したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

虐厨いじめスレ

1首もぎさん ◆zFD4EmUzCA:2016/05/30(月) 19:31:22 ID:o7SKOSpA0
このスレッドは不快生物「虐厨」をいじめるスレです
AA作品やSSは歓迎しますが、余所からの無断転載・無断改造は厳しくこれを禁止します
このスレに投稿された作品の無断転載・無断改造についても同様です

339<削除>:<削除>
<削除>

340<削除>:<削除>
<削除>

341隠ぺいの先に 1/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2022/12/17(土) 03:22:05 ID:q7jbyO/.0
昔、大きな戦いがあった
すべてが荒れ果てた荒野になった時に
ようやく双方は手を取り合い不文律を決めた
しかし、不文律は長く守られることはなかった
「虐待厨」という種族は「約束を守る」という事をしないのだ
ルールを守るように訴えれば鼻で笑われ
声を強めれば事なかれ主義者や虐待派が参戦して
被害者は石もて追われた
その結果
「駆除しろ、奴らは人ではない!」
追い詰められた人々は武装蜂起し反攻に転じた
一度火が付けば虐待厨がバラまいた「恨み」という燃料に燃え広がり
一気に炎上するまで時間はかからなかった
「やめろ、オレたちは虐待厨じゃ、な・・・」
「うるせぇ、奴らの手助けして俺の故郷を滅ぼしたてめーらも同罪だ!!」
長い年月、人々はただ追われていたわけではない
中には、スキルを磨き力を付ける者も少なからずいた
そうした者たちが先頭に立ち武器を振るい突破口を切り開いていった
「無駄だと思うが頑張れよw」
「お前も仲間か、死ね!」
いわゆる「頭の軽い馬鹿」が勝手に煽って屍を晒すことも多々あったが
”ここまで被害を拡大したのは事なかれ主義者たちの活躍である”という論調が強かったため
そいつらも「虐待厨のシンパ」として片付けられた

しばらくして、表で活動する虐待厨は、すっかり居なくなった
そう、「表」では・・・・・・・

「ひゃっはー!!」
ここは、とある虐待厨の隠れ家の一つ
鳥に似た妖精が捕らえられ虐待されていた
しかも、その妖精たちはリボンがついていたり
毛並みが整っていたりと
明らかに誰かと生活していた痕跡があった
『飼い虐待』であるのは明白だ
確かに『飼い虐待』を好んで行う虐待厨は存在する
過去には相当な数がいたが
彼らがスターターとなる形で家族の一員を奪われた復讐鬼たちのスタンピードが起こった
今では見つかれば最後、確実な死が待っている
では、なぜ虐待厨らは
このようなリスクを犯しているのか?
それは打算があるわけではなく「バレなきゃいい」というリスクしかない理由からだった
彼らのような行動をした者たち(有名なのは『ペギタニスト』)が
処罰されたという話が全く聞こえてこないことも、その理由を強化した
「うまいこと考えたな、ペギタニストどもも」
「ああ、まったくだぜ!」

342隠ぺいの先に 2/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2022/12/17(土) 03:22:54 ID:q7jbyO/.0
普通に考えれば、これはあり得ないことだと分かるだろう
犯罪を犯した虐待厨の道は一つ
なけなしの生存権の剥奪と殺処分のみだ
そして彼らの意地汚さはデータベースに永遠に記録されるようになっており
行動パターンも読まれている
では、なぜ処罰されたという話が全く聞こえてこないのか?
それは単純に「話をする奴がいないから」だ
そして、このような事は身内の失態で割と早くバレるものである
「おい、お前確かに鳥の妖精を虐待していると言ったな?」
ここは街角、捜査員に勧誘役の虐待厨がシメ上げられていた
虐待厨は人ではない
ありとあらゆる拷問や自白の強要が許可されていた
この虐待厨は、他の虐待厨を拠点へ誘おうと声をかけた時に
近くにいた捜査員に聞かれてしまったのだ
その結果、誘われた運の悪い虐待厨は頭を砕かれ地面に転がっている
「おい待てよ、そいつがクロかは分かんねーだろ?」
その時だった、捜査員の背後から男が声をかけた
「誰だお前は?」
「オレが誰かなんてどうでもいいだろ?
それより、あんたら過剰反応すぎじゃねーか?
そんな血眼になるほど誘拐されて」
男は言葉の途中でスタンガンを背後から受けて倒れた
別の捜査員が男を担いで車両に載せる
「お、おい、そいつは虐待厨じゃねぇだろ・・・」
シメられていた虐待厨は男を指さして言った
「その反応からするに、お前の知り合いでも無さそうだな
だが関係ない!
こいつは虐待厨を庇い被害者を侮辱した
事件への関与を疑うには十分すぎる理由だ!」
虐待厨だけが処罰の対象と表では思われているが
それは正しくもあり間違ってもいる
確かに虐待厨は処罰の対象だ
しかし、その範囲は広い
虐待厨に与した者や協力した者も含まれるのだ
理由は『虐待厨を庇い、被害者を傷つけ被害を拡大させた』過去の事実である
『やつらも害悪、射殺すべきだ!』という過激な意見も飛び出たが
その都度犯罪者として処罰することをルールに盛り込むことで
射殺派も折れてくれた
「さぁ、虐待ブタ、案内してもらうぞ!」
捜査員は虐待厨の四肢をへし折りながら言った

343隠ぺいの先に 3/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2022/12/17(土) 03:23:43 ID:q7jbyO/.0
『ペギタニスト』を含む新手の隠蔽型の飼い虐待派はウワサにならない
なぜなら、ウワサとは『人から人へ伝わる』ことで初めて成立するものだからだ
「動いていいよ、君ら地獄行くだけだから」
『ウワサを始める者が存在しない』場合もまた
ウワサになどならないのだ
「こいつ、虐待だけじゃないぜ!
繁殖させて目の前で子供を殺していやがる!!」
そもそもの話、飼いに手を出した虐待厨も犯罪を手伝った虐待厨も
すべからく末路は決まっている
なら両方をしでかしている新手派閥の末路など問うのは愚問だろう
「隊長、片づけました!」
「あとはこいつだけだな」
リーダー格の虐待厨を除き虐待厨は全滅した
しかし捜査員らの仕事はこれだけでは終わらない
「お前には聞きたいことがある、来てもらうぞ」
「い、いじゃじゃあああああああ!!!!」
いやいやしながら暴れながら、虐待厨のリーダーは両手足の関節を
曲げられない方向に曲げられ折られ壊された状態で車に乗せられた
彼にはこの後ですべての罪状や協力者を自供させるための
「死んだほうがまし」な拷問が待っている
中には苦しみから逃れたい一心で無関係の別の虐待厨を挙げる奴もいたが
このリーダーもその一人だった
「な、なんだよ、オレたち何もして・・・」
「別の群れから密告があったんだよ!!」
こうして、犯罪に加わっていない虐待厨のグループまでもが摘発され
真偽に関係なく屍の山が築かれた
もちろん、中にはこっそり犯罪に手を染めている者もいて・・・
「ぎゃああああああああ!!!!」
「なんだその悲鳴は!!てめぇが殺した妖精の赤ん坊は!!
その主は!!もっと苦しいんだぞ!!痛いんだぞ!!!
目を潰されたくらいで叫ぶんじゃねぇド畜生!!」
そういった奴はその場で惨たらしく殺された
『バレなきゃ何してもいい』
そう嘯く連中は大抵『バレたら盛大にツケを支払わされる』常識を
頭に入れてはいない
まして児戯に等しい隠ぺい工作など『必ずバレる』ものだ
もっとも、バレないこともあるにはあるが
「隊長、またしても証拠は見つかりませんでした」
「これ以上長引かせて犠牲を増やすわけにはいかん、
この地域の虐待厨をすべて殺せ!」
大抵は一蓮托生の形でまとめて駆逐されるケースに行き着くのが常だ

344隠ぺいの先に 4/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2022/12/17(土) 03:25:18 ID:q7jbyO/.0
そしてこの駆除騒ぎの過程で『噂にならなかったこと』が
犯罪を招いたことが発覚した
事態を重く見た人々は話し合いの末に
各市町村に「ケージ」を設けた
その「ケージ」には、実際にあった事件や犯罪が書かれた看板が取り付けられている
「むしゃくしゃするぜ!!」
「ぐぎゃあああああああああああああやべでええええええ!!」
中には該当の犯罪を犯した虐待厨が入れられていて、装置につながれている
ケージの外にあるボタンと装置は連動しており、
誰でも自由に好きな時に虐待厨を甚振ることができた
「新しいボタンね、なにかしら?」
「ごぎゃあああああああ!!」
「まぁ、酸が噴き出たわ!」
時々、バリエーションを追加するなどの人々を飽きさせない工夫がされた
さすがに虐待厨といえどすぐに死ぬので
やがて生命維持と回復の装置も加えられ、なかなか死なないようになった
もちろん・・・
「よお、今日もたっぷり泣いてくれよ」
「ひぃ、ひぃぃぃ!!」
虐待厨に恨みを持つ人間も訪れる
「ははは、オレのれいむを殺してくれた時は
散々イキってたのによぉ?
自分がおびえて助かるなんざ・・・・・・
あるわけねぇだろぉが!!!!!」
自由を謳歌していた時に買った恨みを
自業自得で虐待厨はむしり取られていく
「どうして、どうしてオレがこんな目に・・・」
「お前が私のポケモンを殺したからだろ!!!!」
たまに口を開けば全くの棚上げとしか言いようがない発言ばかりのため
役所の人間が何かするまでもなく
虐待厨は来た人々の怒りの火に油を注ぎ
自らの境遇を悪化させていった
しかし、この扱いはまだほんの序の口にすぎない
「私、大きくなったら、あいつらを・・・・・」
虐待厨に家族を、無二の親友を奪われた子供たち
彼ら彼女らが成長し国を担う世代になったその時
虐待厨たちの真の地獄は始まるのだ

「次のニュースです
・・・・・国会で虐待厨の人権をはく奪する審議が行われ・・・・・
・・・・・法案は、可決成立しました」

(おわり)

345保護の天秤 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/01/23(月) 18:26:35 ID:xuU8TzEQ0
ここは、保護区山中
保護されているのは野生動物だけではない
虐待厨という人型生物によって「被虐生物」に認定された生命体を
保護している区域だ
当然、狩猟厳禁であり警備でない者の武器の所持も許されない
しかし、それでも入り込んで悪さをするのが虐待厨という害悪生物だ

「お前がやったんだろ、認めろ」
「証拠あるんですか〜www」
今、一匹の虐待厨が警備隊に囲まれていた
その近くには殺害された「被虐生物」の群れの無残な死体が転がっている
「オレはハイキングに来ただけですwwwww」
虐待厨はのらりくらりと言い訳をしていた
証拠となる凶器は死体と一緒に転がっているため
この場で犯人と断定する証拠は、確かに無い
「もういい、放してやれ」
「隊長!?」
隊員たちは隊長を見て確認すると
渋々ながら虐待厨に道を開けた
「たかが動物にマジになってんじゃねーよ、ばーか」
パン!
乾いた音が山中に響いた
「え、あ、え・・・?」
虐待厨は赤い色が広がっていく自分の腹を見た
「ギルティだよ、くそったれ」
白煙が昇るハンドガンを手にしたまま隊長は呟いた
「な、んで、しょうこ・・・」
「てめぇが今、自白したんだろーが
お前ら虐待厨は調子に乗らせれば、すぐに吐いてくれるからな」
虐待厨は腹を撃たれながら逃げようとしたものの、
ふらついて逃げられない
「じゃあ、帰るか」
「そうですね」
「オレ、この前いい飲み屋見つけたんすよ、行きます?」
警備隊は足の力が抜けて這い回るしかできなくなった虐待厨を置いて
帰ろうとしていた
「ま、まって・・・おいていかないで・・・」
警備隊の面々はその言葉に立ち止まり、氷のような視線を虐待厨に向けた
「なんでお前みたいな荷物をわざわざ担いで帰んなきゃなんねーんだ?」
隊員の一人が言った
「たかが虐待厨にマジになる奴はいねーよ」
「人間のつもりなんですかね、こいつ?」
隊長は部下たちの言葉に頷きながら虐待厨の近くに接近した
「せっかくだから教えてやるけどな
お前、もうすぐ死ぬわ」
「え、び、病院に・・・」
「なんでそんなことしなきゃならん?
第一お前のそれ、致命傷だぞ?」
パンパンパンパン!
隊長は正確に四肢の神経を撃ち抜いて動きを封じた
「けどな、すぐに死ぬわけじゃねぇ
腹の中に血が溜まって、じわじわ苦しみながら死ぬんだ」
絶望的な顔になる虐待厨へ、隊長はさらに続けた
「それでも、な、てめぇの罪は許されねぇ
だから・・・・・地獄に行く前に裁いてもらえ」
今度こそ隊長は背を向けて部下たちの集団に加わる
警備隊はそのままどこかへ去って行った
「オマエガ、コロシタ・・・」
「コロシタナ」
「コロシタ」
恐ろしい声が動けない虐待厨の周囲からした
いつの間にか、虐待厨は無数の何かに囲まれていた
中には「被虐生物」もいたが、多くはそれではない
虐待厨が山に入る前に頭に叩き込んでいた
『絶対に遭遇を避けるべき怪物』たちだ
「クッテヤル」
「クイコロセ」
「デキルダケ、クルシマセルンダ」

虐待厨の絶叫が肉を食いちぎり
骨をかみ砕く音とともに山中に響くが
それを聞く人間はいない
この日、また一人の虐待厨が『行方不明』になった
しかしそれを心配する者は皆無だ

虐待厨の仲間たちを除いて・・・

「お前ら、この前のヤツの仲間か?」
足を撃ち抜かれて這いつくばる虐待厨たちに
隊長は聞いた
「この前のって・・・お前ら、やっぱり・・・」
「俺らは知らねーよ、殺していないからな
ま、帰ってきてねぇってことは裁かれたんだろ」
虐待厨たちの憎悪の視線をそよ風のごとく警備隊は受け流した
「お前らも、裁かれろ
運が良けりゃ生きて帰れるかもな」
警備隊は来た時と同じように音もなく立ち去った

保護区は多数の虐待厨を飲み込みながらも
警備隊の活躍で今日も平和である

(おわり)

346言葉の循環 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/03/29(水) 02:43:18 ID:Dkqkx87g0
ここは、とある公園
「なんで、だ、オレたちは野良しか・・・」
虐待が三度の飯より大好きな人に似た生物『虐待厨』たちが
地べたに転がっていた
「この子のコレが見えないのか?」
そいつらを叩きのめした男は負傷しぐったりした動物型妖精を抱えている
その子は男のパートナーで手当はすでにされていた
しかし、この公園に住むパートナーをまだ持たない妖精は全滅していた
男の人差し指は妖精のリボンに付いたバッジを指す
このバッジは『パートナーがいる』だけを意味するものではない
『教官』としてまだパートナーのいない妖精や新人を教育したり管理したり
時として逃げてきた妖精を保護する資格を持つ者の証だ
「うっせぇ!
そいつは野良を庇ったんだよ!
だったら虐待されても罪に問われねーだろ!」
もちろんそんな法律は無い
『犯人隠匿』の罪を虐待厨どもが勝手に都合よく捻じ曲げて解釈し
作り上げた架空のルールだ
「知らねーな・・・それ、誰から聞いたんだ?」
しめた、と質問された虐待厨は喜んだ
相手は自分の非を認め謝罪の姿勢だ
うまくいけば勝てる、殺せる!
この町のアイゴどもを皆殺しにできる!
虐待厨の中で一瞬で自分のためだけの自分を称える王国が建設された
そんな誇大妄想をしているなどと男は知らないし関係ない
男はただ『情報の出どころ』を知りたいだけだ
謝罪する気など微塵もない、罪はないのだから
「聞いて驚け!
オレたちのリーダーの虐一さんだぜ!」
男は納得したように頷いた
「そうか、お前らのリーダー、あいつか・・・・・
なら、お前らが鵜呑みにしたのも納得できるな」
男はリーダーを知っている
「お前も知っているように虐一さんは・・・」
「今度はうまくいくと思ったんだけど、やっぱダメか」
虐待厨の言葉を遮って男はつぶやいた
そしてスマホを取り出し、どこかに電話をかける
「もしもし、実は・・・」
男は電話の相手に、起きたことを手短に伝えた
「はい、首謀者は虐一です」
リーダーの関与も当然報告している
男はしばらく相手と話した後で電話を切った
数分しないうちに警察が来て虐待厨たちを引っ張っていった
「なんでだよ、離せ!」
「あいつを逮捕しろよ!」
警察官たちは暴れる虐待厨どもをパトカーの後続のワゴンへ押し込み
現場検証を始めた
『保健所』のワゴンは現場から離れていく
あの虐待厨たちはこれから殺処分される運命だ

