持ち帰りい♪」

不穏なワードを鼻歌交じりで歌っていることに気づけないのかこの馬鹿は?
そもそも何してたんだっけという目的を完全に忘れ、完全に意識の途絶えた美琴をおんぶしてデパートに向かう。
これから起きる、測り知れない騒動を予期せずにッッ!!



-To be continue?-


420 : 黒猫 :2014/06/29(日) 02:02:32 8pczlKYg

以上です!!後悔はしていない!
続く…のか?小ネタなのにwwwwwww


421 : ■■■■ :2014/06/29(日) 08:11:47 o7Mi.Igg
泥酔上条さん、いつ見てもいいですね。


422 : ■■■■ :2014/06/29(日) 08:28:01 uJUPgAMw
ぜひ続けたまえ

いや、すみません
ジャンピング土下座するので続けてください、お願いします


423 : くまのこ :2014/06/29(日) 21:45:56 gBQcqvbs
>>・・・さんGJです!
いい意味でキャラがごった返してて、面白いですw
続き楽しみにしてますよ!

>>黒猫さんGJです!
お持ち帰った後の話を詳しく!
是非続きをば!



短編書きました。
支部の方で、
『とある日常のいんでっくすさん』のとある日常.16の未来ネタが見たい、
とのリクがあったので書いてみました。
いんでっくすさんっぽくする為に、台本形式の会話劇にしましたので、
苦手な方はスルーしてください。
あと、とある日常.16はまだコミックスになっていないので、
ネタバレにも注意してください。
約3分後に6レスです。


424 : とある10年後の日常 :2014/06/29(日) 21:49:06 PkydP5Ks
美琴 「あっ! もう、みんな集まってる!? ごめん、待たせちゃった!?」
佐天 「いえいえ。あたしも初春もさっき着いた所ですから」
美琴 「ホントごめんね〜!
    途中で急に雨降ってきちゃって、寄り道して傘買ってから来たから…」
初春 「梅雨ですもんね。佐天さんも、コンビニでビニール傘買って来ましたよ」
佐天 「……初春、余計な事はいいから」
白井 「わたくしも同じような物ですわよ。
    とりあえずお姉様、何かお飲み物でも…こちらがメニューですの」
美琴 「あ、うん。ありがと黒子。……すみませーん! あの、アイスティーを一つ―――」
佐天 「にしても、こうやって4人でファミレス集まるのも久しぶりですよね!
    な〜んか、あの頃思い出しちゃうな〜」
初春 「何言ってるんですか佐天さん。一ヶ月前に会ったばかりじゃないですか」
佐天 「初春こそ何言ってんのさ。昔だったら、一ヶ月ってかなり長く感じたもんだよ?
    そりゃ確かに大人になったら、
    何だか一年がやたらと短く感じるようにはなってきたけどさ」
白井 「大人に…ねぇ……その割にはあまりお変わりになられていないようですが?」
佐天 「え〜!? ひっどいな白井さん! これでも結構あちこち成長したんですよ!?」
白井 「いえ、わたくしが言っているのは外見ではなく中身の方ですので」
佐天 「余計にヒドイ!」
美琴 「あはははは!」
佐天 「御坂さんも笑わないでくださいよ!」
初春 「成長した、と言えば、御坂さんが一番伸び代が大きかったですよね」
美琴 「えっ!? そ、そうかな?」
佐天 「あー、確かに。御坂さん、かな〜り色っぽくなりましたもんね。特に胸とか」
白井 「以前は大分控えめなお胸でしたものね。そこがお姉様の魅力でもありましたが。
    勿論、今のグラマラスなお姉様も中々どうして辛抱たまらんぜグヘヘヘヘですが」
佐天 「…白井さんもあたしの事言えないじゃないですか。中身全っ然変わってませんよ」
美琴 「いやいや黒子。アンタに『控えめ』とか言われたくないから。
    昔から、アンタよりはあったから」
初春 「まぁまぁ。昔話が出来るのも、大人になった証拠ですから」
佐天 「でもさっきはああ言ったけど、実際大人になったっていう実感ないですよね。
    ……あ、でもこの前マコちんの結婚式に出た時は、
    『あ、そっか。もうあたし達って、結婚出来る歳になったんだ』
    って、しみじみ感じたっけ」
美琴 「っ!!! ……結婚…かぁ………」
白井 (…? お姉様…?)
初春 「マコちんさんのウエディングドレス、綺麗でしたよね〜!
    6月と言えばジューンブライドですし……
    って、そう言えば10年前の今頃もこんな話しましたよね」
佐天 「そうだっけ?」
初春 「そうですよ! 佐天さんも、
    『これからもずっと一緒に居たら
     結婚できる歳になってもまたこうやって話せますね』
    とか言ってたじゃないですか!」
佐天 「あ、ああ〜。言ってたね、あたし。…そんな若くて青くて恥ずかしい事……」
白井 「それよりお姉様、結婚の話が出た時に何やら妙なお顔をされていましたが…
    どうかされましたの?」
美琴 「えっ!? あ、い、いや…その……」
佐天 「お? お? 何ですか何ですか!?
    あたしの『面白そうな話センサー』がビビッときましたよ!?」
白井 「何ですの…? その得体の知れないセンサーは…」
初春 「何か、お悩み事ですか?」
美琴 「あ、いや…そういうんじゃないの………ただ、ちょっと…ね…」
佐天 「良かったら話してくださいよ。さぁさぁ!」
初春 「佐天さん…目が輝いてますよ……」
美琴 「………うん。あの、さ。ちょっとした重大発表になるんだけど……」
佐天 「重大!?」
初春 「発表?」
白井 「…ですの…? 何だか激しくイヤな予感がいたしますが……」
美琴 「えっと、実は……その………
    は…半年前から、と…アイツと付き合って…ます………」


425 : とある10年後の日常 :2014/06/29(日) 21:49:57 PkydP5Ks
白井&初春&佐天 「「「えええええええええええ!!!!?」」」
初春 「ア、アアア、アイ、アイツって、かっ、かかか、上条さんの事ですよね!!?」
佐天 「何で言ってくれなかったんですかもっと早く言えるタイミングあったじゃないですか
    付き合うきっかけは何だったんですかどっちから告白したんですか
    告白の言葉は何だったんですかどんなシチュエーションだったんですか
    上条さんは御坂さんのどこが好きだって言ったんですかもうどこまで進んだんですか
    キスはしたんですかそれともそれ以上の事もしたんですか同棲とかしてるんですか
    ご両親はこの事を知ってるんですかどうなんですかどうなんですかっ!!?」
白井 「おおおおおお姉様ああああ!!! そんな…そんなああああああ!!!!!
    黒子という存在がありながら、あのような類人猿と……
    類人猿などとおおおおおおお!!!!!」
美琴 「ちょ、お、落ち着いて!!! 特に黒子と佐天さん!!!」
佐天 「これが落ち着いていられますか!
    苦節10年…御坂さんの想いを知ってから、
    あたし達(と言っても白井さんは除外しますけど)
    がどれだけ焦れったい思いをしたか分かりますかおめでとうございます!」
美琴 「えっ!? あ、う、うん。ありがとう」
初春 「昔の御坂さん、奥手…と言うか素直じゃなかったですもんね。
    上条さんも、『超』が付く程の鈍感さんでしたし」
佐天 「で、馴れ初めは!? 付き合うきっかけは何だったんですか!?
    どっちから告白したんですか告白の言葉は何だったんですかどんなシチュ―――」
美琴 「ストップストップ佐天さん!
    言う! 言うからそのマシンガンクエスチョン止めてえぇ!!!」
初春 「あはは…佐天さんにかかれば、流石の御坂さんでも形無しですね……」
美琴 「えっと…告白したのは当…アイツからだったんだけど―――」
白井 「あー、あー、あー!!! 聞こえませんのー!!! マイクテス、マイクテス!!!
    ホンジャカバンバン、ホンジャカバンバン!!!!!」
佐天 「白井さん! 往生際が悪いですよ!?」
初春 「御坂さん、続きを」
美琴 「……いいの? 黒子放っといて」
佐天 「いいんです!」
白井 「いいえ良くありませんの! それ以上、何も仰らなくても結構ですわお姉様!
    わたくし、お姉様が手篭めにされ身も心もボロボロにされたお話など…
    聞きたくありませんのおおおおおぉぉぉぉ!!!!!」
美琴 「んな事されてないわよっ!!! そういうのは、ちゃんと合意の上で………あっ」
佐天 「!!! ほっほ〜う!?」
初春 「ぬっふぇっ!!!」
白井 「おっ、おおお、おね、おね、おねね姉様っ!!?」
美琴 「あ、そそその、ちち、違うのよっ!!?
    ホント、そいいうのとは違うからね!!?」
佐天 「御坂さ〜ん…頭の悪いあたしにも分かるように説明してくれませんか?
    何がどう違くて、上条さんと合意の上で『ナニ』をしてたんですかねぇ?」
美琴 「分かって聞いてるじゃないソレ!!!」
白井 「ウソ…ウソですわよねお姉様……?
    お姉様があの類人猿から…獣姦な強姦をされたなどと……
    これは夢…夢ですの………あは…あははははひひゃはあはひへふへひゃはっ!!!」
美琴 「黒子が壊れた!?」
佐天 「いや、それ以前に獣姦て…白井さん的には、上条さんは完全に猿扱いなんですね」
初春 「静かになって良かったじゃないですか。これでやっと、落ち着いて話を聞けますよ。
    だから御坂さん、続きを」
佐天 (初春が毒を吐いた!? 黒春モードだ!)
美琴 「え、あ、そう? じゃあ話すけど……」


426 : とある10年後の日常 :2014/06/29(日) 21:50:45 PkydP5Ks
さっきも言ったように、告白してきたのは当m…アイツからだったのよ。
え? 普段は『アイツ』じゃなくて『当麻』って呼んでるのがバレバレ?
何度も『当麻』って言いかけてるって? き、ききき、気のせいじゃないかしら!!?
私は昔から、当…アイツって呼ん……………
そ、そうよ! いつもは当麻って呼んでるわよ! 悪い!? 何よそのニヤニヤはっ!?
コホンッ! えーと! 告白してきたのは当!麻!からだったんだけど!
シンプルに、『俺と付き合ってくれないか』って言われたわ。
…あ、ヤバイ。思い出したら、顔が熱くなってきちゃった……うぅ…恥ずかしい…
えっと、だから……思い出しただけでこんな感じだからさ、
直接告白された瞬間、私はもう色んな感情が爆発して真っ白になっちゃって、
その時の事は、よく覚えてないのよね。
ただ、ものすごく泣いた事だけは覚えてる。
私がそんな状態だったから、その日は返事が宙ぶらりんだったんだけど、
後日、私が落ち着いてから改めて返事をしたわ。
『私も当麻の事が、ずっと好きだった』…って。
…いや、佐天さん。ヒューヒューとかいらないから。
でね、そしたら当麻、何て言ったと思う? 『知ってた』、ですって。
でしょ!? 驚くでしょ!? あの鈍感キングのアイツがよ!?
実は一年くらい前から、薄々私の気持ちに気づいてたみたい。
多分、当麻でも気づいちゃうぐらい、私って分かりやすく態度に出てたんでしょうね……
…えっ? そんなの10年前から出てたって……う、うそでしょ!?
私、あの頃は誰にも言って無………み、みみみ、皆知ってたあああ!!? 何で!?
そ、そうなんだ……気づかれて無いと思ってたの、私だけだったんだ……あ、あはは…
あ、いや。私だけじゃなくて、当麻もか。
でもそうなると、それでも9年間も気づかなかったってのは、
やっぱりアイツってば鈍感キングだったのね…
ああ、ごめん。話がズレたわね。
でまぁ、何はともあれ私の気持ちに気づいた当麻は、そこから私を意識し始めて、
その一年後に告白したんですって。
……ねぇ、もしかして私、今もんの凄〜く恥ずかしい事言ってない?
え? そんな事ない? いいから続けろ? じゃ、じゃあ続けるけど…
で、当麻ってばその後、
『告白とか、そういう事は、やっぱり男から言うものじゃないかな〜と思いましてですね…』
だってさ。
ふふっ。当麻らしい、締らない告白の言葉よね。
…いや、初春さん。ごちそうさまですとかいらないから。
とにかくこれが、まぁ…私と当麻の馴れ初め……みたいな話、です。


427 : とある10年後の日常 :2014/06/29(日) 21:51:24 PkydP5Ks
美琴 「あまり面白い話でもなかったでしょ?」
佐天 「いえいえ。色んな意味で面白かったですよ♪」
美琴 「色んな意味って…」
佐天 「でも御坂さん。まだ肝心な事を聞いてないんですが…?」
美琴 「? でもこれでもう、馴れ初め話は終わりよ?」
佐天 「違いますよ! あたしが言ってるのはそこじゃなくて―――」
初春 「そ…それで、御坂さん…………エ、エッ………
    エッチは!!! エッチは週に何回ぐらいしてるんですか!!?」
佐天 「う、初春!? キミはたまに、言いにくい事をズバッと聞くよね!
    …で、何回ぐらいなんですか御坂さん?」
美琴 「ぶっふぉおおいっ!!! エ、エエエ、エッチ!!! って!!!
    なななな何を言って!!?」
佐天 「ふっふっふ…今更隠せませんよ!
    さっき御坂さんが口を滑らせたの、無かった事には出来ませんからね!
    その証拠にホラ!」
白井 「―――65358979323846264338327950288419716939937510582097―――」
佐天 「アレから白井さんが現実逃避に、謎の数字の羅列をぶつぶつ言ってますからね!
    念仏みたいで、ちょっと怖いです!」
美琴 「いやこれ、円周率だわ! 円周率を延々計算してるのよ! 結局、怖いけど!」
初春 「白井さんは放っておいて大丈夫ですから!
    し、質問に答えてくださいよ御坂さん!」
佐天 「おおぅ…初春もグイグイ来るね。エッチぃ話にどんだけ興味あるのさ」
美琴 「で、でも……そ、そんなに多くないわよ…? 週に…7〜8回ぐらいだし……」
佐天 「週8!? 充分多いですって! 毎日以上じゃないですか!」
美琴 「だ、だだ、だって!
    いっつもあの馬鹿が、『我慢できない』とか言って抱き締めてくるんだもん!!!」
初春 「まぁ、確かに…御坂さんの体つきを見てれば、
    男性なら我慢できなくなるのも分からなくもないですけど……
    でも! 御坂さんだって、『拒む』って選択肢はありますよね!?」
美琴 「………わ…私も……その…き、嫌いじゃ………ないし…………」
佐天 「どんだけラブラブ生活送ってんですか!」
初春 「って、ちょっと待ってくださいよ!? つまりそれって、き、昨日も…?」
美琴 「あっ、いや……昨日って言うか…きょ、今日の朝までと言いますか………」
初春 「ぬっふぇっ!!!」
白井 「―――943702770539217176293176752384674818467669405―――」
佐天 「…白井さん、まだ円周率を言ってますね。
    でも血の涙を流している辺り、一応、話は聞いてるみたいです」
美琴 「あ、それでさ。ここからが重大発表になるんだけど…」
初春 「えええええええ!!?」
佐天 「ちょ、えええ!? 今までのが前置きですか!?」
美琴 「いやいやいや、話を脱線させたのあなた達だからね?」


428 : とある10年後の日常 :2014/06/29(日) 21:52:27 PkydP5Ks
付き合ってるって話を先にしたのは、いきなりこの話からしたら、
ビックリさせちゃうと思ったからなんだけど。
…いや、まぁ、付き合ってるって話だけで大分ビックリはさせちゃったんだけどね。
いやいやいやいや佐天さん!!!
そ、そもそもエッチの話はする予定じゃなかったんだから!!!
きき、き、聞いてきたのはそっちでしょ!!?
コホン! えっと…さっきさ、結婚の話が出たじゃない? うん、マコちんさんの時の。
それで思い出したんだけど、まずコレ見てくれる?
この写メなんだけど…分かりにくいかな……あ、うん。そう。……指輪なのよ。
だぁーっ! ちょっと落ち着いて二人とも! 黒子も円周率を大声で言わない!
これ当麻のベッドの下にあった物なの。
え? ……ああ、そうね。同時にエロ本も見つけたわ。燃やしたけど。
掃除してる時に見つけちゃったのよ。もの凄く嬉しかったけど、同時に罪悪感もあったわ。
当麻は当麻なりにサプライズ考えてくれてたのに、私、何してるんだろうって。
だったら何で写メなんか撮ってるのかって? 確かに、見てみるフリするのが礼儀よね。
いやでも……何だか馬鹿馬鹿しくなっちゃってね。
って言うのも、指輪を見つけちゃった日と、この写メを撮った日は別々なのよ。
指輪を見つけてから数日間、私だって何も知らないフリをしてたわよ?
でもさ、この前聞いちゃったのよ。私がいないと思って当麻ったら、
『「美琴! 俺と結婚してくれ!」…う〜ん、シンプルすぎて捻りがないかな。
 「毎日、美琴の作った味噌汁が飲みたいな」…って、ちょい古臭いな、これは
 「何だったら…結婚するか?」
  …いや、この台詞は日常生活でポロっと言うからカッコいいんであって、
  言おう言おうと準備してたら、逆にカッコ悪い気がする…
 「YOU、僕と結婚しちゃいなよ!」どんなキャラだよ俺。
 「某と祝言を挙げて頂きたく…」だから! どんなキャラだよ俺!』
とか一人で練習してたのよ!? もう、馬鹿らしくなっちゃうでしょ!?
…あ、分かりにくかったと思うけど、今の当麻のマネね。似てなくてゴメンね。
これはもう、話のネタにしちゃえって思っちゃって、で、この写メを撮った訳。
……ま、まぁ確かに、そういう間の抜けた所が当麻らしいって言うか…
か、可愛い所でもあるんだけどさ………



美琴 「そんな事があって………って、どうしたの皆?」
初春 「い、いやぁ、何と言いますか……」
佐天 「色々ビックリしすぎてリアクションに困っちゃいまして…
    むしろ逆に冷静になれましたよ……」
白井 「594…3…104……9…9725…24………680…84…5……9…ハ、8…7…2ィィィ…」
初春 「白井さんは涙と鼻水で顔がグシャグシャになってますけどね……」
佐天 「それで、御坂さんはどうするんですか?
    上条さんがプロポーズするのを待つんですか?」
美琴 「んー…それについては、ちょっと考えがあるのよね。
    このまま当麻が、大真面目に練習どおりにプロポーズしてきたら、
    私、絶対笑っちゃうと思うから」


429 : とある10年後の日常 :2014/06/29(日) 21:53:11 PkydP5Ks
後日

上条 「み、みこ、みみ、みこ、美琴っ!!!」
美琴 「…呼んだ?」
上条 「え、ええと、あの……こ、ここコレを!
    ちょっと開けてみてほしいんですけども!!!」
美琴 「何? この小さな箱」
上条 「あ、開けてみれば、分かる、から…」
美琴 「開けたけど…何も入ってないわよ?」
上条 「ああ、その指輪は美琴に………って、ええええええええ!!?
    何も入ってないって、んなバカなっ!!?」
美琴 「本当よ。ホラ」
上条 「ううぅ…ふ、不幸だ……こんな大切な時に………」
美琴 「………ぷっ! あはははははは! 探してるのはコレの事!?」
上条 「……へ? あれぇぇぇぇ!!? なん、何で美琴がその指輪を持って!?」
美琴 「当麻の考えなんて、お見通しなのよ。この前、プロポーズの練習してたでしょ?」
上条 「き、聞いてたの!? うわ、やべ、すんげぇ恥ずかしい!!!」
美琴 「だから先に、コレは預かってたのよ。隠し場所も知ってたしね」
上条 「ワー…もう、何から何まで……ははは……やっぱり不幸だ……」
美琴 「じゃ、この指輪、当麻に返すから」
上条 「っ!!! そ、れって…………いや、そうだよな。
    俺なんかと一緒になんてなりたくないよな…悪か―――」
美琴 「ちょちょちょ待って! 勝手に悪い方向に自己解決しないでよ!
    指輪を返したのは、断る為じゃないからっ!」
上条 「え、じゃあ一体どういうおつもりで?」
美琴 「プロポーズ! やり直してもらう為に決まってんでしょ!?」
上条 「え〜? このタイミングで〜?
    もう今から俺が何言っても、笑われるだけじゃん…」
美琴 「そりゃ笑うわよ。こんだけグッズグズなんだから」
上条 「笑うんだ! 正直ですねチクショウ!」
美琴 「けどそれでも言ってもらうからね。だって……」
上条 「だって?」
美琴 「『告白とか、そういう事は、やっぱり男から言うもの』…なんでしょ?」
上条 「っ! ……はぁ、分かったよ。ま、せっかく一生に一度のイベントだしな。
    心して聞けい! そして大いに笑えばいいさ!」
美琴 「ふふっ。そうさせてもらうわ」
上条 「じゃあ言うぞ。




    ………美琴、もし良かったらさ。この先俺と


430 : くまのこ :2014/06/29(日) 21:54:00 PkydP5Ks
以上です。
次は我道さんとの合作、こぼれ話になります。
ではまた。


431 : ■■■■ :2014/06/29(日) 23:42:03 jc.Fxii6
面白かった!
10年後って長い気がするけど、上条さんの女性関係落ち着くのそのぐらいかかりそう・・・


432 : ■■■■ :2014/06/30(月) 01:22:55 SPu3HFvU
GJGJ


433 : 黒猫 :2014/06/30(月) 02:05:18 LXhw603Q

まずは感想を。
>>くまのこ様
リクエストに応えるだけの文才と器量があってとても羨ましいです!!美琴が語り続ける所はまさに圧巻ですね。面白かったし、とても勉強になりました! GJです!!




ジャンピング土下座しかと受け取りました!!ちなみに私はバック宙土下座が得意です、両足の膝の皿割れますが(笑)
ってことでとある少年の泥酔騒動の続きを速攻で書いてみました!小ネタのはずが色々続きが思いついたので4話ぐらいになりそうです。
よろしければどーぞ!!


434 : とある少年の泥酔騒動 :2014/06/30(月) 02:07:03 LXhw603Q


あれ?なんだろう…すごく安心する。

ゆりかごにいるみたいな…そんな感じ。

でさ、この温もりがなによりも私を安心させるの。

自分が夢見てることぐらいわかってるけど。

もうずっとこのままでもいいかな…このまま夢の中で

「うぼえええ〜」

……………んん??




目を開けるとそこにはツンツンした黒い髪があった。

先程までの心地の良い揺れは無くなり、なぜか前方向に体が傾いている。

大きな背中、太ももに触れる逞しい手、全身を包み込む優しい香り。

自分は今、気になるあの少年におんぶされていることが分かった。

(まだ夢の中にいるみたいね…)

ありえない状況に御坂美琴はそう簡単に結論付ける。

再び目を閉じうつらうつらしていると、ふと首筋に違和感を感じた。

なんだろう?と思って首筋に触れてみると一定の間隔を置いてだ円形状に跡がついていた。

(これは……歯型?なんでこんなところ…に)

「うっぷっ」

なぜおんぶされていて、なぜ首に歯形があるのだろう?
そして夢の中なのに想い人はなぜ先程から不快な声を上げているのだろう?
そう疑問を感じた時点で学園都市第3位は記憶を頼りに正しい答えを導き出す!

(ッッッッ!!!!!!!!!!!!)



現状を報告する。

御坂美琴は薄暗い夜の中、絶賛道端嘔吐中の上条当麻におんぶされている!!

ぽん!!という音と共に美琴の顔が真っ赤になる。普段なら漏電をしているとこだが上条の右手が太腿に触れているため何も起こらない。

「うひゃあああああ!!!」

美琴は叫ぶ。力の限り叫ぶ。

夢じゃないことはそれはそれで嬉しいのだが、なにせ心の準備ができていない。

叫んでいるから嫌そうに感じるが、暴れるようなことを美琴はしていない。なぜならただ単に緊張して上条の背中にしがみつくことで精一杯なのだ。

「あああ、アンタ!!!ほんとにお持ち帰りしてんじゃないわよ!!」

「ちょっとまって…いまとりこみちゅう」

「うわ!前かがみにならないで!!」

「じゃあお前は背筋ピーンの凛々しい顔で口から吐瀉しろと!!!」

「そこまで言ってないじゃない!!!」

「まてよ…いや、あるいはおろろろろろろろろろろ」

「ほんとにしやがった!?」

「ぐへ!逆流の逆流だと!?これは…」

「結局前かがみになんのかい!!」

「…なんか叫び声が聞こえたけど、ただの痴話喧嘩だったみたいね」


435 : とある少年の泥酔騒動 :2014/06/30(月) 02:08:40 LXhw603Q


ん?と美琴は首だけ声のした方向に向ける。

そこには女子高校生ぐらいの、赤い髪を頭の両側でまとめた少女、結標淡希がポケットに手を突っ込んで立っていた。彼女を見た瞬間、美琴は目の色を変える。

「…結標淡希」

「そんなに睨まないで。もう終わったことじゃない」

この二人には美琴の後輩を巡っての因縁がある。結局は結標が逃げ切り、(以前会ったような気がするが)それ以来面と向かって顔を合わせていない。

「よくもそんな台詞が吐けるわね。私の後輩に手を出したんだから一発ぐらいぶん殴っても文句言えないことは理解できるかしら」

「…私もあの後けっこう苦労したのよ?」

「…分かっていないようだから覚悟、できてる?」

「ふ〜ん。まあ好きにすれば?でもさ」

「なによ?」



「そんな格好で凄まれてもねぇ?」



ニヤニヤ顔の結標が美琴にトドメを刺す。
顔だけ結標に向けた美琴の格好は、おんぶされたことにより短いスカートの中身まで丸見えだったのだ。しかも上条が前かがみになっていることで、その姿はあられもない姿になってしまっている。

「な、なああああ!!」

「常盤台のエース様はガードが固いのね。でも中学生になってもそれじゃあ…」

「う、うっさい!!アンタに関係ないじゃない!」

結標に哀れな目を向けられて美琴は大声で怒鳴る。するとようやく落ち着いたのか、上条が今の状況に気づく。

「ん?誰かいるのか?」

「うひゃあ!!」

ぐるんと方向を180°変える上条。美琴は振り落とされそうになるが必死でしがみつく。

「あなたは救急車を呼んでくれた人じゃない。ふ〜ん、あなたと御坂美琴ねぇ」

「…ミコっちゃんこの人知ってるの?」

「…ちょっとあったのよ。てかアンタも知ってるはずだけど」

「……んん??」

「…たく、この馬鹿は」

「まあ覚えてなくてもしょうがないわね」

少し悲しそうな顔をして結標は後ろを向き、その場から離れようとする。

「あ、こら待ちなさい!!」

「おっと。暴れるなミコっちゃん!」

「うっさい!いい加減離しなさい!」

「わかっていないな…いまだにターンは俺の番なのだ!!」

「!?ひゃあああ!!」


436 : とある少年の泥酔騒動 :2014/06/30(月) 02:09:40 LXhw603Q


上条が美琴の太ももをなでるようにさする。美琴は上条の類まれなる繊細さを持つタッチで全身に鳥肌が立ち、のけ反ってしまう。

「ミコっちゃんはおとなしくしてろ。はやくお持ち帰りせねば」

「お持ち帰りいいいいいいい!!!!!??????」

「ああ、一大イベントだ。これだけは外せねえ」

キリッとした上条のイケメンAAの表情に美琴は再び頭から湯気を放つ。

「愉快な人たちね。お幸せに」

「おっ、おしあわせ…」

「あっそうそう。そこらへんで警備員が大騒ぎしてたから気を付けた方がいいんじゃない?」

「…てかここどこだ?」

「あなた本当に大丈夫?なんなら送ってあげてもいいけど」

「まじっすか?ならデパートまでよろしくお願いしやす」

「そう。じゃあその座標まで送るわね」

ヒュン!と音が鳴り、上条と美琴は座標移動によってその場を離れる。
…かと思いきやパキン!!!と鳴り、結標の能力がかき消される。

「…なにが起こったの?」

「ああ。コイツには超能力が効かないからなにしても無駄無駄」

「ふ〜ん。あなた面白いわね」

「どもども」

「…ニヤニヤしてんじゃないわよ」

「どしたのミコっちゃん?」

「な!?べ!つ!に!!!」

「さすが第3位が選ぶだけの人ではあるわね」

「こ、コイツなんか選んでないし!!」

「選ばれてないし!!」

(…イラッ)

「(なんかこれ以上関わると面倒ね)…それじゃあ道はこの通りをまっすぐ行くとデパートにつくわよ」

「あざます!ミコっちゃん行くぞ!」

「ちょ!いい加減下ろせっつーの!!」

美琴が上条の上から打撃を食らえようとするが上条のターンは終わらない。とそんなことをしつつ、2人は仲良さげ?に教えてもらった道を沿って歩いてゆく。


437 : とある少年の泥酔騒動 :2014/06/30(月) 02:10:17 LXhw603Q


「さてと。…ん?あれは一方通行じゃない」

結標が視線をそらすと、そこには白い少年を担いで走るチンピラのような少年とそれを追いかける有り得ない乳のでかさを持つ女の警備員がいた。

「なんで俺がこんな目にいいい!!!!!」

「待つじゃん!学生の飲酒は当然罰が必要じゃんよ!!あとその白いのをこっちに渡すじゃん浜面!」

「うっせー!警備員に易々と渡していいような奴じゃねーんだよこいつは!!」

「そいつはうちの居候じゃん!」

「んなわけあるか!もっとマシな嘘つけ爆乳!」

「ばっっ!…言葉遣いを含めて調教してやる必要があるじゃんよ!!!」

「あんたが調教なんて言葉使ってんじゃねーよ!こわいわ!!!」

激しい口論を繰り広げつつ、結標の前を走っていく二人。
いつまでたっても遠くから聞こえる汚い言葉のぶつけ合いに結標はクスッと笑い、軽い調子で言う。

「きょうは騒がしい夜ね…」

再びポケットに手を突っ込み、結標は帰路につく。

御坂美琴に仕掛けたちょっとしたイタズラに悪い笑みを浮かべて。



-To be continue-


438 : 黒猫 :2014/06/30(月) 02:11:08 LXhw603Q
以上です。
ペース早くてなんかすみません(笑)
先輩方のインターバルを埋めようと思っているのでちょっと雑ですかね?
ではまた。


439 : ■■■■ :2014/06/30(月) 02:32:59 3k45lrVU
グッジョブ!


440 : ■■■■ :2014/06/30(月) 14:51:23 PtWm2deY
新約2巻を思い出すwwwww


441 : ■■■■ :2014/07/02(水) 15:59:10 FOAtQwFU
あの〜、投下していいですか?


442 : ■■■■ :2014/07/02(水) 18:45:06 KT1WLpxo
どうぞ


443 : ■■■■ :2014/07/02(水) 20:42:46 YCPwN0hQ
ぜひぜひ


444 : ■■■■ :2014/07/02(水) 22:37:38 a4YG2.7.
待ってます!!


445 : ■■■■ :2014/07/02(水) 22:49:50 J2BDW95o
楽しみです


446 : ■■■■ :2014/07/03(木) 06:25:17 TEsYk3SE
あ、あれ?


447 : ・・・ :2014/07/03(木) 20:50:34 TEsYk3SE
き、来ませんなー
自分、投下していいです?


448 : ・・・ :2014/07/03(木) 20:51:26 TEsYk3SE
10分後くらいに投下します


449 : ・・・ :2014/07/03(木) 21:47:03 TEsYk3SE
なにが十分だよ

遅れてすみません。

まずは感想を


>>黒猫さん
あービリビリがお持ち帰りされちゃったーー大変だー(支援)
そして、きっと俺らの結標さんならあれをとっぱらってくれてるはずや!!

>>くまのこさん
カミやん、抜けてんな〜、カミやんらしいけど
あと、黒子さんが死んじゃう(笑)

では投稿を。
ちょっと長いかも
でも、すこし、進むよ

それでは


450 : プール3 :2014/07/03(木) 21:50:35 TEsYk3SE
プールの中心に、巨大な渦ができたのは突然。

その瞬間に動いていたのは4人だった。

「美琴!!」

「アイツ!!」

「クソッ!!」 

「滝壺!!!」

上条と美琴は互いの視線を交差させると、もう一方に同時に視線を向ける。

「「インデックス!!!!」」

その時、美琴や一方通行を始め、LEVEL5の面々は、違和感に気づいていた。

(能力がうまく作用しやがらねェ)

魔術という結論に至ったのは、美琴と一方通行のみである。

(これは……危険ですね)

むやみに暴発させて対応できるメンツばかりがいるわけではない。

さらに、

(流れが急に早くなりやがったな)

すでにほぼ全員が流れに飲み込まれ始めている。
人と人とがぶつかる。
いつ、けが人や溺れる者が出てきてもおかしくない状況だ。

そんな中、必死にインデックスを抱えていた芳川に誰かがぶつかり、インデックスが腕からすり抜ける。

(しまった!!)

流れに飲み込まれ、インデックスと離れていく芳川の瞳に、その赤子を助ける影が見えた。



御坂美琴である。


451 : プール3 :2014/07/03(木) 21:51:25 TEsYk3SE
彼女はインデックスを抱き上げることに成功した。
しかし、

(思ったより流れが速いうえに、人が多くて……)

何人もの人とぶつかった。そしてついに。

(しまっ……!!!)

誰かと背後でぶつかり、水中にインデックスとともに引きずり込まれる。
そして、しばらく水上に上がることなく水流に弄ばれた。

(せめて……この子だけでも)

美琴の息が限界に達しようというその時、ようやく、



あの右手が届いた。

ふと、プールから渦が消え、水面が静かになる。
そしてそこからいくつもの人影が現れた。

「ぷはぁっ!! はぁ、大丈夫か!! 美琴!! インデックス!!」

「はぁ、はぁ、なん、とか」

「う、ぇう、……びぇぇぇ!! ぱーぱ!!まーまぁぁあ!!」

呼吸を整え、ほっと一息つくと、上条は周囲を見回した。

「大丈夫か!! 滝壺!!」

「うん、ありがとう、はまづら」


「ありがとうあなたーってミサカはミサカはここぞとばかりに抱き着いてみる!!」

「もやしに助けられるほどミサカは落ちぶれてないのに、余計なことしやがって」

他のみんなも無事なようだ。
それを確認し、再び視線を2人に戻した、

安易に


452 : プール3 :2014/07/03(木) 21:51:48 TEsYk3SE
「まって、こ、こっちを、見ないで」

そこには、涙ながらにこっちを見つめる美琴がいた。
そして、なにより、

胸の部分の水着がなかった。
両腕とインデックスで隠れてはいるものの……

しばし固まっていた上条は慌てて後ろを向く。

「み、美琴、とりあえず、オレの背中に隠れろ」

「う、うん」

そのまま3人はゆっくりプールの端に移動した。

上条が見回すと、逆方向の端に見覚えのある水着が浮いている。
人とぶつかったときにでも外れたのだろうか。

上条が打開策を探しながら視線を正面に向けると、
ある人物と視線が合った。

一方通行と、浜面仕上だ。

それを見た上条は、もう1度水着に目を向ける。
上条の視線を追った二人がそれを見たとき、二人の行動は早かった。

「おーい、ケガをしたやつ、体調がよくないやつはいないか!!」

そうやって大声を出した浜面に皆の意識が集中した一瞬で、水着が不自然な水流に乗って上条達のところへ届けられた。

「美琴、インデックスをこっちに、それなら、なんとか水着つけられるか?」

「う、うん、大丈夫」

その間、インデックスは、ずっと泣いていた。



ようやく落ち着きを取り戻した皆はプールサイドで上条の言葉に耳を傾けている。

「本当に、すみませんでした!!!!!」

深々と頭を下げる上条に、おずおずと佐天が確認をとった。

「じゃああの大渦はインちゃんの能力ってことですか?」

「ああ、そうだ、みんなを危険な目にあわせてしまった、ごめん!!」

全員の視線がその赤子に向かった。

「魔術は使っちゃだめって言ったでしょ!!」

真剣な瞳で抱っこしているインデックスを見る美琴、

「あう、うー」

「でも、……よかった、インデックスが無事で」

「う、うぅ、ご、ごめーちゃい……ううぅぅぅぅううふえええええええええ」

「よしよーし、キチンんとごめんなさいできたね、いいこいいこ」

会話の内容は聞き取れないが、それを見た周囲は、

「さすが御坂さんのご親戚!!」

「すっごい大きさだったね!!」

「当然といえば当然ですの」

「じゃあ、わたしたちが原因ってことじゃんな」

「まぁ、悪意はなかったけど、そうなるわね」

「そんなことより、小腹がすいたわ、浜面、鮭弁」

「わたしは超喉が渇きました」

「「先生!! 脱がないで!!」」

「しかし、プールの中と違い、ここは暑くて……」

先ほどのことなど、なかったことにしたのだった。

再び上条は深々と頭を下げた。


453 : プール3 :2014/07/03(木) 21:52:19 TEsYk3SE
「「ただいまー」」

「たーい、まー」

帰宅して数十分後。
台所から部屋に戻った上条に穏やかな寝息が聞こえる。

「あらら、御坂さんや、インデックスはおねんねですか?」

「うん、はしゃいでたし、いろいろあったもんね」

一緒にベッドで横になっていた美琴は、静かにインデックスの髪をなでる。
そこに、上条は麦茶が入ったグラスを持っていった。

「ありがと」

「いいえー。そんじゃ先風呂に入るぞ」

「うん、じゃあ、晩御飯用意しとくね」

「おう、サンキュ」

上条は、ようやく、



1人になれた。



ほぼ崩れ落ちるように脱衣所で座り込む。

(グッジョブ!! オレ!! オスカー物の演技だったぞ!!)

体育座りのように体を縮め、頭をガシガシとかいた。

理解して(わかって)いた。でも納得して(わかって)いなかった。

彼女は……

腕で目の部分はおおわれているため、上条の表情はうかがえないが。
頬は、赤い。

上条の頭は何度目になるかわからない回想に使われていた。



『まって、こ、こっちを、見ないで』


すらりと伸びた足。
水着からやや上のくびれ。
インデックスや、腕では隠しきれていない白い肌。
鎖骨。
細い腕
水の滴る髪。
潤んだ瞳。
鮮やかな唇。


理解して(わかって)いた。でも納得して(わかって)いなかった。

彼女は……

御坂美琴は……









異性(おんな)だ。


454 : プール3 :2014/07/03(木) 21:52:43 TEsYk3SE
「おーい、一方通行、上条が何か菓子折りくれたじゃんよー」

翌日、黄泉川家にのどかな声が響く。
いちいちオレに報告する必要ねェだろ、という感情を口にしないよう踏ん張る。
ソファでの快適な時間を削ることを率先してする必要もないだろう。

「おや、まだ寝てるのか」

しっかし、なんだろうなこれーと悩む黄泉川をほっといて一方通行は考える。
おそらくあの律儀な奴らのことだ、チンピラのほうにも行ったのだろう。

「……引越しのご挨拶かなンかじゃねェの?」

起きていることを知られた一方通行は買い物に駆り出されるのだった。



聖ジョージ大聖堂。
そこに二人の人影があった。

「じゃあ、よろしく頼みにけり」

静かに、一方の気配が消える。

「さてさて、いったいどうしておりしかしら」

金髪が、その笑顔に誘われるように揺れた。


455 : プール3 :2014/07/03(木) 21:53:10 TEsYk3SE
おまけ!!

さんさんと、日光が彼をあざ笑うかのように降り注ぐ。

「了然、どうにもならないことは、わかっている」

以前、記憶を取り戻すカギを見つけた男は、その直後にそのカギの保護者二人によって意識を奪われてしまった。

「断然、動揺していたとはいえ、あのように声をかけたら、攻撃されても文句がない」

しかし、もう一度チャンスがあるならば……。
だが、奇跡は何度も起こらない。
ため息を吐く彼の耳に、正面から複数の声が届いた。

「いつまでついてくんのよアンタたち」

「わたしたちの目的地もこっちなのだーってミサカはミサカは全速前進!!」

「それは、超わたしたちのセリフでもありますよ、超第3位」

聞き覚えのある声があった。
そして、その集団の中に、その子はいた。
神はもう一度、その機会を与えてくださった。

「卒然、また会えたな。改めて自己紹介をしよう。私はこういうものだ。当然、記憶喪失のため、その名刺に書かれた名は本名ではないが、怪しいものではない証拠にはなるだろう。依然、よければ、その真珠のような赤子を抱かせてほし「フン」ごっがあああああああああ!!!」

比喩表現ではなく飛んでいった。
ベクトル操作ってすごいのだ。

「なンだあの変質者は?」

「大将の知り合い?」

「なんでなんの迷いもなくオレに振ったし!!?」

プールまでまだまだ遠い。



おまけ!!

上条当麻が脱衣所に入ったことを確認すると、
御坂美琴はようやく一息入れ、麦茶を飲みほす。
が、まだやることはある。

その後の彼女は神がかった動きで二人分のごちそうを作り終えた。
残像が見えるほどのスピードである。
そして、ようやく一息つくと、
ソファに飛び込みもだえ苦しんだ。

(ろ、漏電だけはしちゃだめ!!!)

うつぶせのため、表情は見えない。
が、頬から耳、というか肌の見える部分すべて真っ赤である。

アイツが自分をそういうふうに思っていないのは知っている。

『妹とプールに来るとこんな感じなんだろうな、今日は存分に遊びたまえ妹よ!!』

しかし、

『大丈夫か!! 美琴!! インデックス!!』

あの時のことが頭から離れない。

たくましい脚。
鍛えられた腹筋。
傷だらけだが、しっかりとした胸板。
太い腕。
水の滴る黒髪。
鋭い眼光。

なにより、

(水上に出る時に、だ、だ、抱きしめてくれたし〜〜〜〜//////)

この感情を1人になるまでよく我慢したものだ。

(わたしって、アカデミー主演女優賞もらえるんじゃないかしら!!)

主演男優はもちろんアイツで、内容はラブロマンスの、
と、彼女の妄想は続いていった。




















「なあ、御坂さん、なぜかご飯が冷めてるんですが」

「そ、そうね」

「確かに今日はオレも長風呂だったけどさ」

「じゃ、じゃあしかたなくない?」

「まるでオレが脱衣所に入って5分後にできあがったような感じですが」

「き、気のせいよ」

「……まあ、うまいんだけどな」

「……う、うん、ありがと」//////////


456 : ・・・ :2014/07/03(木) 21:58:19 TEsYk3SE
以上です。

>>441さん
いつでも投下してください。まってますよー

黒猫さんの
「先輩方のインターバルを埋めようと思っているので」
が最初の頃の自分とまったく同じ感情で、
今、その先輩の立場にいる(頭が高くてすみません)のは、感慨深いですなぁ。
後輩も、もっと先輩も、見ててくださいまだまだ自分、頑張りまっせ!!
黒猫さん、続きそろそろできないかなぁ、なんて


457 : 1/2 :2014/07/04(金) 02:11:56 T/IRPNpU
上条「よう御坂。何してんだ」

美琴「天気もいいし、ちょろっとブラブラしてただけ」

上条「平和だな。こんな日が長く続いて欲しいもんだ」

美琴「アンタこそどうしたの。その荷物、野球の道具よね」

上条「ああ、こないだ授業で使った学校の備品。無断で借りてきちまった」

美琴「ふうん。草野球でもやるつもり?」



上条「試合は人数が揃わねぇよ。ただのキャッチボールだな」

美琴「壁を相手に?」

上条「カミジョーさんにも友人は居ます。約束の時間は過ぎてんのに、まだ来ねぇけど」

美琴「だったら、暇潰しに少し付き合ってあげる」

上条「おいおい。ちゃんと投げれんのか?」

美琴「私の運動神経、舐めるんじゃないわよ。すぐに覚えてみせるわ」



上条「要は未経験なんですね。本当に大丈夫かよ」

美琴「ぐだぐだうるさい。それとも電撃の的になりたい?」

上条「デッドボールは結構です! まあいいか。川原に降りるぞ、汚れても知らねぇからな」

美琴「グローブ借りるわね。――でかっ」

上条「そりゃファーストミットだ。こっちの方が合わねぇか?」

美琴「あ、ぴったり。これって子ども用?」



上条「寮の押入れから出てきたんだ。ガキの頃に使ってたんじゃねーかな」

美琴「アンタの……。そっか、記憶が」

上条「年季が入ってるから、ちょっと汚ねぇけど」

美琴「ううん。気にしないわよそんなの」

上条「いきなり投げねぇで軽く準備運動しろよ」

美琴「そっちもね!」



美琴「死ねーっ!」

上条「物騒な掛け声だな。その割に手投げだし、山なりじゃねーか」

美琴「どうやるの?」

上条「手首のスナップを利かせるんだよ。ほらこんな感じ」

美琴「よし。死ねーっ!」

上条「うん、まずはその声をやめような」



美琴「なかなか上手くいかないわね……」

上条「投げるのはともかく、しっかり捕球できてる。筋は悪くないぞ」

美琴「手首を返して、こう!」

上条「そう上達を急ぎなさんな。キャッチボールはのんびりやるのがいいんですよ」

美琴「うー。じゃあ、しばらくこのまま続けて」

上条「はいはい。疲れたら言ってくれよ」


458 : 2/2 :2014/07/04(金) 02:12:29 T/IRPNpU
上条「♪ 夏の朝にキャッチボールを」

美琴「何よ、その歌。とっくに秋だけど?」

上条「古い流行歌だよ。今日の言いだしっぺに布教されて、気づいたら口ずさんでるんだよな」

美琴「へえ。いい曲みたいね、誰かさんの音痴は置いて」

上条「♪ 幸せになるのには別に誰の許可もいらない」

美琴「アンタが歌うと切実に聴こえるわ」



美琴「たまにはこんな風に身体を動かすのも悪くないわね」

上条「俺は御坂とゆっくり話せて驚いてるよ。ボールを遣り取りしながらだと話題も弾むもんだな」

美琴「会話はキャッチボールって喩えがあるわね。……普段の私は話にならないって皮肉?」

上条「そんなんじゃねぇよ。動作と言葉のテンポが噛み合ってて、悪くねぇなってさ」

美琴「別にいいけど。ところで野球の表現もかなり際どいわよね。盗む、刺す、殺すとか」

上条「意図的に危険球を混ぜるのはやめてください。汗が冷たくなっちまう」



上条「随分、上手くなってきたな。この短時間に大したもんだ」

美琴「ふふん。少しは見直した?」

上条「言ってる傍から暴投すんな! 投げ方が様になった分、取りに走るのキツいんだって」

美琴「あっ、川! 落ちちゃう急いで!」

上条「こなくそ、届け!」

美琴「あ、あー! あと少しだったのに」



上条「上手い具合に橋のたもとに引っかかってる。その辺に長い棒状のモノはないか」

美琴「替えのボールは?」

上条「一個しかねぇんだよ。よし、この枝で何とか。御坂は俺が落ちねぇように支えててくれ」

美琴「もう前振りにしか聞こえないんだけど」

上条「言うな! いいか、俺の手を離すなよ。絶対に離すんじゃねぇぞ」

美琴「う、うん。さらっと恥ずかしい台詞……。手も繋いじゃってるし……」 ビリッ



上条「――あのタイミングで漏電は勘弁してください。びしょ濡れじゃねーか」 フコウダ

美琴「ご、ごめんなさい」

上条「悪気はなかったみたいだし気にしてねぇよ。けどこれでお開きだな、ボールもねぇし」

美琴「うん。……今日は楽しかった。風邪引かないでね」

上条「そっちも身体を冷やすなよ。そうだ、御坂」

美琴「なに?」



上条「これやるよ」

美琴「アンタが使ってたグローブ……」

上条「いまの俺にはサイズが合わねぇし。お前もせっかく上達したからさ」

美琴「あ、ありがと。大切にする」

上条「じゃあな中島。今度も野球やろうぜ」

美琴「またね磯野。晴れたら次の日曜日に」

おわり


459 : ■■■■ :2014/07/05(土) 00:39:55 t9.esstY
>>・・・さん
男女の身体の違いに意識が集中してお互いに異性を感じちゃう
上琴の描写が…///いつもありがとうございます!
あ、いちおうアウレオルスさんにも触れておこう…ガンバ☆
>>457さん
なんかいいなこういうの…
爽やかだけどほんのり甘酸っぱさも感じる二人のやりとりにぐっときました
上琴ってキャッチボール似合うな…


460 : ■■■■ :2014/07/05(土) 18:49:52 jv2rciwk
さすがサザエさん…
学園都市でも放送しとんのか


461 : 我道&くまのこ :2014/07/05(土) 19:05:14 183cJkHc
>>黒猫さんGJです!
あわきん、いい味出してますな〜。
にしてもミコっちゃん、気づかなかったらそのままお持ち帰りされてたのか……ごくり…

>>・・・さんGJです!
あ〜あ〜もう、ミコっちゃんが限界だよw
上条さんも意識しちゃって、もうひたすら2828w

>>458さんGJです!
こういう、ほのぼのした会話劇大好きです!
二人の、何とも言えない微妙な距離感が出てて良かったです。



どうも、くまのこです。
こぼれ話書きました。
毎度お馴染みコテ通りに我道さんとの合作です。
約3分後に8レス使います。


462 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:08:03 183cJkHc
上条「あー……完っっっっっっ全に開き直ってんな……『Ⅰ』て……」
美琴「まぁ、全何話になるか想像できないもんね」
上条「本編【禁書目録】と外伝【超電磁砲】足して……だもんなぁ……」
美琴「そんじゃま、さくさく行きますか。今回はゲストもたくさんいるのよ。まあ、基本はアンタと私、んでゲスト二人で、ゲストは入れ替わり立ち替わりって形だけど」
上条「ふーん。で、今回は?」
??「はぁい、ぼ・う・や・♪ お姉さんのこと覚えてる? オリアナ=トムソン。職業は運び屋、よ」
上条「……」
美琴「……」
上条「……とりあえずもう一人に入ってもらえばいいよな?」
美琴「……そうね。ツッコミどころは満載だけど話は進めないといけないもんね。で、もう一人は?」
??「私なら最初からここにいるんだよ」
上条「は? その声だともう一人はインデックスなのか? でもどこに?」
オリアナ「坊や、鈍いのは対異性の気持ちに対してだけにしておきなさい。坊やの頭のう・え・♪」
美琴「ちっちゃ!? 何でアンタ【インデックス】、ちっちゃくなってんの!? と言うか気付けよアンタ【上条】も!!」
上条「いやー頭が何か重いとは思ってたけどまさかインデックスが乗ってるとは思わなかった。つか、普通、頭の上って見えないんだから声が聞こえなきゃ気付くわけねーだろ!! むしろ御坂が気付けよ! 正面から俺を見てるんだから!!」
美琴「む……確かに言われてみればそんな気が……」

天の声:ちなみに美琴は上条の顔しか見ていないので頭の上までは注意が行っていない、が真相。おや? 誰か来たようで……

上条「納得してくれたところで、さて、インデックス、事情を説明してくれ」
禁書「決まってるんだよ! なんだか今後、体長15cmでほぼ全裸の隻眼魔神女がとうまの周りをうろちょろしそうだし、だったら私も小さくなってこの場所を誰にも譲らない決意を示した方が良いかも!!」
オリアナ「俗に言う、インデックスたん、というわけね。でもいいのかしら? 小さいままだと坊やと(自主規制)や(自主規制)ができなくなるわよ?」
禁書「はぅっ!! 盲点だったかも!!」
美琴「……っ! ほっほ〜う? やっぱアンタはこのちっこいのとイロイロナニかしてるわけ、ね?」
上条「してねーよ! というか、何でお前はナニがカタカナなんだよ!? あとオリアナさん、言葉は選ぼうよ!! そんなんだから歩く18禁って言われんのよ!?」
オリアナ「まあ……私がそんな噂になってたなんて知らなかったわ……普段、日本にいないから……」
禁書「その割には喜んでいるみたいな顔してるかも」
美琴「今回は、どんな風になるかまったく想像できないわ……」


463 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:08:44 183cJkHc
「おおっ、母さん母さん。やはり何度来ても圧倒されるなあ、学園都市っていうのは。子供の頃にクレヨンで描いた世界がそのまま広がっているような気がするよ。これでチューブの中を走る列車とか、空飛ぶスケボーなんかがあると完璧なんだが……」
 そう言ったのは上条刀夜。
「あらあら。私の思い描く近未来には、まだ届いていない気がするのだけど。だって巨大宇宙戦艦や人型兵器が連合とか帝国に分かれて戦ったり赤や青のカラフルなビームが飛んだり宇宙空間なのにピキュンピキュン音が鳴ったりしないでしょう? あと蛍光灯みたいなサーベルも見てみたいのに」
 答えたのは、上条詩菜。


美琴「外から見ると、やっぱこう見えるのかしら?」
上条「まあ、外の世界よりも科学技術が二、三十年進んでいるのが学園都市だしな」
オリアナ「この辺りは私が小さい頃に思い描いた未来世界と違うわね。私が子供の頃、クレヨンで描いたのは、魔法使いの絵がほとんどだったから」
上条(……オリアナにもそんな可愛らしい時代があったんだな……)
オリアナ「坊や、今、私にもそんな可愛らしい時代があったんだ、って考えなかった?」
上条「い、いえ! 決してそんなことは!! オリアナさんは今でも充分可愛いですから! ハイ!!」
オリアナ「あら嬉しいこと言ってくれるじゃない? でも大人の女性に対して『可愛い』はあまり良くないわね……そこは『綺麗』って言ってあげた方が悦ばれるのよ……」
上条「オリアナさん!? 何か字面が違いませんこと!?」
禁書「……短髪、今日は共同戦線を張りたいんだけど?」
美琴「……いいわね。私も今日はそんな気分だから」
上条「!!!!!!!!!!!?!」


「あー、あー。メイド弁当、学園都市名物メイド弁当はいらんかねー」


禁書「とうまとうま! メイド弁当食べたいんだよ! 買って買って買って!!!」
上条「そんな子供みたいに駄々こねるんじゃありません! つーか、買ってったってこれ、過去の映像だし!」
禁書「だって食べたいんだもん! おなかすいたおなかすいた!」
上条「すっぱい焼きそばパンでも食べてなさい!」
美琴「にしても土御門も大変ねー。繚乱家政女学校って、こんな事もするんだ」
上条「ああ、あそこは『真のメイドさんには休息はいらない』って校則があるらしいからな」
オリアナ「でも日本のメイドって、男の性欲を刺激するようにミニスカートとニーソックスの間の太もも…確か専門用語で『絶対領域』と言ったかしら。を強調したデザインで、しかも夜のご奉仕もするんでしょう? 見たところ、この彼女は中学生ぐらいだと思うのだけれど…そんな歳の子にそこまでレベルの高いプレイをさせるなんて、流石はHENTAIの国ね。お姉さんもゾクゾクしてきちゃう」
上条「長々と何言ってんのこの人!? 何でそんなに偏った知識なんだよ!」
美琴「ア、アンタも土御門のお兄さんみたいに、メイド萌えってヤツなの?」
上条「どっからそうなった…いやまぁ、好きか嫌いかなら好きだけど」
美琴「って事は、前回のこぼれ話で見せた私のメイド姿は効果大だった!? これはもう、通販で堕天使エロメイドを買うしか! ……けど私の胸でサイズが合うのはあるかしら……?」
上条「あれあれ!? 何だか急に御坂さんが真剣な顔でくだらない事言い始めたけど、どうした!?」
禁書「とうま! メイド弁当は!?」
上条「メロンパンでも食べてなさい!!!」


「――――っと、うわっ!?」
 集中力を欠いていた刀夜は、うっかり誰かと激突した。
「きゃっ! って、すみませんぶつかっちゃって」
 告げたのは、見た目大学生ぐらいの女性だった。淡い灰色のワイシャツに、薄い生地でできた漆黒の細長いパンツ。デザインはシンプルだが、一目で高級ブランドのにおいを感じさせる一品で――――


上条「前回、使い古された方法とか言ってたけど案外あるんだな」
禁書「何の話なのかな?」
上条「んー? 出会いの話だよ。ほら、食パン咥えて走ってると曲がり角でぶつかる感じのやつ」
禁書「え!? とうま、走りながらでも食パンは食べててもいいの!? 前に食事する時はきちんと座って、って言ってたかも!!」
美琴「ツッコミどころそこ!?」
オリアナ「まぁ、私たちには馴染みのない文化だしね――」


464 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:09:33 183cJkHc
「とき、とき……ないなぁ。常盤台中学というのは、名前がリストに載っていませんね。正式なパンフレットに紹介文が全くないという事は、もしかして一般開放されていないのでは?」
「うわっ! ホントですか。じゃあ美琴のヤツはどこにいるのよーっ! せっかく大学に休学届け出してここまで来たっていうのに!」
 みこと、というのは妹の名前だろうか? と刀夜はガイドブックを適当に考えていたが、不意に女性がズズイと接近してきた。刀夜に肩をぶつけるように、彼の広げているページを覗き込む。
「と、と、と、とき、とき、とき――――うわっ! ホントにないよギャーどうしよう!!」
 ――――無防備な彼女のほっぺが、刀夜の無精ヒゲの生えた頬とぶつかりそうになった。女性の柔らかい髪の毛がわずかに刀夜の耳をくすぐる。その柔らかな髪から、ほのかに甘い匂いがした。


上条「もう伏せる意味が無いから言うけど、俺の親父に寄り添ったのってお前の母親だよな。さすが親子だな」
美琴「まあそうだけど。で、どういう意味?」
上条「お前も、夏休み最後の日に俺の宿題を覗き込んだ時がこんな感じだった」
オリアナ「つ、ま、り、そこのお嬢ちゃんが坊やに思いっきり寄り添ったってことね?」
禁書「!!!!!!!?!」
美琴「ち、違うわよ! 私が興味があったのはコイツのやってた宿題なだけで、コイツに寄り添うとかそういうんじゃないから!!///」
オリアナ「あら残念。ちゃんと自覚していれば坊やとあんなことやこんなことになったかもしれないのに」
上条&美琴「「ならないから!!」」
禁書「と〜〜〜〜う〜〜〜〜ま〜〜〜〜」
上条「はっ! おおおおお落ち着けインデックス!! 本当に疾しいことはなかった――――って、そういや、前の前の前のこぼれ話でこいつは真相を知っているんだったあああああああ!!」
禁書「天誅なんだよ! とうまぁぁぁぁああああああああああ!!」


「あらあら刀夜さん。またですか?」
「か、母さん? ま、またとは何かな?」
 刀夜は慎重に聞き返すと、詩菜は片手を頬に当てて、心の底から悲しそうなため息をついた。しかもその顔からやたら陰影が強調され始めているような気がする。
「もう、刀夜さんったら。道端で女性とぶつかってお知り合いになり、その後の無自覚な言動で良い雰囲気になるだなんて。これで何度目かしら。数える方が馬鹿らしいのかしら。あらあら、あらいやだ。そんなに私を怒らせて、刀夜さんったらマゾなのかしら?」


美琴「さすが親子ね」
上条「どういう意味!?」
禁書「とうまのお母さんのセリフがすべてを物語っているんだよ。天然ジゴロの血脈は余すところなくとうまに受け継がれているかも」
オリアナ「さて、将来、坊やのお母さんと同じ思いをする女性ってどこのどちらさんなのかしら」
美琴「……歴史は繰り返すってわけか……」
禁書「……あり得ない話じゃないかも……」
上条「え!? なんで二人とも陰影が強調されて千円札や五千円札に描かれた肖像画もびっくりの迫力を見せてんの!?」
オリアナ「……どうやら本当に将来同じことが起こりそうね……」


 ――――人混みの向こうに、見知った我が子のツンツン頭が見える。彼は大覇星祭の参加者であるため、当然ながら半袖短パンの体操服だ。その隣には、彼とは違ってランニングに短パンの、本格的な陸上競技用ユニフォームを着た女の子がいた。


オリアナ「ねえ坊や。ちょっと教えてほしいんだけど」
上条「何ですか?」
オリアナ「この二人って坊やとそこのお嬢ちゃんだけど、お嬢ちゃんと坊やって学校は違うし、高校と中学の違いもあるわよね?」
上条「まあそうですね」
オリアナ「だったら、どうしてこの場で二人で歩いていたのかしら? その経緯にお姉さん、興味が湧いちゃう」
上条「ええっと……ええっと……何でだっけ?」
美琴「んーと、んーと……さあ? 気付いたら一緒にいた、みたいな?」
オリアナ「…………とりあえず、ある意味、鈍感で無自覚なのは坊やだけじゃないってことだけは分かったわ」
禁書「…………これは安心材料なのかな? 不安材料なのかな?」
上条&美琴「「?」」


465 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:10:15 183cJkHc
「ねぇねぇ、結局アンタって赤組と白組のどっちなの?」
「あん? 赤だけど。なに、もしかして御坂も赤組か」
「そ、そうよ」
「おおっ、そっかー赤組か。ならお互い頑張らないとなー」
「じゃあ、あ、赤組のメンバーで合同の競技とかあったら―――」


美琴「そんなふうに考えていた時期が私にもありました」
オリアナ「あら? どうして遠い目をしているのかしら?」
美琴「この後のこの馬鹿の台詞で分かりますよ……」
禁書「あっ…何となく察したんだよ」


「なんつってな! 実は白組でしたーっ!!」


禁書「あー…やっぱり……」
オリアナ「焦らしプレイ…に見えなくもないけど」
上条「いやぁ。幻想を殺すのが上条さんのお仕事でして」
美琴「この幻想は殺さなくてもいいヤツでしょ!?」
上条「けど、もし本当に俺も赤組だったら、御坂あの後何て言うつもりだったんだ?」
美琴「ふぁえっ!!? そ、そんなのもう忘れたわよ!」
オリアナ「きっとこうね。『合同の競技とかあったらそのまま夜の大覇星祭で貴方の「赤」黒い肉棒から特濃の「ホワイト」ソースを―――』」
美琴「言うかあああああああ!!!!! そんな事おおおおおお!!!///」
禁書「お肉の棒!? 濃いホワイトソース!? とうま、その美味しそうな食べ物はなんなのかな!?」
上条「ナ…ナンデショウネ…?」
オリアナ「そうね……禁書目録は『美味しい』と感じるかもね……ちなみに特濃の『ホワイト』ソースは飲み干すことはできるわ。でも、お肉の棒は口に含んで味わう事はできるけど、食べられないからね」
禁書「えええええええええええ!? 何その『がむ』みたいなの!? お肉も食べたいんだよ!?」
オリアナ「だ、そうだけど――坊や、どうする?」
上条「食べさせねーよ!! そもそも、オリアナとインデックスの会話はかみ合ってないからな! つか、オリアナさん! 何、舌舐めずりしながら説明してんのさ!?」
オリアナ「ところで、お嬢ちゃんは禁書目録と違って私の言っている意味が分かったみたいね? うふ。案外物知りじゃない?」
美琴「――――っ!!(気付かれた!?)」



「――――もしお前に負けるような事があったら罰ゲーム喰らっても良いし! 何でも言う事聞いてやるよ!」
「い、言ったわね。ようし乗った。……何でも、ね。ようし」
「――――その代わり、お前も負けたらちゃんと罰ゲームだからな」
「なっ。そ、それって、つまり、な、何でも言う事を……


禁書「ん? 今、何でもするって言ったよね?」
上条「……誰かが言うネタだとは思ったが、まさかインデックスの口から出てくるとはな」
禁書「…? 何の事?」
上条(あ、元ネタを知らずに、ナチュラルに言ったのか)
禁書「まぁいいや。それよりとうま! 何でもとか、どういう意味なのかな!?」
上条「『どういう意味』って、どういう意味よ?」
オリアナ「つまり彼女は、『坊やが勝ったら何をしてもらうつもりだったのか』って事が聞きたいんじゃないかしら?」
美琴(っ! そ、それは私も知りたい!)
上条「あー…別にこれと言って決めてなかったなぁ……メシ奢ってくれとか、そんな所じゃないか? まぁ、結局負けちまった訳だけど」
美琴「え…そ、その程度…?」
オリアナ「な〜んだ。お姉さんガッカリ。もっとこう、お前の身体で俺の―――」
上条「いや、もういいから! アンタ、口を開けば猥談しか無ぇのかよ!」
禁書「…ちょっとホッとしたかも。やっぱりとうまはとうまなんだね」
上条「何だい何だい皆して! じゃあアレかい!? ご褒美のチュウでも要求した方が良かったってのかい!?」
美琴「チュ、チュチュチュチュウウウウウゥゥゥゥ!!!?///」
上条「ホラ! ミコっちゃんだって、真っ赤になって嫌がってるじゃないですか! ちくしょう、ちょっとショックだよ!」
オリアナ「お姉さんには、嫌がっているようには見えないんだけど…」
禁書「……やっぱりとうまはとうまなんだね…」


466 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:11:08 183cJkHc
 上条詩菜はほっぺに片手を当てて、
「あらあら。……言葉を巧みに操り、年端もいかない女の子にあんな無茶な要求を通させてしまうとは、一体どこのどなたに似てしまったのかしら。あらいやだ、母さん学生時代を思い出しちゃいそう」
 上条刀夜はズドーン、とショックを受けた顔で、
「そ、そんな女子中学生に対して勝ったら罰ゲームで何でも言う事を聞かせるだなんて、一体どんなご命令を飛ばす気なんだ当麻ーっ!!」
 彼の隣にいた女性(御坂美鈴)は、
『こいつらの影響なのか。ま、後で美琴には話を聞くとして、若いっていうか青いわねー……』という顔でため息をつくと、片手をおでこに当てた。


禁書「どう考えてもとうまは完全無欠にお父さん似なんだよ」
美琴「異議なし」
上条「お前らが俺をどういう目で見ているのか、よーく分かった」
オリアナ「ところで坊や。もう一度話を戻すけど、これってもし、坊やが勝ってたらお嬢ちゃんにナニを要求するつもりだったの? やっぱり(自主規制)とか(自主規制)とか?」
美琴「!!!!!!?!///」
禁書「!!!!!?!!///」
上条「直球だと字面で表現できないから自主規制がかかった単語を何でさらっと言いやがりますかこの人は!! しかもナニがカタカナだし!!」


 御坂美琴は学生用応援席にいた。
 ――――上条達の競技を最後まで観ているのは割と危険なのだが、どうも気になって、美琴は気がつけばここにいた。


上条「ここからは俺の学校の棒倒しのシーンだな。(吹寄の濡れ透け事件が飛ばされて良かった。本当に良かった)」
オリアナ「棒は倒すモノじゃなくて、むしろ勃たせるモノじゃない?」
上条「お願いあなたもう喋らないで!!!」
美琴(な、慣れないわぁ……この人の下ネタ……///)
上条「ったく……あー、つーか御坂、俺のクラスの試合観に来てたんだな。ありがとな」
美琴「っ! べべべ、別にアンタの応援とか、そんなんじゃないからっ! た、ただその…罰ゲームの約束した手前、負ける訳にはいかないから敵情視察しただけだし!!?」
禁書「短髪…目が泳いでるんだよ……」
オリアナ「ふふっ。可愛らしい反応ね。お姉さん思わず、食べたくなってきちゃうじゃない。性的な意味で」
美琴「ちょ、や、止めてよ! そういうのは黒子だけで手一杯なんだから!」
オリアナ「あらそう? 残念。じゃあお嬢ちゃんを(性的に)食べるのは、坊やに譲るわ」
美琴「えええええええっ!!!? 何言ってんの!!? ねぇ何言ってんのおおおおおおっ!!!?///」
禁書「むー…いくらお腹がすいても、私は短髪を(物理的に)食べようとは思わないんだよ」
上条「さてと、どこからツッコんだものか……」
オリアナ「ほら、坊やも『突っ込む』気満々みたいだし」
美琴「ええええええええええええっ!!!? い、いいい、今ここでっ!!!?///」
上条「ああもう、次から次へと!!」


(ウチの学校に勝てるはずはないと思うんだけどねー……)
 美琴はこっそりと息を吐く。――――(常盤台中学は)去年の大覇星祭では屈辱の二位だったが、その時の優勝校は、やはり常盤台中学と同じ五本指の一つ、「長点上機学園」だ。結局、本当の意味での首位争いは、例年この『五本指』の中で行われる。
 ――――学園都市の人間なら誰もが知っていそうな事だが、どうしてこんな無謀な勝負をけしかけてきたんだろう? と美琴は今でも首をひねる。ひねってから、あの馬鹿なら意図なんて何もなさそうだ、と思考が続く。


美琴「ですよねー。いくらアンタが記憶喪失でも、『知識』は残ってたんだし、知ってたはずなんだけどねー」
上条「ぐ……記憶喪失の所為にするのを先に防がれてしまうとは……」
オリアナ「なるほど。実は坊やは真正のMだったってことね」
上条「は?」
オリアナ「つまり、最初から勝ち目のない勝負を挑んで、そこのお嬢ちゃんに『何でも命令されること』が目的だったてこと。うふん。なんだかお姉さん、このお嬢ちゃんと立場代わってあげたくなってきちゃった」
上条「んなわけねえだろ!! てか、オリアナさん! 俺に何したいわけ!?」
オリアナ「何、って……ナニ、でしょ……? 大丈夫、お姉さんがリードしてあげるから……」
上条「そ、それは是非!! って、はっ!!」
美琴&禁書「「死ねええええええええええええええええええ!! このスケコマシいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」」


467 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:12:04 183cJkHc
 彼女のために、何度でも歯を食いしばって立ち上がってくれた、あの姿を見せて。
(……、)
 美琴はほんの少しだけ思考を空白にした後、
(ああ、やだやだ! 何を唐突に照れてんのよ私!!)


美琴「にゃあああああ!!! 見るな見るな見るなあああああ!!!///」
オリアナ「本当に可愛い反応するのね。ウブな子っていうのも、悪くないわ」
上条「まぁ…確かに可愛いな」
美琴「えっ!!?///」
禁書「っ!!? と、とうま!?」
上条(けど、何で美琴は照れだしたんだ? しかも俺の事を思い出して……)


「……お、お腹、減った……」
「今ここで弁当食った直後じゃないのアンタ!?」


美琴「アンタ、お腹いっぱいな時って無いの!?」
上条「いいぞミコっちゃん! もっと言ったれ!」
禁書「とうまも短髪も何を言っているのかな? 人は…ううん、この世に生きとし生けるもの全て、何かを食べる事で生かされているんだよ?」
上条「何も食うなとは言ってねーよ! 食いすぎるなっつってんだよ!」
禁書「じゃあとうまは、私が餓死してもいいのかな!?」
上条「いや、だからさぁ! 栄養摂取は適度にだなぁっ!」
禁書「うるちゃいうるちゃいうるちゃい!」
上条「今更そのネタぶっ込んできた!?」
オリアナ「先に進んでもいいのかしら?」
美琴「……いいんじゃないですか?」


『おうおう姉ちゃん。ウチのもんが手ぇ焼かせたな。ん? ……なんか変な感じがするぞ?』


上条「スフィンクス…普段こんな事思ってんのか…?」
オリアナ「何だかとっても、オジサマくさいネコちゃんね」
禁書「私はスフィンクスの考えが聞けて、嬉しいかも♪」
美琴「可愛い…」
上条「……可愛いか?」
???「やれやれ。こんなところにシ○○セ○みたいな猫がいるとはな……」
??「そう」
???「びっくりですぅ」
??「しかも、同じオスの三毛猫ですよ。これはまた珍しい偶然ですね。ひょっとして世界中のオスの三毛猫は喋ることができるようになったのでしょうか。○宮さんの力で」
上条「……………………あんたたち誰?」


「ねぇアンタ。今日アイツと会った? 何か様子とか変わってなかった?」
「ん? アイツって、とうまの事? とうまは別にいつも通りだったけど……」
 いつも一緒にいんのかよ、と美琴は思わずツッコミかけたが――――


美琴「……実際、どれくらいの頻度で一緒にいるの…?」
上条「俺とインデックスか? 頻度って言われても、そもそも一緒に住んでるからなぁ…」
美琴「…あっそ」
上条「…美琴さん? 何だか不機嫌?」
美琴「べーつーにー!?」
禁書「ふふん♪」
美琴「あー、くそ! そのドヤ顔、ムカつく!」
オリアナ「でも、一緒に暮らしていて何も『事故』が起きないの? それって女性として見られていないんじゃないかしら」
禁書「ガガントス!!!」
美琴「ふふん♪」
禁書「むぅ! その勝ち誇ったような顔が腹立つんだよ!」
上条「…何の話? まぁ、美琴の機嫌が直ったから、とりあえずはいいけど」


(だとすると、やっぱりウチの学校が勝っちゃうけど……あれ。勝っちゃったらどうしよう?)
 美琴は少し考え、それからブンブンブン!! と勢いよく首を横に振った。


オリアナ「あら? お嬢ちゃんったら、もしかして(禁則事項)してもらうとか(禁則事項)させようとか考えたのかしら?」
美琴「って、何ですかそのツッコミ!?/// ここは『あら? お嬢ちゃんったらどんな命令を考えたのかしら?』ってツッコミが正しいでしょ!? 最初から核心を付いてくるツッコミっておかしくない!?」
オリアナ「あら? ということは、お嬢ちゃんはこの時、本当に(禁則事項)とか(禁則事項)とか考えたってことかしら?」
美琴「はうっ!!///」
禁書「ねーねー、とうま。短髪とオリアナは何を言ってるのかな? どういうわけか私の耳には一連の会話で(禁則事項)部分が聞こえないんだよ」
上条「聞こえなくて結構。(つーか、御坂も案外、ヤラしいことを考えてる時ってあるんだな)」


468 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:12:45 183cJkHc
「短髪はここで何してるの?」
「あん? な、何って、別に私は……」
「とうまの応援?」
「なっ、ば、いきなり何言ってんのよ。何で私があんなヤツの応援なんかしなくちゃならない訳?」


オリアナ「だったら何しに来たのかしら?」
美琴「だっ、だだ、だからさっきも言ったでしょ!? て、敵情視察よ敵情視察! それ以上でも以下でもないんだから!」
上条「え〜? ホントに応援じゃないのかよ…」
美琴「……な、何? アンタ、私に応援されたら嬉しいの?」
上条「そりゃそうだろう。可愛い女の子から黄色い声援を受けて、嫌な気持ちになる男なんていな……あれ? 御坂?」
美琴「………ぷしゅー…///」
オリアナ「普段のムチからの、いいタイミングでアメ……坊や、あなた本当に天然なの?」
上条「へ?」
禁書「むー…何だか面白くないんだよ!」


(……一体何なのよあの覚悟!? アイツ、こんなトコでなんて無駄なカリスマ性を発揮してんの! ま、まさかマジで勝ちに行く気な訳!? アンタ私に勝って罰ゲームで何を要求する気なのよーっ!?)


禁書「……と〜う〜ま〜…?」
上条「い、いや違うぞ!? カットされてるから分かりにくいかも知れないが、小萌先生の事とか色々あって、この戦いは絶対に負けられない理由があってだな!」
オリアナ「それを差し引いても気合が入ってるじゃない? お姉さんが思うに、他の理由もあったんじゃないかしら」
上条「な、何だよ他の理由って……いや! やっぱ言わんでいい!」
オリアナ「それは勿論、その子の身体をじっくりねっとりと―――」
上条「言わんでいいっちゅーにっ!!!」
美琴「………///」
オリアナ「…坊や、ウブなのも可愛いけど、男はある程度ガツガツしてないと駄目よ? そんなんだから日本の男子は草食なんて言われちゃうんだから。何だったらお姉さんが教えてあげようか? 確かこの国には48手っていう体位が―――」
上条「いらないよ! てか、アンタが肉食すぎるんだよ!」
禁書「とうま? 48手って何―――」
上条「キン肉マンに出てくる48の殺人技の事だよ! ああ、そうさ! きっとそうさ!」
禁書「キン肉マン………とうま。何だか牛丼が食べたくなってきたかも」
オリアナ「もう…仕方ないわね。じゃあ坊やに寝技(意味深)を教えるのは、お嬢ちゃんに任せるわ」(美琴の肩にポンと手を乗せる)
美琴「黙ってたのに急に話を振られた!!? て、ててててか、わ、わわ、私とこの馬鹿はそんな関係じゃないからっ!!!///」


469 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:13:37 183cJkHc
上条「さて、と。今回はここまでか」
美琴「冒頭にも言ったけど、今回は長くする気満々よね」
オリアナ「それだけ坊やとお嬢ちゃんのオイシイシーンがたくさん、ってことでしょ」
美琴「そ、そんなんじゃないから!!///」
禁書「がるるるるるるるるるる!! まったく! とうまはまったく!!」
上条「おおおおおお落ち着け! 落ち着くんだ! 落ち着いてくださいインデックスさん!! あと地団駄踏むな! 髪の毛むしるな!!」
禁書「うるちゃいうるちゃいうるちゃい! いつもと違って噛みつけないから仕方ないんだよ!! とうまの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿! 抜いちゃえ! 抜いちゃえ! 禿げちゃえ!! 禿げちゃえ!!」
オリアナ「さて、と。じゃあ私たちは帰るわよ禁書目録」ヒョイ
禁書「って、えええええええ!? 私も退席なの!? 何で!? 今回の話って私も結構出番あるんだよ!?」
オリアナ「心配いらないわ。禁書目録は後からまた呼ばれるってスケジュールに書いてあるから。私は――――さて、どうかしら?」
上条(……意味深だな)
美琴(……また来るのかしら?)
禁書「ううう……じゃあ、とうま! 短髪と変なことしてたら許さないかも!!」
上条「しねーよ! つか、何でトーク番組で変なことになる要素があるんだよ!」
禁書「そんなの分かんないんだよ! とうまはとうまでとうまだもん!!」
オリアナ「それじゃ、坊や、お嬢ちゃん。じゃあねぇ〜〜〜」
美琴「あーうん」
オリアナ「ふふ。結構面白かった」

◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

上条「次のゲストが来るまでもうちょっとかかるってか?」
美琴「少しだけ遅れてるみたいね。まあ、もうスタジオには入っているみたいだし、もうすぐ来るでしょ。んじゃ、ちょっとだけ二人だけで次回予告でもどう?」
上条「まあ、いいか。で、次回はどこまでの予定?」
美琴「ん〜〜〜そうね。魔術師絡みの事件はばっさりカットで、私たちの絡みのシーンだから……借り物競走と玉入れ? かしら」
上条「……何か身も蓋もない言い方だな。土御門やステイルが可哀想だ」
??「どうやら、ここのようね」
??「あら? 貴女もこちらのスタジオに用事がおありで?」
??「ん? あなたもなの?」
??「ええ。わたくしもこの時間に呼ばれましたものでして」
上条「…………」
美琴「あ、どうやら着いたみたいね。一人は黒子か。あれ? でも、もう一人は聞き覚えがあるようなないような――――」
上条「………………………この声って……まさか…………!」
白井「ごめん遊ばせ。少々遅れましたわ」
??「お邪魔しまーす」
上条「ふ、吹寄整理さん!? 今度のゲストって白井とお前なの!?」
吹寄「む! 何その言い方! まるであたしが来るのはそんなに困ることなのかしら上条当麻!!」
美琴「……『また』知らない女……ほっほ〜う……」
白井「相変わらず節操のないお猿さんですこと。本能の赴くままに生きていらっしゃる証拠でしょうか」
上条「ま、まて! 吹寄は俺のクラスメイトで何かと俺を目の仇にしている奴なんだよ! だから落ち着いてください御坂さん!! 白井も誤解を招くようなこと言うんじゃない!!」
吹寄「……相変わらずのようね、上条当麻……はぁ……」
美琴(あれ? でもこの人、あんまりアイツに興味無さそう……目の仇ってそのままの意味なのかな?)
白井(あら? でもなんだかこの人、妙に親近感を感じますわ。どういうことですの?)
上条(ああ……なんだか次回はこぼれ話史上最悪の不幸が待ってそうな気がする……ヒシヒシする……)


470 : 大覇星祭こぼれ話Ⅰ :2014/07/05(土) 19:14:36 183cJkHc
以上です。
次はくまのこ単体として、
珍しく甘っ々なのを書く予定(と言うか書いてる途中)です。
ではまた。


471 : ■■■■ :2014/07/05(土) 19:31:31 qIAP1B6.
オリアナさんがwwww さすが18禁。


472 : くまのこ :2014/07/05(土) 21:14:52 183cJkHc
こんな短い間隔での連投すみません。
>>470で言ってたのが完成したので投下させてもらいます。
約3分後に2レスです。


473 : 上琴の朝チュン妄想を垂れ流してみた :2014/07/05(土) 21:21:16 183cJkHc
朝露の香りが残る時間。
窓から差し込む陽の光と、小鳥が囀るその声で、少女は目を覚ました。

「う…ん〜……」

まだ半分は夢の世界にいるせいか頭がポヤ〜っとしているが、
目を擦り、容赦なく二度寝を促してくる眠気と戦い始める。

「ふあっ! あ…ぁ〜………起きよ…」

あくびをしながら上半身を起こしたその少女は、その身に一糸纏わぬ姿だった。

「へくちっ! う〜…さすがに寝る前は服着た方が良かったかな?」

可愛らしいクシャミをして鼻をスンと鳴らす。
まだ肌寒い時間だという事も手伝い、少女は再び毛布に包まり、そして、

「もうちょっとだけ、アンタに温めてもらっちゃおうかな♪」

隣に寝ている少年に抱きつき暖を取る。少女同様、生まれたままの姿である少年に。
湯たんぽ兼抱き枕として使われたそのツンツン頭の少年は、

「くかー……くかー……む〜ん…美琴ぉ………」

と夢の中で少女の名を呼び、その少女もまた、

「なぁに? 当麻♡」

と頬を緩めながら少年の寝言に返事をするのだった。


 ◇


彼の名は「上条当麻」。その右手に幻想殺しを宿した、不幸体質の少年である。
彼女の名は「御坂美琴」。常盤台の超電磁砲の異名を持つ、レベル5の第三位だ。

同じベッドで眠り、二人とも何も身につけていない現状、そしてこの甘々な雰囲気。
皆さんがお察ししている通りの状況である。
恋人同士である二人は、今日が休日という事もあり、昨夜は激しく『愛し合った』のだ。
「爆発しろ」と思うか「いいぞもっとやれ」と思うかは、各々個人差があるだろうが、
とにかく、もう事後なのである。

美琴はムニャムニャと呟く上条の頬を、愛おしそうに指で突く。
その度に上条は「ぶぇっ…」と変な声を出すので、美琴は面白がって何度も突いた。

「くすくすっ…当麻ってば、全然起きないんだから」

ここまでやっても全く起きる気配の無い上条に、やがて美琴は更なる悪戯心を芽生えさせる。

「ほ〜ら、起きなさいよ当麻。起きないとチューしちゃうわよ?」
「くぴー……くぴー……」

だが上条は起きない。

「……ホントにチューしちゃうわよ…?」
「かー…くー……みゅぁ〜……」

だが上条は起きない。

「……しちゃうからね? 当麻が寝てるのが悪いんだからね?」
「んー……くしゅくしゅくしゅ…」

だが上条は起きない。なので、

「………んっ…♡」

美琴は上条の唇に、『約束通り』口付けをした。
その甘い行為に、ほんのちょっぴりの電撃をスパイスに加えながら。しかしそれでも…

「ん…んー…? ………くかー…」
「……これでもまだ起きないか」

仕方ないので、美琴は二度目の口付けをするのだった。


 ◇


「……んがっ…」

アレからどれだけ経ったのか、詳しい時間は定かではないが、暫くして上条も目覚めた。
若干、舌にピリピリとした痺れを感じながら。

「ふっ…あ、ぁ〜あ……はよー…美琴……」

上条は上半身を起こしつつ大きく伸びをしながら、隣にいる美琴に話しかけた。すると美琴は、

「お…おはよう……」

と何故か顔を赤くしながら、ボソボソと挨拶するではないか。

「あれ…どうしたの美琴たん?」

冗談交じりに問いかけてみると、美琴は小声で返答した。

「………12回……」
「えっ…12って、何の回数?」

その言葉に美琴は赤面したままキッと睨みつけ、声を荒げながら答えた。

「当麻っ! アンタ、12回も損してるんだからね! 
 ったくもう、全っ然起きやしないんだから……」
「えっ!? えっ!? えっ!?」

つまるところ、美琴は計12回もおはようのチューをしたらしいのだ。
だが上条は起きなかった。
初めのうちは、何度もキスできて嬉しいやら恥ずかしいやら、
甘酸っぱい感情で舞い上がっていた美琴だったのだが、
その内、これだけの事をしても起きてくれない上条に腹が立ってきたのだ。
こっちは何度もチューした記憶があるのに、むこうはその間の記憶が全く無い事に、
美琴は遺憾の意を表しているのである。
起床をコントロールできないのは上条自身が悪い訳ではないし、
その怒りは美琴のワガママで自分勝手なのだが、それが自分で分かっていながら膨れる美琴である。


474 : 上琴の朝チュン妄想を垂れ流してみた :2014/07/05(土) 21:22:00 183cJkHc
美琴が不機嫌な理由を聞いた上条は、「あはは…」を苦笑いしつつ頭を掻く。

「でもさぁ、舌が痺れる程のキスって……美琴さん、俺が寝てる間にどんだけ激しいのしたの」
「なっ!? ち、違うわよ! それは私の能力で、口の中をちょっとビリビリさせただけっ!!!」

予想だにしなかった方向からのツッコミに、美琴は顔から煙を出しながら反論する。
上条は「あ、そうなんだ?」と軽く言いながら、右手の人差し指で自分の舌を触る。
小さくパキン!と音がすると同時に、痺れも取れた。
すると上条は、何かを企んでいるようなイヤらしい笑みを浮かべる。

「な、何…?」
「さ〜て、と。ベロの痺れも取れたし、今からミコっちゃんの機嫌を直しにかかります」
「どういう意m……………っ!!!?」

「どういう意味なの?」と美琴が口にする前に、美琴の口は塞がれていた。
上条からの口付けによって。

「んっ! んんっ…! ……………ん…♡」

次第に表情をトロトロにさせていく美琴。作戦成功だ。これはつまり、
「俺にキスした記憶が無いのが美琴の不機嫌の原因なら、
 絶対に忘れられないような激しいキスで上書きしちゃえばいいじゃない」作戦なのである。

上条の作戦通り、二人は舌と舌を絡ませ合った。
絶対に忘れられないように、それこそ『痺れる』ような激しいキスを。


 ◇


「も、もういい加減起きましょうか……」
「あ、ああうん。そうだな……」

しとしきり舌戦(本来の意味とは多少異なるが)を繰り広げた二人は、
冷静さを取り戻し、お互いにそっぽ向きながら明後日の方向を見つめている。
恥ずかしさMAXである。

休日、とは言え、いつまでも裸のままベッドに横たわっている訳にもいかず、
美琴は立ち上がろうとする。だが、

「あっ! やっぱちょっと待って!」

と上条が美琴の腕を引っ張り、再びベッドの中へと引きずり込む。

「きゃっ!!? な、何よ〜!」
「んー…いやさ。せっかくだから、今日はこのままベッドの上で過ごさないか?」
「は…はあっ!?」

上条からの、とんでも提案。

「そ、そんなの駄目に決まってるでしょ!? 大体、ご飯とかどうするのよ!」
「じゃあ午前中だけ! なっ? いいだろ?」
「うっ…!」

上条にお願いされると、断りにくい美琴である。
普段は中々自分から甘えてこない上条だけに、
たまにこんな事されるとその効果は絶大だったりするのだ。

「で…でも駄目っ! このまま、なし崩し的にイチャイチャしちゃったら、
 当麻ってば絶対にエッチな事始めるんだもん!」

だがそれでも誘惑(?)に打ち勝って断る美琴。第三位のパーソナルリアリティは伊達ではないのだ。

「しないって!」
「するもん!」
「し〜な〜い!」
「……ホントに?」
「ホントに」
「……絶対?」
「絶対」
「…………ご…午前中だけだからね」

第三位のパーソナルリアリティは伊達だったようだ。
そして上条の策略にまんまと嵌った美琴は、その後、

「あっ…♡ んっ♡ も、もうバカぁあ♡
 エッチな事はしないって…は、ぁっ♡ い、言ったのにぃぃぃいいいいい♡」

『昨夜の続き』をさせられるのであった―――








『―――「昨夜の続きをさせられるのであった―――」
 …みたいな事にはなってないの!? 美琴ちゃん!』
「なってるかあああああああああああっ!!!!!
 わざわざ電話かけてきてまで、何、長々と訳の分かんない妄想を垂れ流してるのよこの母親はっ!!!」


475 : くまのこ :2014/07/05(土) 21:23:35 183cJkHc
以上です。
最初は本当に甘々なまま終わらせようと思ってたんです…
でも…途中でオチを思いついちゃったんだもん……
ではまた。


476 : 1/3 :2014/07/05(土) 22:30:34 fE6Qs6rM
美琴「ちょっとアンタ」

上条「げっ、ビリビリ」

美琴「誰がビリビリよ。私には御坂美琴って名前が」

上条「俺だってアンタじゃなくカミジョーさんです」

美琴「うるさいわね。いいから私とキャッチボールしなさい」

上条「わかったよ。少し待っててくれ、鞄を置いてくる」



美琴「あれっ」

上条「どした?」

美琴「今日はやけに素直じゃない。いつもだったら不幸を嘆きながら逃げ回るのに」

上条「命賭けの勝負を挑まれれば、そりゃ逃げるだろ。キャッチボールと一緒にすんな」

美琴「本当は朝から誘いたかったんだけどね。捕まらないったら」

上条「この格好を見て察してください。日曜なのに補習だったんだよ」



上条「お待たせ。場所はどこにする?」

美琴「近くの公園でいいんじゃない? 川原はこないだみたいに落とすと困るでしょ」

上条「誰も使ってなければそうするか。ボールぶつけたら悪いしな」

美琴「風邪を引いたりしなかった?」

上条「丈夫なのがカミジョーさんの取り得です。それより見てくれよ、これ」

美琴「新しいグローブ? ひょっとして降ろしたて?」



上条「安物だけどな。俺にしては奮発しちゃいました」

美琴「ちょっと見せて。何か塗ってる?」

上条「革を馴染ませるためのオイルだよ。ずっとボールも掴ませて形を作ってんだ」

美琴「手入れが大切なのね。手間を掛けた分、愛着も湧きそう」

上条「愛用の品っていいもんだぜ。思わず右手みたいに名前をつけたくなっちまう」

美琴「メンテのやり方、後で私にも教えてよね」



美琴「それにしても、苦学生のアンタが趣味の出費なんて珍しいじゃない」

上条「お前がそのうち誘ってくると踏んでな。べっ、別に楽しみにしてたわけじゃねぇぞ」

美琴「はいはい。前に使った学校の備品は?」

上条「借りてただけで、とっくに返したよ」

美琴「ふーん。っと、この公園ね。誰も居ないみたい。――私も楽しみにしてたわよ」

上条「お、おう。それじゃ始めようぜ」



上条「御坂センセはどうぞ壁側に。ボールを逸らしても拾いに走らなくて済むだろ」

美琴「ありがと。距離はこのくらい?」

上条「短めで肩を慣れさせながら広げて、最後は塁間程度で」

美琴「塁間がよくわかんない」

上条「まあ女の子だしな。俺の方で下がるから、しんどくなったら言ってくれ」

美琴「女子扱いされてるのか、されてないのか。いまいちビミョーだわ……」


477 : 2/3 :2014/07/05(土) 22:31:24 N7A1GxwI
上条「ほいっと」

美琴「よっ」

上条「マジで上手くなったな御坂。あの後も練習してたろ」

美琴「壁を相手に、たまにね。運動としてはシンプルじゃないの」

上条「単純な分、違いが出るんだよ。キャッチボールでチームのレベルもわかるらしい」

美琴「ま、褒められて悪い気はしないわね」



上条「もう少し本格的にやってみるか。ボールは相手の胸元な」

美琴「捕り易いように?」

上条「そういうこと。んで、捕球の時はグラブを引き気味にして投球の体勢に繋げる」

美琴「なるほど。この辺、実地じゃないと見落としがちね」

上条「左足は常に前。遊びを入れてもいいんだぞ。たとえば、ほら」

美琴「! 曲がった?」



美琴「いまの何? 変化球?」

上条「カーブだよ。ションベンだけど、って下品だったか」

美琴「どうやるの? 握り方があるんだっけ」

上条「すごい食いつきですね。回転を掛けるつもりで投げてみろ、それで割と曲がってくれる」

美琴「アドバイスになってないわよ」

上条「だから遊びだって。本当はどうやるか、俺も知らね」



美琴「変化した?」

上条「まったく」

美琴「今度はどう?」

上条「全然」

美琴「次こそは!」

上条「微動だに」



美琴「はあ、はあ……」

上条「何か悪かったな。御坂の負けず嫌いを忘れてた」

美琴「まだまだ……!」

上条「ダメだ。変な投げ方が癖になると肘を壊しちまう、今日はここまで」

美琴「うー」

上条「飲み物を買ってくるからクールダウンしろよ」



美琴「……」

上条「御坂さん? そろそろ機嫌を直してもらえませんか」

美琴「別に不機嫌になってなんか」

上条「ただの遊びなのに、そこまで真剣になれるのはすげぇけどな」

美琴「ばかにしてる?」

上条「いいや。御坂が運動部に入ったら、プレイヤーとして成功するんじゃねぇかってさ」


478 : 3/3 :2014/07/05(土) 22:32:17 fE6Qs6rM
美琴「この科学の街で何を言ってんのよ。肉体強化系の能力者に敵うわけないじゃない」

上条「まあな。たとえばの話だよ」

美琴「アンタはどうなの? 学園都市でなければ部活に入ったり」

上条「スポーツ漫画とか読んでたら、確かにちょっとは考えなくもねぇ」

美琴「幼馴染のマネージャーが居て、私を甲子園に連れてって、みたいな?」

上条「定番過ぎだろ。配球を変えて後輩キャラでもいいんじゃねぇか」



上条「実はその後輩の方が才能に恵まれてんだよ。主人公はいつもダメ出しを食らってる」

美琴「ダメを出すのは、期待があるからでしょ」

上条「そんなもんですかね。気苦労が絶えなさそうだ」

美琴「後輩とはどうなの? えっと、漫画だと淡い恋愛感情とか」

上条「あー、そっちも鉄板だな。主人公がすげぇ鈍感でさ。どうしてモテてんのか共感できねぇ」

美琴「アンタがそれを言うか……」



美琴「――決めたわ。変化球はもう投げない」

上条「そうした方がいいと思うぞ。どこか痛めてからじゃ遅いしな」

美琴「だから、最後に一球だけ。構えて当麻。ストレートで勝負よ」

上条「キャッチャーみたいに座るのか? って御坂、俺の名前」

美琴「ううん、そのまま。顔だけこっちを向いて」

上条「意味がよく……。むぐっ」



美琴「ちゃんと伝わった?」

上条「……ああ、ど真ん中の直球だ。間違いようがねぇよ」

美琴「鈍感な主人公が何だっけ」

上条「カミジョーさんには返す言葉もございません」

美琴「返事は急がないわ。だけど、待ってるから」

上条「おいおい。どこまで格好つけるつもりだよ、お前は」



上条「そうじゃねぇだろ。御坂だって本心は不安なはずだ」

美琴「仕方ないでしょ。いままで当麻が私を異性として見てなかったのはわかってる、し」

上条「中学生ってことでどうしてもな。だからベソ掻くなよ、せめて俺の返事を」

美琴「掻いてないっ。変に期待を持たせるのはやめて」

上条「さっきの話を思い出しますね。これからもダメ出ししてくれよ。よろしくな、美琴」

美琴「本当にいいの? 悩むとか、考える時間は」



上条「美琴の年齢は忘れとく。俺より考え方が大人だって思い知りました」

美琴「あの子のことは?」

上条「インデックスか。あいつは子どもなんだ、妬いても意味ねぇぞ」

美琴「結局、当麻は当麻ってわけね。苦労しそうだわ」

上条「?」

美琴「何でもない。ところで、返事はともかく気持ちを聞かせてもらってないんだけど」



上条「上条当麻は世界中の誰より御坂美琴を愛しています」

美琴「照れ隠しにしても酷くない?」

上条「ぐっ。正直、意識したばかりで大したことは言えねぇぞ。がっかりすんなよ」

美琴「それで充分。そのうち私に夢中にさせてみせるんだから」

上条「とても大切に思ってる、美琴。息の合ったバッテリーになれるといいな」

美琴「私が電撃使いだけに? 受け止めるのはあなただけよ、当麻」

おわり


479 : 黒猫 :2014/07/08(火) 00:04:36 iiWzuO8g

なんともお久しぶりな黒猫です!!!まずは感想を!


>>我道&くまのこ様
こぼれ話はめttttっちゃ大好きです!!予告があった時からいつも楽しみにしています(笑)
妄想もやばいです!ここまでイチャイチャしたのは読んでてニヤニヤしちゃいますね(笑)GJです!

>>…様
名演技頂きました(笑)上琴がお互いを異性として考える初々しさがたまんないです!!!GJです!!

>>476様
上琴の健全な放課後風景に見える…こんなおっとりした感じがすごく和みますね!GJです!!

嬉しいお言葉を頂いたにも関わらず、この数日間スランプに陥ってパソコンに張り付いてました(笑)
待っていた方もそうでない方も気楽に読んでください!どーぞ!


480 : とある少年の泥酔騒動 :2014/07/08(火) 00:06:27 iiWzuO8g


薄暗い通路を歩いている上条当麻はいまだに美琴を背負っており、美琴は上条に身をゆだねている。結標淡希と別れたあとちょっとした小競り合いがあったのだが、上条が美琴を先程と同じ手で黙らし、美琴は顔を真っ赤にしたまま俯いていた。

そもそも美琴は上条から離れたいわけではない。
ただ、狭い通路をすれ違う大人達の視線がとても痛い。
しかし上条は決して離そうとしない、どんなに美琴が抵抗してもだ。
これはこれで生粋のツンデレにとっては嬉しくもあり、恥ずかしくもあるのだ。
美琴は上条から逃れることを諦め、気をまぎわらせるために先ほどから抱いているちょっとした疑問を上条に聞いてみる。


「……ねえ」

「どしたのミコっちゃん?」

「よくよく考えたらなんでデパートに行くことになってんのよ」

「ん?」

「なによその今更〜みたいな顔は!私はいつの間にかアンタにおおおおお持ち帰りされてたのよ!!!!」

早口で当然の疑問をまくしたてる美琴。とりあえず上条には伝わったと思って上条にしがみつく。
しかし確かに伝わったのではあるが上条には意味が分からず、?が浮かぶ。

「なにいってんの?」

「は?」

「いや、ミコっちゃんだいじょぶ?」

「ちょ、ちょっと待って!」

「あ〜わかった。なにも言わなくていい」

(なにをわかったのコイツ?)

顔を上げ、首を傾ける美琴。
すると上条が(美琴視点で)とんでもないことを口にする。



「ミコっちゃんの分もいるってことだな〜」



「……………も?」

「うん」


481 : とある少年の泥酔騒動 :2014/07/08(火) 00:07:42 iiWzuO8g

美琴の表情が凍る。
も、ということは自分一人ではないということだ。それに美琴は大きなショックを受ける。
有り得ない、コイツがそんなことするはずないと否定に走るが、真実を確かめるべく上条に聞く。

「アンタ、私以外に誰かいるってことを言ってんじゃないわよね」

「いるよ?」

「なっ!!!!」

「そんな驚くことかね?」

「この……ッッ!!最低だわアンタ!!」

信じていたのに…
アンタだから受け入れたのに…

美琴は裏切られたことに大きな怒りを覚え、上条を怒鳴りつける。しかし上条には?マークが大量に浮かぶばかりだ。

「?お嬢様の口に合わないんすかね〜」

「わ、私とその女でやらせるつもりなの!?」

「いや、どっちも俺が準備する」

「さささ最初だけってこと?アンタはどうすんの!」

「え、俺も食うよ?」

「く、食う……」

「そりゃそうだろ。なんで俺だけおあずけなんだよ」

上条はムッとした表情になる。
当然のように放たれてくる言葉に美琴は混乱し、思っていることを口走ってしまう。

「私は…は、初めてだからさ…普通に一人ずつがいいな…」

「え〜めんどっち」

「め、面倒臭いとか言わないで!!ゴメン、我慢するから…」

「ん?おう」

めんどくさい
その言葉に過剰な反応してしまい美琴は泣きそうな顔で懇願する。一方、上条は余計な手間が減ったと鼻歌を歌って上機嫌になる。
その上条の姿でさえも美琴を苦しめる。
”惚れたら負け”
そんなことを思い出してしまう美琴だった。



ん?なにが起こったかわからないって?


まず上条はもやしを調理してインデックスと美琴と一緒に食べる、と考えている。
それに対して美琴は上条に食べられr…、さらに上条はほかの女も食べr…と考えている。挙句の果てに美琴と他の女による“そういうプレイ”もさせられる、とまで話がぶっ飛んでいる。

上条は泥酔中、美琴はこの手の会話に慣れていないため具体的なことを言わない、これらよって正しく話ができていない。

こんなことを超鈍感泥酔中の上条が気付くわけもなく、美琴は一人複雑な心境に陥ってしまう。
結果、今の状況に耐えられなくなり…

「ゴメン…やっぱ私帰る」

「なにおう!?やっぱ口に合わないのか!!」

帰ることを決めたが、上条の変なテンションに怒りを覚えてしまう。
上条自身はもやしのことを考えているため軽い?調子になるのは当たり前だ。
というよりも、もやしで重たい話なんかする奴いるだろうか?
しかし美琴はまさに重たい話をしているため上条に強く当たる。

「うるさいわね!!なんでアンタはそんなんでいられるのよ!!!」

「へ?だって安いし…」

「っっっ!!!!!!」

「?」

当然とでも言いたいのだろうか、上条はキョトンとしている。その表情が元で美琴はついに激昂する。

「もういいわ」

「ちょお!!ミコっちゃん暴れるな!!危ないって!」

「私はそんな安い女じゃないわよこのクソ野郎!」

「な!?いくらお前がお嬢様であってもな、あいつの味だけは馬鹿にできねえぞ!」

「だからってなんで一緒に食べるのよ!!!」

「そりゃ一緒の方が楽しいだろ!!!!」

「このクズが!!!死ね!!!」

「死ね!!??反抗期にも程があるだろ!?」

ギャーギャーと騒ぐ上条と美琴。もはやつかみ合いになっており、美琴は上の位置にいるため当然上条が不利である。


482 : とある少年の泥酔騒動 :2014/07/08(火) 00:08:56 iiWzuO8g


「危ねええ!!」

「ちょ!うわ!!」

言葉を発する間もなく美琴が宙に放り出される。



ズドン!!



あたりに鈍い音が響く。

(…あれ?すごい落ち方したと思ったのに痛くない)

美琴が疑問に思い、まぶたを恐る恐る開けてみると




「…ミコっちゃん。可愛いのはいてんな」



「なっ!なああああ!!!!」



上条の上にうつ伏せていることがすぐわかった。しかも上条の声は自分の膝の間付近から聞こえている。つまり…上条はスカートの中を最高の位置で見ているのだッ!!!

「何見てんだエロ野郎!!!」

「ぶごッ!おい蹴るな!ってか目の前だから丸見えだっつーの!!!」

「いいいいいやあああああ!!!!!!」

シュパパパ!!とでも効果音がつきそうな早さで上条から離れ立ち上がる美琴。
と、いつも鉄壁のガードを誇っているはずのスカートの中について上条の言葉で疑問を感じてしまう。

「ん?アンタ、可愛いのって」



「でもその歳でカエルはないだろ」



「へ?まさかあああああ!!!!」

美琴がスカートの中をさわってみるとそこには

短パンが綺麗サッパリになくなっていたのだ!!!!!

「でもなんで短パン履いてないんだ?」

(あ、あのヤロウしかいないわ!!同じテレポーターなら発想も同じだとしてもおかしくない!!!!)

よくよく考え出すと結標が能力を行使したときにテレポートの音は確かに鳴っていて、何かが移動したことがわかる。
上条の“幻想殺し”があるにも関わらずだ。

(ってことはコイツにみ、見られ…)

「まあ絶景だったけどな」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

バチバチと帯電し始める美琴。同世代の男にパンツを見られた恥ずかしさに漏電してしまうが、その量は半端じゃなくあたりで煽っていた人々は顔色を変えて逃げ出すほどだ。

「み、ミコっちゃん?」

「ふ」

「はい!不幸センサービンビンに来ております!!!」


ビシ!!と敬礼する上条。逃げる間もなく、まるで戦場に向かう兵士のように目の前の爆弾に立ち向かう!



「ふにゃああ!!!!!」



「ふにゃり」

10億ボルトの雷撃を余裕でかわす上条。しかし次から次へと致死量の雷撃が上条に向かって理不尽に放たれる!

「ふにゃあ!ふにゃ!!」

「ふにゃりからのゲンコロ!!」

「にゃあ!!にゃ!!!ふにゃあ!!」

「ゲンコロゲンコロおおお!!!!」

「にゃああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

「ゲンコロおお!!!ゲンコ」

「ふうううううにゃあああああああアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

「あ」

ズバチィィィィィィィ!!!!!!!

辺り一帯を雷撃が包み込む。
断末魔を上げる暇もなく上条は灰になった。

その胸に、あれがこうやってあんな角度で見れるなら


(俺は何度でも死ぬるッッ!!!!!!!)


その熱い想いを残して。



-To be continue-


483 : 黒猫 :2014/07/08(火) 00:09:42 iiWzuO8g
以上です!!!
次で完璧に締めますと言いたいのですが、ごめんなさい無理かもしんないです!
ではまた


484 : ■■■■ :2014/07/08(火) 00:34:01 Xlh3.Crg
GJです!


485 : ■■■■ :2014/07/08(火) 18:07:35 xRGnalOE
無理して締めなくても微妙甘々なままゆるゆる続けて下さっても良いのよ?


486 : ・・・ :2014/07/09(水) 00:52:23 yTlsj7bU
ども、・・・です。

あれ? 最近ペース速い?

よきかなよきかな。


まずは感想を

>>458、478
釣りに引き続き、今回は野球ですか。お見事。
相変わらずお話が寝られてますなぁ。次のテーマは何になるんだろ。
ついついドタバタに逃げる私には、まったり上琴を描けるその才がうらやましい。

>>我道&くまのこさん
さすがだぜい、オリアナねーさん。まさに思う存分ひっかきまわしてったね。
次回は上条さんがひっかきまわされそうだけどね!! 
楽しみにしてますぜ、実行委員様と風紀委員様。

>>くまのこさん
いや、なんでかなぁ、一回目のキスのあたりから、なんか不穏な空気は感じてたんだよねぇ(笑)
やっぱ、佐天さんと同類だよ、このおばさん。
くまのこさんのいちゃいちゃ、やっぱレベル高いなぁ

>>黒猫さん
こぼればなしでもだが、ここでもムッツリなのねミコったん。
さすが結標ねーさま。さっきまで、エロいこと考えてたのに、パンツ見られてふにゃってるよこの子(苦笑)。
スランプなんて聞こえない、早く続きを(笑)


七夕は、ネタは浮かんだのに文章にならなかったよ。
来年……まだこれやってるかなぁ?
とりあえず、『育児日記』の続きをば、
よろしければお付き合いください。

それでは


487 : すてーる :2014/07/09(水) 00:54:25 yTlsj7bU
炎の魔術師、ステイル=マグヌス。
イギリス清教屈指の魔術師であり、ルーンを使うことを得意とする。
14歳にして天才の名をほしいままにする彼の怒りに触れれば、骨も残らず焼き尽くされる。



そう、恐るべき人物だ。
そのはずなのだが。


488 : すてーる :2014/07/09(水) 00:55:19 yTlsj7bU
《すてーる》

ここは上条と美琴の家。

上条当麻、御坂美琴、そしてステイル=マグヌスの3人は、
フローリングの床になぜか正座していた。
上条の右隣が美琴、正面にステイルが座る。
どこかからか、ししおどしのかこーんという音が聞こえた。

「……以上が伝達事項だ」

「つまり、さっぱりわからないと」

「ああ、遠隔制御霊装を、ん? 修理すれば、いいと、仮定して……どこやったかな」

「あ、ごめん、インデックスもいるし、タバコは遠慮できない?」

「お、それもそうか、仕方ないね」

「……修理できなかった、ってことか?」

「いや、修理はできたはずなんだが、彼女が元に戻らない」

「どうして?」

「こっちがききたいくふぁいふぁほ」

「こら、インデックス、ステイルのほっぺ引っ張ったらダメだろ、こっち来なさい」

そう言って上条はインデックスを膝の上に乗せる。

「だぁ、すてー?」

「ステイルさんよ、インデックス。じゃあ、きちんと直ってないとか?」

「その可能性もあると思って、オルソラやシェリーが調査しているところだが、芳しくないね」

「あの二人か」

「あの二人でもわからないなんて」

「あう?」

「……じゃあ、僕は帰るよ」

「まぁ、待てよ……御坂、ちょっとインデックス頼む」

「え? うん。よしよーしインデックス」

「まーま!!」

「……なんだい?」

「この前は、魔術師を撃退してくれたらしいじゃん。ありがとな」

「……で?」

「……だからって、オレの部屋で戦わなくてもいいだろーが!!!」

「この子が狙いだったらあそこに罠を仕掛けるのが順当だ」

「神裂いたならいらねーだろ!!」

「……つい、かっとなってやってしまったんだ。悪気しかない」

まあ、部屋を焼いたのはついでだ。神裂は不本意だったみたいだけど
とかいう不良神父にとびかかろうとする上条を、
美琴は苦笑しながらまぁまぁと腰に抱き着いてなだめるのだった。

その時電話が鳴った。
二人同時に。

「もしもしママ? どうしたの?」

「なんだよ、土御門、今お前の同僚を1人減らそうとしていたとこなん……」

「へ? わたしの力が必要な実験の協力依頼を伝えるの忘れてた!!?」

「あたー、補習か、たしか数日だけあったなぁ、いつだっけ?」

「「……今から?」」

「は、はぁ!! 今からとか、ムリムリムリ!!!!」

「や、やっべえ!! すっかり忘れてた!!」

「な、なんとか別の日に……ま、ママ直々に迎えに来る!!? 必要ない!! い、行きます。行かせていただきます!!」

「きょ、今日はさぼ……留年ですか!! いやいや、悪事を許さない上条さんが、さぼりとかするわけがないジャーン、親友よ、ちょっとだけ遅れると、先生にうまーく伝えてくれ」

そして2人同時に電話を切り、

「「何勝手なこと言ってんの!!!」」

2人同時に理不尽に怒鳴った。

「わたしがLevel5だからそういう実験を断れないの知ってんでしょーが!!」

「こちらだって、補修がまだあるってのは、勉強見てくれた美琴さんが一番ご存知でしょーが!! 下手したらオレより!!」

「すてー」

「すふぇいふは……ほっへふぁふぁふぃへふふぇふぁいふぁい?」

「つ、土御門は……「だめだ、舞華が空くのは、今日は午後からだ」ノーー!!」

「うーーーん…………はっ!!!!」

その時、上条に電流が走る!!

「わ、わたしのせいじゃないわよ!!?」

「もう帰っていいかい? 上条当麻、御坂美琴」

「すてー」

「……ステイルだ」

「解決策あったぞ美琴!!」

「どうすんの!!?」

「……ステイル、任せた!!」

「……なんだって?」

「え? でも「ステイルなら大丈夫だ!! じゃあ行ってきます!!」ちょっと!! 
いい、インデックス!! わたしたちがいいって言わないと、魔術使ったらだめだからね!!」

「あーい!!」

「おい、まだ僕はいいとは一言も「ドタバタバタン」……おいこら!!」

もう二人ともいなかった。
まさに神速である

「すてー!!」

「ステイルだ……どうしろというんだ?」

かこーん、というししおどしの音が響いた。


489 : すてーる :2014/07/09(水) 00:55:56 57Z5NYvs
ステイルに何もかも放り投げた十分後、上条は補修を受けていた。
しかし、教材がないどころか筆記用具も鞄すら持ってきていないのだった。

「ちょっ!!? やる気がないどころの騒ぎじゃないんですが!! 上条ちゃんはいったい何しに来たのですか!!?」

「なんてことを!!? やる気満々ですとも!! とりあえず今日は留年を逃れるために出席だけしに来ました!!」

「やる気が微塵もねーーーー!!」

ひとまず担任を泣かせて親友2人に殴られた上条は、机で青空を見上げる。
思考は授業ではなく、プールの後から頭を離れない美琴の事に向かった。
彼女が見せる照れた顔、怒った顔、泣いている顔、焦った顔、笑った顔、そして、インデックスに時折見せる母としての顔。
気がつくとそれらが無限ループのように上条の頭をめぐる。
そして否応なく、異性と共同生活をしているのだと自覚させられるのだった。

(……しかし、他の女性と美琴、なんか違うんだよなー)

なにがちがうんだろ? と無い頭で鈍感なりに考える上条の頭にチョークが当たる。

「いてっ」

「いい加減にしてください!! ちゃんと授業を聞いてほしいのです!!」

これじゃあ何のための補修かわからないじゃないですかー、と拗ねる担任を見て、
上条はしばらく熟考した後、質問してみることにした。

「せんせーい!! 質問というか、確認したいことがあるんですけど!!!」

「……きちゅうの水素と酸……おお、ようやくやる気になりましたか、なんです?」

「先生って、女ですよね!!!?」

もちろんいろいろと大混乱になり、予定より補修は長引いたのだった。



いっぽう美琴も実験に間に合っていた。
速攻で終わりはしたのだが、

(まさか、ママが研究所の外で待ち伏せしてたとは。
 
一緒に食事することにもなっちゃったし、

 アイツは携帯に出ないし、インデックスは大丈夫かな?

 まぁ、お昼にはアイツも補修終わるとか言ってたから大丈夫とは思うんだけど、

 ステイルさんにも迷惑かけちゃったし、

 まてよ、アイツの事だから、なんかの不幸のせいでお昼に間に合わないかも、
 
いや、そもそも、補修自体が長引いたりして、
 
そういえばアイツの担任ってあのちっちゃい人よね?
 
しかも黄泉川先生より年上って噂あるし、訳わかんない。
 
ん? アイツは年上の人が好みだとかどっかで聞いたことあるわね?

ま、まさか補修にかこつけていろいろやってたりして!!

例えば、アイツが

『先生、二人っきりですね』

そんでもって担任の方が

『な、何ですか急に!!?』

そして、

『実は、こうして二人きりになるためにわざと成績悪くしたんです』

さらに

『そんなこと、されてもうれしくありません!!』

『オレ、本気なんです』

『でも、上条ちゃんと先生は生徒と教師で、年齢の差も……』

『そんなの、卒業したら関係は変わりますし、オレは年上好きなんです!!』

『……上条、ちゃん……』

『先生、これからずっと、オレの隣で補修してくれませんか?』

こうして二人は手に手を取って、
自分達の子供で作った学級で家庭内熱血学園ドキュメンタリードラマ!!!?」

「……美琴ちゃん、ママもそろそろついていけないんだけど? 
 それに、気になるワードてんこ盛りだったから、いろいろ教えて貰うわよ?」

もちろん、大幅に時間はかかったのだった。


490 : ・・・ :2014/07/09(水) 00:58:04 yTlsj7bU
以上です。
上琴関係ないので次回、ステイルの活躍はばっさりカットしてお送りします


491 : 久志 :2014/07/09(水) 23:00:47 kkI1V.Y2
・・・まさかこんなにも回転が速いスレになってるとは(嬉しい悲鳴)

さて、突発的に思いついたネタ投下だけのために来ちゃいました。
もうすぐ夏休みで夏祭りの季節ですよね。1〜2レスで投下しちゃいます。


492 : 上琴夏祭り2014 :2014/07/09(水) 23:02:18 /jLlsGTM
上琴夏祭り2014


『浴衣』(浴衣女子見るとトキメキますよね☆)
<原作っぽい版>

上条「……相変わらずカエル柄なんだなお前」
美琴「カエルじゃなくてゲコ太!!」

<バカップル版>

上条「悪ぃ悪ぃ、すっかり遅くなっちまっ…!?////」
美琴「ど、どうしたよの当麻?」
上条「…い、いやぁその…いつにも増してすっげぇ可愛くてビックリしちまって…////」
美琴「か、可愛ッ!?//// …もう、当麻ったら////」


『クレープ』(種類多くて迷いますよね…)
<原作っぽい版>

上条「ん〜…よし、コレに決めた」
美琴「あら、メニュー数の割りに選ぶの早いわね」
上条「ん?あぁ上条さんの財布事情では一番安い3種類から選ぶしかないから悩む時間も少ないんですよ」
美琴「……そういえばそうだったわね(苦笑)」

<バカップル版>

上条「ん〜…美琴はどれにするんだ?」
美琴「どうしたの?急に」
上条「いやぁ敢えて違う味にして後で交換してみようかなって」
美琴「ちょ//// こ、このテの食べ物でそれって、か、間接キ…////」
上条「あぁ、それも含めて美味しく味わいたいなぁって思ってるんだが」
美琴「え…////」


『焼きそば』(おかかの場合もあるけど今作では青のりです)
<原作っぽい版>

美琴(う〜ん、どうしようかなぁ…)
上条「あー、コレ美味しいけど歯に青のり付いてみっともねぇんだよなぁ…」
美琴「そ、そうね…やっぱやめとくわ」

<バカップル版>

美琴(う〜ん、どうしようかなぁ…)
上条「ん?『あとでキスついでに舌で青のり取ってもらおうかな?♪』的な思考中ですか美琴たん?」
美琴(!?////…い、意外とアリかも…////)


『カキ氷』(学園都市だと色々ありそうな予感)
<原作っぽい版>

美琴「が、ガラナ青汁味っていったい…」
上条「一番安いけど、いくら何でもコレはないだろ…」

<バカップル版>

美琴「い、いちごおでん味って…すごく甘そうね」
上条「そうだな…まぁ美琴とのキスのがもっと甘くて幸せな味だけどな(チラッ)」
美琴「あ、あとで二人っきりになったらしようね?////」


『ホットドッグ』(上琴好きには思い出深いメニューですよね)
<原作っぽい版>

美琴「懐かしいわね…」
上条「今思い出してもあの値段は頭痛モノですよ…」

<バカップル版>

美琴「懐かしいわね…」
上条「あの時は偽だったけど、今は正真正銘デートだよな♪」
美琴「そうね。…せっかくだから買ってみようか?♪」


『わたあめ』(やっぱコレは外せません♪)
<原作っぽい版>

上条「あーコレ原料の量考えると割高だし、その場で食べると多すぎるし、持ち帰るといつの間にか縮んでるし…」
美琴「せっかくの祭りの雰囲気ぶち壊しね…」

<バカップル版>

上条「あーコレ美味しいけど1人だと量多いから半分っこしようか♪」
美琴「そうね♪はい、あーん♪」


『射的』(楽しいけどあまり命中しないですよね)
<原作っぽい版>

上条「み、御坂さん!?こういうのは人に向けるもんじゃないですよ!?」
美琴「うん、知ってる。電撃効かないからコレで仕返しをしようかと」

<バカップル版>

上条「美琴たん、向けるまでもなく既に俺は美琴たんのものですよ♪」
美琴「えへへ〜ありがとう♪ 私も当麻のものだからね♪」
店主「…早く始めろや。後ろ並んでるんだぞ」


『金魚すくい』(これもなかなか難しいですよね)
<原作っぽい版>

美琴(う〜ん…やっぱ体から出る電磁波で金魚たちも逃げちゃうか…)

<バカップル版>

美琴(う〜ん、電磁波防止のため右手で頭触っててくれてるけど、嬉しすぎてかえって集中出来ない////)


『帰り道』(家に帰るまでがお祭りです)
<原作っぽい版>

上条「あー楽しかった。んじゃ上条さんは宿題が山のように残ってるんでこのへんで」
美琴「そ、そう、じゃあね〜(寮まで送ってくれるとか無いんかい!)」

<バカップル版>

上条「遅くなっちまったし、美琴の寮まで送っていくよ(にこっ)」
美琴「えへへ〜ありがとう当麻♪(ぎゅっ♪)」


493 : 久志 :2014/07/09(水) 23:04:58 /jLlsGTM
以上、1レスで終わっちゃいました(笑)
皆さんの夏が楽しい夏になりますように♪


494 : ■■■■ :2014/07/10(木) 23:46:01 Nim/aNfU
GJです!!


495 : くまのこ :2014/07/13(日) 23:12:06 RuGBIP8M
>>478さんGJです!
今回もほのぼのほっこりな会話劇、ありがとうございました!
野球ネタもいいッスねw

>>黒猫さんGJです!
ミコっちゃんのお下着様は、やっぱりあのカエルですかw
最後の心の中の叫びは…上条さん…アンタ男だぜ!

>>・・・さんGJです!
しっかし、すてーるさん。その子を預かってる間、どんだけ複雑な気持ちだったんだろw
それとミコっちゃん。妄想がだだ漏れですぜ。

>>久志さんGJです!
もう、バカップル版の方が公式でいいんじゃないですかねぇ。
原作でもミコっちゃんの浴衣姿とか見たいもんですなぁ…(しみじみ)



短編書きました。
タイトル通り、夢オチです。
なので、過度な期待はしないでください。
約3分後に4レスです。


496 : 夢でオチたら :2014/07/13(日) 23:15:02 RuGBIP8M
とある真冬の午後。
美琴は爆発しそうな程に高鳴っている胸を抑え、落ち着く為に深呼吸をする。
吐く息は白く、その日の気温が刺すように寒い事を物語っているが、
それに反比例するように、美琴の体温は上昇中だ。
しかし美琴が緊張するのも無理は無い。今日は特別な日となるのだ。
これから先の人生、『今日』という日は二度と来ない程に、思い出に残る日となる。何故なら…

(う〜…つ、ついに初めてのデート…かぁ……
 あ〜、もう! どうしよう! どんな顔でアイツを待ってればいいんだろ!)

