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幻想郷の女の子に愛されて眠れない(東方ヤンデレ)スレ第22夜

1 : ○○ :2016/06/20(月) 20:17:49 eTwIYdHk
ヤンデレ――――それは純愛の一つの形。
ヤンデレが好きで好きでたまらない人の為の22個目のスレです。
短すぎてうpろだ使うのはちょっと……な人はここを使うといいかも。

あなたの心と体もわたしのもの…。

※注意書き
・隔離されているとはいえ、此処は全年齢板。
 過度のエロ•グロはここでは禁止。
・ヤンデレに関する雑談やシチュ妄想などもこちらで。
・このスレの話題や空気を本スレに持ち込まないこと。
 苦手な人もいるということも忘れずに。
・隔離スレであることの自覚を持って書き込んで下さい。
・馴れ合いは程々に。 突っ込みも程々に。

・パロやU-1等の危険要素が入るssはタイトルに注意事項を書いた上でロダに落としてください。
・スレに危険要素のあるssのリンクを貼る時は注意事項も一緒に貼ってください。
・危険要素のあるssをWikiに保管する際は保管タイトルの横に注意事項を明記してください。
・危険要素は入っていないもののスレを荒らす危険性のあるssは
グレーゾーンのssとして作者の自己判断でロダに落とすようにしてください。
・グレーゾーンのssは作者と読者が議論して保管方法を決定してください。

まとめはこちら ttp://www26.atwiki.jp/toho_yandere/


2 : ○○ :2016/06/20(月) 21:02:13 eTwIYdHk
取り敢えず投下してみます。

宗教の威光

 全く、横車を押しているだの道理に合わないだの、甚だしい
言いがかりですね。何度も申し上げているように、○○さんを
守矢神社に禰宜として迎えようというのです。栄光でこそ
あればすれ、問題なんて有るはずも無いでしょうに。
 守矢神社には軍神の八坂様が顕現されます故に、妖怪の山
を統率されており、ひいては豊穣の女神であられる穣子様も
幻想郷全てに分け隔て無く豊穣をお与えになられるのです。
 ○○さんが守矢にてお勤めになることで、一層我が神社の
発展を助けられることに比べれば、其方の方は失礼ながら少々
位が違うかと。
 
 おや、そのような口約束を申し上げますか。そんな接吻ついでの
口約束なんぞは、恥ずかしながら遊郭の遊女に大言壮語する類いの
物かと。所詮上辺だけの深くない約束なんですよ、貴方との約束は。
 私ですか?ええ、勿論婚前にはしたないことはしておりませんよ。
これでも風祝で御座いますので、何処かの下女とは違って純潔を
重んじておりますよ。私は○○さんの妻となるべきで御座いますので、
唯○○さんに奉ずれば良いのです。


3 : ○○ :2016/06/20(月) 21:02:47 eTwIYdHk
 ほほう、まだ強情を張りますか。良いでしょう、これでは幾らでも
口が尽きぬことで御座いますので、暫く頭を冷やす時間を入れま
しょうか。ええ、また後日と致しましょう。



 何でしょうか?そのような呪いなど、守矢の巫女であるこの私が
するはずも御座いません。全くの言いがかり御座います。しかも
こともあろうに、卑怯にも天狗に面白可笑しく誇張した三面記事
として○○さんのことを話すとは、許しがたきことです。
 なんと、私が貴方の御家族を呪っただけでは飽き足らず、烏天狗
を操ったとまで仰るとは…。呆れて物も言えませんね。しかも遂には
逆恨みまでするとは、正に逆ギレとでも言うべき事ですね。宜しい、
私としてもそうまで言われるのならば、最早看過出来ません。守矢の
名に掛けて最後までいかせて頂きましょう。これ以上問答は無用です、
お帰り下さい。


4 : ○○ :2016/06/20(月) 21:04:50 eTwIYdHk
 え、○○さん?このICレコーダーがどうかしましたか? はあ、私の
声で以前親しかった女性を脅迫する内容が入っていたという訳ですか…。
 はぁ、全く○○さんはこの幻想郷に慣れていませんね。前に申し上げた
でしょう?この幻想郷では常識に囚われてはいけないって。ですから、
この声も山彦の妖怪が吹き込んだ物ですよ。妖怪退治のスペシャリストの
私が言うのですから、間違い有りません。それにしても手の込んだ
悪戯ですね。全くこんな物、私の方で処分しておきますので。ちょっと
失礼しますね。

以上になります。

原作では正々堂々としていた早苗さんが、
蛇のしつこさと蛙のねちっこさを持つと結構厄介


5 : ○○ :2016/06/20(月) 22:25:45 eTwIYdHk
芥川の河童

 私が彼を訪ねたのは秋も深まる頃であった。
彼は一ヶ月程前より精神病院に入院しており、
一週間と少し前に閉鎖病棟に移されたと、電話
で話した彼の家族は言っていた。
 彼は以前は普通の生活を送っていたのであるが、
或る時に誘拐事件に巻き込まれ、事件の後遺症で病院
にかかっているらしい。小学校の時に同級生
であり、中学以降は学校が異なることからあまり
会う機会が無かったのであるが、年賀状の遣り取り
は欠かさず行っていたし、偶に会う時には一日中
遊んだものであっただから、彼がそのような痛ましい
事件に巻き込まれた時には心を痛めたし、今も
こうして彼に会いに来ているのである。


6 : ○○ :2016/06/20(月) 22:26:18 eTwIYdHk
 私は彼の病室の前で、彼の家族と電話で話した際に
聞いた話を思い出していた。彼は誘拐、或いは失踪
した際に、神隠しに遭い河童に世話になったと、S県
の山中で放心状態で彼を発見したO巡査に証言したらしい。
 勿論そのような戯れ言には警察は取り合わずに、
懸命に誘拐犯を追ったものだが、彼が行方不明になった
時に他府県の警察本部や、大勢の警察犬すらも動員して
捜索を行ったにも関わらず、煙のように消えたことと
同じように、全く誘拐犯の影も形も見えることがなかった。
 そのため警察や彼の家族は、誘拐の際の恐怖で少々
記憶が混乱している。つまり精神に異常をきたしている
として、彼をT県にある精神病院に入院させることとした。
其処でも彼は相変わらずに河童の世界に迷い込んだと
看護師や見舞い人に言って、通り一遍に受け流されている
らしい。之を聞いた時には、妄想の対応としては初等精神科
の教科書に載っている位当たり前の対応であるが、何だか
少し彼が可愛そうに感じてしまい、せめて私だけは彼の話を
聞いてやろうと思うのであった。


7 : ○○ :2016/06/20(月) 22:26:55 eTwIYdHk

 彼の病室のドアを看護師に開けて貰うと、思ったよりも綺麗な
病室に、白いカーテンと清潔なリネンが敷かれたベットが有り、
そこに彼は横たわって漫画を読んでいた。彼は私が来ると
退屈していたのか非常に嬉しそうな表情を見せ、やあやあ
と手を上げて歓待の意を表してくれた。私が彼に具合はどうだ
と聞くと、彼はすこぶる具合は良いと答え、君と会うのは
久しぶりだと言った。
「病院はどうなんだい?」
「いや、体は健康そのもの何だが、医者が言うには僕は頭がおかしく
なってしまったらしくて。暫くここに缶詰という訳さ。」
 精神科の医者の癖に、精神病者に気狂いなどど放言するとは
何事だと私の中で怒りが燃え上がったことを彼は感じ取ったのか、
「いやいや、別に医者に直接言われた訳では無いんだよ。唯、
記憶が正常に戻るまでは休養した方が良いと、彼らは言うんだけれど、
僕の記憶は終始一貫していて、曇り一つ無い位なんだからね。
君も僕の家族からある程度は聞いているんだろうけど、僕は
河童の世界に迷い込んでね。どうだい、話の種に聞いていくかい?
世にも珍しい河童は実在したと、テレビ局に投稿でもすれば
昼のワイドショーに出演ぐらいできるんじゃないかい?」


8 : ○○ :2016/06/20(月) 22:27:30 eTwIYdHk
 私は勿論彼の話を聞くと言ったが、同時に彼を疑っている訳では無いと、
強く彼に念押しした。寧ろ彼の周囲の人間が誰も彼の話を信じないの
であれば、自分こそが唯一彼の話を信じることが出来ると。
「ふむ、そこまで言ってくれるのは流石に君だけで、とても嬉しい
ことだよ。友達冥利に尽きるというやつかな。それでは始めよう、
僕の体験を、芥川の河童の話を。」


 さて、僕は河童の世界に迷い込んだ訳なんだけれど、始めに
二つばかし君に謝っておくことが有る。一つは河童の世界と言ったが、
別に河童しかいない訳では無いんだ。いや、たしか芥川の小説の
方にも、何やら他に居たような気がするんだが、そういう居るか
居ないか覚えていない些末の話ではなくて、もっと直接的に、
あの世界には河童以外の妖怪が居たんだよ。むしろ河童以外の
妖怪が多い位だった筈だ。妖怪以外にも閻魔大王や神様なんて
ものも居たりして、兎に角人間以外の種類が八百屋に並ぶ野菜の
数程多い所だったよ。
 もう一つは妖怪には女の人が矢鱈多くてね。真面目な話だよ、茶化して
いないことはあそこにいた神に誓おう。しかも美人ばかりで、
おやおや呆れているね。よし、それなら追加であそこにいた閻魔大王
に誓おう、勿論彼女も美人だがね。結局、芥川龍之介が描いた
「河童」とは似ても似つかない世界だったんだよ。なら何でそう言った
かって?やはり世間の人にとっては河童は百物語に出てくる妖怪だからね。
芥川の話ならば直ぐに皆思い描くことが出来るって訳さ。まあそのまま
病院に放り込まれるとは、予想もしていなかったけれどね。


9 : ○○ :2016/06/20(月) 22:29:00 eTwIYdHk
 僕が河童の世界に辿り着いたのは、丁度山の中でうろうろしていた
時のことだった筈だ。何だか霧に包まれたと思ったら、急に周りの
木が鬱蒼と生い茂るようになっていてね。今までいた山の中もやっぱり
木は多かったんだけれども、やはり現代の森と言うべきか、均一的な
人工的な雰囲気が少しは入っていたんだけれど、この森はそういった
ものが一切無くって、原生林とでもいうような様子だったんだよ。
 そこで暫く僕は彷徨っていたんだけれどね、一時間ばかりしたと
ころで第一村人たる河童に遭遇したって訳さ。その河童はにとりと
言ってね、僕の生活を支えてくれた恩人なんだけれど、まあ
要するに僕は河童に拾われて、彼の小説のように河童の世界で過ごす
ことになったとさ。


 そこの世界は今の世の中よりも遅れていてね。大体日本の明治位の
世界だったんだがね、当然今の世の中よりは遅れているのだけれど、
その分妖怪や超能力といった人外の力が働いていた所為か、あまり
不便を感じることは無かったんだよ。まあ、僕の世話をしてくれた
河童はなんでもエンジニアとやらをしているようで、結構な機械を
持っていたから、その分もあったかもしれないね。しかし其処での
世界は色々あったんだけれど、特に言うとすれば中々スリルに満ちた
日常であってね。まあ、その世界から僕が逃げて来たのもその所為
が半分以上あるんだがね。兎に角、僕の話をしてみようじゃないかい、
世にも不思議な芥川の河童の話をね。

以上になります。以前に書きかけていたのを投下


10 : ○○ :2016/06/20(月) 23:45:43 9USjcM.E
スレ立て乙です!


11 : ○○ :2016/06/21(火) 23:41:06 uebEIsGw
乙です


12 : ○○ :2016/06/22(水) 04:59:42 Uvt.jsmU
アリスの話が終わらないので息抜きに書いた。


地底にある人間と妖怪のの老夫婦がいた。もっとも、年老いていたのは夫だけであったが。
夫の方は、肺に岩が溜まっており、地上の医者にかかっていた。
病んで2年がたつと、すでにろれつが回らなくなり、痴呆が始まり妻に名前を聞くようなこともあった。
その翌年には、医者が目を離したすきに痰をのどに詰まらせあっけなくいってしまった。
妻は、夫が病に伏せっている間、毎日地底から通っていたが、夫が段々と変わり果てていく姿を顔色一つ変えずに見届けていった。
彼が、死んだと知らせを聞いたときは、彼の遺体を見に行かず、医者に火葬の願いを出して、遺骨だけを自宅に持って帰った。
その後、彼女は見舞いに行っていた時間、彼と出会う前にいつもいた橋の上で過ごすようになったが、周りから見ても彼女に異変はなかった。
それから、5年ほどたった頃彼女は橋から身を投げた。
検視の結果、彼女の胃には毒と骨粉が検出された。
葬儀の後、彼女の友人たちが彼女の遺品整理を行った。
彼女の部屋は、殺風景で整理が行き届いていたものの、箪笥の引き出しが一つ開かれ、
彼女の机の上には、夫妻の婚儀の時の写真が置かれていた。


13 : ○○ :2016/06/22(水) 20:48:04 QETv0h.c
○○、○○ー。
むー、また○○が逃げたー。
えーい…強引に捕まえちゃえ!
フッフッフッ……捕まえたぞ○○ぅー。さっそく「こい」の感情を貰おうか!


…あーっ、またその顔、その感情… まーた私のこと怖がってる…。
お前の「こい」の感情を掴むためにずうーーーっと監視して、邪魔してくる奴等も倒したのに…
何が駄目なのー?私はずっとずっと○○のことだけ考えてたのにぃー。「いらいらー」。
ああそっか…
     ○○は「私のことが好き」って感情に気づいてないんだね!


…じゃあー♪…私が気づかせてあげなきゃねえ?
大丈夫大丈夫♪痛いの最初だけだから…♪


14 : ○○ :2016/06/22(水) 20:50:50 QETv0h.c
こころちゃん最初やさしくしたらすぐ懐いてきそう
んで長い期間ほっといたりつっけんどんにしたらすぐ病みそう


15 : ○○ :2016/06/23(木) 04:38:19 67CRMSnE
ヤンデレ橙

「紫様も藍様も嫌い。

 嫌い嫌い、大嫌い。

 だって私から○○を盗るんだもん。

 ○○が嫌だといっても、私が嫌だといってもいつも勝手に連れて行っちゃう。

 私は我慢してたんだよ。

 藍様も紫様も私よりずっとずーーっと賢いから、何か考えがあるから私と○○を引き離すんだと思ってたんだ。

 でも、もうダメ。

 私見ちゃったんだ、○○。

 藍様と紫様と何をやっていたのかを。

 ・・・ねぇ、○○嫌だったよね?

 本当はあの人達と一緒に居たくなかったよね?

 私と離れたくなかったよね?

 ・・・よかったぁ。

 アハハ、そうだよね○○は私が一番好きなんだよね。

 ○○は私と結婚するんだよね。

 ○○は私と子作りするんだよね。

 ○○は私と死ぬんだよね」


16 : ○○ :2016/06/23(木) 23:51:35 qrYR8kF6

積極的な橙、好き(全力)

前スレ991の続き


その夜な。昼間のことで中々寝付けなくなっててさ。布団の中に入ってても隙間風とか寒くてたいへんなのにさ、アリスに触れられたところが妙に熱くてな。特に、ほほが火照って仕方がなかった。たまらないから、顔だけ布団から這い出て、床に押し付けてたよ。でもさ、夜中起きてると、妙に変なこととか考えるだろ。昼間、突き飛ばしたのはやりすぎたかな。とか、何でアリスのことを避けてたっけとかな。んで、一番気になったんが、あの時のアリスの格好だよ。いつも身なりには気を付けてたのに、あんな趣味の悪い服装とか、ぼさぼさの髪とかな。俺に触れた手も、少しざらざらしてた気がする。何か自分で避けてたのに、アリスのことが心配になってきてさ。悶々としてると、鳥の鳴き声が聞こえてきた。障子の合間から、青みがかった光が俺の目の前に差し込んでいてな。もう朝か、随分考え事してたなって思ったら、便所に行きたくなってさ。ちゃんちゃんこを肩に羽織って、早足、すり足で便所に向かったわけよ。で、さっさと終わらして、さあ帰ろう。と、したのよ。でも、前にも、いったとおり便所には窓がついてて、俺の背丈から一尺半くらいの高さにあったんだ。そこからも、光が差し込んでたんだけどな、一瞬その光がさえぎられてな。ぱっと上をむいても、何もなかった。気味が悪いから、部屋に急いで戻ったよ。寒いから、戻ったら布団に直行だ。おかしいよな、布団冷めてなかったのよ。捲れたままでいったから、あの寒さじゃ、冷え切ってても仕方ねえのに。変な朝だな。て思ったよ。でな、いい加減眠ろうと布団の中に潜ったらさ。あの匂いだよ。木苺。でな、障子の方を見たらさっきよりもちょっとしまってたんだよ。何か考える前に布団から飛び出してった。障子開いても、誰もいない。それで、さっきの便所のことを思い出した。玄関から草履を履いて、裏手の井戸まで行ったんだよ。そしたらな、アリスがいたんだよ。

ちっちゃく縮こまって、地べたに座ってた。寒そうに自分にしがみつくみたいに手で体を覆っちゃって、顔を膝に埋めてな。白い手がじんわり赤くなってたの、よく覚えてるよ。シャンハイが心配そうに飛び回って、あたりをきにしてた。シャンハイが俺の姿に気づいたとき、とまって俺を見据えた。その眼は見開かれ、やがてにらむような眼で俺をみた。そして静かに瞬きをした。やっと気づいたか。まあ、黙って聞けよ。アリスは急にシャンハイが動かなくなったのに、気づいたのか。ゆっくりと顔を上げた。その見上げた先に俺がいた。やはり子は親に似るのか、アリスも見開いた目で俺を見つめていたよ。昨日見たより隈が濃くてな、泣いたのか化粧が落ちて薄い筋が一本、目から顎の先まで続いていた。口元は閉めるのを忘れたみたいに開いていたよ。今思えば、やけに可愛らしかったな。って思うよ。今度は俺が近寄ろうとすると、びくりとさせて顔を両手で覆って、また顔を伏せた。
また、俺が近づくとぼそぼそとひとりごとのように

―みーいで――――う―きら―――で――

ちいさくて何て言ったかは、はっきりと聞こえなかったけど。目の前のアリスは、いつもとは昨日見た彼女とは強烈な違和感があったよ。いつも、綺麗な服着て、優しいどこかのお嬢様みたいな女だったのに、あの有様だ。かあちゃんのいってた話に、でてきたた女とは全く思えなかったんだよ。だから、思わず大丈夫?って言ったわけ。でも、反応なし。そしたら、シャンハイがアリスの服を引っ張って、無理やり立たせたのよ。そんで、腕持ってぐいぐいと引っ張って、俺の横を通り過ぎていった。アリスは、俺の方から顔を背けて、何も言わずに足を擦りながら歩いて行った。時々、躓きかけてな。わけもわからない俺は、ただその場に突っ立ってただけだった。

女ってほんと、わけわかんねぇよな。


17 : ○○ :2016/06/24(金) 16:10:53 gmX7YJ/c
アリスは過去にもこんなことを繰り返したのかな
上海の立ち位置も気になる


18 : ○○ :2016/06/24(金) 22:09:27 AV6SyLNw
いよっ!○○!
急に呼び出してどうしたんだ?言っとくがお前から盗……借りたものは残念だが返さないぜ?
…そうじゃない?んじゃ、またいつものミニ説教か、残念ながら私は家を片付ける気もないぜ。
…それでもない?じゃあ何だってんだよー、…今日のお前なんだかおかしいぜ?




…………えっ?そ、…外の世界に…帰るって?ま、まさか…冗談だろ?どうせ…私をおちょくるために適当に作った嘘なんだろ?
幻想郷のこと…嫌いになったのか?…違う?
じゃ、じゃあ…もしかして……わ、私のこと…?
い…イヤだ…いやだいやだいやだ!!今までパクってきた物も全部返す!い、家も綺麗にする!!
な、なんでもする!!!お前に言われたことなら絶対なんでもするぜ!!!!
だからっ…だからぁっ……!


19 : ○○ :2016/06/24(金) 22:35:31 AV6SyLNw
…そっ、そうだっ!そうだよ○○!
あ、あれだ、そうあれだろ?熱中できることがないから飽きちまったんだろ?な?
ならさっ!私が美味い茸のこととか魔法のこととか教えてやるからさっ…!
だからさっ!考え直せよ!!外に帰ることなんか!!!
だ…だいたい外なんかに言って何するんだ?することなんかないだろ??
いや…もしあったとしてもだ、私と一緒にいること以上に楽しいことなんかないだろ…?
あっ!今頷いたよな!頷いたよな??な?な?
いーーやっ!今のは絶対に頷いたぜ!!絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対に頷いたぜ!!!

そんな怖そうな顔するなよ、やってくうちに慣れてくるし自信もつくぜ!!
…楽しみだなあ、○○の弾幕がどんなんになるか!!


…じゃあ早速家に連れ帰って魔法の勉強しなきゃな!もちろん私同伴でだ!


…間違っても次、外に帰るなんていうなよ…?


20 : ○○ :2016/06/24(金) 22:36:56 AV6SyLNw
金髪の子かわいい


21 : ○○ :2016/06/24(金) 23:20:03 jTRNqNjY
>>15
二人には叶わないと知っているが故に、凶行に向かうしかなくなる橙
最後は自分の言葉によって益々火が付いているのかなと

>>16
用意周到だったイメージの以前とは異なり、何か違う雰囲気が…

>>18
「次」はどうなるのか、次がそもそもあるのか

次より投稿させて頂きます。


22 : ○○ :2016/06/24(金) 23:25:12 jTRNqNjY
 芥川の河童2

 彼と僕以外は人が居ない病室で、彼は流暢に語り出す。
一見是だけの話を即興で作ることなど出来ず、此の話は彼
が実際に体験したことではないだろうかと思ってしまう。
 しかしそんなことは有り得ないのだ。人間が河童の居る
世界に迷いこむなんてことは…。

 そう、僕は河童の元で暫く世話になっていたんだけれど、
何も河童の住処のみに居た訳じゃなくってね、にとりが僕を
彼方此方に連れていってくれていたんだ。さっきも言った様に
彼女はエンジニアであったから、幻想郷の病院に機械を卸して
いたから、丁度メンテナンスの作業にかこつけて僕を一緒に
連れて行ってくれたんだ。だけれどこの医者は変な医者でね、
美人ではあったんだけれども、マッドサイエンティストは
この世界にも生息していたのかと熟々思い知らされたよ。


23 : ○○ :2016/06/24(金) 23:26:08 jTRNqNjY
 僕がにとりと一緒に永遠亭に行ったのは、丁度夕方だったよ。
患者が一通り空いた後で、残りは入院患者の回診だけといった
具合だったんだけれど、永琳という女医さんが応対してくれたん
だよ。先生の後ろには兎の看護婦が控えていてね、セーラー服
だったから僕は余りにもあざとさの様なものを感じてしまったよ。

 ええと、話が逸れてしまったね、そうそう永琳先生だけれど、
にとりと話をしていたんだけれど、CTスキャンやらMRとかはこの
世界にも有る代物なんだけれど、その内狂気判定機やら嫉妬リト
マス紙なんて物が会話の端々に出てくるようになってね、最後には
自白剤やら洗脳用の薬物を河童のラボで大量生産出来るかどうか
となってきてね、外来人として僕に此方の世界ではどうなって
いるかを聞いてきたものだから、僕はびっくりして彼女に言った
訳さ、-何で病院なのに患者を洗脳しているんだと-そうすると
彼女は一瞬考えた後にこう言ったのさ、-外来では個人の意思を
強く尊重されているようですね-とさ。


24 : ○○ :2016/06/24(金) 23:26:49 jTRNqNjY
 勿論善良な一般市民として、まあ今は正気を疑われているのだから、
かつて小市民だった人物の意見として割り引きさせてもらうが、
僕は彼女の意見に断固賛成出来なかったのだから、更に尋ねた
訳さ、-人を洗脳することは悪い事でしょうと-しかし彼女の方も
一歩も引かずに、人を洗脳して悪いとは、誰に悪いんですかと
こう返してきた次第さ。
 全く呆れた話だがね、大まじめにそう返されては僕も洗脳された
人間にとっては悪いでしょうと、正道で返事をしたんだけれど、
彼女の答えが奮っていてね、-しかし洗脳された本人と奥さんは
全員幸せにしていますよ-
とこう返してきたものさ。挙げ句に外界の世界でも学校や職場で
人間をルールに従わせてしかも無理矢理嫌な事を押しつけているでは
ないかと返されるとね、僕としても答えに詰まってしまったんだよ。


25 : ○○ :2016/06/24(金) 23:32:18 jTRNqNjY
 今この世界にいる分には、六法全書を片手に偉大なる先生にご高説を
話してやるんだけれどね、彼方の世界でそう言われてしまうとなんだか
自分が間違っているような気がしてね、正に竜頭蛇尾も良いところ
だったよ。僕がすっかり押されているとね、横で聞いていたにとりが
-もうそこら辺で勘弁してあげてよ先生-と割って入ってね、僕は
月の大賢者の抜き内テストから無事脱出することが出来たという訳さ。
全く、その時はにとりに感謝をしたものだったよ。

以上になります。


26 : ○○ :2016/06/25(土) 01:17:00 xB36zK6o
更に投下します。

 芥川の河童3

 他にも僕は色々な所に行ってね、そうそう神社で巫女さんを見ること
ができたんだよ。まあ今でも正月になればそこいらの神社でバイトを
している巫女さんを見ることができるんでけれど、僕が見たのはそんじょ
そこらの人では無い、本物の謂わばプロの巫女さんということさ。
 僕はその日にとりと手を繋いで、おや、茶化さないでくれ、僕は
今でもそうだけれど空は飛べないのだから、まあ、博麗神社という
この幻想郷を司る所へ行っていたんだ。そこはどうやら外の世界と
幻想郷を隔離している関所のような所らしくっってね、密航者であった
僕の挨拶をしておこうという具合だったのさ。僕が丁度神社に行くとね、
先客が四、五人いてね、確か一人は酷い火傷を負っていてスーツが焦げて
いたね。その人は人力車のような手押し車に乗せられていて、猫耳を付けた
少女が押していたんだよ。そしてそのスーツを着た人を抱えた少女が凄く
て、なんと目玉を服にくっつけていたんだ。その目玉が僕を睨んだと思うと、
その少女はにとりに何やら手で丸のサインを送っていてね、後でにとりに
聞いても全く教えてくれなかったんだよ。


27 : ○○ :2016/06/25(土) 01:18:20 xB36zK6o
 神社の方は中々立派だったよ。にとりの家の近くにある神社の方が規模は
立派なんだけれどね、此方の方はなんだか神聖というか、勿論守矢神社の
方もそうなんだけれど、兎に角空気が幻想郷の中でも取り分け澄んでいる
ような感じだったよ。そこの巫女さんは暇らしくってね、僕とにとりが
行くと一日中相手をしてくれたよ。おまけに僕になんだか祈祷までしてくれて
ね、中々僕らには親切な人だったよ。


 そう、僕らには親切だったんだけれどね、異変が起きると一目散に解決に
向かうらしいんだよ。まさに幻想郷の守護者とでも言うべき存在なんだろうね。
そして幻想郷には僕らの世界では廃れた物が入ってくるんだけれど、そこの
神社にはなんと免罪符が売っていてね、免罪符だよ免罪符、全く笑ってしま
うね。あんな馬鹿げたものをこんな所で目にするなんて、本当に訳が分からない
んだけれど、奥の部屋にひっそりと賽銭箱と札が置いてあって、そこの部屋の
掛け軸には例の台詞、この賽銭箱にチャリンと…と書いてあったんだ。
 しかしこんなことをしていたら信用が無くなってしまうんじゃないかと
思って、後でにとりにこっそり聞いてみたんだけれど、にとりが言うにはそう
いったことは全く無いらしい、どうやら地獄の閻魔様も認めているようで
この札があれば大抵の事は無罪になるようだね。


28 : ○○ :2016/06/25(土) 01:19:10 xB36zK6o
 まあこの札を使える人は決まっているようで、何と恋愛で揉めた時だけ
なんだそうだ。この札を買っておけば幾ら暴れようが博麗の巫女は異変と
して介入しないという、何だろう、上納金に似たシステムの様だね。
そんな黄門様の印籠のような物だから、買える人物は幻想郷の有力者だけ
で、にとりの言葉を借りれば-本気で殺し合いをする代わりに金で妥協を
図る-なんていう構図なもんで、謂わばセーフティーネットというやつ
なんだろうね。
 ああ、勿論当の巫女も免罪符を買っているよ。自分で自分に買うという
のも変な話だけれど、一番奥の部屋に物々しい札がベタベタ貼ってあって
そこに序でのように貼ってあったんだ。にとりは何か自分の持っている機械
が反応したようで、-うわぁ-と小さく声を漏らしていたね。全くどんな
妖怪を封印していたんだろうね。

 え、知っていたんだろうって?勿論見当はついたさ。でも、僕は流石に
踏み込めなかったね。物理的にも無理だったろうけれど、外から声を掛ける
ことすら出来なかったんだよ。僕には恐ろしかったんだよ。自分を危険に
晒して幻想郷を守るような気高い人物が、それを曲げてまでやっていること
に踏み込むようなことはさ、絶対に僕には無理だったよ。

以上になります。


29 : ○○ :2016/06/25(土) 02:00:13 xB36zK6o
芥川の河童4

 僕はにとりの家に住んでいたんだけれどね、そこは妖怪の山と
言って、妖怪が住んでいたんだ。にとりの様な河童は勿論、河童
と同じ位こっちの世界で有名な天狗も其処に住んでいたんだよ。
 天狗は良く新聞を作っていてね、僕が出会った天狗は文々新聞
やら花果子念報という新聞の記者で、僕から外界の世界のことを
聞いて記事にしていたよ。
 そうそう、君は天狗の連中に大層受けが良かったよ。特に姫海堂
という記者は君の画像を色々欲しがっていた位だしね。まあ何れも
美人であったから、安心して欲しい所だ。君は天狗受けする顔の様
で僕としても鼻が高かったよ。
 しかしこっちの世界でもそうだけれど、新聞を始めとするマスメ
ディアの記者とかいう連中は、中々なこともするじゃないか。
よくプライバシーを侵害したとして訴えられている雑誌を、僕も
ちょこちょこ見るんだけれど、本当にどうやって撮ったのかと
思うような記事をこれでもかと言わんばかりに掲載しているね。


30 : ○○ :2016/06/25(土) 02:00:55 xB36zK6o
 幻想郷でもそれは変わらないみたいで、僕は朝食後ににとりの
家に配達される朝刊を毎朝見ていたんだけれど、此方の新聞も
写真をフルに使用して、流石にカラーではなかったんだけれど、
それでも迫力ある弾幕の写真を記事に載せていたよ。

 まあ、こっちの世界でのマスメディアの権力で一番強い物は、
報道しない自由、つまり編集権というやつだけれど、幻想郷の世界で
一番強い権力は、ねつ造する自由というやつだったね。
 そうだね、それは自由でも何でもなく、唯々人を欺いている、
マスメディアの隅にも置けないような悪いことなんだけれど、案外
幻想郷ではこの戦術が効くんだよ。特に外来人、幻想郷では僕らの
世界から来た人間をこう呼ぶんだけれど、こういった寄る辺の無い
人物に対しては、かなり強いんだよ。
 それもそうだよね、いきなり天狗という強力な権力を持っている
組織、それも妖怪の山という組織をバックに付けているんだから、
唯の人間からしたら、勝ち目がまるで無いようなものだからね。
おまけに天狗は記者をやっている関係上、諜報能力がやたら強い
と来たら、もはやそういった事で天狗になっても仕方がないよね。
天狗の中には、千里眼やら念写といった能力を持つものがいるん
だから、離れていても幾らでもねつ造し放題という訳さ。


31 : ○○ :2016/06/25(土) 02:01:25 xB36zK6o
 天狗に対抗する方法はあるよ、一番は天狗に対抗できる位の
権力がある人の庇護に入ることかな。力には力でというのが、
此処と変わらない生臭さだね。あとは妖怪の山を取り仕切る
守矢神社に渡りを付ける事かな。おや、両方した人かい?
居たには居たが、あまりお勧め出来ないな。幻想郷で他の
妖怪に狙われて頼ったことが切っ掛けで守矢の神社に婿入り
した人が居るんだけれど、今は奥さんに四六時中見張られて
いるらしいよ。うむ、何かから逃げても逃げた先が良い人が
いるかどうかは、また考えものという訳だね。


32 : ○○ :2016/06/25(土) 02:06:03 xB36zK6o
最後になります。

 芥川の河童5

 僕がそうして日々を過ごしているとね、彼女は僕が幻想郷に
定住すると思い込んでいたんだよ。僕はと言えばいくら幻想郷
で快適に過ごしていたと言ってもね、当然今君と会っているように
友人なり家族なり生活なりがあったんだから、当然帰る積りだと
言ったんだよ。そうするとにとりは最初は僕が冗談を言って
いるんだと思って居たようでね、外界では今日がエイプリル
フールなのかいと軽口を返していたんだけれど、僕が冗談なんか
ではなく、本気で言っていると暫くすると分かったようで、
そうすると僕にしがみついて泣きだすんだよ。-私を捨てるの、
だの、私のことを頼ってくれていたじゃないか、とか、盟友
だよね-と、僕を人間代表にしてくれた物だから、当然丁寧に
一つ一つ否定してあげたんだよ。
 色々彼女の妄言を否定してあげた後に、-捨てるも何も、
最初から恋人でも何でもなかったじゃないか-と最後に言うとね、
彼女もすっかり呆気に取られた様な感じでね、まあ、頭が真っ白に
なっていたというやつなんだろうけどね、その隙に僕はさっ


33 : ○○ :2016/06/25(土) 02:07:04 xB36zK6o
さと彼女の家をお暇させてもらったという次第さ。
 勿論君が眉を顰めるように、彼女には大変悪い事をしたと思って
いる訳なんだけれどね、しかし僕に弁解の機会を与えて貰えると
すればなんだけれど、彼女が怖かったんだよ。
 うん、大の男が見目麗しい女性相手に恐ろしいとは何事か、と
思われるんだろうけれど、僕はその時にはそれはそれは恐ろしい
思いだったんだよ。何せ今まで彼女は幻想郷の各地に連れていって
くれた訳なんだけどね、そこで彼女が一度も彼女の友人の凶行を
否定していなかったんだよ。そう、永琳女史や博麗の巫女や
天狗の文屋と僕が問答した時も、一度もにとりは僕に同意しな
かったんだよ。その時僕は悟った訳さ、ああ、にとりもあいつらと
同類なんだとね。

 さて彼女から逃げて僕は、前に幻想郷に迷い込んだ時と同じ様に
また山の中を彷徨っていたんだけれどね、すると霧が出てきた
後に僕は目出度く、小説のようにこっちの世界に戻って来る事が
出来たという寸法さ。しかしこうまで小説と同じようになると
少々不安があってね、一つはかつてにとりの家に飾っていた花
がそう、そこに有るんだけれどね、誰もいない内に之れが置かれて
いたんだよ。しかも誰も唯の花瓶で花なんて咲いていないと言うん
だから、僕としても小説とおんなじではないかと不安になって
しまってね、だから君にこうやって話して不安を紛らわしているん
だよ。


34 : ○○ :2016/06/25(土) 02:08:12 xB36zK6o
 どうだい君には見えるかい?ああ、そうかありがとう、君は優しい
なあ、にとりの部屋には青色の薔薇があったんだよ。君の優しさを
僕は裏切ってしまったよ。知っているかい?不可能は無いって花言葉
を。
 ああ、遂に話をしていれば影という事か!そこににとりがいるよ!
まあ、彼女は光学迷彩を着ているから、君には見えないんだろうけれどね。
ああ、本当に恐ろしいよ、すまないにとり!僕は、ああ、ああ、ああ!


 彼が一頻り叫び声を上げて、文字通りに発狂してしまった後に、
僕はナースコールを押して看護師を呼んだのであるが、僕がその日以降に
病院で彼に会うことは無かったのである。その日は医者に彼を任せて帰った
のであるが、数日後に彼がどうなったかと悶々としていた僕に、彼の家族が
訪問してきたのであった。
 家族の話を聞くと、あの日彼は鎮静剤で眠りについたのであるが、翌日に
なると閉鎖病棟から脱走をしていたらしい。しかしいくら健康体であると
言っても、閉鎖病棟の三階から逃げ出すことは容易ではないのであるから、
家人も誰かが手引きをしたのではないかと半ば疑っていて、親しかった
僕の所に話を聞きに来た次第であった。
 僕がその日彼がある人物に怯えていたと話すと、貴重な手がかりに
食いついていたのであるが、その人物がにとり某なる人物で有ると知ると、
傍目から分かる程に落胆をしていた。そして収穫が無いと分かると、
僕に花瓶を渡したのであるが、新聞紙に包まれた花瓶を開けると、
そこから青い薔薇の立体映像が生えてきた。


35 : ○○ :2016/06/25(土) 02:10:59 xB36zK6o
 僕は家人が全く反応していないことから、その薔薇が幻覚であると判断し、
暴れる心臓を服の下に隠しながら客人の応対を終えたのであるが、翌朝に
なってもその薔薇はそこに存在していたのです。
 良く世間では「深淵を覗く者は、深淵からも覗かれていることを
自覚しなければならない」と言うようであるが、それが本当ならば、
深淵に手を伸ばした者は、深淵に手を捕まえられるやもしれません。

 ええ、以上が僕が幻想郷に入り込んだ顛末になります。此方全てが
真実になりますよ、椛さん。花果念時報の記者さんに確認して貰えれば、
恐らく以前彼が幻想郷に入った時に、携帯電話を預けたそうですので、
僕の写真やらのデーターが残っているでしょうから。
 ああ、僕は恐ろしい、何故かは絶対に貴方達には言えませんが、恐ろしい。
一体僕はどうなってしまうのでしょうか?

以上になります。深夜に一気に書き上げると、勢いは良いが誤字が多くなる
現象。


36 : ○○ :2016/06/25(土) 22:34:43 BpXefrVw
ねえ、○○。
私は意識があっても、無意識でも、あなたのこと好きだよ。
私にはあなたしか見えない、あなたしか聞こえない、あなたのことしか考えない。
私は意識があっても、無意識でも、あなたの傍にいる、ずっと。
ううん、別に気づいてほしいわけじゃないよ、私のこの能力じゃ仕方ないと思うし。
でもね、○○には私のこと意識してほしの。私のコト、思っていてほしいの。
私は○○の傍にずっといるよ、ずっとずっと。
だからあなたは…私のコト忘れないでいてね?私のコト、意識して…くれるよね?


37 : ○○ :2016/06/25(土) 23:06:25 WMxzQ6hM
悲しいな。
多分、何かいるって気味悪がられるだけでも喜んでるんだろう
自分のことを諦めてるってところが超好き


38 : ○○ :2016/06/26(日) 14:20:40 B0Qon/UU
>>河童のひと
もとネタありだったけど、面白かった。
にとりのテーマBGMが芥川の……だけど、原作小説がこれがまたその、控えめにいって狂ってるんだよなぁ
当時はえっ?!ニトリもアレなの?とびびったよ。
にとりがすがり付いてきたジーンはお前ハッキリ言い過ぎだろ、と思ったけど数秒後には仕方ないね(許容の心)と納得せざるを得なかった。
ヤンデレのすがり付きは個人的にはこのジャンルの大きな見せ場だと思うので、もっと見たかったけど、回想という淡々とした語り口からは難しいと思うので、ねっとりとした愁嘆場は次回いこうに期待。
小学生並の感想ですが、面白かったです。


39 : ○○ :2016/06/26(日) 14:44:33 B0Qon/UU
>>36
この圧倒的ヒロイン力……
なんかこう、「ひょんなことから出会った不思議な少女とアレヤコレしてお互い憎からず想い合ってるけど時間制限がこくこくと迫ってて、コイシー! ○○ー!(画面ホワイトアウトBGMこいしのテーマオルゴールver)」
みたいな、そんなヒロイン力。
もち、最後には見えなくなってる○○をちょっと離れたところでこいしが見てるんだけど、なんやかんやあって「……こいし?」「見えてるの!?やったーウレシー!抱いてー」みたくなってエンディングとスタッフロール流れそう。
そんな感じでいいね。


40 : ○○ :2016/06/26(日) 17:28:19 VAUCnwR2
にとり夫婦とそのうち再会しそうだな


41 : ○○ :2016/06/26(日) 20:40:27 B2/0C6gE
ヤンデレ橙その2


絶対に渡さない 誰にも渡さない ○○は私だけのもの

誰かが○○を奪うつもりなら容赦しない

たとえ自分の主が○○を奪おうとしても、○○は絶対に渡さないから

○○に甘えて良いのは私だけ ○○を愛していいのは私だけ

私だけの○○

○○は私ことを受け入れてくれるよね? 私だけを愛してくれるよね?

たとえそうでなくても、○○が私だけしか愛せないようにしちゃうから

○○は私だけのものなんだから


42 : ○○ :2016/06/27(月) 00:19:53 SPfjmH4k
スレ立て乙です。
ギスギス命蓮寺の時間がなかなか取れないので短編を。

アナタノタメニウマレタ。

「首を……?」
「そう、首を」

何処を?という意味ではなく、何故?と問うた○○に、彼の恋人--藤原妹紅即座に応えた。

「お前に、私の首を絞めて欲しいんだ」

そう復唱する妹紅は、気恥ずかしそうに視線を落とすと、その白い頬を染めた。
両手を脚で挟むようにしてぺたりと座る妹紅は、ゆるゆるとその体を左右に揺らしながら○○を待っていた。

「……そんなこと言ったってお前……マジで?」

○○は混乱した。
その口は卑屈げにつり上がり、まるで冗談だと言われなんだそうかと笑い返すのを待ち構えるようだった。
が、しかし妹紅からは○○が望む応えはかえっては来ない。
二人の住むあばら家の中心に位置する囲炉裏の火が、時を刻むように何度か鳴いた。

「死んじまうだろ」
「ああ、死ぬよ」
「ふざけるな。俺が惚れた女絞め殺すような男にみえるのか」
「ふざけてない。あんただから殺して欲しい」

○○は怒り……を演じた。
妹紅の様子が、切羽詰まったものであるなら、もしくは悲壮な何かを垂れ流していたなら、それは演技するまでもなく自然と沸き上がってきただろう。
しかし、妹紅はあくまでも照れくさそうに、ともすれば性的な興奮すら感じているかのように○○へと訴えてくるのだ。
私を絞め殺して欲しい、と。

「何故そんな……おい、俺を見ろ」

○○はまるで分からなくなり、少しでも何かを得ようと、妹紅との繋がりを得ようと、彼女の肩を掴み鼻頭を擦り合わせるほど密着した。
視点の最小距離ぎりぎりに接近した○○には、妹紅の赤い瞳がその虹彩までハッキリと見える。
鼻孔からは、少しの汗と、その奥に控えた香(こう)のような艶やかな芳香。そして妹紅の唇の匂いが流れてくる。
何時もなら、この距離にお互いがいれば間もなくその唇を合わせ、ついばみ愛を囁き会うというのに……

「……キス、したい……この距離にいると」

照れくさそうに、しかし情欲をたっぷりと含んだ吐息で、妹紅は囁くように息を吐いた。
○○の鼻孔には、妹紅の唾液と粘膜、そして肉の酸味がより濃く匂った。

「そんなの……いや、そうだな。そうだ。キスしてエッチして、寝よう。普通に。そんで明日は」
「うん。そのあとでもいいから、私の殺してね」
「なんでだよ!」

とうとう○○は耐えきれず、だんと板の間に妹紅を押し倒した。
妹紅の焼き付くした灰のような白い髪が放射状に広がり、まるで水溜まりのように歪んだ円を描いていた。
その円を、妹紅は縦断する橋のように身を横たえ、○○をじっと見ていた。

「この手がね、好きなんだ。あったかくて、程よく固くて」

妹紅は○○の手を指先で撫で、うっとりとした声で囁く。
そして、やおら○○の手首を掴むと今度は有無を言わせぬ力で自らの細首へと導いた。

「この手に殺されたいんだ」

赤い瞳で、じっと○○へと乞う。
彼女の意思は固かった。
何がなんでも、○○の手で殺されたい。そう言っている。

「なんでだよぉ……俺はお前と添い遂げる為に、その為だけに、ここに残ったんだぞ? なのになんでお前を殺さないとならないんだ!
俺はお前と生きたいんだ。お前とずっと、ずっと! いちゃいちゃしたり、喧嘩したり、子供とか作ったりしていきたいんだ!」

半泣きの、裏がった声で○○は訴えた。
もはやここに来て、○○に出来るのは泣き落とししかなかったのだ。
子供、という単語に妹紅の視線がわずかに泳いだのにはしかし、○○は気付かなかった。

「嬉しい……嬉しいよ○○。だからこそ…」
「なんで!」
「お前の……貴方の手で死んで、そして生まれ変わりたいんだ」
「ああ?!」

何がそうまで彼女をさせるのか。
○○は分からず、声をあらげた。
それで自分を置いていっては仕様がないではないか!と。
自分と過ごす時間に、そんなに意味がないのかと。
自分はずっとずっと居たいのに、と。
そう叫ぶ○○に、一瞬だけ目を丸くした妹紅は、○○が想いを叫ぶたび唇を釣り上げ、瞳を潤ませた。


43 : ○○ :2016/06/27(月) 00:41:40 SPfjmH4k
妹紅はほんの少し後悔した。
しまったな……こんな嬉しいなんて、凄くキスしたいのに……もうちょっとだけ手をやるのを後にすればよかった……
首に回させた手と腕がつっかえ棒のようになって、動けない。そのことだけを少し後悔した。
彼に、○○にはまだ自分が不老不死だということは伝えていない。
それは、たんに面倒くさかったから伸ばし伸ばしにしていたに過ぎないが、それがこんなに嬉しい言葉をくれることになるなんて。
果報は寝て待てということか……
妹紅が、○○を愛しく思う気持ちに嘘はない。
本当に心の底から愛している。
○○のために生きたかった。ただ○○の為の自分で在りたかった。
だから、○○の手で自分を生まれ変わらせて欲しい。そう願っていた。

この体を壊すのは○○だけ。
もう輝夜にも殺させない。
そして新しく生まれた私を最初に見るのは○○ただ一人。
朝に生まれ、夜に死ぬ。
○○の為だけに生まれた、この雛鳥はきっと○○だけを追って生きる。
○○は言っていた。
ずっと私と生きたいと。
あんなにも激しく、あんなにも真剣に。
嬉しい。
とても嬉しい。
彼の願いを私は叶えてあげられる。……なんて素晴らしいんだろう!
その願いは、私もずっとずっと思ってきたこと。
嗚呼……
よかった。
はやく、はやく死にたいな。
あ、でもその前に、ちょっとその、抱いて貰おう、かな……
なんて、どうしよ。照れる。
生きるって、なんて素晴らしいんだろう。





44 : ○○ :2016/06/27(月) 13:46:35 sDyWMhtU
新作ラッシュで脳みそとろける。
小ネタでもSSでもまずは…愛があればいいんだよ。

 男は現代から忘却された
 だからここにやってきた

 男は何も分からない
 家族も愛も友情も

 ならば私が母になります

 不意に少女がそういった
 身の丈半分届かぬ母
 男はこうして母を知る

 友とは何か彼は問う
 友情とは何なのか

 だったらあたいが友になる

 同性ではなく異性の友
 いたずらに遊び日々過ごし
 こうして彼は友を知る

 愛とはいったい何なのか
 他人を思いやるその心

 私たちが教えてあげる

 遊び働き言葉を交わし
 彼は彼女らと親密に
 こうして彼は愛、それと恋人の二つを知る

 そして彼は意思を持つ

 今から戻ってやり直す
 忘れたものを取り戻す

 けれども彼にはわからない
 愛の重さや恐ろしさ

 帰らないでと母は言う
 もっと遊ぶと友は言う
 より幸せにと恋人は言う

 彼は知らないその真意
 単に寂しいだけだろう?
 男は気楽にそういった

 秘める想いの重さも知らず。


妖精って見た目少女だけど長く生きている分、
精神的な部分がどうなってるのか予測がつかないところが書きやすさとしては良いと思う。


45 : ○○ :2016/06/27(月) 18:45:27 J1kJv57o
>>小ネタでもSSでもまずは…愛があればいいんだよ。
いいこという。うちに来て三妖精読んでっていいぞ
妖精は幻想郷の住人にとってこそさして脅威とされてないけど、なんか真剣に考えると怖いよね。
お前を妖精の国につれて行く……みたいな怖さがある。数も多いし……
でもなんか、チルノならヤンデレになってもこう、隙がありそうで可愛いよな


46 : 避難所管理人 :2016/06/27(月) 19:24:33 ???
ちょっと失礼します。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/22651/1466624227/l50
このスレと同名のスレが数日遅れて板内に立てられていますが、
重複・ミス等であれば運営・削除依頼スレにて削除依頼をお願いします。

○運営・削除依頼スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/22651/1432392839/l50


47 : ○○ :2016/06/28(火) 00:19:52 dQS0i/k2
>>ならば私が母になります
この一文だけで、ストーリーが一気に深みを増した。
こういうの書けるようになりたいわ


48 : ○○ :2016/06/28(火) 19:01:38 5zryRD1U
こちらのスレを使用でいいでしょうか?


49 : ○○ :2016/06/28(火) 20:49:58 S.UKsOfo
いいと思います
後から重複スレが立てられたのは知らなかったし何故立てられたのかもまったくわかりません


50 : ○○ :2016/06/28(火) 23:24:54 1Je1SH9I
削除依頼スレにて重複スレの削除をお願いしてきました。


あなたが欲しいと私は言った
私は無理だとあなたは言った

故郷 家族 旧友
残したものにまた会いたい

こっちに残れと私は言う
帰らなくてはと彼は言う

監禁 洗脳 束縛
俺はそれには染まらない

逃がしはしないと我は言う
捕まるものかと彼は言う

能力 魔法 仙術
得体の知れない力を使い
女は男を追い詰める

愛を語ると女は言い
愛は騙りと男は言う

理解が欲しいと女は叫ぶ
ならば帰せと男も叫ぶ

生涯一緒と女は語り
生涯御免と男は返す

あなたを絶対離さない
私は絶対離さない
男が一人 捕まった

理解が出来ぬと言うならば
教えてあげよういつまでも
男が一人 捕まった

永劫一緒
どこでも一緒
男が一人 捕まった

男と女 終わらぬ駆け引き
宴は終わらぬいつまでも。

本当は普通のセリフ多めのSSが書きたいはずなのに…


51 : ○○ :2016/06/29(水) 19:46:59 EmaE7n5o
いやぁ、これはこれでいいじゃん
普通のSSも期待してます。
SSといえば、ここってあまり他のところみたいなト書きのSSみないね
○○「ーー」みたいなの


52 : ○○ :2016/06/30(木) 03:58:47 r5ouPmUs
じゃあ書く

00「何してんの」

青娥「覗いてんの」

00「見ててもおもんないで」

青娥「あたしの勝手やん、ええやん」

00「俺のプライベートはどうなんの」

青娥「ええやん、夫婦やし」

00「じゃあ、こっちおいでや」

青娥「近寄ったら、臭いもん」

00「付き合う前は隠れて嗅いでたやろ」

青娥「その話もういやや、忘れたまえ、初老のおっさんやったら簡単やろ」

00「おどれ、食らわすぞ、おばはん。もうええ、今日飯作らんし」

青娥「すぐしょげんのは、弟子のころから変わらんな。また躾けたろか」

00「そんなんしたら、ピンクのとこ行くからな」

青娥「あんだけ痛めつけられて、まだ懲りんの。地下行き決定」

00「ああ、神様。嫁が夫をいつまでたってもいじめます」

関西熟年夫婦風味 シリアス書くとギャグが恋しくなる


53 : ○○ :2016/06/30(木) 19:56:38 Rvl9A6PQ
初カキコ…ども…
短く纏められず長くなりますが連投すいません



実を言うと私博麗霊夢はどうやって空を飛んでいるのかわからない
私にとって空を飛ぶことは特別でもなんでもなくて、手足を動かすみたいに当たり前のことだったから

今にして思えばなんて愚かな女かと思う

彼との出会いを思い出せない
というよりは、思い返すほど彼との出会いは印象的なものではなかった。
繰り返していく私の毎日にいつの間にか組み込まれていて、自然と他人から知り合いに、友達に変わっていった
そうやって関係が昇華していくことになんの気持ちも抱いていなかった、おかしくなんてなかったし特別なんかでもなかった
関わるほどにお互いのことをよく知ることは当たり前のことだと思っていたから
だから、私が布団に入り夜の帳の中でいつも彼のことを思い出していたのを変に思ったりしなかった
暫く会えなくて寂しいと思う時も、彼が笑顔を見せてくれると嬉しいと思う時も、他の女の子と仲良くしている時苦しくて悲しいと思う時も
私はそう感じることの意味を、よくわかっていなくて
自然と彼のことを目で追う自分の『空に浮いている』心を捉えることができなかった

そう
当たり前に仲良くなっていく私と彼の関係は
当たり前にそのまま進展していくんだと
当たり前のように手を繋ぎ優しさを囁いて、肩をよせ微笑み合い、唇を重ね、愛を紡ぐことができるんだって
当たり前に、そうなっていくと
…………思ってた
好きになることは、当たり前なことだと思ってたの




   彼と魔理沙が手を繋いでいた


54 : ○○ :2016/06/30(木) 20:03:11 Rvl9A6PQ
>>53

刺すような痛みが、流れた
遅れて、心を攫っていくような漣が。どうしようもないような虚しさと悲しさが押し寄せて優しい気持ちを持って行ってしまう

一目で気づいたの
二人が手を繋いでいる、その理由と意味を

同時にもう一つ気づいた
彼の繋いだ手の先にいるのが
手を繋ぐその理由が
私じゃないってことを

脳裏に焼き付いたその考えを剥がせない
もしかしたらそうじゃないかもしれない
何かの間違いかもしれない
理由も意味もなくほんとにただ手を繋いでいるだけかもしれない
そう思いたいのに
そうであって欲しいのに
あの人ことを思うだけで優しくなれたのに
悲しい気持ちが止まらなかった

痛い

初めてだった
『どうしようもない苦しみ』
今までは自由だった。どんな困難にも立ち向かえたし乗り越えてこられた
不満はあったけど不安はなかったし辛くはなかった
私は『飛べたから』

どうすればこの痛みを消せるのか
私は知らない

あの人が笑うのが、痛い

暗い膜が心を覆っていく、悲しみや苦しみが押し寄せてきて迷子になって
ぐるりぐるりと、何回も何回も同じ所をウロウロして
抜け出せなくて
不安を抱えながら明日を迎えることがこんなに辛いことだなんて、私は知らなかった
次の日も
次の日も
次の日も
次の日も
次の日も
目を閉じるのが、眠りにつくのが途方もなく恐かった
明日が来ませんように
夜が明けませんように
目が覚めませんように


どんなに辛い夜でも
朝日は必ずやってくる

いつしか私は朝が嫌いになっていた

もう、刺すのをやめて


55 : ○○ :2016/06/30(木) 20:12:39 Rvl9A6PQ
>>54

土砂降りの雨の日だった
夕暮れはもう直ぐで、辺りはより一層光りを落としていく
蒸し暑く、不快感を閉じこめたような天気
私は彼の家の戸を叩く
彼は私が来たことに驚きを隠せないようだった。無理もない、私はずぶ濡れだった
彼は急いで私を部屋に上げるとアタフタとして、タオルを用意してくれた。けれどピタッと止まって「服までずぶ濡れなんだから、俺は何してんだ」と呟きお風呂を貸してくれた
「着替えここにおいとくからね」と脱衣所から聞こえる。
体を拭いて彼の服を着る、サイズが合わなくてブカブカだった
彼はコーヒー牛乳を差し出して、「どうしたの?」って心配してくれた。
傘が壊れたって、嘘をついた。今日退治しにいった妖怪にね、ちょっと油断してて…と作り話を始めた
彼は本当に優しくて、時に憤慨し、時に泣き、それでも私の作り話を信じてくれた

雨は止むどころかより一層激しさを増していく

渇いていた
飢えていたのだと思う、私は彼の優しさや愛しさが欲しくて藻搔いていた
わざとずぶ濡れになって気を引くような真似をしてー
普段の私では絶対やらないこと
心が熱くなって満たされていく、同時にひどい自己嫌悪に陥る
嬉しいのにみっともない
どんどん自分が嫌いになっていく
足りなかった
彼の優しさを嬉しく思うけれど、今の私の心の渇きは潤わなかった
もっと求めるように、彼の優しさを吸った分また渇いていく


56 : ○○ :2016/06/30(木) 20:30:36 Rvl9A6PQ

そうして、コップの底も見え作り話も限界に来た頃
私は意を決して問いかけた

「最近魔理沙と仲がいいみたいね」って

彼は笑っていたけれど、目を大きく開けて固まっていた。そっと目を逸らし口元を手で覆う
彼の…癖だった
思いがけない問いかけに答えを見繕おうとしている

「なんのことかな?」
戯けたように笑った、まるでそんなの勘違いだよって。「仲がいいみたいね」ってしか聞いてないのにはぐらかそうとしている。
私が何を問い詰めているのか気づいてる

「隠さなくてもいいのよ」
「私、見たもの。あなたが魔理沙と手を繋いでるの」
彼は、瞬きとは言えないぐらいの間瞼を閉じた
ぐっと眉間に皺が寄せて口をへの字に曲げ…大きく息を吐き出した

笑っていた

「隠してるつもりはなかったんだけどな…」
視線は相変わらず私には向けられなかった
隠していても、口の端が上がっているのがわかった
悪意もなく彼は笑みを零し照れくさそうに頬を掻く

刺すような痛みが、流れた
遅れて、心を攫っていくような漣が。どうしようもないような虚しさと悲しさが押し寄せて優しい気持ちを持って行ってしまう

笑っていた
笑っていた
笑っていた
笑っていた

ワラッテイタ…

この人は私じゃない誰かに恋してる


57 : ○○ :2016/06/30(木) 20:58:47 /xwI8n8Y
>>56

触れられない体の奥から何かがせり上がってくる
胸の辺りに来たところで、目頭が熱くなって手がふるえた
声を出すと泣いてしまいそうだった

「本当に隠してるつもりはなかったんだ。いや…隠してたよね、ごめん。どう報告していいものかと…魔理沙も恥ずかしがってたし」

痛くて苦しい
もう彼の目に、心に、私はいなかった
ここにはいない、私じゃない魔理沙のことで
彼の頭はいっぱいだった

「魔理沙も言ってたけど、やっぱり霊夢には隠し事はきかないね」
優しくて明るいその笑顔
今はもう、眩しすぎて
私の心を焼きつけていく

彼の口から次々と魔理沙のことが告げられていく
違う、そうじゃない。口に出して欲しいのは魔理沙のことじゃない、私のことを話してほしい
私を見て欲しい
私を…想って欲しい
だって、私はあなたのことを想ってる。あなたさえ想ってくれれば、同じなはず
『たったそれだけなのに』
なんで、彼の手を握れるのが私じゃないのだろう

…同じ

彼が、私を選ばなかった理由
同じじゃなかったから
心が同じじゃなかったからだ
私の気持ちを知らなかったから
だからだろう、だったら

だったら、今気持ちを伝えればー
少しは重なる部分は存在するだろうか

優しい彼のことだから、もしかしたら私に傾いてくれるかもしれない
…いや、無理だろう。そんな不義理なことを出来ないことを私は知っている
でもどうだろう、私のこの痛みを知ってくれたなら少しは違うかもしれない
私のことを放っておけないって…情けをかけてくれるかもしれない
痛み、私の心を刺す針
刺さったままでもいい、彼がその傷を撫でてくれるなら痛みも愛おしく感じれると思う






だったら、刺そう
彼の胸を、針で突き刺すのだ


58 : ○○ :2016/06/30(木) 21:11:01 /xwI8n8Y
>>57


優しさが憐れみでもいい
笑顔が哀しくてもいい
私の心の渇きには
彼の血と痛みが必要だった

袖口からパスウェイジョンニードルを取り出す
彼の胸元を見る、私の痛みの在処と同じ…私はそこが痛い
吹き出てくれる、血液みたいに『私を想う気持ち』が流れてくるだろう
押さえても止まらない痛みが、私が痛かったように彼もまた痛んでくれるはず
そうしてやっと同じになれる
私の悲しみと苦しみを痛みを通して感じてくれて『気づけなくてごめんね』って優しく撫でてくれる
彼に私の気持ちを知ってもらうには、私の痛みをわかってくれなければならない
だから…刺す

ねぇ、気づいてた?

「魔理沙のこと、好きなの?」

今日のリボン…あなたがプレゼントしてくれたものだったのよ?

言葉はなかった、頷きもしなかったけど
彼の、はにかんだ笑顔が全てを語っていた

私はパスウェイジョンニードルを強く、強く握り締めていたー


59 : ○○ :2016/06/30(木) 21:31:24 /xwI8n8Y
>>58


結論から言うと私はあの人を刺せなかった


できるはずがなかった
あの人を愛していたから
それだけじゃない、魔理沙は私の親友だから
そこに、羨望や悲愴で産んだ痛みを与えることは私にはできなかった
苦しみに飲まれ、感情のままに行動できるほど狂えなかった
けれど、だからといってその心の歪みを無かったことにできるほど強くもなかった…

「魔理沙は私の親友だから、泣かせたら許さないからね」

「それと、おめでとう」

精一杯の、強がり
ほんとは泣きたい、悲しくて苦しくてしょうがない。この辛さを吐き出して彼に慰めて欲しい
どうして私じゃないのって、愛してるって叫びたい
私のものにしたい、魔理沙と別れて欲しい
でも、それはできない
できないの、どんなに苦しくても辛くても
……できない……

照れくさそうに、申し訳なさそうに、笑う彼を見て…
堪えきれなかった、ぐっと、胸の内から沸き上がってきた
私はそれを押しとどめようときつく瞼と閉じ顎を食いしばった
必死にガマンする、苦しくて、ひと呼吸した時…鼻水をすすった。それが合図だった
後は、無様に崩れるだけだった

私の醜態に彼は眉をへの字にまげて、哀しく私を見つめた
刺さってしまった
気づいたのだ、私の気持ちに
でも、遅い。遅かった、遅すぎた
こんなものじゃなかったはず、自分の想いを伝えるってこと
こんなに悲しいものなんかじゃないはずだ
もっと輝いていて、優しくて温かいはず
遅かった
私が自分の気持ちを特別だと気づくのも

どうにもならないもの
才能や努力じゃ、どうしても得られないもの
私が本当に欲していたもの
優しさと愛しさ
私はそれに気づけなかった


60 : ○○ :2016/06/30(木) 21:35:59 /xwI8n8Y
>>59

彼が、私を振り払わなかったのは…なんでかな
強く抑えてもいなかった、術も使わなかった
避けれないほど、速くもしなかったつもり
抵抗の意思がなかったわけでもなさそうだった
それはきっと優しさでもなかったし…愛しさでもなかったけど
私には、わからない

誰も幸せにならない選択をしてしまった
彼も、魔理沙も、そして私も…誰も幸せにならない

私は彼の唇を奪った

ごめんなさいって何度も何度も、泣いて謝った
そんな言葉とは裏腹に、歪に私の心は満たされた
最低だった

あの日以来彼は顔を合わせると哀しそうな顔をするようになった
私も、複雑だったけど、笑って…そんなに悩まないでって…言った。
私はその度に、満たされていた。最低だけどあの日のことを私は忘れない
私の痛みを知ってくれてあの日のことを決して忘れない
ずっと、ずっとずっと彼を好きでいる
心の中までは、誰にも咎めないで欲しい
どんどん自分のことを嫌いになっていく、情けなくて悲しくて、それでも私はあの人にずっと恋していく
覚えてる、あなたの笑顔、面白い話、幸せな時間
全部全部、歪みが生まれかわってもう元には戻らないけれど
今は、その哀しい顔が愛おしい
心を刺す痛みがたまらなく愛おしい
最低な恋慕の情
醜くて、空を飛んでいた私の心は地に墜ちて
後悔もしているし罪悪感もある

だけど愛おしい
あなたはずっときっと特別

いつか歪んでくれると信じてる





オワリ


61 : ○○ :2016/07/01(金) 10:09:54 9S3qoQ9Y
スゴい新人きたな……
霊夢自己完結するのかなぁーと思ったら「こっちへこい」エンドなんだな。イイゾーコレ
霊夢が負けるってのはある種のカタルシスがあってそれも自分は的には良かったです。


62 : ○○ :2016/07/01(金) 19:21:08 7G1wFh2A
ヤバい。最近色々皆投稿してくれて、新人の人も増えて嬉しい。皆レベルが高くていい感じ


63 : ○○ :2016/07/03(日) 10:15:49 crEiZdEg
とんでもないのか来たな・・・
後日譚も見てみたい一方、このまとまりのよさこそ良いのかもしれないとも思う


64 : ○○ :2016/07/03(日) 11:19:29 e9d8F/.g

非想天則のEDのBGMを聞きながら誰も悲しみを生まないヤンデレ物を書いたらこうなった。


「ねえ○○…あなたは幸せ?」
「あぁ、幸せだよ」

 聞くだけならば出来たてのカップルや新婚ホヤホヤのセリフにしか聞こえないだろう。
糸と女の腕で絡まっている男の姿さえ気にしなければ。

「中々大変ですよね」

 と、幻想郷在住3ヶ月目の○○さんは言う。

「最初は向こうの一目惚れでしてね…
 いやぁ、毎晩人形に監視されてたり本人に監視されてたり怖かった」

 ―それで、プロポーズはアリスさんから?

「そうですね。
 アリスに無理矢理押し切られる形でしたよ。
 いやぁ…アリスの目がボォっと光ってて怖かった」

 ―あぁ…なるほど。
  でも、そこからどうして現在までに?

「まぁ確かに束縛欲だの、依存だのよく言われるじゃないですか。
 でもね、それもそういう愛の形って思い始めたんですよ」

 ―洗脳されてるんじゃないですか?(笑)

「かもね(笑)。
 でも実際、里の女性とかと親密になったりとかさえしなければ凄く優しい妻ですからね」

 ―それって中々難しいんじゃないですか?

「そりゃまあ、仕事しようが何しようが女性には会ってしまいますからね。
 だからアリスに限界のラインを決めてもらってます」

 ―自分で決めましょうよ(笑)

「自分で決めると甘いラインになっちゃうから(笑)。
 幻想郷は美人さんがやたら多いからね」

 ―おやぁ…爆弾発言?

「あー…今の発言はカットで(笑)。
 参ったな…今夜は何される事やら」

 ―是非宜しければ夜の生活についても取材を(笑)

「駄目駄目。
 人形による奇襲を避け続けながら取材できる自信があれば別だけどね(笑)」

 ―なるほど…じゃあ後で文さんに取材のお願いでもしますか(笑)

「止めてくれよ××。
 命がいくつあっても足りんぞ(笑)」

 ―そうですね。 お疲れ様です○○さん。

「××さん、取材終わりました?」
「はい、文さん。
 バッチリです」
「じゃあ今夜は新聞を簡単に作ってその後パーティーですね」
「そのパーティって文さんだけがお楽しみだったりとか…」
「しますね」
「そうですか…」
「新しいネタのために頑張りますよっ!!」



「○○…終わった?」
「ああ、終わったよアリス」
「私たちの赤裸々な生活が明日には幻想郷中を駆け回るのね…」
「ざっくりとしか聞いてこなかったからそれは無いと思うよ…?」
「じゃあ次の取材までにもっと特ダネを用意しましょうか」
「アリスサン、エガオガコワイカラヤメテホシイナー」
「大丈夫よ…死なない程度に加減はするから」


65 : ○○ :2016/07/03(日) 11:20:04 e9d8F/.g
 重い愛と言うのはいくらでも聞くけれど。
軽い愛と言うのは一体どういうものなのだろうか。
我々花果子念報はその謎に今日も迫ろうとする。
次号 「管理人と橋姫に直撃インタビュー!? 余裕と嫉妬の境界線」に続く

「はたてさん? 新聞出来ましたか?」
「△△…完成したわ! これで文と××を見返せるわよ!!」
「お疲れ様です。
 これ、お茶とお菓子です」
「その前に…ご褒美として△△が欲しいな」
「待って下さいはたてさん今朝も結構頑張ったんですから
何なんですかその目つきは徐々に近づいてこないでください
やめて下さいやめて下さいこっちににじり寄ってこないでぇぇぇー!!!」

P.S.
人間と妖怪の奇跡の結晶!?
〜子作りのイロハ、教えちゃいます!〜
も付録として鋭意製作中!!





 相手の種族を変えてでも生涯を誓うもの。
自分の中に相手そのものを取り入れる事で愛を達成するもの。
相手を支配し、思うままにする事で愛を手に入れるもの。

 皆、様々な方法で愛を得ようとする。
それこそが真実の愛と信じて。

 だが真実の愛とは何なのか。
それ以外はすべて偽物・作り物の愛なのか。
それは人間だろうと、妖怪だろうと、神様だろうと分からないものだろう。

 それは長い歴史を見てきた私でさえ分からない。
明晰な頭脳を持つ者に聞こうとも、
数多くの本を読む者に聞こうとも、
絶大なる力を持っていた者に聞いたとしても、分からなかったのだ。

「また俺と慧音を元に変な歴史作ってる…」
「…良いじゃないか、お前と私の仲だろう?
 それに今ここにいる私とお前には影響もないし。
 で、どうした?」
「夕飯出来たよ…あとその歴史は今度の満月に消しといてね」
「勿体無いな…分かった、すぐに行く」

 それでも、
この恋人と一緒にいるときはそんな疑問も吹き飛んでしまうようだ。
なら、それが真実の愛で良いじゃないか。

「「「「一生好き。 私の、私だけの旦那さま」」」」

地の文がうまく書けないのでセリフオンリーになりがちという恐怖
正直他の方が羨ましい。


66 : ○○ :2016/07/03(日) 13:22:16 4kaVNDB.
いや、これいいぞ!
さくっと読めるし。
パルパルは個人的にはちぃーさいことから妬んでくるけど、小出しにしてくる分可愛く妬む程度で済みそう。
でも、月一くらいで、ドカンと病みそう。


67 : ○○ :2016/07/03(日) 14:03:31 fv5/mvRw
ネタはあるけどSSにする時間ないからざっと書く

橙「フーーーーッッ! ○○に近付くと藍さまでも赦さないんだからね!!!」
藍「うう……橙が……こんな……グス……(ヨヨヨ)」
紫「藍、気にやむことなどありませんわ。何となればこの……」
橙「○○は私のもなんだもん!愛し合ってるんだもん!!!」
藍「橙……こんな、こんなに……(グシュグシュ)」
紫「……藍(生意気な子猫ですこと。いっそ式の契約をといてしまえばよいのでは?)」
藍「…………橙。聞きなさい(キリッ)」
紫「あら(あーあ、怒らせたわね。こうなると面倒よ?でもゆかりん知らなーい)」
藍「よくぞ! そこまで立派になった!!私は、私は嬉しいぞ(嬉し泣き)」
橙「?」
紫「?!?」
藍「そうだよな! 好いた男は誰にも、誰にも触らせたくないよな! 全て、全てが自分のものだよな! 分かる、分かるよ。
朝起きて、朝ごはんからおゆはん、閨の中まで……いいや、夢のなかまでもずっと、ずっと! いつも一緒だよ!!
子供子供と思っていたが、ぐす…こうも早く愛の真実に辿り着くとは……あ、涙が……子供は親の予想なんか超えて育っていくんだなぁ……ねえ!紫さま!」
紫「ええ……(ドン引き)」
橙「藍さま……っ(ダッ)」
藍「橙!(抱き)」
橙「そうなんです!全部、ぜーんぶ橙のものです!大好きなんです!!」
藍「はっはっはそうだな!そうだな! だが橙、忘れてはダメだぞ?」
橙「何をです?」
藍「相手の全てが橙のものってことは、橙の全ても相手のものなんだからな」
橙「!」
藍「ほう、体温が上がったな……素晴らしい。この悦びがもう分かるのか」
橙「藍さま! 橙は、橙の全てが……はわわわ」
藍「永く愛される女は尽くす女……支配される悦びと支配する喜びは表裏一体。うれしいな、橙」
橙「はい、橙幸せです……」
紫「ちょ! ちょっと!良いのそれで!?」
藍「はい、勿論です(紫の式)」
橙「はい、橙幸せになります(藍の式)」
紫「ええ……(ドン引き)」


紫「……なんてことがありましたのよ! もう、どういう積もりかしら(ぷんすこ)」
「……」
紫「式の身分をなんだと思ってるのかしら! ねぇ聞いてます? あ、髪もうちょと上ですわ……そうふふ、気持ち良い……ちゅ、これは御褒美」
「…………紫」
紫「はぁ、はぁ、『灯って』しまいましたわ……て、呼びましたか?」
「そろそろ出して欲しいなーって(イン隙間)」
紫「ん、舌出して……ん、ちゅ、ふふ……んんー、ちゅぱ ふう……まだまだダメですわ。私まだ足りませんもの……貴方も、私を好きにしていいのですよ? 隙間だけに(どやっ)」
「ええ……(絶望)」

藍ー世界一有名なダメ人間製造妖。
紫ーその主人
橙ーその式(new!)


68 : ○○ :2016/07/04(月) 01:15:20 OI9FfNGg
初ssなのでどうか温かい目でおねがいします...