所変わって、こちらは虐待厨どものアジト
「なんで殺処分されるんだふざけんな!」
保健所からの連絡にリーダーの虐一は口角泡を飛ばしながら抗議していた
「訴えてやるからな覚悟しろ!!」
「てめぇにそんなチャンスあると思ってるのかよタコ」
電話からではない、すぐ背後からの声に虐一は驚き振り向いた
そこにいたのは、近所の住人たちだ
皆、手に手に棍棒やバット、ナイフなどの凶器を持っている
「言い忘れていましたが、虐一さん
あなたの人権はすでに停止しています
ご了承ください」
それだけを告げて保健所は一方的に通話を切った
が、その時にはすでに虐一の足元にスマホは落下しており当人に話は届いてはいない
「ま、待てよ、お前ら・・・・・・
オレに直接危害を加えるつもりか?」
これは、犯罪だぞ!?」
「そいつが遺言でいいんだな?」
殺気立った住人たちは、少しずつ虐一ににじり寄っていた
その背後にはすでに肉塊と化した他の虐待厨らが転がっている
「こいつらは、オレらのパートナーを甚振ってくれた
妖精だけじゃない、ゆっくりも実装石も、ポケモンも・・・・・
分かるな?
こいつらを庇い立てしてきたお前も同罪だ!」
住人が突きつけた言葉は、まさしく虐一が常に言っていた言葉だった
「た、たかが被虐生物に本気になって、バカじゃねーか?」
説得のつもりで、命乞いのつもりで放った言葉は
住人たちに残された最後の理性を取り払った
「死ねやぁ!!」
「あの子がなにしたってんだボケぇ!!」
「なんでてめぇは息してんだ!
死ね!
天国のあの子にあの世で詫びろ!!」
パートナーを家族の一員を理不尽に傷つけられたり奪われたりした人々の憎悪を
虐一は自業自得の形で受け続けた

347言葉の循環 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/03/29(水) 02:45:19 ID:Dkqkx87g0
「このくらいでいいか」
「ああ、放っといても死ぬだろ」
住人たちはわざと急所を外す形で虐一を痛めつけた
そして殺す一歩手前で暴力の手を止めた
「保健所は10分後に来るってさ」
「そうか、じゃあ作業しやすいように片付けとくか」
背中を向けた住民たちへ、まだ息のある虐一は言った
「た、助けて、助けてくれよ・・・・・・」
ふり絞るような声で
「そいつらの中にも息のある奴まだいるだろ、
なぁ、ここまでやったんだもう十分だろ?」
住人たちは冷ややかな目で虐一を見つめた
「息があるって・・・・、こいつのことか?」
そしてまだ生きている虐待厨を虐一の前まで引っ張ってくると
目の前で頭を踏み潰した
「お前ら、なん、で、だ
こんなことして楽しいのかよ?」
住人たちはそれを聞くと顔を見合わせ
笑った
「そうだよ、自分らのルールこそ世界の心理だと思い込んで
狂犬同士で傷を舐め合う底辺どもが
現実に直面して絶望するのを見るのは大好きだ!」
かつて虐一らが被虐生物やその飼い主らに言い放った言葉を
多少のアレンジを加える形で住人たちは言い放った
「今なにもしていなくても、どうせ将来何かしでかすからな」
「だな、良い虐待厨は死んだ虐待厨だけだ!」
次から次へと、住人の口から出る暴言
それはすべて、虐一を含む虐待厨の口からかつて出た言葉だった
「すいません、保健所です」
「お、来たか!
こっちです」
住人の案内でやって来た保健所の職員たちは周囲を見回して言った
「いやぁ、これは酷いですね」
それに対して虐一は言った
「そ、そうだ、こいつらまるで悪魔・・・」
その言葉に被さる形で
「害虫どもがこんな数集まって蔓延っていたとは
我々の目の不行き届きです
いや、実に申し訳ない」
保健所職員は住人たちに謝罪した
「いえ、お気になさらず」
「人間なら誰しも見落としはあるものです」
その職員を住人たちは労った
「あ〜、こいつまだ生きていますね」
別の職員は袋に入れられ動く虐待厨を袋ごしに蹴飛ばしてトドメを刺す
その向こうでは虐待厨の入った袋をワゴンの後部スペースに放り込む職員もいた
「では、こいつはこちらで引き取りますので
殺処分で構いませんね?」
「はい、お願いします」
処刑宣告を聞いた虐一は出口まで這って逃げようとしたが
住人たちに踏まれて押さえられた上に手足を踏み折られて自由を奪われた
「あれ、そいつ生きてるんすか?」
「ガスがもったいない、このまま焼却炉に放り込むぞ」
最悪の末路を虐一は聞きながら、しかしどうしようもできなかった
「なんで、なんでこんなことに・・・」
虐一は袋の中で燃やされるまで涙した
最後の最後まで自分たちのしたことが招いた結果なのだと
悟ることのないまま

(おわり)

348言葉の循環2 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/05/30(火) 14:39:03 ID:jj1onTHg0
「そうか、失敗か」
「はい、『また』です」
ここは公的機関の建物の会議室
そこでスーツに身を包んだ男女が議論をしていた
「虐待厨には学習能力が無いのは分かっていたが
リーダーの個体までもそうだとは、な」
彼ら彼女らの頭を悩ませているのは急増する犯罪だ
それも虐待厨によるものが99%以上を占めている
もちろん犯罪をしでかした虐待厨に人権など無い
警察に引き渡すまでの間に必要ならば手足を引きちぎってダルマにしても罪には問われない
殺したとしても過剰防衛どころか殺人罪すら適用されない
蚊を叩き潰しただけで罪に問うなどバカげたことだという認識だ
しかし、駆除しても駆除しても湧いて出る虐待厨とのイタチごっこに
業を煮やした議員たちは考えた
そして、一つの結論に至った
「やつらのリーダーを敢えて残すのはどうだ?」
様々な検証や『動物実験』の末
虐待厨は群れる習性があることが判明した
その中でもリーダーになった個体は他よりも高い知能を持っている
また、世渡りできる程度には考える頭があった
事実、雑魚虐待厨はすぐに殺せるが
リーダー格の虐待厨は隣町に逃げるなど知能を働かせて死期を伸ばす知恵があった
だから、このリーダー個体を教育して放てば犯罪は減る
そう考えられていたのだが
「俺は特別な存在だ」と、リーダー個体は例外なく増長した
議員たちの思惑とは真逆に、リーダーの指揮で統制された犯罪集団が生まれた結果に終わるばかりだ
取り締まる側からすれば、まとまっている分その対応がしやすい
また、リーダーが禁じている行為をザコどもはせず、
やらかす奴は内部で粛清されるから総量としては仕事は減ったものの、
当初の目的である『犯罪撲滅』からは程遠い状況だった
すべてのやらかしが内部粛清で未然に防がれるわけではなく
さらに悪いことにリーダーの指示で隠ぺい工作が為される本末転倒の例も発覚した
「そもそも、生かす方向でしたのが間違いじゃないか?」
一人の議員が沈黙を破った

349言葉の循環2 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/05/30(火) 15:04:31 ID:jj1onTHg0
会議から数日後
「お〜、集まってきてくれたか」
ここはとある広場、リーダー個体によって虐待厨が多数集められていた
「じゃあ、あそこのバスに乗ってくれ」
リーダー個体は職員の指示通りに仲間をバスに乗せ
自分もバスに乗った
「あいつリーダーになって何日だっけ?」
「たしか一週間だったか?」
「短い期間だけど、結構な効果はあるんだな」
職員たちはバスの外でそんな会話をしていた
バスはAI制御で運転されている
中にいるのは虐待厨だけだ
彼らはこれから自分たちが『愛護の拠点へ襲撃をかける戦士たち』だと
信じて疑わない
確かにその情報に嘘はない
いや、最初から彼らに嘘の情報は渡していない
相手を信頼させるには例え虐待厨相手であろうと、「騙す」は悪手なのだ
同じようなバスはあちこちで走っていた
彼らはこれから『対虐待厨委員会』の拠点や戦闘ロボの実験場といった
『戦闘データが必要な施設』へ送り込まれる
「着いたぜ!」「ひゃっはー! クサレアイゴども覚悟し・・・」
広場から出発したバスは予定通り『傭兵の訓練所』へと着いた
虐待厨たちの望み通り、そこは『アイゴの巣』だ
ただし、武装していないわけがない
「訓練通りやれ! 一番のスコアを挙げたやつには褒美をくれてやる!」
教官の檄が飛び訓練生たちは実弾の入った銃を手に走り出した
虐待厨が威勢が良いのは最初だけだった
もちろん相手に武器がなければ実践想定の訓練にはならないので
虐待厨にも非殺傷とはいえ武器はある
ただ、『無抵抗の相手をいたぶる』前提できた彼らには覚悟がなかった
一時間ともたずに虐待厨は全滅した
「よくやった! 貴様らはもう立派な戦士だ!!」
卒業試験を一人の脱落者も出すことなく終えた訓練生たちを教官は労った
卒業を喜ぶ訓練生たちの背後には、骸と化した虐待厨たちが転がっていた

議会では、打って変わって各所からの報告に議員たちは満足げだった
「やはり、一網打尽が一番だな」
これは、計画的な『釣り』だった
リーダー個体にその区画の虐待厨をまとめさせる
それも、襲撃に参加するような「攻撃的な問題のある個体」を集めさせ
一気に殲滅するために
襲撃に加わらなかった個体は問題さえ起こさなければ生存は許される
ただし・・・・・
「わ、わざとじゃねぇ、ちょっとぶつかっただけ・・・ぎゃあ!?」
ほんの少しでも問題を起こせば即処分される掟だ
後年、リーダー個体の確保も面倒になってきたために
処分した虐待厨からクローンが形成され放たれることになった
クローン虐待厨は教育された通りの行動を行ってくれた
自分が処分されることすらも文句言わずに淡々とこなした
やがて、クローン虐待厨はリーダーだけでなくその下の構成員役もこなすようになった
表向きは戦力の拡充、実態は問題ある非クローンの処理だ
今まで庇われることが当たり前だった虐待厨どもに、これは効果覿面だった
問題ある虐待厨を駆逐するため、今日もバスは走り続け
クローンは増え続けている

(おわり)

350罪悪の行進 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/06/03(土) 12:58:45 ID:yIwO42zs0
ただ一つの言葉だけを唱え続け行進する一団がいた
「罪には悪を!」「罪には悪を!」「罪には悪を!」
その集団がどこから来たのかは分からない
しかし、彼ら彼女らは服装も髪型も武器も種族すらバラバラで
中には虐待厨から「ヒギャクセイブツ」と認定された種族もいる
その集団が通過した後には虐待厨とそのシンパの惨殺死体のみが残っている
これだけが確実に知れた事だった

ここは、その集団が向かう先にある小さな町
「うう・・・こんな、こんなことが・・・」
スーツ姿のギコは項垂れていた
目の前には墓がある
そこには彼の先祖だけでなく
彼の妻子と弟も入っていた
「しぃだから」「ベビギコだから」「ベビしぃだから」
そんな理由で彼の妻子は殺された
警察も対応せず、それどころか文句を言った彼の弟は
その場で射殺された
裁判を起こしたがろくな審議もなく敗訴した
彼の両肩には裁判の費用と「虐待不敬罪」による罰金が
重くのしかかっている

また別の場所
息絶えた小さなタブンネがいた
その前で力なく項垂れる少年がいた
遠くへ笑いながら立ち去る虐待厨がいた
少年はタブンネの遺体を抱えた
「そんなばっちいもの早く捨てろ!」
「おまえもどっか行っちまえ!」
一部始終を見ていた群衆から罵声と石が飛ぶ
「殺してやる・・・」
少年は群衆に背を向けて立ち去った

さらに別の場所ではちびしぃが銃を乱射していた
「あはははははは!!死ね!死んじゃえ!!」
彼女は「ちび園」のボランティアで
ベビやちびたちのお姉さんだった
しかし、園に侵入した虐待厨によって
同僚も妹弟たちも殺された
ちびしぃ一人だけが生き残ったのは隠れていたからではない
キレた彼女は積み木で虐待厨を撲殺
虐待厨が息絶える前に通報で駆け付けた虐待委員会の一団と
交戦状態になった
武器は虐待厨が持ち込んだものだ
もちろん弾ももうすぐ尽きる
それが自分の最期だと彼女はわかっていた
しかし、一人でも多く道連れにしてやる覚悟も決めていた
「うわ!?」「ぎゃあ!?」

351罪悪の行進 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/06/03(土) 13:00:40 ID:yIwO42zs0
ちびしぃが最後の弾倉を機関銃にセットした時だった
虐待委員会の一団に真横から団体が乱入してきたのだ
「罪には悪を!」「罪には悪を!」「罪には悪を!」
てんでバラバラのデモ隊のような集団は
ただ唯一共通するその言葉のみを唱えながら虐待厨たちを蹂躙した
その攻撃方法も異様だった
ただ通過するだけだ
先頭集団が一旦割れて虐待厨たちを挟む
通過後に先頭集団は一つに戻り虐待厨たちは囲まれる
周囲から伸びた手足や凶器が虐待厨たちの歩行能力を奪い地面に倒す
あとは後続が、ただその上を踏みしめながら通過する
それだけである
しかし、大勢の人々が意図的に踏みしめながら通過するのだ
通路になった虐待厨たちは、ひとたまりもない
瞬く間に、虐待厨たちは地面の染みと化していった
「大丈夫・・・じゃ、なさそうだな」
ちびしぃのところに団体から離れた つーが駆けつける
「・・・ひでぇこと、しやがる!」
つーは中の様子を見ると激怒した
ちびしぃの手から機関銃が落ちた
こんな当たり前の反応をしてくれる存在はこの街の住人にはごくわずかだ
誰もが見て見ぬふりをするか虐待厨たちに迎合するかだった
そして、ちびしぃの張りつめていた糸は切れた
ちびしぃは号泣した

「罪には悪を!」「罪には悪を!」「罪には悪を!」
その集団を止める術は町には無かった
先頭はガードの堅い、いわゆる「盾役」「タンク」を担う者たちが固めている
飛び道具は防がれ、大砲すら無意味だ
彼らの頭上を飛び越える武器は、すぐ後ろに控える撃墜役が阻止した
接近戦を挑めば、転ばされて後ろに続く集団に踏みしめられるだけである
例え建物に逃げ隠れしても、建物そのものを破壊され引きずり出された
あるいは建物ごと潰されるだけだった
虐待厨たちを見て見ぬふりをしていた人々も同様だ
虐待厨たちだけが被害を受けるだろうと安心しきっていた彼らは
自分たちまでまんべんなく災厄に見舞われることになった
半日と経たず、その町は踏み均され瓦礫と血の染みの大地と化した
「罪には悪を!」「罪には悪を!」「罪には悪を!」
破壊と殺戮の痕跡を振り返ることなく集団は突き進んでいく
ただ、その数は少し増えていた
新しく集団に加わった人々の中には
妹たちを殺されたちびしぃやタブンネを殺された少年、スーツ姿のギコも加わっていた
子供を目の前で殺されたしぃ、家族同然の相棒を殺された元トレーナー、姉たちの死体に守られ命を拾った妖精
そういった者はこの集団では珍しい存在ではない
虐待厨たちに大切な存在を、あるいはそれを含むすべてをかつて奪われた者たちの集団
彼ら彼女らの終点はどこなのか、誰も知らない

(おわり)

352最後の階段 1/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/07/23(日) 17:01:35 ID:NQXSevP20
「1番、出ろ!」
足に枷と錘を
手には手錠をかけられた虐待厨は、虚ろな目で相手を見た
逆らっても無駄だということは、すでに暴力によって体に叩き込まれ済みだ
のろのろと立ち上がり、相手が開けたドアの外へ出る
この部屋に戻る事は二度とない
振り返ることなく虐待厨1番は外へ出た

ついでに言うと、この番号は捕まった時に付けられる番号札で区別されている
番号札は使い回しされているため、すでに幾人もの虐待厨の血で汚れていた
この虐待厨は何人目の「1番」かはもう分からない
それほどの数の虐待厨がすでに殺されているのだから

1番は出口から差し込む太陽の光に目を細めた
ここに収容されて二度と拝むこと無く死んでいった虐待厨は少なくない
そして、これを拝むことができた虐待厨もまた寿命は残り数分程度だと言われている
1番が連れ出された場所は、外だが娑婆ではない
逃走防止のための武装兵士が配置され
奪還を目論む虐待厨を発見し殺すための武装ドローンが警備し
大勢の人々が観客席にいる場所だ
この場所は、見世物のための処刑場なのだ
「殺せ!殺せ!殺せ!」
観客は誰もが憎悪と怒りを顔に張り付かせ、1番の死を声高に要求した
1番は背後から職員に小突かれながら所定の位置まで歩かされた
その後ろのディスプレイには1番の罪状が映っていた
『・動物型妖精の誘拐並びに虐待目的での飼育
・出産した動物型妖精の子供の殺害(多数)
・利益目的での動物型妖精の売買
・妖精のパートナーへ虐待動画を送る精神的加害行為』
全てが本当のことであり、それをしたために1番は捕らえられた
その際に1番の親友や家族はその場で悉く殺された
売買に加担した虐待厨も同様である
犯罪には人間も加担していたが、
彼らは特級の重犯罪者として一生を刑務所で過ごす事になっている
「てめぇら虐待厨は生きてるだけで罪なんだ!!」
「返してよ!
あんたたちが殺したあの子を返してよ!!」
「あいつがくたばったのに、なんでお前らは笑って生きてられるんだ?
苦しんで死ね、地獄から天国のあいつに詫びろ」
観客の中には、虐待厨の犯罪被害者が少なからず居た
それは警備の兵士や職員も同様だ
もし、脱走を試みれば処刑方法が彼らによるリンチになるだけだ
つまり観客席に逃げ込んでも観客が処刑執行人になるだけであり、
殺しの素人である彼ら彼女らによる死は長い苦痛が約束されている
反対側の壁の向こうは武装した警備や兵士がいる
わざと低く設置され鉄条網すら無い壁は
そうした『無駄なあがき』をする虐待厨を殺すゲームのために設置されたものだ
この場で確実に楽に死ぬ方法は、大人しく処刑されることだけなのだ

