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【ミ】『虫食い穴』
1
:
『虫食い穴』
:2015/06/17(水) 01:32:41
アパートの一室で『虫』が出るって呼ばれたんだが、行く奴はいるかい?
51
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/22(水) 23:41:17
>>50
(まずいな。
私のスタンドはこういうときの『ごまかし』が得意じゃない。
進むも地獄、退くも地獄といったところか。)
上手い言い訳も思いつかず、むしろ杜撰な言い訳で墓穴を掘っている状況だ。
ごまかすには何らかの突飛な現象が必要だと考える。
(こういうときは……『クライマー&クローラー』。)
五人ずつ繋がった二体の『ムカデ赤ちゃん』を発現。
それぞれを玄関の扉と、廊下から奥の部屋に通じるドアの前まで向かわせる。
そして到着次第、扉の壁面をハイハイで登ってどちらの扉もあける。
動きは鈍いが全長が長いのでスタート地点は近い。すぐに届くだろう。
何なら玄関口は荒々しく音が立つようにあけよう。
玄関の開扉は松本さんの気を逸らすため。
奥部屋の開扉は中のようすを調べるためだ。
あくまで仮説だが『虫』の能力は『視認』を引き金としているように思われる。
その点『クライマー&クローラー』はまだ視覚が発達していない。かろうじて聴覚があるだけだ。
それを逆に利用させてもらう。アクシデントがあっても術中に陥る可能性は低い。
52
:
『虫食い穴』
:2015/07/23(木) 00:12:03
>>51
オギャアア オギャァア
オギャァ
かすかな泣き声と共に、異形の赤ん坊が二体現れる。
現在マシュ、戸塚井、松本さんはアパートの廊下におり、203号室の外にいる。
なので、『クライマー&クローラー』はマシュが立っている廊下に出現した。
よって、玄関の扉を開けないと、中の扉を開けられない。
『クライマー&クローラー』は器用に壁を這い登ると、
荒々しくドアノブをガチャガチャと揺らし、ドアを開けた。
松本さんから見れば、ドアが勝手に開いたように見えただろう。
『ママァ』
『ママァ』
『ママァアア』
ゾルゾルと、半開きになったドアの前でスタンドが蠢き、
マシュの顔を見上げた。
「え、何、九岡さん?」
松本さんが開いたドアを見た。
当然ながら、そこには誰もいない。
【現在の位置】
│
202号室│ 203号室
│ 九岡
-----------===-----
↑ドア
アパート廊下
松 戸 マ
-----------------------
53
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/23(木) 19:56:29
>>52
(よし。いい子だ……)
発現している『赤ん坊』を今度は十人が繋がった最長の状態にする。
いったん解除して再発現するのか、発現したまま連結数を変動させられるのか、
できる方法で作業を行う。
そして開いた玄関の隙間からそのまま廊下の奥へと向かわせる。
扉にたどり着いたならドアを開け、中の様子を耳で聞こう。
「掃除が終わったのかもしれません。
遠慮なくあがらせてもらいましょう。」
そうしているあいだに自分たちも中に向かう。
かなり強引だがこれで部屋にあがることはできると思われる。
54
:
『虫食い穴』
:2015/07/23(木) 22:51:24
>>53
『ママァアアアアアア』
グニュリ。
『二体』のスタンドが歩み寄り、おぞましい合体をした。
なお、『一体』から『分割』する時も、その場でブチブチと『分割』できる。
「うわ……」
戸塚井が横で引きつった声を出した。
玄関のドアは開いた。『クライマー&クローラー』が入れる程度の隙間だ。
だが、マシュが覗き込まない限り、『視力』のない『クライマー&クローラー』は
奥へと進めない。『ママ』が優しく導いてあげないと。
「掃除が終わったのかもしれません。
遠慮なくあがらせてもらいましょう。」
「ちょ、ちょっと、だって九岡さんが出てこないじゃない。まずいんじゃ」
マシュの言葉に松本さんが静止しようとするが、マシュと戸塚井はドアを開けた。
廊下が見える。
先ほどと同じように突き当たりのドアが開き、奥の部屋が見え、布団の一部が見える。
奥からは掃除機の音が響いている。
九岡、もしくはその彼女が掃除をしているのだろう。
55
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/23(木) 23:51:20
>>54
「戸塚井さん。
この子を進行させるつもりだが『安全域』はどこまでだろう。
どのあたりまでなら『虫』の影響を受けそうにないかな?」
玄関に侵入し、
目の届くようになった『クライマー&クローラー』を奥に向かわせる。
『虫』の視認が『能力』を受ける引き金ではないかと考えているので、
それをいいことに可能であれば部屋の中まで進ませようとしているが、
戸塚井からなんらかの助言があれば段階的に進行させることにする。
56
:
『虫食い穴』
:2015/07/25(土) 22:57:36
>>55
「見ないのが一番安全だろう、そういう意味では安全圏てのは、部屋の外だ。
向こうが動いたらどうにもならねェ」
戸塚井が忌ま忌ましげに答える。
その間にもスタンドはゆっくりと部屋の中に進入していった。
マシュと戸塚井は玄関を覗き込む。
「ねえ、誰も出てこないわよ、おかしいでしょ、おかしいってば!」
後ろで松本さんが言いつのっている。
「あれ、ねえトモチー。ドア開いてない?人の声するよ?」
女性の声が奥から聞こえ、足音と共に見知らぬ女が顔を出した。
九岡の彼女だろうか。彼女は二人の姿を認めると、驚きの顔を浮かべた。
「ひえっ?え、誰?!」
57
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/25(土) 23:41:06
>>56
「どうにか対処しなければならない相手を、
姿も見ずに対応するのは少々酷だな……」
そのまま『クライマー&クローラー』を進行。
周囲の状況を耳で探る。
そして九岡の彼女の対応にもあたろう。
「『虫駆除』を依頼されている業者のものです。
玄関の扉が開いたので掃除が終わったのかと思い、
すこし様子をうかがわせてもらっていたのですが……
まだのようですね。すみません。」
いま『虫』の全容を把握できるとは思っていない。
聴覚での調査が終了次第、大人しく引き下がろう。
遠方に移動した『クライマー&クローラー』は、
視認できなくなると距離が空いていても発現が解除されるのだろうか?