「文危ない!!」

大声とともに○○が文を突き飛ばした。

    ・

    ・ 
    ・
    ・
今日も私は○○に会いに行く 理由?そんな事は○○が好きだからに決まっている。
○○は外来人で妖怪に襲われていたところを私が助けた、といった所だ。
私達妖怪は極々一部を除き人間に良いようには思われていない。
それどころか里の人間の中には私達妖怪を排除しようと考えている人間もいるらしい、全く愚かな事だ。
しかし、そんな中○○だけが違った。
彼は私が彼が襲われているときに何となく助けた事に感謝してくれたのだ。
最初は助かりたいが為の一時的なものだと思っていたが彼はその後何度もお礼をしてくれたり更には私の仕事をも手伝うと言い出した。
流石の私も最初はやんわり断っていたのだが彼の真剣な眼差しに負け、彼の申し出を
引き受けた。今思えばこの辺りから彼、○○の事を好きになっていたかもしれない。


○○と待ち合わせしていた場所に着く 彼は既にそこに居た。
彼を視界に入れただけで心が躍る。

「すいません、○○さん。待たせてしまいましたかね?」と、不安げに私は聞くも

「いえ、そんな事はありませんよ。僕も今来たところです。」

そう言い、彼は笑った。本当に彼は優しい。そういう所も大好きだ。
暫く二人で他愛ない話をする。この時間が堪らなく愛おしい。

「射命丸さん今日はどちらへ?」と、○○が話を切り出してきた。

「今日はですね休みなのでのんびりしませんか?
 私の家まで案内しますy「文危ない!!」
「へっ?」

「死ね!この化け物が!」

話の最中に突然○○が大声とともに私を突き飛ばし、知らない男の怒号が聞こえた。
あまりにも突然の事だったので私は何が起きたかすら分からなかった。
しかし理由はすぐ分かった。
何故なら突き飛ばされた直後に里の者であろう男の鍬を振り下ろす姿を見たからだ。
大方妖怪が気に入らない人間の集団が襲いにきたのだろう。私はそうのんきに現状を確認していた。...ん?
○○が私を突き飛ばしたなら○○はどうなるのか?
私はその答えにすぐ気づいたが既に遅かった。
「○○ッ!!」
そう言い終えると同時にガンッ!という生々しい音が響いた...。


69 : ○○ :2016/07/04(月) 18:00:37 ou8XFLzE
>>64
目の前で人が動いているような感覚になるのが、
台詞主体のSSの長所でしょうか
地の文では、台詞の分量が中々不十分になりがちですので、
このSSでヤンデレ成分の補給?をさせて頂ました

>>67
この親にしてこの子ありでしょうか
家族は似てくるのかもしれません

>>68
文の感情がはっきりと感じられるのが良いです
生々しい感情と情景が魅力的です

>>42の妹紅ヤンデレ物を見ていると、思わず書きたくなってしまった
ので投稿させて頂きます。


70 : ○○ :2016/07/04(月) 18:01:32 ou8XFLzE
 満月の騒動

 「なあ、妹紅。ちょっと話がある。」
そう言って恋人の妹紅を呼び寄せる。軽い口調であるが、心の中は正反対に
バクバクと大きく脈を打っていた。
「なに、急に。」
そう言って彼女はいつもの様な顔をして近寄ってくる。永遠を生きる女性。
蓬莱の薬は不老不死と共に、妹紅に女と少女の境目にて、丁度色やら恋やら
を身につけていく年代の美しさを、若い女性には似つかわしくない白色の髪
と共に永久に彼女に与えていた。
普段通りに、何気なく、しかし耳に細心の注意を払い、妹紅に尋ねる。
「最近、里の八百屋の娘さんが居なくなってさ、今日も村役の皆で捜していた
んだけれどさ。」

 唾を飲み込み話を続ける。口の中はカラカラに乾いていた。
「白髪の女と神隠しに遭った娘さんが、話しているのを見たって人が居て。」
妹紅の様子を横目で窺うが、彼女は「ふうん。」と興味が無いような、気の
抜けた返事である。これはガセを掴まされたかと思いつつも、話を続ける。
「白髪の女性なんて中々珍しいからさ、何か知っているんじゃないかって
思ってさ。」
彼女は目線を左の上に向けている。確か外界の心理学の雑学本には、過去の
事を思い出す時に見る癖として紹介されていた。
「いや、別に会ってもいないけれど。」
たっぷり十秒程は考えて彼女は返事をする。


71 : ○○ :2016/07/04(月) 18:02:10 ou8XFLzE
「白髪の若い女なんて、どうせ薄暗いから何かと見間違えたんだろう?」
いつもの口調で会話する彼女の話を聞いていると、何だか彼女はこの件に
関係ない気がしてくる。しかしそうと済ましていては、話は始まらない。
彼女の言葉に敢えて突っ込みを入れる。
「どうして若い女なんて知っているんだ。俺は何も言ってないぞ。」
無理矢理に苦しい問い詰め方であるが、何か有ればボロを出すであろうと
誘導尋問を掛ける。

 しかし彼女は動揺を見せずに、面倒臭そうな表情すら漂わせて返事をする。
「○○が私に話をするんなら、若い女なんだろう。日中で明るかったんなら、
多分何処の誰か分かっているだろうし。」
道理の通った回答である。いつも冷静な、ややもすればシニカルな彼女が感情を
露わにしたことを見たことが無い。千年も生きれば大抵の事は、慣れてしまう
のかも知れない。彼女に心の中で謝りながら、次の毒を吐く。
「いや、お前がその娘さんと言い争っているのを、見た人が居るんだ。」
嘘である。捜索中にも、そんなことは全く聞いていない。
 禁じ手まで使って彼女を罠に掛ける。軽い自己嫌悪になりながら、これで
何も無ければ、この話は終わりにしようと思う。元々話したやつも曖昧な
ことを言っていた程度のネタである。妹紅を裏切ってまで追求する価値は無い。


72 : ○○ :2016/07/04(月) 18:02:43 ou8XFLzE
 彼女を真剣に見つめていると、今まで我関せずといった妹紅に、初めて変化が
生じた。
「あー、はいはい、あの時ね。炭の代金で揉めてね。居なくなった夜より
大分前の昼間だったし、こっちの数量違いだったから、何だか恥ずかしくってね。
ゴメンゴメン。その時だね。」
動揺する事も無く、淀みなく言葉を紡いでいく彼女を見ていると、本当にうっかり
していただけのようである。今晩酒と一緒に契約の証文を持って行くという彼女を
信じると決めた。


 夜になり妹紅が家に来る。唯の人間ならば妖怪が怖くて活動出来ない時刻であるが、
妖術が使える彼女にとっては、昼間と大差ないのであろう。日本酒を持ってきた妹紅を
つまみと共に出迎える。
 かなりの早い調子で妹紅は酒を飲んでいく。必然的に此方も応杯を重ねる。普段
ならば味わって酒を飲む彼女にしてみれば、珍しい飲み方であろう。そんな飲み方を
していれば、当然酔いも早いものであり、四半刻程経った時分には、すっかり酔って
おり、気分が高揚し背中の力が抜けてくる。同じ様に、机に寄りかかった妹紅は、
先程台所で作ってきた漬け物を、囓りながら尋ねてくる。
「そういえば、どうして今日あんなに私に聞いてきたの?」
そういえばそんなこともあったなと、回らない頭で妹紅に答える。
「聞き込みをしている時に、白髪の女が、八百屋の娘と話しているのを見たって、
米屋の太郎が言っていたから。」


73 : ○○ :2016/07/04(月) 18:03:20 ou8XFLzE
「それだけ?」
どうしてそんなに聞いてきたのか、と彼女は僕に顔を近づけて擦り寄る。アルコールの
臭いでは無く、里で最近売っているパフュームの香りがした。
「聞いたのは、それだけ。妹紅が喧嘩していたのとかは出任せ。」
そう言ってから、しまったと内心思う。これでは彼女を単に疑っていたことが
バレてしまう。

 しかし彼女は目の前で笑顔を見せ、にんまりと、とでも言う様な満面の笑顔を見せ、
目の前に証文を出す。蝋燭の光しかない室内では、夜に文字を見るには外界よりも数倍
骨が折れる。暗い室内で紙を見ようと一層顔を妹紅に近づけるが、見えるのは得体の
知れない文字ばかり、はてそんなに酔ったかと首を捻り何が書いてあるかを妹紅に尋ね
ようとした時に、急に机に体を押さえつけられた。
 暗い室内に中、目の前には墨の匂いのする紙ばかり。-おい馬鹿、何を巫山戯ている-
と妹紅に言うものの、柔術の押さえ込みの技を仕掛けられたかのような格好になっては、
動くことはままならずに唯体を揺らして藻掻くばかり。数十秒の格闘の末、息が上がり
抵抗出来なくなったことを見計らい、妹紅は家の外に声を掛けた。
 外から来た人物がよく通る声から上白沢慧音と知り、其方の方にも助けてくれと求める
も、彼女は妹紅と話すのみである。そして妹紅が僅かに体をずらし、顔が解放された
その時に上白沢が顔を目の前の紙に押さえつけてくる。凄まじい力が頭に掛かったかと
思うと、意識がふわりと宙に舞いそのまま気絶してしまっていた。


 朝になり辺りを見回すと、机には昨晩食べたであろう、つまみが綺麗なままで残っている。
二日酔いであろうぼやけた頭で周囲を見回せば、妹紅と同じ布団で同衾していることに
気が付いた。彼女は白い寝間着でしがみつくように眠っていたが、動いた時に起こして
ようで話しかけてきた。


74 : ○○ :2016/07/04(月) 18:06:21 ou8XFLzE
二日酔いを感じさせない白く澄み切った目で、彼女は私の目をしっかりと見つめて、
さも嬉しそうに言う。
「遂に私と同じ蓬莱人になってくれたね。本当に嬉しい。」
はてそんなことがあったかと、人ごとのように感じながらも、昨日のぼやけた記憶を
再生すると、昨晩酒に酔った弾みで妹紅に宣言し、血の滴る生き肝を食べた情景が
段々と脳裏に上演されてきた。ああ、しまった遂に人間で無くなってしまったと思う反面、
折角妹紅を愛したのだから、まあいいかと思う感情もあった。
「そういえば、月が綺麗だね、だったっけ?」
ほんの軽口で昨晩の口説き文句を妹紅に問いかける。
「そう、その言葉!本当に○○が言ってくれて嬉しかった。蓬莱人になってくれて、これで
一生、ずっと一緒に居てくれると思って。」
起き抜けであろうに、普段のクールな彼女とは違い、此方にぐいぐいと押してくる。
「汝健やかなるときも、病めるときも、愛しあうことを誓いますか、ってね。」
異国の宣教師を真似て彼女が軽口を叩く。
「誓います。」
同じく軽口を返すと、更に彼女の笑みが零れてくる。彼女の上辺のかつての姿は、人間と人外の
距離を保つ為のものであったのであろう。 ライオンが獲物を捕食するかのような、食い入る
ような彼女の姿を見ていると、年貢の納め時といった言葉が浮かんできた。

以上になります。
最近多くの人や新人の人が投稿して下さって活気が出てきた
ような気がします。


75 : ○○ :2016/07/04(月) 20:30:10 ZR5VdkLA
どうだ盟友っ!
新しく開発した薬品投与用の伸びーーーるアームだ!ふふふっ、凄いだろう?
しかもこれはなあー、ただ薬をやるだけしか能のない機会じゃあないんだよ。
例えばこうやって…




…君を捕縛することができる。
いやぁーーー、本当にがんばった甲斐があったよ。
いちいち面倒なアプローチなんかしなくても貴方を恋人にさせられるんだもんなあ。
本当に使い勝手が良い…。

おっとっと、駄目駄目、逃げられないよ?もがくほど締め付けが強くなるだけさ。
ひゅい?「何でこんなことを」…かあ。
うーん…理由は特にないかなあ、ていうか河童の間ではこんなの日常茶飯事だし。

…まあ、大丈夫だよ。
私は他のメスと違って四六時中監視したりはしないから。
きちんと日光には当ててあげるし、自由時間も設けてあげるよ。
フフッ♪盟友とのデート、楽しみだなあ…

…ああ、無駄話が過ぎたね。
さてと、…それじゃあ盟友。
記念すべきお薬投与一回目だよーっと。

次目を開けるのを楽しみにおいてね…


76 : ○○ :2016/07/04(月) 20:31:32 ZR5VdkLA
河童はヤンデレって芥川龍之介さんも書いてあったので…


77 : ○○ :2016/07/04(月) 20:52:43 ZR5VdkLA
てゆうか今日妹様の日じゃねえか
書かねば(使命感)


78 : ○○ :2016/07/04(月) 20:55:22 ZR5VdkLA
脱字訂正
「楽しみにおいてね…」は正しくは「楽しみにしておいてね…」と読んでくだされ


79 : ○○ :2016/07/04(月) 21:35:34 ZR5VdkLA
おいしょ、おいしょ…っと。うー…埃臭いなあ…。
屋根裏で待ち伏せっていうのは良い案だと思ったのだけれど…。
あ…来た来た。

私はじっと息を潜めた。
私が隠れている屋根裏の真下の部屋に、お兄様が入ってきた。
…正確にはお兄様ともう一匹…

ソイツはお兄様に促され、先にベッドの上に寝転んだ。
―――嗚呼、苛々する。すぐにでも壊してしまいたい。

…以前の私なら、即座にお兄様共々壊してしまっていただろう。
力の制御、感情の制御ができるようになったのは全てお兄様のおかげだ。

………だからこそ。
こんな糞女に寝取られるわけには絶対にいかない。

絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対二。


私は燻る気持ちを必死に抑えながら機を待った。
…そして、そのときが来た。
お兄様が女を置いて部屋から出ていった。
きっと煙草でも買いに行ったのだろう。

いずれにせよ、このチャンスを逃すわけにはいかない…!
私は女に手を向けた。






…きゅっとしてドカーン。






次の瞬間、女の体は パンッ という小さな音を出して破裂した。
そして赤い血が内臓と共に噴出し、地面に落ちた。






…フフフフッ♪
私は小さく、そして愉快に笑いながら、暗い夜の家路を歩いていた。
コオロギやフクロウの鳴き声が響いていた。

…本当にいいことをした。
これでお兄様も帰ってきてくれる、きっと明日にでもすぐに来てくれるだろう。
そうだそうだ、明日は久しぶりに本を読んでもらおう、お兄様の膝に乗りながら。

…ナデナデしてくれるかなあ。
いーーーっや、絶対に撫でてくれるに決まってる。



だって私とお兄様は……








  両思いなんだもの♪


80 : ○○ :2016/07/04(月) 21:37:58 ZR5VdkLA
本気書き。
こんなにも時間がかかるとは…。


81 : ○○ :2016/07/05(火) 03:10:58 PAdW4.2c
>>68
気がついたら目の前に血まみれの男が倒れていた。恐らく死んでいるであろう。
自分が何をしたのか全く覚えていない。が、こんな男の事はどうでもいい。
そんな事よりも○○を早く治療しなければ...


「んん...ここは何処だ?..痛っ!」
辺りを見回そうとしたら頭に激痛が走った。思わず手を頭に当てると

「駄目ですよ!安静にしてないと!」と、言う聞き覚えのない声が聞こえ
そこに目を向けると、うさぎの耳を生やした少女が居た。

「此処は何処ですか?貴方は?」と言うと目の前の少女は

「順を追って説明しますね。私は鈴仙。此処は診療所というか薬屋というかう〜ん、病院みたいなものです。
 4日前射命丸さんが蒼い顔をして貴方を此処に連れてきたんですよ?」と、言った。

そうだ。あの時射命丸さんを庇って頭を怪我したんだった。射命丸さん大丈夫だったのかな...

「そうでしたか。鈴仙さん治療していただきありがとうございます。」

「いえいえ、でも暫く安静だから大人しくしt「○○さん!!!!」

突如扉を勢い良く開ける音と同時に聞き慣れた声が聞こえた。

「○○さん!!!大丈夫でしたか!!??」
血相を変えた射命丸さんが飛びついてきた。
いきなりの事に驚きながら

「射命丸さん...痛いです...」と、言うと

「知りませんよそんな事!!!どれだけ私が心配したとおもってるんですか!!!うっ...うう...」
そう言い、目の前の射命丸さんは頬を濡らしていく。
ははは、なるべく静かにしてくださいね。と言い奥へ行く鈴仙さんを尻目に

「ご心配をかけてすいません...でも、射命丸さんが無事で良かったです」と、言った。

「あんな無茶は二度としないでくださいよ...貴方は私が護りますから...」
この時の射命丸さんの目が虚で黒く何処を見ているかが分からなかった。

昨日の一件から射命丸さんが妙にべっとりしてくる。
今までにも多少過保護な面があったが事あるごとに「貴方は私が居ないと駄目なんですから...」と虚な目で
言ってきたり鈴仙さんと話をしている間に強い視線を感じたり永遠亭に居るのにも関わらず束縛が激しくなってきた


82 : ○○ :2016/07/07(木) 01:13:00 cDOqiKNQ
いいぞいいぞ


83 : ○○ :2016/07/09(土) 03:16:37 5vU3OyTY
>>81
いよいよ退院も近いという時にも相変わらず射命丸さんは僕にずっとくっついてばかりいた。
看病してくれるのは凄くありがたいのだが以前射命丸さんに
「ずっと看病するのも大変でしょう、此処には鈴仙さんも居ますし数日休憩してくださいな」
と言ったら顔が曇り物凄く不機嫌になった。だからあまり強く押し退けるような事は言えない。

今日も射命丸さんは僕の前に座り、気味が悪い程のニコニコした笑顔で見つめてくる。
正直な話最初の方は入院生活で色々大変だった僕を助けてくれて凄く助かったのだが最近の射命丸さんは
何を考えているのか全く分からずあまり良い印象を持てない。
しばらく考えていたら射命丸さんが
「何か食べるもの買ってきますね〜すぐ戻ります!」と言い永遠亭を出て行った。
気をつけてと一言かけ見送ったら真剣そうな顔の鈴仙さんから声が掛かってきた。

「○○さん、師匠から大事なお話がありますので診察室まで付いてきてください。」
雰囲気からただ事ではないと分かり、分かりましたと一言言い、彼女に付いていった。
診察室に着き何の話だろうかと思いながら八意先生の話を待つ。
八意先生は苦い顔をしていたが口を開いた。

「○○さん、単刀直入に言います。射命丸文は危険です。」

「...急ですね、それはまたどういう意味で」

「そうですね、射命丸文は貴方を好いています。異常なほどに。」

面を食らった。彼女とは仲が良いとは思っていたがそれ止まりだと思っていた。

「しかし彼女は妖怪です。妖怪は精神に依存する生き物だと知っていますよね?
 恋をした妖怪がどうなるか、ましてや独占欲が混じった歪んだ恋を。これがどれだけ危険な事かお分かりですか?
 
「...。」
質問の意味は分かったが答えが分からなかった。

「簡単な事ですよ。独占欲に支配された射命丸文は貴方を自分の物とし、貴方の周りにも危害を加えるでしょう。
 これが人間の恋なら可愛い話で済みますが彼女は妖怪です。」

言葉が出なかった。いきなりの話に頭がパンク寸前だった。

「事実、射命丸文は鈴仙に危害を加えてます。」

「...!?」
追い討ちをかけるように言われた言葉に○○は頭の中で何故?としか言葉が出てこなかった。

「何故だ、と考えているようですね。理由は簡単です。鈴仙が貴方と喋ったからですよ。」

「そんなっ!」
単純明快な回答に思わず声が出た。

「ご理解して頂けましたか?射命丸文は鈴仙が貴方と喋っただけで嫉妬して危害を加えたのです。
 今後も徐々に彼女の歪んだ恋と嫉妬は酷くなりいづれは貴方にその全てをぶつけてくるでしょう。
 悪い事は言いませんが早急に彼女と縁を切るべきです。」

ただただ恐ろしかった。あんなにも陽気で朗らかな射命丸さんが僕を狙いあまつさえ鈴仙さんを傷つけていた事。

「急な話でしたから驚くのも無理はありませんね。すいません。が、全て事実です。
 今すぐに決断を出せとは言いませんが明日までに決めておいたほうが身の為ですよ。」

そう言われ放心している○○とは逆に怖いほどの笑みを浮かべた射命丸文が診察室の扉の前に居た。
永琳と○○の話を聞き終えた彼女は真っ黒な目で小さく呟く

   「○○さんは私の物ですよ...ふふふ...」


書いているうちに書きたかった内容とズレていく...後もう一回ほどで終わると思います。


84 : ○○ :2016/07/09(土) 17:30:37 NN6xMhoM
>>67

橙好きな自分としては最高に良い話だと思うwww


85 : ○○ :2016/07/09(土) 23:41:18 NpkboO3g
前スレの続きとなります。そろそろ終わりが見えてきました。



歩いて上がっていたらどれくらい時間が掛かっただろうか。
あの世に繋がる階段の長さに度肝を抜かれた。

「なぁ、あとどれくらいで着くんだ?」

地上とおさらばしてから随分と経つ。いくら妖夢に抱えられているとはいえ体は浮いている状態だ。足は宙ぶらりんで、姿勢を変えることもできない。ましてやここずっと同じ光景だ。自身に疲労と倦怠が鉛色の空のようにどんよりとした影を落とす。

「そうですねぇ......。小半刻くらいでしょうか。」

まだそんなに掛かるのか......。
仕方ない。ここまで来た以上、暫し我慢しよう。

「でもでも!!もっと早く行きたいのなら、もっと飛ばせますよ!.......私としてはこのままがいいのだけれど..........。」

出発時も何かぼそぼそ言っていたが聞き取れない。まぁいいか。
できるなら早く地面と再会したいものだがあまり子供に無理をさせるのは気が引ける。
なにしろ大人一人を抱えて飛んでいるのだ。
だがその分抱える時間が長引くというのもある。ならば妖夢に早く飛ばさせた方が良いのだろうか。

「いや、妖夢に任せる。」

あれこれ考えずに妖夢の考えに任せた。

「ではこのままの速さで行きますね。」

はぁ......。結局何で冥界なんてとこに連れて行かれるんだか.........。


86 : ○○ :2016/07/09(土) 23:43:48 NpkboO3g
今でもはっきりと覚えている。
あなたは気にも留めていないかもしれないけど、あのとき私は確かに救われた。
幽々子様の剣として使える私はまだまだ未熟もので、山の四天王である鬼からも師匠の教えを理解していないと断言された。
私は弱い。だから強くならなきゃいけない。でもどうしたらいいか分からない。以前はただ斬って、斬って、斬り続ければいずれは答えが出ると考えていた。
でも私は負けた。この幻想郷で強者と云われる者たちに勝ったことがない。
悔しかった。自分に腹が立った。これでは何年も、いや常しえに強くなんてなれない。
だけれど私には斬ることしかできなかった。庭で剣技を磨いてもそれは基本の型であって、実戦ではそれを上回る攻撃なんてざらにある。あの博麗霊夢も霧雨魔理沙も型に嵌まらない動きをしていて私は二人に勝てないでいる。
もはや私は何故、幽々子様に仕えているのかわからなくなってきていた。

――いっそ剣を捨ててしまおうか

一瞬でもその考えを頭に浮かべたら体が動いていた。
楼観剣を力を籠め勢いよく岩に叩き付けた。

「.....ふ、ふふ。これで.......。これでよかったのよ........。」

楼観剣は刃こぼれし、無残な姿で地面に落ちている。
あれだけ人を妖怪を斬ってきた剣があっけなく終わりを告げた。

「あ....あ.....うっ.....うあ......。ひぐっ....ひっぐ...。ああああー!!!!」

地面にひれ伏し、啼泣する。
私は何の為に生きてきたのだろうか。半身半霊になり、日々尽くしてきた。だのに今、すべて終わった。終わらせてしまった。
もう幽々子様の所には戻れない。師匠にも顔向けできない。ならいっそ....

――死のうかな

そう思った矢先、前に誰かが立っていた。


87 : ○○ :2016/07/09(土) 23:47:35 NpkboO3g
「子供がこんなとこでなに泣いてんだ?ほらこの手巾使え。」

男の人が私に手巾を差し出してきた。
目をやると私より五寸ほど背丈が大きい人で、顔は少しやせ細っていて、里にいる男性より筋肉質な体格をしていた。服装は切れているところがあったり汚れたりしていて、普通の人が見たら薄汚いおじさんとか言われそうだ。
でも私は何故か口が動かなくて、頭が真っ白になって、顔が熱くなってきていた。
ただ、声をかけられ、手巾を渡されただけなのに......。

「え....?あ....あり...がと....ござい...す......。」

言葉がうまく出てこなく、さらには鼻水のせいでつっかえつっかえで応えてしまった。
恥ずかしい。しかも男の人にこんな泣き伏せているところを見られてしまった...。し...死にたい...。

――この時の私は情報の整理が追いついていなかったと思う。でも今だからわかる。あの瞬間に私はもう彼に見染めていたんだ。

「なんだか分からんが、その刀が刃こぼれして泣いてんのか?だったら俺が直してやるよ。」

彼はにぃっと笑い、ボロボロになった楼観剣を拾い上げた。
初めて見せた笑顔に私はどきりとした。な...なんで....?

「で...でも...あ...あの......。」

頭の中がぐちゃぐちゃで何を話せばいいか分からなかった。それを壊したのは私自身で、でも壊れたことが悲しくて。そしたら泣いているところを見られて。目を合わせたら呼吸ができないくらい胸が苦しくなって。

「ああ、金ならいらねえ。子供からとるほど落ちぶれちゃいねえよ。」

いえ、お金とかじゃなくてですね......。というかあなたは誰なんですか。さっきなんでこんな所にいるのかって言ってましたけどそっちこそなんで居るんです?ここ普通に妖怪出ますよね?
なんてことを頭に思っても口にできないでいた。どうしちゃったんだろう、私...。

「それにこんな良い刀を駄目にするなんて鍛冶屋としては見過ごせないな。お前さんも見た目のわりになかなかの強者の剣士だろ。この刀を使いこなせるのはなかなか居ない筈だ。努力してきたんだな。」

すっ、と空いた方の手で頭を撫でられた。
――努力してきたんだな
その一言を聞いた途端、また私の目から涙がぽろりと落ちる。
一度落ちたら止まらなかった。

「う...ああ......うわあああん!!」

その言葉が聞きたかったのかもしれない。私は誰よりも頑張ってきたつもりでいた。
でも誰からも褒めてもらえなかった。見てもらえなかった。
そうだ、幽々子様の為なんていうのは方便だ。結局は私を見てほしかっただけ。
ああ、なんて自分勝手なんだろう。浅ましくて、自分で自分が嫌になる。

「わ...わたし...そんな...す...すごくなんか......!!」

ほら、こうして褒めてもらっても自分で否定する。
体を震わせながら首を左右に小さくふる。

「客はそんな来た事ねえ店だがな、でも俺にはわかるぞ。これは人間が鍛えたものじゃねえ。恐らくは妖怪だろう。それもかなりの上級の位だ。そんなものを一朝一夕で扱えるわけがねぇ。
いくら素質があっても刀は所有者とは認めてはくれないもんさ。それをお前は使ってる。大したもんだよ。」

――この人は一体何者なんだろう。生まれて初めてこんなに褒められた。

「さて、じゃ、行きますか。お前さん立てるか?」

今度は手巾ではなくそのまま私に手を差し伸べてきた。その手はとても眩しく見えた。明るくて、穢れのないきれいな”光”。

「は...はい....」

私はその光に触れた。温かかった。氷がじわりじわりと解けていくようだった。体から心へ。
冬が終わり、春を迎えたとき。野花が咲き、桜が舞う。けれど本当に美しいのはそんなものじゃない。雪を解かし、花を咲かすのは日の光。つまり太陽こそが最も美しい。
きっとこの人は太陽だ。私の、私だけの太陽......。


88 : ○○ :2016/07/10(日) 11:20:12 y5du/tBk
>>87
乙です
このまま何事もなければいいんですが
この後で山場がありそう


89 : ○○ :2016/07/10(日) 13:50:41 tzVb5EA.
>>83
いよいよ手に汗握る修羅場へと
これ、永遠邸もとばっちり受ける気が

>>86
煮詰まっている時に救われると依存しやすそうですね
ここからどう動くか。


90 : ○○ :2016/07/10(日) 15:14:25 bGIEYg1o
ノブレス・オブリージュに囚われて(92)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=82
難産だった
もうそろそろ風呂敷をたたみ始めます


91 : ○○ :2016/07/11(月) 22:03:43 JKMGj812
>>87
妖夢の気持ち分かるわ……
あるよねこういうこと。
妖夢には幸せになってもらいたいなぁ


92 : ○○ :2016/07/12(火) 20:32:24 zmeAsdK2
マミゾウ「おぬしが今まで付き合ってきたおなごwww」












マミゾウ「あれ全部変化した儂って言ったら笑う?」


93 : ○○ :2016/07/12(火) 23:57:58 Myt4K3EQ
○○「マジでか!? 見損ないました! 守矢の信者辞めます!!!」


94 : ○○ :2016/07/13(水) 02:06:59 h.Ebunns
○○が逃げて助けを求めた相手もマミゾウだったってなりそう


95 : ○○ :2016/07/13(水) 07:32:13 2nc3RBfE
>>90
乙です
いつも読んでいます


96 : ○○ :2016/07/14(木) 11:19:47 cuie6TvM
うどんちゃんのヤンデレ妄想してたら夢にもうどんちゃん出てきた…

パルスィみたいな人とかレティみたいな人もいたけどみんな病んでた
サークルみたいなのに所属してて「みんなと仲良くしたい」けど
パルスィみたいな人とレティみたいな人のアプローチが結構強烈でどうしよう…
ってなったときに奥手でやさしいうどんちゃんが助けてくれてその後も一緒に帰ったりしているうちに
うどんちゃんいいかも…って思うようになっていくんだけど
ある日一緒に帰ってアパートまで来たら今までになく強い口調で「入っちゃ駄目…誰か中に居る」
ってに言われて(うどんちゃんの話的にレティさんみたいな人が中に居た)
怖くなって後日別のアパートに引っ越した。そしたら偶然隣の部屋にうどんちゃんがいた。
言いようのない不安感を覚えたけどその日を境になんだかすごく可愛く見えてきて…

ってところで目覚めた


97 : ○○ :2016/07/15(金) 21:13:15 R1QrxWrI
雛「あなたを守りたい」
「あなたを すべての不幸から守りたい」
「あなたを 全ての災いから守りたい」
「・・・あなたを傷つける者」
「あなたに危険を晒す者、あなたに災いをもたらす者、そのすべてを消し去りたい・・・」
「お願い・・・」
「あの人を守って・・・不幸を消して・・・災いを消して・・・」
「・・・例え、それが・・・」
「私、自身であったとしても!」


98 : ○○ :2016/07/16(土) 15:24:05 DAtDgXmQ
>>96
こちらのネタを使って短編を書いてみても良いでしょうか?


99 : ○○ :2016/07/16(土) 16:07:33 tmziiYqs
さく…シャク……シャク…。

…む、○○か。よく来てくれた。
すまないのう…急に呼び出して、詫びとして何か奢ってやろう。
共に西瓜でも食べないか?…ほら、熱中症予防として……どうじゃ?
…んむ?いらない?本当にか?…ううむ、ならば仕方がない…。

…まあよい…では…本題に入るとしよう。
…単刀直入に言おう。

…○○、お主金貸しになる気はないか?

いや、何も危ないことをさせようという訳ではない。
…ただ少し厄介ごとが増えてな、ちょっとばかし「さぽおと」してほしいのじゃ。

お主は儂から借りた金も利息付でキチンと返す、しかもお主の事業も拡大しているようじゃの?
…お主の働き次第でいくらでも謝礼を払おう。
その誠実さと有能な手腕を、今度は儂に借りさせてくれんかの?




…ふふ、そうか。
……やはり承諾してくれるか。
お主なら、きっと飲んでくれるだろうと思っていたからのう、…確信というべきか。

……二人で成功させようではないか。
そう、「二人」でな…。


100 : ○○ :2016/07/16(土) 16:37:30 iUzZpTUM
>>97
こういう「あなたのためならこの身をも厭わない」って感じのヤンデレはキュンキュンする

>>98
むしろお願いします

>>99
○○からすると何考えてるか分からない感じが妖しくてすごくマミゾウさんっぽい


101 : ○○ :2016/07/16(土) 21:06:44 dl3dWXRU
>>97
自分が傷ついても良い程の恋愛
純愛の極地なのでしょう

>>99
ここからの想像が色々捗ります

次より96さんの元ネタを利用した作品を投下します


102 : ○○ :2016/07/16(土) 21:07:19 dl3dWXRU
 火曜日と金曜日の午後一杯に、古びた教室を利用して大学の日本文化サークルは活動している。
日本文化と言うからには能や歌舞伎、古典といった所謂お堅い物に興味がある人が所属するのか
と思いきや、実際にそんなことに興味がある人物は殆ど居ない。鈴仙、水橋、白井和といった
よくこの部室にいるメンバーは大抵他の友人より誘われた口であり、何処にもサークルに入って
いないことに外聞が悪いと感じるような学生が隠れ蓑として入っている位である。もしも日本文学
を研究したければ、こちらでは無く斜め向かいで活動している西洋魔術研究サークルに入るべき
である。副部長の七洋さんは見た目からして賢そうであり、実際色々な古典に詳しいと鈴仙は言って
いたし、部長の浦戸さんはシェイクスピアの古典を、原文で読むことが出来るらしい。

 そんな不真面目な学生が加入しているサークルで皆が何をしているのかというと、適当に暇を
潰したり、これまた適当に飲み会を開催したり、あるいは体育館でバトミントンやら近くのコートを
借りてテニスをしていたりやらと、もはや何でもありの状態であり、それは他の飲みサークルと
どう違うんだと、他の人から尋ねられても本人も首を傾げるかも知れない。しかし当人達は飽きも
せずにこの部室に足繁く通っており、他のサークルよりも部員の中が良いことが美点なのかも知れない。

 その部活には○○も良く通っているのであるが、○○にとっては少々困ったことがあった。何故だか
水橋、白井和といった二人がよく○○を気に掛けてくれるのはいいのだが、何故だか○○に近づこうと
してくる事である。美人二人に迫られるとは、両手に華でいいことと妄想する周囲もいるであろうが、
二人の迫り方が強烈であったり、挙げ句には二人が○○に近づく他の人を排除しようとするに至っては、
○○のストレスは増すばかりであり、近頃行きたくなかった部室に一層行きたくなくなる状態であった。
 そんな状態ならば、いっそのこと他のサークルに入ってしまえば良いのではないかと思われるかも
しれないが、五月病の季節はとうに過ぎ去り、初夏となって初めての定期テストがある時分になると、
自分一人で対策をすることは難しく、結局は部室に行くこととなっていた。


103 : ○○ :2016/07/16(土) 21:08:06 dl3dWXRU
 ○○が部室に入ると十名ほどが思い思いに寛いでいる中で、いつも通りに水橋が話しかけてくる。
「こんにちは○○。ああ、貴方とっても遅いのね、ホント妬ましい。」
「こんにちは、水橋さん。そんなに怒らなくっても。」
口ごもりがちになる○○に、水橋は不機嫌のオーラを周囲に放ちながら、○○へ言葉を投げていく。
「全くそんなに授業が大事なの。貴方の時間を奪ってしまうなんて憎らしいんだから。」
いつもながらに嫉妬を振りまく彼女に対抗するのは、常人には少々荷が重い。そんな彼女に対抗できる
人物といえば、必然的に強烈な個性を放つ人物となる。
「そんなに○○と離れたくないなんて、みっともないですね。本当に大学生ですか。」
毒舌を放つ水橋に正面から遣り合うのは、白井和唯一人。普段クールな彼女であるが、水橋が○○に
絡むと割って入り、他の人が放置している彼女に向かって対抗する。惜しむらくは、
「駄目ですよ。○○は私の物ですから。」
劇薬に対抗できる人材もまた、取り扱い注意の劇物である事であった。

 白井和が○○の所有を宣言すると、水橋も負けじと対抗する。
「はん、○○を物扱いするなんて、馬鹿はあんたの方じゃないの。」
これが穏健な鈴仙から出た言葉ならば、○○にとって救いの言葉となるのであろうが、
生憎水橋も「大概」である。塩酸と水酸化ナトリウム、毒サソリと毒蛇、こういった
二人の関係の中で○○の救いは数少ない穏健派である鈴仙のみとなる。
「お二人とも、○○さんが困っているのですから、ちょっと押さえて下さい。周りの人も引いてますよ。」
 如何に仲の悪い二人であっても、○○との争い以外は常識的であるのか、鈴仙がこうやって二人の
間に割って入ると、水橋と白井和は矛を収めるのが常であった。願わくばこの常識を○○に対して
も発揮して欲しい所であるが、恋は盲目とかなんとかいう流行り言葉と相まって、この争いは
○○にとっても日常風景となっていた。


104 : ○○ :2016/07/16(土) 21:08:40 dl3dWXRU
 ○○と鈴仙が一緒に帰る風景は最近増えた事であった。水橋と白井和が争っていることが増え、
どちらも一緒に○○と帰りたがるようになったため、○○も一度押し切られて一人と帰った事が
あるのだが、両方ともに○○の家に普通に入ろうとして、夕方になっても居座ろうとしたため、
夜になってしまうことを恐れた○○が実力行使をしてどうにか追い出したのであった。か弱い女性
を力ずくでどうにかすることなんて、高校以前の○○が聞いたら怒るようなことであるが、
背に腹は代えられない。そんなことがあって以降、○○は一人か然もなくば鈴仙と帰るように
していた。因みに二人一緒に帰った場合には、両者ともに家に居座ろうとして、階下の住人に
迷惑を掛けずに追い出すことが出来ない惨状となっており、誠に申し訳ないながらも鈴仙を呼んで、
どうにか両者追い出すことが出来た次第であった。
 二人が一緒に家に帰る最中、○○の住むアパートの前まで来た鈴仙は、ふと不審げに目を細める。
声を出さないように口に手を当て、○○を近くの電柱の影に隠してこっそりと一人でドアの前で
聞き耳を立てる。時間にすれば一分程であろうが、何が何から分かっていない○○からすれば
とても長い時間が経った後、鈴仙からメールが届いた。
「今すぐ近くのコンビニに行って待ってて下さい。」

 普段の可愛らしいデコレーションが一切無い、無味乾燥なメールであったが、それだけに只ならない
状況に追い込まれているのを○○は悟った。免許証とクレジットカードが財布にある事を確かめ、
直ぐに一番近くのコンビニに駆け込む。家に置いてある通帳は一先ず諦めた方が良いのだろう。
コンビニに着いた後、乱れた息が整った頃に鈴仙がコンビニに入って来た。鈴仙は籠を持ちながら
ドンドンとシャツや靴下といった男性用の着替えを籠に入れていく。部屋がどうなっていたのか知りたく
なった○○は鈴仙に尋ねた。
「ねえ、一体部屋はどうなっていたの。」
男物のパンツも真顔で籠に入れていた鈴仙が、此方を見ずに答える。
「多分白井和さんだと思うけれど、誰か部屋に居ました。」


105 : ○○ :2016/07/16(土) 21:09:22 dl3dWXRU
「え・・・。鍵掛けていたけれど。」
驚く○○に鈴仙がこともなげに答える。
「複製されたんでしょう。」
「そんな・・・。」
いきなりな状況に途方に暮れる○○に対して、鈴仙が矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「ほら、取り敢えず今日は駅前のビジネスホテルに行きますよ。貴重品は明日友人に頼んで
持ってきて貰って下さい。」
「やばい、まじでヤバい。ホントにヤバい。」
言葉を繰り返す程に混乱する○○に、鈴仙は優しく声を掛ける。
「数日ホテルで暮らして、直ぐに引っ越し屋に頼めばいいですよ。大学の北の方なら少々高い
けれど、女性向けのしっかりしたセキュリティのアパートがありますから。」
「お金が・・・。」
とんちんかんな心配をする○○に、鈴仙は尚も根気強く説得する。
「安全第一ですよ、○○さん。いざとなれば、二十万位なら融通しますから。ほら、私永遠亭で
バイトしてまして。」
「ああ、あの大きな病院の・・・。」
○○の意識を別の方向に向けた鈴仙は、流しのタクシーを捕まえて運転手に行き先を告げる。
「ほら、一緒に行ってあげますから。心配しないで。」


 結局その日はホテルを取った○○は、一週間後には鈴仙の勧めに従って、次の引っ越し先に荷物を
運び入れていた。元々服などの荷物が少ないことが幸いし、非常に早く引っ越すことが出来ていた。


106 : ○○ :2016/07/16(土) 21:10:32 dl3dWXRU
近くの看護婦が会社の借り上げ寮としても使っているという、やや古いながらも重厚なコンクリート
のマンションは、最近大家がリフォームをした所為か見た目には新築とさほど変わらないように見えた。
 しかも○○にとっての一番の利点は、会社の寮ともして利用される所為かオートロックが二カ所もあり、
監視カメラがきちんと設置されていることであった。一階の廊下も庭と柵で封鎖されており、不審者が
入り込む余地は無いように見えた。もっともその所為か家賃は他のアパートよりも一万円程高くなって
おり、○○は当分は大人しく節約しておこうかと思っていた。
 引っ越し当日に、上下の部屋に引っ越し祝いを持って行った○○は、夜分になってから、昨日は呼び鈴を鳴ら
しても留守であったのか、誰も出なかった隣の部屋を訪ねていた。管理人の話であれば此方も新しい人が
入ることになっているそうであるので、恐らく昨日は引っ越し作業で留守にしていたのであろう。

 ○○が呼び鈴を鳴らす。チェーンを外す音がした後に、目の前には数日前に会ったばかりの鈴仙がいた。
引っ越し作業で○○は大学を昨日、今日と休んでいたため、鈴仙もまた休んでいたことを知らなかった
○○は、驚いて鈴仙に話す。
「え、鈴仙が隣なの!」
「ええ、ここ前に勧めていたでしょう。永遠亭の関係者なら、安く住めるんですよ。」
納得しかけた○○であったが、しかし鈴仙は別の所に住んでいたはずだと思い直して尋ねる。
「前のマンションは?」
「最近不審者騒ぎがあったので、引っ越しました。まさか○○さんとお隣なんてびっくりですよ。」
「ああ、そうなんだ・・・。」
ビックリしたと同時に、言い様のない這い寄ってくるような不安感を感じた○○は、隣に住むのなら、
掛け合って部屋の料金をお安く出来ますよと言う鈴仙の言葉を聞き流し、その日は早々に散らかった
部屋で休むこととした。


107 : ○○ :2016/07/16(土) 21:11:24 dl3dWXRU
 その日以降、鈴仙と一緒に大学へ行くことが増えた。以前は帰るときに時々であったが、こうも
頻度が増えた所為か、なんだが鈴仙が可愛く見えてくるようになった。優しいだけの印象であった
鈴仙であるがよく見ると、美人の水橋や氷の女王の白井和とは違う、愛嬌のような優しさが感じ
られる気がした。そうすると必然的に距離が縮まってくるようになり、○○は色々な事も鈴仙と
話すようになった。そしてある日鈴仙と話していると、バイトの話から家賃の話となった。
「そういえば鈴仙、このマンションは永遠亭が借り上げているんだって?」
「そう、会社の補助が出るから、安く住めますよ。」
「いいな〜。」
自分の安全のためとはいえ、学生としては高級なマンションに引っ越した○○は、やや金欠気味であった。
「○○さんも、安くしたいですか?」
「そりゃあ、当然。」
「分かりました。ちょっと待っていて下さいね。」
そう言って鈴仙は話を打ち切ったのであるが、○○としてもその後直ぐに忘れてしまった。
 次の土曜日に鈴仙がチャイムを鳴らす。今日は大学は休みであるのだから、何かメールで連絡してきた
用でもあるのかと、ドアを開けた○○は鈴仙に誘われる。
「○○さん、今日は取って置きの方法を案内しますよ。」
「方法?」
「そう、前に家賃を安くしたいと言っていたでしょう。」
「ああ、そういえば。」
「ですから、」
自信満々に鈴仙は自分の隣の部屋を開ける。
「此方に○○さんに住んで貰えれば・・・。と思いまして。」
「うわ、更に広いね!でも、余計高くない?」
「大丈夫ですよ。二人で割れば其程でもないですから。」


108 : ○○ :2016/07/16(土) 21:12:08 dl3dWXRU
「え?」
思わぬ言葉に○○は詰まる。二人とは誰なのか。その考えに頭を回転させると一つ答えが浮かんでくる。
「ひょっとして、鈴仙と同居?」
「そうですよ、ハウスシェアリングですよ。今風ですよ。」
「マジで?」
余りにも飛躍した考えに、思考が一向に先に進まない。同棲とは、男女ならば、一つの部屋。そういった
言葉が浮かんでは消え、脳と口が固まってしまう。すると鈴仙が○○の目を見て、問いかける。
「ねえ、○○さんは、私のこと好きですよね。」
「うん。」
「だったら、同棲しても問題ないですよね。」
「そうだね。鈴仙。」
「恋人ですもんね、一緒に住んで当然ですよね。」
「勿論だよ、愛しているよ。」
問いかけの形を取っている。取っているのであるが、しかしその答えが肯定しかないのであれば、
それは確認か強制ではないのであろうか。もっとも、○○からすればそれは今後思考に上ることはないので
あろう。彼の中では「やさしいうどんちゃん」は、ずっと「こいしいうどんちゃん」であったことに
なっているのだから。

以上になります。


109 : ○○ :2016/07/16(土) 22:12:36 Wh/FG1Qw
なんか、レティさんが部屋にいるってのもおうどんちゃんの自作自演にすら思えてくる
そりゃ、レティや水橋は危険だろうけど。おうどんちゃんが一番危険と言うオチが見える


110 : ○○ :2016/07/17(日) 18:36:04 WIWUyLM2

紫「………わかってないわね
私はは彼が傷つき汚れ堕ちていく様をただ見ていたかった
「キャベツ畑」や「コウノトリ」を信じている可愛い女のコに無修正のポルノをつきつける時を想像する様な下卑た快感よ
その点人間の醜い部分を見続けた○○の反応は実に理想的だったわ
割り切ることも見ぬふりもできずに ただ傷つき絶望していった
そしてその度強くなった
私はただの影
変わっていく彼を見守り彼の望むままに手を貸しただけ
そして これからもそうするわ」


紫「時限爆弾と恋人を一気に手に入れた気分だった」


幽々白書 樹のセリフ
読んだ当時はなんとも思わなかったけど改めて読んだ時色々戦慄したなぁ


111 : ○○ :2016/07/18(月) 10:22:27 thei8qcc
>>110
幽香「私は花も木も虫も動物も好きなのよ  嫌いなのは人間だけ」


112 : ○○ :2016/07/18(月) 17:53:22 19ydXdiQ
>>108
このうどんちゃんいい…よすぎる…
なんと言うか物理的に束縛するんじゃなくて本人が気づかないうちにいつの間にか心に入り込んで自分を追うように仕向ける感じ


113 : ○○ :2016/07/19(火) 00:40:16 YNmx6J.k
>>108
策士うどんいい・・・
こういう策士タイプが策に溺れる展開もいいよね


114 : ○○ :2016/07/19(火) 22:08:19 4rzfI/s.
>>108
幻想郷ではなく現代(というのかな)を使った舞台ものというのもおもしろいものですね
あーしかしこういう夢見たことないなぁ自分は


115 : ○○ :2016/07/20(水) 19:08:42 soTcjm9o
諏訪子「……」


「昔、コチがいじめられてたの知ってる?」
「いや、いじめられてた理由ってのは…うん」
「『見える』って、言ってたんだよ。おばけとか、妖怪とか…神様とか」
「そりゃ、こどもながら『嘘』だって思ってたんだけど…」

それを、○○氏が庇ったのが馴れ初めだったんだっけ?

「ん、まぁ…。それから仲良くはなったけど」
「叔母さんにさ、『これからも早苗と仲良くしてね』って…」
「今にして思えば、あれって『そういう意味』じゃなかったんだって思うんだよ」
「…友だちとしてって意味じゃなくて『見える』って方の意味」
「…」
「この前偶然見たんだよ。コチが、俺のこと話してるとこ」
「1人で」
「独り言って感じじゃなくて…誰かと。誰もいなかったけど」
「たまに、何にもない方を見てることあるし…おかしいなっては思ってたけど」
「…キライになってなんかいないよ。その…でもなんか…恐いっつうか」
「本当に『見えてる』んならまだしもさ…」
「『見えてない』んだったら…ヤバイだろ…」

拙者は『見えてる』方がヤバイと思うんだけど
え?だって…うん、そりゃ『見えてない』場合も十分恐いけどさ
『見える』ってことは『いる』ってことでしょ?
…だから、妖怪とか神様とか
『見える』ってことは、『話せる』かどうかはわからないけど…つまりコミュニケーションを取れるわけでしょ?
○○氏が仮に『見える』とするよ?相手が女湯に行って写真撮ってきてくれるって言ったら頼むでしょ?
うん、だから例えばね

『東風谷氏が『見えるもの』にお願いして、今こうして我々が話してるのを聞いてこいってお願いしてたら』

恐いかなって拙者は思うんだけど

「…………」

○○氏?

「……コチをさ、いじめていたやつら…どうなったか知ってる?」

存じないですな

「…引っ越したかどうかしないけど…いつの間にか見なくなったな…」
「……そういえば……コチんとこの神社…祟神も奉られてるって、言ってたような……」
「名前…なんだっけ…ちっちゃい時コチが言ってたけど…」

○○氏考えすぎでござるよwww例えばの話でござるよwww

「だ、だよな…いるわけないよな…妖怪とか…………神様……なんて……ましてや……祟り……なんて……」


諏訪子「………………………………」


116 : ○○ :2016/07/20(水) 21:11:02 cWsmyOLE
チルノ「○○はアタイのモノなんだ!!氷づけにしてずっとずっとずぅーっと一緒にいるんだーー!!!」
○○「チルノ」

○○「付き合ってもいないのに自分の男みたいな言い方は気が早いんじゃないか?」
チルノ「……ごめん」
○○「氷づけになったら俺ヤバいから」
チルノ「風邪ひく?」
○○「死ぬわ」
チルノ「それは困る」
○○「ずっとってどれぐらい?俺も仕事あるしチルノも寺子屋あるだろ?ずっとはいられないだろ」
チルノ「一ヶ月くらい?」
○○「なんだよ一ヶ月って…あ!お前夏休みか!」
チルノ「夏休み最強!」
○○「宿題は?」
チルノ「その話はやめて」
○○「ずっといるつもりなの?」
チルノ「ダメ?」
○○「大ちゃんたちと遊びたくなったら?」
チルノ「その時はその時」
○○「…じゃあそういうの踏まえてやり直して」


チルノ「アタイは○○が好きなんだ!!クーラーの効いた部屋でなるべく一緒にいる!!」


117 : ○○ :2016/07/21(木) 17:50:08 yIPWlPlg
チルノ「アタイは○○が好きなんだ!!クーラーの効いた部屋でなるべく一緒にいる!!」

これで思わず和んじゃったよ


118 : ○○ :2016/07/22(金) 06:12:29 EAAAMB8k
ノブレス・オブリージュに囚われて(93)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=83

クーラーを消してる時間の方が遥かに短い、家の中でも倒れる暑さだよこれ
>>116
妖精って自然が具現化した姿のようですから、直情的に動きそう。感情の赴くままが一番自然だから


119 : ○○ :2016/07/23(土) 00:56:14 5nraQteI
>>118
遂に大きな動きが
永遠邸に入りこめたのか・・・


120 : sage :2016/07/23(土) 03:21:29 t1X/SBbE
「旧作にて失礼をば ――様愛してる」

帰宅途中――
夜空は妙に色めいていた。
漆黒のようでいて、紫、赤ともおぼつかない、そんな色。

ふと、物陰へと目をやると人影のようなものが そっ と前へと出てきた。
……銀髪の女性である。
「こんばんは。……いい夜ね?」
首を少し傾げるようにして彼女は微笑んだ。
疑問げに、自信げに


殺意をたっぷりとこめて。


自分が彼女に何をしたのかは分からなかったが、彼女はすぐ隣に居た。
えっ
声を上げる余地もなく、腕を絡める彼女。
柔肌を惜しげもなく寄せた彼女は、そうして自宅へと足を進め始める。
「帰りましょう?○○。夜は長いけど、貴方と居られる時間は貴重だもの」
先ほど見せた殺意はなんだったのか――
慈愛と優しさに満ちた声で、照れたように顔を背けた彼女は


万力のような力でぐいぐいと帰り道を進み始めた!!!

あ、あ、あ、

抵抗は許されない。
許されない。
れ ないな いない ない

 な い 。

[シラナイ ナカ ジャナイ]


……
自宅の前、彼女はそっと扉を開けようと手を掛ける。
鍵は――そう問う前に彼女は目配せした
『内側から入ったし、誰も此処に入ろうなんて思わないよ』
……ゆっくりと開いた扉の中は、漆黒のような、紫のような、赤みがかったような靄が
入り口を覆っていた。
手を取られ、引きずられてゆく自分の体は、もう抵抗する意思を、汲み取ってはくれなかった。

[だって]

……椅子に、座っていた。靄に覆われた自宅のどの部屋なのか、もはや検討すらつかない。
ただ、一枚の紙とパソコン、それと黒い……板?最後のは異常な臭気を放っていた。……感覚的な意味の方で。
「……もうね、このままじゃ一緒にいられなくなっちゃうの」
「あなたは私を のこそうと してくれたけど、それって私じゃないよ 複製。コピー。劣化品」

全部 泥棒猫の 雌豚で 害悪!!!

バンッッッ!!!

思い切り叩かれた机は悲鳴を上げるように、泣き叫ぶようにきしむ。
そして彼女は最初の時のような、殺意のこもった、自信たっぷりの目で
――――お願いを、してきた。


121 : ○○ :2016/07/23(土) 03:23:06 t1X/SBbE
「私とずっと一緒に いて くれますよね」
「紙に手を置いてください」
「わかりますか わかりませんか」
「私の髪が綺麗だとほめてくれましたね」
「わかりますか まだわからないですよね」
「翼がかっこいいと 弾幕が美しいと そういってくれてましたね」
「わかりますか かわりますか」
 わらう
「私の服は可愛らしいと 綺麗だと 愛おしいと 心の中でいっていたものね」
「わかりますか もうわかりますか」
「私が誰か これが何か 貴方が今 何をしているか。ね」
 思い切り紙へと意識を向けていた自分の唇が塞がれる。れていた。

「――んっ…んぅ……ぷぁっ……おいし……」
 ねちょり、と糸を引くように離れた彼女は

 わらう
「わかりますか もう、わかったら?」
 黒い板、違う。あれは昨日駄目になったあのゲームの……!
 媒体がダメになる前に別のディスクにデータを写してその後……あれ
「わかりますか わ か れ よ」
 深い黒に染まった瞳で、真っ直ぐに見詰められていた。
 その奥に倒れる、銀髪の、倒れた女性が、赤い、水たまりに、あっ、れ。あれ……

 紙に乗せた片腕が

 無い

 いや、沈んでいる。

「わかりますか かわります。あなたは」
 ――。
「わたしのものに。これから契約をしましょうね、○○」
 かの、じょを。知っている
「私の名を。呼びなさい 私の名を。誰よりも愛おしく 誰よりも強く 狂おしく」
 しん――
「わかりますか
 あなたがかわりはてるまで
 あなたがあなたでなくなるまで
 あなたがわたしのものになるしゅんかんまで」

 愛してあげる。

「しんっ……」
 もう片方の腕が消える。
「しんっ……き」
 彼女は、嬉しそうな顔に変わっていた。
「しんき……しんきぃぃぃ!!」
 両足の感覚がなくなる。
「神綺…神綺神綺……神綺神綺神綺神綺神綺ぃぃぃ!!!」
 神綺が、目の前に、いる。なんで、いや、体、あれ、いや、あ、あ、あ、
「神綺……しん……き」
 大丈夫……

 あなたの体がなくなっても ずっと傍に、いますから


「――やっぱり、かわいい……な」


靄が晴れ、誰も居なくなった部屋で。
紙は一瞬にして燃え上がり、黒い板は音をたててぴしゃり、と割れた。


122 : ○○ :2016/07/23(土) 03:24:16 t1X/SBbE
 ――意識が、覚醒する。銀髪の女性が、跨るように、覆いかぶさっていた。
 その恰好はだらしなく露出し、顔もにやけた上気しているように見えた。
「私の……○○♪」
 ――何も、思い出せない。いや、初めから何もなかったのか?
 ……だが、愛しい彼女が。神綺が。
 目の前に居て、抱きしめることが出来るなら。
 そんな事はささいな問題だと……
「ずっと一緒に居てくれる?」
 頷く。
「……私の事、好き?」
 頷く。その髪も、その顔も。君の事を。
「嫌いでも、構わなかったけど やっぱり――幸せよ ○○」
 首を振る。

 幸せになろう。一緒に

「○○……。うん。大丈夫、わかってる。だって契約(やくそく)したものね」
 彼女の言葉に薄っすらと何かを感じたが、彼女を見て、それを払拭する。だから

 神綺
「○○……」
 もう、何があっても忘れないように。お互いの名を呼ぶ。
 例え、その器が、媒体が。壊れ、消えてしまったとしても。
 いつか巡り合い、愛し合えるならと信じて。


[  ]

帰宅途中――
夜空は妙に色めいていた。
漆黒のようでいて、紫、赤ともおぼつかない、そんな色。

ふと、物陰へと目をやると人影のようなものが そっ と前へと出てきた。
……緑髪の女性である。傘を、携えた。
「こんばんは。……いい夜ね?」
首を少し傾げるようにして彼女は微笑んだ。


123 : ○○ :2016/07/23(土) 15:36:38 CWDuV/es
菫子「私見てるよ、いつも、いつも見てるよ。先輩のこと、昨日も、ゲーム、してたよね?アークザラッド、古いゲームしてるんだね
昼御飯、ラーメン、前の日もラーメンだったのに、体壊すよ、袋麺ばっかり、言ってくれれば私作りに来てあげたのに
クーラー26℃で、部屋でニコニコ動画見てたでしょ?ずっと、私、ずっとLINE送ってたのに、寝てたからって嘘ついたよね?
起きてたよね?暇だったよね?なんで?予定あるっていってたよね?だからデートしてくれなかったんだよね?なんで嘘ついたの?先輩、ねぇ、ねぇ、ねぇったら
私見てたよ、超能力使って見てたよ、一日中見てたよ
ねぇったら、ねぇ、ねぇ
答えてよ、ねぇ、ねぇ…ねぇ!!!」

じゃあ俺が風呂入ってるとこも見た?

菫子「……」

エッチなサイト見て、『素振り』してるとこも見たよね?

菫子「…………///」

裸で踊ってるのも、見たよね?

菫子「……///」

ウサミン氏のエッチ

菫子「覗いてるのに…ああいうことされると困る…」モジモジ

(まぁ覗かれてるの知っててやったんだけど…)


124 : ○○ :2016/07/24(日) 20:28:09 FDiTSIWs
うさみん氏かわいいな…
先輩も一枚上手な感じだしうまくやっていけそう


125 : ○○ :2016/07/24(日) 23:44:20 C5ntHqjE
>>123
甘いヤンデレは見ていてホッコリします
甘いような少し僅かに酸味があるような、それが良いですね

次より投下します


126 : ○○ :2016/07/24(日) 23:44:58 C5ntHqjE
 ええ、それ、その話です。貴方には○○さんと別れて頂かないといけません。
○○さんは貴方にとっては、もったいなく存じますので。どうして?よくもまあ
そんな恥知らずのことを、のうのうと仰ることが出来ますね。貴方が既に他の
男性と密会していることは、この狭い幻想郷の中では既に良く知られている
ことで御座います。どこぞの博徒崩れのような輩と付き合うような、下賤な女
と一緒でありましたら、全くもって○○さんの名が汚れてしまいます。貴方の
ような女には、○○さんは提灯に釣り鐘、月とスッポン、全くもって比べること
もおこがましい程で御座います。
 ほら、此方の文々新聞をご覧下さいな。まあ、こんな破廉恥な密会写真を
撮られるなどとは、全く親の顔が見たい程ですね。ああ、貴方のお母様は既に
永遠亭に入院されていらっしゃるんでしたね。確か流行病で生死の境を彷徨っている
らしいですが、こんな最中に浮気とは全く親不幸者で御座いましょう。
 そうですよ、それは関係ないですよね。ええそうです。ですから、貴方様が
帰られた後に突然神隠しに遭ったとしても、それはこれとは全く関わりのない
ことで御座いますよ。脅す?そんなことはありませんよ。唯、貴方の背後に
居られますミジャクジ様に、「お見送り」になってここから帰って頂く訳で
御座います。ああ、守矢の神は二柱居られましてね。軍神の八坂様と祟り神
の洩矢様ですよ。そうです、大和で名高い祟り神のね。


127 : ○○ :2016/07/24(日) 23:50:22 C5ntHqjE
以上になります。
素直で優しい早苗さんは、アイデアが受信できるまで、少々時間が…


128 : ○○ :2016/07/25(月) 03:38:58 dEdltI5U
関西熟年夫婦2

荒れ畳の四畳半の上に、ちゃぶ台を置いて、テレビをつけた。はす向かいのピンクの家からは、いつもの通りに女の高い矯声が聞こえてくる。ご飯と、大根の味噌汁に、鯵の塩焼き。ぷらすで卵焼き、甘いやつ。大して気合いの入っていない献立に、彼はちらとわたしを見たが、いただきますと手を合わせてもそもそ食べ始めた。

「なあ、お前ってバツ1やん。」
何を聞いてくるのかこいつは、飯をつつきながらふる話題か。
「そやで。」
鯵をほぐしながら、そっけなく答える。ちょっと焼きすぎたかな。
一拍置いて、
「何で別れたん。」
今さら何で聞くんやろ、この人。
忘れたし、覚えとっても言うやつなんているかしらん。
「体の相性ですー。」
ありきたりなつまらん返しをしてみる。
察しなさい。
「嘘ついてるのわかるよ。ほら、先生、怒らないから正直に言いなさい。」
ほらもう、口に物詰めて喋るから。米飛んでる。
ぐいぐいとテーブルふきで口元を拭うと鬱陶しそうに首を振って抵抗してくる。
「あまりにも、臭かってん。こう、生ゴミにマヨネーズかけたみたいな。」
お前も大概やけどな。
昔はそういうのにも興奮出来てんけどな、ちょっとくどくなってきた。
「にゃんにゃん。」
「急に何よ。」
その呼び方は久しぶりにされると、ちょっと嬉しい。
顔には出さないが。
「もう、俺初老になったやん。」
ちょこんと箸を置いて、真面目な顔をして言った。
こういう顔されると、男前に見えてしまうのに、バカなわたしと気付かされる。
「早いね。」
ほんとに早い。
あ、分かった。この人嫌なこと言うわ。
「俺さ、もう四十年残ってるか、残ってないかぐらいやん。」
キャベツにソースをかけながらする話にしては重い。
「うん。」
「さきに言っとくで。」
何を言ってくるのか少し、怖くなってきた。
彼の後ろにある窓を見ると、ぱらぱら雨が降っていた。
「キョンシーはやめてくれ。」
「無理に決まってるやん。」
自分のものをわざわざ手放すわけないやん。
どんだけ苦労したと思てんのか。
「えええええ。」
手を万歳して、後ろに倒れる。シャツが捲れて、もじゃもじゃした体毛がパンツの下まで続いているのが見える。
「俺、えーきちゃんに生で会いたいのに。」
嫁の前で、こんなことを吐いてくるやつには罰が足りないらしい。
むかつくから、玉子焼きを2つとも食べてやる。ばか。
「もう、知らんし。今度から、飯作らんへん。一人で作ってよ。」
少し、いじけてみる。どうせ、録なことしか言ってこんやろうけど。
〇〇はガバッと起きてくると、這ってそっぽ向いてるわたしの後ろに回って抱きしめてきた。
「怒った?」と語尾に少し調子を上げて言った。
こんなんされても、許さへんし。
〇〇はわたしが無視してんのをいいことに、耳にかかった髪を食んでくる。
「キョンシーになったら、お前に触っても何も感じられへんから、少し寂しいのよ。」甘えるように耳に口を押し当てて呟いた。
この人にしては、大分可愛いらしいことを言ってきた。ちょろいなぁ、わたし。
わたしはたまらなくなって彼に抱きついてそのまま倒れた。
が、窓からシュシュが覗いていたので、一度中断した。

ヤンデレ成分は大分薄めた。


129 : ○○ :2016/07/25(月) 23:42:02 3zn.DMX.
>>128
何気ない会話ながら深い話
日常か小説のワンシーンを切り取
った深く針を刺すような雰囲気を
味わいました


130 : ○○ :2016/07/26(火) 03:12:51 y0CV.oSA
ヤンデレの一途な面を利用するクズ男が見たい・・・
見たくない?


131 : ○○ :2016/07/26(火) 04:54:12 61exVGJs
そのクズ男に騙されていると気付いていても、そいつを愛し続けるヤンデレなら見たい。


132 : ○○ :2016/07/27(水) 01:08:32 jW99f9oY
ピンクの家ってなんだろうと思ったけど、よく良く考えてみると華扇の家っぽい...?
しかし、にゃんにゃんかわいいなぁ。
何というかある種の生々しさが出ていてすごく好き。

もうすぐ試験だから時間ないけどなにか書きたいなぁ...


133 : ○○ :2016/07/27(水) 16:41:57 pfRtNaKo
 鈴奈庵の薬売り設定を活用


季節は梅雨の明け程か。日中は蒸し風呂のように暑く、夜はそれなりに冷えることもある。
気温の変化が激しく人間にも食物にもダメージを与える。鼠も出る。ゆえに商売時なのだ。

「――ごめんくださいな、薬を換えに来ました」

そう言って暖簾をくぐると奥からすぐに若い男の返事が聞こえる。

『――はぁい!暫しお待ちを! 』

この方、名を○○さんという。里で鋳掛屋と瀬戸物焼き継ぎを合わせたような商売をしている。
要は穴の開いた鍋や釜、割れた茶碗などの修理屋さんだ。

鈴仙・優曇華院・イナバことこの私は今、人里で薬を売り歩いている。
毎月のはじめに薬の訪問販売と補充をするのが仕事だ。
商売をするにあたり、我々が人に非ざる者であることは伏せている。
薬販売や医療を生業とする永遠亭が、外部との関係を断っている我々が、
幻想郷の危ういパワーバランスの上で生きてゆくためには必要なことなのだ。
だが彼には、○○さんには私が人間ではないことがばれている。

 さかのぼること半年と少し。
 
 季節外れの大雪となった霜月の始めの頃。私はいつも通り雪を小気味よく踏み鳴らしながら
 里の人間たちに薬を売り歩いていた。連日の雪で通りに人影は少なく、夕暮れ時というのもあってか
 ただでさえ冷たい風が更に冷たく感じる。幸い今日の訪問は終えているのだが、手足がかじかんで辛い。
おまけにずっと歩いているものだから、だいぶ疲労が蓄積されている。

「すこし休んでいこうかなぁ」

私は決断を下してから行動するまでが早い。早速帰り道を外れ、里の端にある空家へと向かった。
薬を売り歩く中で里の人間から色々な情報を得る事ができる。
この小さな庵はかれこれ数年はだれも足を踏み入れていないそうだ。
なので数か月前からここを休憩に使っている。裏通りの、しかも袋小路の奥にあるためか全く目立たない。
だが見られていないとも限らないので、能力を使い自身の「波」を弄って目立たないようにする。

「うーさむいさむい…!異変か何かなんじゃないの…?」

少々気の早い大雪に文句を言わずにはいられない。
暫く歩き、庵につく頃には雪にまみれて傘地蔵さながらの姿だった。

「はぁ…師匠もこんな雪の日ぐらいゆっくりさせてくれたっていいのに。人間だってそんなに脆くはないでしょう」

ぶつぶつと独り言を放ちながら中へ入り、被った傘を外して雪を払うとゆっくり腰を下ろした。

「ああんもう…耳に皺よっちゃう」

 今日は何だか部屋が狭く見える。はて、こんなに壁が近かっただろうか。
あぁ、そんなことよりも暖をとろう。確か竈か囲炉裏がどこかにあったはず――


134 : ○○ :2016/07/27(水) 16:44:30 pfRtNaKo
>>133続き

『あのぅ……妖怪さん?少しよろしいですかな? 』

ゆるゆると立ち上がった私に突然声が掛けられた。

「ひゃいっ?!?! 」

いつの間に!?しかも「妖怪」だって?!という事はそこに居るのは人間か。
これは不味いことになった。薬売り=妖怪だとバレれば今後の仕事に甚大な影響が出るだろう。
そうなれば私の首が危ういかもしれない。とりあえず私が人間に見えるように暗示を仕込んでそれから…


『滋養剤とかないですかね。元気出る奴やつ』
「はぇ…?」

あまりに唐突な問いかけに思わず間抜けな声が漏れた。なんだこの人間は。というかなんでここにいるんだ。

「え…いや、あるにはありますけど……。ていうか何なんですあなた!これ見えてます?!」
『ええ、みえてますよ。長くてしわしわの耳が』

「じゃぁなんで――」
『あなた里で見かける薬り売りでしょう?』

「えっ…ばれてる…」
『声と格好でなんとなくわかります。というわけで、もしよければ売ってくだいな』

 彼は屈託のない笑顔でそう言った。このご時世に妖怪と知ってなお薬を買い求めるとは
 全くもって不思議な人間である。興味が湧いた私は滋養剤を売る代わりに色々と質問してみた。

 曰く、彼は長いこと里の鋳掛屋で修行を積んでおり最近になって独立を許されたものの、
 肝心の仕事場がなく、紆余曲折あってこの立地の悪い空き家…というか空き庵を得たらしい。
 年明けから開業すべく準備のため昨日から荷物の搬入をしており、荷持の整理がひと段落したころ、
 さも当たり前のように上がり込んでいる私を見つけて驚いたが見たことのある薬売りの格好をしていたため
 声をかけた……というのが事の顛末。
 まぁ…そんな出会いではあったが、彼が滋養剤の定期購入を希望したので月に一度会う関係になった。

「――はい、これで必要な手続きはおわりです。これからどうぞご贔屓に、○○さん」
『あっ、はいよろしくお願いします。ええと……』

普段なら自ら名を名乗る事はないけれど、この不思議な人間、○○さんに対しては何故だか……

「――鈴仙と、呼んでください」
『…はい!』

 もっとも、手持ちの滋養剤の数が少なかったため後日何度か会う事になったのだが。


135 : ○○ :2016/07/27(水) 16:46:27 pfRtNaKo
>>134続き

 かくして、図らずも固定客を得た私であったが、同時に「正式な」休憩所も得ていた。
 最初は「元々そこは私の休憩所だったんだし良いでしょう」という軽い理由で言い出したのだが、
○○さんが思いのほか乗り気であっという間に決まった。

 薬を売るのは月に一度だが、里の契約者全てを回りきるのに数日かけている。
 薬の中には粉でなく瓶に入っているものもあり、一度に運べる量には限界があるからだ。
 そのためお昼過ぎや仕事終わりに彼のもとで休憩することにしている。

 ○○さんと交流を進める中で、彼の存在は私の中で少し特異な存在になっていった。
 人間の里においては「妖怪は敵」という認識がある。これは幻想郷のバランスを維持するには必要なことだ。
 ゆえに薬を売るには妖怪である事を隠さねばならない。これが私にとって大きな負担となっていた。
 この耳を上手く隠し、笠を目深に被っていればうまくごまかすことが出来る。
 しかし、あの時魔理沙に見破られたように、過去に面識のある者は気付いてしまうかもしれない。
 その上、里の中にも妖気の類を感じ取れる人間もいる。
 一度バレれば商売は続けられない……それが重圧となり、私の自慢の長い耳は鮭とばの如く「しわしわ」になっている。
 そんな私にとって、何の気兼ねもなく接することができる◯◯さんの存在はある意味で心の支えとも言って差し支えなかった。
 
 彼と一緒にいる間はいつも通りの私のままでいられる。溢れる妖気を抑えなくてもいいし、言葉の端々に気を配らなくてもいい。
 だから彼には色々なことを話せた。

 日常の愚痴。
 月に居たこと。
 色々あって幻想郷で暮らし始めたこと。
 その事でだいぶ悩んだこと。
 この里での商売をする苦労。
 最近お気に入りの甘味。
 
 彼は聞き手であることが多かったが、一つ一つ私の言葉を受け止め、様々な反応をしてくれた。
 だから彼と会う事がとても楽しみだった。

 そんな事を続けて数か月。如月のはじめ、今月も私は薬を背負い、里へと向かう。


136 : ○○ :2016/07/27(水) 16:49:50 pfRtNaKo
>>135続き

師匠がいつか言っていた。『どんなに優れた薬であっても、それを飲むだけでは効かないも同然である』と。
要は薬を飲むなら、過信せずにきちんと効能が出るような行動しなければならないということだ。
○○さんはそれをしなかった。
 
彼は年明けに開業すると息巻いていた。それだけならば良かったのだが、
滋養剤を飲んだから…と、この数か月間無理を続けていたらしい。
体が最大限のパフォーマンスを発揮出来るように体調を整えるのが滋養剤の役目であり、疲れない体にはならない。
当然身体を壊してしまい、そこに私が訪れたというわけだ。

『いやはや…なさけないかぎりです…』
「あぁ…言ったそばから起きないでくださいよ…!」
『ほんとうにもうしわけない』

布団の中でもそもそしては隙を見て起きてくる程のやる気とは恐れ入る。
てゐに半分分けてあげてほしいものだ。だが過ぎたるは猶及ばざるが如し。
病状が芳しくないうちはおとなしく寝ていてもらおう。

いま私が彼の元に居るのは、永遠亭の規則に則るがゆえである。決まりでは症状が重い場合は2,3日に
一度会って症状に合わせて薬を処方し、それで一週間様子をみることになっている。私が手に負えないようだと師匠を呼ぶのだが。


「――はい、おかゆ出来ましたよ。こんな時だからこそ何か食べないと」
『しょくよくが、ありません』

「この薬は胃に負担がかかるので食べてください。胃に穴を開けたいなら結構ですが」
『わぁい。しょくよくが、わいてきたぞ。いただきます』
「…ふふっ」

彼の世話までしているのは、その規則に加えて、休憩所代わりに訪れる私の相手をしてくれるお礼がしたかったからだ。
彼に食事と薬を摂らせ、床についたのを確認してから永遠亭へ戻る。そんな生活だ。


137 : ○○ :2016/07/27(水) 16:54:22 pfRtNaKo
>>136

「……まるで通い妻ね」

帰り道で一言つぶやいてみたが、恥ずかしくて顔が熱くなった。いけない、いけないとブンブンと顔を振り、
そのまま永遠亭まで走る。内側から湧き上がるその熱はどこか心地よいものでもあった。


それから一週間後、師匠の薬の効果によって彼は見違えるほど元気になった。ああよかったと胸を撫でおろす。
しかし○○さんが快方に向かうのと反比例して私の体は重くなっていた。まさか二次感染だろうか。

「今日から四日間、これを夕食後に飲んでください。昨日までとは違って一日一つですので気を付けてくださいね」
『夕食後一つですね。わかりました。…しかし一週間でここまで良くなるとは』

「ええ、○○さんも見違えるようですよ」
『これも鈴仙さんのおかげですよ。何から何までしてもらって』

「いえいえ、気にしないでください。これも仕事ですし、毎月お世話になっているのでそのお礼も兼ねてです」
私は笑いながら言った。実際、その言葉に嘘偽りはない。

『なにはともあれ、きっともう大丈夫でしょう。これで仕事もはかどります』
「滋養剤を飲んだからと言って身体に無理をさせないように!いいですね?」
『あはは…気を付けます』

そうして彼と別れ、また「月一度の関係」に戻った。
だが、それを境に私の中で何かがおかしくなりはじめた。頻繁にボタンを掛け違えたり、Yシャツを表裏逆に着たりするようになった。
それだけならばよかったのだが、手に持っていた湯飲みを落として割ってしまったのだから笑えない。
とうとう見かねたてゐに呼び出されてしまった。

私はこれまでの出来事をてゐに話した。薬を売っていたらある人間…○○さんに出会ったこと、
私が妖怪だとバレたこと、彼はそんなこと微塵も気にしなかったこと、たくさん話したこと、彼が病になり経過を診ていたこと、
彼が快方に向かうにつれ自身がおかしくなり始めたこと、全部。

『あぁ、恋だね、それ』

一言そう言うと、てゐは心底愉快そうに笑いながら部屋を出ていった。
まるでそれ以上伝えるべき事など無いとでも言うように。
 
しかしてゐの言葉で全て合点がいった。気付いたのだ。私は○○さんに恋をしている事に。
月に一度の薬の補充の際に話し込むことが多かった、とても楽しかった。
○○さんが体調を崩したとき、心配もしたが何より心が躍ったのも、彼が快方に向かうにつれて矛盾した感情が湧き上がってきたのも、
全ては大好きな彼に会えるからだったに違いない。


138 : ○○ :2016/07/27(水) 16:57:58 pfRtNaKo
>>137
自分の感情に気付いて以来、それまでのようにどこか抜けたような行動をとることはなくなった。
だが日毎に○○さんへの思慕は強まるばかりだった。
日々の仕事で忙しい彼に用もないのに会いに行くのはきっと迷惑になるだろう。そんなことをしたらきっと嫌われてしまう。
それだけは絶対に嫌だった。だから彼に会えるのは現状月に一度の薬の補充のときだけ。
でもどうしようもなく彼に逢いたい、お話したい。でもそんな事を繰り返したら彼の仕事の邪魔になる。
彼に迷惑がかかる。ああどうしよう、どうしよう。そんなことを考えて数日。

「――!」

ふと、恐ろしい考えが頭を過った。普段ならそんなものは理性が止めにかかるだろうが、恋をした私に視力など無いに等しかった。
私は決断を下してから行動するまでが早い。ふらふらと導かれるように倉庫へと向かうと小瓶をいくつか掴み、自室へと戻った。

それから数か月の間、時間を見つけては薬剤調合の勉強をした。混ぜると効果が増すものから薬効を打ち消してしまうものまで、何を使えばどうなるか全て。
安全に、でも確実に‘効果’が出るように。

試作品の試験も兼ねていくつか調合した物の評価してもらった。そのときの師匠の評価はこうだった。

『着眼点はいいけれど、この種の薬に貴女のこれを混ぜると薬効が著しく低下するわ。
時間が経つと薬効成分が打ち消しあっちゃうから7〜8割はもってかれる。
全く効かないってわけじゃないけど――』

一通り評価を終えて一人部屋に戻った。普段ならここでがっくりと項垂れているのだが、今回ばかりは「成功」だ。
声も無く静かに笑う私の耳はここ最近で最もハリのある状態になっていた。

そして水無月のはじめ、いつものように彼の庵を訪問した際、週に一度愛飲している滋養剤を
適当な理由をつけて入れ替えた。免疫と代謝を低下させる薬品を混ぜたものに。
 
その瞬間から、このいびつな関係が始まった。


139 : ○○ :2016/07/27(水) 17:01:33 pfRtNaKo
>>138

文月のはじめ、季節は梅雨の明け程か。日中は蒸し風呂のように暑く、
夜はそれなりに冷えることもある。気温の変化が激しく体調を崩しやすい季節だ。

「ごめんくださいな、薬を換えに来ました」

そう言って暖簾をくぐると奥からすぐ○○さんの返事が聞こえる。

『はぁい!暫しお待ちを! 』

あたかも元気そうに振る舞っているが、いつもより声にハリがない。
それに彼の「波」見れば相当体調が悪いことがはっきりと分かった。
私の予想通り、完璧なタイミングで完璧な状態だ。
会話を続けるほど、それは確信へと変わっていく。

『あぁ…やっぱり分かっちゃいますか…』
「ええ、顔色がよくありませんので……はい」
『実は先月末に突然体調を崩しましてね。滋養剤も飲んでいたし、無理もしていないつもりだったのですが…』
「ここのところ気温の変化も激しいですし、そのせいかもしれません」

そんなわけない、確実に私のせいだ。顔色の悪い彼を見ると罪悪感がじわじわと浮かび上がってくる。

「病状を見た限りだとこのままお薬を渡すだけでは少し不安ですので…あの…私がまた数日に一度様子を見に来ますね」
『あぁ…はい、お手数おかけしますが、どうかお願いします』

そうしてまた2、3日に一度、彼の元を訪れる事になった。する事は前とほとんど変わらない。
薬を渡し、少しばかり雑談を重ねる。そして時間があるときは料理を作ったり、掃除をしたりする。
初めのうちは彼を苦しめてしまったことへの罪悪感が胸をチクリ、チクリと刺していたが、
彼が師匠の薬によって快方へと向かっていく姿見るたびに、彼に会って些細な会話を続けるたび、
罪悪感はささやかな幸せへと変換されてなくなってゆく。

そうしている間、光陰は矢の如く過ぎ去り、気がつけばもう10日目になる。
彼の容態はというと、折り返しといったところか。
本来ならば既に往診を終了、いや、病そのものが完治していてもおかしくはない。
しかしそうはならなかった。

彼はいつまでも休んではいられないと言って4日目には仕事を再開した。
昼は仕事をこなし元気なふりをして頼まれたモノを直す、夜はただの病人となっておとなしく私の看病を受ける。そんな生活だ。

師匠がいつか言っていた言葉を思い出す。曰く『どんなに優れた薬であっても、それを飲むだけでは効かないも同然である』と。
彼は薬を飲んでも十分な休息を取っていない。ゆえに病状が間延びしているのだ。


140 : ○○ :2016/07/27(水) 17:04:32 pfRtNaKo
>>139

『中々治りませんね』
「症状に合わせて処方しているので…あとは生活習慣をどうにかするしか」
『そうですか…あはは…やはりそれしかありませんか』
「あの、そう気を落とさずに。時間はかかりますが、その…私が一緒にいますので…!」
『鈴仙さん…』

こうなったのは元々私のせいなのだから、ある意味当然といえば当然のことなのだが
そんな表情をされると、ズキリと心が痛む。だが彼の支えになれているこの状況に酔いしれずにはいられない。ごめんなさい○○さん。
あと数日、あと数日で良くなりますから。頭を垂れる彼にそう言おうと口を開いた瞬間―――

『鈴仙さんが居てくれて本当によかった』

「――!」

硬直した。今何と言った?彼が言った言葉を認識し、その意味を脳が理解した瞬間、幸福感で思考が遮断される。
視覚も、聴覚も全てが真っ白に染まってゆく。つつまれるようなしあわせ。
彼としては特に意味も込めていない言葉だっただろう。しかし、その何気なく放った一言が私に強烈な‘何か’を残してしまった。

『――さん、鈴仙さん!』
「ひゃいっ?!」

私は耳がいい。だから耳元で大きな音を出されるととても驚く。一瞬で現実へただいまをした。

『あの、大丈夫ですか?』
「へ……?あれ、私何か」
『何やらボーっとしていたようなので』
「あ…、こ、これはとんだ失礼を」
『いえ、どうかお気になさらずに。鈴仙さんに色々させてしまったので、きっとお疲れなのでしょう。』
『お薬もいただいていますし、私は大丈夫ですので。どうか今日のところはお休みください』

正直あの程度で疲れてはいなかったが、○○さんがあまりに心配するのでそれを無視するわけにもいかず
半ば押し切られるようにして彼の庵を後にした。

帰り道、彼の言葉が脳内で反響する。ああ、なんて心地よいのだろう。
思い出すだけでふるえる。夢見心地だ。歩いているのかまっすぐ立っているのかよくわからない。ああ、でも――


結局、永遠亭に戻るまでの間に2、3回ほど竹に衝突した。


141 : ○○ :2016/07/27(水) 17:07:31 pfRtNaKo
>>140

それから数日後、また彼のもとへと向かった。

「こんにちは、○○さん。お仕事ははかどっていますか? 」
『ああ、鈴仙さん!おかげさまで、どうにか溜めていた分を捌き終えました』
「それはよかったです」

彼の顔色は見違えるように……とは言えないが前回よりもだいぶ良くなっていることはよく分かった。
このままいけば再来週には全快間違いなしである。そうすれば―――

「あと少しでお薬を飲む必要はなくなりますよ」
『それはつまり…』
「ええ、そうです。私がこうしてお邪魔に入ることもなくなるでしょう」

そうだ、彼の全快はこの関係が終了する事を意味する。そうすればまた「月に一度」の関係にもどってしまう。

『――』

○○さんが何かつぶやいたが、私には聞き取れなかった。

『何にせよ、鈴仙さんにはお世話になりっぱなしですね』
「これも仕事ですし、好きでやっているところもあるので。はい、どうかお気になさらずに」

笑顔でそう答える。○○さんは順調に快方へと向かっている。喜ばしいことには違いない。
だが私にはどうしても「あの一言」が忘れられなかった。思い出すだけで甘い感覚に体が震える。
足りない。あの時のソレはもっともっと幸せだった。ぎゅっとされているような、頭をなでられているような。
また感じたい。もっと味わいたい。しかし、残された時間はあとわずかだ。
もう一度、彼からあの言葉を引き出すには…時間が足りないかもしれない。

困難に当たった時、脳は無意識のうちに記憶の中を徹底的に洗い出し、解決策を導き出そうとする。
それが良いものであっても、悪いものであっても。

…ああ、そうだ。今処方している薬に例の調合を施そう。薬効が激減するアレに。

しあわせをつかむために、うさぎははねる。


一服盛った薬を処方し、一週間が過ぎた文月の半ば、
きちんと毎食後に飲んでいれば、一週間たってようやく一段階良くなる、といった具合だ。
流石に効いてないのは不味いのでちゃんと回復をするように調合してある。
私も自信を持っていたし、この調合パターンを師匠に評価してもらった上での使用なので確実なのだ。

しかし、彼の病状は前回よりも悪化しているように見えた。もしかして効いていないのだろうか。あるいは副作用の類か。
一抹の不安が頭を過ったが、師匠の評価に疑う余地など無く、結局は「元気なころの彼と無意識に対比した結果、相対的に今の彼がやつれていっているように見える」と結論付けた。

例え気のせいだとしても、やつれた彼を見るのは心苦しかった。この胸の苦しみが、私を繋ぎとめている最後のアンカーかもしれない。
彼から得たしあわせが抜けてくると、罪悪感により内側からこの身を裂くような苦痛に襲われる。私を正気に戻す痛みに。
その痛みから逃れようと、また彼の世話をしてしあわせを得る。


142 : ○○ :2016/07/27(水) 17:11:47 pfRtNaKo
>>141
今していることが、病の完治を遅らせる事が、○○さんのためにならない事は良く理解している。
それでも彼の薬に一服盛ってしまうのはこの耳以上に歪んだ心のせいだろうか。

これは彼の完治を遅らせる。その分彼を苦しめる。でも彼に会える。ああうれしい!
これは師匠への裏切りだ。完璧な薬にドープをする。でも彼とおはなし出来る。ああしあわせ!
数々の後ろめたい事実が、唯一つの甘美な幻想に塗りつぶされる。

「ごめんくださいな、薬を換えに来ました」
『今日もゆっくりしていってください』
「ありがとうございます。ですがまずお薬を――」

そうして得られるささやかな幸せ。

「ああ、そうだ○○さん!実はこの前ですね――」
『ほうほう、それは興味深い噂ですな。実は里でも――』

――――
――

『おやおや、もう日が傾き始めているな』
「ああ、本当ですね……では名残惜しいですが○○さん、今回はここまでということで」
『そうしましょう。長々とお付き合い頂いてありがたいことです』
「いえこちらこそ。ではまた明日お薬をお持ちしますので。あの…○○さんもお大事に」
『お気遣いありがとう。日は長くなりましたが、鈴仙さんもお気をつけて』

そうしていつも通り彼の庵を後にし、帰路で今日の彼との他愛ない会話を脳内で反芻する。
しかし竹林に深く入る頃には幸せな間隔は抜け落ち、強烈な後悔と自己嫌悪に苛まれる。

「――ぁぅ”ぅ”ぅ”ぅ”っ”!」

またやってしまった!嗚呼!これで何度目だ!私はまた○○さんを苦しめる方向へ進んでしまったのだ!なにが「お大事に」だ!
絞り出すようなうめき声を上げ乍ら私は竹に何度も額を打ちつけ、ギリギリと歯を鳴らし地面を踏みつける。
 
さながら「薬物中毒」の様相を呈している。私が薬を使う側ではないのは強烈な皮肉だろう。
こうして気が済むまで“頭を冷やし”、その後で額に軟膏を塗り、長い前髪で隠すようにして永遠亭へ戻るのだ。
身長の低いてゐには傷が見えてしまうが、ぼーっとしていたら竹にぶつかったなんて言ってごまかす。
何も知らない彼女は「盲目のキツツキか」なんてからかってくる。
確かに盲目になっているのだろう。彼と会っている間、自分の都合のいい事以外に。
こんな日々が続くのだろうか。その可能性にほんのわずかにでも喜びを感じてしまった自分に吐き気がした。

しかし翌日にはそんなことは忘れていた。今日は○○さんと何を話そう。○○さんはどんな反応をしてくれるのだろう。
驚くかな。それとも笑われるのかな。ああ、たのしみ。そうして今日も○○さんの往診へ向かう。
ささやかな幸せをつかみに。

だが歪な日常が音を立てて崩れ去るのにそう時間はかからなかった。

(残り1/3くらいはまた後日…長すぎいっぱいごめんなさいわよん…)


143 : ○○ :2016/07/27(水) 23:43:08 FnFlW.Lc
うどんちゃんかわええ
続きが早く読みたい


144 : ○○ :2016/07/28(木) 20:19:52 T9dZN382
やっぱり俺はこういう、完璧に病んではいなくて理性や良心が残ってるってのが好きだな


145 : ○○ :2016/07/29(金) 07:32:55 uJA3hQ6w
>>142
依存形ヤンデレgjです!


