おい誰かいないのか - 1623957612

1：以下、名無しにかわりましてVIPもどきがお送りします。：2021/06/18(金) 04:20:12 ID:G0zZ9DtM0: 避難所だぞ
2：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:11:07 ID:8xmE9imA0: ここは・・・
3：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:12:46 ID:8xmE9imA0: そうか、この空間にたどり着いたのはおれひとり・・・
4：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:13:15 ID:8xmE9imA0: なわけないっじゃーーーんｗｗｗｗ
おーい

おーーーーい
5：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:14:09 ID:8xmE9imA0: って　まじで？　ｗｗｗｗ
いやいや　まあ落ち着こうか　ｗｗｗ
6：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:15:39 ID:8xmE9imA0: 草原が広がってる
草はひざくらいまでだ
建物とか一切見えない
木もない
ただ草原だ
7：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:16:47 ID:8xmE9imA0: 地球だよな？
呼吸はふつうにできてる
太陽もある
・・・俺の知ってる太陽だよな　そう見える
角度的に昼過ぎかな
8：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:18:31 ID:8xmE9imA0: 風がときどき　弱いけど吹いてる
草が揺れてさらさらいってる
風がやむと音が消える
俺以外動くものがないんだが
9：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:19:28 ID:8xmE9imA0: いや、雲はある
ゆっくりだが動いてる
ここには時間があるということだ
あたりまえだけど
10：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:21:09 ID:8xmE9imA0: 太陽の位置で何となく方角はわかるけど
まじでどの方向向いても草原しかない
気づいたが鳥とかもいない
蟻もいない
草だけ
11：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:22:09 ID:8xmE9imA0: まさかと思って草を引っこ抜いてみた
ちゃんと根っこがあってごぼごぼ抜けた
多分この草はちゃんと生物
俺と草だけが
12：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:23:12 ID:8xmE9imA0: 大気も草原と土のにおいがする
乾燥してる感じじゃない
雨が降るのかな　　　この空間にも
13：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:24:55 ID:8xmE9imA0: 暇だから歩くことにした
なにも目標がないから下手したらぐるぐる回りかねない
だから太陽は目印にしないようにする
とにかく自分の感覚だけを頼りに　まっすぐ歩く
14：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:27:03 ID:8xmE9imA0: 陽が陰り始めてる
だからたぶん、2時間くらいは歩いてると思った
ふしぎに疲れはない
まだまだどこまでも歩けると思う
おなかもすいてない
すく前になにか食べ物を確保しなきゃと思うけど
相変わらず何もない
恐ろしいことに水の気配もない
15：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:29:03 ID:8xmE9imA0: 陽が落ちた
別に寒くもない
ただ暗いだけ
相変わらずおなかもすかない
のども乾いてない
脚もそれほど疲れてない
わからんが、なんか満たされている感じ
16：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:31:39 ID:8xmE9imA0: そろそろ寝ようかと思う
ここまでまっすぐ歩いてきて
明日起きた時に歩く方向が分からないと困るから
進行方向の草を何十本かむしっておく
草の上に横になる
虫も何もいないから
ただ単に柔らかい地面のようで
結構快適だ
17：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:32:53 ID:8xmE9imA0: おなかはすかないが眠気はきた
どこまでも落ちていくような
分厚い何かに包まれるような
心地いい
寝れそう
寝る
18：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:34:54 ID:8xmE9imA0: 全く完璧に
ぐっすりと寝た
朝陽がまぶしくて目が覚めた
起き上がると　すべて正常
どこも痛くないし
何か食べたいとも飲みたいとも思わない
ただただ元気
なんだこれ
19：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:36:33 ID:8xmE9imA0: とりあえず歩き出す
それしかすることないから
とりあえず歩いていれば
何も考えずに済む
そうすれば時間が勝手に過ぎていく
時間が過ぎればなにかが解決するかもしれない
20：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:38:06 ID:8xmE9imA0: 草原を踏んでゆく
足元が柔らかいから　あんがい歩きやすい
ふと後ろを振り返ると
踏んだはずの草はまたゆっくりと起き上がっていて
ぼくの歩んできた方向を曖昧にさせていた
いずれにせよ進むしかないから　歩く
21：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:39:00 ID:8xmE9imA0: また太陽が真上にかかるころ
空気が　変わった
22：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:40:30 ID:8xmE9imA0: 潮の気配を確かに感じた
見据える遠く地平線
そこに
空とは少し違うものを感じた
自然と歩みが早くなる
23：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:41:59 ID:8xmE9imA0: そこから早かった
空とは違う青さが少しずつはっきりしてきて
やがて
ぼくは海を望んでいた
24：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:43:36 ID:8xmE9imA0: ここまで来てみると
今まで歩いてきた草原は
低い台地であったことが分かった
ひょいと飛び降りるとそこはすぐ
まっしろの砂浜だった
そして目の前には海
空とは違う　深い青色
25：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:46:54 ID:8xmE9imA0: 潮騒を聞いていた