353最後の階段 2/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/07/23(日) 17:04:46 ID:NQXSevP20
ふと、1番は処刑台に違和感を感じた
近くに転がっているゴミ袋とは明らかに違った
何かが転がっている
しかも音を出している
「おいおい、まだ生きてるのかよ?」
処刑人が呆れたようにそいつを蹴飛ばして転がした
「トドメを刺しますか?」
「いや、いい、死ぬまで苦しませてやれ」
1番はそれが、つい先ほどまで処刑されていた
別の虐待厨だと悟った
手も足もない、胴体と頭だけのどす黒く変色したそれが
どんな責め苦をこの場で受けたのか・・・・・
1番は一週間前から連絡が取れなくなった友人を思い出した
「こ、ろ、し・・・」
「いや、生きろ」
職員たちはその変色虐待厨の手当てを始めた
「お前の処刑はあと99回は残っているんだ
まだ死ぬなよ?」
どんな罪を犯せばそんなことになるのか、1番には分からない
「住居不法侵入に強盗致傷、『飼い殺し』ときたら
これでも生ぬるいほうだぜ」
職員の一人のつぶやきが1番の耳に入る
1番はそれと自分の罪を比較した
あまり大差はない
逃げて殺されたほうが楽だろう
1番はそう思った
思った以上決断は早かった
「あ、こいつ!!」
観客席側に向かって走る
しかし途中で何かに足を掴まれて転倒した
「だ・・・・げ・・・・・で」
自分の足を掴む奴を見て1番は悲鳴を上げた
それは今までゴミ袋と思っていたものだった
でも、違った
それはゴミ袋ではなく、全身をどす黒く変色させた虐待厨だった
「なんだ、そいつが気になったのか」
追いついてきた看守が1番の後頭部を殴りながら言った
「そいつは、元預かり屋だ
正体を隠して客から家族の命と金を巻き上げていたヤツだ」
「すぐに死なないように処置してあるけどな
しかし、しぶといなぁ
親族もグループも、全員地獄に行ってるのによ」
1番は処刑台に引きずられながら周囲を見た
岩だと思っていたのは全身をコンクリートで固められた者
落ち葉から突き出ている腕、生きたままプラスチックで固められ樹木になっている者
処刑場とは、処刑を行う場所だ
これが彼らの処刑ならば何ら違和感は無い
彼らの処刑は執行中であり生きて出ることは不可能なのだから問題ない

354最後の階段 3/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/07/23(日) 17:06:26 ID:NQXSevP20
1番はもう他人の心配をする余裕は、なくなっていた
ディスプレイには罪状に『脱獄未遂』が追加されていた
「生かせ!生かせ!生かせ!生かせ!生かせ!」
入ってきた時とは真逆の言葉が観客から浴びせられる
それは決して慈悲ではない、逆だ
この場において速やかな死ほど救いは無いのだから
「まぁいっか、どうせこれってすぐ死ぬ奴じゃねーし」
「延命処置を入れれば同じだよな」
死刑執行役はそんな会話をしながら1番に歩み寄った
両手足を縛られた1番は、もう動けない
「じゃ、まずは腕と足をゼリーにして
そんで点滴と薬物を投与しつつ治った骨を折り続けようか」
一人がそう言うと、死刑執行役は交互にハンマーを振り下ろした
1番の絶叫が刑場に響き、観客らの心を潤した
死刑執行役はそれを感じ取ると、
彼ら彼女らの望み通り長く苦しむ場所にハンマーを振り下ろし粉砕していく
やがて1番は全身の骨を砕かれたが生きていた
いや、生かされていた
先に処刑された虐待厨たちが、くたばった後も3年も生き延びた
その死因は、たまたま起きた地震で生命維持装置が壊れ
外れたチューブから体内のモノが噴出しまくったことによる空洞化死だったという

(おわり)

355うまれたもの 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/08/08(火) 14:46:46 ID:knsUrE/s0
「た、助けてくれ、なぁ、頼むよ!」
「このケガを見ろよ、もう何もできねぇよ!」
「救急車を、早く・・・」
口々に言う虐待厨を、女は文字通りゴミを見る目で睥睨した
そして、カバンから取り出したペットボトルのフタを開けると
そのまま動けないゴミどもに放る
「な、なんだよこれ、水じゃねぇな・・・?」
女は返答代わりにマッチを擦って火をつけ、放った
「ぎゃあああああああああああ!!!」
気化していたガソリンに引火し、虐待厨たちは火に包まれる
そいつらが全員絶命するのを見計らって、
女は消火器を使い火を消した
そして死体をゴミ袋に入れると乗ってきたワゴン車の後部に放り込み
自分も乗り込んでその場から去った

「また、か・・・!」
虐待厨の本部アジトは、支部がまた潰されたニュースで戦々恐々としていた
事件はすでに3年以上継続していた
警察の動きも鈍く、犯人はまだ捕まっていない
虐待厨に恨みがある者の仕業だと思われていたが
駆除組織をマークしても全くその犯行の動きがなく
ただただスパイとして潜入した虐待厨が殺されて消されるのを繰り返すだけだった
「あのアイゴどもじゃ無いとしたら、誰なんだ?」
虐待厨に恨みを持って報復に出る一般人は少なくない
しかし、犯行のどれもが素人のものではなかった
5分以内にアジトの規模に関係なく皆殺しにして
死体を残さず回収し、撤収する鮮やかすぎる手口
防犯カメラに映ったのは、「被虐生物」認定されている妖精の特徴である髪飾りを頭に付けた
レザースーツで全身を包んだ長髪の女だけだった
「個人でやるのは無理がある、フェイクだろ」というのが
その唯一の証拠に対する虐待厨たちの見解だった
「あのアイゴどもが何の関係もないわけがない!
よし、来週には奴らの巣に突撃するぞ!!」
虐待厨の長はそう締めくくった
その「来週にやる」という発言は実は先週も発せられていた
さらに、その先週にも
言うだけで実行しない、後回しになるうち会議の締めの定型句となっていたソレは
この時ばかりは違った
・・・・・・・・・
「来週には奴らの巣に突撃するぞ!!」
虐待厨の本部に仕掛けられていた盗聴器は
その発言をしかと拾い上げて駆除業者の耳に入れていた
「よく教えてくださいました、感謝します」
度々繰り返される虐待厨のスパイ行為に頭を悩ませていた
虐待厨駆除業者『ギャクバスター』の社長は、前の女性に礼を述べた
これだけの証拠があれば、依頼抜きで駆除作業ができる
駆除業者といえど企業という体裁である以上、
依頼などの理由なしで手当たり次第に駆除ができないのが実情だった
なお、彼女はこの企業の社員ではない、外部協力者だ
それも、このニュースをつい先ほど持ってきたばかりの
完全なフリーランスで報酬も最低限しか受け取らないことで知られている
名前のない女
ただ、虐待厨を見かけ次第に抹殺することで知られてもいた
かといって、それが憎悪に基づくものかというとそうでもない
彼女は確かに虐待厨を惨殺するが、機械的なものだ
時には、あっさりと虐待厨を殺すこともある
『ギャクキラーガール』の名前で
いつしか彼女は有名になっていた
「では、お願いします」
今日の彼女は依頼人だった
それも、ギャクバスターにとって渡りに船の獲物を狩る依頼だ
たとえ一円であっても引き受けていた案件を
女はものすごい高額の報酬を持ち出して申し込んできた
(さすがに法外なので、定められた金額のみ支払ってもらうことになったが)
「はい、お任せください!」

数時間後、虐待厨の本部アジトはギャクバスターにより全滅することになった
女はそれを遠くから双眼鏡で見届けると、興味を失ったように場を後にした
『ヒギャクセイブツは生きてちゃいけねーんだよ!』
『ヒギャクセイブツと仲良しとか、いけねーお嬢ちゃんだ!』
『悪い子悪い子悪い子』
まだ子供だった頃に家族同然の『友』を失った事件
それが女の一生の生き方を決定した
『虐待厨は生きていちゃいけない』、それが女の唯一の信条だ
だから、虐待厨は見かけ次第殺している
そいつが何をしていたか、何の罪を犯したかなど関係ない
一切悪さをしていなくとも問題ない
虐待厨というだけで、殺さなければならないのだから
それが正しいことなのだと、
あの日に虐待厨は教えてくれたのだから
「キリがないわね、ホント」
寡黙な女はワゴンに乗り込みながら呟いた
あの日、虐待厨の行動で生まれた
虐待厨を殺すため活動を続ける名前のない怪物
その頭には、あの日に失った『友』の形見が今日も揺れている

(おわり)

356黄金期の終わり 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/10/10(火) 18:09:53 ID:u0ldGTNY0
ここは、とある国のとある町
「撃て撃て撃て!」
「奴らは人ではない!
ダニ未満の害悪だ!」
マシンガンで武装した一部隊が集団を襲撃していた
よく見れば一方は人間ではない
人間に似た生命体『虐待厨』だ

どうしてこうなったのか、話は過去に遡る
ほんの一か月前まで、虐待厨にも人権はあった
しかしそれはあくまで『一線を越えてはならない』というルールを
虐待厨側が守っていたため辛うじて保たれていた慈悲だ
人々も虐待厨を嫌ってはいたものの、殺したいほど憎いかというとそうではなく
手さえ出してこないなら無視していた
近寄ってきても追い払えば良かった

しかし均衡は突如崩れた
「お前ら、アイゴなんかに従って悔しくねぇのか!?」
ある一人の虐待厨がリーダーとして台頭したのだ
その虐待厨は、かつての虐待厨の歴史を賛美していた
飼いに手を出し駆除されたというバカすぎる失敗なのだが
そのリーダー虐厨はその話を神格化し犯人を崇めていた
「あいつらなんか怖くねぇ!
オレが証明してやるよ!!」
こうして、終わりは始まった
リーダー虐厨は散歩中の人間を襲い『飼い』を殺した
それも非力そうな女子供を狙って
さらに、保護施設や研究所といった施設にもテロ行為を働いた
勇気づけられた虐待厨らも我先にと続いた

人々は彼らを認めていたわけではない、無視していただけだ
人々は彼らが自分たちに無害だと認識していたから放置していただけであり
面倒くさいものを遠ざけていた、ただそれだけのことだ
しかし、牙を剥いてくるなら話は別である
盗みだけでなく殺し、それも女性や子供を狙った悪質な犯罪行為は
瞬時に人々の怒りに火をつけた
 人々は虐待厨を嫌ってはいたものの、殺したいほど憎いわけではなかった
虐待厨が人間に手を出すその時までは

かくて人々に残されていた慈悲は霧散した
虐待厨は駆除対象として認識・認定され、虐待厨が知らない間に包囲は完成していた
「ヒギャクセイブツなんかと遊ぶ悪い子は」
パン!
「こちらベータチーム、子供を襲っていたムシを一匹駆除しました!」
人々を襲いに行った仲間が帰ってこないことに虐待厨らが気づいた時には
後の祭りだった
生け捕りにした個体から凄惨な拷問で口を割らせて引き出した情報をもとに
やがて、一斉駆除は始まった
人間を襲っていたとはいえ自分より弱い者たちにしか手を上げないクズどもが
日々の訓練で鍛え抜いた屈強な軍人に勝てるはずもない
たちまちにして、虐待厨は総崩れになった
一方的な虐殺の中でリーダー虐厨は捕らえられた
しかしそれで作戦は終わりではない
この作戦は『根絶』こそが目的だ
敵をせん滅し、初めて成功に終わる

害悪テロリストに認定されて3時間で虐待厨の一番大きな群れは終わった
リーダー虐厨は裁判にかけられた

判決は無罪
裁判長曰く
「この法廷は人間を裁く場であり、害虫を裁く場ではない」
リーダー虐厨は安堵の表情で勝ち誇り、罵詈雑言を吐き散らしながら
保健所へ送られた
自分が自由の身になると最期まで信じていたそうだ
その『処理』は裁判を含め全国ネットで中継された
虐待厨は、ようやく自分たちの置かれた状況に気が付いた
だが、もうどうすることもできない
人々の怒りは憎悪は、大きく燃え上がり世界中に燃え広がっていたのだ

357黄金期の終わり 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/10/10(火) 18:12:14 ID:u0ldGTNY0
その後の一か月間で国中の虐待厨が同じように駆除された
軍人だけでなく一般市民による駆除も推奨され、
死体を持って保健所に行けば報償が貰える仕組みがいつしか出来上がった

冒頭に戻る、最後の群れが軍に追われているところだ
この群れのリーダー虐厨は『無間地獄の刑』を言い渡され、人々が好きな時に好きな苦痛を与えられるよう
虐厨の醜悪さ害悪さを記録した記念館の中で生かされ続けている
奪還計画はない、そんな余裕などない
本気になった人間たちを前に割り算や乗数の逆のような絶望的な減り方をした虐待厨は
いつしか自分が生き残ることに必死になっていった
「行けえ!」
「いやだぁ!!」
現に、この非常事態の最中にもかかわらず、虐待厨は別の虐待厨を捕まえて
部隊のほうに放り投げようとしていた
強い個体は弱い個体を放り投げる、自分だけでも助かるために
当たり前だが、それは単なる寿命の先延ばしに過ぎない
それもほんの数秒である
「待ってくれ、降伏する!」
両手を上げて立ち止まる虐待厨が現れだした
しかし返答は決まっている
鉛玉だ
ゴキブリをわざわざ捕虜にする駆除業者などいない
「クリ・・・?」
言いかけた兵士は気づいた、すぐ横に倒れている虐待厨が動いたことに
『オレは死んでるぞ、早くどっかに行』
パン!
「クリア!」
頭を撃ち砕き今度こそ兵士ははっきり宣言した
わずか3分で虐待厨の最後のグループは消された

それからさらに半年が経過した
その頃にはもう、虐待厨の中に過激な行為をしようと思う者はいない
テストに失格した許可証無き者は生存権すら無いからだ
人々どころか「ヒギャクセイブツ」も襲わない
居住を許された場所は厚く高い壁に囲まれ、その中には虐待厨しかいないからだ
壁の外に出たいと思う者は少なくない
しかし、口に出しただけでも警備ドローンに聞かれてしまえば
すぐに駆除ドローンが駆け付けてそいつを駆除した
虐待厨は壁の中に入ることは許されても出ることは許可証があっても決して許されない
人々は彼らが犯した罪を決して忘れないからだ
「オレたちの権利は、どうなっちまったんだ?」
そう問いかける虐待厨もいたが、その答えは「自分たちで勝手に手放した」としか言えない
ついこの前までは確かにあった自由も人権も、今の虐待厨の手には無い
いつしか当たり前の自由と人権があった時代は『黄金期』と呼ばれ
害虫未満に身を落とした虐待厨たちは、
ずっとその過去を振り返り渇望しながら生きていくことになる

自分たちが手放した、二度と帰らない「この世の天国」だった時期を

(終わり)

358未知との初対面 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/12/08(金) 16:37:55 ID:WwJCOI6Q0
虐待厨の虐史は閻魔大王の前にいた
彼は言うまでもなく死んでいた
しかし、罪状が異常だった
「どういうことだ?」
虐史は閻魔に問いかけた
「身に覚えがない、と言いたいのか?」
閻魔大王は虐史を見下ろしながら言った
その恐ろしい顔と巨体は恐怖の対象ではあるが
それが気にならない程度のことが虐史に起きていた
「被虐生物なら飽きるほど殺したことは認めるよ
けどな
『地球上の人類をすべて殺した』とかありえねーだろ!?」
そう、虐史にかけられている嫌疑というか罪状は
『人類抹殺』だった
閻魔大王は顔をしかめた
この男は嘘を言っていない
しかし罪は事実だ
「いいだろう、これを見るがいい」
そう言って閻魔大王は巨大な鏡を指さした
そこには生前の虐史が映っていた

「お、珍しいのいるじゃねーか!」
虐史はその日、虐待対象を物色して街を歩いていた
変わった小さい生物を見つけたのは
その日の夕方ごろだ
ピンク色の、フワフワした生き物
親子なのか、二匹が並んで散歩していた
普通なら愛でる対象であるはずのそれを
「ひゃっはー!!」
虐史は踏み潰した
「ピィ!」
それだけで死ななかったのか、悲鳴を上げて訴えるが
「おら!」
トドメとばかりにその生物を踏みにじった
「びーびー!」
「お前もだよ!」
抗議の声を上げた親らしい一回り大きな個体には蹴りを見舞った
「ガガガガガガガガガ!!」
生き物にはありえない電子的な発声をした後で
それは溶けた
「くたばったかwざまあw
さーて、まだそのへんにいるかな?w
アイゴどもに見つかる前に絶滅させてやるwww」
映像は虐史の後ろ姿を映すが、まだ終わらない
虐史が去っていった後、あの生物の死体を映し続けている
突然、その死体が起き上がって空中に浮かび、合体した
それは、真っ赤に点滅しながら空に浮かんでいった
一定高度まで浮かび上がると、停止して点滅を継続する
「よく見るんだな、自分がしでかした事の顛末を」
閻魔大王がそう言い終わった直後
すべてが変わった
人間だけじゃなく、動物も植物も
すべてが消えた
アリ一匹、画面内にいない