58
:
『虫食い穴』
:2015/07/26(日) 21:26:23
>>57
「逆に考えろ、向こうだって本体がいるんだ。
スタンドが相手をしにくいタイプなら、直接本体を叩けばいいんだよ。
ちなみにどうするかとかは聞くなよ?俺だって思いうかばねェ」
戸塚井がマシュの後ろから声をかける。
九岡の彼女と思しき女性は、マシュの言葉に、なんとなく納得した様子だった。
「あー、ごめんなさい、半端にドアが閉まってたのかなあ。
まだ掃除中なんですよぉ。私さっき起きたし、今日業者の人がくるとか聞いてなくてー。
えっと、もう少しまってもらっていいです?」
手を合わせてぺこっと頭を下げられた。
その彼女の足元でうろうろしている『クライマー&クローラー』は、
彼女とドアの隙間から中を見ているようだが、勿論視力がないのでわからない。
掃除機の音が至近距離から聞こえる以外は、テレビの音が聞こえる。
『虫』の軋み音は聞こえないようだ。
ぶつぶつと男(多分九岡だろう)の声が時折聞こえる。
「くそ、めんどくせえ」
遠方に移動した『クライマー&クローラー』は、距離が開いても強制解除されたりはしないが
『ママ』の『目』がないと、その先に進めなくなるようだ。
無理に進ませようとすると、大声で『ママ』を呼んで泣き叫ぶかもしれない。
基本的には、本体の視界が届く場所までしか歩けない(歩かない)と思ってもらえればいい。
59
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/26(日) 22:21:29
>>58
「本体か。やはり近くにいると思うか。
そうだな……取っちめられるといいのだが。
私にはどうにも『無意識』の現象のように思えてならない。
意図が不明過ぎる。これは人為的に引き起こされていることなのかな。
人為でなければ『死者』が『無機物』が本体といったところか。」
そして九岡の彼女の言を聞きつつ『クライマー&クローラー』を分離。
ふたりが繋がった最短の『赤ん坊』を1組残し、8人連結のほうを帰還させる。
戻り次第、この8人連結の『赤ん坊』は解除する。
「わかりました。ご面倒をおかけします。」
ここは引き下がる。つぎは202号室に向かう手筈だった。
……その前に、すでに修復は難しいだろうが、
松本夫人の信用を回復しておかなければならない。
「申し訳ありません。早とちりだったようです。
立て付けが悪く以前から起こっていたのでもないようですし、
あのドアが開いたのは何だったのでしょうね。」
60
:
『虫食い穴』
:2015/07/26(日) 23:33:32
>>59
『マァマ』
『ママァ』
『ママァ』
一体を遺した。うしろで残した『クライマー&クローラー』が鳴いてる。
『ママ』が見えないと、寂しがりやなのだ。
「あのね、ドアが自然に開いたとしても、
中の人の許可がないうちから勝手に入っちゃ駄目よ。
そういうの、問題になるんですからね!」
松本さんはマシュの謝罪にやや苛立った言葉を返しつつも、202号室に案内した。
中から小さな子供が顔を出す。202号室は中目黒夫妻。そこの子だろうか。
「はぁい……」
「あら、みのりちゃん、お母さんは?」
「お母さんいそいでおかいもの……。
松本さんがきたら、すぐにかえるから、あとにまわしてもらってってゆってた……」
「そう……困ったわね、先に201号室行きましょうか?」
みのりちゃんという少女と松本さんは、そんな会話をしている。
61
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/26(日) 23:51:23
>>60
(ごめんな。あとで戻ってくるよ。)
残してきた子には悪いが現地で聴覚の情報を入手してもらおう。
203号室でなにか異変があればすぐにそちらに集中をする。
「すみません。以後気をつけます。
『虫』の痕跡があったので少し気が逸っていました。」
「わかりました。
では201号室からお願いします。」
とくに事情もないので順番を気にしない。
むしろ事情が発生してまた強行突破するような事態になったほうが困る。
これ以上依頼者の心象を損ねるのはまずいだろう。
62
:
『虫食い穴』
:2015/07/28(火) 23:09:17
>>61
置いてきたスタンドの耳には、掃除機と人の会話がうっすらと聞こえるようだ。
「早く片付けちゃお、もう今日人来るとか最悪だよー」
「とっとと片付けて飯行くか、ファミレスでいい?」
たわいないカップルの会話だ。
201号室は飯田夫婦、こちらはすんなりと飯田夫人が入れてくれて、
中に入ることができた。視界のすみで、戸塚井がまた『電球』を植えている。
「そういえばさっき、九岡さんのところで出たのよ『虫』が」
「あらそうなの?うちは見てないわ。あ、そういえば昨日の夜に出たわね。
けっこう数がいて、旦那と二人で殺虫剤撒いたんだけど、そのおかげかしら」
松本さんの言葉に、飯田さんが答える。
殺虫剤は玄関においてあった。ゴキブリ用の強力なものだ。
63
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/28(火) 23:32:41
>>62
(そういえば。
二階のご夫婦が喧嘩をしたときに軋みが……というようなことを言っていたな。)
住人表を見るにこの飯田夫婦か隣の中目黒夫婦のことなのだろうが、
直接たずねるのも憚られるので部屋の壁の傷などをそれとなく探してみる。
「昨夜出たのですか。
どういった状況で出たようですか。『虫』が。」
飯田夫人に『虫』の発生状況を聞く。
64
:
『虫食い穴』
:2015/07/29(水) 00:10:55
>>63
それとなく見回るが、部屋には特に争いの様子などは見当たらない。
壁に目立つ傷もないようだ。
「ええと、寝る前だから23時前後かな。
その、ちょっと話してたら、どこからか『虫』がゾロっときて。
口げんかぽい雰囲気だったんだけど、そんな余裕なくて、
二人で殺虫剤撒いてたらいつのまにか『消えてた』わ。
でも普段は部屋に出たりとかあんまりないのよね、うちは。
他のお部屋に比べると少ないほうだと思うわ」
戸塚井が、窓からベランダを調べている。
「ここのアパートのベランダって『非常用はしご』はありますか?
