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【にじさんじ】月ノ美兎×樋口楓【かえみと】第469

246物書きの壁:2019/06/06(木) 01:21:28 ID:???00
みとちゃんが自分の左手を眺めている。
さっきからずっと。

「みとちゃん」
「んー?」

生返事。
喜んでもらえたことに喜びはあるが、放置されるのは面白くない。

「みとちゃん」

みとちゃんの左手を取り、引き寄せる。
薬指に光る指輪。

「みとちゃんって指輪付けてたことあったっけ?」
「ないですね。はじめてです」

どこかぼんやりとした返答。
空気がむず痒い。
このままでは恥ずかしさに耐えられそうにないので、なんとかいつもの空気にもどしたい。

「でも美兎ちゃんのことやし、いつのまにか失くなってそう」

口にしたとたん、彼女が勢いよくこちらを向いた。
もちろんみとちゃんはその指輪を大切にしてくれるだろう。
ただ、大切にしていたからと言ってどこにもいかないわけではない。
それにそういう時こそやらかしそうなのがみとちゃんだ。

「いやだ」

彼女自身絶対に失くさないという自信が持てないのか、口調が弱い。
失くした時のことを想像してしまったのか、大きく開かれた瞳が微かに揺れる。

「ちょっ、大丈夫やって。指輪なんてめったに失くすもんちゃうし」
「かえでちゃんは失くしたこと無いですか?」
「……なくはなかったかもしれんけど」
「っ……」

揺れがひどくなる。

「指につけてたらどうしても外さなあかん時があるかもしれんから、チェーン通してネックレスにするとか!」
「まえ、可愛かったから買ってみたネックレス、いつのまにか無くなってた」

今にもこぼれそうだ。

「しまっておくとか!私もいるしなくなったりはしないはず!」
「持ってたい……」

もう無理かもしれん。

「あ!」

限界まで開かれていたと思っていた目がさらに大きく開く。
ついに涙がこぼれたが、表情は先ほどまでとは比べ物にならないくらい明るい。

「ありました!絶対に無くさなくて、ずっと触れていられる場所!」

先ほどまでとは逆に左手が引っ張られる。
彼女の薬指から指輪が抜かれ、私の小指に嵌められた。
隣の指に嵌まっていた、同じ意匠の指輪とぶつかる。

「ここなら安心ですね」

指輪と指輪の間に彼女の指が割り込む。

「離れることもないですし」

手を強く握られる。

「肌身離さずいられます」




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