359未知との初対面 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2023/12/08(金) 16:38:51 ID:WwJCOI6Q0
「分かりやすくしてやる」
さらに場面は移り変わる
宇宙空間、そこに浮かぶ球体に画面が近づいていく
「第三惑星の浄化、完了しました」
「宇宙に出てくる前に始末できてよかった」
「もしも出てきていたら、我々も無事では済まなかったでしょうね」
見たこともない異形たちが、球体の中でそんな会話をしていた
それが、彼らの船なのだと虐史にも分かった
「これで、自分が何をしでかしたか理解できたか?」
声とともに映像が終わり鏡が元に戻る
「お前が攻撃した生物は、あの異星人たちのテスト用のロボットだったのだ」
知的生命体を察知したら、ドローンを送り込む
その科学力を調査し、性格を傾向を徹底的に調べる
自分たちに危険な行為をする奴らが出てくる前に、その芽を摘むために

「け、けど、こいつはオレじゃなくて
この宇宙人どもがやったんでしょ?」
その一言を発した次の瞬間
虐史の足元が消えた
「救いようのない罪人め
貴様は二度と現世には戻せぬ
無に帰るまで無間地獄に居るがよい!」
落下していく虐史の耳に無情な裁きが聞こえた

長い年月が経過した後
虐史は地面に叩きつけられた
周囲を見ると、見覚えのある顔がいくつもあった
そのどれもが苦痛に満ちた表情を浮かべ
断末魔に似た叫びをあげる
虐史が目の前にいても、気づく様子はない
「おい、何をしているんだ?
お前はこっち」
やがて虐史もその仲間に入った

途方もない年月、宇宙が何周かしたのではないかと疑うような長い長い時間
虐史たちは、ずっと責め苦を受け続けることになる

無に帰るその日まで

(おわり)

360推しの卵 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/01/08(月) 22:46:06 ID:rK3PGMA60
その妖精は町のアイドルだった
ある日、妖精は卵を産んだ
町の住人は喜び、その誕生を見守っていた
その日までは・・・
「みい!!」
朝早く、妖精の鋭く大きな声が響いた
住民たちは顔を見合わせ急いで妖精が住んでいる広場に駆け付けた
すると、その場で一人の虐待厨が妖精から卵を取り上げていた
「ラッキー、こいつは高く売れるぜ」
このバカはこう言っているが、
妖精の卵の取引や密猟はこの国では固く法律で禁じられている
発覚すれば実刑判決は免れない
むろん、虐待厨はその場で人権が停止されるので処分も許される
「おいやめろ」
しかし、住人たちはとっくに人権が停止したそいつに律儀に抗議した
「かわいそうでしょ!」
「返してあげて!」
その場で射殺することも許されている相手に対して
住人たちは、とっくに停止した権利がまだあるかのように人としての扱いを行った
「ち、分かったよ」
自分があり得ないほどの優遇処置を受けたというのに
虐待厨は不貞腐れた顔をして妖精に卵を差し出した
妖精は嬉しそうに両手を差し出す
「返すぜ!」
「ぎゃあ!!」
虐待厨は妖精めがけ卵を投げつけた
卵は割れなかったものの固い地面にぶつかってバウンドし、親である妖精に激突する
「何しやがるてめぇ!!」
住人の一人はついに激怒し虐待厨を殴り倒した
他の住人たちは妖精の周囲に集まり介抱を始めている
「なんだよ、返してやっただろ!」
虐待厨は抗議の声を上げたが、それは火に油を注ぐだけだ
「あんな返し方があるか!!」
「人でなし!!」
「なんだとアイゴども!!」
虐待厨と住人の口論が始まって数分後
殴り倒した住人がマウントポジションで倒れた虐待厨の顔面に拳を落とし続ける中で
卵にひびが入った
「卵が割れたらそいつを殺そうか?」
「当然だ、こいつに生きる権利はもうねぇ!」
その場で当然のように出た死刑宣告を、虐待厨は信じられないという顔で聞いた
本来ならとっくの昔に出ているものであり
今この場でまだ生きていること自体が住人たちの恩情であるなどとは
微塵も思っていない
「みぃ・・・」
弱々しい産声が聞こえた
「おい、生きてるぞお!!」
住人たちは歓喜した
虐待厨を放り出して全員が卵と妖精の周りに集まる
やがて、卵から小さい妖精の赤ん坊が出てきた
しかし・・・・・・・
「ギ、ジ・・・・・・」
卵から這い出た後、その命は失われた
叩きつけられた時すでに致命傷を負っていたのだ
それを見た親の妖精もまたショクで絶命した
人々は嘆き悲しんだ
そんな人々に虐待厨は
「ざまぁw」
嘲笑を投げつけた
さっさと逃げればいいのにその場に留まり続けたことが、運命を分けた
振り返った住民全員が鬼の顔をしていた
虐待厨はようやく事態を悟って逃げようとしたが、時すでに遅し
「捕まえたぞ!!」
住人に服の裾を捕まえられて虐待厨は引き戻された
「こいつめ!こいつめ!!」
今度こそ住人たちは虐待厨を取り囲んで袋叩きにし始めた
「この棒の先に生首刺して晒そうぜ!」
「いいアイデアだ!!」
一人が持ってきた廃材の棒を前に住人たちは同意した
「な、なに言ってんだよ
悪い冗談は・・・」
まだこの期に及んでも自分が殺されないなどと夢見ていた虐待厨は
直後に現実を見た
「いぎいいいいいいいい!!
ちぎれる!
首がちぎれる、やめろおおおおおおお!!」
力任せに胴体と頭を掴まれ、反対方向に引っ張られる
「千切れるじゃねぇ、千切るんだよ!!!」
「死ねや害虫!!」
数分後、大きな音を立てて虐待厨の首と胴体は永遠に分かれた
「あの子に手を出したバカの末路はこうだ!!」
宣言通り虐待厨の断末魔の苦悶の張り付いた生首は目立つ場所に晒された
「よくもあの子らを殺したな!!」
「いい気味だ!!」
「これで、浮かばれるといいな」
誰もがその虐待厨の生首に憎悪と怒りをぶつけた
そこへ・・・・・・
「ひでぇ」
「たかがヒギャクセイブツのクソベビ一匹に
そこまでムキにならなくても・・・」
通りすがった別の虐待厨たちがそうつぶやき、そそくさと場を後にした
それを、一部住人は聞き逃さなかった

3日後
さらに多くの生首がそこに晒された
その時には町に生きている虐待厨は一匹もいなくなっていた

(おわり)

361地獄すごく変 1/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/03/28(木) 00:15:03 ID:y9hW/aws0
その日
「主文、被告を死刑に処す!」
虐厨の虐蔵へ、至極まっとうな判決が下った

「けっ、この国はクソだ!」
虐蔵は囚人護送車の中でつぶやいた
自分はただ『ヒギャクセイブツ』に本来の扱いを、
それを可愛がる間違った子供に「正しい教育」をしただけなのに
こんなことは間違っている
虐蔵は本気でそう思っていた

「こいつか、今日来る予定の児童殺傷犯とかいうのは?」
虐蔵は目を丸くして相手を見た
男の服装から看守だろうというのは分かる
だが、首から上は人ではない
鬼だ、しかしよく見るとそれはお面だ
今はハロウィンの時期じゃないし節分はとっくに過ぎている
何かイベントがあったかと、虐蔵は頭をひねって考えた
「確かに引き取りました、あとは任せてください」
「ええ、お願いします」
格好とは裏腹に、ものすごく丁寧かつ礼儀正しく
看守は警察から虐蔵を引き取った

「来い」
ただそう言われて虐蔵は看守の後を歩く
逃走防止の二重のドア、さらに向こうの頑丈な防音のドアをくぐる
その先には長い廊下が続いていた
「ぎゃああああ!」
虐蔵は逃走防止の手錠だけでなく、首には鉄の首輪がされ
「ひいいいいいい!」
それにつながれた鎖は看守の手の中だ
「ゆるじでえ、ぐあああああ!」
だがそんな事はどうでもいい
ある程度の広さの廊下を二人は歩いていた
その廊下は、左右の部屋から響く悲鳴で満たされていた
部屋と廊下の間は強化ガラスで仕切られているため、中は見えた
巨大な包丁で切り刻まれる者
体に描かれた線に沿って刃物を入れられる者
刃物が刺さった山に鞭で尻を叩かれ登らされる者
煮えたぎった赤い湯のプールに落とされ棒で叩かれ続ける者
思い描いていた刑務所とはまるで別の世界が、そこにあった
「お、おい、ここはどこだ?」
私語を慎めと怒鳴られることも覚悟していたが聞かずにいられない
予想外にも、看守は虐蔵の問いかけに怒らず答えてくれた
「どこって・・・見りゃわかるだろ
地獄だよ」
確かに見れば分かる
だが、虐蔵はそんな事を聞きたいわけじゃない
「ここは、刑務所じゃないのか?」
「だから、刑務所で地獄だよ」
看守は一呼吸おいてから続けた
「オレたちの仕事はお前を殺すことじゃない
痛めつけ苦しませることだ」
虐蔵は、わずかな法知識を手繰り寄せ反論を試みた
「死刑判決は、どうなるんだ?」
「ああ、どうせここから生きて出ることはできねーから
実質死刑で合ってるぞ」
「拷問は法律で禁止されてるはずだ!」
「てめぇ、まさかまだ自分が人間だと思ってんのかい?」
看守は心底呆れたことを隠さずに言った
「お前の人権は、とっくに無くなってるんだよ
いや、『自分で捨てた』が正しいか?」
問答をしている間にも、歩みは進められる
恐ろしいのは、奥に行けば行くほど責め苦の内容が
よりエスカレートしている事だった

362地獄すごく変 2/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/03/28(木) 00:15:53 ID:y9hW/aws0
大きな串に刺され生きたまま火に炙られている者
裸で氷の世界に放り込まれ、看守が談笑している温かい室内を見せられる者
温かい食事を仲間と談笑しながら頬張る看守たちを
強化ガラス越しに見せられる、ガリガリに痩せこけている者
火炎放射器を持った鬼看守に炎で炙られ追い立てられる者
「地獄か、ここは・・・」
虐蔵は絶句して思わず呟いた
「言っただろうが、地獄だと」
同行している看守は呆れ気味に答えた
「あの、オレ、どこに行くことになるんですか?」
虐蔵の願いは、「できるだけ軽い部屋に入れられること」に変わっていた
もしも仏教に詳しい知識があったら、それは叶わぬ願いだと悟れたはずである
各部屋のガラスの前のプレートには、対応する仏教の地獄の名前が書かれていた
それは刑務所の入り口から奥に行くにつれ、重い地獄の名前になっていた
「安心しろ、もう着いたぞ」
そう看守が言った時には、彼らは廊下の奥の端に着いていた
「失礼します」
看守はノックをしてからドアを開ける
その向こうには白衣の人物が数人いた
「お疲れ様です、いつもありがとうございます」
「いえいえ、仕事ですから・・・」
そんな会話を聞きながら虐蔵は身震いしていた
どこの部屋に入れられるのか、まだ答えを聞いていない
「すいません、オレの部屋は・・・」
「ここだよ」
看守は答えた
虐蔵は胸を撫で下ろした
少なくとも先ほど見てきた責め苦は受けないで済みそうだ
そう思っているが、しかし
『無間地獄』というプレートがその部屋のドアにあるのを
虐蔵は見落としていた
「ではまず、耐久テストから始めよう」
「え」
看守の代わりに屈強な男が進み出て虐蔵の腕をつかんだ
「来いよ、ここに来たってことは相応の罪を犯したんだろ?
だからオレたちは容赦しねぇ
てめぇが奪った命に詫びろ、できる限り長く生きて償え!!」

363地獄すごく変 3/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/03/28(木) 00:17:36 ID:y9hW/aws0
『無間地獄』または『阿鼻叫喚地獄』
地獄の最下層に位置する、最も重い罪を犯した罪人が落ちる場所
虐蔵が来たのは、まさにそこだった
ただし悲鳴は無い、いや、出せない
「実験動物に声はいらないな」「うるさいだけだしね」
真っ先に声帯を切除されたから
そこから先は、見てきたことがましと思える地獄だった
切り刻まれては治され、毒を投与されては解毒剤を打たれ
臓器を取り出されては別の臓器を移植され・・・
おおよそ人道に反する、あらゆる実験・研究がそこで行われていた
しかし虐蔵は虐待厨だ、それも死刑囚の
よって人権はすでに停止している、だから問題ない
「ったく、変なクスリばらまきやがって馬鹿どもが・・・」
「作った奴らの人権は、すでに停止したそうだ
じきにここに来る日も近いだろう」
「そっかそっか、じゃあアイツラで実験できるかもな」
虐待厨が『ヒギャクセイブツの駆除』を目的に定期的に薬剤を散布し
生態系に深刻な打撃を与えたり、人々やそのパートナーに害をなす事態が続出
深刻化していた
ここができたのも、そういう裏の事情があったためだ
そして職員のほとんどは、虐待厨による被害者である
パートナーを殺される、肉親に手を出されるなどされた者も少なくない
だからこそ、研究者や職員は虐待厨を人として見ることはない
人語を話すだけ、人に似ているだけの危険な動物というのが共通認識だ

虐蔵は10年以上も実験や研究に身を捧げた後、
死ぬことすらできない状態で『ストック』に固定された
ただ生かされるだけ、動くことすらできない毎日
唯一彼がここから出ることができる可能性は、
停電による生命維持機器の停止だったが
あらゆる可能性を想定し自家発電システムまで完備したこの施設で
それはあり得ない
「殺してくれ、おれを、ころしてくれ・・・」
前を通る職員に声を出せないまま、虐蔵は今も訴え続けている

(おわり)

364虐の勝利者 1/2  首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/05/22(水) 20:54:06 ID:gSSYnZ6Q0
虐成は虐待厨だ
しかし、他の個体よりも頭が良かった
拾ったノートPCで違法にネットをつなぎ動画を見たことで
彼の人生は変わった
「こんにちは、虐成神で〜す!」
彼は今や虐待動画の投稿者として名を馳せていた
実装石・ゆっくりetcと、対象は多岐に渡った
たまに外に出て『狩り』の生中継をすることもあった
当たり前だが、その目立ちたがり精神は彼の寿命を縮めた
映像からおおよその場所は特定され
『狩り』の最中に彼は捕えられ連れていかれた
これは、史上稀にみる『勝利者の虐待厨』の末路の物語である

「貴様のせいで、多くの罪なき命が失われた」
「希少種の中には、地域絶滅が確認されたものもいる」
「迷子の妖精や”飼い”たちまで手にかけていたな?」
「手にかけた命や、その遺族に対して申し訳ないと思わないのか?」
連行された先で早速、虐成は取り調べを受けた
虐成はしかし、胸を張って答えた
「ば〜っかじゃねーのwwwwwww
アイゴがいくら苦しもうと知ったことかwwwww
むしろゴミの駆除に貢献してやったんだ
ありがたく思ってほしいわwwwwwww」
いつもなら、ここでキレた虐厨ハンターが死ぬまで続く拷問を開始するが
今回は違った
それは、虐成がしでかした犯罪の種類が大きく関与していた
「貴様のせいで、泣いている遺族は少なくない
貴様のせいで、生き甲斐を失い自ら命を絶った人もいる」
「新しいペット買えよwwwww
そいつの惰弱はオレのせいじゃびょ!!」
とうとう我慢の限界に達した一人の拳が虐成の左頬を抉った
「よせ!!」
しかし、手を出した男を仲間と上司らしい男が制止する
「・・・・・?」
男は渋々、手を引っ込めた
虐成は訝しんだ
虐厨ハンターは、そんな甘い連中ではないはずだ
虐成ですら、こいつらを返り討ちにしない限り
生きて出ることはできないと覚悟してきている
(もちろん返り討ちにする覚悟のほうだ、殺される覚悟などしていない)
「アカウントの情報をよこせ
お前が広めた情報はすべて消す必要がある」
そろそろ部下たちも限界だろうと踏んだ上司らしい男は
そう切り出した
虐成がすぐに殺されない理由は、これだった
アップロードされたサイト運営に連絡しても、すぐに対処というわけにはいかない
当人のアカウントを利用して削除するのが一番早い方法なのだ
「これは、司法取引だ
素直に応じるなら減刑してやってもいい」
虐成の拡散した動画の影響はすさまじかった
それまで禁忌とされていた『飼いへの手出し』すら、今では平気で行われている
どころか、『ヒギャクセイブツ』に関与した人間への手出しまで起きており
死傷者がすでに出るなど、事態は深刻化していた
(もちろん、犯人虐待厨は捕獲後に嬲り殺しが作法とされている)
しかし、虐成は自分が有利だと知るや否や、こう切り出した
「へ、へへ、動画はもう拡散しまくって消せないもんね
オレの勝ち〜!」
虐成は自分のアカウントだけでなく、あちこちの無料サイトにまで
動画をアップロードしていたのだ
「つまり、生かす価値はもうないってことか」
絶対零度
声を上げた男の言葉の温度はまさにそれだった
「てめぇが選んだ道だ、楽に死ねると思うなよ?」
「あーあ、せっかく生きて出られるかもしれなかったってのにな」
虐成は自分の発言が何を招いたかを、理解した
すがるように男たちの上司を見たが
上司は首を横に振った
「好きにしろ、ただし殺すなよ」

