同じ頃、その伯母が大好きだった兄（私にとっては伯父）が逝去した。
伯母にそれを伝えたら多分パニックを起こすし、伯父の顔を見に行くと言い出し聞かなくなるだろうと、
親族一同で申し合わせ伯母には内緒で葬儀をおこなった。
しばらくして伯母が危篤状態になったが、生来丈夫な人で持ち直し、会話が出来るまでに回復した。
伯母が言うには
「アタシ花畑みたいなトコにいたのよ。そしたら向こうの方で知らない男が手を降ってくるの。
アンタみたいなジジイは知らないって言ってやったよ。そしたら目が醒めたわ。」
え。多分それ伯父さんじゃん、と、従姉と顔を見合わせた。
伯母は認知症が進んでからずっと、自分自身が４，５０代のつもりでいたから、
自分の周りの人も同じようにその頃の時間の中に居るものとし、
すっかりオバサンになった私にも会うたび高校受験の心配をしてくれた。
闘病の果てに痩せて老け込み小さくなってしまった伯父が誰だか分からなかったのかも。
その伯母も先頃亡くなった。
今度は迎えに来た伯父のこと、分かったのだろうか。
それとも伯父が拗ねて他の人を迎えに寄越したのかも。
いずれにせよ、お盆には仲良く帰ってきてほしいものだ。