砂浜に腰を下ろして
眼を閉じていると
海が自分の中に入ってくるような感じがした
そのまま　陽が落ち
夜が過ぎ
また朝になり

海を眺め
また目を閉じ
海を感じ
風を感じ
陽の動きを感じて
ずっとそうしていた
何時間も
何日も
そして
何年も
26：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:49:30 ID:8xmE9imA0: すべてを忘れた
いや
忘れることができた
忘れさせてもらえた　というほうがいいか
かつてぼくは　多くの人々と共に生きていた
働いていた
でもそれが
すこしずつ溜まっていって
重くなって
どうしようもなく重たくなって
だからぼくは
この世界を望んだのだった
27：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:50:58 ID:8xmE9imA0: そして自分の脚で
落ち着けるところを探し出して
何も考えず
考えるという意味さえ忘れて
忘れることができて
ぼくは
すべてから解放された
28：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:53:24 ID:8xmE9imA0: そんな感覚すらも薄れたころだった

とおい海の向こうから
白い鳥が一羽　飛んできたんだ
29：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:55:07 ID:8xmE9imA0: そしてその鳥は
ぼくのすぐそばに降り立った
ちょっと手を伸ばせば触れられるような距離だ
ほんとうに何年ぶりに見たのかわからない
自分以外の生物
でもぼくは
身じろぎもせずにその鳥をじっと見守った
30：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:57:14 ID:8xmE9imA0: 鳥は落ち着いた様子で草原の大地を眺めていたけれど
ふっとぼくのほうを見て
すこし首をかしげるようにして
また海のほうへ飛んで行ってしまった
31：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 01:58:44 ID:8xmE9imA0: でもその時
すべてから解放されていたはずのぼくは
その鳥に
置いて行かれた
そんな感じがした
そして同時に
ぼくは自分がいるべき世界があったことを思い出したんだ
32：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 02:00:06 ID:8xmE9imA0: 柔らかい風が巻き起こって
それが合図のような気がして
ぼくはゆっくりと目を閉じて
自分がいるべき世界に帰ろうと小さな決意をしたんだ
33：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 02:00:43 ID:8xmE9imA0: そして再び目を開けたとき
またこの現実世界に戻ってきていた
34：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 02:02:08 ID:8xmE9imA0: あの数年にも及ぶ体験はなんだったのだろう
夢でも見ていたのだと
そう思えばそれまでなのだが
たしかに夢ではない
実際の出来事なのだという実感は
確かにあるんだ
35：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 02:04:59 ID:8xmE9imA0: この現実世界はやっぱり面倒くさい
ものすごくだるい
でも
でもいざとなれば
またあの世界に逃げればいいや
そう考えている自分が生まれていた
それだけで
前よりほんの少し　頑張れる気がした
だからぼくは
まだ歩いて行ける
疲れたら　休めばいいんだから
36：飲酒マン ◆INSYUiKjwY：2022/03/06(日) 02:05:12 ID:8xmE9imA0: 了