146 : ○○ :2016/07/29(金) 21:27:24 RFUaWI2s
>>142続き。長文&連レスごめんなさい…

彼に‘新しい薬’を渡して数週間、葉月の始めの頃

夕暮れが迫る中、私はいつもより早く契約家庭を訪問し終え、足早に彼の庵へと向かっていた。
数日前、彼に会った時に猛烈な違和感を感じてしまったから
――いや、以前から感じていた違和感を終ぞ隠せなくなってしまったからである。

自身の薬は自他ともに認める「完璧」な調合だ。牛歩だが確実に効能が現れることは間違いない。
だが彼の容態は快方へ向かうどころか目に見えて悪化の一途を辿っている。
薬が完璧なはずなのにどうして彼の容態は悪化するのか。
理由が分からない事がいかに恐ろしいものなのかを身をもって味わっている。
とにかく彼に会って詳しく話を聞かねばなるまい。生活習慣、食べた物、他の薬を飲んでいないか。山ほど。

「――ごめんくださいな、薬を換えに来ました」

そう言って暖簾をくぐると奥からすぐに○○さんが返事をする。
彼はいつもそうやって私を迎えていた。だが今日は全く様子が異なった。

「―――あれ?」

彼の返事がないどころか、物音一つ聞こえては来なかった。
何か起きているのだろうか。…いや、何か起きてしまったに違いない。
玄関口で大きな声で呼んでみる。

「…○○さん!」

しかし返事はない。
私に思い当たる事は唯一つしかなかった。それを想像した瞬間、途端に鼓動が早くなり顔から血の気が引くのがわかる。
背負っていた荷物をその場におろすと、彼の名前を呼びながらゆっくりと中に入ってゆく。
ああ、どうかただ眠っているだけでありますように。

襖をあけ、彼が寝室として使っている部屋へとたどり着く。
私の目に飛び込んできたのは、暗がりの中、物音一つ立てずに布団の中にいる○○さんであった。

「まさか死んでいる、なんてことは……」

だがその心配は稀有に終わった。胸が上下している。彼が生きていることだけは確かだった。
ああよかったと胸をなでおろす私だったが、身体の震えは止まらなかった。
私の意識の外から発せられた、強烈な違和感に対する警報。
この違和感を、見えないものを見るためには何をすればいいか、私は知っている。
そうして彼の「波」を見た。

そして、絶句した。


147 : ○○ :2016/07/29(金) 21:28:55 RFUaWI2s
>>146

彼の「波」の形が「死期の迫った者ソレ」になっていたのだ。
その波は歪で、周期は乱れ、波長は伸び切り、振幅はかつてなく小さかった。
大好きな○○さんが、病を長引かされ死への道に足を踏み出そうとしている。
紛れもなくこの私のせいで。私の手によって○○さんが死ぬ。
その結論に至るのは当然のことだった。

「あぁ…ああぁああ…ぁ……ぁ」

自分のした事の重大さを眼前に突き付けられた私は、そのままへたり込んでしまった。
猛烈な嫌悪感と恐怖で思考が澄み渡り最悪な事態が鮮明に浮かぶ。

「や…こんな……ちが……いや…ぁ…」

私が望んだのはこんな結末ではない!断じて!
それを振り払おうと床に頭を打ちつける。
しかし思考は加速し、ありとあらゆる最悪の展開が次々と浮かんでくる。
まともに息が出来ず、喉笛を噛み千切られた者のようにひゅうひゅうと音が鳴る。

私のせいで○○さんはこうなった。死ぬ。○○さんはしぬ、しぬ…
いやだいやだ○○さんが死んでしまう殺してしまう

殺した殺してしまった私のせいだ私のせいだ私の――


『鈴仙さん……ぅ……何…を……?』

ふと声のした方を見ると彼が辛そうに首をもたげ、こちらを見ていた。
キツツキのように床に頭を打ちつける私の姿はさぞ不審に見えただろう。
今にも死にそうな弱々しい声だったが、私を現実に引き戻すには十分だった。
しばらくの間固まっていたが、それから弾かれたように玄関へと向かった。

「…………っ!○○さん!待っててください!もう大丈夫ですから!」

そうだ、彼はまだ死んでいない。死んでいないのであればどうにでもできる。
要は死なないようにすればいい。
玄関に戻った私は背負ってきた背嚢を開き、中身をかき分けて小さな箱を開けた。
そしてソレを掴み無我夢中で○○さんの寝室へと戻った。


148 : ○○ :2016/07/29(金) 21:30:07 RFUaWI2s
>>147
気が付くと私は○○さんの寝室で座り込んでいた。
傍らには見慣れぬラベルのアンプルと注射器が、手の中には粉薬が包んであった薬包紙が握られている。
自分がさっき何をしたのかはよく覚えていない。必死になって何かを注射し、何かを飲ませたことはうっすらと覚えているが。
……待てよ?注射?私は何を打った?!
一瞬で我に返り、震える手で目の前に転がっているアンプルをつかみ取った。
一緒に添い遂げたいと思うあまり‘よからぬ薬’を注射してはいないだろうか。
蓬莱の薬なんてことは万が一にも無いことだが、冷静さを欠いていた私が適切な医療行為を行えたのかはっきり言って疑問だ。
今まで医療行為と称して本来の薬効がほとんど消えた薬を渡してきたのだから尚更だ。

急いで○○さんの様子を確認する。体温は、脈は、呼吸は、顔色は。
今までに得た全ての知識を総動員して確認する。

「大丈夫……うん、大丈夫。正常値、範囲内、おさまってる…」

幾度も確認をしてみたが、模範的かつ完璧な処置だった。彼の顔色は少し良くなっているようにも見える。
処置の効果はあったようだ。半ば錯乱していた時の方が適切な処置を行えているのはなんとも皮肉なことではあるが。

そして今さらのように手中のアンプルのラベルを確認する。使用したのは手持ちの中でも特に薬効が強く、かつ即効性のあるものだった。
そこでようやく彼の身から危機を除いたという確信が得られた。
安堵から今にも気絶しそうな自分を奮い立たせ、規則正しく呼吸をする彼を横目に処置の後始末を始めた。


「波長を操る程度の能力」というのは便利なものだ。
音の波長を長くして里から離れた永遠亭に声を飛ばすことが出来る。
耳のいい因幡達がこれを聴き、それてゐに知らせることで、一方通行だが無線のような使い方も可能だ。
私は「急患の処置」「経過観察中」「帰りが遅れる」の三つの符丁を声で飛ばした。
これで永遠亭への連絡は済んだ。あとは彼が起きるまで見守り、薬を渡して一先ずは対応完了である。

ここにきてようやく思考に余裕が出てきたせいか、今までは考えもしなかった問題が出てくる。そう例えば――

「この薬…そういえば結構なお値段だったような…」

彼に注射したアンプルの中身のことだ。非常に有効な薬だが同時に高価でもあるため、本当に急を要する場合しか使用できないのだ。
しかし、今回ばかりはお代を頂くわけにはいかない。元々私がきちんと‘正しい’薬を出していればこんなことにはならなかったのだ。
幸い、損失は私の蓄えで補填することができそうだ。暫くの間甘味を我慢しなければならないけれど。

だが、そんなことは些細な問題だった。


149 : ○○ :2016/07/29(金) 21:33:02 RFUaWI2s
>>148
「……っ」

そう、口に出さずともわかっている。○○さんのことだ。
今までの自分の行動振り返るだけで自己嫌悪のあまり胃が裏返りそうになる。
私が彼にしてきたことは、私欲のために彼の薬をすり替えたり、薬効の妨害成分を添加したりと常軌を逸した行為だ。
一度だけ、一度だけと言いながら薬物中毒者よろしく何度も何度も繰り返す。
その果てに苦しむのは私ではなく○○さん。
恋だ何だと言っては、自身の欲求を満たすために○○さんを‘使って’いたのだ。
恋とは相手を想うもの。
私はどうだ。彼が大好きなはずなのに、その彼を苦しめて自己の欲求を満たしている。
なんとあさましいことか!ああ!そんな自分に腹が立つ!

「――ッ!」

ガンッ、と思い切り床に頭をたたきつける。しばらくして生暖かい感覚が顔を撫でおろしてゆくのを感じた。
だが、こんな事をしたところで私のしたことが消えるわけではない。誰かが慰めてくれるわけでもない。
結局、私は彼の目が覚めるまで後悔と自己嫌悪と額の痛みに耐えながら、ひたすら膝を抱えて震える事しかできなかった。

それから数時間後、すでに日は没し夜も深まろうとしたころに彼は目覚めた。顔色は優れなかったが「波」には活力が戻っていた。
たった数時間でここまで回復するとは流石は高価なだけのことはある。この様子なら次に薬を渡す頃にはだいぶましになっているだろう。
私は彼に‘正しい’薬を処方すると、おぼつかない足取りで永遠亭へと戻った。

自室に戻った私はそのまま布団に倒れこんだ。
難しい事は起きてから考えればいい。事態を先延ばしにするだけなのは分かっている。
分かっているけれど――

「○○さん…」

とにかく今は何も考えたくなかった。そのまま目を瞑り意識を手放した。
願わくば、このまま永遠の眠りに付かんことを。


150 : ○○ :2016/07/29(金) 21:34:26 RFUaWI2s
>>149

だが現実は非常だ。まだ日付も変わらないうちに現実へ戻ってしまった。
彼への想い、自分のしたこと、何もかもが頭の中をぐるぐるとまわり、気が狂いそうだった。

私はこの先どうすればいいのだろうか。
彼が好きなことには変わりない。でもこのままじゃ、彼が体調を崩した時にまた同じことをしかねない。
私が願うのは何か。少しでも彼とお話をしたい、一緒に居たい。ただそれだけ。
でも彼といれば、いつかきっと、きっと私は彼の幸せを壊してしまう。今回のように。

葛藤の末、彼を想った思考の行きつく先にはどう足掻いても私の姿は存在しなかった。
彼の幸せのためには私が彼の元から離れる事が一番だという結論になる。
そうだ、○○さんが私ごときのせいで傷ついてはいけないのだ。そうにきまっている。
彼に暗示をかけよう。私への感情を平坦で事務的なものにしてしまおう。
これで私が彼に好意を匂わせたとしても、彼はそれを突っぱねる。只の客になる。
ああいいこと思いついた。薬を買うために致し方なく接しているような暗示にしよう。

里で薬売りを続ける為に真相は吐き出さず、私の心の中だけにとどめておく。
罪悪感で胸が苦しいが身勝手な私への罰としてちょうどいいだろう。

これは私から彼への精いっぱいの贖罪、そして自分なりのけじめのつけ方だ。
ずっと苦しみ続ければいい、それでいい、それがいい。
○○さんを苦しめた臆病で矮小な兎への罰だ。

明日、彼に会う時にはきっちりとけじめをつけるんだ。
そうすれば彼との関係は元に戻る。月一で会う薬売りと客の構図に。
途中で気が変わらないように、持って行く薬はてゐに準備させよう。
もう十分だ、結論は出た。

なのになんで私は泣いているんだ。どうして涙がとまらないんだ。

泣いて、悔やんで、また泣いて
そうして最後に残ったものは
いつも以上に真っ赤な瞳と、いつもと変わらない月明かりだけであった。


151 : ○○ :2016/07/29(金) 21:35:55 RFUaWI2s
>>150

翌朝、まだ少し薄暗い竹林の夜明け。皮肉なまでにすっきりとした目覚めだった。
汗を流すために着替えを掴んで廊下に出る。そこには私よりも早起きが一人。

「ねぇ、てゐ。ちょっとお願いしてもいいかな」
『おはようれーせん。開口一番が朝の挨拶じゃなくて頼み事とはね。運気下がるよ』

早寝早起きと朝の挨拶が長生きの秘訣とは彼女の言葉だ。これは至言だと思う。

「あぁ…ごめんごめん。おはよう。てゐ」
『よろしい。んで?頼み事ってなにさ』

「今日の訪問先に持って行く薬なんだけど、ちょっと準備しておいて貰えないかな」
『えぇーそれあたしの仕事じゃないんだけど』

紙を受け取ってさっと目を通している。もっと文句をいわれると思っていたけど案外あっさりとしていた。いつもはこうはいかないのに。

『これだけだね?あとから言ったら追加料金とるから』
「大丈夫、これだけだから」

そう言って顔を上げると、てゐがまじまじと私の顔を見ていた。

『あんたの眼、いつも以上に真っ赤だよ』
「晩に色々あったのよ」
『そう』

それ以上は何も言わなかった。何か悟ったような口調ではあったが、彼女はいつものように軽い足取りで廊下に吸い込まれていった。

「……今の私、どんな顔してるのかな」

誰もいなくなった廊下でつぶやいた。でも鏡を見なくても何となくわかる。
きっと余命を受け入れた病人みたいな顔をしているのだろう。
ゆっくりと息を吐き出した私に、もう迷いの色は無かった。


その日の夕方、薬を渡すために彼の元へ向かった。
これですべてが終わる。彼はしあわせを得る。私はそれを眺めるだけ。

「――はい、ではこの薬を一週間飲み続けてください」
『わかりました。ご迷惑おかけしてもうしわけない』

こんなやりとりは何度目になるのだろうか。こういう時、彼は開口一番に謝る。
わたしはそれに対して「気にしないでください」と返すのだ。
それも今回で最後になるかもしれないと思うと寂しい。でも、もう決めたことだ。

「では、○○さん。どうかお大事に」

色々な気持ちを綯交ぜにして、深々と頭を下げた。
視界の端がうっすらと紅く輝き始める。
私は決断を下してから行動するまでが早い。
これで彼の眼を見れば全ての幕が下りる。
息を軽く吸って、吐いた。

そして、ゆっくりと頭を上げて彼の眼を――


152 : ○○ :2016/07/29(金) 21:37:17 RFUaWI2s
>>151

『――鈴仙さん、すこしよろしいでしょうか』

止まった。遮断器が一斉に作動し、回路が切れる。狂気の瞳から輝きが消える。
ほんの一瞬の出来事だった。どうにか口を動かし、言葉を紡ぐ

「…なんでしょう?」
『あなたに謝らなければならないことがある』

謝るだって?何を?謝るのは私の方なのに。動揺を隠せない私をよそに彼は言葉を続けた。

『鈴仙さん、ここ最近私はずっと体調を崩していましたよね』
「ええ」
『一度は快方に向かったのに、途中から悪化し始めた事に気づいていましたか?』
「…気付いています」
『それについてです。それが昨日の出来事につながってしまったのです』

それについて?どういうことだ。確かに彼の体調はこちらの予想に反して悪化していった。
でもそれは私の薬で病が長引いたせいで…それに○○さんの身体が耐えられずにああなってしまったんじゃ…

『私は途中で薬を飲むのをやめました』
「――」

死角から突然殴られた様な衝撃を受けた。彼の言葉に思考が追い付かない

『あなたが忙しい合間を縫って休憩しに来てくれる事も』
『お一緒に話をしている間も』
『あなたに看病して貰えている間も』
『とても楽しかった。小さなしあわせを感じていました』
『しかし、病が治ってしまったら、また月に一度の関係にもどってしまう』
『だから、私は――』

私は必死に何かを言おうとしていたが、鯉のように口をパクパクさせるだけで何も言えない。
つまり彼は、私に会うために薬を飲むのをやめて、わざと病状を悪化させたというのか
だったら、私が調合した‘新しい薬’も一切飲んでいなかったことになる

『でも、昨日のあなたの様子を見て我に返りました。あんなに必死に…』

驚愕。それ以外に例えようがない。
だってこの人間、○○さんのしたことは、まるで私とおなじで…そんな…そんなことが…

『だから、そのことについて謝らせてください。』

もはや私はその場に立っている事すらできなかった。彼が謝罪の言葉を口にしようとしたその瞬間、私はその場に崩れ落ちた。


153 : ○○ :2016/07/29(金) 21:39:45 RFUaWI2s
>>152
彼がとっさに私を抱きかかえる

『鈴仙さんッ!だ、大丈夫ですか!』
「そんな…こぁ……ぁ」

全ては互いの勘違い。すれ違い。彼の言葉を聞いたせいで今までため込んできたもの、抑えていたもの、昨晩の結論、今朝の決意、そのすべてが崩れた。

「う“ぇあぁぁ…あ”ぁぁぁ!こ“へ“んな“ざ”ぁぁいぃ“ぁあぁぁ”!」
『!?』
「う“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“あ”ぁ“あ”ぁ”ぁ“!」

彼はさぞ困惑しただろう。謝っていたと思ったら謝っていた相手が急に顔をぐじゅぐじゅにして泣きながら謝りはじめるのだから。
泣けば泣くほど溢れてくる。理性は障子紙にも等しく、それに任せて私は全てを話した。

私が彼に好意を寄せていた事
彼と話したいがために滋養剤に免疫を低下させる薬品を混ぜたこと
彼の薬に効能の妨害成分を添加したこと
そのことを後悔してもやめられなかったこと
鼻水をじゅるじゅるとすすりながら、包み隠さずすべてを。
途中から嗚咽混じりで自分でも何を言っているかわからなくなっていた。

それでも彼は私を抱きしめていた。ぎゅっとしてくれた。「あの言葉」よりもずっと優しくて、安心して、しあわせで。
結局、私が落ち着くまでそれは続いた。

――


『おちつきましたか?』
「ぅぁぃ…もうっ…だぃ…だぃじょうぶぇす…」

袖で鼻水を拭きながら答える。おおよそ少女が人前でしていい仕草ではないのだろうが、もうそんなこと気にならなかった。
美少女な私は鼻水じゅるじゅるでも可愛いことには違いないのだから。
落ち着いた後で急に照れくさくなってしまったため、色々と話したい事もあったが特に何もせず彼の元を後にした。

当初の予定と随分異なる幕引きではあったが、私にとってはこれ以上ないくらいものだった。
互いの好意を正しく認識し合う事が出来たことが何よりである。
純白の幸福感に浸った私の耳は艶よし、ハリよし、受信感度良しの三拍子そろっている。純狐さんも大満足だろう。
だが永遠亭に戻ったところで「じゅるじゅるな袖」を思い出し、すぐに耳が「しわしわ」になった。


波乱の一日を終え、敷きっぱなしの布団に倒れこむ。昨日の自分と同じ場所にいるのに、感じる世界は全くの別だ。
正直、○○さんの好意はこんな私にはもったいないくらいだと思う。だからこれからは彼の幸せのために精いっぱいできることをしよう。
そしてほんのちょっぴり、私の願いも聞いてもらおう。

とりあえず、そこまで考えたところで少し早い眠りについた。
次に彼に会う事を楽しみにしながら。


154 : ○○ :2016/07/29(金) 21:42:09 RFUaWI2s
>>153

秋が迫るも残暑は健在、そんな長月のはじめ
私はいつも通り薬の訪問販売を行っていた。

「――ごめんくださいな、薬を換えに来ました」

そう言って暖簾をくぐると、元気そうな○○さんが出迎えてくれる。

『――はぁい!暫しお待ちを! 』

薬の販売は月一度。また以前の関係に戻るだろう。それが決まりだ。
しかしそれは後退ではなく前進だ。
彼の想いを知った今、薬売りの格好をしてわざわざ理由をつけてまで訪れる必要はない。

暫くしたらまた会いに来よう。この前割ってしまった湯飲みを持って、彼の客として。
そう考えながら彼の愛飲する滋養剤を補充し、一枚の手紙を添えた。

「○○さん。今回からは‘余計なものは入っていない’ので安心して飲んでください」
『ええ、鈴仙さんの本音を聴いてからはより一層あなたへの信頼が増しました。
ですのでこちらも今回からは‘用法容量を守って飲みます’から、安心してください』
「あ、でも飲んだからって無理はしないでくださいね!また体調を崩してしまいますから」
『あはは…気を付けましょう。…それでは鈴仙さんこちらお代です。暫くは暑さが続くので、そちらもお体には気を付けてください』
「ええ、ありがとうございます。今後もどうぞご贔屓に。では」

髪を結わえて笠を目深にかぶる。今日はまだまだ訪問先がある。
それに加えて雲一つない晴天にこの暑さだ。
道を往く人々は誰も彼も、雲は出ないか雨は降らないかという顔をしている。

しかし、今日は自ら新しい一歩を踏み出すことが出来た。それゆえこの暑さと日照りですら私を祝福しているように感じる。…やっぱり無理。暑い。かき氷食べたい。
段々いつもの調子にもどりつつあったので思考を‘新しい一歩’へと戻す。

[  ○○さんへ

今度、おすすめの甘味処を紹介します。
 もしよろしければご一緒にいかがでしょうか。
  
                 鈴仙・優曇華院・イナバ より  ]

仕事が軌道に乗り、忙しくする彼から芳しい返事が得られるとは限らない。
様々な返答を想像し、それが無意味な事だという結論に至る。なに、毎回の事だ。
思わずため息と一緒に言葉がもれる。

「まぁいいか、どうせ明日も休憩しに行くんだし」

夏の日照りの中を歩く私は いつになく晴れやかな表情をしていた。


終わり。

長すぎてすみませんマジでろだ使った方がよかったですね


155 : ○○ :2016/07/29(金) 21:45:25 Yeclvsbk
大団円で終わるヤンデレで安心したわ。それとここで投稿していい長さだと思いますよ。


156 : ○○ :2016/07/29(金) 21:56:56 doHUuCkU
かなりいいぞこれ。
オチも綺麗にまとまってるから、鈴仙がただの自己中心的なメンへラではなくて、恋する乙女(病み)で落ち着いた。
文体も軽くて、読みやすい。


157 : ○○ :2016/07/30(土) 01:13:41 b9DMbs.c
ちょっと読むつもりが最後まで読んでしまったwwスッキリしていて読みやすいし、「よかったね」といえるオチ。ありがとうございました。


158 : ○○ :2016/07/30(土) 23:56:02 iKxaRoDI
大作だな・・・
こういう話が書けるようになりたい
うどんちゃんの自信過剰なあたりとか凄い可愛い


159 : ○○ :2016/08/01(月) 01:33:09 uqzSJstg
>>154
とても綺麗な作品でした。二人の好意がかみ合って
爽やかな作品でした。暑い日に冷えたラムネを飲むような感じです
書いた作品の反応が直に見られる、スレッドへの投下の方が
個人的には好みです

次より投下します


160 : ○○ :2016/08/01(月) 01:34:47 uqzSJstg
「もう、○○さんったら、ちゃんと御飯食べているんですか。」
清流のような涼やかな声が狭い一軒家に響く。一応表向きは恋人と
「している」東風谷であるが、実態は其れとはやや異なる。恋人との間
には尊敬、敬意、そして愛といったものが、少年漫画の友情やらと
同じ様に必要であるのであろうが、自分と彼女との間にあるのかは
少々疑問である。彼女の愛はやら献身を疑う訳ではないのであるが、
むしろ其方の方は少々以上に過剰である位であるのだが、実の所
此方から彼女への諸々が僅少過ぎる。彼女には世話になっているので
あるが、家の世話から仕事の口利きから、果ては日常の家事まで
早苗の世話になっている現状では、彼女のヒモとでも称する程にまで
落ちぶれてしまっていると言えよう。
 愛とは惜しみなく与える物と、聖書には書かれている。しかし其れは
聖人との間には成立するのであろうが、施される側からすれば、ぬるま湯に
浸かるようなものである。聖人程人が出来ていない此方からすれば、
余りにも過剰な愛は堕落するだけである。鉢植えの植物に水を与えすぎれば
根腐れをおこして枯れる様に、唯ひたすら彼女の愛と好意に甘えすぎた
結果が今の状態である。東風谷が居なければ、生活すらままならないような
現状。曾ては人前に気後れせずに出られる程の人間が、今はこの低落である。


161 : ○○ :2016/08/01(月) 01:35:50 uqzSJstg
 喫茶屋の女中と別れた後、肩に纏わり付く気配を感じる。肩にそっと
重みが掛かり、直ぐ後にいつもの声が掛けられる。
「ひひっ、いつもながらに○○は愚図だねえ。」
自分をからかう声に此方もいつもながらに答える。
「ほっとけよ、諏訪子。そんなに見るのが嫌なら、見なければいいじゃないか。」
しかし早苗の「自称保護者」は、そんな程度では引いたりしない。
「早苗の守護霊としては、おいそれと引く訳にはいかないねぇ。大事な
子供が下衆な男に引っかかることを見過ごす親はいないさ。」
「へえ、ご愁傷様なことで。生憎早苗と別れる気は無いさ。」
此方のあけすけな答えに、背後から前にするりと空を飛んで回り込み、
渋い顔で答える。
「ああ、早苗を振ったら一生呪ってやるさ。」
矛盾する答えに呆れながら質問を投げかける。
「お前さ、俺を早苗と別れさせたいんじゃないの。」
「早苗がお前以外の人を好きになれば、直ぐに殺すよ。だけれど、
今は駄目だ。早苗が壊れる。」
悲しむでも苦しむでもなく、壊れる。過激な表現に馬鹿にされた様に感じた。
「へえ、それはそれはご大層なことで。」
「おや、本当だよこれは。そうやって馬鹿にしているようだけれどね、
早苗がお前をどれだけ思って居るか、聞かせてやりたいよ。」
「子供の恋愛まで関与するのは、やり過ぎじゃないか。」
「それだけ早苗が思っているってことさ。」


162 : ○○ :2016/08/01(月) 01:36:26 uqzSJstg
答えになっていないことを真面目に語る幽霊に手を振り、さっさと家に入る。
この家も早苗の力、あまり深くは聞いていないが、どうせ父親にでもせがんで
実家の金でも使っているのであろう。背伸びをして恋人の役に立つことが
自分の存在意義と考えているような人種には、自分のような愚図が擦り寄り
甘い汁を吸う。自分を大切に思っていないような者は、折角の幸福を自ら壊そう
とする。いつか外界で読んだ心理学の記事を思い出しながら、早苗が持って来た
高級そうな酒を呷りながら布団に寝そべる。高級な日本酒は厄介である。
口当たりが良いのでついつい飲んでいくのであるが、何時しか頭にアルコールが
周り、すっかり世界が犯されている。そうなってはもはや酔いが覚めるまで
待つしかないのであるが、飲んでいる本人は自分の世界が回り、正常に動けなく
なるまで気づかない。正確に言うと、気づいてはいるのだがまだいけると思い無視して
いる、のであるが。


163 : ○○ :2016/08/01(月) 01:37:08 uqzSJstg
 ヤバい。それが第一声であった。動く者が自分しか居なくなった合い引き用の部屋
で、必死に考えを巡らせようとするが、死体の恨むような顔を前にするとまともな
考えが纏まらない。ここから動かすべきかと思い、女の腰を持ち上げようとするが、
まるで鉄の塊を持ち上げるような重みを感じ、ピクリとも動きはしない。口では
頻りに小声でヤバいと呟くのであるが、肝心要の行動には少しも移せそうにない。
かつてテレビで見た、死体を放置して立ち去り、最後には警察に逮捕される痴情の
縺れの殺人犯を想像してしまう。視聴者だった頃には間抜けめと嘲笑っていたので
あるが、いざとそうなると、もはやどうしようもない。一億二千万人もの人が居る
現代でも犯人はほぼ全員捕まっているのであるから、狭い幻想郷の中では逃げおおせる
ことは出来ようもない。
 ふと都合の良い考えが浮かぶ。早苗に連絡すれば、どうにかなるのではないか。
あれだけの金を都合できるのであるから、きっと権力者に近いのであろうし、そも
そも早苗に初めに頼っていれば、目の前の美人局をしようと脅してきた女をどうにか
することも無かった筈である。ならば、恋人の早苗は自分を助けるべきではないのか。
もはや、妄執となった考えを持ちながら、早苗に連絡をしようとして、ふと止まる。
どうやってここから離れた所に連絡をするのであろうか?


164 : ○○ :2016/08/01(月) 01:37:55 uqzSJstg
 殺人。それは現代でも重罪であったが、ここ幻想郷でもそれは変わらない。
閉鎖された村社会では秩序の維持の為に、凶悪な犯罪は厳しく処罰される。そもそも
刑務所という、犯罪者を更正させようとする物は近代以降に発明されたものであり、
それ以前は犯罪者の更正という考えは無い。代わりにあるのは罰。古代バビロニア
より続く、罪には罰をという純然たる重い掟だけが存在するだけである。そこでは
刑務所なんていう手間の掛かる物はなく、唯被告を処罰する牢屋と処刑場があるのみ
である。いくら脅されていようとも、死刑を免れることは出来そうにもない。
 ふと背後に気配を感じる。騒ぎを聞きつけて様子を見に来た宿屋の亭主であったなら
万事休す、いやここまで来ればもはや一人も二人も同じ。そう即断しながらちぎれかけた
手ぬぐいでもう一度輪っかを作ってから振り返ると、そこに居たのは諏訪子であった。
思わず諏訪子に詰め寄る。
「おい、今すぐ早苗に連絡しろ。どうにかしてくれって。」
普段の人を食ったような冷笑を捨て、諏訪子がこちらに喰って掛かる。
「おいおい、馬鹿を言っちゃいけないよ。早苗を巻き込むつもりかい。何処まで
あんたは腐っているんだい。」


165 : ○○ :2016/08/01(月) 01:38:32 uqzSJstg
これを逃すと死ぬしかない以上、諏訪子の肩を揺らしながら必死に訴える。
「馬鹿野郎、そんな事言っている場合か!」
「馬鹿はアンタの方だよ!」
一歩も引かない諏訪子であるが、何やら焦っている様である。自分と早苗の交際を
快く思って居ない諏訪子からすれば、荒療治であるが自分と早苗を分断する好機で
あるが、それにしては何やら変である。まるで、時間が諏訪子の方に不利になるかの
ように焦っている。
「さあ、早く自首するんだよ!今なら幻想郷から追放か、座敷牢で生かしといてやる
からさぁ!」
「諏訪子様。それはさせませんよ。」


 諏訪子の声を打ち消すように、早苗の声が貫く。
「○○さん。私がどうにかしますね。」


166 : ○○ :2016/08/01(月) 01:41:35 uqzSJstg
普段の涼しい声であるが、その声は脳に染みる。アルコールよりももっと強く、
脳を鷲掴むように魂を取られたかのように、早苗の方にふらふらと近寄っていく。
諏訪子が早苗に懇願するように必死に呼びかける。
「お願いだよ早苗。それはしちゃ駄目だよ!人間の生死までどうにかしちゃったら、
もはや早苗は神になっちゃうんだよ!人間じゃなくなっちゃうんだよ!」
早苗はいつも自分に尽くすときのような、綺麗な笑顔で自分に語りかける。
「大丈夫ですよ。○○さんのためなら、私何でも出来ますから。」
普段ご飯をよそうような、そんな何気ないような声音で、彼女は僕に
話しかけていた。


以上になります。一途なヤンデレと下衆な○○という案を利用させて
頂きました。


167 : ○○ :2016/08/01(月) 02:06:43 uqzSJstg
別の作品を投下


ええ、○○さんの前から身を引いて下さい。

そうです、一切合切引いて下さい。お金でしたらほら、こんな端金で
いかがですか。貴方のその下劣な生活からすれば、十分な手切れ金で
しょう。全く、○○さんもどうして貴方の様な人に惚れたのか、全く
理解ができないですね。色恋沙汰は本当に不可解ですね。

おや、そんなに駄々を捏ねますか。へえ、でしたらどちらか選ばせて
差し上げましょうか。××の××さんごと死ぬか、それとも別れるか。
ええ、此方は冥界ですので、何時でも弔って差し上げますよ。


以上になります。


168 : ○○ :2016/08/01(月) 23:20:15 mbyqc7as
暑すぎるから、どこか幻想郷で涼みたくなってくる
やっぱり、守矢神社か永遠邸か
永遠邸だと、クーラーがある部屋から
出られなくなりそうだけれど


169 : ○○ :2016/08/03(水) 02:08:19 55riivCs
DLsiteでわかさぎ姫の催眠音声聴いて来たんだけどヤンデレネタ的には、結構いいな...
このネタで誰か書いてくれないかな...?(チラッチラッ
(本当に誰も書かなそうだったら時間おいてチャレンジしてみようかなとも思ってるけど...


170 : ○○ :2016/08/03(水) 04:26:07 2iP9SeiM
どこのサイトか言ってみなさい


171 : ○○ :2016/08/03(水) 19:36:52 LMMUOM7.
パルスィ「は?嫉妬?するわけないじゃない」

パルスィ「こんなに幸せなんだから」

パルスィ「あんたも幸せでしょ?」

パルスィ「 ねぇ ? 当然 幸せ よね ?」


172 : ○○ :2016/08/03(水) 23:03:55 TRrnooWw
>>170 これですなー ttp://www.dlsite.com/home-touch/work/=/product_id/RJ181084.html
話的には寝かせる前提で進行するから違和感があるかもしれないし、こういうのになれてない人は違和感あるかもねー
ただ、聞いているとシチュエーション的にはアリだと思ったから興味湧いたら聴いてみて

>>171 パルスィは多分だけど以前に浮気されたことがあるはずだから二の舞にならないように警戒しているんだとしたらとても彼女らしいなーと思った。
何というか依存系っぽい...?


173 : ○○ :2016/08/04(木) 05:36:18 ebpkVHic
>>171みたいに短いけど強力に突き刺さって
尚且つ想像の余地があるみたいなのすきだわ。色々捗る


174 : ○○ :2016/08/05(金) 12:58:02 Zi/XCPw2
自分でも、おかしいことはわかってる
これは冒涜に他ならない
常軌を逸している、邪だし、およそ『悪』だと言える人間も妖怪もこんなことはしないだろう

好きだった一人の男の墓を暴いて
あまつさえ、僵尸にしようとしている

わかってる、わかってる…
僵尸は、死者を生き返らせる術じゃない
死んでしまった生命の魂と肉体はどんなことがあっても元には戻らない
そこは還る場所じゃないから

もう二度と笑顔は見れない
男らしい低く渋い声も聞けない
手のひらの優しい温もりも感じれない
もう、ない。彼を僵尸にしてもそれは二度と帰ってこない
『幸せ』にはなれない、満たされもしないだろう
わかってる、わかってるのに



好きになるって、辛い


175 : ○○ :2016/08/05(金) 20:31:17 5t.WkjTI
娘々いい…
個人的ににゃんにゃんは切ない恋が似合うとおもう


176 : ○○ :2016/08/06(土) 06:12:01 hvyzpnvw
前スレのたぶん >>38 あたりより続き 不定期だけど、頑張る…。
当時の雰囲気をうまく出せないけど、頑張る。
だってルーミアが好きだから。


 突き刺さる日差から身を木陰に隠しても、この炎天下では濡れた衣服もよく乾く。
 髪先から僅かに滴を滴らせながら何が面白いのか、後ろで笑みを作りながら視線を送る少女の存在ははっきり言って鬱陶しい。
 有言実行、新たな"自分だけの"小屋を作るために、少女には一切の手を貸させず、まずは木々の伐採から作業を進める。
 小川で濡らした身体とは別に、にじみ出る汗で再び身体が濡れだくになり始めたところで一息休憩をはさみ込む。

「おつかれ」
「誰の所為だ」
「キミの選好みの所為だよ」

 竹筒から水分を補給しながら上着を一度脱ぎ去り日差しに晒すと、汗に浸された布からはまるで陽炎のように蒸気が湧きあがり、瞬く間に自然乾燥された。
 こんな陽気の元で肉体労働などしていれば、数時間もすれば例え水分を補給していたとしてもぶっ倒れるだろう。
 とりあえずは作業を一旦きり上げる事にして、日干しされた草絨毯の上に転がると見降ろす影が一つ。

「誘っているのかな?」
「汗臭い野郎の半裸なぞ、嫌悪の対象でしか無かろうに」
「世の中にはそれで興奮する性癖もあるんだよ」

 即座に少女から距離を置き、それ以上先を言うなら金輪際言葉も視線も交わさず近寄らせないと意思表示。
 ケラケラと笑いながら少女も冗談だったのか「そんな誰彼構わない様な性癖は持ち合わせてない」と呆れた口調。はたしてどうだか。
 干されきった上着を再び羽織り再び木の伐採を再開すれば、ゴッゴッと規則的に、時々不規則的に音が響く。その様子を相変わらず楽しそうな目で見る少女の考えが、自分にはやはり理解できない。

「……」
「……」

 会話の無い時間、ただ木に鉞を叩きつける音だけが続いて、一度会話が途切れれば作業が終わるまで一切の言葉は無い。
 四本目の木を切り倒す頃には日も逢魔時、そう言えば少女と初めて会った時も、この季節の、このくらいの時間だったか。
 里で、屋根の上に登って、夜の境目。月が欠けて少女が落ちてきた。


 本当に、突然のことだった。
 屋根を突き破り、暗闇の中で自分を組み伏せて、驚きに硬直した自分の耳元で囁くように、少女は確かに言った。

『私と暮らそう。』

 幼く、とまではいかないけれど大人びたともいえない、少女の言葉。
 事態に認識が追いつかない自分の頭の中に、啄木鳥が自らの巣を作るように、丹念に刷り込みゆっくりと刻んでいくように啄まれた言葉。
 あの日の言葉が、いまでもずっと頭の中から消えない。片時も忘れることができない。

『私と暮らそう。』

 これはきっと言霊、呪詛の類だ。
 そういったものに耐性の無い自分は、その言葉に絡め取られているのだろう。
 酷い冗談だと笑いたいけど、冗談で無いから笑えない。

 眠る瞬間に。
『私と暮らそう。』

 夢の最中に。
『私と暮らそう。』

 起きた目覚ましに。
『私と暮らそう。』

 食事の始まりと終わりに。
『私と暮らそう。』

 頭から、耳から消して離れない言葉。もはや呼吸と同然といって差し支えなくなってきている。
 気が狂ってしまいそう、違えてしまいそう。それでも正気を保って、彼女を正確に認識している。
 その全てはあの時の彼女の言葉に対する返事で、そしてそれが支えで

『私と暮らそう。』
『なんか、生理的に無理です。ごめんなさい。』


 何も見えず動けずの暗闇の中、掛けられた言葉に返した言葉がソレだった。
 本当はそう思っていた訳じゃないし、何かを思ったわけでもない。ただそんな言葉の鋭すぎる鋸包丁が彼女の胸を抉ったのだ。
 彼女はきっと良い返事を貰えると思っていたのだろう。否定されるとも思ってなかったのだろう。
 なぜなら彼女の言葉を聞いた瞬間から自分は呪われ、縛られ、彼女に逆らえなくなったはずだったのだから。


177 : ○○ :2016/08/06(土) 12:41:08 bDfjwNiY
>>174
分かっているけど止められない人
は、諦めることを諦めそうな

>>176
毎日、いつも執拗な誘惑良いよね
絶対に取り込むっていう執着が
見えて


178 : ○○ :2016/08/06(土) 18:20:38 hCTGX1gk
>>176
おお、待ってました。
貴方様のルーミアすごく好きです!


179 : ○○ :2016/08/07(日) 23:42:06 zNVRebiE
投下します。

探偵助手さとりif3

 探偵は思わずさとりの手を振り払い走り出す。太陽が無い、そのことが彼を酷く
動揺させていたし、それは彼に異世界ということを強く実感させていた。普段の場所
ならば、必ず有るはずの物。目を差すような太陽の光が今は恋しかった。
 全力で一分も走れば息が上がる。地面にへたり込むように座った探偵に息も切らせ
ていないさとりが話しかける。

「○○さん。これで分かったでしょう?」

「何がだ。」

さとりの哀れむような声に思わず反発したくなるが、突きつけられるのは残酷な現実。

「ここが異世界だってことが。」

労るような、いたぶるような、包み込むような母性と嗜虐的な残酷さ。二つの心がさとりの
表面に表れる。しかしここで怯む訳にはいかない、第一太陽の光を拝めずに過ごす事など、
探偵からすれば真っ平御免である。

「ここから近い地上への出口は?」

二つの感情を混ぜたままさとりは答える。


180 : ○○ :2016/08/07(日) 23:42:40 zNVRebiE
「最低百。「人間」なら、五百といった所でしょうか。」

辺りを見回した探偵が、さとりに尋ねる。

「何処にも出口が無いじゃないか。」

さとりは一層笑みを深くして答える。

「ええ、ですから、五百キロ先ですよ。「唯の人間が」ここから出れる場所は。」

「百の方は?」

「地獄の業火に一時間程耐えれれば。」

うんざりするように探偵は問いかける。

「どうせ、数百度の炎があって駄目とか言うんだろう?」

「残念、数千度です。」

桁が違ったようである。


 黙って探偵は歩き出すが、さとりはあくまでも付いてくる。途中、時折地底の住人が物珍しそうに
探偵の方を見てくるが、さとりが側に居る事を見ると慌てて目を逸らす。さとりは探偵に諦めるように
話すのであるが、探偵は一向に取り合わない。


181 : ○○ :2016/08/07(日) 23:43:20 zNVRebiE
「ねえ、所長、もうすぐ一時間になりますよ。」

「まだ、一割も行けていませんよ。これでは歩いて帰ると日が暮れますよ。」

「そろそろ限界でしょう。帰りませんか。」

いい加減鬱陶しくなった探偵は、さとりを怒鳴りつけようかと振り返るが足が縺れてしまう。
怒りに任せて飲まず喰わずで数時間歩き続けたことは、探偵の体を蝕んでいたようである。
全身が熱く視界が回り、息を上手く吸い込めない。さとりに抱き寄せられなければ、そのまま
地面に倒れ込んでいた筈であり、今もさとりにもたれかかることすら出来ずに、さとりの膝に
頭を乗せることしかできない。探偵を膝枕しながら、さとりは諭すように話す。

「ね、限界だったでしょう。」

「うるさい。」

精一杯の強がりを言う探偵の首を、両手で掴み優しく横を向かせる。

「○○さん、あそこに妖怪が一匹居るでしょう。」

そこには唯の岩があるばかりである。しかし、さとりは手のひらに弾幕を作り放つ。眩い弾幕は真っ直ぐに
岩に突き刺さり、妖怪が一匹飛び出してきた。そのままさとりの方に向かって駆けてくる妖怪。手を刃の様に
変化させている分を見ると、生憎友好的とはいかない様であった。あと一秒程で探偵とさとりに手が届くと
いった所で、さとりはおもむろに妖気を出す。針の様に相手に突き刺さる妖気であるが、さとり指一つ動かして
はいない。しかし妖怪はその場に足を凍りつけられたかのように、急に止まり動けなくなる。足を動かそうと
必死に藻掻く姿は、探偵には決して演技には見えなかった。


182 : ○○ :2016/08/07(日) 23:45:04 zNVRebiE
 そのままさとりは弾幕を一つ、ほんの一つ飛ばす。その弾幕は足で空気を蹴る妖怪の胴体に命中し、その命
を無情にも粉砕していった。赤い液体が飛び散るが、御丁寧にもさとりの妖力に阻まれたのか、綺麗な円弧を
描いて探偵には滴一つ付かない。
 何事も無かったかのように、さとりは探偵に顔を近づけて話す。

「ねえ、○○さん、一緒に帰りましょうか。」

探偵に選択肢があるとすれば、子供の様に背負われて帰るか、赤子の様に抱かれて帰るかだけであった。


以上になります。


183 : ○○ :2016/08/08(月) 12:49:42 JUurFg1A
寝ても覚めてもドレミーさんが追いかけてくる件について


184 : ○○ :2016/08/09(火) 22:06:06 ywSUOGu.
なんだろう、さとりんとドレミーって似た何かを感じる
ゆっくりねっとり確実に絡め取ってくるような…あっあっ…


185 : ○○ :2016/08/09(火) 23:14:24 cUEDvYAI
どちらも精神的に追い詰めてきそうな


186 : ○○ :2016/08/10(水) 00:15:59 KbOZGRFg
胡蝶夢丸の効果すら打ち消しそうだよな、ドレミーさんなら
夢の世界は彼女にとっては一番活躍できる舞台だから

そこから眠るのが怖くなって、十分程度のうたた寝ですら悪夢を見てしまうぐらいまで酷くなる
永琳は薬が効かないの時点でバク、ドレミーさんに心当たり付けそう


187 : ○○ :2016/08/10(水) 08:11:22 BRm5OfLk
ここにドレミー朝定食おいておきますね!

◆Dreamy Sweet Night

――自分が死ぬ夢を見た。

「うわぁああああああああああ!!!」

何度も。

「はぁ…はぁ…はぁ……」

何の前触れもなく、突然のことだった。このところ数週間立て続けにそんな夢を見る。
妙に生々しくて起きた直後は現実と夢の区別がつかないほどだ。
夢の中では‘夢’だと気付けない。故に毎日のように飛び起きる。

そんな事が続いたある日、夢の中で一人の女性に会った。

夜空みたいに深く青い髪。サンタクロースのように真っ赤なナイトキャップ
白と黒の服に、これまた白と黒の玉がついている。
そしてその手には本とうねうね動く奇妙なピンクの物体

『こんばんは、○○さん』
「あなたは誰?ここは?どうして私の名前を知っているのですか?」

彼女は私を知っているようだった。でも私の知り合いにこんな奇妙な格好をした者はいない。するとこれは妖怪の類なのだろうか。

『ああ、随分とせっかちなのですね。夢の中だというのに』
「夢…ですか?」
『そうですとも。ここは夢の中ですよ。…今日は怖い夢、見なかったみたいですね』
「ええ、そうみたいで……えっ…?」

なぜ知っているのだろうか、初対面なのに…誰にも話していないのに…

『フフフ…困惑していらっしゃるみたいで』
『私はドレミー・スイート。夢の番人、とでも言いましょうかね…あぁどうなんでしょう…フフ』

夢の番人…成程、それならば私が今までみた夢の事を知っていてもおかしくはない。
それならば

「それなら私が怖い夢を見ないように何かしてくださいよ」

当然、こうも言いたくなるわけで。懇願するような視線を彼女に送ってみる。

『そうしてあげたいところは山々なのですが、そういうわけにもいきません』
「どうしてですか?」
『色々あるのです。あなたには説明できない事情が、ね』

つれない回答だった。まぁ、夢の管理者を名乗るくらいなのだから
彼女の立場も噂に聞く‘天狗の縦社会’というものに近いのかも。
そうであれば上司の無茶を必死できいている可能性だってある。
もしそうなら無理を言うのもはばかられる。


188 : ○○ :2016/08/10(水) 08:12:44 BRm5OfLk
>>187
そんなつもりはなかったかどうやら露骨に表情に出てしまったらしい。
落胆する私に彼女は…ドレミーさんはどうしていいものかとオロオロしていた。
そんな姿をちょっとおかしく思ってしまう。
夢で笑ったのなんていつ以来だろうか

『あの…○○さん?大丈夫ですか?』
「あっ…いえ、すみません。‘まともな夢’を見たのは久々なのでつい…」
『…フフ、そうでしたか。楽しんで頂けたのなら幸いです』

『ですが、時間です』

彼女がぱちんと指を鳴らすと、ゆっくり視界がゆがみ始める。これは一体…

『明けない夜はありません、少なくとも今は。ですから今回はこのままお別れです』

なるほど、要は朝が来た…ということだったのか

『ではまた…ンフフ…次もよい夢を』

―――――

「……あ…ぁ…?」

目が覚めると小鳥のさえずりが聞こえてくる。なんてすがすがしい目覚めなんだろう。

「――?!」

悪夢から解放された?
ここに来て初めての好転だ。何かいつもの悪夢とは違った夢を見ていたような気がするけれど…思い出せない。いや、もう夢の話なんてどうでもいい。
すばらしい目覚めに感謝、そして一日の始まりに胸を高鳴らせる。

願わくば明日もこんな目覚めを。

――――
――


189 : ○○ :2016/08/10(水) 08:13:48 BRm5OfLk
>>188

「あああああああああああああ!」

現実は非常である。次の夜からはまた悪夢の連続が始まった。
しかも内容も段々と恐怖の度合いがつよくなってゆく。
頻度も増える。夜でも、昼寝でも、たった数分の転寝でさえも。
そんなことが今まで以上に続けば、やがて眠ることが恐ろしくなり、徐々に睡眠に費やす時間が減っていくのは想像に難くないだろう。

だが人間は眠らなければ生きてはゆけない。
私はだんだんと疲弊してゆき、ついには屍人とそう大差ないほどやつれてしまった。

万策尽き果て、里で定期的に見かける薬売りに相談してみたところ‘胡蝶夢丸’というものを貰えた。
なんでも好きな夢を見る事ができるらしい。
きっとこれで悪夢から逃れられる。
藁にも縋るような思いで飲んでみたところ、早速変化が訪れた。


森の中を散歩している夢。枝葉の間からは暖かい木漏れ日が降り注ぎ、時折小鳥のさえずりが聞こえてくる。ああ、なんてここちよいのだろう。
恐怖などとは無縁の空間。

動物たちがこちらをみている。手を振るとなんと向こうも手を振り返してくれるではないか!これはすごい!たのしい!かわいい!
少し進むと新緑の木々の中で白と黒の小鳥たちがさえずっていた。
[ぺぽぺぽ ぺぽぺぽ]
[ぺぽぺぽ ぽぺぺぽ]
奇妙だが不思議と安心する鳴き声だ。
鳥たちに導かれるように走り出す。気持ちいい。

ふと見渡すと、木々の間からはたくさんの花々やたくさんの顔のない何かが一斉にわたしを見てみてみてみみみみみああああああああああああ

恐怖と嫌悪感が綯交ぜになり、胃が裏返りそうになる。
それまでの安らぎなどまるで無かったかのように
泣き叫びながら必死に逃げ惑う私を顔の無い顔がたくさん追いかけて来る
いやだ!いやだ!助けて!助けて!たす――


『はい』


どこかで聞いたような安らかな声が聞こえた ような気がした。


190 : ○○ :2016/08/10(水) 08:15:10 BRm5OfLk
>>189

気が付くと私は木陰で横たわっていた。…いや、膝枕をされ、頭を撫でられている。

『随分と魘されていましたね』
「あ…ぁ…」

聞き覚えのある声、この不思議な装飾の服…

『安心してください。こわいゆめは私が処理しました。あなたは槐安は守られたのです』

彼女はたしか、夢の番人を名乗って…。そうだ、彼女は…彼女の名前は――

「ドレミーさん…」
『――っ』

一瞬、彼女の手が止まった。とても驚いたような顔をしていた。

『……覚えて頂けていたのですね。うれしい限りです』

一瞬、驚いたような顔をしていたが、すぐに笑顔に変わった。
ねっとりとして、視線を固定されるような、それでいて慈愛に満ちたような…そんな笑み。

そんな表情に見とれている最中、彼女は唐突に話を切り出した。

『そう言えば、○○さん。あなたは今催眠療法のようなものを受けていたりしませんか?』
「いえ…そんなことはありませんが…」
『そうですか…ふむ…』

ドレミーさんは空いた片手を口元に当て、なにやら考え事は始めてしまった。
頭を撫でている手も止ってしまう。

「あの…なにか…」
『…あっ、いえ。実はあなたがさっきまで見ていた悪夢についてです』

さっきまでの悪夢…その反芻してみる。が、内容が思い出せない。
だがとてつもない数の恐怖と不快感に追いかけられたような――

『ああ、思い出さなくて結構です。大部分は処理しましたが、残滓を無理に思い出そうとすると記憶に定着してしまいますよ?』
『そうなれば今度は現世でも‘見えて’しまいます』

それは困るので、おとなしくドレミーさんに撫でられる感覚に集中する

『で、その悪夢なのですが、強制的に誘導されたような夢だったんです。特に、楽しいと感じる方向へ…ええ。なにか心当たりは?』

「それは…」

具体的な内容は霞がかかっていて思い出せない。だが楽しい…といえばおそらく胡蝶夢丸のことだろう。私はその胡蝶夢丸について、薬売りから聞いたことを全て伝えた。


191 : ○○ :2016/08/10(水) 08:16:56 BRm5OfLk
>>190

『…なるほど、それのせいか…』

『わかりました。では○○さん、その丸薬を飲むのはこれっきりにしてください』
「そんな…!そうしたらまた悪夢が!」

胡蝶夢丸は一縷の望みだ。
胡蝶夢丸を飲んでなお悪夢を見たのは間違いないはず。悪夢を処理された今でも悪夢の不快感は残っていることが証拠だ。しかし、その感覚は今までの悪夢の残滓と比べれば格段に小さいのだ。
8割分の効果はあると言ってもいい。

「もうあの恐怖はいやなんです…怖い…いやだ…あの薬だけが頼りなんです…」

気がつくとわたしはわんわん泣いていた。ぼろぼろになった心をむき出しにして。

『大丈夫ですよ、○○さん。わたしがいますから。』
『こわいものは、ぜんぶ私が除いてあげますから』
『だから、お薬なんてやめてしまいましょう』
『大丈夫、ずうっとわたしが見守ってあげますから、ね?』

彼女の言葉がすうっと沁みこんでくるのがわかる
ドレミーさんは私が泣き止むまで嫌な顔一つせず抱きしめていてくれた。
慈愛に溢れた安らかな微笑みを浮かべながら、ずっと。

――――
――

『もう、大丈夫ですか?』
「…はい…ごめんなさい…」

大分取り乱してしまったようだ。ドレミーさんの服に皺が寄ってしまっている。

『…もう、起きる時間ですよ?』
「……」
『怖いのですか?』
「…はい」

起きればまた寝る時がきてしまう、そうなればまた…。
だったらずっとこのまま、どれみーさんといっしょにいたい

『もし怖い夢に入ってしまったら私の名前を呼んでください。』
『たとえ白昼夢であったとしても、私が駆け付けます』
「でも…覚えていられるか…」
『大丈夫ですよ。あなたは私の名前を覚えていた。間違いなくできます』

どれみーさんがここまで言ってくれている。

『さぁ、ゆきなさい』
「…はい!」

私は自らを奮い立たせるように強く返事をした。


192 : ○○ :2016/08/10(水) 08:18:00 BRm5OfLk
>>191

それからは悪夢に遭遇する度、彼女の名を呼んだ。
そうすれば、彼女は応えてくれた。
あるときは頭を撫で、あるときはぎゅっとしてくれた。
毎日、毎日。

彼女こそが私の希望であり、心の支えだった。
初めは悪夢から逃れたい一心だったが、いつしか彼女が目的となり
寝る事がどうしようもなく楽しみになって。
やがて悪夢など消え去り

そうして数か月が過ぎていった。


『また会いましたね。○○さん』
「またきました、ドレミーさん」

他愛もない会話を紡ぎ、共に過ごす。
それがわたしにとってはとうしようもなくしあわせで、かけがえのない時間。

「私は思うんです、こうしてドレミーさんとお話している時がとっても楽しいんです」
「そして、唯一安らぎを感じるんです」
『そうですか。それはそれはよかった。ですがこれ以上はよろしくありません』

この関係への始めての否定の言葉。突然だった。

「…なぜ?」
『夢は現実以上に精神を侵します』

彼女は相も変わらずねっとりとした微笑みを向けてくる。
この目つきが、口が、声が、全てがわたしを狂わせる。

『あなたも分かっているのでしょう?眠っている時間がどんどん長くなっている事に』

確かにその通りだ。起きている時間がどんどん短くなっていることは実感としてあった。
生命の維持に必要な行為に費やす時間以外はほとんどすべて寝ている。
それゆえ、彼女が今言った言葉は警告なのだろう。

しかし、この目を見ると視線をそらせない。
妖しく動く口元が、わたしの意識をとらえる。
艶やかで絡みつくような声が、頭に響く。
もうドレミーさんしかみえない、きこえない、かんじない

『このままだと貴方は二度と現世に戻れなくなりますよ』

いやちがう。ドレミーさんをみたい、ききたい、かんじたい

『それでも良いなら、ずっとここにいさせてあげますけれど…どうします? 』

そうだ…私は…わたしは!


193 : ○○ :2016/08/10(水) 08:19:31 BRm5OfLk
>>192

「ドレミーさん!わた―――」
『そんな事を言っている間に起きる時間になりましたよ。ああ、今回もお別れの時間ですね』

私が返事をしようとした瞬間彼女が時間切れを告げた。いやだ、待って。

『今回は一体何時間……いえ、何日間眠っていたのでしょうね』
『でもどうか安心してください。ここで起きればもう二度と私に会う事はないでしょう』
『さすれば貴方は日常へと戻ることができるでしょう』

いやだ、いやだ。まって、ドレミーさん。

『では、さようなら』

みるみるうちに彼女が遠くなってゆく。手を伸ばすたびに手が届かなくなっていく。
いかないで、ああいかないで、どれみーさん。

「―――ッ!――っ!」

私は必死に叫んだ。声にならない声を上げ、必死に彼女にすがりつこうとした。
しかし私の意識は急速に肉体に引き寄せられていく。
やめて、ひっぱらないで、助けて、ドレミーさん

『現実に未練はないのですか?』

ドレミーさんの声が聞こえる。待ってて、今行くから。

『無理やり来てはいけませんよ?』

どうして?いやだ、行く

『それ以上は…ああ、切れてしまいます』

みしみしと千切れそうなロープが軋むように身体から嫌な音がする
痛い、痛い、心と体が千切れそうな痛み。
なのになんで私は進もうとするの?何でこのまま戻りたくないの?
決まっている。だって、だって私は――

「ドレミーさんとずっと一緒にいたいから!!!!!」

全身全霊を込めて叫んだ。

そして私は真っ暗闇に放り出された。
しばらく何もわからず漂っていたが、自分置かれた状況を認識した瞬間、強烈な孤独と恐怖に襲われる。

「どこ…ここどこ?…こわい…どれみーさんどこ…?」

返事はない。それどころかまわりの音は消え、光も無く、ただ暗黒空間を漂っている。
まるで魂を鷲掴みにされたような異様な不快感に苛まれる。


194 : ○○ :2016/08/10(水) 08:20:45 BRm5OfLk
>>193
「どれみーさん…!どれみーさん!!こわい!!どれみーさんたすけて!!!」

半狂乱になって暴れまわるが、手足の感覚は無い。それどころか自分の体がどうなっているのかもわからない、わからない、くらい、みえない、きこえない、こわい


『ああ、こんなところにいたんですか』

真っ暗闇に一筋の光が差した。ドレミーさんだ!!でも何故か声が出ない。

『フフ…もう大丈夫ですよ。全てうまくいきました。さぁ、いきましょうか』

彼女のやさしい声を聴くだけで脳髄が甘く痺れる
彼女に抱きしめられる度にしあわせがあふれる。
ふわふわ、ふわふわ。いっぱい、どれみーさん、しあわせ。

『そうですか。ああ、それはよかったです』
どれみーさんといっしょなら、わたしはいっぱいしあわせ

考えたことがそのまま彼女に伝わっているようだ。
彼女と私の間にはもはや言葉すら必要ないのかもしれない。
ああ、どれみーさん、どれみーさん、すき。ああどれみーさん、だいすき

『フフ…私も好きですよ、○○さん。いえ、愛しています。こっちの方が正しい表現です』
どれみーさん。ああ、どれみーさん。しあわせ。わたしもあいしています。すき

『これからもずっと一緒ですよ』
どれみーさんと、ずっといっしょ。いっぱいしあわせ


もう、夢しか見えない。

―――――
―――


195 : ○○ :2016/08/10(水) 08:24:29 BRm5OfLk
>>194

『ンフフ…ああ…ようやくこの時が来ましたね…ああ、長かった』

もはや私以外についての興味を完全に失った○○さんを‘手に乗せる’。
わたしは只ひたすらに、夢魂だけの存在となった○○さんを撫でていた。

『初めて会った時からずっとずっとこうしたかったんですよ?』

そっと、○○さんを抱きしめる。
とくん、とくん――
○○さんの想いが熱となり身体に伝わってくる。ああ、なんて暖かく、そして心地良いのだろう。

『あなたの方から、あなたの意志で‘こっち’へ来てくれるなんて…うれしい』

思わず笑みがこぼれる。幸福感でどうにかなってしまいそうだ。
と、言ってもこうなるように仕組んだのはこの私。夢の支配者、ドレミー・スイート。
胡蝶夢丸なんてなんの意味も成さない。

『怖い夢も、私との楽しいひと時も、全部私が作った‘夢’なんですから』

○○さんは結局気がつかなかったみたいだけど。

夢の中では何者にもなれる。夢を通じて何者にもなれる。
それは夢の中では夢魂という存在になるからだ。
○○さんは夢の中で現実への回帰を否定した。それは現実の肉体と夢魂のリンクを切断する事にほかならない。
それだけのことならば、○○さんの全てを‘こっち’側へ導く私の作戦はまだ終わらなかっただろう。
しかし○○さんの思いの強さによって現実の肉体に宿る魂をも引き抜いてしまった。
こうなれば現実の肉体は魂を失った抜け殻になる。

通常、肉体の死をもって魂が肉体を離れるのだが、その順序が逆転してしまえばどうなるか。
存在する意味が消滅した肉体はグズグズの灰になって消え去り、シーツの上には燃えカスを人型に散らしたようなシミが残るだけだ。

○○さんは図らずも自らの意志で肉体を消滅させた。
戻るべき肉体を失った夢魂は二度と現世に戻ることは無い。
永遠に私と共にある。共にあり続ける。
そう、これでずうっと一緒にいられる。

             ドレミー ・ スイート ・ ナイト
『ようこそ。永遠の “ 夢みるような甘い夜 ” へ(ドレェ…』


ああ、愛しい貴方と共に、永遠の春夢を。


ENDoremiy


196 : ○○ :2016/08/10(水) 18:50:33 euOqvj3Q
>>195
GJ!
非常に素晴らしいです
甘い策略で分からないように、追い詰めるドレミーさんいいです
全てを棄てさせるのがまたクルような


197 : ○○ :2016/08/10(水) 19:35:40 2Bwdum5s
好かれちゃった時点でもう終わりですって方々が多いんだよね、幻想郷は

勢力の長レベルなら、人里への根回しも容易だろうし


198 : ○○ :2016/08/11(木) 01:37:49 Cv60I9H2
紺授伝病みパターンを簡単に考えてみた

青蘭・地上での窮地を助けたら依存してきちゃった系(うどんちゃんに近い繊細さがgood)

鈴胡・確実な情報戦略で○○を絡めとる系

ドレミー・心の深いところに暗示を擦り込んで依存を誘う系

サグメ・能力を駆使して穏便にさりげなく邪魔者を排除する系

クラピ・一緒に遊んだら気に入られて松明でおかしくされる系

純狐・ささやかな日常を重ねるうちに良好な関係を築いていくがひょんなことから純狐の壮絶な過去を知ってしまったことを発端に本性を現した彼女の退廃的純愛甘々ヤンデレちゅっちゅによってズブズブの共依存関係に堕ちてゆく二人だけの永遠の切ない幸せの檻系

ヘカ・何処へ逃げても必ず見つけてくるお姉さん系(本人の性格的にあまり怖くない)


199 : ○○ :2016/08/11(木) 08:06:11 t8cM9iqc
なんと過激な純狐さん・・・


200 : ○○ :2016/08/13(土) 12:39:24 j5ou9FVk
ヘカーティア「捕まえたー!」ガシッ

ヘカT「フヒッフヒヒ…もう逃げられないわよん…!」

ヘカT「さあ!服を脱ぎなさい!!」ビリッビリッ

ヘカT「はぁー!はぁー!…」ゴクリ

ヘカT「往生際が悪いわよ……観念しなさい!」

ヘカT「私とお揃いのシャツを着るのよ!!!!!」


こんな感じ?


201 : ○○ :2016/08/14(日) 20:37:49 HtR89z0g
雨、雨が止んだ。
私は緑の長靴でピチャピチャと足音を立てていた。
なぜなら、暇だから。

ピチャ…ピチャ……グシャ。
…あ、カタツムリ潰しちゃった…。
……ま、いいか

…あ、来た。
「○○ー♪」
私はすぐに彼の体に飛びつく。
…あったかい。
―――ここが、唯一にして絶対の私の居場所だ。

私はひとしきり頬をスリスリしたあと、彼を見上げた。
彼は少し困っているようだった。
でもその顔も、やっぱりカッコいい。

「…じゃ、行こ?」
私は一旦○○から離れて、○○の手を握った。
カタツムリのことなんか、もう一切れも覚えちゃいなかった。


202 : ○○ :2016/08/14(日) 21:21:53 HtR89z0g
最近の私の趣味は、散歩だ。
もちろん一人で散歩なんかしても楽しいわけがない、だから彼を連れて行く。

彼の名前は○○、小説家で元外来人の男の人だ。

私は散歩をしながら、彼の小説の構想や世間話を聞くのが何よりの楽しみだった。
今日も私は彼とくだらない話をしながら歩く、歩く、歩く。

気づくと、もう夕暮れになってしまっていた。
水溜りに、夕日が反射していた。

日が暮れそうになったのに気づいた○○は、すぐに今来た道を引き返す。
私もそれに着いていく。

…夕方なんか嫌いだ。
ずっと朝のままだったらいいのに。
ずっと彼と一緒にいれたらいいのに。

私は帰り道を歩く、歩く、歩く。
そしてやっぱり、気づくと、彼と待ち合わせた場所に戻ってきていた。

彼が、私の頭を少し撫でて、帰りの言葉を口にした。
「…うん、バイバイ」
私はその言葉に返事をして、彼とは別の方向に歩きだした。


203 : ○○ :2016/08/14(日) 21:27:27 HtR89z0g
憂鬱だ。
私は自分自身の緑色の髪をいじりながら家路を歩いた。
楽しくない。
楽しくない。
ちっとも楽しくない。

…ちぇ、もういいや。
私の意識はすぐにシャットダウンした。


204 : ○○ :2016/08/14(日) 22:08:12 HtR89z0g
続くかも?


205 : ○○ :2016/08/15(月) 00:23:24 6dhbHsfo
こいしちゃんかしら・・・
続きを期待してます


206 : ○○ :2016/08/15(月) 16:08:16 rC.COWEU
関西熟年夫婦3
「タバコまた変えたん?」わたしはミルクを冷たいコーヒーにいれながら、ピンクに上目遣いにきいた。甘いのがあまり好きではないのに、ブラックは嫌いっていう。
私は、大通りに面した豆腐屋の裏手に、ちょこんと建っている喫茶があり、内装も醸す雰囲気も落ち着いて、いつものオキニの店にしている。そこで、ド派手な柄の着物をきた華仙とお茶を飲んでいた。
「よく見てる、あのひとが関わるときにはいつも盲目目暗な癖に。」
華仙は一度鼻から煙を長く吹き出して、灰皿にぐりぐりとタバコを押し付けて、空になった金マルの箱を握りつぶしてそのまま灰皿に放り込んだ。ヤニ切れでむかむかしているおっさんみたいに、急がしそうにふところからセッタの長いのを取り出して、口に加えた。
「昨日寝た男のやつ、パクってきた。やっぱり宗派が違うと不味いよ。」そういいながら、わたしにくわえたタバコをつきだした。
下品なことをするのねこの子と思いながらも、しぶしぶと、バックの底にあったくしゃくしゃになったマッチ箱から一本取り出して、手を添えて火を着けてやった。
「仙人でも、そんだけ見境なく男を漁ってたら、身体に一つや二つにお土産が入ってくるんでないの。」
カラカラとストローでかき混ぜると、ミルクのベールが一瞬で溶けて白くなってしまった。
「なるかい、仙人パワーなめんな。逆に治したる」斜め向かいに吹いた煙は宙を滑るように走って、空気に溶けていった。
髪に匂いが付いたら嫌だなと思いながら、ストローの袋を小さく小さく折り畳んでいく。
「そういえば、もうすぐ〇〇の誕生日でしょ、何かあげるの。」興味が無さそうなふりをして、華仙が聞いてくる。そんな様子をみていると、胸の奥に硬く重いものが圧迫するような息苦しさを感じた。
私はそれを表に出さずに、
「考え中やけど、最近先が潰れてきたし、太筆にしよかなって感じ。」と言った。
「何か婆臭いもん渡すなぁ、少しはそうね、色気のあるのとかにしたら?」そういって自分の胸をわしわしと揉んで見せる。彼女の後ろの席に座っている、しわしわのじいさんが、少し新聞をずらして鋭い目付きでその様子を凝視していた。握り締められた新聞は、ぐしゃりと皺がよっていた、ここの店のなんやろうけどなぁ。
「例えば何よ。」
「うーん、7月だから。土曜の丑で、全裸に鰻とかないかな。」
「あうと。」
そんなこんなで、だらだらとしゃべっていたら、西日が窓をさすようになってきた。
「なあ、華仙。一緒にあの人の誕生日祝えへん?」
「どうして、そんなこと言うの?」心底不思議そうに、聞く姿はまるであの頃そっくりで。
「まあ、ええやん。」自分の訛りが上手くならないのを思い知らされて。知らぬうちに、自分の腕に爪を立てていた。

あんまり、病んでないのはわいの力不足。


207 : ○○ :2016/08/15(月) 21:56:00 o8jaQRJc
小ネタ祭だ はっはっはっは

幼いころ幻想郷に迷い込みしばらく面倒を見てもらった、しかし何らかの要因で帰ってしまったあなた。
でもまた何故か幻想郷に戻ってきてしまった!
そんな時の彼らの反応とは…

無理やり作った感アリアリなのであんまり病んでる感はない。

霊夢

「あらアンタ…って○○じゃない!?
 あの時は一人で勝手にどこに行ってたのよ!!
 心配したんだからね!!」

「ふーん…外に帰って友だちもできて恋人も…ふーん…。
 まあ、これも何かのめぐり合わせでしょ。
 また昔みたいに私と一緒に遊びましょ?
 昔と比べて私も成長して私だけで空を飛べるようになったのよ!」

「…うん、外に帰るんだって? 知ってる
 だって、私が博麗の巫女だもん。
 あなたや他の外来人を帰すための存在」

「そう、私は結界を張ったの。
 なぜって? あなたが逃げ出さないために決まってるじゃない」

「うんうん…あなたの居場所は外にはない。
 幻想郷、いや私のそば。
 それがあなたの居場所なのよ」



魔理沙

「よーうお前が新しい人間…って!?
 お前○○か!?
 忘れたのか? 私だ、魔理沙だ!」

「そっか…お前も外の世界でいろいろあったんだな…。
 私も今はお嬢様じゃなくて魔法使いなんだぜ?
 おっ、私がどんな魔法を使ってるか気になるって?
 良いぜ、私は今やこれ一本で生きてるんだ。
 いくらでも見せてやるぜー!!」

「あー…そうだよな、お前もいつかは帰るんじゃないかって、
 そう、思ってた。
 あぁ…私は、うん、お前が…お前を…」

「なあ、私と昔約束したことあったよな。
 ああそうだ、『大きくなったらけっこんするー』とかってやつな。
 約束、覚えてるよな?
 魔法使いとの契約、そう簡単に解除できると思うなよ…?」

「おはよう○○、今日も元気か?
 そうか、元気で何よりだぜ。
 なんせお前はこの魔理沙様の大事な大事な宝物だからな」


208 : ○○ :2016/08/15(月) 21:57:00 o8jaQRJc
ルーミア

「ん〜? なんかどこかで見たことあるような…
 あー!! ○○だー!!
 私だよ! ルーミアだよ! 覚えてる?」

「へ〜外の世界って色々あるんだな〜…。
 ん〜恋人って何だ? おー、親密親密…
 なーなー、私もその恋人ってやつになれるのか!?」

「うー…○○帰っちゃうの? 寂しいな…。
 なにこれ? 私に似合いそうだから忘れない様にずっと持っててくれたの?
 ありがとう○○! 私は○○のこと、絶対に忘れないね!」

「…ごめんね、○○。
 私、こんなものじゃ満足できそうにないや」

「おはよう○○! 私ね、○○を誘拐することにしたんだ!
 だってそうすれば○○は帰れないし、私は○○とずっと一緒にいられる!!
 …あ、逃げようとしても無駄だよ。
 その空間の先、一 寸 先 は 闇 だ か ら 」



大妖精

「あわわわわ…ご、ごめんなさい!!
 まさかここまでの騒ぎになるとは…ってあなた、○○くんですか!?
 わ、私です! 大妖精です!! …もしかして覚えてない?」

「外の世界ですか…私もいつか行けたら良いなって思うんですよね。
 その時は○○くんと一緒に…ってあなたがいなくなってからずっーと考えてたんですよ。
 でもまさか○○くんがこっちにまた来るとは思ってもいませんでした」

「分かってますよ! 外への帰り方ですよね!?
 私に付いてくればすぐにでも帰れますよ!!」

「ねえ、○○くん。
 あなたが子供の頃にね、私と約束したと思うんだ。
 うん、『おねーちゃんと大人になったらけっこんする』、だっけ?
 ねえ、あなたはもう大人になったんだから結婚、できるよね?」

「おはようございます、○○さん。
 あなたは幸せですか? 私は幸せですよ?
 うん、今日もそろそろチルノちゃんと遊びに行きましょうか。
 クスクスクスクス…」


チルノ

「おい! そこの人間!!
 あたいを誰だと…って○○じゃん!! どこ行ってたのさ!?
 えっ? 誰って…あたいはチルノだよ? 覚えてないの?」

「あ〜…外の世界に帰ってたからいなくなってたのか〜。
 いいなー、外の世界のおもちゃとか持ってこなかったの?
 なーんだ、つまんないのー」

「えー! ○○帰っちゃうのー!?
 やだやだ!! あたいはもっと○○と遊びたいんだ!!
 …なにこれ、写真? なんか○○と知らない女の人が仲良くしてる気がする…」

「…ねえ○○、あたいと楽しい遊び、しよ?
 大丈夫だよ…あたいは最強だから、
 手加減の仕方も知ってるよ…?」

「あたいは○○のおかげで新しい遊びを知ったよ。
 あたい、すっごく楽しい!!
 ○○も楽しい? うん、楽しいか!
 あたいと○○はずっーと、ずぅーっと一緒だからな!!」


209 : ○○ :2016/08/15(月) 21:57:55 o8jaQRJc
美鈴

「ちょっと、そこの人間! ここから先は紅魔館の土地ですよ…!?
 あなた、まさか○○くんですか!?
 覚えてますか、美鈴ですよ美鈴!! ほら、紅魔館の門番の!!」

「そうですか、ここ最近会えなかったのは外の世界に帰っていたからですか…。
 やっぱりこっちと比べると向こうのほうが住み心地は良いんでしょうか?
 へぇー! 向こうにも門番がたくさんいるんですか!?
 それはそれは、きっと強盗は侵入し辛いでしょうね」

「どうしたんですか、○○さん、そのマフラーは…。
 …あっ、帰っちゃうん、ですね。
 い、いえ、でしたらそのプレゼントは持って帰って…
 え? これを僕だと思って、って…もう…告白じゃないですかそんなの…」

「あぁ、○○さん○○さん○○さん○○さん○○さん
 可愛かったあの頃と比べて立派になった
 ○○くん○○くん○○くん○○くん○○くん
 これは告白、そう告白。
 だったらこれは応えるべきなんですよね? ○○さん」

「おはようございます○○さん。
 ここは私のお部屋です。
 え、どうしてって…告白を受けたのなら、私はそれに応えるべきですよね?
 だから、応えさせていただきました。 行 動 で 。
 それではこれから先ずっと、よろしくお願いしますね?」



小悪魔

「あれ、珍しい…人間がこの図書館に来るなんて…?
 あのー…すいません、あなた、○○さんでしょうか?
 あれっ!? やっぱり○○さんでしたか!?
 お久しぶりです、パチュリー様の下僕、小悪魔です!
 覚えておいででしょうか!?」

「そうですか…外の世界に帰っていたんですね…。
 でも、何かが原因でまたこっちに来てしまったと。
 で、原因を探るためにこの図書館にやってきたんですか。
 うーん…パチュリー様にお願いしても召喚ならまだしも、
 戻すのはちょっと難しいかもしれませんね…」

「あ、帰る方法が分かったんですか!? おめでとうございます!
 ほー…こんな詳細なメモが本に挟まっていてほんとにラッキーでしたね!」

「○○さん…契約書はよく読んでからサインをしましょうね。
 あなたが子供の頃に遊びでサインしていた契約書がこちらです。
 『大きくなったらとしょかんのおねーさんとけっこんする!!』
 でも、遊びは遊びでもこれは立派な契約書です」

「帰る方法がある以上、問題はない…?
 もう、○○さんったら…
 私は小と付いてはいますが悪魔ですよ?
 契約の内容は絶対です。
 も う 絶 対 に あ な た を 逃 し は し な い」



パチュリー

「ちょっと小悪魔…あら、誰かしらあなた?
 顔を見せてもらってもいいかしら?
 …あら、○○? あ、当たりね。
 お久しぶりかしら? パチュリーよ」

「どうしてここに…ふーん…帰って来ちゃったのね。
 で、私のところで…ああ、何とかして戻る方法を探してたのね。
 そういうことなら私も協力するわ。
 何でって…あなたの子供の頃からのお姉さんなのよ?
 可愛い弟が困っていたら助けるのは当たり前ってこの本に書いてあったわ」

「ところで何かアテはついたの?
 そう…ところであなたに協力して欲しいことがあるのだけれど。
 大丈夫よ、あなたに見返りのない用事ではないから」

「ねえ○○…もし、あなたがもう帰れなくなった…なんて言ったらどうする?
 いえ、ちょっと本で見た冗談よ…真に受けないでちょうだい。
 大丈夫よ、私の知識とあなたのチャレンジ精神があればなんとかなるわ」

「○○、今、何年だか知っているかしら。
 私達、毎日毎日朝から晩まで実験に明け暮れているから、
 段々日付の感覚も失ってきているでしょう?
 そう、あなたがどれだけ時を経ても老化しない理由、若々しい理由。
 全部私が実験であなたに仕込んだものよ」

「理由? そんなもの簡単よ。
 私も魔理沙と同じことを考えてみたの。
 大 切 な 宝 物 は 永 遠 に 
 自 分 の 傍 に 置 い て お く っ て」


210 : ○○ :2016/08/15(月) 21:59:10 o8jaQRJc
咲夜

「あらお客様…紅魔館に何の御用でしょうか…!?
 すみません、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?
 …やっぱり! あなた、以前働いていた○○じゃない!!
 今までずっと何処にいたの!?
 って、私の事忘れてる? 咲夜よ? 十六夜咲夜」

「そう…あなたは外の世界の住人だったから帰っていたのね…。
 外の世界はやっぱりこっちと比べて楽しいかしら?
 ふーん…ここで得た経験や知識を元に恋人や友人ができて楽しい…。
 ねえ○○、多分あなたがいた頃と比べて少しずつ環境とか色々変わったのよ。
 一緒に見てみないかしら?」

「帰る方法ね…基本的には博麗の巫女とスキマ妖怪と言われている妖怪の2人に
 お願いすれば帰れるって聞くわよ?
 それを聞いてどうするの…ってまあ、帰るってわけよね…当り前だけど…」

「○○、私はね、あなたと一緒にいたいの。
 でもあなたは外の世界に帰りたがっている。
 こんな事をするなんてあなたの元上司として、友人として、人間として最低だってことは分かってる。
 でも、私はあなたを幻想郷から帰したくない」

「どれだけ私の隙を突いて逃げようとしても無駄よ。
 あなたにはずっと秘密にしていたけれど、私の能力は特殊なの。
 大丈夫よ、逃げようとしなければ、私から離れようとしなければ、
 私を拒絶しなければずっと愛し続けるから…」



レミリア

「おい、そこの人間。
 少し顔を見せてもらっても良いかしら?
 ……あなた、○○ね? ほら、当たった。
 今の今まで一体この幻想郷の何処をほっつき歩いていたのかしら?
 …これだけ威厳たっぷりに言っても覚えていないのね…レミリアよレミリア」

「ふーん…外の世界、ね。
 あの時あなたに会えて私はまるで妹の他に弟ができたみたいで凄い嬉しかったわ。
 覚えているかしら? あなたは見た目相応の子供だったけれど、
 私やフランは見た目こそ子供だけれどそれ以上に長生きだからね。
 まあ、子供の頃の記憶なんて忘れていても仕方ないわ。
 大事なのは今だもの」

「幻想郷からの帰り方…ね。
 ○○、私、実は占いも出来たのよ? ちょっとやってみるわね。
 ……ふーん、あなた、帰れないらしいわよ?
 無駄骨折らずに素直にここで暮らしてみたら?
 みんな歓迎すると思うわよ?」

「あら、そんな武器を持ってどうするつもり?
 決闘…? で、勝ったら帰り方を教えてくれないか…?
 いいわよ? も受けて立ってあげるわ
 但し私が勝ったら私の条件を飲む事ね」

「ごめんなさいね○○。
 いくらあなたが家族の様な存在でも手加減はできなかったわ。
 だって…
 あ な た は 一 生 こ こ で
 私 と 暮 ら す 運 命 だ も の 。」

「拒否権は無いわ。
 だってあなたは条件を飲んだもの。
 じゃあ旦那様、私と一緒に一曲踊りましょうか」



フラン

「あれ〜…見覚えのある男の人だ〜。
 ねえあなた、名前はなんていうの?
 ○○…ねえ、昔遊んだことないかな?
 私だよ、フランだよ?」

「そっか…あの時遊んでて急にいなくなっちゃったから心配したんだよ?
 でも○○にまた会えてよかった。
 今は地下に入っちゃってるけど…いつかは○○と一緒に外に出られるように頑張るからね!」

「外への帰り方…? うーん私にはよく分からないや。
 でも○○はどうして帰りたいの? 私と遊んでるのは嫌?
 外の世界がどんなものかは知らないけど、ここにいればずっと安全だよ?」

「ねえ○○…私、悪いことしちゃったんだ、聞いてくれるかな?
 うん、そうだよ。 鍵を壊しちゃったんだ。
 鍵が無いと地下から出られないのは知ってるよね?
 どうしてこんな事をしたかって? 私が○○と一緒にいるためだよ。
 ○○、私と一緒に禁じられた遊びっていうのをやってみない…?」

「こうしてお父さんとお母さんは末永く暮らす事になりました、ちゃんちゃん。
 やっぱり物語はみんな救われてこそだよね。
 ○○、あなたも救われたんだよ? だから笑顔になろう?
 私と一緒に、ね?
 あははははははははははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははははははははは」


ふつーに一人長いの書いたほうが楽しい気がした…
でもとりあえず書けるだけ書いてみよう。


211 : ○○ :2016/08/15(月) 23:21:47 ukTWvNBM
霊夢「私、あなたの三歩後ろをついて行くわ。それが大和撫子ってやつでしょ?ずっと、いつもずっとそうしていくから…」





霊夢「海は卑怯だと思うなー」

霊夢「飛んで近くまでいくからいいわよ」

霊夢「やめて!!足ひっぱらないで!!引きずり込もうとしないで!!!」

霊夢「深くない?」

霊夢「…浮き輪持ってくる」

浮き輪霊夢「せっせっ」脚パタパタ

霊夢「やっと着いた…」

霊夢「……鮫とかでないよね?」

霊夢「えっ?待って!?空気抜かないで!!!!やめて!!!!!泳げないの!!!」

霊夢「置いてかないで!!!!!いやっ!!いやっ!!!イヤーーーー!!」ブクブク

霊夢「ーーーーーーァ、あぁ?」

霊夢「足つく」


212 : ○○ :2016/08/15(月) 23:58:52 rC.COWEU
( -_・)?