火事になった時に逃げるような」
「えーと、確かベランダの横についてましたけど、まさかそこに『虫』が?」
「いえ、どこに潜んでるかわからないので、
とりあえず居そうな場所を色々見て回ってるんです」
ベランダの横に、確かに小さな箱がおいてある。
他の部屋では、その上に鉢植えや洗濯籠が置いてあって気がつかなかったかもしれない。
65
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/29(水) 21:07:14
>>64
「そうでしたか。
分かりました。ありがとうございます。」
(口喧嘩……口論で済んでいたのか。
やはり『音』か『軋み』、
あるいは『不和の源』かなにかが引き金。)
普段はあまり部屋に出ることがないという。
仲睦まじい夫婦だが、ときたまに喧嘩をするということだろうか。
「戸塚井さん。
何かありそうか?」
ベランダを調査中の戸塚井にたずねる。
66
:
『虫食い穴』
:2015/07/29(水) 23:42:25
>>65
考えこむマシュ。『虫』の出現条件はまだ絞りきれなさそうだ。
ベランダを覗き込む戸塚井に声をかけると、
戸塚井はベランダにある非常用はしごを覗きながら、答えた。
「特にめぼしいものはねーなー。あ、隣のベランダに飛び移れそうだな、ここ。
変なのがいたとして、ベランダから逃げるってこたねーか?ねーか。
階段使えばいいもんなあ」
なるほど、ベランダとベランダの間は開いており、歩いて渡る、というのは難しいが、
ジャンプすれば隣に飛び移れそうだ。
67
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/30(木) 00:24:33
>>66
「ベランダというかバルコニーというか。
間隔を見るに01⇔02号室と03⇔04号室の距離なら出来そうだが、
02⇔03号室との間を跳ぶのは厳しそうに感じるな。
だが実際にやってみると案外いけるものなんだろうか。」
地図の間取を参考に概算してみる。
それと2階のベランダから地上までの距離も測ってみよう。
足の痺れを覚悟すれば飛び降りられる高さだろうか。
「あるいは上に逃げるということはあるかな。
このベランダから屋根に登って廊下側から降りるとか。」
ベランダから屋根に登れそうか調べる。
68
:
『虫食い穴』
:2015/07/30(木) 22:47:06
>>67
「ああ、02⇔03は無理そうだな、そういう『能力』でもありゃ別だが。
『虫』じゃあな。それか『梯子』でもかけたらいけるかもしれねー」
マシュの言葉に戸塚井がうなづく。
間取りからでも、実際に見ても、02⇔03のように少し離れた部屋同士は無理だろう。
2階のベランダから飛び降りたときの概算をしてみる。
3m以上ありそうだが、上手く飛び降りれば怪我ぐらいでいけるかもしれない。
下手したら足の骨を折るぐらいはするだろうが、いずれにしろ
ひらりと降りてそのまま走って逃走、は難しいだろう。
綺麗に着地したとしても、常人なら痺れや着地の衝撃で、すぐに走り出すのは無理そうだ。
二階のベランダから屋根の上に登るのは可能に思える。
ただ、小柄な女性なら足場がいるだろうし、高所恐怖症なら足はすくむだろう。
屋根の上にはアンテナなどが設置されているが、動き回るスペースはありそうだ。
69
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/30(木) 23:52:06
>>68
「『虫』でアーチを作りそれを足場にしてと思ったが、
そういった応用が効きそうな能力ではないようにも感じるな。
印象としては遠隔の自動操縦という感覚だ。
であれば必ずしも本体がそばにいる必要性は薄いのかもしれない。」
ベランダから下を覗き、次いで上方を見上げる。
本体か、あるいは『虫』の移動経路を吟味しながら戸塚井と会話する。
「遠隔タイプほど射程距離がないとしても、
アパートの住人であればすべての部屋に忍ばせられそうだ。
まだ全員の顔を見終えたわけではないが、
実際のところ住人の誰かが本体という線はどうなんだろうな。
能力の発動が意図的なものであれば50%、
無意識のものであれば99%ぐらいの確率であり得るかと思う。」
70
:
『虫食い穴』
:2015/07/31(金) 00:10:37
>>69
「現時点でわかったことをまとめてみるか。
『虫型』
『小さい』
『群体型』
『記憶を奪うらしい?』
『アパートの住人が関っているらしい?』
アパートの住人の中にいるかどうか、ってなら、半々だな。
俺としては、その線は高いと思う。
ただ、『目的』だ。
そいつは何がやりたいんだ?わざわざ募集チラシに『虫』をつけてきて。
無意識にしろ、意識的にしろ、『スタンド使いを呼ぶ』目的があったはずだ」
ベランダの下や上を確認する。
小さな『虫』なら、どこに居てもおかしくはない、のかもしれない。
例えば、今まさにベランダの横を小さな蝶が横切って飛んでいるし、
ベランダの下の壁を、蟻が歩いている。ここに『甲虫』らしきものはいないが、
いたとして、別段不自然な光景には見えないだろう。
71
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/07/31(金) 22:46:57
>>70
「すまない。
そうだったな。失念していた。
私たちは何者かに誘われてここに来たんだ。」
「もし『虫』が、
本体が害だと認定した『音』や『元凶』をどうにかする能力だとして、
隣の中目黒一家が2階で度々喧嘩をする夫婦だったとしたら、
私は『中目黒みのり』……先ほど少し見かけたあの女の子が本体だと妄想していた。
能力の意図は両親の不和を取り除くことで、
それがアパートの周囲にまで意識の有無に関わらず拡がってしまっているのだと。」
