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【咲SS】貴方なりに精一杯私を愛して【レズ】

1 : 名無しさん :2015/10/29(木) 03:18:47
「妹尾さん、ルールは覚えた?」
部室で麻雀の本を読んでいると、津山さんが優しく声をかけてくる。
「う、うん……でもこれで良いんでしょうか……」
「どうしたの?」
「ルールを知らないで初心者のままの方が活躍出来るって……」
私が躊躇いがちに話すと、津山さんは笑みを浮かべて話す。
「誰かの為でなく、自分が楽しめるようにしたらいいと思うよ」
「どういうことです……?」
「活躍って言っても今年はかなり運が良かったんだと思う、
初出場で決勝までいって……来年は正直期待できないと思うから」
「部長がそんな弱腰でいいの?」
「う、うむ……ともかく麻雀をするなら、楽しく麻雀した方が良いと思う、
楽しく麻雀が出来るから全国を目指す訳だから」
「……」
「だから妹尾さんには楽しく麻雀をして欲しいかなって……」
楽しく麻雀……今のままでも楽しいけど、ちゃんとルールを覚えてした方がもっと楽しいのかな。
「妹尾さんが楽しいやり方で良いと思う」
「……うん、ありがとうございます部長」
「がんばって、私はちょっと先生に呼ばれてるから行ってくる」
津山さんが部室から出て行く、1人ぼっちの部室……寂しいような。


2 : 名無しさん :2015/10/29(木) 03:34:12
妹尾→ムッキーは津山さん呼びだったか


3 : 名無しさん :2015/10/29(木) 03:37:31
>>2
調べたけど分からなくて…モモの事でも桃子さんって呼んでるし
まぁムッキーなら津山さんが妥当かと思いまして
睦月さんの方が良かったかもしれませんでした(後悔)


4 : 名無しさん :2015/10/29(木) 03:59:43
楽しく麻雀……私の楽しい麻雀って、
みんなと楽しくする事が私の楽しい麻雀……かな。
「かおりん先輩どうしたっす?」
「ひゃ!」
桃子さんの声が背後からいきなり聞こえて、思わず私は声を上げてしまった。
「い、いたの……?」
「はい、さっき来たっす」
クスリと笑いながら桃子さんは椅子に座り話を続ける。
「なんだか寂しそうだったっすよ」
「そう見えた?」
「見えたっす」
確かに1人で部室にいるのは寂しかったけど、そんなに寂しそうだったのかな。
「もしかしてむっちゃん部長がいないからっす?」
「ち、違うよ……!」
図星だったせいか語尾を強くして言うけど、桃子さんは見透かしてるようで
ニコニコしながら私を見ている。
「今度3人でいるときは私はお邪魔虫ですから消えて…」
「ちょ、ちょっとまって!」
目の前にいるのに薄っすらと消えていく桃子さんを必死に止めると、
またじんわりと存在を感じる事が出来る。


5 : 名無しさん :2015/10/29(木) 04:00:07
「冗談っすよ、でも最近かおりん先輩とむっちゃん部長は最近いい感じっすよね」
「そう見えるかな……」
「噂になってるすよ」
「なんで1年生で噂に……」
「むっちゃん部長はカッコいいですから、結構人気なんすよ?」
言われてみれば津山さんって格好良い……近くにいるから思ってなかったけど
最初に合った時たしかに格好良いなぁなんて……
「……かおりん先輩?」
「わっ! そうなんだ……確かに津山さんって格好良いよね」
「この前も告白した人がいるとか……」
「ど、どうなったの……?」
「断られたそうっす」
「そっか……」
なぜか安心してしまう、もしかして……
「やっぱりかおりん先輩はむっちゃん部長が好きっすね」
「ちーがーうー!」
私は頬を赤らめながら必死に否定する、だけど嫌な気持ちにはならない。


6 : 名無しさん :2015/10/29(木) 04:11:19
家に帰りさっさとお風呂に入り、湯船に浸かりながら桃子さんの言った事を思い出す。
私って津山さんの事を好き……なのかな。
確かに優しくて、格好良くて、頼りになるけどたまに頼りなくなってそれが可愛くて……
そんなことを考えると自然に笑みを浮かべて、幸せな気持ちになる。
やっぱり私は津山さんの事が好きみたい。
身体も心も暖かくなっていく、このまま眠っちゃいそうなぐらいに心地よくて……
……い、いけない、このままだと本当に眠りそう。
私は慌てて湯船から上がった。


