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冒険譚記入場
27
:
名無しのキャスト/お客さん
:2022/03/30(水) 08:12:20 ID:cnxNPAz20
三人目の神官に注がれていた視線が叫び声の主に向けられる。その声の主は他ならぬ先ほど【力】を受け取った神官だった。
「あっ あついい! 焼ける! 焦げる!助けてくれーー!!」
神官はそう絶叫しながら周囲に手を伸ばしている。その体は紫色の炎に包まれみるみるうちに肌が変色していっている。
「うぎゃぁぁ!!」
とまた別の叫び声が。今度は【命】を受け取った神官のほうだ。そちらは体のいたるところが不気味に肥大化していっている。
「なんだこれは……?」
目の前の起きている光景が理解できずレアニウスは思わずつぶやいた。あたりを見回すが仲間たちも現在の様子を理解できている様子はない。そう言っている間にも二人の変異はどんどん続いている。【力】を得たはずの神官の体は崩れ始め、延ばされた手は何物にも届くことなく乾いた泥のように落ちていく。【命】を得たはずの神官の体の肉は服を突き破り手も足も分からない膨れ上がった肉の球体のようになっている。やがて力を得た神官は燃え尽きた枯れ木の様に朽ち果て、命を得たはずの神官長はぶよぶよとした醜い肉塊へと変異した。その肉体はいまだに動いていることを見るといまだに“生きて”はいるのだろう。それはある意味死より不幸なことかもしれないが。
「あはははははははは 残念だったな」
唖然とする面々の中、一人魔神だけが愉快そうに笑い声をあげていた。
「人間の体ではわらわの力や命の一端を受け取るには不十分だったということか」
魔神の言葉で皆合点がいった。確かに、ただの人間に突然力を与えらところでそれを体が受け止められるとは限らない。だが、納得すると同時にこの魔神の恐ろしさを改めて感じた。疑うまでもなくこの魔神は人間に力を与えればこうなることが分かっていた。にも拘わらず躊躇なくそれを実施したのである。
恐ろしいまでの力、そして残虐性。
(この魔神をこのままにはしておけない……)
背中に冷たい汗を感じながらレアニウスはそう心に決める。おそらくは他の四人の仲間たちもそうであろう。最悪5人中4人が死んでもこの情報を持ち帰る必要がある。
「そうそう、まだおぬしが残っておったの」
緊張感ある面持ちの人間たちをよそに魔神は一人残った神官へと向き直る。
「いっ いや 俺は……」
当然だが神官に先ほどまでの高揚感などな、自分が置かれている状況に戦慄し、
「遠慮するな、【金】が欲しいのであろう」
「いっ……いっ……」
今にも腰砕けになりそうなほど怯えた様子で神官はそれを否定しようとするがあまりもの恐怖に言葉を失っている様子だ。
「ほら、受け取れ」
そういって魔神が手をかざすと巨大な金塊が無数に出現する。一抱えもある巨大な金の塊、それが無数に。金銭に換算すればいくらになるかもわからない。そんな金塊が出現したのだ。だが……
「ひぃ!」
神官はそんな金塊を見て恐怖の声を上げた。金が出現したのは【金】を望んだ神官の頭上であった。
「たっ 助け……ぎゃぁーーーーー!!」
助けを叫んだ神官は次の瞬間落ちてきた金塊の下敷きとなってしまった。
おそらく、原型をとどめていない状態になったであろう神官の遺体は金塊に埋もれその姿は見えず、ただ、血だけが地面に広がっていくのが金塊の隙間からでもみてとれる。
「ははははは 金に埋もれる欲望をかなえた気分はどうだ?」
その惨状を見てもやはり魔神は愉快そうに笑っている。
「さて……」
ひとしきり笑い終わった後改めて冒険者たちに向き直る魔神。
「!!」
冒険者たちに緊張が走る。皆、武器に手をかけていつでも動けるように構える。
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