「だが口論が頻発する夫婦は中目黒一家ではなかったし、
それに『私たちが誘われた』ことも考慮するとこの妄想は片手落ちだな。
自分自身では止めようもなくなったあの娘が、
チラシを用いた手段によって『スタンド使い』をひそかに呼び集めたのだとしても、
あのチラシは『漢字を使いこなしている』。
彼女……みのりちゃんの学習領域を越えているだろう。」
片手で頭をくしゃくしゃと掻き回す。
「弱ったな。目的、目的か。
何かが『虫』に置き換えられている。
『虫』は現時点で『2種類』確認されている。」
「――何らかの犯罪の証拠がアパートの敷地内に隠された。
だがその証拠は視認すると視覚情報が『虫』に置き換えられてしまう。
この『虫』を駆除するということは即ち『証拠隠滅』と同意義であり、
私たちはその片棒を担がせられている。」
「……であれば、
なぜ『虫』が私たちの目の前に現れないのかという話になるな。
これも片手落ちか。」
両手を頭上にあげる。
「だめだ。お手上げだ。
中目黒夫婦から何か情報が得られることを祈ろう。」
72
:
『虫食い穴』
:2015/08/02(日) 01:50:12
>>71
「まあ、なんだ、決め付けは視野を狭くするもんだ。
『予想』は大いにするべきだが、色々当たってみるってのは手だな。
お前の予想だと『子供』が絡んでるといったな。
『ポルターガイスト』みたいに、無意識で起こしてると。
俺は、『大人』じゃねーかと考える。どーも、キナ臭い気がすんだ。
考えてみろ、犯罪にゃ、うってつけの能力だ。こっそりアパートに潜り込んでてもおかしくねえ。
能力が二種類ってのが、まだわからんけどな。
勿論、矛盾しているのは確かだ。
奴は、『スタンド使いを呼び』、『呼んだスタンド使いから何かを隠している』。
どうしてだ?多分、これは『ヒント』、だろうな」
戸塚井はふと、松本さんに話しかけた。
「そういえば、あのチラシって誰が作られたんです?
ほら、業者募集の」
「アパートの前に張り出したポスター?
作ったのは私よ。あ、ちょっと旦那にも手伝ってもらったけど。
それが、どうかした?」
「……あれって、『虫』の絵とか、『虫』の模様とか、
もしくは……潰れた『虫』……みたいなのが張り付いてませんでした?」
「ええ?!やだ、そんな絵とか柄とかないわよ!
もちろん『虫』が潰れてたりなんか……ないわよね?え、あるの?」
ここでいくつかの選択肢がえらべるだろう。
■アパートの前に貼ってあるチラシを見に行く。
残りの部屋を見に行く。
気になる子供を調べにいく。
何か質問する。
君はどれかを選んでもかまわないし、選ばなくてもかまわない。
73
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/02(日) 20:57:12
>>72
「戸塚井さんの言うとおりだな。
現時点の情報量では始めから終わりまでの筋道を立てる段階じゃない。
時間が許すのであれば総当りで手がかりを探っていこう。」
「私たちに『何かをさせようとしている』のであれば、
そういう謀略を立てるだけの頭脳を持っているのだろうし、
その分の年を食っていそうではあるな。もっともだ。」
戸塚井の言に頷く。
「ありがとう。助かる。
ひとまず例の『チラシ』をもう一度見に行ってみよう。
当時の状態が維持されているとは思えないが、
何らかの痕跡が残っているかもしれない。」
アパートの前に回り、チラシを確認しよう。
74
:
『虫食い穴』
:2015/08/02(日) 22:38:01
>>73
■アパートの前に貼ってあるチラシを見に行く。
マシュと戸塚井は一度松本さんに断わると、
アパート前に張り出されたチラシを見にいった。
『虫が大量発生して困っています。どうか、虫の駆除をお願い致します』
内容は上記のとおり。下には連絡先と、松本の名前。
そして……『なにかあるはずのスペース』の上に『黒い虫』。
マシュと戸塚井は、この『チラシ』を見にきたところだ。
『チラシの内容』を確認するのが目的だが、『黒い虫』を見て、
『何』を確認しにきたのかわからなくなってしまった。
ヂギ ヂ
『黒い虫』が鳴き、バッと上へ羽ばたいた。
75
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/03(月) 22:47:07
>>74
「く……っ!」
反射的に頭を押さえる。その押さえた理由さえ定かではない。
わかるのは『チラシ』を見に来たことと『黒い虫』を見たこと。
それ以降のことがすっかり抜け落ちている。
「な、るほど。…………。
……さきほどの戸塚井さんはこうゆう気分だったわけか。
なにがなんだか……
そう、……なにがなんだか分からない。」
飛んでいった『虫』を見て手を伸ばす。
捕まえられるとは考えていないが、
目の前にあらわれた手がかりに思わず手が出た。
「……チラシを。チラシを確認しに来たのだと思うのだが。
しかし…………
…………しくじった。
今の『虫』はもう逃げてしまったか……
この能力の対策として効果があるかはわからないが、
スマホで写真でも取っておくべきだった。」
混乱しつつあらためて『チラシ』を確認する。
おそらく以前と代わり映えのしない募集広告の文字があるのだろうが、
しかしこの『チラシ』を確認しようとしていたはずだったのだ。
76
:
『虫食い穴』
:2015/08/04(火) 21:50:44
>>75
マシュは眩暈か頭痛かもわからぬ感覚に頭を押さえるが、
一瞬でその感覚は冗談のように消えうせた。
何を確認しにきたのか……それが『わからない』。
「お、おい! あれだ! いまの『虫』! クソ、待ち伏せてやがった!」
少し後ろにいた戸塚井が、マシュの肩を掴む。
「お前も『盗られた』みてーだな……」
アパート前に貼られているチラシの内容は同じだ。
不審な所など何もない。一体何を確認しようとしたのだろうか?