という事だから。
美琴は、『初めて』好きになった人と『初めて』お付き合いし、本日が『初めて』のデートなのだ。
今までもデート『らしき』事は何度か経験があるが、
明確に『付き合ってからデート』するのは、これが初めてであった。
デート自体はこれからもするだろう。しかし『初』デートは、今日が最初で、そして最後である。
その事を自覚すると思わずふにゃりかけてしまうが、そんな事をしたらせっかくのデートも台無しだ。
ここはグッと我慢して、相手の到着を待つ。

相手は何かと不幸に巻き込まれる体質なので、遅刻を待つのも慣れた物だ。
むしろ今では、この待っている時間すら楽しく感じられる程、美琴は彼色に染まっていた。
それに待っている時間が長い程、

「ご、ごめん遅れた! えっと…ま、待った…よな?」

彼に会えたこの瞬間が、尚更嬉しく感じるのだから。

「あ、う、ううん。私も…今来た所だから……」
「そ、そうか? だったらその…いいんだけどさ……」

ぎこちなく会話する、初々しいカップル。
今までは周りから、そう思われていただけだったが、今日からそれは本当になる。

「じゃ、じゃあ行くか。いつまでもここにいても、始まんないし」
「う、うん。あっ! でもちょっと待って!」

そう言うと美琴は、

「っ!? み、美琴!?」

上条の右手の小指と薬指を、キュッ…と握った。

「い、い、いいでしょ!? もう私達…こ、ここ、恋人なんだから……
 そ、それにホラ! 私、アンタと一緒にいる時に、無意識に漏電しちゃう癖があるから、
 こうしておけば安心でしょ!?」

前半、思いっきり本音を言ってしまい、慌てて言い訳で取り繕う。
そんな美琴の様子に、上条はぷっと吹き出し、

「そうだな。そうしておけば安心だな」

と歩き出す。

「な、何よその顔っ! 信じてないでしょ!」
「はいはい、信じてますよー。ミコっちゃんの漏電癖も困ったもんですねー」
「その言い方ムカつく〜!」

それは誰がどこからどう見ても、カップルがじゃれ合っているだけの構図であった。


497 : 夢でオチたら :2014/07/13(日) 23:16:01 RuGBIP8M
上条は今まで、『ちゃんとした』デートをした経験は無い。
なのでリードしたまでは良かったが、その目的地は。

「……すんません…映画館とかベタな選択肢で…
 上条さんの足りない頭を捻っても、ど定番なデートコースしか浮かばなかったんです……」
「そんなにへりくだらなくても…映画館いいじゃない。私は好きよ?」

それに美琴にとっては、上条が他の人とデートをした経験が無いという情報の方が嬉しい。
上条が自分の為に、デートコースを必死に考えてくれたという事も。

「けど、映画の内容も恋愛モノだぜ? 流石に我ながらどうかと思いますよ…」
「だから私は好きだってば! この映画の監督もファンだし。観たいと思ってた所だしね」

手にしている前売り券には、「監督:ビバリー=シースルー」の文字。
今注目の若き天才監督であり、ユーロ系恋愛映画の超新星だ。

「そう言ってくれると助かるよ」

上条は苦笑いを浮かべつつチケットボックスに並ぶ。
いよいよ本格的に、デートの始まりである。


  ◇


「全米が泣いた」という、よくある宣伝文句ではあったが、その文言に偽りなしの映画だった。
正直、上条はこの手の映画はあまり得意でなく、あくまでもデート用に選んだのだったが、
思いのほか感情移入してしまい、不覚にもウルッときていた。
そんな今の自分が恥ずかしくなり、誰に見られているでもないが、スクリーンから顔を背ける。
すると自然と隣に座っている美琴の方へと向いてしまい、
涙ぐんでいる自分の顔を見せまいと慌てて別の方向へと首を曲げようとしたが、
その必要がない事に気づいた。

「ひぐっ………ぐすっ………」

美琴は映画にどっぷりと集中しており、上条がこちらを向いている事に気づいていなかった。
ボロボロと大粒の涙を流しながら、
無意識なのか意識的になのか握っている手をギュッと強く握り返してくる美琴に、
上条はドキッとする。そして、改めて想うのだった。

(ああ…やっぱり俺、美琴の事が好きなんだな……)

と。


  ◇


「あ゛〜…ずびっ…………えへへ…泣いちゃった……」
「ああ、泣いてたな。思いっきり」

シアターを出てからも美琴は涙が止まらず、ハンカチで目頭を押さえながら歩いている。
必死に照れ笑いを作っている所が、何ともいじらしい。

「じゃあ次はどこ行っか」
「あ、待って! 買いたい物があるの!」

美琴は映画館を出ようとする上条の裾を引っ張り、その歩みを止めさせる。
そして早足でストアへと向かった。


  ◇


しばらくして戻ってくると、その手にはパンフレットが握られていた。

「パンフ買ったのか?」
「だってせっかくだしね。
 アンタとの初デートの映画だもん…思い出は一つでも多く増やしたいから…」

愛おしそうに思い出の品【パンフレット】を見つめる美琴に、上条は思わず顔を赤らめる。
そんな様子を悟られまいと、美琴を茶化す事でお茶を濁す。

「あ…あ〜、そう言えばチケットの半券も大事そうに仕舞ってたな。
 アレも思い出の一つにするのでせうか?」

だが茶化すように投げた問いかけは、

「そうよ♪」

と簡潔な肯定の言葉と、心底嬉しそうな笑顔で返ってきた。
上条は顔全体を上気させたまま、美琴から目を逸らし、一言ぽつりと呟いた。

「………負けた…」
「負けたって…『誰』に『何』を負けたのよ?」

不思議そうに首をかしげる美琴に、上条は、

「何でもないの! ほら、もう買い物も済んだんだし、そろそろ出ようぜ!?」

と言ってそのまま出口に向かう。
何か釈然としないが、美琴もそれ以上追求する事もなく、上条と一緒に映画館を後にした。

その際上条が小声で発した、

「……美琴センセーが可愛すぎて、上条さんの完全敗北ですよ〜…っと……」

という告白は、館内の喧騒に紛れて、幸か不幸か美琴の耳には届く事はなかった。


498 : 夢でオチたら :2014/07/13(日) 23:18:27 RuGBIP8M
外に出ると、強烈な寒さに二人は身を震わせた。
それもその筈だ。空を見上げれば、ちらほらと雪が降り始めていたのだ。

「うお、寒ぃいっ! んー……この後の予定も考えてたけど、雪降ってるしなぁ……
 とりあえず、どっか店ん中でも入るか? ……あれ? 美琴さん?」

上条に話を振られるが、美琴は雪を見つめたまま何かをポケ〜っと考えているようで、返事がない。
やがてその口を開くと、思いがけないリクエストをしてきた。

「……ねぇ…私、行きたい所があるんだけど………いいかしら…?」
「あ、ああ。美琴が喜んでくれないと、デートなんて意味無いしな。で、どこの店に―――」
「お店じゃないの」
「え…じゃあどこに? この天気だと、外を出歩くのはキツイだろ?」

上条の言葉に、美琴はゆっくり首を振りながら答えた。

「ううん。この天気じゃないと…そして今日じゃないと意味が無いから」
「…? えっと、それってどういう事―――おぅわっ!!?」

上条が言い終わるのを待たずに、美琴は彼の腕を引っ張って走り出していた。
これは神様からの粋な計らいなのか、それとも悪戯なプレゼントなのか。
いずれにせよ、美琴はこの奇跡を与えてくれた天に感謝するのだった。


  ◇


「ここ…は……」

上条が連れてこられたのは、見覚えのある鉄橋だった。

「ここ…覚えてる?」
「……当たり前だろ」

忘れる訳が無い。
8月の21。その日、ある実験を中止させる為に『死』を覚悟していた美琴を、
上条が止めたのだ。
戦わずに。立ち塞がって。

「私さ……あの日からなんだ。………アンタの事、本気で好きになったのって」
「え…………ふぁえっ!!?」

突然の告白に、上条は思わず変な声を出すが、美琴は気にせず続ける。


499 : 夢でオチたら :2014/07/13(日) 23:19:47 RuGBIP8M
「気になり始めたのはもっと前…アンタは覚えてないだろうけど、きっと初めて会った時からだと思う。
 でもそれまでは、あくまでも『ちょっと気になる、いけ好かない変な奴』って印象だったわ」
「……割と散々な印象だな…」
「あはは! そうね…でもあの日がきっかけで、それが変わっちゃったの。
 それが『恋』だったって自覚したのは、それから2ヶ月ぐらい経ってからなんだけどね。
 もっともアンタにとってはその時の私なんて、
 『たまたま救えた人達の中の、更にその一部』だったんでしょうけど…」
「っ! そんな事は―――」
「いいのよ。アンタがそういう奴だって事は分かってるんだから。
 …それに…そういう奴であるアンタを、私は好きになったんだから……」
「…っ! な、何か今日の美琴、やたらと素直だな…調子狂っちまうよ……」
「ふふっ! このシチュエーションがそうさせてるのかもね。
 ……私ね。昔、雑誌のインタビューで、
 『初デート、行くならどこがいいですか?』って聞かれた事があるのよ」
「インタビューか…レベル5【ゆうめいじん】も大変なんだな。…で、何て答えたんだ?」
「『雪が降ってる桟橋とかロマンチックでいいかな』…ってね。
 だから映画館を出たら雪が降ってたからビックリしたわ。同時に『ステキ…』ともね。
 アンタと『一つ目の夢』が叶っちゃったから…
 ま、学園都市には海が無いから、桟橋の代わりに鉄橋にしたんだけど、
 これはこれで…ううん、むしろこっちの方が、私達的にはロマンチックじゃない?」
「っ! …ああ、くそ! 今日の美琴さんは色々と反則ですよ!」
「アンタ、顔真っ赤よ?」
「寒さのせいです! …そう言えば、『一つ目の夢』って事は、他にも夢があるのか?」
「…っ! ま、まぁ…それは……ある、にはある…けど……」
「何か歯切れが悪いな……言いにくい事なら、別に言わなくても…」
「あっ、そういう訳じゃないんだけど……その…わ、笑わない…?」
「笑わねーよ」
「……さっき言った雑誌のインタビューで…ね? こんな事も聞かれたの…
 『結婚するとしたら、どのような結婚式を挙げたいと思っていますか?』…って、さ」
「……それで美琴は?」
「『海が見える素敵なチャペルとかで、ゲコ太みたいな神父さんに祝ってもらいたい』…
 とかなんとか…言ってみたり……しまして…」
「そっか……」
「な、何よ! 笑いたければ笑えばいいじゃない!」
「笑わないっつったろ? けどその代わりに、今から俺が言う事も笑うなよな」
「えっ…あ、うん…?」
「あと他にも先に断っておくぞ! ホントは今日は『まだ』、こんな事言うつもりは無かったんだからな!
 今日の美琴が、何か変に素直で可愛いから、上条さんも変な気分になっちゃったんだからな!」
「か、かわっ!!? …へへ……えへへへへへ〜…」
「あ〜もう、そういう所がっ!
 ゴホンッ! あのさ、美琴。
 その…ゲコ太似の神父は保証できないけど、それ以外は何とかするから…さ、
 だから……美琴のその夢さ、俺にも叶えさせてくれない…かな…?」
「………え…………えっ! あっ! そっ! あ、の…そ……それって…つ、つまり…?」
「だから、つまり! しょ、将来、俺と―――」






と、ここで美琴は目を覚ました。同時に、長い夢からも覚めたのだった。
寝起きでぼんやりとした頭を動かす為に、顔でも洗おうかと思った時、

「おーっす、はよー美琴。よく眠れたか?」

冷蔵庫を開けて麦茶を出している男が話しかけてきた。

「俺あんま寝れなくてさー! やっぱ緊張してんのかな…」
「ウソ! アンタ深夜にイビキ掻いてたわよ!」
「えっ、マジで!?」
「ったく、しっかりしてよね! 今日は特別な日なんだから!」
「はいはい、分かってますよ。
 でも、どっかの誰かさんが、『海の見えるチャペルがいい』なんてワガママ言うから、
 挙式の準備も大分手間取っちゃったよな〜」
「なな、何よそれ!? 私が悪いの!? その約束は昔からして…って、そうだわ。
 それで思い出したんだけど、私さっき夢見たのよ」
「夢? どんな?」
「それがさ、初デートの時の―――」

そこには、出会った頃と変わらない関係の、ツンツン頭とビリビリがいた。
本日『二つ目の夢』を叶える、二人の『上条』の姿が―――


500 : くまのこ :2014/07/13(日) 23:21:22 RuGBIP8M
以上です。
という訳で、いつもとは真逆のオチにしてみました。
すみません。タイトル詐欺した事は謝るので、石を投げないでください…
ではまた。


501 : ■■■■ :2014/07/14(月) 00:11:04 /ksYGLk.
GJ!!!


502 : 1/3 :2014/07/14(月) 00:28:53 0dbxrPVM
美琴「ちょろっと」

上条「げっ、ビリビリ」

美琴「誰がビリビリよ! 私には――。このパターンはもういいわ」 ハァ

上条「溜息を吐くと幸せが逃げるぞ」

美琴「アンタに言われたくないわよ。とにかく、私と宝探しに付き合いなさい!」

上条「はい?」



美琴「宝というのは少し語弊があるわね。ツチノコって知ってる?」

上条「何かの本で読んだな。UFOの親戚だろ、そんなもん信じてんのか」

美琴「正直、眉唾なんだけど。最近になって学園都市で目撃されてるらしいの」

上条「ばかばかしい。カミジョーさんはそんな子ども騙しに釣られませんことよ」

美琴「懸賞金がついてるとしても?」

上条「えっ」



美琴「懸けたのはこの街の情報誌で、賞金は一〇万円。金額的にはジョーク企画みたいね」

上条「取り分が半分でも、三か月分の食費が……」

美琴「私はアンタと、じゃなくて、正体を突き止めたいだけ。お金は要らないわ」

上条「マジで?」

美琴「眉唾モノなのは確かだけど、科学の街だからこその信憑性もあると思わない?」

上条「たとえば遺伝子操作、か。人手が必要だったら白井とかにも声を掛けてるよな」



美琴「一緒に探すのはアンタだけよ。私も超能力者として求められてるイメージを裏切れないし」

上条「俺はいいのかよ。ま、そういうノリは嫌いじゃねぇけど」

美琴「じゃあ承諾ってことで。えっと、それでね、右手の力も貸して欲しいの」

上条「? ああ、AIMなんたらを打ち消さねぇと、猫みたく逃げられちまうか」

美琴「捜索の間、私と手を繋いでて。し、仕方ないわよね! 事情があるんだからっ」

上条「」


503 : 2/3 :2014/07/14(月) 00:29:26 0dbxrPVM
上条「――何でカミジョーさんはペットショップに居るんでしょう? 幻想殺しもこき使われて」

美琴「まずはリサーチよ。ツチノコの正体は、在来の蛇や蜥蜴の誤認という説があるの」

上条「そのあたりの在来種を取り扱ってねぇかって?」

美琴「そういうこと!」

上条「とか言いつつ、さっきから小動物のコーナーで足が止まってるじゃねーか」

美琴「♪」



美琴「ふう、癒されたー」

上条「ご満足いただけたようで何よりです」

美琴「アンタは不満そうね」

上条「手を繋いでるせいで落ち着かねぇんだよ。人目が気になって、髭面の店員がイエティに見える」

美琴「感謝してるわよ。ツチノコ探しもちゃんとするから」

上条「頼みますよ、御坂センセ」



上条「――って、今度はデパートのふれあい動物広場かよ」

美琴「とりあえず情報を整理しようと思って。場所はどこでもいいじゃない」

上条「犬の前足を取りながら言われてもなぁ。俺の右手……」

美琴「学園都市は人工の街よ。緑地が残されてるのは、山岳地帯の第二十一学区だけ」

上条「目撃情報があるんだろ? 現場はそこなのか」

美琴「ううん。学生の目撃が多くて、ほとんどがここ第七学区ね。その辺の公園とか」



上条「ええと? つまり昔から生息してる野生種とは思えねぇわけだ」

美琴「ショップの取り扱いを見る限り、逃げ出したペットの線も可能性が低いわ」

上条「確かに爬虫類の類は少なかったな。よほどの物好き以外、飼ったりしねぇか」

美琴「友だちに一人居るけどね……。そもそも飼育環境を整えられる学生が稀なのよ」

上条「マニアックな分、管理が徹底されてて、逃がして放置のケースはまず有り得ねぇと」

美琴「在来種の見間違えじゃ面白くないし、悪くない傾向だと考えましょ」



上条「目撃情報そのものは信頼できるのか?」

美琴「不特定多数の報告が挙がってる以上、少なくとも『何か』が存在するのは本当じゃないかしら」

上条「そいや最初に遺伝子操作とか疑ってたな」

美琴「管理の面ではペットより厳重そうだけど。学園都市である理由を考えたら想像しちゃうわね」

上条「ま、後は現場を当たるしかねぇだろ。そろそろ犬も放してやれよ。二本足が様になってきてる」

美琴「えへー」


504 : 3/3 :2014/07/14(月) 00:29:46 0dbxrPVM
上条「――だから、どうして猫カフェなんだよ」

美琴「腹が減っては何とやら。私の奢りよ。収穫があるとは限らないし、今日のお礼ってことで」

上条「俺の利き腕は御坂に占有されてて、食事もままならないんですが。離していいか?」

美琴「猫が逃げちゃうじゃない。し、しょうがないわね。ほら、あーん」

上条「」

美琴「あーん」



美琴「どう? ペットがメインの喫茶店にしては美味しいでしょ」

上条「味なんてわからねーよ。カミジョーさんのパーソナルリアリティはボロボロです」

美琴「そこまで照れないでよ。私だって恥ずかしいんだから」

上条「だったらやるなよ! 畜生、純粋な男心を弄びやがって……。猫の尻尾って二本だっけ?」

美琴「重症ね。いいから立って! いよいよ現場を捜索するわよ」

上条「うう」



上条「――あの、御坂さん?」

美琴「なに」

上条「公園に着いてみれば、子どもがラジコンで遊んでて。デザインがどう見ても」

美琴「ツチノコね。流行りのアニメ番組かしら。賞金を懸けた情報誌って、ローカル局の系列だったような」

上条「体のいい宣伝じゃねーか!」

美琴「知らないわよ! 気づかなかったのはアンタも同じでしょ」



上条「結局こういうオチかよ。せっかくの休日が振り回されて終わっちまった」 フコウダ

美琴「そんなに凹まないでよ。私としては収穫がなくもなかったけど」

上条「まあ俺も冗談半分だったしな。動物と触れ合えて、嬉しそうな御坂を見れただけでよしとするか」

美琴「一日、女の子と手を繋いでた役得は?」

上条「罰ゲームの間違いだろ」

美琴「言ってくれるじゃない。だったら帰り道も付き合ってもらえる?」



上条「いやもう勘弁してください。慣れてねぇんだって」

美琴「情けないわね。そのままじゃ彼女なんて作れないわよ」

上条「彼女か……。はは、俺にとってはそれこそUMAみたいなもんだ」

美琴「案外、身近なところに存在してるんだけどね」

上条「どういう意味だよ。っておい急に引っ張るな!」

美琴「何でもないっ。たまには振り回される立場になって考えなさい!」

おわり


505 : ■■■■ :2014/07/14(月) 23:03:33 zL06tzgA
>>500
予想をいい意味で裏切られたわwうまいw
>>504
終始美琴が可愛かったです
癒されました!


506 : ■■■■ :2014/07/15(火) 11:25:18 nZFSHyZA
>>500
こんな素敵なタイトル詐欺に石なんて投げませんよ、くまのこさんGJです!
やはりゲコ太みたいな神父さんにはリアルゲコ太こと冥土帰しが起用されるんですかね?w


507 : ・・・ :2014/07/17(木) 07:13:07 ZEJ0b5zw
どうも、・・・です。
職変えて時間ができたから、投稿頻度は前よりましにはなってると思いますよ

しかし、流れがはえぇ


>>久志さん
原作っぽくてもカップルに見えるっていうね
こういうの見ると今の関係も捨てがたくてな
夏祭りでずっと上琴を追いかけたいGJ!!!

>>くまのこさん
手じゃなくて指ってところから悶え始めた私は
夢が覚めた後のカミやンを見て、一瞬点へ召されました
投げられるのは石じゃなくてライスシャワーGJ!!!

>>504
……ただの動物デートやん(笑)
上条さんや上条さんや、動物と、それにたわむれるみこっちゃんと、どっちがかわいい?
5万で3カ月の食費って、相変わらず泣けるGJ!!

じゃ、投稿します。
すこしでも皆さまのおひまをつぶせたらいいなー
それでは


508 : すてーる :2014/07/17(木) 07:14:54 ZEJ0b5zw

美琴が美鈴から解放された時、
すでに日は傾いていた。
そんな中美琴は家路を全力で走る。
顔を両手で覆いながらという、とんでもなくアホな姿で。

(もう、イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!)

声にならない叫びとはこのことである。

(イヤー!! 妄想全部聞かれてた!! もうイヤ!! 結局今の状況ほぼバレちゃった!!)

もういやーーーーと言いながら走る常盤台の生徒という珍しい光景に、周囲は目を見開いた。
そして彼らはその少女が誰かにそのまま衝突するのも目撃した。

「きゃっ!! ご、ごめんなさい!!」

まぁ、当然の帰結と言える。
しかし、それで相手が死にかけているのはどうなのでしょう?
しかも、そこで倒れている相手は彼女の想い人である。

「って、ちょ、ちょっと!! 大丈夫!!?」

「これが大丈夫に見えますでせうか? 学校でただでさえ瀕死だったのに、今、とどめ刺されたんですが?」

不幸だチキショウ、前見て走れ。とぼやく。
互いに帰りが遅くないか? と聞き、
互いに色々あって、と応える。
そして、美琴はしゃがみこむと「ご、ごめんね」と、消え入るようにつぶやいた。

「……ま、いいけど、なにをそんなに急いでたんだよ?」

顔を覆っていた理由は恥ずかしかったからである。
もちろん、走っていた理由の一部もそれが原因ではあるだろうが、
一番の理由はそれではない。

「……い、インデックスと、その、つ、ついでにアンタに、早く会いたかった、から、さ」

アンタはついでよついで!! と叫ぶ美琴をよそに、上条は目を見開いた。


509 : すてーる :2014/07/17(木) 07:16:25 ZEJ0b5zw





『カミやん、そんなボロボロで帰るのか?』

『てめぇらのせいだろ!!!』

『失礼な、自業自得ぜよ。少し休んでから行ったらどうだ?』

『……いやー、その、インデックスや御坂に、早く会いたいからさ』







(……同じだ……)

「……なにニヤニヤしてんのよ?」

「いや、なんでもねーよ」

そういいながら上条は立ちあがる。
つられて美琴も立ちあがった。

「まあ、インデックスが心配なのもわかるけど、大丈夫だよ」

「で、でも「大丈夫だ」……」

「お前はステイルをよく知らないから不安かもだけど、アイツがいれば大丈夫だよ」

それでも美琴の表情から不安はぬぐえない。

そんな時、近くの広場に爆音が響いた。
なにも声をかけずとも、二人は、同時に走り出す。



広場に近づいても、いまだに黒煙は上がっていた。
二人は躊躇わずに広場に飛び込む。
上条の右手に違和感がはしった。おそらく人払いか何かだろう。

「いったい、なにg……!!」

その時、美琴の目に黒煙の中に、信じられない物が見えた、

「そんな……インデックス!!!!」

その赤ん坊の姿を見て、美琴は駆けだそうとするが、
上条に肩を掴まれる。

「まあ、待て美琴、あわてんなって」

美琴は怒りの表情で振り返るも、上条ののんびりした表情に拍子抜けしてしまった。

「落ち着けって。さっきも言っただろ……」

上条はそう言いながら前方に視線を移す。

美琴がその視線を追うと、ようやく黒煙が薄れて来た。
その時、上条はゆっくりと続きを述べる。

「……ステイルがいるから大丈夫だって」

「……!! まーま!! ぱーぱ!!」

「ふう、思ったよりも威力が大きかったね」

黒煙の中には気絶した誰かと、
ボロボロのステイル、そして彼に抱かれた無傷のインデックスがいた。

「なんだ? 遅いご帰宅じゃないか二人とも」

ステイルのその言動の途中で美琴は二人に走り寄っていた。

「大丈夫インデックス!!? ステイルさん、そんなに怪我を!!」

「いや、僕のことはいいんだ。それよりも、この子、君たちとの約束を守って魔術をまったく使わなかったんだ、褒めてあげてくれるかい?」

そういいながら、その神父は、その子を母へと返した。

「……そう、えらいね、インデックス」

「……まーま!!」

上条は、動けなかった。

(……また、あの表情だ)

上条の顔が夕日に照らされ、赤く染まった。

「おい、いい加減に話を聞いてくれ」

いつの間にかあの不良神父が横に立っている。

「……なんだよ」

「……ハァ、あの魔術師については土御門に連絡したからほっといても大丈夫だ。もう帰ってもいいよね」

「へ? あぁ、サンキュな」

「あと、もうひとつ、今の生活はどうだ?」

「そりゃ……楽しいよ。何だ急に?」

「こっちの話さ……とりあえず、もうこんなことは勘弁してくれよ」

そう言って彼は数歩進むと、ふと何かを思い出したかのように振り返る。

「そういえばそこでのびているやつは、遠隔制御霊装に攻撃を仕掛けた連中のリーダー格なんだが」

一呼吸入れ、タバコに火をつけた。

「やつはそんなこと指示していないそうだ」

「……なんだって?」

「気をつけろ。今回の件、思ったよりも根が深いかもしれない」


510 : すてーる :2014/07/17(木) 07:17:32 ZEJ0b5zw
再びその神父は振りむき、帰路に着く。
しかし、ある人物に呼び止められた。

「すてーる!!!」

3人がそちらに視線を向ける。

「すてーる!! ばーばい!!」

小さな手を一生懸命振るインデックスに
その神父は一瞬だけ微笑み、手をあげると二度と振り返ることは無かった。

上条はその背中を見て先の事を考える。
考えてみればそうだ。イギリス清教の奥の手『禁書目録』。
それの反乱を阻止するための『遠隔制御霊装』。
これらはおそらく、あのイギリス清教のトップによって組み立てられたものだ。
敵は、それに干渉することができるほどの人物。
それが簡単に捕まるわけがない。
おそらく、黒幕がいる。
すくなくとも、全盛期のフィアンマほどの力があるはずだ。
そいつがまだインデックスを狙っている可能性がある。

が、そこで思考は遮られた。
服をちょいちょいと引っ張られている。
犯人は美琴に抱かれたインデックス。

「ぱーぱ!! だうだぁだ!!」

「ふふっ インデックスが帰りたいって」

その2人の表情を見て、上条は覚悟を決めた。

「……そうだな、帰ろう。俺たちの家に」

何が起ころうと、こいつらは、オレが守る。


511 : すてーる :2014/07/17(木) 07:18:20 ZEJ0b5zw
「御苦労につき」

ローラ=スチュアートは庭で紅茶を飲みながら、霊装からの報告を聞いていた。

「きちんと約束は守ってもらってるようでありしな」

そう言って、ケーキを口に運ぶと、
美味しかったのか両手を頬に当て満面の笑みを発した。
しかし、

『なんで英語もなまってんだコイツ?』

というステイルの声にむせかえるのだった。

「ちょ、ちょっと!! これは、私のアイデンティティーで、これがないと作者も読者も私とは判断しずらくなりけしかば」

『わかったからちょっと黙ってくれ、イライラする』

「それ上司への反応じゃなきにしよ!!」

『とりあえず上条当麻は今の生活を楽しんでるそうだ』

「……それはよきにし、って誤魔化されはしざりしよ!!」

芝生の上の白い椅子の上で両手をぶんぶん振り回す様に、
トップとしての威厳は微塵も感じられないのだった。
それでも、

『ところで最大主教』

「今頃謝罪しても簡単には許してやらざりしよ!! ふーーんだ!!!」

『今回の件、どこまで関与しているんです?』

「……さーて、なんのことを言っておりしか、わからなきにけりが?』

『………………』

ステイルはいまだに彼女の手のひらの上である。


512 : すてーる :2014/07/17(木) 07:19:38 ZEJ0b5zw
おまけ!!


「歴然、酷い目に遭った」

男はぼやく。

「昭然、落ちた場所がプールだったからよかったものの、地面に落ちたら大けがでは済まなかったぞ」

プールで着衣は禁止だと怒鳴られてしまったのだった。

「昂然、私は諦めない。必ず記憶を取り戻す。そのためには「すてー!! だぅだぁだ!!」歓然!!この声はマイエンジェル!!」

しかし、声の方に顔を向けると、彼は驚き、固まってしまう。

「……色然、いつもの、御両親ではない?」

ステイルだ、と何度目になるかわからない返答をしながら、その長身の男は声につられてそちらに顔を向ける。
すると、ステイルの方がメチャクチャ驚くのだった。

「き、貴様は、アウレオルス=イザード!!」

一瞬だが、確実に時が止まった。

(しまった!!)

「あうれおるす、いざーど? 断然、それは、まさか私の名か!!?」

「クッ!!」

「整然、貴様!! 私の過去を知っているな!!」

アウレオルスがステイルをつかもうとしたその時、
インデックスもろともステイルは揺らいで消えた。

「……蜃、気楼?」

周囲にもう人影はいない。

「……茫然、逃したか」

ふつふつと怒りが心の奥底から湧き出てくる。
一瞬の邂逅だというのに、天敵に出会ったのを直感で感じた。

「……憤然、ステイルとは、やつの名か?」

しかし、何故か、あの赤髪の男が、あの少女を傷つけるとは、微塵も思わないのだった。


513 : すてーる :2014/07/17(木) 07:20:12 ZEJ0b5zw
おまけ!!

電車の中で、美鈴は夕日を見上げる。
あまりに長居しすぎた。神奈川に帰るころはもう月が出ているだろう。

正直、今日は驚いた。
母親として、この過信を危険とも思うが、
上条がいるから、とりあえずは大丈夫なのだろう。
それにしても、




『上条君と一緒に暮らしてるなんて、よかったわね!!!』

『な、なにが!! だから!! それは、その赤ちゃんのために仕方なくだからなの!!』

『わかった、わかった。で、その赤ちゃんは一体どこの誰で、どうして美琴ちゃん達が面倒みることになったの?』

美鈴は、今まで同様あたふたしながら墓穴を掘る娘を期待していたのだが、
美琴は一瞬、ピクッと動いたあとに、まっすぐにその目を美鈴に向けて言った。

『…………ごめん、いくらママでも、あの子のために、それだけは話せないの』

その真剣な表情に、美鈴の表情は固まった。




それが数時間前。

案の定空に浮かんでいる月を眺めながら、
美鈴は庭でワインを口にしながら呟いた。

「恋人も、奥さんも飛び越えて、先にお母さんになっちゃったか」

たまに、その成長を直に見れないのが悔しくなる。
久しぶりに、旦那と話をしたくなった。


514 : ・・・ :2014/07/17(木) 07:22:51 ZEJ0b5zw
以上です

やばい、遅刻する(笑)


515 : ■■■■ :2014/07/18(金) 15:45:25 ZbnGCl42
・・・さん
遅刻なさいませんでしたか?
レールガン掲載されてない時期に活きる糧をありがとうございます
残業でくっつくシリーズも是非w


516 : くまのこ :2014/07/18(金) 20:16:30 GLxi846c
>>504さんGJです!
動物も触れて上条さんとデートもできて、
ミコっちゃん完全に役得ですなw

>>・・・さんGJです!
相変わらず上条夫婦と娘さんが可愛くて和みます〜。
おまけもステキでした!



短編書きました。
毎度の事ながら、オリ設定が入ってます。
苦手な方はスルーでお願いします。
約3分後に3レスです。


517 : とある高校の体験入学【ワンデークラスメイト】 :2014/07/18(金) 20:19:22 a46RDugg
月曜日。ここは、とある高校。
第七学区にある低レベル向けの学校であり、
変則的な学校が多々ある学園都市の中で差別化を図りスタンダードを極めようとした結果、
非常に平々凡々で個性のない校風となった。

そんな特徴のない高校の、一年7組の教室で、今現在ちょっとした事件が起きている。
生徒達は、担任である小萌先生の隣に立っている『ある少女』を見てザワザワしているのだ。
その中で上条当麻ただ一人が、口をパクパクさせながら硬直していた。
小萌は教室を静かにさせる為に手を「パンパン!」と叩く。

「ほらほら、皆さんお静かにですよー?
 特に野郎共! 可愛いからって浮き足立ってちゃ駄目なのです!
 お昼までだけとは言え、このクラスのお友達になるんですからねー!?
 …それでは『御坂ちゃん』。簡単でもいいので、ご挨拶を」

『御坂ちゃん』と呼ばれた少女は、少し緊張気味に自己紹介をした。

「と、常盤台中学から来ました。御坂美琴です。
 本日は一日体験入学という形で、先輩方と共に授業を受けさせて頂きます。
 ど、どうぞよろしくお願いします」

言い終わると同時に深々と頭を下げる美琴。
瞬間「どっ!!!」と、せきを切ったように盛り上がる生徒達。
先生としては困った物だが、このクラスは良くも悪くもノリがいいらしい。
あまりのハイテンションっぷりに、美琴も「えっ!? えっ!?」と困惑するばかりだが、
やはり上条一人だけが、何か不幸な事が起きる予感がプンプンで、鬱々とするのだった。



「一日体験学習」…それは進路を決める上で重要なイベントである。
ただし学園都市はその名の通り学生達の街だ。
体験入学も外の世界よりも力を入れており、「体験入学期間」内ならば、何校でも受けられるのだ。
体験入学期間は一週間。中学生が高校への体験入学を受けられるのは、11月の中旬だ。
(園児や小学生、高校生などにも「体験入学期間」はあるが、
 それぞれの時期がカブらないように調整されている)
本来は来年受験をする生徒向けの制度ではあるが、早いうちから進路を見据える者も多く、
美琴のように二年生で受ける生徒も少なくない。
ただし生徒達は、将来自分が行きたい学校を自由に選択できる代わりに、
そのままでは体験学習を口実に、堂々と学校をサボる者も出てくるので、
体験学習を受けた生徒は分厚いレポートにまとめて提出する義務がある。
そういった理由もあり、強制でもないので、体験学習自体を受けない生徒も多かったりする。

しかし、それを差し引いても美琴がここにいるのはオカシイ、と上条は思っていた。
常盤台中学は、「義務教育終了までに世界に通じる人材を育成する」を教育方針としている。
その授業内容も、中学校でありながら大学レベルの教科書を使っているのだ。
その上この高校は、先ほど述べた通りの低レベル学校だ。
わざわざ美琴が入学して、何かメリットがあるとは思えない。
受けるとしても、長点上機学園や霧ヶ丘女学院のような、
所謂エリート校の方が意味はあるのではないだろうか。
と、そんな事を上条は考えていたのだ。
鈍感から手足が生えたような上条には、『何故』美琴がこの学校を選択したのかは理解できない。
しかし、この教室にいる上条以外の人間(小萌先生含む)は、何とな〜くその理由を察していた。
何故なら―――

「それじゃあ御坂ちゃん。お好きな所に机と椅子を置いてください」
「えっ!? す、すす、好きな所にっ!? え、えっと…その……そ、それじゃあ…」

何故なら美琴が、机と椅子を持ったまま上条の方をチラチラと見ているから。
その時、全員が思ったのだ。「ああ、また上条【あのやろう】かっ!」、と。
そして青髪はシャーペンをへし折った。芯ではなく、本体を。

「え〜っと…御坂ちゃんはもしかして、上条ちゃんとお知り合いなのです…?」
「ふぁえっ!!? ま、ままままぁ知り合いと呼べなくもない関係ではない事もないですけどもっ!?」

美琴のその態度に『ある確信』をした小萌。
小萌も上条にフラグを立てられている身なので、あまり敵に塩を送りたくはないのだが、
『その為』にわざわざ一日体験学習を受けてくれた美琴の事を思うと、

「……では上条ちゃんのお隣へどうぞ…上条ちゃん、仲良くしてあげてくださいね…? ………はぁ…」

と言うしかないのである。

上条は不幸の臭いが濃くなっているのを感じていた。


518 : とある高校の体験入学【ワンデークラスメイト】 :2014/07/18(金) 20:20:09 a46RDugg
ギクシャクとしながら、美琴は上条の机と自分の机をピッタリとくっつける。
「くっつける必要あるのか?」と上条がツッコむ前に、

「きょ、教科書とか無いからっ!!! アアア、アンタのを一緒に見るしかないからっ!!!」

と顔を真っ赤にしながら、何故か言い訳っぽく聞こえる理由を述べられた。
上条は妙な迫力に圧倒されつつも納得し、

「あ、ああ。そう言やそうだな」

と言いながら教科書を広げる。
二人でも読みやすいように、二つの机の中央に教科書を置き、
自分が読みやすいように、自身の体も中央に近づける。
だがそうすると自然と、隣に座る美琴とも近づく訳で、その瞬間美琴が、

「にゃわわわわっ!!!」

と奇声を上げた。
一気に教室中の視線が美琴に集まり、顔を更に真っ赤にして縮こまる。
そして土御門はシャーペンをへし折った。芯ではなく、本体を。

美琴は自分でこの学校を選択し、このクラスに来て、この席に着いたのに、
もうすでにいっぱいいっぱいであった。
中学を卒業すれば、この学校に進学する事はできる(と言うより、進学すると決めているが)だろう。
しかし、そうなると上条は当然、二年先輩となる訳で、同じ教室で授業する事はできない。
…上条が二年留年すれば話は別かも知れないが、それはいくら何でも、あまりにもな仮定である。
つまり上条と同じクラスで授業を受けられるのは今しか無い訳で、それだけでも舞い上がっているのに、
今こうして肩がくっつきそうな距離で一緒の教科書…
しかも普段上条が使っている教科書を読んでいるのだ。
油断すれば「にへにへ」と、だらしない笑顔を垂れ流してしまいそうになる。

そんな事をボーっと考えていたら、いつの間にか上条がルーズリーフに何かを書き込んでいた。
しかしそれは、黒板の文字を書き写している訳ではない。落書きだ。
美琴は、「こんな事してるから成績が悪くなるんじゃないのか」と呆れつつも、
上条のプライベートな一面が見られて嬉しかったりもする。
だがその落書きは、退屈な授業を紛らわす為の手遊びでは無かった。
ルーズリーフには小さく、

「で、結局ウチの高校に何しに来たんだ?」

と書かれている。明らかに美琴に対して向けられた文字だ。
どうやら上条は先程の疑問がまだ気になっているので、美琴と筆談して答えてもらうつもりらしい。
筆談にしたのは、勿論、授業中に喋ったら後々面倒な事になり兼ねないからだ。
小萌先生の機嫌を損ねたら、放課後「すけすけ見る見る」の刑に処されるかも知れないのである。

美琴は、上条とこういう学友らしいやり取りが出来る事に歓喜しつつも、
その質問内容に焦りを見せる。
「アンタと一緒の授業を受けたかったからに決まってるじゃない」などとは言えない。
だって彼女はツンデレなのだから。
むしろ「べ、別にアンタと一緒の授業を受けたかったからとか、そんなんじゃないんだからねっ!?」
なのだから。



で、結局ウチの高校に何しに来たんだ?
     ↑
別に何でだっていいでしょ!?
     ↑
いや、理由も無くこんな所に来ないだろ
     ↑
こんな所って…仮にも自分が通ってる学校に…
     ↑
そりゃいい所もたくさんあるけど、でも少なくとも美琴のレベルに合う学校じゃないのは確かだぞ?
     ↑
レベルとか関係無いわよ! 進学を考えてる高校に体験入学してみるのがそんなに悪い事!?
     ↑
えっ!? マジでウチに進学する気なのか!?
     ↑
何よ! 私が後輩になったら迷惑なの!?
     ↑
いやいやいや! そうじゃなくって、勿体無いっつってんだよ!
     ↑
私が来たいって言ってるんだから、それでいいじゃない!
     ↑
何でそこまでウチにこだわるんだ? この高校の、何をそこまで気に入ったんだよ
     ↑
何をって…だから……それは…その………
     ↑
顔がますます赤くなってますぜ
     ↑
うるさい!!! この学校の自由な校風が気に入ったのよ!!! それで満足!!?
     ↑
ああ、常盤台って規則とか厳し


519 : とある高校の体験入学【ワンデークラスメイト】 :2014/07/18(金) 20:21:05 a46RDugg
自由な校風が気に入ったという美琴の『建前』に納得した上条は、
「ああ、常盤台って規則とか厳しいもんな」と書こうとしたのだが、その時、消しゴムを落としてしまった。
消しゴムを拾おうと、反射的に床に手を伸ばす上条と美琴。
だがそのせいで、指と指が重なり合い、おでことおでこがコツンとぶつかる。
古典的【ベタすぎ】な少女マンガ的展開に美琴は、

「ひゃあああああいっ!!!!!」

と再び奇声を上げた。
そして再び教室中の視線が美琴に集まり、美琴は爆発寸前な顔を手で覆った。
そして姫神はシャーペンをへし折った。芯ではなく、本体を。

以降、美琴は授業が終わるまで、恥ずかしさのあまりずっと大人しくしていたという。



授業終了のチャイムが鳴り、美琴の体験入学も終わりを告げる。
この席を離れるのも若干名残惜しいが、こればかりは仕方が無い。
しかも椅子から立ち上がった瞬間に上条が、

「けど、何だかんだで楽しかったな」

とこちらを向いて不意打ちにニカっと笑うもんだから、胸がキュンキュンするやらドキドキするやらで、
余計に離れたくなくなるのであった。
そして吹寄はシャーペンをへし折った。芯ではなく、本体を。

「それでは御坂ちゃん、お疲れ様でした。初めての高校生活はどうでしたか?」
「あ、ああ、えと、たっ、楽しかったです!」

ふいに小萌から話を振られ、慌てて返す美琴。

「それは何よりなのですよ! 御坂ちゃんのこれからの進路に、少しでも役立ったのなら―――」
「あっ! で、でも」

締めの言葉を言いかける小萌を遮るように、美琴は伝える。
それはとても大事な報告なので、どうしても今、言わなければならないのだ。

「で、でも私、あ…明日も来ますから。…って言うか、体験入学期間中の今週いっぱいは毎日……」
「役立ったのなら我々教師としても……って…はい?」

美琴の発言に、クラス中の人間が目を丸くする。
勿論、体験入学期間中に何校も回る生徒も少なくないが、しかし、同じ学校に通う者はいない。
だって意味が無いから。
例えその学校が気に入ったとしても、通った回数だけレポートを書く回数も増える。
しかも同じような内容のレポートは当然再提出になる訳で、毎回書き方を変えなければならない。
そんな事デメリットが多すぎて、普通はしないのだ。
ましてや毎日…つまりは月曜から金曜までの五日間も通うなど、正気の沙汰ではない。
だが逆に言えば、そうまでしてでも毎日通うメリットが美琴にはあるとも言える。

美琴はチラリと上条に視線を向け、目が合うと瞬時に顔からボッと湯気を出し、
そそくさと教室を去って行った。
その様子を見た上条は、

「…よっぽど気に入ったんだな……この学校」

と呟き、クラスメイト全員が、芯ではなく本体の方のシャーペンをへし折り、
そのまま上条の処刑が始まった。
小萌先生ですら擁護してくれないこの事態に、上条は「最初から感じていた不幸な予感が的中した」と、
薄れ逝く意識の中そんな事を思っていたという。


520 : くまのこ :2014/07/18(金) 20:21:46 a46RDugg
以上です。
今回はちょっと、イチャイチャ要素が薄めだったかなー…
ではまた。


521 : ■■■■ :2014/07/18(金) 21:29:40 qyPbyHno
読んでてニヤニヤした グッジョブ!!


522 : ■■■■ :2014/07/18(金) 22:51:28 /DCEQi/2
折れたシャーペン『…解せぬ』

私もワンデークラスメートになってニヤニヤと上琴を見守りたいっす!くまのこさんのGJ!


523 : ■■■■ :2014/07/20(日) 21:54:00 LPfBDmJY
いいな!その位置
自分もクラスメートに紛れて生暖かく上琴見守りてぇ///

凄く顔がニヤけそう


524 : はりねずみ :2014/07/22(火) 00:29:40 hvm9iuYY
皆さん。お久しぶりです。覚えていらっしゃいますでしょうか?
ここ最近、皆様のレベルがさらに上がり置いていかれてる気分です。
リハビリに1レス。投下させていただきます。
在り来たりです。至極在り来たりです


525 : どこにでもある上琴事情 :2014/07/22(火) 00:30:32 6v1LoAhQ
「…………何か言う事は?」
「申し訳、ありませんでした」

床に正座させられてる上条と、そんな彼を上から睨みつける美琴。
この2人をよく知る人達ならば、こんな光景はもう在り来たりになってしまっているだろうが、現にこうなっているのだ。仕方がない。

「すぐ帰って来るって言ったわよね?そしたらデートするって言ったわよね?」
「……ごめん」

怒る美琴に、上条はただそれだけしか言えなかった。
事情は話したがそれでも3日間音信不通だったのだ。怒るのは無理もない。

「はぁ……、でも」

申し訳なくて頭を上げられない上条。反省の様子が見られると判断したのか、美琴はしゃがみ込んで、そんな彼の背中に手を廻す。そして、

「おかえり」

ただそれだけだった。
たった一言。だけどもその一言を聞いただけで上条の肩の力は一気に抜けた。

「ただいま」

自然と口が動いていた。
手も美琴の背中に廻し、抱きしめるようになっていた。

(美琴。ありがとう)

待っていてくれる人がいる。帰って来る場所がある。
だから彼は戦えるのだ。どれだけ命を懸けても、こうしていられるのだから。
だけど今は、それは彼の心の中に留めている。
言葉にして彼女に伝えることができるのはいつになるのか、それは誰にもわからない。
それでも、精一杯彼女に感謝を伝えようと、彼は思った。

「美琴、遅れちまったけど、約束だからな。デート、行こうぜ」

彼女が何と答えたのか、言うまでも無い。


526 : はりねずみ :2014/07/22(火) 00:32:00 6v1LoAhQ
以上です。夏休み中には新作上げて完結させたいです


527 : ■■■■ :2014/07/22(火) 18:27:40 5ZWi81VQ
はりねずみさんお帰り〜
ほのぼの調相変わらず美味しいですw


528 : ■■■■ :2014/07/23(水) 23:12:10 6TfE.Chg
こっち使わなかったんだね
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part26
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1381413293/


529 : ■■■■ :2014/07/23(水) 23:28:42 JS/FyM52
今更27から26戻ってもなあ


530 : ・・・ :2014/07/24(木) 06:43:01 yUyxF/U2
どうも、・・・です
長編ってやつが旬ネタだって前言いましたが、実感中です。
……いまさらちっちゃいオティヌスをどうしろってんだよ(笑)

とりあえず感想を

>>くまのこさん

その行動力をどうして直接使わないのか!!!
他の読者のみなさん、やさしいのですね。私はほほえましく眺めた後に、
シャーペンの仇打ちとしてあの男をとっちめますけどね
くまのこさんのおかげで生きていける。


>>はりねずみさん

いけないひとだなぁ、ここまで待たせますか?
理不尽だけど、待ち人来ないと辛いよね美琴さん、気持ちわかったよ。
美琴さんがもう、カミやんのただの嫁だぜ
カミやんも信念大事かもだけど、そろそろ嫁を泣かせんな


さて、
今回は『育児日記』と違います。
あっちが長い文でゆっくり変化する上琴を描いて(成功してるかは別)います。
じゃあ、できるだけ短く上琴を描写したらって作品です。(うまくいくかは別)

それでは


531 : ミジカミコト :2014/07/24(木) 06:45:38 yUyxF/U2
ホットドック

「やっぱここのは美味しいわよね」

「しかし、美琴の飯をいつも食ってる身としては、びみょーにものたりん」


マスク

「大丈夫、予防よってなんでこっち向かないの?」

(マスクに嫉妬したとか言えるか!!)



プレゼント

「プレゼント何がいいかね美琴さん」

「んー、アンタ、とか?」



サクラ

「綺麗な桜吹雪ですなーなんで急に抱きついたし?」////

桜と一緒にコイツが消えてなくなりそうで


532 : ・・・ :2014/07/24(木) 06:47:41 yUyxF/U2
以上です


533 : くまのこ :2014/07/25(金) 19:31:15 WekosqXs
>>はりねずみさんGJです!
お久しぶりです〜! 新作も楽しみにしてます!
ミコっちゃん。デートに遅れたお仕置きとして、今日は思いっきり甘えてしまえ。

>>・・・さんGJです!
なに、ナチュラルにイチャついてんですかこの二人は!
育児日記の方も待ってますぜー。



支部でリク受けたので短編書きました。
今回もオリ設定入ってますので、注意してください。
約3分後に5レスです。


534 : 海と水着とローションプレイ(健全) :2014/07/25(金) 19:34:03 WekosqXs
学園都市には海が無い。
東京都の中央三分の一を円形に占めているこの街は、海に面した学区が無く、
高い外壁で囲まれている為、外の世界へ海水浴に行く事もできない。
そんな生徒達からの不満と要望により、
今年からここ第六学区(アミューズメント施設の多い学区)にオープンしたのが、

「いや〜、やって来ましたね! 『海洋科学研究開発機構・海水遊戯体験センター』!」

なのである。
海水浴場には似つかわしくない程堅苦しい名前の通り、ここはあくまでも研究施設だ。
今まで学園都市で唯一手薄だった学問、海洋学について研究する施設なのだが、
休日はこうして、一般にも開放されている。
もっとも、その一般の人間が海水浴場で取る行動その物も、研究材料ではあるのだが、
そんなのは学園都市では『よくある事』なので、別に誰も気にしない。楽しめればそれでいいのだ。
ドーム型をした施設の性質上、天井も壁もあるので、波風や太陽光などは当然、自然の物ではないが、
学園都市の最新技術を導入している事もあり、本物の海と寸分たがわぬように再現されている。

そんな施設の長ったらしい正式名称を叫びながら砂浜へと飛び出した佐天は、
素足に伝わる砂の熱でぴょんぴょんしながら後ろにいる人物達に話しかける。

「うわっちちち…! ほらほら、御坂さん達も早く来てくださいよ〜!」
「あ、う、うん! 今行くからー!」
「そんなに慌てずとも、海は逃げませんわよ?」
「でも佐天さんが、はしゃぎたくなるのも分かりますよ。日差し眩しいですねー!」

佐天に呼ばれたのは美琴、白井、初春だ。要するに、いつものメンバーである。

「それにしても御坂さん……」

後ろを振り返り、小走りでやってきた美琴をまじまじと見つめる佐天。

「えっ、な、何? もしかして私の水着、変だったかな…?」
「いえ! めちゃくちゃ似合ってますし、可愛いですよ。
 ただ何と言いますか…その日焼け跡が………妙〜にエロいなぁ〜、と思いまして…」
「エ、エエエ、エロいって佐天さんっ!!?」

顔を真っ赤にして、慌てて両手でその日焼け跡を覆い隠そうとする美琴。
オッサンと化した佐天の言うように、その姿は妙にエロスである。
美琴は顔や手足などをこんがりと日焼けしているのだが、
ストライプのビキニの下には、ワンピース型水着(ぶっちゃけスク水)の形が、
白い素肌でくっきりと残っている。

「だだだ、だって! 昨日、身体検査があってずっとプールにいたんだもん!」

美琴の能力の代名詞でもある超電磁砲は、
その威力が高すぎるが為に、プールの水で減速させてから測定しなければならない。
なのでプールにいた事自体は納得できるが、水着で測定する必要は無い。
その事を突っ込まれた美琴は、少し恥ずかしそうに、

「き…気分で……」

と答えた。
つまり、せっかくプールにいるのだから水着の方が開放感が出ていんじゃね?、という理由らしい。
実際、リラックス状態が自分だけの現実に良い影響を与えたのか、
いつもよりも調子が良く、測定結果も、かなり満足のいく物だった。

「でも痛くはないんですか? こんなに黒くなってますし…」
「心配してくれてありがとう初春さん。確かにちょっとピリピリするのよね」
「あ、じゃあ日焼け用のローション塗りますか? あたし持ってますんで」
「ホント!? 助かるわ〜佐天さん!」
「では、この黒子がお姉様の柔肌にローションを塗りたくって差し上げますのグヘヘヘヘェ……」
「いや、自分で塗るわよ。黒子が持ってるそのローション、明らかに日焼け用に使う奴じゃないし」


535 : 海と水着とローションプレイ(健全) :2014/07/25(金) 19:34:54 WekosqXs
白井が取り出したのは、あからさまに如何わしいデザインのローションだった。
ぬるぬるする以外は特に意味の無い、バラエティ番組と『一部の大人』しか使わない代物である。
それを使い、白井が美琴に何をしようとしたのかは……まぁ、察してほしい。

「そんな事を言ってお姉様。そのお姿、もはやわたくしを誘惑しているとしか思えませんの!」
「知るかっ!!! 違うわっ!!!」

全力の拒否りである。
「だったら黒子も私と同じように日焼けさせてやろうか?」と言わんばかりにバチバチと帯電する美琴に、
白井はしぶしぶながらローションをしまう。ちょっと惜しい気もする。

「じゃあ私(佐天さんの)ローション塗るから、黒子!
 アンタ海の家からビーチパラソルでも借りてきて」
「ああ…海の家まで再現されてますのね……って、何故にわたくしがっ!?
 お姉様のお願い事とあらば、この黒子、何でも喜んでやらせて頂きますが、
 しかし今はお姉様が自らのお体をヌルヌルのヌレヌレになさるそのお姿を、
 この目に焼き付けるという大事な仕事が…!」
「だ・か・ら・よっ! 黒子が近くにいたんじゃあ、落ち着いて塗れないじゃない!」
「そ…そんな! マットプレイだけでなく、視姦する楽しみまでお奪いになるおつもりですの!?」
「はいアウトー!!! 黒子、完全にアウトー!!! つか、マットまで持参してきてたんかいっ!!!」

「信じられない」と言わんばかりの表情を作る白井に、美琴も「信じられない」である。
ともかく、このままでは身の危険なので、白井を海の家に追いやる。
一部始終を見ていた初春と佐天は「あはは…」と乾いた笑いをするのだった。

「ぜー、ぜー……ごめんね二人共」
「い、いえ。いつもの事ですから…」
「そ、そうですよ! むしろアレこそが白井さんの白井さんたる所以ですから!」
「うん…ありがと、初春さん佐天さん……全然嬉しくないけど…」

力なく溜息を吐く美琴。だが今は悠長にしている場合ではない。
白井が帰ってくる前に、ローションを塗らなければならないのだ。

「あ、じゃあ私はこれが終わってから海【そっち】に行くから、二人は先に遊んでて」
「あ、はい。ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「御坂さんも早く来てくださいねー!」

手を振りながら海へと走っていく初春と佐天。
美琴も急いで手足や首筋、胸やお腹などにローションを塗り始める。
しかしここでアクシデント発生である。

「ぐっ…! せ、背中…届かないわね……どうしよう…後ろは諦めようかしら…?」

背中がうまく塗れない。もたもたしていたら白井が帰ってくるので、諦めようとしたのだ。
だがそんな美琴に救世主である。
海の方から、誰かがこちらに近づいてくる気配がする。
海側から、という事は白井ではない。おそらく、初春か佐天のどちらかだろう。
きっとビーチボールか浮き輪か、何か忘れ物でもして取りに来たのだろう、と美琴は推測した。
白井が戻ってくるまで時間が無いという事もあり、美琴は相手の顔を見る事もなく、
そのままレジャーシートの上でうつ伏せになり、ビキニのトップスの結び目を解き、

「ごめん! 急いで背中、塗ってくんない!?」

とその相手に頼む。しかしこれが、美琴最大の失敗であった。

「へっ!!? 俺が!? ま、まぁ別にいいけどさ……」

そう返事をしてきたのは、初春でも佐天でもなく、男の声だった。
それも美琴のよく知る人物―――

「なななななな何でアンタがこんな場所にいんのよっ!!!?」

上条当麻であった。
首だけ振り向き、海パン姿の上条にドギマギするが、今はそれ所では無い。

「ああ、バイトで監視員やっててな。今は休憩中だ」

上条の監視員姿を想像し、更にドギマギするが、今はそれ所では無い。
美琴は一瞬で、ありとあらゆる予測演算を繰り返す。


536 : 海と水着とローションプレイ(健全) :2014/07/25(金) 19:35:47 WekosqXs
(これからどうしよう!?) (早くしないと黒子来ちゃうし!) (やっぱり背中は諦めるべき?)
(てかコイツがどっか行ってくれないと動くに動けない!? トップス外してんだから!)
(やだ…そう考えたら急に恥ずかしくなってきた……背中だけとは言え思いっきり見られちゃってる…)
(でも佐天さんと間違えてコイツに頼んじゃった訳よね、私) (コイツの手が私の背中を………)
(って! ななななんかエロくないそれ!!?) (……ちょっとだけなら塗って貰おうかな…?)
(はっ!!! ももももしかしたらこれきっかけで、コイツも意識してくれたりして!?)
(いや、ないないない) (コイツの鈍感さは、そんなのでどうにかなるレベルじゃなかったわ)
(てかこんな事考えてるうちに、黒子帰って来ちゃうじゃない!) (やぱり背中は諦めるべき?)

以下、エンドレスである。
しかしそんな美琴の様子を気づきもせず、また、気づいた所で気にしないであろう上条は、

「塗るのって、これでいいのか?」
「はひゃっ!!!?」

勝手に美琴の背中に、ローションを塗り始めた。確かに、『急いで』塗ってくれとは言ったが。
しかし「やっぱりいいから! 塗んなくていいからアッチ行って!!!」と叫ぶその前に、
美琴の身体は素直な反応を見せてしまっていた。

「ひんっ…! ふぁ…あ、ぁあんっ! くっ、は、ぁ……はぁ、はぁ………んんんっ!!!」
「ちょっとおおお! 変な声出さないでください美琴さん!
 何か、上条さんまで変な気分になって来ちゃうからあああああ!!!」

美琴はびくんびくんと身体を細かくはねさせながら、甘美な快楽に興じていた。
漏れ出す吐息に熱が帯びているのは、この暑さのせいではないだろう。
背中から伝わる上条の手の感触は、容赦なく美琴の敏感な部分を刺激し、
もはや自我を保っていられるのがやっとの状態となっていた。
上条は上条で、初めて触れる女の子の柔らかさに戸惑いつつも、その手は止められずにいた。
その健康的な日焼け跡と雪のように白い素肌のコントラストはとても美しく、
ローションでてらてらと光る事で、艶かしが増していた。
上条は思わずゴクリと生唾を呑み込み、己の中にある衝動を抑えられなく―――

「ってちょっと待てええええい!!!
 何で官能小説みたいになってんのっ!!? 上条さんはアレですよ! 紳士ですよ!
 け、けけけ、決して中学生に手を出すような事は致しませんのですよ!!!」

ともあれ、相手が上条だったからなのか、それとも上条のテクニック自体が凄かったのか、
美琴は色々な意味で『感じてしまい』、だらしなく涎を垂らしながら「くたぁ…」とへたる。
美琴のその表情に、上条も一瞬だけ「背中以外の部分も塗ってしまおうか」と頭を過ぎったが、
幸か不幸かその時、

「上条さーん。休憩終わりですよー」

というバイトの先輩からの一声で、我に返る。

「じゃ、じゃあな美琴! 俺、仕事に戻るから!」
「はぁ……はぁ…………あっ…ひゃい………」

上条の言葉が届いているのかいないのか、
美琴は返事にもただの喘ぎにも聞こえる声で、虚ろな目をしながら上条を見送った。



数分後、

「お姉様〜! パラソルお借りして来ましたの〜!
 海の家が思っていたより混んでおりましたので、少々時間がかかりましたが……って、おや?」

帰ってきた白井が見たのは、顔を赤くしたままポケ〜っと座り込んでいる美琴の姿だった。
ちなみに水着は、すでに結び直してある。まぁ、そりゃそうだが。

「お姉様? どうなされましたの?」

白井の問いに美琴は、

「……黒子…私ちょっとだけ…大人になっちゃったかも………」

とよく分からない返答をするのだった。


537 : 海と水着とローションプレイ(健全) :2014/07/25(金) 19:36:43 WekosqXs
「御坂さーん! そっちボール行きましたよー!」
「……はぇ? わきゃっ!!! っつ〜〜〜…!」
「あわわわわ! す、すみません!」
「あ、う、うん。平気平気。ごめんなさい佐天さん。ちょっとボーっとしてて……」

あんな事があってすぐに正気に戻れる訳もなく、美琴は海に入ってからもポケポケしており、
佐天の投げたビーチボールを顔面でキャッチする。
明らかに様子のおかしい美琴を心配しているのは、佐天だけではない。

「……白井さん。御坂さん、何かあったんですか?」
「むー…わたくしも考えてはいるのですが、原因が分かりませんの。
 海の家から戻ってきた時には、すでに、ああなられておりましたし」

白井も初春も佐天も、上条の姿を見てはいない。
監視員は上条以外にも何人もおり、しかも客も美琴達だけではないのだ。
この人ごみの中で上条と会えたのは、四人の中でも美琴ただ一人だけだったのである。
他の三人は上条と美琴が『ナニ』をしていたかなど、知る由も無かった。

(はぁ…アイツの手……温かかったな…男の人の手って、あんなに大きくてゴツゴツしてるんだ………)

思わず、思い出し赤面する美琴。やはりおかしい。
だがこの後、美琴は地に足をつけずにフワフワしていた事で、ちょっとした事故に遭う事となる。

「っ!!! お姉様! 危な―――」

白井がいち早くそれに気づき、美琴に伝えようとしたのだが、遅かった。
美琴は「えっ?」と言う間もなく、高波に飲まれてしまった。
この施設は、本物の海を再現されている。そうでなければ、海洋学の研究などできないからだ。
つまり、人間の脅威となり得る、自然災害などまでもが再現されていたのだった。
白井の空間移動で迅速に救出され、浜辺へと運び込まれた美琴だったが、

「どどどどどうしましょう!!!」
「落ち着きなよ初春! 風紀委員でしょ!? まずは救急車を呼ばないと!」
「お姉様!!! お姉様!!!! お姉様っ!!!!!」

意識が無かった。
この騒ぎを駆けつけたのは、勿論、海の監視員だ。
人ごみを掻き分けてやってきたのは……

「下がってください! 道を開けてください!」

その声に三人は、

「「上条さん!?」」
「類人猿!!?」

もの凄くビックリしていた。
しかしリアクションに対して反応する事もなく上条。
どうやら現状は把握できているらしく、即座に人命救助に取り掛かる。

海やプールの監視員は、バイトと言えども最低限の救助術を研修で学ばされている。
加えて救助は、初動の応急処置が的確になされていたかどうかで、
その人の命が助かるか否かを大きく左右する事も少なくない。
だから上条には、躊躇する暇すらもなかった。
これから自分が行う事に対して、言い訳すら出来なかったのである。
(いいのか!? 本当にやっちまってもいいのか!?)とか、
(つーか、これが俺のファーストふがふがになるのか……不幸…なのか…?)とか、
(やっべぇ! すげードキドキしてきた!)とか、
(美琴…後でもの凄く怒るんだろうなぁ……謝って許してくれればいいけど……)とか、
(唇…柔らかそうだな………って、駄目だっ! 変な事考えんな上条当麻!!!)とか、
(こうして見ると…やっぱ美琴ってすげぇ可愛いんだな)とか、
余計な事を色々考えている場合ではないのだ。

気道確保。
あご先を持ち上げるようにして頭を後ろに反らし酸素の通り道を作り、
異物が詰まっていないか口内に指を入れて確認する。
…別にいやらしいプレイではない。

胸骨圧迫。
心臓のあたりを両手で圧迫して血液の循環を促す。
…別に胸を揉んでいる訳ではない。

人工呼吸。
言わずもがな。

上条が美琴に対して、迅速に『人命救助』をした結果、
佐天は「おおう♪」と何故か面白い物を見るように笑い、
初春は「ぬっふぇっ!?」と何故か顔を赤く染め上げ、
白井は「」と何故か真っ白になって固まっていた。
美琴がこんな状態だと言うのに、三者共、中々にどうして不謹慎な態度である。


538 : 海と水着とローションプレイ(健全) :2014/07/25(金) 19:37:40 WekosqXs
「うっ…ん…? …あれ…私、どうしたんだっけ……?」

上条の処置のおかげか、美琴は後遺症もなく目が覚めた。
ちなみに上条は今、この場を初春と佐天に任せてバイトの雇い主に報告に行っており、
この場にはいない。

「いっや〜! とりあえずご無事で何よりですよ! どこか具合は悪くありませんか?」
「あ、うん。えっと…確か私………あっ、そっか。波にさらわれて…」
「そうですね〜! いやいやホント、大変でした!」

大変だったと言う割には、何故かニヤニヤしている佐天。
初春は赤面してモジモジしながら俯いているし、白井の口からは魂が出ている。
頭もはっきり動いてきて、特に体に変調も見られないので、佐天に問い質す。
この三人の様子を見れば、自分が気を失っている間に、
『気を失っている事以上の』異常事態があった事は明白だ。
若干、聞くのが怖くもあるが。

「……佐天さん…何かあったの…?」
「いやいや。実はですね―――」

佐天が美琴に先程の事を説明し終わるのと同時刻、佐天が呼んでおいた救急車が現場に到着した。
しかしその瞬間、謎の漏電【ふにゃー】が施設全体に襲い掛かり、
救急車は一台では済まない事態となってしまっていた。


539 : くまのこ :2014/07/25(金) 19:38:45 WekosqXs
以上です。
美琴の日焼け跡云々っていうのは、例のイラストにインスパイアされました。
アレ…めちゃくちゃエロいですよね……
ではまた。


540 : ■■■■ :2014/07/25(金) 21:42:47 aB.184pU
はい、ドタバタでコメディなのにエロ来たー!!!
すげぇ////
くまのこさん、もうコレ誰かに絵付けて貰ってコミック化しましょ!
いちゃエロ(微)レールガンとかれーるがんのかんじかたとかで


541 : ■■■■ :2014/07/25(金) 23:00:21 iwOpxmmw
いい!いいよ!グッジョブ!!


542 : くまのこ :2014/07/26(土) 20:04:51 E6DPkrJU
昨日の今日ですみません。また短編書きました。
今日発売の、超電磁砲10巻の話です。
なので  ネ タ バ レ  に注意してください。
約3分後に3レスです。


543 : 第69.5話  時間切れなら延長で :2014/07/26(土) 20:08:03 p93rFfSA
頭を押さえながら、上条は立ち上がった。彼の後頭部には靴の足跡がくっきりと残っており、
加害者側がかなりの力と上条への憎しみを込めた事が窺い知れる。
上条は涙目で、たった今、自分にドロップキックを食らわせた加害者を睨み付ける。

上 「って〜な、白井! 上条さん、何か悪い事いたしましたかね!?」

白 「やっかましいですの! いつまでもお姉様の白魚のようなお手に触れてんじゃありませんわよっ!」

上 「フォークダンスってそういうモンじゃなかったっけっ!!?」

七日間続いた大覇星祭も無事(?)終わり、今は後夜祭でキャンプファイヤーを囲みながら、
リア充共【カップルたち】がフォークダンスを踊っている時間だ。
大会二日目の借り物競争の時、お守りを貸してくれた佐天へのお礼として、
彼女と踊る約束をしたのだが、広場にやってきたのは『何故か』美琴だった。
美琴の殺気…のような気迫と勢いに圧されてしまい、そのままの流れで、
何気なく美琴とフォークダンスを踊ってしまっていたのだが、
「時間切れ」という理不尽でよく分からない理由により、
ダンスを中断させられたのだ。白井の、渾身のドロップキックによって。

上 「だから時間切れって何なんだよ! まだ後夜祭、終わってねーじゃん!?」

白 「んまっ! 何っっって図々しい!
   それでは貴方、終わるまでずっと踊っているおつもりでしたの!?
   後夜祭が続いている間、お姉様と身体を密着させ、指と指を絡ませ合い、見つめ合ったりして、
   キャンプファイヤーが燃え尽きる頃には二人のハートも燃え尽きるほどヒートしているとか、
   そんな事はさせませんわよ類人猿があああああああっ!!!」

上 「途中から何の話だよ!」

美 「ハハハハハハートが燃え尽きるほどとか、なな、な、何言ってんのよ黒子っ!!!
   だ、第一、燃え尽きちゃったら、それでもう関係も終わっちゃうじゃない!」

微妙に否定しきれていない美琴である。

佐 「も〜、白井さん! 邪魔しちゃ悪いじゃないですか!」

初 「まぁ…白井さんにしては我慢した方ではありますけどね」

話に割って入ってきたのは、頬をぷくーっと膨らませている佐天と、苦笑いしている初春である。

佐 「せっかくあたしがお膳立てしたのに〜…」

白 「余計な事はなさらないでくださいな!」

美 「そ、そそそうよ佐天さん! あ、あ、あんな急に…心の準備もまだだったのに……」

微妙に拒否しきれていない美琴である。
と、ここで佐天の顔を見た上条が一言。

上 「あ、そう言や結局まだお礼、出来てねーや。フォークダンスは御坂と踊っちまったし」

佐 「へ?」

美琴の気持ちやら、それを知った佐天の罠やらに気づいていない上条は、
再びその話題を持ち出す。律儀なのか、めんどくさい男なのか。
だが佐天は、このチャンスをまたもや罠へと変えるのである。


544 : 第69.5話  時間切れなら延長で :2014/07/26(土) 20:08:59 E6DPkrJU
佐 「んー…じゃあ、ケータイのアドレス交換してくれませんか?」

美 「なっ!!?」

その言葉に一番驚いていたのは美琴だった。
上条と出会って約三ヶ月。美琴が三ヶ月経っても未だ成し得ていない偉業(?)を、
佐天は出会って一週間とかからずにやり遂げようとしているのだ。

上 「アドレス? まぁ…俺は別にいいけど……
   でもフォークダンスん時も言ったけどさ、本当にそんなんでいいのか?」

佐 「お礼は後日って事で、後で何かおごって欲しい時に連絡しますから」

上 「ああ、なるほどな」

上条も納得し、両者共に携帯電話を取り出し、何事もなくアドレス交換が終わる。
しかしここで、佐天が妙な行動に出る。
なにやら自分のケータイを操作し始めたのだ。不思議に思った初春が、

初 「? 佐天さん、何をしているんですか?」

と問うと、佐天は思わず口を滑らせる。

佐 「あー…上条さんのケータイに、御坂さんのアドレスを送ってあげようかと思………あ」

うっかりと恐ろしい企てを吐いた佐天に、声を荒げたのは勿論、白井と美琴だ。

白 「なああああ!!? ちょ、いい加減になさってくださいなっ!!!
   風紀委員として、人のプライバシーを侵害なさる行為は見過ごせませんわよ!
   そんな事をしたら、またお姉様と類人猿の距離が縮まってしまうではありませんの!!!」

美 「ちょちょちょささささて、さて、佐天さん!!!? かか、かっ、勝手にそういうの困るからっ!!!
   コイツにアドレス渡したら、何されるか分かんないじゃない!!!
   そそ、それに、いつ電話がかかってくるのかも分かんないから、
   ずっとド……ドキドキしながら待たなきゃならないハメになるし!!!」

二人共、後半部分に本音がだだ漏れである。
「え〜?」とブーたれる佐天。とそこで、この場で唯一ケータイの画面を見ていた佐天が、
大覇星祭の運営委員からのメールを受信した事に気づく。

佐 「あっ! 結果発表出てますよ。やっぱ今年も長点上機学園が優勝かぁ〜…」

その言葉に、美琴、白井、初春の三人も佐天のケータイを覗き込む。

初 「でも常盤台もすごいじゃないですか」

白 「くっ…! わたくしが参加していればお姉様とペアを…
   もとい、優勝も夢ではありませんでしたのに……」

ちなみに美琴は、

美 (コイツの学校は………下の方か。どっちにしろ、常盤台【ウチ】の勝ちよね…これ………
   …………………………
   って事はっ!!! 勝負は私の勝ち!!? どどどどどどうしよう!!?)

勝負、と言うのは、大会初日に交わした約束の事だ。
ルールは二つ。
「負けた方は罰ゲームを受ける」と「勝った方は負けた方に何でも言う事を聞かせられる」だ。
つまりこの瞬間、美琴は上条に何でも言う事を聞かせられる権利を手に入れたのである。
正直、上条にやって貰いたい事など山ほどある。
が、真っ先に思いついた『それ』を、美琴は自ら、顔を真っ赤にしながら全否定する。

美 (なななななな何考えてんのよ私はっ!!!?
   そそ、そん、そん、そんな事、私達にはまだ早………じゃなくてっ!!!
   そももそそそもそも! コ、ココ、コイツと私が……………モニョモニョ…………な関係とかっ!!!
   なる訳ないじゃないのよおおおおおおお!!!!!)


545 : 第69.5話  時間切れなら延長で :2014/07/26(土) 20:10:00 E6DPkrJU
美琴がどんな事を思いついたのかは、サッパリワカラナイが、とりあえず『それ』は却下だ。
しかし、ならばどうしよう、と思ったその時、先程の佐天の行動を思い出す。

アドレス交換。

一度は素直になれない性格が災いし、否定したものの、
本当は上条のアドレスなど、欲しいに決まっている。
しかも今は上条に何でも言う事を聞かせられる立場だ。
こちらのアドレスを渡すだけでなく、上条のアドレスをゲットするのも夢ではない。

美琴はゴクリと生唾を呑み込み、三人(特に白井)に聞こえないように上条に耳打ちしようとする。
「罰ゲームとして、アンタのアドレスをよこしなさい!」、と。
しかしその時だ。美琴が目の当たりにしたのは…

吹 「あっ! こんな所にいたのね上条当麻! とっとと来なさいってメールしたでしょ!?」

上 「メール? 悪い、見てなかった。何すんの?」

吹 「大覇星祭の反省会兼打ち上げよ! 後は貴様だけなんだから!」

上 「痛ぁ!? 頭突きすんなよ!」

イラッとするほどのデカい乳を備えた女子高生。

姫 「上条君。遅いと思ったら。また知らない女の子と一緒にいる。
   一度。本当に痛い目にあった方がいいと思う」

上 「いてててて! ゴムボール投げるなよ! …てか姫神、もう体は大丈夫なのか?」

姫 「っ! そ。そうやって突然。優しい言葉を掛けてくる所が。
   上条君の良い所でもあり。悪い所でもある…」

車椅子に乗っている、巫女装束でも似合いそうな黒髪の少女。

小 「今日は先生のおごりなのですよー! 美味しい焼肉屋さんを予約しているのです!」

上 「マジで!? うわ、肉食い放題とか初…久しぶりだよ! 先生、太っ腹〜♪」

小 「上条ちゃん…女性に対して『太っ腹』は、あまり嬉しくない褒め言葉なのですよ……」

身長一三五センチの少女(?)。そして……

イ 「とうま! とうまが来ないと、いつまで経ってもお肉が食べられないんだよ!?
   私のお腹と背中がくっついたら、とうまはどう責任取ってくれるのかな!?」

上 「だぁーっ!!! だからって俺の頭に噛み付くな!
   上条さんの頭を噛んでも、インデックスさんのお腹は膨れませんですのことよ!!?」

いつも上条の周りをチョロチョロしている、ちっこいシスター。
美少女四人(実は一人だけ『少』女ではないが)に囲まれだす上条に、
さっきまでのロマンス的な空気は一気に砕け散り、美琴は拳をギュッと握り、ある決意をするのだった。

美 (………ふっ…ふふふ…! 見てなさいよアンタ!
   もっとすごい罰ゲームで、後で吠え面かかせてやるんだからっ!!!)

彼女が上条に対してどんな罰ゲームを行ったのか、それは9月30日までのお楽しみである。


546 : くまのこ :2014/07/26(土) 20:10:55 E6DPkrJU
以上です。
念の為にもう一度、

超電磁砲10巻のネタバレ

が入っています。未読の方は注意してください。
ではまた。


547 : ■■■■ :2014/07/27(日) 00:18:14 CW.VhyhI
この時期の美琴ってこんなんすか?


548 : ■■■■ :2014/07/27(日) 06:30:41 6u3ewdgU
GJ!!
この時期っつーかなんつーか


549 : ■■■■ :2014/07/27(日) 14:15:00 mO8I9HmI
>>539
例のイラストとは…?


550 : くまのこ :2014/07/27(日) 15:31:27 0YfraRL6
>>549
多分これ

ttp://livedoor.blogimg.jp/mildch/imgs/7/3/732c605c.jpg


551 : ■■■■ :2014/07/27(日) 15:33:28 0YfraRL6
ああ…間違ってコテ残しままレスしちゃった……
恥ずかしすぎる………


552 : ■■■■ :2014/07/30(水) 23:29:52 iBfY4hZI
>>550
いつもお疲れ様です。読み終わってからニヨニヨしてます


553 : くまのこ :2014/07/31(木) 21:58:56 mArd.yQ.
すんません、また短編書きました。
以前、上条さんの学校にミコっちゃんが来るって奴を書いたのですが、
それの逆バージョンが読みたいとのリクを受けたので、書いてみました。
約3分後に7レス使います。


554 : 常盤台中学で唯一の少年 :2014/07/31(木) 22:02:04 mArd.yQ.
「いらっしゃい佐天さん。もの凄くガッチガチだけど大丈夫?」
「い! いいいいえ、あのその……キ、キンチョーしてまして……」

普段は、ある意味迷惑なくらいノリが良いくせに、
いざという時に腰が引けてしまう若干内弁慶な佐天は、「来客用」と書かれた腕章をつけ、
常盤台中学の校舎へと足を踏み入れた。

「ホ、ホントにあたしなんかが入っちゃって大丈夫ですかね!? 制服とか浮いてませんか!?」
「お、落ち着いてって! 大丈夫よ。今日は他にも、外部の人が何人かいるんだから」

確かに校内には、佐天の他にも常盤台以外の制服を着た者がチラホラいる。
それぞれ別の学校から来ているらしく、着ている制服はバラバラだが、
共通して皆、佐天と同じく「来客用」の腕章をつけている。

部外者である佐天達が、
学園都市の中でも5本の指に入る名門校を堂々と闊歩しているのには理由がある。
この度、『能力向上特別対策』なるレベル0の生徒用に救済措置企画が催された。
レベル0の生徒がレベル4以上の生徒と共に能力開発を行い、自分だけの現実を広げるのが目的だ。
だがレベル0は学園都市230万人の生徒の中でも6割を占め、
それに対してレベル4以上は極端に少ない。
なので企画参加が自由な事を差し引いても、かなり高い競争率に勝たねば参加すらできなかった。
しかも佐天のパートナーとなったのは、その中でも更に希望者が多かったレベル5の一人だ。
超がつく程のお嬢様学校である事と、相手が御坂美琴である事のダブル緊張要因で、
佐天は右手と右足、左手と左足を同時に出して歩く程にガチガチになっていた。

「そ、そんなに居心地悪いかな?」
「あ、ああいや、その…御坂さんがって訳じゃないんですけど、
 やっぱり庶民にはこの空気はどうも……
 それにしても、我ながらよく御坂さんと一緒になれたと思いますよ。
 初春なんて『お嬢様学校に行けて羨ましい!』って悔しがってましたもん」
「あはは! 初春さん、レベル1だから参加できないもんね」

実は佐天のパートナーが美琴になったのは偶然ではない。
美琴の様にパートナーの希望が多かった場合、希望者の中から相手のレベル0を指名できるのだ。
希望者の写真ファイルを渡された時には、その多さからめまいさえした美琴だったが、
佐天の顔を見つけた時に即決した。
やはり知らない相手よりは、気心の知れた友人の方がいいに決まっている。
ちなみに希望者の中には男性もいたのだが、学舎の園は男子禁制なので当然却下だ。
いや、それ以前に男性と一緒に能力開発など受けたくは無い。
その相手が、『あの馬鹿』ならば話は別かも知れないが。
が、それはまず有り得ないだろう。
件の『あの馬鹿』は以前、何かしらの理由があったのだろうが、
学舎の園に忍び込み、えらい目に遭っている。
そもそも、仮に『あの馬鹿』も企画に参加していたとしても、
更に万が一、そのパートナーが何かの手違いで常盤台の生徒になっていたとしても、
入り口でまず間違いなく止めら―――

「なぁ食蜂…何だか皆さん、こちらを見ている様な気がするのですが……気のせいでせうか…?」
「ちょっと男子力が珍しいだけよぉ。
 この学校には、大覇星祭と一端覧祭でしか男の人を見ない子もいるんだしぃ」

―――れるはずなのだが、何故か『あの馬鹿』こと上条が食蜂と腕を組んで、目の前を横切った。
瞬間、美琴は声を荒げた。


555 : 常盤台中学で唯一の少年 :2014/07/31(木) 22:02:49 mArd.yQ.
「ななななな何でアンタがここにいんのよっ!!!?」

言われて上条は、声のした方を振り向く。
上条が首を曲げた方向には目を丸くしている佐天と、
驚き7割 : 怒り2割 : 喜び1割 という、非常に複雑な表情をしている美琴がいた。
何で、と聞かれたので、上条はその理由を答える。

「あぁ俺、食蜂のパートナーだから」
「ぇええ!!? よりにもよって食蜂【コイツ】の……って、そうじゃなくてっ!!!
 アア、アンタここがどこだか分かってんの!?」

何度も言うようだが、ここは男子禁制の学舎の園の中の常盤台中学だ。
周りは物珍しそうに上条を見ているだけだが、本来なら叩き出されるどころか死刑である。
周りの反応も上条がここにいる事も、どちらも異常な程に有り得ない。
すると食蜂が、くすくすと笑いながら、そのからくりのネタばらしをする。

「私の洗脳力があればぁ、
 学校全体を『常盤台に男子生徒がいてもおかしくない』って思わせる事なんて簡単なんだゾ☆」
「なっ!!?」

つまり食蜂は、常盤台の全校生徒や教師陣、そして上条までも洗脳し、
上条が常盤台にいても異常だとは思わないように操作したのだ。
では何故か。…いや、そんな事は決まっている。

「だってぇ、上条さんと授業力を受けたかったんだもぉん♡」

にへー、と美琴が見たことも無い様な幸せそうな笑顔で、上条の腕にギュッとする食蜂。
反比例して、美琴はすんごくイライラする。
だが手っ取り早く『上条が食蜂の事を好きになる』という洗脳をしなかったのは、
彼女なりの良心の表れなのだろうか。
ちなみに佐天は美琴と一緒に登校してきた外部の人間なので、洗脳はされていない。
なので美琴と同様この状況に、頭に「???」が浮かび上がる様な状態であったが、
食蜂の一言によりピンとくる。
食蜂の記憶操作で大覇星祭の騒動の記憶は書き換えられているが、
その能力や性格については美琴から話を聞かされていた。
伊達にしょっちゅうファミレスで、女子会もどきを開いている訳ではないのだ。

「しょ…食蜂〜………いつまでソイツと腕組んでんのよっ!!!」
「やっだぁ〜! 御坂さん、怖〜い! 女の嫉妬力は醜いゾ☆」
「だっ! だだだ、誰が嫉妬してるって!?
 私はただ、ソイツが他の女と腕を組んでデレデレしてんのが気に食わないだけよっ!!!」

食蜂と佐天は心の中で、「それを嫉妬(力)って言うんじゃあ…」と思ったが、敢えて口には出さない。

「アンタもアンタで! いつまで胸の感触楽しんでんのよっ!
 そんなにデカい乳が好きなんかドチクショウ!!!」

数種類の嫉妬が垣間見える美琴の言葉に、上条は「そう言われてもなぁ…」と困った顔をしながら、
組まれていない方の手…具体的には『右手』で頭をポリポリとかく。
その瞬間、小さく「パリン」と何かを破壊する様な音がして、食蜂は「あっ…」と呟く。
ご存知の通り、幻想殺しだ。
上条が右手で自分の頭に触れた事で、食蜂の能力を打ち消した。つまり洗脳が解けたのである。
「常盤台に男性がいてもおかしくない」という意識が消えた事で、
上条は急激に、この場にいる事に違和感を覚える。


556 : 常盤台中学で唯一の少年 :2014/07/31(木) 22:03:38 mArd.yQ.
「ちょおおおおおっ!!! こ、ここ、この空気、何か身に覚えがあるんですけど!?」

女子校…しかもお嬢様学校独特の雰囲気に、急激に焦りを見せる上条。
以前、土御門に騙されて枝垂桜学園の更衣室に送り込まれた事件は、上条にとってトラウマである。
その様子に、幻想殺しの事は知らないが何故か洗脳が解けたであろう事を察知した佐天は、
唐突にこんな事を言い始めた。

「あー、そう言えばあたし、食蜂さんのパートナーだったっけー!
 だからきっと上条さんは、御坂さんのパートナーなんですよ絶対!」
「さ、佐天さん!!?」
「ちょ、ちょっとあなた何、勝手力の高い事言ってる訳ぇ!? 私のパートナーは上条さもががっ!!?」

そして食蜂の口を塞ぐ佐天である。
食蜂は能力こそ凄まじいが、本人の体力や運動能力自体は平均以下だ。美琴曰く、運痴である。
逆に佐天は能力こそレベル0であるが、鉄バットで大立ち回りする程に元気(?)がある。
食蜂は、あっさりと佐天に羽交い絞めされた。上条と二人っきりになりたいからと、
いつもは周りに置いている取り巻き達を外してしまった事が、裏目に出た様だ。

「えっ…俺が美琴のパートナー? そ、そうだったっけ…?
 って、いやそうじゃなくてっ! そ、そもそもこんな所にいたら、また袋叩きに遭うんじゃ!?」
「大丈夫ですって! 上条さんもあたしと同じように、『来客用』の腕章つけてるじゃないですか!」
「い、いやでも……」
「じゃっ! そういう訳で、あたしは食蜂さんと開発受けてくるんで、
 上条さんも御坂さんと二人でヨロシクやっててください♪」
「ちょおおおおおおっ!!! さ、佐天さああああああん!!!」

あまりの急転直下な展開に、どうしていいか分からなくなる美琴。
だが食蜂も黙ってはいない。
何とかバッグからリモコンを取り出し、再び上条と、邪魔な佐天にも洗脳を施そうとする。
しかしそれを目ざとく見つけた佐天は、食蜂が取り出したリモコンを、彼女がボタンを押す前に、
「取ったどー!」と言わんばかりにブン盗り、そのまま窓の外に、

「おおーっと手が滑ったぁーっ!!!」

と言いながら豪快に投げ捨てた。下には水泳部用のプールがあり、
リモコンはそのままポチャンと音を立てて沈んでいく。リモコンを捨てられた瞬間、
食蜂は「んみぎゃーっ!?」と叫んだが、それでリモコンが元に戻る訳ではない。
そしてそのまま、佐天にずるずると引きずられて、能力開発の教室に行ってしまった。
佐天はその場から立ち去る前に、わざとらしくウインクして、美琴に何かしらの合図を送ったが、
その意味を受け取った所でどうしろと言うのか。

「え、えっと……何かよく分かんないんだけど……とりあえずこれからどうしましょうかね…?」

という上条の問いかけに、

「そんなの! こっちが聞きたいわよっ!」

と若干、半ギレで返す美琴であった。


557 : 常盤台中学で唯一の少年 :2014/07/31(木) 22:04:23 mArd.yQ.
「ふ〜ん…そんな事になってたのか……」
「た、多分…ね…」

上条は美琴から、何故自分がここにいて、今どんな状況なのかを聞いていた。
とは言っても、元々上条と一緒に開発の授業を受けようと画策していたのは食蜂なので、
美琴もあくまでも推測だが、その内容はおそらく、間違いないだろう。

「けど、食蜂は何でそこまでして俺と授業を受けたかったんだ? それに佐天の行動も謎だよな。
 わざわざあんな事までして、俺のパートナーを食蜂から美琴に変える必要ってあるのか?」
「そそそそそれに関してはっ! わ、わわ、私も全然意味ワカンナイナー!!!」

本当は上条の疑問を解決できる答えを美琴は握っているが、言える訳が無い。

「と、ととと、とにかくよ! こ……こう…なったら仕方ないし………
 わわわわ私とアンタが一緒に授業受けるしきゃにゃいんりゃひゃいかひらっ!!!?」

途中から言ってて自分の言葉にふにゃりかける美琴。
こんなチャンス滅多に無いから舞い上がっているらしい。
だが美琴の気持ちにこれっぽっちも気づいていない上条は、それをあっさりとそげぶする。

「ちょっとどっかでサボってかねえ?
 どうせ俺、幻想殺し【これ】がある限り能力なんて発現しないんだし
 本当はすぐにでも常盤台【ここ】から出たい所だけど、ほとぼり冷めるまで無理そうだしな」

「一緒に授業を受ける」、という美琴の夢は、あっさり砕け散った。
―――と、思っていたのだが。

「保健室とか開いてるかな? ちょうど目の前にあったし」
「アンタねぇ保健室って………………………」

がっくりと肩を落としながら上条の発案を否定しようとした美琴だったが、
今のこの状況を冷静に考察してみると、とんでもない答えが導き出される。
一つ。今現在、上条と美琴は二人っきりだ。
一つ。上条から、『保健室に行こう』とのお誘い。
一つ。それも、ほとぼりが冷めるまで、との事だ。
一つ。もうすぐ授業が始まるので、しばらくは邪魔が入らないだろう。
一つ。偶然なのか必然なのか、今日は保険の先生は出張で、学校にいない。
以上の五つを考えると、ベッドのある部屋で上条と長時間一緒にいる事になる。
そして更に、だ。保健室と言えば、体育倉庫と対を成す、
『二大、マンガとかでよくある学校の中でもやらしいイベントが起きやすい場所』である。
そこに気づいた美琴は思わず、

「ほ、保健室で二人っきりいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!?」

と叫んだが、上条は構わず目の前にあった保健室のドアを勝手に開けるのであった。


558 : 常盤台中学で唯一の少年 :2014/07/31(木) 22:05:09 263Pw.zY
「………俺の知ってる保健室と違う…」

ドアを開け、上条の目の前に広がったのは、
とても学校の設備施設とは思えない程の豪華な部屋だった。
ふかふかのベッドにシャンデリア。正に一般人が思い描くお金持ちの部屋、といった感じだ。
保健室と言うよりは病院の個室…いや、高級マンションの寝室といった趣である。
流石は常盤台、といった所か。

「すげーな…ベッドとかこんなにふかふかで……って、どうした美琴?
 突っ立ってないで、ここ座れば?」
「ふぁひっ!!?」

ベッドに腰掛けながら、美琴にも隣に座る様に促す上条に、美琴はもうドキドキである。
このシチュエーションはもう、この後の展開が『それ』しか想像できない。
まぁ上条の性格と、ここが学校の中であるという事実から、
想像している様な『それ』が99.99%起きない事は、美琴も分かってはいるのだが、
しかしそれでも、残りの0.01%の可能性が美琴の顔を沸騰させる。

(どどどどどうしよう!!! こんな展開になるなんて思ってなかったし、心の準備が……!
 てか何で今日よりにもよって変な下着つけて来ちゃったのよ私はああああああっ!!!!!)

そんな事を思っているとは露知らず、上条は頭に疑問符を浮かべて、

「……座んねーの? もしかして『女の子の日』で立ってる方が楽とかぎゃぶらっ!!!」

と暢気に本気なのか冗談なのか分からない事をのたまいやがったので、
思いっきりグーパンした。しかも顔に。
上条は殴られた左頬をさすりながら、たった今起きた傷害事件について直訴する。

「ちょ、何すんのさミコっちゃん!」
「ううう、うっさい!!! 人が悩んでる時に、デリカシーの無い事言うからでしょ!?」
「なに、何か悩んでる事があったの?」
「っ!!! ア、アアア、アン、アンタには関係無いわよっ!!!」

言える訳が無い。
「上条とベッドインするかも知れないから勝負下着をつけてくれば良かった」、と悩んでいた事など。

「ふーん…? まぁいいや。
 とりあえず能力開発の時間が終わるまではここで寝てる【サボってる】から、後で起こしてくれ」

現在、授業が始まり生徒達も教室に入っているので、
上条が常盤台から抜け出すには絶好の機会に思えるが、
監視カメラやその他のセキュリティは絶賛作動中なので、やはり上条一人では難しい。
それらのセキュリティは美琴がいれば何とかなるだろうが、問題は人間だ。
巡回している警備員(勿論、女性)もいる事だし、万が一にも誰かに見つかる可能性がある。
むしろ不幸体質の上条は、見つかると想定していた方が良いだろう。
以上の事を考えると、やはり登校してきた時と同様、下校する時にも食蜂の力は必要なのだ。
しかし、そういう意味で「ここで寝てる」、「後で起こしてくれ」と上条は言ったのだが、
テンパり全開の美琴はそれを、

(それってっ!!! それってつまり私にも一緒に寝ろって事おおおおおおおお!!!?)

と盛大に勘違いした。
だがここで焦ってはいけない。急いては事を仕損じるとはよく言ったものだ。
いつもここで暴走し、上条に「…何やってんの?」とツッコまれるのがパターンだ。
美琴は冷静に、上条が本当に一緒のベッドで寝て欲しいのかどうかの確認を取る。

「そ、そそ、それ、それってもも、もしかして、わわわ、私にもここにいろってこっ事かしら!!?」

半信半疑の質問だったが、上条はあっさりと、

「あー…俺はその方が嬉しいけど……でも、美琴はいいのか?」

と即答。しかも「その方が嬉しい」ときたもんだ。
美琴は頭の中が、大覇星祭と一端覧祭が同時に開催されたかの様な、お祭り騒ぎと化していた。
だが実は、上条は美琴の期待(?)している様な意味でそう答えたのではない。
上条の考えはこうだった。


559 : 常盤台中学で唯一の少年 :2014/07/31(木) 22:06:08 mArd.yQ.
(ここにって事は…美琴も保健室に?
 まぁ確かに、俺が美琴のパートナーである以上、美琴だけ授業に出るのも不自然か……
 それに必然的に、俺がサボってるのもバレちまうか。
 って事は俺の為に…? う〜ん…気ぃ使わせちまったかな……
 俺のワガママで美琴までサボらせんのも悪いし、聞いておくか)

という訳だった。
「その方が嬉しい」と言うのはサボってることがバレないという意味で、
「美琴はいいのか?」と聞いたのは「一緒にサボっても本当にいいのか?」という意味だ。
やはり上条は上条である。
しかし言葉通りの意味に捉えてしまった美琴は、

「…アン……タが…そうして……ほ…ほしいんなら………わ、わた…しはいいけ…ど………」

とボソボソと呟く。

「そっか。悪いな」
「む…むしろ…………私も…う、嬉しいって言うか……その…」

美琴が自分の指と指をつんつんしながら言うその言葉に、上条は、

(美琴も嬉しい…? あっ、美琴もサボりたかったって事か。
 言われてみりゃそうだよな。もうレベル5なんだし、開発の授業とか今更だもんな)

と勝手な解釈で納得する。やはり上条は上条である(2回目)。

「じゃあ俺ちょっと寝てるから、美琴も好きな所【ベッド】に……………へ?」
「しっ! ししし、失礼しまふっ!!! お、おおおお、おて、お手柔らかにっ(?)!!!」

上条がベッドに入り、美琴にも好きな場所でゆっくりにと促した所で、
美琴は何故か、上条と同じベッドに潜り込んできた。
美琴からすれば『合意の上』だが、上条からすれば「どういうことなの…」である。

「ちょ、み、美琴さんっ!!? こっこれは一体何のおつもりなのでせう!?
 こ、こ、こういう冗談はアレですよ!? 上条さん、よくないと思おおおおおおおっ!!?」
「でっででで、でも! してあげるのは添い寝までだからっ!!!
 そ、そそ、それ、それ以上は流石に早すぎるからあああああっ!!!」

もはや二人ともテンパりすぎて、お互いに自分の意見を一方的に言い合うだけで、
言葉のキャッチボールが出来ていない。
ちなみに、常盤台のベッドとはいえ一人用に設計されているので、
二人で横になると流石に少し狭く、密着状態になっている。上条が焦ったのもその為だ。

お互いに心臓バクバクになる上条と美琴。
しかし、不幸体質の上条にこんな幸せな時間が長く訪れる訳もなく、

「失礼いたしますわっ!!!」

と急に保健室のドアが開く。美琴は慌てて、

「にゃわわわわわあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

と奇声を発しながら、上条を掛け布団で覆い隠す。
そして自分の上半身だけ起こし、突然の乱入者の顔を見る。

「どっ! どど、ど、どうしたの婚后さんっ!!?」
「あ、あら? 御坂さんこそどうして保健室へ…? っと、そうでしたわ!」

美琴がいる事で一瞬キョトンとした婚后だったが、ここに来た理由を思い出し、我に返る。

「この御方…っを! お連れしたのですわ!」

婚后がおぶってきたのは、ふわふわした金髪をした少女だった。少女は目を回しながら、

「にゃあ………大体疲れたぁ……」

とうわ言を言っている。

「こ、この方はわたくしと能力向上特別対策をお受けになったパートナーなのですが、
 能力開発の授業中にお倒れになりまして……」
「保健室【ここ】に運んだって訳ね?
 見た所10歳ぐらいみたいだし、常盤台の授業は難しすぎたのかな」
「こっ! この子は大丈夫なのでしょうかっ!!!」
「安心して婚后さん。ちょっと気絶してるだけみたいだから、
 ベッドで寝てればすぐに良くなああああああああんん!!!?」


560 : 常盤台中学で唯一の少年 :2014/07/31(木) 22:07:03 mArd.yQ.
「安心して」、と言われても全く安心できないような雄叫びを上げる美琴。

「どどどどういたしまいたのっ!!?
 や、やはり今すぐにでも病院にお電話した方が良いのでしょうか!!?」
「だだ、大丈夫大丈夫っ! そこで寝かせてあげぉうみゃあああああ!!!?」

むしろ金髪の少女よりも、美琴の方が心配になってくる。
さて、美琴の様子がおかしいのには勿論、理由がある。
掛け布団の下…婚后からは見えない場所で、今現在、美琴の下半身には異常事態が発生していた。
ご存知の通り、その原因は上条だ。
布団から顔を出してはいないが、美琴の様子と外から聞こえてくる会話で、
上条も状況を把握しているが、この狭く息苦しい空間で全く動かずにじっとしている事は出来ず、
上条はモゾモゾと動きながら楽な体勢を探っている。
おかげ美琴の生足に、そのツンツンした髪がチクチク刺してくるわ、生暖かい息が当たるわで、
美琴は変な声を出していたのだ。

「ほ…本当に大丈夫ですか…?」
「だっ! だい、じょ……くひゅっ!? ぶっ…! わ、私は平気ぁひっ…! だから、
 早くその子おおお!!? …その子を寝かしつけてあぎゃんっ!!!」
「は…はぁ……」

美琴にそう言われたので、素直に金髪の少女を隣のベッドに寝かしつける婚后。
しかし美琴の様子がおかしいのは明らかなので、彼女をよく観察してみる。
すると美琴のベッドの足の方だけ布団がこんもりと盛り上がっている事が分かる。
しかも何だかモゾモゾ動いている。
不思議に思った婚后は、掛け布団に手をかけ、中の様子を見てみる。すると…

「あ」

と声を出したツンツン頭の殿方と目が合った。
婚后とてレベル4の能力者だ。演算能力は美琴ほどでは無いが、この状況が理解できない訳がない。
誰もいなかった保健室、ベッドの中に隠れながらモゾモゾと動く殿方、喘ぎ声を出す御坂さん…
それらの状況を分析すれば、導き出される答えは一つだけだ。
婚后は真っ赤になった顔を扇子で覆いながら一言。

「わわわわわたくし! お、おおおお、おじゃ、お邪魔でしたわね!!!」

その一言に、美琴は顔を青くしていいやら赤くしていいやら。

「ちょ、婚后さん!!? 違うから! 今あなたが考えてる様な事じゃないからっ!!!」
「なな、なに、何も仰らなくても分かっております!!!
 こっ、こ、この事は誰にも言いませんので!!!」
「分かってないから! その反応は何も分かってないからあああああ!!!」
「そっそれ、それではわたくしはこれで失礼いたしますので、
 ど…どうかその…ご……ごゆるりと『お楽しみ』をっ!!!!!」
「婚后さああああああん!!! お願い私の話を聞いてええええええ!!!!!」

美琴の説明を聞かずに、婚后はその場から脱兎の如く走り出した。



ちなみにこの後、婚后は湾内と泡浮の二人に、

「いいいいい今保健室では御坂さんと知らない殿方が秘め事をなさっているなんて
 そんな事はありませんけれどもそれとは全く関係なく保健室は立ち入り禁止ですわよ!!!!!」

と話し、美琴に約束した通り『美琴が保健室で何をしていたかは誰にも言わなかった』が、
『何故か』噂は学校中に、流星の如き速さで駆け巡った。
食蜂の洗脳で「常盤台に男子がいてもおかしくない」とは理解していても、
「保健室でフガフガしてもいい」という意識は無い。
よって今から数十分後、
上条は美琴のファン(特にいつものツインテール)から追い掛け回される羽目になる。

「お姉様に手を出したクソ野郎」というレッテルを貼られながら、今日も上条は不幸な目に遭うのだった。


561 : くまのこ :2014/07/31(木) 22:07:46 263Pw.zY
以上です。
ではまた。


562 : ■■■■ :2014/08/01(金) 21:56:44 AuaE1cgo
>>561
指つんつんの美琴かわええ
もはや策士佐天をつれてくること自体罠にかかる気まんまんであるw
婚后さん何をどう間違ったらフレメア捕まえることになるのやらw

>「ベッドで寝てればすぐに良くなああああああああんん!!!?」
確かに良くなっちゃったご様子で……もっと良くなってしまえいっそ爆発(ry


563 : ・・・ :2014/08/04(月) 06:56:32 EhtlHHMU
黄泉川との出会いうぁぁぁああああああああああああああ
フォークダンスひょぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお

どうも、漫画はコミックスで読む派の・・・です。


では、くまのこさんの作品の感想をば

>>539
いや、エロいですよね
上条さんはもうイロイロと責任を取るべきだと思うの。
ドジっこくまのこさんかわいいGJ!!

>>546
公式でもさてんはさてんなんだよ。公式が追いついた(笑)
まさかまたちょっとの間会えなくなるとは思わなかったなー
……ほんとこの二人のスケジュール半端ないな

>>561
どいつもこいつもかわいいなぁ、ほんと
さっきまでガチガチだったくせに、佐天、あんたすごいよ
ウソをつけないのは美点だよ、婚后さん。


そして遅くなりまして申し訳ない。
『育児日記』の続きです。

それでは


564 : ごっつんこ :2014/08/04(月) 06:58:05 EhtlHHMU
「いっぱい来てんなー」

上条達の目の前にはがきの山があった。

「……なんで外国の人たちが暑中お見舞いとか知ってるのよ。ってインデックスそれ食べちゃダメ!!」

「あぶー、ぺっ!!」

「なんか、オレの知り合いの間でブームなんだとさ。だからほぼ同時に届いたわけ」

発信源は神裂らしい。
住所は土御門がばらしたようだ

「これは、ロベルト大統領、こっちは元ローマ法王マタイさん。
クランツ君にエリザード女王達、イギリス清教のトップ。親船統括理事に貝積統括理事長代行。
……フィアンマやバードウェイってこういうの出して大丈夫なの? 居場所わかって平気なの?」

「……アンタの知り合いの規模がおかしすぎるんだけど」

「ぶー、ぺっ」

「食べちゃダメだってば、インデックス。えーっと、それは親、こっちは土御門、小萌先生に青髪、吹寄に姫神か。お隣さんがそれぞれ1枚ずつ」

「急に普通になったわね」

「あう!! あい!!」

「おーありがとな。えー、神裂、オルソラ、シェリー、風斬、五和、おっ、トールについてったオティヌスからも来てら!!」

「……」ピキッ

「う? まーま?」

「妹達もアニェーゼたちも気を利かせて1枚にまとめてくれたか。御坂ママ。
 オリアナ、レッサー、雲川姉妹、サンドリヨンやフレイヤからも来て……!!?」

上条は崩れ落ちる。
後ろに立っていたのは上条に振り下ろした拳に未だ電気をまとっている雷神様だった。

「……わたし、買い物行ってくるから、アンタはインデックス見ててね。行ってきます」

「まーま!! いてーたい!!」

「……お、オレが、何をしたって、いうんだ……ふ、不幸だ」


565 : ごっつんこ :2014/08/04(月) 06:58:57 EhtlHHMU
『ごっつんこ』



「ざまーみろですの」

「白井さん、いい笑顔ですね」

晴天の下、いつもの公園にて買い物帰り後輩に絡まれた美琴さんの図。

「白井さんの鼻ってすごいね初春」

「当然ですの、半径500m以内ならお姉さまを確実に見つけられます」

(親友がキメ顔でこんなこと言ってきた時の対応を誰か教えて)

「で、スーパーなんかで買い物してたんですね」

「……え? あ、うん、アイツが特売つかえだとか、無駄遣い禁止とかうるさくて」

以前、結構おおきなケンカに発展したのだった。
結局インデックスが泣いたことでお開きになっている。
2人ともけっこうわたわたした。

「……御坂さん」

「なに? 佐天さん」

「そろそろ上条さんを名前で呼びましょう」

「……へ?」

「……今までの会話の流れをそこまで無視できるなんて、流石佐天さんです」

「いつまで上条さんを『アンタ』って呼んでるんですか!!」

もう同棲して1週間ですよ!! と叫ぶ困った後輩にたじたじな美琴さんの図。
同棲ではなく同居ですの!! という意見はスルーされる。

「あ、アイツだってビリビリって呼ぶから、し、仕返「おーい、御坂〜」しなだけd……」

目の前の階段の下でご本人登場。

「な、なんで……」

「まーま!!あーいー!!」

「あーやっぱり買ってないか。洗濯用の洗剤切れててさ、御坂携帯持ってってないだろ?」

固まる美琴に階段を上って近づいた上条はスーパーの袋を覗いてため息をつくのだった。
「ビリビリなんて呼んでないじゃないですか〜♪」と耳元で話す後輩、すべて無視して「こんにちは、インちゃん」と上条に抱えられたインデックスに挨拶する後輩。後ろですっごい殺気を放つ後輩に、

(わたし、友達に恵まれてないかも)

と、美琴はちょっと本気で思うのだった。


566 : ごっつんこ :2014/08/04(月) 06:59:38 3DMCV6qQ
「っつーことでオレは今からスーパーに行くけど、お前はどうする?」

「……そうね、わたしも行こうかな」

そんなことを許すはずのない人物が1人いる。
いつものあれだ

「そ〜〜〜〜〜〜んなこと許しませんのーーーー!!!!」

すこしくらいセリフに工夫がほしかったが、まあいいや。
ここで面倒なことになった。
上条に向けドロップキック体勢に入っていた白井を
とっさに押さえようとした佐天。
しかし中途半端だったせいで、白井の着地点は御坂美琴の背中と相成った。

「「へ?」」

上条と美琴は一瞬あっけにとられた後に、顔をひきつらせる。
なんたって美琴が上条の胸に飛び込むことになったのだ。
それだけならまだしも、上条の後ろは
階段である。

「あう?」

インデックスやスーパーの袋が宙を舞い、
少しだけ時間がゆっくりになったと思った瞬間

白井はスーパーの袋を、佐天は袋から出たキャベツを、初春はインデックスをキャッチしながら、

「「ぎゃああああああああああああああああ」」

という叫び声と、ものすごい落下音を聞いた。
落下の音を聞いた瞬間目をつぶった3人は一瞬思考を放棄した後に
ドタバタと階段を駆け降りる。

「まさか!! 唇が重なっちゃったり、中身が入れ替わったりしてます!!?」

「佐天さん!! そんな事はさせませんの!!」

「じゃ、じゃあ!! 性格が入れ替わったりとかですかね!!?」

「あの二人なら恋愛感情だけとかもありえますわね!!」

「だーきゃい!!」

「とりあえずくんずほぐれつはしてると思いますので、まずは鉄矢を準備せねば!!」

初春に抱かれたインデックスは楽しそうにきゃっきゃ言っている
口ではバカなこといいながらも心配そうに駆けつける3人。
っていうか、普通に怪我しただけという展開は上条と美琴では無理があるらしい。

とりあえず、3人が階段を降りたときには、美琴が起き上がっていた。
しかし、なにかがおかしい。

「いたた……す、すみません、大丈夫ですか?」

「ええ、どこも、痛みはありませんよ」

「よかった……守ってもらったようで、ありがとうございます」

「いえいえ、どうってことないですよ」

「……あの、お礼をしたいのですが、まずお名前を教えていただけませんか?」

「お礼なんて……あれ? え、えーっと、わ、私ってば誰でせう?」

「え? まさか、記憶喪失!!?」

「い、いやぁ……そ、そうだ、まずそちらから名前を教えてくれませんか?」

「え、あ、はい。わたしの名前は……名前は……あれ?」

「ま、まさか……」

「あ、あはははは……」

ここに駆け付けた3人も、当の2人も固まった。
とりあえずインデックスは、数回瞬きしたまま頭に?を浮かべるのだった。


567 : ・・・ :2014/08/04(月) 07:01:49 EhtlHHMU
以上です。

正直、長編の1こまにするには
ちょっと惜しいお代だったなーと思ってます。

と、いうことで、だれかダブル記憶喪失でなんか書きませんか―


568 : くるま :2014/08/06(水) 21:24:09 tvE/ROr6
初めてです
ひとまず書き込めるかのテストさせてもらいます


569 : くるま :2014/08/06(水) 21:26:45 ZiIY3RhI
美琴「あっ」

食蜂「あっ……」

美琴「……はぁ」

食蜂「ちょっとぉ、なんでここでため息を付くのかしらぁ?」

美琴「ファンシーショップでアンタと会うなんて思ってなかったからよ。しかも、いつもの取り巻きはどうしたわけ?」

食蜂「私だって一人で外出くらいするわよぉ。まったく、御坂さんってば見た目はあの子と似てるくせに性格悪〜い」

美琴「はぁ!? 性格の悪さならあんたの方が上よ。もしくはドッコイドッコイよ!」

食蜂「いっそのこと御坂さんを暗殺してドリーと入れ替える? いや、ドリーは御坂さんに似せて作られたわけじゃない……入れ替えが成功するほど御坂さん《オリジナル》には似てないし無理ね」

美琴「(何か物騒な事いってるー!? よくわかんないけど逃げよう)」

美琴「あー、そのさっきはへんなこと言って悪かったわね。それじゃ――」

食蜂「待つんだゾ☆」

美琴「」スタスタ

食蜂「待つんだぞ☆」

美琴「」スタスタ

食蜂「ま、待ってください……」

美琴「……何か用?」

食蜂「まぁ、用ってほどじゃ――」

美琴「あっそ」スタスタ

食蜂「ちょっ、待ちなさいよぉ!」

――

美琴「――で、あんたは派閥の子(縦ロール)の誕生日プレゼントとしてゲコ太グッズを探していた……と?」

食蜂「まぁ、そういうことねぇ。でも何がいいのかわかんなくてぇ、ほら、御坂さんこういう子供っぽいの好きでしょぉ?」

美琴「(あの子はゲコラー仲間だけど、食蜂がなにもたくらんでないとは思えない)……お得意の能力つかえば?」

食蜂「ひっど〜い、“トモダチ”にそんな事出来ないんだゾ」

美琴「よーし、ちょっと待ってね。知り合いに洗脳とける奴いるからそいつに頼んで片っ端から洗脳を解いて―――」

食蜂「わー! わー! ちょっと何早まってるのよぉ、そんなことしたら私がどうなるか位想像できないわけぇ?」ガクガク

美琴「えーと……(本気でびびってる!?)」

美琴「あのさ」

食蜂「な、何かしら?」

美琴「『そういうこと』してるんなら余計手を出したくなるんだけど」ビリッ

食蜂「……あらぁ、でもぉ〜御坂さんは優しいから一般人を洗脳《こういうこと》したら手も足も出ないんじゃない!?」カチッ

美琴「」

食蜂「あれ? リモコンが反応しない……電池切れ?」カチッカチッ

美琴「どうしたの?」

食蜂「あ、ちょっと待って」

―10分後―

食蜂「電池交換終了! 今度こそ……っ!」カチッ

食蜂「あれぇ〜?」カチカチ

美琴「……ねぇ、食蜂。私の能力は何でしょーか?」

食蜂「何よぉ突然。えーと、電撃使い? それとも超電磁砲の方?」

美琴「電撃使いの方でいいわ。さて、電撃使いの私は1メートル離れたリモコンをはたしてどうすることが出来るでしょうか?」

食蜂「……簡単に壊せるわねぇ」

美琴「リモコンを使わないでもあんたが強力な精神系能力者なのは知ってる。でもね、スペックの高さ故にリモコンを使わないと安定した制御が出来ないのも知ってる」

食蜂「そ、それが何かぁ? リモコンなんか無くたって……」

美琴「大覇星祭1日目」ボソッ

食蜂「――っ!!」ビクッ

美琴「アンタはリモコンを奪われてなにやら“随分な”結果だったみたいね。後で調べたわ」

食蜂「」プルプル

美琴「外装大脳《エクステリア》を使用した広範囲洗脳……」

食蜂「えっと……」

美琴「この二つの点から」

食蜂「みさ、御坂さん?」ガタガタ

美琴「アンタはリモコンを使えなきゃ『安定した制御』が出来ないのではなく」

食蜂「か、顔が恐いぞ〜☆なんて……」ガタガタ

美琴「リモコンが無きゃ『能力自体を制御』が出来ないんでしょ?」

食蜂「なぁ〜んのことかしら」ダラダラ

美琴「その辺はまぁ、お得意の洗脳で誤魔化したのかしら?」ニコッ

食蜂「」チーン

美琴「何か……言うことはある?」

食蜂「無いんだゾ(棒)」

―――


570 : くるま :2014/08/06(水) 21:27:31 tvE/ROr6
美琴「ったく、変に脅したり嫌がらせしなきゃ普通に手伝うわよ」

食蜂「……グス」

美琴「あ〜、もう。で、あの子へのプレゼント、決まったの?」

食蜂「解らないから御坂さんに頼ったんじゃない!」

美琴「(ガチで泣きかけてる……っ)」

食蜂「一応ね、頭の中はのぞいたの。」

美琴「はぁ、褒められた行為じゃないわね、まったく。……で、どうだったの?」

食蜂「さっきもいったでしょ、解らなかったのよ」

美琴「あの子防壁系の能力者かなにか?」

食蜂「違うわよぉ。なんていうの、ゲコ太ワールドっていうのかしらぁ?」

美琴「?」

食蜂「ディープすぎて……私には理解できなかったわぁ」

美琴「……そ、っか」

食蜂「……なんか、ごめ」

美琴「その先は言わないで!」

食蜂「あ。うん。」


―20分後―

食蜂「こ、コレでどう!?」

美琴「そうねぇ、これなら喜ぶかも」

食蜂「本当? ……あの子喜ぶ?」

美琴「えぇ、きっと」

食蜂「(や、やっと終わったんだゾ)」ツー

美琴「んじゃー、コレは私からね」

食蜂「あらぁ、わざわざありがとう――って、何で二つ?」

美琴「一つはアンタの。いいでしょ、あの子とおそろいよ」

食蜂「コレはまさしく女子力……天地がひっくり返るほどの驚きだわぁ」ワォ

美琴「ぐぬぬ……言いたいことはあるけど今回は黙っておくわ。その代わり」

食蜂「その代わり?」

美琴「これからお茶しない!? ゲコ太の素晴らしさをたぁーーーっぷり教えてあげる!」

食蜂「すみません、勘弁してください」

――

美琴「―――ってなことがこの前あったのよ」

上条「なっがい回想だな、オイ!」

美琴「でも、コレで私の気持ちわかってくれた?」

上条「俺の他にあのカエルの話を聞いてくれない……と?」

美琴「カエルじゃない! カエルじゃない!」

上条「わわっ、わかったから落ち着け」

美琴「あの食蜂によ! あの食蜂が謝ってまで回避したがったのよ!?」

上条「気持ちはわかる」

美琴「そんなにゲコ太には魅力が無いの……?」

上条「だってあれ、子供向けだし」

美琴「うぅっ……縦ロールちゃんとはなかなか話せないし、唯一話を聞いてくれるあんたは未だにゲコ太を帰る呼ばわり」

上条「俺帰るぞ。わざわざファミレスまで来てやってんのにお前って奴は……」

美琴「えっ……帰っちゃうの?」グスッ

上条「えっ? ちょ、御坂さん!?」

美琴「ヒグ……エッグ……そう、だよね。グスッ……興味の無い話を毎日聞かされるのは……グス……退屈だよね」

上条「ちょっ!? マジ泣きは勘弁してくれ(ほぼ毎日ヒゲカエルについて熱弁するのにも勘弁してほしいけど)」

美琴「びえ〜ん」

上条「あー、もう。聞くから! 聞くから泣くな!」ギュッ

美琴「ふぇっ?」

上条「話なら聞いてやるから、お前の気持ちちゃんと聞いてやるから。……な?」

美琴「(私の気持ち)……うん」ギュッ

上条「ほら、話せ」

美琴「離さない」ギュゥッ

上条「えぇ!? (まだ復活しきってないのか?)あ、じゃあせめてそろそろ離してくれませんでせうか?」

美琴「……わかった、話す」ギュゥゥ

上条「(ぜんぜん離れてませんけど!? つーか、すこし痛い。主に背骨と視線が!)」

美琴「(私の気持ち……)」

上条「ん、どうし――」

美琴「――好き」

上条「……へ?」


―少し離れた席―

佐天「はわわわ」

初春「はわわわわ」

佐天「た、確かに「自分の趣味を知ってもらうことは恋愛をする上で重要」とはいったけど……」

初春「ここ一週間、私達の不用意なアドバイス《それ》のせいでむしろ嫌われたかもと思ってましたけど……」

佐天・初春「「急に進展したぁぁああ!?」」


―数日後―

美琴「そんなわけで、あいつと付き合うことになったわ」

食蜂「ドチクショウ!」ガンッ

縦ロール「(地団太を踏む女王……新鮮ですわ)」

おわり


571 : 我道&くまのこ :2014/08/06(水) 22:35:35 2h91rSYg
>>・・・さんGJです!
おお…まさかの展開! この後佐天さんが、
二人にあることないこと色々吹き込むんじゃないかって期待してますw

>>くるまさんGJです!
踏んだり蹴ったりな食蜂さん、可哀想カワイイw
佐天さん等がいる席に、もし黒子も同席してたら大惨事になってる所でしたねw



どうも、くまのこです。
毎度お馴染み、我道さんとの合作、こぼれ話の続きができました〜
約3分後に8レスです。


572 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:38:36 2h91rSYg
美琴「あれ? 黒子だけ? アイツとあの人は?」
白井「存じ上げませんわ。わたくしが来たときには誰もまだ戻っておりませんでしたし」
美琴「ま、いっか。まだちょっと時間あるし」
白井「あら? 本当によろしいですの? もしかしたらあの殿方とあの女性があげなことやそげなことを、階段や廊下の物陰、お手洗いで行為に及んでいるのかもしれませんわよ〜?」
美琴「ん? あーないない。あの女の人のことはよく知らないけど、アイツに全然興味なさそうだったもん」
白井(……なるほど。今回、お姉様が落ち着き払っているのはわたくしとあの女性が類人猿に興味ないからですかそうですか……しかもそれが分かるお姉様……何か腹立たしいですわね……)
美琴「黒子? どうしたの? 何だか口惜しいって顔してるけど」
白井「い、いえいえ。何でもございませんわ。おや? どうやら戻ってきたみたいですわね」
吹寄「ほら! さっさと運びなさい上条当麻! もう二人とも待ってるわよ!」
上条「吹寄さんも持とうよ! ジュース4本って両手に持ち切れないから抱えることになるんで二の腕とか胸とか冷たくなるんですよ!」
吹寄「馬鹿言ってんじゃないの! お金はあたしが出したんだから上条が持っていくのは当たり前でしょ!」
美琴「え? 差し入れ?」
吹寄「あ、お待たせ。どうぞ一人一本だけど。あたしたちは高校生だし、いくら常盤台でも二人は中学生なんだからこれくらい当然よ」
美琴「ありがとうございます(ほへー。随分気の利く人みたい)」
白井「ありがとうございますの(『脳を活性化させる12の栄養素が入った能力上昇スポーツドリンク』…ジュースの趣味はあまりよろしくないようですけれども……)」
上条「さて、吹寄さん。簡単でいいから改めて自己紹介お願いできる? 今回、初登場だし」
吹寄「え? そうなの? ま、まあいいけど。えっと、あたしの名前は吹寄整理。以前、大覇星祭運営委員やって、不本意にも上条当麻とはクラスメイトなの。で、クラスのまとめ役でもあるわ。ここにいる上条当麻を始め、いつも馬鹿やる三人組を戒める役割と言い換えてもいいわね」
上条(あと、色気が無い巨乳で、何かと俺を目の敵にしている『対カミジョー属性完全ガードの女』と評されている健康グッズ大好きの女の子と言ったら殺されるだろうな)
吹寄「…今、色気が無い巨乳で、何かと俺を目の敵にしている『対カミジョー属性完全ガードの女』と評されている健康グッズ大好きの女の子とか思わなかった?」
上条「!!!!!!!!!!?! そそそそそそそそんなこと微塵も覆ってませんよ吹寄さん! だから、その睨むだけで人を殺せそうなジト目を向けるのはやめてください! 怖いから!!」
美琴「あー何だろう? いいコンビみたいだけどそれでも和むわー」
白井(な、なんですの! お姉様のそのほんわかした笑顔は……!! く……『対カミジョー属性完全ガードの女』は伊達ではございませんのね! 今回は腐れ類人猿に宛がえそうな相手ではない、そういうことですのね……!!」


573 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:39:22 2h91rSYg
 何故ならば、運営委員の吹寄整理が服を脱いでいたからだ。
 ――――吹寄整理は、下着一枚の格好だった。本当に一枚で、ブラすらない。


上条「……っ! 最初からクライマックス!? って、はっ!!」
 がすがすがすがすと白井黒子の金串によって上条当麻は壁に磔にされる。
白井「おっ姉様〜〜〜♪ 思う存分やっちゃってくださいな♪」
美琴「ありがとう黒子。アイツの動きを止めてくれたことは心から感謝するわ」
上条「ちょ、ちょっと待てお前ら! 動き早過ぎるだろ!? 逃げる時間とは言わないけど、せめて言い訳するくらいの時間はくれよ!!」
吹寄「それって辞世の句って言わない?」
上条「ふ、吹寄さん!? クラスメイトがピンチなのよ!? ここは助けてくれても罰は当たんないと思うな!? だって吹寄さんはこれを事故だって知ってるんだからさ!!」
吹寄「そうね。確かに事故だったわ。でもあたしが着替えなくちゃいけなくなった原因を作ったのも上条当麻だったわよね?」
上条「――――っ!! 前回、吹寄さんがホースで透け濡れアクシデントはスル―されたのに蒸し返された!?」
美琴「ほっほ〜う……という事は情状酌量の余地なしね……」
上条「みみみみみみみみ御坂さん! 落ち着こう! 話せば分かる!!」
美琴「ふっふっふっふっふっふ。大丈夫よ安心して。私も殺人者にはなりたくないから『電圧は押さえて』あげるから……」
上条「それを大丈夫とは言わねええええええええええええええええええ!!」


「あたしがメモを片手に通販番組を観たり、ベッドの上でゴロゴロしながら通販雑誌をめくっているのが何か悪い訳!?」


上条「……何でそんなに通販好きなんだよ。実際は買ってもそんなに使わないくせに」
吹寄「き、貴様に迷惑かけれる訳じゃないでしょ!? それに…ああいうのって宣伝文句がうまいから……あっ、あとほら! 今の月9の検事もよく買ってるでしょ!?」
上条「だからってちゃんと考えろよ。つか、理由になってねーよ。倹約家な上条さんからしたら、考えられませんですよ全く」
吹寄「貴様はただのケチだ」
白井「それ以前にただの貧乏ですの」
上条「ふっ……そうとも言うがな」
美琴「否定しないんだ……」
吹寄「けどちゃんと効果のある物も多いのよ。例えば塗ると体が火照って発刊作用のあるクリームとかね。…まぁ、火照りすぎて若干いやらしい気持ちにもなるのが玉にキズだけど」
白井「っ!!?」
吹寄「あと、飲むと成長促進に役立つ薬なんてのもあるわ。…まぁ、あたしの場合それが全部胸にいっちゃった訳だけど」
美琴「っ!!?」
上条(白井と御坂の目の色が変わった気がするけど…きっと気のせいだろう)


 御坂美琴は街を走っていた。
 ―――― 一般来場者の立ち入りを制限せず――――むしろ彼らの存在が必須である唯一の競技。
 借り物競走である。


美琴「この競技って私よりも黒子の方が絶対に向いてるわよね。大覇星祭の借り物競走って競技場の外に出ていくマラソンを複雑化させたようなルールなんだし、移動の能力者が最大限に力を発揮できるもん」
白井「お姉様にそう言っていただけるのは光栄の極みというものですわ。ですが、この時の私は車椅子でしたし、仕方ないのではないかと」
吹寄「車椅子? まさかと思うけど上条当麻……?」
上条「どうしてそこで俺が疑われなくちゃならんのか小一時間ほど問い詰めたい。ちなみに俺、関係してたんだっけ?」
美琴「中心ではないけど、関わってはいたわね」
白井「うぅ……白井黒子一生の不覚……あの類人猿に抱かれたことなど記憶の奥底に封じ込めて、未来永劫思い出したくありませんでしたのに……」
上条「ああ。あの倒壊ビルのやつか。って、おい。いちおー俺は白井を助けた側だよなぁっあがっ!!」
吹寄「やはりか上条当麻。きさま、このような中学生にまで手を出すとは心底心根が腐っているわね」
上条「意味が違うんだよ吹寄サン! 俺はこの時、白井を助けたんだからね!!」
美琴(は、早い! 今のアイツの後頭部をはたいた右フック、まるで見えなかったし!! つっても嫉妬からくるツッコミでもなかったから、ま、いっか)


574 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:40:03 2h91rSYg
 彼女は手の中にある紙切れをもう一度開く。
 そこに書かれた、物品の名前を確かめる。
(また面倒なものを引き当てちゃったわね。……っと!!)


