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ドラゴンレポート「西方白龍録」

25パイロン:2022/04/30(土) 22:09:17 ID:iEfLuyXU0
十ニ:「Unravel」






頭を縦に斬られた大百足。その断末魔が鉱山跡に轟く。

その後ろに見えたのはいつの間にか大百足の背後に居たパイロンだった。

その手に持っていたのは東の大国の刀である柳葉刀で、その刃には銀色の霧や靄のようなものが纏わり付いていた。


「ぐがああぁぁああぁぁああぁぁああぁぁ!!!!!!」


大百足は激痛と苦痛のあまりに頭や尻尾を激しく振り、脚を滅茶苦茶に動かして苦しむ。

そのたびに、鉱山跡は激しい揺れに襲われ、崩壊をはじめていった。

しばらく暴れながら苦しんだ大百足は、そのまま大音響を響かせながら地面へと倒れ込み、そのまま動かなくなった。

これにより、鉱山跡の大半が崩落、崩壊してしまったことになる。もう誰もここへはしばらくの間は近寄りたくても近寄れないだろう。


「……どうだ?勝ち誇った瞬間に地に落ちる気分は?

タワラノトウタはお前の兄貴を、弱点である唾をつけた弓の矢で眉間を射抜いてやっつけたよな。

だからそれに習って、俺は唾をつけた「柳葉刀(りゅうようとう)」……お前ら東の国の奴には、「青龍刀(せいりゅうとう)」って言ったほうが伝わるか?

この青龍刀の刃でお前らのオヤジの頭を眉間ごと真っ二つにぶった斬ってやったぜ。」

「……ま、まさかお前、さっきの舌を切ったのって…!」

「ああ、そうだよ。御名答。俺が舌切ってしぬわけないだろう。

あれは柳葉刀の刃にさり気なくツバをつけるためのお芝居ってやつさ。本気にしてるお前らを見てると、笑いを堪えるのが大変だったよ。」


そう言いながら、右手に持った柳葉刀を見せびらかしつつ、怪しい笑みを浮かべるパイロン。

その身体には、先程まで刺さっていたはずの短刀は一本たりとも刺さっていなかった。


「ってかお前!さっき滅多刺しにしてやったのに!何で生きてるんだよ!」

「あー、なんでかって?だから言ってるだろ?刺さってないってさ。

お前らがこの短刀を俺の身体に刺そうとした瞬間に「固定」して、刺さらないよう防御しつつ、お前らを騙したんだよ。……これを見てみな。」


そう言ってパイロンが取り出したのは、5本の短刀。

先程までパイロンの身体に刺さっていた、ように見えたものだった。そして、その刃には全く血がついていなかった。そして、パイロンはその短刀を何処かに仕舞い込む。


「とまあ、こんな感じ。お前らの得物を奪う事が出来たし、これでお前らはとても大きな戦法を潰されたわけだよな。」

「貴様ぁ……!龍の分際で!よくも、よくも私達をコケにしおって!

そして、そして……私の大切な旦那、アカザを!許すものか!脳と目玉だけでは足りぬ、お前は私が全身貪り食ってやる!」

「何度来たって同じだよ!お前らは完全に勝てると思って見下していた、俺……龍にやられるんだよ!」


怒り狂う百足に向かってそう啖呵を切るパイロン。

そして、パイロンが手にした武器を改めて敵に向けて突きつけるように構えた瞬間だった。


「残念ね、ここに居る敵が百足だけだと思っていたら大間違いよ。」

「……なんだと?

……え?……嘘だろ、そんな……こんな事を……俺が……」

「僕が居なくても、世界は回る……生きる意味さえ見えなくなりそうで……」


何処からともなく、誰かはわからないが女性の声が聞こえたと思うと、パイロンの動きが止まった。

そして、そのまま全く動かないパイロンを後ろから抱きしめた女性が居た。

東の国の出身と思われる、緑の着物姿の長い緑の髪の女性だった。


「……さあ、パイロン。私と一緒に行きましょうか。私の姉様の復活には、貴方が必要なの。」


パイロンの耳元でそっと囁く女性。

その瞬間、パイロンは身体の力が抜け、気を失ってしまった。


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