わからない。何かヒントになるものがあったはずだ……。
『虫が大量発生して困っています。どうか、虫の駆除をお願い致します』
「おねえちゃん、あたまいたいの……?」
小さな声が、二人の後ろから聞こえた。
77
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/05(水) 20:49:49
>>76
「ああ。戸塚井さん。あの『虫』だ……
チラシが…………
……その、チラシの、…………くっ……
……戸塚井さんは、今のは大丈夫だったのか?
私は『喰らった』……だめだ、くそ。
チラシの、何かがあるはずのスペースに『黒い虫』が止まっていて、
チラシの、…………何を確認しにきたのか、わからなくなった。
あの『虫』を視認してからだ。」
やはり『盗られた』という表現をすべきなのだろうか。
判然としない頭でふただびチラシを見るが、文面に変わったところはない。
ふと背中から聞こえた声に振り向く。
「……いや。頭痛というよりも立ちくらみかな……
心配してくれてありがとう。
私は成瀬真珠。あなたのお名前は?」
少女の前では笑顔を繕い返答する。
目線の高さを合わせるように少ししゃがむ。
78
:
『虫食い穴』
:2015/08/08(土) 02:51:39
>>77
「俺も、やられた。チラシだ。そいつに何かあったはずだが……
思い出せねえ。なんか俺はそれに対して……多分、不愉快だった、ような……
クソ! 陰険な野郎だぜ、全く!! 話がすすまねえってんだ!」
戸塚井は苛立ちまぎれか、チラシの上部に何故か『電球』を生やしている。
マシュは彼の話の途中で振り向いた。
そこにいたのは、多分マシュの予想通りだろう。
202号室にいた『みのりちゃん』だ。
「あのね、あのね、おねえちゃんお水のむ?
あたまがね、クラクラするときはお水のむといいんだよ。
お水あげるから」
来い、とでも言うように、みのりちゃんは手招きする。
「おい、嬢ちゃん。かーちゃん帰ってきたのか?
知らない人を家に入れちゃいけねーんだぞ?」
戸塚井のからかうような声に、みのりちゃんは小さなこぶしをむすんだ。
「あたまくらくらしてる人に、お水あげるだけだもん……」
79
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/08(土) 20:56:09
>>78
「おなじ症状だな……本当に意図が読めない。
私たちを集めてなにかをさせたいと言うのなら、
こうまで遅々として進まない展開は、
相手としても思うところではないように感じるんだが……」
戸塚井との応答を終えると、小さな声がした。
「みのりちゃん……だったかな。
ごめんね。このお兄ちゃんは少しだけ意地悪なんだ。
じゃあお姉ちゃん、お言葉に甘えちゃうおかな。
お水もらってもいい?」
戸塚井にからかわれ少しムッとしたみのりに声をかける。
完全な妄言だが先ほどまで疑っていた少女との交流だ。
意図せずして何らかの術中に嵌まる可能性もある。
水を飲むとしても、マシュだけが飲んだほうがいいかもしれない。
80
:
『虫食い穴』
:2015/08/09(日) 03:11:02
>>79
「お水、あげるよ!きて!」
戸塚井が「意地悪なお兄ちゃん」の単語に妙にツボに入ったらしく、
後ろで笑っている。のを、ほっといて、みのりと一緒にまた二階へあがった。
ちいさな手がぐいぐいとマシュの手をひっぱる。
戸塚井が後ろからついてくる。
部屋の前まで来ると、少女は「ちょっとまってて」と部屋の中へ入った。
バシンッ
部屋の中から、大きな音がした。
『何かがぶつかった音』
『何かと何かが当たった音』
『何かが殴られた音』
『 !!!!!!』
ガチャン。
部屋のドアが開いた。みのりが、うつむいてそこに立っている。
手に、水はない。
81
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/09(日) 20:37:39
>>80
「すまない。戸塚井さん。
良い警官・悪い警官というやつだ。」
いちおうのフォローを戸塚井に小声で入れつつ、
みのりの猛烈な案内にからだを付いていかせる。
といっても笑ってもらえているから大丈夫だろうが。
そして物音。
「……母親は買い物と言っていたが、父親がどこにいるかは聞いていなかったな。
『そういうこと』か。
『少女』ではなく『両親』のどちらか……この場合は『父親』ということになるのかな。
『虐待の痕跡』を隠す能力。その派生として『周囲の騒音』も消す。
『そういう線』か。」
みのりが出てくる前に戸塚井と会話を行い、
ドアの奥から現れたみのりに声をかける。
目線の高さを合わせながら、可能な限り親身に。
「……お父さん?」
そして少女の身なりや衣服の様子を思い返す。
違和感を覚える要素はあったか。
82
:
『虫食い穴』
:2015/08/09(日) 23:19:49
>>81
「ハハ、悪い警官なら得意だぜ」
戸塚井は気にする事なく、まだ笑っていたが、物音に顔を引き締めた。
「『父親』、ありえる。んで、この部屋ならバルコニーから移れる距離だなァ?