吹寄「基本、借り物競走に書かれているモノって受け狙いの所為か、面白いものが多いわよ」
上条「あとから俺も出てくるだろうけど、俺のはちょっとありきたりだったな。つっても『学園都市』だから、アレを持っている人ってそういないんで思ったより苦労したが。ところでこれってやっぱり運営委員が作ってんの?」
吹寄「そ。だから物品名はバラエティに富むの」
白井「聞いたところによりますと、健康グッズもあったとのことですわ」
美琴「学生がほとんどの学園都市で、しかも『運営委員』という学生が作っているのに何で?」
上条「………………吹寄さん?」
吹寄「あたしには上条当麻が何を言っているのか分からないわ」
上条「………………だったら、俺の目を見て話せよな?」
美琴「どうしたの?」
上条「ん? いや何、その健康グッズを書いた運営委員が誰かって話をぉおごっ!!」
吹寄「上条当麻。頬に蚊が止まっていたわよ」
上条「てめえ! 今、グーで殴ったろ! 何で蚊でグーなんだよ! せめてパーだろ!?」
美琴「……結果は変わんないような気がするんだけど? 『頬』なんだからさ」


 ――――右から高速で飛び出してきた御坂美琴が、上条の首の後ろを掴んで勢いよく左へと消えていったのだから。
「おっしゃーっ! つっかまえたわよ私の勝利条件! わははははーっ!!」
「ちょ、待……苦じィ! ひ、一言ぐらい説明とかあっても……ッ!!」


上条「相変わらず強引だよなお前って」
美琴「仕方ないじゃない。勝負事なんて勝ってナンボなんだから、なりふり構ってらんないわよ」
白井「とは言え、片手で後ろ襟首を掴んで全速力で走れるお姉様の腕力と脚力は普通じゃありませんの」
吹寄「さすがはレベル5ってことかしら」
上条「いや……御坂のレベル5は電撃使いとしてであって、肉体強化の能力じゃないから……」
美琴「真面目な話をするなら、磁力を使って加速してるんだけどね。リニアモーターカーの原理よ」
上条「……『俺』を掴んでて? 俺がくっ付いてると右手が能力を打ち消すはずなんだが?」
美琴「……」
白井「お姉様? 何故目を逸らしておりますの?」


「……(上条当麻。一応、『借り物』の指定は間違っていないみたいだけど、よっぽど女の子と縁があるようね貴様は!)」
「……(その声は……、うわっ! 吹寄サン!?)」
「……(先ほどは大変申し訳ございませんでしたわたくし上条当麻の不注意によってよもやアナタサマの着替えを覗いてしまうとは)」
「……(こちらは忘れようと努めているのだから蒸し返さないでよ上条当麻!)」


美琴「アンタ、本当にわざとじゃないの? いったい何人の女の子の着替えシーンに飛び込んでるわけ?」
上条「めめめめめめ滅相もございません! 本当に単なる偶然なのでございます! ですからそのバッチンバッチン言わせてるものをしまってください御坂様!!」
吹寄「ほほぅ? 上条当麻、やはり貴様には制裁が必要のようね。それとも補導の方が適切かしら? ここに風紀委員もいるしちょうどいいわよ」
白井「ですわよねー。わたくしが知っている限りでもこれで、わたくしとこちらの方になるわけですから」
美琴「……」
上条「みみみみみみみみ御坂さん!? 何やら雷撃が高速で螺旋の渦を巻いてますよ!? なんだか髪が金色になって逆立ちそうな雰囲気なのですが!?」
白井「今ならお姉様が超電磁砲レベル6を制御できるかもしれませんの」


「ルールには第三者の了承を得て連れて来るように、とあるようだが目の錯覚ですか?」
「あーあー錯覚錯覚。 っつか事後承諾が駄目とは一言も書いてないじゃない」


上条「どんな理屈だよ! じゃあお前は『いただきます』って言ってから食べるんじゃなくて、食べ終わってから『いただきました』って言うのか!?」
美琴「言わないわよ。大体、食べ終わったら『ごちそうさま』でしょ?」
上条「そういう事聞いてんじゃないのは分かってるよね!!?」
白井「運営委員側の意見を聞きたいところですわね。ルール的にはどうですの?」
吹寄「そうね…あまり良くはないけれど、対象が上条当麻なら何も問題ないわ」
白井「だ、そうですの。ちなみに風紀委員的にも同意見ですわ」
美琴「ほらみなさい」
上条「理不尽すぎやしませんかっ!!? 終いにゃ泣くぞこんちくしょう!!!」


575 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:40:45 2h91rSYg
 美琴は自分の体を覆っていたスポーツタオルを上条の頭に被せた。その上から両手を使ってわしゃわしゃわしゃー、と顔の汗を拭っていく。子供が濡れた髪を拭いてもらうような仕草に似ていて、上条はやや屈辱的だったが、結構強引な力加減なので振り払えない。バタバタと両手を振る仕草が余計に子供臭く思えてきたので、上条はもう黙って身を任せることにした。


白井「きしゃーっ!!」
上条「って、おい! 何かいきなり白井が臨戦態勢なんですけど!?」
白井「うぉのれぇい! この腐れ類人猿が!! お姉様の清らかでほのかに甘い香りを放つ汗が染み込んだタオルで己の汗を拭う蛮行に及びますとは、わたくしにケンカを売っていると判断してよろしくて!!」
上条「ちょっと待て! 別に俺が拭いてるわけじゃなくて御坂がやってんだろ!? 何で俺の所為なの!?」
白井「どやかましいですの!! そもそも途中から貴様はお姉様にお任せしてるではありませんか!!」
吹寄「んまあ、真面目な話をするならタオルは選手一人につき一枚だったしね。『借り物』の指定は『人』よりも『物』の方が多いわけだし、今回の上条の所業に関しては、ある意味仕方ないことなのよね」
美琴「そうそう仕方ない仕方ない///」
上条「こらテメエら! 二人して腕を組んでふむふむ頷き合ってんじゃねえよ! 俺が悪くないってなら助けてくれよ!!」
白井「死にさらせぇぇぇえええええええ!! この猿がぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」


 ――美琴はストローのついたドリンクボトルを手渡そうとしたようだが、ふと飲み口を見て、彼女の手が止まる。美琴は吹寄の顔を見て、スポーツドリンクのボトルを軽く揺らした。クリップボードに何か書き込んでいた運営委員の吹寄整理は顔を上げると、首を横に振った。一人の選手が二本以上のドリンクを要求するのは規則で禁止されているらしい。


吹寄「んまあ、これも仕方ないのよね。『借り物』の指定は『人』よりも『物』の方が多いわけだし、この場合、『品物』でしかない上条当麻は『選手』ってわけじゃないし」
美琴「そうそう仕方ない仕方ない///」
白井「……ふっふっふっふっふ。正直言いますと次の展開を知っていますが、思い出すだけで笑いが込み上げてきますわ……」
上条「あ、ああ……確かに笑いが込み上げてきているようだよな……ちっとも目は笑ってないけど……」


「ええいホントに腑抜けているわね! 仕方がないからあげるわよ! ほら!!」
「ぐあーっ!!」
 ぐいーっと上条のほっぺたにドリンクボトルの側面を押し付けた。――――
 顔を真っ赤にした彼女は、上条から背を向けると表彰台の方へ消えていく。――――
 横の吹寄は無言のまま、思い切り軽蔑の舌打ちを鳴らしたが、――――


美琴「///」
吹寄「チッ!」
上条「ああ、そうそう。そんな感じだった」
白井「チッ!」
上条「…いや、白井までマネしなくていいんだぞ?」
吹寄&白井「「チッ!!!」」


 ――――もらったドリンクをチューチュー吸いながら――――


白井「きしゃーっ!!」
上条「って、おい! やっぱりいきなり白井が臨戦態勢なんですけど!?」
白井「うぉのれぇい! この腐れ類人猿が!! お姉様が清らかな唇を付けられてほのかに甘い香りの唾液が付いたストローを口に含みますとは、わたくしにケンカを売っていると判断してよろしくて!!」
上条「いや、だって仕方ないだろ!? 俺だってこんときはバテバテだったんだし、水分補給したくなるのは当然だろ!?」
白井「だからと言ってやっていいことと悪いことがありますの! ちなみに、これは断然、悪いことことの方ですわ!!」
吹寄「ルール上のこととは言え、上条当麻。貴様のデリカシーの無さは救いがないわね。その腐った根性をやはり徹底的に叩き直す必要があるかしら?」
美琴「ええっと、でもそいつの言う通りで、こ、こ、この時は仕方ないんじゃないかなぁ……///」


576 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:41:43 2h91rSYg
『第一種目で競技を行った高等学生』の一言のみ。


上条「結局のところ、何で御坂は俺を選んだんだ?」
美琴「ふぁえっ!!? そ、そそそそれはだから! さ…探してる所でアンタがたまたま私の近くを通っただけよ! それにその…高等学生ったって他に知り合いとかあんまりいないし、だ、第一、どの人が第一種目をやったかなんて調べるのもめんど……って、ちちち違うのよっ!!? ア、ア、アンタしか見てなかったとかそういうんじゃなくてね!!?///」
吹寄(何て分かりやすい反応なのかしら……)
白井「お…お姉様ああぁ………」


『―― 一位を獲得した御坂美琴選手はゴール後も体勢を崩す事はなく、まだまだ余力を感じさせる姿を見せてくれました』
 ガバッ!! と白井は瞬間的に大画面の方へ向き直る。


白井「お姉様 嗚呼お姉様 お姉様(五七五)! やはり完全なる圧勝という形で、その躍動する肢体を皆へ見せつけていましたのね! 生はおろか録画すら出来なかったわたくしをお許しくださいですの!――って、はっ! つい、お姉様の雄姿に時と我を忘れてしまってましたわ!」
美琴「いや、いつものアンタだし……」
上条(た、助かったぁ……)


 次の瞬間、彼女は見た。
 御坂美琴が男子生徒の手を握って競技場を走っているのを。
 御坂美琴が男子生徒の体を自分のスポーツタオルで丁寧に拭ってあげているのを。
 御坂美琴が男子生徒に自分が口をつけたスポーツドリンクを手渡しているのを。
(あんの若造が……ッ!! お、おねっ、お姉様に手を取ってエスコートしていただき、お姉様の世話焼きスキルで全身の汗を処理してもらい、あ、あまっ、あまつさえ、お姉様の素敵ドリンクにまで手を出してエええええええええええええッ!!)


白井「こっ、殺す! 生きて帰れると思うなですのよ!! こんの腐れ類人猿がぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」
上条「って、やっぱ助かってなかったぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
吹寄「あの……この時、彼女は車椅子だったわよね? 怒りで立ち上がるって、ここって別に少年漫画的ガッツを見せる場面じゃないわよね……?」
??「やっぱりそう思いますよねー」
美琴「ま、まあいつものことですから……///」


 次の競技は玉入れだ。
 御坂美琴は土でできた校庭に立っていた。


上条(あっ、大分飛んだなぁ…まぁ吹寄や白井がいる中で、オリアナとか刺突杭剣の話をする訳にもいかないもんな)
吹寄「あら? 貴様が皆の応援をサボって小萌先生や白いシスターの子の着替えを覗いたり、綺麗なお姉さんの胸に顔をうずめたりしている描写はカットなのかしら?」
上条「ちょーっ!!! ふ、吹寄さん!? 何、真顔で悪意たっぷりな事言ってんのさ!?」
美琴「……………」
上条「ほらーっ!!! 御坂さんがとっても怖い顔をしていらっしゃるじゃないですかーっ!!!」
吹寄「ん? あたし、何か悪いこと言った?」
上条「無自覚!?」
吹寄「それに、あたしにセクハラかまそうとしたり、綺麗なお姉さんの誘惑に乗ろうとしたことは伏せてあげたんだからいいじゃない」
上条「今、言った! 今、暴露した! だから御坂さんの髪がマジで逆立ってるじゃないですか!?」
吹寄「何で?」
上条「一片の悪気も感じられないし!?」
白井(うけけけけ! ざまぁですのよ類人猿! このままお姉様に嫌われてしまえですのー!)


(ア・ン・タ・は、そこで何やってんのよ。ねぇ……ッ!?)


吹寄「これはあたしも知りたいわね。貴様はここで、何をしようとしていたの?」
上条「うっ…! えと…そ、それはですね……っと、そうだ! 御坂の応援に来たんだよ! うん、それだ!」
美琴「にゃっ!!? わ、わわ、私の為!!?///」
上条「いや〜、ミコっちゃんの頑張る姿を目に焼き付けておこうかと思いましてね〜!」
美琴「あ、そ、そうなんだ……へ、へぇ〜…///」
吹寄「……明らかに、今とってつけた様に理由付けしたわよね」
白井「それ以前に、そもそも競技場に現れた理由にはなっておりませんの。応援でしたら、観客席にいるはずですわよね」


577 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:42:31 2h91rSYg
「ったく……アンタってヤツは、そーこーまーでーしーてー私に罰ゲームを喰らわせたいって言うのかしらーん!?」


美琴「っと、そうよ! よく考えたら妨害工作じゃない! 何が応援よ馬鹿っ! あやうく騙されるところだったわ…」
吹寄「よく考えなくてもそうだと思うわよ……で、結局何をしようとしていたの?」
上条「うっ…! えと…そ、それはですね……っと、そうだ! どうしても御坂と一緒の競技をしたかったんだよ! うん、それだ!」
美琴「にゃっ!!? わ、わわ、私と一緒に!!?///」
白井「お姉様あああああ!!! いくら何でもチョロすぎますわよ!?」


「ばっ、」
「馬鹿じゃないの。味方の攻撃なんか防いじゃって。べ、別に、アンタなんかに助けてもらわなくても、私の力ならどうとでもなったわよ。――――」


白井「ですからっ! いくら何でもチョロすぎますってばお姉様っ!!!」
美琴「ちょ、ちょろいって何よ!!!」
吹寄「いや、だってこの台詞…もう典型的なツンd」
美琴「わーわーわーーー!!!!!///」
上条「なに、どした?」
美琴「何でもないから気にしないでっ!!!///」
上条「あ、そ、そう…?」


「――――そこは危険なんだ! お前に怪我なんてしてほしくないんだよ!!」
 うっ、と美琴の動きが止まる。
 何故かそのほっぺたがみるみる赤くなっていく。――――
「これぐらいの競技で、そこまで心配してくれなくても。私の能力があれば、どんなヤツが攻撃してきたって、どうにでも、できるんだから……」


上条「こん時の御坂、やたらとモジモジしてたんだよな……何で?」
美琴「なっ! ななな、何でって!? 何でって何がよ!!!///」
上条「あ、いやだからさ」
吹寄「その理由を貴様自身は分かっていない訳…ね。所詮、貴様は上条にすぎないってところかしら」
上条「どういう事だよ!」
吹寄「教える義務はないわ。自分で気づきなさい」
上条「えー…? 何か今回のゲスト、二人とも俺に敵意があるからやりにくいわ……俺はただ、この時のミコっちゃんが妙に可愛かったから何でだろうな〜、って思っただけなのに…」
美琴「カワっ!!!?///」
吹寄「チッ……そういうところが嫌いなのよ…上条当麻!」
上条「だから、そういうところってどういうところなんだよ……っと、そう言えば白井が大人しいけど、どうしたんだ?」
白井「ああ……こんなお顔をするお姉様はとても愛らしいですのに、それがこの類人猿に向けられた表情だなんて……わたくしは…わたくしは喜べばよろしいんですの!? それとも怒りをあらわに…もしくは悲しめば!?」
上条「……ほっとこう。相手にするの、めんどそうだし」


(とりあえず……何とか、なったか? ってか、コイツ何で顔を赤くしてんだ???)


美琴「あああ赤くなんてしてないわよっ!!!///」
上条「いや、してんじゃん。そして今も」
美琴「は、はあ!? 違うし! こ、ここ、これはただ暑いだけだし! べっ、別にこの時の事を思い出して赤くなったとか、そういうんじゃないしっ!!!///」
吹寄「どんどんボロが出てるわね……」
白井「ううぅ…類人猿が気づいていないのがせめてもの救いですの……」


578 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:43:11 2h91rSYg
 両手を美琴の細い腰に回すようにして、地面へ叩き付けるように一気に押し倒す。


白井「がっ!!!?」
美琴「ああもう……///」
吹寄「上条当麻ぁ〜………」
上条「え、み、皆さんどうなされましたので?」
吹寄「どうもこうもないでしょうが!!! こんな…何してるのよ貴様は!」
上条「え、あー…(う〜…速記原典の事を言わないで、どう説明すりゃいいんだよ…)」
吹寄「言いよどむって事は、やはり疚しい事をしようとしてたと捉えてもいいのね?」
上条「じゃあもう、それでいいよ…(言い訳思いつかないし…)」
美琴「ええちょっ!!? そ、そそ、それでいいって、アンタ、えええええええ!!!?///」
上条「はいはい。上条さんはミコっちゃんの可愛さに思わず我慢できなくなり、押し倒してしまいました。…って事でいいですよ。……はぁ」
美琴「○×△□☆◎+▽◇@!!!!?///」
白井「ふ………ふふ…ふ……………ほんぎゃあああああああ!!!!! もおおお限界ですの!!! そろそろ類人猿の息の根を止めても誰も文句を言いませんわよね!!?」
吹寄「あたしもそのつもりだったわ。風紀委員が手伝ってくれるのなら心強いわね」
美琴「ふにゃー///」
上条「原因は俺だから言えることじゃないけどさ。不幸だー」


「黙ってろ。ちょっと動くな」
 言って、彼は美琴を押し倒したまま、彼女の顔を真近から覗き込んだ。
 ――もっと間近で観察するため、上条はさらに顔を近づけていく。


白井「そわぁてぇ……上条さぁぁぁン? 己はいったい何をしようとなさったのかしらぁン?」
上条「ヨーシOK説明してさしあげますから、俺の首筋に当てているその鋭利で物騒なものをしまってくださいませんか? 冷や汗がさっきから止まらないんだけど」
吹寄「上条ぉ当麻ぁ? あんたには、たぁっぷりお灸をすえてやった方がいいのかしらぁン?」
上条「うん。吹寄サンが鍼灸用の針を持っていても何も不自然じゃないけど使い方は明らかに間違っていると思うぞ? 絶対に俺の首筋に当てるもんじゃないよな?」



 美琴はパチパチと瞬きをした後、真剣な顔を近づけてくる上条に何かを察すると、やがてゆっくりと両目を閉じた。



白井「って、ちょ、お姉様ああああああああああっ!!!? こここここれは一体何を!!?」
吹寄「何だ…あなたもその気だったのね……それはどうもお邪魔しました」
美琴「ちちちち違うんですっ!!! ここ、これ、これはほら、この馬鹿が急にあの、なんかアレだったものでっ!!!///」
上条「何一つ具体的な言葉を言ってないぞ御坂。…てか、何をどう察して目を閉じたのか今でも分かんないんだけど」
美琴「っ!!! そ、それは…その、あの………///」
吹寄「上条当麻…それ以上の発言はセクハラとみなすわ!」
白井「やはりお殺しになるしかありませんわね!!」
上条「だから何でだよ!?」


579 : 大覇星祭こぼれ話Ⅱ :2014/08/06(水) 22:43:57 2h91rSYg
上条「っと、今回はここら辺までにしておくか(これ以上やると、本当に殺されそうな勢いだし)」
吹寄「なっ…逃げる気なの上条当麻!?」
上条「あっ、バレてる」
白井「そうはいきませんわよ類人猿………今からあなたの脳を三分割に分け、ネバネバした液体の入った容器にそれぞれ入れてさしあげますからお覚悟してくださいましいいいいいいい!!!!!」
上条「上条さん冷蔵庫になるの巻!!? み、美琴センセー! いつまでも赤くなってないで助けておくんなまし!!!」
美琴「だから…ち、違うんだってば………アレは…べ、べべ別に…キッ!!!………ス…とか!!! そんなのを期待してた訳じゃにゃくて………その……ぁぅ………///」
上条「聞いてないよこの子!? ちょ、美琴さーーーーーん!!! お願い、僕の下に帰ってきてえええええええ!!!!!」
美琴「ぼぼぼぼ僕の下おおおおおおおお!!!?///」
上条「何でそんな時だけ聞こえるの!?」
吹寄「やはり…貴様は息の根を止めた方が良さそうね! これ以上、犠牲者を出さない為にも!」
白井「きしゃーーーーーーーっ!!!!!」
上条「あーもう、カオス!!」


上条「…あの二人、やっと帰ったか……」
美琴「そ、そうね……(う〜…まだ顔色が元に戻らない…///)」
上条「今回はとくにゲストが酷かったな。本気で死ぬかと思いましたよ」
美琴「それは、ア、アンタが悪いんじゃない…私に……あんな………ゴニョゴニョ…///」
上条「だから何度も言ってるけど、俺がどうして悪いんだよ!」
??「あらあら。その乙女心が分からないところ、一体誰に似たのかしら?」
??「当麻! 中学生を押し倒して、キ、キキキキスを強行しようとしたらしいじゃないか! そんなうらやま…じゃなくて! そんなけしからん事をするような子に育てた覚えは無いぞ!?」
??「んー…私としてはそのまま美琴ちゃんの唇を奪ってくれても良かったんだけどな〜」
上条「母さん! 父さんも!?」
美琴「ママ!?」
美鈴「やっほー、美琴ちゃん。それに上条くんも…っと、ここは当麻くんって呼んだ方がいいかしらね?」
刀夜「や、これはこれは。ウチの息子と女房がお世話になっております」
美鈴「いえいえ。お互い様ですから」
上条「保護者っぽい挨拶始まった!」
美琴「え、じゃあ何!? アンタんとこのご両親と、私のママが次のゲストなの!?」
詩菜「それより刀夜さん。さっきのうらやま…ってどういう事なのかしら。私みたいな年増よりも、若い子の方がいいという意味なのかしらうふふふふ」
刀夜「い、いや違うぞ母さん!? 私は若い女の子よりも母さんの方が大人の魅力があって素敵だと…いや! 大人の魅力と言っても決して母さんが歳を取っているからとかそんな意味では無くてね!?」
美琴「………何この既視感…」
美鈴「と・こ・ろ・で美琴ちゃん! さっき何で目を瞑ったのかしら〜ん?」
美琴「って! せっかくうやむやになったのに蒸し返されたっ!!!///」
美鈴「気になるにゃーん。何で美琴ちゃんが顔を赤くしながらあんな事したのか気になるにゃーん」
美琴「ちょっと黙ってよママァァァァァ!!!!!///」
上条「うわ〜…次もカオスな予感………」
??「……完全に出遅れたかも……でも、私も次のゲストなんだよ!」
上条「インデックス!? 確かに後から来るみたいなこと言ってたけどもう来ちゃったの!? あと、いつもの大きさに戻ったんだねおめでとう!!」
禁書「何かなとうま、その言い方は! 私が来ちゃいけないのかな!!」
美鈴「あら? こっちの子は……どこかで会ったような……」
上条(あの夜は泥酔してたから覚えていないんだろうな……大覇星祭のときとは恰好が違ってたし)
刀夜「おや? そちらのお嬢さんは……浜辺のときと大覇星祭の昼食のときに当麻と一緒にいた……」
詩菜「あらあら刀夜さん的には、一度見た女性は忘れない、そういうことなのしかしらそうかしら。しかも年齢関係なく、そうなのかしら?」
刀夜「か、母さん誤解せんでくれ! 私は別段、女性だから覚えていたんじゃなくて、当麻と一緒にいるお友達なんで顔を覚えていたんだからね!?」
美琴「はぅむ……次回はカオスと言うより、この保護者どもにメインを喰われてしまいそうな……」
禁書「あー……なんとなく原作のこの時期並みに私の存在感が無くなりそうな気がするかも……」
上条「と、とにかく、今回はこの辺で。また次回会いましょう。さよーならー」


580 : 我道&くまのこ :2014/08/06(水) 22:45:17 2h91rSYg
以上です。
次のこぼれ話は、家族とのランチタイムの描写が中心になると思います。
大覇星祭編はまだまだ終わりませんので。
ではまた。


581 : ■■■■ :2014/08/07(木) 23:05:29 DOlgOlIs
乙です。
予想外な組み合わせの対談で新鮮でした


582 : ■■■■ :2014/08/09(土) 23:18:02 xrnSSNxg
今更だけどこぼれ話絵付きで見たいよなw
我道さんくまのこさん乙です


583 : ・・・ :2014/08/11(月) 21:35:59 RrKs7582
ども、・・・です。

夏ですねぇ、上琴の季節ですねぇ

感想です。

>>くるまさん
またまた巨星現る!! 面白かったです。
メンタルアウトがゲコ太の話でメンタルアウトしとる(笑)
しかし、常盤台のツートップがかわいすぎるGJ!!

>>くまのこさん&我道さん
なんで気付かないし、なんで素直になれないし
ホント大覇星祭はイベントだらけだなぁ
ほぼずっとあたふたしてたね美琴さんGJ!!


それでは続き投下します


584 : ・・・ :2014/08/11(月) 21:36:47 RrKs7582
『2人とも頭部に怪我もなければ、脳にも異常はみられないね?
 脳に衝撃を受けたための軽い記憶の混乱だろう。
 珍しいが、前例がないわけではないから、
 まぁ、時間が解決するのを待つんだね?』

もう1回衝撃を与えても、もしかしたら治るかもね?
なんてほざく医者 に全力で首を振り、4人は上条宅に向かった。

4人? おかしくない?

「それで、あの2人は公園においてきてよかったんですか?」

「敬語やめてくださいよー、御坂さんも上条さんも。いいんですよ、あの2人は」

麦茶を3人分、ミルクを1つ作りながら佐天は思い出す。
自分にインデックスを渡して送り出し、「妖怪ですの」に1人で立ち向かった親友を。
そして彼女に託されたこの隠しカメラを。

「し、しかし……まさか、オレたちがそんな関係だったとは……」

上条が、ついでに美琴の周りも重たい空気になる。
しかし、嫌な感じじゃないのである。

「ねぇ、佐天さん、ほんとうに、そんなことになってるの?」

確かに、異性と同居ってのは、やっぱりいろいろ恥ずかしい。

「はい、上条さんと御坂さんは実は幼馴染だったんです。
 小さいころは周囲には子供の夢と笑われていましたが、
 当時から二人は将来を誓い合っていました。
しかし、上条さんが中学に行ったときに離れ離れ。
 さらには上条さんは携帯を一度紛失し、データが破損。
 そのため、連絡が取れなくなっていました。
しかし!! 去年二人は運命の再会!!
再び恋の炎を燃え上がらせたのです!!!!!!」

盛りすぎだ。

「「……そ、そうだったのか」」//////////

バカなのかな?

「だ!! さてー」

「じゃあ、この子は?」

「……実は、御坂さんと上条さんの娘さんで
 4年後からタイムスリップして来て、
 帰る手段が見つからず、
 今ではお二人が4年後の自分に代わって
育児をされてるんです。
こんなに小さいのに、両親と離れ離れなんてっ!!」

くっ とか言う佐天さん。
ムリしかねーよ。

「「……う、うぅっ、じょ、じょうだゃったのか〜〜」」

アホなのかな?
ってか泣くな。

「ちゃんとママが守るからーーーーーー!!!」

「? まーま?」

ぐわしっとインデックスを抱く美琴。

「安心しろーーーー!!! パパとママがついてるからなーーーーー!!!」

「ぱーぱ? あう?」

さらにぐわがしっと二人を抱く上条。

「…………なにこの茶番?」

そういいながら佐天は目の前の麦茶をすする。
……てめーがふったんだろ。

「じゃあ、その……えっと……」

「えっと、そのー……」

「!! 御坂さん、上条さん、お二人は♡付きで下の名前を呼び合ってました!!」

「「////////////////////」」

真っ赤に顔が染まる、だが、上条は

「なんか、へんな感じだけど、これからも宜しくな、美琴」

はにかみながら、言った。

「……うん、よろしく、当麻」

彼女も、静かに微笑んだ。

(あれ? あたし、いらない子?)

佐天は目の前のもやもやした幸せオーラを避けつつ、移動、
そして、

「おじゃましました〜〜お好きなだけいちゃいちゃしてください!!」

佐天は逃げ出した。
いきなり3人だけになる。

「……えーと、とりあえず、夕飯作るから、当麻はインデックスを見てて」

「おう、わかった、頼むよ美琴」

こうして夜は更けていく。


585 : ごっつんこ2 :2014/08/11(月) 21:37:36 RrKs7582
一方、数刻前、
公園の戦いは佳境を迎えていた!!

「……そ、そのような戦い方をするとは、予想外でしたわ、初春」

外傷は無い。しかし、その顔色から、白井はとんでもないダメージを受けたことは明らかだ。
一方の初春にも外傷はない。顔色も問題なく、彼女が優位なのは間違いない。
しかし、彼女にも余裕はなかった。
額に、汗が流れ得る。

(……まだ、追うつもりですか、白井さん)

その一瞬の隙に白井はテレポートしようとした、が

「『風紀委員活動の記録part3』!! パスワードは『loveoneesama』!!」

「ぐっ!! それも知っていたんですの!!?」

「本命をpart3にしたのは流石ですが、どうします? これも……」

結局近くに姿を現した白井、
そして、画面の削除しますか? という問いにenterで答えようとする初春。

この戦い、白井の相手は白井本人だったのだ!!!!



ほんとそんなのはどーでもいいのだった。

夕食の後、上条と美琴は、ソファーに並んで座っていた。
インデックスは美琴の膝の上で録画してあったカナミンに夢中だ。

「……どうしたの?」

「へ、ああ、いまだに信じられなくてさ」

美琴は上条の方を向くが、
上条は一瞬美琴を見た後、すぐに正面を向いた。

「オレに彼女がいて、娘が未来から来て、こうやって幸せに過ご「ウソ」へ?」

「ウソでしょ?」

「い、いや」

「うん、ウソじゃないかもだけど、あの瞬間はそうじゃないんじゃない? 明日佐天さんに聞けば済むことだし」

「じゃあ、オレがなに考えてたって言うんだよ?」

上条が美琴を見た時、今度は美琴がテレビの方を向いていた。
カナミンの好きな人が敵であったという急展開。
しかも互いにそのことを知らなかったという
まあ、定番な展開だった。

「当麻は、きっと、周りの人のことやわたしたちのことを考えてたんじゃない?」

そう言って美琴は視線をはがきの山に移す。

「…………」

「あの人たちを悲しませたくない、とか、オレがしっかりして二人を支えなきゃ、とか考えてたんじゃないの?」

信じられない。言葉よりも正確にそれを伝える上条の表情は、
少しして苦笑に変わる。

「…………はぁ、美琴さんってばテレパシーの使い手ですか?」

「エレクトロマスターって話だったでしょ?……図星だったんだ」

「彼女さんにはかないませんなー」

「それもあやしいけどね」

「確かに、あやしさ満点だったもんなぁ」

でも、さ、と上条は続けた。

「でも、美琴とインデックスが隣にいると、ホッとするんだよ」

「……」

「正直、以前どうだっかとかは、今のオレには関係ないんだ」

美琴は上条の方に顔を向ける。
そこには、

「隣にいてくれて、ありがとう」

同じように美琴に向かって微笑む上条。
その瞳に対し、美琴は

「こっ恥ずかしいわねー」

と真顔で応えた。
がくっとよろめく上条。

「……い、いうんじゃなかった」

美琴の方とは逆に顔を向け、しくしくと悔し涙を流す。
しかし、その表情がふと驚きに染まった。
ぽすっという音とともに、彼の肩の上に何かが乗っかったからだ。

「……こっち見ないでね」

「お、おう」

美琴は目をつぶる。
ドキドキしている心音が、彼の肩から自分の頭を伝い、
自分の心臓まで届き、同じタイミングで動かしているのがわかる。

「安心して、きっと周りも記憶がないこと、受け入れてくれる。一時的な物だし」

それに、と彼女は続ける。

「わたしが一緒にいる。隣にいたのが当麻で、本当によかった」

それまで言って彼女は次回予告まで終わった録画を停止すると、
インデックスを抱え、風呂場に走っていった。
彼が固まったままだったのは、言うまでもない。


586 : ・・・ :2014/08/11(月) 21:38:31 RrKs7582
以上です

あれ、思ったより短いな。


587 : ■■■■ :2014/08/12(火) 21:44:04 tznTEeJM
ひぎゃーーーー///
ミコっちゃんのこの破壊力!!!
育児モノのはずが…あ、違った上琴SSだった
何か赤ん坊インちゃんも破壊力あるんですもの///

・・・さん乙です
所で例の魔術師♀は誰なんですか?


588 : はりねずみ :2014/08/16(土) 01:24:15 QBEONqEo
後1週間で新作長編書いて完結?無理です。
感想は、朝起きてから書きます。書きます!
いつものような小ネタですが、投下します


589 : 2年後の真夏の上琴 :2014/08/16(土) 01:25:08 QBEONqEo
(だぁー暑い)

湿気が無くなったと思えば次はかんかん照り。
夏休みであろうが容赦なく学校に召喚される高校三年生の夏休み。

「……あれ?」

いくら窓を開けておいたとはいえここまで涼しい風がくるはずがない。
そもそも風が来ているというより、この部屋全体が冷やされている。と言った方が正しい。

「エアコンか……てことは」

上条の予想通り、彼女は彼のベッドで寝っ転がりながら雑誌を読み漁っている。
そして彼に気付いて万弁の笑みで、彼を受け入れた。

「ただいま。美琴」

彼女、御坂美琴は、現在上条当麻の彼女である。
常盤台中学を卒業した彼女は何故か、上条が通う高校へと進学してきた。
元々付き合っていたわけではあったが、同じ高校で生活することで、周囲にイチャつきっぷり(本人達の自覚無し)を見せつけている。
ちなみに上条のハブラシの隣に、緑色のハブラシがあることなど、言うまでも無い。

「おかえり。調子はどうよ」

大学進学の為の面接や夏期講習で学校にいることも多く、美琴に構っていられる時間も減っているが、彼女もそれを理解し、応援してくれている。、

「あんまり。いざ面接ってなると、やっぱ本番じゃなくても緊張するよ」
「ふふ。まだ時間はあるんだから。焦っちゃだめよ。汗かいたでしょ。拭いてあげるからYシャツ脱ぎなさい」

そう言う彼女は母親のように見えたが、最後の方は悪戯者のようにも見えた。

「べ、別にいって」
「いいじゃないの!風邪ひいたらどうすんの」

逃げようとする上条であったが、美琴に捕まりテキパキと上半身の着替えを脱がされた。
そのままタオルを頭に被され、完全に美琴のターンとなった。

「うぁっ、ちょ、自分で出来るから!」
「いいからいいから。美琴ママに任せなさい」

わしゃわしゃわしゃーと、上半身を美琴の思うがままにタオルで拭かれていく。
最初は足をばたつかせながら体を揺らし抵抗する上条であったが、次第にその無意味な抵抗が子供っぽいと思い、動きを止め、美琴に体をゆだねる事になった。
そしてその内、美琴に包まれている事に心地よさを覚え、全身の力が抜けていった。

(うぅ。最近、美琴のペースに乗せられてる気がする)
「わしゃわしゃわしゃー」

じゃれてくる美琴と、抵抗しても勝てない上条。
彼はどうにかしたいわけではあるが、結局、デレた美琴の可愛さに負けてしまうのだ。

「……というか、長くない?」
「…………わしゃわしゃわしゃー!」
「お前絶対楽しいだけだろ?!」


590 : はりねずみ :2014/08/16(土) 01:28:47 QBEONqEo
以上です。いつもの如く小ネタ書いておやすみなさい


591 : はりねずみ :2014/08/16(土) 16:13:40 QBEONqEo
約束通り感想書きます。
>>くるまさん
素直になった結果だね!
どっちのみーちゃんも素直で可愛いらしいです。GJです!!

>>我道さんとくまのこさん
美鈴さん公認だね!やったね2人とも!これで壁は1つ取り除かれたね(最初から無い気もするが)
実はタオルネタ、こぼれ話から思い浮かびました。


>>・・・さん
さすが初春。情報戦じゃあ絶対に勝てないな。
ああダメだ。記憶が無くても離れることがない2人。良い!!

以下没ネタ。

「わしゃわしゃわしゃー!」
「……おい待て」
「どうしたのよ?」
「何でお前が居るんだ美琴」
「何よ。彼女が彼氏の部屋に居て問題あるの?」
「合鍵なんて渡してないのに部屋にいた事を聞いているんだよ!」
「……ほら、能力でカギを、こう」
「…………」
「だったらさっさと合鍵渡しなさい!」

わじゃわじゃわじゃー!

「わかった!わかったから止めてくれ!」

結局美琴ちゃんには勝てない、上条さんなのでした。


592 : くまのこ :2014/08/19(火) 21:03:21 arTRb2vM
>>・・・さんGJです!
ミコっちゃん、可愛すぎ! もう、これが公式でいいよw
続き楽しみに待ってますね〜!

>>はりねずみさんGJです!
果たして拭いたのは上半身だけだったのでしょうか…?
ナチュラルにいちゃいちゃしやがってありがとうございます!



短編書きました。
ただ今回は、ソードアート・オンラインのネタが含まれてます。
クロスオーバーとかそういうんじゃないですが、気になる方は飛ばしてください。
約3分後に4レスです。


593 : SAO (「そ」してまた「あ」の馬鹿に「落」とされる美琴) :2014/08/19(火) 21:06:11 arTRb2vM
白い純白のドレスのような甲冑を身に纏い腰にレイピアを携えたその少女は、
両手に大量の荷物を抱えたまま、深くため息を吐く。
彼女の名はアスナ。最強と名高い攻略組ギルド、「血盟騎士団」の副団長だ。

「はあぁぁ…この状況、あの馬鹿だったらきっと『不幸だー』とか言ってるんでしょうね……」

…の、コスプレをした美琴である。特徴的なロングの髪は、オサレなウィッグでカバーしている。

ここは第三学区にある国際展示場。今は学園都市最大の同人誌即売会会場となっている。
要するに毎年お盆と年末に『外』の世界でやるアレの、学園都市バージョンみたいな物だ。
学園都市にも、一般的に「オタク趣味」と呼ばれている物を生き甲斐にしている者はいる。(青髪など)
しかし学園都市のセキュリティの固さから、夏休みや冬休みでも長期で外出できない生徒は少なくなく、
例のイベントに参加したくてもできない者も多い。
ならば学園都市でも似たようなイベントをやってしまえと、半ば強引に開催された訳なのだが、
どうやら概ね好評なようだ。

しかし盛り上がる周囲の人間とは対照的に、美琴は何だかどんよりしている。
両手からぶら下がった荷物の中には大量の薄い本【せんりひん】を詰め込み、
コスプレまでして、イベントを最大限に満喫しているというのに。

「やっぱり断れば良かったかな〜…? でも初春さん、あんなに楽しみにしてたし……」

そう。美琴がここにいる理由は、初春に頼まれたからなのだ。
初春は以前から、今日のこの日の事を、待ち遠しそうに語っていた。
ご丁寧にも、コスプレ衣装まで発注して。
しかし不幸にも風紀委員という立場から、イベント当日に警備として駆り出され、
同じく風紀委員の白井と共に裏方に回されてしまったのだ。
だが当然、裏方には自由時間などなく、楽しみにしていたイベントでも回る事などできない。
そこで白羽の矢が立った【なきつかれた】のが美琴だった。
本来ならこういうのは、フットワークが軽く何事でも楽しめる佐天の役目なのだが、
彼女は三日前から実家に帰省している。学園都市に帰ってくるのは明後日だ。仕方がない。

そういう訳で、美琴は初春の代わりに何十冊ものBL本(勿論、初春の趣味)を買わされていたのだ。
しかしそれなら、何もコスプレまでする必要はなく、美琴も抗議したのだが、
初春から「だって、せっかく作ったのに勿体無いじゃないですか! オーダーメイドですよ!?」
というよく分からない理屈により却下された。

「にしてもあっついわねー……えっと次は…E32のaか」

初春から渡された紙切れ【メモ】をカバンから取り出し、次の目的地を確認する美琴。その時だ、

「あのー…すみません……」

何者かに話しかけられた。実は美琴が憂鬱だったのは、これも原因だったのだ。
会場に入ってからというもの、やたらと話しかけてくる男が多いのである。
元々美琴は顔立ちが端正(本人は自覚なし)で、その上コスプレ自体の出来も非常に良く、
更にはこの「アスナ」というキャラクターも人気が高いらしい。
なので、写真を撮られるのはまだいい。ここがそういう場所である事は、美琴も理解している。
しかし、明らかにナンパ目的で声をかけてくる輩に腹が立つのだ。
何度も何度も知らない男からメアドを聞かれれば、そりゃあ嫌にもなるだろう。

美琴はうんざりしながらも、声のした方向に振り向く。
ナンパなら、電撃の一発でも威嚇射撃【おみまい】してやろうかと思ったのだ。だがそこには、


594 : SAO (「そ」してまた「あ」の馬鹿に「落」とされる美琴) :2014/08/19(火) 21:06:55 arTRb2vM
「あ、やっぱり美琴か。自信なかったから『すみません』とか言っちゃったよ。
 つーか意外だな…美琴って、この手のイベントに興味あったっけ?」

黒い服を着て、背中に二振りの片手剣を差した、コスプレ姿の上条が立っていた。
美琴のどん底だったテンションが、一気に跳ね上がる。

「なあああああん!!? ア、アアア、アンタこそ何でこんなとこにいんのよっ!?」

跳ね上がりすぎて、少々テンパってしまったようだが。

「いや、俺はアッチの企業ブースでバイトしててさ、この衣装も宣伝だっつって着させられた。
 俺が今バイトしてる企業の看板キャラだしな。 …俺も詳しくはないけど。
 で、今は昼休憩なんだけど、イチイチ着替えるのもメンドイからこの格好のままなんだ。
 …でもさ、メシ食おうと思ってたんだけど、どこも混んでるわ値段は高いわで諦めた…」
「へ、へー…そーなんだー……」

色々と説明してくれたが、美琴は上条の話を半分も聞いていなかった。何故なら、

(うわっ! うわっ! うわ〜〜〜〜!!!
 コイツのコスプレとか初めて見た! ど、どうしよ…写真撮りたい、けど……
 迷惑だって思われちゃうかな!? でもでも! こんなチャンス今しかないし〜〜〜っ!!!)

とまぁ、そんな事を考えていたから。
想定外も甚だしいと言わざるを得ない程の不測の事態に、流石の美琴も演算が追いつかない。
だがこのまま黙っていても気まずいし、
上条自身も美琴に用がある訳でも無さそうなので、この場から去ってしまうだろう。
なので美琴は、とりあえず場を繋ぐ為に会話を続ける。
何をするにしても、上条がいなくなってしまっては後の祭りなのだから。
…と言うか、初春から頼まれたおつかいを忘れている気もするが、いいのだろうか。

「えっと、えっと……そ、そう! アンタのそのキャラ、何ていうの!?」
「あ、これ? 『キリト』ってんだけど…知らないのか?」

若干「信じられない」といった表情で聞いてくる上条。
美琴は、マンガ(主に月曜日と水曜日に発売される三冊の週刊誌)は読むがアニメはあまり観ない。
なので上条が扮しているキャラも知らない。
なので上条が何をそんなに不思議がっているのかも分からないのだ。

「何よ…そんなに有名なキャラなの?」
「いや、つーか……美琴のそのキャラと原作同じだぜ? 俺のって」
「えっ!!? そ、そうなのっ!?」

完璧なまでに寝耳に水である。
美琴は自分のキャラについて、初春からは「アスナ」という名前以外を聞かされておらず、
その他の細かい設定は全く知らなかったのだ。
急遽頼まれたから仕方が無いとはいえ、全国のレイヤーさん達を敵に回すような行為である。

「ああ。俺が主人公で、美琴はヒロインな」
「ふ、ふ〜ん? アンタが主人公で、私がヒロイン、ね。…ふ〜ん……」

想像して、思わずニヤニヤしてしまう美琴。
しかし次に語られた設定に、美琴はニヤニヤする暇さえ無くなる事となる。

「そうそう。それと俺(のキャラ)と美琴(のキャラ)、(ゲーム内で)結婚してるんだよ」
「……え? …ふぁえっ!!!? け、けけけ、けこ、結婚っ!!!?」
「ああ。あと確か、(AIだけど)娘もいるはずだ」
「むむむむ娘えええええぇぇぇぇぇぇ!!!?」

想像の許容量を超えて、美琴の頭はパンク寸前に追い込まれた。
上条の、わざととしか思えない絶妙な説明不足で、まるで上条と美琴が結婚して娘もいるかのようだ。
これはあくまでも、キリトとアスナの話で、しかもゲーム内での設定である。


595 : SAO (「そ」してまた「あ」の馬鹿に「落」とされる美琴) :2014/08/19(火) 21:07:38 arTRb2vM
美琴の脳内に一瞬だけ、未来の上条と美琴【じぶん】と『まだ』顔も知らない娘が、
3人で仲良く団欒している情景が浮かび上がったが、顔をブンブンと横に振ってそれを打ち消す。
美琴だって馬鹿じゃない。今までの経験上、『深い所』まで妄想してしまったら、
自分が『ふにゃー』してしまう事ぐらい分かっているのだ。

だがそんな美琴の幻想をぶち殺すかのように、上条は言葉を続ける。

「つっても、俺と『キリト』は似ても似つかないけどな。
 あっちは俺と違って女の子からモテまくってるし…まぁ、そのせいで反感買ったりもするみたいだけど」
「………へーーー…」

上げて落とされるのは慣れている。だって相手は上条なのだから。
上条が語った「キリト」のエピソードに、ものっ凄い既視感を覚える美琴。
と同時に、名前とコスチュームしか知らない「アスナ」に対して、同情心と親近感が芽生えてくる。
似ても似つかないどころか、ソックリである。

と、その時だ。上条は何かにハッとしたように時計を見る。

「うわヤッベ! もうすぐ休憩終わりだ!」
「ああ…今バイト中って言ってたもんね。けどお昼は諦めたとか言ってなかったっけ?」
「いや、昼飯はいいとして、トイレには行っとかねーと!」
「あ、そ、そうね。それは大事…よね」

すると上条は、自分の荷物を美琴に預けた。
キョトンとする美琴に、上条は矢継ぎ早に言葉を被せる。

「悪ぃ、これちょっと持っといてくれ! 俺が持ってるより、美琴が持ってた方が安全だしさ!」

上条は何かと不幸に巻き込まれやすい。
サイフや貴重品が入っているバッグは、確かに自分で持っているより美琴に預けた方が安全だろう。
こんな人ごみの中では、落としたり無くしたり壊されたり盗まれたり…
とにかく不幸イベントが起きる条件は、十分すぎる程に満たされているのだ。

「え、わ、ちょ、ちょっとっ!?」
「じゃ、頼むな!」

美琴の反論も聞かず、上条はその場を立ち去った。
残された美琴は、「えー…?」と不満を漏らすが、それをぶつける相手はもういない。
仕方なく、美琴は上条のバッグを見張る事にした。
せめてもの復讐にと、上条のバッグを椅子の代わりに腰掛けて。
だがその時、美琴はある事に気づく。

「…? 何かしら、この布……ハンカチ?」

バッグのファスナーからはみ出た、白い布のような物。
最初はハンカチか何かだと思ったのだが、よくよく見てみるとそれは、

「あっ、Tシャツか」

だった。恐らく上条の着替えだろう。流石にコスプレしたまま電車に乗る訳はないのだから。
と、ここで、そこに気づいた美琴に悪魔の囁きが耳に届く。

(……アイツって、普段どんな服着てんのかしら…
 いつも会う時は、学校の制服だし……私服って意外と見た事ないのよね…)

人の荷物を勝手に開けてはいけない。そんな事は子供でも知っている。
しかし人間は欲深き生き物だ。イケナイ事だとは頭で理解しつつも、

(ちょっとだけなら…)

理性が本能に負けてしまう時だってあるのだ。
美琴は周りをキョロキョロと見回し、誰もこちらに注目していない事を確認して、
サッとファスナーを開け、ササッとTシャツを取り出し、サササッと広げる。すると、

「………無地て…」

ただただ真っ白いだけのTシャツが目の前に現れた。骨折り損にも程がある。

「…うん、まぁ、アイツが普段、柄の無いTシャツを着てるって分かっただけでも収穫かな?」

そう言い聞かせ、Tシャツを証拠隠滅しようと【しまいこもうと】する。
だがここで、美琴に二度目の悪魔の囁き。


596 : SAO (「そ」してまた「あ」の馬鹿に「落」とされる美琴) :2014/08/19(火) 21:08:32 arTRb2vM
美琴は何かを思いつき、Tシャツを仕舞うその手を止める。
そして再び…いや、先程以上に周りをキョロキョロと見回し、そして、

………すん…

とTシャツのにおいを嗅いだ。瞬間、

「何してんの?」
「ほい来たああああああああああ!!!!!」

背後から上条に話しかけられた。正面と左右には気を配っていたが、後ろがガラ空きだったようだ。
美琴はビックリしすぎて、「ほい来た」という謎の掛け声と共に、
手にしていた上条のTシャツをブン投げる。

「うおおおおい! 本当に何してんの人のTシャツにっ!」
「ううう、うっさい! ア、ア、アンタが早く来すぎるのが悪いのよ!」
「上条さん何も落ち度なくね!?」

男は女性と違って、お手洗いで化粧直しする必要も無く、「小」ならば個室に入る事も無いので、
回転率が高い。おかげであまり時間をかけずに、する事だけして直ぐ戻って来られるのだ。
美琴としては不幸な事に。

上条は『何故か』投げ飛ばされた自分のTシャツを拾い上げ、パンパンと叩き埃を落とす。
そして自分のバッグに仕舞おうとしたのだが、その時、

「ったく……美琴ってたまに奇行に走るよな」

と美琴に話しかけながらだったので、自分と美琴のバッグを間違えてしまった。
もっとも、美琴が上条のバッグを椅子にしていた事も原因の一端だったのだが。

上条がファスナーを開け、その中を見た瞬間、

「「あ」」

と二人同時に発した。
そう。上条が自分の物と間違えて開けた美琴のバッグの中には、
初春の頼まれて買ったBL本が、所狭しと詰め込まれているのである。

「ちちち違うからっ!!! これは私のじゃなくて―――」

上条が何かを言う前に、先手を取って言い訳をする美琴。
しかし上条は、全てを分かっているといった優しい表情で、美琴を諭す。

「いいって、気にすんな。別に恥ずかしい事じゃないだろ?
 こういう趣味の女の子って多いみたいだしさ」
「えええええ!!? いや、ホント、そういうんじゃないの! これには訳が―――」
「分かった分かった。誰にも言わねーって」
「お願いだから話を聞いてええええええええ!!!!!」

どうやら上条に、腐った女子判定をされてしまったらしい美琴。
上条はあまり気にしていないようだが、美琴としてはたまったものではない。
だが美琴が訂正する間も無く、上条は、

「っと、そろそろブースに戻んないと、マジで時間が無ぇや。じゃあな、美琴」

と言って、颯爽とこの場を後にしようとする。
せめて一言何か言って、誤解だけでも解こうとした美琴。しかし去り際に上条からポツリと放たれた、

「あっ。そう言や言い忘れてたけど、アスナのコスプレ【そのかっこう】似合ってるぞ。
 ……うん、可愛いと思う」

の言葉に、何も言えなくなってしまった。
少し照れくさそうに捨て台詞【くどきもんく】を残した上条【キリト】は今度こそ本当にバイトに戻り、
残された美琴【アスナ】は顔を真っ赤にしたまま、その場にへたり込んだのだった。


597 : くまのこ :2014/08/19(火) 21:09:23 arTRb2vM
以上です。
あ、それとこの前エロの方に一本書きました。
読んでいただけたら嬉しいです。
ではまた。


598 : ■■■■ :2014/08/19(火) 22:48:21 bpQWXEqI
乙です。まさに目の前に開かれた果てない世界。


599 : ■■■■ :2014/08/19(火) 22:58:56 cYavNjrk
>>597
グッジョブです。

エロってどこですか?


600 : ■■■■ :2014/08/19(火) 23:13:09 ynprgf5w
>>597
乙です。相変わらずくまのこさんの引き出しの広さには驚かされますな

>>599
上条当麻×御坂美琴いちゃエロスレ4というタイトルで、こちらもsage推奨ゆえにスレッド一覧の下の方にあります。


601 : ■■■■ :2014/08/19(火) 23:25:51 cYavNjrk
>>600
ありがとうございます。エロ同人とエロパロ板で一つずつみつけたのですが
違うみたいだったので。まさかこの板にあるとは。


602 : ・・・ :2014/08/23(土) 09:05:07 6299aIlg
どーも、・・・です。

魔術師♀ってのは支部の話ですかね?
ほかにできそうな奴がいなかったので、しぶしぶオリキャラに
五和でも、と思ったんですが、それはとある理由でできなくてですね
一応支部版『くっついた』の一話から出してます。
基本オリキャラは使いたくないので、出した時は苦肉の策です。


くまのこさん、はりねずみさん、
お二人のおかげで生きていけます

>>はりねずみさん

この、バカップルが!! 青髪、次のリンチがいつか教えろ!!
これを毎日見てると糖尿病になるだろうな
それでも、「もともと付き合っていた」や「無自覚学校イチャイチャ」、「並んでいる歯ブラシ」の詳細をお聞きしたい。

>>くまのこさん
SAOではこの二人のコスプレを、アスナたちがしてたりしてな(SAOよくしらんけど)
この誤解、早めに解かな……アンジャッシュ現象でうまくいかない予感
エロもみましたよー、しかし、ニヤニヤすんのになんて不幸な落ち(笑)

ではでは、投下します
なかなか進みませんが、お付き合いいただければ
……次の巻の内容が、この話をひっくり返しそうで怖い今日この頃

それでは


603 : ごっつんこ3 :2014/08/23(土) 09:06:45 6299aIlg
彼らが記憶喪失になって3日がたった。

「えと、あの、く、黒子、大丈夫?」

「だ、だい、じょう、ぶですの」

(データの3分の1が無くなりましたもんね)

晴天の下、いつもの公園にて買い物帰りに後輩に絡まれた美琴さんの図。

「はい、この前の写真です」

「あ、ありがとう、よく撮れてるわね」

「あのカメラ高かったのに……」

「プライベートを覗こうとしたのが悪い」

そう、佐天が持って行ったのは普通のカメラではなかったのだった。
2日目にして能力の使い方をマスターした美琴は隠しカメラを爆破。
お詫びに家族写真を撮ってもらっている。

「……御坂さん、上条さんとの生活はどうですか?」

「どうって?」

「ぐっ、ぐはぁ」

「白井さん、しっかりしてください」

「幸せなんじゃないですか?」

「………………そうね、きっと、しあわ……」

ホントに?

「「御坂さん?」」

「………………ごめん、やっぱ違う、かな?」

「……」

「ど、どうしてですか?」

「あたしが逃げ出すほどお二人ともいちゃいちゃしてたのに!!」

「だって、今の環境って、わたしが自力で手に入れたものじゃないでしょ?」

「いや、元からお二人とも恋人で……」

「ううん、きっとそんなことない。当麻が告白するイメージも、わたしが告白できたイメージもできないもん。理由は、女の勘でしかないんだけどね」

困ったように彼女は笑った。
入道雲の横で飛行機雲が伸びる。

「だから、さっさと記憶を取り戻して、きちんと、正面から挑みたいかな」


604 : ごっつんこ3 :2014/08/23(土) 09:07:17 6299aIlg
3人が何も言えなくなった時、

「おーい、美琴〜」

目の前の階段の下でご本人登場。

「あ、噂をすれば……当麻〜!!」

「まーま!! あーいー!!」

「元気ねー、インデックス。で、どうしたの?」

インデックスが美琴の腕に向かうのと同時に上条がスーパーの袋を受け取った。

「あーやっぱり買ってないか。洗濯用の洗剤切れててさ、美琴携帯持ってってないだろ?」

「あ、そういえば無くなってた」

「っつーことでオレは今からスーパーに行くけど、お前はどうする?」

「……そうね、わたしも行こうかな」

しかし、上条が足を踏み出した時それは起こった。
例の不幸(あれ)だ

「「へ?」」

上条のちょうど足もとにテニスボールがうまいこと入り込み、
上条は後方の階段に向かって倒れこむ。
美琴を巻き込むように。

次の瞬間、黒子は飛んでいた。
美琴を助けるためにではなく、

美琴の視線が示す意思をくみ取って、空に投げられたインデックスを助けに。

白井が着地に成功した時、

「「ぎゃああああああああああああああああ」」

というまぬけな声が響いた

あの時同様みんなで階段を駆け降りると、

「ちょっと!!! なに抱きついてんのよアンタはーーー!!!!」

「不可抗力だろうが!! さっさとどk……ってオレの上で帯電すんnあばばばばばばばばば」

いつもの、いや、元に戻った二人がいた。

「……あーあ、もとにもどっちゃってるよ」

「この数日の記憶もないようですね」

騒々しい喧噪の中、インデックスは、白井の腕の中で不思議そうに入道雲を眺めていた。


605 : ごっつんこ3 :2014/08/23(土) 09:07:50 6299aIlg
コツン、と机の上にマグカップが置かれる。
カエル顔の医者は苦虫をかみしめたような顔をしていた。
コーヒーが苦いわけではない。
業務が夜まで長引いたからでもない。

数日前にやって来た常連たちが原因である。

その表情のまま再び、口に黒い液体を流し込んだ。

「……いよいよ、なんだね?」

彼が目を向けた先に、あの建物はない。


606 : ごっつんこ3 :2014/08/23(土) 09:08:42 6299aIlg



「……信じられねーよなー」

脱衣所で独り言をつぶやくのは上条当麻だ。
風呂上がりに寝巻を着て、濡れた頭をガシガシとバスタオルでふく。

この数日間またまた記憶喪失でした。なんて冗談だと信じたい。
自覚なんてないのだった。

「なーんか、夏休みを3日損した気がする」

不幸だ、と呟いた。
とはいえ事実に違いないのだ。
美琴が自分達の記憶にない写真を持っていたのがその証拠。
これでいっか、と暑中見舞いのお返しにその写真を使うことにした。
今、美琴がパソコンで格闘していたはずだ。

美琴に抱かれたインデックス。そしてその隣に立つ自分。
3人ともカメラに向け、笑顔でいるその写真はまるで……。

顔を赤く染めた上条の耳に

「当麻―――!!!」

という、美琴の叫び声が聞こえた。
あわてて脱衣所を出る。

「どうした美琴!!」

リビングには、一生懸命手招きをする美琴がいた。

「当麻!! 早くあれを見て!!」

そちらの方に視線を動かし、上条は目を見開いた。

「う、うー」

インデックスが椅子の足をその小さな手でつかんでいた。
そして、

(頑張って!!インデックス)

その自分の手のひらに収まるほどの足を床に向ける。

(頑張れ!! インデックス!!) 

そして、あらん限りの力を振り絞り、

「あ、あう、ぱ、ぱーぱ、まー……まう!」

たったの3秒、
たったの3秒だが、

確かに、彼女は
自力で、

立った。

「「やったーーーーーーーー!!」」

瞬間、魔法が解けたかのように二人は動き出した。

「すごいぞ!! インデックス!!」

「頑張ったね、頑張ったね!!」

「うー……あい!!」

「当麻!! インデックスが立った!!」

「ああ、ああ、やっ……美琴、今、当麻って……」

「へ? あ……べ、別にいいじゃない!! そんなことより、今日はお祝いよ!!」

「そ、そうだな!! 頑張ったなーインデックス!!」

こうして、上条家に喜びの声が広がった。


607 : ごっつんこ3 :2014/08/23(土) 09:09:28 6299aIlg
その2日後、暑中見舞いのはがきはあちこちに飛んで行く。

もちろん、

「おや? これは、上条さんからなのでございますよ」

イギリス清教の女子寮にも届き、

「お、本当ね、インデックスはやはりまだ赤子のまんまか」

彼女たちの手に渡った。

「おや? ミス神裂、どちらに行くのデースカ?」

そんな中、ポニーテールの大和撫子が少し大きな風呂敷を持ち、いつもの冷静な顔で

「はい、ちょっと学園都市まで」

なんてほざくところで、今回は終わりにしたい。


608 : ごっつんこ3 :2014/08/23(土) 09:10:27 6299aIlg
おまけ!!

学園都市の街の真ん中で、きょろきょろ周囲を見回す不審者が1人。

「……潸然、ここにもいないか」

その男は、まだ探し続けていた。

「悄然、ここ数日ばったり会えなくなってしまった。断然、これもあのいまいましい赤髪のせいに違いない」

ステイルにしてみれば、とんだとばっちりである。
それでもアウレオルスはその結論になんの迷いもなく、
あいつを体の内から破裂させてやりたいなんて物騒なことを考えていた。
そんな時、彼の第六感は反応したのだった。

「歴然、あっちかーーーーーーー!!!」

そして本当にいたのだった。
家族三人で仲良くお買い物中だった。
買い物袋は二人で持ち、インデックスは上条に抱かれている。
その3人の目の前に、緑髪の白スーツが躍り出た!!

「寂然、お久しぶりです!!!!」

ビックウゥ!!と驚く御両親をしり目に、
アウレオルスはこの前手に入れた情報を提示する!!

「快然、皆さまに聞いていただきたい!! 
廓然、私の名はアウレオルス=イザードというのです!!」

「「そ、そうですか!!」」

「あだー、げこー」

蝉の声が虚しく響いた。
戸惑ったのは、アウレオルスである。
あれ? この2人、記憶喪失前の私を御存知でない?

(蓋然、この子と関係があるならば、記憶喪失前の私と知り合いだと思ったが……)

まあ、知り合いでないなら仕方がない、
今までと同様に

「依然、なんとしてもその少女を抱かせてもらう!! 確然、記憶をよみがえらせるために!!」

その瞬間、
雷鳴が響いた。

「……わたしたちが記憶を取り戻すのと、アンタにインデックス抱かせるのと、なんの因果があるってのよ」

もうなにも聞こえていないであろう、真っ黒になり、プスプス音を立てる男の残骸。
恐ろしい形相で怒鳴りつける彼女(仮)。
袋の中で香ばしいにおいを放つ野菜たち。
本当に電撃姫だったことがわかった彼女(仮)。
その惨劇におびえるどころかはしゃぎ出すたくましいわが子(仮)。

上条はいろいろ考えるのをやめた。


609 : ごっつんこ3 :2014/08/23(土) 09:11:00 6299aIlg
おまけ


とある高級マンションの一室。
ちょっと露出が多いネグリジョ姿で、
白井黒子はベッドの上で、しずかに天井を睨みつけていた。
思い出すのはあの時の事。

あの男が、バランスを崩し、後方に倒れそうになったあの瞬間、間違いなくこちらに視線を向けていた。
彼の背にいるはずの美琴が、こちらとアイコンタクトを取っていたのに気付いていたとしか考えられない。
声には出していなかった。しかし上条も、美琴と同じ意思を自分に送っていた。
とすると、あの一瞬で、類人猿は全ての状況を瞬時に察し、
インデックスも美琴も、最も安全になる行動をとっていたことになる。
数日前のあの時と同様に。
数日前は動けなかった自分とは違って。

いやな汗が流れる。
今日は、きっと寝付けない。


610 : ・・・ :2014/08/23(土) 09:12:13 6299aIlg
以上です。

やっぱり二人同時に記憶喪失は、
長編の小ネタにはもったいなかったなー
誰か、ほんとにこれで書きません?


611 : ■■■■ :2014/08/23(土) 13:05:40 pOqxUeJk
>>・・・さん
ああああ戻った立った名前呼んだあああ乙です!!
そして安定のアウレオルスさんw

ダブル記憶喪失ネタは美味しいですよねー、
ほんとに誰か描かないものか(チラ


612 : 587 :2014/08/23(土) 22:54:20 66x8T8wI
・・・さん乙です
オリキャラでしたかー
弓を虚空から出してたのでちょっとオッティかなーとか思ったんですが
「あの人が必要」とか
でもちょっと違いましたし、まさかのヴェントたんかなーとか悶々でした☆


613 : ■■■■ :2014/08/24(日) 00:42:15 Jmhpi24Y
・・・さん
言い出しっぺの法則ってあるんですよ(チラッ


614 : 我道&くまのこ :2014/08/28(木) 22:57:07 ClU6.vjs
>>・・・さんGJです!
アウレオルスさんの通常運転っぷりがハンパないw
記憶喪失ネタは、是非・・・さん本人に書いていただきたい、ってミサカはミサカは期待してみたり。



どうも、くまのこです。こぼれ話の続きができました。
いつも通りでコテ通り、我道さんとの合作です。
約3分後に13レスくらいです。


615 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:00:02 ClU6.vjs
美鈴「はい! という訳で、今回も始まりましたね。こぼれ話」
詩菜「多くの方に見られていると思うと、何だか緊張してしまいますね」
美鈴「でも女は見られて美しくなるって聞きますよ?」
詩菜「あらあら。それでは美鈴さんたら、今以上にお美しくなってしまうのかしら?」
美鈴「やっだも〜! 詩菜さんには敵いませんよ! お肌なんてこんなにスベスベで…化粧水、何使ってるんですか?」
当麻「……おい。何か勝手に前説始めたかと思ったら、急に井戸端会議になったぞ。おかんパワー恐ろしいな…」
美琴「もう…ママったら……」
刀夜「いやあ母さん、盛り上がってるなあ」
当麻「そして父さんは何故かそれを嬉しそうに眺める、と。何だよこの空間!」
美琴「ううぅ……授業参観みたいで落ち着かないわね…やった事ないけど…」
禁書「ちょっとちょっと、とうま! 私もいるって事を忘れてないかな!?」
当麻「いや、忘れてた訳じゃないけど、この三十代トリオが自由すぎてそっちまで気を回せなくて」
刀夜「こら当麻! 女性の年齢について話すのはマナー違反だろ! 確かに母さんはアラフォーだけど、とてもそうは見えないってご近所でも評判なんだぞ!? 実年齢の割には!」
詩菜「…あらあら刀夜さん。マナー違反なのはどちらなのかしら…?」
刀夜「はっ! ど、どうした母さん!? 笑顔なのに目だけが笑ってないよ!?」
禁書「」
当麻「な? 何言っても、結局食われちまうだろ?」
美琴「今回もゲストが厄介そうね…」
美鈴「あっ、そう言えば美琴ちゃん。当麻くんに押し倒された時、どうして目を瞑ったのかしら〜ん?」
美琴「それ前回の話でしょおおおがあああああぁぁぁぁ!!!///」
美鈴「だって、結局その答えを貰ってなかったし」
美琴「まずはそのニヤニヤ顔を止めろ馬鹿母っ!///」
美鈴「もう…美琴ちゃんてば、ホントに素直じゃないんだから…ねぇ当麻くん?」
当麻「は、はぁ……そうッスね…って、俺に振られてもなぁ……」
詩菜「あらあら当麻さん。本当にその天然ジゴロな所は誰に似たのかしら……?」
刀夜「だ、だから何故目が笑っていないんだ母さん! そして何故私を見るんだ母さん!」
禁書「……私の空気っぷりがハンパないんだよ…」


616 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:00:50 0GXcRTkA
「さて、と。母さん、少し遅くなってしまったがお昼ご飯の場所取りをしよう」
「あら。そうねぇ」


刀夜「あっ! ほらほら母さん! 私達が出ているぞ! いや〜、こうやって客観的に見ても、やっぱり母さんは綺麗だな〜」
詩菜「あ、あらあら刀夜さんったら…褒めても何も出ませんよ?」
当麻「あ〜もう! はしゃぐなそしてイチャつくな! 恥ずかしいから!///」
美琴(あっ…コイツ顔赤くなってる。………ちょっと可愛い…///)
美鈴「ほらほら当麻くん! 当麻くんが赤面するのを見て、それを更に可愛いとか思って赤面してるウチの美琴ちゃんに何か一言、言ってあげて?」
美琴「あなたはエスパーか何かですか!!?///」
禁書(えすーぱーとかじゃなくても、短髪はすぐに顔に出るから分かりやすいんだよ……言わないけど…)


 大覇星祭が、普通の運動会と違う点の一つとして、『場所取り』というものがある。


刀夜「こればっかりは毎年骨だな〜…会社の花見も場所取りは苦労はするけど、これはそんな比じゃないですよ」
美鈴「まぁ、これも大覇星祭の風物詩みたいな物ですからね」
当麻「いっそさぁ、学校ごとに食事できる区画を決めとけばいいと思うんだよ。そうすりゃ混まないし」
禁書「何を言っているのかな!? そんな事をしたら、その場所の物しか食べられなくなるんだよ!? 色んなお店に行けるから楽しいのに!」
当麻「お前は食い物なら何でもいいだろ!」
美琴「私も反対ね」
当麻「え、何で? 結構いい考えだと思ったんだけど…」
美琴「学校ごと…って事は、つまり他の学校の子とは食べられないって事でしょ? そんなのつまんないじゃない」
美鈴「そうよね〜。美琴ちゃんは当麻くんと一緒にお食事がしたいもんね〜」
美琴「ちちち違っ!!! わ、わわ、私が言ってるのは! 初春さんや佐天さんとって意味で、べ…別にコ、コ、コ、コイツの事なんかじゃ!!!///」
詩菜「あらあら。甘酸っぱいわねぇ」
禁書「……もしかして、今回はずっとこんな感じなのかな…?」


「―――せっかく母さんが作ったお弁当なんだから、最も美味しく食べられる場所を探そう。その方が当麻だって喜ぶだろうし、私は確実に喜ぶ。願わくば母さんにも喜んでもらえるとありがたいけど」
「あらあら、刀夜さんたら」


美琴「な、何ていうか…とても仲が良いんですね…」
刀夜「いや〜、はっはっは。これはお恥ずかしい」
詩菜「あらあら、見せ付けちゃったかしら?」
禁書「と、言いつつ満更でもなさそうなんだよ…とうやもしいなも」
美鈴「美琴ちゃんも今のうちに参考にしておきなさい。未来の為に、ね?」
美琴「みみみ未来って何の話だコルァアッ!!! 何でママは話をそっち方面に持って行きたがるのよ!!!///」
美鈴「だって面白いし。…にしても、お二人を見てたら私もパパに会いたくなっちゃいましたよ。今頃どこにいるのかしら?」
当麻「美鈴さんの旦那さん、海外で働いてるんでしたっけ?」
美鈴「そうなのよ! 海外を飛び回ってて…まぁ、定期的には帰ってきてくれるんだけどね」
詩菜「刀夜さんも海外出張多いわよね?」
刀夜「そうだなぁ…もしかしたら、どこかで会っているかも知れないな」
美琴「パパかぁ…私はしばらく会ってないわね。電話くらいしてみようかしら?」
禁書「短髪でもホームシックにかかる事があるんだね」
美琴「『でも』って何だ『でも』って!」
禁書「だって短髪って、普段から細かい事を気にしてなさそうだし」
当麻「そうか? 割と寂しがり屋だぞ」
美琴「ぶっ!?」
美鈴「わ〜お! 流石は当麻くん。美琴ちゃんの事分かってくれてるのね〜♪」


「だって美琴ちゃん、好きな男の子いるんでしょ? これ聞いたらパパが面白い反応見せてくれるわよー」


当麻「……えっ…?」
美琴「ちょおおおおおぉぉぉぉ!!!!! なしなしなし、これ違うからっ!!!///」
美鈴「美琴ちゃん、こんな所で取り乱してたらこの先持たないわよ?」
美琴「この先って……………って、思い出したーーーーっ!!!!!///」
禁書「…激しく嫌な予感がするんだよ……」
詩菜「あらあら。青春なのねぇ」
刀夜「美琴さんもお年頃だからなぁ」


617 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:01:38 ClU6.vjs
「えー? 違うのーん? あの黒くてツンツンした髪の男の子が気になって夜も眠れなくて、思わずベッドの中で枕を抱き締めちゃうんじゃないのーん?」
「ちがっ、違うわよ! どういう理屈でそんな結論に達するのかしら! って、そもそも何でアンタがあの馬鹿の事を知ってんのよ!?」


美琴「にゃああああああぁぁぁぁん!!!!!///」
刀夜「どどどどういう事なんだ当麻!!?」
当麻「えっ? 俺?」
詩菜「あらあら…今頃気づいたのかしらぁ…?」
美鈴「で? で? 黒くてツンツンした髪の男の子代表は、これを聞いてどう思うのかしら!?」
美琴「ママ楽しんでるたけでしょっ!!?///」
当麻「いや…どうって言われても、本人は『違う』って否定してるんだから…ねぇ?」
美琴「そそそ、そうよ!!! ぜぜん全然違うんだから!!!」
美鈴「もう…本当に素直じゃないわね、美琴ちゃん」
詩菜「当麻さん……女の子に恥をかかせる物ではありませんよ?」
禁書「いつもながら、とうまがとうまでとうまだから助かったかも…」
当麻(で、結局黒くてツンツンした髪の男の子ってどこの誰なんだろう? 俺以外にそんな奴いたかなぁ…?)


「んふーん♪ 美琴ちゃんの気になる男の子の親御さんだよー。ほら美琴ちゃん、アピールアピール!!」


美鈴「という訳で、ウチの美琴ちゃんです。本日はよろしくお願いいたします。…ほら、美琴ちゃんも挨拶して」
詩菜「これはこれはどうもご丁寧に。それでは後は、若い人でごゆっくり…」
当麻「ちょ、待て待て待て! 何でお見合いみたいになってんだよ!」
美琴「困りますから!!!///」
美鈴「あらそう? 残念。でも冗談は抜きにしても、ここらでお互いに自己紹介はしておいた方がいいんじゃない?」
当麻「いや、みんな知ってるでしょう。この後全員で食事したんですから」
刀夜「しかし当麻。よく考えたら、私はその子について何も知らされていないぞ?」
禁書「ん…私かな? 私の名前はインデックスっていうんだよ。あ、魔法名はDedicもがもがっ!」
当麻「うんうん。分かった分かった」
禁書「むーっ! むーっ!」
美琴「ってアンタ! 何そのちっこいのとイチャイチャしてんのよ!」
当麻「お前にはこれがイチャイチャしてるように見えんのか!?」
刀夜「だから当麻…その子は一体どこの誰なんだ…って、聞いていないな……」


「ひっ……い、いや母さん違うんだよ私は決してあの女性の顔と胸と腰と脚に見惚れていたとかそういう訳ではないんだよだからそのあれだつまり色々とごめんなさいでしたーっ!!」
 ――――
「……やっぱり親子なのね」


禁書「ここは全力で短髪に同意できるかも…」
美琴「…でしょ?」
詩菜「本当に当麻さんたら、似なくて良い所まで似てしまって…」
美鈴「あっはっは! こりゃ美琴ちゃん、将来は相当苦労するわね〜!」
当麻&刀夜「「………何が?」」


618 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:02:23 0GXcRTkA
 ―――上条は……ふと、己の視界に違和感を覚えた。
 店内を見回す。
 ―――テーブル横の通路は狭く、その通路を挟んだ上条たちの隣のテーブル席は、淡い灰色のYシャツに薄手のスラックスを穿いた女子大生ぐらいの女の人と、彼女と向かい合うように陸上選手が着るようなランニングに短パン姿の女子中学生―――超能力者でもある御坂美琴がこちらを睨んでいた。


美琴「ていうか今更だけど、今回はみんな名前表記なのね?」
当麻「まあ、仕方ないな。『上条』が三人、『御坂』が二人だもんな。あれ? じゃあ俺は御坂のことなんて呼べばいいの?」
美鈴「決まってるじゃない。下の名前で呼ぶしかないでしょぉ? ね、美琴ちゃん?」
美琴「えええええええええええええええええ!? し、下の名前って!?/// ちょ、ママ!?///」
美鈴「何うろたえてんの? だって、『御坂』だと、敬称があっても無くても私も反応しちゃうし、どっちを呼んでるか分からないじゃない」
美琴「そそそそそそそれはそうなんだけどさぁぁぁああああああああ?///」
禁書「……短髪は短髪って呼べばいいんだよ……」
詩菜「あらあら。だったら美琴さんも『当麻さん』って呼ばなくちゃいけないわね。だって『上条さん』だと私たちの方も誰が呼ばれているのか分からないから」
美琴「話が膨らんできた!?///」
当麻「うんにゃ。『美琴』は別に大丈夫じゃね? 普段から俺のことは苗字でも名前でも無くて『アンタ』って呼んでるし、父さんと母さんのことならおじさんと……ええっと……お姉さん、でいいんじゃないかな?」
刀夜「(……よし、さすがだ息子よ。よく分かっているじゃないか)」
当麻「(まあな……伊達に俺も父さんの息子じゃないってことだろ? 『おばさん』と言う前から母さんの眼力のプレッシャーは凄かったぜ……)」
美琴「み、みことって……みことって……」
美鈴「良かったわね、美琴ちゃん」
詩菜「あらあら当麻さん的には、年端もいかない女子中学生に『アンタ』って呼ばれて喜んでいるのかしら? まるで夫婦みたいな呼ばせ方ね。それもカカア天下っぽい家庭の」
美琴「ふふふふふふ夫婦ぅぅぅううううううううううう!?///」
禁書「……どんどん話がズレていっているんだよ……」


「ちょっとアンタ! 何で私の事だけいっつも検索件数ゼロ状態なのよ! ―――」


美鈴「あら、美琴ちゃんっていつも当麻くんにスルーされてるの?」
美琴「そうなのよ! ったく、ホントに腹立つわ…」
当麻「俺はそんなつもりはないんだけどなぁ…」
刀夜「ちょっと待て当麻! 逆に言えば、そんなにしょっちゅう彼女から声をかけられているって事なのか!?」
当麻「え? まぁ…確かに不自然なくらいエンカウント率は高いかな?」
美琴「ぶっふっ!!?///」
詩菜「不自然に…ねぇ……それは是非、美琴さんにもお話を聞かなければならないかしらね」
美鈴「私も聞きたいなー! 美琴ちゃんが『不自然に』当麻くんに声をかける理由が聞きたいなー!」
美琴「ちくしょう! ママ、佐天さん以上に厄介だわ!///」
禁書「私は聞きたくないかも!」
当麻(…俺はちょっと聞きたかったりするけど……)


「かく言う短髪だって、どこに住んでる誰なの? とうまのガールフレンドかなんか?」


美琴「ええっと……ええっと……///」
禁書「西洋だと単に『友達』って意味なんだけど」
美鈴「直訳すると同じ意味なんだけどね。でも、日本で『ガールフレンド』って言っちゃうと、『恋人』ってニュアンスの方が強くなっちゃうの」
禁書「むむ……! じゃあ何て言えばいいのかな!?」
美鈴「『女友達』でいいのよ。でもまあ、私としては美琴ちゃんが当麻君の『ガールフレンド』でいいんだけどね。『ガールフレンド』がいいんだけどね」
美琴「マ、ママ! 何を言って……!?///」
禁書「それは絶対にダメなんだよ!! 短髪は『女友達』で充分かも!!」
刀夜「と、当麻! お前は女子中学生を恋人にするなんぞ何と羨ま……けしからん真似を!!」
詩菜「当麻さん、母さんは別に反対しないけど、もうちょっと身辺整理した方がいいと思うわ。ところで刀夜さん? 羨まって言いかけた意味と続きを教えてくださらないかしら?」
刀夜「な、何を言ってるんだ母さん! 別に深い意味は……!!」
当麻(何か俺……今回入り辛いなぁ……)


619 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:03:10 ClU6.vjs
「えっ!? い、いや、別に私はこんなのと何かある訳じゃ……」
「とうまの学校の応援にも来てたよね。確か『ぼうたおしー』の時」
「ちがっ、ちょ、黙りなさいアンタ!!」


美鈴「まあ、噂によると全部『未遂』みたいだしね。『何かある訳じゃ』ってのはある意味正しいわ。とっても残念だけど」
詩菜「あらあら。案外あるある話なのかしら。偶然女性とぶつかっていい感じになったり、不意に女性と触れ合う事になっていい感じになったり、たまたま女性と会話してるといい感じになったりってよくある話なのかしらそうかしら」
刀夜「(当麻! お前はなんちゅう学校生活を送っているんだ!? おかげで父さんまで巻き込まれているじゃないか!!)」
当麻「(自覚あるのかよ父さん! つか、俺のは本当に偶然だからな!!)」
詩菜「ちなみに美鈴さんはどのような噂を聞いていらっしゃるので?」
美鈴「そうねー、美琴ちゃんと当麻くんがよく手を繋いでいたり、美琴ちゃんと当麻くんが押し倒したり押し倒されたり、美琴ちゃんと当麻くんが一晩中一緒に過ごしたり、美琴ちゃんと当麻くんがお互い食べかけのホットドッグを交換したり、あと美琴ちゃんが口を付けたストローのスポーツドリンクを当麻くんが飲んだり――――」
美琴「ちょ、ちょっと待ってママ! どこでいったいそんな情報を仕入れたの!? それと一晩中一緒に過ごしたってのはかなりの脚色が含まれてるから!!///」
美鈴「んー、以前、大覇星祭を見に行ったときに知り合った頭の外がお花畑の女の子とそのお友達の女の子が教えてくれた。ママ、美琴ちゃんの学園生活が心配で、結構、その子たちと連絡取り合ってるのよ」」
美琴(ああああああああああああああ! 初春さんと佐天さん!! そう言えば、あの二人はママと一緒にいた時間があったあああああああああああああああ!!)
禁書「ていうかとうま…短髪のお母さんの話は初耳のもあるんだけど、私があんなにお腹を空かせていた時にとうまは短髪とそんな事をしていたんだね……」
当麻「インデックスさん目が怖い! つかあの時は俺も無理やり連れてかれたのをお前も見てるだろ!? ちょっと美琴さん! あなたも何か言って―――」
美琴「かかか間接キ! ……ス………とか! ぐっ、ぐ、偶然だから!!! 狙ってやったとかじゃないんだから〜〜〜!!!///」
当麻「ちょ、美琴さーーーーーん!!!」


「いや、違うのですよ母上! コイツは近所に住んでる子でちょっと料理ベタだから色々ある訳でですね――――」
「え? いやとうま、近所って言うか……」
「俺が説明するからお前は静かにッ! てか女の子として料理ベタの部分に引っかかりを覚えないってのはどうなんですか!?」
「でも、できないものはできないし」
「くそ、本気で食べる専門ですかインデックス!? 一方美琴はどうなの家事とか!」
「は? ま、まあそりゃ私だって学習中の身ですから多少はね。流石にペルシャ絨毯のほつれの直し方とか、金絵皿の痛んだ箔の修繕方法とか完璧に覚えているって訳じゃないけど」
「美琴ちゃん……そもそも普通の日本のご家庭にペルシャ絨毯とか金絵皿は存在しないし、それは家事ではなく職人芸って言うのよ?」


当麻「至極当然の感想どうもありがとう! ほらみろ美琴! 以前の二学期最初の日こぼれ話で風斬やインデックスと普通に話してたことが普通じゃないことが分かっただろ!」
美琴「むむむ……何か納得できない……だって、家庭科の授業で習うんだから仕方ないじゃない……」
禁書「ねえとうま……そんなに家事ってできることが重要?」
当麻「当たり前です! 確かに昔は女性の仕事だったかもしれませんが、今は、夫婦共働きがほとんどなんだから家事分担ができないと男女ともに結婚の可能性は下がるんです!!」
美鈴「てことは、当麻くんとしては多少なりとも家事ができる女の子と一緒になりたい、と?」
詩菜「あらあら、ということは美琴さんの方がそこのお嬢ちゃんよりも多少なりとも優位に立っている、ということでいいのかしら?」
美琴「!!!!!!!?!///」
禁書「!!!!!!?!!」
刀夜「とっ、とと、当麻っ! けけけ結婚なんてまだ早いぞ!? せめて18歳になるまでは待ちなさい! 法的に!」
当麻「んな事言われても…」
禁書(家事……やってみようかな…)


620 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:04:06 ClU6.vjs
「は? ま、まぁそりゃ私だって学習中の身ですから多少はね、流石にペルシャ絨毯のほつれの直し方とか、金絵皿の傷んだ箔の修繕方法とか完璧に覚えいるって訳じゃないけど」


当麻「は? 何で二回目?」
美鈴「それはもちろん大事なことだからじゃない。もうちょっと言いたいこともあるし」
美琴「……激しく嫌な予感しかしないんだけど、何を言いたいの?」
美鈴「とりあえずは、一般的な花嫁修業から始めましょうか、ってね」
美琴「――!!!!?!/// 花っ! 嫁っ! とか、ないからっ!!!!!///」
詩菜「確かに…うちにはペルシャ絨毯はないわねぇ…」
当麻「母さんも、何、何気に『うちには』とか言ってんの!?」
刀夜「こら当麻! ワガママ言って母さんを困らせるんじゃない! 非難するなら、絨毯も買えないような私の安月給を非難しなさい!」
当麻「そこじゃねーよ! 俺が言ってるのはそこじゃねーよ!」
禁書「何かもう…短髪がとうまのお嫁に行くことは前提なのかな…?」
美鈴「うん」
詩菜「ええ、まぁ」
刀夜「はっ! そ、そう言えば!」
美琴「ううぅ……もうヤダこの人たち…///」


「まあ、とりあえずご飯を食べるとしようか。当麻、そちらのお二人にはありがとうって言っておくように。わざわざ当麻が来るまで何も食べずに待っていてくれたんだぞ」
「そうなの?」
「うっ」


禁書「め、目の前にご飯があるのに食べないで待てるなんて、信じられないんだよ!」
当麻「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前ん中ではな」
美琴「犬ですら、ちょっと訓練させれば『待て』るわよ……って、ママどうしたの? 難しい顔して」
美鈴「ううん……ここは当麻くんと当麻くんのお父さんが本当に親子か疑いたくなる部分ね…って……」
詩菜「その心は?」
美鈴「いえね。当麻くんだったら絶対に美琴ちゃんが待ってた、なんて気付かないと思うのよ。でも当麻くんのお父さんはちゃんと気付いているし、おかしいな、って」
刀夜「そうですか? 普通だと思いますよ。当麻が鈍いだけで」
当麻「(……何気なく酷い評価じゃね?)」
美琴「(寸分の狂いもなく的のど真ん中をぶち抜いているわよ)」
禁書「(だよねー。とうまだったら絶対に気付かないんだよ)」
当麻「(お前らの俺評価がよーく解った)」
詩菜「あら? でもおかしくないかしら? そもそも待ち合わせをしていたわけでもないのに、どうして刀夜さんは『待っていた』なんて発言したのかしら?」
刀夜(ひくっ!?)
美鈴「当麻くんよりは女心が分かってる、ってことじゃない?」
刀夜「みみみみ美鈴さん! 悪気がないのはよっく分かってるんだけど、その類の発言は控えていただけないでしょうか!?」
詩菜「あらあらあらあらあらあら……刀夜さん……? 『また』ですか……?」
刀夜「か、母さん! 何やらおどろおどろしいどす黒いオーラが立ち上っていますよ!?」
当麻(何でだろう……前回が前回だっただけに今回は妙に楽だわ……)


621 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:04:54 ClU6.vjs
「まぁまぁ。ようやく待ち人が来たんだから、さっさとご飯にしちゃいましょう。えっと、お名前は上条当麻君で良いのかな?」
「え? そうですけど。あの、そっちは御坂のお姉さんか何かで?」
「ううん。私は御坂美鈴。美琴の母です。よろしくね」

 …………………………………………………………………………………………………、母?

 上条サイドのテーブルに着く全員が動きを止めた後、
「HAHAァ!?」
 みんなで仲良く絶叫した。


禁書「この世界は絶対におかしいんだよ! 『こもえ』もそうだし『しいな』はもちろん、短髪のお母さんも含めて、とうまの周りには若い大人が多過ぎるんだよ!!」
美琴「でもそれって私たちも安心材料じゃない? 少なくとも――そうね、向こうさ、もとい! 二十年近くは若いままで居られるってことなんだし」
禁書「うぅ……そういう言われ方をすると確かにそうなんだけど……」
当麻「なあ美琴、お前、何か言い直さなかったか? 『向こうさ』って『向こう三十年』か? 素直にそう言えばいいじゃん」
美琴「!!!!!!!!!!!?! アンタ馬鹿じゃないの!? こういう気遣いくらいはアンタのお父さんに似て気付きなさいよ!! あと、その洞察力は別のところで発揮させなさいよ!!」
当麻「はぁ……? って、何かいきなり永久氷壁に閉じ込められた気分!?」
詩菜「あらあら当麻さん……やっぱり当麻さんはちょっとは女心を学んだ方がいいと思うわぁ……」
美鈴「ふふふふ当麻くん……正直なのは悪くないけど時と場合によるわよ……」
当麻「前言撤回!! いいいいいいや……別に母さんたちのことを言ったわけじゃなくて……その……深い意味はないわけで……」
刀夜(息子よ。自分の不始末は自分で付けるんだぞ。父さんは遠くから見守ってやるからな)※意訳すると怖いので近づきたくない。


「――――女の子ならご飯は鍋で用意するくらいの大飯喰らいの方が形よく立派に育つのよ。エクササイズも大事かもしんないけど、小さなお弁当をチマチマ食べてるだけじゃ大きくならないって。それだと逆に育ってほしい所に栄養が行き渡らないかもしれないわね。もう、私が何でこんなに大量の乳製品を持ち込んできたと思ってんのよ。娘のためでしょー?」
「なっ、ちょ……育つとか、大きくなるとかって、いきなり何の話を始めてんのよ」


美琴「……娘をからかって何か楽しい?」
美鈴「うわー。すっごい冷たい視線。反抗期? もしかして反抗期なのかなー?」
当麻「何言ってんだ美琴。良い母親じゃないか。お前のこと、心配して食事に気を使ってくれてるんじゃないか」
美琴「ほほぉ。つまり、アンタはこの馬鹿母が何のためにこういう準備をしたのか分かるとでも?」
当麻「もちろんだ。成長期は食事に気を付けなきゃならんという事に決まっている」
美琴「へ?」
禁書「とうま?」
当麻「成長期は骨を強くしないといけないだろ。じゃないと急激な身体的増進に耐えられん訳だし」
美琴「……」
禁書「……」
美鈴「正解だけど不正解ね……」
刀夜「……当麻……お前という奴は……」
詩菜「あらあらここまで鈍いとは母さん思わなかったわぁ……」
当麻「え? 俺、何か間違えた?」


622 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:05:35 ClU6.vjs
「――――いっぱい食べたらいっぱい育つってのは、生物学的に当たり前の事よ。――――摂取量と運動量を調節すれば、きちんと育ってほしい所が育ってくれるわ。欧米の食文化なんてすごいじゃない。あんなバケツみたいな量のご飯を食べてりゃ、そりゃあ日本人より良い体格になるわよね。胸がデカイと人生得するわよーん?」
 言いながら美鈴はわざとらしく両手を挙げて「うーん」と伸びをした。背中が弓のように反らされた事で膨らんだ部分が強調される。ぐぐっ、と発展途上の美琴はわずかに怯んで、
「べ、別に。いっぱい食べたら体がいっぱい育つなんて、ほとんど迷信じゃない。――――って、アンタ! 何を人の家の母に視線を奪われてんのよ!!」
 美琴に指摘された上条は、ズバァ!! と音速で視線を逸らした。


美鈴「ほら美琴ちゃん。当麻くんだって大きな胸に視線が釘付けになるじゃない。だからね、大きいことは良いことなのよ」
美琴「いやいやいや! そりゃ否定はしないけど、多分、健全な男子だったら普通の反応なんじゃないの!?」
詩菜「良かったわ当麻さん。当麻さんもちゃんと健全な男の子だったんで母さん、安心しちゃったわ」
当麻「うぉい! 母さん! その指摘何かおかしくない!? ここは、どっちかというと息子をたしなめる場面じゃないの!?」
禁書「ところで、とうやは何で目を背けてるのかな?」
刀夜「……お嬢ちゃん……男には、絶対に許されない行為というものがあってだね……今がまさにそれなのだよ……」


「……何、とうま? そんなに人の顔をジロジロ見て」
「いやぁ」上条はとても苦い笑みと共に、「いっぱい食べたらいっぱい育つ、か。叶ったら良いなぁって」
「!!」


禁書「さて、とうま。噛みつきと電撃どっちがいい?」
美琴「私としては両方が理想ね」
当麻「ちょっ! 何でこういう時だけはいつも息がぴったりなの!?」
美鈴「女の子が女の子をからかうのは同性だからまだ許される部分があるけど、男の子が女の子をこういう風にからかうのはさすがにデリカシーが足りなさ過ぎるわね」
詩菜「あらあら。少なくとも刀夜さんなら言わないセリフかしら。無自覚だけど女性心ってものはちゃんと分かってる人だから」
刀夜「……母さん、それって褒めてらっしゃるのでしょうか……?」
当麻「……あの……スル―しかけたけど、美鈴さんの女の子が女の子、ってのは……?」
美鈴「よし。美琴ちゃんとそっちの女の子。当麻くんに女心を傷つけた男はどうなるのかを教えてあげなさい」
美琴&禁書
  「「了解」なんだよ!!」
当麻「何でぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!?」
刀夜「……さすがにこういう場合は愛する我が子でも守りきれないぞ……」
詩菜「当麻さんには少し反省してもらいましょうね」
当麻「はい、それでは皆さんもご唱和ください。『不幸ーだーーー』」


「……、そ、そう。二人はなんかあったんだー。へぇ、なるほどねぇ」
「わぁーっ! ウチの美琴ちゃんときたら気になって仕方がないくせに興味がないフリなんか装っちゃって超可愛い!―――」


当麻「うぅ…酷い目に遭った……」
女性全員「「「「自業自得」」」」
刀夜(女性4人から攻められるとか、ある意味羨ましいぞ当麻! でもそれ言うと母さんが絶対に怒るから、言〜わない!)
美琴「まぁそれはともかく…け、結局コイツと何があった訳? い、いや興味はないんだけどね? ほら、話題に出ちゃった訳だし聞いておかないとって思って」
禁書「それは! その…秘密、なんだよ……///」
美琴(えっ!? な、何この反応…! もしかして私の想像以上にとんでもない事が起こっていたりなんかしたり!!?)
刀夜「何があったのかは知らないけど、これ絶対羨ましい目にあっているだろ当麻! でもやっぱり母さんが怒るから言〜わない!」
詩菜「口に出ていますよ刀夜さん…?」


「……ってか、前々から思ってたんだけど。アンタ達って何でいつも一緒にいる訳?」
 ――――
「じゃあ短髪は何でいつもとうまと一緒にいるの?」


美琴「………」
禁書「………」
当麻「な、何で二人ともこの手の話題になると険悪になるのでせうか!?」
美鈴「見事なまでに修羅場ね…こんなの昼ドラでしか見た事ないわ」
詩菜「あらあら、そうかしら? 私達にはお馴染みの光景よね刀夜さん…?」
刀夜「何故、私の方を見るんだ母さん!」


623 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:06:24 ClU6.vjs
「……、何でも言う事聞くって?」
「いや!! 何でもと言ってももちろん限度はありますインデックス! 決してあなた様が今想像しているようなエロ方向へ話が進む事はありえませんのでご安心めされよ!!」


美鈴「私としては、ちょっとくらいならエロ方向でもOKなんだけど」
美琴「ママーーー!!! ちょっといい加減にしてよもう!!!///」
美鈴「だって全然進展しないんだもん」
当麻「そもそも何で美鈴さんは、俺と美琴をくっつけたがるんですか? 本人、こんなに嫌がってるのに」
全員「「「「「」」」」」
当麻(あれ? 空気が固まった。「俺としてはありがたいですけど」って付け加えようとしたけど、言わない方が良さそうだな)


 銀髪碧眼のチア少女と向かい合っていた少年が。
 その場で身を屈め、チア少女の腰に両手を回し、ほっぺたをお腹に押し付けていた。


美琴「……ああ…思い出したわ……アンタこん時、何をやっていたのかしらねぇ…?」
当麻「ぅおおおい! 睨みつけながらバチバチすんのやめてくんないですか!? つかカットされた部分に悪意があるよ! 俺はこの時インデックスのウエストを測ろうとしてだな…って、インデックスからも何か言ってくれ!」
禁書「…え? そんな事あったかな? 私は覚えてないんだよ」
当麻「嘘つけえええええ!!! お前、完全記憶能力者だろうがあああああ!!!」
美鈴「あ、私達は避難しておいた方が良さそうですね」
詩菜「あらあら、ウチの当麻さんが何度も怒らせるような事をしてしまってすみません」
美鈴「いえいえ。ウチの美琴ちゃんこそ何度も怒っちゃってすみません」


「こんの……くたばれエロ野郎ォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
 少年の元に突撃し、拳を振り上げ、割と渾身の力を込めて殴り飛ばした。
「ごァああああああああああああッ!?」


美琴「こんの……くたばれエロ野郎ォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
当麻「ごァああああああああああああッ!?」
詩菜「あらあら。見事に再現されてるわね。電撃も迸っていてまるでギャラクティカマグナムみたい」
刀夜「母さん冷静だね!? そんな母さんも素敵だけど!(ネタが古いとは言えない。絶対に言えない)」
美鈴「まぁアレよね。ケンカするほど何とやらって奴。結婚生活でも、全くケンカをしない夫婦って意外と離婚率が高いって言うし」
禁書「この状況を見てもまだそんな事を言える短髪のお母さんは大物だと思うんだよ」


 うえーん、と上条は半泣きで目元を擦った。と、馴れた手の感触ではなく、薄手の布の感触が返ってきた。サテンか何かの、ツルツルした生地だ。何ですか、これは、と改めて観察してみると、それは白い布だ。ツッコミハリセンのように、何度も何度も折り畳んである。
 プリーツスカートだった。
 インデックスが穿いていたチア衣装の。


美琴「こんの……くたばれエロ野郎ォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
当麻「ごァああああああああああああッ!?」
詩菜「あらあら。今度は左なのね。電撃が大宇宙を突き抜けていく錯覚を感じるからギャラクティカファントムみたい」
刀夜「母さん冷静だね!? そんな母さんも素敵だけど!(またネタが古いとは言えない。絶対に言えない)」
美鈴「まぁアレよね。これは自業自得としか言いようがないわね。よりにもよって女の子のスカート剥いちゃうなんて」
禁書「……うんまあ……これはとうまが悪いんだよ……///」
当麻「何で!? よく見ようよ!! 美琴が俺を殴り飛ばさなきゃ起こらなかった惨劇だよ!?」


624 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:07:07 ClU6.vjs
 銀髪碧眼の少女は、おへそどころか、下着も太股の付け根も全部見えてしまっていた。いや、厳密に言えばテニスのアンダースコートのように、下着型の衣裳という事なのだろう。サテンのテカテカした、淡い緑色の布がピッタリと肌に貼り付いているのが分かる。もちろん錯覚だろうが、なんかパンツ型の生地に走る皺が色々な部分を浮かび上がらせているような気がして、まともに見ていられない(しかし、上条は緻密に説明済み)。


美鈴「当麻くん? 当麻くんってひょっとしてむっつり?」
当麻「何ですかその言い方!? そんな風に言われるならまだ蔑まれたり殴られたり噛みつかれたりした方がマシですよ!?」
美琴「ほっほ〜う?」
禁書「それでいいんだね?」
当麻「!!!!!!!!!!!!!!?!」
詩菜「あらあら。いくら刀夜さんでも公衆の面前で女の子を辱めたりはしないのにね。恥じらいの顔はさせることはあっても」
刀夜(当麻……母さんが怒ってるぞ……とっても怖いぞ……いつも以上に怖いぞ……)


「……ちょっと待ちなさいよ、アンタ」
「……お久しぶりですの。殿方さん♪」


禁書「この時の短髪は天使に見えたんだよ」
美琴「まぁ、こんときのコイツは明らかに女の敵だったしね。あのままだと何を仕出かすかも分かんないし制裁は必要よ」
当麻「大事なことだからもう一回言うけど、美琴が俺を殴らなきゃインデックスのスカートは無事だったよな?」
禁書「と、とうまがスカートを掴んでいたのが悪いと思うんだよ///」
美鈴「その前に、当麻くんが美琴ちゃん以外の女の子に抱きついてちゃ、そりゃ美琴ちゃんが怒って当然じゃない」
美琴「さらっと何を言ってくれやがりますかこの馬鹿母は!?///」
当麻「だーかーらー、何でそれで美琴が怒んなくちゃいけないんだって! 怒る理由を教えてくれませんかね!?」
詩菜「……あらあら、ここはさっきの食事のときと違って、明らかに当麻さんは刀夜さんの息子だって分からせてくれるわぁ……」
刀夜「とととととと当麻! お前は本っっっ当に少しは女心というものを理解した方がいいぞ!!」


「でも! 今ここで為すべきはこの壊れたインデックスのスカートをどうするかであって不毛な争いを止めて皆で手を取り合うのが一番だと思うのですがどうでしょうこの平和的解決案は駄目ですか駄目ですねごめんなさい!!」
 言い訳するつもりが自己完結してしまった瞬間、それを遺言にするべく二人の少女が襲いかかってきた。


美琴「……馬鹿?」
当麻「うわーお。思いっきり視線が冷たいですよ美琴さん。あなた様は電撃姫なのですから熱い視線の方がお似合いでは?」
禁書「馬鹿……///」
当麻「よーしインデックス。ここは恥じらう場面じゃなくて俺を罵倒する場面だ。ドーンと来い。覚悟はできてるからな?」
刀夜「ところでこの後、このお嬢ちゃんのスカートはどうなったんだ? ま、まさか当麻! お前が美味しく頂いたとか!?」
当麻「何をどう考えたらそんな結論に達するんだよ父さん! つーか、父さんならそうするってことなのか!?」
詩菜「……」
刀夜「当麻! お前は父さんに何か恨みでもあるのか!? 矛先がこっちにも向いたじゃないか!」
当麻「明らかに自爆だろうがぁぁぁあああああ!!」
美鈴「んで、真面目な話、実際はどうしたの? あっちの家庭崩壊の危機的なやり取りはほっぽっといて」
美琴「私が直したわよ。原作にもその描写はあったと思うけど」
禁書「だから、この時の短髪は天使に見えたって言ったんだよ」
当麻&刀夜「「ちょっとぉぉぉおおおおお! そっちのお三方、見て見ぬふりしてないで助けて下さいなぁぁぁあああああああああああああ!!」」


625 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:07:49 ClU6.vjs
「お、お姉様のご家族……ですの? いやァああ……素晴らしい。まったくもって素晴らしすぎますわ! 何ですのよこのお姉様オーラの大インフレは!? ち、ちくしょう。こうなったらわたくしも覚悟を決めますわ。もう黒子ってば姉妹だろうが親娘だろうが何でもまとめてかかって来いですのよーッ! うふげへげへへあははーっ!!」
「あら。美琴ちゃんの乙女チックってばそういう方向性だったの?」
「どういう方向性を指してんのかしら!? 私はまともな道を進んでいるわよ!!」
「そうよねぇ。美琴ちゃんはあの男の子へ一直線だもんねぇ。寄り道している暇はないか」


美琴「ぶっ!! 物理的に黙らせてやる!!///」
美鈴「きゃーきゃー。美琴ちゃんってば照れ隠しにムキになっちゃってこっわーい」
刀夜「仲の良い親子だね母さん」
詩菜「そうですね。我が家の仲の良さにも負けず劣らずというところかしら」
当麻「親子というより姉妹って感じがしないでもないけどな」
禁書「ちょっと羨ましいかも。私にも母親っているのかな? 私がいるってことは母親がいるはずなんだけど描写されたことがないんだよ」
当麻「どうなんだろうなぁ。ま、いるとは思うが――ところで、美鈴さんが言った『あの男の子』って誰のことだ?」
禁書(!! とうまのばかー!! うまい具合に話題を逸らせられると思ったのに何で蒸し返すかな!? って、あれ? でもとうまは誰のことか分かってないってことなのかな?)
刀夜「当麻……今の言葉は本気で言っているのか……? だとしたらあまりにも鈍過ぎると言わざるを得ないのだが……」
詩菜「あらあら当麻さんったら、ちょっと今の発言は頂けないわ。ほら、美琴さんも美鈴さんもさっきのじゃれ合いを止めてジト目で睨んでるわ」
美琴「……ママ、分かった? コイツはこういう奴なのよ……」
美鈴「うん……ちょっとママも当麻くんの認識を改めなきゃいけないかなって思っちゃったわ……」
当麻「え? え? お、俺何か悪いこと言った? 両家の親御さんたちの俺の印象が駄々下がりなんですけど?」
禁書「これがとうまのとうまたる所以なんだよ……安心材料なのか不安材料なのかは判断しにくいけど」


 短めの黒い髪を、ツンツンに尖らせた少年だ。彼の隣には、頭一つ分も背の高い金髪にサングラスの少年が立っている。
 ――――
「ほら美琴ちゃん。憧れの殿方があっちにいますのよー?」
「誰がそんな手に引っか―――いや違う! そもそも憧れでも何でもないわよッ!!」
 顔を真っ赤にした美琴は、冗談かと思ったのか美鈴が指差した方へ見向きもしなかった。


美琴(あっ、この時本当にコイツいたんだ。……見れば良かった…)
美鈴「ほら〜! ママの言う事聞いてないから!」
美琴「だ、だって! こういう時のママって、十中八九私をからかってるだけなんだもん!」
美鈴「この時は残りの一か二だったの!」
禁書「高い確率でからかってる事は認めるんだね」
刀夜「…? どうした当麻。何かを考え込んでいるようだが……」
当麻「……ツンツン頭…美琴の憧れ…好きな人…? なぁ、これってもしかして、さ…」
禁書&刀夜&詩菜&美鈴「「「「!!!?」」」」
当麻「もしかして俺―――」
美琴「えっ!!? あ、ふぁえっ!!!?///」
当麻「―――の、隣にいる土御門の事か? 確かにアイツ、頭がツンツンしてるけど…」
全員「「「「「」」」」」
当麻「え? え? なになに?」
刀夜「当麻……」
詩菜「当麻さん……」
美鈴「当麻くん……」
禁書「とうま……」
美琴「…うん。私は分かってた。うん、分かってたから全然何も思ってないから。期待とか全然してなかったから、うん」
当麻「えっと……違うの?」
美鈴「だぁ〜かぁ〜らぁ〜!!! 『黒髪』って言ってるでしょうがああああああああ!!!!!」
美琴(あ、ママが切れた)
当麻「あ、あーそっか。黒髪か」
詩菜「当麻さん…もうここまでくると、鈍いとかそういう問題ではない気がするわね。何だか私、当麻さんの将来が心配になってきたわ……」
刀夜「当麻! 母さんに心配をかけるんじゃない! お前はもうちょっと、乙女心という物を勉強しなさい!」
禁書「ここまでくると、流石にちょっとだけ短髪に同情するんだよ…」
美琴「あはははは……ははは………はぁ…」
当麻(けど美琴の好きな相手が土御門じゃないって分かった時、何かホッとしたな。…何でだろ?)


626 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:08:33 ClU6.vjs
「――――罰ゲームで何でも言う事聞くってルール、忘れんじゃないわよ」
「い、いや、罰ゲームって言われても……」
 ――改めて美琴の顔を眺め、
「み、見ての通り、とある事件に巻き込まれて体中がボロッボロなのですが。この状態で大覇星祭の競技に参加したっていつもの実力なんて出せる訳はないし、こういった場

合、勝負は一体、どうなってしまうのでせう?」
「……、うーんとね」


美鈴「ねーねー美琴ちゃん。ちょっと聞きたいんだけど」
美琴「……何よ?」
美鈴「美琴ちゃんってば、罰ゲームで何をお願いしたのかなぁ? ママ、とっても興味があるんだけど」
美琴「んな!? な、何でそんなこと言わなきゃいけないのよ!? わわわわわ私だって別にいやらしいことなんて考えてなかったし当たり障りのない罰ゲームくらいしか……やらせてないわよ!!///」
美鈴「本当にぃ? せっかくのチャンスなのに当たり障りのない罰ゲームしか要求しなかったのぉ?」
美琴「だ、黙れ! 黙りなさい! 黙らせてやる!! この馬鹿母!!///」
詩菜「あらあら。実際はどうだったのかしら当麻さん?」
当麻「ん? 美琴の言う通りだよ。まあ、ちょっと恥ずかしい思いもしたけど携帯のペア契約と、後は――何か、スゲエやる気にさせられることを命令されたくらいだった」
禁書「ひょうかを助けに行った時だよね。私も短髪に助けてもらったかも」
当麻「そうそう。な、美琴」
美琴「へ? あーそうそう」
刀夜「なあ当麻? ペア契約って普通、どんな関係の二人がするものなんだ?」
当麻「そりゃあ、男女ペアなんだから恋人とか夫婦とかじゃね?」
美鈴「あれあれ〜? 美琴ちゃん、ママとっても興味深いことが聞けた気がするんだけどぉ?」
美琴「ききききき気のせいよ気のせい! だいたいそいつにそんな気があるわけないじゃない!!///」
詩菜「あらあら。美琴さん、美鈴さんは当麻さんの事じゃなくて美琴さんの事の方を聞かれているのよ? どうしてペア契約を当麻さんと結びたかったのかなって」
美琴「!!!!!!!!!!!!!?!///」
禁書(……やっぱり話を逸らせなかったんだよ……はぁ……)


 美琴は腕を組み、上条の半泣き顔を見て、わずかに息を吐いた。今まで見るからに怒っていた彼女の眉が、ほんのわずかに下がる。それから、ゆっくりと肩の力を抜くと美琴は口元を綻ばせて、小さく笑った。それを見た上条は助かった、と胸を撫で下ろした、が、

「死ぬ気でやれば?」

「それだけ!? いや無理だって! すでに八方死んでる上条さんがこれ以上頑張ったらホントに死んじゃいます!! 大体、吹寄とか姫神とか土御門とか、俺以外にも欠員がいんのよ!? だから無効とまでいかなくてもせめてハンデを……って、あ、あ、あーっ! 無言で帰っちゃうのーっ!?」


美琴「そもそも罰ゲームはアンタから言い出したのよ。言い出しっぺのアンタが逃げようとするのはどうかと思うけど」
当麻「そ、それはだなぁ……」
詩菜「あらあら。当麻さんったら、なんだか見苦しい言い訳しているわね。と言っても、なんだか見慣れた言い回しのような気もするけど」
刀夜「……」
美鈴「当麻くん、やっぱり持ちかけた方が逃げようとするのはよくないと思うわよ。ここは義母として、娘のためにも当麻くんを説教させてもらうわ」
禁書「……何か字面がおかしいんだよ?」


627 : 大覇星祭こぼれ話Ⅲ :2014/08/28(木) 23:09:24 ClU6.vjs
上条「ふぅ。冒頭でも言ってたけど、今回は本当に授業参観みたいな気分だったな。何か別の意味で疲れた」
美琴「アンタはまだいいわよ。アンタんトコの両親はウチと違って子供をからかうなんて真似しないんだから」
上条「そんなもんかねぇ。ちなみにインデックスは俺の両親と御坂の母親の飯を食いに行くという誘いに乗っていなくなったってことなんだが」
美琴「そうだけど――何が気になるの?」
上条「迷惑掛けてなきゃいいけどな、ってだけさ」
美琴「ま、いいんじゃない? あの子ならちっちゃい子供みたいなもんだって笑って許されるわよ(ふっ! ぐっしょぶママとコイツの両親! あの子をうまい具合にすんなりとここから連れ出してくれたわ!!)」
上条「(な、何で御坂は悪い笑顔でガッツポーズ決めてんだ? でも怖いから聞かないでおこう、っと)で、今回で『禁書目録【原作】』の方は終わったわけだから、次回からは『超電磁砲【外伝】』ってことなんだよな?」
美琴「あ、そうなるわね。となると次回からのゲストは超電磁砲サイドが中心ってことなのかしら」
??「ちなみにミサカはどちらサイドの登場人物なのでしょうか、とミサカは素朴な疑問を抱きます」
上条「お? 次回のゲストは御坂妹か。そういや御坂妹ってどっちサイドだ?」
美琴「両方っぽいけど、こと大覇星祭に関しては超電磁砲サイドね。ん? ちょっと待って。アンタは一人で来たの?」
ミ妹「いいえ。次回のゲストと一緒に来ました、とミサカは素直に答えます」
??「That's right――久しぶりね。御坂美琴」
美琴「え!? もう一人って布束しのぶさんなの!? 久しぶり! って、もしかしてフェブリとジャーニーも連れてきたとか?」
布束「surely――まさか。連れてきてないわよ。but――もっとも、一緒に戻っては来たけど。ただ、ここに来る前に佐天涙子さんに会ったから預けてきたわ」
美琴「そっか。でもまあ元気そうで何よりよ」
上条「……なあ。この人ってどんな人なんだ? なんとなく御坂妹と雰囲気が似てるんだが……」
美琴「ああ。そう言えばアンタは初めて会うわね。でもまあ、具体的な紹介は次回でいいんじゃない? ちゃんとしてくれるから。でしょ? 布束さん」
布束「understand――分かったわ」
上条「OK。じゃあ次回はこの面子なんだな」
美琴「そういうこと。んじゃま、また次回お会いしましょう」


628 : 我道&くまのこ :2014/08/28(木) 23:10:31 ClU6.vjs
以上です。
予告通り、次からは超電磁砲編に入ります。
ではまた。


629 : ・・・ :2014/08/30(土) 10:56:59 JwZNkqxE
ども、・・・です

>>612さん
前にも言ったかもですが、オリキャラはあんま使いたくないんですよ。
でも、五和はいろいろあって使えなくて、
オティヌスレベルはインデックスと同じように考えると思うし、
オルソラレベルは病みまではしないだろうし、
ちょうどいいのがいなかったんです。
……ヴェントはフラグ強くなくね?(立ってないとはいえないカミやんパネェ)

>>611・612・614
誰か書けよ〜〜〜〜〜〜〜
……気が向いたら育児日記の後に書くかもです。
たぶん、気は向かないので、誰か、マジで、で書いて……



>>614

こぼれ話来た!!!
案の定ただのおもちゃだった美琴ちゃん。
しかし、当麻がダメすぎる。ダメすぎる!!
でも、でもでも、16巻までもう少しですね、その前に超電磁砲、デート、見どころ満載だーーー

GJ!!!!!!!

さてさて、投下します。
向こうでうれしいコメント見たので、
ペースを上げていきたいと思います。


それでは


630 : かおり :2014/08/30(土) 11:00:20 JwZNkqxE
神裂火織。
イギリス清教に所属しながら、天草式十字凄教の女教皇も務める。
核兵器と同等の戦力である聖人であり、魔術大国イギリスでもトップクラスの力を持っている。
その彼女が、イギリスから、突如消えた。


所変わって学園都市。
とある一室に日が差し込む。

「……だから、ごめんね、うん、うん、また今度」

ピッ という音とともに、そのカエルの携帯はしまわれた。

「どうした?」

ツンツンパパは、洗い物を終わらせ、手を拭きながら問いかける

「婚后さんがね、遊ぼうって」

電話をしながら、器用に人形を動かしていたのはビリビリママだ
モグモグベイビーはその人形遊びにきゃっきゃと夢中である

今日も上条家は平和だった

「でも、断った、インデックスと遊びたかったしね」

ほらほらインデックス〜、なんて再び赤ちゃんに構いだした美琴を見ながら、
上条は一時何か考え、意を決して声をかけようとした

「なぁ、美琴…………ん?……!!!!」

「!!!」

「あう?」

上条達はそれに気付き、動いた。
次の瞬間、窓ガラスが砕け散る。

インデックスをかばうように抱きしめていた美琴、
さらに二人を守るように抱きしめていた上条。

3人ともケガはなく、ゆっくりと開かれた上条の目に、
その人物が映った。

「……かん、ざき?」

「お久しぶりです、皆さん」


631 : かおり :2014/08/30(土) 11:01:00 JwZNkqxE
《かおり》


上条当麻、御坂美琴、そして神裂火織の3人はなぜかフローリングに正座していた。
上条の右隣が美琴、二人の正面に神裂が座る。ちなみにインデックスは美琴の膝の上でケロヨンとピョンコを戦わせている。
どこかからかししおどしの「カコーン」という音が聞こえた。

「久しぶり、神裂さん」

「お久しぶりです、御坂も元気そうですね」

最初は聖人だ超能力者だでいがみ合っていた二人も、上条の冒険に付き合ううちに一緒にいることが多くなり、会話が上条の愚痴になり、いつのまにか仲良くなるという、なんか、上条の周囲は大体そんな関係だったのだった。

「で、なにしに来たんだよ?」

「……はい、まずは、その子を貸してくださいませんか?」

上条と美琴は?を頭に浮かべて視線を交えた後に、
神裂に顔を向け同時にうなずくとインデックスを渡す。
しばらくインデックスを凝視する神裂に対し、インデックスも瞬きをした後に、キョトンと頭を傾けた。



もう限界だった。




「だーーーーーーーー!! かわぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!」

急に立ちあがりインデックスを抱きしめながら叫ぶヤマトナデシコだったもの。
なんて声をかければいいのかわからない御両親。
神裂はさらに二人を置いていく。

「なんですか? なんなんですか!!? 
ただでさえちっこくて愛くるしいお姿だったのに、
さらにちっこくなるとか、もうどうしてくれるんですか!!!!」

目を輝かせながら、インデックスをたかだかと掲げたり、頬をこすり合わせたり、抱きしめてグルグル回ったりする聖人。
上条と美琴はあっけにとられたあと、はたと気がつく。
この状況は、危険だ。
未だになにかを叫んでいる神裂を、あたふたと制止する。

「ま、待て!! 神裂!! キャラ崩壊どころじゃないぞ!!!」

「そろそろ元に戻って!! 読者もひいてるから!!」

後ろ向きに片足をあげ、インデックスを高い高いしながら笑いかける神裂。
手を虚空に漂わせる上条と美琴、しばらくそのまま固まっていた4人は。

「すみません、取り乱しました」

一瞬で元の位置に戻った。
しかし、過去は無かったことにはできないのだった。
インデックスが神裂の隣で遊び始める。


632 : かおり :2014/08/30(土) 11:01:34 JwZNkqxE
「こほん、……で、何しに来たんだ?」

しかし、上条は過去を無かったことにした。
上条の半分は優しさでできているのだ。

「ああ、そうでしたね」

そして、彼女は行動に移した。

「すみませんでした!!」

大和撫子の美しい土下座である。
当然2人は慌てた

「な、なんだよ急に!!」

「私があなたの家で暴れたせいで、あなたが住む家を失ったととステイルから聞きまして、この子が関わると、つい、自分を見失ってしまって……」

「あー、そういえば、そうだった」

また、借りが増えてしまった。なんていう神裂に、
あるある、とかうなずく美琴さんなのだった。

「まぁ、それはもういいよ、そんなことより窓ガラスを壊して突入するほど急いでた理由は何だ?」

「あ、それはインデックスがかわいすぎて、我慢できなかっただけです」

「全然反省してねぇじゃねえか!!!!」

うがーーーーー と立ちあがる上条を、
まぁまぁと腰にしがみついてなだめる美琴さんであった。
そのまま美琴は問いかける。

「そ、それで、神裂は何しに来たの?」

「はい、もろもろの借りを返させていただきましょう!!
上条当麻と、インデックスの面倒は、私が見ます!!!!!」

「「へ???」」

「あう?」

3人はガッツポーズしながら立ちあがる聖人を同時に見た。
少ししてようやく上条が動き始める。
美琴もおずおずと立ちあがる。

「ちょ、ちょっと待ってくれ、どういうことだ??」

「と、当麻とインデックスの面倒を、神裂が見るの?」

「はい、今日すぐにとはいきませんが、明日には新しい家を見つけようと思います」

何か言おうとしていた二人は、次の神裂の言葉で固まった。

「関係のない御坂に、これ以上迷惑はかけられませんから」

その一言に、全く悪意は無い。
だから二人は戸惑った。


本来、この状況は、いびつなのか?


