近所の公園で箱を拾った。
箱の中には生き物がいるみたいで鳴き声を出していた。
中をのぞいたけど真っ暗で何も見えなかった。
夏休みの自由研究は、この箱の観察をしたいと思う。
お母さんたちにバレないように気を付けよう。
箱がお腹を空かしたようにうるさく鳴いている。
何を食べるか分からないから、夕飯を残して分けてあげた。
すると箱は喜ぶようにガツガツ食べていた。
これは良かった、これからはお母さんに怒られないように少しずつご飯をあげよう。
箱の好きな食べ物が分かった。
なんでも食べるけどお野菜やご飯よりもお肉の方が好きみたいだ。
特にウインナーよりもひき肉や焼いたお肉の方が喜んで食べてくれる。
そういえば友達に箱を見せたけど何も音もしないし壊れてるって言ってた。
確かに箱は生きてるのにどうしてだろう。
不思議だなと思った。
箱が大きくなった。
だけど夜にお腹を空かしたのかよく鳴くようになった。
とてもうるさく鳴くので、お母さんにバレそうになったけど僕のイビキだよと言ってごまかした。
お母さんは怪しんだけど何とかバレずにすんで良かった。
箱はすくすく育った。
最初は僕のてのひらと同じ大きさだったのに、今はランドセルと同じ大きさになった。
食べ物も少し変わって焼いたお肉から生の肉しか食べなくなった。
今は僕の夕飯の残りを食べなくなった。箱もグルメなのかと僕はビックリした。
お母さんは冷蔵庫のお肉が無くなったって言ってたけど箱にあげてるのバレてないかな？
大きくなった箱をおとなりの女の子に見せてあげることにした。
家に女の子を呼んだら箱は上機嫌に鳴いていた。女の子がたくさんのぞいていたからかな、昨日はエサをあげてないのに。
僕はトイレに行きたくなったから部屋を離れたら、女の子はいなくなっていた。
家に帰ったと思ったけどその子はまだ帰っていないとお母さんから言われた。
おとなりのお母さんとお父さんの泣き声が聞こえたけど、女の子がちゃんと帰ってくるといいな。
おまわりさんが家に来た。
女の子について聞かれたけど、箱のことがバレたらマズイから何も知らないとおまわりさんに言った。
お母さんもその日はパートで帰ってくるのが遅かったから、僕たちは犯人じゃないって分かったみたいだ。
箱はまた鳴きだしたからブタ肉をあげた。
だけど箱はブタ肉を吐いてしまった。
これから何をエサにあげればいいんだろう？
お母さんに箱がバレた。
僕が学校のプールに行ってる間に部屋のおそうじをしたみたいで、帰ったら部屋がきれいになっていて、箱も無くなっていた。
お母さんは置き手紙に「帰ったらお説教をする」って書いていて、僕はビクビクしていたけど、お母さんは帰ってこなかった。
お母さんはどこに行ったんだろう？僕はお腹が空いた。
お父さんが久しぶりに帰ってきた。
普段は会社に泊まってばかりで、家に帰ってもお母さんをたたいたり悪口を言うから帰ってこなくて良かったのに。
でもお父さんは青ざめた顔をしていて、いつもみたいにえらそうにしてなかった。
僕を見て抱きついたけど暑苦しかった。
お父さんが帰ってきた悪いことがあったけど、良いこともあった。
箱が夜中に帰ってきたからだ。
ベルが鳴って家のドアを開けたらそこには箱がいた。
ランドセルより大きくなってて入れるのが大変だったけど何とか入れた。
また箱を観察しようと思う。
今度はお父さんがいなくなった。
お父さんはこの間の青い顔から白い顔になってお酒ばかり飲んでいた。
「仕事は？」と僕が聞くと、お父さんは「仕事は辞めた」と言ってきた。
いつもなら僕をたたくはずなのに、たたかなかった。
お父さんは仕事をクビになっちゃったのかな？
箱は今日も不機嫌だった。
寝る前にコンビニのお弁当を渡したけど食べなかった、大声で鳴いていた。
それで僕は眠くなったから寝ていたら、ガサガサと箱が動く音がした。
僕が目をさますと、箱はまた鳴かなくなった。
でもお父さんがいない、またお酒を買いに行ったのかな。
お母さん、お父さんが帰ってこないから僕はおじいちゃんの家で暮らすことになって引っ越した。
僕の家の周りで行方不明になる人が増えたからって言ってるけど、どうしてだろう。
景気が悪いからかな？
箱は遂にタンスくらいの大きさになったけど、おじいちゃんに一緒に運んでと頼んだら運んでくれた。
ありがとうおじいちゃん。
これで僕はまた箱と一緒に居られる。
おじいちゃんの家に引っ越して数日経ったけど、おじいちゃん達がいなくなった。
おじいちゃんもおばあちゃんもペットの猫もみんないない。
箱はまた大きくなったけど、おじいちゃんの家は狭くて家の中に置けない。
困った僕は箱を連れて旅に出ることにした。
まだ夏休みは続いているし、箱も自分で動くようになったから色んな所に行ってみよう。
人がたくさんいるところが良いって、箱が鳴いていたから東京に向かうことに決めた。
明日は東京に出発するぞ、楽しみだな！
箱はすごい、僕たちの邪魔をする人みんな食べてくれる。
行く手を邪魔するおまわりさんを追いかけて、みんなムシャムシャ食べてくれたよ。
大人も子供も、犬も猫も全部食べてくれる。心強い味方だ。
でも僕のことは食べてくれない、僕は飼い主なのにどうしてだろう？
明日は始業式だけど僕の学校には誰もいない、先生も生徒もみんな箱が食べちゃったから。
僕も学校に行く必要がないから、箱に食べてもらおうかな。
夜も遅いから、明日の朝に箱と1つになろう。
僕もこれでおしまいだ。
「学校の怖いうわさ 花子さんが来た」のランドセルの話思い出して
おしっこでちゃいそう！！！（トラウマ）