俺らを見張ってやがっ……」
戸塚井が言葉を切る。
開いたドア。そこからのぞく少女みのり。
その頬は赤く腫れ、目からは涙が零れ落ちそうになっていた。
部屋の奥に人影は見えない。人の気配もわからない。『虫』も見えない。
「……お父さん?」
マシュの言葉に、みのりが何かを言いかけて、口をつぐんだ。
にぎった両手を、マシュに差し出す。
「たす けて……」
目から涙が零れ落ちる。搾り出すような声だった。
「マシュッ!!」
後ろから、戸塚井の怒声。
83
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/10(月) 00:17:42
>>82
「ああ。適格な存在だ。
ただ話の筋は通ったが依然として目的が分から、……!」
戸塚井との会話の最中、それを遮るようにして物音。
そしてみのりが現れる。
マシュの問いかけには曖昧な反応だったが事情は察せられた。
口止めを言付けられているか、あるいは戸籍上は的確ではない場合などだろう。
だが正確ではないにしろ、
『そういう存在』が彼女の生活に影響を及ぼしているのは確実だと思われる。
少なからず想像していたとしても、いざ直面した逼迫する事態が冷静な思考と視野を奪う。
前方には助けを求める少女。
手には何を握っているのか。
後ろからは注意を促す怒声が聞こえてくる。
何に気をつけるべきなのか。
「…………っ!」
少女を抱き寄せる。
ともすれば爆弾を抱き留めた悪手だったのかもしれないが、既に過ぎたことだ。
84
:
『虫食い穴』
:2015/08/10(月) 23:17:23
>>83
とっさに、殴られたであろう頬を腫らした少女を抱きかかえる。
その瞬間、マシュの身体は後ろからすごい勢いで引っ張られ、引き倒された。
視界がひどく明るくなった。目がくらむような光は、
上に覆いかぶさったネオンで出来たような人型だ。
後ろから視界を隠すようにその腕に頭を抱えられながらも、
その隙間から見えたのは、部屋から飛び出した、
『空間が真っ黒に見えるほどの虫の大群』
ギチ ギ ギチギチギ
ギギ ギ
ギ ギチギチギチギチギチ
ギチギチ ギチギチギチギチギ チギチギチギチギチギチギチギチギチ
ギチギチギチキ ゙チギチギチギチギチギチギチキ
ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ ギチギチギ
チギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ
ギチギチギチギチギチギチギチギチ
ギチギチギチギチギチギチギチ
ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ ギチギチギチギチギチキ
゙チギチギチギチギチギチギチギチギチギチ
『業者募集のチラシ』『このアパートにいる理由』『一緒に部屋を見て回った仲間の男』
『子供の名前』『案内してくれた101号室の女性』
『自分の中に居る異形の子供達』『不審な『虫』』『虫』
『虫』
『虫が大量発生して困っています。どうか、虫の駆除をお願い致します』
『虫』ってなんだっけ?
頭の中から何かがひとつひとつ消えていく。
生まれ変わったように、真っ白に、なにもかも消えていく。
85
:
『虫食い穴』
:2015/08/10(月) 23:20:11
君は、気がつくと、見知らぬアパートの廊下に倒れている。
腕の中に小さな女の子を抱え、そして後ろから知らない男に抱えられて倒れている。
後ろの男は倒れたまま動かない。
どうしてこんなことになっているんだ?
何か転んだのか?この女の子は誰だ?
女の子は腕の中で泣いている。ほっぺが赤い。腫れあがって痛そうだ。
女の子は、泣きながら顔をあげた。
涙でぐしゃぐしゃな顔が、「おねえちゃん、ごめんなさい」と不明瞭な声でつぶやき
両手をまっすぐに差し出した。
君はこの手を振り払ってもいいし、取ってもいい。
起き上がってもいいし、起き上がらなくてもいい。
どこかで、赤ん坊がちいさく、ママ、と泣いている気がした。
86
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/12(水) 00:19:59
>>84-85
「……………………」
「……ええと、君は、」
声をかけてきた少女に言葉を返す。
見覚えがなかった。加えていえば後ろの男も。
「………………私は、」
記憶が定かであれば成瀬真珠という女だったはずだ。
取り立てて魅力のない無愛想な女だと自覚していたが、
それでも愛というものに分不相応な人並みの憧れを抱き、
しかし愛される望みの薄い自我はいつしか愛することを尊んだ。
だれかを愛するその様が少しでも自分の価値を示してくれるから、
ひたすらに愛をそそぎ込めるひとりじゃ何にもできない器が欲しくて、
つまり結局は自分が愛されたいがために他者を愛する独り善がりを
浅ましいものではないと偽るためには母性という言葉が調度良かった。
しかし客観的な価値の認定には自身と器の外側に観測者が必要だが、
見初めてくれそうな第三者は後方で意識を失ったまま動く気配がない。
価値の発生し得ない母性をいくら鬻いでもおなじく意味は発生し得ず、
無条件の愛といえど無制限ではないものを振る舞う理由が生じない。
そんな身勝手な母性など愛はおろか偽善呼ばわりすら躊躇われる。
「……………………」
この状況は何なのだろう。
判然としない頭で判然としない状況を判断する。
少女が泣いている。謝っている。手を伸ばしている。
助けを求めているように見えるが、
とくに価値が無いようならば即座に立ち去るべきだ。
成瀬真珠はそういう女だから。
本当にそれでいいのか?