「と、当麻……」

「美琴……」

上条は、迷っていた。
先ほどの電話は、
彼女の親友の1人からだったはずだ。


もし、自分達がいなければ、彼女は今ごろ楽しく友人と遊んでいたはずなのだ。


一方、美琴は、だんだん、怒りがこみ上げていた。

なぜ?

そんな時、再び電話が鳴った。湾内の文字が表示される。
美琴は、もう限界だった

「じゃあ、もう、わたしは、関わらなくていいのね。友達と遊んでくる」

上条が制止する間もなく、そのドアは閉められた。


633 : ・・・ :2014/08/30(土) 11:03:50 JwZNkqxE
以上です。

今更ながら、この設定だと、ソーズディの占いはクリアできるでしょ?


634 : くまのこ :2014/08/30(土) 17:58:57 /o1n7ssg
>>・・・さんGJです!
ねーちんが親戚のおばちゃん状態にw
いつもながら、続きが楽しみです! お待ちしてますよー!



支部でリクがあったので短編書きました。
オリ設定が含まれてますので、苦手な方は注意してください。
約3分後に5レスです。


635 : 俺とお前のキノコの話 :2014/08/30(土) 18:02:05 /o1n7ssg
第21学区。学園都市でも珍しい山岳地帯であり、山頂付近には天文台がある事でも有名だ。
山から流れ出す豊富な水量を利用した貯水用のダムも数多くある事から、
「学園都市の水源」とも呼ばれている学区である。

そんな場所に、ある5人の少女達は意気揚々とやって来ていた。

「うおおおお! キノコ狩りじゃああああ!!!」
「そんな大声を出さないでくださいな。恥ずかしいですわよ?」
「あはは! 佐天さんがはしゃぎたくなる気持ちも分かるけどね」
「そうだなー。空気が綺麗だもんなー」
「うわ〜! 春上さんと自然公園に来た時以来ですよ! 第21学区って!」

美琴達4人と土御門舞夏だ。
佐天が分かりやすく叫んでくれたように、彼女達はここにキノコ狩りに来ている。
学園都市にも四季はある。実りの秋・兼・食欲の秋である今は、山の幸の宝庫なのだ。

実は5人が足を踏み入れているこの場所は、ちょっと有名なキノコ園であり、
ここでしか生息していない珍しいキノコが多数あるという。
キノコ園の入り口に『安全で安心の菌糸培養』と書かれている事からも分かるように、
ここはキノコの研究施設でもあるのだ。
その過程で生まれた新種のキノコが、園内のあらゆる場所に生えている、という事らしい。

そんな所に生えている物を食べて、危険はないのだろうか。
しかもわざわざ『安全で安心』と謳っているのが何とも胡散臭く、
更にその下に手書きの張り紙で、「おいしいよ!」と吹き出しで言っているのが余計に怖い。
だがこの手の怪しい研修食材に耐性のある学園都市の住人達は、特に気にする様子もなく、
むしろ園内は賑わっていた。文化の違いって凄いね。

「なー、これって食べられるのかー?」
「見るからに毒々しいですわね…止めておいた方がよろしいのではありませんの?」
「ちょっと待ってください。今PDAを使って、このキノコ園のホームページから調べてみますから。
 えーと……あ、『ドクナシドクツルタケ』ですね。大丈夫です、食べられますよ」
「本当なの初春!? こんなに見た目怪しいんだよ!?
 ていうか、普通のドクツルタケより見た目ヤバイってどうなの!?」
「それ以前に、何なのその『トゲナシトゲトゲ』みたいなネーミングは…」

そんな訳でキノコを採り始めた5人だが、さっそく洗礼にあっていた。
流石(?)は学園都市オリジナルブランドのキノコである。

ワー、キャーと騒ぎながら、何だかんだとキノコ狩りを満喫する少女達。
そんな中、舞夏がこんな事を言ってきた。

「そう言えば、このキノコ園にはこんなウワサがあるのを知っているかー?」
「ウワサ?」

真っ先に食いついたのは、自称・都市伝説ハンターの佐天だった。が、

「そうだぞー。何でもここには、『本音茸』っていうキノコがあるらしいんだー」
「「「「ほんねだけ?」」」」

そのドラえもんの道具のような名前のキノコに、佐天以外の3人も同時に首をかしげた。

「何でも、香りはマツタケで味はシメジ(ホンシメジ)に近いらしいんだなー」
「……なにそれ美味しそう」
「佐天さんヨダレ出てますよ?」
「まるで人間に食べられる為に進化したみたいですわね」
「まぁ、進化って言っても学園都市が品種改良したキノコだからね」
「でも毒があるぞー」
「「「「ダメじゃん!!!」」」」

思わず4人で総ツッコミした。

「毒って言っても危険な物ではないぞー。ちょっと言語中枢が異常をきたすだけなんだなー」
「充分、危険でしょ。それ…」

美琴の指摘に、舞夏は「チッチッチ」と指を振る。

「本音茸はその名の通り、食べると本音で喋ってしまうようになるキノコなんだなー。
 けど逆に言えば、それ以外はただ美味しいだけのキノコって事だぞー」
「ですが安全という訳にはまいりませんでしょう。解毒方法はありますの?」
「あるんだなこれがー」
「「「「あんのかよ!!!」」」」

思わず4人で総ツッコミした。

「解毒茸ってのかあるんだなー。
 でもそれは超不味いらしいから、解毒以外では食べないらしいんだー」
「はー…何て言うか、随分と至れり尽くせりな―――って、どうしたの佐天さん?」

舞夏の説明に半分関心して半分呆れていた美琴だったが、ふと佐天を見ると、
「ふっふっふ…」と怪しげに笑っていた。


636 : 俺とお前のキノコの話 :2014/08/30(土) 18:02:48 /o1n7ssg
「ねぇ。つまりそれを食べると素直になって、大した危険もなく、しかも解毒も簡単…と、
 要約するとそうなるんだよね?」
「そうだなー」

舞夏に確認すると佐天は、そのまま美琴の顔の見る。瞬間、美琴の背筋にゾクリとした物が走った。

「え、な、何? 何するつもりなの佐天さん…?」
「いんや〜? べっつに〜?」

明らかにオカシイ。絶対何かを企んでいる顔だ。
…いや、何かいう程不確かな物ではない。今まで佐天と付き合ってきた美琴には分かるのだ。
佐天が『何をさせようとしているのか』を。

「た、食べないからね! そんな怪しいキノコ!」
「そうですわよ! 魂胆見え見えですのよ佐天さん!」

なので美琴は先手を打った。ついでに白井も。
どうせ佐天の事だ。これを機に普段は素直になれない美琴から、
彼女の言う『あの馬鹿』について聞き出そうと目論んでいるに違いない。
佐天も「分かってますって。そんな事はしませんよ♪」と口では言っているが、
確実に分かってくれてはいないだろう。

「けど食べる食べないは別として、見分ける方法は確認しておいた方がいいですよね。
 間違って採っちゃうかも知れませんから」

そう言って初春は、再びPDAの画面に目を移す。

「本音茸、本音茸……あっ、ありました。見た目はシイタケに似てるようですね」
「うわ〜…紛らわしいわね……」
「でも色は真緑です」
「こっわっ!!?」
「ちなみに解毒茸は、マリオに出てくる1UPキノコみたいな見た目です」
「そっちも緑かい!」

ツッコミ疲れしそうになる美琴である。
美琴は「好きな色は緑」だと豪語しているが、
キノコの色としては、お世辞にも食欲を湧かせる物だとは言えない。

「で、でも何万本に一本しか生えないみたいですから、滅多に見る事は……」
「もしかしてコレ?」

「滅多に見る事はない」…初春が付け加えようとした矢先、
佐天の手には大量の緑のシイタケが採取されていた。何万本に一本ではなかったのか。
「……まるで超サイヤ人のバーゲンセールだな……」状態である。

「今すぐ捨ててらっしゃいなっ!」
「え〜? せっかく採ったのに〜…」
「そうですよ佐天さん! それに調べて分かった事ですが、
 本音茸と見た目ソックリの『嘘八百茸』っていうのもあるんですよ!?
 見分けがつかないくらい似ているみたいですから危険です!」

名前から、何となくその作用が想像できる。
きっと食べたら本音とは真逆の事を言ってしまう毒が含まれているのだろう。
ブーブーと文句を言う佐天。と同時に、

「けどめちゃくちゃ美味いんだろ? いらないんなら、俺にくれないか?」

と誰かが声をかけてきた。そこに立っていたのは、

「な、なな、なん、何でアンタがここにっ!!?」
「上条さんがここにいたら、何かおかしいですか?」

美琴が『あの馬鹿』と呼ぶ人物、上条であった。
美琴の質問を無意味にはぐらかす返事に、美琴はもう一度声を荒げる。

「アンタが何でこんな所にいるのかって聞いてんのよっ!!!」
「食うから。キノコ食うから」

どうやら上条もキノコ狩りにやって来たらしい。
しかしこれが偶然とも思えない。誰かが上条と引き合わせるために仕込んだに違いないだろう。
となれば、疑わしきは佐天である。今までも、彼女の策略にまんまとやられてきたのだから。
…と思ったのだが、佐天も上条の突然の登場に唖然としている。どういう事なのだろうか。
しかしその直後、

「おーいカミやん。何かいいのは見つかったかにゃー?」
「おやー? そこにいるのは兄貴じゃないかー。こんな所で会うなんてグウゼンだなー」
「んー? そういうお前は愛しの我が妹、舞夏じゃないかにゃー? いやー、ホントウにキグウだぜい」
「……………」

金髪サングラスのアロハシャツ男が現れた。
どうやらこの茶番を仕組んだのは佐天ではなく、土御門兄妹だったようだ。
しかもそれだけでなく、

「ええなぁええなぁ! 可愛い子がいっぱいおって、ボクのリビドーがえらい事になってますよー!」

青い髪をした、白井以上の変態もやってきた。白井は美琴一直線の変態なので何とか御しきれるが、
この男は女性なら誰でもOKという手広さなので始末に負えない。


637 : 俺とお前のキノコの話 :2014/08/30(土) 18:03:36 /o1n7ssg
「では類人e…上条さん。こちらのキノコは全て差し上げますので、どうかここはお引取りを」
「え、全部? 本当にいいのか? さっきは冗談半分だったんだけど…」
「構いませんわよ。こんな毒キノコ」

上条達とあまり関わりたくなく、更にキノコの処分も押し付ける為に、
白井は佐天の持っていたキノコを上条に渡す。
本人が欲しがっていたのだから、きまりが悪くなる事もないだろう。
佐天は「え〜〜〜!? レアなのに、もったいないですよ〜!」と文句を言っているが、
白井としては知ったこっちゃない。

「おーい土御門。例のキノコ、こんなに貰ったぞ」
「おーマジかー! さっすがカミやん。いつも、そうやって口説いてフラグ立てていたんだにゃー」
「縁起でもない事を仰らないでくださいまし!!!」

白井は、「上条に好意があるからキノコを渡した」と思われてはたまったものではないので、
速攻で全否定する。

「ほんなら、はよ食べようや。向こうに鍋もあるし」

どうやらこの三人組【デルタフォース】は、この毒々しい緑色のキノコがお目当てで来たらしい。
確かに、初春がネットで調べた時に「美味い」という情報はあったが、
しかしわざわざこんな、訳の分からない毒性のある物を食べたいと思うだろうか。
だがその事を追求された男達は、

「別に大した事じゃないだろ。それよか味だ味!」
「ボクらは正直【ほんのうのおもむくまま】に生きてるから、素直になってもなんも困らへんし」
「解毒茸は先に見つけておいたしにゃー」

だそうだ。
しかもソックリの嘘八百茸についても、「それはそれで面白いじゃん。罰ゲームみたいで」だそうだ。
大物なのか暢気なのか、それともただのアホなのか。
ついでに、

「ちなみに私も今から兄貴達のグループに入るぞー。だから御坂達とはここでさよならだなー」

と舞夏が離脱した。
彼女は元々、兄貴と別行動する事で効率よくキノコを探すという役割だったらしい。
つまり美琴達は舞夏に利用された、という形になるが、
美琴達4人も「楽しかったから別にいいや」と、誰も気にしていない。

「ああ、そう…じゃあ、ごゆっくり食べてください…」

美琴は白井同様その怪しいキノコを食べたくないので、キノコを持った上条達を見送る。
だがその時、佐天からの耳打ちで大きく揺さ振られる事となる。
佐天は美琴の耳元でこそこそっと小声で話した。

(いいんですか御坂さん?
 上条さんが本音茸を食べたら、御坂さんの事をどう思ってるか聞き出せるかも知れませんよ?)

ズガン!と頭に落雷したような衝撃が美琴を襲う。電撃使いである事とは関係なく。
それはちょっと聞くのが怖い。けれどもやっぱり聞いてみたい。
そんな複雑な乙女心である。

「ちょちょちょちょっと待って!」

気が付けば、上条を引き止めていた。

「? どしたん?」
「い…いやその……や、やっぱり私もそれ食べてみたいかな〜、なんて……い…いいかしら…?」
「ああ、まぁ俺はいいけど…お前らは?」
「私は別にいいぞー。みんなで食べた方が面白そうだしなー」
「やっふう! 女の子が増えるんやったら、むしろ大歓迎やで〜!」
「オレは舞夏がいいんなら何でもいいぜい」

まんまと佐天の策略に嵌る美琴。彼女が先程、何を企んでいたのかを忘れた訳ではあるまいに。
しかし美琴は上条から自分の事を聞き出すという誘惑に負けてしまい、それ所ではなさそうだ。
なので白井が美琴を制止させようとする。

「お姉様! お考え直してくださいまし! これは明らかに罠―――」

しかし美琴に罠だと伝えている途中、今度は初春が白井に耳打ちした。

(いいんですか白井さん? 御坂さんが本音茸を食べたら、
 今まで知らなかった御坂さんの『あんな事』や『そんな事』が分かるかも知れないんですよ?)

ズガン!と頭に落雷したような衝撃が白井を襲う。いつも食らっている美琴のビリビリとは関係なく。
それはちょっと聞くのが怖い。けれどもやっぱり聞いてみたい。
そんな複雑な変態心である。

「ちょちょちょちょっとお待ちくださいですの!」

気が付けば、美琴を引き止めていた。


638 : 俺とお前のキノコの話 :2014/08/30(土) 18:04:17 /o1n7ssg
園内には休憩をする為の食事処がいくつかある。その中の一つに鍋の店があり、注文した鍋の中に、
トッピングとして、採ってきたばかりのキノコを入れる事ができるのだ。(ただし自己責任)
そんな訳で8人前の水炊きを注文した上条達だったのだが、
料理に関しては並々ならない拘りを持つ舞夏が中心【なべぶぎょう】となり、今はアク取りの最中だ。
そんな中、初春が美琴に耳打ちする。

(御坂さん。更に詳しく調べてみて分かったんですが、
 本音茸と嘘八百茸には、実は見分け方があるみたいなんです)
(へ、へぇ〜…どんな?)

興味の無いフリをしながらも、しっかりと聞き耳を立てる美琴。
そんな美琴の態度も初春は慣れているので、もはやツッコまない。

(嘘八百茸の方は、ひだの部分がうっすらと黄緑がかってるそうなんです)
(……それはまた、随分と微妙な違いね)
(ですが熱を通すと真緑に変色してしまうので、
 お鍋に入れたら本当に本音茸と見分けがつかなくなるみたいですよ)
(うわ〜…めんどくさそう……)
(でも大丈夫です。事前に分けておきましたから。
 確認しましたところ嘘八百茸は3本ありましたので、それだけは違うざるの中に―――)
「ほな、そろそろキノコ入れるでー」

初春が説明していた途中だったが、ボチャボチャボチャッ、と具材を投入する音が後ろから。
見ると青髪が、全てのキノコを鍋にぶち込んでいた。
全て、という事は勿論、初春が仕分けしておいた物も全てである。

「ちょ、な、何で全部鍋に入れてるんですかっ!?」
「え、何でて…そら食べる為やろ。流石に火ぃ通さな食われへんやん」

初春が慌てて青髪に詰め寄るが、時すでに遅し。
鍋の中のキノコは、見分けが付かない程に緑色一色であった。
鍋奉行中の舞夏が、

「勝手に入れるなー! 具には入れる順番って物があるんだぞー!」

と青髪に対し怒ったが、そんな事はどうでもいい。
ロシアンルーレット風の闇鍋…いや、緑鍋が完成してしまったのである。


 ◇


「じゃあ鍋も完成したし、いただくとしますか」

上条が両手を合わせて「いただきます」をしたのを合図に、他の者も箸を持つ。
美琴や白井は、本当は食べたくはないのだが、
先程引き止めてまで「やっぱり食べる」宣言をしてしまった手前、
この食欲が全然湧いてこない鍋に手をつけない訳には行かない。
嘘八百茸は3本。残り5本は本音茸である。
ちなみに解毒茸は、無駄に20本近くも採取した。たまたまいっぱい生えていたようだ。無駄に。
計8本…どうやら奇しくも、一人一本ずつはキノコを食べられるようだ。
それが良い事だったのか悪い事だったのかは別として。

(あ…あの馬鹿に本音茸が当たりますように!)
(お姉様に本音茸を! そしてわたくしについてのお言葉を、お姉様のお口から直接!)
(御坂さんに本音茸! 御坂さんに本音茸! てか、ついでに上条さんにも!)
(これって裏ルートで買ったらウン十万円するんだよなぁ……
 そんな高級キノコをただ同然で食べられるなんて、今日の上条さんはツイてるんじゃあ!?)

それぞれ思惑をかかえながら、全員一斉にキノコを口に含む。
誰が嘘をついているかゲームの開催である。

口に含んだ瞬間、確かにマツタケのような独特の香りが鼻をくすぐり、
噛めば噛む程ホンシメジのような旨味が広がっていく。
正直、かなり美味い。が、今の美琴にはそれを味わう余裕は無い。
お高いキノコを早々に飲み込むと、周りに注意を払い始めた。
美琴は誰がどのキノコを食べたのかを推理する為に、それぞれの第一声を待っているのだ。
キノコの見分けがつかないのなら、食べた後の反応を見るしかない。すると、

「わたくしは類人猿…いえ、類人猿なんて言ったら失礼ですわね。
 わたくしは当麻お兄様と美琴お姉様の恋を応援しておりますのよ?」

と白井が言ってきた。


639 : 俺とお前のキノコの話 :2014/08/30(土) 18:05:03 /o1n7ssg
(はい決定ー! 嘘八百茸食べた奴、一人目は黒子に決定ー!!!
 てか、何とんでもない事を言ってんのよ黒子おおおおお!!!)

美琴は心の中でツッコミを入れる。声に出さなかったのは、自分もキノコを食べているからだ。
不用意な発言は、不必要な事まで言ってしまう危険がある。
ちなみに白井は、自分の発言に自分で鳥肌を立たせ、自分自身の首を絞めた。

「う〜ん…評判通り、かなり美味いなー。
 この味はさすがに、料理どうこうで出来るレベルじゃなさそうだー。素材が違いすぎるぞー」
土御門(舞夏) → 本音茸

「そうだにゃー。けどオレは、そんな舞夏を料理して食べちゃいたいぜい。性的な意味で」
土御門(元春) → 本音茸

「あ、そうだ。今日の初春のパンツは、解毒茸とおそろいで緑の水玉なんですよ!」
佐天 → 本音茸

「へぇ〜…そらボクも見てみたいわ〜。てか、何やったらおパンツの中身も見せてくれへん?」
青髪 → 本音茸

「ええ、いいですよ。じゃんじゃん見てください。
 むしろそれ以上の事をしてくれてもいいんですぬふぇ〜〜〜!!!」
初春 → 嘘八百茸

これで上条以外の全員がどちらのキノコを食べたのかが分かった。
というか、全員ヒドイ有様である。特に野郎二人。
しかし残りは本音茸1本に嘘八百茸に1本と、面倒な事態になってしまった。
果たして上条はどちらなのか。

「んー……俺は期待しすぎたのか、イマイチだわ。
 やっぱ俺の体って、安い食材の方が美味く感じるようにできちまってんだな…」

分かりにくい!
これは上条の本音なのか、それともその反対なのか。
他の6人に比べて、今ひとつ決定打に欠ける上条の証言。
しかしここで、本音茸を食べて正直になりすぎた佐天が、とんでもない事を言ってきた。

「ところで上条さんって、御坂さんの事は好きですか?
 ちなみに御坂さんは上条さんの事が好きなんですけど」
「ぶーーーーーっ!!!?」

思わず、鍋の汁を噴出させる美琴。対して上条は少し困り顔をさせながら、

「美琴の事…? いや、大っ嫌いだけど…
 つか、ここ最近は美琴の顔も見たくないって思ってたし、今日も会ってうんざりしたからな…」

美琴はその言葉に、目の前が真っ黒になった。…のだが。

「だって美琴って全然可愛くないし、特にたまに見せる笑顔とかめちゃくちゃブサイクだし…
 まぁ女の子は顔が全てだけど、美琴って中身もひっどいもんな。
 いっつも俺の事をスルーしてくるし、何かと味方になってくれないし…
 でもいくら美琴が素敵じゃないからって、変態の上条さんは、
 中学生に手ぇ出してもいいかなって思ってる」

何だか言っている事がおかしくないだろうか。
ふと上条の顔を見ると、何故か真っ赤になっている。

嘘八百茸は、食べると『本音とは真逆』の事を言ってしまう。
そして少し考えれば分かる事だが、不幸体質の上条が本音茸【あたり】を引く筈がないのだ。
つまり先程の言葉は上条の……

それを理解した瞬間、美琴も負けじと赤面する。
そしていつものように、「な、ななななに馬鹿な事言ってんのよ!!!」とでも言おうとする。
しかし思い出して欲しい。上条と白井と初春が嘘八百茸を食べた、という事は、
美琴が食べたのは本音茸の方だという事になる。
そう。美琴は、先程の上条の『嘘』に対し、『本音』を言ってしまったのだ。
上条への、本当の気持ちを。


 ◇


さて、キノコ騒動の後は、大体いつも通りであった。
白井と青髪が血の涙を流し、上条を追いかけたり、
佐天や初春、そこに舞夏も加わって美琴をからかったり、
土御門が事の顛末を知り合いに片っ端からメールして、上条を処刑する者を募ったり…

ただ一つだけ違う事があるとするならば、一組のカップルが誕生した、という事だろうか。


640 : くまのこ :2014/08/30(土) 18:05:57 /o1n7ssg
以上です。
タイトルは、さまぁ〜ずさんのネタから引用しました。
ではまた。


641 : ■■■■ :2014/08/31(日) 21:49:12 8kqRsaG.
・・・さん、育児日記兼上琴観察帳、佐天さんバリに楽しみです
でも気になる所で切らないでぇええええ!?

くまのこさんは最近エロス全開なんでエロものかと思ったら、純愛路線だった///
て言うか上条さん可愛いぃいいいい!!
なにこのもじもじっぷり!あの鈍が悶えると破壊力有り過ぎ!!


642 : はりねずみ :2014/08/31(日) 23:16:52 dzLNNqvs
あ、あぶねぇ間に合った。
感想はまたおいおい。
このネタを投下しないと気が済まないので


643 : 8月31日(かみことのひ) :2014/08/31(日) 23:19:21 dzLNNqvs
一年前、鉄骨の崩落事故が起きた工事現場にも、既に立派なビルが建っていた。
非道な実験が行われているわけでも、魔術結社が潜んでいるわけでもない、ただのコンクリート製のビルだ。
日差しが照りつけるそんなビルの前に佇む男女が1組。

「アンタ、何でこんなとこにいるのよ」
「それはこっちの台詞だ」

上条当麻と御坂美琴。夏休み最後の日に、ふとこの場に立ち寄った2人があったのは偶然だ。
だけどその偶然が、2人には意味が有るのかもしれない。

「……御坂。この日の、この場所だからこそ言うぞ」
「ど、どうしたのよ?そんなに改まって」

この場所は、上条当麻にとっても特別な場所である。

「お前は言ったよな。70億人の命だの御坂美琴の未来だの、俺だけが背負わなくちゃならない事なんかないって」

この場所での誓いは、大なり小なり、彼の人生に影響を与えた事は間違いない。

「確かに俺一人の力で70億人の人を守る事なんで出来ない。お前の未来を守りきれる確証なんてない――」

それでも、と上条は続ける。

「――それでも、たった1人。御坂美琴の人生を共に歩みたいって、今俺は、そう思ってる」
「…………はぁ」

照れるわけでも、ビリビリするわけでもなく、彼女が深くため息を付いた。
そしてぐいっ、と顔を上条へと近づける。
その距離は10㎝ほど。彼女の息を、肌で感じられる距離である。

「アンタから言ってくれたことはとても嬉しい。今すぐいでも飛び跳ねたい。でもね、これだけは忘れないで」

彼女の体は、上条に密接し、体温を直接肌で感じる。
その温かさは彼を安心させると同時に、ドギマギと羞恥心も生んだ。

「私もアンタの人生を一緒に歩む。アンタがどんなに苦しい時だって、アンタが何と言おうと、アンタに一番だと思う事をする。たとえそれでアンタが敵になろうとも」
「御さ……美琴」

どうすればいいかわからず宙ぶらりんになっていた上条の腕は、やがて美琴を包み込むように……。






だが、2人は忘れていた。
人口230万人の8割が学生で、夏休み最後の日で日曜日であろうとも。
ここが入り組んだ路地の先であろうとも。

「お前ら、人目の付かない場所だからっていちゃツンてんじゃないじゃんよー」

ここは野外で、周囲に、何時までも、誰一人いないわけなどないのだ!!

「「黄泉川、先……せい……」」
「なんだ。小萌先生とこの悪ガキと超電磁砲じゃん」
「あ、えと……違うんですよ黄泉川先生。この上条当麻決して不純異性交遊など不埒な事は……」
「そういう年頃なのはわかるじゃん。今回は見逃してやるから、いちゃつくなら『ちゃんとしたとこ』でやるじゃんよー」

完全に誤解されている。
弁解しようとしても余計な誤解を生むに決まっている。

「はは、ははは」

ついに上条は、自分の意志とは関係なしに笑っていた。

「はははは、うわーーーん!!!」

そしてとうとう、美琴の腕を掴み、真夏の学園都市を舞台に、現実からの逃避行が始まった。


644 : はりねずみ :2014/08/31(日) 23:21:32 dzLNNqvs
これだけです。
関係ないけどハガレンの最後のシーン、私大好きなんですよ。ちょっと上琴で変換してみよ。

上条「俺の人生半分やるからお前の人生半分くれ!!」
美琴「は、半分じゃなくても、アンタが言うなら私の全てをあげるわよこの馬鹿!!」


おやすみなさい


645 : ■■■■ :2014/09/01(月) 10:32:15 GXJnKK.Y
はりねずみさん、生活お忙しい中でも必ず今日中にUPしてやると言う炎が見えましたw
鉄橋はいつでも二人にいい場所ですよね
ゲコ太ストラップを渡した場所でもあり、ハワイに着いていくと上条さんの手をミコっちゃんがとった場所

更にはかまちーってばビバリーシースルーの映画にしたりして(名前がミコっちゃんスルーにかけてあったりして)恋愛の象徴も強化してますし///


646 : ■■■■ :2014/09/02(火) 17:40:57 /7189EWE
わーはりねずみさんそれ読みたいです>エドウィン上琴ver
何となく、誤解で離れとこうとしたミコっちゃんを上条さんが無理矢理引き留めて・・・
〜〜〜〜〜///

悶える


647 : くまのこ :2014/09/03(水) 00:24:19 fhruTaSk
>>はりねずみさんGJです!
黄泉川先生! いい所だったんだから、空気を読んで!w
ハガレン上琴もいいですね〜。それを元に話を書いてくれないかな〜、なんて(チラッ



短編書きました。
自分にしては珍しく、普通にイチャイチャさせてます。
約3分後に3レスです。


648 : お部屋デート日和〜 ほのぼの時々イチャイチャ所によりエロ〜 :2014/09/03(水) 00:27:10 fhruTaSk
〜ほのぼのイジワル〜


ガーガーと、安物の掃除機の音が響く。
上条は、本日訪問してくる大切なお客様に備えて軽く掃除しているのだ。
せめて見た目だけでも部屋を綺麗にしておかなければならない。

「うっし! こんなもんかな?」

ふー、と一息ついた所で、タイミングよくチャイムが鳴る。どうやら来たようだ。
まだ片付いていない箇所もあるのだが、まぁ仕方ないだろう。

「はーい。今出ますよー、っと」

ガチャっとドアを開けたそこには、上条の彼女が立っていた。
彼女はお行儀良くペコリと頭を下げて、一言あいさつ。

「お邪魔します」
「おう、いらっしゃい…美琴。まだ部屋散らかってるけどいい?」

すると彼女はぷっ、と吹き出し、いつもの調子で軽口を叩く。

「別に気にしないわよ。アンタがずぼらなのは知ってるんだから、無理して掃除しなくてもいいのに」
「そ、そういう訳にはいきませんよ! 上条さんにだって意地があります!」

口を尖らせて文句を言う上条。その様子が可愛らしく、美琴もついついイジワルしたくなってくる。

「あらそう? じゃあ私が手伝ってあげようか? 片付け」
「うっぐっ…! そ、それは…ちょっと……遠慮しとこうかな〜、なんて…」
「な〜に? エッチな本でも隠してるの?」
「ソソソ、ソンナコトナイデスヨー!?」

どうやら図星のようだ。と言うか、わかりやすすぎる反応である。
美琴は目を細め、「へー、ほー」と何も語らずに上条を追い詰める。

「……………すんません…」

堪らず上条も、脂汗を垂れ流しながら謝った。だが別に、美琴も本気で怒っている訳ではないので、

「正直でよろしい」

と上条の謝罪を受け入れた。
今まで上条がさんざん他の女性にもフラグを建ててきた事を考えると、
エロ本の1冊や2冊など持っていようと許容範囲だ。

「で、もう上がってもいいのかしら?」
「あ…ああ。けどさっきも言ったけど、まだ散らかってるぜ?」
「だから気にしないって」

そう言うと美琴は、片手に持っていたお土産と共に、上条の部屋へと足を踏み入れた。




〜イチャイチャお土産〜


「ささっ、まずはこちらでおみ足をお崩しくださいませ姫様」
「うむ。苦しゅうない」

雑なミニコントと同時に差し出された座布団に座り、美琴はケーキボックスをテーブルの上に置いた。
上条はボックスにプリントされた店名のロゴを見て、軽く驚く。

「あっ、これってアレだろ? 最近オープンした、行列のできるケーキ屋。この前テレビで見たわ」
「うん。朝早くから並んじゃった」
「マジかよ!? 俺なんかの為にわざわざそんな苦労しなくても…」

上条の「俺なんかの為に」という発言にムッとした美琴は、頬を膨らませて反論する。

「アンタと一緒に食べたかったの!
 私にとってはすごく大切な事なんだから、『俺なんか』とか『わざわざ』とか言わないで!」

真剣な眼差しでそんな嬉しい事を言われたら、流石の上条でも、

「そ…そっか。……ありがと、な…」

と顔を「かあぁっ…!」と赤くせざるを得ない。

「あ、じゃ、じゃあお茶淹れるな!? コーヒーと紅茶と牛乳、どれがいい!?」

照れ隠しするように、ワタワタと飲み物の準備をする上条。
美琴は「あ、紅茶をお願い」とリクエストしたので、戸棚からティーバッグを取り出す。
そんな上条の後ろ姿を眺めながら、美琴の頭にふと疑問が浮かび上がる。

「あれ? そう言えばあの子達は?」

ティーカップにお湯を注ぎながら、上条は答える。

「インデックスとオティヌスか?
 二人には小萌先生…って俺の担任の先生なんだけど、その人の家に行ってもらってる。
 ついでに言うと、スフィンクスにもな」
「えっ、あ、そうなの? う〜ん…何だか追い出しちゃったみたいで悪いわね…
 一応、4人分は買ってきたんだけど……」
「あいつ等の分は冷蔵庫に入れとけば大丈夫だろ。
 …まぁ、オティヌスの体でケーキ一個は食いきれないと思うけど。
 それに気を使わなくてもいいぞ? 二人とも…特にインデックスは小萌先生に懐いてるし、それに」

それに、と一拍置いてから上条は言う。

「…それに…美琴と二人っきりになりたかったからな」

今度は、美琴が赤面する番だった。


649 : お部屋デート日和〜 ほのぼの時々イチャイチャ所によりエロ〜 :2014/09/03(水) 00:27:54 fhruTaSk
〜ほのぼのケーキ〜


「うんまかったなぁ〜…」

上条は小皿の上のティラミスを平らげ、心地良い溜息を吐く。流石は高いだけの事はあるという所か。
上条のそんな様子を見て、美琴は自分のミル・クレープを半分食べた所で止め、フォークを置く。

「良かったらこれも食べる?」
「えっ!? いや、それ美琴のだろ?」
「アンタの幸せそうな顔を見てたら、お腹いっぱいになっちゃったわよ。
 それに……ほら! 私ダイエット中だったし」
「え、あ…そう? 美琴にダイエットが必要な所なんて無いと思うけど…
 でもまぁ、そういう事なら遠慮なく…あむっ! んぐんぐ…………うんめぇえ〜!」

子供のように無邪気で幸せそうな顔をしながらケーキを頬張る上条を、
くすっと笑いながら見つめる美琴。
本当はダイエットなどしていないのだが、美琴にとってはケーキよりも、
上条のこの表情を見ている事の方が大切なのであった。

「はあぁ〜…ごっそさんでした」
「はい。お粗末さまでした」




〜ほのぼのゲーム〜


「何かゲームでもやるか?」
「あっ、やるやる」

テレビ台の収納スペースから、ゲームのハードを取り出す上条。
しかし上条の懐事情もあり、出てきたのは2〜3世代は昔のゲーム機であった。

「あー…悪いな。最新作とか無いけど」
「別に気にしないわよ、そんな事。レトロゲームだって面白いじゃない」

と言うより、美琴としては『なにで』遊ぶかよりも『だれと』遊ぶかの方が重要なので、
ゲームがレトロだろうが最新作だろうが、そこはあまり関係ない。

「じゃあ何にする? 格ゲー、パズル、レース…アクションで二人協力プレイってのもあるけど」
「それいいわね! どっちかって言うと、対戦よりそっちの方が好きだわ」

上条と対立するよりも、一緒に協力して敵を倒す方がいいという事らしい。例えゲームでも。
上条は「ん」と短く返事をすると、美琴のリクエスト通り、
協力プレイができる横スクロールアクションのゲームを起動させた。




〜イチャイチャちょっとエロゲーム〜


「あのー……美琴さん? これは一体どういう事なのでせう?」
「んー? どうって…何が?」
「いやだから! この状況ですよ!」

今現在、上条は美琴の座椅子と化している。
上条の胸を背もたれの代わりに寄りかかり、上条は強制的に、
美琴を背後から抱き締めざるを得ない構図となっているのだ。
ゲームの電源を入れて座布団にあぐらをかいた瞬間、美琴が膝の上に座ってきたのである。

「だって協力プレイなんでしょ? この方が一緒に戦ってるって感じがするじゃない♪」
「…まさか美琴さん、これが目当てでアクションを選らんだんじゃあ……」
「そんな事ないわよ〜」

と口では言っているが、美琴が非常にご機嫌なのは明らかで、あながち間違ってもいないらしい。
しかし上条も黙ってはいない。
美琴の背後を取っているという利点を生かし、反撃に出たのだ。

「ふ〜っ」
「わひゃっ!!?」

正確に表現するならば、美琴のうなじを目掛けて息を吹いたのである。

「ふ〜、ふ〜……ふぃ〜〜〜!」
「ひゃんっ! ちょ、反、則! んゃあぁん!!!」

集中力をかき乱されたまくった美琴は、ゲームどころではなくなり、
アッサリと持ちキャラの体力と残機が失なわれる。

「ああ、ちょっと! アンタのせいで死んじゃったじゃない!」
「ん〜? 上条さんのせいにされても困りますな〜。ミコっちゃんの腕が悪かったんじゃな〜い?」
「……にゃろう…」

しゃあしゃあとそんな事を言う上条に対し、今度は美琴が復讐に出る。
美琴はくるりと体勢を反転させ、上条と向き合う形を取る。
上条は不思議に思いつつも画面から目が離せないので、されるがままに、

「そぉ〜れ、こちょこちょこちょこちょーーーっ!」
「あーーーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃあ!!!」

脇腹をくすぐられた。
しかも上条がコントローラーを握っていて、今は右手が使えないのをいい事に、
その両手から微かに感じる程度の、超微弱な電撃も放出させる。
上条はくすぐりと痛痒い程度のビリビリで、ゲームどころじゃなくなる。
結局上条も、持ちキャラを死に至らしめてしまったのだった。


650 : お部屋デート日和 〜ほのぼの時々イチャイチャ所によりエロ〜 :2014/09/03(水) 00:29:04 fhruTaSk
〜ほのぼのイチャイチャお別れ〜


その後、借りてきた映画を観たり漫画を読んだりとだらだら時間を過ごした二人だったが、
そろそろ完全下校時刻が近づいている。

「あ…っと、もうこんな時間か。インデックス達を迎えに行かなきゃだ」
「あー…ホントだ……やっぱり楽しい時間って、あっと言う間に過ぎちゃうわね…」

美琴は名残惜しそうに時計を見る。
そんな美琴を上条は頭を優しく撫でながら慰めた。

「つっても、今生の別れって訳でもないだろ? 明日にはまた会うんだからさ」
「それでも! それでも…寂しいんだもん……」

口を尖らせる美琴。
上条は「やれやれ、仕方ないな」と言わんばかりに、その尖った唇を―――



『…ちゅっ…』



―――唇を黙らせた。

「ほ、ほら! これでもう寂しくないだろ!?」

と上条は言うがしかし、

「……こ、これじゃ逆効果よ…馬鹿………」

美琴は尚更帰りたくなくなってしまうのであった。


651 : くまのこ :2014/09/03(水) 00:30:05 fhruTaSk
以上です。
こういうの、たまに書きたくなります。
ではまた。


652 : ■■■■ :2014/09/03(水) 01:30:11 X4qbtQEc
(*^ー゚)b グッジョブ!!


653 : :2014/09/04(木) 23:04:50 U0VFl9sI
みんなさん素敵です!


654 : くまのこ :2014/09/06(土) 01:51:18 a3qR27Rk
深夜に失礼します。
短編書きました。オリキャラ、麻琴ちゃんが出てきます。
オリキャラが苦手な方はスルーしてください。
約3分後に4レスです。


655 : 麻琴ちゃんの憂鬱な日々 :2014/09/06(土) 01:54:07 a3qR27Rk
あたしの名前は上条麻琴。どこにでもいる普通な女の子!
…いや、外の世界には能力者ってあまりいないんですよね。えっと〜………うん。

あたしの名前は上条麻琴。学園都市ではどこにでもいる普通の女の子!
あたしはパパやママと三人で暮らしています。
パパもママも、娘から見てもすっごく素敵なので、憧れてますし尊敬もしています。
ただちょっと問題がありましてですね……
あっ! 問題と言っても夫婦仲が悪いとか、そんなんじゃないんですよ!?
むしろ良すぎると言うか…まぁ、そこがあたしの悩みでもあるんですが……

…う〜ん……口で説明するよりも、皆さんにウチの日常風景をお見せした方が早いですね。
今からご覧になって頂くのは、ある平日の一コマです。
あたしがいつも、何に対して憂鬱になるのか分かっていただけるかと思います。

では、どうぞ!


 ◇


「ほらー、麻琴ちゃーん!? 朝よー! 起きなさーい!」

あたしの朝は、いつもママの声で起こされます。
目覚まし時計もあるのですが、大体セットした時間よりも早く起こされてしまいます。
…でもその程度で文句は言いません。ママは怒らすと怖いから……

「ぅあ〜い……おはよー…」
「はい、おはよう。じゃあちょっとパパ起こしてくるから、お味噌汁見てて?」
「…ふぁ〜い……」

ママがパパの寝室に入っていきました。あたしはママに言われた通り、お味噌汁を見つめます。

……お味噌汁が沸騰しそうになったので火を止め、顔を洗って歯を磨く為に洗面所に向かいます。

リビングに戻ってきます。まだママはいません。
………遅いよっ!!! 軽く15分は経ってるよ!? どこまでパパを起こしに行ってんのさ!!!
仕方が無いので、あたしもパパの部屋に行ってみます。
ちなみに昔は、パパもママもあたしも全員一緒の部屋で寝ていたのですが、
一緒に寝る夫婦はその………あの…エッ……………エッチ……………しなくなって、
離婚する率も高くなるっていうのをテレビで観て、本気で心配したママが部屋を別々にしました。
ウチに限っては、そんな心配ただの杞憂だと思うんですけどね。
パパも部屋を分ける事に対して、相当ショックを受けてましたし。どんだけママと寝たいんだよ。

話が脱線しました。パパの部屋に入る途中でしたね。

あたしはパパの部屋のドアをそっと開けて、中の様子を覗きます。すると…

「あ・な・た〜? もうそろそろ起きないと、遅刻するわよ〜?」
「…う〜…ん……もう…ちょ………」
「や〜んもう! 何かむにゃむにゃ言ってる〜! 可愛い〜♡
 ほらほら、起きないとチューしちゃうわよ?」
「………すぴー…」
「え〜? そんなにチューしたいの〜? もう、しょうがないなぁ………んー♡…」

そこであたしはドアを思いっきり開けます。

「ママァッ!!! 朝っぱらから何してんの!? 早く起こしなよっ!!!」
「…ん?……ぇあっ、ま、麻琴ちゃん!!?」

ママが慌ててパパから離れました。遅いですけど。
先程あたしが起こされた時に、『その程度で文句は言いません』と言いましたが、
完っ全っにママに非がある場合は文句を言います。

「それとお味噌汁! もう、出来てるからね!?」
「あ、あらそう!? あ、ありがとうね、麻琴ちゃん! ほらパパ! 本当にもう起きなさい!」

さっきまでパパの寝顔にデレッデレだったくせに、あたしに注意されたので普通に起こすママの図です。
…何か納得いきません。

「う…〜ん……ママが…チューしてくれたら……起き…くー」
「え〜? どうしよっかな〜♪」
「おいこら両親っ!!!」

さっきの今で再びママ達がいちゃつき始めました。さすがに腹が立ったので、あたしは電撃を放ちます。
が、ママは自分の能力であたしの放電を相殺して、パパは単純に右手で打ち消します。
寝起きなのに、その反応速度は一体何なのパパ…
ちなみにその直後、ママから「お家で能力使っちゃダメっていつも言ってるでしょ!」って怒られました。
不幸だわ…


656 : 麻琴ちゃんの憂鬱な日々 :2014/09/06(土) 01:54:56 a3qR27Rk
朝ごはんです。
テーブルには3人分のご飯とお味噌汁、焼き鮭に卵焼きに味付け海苔にホウレン草のお浸し、
更に納豆とオーソドックスなメニューが並んでいます。

「今朝は和食なんだ」
「えっ? 違う方が良かったかしら?」
「? いや和食好きだし、てかママが作ってくれたモンなら何でも好きだし。
 …って、どっかで同じような会話をしたような気がするな……」

パパが何が既視感を覚えているようですが、まぁ、気のせいでしょう。

3人で一緒に「いただきます」をして。ご飯を食べます。
…流石に美味しいです。
ママは和食以外も得意で、その気になればお店も開けるんじゃないかって割と本気で思ってます。
あたしが娘である事を差し引いても、です。
なんですけど…

「あ〜…ママの作った味噌汁、美味いなぁ〜……
 これからも俺の為に、毎日この味噌汁を作ってくれないか? な〜んて」
「やっだもう〜! それってもしかしてプロポーズ!? 私達すでに結婚してるじゃない♪」
「……………」

もしお店を開いても、これを見せ付けられたらお客さんから苦情が来ますね。
お砂糖なんて入れてないのに、何故かお味噌汁が甘ったるく感じます。
なのであたしは、納豆のお醤油を気持ち多めに入れました。


 ◇


そろそろ登校する時間なので玄関を出ます。
ママが中々パパを起こさなかったせいでいつもより時間がズレて、若干遅刻しそうです。
ちなみにパパも出勤する時間が同じなので、あたしとパパはいつも一緒に家を出ます。

「いってきま〜す」
「いってきます」
「はい、いってらっしゃい」

ママも必ず玄関先まで出てきて見送ってくれます。そして必ず…

「あっ、パパ! 忘れ物忘れ物!」
「あ、ああそうだったなママ。…んー、『ちゅっ♡』……これでいいか?」
「…うん♡」
「………パパ、遅刻するよ…? ママも、どうしてもそれ毎日やんないとダメなの?」
「? うん、ダメだけど?」
「………ああ、そう…」

お出かけ前のキスをするのです。
しかも、さも当たり前のように「毎日やらないとダメ」なのだと言い切りました。
あたしはこれを、物心ついた時から見させられています。
なので少なくとも10年…いや、きっとあたしが産まれる前からやってると思うのでそれ以上でしょうか。
雨の日も風の日も、今日みたいに遅刻しそうな日も毎日です。

「…じゃあ、今度こそ本当にいってきます……」
「はーい! 気をつけてね、麻琴ちゃん!」

あたしは今日も、げんなりしながら学校に足を運ぶのです。
あたしの心情とは反比例して、ママは超ご機嫌ですけどね。


657 : 麻琴ちゃんの憂鬱な日々 :2014/09/06(土) 01:55:44 a3qR27Rk
「ただいまー」
「おう、おかえり麻琴。遅かったな」
「……うん、まぁ友達と寄り道してたから…」

学校から帰ると、すでにパパは帰宅していました。寄り道をした、とは言ってもまだ18時前です。
17時に仕事が終わって、残業が無かったとしても流石に…

「流石に早すぎじゃない? 会社にも、色々付き合いとかあるんじゃないの?」
「う、うんまぁ、そうなんだけど……」

パパは照れくさそうに頬をかきながら言いました。

「やっぱり麻琴やママのいるこの家に帰る事の方が、会社の付き合いより大切かな〜って…」
「そ、そう…」

ううぅ…何だかこっちまで照れくさくなってきました。
パパはこうやって女性を喜ばせるような事を平然と言います。しかも本人は無意識です。
ある意味、たちが悪いです。
ですがそれが裏目に出る事もよくあります。

「………ねぇ、パパ…? ちょろ〜っと聞きたい事があるんだけど…?」
「えっ、ど、どうしたのでせうママ? 頭がバチバチしておられますが?」

ほら来ました。顔は笑ってるけどバチバチ帯電してる時のママは、基本的に怒っています。

「えっとぉ、パパのスーツのポケットからこんな紙が出てきたんだけど?
 『私のアドレスです 連絡待ってます♡』、だって。随分と可愛い文字ねぇ…
 しかもメアドだけじゃなくて電話番号まで……どういう事なのか説明してくれる…?」
「えっ、いや…そう言われても俺にも身に覚えが……
 あ、もしかしてあの子かな?
 この前、部長のお宅でお世話になった時、部長の娘さんから何か紙を渡されて、
 そのままポケットにしまった気がするけど……
 それとも取引先の受付のお嬢さんかな? 確か名刺交換したと思うんだよな。
 いや待てよ…お昼によく行く、うどん屋の店員さんって可能性も―――って、ハッ!!?」
「ふ〜〜〜〜〜ん…? 仲の良い女の子がい〜〜〜っぱいいるのねぇ…?」
「ちっ、違うぞママッ!
 俺が異性として愛してる女性はママだけで今挙げた人たちはただのお知り合いという仲であって
 それ以上でもそれ以下でもなくと言うかなんかもう本当にすみませんでしたーーー!!!」
「そ…そんな事言っても許してあげませんからねっ!」

パパが綺麗な土下座を披露しています。
ママも「異性として愛してる女性はママだけ」という言葉で明らかに顔が緩みかかっていますが、
頑張って怒り顔をキープしています。もう、許しちゃえばいいのに。

そう言えば、詩菜おばあちゃんの話によると刀夜おじいちゃんもよく土下座をしていたらしいですね。
上条家の男性に脈々と受け継がれた、伝統芸能のような物、なのでしょうか。


 ◇


晩ごはんも食べ終わって、あたしはダラダラとテレビを観ています。
ふと、隣で一緒にテレビを観ていたパパが立ち上がり、バスタオルと着替えをタンスから出しました。
あれ? でもオカシイな…確か今って…

「パパ…今お風呂って、ママが入ってるんじゃない?」

そう、確かママが5分くらい前に「先にお風呂入るわよ?」と言っていたのです。
あたしはまだテレビが観たかったので「うん、いいよ〜」と了解したのですが、
その事は当然パパも知っているはずです。一緒にテレビを観ていたのですから。
しかし、あたしが問い詰めるとパパはこう言ったのです。

「こっ、こここ、これは、その…違うぞっ!!?
 さっきママを怒らせちゃったから、ご機嫌取りにママの背中を流してあげようかとか、
 そんな事は全然考えていないのですことよ!?
 ついでに『背中以外のあんな所やこんな所まで洗っちゃおうかな〜』なんて、
 これっぽっちも思っていないのでありますからして!!!
 だ、だから………そう! こ、これからトイレに行こうと思ってたんだ!
 お風呂!? なにそれおいしいの!? 的な!」

ウソ下手くそかっ!
正直もう、追求するのもアホらしいので、パパの言い訳に乗っかってあげます。

「……パパ…トイレ長引く…?」
「そ、そうだな〜。今ちょっと、お腹の調子が悪いから、10分…いや20分?
 もしかしたら1時間くらいかかっちゃうかもな〜」
「ああ、そう…ごゆっくりどうぞ…」
「そ、そうか。じゃあ、遠慮なく…あー、お腹痛い。痛いなー、お腹が」

お腹を押さえて、腹痛の小芝居をするパパ。
でもね、パパ……どんなに誤魔化そうとしても、トイレにバスタオルと着替えは必要ないんだよ…?


658 : 麻琴ちゃんの憂鬱な日々 :2014/09/06(土) 01:56:33 a3qR27Rk
「う〜…お水お水……」

深夜です。あたしは喉が渇いて起きてしまいました。ですがリビングのドアを開けた瞬間、

「………何してんの、ママ…?」

やたらとスッケスケなネグリジェを着たママがそこにいました。
しかもママは進行方向からして、どう見てもパパの寝室へと向かっている途中でした。
しかし、あたしが問い詰めるとママはこう言ったのです。

「こっ、こここ、これは、その…違うのよっ!!?
 さっきパパがお風呂でお背中流してくれたから、ベッドの中でそのお礼をしてあげようかとか、
 そんな事は全然考えてないんだからね!?
 ついでに『もう一人くらい子供欲しいから作っちゃおっかな〜』なんて、
 これっぽっちも思ってないからね!!!
 だ、だから………そう! こ、これからトイレに行こうと思ってたのよ!
 パパの部屋!? そんな場所あったっけ!? 的な!」

似た者夫婦かっ!
正直眠いし追求するのもメンドイので、ママの言い訳に乗っかってあげます。

「……ママ…トイレ長引く…?」
「そ、そうね〜。今ちょっと、お腹の調子が悪いから、10分…いや20分?
 もしかしたら『朝まで』かかっちゃうかもね〜」
「ああ、そう…ごゆっくりどうぞ…」
「そ、そう。じゃあ、遠慮なく…あー、お腹痛い。痛いなー、お腹が」

お腹を押さえて、腹痛の小芝居をするママ。
でもね、ママ……どんなに誤魔化そうとしても、トイレはそっちじゃないんだよ…?


 ◇


如何だったでしょうか。あたしの苦労が少しは伝りましたでしょうか?
いや、確かにね? 両親の仲が良いのは、子供としては幸せな事なんだと理解してますよ。
でもね、何事も限度があるのも事実だと思うんです。

これが新婚生活ならば分かるんですよ。けどあたしが産まれて10年以上経っている訳ですよ。
パパもママも30代半ばな訳で、つまりあたしが最後に何を言いたいかというとですね……

「パパ、ママ……お願いだから、少しは自重してっ!!!」


659 : くまのこ :2014/09/06(土) 01:57:22 a3qR27Rk
以上です。
うん、眠い…
ではまた。


660 : ■■■■ :2014/09/06(土) 02:06:35 as.EOdBo
(;´Д`)スバラスィ


661 : :2014/09/06(土) 08:14:18 ONxA1eDI
麻琴ちゃん!ドンマイ!さすが、上条夫婦あつあつで最高に面白いかったです!またお願いします。


662 : ■■■■ :2014/09/06(土) 15:27:06 iGBe4S.s
原作は途中までしか読破おらず、アニメと漫画ぐらいしかとあるシリーズを見てない。
そんなにわか上条美琴なオレだが、こんなスレがあったとは。オアシスを見つけた気分だ。

原作の次巻はミサキチストーリーらしいが、これでまた美琴vs操祈でネタに広がりが出るな


663 : 久志 :2014/09/07(日) 22:58:20 CvbLT11E
>くまのこさん
>>496
何この素敵なタイトル詐欺は!おヒネリを大量になげてやる!♪ GJ♪
>>517
上条さんとシャーペンさん、お大事に・・じゃなくて!誰か助けてあげて!
>>534
健全な行為なのに不謹慎な態度の超電磁砲チームww GJ♪
>>543
佐天さん、うっかり言わなきゃ良かっ…あ、それだとこの後のペア契約が無いかw GJ♪
>>554
佐天さん、あんたGJすぎるよ…今度ぜひ共同作戦しましょ(←まだ言うか
>>593
元ネタ知らんがこの二人の素敵さはそれを上回る!GJ♪
>>635
これはお二人も素敵だし佐天さんもGJだし野郎2人も面白いw
>>648
たまにでなくても、毎日でもいいんですよ? 超GJ♪
>>655
麻琴ちゃん、その位置代わって!毎日ニヤニヤ眺めてみたい♪ GJ♪

>我道&くまのこ さん
白井吹寄編は読んでるこっちも大変だった…けどその分両親編がすごく楽しくて
一緒に混じって美琴たんを弄りたくなってしまいました♪ 超GJ☆

>>502 さん
続きプリーズ!もっと振り回せ!もっともっと可愛い美琴をプリーズ!

>・・・さん
すてーるもかおりも、面白すぎるんだよ!もっともっと続き書いてほしいかも!
>>531
「うまくいくかは別」?めっちゃ良いイチャイチャですよコレは♪GJ!


>はりねずみさん
>>525
ありそうコレww でもマジそうなって欲しいわー♪GJ!
>>589
わしゃわしゃわしゃー♪ デレ琴が可愛すぎてGJすぎる♪
>>643
そのまま黄泉川せんせーの前でのろけても良いのにw← GJ♪

>くるまさん
地団駄をふむ第五位wwwww GJすぎる! 次回作楽しみにしてます☆


さて、皆さんたぶん忘れかけの長編続きです。2〜3レスと思われます。


664 : 上琴歴史狂想曲2 〜序曲〜 :2014/09/07(日) 23:00:39 CvbLT11E
 




波踏「上条当麻さん、あなたの命が狙われてます」



さっきまでずっと宣告を躊躇っていた、謎の少年(?)佐藤 波踏が未来から来た理由。それを告げた次の瞬間…



上条「…そ、それはマジなんでせうか?」
波踏「もちろん、マジです。でなきゃ俺がめっちゃ便利な未来から21世紀初頭くんだりまで来ません」



案外冷静な反応で安心し―――





美琴「どどどういうことよソレは!?コイツの命狙われてるって!!冗談じゃないわよ!!!
   いつどこでドコの誰がどんな理由でそんな事をわざわざこの時代に来てまでやろうってんのよ!
   今すぐソイツの情報教えなさいよ!!!!私が見つけ出して超電磁砲1000発ぐらい――――――
上条「落ち着け御坂、電気垂れ流しながら叫ぶな。暗殺犯より今のお前のがよっぽど怖い」



―――て任務に着手できるワケがなかった。ってかターゲット本人よりそっちが混乱するってどうよ。



美琴「ッ〜〜〜〜〜〜〜!?!?!?///////」
上条「だあぁ!?なんか知らんが余計に混乱した!?落ち着けったら御坂!!」



無茶言うなよ上条。(いくら漏電防止目的とはいえ)お前が頭なでながら至近距離で真剣な顔したら当然の反応だ。



(※〜しばらくお待ちください〜※)



波踏「はぁ……こんな事になるだろうから言いたくなかったんですよ。特に御坂さん1人の時は」



激しくため息を出しながら波踏はジト目でやっと回復した美琴を目視、回復具合確認…大丈夫と判断。



上条「だよなぁ…御坂ってよくこうなるから、俺も不用意な発言しないよう気をつけてるぞ」



気をつけていてその程度かよ、というジト視線が2人分、上条に刺さった。…が、本人は気付いてない模様。



美琴「んで、結局どこの誰なのよ?コイツを狙ってるっていう奴は」
上条「まぁ冷静に考えると心当たりは結構あるんだけどな…少なくとも右手の都合上、狙われることは多いわけだし」



波踏「いえ、今回は右手の都合でも魔術関係でもありません。未来の学園都市の人間が今回の捕獲対象(ターゲット)です」



上条&美琴「「はい!?」」



なんか「めっちゃ想定外なんですけど」って視線が波踏に刺さった が、素でスルーしながら話を進めていく。



波踏「俺が本来いた時代の大能力者【レベル4】が、とある理由でこの時代の上条当麻さんを狙っている訳です」



一瞬、説明を聞いていた2人の動きが止まり、直後表情がすごく緩みまくった。



上条「なんだよ〜心配して損したぞ…てっきりレベル5かスキルアウト集団かと思って焦ったぞ」
美琴「仮にその2つだとしても、レベル5ならアンタの右手で、スキルアウトなら私か、黒子たち風紀委員で対処出来るわね…」



波踏「お2人さん…今回の捕獲対象はある意味その2つよりも厄介なんですよ?」



「ゑ?!」と言いたそうな顔×2が見つめる中、波踏がさらに説明を続ける。



波踏「捕獲対象は能力をあくまで自身の身体能力や得物の動きの補助に使うため、まず右手で防げる可能性は1%未満と思われます。
   また戦闘行為においてはベテランの域に達しているため、風紀委員どころか警備員でさえ対処することが難しいかも知れません。
   っつーかぶっちゃけ、そうでもなければ『幻想殺し』と『超電磁砲』の居る時代にわざわざ俺が出張ったりする必要ないですから」



「あー、それもそうか」とやや冷静な上条と、「じゃじゃじゃじゃあどうすれば良いのよ!?」と再び混乱し始める美琴。
特に後者を落ち着かせないと今後どうしようもないため、波踏はあくまで冷静に今後の対応プランを告知する。



波踏「まず、時間移動痕跡から逆探知する限り、捕獲対象は明日の午前中にこの時代に現れます。
   ですので、常に人目のある学校にいる間を除く時間帯…具体的には登下校と、寮に着いてから寝るまでの間が狙われる時間になります。
   その内の登校時間と寮到着から寝るまでの時間は俺が責任を持って護衛・監視をしますので、御坂さんは下校中の護衛をお願いします。
   あぁ、もちろん出来るだけ捕獲対象に発見されないように、前日とは違うルートをたどって帰宅させるようにして下さいね?
   それと…さっき言った通りかなり危険な相手ですので、頭数を集めるよりはお2人で行動するのが発見されにくいのでおススメです」


665 : 上琴歴史狂想曲2 〜序曲〜 :2014/09/07(日) 23:01:53 CvbLT11E




…一応、理にかなっているので上条は冷静に聞いて納得した模様。しかしもう1人…美琴は



美琴(ちょちょちょ、ちょっと待って!?確かにコレは『コイツの護衛』という建前があるから『仕方ない』けど、コイツと2人で下校って
   コレって、コレって…傍から見たら完全に、げ、げこ、下校デートじゃないのコレは!?//// しかも『前日とは違うルートで』って
   どう考えてもコイツに計画性が無い以上、私がルートを考えなきゃいけないってコトじゃないの!?どどどどどうしよう!?////////)



さっきまでと別の理由で混乱し始めた。まぁこの程度なら許容範囲内だが(ぇ




波踏「あ、あと土日は家にこもってたり人の居ない所にいると危険ですので、御坂さんと2人である程度人の居るところに外出して下さいね。
   その際、どこに行けば良いかまったく思いつかないなら、私の方でも良い行き先を色々と調べておきますので、参考にして頂けると幸いです」



更なる追加ミッション発生。しかも今度の土曜日は…クリスマスだ。



美琴(まままま待って!?護衛名目とはいえ、わわわ私が予定聞く前にもうクリスマスデート決まっちゃった!?
   ど、ど、どうしよう当日の行き先…明日からの下校ルートに加え、そっちの行き先も考えなきゃいけないじゃない!
   コイツの護衛(名目での下校デート←)中はそっちで頭一杯で考えてるヒマなんてあるわけないでしょ!どうしよう…////)



『どうしよう』はこっちの台詞だよ。どんだけデート楽しみなんだよ美琴さん。(by作者



波踏「それでは、今回はこの辺で。あと何がきっかけで捕獲対象にこのプランが漏れるか知れないので、秘密厳守でお願いします」

上条(まぁそりゃそうだよな。信用ならん奴もいるし、巻き込んじゃいけない人だって居るわけだし)

美琴(そそそそりゃ秘密にするに決まってるでしょ!ここコイツと2人で行動なんて他人に言えないわよ!特に黒子と佐天さんには!)



理由はさて置き、秘密厳守の約束は取り付けた。果たしてこれからどうなるのか…


666 : 久志 :2014/09/07(日) 23:05:38 CvbLT11E
以上…ちょっと短かったなぁ…もうちょっと書けるようにしなきゃ。


あ、あと個人的に、くまのこさん…
貴殿の過去作品から1つと、私の過去作品1つを見ていたら、
なんだか新たなる上琴いちゃいちゃSS1つ出来ちゃいそうなんですが、
ソレを書いてこのスレにうpしても良いですか?


667 : ■■■■ :2014/09/07(日) 23:25:12 vqAtDKE6
久志さん 続き楽しみにしてまっせヾ(@⌒ー⌒@)ノ


668 : :2014/09/07(日) 23:34:19 l6cUiD36
久志さん!おもしろかったです!又は同じく続きをお願いします


669 : くまのこ :2014/09/08(月) 00:10:05 B0Wp1yas
>>666 久志さん。
マジですか!? 全然構わない…って言うより、むしろありがたいですよ!
是非お願いします! 楽しみに待ってまっす!

あ、長編の感想は次に投下する時に書かせていただきますね。

あとついでに宣伝も…
エロスレの方で、>>655-658の続編っぽい物を書きました。
もし良かったら読んでやってください。


670 : ■■■■ :2014/09/08(月) 00:13:19 eI4bwqYQ
>>669
くまのこさん。読みましたよ。素晴らしかったです。


671 : ■■■■ :2014/09/09(火) 13:25:02 0lmK1ZfA
くまのこさんにどんどんお酒を送ろう(相談


672 : ・・・ :2014/09/10(水) 01:20:56 eNtoUeaE
ども、・・・です。
日曜には来る予定だったのにねぇ

まずは、麥さん?
こういう場所は始めてかな? もう一度>>1を読もう。
メール覧に「sage」と入力しましょう。
あと名前は、作品を投下する時だけ入れた方がいいですよ。
なにも入力しなくてもOKです。


さてさて感想です。

くまのこさん
>>640
とりあえず、本音茸は今後のために大量に持って帰っとくべきだぜお二人さん。
まさに茸食って一回り大きくなったね。
土御門、私、参加します。
カミやんを何度も踏んだら1UPしたりしないかしら?
で、いつ上条さんの茸を美琴が咥えげふんげふん

>>651
ほんと、ほんと、たまに来るこの本気が恐い
いや、いつものわいわいしたのも大好きだし、エロもいいですが、
やっぱり、まったりいちゃいちゃもいいですな〜
しかたない、インデックスは先生に任せてもっとイチャつけ
っつーか、もう結婚すればいいと思うの

>>659
で、したというね、レベルアップどころの騒ぎじゃないぞ。
毎日しなきゃだめだそうです。
ウソ下手、似たもの夫婦。レベル5の頭脳はどうした!!
エロスレも見ましたが、もう、ホント、麻琴ちゃん大変だな
さぁ、あれを叫んでいいですよ、これこそ上条家の電家の宝刀でしょう。


>>はりねずみさん
「ステイル、下がってください、雨の日は無能なんですから!!」
『愛されて80年あなたの街の浜面雑貨店、電話一本でパンツのゴムから装甲車まで』
「ありえないことはありえねェ」  etc
鋼は日本が誇る漫画だと思うの。
上琴なら『るろ剣』とかもおすすめなの。

>>久志さん
半分、諦めてた。よく来てくださった!!
これは仕方ない。美琴ちゃん、ずっと上条君とくっついてないとね。
「なんだよ〜心配して損したぞ…てっきりレベル5かスキルアウト集団かと思って焦ったぞ」
あんた、それぐらい乗り越えられるだろーーーーが!!!!!!!
このいろいろ化け物カップル(予定)め!!!



先日、とあるラブコメを立ち読みしてたら、「上條真琴(かみじょうまこと)」という小さな男の子のキャラクターが出てきました。
その瞬間その巻だけレジに持っていこうとした私は、すぐ冷静になり、
それを本棚に戻し、
全巻大人買いする決意を固めました。

では、投下します

それでは


673 : かおり2 :2014/09/10(水) 01:21:45 eNtoUeaE
「かーちゃき?」

「私ですか? かおり、と呼んでくれたらうれしいです」

「うー……かおり?」

「はい!! ……ふっ、私は一回でしたよ、ステイル」

インデックスを抱いている神裂がドヤ顔したのを、
上条は隣で眺める。
ここは、いつものスーパーからの帰り道だった。

だが、いつもとは違う、
隣に立つ人が変わるだけで、
世界が、全く違う物に見える。

「あう? う? かおり、まーま?」

「まんま? ご飯でしょうか? 帰ってからですよ、御坂へのお礼も兼ねて今日は豪勢にしましょう!!」

その単語が引っかかる。


御坂。


なぜだかわからない。
しかし、上条の足が、自然に、止まった。

「? どうされました?」

「あ、か、神裂。悪い、忘れ物したみたいだ。先に行っててくれ」

「え? はい、わかりました」

上条は家路と逆に進む。

「……ぱーぱ?」

「ぱっぱ? 早く帰りたいと? わかりました、少し早歩きになりましょうか」

少しずつ、上条と神裂の距離は離れていった。


674 : かおり2 :2014/09/10(水) 01:22:37 eNtoUeaE
とあるおしゃれなレストランにて、
美琴は、それはもう不機嫌な顔をしていた。

(あー腹が立つ!

なんに腹が立ってるのかわからないけど腹が立つ!

なんでわたしがインデックスや当麻と離れなくちゃいけないのよ!!

……まてまて、そもそもあの子はライバルだったはずでしょ?

情が移ったら……ってなんのライバルよ!

神裂さんは相も変わらずえろい格好だし、

なに? そんなに見せつけたいわけ??

そんなにおっきいのが好きかコラー―!!

そうよ! 当麻が全部悪いのよ!!

なによ神裂さんにでれでれしちゃって

どーせわたしがいなくてせーせーしてんでしょ

今頃当麻たちは、きっと楽しい時間をすごしてるんでしょーね!!

当麻なんか

『ようやく二人だけになれたね』

とかいって

『そうですね、寂しかったんですよ』

なーんて神裂さんも言って

『大丈夫、これからは離れないさ』

とか

『でも、御坂に悪いです』

とか言いつつも

『あんなぺったんこどうでもいいさ、俺には神裂がいる』

『うれしいです、上条当麻』

『神裂、いや……火織、見たこともないような表情だな、もっとオレだけにお前のいろいろな表情を見せてくれ』

『と、うま……』

こうして3人は中国を横断、神秘の泉で当麻のためだけの大和撫子七変化!!?」

「「……み、御坂様……」」

「……御坂さん、その、とんでもなく視線が集まっていまして、
 もう少し、音量を下げていただけたら助かりますわ」

テーブルマナーは家に忘れて来たらしい。


675 : かおり2 :2014/09/10(水) 01:23:14 eNtoUeaE
上条は来た道を戻る。
それは、スーパーへと続く道で、
最近、がらっと状況が変わった風景だった。

『いーじゃん、買い物にいくらつかっても。
いいもののほうが美味しいものつくれるしさー、インデックスもそう思うわよね?』

『ぶー、だっ』

『あれ? 四面楚歌??』

例えばあそこのペットショップだ

『か、かわいーーー!!』

『おーい、もう時間ないぞー』

『かわいーーー!!』

『聞けよ』

『あぶー』

『……もちろん、インデックスもかわいいよ』

『あい!!』

『なんだそりゃ?』

だいたいそこで30分くらい時間を無駄にする。
しかし障害はそれだけじゃない。

『うー暑い』

『そんなことわかってらい、いちいちいうな』

『でもさー』

『うぶー』

『ほらー、インデックスも顔がデフォルメされちゃってるわよ』

『もとからだろうが。どうしようもないんだから我慢しなさい』

『あー! あんなところに偶然にアイス屋が!!』

『あーす!!』

『いつも通る道だから、あそこにあるのは知ってるだろ、無駄遣いは許しません』

『ケチ!!』

『ちー!!』

『ダメなものはダメ!!』

結局3回に1回は寄ることになる。
そして、最近まで気づかなかったが、オモチャ屋も道中にあった。

『どれがいい? インデックス?』

『こらこらあんまり甘やかすなよ』

『だってかわいいんだもん』

『……わからなくもないが』

『わかる!!? このくまちゃんのつぶらな瞳!!!』

『そっちかよ!!』



(だいたい、特売はギリギリの時間になるんだよな……)

上条の手にはその時のくまのぬいぐるみが握られていた。

「……今日は余裕で特売に間に合ったな」

暫く、そのぬいぐるみを握っていた上条。
彼は一瞬目をつぶると、棚にもど
そうと思ったが、その隣のぬいぐるみの山を見て上条は固まった。
見覚えのある青髪の顔がぬいぐるみの山の中にある。
体はぬいぐるみで埋まっているようだ。
目があってしまった。
ほっといてもいいのだろうが、
この後に誰かが酷い目にあうのはよろしくない。
しぶしぶ声をかける。

「なにやってんだよ?」

「……カミやん、ちょっと離れてくれへん?
今、『きゃーかわいーーー!!』って言いながらボクを手に取る女の子を待ってんねん」

「……それは悪かった、そんな青春の無駄遣い方法知らなかったから」

できるだけ早めに距離を起きたい。
そうしないと

「なにやってんのよ、あんたたち」

こうやってひとくくりにされてしまうのだ。

「一緒にすんな!!」

「せやせや、カミやんと一緒にされるとは心外にもほどがあるで!!」

なにも語らず、拳を繰り出す上条と迎え撃つ青髪。
それを  ふん!!  という声を放ち、暴力で治めたのは、声をかけた少女だった。

「いてて、なにすんだよ吹寄」

「あんたたちがお店に迷惑をかけそうだったから止めたんじゃない」

すぐ頭に血をのぼらせるのはカルシウム不足だから飲め、と押し付けられたヘンテコサプリを丁重に押し返す。

「まさか、夏休みでも吹寄から頭突きもらうとは思わんかったわ」

「まったくだ、なんでこんなとこいんだ?」

お前に全然似合わない場所だけど?
という上条の言葉にグーで答える吹寄。
きれいに顔面にはいった。

「私はたまたま合流したから着いてきただけ」

吹寄が肩越しに後ろを見る。
つられてそちらに目を向けると
そこに、見慣れた人がいた

「お、姫神」

「何故。今まで気付かれない」


676 : ・・・ :2014/09/10(水) 01:27:56 eNtoUeaE
以上です。

新約9巻で青髪が吹寄を呼び捨てにしてて驚いた。


作中では上条が海の家にいた8/28日
札幌大学でワインのポリフェノールが筋ジストロフィーに有効だという前提で
臨床実験(わからない人は調べてね)に臨んだらしい。
頑張れ、札幌大学。


677 : ■■■■ :2014/09/10(水) 06:04:15 OjZSNrMs
わーい、赤ん坊デックスだー///
破壊力パないの♪
上琴インの親子力?うん、理想的な関係に近いなー原作でも3人でこんくらい仲いい3人読みたいです(上琴で)
ミコっちゃんの一人言、どっから口に出てたか気になるw
愚痴れる余裕があって良かった
ものっそく落ち込んでる展開かとハラハラした所で前回プチっと切られてたので何ちゃって胃潰瘍状態でしたの
うう、やっと読めたよう
(妖怪人間のノリで)早く育児日記読みたぁい、って感じw


678 : 久志 :2014/09/10(水) 23:01:35 7MxrwLdk
>>667さん
ありがとうございます♪続きは時間かかりますが待って頂けると幸いです♪

>>麥さん
ありがとうございます☆出だしとオチだけ決めてあとは出たトコ勝負な長編ですが←
全力で良い作品に仕上げる予定ですので、今後も見守っていてください♪

>>くまのこさん
了承頂きありがとうございます♪さっそく今回投下に来ました☆

>>・・・さん
本当だねー仕方ないねーしっかりくっついてなきゃねー☆
めいっぱいくっついてもらう予定ですんで、お楽しみにー♪

さて、くまのこさんの承諾頂けましたので、23スレ894番「誰でも簡単! なんちゃって読心能力者」と
私の2度目の作品で個人的にお気に入りの18スレ858番「上琴ドッキリマル秘報告」を読み返してみて
思い浮かんだ上琴SSを投下しに来ちゃいました♪このあとたぶん2〜3レスです♪


679 : 上琴ドッキリマル秘報告 佐天&初春Ver :2014/09/10(水) 23:03:19 7MxrwLdk
【某年 某月 某日 第七学区内 某ファミレス】





上条「はぃ!?『御坂にドッキリを仕掛ける』だぁ!?」

佐天「そうなんです♪それでぜひ上条さんにも協力して欲しいなーって♪」
初春「どうしても上条さんじゃなきゃ出来ない内容なので、ぜひ♪」



佐天涙子から電話で呼び出された上条当麻が待ち合わせ場所のファミレスに到着、用件を聞くと
先述の台詞通りの企画を持ちかけられた。おいおい、そんな事を考えていたのかよ佐天…。



上条「ったく、『上条さんにしか頼めない重大な相談があるんです』ーって聞いて駆けつけたらこんな事とは…」
佐天「こんな事とは何ですかこんな事とは!」
上条「お前らのやろうとしてるソレそのものだよ!なに友達に悪趣味なことしようとしてんだか…」



至極当然のコメントを返す上条。だが、この2人の勢いはそう簡単には止められないようだ。



佐天「その天は心配いりません。だって今、私たち柵川中学では『友人にドッキリを仕掛ける』のが流行ってまして♪」
初春「ちなみにこの流行している件は、すでに御坂さんや白井さんとの会話でもネタにしてあります」
上条「なんだその、やたらメーワクな流行は…」



確かに迷惑すぎる。されるのもイヤだが、されなさすぎるのも友人扱いされてなさそうで、それはそれで困る。



佐天「ちなみに親友同士である私と初春も、お互いに1度ずつドッキリをしたりされたりしております♪」
初春「本当に困りましたよあの時は…まさか豆粒大のラジコンヘリ使っての遠隔スカート捲りだなんて…」
佐天「初春だって、リモコン式の全自動落とし穴で春上さん・アケミ・むーちゃんと一緒に待ち構えてたじゃん」
上条「お前ら…どう見ても中学生のドッキリのレベルじゃねーだろ」



仕掛けるうんぬん以前に、よく機材を調達出来たなぁ柵川中学1年生2人。



佐天「まぁ今回協力して頂くドッキリはそんな大掛かりなモノじゃないので心配いりません♪」
上条「いや心配いるかどうかの問題じゃ…んで、ちなみにどんな内容なんだ?」
初春「はい、よくある定番の『背後から本人登場』パターンのやつです♪」
上条「あー確かAさんがBさんについて語ってる時に後ろからそのBさんが出てくるやつか」

佐天「そうです♪今回はそのAさんを御坂さん、Bさんを上条さんでやってみようかと♪」
初春「しかも今回は佐天さんが準備した『誰でも簡単! なんちゃって読心能力者』も使います♪」
上条「あぁソレうちのクラスの土御門も持ってたな。確か最近、相手の言葉がウソの時にブザーが鳴る機能が付いたんだっけ」



どう考えても、そっちの機能のほうが先に付くべきだろう。時代の流れがおかしすぎるだろ学園都市の企業たち。



佐天「はい♪…あー、そろそろ御坂さん着ますので、上条さんは初春といっしょにそこの衝立(ついたて)に隠れて下さい♪」
初春「あとで佐天さんが合図をしたら上条さんが登場するっていう、きわめて単純な筋書きです♪」
上条「まぁそういう簡単な内容なら協力するか。どうせ帰ってもヒマだし」





1分弱あと、ついにターゲット(美琴)が佐天の前に着席。美琴の後ろの衝立の陰に上条と初春がスタンバイ。
最初の数十秒ぐらいを軽いトークで流した後、ついに佐天が今回のメインイベントを開始する……!


680 : 上琴ドッキリマル秘報告 佐天&初春Ver :2014/09/10(水) 23:04:23 7MxrwLdk






佐天「ところで御坂さん」
美琴「ん?どうしたの?佐天さ――
佐天「結局のところ、上条さんのコトをどう思っているんですか?♪」



さっそく佐天はエンジン全開、美琴は赤面全開、上条と初春は聞き耳全開である。



美琴「ふぇ!?…ななな何を言ってるの佐天さん!?べべべ別に何とも思ってな《ブーーー☆》いわよ!?////」
佐天「ウソ言っちゃいけませんにょ御坂さん!最新型のコイツが、ブーーー☆っと鳴っちゃいましたからね♪」

美琴(えぇぇぇぇ!?またソレ持ってきてたの!?しかも最新式ってことはグレードアップされて…////)
上条(ほぅ、とりあえず「何とも思ってない」ワケではないのか…あれ?じゃあ俺のことどう思ってるんだ?)
初春(佐天さんのことですから、きっとその辺も含めて詳しくいろいろ聞いちゃいますよ♪)



佐天「おっと、コイツの画面もチェックしなきゃ。なになに…『当麻のこと?もっちろん大好き♪』ですか、なるほどなるほど♪」

上条(えぇぇぇぇ!?アレの性能は土御門と青ピで実証済みだけど、まさか御坂が俺のコトを…?!////)
初春(上条さん、落ち着いて落ち着いて!いま余計な動きすると合図の前に気付かれてしまいます!)



美琴「ななな何言ってるの佐天さん!私がアイツのこと好きだなんてコトあるワケな《ブーーー☆》いでしょ////」
佐天「ふむふむ、『大好きに決まってるでしょ!じゃなきゃペア契約なんて頼めないじゃない♪』ですか…」

上条(はいぃぃぃぃ!?あのペア契約ってゲコ太ストラップが目当てだと思ってたけど違ったのか!?////)
初春(へぇ〜上条さんにはそんな言い訳してたんですか…いやぁ可愛らしいですねぇ御坂さん♪)



佐天「いやぁ本当に上条さんって幸せ者ですね♪御坂さんからこんなに好かれてるなんて。もちろん恋愛対象として」
美琴「ちちち違うったら!アイツに恋してるとかそんなコト全然な《ブーーー☆》いわよ!////」
佐天「ふむふむ、『当ったり前よ!何を今さら♪』ですか。どうもごちそうさまです♪」

上条(ッ〜〜〜!?まままマジでせうか!?マジでそういう方向の「好き」なんでせうか御坂さぁぁん!?////)
初春(あららら、御坂さんの反応も可愛いですけど上条さんの反応も良いですね♪顔が真っ赤です♪)
上条(見るな!そんなニヤニヤ顔で俺を見るなぁぁぁぁ!)



美琴「ぐぬぬ…」(こ、これ以上このオモチャが正常に機能したまま質問攻めはキツすぎる…いっそ私の電撃で…)


ビリビリッ


《ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ☆》

美琴&上条&初春(((!?!?!?)))


佐天「あー御坂さん、ついにやっちゃいましたねソレを」
美琴「ゑ?」

佐天「コイツの機能強化の最大ポイントは『電撃使いの妨害電気を感知した瞬間に警告音が鳴る』というモノなんです♪
   今この場でソレが可能なのは御坂さんただ1人。というコトは御坂さん、今この流れで妨害電気を出したってコトは…」
美琴「ぐっ……////」

上条(待て待て待て待て!!この流れで妨害工作ってコトはつまりアレの解析が真実だってコトで、つまり…////)
初春(つまり、御坂さんは本気で上条さんのコトが大好きだってコトですね♪もちろん恋愛対象として♪)



美琴「……………よ」

佐天「へ?」

上条(ん?)
初春(はい?)



美琴「えぇそうよ、私はアイツが…上条当麻のことが大ッ好きよ」

佐天(おおぅ♪ついに御坂さん本人が上条さんへの気持ちを認めちゃいましたよ♪)
初春(しかも、この発言に対しては例の機械からのブザー音なし…というコトは♪)
上条(…………………………////)



美琴「初めて会った時は『何このヘンな奴は』って感じだったんだけど、老若男女や能力レベルを全く気にせずに
   私のことをレベル5や超電磁砲じゃなく私として見てくれたり、他人のピンチに対し見返りなんか一切求めず
   ただ自分の信念のためだけに助けに来てくれたり、しかもアイツそれらをまるで普通のことみたいにやって、
   そりゃ好きになっちゃうわよ…能力も何も関係なく、ありのままの私を受け止めてくれる、遠慮も何もなく
   真っ直ぐ向き合ってくれるヤツなんて、世界中探したってアイツぐらいしか居ないわよ…特に最近じゃあもう、
   夢の中でさえアイツのことばっかりよ。この前なんて夢の中でアイツと同棲とか結婚式とかまでしちゃって、
   その度に翌朝起きたら黒子が布団の中で頭抱えて転がっていたわよ…どうやら寝言にまで出てたみたいで…」


681 : 上琴ドッキリマル秘報告 佐天&初春Ver :2014/09/10(水) 23:05:29 7MxrwLdk


佐天「ふむふむ…今の台詞、一字一句たりとも相違なく表示されてます。それが御坂さんのホンネなんですね♪」

上条(マジでせうか御坂さん!?あれだけの台詞に一度もブザー音なし…しかも夢の中でとか寝言にまでとか////)
初春(ありゃりゃ、こりゃ御坂さんもですけど上条さんもそろそろピンチです…佐天さーん、そろそろ頃合いかと)



上条と美琴に気付かれないように、初春が佐天に手振りで合図を送る。


美琴「はぁ…アイツにこの気持ち、ちょっとでも伝わってくれると良いんだけど…」
佐天「えぇ、伝わってると思いますよ?だって『さっきからずっとすぐ後ろに居ますから』♪」
美琴「んな!?////////////」

上条「み…御坂、さん……その…////」
美琴「な……な…で……こ…こ…////」(訳:な、なんでここに居るのよ…)

佐天「おやおや、御坂さんもそうですけど上条さんもかなりイイ反応っぷりですねぇ♪」
初春「そうですね…って、ささささ佐天さん!御坂さんの様子が…!」
佐天「え…って、うわ!?なんだか真っ赤なままバチバチ言ってる!」


美琴「ふにゃー////」





(数分後)



美琴(あれ…ここは…あ、確か私さっき佐天さんに色々いじられてアイツに聞かれていて、漏電して、それで…)

上条「お、やっと起きましたか」
美琴「にゃぁぁぁぁぁあ!?////」


起きて早々にあわてるのも無理はない。さっきの今で、しかも上条が絶賛膝枕キャンペーン実施中なのだから。


初春「起きましたね御坂さん♪いやぁずっと待ってましたよ♪」
佐天「そうですよ御坂さん♪実はさっき上条さんが―――――


上条「ちょっと待て」
美琴&佐天&初春「「「はい?」」」
上条「その先は、俺が『美琴に』言うべきだと思う」

佐天(おぉう♪そう来ましたか上条さん♪)
美琴(え、ちょっと…このシチュでそれって…しかも今、私のこと『美琴』って…)
初春(上条さん、頑張って下さい!!!)


その後、上条の渾身の台詞に美琴が再び「ふにゃー」し、上条が右手で電気だけは防いで、
再び起きた後も佐天と初春がいじって、上条と美琴が思いっきり赤面して慌てふためいていた。
まぁ要するに、さっきまでと同じような感じで4人のお茶会がまったり進行していったのだ。

ただ1つ、美琴が上条に寄り添い、上条も美琴を右手で抱き寄せていた、その点だけはさっきまでと違っていたのだが。


682 : 久志 :2014/09/10(水) 23:09:49 7MxrwLdk
以上、区切りの都合で3レスにして投下してみました。
ラストの上条さんの「渾身の台詞」、どんな台詞だったのかなー…私も思いつきませんorz
ですので、あの場面だけは皆さんの上琴脳内補完力にお任せします(逃) ではでは♪←


683 : ■■■■ :2014/09/10(水) 23:24:56 QYE/vmSI
(*^ー゚)b グッジョブ!! 微笑ましいですなぁ


684 : :2014/09/12(金) 02:02:54 S0zcvrrQ
佐天さんと初春がコンビ組んで、上琴に!!仕掛けら最強だね!!
良かった!おもしろいかった!
美琴の凛々しさと可愛さがイメージできました。ありがとうございます


685 : ■■■■ :2014/09/12(金) 02:32:37 S0zcvrrQ
>>672
・・・さん色々とありがとうございます!
これから作品楽しみしてます


686 : くまのこ :2014/09/12(金) 22:56:49 rxn8iVfU
久志さんGJです!
>>666 ホント、どんだけデート楽しみなんだよ美琴さん! 続き楽しみにしてます!
>>682 やっぱり佐天さん達は、面白がりながらミコっちゃんの恋を応援する役が似合ってますな!

>>・・・さんGJです!
こりゃミコっちゃん、完全に母性に目覚めてますわ〜。
そして…うん。頑張れ姫神さん。


687 : ドリンク・トリップ・ハニートラップ :2014/09/12(金) 23:00:02 rxn8iVfU
「迂闊」…美琴の脳裏に浮かんでいた言葉は、正にその二文字だった。

その日、常盤台中学の二年生は合同体育でマラソンをしたのだが、
周りからの「当然、御坂様なら一着でゴールなられるのでしょうね」という期待の目と、
食蜂の「そうよねぇ。御坂さんって私と違って、運動力『だけ』は抜群だしぃ」という煽りに耐え切れず、
マラソンでやってはいけない事ベスト5には入るであろう、
「スタートからゴールまで全力疾走」をして他の生徒をぶっちぎったのである。

だがそのおかげで現在絶賛疲労困憊中であり、寮に帰った彼女は、
部屋の冷蔵庫に入っていた栄養ドリンクを一気飲みしてしまったのだ。
自分の物では無い…という事は必然的に、ルームメイトである白井の物だったのだろう。
しかし勝手に飲んでしまっても白井は怒るような小さい器ではないだろうし、
後で謝ってお金を払えばいいかと、疲れていた美琴はそれに手を出してしまったのだ。

結果、確かに疲れは吹っ飛んだ気がした。
だが代わりに、美琴の体は疲労以上の状態異常に襲われていたのだ。

「はぁっ! はぁっ! ……な、何、コレ!? 体…が…熱、い…?」

全身の火照りが止まらない。
少し動くだけで体は「ピクン」と跳ね、思わずイケナイ部分が「きゅん…」としてしまう。
これはまさか…

「もしか、して…これ……黒子、の…『パソコン部品』…!?」

白井は品名に『PC部品』と書かれた【ぎそうした】怪しげな薬品を何度もお取り寄せしている。
これまでは美琴も警戒していた為、何だかんだと回避してきたのだが、
白井本人が風紀委員の仕事でいない今、どうやら飲んでしまったらしいのだ。
その、『PC部品』を。

おそらくは、白井が以前にスポーツドリンクに仕込んだ薬と同じ物だろう。
しかも白井ですらドリンクに紛らわせて薄めた薬を、事も有ろうに一本丸々原液で飲んでしまった。
その効果は先に述べた通りだ。即効性、持続力は勿論、効力その物も非常に強力である。

美琴は自分自身に電撃を与え、どうにかなってしまいそうな体と頭を刺激し、
無理やりにでも働かせる。

「はぁ…はぁ……とにか、く、ここか、ら、離れな、きゃ…」

万一こんな状況を白井に見られたら、何をされるか分かった物ではない。
それどころか美琴自身もこの状態で迫られたら、
白井にやぶさかでなく身を委ねてしまう可能性も無きにしも非ずだ。
理性が働いている内に、どこか誰もいない場所で、この火照りを『発散』させる必要がある。
…どのようにして『発散』させるかは、まぁ、うん。察してあげてほしい。

美琴は一歩一歩ゆっくりと足を動かしながら、部屋を出る。
目指すは近くのビジネスホテルだ。

「んっ! あ、くっ…! はっ、ん! ぁんんっ!!!」

が、歩くたびに身体は敏感に反応してしまう。
果たして彼女は、無事にホテルまで辿り着く事は出来るのだろうか。


 ◇


美琴はフラフラしながらも、第七学区の街を歩いていた。
寮から出て僅か200mの歩き慣れた道を、たっぷり10分もの時間をかけて、ゆっくり進む。
足をガクガクさせつつも、気を抜かないようにしっかりと理性を保つ。
だが目的のビジネスホテルは、まだ先だ。

「ホン…トに、厄、介…ね……はぁ、はぁ…こ、の薬…!」

気力を振り絞り、飲んでしまった薬に対して、悪態を一言漏らす。
黙っていると身体の疼きが激しくなってしまいそうで、
とりあえずこうやって何とかして、ギリギリ冷静さを保っている状態だ。
逆に言えば、それほどまでに切羽詰っている状態でもあり、
何かを切っ掛けに緊張の糸が切れてしまう恐れは充分にあるとも言える。

そして直後、その不安は的中する事となる。


688 : ドリンク・トリップ・ハニートラップ :2014/09/12(金) 23:00:46 rxn8iVfU
目的地であるホテルまであと数十メートルまで差し掛かった所に、一軒のネットカフェがある。
そこを通り過ぎようとした瞬間に彼女は、ある意味で、
今もっとも会いたくない人物に声をかけられたのだ。

「どうした美琴? もしかして、どこか調子が悪いのか?」

美琴の様子が明らかにおかしい事を一目で見抜き、買い物帰りらしくレジ袋を両手にブラ下げ、
有難迷惑にも心配して声をかけてきたのは、美琴の想い人でもある少年、上条であった。

―――そして―――ふと―――目が合った―――瞬間―――美琴の―――理性は―――

「おい、美こt――――――――っ!!!?」
「んっ♡ れお…ちゅっぷ♡ くちゅくちゅ…んっぁっ♡ ちゅるちゅるっ♡」

上条には、何が起こったのか一瞬分からなかった。
絶対に有り得ないであろう美琴の行動と、それに伴って生じた自分の体験が、
余りにも予想の範囲外だった為に脳が現実に追いついていないのだ。

突然だった。突然上条は、美琴に唇を奪われたのだ。しかも所謂ディープ・キスである。
美琴の舌は容赦なく上条の口内に侵入し、クチュクチュと卑猥な音を立てながら上条の舌と絡み合う。
口の中で唾液が、泡立つ程に激しく。
ちなみにこれが、上条にとってのファースト・キスであった。そして勿論、美琴にとっても。

「っっっっっぶはっ!!! ちょ、み、みこ、みこ、美琴さんっ!!?
 こここ、これはちょっと冗談じゃ済まされませんですことよ!!?」

無事脳内で演算が終了し、自分の身に何が起きたのか整理がついた上条は、
人生最大級の赤面をしながら美琴を引き剥がす。
まだ物足りなそうにヒクヒクしている美琴の唇と舌からは、先程まで絡んでいた二人の唾液が、
「ツツー…」と糸を引き、まるで吊り橋のような形を成していた。

「やぁらぁ………もっろぉ〜…」

はぁはぁと荒い息をしながら、まさかの催促【おねだり】。
美琴の目の中にはハートマークが浮かび上がって(いるような気がして)おり、
尋常でない事態が進行中である事が分かる。

魔術か超能力かは謎だし、誰が何の為にこんな事をしたのかも知らないが、
とりあえず『美琴は明らかに精神操作されている』と確信した上条は、右手で美琴の頭に触れてみる。

………おかしい。何も起きない。いや、それどころか、

「あんっ!♡ アンタに触られるだけで…すごく…ドキドキしちゃう………
 もっと…もっと触って!? 私の色んな所……アンタに…触れてほしいの…」

何故か症状が悪化した。
異常事態である事は間違いないのだが、しかしどうやら異能の力は働いていないらしい。
理屈に関係なく問答無用で異能の力を打ち消せる上条にとって、それは逆に厄介である。

(ど、どうする!? 冥土帰し【いつものいしゃ】に診せるか!? いやでも今は…)

確かに、現状では医者に診せるのが一番なのだろう。だが今はそれが出来ないのだ。
上条御用達の病院は、ここから更に歩かなければならない。
「救急車を呼ぶ」、という手もあるが、救急車と言えど呼んだ瞬間に来てくれる訳ではない。
電話してから到着するまでの数分間に、美琴が『何を仕出かしてしまうか』分かったものではないのだ。
しかし早急にここを離れた方が良いのは確かだ。何故なら、

「うわっ…街中でやるか普通?」
「アレって常盤台の制服じゃない? お嬢様でもあんな事するのね」
「チッ…! 男の方、爆発しろ!」
「エッロいなオイ…AVの撮影か何かか?」
「通報しますた」
「お姉ちゃーん。あの人たち何してるの?」
「しっ! 見ちゃいけません!」

いつの間にか周りがザワついている。まぁ、当然だろう。
こんな人通りの多い場所で、路チューでベロチューなどしていたら目立つに決まっている。

上条は、これからどうすればいいのかという問題を保留【さきおくり】して、
とりあえず目の前のネットカフェに、美琴を引き連れて避難した【にげこんだ】のだった。
『人目につかない場所』という利点が、実は墓穴である事など、
事を焦っている上条は気づかなかったのである。


689 : ドリンク・トリップ・ハニートラップ :2014/09/12(金) 23:01:35 rxn8iVfU
ネットカフェに急いで入った上条は、美琴を連れて直ぐ様個室に逃げ込んだ。

受付を済ませている間にも美琴は不自然なまでにくっついており、
抱き付きながら上条の耳を甘噛みしつつ、息を吹きかけたり耳元で「ねぇ、早くぅ…♡」と囁いたりと、
本当にもうやりたい放題だった。
店員もあからさまに不振な目で見つめていたが、店内でイチャつくカップルはさほど珍しくもないので、
意外とすんなり通された。

「さて、と。とりあえずどうすっかなああぁっ!!?」

個室に入り、上条はこれからどう行動を取るべきかを考えようとした矢先の事だった。
二人きりになった瞬間、突如その場で美琴に押し倒されたのだ。
上条は知る由も無いが、美琴は怪しげな薬の効果で、もはや我慢の限界を迎えていたらしい。
道端でバッタリと好きな人に会い、理性を放り出してしまった美琴ではあるが、
それでも今までは人目についていた事もあり、自分を抑えていたのだ。

そう。『アレ』でもまだ抑えていた方なのである。恐ろしい事に。

だが今は二人っきりで個室。邪魔は入らない。
つまり美琴を抑えていたリミッターは、たった今、完全に外れてしまったのだ。

美琴は上条に馬乗りになり、制服のボタンを一つずつ外していく。
しかしそれを、紳士()である上条が黙って見ている訳もなく、
最後のボタンを外そうとした美琴の手を掴み、阻止した。

「ちょおおおお!!! みみ、みこ、美琴さん!!? 何をしようとしていらっしゃるので!?
 そ、そ、そういう事は上条さん、イケナイと思うな〜!? もっと自分を大切にだな!」

しかし上条の説得も意味を成さず、美琴は瞳を潤ませながら一言。

「……抱いて?」

上条と対話をせずに、一方的に自分の要求を伝える。
…いや、要求と言うより欲求と言った方が正しいか。
心の中の天使と悪魔の戦いに、思わず悪魔の応援をしてしまいそうになる上条だが、
首をブンブンと振り回し、どうにかこうにか理性を保つ。

「い、いいか美琴? 落ち着いて聞けよ? お前は今、明らかにおかしな事になってんだ。
 だからその感情も本当の気持ちじゃなくてだな、つまり―――」

上条が再び説得を試み始めた。だがその瞬間、美琴がとんでもない行動に出た。
小さく「うるさいなぁ…」と呟くと、急に上条をギュッと抱き締めた。そしてそのまま、

「うりゃ〜、ビリビリ〜!」
「おがががががががっ!!!?」

そのまま放電したのだ。いつの日か、初めて上条との勝負に勝った、あの時のように。
上条は意識はあるものの痺れて動けなくなり、その隙に美琴は、
今度は上条の制服を脱がしにかかったのだ。

「ぐっ! み、美琴! それ、は、マジで駄目、だって!」
「だ〜い丈夫よ。私だって初めてなんらから〜」
「そう、いう! 意味じゃな、くて! 好きな奴以、外と、こ、んな事は、だな!」
「ならいいじゃない。私アンタの事…好きだもん」
「いや、だ、から! それは美琴、の身に、何、かが起こ、って、るからであ、って!
 本、当に俺の事が好、き、な訳じゃ、な――――――っっっ!!!!?」

痺れて途切れ途切れに言葉を紡ぐ上条の口を、二度目のキスで黙らせる美琴。
そして口を離した美琴は、トドメの一言を上条に告げる。

「……お願い、もう…我慢できないの」


690 : ドリンク・トリップ・ハニートラップ :2014/09/12(金) 23:02:17 rxn8iVfU
上条は思わず生唾を呑み込んでしまった。
正直、美琴の事は可愛いと思っているし、紳士と言えども女の子にここまでされてしまったら、
DTには抗う事は出来ない。
しかも今ならば、「痺れて動けませんでした」という免罪符もオマケで付いてきている。
辛うじて右手首から上は動くが、それだけでは自分の体に触れられず、
全身の痺れを取り去る事は不可能だ。
そして美琴に起きている異常事態も、異能の力以外の働きによる物の為、
仮に触れられても意味が無い。
大声を出して助けを呼ぼうにも、舌の痺れで途切れ途切れにしか話せず、
しかも個室内にしか聞こえない程度の音量しか発せないときたもんだ。
つまり、今の上条には、例え下心が無くとも、美琴に身を任せる他には何も出来ないのである。
まぁ…下心は思いっきりあるようだが。

お互いに半裸の状態で、美琴がそのまま覆い被さってきた時、上条も覚悟(?)を決めた。
だが次の瞬間、上条は驚くべき事態を目の当たりにする事となる。

「……? あれ、美琴?」
「……………すー…くー」

美琴は上条に覆い被さったまま、可愛らしい寝息を立てていた。
何と言うか、想像してた展開と違うのである。

忘れているかも知れないが、元々美琴はマラソンで疲れていたのだ。
そしてここまで緊張状態が続いて気を張っていたが、ここにきて限界を迎えたのだ。
いや、『そっちの意味』での限界ではなくて、だ。
人間の三大欲求の内の二つ、性欲と睡眠欲がピークになり、結果、睡眠欲が勝ったのだった。
上条にとっては『不幸』な事に。

自分の胸に横たわりながら、幸せそうな寝顔で「むにゃむにゃ」と言っている美琴を見つめながら、
上条はポツリと呟く。

「助か、った…のか?」

安堵と、ほんの少しの残念さを混ぜながら、大きな溜息を吐く上条。
未だに全身の痺れは取れず、何がなにやら分からない事件だったが、
とりあえず自然と解決したらしい。

「とりあ、えず、美琴、が起きた、ら、話を聞け、ばいい、か……」

そう言い残し、上条も目を瞑る。
動けない以上、今はただ何も考えず、この数分で一気に消費した体力を回復させるのが先決だ。

上条は美琴に抱き締められたまま、夢の世界へと旅立つのであった。











































「不純異性交友している男女が入って行ったって通報があったのはこの店じゃん?」
「そのようですわね。全く嘆かわしいったらありゃしませんの!」
「あっはっは! まぁ、若いんだし気持ちも分かるじゃんね」
「教師たる貴方がそのような事を仰っては、問題になりますわよ!?」
「まぁまぁ、そういきり立つなじゃん?
 こうして腕利きの風紀委員と警備員がいるんだし、相手も懲りるじゃんよ」
「とっ捕まえて反省するような輩でしたら楽なのですけども…
 はぁ…どこのどちらさんかはご存知ありませんが、
 お姉様の爪の垢でも煎じて飲ませて差し上げたいですわよ!」
「案外、中にいるのはその『お姉様』だったりするかもじゃんよ?
 報告によれば、女性の方は常盤台の制服を着ていたとの情報もあるみたいじゃん」
「縁起でもない事を仰らないでくださいまし!!!
 お姉様はそのような不埒で不届きで破廉恥な淫春行為など致しませんわよ!!!
 もし仮に万が一そのような行為に及んだとしても、その相手はこのわたくしが―――」
「ああ、はいはい。分かったじゃん。
 じゃあさっそく、その不埒で不届きで破廉恥な淫春行為をしてる奴らをしょっぴきに行くじゃんよ」

外でそんな会話が繰り広げられているとは露知らず、
上条は僅かな時間だけ眠りに就くのであった。
数十秒後、とんでもない不幸が待ち受けている事など知る由もなく―――


691 : くまのこ :2014/09/12(金) 23:03:06 rxn8iVfU
以上です。
このくらいなら、エロスレじゃなくても大丈夫ですよね…?
ではまた。


692 : ■■■■ :2014/09/12(金) 23:08:37 gVG5qNac
( ゚∀゚)・∵. グハッ!! 強烈 悩殺されちゃった。くまのこさんGJ


693 : ■■■■ :2014/09/14(日) 06:50:27 rEv7rAeE
エロバージョンもエロスレで書くべきだなw
場所はネカフェではなく、ビジネスホテルで


694 : ■■■■ :2014/09/14(日) 15:59:01 6ArwpOec
それなんてたくみなむちシリーズw


695 : ■■■■ :2014/09/15(月) 19:12:29 9NEUHwjQ
たくみなむちはあかんwwwwwwwwww いろんな遊び方、やり方がwwwwwwwwwww


696 : ■■■■ :2014/09/15(月) 20:39:17 5aZLpzQg
ミコっちゃんの妄想力+上条さんの体力からすると、あり得なくはない>たくみなシチュ
上琴同人職人さんは偽典や特典小説等の公式物でお仕事されてるので
そう言う認識もあるだろうし(個人的超こじつけ)

でもそろそろ原作でもいちゃレー位はいちゃついて欲しいなぁ


697 : ■■■■ :2014/09/16(火) 22:22:04 8lqdLEqA
良かったです!
エロ美琴をまた買いてほしいです


698 : ■■■■ :2014/09/16(火) 22:22:22 8lqdLEqA
良かったです!
エロ美琴をまたかいてほしいです


699 : ■■■■ :2014/09/17(水) 07:04:23 jCZvCV8Q
くまのこさんはお酒飲むとエロイらしい
貢ごう(提案


700 : くまのこ :2014/09/17(水) 22:52:39 ap3Wv/do
連投すみません。また短編書きました。
一応上琴ですが、二人は最後にちょろっと出てくるだけですので、
ご注意ください。
約3分後に7レス使います。


701 : 外堀強制埋め立て計画 :2014/09/17(水) 22:55:29 ap3Wv/do
土御門 & 青髪



「はあぁぁぁぁ……ホンマ、何とかなれへんかな〜。カミやん病」

青髪は深い溜息を吐きながら、おもむろにそんな事を言ってきた。
部屋の中の本棚に、所狭しとばかりに大量に納められているエロ本の内、
「メイドさん」や「妹」がメインで描かれているエロマンガを横になって読みながら、
土御門は返事をする。

「んー? 何とかって、具体的には何かにゃー?」
「つか、めっちゃエンジョイしとんな! 一応ここボクの部屋やで!?」

ここは青髪が下宿しているパン屋の一室。
そこに土御門は遊びに来ている訳だが、もはや我が家のように寛いでいる。
ちなみに青髪の名誉の為にも断っておくが、部屋は別にエロ本だけで埋め尽くされている訳ではない。
ハーレム系ラブコメ漫画にライトノベル、恋愛シミュレーションゲーム(18禁もあり)や、
美少女フィギュア(キャストオフ機能付きの物も含め)に薄い本(言わずもがな)など、
数多くのサブカルチャーで網羅されているのだ。…うん、言い訳できないね。

「…まぁええわ。それよかカミやんよカミやん! あんのボケ、ウチのクラスだけじゃ飽き足らず、
 ついには隣のクラスの女の子まで完全攻略したらしいで! ハーレムエンド一直線か!」
「隣って言うと黄泉川先生のクラスかにゃー? あそこは吹寄タイプの、お堅い優等生ばっかだぜい?」
「その硬く閉ざされた優等生の心を、カミやんが解かしてしもたんや……
 何やこれ!? その内、学校中の全ての女の子が奴【カミやん】の前に跪くんとちゃうか!!?」
「いくらカミやんと言えども、それは流石に有り得…いや、まぁ、その、んー………」

否定しようとしたが、土御門にもその姿が容易に想像できてしまう。
そんな突拍子のない事も、あのフラグ男ならば出来てしまうような気がするから恐ろしい。

「なぁ…どないしたらええんかな……
 カミやんの魔の手からおにゃのこ達を救うには、ボクは何をしたらええのん!?
 あらゆる絶望の中にも一筋の希望が入っとるて、パンドラの箱さんも言うてはったよ!?」

オーバーアクション気味に、床に手をついて本気で落ち込む青髪。
仮に上条へのフラグが立たなかったとしても、
そのおこぼれが青髪に向けられるかどうかは別問題なのだが、
土御門は敢えてその非常な現実を口にせず、青髪の相談に乗る。

「んー…そうだにゃー……ならいっそ、実際にカミやんに彼女を作ってやればいいんじゃないかにゃー」
「んなっ!!?」

しかしそれは、青髪の想像していた物と違っていた。

「いや、ボクの話聞いてた!? それじゃ何の解決にもなれへんやん!
 てかそれどころか、むしろ悪化しとるよ!?」

だが青髪の反応も想定内だったらしく、土御門はニヤッと笑い、説明を続ける。

「いやいや、逆転の発想だぜい。
 カミやんに彼女が出来れば、男子は勿論だが女子からも反感を買うはずですたい!」
「…? どういう事?」
「今のこの飽和状態は、カミやんにフラグは立っているけど、
 カミやん自身はその自覚がない事で成り立っているんだにゃー。
 ハーレム…って言えば聞こえはいいが、
 その実は女の子からカミやんにベクトルが向けられているだけで、カミやんはそれに気づいていない。
 つまり、女の子側からの一方的な片想いの団子状態になっているだけなんだぜい」
「充分腹立つやん! めっちゃ羨ましいやんそれ!」


702 : 外堀強制埋め立て計画 :2014/09/17(水) 22:56:12 ap3Wv/do
青髪は、血の涙を流して抗議した。
土御門は「まぁまぁ、落ち着け」と片手を上げ、それを制止させる。

「けどもしそんな時に、カミやんが一人の女性を選んだらどうなると思うかにゃー?」
「どうなるて………ハッ!!?」

青髪は思わず息を呑んで答えた。

「アンチが…増える…!?」

例えば、好きなアイドルや声優に熱愛が発覚した時、祝福してくれる者も勿論いるが、
その反面、嫉妬に駆られてファンからアンチへと闇堕ちする者も多い。
つまり、増殖しすぎた上条病患者【ファン】を一気に治療【アンチに】させよう、
というのが土御門の作戦案だったのだ。

「あ、あんたぁ……ホンマもんの天才やっ!!! これが噂に聞く、『孔明の罠』か!」
「いや〜、それほどでも…あるけどにゃー♪」

そこまで大した物ではない。あと、孔明に謝れ。

「けどそうなると、カミやんの相手を誰にするかが重要だにゃー…
 クラスで一番好感度が高いのは姫神か?」
「ちょ、待てい! クラスの女の子はアカンやろ! もしそれでホンマにカップル成立してもうたら、
 教室中にイチャイチャオーラを振りまく事になるんやで!?
 デメリットがメリットを上回ったら意味無いやろ!?」
「それは…そうだにゃー。となると、必然的に相手は他校の生徒って事になるぜい」
「せやなぁ……誰がええんやろ…?」

腕を組んで真剣に考えるアホ二人。
たっぷり5分もこんなくだらない事に頭を使い、土御門が白羽の矢を立てたのは、

「あ、常盤台の超電磁砲なんてどうかにゃー?」

意外な人物であった。

「超電磁砲て…レベル5の? カミやんと釣り合うか?」
「それが、超電磁砲側【あちらさん】はかなりカミやんにお熱らしいぜい。
 証言元(舞夏やグループ時代の海原など)も確かだしにゃー。
 それに中学生に手を出したっていうレッテルもオマケで付いてきて、ポイント(?)も二倍だぜい」
「マジか……あの男、どんだけやねん!!!」

しかもその超電磁砲の少女、二人は気づいていないが、実は面識がある。
あの夏休み最後の日、「無視すんなやこらーっ!!」と上条の背後から、
思いっきり抱きついて【タックルして】きたあの少女なのである。

「ほんなら後は、どうくっつけるかやな……
 『二人が付き合ってる』っていう噂でも流れてくれたら楽なんやけど…」
「噂、か…それならオレに当てがあるぜい」
「ええぇ!? マジで!?」
「マジでマジで」

土御門は科学サイドからも魔術サイドからも依頼を請け負っている多角スパイであり、
そういった経緯から、「噂を流す」という裏工作は得意なのである。

「ほんなら噂の件は任せるわ」
「おう、任されたぜい。そんでオレがいい感じに噂を流したら後は…」
「ボクがカミやんを煽ればええんやね…?」
「そういう事だぜい…越後屋、お主も悪よにゃー…?」
「いえいえ。お代官様こそ…」

こうして悪代官【つちみかど】と越後屋【あおがみ】は、邪悪な含み笑いを残しつつ、
この訳の分からない作戦会議を終了させたのである。


703 : 外堀強制埋め立て計画 :2014/09/17(水) 22:56:59 ap3Wv/do
打ち止め & 一方通行



「合コンをしようと思うの!ってミサカはミサカは提案してみる!」
「………あァ?」

打ち止めの口から突然飛び出した謎の提案に、
一方通行は手に持っていた缶コーヒーを、思わず落としそうになった。

「おいガキィ…そォいう色気付いた事は、あと5〜6年待っとけ」

否定はしつつも悪態にはいつものキレが感じられず、どうやらそれなりに動揺しているらしい一方通行。
打ち止めはそこに気付く様子もなく、頬をぷくっと膨らませる。

「違うの! ミサカの話を最後まで聞いて!
 ってミサカはミサカはアナタのせっかちさんっぷりに遺憾の意を示してみたり!」
「あァ、そォかよ…」

一方通行はごろんと横になり、話半分に聞く体を装い、全神経を聴覚に集中させる。
流石は学園都市最強のツンデレである。

「このままじゃお姉様よくないと思うの、ってミサカはミサカは心配してみたり…」
「あ? オリジナルだァ?」

合コンの話から、打ち止め達『妹達』の素体となったオリジナルの話へと一気に飛び、
一方通行は眉をしかめる。

「実はお姉様には好きな人がいるって知ってる?ってミサカはミサカは質問してみる」
「あァ…そりゃまァ、な」

あの実験の後に一方通行とオリジナルが再会したのは、11月のハワイでの事だったが、
その時には既に誰が見ても明らかな程、彼女はある人物にベタ惚れ状態だった。
ただし、オリジナル本人は周りに気付かれていないと思い込んでおり、
相手の男性も全く気付いていないのだが。

「だが、それがどォした。さっきの話と関係あンのか?」
「だから、合コンでお姉様にお花を持たせてあげようと思うの!
 ってミサカはミサカはドヤ顔を決め込んでみる!
 ……下位個体達【ほかのシスターズ】にはちょっと悪いけど、ってミサカはミサカはほんのり罪悪感…」
「………さっぱり意味が分かンねェ…」
「あ〜、もう! だ〜か〜ら〜!」

打ち止めの話を要約すると、こういう事だった。
打ち止めは普段から素直になれないオリジナルの為に、合コンという特殊な空間の中のノリで、
彼女の好きな相手とイチャイチャさせてしまおう、というアドリブ感満載の作戦を立てているらしいのだ。
二人っきりにしたら間違いなく失敗するので、打ち止めと一方通行が一緒に参加してサポートする、
という所まで聞いたところで、

「…ちょっと待ちやがれ! 何で俺まで、ンな下らねェ事しなきゃなンねェンだァ!?」

声を荒げた。

「だってミサカとアナタは一心同体だから…ってミサカはミサカは体をくねらせて照れてみたり…」
「いやいやいや、そンな事聞いてンじゃねェンだよ!
 じゃァせめて、他の奴も誘え! そのメンツで合コンとか、どンだけシュールな絵面だァ!!!」


704 : 外堀強制埋め立て計画 :2014/09/17(水) 22:57:43 ap3Wv/do
想像して、血の気が引きそうになる一方通行。地獄絵図にも程がある。
だが打ち止めは真剣に考えているらしく、話を続ける。

「他の人は無理なの。この作戦は人数が多くなると意味が無いから、
 ってミサカはミサカはアナタの提案をまるっと否定してみる」
「提案じゃねェよ! 遠回しに断ってンだよ俺はっ!」
「って言うのも実は、合コンのメインイベントとして王様ゲームを予定してるんだけど、
 ってミサカはミサカはアナタの反論を横に流して説明を続けてみたり」
「流すな! 聞けよっ!!! 人の話をよォ!!!」

しかしそれでも打ち止めは聞く耳持たず、王様ゲームの説明を始める。
4人で王様ゲームをした時、打ち止めか一方通行が王様を引く確立は、二人合わせて4分の2…
単純計算して、2回に1回は引く事になる。
(正確に言えば、オリジナルの相手は『不幸体質』で王様を引く確立は限りなく0なので、
 打ち止めか一方通行が王様を引く確立は、ほぼ3分の2なのだが)
そしてその場合、お互いに何を引いたのか分かるように合図を決めておけば、
必然的にオリジナルとその相手の番号も分かるようになるのだ。
例えば、打ち止めが王様を引いた時、一方通行が「1」の合図をすれば、残りは「2」と「3」になる。
その際、打ち止め【おうさま】が『「2」番と「3」番が抱き合う』とでも命令すれば、
確実にお姉様をサポートできる、という寸法だ。
打ち止めが「人数が多いと意味が無い」と言ったのは、
人が多ければその分打ち止め達が引ける率も低くなるし、
何よりオリジナル達の番号も分からなくなるからであった。

「じゃあ合図を決めるね!ってミサカはミサカは張り切ってみたり!
 『1』だったら鼻をすすって、『2』だったら咳払い。で、『3』だったらほっぺを―――」
「おい、ちょっと待てクソガキ。テメェのその作戦には穴があるって事に目を背けてンじゃねェ。
 そもそも俺は、最初っからやンねェっつってンだろ!
 どォしても4人でやりたいっつーンなら、俺の代わりに垣根辺りでも呼べっ!」

あれよあれよと進める打ち止めに、苦言を呈する一方通行。
このままではなし崩し的に、本当に合コンなんてふざけた事をやらされそうなので、
きっぱりと否定する。だが打ち止めはその言葉を肯定的に受け取ったらしい。

「えっ…? じゃ、じゃあ合コンじゃなくて、ダブルデートがいい、とか…?
 ってミサカはミサカはアナタからのお誘いに赤面しなからモジモジしてみる……」

一方通行は腹の底から叫んだ。

「尚更、有り得ねェからっ!!!!!」

しかしその後、打ち止めからの「協力してくれないと代理演算切る」という脅迫の一言に、
押し黙るしかなくなる一方通行なのであった。


705 : 外堀強制埋め立て計画 :2014/09/17(水) 22:58:30 ap3Wv/do
佐天 & 初春



「初春……風紀委員の観点から見て、どう思う…? もぐもぐ」
「…やはり芳しくないと思います。全然進展してませんし……もぐもぐ」
「そっか…やっぱそうだよね……もぐも、ぐっ!? …っつー! キーンってきた…」

いつものファミレスに訪れていた佐天と初春だが、
二人でジャンボパフェを突いているとは思えないほどに、緊迫した空気が漂っている。
しっかりと、アイスクリーム頭痛まで堪能しながら。

「う〜ん…もう、多少は強引な手段でも、コレを使うしかないかな〜」
「…? 何か良い案でもあるんですか?」

佐天は自分のカバンから、一冊の台本を取り出した。

「実はさぁ、放送部の人が今度ボイスドラマやるんだけど、知ってる? お昼休みに流す奴」
「ああ、はい。校内新聞に載ってましたね」

科学技術が20〜30年は進んでいる学園都市と言えど、
放送部による校内放送や、新聞部による校内新聞など、
アナログな学校行事をする所も多いようである。

「それで脚本募集してたから、あたしちょっと書いてみたんだよね。…まだ提出はしてないけど」
「これがその脚本ですか…でも、それと御坂さんと何の関係が?」
「うん。そこでさ…」

佐天はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、無駄に意味ありげに一拍置く。

「…その台本の主人公とヒロイン、上条さんと御坂さんにやってもらおうと思ってるんだよね!」

無駄に意味ありげだったのは、やはり無駄であった。佐天の案に、初春も一瞬ポカンとする。

「……え? いや、あの…柵川中学【ウチのがっこう】の校内放送の話…ですよね?」
「うん、そうだけど?」
「いや、そうだけどって……」

さも当たり前の様に返事をする佐天。
御坂さんは他校の生徒だし、上条さんに至っては中学生ですらない。
当然、そんな二人が柵川中学の校内放送に参加できる筈もないのだが、
佐天はそれを分かった上で話を続ける。

「何も二人がウチの学校に来なくてもいいんだよ。ドラマなんだから、予め録音しとけば。
 それに『あの』御坂さんが声をあててくれれば、学校的にも盛り上がるっしょ?」
「それはそうかも知れませんが…色々とクリアしないといけない問題が…」
「まぁまぁ、とりあえず文句は台本【これ】を読んでからにしてよ。
 一応、御坂さん達が感情移入しやすそうな設定にしたんだからさ」

そう言うと佐天は、手に持っていた台本を初春に差し出した。
納得は出来ていないが、どうやらこれを読まない限り話が進まなそうなので、
初春は佐天に言われるがまま、台本のページをめくり始めた。

『ナレーション
 「物語は、とある二人の禁断の恋から始まった。
  レベル5のお嬢様とレベル0の一般生徒の少年。
  お嬢様は素直になれない性格で、少年も鈍感な所があるが、
  実は二人はお互いに愛し合っている。しかし身分の違いに―――」』


706 : 外堀強制埋め立て計画 :2014/09/17(水) 22:59:19 ap3Wv/do
「ちょーっと待ってください佐天さんっ! これ、思いっきりモデルがいますよね!?」

途中まで読んだ所で初春がツッコミを入れた。
確かに、アフレコをする二人にとって、これ以上に感情移入しやすいキャラ設定もないが。
しかし佐天は気にせず先を読めと催促する。嫌な予感がプンプンするが、初春はページをめくった。

『ナレーション
 「少年の名前は《藤間 守丈 (とうま かみじょう)》。
  お嬢様の名前は《三殊 美沙香 (みこと みさか)》―――」』

「うおおおおおい!!! 駄目でしょこれ!!!」

再び、途中まで読んだ所で初春がツッコミを入れた。
佐天は「え〜? もう、イチイチ止まるから、全然進まないじゃん」と顔に出しているが、
止まらずにいられるか、というのが初春の感想である。

「これ! 名前! まんまじゃないですか! アナグラムにしても雑すぎますよっ!」
「まんまじゃないよ! 漢字、全然違うじゃん!」
「ドラマなんですから分かりませんよそんな事!
 同音異義語は声に出したら、ただの同音なんですよ!?」
「もう! いいから先読んでよ! 文句は全部読み終わってからにして!」
「……はぁ…分かりましたよ、もう…」

確かにツッコミだしたらキリがなさそうだ。初春は仕方なく、最後まで声を出すのを我慢する事にした。

『藤間「もうダメなんだ! みことがいないと俺は…俺は生きていけない!」
 三殊「ああ、とうまさん! 私も…私もあなたがいないともう…もう!」』

 ――――――――――

『御坂さん「今ここで…永遠に忘れられない口付けを……」
 上条さん「本当にいいんだね…みこと…」』

 ――――――――――

『御坂さん「だ、だって! アンタの事が…好き…なんだもん……って、言わせんな馬鹿っ!」
 上条さん「あのなぁ…上条さんだって、ずっと前から美琴の事…その…す、好きだったんだからな」』

結果的に、台本を読み終わった初春は、

「……うん。いいんじゃないでしょうか」
「でしょ!? いや〜、我ながら中々の出来だと思ったんだよね〜♪」

ツッコミを放棄した。だってもう、ツッコミどころがありすぎて面倒くさいから。

「まぁ、最悪これを御坂さん達に読んでもらって、あたしがそれを録音すれば、
 放送部に採用されなくても別にいい訳だしね。目的はそこじゃないんだし」
「あはは…そうですね……」

もはや何を言っても佐天は止まりそうもないので、初春は乾いた笑いで誤魔化しつつ、
溶けきったジャンボパフェのアイスをスプーンですくうのだった。


707 : 外堀強制埋め立て計画 :2014/09/17(水) 23:00:28 ap3Wv/do
美鈴 & 詩菜



「ホントにもう…ウチの美琴ちゃんにも困ったものだわ…」

室内プールのあるフィットネスクラブの更衣室。
美鈴は軽く溜息を吐きながら、そんな事をポツリと呟いた。
髪を乾かしていた詩菜はヘアーアイロンをその場に置き、美鈴の悩みに耳を傾ける。

「あらあら。美琴さんがどうかしたのかしら?」
「いやね、昨日メールしたんですよ。『最近、好きな男の子とはどうなの?』って」
「……随分とストレートな文面なんですねぇ…」

想像して、詩菜は思わず苦笑する。

「それで返ってきたのがこれですよこれ!」

しかし美鈴は気にした様子もなく、自分の携帯電話の画面を見せる。

『件名:ぼつにアイツは
 本文:好き八津とかしんなんじゃなから
    台位置アイツの言んか空きでもなんんでもまいんだし
    隙とじゃ内だんからへなこと岩無いだよ
    しれにすきとかそんのんじゅないんし』

ボロボロである。
余程慌てて返信したのだろう。打ち間違いや文字抜け、漢字変換ミスが酷すぎる。
しかも最終的には、変換すらしていない始末だ。
その上、「アイツの事は好きでも何でもない」しか情報がないのである。
これは流石の詩菜と言えども擁護は出来ず、「あらー…」と困り顔をするしかなかった。

「もう少しくらい素直になれればいいんですけどね〜…」
「でも当麻さんもアレでかなり鈍感ですから、美琴さんが少し頑張っても気付かないと思いますよ?
 …ウチの子がどうしようもなくてすみません」
「いえいえ。ウチの子こそ、どうしようもなくてすみません」

お互いに深々と頭を下げる母親達。
ちなみにお気づきかと思われるが、このママン'z、我が子達がくっ付く事に何も反対しておらず、
むしろ「はよくっ付け!」とさえ思っているようだ。

「う〜ん…美琴ちゃんも当麻くんもあの性格だから、全然関係が進んでくれないんですよね〜…」
「そうですね〜…せめてもう一押し、何かきっかけがあれば良いのでしょうけども…」

着替え途中の大変けしからん状態で、腕を組みながら長考するアラフォー二人。
すると美鈴が、ふとこんな事を言ってきた。

「例えば…あの子達が幼馴染とか、実は子供の頃に婚約してたとか、
 そういうドラマチックな話でもあればいいんですけどね…」
「あらあら。それだと私と御坂さんも昔なじみ、っていう設定になるのかしら?」

あらあらうふふ、と笑いあうアラフォー二人。
しかし瞬時にピタッと笑いが止まり、二人とも真剣な顔になる。

「……本当にそういう設定にしちゃいます…?」
「あの子達の幼少の頃の記憶はどうにもなりませんから、
 二人が学園都市に上がってから、実は親同士が約束してしまった…っていうのはどうでしょう?」
「それだと上条さんも悪者になっちゃいませんか?
 私が言い出した事ですから、上条さんは知らなかったって事でも―――」
「あらあら、ここは乗り掛かった船ですよ? 泥を被るなら一緒に、です」

本気なのか冗談なのか、勝手に子供達に「許婚設定」を付け足そうとするアラフォー二人。
母は強しとはよく言った物である。…少々、強さのベクトルが別方向に向いている気もするが。


 ◇


上条 & 美琴



「おーい、美琴ー! ちょっと買い物付き合ってくれ!」
「つ、付き合!? い、いや、買い物よね、うん。落ち着け私」
「? 駄目か?」
「いいわよ。どうせまた、お一人一パックの卵でしょ?」
「いや、今日は更にトイレットペーパーも安いのだ!」
「ああ、はいはい。分かった分かった」

周りでとんでもない計画が着々と進行しているなど露知らず、
今日も上条と美琴は平和な学園都市生活を送るのだった。

近い将来、
突如「二人が付き合っている」という噂が立ち、
打ち止めから誘われた合コンの王様ゲームで不自然にイチャイチャさせられ、
佐天に渡されたボイスドラマの台本で恥ずかしい台詞を言わされ、
急に母親から「実は許婚がいる」と言われるなど、
その時は知る由も無かったのである。


708 : くまのこ :2014/09/17(水) 23:02:09 ap3Wv/do
以上です。
続きそうですが続きませんので、悪しからず。
あとエロいのは、また気が向いた時にでも…
ではまた。


709 : ■■■■ :2014/09/17(水) 23:15:22 GSKpDOz6
( ^ω^)おもすれ!!ъ(゚Д゚)グッジョブ!! エロスレも楽しみにしてまっせ!