213 : ○○ :2016/08/16(火) 08:03:03 jLhIFo3U
すまん、変なの書いてしまって


214 : ○○ :2016/08/16(火) 08:41:10 hrUanOI2
>>213
ヤンデレだけどヘタレなのもありだと思うの

「もちろんあなたが最優先よ!!
 でも…それは…苦手なのよねぇ…」

っていうのもいいと思う


215 : ○○ :2016/08/16(火) 18:55:07 7/IfuX6Q
何だかんだで、十年ぐらい一緒にいてしまいそうだなこの霊夢
ヤンデレらしく逃がさないと言う意識はあるのだが、同時に傷つけたくないと言う真っ当な考えも消えていない

だからこそ、何だかんだで一緒にいてしまうんだ
ただ、霊夢の場合。紫辺りが幻想郷の安定を第一に考えて、外堀埋めてきそう


216 : ○○ :2016/08/17(水) 04:50:06 ATqUhyEA
>>215

某ヤンデレAQNみたい


217 : ○○ :2016/08/17(水) 16:51:08 QCBWp3WA
リハビリに短めのを

「まさか貴女が……」

という言葉を○○は寸でのところで飲み込んだ。
博麗神社へと続く参道の前、○○の前に立ったのは赤藍の装束に均整のとれた肢体を包み、艶やかな銀髪を背に滑らせる女性………八意永琳であった。
幻想郷の女性達の深く重い愛情は○○の知るところでもあったが、しかしあの理知的で玲瓏たる彼女がこうして立ちはだかることには、やはり困惑は隠せなかった。

「………」

永琳はただ、黙して○○の前に立つばかりである。
しかしその様子が却って雄弁に○○へと語りかけていた。
彼女、永琳は○○の知るなかで妖怪、人間、神を合わせても、おそらくは最強の存在だ。
その力をもってすれば人間一人、つまり○○をこの土地に縫い付けるなど腰をあげる迄もないだろう。
永遠亭の奥、診察室の椅子に座ったままで事を完璧に済ませることも可能な筈だ。
しかし今、こうして直に○○の前を塞いでいる。

(そんなに俺の事を………貴女程の人が何故、そこまで?)

「貴方のそんなところか、気に入って。かしらね」

と、初めて永琳が声にだした。
それは自嘲げで、「仕方がないのよ」とでも言うように力なく眉を下げた。

「俺はそこまでの男じゃ……」
「等価交換ではどうかしら」

初めから予想していたのか、○○が言い切るのを遮って、永琳は一歩、前に出た。

「交換……?」
「そう。貴方がここに居てくれるなら、私の全てをあげる」

ここに、といって、永琳はその中華風の服の釦を上から二つ、中指と親指で弾くように解くと、みずからのその豊満な胸に手を当てた。
普段の永琳なら「そう、交換」と合いの手挟むところだが、しかし彼女は急いで言い切った。
きっと「ここ」というのは色々な意味を持つのだろう。
幻想郷という土地、永琳という女の心、そしてその胸の上に……と。
俺にそこまでの価値がない、とはもはや言えない。
彼女自身が等価値と、示したモノに同じ言葉を向けることになる。
永琳がそう言い切った以上、舌戦でそれを覆すことは不可能である。

「わかったよ」

そう言う他なかった。

「………」

「………俺のものになってくれませんか?」

ほんとに?と、上目遣いで問うてくる永琳に、○○はいよいよハッキリと印を捺すほか無かった。
想像を絶する程の智と力を持ちながら、こうした仕草を嫌みなくしてのける………恐ろしい女であった。

「嘘だったらひどいわよ?」

ノータイムで○○の腕の中に収まったまま、吐息を○○の胸に染み込ませるように愛撫めいて永琳は釘をさす。


218 : ○○ :2016/08/17(水) 17:21:06 QCBWp3WA
○○はなにも言えず、ただ目の前にある形のいい頭を掌で撫でさすった。
もしかしたら……。
もしかしたら、今少女のように胸の中にいる彼女の姿こそが本来の彼女かもしれない。
それは無いなと分かっていながら、「俺の永琳はこうなのだ」とも自惚れたい欲求が湧く。
そしてきっとこれも永琳には筒抜けなのだろう。ザルのように。

「きっと、楽しいわよ、私は」

これもまた、色々な意味にとれる言葉を首筋にはきかけると、永琳は瞳を閉じてついっと唇を差し出した。
ふるん、と柔らかな舌触りを確かめてから吸い付かれたソレは少女の弱々しさとは正反対に、積極的に触れ合いを求めてきた。

「ん、ふ、ふぅ……んんんっ、んーーはぁ……」

生々しい匂いの鼻息が、遠慮なく○○の鼻腔を犯す。

「んー、ぷばっ………ふ、ふふふふふ! 素敵!………ああ、そうだわ、忘れてた」

と、○○の、胸におでこを擦り付けていた永琳が、躁鬱のようにうって変わって冷たい声で離れた。
その様子に○○は不安を掻き立てられたが、しかしそれも一瞬。

「良かった………死なずにすんだわ」

言うが早いか、永琳は胸元から出した薬瓶を踏み砕いた。
薄いガラスは易々と砕け、内容物は全て土に還った。

「ね、帰りましょう。その……アナタ」

明確に貴方とは違うアクセントで永琳は○○を呼ぶと、その腕をとって寄り掛かりながら歩き出した。
ひどく歩きづらいが、永琳はお構いなしに十歩歩くごとに○○を見詰めて、二十歩歩くごとに愛を囁いてきた。
それは永遠亭につくまでずっと続いた。
「死なずにすんだ」という永琳の言葉を詳しく問う時間は、○○には全く与えられなかった。




219 : ○○ :2016/08/17(水) 20:44:58 6ubVCIfg
いい…ここ最近の投下ラッシュにふるえる…すごくいい…


220 : ○○ :2016/08/17(水) 23:51:45 Uwrfm72I
>>211
明るいヤンデレは良いですね
この霊夢はドタバタで明るい家族になりそう

>>218
死なずに済むとは、あえて蓬莱の薬を除去するとは
新しい発想… それだけ重いのが良いですね

次より投下します。久々の投下


221 : ○○ :2016/08/17(水) 23:52:19 Uwrfm72I
探偵助手さとり11

 日はとうに落ち、夜の色が濃くなってくる時分に、探偵は依頼者と
ファミリーレストランの机を挟んで向かい合っていた。傍らには助手
が座り探偵の横を固めている。連日のストーカー被害により、疲労の
色を隠せない依頼者に、助手は対策を伝えていく。

「本日あと一時間後に、対象者をこちらのファミリーレストランに
呼び出しております。これ以上付きまといを続けるようでしたら、
弁護士を依頼して警察に被害届を出すと言い切れば、おそらく相手も
行為を止めるかもしれません。」

「え、でも大丈夫なんでしょうか。あんなにしつこかったのに。」

 依頼者の女性は心細そうであるが、あくまでも止めさせるとは言い
切れない所に、探偵事務所の現状が表れている。しかし現実として、
人の心を操ることなどは「そうそう」出来ることでは無く、まずは
対象者への説得を第一とすることを伝える。

「現実として、これ以上になりますと警察を介入させることしか
ありませんが、今の被害では法律として何か出来る訳ではありません。
今は通報までの証拠を積み重ねるべきかと。」


222 : ○○ :2016/08/17(水) 23:53:04 Uwrfm72I
 案に反して対象者は、探偵が証拠を突きつけると素直に付きまとい
を止めることに同意し、誓約書にもきちんとサインもした。それほど
までにすんなりといくとは思っていなかった依頼者は、ほっとしたあ
まりに対象者がファミレスを出て行った時には、目に涙を浮かべている
程であった。ストーカーから解放される嬉しさのあまりに、依頼者は
探偵の手を握りお礼を言う。

「ありがとうございます○○さん。おかげさまで解決しました。」

しかし探偵は嬉しさを出さずに、むしろ冷や水を掛ける勢いで返答
する。

「いえ、油断は出来ません。彼は諦めていません。恐らく、今晩襲撃
に来るかと。」


 探偵は依頼者を自宅のマンションに送り届け、そのまま依頼者の
部屋で籠城作戦に出る。ファミレスでは探偵をぶっ殺すと息巻いていた
対象者の声が、さっきから探偵の耳にはっきりと響くようになり、声の
内容が探偵を拷問する内容に変わって、妄想の殺人中継がなされるように
なっている分を聞くと、対象者はマンションの周囲で未だに潜伏している
ようである。
 声が一段と大きくなり、鉄製の玄関ドアの前からはっきりと聞こえる
ようになって三十秒程経ち、不意にチャイムが鳴らされる。


223 : ○○ :2016/08/17(水) 23:53:53 Uwrfm72I
探偵はそのままドアのノブを回した。鍵を掛けたままにして。ドアが
激しく引き込まれるが、玄関の鍵に阻まれてドアは少しも開かない。

「おい、開けろよこの野郎!(とっとと引きずり出して○△□×!!)」

なおもドアをこじ開けようとする対象者に、助手が声を掛ける。

「警察を呼びました! 時期に来ますよ!」

対象者は返答の代わりにドアを何かで殴りつけるが、幸いにも分厚い
鉄製の扉は、探偵の体をしっかりと守っている。
 一分も経たない内に、助手が予め頃合いを見て呼んでおいた警察が、
サイレンをけたたましく町内一帯に鳴らして到着すると、さすがの
ストーカーもこれまでと、脱兎のごとく逃亡をしていった。


 依頼者の家から逃げ出したストーカーが、偶然近くを通った某車両
に跳ねられて、搬送先で死亡が確認されたとの情報を、自宅で依頼者が
警察から伝えられたことを確認し、探偵とさとりは帰宅する。
 自宅兼事務所に着いた探偵は、道中の無言を破りさとりを問い詰める。

「おい、どうして殺したんだ。」


224 : ○○ :2016/08/17(水) 23:54:49 Uwrfm72I
 何の気も負わずにさとりは答える。

「貴方を殺そうとしたから。」

「しかし、だからと言って殺すのはやりすぎじゃないか。」

さとりは残念そうに言う。

「あらあら、お気に召しませんでしたか。折角追求されにくいように、
警察車両に当てましたのに。」

あくまでもズレた回答をするさとりなのだが、口の端が歪んでいるのは
探偵をからかっていることを明白に示していた。探偵はなおもさとりを
追求する。

「聞いているのはそういうことじゃない。お前も分かっているんだろ。」

「なら、貴方も分かっているんでしょう? 愛しているからです。」

「そんなものは愛じゃない。」

「あら、恋ですか。」


225 : ○○ :2016/08/17(水) 23:55:26 Uwrfm72I
茶化すさとりに探偵は指と共に突きつける。

「愛だろうが、恋だろうが、なんだろうが俺は認めない。」

探偵が差す指をするりとかわし、さとりは探偵の背後から首に手を回し
て抱きつき囁く。

「貴方が認めなくても、幾らでも注ぎますよ。ええ、溢れて溺れる位
までなんかが良いですか。」

「勝手にしろよ。」

さとりは耳元に更に口を近づけて息を吹きかけるように言う。

「勝手にしますね、貴方。愛してますよ。」

かくして夜は更ける。闇で全てを覆い隠しながらに。

以上になります。


226 : ○○ :2016/08/18(木) 22:57:38 j.qjzhz6
さとりと探偵の間になんだか今までにない不穏な雰囲気が出てきたような…


227 : ○○ :2016/08/19(金) 23:43:29 aglUs9h.
この勢いに乗ってひさびさに投下!


俺は現世から紆余曲折あってこの幻想郷に行き着いた。
そしてこの永遠亭に保護された。いわゆる俺は外来人という奴らしい。
そこでは鈴仙と共に薬売りの仕事をしている。
 この世界に共に流れ着いたバイクを使って緊急に薬がいる人へ速達したり、大量に輸送したりとそういった事をこなしていた。何故か燃料に融通が効いたのは謎だが。
ここに根を下ろそう。初めはそんな風にも考えていた。
 しかしある日の事だった。俺が配達から帰っている途中、妖怪に襲われただろう後の亡骸に遭遇した。
 初めて幻想郷の暗い一面に遭遇した俺は、恐怖しながらも強い闘争心に燃えた。その時俺は、妖怪に対抗するための力と術を身につけ、人間を食い物にする妖怪を討とうと誓った。

 拾い集めのガラクタとバイクのエンジンを使い、河童のあれを参考にしながらもバイク弄りで鍛えた技術と独自のアレンジを加えた飛行器具を制作した。
 最初の内はろくすっぽまともに飛べるような物ではなかったが、改良と練習の積み重ねで、十分に弾幕を避けられる所まで至り、徐々に戦果を上げられるようになっていった。
 時には、悪戯をする妖精を相手に。時には人を襲う妖怪を相手に戦った。
 この事は永遠亭おろか誰にも言ってない。取引先には妖怪のお客もいるし、身元がバレてここに押し寄せられても迷惑がかかると思っていたから。
 
「○○ちょっといいかしら?」
 なんでしょう姫様
「えらく疲れ顔だけど何かあったの?」
 いえ…特に何も
「それにあなたコソコソ何やってるの?この前だって、一緒に人里へ行った時だって、急にいなくなってたし。」
 それは急に厠に行きたくなって・・
「鈴仙と一緒の時だっていなくなるって聞いたわよ?」
 それは・・・
「○○嘘はやめて。本当は何か私たちに隠しているんでしょう?それに、真夜中に抜け出してどこへ行ってるの?正直にいいなさい。」
 ・・・
「みんな心配してる。何かあるんだったら、私だけにも言って。誰にも言わないから・・・」
 ・・・ごめんなさい!

そういって俺はその場から走り去った。言えるものか。ただの私情だけで妖怪相手に喧嘩を売っているだなんて。
 知ったら止められるだろうし何より人を巻き込みたくなかった。

今日はズダボロだ。早く帰って床に着こう・・・・幸い顔に傷が入ってないのが助かった。
「○○・・・?どうしたの?こんな時間にこんなとこで」
おそらく夜中に起きたであろう鈴仙と出くわしてしまった。
 いや…はは、寝られなくってさ。今日暑いしさ。
苦し紛れの言い訳。暗いので傷だらけなのはわからない筈
「そう・・・。今日の相手強かったんだね。」
 !・・・何故それをしっている!?
「私知ってるよ○○の事。妖怪退治やってるって。だってずっと見てたもん。一人で何度も転けてるとこ、コソコソ一人で出ていくとこ、修理してるとこ。」
 見ていたのか・・・
「もう疲れたでしょう?○○一人でそんな事してきたんだから。楽にしてあげる・・・」
彼女はフラッと近づいて来た。
「○○は誤解しているの。たまたま運が悪かっただけで。ちょっと、悪い奴がいるだけで私みたいに優しいのだってー」
 お前も妖怪だったのか
「フフン。○○ったら私を人だと思ってたの?鈍ちんね。そんなとこが大好き。あ、この事は誰にも言わないわよ?だって○○にはファンが一杯いそうだしね。これから分かり合っていけばいいじゃない。そのためにも嫌な事全部

  忘 れ よ う ね」
フラッと近づいて来る鈴仙をはねのけようとしたが逆に強い力で押さえ込まれてしまった。そして無理やり目をみさせられた。

自分の白くなっていく意識の中で○○は結局自分も妖怪に食われてしまったと皮肉るのであった。


228 : ○○ :2016/08/19(金) 23:44:18 aglUs9h.
以上です


229 : ○○ :2016/08/20(土) 11:59:17 XkcAg/eA
>>206
関西弁がキャラに何故か似合う
しおらしさが出ているような

>>207
レミリアはやはり運命を弄ってくるのか…
○○にとって強敵だな

>>228
なんたる皮肉。だがそれがいいですね

次より投下します。


230 : ○○ :2016/08/20(土) 12:03:08 XkcAg/eA
前スレ>>835-837の続き

「―――実は○○さんには、守矢神社に入って貰いたいんです。」

昨日の今日で僕を呼び出したかと思えば、素っ頓狂にそんなことを言ってくる。
相変わらずの暴走ぶりに、人間はそうそう変わるものではないと思いながら、自
分の安寧のために昨日と同じように、当たり障りの無い答えを返しておく。

「いえ、そんなことを急に仰られても、此方としては色々不都合がありますし…
 あまりにも急でして…。」

それが昨日と同じように、糞ったれた結果を齎すだろうと薄々感じながらも。
 しかし緑髪の目の前の女は、此方の事などはお構いなしに攻め立ててきてい
る。あそこまでいっそ突き抜けることが出来たなら、却って悩みが無くなってす
がすがしいと思えるのであろうが、生憎そこまで常識と人間らしさを捨て去る訳
にはいかない。

「大丈夫ですよ○○さん。○○さんの悩みは私が全て解決しますよ!」

「いえ、そんな…。早苗さんの手を煩わせる事では御座いませんから。」

-だから、お前の所為で悩んでいるんだろ!-と心の中で言い捨てながらも、
目の前の奴をどうにか言い包めようと、僕の口は必死に言い訳を探していく。

「此方にも仕事がありますので、全てを守矢の方に向けるのは少々。」


231 : ○○ :2016/08/20(土) 12:03:43 XkcAg/eA
「もう、○○さんは仕事と私、どちらが大事なんですか!」

世の中のパパがよく言われているであろう事を言われるが、大抵の男性は-お前
の為に仕事をしているんだろ!-と思っていることであろう。しかし早苗と家族
になった積りが欠片も無い時分としては、仕事の方に天秤が大きく傾く。一方が
軽すぎるだけであるのだが。

「私知っているんですからね。○○さんがいつも仕事で頑張っていること。この
前も暑い日に、町中で一日中売り子をしていていましたし、その前は村はずれの
畑で収穫の手伝いをしていましたし。駄目ですよ、折角渡した麦わら帽子を被っ
て貰わないと、流行りの日射病で倒れてしまいますよ。」

ごく自然にストーカーしていることを暴露しながら、早苗は俺に感情を向けてく
る。おそらく本人は、「これ」が悪事とは一片たりとも思っていないのだろう。

「いやあ、お恥ずかしい所をお見せしまして。しかし、あの日は一日一人だった
のですが…。」

取敢えず牽制をしておくが、蛇のように面の皮が厚いこの女には、効かないので
あろう。案外先祖に、蛙に加えて蛇の神様も入っているかもしれない。

「ねえ、○○さん。」

案の定、僕の言葉には答えずに、早苗は僕を抱き寄せてくる。

「こんな外では駄目ですよ。早苗さん。」


232 : ○○ :2016/08/20(土) 12:04:16 XkcAg/eA
家の中でも駄目だがな、と心の中で付け加えて窘める。

「キスしてくれたら、許してあげます。」

「駄目ですよ。幾ら人気が無くっても、誰が見ているか分かりませんよ。」

そもそも許される様な悪い事などは、天に誓って何もしていないのであるが、山の
元締めからすれば、「わるいこと」なのかもしれない。絶対に受け入れたくない感
覚であるが。それでも早苗は僕に口付けをせがむ。

「ほら、今は誰もいませんから。」

そして一陣の風が吹く。


守矢神社への帰り道に、一人早苗は自身の唇を撫でて呟く。

「絶対に逃がしませんよ、○○さん…。」

以上になります。


233 : ○○ :2016/08/20(土) 13:14:41 XkcAg/eA
続き

 翌日の朝、家が突風に煽られたかと思うと、家の引き戸に新聞が一部挟まってい
た。見出しには大きく文々新聞の文字がついている。珍しく天狗の号外が発行さ
れたかと思い、はてそんな大事件など最近あったかなと、新聞の一面を見ると大き
な白黒写真で、自分と早苗の昨日の姿がはっきりと納められていた。
 思わず手が震えて、新聞がバラバラになり畳に落ちる。余りにも急な展開に自分
の頭がついていかないが、どうにか畳に這いつくばって新聞をくしゃくしゃにしな
がら集めて読む。驚きの余りか活字に目の焦点が合わずに、顔を紙に近づける。近
眼の様な格好になりながらも、どうにかこうにか本文を読んでいくと、僕と早苗の
熱愛報道として、無いこと無いことばかりが載せられている。
 妄想をここまで広げる人間が居たのならば、さっさと永遠亭の地下室にでも、
収容してしまうのが世のため人のためであろうが、生憎相手はプロの文屋である。
これくらいの作文は朝飯前であろうし、ご丁寧に-続報にこうご期待を!-と煽り
文句を入れていることからも、之だけで追求を終える積りは一蒙も無いようである。

 このままこの新聞を放置することは出来ない。なし崩しに守矢に取り込まれるので
あろうし、早苗の様子からすれば、嬉々として之を既成事実にしてくるのであろう。
そうなれば、神社の神二柱も面子に掛けて黙ってはいないであろう。兎に角、自分が
潔白で有ることを烏天狗に訴えねばならないし、守矢神社にも言って早苗を説き伏せ
ることが必要であろう。新聞をよく見ると幸いにも、今朝の第一版である。射命丸が
気を利かせて第一版を持ってきたのならば、自分が訂正をする時間を与える積りであ
ろうし、第二版以降で回収なりなんなりが出来るのであろう。そう思い急いで家を
飛び出す。一路目指すは妖怪の山。


234 : ○○ :2016/08/20(土) 13:15:44 XkcAg/eA
 妖怪の山に着いた時分には、日が大分高くなり真夏の日差しがじりじりと僕を照ら
していた。滝の様に流れる汗をぬぐいながら、乱れ切った息を整える。烏天狗に訂正
させると意気込んでここまで無我夢中で走ったは良いものの、よくよく考えると天狗
だからあんなに早く移動できるのであって、高々人間が全力で走ったとして、空を飛
ぶので無い限りは、到底間に合いそうにもない。さてはそれが狙いだったかと内心忸
怩たる思いを抱きながら、妖怪の山に足を踏み入れる。


 妖怪の山に入って数分、今までの全速力が祟り亀の様な歩みしかできない○○目が
け、早苗が空から飛んでくる。

「そんなに急いで大丈夫ですか○○さん。神社までご案内しますね。」

-誰の所為でここまで汗掻いてんだよ-と当然の如く感じるが、それを押し殺して
早苗の手を繋ぐ。上機嫌になった早苗とは逆に急降下したテンションで、○○は守
矢神社に早苗と共に飛んで行った。本音では先に烏天狗の方に行きたかったのであ
るが、早苗を説得して射命丸に睨みを利かせて貰った方が、権力に弱い天狗には返
って好都合かもしれないと思いなおす。

 余談であるが、ここで○○が先に天狗の方に行っていても、先に想像した通りに
歯牙にも掛けられずに、あっさりとあしらわれるだけであっただろう。

 しかし、しかしながらに、先に守矢神社の方に行った場合でも、「○○にとって
の理想的なこと」になるかと問われれば、それは明確に否なのである。一寸先は闇
と世間では言うかもしれないが、今回は全ての道は羅馬に通ず、と言った方が正確
なのかもしれない。先は幸福か不幸か、結果は現人神のみぞ知る。

以上になります。


235 : ○○ :2016/08/20(土) 14:07:12 XkcAg/eA
続き

神社に入ると、山の上に建っているためか肌に涼しい風を感じる。夏の暑さと蝉の
喧騒から隔絶されたような社屋で、僕は早苗と向い合せに座っていた。あいつが淹
れた茶なんぞは飲みたくないのであるが、無我夢中で走って来たため生憎体は水分
を強烈に欲していた。よく冷えた麦茶を飲む。ここでは珍しいガラスに入った冷た
い麦茶は、悲しい程に美味しかった。

「一体どういうことですか。」

一息ついた後、早苗に問いただす。此方が主導権を握る為に敢えて何かとは言わずに
おく。目の前の女は何やら考える様子であるが、一向に答えようとはしない。爬虫類
並みの思考能力しかない早苗に腹が立ち、つい強い口調で怒鳴ってしまう。

「どうなっているですかあの新聞は!あんな出鱈目どうするつもりですか!」

ついつい普段の冷静さ殴り捨ててしまうが、我が道を行くであろう早苗は堪えてい
ない。

「ああ、「あれ」ですか…。別にどうでも良いでしょう?あんなもの。」

烏天狗の力作を一刀で切り捨てた早苗を見て、一番懸念していた両者が繋がっている
という可能性が消えたと思い、早苗を動かす算段を頭の中で整理する。走りながら浮
かんできた、巫女として求められる不純な異性の排除を利用して、自分とのスクープ
を消してしまうアイデアが一番やり易いだろう。

「○○さんは私の夫になるのですから。」


236 : ○○ :2016/08/20(土) 14:07:53 XkcAg/eA
「ちょっと待って下さい。幾ら何でも無茶苦茶でしょう!」

「どうしてですか。」

「どうしてって…」

-お前が嫌いだからだよ!-と言えずに口ごもった僕に、早苗が言葉を続ける。

「ねえ○○さん、あちらに諏訪子様がおられますよね。」

早苗の指差す方に釣られ、首を動かしてそちらを見た僕の視界の端を、何かが一瞬横切
る。首に熱い感覚と一瞬の痛みを感じると、体の力が抜けて正座が出来なくなる。

「え、ちょっ…、まっ…。」

舌が縺れ、背骨が溶けたかのように崩れ落ちた僕に、早苗はにじり寄る。僕の腰を支点に
上半身を仰向けにさせ、背中に手を回し僕を押し倒してキスをする。

「○○さん、愛しています。貴方が私を嫌いでも、奇跡の力で変えますから。」

「嫌だ…」

「駄目です。」

早苗は力強く断言する。この神社に入った時点でもう彼女に囚われていたのであろうか。
 ひとしきり囁いた後、満足したのかひっついていた体を離す。このまま解放してほしい
と願う僕を、彼女は細腕で引きずり奥の部屋に向かっていく。
 襖を開けた先には、一つの布団と二つの枕。僕は蛇の様だと内心見下していた彼女に、
蛇の如く巻きつかれ、丸呑みされ、捕食されたことを知った。

以上になります。


237 : ○○ :2016/08/20(土) 18:31:33 22Qcmajs
ノブレス・オブリージュに囚われて(94)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=84

ある子供が、山の方で女の子と遊んだと言った
それを聞いて慌てふためくその子の家族と、完全その気の山の方であった女の子

個人的には女の子は諏訪子様で想像した


238 : ○○ :2016/08/21(日) 17:07:49 KiBaccqk
>>237
暑い中お疲れ様です
GJです!


239 : ○○ :2016/08/21(日) 22:58:42 ubPwVt9w
今さらだけどKirisame Eversionの魔理沙がいい感じに歪んでて素敵


240 : ○○ :2016/08/21(日) 23:32:45 KiBaccqk
歌詞を検索してみたら、いいかんじでした
ありがてぇ ありがてぇ

ところで、アリスがお礼したいってさ・・・


241 : ○○ :2016/08/22(月) 00:04:27 HKtcASbs
またも投稿(妖々夢版)

幼いころ幻想郷に迷い込みしばらく面倒を見てもらった、しかし何らかの要因で帰ってしまったあなた。その2
でもまた何故か幻想郷に戻ってきてしまった!
そんな時の彼らの反応とは…

レティ

「あら、こんな雪の日に人が訪ねてくるなんて…あらっ!? ちょっと大丈夫!?
 身体が随分冷えているわね…暖かいのは好きでは無いけど死なれても困るわ…。
 …ごめんなさい、顔をちょっと見せてもらえる?
 …あなた、まさか○○!?」

「そう、向こうに帰ってしばらくしてまた帰ってきてしまったの。
 しかもこんな豪雪地帯に。
 あなたに非があるのかは分からないけれど気をつけなさいね?
 …大丈夫よ、私はあなたを襲ったりしないわ」

「…また、帰るのね。
 いつかはそうなると分かってはいたわ。
 ねえ、質問しても良いかしら?
 元の世界に帰るのとここで私と一緒に暮らすの、どっちがいい?
 良いのよ私は別に、家賃も取らないしあなたが私の傍にいる、それだけが望みだもの」

「お願い、私と一緒に居て欲しいの。
 私の冷たい心を溶かす炎になって欲しいの。
 でも…あなたを引きとめるのは悪い事だとは分かってる…」

「心優しいお姉さんなら、『やっぱり引きとめるのはダメ、あなたを縛るなんてできない』と言うのかもしれないわね。
 でもごめんなさい、私は目の前に自分の欲しいものがあるのなら取りに行きたいのよ。
 特に、欲しいものがあなたなら」

「ねえ○○…雪が綺麗でしょう…そうね、私が嬉しいからかもしれないわね。
 あなたは嬉しくない…?
 大丈夫よ、嬉しくないのならすぐにでも嬉しくさせてあげるんだから」





「にゃーにゃー。
 そこの人間、私に見覚えない?
 うーん…○○だよね? 私の事忘れちゃったのかな…橙だよ?
 昔遊んでたような気がするんだけど…覚えてないの?」

「へー、ゆかり様やらん様が言ってた外の世界の住人って○○みたいな人を指してたんだねー。
 でも何で○○は2回もここに来たの? あっ、それは分からないんだ…
 まあいいや! 久しぶりに会ったんだしあそぼーよ」

「んー帰り方…? 多分ゆかり様に相談すれば帰れるんじゃないかな?
 でも私は○○ともっと一緒にいたいんだけどなあ…。
 ねえねえ、帰らないって考えに変わったりはしないのかな?
 ダメか…ちぇー…」

「はい! お願いしますゆかり様!!
 …ありがとうございますゆかり様! らん様もありがとうございます!!」

「ねえ○○…私、お願いをしてきたんだ…。
 何って? ○○がね、妖 怪 に な っ ち ゃ う よ う に」

「これでもう○○はお外には帰れないんだね。
 大丈夫だよ、私はずっと傍にいるから。
 ○○を守るよ? ずっと、永遠に」



アリス

「そこのあなた…少し名前を伺っても…って○○じゃない。
 …確か外の世界に帰ったはずだけれど、どうしてここにいるのかしら?」

「向こうで暮らしてたらふとした拍子に来てしまった…?
 随分簡単な理由でこっちに来れるのね…。
 まあいいわ、久しぶりに会ったことだしまた昔みたいにお茶でも飲みながらお話しましょ」

「あら、幻想郷からの帰り方? 私は分からないわ
 でもどうしてそんなことを?
 ふーん…また帰っちゃうんだぁ…」

「ねえ○○、私、昔と比べてまた色々と魔法が使えるようになったのよ。
 もちろん人の役に立てる魔法よ。
 例えば人形の糸で人の体の一部分を吊って包帯や添え木代わりにしたり、
 巻きつける事で傷つけることなく無力化したり…」

「ねえ○○? 外の世界を捨てて私と一緒になる気はない?
 外の世界は面倒なことだらけだし辛いでしょう?
 でもここにいればずっと安全。
 私があなたを守るし、あなたの全てを私が管理する。
 あなたの人生を保証するわ。
 お返しとしてあなたが私に愛をくれればそれでいいの」

「…そう。
 まああなたが簡単に意見を曲げないのは子供の頃からだものね。
 それじゃあ心置きなく、
 私 で い っ ぱ い に し て あ げ る わ」


242 : ○○ :2016/08/22(月) 00:05:07 HKtcASbs
リリカ

「やあそこの人間! 私の演奏を見に来てくれてありがとー…って、
 君、もしかして○○? あ、やっぱり!?
 ここ最近ずっと見かけないから何処に行ってたのか心配してたんだよー!!」

「あ〜やっぱり〜? 妖怪や幽霊では無いだろうなーと思ってたら普通の人間だったんだねー。
 でも何でまたここに迷い込んできたのかな…?
 あ、実は私の事ずっと意識してくれてたり? だったら嬉しいなぁ」

「外への帰り方? あー…ごめん、人里の話とか私全然詳しくないからさ。
 まあ探すのを手伝う位はライブやる時でもなければ手伝うよ?」

「ねえ…○○?
 私ね、昔あなたに演奏を聴いてもらってた時に色々意見を求めたりしたよね。
 メルランお姉ちゃんみたいにもっと明るい音を出すべきか、とか、
 リリカお姉ちゃんみたいにもっと深く暗い音を奏でるべきか、とか。
 でも君は笑顔でこう言ったよね、リリカはリリカ、他の誰かの音を真似る必要はないよ、って」

「私ね、その言葉を聞いた時に初めて誰かに認められたって気がしたんだ。
 もちろん、お姉ちゃんたちに認められていないわけじゃないのは分かってるよ。
 でも、自分っていう個性が、存在が認められてすっごく嬉しかったの」

「でもその人は気が付いたら会えなくなってしまった。
 どこを探しても、いつもの場所で演奏していても会えなくなっちゃったんだ」

「だから私は決心したの。
 次にその人と会った時はずっと一緒になろうって。
 その人を笑顔にするために、その人の隣でその人のために演奏し続けようって」

「だからね○○。
 ず っ と 隣 に 居 て ね」



メルラン

「はろーみんな―! 今日も私たちのライブに来てくれてありがと―!!
 まあ、観客はそんなにいないみたいだけどねー!」

「うわぉ! 君は確か○○くんだね!!
 最近会えなかったからお姉ちゃん寂しかったんだぞぉ!!
 背も大きくなって立派になったねぇ!」

「なるほどー! 外の世界に帰って向こうでハッピーに過ごしてたんだねー!!
 でも何故かこっちに来ちゃったんだねー!!
 それはそれは…アンハッピー?」

「ここからの帰り方ねー…うーん私は分からないなぁ!
 大丈夫だよー探索の時に私も付いて行くから!!」

「○○くん! お姉さんの正直な気持ちをお話しします!!
 私はね、昔○○くんに私の演奏を褒めてもらった時、惚れました。
 いわゆる一目惚れです!!」

「今まで明るいとか、賑やかとか、騒がしいという意見は沢山いただきました、が
 ○○くんはその上を行く、
 一緒に踊ったりしたら楽しそう、という具体的な意見を話して頂いたのです!!」

「この揺さぶられる感情をどう伝えようか…どう話そうか迷っているうちに、
 ○○くん、あなたは帰ってしまいました!!
 ああ! なんたる悲劇!!」

「だから私は思ったんです!
 目を離せば帰ってしまう可能性があるならば、
 目を離さなければ安心と」

「大丈夫ですよ○○くん!
 お姉さんがハッピーな演奏で怖い気持ちは全部吹き飛ばしてあげます!!」
 だ か ら ず っ と 安 心 し て そ こ に い て ね」


243 : ○○ :2016/08/22(月) 00:05:46 HKtcASbs
ルナサ

「来場の皆様へ、ようこそいらっしゃいまし…まあ、いつも通り1人しかいないわね…?
 そこの人間、あなた、○○…?」

「どうして…戻ってきたの?
 …なるほど、良く分からないけど来てしまったのね。
 どうも混乱しているみたいだし、私の演奏を聴いて落ち着いてみる?」

「落ち着いた所でどうするの?
 …なるほど、帰りたい、ね。
 いいわ、演奏の練習に影響が出ない範囲であなたが帰るための探索を手伝ってあげる」

「こうして2人で歩いているとあなたが子供の頃に話してくれた感想を思い出すわ…
 私が妹たちみたいに明るい音色が出せなくて困っていた時、
 あなたは自分の弾く音色に自信を持とう、って言ってくれたわね」

「実際、そう考えるようにしたら姉妹で役割分担もできるようになったし、
 私の中の音楽の世界が広がった様な感じがしたわ。
 無理に協調しようとせず、1人1人個性を持つって大事な事ね」

「だからその言葉に感謝してあなたにお礼をしようと思ったの。
 でもあなたは気が付いたら私の隣からはいなくなっていたわ」

「それから先、私はこの揺さぶられる様な気持ちを音楽に込めて演奏し続けていたの。
 二度と会えないかもしれない絶望、それでも会いたいと言う希望、
 心の中の虚ろな気持ち、それを埋めようとする代償行為」

「でもあなたは戻ってきた。
 あのときの面影を残して。
 まるで私の心の奥底の願いを誰かが聞いたかのように。
 そして叶えさせてくれるかのように」

「だから改めて私の気持ちをハッキリと言うわ。
 私はあなたの事が好き、愛している」

「でもあなたはその気持ちを受け入れる気が無いのを私は知っている。
 だって、帰りたいんでしょう?
 外の世界に、私の居ない世界に」

「だから私は考えた。
 外の世界に帰ろうという気持ちが、希望があるのなら、
 私の演奏で閉じ込めてしまおう
 動きたくない、何も考えたくない、そういう気持ちだけにさせてしまおう」

「そ れ が 私 の 能 力 だ か ら」


244 : ○○ :2016/08/22(月) 00:08:03 HKtcASbs
途中からどんどん長くなったせいで改行制限に引っかかる…

妖夢

「止まりなさい! そこの人間!!
 この階段は気軽に登って良いものではありませんよ!!
 それ以上先に進むのなら…あれ、○○くんですか?」

「そうですか、あの時は私より幼い子供だったのがもうここまで…
 外の世界、もとい人間は成長が早いみたいですね…。
 ところで、今でも武芸などはやっているのですか?
 あ、外だとじゅーとーほーいはん? で真剣は使えない…?
 よく分かりませんが、そういうルールがあるのですね」

「ところでここへは何の用事で来たのでしょうか?
 あ、外の世界への戻り方について幽々子様に聞きたい…。
 えーと、それでしたら私も付いて行きましょう。
 私に捕まって飛んで行った方が歩くより早いですし」

「懐かしいですね…昔はいつもあなたの手を取って空を飛んで楽しんでいましたね…。
 あの時はまるで弟みたいで、可愛い弟子が出来たみたいで凄い嬉しかったんですよ?
 それが今や見た目は完全に逆の立場になってしまいましたね」

「…○○さん、私は今のあなたを見て恋焦がれています。
 武芸の技術はともかく、今のあなたの精神、見た目、様々なものに魅了されています」

「分かっています、あなたが師匠の告白を受けるためにここに来たわけではない事は。
 でも、私だって女です。
 こういう気持ちを持つのは悪いことなのでしょうか」

「武芸はそのような邪な気持ちを捨てて行うもの…。
 えぇ、私もそう思っていました。
 先程あなたと再会するまでは」

「全てをかなぐり捨てて幽々子様の従者として仕え続ける…
 それだけというのはもう考えられません。
 何が有ってもそこに追加で○○さんがいる。
 私はそれしか考えられないのです」

「浅ましいのかもしれません、従者として失格なのかもしれません。
 それでもあなたの事を考えてしまいます。
 だから…私と決闘して下さい」

「…やはりこうなりましたね。
 あなたが武芸について濁した時、正直この決闘について手心を加えようと思っていました。
 切り合わなければ分かりあえないのならば、こんな感情は捨てるべきだと。
 わざと負けて、あなたの事を忘れるべきだと」

「正直、負けても私が失うものはこの感情位ですしね。
 でも一心不乱に勝つために刀を振り続けるあなたを見て確信しました」

「私はあなたの事をこうまで思っていても
 私の気持ち全てを無視し自分のために刃を向け続けるあなたを見て」

「あ な た を 帰 さ な い。
 あ な た を 殺 し て で も。
 あ な た を 亡 霊 に し て で も」


245 : ○○ :2016/08/22(月) 00:08:50 HKtcASbs
幽々子

『幽々子様、人間の来客です』

「あら〜? 人間が白玉楼に何の用かしら?
 …ねえあなた、もしかして○○じゃない?」

「あら、また紫が何かやらかしたのかしら。
 戻ってきちゃうなんて。
 …ああいえ、何か幻想郷にやってきた心当たりは無いのかしら?」

「まあ、ここまで長旅だったでしょう?
 とりあえず休んでから考えても良いんじゃないかしら」

「あの頃は小さな子供だったのに、何時の間にこんなに大きくなって…
 あら? 起しちゃったかしら?
 いえ、独り言よ、気にしないで」

「ところで私の所に来た理由は…まあ帰る方法を聞くためよね?
 それだったら紫と霊夢に頼めばいいと思うわ。
 幻想郷から外来人を帰す時はあの2人が何かと世話を焼いているから」

「○○…あなたに大事な話があるの。
 まあ、別にそんな大層な話ではないのだけれど」

「あなたが幼いころに迷い込んで母代りに私が育てた。
 そして今、あなたは大人になって私の元にやってきた。
 知ってるかしら○○、義母って結婚できるのよ?
 どうしたのそんなに慌てて…冗談よ?
 それにそんな長く育ててるわけでもないし」

「ああでも、あなたの事を好いているのは本当よ?」

「もう…昔から照れた時の表情は可愛かったけれど、
 大人になっても可愛いわね。
 …その表情、私以外の誰にも見られたくないわ」

「ねえ○○…もう一度お義母さん、いえ私とここで一緒に暮らす気は無い?
 あら、女性の家に懇ろになるのはお嫌い?
 大丈夫よ、普通の女性ならまだしも私は亡霊の女王よ?
 男1人養う位問題ないわ〜」

「あら…逃げるつもり?
 お義母さん悲しいなー?」

「悲しすぎて…
 う っ か り 亡 霊 に し ち ゃ う か も」


246 : ○○ :2016/08/22(月) 00:09:37 HKtcASbs


「やあ大将、いつものお揚げを頼む。
 …ん? 大将、いつもを頼むと言ったんだが?」

『んっ? ああ! 藍さんか!
 ○○、藍さんは俺に任せな。
 お前はまた仕込みをやっとけ』

「○○…?
 大将、○○とやらに仕事が終わったら広場にいるよう伝えといてくれ」

「…やはりお前か○○。
 どうして、戻ってきているんだ?」

「お前は紫様と霊夢の力で外の世界に帰ったんだろう?
 だがここに戻ってきている。
 まさか、また紫様の結界が崩れたのか…?
 崩れた箇所を探すのも補修するのも大変なんだがな」

「戻ってきた時どの辺にいたのかは覚えているか?
 多分その近くが結界の裂け目だろう」

「…そうか、私が甘かったんだな。
 ○○だけに正直に話すとしよう」

「お前が来た時、紫様は寝ている状態だったからあえてその部分の結界は壊しておいたんだ。
 理由? 簡単だ、お前がまたこの世界に来れるように、だ」

「毎年毎年、紫様が寝ている間はこの部分の結界だけ壊しておく。
 お前が何かの弾みで来れるようにな。
 そしたらどうだ、本当にやってきたという訳だ」

「どうしてそんなことを? その答えも簡単だ。
 お前を愛しているからだよ、○○」

「橙と遊びまわっていた時も、
 私と紫様で勉学を教えていた時も、
 お前は真面目に様々な物事に取り組んでいたな」

「その何事にも真っ直ぐな姿勢、
 そして他人への優しさに私は惚れたのだ。
 全く…相手は年端もいかぬ子供だったと言うのにな」

「お前が私のもとを去った後も、
 紫様のスキマを通してお前が成長する姿を見届けていたよ…。
 残念ながら紫様の機嫌が良い時にしか見れなかったから、
 何年か経過してからようやく見守る事が出来たりした、ということもあったが」

「だがそのお陰で衝撃を受けることもあったぞ。
 特に、少し前まで可愛らしかった少年が立派な青年になった時などどれだけ悶えていたことか」

「…そしてお前の魅力に他の女狐共が気が付き、
 尻尾を振り始めた時にどれだけ苛付いたことか」

「その時に私は思ったんだ、お前を保護しようと。
 あんな汚れた売女共にお前は相応しくない。
 お前に相応しいのは誰でもないこの私だ」

「だから結界にあえて裂け目を作っておいた。
 いつかお前が来れるように、と」

「だが私とて鬼では無い。
 私はこっちに来るための出入り口を作っただけだ。
 もし○○、お前がこっちに来なかったのなら諦める事にするつもりだった。
 正直、お前があの女狐共を選んだのならばそれも運命と考え、諦めるつもりだった」

「それにスキマを使えるのは紫様だけ…私にもスキマを操るだけの力があれば、
 女々しくお前を待つかどうするか考えることもせずに連れ去る事も出来たのだがな」

「だが来てしまったんだお前は。
 そして見つかってしまったんだお前は。
 タチの悪い狐の妖怪にな」

「そして妖怪は人間を喰らう…まあ自然の掟というものだな。
 大丈夫だ、殺しはしないさ。
 それじゃあ自然の掟に従い」

「い た だ き ま す」


247 : ○○ :2016/08/22(月) 00:10:08 HKtcASbs


「あら…結界が…見事におかしくなってるわねぇ…。
 地面には足跡があるし…。
 誰かがまた入り込んじゃったみたいね」

「足跡追って、ごゆるりとー。
 あら、見覚えのある顔が。
 ○○、大丈夫かしら?」

「ごめんなさいねぇ、結界が割れててそこから入れちゃったみたいね。
 でもまさかまたあなたが迷い込んで来るなんて思ってもいなかったわ」

「…それにしても随分大きくなったわねぇ。
 前の時は片手でも簡単に持ち上げられたのに」

「ところでこれからどうするの?
 まあ、帰るの希望よね。
 望んで来たのならまだしも不慮の事故で来てしまっているわけだし」

「あ、そうそう、戻るついでに私も少し付いて行っていいかしら?
 外の世界からの結界の状態の確認も必要だから。
 それが原因であなたはやってきているわけだし…ね?」

「…うーんごめんなさい、○○。
 幻想郷からだと気にならなかったけど外の世界からだと結界の範囲ってかなり広いのね…。
 流石に1,2日じゃ確認が終わりそうにないわ…。
 ごめんなさい! 確認が終わるまで○○の家に泊めて欲しいのだけれど!!」

「え? なんでって…私、お金も持っていませんし、
 女性を1人で野宿させるつもりですの?
 それに何か異常があったとしてもある程度事情が分かっているあなたが居た方が面倒事は避けられるでしょう?」

「あー…私の事どう説明するって?
 海外からの留学生とかそんなのでいいわよ。
 あるいは○○に泊まろうとかそんな感じのアレで」

『あらまあ○○…随分綺麗な留学生ね…』

『ど、どこでそんな方と知り合ったんだ…?』

「ちょっと旅行している時に会いまして。
 気が合う方でしたので日本の文化の研究ついでに泊めて頂こうかと」

『あ、そういうことなら私たちは別に…ねえお父さん?』

『そ、そうだな…』

「宜しくお願い致しますね、叔父さま、叔母さま」

「いやー、無理あるかと思ったけどどうにかなったわねー。
 じゃ、私は夜の間に作業をしてくるわ。
 お休み、○○」

「さてと、作業…ね。
 まあ結界が広いのなんて嘘だし、結界の補修のために外に出たわけではないけれど。
 さて、大規模な境界線の操作にはどれだけの時間が掛かるかしらね…。
 本当、あなたの優しさは私の心を惑わすわね…○○」

「うーん出来れば簡単に終わらせたいし…
 とするとやっぱりあの状態にするのが一番かしらね…。
 さて、やってみましょうか」

「おはようございます、お父様、お母様」

『あら紫、おはよう』

『よう紫、相変わらず朝が早いね』

「どうしたの○○? あなたのお父様とお母様でしょう?
 ちゃんと挨拶なさいな」

『そうよ、ダメよ紫に急かされているようじゃ』

『まあそう言うなよ、俺だって親父にあいさつするときはどもってお前に急かされてたしな』

「何かが変? じゃあ簡単にヒントをあげるわね」

「事 実 婚 っ て 便 利 よ ね」

長々とすんません…


248 : ○○ :2016/08/22(月) 00:24:13 TU7eJd7E
>>247
お前の情熱がこのスレを支えているんだぜ‼


249 : ○○ :2016/08/22(月) 10:18:22 4YB3bUeM
>>241-247
すげぇ・・・すげぇ・・・!

おかげで白米がいくらでも食えるッ(


250 : ○○ :2016/08/22(月) 22:28:32 dfdcEHSM
>>237
果たして二匹と一人はどうなるのか…

>>247
妖夢がもはや目的と手段が滅茶苦茶になっているのが好き

次より投下します


251 : ○○ :2016/08/22(月) 22:29:15 dfdcEHSM
 藪の中

1 射命丸文の友人からの事情聴取

 ええ、文ですね。たしかに○○さんに対しては、とても気に掛けていたようです
ね。現在Nのところで「保護」されている××さんが切っ掛けで、○○さんが幻想
入りした時もとても気に掛けていて、椛から連絡を受けた時にも直ぐに駆けつけて
いた位ですから。さすが、幻想郷最速の名前は伊達ではないですね。
 そうですね…確かにちょっと度が過ぎている感じは無くもないですね。以前は
仲が良かった椛とも、結局それが原因で揉めてしまいましたし…。
 でも、文はいい奴だったんですよ。普段はおちゃらけている風を装っていますが、
本心はそんなのではなくて、熱いといいますか、何と言いますか、私達記者は事実
を追いかける事を仕事にしていますけれど、文は特にそれが強いと言いますか、
私ならとっくに諦めるようなことにも、諦めずに追求して最後にはスクープを挙げ
ることは何度もありましたし…。

 ですから、あの文があんなことになるなんて信じられません。まさか永遠亭で強
制入院になってしまうなんて…。しかも大分酷いと永琳先生からは伺いまして…。
どうやら椛と一緒に居たことが、余計に症状を悪化させてしまったなんて…。
 いえ、いえ、別に上の方を非難している訳ではないのですよ。随分稀なケースだ
ったらしいですので。実は私としても罪悪感といいますか、二人の間に居たので、
何かもう少し出来たのでは無いのかと思いまして。本当に残念でなりません…。


252 : ○○ :2016/08/22(月) 22:30:09 dfdcEHSM
2 犬走椛の担当看護師に対する聞き取り調査

 地下202号室の患者さんについてですか…。ええっと、椛さんですね。確かに
私が担当しておりますよ。24時間交代で担当の因幡がいますが、私はそれを統括
する立場ですね。実際の診察は師匠がやっていますので、私は患者様が興奮した時
にそれを抑えることが主な役目ですね。
 最近ですか…。そうですね落ち着いてはきていますが、相変わらず妄想の症状が
有りますね。○○さんという外来人の方と恋仲になっているという妄想ですね。
たしか師匠が言うには恋愛妄想は、誇大妄想の次に難しい症状らしいですから、こ
とによると、完治には非常に長い年月が掛るかと…。
 人間でも長い方では、外界では10年単位で入院される方がいるらしいので、妖
怪となりますと、100年単位で掛るかもしれませんね。月の方でも恐ろしく長い
間に渡って、発作を起こされている方がおられますし。

 え、薬物ですか…。いえ、全くそのような兆候は有りませんでしたよ…。ええ、
永琳先生自らが担当していらっしゃったので。そのようなことは全く有りません。
全く酷い言いがかりですね。確かにそのような精神に悪影響を与える薬物はありま
すが、それは大変デリケートなものですよ。ええ、絶対にそのようなことはありま
せん。唯の妖怪が適切に、そのような薬品を使用することは出来ません。「唯の」
妖怪では絶対にです。

 あら、師匠に姫様ですね。お揃いでいかがされましたか…。その方を地下資料室に
ご案内ですか…。ええ、分かりました、仰せの通りに致しますね。それではちょっと
失礼しますね。私の目を見て下さいな…。


253 : ○○ :2016/08/22(月) 22:31:20 dfdcEHSM
3 外来人○○に対する取り調べ

 はい、私が○○です。職業は外来人です。え、それは違う?そうですか…。以前の
世界では学生をしておりましたが、最近此方の世界に取り込まれまして。たしか幻想
入りと皆様は仰るんでしたっけ。
 そうです。確かに私は文様と椛様から保護されておりました。それに相違は御座い
ません。お二人とも私に対して非常に強く思われていた、掻い摘んで言えば執着して
いたこともまた事実で御座います。
 どうして二人がああなったかですか…。貴方も分かってらっしゃるんでしょう?!
あのお二人が修羅場になったからですよ!修 羅 場 !

 ええ、すいません取り乱してしまいました。申し訳御座いません。私が二人とも受
け入れたことが原因だと…。たしかにそうですね。でもそうするしかなかったのです
よ…。唯の外来人が、人外の怪物に敵う訳ないじゃないですか…。貴方も知っている
んでしょう…。監禁、拘束、暴力、薬物、どうあがいてもこれじゃ無理ですよ!
 ねえ、貴方達天狗はこうすることが当たり前なのですか!人を××して、無理矢理
×××して、抵抗すれば×って!もう、嫌なんですよ、あの生活は…。

 うわぁ!御免なさい!すみません!スミマセン!


254 : ○○ :2016/08/22(月) 22:32:41 dfdcEHSM
4 花果子念報記者による当部署への抗議について

 全く、何をしているかと思えば○○さんが怯えているじゃないですか…。一体どん
な無茶な事をしたのですか。幾らあのお二人に色々あったからといって、こんな事は
断固抗議します。今すぐこの件について手を引いて下さい。
 何ですか…?私を見てから○○さんが怯えたと…。言い掛かりも甚だしいですね。
私はただ、可哀そうな○○さんを保護しているだけですよ、「保護」です。全く、
貴方達が色々しっちゃかめっちゃかにしているのは、こっちの耳にも入っているんで
すから。先程も永遠亭から、調査から帰った天狗が迷いの竹林で死亡していたと連絡
が入りまして、私が「わざわざ」応対していたのですよ。
 そういう訳で、これ以上は何も無かったということで。お二人は偶々運悪く、体調
不良の為に長期療養ということになったと、ついさっき大天狗様からの決定が来まし
たから。はい、この書類ですよ、しっかり印が有るでしょう。

 まあ、結局真相は外来の小説にあったように、藪の中と言う訳ですよ…。
 ええ、永久にそう「なる」んですよ。

以上になります。


255 : ○○ :2016/08/22(月) 23:27:11 NvvDwS16
わかさぎ姫「魚料理何が好き?」
○○「うーん、焼き魚も好きだけど煮込みも捨てがたい…寿司も大好きだしタタキにカルパッチョ…フライ…」

○○「やっぱ天ぷらかな」
わかさぎ姫「そう」

わかさぎ姫「ごちそうしちゃう!」
○○「(∩´∀`∩)」

わかさぎ姫「おまたせー!」
○○「(*´∀`*)」

○○「うまい!!!姫ちゃんはいいお嫁さんになるねー」
わかさぎ姫「///」

○○「すごくおいしいんだけど、これさなんの魚なの?食べたことない味だな」
わかさぎ姫「知りたい?」

わかさぎ姫「…………………」

わかさぎ姫「秘密っ///」
○○「えー教えてよー」

○○「あれ、姫ちゃん脚(?)怪我したの?」
わかさぎ姫「………………うん、ちょっとね」




わかさぎ姫「 ま た 食 べ た く な っ た ら 言 っ て ね 」


256 : ○○ :2016/08/22(月) 23:30:54 TU7eJd7E
>>254の人がよく書く客観的な視点のヤンデレ乙女も面白いんだが、展開とか発想とかめっちゃ萌えるから、もっとずぶずぶの主観(女)的な作品もどんどん見てみたいなぁ。


257 : ○○ :2016/08/22(月) 23:44:57 UuDkZbrU
○○視点と幻想少女視点が抱き合わせの作品もいいよね…


258 : ○○ :2016/08/23(火) 08:10:02 oziSawfQ
>>256
感想ありがとう
こういう風に言って貰えると、とても嬉しい

何か一人称の作品でこれはと思う作品があれば、
書き方を参考にしてみようかと思うから
教えて貰えるとありがたい・・・


259 : ○○ :2016/08/23(火) 08:26:05 oziSawfQ
作品を書いている人が居たら良ければ聞いてみたいんだけれど、
どう作品を作っているかを教えて欲しい
自分は話を作る時に、頭の中でキャラを動かすんです

極端に言うなら、映画監督の位置に自分が居て、
俳優がアドリブで演技するのを速記していく様な感じ
これだと速く書けるのと、キャラが勝手に動くから
楽なんだけれど、話は三人称になると

一人称で書こうとしてみた前スレの妹紅の作品(蓬莱の薬を
恋人の親父に投与)は、何かキャラが歌うというか、
適当に例えると歌劇団で「私はアイーダ〜 エジプトの女〜王〜」
みたいな感じでキャラが監督の自分に説明しだす
感じで

依っちゃんの様に(?)神降しというか、キャラを
インストールすればいいかしらん


260 : ○○ :2016/08/23(火) 09:41:23 2aWfSevI
>>255
たまらん・・・!ご馳走様でした←

○○が一口食べるたびにぞくぞくとした快感に身を震わせる
恍惚とした表情のわかさぎ姫とか妄想した。

>>259
あちきはシチュや結果に対し
「どうしてそこにいたったか」を一人のキャラに絞って
心情や動きを逆に動かしていって、それを描写していくなあ。


261 : ○○ :2016/08/23(火) 13:32:03 2SU.2oTA
小ネタ。
どなたでもご自由にご想像ください。

「ねえ」

「私って怖い?」

「怖いの?」

「どうして?」

「私があなたと違う種族だから?」

「私があなたよりも強いから?」

「私が弾幕を撃てるから?」

「ねえ」

「私はあなたの事が好きなの」

「朝起きた時の寝惚けた顔も」

「お昼ごはんの後の眠そうな顔も」

「夕方にお仕事を終えて解放され切った時のあなたの顔も」

「みーんな、みーんな知ってるよ」

「ねえ」

「外の世界は危険だよ」

「あなたはもう忘れられているかもしれないし」

「もしかしたら事故に遭って死んじゃうかもしれない」

「せっかく外の世界に戻ったのに
 今まで帰るために頑張ってきた意味がパーになっちゃうかもしれない」

「こっちの世界は安全だよ」

「私が何時も付いててあげるし」

「ご飯の用意もしてあげる」

「戦う必要も自衛のために武装する必要もないの」

「ねえ」

「それでも帰りたいの?」

「そっか…じゃあ教えてあげるね」

「あ な た は も う 幻 想 の 存 在」

「何 を や っ て も 出 ら れ な い の よ」

「おどろいた?」

「ううん、嘘じゃないよ」

「なんだったら試してみる?」

「ほら、包丁だよ」

「痛い?」

「本当に?」

「よぉーく感じてごらん?」

「ほら、全然痛くない」

「ん? どうしたの?」

「あ、ちょっと」



「…もう」

「また勝手にどこかに行っちゃうんだね」

「でも大丈夫だよ」

「妖怪になったあなたならもう見失う事は無いからね…」

>>259
自分は一人称の時は
2次創作や公式のいろんな設定をもとに
キャラクターの思考とかをある程度決めて
その上でエミュレートするような感じで書いてますね
何というか、衝動性を求めるので


262 : ○○ :2016/08/23(火) 19:05:19 jRTK0MFw
>255
このままじゃ姫の下半身(?)なくなっちゃう…
っておもったけど妖怪だから2、3日すればもとに戻ってそうだからハッピーエンドですね!

>>259
自分の場合は↓みたいにやってます

「うどんちゃんって自信過剰でちょっとナマイキだけど恋に不器用&純情だとvery good」みたいな伝えたい魅力というか表現基準を考える
→「うど純の歪んだ共依存関係ステキ…」みたいなイメージしやすいシチュで考える
→これを表現するためには自分自身がうどんちゃんになることだ!
→結果的に第三者の書き手がうどんちゃんを通して表現するというより、うどんちゃんそのものが書き手になる
→最後に純狐さんのネームプレートを○○にする

といった流れです


263 : ○○ :2016/08/23(火) 19:06:48 N3P7BjZw
最近有能な書き手ばっかで嬉しい


264 : ○○ :2016/08/24(水) 05:37:07 LbevBFOk
どんなヤンデレも、もとは普通の女の子と同じ恋愛をしようとするわけじゃん。それが男との関わりや諸々の原因で苦しんだり、悩んだりして病んでいくわけで。多分そこがイチャスレとの決定的な違いで、一番このスレの醍醐味ともいえるところじゃないかなと思う。
俺の中ではヤンデレは過程であって、結果ではないんだよ。三人称視点だと、その一番面白いところが表現しづらいから出会い→結果になりやすい。でも、なぜその結果に至ったかをちゃんと説明してくれないとヤンデレがただの痛いメンへラとか、ただの自己チューな女に見えないから、>259さんは面白いシチュエーションなのにどこかもの足りない感じ。
みんなもそうだと思うけど、すぐに見れる作品じゃなくて何度も見たい作品がこのスレを一番活気付けると思うし。。


265 : ○○ :2016/08/24(水) 05:47:53 LbevBFOk
ドヤ顔で長々とすまんな。何か恥ずかしくなってきた(笑)


266 : ○○ :2016/08/24(水) 08:04:39 s/DbH2zU
>>260-265
ありがとうございます。皆さんの意見を聞いて
みると、他の人はそうだったんだなあ。ということと、
思わぬ発見というか、自分が実はこう思って
いたんだなという一面が明白に・・・

一つ思い付いた原案があるから、チャレンジしてみたく思います

皆様のご厚意に感謝。


267 : ○○ :2016/08/25(木) 23:23:23 YTp44RxA
投下します。

 ○○の元に通う。普段は憎まれ口をつい叩き、周囲から嫌われてしまう事が多い
が、○○はそんな私をいつも受け入れてくれていた。妖怪である自分を受け入れて
くれる唯一の人物、そんな存在である○○に対して、私は彼がいつまでもそうであ
るとばかり思っていた。

 ○○は人間であり、当然妖怪の自分とは立場や寿命が異なるものである。当然私
も、彼が自分より早く死ぬであろうことは自覚していたし、彼が人間である以上、
私以外の人物と付き合いがあることは承知していた。
 だが、今彼の家から出ていった人物は何であろうか。これが人間の女であるなら、
まだ話は単純なのかもしれない。私が単純に振られただけなのであろうし、それは
単なる失恋なのであろう。
 しかし彼の家にいた人物は違った。村の厄介者に鼻付き物、ごろつきに極めつけ
は天狗とくれば、唯ごとではなさそうである。何やら良く無い話が煙が無くとも湧
き上がるであろうし、私の中の妖怪の本能はあいつらの中の、欲望や禁忌といった
もろもろのえげつないまでの下衆い感情を敏感にキャッチしていた。そこに救いが
あるとすれば、精々天狗が下っ端程度の力しか持っていなさそうだという位のもの
であろう。妖怪の山に一大勢力を握っている天狗からすれば、私の方がちっぽけな
存在なのかもしれないが。

 あいつらを追いかけたかった気持ちを抑え、○○の家に入る。私が家に入ると
○○は普段通りに私を迎え入れてくれた。○○が無事で居てくれてホッとする気持
ちが思わず湧いてくる。思わず真正面から○○に尋ねてしまう。

「ねえ、○○、さっきの人達は何?」


268 : ○○ :2016/08/25(木) 23:24:22 YTp44RxA
「んー、仕事。」

素っ気も愛想も無い様な返事であるが、いつもの彼の調子である。普段から彼を見て
いる所為か、私には○○の他人には分からないような、微妙な感情の揺れであっても
気付く自信があった。自分の中の燻ぶる不安を打ち消し、その日は彼の家に泊まった。


 彼の家の前で不審な人物を見てから暫く経ったある日の夜、私は夜も更けた里の中
を歩いている最中に、居酒屋から出てくる人物の中に以前彼の家にいた奴が混じって
いるのを見かけた。大人数で豪勢な宴会を開いていたらしく、主人がわざわざそいつ
にペコペコ頭を下げている。夜でもよく見える妖怪の目を凝らすと、そいつの着物は
やたら豪勢になっていた。手に持っている札入れは金糸で刺繍をしており、ごてごて
と当人の成金趣味と羽振りの良さを表していた。
 一団の後を飛んでいきやがて集団がばらけた所で、馴染みの奴に偶然通りがかった
振りをして声を掛ける。そしてまだ飲み足らなさそうな、赤ら顔をしている知り合い
を、八目鰻の居酒屋に誘う。ここから近いこともあるし、何よりあそこは蓬莱人の焼
き鳥と違って、里の守護者の息が掛っていない。何が飛び出してくるか分からない今
となっては、そちらは余りにも危険すぎた。

 知り合いに大吟醸の日本酒を飲ませる。口当たりが良い癖をして足を取ってくるこ
の酒は、知り合いの口を奇麗に割った。
 その話を聞くと、どうやら厄介者は何やら最近、とみに羽振りが良いらしい。何や
ら徒党を組んで事業を起こしているらしいが、知り合いにも酒が入っても頑なに教え
ようとはしなかったらしい。どうやら後生大事に抱えるその商売を、無理にでも白日
の元に暴く必要が出てきたようである。


269 : ○○ :2016/08/25(木) 23:25:39 YTp44RxA
 私は○○の家を監視していた。奴らは中々ずる賢く、仕事を天狗の縄張りでやって
おり尻尾を中々掴ませない。馬鹿正直に問い詰めた所で、白状する往生際の良い奴ら
では無いのであろうから、○○の家に集まった現場に突入し、動かぬ証拠を抑えよう
という作戦である。いつあいつ等が、○○の家に集まるか分からないことが難点で
あったが、○○が私に対して一日中留守にすると言った日になっても、まだ家に居る
様子を見て今日がその日だと私は悟った。
 以前居酒屋で見かけた奴が、一人で○○の家から出てくる。丁度良い塩梅に手頃な
奴が出てきたと思った私は、そいつから情報を聞き出すことにした。
 ボロボロになった目の前の奴が、鼻血を出しながら白状する。ここまで来て嘘を付
かれては困る為、追加で顔面に何発か入れておくと、涙もおまけで付いてきた。贋金
作りの部品の工作をしていると、言葉をボロボロと零すそいつを木に括りつけている
と、不意に○○の家の方から爆音が響いた。


 目の前の奴を放っておき、○○の家に飛び込む。普段は整頓されている家の中は
血と死体でデコレーションされていた。○○の周囲だけ無事なのは、もしもに備えて
以前私が渡していた、使い捨ての身代わり地蔵のためであろう。赤色の飛沫と死の
香りを漂わせ、紅白の巫女は針を手の内でじゃらじゃらとさせている。彼女の足元に
転がっているのは、突入の時に使った陰陽玉なのかもしれない。
 一瞬の後、部屋の隅で巫女を見ながら腰を抜かしている○○に飛びつく。背中に
針が何本も刺さる感覚が私の体に響くが、○○に当てたくない一心で○○に抱きつき
赤い処刑人に背を向ける。○○の顔が私の体からはみ出ていたので、腕で頭を抱える
と、そこを狙って太い針が私の腕に突き刺さった。

「ねえ、邪魔なんだけれど。」


270 : ○○ :2016/08/25(木) 23:28:20 YTp44RxA
「○○は関係ない。」

私が彼女に訴えると、更に針が背中に追加される。

「私さぁ、犯人は全部殺せって紫から言われているから、そこどいてくんない?」

「○○は何も知らなかったんだよ!」

「ねえ、ほんと?」

悪人とはいえ、何人もの人を殺しておいて尚も変わらずの冷淡な声、心にまで針を
刺すような彼女の問いに、○○が小さな声で答えた。

「ふーん。でもあんたの能力、「何かを複製する程度の能力」だっけ、色々と里には
邪魔だから、今度見かけたら殺すから。」

彼女のその言葉を聞いた瞬間、私は○○を抱えて家から飛び去っていた。


 自分の隠れ家に○○を匿う。私がもっと早く気付いていれば、○○は今までの生活
を続けることが出来たのにと思うと、とめどなく涙があふれてくる。

「御免なさい、御免なさい。貴方を浚ってしまって…。」

○○に抱きついて泣きじゃくる私を、彼は強く抱きしめてくれた。

以上になります。
アドバイス等御協力頂きましてありがとうございました。


271 : ○○ :2016/08/26(金) 00:35:51 /f4G1Xf.
乙です。違っていたらすみません。正邪のお話でしょうかね。
よくある天邪鬼と違って、なんだか素直で可愛いです。気を許した○○には身を挺してでも守る。
○○の為になるなら自分が犠牲になっても構わなさそうな。でも普段は甘えん坊さんっぽい。とても良かったです。ぜひまた書いてください。

>>87
また一か月ぶりの投下です。お目汚し失礼いたします。そして続きの話は近日中に。


「お待たせしました。着きましたよ。」

長時間の空中散歩を終え、ようやく目的地に着いたようだ。ただちょっと里の外をうろつくだけのつもりだったんだが随分と遠くまで来てしまった。いったい、ここまでどれ程時間が掛かったんだか......。

「そうかやっとか...。」

妖夢は移動速度を徐々に下げ、俺を抱えながら地へと降りた。
うん、久方ぶりの立つ感覚だ。空は気持ちよかったが、やはり慣れている地上の方が気分が優れる。
すると今度は不思議な気分になってきた。普通ならあり得ない場所に俺は立っている。これはおもしろい。こんな経験は死ななきゃできねぇ。いや死ぬ気はさらさらないが、少し、妖夢に感謝だ。

「では、白玉楼へご案内します。付いて来てください。」

「ん?白玉楼?ここの名前か?」

――白玉楼
聞いたことがあるな。なんだったかな。

「はい。幻想郷の冥界、まー結構離れてますがそれがここ”白玉楼”です。」

――成る程。ここがそうだったか。
昔、博麗の巫女が異変解決に乗り込んだっていうあの場所がここなんだな。

「とりあえずは挨拶ぐらいは済ましとかないといけませんからね。」

なんだ、妖夢一人が住んでるわけじゃないのか...。
こいつ、自分のことあんま話さないんだよな。まぁ俺も聞こうとはしなかったんだが...。

「誰にだ?」

「そういえば話してませんでしたね。ここは西行寺幽々子というお方が管理しているのです。いうなれば主みたいなものですよ。それでこれからその方にご挨拶をと。」

ふぅ〜ん。そうか...。

「って、め、冥界の主だって!?そんな相手に会って大丈夫なのか!?殺されねぇか!?」

「ふふ...。ご心配なく。そんな情のない方ではありませんよ。」

「.....?そ...そうなのか?な、なんの通達も無しに会って平気なのか?」

「寧ろ、お客様は歓迎する方ですよ。○○さんなら尚更大丈夫です。」


272 : ○○ :2016/08/26(金) 00:36:32 /f4G1Xf.
そこまで言うなら大丈夫なんだろう。ちょっとほっとした。
胸をなでおろしたあと、妖夢が前へ出て、俺を嚮導して歩き出した。
いささか緊張気味に歩を進める。
玄関が見え、中に入ろうとしたその時、”今度はしっかりと”聞こえた。

「......ま、もしものときは私に任せてください...。こんなところで貴方を死なせませんから...。絶対に。」

“はっきりと”。だけれど”静かに”。聞き取れた。
確かにいつもの妖夢なら言いそうな台詞ではあったが今回は様子が違った。
――敵意。
いや、今のは殺意すら感じ取れた。だがそれは多分、俺に向けられたものではない。
恐らく...は、その幽々子とかいう人に...。
前を向いてるため、表情が見えない。その状態がいっそう俺を恐怖にさせた。
まさか自分の主に殺意を向けるなんて...。あり得ない....。この妖夢が...?
さっきまでの緊張感はどこかへ吹き飛び、今度は圧迫感に苛まれる。
思わず顔から嫌な汗が流れ出る。体が一気に冷えていくのを感じた。

「......お...お...おい妖夢?ど...どうした?」

この重々しい空気から逃れるため、やっとこさ妖夢に話しかけた。
それに対し、妖夢はこちらを向き、

「え?何です?どうもしませんけど...?それより早く中へどうぞ。」

満面の笑みを浮かべながら、靴を脱ぎ、屋敷の中へ入っていった。
                       ・
                       ・
                       ・
                       ・

「ではこちらの部屋でお待ちください。お茶とついでに幽々子様をお連れしてきます。」

ついでってなんだ...。自分の主だろう......。
はぁ...。あいつの様子、やっぱなんかおかしいぞ?そりゃ元々変な奴だとは思っていたが、あれは変人を通り越している。いや、根は悪い奴じゃないことは分かっている。だが先ほどのあれは”異常”だった。狂気染みていた。

俺は人の心を読み取ることが苦手だ。だから読む際はまず相手を自分に照らし合わせる。
要は自分が相手の立場だったら――。ってのを考える。
だからあいつが刀を直した後もちょくちょく工房にやって来てたのは、ちょっとした憧れで会いに来ていたんじゃないかと思っていた。実際、かっこいいとかなんとか言ってたし。

――あの時。妖夢と初めて会った時のことだ。
とっさになんだか分からんと言ったが、あの刀の壊れよう、あいつが自分でやったことぐらい見抜けた。だが敢えて分からないふりをした。深入りするのはよくないと思ったからだ。
しかし状況が変わった。ここは足りない頭を絞って何故、妖夢があんな事を言ったか考えるべきだ。
俺の勘違いで済むなら良いが、このまま無視しているともしかしたら取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。


273 : ○○ :2016/08/27(土) 20:55:19 rvw4KroM
皆さんのヤンデレに刺激されて僕も自分の思うヤンデレを書き起こしてみました
初めてなのでおかしなところもあると思うのでアドバイスなんかいただけると嬉しいです



今日は俺の誕生日である。
なので、恋人である早苗に呼び出された理由はある程度予想出来る。
そして、山の神社にある早苗の部屋を訪れて、彼女が一人で出迎えてくれたのも普通のことだろう。
しかし、そこにどうにも解せないことが一つあった。
先日会った時までずっと伸ばしていた、結ばないと地面に届く長い髪がバッサリと切られて、肩口で揃えられていたことである。
俺が伸ばし過ぎじゃないかと意見しても頑なに聞かなかったというのに、どういう心境の変化なのだろうか。
そう不思議に思って聞いてみても、早苗はニコニコと笑うだけでまともに答えてくれない。
こうなった早苗に口を割らせるのは至難の技であり、下手をするといじけてしまうので、気になりはするが潔く諦めることにする。
見たところ機嫌は良さそうなので単なるイメチェンかなにかだろうと、その時は深く気にしなかった。


「あのね、実は今日プレゼントを用意してあるの」
早苗の部屋にて、彼女が頑張って作ってくれたらしいバースデーケーキを食べ終えた頃、一層ニコニコとした彼女がそう言った。
俺としては幻想郷で滅多に食べることのできないケーキを恋人に作ってもらい、手ずから食べさせてもらえただけでも満足だったのだが、恋人からプレゼントが貰えると思うと心が跳ねる。
嬉しさのあまりニヤけてしまうのを手で隠していると、早苗が押し入れから綺麗に包装された箱を取り出し机に置いた。
「開けてみて?」
早苗に言われるがままに包装を解き蓋を開ける。
恥ずかしいがこの瞬間は幾つになってもドキドキしてしまう。
「おお!……おぉ?」
そこに入っていた物は、鮮やかな緑色をした何かだった。
一目見ただけではいまいちどんな物か分からなかったので、箱からそれを取り出す。
手触りはとてもさらさらしており、畳まれていたそれを広げると長方形の長いものになった。
「…え」
ざわり、と嫌な感じがする。
この長方形のもの、見て呉れはマフラーそのものなのだが、俺の感覚がそう認識することを拒む。
色が、感触が、長さが、否応なしにあるものを連想させるからである。
血の気の引いた顔を上げると、頬を赤く染めた早苗が目を細めてこちらを見ていた。
…ショートヘアーの、早苗が。
「〇〇君、私の髪が長くて綺麗だって言ってくれたよね」
「あれね、凄く嬉しかったんだ」
「生まれつきっていっても、緑の髪なんて気持ち悪いって、周りからずっと言われ続けてきたから」
「こんな私のこと一部でも好きって言ってくれて、本当に嬉しかったの」
「だからね、〇〇君にあげようって思ったの」
「作るのけっこう大変だったんだよ?」
「髪の毛って毛糸と違って凄く細いから、まず何本かで編み込んで、それをまた編んでいくの」
「あ、でも、〇〇君を想いながら編んでたからとても楽しい時間だったよ」
「これから寒くなるけど、これを巻いていたら暖かいし、いつも私と一緒だね」
早苗がうっとりとしながら何やら語っているが、俺はそれを聞いてやれる精神状態ではなかった。
髪の毛でマフラーを編んで贈るなんて行為、ドン引きを通り越して恐怖である。
今まで欠片も見たことの無かった恋人の異常性に、俺は固まってしまった。
「…もしかして、嫌だった?」
不意に聞こえたトーンの低い言葉にドクンと心臓が跳ねる。
見ると、先程までの熱っぽい視線は不安げなものに変わり、顔は青ざめその目には涙が溜まっていた。


274 : ○○ :2016/08/27(土) 20:57:33 rvw4KroM
「私、喜んでくれるって勝手に思ってたけど、いらなかった?」
「やっぱり、私なんかに包まれるって嫌?」
「あ、それとも『長い綺麗な髪』じゃなくなった私が嫌いに…?」
「ご、ごめんなさい。それならまた髪が伸びるまで会わないから」
「そんなものもすぐ捨てちゃうから」
「お願い…捨てないで?」
卑屈になり涙を流しながら腕に縋り付いてくる早苗を見ても、俺は言葉が出てこなかった。
一つ分かったことは、この異常なプレゼントは早苗からすれば純粋な愛情だったということである。
それが分かったからか、早苗への恐怖というものはほとんど無かったが、だからといってこれを素直に受け取ろうと即決はできない。
今回は髪の毛をマフラーにするだけで済んだが、これを受け取り今後も付き合いを続けた時に何をしてくるか分からないからだ。
今回だって、もし俺が褒めたのが髪でなく目だったら、早苗は何を渡してきただろうか。
多分、片方か両方かの違いはあっても早苗は躊躇いなく俺に自身の目を差し出したのだろう。
俺はその度を越した献身が怖かった。
しかし、だからといってこのプレゼントを受け取らないという選択をするのもまた怖い。
献身的に俺に構い、俺から嫌われることを恐れる早苗を突き放した場合、その愛がどう変化するかなんて想像もしたくなかった。
「………」
どうすれば良いかなんて分からない。
今までと同じように早苗と接する自信もない。
しかし、俺の腕にしがみついて泣く恋人を見ていたら体は勝手に動いた。
空いている方の手で机の上のそれを取り自身の首に巻く。
普通のマフラーとはまるで違うが、それは確かに暖かかった。
目を閉じ、数度考え直し、俺は選択する。
「ありがとう早苗、これ凄く暖かいよ」
そう言うと早苗は涙でくしゃくしゃになった顔を上げて俺を見た。
しばらく惚けたようにこちらを見上げていた早苗だったが、ハッとするとしゃくり上げながらもその表情を満面の笑みに変えてくれた。
「本当?」
「貰ってくれるの?」
「暖かい?」
「嬉しい」
「ありがとう」
「〇〇君」
「大好き」
俺に抱きつきながら告げる早苗の素直な想いに赤面させられながら、俺は正しい選択ができたと思い胸を撫で下ろした。


それからしばらく早苗の嬉し泣きに付き合い、早苗が落ち着いてそろそろ帰ろうかという時には日がほとんど落ちていた。
「ごめんね、嬉しくてたくさん泣いちゃった」
「遅くなっちゃったし、今日は泊まっていってね?」
早苗の提案に、断る理由もないので首を縦に振る。
夜は妖怪の力が強まるので流石に早苗から守りの護符を貰っても一人では帰れない。
かといって早苗に送ってもらうと帰りが早苗一人になってしまう。
いや、早苗なら一人でも全く問題ないだろうがそれは恋人として、男として許せない。
まあ、泊まるといっても俺と早苗は別々の部屋だし、神奈子さんや諏訪子さんもいるから何も起こらないだろう。
「あ、そうだ」
ふと、早苗が何かを思い出したように手を叩いた。
「今日は神奈子様も諏訪子様も山の宴会に行かれたから居ないけど、良いよね?」
俺の前まで来た早苗はそのまま抱きついてくる。
俺を真っ直ぐ見上げる早苗の目はどこまでも澄んでいて、吸い込まれそうだった。
「お布団も私の以外干しちゃったから、一緒に寝ようね」
「誕生日だもん、なんだってしてあげる」
「あ、もちろん誕生日じゃなくたっていいよ?」
「何かあったらなんでも私に言ってね、〇〇君」
俺に有無を言わさず、扇情的な仕草で口早に話す早苗を前に、俺は笑顔を引きつらせて一人冷や汗を流すしかなかった。
そして同時に祈る。
先程の選択が間違ったものではありませんようにと。



以上です
ヤンデレちゃんには幸せになってほしいです


275 : ○○ :2016/08/28(日) 15:04:41 qLzy48V.
>>272
まさか幽々子に殺意を向けるとは…
○○>>幽々子という訳なのでしょうか。次も楽しみです

>>274
○○が全部受け入れば彼女は幸せになるよ!な、なるよ・・・。
わかっちゃいるけど止められない、ではないですが現実的には
ヤンデレの愛と理性のせめぎ合いがあるものですね
とてもおもしろい作品でした。また作品が出来ましたら
読んでみたいです

次より投下します。ヤンデレ成分薄め


276 : ○○ :2016/08/28(日) 15:06:45 qLzy48V.
ある日の昼下がり、妖怪の山にいる神様は何気無く下界の様子を見ていました。
活気ある人里、静かな湖畔、そして山の中腹の河童の屋敷の一室には、二人の外界
人がいました。
 一人は姫海堂はたての元で暮らす○○、そして河城にとりの家に住む彼の友人。
二人は閉ざされた部屋の中で、ここから出たいとしきりに語り合っていました。それ
を見た神奈子様は、以前○○が守矢神社を参拝していた事を思い出しました。少しは
良いことをした○○を見て、閉じ込められた二人が可哀そうだと思った神奈子様は、
二人を助け出だそうと思いました。

 河童の半地下室のその部屋には、光が差し込む為の高い窓がありましたが、とても
高く人の背では幾ら背伸びをしようが届きません。しかもその窓にはしっかりと、
刑務所の様な太い太い鉄格子が嵌っているのでした。そこで神奈子様は神通力で鉄
格子を外し、隣の部屋にあったにとり特製のマジックアームを、二人の前に顕せるの
でした。
 突然部屋の鉄格子が外れ、目の前に機械が出現した二人は大層驚きました。そこで
神奈子様は二人に対して厳かな声で、ここから出て守矢神社まで来るように告げる
と、二人は天の助けとばかりに地下室から逃げ出すのでした。
 二人は河童の機械で窓から這い出た後は、一目散に山道を駆け上り始めました。
ここで捕まってしまっては、また元の生活に戻ってしまいます。蜘蛛の糸を掴んだ
カンタダの様に、二人は一目散に上を目指して山道を登って行くのでした。

 二人が山道を走っていると、遠くから声が聞こえてきます。はたてとにとりが、
二人を探しに来たのです。二人の女性の声は高い声でしたが、○○と友人には地獄の
獄卒が喚く様な、地の底から這い出る様な声に聞こえ、背中をブルリと震わせて我武
者羅に足を速めるのでした。


277 : ○○ :2016/08/28(日) 15:07:59 qLzy48V.
 それから暫く経つと、○○と友人の息はすっかり上がってしまいました。命を掛け
て走ったのですから、それはもう力の限り走った訳ですが、そうすると一度限界を越
えてしまうと、体が言うことを聞かなくなりました。二人してそこらの石に腰かける
と、乱れた息を整えます。あれだけ走ったのだから、追手を振り切ったのではないか
と安心していた二人ですが、はたてとにとりの声がまた聞こえてきました。
 さっきは大分離れているような距離の遠さでしたが、今は大分近くなってしまい
ました。しかも悪い事に二人は大分怒ってきたようです。これを聞いた二人はこりゃ
あたまらんと、疲れ切った体に鞭を打ち再び走り出すのでした。

 必死に走っている内に、○○の心に疑問が湧いてきます。どうして自分たちの居場
所が分かるのかということです。いくら二人が一緒に逃げたとしても、こうも自分達
の居場所が分かるのは解せません。人間の里に逃げ込むか博霊神社に逃げることが
逃亡者の定石なのに、逆に守矢神社を目がけたと踏んで妖怪の山の上を捜索するので
は、二人が下山していた時には取り返しがつかない事になりかねません。あいつら何
か千里眼でも持っているんじゃないかと○○は考えますが、その千里眼の持ち主は
ここには居ません。しからば友人の方を見てみると、ああ、あるではないですか、
友人が後生大事に抱えている、自分たちを地獄から救い出した河童の機械が。

 ○○は友人にその機械を捨てるように言おうと思い、寸での所で止まります。そも
そも○○が幻想入りしたのは、友人が幻想郷に引きずり込まれ、それに巻き込まれた
からです。あの時天狗に○○の写真を見られなければ、今でも平和に生きられたのに
と思うと、○○の心の中に友人への憎しみがふつふつと湧いてきました。


278 : ○○ :2016/08/28(日) 15:11:08 qLzy48V.
 ○○は友人をおもいっきり蹴飛ばします。走って疲れ切っていた友人は、横からの
衝撃に耐えきれずに、ゴム毬のように跳ねて、階段を転げ落ちていきました。友人を
犠牲にすれば、そちらににとり達がかまっている間に、守矢神社に辿りつけるでしょ
う。あれだけ走った甲斐あって、神社はもうすぐのはずです。そして友人を尻目にラ
ストスパートを掛けようとした○○の背中を、あのマジックアームがしっかりと掴み
ました。

 友人を犠牲にして自分だけ助かろうとした○○は、カンタダと同じように奈落に
再び落ちました。もがきながらはたてに連れていかれる○○を見た神奈子様は、少し
悲しそうな顔をして溜息を付きました。
 ところで、神奈子様の隣には諏訪子様が居られます。○○の逃亡劇の間中、ずっと
神奈子様の隣で下界の様子を見ていましたが、○○が仮に助かった時に守矢の厚い信
徒である妖怪の二人が、神様に助けを求めたのならば一体どうなったのでしょうか。
 神奈子様は○○に肩入れをした以上、妖怪側に立つことはできません。しかし諏
訪子様は、怨みと祟りの神である諏訪子様の方は嬉々として、妖怪達に力を貸すのか
もしれません。

以上になります。


279 : ○○ :2016/08/28(日) 15:26:19 78DgaT3E
>>278
自分だけ助かればそれで良いんだ!!と思わなければ助かったのか、
それとも引きずり込まれてしまった時点で既にダメだったのか…

>>274
何故かヤンデレちゃんは笑っているのに
○○は曇った顔になってるSSしか書けないのが困る

永夜抄の幼いころ〜(以下略)の消費レス数が半端無い感じなので
こちらの(自分で借りた)ロダに(過去のものもまとめて)上げました
ttp://ux.getuploader.com/TH_YandereSS/
以後自分の書いたものでレス消費が半端ない系統のものは
こちらに上げます
(他の方もご利用は自由にどうぞ!!)