愛をそそいだ器に他でもない自分自身が頼られたとき、
そこには観測者の要らない確かな価値が芽生えているのではないのか。
どこかで赤ん坊が泣いている。
目の前の少女が泣いている。
「…………大丈夫だ。」
少女の手を取る。ゆっくりとだが体を起き上がらせる。
「絶対助ける。」
87
:
『虫食い穴』
:2015/08/13(木) 20:06:56
>>86
君の言葉を聞くと、少女は泣きながら顔を起こした。
「これ…あげる……おねえちゃんおねがい……」
少女の握っていた手が開かれ、目の前に差し出される。
そこから、小さな『蝶』が羽ばたいた。
君は思い出す。
『虫が大量発生して困っています。どうか、虫の駆除をお願い致します』
あのチラシに潰れていた虫は、この『蝶』だ。
>>5
を基点として、マシュはその前後10レスを情報として思い出した。
戸塚井のスタンド能力のレスは、マシュのスタンド能力が書かれている扱いになる。
ただし、その後に得た情報は全て失っている。
記憶は連鎖的な物だ。『ある単語』を基点としてそこから連鎖的に思い出せることもあるだろう。
何が思い出せて何が思い出せないかは随時質問してほしい。
戸塚井(アパートで依頼人とあったときに自己紹介しているため、名前もスタンドも思い出せた)はまだ気を失っているようだ。
「は、はやく、にげないと……」
マシュにしがみついた少女は、ひらきっぱなしの部屋の奥を気にしている。
奥には人影も人の気配もないようだ。
88
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/13(木) 21:49:00
>>87
「くっ。……そうか、『虫』……
そうだった。
あのときも……思い出せなくなったんだ。」
少女の手のひらから放たれた『蝶』を見て記憶を手に入れる。
そうだ。『虫』だ。
あの『虫』が記憶に干渉する能力を持っていたとするなら、
おそらくいま思い出したものよりもっと多くの記憶を奪われている可能性が高い。
思い返せる最後の場面が、
マシュと戸塚井と少女が廊下で倒れている現在に繋がらないからだ。
「……逃げる。いま私たちは何かに追われるか襲われているのか。
わかった。そうしよう。」
少女を信じる。
「まずは少しでも距離を取ろう。
おいで、『クライマー&クローラー』。
戸塚井さんをいっしょに運ぼう。」
ふたりずつ連結した『赤ん坊』を可能な限り発現する。
5体か、あるいは4体出現できるはずだ。
4体の場合はその数に訝しみ、発現位置を探ろう。
戸塚井を運ぶために『赤ん坊』を先行させつつ、
部屋の前から立ち去る。
89
:
『虫食い穴』
:2015/08/16(日) 22:51:23
>>88
『ホギャァ』
『ママァアアア』
『ギャア』
『ママァ』
二人ずつ連結した『クライマー&クローラー』が『4体』出現する。
「ひっおばけ……ッ!」
少女が、『クライマー&クローラー』を見て、マシュにしがみ付いてくる。
『5体』出現させるはずだったのに『1体』足りない。
そうだ、『1体』はどこかに置いてきた。確か……どこかの部屋に置いてきたはずだ……。
『ママァ』
204号室。いるのは、204号室の方角だ。何故かそちらに取り残されている。
そうだ、確かわざとそこに待機させた……。何かを警戒したからだ。
『クライマー&クローラー』4体は、つぶらな瞳でマシュを見上げ、
戸塚井の身体を軽々と持ち上げた。
現在位置:202号室前
90
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/17(月) 00:03:41
>>89
「見えるのか。この子たちが。
すこし見た目は奇妙だけど害意はないよ。
私の『能力』だ。
きみにも見えていたのか。もしかして今の『蝶』はきみが?」
盲点だった。
だが『虫』に怯えていたのなら見えていて当然だ。
『クライマー&クローラー』を呼び出しつつ数に違和感を抱く。
「む。
もうひとり(?)出てくるはずなんだが。
……隣のとなりの部屋にいるようだ。」
ふたりが連結した1体の数え方に迷いを覚えつつ、
待機させたらしい『赤ん坊』の周囲の状況を探る。
また、階を昇り降りする階段の位置を思い出す。
201の側か、204の側か、はたまた202と203の間か。
2箇所存在する場合もあるだろう。いま確認してもいい。
階段がある方であれば204号室の前あたりまで移動しよう。
「『蝶』と『虫』には何か関係があるのかな。
もし構わなければ話を聞かせてもらいたい。
きみを助けるにはきみの手助けが必要になると思う。
案外私たちが補助をする側なのかもしれないな。」
91
:
『虫食い穴』
:2015/08/18(火) 00:01:35
>>90
「それ、おばけ……じゃないの……?」
少女がこわごわと聞く。
「『ちょうちょ』はわたしのなの。あのいやな『虫』とちがうの。
おねがいするときてくれるの。
おねえちゃんのそのおばけも、おねがい聞いてくれるの?」
階段は201と204の両脇にある。どちらから降りてもいいだろう。
取り残された『一体』の『クライマー&クローラー』は部屋の中におり、
『ママの目』がないので、その場から動けないようだ。
「あのね、あのね、あの『むし』がね、わるいことするの……
もってっちゃうの……だから、やめてっておねがいしたら
『ちょうちょ』がきてくれたの。『ちょうちょ』は、『むし』とちがってわるいことしないの。
『むし』がもってったのを、すこしだけなおしてくれるの。
でも、いっぱい『むし』がでたら、『ちょうちょ』がまけちゃう……」
支離滅裂な子供の言葉に反応するように、また『蝶』がふわりと出現した。
パタパタと二人の周りを飛び回る。
92
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/18(火) 00:28:14
>>91
「そうか。やはり『蝶』はきみの。
そうだ。
この子たちも私のお願いを聞いてくれる。
おばけじゃないと言いたいところだけど、
おばけの一種かもしれない。ただ悪いおばけじゃないよ。
私の目の届かないところでは何もできない可愛い子なんだ。」
204号室に取り残された『赤ん坊』を回収したいと思ったが、
開いていないドアの奥にいる子を視認するのは少し困難か。
聴覚で周囲の状況を探ってみる。
「ああ。私たちはあの『虫』を駆除しにきた。
そういう貼り紙があって来たんだ。この男の人も。」
「対立構造か。なるほど。
能力は違えど扱う性質は親しい……『似たタイプのスタンド』。
やはり『持って行く』ような能力なんだね。
いまの『蝶』で私もなにかまた思い出せるかな。
できたらこの男の人の記憶も戻してやってほしいのだけど、
難しいかな? それとも起きていないと厳しいか。」
93
:
『虫食い穴』
:2015/08/19(水) 00:04:06
>>92
少女はマシュの話を聞いて、うなずいた。
「あのチラシに『虫』がいたから、『ちょうちょ』がきてくれたの。
あの『虫』が、だれもこないようにってしようとしたけど、
わたしがだれかたすけてっておもったから、
つぶされちゃったけど、がんばったの。
おにいちゃんは、いっぱい『虫』にとられちゃったから、
おきれないんじゃないかなあ?