365虐の勝利者 2/2  首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/05/22(水) 20:57:46 ID:gSSYnZ6Q0
虐成はあらゆる拷問を加えられ、ボロボロになった
虐成が拷問されている間もサイト運営会社への連絡や
虐成のパソコンを解析しての履歴の確認といった作業は進められた
しかし・・・・・
「分かった、お前の勝ちだ
オレたちはお前を殺すことを諦める」
一度拡散された情報は消すことは困難だった
「アイゴざまあああああああああああああwwwwwwww」
ボロクズ虐成は高らかに勝ち誇り、部屋中に虐成の笑い声が響いた
「その元気があるなら、まだ延命処置は可能だな」
部下たちに班長は冷静に告げた
「すべての動画を消し終わるまで、こいつを生かす」
「そういうことですね、すぐ用意します」
部下たちは皆、笑みを浮かべた
「は・・・?」
虐成は虐待厨だ
しかし、他の個体よりも頭が良かった
だから、言葉の意味を察するアタマはあった
「長生きしてくれよ、天才サマ?」
班長は満面の笑みで虐成に言った

あれからどれだけの月日が経過しただろう?
一年か、三年か・・・
それとも十年か?
虐成は一つの部屋の頑丈なベッドに縛り付けられていた
股間は排泄物を処理する装置につながれ
口からは訳の分からない、しかし栄養はあるドロリとした液体を管から流し込まれる
誤嚥を防ぐために管は直接食道に縫い付けられていた
両手足には点滴と輸血の管が刺されており、
髪の毛を含む体毛はすべて剃り落とされ永久脱毛処理済みだ
自殺を防ぐために舌は切除され歯もすべて抜かれ
さらに人工呼吸器まで取り付けられていた
「ぶぐおおおおおおお!!」
そして、時折激痛が虐成に走る
その原因は、体のあちこちに刺された針と
それにつながった管だ
管はそれそれが対応するボタンに伸びていて、
ボタンを押せば電流が流れ好きな部位に激痛を与えられるという仕組みである
技術革新が起きるたびに各装置は最新のものにされた
長い年月が経ち、拷問班も顔ぶれが次々と変わった
しかし虐成は変わらず縛られたまま痛めつけられ続けていた
「班長、例の動画が見つかりました」
「分かった、また十年ほど延命中止を延期するとしよう」
虐成自身が言ったとおりである
一度ネットに出たものはすぐには消えない
だから完全に消すのは不可能だ
そういうわけで、虐成はずっと生かされ続けている
「殺してくれ」と懇願することも舌を失った今はできない
自ら死ぬこともできない、そもそもここの者たちは許さない
唯一の望みだった「寿命」も、虐待厨の寿命を延ばす薬のせいで断たれた
皮肉にも、その薬の開発者は長生き願望を持つ虐待厨だった

いつしか、虐成は施設に常備されている名物となった
「こいつ、ずっと置きっぱなしですけど、なんすか?」
「さぁな、オレが新人の時からずっと置いてあるぜ」
虐成は、あらゆる実験が終わった後は、職員のストレス発散のおもちゃにされ
そしていつしか飽きられた
長い時間が経ち、いつしか彼が起こした事件は過去のものになった
彼のことを知る職員も、いなくなった
やがて・・・
「先輩、例の動画拡散事件が解決したらしいっすよ」
ついに虐成の待ち望む時は来た
部下へ後輩へ受け継がれてきた草の根活動が実を結び
虐成が拡散した動画が奇跡的にすべて削除完了したのだ
これで、楽になれる
虐成はそう思った
「いやぁ、本当に長かったわね」
しかし、職員たちは談笑しながら虐成からフェードアウトしていった
そう、もはや虐成がどうしてそこに居るのかも忘れられていたのだ
よって、動画の完全削除が為されたとしても
彼をこの世から解放する職員は、いない
ずっとそこにあるのが当たり前になっていたため
『目障りだけれど、管理しておかないといけないもの』という
惰性もすでに出来上がっていた
ここの職員は虐待厨に深い恨みなり嫌悪なりがある者ばかりだが、
かといって私情で施設の備品を壊すほどのバカはいない
ましてそれが長年施設に置かれている記念碑のような備品となれば、なおさらである
時代は進み、虐成のような境遇の虐待厨も増えていった
技術も進歩し、虐成らの世話はAIが全自動で行うようになった
そこにある理由も忘れ去られ、虐成は施設に生かされ続けた
彼らが楽になる時は
人類が滅びAIがすべて停止した時くらいだろう

(おわり)

366害獣指定の理由 1/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/07/10(水) 19:25:48 ID:9.SGGXac0
「なんだよ、これは!?」
ここは、虐待厨の虐助の家だ
飼いゆっくりの誘拐事件が起きたために捜査班が結成された
そして捜査の末に犯人を突き止め、明け方に踏み込んだのだが
ちょうど犯人の虐助はビデオの編集をしている最中だった
「やめてね、れいむのお姉さんをいじめないでね!」
「だったら、言うこと聞くんだな」
動画の中で虐助は、誘拐したゆっくりを虐待する前にそう言い放ち
逃げる気力すら失わせていた
「おいてめぇ、どういうこったこれは!?」
虐助は虐待されて瀕死のゆっくり達を見て憤った捜査班の面々に
その場で殴る蹴るの暴行を加えられて素手のボロボロだったが
構わず動画を確認した班長は胸倉を掴んで問い質した
「裏で流通させようと・・・」
「んなこた聞いてねぇよ!!
こいつはお前がやったんだな!!?」
男の剣幕に、虐助は首を縦に幾度も振った
「このビデオは押収する
あとてめぇも来い、二度と娑婆に出られると思うなよ?」
もちろん『飼い虐待』という重大犯罪を犯した虐助は生かしておく道理などない
裁判を待たず保健所に送られ殺処分されるだろう
しかし、問題は虐助の起こした行動にあった
そう、「人間への加害行為を示唆する発言」だ

押収されたビデオは、対虐委員会の面々に衝撃を与えるに十分すぎた
虐待厨は今まで、『飼い』と連中が呼んでいる
人間の家族の一員だったりパートナーだったりする
『ヒギャクセイブツ』に手を出し、相応の地獄に送られることはあっても
はっきりと人間に対する加害行為を仄めかしたことはなかったからだ
理由は簡単、虐待厨が弱いからである
なんなら運動をろくにしていない一般人にすら負ける
しかし、このビデオの撮影者は明らかに
ゆっくりれいむのパートナーを殺害する意思がある
そう判断されるに足る言葉を口にしていた
ここまでなら「いつもの大言壮語」で済んでいたが、
ゆっくりれいむのパートナーが女児であることが判明したため
そうも言えなくなった
「あいつら、大人はともかく子供相手なら・・・」
委員の一人はそう口にしたが、最後まで言うことはできなかった
その危険性は考えなかったわけではない
そんなことをすれば、最大のヘイトを住人たちから買う羽目になり
自分はおろかグループ全体が刈り尽くされる
その程度の分別くらいはあるだろう、という思いが誰にもあった
しかし、その程度の考えすらない脳たりんなら?
やる可能性は、ある・・・・・・

367害獣指定の理由 2/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/07/10(水) 19:27:11 ID:9.SGGXac0
会議は紛糾した
どうやって人間社会に対し直接的な加害行為を行う意図を持つ
危険な虐待厨かそうでないか、調べる術などない
かといって、被害が出てからでは遅い
「面倒だ、すべて潰せ」
三日にわたる議論の最終的な結論は、そうなった
しかしこれは、至極まっとうな流れである
今の今まで、社会に害なすゴミ種族が
かろうじて生きることを許されていたのは、
その矛先が人間に向くことが無かったからだ
しかし、人間に矛先をむけるならば別である
ただの害獣だ

元々、虐待厨は狂った思考を勝手に他人に押し付けて
他人に嫌がらせすることしかしない種族だ
「かわいそう」などと考える者は委員会に一人もいなかった
これは、当たり前の話でもある
人を襲う獣は社会から駆逐しなければならない
人肉の味を覚えた獣は駆除しなければならない
人間社会が存続する上での常識だ
こうして成り立ってきたのが人間社会なのだ

虐太は妖精専門の虐待厨だった
近くに妖精のパートナーがいようがお構いなしで襲い掛かるほど
凶暴な害獣だった
それでも、人間は殺さないように気を付けてはいた
(もちろん、パートナーへの手出しの時点で処刑はすでに確定だが
虐太は知る由もない)
「おらぁ!」
その日も虐太は、妖精の近くにいた女児を蹴飛ばして気絶させると
妖精を乱暴に掴み、駆け出した
程なくして銃声が轟いた
「ひぎぁあああああ!?」
右足がちぎれて、虐太は転倒する
「良かった、気を失っているだけだ!」
数人の若者が倒れている少女を介護していた
誰かが呼んだのか、救急車の音が近づいてくる
もちろん、虐太を乗せるためではない
「へ・・・?」
猟銃を持った男は冷たい目で虐太を見下ろすと
頭へ密着させた状態で引き金を引いた
「よしよし、もう大丈夫だぞ」
そして、力を失った手から捕まっていた妖精を救出する
「ぎべ!」
茂みの中から引きずり出された見物者の虐待厨は
即座に地べたに引き倒されて頭を踏み潰された
「こんなとこにもいやがったか」
「近辺の害獣はすべて駆除しろ!
危険なグループは根絶やしだ!!」
この日、虐太という虐待厨はこの世から消されたが
彼が引き起こした事件は、この先永遠に残ることになる
『決定打』という形で

368害獣指定の理由 3/3 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/07/10(水) 19:27:47 ID:9.SGGXac0
虐助の動画と虐太の襲撃事件は世間を震撼させた
何より、虐太が逃げ足の速さで犯行を繰り返していた事実は衝撃を与えた
もちろん、事件を「取るに足らないこと」ともみ消していた
地域の責任者は責任を問われ、刑務所に収監された
そして・・・・・・
『特定不倶戴天害獣』という特別枠が害獣への取り決めに設置された
「虐待厨」はその枠に入れられた最初にして最後の生物になった
ほどなく、全国規模の虐待厨狩りが行われた

一年後、「特別区」を除いて虐待厨の居場所はなくなった
食料の供給だけが行われ、常に監視されるディストピアのような区画だ
しかし、外に出れば、即座に殺される
もはや「特別区」以外に虐待厨が生きられる場所などない
「どうして、こんなことになっちまったんだ?」
まずい配給を口にしながら、一人の虐待厨がつぶやいた
彼のつぶやきは、もっともであろうが
しかし、すべては虐待厨という種族全体が引き起こした数々の事件が原因だ
最初こそ甘い顔をしていた人々もいた
慈悲もあった
それらを失くしたのは虐待厨たち自身の数々の言動だ
「これは、お前らが望んで欲した罰だ、受け入れろ!」
同時刻、脱走を図り発見された虐待厨が同じ言葉を発したが
そう返されて射殺された

この世界の虐待厨に、未来などない

(おわり)

369理屈とルール 1/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/08/14(水) 23:56:33 ID:rpzSplPA0
ここは、とある公園
「はい、また一匹♪」
「g、ぐげぇ・・・・・・」
虐待厨が一人の男に次々と吊るされていた
「なんでこんな事するんだよ・・・」
仲間が次々と目の前で殺されていく様を見せつけられた虐待厨は
逃げればいいのに腰を抜かしたまま、相手に向かってそう言った
「オレはお前ら虐待厨には、どこまでも残酷になれる人間だからだよ」
言いながら話しかけてきた虐待厨の首にロープを巻き付ける
「やめて、やめてくれよ・・・死にたく・・・・・」
その一言で、それまで笑みを浮かべて鼻歌交じりだった相手は
鬼の形相を浮かべ虐待厨を睨みつけた
「散歩に出て公園で遊んでいただけの、オレの魔理沙たちを
遊びで殺しといて、そいつはねーだろ?」
その時だった
「たかが、ゆっくり三匹潰しただけで文句を言うアイゴはお前か?」
「副会長!」
虐待厨は公園に来た初老の虐待厨に喜色の声を上げた
「・・・・・・・・・」
「ぎゃぶぇ!!」
鬼は無言で虐待厨の首を力任せにねじり切った
「貴様、オレの大事な部下をよくも・・・・・ぎゃぶ!!」
返答は無言の拳だった
一撃で副会長は鼻血を吹いて転倒し、後頭部を地面に打ち付けた
「げ、が、やめ・・・ぎぇ・・・」
顔面を鷲掴みにすると、幾度も頭を地面へ叩きつける
やがて声がしなくなり、固体の音が液体になり、
副会長の頭はこの世から永遠に消失した

鬼は副会長の服を漁ると、中から名刺を一枚取り出した
そこには、副会長の所属する虐待厨のアジトの住所が書いてある
鬼は嗤った

370理屈とルール 2/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/08/14(水) 23:57:24 ID:rpzSplPA0
「やめろ、やめてくれえええええええ!!」
「やーだよ、ば〜か♪」
鬼による殺戮が虐待厨のアジトで吹き荒れた
次々と殺されていく虐待厨たち
鬼は決してまとめて殺そうとはしない
一匹また一匹と、丁寧に殺していった
「どうしてこんな事するんだよ!!」
「楽しいからに決まってんじゃん!」
その場にいる虐待厨の全員が「嘘だ」と思った
鬼は血の涙を流しながら、虐待厨を次々と手にかけていたから
「おまえーらが、オレのあの子らにしたことを
きっちり返しているだけなんだよな〜!!」
虐待厨達には、理解できなかった
彼らは自分たちの痛みには人十倍敏感だが
他人の痛みは旨いオカズとしか認識していないからだ
「地域ゆも飼いゆも、関係ない!
被虐生物は俺たちのオモチャだ!」
他の地域で聞かれたら即駆除モノの自殺じみたスローガンを
この組織は抱えていた
どうしてこれが許されたのかというと・・・・・・
「お、おい、オレらはこの地域に許されてるんだぞお!」
「そうだ、この地域の警察が黙っちゃいねーぞ!」
この勘違いだ
うっとうしいから無視されているだけなのに
彼らは勝手に自分たちの人間への優位性を頭の中で作り出し
それを信じて疑わなかった
さらに言えば、彼らに甘い顔をしていた地域のリーダーは
すでにその責任を問われ刑事罰が科せられていた
虐待厨たちの行動は度を越していたのだ
共犯者は裁かれねばならない、二度と娑婆に戻ることはないだろう
「そうか奇遇だな、オレも許されてるんだよ
基本的人権ってやつにな!」
鬼はあくまで人間だ、虐待厨ではない
被害を受けた場合、自分の力で実力行使を行い
現状を回復するのは当然の権利として法律に明記されていた
被害が出た時点で虐待厨は人権を失い、動物ですらないゴミと化すから
法律に矛盾はない
野生動物を勝手に駆除するのは違法だが、
鬼は『道に落ちているごみを拾ってゴミ箱に捨てている』だけだ
咎める人間など、いるはずもなかった

371理屈とルール 3/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/08/14(水) 23:58:29 ID:rpzSplPA0
殺戮の嵐は三十分間ほど吹き荒れた
鬼が去った後、清掃業者がアジトに来た
「た、助かった!」
息をひそめて殺戮を生き延びた虐待厨がいた
清掃業者が来たことを悟ると、彼は物陰から飛び出た
「助けてください、実は・・・」
事情を説明しようとしたその口に、容赦なく金属製のホースの先端が突っ込まれ
液体が放出される
「ごぎょおおおおおおおお!!」
肌をド紫に変色させて最後の虐待厨は、くたばった
「他にもまだ生きているやつがいる可能性があるな」
清掃業者の仕事は掃除だ
ゴキブリを助ける物好きなどいない
そして実際にその予想通り、アジトはあちこちに隠れ場があり
じっと息をひそめ、仲間を売ってでも生き延びようとする虐待厨が
相当数残されていた
「じゃあ、いつものやつをやるか」
業者たちは後片付けをせずに建物から出た
「・・・もう、いいか?」
「いや、完全にいなくなるまで待とうぜ」
息をひそめている虐待厨たちは、じっと待った
その間に、奇妙なにおいが充満し始める
遅れて、煙が広がっていった
「か、火事だぁ!!」
これは完全な勘違いだ、いくらなんでも住宅密集地で焼却処理するバカはいない
ただの殺虫剤である
しかし、虐待厨たちには効いた
「開けろ、出せえええええ!!」
業者によって窓もドアも密閉処理されていた
「やっぱり、隠れている奴いたな」
業者は外でスマホゲームをしつつ休憩していた
彼らにとって虐待厨たちは『しゃべる害虫』、駆除対象に過ぎない
ドアや壁を叩く音がしなくなり、さらに10分経過後
業者は作業を再開した
生き残りの虐待厨を相手するよりも死体相手のほうがリスクはぐっと減る
これは、マニュアルにも記されている普通の手順に過ぎなかった