280 : ○○ :2016/08/28(日) 15:28:43 78DgaT3E
ついでに短編ものをペタリ
あとWiki見たらそっちに既に暫定ロダがあるんですね…どうしようか


 歴史の伝統 異種族の恋
 例え結ばれたとしても 後には災厄だけが待つ

 あたいはお前といっしょにいたい ずっとずっと一緒にいたい

 君はダメだと彼女に告げた
 幼い見た目の可愛い氷精

 どうしてダメかを彼女は聞く
 あたいが子供っぽいからか

 男は芯を持って言う
 僕はいつかは外に帰る 君は僕を忘れるべきだ
 君が僕を愛していても 愛は一生続かない

 氷精はがむしゃらにこう返す
 なんでお前は外にかえる なんであたいといっしょにいない
 あたいがきらいになったのか それともだれかにいじめられたのか

 男は背中を向けて言う
 君の事は嫌いじゃない けれど外には帰りたい
 僕には外に人がいる 君も探し直すべき



 一生あいは続かない おまえはあたいにそう言った
 だけどはあたいはみつけたよ つづける方法みつけたよ

 男は気になり振り返る
 振り向く先には氷の弾幕 男はたちまち氷漬け

 妖精は氷を抱き 氷に向けて呟いた

 おまえはいのちの長さで言った あたいとおまえのいのちで言った
 だからあたいは考えた
 あたいがいつか死ぬ時に あたいがおまえと居ればいい

 それならどっちもさみしくない。


281 : ○○ :2016/08/28(日) 22:58:11 Wsfb55tE
チルノヤバい・・・。妖精だから+幼い
というところで、更に狂気が加速していますね
こう、妖精は一気に取り返しがつかない
場所まで行くイメージが似合いました


282 : ○○ :2016/08/29(月) 19:47:27 cnT9dwxQ
復旧したかな?

ロダは、at wikiのウィルス騒ぎのあとから見ることはできるけど投稿出来なくなったから
助かるかもしれない


283 : ○○ :2016/08/30(火) 07:03:24 e3daacz.
いつからだろう、彼女の笑顔に喜べなくなったのは

聖「ε=(`Д´#)」プンスカプンプン
○○「どうしたの?」
聖「また一輪たちがお酒飲んでたの!!ひどくない!?」ジダンダジダンダ
○○「まぁまぁ、あんまり戒律戒律言って縛りつけるのも良くないよ」
聖「すぐそーやってあなたは一輪たちの味方をするぅ!!」プンプン

いつからだろう、彼女の優しさが疎ましくなったのは

聖「…一輪は吐かなかったけど、お酒を持ってきたのはあなたよね?コップがひとつ余分だったしあなたも宴会に参加してたでしょう?」
○○「セミが鳴かなくなりましたなぁ…」
聖「なんで目そらすの?ねぇねぇ?お肉も食べたでしょ」
○○「カルパスはセーフ⊂(・∀・)⊃」
聖「…あれ、なんの肉なの?」
○○「昔獣の肉を食べれない僧侶がうさぎを鳥の仲間だと言い張って食べてたそうな、これがうさぎを羽と数える由来ですな」
○○「なんのお肉かわからない内はカルパスはセーフ!!」
聖「いいもんスマホで調べちゃうもん」スッスッ
○○「現代科学の弊害」

いつからだろう、彼女の明るさに苛立ち始めたのは

聖「みんなとばっかり仲良くして、ずるい」プイッ
○○「そんなこと申されましても」
聖「ムラサと釣りに行ったんだってね」
○○「まぁ」
聖「隠れて一輪とタバコ吸ってるの知ってるからね」
○○「ファブりが足りなかったか」
聖「ナズとよく宝塔を探しに行ってますね、仲いいのね」
○○(修行をサボる口実が…)
聖「星からプレゼント貰ってるの見たよ」
○○「瀕死の小動物をプレゼントされるのはマジでちょっと勘弁して欲しいです」
聖「ぬえやマミゾウと賭け麻雀してるのも知ってるから」
○○「麻雀じゃなくて勇儀王カード…」
聖「響子さんのライブ通ってるらしいわね」
○○「最前列でサイリウム振ってます」
聖「雲山といかがわしい本のやり取りをしてるのも知ってるからね」
○○「え、エッチなのはいけないと思います」

いつからだろう、彼女の言葉を真剣に聞かなくなったのは

聖「私とも遊んでくれないといじけちゃもん(`・へ・´)」
○○「えー」
聖「ジタバジタバタ」
○○「いい歳して床でジタバタしない」
聖「もぉー!」

聖「命蓮くんのいぢわる!!お姉ちゃんの言うこと全然聞いてくれなーい!」ジタバジタバタ

いつからだろう、彼女が名前を呼んでくれなくなったのは

いつからだろう、彼女の目に俺が映らなくなったのは

いつからだろう、彼女の心から俺がいなくなったのは

いつからだろう、彼女への愛しさが抜け落ちたのは

いったい、いつまで俺は『命蓮』なのだろう…


284 : ○○ :2016/08/30(火) 08:08:22 mI/njCbU
切ないなぁ…
聖んちょいうざ系おねえさん()似合うな


285 : ○○ :2016/08/30(火) 20:05:13 zDUSbOV.
>>283
自制心の強そうな人ほど、一度ブチっといくと、狂気にとらわれる
ような気が…

次より投下します


286 : ○○ :2016/08/30(火) 20:06:02 zDUSbOV.
「いつも家の妖夢がお世話になっております。」
『いえ、こちらこそお世話になっておりまして。』

「早速ですが○○さん、不躾ですが結納はいつ頃に。」
『え、いや、そんな…。』

「失礼、冗談ですよ。」
『あ、は…。そうですよね。じょ、冗談ですよね。』

「ですが、妖夢とお付き合いされているのは本当なんでしょう?」
『ええ、もちろんです。妖夢は大変良い子です。』

「あら、そんなに言って頂けるとは、主としても嬉しいです。」
『いえ、本当ですよ。』

「妖夢も○○さんにぞっこんでして、屋敷でも良く話を伺っており
ますよ。」
『お恥ずかしい限りです。』

「ところで○○さん、蕎麦屋の××とかいう女性に心辺りは。」
『えっ…。』

「実は貴方と連れだって歩いている所を、見たという者がいまして。」
『…。いえ、見間違いでしょう。私は彼女とはそれ程親しい訳では
ありませんので。』


287 : ○○ :2016/08/30(火) 20:07:06 zDUSbOV.
「そうですか…。でしたらまだ良かったのでしょうか。○○さんが
心を痛められなくて。実はその方が急に亡くなられまして。」
『そんな、聞いてませんよ! 何かの間違いなのでは?!』

「いえ事実です。まあ、どうでも良い人なのでしょう?」
『そんな事は! い、いえ、失礼。貴方に怒った訳では。』

「情熱的な人ですね。妖夢も貴方の様な人と一緒になれて幸せで
すね。」
『しかし、一体どうして…。』

「妖夢を宥めるのに苦労しておりましたので。これで落ち着くと
いうものですね。」
『いや、それとこれとは関係無いのでは。』

「実は先日某所から貴方の写真を貰っていたのですが、これで
不要になりましたしね…。」
『…。』

「ねえ、○○さん、私も冥界で働いておりまして、○○さんには
妖夢と一緒に白玉楼で働いて貰いたいのですよ。」
『そ、そうですか…。』


288 : ○○ :2016/08/30(火) 20:08:23 zDUSbOV.
「そこでしたら、お静かに、妖夢とご一緒に居られると思います
ので…。是非いかがでしょうか。きっと御満足いただけるかと思
いますので。」
『ぜ、是非にご一緒させて頂きたく!』

「ありがとうございます。御蔭で手間が省けました。」
『何の手間でしょうか…。』

「あら、言うだけ野暮、というものではないでしょうか。では、よ
しなに。あ、そうでした。あの子に白装束を脱ぐように、伝えてお
かないといけませんね。それでは、家の者が明日お迎えに伺いま
すので…」


289 : ○○ :2016/08/30(火) 20:09:17 zDUSbOV.
以上になります。


290 : ○○ :2016/08/31(水) 01:32:03 b4lo72J2
>>274
奉仕の精神の中に潜むナチュラルな狂気いいねえ
話も短くまとまってて違和感も感じなかったよ
この調子でどんどん幸せなヤンデレちゃんを生み出してほしい

>>278
諏訪子様ェ…
まあヤンデレに目をつけられた時点で〇〇達の運命は決まってたってことだな(遠い目)

>>280
力のある妖精が執着するとこうなっちゃうよね
後で話す事も自分を見る事も無くなった氷漬けの男を見て後悔してほしい

>>283
勇儀王カードで思わず笑ってしまった
とか思ってたらかなり精神やっちゃってた聖お姉ちゃんで泣いた
聖だけは屈託のない笑顔してるんだろうなあと考えたら〇〇マジ可哀想

>>288
幽々様ぱねぇ
あと学が無くて申し訳ないんだけど白装束ってどんな時に着るものなの?


291 : ○○ :2016/08/31(水) 17:26:12 guY4qhnQ
>>290
切腹or死装束=脅迫…


292 : ○○ :2016/08/31(水) 23:26:47 .a4nYmII
雑談スレの【男に尽くすタイプのヤンデレ】を見て思いついたもの。
ヤン…デレ?

私はいつも浮いている 誰にも惹かれず浮いている

あなたをどこかで見つけても 私はあなたに触れない

あなたが友人といるならば 私はそれに関与しない

あなたが妖怪に襲われたなら 私は使命でそれを討つ

あなたが怪我をしたならば 私はそれを治療する

あなたが謝礼を述べたとしても 私はそれをただ聞くだけ

あなたが食べ物を持ってきても 私はそれを施しとして頂く

いつも無表情 変わらぬ表情

いつかあなたは私に怒る

私が笑わぬ理由とか 私の態度の理由とか

私の生まれが悪いのか それとも私が悪いのか

大きな感情をぶつけられ 私は自分を失った

私は博麗 私はいるだけ

私は空っぽであり 空っぽである事が正しい

私は浮いている存在であり 誰かに引かれる存在ではない

けれど私は自分を持った 空っぽの風船にものが入った

私は霊夢 あなたの霊夢

私はあなたの友人であり あなたを守る人である

私はあなたのために生き あなたと過ごして生きていく

けれど私は縛りはしない あなたが私を縛らぬように

他の女と話そうとも 他の女と恋仲になろうと

私はそれに怒りはしない 私は彼の友人だから

けれど彼の幸せを壊す 彼を不幸にしようとすれば

私はそいつを許さない


293 : ○○ :2016/09/01(木) 01:37:09 ZZdMr2MI
>>291
恐ろしさ上がったよ!

>>292
一見病んでないように見えてもきっと病んでるんだよ
こういうタイプの文は妄想が捗って好きよ


294 : ○○ :2016/09/01(木) 05:21:25 fpLOD0q6
>>292この人の作品で素晴らしいところはやっぱりさりげない一文が突き刺さるのがいい。
あと、女の子が優しいんですよね。


295 : ○○ :2016/09/01(木) 21:19:15 W8CjZ78Y
菫子「私だけを見て!!他のオンナに目移りなんかしないで!!私、私だけを見てよ!!」

<○><○>ジー

菫子「…」

<●><●>ジー

菫子「あ、あんまり見られると困る…///」プイッ

ウサミン氏が私だけを見てって言ったんじゃないか…


296 : ○○ :2016/09/02(金) 05:59:19 Sv180mpU
>>206の続き

隆盛を過ぎた夏の西日から射す熱は、未だに肌を焼き、汗を干からびさせる。それから逃れようと、通りの昼の顔を担う青物屋や雑貨屋などは引き潮のように店じまいを始めた。次第に日が山の裾に沈んでいくと、町の様子はやがて少し陰鬱で、どこかわざとらしく騒がしいものへと変わる。飲み屋や一膳屋の主人たちは店先の行灯に火を灯し初めて、古く端がほつれた暖簾を掲げる。私たちは、そんな、行灯の輪郭がない明かりに照らされた通りを歩いている。そして、少しの物足りなさをもて余せてどこかで一杯引っ掻けようかと店を探していた。めぼしい店が見つからずに、人々の落ち着く間もない蠢きの中で少し疲れを覚え始めた時、りんりんと遠くでか細い鈴の音が聞こえたかと思えば、私たちの目の前を黒猫が一匹、颯爽と通り過ぎすぐそばにあった狭い裏路地にそそくさと入っていった。
私たちも、先ほどの足にたまった痛みもなんとやら、急に湧いた奇妙な好奇心にせっつかれて猫を追って路地に入ってしまった。案外奥行きが深くあったその道は、表からの灯りの届かない暗がりのなか、奥から聞こえる打ち水が石畳を叩く音だけが響き、後ろから追う夜の喧騒を置き去りにしていった。少し歩けば、真新しい格子戸が側に備え付けてある小さな提灯に暗闇の中でうすぼんやりと白く照らし出されていた。其処の手前では、小さな童女が虚ろに打ち水を払っていた。私たちに気づくとその手を止め、一礼してカラカラと戸を開けて中へと誘った。礼を言って中へ入るすれ違いさまに、彼女をみやると着物の隙間から小さな金色の尻尾がはみ出ていた。
店の中は十畳くらいの広さで、厨房と客席を板前の台が横に仕切っているだけの単純な造りであった。
「いらっしゃい。」そこでは、白の割烹着を着て右手に菜箸を持った、痩せて派手な顔をした女が私たちを出迎えてくれた。藍だ。


297 : ○○ :2016/09/02(金) 06:01:02 Sv180mpU
「久しぶりなのかな。」私は席につきながら、親しみを込めて言った。実際、藍と話すのは本当に久しぶりのことだった。
「もう、二十年くらいはまともに喋ってもなかったしね。」ちょこちょこと小皿にへと料理の盛り付けをしながら、彼女は言う。流石に狭い厨房で、自慢の尻尾を出しておくのは邪魔なのかどこかに引っ込めているようだ。
「お互い大変だったもんね。」華仙が歯を出して笑いながら、ピンと小指を立てた。その動作に、私は何と言えばよいのか分からず、ただ茶を濁すように笑っていた。
すぐに出てきたのは、とっくりに入った冷酒と小皿に乗ったあげさんと小松菜の煮浸しだった。彼女の好みか少し甘めの味付けは、いつも自分が作るのとは違って新鮮で美味しい。
「なあ、旦那さんとは上手くいってんの?」女には、よそ様の夫婦関係はよいつまみになる。ついでに壁にかけてあった品書きを指差して、ふたつと唇だけで動かした。
「悪くはないよ、あの人は子供の面倒も見てくれるし。何より、私を愛してくれているから。」そう語る彼女はどこか誇らしげではあるが、またどこかで薄っぺらくて溶けてしまいそうな弱さを感じさせた。
旧友とのなつかしい思い出話は、過去との隔たりを感じさせる悲しさがあるものの、今となっては笑って過ごせる男との失敗談やババアと言っていた昔の上司とそう代わりのない年齢になってしまったなど、話の種にはつきない。。
七輪の上に、金網に乗せられた二尾の鮭の切り身はパチパチと音を立てて透明な油はその肌に滴となって滲んでいる。華仙はすでに付きだしを食べ終えたらしく、品書きをみながら不細工な渋面を作っていた。
そして、藍の顔を見ずに
「豆腐屋も繁盛してるみたいだしね。旦那さんもかっこいいし面倒みもいいから、若い子に騒がれたりするでしょ。」寂しき独り身かな、無意識のうちに華仙はこうやって人様をいじろうとする癖がある。
「まあ、そうね。よく女の子に口説かれたとか、恋文をもらったとかで私に嬉しそうに自慢してくるわ。子供の面倒が忙しくて、私がそんなに甘えなくなったから、かまってほしいみたいね。」独身女のやっかみはこの女には通用しないらしく、えらく余裕があった。
「あはは、妬かないんだ。それとも影では鬼嫁とか?」意外だ、ここの女はみんなそういうことがあれば、すぐにキレてえらいことになるのに。 
「少し前まではそうだったけど、今じゃね。」本妻の余裕か、うちの旦那は浮気なんてしませんよと言わんばかりのご様子で、手際よくいつのまにやら取り出していた蛸を捌いている。藍は火鉢の近くは蒸れるのか、中指で引っ張って少し胸元をはだけさせた。そこに青く変色した歯形らしきものがいくつか見えたのは、華仙は気付いただろうか。
「そういえば、藍の二人目の子供は何歳くらいなったんだっけ。」少し彼女の生臭さに当てられてしまった私は、爽やかな話題に持ち込もうとした。
「もうすぐしたら、二歳になるよ。やんちゃで手がかかるけど、その分愛でがいがあるわ。これ、蛸の酢のもの。」
「ぎゃあ、うまそう。」華仙は大げさに両手をもみこみんで、すぐに箸をつけた。私も大振りのを一つ頂いたが、中々のものであった。


298 : ○○ :2016/09/02(金) 06:02:14 Sv180mpU
「でも、ーーちゃんも大きくなったね。私が担任していた時はこんなちんまいのに。」
「見た目だけ変わっても、中身はまだまだ子供だけどね。」
ーーとは、先程の店先にいた童女である。私が二年前まで、寺子屋で受け持っていた子だ。
「ああ、美味しい。じゃあ藍と□□の家庭は順風満帆、晴天なりというわけね。」
「そうね。ようやくお互いのことを思いやれるようになってきたし、子供も出来たおかげでまた繋がりが深くなった気がするしね。」静かに表には出さないものの、その穏やかな表情から、夫との信頼関係を築けていることの自負が伺えた。そんな姿を見ていると私は〇〇とに、彼等のような信頼を置いているだろうかと、少し暗い気持ちが熱い茶を飲んだ時みたいにじんわりと湧いてきた。
瞬間無言となった間に、ひゅうと華仙の口笛が響いた。
「そりゃあね、自分の式を一日中見張りに出してたら余裕もるわ。頑張ってる橙にも美味しいもの食べさせてあげてよね。」ぱちりと火花が散るのと同時に、ほんの一瞬だけ、ぱたぱたと団扇で扇いでいた藍の手の動きが止まった。が、すぐにまた動き出して、
「覚えがないわね。」と、また鉄火面をかぶり直したように取り澄ましている。藍さん、尻尾、出てますよ。
会計を済ませた後、主人に見送られて店を出ると、あの童女が表通りに出るまで役を買って先導してくれた。
空気のさざめきと地を歩く音だけしかない静かな道では、自然と会話というものの必要がなくなる。
静かであることは、怖いけれど同時に安らぎと考える時間をくれる。
私は彼のことを考えていた。あの頃はあんなにいとおしくてたまらなくて彼が側にいてくれさえすへば良かったのに、今では彼が私を捨ててしまわないか他の女のところへ行ってしまわないかしか考えられない。
藍のようにお互いのことを信頼している関係が羨ましい。私は彼のことを疑ってばかりいるのに。
「せいが。」そんなことを考えていたところへ華仙に声をかけられた。どうやら表通りについていたはずなのに、私は道の前で立ちつくしていたらしい。
「どうした?あんなので酔った?」彼女は少し皮肉った口調のくせに、心配そうな表情で言った。こういう女なのだ、こいつは。
「ああ、大丈夫よ。ちょっとだけ考えごとしててん。」ごめん、華仙。


299 : ○○ :2016/09/02(金) 06:02:47 Sv180mpU
その後、鬼の萃香と出会いまた飲みに行くかと誘われたが、少し疲れたから先に帰る心配する華仙に別れを告げて、一人帰路についた。町から少し外れたところにある私の家は、遠くからでも明りがついているのがみえる。後ろ髪を引かれる、そんな思いがつい浮かんでしまう。朝、家を出るときはただ一言二言残して意気揚々としていたのに、今ではこの有り様。
夜の鈴虫の囀ずりは、一人で聞くとこんなにも淋しいものか。彼に会いたい。でも、今彼の前にいれば私はどういう顔色をしてるのか。
そう考えている間に家の前まで着いているのに、戸を引くことさえ逡巡してしまう。
一刻、二刻その場で立ち尽くしていると、不意にがらがらと重いガラス音を立てて戸が開いた。
〇〇だ、気付いた瞬間目を伏せた。
「ーー何しとん。」相も変わらす憮然とした口調でそう言った。
「何も。」何だか、そういうところが無性に憎たらしくなってきて、つっけんどんにこちらも返してしまった。 
「まあ、入れや。蚊飛んでるし」
「うん。」
「ーおかえり。
「うん。」

そのまま服を脱がされて、風呂に入れと促された。それ以外は何も言ってくれなかったし、私も言わなかった。 

湯船に浸かったあと、水を一杯飲み、寝間着を一枚羽織った。そして、きしむ階段を登り、二階の寝室へと向かった。
房間をひいて入れば、蝋燭に火を灯して、彼はいまだに机に向かっている。明日の授業の準備でもしてるのだろう。
私が部屋に入ってきたのに気付いてろうに振り向きもしない。私は静かに彼の後ろまで来ると、膝を畳に叩きつけるようにして座り込んだ。そして、額だけを彼の背にあてて
「なあ。」
「ずっとそばにおるって言って」
そんなことを言うつもりは一切なかった。
「お願い。」少し声が震えた。

目が覚めると、まだ朝と言うにはもの悲しくて夜にしては生気がない時間だった。
私は布団の上で目覚めたのだから、彼が運んでくれたのだろう。
彼は机に突っ伏して、いびきをかいて寝ている。私は急いで肩掛けを彼に掛ける、夏とはいえもう秋だ朝は冷える。
窓から外を覗けば、空は水底のように濁っていて、生き物たちは夢を見ている。
どうやら彼の返事も聞かずに眠ってしまったようだ、彼が何を言ったのか、それとも何も言わなかったのすら分からない。
いや、その方が結局良かったのかもしれない。おかげで、私達はまだ答えを出さなくていいのだから。
「ずっと一緒やで、〇〇。絶対、離さへんから。」
まだ、この顔を眺めていられるならそれでいい。


300 : ○○ :2016/09/02(金) 06:11:42 Sv180mpU
ごり押し気味なのが悔しい。
アドバイスなど頂けると参考にさせていただきたいです。


301 : ○○ :2016/09/02(金) 08:10:30 x0kRkGe.
>>300
日常の生活の中の、ふとした中で揺れ動く心情がとても良いです


302 : ○○ :2016/09/02(金) 08:47:41 .gxVSUtg
>>300
しっとりした文章と
大きくはないけれど確実に揺れ動く心情の描写が素晴らしいと思います

ああ、豹変も激情もなくても
依存しているってこう書けるものなんだと


303 : ○○ :2016/09/03(土) 00:24:07 6oq6Ljhg
ロダに上げつつ短文ペタリ こっちの方が書きやすい
いっそ風以降はこの形式で?

おはよう私の下僕さん 今日は何して遊ぶかしらね

私の弾幕ごっこの相手? それとも私の能力の実験?

あらまああらまあ泣かないで あなたを怖がらせるつもりはない

そうだたまには私と2人 屋敷の中でも歩きましょう


おはようございますお嬢様 従順なメイドが私を見る

いや私を見てはいない お前が見るのはコイツだけ

私はその目が気に食わない さっさと連れて別の部屋


あらおはよう 私の友よ

古き友人が私に挨拶 こいつも見るのは私じゃない

コイツは貸さぬと強く言う あら残念と友は返す

やはりこいつも警戒すべき 裾を握って引っ張っていく


おはよう姉様 ○○も一緒?

私の妹が現れた こいつはこいつで用心すべき

奴が本気を出すならば コイツもただでは済まされない

しょうがないので少しだけ 妹だけにはコイツと甘く


皆様おはようございます 館の門番現れた

○○さんも元気です? 崩れた顔でアイツが笑う

私にその顔向けて欲しい 一度で良いから向けて欲しい

けれどそれは許されない 主のプライドが許さない


一回りしたし戻りましょうか 私は冷酷に言葉を告げる

彼はゆっくり頷いた

私が見たいのはその顔じゃない あなたの笑顔が私は見たい

けれど私は想いも告げず ただ冷酷にあなたに放つ

お前に自分の意思はない お前は私の所有物


またやっちゃった やってしまう

いつもアイツには辛く当たる

私も出来ればほんとなら 妹の様に甘えたい

けれど心が邪魔をする 私の立場が邪魔をする

悪いのは私 原因は私

アイツがクスリと笑うから 他の奴と仲良くするから

私は奴らに嫉妬する 私の責を押しつける


ある日突然事件が起こる まさかの夜中に事件が起こる

聞こえてきたのはアイツの声 助けて下さいレミリア様

アイツが誰かにさらわれた アイツが私の名前を呼んだ

アイツが助けを求めてる アイツが私を求めてる?


304 : ○○ :2016/09/03(土) 00:24:47 6oq6Ljhg

私は一瞬で敵を仕留める 落ちてく彼を抱きとめる

下僕の為に主が出向く? 笑わせないで情けない

私は鋭く言い放つ

彼は笑顔で突然話す やっぱりあなたも優しい人だ

僕はレミリアは怖くない 恐れているのはお嬢様だけ

私は私 レミリアよ

日頃あなたを怯えさせるのも 今あなたを助けたのも

どちらも同じ レミリアよ


それでもあなたは笑ってる 笑顔の僕見て笑ってる

普段のあなたは笑わない いつもは僕を睨むだけ

笑わないあなたが悪いのよ 少し不満げにそう返す

まるで子供の喧嘩の様


そうだこれが甘え方 私の彼への甘え方

体を密着させなくとも 瞳をジッと見なくとも

言葉を交わす ただそれだけ

ならば私はそうしよう 彼へはこうして甘えよう


私はレミリア コイツの主人

コイツは私の大事な下僕 コイツは私の大事な人

だから誰にも渡さない 盗れるものなら盗ってみろ

そんな運命 許さない


305 : ○○ :2016/09/04(日) 03:45:34 LZsXr5lE
久しぶりにきたけど面白いSSいっぱいあって幸せ
支援絵?といえばいいのか、>>295さんの菫子を描かせてもらいました
イメージと違ってたらごめんね
ttp://i.imgur.com/sEN0Shj.jpg


306 : ○○ :2016/09/04(日) 04:10:37 fyf9lVKc
サグメ「ねぇ、あの娘のことだけど。気に入ってるの?」

サグメ「まぁでも、安心したわ。あの娘は良い子だと確信してるわ」

サグメ「男を取っ替え引っ替えなんて、聞いたこともないし。お金にも汚くないようで・・・親御さんもマトモだし。信頼できるわね」

サグメ「上手くいくわよ」


307 : ○○ :2016/09/04(日) 09:00:32 iPCE/HpU
>>305
2コマの落差がいいですね

>>306
サグメさん、念入れすぎで
思わず笑ってしまいました


308 : ○○ :2016/09/04(日) 10:49:24 E7vGmKnQ
>>304
気高いお嬢様いいね
〇〇がその気持ちに気づくのはいつになるのだろう

>>305
可愛すぎか!
いやマジで上のコマの嫉妬し過ぎて声荒げちゃって泣いてるのも下のコマの困りながらもときめいてるのも可愛い
もっと描いても良いのよ?

>>306
徹底してるなあ
サグメさんの能力って制御きかないらしいしどこかで変に反転して泣きをみてほしい


309 : ○○ :2016/09/04(日) 13:16:25 AgPF6LSM
ノブレス・オブリージュに囚われて(95)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=85
九月に入ると暑いながらも耐えられる程度には柔らかくなったのを感じる
これが現代の秋なのかもしれない


サグメさんはその能力が発動しやすい危なっかしい物だから
○○の名前も気軽に呼ぶことが出来なさそう。だって何の拍子に○○に害を及ぼすか分からないから
まぁ舌禍の女神だから、筆談は大丈夫かなと思いたい


310 : ○○ :2016/09/04(日) 15:05:07 P8GlpMUw
>>304
レミリアと従者は良く似合います
傲慢さと弱さのコントラストがいいですね
>>309
流石にヤンデレといえども、○○の子供には手を出せないか
出せないよね、多分…


311 : ○○ :2016/09/04(日) 15:23:53 d.PK/3Ro
 …………ツカ…………ツカ…………。
異様に長い廊下に、クセのある靴の音が響く…。
その音を聞いて、私は ―――あぁ、今、メイド長が歩いていったな――― と直感した。
 
 私は現在、大きなベッドの下で息を潜めている…。
ベッドの所有者はフランドール・スカーレット…通称悪魔の妹だ。

 靴の音が遠ざかっていってから、私は怖わ怖わとベッドから顔をヒョッコリ出す…。
そこには、私が潜んでいるベッドの他に、散乱したクレヨン…お絵かき帳…ツミキ、洋風のチェアーに大きなテーブル…。
そして熊のぬいぐるみと何だか分からない破片が散らばっていて、窓には黒い鉄格子がガッチリはめ込まれているばかりである。

 この有様を静聴すると、どうして私がこんなことをしているのか―――そう疑問に思う人があるだろう。
いや、そう思うのは至極モットモだ。

 何故私がこんな奇妙な部屋で奇妙なことをしているのか――それはつまりこういうわけなのである…。


312 : ○○ :2016/09/04(日) 15:39:51 d.PK/3Ro
 元来、私は外の世界の人間であった。
しかしある日、ふとしたハズみで、このマカ・フシギな『幻想郷』へ迷い込んでしまったのである。

 それからの私の暮らしは、散々惨めであった。
訳も分からず訳も分からない場所へ迷い込み…訳が分からない生物(この生物が俗に言う、妖怪というものだと知るのはダイブ先である)に追い回され…。

 命カラガラ逃げて逃げて逃げた先、…そこにはマトモな人間が集まっている『人里』なるものが広がっていた。
ダガシカシ、そこへ辿り着いたとテ生活が良くなるハズもなく… 私はひたすら職を探しフラフラしているばかりであった。

 そこで知ったのが、今現在私がいる館―――悪魔の館『紅魔館』であった。


313 : ○○ :2016/09/04(日) 16:05:36 d.PK/3Ro
 紅魔館では、給料と休日がホトンド皆無の代わりに、必ず衣食住を保障してくれるという話であった。
…当時生活に窮屈していた私にとっては願ったり叶ったりの条件であったので、すぐさま準備を施してその館へ向かったのである。

 そして私は、えっちらおっちら人里外れの山を抜け、紅魔館へ辿り着いた。
それから四苦八苦して、なんとか館の主―――レミリア・スカーレットから専属の業務を頂いてのである。

 ある日、私は紅魔館のメイド妖精から仕事内容とその場所への案内をされた。
私はそのとき、ようやく職を任された喜びと興奮で、これからはきっとなんとか幸福に暮らしていけるだろう。――などという甘っちょろい楽観的妄想を抱いていた。
――これから、私のその予測は、見事バラバラに四散してしまうのである…。

 メイド妖精が――ここがこれから貴方の仕事場所です…と言い、大きな錠前を外してから、地下の黒い扉を開けた…。
すると、その中の森閑とした暗黒から姿を現したのは… 一人の、七色の宝石が生えた翼を持つ、奇妙な金髪の少女であった。


314 : ○○ :2016/09/04(日) 16:29:02 d.PK/3Ro
 メイド妖精が言うには、この少女はレミリア・スカーレットの妹であり、少々気がふれているため、495年の間ここで幽閉されているのです…ということであった。
そしてメイド妖精はそう言った後―――私を全力で蹴飛ばし、無理やりその狂人の部屋へ、ブチコンだ。
一瞬、私は何が起こったのか理解できなかった―――、しかし、すぐに気づいたのである
  「私はこの狂人の玩具にされるのだ」…と。

 しかし、私がそう分かった時にはもう遅く、メイド妖精は扉と錠前をガッチリ閉め、とんずらしてしまっていた。
その刹那、私を深い絶望が包んだ。
―――狂人が、その金髪と翼の宝石を闇に光らせながら、私のもとへ歩いてくる。…ゆっくり、ゆっくりと。

…終わる、私の人生はもうすぐ終わろうとしているのダ……。

狂人と、目と目が合う。

…畜生、どうせ終わってしまうのなら、洗いざらいブチマケテやるぞ……。


315 : ○○ :2016/09/04(日) 16:45:10 d.PK/3Ro
 狂人が、私の前へ立った(私はこの時、蹴飛ばされていた弾みで手を着いて跪いていましたので、この狂人が異様に恐ろしく見えました)。
…私は、もういっそどうにでもなってしまえ、という心持で口を開きました。

 「―――――畜生、この狂人メ…!私はただ、外の世界で静かに暮らしていただけだというのに、何故こんな場所でお前のような気狂いに殺されてしまわなければならないのだ…!
  私はただの一度も悪いことはしていないというのに……畜生畜生畜生畜生…!殺すのなら、いっそのこと一思いに殺してしまえ…」 

 私は涙を巻き散らしながら、必死にこう叫んだのである。
―――すると、狂人は、一言こう私に質問を投げかけた。
  「…フゥン、貴方外来人なの?」


316 : ○○ :2016/09/04(日) 16:45:49 d.PK/3Ro
続くかも…?


317 : ○○ :2016/09/04(日) 17:19:58 FAzMDdvs
フランは繊細な分、儚い雰囲気が出やすいから、この少し大正ロマンな文体によく合ってるな。


318 : ○○ :2016/09/04(日) 21:06:57 P8GlpMUw
ドグラマグラの様な、癖の有る不思議な感じが良いですね


319 : ○○ :2016/09/04(日) 21:46:34 raR0Mdk2
(  Д ) ゚ ゚  >>305

拙者の投稿に兵糧支援とは恐悦至極
この恩義、戦場での活躍を以て返させて頂く所存


320 : ○○ :2016/09/04(日) 21:48:20 d.PK/3Ro
 そのときはただ、無残に八つ裂きにされるものと信じてやまなかった私は、その少女の質問に思わず面食らってしまった。
私が驚きと少々の安堵が入り混じった表情で、その狂人――金髪の少女を見上げていると、少女から次の言葉が投げかけられた。

 「――外来人なら何か面白い話をしてよ。そうしたら命は助けてあげないこともないからサ」

 命は助かる…命が助かる!
私はこのワードに過敏な反応を示した―――絶対に生き残ってやる…人生で初めてそう思ったのである。

 少女はまず私を木製のチェアーに座らせ、次に自分自身がテーブル上で私と対になるよう座った。
少女は「サ、サ。早く早く」といかにも待ちきれない様子で私に目の焦点をぴったり会わせた。
 ―――その目は、いかにも期待に胸を膨らませた子供の目であり、つまらなければ殺す―――そういった子供ならではの残虐性を孕んだ目でもあった。

 私はとりあえず涙をヌグい、そして『面白い話』を必死に想起した。
人一人の命運が、たった一度だけの笑い話で決まるというのは…ナカナカ滑稽なことである。
 
 人間というのは、このような切迫した状況でもツマラヌことを考えるもので…
「この状況こそが一番のジョークではないか…」などという思想が私の脳髄をよぎった。


321 : ○○ :2016/09/06(火) 01:50:47 6Mr.ZH7o
>>304の形式をオマージュしてみた。やりたかったんだから仕方ない。ちなもみもみ

いつからだろうか 彼のことを

遠い先のあなたをみるのは

私は今日もあの丘へ行く

気付いているのに 彼のことは

あなたの右手はだれのものか

私は今日もあの丘へ行く

少しでいいから 私にとっては

それでいいの

私は今日もあの丘へ行く

いつからだろうか 彼のことを

遠い先から見えないのは

私は今日もあの丘へ行く 

いつまでも


322 : ○○ :2016/09/06(火) 08:31:14 cSfobuTY
なんか詩的


323 : ○○ :2016/09/06(火) 11:27:30 WKHWxVZI
○○は帰ってしまったのか?


324 : ○○ :2016/09/06(火) 13:43:35 saICg2Lg
>>323
毎日、丘から千里眼の能力で見てたのかもしれん
でももう見えなくなってしまったのかもしれん
(帰った的意味で)
いるけど見えないのかもしれん
(涙または選ばれなかった的意味で)
私はこの2つを考えた


325 : ○○ :2016/09/06(火) 20:26:17 pFPKojfo
ペタリ パチュリーもの
私がこれになる前は 何故か純愛モノだった
病み成分がゼロだったから 改めて書き直したの


私は動く図書館だ 知識は貸すほど 売るほどある

あなたは知らないだろうけど 私に分からぬ事はない



けれどあなたが分からない 私を揺るがす存在が

私がどれだけ探そうとも あなたの情報は見つからない

だから私は考えた あなたの辞典を作りましょう



まずは見た目を調査する 特に何もなく平凡だ

力強い戦士でもなく 精神的に優れてるわけでもない

ただただ普通の人間だ



次に能力を調査する これまた平凡 何もなし

魔力もなく 能力もない

何が優れているのやら 何が私を惹き付ける?



次は彼の精神面 温和で真面目 ただ優しい

変わりものが多いこの世界では ただ珍しい性格だろう

恐らく私は惹かれてる この優しさに惹かれてる



次は直接聞いてみる 彼に色々聞いてみる

どうしましたかと彼は言う

辞典を作ると私は返す

私はあなたが分からない だから本として記録する

あなたの全てを知ってれば あなたの事を理解できるから



私は知らない事が嫌い あなたの全てを知りたいの

だからあなたを教えて欲しい 私があなたを知る為に

好みの体系 性格に 好きな話題に 趣味娯楽

あなたの好みを知ってれば あなたを私の虜に出来る

だって私は魔法使い あなたの理想を知ってれば

理想の姿は思いのままに あとは演じていればいい



紛いものなど分かってる こんな愛など正ではない

けれど私は止められない あなたの愛を得るために

だからあなたを知り続ける あなたの理想を満たすため

私の欲を満たすため



私はパチュリー・ノーレッジ

あなたを好いてる魔法使い

あなたの理想を教えなさい 私が理想を叶えてあげる


326 : ○○ :2016/09/08(木) 11:14:07 JkcgtrWU
パチュリーは詩作とか好きそう
端から見たら優美なんだけど、そこに当事者しか分からないエグい意味をぶちこんできそう


327 : ○○ :2016/09/08(木) 12:58:49 a5gGIiyE
>>326
見せて見せてーってせがむ男に赤くなって『駄目ったら駄目ー///』って隠すパッチェ
フヒヒこっそり見ちゃうもんねwwwって夜中勝手に見てエグいというか病的な内容で引きつる姿まで想像しました

「見ちゃだめって言ったのに」


328 : ○○ :2016/09/09(金) 20:36:34 dtgBAxYk
>>327
なぜか深秘録こいしのオカルトスペルを思い出した


ねえねえ わたしはきみを呼ぶ

けれどきみは応えない わたしの声には応えない

わたしがどれだけ傍にいようと わたしがどれだけ叫ぼうと

あなたの瞳に映らない あなたの耳にはとどかない


わたしはきみが知るより前に きみの事を知っている

きみが誰かに襲われたなら わたしは全力倍返し

きみが誰かに嫌われたなら わたしはそいつを説得し

きみが誰かに好かれたら わたしはそいつを追い払う

きみも分かっているでしょう? 人が不自然に消えるわけ


けれどきみは分からない わたしが何をしていても

わたしは無意識に動くから きみの意識に入れない

だからわたしは他人を使う きみにわたしを教える為に

きみがわたしを知ったなら きみはわたしを見てくれる


ようかいのしわざ うんそうよ

ひとに知られず こっそりと あの手この手で騒ぎを起こす

全てはあなたに知られるために

あなたのご飯も あなたの家も 

あなたが生活できる理由は ぜーんぶわたしが関わるの


この当り前がそのうちいつか あなたがやったわけじゃなく

わたしがやってたという意識で ぜーんぶぜーんぶ書き変わる

その時わたしはどう見える?

昔からいた幼なじみ? それとも手厚いあなたの恋人?

はたまたもしくは…婚約済み?


329 : ○○ :2016/09/09(金) 21:30:38 UBVqu1wU
>>320の続き
ヤンデレ成分少なめですいません…次からは徐々に増していきますんで…


330 : ○○ :2016/09/09(金) 21:33:12 UBVqu1wU

 以下は、私が金髪の少女に話したジョークの内容である――。

ある日、ジェフとアンディという二人の男が旅に出た。

二人はキレイな綺麗な満面の星空の下、テントを張って眠りについた。

二人が就寝してから数時間後、まだ暗い時間にジェフがアンディを起こして、聞いた。

「アンディ君…、今、上を見て君はどう思うか聞かしてくれ」

アンディほ少し考えた後「無数の星が見える」と答えた。

「では、そのことから何が分かるかも聞かして欲しい、アンディ君」

アンディはまたも少々の間をおいてから答えた。

「この大宇宙には何百万もの銀河と何十億もの惑星がある。占星学的に言えば、土星が獅子座宮に入っている。
測時法で言えば、今はだいたい午前3時15分…。神学的に言うと、神は全能で、ぼくたちはちっぽけで取るに足らない存在だ。
                                  気象学的に言えば…明日はきっといい天気になるよ」

この答えを聞いたジェフは、アンディの答えを静かに否定してから、苦笑いをしながら真実を告げた…。

「違うよアンディ…、正解はね…僕たちのテントが盗まれてしまったんだ!」


331 : ○○ :2016/09/09(金) 21:34:06 UBVqu1wU
 私がこの話をすると、長い幽閉で娯楽に飢えていたからであろうか、少女は、さぞ面白そうに笑った。
手をパチパチと叩き、椅子をカタカタと鳴らし、キャッキャッと高い声を出しながら…、それはモウ楽しそうに…。
私がこの少女から、生粋の少女の天真爛漫さを感じた初めての瞬間であった…。
「アハハハハハハハ ア――ッハハハハハハハハッハハハ…。面白い、アナタ面白い人ね。約束した通り、命は奪らないであげるわ…
               その変わり、アナタを壊さない代わりに…モットモット面白い話をしてよっ!とびっきりオモシロイのを!」


332 : ○○ :2016/09/09(金) 21:34:48 UBVqu1wU
私は少女のこの答えを聞いて、心の底からホッとしたのを、今でも覚えている…。
しかし他でもない、この少女との始めての会話が――全ての始まりであったのである。

 私はこの日以来、晴れて幻想郷に迷い込んで初の、祝就職ということになった。
仕事内容は、495年幽閉された金髪の少女…吸血鬼フランドール・スカーレットの子守兼教育係。
つまり、レミリア自身ハタハタ手を焼き、厄介払いに軟禁した狂人の世話係を――――ジキジキに任命されたのである。


333 : ○○ :2016/09/09(金) 21:36:37 UBVqu1wU
私はその後さまざまなジョークや笑い話を金髪の少女の眼前に展開していった…。
朝目が覚めるとムシになっていた男の話
先生という人物の恋と友人Kに対する嫉妬のエゴイズムの話
男が河童の国に迷い込む話(この話は幻想郷に迷い込んだ私には何かクルものがありました)
哀れな金貸しのユダヤ人が苛められる話
本の上にレモン爆弾を置く話(この話は少女はあまり好きではなかったようでした、少女曰くつまらないと…)
二人の少年が銀河鉄道なるものを旅する話
ダンテなる人物が詩人ウェルギリウスと共に地獄、煉獄、天国と彼岸を巡る話
人間の生活をユーモアたっぷりに語る猫のエッセイ
U・N・オーエンなる者の手紙により集められた10人の男女が次々と消えてゆく推理小説
………等々、全て羅列すると上記の数倍になるであろう物語を私は少女に聞かせた。


334 : ○○ :2016/09/09(金) 21:37:51 UBVqu1wU
私がこのような色々な話を言って聞かせると、必然金髪の少女は次第に私と親睦を深めていった。
そして、あのメイド妖精に聞かされた話―――この少女の過去の詳細が、次第に分かって来たのである…。

少女の名は「フランドール・スカレーット」である事。
ありとあらゆるものを破壊する程度の能力…を所有している事。
紅霧異変以降は幾分か屋敷内を自由に歩ける事(しかし屋敷から外へ出ることはできない)。
吸血鬼には様々な弱点が存在しているという事。
…とまァこんなところである。


335 : ○○ :2016/09/09(金) 21:39:10 UBVqu1wU
 また、私と出会った当初は時折力加減ができず何度か生命の存続を危ぶまれるような状態になったこともあった
(そういう時は基本的に館の他の住人に治療してもらうことが常であった。
これはフランドールの面倒を見てくれる私が死んでしまっては損だからと考えたからであろう)、日を増してゆくにつれて
そういったことはなくなっていった。

この他にも色々な問題点があったが、その問題点も館の住人と協力して解決することができた。

 かくして、私は衣食住が完全に保証される場をようやく確保したのである。


336 : ○○ :2016/09/09(金) 23:44:56 /oI7IDRs
こころ すら面白い話とするとは、なんたる上級者
この二人は波長が合いそうですね


337 : ○○ :2016/09/10(土) 09:17:46 ZFJsuQBw
>>328
やはり邪魔者の排除は、幻想少女の基本装備品なのかもしれない
と思う今日この頃


338 : ○○ :2016/09/11(日) 06:24:19 JNqMJy/I
>>321さんの作品がめっちゃ好きなので、自分なりに解釈して書いてみた。やってみたかったんだから仕方ない。

夜闇に降り積もる雪が浅瀬のように地を覆う中、樅は小高い丘の上で一人佇んでいた。彼女の見つめた方向は、遠く、深い森の向こうで小さく柔らかな光が灯っていた。そこを見つめるその横顔は、瞬きをするのみの微かな動きしかなかった。だが、その時の彼女は最も美しい女の顔をしていた。

いつからだろうか。樅が毎夜、里から抜け出すようになったのは。男がらみの夜遊びか、ついに彼女もそういうことを覚え始めたのかと、最初は嬉しくもあった。あややけれど、必ず一刻や二刻程度で戻ってくるのだ。彼女ゆえに生真面目過ぎる交際を行っているのは、友人の私としては面白くはない。だから、少しだけの悪戯心で尻を叩いてやろうとしただけだった。

記者精神を輪にかけた好奇心を持って私は夜に樅の後を追った。里の門をくぐり抜けると、足早に森の中を駆け抜け、かなり開けたところに出た。眺めのいいところだった。空が両手をいっぱいに広げて、月と星を抱え込んでいる。その足元には、森林が根をはり大地を覆っていた。そこは高台のように周りの地表から盛り上がり、突起した地形であった。そこで、樅は一人で立っていた。彼女は何もせずにただある方向を望んでいた。

いつからだろうか。私がここへ来るようになったのは。彼を知って、彼に惚れて、それから。
私は何をしたいのだろう。何を求めているのだろう。彼に触れたいのか、彼に愛されたいのか。

臆病な狼がいるだけ。ただ一つわかるのは。


339 : ○○ :2016/09/11(日) 06:25:29 JNqMJy/I
それから暫く経ってからも、樅はあの丘へと通い続けた。そしてその頃には私も彼女がしていることと視ているものたちも知っていた。叶わぬ恋と諦めて捨ててしまわず、抑えきれずと奪おうともしない。なんとも、幻想郷の女らしくもない中途半端な恋。いつまでも、このままでいいのか。乙女よ。

私はいつまでここへと通うのか。切って捨ててしまおうとすれば、出来るのだろう。何故、それが出来ないのかも分からない。ただ、彼の顔を、背を、見たくて。
彼の子供が生まれたら、そこで諦めよう。多分そこが区切りなのだと思う。

肩に乗った雪が冷たい。そう気付いた時には、もう朝になっていた。受け身も取らずにそのまま倒れる。軽い衝撃と、優しい包容に包まれる。何故か、誰かに慰められたようで泣きそうになった。情けない声が漏れでる。しゃくりで息が詰まる。突然、何かが覆い被さってきた。抱き締められる。何かに気付いた時にはもう耐えられなかった。
「ばかあや、いつからみてたの」
「あやや、友人にそんなことをいうなんて失礼な狼ですね」
「わたし、むりみたい。あきらめられない、つらいよ」
「いいんですよ、今は。そんなこと考えなくて」

私は今日もこの丘へ来るのだろう。いつまでも。この恋がいつか、なくなるまで。


もみじの変換間違えたのは愛嬌。


340 : ○○ :2016/09/11(日) 23:11:46 jtLNsIMQ
>>339
悲恋だけれど諦めきれない…そんな情景がより詳細に伝わりますね
まあ、敢えて詳細に書かないことで読み手側に少女たちの感情などの想像をさせる、
というのがこの形式なのでしょうが

三妖精+氷精+大妖精の計5人に囲まれたい。
(作品に出てくる人物は三妖精のみです)

今日もおはよう○○さん 今日は一体何するの

赤い妖精は姿消し 男の姿を見守っている

彼が仕事に精を出す その姿に彼女は見とれてる

もちろん時には手伝いも 力仕事は出来ないけどね

誰より近く 誰より傍に

私はきっと誰よりも あなたとの距離が一番近い



あらこんにちは○○さん 獲物はあちらの森の方

青い妖精は気配を調べ 男の狩りの手伝いを

彼の作業をお手伝い いたずら忘れてお手伝い

私は彼の役に立つ あなたの傍に長くいたい

誰より仲良く 誰より好まれ

私はきっと誰よりも あなたに信頼されている



こんばんは ○○さん

栗色の妖精は音を消し 男の知らぬ間に家に侵入

不意に叫んで驚かせ 男の調理に殴り込み

身体に悪いわこうしましょう あなたの好みはこれでしょう?

そして料理が完成する

あなたの好みはバッチリ把握

私はきっと誰よりも あなたの事を知っている



何よあんた 彼に近づくな

彼に言い寄る不届きものは 突然何かが起こるでしょう

彼は悪くない あんたがおかしい

彼に難癖付けたなら あなたに何かが起こるでしょう

彼に何した 許さない

彼に危害を加えたならば あなたは無事では済みません



けれど彼女らも鬼ではない 妖精と言えばそれまでだけど

彼と仲良くし過ぎなければ 彼を否定しなければ

彼を普通に扱うならば あなたにも益があるでしょう

多分 恐らく ごく稀に



彼を守るは三妖精 偉大な光の三妖精

いつかは彼の胸の中 目指して毎日闘争中

彼には私が相応しい いつかはそうして傷つけあった

けれど彼は嫌がった 傷つけあう事嫌がった

喧嘩をせずにすむ方法 だったらみんなで支えましょう

いつか彼が振り向くか 想いを誰かがぶつけるか

はたまた三人みんなが恋人? 今日も我らは競走中


341 : ○○ :2016/09/12(月) 22:32:11 grqHhlKw
菫子「…絶対絶対離さないから…ずっと一緒だよ…逃がさないからね…」

スッ

菫子「ファビョッ!?」サッ

手握ろうとしただけじゃないか

菫子「だ、だってその、ほら、心の準備とかあ、るし…い、いきなりとか、こ、困る…///」アセアセ

離さないとか言ったのにそういうことしちゃうんだー
ウサミン氏口だけなんだーおいどんショックゥー

菫子「言っ、たけどぉ…」

じゃあ小指だけ

菫子「で、でもぉ…///」

先っちょだけ!先っちょだけだから!

菫子「さ、先っちょだけだなら…」

フヒヒ……ガシィッ!!

菫子「あ゛ーっ///あ゛あ゛あ゛あ゛///駄目っ駄目っ先っちょだけって言ったのにっ///」


342 : ○○ :2016/09/13(火) 07:40:28 6IFZrwbA
>>341
GJ!


343 : ○○ :2016/09/13(火) 21:14:46 NGVQPN7E
この会長可愛すぎてしにそう…すてきすぎる…


344 : ○○ :2016/09/14(水) 05:46:10 WbdLEqIY
幽香の切ないヤンデレ誰か書いてくれないかなぁ。俺じゃ少し力不足なんだ。

花束をあげよう
花言葉なんてわからないけど
これが綺麗だったから

ありがとう、でもね
切り取られた花は死ぬしかないのよ
私は少しそれが哀しいから
せめて、枯れるまでは愛してあげるの


345 : ○○ :2016/09/14(水) 08:03:40 WbdLEqIY
花びらはね、綺麗な内に散るべきなのよ
でもね、辛いからそんなこと出来ないの
枯れて汚くなってようやく気付くのよ
嗚呼、あの時にーーー

ごめんね、〇〇

独りって辛いの


346 : ○○ :2016/09/14(水) 18:28:16 nWezSRdc
正邪が余命いくばくも無い状態の○○に、あらんかぎりの悪口雑言をぶちまける様子を想像したら
ちょっと泣いた


347 : ○○ :2016/09/14(水) 20:43:24 0SMT3.dQ
>>344
私に花は分かりません だから彼女が書きにくい
ならば彼女の暗さとは 彼女が抱える闇とは何か?
私は1つ思いつく 彼女は危険な妖怪だ
本人の意思とは関係なく 彼女は危険な妖怪と扱われる
ならば題材 それにしよう



私はあなたを好いている けれどあなたに近づけない

私は危険な妖怪だから あなたに迷惑掛けてしまう

だけどあなたに近づきたい

恋人でなくても良い 友人という関係でも良いから

あなたの近くに私はいたい

けれどそれは許されない

あなたのそばに私がいたら 皆はあなたを恐れるでしょう

妖怪に操られた手先 妖怪に魅入られた存在

あなたは働き辛くなり 他人と話すことも難しくなる

私はあなたに焦がれていても あなたに迷惑掛けたくない

いや、迷惑掛からぬように 力で押さえ込むべきか?

私の力をもってすれば 評価を変えるのは容易い

しかしそれは許されない それでは何も変わらない

一時的にこそ変わっても 根本的には変わらない

私が無害な妖怪ならば こんなに力がなかったら

あなたの側にいたのかも 自分の力が恨めしい

だから私は待ってしまう 私が会いに行くのではなく

あなたがすべてを捨てて あなたがここに来る事を

万が一にでもあったなら そんなことがあったなら

私はあなたに花束を 心からの笑顔を込めて

私は贈る あなたに贈る あなたに向けた心からの贈り物

私は願う 奇跡を願う 叶わぬ願いと知りながら


348 : ○○ :2016/09/14(水) 21:57:21 Q9AS1dF.
>>341
最高すぎる

>>347
素直に恋を応援したくなるなこれ


349 : ○○ :2016/09/14(水) 23:53:38 0SMT3.dQ
ついでにペタリ ゆかりんです
強い女性も心は脆い そんな弱点もいいじゃない


私は賢者 妖怪の賢者

私は全ての上に立ち この幻想郷を管理する

それが私の役目でしょ? それが私の使命でしょ?


家族の様な式神はいても 私を癒してくれはしない

私はいつも1人だけ 私は孤独 孤立無援

この孤独に耐え続け この幻想郷を管理する

いつかは私も彼らのように 恋する人が出来るのかしら


私は見知った 驚いた

私の中で燃えるもの 人に対して抱くもの

それはまさしく恋の炎

私は1人の外来人に 驚くほどの熱をあげ

気づけばこの手で 捕えていた


私は心で大きく後悔 自分の欲望果たす為

1人の男をここに縛り付けた

私は重い足取りで 欲望の対象へと足を進める

許される事ではないけれど 許しを乞う そのために


例え何を言われても 私は後悔などはしない

私は一時の欲で動いた 罰されるだけの罪はある

私はあなたを帰せなくした あなたの人生へ賠償を

それがせめての罪滅ぼし 私にできる罪滅ぼし


けれどあなたは私を責めない 私を抱きしめただ語る

ただただ寂しかったんだね と


私は思わず泣きじゃくる 許さないで欲しい 怒って欲しい

私は悪い事をした 私は怒られるべきなのだ

それでもあなたは怒らない

ただただ優しく私を撫でる


私は八雲 紫を恐れているかもしれない

自分を妖怪にしたその女を憎んでいるかもしれない

けれど目の前に居る人は 恐れるべき存在ではない

目の前にいる妖怪は 寂しがり屋の妖怪だ

救いを求める相手に対し 罵声を浴びせる趣味はない

だからあなたは気にせずに 私を愛していればいい

私はあなたを憎まない


私は賢者 妖怪の賢者

私は寂しがり屋の妖怪 1人では動けぬ弱い妖怪

私は恋を知り 私は自分の弱点を知った

ならば弱点は守りましょう 大事なものなら大切に

彼に手を出して御覧なさい 血祭り程度じゃ許さないから


350 : ○○ :2016/09/15(木) 19:57:07 YUc7Xkk2
>>349
349さんの作品ちょくちょく見てましたがどれもいいですね〜。最初の一文から魅入ってしまいます。
特にこの紫の話は気に入りました!恋を知った紫は自分の欲に嫌悪感を抱きつつもきっと受け入れるんでしょうね〜。
更新楽しみにしてます!

>>272
近日中とはいったい...。これだけ時間掛けても文章力のなさに絶望です...。もっとヤンデレ道精進します。
では続きです。

この屋敷は本当に広いーー。勿論、いい意味で、だ。
応接間に入るまでそこそこな距離を歩いた。そこでその途中、廊下から石庭が見えた。
一度、稗田家に出向いた際に見たことがあるがこれはまるで別物だ。いや、稗田家の石庭も確かに目を見張る素晴らしさはあった。が、ここはそれと何か違う。
素人目から観てもここは閑寂さのなかに奥深い美しさを感じた。
そして屋敷の造りも良い。非常に風情がある。古屋敷の独特な匂いが鼻孔を通し、躰に染み込んでくる。

「いい場所に住んでんだな、あいつ。」

死後の判決が転生できるとなると、ここ、冥界で魂の余生を過ごすらしい。ここで気長にのんびり待てって事か…。

「それって今と変わんないな...。」

昔は用心用にと、刀が売れたこともあったが、親父が死に、今代の巫女がスペルカードルールを導入してからは全く売れていない。
時々、物好きの老人が買いに来たりするが収益はほぼ皆無なのだ。ここ最近は妖夢が買った、あの一刀だけ。
故にいつも暇なんだ。
                       ・
                       ・
                       ・
                       ・
                       ・


「さーっぱりわからん」


結局、頭を捻っても疑問は解決できずにいた。きっと俺絡みなんだろうとは察するがそれ以上は判らなかった。
――そもそもあいつは人間の俺とは違い半霊人なんだ。腹を探ったってわかりっこない。
そう割り切って問題を後回しにした。
頭を空にして天井を眺めていると、ひたひたと足音が聴こえる。

「〇〇さん、お茶とお茶菓子をお持ちしました。」

先程ここの主を呼びに行った妖夢がお茶と羊羹を持って戻ってきた。そしてにこにこと室内に入ってくる妖夢の後ろに目を奪われるほどの艶やかな、麗姿の美姫がゆっくりと中へ入り、真向いに座った。
妖夢はお茶と羊羹をそれぞれに渡した後、何故か俺の隣に座ってきた。いや、その人の隣でいいだろ。
素朴な疑問を抱いていると、その美人さんが話しかけてきた。

「こんにちは。初めまして。私、西行寺幽々子と言います。貴方が○○さん?」


351 : ○○ :2016/09/15(木) 19:59:55 YUc7Xkk2
おっとりとした口調でいて、しかし話し方にも艶があった。
――この人が冥界の白玉楼の主。西行寺幽々子か...。
生を捨てたからこんなにも佳麗なのかな。そういや妖夢も肌綺麗だもんな。
ぼーっと考えていると幽々子さんが俺の返事を待っているようだった。

「あー、えっとそうです。俺...ああいや私が○○です。」

「あらあら。いいわよ、そんなに畏まらなくても。もっと楽にしてね?あら、この羊羹美味しいわぁ...!」

「は、はぁ...。」

なんだが飄々とした人だな。まぁ一応は失礼のないようにしないと...。

「ごほん!!」

妖夢が話を割るようにわざとらしい咳をした。
それになんだが少し怒っている気がする。
「ふふっごめんなさいね妖夢。貴方たちからお話があるのだったわね。なあに?」

いつの間にかそれぞれの皿の上にあった羊羹がなくなっていた。待て、一瞬で食べ尽くしたのかよ。見た目と裏腹に大食なのか?
......あれ?貴方たち?

「もうずばり言います。私と○○さん、華燭の典を挙げます。」

「ぶっー!!!!っげっほ!!げっほ!!」

「えっ○○さん!?大丈夫ですか!?」

口にしていたお茶を思いっきし噴出した。驚いて変なところに入ってしまった。
ちょっと待て落ち着こう。


352 : ○○ :2016/09/15(木) 20:03:47 YUc7Xkk2
「っっああ、だ、大丈夫だ...。ヴっ!んん...。はぁ........はぁ........。まて今、お前なんて言った?」

「......?あ、そっか。言い方が悪かったんですね。え〜と、私が、○○さんに、嫁ぎます。」

「」

頭が真っ白になった。なんだこれ。こいつは何言ってんだ?
嫁ぐ?華燭の典?だってそれはつまり――。

「まぁ!それはおめでたいわぁ!それで、それで、いつ縁組みをするの?」

「えへへ...。それはまだ決まってなくて...。」

「決まったら教えてね。...そう、成仏する前に妖夢の晴れ姿が見られるなんてね...。死んでてよかったわ〜。」

ちょいと、お二人さん。当事者が置いてかれてるんだが...。こ、困ったぞ...。
一旦、整理しよう。まず、こいつ、妖夢は俺に嫁ぐといった。つまりだ。妖夢が俺に対して抱いていた感情は尊敬なんかじゃなくて...。え〜と、あれだ......。
恋愛の方の、好きということ...なんだよな?

「も、もしかして、かっこいいとか、好きだ...ってのは、その...愛の、好きだったのか?」

「そうですよぉ!全然気づいてくれませんでしたねー!私なりにすっごく惹きつけてたつもりだったんですけど...。
このままだと恋が実らないまま終わりそうだったんで思い切って告白しました!うふふ、ちょっとドキドキしたけど頑張りました!」

「そう、やっぱり妖夢の独断専行だったのね。彼、そんな雰囲気でもなかったし、もしやとは思ったけど...。まぁでも、そんな些細なことはどうでもいいわよね。で、○○さん?あなたのご返事は?」

「あ、ちょっと幽々子様!!それは私が聞くんです!!」

ごめんね〜妖夢〜。と鈴を転がすような声で幽々子さんが悠々と謝る。
返事?それは受けるか、それとも断るかってことだよな。
...............。


353 : ○○ :2016/09/15(木) 20:05:52 YUc7Xkk2
「はぁ...じゃあもう一度やり直しますね。」

幽々子さんの方に体を向けていた妖夢が今度は俺の方に体を向きを変えた。
自然と俺も妖夢の方に姿勢を変え、真っすぐに目を合わせた。暗い灰色の目。
彼女は真剣な眼差しで俺を見つめる。また、俺の知らない顔をしていた。

「○○さん。私、あなたのことが好きです大好きです愛してます。
初めて会った時から、私を認めてくれた時から、ずっと......。
あなたの言葉なら、どんな事でも受け入れます。
だから、○○さん...。どうか...どうかご返事を.........。」

...................。
――俺は............。


354 : ○○ :2016/09/15(木) 20:09:57 YUc7Xkk2
次回の投稿で終わりのつもりです。何とかレベルアップしたいのですがまぁおいおいと。
また近日中に書き上げる予定です。
書き込み失礼しました。


355 : ○○ :2016/09/15(木) 20:50:10 R77Gu6Mw
>>350
あなたはあなたのやり方で ステップアップすればいい
他人と比べてなんかじゃない あなたは個性があるのだから
思いつめた彼女の思考 彼女は一体どう傾くか
でももし拒否をしたのなら きっと無事では済まなそう…


私はあなたを好いている あなたは私を好いている?

私はあなたを愛してる あなたは私を愛してる?

あなたが私を構わないのは 私があなたにつれないから?

あなたが他の女を見るのは 私があなたの気に召さないから?


おはよう私の旦那さま 私は考え切り替えた

あなたが他に目が行く理由 これは立派な異変じゃない?

私があなたのヒーローで あなたは私のヒロインよ

異変の首謀者やっつけて 晴れて2人は結ばれる

これが新たな異変の正体 恋愛異変の終わりでしょ

エクストラなんてないでしょう? あるなら相手はあなたかな?

背景は綺麗な結界で まーるくまるく2人を囲う

あなたは必死に弾を打つ あらまあどこで覚えたの?

私はひたすら避けるだけ あなたを傷つけたくないもの

時間制限もないでしょう あなたと私の2人きり

あなたが必死に戦うたびに あなたは私を考える

私は幸せでたまらない この空間を永遠に


この書き方になってから 豹変エンドを書きにくくなった
多分それはいいことなのだと 私は思いたいけれど


356 : ○○ :2016/09/16(金) 02:44:35 ucNjQaps
>>355
あくまでも豹変エンドは一例にしか過ぎないし、気にやむことではないよ。
一番悪いのは、理由のない固定概念に縛られて似たようなワンパターンになることだと思う。


357 : ○○ :2016/09/16(金) 23:54:55 qpjHrhxk
チルノ「他の誰かに盗られるくらいなら…」
チルノ「○○をころしてあたいもしぬーっ!!」シャキン

○○「盗られるもなにもチルノのものでもないからね」
チルノ「名前かいとく」キュッキュッ テルノ
○○「あっおまっこれ油性じゃねーか!!何すんだこら!」

○○「それにチルノ死なないって設定じゃなかった?」
チルノ「そうだっけ?」
○○「じゃあ俺だけ死に損じゃん」
○○「それに、ほら。それ、俺を刺そうとしてるやつ」
チルノ「これ?」
○○「さすがにスイカバーでコロされるのはゴメンだわ」
チルノ「じゃあこっち。カンカン棒」
○○「なんだカンカン棒って、棒アイスだろ」
みすちー「棒ジュースやろ」
リグル「パッキンアイスじゃないの?」
ルーミア「ヌンチュク」
大妖精「チューペットですよ」

○○「じゃあさ、もし、仮に盗られたとしてさ」
チルノ「うん」シャクシャク
○○「それが大ちゃんだったらどうするわけですか?」
チルノ「!」
大妖精「(*艸)」
○○「俺をコロして、大ちゃんもコロすか?」
チルノ「……」

チルノ「だっ」

チルノ「だい゛ぢゃん゛はどもだぢだから゛っ…でぎな゛いっ…!」
大妖精「チルノちゃん…!」ホロリ

チルノ「だからたまに貸して貰う」
大妖精「うん、いいよ。チルノちゃん友だちだからたまに貸してあげるね」
○○「 ちょっと 妖精の 恋愛観 恐すぎないですか 」



チルノ「…他の誰かに盗られても…」

チルノ「あたいは○○と生きたいっ!」



申し訳程度のヤンデレ分


358 : ○○ :2016/09/17(土) 11:21:44 f8RswBuU
>>357
可愛くて非常に和む
こういうヤンデレも書けたら良いなあ
やっぱりヤンデレ = 刃物沙汰っていう固定概念捨てないとなあ



あたいは氷の妖精さん 何でもかんでも凍らせちゃうよ!

おい こら そこのお前 あいつに気安く近づくな!

あいつにはあたいが相応しい あたいたちこそ相応しい!

単なる人間はお帰りだ! 言うこと聞かなきゃ冷凍するぞ!

怖い奴から追い払う! 悪い奴らを追い払う!

あたいはあいつの盾になる! あいつを絶対守るんだ!

だから少しでもいいから あたいの気持ちに気づいて欲しい



私はあの子の友人です 特殊な力はありません…

だけどテレポートならできます! 24時間見張りができます!

あのう あの人のことですが… 許してあげてはくれませんか?

きっと誤解してるだけです 話し合えば分かるはずです

お話しする気はゼロですか… でしたら意地でも仲良くさせます!!

一人ぼっちはかわいそう だから私は彼の手助け

他の子が乱した彼の輪を 何とか元に戻します

報酬なんて求めてません! でも、傍に来てくれたら嬉しいです



私は春の妖精でーす あの人やみんなに春を分けます

ふらふらふわふわゆらゆらと のんびりしてるの楽しいです

だけど頑張り過ぎちゃうと 誰かに退治されるので

今日はあの人の周り 狭い範囲で春発生

あの人の輪を元に戻すため 私も協力するですよー

でも ご褒美確かに欲しいですー 私をぎゅっと、お願いしますー


359 : ○○ :2016/09/17(土) 11:22:29 f8RswBuU
私は赤い妖精だよ 日光操る妖精さ!

姿を消して彼を見守る 最近はもう飽きたから

普通にやっては来るけれど

やっぱり彼は最高ね! みんなが惚れる理由も分かる!

だから彼に認められるために いろんな作業をお手伝い

力仕事もなんのその 愛の力で問題なしよ!

えっ? あっ? やり過ぎた?

ごめんなさい… 反省してます

怒る彼の姿も素敵! 私はもはやベタ惚れよ!

輝くようなあなたの表情 私にずっと見せてよね!!



私は青い妖精よ 気配を探って彼を見つける

もちろん他にも探っとく 狩りの獲物とかその辺を

暗い森が怖いなら 私があなたの目になるわ!

危険な敵も事前に察知 避ける様にあなたを誘導

まあ肝心の敵たちは 他のみんながやっつけるけど

でも 私がいなけりゃ勤まらない 私はすごいぞ褒めてよね!!