710 : ■■■■ :2014/09/18(木) 00:17:39 zGzDfUes
くまのこさんGJ!
周りに翻弄されるミコっちゃんは可愛い
上条さんはちょっと爆発しろw
最近は冬川超電磁砲でも美鈴さん筆頭に佐天さんもいい味出してますしね!
もう外堀をコンクリで埋めて鉄板で溶接して塞いで、核廃棄物より更に深く埋めてしまえw

>>699
…?
くまのこさんがエロいて、くまのこさんが脱ぎ脱ぎしちゃうの?
ちょっと見てみたい気はするけど、どうせならエロいのはミコっちゃんがいいなあ///


711 : ・・・ :2014/09/18(木) 21:27:08 5hpaTvlU
ども・・・です。

とりあえず
>>710
ちげーよ!! エロいの書くって意味だよ!! 見た瞬間大爆笑したわ!!
あと外堀は掘りだから深くは埋められんのよ!!
逐一面白いなちみ


では、感想だす。

久志さん
>>682
これじゃどっちにドッキリしかけたんだか(笑)
でも、これ前哨戦。
白井とかインデックスとか、このあとドッキリする人は大勢出るのですね。
さらに殺されかけてもっとドキドキすればいいよカミやん

くまのこさん
>>691
くまのこさんにお酒を送ろうの会発足までもう少し(笑)
理性が一瞬で吹っ飛ぶとこや、
「うるさいな〜〜」がドツボです
で、しょっ引かれるのはてめぇだ

>>708
外堀が埋められて、道路ができて、交通整備までされてやがる。
ジャンボパフェ溶けとるやん、どんだけ分厚いんだよ
で、私はなにをすればいい!!?
なんでもするからさっさとくっつけ!!!



では、投稿します。
お待たせしました。
週刊連載作家ってすごいね。


それでは


712 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:28:05 5hpaTvlU

「なんて酷いお方なんですか!!
 そのトウマとやらは!!」

「そうよね!! やっぱりそう思うわよね!!」

そろそろ隣の泡浮と湾内が苦笑しているのに気がついて欲しい。
もう、日差しが大分傾いてきていた。
4人はレストランから場所を移して、学舎の園の喫茶店、その外の席でお茶をしていたのだった。
つまり婚后と美琴の叫び声は通行人に騒音として認識されている。

「まったく信じられませんわ!!」

「そうそう!!」

「こっちが一緒にいたいという気持ちも考えず」

「まったくまったく!!」

「自分勝手に好きなことを言って!!」

「そーだそーだ!!」

間に赤面もののセリフがあったのだが、美琴は気付かない。
なんていったって嬉しいのだ
最近美琴の回りの対応が雑なのだった。
こうやって上条の愚痴を聞いてもらおうとしても、
佐天は「そうですか〜」と言いながらニヤニヤしたあと、いつの間にか自分が赤面する展開になるし、
白井なんて論外だし
初春は「たいへんですね〜」と言いながら、パフェに感動したりパソコンで仕事したりしている。つまりは聞き流している。因みに、白井の美琴に対する愚痴でも同じ対応なのを美琴と白井は知らない。

とにかく、美琴は一緒に怒ってくれる人が欲しかった。
しかし、少しずつ事情が変わってきたのだった。

「こんなに一緒にいたいと言っているにも関わらず……」

「あ、ごめん、わたし一緒にいたいとか、言ってないんだ」

言えたら苦労しないのだった

「……そ、それでも御坂さんの家から御坂さんを追い出すなんて!!」

「え、えーと、自分から出て来ちゃってたり」

「うっ…………か、関係ない御坂さんを無理やり巻き込み育児の苦労を押し付けて……」

「家事も育児もきれいに分担してるし、わ、わたし、自分から手伝いたいって言った気が……」

「か、カンザキとやらを呼び寄せて御坂さんを余所にイチャイチャするなんて!!」

「……えーっと、別にイチャイチャしてなかったし、そもそも神裂さんは呼ばれたんじゃなくて自分から来たような〜……あれ?」

と、いうことはつまり

「そ、それではそのトウマとやらにはなにも過失がなくなってしまいますわ」

それではおかしい、では何故自分はイライラしていたのだ?
誰に対して腹をたてていたのだ?

「…………あっ」

そっか

「わたし」

すぐに、否定して欲しかったんだ

「関係ないと、言われたくなかったんだ」

しばらく、音が消えていた。
それを打ち破ったのは、あの

パンッ

という威勢のいい扇子の音

「甘いですわ!! 御坂さん!! あなたらしくもない!!」


713 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:28:50 5hpaTvlU
一方、

「お、お前らが話を聞いてくれるって言ったから話したのに、ふ、不幸だ」

上条はベンチの上でボロ雑巾と化していた。
青髪、吹寄、姫神が、どうかしたのか? と聞いてきてくれた。
だから、現状を説明した。
終わった瞬間にゴッド・デコとエロサタンに殺されかけた。
上条に同情するやつはいないのだった。

「で。御坂さんと住んでることは置いといて。何を悩んでたのか教えてほしい」

上条は、何も言わず起き上がる。
口を動かしたのは、少ししてからだった。

「……美琴に、無理させてたんじゃないかって思ってさ。アイツ、この夏休みほとんど遊びに出掛けてないんだ。実家にも帰ってない。
もし、オレたちが美琴と関わらなければ、アイツはもっと夏休みを楽しめたんじゃねーかって思って……」

夕日が上条の表情に影を作る。
そんな上条に、静かに声がかけられた。

「……違う。上条くんの悩みはそれじゃない」

3人が驚きの表情を姫神に向ける。
しかし、上条と他の2人は驚きの中身が異なる。
青髪と吹寄もそれには気付いていた。しかし、それを口にできなかった。
彼女のことを思って。

「ど、どういうことだ? 」

「……それは。上条くんじゃなくて。御坂さんが悩むような内容。上条くんが悩むなら……」

そこまで言って、姫神は口を閉ざす。
上条には、夕日が逆光となり、姫神の表情がよく見えない。
でも、その表情は、泣いているように見えた。

「……上条くんが。悩むなら。どうやって御坂さんと一緒にいられるか。とかになる」


714 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:29:27 5hpaTvlU
風が吹く

扇子が婚后の髪をなびかせた。

「直接言葉にせずに、自分の考えをわかってもらおうなんておこがましいですわ!!
いつも、まっすぐに自分の考えを行動に移していた御坂さんらしくありません!!」

夕日が姫神の髪を焼く
彼女は凛と言い切った。

「正しいとか。迷惑とかじゃなくて。上条くんがどうしたいのかだと思う。そして。ダメもとで一回。御坂さんに頼んでみたらいい」

私なら、という言葉は飲み込まれた。


上条と美琴は素直ではなかった。
今回は単にどちらからでもいい、一緒にいたいと言えばよかっただけの話。
そして、それを望むものはもう1人いる。

夕日は神裂とインデックスにも降り注ぐ
とある二人がおいかけっこをしていた土手を神裂は歩いていた。

「ぱーぱ、まーま?」

「ぱっぱまんま? 早く食事にしたいと?
……この姿でもあなたは相変わらずですね。でももう少し待ってくださいね。今日は、御坂にありがとう、またね、パーティーですよー」

草がざわめく、
何かを、インデックスは感じ取った。

「御坂には感謝しなければいけませんね」

インデックスの瞳が揺らぐ。

「楽しみですね、明日からは私と上条当麻、そしてあなたの3人での暮らしが始まるんですよ!!」

それを言った瞬間、神裂の視界がぶれた。
頭部に衝撃を受けたのに気付き、平衡感覚を取り戻すより先だって、反射的にきれいな体勢で着地したのは、さすが神裂であるというべきだろう。
神裂は戸惑う。
なぜ、こうなったのかわからない。
目の前には、何本もの空を舞う巨大な黒い刃。
それを自在に操るは

「う〜〜〜〜〜〜」

赤面し、目に涙を浮かべ、
宙に浮く赤ちゃん。

いや、魔道図書館だった。

「だーーー!やーーーーー!めーーー!!」

全ての刃が神裂に襲いかかる。


715 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:31:35 QOsiuT42

「!!! インデックスが、泣いてる?」

美琴は倒れる椅子に目もくれず立ち上がった。
一瞬3人は驚いたが、静かに微笑む。

「御坂さま、是非行ってあげてくださいな」

「え?」

「その赤ちゃんが泣いているのでしょう? ママがいてあげないと可哀想ですわ」

「……湾内さん、泡浮さん……」

「御坂さん、今日は、心ここにあらずというようにお見受けしました。きちんと、自分の気持ちを伝えてきてくださいな。その後、機会があれば、また遊びましょう」

「婚后さん……ありがとう」

美琴は笑って、近くの建物を使い、飛んでいった。
走っていくことすらしなかった。
一瞬あっけにとられた3人は少しして微笑む。

「素敵、ですね」

「そうですね、うらやましいですわ」

「でも、少し悔しいです、御坂さんにそこまで思われるお友達なんて」

「「………………え?」」

「え?  なんです?」

上条はふと立ち上がると、顔を姫神から反らし別の方向に視線を向ける。
多摩川の方向だ。
姫神がその横顔に、静かに語りかける。

「いろいろ複雑に考えないで。上条くんがどうしたいかで動いた方がいい。その方が上条くんらしい」

上条は驚いた表情で姫神の顔を見た。
彼は微笑むと、再び顔を多摩川の方に戻す。
そして、言った

「前、美琴にも、同じこと言われたなぁ」

姫神の表情が固まる。
上条は何かを感じ、横を向こうとした。
しかし、背中から衝撃を受け、強制的に体ごと多摩川の方を向く。
それをした犯人の青髪が無理やり上条と肩を組んだ。

「あーあーカミやん!! 楽しそうやね!! 夏休みに嫁さんと赤ちゃん作って夫婦ごっことはさすがのボクもそこまで「う、うるせぇ!! そんなんじゃねぇよ!! 耳の近くでマシンガンのように大声出すな!!」のことは妄想でもしなかったわ。とにかくカミやんをその御坂さんと赤ちゃんが待っとるんやろ? さっさと帰ってあげてーや」

後ろを見ずに全力疾走してくれへん? 後ろを見たらぶっ殺すで。
なんて理不尽に対して文句を言う前に、
よーいドーンという吹寄の声と共に青髪に背中をおもいっきり叩かれた。
いつものセリフを口にしながら上条は走る。
未だに青髪がなにか叫んでいた。



上条は振り向かないでくれた


涙は吹寄の肩が受け止めてくれた


嗚咽は青髪の声が打ち消してくれた


そして、

一人の少女の恋が終わった。





「ねぇ、これから3人でどこかいかない?」

「お、ええね。いこうや」

「コイツが奢ってくれるって」

「あれ? 姫神はともかく吹寄にも奢ることになってへん?」

「細かいことは気にしないの。姫神さん、とことん付き合うわよ」

「…………ハンバーガー。20個。やけ食い」

「……容赦ないね。ま、新学期にどうやってカミやんを懲らしめるか相談といこか」


716 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:33:06 5hpaTvlU



神裂は、紙一重で攻撃をかわす。

「どうしたというのですかインデックス!!」

「だぁーーーーーーーーー!!やぁーーーーーーーーー!!」

神裂は かわすことに専念する。
下手に反撃してインデックスを傷つける訳にはいかない。
しかし、先程より少しずつ刃の数が増えていく。
このままではいつか刃が神裂に届くだろう。
思考を重ねている間にも刃は増えてゆき、ついに神裂の頬に届いた。
そして神裂を包囲する。

しかし、その時間は一瞬で終わった。

「こら!!! 何してるのインデックス!!」

雷電が刃を消し去ったからである。
神裂とインデックスの間に降り立ったのは、
超電磁砲、御坂美琴だ。
神裂は助けられたが、 その美琴を止めようとした。
先程の雷撃が危うくインデックスを傷つけるところだった。
しかし、声をかけようとした神裂の動きは止まる。
それは、

「魔術は私達が周りにいて、いいって言わないとつかったらダメだって、何度言ったらわかるの!!」

その、怒気に飲まれたからだ。
インデックスも体をびくつかせ、ふわふわと着地する。
静かにインデックスに近づく美琴。
インデックスはつい目をつぶった。
そのインデックスを美琴は



そっと抱き上げた。


「どうして魔術を使ったの? 何か嫌なことがあったのかな?」

インデックスが目を開くと、
優しい、それでいて怒ってて、さらに悲しみを帯びた美琴の顔が見えた。






安心した。

「ま、むぁ〜〜ま〜〜、ピぇ〜」

「ん? どうしたのかなー、よしよし」

ようやく神裂は気づく。
隣に上条が立っていることに。

「大丈夫か? 神裂?」

「え? ええ」

「悪いな、最近は魔術使うことがなかったんだけど」

「…………最近?」

「あぁ、最初は大変だったんだ。
ちょっと嫌なことがあったらすぐ魔術を使ってさ、しかもものすごいのを。
オレと美琴が全力で止めてたんだぞ」

そこで、ようやく気づく。
ここに彼女が到着したときの雷電がインデックスを傷つける訳がなかったのだった。
あの雷電は経験に則り、適切な加減で放たれたものだから。

「インデックス、なんで魔術使ったんだ?」

ふと、気づくと、上条は自分の横から彼女達の隣に移動していた。

「ぱ、ぷわぁ〜〜ぱ〜〜」

「お? どうしたどうした?」

「なんか今日は甘えん坊ね、どうしたんだろ?」

神裂はその光景に見覚えがあった。
ただ1つ違うとしたら、
あの子の表情だけだった。
だから……決めた。

「……美琴、ちょっと話したいことがあるんだ」

「……奇遇ね、わたしも話があるんだ」

少しの間お互いを見ていた上条と美琴だが、近づいてきた足音に顔を向ける。

「お二人に、話があります」


717 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:33:51 5hpaTvlU


上条当麻、御坂美琴、そして神裂火織の3人はなぜかフローリングに正座していた。
上条の右隣が美琴、二人の正面に神裂が座る。ちなみにインデックスは上条と美琴の間に座り、二人のズボンとスカートをぎゅっと握りしめている。
どこかからかししおどしの「カコーン」という音が聞こえた。

「すみませんでした!!」

大和撫子の美しい土下座である。
当然2人は慌てた

「な、なんだよ!!」

「先ほど、イギリス清教より、連絡がありまして、至急戻るようにとのことでした」

「……神裂さん、許可取って無かったんだ」

「そのため、その子と上条当麻の面倒をみるということは、できそうにありません」

神裂は、美琴を見つめる。

「そこで、御坂にお願いがあります。二人の面倒を、このまま見続けてくれないでしょうか?」

「へ? え? はい、わかりました」

「即答かよ!!」

つい隣の上条がつっこみ、
それに、「だ、だって」なんて応える美琴。
そんな二人を見つめていた神裂は、微笑み、立ちあがる。
何故か口論になっていた二人はそこでようやくケンカをやめた。

「それでは、失礼します」

「へ? もう行くのか?」

「1泊くらいしていけばいいのに」

「いえ、仕事がたまっていますので」

「……神裂、仕事も置いて来たのかよ」

「それでは、また会いましょう、インデックス」

そう言って、赤ちゃんに顔を近づけた神裂の顔が驚きに染まる。

「かおり、よししー」

神裂の頭をなでなでするインデックス。

(……まったく、敵いませんね)

「ありがとう、インデックス」

そうして、彼女は窓から飛んでいった。

「……って、窓はこのまま放置かよ」

「……そういえば、当麻、話があるとか言ってなかった?」

「ん? あぁ、さっき美琴が即答した神裂のお願いと同じさ」

「なんだ、それか」

「で、美琴たんの話ってばなによ?」

「たんいうな。さっきわたしが即答した神裂さんのお願いよ」

「同じかよ」

「同じね」

真顔のまま話していた二人は、そこで笑いあった。


718 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:34:40 5hpaTvlU


月光が差すビルの屋上。

「おっす、ねーちん」

暗闇の中から音もなく出てきたのは、
金髪に青いサングラス、 アロハシャツという、「胡散臭い」を体現した男だ。

「学園都市に来るんだったら前もって言って欲しかったぜい。そうしたらオレが新兵器『堕天使エロメイド防御力30%ダウン』を貸してやったんだがにゃー」

「土御門……ありがとうございました」

「……は?」

土御門は真顔になった。
彼の想定ではここで真っ赤になった神裂を拝みながら、彼女の突っ込みモーションを回避。
それが「ありがとうございました」とは不穏である。
まさか、今までありがとう、てめえのことは忘れないからさっさと地獄に行けコノヤロウってことなのか?

「……どうして顔色がサングラスと同じになってるんです?」

「ま、待ってくれ、ま、まだオレにはやることが……」

「は、はぁ」

「……コホン、ありがとうってどういうことだ? 感謝されることした覚えは無いぜよ」

「……今まで、私の恩返しに付き合ってくれたことへの礼ですよ。彼への恩返しの方法がわかったんです。彼とインデックスと……御坂の平穏を、全力で助けることです」

闇が静寂を強調する。
最初は動揺していた土御門は、
少しの間、言葉を真剣に考えた。
しかし、

「……ねーちん、いいんだな?」

そんなありふれた言葉しか出ない。
月光が、神裂の瞳に浮かぶ雫を光らせた。

「はい、私は、彼に感謝しています。……彼は、始めて、私を……」

不幸(幸せ)にしてくれたのだから。

















同じく、月光が降り注ぐ研究室。

「……ついに、ついに、完成したか」

かつて幻想御手を作成した女性の瞳が暗闇の中で光る。

「フフッ、フハハ、ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!」

下着姿な彼女に対し、ツッコミ役が誰もいないことを嘆きつつ、
このあたりで今回は終わりとします。


719 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:35:37 5hpaTvlU
おまけ!!

「驚然、まさか、能力者だったとは」

先日、上手に焼けましたアウレオルスはそのまま一晩入院したのだった。
あの状態からすぐに復活させるカエルすごい。
クローンでもつくったんじゃあるまいか?

「介然、そんなことよりも、あの子はどこだ?」

懲りない奴である。
朝から日が傾くまで探し回り、ようやく見つけた。
っていうか、夏休みをいいことに自由にしすぎである。
教職についているのではなかったか?

「歓然!!この声はマイエンジェル!!」

しかし、声の方に顔を向けると、彼は驚き、固まってしまう。

「……色然、いつもの、御両親ではない?」

あわてて神裂の前に立ちふさがる。

「佛然、貴様なにものだ!!?」

「あう!! ゲコ!!」

「えーっと、そういうあなたはどちらさまでしょう?」

「昂然、わたしの名はアウレオルス=イザードという」

「アウレオルス=イザード!!?」

「……唖然、貴様も、あの赤髪同様私の過去を知っているな!!?」

(しまった!!)

しっかりしろ魔術結社。

「憤然、その子に危害を加えるつもりか?」

「……そ、それは昔の話です」

「……喟然、昔、傷つけたことがあるのだな?」

(私のバカヤロウ!!)

まったくである。

「……判然、貴様、その子の母親だな!!」

は?

「了然、あの赤髪とともに家庭内暴力を繰り返した貴様から、あのツンツン頭とビリビリが助け出したのだろう。同然、私はそれ以前に助けようとして返り討ちにあい、記憶を失った、違うか!!」

神裂が肩を震わす。
下を向いているため、表情が影で見えない。

「……のかよ」

「どうした?」

「……私が一児の子持ちに見えんのかよこのクソヤロウがああああああああ!!!!!」

「ぎゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ」

見事な蹴りあげである。
アウレオルスは星になった。
その後、神裂は体育座りでしばらく川を眺めていた。

「あ、姫神さんじゃない……どうしたの?」

「なにか。知人の叫び声が聞こえた気がする」

「空耳? 疲れてるならこの「いらない」」


720 : かおり3 :2014/09/18(木) 21:36:13 5hpaTvlU

おまけ!!

さて、神裂が去った後、
今後、互いに遊びに行きたい時は我慢せず遊びに行く事を取り決めた、
第一次上琴条約が結ばれた。
美琴の、我慢していない、という意見は否決された。
美琴の、名前が恥ずかしい、という意見もなぜか否決された。

その後のことである。

「さて、飯をつくりますかね」

「よろしく」

しかし、上条は一歩進んで固まる。

「インデックスさん、わたくしのズボンをおはなしいただけませんか?」

「や!!!!」

即答だった。
私、怒ってます。
と主張する顔はもはやかわいいだけなのだが、はなしてほしい。
何度か足を引っ張ったがはなしてくれない。

「仕方ないわね、わたしがつくる」

「やーー!! や〜〜」

美琴に至っては立った瞬間インデックスは泣いちゃうのだった。
美琴がインデックスを抱き上げた時、上条のズボンから手をはなすと、その子は「ちゃい」とすかさず上条の背中のシャツを掴む。

「本当に今日は甘えん坊さんね」

「とはいっても、どうすっか……仕方ない、美琴、後ろに立っててくれるか?」

こうして、一家全員キッチンに立つことになった。








「キャベツの千切りがわたしより上手いのがムカつく」

「理不尽すぎません?」


721 : ・・・ :2014/09/18(木) 21:38:13 5hpaTvlU
以上です。

上琴病にかかるまでは、上イン、上裂、上姫も呼んでたなー
今は拒絶反応が!!!


722 : ■■■■ :2014/09/18(木) 22:16:21 zGzDfUes
来たかチョーさん待ってたドン!
・・・さん待ってましたよ

何だよキャラはミコっちゃんと上条さんが好きなんだよ…
でもこの育児日記はインちゃんが一番可愛い///
もう可愛くて死んじゃう( ゚∀゚)・∵.グハッ!
もうね、熟年夫婦の生活してんのに恋愛に関して中学生級のウブさとか少女漫画の甘酸っぱい切なさがツボだよこのシリーズ!
で、コミカルにブチッと潰されてるヘタ練がトムジェリ風味でw

唯一の欠点は…焦らしかなぁ?
それもテクか

うーん、早く続き読みたいけど、終わられても困るというジレンマがっ


723 : ■■■■ :2014/09/20(土) 16:38:44 AGc1dowg
くまのこさんて本当に冬川さんにネタ提供してないよなぁ?
フォークダンスがくまのこ臭するほど外堀ネタがw

・・・さん
男の子なのに少女漫画的ストーリーが秀逸ですねw
その乙女部分、尊敬します


724 : ■■■■ :2014/09/21(日) 20:02:42 i7ubmD9Y
「ちゃい」が可愛ぇえ///


725 : はりねずみ :2014/09/21(日) 22:02:37 N3oPj306
あれえ?少し目を離したらまたたくさん投稿されてる。
それにしても、最近投下ペースが低下しました。
投稿したらまたじっくり読みますね。
ではいつものごとく1レス


726 : 借金のカタに美琴がやって来た :2014/09/21(日) 22:03:29 N3oPj306
いつものように授業を受けて、
いつものように寮に帰る。
それだけ。帰り路に何もなければそれで1日が終わるのだと、そう上条は信じていた。
だが、騒動は何も外で起きるのではない。
新たな物語は、彼が部屋の扉を開けて始まった。

「ただいまー……え?」

朝は何もなかったこの部屋には、ベッドの横には、ファンシーな大きな人形がある。
壁には常盤台中学の制服が掛けられ、インデックスの物でも無かろう可愛い小物類がテーブルに置かれている。
そして何より、

「お、おかえりなさい」
「…………ただいま」

明らかに人一人が引っ越して来たような荷物の中にこじんまりとしてる御坂美琴。
とんでもない異変に思考が追いつかなかった上条は、つい、普通に返事をしてしまった。
ちなみにインデックスは美琴の後ろでホットケーキを食べている。餌付けされていると見ていいだろう。
オティヌスはと言えば、人形のようにいろいろな衣装の中にいる。まさかとは思いたいが、美琴が着せ替え人形みたいに遊んだのではないか。

「借金のカタに売られました」
「え、ごめん。もう一回言ってくれ」
「借金のカタに売られました」

2回言われても、やっぱり意味を理解出来ない。
決して上条が馬鹿だからではない。たとえ一方通行であろうとも同じ事を聞いて、まったく理解できないだろう。
上条は美琴に金を貸した覚えもなければ、美琴がお金に困る事すら想像できないのだ。

「いやだから、何でそうなったんだよ」
「……数か月、私の父親がアンタのお父さんに数万円借りたらしいのよ。で、そんときの約束が、一月で返すってことなのよ。で、でも私の父親、世界中回ってるから」
「俺の父さんも世界中回ってるし、それで何回も会うなんてとんでもない確率だろ」
「うん。で、結局会えずじまいでどうしようってなって。私が売られたのよ」

つまり、借金が返済されるまで美琴を預かる。ということだ。
はぁ。と上条はため息をついて、

「借金だとかいいからさ。お前は寮に帰れよ。俺から両親に言っとくからさ」
「残念だけど、それは無理よ。寮からは追い出されたし、カードも止められてる。荷物も全部こっちに送られた後だったからどうしようもないのよ」

これは完全に、美琴が住み込む事は決定の流れだ。
仕送りが増えるわけでも、美琴の生活費を送られるわけでもない。ただ居候が3人と一匹(ただし1人はちっこいので食費の心配はしなくていい)になっただけなのだ。
ただ他の居候と違う点は、洗濯物が綺麗に折り畳まれている所だろう。
仕事もしてくれているので無下にもできず、結局上条は折れてしまう。


メイドとご主人様のラブコメの始まりである。


727 : はりねずみ :2014/09/21(日) 22:04:41 N3oPj306
以上です。
……いちゃいちゃって何だっけ?
どうしても書かないと気が済まないネタがあります。
先に言っておきますが、たぶん問題作


728 : ■■■■ :2014/09/21(日) 22:14:55 9ayfdA.k
>>727
はりねずみさん、GJです。寒くなってきたけど、続きを全裸待機してます!


729 : ■■■■ :2014/09/21(日) 22:54:01 tQNmInYU
はりねずみさん。(*^ー゚)b グッジョブ!! 同じく続きを楽しみにしてます。


730 : くまのこ :2014/09/22(月) 19:43:07 m.1MNwLA
>>・・・さんGJです!
姫神、切ねぇなぁ…
そして対照的に、安定のアウレオルスさんw

>>はりねずみさんGJです!
つまりは「借りた金は娘の体で支払う(意味深)」って事ですね?
続き楽しみにしてます!



短編書きましたー。
今回もネタっぽい話です。
約3分後に、5レスくらい使います。


731 : ベッドの下の鈍感男 :2014/09/22(月) 19:45:59 m.1MNwLA
常盤台中学学生寮二〇八号室。
美琴は自分のベッドの上で、お気に入りの漫画を読んでゴロゴロしていた。

「…この密室のトリック、前にも似たようなの出てこなかったっけ? もしかしてネタ切れかしら?」

密室探偵がドヤ顔でトリックを暴くのとは対照的に、眉をしかめながら辛口コメントを呟く読者。
単行本を片手にふと時計を見ると、17時30分を回るところだった。

「まだこんな時間か…黒子はまだ来ないわね」

ルームメイトの白井は、風紀委員の仕事で19時まで帰って来られないらしいのだ。
仕方が無いので、美琴はヒマを潰す為に、先程読んでいた漫画に再び目を向ける。
しかしその時だ。『ピンポーン!』とチャイムが鳴った。
白井はまだ帰ってくる時間ではないし、
そもそも白井ならば、わざわざ寮の正面玄関のインターホンを押す筈もない。
彼女も美琴同様この寮の…更に言えば、この部屋の住人なのだから。だが、となると…

「来客…? 珍しいわね…」

何か宅配便でも届いたのかと、テレビドアホンのモニターを覗き込む。
するとそこには、見覚えのあるツンツン頭の少年の顔が映し出されている。
瞬間、美琴は驚きのあまり1m後方までバックジャンプした。

「のあああああっ!!? なな、何でアンタが女子寮【こんなとこ】に!?」
『おー、美琴かー? 悪い、ちょっと開けてくれ』
「ええっ!? あ、開け!? ちょま…待ってて! 今、部屋片すからっ!」

突然の来訪で焦りに焦る美琴。
普段から小まめに掃除しているので部屋は散らかっていないのだが、それはそれ、これはこれなのだ。
色々と男性には(特にこの男には)見せられない物があったりするのである。


732 : ベッドの下の鈍感男 :2014/09/22(月) 19:46:43 m.1MNwLA
10分。それが、上条が寮の玄関前で待たされた時間であった。
その間に美琴は出来る限りの大掃除をマッハでこなし、身だしなみまで整えたのだった。

「おじゃましまーす、と」
「どどど、どぞ、どぞう!」

入居者の許可も下りたので、女性の部屋に足を踏み入れる上条。
するときちんと整理された部屋の中で、美琴が何故か正座して待ち構えていた。

美琴は、「上条が何の為にここへ来たのか」という疑問よりも、
「上条が自分の部屋に来て、しかも二人っきり」という事実の方が先行して、
もうドキドキするやらドキドキするやら、もしくはドキドキするやらで、思考が働かない。
その結果、

「お、おおお、お手柔らかにっ!」

という訳の分からない挨拶をしてしまった。

「お手…? いや、別にそんな大した理由で来た訳じゃないんだけどさ」

そう言うと上条は、自分のカバンに手を突っ込んで、何かを探し始めた。
そして取り出したのは、

「これ、美琴のだろ?」

美琴が愛用している、ゲコ太型携帯電話であった。
美琴は「あっ…」と言葉を漏らし、ポケットに手を当てる。…やはり無い。
どうやら上条は、美琴の落とし物をわざわざ届けに来てくれたようだ。
落とし主が分かっているなら、警備員に届けるよりも手間が省けるからである。
だがしかし、何故これが美琴の物だと分かったのだろうか。
確かに中学生にもなってこれを使っているのは少数派だが、それでもゲコラーは美琴だけではないし、
そもそも知らない小学生の物かも知れない。
そこまで考えた美琴は、真っ赤になりながら声を荒げた。

「えっ!? ま、まままさかアンタ! これ、な、中身見たの!!?」
「んな事するかぁ! 俺のケータイから美琴のケータイにかけてみたんだよ。
 そしたら案の定、それが鳴ったからさ」
「あ、な、何だ。なるほどね…」

心底ホッとする美琴である。
実はこの携帯電話、待ち受けが罰ゲームの際に撮った上条とのツーショット写真で設定されており、
しかも上条とのメールは全て保存されているので、中身を見られたら完全にアウトだったのである。
実に惜しい事に。

「まぁ、いいや。とにかくそれ、確かに返したからな」

そう言って、部屋の入り口に体を向ける上条。本当にこれを渡す為だけに来たらしい。
だが、このまま帰してしまうのは、何かこう、勿体無いような気がする。
白井が帰ってくるまで一時間以上ある事だし、普段の美琴は、
その素直になれない性格が邪魔をして、上条を部屋に招くなどという大胆なお誘いはできないだろう。
気付けば美琴は、上条の腕を引っ張っていた。

「…? どうした?」
「あっ!? え、え〜っと……その…
 そ、そう! 良かったらお礼に、お茶でも飲んでかない!?」
「え? いや、そんな大した事はしてないし…」
「アアア、アンタに借りとか作りたくないのっ!
 アンタはどう思ってるか知らないけど、私が個人的に気に入らないのよ!
 だから、いいから飲んでいきなさいよ! 何だったらお菓子とかもあるから!」
「そんな感謝の押し売りされてもだな…」
「美味しいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます」
「お前はどこの泣いた赤鬼だよ」

上条をこの場に留める理由が思い浮かばず、美琴は強引な策に打って出る。
しかしそんな美琴の必死さに折れ、上条はその場に座り込んだ。
正直、セレブなお嬢様の言う「美味しいお茶」や「美味しいお菓子」に、興味が無かった訳でもないし。

だが美琴は、この時上条を帰さなかった事を、すぐに後悔する羽目になるのであった。


733 : ベッドの下の鈍感男 :2014/09/22(月) 19:47:27 m.1MNwLA
「そしたらそん時、青髪がこう言ったんだよ。
 『節子、それドロップやない。それは…それは私のおいなりさんや!』…ってさ」
「あーっはっはっはっはっはっ!!! おい、おい、おいな、りさ……ぶっふぅーーーっ!!!」

上条は美琴から差し出された、何だかよくわからないけど高級そうなお菓子と、
何だかよくわからないけどめちゃくちゃ美味しいお茶で舌鼓を打ちながら、
学校で体験した「すべらない話」を披露していた。
話の内容はひっどいが、美琴が腹を抱えて爆笑しているので、結果はオーライである。
多分、普段はお嬢様学校でお嬢様方とお上品でおハイソなお会話をお嗜んでおいらっしゃるので、
こういった男子学生特有のバカ話には耐性が無かったのだろう。
上条も「そこまで爆笑されると逆に恥ずかしい…」と、若干引く。

「っと、そろそろホントに帰んなきゃだな。買い物もあるし」

ふと、上条が時計に目を向ける。針は18時28分を告げており、そのまま腰を上げた。

「げほっ、げほっ! はー…お腹痛い……
 あー、そうね。黒子が帰って来る前に、アンタはここから出た方がいいもんね」

本当はまだ上条と一緒にいて楽しく喋っていたい所だが、
現実問題もし白井にこんな状況を見られたら、考えるだけでも恐ろしい。
仕方ないので寮の玄関までは見送ろう―――と、思った矢先だった。

「ちょ、ちょっと待ってっ!?」

再び、美琴は上条の腕を引っ張った。ただし今回は先程と違い、緊迫したように顔を強張らせている。

「ど、どうした美琴。急に―――」
「しっ! 声を出さないで!」

何が起こったのかは分からないが、上条は言われた通りそのまま黙り込む。
すると、こちらに近づいてくるのが足音が、部屋の外から聞こえてきた。
美琴は、一気に顔を青ざめさせた。

「く、黒子だわ…でも何で!? まだ帰ってくる時間じゃないのに……
 って、そんな事考えてる場合じゃなかったわ!」

そう。今は上条をどうにか隠す事が先決である。
事態は急激に慌ただしくなり、暢気に爆笑していた数分前の自分をぶん殴りたくなってくる美琴。

「とりあえずここに隠れてて!」
「おぅわっ!!?」

美琴は自分のベッドの下へ、強引に上条を押し込んだ。上条にとっては二度目の経験である。
その直後だった。

「おっ姉ぇぇぇ様あああぁぁぁぁ!!! ただいま戻りましたの〜!」

部屋のドアを開けたハイテンションな白井が、帰宅するや否や美琴の胸に飛び込もうとした。
が、美琴はそのまま白井の顔面にハイキックをお見舞いする。手馴れた物である。

「げぶらぁっ! お、お姉様…相変わらず素敵なおみ足ですの……がくっ…」
「アンタのその余裕は何なのよ…
 って言うか! な、何でこんなに早く帰ってきちゃ…帰ってこれたの!?
 今日、仕事は7時までかかるって言ってなかったっけ!?」

思わず「何でこんなに早く帰って来ちゃうの!?」と、本音を言いそうになったが、
すんでの所でブレーキをかける。

「いえ、実は初春の仕事が早く片付きましたので、わたくしの方にもヘルプして頂いたんですの。
 お陰で30分近くも早くお姉様のお顔を拝見できましたの〜!」
「へ、へぇ〜。初春さんがね〜」

返事をしつつも、自分のベッドに視線が移ってしまう美琴である。
こうしてる間にも、上条は狭苦しい空間で息を潜めさせられているのだ。

「ああ、そうそう。初春と言えば……もう入ってきても構いませんわよー!」

白井は部屋の入り口に向かって話しかけた。すると外から、美琴の見知った顔が二人入ってきたのだ。

「あ、お邪魔しますね御坂さん」
「いや〜、久しぶりですね〜! 御坂さんと白井さんのお部屋って!」
「う、初春さん!? 佐天さんも!?」
「帰りにバッタリお会いした佐天さんが、どうしてもわたくし達の愛の巣…
 もとい、わたくし達の部屋に寄りたいと駄々をこねられましたので…」
「ちょっと白井さん! 人を駄々っ子みたいに言わないでくださいよ!
 あたしはただ、御坂さんの部屋で美味しいお茶を飲みたいな〜って思っただけなんですから!
 初春だって、お嬢様達が食べるお菓子って興味あるでしょ!?」
「仕方ないですよね。甘い物の前では、女の子はみんな無力なんですから」
「初春…よだれをお拭いなさいな……」

何だかベッドの外がワイワイと騒がしくなってきた。
上条はベッドの下で丸くなりながら、長期戦を覚悟したのだった。


734 : ベッドの下の鈍感男 :2014/09/22(月) 19:48:14 m.1MNwLA
あれからどれだけの時間が経ったのだろうか。
時計も無く、部屋の光もわずかにしか届かないベッドの下で、
上条はひたすらガールズトークを聞かさせていた。
やれあの店の服が可愛いだの、やれ最近ダイエットを始めただの、
男の上条からしたらど〜〜〜っでもいい話題で盛り上がっている。
そのせいで、やたらと時間も長く感じる。美琴もいつの間には会話を楽しんでいるようで、
もはやこの部屋に男が紛れ込んでいる事を忘れているのではないかと、本気で心配になってきた。

「不幸だ…」と聞こえないように呟く上条。
するとその時だ。上条も気になる話題に移行したので、思わず耳を済ませた。

「あっ! そう言えば御坂さん。例の好きな人とはその後どうなったんですか?」
「ぶっふっ!!?」

つまりは恋バナという奴である。佐天の不意打ちに、美琴はお茶を口から噴射させた。

「ゲホッ! ゲーッホ! す、すす、好きな人って!? わ、わわ、私そんなのいないけど!?」

上条本人がいる部屋で余計な事を言える訳も無く、とりあえず誤魔化そうとする美琴だったが、
その態度は佐天にとっては、火に油…いや、火事現場にタンクローリーで突っ込むような物だった。

「ほっほ〜う? じゃあ何ですか?
 御坂さんは好きでも何でもない人に手作りクッキーを渡すんですか?」
「い、いや、アレはだから!」
「て、ててて手作りですって!? ままま、まさかお姉様…あの男に…あの類人猿に……
 あの7月頃に夜通し追いかけっこしたり夏休み最後の日に背後から抱きついたり
 大覇星祭で間接キスをなされたり9月の30日に仲良く写真を撮ったりしていたあの類人猿と!
 そのような事までしていたと言うんですの〜〜〜!!?」
「うおおおおい黒子おおおお!!!
 何その不自然な説明口調!!! わざと!? わざとなの!? バレるでしょうがあああああ!!!」
「バレるって…何がですか?
 まさか御坂さんのベッドの下に御坂さんの好きな人が潜り込んでて、
 実はこの一連の話に聞き耳を立てている…って訳でもないでしょうし……」
「えええええええぇぇぇっ!!!?
 初春さんって読心能力者でも透視能力者でもないわよねっ!!?」


735 : ベッドの下の鈍感男 :2014/09/22(月) 19:49:01 m.1MNwLA
ベッドの下で、上条が硬直する。

(え? えっ!? い、今の白井の話…何かまるで俺の事を言われてたような気がするんですけど!?
 って事はまさか、美琴が俺の事を…? って、いやいやいや!!! 有り得ねーだろ!
 そんな素振り見た事無いし、そもそも美琴って、普段は俺にツンツンしてるし……)

それは、そんな素振りに気付いていないお前のせいである。
上条の頭がグルグル回っていると、佐天がタイミングよくこんな事を言ってきた。

「もう…いい加減、その素直になれない性格何とかした方が良いですよ?
 相手はかなりの鈍感なんですから、御坂さんがそんなんじゃ、
 向こうは嫌われてるって思ってますよ!? きっと!」
「そ、そんな事…言われても……」
「まぁまぁ。
 ツンデレな所も御坂さんの魅力ではありますが、確かにこのままでは進展は難しいでしょうね」
「初春さんまで…」

そしてベッドの下では。

(え…? ツンデ…レ? 美琴が? え、ちょっと待てよ。
 もし今までの態度が、感情の裏返しだったとしたら…………………
 いやいやいやいや落ち着け俺っ!!!
 そんな事は絶対に無いから変に期待すんなよ上条さん!!!
 そ、そうだよ! そもそもその好きな相手が俺だって確定した訳でもないんだし―――)

「こうなったら練習しましょうよ。『私は《上条さん》の事が好きなんです!』って!」
「そうですね。一度吹っ切れてしまえば、
 《上条さん》にも素直なお気持ちを伝えられるようになるかも知れませんし」
「ま、まさかお姉様…本当にあの類人猿の事を…
 あの《上条さん》の事をお慕い申し上げると仰るおつもりですのっ!!?」

確定した。
瞬間、この会話が上条に筒抜けである事を踏まえ、恥ずかしいやら現実逃避したいやらで、
美琴は盛大に「ふにゃー」をした。その間も上条は美琴のベッドの下で、

(マジで!? マジでなのか!? うわっ、明日からどんな顔して美琴と会えばいいんだ!!?
 つか気付けよ今までの俺〜〜〜〜〜っ!!!!!)

と悶々としているのだが、それは無事にここから脱出してから考えるべきであろう。
上条の帰宅が余りにも遅いので、
心配したオティヌスからの着信(インデックスがまともに電話を使えない為)が鳴り響き、
今までベッドの下に潜伏していた事が白井達にバレて、
更なる大騒ぎに発展して、寮監までもがここへ駆けつけてくるという、
最悪の未来が現実になるその前に―――


736 : くまのこ :2014/09/22(月) 19:49:50 m.1MNwLA
以上です。
次はこぼれ話の続きを投下します。
多分、今週中に完成しますので。
ではまた。


737 : ■■■■ :2014/09/22(月) 20:32:38 8dTUVLtc
くまのこさん いい仕事してますね〜♪ 楽しかったです


738 : はりねずみ :2014/09/23(火) 16:13:56 awzhOzKU
くまのこさんの上条さんのドギマギは見ていて可愛い物です。
…ん?オティヌス。お前あのちっこい体でボタン押したのか?

そしてすいません。『借金のカタに美琴がやってきた』は、一発ネタです。
『書きたいネタ』と言ったのは別の作品のことであります。勘違いするような事を言って申し訳ありません


739 : ・・・ :2014/09/24(水) 07:10:13 8Jt6NnqU
ども、・・・です。

え? 乙女? 
そっかなー、意識はしてません。
焦らしとか、高等技術持ってるわけないじゃん。
難産だっただけでして。
……インデックスが人気だ(戸惑い)


さて、

>>はりねずみさん
親父達がおふくろ達に負けずフリーダムだ
常盤台もノリよすぎるだろ、数万の問題よ?
やっぱり、外堀なんて、なかったんや
どうしても書かないと気が済まない問題作は書くとして、
こっちの続きも書いちゃっていいんですよ?(笑)


>>くまのこさん
ドキドキしかしてねぇし、アウトなのが惜しいことだし。
墓穴掘って墓石まで建ててやがる。
美琴、お前、もう、しゃべるな。
通常運転だな、『最期』まで
そして青髪の話が酷すぎる

では、投下します。
まだまだ終わらない。
だってまだようやく三分の一?

それでは


740 : イヤだ 1 :2014/09/24(水) 07:11:30 8Jt6NnqU
「……いや、すまないね」

「気にしないで」

とある研究室は段ボールだらけだった。
そこにいるのは木山春生と御坂美琴。
ついに教員として働くことになった木山は、研究所の私物を新居に移動させていた。美琴たちはその手伝いである。
風紀委員の二人は後で合流。春上や絆理、佐天は新居の掃除をしているはずだ。

美琴としてはここよりも家でインデックスたちと遊びたかったのだが、半円の形をした上条の目にしぶしぶ出てきたのだった。
まあ、白井たちと遊ぶのも久しぶりだし、木山が教員になったのは本当にうれしいため、文句はまったくない。
いや文句が1つあった。

「しかし、暑いわね」

8月の夏真っ盛り。
でも埃対策で窓は全開。
電気は解約済みでエアコンは使えないのだった。
やってられないのである。
置いてあったクーラーボックスの中のコーラを1つ拝借するくらい許して欲しい。
蓋を開けて一気に口に注ぎ込む。

「っ!! まずっ!!!!!」

口の中で納豆ときな粉とブドウが大戦争している味がする。
いちごおでんのほうがまだましなのだった。

「な、なによこれ〜〜」

「ん?」

隣の部屋から段ボールを抱えて出てきた木山は、しかめっ面した美琴を見る。
ガシャン という音が響いた。
木山が段ボールを落とした音である。
中身は大丈夫か?
なんて美琴は考えるが、
木山の動揺した表情を見て?が頭上に浮かぶ。
しかし、次の木山の発言で、顔を木山以上に真っ青にするのだった。

「ま、まさか、それを飲んだのか!!?」


741 : イヤだ 1 :2014/09/24(水) 07:12:17 8Jt6NnqU
<イヤだ>


「成果なし……か」

上条宅で、携帯のメールを見て上条はぼやく。
インデックスを元に戻すために世界を走り回ってるステイルからの連絡だった。
今日も成果は無かったらしい。

とはいえ、実は上条はこのままでもいいような気がして来ていたのだった。
上条にとってみれば、そんなに状況は変わっていない。
十何年かすればインデックスもどうせもとに戻るし。
死ぬわけではないようだし。

「……ま、コイツ自身が望んでないかもしれないけどな」

ひょい とインデックスを高い高いする。
自分の幸せと、彼女の幸せが一緒とは限らない。
……ん? 自分の幸せ?
何かがひっかかったが、インデックスの声に意識がそれる。

「まぁ、まーま?」

「ん? ああ、ママはお友達と遊んでるぞ」

高い高いしていた腕を戻す。

「中学3年の夏休みは1度きりなんだ。友達と遊ぶのだってさぼっちゃいけないだろ」

上条も一緒にいたいという気持ちはわかるのだ。
しかし、今しかないこの夏を、きちんと満喫してほしい。

「15歳の夏が二度あるわけじゃないんだ。できることはやっておきなさいよー」

上条はここにはいない少女にやさしく、囁くのだった。



が、



その静寂は、ドアを思いっきり開ける音でぶち壊された。
駆け込んできたのは。

「大変!! 当麻!! わたし、このままだと赤ちゃんになっちゃう!!!」

なんか一回りちっこくなった美琴なのだった。
彼女はもう一度15の夏を経験する裏技を発見してきたらしい。
涙を浮かべる美琴と、
いびつな顔で固まる上条。
そしてそんな状況もきゃっきゃと楽しむインデックス。
上条の例の言葉がむなしく響いた。


742 : ・・・ :2014/09/24(水) 07:13:41 8Jt6NnqU
以上です。

今回は比較的早くできたな。


743 : はりねずみ :2014/09/25(木) 23:00:25 MeRCJDXk
ちょっと、15歳の母から10歳の母ですか。
さてさて、2人の子育てが1人で出来るかね?当麻パパ。

では、新作が書き始めれましたので投下していきます。
1年ぶりの長編(予定)ちゃんと終わるかな?
タイトルはまだ決まって無いので少しずつ変わっていくかもです


744 : 『美琴』 :2014/09/25(木) 23:01:28 MU.9I9xM
蝉がミンミンとなり始める季節。
もはや梅雨の蒸し暑さは消えて無くなったが、代わりに暑い日差しが照りつけるようになった。
すでに夏休みに入っているが、開発の単位が足らない上条当麻は早々から補修を受けていた。
補修を終えた頃には太陽も沈みかけているが相変わらず蒸し暑く、彼の背中を汗で湿らせる。だがそれ以上に気になっている事が1つある。

(最近、会わねーな)

それは、彼がビリビリ中学生こと、御坂美琴である。
初めて彼女と会って一カ月が過ぎようとしている。
以前は週に3、4回は遭遇するほどのエンカウント率の高さで勝負を挑まれていたが、一週間以上、姿を現していないのだ。
当然上条としても、彼女には普通の女子中学生らしく青春を謳歌してもらいたいところだが、彼女の性格を考えても、白黒はっきりつけないまま終わりというわけにもいかないだろう。
ならば、何故会わないのだろうか?

下校時刻が合わないのか。
用事が出来たのか。
それともまさか、病気にでもなったのではないか。

うーん、と考える上条だが、結局それは聞いてみないとわからないのだ。
こうなると、気になってしまうのが上条当麻である。答えが見つかるはずがないのに、ずっと考えている。

「……あ」

いた。
栗色の短い髪。常盤台の制服。
間違えはない。美琴だ。


「おービリビリか。探してたんだぞ」

こういうとき、上条はまず行動に出る。
美琴へ駆けより声をかける。

「ビリビリ言う…な……って、私を、探してた?」
「ここ最近、勝負を挑まれてなかったからな、どうしたんだろうってな」

上条がそう聞くと、先ほどまで怒り気味に見られた美琴の表情は曇り、目を反らした。
良く見れば、目元には隈が出来ており、頬も少しやつれていた。
たとえ門限を破っても、健康的だった彼女がどうしてこうなったのだろうか。

「最近、そういう気分じゃないのよ。んじゃ、またね」

そう言って、彼女は背を向けた。
足もふらつき、今にも転びそうだ。

「あ……、おい」

とうとう見ていられず、上条は美琴を呼び止めた。
だけど美琴には聞こえていないように、彼女はふらふらと歩き続ける。

「おい、ビリビリ!」

ついにはしびれを切らして美琴の肩に手を置いた。
すると彼女の体は急に倒れ込み、上条は慌てて彼女を抱きかかえた。


745 : 『美琴』 :2014/09/25(木) 23:01:55 MU.9I9xM
カエル顔の医者の話では、ただの過労という事だ。
今彼女は、病院のベッドで安らかに眠っている。勝負勝負と突っかかって来る時はあまり気にしていなかったが、こうしていると美琴も可愛いのだ。
だが、一晩中追いかけっこをするような彼女が倒れるほとは。

(それにあの隈……何日も徹夜したみたいな)
「ん……わたし…?」

美琴が目を覚ました。
彼女は辺りを見回すと、ここが病院だと気付いてか、ベッドから起き上った。
だけども力が入らないのか、またもや倒れそうになり上条が支える。

「起きたばっかりで無理するな。今は寝てろ」
「でも…!」
「何を焦ってるんだ。悩んでる事があったら俺に言え」
「……っ、わかったわよ」

観念したのか、美琴はベッドに腰を付けた。それでも焦っていた理由だけは頑なに言おうとはしなかった。
とりあえず上条はメモ用紙に自分の携帯番号を書いて、ベッド横の机に置いた。

「夕飯の買い物もあるし、俺は帰るよ。でももし相談する気になれば言ってくれ」
「……待って」
「ん?」
「あの、今日は……ありがとう」

彼女にお礼を言われるのは初めてであった。
何だか気恥ずかしく、上条は急いで病室を後にした。




その夜の事だ。
美琴が病院から抜け出したと、カエル顔の医者から電話が来たのは。


746 : はりねずみ :2014/09/25(木) 23:03:15 MU.9I9xM
以上です。
久々の2レス。


747 : ■■■■ :2014/09/25(木) 23:04:54 jpruyfJo
妹編かな?はりねずみさんともかく続きを楽しみにしてます


748 : ■■■■ :2014/09/26(金) 00:06:48 c4uA4WCE
>>744
どうなのか?楽しみに待ってます


749 : 我道&くまのこ :2014/09/26(金) 00:36:52 fLWyMhUo
>>・・・さんGJです!
えええぇぇ!!? まさかの展開!
いやでも……ロリなミコっちゃんもいいですよねぇ

>>はりねずみさんGJです!
ミコっちゃんの身に何が!?
上のお二方同様、自分も続きを楽しみにしてます。



どうも、くまのこです。
予告どおり、こぼれ話の続きを投下しにきました。
そして今回も勿論、我道さんとの合作です。
超電磁砲の大覇星祭編の、バルーンハンターまでの内容となってます。
約3分後に9レスくらいです。


750 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:39:58 fLWyMhUo
上条「さて、今回からは超電磁砲【外伝】サイドから見た大覇星ってわけだな」
美琴「と言っても、正確には『2日目』以降で、禁書目録【原作】の補完にしてはそっちよりも大変なことになっちゃってる感があるんだけどね」
ミ妹「そうですね、とミサカはお姉様の言葉を肯定します。【原作】は学園都市が魔術サイドの刺客に乗っ取られるかもしれないというお話でしたが、【外伝】は学園都市が滅亡するかもしれないというお話でしたから、とミサカは少しだけネタばらしします」
上条「え゛……? アレってそんな大事だったの……?」
美琴「そういう事よ。でもまあ、それはもうちょっと後の話だから今回は純粋(?)に大覇星祭の競技を楽しむってことで。というわけで布束さん、自己紹介よろしくねぇええっ!」
布束「私、高校生、あなた、中学生。長幼の序は守りなさい」
美琴「け、けほっ……あ、相変わらずでなんだか嬉しいですわよ? 今のローリングソバット」
上条「(……御坂が蹴られて文句言わないって……?)」
布束「again 私の名前は布束砥信。長点上機学園三年生。生物的精神医学に関しては誰にも負けないつもり。あと妹達の『学習装置』【テスタメント】を作ったのも私。ところで御坂美琴、今回はタメ口でも許容してあげる。あなたには大きな借りがあるから」
美琴「ありがとうございますー」
上条「あっそうか」
美琴「何? どったの?」
上条「この人、初めて会った割にはどっかで見たことあると思ってたんだけど、今のセリフで思い出した。超電目録(前編)んときに御坂に説教してた人だろ?」
美琴「何を今さら?」
上条「いやーあん時はギョロ目だったのに今日はクールな目だろ? だから初めて会ったと思ってしまったんだなぁあっ!」
布束「fool 女性に対してあなたはデリカシーを持ちなさい」
上条「だ、だからってかかと落としは……一瞬白い何かがぁあああっ!!」
布束「……忘れなさい」
ミ妹「今の布束さんの上段回し蹴りはともかく、ところでどうしてこちらの方が呼ばれたのですか、とミサカはお姉様にお聞きします」
美琴「ん? だって布束さんって(私と同じで)アンタたちのお姉さんみたいなもんよ。今のアンタの性格は布束さんが作った学習装置が元なんだし、今回のお話なら、今、アンタがどういう生活をしているかを見てもらうのに丁度良いんじゃない?」
ミ妹「なるほど。という事は今回はミサカのターンという意味なのですね、とミサカは心躍らせます」
布束「……随分、感情を露わにするようになったわね。Maybe ひょっとして一九〇九〇号からミサカネットワークで何か受け取った?」
ミ妹「禁則事項です、とミサカは人差し指を唇に当ててウインクします」
上条「何の話だ?」
美琴「さぁ? 私も知らない話みたい」


751 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:40:46 fLWyMhUo
「(今このような場に出すのは彼女のためによくないでしょう)今回は辞退させていただく方向で……」
「そ そんなぁー」


上条「実際はどうなんだ? もし出られてたら出てたのか?」
美琴「んー…個人的には、あまり目立つのって好きじゃないから断りたい所だけど…運営委員の事を考えると断りにくいかな……」
ミ妹「確かにもしもお姉様が辞退したせいで代わりにあのアルビノモヤシ変テイロリコンが出たらと思うと薄ら寒いですしね、とミサカはスラスラと毒を吐きます」
布束「question 『変テイ』って何かしら?」
ミ妹「『変態』と『変なTシャツ→変ティー』を掛け合わせた造語です、とミサカは説明します」
美琴「そうなの? 私はてっきり、『変なテイスト』の略だと思ったんだけど」
ミ妹「それも間違いではありません、とミサカはお姉様の案も採用します」
上条「……お前ら、第一位さんの悪口を言う時はイキイキするなぁ…」


「ええ……今年はデモンストレーションを超能力者にやらせる方針とかで…… ですが……」
 ――――
「…失敗だったみたいですねー」
「ええ」


上条「運営委員も大変だな…吹寄も苦労してたんだなぁ……」
ミ妹「そもそも人格破綻者に選手宣誓をやらせるという企画そのものに問題があるのではないでしょうか、とミサカはお姉様を横目で見ながら苦言を呈します」
美琴「な、何だとう!? 私はこれでも、レベル5の中では一番『まとも』だって評判なんだからね!」
布束「一応、多少は変人である事に自覚は持っているようね」


[常盤台中学所属 御坂美琴婚后光子ペアだ!]


ミ妹「隣の方とは随分とスペックが劣りますね。主に胸が、とミサカはお姉様のまな板っぷりに含み笑いを隠せません」
美琴「アンタそれ自分の首も絞めてるって分かってんの!?」
ミ妹「ひゃ〜〜〜っ」
布束「pooh! 女性の価値はバストの大きさで決まるわけではないわ…」
上条(上条さんは学習していますよ。この手の話題には下手に触れない方が良いという事に!)


[私は本来は参加する側なのだけど『ヘソ出しカチューシャ』でお送りする]


上条(あれ? この声と口調…それにカチューシャって……)
美琴「…? どうしたの? 変に考え込んだ顔して」
上条「いや…この解説の人、多分俺の学校の先輩なんじゃないかな〜って」
ミ妹「ちなみにどんな方ですか、とミサカは本当はあまり興味が無いけれど貴方と会話をしたいがために疑問を投げかけます」
上条「えっと、とりあえず胸が大きくてだな…………ハッ!?」
美琴&ミ妹&布束「「「……………」」」


[ふむ……間違えて下着のヒモを切ってしまったようだけど 所詮ケダモノか]
[だがへたり込んで動けない様子 これは事実上のリタイアか? ハムスターグッジョブ!!]


上条「ハムスターグッジョブ!!…………ハッ!?」
美琴「ほっほ〜う…?」
布束「sigh…全く、男という生物は…」
ミ妹「そんなに下着が見たいのならばミサカがいくらでも見せてあげます、とミサカはスカートをたくし上げようとします。そーれぴらーん」
美琴「それを私が阻止します。アンタねぇ! 乙女なんだから、そのすぐにスカートまくり上げるクセ何とかしなさいよ!?」
布束「Hmm……やはり羞恥心は必要だったかしら?」
ミ妹「別に見られて困るような物ではないでしょう、とミサカは隙を突いて今度はお姉様のスカートをめくります」
美琴「にゃああああああ!!! やめんかいっ!」
布束「but、あなた短パン穿いてるじゃない」
上条(とは言え、これはこれでドキドキするんだよな……短パン云々じゃなくてスカートが捲れ上がるだけで……また怒られるから言わないけど)
布束「あなた今、これはこれでドキドキするんだよな……短パン云々じゃなくてスカートが捲れ上がるだけで……って思わなかった?」
上条「―――!! いやいやいやいやいや! そんなこと微塵も思ってませんのことよ!? と言うか、最近このネタ多いな!?」
ミ妹「片割れの作者が『世界よ、これが日本のクトゥールだ』というラノベが好きだからなのではないでしょうか、とミサカは生パンなのに短パンに負けてがっかりしながら予測します」
美琴「な、何の勝敗よ! 何の!!///」


752 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:41:43 fLWyMhUo
「ま それで助かったんだし許してよね」


布束「but still あなたの能力って応用力が高いわね。砂鉄をこんな風に使えるなんて」
美琴「まぁ、色々と練習したからね」
上条「俺としては、超電磁砲より砂鉄の剣の方が怖いくらいだもんな」
美琴「へぇ? じゃあ超電磁砲なら、何発ぶっ放しても平気って事ね?」
上条「………堪忍してつかあさい」
美琴「あはは! どうしよっかな〜?」
ミ妹「おうコラそこ! なに痴話ゲンカしてやがんだ、とミサカはツッコミを入れます」
布束「(痴話ゲンカって、カップル同士が行う他愛のない喧嘩の事を言うのだけれど…)」


「あ、ママ」
「やっほ――――」
「どうしたの? 待ち合わせまでまだ……」
「「ママぁッ!?」」


上条「まあ、初めて美鈴さんを見た人はそうなるわな」
美琴「うん。こん時の初春さんと佐天さんの驚きぶりも半端無かったわね」
ミ妹「この御方を見ますとミサカはいつかダッダーンボヨヨンボヨヨンになれると思えて、それまではお姉様のクローンである事を悔やんできたミサカに忸怩たる思いを抱かせます、とミサカはここにお姉様に謝罪申し上げます」
美琴「……今のって謝ってるとは言わないわよ?」
布束「surprise 妹達は本当に変わったのね……」


「あーでも言われてみればパーツパーツに御坂さんの面影が…『胸』以外」
「よーし佐天さん、あとでゆっくり話そうか。二人きりで」


布束「そう言えば、私が妹達の姉みたいなもの、という事は、この人は私のお母さんみたいなもの?」
美琴「いや、さすがにそれは飛躍し過ぎ。ていうか、布束さんもボケるのね」
上条「ところで御坂。お前、佐天さんとあとでゆっくり何を話したんだ? 二人きりってことは何か大事な話ってことか?」
ミ妹「あなたのはボケですか? 天然ですか? とミサカは判断にとっても困ってしまいます」


「アイツ? アイツって何? ママ気になるぅー」


布束「それは私の気になるわね。『アイツ』って一体誰―――」
美琴「そのくだりは前回散々やったからっ!!!///」
上条「結局、誰なのかは分かんなかったけどな」
ミ妹(おめーだよ、とミサカは思わず言いそうになりました。あっぶねー)


「いや 御坂さんがいろいろとお世話になってる人みたいで」
「ほほぅ それでそれで?」
「あ 私さっき借り物競争の中継観てたんですけど御坂さんがツンツン頭の………」
 てっ……敵が三人……だと!?


上条「…? 借り物競争…ツンツン頭……なぁ御坂、もしかしてこれって―――」
美琴「なああああああぁぁぁぁん!!!!! か、かかか、関係ないからね!? アンタと借り物競争でアンタとゴールした事は全っ然関係ないからねっ!!?///」
上条「えっ? あ、そうなの? 一瞬、俺の事を言われたのかと思ったけど、何だ違うのか…」
ミ妹「ふぃ〜…お姉様の性格に助けられました、とミサカは安堵の溜息を吐きます」
布束「あっ、なるほどね。I see、察したわ」
上条(……ん? ちょっと待て。何で俺今、残念だとか思ったんだろう……?)
布束「言葉にしないと伝わらないわよ?」
上条「あなたには読心術の能力でもあんの!?」
ミ妹「? 何を思ったのですか? とミサカは素で問いかけます」
美琴「ま、どうせ、『あの金髪ツンツン頭の人だろ』とか大ボケかまそうとしたんでしょうけど」
布束「……借り物競走であなたが引っ張ったのはそちらの彼じゃなかった?」
ミ妹「これはお姉様も鈍感なのかそれとも相当のトラウマがあるのかどちらなのでしょう、とミサカはちょっと真面目に考えます」


753 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:42:27 fLWyMhUo
「大覇星祭」
「どこの学校にも所属していないミサカには参加資格がありません」
「ミャー」
「…病院に戻りましょう」


美琴「あ、あ、あ、あ、あ、あ、危っな〜〜〜〜〜……アンタ……ママや初春さんとカミングアウト寸前だったんだ……」
ミ妹「……そのようですね、とミサカも正直冷や汗を拭います」
布束「Well でも、いずれ話す時が来るわよ」
美琴「そりゃもちろんそうだけど、学園都市が公表していないことを教えるわけにはいかないわよ。私たちはともかく、ママや初春さんたちを危険に晒す真似なんてできないから、まだ無理」
ミ妹「時期早々なのはミサカも認めますが、それでもやっぱり早くミサカ達も公になりたいです、とミサカは近い将来であることを切望します」
上条「まあ……いきなり、こちらが私の妹です、って一〇〇〇〇人も紹介されたらさすがの美鈴さんでも卒倒するわな……」
美琴「だ、だ、だ、だ誰がアンタの義妹だぁぁぁあああああああああ!!///」
上条「……何でそんな話になるんだ? あと何か字面が違いませんこと?」
ミ妹「それが分かる貴方の鋭さは、前の一節のところで発揮させるべきでは? とミサカは至極冷静に分析して指摘します」
布束「false 声色が少し低かったわ」
??「義妹と聞いてやって来たぜい!」
上条「帰れ、金髪ツンツン頭」


「わたくし…ケンカどころか怒った経験もないもので……」
「それで先程のようなことを… でしたらわたくしも同じ…」
「そーだ!! 泡浮さん わたくしにちょっと怒ってみてもらえませんか?」
「えぇえっ!? え…えと こ こ こらぁ――」


上条「おおう! まさに天然系お嬢様だ…思い描いたようなお嬢様だ! 普段、御坂や白井ばっか見てるから忘れそうになるけど、こういうのがお嬢様って言うんだよな!」
美琴「あ〜ら、わたくしにも常盤台生らしい振る舞いくらいできますことよオホホホホホホ!」
上条「とりあえず、ビリビリしながら言っても説得力ないよね」
布束「undoubtedly、あなたは少々落ち着きがないように見られるわね」
ミ妹「つまりお姉さまはガサツだという事ですね、とミサカはそんなお姉様と同じDNAである事に絶望します」
美琴「よっしゃ、アンタら二人ともケンカ売ってる訳ね!? 買ってあげるから表に出ろやコノヤロー!」
上条(まぁ……このお嬢様らしくない自然体な性格も、御坂の魅力って事なのかねぇ……俺からすると御坂の方が接しやすいんだが……)
布束「That said 私からすれば御坂美琴のようなお嬢様らしくない性格の方がかしこまらずに済むので接しやすいわ」
上条「あ、そうそう。俺もなんだよ。だから御坂と一緒だとなんだか居心地良いんだよ」
美琴「――へっ!?」
ミ妹「――!!!?」
布束「あまり深い意味に取らない方がいいわよ二人とも。二人の精神衛生上的に」
上条「?」


「結局また観戦に来てしまいました」
「べっ…別に競技に参加できないのがさびしいわけじゃないんだからねっ! とミサカはツンデレ風に弁明します」


布束「strange 学習装置にツンデレ風なんてプログラムがあったかしら?」
ミ妹「いいえ、学習装置ではありません、とミサカは布束さんの記憶を肯定します」
布束「なら原因は?」
ミ妹「それはミサカもお姉様の妹と言うことでしょう、とミサカは本質をズバッと付きます。ですがミサカはお姉様と違って意中の男性には素直になれますが、とミサカはチラリと横目でここにいる殿方を見つめます」
上条「俺? ああそうか。例えってやつだな。そうだな。これから先、御坂妹にも彼氏ができるといいな――って、あれどうした?」
美琴「……お互い頑張ろうね……」
ミ妹「はい、とミサカはお姉様の優しさに目頭を熱くします……」
布束「angry 妹達の心を傷つける輩は許せない……」
上条「ちょっ! 俺なんか悪いこと言った!? 御坂妹を励ましただけでしょぉぉぉぉおおおおおおおおおっ!!」
布束「サマソー!(↓タメ↑+K)」
美琴「ま、当然の報いね」
ミ妹「サマーソルトキックなんて大技も繰り出せるのですね、とミサカは布束さんの足技のバリエーションに少々驚きを隠せません」
布束「あらそう? thenスピニングバードキック(↓タメ↑+K)もお見せしようかしら」
美琴「…あれ、人間技じゃないでしょ」
上条「それ以前に、やられるのは上条さんなんだからやめて!」


754 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:43:21 fLWyMhUo
『あっ逃げた!!』
『次の競技あるんでっ』
 あの三人から逃げる口実にはなったけど…


上条「御坂にとって、例の『気になる人』の事を言うのはそんなに嫌な事なのか?」
美琴「すっ、すす、少なくともアアアアンタの前で言う義理はないでしょっ!!? って言うか、そもそもそんな相手は本当はいないんだしっ!!!///」
上条「あっ何だ、そうなのか?(ん? 何でホッとしたんだ俺は?)」
布束「I sayこれは、これで誤魔化しきれていると思っている彼女の方がアホなのかしら? それとも、これでもなお気付かない彼の方がアホなのかしら?」
ミ妹「両方です、とミサカはハッキリと言い切ります。もっとも、ミサカにとってはその方が好都合なのですが」


「サイズきつくないですか?」
「運動には支障ありません。むしろ胸部には余裕があります」


美琴「いいの! 私は大器晩成型なんだから!!」
ミ妹「ミサカはまだ生まれて一年経ってませんから、とミサカは多少苦しい言い訳をします」
布束「こうして見ると本当に姉妹のようね。良いことだわ」
上条「女性は胸だけじゃないと思うぞ。それに『貧乳はステータスだ』って有名な格言もあるし」
御坂姉妹「「コロス!!」、とミサカは初めてあなたに殺意を抱きます」
上条「何で!? 俺フォローしたんだけど!?」
布束「それ、フォローじゃなくてトドメよ」
上条「え、えっとじゃあ…… ホラ! 歌でもあっただろ!? ペチャパイはマラソン速いとかTシャツ伸びないとか匍匐前進速いとか、あとは痩せて見えるとか痴漢にあいにくいとか年取っても垂れ…な………あれ〜? 何で更に怒ってらっしゃるの〜?」
布束「by any chance あなたは馬鹿なの?」


『バルーンハンター』
 この競技は、各校から三〇名により、互いの頭に付けた紙風船を指定の球を使って割り合うゲームです。頭の風船が割れた選手はその時点でゲームから除外され、競技時間終了後に生存者の多いチームの勝利となります。競技範囲は広く、スタート地点のグラウンドから表へ出ることも可能です。ただし一般に開放されている道路や屋内へは侵入は禁止です。違反者は即失格となります。


美琴「この競技、本当は私が出るはずだったんけど手違いでアンタが出たやつね」
ミ妹「はい。いよいよここからがミサカのターンです、とミサカは上条さんと布束さんに宣言します」
布束「Well 楽しみだわ」
上条「それにしても相手は三○人なのに、常盤台は一〇人いないのな」
美琴「前の玉入れもそんな感じだったでしょ。五本指の一角ってことでハンデ戦が多いのよ」
布束「少数精鋭ということね。常盤台中学は生徒数200名弱だけれど、butその代わりに全生徒がレベル3以上なのだし」
上条「あー……そういや、俺たちの学校と直接対決になった時も常盤台の人数は少なかったな……つーか、あん時も思ったけど、レベル5のお前がいるだけで反則じゃね?」
美琴「ふふん。私たちがボロ勝ちしたときのやつね♪ 楽勝過ぎて欠伸しか出なかったわ」
上条「くっそぉ! 何かめちゃめちゃ悔しい!」
布束「…なんだか話がズレてきたわね」
ミ妹「構いません、とミサカは特に問題視しないことを告げます。なぜならこの先、お姉様に見せ場はなく、上条さんの目がお姉様ではなくミサカに向くことは確実なので、これくらい許容範囲です、とミサカは存分に余裕を見せつけます」


 パァン! ばッ!
「…は?」
「とにかく地の果てまで走り続けろ!!」
「全員生き残れば引き分けだからな!」
「な…なんて消極的な…」


ミ妹「相手の作戦としては適切です、とミサカは彼らを称賛します」
布束「exactly 能力レベル3以上しかいない常盤台が相手では、一般の学校は引き分けに持ち込む以外ないものね」
上条「……」
美琴「ぷぷぷ。アンタたちは私たちに真正面から突撃してきたわね」
ミ妹「それはそれで讃えられる行動ですよ、とミサカは上条さんも称賛します」
上条「……ありがとうな……全然嬉しくないけど……」
布束「勇気と無謀は違うものよ」


755 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:44:05 fLWyMhUo
「追いますわよ!」「待ちなさい!」
「単身で追撃は危険です。スリーマンセルで行動すべき、とミサカは提案……」


美琴「あー……」
布束「bad 妹達の進言に耳を貸す者がいないのもどうかと思うわ」
上条「まあ御坂――と言うと、今さらだけど、今回も御坂妹と被ってややこしいな――なあ? 引き続き『美琴』でいいか?」
美琴「はへ!? まままままままいいけどさぁぁぁぁあああああああ!!/// でででで何? 何なの? 何かしら?」
上条「? 何キョドってんのお前? まあいいけど。んで話の続きだが、美琴もあんまり作戦なんて考えずに突撃してくるよな? ひょっとして常盤台の校風だったんか?」
美琴「(……なーんか一気に頭が冷めたわね……)ははは。これじゃ否定できないわね。ちょっと能力値に驕ってる人は多いのかも」
ミ妹「俗に言う『自分より強い者と戦ったことが無い井の中の蛙』ですね、とミサカは少し常盤台の制服を着ていることに忸怩たる思いを抱きます」
美琴「……うん……否定しないわ……」
布束「こういったところが長点上機学園に勝てなかった理由なんじゃない?」


「ひぃ〜〜〜ん 嘘っ 嘘ぉ 何でレベル5とバッタリ遭遇しちゃうのぉ〜?」


ミ妹「外見がお姉様そっくりですから相手にはミサカがレベル5に見えるのですね、とミサカは少し複雑な心境を吐露します」
美琴「と言っても、能力値の差が絶対的な戦力の差とは言えないから、私の方がレベルは高くても、アンタとサシだとガチでやり合ったら正直勝てるかどうか自信ないんだけどね」
上条「は? 何で?」
布束「modesty 私もあなたが妹達に負けると思わないわ」
美琴「クス。そうかしら?」
ミ妹「その理由はこの先で明らかにされます、とミサカはここに宣言します」


「この路地裏は以前実験が行われた場所ですので 道筋はもちろん身を隠せる場所も狙撃ポイントも把握済みです」


ミ妹「、とミサカは得意げに……? 皆さん、そんな暗い顔してどうかしたのですか」
上条「いや、その…」
美琴「実験…って言うと、ね…」
布束「………」
ミ妹「いやいやいや。被害者真っ只中だったミサカ自身が吹っ切れてるのに何で第三者達が未だに気にしてんだよ、とミサカは久々のシリアスブレイクをしてみます」


「くそっ、やっぱ無理か!」
「あ」
「そこに乗るのは危険ですよ」
「おわぁ」
「言わんこっちゃない、とミサカは嘆息します」


美琴「ああ……まだちょっと思うところがあるけど、アンタが気にしないってんならせっかくのアンタの活躍なんだし、トークしないとね」
ミ妹「はい、どんどんミサカのことを持ち上げてください、とミサカはお姉様におねだりします」
布束「心なしか、目がキラキラしてるわね」
上条「あなたにもそれが分かるのか?」
布束「まあね」
上条「へー御坂妹の感情の起伏を読み取れるのって俺と美琴くらいかと思ってたんだけど――」
ミ妹(☆。☆) キラーン!!
美琴(ぎくっ!)
上条「やっぱそんだけ御坂妹の表情が豊かになってきてるってことだよな。うんうん――って、どうした?」
ミ妹「……いえ何でも、とミサカはこれはお姉様の役どころだろと不満いっぱいに呟きます」
美琴「何でもないわよ何でも」(*⌒▽⌒*)にこにこ
布束「二人とも苦労するわね」


756 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:44:48 fLWyMhUo
「しかし誰も私と見分けがつかないとは 助かったような寂しいような…」


上条「あ、さっきの御坂妹と同じような事言ってる」
布束「giggling、やっぱり姉妹なのね」
ミ妹「まことに遺憾です、とミサカは頬を膨らませて抗議します」
美琴「何でよ!」
上条「でもまぁ、俺も最初は見分けつかなかったもんな。最近は分かるようになったけど」
ミ妹「ああ。貴方から貰ったこのネックレスのおかげですね、とミサカはお姉様に見せ付けるようにわざとらしく件のネックレスを取り出します」
美琴「ぐっ…ぬ!」
上条「お。まだそれ持ってるんだ。安物なのに大事にしてもらって悪いな」
ミ妹「いえいえ。上条さんのプレゼントでしたら例えメッキだとしてもミサカにとっては純金以上です、とミサカはさりげなく上条さんを持ちあげることで自己アピールに努めます」
布束「プレゼント? 買ってあげたの?」
上条「ああ。ちょうどその日、美琴と携帯の男女限定のペア契約してな。ちょっと美琴が手続きして俺が席を外して待ってる時にたまたま御坂妹と会ったんだけど、当時はまだ見分けつかなくてさ。んで、見分けをつけるために、って意味だったんだけど買ってやったんだ」
ミ妹「……だ、んじょ限定のペア……契約!! とミサカは愕然とします」
上条「まあネックレスのこともあるんだけどさ。でも、最近気付いたんだけど、な〜んか美琴の方がいい匂いがする気がするんだよ。いや、匂い自体はそんなに変わらない筈なのに、美琴の方だけ妙にドキドキすると言う…か? あれ、どしたん?」
美琴「!!!!? な、ななな、なに、なに変な事言ってんのよ変態っ!!!!!///」
ミ妹「なん…だと…? とミサカはWパンチに…石化しま…す…」
布束(この場合、私はどちらの応援をするべきなのかしら)


「でも、ま、起きちゃったもんは仕方ないし」
「私の代理で出るんだから思いっきり暴れなさいよね」


布束「Oh ここは本当に姉っぽい発言よ」
上条「なんだかんだいっても美琴は面倒見がいい姉御肌だもんな。お姉さん役というかこういう妹分を気遣うのは嵌っているというか――って、あれ?」
ミ妹「」
美琴「///」
布束「……Oh まだ固まっているようね」
上条「同じ『Oh』でも意味が違うってのがよく分かるな」


「どうやら……ここまで…のようですわね エカテリーナちゃん ネズミは一日一匹まで……
『そーいうのいいんでさっさとリアイアゾーンに移動してください』
「あらそうですの?」


上条「…ノリいいな。美琴と二人三脚してたこの子」
ミ妹「」
美琴「///」
上条「…で、この二人はいつまで固まっているのでせう?」
布束「yet しばらくはかかりそうね。rather than これはあなたの責任なのだけれど」


「能力が使えなければ僕らと条件は同じ それなら……っ」
「もら――った……アレ?」
「触れるだけで命を失う相手と一万回以上の戦闘を繰り返してきました――ミサカを捉えるのは容易ではありませんよ、とミサカは忠告します」


上条「んな……!」
布束「…………!」
美琴「ふふっ」
ミ妹「どやあ、とミサカはふんぞり返ります」
上条(あっ、二人とも戻ってきた)


757 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:45:41 fLWyMhUo
『おおおおお―――――っ!!? これはスゴいッ! 御坂選手 群がる無数の手を躱す躱す躱すーッ!!』


上条「ちょ、ちょっとぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお! 何これ凄過ぎるんですけどぉぉぉおおおおおおおおおお!? 一体何人に囲まれてんだぁぁぁあああああああああああああ!?」
布束「surprise……確かに一方通行と比べるならこの程度の相手、何百人来ても手こずることはないけど、能力を使わずにこの動き……私にも予想外よ……!」
美琴「あ〜あ。いくら私でも電撃が当たらない相手じゃ自信ないわ」
ミ妹(ふっふっふっふっふ。このミサカの雄姿に上条さんが見惚れています、とミサカは心の中でほくそ笑みます)


「とりあえず勝負より衣服の汚れを優先するのはいただけませんね」
「そうですねえ」
「寮のトイレ掃除を当番制にしましょうか」
「それはいい考えですねえ」


美琴「うっ…! 私は服は汚れるのは何ともないけど、トイレ掃除は流石になぁ……」
上条「え? お嬢様達はトイレなんかに行かないだろ?」
美琴「昔のアイドルかっ! 人間なんだから、物も食べるし排泄もするわよ!」
上条「冗談冗談」
ミ妹「ちなみにミサカは点滴や錠剤が主な栄養摂取方法でした、とミサカは口を挟みます」
布束「……あとから何か奢ってあげるわ」


「警戒を怠り、相手チームの思惑に嵌ってしまいました、とミサカは自らのミスを反省します。お姉様の代理を果たせず…」
「楽しかった?」
「?」
「競技に参加して楽しかった?」
「は…はい」


布束「if it's the case 落ち込むところじゃないわね」
美琴「私もそう言ったんだけど、布束さんもやっぱそう思う?」
布束「Yes 楽しかったのであれば謝る必要はないわ。と言うより、御礼を言うべきかもね。偶然だったけど、御坂美琴に参加させてもらったことに」
ミ妹「……なんだか暖かい気持ちに包まれているようです、とミサカは布束さんの手前、素直に喜びます」
上条「よかったな御坂妹」


「それにむしろ最後は私が出たより粘ったと思うわ さすがね」


ミ妹「むぅ…不覚にもこの時ミサカはお姉様の事をちゃんとした姉っぽく感じてしまいました、とミサカは懺悔します」
美琴「『不覚』とか『懺悔』とか、ちょいちょい馬鹿にしたフレーズが混じってんだけど?」
ミ妹「まぁミサカはお姉様仕込みのツンデレを標準装備してますからてへぺろ、とミサカは誤魔化してみます」
布束「if anything、あなたはツンデレと言うよりもクーデレではないかしら?」
上条「仲いいなぁお前らホント」


「もうすぐ昼休みね。アンタ昼食とってる?」
「いえ」
「これ生徒に配られる屋台の食券ね。よけりゃ使って。せっかくのお祭りなんだしお互い楽しみましょ」
「綿菓子、りんご飴、焼きそばは玉ねぎが入っているかもしれないのでダメですね、はっ、イカ焼きなら――」


上条「……」
美琴「……」
布束「What どうしたの?」
上条「いや……こういう話のときはたいてい、だな……」
??「短髪! 私にも食券分けてほしいかも!! 分けて分けて!!」
美琴「ああ、やっぱり……」
ミ妹「インなんとかさんが突然出現しました、とミサカは今回のゲストではないので名前を伏せて紹介します」


758 : 大覇星祭こぼれ話Ⅳ :2014/09/26(金) 00:46:22 fLWyMhUo
上条「っと、今回はここまでか?」
美琴「うん……あの子は布束さんが何か奢ってあげるって言ってから一緒に退出したわよ。あと、インなんとかさんも一緒に」
上条「なるほど……だから『ここまで』だったんだな……つか、あいつ、まだ何か食う気なのか? まあそれはそれとして、今回はゲストが落ち着いてる二人だったから、意外といつもよりはゆったりできたな」
美琴「そう、ね。ただその…途中気になる事がちょろっとあったんだけど……」
上条「気になる事?」
美琴「だ、だからその…アアア、アンタが…えと…わ、私の匂いがどうとかって―――///」
上条「え? あーそれはその何と言うか……」
美琴(どきどき///)
??「はぁい、そこまでだゾ☆ 御坂さんには、そんなラブコメった展開力はまだ早いんだからぁ。なんてったってお子様だしぃ」
美琴「って、ゲッ!? 食蜂!? 何でアンタがここにいるわけ!?」
食蜂「何でって言われてもぉ、私が次のゲストだしぃ。という訳で、よろしくねぇ上条さん♡」
上条「あ、ああ。ヨロシク」
美琴「よろしくじゃないわよ! 何、語尾にハートマークなんかつけてんの!? 絶対反対だからね! そしてアンタもアンタで、鼻の下伸ばしてんじゃないわよ!!!」
上条「の、伸ばしてないやい!」
食蜂「やだこっわ〜い! ちょっと凶暴力がありすぎなんじゃなぁい? 仕方ないでしょぉ。次の話は私の関与力が高いんだから。それに来月発売の新約11巻は、私と上条さんの過去話がメインだから、宣伝力にもなるしねぇ」
美琴「ぐう! 隙が無ぇ!」
食蜂「だからぁ、次回は私と上条さんがイチャイチャして、御坂さんは蚊帳の外なんだゾ☆」
美琴「スレ違いじゃないのよそれっ!」
??「そうですわよ! わたくしの目の黒いうちは、そんな事させませんわ! とぉう!」
食蜂「飛んだっ!?」
婚后「婚后光子、ただいま参上いたしましたの!」
上条「あ、美琴と組んでたノリのいい面白い子だ」
婚后「わたくしをお笑い芸人さんのように仰らないでください! これでも次回のゲストですのよ!」
美琴「婚后さんも?」
婚后「ええ。舞台裏で佐天さんと打ち合わせをして、食蜂さんが上条さんと接近したならば仲違いをさせ、そして御坂さんと上条さんが接近したならば応援をする、という作戦になりましたわ!」
美琴「うわ〜…嫌な予感……」
婚后「ご安心くださいな。わたくしが来たからには、必ずや御坂さんと上条さんをこ、ここ、こ……恋仲! に! してさしあげますわ! 御坂さんがホの字でご執心なさっている上条さんとっ!!!」
美琴「のあああああああああああいっ!!!!! 声が大きいってばあああああ!!!///」
食蜂「あぁ、大丈夫よぉ。上条さんには、(私に)都合力が悪い事は聞き流すように洗脳してるからぁ」
上条「え? なんだって?」
美琴「難聴スキル発動してる!?」
婚后「くっ! やはり邪智暴虐ですわね食蜂操祈! よろしいですの!? わたくしが来たからには好きなようには―――」
食蜂「あらぁ…残念ねぇ……私、婚后さんとは友達に…ううん。それ以上に『親友力』が築けると思ってたのになぁ…」
婚后「えっ…? し……親、友? し、ししし仕方ありませんわね! わたくしは心が広いですから、今回だけは特別ですわよ!!? 親友…親友、えへへ…えへへへへへへぇ…」
美琴「ちょろい!」
食蜂「(うふふっ…用が済んだらあなたなんてポイなんだけどねぇ…)」
上条「…何だこのシンタローとアラシヤマみたいなやりとりは……」
美琴「ああぁ…やっぱり嫌な予感しかしない!」


759 : 我道&くまのこ :2014/09/26(金) 00:48:25 0t7Awc8g
以上です。
今回は上条さんのデレを多めにしました。
だって超電磁砲本編で、今のところ上条さんとミコっちゃんの絡みが無いんだもん…
次のシーンからは上条さんも話に絡んでくるので、その心配もなくなりますけどね。
ではまた。


760 : くまのこ :2014/09/26(金) 17:49:58 fLWyMhUo
連投すみません。
小ネタを3本書いたので、一気に投下します。
約3分後に、全部合わせて3〜4レスです。


761 : ツンデレは心の中でもツンデレなのか :2014/09/26(金) 17:52:59 fLWyMhUo
私は今、二枚の恋愛映画のチケットを握り締めて歩いています。
先程コンビニで雑誌を立ち読みした時に、
『この映画をカップルで観ると、更に距離が縮まる』という記事を読みました。
それとは全く関係ありませんが、私はたまたま映画館に寄り、速攻でチケットを購入したのです。
しかも間違えて二人分の料金を支払ってしまいました。まぁ、仕方ないですね。
そして偶然にも、私が歩いている先にはあの馬鹿の学校があります。
別に会いたいなんて思ってもいませんが、
もし会ってしまったら声くらいかけてやろうかな、なんて思ってます。
ただもしかしたら、あの馬鹿に声をかけて雑談してるうちに、
ついでに映画に誘ってしまうかも知れません。
一枚捨てるのも勿体無いですし、特に誰を誘うとかも決めていないので、
話の流れで万が一にもその相手があの馬鹿になってしまう可能性も無きにしも非ずです。
とは言ってもあの馬鹿とはカッ! …カッ…プ……ル…とかでも何でもないですし、
そんな関係になろうとも微塵も思っていませんが、
仮にもし記述通りに距離が縮まってしまったのなら、それは唯の事故な訳で、
私がそうなるように仕組んだとか、そういう事ではないですから。
…っと、そうこうしてるウチにもうあの馬鹿の学校の校門前です。
ちょっと歩き疲れたので、電柱の影で休憩を取ろうと思います。
決して、あの馬鹿が出てくるのを待っている訳ではありません。


 ◇


…30分程経ちましたが、まだあの馬鹿は出てきません。
朝にアイツの携帯電話にモーニングコ…間違い電話をしてしまった時に、
『今日は補習がある』と言っていたので、まだ帰宅はしていない筈なのですが……
何だかこれでは、まるで私がアイツを待っているみたいで居心地が悪いです。
ああ、もう! とっとと来なさいよあの馬―――

「はあぁ…やっと終わったよ……けど宿題もたっぷり出されちまったし…
 あー、もうホントに……不幸だー…」
「ぅぉぉおりゃああああああ!!!」
「うおう、なになに!!? 何でせう!?」

コイツが校門から出てきたので…じゃなくて! 何か急に走りたくなったのでダッシュしました。
コイツに会えただけで胸がドキドキしてるのは、きっと全力疾走したせいです。
それ以外の理由はありません。

「って、美琴か!?」
「あ…あはははは。ぐ、偶然ね。こんな所で会うなんて」
「いや偶然って…ここ、俺が通ってる学校なのですが…?」
「そんな事より、私、映画のチケットが二枚あるんだけど!」
「そんな事!? 何、急に…映画? 唐突にまた何で?」
「いいから! 行くの!? それとも行かなくないの!?」
「その二択って一択だよね!? 上条さんの意思とか反映されてないよね!?」

私はさり気なくチケットを差し出します。
危惧していた通り、やはり流れで一緒に映画に行く羽目になりそうです。全く、やれやれですよ。

「…? あ、この恋愛映画ってアレだろ。確かカップルで観ると距離が縮まるってヤツ」
「は…はああぁ!!? な、なな、何、変な期待してんのよ!!!
 私はただ、恋愛映画が好きなだけなの! この映画を選んだのもたまたまなんだから!
 べべべ、別にアンタとの距離を縮めようとか、そんなの全然思ってないんだから!
 あわよくば館内で手を握ったり肩を寄せたり一緒のジュースを飲んだり、
 キ、キキキキキスシーンが流れたら私の事も意識してくれたらいいなぁ〜、とか!
 全然そんな事思ってないんだから勘違いしないでよねっ!!!」
「お、おう…そうですか…」

ふぅ〜、危ない危ない。危うく誤解されるところでした。


 ◇


まぁ、そんなこんながありまして、この馬鹿と映画を観に行ってきた訳ですが、
後日その事を佐天さんに話したら、 (´・д・`) ← 何故かこんな顔をされました。


762 : 『M』さんからの恋愛相談 :2014/09/26(金) 17:54:08 fLWyMhUo
佐天 「はぁ……すみません御坂さん。相談に乗ってもらえませんか?」
美琴 「珍しいわね。佐天さんがそんなに悩むなんて…どうしたの?」
佐天 「いえね。実は友人から、恋愛相談されたんですけど…
    ほら、あたしってそういう経験が無いじゃないですか。
    だからどうアドバイスすればいいのか分からなくって……」
美琴 「うっ…! 恋愛…かぁ……私もそっち方面は苦手だからなぁ…」
佐天 「えっ? 御坂さんは現在進行形で恋してるじゃないですか」
美琴 「ぶっふっ!!? な、ななな何の事かしらっ!?
    あああ、あの馬鹿とは別にそんな関係じゃないし!!!」
佐天 「…誰も上条さんの事は言ってないですけど……
    まぁ、いいや。とりあえず話だけでも聞いてくださいよ」
美琴 「ご、ごほん! まぁ…話だけなら」
佐天 「あたしの友達の…仮に『M』さんとしておきましょうか」
美琴 (『M』…? 『む』ーちゃんさんか、『マ』コちんさんかしら?)
佐天 「で、そのMさんなんですけど、実は仲の良い男友達がいるんですよ。
    ただ、いつの間にかその人の事を、友達から異性として見るようになっちゃったんですが…」
美琴 「下手に告白して今の関係を壊したくないって事ね? 漫画とかでよくあるパターンね」
佐天 「ええ…ですけど、実際に当事者になってみると割と深刻らしいんですよ」
美琴 「う〜ん…そうねぇ……とりあえず、その男の人からは嫌われてはないのよね?」
佐天 「あ、はい。それは間違いないです。
    大覇星祭の最終日では、一緒にフォークダンスも踊ったみたいですから」
美琴 「そうなの? でもそれって結構、脈ありなんじゃない?
    アレって普通はカップルでやる事でしょ? …ま、まぁ私みたいな例外はあるかもだけど……」
佐天 「あたしもそう思うんですけどね〜…どうしても勇気が出ないんですって。
    何か、せっかく彼の為に作った料理も渡せず仕舞いだったみたいですし」
美琴 「そこまで行ったのに、何でもう一歩踏み込めないかなぁ!」
佐天 「ホントですよね! いやもう、全く!」
美琴 「あ、ちなみにその男の人、彼女とかはいるの?」
佐天 「いえ、いないみたいですよ。あーでも、何かものすごく女性からモテる方みたいですけど」
美琴 「えー…なに、ナンパな奴なの? 私はあんましだな〜…」
佐天 「いえ、そういうタイプではなくて、天然って言うか…
    無自覚に女性に優しくするみたいな感じの人ですね。で、本人はその事に気付いてないっていう」
美琴 「あー……(アイツと同じタイプか…)」
佐天 「それで、どうなんですか?
    似たような人を好きになった先輩として、御坂さんから何か為になるアドバイスを!」
美琴 「だだだだからっ! アイツとはそんなんじゃないって言ってるでしょ!?
    でも…そうね…そういう人って『自分は女性からモテない』って思い込んでるから、
    素直に告白したら、意外とすんなり付き合えるんじゃないかしら。
    当たって砕けるのを怖がってたら何も進展しないもの。
    それに多くの女性にモテるって事は、同じような事を思っている人も必ずいるでしょうから、
    告白するなら早目がいいわね。下手したら手遅れになるかも知れないし」
佐天 「ん〜…なるほどねぇ…」
美琴 「ごめんね。当たり障りのないアドバイスしか出来なくて。
    最初に言った通り、私もそっち方面は苦手だから……」
佐天 「いえいえ。充分、実りのあるお話でしたよ。今度Mさんに話してみます」
美琴 「そう? 役に立てたのなら嬉しいわ」
佐天 「と・こ・ろ・で・御坂さん! そういう御坂さんは、その後どうなんですか? 上条さんと!」
美琴 「あ〜もう! だ〜か〜ら〜! あの馬鹿とはそんなんじゃないって何度も―――」
佐天 「御坂さん…そうやって先送りにしてるといつか手遅れになるみたいですよ!
    上条さんって女性からモテるけど、自分じゃその自覚が無いから、
    他の誰かに告白されたら、アッサリ付き合っちゃうかも知れないんですから!
    当たって砕けるのを怖がってちゃ駄目です!
    一緒にフォークダンスをした仲なんですし、きっと脈だってありますよ!」
美琴 「―――って、あれ? ……ん?」
佐天 「どうするんですか!? 『M』ぃ坂さんっ!!!」
美琴 「んんんっ!!?」


763 : バースデー未満のとある午後 :2014/09/26(金) 17:55:20 fLWyMhUo
「随分、大きくなったなぁ…」
「そりゃそうよ。もう、10ヶ月だもん」
「俺、産まれて来る子は絶対に男の子がいいな」
「何で?」
「……女の子だったら、お嫁に行く時に泣いちゃうじゃないですか…俺が…」
「あはは! 何十年先の心配してんのよ!」

美琴は優しく笑いながら、膨らんだ自分のお腹をそっと撫でた。
手から「とくん…とくん…」と、新しい命の鼓動が伝わってくる。

「あっ! 今、蹴った! ほら、アナタも触ってあげて?」
「いや、でもなぁ…」

上条は自分の右手を見つめながら躊躇する。

「……やっぱり止めておくよ。その子にまで俺の不幸が伝染っちまったら……な?」

言い淀む夫に、妻はムッとする。
美琴は強引に上条の右手を掴み、そのままお腹に押し当てた。

「わっ、わっ!? 馬鹿っ! そんな事したらお前―――」

上条の言葉も聞かず、美琴は声を荒げる。

「あのねぇ! アナタが幻想殺し【そのちから】をどう思ってるかは知らないけど、
 少なくとも私は…ううん、私以外にも沢山の人がこの右手に救われてきたのよ!?
 だから私にとっては、この右手は不幸の象徴なんかじゃないの!
 この手は、どんな時でもみんなを助けてくれる素敵な手なんだから! …だから!」

そこまで言うと、美琴はふっと顔を緩める。

「だから…その幸せをこの子にも分けてあげて…?」
「っ!」

上条は涙ぐみそうになる顔を見せないように下を向き、

「…そっか…そう、だな……」

と美琴のお腹をゆっくりと撫でていく。右手がじんわりと温かくなるのを感じた。

「…また蹴ったの、分かった?」
「ああ」
「ふふっ、きっとこの子も、早くパパとママに会いたいのね」
「…ああ。早く…会いたいな。会ってこう言ってやるんだ。
 『おめでとう。お前のママは世界一のママだぞ』ってさ」



それは上条麻琴という女の子がこの世に生を受ける、ほんの一週間前の出来事―――


764 : くまのこ :2014/09/26(金) 17:56:19 fLWyMhUo
以上です。
3作目だけ何かいつもとテイストが違いますが…
まぁ、たまにはこんなのもアリかなと。
ではまた。


765 : ■■■■ :2014/09/26(金) 18:03:56 IPg3sOAg
くまのこさん 1作目のみこっちゃんのツンデレぶりもいいですし 2作目の佐天さんの策士ぶりも
見事ですね 3作目はほのぼのしました。グッジョブです。


766 : ・・・ :2014/09/29(月) 00:59:14 b7MHTzZE

ども、・・・です。

皆さまのおかげで今週は充実してたなー。

>>はりねずみさん

最近シリアス無かったんで、すんごく期待してまっせ
妹篇? 再構成? どちらなんでしょう?
とにかくさっさと救ってくれヒーロー!!


>>我道&くまのこさん

おお!! カミやんのくせにデレとる!!
しかし、次が強敵だ。食蜂は、不倶戴天の敵
そして婚后さんは獅子身中の虫だー!!(笑)


>>くまのこさん

短編3つとか豪華すぎる。
1、 ミコっちゃんがダメすぎる。2.佐天、アンタは天才だ。3.夢落ちを警戒してました。
でも、まことちゃんはこの後親で苦労するのでした(笑)


ではとうかします。
いちゃいちゃないけど、つなぎなので勘弁して。
それでは


767 : イヤだ 2 :2014/09/29(月) 01:00:13 b7MHTzZE
ベランダで小鳥がさえずる。
夏はもうすぐ過ぎ去り、秋になるのだが、
日差しはまだ優しくない。
8月はだてではないのだった。
上条宅から声が響く。

「いやぁ、すまないすまない。まさか君が飲んでしまうことになるとはね」

はっはっはっはっはという笑い声の後に、ゴンッという鈍い音が響く。
小鳥は驚いて逃げてしまった。

「……年上にげんこつとは、なかなか教育がなってないね」

床に倒れ伏し、たんこぶができているのは、木山春生。
それを見下ろすはどす黒いオーラを纏った上条当麻。
その腰にしがみつき、暴力はだめー と叫ぶのは小学6年生くらいの御坂美琴。
その横で まーまっ とはしゃぐのはインデックスである。

「人様に迷惑をかけてはっはっはと笑うやつに教育云々は言われたくねーよ」

まったくである、しずしず、と起き上がる木山に、胡坐をかく上条。
毎回思うのだが、ソファーとかテーブルといすとかあるのに、
なぜこいつらはフローリングに直に座るのだろうか?


768 : イヤだ 2 :2014/09/29(月) 01:01:37 b7MHTzZE
「で、美琴は何を飲んだんだ?」

「『ワカガエールZ』だ!!」

「名前を聞いたんじゃねえ!!」

ドヤ顔が腹立たしい。

「彼女が飲んだのは、若返る薬だ」

「そ、そんなものが!!?」

木山の表情に影が入る。

「……君たち、この場所がどこか忘れたのかい? 
 ここは……科学最先端の街、学園都市だ」

「……こんなところで無駄にシリアス顔すんな」

ちゃっかりBGMまで変わってた。

「そ、それで、なんでこんなもの作ったの?」

「……君に、暗部(三十路)に片足を突っ込んだ私の気持ちがわかってたまるか!!」

「暗部をバカにすんなよ。……副作用は?」

「ないよ。あのカエル顔の医者も手伝ってくれたからね。
本来薄めて使う物だから、効き目は大きく出たようだが」

「「なにやってんだよあの医者は!!!」」

「細胞の若返りは多くの医療に応用が効くらしいからね」

「「すんませんでした!!!!!」」

「あと、看護婦に飲ませたいとも言っていたな」

「「謝って損したよ!!!!」」

二人がハモるたびにインデックスが喜ぶのだった。

「で、いつ元に戻るの?」

沈黙が走る。

正しく (^▽^) という表情を一瞬した三人。

「「ふっざけんじゃねぇぞぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!!」」

そして上条と美琴は木山の胸倉をつかみ怒鳴った。

「ま、待ってくれ、あのカエル顔の医者なら知っているはずだ」

「「じゃあその滝のような汗を何とかしろよ!!」」

「私のランボルギーニに任せてくれ。1時間で戻ってくるよ」

そういってやつは出ていった。

「1時間かぁ」

しょぼくれる美琴。

「まあ、1時間に3つ若返るって感じなら、赤ちゃんにはならずに済むだろ」

「あ、頭をなでるな!!」

「いやー、小学生のみこっちゃんが可愛くてな」

「まべ!!??」

「あう? まぁま?」

赤くなる美琴、
ほんわかしている上条
ようやくママの様子がおかしいことに気づいたインデックス
こんなトラブルにまったく動じない上条家なのだった。


769 : イヤだ 2 :2014/09/29(月) 01:02:17 b7MHTzZE
「ま、それじゃいつか制服がブカブカになるだろ。
インデックスの服ならちょうどいいのあると思うぞ」

そういってクローゼットに向かった上条に、てくてく着いていく美琴。
てちてちインデックスもハイハイで追いかける。
しかし、上条がクローゼットを開けたところで、

「お姉さま!!!!!!」

という声が ドガン というドアの音とは思えない音とともに響きわたる。

(白井!!?)  (黒子!!?)

もし、今のレベル5ではない美琴が彼女の目に写ったら……?

((ま、マズイ!!!))

この点だけ、白井に対する信頼なんて皆無なのだった。
思考は0.1秒で済み、
上条はすぐ対策をとる。

「へ?」

「ふん!!」

美琴を全力でクローゼットに投げ込んだ。
こちらもズドンという凄い音が響く。
一瞬ビクついたインデックスは少しして

「だうー」

と口にした。

「なんですの今の音は!!!!?
……なにしてますの? 上条さん?」

慌てて飛び込んできた白井は、
立っては倒れ、立っては倒れを繰り返す変態の姿を見た。

「何って、受け身、の練習、だよ、また、いつ、誰に、ふっとば、されるか、わかんねぇ、からな」

「……なるほど」

納得されるのもそれはそれで悲しい。

「ふぅ、で、なんのようだ?」

「実は、木山先生がめでたく教員になられまして、その片付けを皆で手伝っていましたの。
ですが、木山先生もお姉さまもどこかに行ってしまっていまして」

初春たちは代わりに作業を続けています。
と、彼女は締めくくった。
予想以上に荷物が少なく、作業はすぐに終わるという。

「あー、さっき病院から電話があってな、実験品に誤って触れちまったから、先生に付き添ってもらって一応検査するんだと」

さすが記憶喪失を隠し続けた男。
見事なフォローだ。

「おかしいですわね、ここからお姉さまの気配は感じますのに……」

普通に怖い。


770 : イヤだ 2 :2014/09/29(月) 01:03:05 b7MHTzZE
こんな厄介な時に限ってめんどうとは重なるものである。

「こんにちは、かみじょう、みさか」

「おっす!! 大将、いい酒が手に入ったからお裾分けに来たぜ!!」

間が悪いにも程がある。

「……未成年飲酒??」

「ち、違いますよ風紀委員様!!
父への贈り物の話でしてよ!!
ねぇ、あなたもそうでしょ浜面さん!!」

「え? えぇそうでがんすよ!!」

「なーんだ、そうですの、チッ」

「……舌打ちはなぜ?」

「そりゃ、あなたをしょっ引けませんもの、
 いくら私でも大義名分は必要ですので」

「……そりゃまじめですこと」

傍観していた滝壺が瞬きを数回した後にようやく口を開いた。

「……そういえば、しらいはなんでここにいるの?」

「私は美琴お姉さまを探してここまで来たんですの。
 でもここにはいないようでしたので、引き返すところです」

「え? でもみさかなら……」

ゆっくりクローゼットに視線を動かす滝壺。

(ヤバイ!!!!!)

AIMストーカーを前にして、上条は緊急対策を行った。

「あー!!! そういえば滝壺、この前郭から聞いたけど、
浜面のやつ無理やり道端で郭を脱がせたんだと!!!!!!!!」



ビッシィィィィイイイイイイイイイイイイイ!!!



と空気が固まる音がした。

「ちょ、大将!! 急に何言ってるんだよ!! 
 あれはアイツが勝手に脱ぎだ「はまづら……」!!!!!!!!!??」

浜面は言わずもがな、上条と白井もおびえる。

声には発せられなかったが3人には滝壺の口の動きだけで、
なぜか意味を理解できた。




ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イ・ネ




「い、いやだ〜〜〜〜!!!! た、大将てめぇおぼえてやが」

浜面は引きずられていった。
セリフの途中で閉められたドアが哀愁を感じさせる。

「……し、白井……」

「い、嫌ですの、私は死にたくありませんわ!!」

意外と風紀委員も冷たかった。

「……じゃ、じゃあもう用は済んだだろ?」

オレの顔なんて見たくないんじゃねーの?
と言ったら、
そうですわね。
と答えられた。
こだまでしょうか?

「……でも、お姉さまオーラはまだ消えてないですし……」

もう、ホントこいつなんなの!!?


771 : イヤだ 2 :2014/09/29(月) 01:03:46 b7MHTzZE
そこで来客PARTⅡ!!

「お姉さま!! 遊びに来たよーー!! ってミサカはミサカは元気にドアを開けてみる!!」

「おねーたま!! で遊びに来たよ〜!!」

(帰れ!!!!!!!!!)

とはいえないカミやんだった。

「「げっ、黒子(さん)」」

「あら? わる姉さまにロリ姉さま」

「……それ、定着させる気? ってミサカはミサカはちょっとした恐怖に震えてみる」

「……作者のセンスの無さがうかがえるね」

「そんなことより、さぁ!!! 私を抱きしめてくださいなぁ〜〜~~~!!」

そうして白井は飛びついた。

「あら? わる姉さまにしては薄い胸、ロリ姉さまにしては背が高いような……?」

様子をうかがいに来た真っ白な男に。

「あ、あなたは第一位さま!!!!!」

若干影が入った無表情で一方通行は白井にチョップを落とす。

「うっ」

能力を使ったのだろう。
一瞬で気を失った白井を一方通行は玄関から空に向かって
凄い勢いで投げたのだった。

「……どこに投げたの?」

「わかんねェ、嫌悪感が酷くてよ。学園都市から外までは飛んでねェと思うが」

「さいで」

まぁ、助かった。

「で? おねーたまはなんでこんなとこ入ってんの?」

助かってなかったぁぁぁぁぁぁあああああああ!!
電磁波の関係でわかっちゃうのである。
こいつもやっかいだった。
このままでは美琴がこの性悪妹のおもちゃになってしまう。
しかも自分を巻き込む最悪の形で。
だから、上条は対策を打った。

「あー!! 今ふと一方通行が結標に抱きしめたいとかパンツ見せてくれてありがとうと言ったっていう話を思い出した!!!!!!!!」



ビッシィィィィイイイイイイイイイイイイイ!!!



と空気の固まる音がした。

「は? ハァアアアア!!!? 何いろいろすっぽ抜けた話をしてやが「……アナタ」「第一位」!!!!!?」

「帰ろう。アナタってミサカはミサカはうつろな瞳であなたに笑いかける」

「ギャハハ、どういうことなのか、教えてもらいたいんだけど?」

「ち、違ェ!! これには「代理演算OFF」!!!??」

「そうじゃないよね? 第一位」

「帰ろうって言ったんだよ? どう返事すればいいのかな? ってミサカはミサカはやさしく微笑んでみたり」



「……カっっっ、じィ、KO、まっ、ィり、まぁあ、SHI,ィだっっっ……ッ!!!???」



あわれ第一位は引きずられていく。
ドアが閉まる前に見えた彼の眼は、恐かった。

何はともあれ美琴を助けることには成功したのだった。

しかし、クローゼットを開けると、彼女は目を回していた。
あちゃー強く投げすぎたか?
とか思った上条はようやく気付く。
美琴はまた一回り小さくなっていた。

「あれ? 1時間とかもうたってね?」


772 : イヤだ 2 :2014/09/29(月) 01:04:25 b7MHTzZE







灼熱の天気の中、木山は足元を見下ろしている。
自分の愛車のタイヤを、だ。
見事なパンクである。

「仕方ない。歩いて病院に行くしかな「はいはーいそこのあなた!!!」??」

振りかえるとそこにはモデルのような女性が立っていた。
知り合いではない木山は首をかしげるが、その瞬間手錠がはめられる。

「? ちょっとまってくれ、これはなんだい?」

「やったーーーー!!!」

「説明ではないね」

「これで、取り調べという名目で屋内に入れる〜〜!! もう、愛穂っちはホントまじめなんですから」

「なんで私が取り調べを受けなければいけないんだい?」

「猥褻物陳列罪ですっけ? それ女性も適用できたっけ? 
まあ、路上で服脱ぎ出したら手錠はめられても仕方ないでしょ」

「しまったな、今急いでい……」

全ては夏の暑さが悪い。


773 : イヤだ 2 :2014/09/29(月) 01:05:57 b7MHTzZE
以上です。

つ、次はいちゃつくから!!?









た、たぶん


774 : ■■■■ :2014/10/01(水) 08:18:49 Pfp6Mx1w
・・・さん
黒子筋金入りの変態w
何かもう本能で生きてる?
上条さんの起死回生策がえげつない
しかも、他人なら結果予測できる癖に自分の時判んないのズルいよね!?

面白かったけど、上琴がいちゃつかなぁあああい…
赤ちゃんデックスが少なぁあぁあああい(´;ω;`)

許したげるから(上から目線!?)早く続きを(懇願)


775 : くまのこ :2014/10/03(金) 23:04:55 E8OuXPJA
>>・・・さんGJです!
浜面…安らかに眠れ……
そして次回のいちゃいちゃにも期待してます! 続き待ってます!



短編書きました。
いつも通りの、上条さんが無自覚にいちゃつく話です。
約3分後に3レス使います。


776 : 幻想殺しの新たな能力 :2014/10/03(金) 23:08:01 E8OuXPJA
「幻想殺し」
それは上条当麻の右手に宿る、原理も正体も不明な能力。
その効果は、魔術であろうと超能力であろうと、
それが異能の力であれば問答無用で打ち消してしまう。
だがそれ故に、身体検査でも確認ができないという特質性を持つ。
しかし実は幻想殺しには、それ以外にも隠された力があるという事を、皆さんはご存知だろうか。
第七位の能力が良い例だが、最先端の科学技術が結集しているここ学園都市でも、
未だ全貌を解明できていない能力というのは存在するのだ。
今からご覧頂くのは、そんな幻想殺しによる新たな力の発現の可能性である。
実験体となる御坂美琴協力の下、観測を始めたいと思う。


 ◇

 ◇

 ◇


放課後、共に歩いて下校する男女が二人。
一人は高校生。一人は中学生。上条当麻と御坂美琴は、学年も通う学校も違うし、
特別付き合っている訳でもない
(もっとも、美琴の方は
 「将来的にはそうなりたいな〜…って! そそそ、そんな事全然考えてないんだけどねっ!!?」
 などとメンドクサイ事を思ってはいるが)
が、何だかんだと一緒に帰宅する事が多い。
『偶然』にも途中で会ってしまうのだから、仕方が無い。

「ねぇアンタ、今日はスーパー行かないの?」

美琴が話しかける。

「んー…昨日の買い置きがあったと思うし……
 あっ、でもインデックスがいるから冷蔵庫の食材だけじゃ足んないかもな」

上条は「冷蔵庫の残り−インデックスの食欲=食べ足りずに頭を噛まれる」という方程式を、
瞬時に演算する。手馴れた物である。

「だったら今日は、お刺身が安かったと思うわよ」
「おー、刺身かー! しばらく食ってないし手軽だし、安いんならたまにはいいかもな」

常盤台生である美琴にとって、スーパーのチラシに載っている特売品など本来は興味の対象外だが、
最近は上条の為に小まめにチェックしていたりするのだ。

「けどよく覚えてたな。サンキュー美琴、えらいえらい」

そう言うと上条は、からかい半分で美琴の頭をワシワシと撫でた。
対して美琴は、顔を真っ赤にさせて一言。

「こっ、こここ、子ども扱いすんじゃないわよっ!!!」


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その1 『頭を撫でる』
効果 : 御坂美琴を赤面させられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


と、乱暴に頭を撫でた事で、美琴の髪の毛が一本抜け落ち、そのまま耳の裏に引っかかった。

「っとと! 悪ぃ悪ぃ!」

と言いながら、上条は慌ててそれを取った。優しく、美琴の耳に触れて。

「ひゃんっ!!?」

敏感な部分に触れたのか、美琴は思わず変な声を上げてしまった。
何かもう色々と、感じてしまったらしい。
耳が弱点だったのか、それとも相手が上条だったからなのか。
あるいはその両方とも原因なのかも知れない。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その2 『耳に触れる』
効果 : 御坂美琴を感じさせられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


777 : 幻想殺しの新たな能力 :2014/10/03(金) 23:08:53 u7VK6/0Q
「……え? 『ひゃん』?」
「な、なな、なん、何でもないからっ! 気にしないでっ!」
「そ、そうか? ならいいけど…」

と言いつつも、明らかに何でもなさそうな美琴が気になる上条。
妙に顔が赤いので、もしかしたら風邪でもひいているのではないかと心配する。
なので上条は、左手を自分の額に当て、右手は美琴の額に当てる。

「ん〜…? やっぱ、ちょっと熱がないか?」
「んにゃあああ!!!」

熱があるとしたら、それは風邪のせいではないだろう。
と言うか、今の上条の行動で更に悪化させているという事に、上条自身は全く気付く様子がない。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その3 『額に手を当てる』
効果 : 御坂美琴を体温を上昇させられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


と、そこで上条がふと前を見ると、
対抗方向から自転車がこちらに向かってくるのを確認した。
自転車側【あちら】も避けてはくれるだろうが、万が一の事があってはいけないと、
上条は美琴の肩を抱き、グッと引き寄せる。

「わっ! わわっ!?」

突然密着させられて心の準備も間に合わず、美琴の心臓は飛び上がった。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その4 『肩を寄せる』
効果 : 御坂美琴を「ドキッ!」とさせられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


肩を寄せた瞬間、淡く甘い香りが上条の鼻をくすぐった。
美琴と密着した事により、彼女の香りが漂ってきたのだ。
上条は肩を寄せたまま、今度は美琴の頭を顔にグッと寄せた。
更にそのまま、スンスンと鼻をひくつかせる。

「……美琴って、すげーいい匂いすんのな。シャンプーとか、いつも何使ってんの?」
「あ、や、その、あ、あの……」

質問された事に対して返事をしたいところだが、状況が状況だけに何も答えられない美琴。
この男は、これを無意識にやってのけているのだから恐ろしい。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その5 『頭を寄せて匂いを嗅ぐ』
効果 : 御坂美琴の「ドキドキ」を継続できる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


「…? まぁ、言いたくないなら別にいいけど」

美琴が口ごもったのを、勝手に「答えたくない」のだと勘違いした上条は、
そのまま深追いするのを止めた。
そして自転車も無事通り過ぎたので、上条は美琴の頭から手を離す。
美琴としては、「ホッとした2割:ちょっと…いや、かなり残念8割」と複雑な心境ではあったが、
ここで更なるサプライズである。

「…? へっ!!? ア、アアアアンタ!!! な、な、何で手とか握ってる訳!!?」

先程まで肩やら頭やらを支えていた上条の右手が、美琴の左手をしっかりと握り締めていたのである。
美琴のテンパり様とは対照的に、上条はさも当たり前の様にアッサリと答えた。

「ん? いやだって、またさっきみたいな事があったら危ないだろ?」
「だ…だからって…こんにゃ…こと……」

美琴は、自分の左手がじんわりと温かくなるのを感じていた。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その6 『手を繋ぐ』
効果 : 御坂美琴の手を温かくさせられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


778 : 幻想殺しの新たな能力 :2014/10/03(金) 23:10:07 E8OuXPJA
だがこんなほのぼのしたまま、あの上条が無事にスーパーへ辿り着ける訳がない。
インデックス曰く(上条はこの時の事を覚えていないが)、
神の加護なども打ち消しているらしい幻想殺しを持つ上条は、つまるところ運が悪いのだ。

「あっ」

と小さく叫んだ上条は、そのまま道の段差につまずいた。
手を繋いでいた、美琴も一緒に道連れにしながら。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの本来の能力 その1 『不幸体質』
効果 : よくつまずいて転ぶ
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


美琴と手を繋いだまま地面にぶつかりそうになる刹那、上条の脳裏に浮かんだのは、
「美琴を巻き込む訳にはいかない!」だった。
なので上条は空中で美琴の背中に手を回し、ギュッ!と抱き締める。
せめて自分が美琴のクッションになろうとしての行動だったが、
正直、美琴はそれどころではない。

(にゃあああああああっ!!?)