372理屈とルール 4/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/08/15(木) 00:00:35 ID:2n2LaAxI0
「どうして害獣を飼ってるんですか?」
「恥ずかしくないんですか?」
同時刻、飼いゆっくりの散歩をしていただけの女性が虐待厨たちに囲まれていた
虐待厨たちは虐待厨のための機関紙を発行する組織の構成員だ
『報道の自由』は自分たちの身を守る盾になると信じて疑わない連中だった
確かにそれは盾としては機能していた
「やめてください、通してくださいよ!」
「逃げないでください」
「恥さらしのアイゴとして責任を取ってください」
この時までは
「おい、その人が困ってんだろ、通してやれ」
虐待厨たちの背後からの声に対する答えは決まっている
「これは報道の自由だ!」
「外野は引っ込んでろ!」
もちろん、鬼の答えも決まっていた
「なら、死ぬしかないねぇ!!」
3時間後、虐待厨たちの機関紙の発行企業は潰れた
物理的に

虐待厨たちは失念していた
本気でブチ切れた人間には法律も糞もないのだということを
それ以前に、人間に対する罪を虐待厨は犯してはならないということを
犯罪を行った虐待厨に対する裁きは死罪しかない

鬼は住民の救助と地域の治安維持に貢献したとして
後日、警察署長から感謝され表彰されたという

(おわり)

373刑罰の復古 1/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/09/10(火) 23:26:47 ID:F9FE19dI0
その町では、二種類の知的生命体が暮らしていた
一方は人間、もう一方は人に似た「虐待厨」という生物だ
両者は互いの領分を分け合って暮らしていた
その日までは・・・・・・・・・

「おい、そっちにいたか?」
「いや、形跡も見つからん」
人間たちが慌てた様子でいるのを、虐待厨の長・虐治は見かけた
「あ、虐治、ちょうどいいところに!」
大体の虐厨は相手にすらされないが、虐治は別だ
厄介者の中でもだいぶマシ、何より人間を理解してくれていることから
珍しく重宝される立場にいた
そのため、必然的に虐待厨らは彼をリーダーに祭り上げた
虐治は「いい子ちゃん」とみなされ煙たがられてはいたものの
少なくとも虐治が健在なら人間たちは信頼できる彼の顔を立てる形で
一斉駆除などの殲滅行為を控えてくれる
犯人引き渡しで終わらず全滅させられることがデフォである今
やらかしたバカを引き渡せば手打ちで終わるグループの現状は天国といえた
そんな虐治だからこそ、人間は同胞に接するように協力を持ち掛けてくることもあった
「妖精のクリーが行方不明なんだ!」
声をかけてきた住民は、開口一番 叫ぶように言った
その個体は虐治も知っている
衣食住と引き換えに町の掃除を行う契約をしている妖精だ
「分かりました、聞いてみます」
『虐待厨を総動員して捜索に協力する』とは言えない
虐治がリーダーになってだいぶマシになったとはいえ、
バカをしでかす奴はちょくちょく出る
中には現状がいかに幸福かを理解せず、虐治を廃して過激なリーダーを据えるべきという
自殺でしかないことを堂々と主張する派閥もいた
だから、同胞を捜索に動員することはできない
発見を隠して家に持ち帰り虐待などされた日には、積み上げられた信頼を一瞬で崩しかねない
今の状況が虐治がコツコツ積み上げてきた『信頼』の上にあることを
虐治の周囲の虐待厨だけは理解してくれていた

374刑罰の復古 2/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/09/10(火) 23:27:44 ID:F9FE19dI0
虐治はさっそく、同胞を拠点の会議室に集めた
「ああ、そいつならオレのとこで監禁してるぜ!」
その瞬間、空気は凍った
妖精の行方について問いかけた次の瞬間、コレである
発言したのは虐待厨の中でも過激派の虐吉だ
「な、な、な・・・・・・・・」
「なにさらしとんじゃ、ボケエエエエエエエ!!」
虐治の派閥は激怒して虐吉へ掴みかかった

「ったく、クソジジイ・・・・・・
妖精ごときで、あそこまで怒ることねーだろ」
しこたま殴る蹴るされた上に『早く解放しろ、さもなくば殺す』と脅された
虐吉としては面白くない
虐吉は虐治が、いかに苦労してきたかを
今の現状は薄い氷の上の館にすぎないことを、理解していない
ただ今の現状に不満を持ち、口うるさい連中を駆逐して
人間社会を制圧し、好き放題ヒギャクセイブツを虐待できる環境こそ望んでいた
「やっと、解放してくれるのですか?」
冷たくなった家族を抱きしめながら、見上げながら
虫かごの中の妖精は言った
「そうだよ」
ぶっきらぼうに虐吉は言った
無造作に妖精を掴んで虫かごから出し、木に縛る
「な、なにを・・・」
「見せしめだ」
『生きているならすぐ解放しろ』というリーダーの命令を、あっさりと虐吉は無視した
殴る蹴る叩くの暴虐をぶつける
「ちょっと、何してるのよ!?」
たまたま公園に来ていた住人の女性が、それを見咎める
「クリーじゃないの、あんたが捕まえていたのね!!」
「うるせぇ!!」
そして虐吉は、あっさりと『最後の一線』までも越えた
「きゃあああああああああ!!」

375刑罰の復古 3/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/09/10(火) 23:34:46 ID:F9FE19dI0
虐吉は、女性の悲鳴で駆け付けた自警団に捕まった
その口から犯行の一部始終が語られ
虐吉の証言通り、自宅から複数の別の妖精の死骸が見つかった

そのあとの騒ぎは、まさに台風だった
『この子には絶対に手を出すな』
人間側は幾度も定期的に厳しく言っていたのに、
虐吉はそれを意にも介さなかった
さらに、クリーを助けようとした女性にまで危害を加えたのだ
ただでさえ最悪な子の状況に
クリーの絶命と、虐待厨側の虐吉釈放の要請という追い討ちが続いた

拠点とは別にある集会所の中で
「もう、どうしようもねぇ」
虐治たち良識派は項垂れた
同胞がここまでバカだとは思わなかった
信頼を積み重ね続けて、やっと築いた安住の地を
バカどもは破壊しつつあった
奴らは人間と戦って勝てると本気で信じている
「奴らを全員、引き渡そう」
虐治は、同胞の多くを見捨てる決断を下した
奴らは人間社会に適合できない
今回の事態は人間社会への宣戦布告も同義だ
バカどもが勝手に始めた戦争に巻き込まれるのは御免だった
「お届け物です」
その時、集会所のドアがノックされた
「待て、開けないほうがいい」
虐治は出ようとした仲間を制止した
しかし数十秒後、ドアに何かが叩きつけられ
集会所は吹き飛んだ

虐吉たちは爆発音を拠点から聞いた
「あいつらも、これでいなくなったな」
ぬちゃり、下卑た笑みを誰もが浮かべた
爆弾を包装したものを送ったのは彼らだ
包みを開けたら起爆するように設計されている
が、実際は、なかなか受け取りに出ないことに
イラついた運搬役がドアに爆弾を叩きつけて大自爆をかましたのが真相だ
しかしながら、その生死については彼らにはどうでも良かった
自分が大事なクズの集まりだ
生きるためなら仲間を平気で盾にできる虐待厨のみが、ここに集まっていた
そして、捕まったはずの虐吉が どうしてここにいるかだが
彼は事前に仲間に言っておいたのだ
「この作戦は、俺がいなけりゃ成立しねぇ」
金庫の暗証番号は、こいつの頭の中だった
別の虐待厨は金庫の開け方を知っていたが、肝心の暗証番号を知らない
虐治が焼き払う前のメモに書いていた暗証番号を盗み見たことがある
虐吉のみが正しい暗証番号を知っていた
だから、危険を冒してでも檻を壊し虐吉を彼らは助け出したのだ
「よし、開いたぜ」
仲間たちから離れて金庫を開けていた虐待厨が声を出す
「よし、武器を集める資金もこれで・・・」
金庫を覗き込んだ全員が絶句した
そこには金などない、ただ一つの透明なケースがあるだけだった
その中には一つのボイスレコーダーがあるのみ
突如、それが音声を再生し始めた
「このメッセージを聞いとると言うことは、
ワシを殺したな貴様ら?」
それは虐治の声だった
「お前らはもう助からん
お前たちが助かる手段はあった
だがそれは、ワシの頭の中じゃ
ワシが死ねば永遠にそれは失われる」
録音データのはずのそれは、今の状況を的確に指摘した
「ワシが人間たちのところに定められた時刻までに戻らないなら、
総攻撃が開始される手はずとなっておる
せいぜい抗ってみせるがいい」
全員が青ざめたのは、言うまでもない
まだ人間社会と争う準備は整っていない
武器弾薬も、これから調達するつもりだった
金庫の金を使って
「ふざけるな、クソジジイ!」
虐吉は八つ当たり気味にケースごとボイスレコーダーを放り捨てる
「そもそも、今回の件は我らに非がある
面白半分にクリーを捕まえたのは誰じゃ?
クリーを苦しめるため仲間の妖精を捕獲したのは誰じゃ?
人間の女性に手を出したのは誰じゃ?」
「うっせえよ!!」
「お、おい、虐吉、どういうこったこれは?」
「あ、何を言って・・・」
「なんで、あの事件をこいつは言えるんだよ!?」
仲間の指摘で、虐吉は気づく
クリーの件は、ここ一週間以内の出来事だ
ボイスレコーダーは金庫にしまわれていた
その金庫を持ち主の虐治がいじったのは、一か月以上前のことだ
クリーの事件など、予知能力でもなければ当時は知る術はない
「残念ながら、我らは滅びるか
あるいは人間たちに管理を任せる以外に無い
選べ、滅びか種族の存続か
すぐそこまで、期限は来ておる」
ボイスレコーダーはそこで途切れた
次の瞬間、爆音が拠点に轟いた
「襲撃だー!!」
銃声と悲鳴が響く

376刑罰の復古 4/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/09/10(火) 23:35:46 ID:F9FE19dI0
虐吉はパニックになりつつも行動派は早かった
仮眠室からシーツを持ち出すと、虐待こん棒にそれを付けて
即席の白旗を作った
「おい、お前らやめろ、降伏するから!」
慌てて白旗を振る虐吉を見て、武装した住民たちは銃を下した
「本当だろうな?」
「あ、ああ、ウソじゃない」
これは半分ウソだ
虐吉は諦めていない
今 死ぬわけにいかないから方便を使ったのだ
「どうやって逃げ出したかは知らねーけど、ここまでだな」
「へ・・・?
虐治に言われてやったんじゃ・・・」
「なんのことだ?
オレらはお前を助けた害虫の駆除とお前の確保に来ただけだぞ?」
話がかみ合わない
「なんだこいつは?」
住人が落ちているケースに気づいた
「ボイスレコーダーだな」
ほかの住民は拠点のガサ入れにあたっていた
先ほどのボイスレコーダーが見つかったのだろう
だが、虐吉は特に気にしていない
あれは自分たち向けのメッセージだ
回収され再生されたところで、悪いことはないだろう
「なぁ、これ・・・」
住民が何か言いかけた時だった
「いいかお前ら、今戦っても勝ち目はない
なら、今だけ人間どもに頭を下げて降伏するんだ
こっそり目を盗んで武器を整えて仲間を集めたとき
奴らの社会を壊滅させる!
それまでの雌伏の時を過ごすために、今は生き延びるんだ!」
虐吉の音声が再生された
それは白旗を作っているときに仲間に呼びかけた音声だ
どういうわけか、ボイスレコーダーは
それをきっちり拾って人間たちに提供してくれた
住民たちの凍った視線が虐吉たちを射抜く
「こいつを虐厨どもの内部放送に乗っけるつもりだったわけだな?」
そこから後は、お決まりだった
逃げ出そうとした虐厨は後ろから殺された
隠れていた虐厨は駆除された
拠点は捜索し尽くされ、証拠や犠牲者の遺物が押収された
まだ生きているヒギャクセイブツも保護された
残ったのは虐吉を含め、わずかな虐厨だけだ
こうしてすべては片付いた・・・・・かに見えた
「なぁ、これをどうやって動かしたんだ?」
さすがに虐吉はカチンときた
「ボイスレコーダーの使い方くらい知ってるにきまってるだろ!」
「そうじゃねーよ」
その住人はボイスレコーダーの画面を見せた
何も映っていない、真っ黒だ
「電池が切れてたんだよ
さっきの音声を再生した時点で、すでにな」
そして続けた
「オレが聞きたいのは、この電池が切れたボイスレコーダーを
どうやって動かしていたかって話だ」
そんなもの、知るはずもない
そもそも、あの会話を拾われたことさえ予想外だ
「知らねーか、まぁいいや」
住民は仲間から携帯バッテリーを受け取るとボイスレコーダーにつなげた
充電完了したそのボイスレコーダーからは・・・
「いいかお前ら、今戦っても勝ち目はない・・・」
あの会話だけが再生された
その後、虐吉たちが虐治の遺言を確かに聞いたと口々に証言したことで、
さすがの住民たちもそれ以上ボイスレコーダーに触れるのをやめた

377刑罰の復古 5/5 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/09/10(火) 23:36:46 ID:F9FE19dI0
「お、おい、なんのマネだ?」
「見せしめだよ」
拠点制圧の翌日、虐吉らは運ばれてきた丸太に縛り付けられた
「おーえす、おーえす!」
屈強な男たちによって、丸太は柱として立てられた
「見せしめ・・・?」
「昔は公開処刑が普通に行われていたんだ
悪いことしたらこうなると庶民へ教育するためにな」
その住民は、虐吉と会話しつつ槍を研いでいた
「お前、クリーにこういうことしただろ?
なら、お前らも見せしめになんなけりゃ
クリーたちも虐治も浮かばれねぇ
お前が襲ったオレの妹も納得しねぇ」
虐吉は、目の前の住民が自分たちに ここまでした理由を知った
同時に、相手に命乞いをしても無意味なことを悟った
「えい!えい!えい!」
虐吉らの目の前で、槍が幾度も掛け声とともに交差する
「やめろ、やめてくれ!!」
虐吉の懇願に、虐吉の前の二人は槍を止めた
その間にも事は進む
虐吉以外の虐待厨が左から順番に、急所をうまく外しつつ槍を刺されていた
悲鳴と虐吉への呪詛が響き渡る
虐吉の前の二人は、口を開いた
「お前は、クリーがやめろと言って、やめたか?」
「お前は、あの娘さんの懇願を聞いたか?」
それに対する虐吉の返答は、こうだ
「はぁ?
くそ虫とクソ女の言うことを誰が聞くかよ!」
ドズ・・・!
「ぎゃあああああああああああ!!」
静観していた女性の兄は、虐吉の左足へ木片を突き刺した
「こいつは、お前らのリーダーだった男に刺さっていたやつだ
くれてやるよ」
さらに虐吉の右わき腹に執行人の槍が突き立てられる
虐吉の口から絶叫が響いた
絶叫が終わった頃合いで、今度は左わき腹に槍が刺さる
絶叫と刺突は交互に繰り返された
「なぁ、磔って、こうだったか?」
絶叫の中で歴史に詳しいらしい住民がつぶやいた
「いや、あっさり終わらしたらだめだ
やつらにはできる限り長く長く苦しんでもらわにゃならん!」
日が高いうちに開始された処刑は、日が暮れても続いた
「今日はここまで、続きは明日の朝だ!」
信じ難いことに、そのような宣言が出された
「おいおい、いつまで続けるんだよ?」
スマホゲームに熱中していた住民がリーダー格の住民へ聞いた
「こいつが死ぬまでだ
・・・ここまでしぶといとは、さすがに思わなんだけどな」
夜の間も虐吉たちは丸太へ縛り付けられたままだった
「てめーのせいだぞ虐吉、てめーが虐治を殺したりしなけりゃ・・・」
「いや、そもそもクリーにくだらない理由で手を出しやがって・・・」
「なんでクリーに手出ししてねぇオレらまで、こんな目に・・・」
「あれほど、アレには手を出すなって言われてただろうがよ」
「それだけじゃねぇ、人間にまで手出ししやがったよこいつ・・・」
虐吉は翌日まで仲間の呪詛を浴び続けた
翌日の朝早く、処刑は再開された
やがて、一人また一人と虐吉の仲間は動かなくなっていき
一週間後には虐吉一人だけが残った
昼は刑罰を、夜は呪詛を吐かれ、虐吉は憔悴しきっていた
「だから言ったんだ、クリーには手を出すなと」
「人間にまで手を出しおって、種族全体を滅ぼす気か?」
たった一人になっても、呪詛は続いた
「うるせえ、うるせえよ、虐治・・・」
虐吉はしまいには虚ろな目で、そんなことをつぶやき始めた
 もう限界だろうと判断され、最後は盛大に火が付けられた
虐吉は事前に水をかけらえたため、長く生きることになった

かつて、その町では二種類の知的生命体が暮らしていた
一方は人間、もう一方は人に似た「虐待厨」という生物だ
両者は互いの領分を分け合って暮らしていた

分別ある「虐待厨」のリーダーがいなくなった今
それはもうない
しかし、かつて存在した優秀なリーダーを称えその死を悼む墓は建てられ
今なお線香と花は絶えないでいる

(おわり)