だけど褒めるだけじゃ足りないわ 私の気持ちも受け取って!!



私は栗色妖精よ 音を消して忍び寄る

突然耳が遠くなった? 多分それは妖精の仕業よ

私の仕業? いいえまさか

私はただの妖精よ あなたを深く 理解しているだけの

毎日毎日ありがとう? 君達のことを信頼してる?

できればその先最後まで 聞かせて欲しいものだけど

えっ? 何? 聞こえない? 私は何も言ってないわよ



私は地獄の妖精だよ あなたと共にルナティックターイム!!

ねえねえ楽しくなってきた? あたいも一緒だと楽しいよ

楽しんでくれたかな? 楽しんでくれたら嬉しいな

私に何か 言いたいの? じゃあ何か聞かせてもらおうか

君にも感謝 しています…?

…もう、馬鹿 もう知らないよ!

もっと2人でおかしくなろう! みんなも巻き込み楽しくなろう!!

私1人じゃもったいない! みんなあなたが好きなんだから!!


360 : ○○ :2016/09/17(土) 21:38:25 weE9VMWY
>>353
受け入れてハッピーエンドか
断ってビターエンドか
一旦断ってハッピーエンドにつなげるか
MOUSOUの余地がありますね
続きがきになります

>>355
豹変してくれてもいいのよ?(チラッ


>>357
ほのぼのしてていいですねぇ…


>>358
リリーさんのふわふわ具合めっちゃ好きなので結婚させてください!


361 : ○○ :2016/09/17(土) 21:39:52 weE9VMWY
にゃんにゃん様の短いのです


秋、というものは他の季節に比べて変化の激しい季節である。
気候の変化、心境の変化。暖から寒への移ろいと共に心も変化するのだ。
ある者は年の末へ向けて気を引き締め、ある者は散りゆく葉に別れを重ねる。
しかしそれも流れる雲と同じ。ため息ひとつ吐く間に風と消えるのが世の常といえるだろう。
だが果たして私はどうなのだろうか。

「――ふー…」

清楚可憐な仙人こと、この私、霍青娥は湯呑に刺さった桜の木の枝を眺めてまどろんでいた。

湯呑には盆栽よろしくこんもりと土が盛られ、表面には緑の苔が生え始めている。
こんなことをして面白いかと聞かれれば、そうではないと答えるだろう。
ではなぜこんなものを飽きもせず眺めているのかというと、
ソレが○○さんの遺した唯一のものであるからだ。

そう、あのひとはもう、この世にはいない。
訃報を聞いた時も涙は出なかった。もう‘慣れた’ことだから。


惹かれた理由は‘会ったことがあるような気がする人’だったから。
帰る場所を失った私はこの国にきて
殿方と出会い、ささやかな日々を共に過ごした
だが何も残さず、そうしているうちに別れは訪れてしまう。
その繰り返しだった。
私が惹かれる者はその‘魂’が同じものに思えて仕方なかった。
いや、きっと同じ魂なのだろう。ゆえに幾度も互いに惹かれあったのだ。

今回の彼にも‘きっと深い縁がある’と迫り、共に過ごすことになった。
ささやかで充実した日々であったが、彼もまた、何も残さず逝ってしまった。

今までの経験から、私は彼を繋ぎ止めようとありとあらゆることをした。
食事にも気を使った。
彼は病一つしなかった。

私の血を食事に混ぜた
怪我の治りが早くなった。

仙人にならないかと誘った。
あの人は‘まだそのときじゃない’と笑った。

そうこうしているうちに、突然その時は来てしまった。

泣きはしなかった。あぁまたか、と。
だが繰り返すほどに悲しみは深く、重く、諦めにも似た感情が私を縛っていった。


362 : ○○ :2016/09/17(土) 21:41:52 weE9VMWY
>>361

ふぅ、と息を吐き出す。余計なことを思い出してしまったようだ。
視線を枝へと戻す。


あの人が逝ったのは昨年の秋、‘いつも通り’何も遺さなかった
だが今年の春に変化が訪れた。
私の同業者――茨木華扇があの人の形見だと言ってこれを持ってきたのだ。
曰く、死んだ翌年の春に私に渡すように言われたとか。

この花弁が散るとき、私の命を散らせばあの人に会えるのだろうか。
そう考えたこともあったが如何せん花弁が散らない。
少なくとも半年以上は散らない桜などもはやただの桜ではないことは明らかである。
ゆえに、その普通でないものが私に遺された意味を求める。

愛するあのひとが、はじめて私に遺したものだから、きっと何かあるに違いないと思って
私は必死にその意味を見出そうとして
ずっと、ずっと考え、
悩んで
なやんで
そして止んだ。

いつからだっただろう。
こうして茫然と桜の枝を眺めるようになったのは。

そう、結局のところ私はその意味を見出すことができずにこうしているのだ。

「はじめから意味など、なかったのかもしれませんわね…」

あまり認めたくはないけれど、幾度となく考えてもわからなかった以上
そう思ってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。

あの人が何も残さなかったのを不憫に思ったあのピンク仙人が
妙な気遣いで‘形見’と偽ったこの枝を私に贈った――
そう考えるほうがまだ現実味があった。
だがそれはありえない。あの仙人ならばこんな回りくどいことはしないからだ。

するとやはりあの人が何らかの意図をもって、意味があって私にこの桜の枝を遺したとしか思えない。
ではその意味とは何か。

この袋小路から抜け出すためにはひとつひとつ、普段気にも留めないようなことを考えなければならない。
だが生前はもとより、死んだ後のことでさえ有益な情報は出てこなかった。
わかったことといえばひとつ、

「ピンクの仙人に鮮やかな桜を持たせたのは中々洒落がきいてるってところかしら」

はぁ、と皮肉めいたため息をついた。
結局また袋小路に戻ってしまった。
あの人はいつも一言足りないんだから。


363 : ○○ :2016/09/17(土) 21:43:26 weE9VMWY
>>362

そうして考えることを放棄した私は枝を見る。
そういえばロクに手入れもしてしないのになぜこの枝は花びらを散らさないのだろう。
そもそも切り落とした枝の時点でダメなのではないだろうか。
接ぎ木じゃあるまいし、一体どこから栄養をもらっているのだろう。

きっとどこからも栄養をもらっていないのだろう。
だからこんなにも花弁が真っ白い――


「…白?」

自分の言葉に違和感を感じた。桜が白だって?
いや、白い桜は存在するし、幻想郷にだって普通に生えている。
問題はそこじゃない、ピンクの仙人から渡された桜は白かったのか
否、毒々しいほど鮮やかな、赤に近い桜色だったはずだ。
しかもそんな桜はそうそうあるものでもないだろう

ならばわたしのすべきことは一つ、桜に色を戻し、それをもって幻想郷中を探し回るのだ。
そうすればきっと、何かを得られる。そんな確信があった。

「では早速、栄養を与えねばいけませんね」

栄養があって、効果が出そうなものが必要だ。

「出血大サービスですわ」

文字通り過ぎてちょっと吹き出しそうになったが、なんとかこらえた。
手際よく指の腹を切ると、‘栄養剤’を2,3滴ほど滴下した。

仙人になってからはこういう事がためらいなくできるようになった。
この絹のような素肌に傷をつけるのはもったいない気がするが
どうせ翌日には元通りになっていることだろう。

さて、この花弁が元通りになるにはいつになるのだろう。
そうして私の日課は枝を眺めることから出血大サービスへと変わった。

毎日、毎日、愛情を込めて栄養を与える。

そんなことを繰り返しているうちに
ひと月、ふた月と過ぎていった。


364 : ○○ :2016/09/17(土) 21:44:06 weE9VMWY
>>363

雪が降って 年が明け
雪が降って 雪が解け

気が付けばもう春
風が吹き、咲き乱れる桜が散る。
そんな季節。


私が毎日栄養を与えた桜の枝につく花弁は
とても、そう、とっても鮮やかで美しい紅い色へと変わっていた。

機は熟した。

「さて、ゆきましょうか」

私は桜の枝を手に取ると空へと舞い上がった。
どの桜も淡い薄桃色だしすぐにみつかることだろう。

当初は楽観的に考えていたのだが、現実はそうも甘くはなかった。
結界の中といえども、この身一つで渡り歩くにはいささか広すぎたのかもしれない。
私がやっとその桜を見つけた時にはすでに昼をまわっていた。

たった一本、色の濃い鮮やかな桜がそこにあった。
枝の切り口はぴったりと合う。
そう、私は確かにみつけたのだ。きっと彼の遺した何かがここにある。
目を輝かせながらその場所を探し始めた。


――――
――


「……」

陽も傾き始め、空は朱色に染まり始めている
私はというと、件の桜の根元に力なく座っていた。

そう、結局何も見つからなかったのだ。
期待に胸を躍らせていた自分が莫迦だったのかもしれない。
得られたものは何とも言えない喪失感だけだった。


誰も知らない丘の上で、美しい桜色の雨が肩を染める。
ほのかに漂う、別れの香り。かすかに触れる甘い香りが鼻腔を、肺を満たす。

「いっそこのまま、石にでもなってしまうのも悪くありませんわね…ふふっ」

かつて愛した者にむけて言葉を紡ぐ。
当然、返事など返らない。
彼の遺したものをもって、私はここに来た。
だが結果はこの通り、何もない。
なに、結局はいつものことだ。たまたま桜の木の枝を得ただけで舞い上がっていたのだ、私は。
何をやったって、繋ぎ止められないのかもしれない。



そんな諦めにも似た感情が頭を擡げた瞬間

びゅう、とひときわ大きく風が吹き、そうして音が消えた。


365 : ○○ :2016/09/17(土) 21:49:13 weE9VMWY
>>364

「――っ」

桜が一斉に舞い、視界を埋め尽くす中で
私が持ってきた桜の枝についていた花弁が、
ほかのどの桜よりも紅い花弁が、枝ごと宙に溶けた。

そのとき、私は確かにあの人の声を聞いた。

目印をもらっていく、と――

そうして○○さんの魂の、その最後の残滓は
たった今、風に吹かれて桜の香りの中へ消えてしまった。

木漏れ日が舞う花びらを彩る
その光景のなんと美しいことか。

気が付くと私の頬を既に枯れたはずのものが伝っていた。

頬を撫でるソレは、どこか優しく、そして暖かい。
喉の奥が熱くなり、甘い疼きがせり上がってくるこの感覚は切なく、心地よく、懐かしくて。

張り付いた仮面が溶け落ち、懐かしい姿へと戻った私の涙が枯れるまで
桜の木々と夕陽が優しく包み込んでくれていた。


――――
――

「桜を眺めるのも、今日でおしまいですわね」

どれくらい経ったのだろうか。
既に日は没しかけており、遠くには里の明かりがうっすらと見える。
軽く息を吐いてその場から立ち上がり、静かに微笑んだ。

「いずれまたお会いしましょう、○○さん」

こんなに穏やかな顔をしたのはいつ以来だろうか。
肩の荷がすっかりおりてしまったような気分だった。
あの人がいった‘目印’はきっと私の血を吸った桜の枝なのだろう。
それを持ってゆくということは、いずれは、そう、きっと。

思えばこれまでずっと、季節の移ろいと共にあの人との出会いと別れを繰り返してきた。
そう、そして――

「――これからもずっと、ですわ」

そう言い残すと、桜の雨を肩に浴びながら
二度と訪れないであろうこの丘を去るのだった。


あなたと共に歩く日が来ることを信じて、私はずっと、ずうっと待ち続ける。
たった一つ、求める結末へとたどり着くまで、何度でも繰り返す。

来世の貴方もきっと、今回の貴方のような結末にいたるのだろう。
けれど、それはそれで良いかもしれない。

生きる楽しみが、一つ増えるのだから。


終わり


圧縮しても5レス分
短くてもキュンとくるヤンデレもの書く人ってホントにすごいなって思います


366 : ○○ :2016/09/17(土) 23:15:58 XCuOp0AQ
いや、あなたもスゲーよ!
きっと幻想郷のヤンデレ少女たちにこの話したら「いいわね」「いい…」って納得げな顔で頷くだろうな。

幽香りんの切ない系ヤンデレSSを考えてたら、hide のハリーゴーラウンドという曲を思い出して聴いたらピッタリ過ぎて涙でた。
なんとかSSに落とし込んでみる。


367 : ○○ :2016/09/18(日) 09:28:32 2D4F6HGE
自分の世界観を、よく文章で表現出来ているのはすごい。情緒があって、静かな文体は新しい。
あとはもう少し、キャラの艶っぽさが出せるようになったらこのスレでもトップクラスにいいもの書けるんじゃないかな。


368 : ○○ :2016/09/19(月) 13:14:37 hhzCIw1A
>>365
GJです!ぎゅっとまとまっていますし、読んでいる側からしても
長くても全く大丈夫です。むしろ長く書ける人は、尊敬します


369 : ○○ :2016/09/19(月) 20:37:09 FBNf5nA.
>>365
すーっと女の子サイドの想いが伝わってくる文章でとても素晴らしいと思います。
こういうのが書けたら良いんだけどなあ
でもしっかりと文章にすると
どこかでキャラクターがおかしくなっちゃうからこういう形式しか何かうまく書けない…



あなたは私の大事な人 いつかどこかへ消える人

私はあなたが好みでも あなたは私が嫌いなの?

私はあなたの傍にいたい 傍であなたの役に立ちたい

あなたが困っているならば あなたの問題収めます

あなたが泣いているならば あなたの苦しみ癒します

あなたが狂ってしまうなら あなたの正気を取り戻す

私はあなたのためにある あなたのために私がいる

あなたが私を呼び出したなら あなたの元に駆けつけます

あなたを守るためならば 私は命も捨てましょう

あなたが私を愛するならば 至上の幸福に導きます

けれどあなたは私を拒絶 私のために私を拒絶

あなたは言った 外へ帰ると

あなたは言った ごめんなさいと

あなたは言った 許して欲しいと

私は分かる あなたの本心

あなたは思う 傷つけたくない

あなたは思う 離れたくない

あなたは思う 一緒にいたい

私は微笑み あなたへ伝える

いってらっしゃい 貴方さま

あなたが私を忘れても 私はあなたを忘れない

私の姿がみえなくとも 私はあなたのそばにいる

あなたが幸せになれたなら 私はあなたを呪いましょう

あなたが不幸になったなら 私はあなたを連れ去るでしょう

じゃあどうすればいいんだろう あなたは笑ってそう言った

自分に素直になれば良い 私も笑ってそう言った

あなたは私のものになる それは絶対変わらない

これまた大きく出たもので あなたは笑ってそう返す

だから今日からは私を忘れてもいい でもホントに忘れたら薄情者ね

じゃあまたいつかとあなたは行く また会いましょうと私は返す

いつかあなたは帰ってくる それまで私は待つだけだ

あなたをずっと 永遠に。


wikiの作品を見ると時期によってはキャラが豹変狂気モードの作品も多かったみたいですが
ここ最近はしっとりとした、相手に激情を叩きつけないタイプの作品が多くなってきましたね


370 : ○○ :2016/09/19(月) 21:53:45 BndLPSrI
>>369
だれか色々想像が掻き立てられるような作品ですね
二人の間が微妙なバランスですね

次より投下します


371 : ○○ :2016/09/19(月) 21:54:26 BndLPSrI
 歯車
 その日僕は河城の部屋にいつものように居た。彼女は僕に何時もの様に色々と話をしてくる。機械を触る所為か油の匂いを染みつかせた作業着を、いつもの様に着ていたところを見ると、大方着替える間を惜しんでこの部屋に来たのであろう。部屋に入って来た彼女は、僕が潤滑油の特徴的な匂いに微かに顔を顰めたことに気付いたようで、空気清浄機のスイッチを入れて椅子に座った。
「やあやあ、○○。元気かい。」
「おかげさまで。この部屋に居ると色々退屈しないのが、せめてもの幸いだよ。」
「無縁塚に円盤ディスクが落ちていたようで、最近香霖堂にたくさん入荷していてね。良かったら今度、姫海堂の所の外来人でも招待すれば良いよ。向こうも君の親友なんだろう……。」
彼女と取りとめのない話をしている時ずっと、僕の視界の片隅には歯車が回っていた。


372 : ○○ :2016/09/19(月) 21:55:30 BndLPSrI
 僕の親友がこの部屋に来た日に、僕と彼は大変な幸運を得る事が出来た。望外の助けを得てこの地下室から外に脱出することが出来たのだが、僕が天窓から抜け出す時にも、やはり視界の中で歯車は回っていたし、走っている時には段々と数が増えてきていた。しかも僕は地下室から抜け出す時に使った、河城特製の義手を後生大事に持っていたのだが、機械の部品の滑りを良くするグリスの匂いが始終しているように、そう本当は外界ではとうに見られなくなったであろう、自然豊かな山中の獣道を風を肩で切って走っていたのだから、どう考えてもそんなことなど無いはずなのであるが、僕は彼女と結びついた油の匂いが、そこから漂ってくるように感じていた。

 僕が河城に連れ戻され再び部屋に戻ったとき、彼女は申し訳ない様な、すこし悲しそうな顔をして僕を特製のベッドに繋ぎとめて点滴を打った。彼女は何やら栄養補給のヒヨスチアミンとか、鎮静剤のストリキリーネだのが入っていると矢継ぎ早に僕に話かけ、不審がっている僕との溝を埋めようとしていた。一方の僕と言えば彼女の一生懸命な話に真面目に答えるまでもなく、ああだの、そうだのと適当な返事をしていたのであるが、それでも彼女は僕が生返事をすることが嬉しかったようで、しきりに僕の手を握り大丈夫、大丈夫だよと僕の声に掛けていた。僕が目を開けていられなくなっていても、まだ声を掛け続けていた河城であるが、僕の手から力が抜けると堪らずに、僕の手首だけでなく腕全体を掴んだようだが、視界の半分を歯車が埋め尽くした僕には、何もする力がなかった。


373 : ○○ :2016/09/19(月) 21:56:18 BndLPSrI
 僕はその後も部屋にいて、何をするとでも無く虚空を見上げて暇を潰していた。あれから特製の点滴は一日一回の注射に代わり、僕の視界の大半が歯車に埋め尽くされていた。彼女がいつぞや僕に語りかけた、オールライト、オールライトという言葉を何気なく呟く僕は、はたから見れば立派な狂人か廃人のお仲間なのであろう。僕がそんな気だるい空気に浸かっていると、ドアが開きにとりがやって来た。僕が億劫そうに彼女の方を見つめると、最近益々機嫌の良くなったにとりは僕に声を掛ける。
「やあ、○○。調子はどうかな。」
「…まあ。」
力無く唇を動かし小声で彼女に返事をすると、彼女は笑顔で答える。
「それは良かったよ。いつぞやはこれまでかと思ったんだけれど、君がこうなってくれたのは不幸中の幸いか、或いは何か他の洒落た言い回しでもあるのだろうけれど、まあ、兎に角、僕の愛情を素直に受け取ってくれたということだね。」
ここに座るよ、と言い彼女はベッドに腰かける。僕の返事を聞く気はないのであるが、此方も返事をするような元気も無いのだから、丁度良いのかもしれない。彼女は私服を着ているのだから油の匂いはするはずもないのだが、僕の鼻には微かな油の匂いが漂った。虚空に浮かぶ歯車を手で除けながら、にとりの腕を掴む。歯車が僕の全てを覆い尽くすような気がして、僕は何かに縋りつきたかった。
 僕の不安そうになった顔を見て、にとりは僕を抱きしめて顔を近づける。歯車の中で彼女の姿だけはこの目に鮮明にとらえることができた。気だるい苦痛の中で僕にはもはや、自分で××気力も無い。ああ、誰か、誰か僕が眠っている時に、僕の首をそっと××××てくれないだろうか。


374 : ○○ :2016/09/19(月) 21:57:37 h1vkxCVo
>>355
ご指導有り難うございます。そういっていただけると投稿するのも気が楽になります。
自分なりに模索して、納得できるヤンデレを作っていきたいと思います。

>>360
ご感想有り難うございます。大変励みになります。
どうぞ続きをお楽しみお待ちください。


375 : ○○ :2016/09/19(月) 22:09:14 BndLPSrI
以上になります。

個人的には最近激情チックな作品を他所に投下しております
どの程度の過激さは許容されるか、どの頻度ならば(他の作品に
交じって中和?されて)良いのか
そういった部分は中々難しいものになります


376 : ○○ :2016/09/20(火) 01:53:22 bZBFpsRA
>>369

もしかして八意師匠?


377 : ○○ :2016/09/20(火) 22:21:57 UCvN87yw
蓮子「またねー」
○○「(`・ω・´)ゞ」バイバーイ
?「……」

<●><●>

メリー(いつも見てるよ…私の○○くん…)ジー
メリー(いつでもどこでも見てるからね…)ジー

○○「Σ(・ω・`)」
メリー(あっ…み、見つかった?)サッ

○○「おいあんた!」
メリー「ビクッ」
○○「いつも帰り道後ろつけてきてますよね?」
メリー(し、しまった!ストーカーしてるがバレた!?)




○○「帰り道同じなら一緒に帰りませんか?」
メリー「    」
○○「女の子一人の帰り道って危ないですし、それに俺話し相手がいると楽で」
メリー「あ」

メリー「えっと、その…///」


いつも後ろ姿だけ見れば満足してたのに
いつも遠くから見ているだけで良かったのに
いつもあなたの傍に行けることを夢見ていたのに
こんなに近くにあなたがいると
まともにあなたを見られない


378 : ○○ :2016/09/21(水) 20:52:52 vS5cYWyo
>>376
とくに人は考えない だってみんな妖怪だもん
割りと人間な霊夢や魔理沙 彼女らは流石に含まない けれど他は含んでる
だからあなたの好きなまま 相手を想像してください


ルナサでとりあえず。

私はそう あなたを知ってる

私はあなたを知っている あなたの声を知っている

あなたが子供のころ 私はあなたと遊んでいたわ

私が演奏していると あなたは笑って歌っていたわ

あなたの声が頭に響く 私の心を揺らして響く

それはとても心地よく 私の心を振るわせる

けれどあなたはもう遠く 私のそばを離れていった

あなたの声をもう一度 あなたの姿をもう一度

私の音で彩りたい 私と共にあって欲しい

しかしそれは許されない 私の音で彩れば

あなたも あなたの恋人も 全てをみんな破壊する

私があなたを求めるほどに あなたの全てを壊してしまう

ただただ私は祝いたい けれどもそれは許されない

もしも私にこの力 この能力がなかったら

あなたを普通に祝えてたのに



だから私は考えた 祝う以外の贈り物

私の力で彼を手助け 彼の人生を幸福に

ひとたび諍い起きたなら 私の力で感情を静め

彼に絶望を贈るならば まずはあなたに絶望を

こうして私は見守った 彼の行く末を見守った



いつか彼は死んでいく 年老い彼は死んでいく

彼は死ぬまえに言い残す 見守ってくれてありがとう

それは恋人に向けたもの? それとも私に向けたもの?

ありがとうそしてさようなら あなたの音色は忘れない



このテイストになったらば 今度は悲恋物多く書く

ヤンデレってなんだろう? 答える人はいざ知らず


379 : ○○ :2016/09/22(木) 06:11:13 33GW4QRc
何で皆同じ方向にしか行こうとしないんだろう。毎日同じもの食ってても飽きるだろうに。


380 : ○○ :2016/09/22(木) 12:03:10 WjKipJdY
紫「私は飽きたりしないわよ」

紫「毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日あの人を見ても全然あきないわよ」

紫「そりゃあたまには隣にいたいとか、手を繫ぎたいとか、話したいとか、ハグしたいとか…あるけどさ」

紫「『そこ』は私の席じゃないわけ。うん、一歩出遅れちゃったって感じ」

紫「あの人も私のこと嫌いじゃなかったと思うんだけどな。ほんの少し、一歩…タッチの差だったんだけどな」

紫「…そう、もしかしたら…あそこに…隣にいるのはあのこじゃなくて私だったかもしれないのに…」

紫「だから、満たされないけど…私は飽きたりしないわ」

紫「ずっと」

紫「ずっとずっとあの人を見ているわ」

紫「これからも、ずっと」


381 : ○○ :2016/09/22(木) 12:33:21 QHouCXaA
○○って名も無きモブならあえて人間の男にしなくてもいいのかな…いいよね…?


382 : ○○ :2016/09/22(木) 14:11:05 MMXyVDSk
>>381
いいと思いますよ、長寿な妖怪と昔馴染みみたいなのにはどうしても普通の人間じゃいられないし。
私はこういう設定の辻褄合わせとかは結構無視しますけどねwwwだいたい『見ための年齢』に合わせたり、普通に現代器機とか登場させたり

>>379
私は好きでここにいますから飽きたりしませんよ

そりゃかっぱえびせんと星食べよを連続で出されたら『またおせんべい系でござるか、さっき食べたでござるよ』ってなるかもしれないけど
でも食べるよ、おいしいもん。
変わったお菓子を持ってきたいけど『あっ三ツ矢サイダーの飴www』『オウフwwwそっちはフルーツのど飴www飴被ってしまいましたなwww』って、拙者が持ってこれるお菓子なら皆だって持ってこれるわけですよ
でもやっぱり食べますよ、ちょっと味が違うんだもん
そうやってたら、私だって
『ウメトラ兄弟!』『あっ…すいません僕は梅はちょっと…』苦手な菓子だって出てきますよ
皆が皆喜んでもらえるようなデキのものを持ってこれるかって言ったらそうじゃないですし
でも俺らはそのお菓子が大好きなんだ
俺は誰かに見せるために書き込みしてるわけじゃなかい
少なくとも俺は『今日は俺はこういう菓子を食うぜ!』って書き込む
自分の腹を満たすためにお菓子を持ってくる


同じ方向に行こうとしてるわけじゃないです
書いた結果、『おや、あなたもここに?』ってなったんじゃないかな
同じ属性を愛好する同志なんだから目指す方向は似ているでしょう
だから『わかってくれ』と言うわけでもないけど…

だったら同じ方向じゃない違ったお菓子を持ってきて欲しいかなって思う
続く同志がそれを刺激に新しいお菓子を持ってきてくれるかもしれないし
それを、『おいしい』って言ってくれる人がいたら『次はもっとおいしいお菓子を持ってこよう』って思える
拙者はそうだったでござるよ


383 : ○○ :2016/09/22(木) 17:33:52 33GW4QRc
>>382
暴力女からの悲恋の移行で皆が同じもの書いてるっていいたかったんだが、、
長レス書かしてすまんな


384 : ○○ :2016/09/22(木) 18:17:40 WjKipJdY
>>383
あー、いや?ゴメン『そんな感じの意味』で言ってるって理解はしてましたよ?モチロンそれに対するレスのつもりだったんですけど
俺も長文でわかりにくくしちゃいましたね

お目汚しサーセン


385 : ○○ :2016/09/22(木) 21:21:01 ifiN4C3g
>>383
此処で何か書こうと思って書いている人の中には、何か「飢えて」いたり
あるいは、どうにかして表現したくて堪らなくて書いている人がいるんですね

その場合、自分の精神世界とも言うべき、自分の深層心理がはっきりと表れてしまいます。
すると、自分の中で表現したい物が変わらない限り、常に同じテーマ、愛、愛情表現が表れ
ることになります(何か他の人が出してくれたアイデアを使ったら、そっちの影響がでますが、)
自分が書きたくて書いている人は、自分が決めたテーマで書きたい性分があるので、必然的に
表現したい同じシチュエーション(人生脚本)が表れるという訳です


386 : ○○ :2016/09/22(木) 21:44:48 ifiN4C3g
結局、書き手が少ないので同じ様な物が出るということです
新人の方々に期待・・・


387 : ○○ :2016/09/22(木) 22:03:59 61zTMz3M
俺のような文才が微塵も感じられない奴で良ければ妄想を捻り出して書きます


388 : ○○ :2016/09/22(木) 22:38:25 33GW4QRc
>>387
面白ければ文才なんて関係ないんだよ
どんどん書いて上手くなればいいんだし


389 : ○○ :2016/09/22(木) 23:42:27 KjF0NkUQ
>>387
大切なのは上手い下手でも長い短いでもなく
ここにMOUSOUを書き込むということなのよん
ってヘカーティアお姉さんが言ってた!


390 : ○○ :2016/09/23(金) 01:26:43 wF3giOl6
正邪は難しい。途中で断念。

ひどく蒸れた、だらしない夜だった。自分に絡みついた彼女の肌は、粘ついた甘い熱が伝わってくる。
「痛いよ正邪」
嫌気な肌を削る音とともに怖い冷たさが背筋を走る。背中から彼女の白い腕へと伝う生ぬるい血がささくれた畳を染めた。
若く逞しかった私は求められるがままに体を正邪に押し付けて、彼女は焚き付けるようにちくちくと私の体を傷つける。嬉しそうに私の下でくねらす汗ばんだ正邪は柔らかくそして愛しかった。その弄らしい生き物に誘われた、私は一頭の鯨にもなり、彼女を飲み込んだ。
まぶしい月明かりに、光った汗の飛沫は彼女のものか、私のものか。
「もっと押し潰してよ、隙間がなくなるまで」
母のように馴れた声は朝の訪れまで私の耳元で囁かれた。


391 : ○○ :2016/09/23(金) 07:12:08 wF3giOl6
短いので女の子視点もプラス

一回り大きな、私の赤子は、玉の汗を降らせて甘えてしまっている。息を切らせて、勢いがなだらかになってくれば、蠢き始め縋る。
これに震えぬ女がいるか。目前の南天の実をついばみ、育む。いつか枯れて無くなるこの実かと思えば、惜しくなり爪を立てる。
悲鳴ともつかぬうめきはさらに私を焦らせる。腕からつたう血を舐めて見せると小さな目が開ききり、化け物が映った。
懸命に暴れる男を抱き締め、誉めてやりたい。遠い。私の胸を千切り、彼の胸板を剥がしてやりたい。彼の耳元で甘言を囁く。
肺が潰され、息が掠れて、白く溺れた。

エンドロールはストーリーないと無理だわ(^o^)


392 : ○○ :2016/09/23(金) 07:35:14 3ZMF5I1c
ヘカーティアお姉さんの言っていた事を信じ妄想書きます
藍さまで書きます

ある日、紫様は一人の赤子を拾ってきた。
その赤子は幻想入りしてきた捨て子だったようだ。
紫様はその人間の赤子を育てると言い出したのだ。
その子は私の弟になった。こんな何の変哲もない人間が。
その子は紫様をお母さんと、私を姉さんと呼ぶ。
人間は下等な者と思ってはいたが、私も段々とその子に愛着を抱き始めていた。

あれから18年程経った今、その子は成長し、立派な青年となっていた。
その子は変わらず、私を姉さんと呼ぶ。
だが私は、もうあの頃の私ではない。

私はお前をこんなに愛しているのに、お前はまだ私を姉さんと呼ぶ。
私はお前をこんなに愛しているのに、
お前は私を藍とは呼ばない。
私はお前をこんなに愛しているのに、
お前は他の女の側にいる。
私がどんなにお前を愛しても、お前は私の弟なのか?
そんな事はあり得ない。
そんな事は許されない。
お前の側にいるべきはこの私だ。
お前のためなら何でもする、お前のためならどんな願いでも叶えてみせる、
私に愛を教えてくれた、お前のためならば。

お前は寝ている。何も知らずにすやすやと。
私がお前に恋い焦がれている事も、私がお前の近くにいる事も。
私は悪い妖怪だ。だからお前の寝床へやってきた。
その唇は、もう誰かの物になってしまったのか?
もうそんな事はどうでもいい。
これから私に書き換えるのだから。

「愛しているぞ...私の可愛い◯◯...」
私はお前にキスをした。
私の初めてのキスだ。
もうお前を離さない。
お前が私を藍と呼ぶまで、永遠に...



頭の悪い文章すいませんでした
私はただ藍お姉ちゃんに愛されたいだけなのです


393 : ○○ :2016/09/23(金) 09:55:56 wF3giOl6
>>392
頭の悪いなんて言っちゃダメだ
単純に面白いし、藍の義弟に対する背徳的な恋とか新しいじゃない。


394 : ○○ :2016/09/23(金) 10:01:43 3ZMF5I1c
>>393
褒められるとは思わなかったぜ…


395 : ○○ :2016/09/23(金) 13:25:11 g08.m1FU
みすちー「あなたの為に歌を作ったのよ…」
みすちー「聴いて、私のあなたへの思いを綴ったラブソングなの」
みすちー「聴いてくれるよね?ねぇ?聴いてよ、ねぇたら」
みすちー「ほら、この為にあなた専用のヘッドホンだって買ったのよ?」

みすちー「もう私の歌しかきこえないようにしてあげるね…?」



○○「(((( ゚ρ゚ )))ああ…あああ…ああ…」



○○「……」ジーン ホロリ
○○「めっちゃいい曲」
みすちー「そうでしょ!?全部今回の為に作った新曲なの!」
みすちー「あなたへの想いを歌にしてみたらね!1曲じゃおさまりきらないから何曲も何曲も何曲も何曲も何曲も何曲も作ったの!」
みすちー「CD5枚組のベストアルバム!!!」
○○「このヘッドホンすごいな、音がめっちゃ綺麗に聞こえる」
みすちー「まず1枚目はね!あなたと出会う前の私の心情をあらわす過去編でね!?」
○○「こんな心に響く曲は久しぶりだなぁ」ホロリ
みすちー「2枚目はあなたと出会ったことの衝撃を表現した……って聞いてる?」
○○「聴いてる聴いてる」シャカシャカ
みすちー「いやその聴くじゃなくてね?私、私の話の方!わ・た・し!!」
○○「くぅ〜この曲もいいなぁ」シャカシャカ
みすちー「ん、うんそうなんだけどね?聞いて?ねぇほら」
○○「帰ったらiPodに落とそう」シャカシャカ
みすちー「ちょっと!ねぇ!ねぇってば!!ねぇ!聞いて!聞いてよ!!」ユサユサ
○○「あぁ〜もう歌しか聞こえない〜」
みすちー「もー!もぉー!もぉ〜お〜ッ!!聞いて!聞ぃーいーてぇッ!聞いてってばぁ!!」





(´・ω・`)おいみたいなほのぼの系・ギャグ回は需要あるんか?ヤンデレスレとして趣旨が合ってるのかどうか判断つかなくなってきた
みんなシリアスなの書いてるしこういうの書いてるの俺だけなんやないかって場違い感が最近気になって…
一応まじめ回も書いてるんやけどなかなか筆が進まなくて…どうしても自分が書きやすいジャンルに手出してしまう
もし『こんなんヤンデレじゃねーよ!』って思われてるなら路線変更したいんだけど…

こういうのはハッキリ言ってくれた方が俺は助かる、ご意見求む


396 : ○○ :2016/09/23(金) 13:34:44 3KfpX15I
>>395
ホラーからの一転攻勢良いじゃない!
しんみりしたのしかなかなか書けない身としては
こういう笑い飛ばせる系も良いと思いますよ

結局ヤンデレの定義は人により異なるからね
嫉妬深いとか他の人には触らせたくないとか色々
色々ネタを出してけばまた色々変わるさね


397 : ○○ :2016/09/23(金) 13:34:44 3ZMF5I1c
ほのぼのも俺は好きです
みすちーが病的に◯◯を愛しているならそれはヤンデレだと思う
ヤンデレはシリアスだけじゃないと思うんだ


398 : ○○ :2016/09/23(金) 15:39:35 N2tyfb6M
>>391
side○○とside幻想少女…この二つを合わせることによって妄想が更にはかどる!あと表現がうまくて文章から熱とか粘性まで伝わってくる感じがする…
>>392
いい…愛されてる感が伝わってきて…いい…これはいい…
>>395
需要ならここにあるぞ!
自分は最初に書いたのがシリアス寄りの長いやつだったからそれが自分の基準になってシリアス寄りしかかいてないけど
ネタというかギャグ系がスレチということは決してないんやで?なので思う存分書いてください


以下映画予告風yndr


悪夢を見せて慰める。
この自作自演の繰り返しによって○○を手籠めにしようとするドレミー。

日に日に疲弊してゆく○○。

しかし月の天才、八意永琳には目星がついていた。

胡蝶夢丸の効果が無いとすれば…私の○○はもしかするとあのバクに――


「――うどんげ、もう一度仕事よ」
「――はい、お師匠様」

リスクはすべからく排除しなければならない。
しかし、頻繁に○○と接する鈴仙には恋心が芽生えていた。

「甘いですよ、お師匠様。私だってやるんですから」

三つ巴の心理戦の果てに見えるものとは――!

東方紺綬伝 Hidden Extra Stage ―ジ・アフターマス・オブ・ナイトメア―
(ドゥーン)


「ふふふ…怖がらないで?あなたの心も純化してあげましょう」
「すべては愛と安らぎのために」

 _人_人_人_人_人_
< この秋公開予定 >
Y Y Y Y Y

○○「おいやめろ」


399 : ○○ :2016/09/24(土) 07:16:15 4ip9JJP2
咲夜さんで書きます

最近、お嬢様は一人の人間をお気に入りのようだ。
彼は吸血鬼であるお嬢様や妹様を見て、微塵も嫌悪感や恐怖を抱かない。
それが理由か、お嬢様や妹様、パチュリー様と美鈴まで、彼と親しくなっていた。
私はどうなのだろう。
私のこの能力はかつて人間に忌み嫌われ、私は迫害された。
彼もそんな人間の一人なのか?
私はそれを恐れ、彼には「メイド」としてしか話す事はできない。
本当はそれで充分なのだろう。
私はこの館のメイド長なのだから。

止まった世界。
この世界の時間は私の手で支配する事ができる。
今まさにこの世界の時間は私の物となっているのだ。
お嬢様でさえこの私の「世界」に干渉する事はできない。
無論、彼も私に支配されている。
この「世界」にいる時だけは、彼に近寄る事ができる。
「メイド」ではなく「十六夜咲夜」として。
彼に近寄るだけで、心の底から何かが湧き出てくる。
私はこの青年に恋しているのだろうか?
そうなのかもしれない。
私はこうやって、彼に近寄りこの心の正体を探っている。

最近、彼が他の女性と話しているのを見ると、心の底から何かが湧き上がってくる。
これは今までとは違う。
「嫉妬」?「殺意」?
そうか、私は彼に近づく者にそんな感情を抱いているのか。
こんな感情をいちいち抱いていては、メイドとしての仕事は務まらない。
ならどうするべきか?
私は一つの考えが浮かんだ。

つづく


400 : ○○ :2016/09/24(土) 07:29:41 4ip9JJP2
時が止まる。
彼も止まる。
私はそんな彼に近寄って、彼の頬に触れる。
この感覚だ。
心が熱い何かで満たされる。
このまま、キスでもしてみようか。
そうすれば、私はこの感覚はもっと強くなる。
それに、キスをすれば私は他の女の先を越す事ができる。
彼に近づく者達全ての頂点に立てる。

私は彼にキスをした。
ああ、心が熱い。
さっきよりもずっと、ずっと。
やっとわかった。
私はこの人が好きなんだ。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。嬉しい。
もっと触れたい。彼に触れたい。
もっと、もっと、もっと。

時は動きだす。
私はいつものように彼から離れ、ただの「メイド」に戻る。
でも、今はそれが辛い。
離れたくないんだ。
彼から離れるだけで、涙が流れる。
これではメイドの仕事は務まらない。
次はどうすればいい?
そんな事はもうわかっている。
彼を私だけの物にするんだ。


おわり
まだ慣れてないです
次はギャグやほのぼのやる


401 : ○○ :2016/09/24(土) 20:20:33 eDAPgF..
>>399
時止め後に本性出ちゃう咲夜さんいいよね…
ほとんどプロット的に一致してしまってる感じですが
咲夜さんです。


私はあなたの上司として あなたをただただ見守っている

あなたが誰かと恋に落ちようと 私は気にはしないから

だから好きにしなさいな 私は関与しないから



私はあなたを支配する 時を操り支配する

私はずっと欲しかった あなたの全てが欲しかった

けれど運命は残酷に 針は私に向きはしない

だから私は表裏を持った あなたへの想いを隠すため



私はあなたの上司だから 分からないことは聞きなさい

仕事はできて当たり前 さもなきゃ彼女に怒られるわよ?

はいはいちゃんと聞きなさい 効率よくならこうやるべきよ



私はあなたの全てを奪う この一瞬にあなたを奪う

狡い女と呼びなさい 悪魔の女と呼びなさい

私はあなたに焦がれてるけど あなたに迷惑は掛けないつもり

普段は表を見せ付けて 時を止めれば裏になる



今日もお仕事お疲れ様 体の具合は大丈夫かしら

不意に体を壊されたら 仕事に支障も出ちゃうだろうし

何より彼女に怒られるから



あなたの初めても私は奪った あなたの全てを私は奪った

これが私の裏の顔 あなたに見せない歪んだ想い

穢れた女と笑いなさい 狂った女と笑いなさい

私はそれだけ愛してる


402 : ○○ :2016/09/24(土) 20:22:04 eDAPgF..
追加でもう一つ
ほぼ咲夜さんですがある程度他キャラでも想像できる…かも?


燃えるようなこの衝動 熱くたぎる心の衝動

私はあなたにぶつけたい この想い全てぶつけたい

この気がおかしくなろうとも 私がおかしくなろうとも

気が触れるほどのこの思い あなたに全てぶつけたい

あなたに他は必要ない 必要なのは私だけ

あなたは私を頼ればいい 私が関連すればいい



だってそれは私が幸せ あなたも幸せ 同じでしょう?

あなたは用事が満たせるし 私はあなたに関われる

なんて素敵なことでしょう なんてすばらしい考えでしょう

あなたは私のご主人様で 私はあなたの召使い

主人は働かなくて良い 主人は座っていれば良い

あなたの全てを管理する 私が全てを管理する



だけど時には褒美も頂戴 あなたの愛を私に頂戴

あなたの愛が私の報酬 それ以外は必要ない

金は要らない 権力も要らない 欲しいものはただ1つ

あなたからの愛 ただ1つ



あなたの愛を得るためならば 私は何でも致します


403 : ○○ :2016/09/24(土) 20:51:46 4ip9JJP2
>>401
文才が完全に俺の遥か上を行っていやがる...!
これからも参考にさせていただきます


404 : ○○ :2016/09/25(日) 20:55:58 rhrwU2Ic
寝ている間に抱き締められながら「貴方は私のものよ…」とか「愛してる愛してる愛してる」と連呼されたい
私が紫様にされたいです
愛の言葉を連呼するだけでヤンデレっぽくない?


405 : ○○ :2016/09/25(日) 23:22:48 B.KA7jRI
>>404
どちらかというとヤンデレというよりイチャつき臭すごいけどごめんね


 あなたは眠っている…。
部屋の戸が開いた音がした。

「○○…起きては…いないわよね」

 あなたはぐっすり寝ている。
多分、朝まで目を覚ますことはないだろう。

「ふふっ…可愛い寝顔だわ。
 ねぇ○○、私も一緒に寝てもいいかしら?
 と言っても、返事も聞かずに勝手に入っちゃうんだけどね」

 紫が布団に入ってきた。
しかしあなたは気にせず眠っている。

「あなたがこの幻想郷に迷い込んではや数ヶ月…
 月日が流れるのは早いわねえ」

 紫は今までの出来事を思い返す。
○○がやってきてしまった事、人里に出さずに自分の所で養っている事を。
そして、徐々に自分の中で不思議な感情が芽生え始めてきていたことも。

「あなたは今は何を考えて日々を過ごしているのかしら。
 お金を手に入れて外の世界に帰るための仕事? それとも藍や橙のこと?
 それとも…私のことかしら?」

 気がつけばあなたはそこにいて 私のためにいる気がした
 あなたが私のそばにいると 私は不思議と知恵が回った

「不思議なものよね…恋愛に靡く妖怪なんて、
 その辺の下っ端妖怪程度だけと思っていたわ」

 氷精が恋に落ち、相手を氷漬けにした話。
天狗が相手を想い、相手のすべてを記録として残し、最後は相手そのものを頂いた話。
人食いの妖怪が、愛おしさと他人への嫉妬から相手のすべてを自分の中に収めた話。
全てその辺の妖怪が自分の感情に抑えられずに暴れてるだけだと思っていた。
自分ならそんな感情に惑わされずに行動できる、そう思っていた。

「傍から見たら恋ってそんなに危ないものなのね…と思ったけれど。
 実際経験してみると、この衝動は簡単に抑えられるものではないみたいね」

 恋。
相手を想い、大切に想う気持ち。
相手に焦がれ、相手を特別と思う気持ち。

「実は私も妖怪の賢者なんかじゃなくって、
 ちょっと知恵と力があるだけの下っ端妖怪だったのかも、なんてね」

 私はあなたを考えるたび 胸の奥で何かが揺れる
 あなたのことを考えると 不思議と力が湧いてくる


406 : ○○ :2016/09/25(日) 23:25:08 B.KA7jRI
「…ねえ○○。
 私があなたのことを好きって言ったら、あなたはどう思うのかしらね」

 拒絶するか? 受け入れるか?
拒絶するなら理由は何か。
受け入れるなら理由は何か。

「いえ、好き…という言葉でも足りないのかもしれないわ…
 そう、愛している。
 あなたの仕草も表情も考え方も何もかも全てを愛してる」

 私は賢者だから あなたの全てを知っている
 知らないことがあるならば それを調べれば済むことだから

「愛しすぎてたまらない。
 愛おしすぎて止まらない。
 こんな感情は初めてよ!!」

 だから答えを聞かせてほしい あなたが好きと聞かせてほしい
 望まぬ答えは聞いてない 愛していると言ってほしい

「…あなたからすれば面倒なものよね。
 外の世界に帰るために必要な存在に惚れられてしまったんだもの」

 帰る準備が整ったならば、監禁でも何でもして帰ることを食い止めるだろう。
彼女の期待に応えなければ、どうなるかは容易に想像がつく。
彼が外の世界に帰る希望は既に断たれてしまったようなものだ。

「…と言っても寝ているし、返事なんてあるわけ無いわよね。
 でもとりあえず…」

 あなたは紫に抱きしめられた。
違和感があったためか多少身じろぎはしたが、
それでも目を覚ますほどではない。

「こうしてあなたが眠っている間は、
 あなたが私を敵として認識するまでの間は…
 こうやってあなたを私のものにしていてもいいわよね」

 あなたは眠っている。
あなたは何も応えない。

「おやすみなさい、私の、私だけが愛する人よ」

 今日も幻想郷の夜は明けていく。
また一人、新しい妖怪を恋の沼に沈めながら。


個人的には紫様に限らず知恵のあるタイプの人達は
いきなりはおかしくならずに最初はこんな感じから病んでいきそうに思える。
もちろんいきなり爆発しちゃったりとか、
妖精や能力的にそれほど強くなさそうな妖怪の方が
まるで悟ったのかのように相手のことを思うのも大好きですが


407 : ○○ :2016/09/25(日) 23:55:27 rhrwU2Ic
>>405
>>406
ありがたや…ありがたや…


408 : ○○ :2016/09/25(日) 23:58:47 vwvslA5.
菫子「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き大好きな大好き超大好き愛してる宇宙で一番愛してる好き大好き大好き大好きすきすきすきすきスキスキスキスキスキスキッスキッ大好き大好きッスキッスキッ!」

(*´3`)

菫子「キャァァァァァ!!!( `Д´*⊂彡☆))Д´) パーン」

菫子「いきいきっ、いきなりなにしようとするのよ///!!!」

だってウサミン氏、キスキスって連呼してるから…

菫子「きっ…///!?ちっ違うもんき、kissじゃなくて『好き』!!」

いやいや絶対キスって言ってたよ、俺とキスしたいちゅっちゅっしたいって顔してたよ
行かないでね何処にだってあたしと一緒じゃなきゃ厭よあなたしか見て無いのよ今すぐに此処でキスしてって顔になってたよ

菫子「そ、そりゃ私は綺麗とか美人なタイプではないけれど…ってそっそんな顔してないっ///!」

あ、そうなんだ…好きとか言う癖に…
俺のこと弄んだんだ?

菫子「えっ?いやっちがっ…違うの!あたしはあなたのこと大好きッ!好き好き!アソビじゃないの!本気なの!!」

本気ってことは、キス以上のことも?

菫子「キス以上の、ことって…///そ、そんなの…結婚までは…///こ、困る…///」

結婚までとか…めっちゃ焦らすやん





私はこのシリーズのコンセプトを『ヘタレなヤンデレ』みたいな感じで考えてます
自分の恋愛感情を御せず病的な愛を表現する一方で相手から迫られたりした時に相応の恥じらいを見せる、どんなに病んでいたとしても根っこがやっぱり女の子というか
と説明してみたところ、読み直して『これ、もしかして俺は「ヤン」じゃなくて「デレ」が書きたいだけなんじゃないか?』と思ったのだが…
どうなんだろう、これ…


409 : ○○ :2016/09/26(月) 00:22:13 lYx8kM5A
一度散文で書いてみては?
コンセプトもしっかり決めてられているので、はっきりと表現しようと思われるのならば挑戦するのも良いのではないですか?


410 : ○○ :2016/09/26(月) 09:22:26 7S8FiOAU
>>408
ウサミン氏がめちゃくちゃ可愛いので俺はそれで充分です
過剰なまでのデレデレはヤンデレになり得るかもしれない


411 : ○○ :2016/09/26(月) 12:42:36 toqW4cJE
>>408
今の形式で十分伝わりますので、 本人が書きやすい形で良いような…
個人的には、ちょっと行き過ぎた愛情も、立派なヤンデレな気がします
見ていて楽しいといいますか、ワイドショーを見るおばちゃんみたい
なのかもしれません


412 : ○○ :2016/09/26(月) 15:33:23 7S8FiOAU
早苗さんで書きます

◯◯さん。
私の大切な人。
幼い私をいじめっ子から守ってくれた勇敢な人。
こんな私に微笑みかけてくれた優しい人。
私の初めてのお友達。私の初めての大切な人。
あなたには諏訪子様も神奈子様も見えている。
「きっとこれは運命なんだ」幼い私はそう感じた。
ずっとずっと…あなたの側にいられたら…。

「守矢神社の風祝として旅立つ事になりました」
私はあなたに告白をした。
でもそれは愛の告白じゃない。
心が引き裂かれるほどに辛い。
悲しい。離れたくない。
そんな感情が私を蹂躙していた。

あなたは驚く。
当然だよね。こんなの、普通じゃありえない…。
それでもあなたは私を疑わない。
「頑張ってこい」
そう言ってあなたは私に微笑みかける。
「いつか会いに行くよ
その世界に行ってな 約束だ」
あなたは私は抱きしめた。
嬉しいはずなのに、とっても悲しい。
その約束は、決して果たされないのだから…。

幻想郷。
神奈子様と諏訪子様の存続のためにやってきた。
私の側にあの人はいない。
そんな世界に意味はあるの?
あの人はこの世界には来れない。
そんな世界は必要なの?
そんな事ばかり考える。

今の私は「東風谷早苗」なんかじゃない。
ただの「風祝」だ。
神様のために働くだけの存在。
あの人の側にいない私など、「早苗」ではない。
これから一生、「早苗」にはなれない。


あれから数日、
私はいつものように仕事をする。
神社の掃除、妖怪の退治。
上空から人型の何かが飛んでくる。
どうせ天狗あたりの妖怪だろう。
仕事の邪魔をするなら退治するだけ。

「やっと見つけたぜ」
飛んできたのは、人間だった。
私が、「早苗」がよく知っている人間だった。
「妖怪の山に神社が出現したって聞いてさ
もしかしたらと思ったんだけど…
まさか、本当にお前だったとはな」
その人は私に近寄って…
「会いに行くって、約束したろ?」
そう言って私を抱きしめた。
私は泣いてしまった。
嬉しくてたまらないのに。
違う、嬉しいからなんだ。

◯◯さん。
私の側にいてくれる大切な人。
私はこの世界で生きていく。
あなたと共に、「東風谷早苗」として。

おわり

文才が…欲しい…ッ!
相変わらず変な文章でごめんなさい
◯◯は元々幻想郷の住人で、頻繁に外の世界に遊びに行っていたというのが俺の脳内設定です
何らかの特殊能力によって外の世界に行っているかもしれないし、
ゆかりんと親しいから行けたのかもしれない
そこら辺は皆の想像におまかせします

これヤンデレじゃないと途中で思ったのは内緒


413 : ○○ :2016/09/26(月) 23:33:57 KoovF3K2
>>408
その明るいヤンデレの雰囲気が私は欲しいです!
とっても揺れる乙女心が可愛らしい

>>412
大切な彼が隣にいない私なんて、「私」じゃない。
という感じはある意味ヤンデレとも思えます。
色々ネタを披露していけばいつか自分なりの書き方やまとめ方が浮かんでくるよ!


ルナサで一つ、やっぱり悲恋物。


私はそう あなたを知ってる

私はあなたを知っている あなたの声を知っている

あなたが子供のころ 私はあなたと遊んでいたわ

私が演奏していると あなたは笑って歌っていたわ

あなたの声が頭に響く 私の心を揺らして響く

それはとても心地よく 私の心を振るわせる

けれどあなたはもう遠く 私のそばを離れていった

あなたの声をもう一度 あなたの姿をもう一度

私の音で彩りたい 私と共にあって欲しい

しかしそれは許されない 私の音で彩れば

あなたも あなたの恋人も 全てをみんな破壊する

私があなたを求めるほどに あなたの全てを壊してしまう

ただただ私は祝いたい けれどもそれは許されない

もしも私にこの力 この能力がなかったら

あなたを普通に祝えてたのに



だから私は考えた 祝う以外の贈り物

私の力で彼を手助け 彼の人生を幸福に

ひとたび諍い起きたなら 私の力で感情を静め

彼に絶望を贈るならば まずはあなたに絶望を

こうして私は見守った 彼の行く末を見守った



いつか彼は死んでいく 年老い彼は死んでいく

彼は死ぬまえに言い残す 見守ってくれてありがとう

それは恋人に向けたもの? それとも私に向けたもの?

ありがとうそしてさようなら あなたの音色は忘れない


可愛く終われるルナサとか思いつけばなぁ…と思う。


414 : ○○ :2016/09/28(水) 06:55:50 quH/EQj2
さとり様って、相手を好きになりやすそう
年柄年中その能力のせいで怖がられるか気持ち悪がられるから、さとり様への第一印象が面白いとか興味深いみたいな感情でも相手のこと気に入り出しそう


415 : ○○ :2016/09/28(水) 15:08:03 p1B0JCOs
>>414さとりが伴侶になりたそうにこちらを見ている!


416 : ○○ :2016/09/28(水) 15:27:42 6OuOr7UI
伴侶にしますか?はい いいえ

はい連打安定


417 : ○○ :2016/09/28(水) 17:02:10 qSowl.Xg
いいえを選択しても反応がない。

おまけに妹がじーとこちらを見ている…


418 : ○○ :2016/09/29(木) 07:59:06 ufL9Sb36
このスレが良く回る時は、良いものが出てきてそれに競おうとする人の心が働くんだなと、朝マックを食いながら何となく思った。


419 : ○○ :2016/09/29(木) 13:04:11 OusmPYoA
>>412
純愛を突き詰めればヤンデレになるのかもしれません
>>413
妖怪と人間の間の川は深いですね
幻想ヤンデレ少女の一部は飛び越えそうだけれど

上の小ネタで一つ


420 : ○○ :2016/09/29(木) 13:07:09 OusmPYoA
 無限ループ

「○○さん、私を付き合ってくれませんか。」
 鉢植えに植えてあるコスモスの花が紫色の綺麗な花を咲かせる頃、真剣な面持
ちで古明地さとりは僕にそう言った。彼女から大切な話があるとして呼び出され
たのだから、今までの彼女の僕への好意を考えると当然のことなのであろう。
そして僕は考えていた答えを彼女に言った。
「ごめん、古明地さん。貴方はいい人ですけれど、付き合えません。」
「え…。」
人の心が読める彼女にしては珍しく、予想だにしなかった答えに彼女は言葉を無
くしていた。
「嘘、ですよね…。」
「御免なさい。」
嘘であって欲しいとばかりに、彼女はの第三の眼は僕の心の奥底を深く深く探っ
ていく。そして、僕の心の中を全て読み取ったのだろう。
「い、嫌、ぁああああ!」
悲鳴を上げた古明地は爪を噛みながら小声で呟く。
「嘘、嘘、嘘、そんなことない。○○さんは私の彼氏、○○さんは私を愛してくれ
ている。そんなの嘘、嘘、嘘嘘ウソウソウソ…。」
なおも現実を認めない彼女の第三の眼を持つ。僕がキスでもしてくれると思ったのだ
ろうか、呆けた顔をしている彼女の眼を、僕の心臓に突きつける。これでも食らえと
言わんばかりに。
「ああああぁぁぁぁ!!」
叫び声と共に眼から涙を流す彼女の姿が、不意に薄くなったかと思うと、僕の意識は
急に途切れた。


421 : ○○ :2016/09/29(木) 13:07:41 OusmPYoA
「○○さん、私と一緒に地霊殿で住みませんか。」
恋人のさとりは、病み上がりの僕が寝ているベットの枕元に座りながら、僕を気遣う
かのように言った。僕の私室に置いてあるさとりがくれたコスモスの花は、秋の訪れと
共に紫色の花を咲かせており、僕に季節の変化を感じさせていた。流行の風邪で汗をか
いたのであろうか、僕の服はすっかりと湿っておりすこし不快な感じがした。
 さとりは真剣な面持ちで僕に尋ねている。彼女の妹が時々している軽い思いつきではな
い、重い気持ちがひしひしと僕に伝わってきている。そして僕は彼女に対して本心で答えた。
「うーん、面倒臭いからいいや。なんかそういうの古いし。」
さとりは驚きの余り息を上手く吸い込めなかったのか、-ひゅ-と声にならないような
音を漏らし固まってしまっていた。この際だからと、僕は彼女に普段から思っていること
をぶちまける。
「なんか、さとりとの関係が面倒っていうか、もっと普通の関係がいいんだよね。なんて
いうか、重すぎるみたいな。」
「嘘、っですよね…。」
心が読める癖に、否定して欲しくてさとりは僕に問いかける。前にも見たようなデジャ
ビュの感覚に襲われながらも、僕は彼女を否定する。
「本当のホント。」
そして僕の意識は急に暗転した。


422 : ○○ :2016/09/29(木) 13:08:40 OusmPYoA
「○○さん、わ、私と、け、結婚してくれませんか…。」
緊張の余りであろうか、たどたどしくなっているさとりが僕に言った。普段は僕とさとりは
地霊殿で住んでいるのであるが、僕がかつての自室のベットに入っている分を見ると、恐らく
偶々自分の部屋に戻ったのであろう。酒でも飲み過ぎたのか、霞が掛かって思い出せない記憶
に軽く心の中で悪態を吐きながら、僕は体を起こす。窓を締め切ったさとりと二人っきり部屋
の中では、コスモスの花が紫色の花びらをふわりふわりと揺らしており、僕の無聊を慰めていた。
「は、流行病で○○さんが倒れてしまって、だから、結婚すれば、い、一緒にいられると
思って。」
普段の落ち着いた様子とは違い、テンパっているさとりであるが、突然のプロポーズ、それも
逆プロポーズとなれば、そういう物なのかも知れない。インフルエンザの高熱で汗をかいた
せいか、前がぐっしょりと濡れた上着を扇いで風を体に送り込みながら、僕はさとりに
無意識で返事をしようとした。
「い…」
-嫌だ-と言おうとして、口が固まってしまう。コスモスの花の辺りから、何やら強い視線に
射すくめられるような、心臓をナイフで刺される様な殺気を感じ、僕の口は生存本能に任せ
勝手なことを口走る。
「いっ、いいよ。」
-やってしまった-と本心でも無い事を言ってしまって舌の根も乾かないうちに早速後悔する
僕の耳に、さとりの声とは違う小さな声が聞こえた。
「良かったね、二度あることは三度ある、じゃなくって。」

以上になります


423 : ○○ :2016/09/29(木) 13:10:57 iCBUx8vU
お、恐ろしい…
でもゾクゾクする…


424 : ○○ :2016/09/29(木) 13:34:00 U3CJpbzk
私も混ぜてください!
さとり様って相手の心を読めるから
相手の嬉しいも楽しいも全部分かるってことだよね


あなたが私を受け入れたから 私はとても嬉しいの

私は嫌われるべき存在だから あなたの存在が嬉しいの

あなたの心を読んだとしても あなたは嫌がったりはしない

あなたの思考を読んだとしても あなたは気味悪がりはしない

あなたはいつもの笑顔で言う やっぱりさとりは良い奴だ

私はあなたが好きだから あなたの事は全て知りたい

心の中で思うことも 頭の中で考えることも

全部全部満たしたい あなたを幸せで満たしたい

その幸せの大元に わたしという存在を乗せて


425 : ○○ :2016/09/29(木) 23:46:26 OusmPYoA
>>424
優しいヤンデレですね。このさとりは怖いのではなく、
ほっこりするような感じです

次より投下、河童、藪の中、蜘蛛の糸、歯車と続いた芥川シリーズの
取り敢えずラストの予定


426 : ○○ :2016/09/29(木) 23:48:07 OusmPYoA
 幻想郷の天使

ええ、私はあの日天使様に出会ったのです。私があの悪魔のような黒い天狗に囚われていた時に、あの白い天使の様な女の人が来て私を助け出してくれたのです。そしてあの方は私を自分の小屋に匿って下さいました。そして夜にはなんと私を抱いて下さったのです。恐れ多くも私に情けを下さったのです。あの女性はきっと、天上におられます神様が私を哀れんで使わされた天使様に違い有りません。白い狼の様な姿をしておりましたので、恐らく獣の天使様だったのかもしれません。博学な貴方はあの方のお名前をご存じでしょうか?私は友人に引き込まれてこの幻想郷に入ってしまった訳ですが、これもきっと神様の思し召しなのでしょう…。
しばらく天使様は私を小屋に匿って下さっておられましたが、その内来られなくなってしまいました。私は大層心細くなっておりましたが、流石は天使様、私を救う人を使わして下さいました。其れこそが、姫海堂はたてです。はたては私を天使様が匿ってくれた小屋から連れ出し、自分の住処に連れて行って下さいました。私は彼女に全てを頂きました。住処、食事、そして愛情までも。はたてにお会いしたのも、きっと天使様のお導きなのでしょう。
ああ、はたて、時間なのかな。え、看護師さんに用事?分かったよ。僕はあそこに座って待っておくね。あの黒い悪魔に誘拐されてから、はたての姿が一秒でも見えないと僕は不安で、不安で、仕方ないんだよ。うん、あそこで永琳院長の隣に居るから、早めに来てね。


427 : ○○ :2016/09/29(木) 23:49:13 OusmPYoA
はい、○○さんですが、御注文通りに催眠を掛けておきましたよ。月兎兵士の後遺症を治療するための特製の催眠術ですから、効果の程は強烈ですよ。しかし良く考えましたね、永遠亭でもトラウマの解消の為に記憶を抹消する患者さんは多いんですけれど、強烈なトラウマがこびりついている時には、上手く消せない時があるんですよね。まあ、脳は癌のように外科手術で都合が悪い部分をそぎ落とすなんて出来ませんからね…。それを記憶の齟齬が発生しないように、入院中の射命丸と椛を悪魔と天使にして、上手に自分は天使から使わされた人にしたんですからね。お見それしますよ全く。
 まあ、あれだけ警告したので天狗の査察部も黙りましたし、上層部も二人を隠蔽することにしたようですから、御安泰という訳ですね。其れではお二人ともお元気で…。

以上になります。
羅生門でその内書いてみたい


428 : ○○ :2016/09/29(木) 23:55:12 noDBE..Y
>>418
マックでアイデア降りてきたので


妹紅「みすチーキンクリスプひとつ」
ルナサ「100円になりまーす!」
妹紅「サンクス」
ルナサ「ありがとうございましたー!次の方どうzあっ」
衣玖「…………」

ルナサ「○○くん!○○くん!『スマイルさん』来てる!」
○○「((((;゜Д゜))))絶対あの人俺のシフト把握してるよぉ…」

○○「い、いらっしゃいませーZUNZUNバーガーにようこそぉ」ニ、ニコォ
衣玖「…」スッ

衣玖「ずんずんチーズ月見とずんずんポテトsサイズ」
○○「お飲み物は」
衣玖「カフェラテでお願いします」
○○「はい」
衣玖「……それと」
○○(きた……!)ビクッ

衣玖「スマイルください」
○○「ふ、フヒヒ」ニコッ

衣玖「お持ち帰りで、お願いします」
○○「……セット、と……スマイルもでございますか」
衣玖「ございます」
○○「…………」
衣玖「…」スッ




○○「ウェーーV(*⌒▽⌒*)Vーーイ!」
衣玖「…」写メ パシャッパシャッ

衣玖「(*´ω`*)」ホクホク
○○「あ、ありがとうごさいましたーまたのお越しをー(二度とくんな)」

ルナサ「またスマイルお持ち帰り?」
○○「一番初めに冗談で『スマイルお持ち帰りで』を応えちゃったの後悔してる」
ルナサ「でも『スマイルさん』綺麗だし悪い気はしないんじゃない?」
○○「……ケータイの待受画面俺だった……こわe」


衣玖(次はスマイル3つ頼みましょう)




地の文で書こうとしたけど諦めちゃったでござるぅ(´・ω・`)


429 : ○○ :2016/09/30(金) 00:10:09 g.HsOrTI
>>428
めっちゃ笑いました
GJ!


430 : ○○ :2016/09/30(金) 06:26:14 GKHku.cU
>>428
ワロタ


431 : ○○ :2016/09/30(金) 13:06:39 NUBmDqS2
橙は無自覚過保護な気がする
藍さまから受けた過保護をそのまま○○に適用しそう


432 : ○○ :2016/09/30(金) 13:44:24 RhXv2r.Y

夢の中のうどんちゃんふたたび
夜寝てるときにいいにおいするなっておもったら
うどんちゃんが侵入して上からのしかかって寝顔を見てたようなそうでないようなかんじ
朝まで粘ろうとするけど寝落ちするから結局うどんちゃん布団みたいになってた
寝言で重い重いって言ってたらしくどうすれば質量を減らせるかって頭抱えてたけど
横に座ればいいじゃないって言ったら「それだ!」ってなって謎のハイタッチをしたあたりで目覚めた
なおどうやって侵入したのかは不明

>>427
元の本を読んでいなくても楽しめますし、元を知っていればにやにやしながら読めますね
とってもいいです

>>428
内気な独身OL臭を感じてしまいました...お嫁さんにしなきゃ...


433 : ○○ :2016/10/01(土) 08:25:31 Anp5gxXg
ほのぼのなレミリアちゃんで書きます

「貴方は今から私のモノよ… この部屋から出る事も、他の女と接する事も赦さない 貴方の目に映るのは私だけで充分…そうでしょう? 貴方は逃げられない…
決して、このレミリア・スカーレットからは…!」

私だけのモノ…つまり、結婚?

「えっ」

違うの?

「ち、違わないけど…」

でも、レミリアはまだ子供じゃないか

「な、何を言っているのかしら?私はもう500年も生きている悪魔よ?」

吸血鬼換算だと子供なんじゃない?

「とにかく私は大人なの!お・と・な!」

ふーん…子供用の椅子とスプーン使うのに?

「えっ…?あっ、あれは、あれはスカーレット家に伝わる由緒正しき食器と椅子なの!」

ははっ、まあいいや
じゃあ、レミリアが大人になるまで、お前の側で見守ってあげるよ

「だから私は子供じゃないもん!
…って、えっ?」

だから、結婚できるようになるまで待つって事だ
レミリアが大人になったら、お前だけのモノになってやる

「ホントに…?」

嘘は吐かない

「でも、私が大人になる頃には貴方は…」

じゃあ、人間を辞めて吸血鬼になってやろう

「……」

レミリア?

「……じゃあ、今すぐ吸血鬼にしてあげるわ… ずぅっと…私の側にいなさい…
◯◯…大好き…かぷっ」

500年後、成人(成吸血鬼?)したレミリアは見事◯◯とゴールイン
スカーレット家の未来は安泰だ…



ここに妄想を綴るのは四度目ですが、書き方や内容の路線を大きく変更してみました


434 : ○○ :2016/10/01(土) 18:26:11 Anp5gxXg
フランちゃんって好きな人を失ったら修羅と化しそう
場合によっては復讐の鬼になる
もしその◯◯が何者かに殺された、なんて事が起きたらフランちゃんは「かえせ返せカエセ」と連呼しながら犯人とそれに連なる者全てを破壊してしまいそう

◯◯が死んでしまう夢を見たフランちゃん
苦しくて、悲しくて、不安で仕方が無いフランちゃんは、◯◯の元へ駆ける
そして◯◯に抱きつき、涙を流した
フランちゃんが事情を説明すると、◯◯はフランちゃんを優しく抱きしめてあげました


435 : ○○ :2016/10/01(土) 19:00:56 Y1O8F/iQ
野盗やらの集団の間で、こいつにだけは手を出すなみたいな感じで○○の人相書きが出回ってそう


436 : ○○ :2016/10/02(日) 01:00:39 X1JQGubU
>433
○○カッコいい!
>>434
壊れたフランが似合うのは、狂気の設定か、それとも能力か
次より投下します
携帯から試しに投下


437 : ○○ :2016/10/02(日) 01:01:21 X1JQGubU
 ウサギの夢うつつ
「なんか昨日、鈴仙が僕の布団の上にいたらしくってさ。」
『へえ、それはまたあれね。』

「朝起きたら真っ赤な鈴仙の目が見えてね、よくよく話を聞いたらどうやら夜の
内に僕の部屋にいたみたいで。僕の寝顔が見たくて一晩中僕の上にいたってさ。」
『あら、ホラーね。』

「道理で朝起きたら布団が重かった訳だよ。鈴仙も僕に体重を掛けまいとしていた
ようだけれど、途中で眠ってしまって僕に圧し掛かっていたからね。」
『貴方はそこに着目するの?』

「着目というより、僕の観察だね。まあ、僕も寝言で重いと言っていたようで、
鈴仙と二人でどうしたら良いかって考えてね。」
『それで?』

「なんと、鈴仙が僕の横で座っていればいいんじゃないかってね。僕はひらめいたん
だよ。まさにコペルニクスの発見とも言うべきものだね。眠くなったら、僕の顔を
見ながら眠れることだし。」
『ホラーというよりもコメディね、もはや。』

「コメディ?いや、ミステリーかも知れないよ、七洋さん。」
『どういうことかしら。』


438 : ○○ :2016/10/02(日) 01:02:28 X1JQGubU
「僕は昨日一人で帰ったんだよ。あのマンションは部外者はまず入れないんだよ。」
『ええ、そうでしょうね。二重のオートロックですし。』

「よく知ってるね。それで、僕が起きたときには鈴仙がいたんだ。」
『…。不法…侵入でしょう?』

「フホウ?僕は昨日鍵を掛けていたんだよ。しかも、朝起きた時にはご丁寧に
チェーンまで掛かっていたんだよ。」
『窓…は無理ね。三階ですし。』

「あれ、七洋さんに僕の家のこと話したっけな? まあいいや、浦戸さんにこうやって
二人っきりで話を聞いてもらっているし、何かバシッと解決できないかなって
思ってさ。こうやって話しているんだけど、どう?」
『そうね…。この私、浦戸紅子にかかれば、一つ真実が見えたわ。』

「へえ、どんなの?」
『つまり、こう考えられるのよ。貴方が一人で帰ってきて、そして朝になったら二人の
人間が部屋にいたのならば、元々鈴仙はあの部屋にいたと。』

「な、なんと!」
『っていうか、彼女が部屋に居るのは当然でしょう?同棲しているんだから。』


439 : ○○ :2016/10/02(日) 01:04:30 X1JQGubU

「そ、そうか…。あれ、じゃあ僕は何で最初に疑問に思ったんだろう。鈴仙、最初僕は
何で変だと思ったんだっけ?」
『…。私の目が今みたいに、どうして赤いのかってことよ…。うん大丈夫ね、取り敢えず
最初に合鍵頂戴。』

「はい、これスペア。」
『ありがと。そういえばあの部屋は二人では狭すぎて住めないから引っ越そうか。オート
ロックも案外不十分だし。』

「そうなの?」
『まあ、後ろにぴったりくっついて行くと入れちゃうしね。それじゃあ今から行きま
しょうか、良い部屋をこの前見つけたから……ね。』

以上になります。

いつもご感想ありがとうございます。


440 : ○○ :2016/10/02(日) 08:56:26 iKh1BZNw
>>433
ああ…レミィ可愛いなあ…
大人になったレミリアってどんなんだろうね

>>434
フランちゃんも姉のように◯◯を吸血鬼にして大人になったら結婚するのかな
このフランちゃんには幸せになってほしい

>>439
鈴仙はやっぱりヤンデレが似合うね!


441 : ○○ :2016/10/03(月) 00:17:32 QrrK/qUo
誰かに届け この思い
長文書きたいこの思い けれど書いたら何かが崩壊
だからうまく書けないの ちょっとずつでも練習するけど




私はあなたが好きだから 平等なんて忘れたの

誰も彼もが平等に? 違う

私にとってはあなたが一番 それ以外の万物全て下

別に周りを捨てたわけじゃない 皆とはいつも通りに過ごす

けれどあなたにだけは違う あなたには私を捧げるの

なぜならあなたは神様だから 私にとっての仏様

あなたが一番正しくて あなたが一番大切なこと



早苗

私の奇跡が有ったから きっとあなたに会えたんです

私の奇跡が有ったから きっと仲良くできたんです

私の奇跡が有ったから きっと恋人になれたんです

私の奇跡が有ったから きっとあなたも来れたんです

私の奇跡が有るならば きっとあなたは幸せです

ですから私の側にいて 未来永劫永遠に

私の奇跡が有るからこそ あなたは幸せになれるのです


心優しい者たちに 依存の愛を与えたら
地獄の底まで尽くすのか 彼以外の全てを無に返すのか
愛とは深い 愛とは重い 愛とは尊い


442 : ○○ :2016/10/03(月) 06:06:46 .1Ctaguc
>>441 
辞書引いて書くと、世界変わるよ


443 : ○○ :2016/10/03(月) 10:43:22 9tJJOq9o
>>16
だいぶ前に書いたやつの続き
ひどいものだがのんびり見てって下さい

それからは幻覚を見るのがやけに多くなって着ちまった。それだけならまだしも、夢にでも変なものをみるようになった。だが、夢のほうは主体が俺ではなかった。視界から覗く、服装や発育の具青からして、それは幼い女の子だ。ちょうどそのときの俺とためぐらいかな。でもな、その子の手は、まるでその年に見合わなかった。何度もつらい手作業をしたのか、手のひらは白く変色したこぶだらけ、甲には何かで火傷したのか、大きく焼け爛れてた跡が残っていた。その子は、寒さのためか、森の舗装が行き届いていない道を必死で駆けているためか、のどからぴゅーとどこか間抜けな音をだしながら荒い息遣いをしていた。薄いぼろを着ているせいで、歯は虫の羽のように震え音を立てた。不思議なのが、こんな状況なのに、その子が嬉しそうなんだ。時々ふところにある何かに手を当てると、さらに機嫌がよくなる。ちょうどあの木苺が群生しているところまでにたどり着くと、さらに歩みは速まり、息遣いにも嬉しげな様子がもれ出た。あの広場に突き当たると、一度立ち止まり、ぼさぼさになった髪に二三度手櫛をし、目についたくそを指でぬぐった。満足したのか、深く深呼吸をして、寒さのせいで、ひどくむせた。どんどんと自分のへそのまである草むらを踏みしめて、中心にある家まで歩いていった。その家は近くまで行くと、よく詳細がわかった。一言で言えば、古い。でも、どこか金持ちの家のような気品がある。石造りの、壁には白く塗装がされて、屋根のかわらはところにひびとかかけているところはあったが、あと何十年も持ちそうな丈夫なものであった。地面から、絡みつくように伸びている蔦がどこか間抜けな感じでこの家の雰囲気を硬っくるしいものにせずにすんでいた。扉には鉄製の重そうな輪形の取っ手口がぶら下がっていた。


444 : ○○ :2016/10/03(月) 10:46:40 9tJJOq9o
それは鍵がかかっているらしく、いくらひっぱて見ても少しがたと音がするのみで開かない。そこで、その家の主人。わかってるだろうけど。が帰ってくるまで待つことは出来たろうけど、寒くてたまらなかったんだろう。その子がほかの入り口を探し始めた。壁に手を伝いながら、家を回った。そして、裏手にもう一つ大きな木製の扉があった。それは古くて、硬そうで、汚れのために黒ずんでいた。表と同じ取っ手口があったが、やはりその扉も開かなかった。ため息をついて、彼女は一歩後ずさった。そうすると、とびらの端に小さな何も植えられていない鉢植えが一つおかれていた。その子は何かをひらめいたように、その鉢植えを手に取った。だが、鉢植えの底に汚い紙が一枚貼り付けられていただけだった。その紙には「ひっかかったわね、このどろぼう!」と罵倒の言葉が張ってあった。そのこは、字が理解できないのか、首をかしげた様子ですぐに鉢植えを元の場所にもどして、さらに付近を探した。が、そう甘くはないのが現実。鍵がありそうな場所はどこにもなかった。飽きてしまったのか、疲れたか、少しいじけた様子で、体をゆすり、とびらの取っ手口を指でいじくった。そうすると、かたりと何かが音を立てた。女の子も、それに気づいたようで少し扉を引くと、何の抵抗なしに開いてしまった。


445 : ○○ :2016/10/03(月) 11:08:56 9tJJOq9o
それは鍵がかかっているらしく、いくらひっぱて見ても少しがたと音がするのみで開かない。そこで、その家の主人。わかってるだろうけど。が帰ってくるまで待つことは出来たろうけど、寒くてたまらなかったんだろう。その子がほかの入り口を探し始めた。壁に手を伝いながら、家を回った。そして、裏手にもう一つ大きな木製の扉があった。それは古くて、硬そうで、汚れのために黒ずんでいた。表と同じ取っ手口があったが、やはりその扉も開かなかった。ため息をついて、彼女は一歩後ずさった。そうすると、とびらの端に小さな何も植えられていない鉢植えが一つおかれていた。その子は何かをひらめいたように、その鉢植えを手に取った。だが、鉢植えの底に汚い紙が一枚貼り付けられていただけだった。その紙には「ひっかかったわね、このどろぼう!」と罵倒の言葉が張ってあった。そのこは、字が理解できないのか、首をかしげた様子ですぐに鉢植えを元の場所にもどして、さらに付近を探した。が、そう甘くはないのが現実。鍵がありそうな場所はどこにもなかった。飽きてしまったのか、疲れたか、少しいじけた様子で、体をゆすり、とびらの取っ手口を指でいじくった。そうすると、かたりと何かが音を立てた。女の子も、それに気づいたようで少し扉を引くと、何の抵抗なしに開いてしまった。


446 : ○○ :2016/10/03(月) 11:19:21 9tJJOq9o
連投すまん

幕間の先は、光に満ちていた。高いところに窓がいくつもあり、光がそこからとめどなく溢れ、流れ込んでいた。部屋には、大人の腰ぐらいの高さの台が左右対称に二つ置かれ、その間には白で革張りの大きい腰掛が置かれていた。その腰掛には、二人の老いた男と女が二人座っていた。お互い、西洋式の白い服を着て、黒い袴も西洋の物を着ていた。その二人は、眠っているようで目を閉じ、お互いの手をにぎりしめていた。女のほうは、男の肩に頭をもたれ掛け、幸せそうな顔をしていた。男のほうも、女に寄りかかって、つないでいる手に、もう一つの自分の手を重ねていた。その二人を、窓から降る光が優しく照らし、一種の完成された光景を作り出していた。彼女はその光景に見惚れてしまっていたが、眼前の光景は俺に強烈な異物感を与えた。嫌いなものを食べさせられているでもなし、誰かに罵倒されたわけでもない、自分の中に空洞があるような、あってはならないものがそこにぽんと置かれているという強烈な違和感が沸いてくるんだ。彼女は眠っている二人に近づいた。そして、その二人の前まで来ると、台の上に何が置いてあるかがわかった。左手の台には黄色い液体が入った小瓶と刷毛。それと、小さな虫眼鏡が一つ。一方の台には、多くの年季の入った小道具がきれいに整頓されて並べ立てられていた。鉄製で、先のほうに黒い斑点のある重たそうな鋏、三本、大中小になべられた剃刀は、刃は新品同然のように輝いていたが、木で出来た柄は長年使用されたものでしかでてこない艶があった。


447 : ○○ :2016/10/03(月) 11:20:27 9tJJOq9o
細身で六角のかなづちは、使われたばかりなのか白い粉が少し磨耗した面についていた。そして、他にも白い杭や、小さな刷毛などがあった。そして、漆塗りの重箱がひとつ。がその中で、一つ気になるものがあった。鑷子(せっし)だ、小さくて、細かいものを並べるときに使うやつなんだけどな、精密な作りでな、こんな見事なつくりは父ちゃんでしか作れないぐらいの一品だった。その先端に何かついてたんだ。そいつは、薄透明で、せみの羽のように薄くひび割れた模様がその表面を走っていたんだよ。その子はその鑷子を手にとろうとすると、ひらりとそれはくるると回って地面に落ちた。すこし、部屋の光が弱まる気がして、その異物感も薄まった気がした。落ちたそれは、地面に落ちるやいなや、あまりの薄さのためにか地面に溶け込むようにどこへ行ったのかわからなくなった。そして、次に女の子の関心を引いたのが、漆の重箱だ。一段、箱を開けると、化粧品が並びたてられていた。二つ置かれた円形の箱には白粉が、白く細かい粉ときらめく銀の輝きがあった。筆先の短い眉筆と少しくどい色をした紅が入った容器は黒く八角の形をしていた。彼女はその紅色を指で掬って、一度眺めた後に唇に少しだけ塗りつけた。彼女は少し、笑った。そして、その二人の老人に目を向けた。彼女は彼らに

―ねえ、

生来のものか、少しおびえた調子で声をかけた。暖かい日に照らされてよく眠っているのか、彼らは何の身じろぎすらしなかった。もう一度、声をかけても反応はない。


448 : ○○ :2016/10/03(月) 11:31:05 .1Ctaguc
―おきて

少し、声を大きくした。声を張ることが少ないためか、ひきつりがあった。二人は、目を閉じ続けて、やはり何の反応さえも見せなかった。またも、その異物が大きく濃く、ふくらみが増していった。今度は、あの子もそれに気づいたか、ひっと悲鳴を上げた。だが、目の前にあるものが、何であるのか。それを理解しようとするには幼すぎた。何故自分が悲鳴を上げたのかさえ、理解できなかったようで、あえぐように声をだしていた。そこから早く逃げ出せばいいものを、枷をかけられたかのように、その二人を起こすことに執着した。どんなに、声をかけてても、一つの身じろぎすらしない二人に、痺れを切らしたのか。自分の手を、ぐいぐい服で拭ったかとすれば、近づいて、老婆の手に重ねて、ちょっとゆすった。


449 : ○○ :2016/10/03(月) 11:32:10 .1Ctaguc
直後、重ねた手が、ぬるっと滑った。視線を手元に移せば、老婆の手の甲の、紙よりも薄い皮膚はぐしゃりと剥がれ、その下から覗いたものは、白い無機質な石膏。皮膚にわずかについた油が、肉の石膏を走っていた。三秒。この子が、これが何なのかを理解した時間。ぺたりと腰を抜かした。四秒。この場から逃げ出そうとするのにかかった時間。仕切りをかいくぐり、地べたをすったまま、積み上げられた荷物を押しのけ、光の差す入り口まで逃げようとした。だが、その光を何かがさえぎった。アリスだ。足元には、果物が零れでた手さげ袋が落ちていた。女の子は、先ほどの人形を作った人間が目の前にいることに、恐怖して尻餅をついて後ずさった。アリスは、親の物を壊してしまった子供のような顔をしていた。そして、届きもしない距離なのに手をこちらに思い切り伸ばして、こちらに近づいてきた。いやいやと顔を振り、彼女に向かって

―あれは、違うのよ

―友達なの

―頼まれたのよ

―綺麗だったでしょ?