おねえちゃんのぶんまで、いっぱいとられちゃったし……。
おきれたらきっと、おねえちゃんとおなじぐらいおもいだせるとおもう……」
204号室の中にいる『クライマー&クローラー』はドアを開けないと
出してやれないだろう。
かすかにテレビの音がするが、それぐらいだ。
いや。
カン、カン、カン、カン……
201号室側の階段から、誰かが上ってくる音がする。
94
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/19(水) 08:24:13
>>93
「なるほど。
アパートの誰かがチラシを貼って、
『虫』の能力者が妨害をくわだて、
『蝶』を操るきみがそれを阻止した。そういうことなんだね。」
「私の分まで……
先ほどのあの体勢は庇われたということなのかな。
戸塚井さんには礼を言わなくちゃならない。
……む。」
足音がのぼってくる。おそらくひとりだろうか。
マシュが現時点で思い浮かぶ人物は松本夫人だが、
そろそろ用事を終えて帰宅する人物がいたはずだった。
「戸塚井さんのこの運び方は見られると少しまずいな。」
戸塚井の片腕を首のうしろに回し片肩で担ぐような体勢にする。
片側にかたよる体重は『赤ん坊』が下から支えるように補助してくれるといい。
95
:
『虫食い穴』
:2015/08/19(水) 22:48:43
>>94
「でも『ちょうちょ』は『虫』にいつも負けちゃうの……。
ね、ねえ、だれかくるよ? ここからちがうとこにいかないの?」
焦っているような口調で少女がマシュの袖を引きだした。
横たわっていた戸塚井を背負いなおし、
『クライマー&クローラー』に下から支えてもらう。
普通に担ぐように見えるが、下からの補助で、女性でも楽に担げる。
カンカンカン……。
足音はどんどん近づいてくる。松本さん以外の人物は思い浮かばない。
アパートの住民だろうか?
96
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/19(水) 23:21:46
>>95
「力量ではあちらが上回っているんだね。
いまはまだささやかなレジスタンスということか。」
「そうだね。
不自然ではないよう担ぎ直したけれど、
見られずに済むよう速やかに退散したほうが良さそうだ。
幸いあちら(201)側から上ってきてる。
こっち(204)から逃げよう。」
204号室側の階段から下へ降りる。
97
:
『虫食い穴』
:2015/08/20(木) 23:24:50
>>96
「はやくいこ、はやく!」
ぐいぐいとひっぱる少女と一緒に、204号室側から急いで階段を降りた。
同時に201号室の方から上ってきた誰かが、2階の通路に上がりきったようだ。
戸塚井を担ぎながら、1階、104号室の前に降り立つ。
昼の住宅街は車も通るが、静かなものだ。
戸塚井が目覚める気配はなく、『クライマー&クローラー』も
一体上に取り残されている。
当面の気がかりはそれぐらいだろうか?
98
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/21(金) 00:10:21
>>97
「そんなに急ぐと転んじゃうよ。」
少女に引っ張られつつ階下へ降りた。
「さて。困ったな。
『虫』の駆除という目的は変わりないけれど、
現状その手がかり・手助けとなる情報を失ってしまっている。」
「204号室に置き土産がある以上、
私たちはいくらか調査を進めていたのだとは思うのだけど、
その調査結果をおそらく『盗られて』しまったのだろう。
私の認識としては初めてなのだけど、
もう一度おなじ場所を調査するというのはバツが悪いし、
何よりそんなふざけた行動は依頼者の心証を損ねかねない。
となると……」
盗られたものを取り返すしかない。
「ごめん。戸塚井さん。」
意識を失ったままの戸塚井の、衣服のポケットや携帯を探る。
なにか調査結果を残してはいないだろうか。
同時に自分の持つ道具もあらためて点検してみる。
99
:
『虫食い穴』
:2015/08/23(日) 23:57:11
>>98
戸塚井の衣服やポケットを探ると、財布やスマホが出てきた。
財布には現金少々と免許証が入っていた。メモの類は見当たらない。
スマートフォンの方だが、ロックが掛かっておらず、スライド錠ですぐに開いた。
操作はマシュの機種と似ているので、見たい情報があれば
問題なく見れるだろう。
メモ帳アプリには特にメモは無し。
画像フォルダには、メゾンそれいゆの写真。
向かい側の道路から撮ったものらしく、建物全部が写っており、
一階や二階に人影が何人か見える。
横では、少し飽きたのか、少女がぺたぺたと『クライマー&クローラー』を触っている。
「ちょうちょのおまじない、してあげるね」
パタパタと小さな『蝶』が、少女の手の中から羽ばたき、『クライマー&クローラー』の
頭の上にちょこんと留まった。
特に意味のある行動ではないが、妙に心に残る。
カンカン……
階段の上から、再び足音が聞こえた。
100
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/24(月) 21:08:15
>>99
「私もメモを残したりはしていなかったようだし、
戸塚井さんも同様かな……失敗した。
未来の自分に手がかりを残すという発想がなかったな。」
「このあきらかに手を加えられた記憶の操作を打破するのに、
記憶を発掘するという方向性は間違っていないと思うのだけど……」
画像に映っている人影は判別できるだろうか。
確認し終えたら戸塚井のポケットに返しておく。
「その『蝶』は自在に出せるんだね。
……ん。(足音……)」
階上で扉の開閉音はあっただろうか。
ない場合、先ほど201側の階段をのぼった何者かが廊下を移動している音だろう。
ただこの音が止まらないのであれば、
そのまま部屋の前を素通りし、階下へ降りようとしているということか。
(チラシのポスティング業者? でなければ不審者か、あるいは……)
「……そんなことを考えている私も一見不審者だな。
何もしないでただ突っ立っているのは怪しまれそうだ。」
なので、このアパートの宅配ポストを調査する。
階下の一箇所にすべての部屋のぶんが集まっているタイプか、
あるいは部屋のドアにそれぞれ設置されているのか調べる。
これにより足音の主がポスティング業者か否か判別できるだろうし、
もし一箇所に集中しているタイプならそこで住民の苗字を知ろう。
苗字という文字列で記憶が発掘できれば尚いい。
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