色んな意味で目を回し、上条を下敷きにして床にぶつかり、その衝撃で二人はゴロンと半回転した。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その7 『抱き締める』
効果 : 御坂美琴の目を回させられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


「いっつ〜! すまん、美琴! 大丈夫…か…?」
「………へ…?」

直接地面とぶつかったのは上条だったが、
その直後に半回転した事によりマウントポジションが変わり、
上条は地面に手をつく形で馬乗りになっていた。美琴の頭にバチバチと帯電音が響きだす。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その8 『床ドン』
効果 : 御坂美琴を帯電させられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


だが上条は、この危険な状態に、わざとかと思うほどのトドメを刺す。

「うわっ!? ホ、ホントにごめん!」

と慌てて立ち上がろうとしたのだが、地面から離した手は、
どんな物理現象が働いたのかは分からないが、何故か美琴の左胸に不時着した。
上条は死を覚悟したのだった。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その9 『胸を揉む』
効果 : 御坂美琴を ――― させられる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


その後はまぁ、美琴がいつもの「ふにゃー【アレ】」を盛大にぶちかました。
当然ながら、この後にスーパーに寄れる余裕など無く、冷蔵庫に残った食材で夕ご飯を作ったのだが、
やっぱりインデックスの腹を満たす事はできなかった為、結局は噛み付かれたのだった。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの本来の能力 その2 『異能を打ち消す』
効果 : 御坂美琴の「ふにゃー」を無効化できる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇








◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
上条当麻の天然の能力 『フラグ強化』
効果 : 御坂美琴をいつも「ふにゃー」させる
◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


779 : くまのこ :2014/10/03(金) 23:12:06 E8OuXPJA
以上です。
もうすぐ10周年のイベントですね。
何が発表されるのか楽しみです!
しかもその後は新約11巻も発売しますし…こっちもはよ読みたいッス。
ではまた。


780 : ・・・ :2014/10/07(火) 07:57:47 gK5bGxzk


ども、・・・です。

ヘビーオブジェクトのアニメ化ですか!!!!


…………じつは読んでない。いい機会だし、手を出すかなー
とにかく、10周年の企画なんだから、アニメーターさんには頑張ってほしいっす。

あ、金がないからまだ、手は出せないや。11月のために貯金せねば。


>>くまのこさん

あーそうね、新しい能力ね(棒) 「本来の能力」って言ってるけどね
「鈍感」付加しとけや!!……あれ? そっちはマジかもだぞ?
超電磁砲の能力にも「ツンデレ」と「あうあう」と「ふにゃ〜」があるよ


あれ? 人がいない?
作者も読者も、皆忙しいのかな?
くまのこさんの作品は毎日見るほど好きだけど、
くるまさんやくろねこさんはどうしたのかしら?
はりねずみさんマダーーーー?


さて、投下します。
書いたらこれ、いちゃいちゃか? と思いました。
まぁ、とにかく、
インデックスを赤ちゃんにした時から書きたかった場面です
宜しければお付き合いください。

それでは


781 : ・・・ :2014/10/07(火) 07:58:47 gK5bGxzk
あれから5時間がたった。

『もう!! めちゃくちゃ痛かったんだから!!』

結局、木山先生は戻ってこない。

『こうやってみると、あんたっておっきいわねー。
これがインデックスからのしてんなのよねー』

本当は自分が動けばいいのだ。

『だいとーぶよ。 きっとなんちょかなるから』

赤子になった彼女を抱えて病院に走ればいい。

『きやまてんてーやゲコ太てんてーがなんちょかしちぇくれりゅから』

しかし、それだと、木山先生と入れ違いになったり、
道中で魔術師に襲われる可能性がある。

『……らかりゃ、ちょんな、かなしそうなかお、しにゃいれ ……』

違う。
怖かったのだ。
あの凄腕の医者が、首をふるところを見たくなかったのだ。


782 : ・・・ :2014/10/07(火) 07:59:42 gK5bGxzk
夕日が差し込む室内。
インデックスは美琴と遊び疲れて眠っていた。
その隣。
赤子になった美琴がカエルのぬいぐるみで遊んでいる。
これ以上は小さくなるような気配はない。
しかし、戻る気配も全くなかった。
上条は膝をつき、美琴をそっと抱き上げる。
夕日が彼女の瞳を照らした。

「あー、とー、あう」

そして、座ったままの姿勢で、そのまま抱きしめる。
最初は優しく抱いていた。

「大丈夫だ」

しかし、少しずつ力が入る。

「大丈夫だぞ、美琴」

(……)

「12年なんて、すぐだ」

そんなに、状況も変わっていない。

「周りも最初は驚くだろうけど、すぐ迎え入れてくれるよ」

(…………)

電撃がないぶん平和かもしれん。

「逆に美鈴さんなら喜ぶかもな。
私も若返った気がするとか言ってさ」

ワガママに振り回されずに済むし、

(……………………)

「白井は怖いなー」

部屋はゲコ太に埋めつくされずにすむ。

(…………………………………………)

「リアル源氏物語とか言ったりしてな」

あ、家事は分担できなくなるのか。

(……………………………………………………………………………………イヤだ)

「……もう、いっそ、二人とも、オレが育てようか?」

買い物の荷物も1人で持たなくてはいけない。

(…………………………………………イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)

「…………インデックスと同じように、パパなんて、呼んだりしてさ」

二人で料理することもない。

(……………………イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)

「……………………将来、パパと、結婚、する、なんて言って」

一緒にインデックスを心配したり、

(…………イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)

「…………………………………………オレが、守る、から、大丈」

この前のように、ともにインデックスの成長を喜ぶことはできない。

(イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)

「……………………………………………………………………………………イヤだ」


783 : ・・・ :2014/10/07(火) 08:00:50 gK5bGxzk






「……美琴とこれから、一緒に同じ道を、歩けない、なんて……」

そんなの、

「イヤだ。イヤだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

































そして


784 : ・・・ :2014/10/07(火) 08:02:00 gK5bGxzk









ポンッ と美琴は元に戻った。
上条は、目に涙を浮かべたまま、パチクリと瞬きする。
美琴も、自分の顎を上条の肩に乗せた状態で、パチクリと瞬きする。

美琴は正座した上条の膝の上に、またがるように座っていた。
そして、元に戻る前に、上条が美琴に何をしていたかというと、

抱きしめていたのである。

更に着ていた服は、おむつと赤ちゃん用の、着脱が簡単な押してはめるタイプのボタンの奴。
つまり、大きくなるときに、簡単に脱げてしまい、

今、美琴ちゃんは丸裸なのだった。

しばらく、二人は状況が飲み込めてなかった。
しかし、少しずつ顔色を変えていく。

「なに、してんのよ!!! アンタ!!!!」

「ちょっと!! 不可抗力なのわかってるザマショ!!?」

「動くな!! ぜ、全部見る気か!!!」

「とはいっても胸部にそのなんかやわらかーな感触がありまして、そっちは放置でヨロシイザマス!!?」

「……いっそ、死ぬ?」

「こっわ!!!!!!!!」

「二人とも!!! 遅くなって済まない!! あの薬は6時間しか効果がないことがわかっ……わ、わるい、お楽しみの最中とは思わなかったから、それでは、私は帰るよ」

「っおーーーーい!!なに誤解……ってなんでアンタも下着姿なんだよ!!」

「動くなって言ってんでしょこのドスケベぇぇえええええ!!!」

「へべけろっ」



インデックスがべそをかきだす10秒前。


785 : ・・・ :2014/10/07(火) 08:02:40 gK5bGxzk

学園都市の壁の前に影がうごめく。

「ようやく、戻って来たな」

「にゃ〜」

「つい、この間来たばっかりなのに、懐かしささえ感じるぜ」


その言葉を聞き、オティヌスの表情に、笑みが浮かんだ。

猫の上でドヤ顔する元ボスをほほえましく眺めるトールに対し、
ちょっと珍しいものを見た気分に浸って、
今回のお話は終わらせていただく。


786 : ・・・ :2014/10/07(火) 08:03:20 gK5bGxzk

おまけ!!

はたと、気がつく。
いったいどうしたのか、記憶が混乱している。
1つずつ記憶を整理するとしよう。
とりあえず、昨日は長身の侍女に酷い目にあわされ、
今日は朝からあの天使を探していたはずだ。

そうだ。その時急に頭頂部に衝撃がはしったのだ。
何かが落ちてきて頭に当たったのだろう。
そこで意識を失っていたようだ。

「憤然。なんなのだ」

茂みの中でアウレオルスは上半身だけ起き上がる。

「???」

すると、目の前、つまり足の上には少女が横たわっていた。
頭をわしづかみにするなんて優しくない形で持ち上げる。

彼女の目は渦になっている。
あごに手を添えてめぐらせる思考。

このツインテール、どっかで見たような気が?




その思考は、

「……ふ、婦女暴行!!?」

という声に遮られる。
声の方に顔を向けると、眼鏡をかけたおどおどした感じの警備員がこちらを見ていた。
彼女が言った言葉の意味を考えながら目を回した少女の顔を見る。

あ、誤解だ。

「!!!! 愕然!! 違う!! コイツが空から降ってきて、偶然、私の頭にぶつかり、先ほどまで私も気絶していたのだ!!!」

「空からって……ウソが下手すぎる。連行します」

「驚然!! 誤解だーーーーーーー!!!」






「ん? 確か、アウレオルス先生、だったかな?」

「唖然。そういうあなたは新任の木山先生」

「……変態大集合ですな、綴里っち」

「黄泉川せんせえええええい!! 早く電話にでてくださああああああああい!!」


787 : ・・・ :2014/10/07(火) 08:04:12 gK5bGxzk

おまけ!!


「ったく、もう少し穏便にできねーのかてめーは!!!!」

洗い物をする上条の左頬には鮮やかな紅葉があった。
もうすぐ秋だね。

「うっさい!! 当麻が悪いんでしょ!!」

一方、美琴はインデックスに添い寝していた。
あの後、あまりのやかましさに起きたインデックスが号泣。
急いで上条があやし、
美琴は服を持って脱衣所に駆け込む。
木山先生は通りがかった黄泉川先生に再び説教されたのだった。

上条の文句はブツブツと続く。

「まったく、その短気なとこをもう少し直せばさぁ……」









なんだというのだ。

「???」

とにかく、悔しいことに、彼女が作った夕飯はうまかった。

「…………美琴」

「なによ? まだなんか文句があんの?」

「いや……元に戻ってくれて、良かった」

「ふぎゃ!!??」

不意討ちの笑顔だった。
美琴の顔が上条の頬にある手形と同じ色に染まる。
言葉は無く。ただ見つめ合う二人。
そうして上条家に広がったピンク色の空間は、



ドカァァァアアアアン



というドアの吹き飛ぶ音で霧散した。
上条が驚くと同時に、彼の左右の肩にポンッと手が置かれる。

「やぁ、大将、遺言の準備はできてるかい?」

ゾッと背筋が震える声だった。

「三下ァ、オレはイロイロてめェに感謝してんだよ。
冥土の土産に恩返しをさせてくれるよなァ」

地獄の底から響くような声だった。

「み、美琴さん……ヘルプ!!」

「う、う……ん?」

起き上がり、片手を挙げて、二人の悪鬼に声をかけようとした美琴が、ふと動きを止めた。

あれ?
アイツおもいっきりクローゼットに自分を投げたんではなかったか?
自分の裸を見た挙げ句、木山先生の下着姿を見て、鼻の下を伸ばしてなかったか??



いや、それでも彼は自分のために動いてくれたのだ。
自分のことを思っての行動なのだ。
だから、少女は静かに微笑み、

「逝ってらっしゃい」

と死刑宣告を告げた。

「ちょ!!? 美琴!! なんで!!? い、嫌だ、死にたくない!!ふ、不幸だああああああぁぁぁぁぁ」

少しずつ声が遠のいていく。
ため息を吐く美琴は、彼の情けない顔をみて、少しせいせいした。
そして、ふと記憶の片隅にある、彼の別の表情を思い出す。

「……………………」

あんな表情をするなんて思えない。
自分の記憶の誤りかもしれない。
でも

「……当麻のあんな顔、もう見たくないな」

彼女はぽつりと、インデックスの頭を撫でながら呟くのだった。


788 : ・・・ :2014/10/07(火) 08:07:49 gK5bGxzk
あ、タイトルは「イヤだ3」です

この話し、実は裏でインデックスと修羅場なので彼女はあんまり動かせませんでした。
さて、もうすぐ3分の1が終わります。


……長ぇ

見放さず、お付き合いください。
上琴は早くお付き合いください。


789 : はりねずみ :2014/10/08(水) 00:05:42 P4.yJWaI
オブジェクトで好きなのは戦闘機乗りの正統王国兵士なはりねずみです。
くまのこさん
え、9番の効果なんです?ほらほら、言ってもええんですよゲへへ。
「鈍感」こそ本来の原石としての能力かもしれんです。

・・・さん
私も何も言わずに扉を閉めますね。
でもよかった元に戻れて!

さて続き投下します


790 : 『美琴』 :2014/10/08(水) 00:06:08 P4.yJWaI

(どこだ。どこにいるんだビリビリ!!)

夜の学園都市。完全下校時刻は既に過ぎており、周囲の店はシャッターを閉じている。
何とか塾帰りがいる時間帯ではあるが、それが過ぎれば不良が幅を利かす。
いくら美琴が超能力者であろうとも、一人の少女。それも過労で倒れたばかりを放っておけない。
あてなど無い。きっと彼女が抱えている問題は、上条の想像以上なのかもしれない。
放っておけない。
その一心で、息を切らしながら彼は街を駆ける。

「お、小萌先生とこの悪ガキじゃん」

何処かで聞いた事のあるような声だった。
声がした方向を見てみると、警備員の制服を着た、上条の隣のクラスの担任。黄泉川愛穂だった。

「もう完全下校時刻は過ぎてるじゃんよ。お前は早く帰れ」
「あ、黄泉川先生!人を探してるんです!!常盤台の制服を着た、茶髪の、短めで!――」

彼女の特徴を、思い出せるだけ思い出す。
それを聞いて黄泉川の額から、冷や汗のようなものが出た。

「…待つじゃん。そいつの名前、まさか」
「御坂美琴、です」
「……一週間前、常盤台の生徒が行方不明になったって捜索願いが出されたじゃん。学校の体面もあるから公にはなってないけど、見てったんなら別じゃん。どこで見た?」

……一週間。いや、もしかしたらそれよりも前から、彼女が苦しめられていたのかもしれない。
その間、何も知らなかった自分を恨めしく思った。

「もう遅いから、後は私達に任せるじゃん。お前はもう帰れ。言う事聞かないと、私がお前を補導する事になっちまうじゃん」
「……わかりました」
「また御坂を見たならすぐに警備員に連絡するじゃん」
「はい」

返事をして、黄泉川と別れた。
彼女が見えなくなったところで上条は走り出す。
もちろん、寮とは別方向だ。
黄泉川先生には悪いとは思っていても体が動いてしまう。

(……!)

どこかで、ビリビリと電撃が走る音がした。
上条は、その音がした場所へと向かった。


791 : 『美琴』 :2014/10/08(水) 00:06:30 P4.yJWaI

「ビリビリ!」

美琴がいたのは、表通りから外れた、薄暗い小道だった。
辺りには誰もいないが、壁が焦げ付いている。
振り返った美琴の息は絶え絶えで、上条を見ると、まるで避けるように右足を半歩後ろへ下げた。

「こんなところで何してんだよ。病院抜け出して」
「なんだっていいじゃない。アンタには関係ないでしょ」

スタスタと、上条の横をすり抜けようとした美琴。
それに対し、上条は美琴の腕を掴んでひき止める。

「離しなさい」
「いいや。病院に戻るまでは離さないぞ」
「今はまだ戻るわけには行かない。私にはやらなくちゃいけない事があるのよ!邪魔するってんならアンタも……!!」

脅しで言っているわけではない。本気だと上条にはわかった。
それでも今、この手を離せば後悔すると、上条は思った。

「だったら俺の所に来い!問題が解決するまで、いつまでも!!だから、自分を大切にしてくれ」
「何、言ってるのよアンタ」
「放っておけないんだよ。倒れて、病院まで抜け出して……そんなやつを見て何もしないなんて、俺には出来ない」

その言葉を聞いて、美琴はふふっ、と笑う。
逃げようともせず、その体を上条に寄せた。顔を上条の体に埋めて、決して上条からは見えないようにしながら。

「……やっぱ馬鹿ね。アンタ」


792 : はりねずみ :2014/10/08(水) 00:07:21 P4.yJWaI
以上です。おやすみなさい。


793 : くまのこ :2014/10/08(水) 01:00:36 vvryOMOk
>>・・・さんGJです!
イチャイチャ来たー! そしてラッキースケベ…いやむしろ、ラッキーエロスも来たー!
おおぅ…まだ3分の1ですか。あと3分の2も読めるなんて幸せッス。続き楽しみに待ってます!

>>はりねずみさんGJです!
おおー! これは続きが気になる展開…!
自分はシリアスなのが書けないので、こういう話が書けるのを本当に羨ましく思います。



はりねずみさんが投下してから一時間くらいしたから、
もう自分が投下しても大丈夫ですかね…?
支部でリク受けたので、ミコっちゃんの同窓会の話を書きました。
同窓会なので、未来設定です。
オリキャラ麻琴ちゃんもでますので、苦手な方はスルーでお願いします。
約3分後に、4レスです。


794 : とある中学の同窓会場 :2014/10/08(水) 01:03:29 vvryOMOk
同窓会。
それは同じ母校の卒業生達が一堂に会し、学生時代の思い出などを肴にお酒を嗜む、
大人数参加型の飲み会である。
最近ではコストの安い居酒屋やレストランで行うのが主流だが、
ここはそんなお安い店ではなく、学園都市第二学区にある高級ホテルだ。
会場入り口で堂々と主張している黒い歓迎看板には、『常盤台中学同窓会御一行様』と書かれている。
やはり腐っても元・お嬢様方、といったところだろうか。

しかし同窓会と言えば、大人になった同級生と再会しラブロマンスが生まれる…
というのがマンガやドラマでも定番のネタだが、常盤台中学は女子高なので、そういった事を―――

「おっっっ姉ぇぇぇ様あああああっ!!! お久しぶりですのおおおおお!!!」
「はーい、ビリビリ〜」
「おびゃびゃびゃびゃっ!!! ……あ…愛が痺れますの………がくっ…」

―――そういった事を期待している一部の女性もいたりいなかったり。

会場の入り口で変態的に突撃してきたのは、白井黒子。
そして冷静に電撃を食らわせたのは、その黒子の中学生時代の先輩、『上条』美琴だ。

「アンタねぇ…昔っから全然変わってないじゃないのよ…」
「う、うふふ…! お姉様こそ、そのキレのある電撃【ツッコミ】……
 お変わりないようで安心いたしましたの…」
「ツッコミじゃないっつの」

十数年前【ちゅうがくじだい】のようなやり取りに、ほんのりと昔を懐かしむ白井だったが、
ふと美琴の背後に隠れる女の子が目に入り、一気に気が滅入る。

「あ…あら、麻琴ちゃんもご一緒でしたのね…?」
「ああ、うん。どうしてもついて来るって聞かないから…
 ほら麻琴ちゃん。白井お姉ちゃんよ、ご挨拶して?」
「……こんにちぁー!」
「違うでしょ麻琴ちゃん。今はお空にお星さんが出てるから、『こんばんは』でしょ?」
「……かーばんわー!」
「はい、こんばんは…ですの」

白井は目の前の女の子と同じ目線になるようにしゃがみ込む。
顔立ちは母親のDNAを色濃く受け継いでいるが、その髪の色は父親の物と思われる黒髪だ。
2〜3歳であるこの女の子は、名を『上条』麻琴という。
そう。あの上条当麻と上条(旧姓・御坂)美琴の間に出来た、一人娘なのだ。
愛しのお姉様のお子様という事で、実に複雑な心境ではあるが、
そのお姉様は幸せそうだし麻琴が悪い訳でもないし、
何より白井も麻琴の事は可愛いと思っているしで、胸の中のモヤモヤが発散できずにいる。
この場に父親である上条当麻本人がいたのなら、遠慮なく鬱憤を晴らせたのだろうが。


 ◇


「御坂様! 御坂様ですわ!」
「あら、確かご結婚なされて姓もお変わりになったのではなくて?」
「あぁ…以前とお変わりなくお美しいですわ…」
「あの愛らしいお嬢さんは、御坂様のお子さんでしょうか?」
「ご覧になって! こちらに手を振っていますわよ!」

流石と言うべきか、やはりと言うべきか。
美琴と麻琴は会場に入ってすぐ、周りの注目の的となっていた。
少し居心地が悪そうに「あはは…」を乾いた笑いをしていると、

「白井さんに御坂さ―――っとと、今は上条さんでしたわね。わたくしの隣、空いてますわよー!」

と大声をかけてくる人物が一人。
十数年ぶりの再会だが昔の面影を残しており、美琴自身も忘れられない友人である。

「婚后さん! 久しぶり〜! やだ、元気!? 今お仕事は何してるの!?」
「見ての通り、お元気ですわ! お仕事は父の会社をお手伝いをしておりますのよ」
「ではやはり、将来的には婚后航空を…?
 貴方が最高経営責任者となったら、航空機に搭乗するのは控えた方が良さそうですわね」
「しっ、失礼ですわよ白井さんっ!!!」


795 : とある中学の同窓会場 :2014/10/08(水) 01:04:12 vvryOMOk
婚后が白井に対して声を荒げるのと同時に、背後から「うふふ」とお上品な笑い声が聞こえてきた。

「相変わらず、仲がよろしいのですね」
「お久しぶりですわ。婚后さん、白井さん。それに上条様」
「湾内さん! 泡浮さん! 久しぶり〜! 結婚式以来ね!」
「改めて、ご結婚おめでとうございますわ」
「上条様のウエディング姿…今でも忘れられませんわよ」
「……わたくしも見たかったですわ…」

ちなみに、上条と美琴の挙式には婚后も招待されていたのだが、
仕事の都合でどうしても来られなかったようだ。婚后はその事を、今でも後悔しているらしい。

「ほらほら麻琴ちゃん。婚后お姉さんに湾内お姉さん、それと泡浮お姉さんよ。
 ご挨拶、ちゃんとできるかな?」
「う? うー…は、はじゃめまして! かみじょーまことです!」

緊張気味に背筋を伸ばし慣れないお辞儀をするその姿に、
白井、婚后、湾内、泡浮の4人だけでなく、その周りで様子を見ていた者達も顔を綻ばせる。
婚后は、思わず麻琴を抱き締めた。

「んまあああ! 何っっって利発なお嬢さんなのでしょう! よくできまちたねー、麻琴ちゃん」
「まこと、えらい?」
「えらいえらい、ですわ〜!」
「えへへへへへ〜…」

美琴の連れてきた麻琴【アイドル】に、もうメロメロになる婚后達。
だがそこへ、水を差してくる人物が一人。

「あらぁ、本当に聡明力の高そうな子ねぇ。もしかして御坂さんと血縁力が無いんじゃなぁい?」

嫌味を言ってきたのは当然。

「あ〜ら食蜂さん。残念だけど私はもう御坂じゃなくて、か・み・じょ・う! なんですけど!?
 それとねぇ、麻琴ちゃんは確実に私がお腹を痛めて産んだ子だから、安心していいわよ!」
「そうなのぉ? 御坂さんの離婚力ならぁ、とっくにバツイチになってると思ってたわぁ。
 でもそれなら父親の方が違うのかしらぁ? 御坂さんって、浮気力も高そうだしぃ」
「ご心配なく! 私、旦那以外の男の人に抱かれた事ないからっ!
 しかも麻琴【あのこ】が産まれた後もずっとラブラブだし! 浮気なんてしてる暇ないわよ!」
「それは御坂さんの勝手力で思ってる事でしょぉ?
 上条さんも同じ様に思ってるなんて、どうして言えるのかしらぁ。
 上条さんの言葉を借りるならぁ、『御坂さんの幻想力をぶち殺しちゃうゾ☆』」
「幻想じゃねぇっつの! あと、私はもう『御坂』じゃないって言ってんでしょうがゴルァッ!!!」

十数年経っても、あの時の常盤台の二大巨頭だったこの二人は、相変わらずバチバチだったのだ。
どうやら食蜂は、未だに上条の事を諦めきれていないらしい。
ちなみにバチバチしているのは、美琴の能力ではなく比喩表現である。

まだ料理も運ばれていないウチからすでにヒートアップするレベル5達に、
周りは戦々恐々…する訳でもなく、かつてのお嬢様方は、まだ麻琴に夢中だった。
この二人の言い争いには慣れているのだろう。

「はああぁん…わたくしも子供が欲しくなってしまいましたわぁ…」
「うふふっ。その前に、素敵な殿方と縁を結ぶのが先ですわね」
「ああん! お手てを握られてしまいましたわ〜!」
「まあ羨ましい! 次はわたくしにも!」
「そんな! 次はわたくしの番ですわ! 麻琴ちゃんはわたくしに抱っこされたがっていますもの!」

いつの間にか麻琴は、完全にセレブな方々の愛玩動物と化していたのだった。


796 : とある中学の同窓会場 :2014/10/08(水) 01:05:18 vvryOMOk
麻琴への料理も運ばれ、お酒も飲み始め、麻琴への過剰な愛情表現も落ち着き、
同窓会も半ばを迎えていた。
今は仲の良かったグループに分かれて、それぞれ談笑しながら食事をしている。
だが美琴のグループ(主に湾内、泡浮、婚后、白井)の話の中心は、
やはり美琴の結婚生活と麻琴についてだった。

「普段、旦那様とはどのような会話をしておりますの!?」
「やはり、麻琴ちゃんも将来は学園都市の学校にご入学なさるのでしょうか!?」
「ふっ! ふた、二人目のお子さんの予定はおありですの!?」
「お姉様、今日はどのようなお下着をお穿きになっておりますの?」

ただし、白井だけ質問のチョイスが少しオカシイ。
とりあえず白井には、本日二度目となる電撃をぶっ放したが、他の三人にはそうもいかずに、困る美琴。
上条との結婚生活について詳しく話すのは、何と言うか照れくさい。
と言うか実は、話の5割以上はR-15〜R-18な内容なのだ。
周囲に男がいない時の女性同士の下ネタというのは、男のバカエロ話よりも遥かにエグいのだが、
それはあくまでも一般的な女性の場合であり、
大人になったと言えども現在も箱入りなお嬢様方には、少々刺激が強いのだ。
下手をすれば未だに、
「赤ちゃんはコウノトリさんが運んできてくれる」と信じている者もいそうな雰囲気である。
なので、どう返していいのか悩んだ美琴は、

「え、え〜っと……ま…麻琴ちゃんはどう思う? パパとママの事」

と娘に丸投げした。大人のズルい部分が丸出しである。
しかしズルが祟ったのか、美琴は直後に、麻琴に頼った事を後悔する事となる。

「ママね、パパとちゅっちゅなの。おうちでちゅっちゅ、いっぱいするの」

会場の空気が、止まった。子供というのは、残酷なまでに正直な生き物なのである。
美琴のグループ以外の者達も、その一言に手と口を停止させる。そして数秒の静寂の後、

「「「「「きゃーーーーーっ!!!♡」」」」」

と一斉に黄色い声を上げた。

「ぶふぅーっ!!! ま、ままま麻琴ちゃん!!? ちょろ〜っと『しーっ』しよっか!!!」

自分から麻琴に話を振ったくせに、慌てて人差し指を立てて『しー』させようとする美琴である。
対して、麻琴はきょとん顔で母親を見つめる。

「なんで? ママ、ちゅっちゅいっぱいだよ? まこと、うそないよ?」
「う、うん! ウソじゃないんだけどね!? ウソじゃないから今は問題と言いますか…」
「???」

ママの言っている事が理解できずに、頭に疑問符を浮かばせる麻琴。
今の麻琴には難しい問題である。

結局その後、麻琴の一言をきっかけに、美琴は会場全体から質問攻めをされる事と相成った。
そして白井と食蜂の二人は、イライラしながらのヤケ酒タイムに突入したのである。


 ◇


同窓会が始まって2〜3時間が経った頃だろうか。
宴もたけなわ…になるのはこれからだという時間に、話題の中心である美琴は帰り支度を整え始める。

「あ、あら? もうお帰りになりますの? まだお話を聞きたいのですが…」
「あ…あー、ごめん。この子がもう、おねむだから」

見ると、麻琴が目をしぱしぱさせていた。
偶然にも、ここから逃げる良い口実を麻琴が作ってくれたようだ。
…もっとも、炎上させる原因を作ったのもまた麻琴だったが。

主役たる美琴がいなくなるという事で、会場全体に残念ムードが広がる。
だがしかし、直後にとんでもないサプライズが待ち構えていた。
しかもそのサプライズは、周りのお嬢様達だけでなく、美琴にとっても同様だったのである。

ふらりと、会場に入ってきた人物が一人。それは遅れてきた同窓会の参加者…ではなかった。
何故ならその者は―――


797 : とある中学の同窓会場 :2014/10/08(水) 01:06:12 vvryOMOk
「いやー、連れがお世話になりました」

―――その者は、ツンツン頭の青年。つまりは男だったからである。
どこかで聞いたような台詞を言いながら美琴に近づいてきたその男は、
寝落ち寸前の麻琴を「よっ!」と抱き上げた。
突然の出来事に、全員がぽかーんと男を見つめたまま硬直している。
しかし男は気にした様子もなく、そのまま淡々と自然に美琴に話しかけた。

「あー…やっぱこの時間じゃ眠くなっちまったかー……
 じゃあ、俺は麻琴連れて帰るな。美琴はまだ会場【ここ】に居たいだろ?」
「え……えええっ!!? な、なな、何でアナタがここに!?」
「いや、麻琴が寝ちゃったら美琴も帰んなきゃだろ?
 でもせっかくの同窓会なのに、それじゃあ美琴が可哀想かなと思いまして」

どうやらこの男、麻琴が眠くなる時間を見計らって迎えに来たようだ。
麻琴の為だけでなく、美琴の為にも。

美琴は、先程まで旦那との結婚生活(R-15〜R-18な内容)を根掘り葉掘り聞き出されていた、
という事も手伝い、その男のナチュラルな優しさに顔を真っ赤にしてしまった。
しかし男は、その赤面をお酒に酔ったせいだと勘違いしたらしく溜息を吐く。

「んー? …いや、やっぱ美琴も帰った方が良さそうだな。大分顔赤いし。
 …ったく、久しぶりに友達に会えたからって、ハメ外しすぎんなよな」
「えっ!? ふぁ……はえっ!!?」
「ほら車に乗って。……あ、でもその前に少し酔いを醒ましておくか」
「えっ? えっ? な、何を―――――――っっっ!!!!?」

そう言うと、男は美琴の言葉を遮るように、そのまま彼女の唇を奪っていた。
大勢の人の前で、堂々と。
お嬢様方は、硬直したままその様子を見続けている。まるで、おとぎ話でも見ているかのように。

3秒程の口付けの後、唇を離した男は、ほんの少しだけ気まずそうに一言。

「あ、あーなんだ。ちょっとは酔い醒めたか?」

対して美琴は顔をポーっとさせながら告げる。

「…あっ……ひゃい………♡」

美琴は目の奥をハートマークにさせながら、男の腕につかまる。そして男は会場全体を見つめ、

「あ、じゃあすみません。これからも『妻』をよろしくお願いします」

と簡単な挨拶をしながら頭を下げ、そのまま会場を後にした。
美琴と麻琴と、麻琴を抱っこした男がホテルから出て闇に消えていくのを見送っていたお嬢様達は、
三人がいなくなるのと同時に、一斉に、

「「「「「きゃああああああああっっっ!!!!!♡♡♡」」」」」

と再び黄色い声を上げた。ただし、先程よりも更に大きな声で。
そして白井と食蜂の二人は、血の涙を流しながらの深酒タイムに突入したのである。



ちなみにだが、あの後、家に帰った美琴がメチャックスした事は、まぁ…言うまでもないだろう。


798 : くまのこ :2014/10/08(水) 01:07:13 vvryOMOk
以上です。
次は新約11巻発売後ですかね?
ではまた。


799 : ■■■■ :2014/10/08(水) 02:17:16 MgoCOjGM
 はりねずみさん くまのこさん おふたりともグッ・グッ ъ(゚Д゚)グッジョブ!!


800 : ■■■■ :2014/10/08(水) 14:52:44 lo9F0koY
・・・さん、はりねずみさん、くまのこさんGJです!

カミコトニウム欠乏症をおこしかけてたので、満タンまで摂取出来て幸せです!


801 : ■■■■ :2014/10/09(木) 01:02:00 R6J.T7kA
>>794
最高におもしろく何回も読んでます!
佐天さんや初春が初めて麻琴ちゃんを見たらどうなるかな?と気になります。


802 : ■■■■ :2014/10/09(木) 01:05:53 R6J.T7kA
>>781
面白かったです
続きが楽しみです


803 : ■■■■ :2014/10/09(木) 01:09:06 R6J.T7kA
>>790
続きが楽しみです。


804 : ■■■■ :2014/10/10(金) 11:05:01 o.U73CM.
>ちなみにだが、あの後、家に帰った美琴がメチャックスした事は、まぁ…言うまでもないだろう。

よし、この様子を18禁スレの方に書いていってもらおうか


805 : くまのこ :2014/10/10(金) 19:40:02 Hl5QkB6g
本日、新約11巻発売日です。
いつもの、新約が発売されたら書いてる短編を書きました。
勿論


ネ  タ  バ  レ  


が含まれていますので、新刊を読んでからご覧になってください。
約3分後に、3レスです。


806 : 終章その後  甘くて優しい話の前に辛くて厳しい現実が :2014/10/10(金) 19:43:00 Hl5QkB6g
一見どこにでもある喫茶店のオープンテラスで食蜂は、
当たり前の食材を使って当たり前のプロが当たり前に美味しく作ったレアチーズケーキを食べていた。
11月も半ばを迎えて、そろそろ外の空気が冷たく感じてくる季節であるが、
食蜂はここからの眺めが気に入っているらしく、頑なにテラス席から離れようとはしなかった。

普段の彼女からは想像出来ないほどに柔らかい笑みを浮かべ、
何か『優しい記憶』を思い出しながら、ケーキを口に運ぶ。
しかしそんな緩やかで心地の良い午後は、
突如として隣の席に現れた女によって、ぶち壊される事となる。

芹 「『彼』が入院しているからって、病院を眺めながらニマニマしているのはどうかと思うけど。
   お前のやっている事を世間では何と言うか知っているか? それは『ストーカー』と言うのだけど」

食蜂は思わず、「ガヂッ!」と手にしていたフォークを強く噛み、
自分の世界に浸る時間を潰してくれたその者の名を、忌々しそうに呟く。

食 「…雲川芹亜ぁ……何の用件力かしらぁ?
   できる事なら、あなたとは顔を合わせたくも無いし口もききたく無いんだけどぉ?
   って言うかぁ! 別に病院を眺めてた訳じゃないしぃ!
   その手前力にある公園を眺めてたのよぉ!」

確かに、この喫茶店の目の前には、一台の車が停まった小さな公園がある。
そこはかつて、雲川の陰謀によって上条が食蜂のぱんつを脱がそうとした公園だったりするのだが、
まぁ、それは置いといて、道を挟んだその奥に、カエル顔の医者がいる病院があるのだ。
食蜂の言っていたように、彼女は確かに公園の方を見ていたのかも知れないが、
奥の病院とも無関係ではなさそうなので、雲川は疑わしそうにジト目で食蜂を睨む。

芹 「ふ〜〜〜ん…?」

食 「なっ、何よぉ! その疑心力に満ちてる目はぁ!? 本当なんだからねぇ!
   それと質問には答えなさいよぉ! あなた、何しに来たのぉ!?
   まぁた、わざわざ暗殺力の高い手駒まで用意してぇ!」

気付けば食蜂の胸の真ん中には、レーザーポインターが当てられている。
どうやら、また間抜けなグラサン暗殺者とやらがこちらを狙っているようだ。

芹 「お前と対峙するんだ。警戒は必要だけど。
   それに私がここに来たのは、頼まれてたビジネスの結果をお前に伝える為なんだけど?」

食 「ビジネスぅ?」

芹 「『ストロビラ』だよ」

言うと雲川は、鞄から髪の毛よりも細い繊維状の物を取り出した。

芹 「詳しく調べたが、やはりコイツの中には何のデータも入って無かったけど。
   つまり、お前と『彼』との思い出は紛れも無い本物だったという訳だな。
   アー、ホントウニヨカッタネー!」

食 「……その情報力、今更すぎて何の価値も無いんだけどぉ?
   それと心の底から気持ちの込もって無い祝福の言葉をどうもありがとぉ!」

再びいがみ合う巨乳と巨乳。
しかし雲川がふと何かに気付き、公園の方に目を向けた。食蜂も釣られてそちらを向くと、

食 「み、御坂さんっ!?」


807 : 終章その後  甘くて優しい話の前に辛くて厳しい現実が :2014/10/10(金) 19:43:47 Hl5QkB6g
そこにはベンチの上で仰向けになりながら漫画を読む、もう一人の常盤台のレベル5の姿があった。
先程までは、手前に停めてあった車が邪魔で奥のベンチまで見えなかったが、
いつの間にかその車もどこかへと行っており、その奥の様子が見えるようになったのだ。
雲川の考察によれば、

芹 「あれは…楽しみにしていた新刊が発売されてたけど寮に帰るまで我慢できなくて、
   帰る途中でいい感じのベンチを見つけたから座って読み始めたが、
   首を下に向けて読むのに疲れてしまい、『じゃあ仰向けになって読もう』と思い立った…
   というところだろうけど」

らしい。まるで見ていたかのような雲川の観察眼に、若干引く食蜂である。
しかし、異変はそれで留まらなかった。『誰か』が、ベンチ近づいて行ったのである。
食蜂と雲川の二人は、思わずその『誰か』を凝視した。
お互い息を呑み、会話も忘れる程に集中して。

公園の奥の病院。
先程説明をしたが、そこはカエル顔の医者がいる病院だ。
そしてそこには、今、「とある患者」が入院している。
そう、最初に雲川が話した『彼』である。

『彼』はリハビリついでに病院を出て、散歩をしていたのだった。
そして散歩の途中で食蜂達がいる喫茶店の前の公園を通ったところ、
何かに気付いて急いで駆けつけて行ったのだ。
美琴が仰向けで漫画を読んでいる、そのベンチに。

上 「あれ? お前、そんなトコで何をやっているんだ?」

近づいたその『彼』が美琴に話かける。
急いで行った割には、特に何もなさ気な声のトーンだった。
しかし対する美琴は、急に話しかけられてテンパりだす。

美 「のぉわああああっ!!! な、ななな何よ! 急に話しかけないでよ!
   こ…心の準備とか、そういうのが色々と………ごにょごにょ…」

いつもは「スルーするな」とか言っているくせに、
声をかけられたらかけられたで、この体たらくである。
会話をするだけで心の準備が必要とか、どんだけ余裕が無いのか。

上 「いやぁ、話しかけんなっつっても…いや……うん、お前がいいんならいいけどさ。
   別にこんなの言う義理はないんだし……
   ああ、うん……でも、やっぱりこれは駄目だよな」

いつもの『彼』らしくない口ごもり方に、眉をひそめる美琴。

美 「何よ。言いたい事があるなら、ハッキリ言いなさいよね」

上 「じゃあ言うけど…お前、大の字で寝転がっているから、
   ここから見るとスカートの中がすごい事になっているぞ。
   全体的に袋とじにしておきなさいっていうか」

美 「は? スカートの中なんて短パン穿いてるから―――」

『彼』のツッコミに返そうとした美琴だったが、彼女は瞬時に今朝の出来事を思い出し、口が止まった。
実は今朝、登校中に白井から「いいかげんその短パンを穿くクセを何とかしてくださいまし!」と、
短パンの部分だけ強制的に脱が【テレポート】され、そのままだったのだ。
つまり現在スカートの下は、現役JCの生おパンツが露になっている、という事だ。
そこに気付いた美琴は、

美 「んにゃあああああああああああああぁぁぁぁっっっ!!!!!///」

と顔全体を真っ赤にさせて、手に持っていた漫画本も放り投げ、
慌てて立ち上がってスカートを押さえる。
しかしかなり慌てていたせいでバランスを崩し、足がもつれた美琴は、
そのまま『彼』の腕にガシイ!! と絡みつく。直後、『彼』もまた赤面した。


808 : 終章その後  甘くて優しい話の前に辛くて厳しい現実が :2014/10/10(金) 19:44:33 Hl5QkB6g
上 「当たってる! なんか腕にお前のが当たってるんだって!!」

美 「うううううっさいわねっ!!! こっちはそれどころじゃないのよ!!!///」

上 「たとえどんなに慎ましくても、女性の胸は女性の胸なんだっ!」

美 「んだとゴルァッ!!! アンタ私にケンカ売ってんの!?」

ゼィゼィと息を切らせながら、言い争う美琴と『彼』。
その後もしばらく口喧嘩は続いていたが、それもやがて落ち着いた。

上 「はぁ、はぁ…何つーか前から思ってたけどさ、お前って俺と同じで不幸体質なんじゃあ……」

美 「……え…? ア…アンタと同じ…?///
   って! 何をトキメいてんのよ私はっ! いや、トキメいてなんかないけどさ!」

上 「ほら〜、何かやっぱ俺と同じにおいだよ。心配だから、ちょっとコレ持っとけ」
   病院で『ご自由にお取りください』って置いてあったヤツだから、気にしなくていいぞ」

そう言いながら『彼』が入院用のパジャマのポケットから取り出したのは、
防災向けのホイッスルだった。

上 「ヤバくなったらそいつを使えよ。ひょっとしたら、助けてやれるチャンスも増えるかもしれない」

こんな物でも『彼』からのプレゼントだ。
美琴は先程とは少し意味合いの違う赤面をしながらそれを受け取り、

美 「あ……ありが、と…///」

と呟く。しかしこんな態度を続けていたら、
流石の『彼』でも自分の気持ちに気付いてしまうんじゃないかと思い直し、気丈に振る舞う。
実際は、その程度で気持ちに気付ける程、『彼』の鈍感力は甘くはないのだが。

美 「あ…あー! こんな物、本当に役に立つのかしらねー!」

しかし気丈に振る舞って「私は何も感じてませんよ」アピールをする為に、
ホイッスルを口に咥えた結果、

上 「さあな。でも普通に悲鳴を出すよりも喉を傷めないで済むぞ。
   さっき試してみたけどかなりうるさい音が出たし」

ぴひゅるえっっっ!!!??? と、とんでもなくひずんだ音を公園に鳴り響かせてしまった。

美 「なっ、ばっ、それ、か、かか、間、接……キッ…キキキキキーっ!!!!!///」

上 「うおう、どうしたっ!!?」

美琴が急に爆発した理由など分かる訳もない『彼』は、この状況に、ただただアワアワするのだった。

そして、その様子の一部始終を喫茶店から見ていた食蜂は、
とんでもない既視感を覚えながら、こめかみに血管を浮き上がらせていた。
隣の雲川も何か思うところがあるようで、青筋を立てながら話しかける。

芹 「……なぁ、もはや我々がいがみ合っている場合では無い気がするのだけど…!」

食蜂も応える。

食 「あらぁ、奇遇力ねぇ…私もそう思っていたところよぉ……
   敵の敵は味方って事かしらぁ…?」

瞬間、二人は何の合図もしていないのに、同時に飛び出して突撃した。

食 「うおりゃああああああああ!!!」

芹 「どうりゃああああああああ!!!」

キャラ崩壊する程の雄叫びを上げながら突進した先は、
勿論、美琴と『上条当麻』がいる公園のベンチ、である。

一方、雲川の命令で今までずっと食蜂を狙っていた暗殺者は、
スコープとサングラス越しにこの騒動を見ており、最後に一言こう漏らした。

土 「カミやん……お前、どんだけだぜい…」


809 : くまのこ :2014/10/10(金) 19:45:51 Hl5QkB6g
以上です。
こちらから読んでいる方の為にもう一度。
新約11巻の


ネ  タ  バ  レ


が含まれています。
ご注意ください。
それと次は、我道さんとの合作、
こぼれ話の続きを投下する予定です。多分、来週中です。
ではまた。


810 : sage :2014/10/11(土) 01:27:55 /9diEreU
おつ!


811 : ■■■■ :2014/10/11(土) 01:29:36 /9diEreU
ごめんなさい間違えました...


812 : ■■■■ :2014/10/13(月) 02:36:47 tCYfnyG.
くまのこさん乙です!

それにしてもいちゃいちゃスレはこんなにも伸びるのに
どうしていちゃエロは伸びないんだろ…

謎だ


813 : ・・・ :2014/10/13(月) 13:45:41 fP0jYNAM
ども、・・・です。

11巻、よかったよ。
食蜂、切ねぇ。
見る目が少し変わったよ。
あと、この長編がひっくり返されなくてよかった。

画集、表紙よりも、それをめくった後が好きだね。
インデックスヒロインのヒーロー美琴ね。
カミやんいらないね!!
あと、改めて『禁書目録』の凄さを目の当たりにしたよ。



>>はりねずみさん
どうも姉妹編っぽいが、どうなることやら。
やっぱり、安心できるのは上条さんの腕の中だけですよねー
さて、2人を待ちうける物はいったい??
近日公開!!!!(意味:早く続きください)


>>くまのこさん
>>793
カミやんイケメン、まことちゃん可愛い、みこっちゃんかわいい。
最強一家ですな!!
やけ酒は、血の味かな?
いやぁ、これは歴代上琴で一番かっこいいカミやんかも


>>805
食蜂の話に既視感があったんです。美琴の通常運転と同じなのね。
食蜂、報われねぇ。
しかし、走っていったけど、この後どうなるんでしょうか?
雲川の胸にカミやんが突っ込んで、レベル5×2からカミやんが殺されかけるだけじゃ?


では、投稿します。
今更オティヌスの話を回収です。
みさきちの話はいつ回収できるだろう?
しかし、この前後篇で少し、変化が訪れます。

それでは


814 : 夏祭り 前篇 :2014/10/13(月) 13:48:56 fP0jYNAM
明後日から新学期である。
上条当麻は例によって宿題を忘れていた。
もとい、そんなの考える余裕なんてなかったのだった。

「はぁ」

朝から美琴に教えてもらいながら悪戦苦闘していたが、
ついに集中力が切れたのだった。
それを見かねた美琴がため息とともに休憩を告げた。

「はぁ」

目を輝かせて感謝の気持ちを美琴に伝えようとしたとき、

『じゃ、休憩ついでに買い物お願い』

と、言われて、上条は灼熱の外にいるのだった。

「……アイツは受験勉強しなくてもどこの高校でも行けるらしいし」

海外の名前しか知らない有名大学にも行こうと思えば行けるという。
格差がひどいのだった。

「セミの声までバカにしてるように聞こえますや」

陽炎の浮かぶ路上で上条は絶望していた。

「ん?」

視線の先、
街路樹の影に鬼コーチがいた。

「美琴、どうかしたか?」

「……おっす」

「インデックスは?」

「浜面さん達が見てる。
一緒に帰っていいかな?」

「あ、あぁ」

いつものように買い物のマイバック(これを使えば2円引きなのだ)を二人で持つ。
空いた右手で上条は頭を掻いた。

「……あのさ」

「ん?」

「わたしって、魅力ないかな?」

「なんだ急に?」

「だって、同じところに住んでるのに、当麻、なにもしないじゃない」

「なんだよ、なにかして欲しいのか?」

美琴が立ち止まったために、
前に進めなくなる。
隣を見ると、
こちらを見つめる美琴と目があった。

(……え?)

風が木葉を揺らす。
美琴が手を離したためにマイバックが落ちた。
卵が無事かどうかに思考が現実逃避しかけたが、
美琴はそれを許さない。
細い腕が上条を包む。

「わたしは、当麻になら、なにされても、いい、よ」

「べあっ!!!?」

慌てて下を向いた。
しかし、それがまたいけなかった。
目の前には美琴の顔がある。

更に目までつぶりやがった。

(ぬ、ぬぉぉぉおおおおおお!!!)

なにかと戦った上条は、

「ま、待て美琴!!」

彼女の両肩を掴み、引き離す。






パキーン



(パキーン?)

手に伝わる違和感に疑問符が出たが、
目の前の光景が回答を用意する。

美琴に亀裂が入り、あの野郎の表情が覗いた。

「美琴ちゃんかと思った!!?
ざんねーんトールクンでしたー!!!」

この段階でまだトールは目の前にある上条の拳に気づいていない。


815 : 夏祭り 前篇 :2014/10/13(月) 13:49:57 fP0jYNAM








『夏祭り前篇』







キーン

と、エレベーターの到着した音が響く。

中から出てきたのは、苦虫を噛み潰したような顔を朱色に染めた上条と

「久々の再会をグーパンってどうなの上条クン?」

鼻を赤くした雷神。元グレムリンの主力、トールである。
上条は卵をトールに弁償させて帰路に就く。
オティヌスは家にいるらしい。

「で、どうなったの?」

「あぁ。魔神の力復活!! ……とまではいかなかったけどな」

自分達の部屋はもう少し先だ。

「でもびっくりしたぜ。オレ達がオティヌスの力を取り戻しに行ってる間にミコっちゃんと同棲してるとはね〜」

オティヌスはショックを受けてたなー、という言葉は心中にとどめる。

「同棲? そんなんじゃねーよ」

「じゃ、なんだよ?」

……なんだろ?

トールとやり取りしていた上条は前を見ずにドアを開け中に入る。
むにっとした感覚が顔を覆い、視界が暗くなった。

「???」

上条は、神裂の御胸様に突っ込んでいたのだった。
ほとばしる殺気。
神裂と美琴、オティヌスの表情が皆同じである。
無表情。

上条が、例の言葉を叫ぶと同時に、ちゅどーん、というふざけた音が響きわたった。
そんなことは気にもとめず、インデックスはステイルの腕の中できゃっきゃとはしゃぐのだった。


816 : ・・・ :2014/10/13(月) 14:06:57 fP0jYNAM
以上です。

前後篇でごめんね


817 : はりねずみ :2014/10/13(月) 23:42:55 ssJlUuPQ
私も11巻読みました。
みーちゃん……でも「アレ」だけは本物で本当によかった。
ドリーとの思い出までどうでもよくなるってことは、本当に大事ってことなんだよね。

くまのこさん。
厳しい。本当に厳しい。それにしても先輩、上条が関るとホントに残念だな。
…まてよ。上条さんの腕にしがみ付いてみーちゃんのが大きくなってるんだから美琴だって!!

・・・さん
トォォルゥゥゥ!!!
そうだ。これからはトールかどうか確認するために毎回お胸を右手で触れればええんじゃ!?
後編ではデレデレの甘甘を期待してまっせ。

それでは、続き行きます。11巻ネタ考えたんですけど、小ネタで収まりそうにないのでまたの機会に・


818 : 『美琴』 :2014/10/13(月) 23:43:53 ssJlUuPQ


熱気のある、香ばしい油の香りに釣られるように美琴は目を覚ました。
昨晩は部屋についてすぐに寝てしまった。服もそのままで

「起きたか。もうすぐできるから顔洗って待ってろ」

体を起こし、声のする方を見ると、上条がフライパンで何かを焼いていた。香りからしてベーコンか何かだろうと美琴は考える。
一晩ベッドで寝て、疲れはなくなってきているが、まだ気だるさは残っている。もう少しだけ寝ていたい気持ちもあるけれども、食欲に負けてベッドから降りる。
顔を洗うと机に朝食が並べられており上条も既に座っている。美琴が座るのはその反対側だ。
朝食はトーストとベーコンエッグ。

「お嬢様のお口に合うかはわからないけど」
「い、いただきます」

こうして誰かが作った料理を食べるのは久しぶりだ。
トーストを一齧りしてからベーコンエッグに手を付ける。

「…美味しい」

素直に、そんな言葉が出てきた。
空腹だからとか、材料がいいだとかそんな問題ではない。単に彼自身の腕だ。

「そうかそうか。いやー人に食べさせるの初めてだから心配で」

上条は嬉しそうにする。それを見て美琴の頬も緩んでくる。

(どうしてだろう)

初めて会った時も。勝負を仕掛けていた時も。

(どうしてこんなに)

昨日で会った時も。今、こうして朝食を食べている時も。

(こいつといると、こんなに心が満たされるんだろう)


819 : 『美琴』 :2014/10/13(月) 23:44:18 ssJlUuPQ

朝食を食べた終わった上条はすぐに学校に行ってしまった。補修らしい。
ゆっくりしてていいからとは言われているが、一宿一飯の恩。とまではいかないが、泊らせてもらった以上、何もしないのは悪い気がするのだ。
シャワーを浴びて、食器を綺麗に片づけて洗濯物を畳む。掃除機をかけてから何を思ったのかベッドも下を探るが何も出てこない。
そうして、一通りの家事を午前のうちに終わらせた。

(さて……)

もう後腐れは無い。掃除の時に机の上に置いたPDAを手に取る。
ゲームをする為でも、インターネットで気になる言葉を検索する為でもない。
開いたのは学園都市全体の地図である。

(二日前の第7学区の球磨総合技術研究所。第22学区の今上駆動鎧開発所。昨日の第7学区の阿武那薬品。次は。次はどこにでる?)

自分で付けた丸印を日付ごとに目で追う。
丸印は第7学区から一周しているのが見て取れる。

(『私』なら近いところから片を着ける。だったら……)

目的地の予想は出来た。急いで玄関に出て靴を履くが、ドアノブに掛ける手が異様に重い。

(…………何を、躊躇してるのよ)

もしも、このまま何もしなければ。
もしも、今ここで全てを忘れてしまえるならば
そうすれば、自分の身だけは守られる。
そうすれば、彼はずっとここに居させてくれるかもしれない。
そんな考えが美琴の頭に過る。

(ううん。それでも)

それでも、自分が起こした事だから。
きっとこのままでは、美琴自身が罪悪感に潰されてしまう。
これは、誰でもない『美琴』の戦い。誰でも悟られず、自分自身の手で片を着ければいい。
そうして、誰も、何も知らずにただ笑っていられる事ができるのならば。

(たとえ『私自身』が死ぬ事になっても)

浮かぶのは、白井黒子や初春飾利、佐天涙子。そして……。

「さようなら」

誰に聞かせるわけでもなく呟いて。
そしてその手をゆっくりと回す。


820 : はりねずみ :2014/10/13(月) 23:46:31 ssJlUuPQ
以上です。
次からドシリアス入りますので人の好みが結構別れるかもしれませんがあしからず。
ぶっちゃけ、どこまでグロ展開書いてええんですかいな


821 : :2014/10/14(火) 01:41:50 JNSx5OuI
ここで書く初めての上琴SSです 
文才がないので大目にお願いします


822 : 五年越しプロポーズ :2014/10/14(火) 01:44:58 JNSx5OuI
『美琴、お前のことが好きだ。俺と付き合ってほしい』
5月5日 御坂美琴は、夢にまで見た好きで好きで仕方なかった上条当麻に告白された
「……はい」
二文字、それしか発せられなかった。
心の内側からくる『喜び』の感情は、いくら学園都市3位の頭脳をもってしてもいい表すことができなかった
その日、美琴は、最高の嬉し涙を笑顔と共に流した

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5月5日
やったああああああああああ
アイツのこと、いや美琴のこと好きになってから書いてるこの日記だけど。
ここまでテンションが上がって書いてるのは初めてだな
無事にインデックスのことも話せたし

いつからだっけ?俺が美琴のこと好きになってたの。
今思えば美琴が俺の記憶がなくなって初めて手を差し伸べてくれたやつなのかもな。
もしかしたら、そのときから知らず知らずのうちに……

だああああああああああああああああああ

書いてるこっちが恥ずかしくなってきちまったよ
偽海原の時とは、全く違う。インデックスとは、言葉にできないけど守りたい理由がなんか違うんだ
あのときよりもずっと重い約束になっちまったな
けど絶対に美琴のことを守り切ってみせる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


823 : 五年越しプロポーズ :2014/10/14(火) 01:46:38 JNSx5OuI
それから、二人は、ともに笑い、ともに泣き、ともに怒り
それでも、『楽しい時間は早く過ぎる』を常に感じあっていた。
そう、幸せだった。
平日は、電話で長話
休日は、インデックスも誘って、出かけて歩いた
夏休みには、何とか許可を取り繕って、海に行ったり、山に行ったり
上条やインデックスが魔術のことで日本にいない時も何度があった
そんなときでも、電話越しに話し
美琴は、二人の無事を祈り、無事に帰った二人を強く抱きしめた


824 : 五年越しプロポーズ :2014/10/14(火) 02:05:50 JNSx5OuI
木は葉を落とし、乾燥した風が容赦なく肌に吹き荒れる季節
休日を利用し、美琴は、もはや同居人の指を借りても、数えられなくなるほど、通った学生寮の部屋で、自慢の手料理を作っていた。

インデックス「さすがなんだよ。みことの作る料理は。とうまとは比べ物にならないかも」

口いっぱいにアツアツの料理を頬張っている。
とんでもないシスタースタイルだ
ここまで笑顔でいられると、自分の料理もほぼ直球で馬鹿にされても言い返せない。彼女の手料理相手ならば、尚更である
それにここであまりインデックスの機嫌を損ねたくはないのだ
なぜなら、インデックスには、クリスマス前の最重要ミッションを頼んであるのだ


825 : :2014/10/14(火) 02:21:46 JNSx5OuI
以上です
このSSはいちゃいちゃよりもシリアスが多くなります

はりねずみさん
お疲れ様です
グロさがいきすぎなきゃ自分は大丈夫です


826 : 我道&くまのこ :2014/10/15(水) 22:41:55 3dY7ix66
>>・・・さんGJです!
いやー、ミコっちゃんってば積極的に―――ってトールやないかい!
上条さんも「べあっ」って反応するんですねw

>>はりねずみさんGJです!
ドシリアスですか…今から既にドキドキです。
グロは流血程度なら大丈夫かもですが、肉片が飛び散ったりとかはアウトな気がします。
…あれ? でも原作はそれくらい普通にあるな……やっぱ分かんないですw

>>明さんGJです!
既に難敵インデックスさんを攻略済みですねw やっぱり彼女を相手に胃袋をつかむのは有効なんですね〜。
インデックスがどんなミッションをこなすのか、楽しみにお待ちしてます!



どうも、くまのこです。
前回予告した通り、我道さんとの合作、「こぼれ話」の続きを投下しにきました。
合作とは言っても、今回3分の2くらいは我道さんが書かれたものですが…
ホントすみません我道さん…
約3分後に10レスくらい使います。


827 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:45:04 3dY7ix66
上条「とうとう大覇星祭でⅤまで来たな」
食蜂「だってぇ。しょうがないじゃなぁい。ネタ力が豊富なんだからさぁ。でも『本番』は今回からなんだゾ☆ って、いったぁ〜〜〜い!!」
美琴「何でいきなりアンタがオープニングトークやってんのよ! 初めて来たんだからまず自己紹介を振るまで黙ってなさいよ!! 婚后さんだって静かなのに!!」
婚后「……それって褒め言葉なのでしょうか?」
食蜂「むぅ〜。そんな野蛮なことばかりしてると上条さんに嫌われちゃうわよぉ?」
美琴「うぐ……」
上条「うんにゃ。美琴のことだからいつものことだし今さら別に、って感じなんだが?」
美琴「――っ!!」
食蜂「――っ!?」
上条「ん? どったの?」
婚后「そうですわよ。御坂さんも食蜂さんも如何なされました?」
美琴「(ふ、二人して気付いていない!?)いいいいいやぁ、何でもないわよ?」
食蜂(御坂さんの事を下の名前で呼んでるのぉ!? これはマズイじゃなぁい!)
上条「そんじゃま、二人とも自己紹介してくれるか? 少なくとも俺は二人とも顔を合わせるのは初めてな訳だし」
食蜂「……ま、その反応力が当然よねぇ」
美琴「ぷぷー。どうやらアンタ、アイツに忘れられてるみたいねー。ぷぷぷ(本当は記憶喪失が理由なんだけど面白いから黙ってよっと)」
食蜂「別にぃ? 慣れてるしぃ(記憶喪失だけに理由力がある訳じゃないんだけどねぇ…)」
婚后「では、わたくしからでよろしいかしら?」
上条「おう。よろしく頼む」
婚后「では改めましておっほん――わたくしの名は婚后光子。そちらにおられる御坂さんのご友人でレベル4の空力使いですわ。また――(以下三十分略)――ですわ。って、どうして、肝心なところがカットされますの!?」
食蜂「長いからに決まってるじゃなぁい。自己紹介ってものはぁ、もっと簡潔力を備えてやるものよぉ。こぉんな風に。私は食蜂操祈。レベル5の第5位『心理掌握』で常盤台の女王と呼ばれる容姿端麗スタイル抜群な常盤台一の美少女よぉ☆」
美琴「あら? 一番肝心なところを伏せるのは自己紹介としてまずいんじゃない? アンタが常盤台一の『運痴』って部分が抜けてるわよ」
食蜂「!!!!!!!!!!!!!?!!!/// ちょ……! な……!!///」
婚后「みみみ御坂さんっ!!! ウ、ウウ、ウン……チ…だなんてそんなはしたないですわよっ!!!」
上条「…三人の力関係みたいなものは大体わかった」


828 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:45:48 3dY7ix66
「昼食に鍋持参でチーズフォンデュってどーなのよ」
「まあまあ運動会で親子揃って鍋囲むのもオツってもんじゃない」


上条「あ、これ隣に俺達がいた時だよな」
美琴「そうよ。アンタとアンタのご両親と……あと白いのがいた時ね」
婚后「ご、ご両親と!? という事は、既に御坂さんと上条さんは家族ぐるみのお付き合いを!!?」
食蜂「た・ま・た・ま! よねぇ上条さん?」
上条「あ、ああ、まぁ。確かにウチの両親と美鈴さんが会ったのは偶然だけど…」
婚后「あ、あらそうでしたの? わたくしてっきり、お二人がもう、『そのようなご関係』になっているものとばかり…」
美琴「そ、そそ、そのような関係って何っ!!?///」


「うわぁ。えっらい混んでるわね…持ち込みOKみたいだし、こりゃ外に買いに行った方が早いか」
「…って、こっちも似たようなもんか」
「お? オマエもか?」
「アンタも? やんなっちゃうわよね。どこもかしこも並んでて」


上条「あれ? 今、ふと気付いたんだがひょっとして、この時点だとまだ大覇星祭一日目じゃないか?」
美琴「そうだけどどうしたの?」
上条「ほら、前回のOPトークのときにお前、『二日目以降』って言ってたろ? だから俺はてっきりもう二日目以降をやってんのかと」
美琴「アンタが何を言ってるか分からないわ。ひょっとしてそこの性格性悪ぶりっ子女に精神操作されたんじゃない?」
食蜂「ちょっとぉ。人聞きの悪いこと言わないでよぉ。私、そんなことしてないわよ?」
婚后「あら? 前回のオチトークで上条さんに精神操作を仕掛けた風なことを言いませんでした?」
食蜂「言ったわよぉ。でもぉ、それは『私にとって都合が悪いことが聞こえない』操作だしぃ。今の場合は関係ないんじゃない?」
美琴「どうかしらぁ? アンタのことだからぁ、どさくさ紛れにぃ。別の操作をしててもぉ、不思議はないんだゾ☆」
上条「美琴の食蜂のモノマネ、結構似てんな」
食蜂「むむむ……! だったら私が何にもしてない証拠を見せてあげるんだゾ☆ 上条さん! あなたの右手を頭に当ててみて! それでも前回のOPトークを覚えていたら私が精神操作していない、って証拠になるから!!」
上条「はぁ? まあいいけど……」そげぶ!
食蜂「どうかしらぁ?」
上条「ん? ああやっぱ覚えてるぞ美琴。お前の勘違いだったようだが?」
美琴「あらそう? ふふん♪」
食蜂「?」
美琴「アンタに先に言っておくわ。今回は今後、定期的にアンタの右手を頭に当てるように」
上条「え? まあいいけど何で?」
美琴「そいつが良からぬ精神操作を仕掛けてくる可能性があるからよ。しかもいつ仕掛けられるか分からない。だったら定期的に右手を頭に当てるしかないじゃない」
食蜂「ああああああああああああああああああ!! しまったぁぁぁぁあああああああああああああ!! 前回のオチトークのときの精神操作が消されちゃってるぅぅぅうううううううううう!!」
上条「……え゛? 俺、何か精神操作されてたの……?」
婚后「上条さんは前回、『食蜂さんにとって都合の悪い話は耳に入らない』って操作をされていたのですわ」
上条「……マジ?」
美琴「今の食蜂の絶叫が何よりの証拠よ。何されるか分かんないっての怖くない?」
上条「ま、まあ……そうだな。よし。念のため、美琴の言う通りにしておくよ」
食蜂「うぅ……って、ハッ! まさか婚后さん!?」
婚后「そういうことですわ。わたくし、こう見えても人を見る目は確かですの。人を見る目が確かと言う事は案外、相手の考えが分かるというものですのよ。ですから御坂さんの意図が見えましたものですからご協力させていただいたまでですわ。ほーっほっほっほっほっ」
食蜂(ぐぅ……常盤台の風神雷神コンビの異名は伊達じゃないってことかぁ……打ち合わせなしでこの私が嵌められるなんてぇ……)


829 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:46:29 3dY7ix66
「いや〜〜〜上条さんなんてこの歳でお漏らししちゃうところでしたよ」
「アンタなんの話を…」


食蜂「ひぃ〜ん。なんだかまだ立ち直れない〜〜〜」
美琴「こんなこともあろうかと事前に伏線を張っておいて良かったわ。おかげで早い内にコイツを元に戻せたし」
上条「は? あー、俺が精神操作されてたって話か。まだ続くの? ところで美琴。お前、『こんなこともあろうかと』ってことは、お前は今回のゲストが食蜂で、俺に精神操作を仕掛けるってことが分かってたってことか? 前回のOPトークの時点で」
美琴「……」
上条「……」
美琴「教えてあげるけど、ラノベで妙に説明くさいセリフ回しや文章は敬遠されるものなのよ」
上条「ご教授ありがとう。でも俺の目を見て話そうか。なあオイ」
婚后「あの……おそらくは今回ですと貴重な御坂さんと上条さんのツーショット会話シーンかと思われるのですが流されてよろしいので……?」
美琴「はっ! まさか食蜂アンタ!!」
食蜂「いっや〜ん☆ バレちゃったぁ」
上条「……何? 何なの? このJC同士の化かし合いは」


「トイレが混んでて危うくチビりかけたって話だろ? オマエも」
「私は飲み物を買いに来ただけよ!!」
「ああそっちか」
(ほんっとコイツは…デリカシーのない)


食蜂「まだ先の話になるけどぉ、これが現実になるのよねぇ」
上条「どういう事だ?」
食蜂「実は御坂さんったらぁ、この後屋台の食べ物当たって腹痛力を起こしちゃってぇ、一日中お手洗いに篭もってたんだゾ☆ ぷーくすくす!」
上条「え、マジで!?」
食蜂「なんならぁ。聞きこみ調査しても構わないわよぉ? 御坂さんのお友達の白井さんとか佐天さんとか初春さんとかぁ。あと、婚后さんもかなぁ? 学園都市中の噂になってたんだゾ☆」
上条「え? 婚后さんも知ってるわけ?」
婚后「え、ええまあ……ご本人を目の前にして申し上げるのは憚れるのですが……///」
美琴「よし殺そう」
婚后「御坂さん! ですから、そのようなお言葉遣いはですね!」
上条「あれ? でも学園都市中で噂になってたのに俺が知らないってことはひょっとして食蜂が精神操作した可能性もあるんじゃねーの?」
食蜂「!!!!!!!!?! ビックリなんだゾ! 上条さんが気付くなんてぇ!!」
美琴「嘘でしょ!? 誰よりも一番気付かないのがアンタだと思ってたんだけど!?」
上条「……一体お前らは俺を何だと思ってるわけ?」
美琴&食蜂「「学園都市随一の鈍感力レベル6」」
上条「……しかもこんなときだけ息がピッタリかよ」
婚后「……やはり、邪智暴虐ですわね食蜂操祈」


「なら俺が御坂たちの分も買ってくるよ。ウチもオフクロが用意してきた分じゃ足りないだろうし」
「後で持ってくから席で待っててくれよ」
(そして変にお人好しなのよね///)
 ――――
(なかなか戻って来ないわね)


婚后「御坂さん。さすがですわ」
美琴「何が?」
婚后「いえ。先に行って待っててくれ、と言われましたのに、おそらくはたくさんのお飲物を抱えてくるであろう上条さんを手助けしようとお待ちになられたのでしょう?」
美琴「んな!? わわわわわ私そんなつもりは!!///」
婚后「ご謙遜なさらずともよろしくてよ。わたくし、御坂さんのお心遣いに感激しているものでして」
美琴「だだだだだだからそんなつもりじゃなくて! この時のコイツはたくさん飲み物を抱えてくるし、手伝ってあげようってことでコイツを待ってたわけじゃなくて飲み物だけを運んであげようと思って待ってただけなんだからね!!///」
婚后「またまたそんなご謙遜を♪ まあそういう奥ゆかしさも御坂さんの魅力の一つではありますが――ねぇ、上条さん?」
上条「ん? まあそうだな。理由はどうあれ手伝ってくれるつもりで待っててくれたってのは確かだし、御礼くらいは言っとくべきか」
食蜂「え〜? 性格にほとんど裏表のない御坂さんよぉ? 飲み物『だけ』を待ってたってのは本心から言ってると思うけどぉ?」
美琴「そうそう! って、はっ!!」
食蜂「ほらぁ」
上条「なあ美琴? 飲み物は一人でに歩いてくるはずがないってことくらいお馬鹿な上条さんでも分かってるんだから、当然お前も分かってるよな?」
美琴「食蜂〜〜〜〜〜〜!!」
食蜂「いやん♪ こっわぁ〜〜〜い☆」


830 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:47:15 3dY7ix66
「御坂さぁん 暢気にランチタイム?」
「暢気? アンタは昼休み中人目につかない所で修行でもしてんの?」


上条「レベル5の修行ってどんなのなんだ?」
美琴「いや、修行っていうか…普通に開発よ。高レベルだからって、そこまで特別な事はしてないわ」
婚后「そ、そうでしたの? 御坂さんなら、山に篭もったり滝に打たれたりするのかと思っておりましたわ…」
上条「あと、重い亀の甲羅を背負って牛乳配達したりとかな」
美琴「亀仙流かっ! 私の事を、いつもどんな目で見てたのよ!」
食蜂「御坂さんの凶暴力ならぁ、それくらいしても普通だと思うけどぉ?」
美琴「当たり前だけど、しないわよそんな事! ママからは花嫁修業がどうのこうのって言われたけど!」
食蜂「……花嫁…?」
婚后「修行ですのっ!!?///」
美琴「ああああ、違う違う! いい、い、今のはちょっと口が滑っただけだから!///」


「まっさかぁ 午後の競技は能力でぜんぶキャンセルさせてもらったわぁー」
「は?」
「午前中の競技だけで疲れちゃってぇー」
「アンタね…」


上条「えっと……しょく…食蜂だっけ? お前、本当に体力ないんだな」
食蜂「べ、別に体力なくても、特に不便力とかも無いしぃ。どっかの誰かさんみたいに、夜通し追いかけっこする必要力もないしねぇ」
美琴「ぶっ! なな、何でアンタがそんな事知ってんのよっ!///」
婚后「…? 何のお話ですの?」
上条「ああ以前のこぼれ話でやったんだけど、美琴が以前(記憶喪失になる前)の俺を夜中に―――」
美琴「アンタもアンタで! 余計な事を言わなくていいからっ!///」
婚后「御坂さんのこの態度…そして夜中に行われた秘め事……はっ! ままままさか御坂さんっ!!!///」
美琴「だーっ! 違う違う違う違う!!! 婚后さんの思ってるような事な何も―――///」
婚后「上条さんと、夜更かしをしてチェスでもしていたのでは!? いけませんわよ御坂さん! いくら楽しいからと言っても、夜更かしはお肌の大敵ですのよ!?」
美琴「……婚后さんがピュアで良かったわ…」


「えと… こちらのお嬢さんは?」
「同級生よ 一応ね」


上条「……あれ? 俺って食蜂と会ってたっけ…?」
美琴「ぷぷー! 完全に忘れられてやんのー! アンタ、こいつの検察条件時点で弾かれてんじゃなぁい?」
食蜂「(イラァ! 確かにある意味間違ってないけどぉ!)事情力も知らないくせに、好き勝手言わないでほしいわねぇ!」
美琴「…? 何よ、事情って」
食蜂「………べ、べっつにぃ〜…(あっぶなぁ……)」
上条(おかしいな……この時はもう、記憶喪失になる前じゃないのに…)
婚后「上条さんは、記憶力に難がある殿方ですのね」
食蜂(あぁん! そういうのとも違うのにぃ! ここで上条さんの肩を持ってあげたいのにぃ! それでも言っちゃいけないなんてちょっと切ないんだゾ☆)


「ドーキュー? ああ!『同級生』ね そっかそっか」
(今 コイツの視線が30㎝下に落ちた気配を感じたっ!!)


美琴&婚后「「……………」」
上条「なな、何でせうか? その眼差しは」
婚后「い、いやらしいですわ!」
美琴「何だかんだ言っても、結局は胸かこの野郎!」
上条「ち、違うぞ! 何度も言ってるが、胸が大きいとか小さいとか上条さんは気にしませんですのことよ!」
食蜂「でもぉ、貧乳力よりは巨乳力が高い方がいいんでしょぉ?」
上条「え? ………………………ソ、ソンナコトナイヨ…?」
美琴「何で返事が遅い上に片言なのよっ!」
上条「お、落ち着け! 美琴は美琴でいい形してるから! それはそれで魅力的だから!」
美琴「セクハラかこの野郎っ!」
婚后「や、やっぱりいやらしいですわ!///」


「わたしぃー御坂さんのお友達の食蜂操祈っていいますぅ ヨロシクね♡」きゃるん♡
「誰が友達だァーッ!!」
「やぁ〜ん こわぁ〜い☆」


美琴「『きゃるん』って……何この擬音キショク悪い…」
食蜂「もぉ〜、御坂さんたらひぃ〜どぉ〜いぃ〜! お友達なんだから、仲良くしなきゃ・だ・め・だ・ゾ☆」
美琴「うわあ、ゾワっとした! 今、背筋がゾワっとした! やめてよマジで!」
上条「……うん、何だかんだ言っても、結局は仲良いんだな。この二人って」
婚后「そ、そう見えますの…?」
上条「見えないか。やっぱ」


831 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:47:54 3dY7ix66
「御坂さん私のコト嫌いみたいでぇ〜いっつもピリピリしてるんですよぉ〜」
「あー俺に対してもいつもビリビリ…」


美琴「……で…? くっ付く必要はあるのかしら…?」バチバチ
食蜂「ほらぁ、まぁたピリピリしてるわよぉ」
美琴「うっさい! 大体、アンタが意味も無くコイツの腕に絡みつくのが原因じゃない!」
食蜂「やっだぁ〜! 『絡みつく』だなんて、御坂さんってば卑猥力全開だゾ☆」
美琴「アンタのその発想のが卑猥でしょうがっ!」
食蜂「くすくすっ。ムキになっちゃって…羨ましかったら同じ事してみればぁ? 御坂さんの性格じゃぁ、こんな大胆力の高い事は無理でしょうけどぉ」
美琴「は、はぁ!? う、うう、羨ましくなんか全然ないしっ!」
上条「えっと…何かよく分かんないけど、こうすればいいのか?」
美琴「えっ!!!?///」
食蜂「って、何で上条さんが御坂さんと腕を組むのぉっ!」
上条「え? 条件同じにすれば言い争いが終わるんじゃないのか?」
婚后「あの……ところで『絡みつく』がなぜ卑猥なお言葉になるのですの…?」
上条「……ある意味、婚后さんはお嬢様だってことは理解できた。少なくともお前ら二人よりも」


「『不在金属』ってどこに落ちてるのかな?」
「まだ言ってたんですか?」


美琴「本当にもう佐天さんは…」
上条「この子のバイタリティ、ハンパないよな」
婚后「やる気の方向性は…まぁ、ともかくとして、この活力は確かに見習うべき点ですわね」
食蜂「そうかしらぁ? 私はパスねぇ。人間も省エネが一番よぉ」
上条「そうか? 俺は大人しい子よりも、活発な子の方が好感持てるけどなぁ…」
美琴「え? そ、そう…?///」
食蜂「あー、そう言えば私ぃ、最近毎日10㎞は走りこみしてるんだったわぁ〜! 活発力で溢れてるんだったわぁ〜!」
美琴「無理すんな運痴」


「さっすが初春ぅ―――!!!」
「わっ」
「なんで下に体操服着てるの?」
「すぐ競技に出られるように… ひっぱらないでください」


上条「あ、うん……まぁ、美琴も短パン穿いてるしな…」
美琴「何ちょっとガッカリしてんのよアンタは!」
婚后「ハ…ハレンチですわ!」
食蜂「男性にとって、女性の下着ってそんなに覗見力を発揮したくなるものなのぉ?」
上条「ひ、人を変態さんみたいに言うんじゃありません! そりゃ盗撮とかの犯罪はしないけどさ、不意の事故で目に入ったりとかあるじゃん? ラッキースケベ的なさ。そういうのに憧れがない訳じゃ、はい全く無いですので皆さん怖い目をして能力を使う準備をしないでくださいすみませんでした」


「何やってんのよアンタらぁ―――ッ」
「あっ お姉様お待ちに……」
「すみませんでしたっ」


上条「『何やってんのよ』はこっちの台詞だよ。何してんだよ、お前」
美琴「だだだって! この時は佐天さんが襲われてると思ってたから…その……すみません…」
婚后「まぁまぁ、御坂さんも悪気があった訳ではありませんし」
食蜂「白井さんが止めてなかったら、かな〜り迷惑力をかけてたけどねぇ」
美琴「うっぐっ…!? だ、だから反省してるってば…」
上条「はぁ…まぁ大事には至らなかったんだし、俺も美琴の立場だったら同じ事してたかも知れないしな。でもなるべく今後は、早とちりとかすんなよ?」
美琴「わ…分かってるわよ……」
上条「ん。エラいエラい」
美琴「ふぇっ!!? な、何て頭なでなでとかしてんのっ!!?///」
上条「えっ? ああ、悪い。(子供扱いしすぎたか…)」
美琴「べ、別に…悪くはないけど……///」
食蜂「……ラブコメの波動力を感じるわぁ…」


832 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:48:38 3dY7ix66
『―――本日の競技は全て終了しました 引き続きナイトパレードをお楽しみください』


上条(…っと、ここでオリアナとの一件が片付いたのか)
食蜂「って言うか御坂さん…子供に混じってカエルに手を振って、恥ずかしくない訳ぇ?」
美琴「は、恥ずかしくないもん! それとゲコ太はカエルじゃないの! ゲコ太はゲコ太っていう生き物なの!」
食蜂「あのねぇ…カエルの中の人だって仕事力で手を振ってるんだから、そんな幼稚力みたいな事を―――」
美琴「中の人とかいないわよっ!」
婚后「そうですわよ! これをご覧になっている方達の夢を壊すような事は仰らないでくださいな!」
食蜂「ああもう、分かったわよぉ! 勝手力にすればぁ!?」
上条(………裏で刺突杭剣の事とか色々あったんだけど…何かもう、どうでもよくなってきた…)


「盗られたもの…そうですネ 御坂美琴との思い出…… とカ」


婚后「ここから貴方の謀略が始まりましたのね…?」
食蜂「謀略とか人聞きの悪い事を言わないでくれるかしらぁ。私は私で、色々と理由力があったんだゾ☆」
婚后「このような暴挙に出る理由とは一体何ですの!?」
食蜂「それは言えないわねぇ……ねぇ? 御坂さぁん?」
美琴「……そうね。癪だけど、ソイツの言う通りなのよ婚后さん」
婚后「なっ、なぜ御坂さんが食蜂操祈の肩をお持ちになりますの!? 白井さん達が御坂さんの記憶を―――」
食蜂「めんどいから記憶消去」
婚后「記憶を―――って、あら? わたくしは何に対して憤りを感じていたのでしょう?」
上条(多分…美琴がこの後、何かに操られる事と関係があるんだろうな……)


(見張り!? しかもよりによって食蜂操祈の派閥メンバー!!!)
「まあ。御坂さん。わたくしあなたとは一度ゆっくりお話したかったんですのよ。よろしくお願いしますね」


上条「なあ美琴。やっぱ食蜂のことは苦手なんか?」
美琴「そりゃそうでしょ。何から何まで正反対なんだし、利害が一致しなきゃ一緒に行動することだってお互い躊躇うわよ」
食蜂「そうよねぇ。ほぉんと。私たちって正反対。特にぃ、胸とか胸とかあと胸とかぁ」
美琴「…だよねぇ。ホンっト、私たちって正反対。特に運動神経とか運動神経とかあと運動神経とか」
食蜂「むぅーっ!!」
美琴「ふぅーっ!!」
婚后(あぁ……両方【胸と運動神経】とも兼ね備えていますわたくしでは仲裁に入りますと余計角が立ちそうですの……)
上条「あのー婚后さん? あなたは何故、優越感のこもった笑顔を浮かべておられるのでしょうか?」


「食蜂様の『最適化』は絶対ですので」


美琴「どうもオカシイと思ってたら、綿辺先生まで操ってたんかアンタ…」
食蜂「だってぇ〜! 私の『最適化』は絶対力だしぃ」
上条「つーか食蜂が操る人って、みんな食蜂みたいな目になるのか? 何かキラキラしてる奴」
食蜂「そうよぉ。可愛いでしょぉ?」
婚后「ま…まぁ確かに、そこだけならば美しいとは思いますけれども……」
食蜂「…あなたには聞いてないんだけどぉ……」


「絶好調ですわね婚后さん」
「先程も解説の方に賞賛されてましたわ」
「ほ…ほほほ その解説者なかなか見る目がありますわね」


婚后「ま、まぁこの程度でしたら、わたくしの手にかかれば何て事もありませんし」
美琴「照れてるわね。婚后さん」
婚后「そそそそんな事ありませんわよ!? この婚后光子、いくら友人である湾内さんと泡浮さんに賞賛されたかと言ってそう易々と照れたりなどは―――///」
食蜂「分かってたけどぉ、どうやら虚偽力が無いタイプみたいねぇ」
上条「美琴と同じタイプか」
美琴「は、はぁ!? だ、だ、誰が言葉とは裏腹に本当の気持ちが表情に出ちゃうツンデレだって言うのよ!!!///」
上条「いや…そういうところが」
食蜂「って言うか…そこまで言ってないんだけどぉ?」


833 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:49:22 3dY7ix66
「風船と言えば御坂さんが双子だとは知りませんでしたわ」
「え?」
「昨日の紙風船の競技、出てらしたのは妹さんでしょうか?」


美琴「この時は本当にびっくりしたわよ。他の誰も気付いていなかったのに婚后さんが気付いていたなんて」
婚后「ふふふ。わたくしこう見えましても『人を見る目』は確かなものでして」
食蜂「これは真面目にビックリなんだゾ☆」
上条「まあ、さすがに御坂妹がクローンだってことは知らないだろうけど」
婚后「ええ!? 御坂さんの妹さんがクローンですって!? ひょっとして都市伝説にありました超電磁砲クローン計画は実は実話なので!?」
美琴「ち、ちがっ!! そ、そんな訳ないじゃない!! コイツがただ中二病なんで妄想癖が強いだけよ!!(このアホンダラゲ!! 学園都市機密事項をサラッと口にするんじゃないわよ!!)」
上条「(わ、悪かった! 悪かった!! でもどうやって誤魔化そう!!)」
美琴「(〜〜〜〜〜ここは食蜂に頼むしか……けど……)」
食蜂「はぁい、改竄改竄☆」ぴぴっ
美琴「へ?」
婚后「あら? わたくしったら今、何をしていたのでしょうか?」
美琴「食蜂?」
食蜂「……私にも事情があるってことぉ……」


「(あのっ…婚后さん!)」
「(お願いがあるんだけど…)」


上条「少々会話しながらでも、周りの妨害をあっさり退ける、か……さすが美琴だな……」
婚后「上条さん? 上条さんの目が御坂さんにしか向かないのは理解しておりますが、このときはわたくしも撃退に一役買っているのですよ?」
美琴「こ、婚后さん! 何自然とトンデモないこと言ってんのかしら!?///」
食蜂「はぁ……婚后さんは御坂さんの味方なのねぇ……操祈、ショック〜〜〜……」
婚后「当然ですわ! 前回申しましたように、わたくし佐天さんと約束をしましたから! 御坂さんと上条さんがもがふぉがっ!!?」
美琴「ちょ、ちょろ〜っとお口を閉じましょうか婚后さん///」
上条「?」


「(妹さんを誑かし、あまつさえ白井さんたちの記憶を操作するなど、常盤台生の風上にも置けませんわ)」
「(話は承りました。わたくしが調べてきますから、御坂さんは食蜂派閥の目を引き付けてくださいな)」
「(…ごめん。こんな私事に巻き込んで)」


食蜂「……」
上条「……もしかして、嫌な女なのか……?」
美琴「庇う義理なんて微塵もないし嫌な女ってところは否定しないけど、食蜂が黙り込んでるから先に言っておくわ。これは私の勘違い」
婚后「まあ、この時点の状況証拠からしますと勘違いされるレベルではありましたからね」
食蜂「……別に、フォローなんて頼んでないんだゾ……」ぷい
上条(う゛! な、なんか赤くなって拗ねてる食蜂は妙に可愛いぞ……!)
美琴「……ねぇ? なんか赤くなって拗ねてる食蜂は妙に可愛い、とか思ってない……?」
上条「!!!?! ばばばばば馬鹿言うな! この硬派で紳士たる上条当麻様がJCに萌えるはずがない!!」
婚后「でしたら、どうして御坂さんから目を逸らされておりますの? 状況証拠からしますと何かやましいことでもあるのではないかと勘繰られますわよ?」


「(――御坂さんはわたくしからの情報を信用すべきではありません)」
「(え? なんで…)」
「(わたくしも既に食蜂操祈に洗脳されているかもしれないからですわ)」


食蜂「うぅ……物語の構成上と言ったって、ほんと、この時は辛いわぁ……読者のみなさんに嫌な女扱いされただろうしぃ……」
美琴(マジで落ち込んでんのかな?)
上条「けどまあ、別に御坂妹に危害を加えたわけじゃないんだろ? だったら、俺だけはお前の味方になってやるよ。こう言っちゃなんだけど美琴はお前にあんまり良い印象持ってないみたいだし、その友人の婚后さんも似たようなもんだろ?」
美琴「……」
婚后(反論できませんわね……)
食蜂「ありがとぉ上条さぁん……それなら、ちょっとその胸で泣かせてもらっていいかなぁ……?」
上条「おう。どんと来い」
美琴「って、おんどりゃぁぁぁああああああああ!! 実はそのための演技だっただろこのクソアマぁぁぁぁあああああああああああ!!」
上条「うぉ!? 何だ美琴、いきなり割って入ってきて」
食蜂「てへ☆ バレっちゃったぁ♪」
上条「え? 演技? 嘘?」
婚后「……やはり油断ならない女ですわ食蜂操祈」


834 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:50:02 3dY7ix66
「御坂さん? その携帯……」
(ヤバッ 警戒された?)
「ラヴリーミトンのゲコ太モデルですわね?」
「え? そうだけど… え?」
「ふふっ」
 スッ
「実はわたくしも」
「あ ピョン子!!」


美琴「ピョン子…ピョン子も良いわよね……実際ケータイ買う時、どっちのモデルにしようた悩んだのよね〜!」
上条(色違いなだけじゃね? って言うと面倒な事になりそうだから止めとこ)
食蜂「はぅむ……まぁ……取り巻きの子たちの趣味にまで口を挟むつもりはないけどぉ……趣味はもうちょっと選んだ方が良いかなぁ……」
美琴「何でよ? 可愛いじゃない」
上条「こぼれ話初じゃねーの? (打ち止め以外で)美琴の趣味と合致した奴が出てきたのは」
婚后「わたくしは趣味は人それぞれだと思いますわ」
美琴「婚后さんは蛇飼ってるもんね。爬虫類好きのお嬢様ってのは珍しいかも」
食蜂「御坂さん。はっきり言ってぇ、両生類好きのお嬢様ってのも珍しいわぁ」
上条「ちなみに食蜂の趣味は?」
食蜂「んとー――――これかな?」
美琴「え゛? 何そのたくさんのリモコン。しかも一つ一つ柄とか色とか違うし」
婚后「……食蜂さんも随分と個性的な趣味をお持ちですわね」
上条「あくまでもこのお話のオリジナル設定だからな」
婚后「? 誰に仰っておられますの?」


「御坂さんの鞄のストラップを見てひょっとしたらと思ってましたの」
「あーそれでさっきの……」
 ―― 一度、ゆっくりお話したかったんですのよ――


食蜂「御坂さぁん。ちょっと深読み力あり過ぎなんじゃない?」
美琴「うるさい。アンタの取り巻きなんだから疑うな、って方が無理よ。必ず何か裏があるって思うわ。誰だって私の立場なら」
上条「……お前らホント仲悪いな」
婚后「というか、この時点であればわたくしも疑いますわよ」


「子供向けというレッテルを貼られて困りますのよねえ…」
「あ、わかります」
「お店に並んでいると子連れのお母様がたに変な目で見られたり…」
「新作発売日も寮則で始発から並べなかったり…」
「新作といえば先日発売されたご当地シリーズ。ゲコラーをバカにしてると思いません?」
「原作に対するリスペクトが足りないんですよ」


上条「うわぁ……なんか濃い話してんなぁ……」
婚后「しかも御坂さんが心なしか生き生きしているように見受けられますの」
食蜂「一つ『ゲコラー』に共通する見分け方を発見したゾ☆」
美琴「?」
食蜂「むぅ、ね☆ この子も結構小さいわぁ」
美琴(#`-_ゝ-)ピキ
食蜂「てことはぁ。ゲコ太好きの人ってぇ、やっぱりぃ、お子様なんじゃないのぉ?」
美琴(怒りゲージ MIN ■■■■■■■□□□ MAX (("o(-"-;)プルプル)
上条「おおおおおお落ち着け落ち着くんだ美琴! ほらなでなで」
美琴「ちょ、ちょっと何してんのよ! 私は別に怒ってなんか!!///」
婚后「上条さんも随分と美琴さんの扱いが手慣れてますわ」
食蜂「猛獣使い、の称号を贈るんだゾ☆」


「今年のMフェス。通販限定版を見習ってほしいですわね」
「あー…私ロシアにデモンストレーションに行かされててまだ手に入れてないんですよねー。ネットオークションでも出回らなくて」
「それでしたらわたくし、観賞用と保存用に二個確保してますわよ。パソコンの前で三時間ネバったかいがありました」
「いいなー」
「ですから。今日の参加種目をちゃんとがんばっていただけたら保存用をさしあげますわよ?」
「え、ホント……!?」
「 」
(なんという高度なトラップ…!! 危うく引っかかるところだったわ)
「?」


食蜂「ええっとぉ。普通引っかからないわよぉ? というかこの子もマジで言ってるんじゃない?」
美琴「だーかーらー、アンタの取り巻きを信じろってのは無理よ!!」
婚后「(上条さん上条さん)」
上条「(何何?)」
婚后「(今後ですが、御坂さんに何か言う事を聞かせたい時はゲコ太グッズをプレゼントされればよろしいのではなくて?)」
上条「(そうかなるほど! 確かにそれならいきなり電撃とか無くなりそうだ!!)」
婚后「(え゛……何ですのその喜び勇んだ顔は……)」


835 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:50:52 3dY7ix66
「佐天さんっ!?」
「あ…えっと御坂…さん?」
「どうしたの? 救急車に乗るなん」
「――て」
(私のせいだ――甘かった――)


婚后「御坂さんもわたくしの心配をなされてくれたのですね」
美琴「そりゃー友達が危ない目に合った上に、怪我してたら心配するわよ。ましてや女の子なんだし、顔に傷でも残ったら大変よ」
婚后「その優しさが御坂さんの良いところですわ。ねえ上条さん?」
上条「だよなー。俺んときも(美琴絡みの出来事で)入院してた時は必ず見舞いに来てくれたもんな」
美琴「そそそそそりゃそうよっ!! わわわわわ私だってアンタの心配くらいするわよっ!?///」
食蜂「……珍しく御坂さんが素直ねぇ……」
婚后「みみみみみみ御坂さん!? 御坂さんは上条さんが入院する度にお見舞いに行かれてるので!? ななななななんと健気な!!///」
美琴「へ!? いいいいいいやその! いつも行ってるわけじゃなくてねっ!! 入院しているって知ってるときだけよホントに!!///」
上条「でも毎日来てくれるよな。それも俺が退院するまで毎日」
美琴「!!!!!!!!!?!///」
婚后「ほほほほ本当ですの!?///」
食蜂「……たぶん、このスレ専用のオリジナル設定なんだゾ☆」


「あの…何か事情がおありのようですが…」
「どいて」
「ここは他の派閥メンバーの到着を待って…」
「どいて」

「私を殺してでも止める覚悟がないなら――どいて――」


上条「うわぁ……迫力満点だな美琴……お前、こん時どんな顔してたん……?」
美琴「んー? たぶん、アンタは私と同じ顔するんじゃない? 友達とか周りの人たちが『敵』に怪我させられたなら」
上条「そ…そうか……」
食蜂(茶化せる雰囲気じゃないわねぇ)
婚后「ああ! なんと友達思いの御坂さん! わたくしのためにここまでお怒り頂けるとは!!///」


「聞こえてるわよね? 通信機は避けて破壊したから」
『通信電波からそっちの位置は特定したわ…』
「ひッ、ひゃああああああアアァッ」
 カチカチカチカチカチカチカチカチ
(あ…開かない!! まさかもうシステム全て乗っ取られて…)
『すぐにそこに行ってコイツと同じ姿にしてやるわ……』パチッバチッパチンッ
「ひィイイイイイイイイイイイッッ」
『ただし もし今度私の視界で――私の友達のまわりで―― 一瞬でもコイツ【ロボ】らを見かけたら、アンタがどこにいようと必ず見つけ出して』
 ガチガチガチガチ

『潰すわよ』


食蜂「さすがは御坂さんの迫力ねぇ。このキモオタデブが完全に失神してるわぁ」
美琴「まあ、ちょっと私のセリフがカットしてあるけど、それはこの男とアンタが関わり合いがないってことが理由よ。でなきゃ、アンタも一緒に躊躇わず潰すところだったわ」
上条「み、美琴? もっと穏便にだな……」
食蜂「でもぉ、上条さんも御坂さんと同じなんじゃないかなぁ? 私云々じゃなくて知り合いが危険な目に合ってるとぉ」
上条「え? そりゃまあ…多分……そうなる、かな……?」
婚后「ちなみに上条さんでしたら何て口上を述べられます?」
美琴「きっとこうね。『許しはテメエが怪我させた婚后さんに乞いな。俺は始めからお前を許す気はない、のさ』とか言って、この男が命乞いしてきたら『やれやれ。テメエ正真正銘史上最低の男だぜ。テメエのツケは金では払えねえぜ!!』と叫んでから拳を一〇〇〇発この男に叩き込むの」
上条「俺はどこぞの三代目主人公か?」
食蜂「違うわよぉ。きっとぉ『今にも泣き出しそうな女の子を守る側に立てりゃあ、こっちはそれで本望なんだよ』とか言って、この男に向かってくんじゃないかなぁ」
美琴「ああ、それもあり得そうね。でも別に私、泣き出しそうな顔してないわよ?」
食蜂「あ! うん! そうよねぇ! 『今にも泣き出しそうな』はいらないわねぇ!!」
婚后「? 何を取り繕っておられますの? しかも珍しく素ですわよ食蜂操祈」
食蜂(こんなところで婚后さんの人を見る目力発動なんだゾ☆)
上条「つーか。俺ってそんなキザなセリフを言ってんのか?」
美琴「とことんまで無自覚ね。いつも言ってるわよ」


836 : 大覇星祭こぼれ話Ⅴ :2014/10/15(水) 22:51:41 3dY7ix66
上条「さて、と。今回はここまでか」
美琴「はぁ……何か疲れたわ……」
食蜂「お互いさまなんじゃないかしらぁ? 私も御坂さんといると意外に気疲れするんだから」
美琴「……そうは見えないけど」
婚后「それにしても御坂さん。わたくし、今回、御坂さんの恋のキューピットになるつもりでやってきたのですが、その必要はありませんでしたわね」
美琴「!!!!!!!!?! なななななな何言っちゃってくれてんのかな!?///」
食蜂「ホントよぉ。私は結構本気で上条さんと御坂さんを引き離そうとしたんだけどねぇ……最初のOPトークで心折れそうになっちゃってたからぁ」
上条「んー? 何言ってんだお前ら?」
婚后「だって、上条さんったら、御坂さんの事を下の名前で呼んでますもの。それでしたらわたくしの出番はありませんわ」
美琴「こ、婚后さん! ちょっと黙りましょうかっ!!」
上条「下の名前? って、あー」
食蜂「?」
上条「そういや気付かなかった。前回と前々回のゲストがゲストだったんで、ずっと『美琴』って呼んでたから、今回も引き摺ってたわ。悪ぃ。次回からはちゃんと『御坂』って呼ぶから」
美琴「へ?」
食蜂「は?」
婚后「ん?」
上条「いやー気付かなかった。何だよ、お前ら全員気付いてたなら言ってくれりゃよかったのに」
美琴「……」
食蜂「……」
婚后「ということは――」
食蜂「よぉし!! まだチャンスはあるってことなんだゾ☆」
美琴「……やっぱりアンタはアンタでアンタなのね……」

―――――――――――

美琴「……で? 何でアンタはまだ居んのよ? 婚后さんは帰ったのに。むしろアンタが帰れば良かったのに」
食蜂「それはもちろん。次回もぉ、私の干渉力が高いからなんだゾ☆」
上条「何か随分生き生きとしているな。何か良いことでもあったのか?」
食蜂「くふふ。そりゃあねぇ、『御坂』さん?」
美琴「く……」
上条(次もこのギスギスした空気で行くのかね……)
??「ふむ。どうやらここのようだな」
食蜂「!!」
美琴「!?」
上条「お? どうやら次回のゲストが到着したようだな、ってお前ら何強張ってんの?」
美琴「い、い、い、今の声ってまさか…」
食蜂「ど、どうしてぇ、あの人がぁ……」
??「ん? 御坂がいるとは聞いていたが――食蜂もいるのか?」
美琴「ちょーっ! 何で寮監様が!?」
上条「寮監?」
寮監「ああ。私は常盤台女子寮の寮監をやっているのでな。ちなみに本名は聞くなよ? 原作設定されていないから答えようがない。ところで食蜂。お前どこへ行く気だ?」
食蜂「え? ええっと、ちょっと用事力が備わったんでぇ、帰ろうかなぁ、って! 御坂さん!? どうして私の腕を掴んでるわけぇ!? ほら! 御坂さんの不快力を上昇させるモノが当たっちゃってるわよぉっ!!」
美琴「な、何言ってるかなぁ!? アンタも引き続き次回のゲストなのよ!! 仲良くやりましょうよ! ねえ!!」
上条「何だ? いきなりどうした? 今回アレだけ仲が悪かった二人が急に仲良くなったぞ?」
寮監「何? 貴様らまだ仲違いしてるのか?」
食蜂「――――!!!!!!!!!?!」
美琴「めめめめめめめ滅相もありません! 次回を見れば私たちが別に仲違いしてるなんて思いませんから!! ねえ食蜂!!」
食蜂「そ、そうですわぁ!! 御坂さんの言うとおりぃ! 私たちちゃんと仲良くしてますからぁ!!」
寮監「なるほど。では、じっくりと観賞させてもらおうか」
美琴&食蜂「「は、はい〜〜〜〜!!」」
上条「てことで次回ってか?」(それにしても御坂と食蜂を震え上がらせるこの人ってどんな人なんだ……?)


837 : 我道&くまのこ :2014/10/15(水) 22:52:28 3dY7ix66
以上です。
大覇星祭編はあと2〜3回くらいかな?
ではまた。


838 : くまのこ :2014/10/16(木) 20:30:50 4.1DXKo.
連投すみません。
支部でリクを受けたので、酔っ払った上条さんがキス魔になる話を書いてみました。
R-17くらいです。
約3分後に4レスです。


839 : キス魔条ドラキュラ :2014/10/16(木) 20:33:46 4.1DXKo.
第五学区。
ここは大学や短大などが多い学区であり、
その性質上、居酒屋などの未成年が利用できない施設も多い。
『彼ら』が今どんちゃん騒ぎをしているのも、そんな居酒屋の一室なのだが、
その片隅で御坂美琴は少々居心地が悪そうに、一人寂しくウーロン茶をチビチビと飲んでいた。

(どうすんのよ…この惨状……)

美琴の目の前に広がるのは、

「あれ〜? ちょっと〜、お酒が足りらいじゃんよ〜! ビール追加してくれじゃ〜ん!?」
「黄泉川先生。ちょっと飲みすぎ。いくら何でも。羽目を外し………むにゃむにゃ」
「おいこら姫神! 私の膝を枕代わりに寝ないんでほしいんだけど!?
 …あっ、でも上条当麻なら話は別だけど」
「おいおい先輩〜…ボクはカミやんやあらへんよ?
 でもでも、先輩がええんやったら遠慮なくゲブラァッ!!!」
「教育的指導!なのです! 全くもう…いいですか皆さん? お酒は飲んでも飲まれるな、なのですよ?
 先生のように適度な量を嗜むのが大人としてのですね―――」
「そうは言っても小萌先生、すでに一人で焼酎3本空けてるぜい? それでもまだ飲むのかにゃー?」
「…確かに、黄泉川先生も小萌先生も飲みすぎね。
 上条当麻ー! 貴様ちょっとスポーツドリンクでも注文してき…って、あれ?
 上条当麻はどこ行ったのかしら?」

まさに「二次会」のあるべき姿が広がっていた。
みんな泥酔…という訳ではないが、ほろ酔いの良い気分の状態で盛り上がっている。
だがそんな中、一人だけへべれけになっている人物が一人。

「にゃっほ〜、ミコっちゃ〜ん…そ〜んな所で飲んでないで〜、上条さんにお酌してくらはいよ〜」

頭にネクタイを巻き、一次会のお土産である折り詰めの寿司の紐を指で摘み、千鳥足で近づいてくる、
いつぞやと同じ姿の上条当麻がそこにいた。

「…何でアンタだけ、そんなにベロベロなのよ……なに? お酒弱いの?」
「失敬でありますな! 上条さんはベロベロなじょでわあるぃみゃしぇむどばおふめんぴゃらぼて」
「後半、何言ってるのか全然分かんないんだけどっ!!?」

美琴が酔っ払いの相手をしている間に、今のこの状況が一体何なのかを説明させて頂こう。
実は先程まで、とある高校の同窓会が開かれていたのだ。
美琴も、上条たちが3年に上がる年にその高校へ進学したので、こうして呼ばれているのである。
(ちなみに、中学時代は「常盤台の超電磁砲」と異名を持っていた美琴が、
 なぜ上条たちの通うような平凡な高校へと進学したのかは…まぁ、察していただけるだろう)
そして一次会が終わり、仲の良かったグループ同士に分かれての二次会となった訳だが、
上条たちは二十歳以上(上条だけは早生まれなので、他とは違いギリギリ二十歳)なのでお酒を飲み、
ただ一人の未成年である美琴はシラフだったのだ。
そんなただでさえ気まずい状況なのに、ここにきての絡み酒だ。面倒くさいにも程がある。

「ほ〜らぁ〜…ミコっちゃんも飲みねい飲みねい」
「だっからぁ! 私はまだ19なんだってば! あぁもう、うっとうしい!」

美琴は上条の背中に手を回し、肩を貸して立ち上がった。
そして近くにいたサングラスの男に、小声で話しかける。

「あの…すみません。何かコイツだけめんどい事【へべれけ】になってるんで、もう連れて帰します」
「…おっ? お持ち帰りかにゃー?」
「違いますよっ!!!」

慌てて言葉を返す美琴だが、確かにそうにしか見えない。

「冗談冗談。カミやんはこの前二十歳になったばっかで、酒を飲むのも今日が初めてだったから、
 飲むペースが分かんなかったのかにゃー?
 まぁ確かにもう帰した方が良さそうだし、介抱頼んだぜい」

サングラスの男はそう言うと、上条の代わりにスポーツドリンクを注文し始めた。
美琴は後の事をサングラスの男に託し、上条を抱えて二次会の会場を後にした。
他の者に気づかれると面倒くさそうなので、あくまでもこっそりと。


840 : キス魔条ドラキュラ :2014/10/16(木) 20:34:36 4.1DXKo.
ビジネスホテルである。
上条を担いで店を出た美琴だったが、完全下校時刻などとっくに過ぎており、終電も間に合わなかった。
当然、美琴の住む寮にも上条の住む寮にも帰れず、こうしてビジネスホテルにチェックインしたのだが、
若い男女が酔った勢いでホテルに宿泊するというのはつまりはそういう訳で―――

「いやいやいやいやないないないないっ!!!!!」

―――はないらしい。
美琴は担いでいた上条をベッドの上に放ると、この現状がどんなものなのかを改めて冷静に分析し、
自ら導き出した結論を自分自身で否定する。
あのサングラスの男も言っていたではないか。これはあくまでも、ただの「介抱」なのだ。
だが上条の様子を見るに、美琴の頭に浮かんだような危険は無さそうだ。
今の上条は確かに酔ってはいるが、酒の勢いで『何か』をする程の余裕もないくらいに泥酔している。
おそらく、このまま放っておけば勝手に潰れて眠ってしまうだろう。
















とでも思っていたのだろうが、そうはいかなかった。
美琴がシャワーでも浴びる為(変な意味ではなく)に、その場を離れて浴室に向かおうかとした瞬間、
彼女の右腕が何者かに掴まれた。
いや、何者かもなにも、この空間には美琴の他にもう一人しかいない。

「えっ!!? な、ど、どうしたのよ急に!?」

振り返ると、勿論そこには上条がいた。
上条は先程までとは打って変わって、目をパッチリと開けて美琴の腕を掴んでいる。

「美琴が…逃げようとするからだろ?」
「ふぁえっ!!? ア、アア、アンタ! ま、ま、ま、まさか最初から酔ってなかったのっ!?」

ハッキリとした受け答え。とても酔っているとは思えない。
もしかして上条は、美琴をホテルへ連れ込む為にわざと酔っ払ったフリをしていたのだろうか。

「当たり前だろ? 美琴の××を××する為に、上条さんは××を××させて、××××」
「……………」

いや、やっぱり酔っ払っているようだ。
上条は普段、こんなストレートな放送禁止用語【ドしもネタ】を堂々と言うキャラではない。
それは(美琴は知らないが)オリアナ姉さんの仕事である。
本来ならば、上条からのお誘いなど、なんやかんや言い訳しつつも、
最終的には甘んじて受け入れてしまう美琴であるが、今回は状況が状況だ。美琴も軽い溜息を吐き、

「あー…はいはい。とりあえず寝ときなさい。明日起こしてあげるから」

とあしらい、再び浴室に足を運ぼうとする。
しかしその塩対応な態度が、逆に上条の何かに火を点けてしまったようだ。
上条は掴んでいた美琴の腕を、そのままグイッと引っ張り、
自分が横になっているベッドへと引きずり込む。

「きゃっ!!? ちょ、何すんのよ!」
「さっきも言ったろ? 美琴が逃げようとするからだよ」

すると上条は、「もう逃がさない」と言わんばかりに美琴を押し倒す形で覆いかぶさり、
そのままの状態で両手を掴んだ。

「ちょ、馬鹿っ! アンタ自分が何してるか分かってんのっ!?
 こういう事はお酒が入ってない時に……その………ゴニョゴニョ…」

真っ赤に染めた顔を背け、何やらごにょごにょと言い出す美琴。
本気で嫌ならば電撃の一発でもお見舞いすれば済む話なのだが、そうしない時点でお察しである。
そんな美琴の様子を理解しているのかいないのか、上条は「くすっ」と笑い、
美琴の耳元で甘い言葉を囁く。

「美琴の肌って綺麗だよな…スベスベしてて……思わずキスしたくなっちまうよ」
「は、はぁっ!!? な、なな、何バカな事言ってんのよアンタはっ!?」

と言いつつも、未だに抵抗する様子のない美琴。お察しである。
だが上条は、そんな美琴の態度を「酔っ払いを相手にしている事に対する余裕」だと解釈し、
少々ムッとしたのでトドメを刺しにきた。

「……じゃあ今から、俺が酔ってないって事を証明してやるよ」
「何よ…きゅ、急に真剣な顔しちゃ………んむっ…………………………?」


841 : キス魔条ドラキュラ :2014/10/16(木) 20:35:15 4.1DXKo.
一瞬、美琴には何が起きたのか分からなかった。
唇に何か柔らかい物が当たったかと思ったら、口から鼻にかけてお酒の臭いが通り抜ける。
そして、上条の顔がいつの間にか間近に迫っていた。

「…!!!!!!!!???」

と、現状を把握した美琴は、ここにきてようやく抵抗し、上条を突き飛ばしたのだった。

「なっ!!! ばっ!!! は、はじ、はじ、初めてっ!!! キッ!!! キキキッ!!!」

これでもかと言うくらい赤面しながら非難の言葉をかけようとしている美琴だが、
聞いているのかいないのか、上条はさらりとスルーして、
キスしたばかりの唇をぺロリと舌なめずりしながら、自分の言いたい事だけを伝える。

「何、驚いてんだよ。美琴だって気持ち良かっただろ? なんたって……美琴は俺の事、好きだもんな」
「っ!!!?」

心臓が止まるかと思うほど、上条の口から有り得ない言葉が。
どうやら酔い条さんは、上条さんよりも遥かに女性の心を理解する力が高いらしい。皮肉な事に。

「それに…俺も気持ち良かったしな。美琴の唇って、俺とキスする為に存在してたんじゃねーの?
 けど足りないな。もっと美琴と…キスしたい」

しかも歯の浮くような事までサラリと言ってのける。
どうやら酔い条さんは、普段は眠っている上条さんの野生的な部分をさらけ出し、
キス魔へと変貌してしまうようだ。
上条は再び美琴に近づき、今度は両手で美琴の顔を掴んだ。そしてそのまま、

「んんんっ!!!!?」

二度目のキスをした。
一度目よりも長く、いやらしく、舌を絡ませた大人のキスを。

「んーっ!!! んーっ!!!」

最初は抵抗しようとした美琴だったが、

「んっ……んー♡」

やがて上条の執拗な舌使いに陥落し、力も抜けて上条に身を委ねるようになり、

「んぶっ…♡ ちゅくちゅく…ぷちゅるっ♡ ぁ、んは♡ れぉ、れろ♡ あっ、んぷぁっ!♡」

いつしか自分からも舌を動かすようになっていた。
上条が唇を離すと、「あっ、だめぇ…もっとぉ〜…♡」と顔をトロけさせながらおねだりまでする程に。
上条は美琴の表情と言葉に満足するように目を細め、
素直におねだりが出来たご褒美をあげてあげる。

「じゃあ…これからもっとキスしてあげるよ。…美琴の身体中に、な」

すると上条は、キスという名の愛撫をし始めた。
唇から頬。

「ふあっ!? くすぐったい…よ、ぉ……♡」

頬から耳たぶ。

「あ、っん! だ、め! そこ、弱いん…りゃからぁっ……♡」

耳たぶから首筋。

「あっ、ひゃっ!? んっく、あ、やっぁ……感じ…ちゃ、うぅうっ!♡」

首筋から鎖骨。

「んんっ♡ あっ、はぁ…♡ こ、れ以上は、ぁ…も、もう…♡ んくぅぅっ!♡」

もはや身体のどこを攻められても敏感に反応してしまい、卑猥な声を漏らしてしまう。
上条が先程、「美琴の唇は俺とキスする為に存在してた」と冗談半分に言っていたが、
あながち間違ってもいないらしい。
美琴の身体は今こうして、上条にキスされ、舐られる為に存在しているのだから。
そして美琴の身体もまた、そうなる事を望んでいるのだから。

唇から下へ下へと這っていった上条の舌だが、胸元に来たところでピタッと止まる。

「……胸【ここ】は後のお楽しみに、だな」

どうやら上条は上条で、プランのような物があるらしい。
後のお楽しみという事は、つまりは後のお楽しみという事だ。
上条は美琴の服をグイッと上にずらし、露になったおへそをチロチロと舐める【キスをする】。

「やっ…! ちょ、やめっ!  あっ、んっ…♡ 変な、とこぉお!
 あ、はぁ…♡ 舐めな、い、でぇぁあんっ!♡」
「ちゅぷっ、ちゅぶ……そんな可愛い声出しながら言われても、説得力ないぜ…?」

レロレロとおへそを堪能した上条は、一言。

「……美琴の身体って、どこも柔らかくて甘いんだな。とっても…美味しいよ」
「は…恥ずか…しい事…言わ…ないで…よ…馬鹿ぁ……」

今にも泣き出しそうな声を出しながら、真っ赤な顔を手で覆う美琴。
そんな事を言われたら、益々イジメたくなってくるのが男の性という物だ。

「じゃあ…もっと恥ずかしい事してあげようか…?」

そして上条は―――


842 : キス魔条ドラキュラ :2014/10/16(木) 20:36:15 4.1DXKo.
















―――そこで目を覚ました。

「…あー…変な夢見ちまった……」

上条が見た夢は、同窓会の帰りに美琴とビジネスホテルに泊まり、
自分が美琴のあんな所やそんな所に、あんな事やそんな事をしてしまったという、夢のような夢だった。

「ははは……はは……はぁ…何なんですかね?
 もしかして上条さんってば、相当『溜まって』らっしゃるんでせうか…?」

頭をかきながら、ベッドの掛け布団を剥がす上条。しかしここで違和感が。

(…ん? 『ベッド』の掛け布団…?)

現在、上条は大学に進学しており、当然ながら高校時代の寮には住んでいない。
しかしながらライフスタイルが大きく変わったかと言われれば、決してそうではなく、
やはり高校時代同様、浴槽に布団を敷いて寝ているのだ。
ベッドは勿論、腹ペコシスターとミニミニ魔神と三毛猫(オス)が占領しているのである。
つまり、普段ならベッドで寝ている筈がないのである。
しかしそれは、まだ異変の序章にすぎなかった。ふと隣を見ると、そこにはなぜか、

「あっ…♡ あっ…♡」

と虚ろな目をして、顔を上気させ、だらしなくヨダレを垂らし、着衣を乱らせて、
「ビクンビクン」と痙攣する美琴の姿がそこにあったから。
一瞬あまりの出来事に思考が停止しかけた上条だったが、うわ言のように呟いた、

「せき…に、ん……とって…も…らう、んりゃ、からぁ〜………♡」

という美琴の一言に、顔が真っ青になった。

「せっ! せせせ、責任って!!? 責任って何ですか美琴さんっ!!!?」

上条は絶叫した。



ちなみにだが、数年先に上条が正式に『責任』を取る事になるのだが、それはまた別の話である。


843 : くまのこ :2014/10/16(木) 20:37:08 4.1DXKo.
以上です。
B地区とか出てないから、エロスレの方じゃなくても大丈夫ですよね…?
ではまた。


844 : ■■■■ :2014/10/16(木) 21:22:34 rFhe0Vdc
あれだけ恥ずかしがり屋だったくまのこさんが…
エロ感覚麻痺しちゃってるw

ここでも問題無いですが、間違いなくエロですw


845 : ■■■■ :2014/10/16(木) 22:20:10 zecj9paM
くまのこさん エロスレで待ってます!!(切実)


846 : ■■■■ :2014/10/17(金) 08:41:22 HvOr5ndU
おう、エロスレ投下まだか? あくしろよ


847 : ・・・ :2014/10/19(日) 11:45:23 ZBU5vYx2
ども、・・・です


ごめんなさい、みなさん。
夏祭りの前後篇は、
各3話の合計6話なの、
長くなってごめんなさい。


>>はりねずみさん
グロは原作準拠でいいんじゃないでしょうか?マリアンがハードルをめちゃくちゃ下げましたけど。
あれ? 筋ジス関係の破壊じゃなくて、防衛っぽい???
「私」ならどう考えるか? 伏線が気になって仕方がない。


>>明さん
早いなー、初回でインデックス攻略してるよ(笑)
シリアスか、タイトルから不穏だしね。シリアスは不足してたし、はりねずみさんと合わせて楽しみです。
クリスマスに彼女がどう動くのか!! 早めに書いてくださいな!!!


>>我道&くまのこさん
ごめんよ、婚后さん、そのアホきっとチェスのルールすら知らないんだ。
11巻の後のせいか、食蜂に少し同情。
実は思考回路似てんじゃね? この2人。次回は息を合わせて寮監をだましましょー。


>>くまのこさん
あーうん、エロじゃなくて……エロいよ!!!!!
ここでもセーフだけどね!! 直接的じゃないのにこんなにエロいなんて!!
しかし、介抱したのが美琴じゃなかったら、こんな行動しないと思うのは、上琴派の欲目ですかねぇ?


では、投稿します。
書きたいシーンまでがほんと遠い。

それでは


848 : 夏祭り 前篇 2 :2014/10/19(日) 11:46:59 ZBU5vYx2
夕日が差し込む。
上条が目をさましたとき、すでに1日は終わろうとしていた。
時間の進みかたがおかしいのは夏休み終了間際の恒例とでもいうのか?
寝室を出て、リビングのドアを開ける。
目の前には

「だーぶー」

「ふ、振り回すなー!! は、離せーーー!! 」

インデックスに弄ばれるオティヌスと、

「元気そうですね」

「……あぁ、そうだね」

シリアスな感傷に浸るステイルと神裂。
因みに彼らが見ている光景は、お人形が悲鳴をあげているギャグシーンである。
そして傍らではスフィンクスに威嚇されている美琴が膝をついていた。
その横では爆笑した表情のまま、トールが焦げている。大方美琴を笑いでもしたのだろう。
相変わらずの混沌に、上条はいつものように

「不幸だ」

と、呟いた。
ようやく周囲が上条に気付く。

「大丈夫ですか!!?」

「痛いところない!!?」

「心配したぞ、人間」

「ありがとな。攻撃したのもてめぇらだけどな」

「そのまま起きなくても良かったんだけどね」

「よし、その喧嘩、買った」

「……はっ!!! いらっしゃーい、喧嘩はいりませんかーー!!?」

「売ったら買うと思うなよ?」

「ぱーぱ!!」

「なんだ? インデックス」

「ばーばい!!」

「…………」

どっかいけってか。

もうツッコミ疲れた上条はなにも言わず、テーブルに肘をつき、椅子に座る。
今更だが、テーブルは10万、椅子は5万である。
それを知ったら上条はこの家では生きていけない。
安い方なんだもの。


849 : 夏祭り 前篇 2 :2014/10/19(日) 11:48:23 ZBU5vYx2
「で、お前らは何しに来たんだ?」

ステイルと神裂は一瞬間を開けていう。

「神裂と休暇が重なったんだ。たまたま偶然ね」

「偶然たまたま彼もこの子に会いに行くと聞いて一緒に行くことになったんです」

上条と美琴が二人を見る。

「「……たまたま?」」

ジト目で。

「「……たまたまだ(です)」」

本当にそうならこっちを向いてほしい。
インデックスが二人をきょろきょろ見た後、頭を傾けた。
ずっと後ろ向いてるのはおかしいよね。
……ルーンの天才と聖人がいないけどイギリス清教は今大丈夫なのか?