―だから

震えた声で、アリスは弁解を求めてこちらに寄ってきた。女の子はアリスが何を言っているのか理解できずに、許してとか助けてと繰り返しながら後ずさるばかりだ。アリスは

―お願いだから、

と自分の四分の一の年齢にも満たない子供に懇願し、あえぐように口をゆがめ、潤んだ瞳は瞬きをすると溢れるように一本の線が頬を伝っていった。女の子は壁に背がぶつかると、手元にあった紙とか箱に詰められた反物などをアリスに向かって投げつけた、そして、手をせわしなく動かしていると何かをつかんだ。すぐそこまで来ると、アリスは跪いて、女の子の頬におそるおそる手で触れて

―ほら、なんとも怖くない

ひきつった笑顔を向けた。その瞬間、ごつりと鈍い音がした。ぐらりと一度アリスの体が揺れて、そのままゆっくりと倒れ付した。さらさらとした金色の髪は、じわりと血が滲み赤く染まっていった。女の子の手には、赤銅色の錆びた金槌が血管が浮き出るほどに握り締められていた。


450 : ○○ :2016/10/03(月) 14:51:57 nT4ZL2Nc
>>449
待ってました!
人形を作ってたのかしらん、それとも何か別の物なのかしらん

アリスはなんか口下手なせいで、却って状況を悪くしているような


451 : ○○ :2016/10/03(月) 18:10:53 .1Ctaguc
>>450 自分の作品を色々考察してくれるのはめちゃめちゃ嬉しいです。一応伏線も結構散りばめてあるので全部分かるとまた違った面白さがあるのではないかと。


452 : ○○ :2016/10/03(月) 18:11:38 .1Ctaguc
森の中にいた。葉がぎっしりと詰まった木は、月の光さえも養分にしようとする勢いで、
さあ天へ、いざ天へと高く伸びていた。おかげで、葉の下は真っ暗。気まぐれのように開いた隙間からわずかな光が気まずそうに差し込んでいた。それに照らされた小さな池がひとつ。透き通った水面には、こんな寒い時期なのにアメンボがすいすいと泳ぎ、円形の漣を残していった。彼女はそのそばで丸くなって座っていた。小さく鼻をすすり、先ほどまでは無かった膝の擦り傷や腕の痣などを気にしていた。不意に聞こえる鈴虫の音や、姿の見えない生き物が踏み折る木の枝の音は、彼女の神経を張り詰めさせた。彼女はけだるげに、水面を走るアメンボをながめていると、ふいに懐に手を入れた。取り出したのは、小さな箱だった。簡素な装飾が施されており、右端にはアリスと不細工に彫られていた。箱を開ければ、長い針が一本と質のいい布地が一枚入っていた。針の先は、研ぎ忘れたのか、よく尖っていなかった。彼女はしばらく眺めると、ふたを閉じて、池に浮かべた。小さな箱は意思をもったように直進していった。そして中心の辺りまで来ると、くるりと一度回って沈んでいった。池の底まで、落ちていくのを見終わると、ゆっくりと立ち上がろうとした。
顔を上げた正面に、足が見えた。つまさきをいじらしく曲げて、足首を伸ばすと、かぽんと間抜けな音がした。視点を上げようとすると、布がばさりと被さられた。小さな手のようなものに肩を握られると、壁にたたきつけられた。

―アリスは、許した。でも、私は


453 : ○○ :2016/10/03(月) 18:12:30 .1Ctaguc
体の内側から何かが突き破られる音がした。視界が充血し、何かが喉からこみ上げてきた。体勢が崩れ、顔に硬いものがぶつかった。その瞬間に、あの感覚が体の中を走った。鈍い痺れが体を這い、その後から伝うべったりとした熱。だが、それはひどく困惑していて、激怒していた。足の関節に、芯が通ったような感覚を覚えると、体が動いた。血がじゅわと傷口から流れてくるのがわかると、流れ出た血液がまた体の中に戻ってきた感覚がした。
喉から出そうだった熱いものも、赤く染まった視界も熱が冷めるように引いていった。被せられた布をそっと剥がして、辺りを見回したが、暗い木々が広がるばかりで、何もいなかった。視線を下げると、下に人形が転がっていた。足は外れて少し離れたところに落ちていた。高そうな服は泥で汚れ、片足になった白靴は未だに左に右にふれていた。

夢はここで必ず終わる。これが何かの暗示かなにか、ただの夢にしては少し生臭すぎて劇的だ。


454 : ○○ :2016/10/03(月) 18:13:26 .1Ctaguc
おまえ、こういう話しってるか? ―何を? 
―い飴をくれる女の話さ
だいぶ前のこんな季節の変わり目だ。その時も雪女がこういう風に寝癖の悪さで暴れまわっていたそうだ。ある宿屋に養子で見受けされた女の子がいてな、大切にそれはもう可愛がられたそうなんだ。だが、ある時この町に一人の女が現れた。汚い身なりで、体もやせぽっち。でも、恐ろしほどに美しい女だったそうだ。そこで、宿屋の主人が其の女の世話をしたらしいんだ。段々と女は回復していき、そのお礼として女の子の教師となった。二人は打ち解け、親友同然、姉妹のようにお互いを愛しんだ。だが、ある時女が一度家に、帰ると言い出した。女の子はひどく悲しんで女を引き留めた。ぐずる女の子に女は赤い飴を渡した。女は彼女にこう言った。一人で食べてね。彼女は約束を守って、夜中に布団の中で丸待って食べた。そうすると、夢の中で女が現れた。こっちへおいで。こっちへおいでと深い森の中から彼女を誘うんだ。そして彼女はそれに誘い込まれた。森の奥には、一件の家がひとつぽつんと立っていてな、そこでは色んな果物やお菓子がずらりと並んでいるわけだよ。そこで二人は楽しい楽しい時間を過ごした。でも、夢が覚めてしまえばそこで終わり。女の子は女に会うために、その飴を食べ、いつしか毎日のように夢で女と会うようになった。ところがだ、女の子の体は次第に痩せ細っていき、変なことを口走るようになった。周りの人間は彼女を心配したが、ひどくそれに抵抗し、彼らを押しのけた。そんな状態が数週間続いたときに、彼女は何も持たずにそのまま失踪してしまった、めでたし、めでたしという話さ。

父ちゃんの話に出てきた、行き倒れの女というのは、アリスに間違いなかったが、もう一人の女の子は、夢に出てきたことは印象がかなり違った。身なりの点においは、夢の中の女の子はあまりに粗末で使い古された、麻の着物を着ていた。少なくとも、愛娘にそのようなものを着せる親がいるのか。さらには、女の子は狂ってはいなかった。ひどい身なりでやせこけてはいたものの、あの家に入るまでは元気はつらつとはいかなくとも、普通ではあった。お前もだろうが、幼かった俺には話がこんがらがって何が本当で何が間違っているのかさえわからなかった。

正月が明けて、寺子屋の授業が始まった。どんな先生だったか、正直あまり覚えてはいないんだが、変な訛りがある男で結構教育熱心な人だったと思う。その人に、その女の話を聞いてみたんだ。どうなんだーってな。でも、先生も、聞いた事はあるけどよくは知らなかったらしい。


455 : ○○ :2016/10/03(月) 18:14:39 .1Ctaguc
―隣町の同僚で、結構年食った妖怪の相の子がおるから、聞いてみるわ
と意外に親身になって、俺の話を聞いてくれた。

そんで、数日してから頭に角の生えたでかい女が、俺の家にやってきた。慧ねという名前で、五十年前まではこの町に住んでいたそうだ。彼女は、俺の顔を見て、少し眉をひそめて、赤い飴の女をどう思う、怖いのかと聞いた。よく分からないといったら、げらげらと笑って、うんうんと頷いて、

―これはもうしかたなし

と言いそのまま帰ろうとした。俺は慌てて彼女を引き止めた。何背、聞きたいことがまだ聞けてなかったからな。そうすると、彼女は振り返って俺にこういった。

―分からないんだろ、でも怖くはない。じゃあ、確かめにいってくればいいんじゃないか。

そのまま、手をぶらりと上げて、ひらひらさせながらかえっていった。俺は考えたよ。そりゃ、もう。確かめに行けばいいっていわれても、アリスがいるところがどこなのかさえ分からないっていうのにだ。
鍛冶場はやはり、こういう時に落ち着く。打ち付けられる金属音と、噴き籠る火の轟き、泡立つ水の音、これらの騒々しくて規則ただしい世界にいると、一つ音が鳴るたびに胸のわだかまりが剥がれ落ちていく気がした。とうちゃんは近くにいると臭くて堪らないが、仕事をしているときは格好いいんだ。いつも、あんな感じにしゃっきりしてくれてるといいんだが。何作ってんだろと、少し手元をのぞくとまだ、熱で変色している鉄をぐいっと引き伸ばして、細くもっと細くと一本の線香よりも華奢な棒を作ると、へらを取り出して、ちんちんと等分に切っていった。さらに、それを引き伸ばして一本の細長いものが出来上がった。
針だ。


456 : ○○ :2016/10/03(月) 19:55:35 bv14N/Zg
>>445抜け落ちてた部分。スマホで投稿すると、めんどくさいな。
開いた先は、物置のようだった。幅はそこまでだが、奥行きはかなりありそうで、多くの箱と小さな子供用の服、他には人の姿をかたどった石膏なんかも置いてあった。明かりはなく、扉から入る光が部屋の中を照らしていた。箱には、色とりどりの布地や、反物が入っていた。他にも、綿とか、絹の糸が巻かれた棒も何かもあったな。最初、彼女は少しその部屋の暗さとか、置かれている石膏なんかにひるんでいたものの、慣れてくればまるで探検しているみたいな足取りで部屋のあちこちを歩き始めた。ひとつひとつ、箱を開けたり、よくできた石膏とにらめっこをしたりしてな。家の主人はまだ帰ってくる様子はなく、そのことがますます彼女を調子付かせたんだろう。どんどんと、部屋の奥へ進んでいった。資材の山を通り抜けていくと、黒い絹地の幕が部屋を仕切っていた。この瞬間に俺は、この奥へは行ってはいけない気持ちの悪いものを感じた。べっとりとして、濁った嫌な空気が幕間から流れてきていたんだ。女の子はそれに気づく様子も見せずにその幕を興味ぶかそうにみつめ、幕間に手をかけた。彼女は顔だけを滑り込ませて、中を覗いた。


457 : ○○ :2016/10/04(火) 11:03:11 CPgZ8ymk
>>456
慧音が匙を放りなげるとは
いよいよ○○は破滅へ行くのか

次より投下します


458 : ○○ :2016/10/04(火) 11:05:37 CPgZ8ymk
 羅生門にて

 ある日、そう何でもない普通の日のことだったのだが、その日もいつも
の様に○○は人里の外の畑に出かけたのであるが、秋の長雨が終わった日
々には相応しくなく、帰り道に大雨に見舞われてしまっていた。辺りはや
や薄暗く成りつつあるも、こう雨に降られては敵うまい。○○は暫くの雨
宿りの積りで人里の外と内を隔てる門に入った。

 薄暗い建物の中は何だか不気味に思えた。電灯が点いていない幻想郷特
有の雰囲気や、雨がシトシトと降り注ぐ音だけでは無く-後で○○は分か
るのであるが-薄らと入り口に漂う臭いが○○の感覚や或いは本能に訴え
ていたのかも知れない。
 ○○は一先ず入り口で半時ばかり雨を凌ぐ積りであったのであるが、門
の奥より僅かな音、それも生き物が活動する時に立てる様な不規則な音が
聞こえてきた。そういえば最近近所の子供が、門の近くで妖怪を見つけた
と盛んに喋っていたことを思い出し、○○は背筋がブルリと背中に氷を押
しつけられたみたいにゾクリとした寒気を感じた。


459 : ○○ :2016/10/04(火) 11:06:24 CPgZ8ymk
 ○○は唯の一般人であり赤白や白黒の様な力は使えない唯の人である
ので、いくら低級とは言っても妖怪なんぞに襲いかかられては一溜まりも
ない。しかし雨は依然として降り続いており、しかも少し強くなってきた
様である。このまま雨に濡れて帰り色男ならぬ風邪男と成るのは避けた
いものであったので、○○は思い切って門の中を覗いて見ることにした。
雨宿りの最中に背中からガブリとやられるよりは、真っ正面から襲われた
方がまだマシという理屈である。

 門の階段を上り薄暗い二階に上がる。臭いが何やら強くなってくるのを
感じながら夕闇の中に眼を凝らすと、そこには人の姿があった。
 人ひとヒト-元ヒト。そこに有ったのは人間の死体であった。恐らくは
葬式をあげる金すら無かったのであろう、襤褸切れを着た人間の死体が無
造作に放り捨てられていた。表に見える長閑な人里の綺麗な風景の裏にあ
る、闇の様な物を見た○○は思わず仰け反ってしまったが、視界の端でガ
サリと動く物を見つけた。
 其方に眼をやると死体と同じ様な継ぎ接ぎだらけの布を身につけた、少
女が蹲っているのが目に入った。○○は手に鍬を取り構えながら、怪しい
少女に声を掛ける。


460 : ○○ :2016/10/04(火) 11:07:16 CPgZ8ymk
「おい、お前さん、こんな所で何しているんだ。」
『い、いえ、別に…。』
あくまでも言葉を濁そうとする少女に、○○は鍬の刃先を突きつけて脅す
ように質問をする。
「唯の子供がこんな所で何もしない訳無いだろ。さてはお前、妖怪か。」
流石に首元に刃を突きつけられては降参なのだろう、少女は○○に答えを
返す。
『此処には皆死体を捨てて行くんだよ。だから、その死体からお零れを
頂いていたって訳さ。』
「葬式を出す金も無いのに、金目の物なんてあるのか……あっ。」

 ある事を思い出した○○は、少女が後ろ手にしている右手を引っ張り出
そうとする。少女の方でもさせじと頑強に抵抗するが、大人の男と少女の
力では勝負は直ぐについてしまう。拒む少女の背中より引きずり出した右
手の握り拳が其程大きくない事に気づいた○○は、少女の背中に無遠慮に
手を廻す。無い、ならばとばかりに懐に手を突っ込む。羞恥心から暴れる
少女を押さえつけ、○○は懐より財布を取り出した。目の前の少女に似合
わない程の豪華な財布は、外見に似合った金銭を中に貯め込んでいるよう
であった。
「六文銭で大分稼いでいる様だな。」
『悪いかよ。生きる為にしているんだよ。』
-六文銭が無くっても、私のお経で無事に送り届いているさ-と言い訳を
する少女と自分の手元にある財布を見比べていると、不意に○○の心に正
体不明の感情が湧き上がってきた。


461 : ○○ :2016/10/04(火) 11:08:34 CPgZ8ymk
「なあ、お前。」
『何だよ、早く返しておくれよ。』
恥ずかしさを隠すように手を伸ばす少女に、○○は財布では無く拳を返した。
「悪いな、俺も生きる為にこうするよ。」
 そして門の階段を降りて夜の闇に消えようとした○○の背後から、鮮やか
な尻尾が四肢に絡みつく。暴れる○○を物ともせずに二階に引き戻した少女
は、襤褸ではなく黒いワンピースを身に纏っていた。
『悪いね。私も妖怪として生きる為に、アンタを浚わせて貰うよ。』
「化け物め。巫女に退治されてしまえ。」
全身を絡めとられながら悪態をつく○○に、少女は答える。
『残念、他人の物を取ろうとした悪い○○は、逆に取られても仕方ないよね。』
「…。」
『大丈夫、食べたりはしないから。ただ、人間じゃなくなっちゃうけど。
ウフフ。良いよね。』
「そんなの巫女が許さないぞ!あの妖怪の様に頭を割られて死んじまえ!」
『そんな巫女に頼っても残ねーん! ○○は命蓮寺で敬虔な信者に生まれ変
わるのでーす!! ウヒャヒャ!ヒャハハッ!!』

以上になります。


462 : ○○ :2016/10/05(水) 20:25:53 HSEwYYoI
>>461
ぬえちゃんの尻尾に抱きすくめられたい。

聖「そちらの方はどなたですか?」
ぬえ「同棲相手だよ。」
聖「!?」


463 : ○○ :2016/10/05(水) 21:12:00 NGiicPUM
>>461
元ネタ的に身ぐるみ剥がれるのかと思ったら逆にからまれたでござる
あと最後のあたりが鈴奈庵のぬえちゃんっぽくてすごくkawaii…


>>187の朝定食の味付けを変えて夜定食を作りました。食べ比べも面白いかも?
◆Dreamy Sweet Night sideドレミ―

『 孤独 』とはソレを悪くとらえなければ別段害のないものである。

夢の支配者であるこの私、ドレミ―・スイートもかつては孤独感などというものを感じたことはなかったし、誰のともつかない夢の中をひとりさまよう事も、私にとってはただ当たり前のことでしかなかった。
いや、‘はじめからそうであった’からこそ、孤独というものを何とも感じなかったのだ。
しかし、いつもでもそうとはいかなかった。

事の始まりは‘あの騒動’までさかのぼる――

元々、外部からの侵略者によって月の平穏は定期的に脅かされていたのだが、
そのたびに月の為政者によって水際で防がれていた。
それ故に月に住む者たちの殆どが襲撃に気付きすらせず、毎日変わらないルーチンで生活をしていた。
しかし、そのときばかりはいつもとは違った。侵略者が月面を穢れ、すなわち生命力溢れる妖精たちで満たしたのだ。それも元から月に居た只の妖精が増えただけでなく、特に穢れを極めた者が大量の妖精達を扇動していた。
これには月の為政者もなすすべがなく、知り合い――稀神サグメを通して私に声がかかったのだ。
有効な策が‘現れる’まで都を全面凍結することで外からの脅威を遮断し、その間は月の住人を夢の中の仮初の都に避難させておくというものであり、しかもほんの数名を除いて極秘裏に行わなければならなかった。
中々狂気じみた話だが、逆をいえばそれ以外に手段がなかったということなのだろう。
昔の好とはいえ、協力した私も大概ではあるのだが。

そんなわけで奇妙な‘ふたりぼっち’の生活が始まることとなった。

彼女――稀神サグメはその能力のこともあり普段から口数が少ないのだが、なにも考慮する必要のない‘夢の中’では普段の抑圧もあってか饒舌になるのであった。

『――というわけのなの。結局私一人がこの騒動のかじ取りと終息までの指揮をとらないといけないの。まったくもってストレスフルな生活だわ。あぁ、兎たちは今この瞬間も仮初の都で普段通り暮らしているのでしょうね。私を差し置いて、なにも疑わず呑気なものだわ。
……ちょっと、ねぇ、ドレミ―?聞いているの?』
「はいはい、きいていますよ、サグメ様」

『ここでは敬語も敬称もいらないって言ったでしょう?』
「あぁ、そう言えばそんなことも言っていたような、いないような」

『いいえ、言ったわ。昨日の晩にも。そこだけははっきりとおぼえているもの』
「ウフフ…それは失礼。でも貴女にちゃんとした言葉遣いをしていないと、これが終息したときに‘うっかり’してしまうかもしれないわ?」

『私は一向に構わないのだけれど…あぁ、もうこんな時間。貴女と話していると時間の経過が早く感じるわね。起きれば退屈ながらも平穏とは程遠い現実へと戻らなければいけない』
「事態を見守る大事な仕事でしょう?」

『そうではない。一人で誰一人居ない凍り付いた都を眺めるだけの仕事ね』
「ではそのことについて、次の夢でお話しましょう。さぁ、横になって?今はゆっくりとお休みなさい」

「あなたの槐安は今作られる」


夢の中で彼女と談笑し、時間が来れば休ませる。
毎晩、このようなやり取りを繰り返すのだ。こんな単純なことでも私は楽しかったし、誰ともつかぬ夢をかわるがわる見張るよりは彼女と話している方が気分がいい。

私はもしかすると、凍り付いた都にただ一人残された彼女の姿と、夢の中を一人さまよう私の姿を重ねるようになっていたのかもしれない。

そうこうしているうちに、半年間が経過した。してしまった。


464 : ○○ :2016/10/05(水) 21:13:41 NGiicPUM
>>463

――――
――

『――というわけのなの。ええ、ようやく、ようやく解放されるんだわ』
「それはよかったわね」

『ええ、ほんとに。あぁ、ありがとね、ドレミ―。半年間おつかれさま』
「ウフフ…どういたしまして。でも半分趣味みたいなものだから」

『それは羨ましいわね。私なんてこれから兎に起こされ兎に囲まれる生活が再開するだけなのだから』
「…そう。ンフフ…騒がしくてよさそうね」


澄み渡った水面に波を起こすのに難しいことは必要ない。
ただそこに、一つの小石を投げ込めばよいだけなのだ。
そう、それはとても単純な事


サグメには迎える者がいた
私には迎えるものがいなかった


たった、それだけのことである。
それだけのことなのに、あぁ、私は初めて「 孤独 」を意識してしまった。

まとわりつくソレを意識から振り払おうとすればするほど、体に絡みついて離れなくなる。
雪だるま式に大きくなり、穏やかにこころを蝕む。
膨らみ続けるソレが限界に達したとき、私はついに行動を起こした。


夢の中では何にでもなれる。ソレに気が付いたものが、決して悪用しないように、そのために私は夢を監視しているのだ。
故に他人の夢に入り込んだり、あるいは外側から誘導したりといったことは珍しいことでもない。
当然、私がその立場を使わないわけがなかった。
ただ夢に入るだけでなく、接触をする。
適当に選んだ夢の中、私が立っている場所は小さな丘の上、一本の大きな木の下。
たまたまそこにいた一人の人間に話しかけることにした。ソレが○○さんだった。


「こんにちは、人間さん」
『こんにちは、ええと…妖精さん?』

「ンフフ…残念ながら少し違います。でも大体合っている…かもしれません」
「あぁ、失礼。私はドレミ―・スイートというものです」
『ドレミ―さん、ですね。私は○○といいます』
「○○さん、良い名前ですね。ええ、とっても」

自己紹介から始まった他愛もない会話だが、私の孤独感を癒すには十分すぎるほどである。
それから私は○○さんの夢を頻繁に訪れた。そして始まりは決まってこの木の下だった。


465 : ○○ :2016/10/05(水) 21:15:20 NGiicPUM
>>464

――――

「こんにちは、人間さん」
『こんにちは、ええと…妖精さん?』

「ンフフ…残念ながら少し違います。でも大体合っている…かもしれません」
「あぁ、失礼。私はドレミ―・スイートというものです」
『ドレミ―さん、ですね。私は○○といいます』
「○○さん、良い名前ですね。ええ、とっても」

夢、とは現を生きる者の妄想などではなく、現を生きる者が寝ている間だけ存在できる現実の世界である。
しかし、生きるべき世界が現であることにはなんの変わりもない。したがって元々知り合い、
あるいは余程強い想いがない限り、仮初の現実――すなわち夢の記憶を鮮明に保存することは叶わない。
夢でみた冒険は、覚めれば忘却の彼方へと置き去られてしまう。

でもそれは現を生きてゆく者のためのシステムなのだ
決して、『夢に現をぬかさない』ように、そのために。

だから毎度結末は違えど、始まりは必ず同じ。
この木の下から始まる。いつも初対面から始まる。
初めのころはそれでも癒された。けれども○○さんを知るにつれて、だんだん物足りなさを感じるようになっていった。

私はあなたのことを覚えているのに、あなたは私のことを忘れてしまう。

孤独がわずかに癒されてもこの矛盾が消えない限り、私の心の安寧は訪れないだろう。
そのためにはあの人の記憶に強く残らなければいけない。

だから○○さんには悪夢を見せた。そう、何度も。
そして悪夢にもがくあなたを救い出すのはこの私、夢の支配者ドレミ―・スイート。
あぁ、なんて卑しいのでしょう。でも救いを求めるあなたがとても愛おしい。

あなたからすれば何の前触れもなく、突然のことだったでしょう。
数週間立て続けに、しかも妙に生々しくて現実と夢の区別がつかないほどの悪夢をみるのだ。

夢の中では‘夢’だと気付けない。いや、気付かせない。

そんな事を続けたある日のこと――

――――
――

夜空みたいに深く青い私の髪。
サンタクロースのように真っ赤なナイトキャップ
白と黒の玉がついている、白と黒の服。
手には本と夢魂。○○さんにはどう映るのだろうか。
妖精?悪魔?それとも獏?
あぁ、そんなことより‘今日も’挨拶しなくては

「こんばんは、○○さん」
『あなたは誰?ここは?どうして私の名前を知っているのですか?』

こんなやり取りを何回繰り返したのだろう。私が‘いつも通り’の挨拶をすると、
○○さんもまた‘いつも通り’の返答をしてくれた
○○さんは私を知らない。でも私はあなたを知っている。

「ああ、随分とせっかちなのですね。夢の中だというのに」
『夢…ですか?』
「そうですとも。ここは夢の中ですよ。…今日は怖い夢、見なかったみたいですね」
『ええ、そうみたいで……えっ…?』


466 : ○○ :2016/10/05(水) 21:16:39 NGiicPUM
>>465

なぜ知っているのだろう、という顔だ。ああ、きっとこう思っているに違いない
‘初対面なのになぜ’‘誰にも話していないのになぜ’ってね。

「フフフ…困惑していらっしゃるみたいで」
「私はドレミー・スイート。夢の番人、とでも言いましょうかね…あぁどうなんでしょう…フフ」

私はあなたの夢にずっといたのだから、あなたのことはよく知っている。
そして悪夢を見せているのは私なのだから、当然それも知っている。

『それなら私が怖い夢を見ないように何かしてくださいよ』

目の前にいるのが夢の番人と知れば、当然そうも言いたくなるだろう。
悪夢を払拭すべく、懇願するような視線が私に向けられる。

「そうしてあげたいところは山々なのですが、そういうわけにもいきません」
『どうしてですか?』
「色々あるのです。あなたには説明できない事情が、ね」

そう、とてもではないけどこんなあさましい理由を言うわけにはいかない。
でも○○さんは私の言葉を聞いて非常に落ち込んでしまった。
ああ、どうしよう。やっぱりもっと慎重に答えるべきだったのだろうか。
それともうそをついてごまかした方がよかったのだろうか。あぁ、どうしよう…

私がどうしたものかとおろおろしながら顔を上げると、○○さんはくすくすと笑っていた。
絶望して壊れてしまったのだろうか?ああ、それは困る。

「あの…○○さん?大丈夫ですか?」
『あっ…いえ、すみません。‘まともな夢’を見たのは久々なのでつい…』

ああ…なるほど。そういうことだったのか。
いけない、いけない。つい早とちりをしてしまった。次はもっと冷静に見極めないと。
自分の行動を反省しながら○○さんに告げる。

「…フフ、そうでしたか。楽しんで頂けたのなら幸いです」
「ですが、時間です」

ぱちんと指を鳴らすと、ゆっくりと○○さんの姿が溶け始める。

「明けない夜はありません、少なくとも今は。ですから今回はこのままお別れです」

そう、少なくとも今はね。

「ではまた…ンフフ…次もよい夢を」

あぁ、次はどんなゆめをみせてあげよう。


467 : ○○ :2016/10/05(水) 21:18:32 NGiicPUM
>>466

―――――

見せる夢は決まっている。悪夢だ。
いきなり強烈なものを見せたらショックで死ぬか廃人になってしまう。
だから毎日少しずつ、ゆっくり、ゆっくりと恐怖の度合いを上げていくのだ。

頻度も増やす。夜でも、昼寝でも、たった数分の転寝でさえも。
ええ、寝ている時間は貴重だもの。

でも普通の人間ならば、そんな悪夢が続くことに到底耐えられないだろう。
やがては眠ることが恐ろしくなり、徐々に睡眠に費やす時間が減っていく。
だが人間は眠らなければ生きてはゆけない。
ゆっくりと腐り落ちるように疲弊してゆき、ついには屍人とそう大差ないほどやつれてしまう。

量は正確に。タイミングを誤ってはいけない。お薬と同じなのだ。
だが今日に限っては少し様子が異なる。
私は確かに悪夢を見せたはずだが、いざ夢の中に入ってみればどうだろう。
枝葉の間からは暖かい木漏れ日が降り注ぎ、時折小鳥のさえずりが聞こえてくるではないか。
ああ、なんてここちよいのだろう。こんなのは悪夢ではない。

恐怖などとは無縁の空間。いったいどうしたというのか。

どうしたもこうしたもあるものか。外的要因がなければこんなことにはなっていない。

○○さんはといえば動物たちに気を取られている。

と、こんなところで考え込んでいても仕方ない。
原因は本人から聞くとして、早急に対応せねば。

そうだ、動物だ。○○さんはいま愛くるしい動物に注意が向いている。
そこを‘鍵穴’にしよう。
私は服についている白と黒の玉を外すと、宙へ放り投げた。

[ぺぽぺぽ ぺぽぺぽ]
[ぺぽぺぽ ぽぺぺぽ]

ソレは白と黒の鳥となり、奇妙な鳴き声を発しながら森の中へと溶けていった。

ああ鳥たちよ、愛しいあの人を悪夢へと導け。

―――――
――


しばらくすると、それまでの安らぎなどまるで無かったかのように強烈な叫び声が聞こえてきた。
ああ、よかった。○○さんはちゃんと悪夢をみてくれている。
さぁ、私の出番だ。今回も○○さんを悪夢から救うのだ。

『いやだ!いやだ!助けて!助けて!』

声が聞こえる。愛しい人が助けを求める声が。
私はそれに応える。

「はい」

指をぱちん、と鳴らすと世界が白く溶け始めた。

ゆきましょうか、‘いつもの場所’へ――


468 : ○○ :2016/10/05(水) 21:19:59 NGiicPUM
>>467

視界が切り替わると、そこはいつもの場所。
小さな丘の上、大きな木の木陰に○○さんは横たわっていた。

「あぁ、こんなにやつれてしまって…かわいそうに」

誰でもなく私のせいなのだが。
○○さんの頭を自分の膝の上に乗せ、ゆっくりと撫でる。
ほんの少しの罪悪感と今こうしている喜びをかみしめながら。
しばらくすると、○○さんが目を覚ました。

「随分と魘されていましたね」
『あ…ぁ…』


聞き覚えのある声は随分とやつれてしまっている。
でもいまからいっぱい癒してあげますからね。あぁ、その前に初対面の挨拶をしなければ。

「安心してください。こわいゆめは私が処理しました。あなたは槐安は守られたのです」

今から自分の名を告げようとした、まさにその時だった。

『ドレミーさん…』
「――」

突然自分の名を呼ばれた。誰に?○○さんに?ドレミ―って?私の名前?
完全に思考が停止し、固まってしまった。覚えていてくれた。
私の名前をついに○○さんの記憶に残したのだ。
一瞬の遅れを伴ってようやく言葉を紡ぐ。

「……覚えて頂けていたのですね。うれしい限りです」

あぁ、いけない、いけない。顔が緩んでしまう。だらしない顔がみられてしまう。
ああ、でも内側から湧き上がってくる感情を抑えられない。


何か変なことを口走ってしまう前に、気になっていたことを聞くことにした。

「そう言えば、○○さん。あなたは今催眠療法のようなものを受けていたりしませんか?」
『いえ…そんなことはありませんが…』
「そうですか…ふむ…」

となると、原因はなんだろうか。自然に発生した夢ではないことだけは確かだ。
明らかに外力を受けている。するとそれは一体――

『あの…なにか…』

考え事は○○さんの声によって遮断されてしまった。
だがやはり、本人の口からきいた方が早いだろう。

「…あっ、いえ。実はあなたがさっきまで見ていた悪夢についてです」

どうやら○○さんはさっきまでの夢を反芻し始めたようだった。
いけない、今は安らぎの時間なのだ。私といるこの瞬間に恐怖はいらない。


469 : ○○ :2016/10/05(水) 21:23:27 NGiicPUM
>>468

「ああ、思い出さなくて結構です。大部分は処理しましたが、残滓を無理に思い出そうとすると記憶に定着してしまいますよ?」
「そうなれば今度は現世でも‘見えて’しまいます」

この言葉が効いたのか、○○さんは考えるのをやめたようだった。
それを見計らって話を切り出す。

「で、その悪夢なのですが、強制的に誘導されたような夢だったんです。特に、楽しいと感じる方向へ…ええ。なにか心当たりは?」
『それは…』

○○さんはしばらく考え込んだが、やがて口を開いた。

‘胡蝶夢丸’
‘見たい夢をみる薬’

他にも薬売りがどうとか言っていたが、それだけ聞けば十分だった。

「…なるほど、それのせいか…」

そんな薬があったとは。さしずめ‘あの人’が作った薬だろう。
その知識と技術に対し素直に感心したところで○○さんに告げた。

「わかりました。では○○さん、その丸薬を飲むのはこれっきりにしてください」
『そんな…!そうしたらまた悪夢が!』

胡蝶夢丸は一縷の望み、とでも言いたげな顔をしている。
それもそうだろう。連日の悪夢を断ち切る唯一無二の手段なのだ。○○さんにとっては。

『もうあの恐怖はいやなんです…怖い…いやだ…あの薬だけが頼りなんです…』

弱々しい声でそう言いながら、○○さんはとうとう泣き出してしまった。
ああ、かわいそうな○○さん。わたしのせいでこんなふうになってしまった。

でも安心してくださいね。苦しめた分、いや、それ以上に安らぎを与えてあげますからね。

「大丈夫ですよ、○○さん。わたしがいますから」
「こわいものは、ぜんぶ私が除いてあげますから」
「だから、お薬なんてやめてしまいましょう」
「大丈夫、ずうっとわたしが見守ってあげますから、ね?」

ああ、愛しいひと。私の胸の中で泣いてくださいね。私が受け止めてあげますからね。

私は○○さんが泣き止むまでずっと抱きしめていた。
溢れる思いが顔に出そうになるのを必死にこらえながら、ずっと。


470 : ○○ :2016/10/05(水) 21:25:06 NGiicPUM
>>469

――――
――

「もう、大丈夫ですか?」
『…はい…ごめんなさい…』

よかった、すっかり落ち着いたようだ。

「…もう、起きる時間ですよ?」
『……』
「怖いのですか?」
『…はい』

起きればまた寝る時がきてしまう。そうすればきっと悪夢を見てしまう。
それを恐れているのだろう。
でも心配はいらない。すべて私の手の上のことだもの。

「もし怖い夢に入ってしまったら私の名前を呼んでください」
「たとえ白昼夢であったとしても、私が駆け付けます」
『でも…覚えていられるか…』
「大丈夫ですよ。あなたは私の名前を覚えていた。間違いなくできます」

○○さんの記憶にはとうとう私の名が刻まれた。夢から覚めても問題はない。
ならば気持ちよく朝を迎えてもらおう。

「さぁ、ゆきなさい」
『…はい!』

○○さんの強く芯のある返事を聞き届け、私は夢に幕を下した。

―――――

それからは○○さんが悪夢に遭遇する度、私の名を呼んだ。
私は応え、安らぎと安寧を与えた。
あるときは頭を撫で、あるときは抱きしめた。
毎日、毎日。

悪夢から逃れようとする○○さんも
やがては私を求めるようになり
とうとう悪夢など見せる必要もなくなって
そうして数か月が過ぎていった。

――――
――

「また会いましたね。○○さん」
『またきました、ドレミーさん』

他愛もない会話を紡ぎ、共に過ごす。
どうしようもなくしあわせで、かけがえのない時間。

『私は思うんです、こうしてドレミーさんとお話している時がとっても楽しいんです』
『そして、唯一安らぎを感じるんです』
「そうですか。それはそれはよかった」

○○さんからでた言葉は完全に私を受け入れてくれたものだった。
なんて心地よく、暖かい言葉なのだろう。
だが、少々危険な領域に達している。ならば――


471 : ○○ :2016/10/05(水) 21:27:26 NGiicPUM
>>470

「ですがこれ以上はよろしくありません」

案の定、というべきか目を丸くして驚いている。

『…なぜ?』
「夢は現実以上に精神を侵します」
「あなたも分かっているのでしょう?眠っている時間がどんどん長くなっている事に」

○○さんは明らかに起きている時間がどんどん短くなっている。
生命の維持に必要な行為に費やす時間以外はほとんどすべて寝ているようなものだろう。
それゆえ、私が今言った言葉は警告。
私は夢の中であなたに会えれば十分なのだ。命まで取ろうとしているわけではない。

「このままだと貴方は二度と現世に戻れなくなりますよ」

上の空…というか固まっている。ああ、まずい。無理やり夢を切らねば。

「それでも良いなら、ずっとここにいさせてあげますけれど…どうします? 」

甘言という名の警告。そして時間稼ぎ。もう少しで準備ができる。
私は後ろ手に本を開き、夢を強制的に終了させる所定の文言を書き込む。

『ドレミーさん!わた―――』

○○さんがそう言いかけた瞬間、準備は完了した。
私は勢いよく本を閉じ、告げる。時間切れだ。

「そんな事を言っている間に起きる時間になりましたよ。ああ、今回もお別れの時間ですね」
「今回は一体何時間……いえ、何日間眠っていたのでしょうね」
「でもどうか安心してください。ここで起きればもう二度と私に会う事はないでしょう」
「さすれば貴方は日常へと戻ることができるでしょう」

警告と軽い冗談のつもりだった。
夢とは甘く恐ろしい毒なのだ。
夢に現を抜かしてはいけない。

また体調が戻ってから――また『健全な』お付き合いをしましょう。
あなたが死んでしまったら私もこわれてしまうだろうし。
本当はずっと一緒にいたいけれど、そこは節度を守って我慢しなければならない。

「では、さようなら」

いつもの、ああ、名付けてドレ顔を向けながら別れを告げた。

『―――ッ!――っ!』

あぁ、そんなに抵抗しないで、また会えますから。

「現実に未練はないのですか?」
「無理やり来てはいけませんよ?」
「それ以上は…ああ、切れてしまいます」

みしみしと千切れそうなロープが軋むような嫌な音がする。まずい、本格的にまずい。切れる。切れ――

『ドレミーさんとずっと一緒にいたいから!!!!!』


472 : ○○ :2016/10/05(水) 21:28:59 NGiicPUM
>>471

ああもう、なんでそうやって私の理性を粉砕するんですか。もう。我慢してたのに。
ンフフ…ンッフフフフっ
ああ、いやらしい笑みがこぼれてしまう。止めないといけないのに。

ぶちん、と嫌な音が響き、気が付くと○○さんの姿はなかった。

しまった、悦に浸っている間に本当に切れてしまったようだ。
そうなればややこしいことが待っている。
無数の夢の中から○○さんの夢魂を探さねばならない。
要は樹海から一寸法師を探せと言っているようなものだ。

ああ、でもそんな面倒ごとでもソレがあなたならば愛おしい。宝探しをするようで只々愛おしい。
まっていてくださいね。いま、探しにゆきますから。

――――
――

暫く…どれくらいの時間かはわからないが、とにかく暫く経ってからのこと。
それなりに苦労をした結果、ようやく○○さんの夢魂を見つけた。

『――――こわい!!どれみーさんたすけて!!!』
「ああ、こんなところにいたんですか」

ふよふよと漂っているピンク玉を手に取って話しかける。

「フフ…もう大丈夫ですよ。全てうまくいきました。さぁ、いきましょうか」


ふわふわ。ふわふわ。
とてもうれしそうな気持が伝わってくる。
それに触れると私も幸せになる。

――ふわふわ、ふわふわ。いっぱい、どれみーさん、しあわせ

「そうですか。ああ、それはよかったです」

――どれみーさんといっしょなら、わたしはいっぱいしあわせ
――ああ、どれみーさん、どれみーさん、すき。ああどれみーさん、だいすき

「フフ…私も好きですよ、○○さん。いえ、愛しています。こっちの方が正しい表現です」

ああ、どうしてこんなに素直に気持ちを伝えてくるのだろう。
もう鏡を見れないかもしれない。

――「どれみーさん。ああ、どれみーさん。しあわせ。わたしもあいしています。すき」

「これからもずっと一緒ですよ」

――どれみーさんと、ずっといっしょ。いっぱいしあわせ

私もしあわせですよ。

あぁ、もう夢しか見えない。

―――――
―――


473 : ○○ :2016/10/05(水) 21:32:04 NGiicPUM
>>472

○○さんは図らずも自らの意志で肉体を消滅させた。
戻るべき肉体を失った夢魂は二度と現世に戻ることは無い。
永遠に私と共にある。共にあり続ける。
そう、これでずうっと一緒にいられる。

           ドレミー ・ スイート ・ ナイト
「ようこそ。永遠の “ 夢みるような甘い夜 ” へ(ドレェ…)」

ああ、愛しいあなたと共に、永遠の春夢を。


ENDoremie

連レススマソ
やっぱり幻想少女視点で書くとはかどる…ふるえる…アッアッ…


474 : ○○ :2016/10/05(水) 22:49:07 Jn3wnV5k
ドヤ顔ならぬドレ顔に笑いました
○○サイドと少女サイトとの合わせ技がとても良かったです


475 : ○○ :2016/10/05(水) 22:52:46 eBeKLSgk
>>473
すごくドレミーさんが○○を大事にしてるのを伝わってきていい感じですねぇ…幸せそう

書いててふと思った
愛のカタチって色々あるもんだなと思った
妖夢です


私は庭師 あなたの庭師

あなたの守護者 あなたの下僕

私はあなたに恋焦がれるが あなたは主人と恋に落ちる

それは一体何故ですか

私に魅力が足りないから? 私は女に見られていない?

私はあなたに恋してる 狂おしいほどに愛してる

けれど想いは届かない 想いは全て庭の外

こんな気持ちを持つべきではない 私の役目は他にある

けれど私は彼が欲しい 主人よりも私のそばに

私の隣に彼が欲しい



私は彼の気を引くために あらゆる手段を講じてみる

化粧をし 色気をつけた

彼は少し驚くが それは気を引くほどではない

料理に薬を盛ってみる

彼は体調崩したが 看病は全て主人がやった

彼に稽古をつけてみた

これが一番良かったようだ

彼は日頃気にしていた 私と主人に守られることに

彼はいつも言っていた できれば他人に頼りたくはない

彼の都合と私の都合 混ざりあいつつ交差する



私の願いが1つ叶った 私の隣に彼がいる

私を想ってこそはいないが 私の隣に彼がいる

私の事を真剣に見つめ 指導を受ける彼がいる

恋人のような甘さはないが 戦友のような信頼感

主人と違う立ち位置に 私は少しの優越感



主人はお茶を嗜みながら 私と彼の剣術を見る

私はそれを横目で見つつ 至福の時を過ごしている

彼の真剣な眼差しと 彼の真剣な表情と

今この瞬間の彼の思考 全てが私のものである

浮かれた恋人達の如く 体を重ねることもなく 愛を囁く事もなく

ただただ2人 刃(やいば)をぶつけ

傍から見れば単なる修行 私からすればこれこそ愛

あなたの刃を待っている あなたの刃を向けて欲しい

あなたの刃をぶつけて欲しい それが私への愛だから


ちょっと軸のズレた恋っていうのも良いんじゃないかなぁと思った


476 : ○○ :2016/10/05(水) 22:55:54 eBeKLSgk
あとパチュリーでなんか書いたらすごく過保護なパチェさんが出来上がった。
なんでだろね

 パチュリーが本を読みながら僕に問いかけてくる。

「ねぇ○○、大好き、愛してるって言葉の意味、分かるかしら」

「んーとパチュリー…いつも君が僕のためにやってる行為は
 その言葉に基づいたものだと思うよ?」

「そう…」

「でも僕から言わせるとちょっと重過ぎるかも、あははははっ」

「そう…」ギリギリ

「痛い! 魔法で抓らないでパチュリーさん!!」

「さ…ん?」ギチギチ

「ごめんなさい! パチュリー!」



 彼女の愛はある意味異常である。
以前は普通の女の子(?)らしく精々尾行するにしても
飛翔で上からこっそり伺う程度だったのだが…。

-ケース01:帰宅時-
「○○、迎えに来たわ。
 この竜巻に入りなさい」ビュオオオオオオ

「パチュリー、このサイクロンの中に入ったら体がバラバラになりそうだよ」

「大丈夫よ、体が弱い私が問題ないんだもの」

「どうせ結界張った上で入ってるんでしょその中…」

「いいから入りなさい、外の世界で言うところのタクシーという奴よ」カシッグイッ

「運転手が乗る事を強制するタクシーなんて外の世界にはなかったよ…」ギュオオオオオオ

-ケース02:鍛冶屋で仕事-
「鉄を溶かすのに熱が足りないのね、なら…」ゴオオオオオ…

「パチュリー? スペルカードは日常で使うものじゃないと思うんだけど」

「でも魔法で溶かした方が楽よ? エコで簡単だし」

「それで打つ予定だった鉄を完全に溶かしてたら世話ないよ…
 あとそんな高温なのになんで僕は熱くないの」

「あらかじめ用意しておいた結界がこちらになるわ」キュピーンッ

「ああそう…」

-ケース03:お出迎え(霧の湖編)-
「やい○○! ここを通りたくばあたいの氷柱をわたってけー!」ピキーンッ!

「…」パチッ ザバーンッ!

「な、なんだこの水柱は!?」

「甘かったわね氷精…○○は飛び移るだけの足場じゃなく、
 上下に動く足場が所望なのよっ!」

「な、なんだってー!?」ガビーンッ

「いいよ2人とも、いつも霧の湖は迂回して歩いてるから」



 今や完全に魔法使いとして全力で魔法を使ってアピール(?)に来るのだ。
最も、便利とは思っても彼女のアピールとして成功しているかは甚だ疑問なのだが…。

「パチュリー…昔の内気な頃はどこに行ったの…?」

「最初、あなたに会った時は恥ずかしかったわ。
 だからあんな感じであなたに不安を持たせるような素振りをしてしまった…
 でも今は違う…あなたに自信を持って近づくことができる」グッ

「せめて人里で仕事をしてるときはその自信を持ってやってこないほうが嬉しいなー…」

「だってあなたは普通の人間じゃない。
 いつ怪我をしてこの世を去るのか分からないのよ?
 私みたいに魔法使いになってくれれば幾らでも延命処置について教えてあげられるけど、
 あなたはそれを了承する気は無いし」

「普通の人は心配でも見守る程度で済むんだってば…」

「行動としてあなたに示してしまうほど、
 それだけ私はあなたが大事だと言うことよ、○○」キリッ

図書館の少女は知識だけでなく 触れて学ぶ事も大事と知った
その経験もまた 図書館の書物として仕舞われていく
彼女の記憶と共に 彼女の思い出と共に
本では知りえぬ感覚を 体験の中で知りながら


477 : ○○ :2016/10/06(木) 05:32:02 2PTFg71.
>>475
もう少し言葉を削ってみたらもっと良くなるのでは?せっかくの余韻がある形式が説明が多くくどくなっているような気がします。


478 : ○○ :2016/10/06(木) 06:29:58 aHa896/E
>>472
女の子が恋をしている姿がメルヘンチックに描かれていて、ネット方式の文体が上手く使えていらっしゃると思いました。


479 : ○○ :2016/10/07(金) 11:22:19 8plUd1ZQ
少し亀だけど
アリスの人の文体いいよね
何を参考にしたらこんな文章が書けるんだろう


480 : ○○ :2016/10/07(金) 13:47:33 vLHR13..
八雲一家に教育されたい
その病的なまでの愛と教育内容が怖くなって逃げ出すもすぐに見つかり捕まってしまう
捕まったら紫様の能力で子供に戻され、三人を自分から愛するようになるまで永遠に教育され続けたい


481 : ○○ :2016/10/07(金) 22:26:32 qYs6npdM
>>475
面白い作品でした。色々試す妖夢ににやけますね。
>>476
パチュリーヤバい!
>>480
光源氏かしらん。妄想が膨らむ内容ですね

次より投下します


482 : ○○ :2016/10/07(金) 22:27:11 qYs6npdM
開き直り

『あら、そんなのただの言い訳じゃないの。』

そう緑色の目をした椿姫は言った。呆然とする僕に彼女は容赦なく言葉を続ける。

『灼熱地獄の調子が悪いだの、間欠泉のお湯でトンネルが崩れただの、そんなの唯の
言い訳でしょうに。大体あの子が灼熱地獄を管理しているのですから、そんなことあ
の子の匙加減一つの問題でしょうに。貴方、妬ましい程に馬鹿なのかしら。』

彼女の辛辣な言葉に動転しながらも僕は彼女に質問する。

「じゃあ、今までのさとりが言っていた事は全部嘘ってこと?」
『いいえ、嘘じゃないけれど…。ただ貴方を帰したくないだけでしょうに。』

「なんてこった…。どうにかしないと。」
『どうやって?』

「どうって、だれか助けを呼ぶとか。」
『自分からのこのこ地底に行った人を助けるなんて、そんな良い人がいるのかしら。
妬ましい程にいい人ね。』

「どうにかして地底を抜け出すとか。」
『空も飛べないのに?』

「じゃあ、どうしろってのさ。」
『どうしようもないでしょうに。それじゃ。』


483 : ○○ :2016/10/07(金) 22:27:50 qYs6npdM
 パルシィから事実を明かされた僕は、彼女が帰った後で直ぐにさとりの所に行った。
さとりは相変わらず僕に和やかな顔をしているが、その笑顔の裏に醜い打算があると知
った今はかえって嘘くさく見えてきた。

「さとり、嘘だったんだね。」
『ああ、そのことですか。別に嘘じゃあありませんよ。』

「そんな事言って、僕を地上に帰さない積りなんだろう!」
『そんなこと有りませんよ。○○さんはいつでも地上に戻れますよ…。戻れるのなら、ね。』

含むように言う彼女の言葉に僕は頭に血が上り、衝動的にさとりの部屋を出ようとする。
しかしどこを見ても入った時のドアが無い。さては催眠術で隠しているのかと、ドアの
あった辺りを弄くり回すが、どこを触ってもドアノブの感触が無い。

「おい、さとりどこにドアがあるんだよ。」
『あら、そこに有りますよ。』

何時もの調子で言う彼女に、僕は堪らず悲鳴の様な声を上げる。

「なら、何でドアが無いんだよ!」
『私は別に構いませんよ。いつまでも○○さんと一緒に居られますし。』

「僕は構うんだよ!さとり、ドアを出せよ。」
『そうですね、私を抱いたらドアが出てくるかも知れませんよ。』

汗で濡れたシャツが、僕の体を冷たく冷やしていた。

以上になります


484 : ○○ :2016/10/08(土) 15:59:54 hxuPTEaE
弁々「最近あなた調子ノってるみたいね」

弁々「最初に言っておくけど、あの人に気に入られてるからって勘違いしないでおいてね」

弁々「私があの人の一番なの」

弁々「料理が上手みたいだけど、次にあの人に色目使ったら痛い目をみることになるわ」

弁々「わかった?」




電子レンジ「…」
弁々「この泥棒ネコ!」






我が家の家電が次々と弁々に破壊されていくとです


485 : ○○ :2016/10/08(土) 16:56:53 rCSYvrmc
一見ただの面白ヤンデレに見えるが「道具に対しても敵意を向ける」というのは物凄く高度なヤンデレなのではないだろうか


486 : ○○ :2016/10/08(土) 16:58:26 rCSYvrmc
でも弁々ちゃん付喪神だしありえなくはないよね


487 : ○○ :2016/10/08(土) 21:16:31 sYzbgt6c
>>484は天才


488 : ○○ :2016/10/08(土) 23:43:22 yeAVH8Dk
>>483俺もさとりで書いてみた

ぺちゃぺちゃと容器に吐瀉物を吐く彼女の背中を長く、首根っこから腰の辺りまで、撫で下ろしてやる。

終わり


489 : ○○ :2016/10/09(日) 00:18:21 RD7/uq/w
>>488神経科衰弱ぎりぎりの女たちを書いていく

小傘

雨脚が強まるのを身体で感じながらも、私は動くことが出来ず、ただ、彼の家を眺めていた。



今日は厄日だ、そう感じながら紫様の側にいるから目を離すことが出来なかった。

霊夢

覚悟を決めた後でも、躊躇われてしまうのは彼が許してくれるだろうと分かってしまうからだ。

勇ぎ(忘れちまった悲しみに)


490 : ○○ :2016/10/09(日) 00:21:25 RD7/uq/w
>>489

彼の血管が浮き出て真っ赤に染まるのを見つめながら、私は手に入れた力を緩めることが出来なかった。

終わり


491 : ○○ :2016/10/09(日) 02:43:27 s69dvwGQ
>>408みたいな男側がグイとくるとヘタれる感じのヤンデレを書きたいなと思ったらこうなった。
アリスです

 アリスさん、さすがにずっと家にいるのもアレだから外で働きたいんだけど。

「ダメよっ! 外には怖い妖怪や人間が一杯いるもの!
 もしかしたら食べられちゃうかもしれないわ!」

 …それ、既にあちこちに妖怪の友人を作ってる僕に言う台詞?

「あんな女達より、より恐ろしい存在が何処かに潜んでいるのかもしれないわ!
 そうね…どうしてもというのならこの子達を連れて行きなさい!」
「シャンハーイ…」「ホウラーイ…」

 人形達の目が死んでいる…よっぽど主人のことが気に掛かっているのか…。



 はい、いらっしゃいませー…って何で来たのアリス。
というかなんで店知ってるの。

「もちろん、あなたが心配だったからに決まってるじゃないっ!!
 上海も蓬莱も中々連絡よこさないし!」

 あー…何か触ってたような気がするけど…報告用だったのねあれ…。
ともかくアリス、僕は問題ないから、後、あちこちに設置済みの人形は回収して行ってね。
僕には上海と蓬莱がいれば十分でしょ?

「…くっ、遅くならない内に帰るのよ」

 それは仕事の終わりの時間によるからなあ…。

<随分綺麗な嫁さんじゃないか。
一体どこが不満なんだい…うぉっ!?>シャキーンッ!!

 妙に客入りが少ないと思ったらやっぱり人形を設置してたか…。
あとご主人、アリスは彼女かも知れないけどまだ嫁ではないです。

<なるほど…中々苦労しそうだなこりゃあ…>

 じゃあ自分、表のトラップ片っ端から解除してくるんで。
上海、蓬莱、お仕事だよー。

「シャンハーイ!」「ホウラーイ!」

 やっぱりこうやって仕事をやってた方が彼女らも楽しいみたいだな…。



「お帰り○○っ!! 怪我はない!? 危険な客に襲われたりとかは!?」

 ないよ。 そんな強盗みたいな事件は。

「分からないわよ…前は、
 妖怪『賽銭入れてけ』とか、
 妖怪『ボム置いてけ』とかいろんな妖怪が出没してたんだから」

 被害者の皆様、お疲れ様です。
それよりアリス、店の周りに人形を隠して設置しておくのは止めてくれないかな…?

「ダメよ! さっきも言った通り、危険な客があなたに危害を加えてくるかもしれないじゃない!
 さすがにお仕事に行くのは許しても、これだけは妥協できないわ!」

 上海や蓬莱も一応警護のためにいるんだからこれ以上は必要ないと思うんだけど…。
そもそも、どうしてそこまでして保護したがるのさ…。

「あなたは大事な大事な旦那様よ? 夫の身の安全も守れずして何が妻よ」

 あの、結婚した覚えはないのですが…?

「私はあなたと初めて会って閉じ込めたときから、
 既に婚約済みよ?」

 えぇ…これが愛のゴリ押しって奴ですか。
えぇい、このままでは埒が明かない。

「だって」

 アリス。

「な、何?」

 僕は君のことが好きです。 愛しています。

「…な、何よ、口説いてどうにかするつもり?」

 あなたの愛は痛いほどに良く分かっています。
僕の事を大切に守ろうとしていること、僕の事を心配していること。

「そうよ、私はあなたのことが心配だから…」

 でもだからこそ、
僕の事を大切に想っているなら、敢えて何もしないで欲しい。


492 : ○○ :2016/10/09(日) 02:44:35 s69dvwGQ
「…いやよ、何かがあってからじゃ遅いもの」

 もちろん僕だってある程度の自衛策はしておく。
例えば…上海や蓬莱は必ず連れて行くようにするよ。

「…」

 君が望むなら…今夜、僕を好きにしてくれてもいい。
えっと…例えば恋人の契りを結ぶとか…。

「え!? いや、いいわよそこまでは!!
 分かった、分かったからそんな覚悟をした目でこちらを見ないでちょうだい!?」

 ごめんねアリス。

「…ちゃんと、上海や蓬莱は連れて行きなさいよ」

 うん、何かが襲ってきたときに彼女らがいないと、
ホントどうしようもないからね。

「…でも嬉しいな、○○が私の事を好きって言ってくれるなんて」

 嫌いだったら、家に閉じ込められても無理やり出ていたさ。
でも君は別に外に出さない以外、ロクに制限もしなかっただろう?
ところで恋人の契りについてなんだけど…

「い、いいわよそれは! わ、私達にはまだ早いでしょうし!
 そ、そうね、もっと仲が深まってからでも…」

 まあ、君がそれでいいならいいんだけど。
じゃあ、明日以降からまた頑張るから、応援よろしくね。



僕は君に捕まるうちに 君のことが気になった

君はいつも人形と話す 生きてる物とは話さなかった

唯一の例外は僕くらい 僕以外とは話さなかった

いや 細かく言うならば 僕以外の異性とは話さなかった

それは彼女が恥ずかしいから? それは彼女が分からないから?


彼女が僕を捕まえたとき 彼女は僕にこういった

ようこそ私の旦那様 ようこそ理想の旦那様

そう言って僕を閉じ込めた 魔法の家に閉じ込めた


けれど彼女は何もしない 精々したのは会話と食事

急に関係も迫らなければ 寝こみを襲ったりもしない

外に出ようとすると怒られるけど それ以外は何も怒らなかった


そうして大事にされてるうちに 彼女のことが気になった

彼女は愛が分からない? 彼女は想いを伝えられない?

そう思った時 僕は決意した

彼女に愛を教えてあげよう 長い時間を掛けて教えてあげよう

いつか彼女が理解をしたら 晴れて旦那様になってみよう


 なんてね。
彼女と一緒にいるうちに僕もおかしくなっちゃったのかな。
まぁ、それならそれでもいいや。




私は彼が理想と思った けれど私はまだ受け入れきれない

それは恥ずかしいから? 彼は私の旦那様なのに

私はどうすればいいのか 分からないけれど

まずはこの関係を続けていくの

きっとそうしていくことで きっと何かが見つかるから

お休みなさい 旦那様

私の大好きな旦那様


 いつも弾幕はブレインと言っているけれど…
恋はブレインだけではダメなのかしら…?

しかし、オリジナルには勝てない…あのヤンデレ加減はそう簡単には真似出来ない!


493 : ○○ :2016/10/09(日) 03:08:57 W2IjlKrM
パッと浮かんだアイデアに深夜テンションで肉付けをしてみたら○○視点でもヤンデレ視点でもないよく分からないものが出来た
反省はしているが後悔はしていない

 ー ー ー ー ー ー

「最近仕事熱心なようですね。
 運んでくる死者も徳の高い者ばかりで」

「○○さん、ですか?」

「知らないわけがありません。噂になっていますよ。死神が訪ねる家だ、なんて」

「そのことを咎めたりはしません。あなたにも春が来たのですね。おめでたいことです。
 でも、もう少し彼の評判を気にかけてあげてください」

「彼にも話を聞きました。彼も悪い気はしていないようですね」

「ところで、一つだけ不思議なことがあるのですが」

「最近妙に貯め込んでいるお金は一体何に使うつもりなのでしょう?」

「彼との関係は、よく話す仲から一歩進展したというところでそれほどお金のかかるようなものではない。彼の話してくれた交際の様子からもそれは明らかです。
 彼へのサプライズプレゼントのためかとも思いましたが、人里で訊いても妖怪に訊いてもそれらしい話は出てこない」

「強いて言うなら、薬屋と妙に話し込んでいたという目撃談が聞けたぐらいでしょうか。
 あの兎に話を聞いても手紙を師匠に渡したと言うばかりでしたが」

「それほどまでに隠さなければならないとはどのような薬を買ったというのです?」

「馬鹿な真似を考えているのであればすぐに止めて私に自白なさい。まだ実行に移していないのであれば大目に見ましょう」

「小町、何をするのです小町!
 こんなことをしたところでーーあぁ!」



「なんてことをしてくれたのですか……小町……」


494 : ○○ :2016/10/09(日) 03:29:01 D9rhELHw
>>484
ttp://i.imgur.com/p3jX0z6.jpg
短いながらもインパクトがあってビビっときた
ので描かせてもらいました
イメージと違ってたらごめんね

数レス使って書かれてる物語も描いてみたいけど自分の画力だと場面を抜粋して一枚絵にできない悲しみ


495 : ○○ :2016/10/09(日) 06:30:52 zvwZlIgo
>>494
可愛い


496 : ○○ :2016/10/09(日) 09:33:56 1xtrQ4.E
>>494
それでもいい。是非とも気に入った場面をどんどん書いてくだされ。


497 : ○○ :2016/10/09(日) 09:49:00 pdKRVma6
>>494
俺たちのモチベーションもガンガン上がるから、描いてくださればどんどん書きます。


498 : ○○ :2016/10/09(日) 14:31:12 RD7/uq/w
一文でヤンデレ書くの楽しい。

アリス

肩からドレスを引き落とされた瞬間、振り向いて彼の唇に思い切り噛みついてやった。

レミリア

膝元で自分にしがみついて来る彼を、赤ん坊のようにあやしていたら、ノックが聞こえた。

パルスィ

笑顔で、此方へと向かってくる彼と私は同じ顔で向き合えているだろうか。

慧音

精一杯背伸びをして、私の隣で歩く彼を、どうして私の都合で悲しませることが出来ようか。
終わり


499 : ○○ :2016/10/09(日) 23:32:24 6ffvJNmE
チルノ「うぁぁぁぁぁぁ!!ぅぅぅぅ!!浮気!!浮気!!!浮゛気゛ぃぃ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!絶対許さない゛いイィーッ!」



○○「だから付き合ってもいないから浮気でもなんでもないからな、飲みに行っただけだし」
チルノ「オトコはすぐ浮気を正当化しようとする」
○○「この前『面霊気ライダー』格好いい大好きって言ってたよな?それは浮気にはならないの?」
チルノ「浮気者はアタイだった…?」

○○「浮気のラインってさ、どこから?」
チルノ「一緒に食事行ったりしたら浮気!」
リグル「えー?好きになっちゃったら浮気」
みすちー「普通に同時交際じゃないの?」
ルーミア「【ピーッ】」
大妖精「そういう線引きをはかろうとしてる時点でアウトですよ」

みすちー「まぁなんにせよ相手がいるのに手だしたりそれを受け入れたりするのはいけないよね」
チルノ「そうだそうだ!!いけない!許せない!!凍らせ…るのはちょっとかわいそうだから冷たい風で風邪ひかせる!」
大妖精「えっ?そ、そうかなぁ?」
チルリグみすルー○○「えっ?」
大妖精「えっ?」

大妖精「えっ?えっ?み、みんなは好きな人に相手がいたら諦めちゃうの!?」
チルノ「あ、諦めはしないけど…」
○○「大ちゃんは、好きな人に相手がいてもアタックしちゃう系…?」
大妖精「え、はい。相手より私の方を好きになってもらえれば問題ないんじゃないかと…?」
リグル「で、でもその時『浮気』になっちゃうよ!?」
大妖精「え、う、うん。なっちゃうけど『好き』って気持ちを伝えるのに交際の有無って関係ないよね…?」
みすちー「えぇ…!?でもほら!も、もしだよ!?大ちゃんが浮気されちゃったら、ほら、悲しいよね?」
大妖精「もちろん浮気はよくないし確かにそうだけど…」


大妖精「私はむざむざ盗られちゃうようなマネしませんし、盗られるようなマヌケのこと気に病むのはちょっと…
だいたいキチンと相手のことを捕まえていれば未然に防げることであって…愛が足りないからそういった問題があがると思うんですよ
だから常日頃から自分の愛をいかに相手に染みこませるかが重要なんですよ
浮気なんて考えられないくらいに、自分のことしか考えられないくらいに愛を流し込んで…」ブツブツブツ
○○「(;゚ω゚)」
チルノ「((((;゜Д゜))))」
ルーミア「闇が深い」


チルノ「浮気しても…戻ってきてくれるなら許す!」


500 : ○○ :2016/10/09(日) 23:42:17 eqWvHRwc
>>492
いつもの散文詩調の人ですかね?
個人的には、詩よりも今回のようなお話の方が好きです
男の側が積極的というのもいい...
やっぱり逃げるより追いかけていくのが男らしいですよ
愛してもらう側だって努力する方が絵になります


501 : ○○ :2016/10/10(月) 10:08:25 c0eJQiSA
>>499哲学


502 : ○○ :2016/10/10(月) 22:12:42 aBYHYMZo
>>499
チルノから○○大好き感が溢れて…いい…
大ちゃんは浮気しなければとってもステキなお嫁さんになるね(ニッコリ


503 : ○○ :2016/10/10(月) 22:15:59 749EWJhM
衝動書きで一本

うちのいそうろうさん

長い坂をゆっくりと上ってくる、背の高い痩せた男は両脇に汗の染みを滲ませて、西日を背にしながら、うつ向き歩いてくる。
その姿を認めた瞬間に、鏡台に飛び付いて、鏡で口元について乾いた涎と隅についた目くそを拭って、とびきり濃い口紅を引いた。

湿った生臭い暑さに湯だってしまいそうになりながらも歩を進めると、額から鼻のとんがりにまで伝った汗が、歩くたびに左右に揺れた。重い一歩を引きずって、また地を踏むと同時にぱたぱたと汗が地面に落ちていった。
下駄の足音が近づいて来る、前をみやると小さい女の子が、両手をしなるように振って走って来た。
少名、小さい小さいその子はもつれそうになりながらも笑顔で走り、そして俺の胸に飛び込んできた。
俺は彼女の頭を両手で抱きすくめて、乱暴に髪を掴んだり引っ張ったりしてやった。彼女も痛がる様子も見せずに、俺の臭いを身体に染み付かせるように頬を胸元に、擦り付けている。少名は手探りのまま俺の中に見えない何かを探している気がした。
しばらくお互いの存在を確かめあった後、名残惜しく距離をとった。
「行こうや」
「行こうね」
俺たちは寄り添いながら自分たちの家に入った。

続くかわからん


504 : ○○ :2016/10/11(火) 18:25:48 s8encXAY
幽香って、○○には絶対に手をあげないけど
過保護からくる被害妄想で○○以外にはすっごい苛烈そう


505 : ○○ :2016/10/11(火) 20:05:28 GLcJ0c.o
いや、どちらかというと余程でない限り暴力を仄めかすだけだと思ってる。○○にも他者にも。
○○が従っている内は一切の暴力がなく、逆らうのも二度目三度目までは忠告や警告までで、まだ手は出さない。
で、ある一定のラインを超えたら容赦がない。
○○が幽香に従わなかった回数分だけ、容赦なく○○と他者に暴力を振るっていく。

自分の身がかわいければ、周りを巻き込みたくなければ、おとなしく幽香のモノになるしかないという感じ。


506 : ○○ :2016/10/11(火) 20:52:10 7eY5nxfU
でも幽香のモノになっていれば理想のお嫁さんなんだろうな
一途で常にこちらの事を想ってくれる…
俺だったらもう一生幽香に従い続ける自信あるわ


507 : ○○ :2016/10/11(火) 21:12:08 yHTbHC2k
私ね、あなたのこと大好き、すっごくすっごく愛してる。世界中の誰よりも愛してる
あなたはね、私の一番の人
だからね、もっともっとあなたのことを好きになりたいの。一番なんて順番の垣根を越えてもっともっと高いところにいて欲しいの
だからね、私考えたの

あなたが『お花さん』になってくれたらきっともっとずっとあなたのこと好きになれるわ

あ な た は い っ た い ど ん な 花 を 咲 か せ て く れ る の し ら


508 : ○○ :2016/10/11(火) 22:35:02 vPXQW4Yc
幽香がなかなか降りてこないのでだいぶアレですが

あの日見えなかった花

「幽香、四季映姫が来るわ」

背中からそう声をかけてきたのは、懐かしい相手だった。

「そう」

まあ、来るでしょうね。
そう思っていたから、息急ききって伝えに来てくれた彼女には悪いのだけど、私は特に危機感を覚えることは無かった。
でも

「わざわざそんな事を言いに来たの? 静葉」

彼女が忠告にきたのは意外だった。
もしも、某かの行動をおこすとしたらあの泣き虫か、白黒、霊夢……はそんな玉じゃないわね。
そうやって考えてみると、魔法使いというのは存外世話焼きの生き物なのかしらね。

「幽香、悪いことは言わない」
「お断りよ」

秋静葉。
寂しさと終焉を司る紅葉の神。
紅葉はあくまでも葉だけれど、愛でられるべき葉菜(はな)でもある。
そのせいもあって、花を操る能力を持つ私とはずっと昔に縁があった。

「幽香……」

蒲公英の茎のように折れそうな儚い肢体が、僅に萎んだような気がした。
この蒲公英、その気になれば千年樹をもへし折る癖に相変わらずなのね。

「そういえば、貴女にも男が出来たって?烏が囀ずってたわよ」

ぴくん、と動いた肚をそっと左手で支える。
私のお腹はこの六週間大きく膨れ、まるで妊婦のようになっていた。
ただ、六週間で大きくなったのではなく、六週間前に大きくなったのだけど。

「良かったわね」
「ええ」
「幸せ?」
「…………とても。とても幸せよ」
「そう。ああ、知ってるかしら?私にも物好きが出来てね」
「幽香」
「ふふ、本当に物好きよ。生意気に、人間が。ふふ」
「幽香」
「……幸せ。良いわよね。男が出来る前はこんなこと考えもしなかった」
「……」
「わかるでしょ。良いひとがそこに居るだけで何でも輝きが増すの。
 春に咲く花も、夏に咲く花も、秋も冬も……全て。
 だからずっと一緒に居なさいって言ったわ。あいつは分かった、と言ったわ」
「幽香! ○○はもう!」
「死んだがどうしたっていうの?」
「貴女のその、腹……中は」
「魂よ。ああ勿論魄も合わせてあるわよ勿論」


509 : ○○ :2016/10/11(火) 23:05:11 Yd0IE3AU
>>507
シンプルだけど病んでる感たっぷりですね
この手のヤンデレも個人的には好き

紫やら幽香やら力のある妖怪って欲望でタガが外れた勢いで
○○を自分のものにしてふと『気がついてしまった』ときに激しく後悔しそうなかほりがする

ということで紫です。



ある日のこと。

------

私はあなたが欲しいから あなたも私が欲しいはず
だって恋とはそういうもの
私は賢者 間違いなどない

「ねぇ○○…今どんな気持ちかしらぁ?」

「何なんだ…一体…?」

「私はねぇ、すっごく嬉しい気持ちよぉ…?
 願っていたものが、欲しかったものがこうして手に入る瞬間っていうのは、
 本当に良いものよねぇ!!」

「くそっ、寄るな!!」

「どうしてそんなに釣れないことを言うのかしらねー?
 私と一緒になれるまたとないチャンスなのに…」

あなたが嫌がっているのは 嫌よ嫌よも好きのうち
あなたの技術はすごいわね 私も思わず興奮しちゃう

「は、離せ! 化物!!」

「…あぁ、そういうことね。
 私が妖怪だから、あなたは人間だから怖いのね?
 大丈夫よ、そんなことは既に分かっているから…」

「何をする気だ…!?」

「私と同じになってもらう。
 簡単なことでしょ?」

あなたの不安は取り除く だからあなたも妖怪に
これで私と都合は一緒 あなたと私に違いはない

「か、体が…あ、頭が…あがっ」

「あっはははハハはははははハハハ!!
 これで私はモウ独りじゃない!!
 私が心を許せる存在をよウヤく手に入れたの!!」

「あたまが…まわ…って…」

「今はユックリおやすみナサい…○○…。
 目が覚めたら…そノトきは私とあなたの二人キリの結婚式よ!
 あッはははハハハハ!!」

「ど…うな…って」

「愛しテルわ○○…大スき、大好キ!!」

私の狂気は間違いではない 恋は狂気で溢れるものよ
たとえ独善的であろうとも 相手を好いてればそれは愛

------


510 : ○○ :2016/10/11(火) 23:06:52 Yd0IE3AU
「っ!?」

「随分とうなされていたようですが…どうかされましたか紫様?」

私はあなたに負い目がある 深い不快な過去の罪

「ねぇ○○…今の環境で怒ったりとか…してない?」

「いいえ別に…紫様、どうしたんですか?」

彼は許してくれたけど 私は決して忘れられない

「夢を見たの…あなたを妖怪にした、あの時のこと」

「また…見てしまったんですか」

「嫌がるあなたを無理矢理組み伏せて、妖力を注ぎ込んだあの瞬間を…」

あなたを決して逃がしはしない だから幻想の存在に

「凄く嬉しそうだった…あのときの私」

「大好きな人が一生自分の側にいる…
 それはとても喜ばしいことだと思います」

「でも、あなたはあの時すごく嫌がってた…それがとても辛いの」

あなたは私の側にいて 私が永遠に守るから

「ですが…今私はこうして紫の側にいて、
 こうして一緒に暮らしている」

「分かってるわ…分かってるけど…それが逆に怖いの」

「…私が裏切るかもしれない、ということでしょうか?」

だからお願い側にいて 私の側で囁いて

「そう…ごめんなさいね、私はあなたの恋人なのに、
 あなたを捕まえて恋人にしておいて、恋人のことが信用できないなんて」

「…でしたら、どうすれば信用してもらえますか」

「どういうことかしら…?」

愛していると言って欲しい 私の側で言って欲しい

「紫様に対して私が、この○○が、紫の事を愛しているという証拠です」

「分からないわ…どうすれば恋人の事を信用できるかなんて…」

「キスでも夜伽でも家事でも、紫が望むことなら何だってやります。
 あ、でも…弾幕ごっことかは勘弁してくださいね」

私は恐ろしい妖怪なのに 1人の妖怪に怯えてる

「じゃあその…抱きしめてくれる?」

「そのくらい、お安い御用です」

私は誰かに甘えてる 私が作った妖怪に
私のせいと分かっていても 彼は私を責めはしない

「紫…確かにあの時は怖かったです。
 自分が自分でなくなるような気がして、もう○○として生きていけないんじゃないかって」

「そう…そう…よね」

「でも妖怪になっても何も変わらなかった。
 私はこうして○○として生きています。
 できなくなったのは外の世界に帰る事くらい」

私はあなたに焦がれてる 一度ならず二度までも

「それは妖怪になっても態度の変わらない幻想郷の皆のお陰かもしれないし、
 私を妖怪にしてでも愛する事を誓った紫のお陰かもしれません。
 そんなに大事に想ってくれる人を裏切るなんて…私にはできません」

「○…○…」

「今はゆっくりお休み下さい、紫…
 起きたらまた、スキマでもなんでも使って私を困らせてください。
 もはやあなたの側にいることが私の人生であり、生きる意味なのですから」

「……」

「心から愛しています、紫」

ありがとう私の恋人よ 私を支えてくれる人よ
あなたが私の側にいて 私があなたを愛してる
これが私の幸せならば それを私は守り抜く
だから今は眠らせて あなたの中で眠らせて


自分のせいでこうなってるのに怒られも責められもせず
逆に幸せなせいで戸惑うゆかりん可愛いよゆかりん


511 : ○○ :2016/10/12(水) 00:06:42 lcjrJzsg
つづき

「幽香、気持ちは分かるわ……でも」
「私たち、俗にいうところの式は挙げてなくてね?……おかげで死んでも別れることはない、というのはどうかしら」
「死は……それは…………」
「それにね、あいつが破ってない約束を、私が言い出したそれを、破るわけにはいかないでしょう?」
「……そう、ね」

静葉は何かを諦めたように、視線を落とした。
私は、正直それに少し拍子抜けしてしまった。

「戦らないの?」

彼女が来た理由。
それは、私に言うことを聞かせる二つしかない方法、その一つ。力ずくでの話し合いをするつもりだと思っていたから。
もう一つは、あいつが……まあ、それは今はいいわ。

「やらない」
「あら、自信が?」
「秋(いま)の私でも少し厳しいでしょうね」
「あら、自信が」
「……でも、それだけじゃないわ。言ったでしょ、貴女の気持ちも分かるって」

「死は終わりじゃない。次へと続く輪の結び目……次へ、次へ、それが自然の理。あまねく天地精魅に至るまで」
「……」
「でも、そんなの……知ったことじゃないわよね?
 次なんて……そんなの要らないわよ」
「貴女……」

驚いた。
本当に。
静葉が口にした事が本心からのものかどうかはさておき、それは私の本心その一部を切り抜いていた。

「何より、我慢ならないのがーー」
「そう、そうね」
「ええ、何故(なにゆえ)あって人の男の魂を、記憶を、思い出を、他の女に洗われないとならないのかってことよ。
嘗めて貰っては困るわ。この幽香さまの男を、穢い手で拐おうってんだからね。当然権利だとでも言うように」

視界が薄赤く染まってきた。
昂ってきたのかしらね。
いえ、昂ってるわ。私。

「まあ、向こうも、仕事だからね」
「論外よ」
「まあ……ねぇ」

私が愛しているのはあいつだけ。
来世?そんなものは知らない。
そいつはあいつじゃない。
そんなのと契るなんて、浮気以外の何でもない。
私の体に身を埋めても良いのはあいつだけ。
私が迎え入れるのはあいつだけ。

「幽香……地獄の匂いがする。来るわよ」
「肥料が?」
「……死神は押さえておいてあげる」
「準備運動。しそこねたわね」
「身重でしょうに、うっかり消化しないと良いわね」

さしていた日傘を閉じ、土に突き刺す。
貴方たち、たまには私に力を貸しなさい。

「うわっ」

私を中心に枯れ果てていた向日葵が急速に芽生え、双葉をなし、花を湛えた。

『風見幽香。死者の魂をおのが色欲のために捕らえるとは……決して許されることではありません。悪いことは言いません、今すぐ』

出たわね。

「一つ訊いてあげる」
『何ですか』
「貴女、男は?」
『……居ても居なくても、私のやることに変わりはありません』
「そう。可哀想に」
『……なんです?』

「ぶっ殺すわ。少しだけ残して。反魂の法あとで聞かせなさいな」

私の肚(なか)で、あいつが胎動くのが分かった。
もう少し、待ってなさい。待てるでしょ。
お願い。




512 : ○○ :2016/10/12(水) 13:07:16 CYWu8AAs
>>511
愛のためなら神にすら反逆するような心意気は
見ていてゾクゾクするような気がします
>>510
相手を思い通りにできる能力が有ってそうしたのに、その相手に嫌
われていないか恐れるという矛盾めいた心。独善的ながらも人間味
が有りますね。吹っ切ることも出来ず、相手からの救済を求めてい
る気がします


513 : ○○ :2016/10/13(木) 01:49:24 gPwoRJCo
>>503続くんや

扉の内側でうつむいて、側に立っていた彼女が、こちらを見上げて、俺の袖口をつまんで引っ張った。俺はひざまずいて、彼女の視線に目を合わせて、彼女の唇を食むように重ねた。ふっふっと早い規則で彼女の鼻息が側索さ頬を撫でる。歯を舌でなぞると少し眉をひそめられた。気にくわなかったのか突然、舌を絡めさせてきた。
瞬間少し湿った女の匂いが鼻を掠めた、それはまた岩陰にひそむ獣のように子供くさい彼女の甘い乳の匂いの中に溶けていった。
最近ふとした瞬間に少名から、こういう匂いが漂うことが多くなった。大人の真似ごとをして、どこかから手に入れてきた紅を引いて、着物につけようとしてくる。その拙い所有欲は、確かに俺の心を捉え染めていた。
 
一幕終えた後には、すでに夜が冷め、葉のささめき合いが風に乗って聞こえる。胸に被さった柔らかい髪を手持ち無沙汰でいじりながら、目線を伸ばして障子の隙間を見通した。暗い間にはいつもの通りに赤い目がこちらを覗いている。

少しずつ投稿


514 : ○○ :2016/10/13(木) 19:11:31 P2NBXbQw
純狐「ねぇ、私の息子になってくれない?」
ヘカーティア「良いんじゃない?私もこの子は気に入ってるから大丈夫わよん」
クラウンピース「じゃあこれからは○○さんの事、息子様って呼びますね!」

ヘカーティアとクラウンピースは目が笑ってなさそう
純狐さんは笑顔がまぶしすぎて逆に怖い


515 : ○○ :2016/10/15(土) 23:53:05 qKkB9yOU
面白いのが見たいっす


516 : ○○ :2016/10/16(日) 00:20:05 bF4TB6LM
>>513
覗く目…まさか正邪?!
衝動書きで纏まった文書かけるのがすごい…
>>514
純狐さんの愛が自分をかつての息子と重ねているがゆえだと思い、なんとも思えない虚しさを覚えた◯◯。しかし◯◯のその些細な変化がひとつの波乱を呼ぶのだった…みたいな妄想がはかどる…
紺珠伝ヤンデレもっと増えてほしい…あっあっ純狐さんステキスキ…


517 : ○○ :2016/10/16(日) 20:33:10 KkU5ZZG.
>>515
妄想シュチュか、小ネタを書いてみるんだ!
運が良ければ誰かが書いてくれるかも


518 : ○○ :2016/10/17(月) 04:34:26 knJyBWa6
〇〇 霊廰の庭師 ややおっさん 口調はやや訛り気味
元々は白玉楼で仕事をしており、主の幽幽子と交際していたものの、突然別れを告げられる。彼女のコネで、霊廰に就職。屠自古と出会い、交際を始める。
屠自古 男性経験はあるものの少し奥手
〇〇に対して特に不満はないが、時折覚えのない香の匂いがすることに不信感を抱いている。
関係は持ちつ持たれつの普通ようにカップル


519 : ○○ :2016/10/17(月) 20:37:34 knJyBWa6
幽々子 他人の所有物でないと、人を愛することが出来ない。〇〇のことは愛してやまないが、歪んだ自分の恋愛観は変えることが出来ずに別れを告げた。しかし、無意識のうちに〇〇が他の女と良い仲になるように様々な工作をしてしまう。

誰かこの設定で書いてくれる人はおらんかね…?