7 : 名無しさん :2015/10/29(木) 04:23:28
髪を乾かしながら携帯を見ると津山さんからメッセージが来ていた。
「自分の麻雀の楽しみ方分かった?」
私の麻雀の楽しみ方……みんなと楽しくすること。
「みんなと楽しく麻雀するのが私の麻雀だと思います」
返信が来ないか気にしながら髪を乾かす、丁寧に丹念に……
「私も同じ、みんなと楽しくするのが一番」
同じ考えってだけで嬉しさがこみ上げる、私は返事を直ぐに打つ。
「一緒ですね(笑)」
「うむ」
……ど、どうしよう……これで終わるのは寂しい……えっと……


8 : 名無しさん :2015/10/29(木) 04:23:41
「そういえば津山さんってモテるんですか?」
「そんな事ないよ」
「でも告白されたって聞いて」
「う、うむ……数回だけ……」
「数回も!?」
「う、うむ……」
「格好良いですからね」
「よく言われるけど……私は女の子だから可愛いって言われたいって思ってたり」
そうなんだ……でも私は可愛いと思うな。
「可愛いし格好良いと思います」
「ありがとう、妹尾さんに言われるとなんだか自信が持てるよ」
「なんで?」
「妹尾さんは可愛いから」
お風呂から上がってしばらくしたのに身体が火照ってしまう、
私が可愛い……津山さんに言われるとドキドキしてしまう。
「そ、そんな事ないよ!!」
私は寝るまで津山さんと会話していた……しつこくて悪いことしちゃったかな。


9 : 名無しさん :2015/10/29(木) 04:40:19
次の日、放課後になればすぐに部室に向かった。扉を開けて中に入るけど誰も……
「こんにちはっす」
「ひゃっ!」
真横に立っていた桃子さんに気付かずにいたせいで、また素っ頓狂な声を上げてしまった。
「また驚かせてしまったっす」
申し訳無さそうに桃子さんは眉尻を下げる、
「き、気にしないで私のせいだから」
「いいっすよ、気づかれてないのには慣れてるっすから」
「そう……?」
微笑みながら2人で椅子に座り雑談をする。
………そういえば桃子さんは加治木先輩とどうやって付き合い始めたんだろう。
「ね、ねえ、そういえば桃子さんって加治木さんとどうやって付き合い始めたの?」
尋ねてみると桃子さんはニッコリと笑いながら答えた、
「そうっすね! 私が先輩に好き好き好きって……そうしてたら付き合ってて」
「へぇー……」
参考にはならなそう……私にはそういう大胆な事ができなさそうだし。
「もしかして告白するっす!?」
「ちが……っ」
桃子さんは目を輝かせながら聞いてくる、告白なんてそんな……


10 : 名無しさん :2015/10/29(木) 04:46:07
「当たって砕けろっす!」
「……私が告白しても……」
「大丈夫っすよ、むっちゃん部長もかおりん先輩の事好きみたいですし」
「なんで分かるの?」
「だって3人でいるとき、いっつもかおりん先輩の事見てるんっすよ」
「……それって桃子さんの影が薄いだけじゃ……」
「……かもしれないっすけど、流石に見過ぎっすよ」
私のことを津山さんが……でも、でもそれはただ私が初心者だから
気にしてるだけ……いや考えすぎ……
「あっ2人とも先に来てたんだ」
「わっ……!」
津山さんが来てまた声を上げてしまう、笑われないよね……
「大丈夫……?」
……心配してくれる……やっぱり優しくて素敵。


11 : 名無しさん :2015/10/29(木) 04:57:55
「ね、ねえ津山さん!」
部活が終わって津山さんに声をかけてみる、
「どうしたの妹尾さん」
黒い髪を揺らしながら振り返る、その姿だけにドキリとしてしまう。
「え、えっと……昨日は遅くまでごめんなさい……」
私が頭を下げながら言うと、津山さんは少し慌てたようにして、
「い、いや……私も妹尾さんとの話は楽しいからいいよ」
「本当……?」
「う、うむ」
津山さんは照れながら答える、私は嬉しくて微笑んでしまう。
「一緒に帰ろうか」
「うん」
その日は2人で帰った、いつもはちょっと疲れを感じる道でも
今日は楽しくて幸福でドキドキして……短かった。
貴方と話すたびに私は好きな気持ちが溢れ出てくる。
……もう、私の気持ちは抑えられそうにない……
家に帰って玄関でぼそりと呟く。
告白……しよう。