上条はため息をついてそこを流す。

「それで、インデックスと遊びたいと」

ようやく魔術師はこっちを向いた。

「はい、3人で遊びにいきたいのですが、よろしいですか?」

それを聞いた美琴がインデックスを抱き上げる。

「ステイルさんと神裂さんが一緒に遊びたいって。
遊びにいきたい?」

「あい!!!」

元気のいい返事だ。微笑む美琴。
しかし、美琴は真面目な顔になる。

「でも、魔術は使ったらダメだかんね」

「あい」

同じ真面目な表情で、心なしか神妙にインデックスは返事をした。
神裂は祈るように手を握り、目を輝かせている。
ステイルは冷静だった。
あ、いや、小さくガッツポーズしてる。
笑顔で奴等は出ていった。

「いってきまーす」

「いっまーす」

「「いってらっしゃい」」

さて、半分は片付いた。

「で、オティヌスだけど」

小さいままじゃん。

「まぁ、見ていろ」

そう言って彼女は手を振るう



そして





ぽんっ、と彼女は元の姿に戻った。

「アーサー王伝説のモーガン・ル・フェイはもともとケルト神話の女神だ。
しかし、彼女は妖精として扱われ、さらには魔女に……どうした?」

上条と美琴は話を聞いていない。
それどころか後ろを向いていた。

「「……なんでもないです 」」

顔を真っ赤にして。
別になんでもない。
先日赤ちゃんになった美琴が元に戻った時のことを思い出したりしていないのだ。


850 : 夏祭り 前篇 2 :2014/10/19(日) 11:49:03 ZBU5vYx2
頭の上に?を浮かべたオティヌスはトールに回答を求めたが、
彼もわからないというジェスチャーで返答する。
しぶしぶ視線を戻し、咳払いをするオティヌス。

「と、いうことで、行くぞ!! 人間!!」

「はぇ?」

上条が変な声を出したとき、
彼はオティヌスに襟を掴まれ、残像となっていた。

「ちょ、ちょっと!! 当麻!!?」

あわてて美琴は玄関に向かうが、
扉に到着するより先に、「ぎゃぁぁぁああああああ」という叫び声を聞く。
外に出ても廊下に人影はない。
下を見ると上条はいずこかへ連れ去られている。
エレベーターのスピードではこんなに速く降りられないし、飛び降りたのだろう。
美琴はあわてて叫んだ。

「当麻!! 帰りに醤油買ってきてーーーーー!!!!!」



















ん????

トールはたっぷり思考に時間をかけ、ようやくポツリと呟いた。

「ミコッちゃん。それ恋する乙女のセリフでないよ?」


数分後、
「お待ちになりやがれ!!」の言葉にようやく元魔神は止まった。
女の子に引っ張られて空を飛ぶ体験なんて…………したな、去年。

「で、なんだよオティヌス?」

「いやいや、私が元に戻れたのだぞ!!?」

「? よかったな」

とりあえず上条を殴った。
もう少し喜んで欲しいと思うのって罪ですか?
あ、これこそ人間が提示した罰ですか、そうですか。

「元に戻ったんだ、やりたいことが山のようにある。貴様には付き合ってもらうぞ」

「じぇんじぇんやぶさかじゃないへど、なんでおふぇ殴られたの?」

もう一発逆の頬を殴る。

「自分の胸に聞け」

その時、オティヌスは何かを目に留めた。

「あれは……」

上条も泣くのをやめて、そちらに視線を向ける。

「……夏祭りか」


851 : ・・・ :2014/10/19(日) 11:57:12 ZBU5vYx2
以上でさぁ


852 : ■■■■ :2014/10/19(日) 16:45:21 P5bI9o4A
・・・さん
待ち望んでました
待ち望んでましたけども!!

上琴成分が足んない
ベビーデックスが少ない

余計欲求不満に…


853 : くまのこ :2014/10/19(日) 21:55:40 3yW613eM
>>・・・さんGJです!
ミコっちゃん…それもう、完全に人妻の台詞やでw
嫁さん姿が板についてきてますな!



支部でリクを受けたので、短編書いてみました。
リクの内容上、「モンスターハンター」のネタが多量に使われています。
クロスオーバーという訳ではなく、上琴の二人がモンハンをやっている、
という話ではありますが、苦手な方はスルーしてください。
約3分後に4レスです。


854 : ひとカミコトうぜ! :2014/10/19(日) 21:58:34 3yW613eM
「一狩りいかない!?」

上条が美琴からの呼び出しに応じて、待ち合わせ場所のファミレスに行ってみると、
店に入った瞬間、美琴に開口一番でそう言われた。
上条は軽く溜息を吐きながら、
美琴から電話で「用意するよう」に言われていた携帯型ゲーム機を、自分のカバンから取り出す。

「いきなりそれかよ。
 …まぁ、『モンハンも一緒に持ってこい』って言われた時点で、そうだろうとは思ってたけど」

『モンスターハンター』
「ハンター」となったプレイヤーが、村や街の依頼でモンスターの討伐等のクエストに臨み、
倒したモンスター等から得た素材を元に、より強力な装備を作成していく…というゲームである。

「けどさぁ、俺と一緒にやってもレア素材は期待できないぞ? ほら、上条さんって不幸体質だし」
「べ、別にいいのよ! 今からやるクエストは、欲しい素材のドロップ率が100%の奴なんだから!」
「そうなのか?」

確かに今から行うクエストは、狩猟すれば美琴の欲しい素材が確実に手に入る。
上条が不幸体質だろうと、ドロップ率100%ならば関係ないだろう。
しかし美琴にとっては、素材収集よりも、
上条と一緒にプレイするというこの状況こそが、それ以上の目的だったりするのだ。
チャレンジクエスト『勇気を出してあの馬鹿でも誘ってみようかな…』である。
その成功報酬は『上条との二人っきりの時間』だ。
本来の難易度は★1だが、上条に対してすぐにテンパってしまう美琴にとっては★3である。
ちなみにこの上位クエストである
『こ、ここここの雰囲気で告白したらもしかしたらもしかしてなんじゃないのっ!!?』の成功報酬は、
『上条と付き合える』なのだが、こちらの難易度は★10以上となっている。
だって狩らなきゃならない相手は鈍感キングの上条だし。

「で? どんなクエストするんだ?」

上条【どんかんキング】は主電源を入れてゲーム機本体を起動させながら、美琴に尋ねる。
すると美琴から返ってきたクエスト名は、

「『ゲコ太おじさんを救い出せ!』、よ!」

だった。上条は、一気に帰りたくなってきた。
モンスターハンターシリーズは他企業とのコラボ企画が多く、
このイベントクエストもその中の一つで、ラヴリーミトンとのコラボらしい。
クエスト内容はガノトトス(湖などに棲息している水竜。カエルが好物)2頭の狩猟。
成功すると「ゲコ太フード」と「ゲコ太スーツ」の作成が可能になるとの事だ。


855 : ひとカミコトうぜ! :2014/10/19(日) 21:59:18 3yW613eM
「しかもね! サブターゲットの腹部破壊でオマケとして、
 釣りカエル(釣りをする時に餌として使用するアイテム)の特別バージョン、
 『ヒゲ付き釣りカエル』も貰えるのよ!
 このイベントでしか手に入らない、超レアアイテムなんだから!」
「ヒゲ付きのカエルって…それゲコ太おじさんじゃねーのっ!?
 腹部破壊ってつまりは胃袋掻っ捌けって事だよな!? 胃の中から取り出せって事だよな!?
 おじさん、ガノトトスに食われてんじゃねーかっ!!!」

もう一度言うが、
クエスト内容はガノトトス(湖などに棲息している水竜。『カエルが好物』)2頭の狩猟だ。
あまりにもな設定に絶叫する上条である。本当に、それでいいのかラヴリーミトン。

「そうよ! だから私達が助けてあげるんじゃない!
 その後、作ったゲコ太フードとゲコ太スーツをアイルーに装備させちゃう【きせちゃう】んだ〜♪」

アイルーとは、モンスターシリーズに於けるマスコット的モンスター
(ドラクエでいう所のスライム、ポケモンでいう所のピカチュウのような)で、
ネコのような獣人である。語尾に「ニャ」をつけて喋る。あざとい。かわいい。
しかも「オトモアイルー」としてプレイヤーのお供に連れて行く事ができる。
でっかい武器を持って、プレイヤーの後をポテポテと歩いて付いて来るのだ。あざとい。かわいい。
報酬で作成可能になるカエルのフードとスーツは、
「オトモ装備」と呼ばれるオトモアイルーの専用装備なのである。
しかし上条は、そのカエルの防具一式をアイルーが装備した姿を想像して一言。

「それもう、ネコなのかカエルなのか分かんねーな」

上条は何となく、カエルの気ぐるみを着たネコがフェアリーテイルに出ていた事を思い出す。
しかしそんな上条の一言を肯定的に受け取った美琴は、満面の笑みを浮かべながら、

「でしょっ!? もう、超〜可愛いでしょっ!?」

きゃっきゃと喜んでいた。
色々とツッコミたかった上条だが、その笑顔を見た瞬間押し黙り、

(ぐっ…可愛いな……)

なんて事を思ってしまったのだった。
隠しクエストの『上条の好感度を上げよう』は、美琴の自覚のない所で成功していた。


856 : ひとカミコトうぜ! :2014/10/19(日) 22:00:00 3yW613eM
二人でゲームをプレイする。
クエスト攻略中の二人の会話や状況説明は、モンハンの専門用語が飛び交う為めんど…
もとい長引くので省略させてもらうが、とりあえずクエストは成功した。
ただ攻略中も上条(の使うハンター)が敵の攻撃から、身を挺して美琴(の使うハンター)を護ったり、
上条が「いや〜、ミコっちゃんがいるとやっぱ心強いわ。このままずっと一緒にいてくれない?」などと
無自覚に言ったりと、ゲームプレイ中でも上条のフラグ体質は健在だった。
しかもそのせいでイチイチ美琴が「ふにゃー」しかけた為、
上条が慌てて「そげぶ」しなければゲーム機がぶっ壊れていたであろう瞬間も、
一度や二度ではなかったのである。

「っキャー!!! 『ヒゲ付き釣りカエル』いっぱい採れちゃった〜♪」
「…それは良かったね〜」

美琴はハイテンションだが、上条にとってはどうでもいいシロモノなので、二人の間には温度差がある。
だが美琴が喜んでくれるのならばと、上条からのサプライズ。

「なぁ、もし良かったら俺のカエルも美琴に―――」
「いいのっ!!!?」
「―――やろう…か……ああ、うん…どうぞ…」

上条がまだ喋っている途中で食い気味にきた。まぁ、あげるつもりだったので別に構わないが。
しかしこのまま素直に渡してしまうのもつまらない。上条は少しだけイジワルな事を言ってみる。

「ん〜、でもそれじゃあ上条さんの取り分が減っちゃうからな〜。せっかくの成功報酬だし〜」
「じゃ、じゃあ私の持ってるレア素材全部と交換で!」
「…えっ、いや……それは流石に…」

このイベントでしか手に入らないと言っても、
「ヒゲ付き釣りカエル」は普通の「釣りカエル」と効果が同じアイテムで、ただの消耗品だ。
元々あげようとしてた物だし、それとレア素材の交換では上条の気が引ける。
物々交換は、それぞれの価値が同等ではないと成立しないのだから。
なので上条は、こんな事を言ってきやがったのだ。

「…じゃあ成功報酬として、ミコっちゃんのキッスでもいただきますかな」

脳内処理が追いつかず、一瞬硬直する美琴。キッスというのは、つまりはキッスの事だろう。
数秒後、みるみるうちに顔を赤くしていった美琴は、上条に対して大声を出す。

「なっ!!!? バ、ババババカな事言ってんじゃないわよっ!!!
 そ、そそ、そんなの出来る訳ないでしょ!!?」
「おっや〜? じゃあカエルはいらないのでせうか〜?
 じゃあいいよ。これは上条さんが使うから。丁度、釣り餌が欲しかった所だしな〜」
「えええっ!!?」

確かに、そのアイテムは釣り餌として存在しているのだが、
しかしもう二度と手に入らない訳で、ゲコラーの美琴からしたら、それはとても勿体無い事だった。

「だっ、駄目っ!!!」
「じゃあ…分かってるよな?」
「…ううぅ………ぁぅ…」

美琴はこれ以上ないくらいに赤面し、上条はそんな美琴を楽しみながら目を瞑る。
なんだかんだ言っても、美琴がそんな事をしないだろうと高を括っているのだ。

「な〜んて冗談冗d、おおぉうわあぁっ!!!」
「………んー…♡ …………………へ?」

数秒後に、目を開けて「冗談冗談」と驚かせようとした上条だったが、
目を開けた瞬間に彼が見た物は、目を閉じた状態の美琴の顔だった。
テーブルを挟んで向かいの席にいるはずの美琴が、何故か目の前まで迫っていたのだ。
上条があと0.3秒声を出すのを遅らせていれば、唇と唇が接触していた程の距離に。
美琴はこの数秒の間に葛藤に葛藤を重ね、導き出した答えが『恥ずかしさ<<<<<ゲコ太』だったのだ。
しかしそれにしても、何故わざわざ『唇を選んだ』のだろうか。ほっぺとかでも良い筈なのに。

「あ、ああっ! じょじょ、冗談ねっ! あ、あはははははっ! そっかそっか!」
「お、おうっ! おお、驚かせて悪かったな! カエルは普通に渡すから!」

お互いに妙な空気を作ってしまい、何か会話がぎこちなくなってしまった。
二人は自分のゲーム機の画面に視線を落とし、プレイを再開させる。
しかしどうにも、さっきの今で気まずい沈黙が流れてしまっている。


857 : ひとカミコトうぜ! :2014/10/19(日) 22:00:46 3yW613eM
と、その時だ。突然、「プルルルルル」と安っぽい電子音が鳴り響く。
上条は慌てて、カバンから携帯電話を取り出した。

「す、すまん! 電話だ!」
「あ、ど、どうぞ! ごゆっくり!」

やはり微妙にギクシャクしているが、それでも電話に助けられた。
あの気まずい空気を壊してくれたのだから。
上条は通話ボタンを押し、「もしもし?」と電話をかけてきた相手に話しかける。

「もしもし? …あ、オティヌスか。何?
 ……インデックスが? ああ、分かった。夕飯までには帰るから。…ああ。そう伝えてくれ。
 え? いや、冷蔵庫にあったと思―――えっ!? 食ったの!? それ、上条さんのですよ!?
 ……はぁ。へーい、分かったよ。諦めますよ。あい、あーい。じゃあな。うん、はーい」

上条は溜息を吐きながら、電話を切った。

「…誰から何だって?」

上条の通話の内容で、電話をかけてきた相手も用件も何となく察した美琴だが、
それはそれとしてもやはり気になるので、上条に尋ねる。若干、不機嫌になりながら。

「いや、オティヌスからだったんだけど、インデックスが腹空かせてるから早く帰って来いってさ。
 それと、楽しみにしてた俺のプリンさんがインデックスに食べられましたとさ」
「……プ、プリンくらい私が奢ってあ―――」

ちょっとした勇気を出して、「プリンくらい私が奢ってあげるわよ」と美琴が言いかけた瞬間、
再び上条の携帯電話が鳴りだした。

「あ、ごめん美琴。まただ」
「奢ってあ―――…どうぞ」
「もしもし? 姫神? ……えっ!? 提出すんの明日までだっけ!? やっべ、すっかり忘れ…
 えっ!!? ホ、ホントにいいのか!? サンキュー姫神!
 うん、うん。ああ、書き写したらすぐに返すから。いや〜、これで補習しなくて済みますよ。
 本当にありがとな! ああ、じゃあな!」
「…今度は?」
「ん? ああ、クラスメイトから。実は課題やるの忘れててさ。
 今日この後ノートを借りにいく約束をしたんだよ」
「べ、勉強くらい私が一緒に―――」

と、またもや携帯電話が鳴りだした。美琴は何だかイライラしてきた。

「あ、雲川先輩? はい。今、大丈夫ですけど―――」

だがその後も

「吹寄か? ああ、さっき姫神から聞いたよ―――」

その後も

「五和? どうした急に? ……えっ!? 今度、学園都市に来るって―――」

その後も

「よー、神裂。よく電話かけてこれたな。……あっはっは! 冗談だって、そんなに怒るなよ―――」

その後も

「その声は御坂妹だな。今、病院か?
 ……あ、じゃあ冥土帰し【いつものせんせい】に伝言頼めるか―――」

その後も

「しょく…ほ…? ん〜…聞き覚えあるようなないような…? まぁ、いいや。で、俺に何の用―――」

その後も

「…オルソラ? それ多分、俺じゃない。間違え電話だぞ―――」

電話を切ればまた別の女から。
その電話を切るとそのまた別の女からと、取っ替え引っ替えに着信が来る。
最初は我慢していた美琴だったが、やがて限界に達した。
ゲーム機を持っていた手にも思わず力が入り、「みしり…」とゲーム機から嫌な音を出させながら、
美琴は大声で叫ぶ。

「ア・ン・タ・は〜〜〜……
 私とゲームしてるっつーのに、何、他の女とイチャコラしてんだゴルァアアアアアッ!!!」

そんな嫉妬という名のタル爆弾を爆発させている美琴の心境を知ってか知らずか、
ゲームからは暢気な声が聞こえてきたのだった。

『上手に焼(妬)けました〜』

と。


858 : くまのこ :2014/10/19(日) 22:01:47 3yW613eM
以上です。
ちなみに、最後の「上手に〜」というオチの部分もリク通りですw
ではまた。


859 : はりねずみ :2014/10/20(月) 00:00:21 DahF.GVg
すみません。今回も時間がないので感想はおいおい。
続き、1レスですが投下します


860 : 『美琴』 :2014/10/20(月) 00:01:17 DahF.GVg


(……正解ね)

第七学区の製薬会社のビル。美琴がいるのはその中だ。
だが、来た目的は研究の手伝いでも会社見学でもない。
そもそもだ。
昼間なのに社員らしい人物は見当たらず、窓ガラスは飛び散り、壁や床、研究機材は黒く焼け焦げ周囲には赤い液体が目に映る。
だが、焼けた金属の臭いも、茶色に変色しかけた液体から発せられる異臭も、今の彼女には些細な問題だ。
それは、このビルの中で起きたもう一つの足音に気付いたからだ。
美琴は、バジッ!という音を立てながら階段から降りてくる『少女』に目を向ける。

「ホント、手を焼かすわね。ま、ここも潰すつもりだったけどさ。この様子だと、また『やった』わね」

『少女』の服は黒いシャツとベージュのホットパンツだ。
美琴はその服に見覚えがある。
いいや、良く知っているのだ。
なぜならば、






一週間近く前に、美琴が自分が着る為に買った物なのだから。






それだけでない。

美琴とまったく同じ栗色の髪。
美琴とまったく同じ体格。
美琴とまったく同じ顔。
まるで鏡合わせにしたように。
違いと言えば、『少女』の頬は煤で黒く汚れ、まるで見えるもの全てが敵に見えているかのように、怒りや悲しみ。そんな負の感情が集まったかのような目。

「昨日も言ったわよね。『私』は『アンタ』を止める。たとえ『私』が死ぬ事になっても」

『少女』は美琴の言葉に意を介さず、たった一言、呟いた。


「―――――――じゃま」

それが切っ掛けになったかのように、美琴は『少女』に駆けよる。
だが、ただ一直線に突っ込むわけではない。
床に散らばった金属片を能力で彼女の全面に集め、銃弾の様に『少女』へと打ち出す。
『少女』は動かなかった。しかし、『少女』へと飛んだ金属片は、『少女』を避けるように後ろへ流される。

(ま、あの程度で効くわけないわよね)

金属片はあくまでデコイ。『少女』の気を反らす為だ。
能力で磁力を発生させて自身を砲弾のように打ち出す。そして、自身を手で『少女』を掴んだ。
倒れこんだ『少女』の上に乗り、ポケットから折り畳み式のナイフを取り出した。刃を出して、逆手持ちにする。
『少女』は能力でナイフを飛ばそうとしているようだが、対抗するように美琴が磁力を発生させる事でナイフの手の中に留めている。

(これで、全てが終わる!!)

後はこの腕を振り下ろして、ナイフを『少女』の首元に突き刺すだけ。
だが、

(…ッ!ぐ、この!)

力が拮抗してお互い動かない。体力が尽きた方が負け。
そう思っていた。
しかし、

「――!?ッ、かはっ…コほッ!!」

力が緩んだわけではない。
能力が、弱まったわけでもない。
だが、たしかにナイフは飛ばされ、美琴は蹴り飛ばされた。

(まさか、体のリミッタ―が外れたんの!?)

一瞬でも気は抜けない状況で、そんな事を考えてしまった。
先ほどの美琴と同じように磁力を使ったのだろう。『少女』はその手で美琴に掴みかかり、

(ぐァ、ア?!)

美琴に電撃を流し込む。
最大出力10億Vの電圧で相殺するけども、体が痺れる。焼けるような痛みが美琴を襲った。

(まさか、能、りょ…ま……)

プッツン、と。
美琴の意識はそこで途切れた。


861 : はりねずみ :2014/10/20(月) 00:03:25 DahF.GVg
以上です。
すみませんあげてしまって。

この話の続きを構想してしまってるけど上琴要素が7割減してしまうどうしよう


862 : ■■■■ :2014/10/20(月) 00:55:58 C6ZvnIPI
はりねずみさん

無理矢理捻じ込んで下さい>上琴要素
グロも頑張って読みますから


863 : くまのこ :2014/10/25(土) 00:48:45 xfU9trz6
>>はりねずみさんGJです!
うおっ! ミコっちゃん、どうなったの!?
続き楽しみに待ってます!



ハロウィンをテーマに短編書きました。
今回はネタ無しでイチャイチャさせてます。
約3分後に3レスです。


864 : とある新米の恋人同士【ウブカップル】 :2014/10/25(土) 00:51:46 xfU9trz6
10月25日。
木々の葉は鮮やかな紅に染まり、冷たい風が肌に刺さるこの季節、
寒さも忘れる程に顔をポカポカさせながら帰宅デートをしている、一組のカップルの姿があった。



上条当麻と御坂美琴。
二人は現在、プラトニックなお付き合いの真っ最中だ。



傍から見ても付き合いたてなのだと分かる程に初々しいその二人は、
微妙に距離を開けつつも手はしっかりと握って歩いていた。
いや、「手」というよりも「指」と言った方が正確だろうか。
二人は、お互いの小指と小指を絡ませて(指切りのような形)いたのである。
手は繋ぎたいが、そこまで行く勇気がないのだろう。

「あ、あのさ! 寒くはないか!?」
「べあっ!!? あ、あああの、その……だ、だいじょぶ……です…」
「そ…そっか」

上条から話しかけるが、どうも会話が続かない。
付き合う以前は友達感覚だったので気軽に話せたのだが、しかし関係が恋人になった今、
何だかギクシャクしてしまっているようだ。
何しろ二人とも、お互いがお互いに初めての恋人なのだ。どうすればいいのか分からないのである。
もっとも間に流れる空気は気まずさだけでなく、心地良い甘酸っぱさも漂ってはいるが。

だがその後は結局、無言のままに常盤台の女子寮に着いてしまった。

「あっ、じゃ…じゃあ俺はこれで……」

彼女を無事に寮へと送り届けたので、そのまま自分の寮へと帰ろうとする上条。
しかし回れ右をした彼氏の制服の裾を、美琴はくいっと引っ張った。

「え……み、美琴…?」

上条が振る向くと、美琴は真っ赤な顔を下に向けながらモジモジしていた。

「あっ…あ、の……えと…」

きまりが悪そうに口ごもっていたが、やがて意を決したように顔を上げる。
勇気を出して上条の目を見つめながら、美琴は言った。

「あっ! あの! きょきょ、今日は黒子が風紀委員の仕事で帰ってくるの遅いんだけど!
 よよよ良かったら! 私の部屋【うち】に寄ってかない!!?」
「うえっ!!!?」

(美琴としては)かなり大胆なお誘いだ。
上条も『彼女の部屋に入る』というのは初めての経験(以前、美琴の部屋には入った事はあるが)で、
ドギマギしたが、ここで断ったら男が廃るという物だ。
上条は照れ隠しに自分の頬を指でかき、

「わ、分かった。けど買い物あるから、す、少しだけな?」

と了承する。
瞬間、美琴は顔を赤らめたままヒマワリのような笑顔を浮かべ、

「うんっ!」

と心の底から嬉しそうに返事をした。
それを見た上条は美琴に負けず劣らずの赤面して、片手で顔を覆いそっぽ向いた。

(くそっ! 反則すぎるだろ、それ!)

心の中で、そんな事を思いながら。


865 : とある新米の恋人同士【ウブカップル】 :2014/10/25(土) 00:52:34 xfU9trz6
美琴のベッドと白井のベッドに挟まれた空間で、
上条は正座をしながらキョロキョロと部屋を見回していた。
以前来た時は余裕も無かった(というか、それ所じゃなかった)が、改めて見ると、
やはり女の子らしく可愛らしい内装をしており、自分の住んでいる男部屋
(とは言っても上条の部屋には、女性二人と猫一匹が同居しているが)とは違うな〜、と実感していた。

「あ、あんまりジロジロ見ないでよ。……恥ずかしいじゃない」

口を尖らせてキッチン(寮の厨房ではなく、部屋に備え付けてある簡易キッチン)から出てきた美琴は、
両手でトレイを持っていた。トレイの上には、ご丁寧にお茶のセットが乗せられている。
カップもポットもソーサーも、その手の目利きが素人な上条でも一目見れば分かる程に、
高級感というセレブオーラが溢れていた。
上条は自分の不幸で割ってしまったら弁償できないのではないかと、嫌な緊張が走る。
もっとも美琴サイドとしては、例えカップを割られた所で何とも思わないのだが。

「おいしい茶葉がね、手に入ったの」

言いながらカップに紅茶を注ぐ美琴。
その横で上条は、トレイの上にティーセット以外の物がある事に気付く。

「これ…カップケーキだよな?」

お茶請けだろうか、そこには黄金色のカップケーキがちょこんと置かれている。

「あ、うん。昨日パンプキンケーキ焼いてみたの。…試作品だけどね。
 ほら、もうすぐハロウィンだから友達に配ろうと思って」
「へぇ〜、美琴の手作りなのか…」

試作品とは思えない程の完成度だ。店で売っている物と並べても、おそらく見分けがつかないだろう。

「食べてもいいんだよな?」
「う…うん、まぁ、その為に持ってきたんだし……あっ、でも美味しくなかったらごめんね…?」

不安そうに見つめる美琴。
上条はそんな美琴の不安な心を払拭するかのように、「ガブッ!」と勢い良くケーキにかぶりつく。
そして一言。

「うんまっ!!! 何これ!? マジで手作りなん!?」

お世辞でも何でもなく、本心からそう言った。
上条の素直で、尚且つ嬉しすぎるリアクションに、美琴は自分の胸を押さえて俯いた。

(ズ…ズルいじゃない……そんなの…)

心の中で、そんな事を思いながら。
しかしやられっ放し(実際には、上条も美琴に『やられている』のだが)なのは癪だ。
美琴はここで、ある仕返しに出る。ハロウィンという味方を付けて。

「ね、ねぇ……アンタは持って無いの…? …お菓子」
「……へ?」

紅茶を飲もうとカップに口を付けようとした上条だったが、
ふいに美琴からそんな事を言われて、そのまま固まった。

「え、いや…持ってないけど……っていうか、ハロウィンはまだ先だろ?」
「でも私のお菓子、食べたじゃない」
「……まぁ、そうだけど」

美琴の持ってきたカップケーキは本番に作る用の試作品で、しかも持ってきたのは美琴自身だ。
若干釈然としない気はするが、
しかし「お菓子を持っていないのか?」という問いに対しては間違いなく「YES」なので、
素直に頷く。

「じゃ、じゃじゃじゃじゃあ! イイイ、イタ、イタ、イタズラしなきゃねっ!!!」

上条が首を縦に振ったのを合図に、美琴は大声で叫んだ。
それは自分自身を鼓舞して、恥ずかしさから逃げ出さないように追い込む為でもあった。

「な、何す―――――」


866 : とある新米の恋人同士【ウブカップル】 :2014/10/25(土) 00:53:24 xfU9trz6
「何するつもりなんだ?」、上条がそう言おうとした瞬間、美琴はイタズラを決行していた。



―――ちゅっ…―――



上条の唇から数㎜ずれた場所に、美琴の唇が当たっていた。
それは所謂、一般的に「口付け」と呼ばれている行為だ。美琴は顔を限界まで赤く染め上げている。
手を握る事すら容易にままならないのに、今日は少々勇気のキャパシティを超えているようだ。
上条も、美琴同様に顔を茹で上がらせた。

「ばっ!!! なな、な、何をしていらっしゃりますかっ!!?」
「…だって……イタズラ…だもん………」

美琴は今にも泣き出しそうに肩を小さく震わせながら、か細い声を振り絞った。
その健気で可愛らしい仕草に、上条は思わず、

「っっっ!!!!? ふぇっ!? ちょ、どど、どうしたの急に!?」

美琴をギュッと抱き締めていた。

「……上条さんからもイタズラです」
「な、何でよ! 私は、お菓子、ちゃんとあげたりゃらいの……」

心臓がドキドキしすぎて、ろれつが回らなくなってくる美琴。
しかし、そんな既にギリギリな状態の美琴に、上条は更なる追撃を仕掛けてくる。

「な、なら本番のハロウィンの練習って事で……」
「れ…れんひゅう…?」
「ああ、本番はその……」

上条は美琴の耳元で、トドメの一言を囁いた。

「…本番は…もっと凄いイタズラをしてあげますですよ」

この直後、美琴は限界に達して「ふにゃー」した事は言うまでもないだろう。


 ◇


あれから数十分。
美琴が気絶から回復した時には、もう白井が帰ってくる時間だった。
顔も頭もまだポワポワしているが、お見送りはしっかりとする。

「じゃあな」
「う…うん、気をつけてね……」

他の寮生に見つからないように、美琴の協力の下こっそりと女子寮を出た上条だったが、
何を考えたのか「あ、そうだ」と言いながら、正面玄関前で立ち止まった。

「どうかした? もしかして忘れ物?」
「ん…いや、そういう訳じゃないけど…」

上条は「うん、よし!」と何か気合を入れた後、美琴の方に振り向いた。

「あのさ、こんな事言うのは上条さんのキャラに合わない気がしてやめようとしたんだけど、
 でもやっぱり、どうしても言いたいから言うな」

そして上条は。

「美琴…大好きだ」

シンプルで、ストレートな一言。
それだけ言うと、上条も恥ずかしいのか、そそくさと逃げるように帰って行った。
取り残された美琴は、徐々に小さくなっていく彼の背中を見つめながら、

「……やっぱり…ズルい…」

と呟いたのだった。


867 : くまのこ :2014/10/25(土) 00:54:21 xfU9trz6
以上です。
何か甘々なのを書きたくなったんです。
ではまた。


868 : ■■■■ :2014/10/25(土) 00:58:00 THvDlki6
くまのこさん(*^ー゚)b グッジョブ!! 深夜に(・∀・)ニヤニヤしてしまった


869 : ・・・ :2014/10/25(土) 11:41:10 8YTi2iis
ども、・・・です

今回は小ネタ。近々続きもだせるんでご容赦を……
の、前に


くまのこさん

>>853

あ、うんあ、ゲコ太な気はしてたし、それを口実にする気がしてた。
アイルーのあざとさ、かわいさは罪、でもカミやん何人もアイルーっぽいの周りにいる気が(美琴含む)
…………さぁ、上条狩りの時間じゃァァァァあああああ!!!


>>863
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!! くまのこさんの本気すごい!!
冒頭からニヤニヤはんぱない!!!
ういういしいよ、ういういしいよ、語彙力が少ないよ、わたくし


>>はりねずみさん

や、やっぱり予想が当たってしまった。
美琴の敵が美琴? 混乱が進む……
7割減!!? まぁ、10割がどんだけって話だけど、上琴で終わればなんでもよくね?


さて、投稿、
上琴はのみんな!! 今日は何の日!!?
それでは


870 : おめでとう :2014/10/25(土) 11:42:41 8YTi2iis
「美琴」

「なに? 当麻」

「おめでとう!!!!!」パンパパン

「え!!? なに!!? なんかの記念日?」

「何だと思う?」

「…………アンタの2つめの命日?」

「それ5日後。嫌なもん思い出させんな」

「じゃなに?」

「なんと、『上条さんと美琴のいちゃいちゃSS』が今日で5周年を迎えました!!!!!!」

「おおぉっーーーーーーーーー!!!」

「いやぁ、めでたいめでたい」

「そっか、原作も10年だもんね。1巻当時10歳でも20歳。15だと……」

「やめなさい」

「5年かぁ。いろいろあったわね」

「何回か別れたよな」

「4月1日だったってパターンも多い気がするけど」

「そうだっけ?」

「いろんな子供を生んだわね」

「……その言い方どうなの? 名前もいろいろ出て来たよな」

「圧倒的に麻琴が多いけどね。未来から来るパターンも多いわね」

「ギャグもシリアスもいろいろあったなぁ。 オレが死んだのもあったな」

「あれは途中で終わったんだっけ? それともアンタの大切さに気付いてBADEND?」

「さぁ? 覚えてねーや。バレンタインは何度経験したっけ?」

「クリスマスもね。しかし、わたしはいじられてばかりね」

「特に佐天にな。まだ原作でそんなキャラ設定ないころから、あの子このポジションな気が?」

「んー、その点黒子は歪みないわね」

「ベテラン芸人の安定感があるな」

「ま、たまにいいとこ見せてくれるんだけどね」

「映画の剛田さんと同じだな」

「……アンタ、黒子嫌いでしょ?」

「……なんど酷い目に遭ってると思うよ? それに……」

「それに?」

「恋敵だし」

「ぶっふぉ!!!」

「……冒頭で名前呼び合ってたし、そういう設定でないの?」

「そ、そうね、も、みょうこいっびぃとどうしゅいでばっとこい!!」

「……くっついてない設定のようですね、両片思い設定か?」

「恋敵と言えばあのちっこい白いの!!」

「インデックスな」

「あの子は敵だったり味方だったり、かと思えば敵だったり……」

「スタートからイギリスに帰ってたりな」

「あの子の立ち位置は作者さんの頭痛の種みたいね……最近頭痛の種増えたけど?」

「に、睨まれても」

「ま、アンタだから仕方が……そういえばいろんなアンタがいたわね」

「なにそれ恐い……ま、これからもいろんなオレが見られるし」

「え? ヘビメタやってるとか総理大臣とかサタンとか?」

「最初のはキャラじゃない、二つ目はムリだ。サタンは……やらなかったっけ?」

「……やったんだ。ホント5年って長いわね」

「ま、これからもいろんな美琴もみられるし、楽しみだな」

「へ? 楽しみ?」

「違うのか?」

「ううん!! 楽しみに決まってるでしょ!!」

「よし、よく素直に言った!! さて、作者の皆さま!!」

「そして読者の皆さま!!」

「これからも」

「上琴の応援を」

「「宜しくお願いします!!!」」












































「……終わりじゃなむぐっ」






「……ぷはぁ、いや、せっかくの5周年、キスの1つもせずに終われは「ふにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」はいはいゲンコロゲンコロ」


871 : おめでとう :2014/10/25(土) 11:43:23 8YTi2iis
以上です。

犬を飼ってたり、大覇星祭、大家族、一人娘
インちゃん含む上条家、黒子の暴走、嘆き、応援
死んだり死にかけたり、泣いたり笑ったり、
完結したり、そのままストップしてたり……


多くの書き手、そして支えている読者、
人生を狂わせたこのスレに感謝を。


872 : ■■■■ :2014/10/26(日) 00:29:19 MtOlzG8I
>>870感謝!
5周年おめでとう!!
これからもよろしくお願いします


873 : ■■■■ :2014/10/26(日) 00:31:53 MtOlzG8I
>>864
甘甘最高!
今度上琴と娘のハロウィンが読みたいです!


874 : はりねずみ :2014/10/27(月) 00:27:51 2wjh5eKE
くまのこさん
お菓子のように甘い話をありがとうございます。
ハロウィン当日は、もっと甘い話を期待してます。

・・・さん
な、、泣いてないし!嬉し泣きなんてしてないし!!
ちくしょう!俺もこのスレの皆が大好きだ―!!上琴も大好きだ!!

てわけで投下だああ!!


875 : 『美琴』 :2014/10/27(月) 00:28:26 DIpROYfA

「ゥ……ぁ……生き…てる……?」

おそらく『彼女』は見逃してくれたわけではないだろう。
美琴が意識を失ったことで、敵として見られなくなっただけだ。もしあのまま意識を失わなければ、そのまま美琴は殺されていただろう。
美琴は首を横に動かす。
ガラスの割れた窓の外はまだ空の色は変わっておらず、警備員だと思われる騒がしい音が聞こえてくる。

(てことは、長くても数分、てとこかしらね)

体中が痛む。
立ち上がってから右の上腕に違和感を感じて、痛みに気付く。
見るとガラスの破片が1つ刺さっており、引き抜くと血がダラリと零れた。

「たくっ、散々たる結果ね」

この様子では、目的の部屋はもう目も当てられない状態だろうと美琴は推測する。
目的は果たせず、自身も死にかけて。おまけに武装しているであろう警備員は突入間近。
この惨状でボロボロの彼女が1人倒れてれば、保護され、行方不明の件も明らかになる。
そうなる前に、彼女は痛みに耐えながら、階段を上にあがる。そして残った力で能力を使い、隣のビルまで飛び移った。誰が来るかもわからないので、人目の付かない所に隠れ込み、腰を落ち着ける。
これ以上、動く気にはなれなかった。
それは、体中が傷だらけになり、痛みが我慢できないからではない。
それは、戦闘による疲労や、死にかけた事への恐怖。生きている事への安堵からでもない。

(…………また、助けれなかった)

『あの子達』を救えなかった後悔の念。それが美琴を襲うだ。
これでどれだけ、彼女達が犠牲になってしまったのだろうか。
どうせ、あのまま放っておけばどの道死ぬだけだったと、そう言い訳できれば楽なのかもしれない。
だが、それでも。あの日、あの時、自分が彼女に言った言葉を美琴は忘れない。

(そうよ、あの時、間違いなく)

あの光景を、彼女の最後の姿は、今でも鮮明に思い出す。

(感情のままに能力を使って、あの子を殺したのは、この私)

そして、その度に吐き気を催すほどの罪悪感に駆られる。

(……一度、戻ろう)

上条が帰って来る時間は3時頃らしい。空を見上げて、飛行船を見ると時刻が表示されていた。その時間は13時11分。人目を避けて遠回りしても、十分に上条の寮までは戻れる。
息を整えて能力が使えるか確しかめて、下を覗き路地裏に誰もいない事を確認してから、美琴はビルから飛び降りた。


876 : 『美琴』 :2014/10/27(月) 00:28:47 2wjh5eKE

上条自身の頑張りと小萌先生の優しさもあってか、補習は午前中で終わっていた。
けれども現在時刻が3時を過ぎているのは、彼が寄り道をしていたからである。

(ビリビリのやつ。喜んでくれるかな)

手に持った紙袋の中身を思い出しながら彼は思う。
彼が寄っていた場所は、服屋。普段行くような場所でなく。セブンスミストという明らかに女の子向けの服が取り揃えられている店だ。
さすが毎日制服は窮屈であろうと思った上条は、適当な服を買ったらすぐに帰宅しようと考えていたのだが、1度も女性に服を買った事もなく、どれが一番彼女に似合うのだろうかと考えに考えてしまい二時間。
最終的に店員に声をかけて、美琴の特徴を簡単に言うと、店員はいくつか候補を持ってきてくれたのでその中の1つを選んで購入した。
値段は少々掛ったが、わざわざ選んでくれた店員に悪いのと、この服を着た美琴の姿を想像すると財布の中身が多少軽くなっても価値はあるだろうと上条は考える。

(それにしてもあの店員……別にビリビリは彼女でもなんでもないっての)

『彼女さん。喜ぶといいですね』

店員は、上条が店を出るときにそう言った。
男性が女性に服を買っていくのだ。そう思われてもしかたがない。上条だってそう思う。

(まあ確かにあいつはビリビリしてくるけど素直になれば可愛いしそりゃあ彼女になってくれるなら……って、何考えてるんだ俺はー!!)

ブンブン!!と頭を振りまわす上条。
危うく考えすぎて思考の海に沈むところだったが、そこから抜け出せた理由はただ1つ。考える事がもう1つできたからだ。

(ビリビリ?)

だが、おかしい事が2つある。
1つは、彼女が着ていたのは常盤台中学の制服のはずだ。それにあちこち煤の様なもので汚れている。
もう1つは、彼女が人目を避けるようにしていることだ。

「あいつ、どこに行くつもりだ?」

気になったのだ。彼女がどこへ向かうのか。
美琴に気付かれないように出来る限り距離を離しながら後を追う。
美琴が入ったのはビルとビルの間。上条も付いていくと、美琴は立ち止まっていた。

「ビリビリ?」

昨日と同じような状況だった。
だが、上条に気付き、振り返った彼女の目は、どこまでも何かに脅えていた。

「みさっ!!」

ドッ!!と、爆発するような音がした。
粉塵が舞い上がり、視界が奪われる。

「おいビリビリ!これは……」

粉塵は地面に落ち、視界が晴れたとき、彼女はどこかへと消えていた。


877 : はりねずみ :2014/10/27(月) 00:29:09 2wjh5eKE
以上です。おやすみなさい。


878 : ■■■■ :2014/10/27(月) 01:52:43 1.520KLI
はりねずみさん続きが気になる(´Д`;) 楽しみにしてまっせ


879 : ・・・ :2014/10/28(火) 00:35:26 76ecZMe2
ども、・・・っす

日常もいいな〜このほのぼの感。原作まだ一回も春を迎えてないけど。
アイテムは出ないんでしょうか?


>>はりねずみさん
彼女に服を買うだなんて、いい彼氏ですね、カミやん。
え? くっついてない? この天然タラシめ!!
最後に会った美琴はかくまった美琴と同一人物?? 
続き、待ってます。


それでは、のんびり投稿します。
それでは


880 : 夏祭り 前篇 3 :2014/10/28(火) 00:36:33 76ecZMe2
相園美央は固まった。

西東先生を夏祭りに誘ったが断られ、
お祭りの中、気が緩んで羽目をはずす人がいるかもしれないと言ったら、
同じ理由で、先生を病み上がりに一端覧祭でひっぱりまわしたことを指摘された。
ぐぬぬ、と唸り、次の策を考えていた時、
ちらっと夏祭りの会場に目を向けると、入口に立つ2人、いや3人組が見えた。

「あいかわらず腹立たしい街だね、ここは」

赤髪の顔が怖い。

「ええ、わざと『祭り』から『祀り』の記号をはずしています。これでは、ただのバカ騒ぎです」

ポニーテールの女性が発するオーラが半端ない。

「どーどー」

太鼓の音に反応する銀髪の赤ちゃんが可愛い。



なんだ、あれ?

彼らは祭りのなにかに腹を立てていたが、赤ちゃんがはしゃぐのに負けたようで、人ごみにまぎれていく。
なんか一気に気分ではなくなった。

「……先生、やっぱり夏祭りはいいです」

「わかってくれてうれしいよ」

「先生のお手伝いをします。余った時間で夕飯作りますよ!!」

「…………はぁ」

祭りの会場から離れていく相園達の他にもう1人、不思議な3人組を見ていた男がいた。

(愕然、なんということだ!!?)

例のアイツだ。

(驚然!! あの天使が赤髪と侍女にさらわれている!!??)

これは大変なことになった!!
イメージの中の赤髪さんと侍女さんは見事に悪役の顔をなさっている。
しかも毎回吹っ飛んで星になるタイプの悪役だ。
……けっこう様になってるな。

(騒然、何か手は……!!)

周りになにか使えるようなものは無いかと探す。
そしてとある店を見つけた彼は、おおきくうなずくのだった。


881 : 夏祭り 前篇 3 :2014/10/28(火) 00:37:16 76ecZMe2
一方、

「……失敗した」

表情に影が差す美琴。
隣に立つトールは険しい顔をしている。
恋する乙女が目の前で想い人を他の女にさらわれた。
だというのに、その乙女は醤油を買ってこいと想い人に叫んだ。
いろいろと失格である。

「大失敗ね」

「そうだな」

「……トイレットペーパーも切らしてた」

「いやそうじゃな……っていうか、なんでオレもついてきてるの?」

「当然でしょ!!? 今日はなんと40%OFF!!」

今日買いだめしないでいつ買うのよ!!と叫ぶその少女は、
一応常盤台のお嬢様のはずである。

「……ミコっちゃん、上条クンのこと好きなんだよね?」

たっぷり時間をかけた。
1カメ、2カメ、3カメまで使ってぽかーんとした表情を写した美琴は、一瞬で茹で上がる。

「にゃ、にゃにいっとんじゃあんたーーーーーーー!!!!!」

呆れた顔のトールに対し、なんでそうなるんだとか一回も言ったことがないだとか、だからといって思った事があるわけではないだとか、いつものアレをマシンガンのように言うが、彼は、耳をほじくり、一切聞いていない。
しばらくほっといた後、彼はゆっくりとその口を動かした。

「……オティヌスは諦めてないぞ?」

美琴の言葉が止まる。

「元の姿に戻ろうと努力したのは、アイツと一緒になるためだ」

今、上条はオティヌスと笑い合っているのだろうか?

「オレは、どうでもいいけど」

もしかしたら、今日から、あの生活に戻れなくなるかもしれない。

「ミコっちゃんは、どうする?」

そんなこと、わかって、いる……。


882 : 夏祭り 前篇 3 :2014/10/28(火) 00:38:09 76ecZMe2





「理解できん」

「ダメな物はダメ」

夏祭りの騒ぎの中を歩く上条。
その隣を歩くのはオティヌスだが、服装が違う。
黒のタンクトップにデニムのショートパンツ。
確かにあれだと露出魔として補導されかねない。

「ふむ、致し方ないな」

そう言いながら、周囲を見回す。
『祀り』の記号を排したこのバカ騒ぎは本来気に入らない物だが、今日は違う。
この男が隣に立つ。
自分が彼の上にのっかるのではなく、 だ。
肩を並べられる。
同じ目線でものを見れる。
手を触れられる。
だから……

「まあいい、さて、どこに……?」

いない。
もう迷子か?
それともどっかでまたフラグ立ててやがんのか?
……私をほっといて。
きょろきょろ周囲を見渡すと、
意外なところにいた。

「……なんだ? そのカエルのお面は?」

「カエルじゃねぇ。ゲコ太だよ。一緒にすんな」

「?? どう見てもカエルだろ?」

「だっーーーー!! わかってないな!! いいか、ゲコ太ってのはケロヨンの「もういいわかった、ゲコ太なゲコ太」……お前は、人の話を……ん?」

「どうかしたか?」

「いや、今インデックスの声がしたような気が……?」

「そうか? 私には聞こえなかったが?」


883 : 夏祭り 前篇 3 :2014/10/28(火) 00:38:47 76ecZMe2


そのはるか後方で、

「燦然、素晴らしい!!」

神裂とステイルは立ち止まった。
目の前にはぐるぐる眼鏡に口髭、シルクハットをかぶった白スーツという変態が立っている。

「誰だ?」

「煢然、私は赤ちゃん専門の写真家だ。茫然、あなた方が抱いているその子の可愛さについ目を奪われてしまったのだ」

どこかで聞いた声だ。

「ゲコ!!」

「必然、千年に1人の逸材!! 厳然、是非その姿を写真におさめさせて欲しい!!」

怪しさ全力解放である。

「あなた、どこかで見ましたね」

その言葉に、ステイルはルーンを準備して

「きっとどこかの雑誌でしょう」

こけた。

「この子に目をつけるとは、さすがです!」

頭を抱える。

「おい、神ざ「おお!! もこもこゲコタ着ぐるみですか!!」「湧然、こちらのもこもこにゃんこ着ぐるみもおすすめだ」「なんです!!?この白雪姫コスチュームは!!あの子に似合わないわけないじゃないですか!!……どうしました? ステイル?」いや、このエンジェルコスチュームもいいと思ってね」

全員ダメダメだった。

「だーだ……あう? まーま!!」

「え? まんま? ご飯ですか?」

(ママと言ったんじゃないのか? 日本語はよくわからないな?)

「まーま!!」

「わかりました、どこかでミルクを買いましょう」

「あう??」


884 : 夏祭り 前篇 3 :2014/10/28(火) 00:39:33 76ecZMe2




「ん? 今インデックスの声がしたような……?」

「どうした? ミコッチャン?」

「ミコッチャンいうな……って、満喫してるわね」

右手に焼きそば、左手にチョコバナナ、頭の上にたこ焼きを装備してトールは歩く。

「ミコッチャンがいう?」

水風船、ヨーヨー、ストラップ、風船、キーホルダー(ゲコ太、ケロヨン、ピョンコetcのデザイン.)を各10個以上持つ美琴は、顔を横に反らした。

2人は本道でなく、脇道を歩いていた。
目的を忘れたわけではない。
監視カメラをハッキングすると、夏祭りの会場に入っていく2人を見つけた。
というか、その前にオティヌスが着替えている最中に、彼女を事故で押し倒した上条を見つけた。
食べ終わったごみを捨てながら、その時の美琴を思い出しトールは身震いする。

「見つからないわね」

しかし、美琴は思うのだ。
実際、見つけたとしてどうするのだろう?
もし、彼が楽しそうにしていたら?
オティヌスの手を握っていたら?
肩をよせあっていたら?

「…………ゃん、ミコッチャン!!」

「え? なに!?」

「なに?じゃねぇよ。もう打ち切るか?」

「……どうしよう?」

自分はどうしたいのだろうか?
いや、どうなりたいのかはわかってる。
では、どうすればいいのだろうか?
どうしたら、いいのだろうか?

「なぁ、ミコッチャン」

「なに?」







「オレがアンタのことを好きだと言ったら、アンタどうする?」


885 : ・・・ :2014/10/28(火) 00:42:43 76ecZMe2
以上

来るぜ11月、くじで散財する月だぜ!!


886 : ましろぷーど :2014/10/28(火) 16:15:37 2LtjG7m.
こんにちは。お久しぶりです。
USBメモリーが逝かれて書きかけのメモ帳のみならず禁書の画像まで道連れにされてテンション駄々下がりの失意のどん底だったんですけど、
神ならぬ身にて天上の意思に辿り着いたBLAUさんのおかげであのころの情熱を取り戻しました
ところでBLAUさん、御坂美琴ちゃんの新作カードはいつごろ…あれ、なんか空が暗くなってゴロゴロ言い出したよ?

えーと、感想を全部書くとものすごく長くなっちゃうので最近のだけです。ごめんなさい!

>>・・・さん
あなたの上琴愛には何年経っても敵わないです。スレたった記念日なんて全く知らなかったです。感服しました。
そして育児日記がまさかのシリアス展開に!? ほのぼの家族の間に横恋慕な刺客が! どうなっちゃうんでしょ

>>はりねずみさん
ミコっちゃんが二人・・・つまり、どういうことだってばよ!?
そして上条さん、服を贈るなんて・・・どうせ脱がせる(ドラゴンストライク

>>くまのこさん
最近くまのこさんのリミッターが解除されつつあるようでうれしい限りです。
ラブラブな上琴も好きですが、エッチい上琴も好きです。でも、くまのこさんの最初の頃の恋人未満な上琴も好きです。次回作楽しみに待ってます。

>>我道さん(とくまのこさん)
こぼれ話毎回ニヨニヨしながら見てます。次回の寮監先生をどう絡めてくるのか期待です。どうせ上条さんがフラグ立てるんでしょうけど。
大覇星祭編の単行本収録部分をやるのかどうか、実は私気になってます。


さて、今回は2014年・電撃大王12月号に触発された短編になります。
全部で8レスになります。お暇があったら読んでいってください。


887 : ましろぷーど美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:17:34 2LtjG7m.

―――ピンポーン

美琴はとある学生寮の一室まで訪れていた。
目の前にあるインターホンを押し、数瞬の間を置いてからそれに向かって声を出す。

「当麻ー。来たわよー」

そんな声を出している間にドアの向こうから人が近づいてくる足音と気配。
ほどなくして扉は開かれ、家主がにこやかに美琴を出迎える。

「おう。悪いな、わざわざ呼びつけて」

口調は申し訳無さそうだが、家主――上条当麻の表情が明るく陽気な雰囲気を醸している所を見ると、彼も美琴に会えるの楽しみにしていたのかもしれない。

「べ、別に気にしなくていいわよ。別にファミレスとかでも良かったんだろうけど、当麻の懐事情を考えると無理しない方がいいだろうし!」

上条に促されるまま玄関へと上がりこんだ美琴は、彼から目を逸らし早口でしゃべる。
別に自分を見てうれしそうな顔の上条を見てこっちまでうれしくなったとか、そんな自分に気付かれるのが恥ずかしいからとか、そんなんじゃない。
頬の辺りに血が集まってきているのも、心臓がドキドキと早くなっているのも上条とは関係ない。違うったら違う。

「……そんな顔して、上条さんに会えたのがそんなにうれしいんですかー?」

「ふえぇ!?」

しかし上条にはあっさり看破されていたらしい。
ほーら、そのかわいい顔を良く上条さんに見せてくださーい、と手馴れた動きで捕獲されてしまう。

「ちょ、ちょっと! 離しなさいってば!」

恥ずかしさMAX状態になってしまった美琴は、あわあわと体を捻ったり上条の肩をポコポコと叩く。
そんな美琴の攻撃にも上条はどこ吹く風の様子で、熟練したかのような手つきで彼女の喉元から顎、頬を優しくなであげる。

「…うにゃぅ…ふ、にゃ…」

そのあまりの手つきの心地よさに、美琴はまるで猫になったような錯覚に陥る。
喉をなでられて気持ちいい猫の感覚ってこんな感じなのかしらと思いながら、その優しい動きに身の動きを絡めとられてしまう。


888 : 美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:18:06 2LtjG7m.
「美琴…」

そして、いつもより低い音程の声と共に近づいてきた熱い吐息と唇の感覚に気が付いた美琴は……

「ダメーーー!!」

「ぐぷっ!?」

その上条の顔面に向かって思いっきり猫パンチをかました。

「ぶおお…は、鼻が…いっ! し、舌まで噛んでる、だと…!?」

美琴の柔らかい唇を堪能できるとばかり思っていた上条にはまさに不意の一撃で。
思わず美琴の拘束を解き、見事にクリティカルヒットした上に口内の部位破壊まで受けてしまった痛みに悶絶する。

「あ…ご、ごめんね…? で、でも! 今日はこんなことの為に来たんじゃないし…そ、そうよ! いきなりあんなことした当麻が悪いんだからね!」

思った以上のダメージを与えてしまったことに、さすがの美琴も心配になり、赤く上気した頬のまま上条の顔を覗き込む。
しかし再び上条に捕獲されることを警戒しているのか、微妙な距離を保ったまま。

しばし悶絶する上条の様子を眺めていた美琴だったが、逃げるかのような、空気を変えるかのような、努めて明るい声を出す。

「ほ、ほら! ちゃっちゃと終わらせるわよ宿題! 私はそのために今日呼ばれたんでしょ!」

恋人同士としてお付き合いする前から、美琴はちょくちょく上条の勉強の面倒を見ていた。
今朝、美琴の携帯電話には上条から「宿題が分からないから教えてほしい」という主旨のメールが届いていた。
その呼び出しに快く応じた美琴は上条の部屋に訪れていたわけなのだが。

宿題を教える場所としては上条の部屋以外にも、先程美琴が口走ったファミレスや図書館などの選択肢がある。
しかし、美琴は宿題を教える場所として真っ先に上条の部屋を挙げた。
それはお金がかからない場所という理由だと上条に説明していたが、美琴としては恋人と二人っきりになれるからという乙女の密かな理由もあったりした。
これに対して上条は、教えてもらうお礼も兼ねてファミレスで何か奢るからそこにしようと言うのが常なのだが、今日は素直に己の部屋での勉強会に応じた。

そして冒頭のうれし顔である。
大好きな彼と二人っきりな上に、当の彼もうれしそうな顔で出迎えてくれた。
美琴のテンションがうなぎのぼりになるのも当然なのだ。正直な話、上条といちゃいちゃすることに美琴だって不満はない。

しかし、そこはしっかり者の美琴である。
今後のいちゃいちゃ至福タイムのためにも、憂いは絶っておかなければならない。
ご褒美は頑張ったあとの方が達成感や感動もひとしお。上条とならいくらでも頑張れる。
そうした理性がかすかに働いてくれたからこそ、上条の猛攻から生還できたのだ。



もっとも、今日に限っては働かせる必要のないものであったのだが。


889 : 美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:18:30 2LtjG7m.
「飲み物取ってくるから先に座っといてくれ」

玄関から部屋の中に入った上条と美琴。赤い鼻頭のまま上条はキッチンへと消えた。
美琴はそれを見遣りつつも、中央の多用机の上に出されていた紙束を手に取り目を通す。

「(ふむ、この程度の問題なら2時間もかからずに…っていうか、これこの間教えたやつじゃ…あ! こっちも!)」

ヒクリと頬を引きつらせながらもぱらぱらと問題用紙をめくる。
中には今まで見ていないような問題もあったが、大半は以前解き方を講釈したものが占めていた。
上条の頭の出来が良くないことは身にしみて分かっていたつもりだったが、それにしてもコレはひどい。

以前といってもそんなに時間がたったわけではない。
あれだけ付きっ切りでじっくり教えた知識が既に彼方に流出しているのかと思うと非常に切なくなる。

「(勉強に関してはもうちょっと厳しくした方がいいかしら…)」

上条への怒りからか、それとも呆れからか。ともかく痛くなってきた頭を抱えて重苦しい吐息を一つ。
脱力ついでにベッドを背もたれに座り込むと、スムーズに解説できるように問題の読み込みを開始する。
美琴の頭脳にかかれば2時間どころか数分で解法にたどりつける。むしろそれを上条に理解できるように解説する方が難しい。

「ほい、粗茶がはいりましたよー」

キッチンから戻ってきた上条は手に持っていたグラスを美琴の目の前に置いた。
それの動き逐一を電磁レーダーで把握していた美琴は問題用紙から目を離さず、しかし正確にグラスを掴むと一口分喉に通し、

「ぶっ!? な、なにこれ!?」

その予想外の味に思わず噴出しそうになり、慌てて口元を押さえた。
粗茶と言う上条の発言からお茶だとばかり思っていた飲み物は、しかし美琴の予想と反して琥珀色で透明の液体だった。
どうにか喉の奥に流し込んだものの、その、なんというか、控えめに表現すると、非常に不味い。

「え、何って、そこのスーパーで配ってた新製品の試供品」

「なにもらってきてんのよ! 学園都市の試供品の中で食品関連が一番信用ならないって知らないの!?」

「試供品だぜ? 無料だぜ? 無料って素敵な響きだろ」

そんな美琴を前に、上条はあっちを向いて喋る。おいこら、こっちを見ろ。


890 : 美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:18:49 2LtjG7m.
そもそもこの学園都市には変な食品が多い。
それは学園都市に開発部門を構える食品メーカーが、試験がてらさまざまな食品開発を行うためだ。
そしてそれに応じて出来た試験品を製品として学園都市内で売り出すのだ。
もちろん製品ではあるが、あくまで試験品の意味合いの方が強いために、値段は非常にリーズナブルである。というかかなり安い。

しかしこれは違う。試供品と言う名の無料品だ。
無料であると言うことは、試験品でありながらも何らかの理由で値段をつけることすら憚られるような出来であったと疑えるわけで。

たとえば、不味いとか不味いとか不味いとかの理由で。

正直、この飲み物はかの「いちごおでん」や「ガラナ青汁」に匹敵するような不味さだと美琴は思う。
なのに平然とした顔で同じ琥珀色の液体を飲んでいる上条に戦慄する。薄々感じていたが、上条は自分と味覚がずれているんじゃないか。

「ほほう。つまりミコっちゃんは、怖くて、こんなもの飲めないと」

しかし上条はニヤリと笑うと、わざと「怖くて」の部分を強調しながらもう一口、美琴に見せ付けるように飲む。
その言葉に美琴がピクリと反応したのを横目で確認しつつ、彼女が声を紡ぐ前にやや大げさにため息をついた。

「は〜あ。じゃあしょうがねーなぁ。怖がりでお子様なミコっちゃんのために。
学園都市の試供品なんか飲めないミコっちゃんのために、なんか別のジュースでも持ってくるわ」

こっちは善意で勉強見に来てやってんのに飲み物一杯で何様のつもりだコラとか、
恋人に対して何してくれてんだオイとか思っていたが、めんどくさそうに立ち上がった上条を見て、

「ビビッてなんかないわよ! こんな液体ぐらいで!」

美琴は拳を握って机を叩く。見事になんちゃら袋に亀裂が入ってしまったようだ。

「いやいや、無理すんなって。上条さんは出来ないことを無理にやらせるような鬼畜じゃありませんことよ〜」

玄関先での出来事の復讐のつもりなのか、ニヤニヤ顔の上条は完全にミコっちゃんからかいモードに入っているようだった。

「ぐ、ぬ! そうやっていつもいつも子供扱いしてからかって…見てなさい!」

負けず嫌い、意地っ張り。そういった表現が良く似合う美琴は、挑発されることに非常に弱い。


891 : 美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:19:11 2LtjG7m.
声高に吼えるやいな、手に持ったグラスを一気に呷り、いっぱいに注がれていた件の液体を飲み干した。

「っ、ふう。はっ、どうよ! 誰が怖がりでお子様だって!?」

強烈な不味さを押し殺してどうにか全て飲みきり、美琴はそら見たかと不敵に笑ってグラスを上条に付き返した。

「んで、味はどうだった?」

だが、上条はニヤニヤ顔を崩さぬまま美琴に質問を返す。

「はぁ? んなもん不味いに決まって…」

「そうじゃなくって、具体的な味を聞いているんだよ。試供品だぜ?
どこがどう美味いとか、こんな感じで不味いとか、ちゃんとした感想じゃなきゃ次に生かせないだろ」

そんな分かりきったことを、とため息をついた美琴の眼前に、だが上条は手のひらをかざしてそれを遮る。
確かに、上条の言っていることは正論だ。しかし、

「具体的にって言われても…」

「まあ、あんな一気飲みしたら味わう暇もありませんものね」

渋顔をした美琴をよそに、上条はいつの間に取ってきたのかペットボトルのキャップを外して、美琴の持っていたグラスに中身を注ぎ始める。

「というわけで、もう一杯」

上条のニヤニヤ顔を見たくなくて、美琴はグラスの中の琥珀色を睨みつけた。

「…………」

「ミコっちゃーん。無理なら無理でいいんですことよー」

普段は誰よりも愛する男の声であるのに、今だけは無性に腹が立つだけ。
ここで引き下がっておけば良かったと後々後悔する事になるのだが、しかし今の美琴には引き下がるなどという選択肢はなかった。
退くわけにはいかない。プライドを刺激するような上条の挑発行為に負けるわけにはいかない。

美琴は覚悟を決め、グラスの中身を少量口に含む。


892 : 美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:19:31 2LtjG7m.
「……!!!」

思わず吐き出しそうになるのを必死にこらえる。
自然と涙が溢れてきたのだが、液体を飲み込むためにぎゅっと目を閉じたために美琴自身はそれに気が付かない。

「…どうだ?」

目を開けられないまま数秒、上条の声が聞こえてきた。
美琴はぼんやりとする頭のまま素直に思ったことを答える。

「…なんか、舌が、ビリビリする、とか、喉が焼けつく、ような、感じがするとか、あるけど」

「けど?」

「それが、どうでもよくなる、くらい、苦い……鼻にまで、苦さが抜けるって、いうか、においまで苦い…」

コーヒーやカカオの苦さとはまた違うような、渋みとかすかな辛味が混ざったような、しかししっかりと存在を主張してくるなんともいえない苦味。

「ほうほう。で? ビリビリするとか、喉が焼ける感じってのは?」

美琴がそうして苦味に涙目になっているにも関わらず、上条は変わらず味についての質問を重ねてくる。
あまりにも苦味が強すぎてその他を詳しく感じ取る余裕がなかった美琴は、仕方なくもう一口琥珀色の液体を飲む。

「〜〜〜〜〜!!!!」

ガツンと襲い来る苦味を必死に意識の外に追いやる。
早く苦味から遠ざかりたくて急いで液体を飲み込むと、最初に感じたあの焼け付くような熱さ。というよりこれは、

「ある、こーる…?」

そうだ。この喉が焼けるような感じはアルコールだ。お酒の熱だ。
一体何故、学生に配られた試供品にアルコールが入っているのだろうか?

「そうだな。お前の持ってるそれはとある酒だよ」

冷静な上条の声が聞こえる。
肯定するってことは、コイツはこの液体がお酒だと知っていた? 知っていて自分に飲ませた?


893 : 美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:19:48 2LtjG7m.
とにかくこれはもう飲んではいけない。
そう思うのだが、頭がぼんやりするせいなのか行動が伴わない。
グラスを手放そうと思うのに、掴んだグラスの中を覗き込んでしまう。

「………?」

するとその時、先程まで苦いと思っていたにおいが、何故か今になってとても甘美な香りに変わったように思えた。
美琴は誘われるままに、なんの躊躇もなく琥珀色の酒を飲んだ。

「おいし…」

苦いことは苦いのだがそれ以上に、”なにか”が筆舌に尽くしがたいうまみを美琴に感じさせた。

「おー、効果覿面ってか、効果抜群って感じだな」

「んゃ……」

気が付くと、今まで机の対岸にいたはずの上条が後ろに回りこんでおり、あっという間にグラスを取り上げられてしまった。
おいしいお酒を取り返したいと思うのだが、上条に後ろから抱き込まれた瞬間、全身から力が抜けてしまう。

「ごめんな美琴。今お前に飲ませたのは試供品なんかじゃなくて、とある筋から手に入れた特別なもんなんだ」

上条の腕の中はとても心地のいい空間で、包み込まれてしまったら最後、確固たる意思がない限り抵抗なんてできやしない。

美琴を抱きかかえた上条はすまなそうに、しかしどことなくうれしそうに美琴を優しくなでまわす。
頭をなで、頬をなで、腹に添えられた手のひらをゆっくりと滑らせなでる。
上条に全身をなで回され、美琴は嫌な気分になるどころかもっとしてほしくなってしまう。
心地よい感覚にうっとりと酔いしれ”まるで猫のように”体を丸めて上条の胸に擦り寄る。

しばらく美琴を撫で回していた上条は、頬をなでていた手を喉にすべらせると、ほとんど猫にするかのような手つきでなで始めた。

「…ふ、に……うにゃ…にぃ」

喉をなでられた当の美琴は、大変気持ちよさそうに目を細め、頬を緩める。
普通の人間なら、猫にするかのように喉をなでられたって気持ちいいわけがない。
なのに、今の美琴にはその行為がとても気持ちいい。なんだったらゴロゴロと鳴いてもいいくらいだ。


894 : 美琴ちゃんってどうしてこんなにもネコが似合うの :2014/10/28(火) 16:20:03 2LtjG7m.
「お前が飲んだやつな、学園都市特製の”またたび酒”なんだよ」

気持ちよくて、心地よくて、ご機嫌になっていた美琴は、意識の向こう側で上条の声を聞く。
その声は彼女の耳には届いていたが、その言語の意味を理解するまでには至らなかった。

それに気付いているのかいないのか。どちらでも構わない上条は意に介さず続ける。

「普通またたび酒っていうと、まあ、薬みたいなもんだな。美味いもんじゃないが、健康に良い」

猫が大好きといわれるまたたび。実は猫だけじゃなく、人間も食べられる。
完熟したまたたびの実は独特な味ながらも美味であるし、またたび酒のように焼酎に漬け込んで飲み物にすることも出来るのだ。

「ただ、コイツは学園都市特製。普通のまたたび酒とは違い、摂取した者にとある特殊な状態を引き起こす」

「…うにゃ?」

上条は喉をなでていた手を止め、おもむろに何かを取り出した。
不思議そうに眺めている美琴の顎を指先で持ち上げると、取り出したそれを彼女の首にはめる。

「うん、赤とオレンジで迷ったけど、赤で正解だな」

そう言った上条は満足そうに微笑むと、彼女の首にはめた物についていた鈴を指先で軽く弾いた。

「よく似合ってるぜ、”みこにゃん”」

「にゃあ!」

言われたことの意味は良く分からなかったが、なにやら上条がうれしそうなのでいいか。

自分までうれしくなってきた美琴は元気に上条へ返事を返した。
素直に返事をしたご褒美のつもりか、ニッコリと笑った上条は美琴の頭をなでながら、ゆっくりと彼女の耳元に口を近づける。

「このまま酒の効果が切れるまで、俺のかわいい子猫ちゃんでいてもらうぜ美琴」


895 : ましろぷーど :2014/10/28(火) 16:22:08 2LtjG7m.
以上です。。。。っていうか>>887のタイトルミスった。。。なんてことだ…
あ、冒頭に妖しい雰囲気ですって書いてない…なんかいろいろもうだめだ…すみません…


896 : 我道&くまのこ :2014/10/28(火) 22:51:24 PRZSiW5.
>>・・・さんGJです!
>>871 5年ですか…そのうちの半分近くは書き手としてこのスレとお付き合いしてるんだなぁ…(しみじみ)
>>885 上条さんサイドもミコっちゃんサイドも目が離せない! 続き待ってます。

>>はりねずみさんGJです!
ミステリアスな展開なのに、さり気なくニヤニヤする描写(上条さんの買い物とか)
を挟んでくる辺り流石ッス! 続き楽しみにしてます。

>>ましろぷーどさんGJです!
ちょっとー! いい所で終わってるじゃないすかやだー!
これからどんな子猫ちゃんプレイするんですか!



くまのこです。
こぼれ話の続きが出来ましたので、投下しに来ました。
勿論今回も、我道さんとの合作となっております。
約3分後に8レスです。


897 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:54:20 PRZSiW5.
美琴「いやぁ。ツイにⅥですヨ。食蜂サン☆」
食蜂「デスよねぇー。今回はぁ、上条さんと御坂さんの絡みよりも私たちのぉ絡み、っていうかぁ、仲の良い所を披露するんだゾ☆」
上条「何そのぎこちない前セツ。とってもわざとらしくてドン引きなんだがぁぁぁああああっ!!」
寮監「ふむ。確かに仲が良さげだな。そこの少年が何を言いかけたかは分からんがクロスボンバーは息が合ってないとできない大技だ。しかも御坂の電磁力が食蜂の腕の貴金属を引き付けていたから完全に元ネタを再現している。首が飛ばなくて良かったな少年よ」
上条「……げ、げほ……あ、あのなぁお前ら……って(ええっと、どうして二人して睨みつけてきてるのでせう?)」
美琴「(このど馬鹿! アンタは寮監の恐ろしさを知らないんだろうけど、不幸な目に会いたくなかったら、今回は不用意な発言は一切、慎みなさいよ。いいわね?)」
食蜂「(上条さぁん? 本気力で御坂さんの言うとおりだからねぇ? じゃないとぉ、私も本気力で許さないからぁ)」
上条「(お、おう……てか、お前らレベル5だろ? なのにあの人が怖いのか?)」
美琴「……レベルの差が絶対的な戦力の差だなんて思わないでよね……」
食蜂「……寮監様はぁ、能力値なんて超越したところにいる、ある意味『絶対能力者』なのよぉ……」
寮監「ほほぉ。御坂と食蜂。なかなか良いことを言うじゃないか」
美琴「え、ええ。モチロンですとも!」
上条「ほへぇ。すげえなアンタ。御坂と食蜂がアンタの前だと借りてきた猫のようにおとなしくなるなんでっ――!」ごきっ
食蜂「あちゃぁ〜〜〜寮監の得意技、首ひねりなんだゾ……」
美琴「はぁ。不用意な発言は慎めって教えてあげたのに……」
寮監「少年よ。お前は学生なのだろ? 大人の私を『アンタ』呼ばわりの上にタメ口とは礼儀がなってないぞ?」
上条「……は、はい〜〜〜! ええっと、でも俺は貴女様のことを何と呼べばいいのでせう?」
寮監「そうだな。私にはまだ本名設定されていないから――『寮監』で構わん」
上条「わ、分かりましたっ!!」
寮監「ふむ。良い返事だ」


898 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:55:09 PRZSiW5.
「初春ちゃんっ」
「美鈴さん!」


美琴「私の記憶は消去しても、私のママの事は覚えてんのね」
食蜂「ま、あくまでも改竄したのは御坂さん本人に関する記憶だけだしねぇ」
寮監「御坂のお母上は随分と若々しいな。失礼だが、おいくつなんだ?」
美琴「え? …3x歳ですけど」
寮監「そうか。つまり私と同い年の時には、すでにご結婚もなされて御坂も産んでいたのだな」
美琴「え、ええ。まぁ」
寮監「そうか。………そうか…」
上条「ものすげー、遠い目をしてるな」


「いやだから「かもしれない」だってば 常盤台には記憶を操る能力者がいるんでしょ?」


食蜂「むぅ…意外とこの子、敏感力が高いわねぇ。侮れないわぁ」
美琴「佐天さんって、何気なく言った一言が後々伏線になる時が多いからね」
寮監「ふむ。敏感で危機察知能力が高いと言う所は、少年、君に近いかも知れんな」
美琴&食蜂((敏感に察知してくれるのは、乙女心以外の部分だけどねぇ…))
上条「え? 俺の事、知ってるんですか?」
寮監「『噂』はよく耳に入ってくる。特に寮での食事中、御坂から君の名が出ない日は無いくらいに―――」
美琴「なあああああああんっ!!!///」


「『妹達』と呼ばれる美琴ちゃんのクローン。一体ドコに隠してるのかな?」


上条「なんだと……?」
食蜂「わぁお。上条さんったらぁ、急に男の顔になっちゃったぁ」
美琴「過去の映像にそこまで怒りを感じられるって凄いわね。まあ私もちょっとむかついたけど」
上条「いや……まあそうだが……」
寮監「……」


「『絶対能力進化』計画をアナタが妨害していたのはとっくに調査済み。計画破綻後、『妹達』がどうなったか知らないわけないわよねっ。学園都市内に残ったクローン、どこに匿ってるのかなっ? 暗部の情報網をフル回転してるっていうのに『妹達』を探ると必ず途中で手掛かりが切れちゃう。どんだけセキュリティに特化した組織に預けてんのよ? ヤンナルネ」
「アンタ達が何者か知らないけど、私の友達を襲ってまで何がしたいわけ?」


食蜂「ちなみにぃ、妨害どころか、潰しちゃったのはぁ、上条さん、なのよねぇ?」
美琴「///」
上条「御坂なぜ赤くなる? って、ちょっと待ったこの話って――!」
寮監「……」


「――私に言わせれば、こんな街でノウノウと暮らしていられる美琴ちゃんの方がよほど異常だけど」
「だってホラ、今まで色々見てきたでしょ? 『絶対能力者』を生み出すために為されてきた非人道的行為。『置き去り』を使った人体実験、交渉人を使ったDNAマップの搾取――」


上条「だああああああああ! 絶対にまずいだろこの話! 御坂や食蜂はともかく、そちらの寮監さんは――!」
美琴「――――、知ってるに決まってるでしょ」
食蜂「学園都市でもぉ、機密力が段違いの学舎の園で働いているのよぉ。それも常盤台なんだしぃ。理事会に立ち会う事もあるからいくらでも噂は耳に入ってくるわぁ」
寮監「果てしなくこの話オリジナル設定のような気がするがまあそういうことだ」
上条「何? 知ってるだと?」
寮監「ん? お前、また言葉遣いが――」
上条「そんなんじゃねえ! テメエ! 知っているなら何故止めなかった!! テメエはそういう立場に居られる『大人』じゃねえのかよぉぉぉぉおおおっ!!」ごききっ!
寮監「言ったはずだ。言葉遣いに気を付けろ、と」
上条「あががががが……け、けど……」
食蜂「あのねぇ上条さん? だからぁ、寮監はぁ、寮則、特に『門限』に厳しいのよぉ?」
上条「……へ?」
美琴「子供のケンカじゃあるまいし、寮監一人で学園都市上層部に歯向かえるわけないじゃない。だから、寮監は上を止めるんじゃなくて、子供たちを危険な目に合わせない方を選んだの。分かる? じゃあ子供たちを危険な目に合わせないためにはどうするのが一番かしら?」
上条「……危険な場所に近づけさせないこと……?」
食蜂「そういうことよぉ。何も立ち向かうだけが『正しい』ことじゃないってことなのぉ。特に大人になれば『大人の事情』ってものがあるしぃ、そんな中でも寮監は自分のできることで最善の方法を選んだ、ってことなんだゾ☆」
上条「そ、それはそうかもしれないが……」
寮監「ふぅ……少年よ。では聞くが、私が学園都市上層部に意見したらどうなる? よくて学園都市追放、最悪、闇に葬られる可能性があるわけだが、そうなったら誰がこの悪ガキどもの面倒を見るのだ?」
上条「すんません……」


899 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:55:56 PRZSiW5.
「黒子ならきっとママを助けてくれるって信じてたからさ」


食蜂「あらぁ、フラグの建設力がビンビンねぇ。このまま百合力を全開にして、白井さんルートで攻略したらぁ?」
美琴「…アンタ分かってて言ってるでしょ。黒子の事は大切に思ってるけど、そこに恋愛感情とかは一切無いわよ!」
??「そんなお姉様! わたくしはいつでもお姉様と愛の契りを交わす準備はできぎょぐえっ!!?」ゴキッ
寮監「ふん」
上条「おお、すげぇ! ??の首が変な方向に曲がっとる!」
美琴「……電撃ツッコミしないで済む所だけは、寮監がいて良かったって思うわ」
食蜂「下手したらこの人、第一位や第二位にも素手力だけで勝てるんじゃなぁい?」


「はっ 放してくださいましっ わたくしにはそのような趣味はありませんのぉ〜」


寮監「まったくそうは見えんな」
上条「記憶が無くても白井は白井って事ですかね〜…」
??「ああん、我ながら勿体無い! お姉様と密着しておきながら何もしないなんて…今ならばお姉様の体という体を全身くまなくぎゃぼらばぁっ!!!」ギュルグキャゴキボキベキッ
上条「……明らかにヤバい音出ましたけど、大丈夫なんですか…?」
寮監「中途半端なだとすぐに復活するからな。少し強めにしておいた」
??「お…姉さ、ま……がくっ…」
美琴「ねぇ、黒子から私への邪な感情だけ消す事ってできないの?」
食蜂「無理ねぇ。白井さんの変態力はすでにレベル6級だしぃ」
上条「ま、まぁそれだけ想われてるってのは幸せな事なんじゃないか?」
美琴「アンタならともかく、黒子に想われても意味は無―――」
上条「えっ? 俺だと何で意味があるんだ?」
美琴「のぉおおおおおわああああぁぁぁ!!! ななな何でもない何でもないっ!!!///」


「あの…妹さんをさらった人――食蜂操祈さんでいいんですよね?」
「うん…それは間違いないと思う」


食蜂「人聞き悪いなぁ、御坂さん」
美琴「分かってるわよ。アンタは『さらった』んじゃなくて『保護した』んでしょ」
上条「なんだ良い奴じゃないか。そっかそっかエライぞ、食蜂」なでなで
食蜂「いっやぁ〜〜〜ん☆ 上条さんに褒められた上に頭なでられちゃったぁん☆」
寮監「ほぉ。食蜂でも素直に嬉しそうな表情を見せるときがあるのだな」
美琴「……」
上条(うわぁ……この辺でやめとこ。寮監の後ろから御坂がとぉっても怖い顔で睨んでおられます……)


 グンッ
「だからソイツを私にぶつけろっつってんのよ!! なんで…ッ」


食蜂「下乳力で上条さんを誘惑しちゃうゾ☆」
上条「う、うん。あの、えーと……うん(だ、駄目だ! どうリアクションしても不幸な未来にしかならない気がする!)」
美琴「アンタねぇ…そんな茶化せるようなシーンじゃないでしょ、ここは!」
食蜂「え〜? でもせっかくサービスカットだしぃ。自分がはみ出せないくらいちっぱいだからって、そんなに嫉妬力出さないでくれるぅ?」
美琴「よーし、その喧嘩買ってやるわ―――」
寮監「……喧嘩を何だって…?」
美琴&食蜂「「……ナンデモナイデス」」


900 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:56:37 PRZSiW5.
「協力? 信頼? なんでそんな不確かなものを信じられるのかしらぁ? 人の言うことを安易に信じた末路が『量産型能力者』計画と『絶対能力進化』計画じゃない」
「ッ……」
「私は協力者の頭の中を必ず覗くわよ? 思惑の有り様、営為の規範、場合によっては感情も行動も操縦するわ」

「何考えてんだがわからないアナタと組む気なんてはなからないの」


寮監「……ある意味、食蜂の能力の悪い弊害、だな……はぁ……まあ、言ってることは分からんでもないが……」
食蜂「さすが寮監様ぁ☆ 『理解者』ってありがたいわぁ」
美琴「ふーん。てことはアンタ、コイツとも相性良くないってことよね? コイツにもアンタの能力は通じないわけだし」
上条「あーそうなるよなー。まあ、そういう事情があるんなら仕方ないは仕方ないが」
食蜂「――!? ち、違うわよぉ!? 上条さんはトクベツなんだから頭の中が読めなくてもオールOKなんだゾ☆」
寮監「食蜂、無理するな。お前の考え方ではこの少年とは相容れることはないのだから諦めろ」
食蜂「ちょっ! 寮監様!?」
美琴「そうそう。でも安心して。アンタの分まで私が」
上条「は? 『私が』?」
美琴「――っ!! ななななななな何でもないわよ何でも!?///」
上条「?」
寮監「なあ食蜂? 今の御坂ならお前でも頭の中が覗けるんじゃないか?」
食蜂「そうですねぇ。ていうか、今の御坂さんの頭の中を除くのに能力は必要ないんじゃないですかぁ?」


「そこに木原玄生がいるのね」
「妨害力さえ発揮しなければここで見ててもいーのよ?」
「冗談。誰かの犠牲なしには何もできないヤツらに引導を渡してやるわ」


上条「お? それでもお前ら二人で突入か。熱い展開だな。例えるならジョナサンとディオが組むようなものか」
美琴「当然、私がジョナサンよね!」
食蜂「あらぁ? 私は別にディオでもいいわよぉ?」
美琴「え、そうなの? でもなんで?」
食蜂「決まってるじゃなぁい。ディオならぁ、この場合、エリナ役が上条さんになるからぁ、上条さんにズキュゥゥゥゥゥゥゥン!!できるってことでしょぉ? それで上条さんにこう言うのぉ。『御坂さんとはまだキスしたことないよなぁ? 初めての相手は御坂さんではなぁい! この食蜂操祈だぁっ!』って」
美琴「うわなんだろ? 思いっきり嵌り役っぽかった」
食蜂「ちょっとぉっ! ここは御坂さん、ムキになるところよぉっ!?」
寮監「お前ら、実は仲良いんじゃないか?」
上条「逆に考えるんだ。『仲良くなっちゃってもいいさ』と」


(食蜂!?)
 キョロキョロ
(いない。ここまでは一本道、はぐれるはずが――嵌められた!)


美琴「そんな風に考えていた時期が私にもありました」
上条「何だ? その『ふーやれやれ』って自嘲してる顔は」
寮監「深読みし過ぎたんだろうな。ここは逆に食蜂の能力があれば良かったと思える場面かもしれん」
食蜂「……それって全然褒めてないですよねぇ……寮監……」


(調子のいいこと言って誘い込んだつもりかもしれないけど、やるってんなら全力……で?)
「ちょ……ゼー…ちょっとぉ、待ちなさいって……ゼー…言ってる…じゃない…ゼー…注意力とかないわけぇ…ゼーゼー…ひとりで勝手に盛り上がってんじゃ…ないわよ……」


上条「あー……さっきの熱い展開が台無しだな……心なしか、目の中のキラキラも霞んでるし…」
美琴「いやー真面目に応戦しようとした私が恥ずかしいわ。うん」
寮監「食蜂? お前も少しは運動したらどうだ?」
食蜂(うぅ…何かドヤ顔の御坂さんが腹立たしいんだゾ)


901 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:57:27 PRZSiW5.
「全力ダッシュしてんじゃないわよ……」
「いや…ジョギングくらいだったと思うけど」


美琴「アンタはどう思う?」
上条「まあ俺にも御坂のペースはジョギング程度かな、とは思った」
食蜂「い、いいの!!/// 私は御坂さんと違って、野蛮力は必要ないんだからぁ!!///」
寮監「しかし食蜂よ。あまり運動しないのはマズイと思うぞ。成長期の今は良いが、成長期が終わった後、運動不足が常態化すると胸以外のところも膨らみ始めるからな」
食蜂「うわぁ。真面目にネガティブな知識力だしぃ」
上条「つーか、御坂の全力ダッシュはこんなもんじゃないってことは俺が一番知ってるぜ」
寮監「ん?」
上条「天下の逃げ足王たる俺が引き離せないんだからな。今は記憶を失くしたんで確かじゃないんだが、御坂曰く、俺を一晩中、追っかけたことがあったらしいし、御坂の全力ダッシュははがっ!?」
美琴「(このど馬鹿!! 寮監の前で何を暴露してやがんのよ!! アンタ私を殺す気!?)」
上条「(わ、悪かった悪かった! と言うか、ヘッドロックを解いてくれ!? 上条さんの顔に御坂さんの胸が、胸がー!!)」
美琴「(!!!!?!/// ば、馬鹿!! こんなときに何考えてんのよアンタは!!///)」
寮監「御坂? 何か今不穏な単語が聞こえたような気がするが?」
美琴「きききききき気のせいですよ気のせい!! ほら、コイツも『記憶がない』って言ってたから何かと勘違いしてるんですよ!!」
寮監「そうか。ならいいが」
食蜂(その時の様子を寮監の頭に書き込んじゃおうかなぁ……でも『能力』を使うと後が怖いからやめとこ)


「ま…まぁー、御坂さんとは部分的な重さが違うしぃー、そっちは空気抵抗も控え目だからー」
 ピキ
「この苦労はわからないわよねー」
「…つーかさ――アンタが運痴なだけでしょ」
 ……
「はァーーーッ? はァーーーッ?? 誰が運…ッ」
「そーいやアンタが体育の授業を受けてるの見た記憶がないわね」


寮監「食蜂? お前、ちゃんと授業を受けていないのか?」
食蜂「ち、違いますよ寮監様ぁ! 私と御坂さんの受けてるカリキュラムが違いますしぃ! たまたま時間が合わないだけなんですよぉ!!」
美琴「そうなの? でもこれで一年と半年以上は経過してるのに一度も見た記憶がないってのはおかしくない?」
食蜂「そ、それはぁ! 御坂さんの記憶力に致命的な欠陥があるせいなんじゃないかしらぁ!?///」
上条「食蜂も御坂と似てんなぁ。負けず嫌いと言うか、負けを認めたくないって気持ちで溢れ返ってんぞ」
食蜂「ち、違うもぉん! 本当に授業をサボってなんか―――」
美琴「あ、でも大覇星祭初日に、『午後の競技は能力でぜんぶキャンセルさせてもらった』とか言ってたわね」
食蜂「ちょ、まっ…み、御坂さん!!!」
寮監「………ほう…?」
上条「あ。寮監さんのメガネが今、光ったぞ」
美琴「指も鳴らし始めたわね」
食蜂「い〜〜〜〜やぁ〜〜〜〜〜!!!!!」


「なによっ 運動能力がいい人がエラいの? 小学生? あぁ〜そんなだから体型もお子様なんだぁ?」
「たっ体型は関係ないでしょうがあッ!! アンタこそその目のキラキラ何? 少女マンガ?」
「生まれつきですぅー! 人の身体のコト バカにしちゃいけませんって習わなかったのぉ?」
「どの口が言うかッ!!」


上条&寮監「「……………」」
食蜂「え、え〜っとぉ…」
美琴「あの…せめて何か言って欲しいんだけど……」
上条「……子供か」
寮監「はぁ〜〜〜…お前ら…」
美琴「ま、まぁそういうリアクション…よね。そりゃ」
食蜂「正直力で言っても、今、自分で見ると恥ずかしいもんねぇ…」


902 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:58:11 PRZSiW5.
「うー科学万能の学園都市でよりによってこんなの引き当てるなんて―――不幸だぁー…」


寮監「『おまもり』か…確かに学園都市では手に入りにくい品だな」
上条「でしょー!? 運営委員も、こんな意地悪なもん書かなくてもいいのに…」
美琴「でも全く無いって事もないでしょ? 神学系の学校もあるし、外部からのお客さんだっているんだし」
上条「簡単に言うけどなぁ…この時上条さんがどれだけ走り回ったと思ってんだよ…」
食蜂「私に言ってくれればぁ、能力を使ったローラー作戦力ですぐに見つけてあげたのにぃ」
美琴「…それは反則でしょ」
上条「あ、そうだ。御坂は持ってないのか? お守り」
美琴「え? 持って無いけど……でも何で?」
上条「いや、前に好きな奴がいるとか言ってただろ? 恋愛成就とか縁結びのお守りって持ってないのかな〜と」
美琴「な、無いわよそんなの!(……でも今度買っておこう…あ、そう言えばお守りじゃないけどひょっとしてアレを渡すチャンスなんじゃ……!///)」
??「おねーたま☆ ヒーローさんが恋愛成就とか縁結びのお守りって言ってんだから、ハワイで買ったリングを渡そうよ。ほらほら♪」
美琴「にゃああああああああああ!! アンタはいったいどこから湧いて出たぁぁぁぁああああああああああああ!!!///」
上条「リング?」
美琴「な、何でもないわよ! 何でも!!(ほらさっさと帰る!!)」
??「ぶーぶー」(強制退場)
食蜂「さすが(三次計画の、とは言え)妹達の一人ねぇ。御坂さんの思考を完璧力に読みとってたわぁ」


「わかった えーと…」
「あ 佐天です」
「こっちは上条当麻 ありがとな必ず返すから」


美琴「…ふーん? こうやって佐天さんにもフラグを立ててたって訳ね」
上条「いやフラグって…借り物競争ん時にお世話になっただけだって後夜祭でも言っただろ。つか、今さっき見たろ。何でちょっと不機嫌になってんだよ」
美琴「だって…」
食蜂「ま、気持ちは分からなくもないけどねぇ。でもこの程度力でイチイチ目くじら立ててたら、キリがないわよぉ?」
美琴「ぐっ…! まぁ、そうだけど…」
寮監「何だ? この少年はそんなにも軟派な男なのか?」
美琴&食蜂「「ええ。そりゃあもう」」
寮監「……お前達が息ぴったりになる程か」
上条「上条さんは紳士なのですが…何故に誰も信じてくれないのでせう?」


「おおっ! 発見 ひょっとして今日の上条さんツイてるんじゃ…」


上条「そんな風に考えていた時期が俺にもありました。(まさか二日連続で事件に巻き込まれるとは…)」
食蜂「ま、この後とんでもない事になるものねぇ」
美琴「うっ!」
寮監「例の、御坂が木原の実験で暴走する話か。全く…普段から気を引き締めていないからそんな事になるのだ。根性が足りんぞ、根性が」
上条「……ものすげー聞き覚えのある台詞だな…」
美琴「ううぅ…返す言葉もないです…」
食蜂「根性力でどうにかなる事でもないと思うけどねぇ」


「まぁ最悪 御坂さんの野蛮力が必要になるかもしれないしぃ」


美琴「野蛮力ってどういう意味だコラァ」
食蜂「言葉通りの意味よぉ。て言うか、今アナタが発揮してのが正にそれねぇ」
美琴「ああ゛ん!?」
食蜂「やだ、こっわ〜い」
寮監「ほう…? 怖いか。それは私に一撃を食らう以上の恐怖なのか?」
美琴「食蜂さん。私達って親友よね」
食蜂「ええ、勿論。私、御坂さんの事は心から尊敬力を感じてるものぉ」
寮監「良し」
上条「…もしかして寮監さん一人いれば科学サイドの争いを全部止められるんじゃね?」


「大丈夫よぉ☆ その点は胸囲力が戦闘力に吸い取られたアマゾーンがいるから心配しなくていいゾ♪」
「誰のコトかな?」


美琴「体力が全部、胸に吸い取られたような奴に言われたくないわね」
食蜂「ぷーくすくす! それって負け惜しみにしか聞こえないんだけどぉ?」
寮監「……………」
美琴「って言うのは冗談でよね!? 食蜂さん!」
食蜂「勿論よぉ! ほら、握手握手!」
寮監「良し」
上条(一応握手してるけど、二人とも手に力が入ってるな…)


903 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:58:51 PRZSiW5.
「ヤツらの真の狙いは 御坂美琴だ」


食蜂「……上条さんの性格力は知ってるから御坂さんが特別って訳じゃないんだろうけどぉ、こうして御坂さんの名前が出ただけで直球力で現場に駆けつけるっていうのは、流石に嫉妬力が湧き出ちゃうわねぇ」
上条「嫉妬って何だよ。誰かが困ってたら普通助けるだろ? それが御坂なら尚更だ」
食蜂「…むぅ〜!」 
美琴(食蜂の言う通り、これが私じゃなくてもコイツは助けに行くんだろうけど……でもやっぱり嬉しいな…///)
食蜂「ちょっとぉ! なんで『御坂さんならな尚更』なのかなぁ!?」
上条(あれ? そう言えば何でだろ? 今、自然と口を付いたような……)
食蜂「私のときもぉ! 私のことを覚えてなくても助けに来てくれたのにぃ!! なのに何で『御坂さんなら尚更』って言ってんのかなぁ!?」
美琴「あんまり深く考える必要ないんじゃない? どうせコイツのことだから『御坂なら尚更』は『知ってる人なら尚更』くらいでしかないわよ」
上条「え? まあそう、かな……?」
食蜂(うわ。意外なところから意外な援軍なんだゾ☆ 御坂さん自身は気付いていないみたいだから絶対に言ってやらないけどぉ)
寮監「……なるほど。これが噂の無自覚フラグ能力か。私もあと5〜6年若ければ、コロッとやられていたかもしれないな」
上条「え? 寮監さん、今でも充分若くて美人じゃないですか」
寮監「えっ!!? そ…そう……かな…?///」
美琴&食蜂「「うぉおいっ!!!」」


 ざわっ
「その子に何をしたァッ!!!」
「第一候補の影に隠れた統括理事長【アレイスター君】のお気に入り、その眠れる力を覚醒させる起爆剤に使うのはどうだろう」


寮監「ふむ。噂には聞いたことがあったが木原玄生が語ってことは確かな話なのだな」
食蜂「すっごぉ〜い。これは本気力でビックリなんだゾ☆」
美琴「え、ええっと……そうなの……? もしかして、ひょっとして、私が絶対能力進化実験のときに夜な夜な研究施設を潰し回ったことが大目に見てもらえたのはそういうことだったのかな…………?///」
寮監「……何? 夜な夜な何だって?」
美琴「!!!!?! なななな何でもないですよ何でも!?」
食蜂「あぁ。そう言えばぁ、夏休みのある時期ぃ、御坂さんが夜中に寮から抜け出す姿を何度か見た気がするぅ」
美琴「ちょ、まっ…しょ、食蜂!!!」
寮監「………ほう…?」
上条「あ。寮監さんのメガネがまた、光ったぞ」
食蜂「指も鳴らし始めたわねぇ」
美琴「いぃぃぃぃやぁぁぁあああ!!!!!」


「御坂君は天上の意思に辿り付けるかな?」


寮監「……角、生えてるな」
食蜂「悪役力、丸出しねぇ」
美琴「し、仕方ないでしょ!? 私だって、なりたくてああなった訳じゃないんだし!」
上条「大丈夫。俺が必ず助けてやるから」
美琴「…あ、うん………ありがと…///」
食蜂「いや、助けるも何も、これもう終わった事なんだけどねぇ。しかも上条さんも当事者だしぃ」
寮監「野暮な事は言うべきではないぞ食蜂。せっかくのいい雰囲気なのだから、そっとしといてやれ」
食蜂(だからこそ、ぶち壊したいんだけどぉ…)


904 : 大覇星祭こぼれ話Ⅵ :2014/10/28(火) 22:59:34 PRZSiW5.
上条「今回はここまでか?」
食蜂「まぁ、丁度9巻が終わった所だからねぇ」
美琴「そろそろ大覇星祭編もクライマックスね…寮監はこのまま残られるんですか?」
寮監「いや、私はここで失礼させてもらおう。仕事を抜け出して来たから長居はできん」
美琴「そうですか…(良かった…)」
寮監「……おい御坂。今心なしかホッとしなかったか…?」
美琴「(ギクッ!)ししし、してないですしてないです!」
食蜂(してたわねぇ)
上条(してたな)
寮監「…ふん、まぁいい。ではな」
美琴「は〜い! …はぁ、やっと帰ってくれた……何かどっと疲れた…」
上条「今日は緊張しっ放しだったもんな」
美琴「そうね………で食蜂、アンタは帰んない訳?」
食蜂「ええ、そうねぇ。だって私ぃ、次回力のゲストだもぉん」
美琴「はぁっ!!? 次も!? アンタ連続で何回ゲストやってんのよ! 準レギュきどりかっ!」
食蜂「この話は私の影響力が大きいんだから、仕方ないでしょぉ!? 上条さんだってぇ、私がいた方が嬉しいわよねぇ?」ムギュ
上条「え、あ…あー、うん…まぁ…」
美琴「くおらぁ! 何デレデレしとんじゃ! てか、引っ付いてんじゃないわよ! 羨ま…じゃなくてっ!/// うっとうしいじゃない!」
上条「デ…デレデレなんぞしておりませんですのことよ!? 証拠にホラ、ミコっちゃんにもギュ〜ッ!」
美琴「にゃああああああっ!!! 急に抱き締めんな馬鹿っ!!!///」
食蜂「あ、ちょっとぉ! 私が先に抱擁力いっぱいに抱き締めてたんだからぁ! 横取りしないでよぉ!」
美琴「よよよ横取りとかっ!!! してないし!!!///」
??「何だ? 鯖折りすればいいのか?」
食蜂「…へ? 何か今後ろから声ぎゃあああああああああっ!!!!!」
??「どうした金髪女。もうギブアップか? 根性が足りねーぞ!」
食蜂「折れる折れる折れる! ギブギブ、放してお願いいいいぃ!」
??「仕方ないな…そら」
食蜂「げほげほっ! あー…死ぬかと思ったわぁ……一体誰よぉこんな事したのはぁ!」
??「俺だ」
美琴「ゲッ! アンタは…」
食蜂「うわ〜、あなたかぁ…通りで馬鹿力な訳よねぇ…」
上条「お前は……削板軍覇!」
削板「よう! 久しぶりだな上条!」
上条「って事は…軍覇が次のゲストなのか!?」
削板「知らん」
上条「えっ?」
削板「よく分からんが、ここに行けって言われたから来ただけだ。何をやるかは俺も知らんから、ゲストかどうかも知らん。何やってんだお前ら?」
上条「………」
食蜂「……こいつはこういう奴よねぇ…」
削板「ん? よく見たら一緒に選手宣誓した女じゃねーか。それにもう一人の方は電撃女」
美琴「あー…久しぶりねー…」
上条「御坂、知り合いだったのか? この後の話では御坂と軍覇って会話もしてないはずだよな」
美琴「その前に会ってんのよ。偽典でね。その時はお互いに名前も知らなかったんだけど……でもそうか。食蜂と一緒に選手宣誓したって事は、レベル5だったのね。道理で滅茶苦茶な訳だわ…」
上条「そ、そっか。それだけか(…あれ? 何か今、俺ホッとしたような気が…?)」
食蜂「という訳でぇ、次回力のゲストは私とナンバーセブンでお送りするわぁ」
削板「おう、任せとけ! …で、結局何するんだ?」
食蜂「……黙って突っ立ってればいいんじゃなぁい?」


905 : 我道&くまのこ :2014/10/28(火) 23:00:35 PRZSiW5.
以上です。
次はくまのこ単体として、この前書いたハロウィン物の続編を書く予定です。
ではまた。


906 : ■■■■ :2014/10/28(火) 23:52:28 pgufLg8Y
>>886
面白かったです!またお願いします!


907 : くまのこ :2014/10/31(金) 00:12:15 dF.EOQ56
連投失礼します。
この前言っていたように、ハロウィン物の続編書きました。
続編ですので、先に>>864-866をお読みいただくとありがたいです。
約3分後に4レスです。


908 : とある新米の恋人同士【ウブカップル】10/31 :2014/10/31(金) 00:15:06 dF.EOQ56
10月31日。
学校から帰ってきた上条は、自室に入ってすぐさま掃除をし始めていた。

「…よし! 大体こんなもんかな?」

粗方片付いた所で、「ふ〜」と一息つきながら部屋を見回してみる。
部屋の中はいつもと違って上条一人だけとなっており、何だか妙に広く感じる。

「今頃インデックスとオティヌス【あいつら】、楽しくやってんのかねぇ?」

ほんの少し寂しく思いながら、そんな事をポツリと呟いた。
インデックスとオティヌスは、現在、小萌先生のアパートにいる。
上条が『今日、小萌先生ん家でハロウィンパーティーやるってさ。お菓子食い放題だぞ』
と唆したのである。結果インデックスはノリノリで『行ってきますなんだよ!』と出かけて行った。
しかしオティヌスは『私は別に興味無いぞ』と断ってきたので、
『実はインデックスがいない間に、スフィンクスを風呂に入れようと思ってんだけど…
 もし暴れたら怒りの矛先がオティヌスにも―――』と上条が言いかけた所で、
『私も行ってくる!』とインデックスの頭にしがみ付いたのだった。
しかしそのスフィンクスも実はお隣の土御門家でお世話になっており、ここにはいない。
なわば何故に上条は、こんな人払いのような事をしたのか。そんな事は決まっている。

「さて、と。そろそろ美琴が来る頃かな?」

勿論、恋人と二人っきりでハロウィンを楽しむ為である。

先日の25日。
上条と美琴は、ちょっと早めのハロウィンデートを満喫し、お互いにイタズラをし合った訳だが、
その際に上条が、本番はもっと凄いイタズラをすると宣言【やくそく】したのだ。
そして前回は上条が美琴の寮に行った為、今回は美琴が上条の寮にやってくる手筈となっている。

上条がチラチラと時計を見ながらベッドの上でソワソワしていると、
『ピンポーン』とチャイムが鳴り響いた。
上条はガバっと立ち上がり、直行で玄関へと向かう。相当楽しみにしていたようだ。

「はいはーい! 今、開けます…よ…?」

ドアを開けたその先には、待ち人である美琴がそこに立っていたのだが、しかし何か違和感がする。
いや、『何か』もなにも、違和感の正体など分かりきっている。
美琴の頭から、有り得ないモノが生えていたのだ。

「え、えっと美琴さん…? 何故にアナタの頭から『ねこみみ』が生えてらっしゃるのでせうか?」
「えっ!? に、似合って…ない、かな…? せっかくのハロウィンだから着けてきたんだけど…」
「いや、似合いまくってるけど…」

正直、元から生えていたんじゃないかと思うくらい似合っている。

「ホント!? 良かった〜…そこの雑貨店で買っちゃった♪」

「にぱっ!」と可愛い笑顔を上条に向けてきた『みこにゃん』は、
本日、何万人の人が言うであろう定番の言葉を口に出す。

「あ、その…『トリック オア トリート!』」

上条はすかさず叫んだ。

「トリックでお願いします!」


909 : とある新米の恋人同士【ウブカップル】10/31 :2014/10/31(金) 00:15:51 dF.EOQ56
「へぇ〜、意外と片付いてるじゃない」
「ん。まぁ、美琴が来る前にザッと掃除はしたからな」

部屋に上げた美琴を座布団に座らせながら、上条はお茶の用意をする。

「美琴は紅茶だったよな? うち、バッグの奴しか無いけどいいか?」
「いいわよ。何でも」

何でもいいと言うのは、『どれでも同じでしょ』的なネガティブな意味ではなく、
『上条が淹れてくれるお茶ならどんな物でも嬉しい』という、ポジティブな意味である。
色んな意味で、ごちそうさまである。

キッチンでヤカンに火をかける上条の後姿を見つめながら、
美琴は「ニヒッ」と口角を上げて、何か悪巧みを思いつく。

「あ、牛乳あるけどミルクティーにすぉわぁぁぁあああっ!!?」

上条が「ミルクティーにするか?」と言おうとした瞬間、
突如彼の耳に生暖かい風が当たった。突然の事で、上条は背筋をゾクゾクとさせる。

「な、ななな何をしてございますかっ!?」

振り向くと、自分の背後で「にししっ」と笑いながら立っている美琴がそこにいた。

「何ってイタズラよ♪ さっき玄関で、『トリック』をご所望したでしょ?」
「うっ…ぐ」

ねこみみを付けた彼女から、こんな可愛らしいイタズラをされてしまっては、
流石の上条さんと言えども赤面せざるを得ない。
しかし上条もこのまま黙ってやられる訳ではない。美琴の目を正面から見つめながら、一言。

「…トリック オア トリート」

しかし美琴は余裕の表情を浮かべた。

「ざ〜んねんでした! 私はお菓子持って来てるのよん♪
 あ、ほら。この前パンプキンケーキを友達に作って配るって言ってたでしょ?
 ちゃんとアンタの分も作ってきたから」

言いながらカバンから、自作のカップケーキを取り出す美琴。
しかし上条はそれをスルー。

「あー、そっかー! ミコっちゃん、お菓子を持ってないのかー!
 じゃあイタズラするしかないなー、これはー!」
「えっ……えええ!!? いや、だからお菓子はちゃんと―――」
「いやー、仕方ない! 仕方ないなー! 持ってないんだもんなー、お菓子!」

全く聞く耳を持とうとしない上条である。
どうやらこの男、どう転んでもイタズラをするつもりのようだ。
端から『トリック オア トリック』だったのだ。

上条は冷蔵庫から、チョコレートケーキを取り出した。
スポンジにブランデーでも染み込ませているのだろうか、洋酒の香りが漂ってくる。

「な、なによ! アンタもお菓子、用意してたんじゃない!」
「上条さん、『トリック』してくれとは言いましたが、
 『トリート』の準備をしてないとは言ってませんですことよ?」

そんな事を言いつつ誤魔化しながら、上条はケーキのクリームの部分を指ですくい取る。
そしてそのまま、

「は〜い、ミコっちゃ〜ん! お口、あ〜んして〜?」

無茶振りしてきた。
美琴は耳まで真っ赤にさせながら、上条の大胆行動にアワアワしだす。

「えええっ!!? そそ、それはちょっと、まま、まだ早いって言うか……」


910 : とある新米の恋人同士【ウブカップル】10/31 :2014/10/31(金) 00:16:40 dF.EOQ56
恋愛経験レベル0の美琴(上条もそうだが)にとって、『あ〜ん』は大人の階段の第一歩らしい。
来年は高校生になる歳だと言うのに、ピュアすぎるにも程がある。
しかし上条は、そんな美琴にも容赦がなく、

「いいから。ほら、お口をお開けなされ」

と無茶振りを続ける。
上条は、「ねこみみこと」のみこにゃん姿に、理性を司る回路のネジが一本だけ緩んでしまったようだ。
気分は仔猫を食べる狼さんのそれである。色んな意味で、いただきますである。
しかし美琴は恥ずかしさからか顔を背けてしまう。そこで上条が取った行動は、

「えい」
「わひゃっ!?」

指についたクリームを、美琴のほっぺに付けるという事だった。

「な、な、何するの!?」
「何って、そりゃあ勿論……」



ぺろっ…



「……こうする為ですが」

数秒間の硬直の後、美琴の頭から煙が噴き出した。
大体何が起こったのかお分かりになったと思われるが、正にその通りである。
上条はわざわざ美琴のほっぺにクリームを付け、それを自分で舐め取ったのだ。

「この前の『イタズラ』の仕返しだよ」

前回は美琴にキスされたので、その仕返しらしい。
だがここで手を緩めるような上条ではない。
『ほっぺにチュウ』で美琴の精神的防御力がブレイクした今こそ、攻めるチャンスなのだ。
上条は再び指でクリームをすくうと、

「じゃ、もう一回な。あ〜ん」

先程失敗したミッションをもう一度挑戦する。さっきの今で成功するとは思えないが。

「あ……あ〜〜〜ん…はむっ…」
「はーい、よくできました」

と思ったが、意外とアッサリ成功した。
どうやら美琴は美琴で、頭がほわほわして思考が鈍ってしまったらしい。
それが功を奏し、自分にブレーキをかける間も無く、当たり前の様に『あ〜ん』をしてしまった。
しかしここで、上条の予想を超えた事が起きてしまう。

「ちゅるちゅる…ちゅぷちゅぷ……んっ、ちゅっ…ぷちゅる」
「えっ!!? ちょ、み、美琴!!? そ、そそ、それこそちょっと、俺達には早すぎませんか!?」

美琴が上条の指を咥えたまま、舌を動かしてきたのだ。
何だか『いけないプレイ』をしているようで、今度は上条の顔が真っ赤に染まる。
上条は慌てて指を引っこ抜いた。ヘタレである。対して美琴は物足りなそうに、

「だ〜めぇ〜…もっとぉ〜……」

とおねだりした。

「も、もっとじゃありませんっ! これ以上は、上条さんだってどうにかなっちゃいますよ!?」
「いいのぉ〜…もっとすりゅのぉ〜……」
「……? 美琴?」

様子がおかしい。美琴は目をトロンとさせながら、口をパクパクしている。
ちょっと前まで手を繋ぐのもやっとだったと言うのに、この変わり様は何だろうか。
と、思った瞬間、洋酒の香りが上条の鼻をくすぐり、ハッとする。

「も…もしかして酔ったのか!? 酒の臭いだけで!?」

ブランデーが染み込んでいると言っても、そこは学園都市だ。
学生も買えるようにアルコールは飛ばしてある。
だが美琴は極端にお酒に弱かったのか、この臭いだけでホロ酔いとなってしまったようだ。
もっとも原因はお酒だけでなく、この甘々な空間にも酔っているようにも思えるが。


911 : とある新米の恋人同士【ウブカップル】10/31 :2014/10/31(金) 00:17:33 dF.EOQ56
「む〜…! 酔ってらいわよ〜! いいかりゃ、つぢゅきすりゅろ〜!」
「いや、酔ってるって! つ、続きってさっきのか!? ダメ! アレはもう、おしまい!」

美琴はさっきの指ぺろプレイを続行したいようだ。
しかし上条は『あれ以上』続けると自分でも抑えが効かなくなりそうなので、それを拒否する。
なので美琴は「む〜っ!」と頬を膨らませる。が、直後『いい事』を思いつき、すぐさま上機嫌になった。

「むふふ〜…じゃあ、今度はわらひの番〜♪」
「み…美琴の番って?」

疑問をぶつけた上条だったが、その答えはすぐに分かった。
美琴がクリームを指に付けたのだ。そう、先程の上条と全く同じように。

「は〜い! あ〜んして?」
「うえっ!!?」

攻めは強いが受けに回った途端に弱くなるのは、美琴も上条も同じなのだった。
しかし上条にはここで「止める」という選択肢は残されていない。
だってさっき、自分も同じ事を美琴にしちゃったのだから。上条はごくりと生唾を呑み込み、そして、



はむっ…



美琴の指を咥えた。

「あっ、んっ!」
「ちゅばっ! へ、変な声出すなよ!
 かか、上条さんだって男の子なんだから、こ…これ以上は本気でどうにかしちゃうぞ!!?」

咥えた瞬間、美琴の喉奥から『妙に色っぽい声』が、聞こえてきたので、
上条はすぐに口を離した。理性が保たれているうちに。
だが美琴はそんな上条の涙ぐましい努力を嘲笑うかのように、一蹴する。

「…いいよ? どうにかしても……アンタなら…当麻になら私……して、ほしい…」

お酒のせいなのかも知れない。この雰囲気に呑まれているだけなのかも知れない。
しかし可愛い彼女が顔を上気させ、瞳を潤ませて上目遣いで、
しかもこんな事まで言われた日には、紳士を自称する上条さんでもプッツンするというものだ。
気が付けば上条は、前回と全く同じように、美琴を抱き締めていた。
そして耳元で優しく囁く。

「……もう、止まんないからな。覚悟しとけよ?」

それだけで美琴は、身体が「ビクン!」と跳ねてしまう。

「んっ…! いいよ…来て…?」

そしてそのまま美琴はそっと目を瞑り、上条がその唇を

「…とうま、それに短髪。一体二人は何をしてるのかな…?」
「おい人間…私達を追い出した本当の理由はこれか?」
「にゃー。舞夏と出かける事になったからスフィンクス【ねこ】返しに来たんだけど、
 中々どうしてとんでもない所を見ちまったぜい」
「みゃー!」

このタイミングでインデックス、オティヌス、土御門、スフィンクスの三人と一匹の乱入である。
やはり上条は、不幸という名の星の下に生まれてきたのだろう。

抱き合ったまま、口付け直前の状態で固まる上条と美琴。
その後ろで、空気を読んだのか読んでないのか、
火にかけていたヤカンが「ピュイー!」と鳴き、お湯が沸騰した事を告げるのだった。



ちなみにこの後、上条が『何かしらの不幸な目に遭った』のは、まぁ、ご想像通りである。


912 : くまのこ :2014/10/31(金) 00:18:45 dF.EOQ56
以上です。
甘々すぎてたらスンマセン。
ではまた。


913 : ■■■■ :2014/10/31(金) 00:39:40 .7tPkhhU
(・∀・)アマー


914 : 久志 :2014/10/31(金) 22:59:07 Hxc.CO22
間に合った……すみません今回時間都合でレス省きます(汗
個人的に返したいコメントも多々あるんですけどねー…

ハロウィンネタがギリギリで完成したので投下します。たぶん1〜2レス。


915 : みんなで美琴たんの衣装を考え隊 :2014/10/31(金) 23:00:55 Hxc.CO22
 


<某年10月某日 セブンスミストのハロウィン特設コーナー>



佐天「皆さん、本日は未だに衣装迷ってる御坂さんのために似合いそうな衣装を、
   テーブル上にあるカタログ写真指して挙げていきますよー♪では私から♪」

【魔法使い】


佐天「定番ですけどやっぱり可愛らしさからいってコレでしょう♪」
上条「ほほぉ…カタログの写真見てみると確かに似合いそうだな」
初春「ふむ…確かに可愛らしいですね。でも私も負けていませんよ?コレです♪」

【プリンセス】


初春「こんな絵本の世界から出てきたような綺麗な衣装、私には無理ですが
   御坂さんが着たらきっとすごく似合うと思うんです♪」
佐天「初春、やっぱりそう来たか…相変わらず乙女ですなぁ〜キミは♪」
舞夏「むぅ…確かに盛夏祭でのドレスも似合っていたし良い案だと思うがなー
   わたしの案もきっと似合うと思うのだよー。ぜひ見てくれー」

【メイド服】


舞夏「最近では定番化してきつつあるがなー、やっぱりみさかのような
   愛らしさと気品を両方もっている女性が着るのが一番なんだぞー」
黒子「確かに、“愛らしさと気品を両方もっている”というのは同意致しますが、
   ワタクシの衣装こそがお姉様に最も似合う衣装だと確信しておりますの!」
美琴「へぇ〜?すごい自信ね…一応見せてもらおうかしら?」

【猫(ビキニ型)】


美琴「こら黒子!アンタこれ絶対に露出度とか重視で選んでるでしょ!」(電撃)
上条(…相変わらず歪みねぇな白井は)
固法「次は私の番ね?う〜ん…」

【蝶(羽+ミニスカート)】


固法「写真見てたら、御坂さんこういうの好きそうだなー♪って思っちゃったから…」
上条「あぁ〜、確かにこういう可愛らしい衣装好きそうだし、美琴に似合いそうだな」
春上「私も選んでみたのー。コレなんか良いと思うのー」

【気ぐるみゲコ太】


春上「御坂さんといえば、やっぱりコレなのー」
美琴「うわ何この可愛いのは!ハロウィン衣装とは別で保存用と観賞用と着る用と布教用で4着欲しいわコレ!」
禁書「思いっきり食いついてるんだよ…次は私なんだよ」

【カナミン衣装】


上条「インデックス、お前…完全にお前の趣味だろ。今回はお前じゃなく美琴の衣装選びだぞ?」
禁書「むぅー! 確かに私の趣味でもあるけど、可愛らしい衣装だと思ったから選んだんだもん!」
黄泉「次は私の番じゃん」

【ヴァンパイア(レディ用)】


黄泉「こういうのもなかなか面白いと思うじゃん?」
黒子「確かに、本物の美貌を持つ女性が着てこその衣装…なかなか相応しいかもしれませんの」
小萌「私も案を出してみるのですよー!コレなんかどうでしょうかー?」

【小悪魔】


小萌「可愛らしさならコレも案外イイと思いますー♪」
上条「ほぉ。コレだと敢えてお菓子あげずにイタズラされてみたくもなるな」
木山「ふぅん…面白い感想だな。では、私の案にはどういう感想が貰えるのかな?」

【女豹(ビキニ型)】

美琴「ちょwww木山先生!コレさっきの黒子のより露出多いんですけど!?////」
木山「イベント事というのは熱気がすごいからな…暑くなり過ぎないように考えたんだが…」
上条「……残るは俺1人か。じゃあ俺の案は―――



佐・初・舞・固・春・黄・小・木「「「ウェディングドレスですね?(だなー?(なのー?(じゃん?(ですね?(だな?」」」
上条「いやいやいや、そりゃまぁ将来みんなの前で着てもらいたいなーとは思っ////……ハッ!?」

美琴「ふにゃー////」



この後、上条が提案した【ミニスカ天使衣装(白)】に美琴を含む全員が納得し決定しましたとさ。


916 : 久志 :2014/10/31(金) 23:02:23 Hxc.CO22
以上、推敲も何も存在しない、思いつき特攻作品でした(汗
次回は今ちょうど案を練り練り中の小ネタか、長編続きか…どっちだろう?


917 : ■■■■ :2014/11/01(土) 07:17:21 B6ITd5GY
おう! 3人と一匹が乱入しないバージョンのエロスレ投下、あくしろよ!


918 : ・・・ :2014/11/03(月) 01:41:52 1bp.qZ6.
どもー、・・・です。

秋も佳境ですぜ、風邪引くなよ皆さん。
上琴はどっちかが風邪ひいて片割れに看病されなさい。

さて

>>ましろぷーどさん
ちょっと、最期の方投稿し忘れてますよー続きが乗っかってないですよー(笑)
タイトルに全力で同意!! しながら、犬やウサギもありだという意見は受け入れまっせ!!
しかし、カミやん命知らずだなぁ

>>我道&くまのこさん
寮監の存在感たるや
ほんと実は似たもの同士だよねこの二人
メンバーも内容も次回が大混乱!!超期待!!

>>くまのこさん
沸騰したのはお床それとも彼女らの頭か!!?
っつーかタイトルの「ウブ」は後半どこいった!!
どーせすこししたら通常運転なんだろ、まったくもうもっとやれ

>>久志さん
え? かわいい彼女がいて、美女に囲まれて、
彼女のコスプレを決めて、今からその全員と一緒にハロウィンパーティ?
…………奴を死なない程度に殺してくれ青ピ


いやぁ、すばらしいトリートの数々でした。

それでは投稿します。
私の作品はいまだに夏……し、仕方ないよね

それでは


919 : 夏祭り 後篇1 :2014/11/03(月) 01:43:04 1bp.qZ6.
インデックスは『夏でも最新技術で快適!! モフモフゲコ太着ぐるみ』を装備した!!

「かわいすぎですよ!!インデックス!!」

夏祭りの中心から少し外れた簡易テントの中は、撮影会場になっていた。
残像が残るほどのスピードで、自称カメラマンは赤ちゃんを撮影しまくる。
横では神裂がはしゃぎ、
インデックスは23本目のミルクに突入する。
同僚の間抜けな姿にステイルはため息を吐きながら、インデックスに対し携帯のシャッター音を鳴らし続けた。

「インデックス!! 美味しいですか?」

「ぷぅ……う? あい!!」

(((…………天使がいる)))プルプル

いわゆるツッコミ不在である。


920 : 夏祭り 後篇1 :2014/11/03(月) 01:43:45 1bp.qZ6.

夏祭り後篇


太鼓の音が遠くで響いてくる。
屋台の明かりがぎりぎり届くか、届かないかの距離。
暗闇の中に浮かぶ彼女の顔は、驚きに染まっていた。
自分の手が震えている。
予想以上に緊張しているようだった。
告白なんて柄じゃないのはわかってる。
でも今、しなければならなかった。

最初は応援していた。ついでに上条とケンカできればよかった。

だが、彼女にいつの間にか惹き付けられていた。
辛い思いはしてほしくない。
正直困らせるのも嫌だ。


だから、今じゃなきゃいけない。


彼女の向こうに見える木の下に隠れた、あの憎い鈍感野郎を焚き付ける。
そう彼女を困らせる言い訳にしないと、自分は2度と動けない。
だから、言った。
自分の本心を、
結末すらわかる、思いを


921 : 夏祭り 後篇1 :2014/11/03(月) 01:44:13 1bp.qZ6.




あわてて漏電を抑え込む。
思いっきり動揺している。
「異性に直接思いを伝えられた」のは初めてだった。

白井はなんだかんだいって異性じゃない。白井には悪いが現実味がない。
海原の好意には気付いていた。しかし搦め手であったため、こちらの対応も婉曲にすることができた。

今回は違う。

感情を直接ぶつけられた。
冗談ではないことが表情から読み取れる。

美琴は……尊敬した。
その姿は、何度もイメージした自分の姿だった。
自分がやるべき行動。
しかし、恐怖が彼女の足を止めた。
もし、断られたら?
そう思うと動けなかった。

彼は違う。
彼は自分に確認した。
「上条クンのことが好きだよね」と
勝ち目の低い戦であることもわかっているのだ。
しかし、逃げなかった。
だから、彼の想いに応えるには、自分も正面から、挑まなくては、ならない。



美琴は予想以上に動揺していた。
あのツンツン頭の少年が、彼女の後ろにいたことも、彼がトールの言葉を聞いてその場から離れていったことにも気づかなかった。


922 : 夏祭り 後篇1 :2014/11/03(月) 01:44:42 1bp.qZ6.