378支えを失えば・・・ 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/10/06(日) 03:09:39 ID:6LmqKUBo0
妖精虐待
虐待厨が始めた新しい標的、それが妖精だった
彼らはまたしても分別をなくした
民家に押し入り、保護区域に侵入し、薬を散布し
ありとあらゆる手段で妖精を虐待・虐殺した
反対する人間たちを「アイゴ」と詰った

そんな中、虐待厨らは妖精を食用に回し
食糧難を解決すると発表した
彼らは施設を作り、金で政府を買収した

そして、大規模な妖精狩りが行われた
反対派の抵抗もあったが
いつしか、妖精はいなくなっていた
虐待厨たちは勝利宣言を行った
時の政府は虐待厨のリーダーを重役に任じた

彼らは気づかなかった
自ら破滅への道を歩んでいたことに

妖精がいなくなった、その年の冬から
いつまでも雪は降り続いた
暦では春の時期になっても、春は来なかった
畑に種を撒くことも、田植えの苗を作ることもできない寒さが
いつまでも続いた
やがて、春が終わり夏が来た
雪は止んだが、極端な暑さと干ばつが国を襲った
それは、秋の時期になっても続いた
やがて冬の時期になり、やっと暑さは終わった
しかし今度は大寒波が到来した
その年の作物の収穫は、言うまでもなく壊滅的だった
「オレらが確保した、食料施設があるじゃないか!」
虐待厨やそのシンパは、それを思い出した
しかし、彼らは楽観的過ぎた

その施設だけでは国全体を賄う力量がないことに、気づいていなかった

379支えを失えば・・・ 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/10/06(日) 03:10:33 ID:6LmqKUBo0
妖精が自然界からいなくなった年の二年後には
深刻な食糧難が発生した
その国では作物が一切育たなかった
屋内に畑を移し、エアコンで気温を調整し、
適切な水と肥料を与えた
しかしそれでも、作物が実りをもたらすことはなかった
そこへ、前年から続く過酷な環境が追い打ちをかけた

焦った虐待厨たちは施設の妖精の繁殖を高速化しようとした
もちろんそんなものが、うまくいくはずもなく・・・
施設内に残る妖精は、ゼロになった

政府は妖精の供出を国民へ命じた
民主主義国家だったその国において、それは
『最後の一押し』になった
そうと知らぬまま、政府は虐待厨たちに武器を持たせ
民家で共存している妖精の強制捕獲に乗り出した
結果、民衆の武装蜂起を招くことになった
彼らの知らない間に反対派は急激な勢いで数を増やし
妖精の保護活動も密かに続けられていたのだ
同時に、虐待厨たちが『最後の一線』を超えた場合の準備も進んでいた
あとは、虐待厨たちが引き金を引けば始まるだけだった

自分より弱い生物ばかり相手していた虐待厨たちは
本気になった人間に勝てるはずもなかった

怒りの矛先は政府にも向いた
敵に武器を持たせて国民を襲わせた罪により、
虐待厨に与した議員全員に『国家反逆罪』が適用された
全員が裁判で執行猶予なしの重罪が決定した

その混乱は三年続いたが、その間に自然環境は元に戻っていった
保護団体が保護していた妖精が、自然環境に帰されていったためだ
過酷だった環境は、嘘のように落ち着きを取り戻し
作物がまた、実るようになった

この結果は大々的に発表された
野生の妖精は最も重要な保護生物に指定され
手出しが禁止されるのに時間はかからなかった

もちろん、人間との共生を望む妖精もいた
彼らには、多くの権利が付与された上で望む人間と共に
社会で生きていくことになった

「おいてめぇ! よくもやってくれたな!!」
その過程において
保護団体を名乗って強盗や妖精誘拐を行っていた組織も摘発された
全員がその場で処理され、捕らえられた連中もまた取り調べ後に処分された

今、妖精を虐げる者はいない

(おわり)

380人間社会不適合 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2024/11/12(火) 21:15:45 ID:3umsWtqM0
「なにやっとんじゃてめぇ!!」
夜の住宅街に怒声が響いた
何事かと駆け付けた住人たちは戦慄する
腫れた頬を抑えて倒れこんでいる虐待厨と
拳を握りワナワナ震える人間の男
そして、男の後ろに倒れている人間と思われる子供
「てめぇ!ついにやりやがったな!!」
「この外道がぁ!!」
「生きてる価値ねぇよ、くそ!!」
日頃、虐待厨の迷惑行為に鬱憤を溜めていた住人たちは
男に続いて怒りを爆発させた
「大丈夫か、坊や?」
「救急車を呼びました」
もちろん、倒れている子供の保護も忘れない
「おい、この子だけか?
他にもいるんじゃねーだろうな?」
ボコボコで虫の息の虐待厨へ、
先ほど殴りつけた男は蹴飛ばして仰向けにしつつ聞いた
「え、あ、あいつの仲間、は、まだ中に・・・」
思わず素直に答えた虐待厨だったが、それは怒りに油を注いだ
「てめぇらぁ!!! 人身売買に手を出したのかぁ!!」
「子供を何人も誘拐するとか、死ぬしかないねぇ!!」
腕に覚えのある住民が虐待厨のアジトへ殴り込んだ
「なんだ、お前ら、虐一はどうした?」
何も知らないまま出迎えた虐待厨は
「邪魔だ、どけ!!」
怒れる住人の拳骨を顔面に受けて壁まで吹き飛んだ
そしてグシャリと潰れてシミと化す
 雪崩れ込んだ住民たちは、あちこちの目ぼしい場所を住人たちは探したが
檻の中にも家具の中にも隠し部屋にも、子供たちの姿はない
「おい、他にさらった子供たちはどこにやった、言え!」
 リーダーの虐待厨の骨を一本ずつ丁寧に折りながら、住民の一人が問い質した
「何の話だよ、オレたちは妖精しか捕まえてねーよ!!」

 後日、倒れていた少年は妖精の亜種だと病院で判明した
しかし人間型の妖精の存在はすでに認知されている
何よりも保護対象だ
彼は完治するまで病院で過ごし、一か月後に無事退院した
保護された彼の仲間も一緒に妖精の住処に帰った
 一方で・・・
「おい、人間には手を出してねぇって分かったんなら
自由にしてくれよ!!」
「OK、地獄で存分に自由行動しとけ!」
 妖精への手出しは法で禁じられている
特に人型の妖精への手出しはより厳しく取り締まられていた
と、いうのは
過去に虐待厨が人間の子供を誤って虐殺する事件が相次いだためである
その時は全国一斉駆除が行われ、虐待厨はその数を100未満まで減らした
 その後、子供への誤爆を防ぐ意味でも人間型の妖精への手出しは厳禁とする法ができた
虐待厨の猛反発は当然あったが、「たかがガキの一人二人巻き込んでもいいだろ」というセリフが
彼らに口から出た時に、鉛玉の洗礼で黙らせた
 そういうわけで、妖精狩りに関与した虐待厨たちは全員が有罪判決を受けた
虐待厨のための刑務所などない
「こんなことで、殺したりしねぇよな?」
「まさか、ちゃんと裁判で無罪になるだろ」
 もちろん、そんな都合のいい話などあるはずもない
彼らは能天気にも処理施設に入るまで自分らの無罪放免を信じていた

 妖精たちと共存する形で、今日も社会は回っている
人間社会不適合の虐待厨の数を大きく減らしながら

(おわり)

381虚偽の代償 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/02/19(水) 23:32:36 ID:JtBi8YQE0
「ひぃひぃひぃ・・・・・」
 虐厨の虐一は必死で走っていた
必死で逃げていた、背後から追いかけてくる死神から

 事は、数時間前に遡る
「いらっしゃいま・・・せ?」
虐一はペットショップを訪れた
もちろん愛でるためのペットを飼いに来たのではない
虐待するためだ
 日々の虐待で彼の体に染みついた血や、ゆっくりの餡子の臭い
それは風呂に入っても落ちることなく、いつしか彼の周囲から
「被虐生物」はいなくなっていた
虐一は考えた
 愛護の「飼い」を襲う事も考えたが、それを実行した仲間の中で生存しているものは皆無だった
警察に捕まり保健所送りにされたり、飼い主に報復されて惨殺されるなどしたためだ
虐厨の中でも臆病な部類に入る虐一に、そんなリスクを冒してまで事を実行する度胸はなかった
 考えた末に出た結論は、「自分で買って虐待する」だった
自分の所有物なら虐待しても問題ないだろうと、
明らかに問題のありまくりな結論に虐一は至った
そして彼はパートナーショップへやってきた
「こいつをくれ」
 目を付けたのは、金色のバッジの付いた部屋だ
この店はパートナーショップ、ペットショップではない
人間と交流したい妖精たちが様々な試験をクリアして在籍する場だ
「お客様、テストをさせていただきます」
 自分が虐待厨であることがバレないように、虐一は予習済みだった
人間と酷似した種族であるからこそ可能だ
虐待厨が仮にゴブリンと似た連中だったら、入店すら不可能だっただろう
逆に言うと、だからこそ彼らは犯行を重ねその罰も年々重くなっているのだ

 テストをクリアした虐一は、さっそく連れ帰った妖精を嬲った
どこからか連れてきた仲間の妖精を目の前で殺し、批判を引き出すと
それを動画サイトへアップロードした
店の評判も落とすためである
彼の目論見通り、店には批判も殺到した
炎上を見ながら虐一は高笑いし、ビールを飲み干す

 虐一の知らない間に、事は進んでいた
「こいつです」
 ここは、パートナーショップの事務室
屈強な男女とともに虐一を応対した店長はいた
 彼の眼は真っ赤に腫れ、その顔は応対時と同一とは思えない鬼の形相だった
「動画の分析、終了しました
どうやらヤツは、別に妖精を一体以上確保
あの子の前で惨殺した模様です」
 パートナーショップは長年、『アイゴ狩り』と戦っていた
虐待厨は自分たちの意思に反する存在の生存を極度に嫌い、許さないからだ
当初は警察が対応していたが、虐待厨の凶悪化はエスカレート
今は専門の駆除業者が誕生し、対応に当たることになっている
 虐待厨は自己顕示欲が強い、動画や写真を必ずSNSにアップする
それが自分の死亡証明書へのサインだと知らないまま
だから駆除業者にとって動画の分析など、朝飯前だ
「つまり、このクズは店を騙してあの子を連れて行っただけでなく
ハメやがったわけだな」
「許せねぇ・・・」
「炎上のコメントも、虐待厨のネットワークからのものが大半です」
「そいつらも片付けるぞ、一般人には警告メールでも送っておけ」
 炎上開始から、わずか半日
虐待厨の駆除作戦はこうして決定した

 炎上の翌日、仲間からの称賛を期待して虐一はコミュニティのアジトへ向かった
しかし、そこの人数は異様に少なかった
そして彼らは、虐一が入ってきたことに気づかないほど慌てていた
「おい、どうしたんだよ?」
 虐一は一人を捕まえて問いただす
「分からん、急に多くの仲間と連絡がつかなくなったんだ!」
 虐一たちはこの時、まだ何が起ころうとしているのか知らなかった
「地獄への旅行に出発する時間だぜぇ!!」
 虐一の到着から一時間後、武装した集団がアジトのドアを蹴破った
「なんだ、てめ・・・ひぃ!?」
 威嚇しようとした虐待厨は、彼らの胸の紋章を見て震えた
虐待厨駆除業者の企業のマークだ
それを身に着けた者が行うことは、決まっている
「ま、待てよ、オレたちは何もしていな・・・」
「パートナーショップを陥れた奴がいるのは分かっている!
そいつを差し出せ!
お友達のようになりたくないならな!」
 その言葉で、全員が『連絡が取れない同胞』の運命を悟った

382虚偽の代償 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/02/19(水) 23:33:16 ID:JtBi8YQE0
「や、やばい・・・」
 虐一は運よく奥のコンピュータ室でネットサーフィンをしていた
炎上に参加したアカウントのどれもがすでに削除されていた
 知り合いに片っ端から連絡をしても誰も出ない
そこにこの突入騒ぎだ
 虐一は裏口からこっそりと・・・
「ぎゃあああああ!!」
 裏口から逃げようとした別の虐待厨が足を撃たれて倒れたのを見てやめた
それを助け起こそうとした虐待厨も撃たれて倒れる
狙撃しているやつがいる
裏口からは出られない
 虐一は脳をフル回転させ、頭にアジトの地図を思い浮かべる
「そうだ、あそこからなら・・・」
 虐一は、そっと便所に向かった
音をたてないように通気口のフタを外して中に入る
隣の建物に面した外の狭い通路に出ると、下水道へのマンホールのフタを開けた
「ぎゃああああああああ!!」
「やめてくれ、何もしてねーだろ!?」
「お前らも炎上騒ぎに加担してただろうが!!
地獄の閻魔の前で弁明しろ!!」
 アジトの中で殺戮が吹き荒れるのを聞きながら、虐一は逃げた

「みんな、仇は必ず取ってやるぜ!」
 虐一は下水道から出ながら自分を逃がすために犠牲になった仲間に誓った
もちろんそんな事実はないし、なんなら虐一は仲間を盾に逃げた卑怯者だ
しかし彼はこの事件を正当化し美化するものへ、記憶を塗り替えていた
「動くな」
 もちろん、そんな身勝手を許すほどお天道様は優しくない
マンホールから出てきたところを、たまたま別作戦の報告に戻ってきた隊員に見られた
「お前、あのアジトにつながる下水道から出たな?
連中の仲間か?」
 虐一はとっさに、走った
「あ、こら待て!!」
 考えなしに走ったわけではない、広い通りには人だかりができていた
ちょうど帰宅時間に重なったためだ
 さすがの武闘派部隊も一般人を巻き添えになどできない
「ひぃひぃひぃ・・・・・」
 虐厨の虐一は必死で走っていた
必死で逃げていた、背後から追いかけてくる死神から
 そして作戦は功を奏した、彼は死神の目から完全に逃れることができた
「〜〜〜やったー!!」
 そう思っていた、頭上を小さなローター音が通過してもなお
「さて、まずは・・・」
 虐一は帰宅することにした
もうこの街にはいられない、戦闘部隊はあちこちに目を張っているだろう
 隣町のアジトにでも転がり込むつもりだ
「があああああああ!?」
 そんな計画を立てていたら、激痛が足に走り虐一は倒れた
「手こずらせやがって、この野郎!!」
 罵声とともに、飛行するドローンが虐一の目に映る
しかしすぐに屈強な掌が虐一の目をくり抜いた
「来い、たっぷりとお礼をしてやるぜ!!」
 虐一は悶絶し喚き散らすことしかできないまま、バンの後部へ放り込まれた
 
 その日、町の虐待厨のアジトは壊滅した
炎上に加担し店を批判する書き込みをした虐待厨は相当数になったため
その駆除の結果、町から虐待厨が消えることにもなった

「いい空き家じゃん、ラッキー!」
「ここを新たなプレイスにするぞ!」
 しかし虐待厨が絶滅したわけではない
「おう、お前ら、悪さするなよ?」
 今日もまた、どこかで駆除は行われている
「うっせー・・・ぎゃあああああ!!」
「やめ・・・ぎえええええええ!!」

(おわり)

383終わりなき活動 1/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/03/13(木) 19:18:41 ID:BwTL5dh60
グシャリ
 湿った音が室内に響いた
土下座し床に額をこすりつけている虐待厨
その後頭部が、ありえないほど凹んでいる
 男は相手が動かないのを見ると
「終わりました」
丁寧にドアを開けて外にいた人々に声をかけた
 保健所の職員と警察官がそこにいた
が、男の凶行に驚いた様子はない
「助かりました、ありがとうございます」
それどころか、男に礼まで述べていた
 と、いうのは・・・
虐待厨は妖精誘拐と殺害の常習犯だったからだ
すでに自分の人権が停止していると知らぬまま
そいつは犯行を繰り返していた
そして警察よりも先に妖精のパートナーの一人が突き止めたのだ
 現行犯逮捕は警察官ではない一般市民も可能である
しかし、それはあくまで『人権が存在する一般市民』同士の話だ
ゴキブリ未満にまで堕ちた虐待厨には適用されない
 畑を荒らす害虫を逮捕し起訴する警察や裁判所は存在しないのと同じである
だから男は現行犯処刑を行った
慈悲深いことに、事前に虐待厨へ悔恨の意思を問いかけてから
 しかし、その問いに対し虐待厨は身勝手な主張を繰り返した
あろうことか、手にかけた妖精を罵倒までしたのだ
男はバットで虐待厨を殴打した
死なない程度に何度も何度も
 なぜなら、これは『処刑』なのだから
相手が『罪を犯したために、これから殺される』事を自覚しなければ意味がない
 十回ほど殴ったあたりで虐待厨は命乞いを始めた
床に額をこすりつけ涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔をホコリで覆いながら
男は「分かった」と言うと、虐待厨が顔を上げる前に後頭部を踏み潰した

「投薬実験を開始します」
 ところ変わって、ここはある製薬会社の地下研究施設
『ヒギャクセイブツ』を狙いカードを偽造して保護ケージを襲った虐待厨が
薬を投与されていた
「あがばばばばばばばばばば」
「・・・死亡」
 虐待厨は数秒で泡を吹いて下半身から内臓を噴き出して死んだ
「やったぞ、成功だ!」
研究室は歓喜に包まれた
この一か月後、『虐待厨コロリ』という薬が発売されることになる

