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"傷だらけの手記"
5
:
ライア
:2023/01/21(土) 14:46:50 ID:myyZEdwU0
[Birth ob Riar](4)
全てが終わると鉈を手放し、徐々に身体を蝕み始めた痛みを堪えながら二人の元に歩み寄る。
劣悪な環境で日夜横行している事とはいえ、初めて人を殺めた事実は身体にずしりと圧し掛かっていた。
そんな手で純粋なこの二人に触れていいかは分からなかった。只、無慈悲に奪われた命を弔わずして仇討は果たせないと考えていた。
「....痛かったよな...。大丈夫、仇は討ったぞ。....ごめんな....。」
先程までは微かに息があったが、暴力により傷付けられた幼い身体では数刻も持たなかった。
瞼をそっと下ろし、傷付けないようそっと横たえる。
爺さんは隣で膝立ちのまま、仁王立ちの様に屹立していた。
身体は既に冷たくなっていたが、そっと背を撫でた感覚はいつも肩を叩いていたときの感触と似ていた。
幼い俺達を護ってくれた爺さんは、最後まで温かい父親のような存在だった。
「........。後は任せてくれ....必ず、皆を地上に、出してやるから...。」
爺さんと少女の亡骸は自分の手で清めたのち、路地奥にある宿の墓地へ手厚く葬った。
爺さんの買ってくれた不揃いなパンは、まだ微かに熱を保ったまま子供達へ届けることができた。
それから数ヵ月は、ライアが孤児院の面倒を見る様になった。
爺さんが居なくなり寂しがる子達もいたが、自分が代わりになれるようにと精一杯尽くしてきた。
"もしあの時助けられれば"。そんな後悔から独学で簡易的な医療術を学ぶようになり、子供達の治療もできるようになった。
独りよがりな力ではなく、誰かを護る為の、過度に被害を及ぼさない制御できる力を得られるように努力した。
転機が訪れたのは、その年の冬だった。
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