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冒険譚記入場

31ナイトメア:2023/12/29(金) 11:27:00 ID:7zHVcmeA0
正教会の火は高く燃え上がる。偉大なる守護聖人の名を高らかに叫ぶように、
悪しきモノを氷獄の底まで叩き落す為、燃え上がっている。

1つの夢魔が燃えている。

7人の司祭が薪を投げ入れる。

13体の天使が天窓より見守る。

1つの厳かな正義が執行されている。

正教会の7つの聖なる火が、罠にかかった夢魔を取り囲み、その動きの一切を封じている。
悲痛の叫び声を上げる夢魔を司祭たちは用心深く観察しながら、決められた手順を遵守する。
罠を張り、燭台に火を点け、燃料を与え続ける。
光に弱い此の夢魔は、それで封じ込めが出来ると何週間に渡る調査で分かっている。
天窓に描かれた天使たちは慈愛に満ちた微笑みで、満足している。

「ヤメろッ、ヤメッ……ヤメてくれッ……ッ。」

何人もの、いや、何十人もの人間の魂を奪った悪魔がの命乞いを聞き入れる人間はいない。
ましてや司祭が。その煽情的な肢体に惑わされるはずもない。
闇で出来た夢魔の身体が強力な明かりに晒され、徐々に霧散していく。
自分自身と認識できない程の粒子へとかき消され、自我を見失っていく。

夢魔の顎先から、黒い汗が滴り落ちる。星空の無い夜よりも暗い色をした液体が、ぼとり、ぼとり。


7人の間から、若い神父が光の中心へと歩みを進め始めた。

「行ってまいります。」

「どうか気を付けて。夢魔の言葉に耳を貸さないように。」

「心得ております。」

時間を掛けて夢魔が完全に消滅するのを待つのも良いが、どんな些細な想定外も許されない状況であった。
だから若い神父が、祝福を受けた聖なる道具を持って夢魔へ近づき、一息で現世からの完全な追放を行う計画だ。
その聖なる十字架を夢魔の額に押し当て、宣言する必要がある。お前を追放する、と。
そうすれば、元より帰る世界の無い存在は、何処にも在る事は出来ない。何処にも在らないモノは、存在しない。


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