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冒険譚記入場

28レアニウス冒険譚:2022/05/03(火) 23:45:21 ID:cnxNPAz20
 冒険者たちに緊張が走る。皆、武器に手をかけていつでも動けるように構える。
――スッ――
っと次の瞬間魔神の姿が消えた。
「!?」
慌てた冒険者はすぐに周囲を見回し魔神の姿を探す。
「マントール!!」
 とゲンゼンが慌てた声を上げた。すぐさま彼のほうを振り返るメンバーたち。彼の視線の先にはマントール、そしてそれによりそう魔神の姿が。
 先ほどの惨状を見ていた冒険者たちの脳裏に最悪の予想が浮かぶ。魔神のこと下手をすれば仲間を死ぬよりも無残な目に合わせることな造作もないことだろう。すぐさま仲間を助けるために魔神へと攻撃を仕掛けようとする冒険者たち。だが
「慌てるな」
魔神の声が響いた。
「安心しろ。この男を悪いようにはしないよ」
 そういるのマントールに口づけをする。恐怖にひきつった顔でその口づけを受けるマントール。冒険者たちに見せつけるようにキスをしてからいったん口を離し。
「この男の知識を少し見せてもらうだけだ。この男には害はない。この男が一番賢そうだったのでな。それより、なんて顔だ。こんな美人と接吻できるんだよ。もっと嬉しそうにしなよ」
 と周囲に告げると再びマントールとの口づけを再開する魔神。それに合わせてかだんだんとマントールの顔から緊張がほどけていく。
「ふむぅ あのバカは人間に倒されたか……。ほぉ、あの鼻たれが今はずいぶん名を挙げたみたいだな。人間のほうは知ってる名前は死んだ様だな。まぁ、500年も封印されていれば当然か……人間の魔術の発展は……」
 ぶつぶつと独り言をつぶやく魔神。それらはすべてここ最近、魔神が封印されている間に更新された情報だ。どうやらキスを通じてマントールの知識を読み取ったようだ。ひとしきりマントールから得た知識を咀嚼したところで再び冒険者たちを見回す。
「さて、おぬしらがわらわの復活を邪魔しようとしていたことはわかっている。だが、わらわは今気分がいい。お前たちも望みをいうがいい。かなえてやってもいいぞ」
「------!?」
 言っていることは喜ばしいことだが、先ほどの惨状を見ている冒険者たちはとても喜べるような心境ではない。
「何も……“何もしないこと”を望む」
 絞り出すような声でゲンゼンが口を開く。
「殺戮も支配もせず、ただ普通に過ごすのであれば我らは貴殿に何もしない」
 その言葉にレアニウスもムネタダもヴェントもうなずく。仮にその望みが可能のであれば自分たちはこの魔神と戦う必要がなくなる。だが、正直そんなことがまかり通るとも思っていない。ゆっくり動いてレアニウスとムネタダがヴェントとゲンゼンの前にでてヴェントが半歩下がる。何かあったときこの中で一番身軽なのはヴェントだ。もしもの時は彼に伝達を託すための準備である。
「はははは “何もしないか“それは困ったなぁ。わらわは退屈なの嫌だ。だからと言って前みたいに何百年も封印されても困るし、それを警戒しながら生き続けるのも面倒だし。さて、どうしたものか」
 いかにも芝居がかったしぐさで考えるふりをする魔神。その動作から本当に悩んでいる様子は見て取れない。
「でもまぁ、先に叶えやすいものからかなえるとするか」
 そういうと魔神は再びマントールに向き直る。
「他の者たちはわらわに“何もしない”を求めているそうだが、この男は別のものをわらわに望んでいるようだぞ。」
 冒険者たちに緊張が走る。先ほどの神官達の様子を見に、何を望んでもいい方向に行く気がしない。そんな仲間たちを傍目に魔神と見つめあうマントール。その眼にはすでに恐怖や緊張感はない、まるで美しい女性に対して惚けている様だ。
「わかっている、わかっているぞ。だがな、そういうことはキチンとお前さんの口から言わなければならんぞ。」
「私の望みは……死ぬ前にラドネアさんで童貞卒業したい……」


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