384終わりなき活動 2/2 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/03/13(木) 19:20:31 ID:BwTL5dh60
 また別の場所
「ゆ、誘拐した子たちは返します、だから命だけは・・・!」
「ゴキブリ未満の害虫が一丁前に人間様の言葉をしゃべるんじゃねぇ!!」
 行方不明になった妖精を探していた一団が悲鳴を聞きつけて民家に押し入っていた
そこにいたのは捜索対象の妖精ではなかったが、ゆっくりをはじめとした
数々の生命体がいた、あるいは死体となって転がっていた
 壁には金バッジや首輪、名札などが並んでいた
明らかに『飼い』ないし誰かのパートナーが犠牲になっていた
 軽犯罪でも虐待厨は人権をはく奪される
誘拐は重犯罪であり人間であっても極刑相当である
 この虐待厨は重犯罪をした、しかも複数回
その上、被害者は痛めつけられ、あるいは死んでいた
 つまり、この段階で最高刑以上の処罰執行は決定している
「こいつは『地獄』行きだな」
「ああ、それ以外あるめぇ!」
 聞いた虐待厨は一気に青くなった
『地獄』とは、文字通りの意味である
ただしあの世ではなく、この世に作られた施設の通称だ
 そこでは生かさず殺さず日夜を問わず数々の拷問が悪党に加えられる
死なせるための処刑場ではない、ただただ痛めつけ苦痛を与えることが目的の施設だ
 だから、虐待厨を生かすための設備も装備も充実している
『死』という解放をできる限り先延ばしにするために
「い、いやだああああああああ!
それだけは、それだけはやめてくれええええええええ!!
殺してくれ、ここで、たのむ・・・」
一団の一人が虐待厨を蹴飛ばして黙らせた
「さっき『命だけは助けろ』って言っただろうが!!
俺たちを馬鹿にしてるのかテメェ!!」
 わめく虐待厨の口に猿轡を噛ませてズタ袋に放り込むと、運搬役の面々は一団から離れた

 別の場所、そこに集うのは虐待厨のみ
なぜならここは、虐待厨が唯一寝泊まりしても咎められない場所
『虐厨団地』だからだ
 もちろん、無料かつ無条件で許されているわけではない
ルールは存在する
「ひぃ・・・」
 虐待厨の一人が悲鳴を上げた
彼らの目の前には、大きな画面が用意されていた
 そこに映るのは、虐待厨たちが犯した罪のデータ
そして、右上の枠にある数字のみ
 最初は六桁だったそれは、今や一桁にまで減っていて、5を下回っていた
「頼む、これ以上は何もしないでくれ・・・」
 虐待厨の一人が毛布をかぶったまま祈るように呟いた
それは神に対してだけではない
 無遠慮に暴れまわる同胞に対してだ
しかし無情にも、数字は減っていき・・・・・・
 ついに、ゼロになった
 ある虐待厨は外へ逃げ出そうとドアを開け、ある虐待厨は失禁しながらへたり込んだ
恐怖のあまり発狂する虐待厨もいた
 それらはまとめて、団地の爆破に巻き込まれた
虐待厨たちは木っ端みじんになった上に団地の構造物に埋まった
 また新たにその上に団地は作られ、別の虐待厨が入ることを許される
旧住人らは墓も作られることなくその存在を知られることもなく、土に還るだろう

「た、助かった・・・ぎゅべ!?」
 運良く外に逃げることに成功した虐待厨らもいたが、巡回してきた攻撃ドローンが始末した
ドローンに下された命令は『外に出ている虐待厨すべての排除』だ
 虐待厨の唯一の住居である『虐厨団地』が爆破された時点で、
この町にいる全ての虐待厨は、その生存権すら失ったのだ

 こうして、町から虐待厨はいなくなった
しかしそれは、一時的なものに過ぎない
 今日もどこかで、虐待厨の駆除活動は続いていく

(終わり)

385続いていく系譜 1/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/03/13(木) 19:22:30 ID:BwTL5dh60
 むかしむかし
とある掲示板に「虐待モララー帝国」が誕生しました
モララーというAAキャラクターのみで構成されたその国は
他のAAを虐げ領土を広げました
しかしそれは長くは続かず・・・
他のAAの内外からの蜂起により帝国は滅びました
 しかし、戦争が終わった時、どの世界も甚大な被害を受けていました
 AAたちは誓いました
もう二度と悲惨な戦争を繰り返さないと

それから、長い年月が経ち・・・

「オレは腹くくったぜ!!」
 ギコは机を叩きながら集まった仲間に告げた
今、もはやかつての「誓い」は機能していない
「第二次モララー帝国」と名乗る勢力によって、掲示板はどこも虐待であふれていた
 しかしその構成員はモララーではない
『虐待厨』という、人に似た別の種族がそのほとんどを占めていた
 皮肉なことに「荒らしに反応しないこと」「荒らしは通報するだけで放置」
「荒らしに構う奴も荒らし」「住み分けを大事に」といったルールが
虐厨たちの好き放題を助長していた
 すなわち「虐厨に文句を言えば荒らし」「虐厨・虐待派へ苦情を言えば荒らし」
「虐待派の居場所に足を運んで訴える者は荒らし」などなど・・・
 ルールを守る側に制約が課される反面
ルールを守らない側・荒らしを自認するクズは好きにできるという矛盾を産んだ

 この事態に、こんなことを思うものが現れ始めた
「ルールって何のためにあるんだ?」と
守っても守ってはくれない、守れば守るだけ不利になる、守らないほうが好き放題できる
もはや、ルールとは鎧ですらない枷にすぎないのではないか、と
「そんな幼稚な奴がネットにいるなよw」
そう言って疑問に思った人々を叩いて追い出す者がいた
 しかし、これらの出来事は、ルールの無意味さを証明することに他ならない
自分や守るべきものを守る事こそ、人々の行動原理だ
守ってくれると信じたからこそルールを守った
 しかしルールは守ってくれず守らない無法者の天下となっている
これでもなおルールを守る者はいない
ギコの周囲に集った者たちは皆、そんな人々だった
 AAだけではない、様々な種族の代表が一室に集っていた
彼らはひそかに戦力を集め、ついに決起を決意したのだ

「ギコ!偵察の部隊から連絡が・・・」
 恋人のしぃからの報告を受け、ギコは気合を入れ直す
「よし!!!」
 誰もが武器を手に立ち上がる
「時は来た!!!虐待は悪なり!!」
「虐待は悪なり!!」
「いくぜ兄弟!!暴虐なる帝国を永遠に終わらせるぞ!!!」
「お〜!!!」
「話を聞けこの馬鹿野郎!!」
 しぃの正拳がギコの顔面にめりこんだ
「な、なにひゅるのさ・・・」
 突然の恋人の折檻に、ギコは涙目になる
「モララー帝国が、ないって報告が来たのよ!!」
「「「ハァ?」」」
 これから戦うはずの敵が消えた
その報告は、彼らにとって寝耳に水だった

 しぃの受けた情報は最初こそ半信半疑だったが・・・
第二次モララー帝国のあった場所に行った誰もが、そこが廃墟と化しているのを見た
そこかしこに転がっている虐待厨の白骨が、帝国がすでにないことを語っていた
 しかも、どれもこれも五体満足なものは一つとしてない
 固まった血の跡の中で腰のあたりから二つになっていたり、
あるいは胴体だけが転がっていたり・・・
中には、綺麗に真ん中で二つに割れていて、どういう最期を遂げたのか全く分からない骨もあった
 ただ分かることは、そいつらが悲惨な最期を苦しみながら遂げたこと
第二次モララー帝国は、もう無いということだ

「・・・帰るか」「だな」「畑でも耕して暮らすモナ」
こうして・・・「第二次モララー帝国」と名乗る勢力は
数々の暴虐を犯しながら、突如として歴史の表舞台から姿を消した
レジスタンスも自動的に解散となった

386続いていく系譜 2/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/03/13(木) 19:23:22 ID:BwTL5dh60
 ギコが決起を決意する一年ほど前、別の武装した民衆が帝国へ襲い掛かっていた
帝国があちこちに喧嘩を吹っ掛けた結果、帝国の総動員数の何百倍・何千倍という数が
周囲から襲い掛かったのだ
 大切なものを壊され奪われた人々の恨みは凄まじかった
完全包囲されていたため、帝国から逃げ出せた虐待厨は皆無だった
 しかし・・・・・・
「歯ごたえ、なさすぎやしないか?」
 彼らもまた首を傾げた
敵はいる、数もそれなりに多い
 しかし、あまりにも抵抗が弱すぎるのだ
それによく見れば、負傷している者が少なくない
 施設や武装も、満足なものは一つとしてなかった
「他の誰かと先に喧嘩したんじゃないかな?」
 そう結論を付けて、掃除は再開された

「よせ」
「あん?なんだてめぇ?」
 ギコの蜂起未遂から半年後、
別の場所で暴虐を働く虐厨たちの背後に、耳のないモララーが現れた
「昔話をしよう・・・ある掲示板にモララーだけの国ができたんだ」
 ミミナシは、話をし始めた
「かつてあった”モララー帝国”の復活、あちこちで潜伏していた
虐待モララーたちはこぞって集結したよ
 昔と違い、自分らと趣旨を同じくする虐待厨という種族もいた
彼らは数が多かった
そして皮肉なことに、非戦基本のルールや不文律のおかげで
侵略はとてもうまくいった、そう、うまくいきすぎたんだ」
 そこでミミナシは言葉を切る
「気が付いたら、周囲にエモノはいなくなっていた
抵抗すらされないことで、容易く根絶やしにされていったんだ
でも、虐厨たちは虐待できるモノを欲しがった・・・
地獄はそこから始まったんだ」
 ミミナシは天井を見上げてつづけた
「虐待できるものが何もなくなった虐厨やモララーたちは、その矛先を
あろうことか同胞へ向けたのさ」
誰もが驚きのあまり息をのんだ
「最初こそ愛護派のモララーが標的だった
しかしそれもいなくなると、いよいよ狂気は加速した
耳の形、体の色、胴の太さ、身長・・・
次々と理由を作っては狩っていった
もう何が原因で被虐生物にされるか分かったもんじゃない
疑心暗鬼になった人々は仕事も手に付かず国は荒廃していった・・・
けど、決定打はここからだ」
「何があった?」
 一人の疑問にミミナシは答えた
「喧嘩を売っちゃったのさ、非戦のルールが関係ない連中と
非戦のルールに納得いかず他所にこもってた連中に」
 ミミナシは続ける
「さすがに同胞同士の殺し合いに辟易したグループが遠征を行った
エモノさえいれば同族同士の殺し合いは終わるだろうと考えたのさ
 それはうまくいったよ、まだ未発見だった里がいくつも焼かれた
けどそいつらは知らなかったんだ
 その遠征先が天国じゃなくて地獄に向かってることに・・・
そいつらは、”墓場”に手を出した」
 ”墓場”とは、文字通り知名度がなくなり隠居することになったAAたちの隠れ里だ
ただの姥捨て山ではない
 「グレートカメモナー」「ヴィ」「ポロロ」など単体で一つの世界を滅ぼすことが可能な
危険なAAの隔離生息区域でもある

387続いていく系譜 3/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/03/13(木) 19:24:16 ID:BwTL5dh60
「当然、あそこの住人に勝てるはずもない、生き残った連中は命からがら逃げかえった
けど、尾行されてることに気付かなかったんだ
向こうにしてみれば自分たちの領域を侵犯した敵で・・・
 彼らにとって敵対的な生命体など”餌”にすぎないからな
不運はそれだけで終わらない、別の遠征軍が同時期に”つー族の里”へ手を出したんだ」
 虐待厨たちは身震いした
 「つー」、それは体の赤いネコ型AA種だ
しぃに似るが、常にイっちゃってる目と「アヒャー」という鳴き声が特徴であり・・・
何よりも、単体戦闘力においてAAの中でトップクラスであることで有名だ
 彼女たちはその高い戦闘力と見た目とは裏腹に、親切かつ情に深く
敵対さえしなければ良き隣人として付き合ってくれる
 そう、敵対さえ、しなければ・・・だ
単体ですら一個師団を壊滅できる彼女らを一族単位で敵に回すなど
自殺という言葉ですら表現が追いつかない愚行である

 今や伝説となった第一次モララー帝国の戦争においても
リーダーギコの側近に、つー族の女性がいたことは周知の事実であり
彼女の活躍は外伝が何冊も作られ出版されるほど
研究が進むにつれてどんどん出てきている
「一飯の礼のため孤児院をモララー帝国の精鋭部隊から一人で守り抜いた」
「モララー帝国の生体兵器から幼い少女を守り、返り討ちにした」などなど
上げればキリがないが、どの話にも共通しているのは
「弱者を守るためにその身を盾に敵を狩るハンター」としての姿である
 こんな彼女たちだが、単独行動を好むため「徒党を組んで襲い掛かる」など滅多にない
そして徒党を組んでいたとしてもそれが表沙汰になることは少ない
 と、言うのは・・・
彼女らは基本、やはり単独で行動するからだ
あらかじめ行動指針や場所時間などを打ち合わせて決めて解散
後は個々人で動いて任務を達成する、というのが最も多く使われている方法だった
物陰に隠れ闇夜に紛れ、建物の屋根の上に天井裏に木々の上に潜み
相手の隙を突いて襲い掛かる
 だから表沙汰にならない
目撃者がいてもそれが単独なのか徒党を組んだ一体なのか判別などできはしない
哀れな標的は、襲われた事すら気付くことなく冥府へ送られることもある
表沙汰になることがあるとすれば、彼女らと飲み会でも開いて当人から聞き出すしかない

「あとは想像通りメチャメチャさ、怪獣や怪物に蹂躙された上に
指揮官や司令官、重役らは赤いAAに優先的に狙われて狩られて指揮系統も壊滅
 そうでなくても同胞同士の殺し合いで互いに疑心暗鬼だったんだ
そんな状態で全員に武器がいきわたってれば・・・」
 隣人同士が憎み合い、同族同士が互いの命を狙う地獄
国を離れようとした者は脱走者として撃たれ
食べ物を分けてもらおうと隣人を訪ねて撃たれた子供の報復に
親兄弟が隣人宅に押しかけて皆殺しにしたりと
完全に国民同士の殺し合いへと発展していった
 宗教も信条も関係ない、相互の「不信」が原因の殺し合いは
国民全体を巻き込んだバトルロイヤルと化した
 気が付いたときは帝国内は、かつての勢力も武力もなくなっていた
「すべては、思い上がりが招いた自業自得さ・・・」
 滅んで当然だった、とミミナシは自嘲気味に笑った
 虐待厨たちは顔を見合わせた後で、ミミナシを放置して別の場所に移動した
「オレらは、ああはなるまい」
「ああ、集落に帰ろうぜ」
 彼らはミミナシが後から来た つー族の戦士と会話を始めたことに最後まで気づかなかった
尾行されたことにすらも・・・・・・
「改心してくれれば、違う未来もあっただろうにね
このボクみたいにさ」
 ミミナシは無くなった耳のあった場所を撫でながらつぶやいた

388続いていく系譜 4/4 首おいてけ濠 ◆vBEOnE9fo2:2025/03/13(木) 19:27:18 ID:BwTL5dh60
「お姉ちゃん、見てみて!!」
 ここは、つー族の里
一人のつー族の少女の前でモララー族の少女がナイフを投げた
ナイフは全て立っていた練習用丸太に命中する
「アヒャ〜、すごいじゃねぇか!」
 大好きな「姉」に褒められて幼いモララー族の少女は照れる
彼女は見た目の通り、「姉」とは血はつながっていない
「姉」たちがモララー帝国へ「狩り」に言った際に保護した子供の一人だ
「大人に翻弄されるしかない子供たちにまで罪を負わすのは酷だ」
 モララー族であっても一枚岩ではない
帝国の方針に反発したり、帝国に従わなかったために
 また、気が付いたら帝国の暴走に巻き込まれ
同胞のはずのモララーに狩られる立場になった”異端者”のモララーたち
彼ら彼女らへの協力もしくは保護もまた、つー族は一族全体で行っていた
 最初は つー族を怖がっていたモララーたちも
自分たちを守るために戦うつー族を見て心を入れ替えた
 せめてもの恩返しにつー族の里近くに里を新たに作り
つー族へ技術や知識を無償配布していた
 今、彼らは畑を耕しながら平和に暮らしている
もちろん、帝国=モララーに恨みを持つ人々が来ることもあったが
隣人が他ならぬつー族であったため
「あの人たちが認めたんなら」と、みんなあっさり矛先を収めた

「・・・ろして、くれ」
「ああん?
”的”がしゃべるなよ」
 練習用丸太の中に固定されている虐待厨へ、つーはぼやいた
 虐待厨は全くほかの種族とは違った
種族単位で相手を裏切り時に騙し、平気で恩を仇で返す
 だから、今はゴキブリと同じ扱いを彼らは受けていた
「おーい、ちょっと集まってくれ
西のほうで、虐待厨の集落が見つかったんだ!」
「なんだって?」
 絶対に和解が不可能な、ただしゃべるだけの悪質な害虫
そんなものは駆除一択である

 人々の虐待厨へのその扱いが終わる時があるとすれば
それは虐待厨が根絶された後の話だろう

(おわり)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板