12 : 名無しさん :2015/10/29(木) 05:05:02
学校に着くと早々に津山さんに話しかける。
「部活が終わった後に話がありますから……残ってもらえますかっ」
緊張で声がうわずってしまう、津山さんは快諾してくれたから良かったけど。
授業が耳に入らない、勉強してるときも、休み時間も、部活の時間も
ずっと津山さんの事を考えてしまう。
昨日は告白の練習をしたから……きっと大丈夫、大丈夫……
部活も終わり桃子さんが帰ると私と津山さん2人きりになる。
津山さんの隣に座って、彼女を見つめようとする。
だけど恥ずかしくて視線を逸らしてしまう。


13 : 名無しさん :2015/10/29(木) 05:24:04
ちらりと津山さんを見ると、頬が少し紅くなってるのが分かる。
津山さんも緊張してるのかな……もしかして告白されるって分かってる……?
「妹尾さん……何の話が」
「津山さんは……好きな人がいる?」
ぼそぼそと呟くように問いかけると、
「う、うむ……いるよ」
その言葉に期待と不安が膨らむ、もし私だったら、もし私じゃなかったら……
とうとう私は俯いてしまった……静かな時間が流れる。
短いけど、長く感じる時間……
「あ、あの!」
ハっとして顔をあげると津山さんは私の方を見つめていた。
真剣な眼差しで私を見つめてくれる、私は心を奪われ見つめ返してしまう。
「妹尾さんは……!……好きな人がいるの?」
うわずった声で津山さんは聞いてくる、もちろん……いる。
「うん……いるよ……」
勇気を出して、張り裂けそうなぐらいに拍動する心臓を抑えながら呟く。


14 : 名無しさん :2015/10/29(木) 05:26:59
「……すぐそばに」
曖昧だけど言っちゃった……お願い……私のことを……
「う……む、私も側に……」
「それって……」
「うむ…っ……む……妹尾さんの事が好きです……」
「本当に……?」
「う、うむ!」
……私から告白しようとしたのに……言われちゃった。
でも幸せ……フワフワしてて、涙が溢れ出てきそう。
「私も津山さんの事大好き……っ!」
思い切って私からも告白する、だけど先ほどよりかは緊張しない……
また静かな時間が訪れる、学校から帰る生徒の声、自転車のベルの音、
椅子が軋む音……そんな音だけしか鳴らない時間。
「津山さん……」
私は津山さんの肩に触れながら唇を寄せていく、
「せ、妹尾さん!」
……っ……いきなり過ぎた……かな……
「津山さん……じゃなくて睦月って……呼んで欲しいかな、あと敬語もなしで……」
耳まで真っ赤にしながら津山さんは私に言う。
「うん……それじゃあ私の事は佳織って呼んでね?」
赤く染まった頬をそっと撫でながら私は囁く、
「うむ……っ、分かった佳織……」
すると睦月から私の唇を奪ってくれた、肩を握りしめていた手を伸ばし抱き締める、
睦月も私を強く抱擁してくれる……
2人だけの部室、このままキスをしたかったけど、息が続かず惜しみながら離す。
「ね、ねぇ睦月……私の事を愛してくれる?」
クスリと笑い、睦月の胸に頭をうずめながら聞く。
「わ、私なりに精一杯…!」
「ありがとう……」
嬉しい、私は……貴方なりに精一杯愛してくれたらそれだけで……


15 : 名無しさん :2015/10/29(木) 05:27:16
おわり


16 : 名無しさん :2015/10/29(木) 17:16:03
あら^〜


17 : 名無しさん :2015/10/29(木) 17:27:59
最近咲スレ増えてきて嬉しいなぁ


18 : 名無しさん :2015/10/30(金) 22:42:45
あら^〜いいですわね^〜


19 : 名無しさん :2015/10/30(金) 22:59:05
鶴賀…いいよね…


20 : 名無しさん :2015/11/03(火) 16:19:24
鶴賀ほんとすき


21 : 名無しさん :2015/11/03(火) 20:06:28
やったわ。


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