上条は走る。

(…………??)

何が起こった?
ただトイレに行き、オティヌスのところに戻ろうとしただけだ。
その途中で美琴とトールを見つけた。

(なんで動揺してるんだ??)

声をかけようとした瞬間、
アイツは言った。



「オレがアンタのことを好きだと言ったら、アンタどうする?」


(……別に、いいこと、じゃねー、か)

以前の、海原の件もある。
アイツは自分と違ってモテて当然だ。
頭もいいし、運動神経も高いし、
美人で、かっこよくて、かわいい一面もあって、
ゲコ太が好きで優しくて友達思いで……

「……い!! 聞こえてないのか!! 人間!!」

腕を掴まれ、ようやく上条は立ち止まった。

「…………オティヌス?」

「どうした? 珍しくおびえているな?」


923 : 夏祭り 後篇1 :2014/11/03(月) 01:45:19 1bp.qZ6.



「ごめんなさい!!!」

美琴は深々と頭を下げた。

「正直、あなたの好意はうれしい。でも…………」

???
声が出ない。
目の前にいるのは、想いを伝えたい相手ではない。

「わ、わた…………私、は……」

なのに、こんなにも苦しいのか?
自分の本心を認めて、さらに口に出すというのは。

「と、ととう、ととうまの…………こと、が!!」

顔が真っ赤に染まる。
目も開けていられない。
息がうまく吸えない。
指の爪が手のひらに食い込んで痛い。

「す、す…………!!」


でも、言うんだ。
彼に答えるためにも、
なにより、

「す…………き…………」

ここで言えなくて、

アイツに……伝えられる訳がない

最後の「だから」は消え入って聞こえていないと思う。

彼は教えてくれた。
今のままではいけない。
想いとは、伝えなければ意味がないのだ。
カシャッ

「……は?」

「いやーもしも、の話に、そんなガチな返答が帰って来るとは思わなかったぜ」

「へ? 携帯? シャッター音?」

「これを録音した内容と一緒に上条クンに送し「やめんかーーー!!」







彼が、冗談にしたいのならそうしよう。
表情に隠しきれていないことも、指摘しないでいいだろう。

その時だった。

オティヌスと会いようやく落ち着いた上条と、
やっと自分のやるべきことを見つけた美琴の耳に

「「インデックス!!!!」」

と、叫ぶステイルと神裂の声が届いた。


924 : ・・・ :2014/11/03(月) 01:46:36 1bp.qZ6.
以上です。
……べたすぎたかなぁ


925 : くまのこ :2014/11/04(火) 20:51:08 OcOk9XuI
>>久志さんGJです!
全部着ればいいじゃないですか。全部着ればいいじゃないですか! 大事な(ry
そしてコスプレしたミコっちゃんを上条さんが美味しく(ry

>>・・・さんGJです!
上条さんの動揺っぷりに、こっちはニヤニヤしてしまいますw
はよ気付け! その気持ちが一体何なのかを!



短編書きました。
大覇星祭の3日目という設定です。
設定上、二人は付け合っている訳でもないので、
イチャイチャはあまり期待しないでください。
約3分後に、4レスです。


926 : 学園対校障害物リレー :2014/11/04(火) 20:54:03 OcOk9XuI
大覇星祭三日目午後。
第七学区にあるこの競技場で、今『学園対校障害物リレー』が開催されようとしていた。

学園対校障害物リレー。
それはその名の通り、いくつもの学校が参加する障害物競走のリレー版である。
各学園で10名1組のチームを作り、それぞれの走者が200m区画にある3つの障害物を突破して、
次の走者にバトンを渡さなければならない。
しかも障害物は走者毎に別々の物が用意してある(10人×3で30もの障害物が用意されている)
という気合の入れようだ。さすがは大覇星祭といったところか。

そんな中、仁王立ちして対峙している二人のアンカーがいた。

「ふっ……ふっふっふ! とうとうこの時がやってきたわね! 白黒つけられるこの時がっ!」
「へっ…! その余裕、いつまで続けられっかな? 恥かく前に棄権する事をオススメしますぞ?」

常盤台中学二年代表・御坂美琴。
とある高校一年男子代表・上条当麻。
二人は本日、今大会初の直接対決を迎えようとしていた。
…初日に上条が玉入れの競技で乱入して美琴と対決をした(ついでに押し倒した)が、
アレは勿論ノーカンである。

大会初日は使徒十字を巡る魔術サイドとの戦い、
二日目は美琴をレベル6へと押し上げる為の科学サイドの計画と息つく暇もなかったが、
ここにきてようやく二人は、平和(?)に競技に参加できるようになったのだ。

「『約束の事』、忘れてる訳じゃないわよね?」
「ぐっ…! う、うちにもまだまだ逆転のチャンスはあるんだからな」

睨み合いながら美琴が言った『あの約束』とは、初日に交わした例のあの事だ。
「負けた方は勝った方の言う事を何でも聞く」という罰ゲームを受けなければならないのだ。
もっともそれは個人戦ではなく、あくまでも学校全体で取得したポイントで勝敗を決めるので、
今回の直接対決で決まるという物でもないのだが、それはそれ、これはこれだ。
こうして戦うからには、やはり勝ちたいのである。

「チャンス〜? この点差を見てもそんな事言えるのかしらん?」
「……大丈夫だ。問題ない」

上条の高校と常盤台中学の間には、かなりの点差が開いていて、
しかも先に述べた二日間に亘る連戦で上条はもうボロボロなのだが、
美琴は『あの約束』を反故にするつもりはないらしい。何か余程『上条にしてほしい事』でもあるようだ。
ハッキリ言って逆転は絶望的だが、それでも強がりだけは言っておく上条である。

二人がそんな事で言い争っていると、応援をするギャラリーの大声が聞こえてきた。

「当麻さーん! ガールフレンドが相手だからって、手を抜いたらいけませんよー!?」
「当麻ー! 女子中学生と羨まけしからん事をしてないで、
 ちゃんと競技に集中するんだぞいや違うぞ母さん羨ましいと言ったのはそういう意味ではなくて
 いやだからもう本当にすみませんでしたーっ!!!」
「とうま! 短髪なんかやっつけちゃえばいいんだよー!」
「おらぁー、上条当麻ー! 貴様、負けたりしたら承知しないわよー!」
「上条君。頑張って。…でもあまり無理しないで」
「上条ちゃーん! くれぐれも怪我には気をつけてくださいなのですよー!」
「上条ー! せっかく私が解説の仕事すっぽかしてまで応援に来てやったんだから、
 中学生をナンパするのは後にしてほしいんだけどー!?」

「御坂さーん! あたしも初春も応援しに来ましたよー!
 この競技、柵川中学【うち】は参加してませんのでー!」
「御坂さーん! 『昨日みたいに』お腹壊しても大丈夫なように、お薬用意しておきましたからー!」
「お〜姉様あああああ!!! 黒子は…黒子はご一緒に戦う事はできませんが、
 せめて観客席からお姉様の勇姿この目に焼き付けておきますのでご安心を〜〜〜!!!」
「御坂様! 今、婚后さん(常盤台中学の第九走者)にバトンが渡りましたわ!
 もうすぐ順番ですわよ!」
「白井さんも湾内さんも、勿論わたくしも、御坂様の走るお姿をここで拝見させていただきますわ!」
「美琴ちゃ〜ん! ファイト、ファイトー!
 あ、それと上条くん。ちょっとくらいなら美琴ちゃんのおっぱいとか触ってもいいわよ?」
「御坂さーん! 大覇星祭限定Ver.のストラップ、もうお買いになりましてー!?」

色々とツッコミどころのある応援【やじ】に、
美琴は顔を真っ赤にさせ、上条は苦笑いを浮かべた。


927 : 学園対校障害物リレー :2014/11/04(火) 20:54:49 OcOk9XuI
婚后はドロだらけになりながら、こちらに走ってきていた。
ちなみにだが、彼女も前日に事件に巻き込まれて入院していたのだが、
幸いそれほど深手ではなく、医者の腕が良かった事も手伝って、今日の午前中には退院したのだった。

「御坂さん! これを!」

手に持っているバトンを差し出す婚后。しかしその後ろから追いかけてくる少年が一人。

「カ〜ミや〜〜〜ん!!! 後は任せたぜい!!!」

上条のクラスメイト、土御門だ。彼もまた、婚后同様ドロに塗れていた。
ちなみに彼も、能力者でありながら魔術を酷使した事で初日からボロボロになっていたのだが、
自らの肉体再生の能力を使って、何とか走れるまでには回復した。
もっとも、「舞夏【いもうと】が応援してくれてんのに、いつまでも寝てなんていられないからにゃー」
というのが本音なのかも知れないが。

現在3位の学校とは大きく差をつけ、2位が上条の通う高校、僅差で1位が常盤台中学となっていた。
全校生徒がレベル3以上で構成された常盤台ならば、
2位との差をもっとぶっち切ってもおかしくないのだが、やはりそこはお嬢様なのだ。
今の婚后や土御門の姿からも想像できるように、障害物競走というのは汚れる物だ。
(ちなみに第九走者の障害物の一つには、『砂場匍匐前進』なる物があったらしい)
箱入りの彼女達の中には、靴が汚れるのすら躊躇う者も多く、
障害物を越える事に躊躇している間に、追いつかれたりしたのであった。

美琴は婚后からバトンを受け取り、上条に「お先♪」と言い残して横切って行った。




第十走者第一の障害物・「網くぐり」

網くぐり。
コース上に網が広げており、選手はそれを潜って渡らなければならないという、定番の障害物だ。
基本的にこの競技、先頭の選手の方が不利である。
後に続く選手は先頭の選手が開けてくれた空間を渡れるのだから。
だがしかし、そこは不幸が売りの我らが上条さんだ。
美琴の数秒後に網に入ったまでは良かったのだが、

「ちょ、ア、アアア、アンタ! へ、へ、変なトコ触んないでよ馬鹿っ!!!」
「し、仕方ねーだろっ!? わざとじゃないんだし!」

美琴も巻き込んで、盛大に絡まっていた。

「や、ぁん…そこっ、は、んっ、はっ! だ…め……んにゃあぁっ!!!」
「おおお、お前こそ変な声出すなよ!!?」

狭い空間で網に締め付けられながら汗ばんだ身体を絡ませ合う、うら若き男女。
中々どうして、とてもけしからん状況である。
爽やかなスポーツの祭典で、一体何をやっているのか。
大覇星祭はテレビ中継もされて、この様子が全国のお茶の間にも流されるというのに。
きっと慌てて録画をしたお父さんも多い事だろう。

「…っぷあ! 出れた!」

結果、先に網から這い出たのは上条だった。ここに来て常盤台は、逆転を許してしまったのである。
そして残された美琴はと言えば、

「ぁ…はぁ、はぁ………んっ、くぅ…!」

未だに網の中で、見えない『何か』と戦っていた。


928 : 学園対校障害物リレー :2014/11/04(火) 20:55:35 OcOk9XuI
第十走者第二の障害物・「飴食い競争」

飴食い競争。
コース上に選手と同じ数の机と番号の付いたプラスチック容器が置いてあり、
容器の中には大量の片栗粉と一つの飴玉が入っている。
そしてその飴玉を手を使わずに探し出すという、これまた定番の障害物だ。
人数分用意はされているが、後の選手がすでに飴玉を取られた容器を選ばないように、
それぞれ使う容器の番号が決められている。現在先頭を走る上条は④番、続く美琴は③番だ。

「ぜぃ、ぜぃ…ア・ン・タ・は〜〜〜……さ、ささ、さっきはよくもやってくれたわねっ!」

上条から遅れること数秒、美琴が上条に追いついた。
顔を真っ赤にさせて息を切らしているのは、果たして全力で駆けつけたからという理由だけだろうか。
上条は粉まみれで真っ白な顔を美琴の方に向け、口から白い煙を噴出させながら話しかける。

「ばふっ… あー…もう追いつかれたか……」

その顔に、美琴は思わず吹き出した。

「ぷっ! アンタ何て顔してんのよ」
「うるへー! お前だってこうなるんだよ!
 くっそ…リードしてたのに、飴が全然見つかんないから並ばれちまったよ…」

ブツブツと文句を言う上条。彼は不幸体質なので、
こういった『運』が必要なゲームは極端に苦手なのだ。
しかし彼がモタモタしていた理由はそれだけではない。

「しかも最初、間違って③番【みさか】のとこ行っちまってさ…
 せっかく飴玉見つけて口に咥えたのに、④番【こっち】来てやり直しだよ……はぁ、不幸だ…」
「ぶっふううううううううううう!!!?」

上条の一言に、容器に顔を突っ込んで飴玉を探し始めていた美琴は、盛大に片栗粉を噴き出した。
それはつまり、美琴が今顔を入れている容器には先程まで上条が顔を入れていたという事で、
その上更に美琴が今探している飴玉は、先程上条が口に咥えたという事だ。
それが何を意味するのかは、もうお分かりだろう。

「なっ、ば、ア、アアア、ア、アンタ何してくれちゃってる訳っ!!?
 そそそそれってつまり……その………かっ、か…かかかかかかぁあああああっ!!!」

耳まで真っ赤になる美琴に、上条は無自覚にトドメを刺す。

「あ、そうだ。ちなみにだけど御坂ん所の飴はコーラ味だったぞ」

ボフン!、と音を立てて、そのまま上半身を前倒しに顔面を容器に突っ込む美琴。
幸か不幸か、その瞬間に偶然にも飴玉が口に入る。
口の中に広がるコーラの味は、何だかやたらと甘く感じるのだった。




第十走者第三の障害物・「向かい風」

口の中でコロコロと飴玉を転がせながら、美琴はレースの最後の難所と戦っていた。
本当は第一・第二の障害物を通過する時に『色々とやらかしてしまった』ので、
気を抜けば全身から漏電させて気絶でもしそうな所(後の「ふにゃー」である)なのだが、
今は常盤台の代表としてここに立っている身だ。そんな事をしては沽券に関わる。
なので美琴は、その事をあまり考えないようにして踏ん張っているのだ。精神的にも、

「くっ…! 気ぃ抜いたら飛ばされそうね…これ…!」

物理的にも。
最後の障害物はいたってシンプル。逆風の中を突っ切ってゴールポストに辿り着く事、それだけである。
ただしゴール前で風を送っているのは、運営委員が用意したレベル3以上の風力使い達だ。
美琴の能力は応用力が高いが、風相手では流石に干渉できず、
せめて吹き飛ばされないように、地面の砂鉄と自分の体を磁石にしてくっ付けながら、
一歩一歩地道に進むしかない。
そんな中、後ろから涼しい顔して追いかけてくる少年の姿が。


929 : 学園対校障害物リレー :2014/11/04(火) 20:56:26 OcOk9XuI
「へっへ〜ん! またまた追いつきましたぞ〜!」
「なっ! ア、アンタ!」

上条の顔を見て先程までの恥辱の数々を思い出して、あらゆる意味で頭が沸騰しそうになる美琴だが、
顔を左右に振って冷静さを取り戻す。

「…けっこう離したと思ったのに……アンタの『それ』反則なんじゃないの?」
「ふっふっふ…俺の『これ』だって立派な能力なのですよ」

上条は右手を前に突き出し、風を打ち消しながら進んでいる。
上条にとって異能の力で作り出した障害物など、初めから無いに等しいのだ。

「んじゃ、おっ先〜♪」
「あっ! んにゃろう!」

上条は仕返しとばかりにイヤらしいニタニタ顔を向けながら、「お先♪」と言い残して走り出す。
こちらはモロに風の抵抗を受けているのに対し、障害物を打ち消せるあちらは最早ただの徒競走だ。
手を前に伸ばしたまま走るその姿は若干マヌケではあるが、しかしこのままではそのマヌケに負ける。
何か打開策はないものかと、学園都市第三位の頭脳を使って演算する。
すると美琴の、一つの妙案が浮かんできた。

(そう言えば…ゴールポストも『鉄』じゃない! 何で今まで気付かなかったのかしら!)

ゴールに使われている二つの支柱。その材質は美琴の言う通り『鉄』だ。
風には干渉できなくても、鉄ならば話は別だ。
現に今もこうして、砂鉄に磁力を与えて立っているのだから。

美琴はニヤリと笑い、ゴールポストに磁力を与え、自分とゴールを強力な磁石にする。
突如、美琴の体がふわりと浮かんだ。

「わははははーっ! 一着はいただくわよ!」
「なっ!? ずっけぇ!」

もの凄い速さで上条を追い抜き、ゴールと引き合う形で文字通り「飛んで行く」美琴。
上条も、美琴が何をしたのか理解して「ずっけぇ!」と叫んだ。
しかし先程自分で発した言葉が完全にブーメランとなって返ってきた。
上条の幻想殺しが立派な能力ならば、美琴の磁力操作も立派な能力なのだ。

だがここで、上条の不幸体質が美琴にも移ったのか、
美琴はとんでもないアクシデントに巻き込まれる事となる。

美琴が上条を追う抜く瞬間、上条の右手が体に触れてしまった。
幻想殺しにON/OFF機能は無い。
それが異能の力ならば、問答無用で打ち消してしまうのが幻想殺しという能力なのだ。
つまり美琴の体に触れた瞬間、美琴の体を覆っていた膨大な磁力の塊は、
綺麗さっぱり消えてしまったのである。

「!!? きゃーっ!!!」
「っ! 御坂っ!!!」

磁力に引っ張られていた美琴は急に自分の能力が消えてしまい、
しかも空中にいた為に身動きが取れず、
前方から吹き荒れる風の能力に煽られて、後ろに吹き飛びそうになる。

「つかまれ御坂っ!!!」

しかし咄嗟に上条が腕を伸ばした事で、大惨事になる事はなかった。
…いや、ある意味においては大惨事と言えなくもないのだが。

美琴に腕を伸ばした事で上条も巻き込まれて吹き飛んだ。
二人分の体重なので大きく飛ばされはしなかったが、
それでも風の影響で、二人してゴロゴロと転がっていく。

「いっ…つー! あ、ありがとアンタ。助かっ…た…?」

止まったので、頭を押さえながら上半身を起こし、上条に礼を言う美琴。
しかし何故か疑問系だ。それもそのはずである。

「もががっ… うぁえ? わんがくわいあ…(あれ? なんか暗いな…)」

一緒に転げまわっている時は気付かなかったが、
二人はどうやら『抱き合いながら』ゴロゴロしていたらしく、
そして更に最悪な事に、今現在、上条の顔は美琴の両足の間に挟まっていた。
つまり、だ。ミコっちゃんのお股に顔を埋めてモガモガしていやがるのである。

瞬間、

「いいいいいいいいぃぃぃぃやあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

という美琴の絶叫が会場に響き渡ったのだった。



ちなみにだが、二人がこんな事をしている間に、
三位以下だった他校の選手達にごぼう抜きされてしまったので、
上条と美琴は二人仲良く最下位となってしまったのだった。

その事から、この日一日上条が肩身の狭い思いをして過ごした事は想像に難くないだろう。


930 : くまのこ :2014/11/04(火) 20:57:41 OcOk9XuI
以上です。
すんません…とにかくラッキースケベを書きたかったんです…
ではまた。


931 : ■■■■ :2014/11/04(火) 22:34:59 /LEmPyMs
くまのこさん (*^ー゚)b グッジョブ!!上条さんのラッキースケベは羨ましいですなぁ


932 : くまのこ :2014/11/07(金) 23:32:36 U20.Ereg
度々連投すみません。
電撃大王で連載中のドリームランカー編をネタに短編書きました。
11月号と12月号の

ネ  タ  バ  レ

が含まれています。
未読の方はご注意ください。
約3分後に4レスです。


933 : 美琴のアレがアレだった理由 :2014/11/07(金) 23:35:14 U20.Ereg
今日は朝から最悪だった。
インディアンポーカーを使ってケロヨンやピョン子達に囲まれるという幸せな夢を見たはいいが、
途中から食蜂のメイドとなり、彼女の肩を揉んだり靴を磨いたりオイル塗ったりお茶淹れたり…
とにかく、おぞましい夢を見る事となったのだ。
睡眠をとって逆に疲れたのは、初めての経験である。
しかも、それ程までに馬が合わない食蜂と、放課後にお茶をする事になり、極め付きは…

「超能力者もボクにかかれば丸裸や…文字通りな」

もう、憂鬱を通り越して憤慨である。
後ろの席で盛り上がっていた野郎は事も有ろうに、
自分(と食蜂)であんな事やそんな事をするという夢が書き込まれたカードを、
その他大勢の男に無料配布しようとしていたのだ。

カードの破壊と監視カメラの細工、食蜂の協力で記憶の改竄も済んだので、
とりあえずそのカードが世に出る事は(多分)無くなったが、美琴の不機嫌度は更に深刻な物となった。
おかげで、ただでさえ食蜂との険悪な雰囲気が、より一層ピリついていたのである。

だがそんな時だ。食蜂の取り巻きの筆頭でもある縦ロール髪の三年生は、
自分が美琴をお茶に呼んだ事に責任を感じたのか、この空気を変える為にこんな事を言ってきた。

「お二人も気になる殿方の夢はご覧になるのですか?」

気になる殿方。
その言葉に美琴も食蜂も、真っ先に思い浮かぶ人物がいた。
いつもヘラヘラしててデリカシーが無くて全然自分の能力が通用しなくて超が付くほど鈍感で
人の心にズカズカと土足で上がり込んできて本当に困っている時は当たり前のように助けてくれる、
あのツンツン頭の事を。

「あーそーいえばアレをアレ力でアレする予定があったわぁ」
「私もアレがアレだったんで失礼するわね」

縦ロール髪の三年生の一言に『何か』を思い立った二人は、その場で別れたのだった。
寮に帰って、アレのアレをアレにアレがアレでアレする為である。


 ◇


寮に帰った美琴は、部屋に白井がいない事を確認し、速攻でパソコンを立ち上げた。
そして検索サイトに飛び、キーワードを入れる。
検索ワードは [  上条  インディアンポーカー  夢  配布  ] である。
流石に検索では『あの馬鹿』や『アイツ』でもなく、『上条』と入力するようだ。
ググった結果、一人の少女のTwitterが引っかかった。美琴は即座にクリックする。

『ひめがみ @MahouTsukai
 今流行の。インディアンポーカーをやってみた。
 夢の中に上条君が出てきて。すごく幸せだった。
 朝からテンションが高いので。
 コピーでも良ければ。このカードを配布しようと思います。
 欲しい方は。リツイートしてください。』


934 : 美琴のアレがアレだった理由 :2014/11/07(金) 23:35:59 U20.Ereg
このつぶやきは既に10000件近くリツイートされていた。
その殆どに「〜、とミサカは〜」というコメントがされており頭を抱えそうになる美琴だが、
今はそれにツッコんでいる場合ではない。美琴も早速リツイートした。
『もし出来ればで構いませんが、即日配達でお願いします!』と付け加えながら。


 ◇


その日の夜、時刻は午後7時56分である。
美琴は全身からポワポワしたオーラを撒き散らしながら、一通の茶封筒の封を開ける。
中身は勿論、昼間に注文したインディアンポーカーだ。

先方は美琴の無茶振りにも丁寧に対応してくれたらしく、速達で出してくれたようだ。
速達といっても、本来は昼間に出してその日の夜に届く事は無いのだが、
学園都市内で、しかも同じ第七学区という事も手伝い、
美琴は異例の速さでカードを手にする事ができたのである。

封筒からオレンジ色のカードを取り出す。
インディアンポーカーには夢の傾向で色が変わる特性があり、
オレンジは『楽しくて幸せ』な内容の色なのだ。

カードを手にした美琴は、そのまま寝巻きに着替えて自分のベッドに潜り込む。
そしてルームメイトである白井に対して一言。

「おやすみ、黒子!」

白井は一瞬キョトンとして、その数秒後に「っ!!?」となる。

「え、あの、お姉様!? もうお眠りになられますの!? まだ八時前ですが…」
「うん! 何か今日、すんごく眠いから!」
「いえしかし失礼ですが、全然眠そうなお声をしておられませんわよ…?」
「大丈夫。さっきドラッグストアで睡眠薬買ってきて飲んだから。寝れる寝れる」
「……はいっ!!?」
「心配しなくても平気だって! ちゃんとした正規品で、危ない薬とかじゃないから」
「いえあの…わたくしがお聞きしたいのはそこではなく……
 何故わざわざお薬を飲んでまでこんな早くからお眠りになるのかと―――」
「おやすみー!」

白井の話をバッサリと打ち切り、美琴は夢の世界へと旅立つ為に布団を被る。
取り残された白井は愛するお姉様の後ろ姿を眺めながら、ただただ「えー…?」と呟くのだった。

ちなみに、この頃の美琴はまだ上条への気持ちを自覚していないので、
ここまでやっておきながら未だに、
「別にアイツの夢を見たいとかそんなのは全然ないけど、
 『たまたま』届いちゃったカードを『偶然』使っちゃうのは仕方ないわよね! うん、仕方ない!」
と自分に言い聞かせるのだった。面倒な性格である。


935 : 美琴のアレがアレだった理由 :2014/11/07(金) 23:36:51 U20.Ereg
ふっ、と美琴が目を開けると、今まで自分がいた世界が変わっていた。
この感覚は身に覚えがある。と言うか、昨日味わったばかりだ。

「…夢の中に来たみたいね」

インディアンポーカーも使うのは二回目なので、美琴も慣れたものだ。
さて、一度目は縦ロール髪の三年生の見た夢でえらい目に遭ったが、
ひめがみ @MahouTsukaiさんの見たという『上条君が出てきて。すごく幸せだった』夢とは、
一体どんな物だろうか。

なってそんな事を考えながら周りを見回すと、何か妙な既視感。
目の前の光景、この雰囲気。美琴はつい先日、これと同じような体験をしたばかりだ。

「…え? これ、大覇星祭じゃない」

そう、ここは大覇星祭の競技場だ。更に自分の体を見てみれば、常盤台の体操服を着ている。
と、その時。ふと背後から誰かに話しかけられた。

「おーっす。もう準備はいいのか?」

その声の主は勿論、

「のわああああっ!!! ア、アアアンタ! 急に話しかけんじゃないわよ!」
「…何をそんなに驚いているのでせうか?」

上条当麻だ。

「だ、大体準備って何のよ!」
「お前…もしかして寝ぼけてんのか? 『お姫様抱っこ競争』に決まってんだろ」
「………はい? おひ…何て?」
「だから、お姫様抱っこだよ!」
「………」

どうやら聞き間違いではないらしい。
その競技名とこの状況から、これから何をするのか何となく察する美琴。
だが分かったからこそ、

「えええええええっ!!? お、お姫様!? わ、わわ、私と、アンタがっ!!?」
「他に誰がすんだよ…とっくに選手登録してただろ」
「えええ…ええぇ〜…?」

アワアワしながら顔を真っ赤にする美琴。そんな美琴を見つめながら溜息を吐いた上条は、

「あ〜もう、いいから掴まれって。ほら、選手はスタートラインまで急げって放送されてんぞ?」

と急かす。美琴は仕方ないので、上条の首に手を回した。
すると上条は、「ん、よし」と美琴の背中と膝裏に腕を差し込み、そのままグイッと持ち上げる。
紛う事なきお姫様抱っこに、美琴は「ひーっ!」と嬉しい悲鳴を上げ、
顔からポッポと湯気を出しながら、借りてきた猫の様に縮こまる。

「うっし! んじゃ、行きますか!」
「……ひゃぅ…」
「…もしかして、かな〜りドキドキしてらっしゃる?」
「ににゃっ!!? ドドドドキキドキドなんてしてないですけどもっ!!?」
「ふ〜ん…? そっか。俺は……」

上条は一拍置いてから。

「俺は…結構ドキドキしてるぜ?」
「…え…?」

上条は照れくさそうに顔を逸らしたが、すぐに振り返り、その照れを隠すようにニカッと笑う。

「な、なんてなっ!? さ、そ、そろそろホントにスタートラインに行かないとな!」
「…………うん…」

美琴は上条の顔をポーッと見つめながら、そのまま身を委ねるのだった。


 ◇


美琴が抱っこされて運ばれてきたのは、『お姫様抱っこ競争』なる競技の会場…ではなかった。
と言うか気がつけば、いつの間にか自分はしっかりと両足で立っている。
そして目の前には大勢の観客。どうやらここは、何かのイベントのステージのような場所らしい。

「…え? 何、ここどこ?」

すると周りから『ワーッ!!!』と歓声が上がった。
その歓声はどうやら、自分に向けられているらしい。

夢と言うのは脈絡もなく場面が切り替わったりする物だ。
どうやら先程の大覇星祭の世界から、一気に別の世界へと飛んでしまったらしい。

(って事は…もうアイツとの夢は終わりなのかしら…?)

お姫様抱っこだけでも充分に幸せな夢ではあったが、
「もう少しくらい楽しんでいたかったな〜…」と、ちょっぴり肩を落とす美琴。


936 : 美琴のアレがアレだった理由 :2014/11/07(金) 23:37:42 U20.Ereg
(い、いや、別に楽しんでた訳じゃないけどさっ!!!)

まだ言うか。
美琴がそんな事を思っていると、司会者らしき身長135㎝くらいの女の子
(小学生にしか見えないが、実はひめがみ @MahouTsukaiさんのクラスの担任の先生である)
がマイクを向けた。ただし向けた先は美琴ではなく、その隣に立っている、

「さぁ、それでは今年の一端覧祭の目玉、
 『ベストカップルコンテスト』の優勝者さん達にお話を聞いてみるのですよ!
 いかがでしたか上条ちゃん?」
「そうですね〜…まぁ、全部彼女のおかげって感じですかね。
 ホント、俺なんかには勿体無いくらいの女性ですよ」

上条であった。

「のわああああっ!!! ア、アアアンタ! 何でまだいんのよ!?」

美琴は先程の大覇星祭パートで背後から話しかけられた時と、ほぼ同じリアクションをする。

「おっ! お元気ですね〜! それでは彼女さんの方にもお話を伺いましょうか。
 彼女さんは、上条ちゃんのどんな所がお好きなのですか?」
「えええええええっ!!!? どどど、どど、どこ、どこ、どこって、ええええええっ!!?」

テンパりまくる美琴。

「あらら…彼女さん、恥ずかしがっちゃいましたね」
「まぁ…そんな所も魅力ですけどね」
「おっ! 上条ちゃん、惚気ですか〜? 先生も思わず妬けちゃうのですよ!」
「本当の事ですから」

真っ赤になったまま美琴は固まった。
あまりにもサラサラと出てくる上条の嬉し恥ずかしな台詞の数々に、
免疫のない美琴は硬直するしかないのだ。
だがそれで終わってはくれなかった。
身長135㎝くらいの女の子は、最後にとんでもない爆弾を放り投げてきたのである。

「っと、そろそろお時間なので、最後に優勝のキスをしていただきましょうか!」

その言葉を皮切りに、会場のボルテージが一気に上昇した。
観客席からは『キースッ!!! キースッ!!!』とキスコールが巻き起こる。
その有り得ない状況に、美琴の思考は完全にフリーズした。
しかしその隙に上条は―――


 ◇


「……………………」

美琴は目を覚ました。
あの時、あの瞬間、それは確かに夢だったのだが、美琴の唇には確かな感触があった。
美琴はベッドから上半身を起こし、自分の唇に触れてみる。

「……えへ…えへへ……えへへへへへへぇ〜…」

そして顔がふにゃふにゃになってしまった。
その明らかに様子がおかしいお姉様に対し、白井は、

「……お…おはようございますですの…」

としか言えなかった。



ちなみにこの日の美琴は過去に例を見ない程に上機嫌だったらしい。
そしてそれは食蜂も同様で、何か『とても優しい夢』を見たらしく、一日中ニコニコしていた。
おそらく彼女も、美琴と『同じような体験』をしたのだろう。おかげで二人は、

「あら食蜂さん、今日はとっても天気が良いみたいね♪」
「あら御坂さぁん、快晴力全開で晴れ晴れするわねぇ♪」

と普段なら絶対にしないような挨拶を交わした。

そしてこの日は、常盤台中学を代表する二人のレベル5が、ついに手を取り合った記念日として、
後の世まで語り継がれる事になるのだった。


937 : くまのこ :2014/11/07(金) 23:39:57 U20.Ereg
以上です。
こちらからの片の為にもう一度。
電撃大王11月号と12月号の






が入ってます。お気をつけください。

それとエロスレの方にも一本短編を投下しました。
もしお暇でしたら、そちらも読んでいただけるとありがたいッス。
ではまた。


938 : ■■■■ :2014/11/08(土) 13:36:37 13NrYbZc
面白かったです。

そう言えば、美琴が何か使って上条さんとの夢を見まくる内容の18禁(?)SSがあったような気がするんですが、誰か知りませんか?


939 : ■■■■ :2014/11/08(土) 13:40:08 FCNmjhjc
くまのこさんGJです。

急いでエロスレに行かなきゃ(使命感)


940 : ■■■■ :2014/11/08(土) 14:17:54 lPG..Ws6
>>938
美琴「ナイトメアメーカー?」のことかな?


941 : ■■■■ :2014/11/08(土) 17:00:59 tHwxvsfc
>>940

それです。
ありがとうございました!

エロスレのくまのこさんのとあわせて読んできました。

どっちも良かった。


942 : ■■■■ :2014/11/08(土) 20:42:20 bvrtX4dI
えろのこさん最近凄いなぁ


943 : はりねずみ :2014/11/11(火) 00:37:43 cnXi002Q
ああ、遅くなってしまいました。すみません。
感想は、まあ、いつもの如く、時間があるときに書きます。
それでは2レス。今回から鬱め、少し残虐そうな描写が含まれ始めます。


944 : 『美琴』 :2014/11/11(火) 00:38:15 exNtln2Y

あの後、何とか上条の部屋まで戻った美琴が目覚めたとき、既に月が出ていた。時計を見ると、もう午前3時である。

「……アンタ、どうしたのよ」

上条はまだ、起きていた。彼は美琴を見ると、真剣な顔つきになった。

「なかなか寝れなくてな……。御坂。話がある」
「何よ」
「夕方に、お前とまったく同じ姿のやつに会った」

はっ!!と、少しだけ残っていた眠気は吹き飛んだ。
まさかバレてしまったのか。とうとう、恐れていた事が起きてしまった。

「た、他人の空似かもしれないじゃない」
「じゃあ、お前とまったく同じ姿で、同じ電気系の能力者で、お前に匹敵するほどの能力者が、他にいるって言うのか?」
「………」
「もうこれ以上、お前が苦しむ姿は見たくない」

これ以上隠し通すことは出来ない。全てを彼に打ち明けよう、と。
美琴はベッドから降りると、上条と目を合わせる。


「いいわ。話してあげる。私に何が有ったのかを。私が一体何者で、アンタが会った『私』がなんなのか」


945 : 『美琴』 :2014/11/11(火) 00:38:36 exNtln2Y

御坂美琴のクローン『妹達』を二万人、二万通りの方法で殺害する事で、学園都市第一位、一方通行を絶対能力者へと進化させる計画があった。だが、当の一方通行は実験を拒否。
実験が行われず、負債だけが残った研究所は、各地の施設に『妹達』を売却することで借金の返済に充てた。
この学園都市での研究において、『超能力者』のDNAという物は都合がいいのだろう。それも、後天的に超能力者となった美琴のともなれば、出来そこないのクローンと言われようが、成長の見込みはあると見たのか。
だが、『妹達』を素体をすることで実験の成功率の向上を目指した『第二次暗闇の五月計画』も失敗。それ以外にも『妹達』を材料にした実験は行われていたが、『妹達』は実験中に死亡、または廃棄処分となってしまった。
それを知った美琴は当然許せるはずが無く、行動を開始した。
最初はハッキングで機材の破壊などを行ってきたが、次第に直接的な破壊を始めた。
だが、全て無駄であった。
1つ研究所を潰せば、『妹達』は別の研究所に移る。そしてその研究所で実験の道具にされる。
それでも彼女は、いつか、やがていつかはと。ひたすらに、その能力を振るい、破壊に破壊を重ねてきた。
『妹達』を救う為に動き出してから2週間ほどが経った中での出来事だったのだ。美琴は研究所の中で『妹達』の1人と出会った。

『ねぇ。1つだけ教えて』
『何でしょうか。とミサカは質問に内容を尋ねます』
『あんた達は、これから自分たちが死ぬこと、わかってるの?』
『はい。とミサカは答えます』
『…じゃあ、どうして、そんな事を受け入れられるの?少しでの、怖いとか、逃げたいとか、思ったことはないの?』

その質問は最後の砦だった。『彼女達を助けたい』。その一心であったのだ。だが、

『ありません。ミサカ達の存在意義はそれであり、ミサカ達がそれに疑問を持ったことは一度もありません』

その時、美琴の中で何かが壊れた。今まで、自分を繋ぎとめていた物がプツンと切れて、

『そうね。結局、どうせあんた達は死んじゃうんだもんね……だったら』

美琴は軽く、腕を横に振った。

『せめて、私の手で終わらせてあげる』

轟音がした。彼女の目の前には何もなく、壁には赤い液体がこびり付いていた。


946 : 『美琴』 :2014/11/11(火) 00:38:35 exNtln2Y

御坂美琴のクローン『妹達』を二万人、二万通りの方法で殺害する事で、学園都市第一位、一方通行を絶対能力者へと進化させる計画があった。だが、当の一方通行は実験を拒否。
実験が行われず、負債だけが残った研究所は、各地の施設に『妹達』を売却することで借金の返済に充てた。
この学園都市での研究において、『超能力者』のDNAという物は都合がいいのだろう。それも、後天的に超能力者となった美琴のともなれば、出来そこないのクローンと言われようが、成長の見込みはあると見たのか。
だが、『妹達』を素体をすることで実験の成功率の向上を目指した『第二次暗闇の五月計画』も失敗。それ以外にも『妹達』を材料にした実験は行われていたが、『妹達』は実験中に死亡、または廃棄処分となってしまった。
それを知った美琴は当然許せるはずが無く、行動を開始した。
最初はハッキングで機材の破壊などを行ってきたが、次第に直接的な破壊を始めた。
だが、全て無駄であった。
1つ研究所を潰せば、『妹達』は別の研究所に移る。そしてその研究所で実験の道具にされる。
それでも彼女は、いつか、やがていつかはと。ひたすらに、その能力を振るい、破壊に破壊を重ねてきた。
『妹達』を救う為に動き出してから2週間ほどが経った中での出来事だったのだ。美琴は研究所の中で『妹達』の1人と出会った。

『ねぇ。1つだけ教えて』
『何でしょうか。とミサカは質問に内容を尋ねます』
『あんた達は、これから自分たちが死ぬこと、わかってるの?』
『はい。とミサカは答えます』
『…じゃあ、どうして、そんな事を受け入れられるの?少しでの、怖いとか、逃げたいとか、思ったことはないの?』

その質問は最後の砦だった。『彼女達を助けたい』。その一心であったのだ。だが、

『ありません。ミサカ達の存在意義はそれであり、ミサカ達がそれに疑問を持ったことは一度もありません』

その時、美琴の中で何かが壊れた。今まで、自分を繋ぎとめていた物がプツンと切れて、

『そうね。結局、どうせあんた達は死んじゃうんだもんね……だったら』

美琴は軽く、腕を横に振った。

『せめて、私の手で終わらせてあげる』

轟音がした。彼女の目の前には何もなく、壁には赤い液体がこびり付いていた。


947 : はりねずみ :2014/11/11(火) 00:40:28 exNtln2Y
以上です.
おやすみなさい


948 : ■■■■ :2014/11/11(火) 01:16:33 AuqWbCf2
理由云々関係なく美琴を一方通行と同じ屑の殺人者にして楽しい?美琴はこれで正のヒロインじゃなく屑に貶めた訳だ。
もう一方通行の非難できないね。一方通行とお似合いの電磁通行ルート確定。


949 : ■■■■ :2014/11/11(火) 01:23:00 AuqWbCf2
美琴に人を殺させた段階で終わりだって分からない?美琴の夢を壊そうとする上条さえも殺せない善人キャラの美琴は死んだわけだ。
この先どんなに取り繕っても。それって一方通行の「贖罪」と何が違うの?鬱以前に美琴を貶め屑化させた訳だね。


950 : ■■■■ :2014/11/11(火) 02:07:05 vfkJxqKI
>>944
続きを楽しみにしてます!早く上条さん助けてあげて!と祈りつつ 待ってます。


951 : ■■■■ :2014/11/11(火) 02:17:53 rfq2sRSQ
美琴って人の不幸の上に自分だけの救いや幸せ求めるような薄っぺらのキャラなの?
原作10巻でも幸せな世界よりも今の世界を選んだ美琴とは違うよね。上条が来てもこの美琴は
幸せになれない美琴でしょ?一度手に着いた血はどんなに贖罪しようが綺麗にはならないんですよ。
これで美琴が自分の幸せだけ求めたら一方通行以上の屑。


952 : ■■■■ :2014/11/11(火) 06:25:21 AuqWbCf2
これでラブラブのHAPPY ENDはなくなっちゃったね。残念。
まさか上条さんにそげぶされてすべてなかった事になんてバカなラストはないだろうからね。
よくて御坂の魂解放の後の自殺ENDってところかな。人命に対する償いは命でしか償えないから。
ちょうど愚痴スレでもそんな話題出てたしね。
このSS作者高校生のようだけど命の重さに対する認識が甘いみたい。
創作だから何でもありって思ってるのかな?
いちゃスレで御坂の不幸ENDは久しぶりなんじゃない?
これでHAPPYENDになったら気持ち悪い。
気に入らない奴みんな殺しても罪に問われないって言ってるようなものだからね。
最近方々で御坂貶めが酷いけどいちゃスレまで御坂を貶めるとはね。
残念。


953 : ■■■■ :2014/11/11(火) 07:04:25 hTrUHyGA
愚痴スレで長々と俺理論語ってた人と同じ人でしょ?


954 : ■■■■ :2014/11/11(火) 20:56:30 4vKyh1wQ
こりゃアカンわ
もう二度と書かなくていい


955 : ■■■■ :2014/11/11(火) 21:07:19 .PyphrNc
まだ全部書ききっていない作品なのにここまで批判されるとは…
なんかデジャブを感じる

とりあえず、はりねずみさんを応援したい
批評は完成してからにしたいと思います


956 : 我道&くまのこ :2014/11/11(火) 22:22:04 mcTYXepM
>>はりねずみさんGJです!
続き待ってます。
なのでどうか、救いを!



どうも、くまのこです。
こぼれ話の続きができました。
はい勿論、我道さんとの合作となってます。
約3分後に12レスです。


957 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:24:58 mcTYXepM
上条「うし。今回は俺にもスポットが当たるんだよな?」
美琴「そうだけど――何か心なしか嬉しそうね?」
食蜂「それは仕方ないかもぉ。だって超電磁砲編【外伝】に移ってからは上条さんってチョイ役回りだったし、原作主人公として寂しかったんじゃなぁい?」
削板「何だそれくらい! 根性でなんとか出番をもぎ取れば良いだろう!」
美琴「いや……根性で出番はもぎ取れないと思うけど……」
上条「いや〜それもあるんだけどさ。ほら、今回、ゲストに男がいるだろ? それが少し嬉しくて」
美琴「…………何アンタ、ソッチの毛でもあるの?」
食蜂「…………うわぁ。結構ショックなんだゾ……」
上条「んなわけねーだろ!! そうじゃなくて、今回の大覇星祭こぼれ話全体に言えるんだけど、父さん以外に男が出てこなかったからさ。女の中に男が一人、って結構肩身が狭いんだよ。だから軍覇が来てくれて少しホッとしたというか、そんな感じ」
美琴「……ふーん」
食蜂「……そぉう」
上条「あれ? どったの? 御坂と食蜂」
美琴「……べつに」
食蜂「……私たちは名字か……」
上条「何だよ? それがどうかしたのか?」
美琴&食蜂「「…………べつに」」
??「すみませーん! 遅れましたー!」
美琴「って、初春さん?」
初春「あい。私です。出番までちょっとまだ時間があったんで喫茶店で時間つぶししたのが失敗でした。佐天さんとフェブリとジャーニーと一緒にパフェ食べてたんですけど、そのパフェがとんでもなく美味しかったもんで3杯おかわりしたら遅れちゃいました。てへ♡」
美琴「相変わらずのスィーツ好きね」
食蜂「あらぁ? あなたは御坂さんのお友達の――」
初春「はい。初春飾利! 柵川中一年の風紀委員です!!」
美琴「ん? てことは今回は初春さんもゲストなの?」
初春「そういうことです! よろしくお願いしますね、御坂さん、上条さん、食蜂さん――えっと、そちらの方は?」
削板「おう。俺は削板軍覇だ! ヨロシクな!!」
初春「何かテンションが高そうな人ですけどよろしくです」
上条(あぁ……やっぱり女子率が高くなるのか……)


958 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:25:40 mcTYXepM
「とはいえ、何か対抗力のあるものは…」

 ――――

「アラアラアラあらぁ♡ 登場するタイミング力があんまり都合良過ぎて、私と無関係の事件だったら引いちゃうわぁ」
「でもぉ」

「自分が当事者だったら王子様に見えちゃうんだから――女って勝手よねぇ」にへー


上条「へぇ。食蜂も笑うと随分可愛いじゃないか」
食蜂「ふふぅん。こういうときってやっぱ乙女力全開になるからなんじゃなぁい?」
初春「でも気持ち分かりますよー。私も何かに巻き込まれているときに誰か特定の男の人が助けに来てくれたら嬉しいですもん。御坂さんも、でしょ?」
美琴「ん……まぁ、ね……」
食蜂「おやぁ? どうしたのかなぁ? ここは御坂さん、ムキになる場面じゃないかなぁ?」
美琴「いやまあ……(くっそぉ、初春さんがいるとこっちは下手に突っかかれないのよね。どこに盗聴器とか隠しカメラとか仕掛けてるか分かったもんじゃないし)」
削板「何だ何だ元気ないぞ! 電撃女!」
美琴「……アンタは相変わらずハイテンションねぇ……はぁ……」
削板「人間、心の持ちようで何とでもなるもんだ! おら元気出せー!!」
美琴「……あのねぇ……まず最初から私は別にローテンションってわけじゃないから! ちょっと我慢しなきゃなんないことがあるの!」
削板「我慢だと? 馬鹿野郎。我慢ほど体に悪いものはない! 我慢せず吐き出せ!!」
美琴「うわ。正論だけど従いたくねー」
上条「……」


 パチッ バジン!!
(まさか…ッ)


削板「おぉ。何か光ってるなお前」
美琴「うへぇ……今見ると結構ショックぅ……完全に人じゃない何かになろうとしてるわ……」
削板「いいじゃないか。光るってのは上昇の証だ。強くなるってことだろ?」
美琴「馬鹿言わないでよ。これ確かに強くなっていくんだけど、悪い方向に強くなっていくんだから」
削板「なら、良い方向に向ければいい」
美琴「それができないから大事になったんじゃない! 言っとくけど、私一人じゃ抑えきれない力だし、こんときは意識もなかったの!!」
削板「そんなもん根性でなんとかなる!!」
美琴「なるわけないでしょ!!」
上条「……」
食蜂「? どうしたの上条さん?」
上条「いやまあ…」(あー…御坂が俺じゃない別の男と話してるのって何かもやもやするな……)
初春「上条さん。御坂さんが上条さんじゃない別の男と話してるのって何かもやもやするなら、ちゃんと言った方がいいですよ?」
上条「!!!!?! 貴女様は読心の能力でもあるわけ!?」
美琴「ん? 何か言った?」
初春「あ、はい。上条さんがみふもがぁっ!!」
食蜂「な、何でもないわよぉ! 何でもぉ!!」
美琴「?」


『まー直接触れれば元に戻るかもしれないし レッツ・チャレンジ☆』
「つーかアンタ誰だよ!?」


上条「ああ、そっか! この時、俺の頭ん中で一方的に話しかけてきたのってお前だったのか」
食蜂「むぅ…仕方力がないけどぉ、気付くのが遅いわよぉ(…と言っても、また忘れちゃうんでしょうけどぉ…)」
上条「にしても、食蜂の念話…つってもこの時は一度に全部書き込んでるからちょっと違うらしいけど、とにかく効くんだな」
食蜂「あなたの右手の接触力さえ回避すればぁ、『ある程度』の改竄力は働くわよぉ」
上条「いや、以前地下街で会った子も念話能力使いだったんだけどさ、その時は俺には聞こえなかったんだよ。連れの女子二人には聞こえたのに」
食蜂「会った『子』に『女子』二人ねぇ…ちょ〜っと嫉妬力が出てきちゃうかもぉ…」
上条「…なんで?」
食蜂「なんでもないわよぉ! ごほん。効かなかったんなら、単純にその子の能力があなたの右手に触れちゃったんじゃなぁい? 私もあなたの脳に書き込む時、かなり角度力に気をつけたものぉ。……あっ! それとも私だけ特別力とか、そういうお話かしらぁ?」
上条「あ、いや。食蜂が特別って訳じゃないと思うぞ。以前戦った錬金術師にも、記憶の改竄された事あるから」
食蜂「……あらそぉ…」
美琴「……」
削板「? どうした嬢ちゃん?」
美琴「いやまあ…」(あー……アイツが食蜂と話してるのって何かイライラするな……)
初春「えっと御坂さん。上条さんが食蜂さんと話してるのって何かイライラするなら、ちゃんと言った方がいいですよ?」
美琴「だから何で分かるの!?」
初春(だって上条さんも御坂さんも、顔に思いっきり出てますもん)


959 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:26:31 mcTYXepM
「風紀委員ですの!! なにやらおかしな方向に事態が大きくなっているようですわね あなたがたには拘束後説明していただきます


美琴「あっ。黒子も事件に関わってたんだ。…ママの時以外でも」
食蜂「白井さん、足の怪我力が完治してないのに、よく働くわねぇ」
初春「あはは…本当はまだ車椅子から立ち上がっちゃ駄目だって、お医者さんから止められてるんですけどね…」
削板「ほう。中々根性のある奴じゃねーか。まぁ、怪我そのものも根性で何とかできるようになれれば完璧だけどな」
上条「お前のその、根性万能説って何なの?」
削板「俺は根性やってるからな」
上条「『剛はダンスやってるからな』と同じ理屈か。つまり根拠はないんだね?」


「おースッゲェ根性入ってんなあ」
「地面から雷が出てらぁ。近くまで行ってみっかぁ」


美琴「アンタ、根性だけで何でも解決すると思ってない?」
削板「当たり前だ! 根性があれば何でもできる!」
美琴「猪木か! とことんまでの精神論ね……」
食蜂「あらぁ? 御坂さんさぁ、ひょっとしてナンバーセブンと気が合うんじゃない?」
上条「……」
美琴「食蜂、もし本当にそう見えるなら眼科か脳外科に行くことをお勧めするわ。私はとんでもなくうんざりしてるの」
初春「ですよねー。御坂さんが本当に楽しそうな時は笑顔が絶えないですもん。でも今の表情はどこか冴えませんし、ね、上条さん」
上条「え? えっと……そう、かな……?」
美琴「ん? 何でアンタそんなに歯切れ悪いの? と言うか私とも目を合わせないし」
初春「それはですねー。御坂さんがかもごぉっ!!」
食蜂「な、何でもないわよぉ! 何でもぉ!!」
美琴「そう?」


 ………? ノイズが…
「ッ… このタイミングなら届… いっ!? ぐあッ 痛っ…」
 ? なに…


初春「周りは見えなくても、上条さんの事だけは分かるんですね。想いの力ですか?」
美琴「いいい、いや、あの、そういうんじゃないから…///」
食蜂「上条さんの能力は特殊力が高いからぁ、自分だけの現実への影響力も大きいのよねぇ。だからオモイノチカラとかって非科学的な力じゃないわよぉ」
美琴「そ、そういう事ね。うん。………はぁ…」
上条「何か御坂、心なしかがっかりしてるな」
削板「腹でも痛いんじゃないか? 便所ならあっちにあるからウ○コしに行ってこい」
初春「いや…確かに御坂さんは大覇星祭のときに屋台の食べ物に当たってお腹を壊してましたけども…」
美琴「……………」
食蜂「わ、私を睨まないでよぉ! 今回のは私のせいじゃないでしょぉ!?」


「いやいやいやいや それは反則……」
 だんッ
「ハイパーエキセントリックウルトラグレートギガエクストリームもっかいハイパー――――…すごいパーンチ!!」


美琴「ダサッ!! 何このネーミングセンスの欠片も感じない必殺技!?」
食蜂「心の底から同意できるわぁ……何よこれ……」
初春「何でも英語を並べりゃいいってもんじゃないでしょうに……」
削板「ふっ! さすがにおなごどもにはこの根性が入ったネーミングセンスは理解できんようだな!」
美琴「マジ? マジで言ってんのアンタ?」
削板「当然に決まっているだろう!」
美琴「その漲る自信はホント理解できんわ……」
上条「……」
初春「(御坂さん御坂さん)」
美琴「(どうしたの? 声を潜めて)」
初春「(上条さんが何か寂しそうですよ?)」
美琴「(へ? ああ、そうね。確かに出遅れると話に入り辛くなるヤツだし)」
初春「(いやそうじゃなくて、ですね……上条さんは)」
食蜂(はぁーい。記憶消去記憶消去。御坂さんの死角になってる位置からぁ)ぴぴっ
初春「って、あれ? 私何言おうとしてたのかな?」
美琴「何? ど忘れ? じゃあ思い出した時にでも教えてね」
初春「あ、はい。分かりました」
食蜂(いっえ〜い☆ 作戦成功♪)


960 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:27:22 mcTYXepM
(雷撃を…はたき落とした!?)
(雷撃をかき消した!?)
((なんだコイツ?))


上条「結局、お前の能力って何がどうなってんだよ?」
削板「こん―――」
上条「根性以外でな」
削板「―――じょ…じゃあ知らん。俺は念動力のつもりでやっていたが、時間割りに沿った理論では説明できん能力らしい。そう言う上条こそ、何がどうなってそうなったんだ?」
上条「……いや、俺も訳あって自分の能力の仕組みが全く分かってないんだ。とりあえず、触れた異能の力は打ち消せるって事だけは分かってんだけど……」
初春「どちらも謎だらけですね…」
削板「だから根性で出るって事でいいじゃねーか。シンプルで」
食蜂「シンプルの意味力を履き違えてなぁい!? あなたのはむしろ、複雑力が高すぎて研究にも使えないんじゃないのぉ! どこの世界に根性だけでカラフルな煙が出る爆発を起こせるのよぉ!」
美琴「そう言えば、超電磁砲のコインも歯で受け止めてたわね…」
削板「他にも音速の二倍の速さで動いたり、自分でもよく分からんオーラで体を包んだりできるぞ」
初春「自分でもよく分からないってハッキリ言いましたね…」
美琴「そのうち空とか飛べるんじゃないかしら…」
上条「絶対生まれてくる世界間違えてんだろ。そんなもん、少年ジャンプの住人じゃんか」


「足引っ張んなよカミジョー」
「それはこっちのセリフだ」


初春「 」
美琴「どうしたの初春さん?」
初春「い、いえ何でも……」(うわー! 良い時に呼ばれたなー私!)
食蜂「……」
削板「おーカミジョー、燃える展開だよな! 俺たちが協力してあの電撃女の根性を叩き直してやる場面だぜ!」
上条「いや……根性を叩き直すんじゃなくて御坂を元に戻す場面だろ……?」
食蜂「(……御坂さぁん、ちょっとぉ)」
美琴「(……何よ?)」
食蜂「(今あの初春さんって子の頭の中を覗いたんだけどさぁ)」
美琴「(ゴルァ!! アンタはまたそんなことを!!)」
食蜂「(苦情力は後からいくらでも聞いてあげるわよぉ。でもぉ、それよりも大事なことがあるのよぉ)」
美琴「(何?)」
食蜂「(あの子、相当のBL脳力みたいなのぉ。どうするぅ? 精神操作しちゃっていいぃ? でないと下手すると上条さんとナンバーセブンのイケナイ世界力が構成されちゃう可能性があるわぁ)」
美琴「(!! た、確かにそんな雰囲気が初春さんにはあったような気がするけど……でも駄目よ駄目! 精神操作なんて許さないわ!! あー……でもアイツの対異性の鈍さを考えると気付かないうちにロイヤルデモンローズな世界に足を踏み込んでもおかしくないような気が……)」
食蜂「(じゃあ決まりぃ。早速GO)」ぴぴっ
美琴「(ごめんなさい初春さん!)」
食蜂「(あ、あれ?)」ぴぴっ
美琴「(ん?)」
食蜂「(ちょっと嘘でしょぉ!?)」ぴぴっ! ぴぴっ!
美琴「(んんん?)」
食蜂「(んもう! これで精神操作は三十八回目!! あの子、どうしてそこまでBL脳力が焼き付いてる訳ぇ!?)」ぴぴっ! ぴぴっ! ぴぴっ! ぴぴっ!
美琴「(どうしたのよ?)」
食蜂「(えっとぉ……あの子のBL脳力はぁ、私の能力を受け付けないくらいみたいなのぉ……てへ♡)」
美琴「(なんですと!? アンタはレベル5で精神操作能力は学園都市一なのよ!? それを受け付けないって冗談でしょ!?)」
食蜂「(あはははははは。……あの子のBL脳力は絶対能力クラスなのかなぁ……)」
美琴「(う、うわぁ……)」
初春「…上条さんが……でも攻めは……いっそ削板さんの……巻き込んで総受け…」
美琴&食蜂「「何かぶつぶつ言い始めた(ぁ)〜〜〜!!!」」


961 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:28:12 mcTYXepM
 ピュンッ パ、パ、パ
「おもしれーな、その右手」
「…ああ」


初春「おお! 背中合わせでお互いの背後を守っているんですね! 素晴らしい!」
削板「ふっ! 過去の映像とは言え熱くなるな! 燃えるぜ!!」
初春「ええ! 萌えます!!」
食蜂「……」
美琴「……」
食蜂「……えっとぉ…もう一回言ってくれるぅ? 二人とも……」
削板「燃える展開だぜ!」
初春「萌える展開です!」
食蜂「……」
美琴「……ねえ? 何か字面がおかしいと思わない?」
上条「お、おう? 俺に言ってんの?」
美琴「アンタの横にいるのにアンタ以外の誰に聞いてると思ったのよ? そんなことより今の初春さんとナンバーセブンの言葉。アンタには同じことを言っているように聞こえた?」
上条「ま、まあ……俺もなんとなく二人の言葉のニュアンスがどことなく違う気がしたが……」(何で御坂が話しかけてくれただけでホッとしてんだ俺?)
美琴「食蜂、何か手立てない? アンタの能力が通じないとなると別の手を考えないと」
食蜂「そうねぇ。ちょっと検討力を働かせてみるわぁ」
上条「何の話だ? 異能の力が絡んでるなら俺の右手でなんとかなると思うが――」
美琴「いや……多分、アンタの右手でもどうにかできる話じゃないと思う……」
上条「そ、そうか?」(何だ何だ? あの御坂と食蜂が真剣になるほどの大事なのか!?)


「…………サンキュー 危なくなったのもオマエのせいだけどな」
「どうだ?」


初春「お姫様抱っこ キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!! これはもうアレですよね!? ×××で×××な××を××××させて上条さんが削板さんの××を××に×××××な所を×××から更に×の×して×××××××××!!!!!(×の部分はお好きなBL用語と放送禁止用語をお入れください)」
上条「うわっ、何だ!? 急にハイテンションになったぞ!?」
削板「んー…言ってる意味はサッパリ分からんが、何故か背筋が寒くなったぞ。俺も根性が足りねーな」
初春「いやー、今までは上一派だったんですが、お二人のおかげで上削…いえ、この場合は削上ですね。新たなカップリングと属性に目覚めましたよ。ありがとうございました」
削板「お、おう……よく分からんが、役に立ったのなら…まぁ…」
上条「すげぇ…軍覇がたじろいでる……で、その間に他の女性お二人は!?」
美琴「あっ! あの雲、ゲコ太に見えない?」
食蜂「そうかしらぁ? 私にはエクレアに見えるけどぉ」
上条「めんどくなってツッコミ放棄しやがった!」
初春「ふぃー…それでは次回作のネタが浮かんだ所でこぼれ話に戻りましょうか。このお姫様抱っこが、上条さんと御坂さんだったらいいですよねー」
美琴「いや、雑っ! このタイミングで無理やりそっち方面に話を持ってっても、流石の私でも『ふにゃー』とかしないわよ!?」
上条「ちょっと待て。その場合、俺が御坂に抱っこされるのか? 絵面的に上条さんすんごく恥ずかしいのですが…」
食蜂「て言うか何気に『次回作』とか言ってたけどぉ…まさか薄本力に活用するつもりじゃないでしょうねぇ…?」
初春「え? どうして分かったんですか? ひょっとして食蜂さんも興味がおありで?」
食蜂「私は健全な道を歩み続けるのぉ! だからね! その爛々とした期待に満ちた瞳で見つめないでくれるぅ!?」
美琴(今の初春さんに迂闊なツッコミは自滅を招くだけね)


「こりゃ根性入れねーとヤベェぞ」(視えなかった)


初春「ほら上条さん! 削板さんの流血シーンですよ! ペロペロしてあげなきゃ駄目じゃないですか!」
上条「何でだよ! 気色悪いわっ!」
食蜂「駄目だこいつ…早くなんとかしないと…」
美琴「何か、初春さんの中で目覚めてはいけない何かが覚醒しちゃったみたいね…」
食蜂「せめて私の洗脳力が効けばぁ…」
削板「…むう! とりあえず、この娘を止めなければならないというのは分かった。……とう!(首トン)」
初春「がはっ!? ……がくっ…」
上条「あっ。マンガとかでよくある、首の裏に手刀を当てて気絶させる奴だ」
美琴「私、生で初めて見たわ」
削板「そして…ふんっ!」
初春「かはっ! ……はっ! …あれ? 私は一体何を…?」
上条「あっ。マンガとかでよくある、背中を『グッ!』ってやって気絶から復活させる奴だ」
食蜂「ついでに記憶も消去されてるわねぇ。能力が効かないなら力技って訳ねぇ…」


962 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:28:55 mcTYXepM
「科学の発展に犠牲はつきものだろう?」
「…これだから正気力の低いのを相手にするのはイヤなのよねぇ」


削板「おいおい心理掌握と科学者の腹の探り合いが面白いか? 拳と拳のぶつかり合いの方が面白えじゃねーか!」
初春「そうですよ! だいたい食蜂さんのおへそで喜べるのはこの場には居ないんですから!! ほら! 上条さんもしっかり目を瞑ってますよ!! 見たくないって意思表示以外の何物でもないです!!」
食蜂(あ、もうすでに記憶が戻りつつあるわぁ…初春さんのBL力、ハンパないわねぇ……)
上条(いや、見たいか見たくないかと問われれば迷わず見たいと答えますけど、それは御坂が同席していない場所じゃないと言えないセリフなんですっ!)
美琴「まあ、一般的にはスタジオの外とか町中にはたくさんいるでしょうけど」
食蜂「ぴっきーん☆」
美琴「え? 何その擬音、どうして口で言ってんの?」
食蜂「(いいこと思いついた、って意味力よぉ。上条さんがイケナイ世界に引き摺り込まれない方法を思い付いたんだゾ☆)」
美琴「(え? マジ? どうすんの?)」
食蜂「(言っとくけどぉ、御坂さんにも協力してもらうからねぇ?)」
美琴「(そりゃ何でも協力するけど、どうすればいいの?)」
食蜂「(御坂さんは簡単、かなぁ? 極力怒らないこと、それだけだから)」
美琴「(は?)」
食蜂「(御坂さんは知らないだろうけど、ここからの展開で私が上条さんに色仕掛けできる話に持っていけるのよぉ。でもそれを見ても御坂さんが怒らない、ってことが絶対力に必要なのぉ。できるぅ?)」
美琴「(うぐ……!)」
食蜂「(上条さんを薔薇の世界に連れて行かれないようにするにはぁ、女子力で引き付けるしかないのよぉ。今、この場でそれができるのは私のシーンだけだからさぁ。御坂さんは極力堪えてほしいって訳ぇ」
美琴「(うぐぐ……! け、けど、何かアンタ、嬉しそうな顔してんだけど……?)」
食蜂「(あらぁ? やっぱり無理ぃ?)」
美琴「(く……わ、分かったわよ! 我慢すればいいんでしょ我慢すれば!!)」
食蜂(よぉーしぃ! 計画通り☆ こういう心理戦だと私に敵う人はそうはいないのよぉ♪)
美琴「ねえ? 何か、計画通り☆ こういう心理戦だと私に敵う人はそうはいないのよ、って考えてる顔に見えるんだけど気のせい?」
食蜂「!!!!!!!!!!?! ききききき気のせいよぉ、気のせい!!」(あ、危なぁ〜〜〜)


「ひょッ!!!?」
「上条君【幻想殺し】の干渉は想定の範囲内! だが…ッ!! よもやあの削板君【原石】まで介入してくるとはッッ!!!!!」
「『幻想殺し』の刺激に加えて…第七位のあの規格外の力 万象をゼロで割るがごとき破格の観測 この二つが御坂君と掛け合わせればどれほどの…ッ」
「こうしちゃおれん!!! 手持ちの機器と分析系能力者を総動員して観察を…はっ し――――…しまったぁ」


初春「天才と馬鹿は紙一重、と言いますけど、まともに体現してますねこのおじいさん」
美琴「即座にシュミレートする頭の回転の速さは凄いっぽいけど、それで自分が何をしてたかを忘れちゃうんじゃなぁ……」
削板「まったく集中力が足りん!」
上条「いや、集中してたから他のことに気が回らなかったんじゃ?」
美琴「ところで食蜂。あんたここで一つ盛大にミスってるわよ」
食蜂「言わないでぇ! 言わなくていいからぁ! 私だってぇ、逃げるんじゃなくて何かで殴り倒せば、って今、思ったからぁ!!///」
削板「馬鹿野郎! そんなキタネー真似するんじゃねえ!!」
美琴「いや、綺麗も汚いもないし。元々、これってタイマンのケンカとか格闘技の試合とかじゃなくて、どんな手を使おうが勝てばいい、っていう戦争なんだけど?」
削板「はぁ? ツマンネーな、おい。んな消化不良で不毛な争いして何が楽しいんだ?」
食蜂「……脳筋力しかないあなたには理解できないんでしょねぇ……」


963 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:29:38 mcTYXepM
「…バカなのかしらぁ?」


上条「うお!? 食蜂お前! 服の破れたところから……その……! もうちょっとで見えそうになってんだけど――って、はッ! しまった!!」
美琴「……」
上条「あ……あれ? 御坂……?」
美琴「……何よ?」
上条「い、いや別に……(こ、こえ〜〜〜)」
食蜂「うっふ〜ん♪ 上条さんを脇乳力と付け根力で籠絡しちゃうんだゾ☆」
初春「御坂さん! ここで黙ってちゃいけませんよ! ここは御坂さんも一肌脱いで! VTRじゃなくてライブで!!」
美琴「いやそんなことしないから! てか初春さん! それ初春さんじゃなくて佐天さんが言いそうなセリフなんだけど!?」
削板「はん! そんな貧弱そうな肢体を見て何が楽しい! 男なら筋肉美で勝負だろうが!!」
初春「っ!!?」
上条「い、いや…俺はどっちが見たいかと言われると男の肌色よりも女の子の肌色の方が……って、しまった!!」
美琴「……」
上条「みみみみみみ御坂さん? 何かその見つめるだけで人を殺せそうな視線を頂戴するくらいなら、いつものように電撃を頂戴する方がマシなのですが……」
食蜂(うわぁ。アレで我慢してるつもりなのかなぁ? 下手したら逆効果になりかねないわよぉ)
初春「それはそうと削板さん。『男なら筋肉美』発言について詳しく説明してください」
削板「ん? おお、それはだな――」
美琴&食蜂「「やめんかぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ!!」」ずっごぉぉぉんんん!!
削板「ぐぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!」
美琴「これ以上、初春さんに餌【ネタ】を与えないでよね!」
食蜂「そうよぉ!! そもそもここは健全スレなんだからぁ!!」
上条「って、お前らその香ちゃん印の1tハンマーどっから出した!?」


(ようやく以前の傷が塞がってきたいうのに!! 嫁入り前の大事な身体ですのよッ!)


美琴「……黒子も一応、『嫁入り』とか気にしてんのね」
??「それは勿論ですわよお姉様!!! お姉様との結婚生活に備えてげぶらぁっ!!!?」
削板「何か強力な邪気を放ってる奴がいたから、ぶっ飛ばしておいたぞ」
美琴「うん、ありがと」
上条(う〜ん…やっぱり御坂と軍覇が喋ってると、心の中がザワザワするなぁ…)
食蜂「上条さん、御坂さんと根性男が喋ってると、心の中がザワザワするならぁ、私とおしゃべりして気を落ち着かせましょうぉ」
美琴「くぉらぁっ!! こんなところで心理掌握の面目躍如してんじゃない!!」
初春「そう言えば、御坂さんは『嫁入り前』とかって気になさってるんですか? だとしたら誰と」
美琴「だああああぁぁ、もうっ!!! ほ、ホントに今日の初春さんは佐天さん化してるわよっ!!?///」
初春「もごもご……ぷはっ! いえ。佐天さんがいないのなら私が代役を、と思いまして」
美琴「いいから! そんな役やらなくても!」
食蜂(む〜…失敗力ねぇ……この子にはBL路線のままで放っておいた方が、邪魔力にならないから良かったみたい……)


「予想外の事態を見ちゃうとまわりが見えなくなるのが僕の欠点でね」


削板「根性が足りてない証拠だな」
食蜂「あなたは予想外の事態力が起きなくてもまわりが見えてないじゃなぁい…」
上条「つーか軍覇の方が予想外だよな。何かもう、存在そのものが」
削板「だが嬢ちゃんもよく、まわりが見えてない時があるよな」
美琴「えっ、私!? …ああ、今まさに洗脳されてまわりが見えてないって事ね?」
削板「ん? いや、VTRの事じゃなくてだな。嬢ちゃん、さっきから上条の顔ばかり見てるだろ。視野が狭いぞ視野が」
食蜂&初春「「!!?」
上条「えっ…?」
美琴「えええええぇぇぇっ!!?///」
初春(さ、流石はレベル5…突然の爆弾発言です!)
食蜂(全く警戒してなかったわぁ…天然力って怖いわねぇ…)
上条(……何か知らないけど、俺今ものすごくドキドキしてる…?)


964 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:30:36 ZJ0L3k/6
(!! 足が爆発…!? いや…足元の空気を圧縮して足場に…ッ!?)


??「圧縮圧縮ゥ空気を圧縮ゥ、とミサカはもがががが」
??「余計な事喋りながら乱入してンじゃねェ…邪魔ンなンだろォが……」
初春「えっと、今のは…?」
美琴「ああ、うん。気にしなくていいわよ。通りすがりの私のそっくりさんと、通りすがりの唯のロリコンだから」
初春「めちゃくちゃ気になる通りすがりなんですが!?」
削板「にしても、空気を圧縮とか面倒な事をしなくても、空中を歩くくらいできるだろう」
上条「サラッと、とんでもない事言ったよこの人」
削板「そうでもないぞ。簡単だ。まず右足を上げて、次に右足が落ちる前に左足を上げて、今度は左足が落ちる前に右足を上げて…これを繰り返すだけだ」
上条「いやだから無理だって! お前はできるのかどうかは知らんけど!」
削板「そうか? いい考えだと思ったんだが」
食蜂「…削板【かれ】の脳内力、一度くらいは覗いてみたいような、でも覗くと私の自分だけの現実が崩壊しそうで怖いようなぁ……」


「まあ へし折ろうにも腕が無いんだけどね」
(…義…手!?)


削板「その点、カミジョーは腕が吹き飛んでも生えてくるから便利だな」
上条「いや…生えてくるっていうか……」
初春「え…えええっ!!? 生えてくるって…上条さん、肉体再生能力者だったんですか!?」
上条「いや、だから…俺にもよく分からないんだよ。それに多分、俺の場合は右手だけだよ。自動的に再生すんのって」
美琴「まぁ、その話が出てくるのはもう少し先だけど……アンタのその力って、結局何なのかしらね?」
上条「さぁ…?」
食蜂「ま、原作でも明らかになってない事を、私達がここで議論力発揮してああだこうだ言ってても分かる訳ないけどねぇ」
初春「でも質量保存の法則もありますから、腕が再生した分の細胞は一体どこから…」
削板「なんだ? 腕が生えるのがそんなに大それた事か? ナメック星人だってボコボコ生えてくるだろう」
上条「……上条さんは口から卵を吐いたりしませんですことよ…」
初春「それ以前に、彼らは人間じゃないですし…」
食蜂「肌の色、黄緑力だものねぇ…」
美琴「確かに議論するのが馬鹿らしくなってきたわね。違う意味で」


「がっ… ひゅぅ」
 ドシャ
「 」


上条「こ、これはひょっとして伝説の『アヘ顔』というやつ、か……!」
食蜂「ふふ。上条さんにならぁ、こういう顔にされてもいいかなぁ?」
初春「うぅ……確かに『アヘ顔』は、結構な数の男性の方に大好評ですもんね……」
美琴「……」
上条「――――!! いやいやいや! 俺が食蜂にこういう顔させるってことは何か女子中学生にヤっちゃいけないことをしたときになるんじゃねーの!? やだよ俺! 犯罪者になりたくないですのことよ!?」
削板「おいおいケンカに負けた奴の顔を眺めて何が楽しいんだ? だいたい負けるってのは根性が足りん!!」
食蜂「脳筋力の辞書には『策』って言葉がないんでしょうねぇ」
美琴「ねえアンタ……なんで、やっちゃいけないの『や』がカタカナなのかしら……?」
上条「!!!!!?! やっぱ見逃してくれないその洞察力は健在なのか!? というか、一文字だけなのに気付くなんてますます磨きがかかっているようで!?」
食蜂「(み、御坂さぁん! その檄おこ力を抑えなくちゃいけないのよぉ!?)」
美琴「(う゛……)」
上条(? 食蜂が何を耳打ちしたかしらんが、とりあえず御坂は収まったのか? 俺的には助かって嬉しいんだけど……)


965 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:31:31 mcTYXepM
「なる…ほど もう策は何も無い… そう見抜かせること自体が… 策だったという訳…か こりゃあ 一本取られた、ねぇ」
 ドタ
「………?」


食蜂「アヘ顔、パートⅡ☆」
美琴「……」
初春「上条さん! 絶対に誘いに乗っちゃいけませんからね!! じゃないといつも以上に不幸な目に遭いますよ!!」
上条「お、おう! もちろんだとも!!」
削板「腹の化かし合いか……ホント、つまらんケンカだな。男なら拳一つで勝負せんかい!」
食蜂「私ぃ、女の子なんだけどぉ?」
削板「だからどうした! そんなもん根性でなんとかなる!」
上条「いや……さすがに根性でなんとかなるとは思えん……」
初春「でも、日本唯一のマーダーライセンスを持ってる人が、気の持ちようで男になったり女になったりできるそうですよ」
美琴「……ちょっと待って……今のどこで仕入れた情報なのよ初春さん……?」
初春「いえ、この間、間違えて日本の総理官邸の機密ベースにアクセスしたときに偶然見つけちゃったんです。あ、でも安心してください。ちゃんと見つかる前に痕跡も残さず退散しましたから」
上条「……何かとんでもない国家機密を聞いてしまったような……その前にどこにアクセスしようとして総理官邸のところに行っちゃったわけ……?」
初春「んと――○メ○カの国○省だったかな? 最近、人工衛星をハッキングすることが多くって、それでつい」
美琴「つい、じゃないから! そんな問題じゃないから!! てか、侵入がバレてない初春さんのハッキング技術が信じられないんだけど!?」


「さすが私ってところかしらぁ? 覚えてないけど」


食蜂「いい顔でしょぉ? そそるでしょぉ? ねえ上条さぁん?」
上条「そりゃまあ否定はしないけど、さぁ……でも、もうちょっと離れてくれないかなぁ? このままだと上条さん、とっても不幸な目に合いそうな気がしてならないんで……」
美琴「……」
初春「確かにいい顔ですよー」
食蜂「ん?」
初春「何だか薄い本の表紙を飾れそうです。まあ私はあまり興味がありませんが」
食蜂「!!!!!!!?!! ちょっ! 薄い本って!?///」
美琴(う、うわぁ〜〜〜黒春さんモード全開だあ……)
削板「まあ、本なんぞツマランもんは厚いより薄い方がいいからな!」
上条「いや軍覇、オマエ、絶対にあいつらの言ってる『薄い本』の意味が分かってないだろ?」


「動けるのか?」
「問題ねぇよ 根性入れりゃ血は止まるし骨だってくっつく」


美琴「どういうことなの…」
削板「どうって、そのままの意味だが?」
美琴「……ああ、そう…」
初春「当たり前のように言いますね…」
食蜂「もう、ツッコむ気も起きないわねぇ…」
上条「ここまでくると、本当に根性で何でもできるような気がしてきた」
削板「おう! やっとお前らも根性の凄さが分かってきたか!」


「さっき言った通りあいつは俺の知り合いだからさ 俺の手でなんとかしたいんだ」


美琴「………///」
初春「御坂さん。嬉しいなら嬉しいって、はっきり気持ちを伝えた方がいいですよ?」
美琴「べべべ別にそんなんじゃないし!!!///」
初春「顔真っ赤にしてそんな事言われても、説得力ないですけどね」
上条「御坂ってやたらと顔赤くなるけど、赤面症なのか?」
削板「まだ腹が痛いんじゃないか? だからさっき便所に行けば良かったんだ。ウン○を我慢するのは体によくないぞ?」
美琴「……………」
食蜂「だ、だから私を睨まないでってばぁ!」


966 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:32:32 mcTYXepM
「足りない部分は根性でカバーするしかねえ! だろ?」
「ハッ やっぱおもしれーなオマエ! しゃーねえ ぶちかましてこい!!」


初春「はっ!? 何だか私のレーダーにビビッときましたよコレ!」
食蜂「こなくていいわよぉ! そんな腐女子力の高いレーダーなんてどこかに捨てちゃってぇ!」
美琴「初春さんの頭の中に、男同士の友情とかを理解する回路はないのかしら…」
初春「何言ってるんですか。男性同士の間に友情は成り立たないですよ」
美琴「えええええ!!?」
食蜂「男女の間にっていうのはよく聞くけど、その説は初めて聞いたわぁ……この子、本物力ねぇ…」
削板「む…? また寒気が…」
上条「安心しろ。俺も背筋がゾワゾワしてるから」
初春「(あれ? ……でももしかして、御坂さんが上条さんを好きで、削板さんが上条さんを好きで、上条さんが二人の間で揺れ動くという設定もBLトライアングルでなかなか新鮮な路線かも……)」
食蜂(いいいいやぁぁぁああああああああああ!! この子の頭の中って覗くもんじゃないわぁぁぁぁああああああ!!)


 ボゴシュ パキィ


初春 ( ゚д゚)!?
上条「ああ、うん…そうだよね…右手からドラゴン出てきたらビックリするよね、ごめんね…」
食蜂「烈火の炎であったわねぇ、こんなシーン」
美琴「アンタも削板【こいつ】の事言えないわよね。訳分かんないもん、この力」
上条「ぐっ…!? …軍覇と一緒にされたくはないけど…でも反論できない……正直、俺でも訳分かんないし…」
削板「そうか? 根性の一言で説明できるだろ」
上条「…………すげぇな、軍覇【おまえ】」


「俺以外にもお前を助けようとがんばってたやつ、心当たりあるだろう?」


美琴「ちなみにもし、この中に食蜂を入れてるなら間違いよ。アイツは目的と結果が一致してたわけじゃないから」
上条「え? え? そうなの?」
食蜂「まぁね。たまたま御坂さんを助ける形にはなったけど、『主目的』は御坂さんじゃなくて、あくまでも『副作用』で御坂さんを助けることになっちゃったけだからぁ」
上条「そ、そうなのか? つーか、お前らよく、そんなセリフを面と向かって言えるな」
美琴「そりゃ、まあ、ね」
食蜂「いつものことだしぃ」
上条(ギスギスした空気が流れないってことは、普段から二人はこんな感じってことなんだよな!? いいのかオイ!!)
美琴「もっとも、黒子と初春さんと佐天さんは当て嵌まるけどね。この時は私のことを忘れてても助けてくれたし」
初春「えへへへへ」
食蜂「ところでナンバーセブンは?」
削板「ん? 俺か? 俺は何か根性のありそうな奴が現れたから手合わせ願おうとしただけだが?」
上条「軍覇にまともな意見を求めようとしちゃいかんだろ」
食蜂「はぁい……私が悪かったんだゾ……」


「そいつらと少しずつ変えていけばいいんだ」


初春「ちょっと上条さん! ジャージを渡すタイミングが早いです!!」
上条「はい? って、あー!!」
美琴「!!!!!!!!!!?!///」
食蜂「ここはそんなシーンじゃないと思うけどねぇ……」


「もちろん俺も協力する」
「ん…」


美琴(ぽー…///)
初春(ああ、これは好きになっちゃいますよね)
食蜂(ぽー…///)
初春(ついでに食蜂さんにも効果が出ちゃってますが)
削板「…なんだ。この時は距離があって会話までは聞こえなかったが、上条お前、その嬢ちゃん助けたついでに口説いてたのか?」
美琴「くくくくく口説っ!!!?///」
上条「な、ば、そ、そんな事はありませんよ!!? 上条さんは純粋な気持ちでですね!!!(…って、あれ? 俺なんでこんなに焦ってんだろ?)」
削板「口説いてるようにしか見えんがなぁ……まぁ、いいか」


967 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:33:21 mcTYXepM
食蜂「あらぁ? 今回はここまでなのぉ? まぁいいけどぉ。私の勝利シーンは終わってたしぃ」
削板「うぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」
上条「何だ? どうした?」
削板「やっべーぞカミジョー。俺な、ずっとこんな狭い部屋にいたから思いっきり暴れたくなっちまってる!」
美琴「あ、じゃあもう帰っていいわよ。我慢は体によくないわ。どこか人の迷惑がかからないところで暴れてきたらいいんじゃない? 確かあっちが廃墟地区だから壊しても文句言われそうにないものがたくさんあるわよ」
削板「そうかよし! じゃあなカミジョー! 電撃女! 縁があったらまた会おう! うおぉぉぉりゃああああああああああああ!!」
初春「……凄い勢いで走って出て行きましたね……」
食蜂「よっぽど我慢力の限界だったんじゃなぁい?」
上条「相変わらず訳が分からん奴だ」
美琴「さて話を次回のことに移すけど、どうやら次で大覇星こぼれ話ラストみたいよ」
食蜂「なんだか無理矢理話を展開させたわねぇ」
美琴「……アンタはまだ居る訳?」
食蜂「そりゃあもちろん、だって次回も」プルルルルルル
初春「食蜂さん、携帯が鳴ってますよ?」
食蜂「ちょっとぉ。誰かなぁ、こんな時にぃ。はい、もしもしぃ?」
??≪食蜂。ちょっといいか? 面と向かって確認したいことがあるから戻ってこい≫
食蜂「!!!!!!!!!!?! りょ、寮監!? 何でこの番号を知ってるんですかぁ!?」
寮監≪常盤台において、私の知らないことなど何もないぞ。ところで食蜂、お前、御坂が言った体育の授業をお前が受けているかどうかについてだが、調べてみたところ、本当に出ていないようだな?≫
食蜂「え、ええっと……そのぉ……」
寮監≪言い訳ならいくらでも聞いてやるからさっさと戻ってこい。いいな?≫
食蜂「は、はぁ〜〜〜〜い……」


968 : 大覇星祭こぼれ話Ⅶ :2014/11/11(火) 22:34:11 mcTYXepM
 ―――――

上条「どういう訳か、食蜂も帰ったんだが――どうした御坂? お前、急に表情が明るくなったぞ?」
美琴「え? そ、そうかな? えへへへへ」(よっしゃー! ナイスよ寮監! ちゃんと調べてくれてありがとう!!)
初春「携帯電話も電磁波を利用した機器ですもんね。御坂さんには電話の内容が分かったんでしょう。何かよっぽど嬉しいことがあったみたいです。御坂さんにとって」
美琴「ま、まあいいじゃない。でさ、話を戻すけど、次回はいよいよ大覇星祭こぼれ話のラストよ」
上条「そうか、次で終わりか。いやぁ、随分長かったなぁ。これだけ長いと感慨もひとしおですよ」
美琴「そうね。でも大覇星祭を追いかけてきたわけだけど、ホント、色んな事があったわよね」
??「そうそう。こういう行事は印象が強いんで思い出の宝庫ですもん。そういう意味じゃ長くなっても仕方ないんじゃないですか?」
美琴「だよねー。やっぱ、思い出っていいもんだわ」
??「そういった意味じゃ御坂さんも次の話だと良い思い出作りができたみたいで」
美琴「まあ、そりゃねぇ……と言っても最後は黒子が――って、佐天さん!? 何故にあなたは自然にトークに加わっておられるので!?」
佐天「何故に、って――だって、あたし、次回のゲストですもん」
美琴「次回って……ちょーっ! 絶対に狙ったでしょぉぉぉおおおおお!?」
佐天「えー? そんなこと言われても、ここのスレ住人の方たちの大多数の人たちも私が呼ばれるのはフォークダンスのときだって思ってたはずですよ。だったら、その期待に応えてあげるのが当然じゃないですか」
美琴「ちょっとアンタ! アンタは幻想をぶち殺すのが得意なんでしょ!! 何で、スレ住人の人たちの幻想をぶち壊しとかないのよ!!」
上条「無茶言うな。俺の殺せる幻想は異能の力であって、期待っつう心じゃねーんだし」
初春「というか、期待じゃなくて『規定事項』ですよ。大覇星祭フォークダンスに佐天さんが呼ばれるのは」
佐天「だよねー。でもさ初春、世の中って甘く出来ていないのよこれが」
初春「はい?」
??「佐天さんの言うとおりですわよ初春! このわたくしが上条さんに替わってスレ住人の方たちの幻想をぶち壊して差し上げますの!!」
上条「白井!? 白井も次回のゲストなの!? と言うか、お前、いつの間に復活したん!?」
白井「ふっ! お姉様への至高の思いが不可能を可能にするのですわ!!」
美琴「……頭の中だけじゃなくて、身体的にも変態染みてきたわね黒子……」
初春「佐天さん……?」
佐天「だって仕方ないじゃない! フェブリとジャーニーと布束さんの飛行機の時間がギリギリだったんだし、飛行場まで送って、さらにここまで戻ってくる時間を確保するには白井さんに協力してもらうしかなかったんだから!」
初春「だからって、白井さんを連れて来ちゃったらダメじゃないですかー!!」
佐天「……言っとくけど、飛行機に遅れそうになった原因は初春のパフェ三杯おかわりなんだけど?」
初春「う、うぐ…! そ、それは……」
美琴「そう言えば、前回のオチトークに間に合わなかった理由がそれだったわね」
上条「アレが伏線だったなんてすげーな」
白井「と言う訳で、佐天さん! 初春! このわたくしが来たからにはお姉様と腐れ類人猿を物理的にも精神的にもくっつけさせませんので覚悟なさい!!」
美琴「ぶ、ぶぶぶ物理的って何よ!? 物理的って///」
佐天「ふっ! そうはいきませんよ白井さん! 愛とは障害が多ければ多いほど、燃え上がるものなのです!!」
美琴「あああああ愛って何よ!? 愛って!?」
上条(あー、何だろな? いつものこぼれ話の空気が戻ってきたなぁー。けど妙にこの空気って落ち着くんだよなー)
初春「さて、上条さんが、いつものこぼれ話の空気が戻ってきたなぁー。けど妙にこの空気って落ち着くんだ、ってほんわかしたところで今回はここまでです。ではまた次回お会いしましょう」
上条「ちょっと初春さん!? ひょっとして貴女様は俺の心の声もハッキングできるの!?」


969 : 我道&くまのこ :2014/11/11(火) 22:35:33 mcTYXepM
以上です。
長かった大覇星祭編も次がラストです。
メインディッシュのフォークダンス回となりますw
ではまた。


970 : ■■■■ :2014/11/12(水) 07:36:46 nFwjyQn2
我道&くまのこさん、おつかれさまです!
お二人のこぼれ話はいつも楽しくて幸せで安心して読めます。
メインディッシュw楽しみにしてます!


971 : ■■■■ :2014/11/12(水) 07:42:27 nFwjyQn2
ごめんなさい >>970 です
970が次スレ当番なんですね
スレ立てるの初めてなので時間がかかるのと
いま通学途中なので作れるとしたら夜になります…
自分が作るまでに埋まってしまいそうでしたらどなたかお願いします、申し訳ありません


972 : ■■■■ :2014/11/12(水) 17:30:31 YfbST.Fo
次スレです。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1415780549/


973 : くまのこ :2014/11/13(木) 17:44:32 gwFHeNss
>>972さん、スレ立て乙です!



連投ですみません。短編書きました。
中身ゼロのネタ系ですが、それでもよければどうぞ。
約3分後に4レスです。


974 : とある本気の九番勝負 :2014/11/13(木) 17:47:49 gwFHeNss
「勝負よ! 今日こそ決着つけてやるんだから!」

美琴が人差し指を突きつけながら言い放ったその言葉に、
その頃の記憶がない筈の上条だが、妙な懐かしさを感じていた。

今年の6月中旬。美琴は数名のスキルアウトに囲まれていた所を、上条に助けられた。
とは言っても上条発案の『知り合いのフリして自然にこの場から連れ出す作戦』は、
美琴の「誰よアンタ?」という空気を読まない一言で頓挫したのだが、
そもそも美琴はレベル5の能力者だ。
上条の助けがなくとも、この程度のアクシデントは自分で何とかできる。
現に彼女は、その場で電撃をぶっ放し、ナンパしてきた野郎どもを丸焦げにしていた。
その際に自分の事を「まだ子供【ガキ】じゃねーか」と言いやがった上条も一緒に焼いた…のだが、
彼は何故か無傷だった(今ならば、それが幻想殺し【みぎて】の効果なのだと分かるのだが)のだ。
それ以来、超能力者としてのプライドを傷つけられた美琴は、事ある毎に勝負を挑むようになった。
だが結果は全戦全敗で、しかも上条は本気を出した事すらなかった。
その後、一方通行の「絶対能力進化実験」で上条に『本当の意味』で助けられたのを境に、
勝負を挑まなくなった美琴なのだが、オティヌスを巡る事件の時、美琴は再び上条と戦った。
そこで美琴は、『思ったよりも虚しい』初勝利をもぎ取ったのだ。

そして本日、美琴はまた上条に牙を剥いて相対している。
上条は突きつけられた指をギュッと握り、そのまま美琴を睨み返す。

「……いいぜ、相手になってやるよ。…もう手加減とか一切しないからな!」
「上等じゃない…本気のアンタをぶちのめさなきゃ、意味なんて無いものね!」

今ここに、超能力者の第三位、常盤台の超電磁砲こと御坂美琴
          対
右手に幻想殺しを宿し、幾度と無く世界を救ったヒーロー、上条当麻の、
血で血を洗う争いが始まろうとしていた。


 ◇


勝負その1 『格闘ゲーム』

ルール
・3ラウンド中、2ラウンド先取した方の勝ち
・持ちキャラは自由
・美琴は、能力を使ってゲーム機に干渉するのは禁止

「ちょ、それハメじゃないの!?」
「うははははー! これはれっきとしたコンボですー!
 それに仮にハメだったとしても、『ハメちゃいけない』ってルールはありましたっけー?」
「なっ! ん…にゃろう! だったら!」
「ああっ!? なにその受け身カウンター! そんな技あったっけ!?」
「アンタ、好きなキャラ以外の技表は見てないの? 他にもこんな事もできちゃうんだから!」
「えっ、ちょ、硬直なしにそんな超必、反則っ!」
「あっら〜? これはただのコンボなんですけど〜?」

勝者・御坂美琴
戦歴・上条 0 ― 1 美琴


 ◇


勝負その2 『ババ抜き』

ルール
・最後までジョーカーを持っていた方の負け
・10回勝負(ただしババ抜きで何度勝利しても、トータルの戦歴は1回分の勝利とする)
・不幸体質の上条へのハンデとして、10回の勝負中1回でも上条が勝てれば、上条の勝利となる

「………はい、アンタの番。ラスト二択ねー」
「ぐう! 右か…左か…? さっきは右だったから、今度は左…?
 いや、その裏をかいて右って可能性も……いやでも、それもフェイクで本当は左とかっ!?」
「ああ、もう! ごちゃごちゃ言ってないで、とっとと取りなさいよ! どんだけ慎重なのよ!」
「し、慎重にもなりますよ! ここまで9戦とも、上条さんのストレート負けなんですよ!?
 後がないんだよこっちには!」
「……はぁ…分かったわよ! 右よ右! 左がジョーカーだから!」
「…え? マジで? …でも何で?」
「一回くらい勝たせてあげるわよ。…何かもう、見てて可哀想だから」
「ムカッ! 施しなんていらねーよ! ……ただまぁ、『俺の意志』で右を選ぶけどな。
 べ、別にミコっちゃんに言われたから右をとる訳じゃないんだからね!?」
「何その取って付けたようなツンデレ……いいから、ちゃっちゃと取って…って馬鹿っ!」
「あれっ!!? 右を取ったのに何故にジョーカー!? 美琴センセーに嵌められた!?」
「違うわよ! 私から見て右って…あ〜あ、もう……」
「………不幸だ…」

勝者・御坂美琴
戦歴・上条 0 ― 2 美琴


 ◇


975 : とある本気の九番勝負 :2014/11/13(木) 17:48:41 gwFHeNss
勝負その3 『料理対決』

ルール
・美味しい料理を作った方の勝ち
・上条の部屋の冷蔵庫にある残り物の食材と、買い置きしてある調味料を使用
・買い足しはできない

「じゃーん! 上条さんの得意料理、『野菜炒め』だー!」
「はい。残り物のお魚を使った『ブイヤベース』」
「……へ? ブイヤベースって、ご家庭でも作れる物なの…?」
「わりと簡単に作れるわよ?」
「…い、いや! 問題は味だ! 見た目なんて二のつg『ぱくっ』参りました」
「早っ!!?」
「いや、勝てねーって。これ、レストランで食うより美味いもん」
「えっ!? そ…そう、かな…?
 で、でで、でもほら、アンタのも食べてみないと分からないじゃない!?」
「いや〜…もう、勝負になんないと思うけどな〜……まぁ、いいや。食べてみてくれ」
「っ!!? あ、あああの、ちょっと待って!? こ…このお箸ってもしかして…?」
「ああ、うん。普段は俺が使ってるもんだけど?」
「そ、そそ、そう…なんだ…………あの…じゃあ…い、いた、いただきます……『はむっ』…」
「なっ? 俺の負―――」
「…負けまひひゃ……」
「―――けだろ…って、はあっ!!?」
「…何かもう…ごちそうさみゃれふ……」
「え、あ、そう…? 美琴がそれでいいんなら、いいけど……てか、顔真っ赤だけど大丈夫か?」

勝者・上条当麻
戦歴・上条 1 ― 2 美琴


 ◇


勝負その4 『二文字しりとり』

ルール
・普通のしりとりのルールに加え、二文字以外の言葉を言っても負け
・相手が言葉を言った後、自分も10秒以内に次の言葉を言わなければならない
・自分の言った言葉が相手に伝わなかった場合は、一旦中断して審議
 (たとえ造語だったとしても、説明が面白ければOKとする)

「また『し』!? しお(塩)…は、さっき言ったから……」
「はい、10・9・8・7」
「ああ、えっと…『しか』! 鹿だ鹿!」
「『か』…か…かべ! 壁ね!」
「『べ』…べ……べ〜〜〜っ!?」
「ぷぷぷっ! 濁音って焦ると意外と出てこないのよね〜♪ 10・9」
「……『べあ』」
「はい、審議。『べあ』って何よ?」
「フォークダンスの時にミコっちゃんが放った謎の言葉」
「べあっ!!?」
「そう、それ。いかがですかな〜?」
「ぐっ! あ…有りでいいわよ有りで!」
「はい、じゃあ『べあ』ね。10・9・8」
「『あし(足)』」
「あし……また『し』かよ! ええっとぉ…」
「10・9・8・76543」
「おおうっ!!? し、しし、『しお(塩)』! …あ、ちょっと、今のナシ―――」
「はい、駄目ーーーっ! 『しお』は一回言いましたー! アンタの負けー!」
「つ、つーかちょい待てっ! カウント7から急に速くなったぞ!? やり直しを要求する!」
「煽られたアンタが悪いんでしょ?
 しかも、それでもちゃんとカウントがゼロになる前に答えたんだから、アンタのミスよん♪」
「納得できねぇ…」

勝者・御坂美琴
戦歴・上条 1 ― 3 美琴


 ◇


勝負その5 『10秒ゲーム』

ルール
・目を瞑ったままストップウォッチをスタートさせ、10秒経ったと思ったところでストップさせる
・コンマ1秒でも、10秒に近かった方の勝ち

「私からね」
「いいぜ。よーい……スタート!」
「……3………8…10!」
「10秒18か。ま、まぁまぁだな」
「ふっふ〜ん! 焦ってるわね? 体内時計には結構自信あるんだから♪」
「体内時計の意味、ちょっと違くね?」
「い、いいから! 次はアンタの番よ! よーい……スタート!」
「……4…6…………10!」
「…12秒00。スッゴーイ、12秒ジャストダー」
「お褒めいただきありがとうございますですよチクショウ!」

勝者・御坂美琴
戦歴・上条 1 ― 4 美琴


 ◇


976 : とある本気の九番勝負 :2014/11/13(木) 17:49:30 gwFHeNss
勝負その6 『腕相撲』

ルール
・手の甲が台面に着いた方の負け
・女性である美琴はハンデとして、両手を使っても良いものとする

「しっかり握れよ〜? 負けた後、文句とか言われなくないからな」
「……………」
「…? えっと…大丈夫でせうか?」
「……らいじょぶれひゅ…」
「そ、そうか? んじゃいくぞ? レディー………ゴー!!! …ってあれ? もう勝ち?」
「……………」
「ん〜…そっち両手だし、美琴って体力もあるから負けるかと思ってたけど……
 もしかして調子でも悪かったのか?」
「……………」
「美琴?」
「………アンタの手…ゴツゴツしてた………やっぱり…男の子なのね…」
「あ、あの…ミコっちゃん?」
「えへ…えへへへへへへ〜……手ぇ握っちゃった〜…」
「……何か、勝負どころじゃなかったみたいだな…」

勝者・上条当麻
戦歴・上条 2 ― 4 美琴


 ◇


勝負その7 『呼び名勝負』

ルール
・お互いに、自分の呼び名を決める
・決められた呼び名以外で相手の事を呼んだ場合に負けとなる
 (例・上条は『御坂』や『美琴』、美琴は『アンタ』など)

「じゃ…じゃあその……わわ、私の事はハハハ『ハニー』とでも呼んでもらおうかしらっ!!?
 どっ、どど、どう!? 恥ずかしすぎて呼べないでしょう!!!」
「OK、ハニー!」
「ぶっふぇい!!! ななな何で当たり前のようにサラッと言えんのよ!!?」
「何キョドってんだよハニー。ハニーがそう呼べって言ったんだろ?
 ハニーの事をハニー以外の呼び名で呼んだら、俺がハニーに負けてしまいますよ」
「わわわ、分かったから! ハニー連呼すんな馬鹿っ!!!」
「ふっふっふ…『馬鹿』ではなく、『当麻くん』と呼んでもらおうか!」
「え………えええええぇぇぇっ!!!?」
「思えばハニーって、俺の事を名前で呼んだ事ないだろ? だからどんな感じなのかな〜って」
「え、でも…その………名前で…呼ぶ…にゃんて……」
「ん〜? それともハニーは潔く負けを認めるおつもりなのでせうか〜?」
「なっ!? い、いいわよ! やってやろうじゃない!
 た、高々名前を呼ぶだけでしょ!? 簡単よ、そんなの!」
 とっ! とと……と…まぁ…………」
「あれ〜? 声がちっちゃくて聞こえませんなぁ〜!」
「くっ…! と、うま………当麻っ!!! 当麻当麻当麻ぁ〜〜〜!!!
 ここここれで満足!!?」
「はい、ハニーの負け〜」
「はぁっ!!? 何でよ! ちゃんと呼んだじゃない!」
「俺は俺の事を、当麻『くん』って呼べって言ったはずだぜ?
 『くん付け』してないからルール違反です。だからハニーの負け」
「だっ………騙されたあああああぁぁぁぁ!!!!!」

勝者・上条当麻
戦歴・上条 3 ― 4 美琴


 ◇


勝負その8 『こちょこちょ対決』

ルール
・お互いにくすぐり合い、先に笑った方の負け

「あっははははははははっ!!! りゃめ、そこ、弱、くっ、ひゃはははははははっ!!!!!」
「ミコっちゃん弱っ!」

勝者・上条当麻(瞬殺)
戦歴・上条 4 ― 4 美琴


 ◇


977 : とある本気の九番勝負 :2014/11/13(木) 17:50:53 gwFHeNss
ここまでお互いに4勝4敗。勝負の行方は、最後の9戦目まで持ち越された。

「次でラストだな…」
「まさかここまで食いついてくるとは思わなかったわ……
 予定では、もっと圧倒的な大差で勝てるはずだったのに…」
「それはこっちの台詞だよ。美琴がここまでやるとはな…」

二人は睨み合いながら、「ふっふっふ…」と不気味な笑みを浮かべた。

「んじゃ、ラストの競技はどうする?」
「そうね…アンタが決めていいわよ」
「おっ! いいのか〜? 俺に有利な競技にしちまうぜ〜?」
「ハッ! 来なさいよ。どんな勝負でも真っ向から受け止めて、そんで返り討ちにしてやるんだから!」
「その自信が命取りになるかも知れないぜ…?
 けどまぁ、美琴がいいってんなら遠慮なく提案させてもらうか」

「望むところよ!」と腕を組む美琴だったが、上条の提案した予想の斜め上を行く勝負内容に、
美琴は固まる事となる。

「じゃあ…『抱き締め対決』だ!」
「ええ、いいわよ! 抱き締め対決でも何でも………へ? だきしめ?」
「ああ。お互いに抱き締め合って、先にギブアップした方の負け」
「………………はああああああぁぁぁぁぁ!!!?」

勝負その9 『抱き締め対決』

ルール
・お互いに抱き締め合って、先にギブアップした方の負け…らしい

「なっ、ななな、何よそのふざけた対決方法っ!?」
「おやおや〜? ミコっちゃんが言ったんじゃないのか〜? 勝負方法を『俺が決めていい』って〜」
「だっ、だだ、だかりゃって、な、そ、何で、そんにゃ!?」

この反応に、上条はすでに勝ちを確信していた。

(美琴は何だかんだ言っても、こういう事には免疫が無いからな。
 すぐに恥ずかしがってギブアップすんだろ)

免疫が無い…と言うよりは、その相手が『上条』だから、と言った方が正しいのだが、
そこに気付けるようならば、鈍感王という不名誉な肩書きは授かっていないだろう。

「んじゃ、勝負開始な」
「ちょちょちょ、待ってっ!!! ここ、心の準備が―――」

抱き締め対決、開始。

(………あれ? 勝つ事ばかり考えてて、あまり深く考えてなかったけど、
 これってもしかして、思いっきりセクハラなんじゃあ…)
「……………」
(い、いや! 美琴も承諾した(?)んだから大丈夫だよな!?)
「……………」
(つか、美琴って何か、甘くていい匂いがするな…やっぱり女の子なんだなぁ…)
「……………」
(って、いかんいかんいかんいかん!!! 俺がドキドキしてどうするよ!?)
「……………」
(…け、結構粘るな…もっと早く音を上げると思ってたのに……)
「……………」
(ヤ、ヤバい! もう、俺の方が限界だ! これ想像してたより遥かに恥ずいっ!)
「……………」
「ミ、ミコっちゃ〜ん? ギブならギブって言った方がいいですぞ〜?」
「……………」
「…? 美琴?」
「………ふにゃー」
「……あっ。すでに気絶してる」

結局美琴は、抱き締め対決開始直後のファーストインパクトで負けが確定していたのだった。

勝者・上条当麻
戦歴・上条 5 ― 4 美琴

これにより、9番勝負は上条の勝ち越しという結果で幕を下ろした。
だが『そんな事』はどうでもいい。おそらく皆さんには、冒頭から抱いていた疑問があるだろう。
ここは代表して、青髪ピアスさんに思う存分にツッコんでもらおうと思う。

「いや、勝負言うかこれ……

 た  だ  イ  チ  ャ  つ  い  と  る  だ  け  や  な  い  か  い  っ!!!」


978 : くまのこ :2014/11/13(木) 17:51:57 gwFHeNss
以上です。
part27も、もうすぐ終わりですねぇ…
今年中に埋まりますかね?
ではまた。


979 : ■■■■ :2014/11/14(金) 19:57:41 FkkwABFg
作りかけのssでかつ遅筆だからいつ更新できるか分からないけど
そんなのでも投稿して良いものだろうか…


980 : ■■■■ :2014/11/14(金) 22:00:31 nc0IoWD2
いいんじゃない?


981 : はりねずみ :2014/11/14(金) 22:00:46 1zgRRUhM
大丈夫だと思いますよ。私も中途半端の作品たくさんありますし。
書き手が増えるのは嬉しいので。


982 : ななくご :2014/11/14(金) 22:35:12 FkkwABFg
ななくごです
いちゃスレでssを投稿するのは初めてなのでこれからよろしくお願いします
えっちい方のスレを見てくれている人は分かっていると思いますがかなり遅筆です。
ご容赦ください

注意事項としてはオリキャラを登場させています。
受け付けられない人はスルーしてください
設定と筋書きも一応決めてありますがこれから改変する可能性もあります。
そのため注意事項も今後増える可能性がありますが、そのつど告知したいと思います。


983 : ななくご :2014/11/14(金) 22:38:01 FkkwABFg
彼女を見かけるようになったのは一ヶ月ほど前。
黒くて長い髪に透き通るような白い肌の女の子。
私から見ても見惚れるぐらい美しい彼女は何故かいつもアイツと一緒にいた
まぁアイツは誰かが窮地に陥るとそれを救わずにはいられない変わり者だから
今回もなんだかんだあって、その子を助けることになり
それで一緒にいるのだろうと思っていた。

でもどうやらそれは勘違いだったみたいだ。
彼女はいつもアイツの隣にいる。
アイツはいつも彼女の隣にいる。
互いに手を繋ぎあい
互いに微笑みあいながら
二人は私の前を通り過ぎていく。
まるで私の存在に気が付かないかのように

「ちょ、ちょっとアンタ待ちなさいよ!」
「ん? なんだ誰かと思ったらビリビリじゃねえか。 どうした?」

何も考えずについ声をかけてしまった。
だが、話しかけておいて何にもないというのはおかしな話だから何か喋らなければ

「しょ、勝負しなさい! きょ、今日こそ決着つけてやるんだから!」
そして一瞬の間考えて出た答えがこの返答とは…
ワンパターンすぎて自分でも涙が出る
「勝負…か……わりぃ、今はそれどころじゃないんだ。また今度な」
「それどころじゃないって…ははーん。そこの人と遊ぶのに夢中で私なんか眼中にないってわけね」

自分の言葉で胸の中が苦しくなる。
私より隣の彼女を優先する。それは当然よね。
アイツだって二人きりの時間が欲しいに決まってるもの
私が割り込む隙なんてこれっぽっちも無い

「すまんな。この埋め合わせはいつかするから。じゃあまたなビリビリ」

そういって二人は私の前から消えようとする
私には去っていく二人をこれ以上この場にとどまらせる言葉を持たなかった。

「待って当麻くん。一度二人っきりでお話させてもらえないかしら」
凛としてそれでいて綺麗に響く声はアイツの隣から聞こえた。
「えっ! だけどそれは…」
「いいから。私、彼女とは一回お話しなくちゃいけないって思ってたの。当麻くんはここで待ってて。二人だけで話したいから」
「…お前がそういうんなら」

その言葉の後にトテトテと私の前に来る彼女
真正面から見ることで改めてその美しさに驚きを覚える。
まるで芸術品のような完成された姿は見る者に劣等感を与えずにはいられない
自分自身顔立ちや体形については胸以外はかなり整っている方だと思っていた分ダメージは大きかった
「初めまして。あなたがビリ…じゃなくって御坂美琴さんね」
「……今ビリビリって言いそうになったでしょ」
「ごめんなさい。わざとじゃないの。当麻があなたを呼ぶときいつもそう呼んでたから」
「……アイツのこと当麻って…なんていうか…すごく親しげに呼ぶんですね」
「ええ、当麻は私の命の恩人だもの。命の恩人を親しげに呼ぶのはいけないことなの?」
「いえ、そういうわけでは…」

何故だろう。彼女を目の前にすると変に萎縮してしまう。
それでも一つ分かったことがある。いや、やっぱりというべきか
彼女はアイツに何か危機的状況を打破してもらい、命まで救われたのだということが
それなら、私だって絶対能力進化実験を阻止する際にアイツに命を救われている。
そう。私と彼女の立場は一緒なのだ。
だから何も気負う必要はない。
でも…じゃあなんでだろう。
なんで彼女は当麻の隣にいて
なんで私は蚊帳の外なのだろうか


984 : はりねずみ :2014/11/14(金) 23:16:18 1zgRRUhM
ななくごさん。どうかしましたか?
こちらでも終了の宣言が無いと、こちらも心配します。
このSSは、私としても大変続きが気になります。ぜひともこちらでもよろしくです


985 : ななくご :2014/11/15(土) 06:37:39 oR3us0dY
終了宣言を必ず行わなければいけないものだとは知りませんでした(汗)
次回からはssを投稿した後に一言何かを添えて区切らせてもらうことにします

それにしてもこっちのスレは投稿後のレスポンスが早いですね


986 : ■■■■ :2014/11/15(土) 09:09:06 QK0GI8U.
はりねずみはもう来なくていいよ


987 : ■■■■ :2014/11/15(土) 12:29:23 Tbbyyf02
>>986
同感
他所でももう書かなくていいよ
名前さえ見たくない


988 : はりねずみ :2014/11/15(土) 14:20:24 KYVe5gYE
すみません。あんな内容にして皆さんを不快にさせてしまったのは間違いなく私自身であります。
ですが、あれを綺麗な形で終わらせたい気持ちはまだあります。それが許してもらえないのならば、素直にあの作品は停止させます。
私はこのスレでSSを書いていきたいのです。今回は誠に申し訳ありませんでした


989 : ■■■■ :2014/11/15(土) 14:37:49 R3gcVV3M
形がどうこうって問題だと思ってるの?綺麗に終わったからよしじゃないと思うんだけど。
貴方は「人を殺す」と言う事を安易に考えてませんか?御坂に人を殺めさせた段階で
後付けで綺麗ごとをぬかそうが、上条に救いの手を伸べさせようが汚れた手、
犯した罪は消えないだろ?書く前にそこに思いが至らなかった段階で人として
どうなんだろうな。表現の自由って言うけど越えてはいけないラインってあるんじゃないか。
完全オリキャラでサスペンスやミステリーを書いている訳じゃないんだからさ。
御坂の大前提を土足で踏みにじった訳だろ。


990 : ■■■■ :2014/11/15(土) 14:53:41 zFBx1SPI
同意 続きはいらないよ


991 : はりねずみ :2014/11/15(土) 15:02:27 KYVe5gYE
わかりました。やっぱり、本当の意味で幸せにしないと意味ありませんものね。


992 : ■■■■ :2014/11/15(土) 15:05:56 ZaRf1t4A
御坂が人殺ししたっていうのが騒ぎの発端だけど、そもそもそれが確定事項なのか?
あの描写や作者の態度から察するに確定事項の可能性のほうが高いと思うが、
事を起こした御坂が何者なのか疑っていい要素があるはずだけど
というか、直前に投下された作品に対しての感想をつけろよおまえら
気に入らない作品で騒ぎ立てるよりも先にやることがあるだろ

>>はりねずみさん
今この段階でどうこう言うつもりはないですが、ここからいなくなってしまうのは寂しいです
現在連載中の作品も何か考えややりたいことがあってのことだと思います
テンプレ記載のルール他、常識を守れるのであれば誰でも受け入れるのがここのいいところだと思っています

>>ななくごさん
続き物なのに1レスしかないのはいかがなものかと思う
遅くても気にしないからもう少し書き溜めてください
面白い作品はいつまででも待ちますよ


993 : ・・・ :2014/11/15(土) 15:09:19 UO9FGrfo
データが消えた絶望を乗り越え、
私は帰って来たぞ!!

ども、・・・です。

流れはシカトします。
というか、カミやンと一緒にいるミコっちゃんは、手を汚してないんじゃ?
「防衛」してるし。


くまのこさん

>>障害物競走
いや、競技にかこつけてなにいちゃいちゃしてんの?
これ、全国で流れてるんだよね? イギリスでも半端ないことになってない?
後のふにゃーである、には苦笑を禁じ得ない

>>インディアンポーカー
だから、コミック派なんだっちゅーの!!
しかし、だれがこれ使ってもリアクション同じだからセリフに問題は無いのか
クリックしたやん、たまたまでも、偶然でもねーよ

>>勝負
ちょっと、そこのバター取ってー。なに?勝負? あの2人昨日もおとといも3日前もやってたよ。
あと、そこのコーヒーとってー。ん? あの2人は付き合ってないんだと、本人に確認したよ。
……くっそ甘いなぁ、このコーヒー



>>はりねずみさん
まぁ、最初にご自身で問題作って言ってましたし(笑)
個人的にはこのままの方が辛いから続き書いてほしいけど、判断はお任せします。
……私も長編で想い話入れる予定なんだがなぁ(汗)

>>我道&くまのこさん
初春、ちょっと黙れぇ〜〜〜!!
ん? カミやんの様子が……でもミコっちゃんが気付かない、似てんなぁ、ホント
半分くらい根性とBLに持って行かれた気がする(笑)

>>ななくごさん
え? んなこといったら長編なんて投稿できませんよ、がんがんやっちゃってください。
で、いきなり不穏な空気だなぁ。
恋人? ミコっちゃん、がんばれ

さてさて投稿します。
みんなで今年とは言わず、11月でこれ埋めちゃいましょー
ただ、批判のレスばかりで埋まるのは、少し、悲しいかな。

それでは3分後投下


994 : 夏祭り 後篇2 :2014/11/15(土) 15:24:51 UO9FGrfo

「「インデックス!!!!」」

と、叫ぶステイルと神裂の声が届いた。



そちらに目をむけると、全体的に白い男が緑色の服を着たインデックスを抱いて人混みをかき分けていた。その少し後方にステイルと神裂の姿が見える。人の壁に阻まれ、思うように進めないようだ。

「すてーる!! かおり!!」

大声で彼らを呼ぶインデックスは、

「ばーばい!!!」

元気に手を振った。いい笑顔だ。
いや、バイバイじゃ困る。
この状況に動く影が2つ。

「ちょ、おい!! わ、悪いオティヌス!!」

「え!? なに? 誰? ま、待ちなさい!!!」

後方から声がかけられたが、彼らには届かない。
別々の道で二人はインデックスを追った。
比較的人混みから離れていた2人は少しずつ人拐いとの距離を詰める。
が、人拐いは会場から出てしまった。
人の壁がなくなる。
白い男は速度をあげた
少しして彼らも会場を出る。
で、ばったり合流した。

「あれ? 美琴?」

「へ? え? 当麻?」

話したいことは互いに多々あったが、
それ以上言葉を交わさず、顔を正面に向け追走を続ける。
追いかけっこが終わった場所はとある公園。
街灯が点滅した。
美琴が電磁波で移動する手段に使ったからである。
誘拐犯を飛び越えた。
後方から上条も追い付く。
3人は動きを止めた。

「追い付いたぞ!!」

「その子を渡しなさい!!」

一瞬、2人を交互に見たその男は、みことに向かって走り出す。
そして、インデックスを渡した。

「へ?」

「まーま!! まぁま!!」

言葉を出さず、静かに頷いた男はそのまま走り去った。


995 : 夏祭り 後篇2 :2014/11/15(土) 15:26:15 UO9FGrfo
「大丈夫か!!」

「え? うん、大丈夫」

「ぱーぱ!!」

しかし、大丈夫かどうかはわからない。
いつの間にか魔術をかけられている可能性がある。
まずインデックスを右手で撫でる。

「うぅ、ぱ〜ぱぅ」

ほっぺたを右手でふにふにする。

「ぶぅ?」

その後、首、肩、背中、腕、手、足、お腹、そして胸を右手でさわる。

「大丈夫だな」

「よかった」

まて? そういえば美琴とも接触していたな。
まず右手で撫でる。

「へ? え?」

ほっぺたをふにふにする。

「ひょ、ひょっほ、なにひゅん」

その後、首、肩、「ちょ、な、に」背中、腕「ペタペタ、さ、わっ、」足、お腹「ふぇ!!? ふ、ふにゃっ!!?/////」そしてむ「やめんかーーー!!」

顔面グーパンのあと回転蹴りがこめかみに炸裂する。

「どんだけその手の奴とやりあったと思ってんの!! 体の異常くらい電磁波で把握できるわい!!」

肝心の上条に聞こえているのか?
そこでようやくステイル達も追い付いた。

「これは…………ひどいね」

「顔面がへこんでいるうえに、こめかみから煙が…………許せません」

ソーダネヒドイネアノシロイヤツ

「い、インデックスは無事だ、さっきこの右手で確認したから」

へこんだ顔を元に戻した上条の言葉に、魔術師は安堵した。

「わかった。僕たちは奴を追う」

「その子を任せます」

去っていく2人にインデックスは手を振る。
再び上条家だけになった。
一息ついて、ようやく美琴は気づく。

「大変!! 当麻!!!」

「どうした!!」

「この子、ゲコ太になってる!!!」

「…………」

ほんとだー。
ゲコ太のキーホルダーや風船に囲まれた美琴に抱かれるゲコ太インデックス。
シュールだ。
その光景に上条はそっと微笑むと、ぽんっと美琴の頭に手を乗せる。

(え? ふぇ?)

魔術対策ではない。
なぜ頭に彼の右手があるかわからない。
顔が赤くなる。
体温が上昇する。
上条は優しい表情を浮かべて、
一時して ピキッ と青筋を浮かべてからのアイアンクロー

「ん? いだっ!! いたたたたた!!」

「美琴さん、なにまた無駄遣いしてるんですか?」

「し、しまったあだだだだ!!」

「あれ? 無駄遣いするなって何度目だっけ? おかしいなぁ、つい最近もいったはずなのになぁ。もしかして美琴さん記憶力ないのでせうか?」

上条の顔が1万円札の福沢諭吉もびっくりの陰影を帯びる。

「だ、だって見たことのないグッズで、この夏祭り限定品みたいだたたたた」

「じゃあ、この先もクリスマスや正月の度に何回も何十回も同じ過ちを繰り返すおつもり
でいやがりますのか?」

「ご、ごめんなさ〜〜いたた、き、気を付けますぃたたたた!!」

「気を付けるだけ?」

「こ、今後は相談した上で購入いたしまぁあだだだだだ」

「よろしい」


996 : 夏祭り 後篇2 :2014/11/15(土) 15:26:52 UO9FGrfo
まだ痛みが尾を引いているのか、
あぅ〜〜あ〜
と唸る美琴。

「まーま? だーぶ?」

インデックスも心配してママのほっぺをなでなで。
お仕置きを終えた上条のポケットからピロリン♪と音がなる。
携帯を見ると、「トール」の名が見えた。
やはり、少し、
腹が立つ。
…………なんで?
内容を確認すると
『オティヌスと合流したからアジトに戻る』
とのことだった。
CCに御坂美琴の文字が見える。
美琴が今見ているメールも、同じトールからの内容だろう。
イライラする
……………………たから、なんで?
そんなとき、声をかけられた。

「ねぇ、オティヌスと一緒にいなくていいの?」

「へ? なんで?? あ、そういえば挨拶もなく置いてきちゃったなぁ、悪いことした」

「…………戻らなくて、いいの?」

なんでこんなこと聞くのだろう?
自分がいるのがなにか不都合なのか?
そう、例えば、

「あー、お前こそ、インデックスはオレに任せて、トールのとこ行っていいぞ?」

「??? あ、そういえば、何も言わずに飛んできちゃった」

「…………ん、だったら、さっさと追いかけてやれよ」

「……なんでそんなに私をどっかにやりたがるの? 私のことは気にすんなって言ってんだから、オティヌスを追いかければいいじゃない!!」

「はぁ? どっかにやろうとしてんのは美琴の方だろ?? オレとインデックスのことはいいから、さっさと行きたいとこ行けよ!!」

「だぁ!! だぁ!!」

ケンカ腰になっていた上条と美琴は、インデックスの怒気で怯んだ。

「だ! ぶ!! けーか!! めっ!!」

赤ん坊に叱られるとは思わなかった。
情けない表情になる。
そんな2人の顔が突然光に照らされた。
この音は、夏の風物詩。

「「…………花火だ」」


997 : ・・・ :2014/11/15(土) 15:29:11 UO9FGrfo
以上
私で埋まってしまった。

じゃあ締めは頼んだよ!!


998 : ■■■■ :2014/11/15(土) 16:01:01 u4C8lPeM
・・・さんのコメントを読んで気になったんですけど、
ここって雑誌掲載(コミックはまだ)のネタは使っちゃいけないルールなんですか?
くまのこさんの書き込みに「ネタバレ」という注意書きが2回もあったのでいいのかな、と思ってたんですが。


999 : ■■■■ :2014/11/15(土) 18:58:52 7KqRoA8Q

そんなルールは無い


1000 : ■■■■ :2014/11/15(土) 18:59:40 7KqRoA8Q

さぁ、次スレへ・・・・・・・・・・・・


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