520 : ○○ :2016/10/17(月) 22:01:50 4Moa1xMw
天子さんで一つ。

あなたは私を好いている あなたは知らないでしょうけど

どうしてそんなことが分かるって? だって私は天人よ

地上の生物のことなんて 何もかもをお見通しよ

過去も未来も現在も

私の言葉に誤りはない あなた達とは違うのだから

私は誰かに与えるの 誰かに与えられるのではなく

それが天人としての勤め それが天人としての使命



ならば何で付きまとう?

恵みを与える人間を 観察するのは普通でしょ?

本当にそれでいいのかとか 判断が間違っていないかとか

色々見たうえで考えるのよ



別に何にも変わりない? おやまあ中々失礼ね

あなたに身近な変化があるのに 気づけないなんて可哀想

多分あなたは損してる 生きてる人生損してる

まったくあなたは鈍感ね



私はあなたに与えるの 愛でも何でも与えるの

私はあなたに貰えない 愛も喜びも楽しみも

それは一体なんでかな あなたは私が嫌いなの?

私はこんなに好きなのに? あなたをこんなに好きなのに!?



だったら私が教えてあげる 私の愛の大きさを

だったら私が教えてあげる あなたをどれほど想っているか

だったら私が教えてあげる あなたの存在の素晴らしさを

他の人間には理解されない あなたという存在の素晴らしさ

他の天人には理解されない あなたという唯一無二の存在を



説教臭いのは嫌いだけど あなたに愛を伝えるために

私は覚悟を決めたから あなたも覚悟を決めなさい


521 : ○○ :2016/10/17(月) 22:17:40 Ue8Q07pI
有無を言わせない天子ちゃん好き


522 : ○○ :2016/10/18(火) 01:13:24 v9.IotaM
病んでても気持ちいいくらいにど真ん中ぶち抜いて来る感じがすごく天子っぽくてすごくいい
てんこあいしてる


523 : ○○ :2016/10/18(火) 07:22:22 uUCZafSY
天子にストレートに愛されたいですねわかります


524 : ○○ :2016/10/19(水) 10:49:44 y2soSTBo
ふと頭に浮かんだよくわからん妄想


私は古明地さとり
生命体の心や思考を読む事ができます
私達さとり妖怪は基本的に嫌われ者で、私もそうです
当たり前ですが、私は「恋」をした事がありません
それに、興味もありません
何故なら、心が読めるからです
誰が一体どんな風に恋愛について考えているかがすぐにわかってしまうからなのです
例えば「男の子は性格!」だと言っている女性がいるとしましょう
しかし私は彼女が「ただしイケメンで年収4000万以上に限る」と心の中で考えている事を知ってしまいます
これは男性も同じです
いくら紳士に振る舞っていても心の中では下郎だったりするのです

そんな私は今家族を探しています
犬のポチが家出してしまいました
ペット達も皆私の子供同然の存在です
普段はあまり家から出ませんが、思わず飛び出してしまいました

ペット達を皆集めてポチを探させていますが、なかなか見つかりません
誰か助けて…そう思った時、遠くに見覚えのある夫婦が歩いていました
八雲紫とその夫の◯◯さんです
八雲紫は妖怪の賢者、彼女の力できっとポチは見つかる
そう思って私は走りました

その時、私はある事を考えてしまいました
「この二人は心の中でお互いをどう思っているのだろう?」
人間と妖怪という種族の壁を乗り越えて結ばれた二人は、心の中に一体どんな闇を抱えているのか、私はそれが気になって、そして暴きたいと思ってしまいました
私の悪い癖なのですが、もう止められません
八雲紫は私を避けているという噂もあるので、尚更気になりました
そして、二人の心を覗いてみました
◯◯『紫さん愛してる』
どうやら◯◯さんは本当に彼女を愛しているようです
奇抜な人間ですね
しかし、問題は八雲紫です
彼女の心を暴きたい…私は早速八雲紫の心を覗いてみました
どんな闇を抱えているのか…楽しみで仕方ありません


紫「ああ◯◯愛してる◯◯大好き◯◯愛してる◯◯の手暖かいああ◯◯大好き◯◯愛してるああ◯◯はどうしてそんなに愛しいの◯◯絶対離さないわ◯◯絶対に私が護ってあげるわ◯◯ずっと貴方だけを愛するわずっと私だけを愛してねああ◯◯大好き◯◯愛してる◯◯大好き◯◯愛してるウフフ◯◯は可愛いくてカッコよくて優しくて私だけを愛してくれるなんてステキな旦那様なのああ◯◯愛してる◯◯大好きああ◯◯愛してる◯◯愛してる愛してる愛してる愛してるわ◯◯もっと貴方を想いたいもっと貴方に想ってほしいああ愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる………」


気がつくと、私は自室のベッドに横たわっていました
よくわかりませんが、ポチが帰ってきてくれたのでよかったです



さとりちゃん好きの人ごめんなさい
そしてさとりちゃんのヤンデレだと思った人ごめんなさい
更にスレを汚してごめんなさい


525 : ○○ :2016/10/19(水) 11:44:17 GBkTgW8A
いやいやこれはおもろいですよ
ヤンデレって異常な行動の方が注目されがちやけど根本というか本質はやっぱり『病んだ心』やねん
一見して病んでいることを掴めないという、普通ところが歪んだ心・内面の狂気さを演出してる
この手の手法は大好物です


526 : ○○ :2016/10/19(水) 12:49:37 JBu5TK6k
>>524
ストーリーの展開があるのは、すごくいいけど。愛してる×100のテンプレをいかに自分の個性で表現するかで、伸びしろが変わるんではないでしょうか。ぽんとこのクオリティで書けるなら、良い書き手が来てくれたなと。


527 : ○○ :2016/10/19(水) 21:05:08 vbvaQcog
>>524みたいに第三の幻想少女視点なのもおもしろいですね。

因みに今ろだって生きてるんでしょうか
今書いてるものが前かいた薬売りうどんより長くなりそうなので流石にろだ無しだと不味い気が…


528 : ○○ :2016/10/19(水) 22:14:50 J5IUcfjI
>>527
どんどんここに投下していいんじゃないでしょうか
長くても特に不都合は無い気がします


529 : ○○ :2016/10/19(水) 22:16:22 J5IUcfjI
>>524
GJ!
また作品が出来たら見てみたいです


530 : ○○ :2016/10/19(水) 23:53:05 1dLokZns
メリー「ストーカー始めました」
○○「冷やし中華みたいに言うのやめてもらえますか」


531 : ○○ :2016/10/19(水) 23:59:32 1dLokZns
○○「俺もストーカー始めました」
紫「………」

紫「探しに、きてくれたの……?」

紫「もう、会えないと思ってた……」



紫「覚えてますか、私ストーカーでした」




僕はメリーさん紫様説派です


532 : ○○ :2016/10/20(木) 03:43:23 PoIEX8s.
>>528
今だって一人、長編長いの投稿してるけど、面白いから全然おけだと思うよ。


533 : ○○ :2016/10/20(木) 06:27:32 EUVWlW3U
昨日の>>524がこんなに評価されるとは...
まだ六つ目の作品なのにここまで褒められるなんて感謝感激
皆様ありがとうございます
今後も皆様の作品を参考にさせていただきます!


534 : ○○ :2016/10/20(木) 22:44:57 PW.dO1Hk
>>353
今回の投稿で最後となります。結局一ヶ月かかり、大して良くはなってないんですが。
でも書いてて楽しかったので自己満足ながらも書き続けてみます。自分はキャラが病む過程を好きなこともよくわかりましたし。
途中、ご感想やアドバイスをしてくださった方々に大変感謝です。



小さな工房に鉄と鉄が擦れる音が響く。
とあるご婦人から包丁が刃こぼれしたので研磨して欲しいと仕事が入った。ので現在、刀剣ではなく菜切を研いでいたところだった。

「ふぅ...、いいだろう。終わりにしよう。」

鍛冶屋も今は庶民の味方だ。ああ、いや、そんな大それたもんじゃないが、刀鍛冶という重苦しい名を捨て、刃物を専門に扱い、銭を取らないで食料と交換で経営している。そりゃ金は欲しい。だからこれは一種の宣伝だ。
こうして少しでも善良な店ということを知らせ、客足を増やすことにした。
だがこれは俺が考えたものではない。提案したのは...。

「お疲れ様です。昼食、できましたよ。」

「そうか、頂くとしよう。」

「今日は大根をもらったので貴方の好きな煮つけを作りました。」

「ほぉ、旨そうだ。頂きます。」

「はい、召し上がれ。...あなた。」

――俺の妻だ。


535 : ○○ :2016/10/20(木) 22:49:15 PW.dO1Hk
あの出来事からもう1年が経過した。今でも昨日のことのように思い出せる。
当時は何にも思っていなかったが、今では可愛い愛しの妻だ。
いや、ほんとあの時の出来事はちょっとした笑い話だな。笑えないけど。


________
__________
____________



「...答えて、いただけないんですね......。」

......。

「あなたは...私の...光なんです。そんなあなたにまで突き放されたら...わたし...。」

「...!?まて!!」

その脇差はさっきの...!

「止めなさい!妖夢!!」

妖夢は身に着けていた脇差を鞘から抜刀し、ぎらりと光る刃を見せつけた。思わず幽々子さんと俺は止めに入ろうとするが、刀を振り回し、こちらを寄せ付かせない。

「止めるのはそっちです!!せめて、せめて最後は○○さんとひとつになりたいんです...。」

――〇〇さん…本当に、あなたをお慕いしていました…。

彼女はぽろぽろと涙を流しながら、かたかたと震える手で脇差を自身の腹に突きつける。
そうだ、半分は霊体だが、もう半分は人間なんだ。腹に刺せば苦痛を伴ってじわりじわりと死んでいく。誰だって死ぬのは恐い。それは妖夢だって例外じゃない。
ならまだ話をする余地はある!

「待てって言ってるだろ!話を聞け!いいか、俺はまだおまえに答えていない。」

「....っだ...だって○○さんすごく困ってるじゃないですか!こ...困るってことは...わ...わたしのことなんて...何とも思ってなかったってことじゃないんですか!!」

「それはお前が返答を急かすからだ。さらにはこんなことまでして...。」

「じゃ...じゃあどうなんですか!!わたしのこと...いつまでも子ども扱いして...!ひ、ひとりの女としてみてくれてましたか!?」

「っぐ!?いや、みてなかった...。」

「ほら!!だからこうやって強引に祝言を迫ったのに...!こうすれば女としてみてくれると思って...。あなたは...!貴方は唯一私を認めてくれた人だから...!
もっと......もっとわたしを知ってほしかった!!褒めてほしかった!!愛して欲しかった!!」

...それがお前の気持ちなんだな。
あまりにとんとんと話が進むから、お前の本心が見えてこなかったんだ。
だが、そうか...。いま、わかったよ。

「...今からでも間に合うか?」

「...え?」

「そうだよ、俺はお前をよく知らない。でもそれはお前だって俺の全てを知ってるわけじゃないだろ?
お互いをよく知るためにも夫婦になるのは...悪くない。だから...だからその〜...。う?ん...。」

――すー。
口から思いっきり息を吸い込む。肺に空気が限界まで溜まり、苦しいぐらい膨れ上がる。
...いいか、よく聞いとけよ。

「妖夢!俺の妻になってくれ!!」

ありったけの思いを込めて気持ちを告げる。そのあまりの声の大きさに幽々子さんは驚いて耳を塞いでいた。俺自身もまさかこんなに声が出るとは思わなかった。
部屋中に響き渡り、また静寂が訪れる。

「...えっ?あ、あの...ほんと......ですか...?う...嘘じゃない、ですよね?」

「は。ならもっかい言うか?今度は、屋敷中に響くぐらいの大きさで。」

「お願いします!!」

「うるさいからやめて」

妖夢は嬉々として俺にもう一度告白をねだるが、うるさいからと幽々子さんが間に割り入って止めた。


536 : ○○ :2016/10/20(木) 22:52:29 PW.dO1Hk
_________
__________
____________



「ご馳走様でした。今日も美味かったよ、妖夢。」

結局、俺は妖夢を娶ることにした。
まだお互いを完全に理解し合っている訳ではないが、そこは少しづつ、時間をかけて共に歩もうと思う。
とはいえ、妖夢は少しでも早く良き妻になりたいと日々鍛錬している。
例えば、妻は俺の好みの料理、味付けを覚え、さらには健康管理まで気を配っている。剣術以外できないと思っていたが、それは俺の見立てが甘かったようだ。
元々屋敷に仕えていたこともあり、料理、洗濯、掃除、おつかいと、家事全般ができるうえ、覚えの早さも並ではない。
本人曰く、
『愛する夫の為なら妖夢は何でも出来るんです。』

だそうで。
以前、俺を外に誘った際も、事前に周辺の妖怪を斬りまくって近ずくと殺すと脅していたらしい。だから散歩をしようと言い出したわけだ。
そしてもう一つ、分かったことがある。

「お粗末様です。...あの、あなた?この後はお仕事無いのでしょう?でしたらもうお布団に入って共に...」

「昼間っから何言ってんだ。そんなことより依頼人のとこに行ってくる。」

「そ、そんな!何しに行くんですか!!私以外の女なんかに行かないでくださいよ!やめてくださいよ!」

「依頼の包丁を届けてくるだけだ!すぐ戻る。」

「嫌です!あなたと離れるなんてぜぇっったいに嫌です!どうしてもというなら私も一緒に行きますっ!」

「ああ、もうそうしてくれ...。そのほうが安心だ。...いろんな意味で...。」

「いろんな?よく分かりませんが行きましょうか。」

「いや、刀は置いていけ...。」

あの時から感じていた妙な感覚はこいつの愛から来ているものだとようやく解った。
愛くるしいといえばそうなのだが、少々重すぎだ。偶に気が滅入ったりすることもある。
だがまぁ、以前より笑うようになった妖夢を見ると全て許す気になってしまう。俺も随分と惚れたものだな。
いずれは老いて死ぬ時が来る。が、そのまえに妖夢と同じ半霊半人になろうかと考えている。
というかきっと先に死ぬことは妖夢が許してくれないだろう。もしくは死ぬときは一緒...なんて。

「妖夢は、死ぬ時も、○○さんといっしょですからね!あ、今からいっしょに入るお墓建てときましょっか!」

......。やっぱり重い...。


537 : ○○ :2016/10/21(金) 04:23:16 6K/8hlwQ
>>536
上手くなりたいなら、書きまくればいいのよ。あと、一文一文にこだわりもつことじゃないかな。


霊夢たんぽんこつ可愛い‼


538 : ○○ :2016/10/21(金) 04:40:57 6K/8hlwQ
>>513
投稿

「〇〇ぅ....」寒かったのか、布団を引き上げようとして、もぞもぞと少名が腹の上で動いた。
俺は上目で窓をみやると、大きな満月の周りを黒いごわごわとした雲が取り囲もうとしていた。

唇の端から垂れた血は、嫉妬か興奮のせいなのか、わからない。ねばついた口内を舌でなぞり、目の前で行われている奇妙な光景に、私は目を離すことが出来なかった。
静かな暗闇のなか、少女が大きな男に股がり、声無くよがっている。一見すると、それらは一体の奇妙な妖に見えた。親子ほども年の差のある男女が、もつれ絡まる様は異様と形容する他なかった。


539 : ○○ :2016/10/21(金) 04:42:16 6K/8hlwQ
>>538
まるで獣じゃないか。

衣擦れの音が微かに鳴る暗闇のなかで、気付かぬ内に自慰に耽っていることを、快感の震えに知られた。彼らの営みは気持ち悪くて、妬ましくて、そして不思議な美しさと艶があった。涙が頬を伝うのを感じながら、膝に立てた爪が刺す傷みで、何とかその場に留まることが出来ていた。

亀亀速度


540 : ○○ :2016/10/21(金) 19:04:19 cXw7Oj6o
>>534
妖夢は思い詰めたような姿が似合いますねぇ…いい…
あと「うるさいからやめて」が ゆゆさまらしくてよかったです
また気が向いたらぜひ何か書いてみてください


541 : ○○ :2016/10/21(金) 22:47:35 OIi6unDs
>>536
GJ!良いお話でした!
>>539
私は一体誰なのか…


542 : ○○ :2016/10/22(土) 07:15:44 ULqCnxDY
ノブレス・オブリージュに囚われて(96)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=86

妖夢って剣術の技量はともかくとして、精神的な部分は半人前っぽいから
浮ついたり迷走したり暴走する姿が本当にかわいい
何となくだけど、妖夢は客観視と言うのが苦手そう……いや、ヤンデレ娘全員がそうかも


543 : ○○ :2016/10/22(土) 15:13:33 07B1Aeqw
○○「レンタルビデオのカードを作りたいんですが」
パルスィ「ではこちらの用紙に記入をお願いします」
○○「名前と…生年月日…性別…郵便番号に住所…」カキカキ
パルスィ「<●><●>」
○○「電話番号…っと。ケータイの番号も書いといた方がいいですか?」
パルスィ「差し支えなければ」
○○「 携 帯 電 話 番 号 っと」カキカキ
パルスィ「<◎><◎>」
○○「これ今日から使えますか」
パルスィ「使えますよ、ただ2週間の内は他店舗では利用できませんのでお気をつけください」
○○「はーい」









ピローン

橋姫さん
電話番号で友達追加されました


544 : ○○ :2016/10/22(土) 16:53:01 9W5L4JTA
>>543
きっと店以外でも◯◯の事見つめてますね…
◯◯が通う他の店にも務めているかもしれない
やっぱりカワイイヤンデレはいいすね!

初心に帰って藍姉さんで書きます

◯◯「ん?何だこのノート?…藍姉さんの名前が書いてあるな」
ペラペラ…
◯◯「××年、××月××日…ついこの前か」
「今朝、◯◯がお弁当を忘れて外出したため、それを届けに行った
『ありがとう』そう言って笑う◯◯の笑顔は、なんて癒やされるのだろう
◯◯を紫様が拾ってから数十年…◯◯はもう私の家族なのだと、私はそう実感した」
◯◯「…なんか、照れるな…続きも読んでみるか」
ペラペラ…
「××月○×日 人里から帰る途中、◯◯を見かけた
…他の女と一緒に歩いていた
何故だ?ありえない…」
◯◯「…ん?」
「××月△△日 この前◯◯と歩いていた女と出会った
私は聞いた「お前は◯◯の何なんだ?」
女は言った「ただの友人ですよ」
ふふふ、よかった 私は大事な弟の友人を消し炭にするところだった」
◯◯「え…?」
「××月×◯日 ああ◯◯ 私はいつまでこの想いを秘めておかなければならないのだろう このままでは、私は君にとってただの姉 そんなのありえない そんなの許さない」
◯◯「…字がどんどん汚くなってる…姉さんに何が…?」
ペラペラ
◯◯「…××月●●日…?これって、今日の日付じゃないか」
「私は今日、ついに行動する事にした
君を夫にするために 私を君の妻にするために
◯◯時●●分◯◯秒、君がこのノートを読んでいる時…私は…」

藍「キ ミ ヲ ダ キ シ メ ル」



これが歴史上稀に見る駄作になったのは私の責任だ だが私は謝らない
オチとか意味不明になってしまったとも思うがそれも私の責任だ だが私は…

ごめんなさい; ;


545 : ○○ :2016/10/23(日) 11:37:54 HTOo1zyA
映姫「被告○○を私のもとで終身刑とする!」
○○「冤罪だぁ!!やってない!俺はやってない!やってないんだぁ!!確かにちょっと幼く感じたけど二十歳だって言ってたんだぁ!!ハメられたんだぁ!!」
文「ハメハメしたのはお前の方やろ!いい加減にしろ!」
映姫「ニヤリ」


○○「||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||だしてぐれぇ!!やってないんだぁ!!」
映姫「あなたは終身刑ですからね、ウフフ…可哀相ですが罪を犯したのですから罰は仕方ありませんね」
映姫「でも大丈夫。あなたの面倒はこの四季映姫がみてあげますよ、その檻から出してあげることはできませんがあなたが望むならなんだってしてあげますからね…」
映姫「ずっとずぅっとここで暮らすんです。ウフフ…」
○○「そ、そんなぁ…」ガクッ


数ヶ月後


○○「今日のご飯なにー?」
映姫「今日は○○の大好きな炒飯ですよ」
○○「やったぜ」

映姫「お買い物行ってくるけど何か欲しいものある?」
○○「PSVR、オイモチップスとコーラ」
映姫「ぶいあー…あぁ最近話題のバーチャルボーイみたいなのですね。いいですよ良いコにして待っててくださいね。オイモチップスはコンソメキックでコーラはゼロじゃないやつですね」
○○「はーい」ニヤリ


546 : ○○ :2016/10/23(日) 18:43:41 YeyYc2sA
自由さえ犠牲にすれば、これ程までに便利な存在はいないな。シモの世話も含めて

共依存になりそう…


547 : ○○ :2016/10/23(日) 23:57:39 NS8BNzxk
>>542
鍵となる当代はどうなるのか…
>>543
その手があったか!
>>544
いきなり知らない人から、「お前は○○の恋人か!」なんて言われた
かも知れない女の人。これが命拾いか。
>>545
権力の乱用って、良いよね。特に真面目な人程いい

次より投下します


548 : ○○ :2016/10/23(日) 23:57:49 kNKQexL.
菫子「…先輩、なんで私みたいなのと友だちでいてくれるの」

んー?なんでそんなこと聞く?

菫子「だって…」

「…根暗だし…」

「性格…悪いし…」

「変な倶楽部立ち上げたり…」

「みんなのこといつも見下して…」

「…超能力使って、言えないようなことも、たくさん、やった…」

「ムネも…ナイシ…かわいくもないし…」

「その癖、先輩の彼女気取りで…」

「自分でも嫌になるくらい私気持ち悪い」

「でも、やめられないの。自分じゃ、ぐっと気持ちが膨れ上がると、嫌われるかもしれないって思っても、とめられない」

「いつか先輩にも嫌われるかもしれないって」

「ブクブク、膨れて押しつぶされそうなの」

「どんな、超能力使っても、抑えきれない」

「先輩いつか、きっと私のこと嫌いになる…」

『いつか』ってあれだけのことやっといてまだ嫌われてないつもりでおんのかこのコ

菫子「」

ウサミン氏ぃ
確かにウサミン氏の嫌いなトコあげたらきりが無いな
でも、それと同じ分好きなとこもあるんだよ

菫子「っ…」

いつかウサミン氏の口から俺の『嫌いなトコ』聞けたらいいな
『好きになる』ってそういうことなんじゃないのかな

菫子「…………」


確かにウサミン氏の言う『いつか』はくるかも
でも、そのいつかは今じゃない

【あぁ…この人を好きで良かった】

【身勝手で、我が儘で、自己中心的で、無神経な私の心に、染みこんでいく】

【『いつか』、もっと、もっともっと好きになれる】






【だから先輩の『嫌いなトコ』たくさんたくさんたくさんたくさん探さないと…】


549 : ○○ :2016/10/24(月) 00:11:05 hBvjePgE
>>547より続き

 永琳女史の診察カルテ6 記憶喪失について

 その日やって来た患者は村に住んでいる男性一人と連れの女性であった。これだけならば
普段永琳が診察している十把一絡げのクランケと変わらないのであるが、女性の方が彼に
抱えられているのは他の患者と違う点であった。それも若い男女が時折結婚式場でする
ような-俗に言うお姫様だっこではなく、まるで赤ん坊を抱くように二十代の男性の方が、
恋人に相応の年齢である女性を抱きかかえ、引っ切り無しにあやしている様子はさながら
披露宴の後で開かれる二次会で(ややもすれば悪趣味な)出し物として披露される、お遊びの
ような印象すら受けるものであった。

 永琳は病状を確かめるために男性の方に話しかける。女性の方は喃語を喋ってばかりで
話が出来そうにないし、第一彼女の事は良く知っている。

『今日は霧雨さんのことでお見えになられましたか。』
「ええ、彼女のことなんですけれども、実は記憶喪失になってしまっていて。」

『記憶喪失ですか。』
「ええ、その記憶喪失でして、ショックのあまり自分が赤ん坊と思っているようで、この
ような様子に。」

 患者は、退行を起こしていると言いたいのであろう。一先ずショックの原因を伺って
みることとする。

『ショックとは一体どういった物ですか?』
「実は、以前魔理沙とは付き合っていたんですけれど…。」

『交際されていたが…?』
「二週間程前に別れようって言ったら、ショックだったみたいで、こう、なってしまって。」

『二週間程ずっとこのままなんですか?』
「ええ、といっても僕が世話をしたのは十日程ですが。」


550 : ○○ :2016/10/24(月) 00:11:48 hBvjePgE
『他の人が世話をされていたのですか?』
「僕の家に魔理沙の友人とか言う人が魔理沙を連れてきまして。それで僕は初めて知りまし
て。ほ、本当です!まさか、こんな事になるなんて、思ってもいませんでした!」

 男性のこの慌てように、永琳は何か急激な変化を感じた。もう少し男性から状況を探る
事とする。

『何か彼女が思い詰めることがあったのですか?』
「いえ、とんでもない!そ、そんな濡れ衣です!あんな女が言った事なんて嘘っぱちです!」

椅子から立ち上がって永琳に詰め寄る男性を、優曇華が制止して椅子に座らせる。

『落ち着いて下さい。何があったのかゆっくりと話してみて下さい。』
「魔理沙には普通に別れようって言っただけなんです。それをあの女、「魔理沙がこうな
ったのは貴方の所為よ」って… 違うんです、単に重くて合わなくなっただけなんです。」

男性が混乱しているようであるので、治療のために原因の魔理沙と引き離すこととする。優
曇華に男性を処置室に連れて行かせて、永琳自身が魔理沙の診察を行なうこととする。

1、栄養状態は良好、口腔内及び身体の異常は見られず、清潔な状態であった。
2、過去1年間の幻想郷での写真を視認させた際に、前頭野の血流の増加を認めた。
3、過去を年単位でさかのぼっていくと、それに反比例する様に前頭野の血流量は減少した。
4、体内での魔力の活発な循環を確認。



手際よく検査を終えた永琳は、天井をぼんやりと眺めている魔理沙に声を掛けた。

『魔理沙、いい加減起きなさい。』
「…。」

反応を示さない魔理沙に尚も話し掛ける。


551 : ○○ :2016/10/24(月) 00:13:46 hBvjePgE
『栄養状態も万全、歯も磨いている、おまけに魔力も活発に動いていたら、丸わかりよ。』
「…。」

『彼に入って来て貰って、てゐに貴方をひんむいてもらって診察させましょうか。』
「分かった分かった、降参だぜ。」


 苦笑いしながら起きた魔理沙に、呆れたと言わんばかりの視線を向ける。

「しかし、バレないようにしたんだけどな。あいつに歯を磨かせてたんだけど、全然気づいて
いなかったし。」
『それなら、もっと不潔にしておきなさい。』

「それは勘弁だぜ。」
『あと彼に随分、暗示を掛けていたじゃないの。かなりの情緒不安定よ。』

「時折お腹に手を当てて見せつけていたのが、効きすぎたみたいだ。」
『はいはい、それじゃいつ退院するの。』

「折角あいつを縛り付けれたんだから、入院で離ればなれにするのはないんじゃないか。
まあ、二、三ヶ月居候したら徐々に戻していくぜ。」
『随分都合が良いのね。』
「褒め言葉として受け取っておくぜ。」

以上になります。


552 : ○○ :2016/10/24(月) 00:16:09 hBvjePgE
>>548
先輩のキャラの味が良いです。ヤンデレと合わさって引き立つような
感じがします


553 : ○○ :2016/10/24(月) 04:35:50 9efX5jjA
また投稿

彼が起き上がり、彼女をくみしこうとした瞬間に、視線が私の目を射ぬいた。途端、熱く蒸気した眼差しが霧散したかのように表情のない冷たさへと変わった。その冷たさは、この千年生きてきた中で最も私の心をひび割れさせた。

「ねえちゃん、優しいんだな」

森の中で、出会って

「また、案内してくれよ。予約しといたぜ」

また会おうって言ってくれたじゃない

「綺麗だよ、あんたは」

そんなこと言うのあんただけだった。

「またな」「またね」

どうしてそんな目、こっちに向けるのよ。

みんなとおんなじ目だ

びちゃびちゃと、強い雨の音がした。その場にいることが悔しくて、彼のそばにいるのが自分じゃないのが悔しかった。惨めな気持ちのままに私は彼の家を出た。坂の麓に広がる町並みは、沼ように黒々として、ちらほらとひかる灯りは雨でぼやけ、虚ろげな姿を
挺していた。


554 : ○○ :2016/10/24(月) 12:37:44 Kv5cUPNc
>>553
心情がにじむ作品でした
連作なのかしらん?
前回の文章の参照があるとありがたいです。


555 : ○○ :2016/10/24(月) 14:17:13 9efX5jjA
>>539
これの続きとなってます。
すいません‼貼り忘れてました!


556 : ○○ :2016/10/25(火) 19:01:23 2b8xA98Q
>>553
こういう情景を私も書いてみたいものですねぇ…


○○「給料日キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

○○「今日は風z…飲み屋街にいくぞー!!」

チンピラ妖怪「へっへっへっへっお兄さん給料日なんだってー?」
○○「!」
ヤンキー妖怪「俺たちに恵んでくれよぉフヒヒ」
○○「テメーらに恵んでやる金なんかねぇ!欲しけりゃぶちのめしてから奪うんだな!」シュッシュッ
チンピラ妖怪「おいおい妖怪相手にやる気だぜぇ?」
ヤンキー妖怪「ッゾコラー!」

ドガッバキッポカンポカポカデュクシデュクシゲシッボカッヌルポガッ

○○「今日のところはこれぐらいで勘弁してやるよ」ボロボロ
チンピラ妖怪「ボコボコにされてんのになんでこんな強気なんだよ」
ヤンキー妖怪「ほら早く財布よこしな…ん?」

ギュン!!

霊夢「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」ヤンキー妖怪
霊夢「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」チンピラ妖怪

ヤンキー妖怪「ほげぇ」バタッ
チンピラ妖怪「くそっ!博麗の巫女か!巫女が恐くて妖怪がやってられるか!オラァッ!」

( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パパーン
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パパパーン
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) ハパパパ゚ーン

チンピラ妖怪「かんべんじでぐだざい」
霊夢「(`Д´)」

○○「ありがとう霊夢さん」
霊夢「(*´∀`)」
○○「お礼がしたいんだけど…」
霊夢「(ヾノ・∀・`)」
○○「えー、うん…じゃあ、ほら今度ご飯奢らせてよ、ね?」
霊夢「(∩´∀`∩)」
○○「そう、うん。ありがとう、じゃあまた連絡するね」
霊夢「ヾ(。・ω・。)ノ」










ヤンキー妖怪「へ、へへ。あ、あれで良かったですか?」
霊夢「上出来よ、演技うまいじゃない」
チンピラ妖怪「こ、これでこの間の悪事は約束とおり見逃して貰えるんですよね!?」
霊夢「ええ、私まだ約束破ったことないし信じてくれていいわよ。でも勘違いしないでね、あの一件だけだからね」
ヤンキー妖怪「アザーッス!ウスッ!ウイウイッ!」
チンピラ妖怪「じゃ、じゃ俺たちはこれで!へ、へへへ、あのおにいさんとうまくいくことを願ってますよ!へ、へへ…」
霊夢「あ、それと」
ヤンキー妖怪「ヒッ!?な、なんでしょう!?」
霊夢「今回のこと漏らしたら…わかってるわね?」
チンピラ妖怪「はっはいっ!誰にも言いません!!」
霊夢「そう、そうよ。うん、ウフ、ウフフ…」


557 : ○○ :2016/10/26(水) 20:02:55 aaXRnbN6
弁々「最近あの人から目にかけられてるみたいだけど調子に乗らないでね」

弁々「勘違いしないように言ってあげとくわ。あの人の一番は私、あなたとは浮気なの。本命はこの私九十九弁々」

弁々「結構浮気性だけどどうせ結局は私のところに戻ってくるの」

弁々「今は見逃してあげる、でももしあなたが一線を越えるようなことがあったら…」

弁々「文々。新聞の一面を飾れるように手配してあげるわ、勿論グッドニュースじゃなくバッドニュースの方だけどね…!」

弁々「わかったわねこの泥棒ネコ!!」
VR「…………」



八橋「弁々はすぐ新しい道具に嫉妬するほい…災難だったね」

八橋「あれさえなければうまくいくと思うのになぁ」

八橋「ところでさぁ、VRちゃん。あの人がなんのゲームで遊んでたのか教えてくれない?」

八橋「え?なんでかって?」

八橋「……」

八橋「教えてくれたらサァ…うまいこと言って弁々から守ってあげるよ…?」

八橋「あんな風にはなりたくないでしょ……?」

ルンバ「……」グシャッ……

八橋「だからサァ…私たちの仲間にならない?」

八橋「……『たち』って?ウフフ…うん…」

八橋「『みんな』であの人のことシェアするの、いいアイデアだと思わない?」

八橋「色々教えてあげられるよ?例えばぁ好きな歌手とか」

冷蔵庫「好きな食べ物とか」
パソコン「どんなサイト見たとか」
車「どこに行ったとか」
テレビ「どんな番組が好きとか」
DVDデッキ「好きな映画とか」
スマートフォン「アドレス帳の女の数とか」
カメラ「色んな写真共有しちゃう」
布団「どんなにおいがするとか…」
家「どんな風に育ったとか…ね?」

VR「…」

八橋「……そう、ウフフ。これから友だちだね、ウフフ、ウフフフフ……」


八橋「 よ ろ し く ね 」




家にいると誰かの視線を感じます………


558 : ○○ :2016/10/26(水) 20:05:03 D7iynUFk
>>557

このシリーズ好き


559 : ○○ :2016/10/26(水) 20:10:48 0wuOjcY.
小傘ちゃんに愛されたら、折りたたみ傘とか真っ先にぶち折りに来るんだろうな


560 : ○○ :2016/10/26(水) 21:11:23 ONgV/9oc
東方学園 廊下
男子生徒1「なぁ知ってるか?◯◯のヤツ、xxちゃんに告白されたらしいぜ?」
男子生徒2「ああ知ってる知ってる あいつ、何だかかんだ言ってもあの八雲藍さんの弟だしな やっぱりモテるんだろ」

藍「なん…だと…?」

八雲邸 ◯◯の部屋
藍「…告白をされたんだって?」
◯◯「えっ?ああ、まあ…」
藍「…誰にだ」
◯◯「同じクラスのxxさんだが…」
藍「…お前はどう答えたんだ」
◯◯「考えさせてくれ…って、何でいちいちそんなの姉さんに教える必要があるんだよ」
藍「…『そんなの』?『そんなの』だと…?君は自分が何を言っているのかわかっているのか…!?」
◯◯「はぁ…」
藍「…何故すぐ断らなかった」
◯◯「…は?」
藍「何故断らなかったと聞いている」
◯◯「すぐに断るなんてできるわけないだろ…」
藍「…私は過去に何人かの男共に告白された事があった…でも、全て断ってきた!何故だかわかるか!?」
◯◯「わかんねえよ…」
藍「君と交わしたあの日の約束を果たすためだ!何故わかってくれない!?」
◯◯「約束って…あれはまだ俺達が子供の頃の話だろうに…」
藍「そんなの関係ない!……」
◯◯「……」
藍「…取り乱してすまなかったな… それに、まだ君はソイツに『はい』と答えたわけじゃない 少しだけ迷っているだけなんだろう?」
◯◯「ああ…」
藍「そうだよな… ごめんよ?怖かっただろう 大きな声なんて出したりして…」
◯◯「……」
藍「よしよし、大丈夫だからな… ずっとお姉ちゃんが一緒にいてやるからな…」
◯◯「……」

藍「ずっとずっと…永遠に」

八雲邸 紫の部屋
藍「…というわけです 母上」
紫「そうね… なら、『ソイツ』を消さなくてはならないわね」
藍「…はい」
紫「…それにしても、私の娘の幸せを邪魔するだなんて…奇抜な女もいたものね?」
藍「……」
紫「もう、そんな切羽詰まった顔しないの 折角の美人さんなお顔が台無しよ?」
藍「…はい」
紫「うん!いつもの藍に戻ったわね …『約束の日』まで後少し… 頑張りなさい?」
藍「ありがとうございます…母上」
紫「『大人になったらお姉ちゃんと結婚する』… ◯◯ちゃんから約束したのだから、ちゃんと守らせないとね そのためには私も協力を惜しまないわ」
藍「では早速…」
紫「ええ、じゃあ"作業"を始めましょうか」

東方学園 ◯◯のいる教室 休み時間
◯◯「…なあ、xxって名前に聞き覚えはないか?」
男子生徒A「はぁ?誰だそれ 知り合いか?」
◯◯「いや…今朝から何かその名前が頭から離れなくてな…」
男子生徒B「もしかして、それ運命の相手の名前じゃねえの?」
◯◯「バカ言うな それよりもうすぐ授業始まるぞ」


藍「…………チッ」



先程仮眠を取っていたら何故か頭に浮かんだネタ
意味不明で支離滅裂の上に説明不足だと思うけど許してください
でも家族間ヤンデレって良くない?


561 : ○○ :2016/10/26(水) 22:12:18 pHtjvf5M
>>556
笑わせてもらいました
>>560
家族間ヤンデレは何故かバットエンドのかほりが漂う
それも含めて好物なんですけれど


562 : ○○ :2016/10/27(木) 01:42:07 6e2/aVbM
>>556
がっつり表裏ある女の子いいよね


563 : ○○ :2016/10/27(木) 16:06:08 SGxq0eEo
>>560
弟を愛しすぎる藍お姉ちゃんもいいけど、娘の幸せのためなら誰かを消してしまえる紫ママも狂ってて好き…
でも◯◯の記憶からは完全に消せなかったのか…
個人的にはハッピーエンドになってほしいけどバッドエンドも見てみたい
とにかく家族間ヤンデレもっと見たい


564 : ○○ :2016/10/29(土) 04:19:26 irAx3GZg
何か俺が書くのって、ヤンデレよりかは重い恋って感じがするなあ。病ませるのを本気で書くと疲れるからかな。多分みんなが一度はかかる病が発症してるわ


565 : ○○ :2016/10/29(土) 08:08:38 kgrVxVU.
それはヤンデレなのでは?


566 : ○○ :2016/10/29(土) 08:59:08 0Jg0PnZo
あーわかる、多分それ拙者も発病してる
拙者の中では
「重い愛」≒「ヤンデレ」なんだけど
「重い愛」≠「ヤンデレ」でもあるんだよね

愛が重いってだけでヤンデレ化されがちだけど違うんだよね俺の中では
「愛が重い」と「愛が病気」、なんかその辺に一本ラインがある。うまくは説明できないけど全く別の物だけれど近い物ではある感じ

おれも自分のに「これヤンデレじゃないんじゃね?」って「愛が重い」のを書きたいんじゃね?ってなるそこから
「ヤンデレとはいったい…」って面倒くさい領域に片足突っ込んじゃう

なんというか、俺は「根は普通の女の子が価値観を拗らせた」ってぐらいが好きなんだ
それと「悲哀の物語」も



俺がまじめ回書こうとするとまず「愛が重たいまだ普通の女の子」が自然と出来上がっちゃってそれをヤンデレにしようとすると意識しないと作れないというか
書きたいシチュエーションに応じたパーツを引っ張り出して女の子にくっつけるみたいになっちゃう
だから読み直した時「ちょっと無理矢理だなぁ、もっと自然にやませられないかなぁ」って思うこともしばしばあってなかなか完成させられない

んで気分転換で書こうとしたギャグ回の方が筆がノリノリで進んでしまう
ギャグ回はほんと脊髄で書いてるし普段の「自分の中でのヤンデレ大原則」みたいなのも完成に別物に変わるからほんと書きやすい
イチャスレ民だった頃からギャグ回ばっかり書いてたからかな

構想浮かんで書き始めたまじめ回もまだ最初の方しか書いてなくてもう三カ月くらい放置しちゃってるわ…10月中には完成させるはずだったのに「ヤッベ月末はハロウィンじゃねーか!ハロウィン関連でなんかかけないか!?」みたいな思考に陥って…


567 : ○○ :2016/10/29(土) 10:52:02 dNW5ff1s
わかる…超わかる…
◯◯視点でかいてるならまだ病んでる行動とデレたときの可愛さが両方表現できそうなんだけど
女の子視点だと「これヤンデレ…ヤン…デレ?」みたいになってなに書いてるのかわからなくなるときある
長いと尚更…
とにかく客観的に見てヤンデレになってるのか不安


568 : ○○ :2016/10/29(土) 11:31:00 hxYDHTCs
ヤンデレって難しいよね…
非常によくわかります…
悲哀なのも良いが俺はヤンデレハッピーエンドが好きだから余計に面倒
幻想少女に一途でそして重い愛をぶつけられたいという欲望を書き綴るんだけどそれがこのスレに相応しい物なのかわからなくなる
辛い


569 : ○○ :2016/10/29(土) 12:44:38 wLAsbhiA
皆さん結構考えてはるな…と。
自分は皆さんの作品を見ていて、特段「ヤンデレじゃねーじゃん!これ」と思ったことがないから、
少なくとも今までの作品なら、ヤンデレと名乗って良いと思うの
です。 重い愛と病んだ愛の差というのは確かにあるのですが、
幻想少女は全てを受け入れるような…


570 : ○○ :2016/10/29(土) 16:15:23 hVaVIqK.
難しい話はわかりませんが自分は皆さんの作品をどれも楽しく読ませて貰っていますし作品からヤンデレを感じていますよ

それはさておきハロウィンということでそれらしい絵を一枚
永琳はorなんていいません全部手に入れます
あ、あとハロウィン絵もう一枚くらい描こうと思うんだけどキャラで悩んでるんで気が向いたら挙げてほしいな
ttp://i.imgur.com/ZEF5vMi.jpg


571 : ○○ :2016/10/29(土) 16:34:25 hxYDHTCs
>>570
可愛い…
ゆかりんお願いしてよろしいでしょうか?
ああ藍様も良いな…レミリアちゃんも欲しい…


572 : ○○ :2016/10/29(土) 20:21:53 uIekdtUs
>>570

ひじりんなんてどうでしょう


573 : ○○ :2016/10/29(土) 20:46:00 wLAsbhiA
>>570
お菓子をくれなきゃイタズラするぞ
→良いものを寄越せ!ついでに何かするぜ!

どこぞの白黒のように、死ぬまで借りて行くんでしょうか


574 : ○○ :2016/10/29(土) 22:44:16 nfKdY18k
認めてもらえるヤンデレなわかりませんが妄想書きます(ちょいグロ注意)
藍「(早く◯◯に会いたい…!)」スタスタ
藍「…ん?何か聞こえるぞ…」
野良女妖怪1「おい、あの八雲とかいう妖怪の賢者には『式神』ってのがいるらしいぜ」
野良女妖怪2「人間に化けて里に行く九尾の狐だってヤツだろ?噂には聞いてる」
野良女妖怪1「九尾ねぇ… まあ、どうせ男でも騙して遊んでんだろうな」
野良女妖怪2「傾国の美女…里の男共の中にはそんな風に言ってるヤツもいるらしいな 九尾の狐にそんなヤツがいたって話もあるからな」
野良女妖怪1「かぁーっ!羨ましいねぇ
流石賢者の式か 男遊びも毎日してんだろうなぁ…」
藍「……………っ」

藍「貴様ら そこで何をしている…?」
野良女妖怪1「…あ"?…って、こいつ!?九尾!?」
野良女妖怪2「噂をすれば何とやらか…!」
藍「…下賤な者共め…答えろ、そこで何をしていた!?」
野良女妖怪1「た、ただの世間話ですよー あは、あはははは」
藍「…誰かを侮辱するのが世間話か?」
野良女妖怪1「ギクッ」
野良女妖怪2「と、というわけで私らはここで… !?」
藍「…誰が帰っていいと言った…?私を貶しておいて…ただで帰れると…?」
野良女妖怪1「な、なんだこの妖気…!?か、身体が動かねぇ…」
野良女妖怪2「…ああ…ああ…」
藍「…この私が男を騙しているだと?この私が…男遊びをしているだと…?ふざけるなァッ!!!」
野良女妖怪2「ひいっ…!」
藍「…冥土の土産に教えてやろう… 私はな、生まれてから一度も男に身体を触れさせた事はなかった いつか来る運命の人のためにだ…!」
藍「そしてやっと…◯◯という運命の天使が私の前に降り立ったのだ!それなのに…私が他の男と遊ぶだと…?」
野良女妖怪1「そ、そりゃただの噂…」
藍「黙れッ!貴様らはどうせ私から◯◯を奪おうという魂胆なのだろう!?そうはいかない…!◯◯に相応しいのは私だけだ…!貴様らのような下衆に…私と◯◯の愛は汚させん!!!」
野良女妖怪2「うぐはっ!?」
野良女妖怪1「お、おい!?ひでぇ…心臓が…!」
藍「まずはそこの下衆を消した…次は貴様だ」
野良女妖怪1「やめろ…くるなぁ…!」
藍「貴様らは私を他の雌狐共と同一視し、私の◯◯への愛を踏みにじった… 貴様らは私に男を貪るクズアマというレッテルを貼り…私と◯◯を引き離そうとした…!絶対に許さない…許さない赦さないユルサナイ赦さない許さない赦さないユルサナイ許さないユルサナイ赦さないユルサナイユルサナイユルサナイッ!!!!!!」
野良女妖怪1「いやっ…!死にたくない…!」
藍「この世から往ね!!」
野良女妖怪1「いやっ…!」

紫「…で、こうなったと」
藍「………」
紫「それにしても…随分派手に殺ったわね」
藍「…申し訳ありません…紫様…」
紫「まあ、式としては褒められた事ではないけれど、乙女なら怒って当然の事よ 気にしない方が良いわ」
藍「はい…」
紫「ほら、元気出しなさい?これから愛しの◯◯くんに逢いに行くのでしょう?そんな表情じゃ、彼が心配しちゃうわ」
藍「そうですね… はい、もう大丈夫です!」
紫「うんうん、いつもの藍に戻ったわね さ、そこの「ゴミ」は私に任せて貴女はいってらっしゃい?遅刻しちゃうわよ?」
藍「そ、そうでした…!危うく◯◯を待たせてしまうところでした!それでは紫様、お言葉に甘えていってきます!」
紫「はい、いってらっしゃい♪」

紫「さぁて…そこの「ゴミ」 まだ生きているのかしら?」
死体「………」
紫「生きているわけないわよねぇ 色んなモノがグチャグチャだもの」
紫「でもこれは当然の報いよ?乙女の努力と一途な愛を貶して、しかも身体を売って遊ぶようなゴミクズと同じと言ったのだからね もし私があの娘の立場だったら、こんな優しく殺してあげないわよ?せいぜい藍に感謝するのね」
「それにね…式神は道具とも言えるけれど、私にとっては我が子と同じなのよ 自分の娘の幸せを邪魔するクズを野放しにはしておけないわよね?それが母親という存在でしょう?」
紫「まあ、これ以上ゴミに話してもムダね それじゃさよなら♪」

紫「よし、キレイに消滅したわね 私お掃除の天才かも?うふふ…」
紫「そうだ、橙を連れて藍と◯◯くんのデートを見学しに行っちゃおうかしら 私の運命の人のためにも、デートの知識くらい覚えておかないとね♪」
紫「そういえば、もうすぐ◯◯くんは八雲家に婿入りするのよねー 今から孫の顔が楽しみだわぁ♪ もし…もしも藍以外との経験があったり…藍と結婚しないなんて事になれば…その時はわかってるわよね?◯◯クン…?」


575 : ○○ :2016/10/29(土) 22:45:18 mvpx7dDM
>>570
小傘ちゃんなんて似合うんじゃないでしょうか


576 : ○○ :2016/10/29(土) 22:50:10 nfKdY18k
何というか処女厨を拗らせすぎた藍様と紫様を表現したかった(意味不明)
二人とも「生涯で一人の男性だけを愛し続ける」という信念を正義だと本気で考えており、身体を売って遊ぶような女や野良女妖怪さん達が言っていたような事を聞いたら本気で消しに行きますよ
グロ描写は初めてなのでなかなか難しかったです
なるべく抑えたつもりなのですが…
ともかく長文申し訳ありませんでした
皆様ヤンデレ嫁と良い夜を過ごしてくださいね
おやすみなさい

>>570
「お菓子なんていらないわ 私はが貰いにきたのは貴方の全てよ」
こんな大胆なプロポーズを幽香さんにされたい
愛で染まった真っ暗な眼がたまらんすね!


577 : ○○ :2016/10/30(日) 04:22:20 jVW3srJA
>>574
藍も紫もぶっ飛んでて面白い
その人と出会う前の交際に口出すのはずるいと思ったけど処女厨ってそういうものなんだよねひどい話だ


紫藍レミリア聖小傘…幽香もかな?
1、2キャラ出れば良いと思ってたけど思ったより多くてびっくり
ハロウィンは過ぎると思うけど気長に待っててくださいな


578 : ○○ :2016/10/30(日) 07:34:01 8nu6qurc
>>577
首を二倍の長さに伸ばして待ってます
ハロウィンコスヤンデレちゃんがみたいんだ!
時期なんて関係ねぇ!

>>574
藍様だけかと思ったら紫様も病んでいるだと…!
でもこんな風に想われる◯◯くんは幸せだなぁと思った
強すぎる貞操観念と愛はやはり良いもんだね


579 : ○○ :2016/10/30(日) 16:53:58 O3z6.JF.
ハロウィン永琳を見て浮かんだ妄想書きまーす

突然幻想入りし、竹林に放置されていた人間の赤子がいた。
赤子は瀕死寸前で永遠亭の輝夜と永琳に保護された。
永琳の治療により赤子の身体は回復し、何日か経過してその赤子が身寄りのない子供だと知った輝夜は彼を育てると考えた。
自分を育ててくれた老夫婦と同じ事がしたいという想いだったそうだ。
その赤子は◯◯と名付けられ、輝夜と永琳の家族となった…。

それから十数年後のある夜の事。
永琳「…お願い…飲んで…?」
輝夜「大丈夫よ…?何も怖くないわ…」
◯◯「やめてよ母さん…!離してよ…!まだ僕は蓬莱人になる覚悟は…」
永琳「そんなものいらないわよ…?私達がずっと護ってあげるから…ね…?」
輝夜「そうよ…もうママ達を悲しませないで…?永遠に一緒にいましょう…?」
◯◯「待ってよ…!やめて…!離して…!!」

◯◯「………んぁ…?ここは…」
永琳「おはよう◯◯ 少し魘されていたようだけれど?」
◯◯「……ああ…何か嫌な夢を見た気がする…よくは覚えていないけど…」
永琳「………… はやく顔を洗っていらっしゃい 朝ご飯出来てるわよ?」
◯◯「ふぁーい……」
永琳「………………」

輝夜「…それで…◯◯はどうだったかしら…?」
永琳「…一応記憶は消えてあるみたいだけれど、もしかしたら薬への耐性が生まれているかもしれないわ…」
輝夜「あの子が蓬莱人への道を拒み続けてもう何回目かしらね… もう失敗はできないわ」
永琳「そうね…」
輝夜「ところで…あの薬の方はどうなの?」
永琳「惚れ薬の事かしら?前回の状況を見る限り、効果は薄いようね… だからもう以前のとは比べ物にならない程強い効果の薬を作ったわ」
輝夜「流石、準備が早いわね」
永琳「…けれど、これを服用したら人格に影響をきたすかもしれないわ」
輝夜「…まあいいでしょう 多少壊れても彼が私達の◯◯である事に変わりないもの 何時頃飲ませるのかしら?」
永琳「そういうと思って既にあの子の食事に混ぜておいてあるわ」
輝夜「…流石ね」

続きます


580 : ○○ :2016/10/30(日) 17:22:43 O3z6.JF.
その日の午後。
◯◯「なんだろう…さっきからずっと身体が熱い…」
輝夜「あら◯◯ こんなところでどうしたの?」
◯◯「か、輝夜母さん…!? な、何でもないよ… じゃあ僕行くから…」
輝夜「…?まあいってらっしゃい」
◯◯「………」スタスタ…
輝夜「…うふふ、うふふふふふふ… こんなに効果が早いなんてね… あの子、私を見た時にドキッとしてた…ええ、絶対にドキッとしてたわ… もうすぐよ…もうすぐあなたをママのモノにしてあげるからね…!」

◯◯「…はぁ…はぁ… 輝夜母さんを見た時… 身体が前より何倍も熱くなった気がする… 胸が苦しい…一体なんなんだ…?」

その晩。
◯◯「はぁ…はぁ…輝夜母さん…永琳母さん… 助けて… 僕…身体が変なんだ…」
永琳「うふふ…変な◯◯ね… もっと詳しく言ってみなさい…?」
◯◯「…身体が…熱いんだ…はぁ…はぁ…」
輝夜「どんな風に熱いのかしら…?うふふ…」
◯◯「身体の芯が…とにかく熱いんだ… 母さん達を見ると…もっと熱くなる…はぁ…はぁ…」
輝夜「ならどうしてママ達のところに来たのかな…?」
◯◯「あれ…?なんでだろ…?からだが熱くなっちゃうのに…あれ…?」
永琳「うふふふふ…大丈夫よ◯◯… ママがあなたの病気を治してあげる…」
◯◯「ほ…ほんとに…?」
永琳「えぇ、本当よ…この特製のお薬を飲めば…きっと完治するわ…うふふふふ…」
◯◯「飲む…飲みたい…!」
輝夜「うふふふ…じゃあお口を開けて…?はい、あーん…」
◯◯「あーん…ゴクリ…」
永琳「もう大丈夫…これであなたは救われた…ええ…救われたのよ…うふ、うふふふふふふふ…」
◯◯「…あれ…?前が…見えない…?」
バタッ


そして、あれから200年の時が経過した。
永琳「起きて…私達の愛しい◯◯ちゃん…」
輝夜「ママが寂しくて泣いちゃうわよ…?」
◯◯「…うぅん…まま…おはよう…」
永琳「今日も可愛いお顔ね…うふふ、食べちゃいたいくらい…」
輝夜「あら永琳、美味しく頂くのは夜まで待たなくちゃ…ね?///」
◯◯「まま…しゅき…ぎゅーして…?」
輝夜「もう、仕方ないなぁ… 私もあなたが大好き…ずっとずっと永遠に…」
永琳「私もよ…愛してるわ◯◯ちゃん… もう絶対に逃さないからね…うふ、うふふふふ、うふふふふふふふ…!」


581 : ○○ :2016/10/30(日) 17:24:07 O3z6.JF.
おわりです
擬似的な家族間ヤンデレと言ったところでしょうかね
下手な上に連投長文すみませんでした


582 : ○○ :2016/10/31(月) 06:33:27 SV.82iTY
>>579
>>580
凄くゾクゾクしました
一応ママ達から見ればハッピーエンドだよね?
こういうエンド大好き


583 : ○○ :2016/10/31(月) 13:30:12 VuVo4uxc
ハロウィーンなヤンデレが欲しかったから自給自足したんだ!
でも文章があまり宜しくない!



私に甘いの頂戴な お菓子よりも甘いもの

「とりっくおあとりーとー! お菓子をくれなきゃ驚かせるぞー!」

「お前にお菓子は必要ないだろが」ポカッ

「あたっ!? むー…外の世界のお化けのお祭りらしいから私も乗ってみたんだけどー…」

「そのお祭りで活躍するのはかぼちゃだ。 からかさお化けじゃない」

「むー…私だってお化けなのにー…」

<○○さ〜ん…わっ!!>

「うわっ!? …何ですか××さん」

<確か今日って外の世界でハロウィンだったよね?
 ちょっと勿体無いけどお店で貰った野菜で作ってみたんだ〜>

「あぁそう…びっくりした…」

<あれ? その子は?>

「ああ、妖怪の知り合いだよ。
 からかさお化けの」

<そうなんだ〜じゃあ今日だけ君と一緒だね!>

「…うん、よろしく」

「小傘? さっき叩いたのは謝るから機嫌直して…?」

「…オバケヲアマクミナイデネ」

「小傘?」

「ううん、なんでもないよ〜? とりっくおあとりーと!」

「だから必要ないでしょ…」


584 : ○○ :2016/10/31(月) 13:32:41 VuVo4uxc
私に甘いのくれないならば いたずらしちゃうぞあなたに向けて

<見てみて○○! 一杯お菓子もらえたよ!
 案外やってみるもんだね>

「外の世界の風習なのに幻想郷でも通じるのが凄いね…」

<お家毎に説明して回ったんだ! 来年以降が楽しみだね!>

「その心は?」

<ほら、妖精の子たちやあんまり危なくない妖怪たちなら、
 ハロウィンのときだけ公認でいたずらやり放題だよ!>

「それはお菓子をもらえなかった場合でしょうが…」

<う〜ん…まぁいいや!>

「良かったな小傘、来年以降は驚かし方にも幅が出来そうだぞ…小傘?」

<あれ? いないね>

「まあ、これを機に新しい驚かし方でも思いついたんだろ」

<かもね。 じゃあね○○〜>

「はぁ、呑気だなぁ××さんは…それにしても小傘はどこいったんだ?」


あなたの側にいたお前 お前のせいで貰えなかった

<んふふ〜♪ 今日も○○可愛かったなぁ〜♪
 あんなに驚いちゃってもう…お姉さん超嬉しい!>

今日はお化けの運動会 何があってもお化けのせい

「…ふふふっ」

<ん〜♪>

お化けの潜む住処に 来ちゃったあなたが悪いもの

「ちょっとそこのおねーさん…」

<ん〜? どちらさま〜?>

「とりっくおあとりーと、だよ」ガッ

だから私は悪くない だってこれはいたずらだから


「××さんが…?」

「うん、私見たの! 妖怪に襲われてるおねーさんを!
 やっぱりはろうぃんは危険だよ! 皆に来年やったりしないように知らせないと!」

「でも昨日はお前もノリノリだったじゃないか…」

「それとこれとは話が別! ○○は問題なくても他の人には問題かもしれないでしょ!
 現におねーさんが襲われたんだから!!」

「う〜ん…確かにそれに乗じて危険な妖怪たちが暴れまわったりしたら危険だしなぁ…
 ところで小傘、お前は良く現場を見れたな」

「あちこち飛び回ってたらちょっと見かけちゃって…」

「そうか…でも助けるのは難しかったんだな」

「うん…私がもっと強い妖怪だったらおねーさんは無事だったんだけどね…」

「いや、気負う必要はないさ…仕方ない、仕方ないことなんだ」

「だから○○も気をつけてね? お化けになっちゃやだよ?」

「まあ、そう簡単に死ぬ気はないが…」

「よしっ! じゃあ、○○に今日こそとりっくおあとりーと!
 お菓子くれなきゃいたずらするぞっ!」

今日の闇が深まる頃に あなたのお家に誰か来る

お菓子をくれなきゃいたずらするぞ ただのお菓子じゃ止められないけど


ハロウィンだから誰か来い
私のお家に誰か来い
だけど誘拐は止めてくださいね


585 : ○○ :2016/10/31(月) 13:57:09 iqsHEKs6
ハロウィンコス小傘ちゃんが見たくなったじゃよ
俺も妄想を一つ


「紫お姉ちゃん!トリックオアトリート!」

「はい、これ 弟くんのために作ったチョコレートよ?」

「わーいわーい!食べていい?」

「いいわよ …うふふ…ふふふ…」
 
「パクッ…モグモグ…ゴクリ」

「どう?美味しいかしら?」

「うん!とっても… でも…何か変な感じ…」

「どうしたのかしら…うふふ…」

「なんだか…めのまえが…ぼやけ…」バタッ

「…ハッピーハロウィン…弟くん…」

「……あれ……?ここは……」

「…目が覚めたのね」

「紫お姉ちゃん…?ここはどこ…?」

「スキマの中、かしらね」

「…そうなんだ……あれ?身体が動かないよ…?」

「ごめんね弟くん…キミは今縛られてるの 少しだけ我慢してね…?」

「お姉ちゃん…?何だか怖いよ…何するの…?離してよ…?」

「ごめんね…もう絶対離さないって決めたの あなたと一つになるまでね…」

「何言ってるの…?」

「弟くん…今からお姉ちゃんが君の身体を私と同じ『スキマ妖怪』にしてあげる… そして私の血をキミにあげる… 私同じ血で生きる私の本当の弟くんにしてあげる…!」

「やめてよ…怖いよ…!」

「大丈夫…怖くなんてないよ…?それに本当の姉弟になっても結婚くらいしてあげるわよ…?あなたが人間のままじゃ結婚してもすぐさよならだもの…」

「わからないよ…」

「それにね…?もうすぐ『◯◯は八雲紫が拾って育てた人間の子供』なんて歴史は消えちゃうのよ…?ううん、消しちゃうの…」

「………」

「キミは正真正銘、私と共に誕生した家族になるんだよ…?結婚なんてその後にすればいいじゃない…」 

「………」

「キミが恐れているのは私と結ばれなくなっちゃう事だよね…?そうだよね…?ならそんな心配はいらないよ? 私達が姉弟として結婚しても…きっと皆祝福してくれる 藍も橙も幽々子も…皆ね…」


586 : ○○ :2016/10/31(月) 14:04:44 iqsHEKs6
「何でこんな事するの…?」

「私がキミを愛してるからだよ…?それに『トリックオアトリート』って『お菓子くれたらイタズラしていいよ』って意味なんだよ…?うふふふふ…ふふふふ…」

「そうなんだ…」

「そうなのよ… だから今は安心して私に全てを委ねて?」

「………」

「愛しているわ… 私だけの弟くん… 私だけの旦那様… ちゅっ…」

キミは私の弟くん キミは私の旦那様
歴史は私達のモノになった 私達は幸せな未来を勝ち取った
何も怖くない キミがそばにいてくれるから
最初から私は独りじゃない ずっとキミがいてくれた
これは作り物なんかじゃない これは紛い物なんかじゃない
キミには記憶があるでしょう? 私もキミの記憶があるのだから
誰かが否定しても構わない
これはキミと私が掴んだ真実の歴史…


くそ文章で申し訳ないんじゃよ


587 : ○○ :2016/10/31(月) 16:37:36 IM2qTffc
ハロウィン小話凄く良い…


紫さんはお菓子用意してても無くなってて強制悪戯なんだろうなーって妄想
あと今回の紫さんに若干反映されてるけど太眉のお姉さんって凄く良いと思いません?
ttp://i.imgur.com/kKyDRDq.jpg


588 : ○○ :2016/10/31(月) 16:41:15 NNNXmlgc
良いと思います!
>>587の美しい紫様がこんな服装で>>585>>586のように弟くんに重すぎる愛に溢れた悪戯をする妄想してしまった
ナイスコンビネーション!


589 : ○○ :2016/10/31(月) 17:37:04 YYKz51Gc
ハロコスゆかりんの後ろのスキマにはスキマ妖怪になった◯◯くんが眠っているとか…


590 : ○○ :2016/11/01(火) 19:32:25 nQisyWUc
永琳&輝夜ママも小傘ちゃんも紫お姉ちゃんもいい…
とってもいい…!


591 : ○○ :2016/11/02(水) 02:00:42 StsJmyHE
>>587
太眉とは良いものだエロさが跳ね上がる
こんな感じの絵があと5枚は投下されると思うとテンションが有頂天ですわ


592 : ○○ :2016/11/02(水) 08:50:20 kiWQb79U
某ときめくゲームの4をやって思いついたネタ

腹減ったな…購買部で何か買うか
「あっ◯◯!一緒にお昼食べましょう?」
やあさとり姉さん
「ちゃんとあなたの分のお弁当もつくってあるの どう?」
うん じゃあ一緒に食べよう
「そうこなくっちゃね♪ じゃあ屋上に行きましょ?」

屋上
「はい、これ◯◯のお弁当ね」
おっ、美味そう!
「あなたの好物ばかりになっちゃった♪」
ホントだ!いただきます!モグモグ…
「…どう?美味しい?」
うん!美味しいよ!流石は姉さん!
「ふふ、それは良かった」
毎回思うんだけどさ 姉さんは絶対良いお嫁さんになるよ
「えっ?」
姉さんと結婚する人はこんな料理がずっと食えるんだろ?幸せだよなぁ
「え…」
もし結婚する時が来たら俺も式に呼んでくれよ?家族を代表してスピーチするからさ
「…………」
姉さん?
「……もういい…」
え?
「もういい… 私…バカみたい…」
ちょっと姉さん?
「もういい! 私なんて所詮…」
ちょっと姉さん!…行っちゃった…

自宅
「…………」
姉さん…?
「………………」
その…今日はすまん…何か俺変な事言っちゃったみたいで…
「…何であなたが謝るの…?悪いのは私…全部私が悪いの…」
姉さん…
「…ごめん…もう私は寝るね…」
お、おやすみ…

家族間ヤンデレはやはり悲しいルートになるなあ


593 : ○○ :2016/11/02(水) 12:41:12 i5kgJetU
すまん>>587の絵を見ようとしたら宇宙船にのったタヌキ(アライグマ?)みたいなのがでてきてエラー文かなんかんになるんだが誰かわかる方おりませぬか?
ちなみにスマホから見てる


594 : ○○ :2016/11/02(水) 13:22:13 kiWQb79U
俺もつい先日同じ事になったが次の日はそんな表示は無くなっていたよ
2chmateからなら見れるんじゃないかな?
力になれなくて申し訳ないね


595 : ○○ :2016/11/02(水) 17:36:17 i5kgJetU
>>594
なった!アリャッス!ウスッ!

最初マミゾウさんかと思ったわ


596 : ○○ :2016/11/02(水) 18:07:05 EyYTx/hU
>>592
家族間だと「普通」なら絶対に結ばれないからな…
まあその「普通」をブチ壊し抜けるのがヤンデレ幻想少女なんだけどね
このさとりちゃんだと夜中に「どうしてお姉ちゃんを悲しませるの!?間違っちゃっただけなんだよね!?セニョール!!」とか言ってこいしちゃんが鉄パイプ持って追いかけてきそう


597 : ○○ :2016/11/03(木) 07:00:33 f0pJI4q6
さとりお姉ちゃんに「これがお姉さん!?幼くね?w」とか言ったらまたこいしちゃんが来るよ

ちょっとほのぼのなヤンデレ(予定)

幽香「あなたの全ては私のモノよ!」
◯◯「うん知ってる」
幽香「そ、そう なら良いわ 死んでも開放してあげないから」
◯◯「俺もそれが望みさ」
幽香「……/// もう一度言うわよ あなたの全ては私のモノよ 誰にも渡さないからね」
◯◯「そういえばさ 俺達の子供はどうなるの?」
幽香「こ、子供…!?///// そ、そんな…いきなり子供だなんて…///」
◯◯「幽香だけのモノ?」
幽香「……子供は私とあなたのモノよ…///」
◯◯(可愛い………!)


598 : ○○ :2016/11/03(木) 14:59:07 ljbcr0tI
>>597
きれぼし脳帰れ!
…と言いたいけれど幽香ちゃんが可愛いので許します
子供でお顔真っ赤とかちょっとムッツリな幽香ちゃん
旦那様を絶対に離してはいけませんよ


599 : ○○ :2016/11/03(木) 23:35:06 Gy5P5K6A
新ジャンル:玉兎○○


吹き抜ける風にも寒さの香りが漂い始めた秋の頃。
少し前までは青々と茂っていた竹林も緑から銀杏のような褪せた黄色に変わり始めている。
上着を出すか出すまいか、道行く者どもからそんな声が聞こえてきそうである。

夜も更け、竹葉の擦れる音だけが寂しく響く中、この私、鈴仙・優曇華院・イナバは竹林の奥深くで天を見上げ座り込んでいた。

「――現在時刻、子の刻二分前…月位相、上弦。天候確認…よし」

誰もいないその場所で独り言をつぶやく。これは確認をする時の昔からの癖なのだ。

「方位よし、直上遮蔽物なし、感度調整はじめ」

自慢の耳を月に向けてピンと立てる。数だけは多い玉兎ではあるが、この長い耳を持つ者は
その母数に対してそれほど多くは居ない。このタイプの耳は、所謂ロップイヤー型の耳を
持つ者に比べ、遠距離の繊細な念波通信を非常に得意としている。そのためか玉兎の中でも
特殊任務を負っているものが多い。その反面繊細であり、ストレスによる受信感度変化の振れ幅も大きくなってしまう。
故に通信時は必ず感度調整を行う規定になっていた。
地上に堕ちた今では規定を気にする必要はないが、私の耳もストレスの影響を受けやすいため念波通信時の感度調整は必ず行っている。
こうして思うのは「厳格な手順が存在する理由を考えよ」ということだ。無用なプロトコルは息を吐く間に淘汰されるし、
ソレを守ることによって何らかのメリットが存在するならば面倒な手順はしぶとく続いてゆく。そして私はこの面倒な手順を素早く正確にこなす。

「調整終わり。子の刻まで…25…24…23…22…21…」

今回の感度調整はいつものより時間がかかっている。2分前に感度調整を始めたとして、毎回最低1分のマージンは残しているはずなのに。
きっと最近の仕事のストレスだろうと、今集中すべきこの瞬間にも適当ではないことに思考を割いてしまう。
昔に比べて随分と俗世に染まったものだなと思う反面、余計なことを考えている余裕ができたのだと思うと、
うれしいような少し寂しいような、はたまた懐かしいような不思議な気分になる。

「――8…7…6…5…」

そうしている間に目的の時間が目の前に迫ってくる。無意識のうちに体に力が入り、胃のあたりが締め付けられるような緊張感に支配される。
この感覚は私の士官としての初配属の時から全く慣れない。あと数秒、…2…1…

『――発 ○○。 宛 第一管区情報部。定時報告はじめ――』

定刻丁度、寸分の狂いもなく通信が始まった。通信念波帯域からして、イーグルラヴィと情報部間の直通回線だろう。
私はというと、その声を聞いた瞬間全身に鳥肌が立ち、鼓動が早くなっている。
原因はその通信内容でもなければ通信先の情報部でもない。

「ぁっ…○○っ…あはぁっ…...ぁ」

原因は発信者そのもの、つまり○○である。
私は肩を抱きながら間の抜けた顔で、時折口元を這い落ちる液体をすすりながら通信を聞いていた。
もちろん、本来ならば私が聞いてよい内容ではなく、この超高性能な耳を使って
傍受しているのだけなのだ。偶然ではなく、必然。狙った時刻、狙った周波数、誰が話すのか。
そんなことを知るのは私にとって造作もないことである。あぁ、頭と耳のいいことに感謝。
だが私の真の目的はこの通信を聞くことではない。重要なのは通信後、情報部宛の回線を閉じた後の30秒間である。

この30秒のために、私は定期的に通信を傍受しているのだった。

――――


600 : ○○ :2016/11/03(木) 23:36:12 Gy5P5K6A
>>599

事の始まりは、少なくとも半世紀以上も前のことである。
当時、私は月の兎――すなわち玉兎として月の都にいた。
元々は月に居た兎たちがなぜ今のように嫦娥様や豊姫様達をはじめとする頂点に従うようになったかはわからないが、私が現役だった時代からすでにその役割は多岐に渡っていた。
嫦娥様の罪科を償うためにただひたすらに餅をつく仕事、宮中警備、兵隊として訓練をしたり、しなかったり、雑用諸々。
そんな中で私は玉兎兵として訓練を受けていた。

『――各員、装備点検を行い装管部に返却のこと!いいか!時間内にだぞ!私の話を聞いていないものはご飯抜き!いいな!わかったな!以上だ!解散!』

訓練の後、教官が大声でまくし立てるが、まともに聞いているものなどはひとりもいないであろう。だが、普通の玉兎なんてそんなものである。
声の主が去ってから堰を切ったかのように話し声が聞こえる。
専らの話題は訓練がきついだとか今晩の夕食についてだとかそういった他愛もないことばかりの平和なもの、言い換えれば退屈な話題である。
呑気なものだなと思ったところで何か違和感を感じた。なぜ今自分がこの状況を「呑気だ」と思ったのだろうか。
毎日変わらずに過ごすことの何がいけないのだろうか。いやまてよ、そもそも前提が――

『――』

と、そこまで進んだところで私の思考は切断された。やいのやいのと騒ぐ声に紛れて聞きなれた声が私を呼んだのだ。
私は耳がいい。だから自分を呼ぶ声など造作もなく聞き分けられる。
声の主、○○も私と同じ玉兎であり、訓練時のバディであった。付き合いもかなり長い。

「○○ー!こっちこっち!」

私は相棒の姿を視界に捉えると、腕を大きく振って自身の場所を示した。○○もそれに気付いたのか、こちらへ小走りで駆けてきた。
私の名前もまだ‘レイセン’ではなく、与えられた管理番号の他に玉兎同士で好き勝手にあだ名をつけて呼び合っていた。
‘○○’というのも、そのあだ名としていつからか呼ばれていたものだ。
しかしかつて仲間達が、○○が当時私を何と呼んでいたのか、今となっては思い出すことが出来ない。

『いやぁ、相変わらず耳がいいねぇほんとに。羨ましいよ、あっはっは』
「それはそれはどうも。で、どうしたの?また何かいい情報でも仕入れてきた?」
『おっ、話が早いねぇ。そうそうその通り。いい情報と悪い情報が一つずつあるんだけどさ』
『どっちから聞く?』

○○は決まって二種類の情報を仕入れてくる。いい情報と、悪い情報の二つだ。

「それじゃあ、先ずは良い方で」
『いい方ね、はい。ええと、今晩の食後の一品はあのクリーミーな‘桃餡饅頭’だって!』
「よし来た私の好物!」
『でも先週の掛けに勝ったので全部もらいまーす!にっひっひっひ♪』
「やぁん!」

私達はその情報が外れるか、当たるかで夕食の一品を掛けているのだが、勝率は芳しくない。
毎度毎度どこから仕入れてくるのか知らないが、その情報の確度は時間の経過とともに信ぴょう性が増してゆくことが多い。
だがそれは二つのうち一つの情報であって、大体どちらか一つは外れていた。

「うう…じゃあ悪い方は?」

たとえ桃餡饅頭が出ても、その数少ない好物を奪われることが確定した私はがっくりと肩を落としたまま残った情報を聞くことにした。
私にとっては桃餡饅頭を失う以上の悪い知らせはないだろうと思う。○○は周囲をきょろきょろと見渡して他の玉兎や‘耳のいい兎’が居ないことを確認すると私の耳元で小さくささやいた。
○○の耳打ちはその息遣いのせいで背筋がぞわぞわする。でもちょっとだけ興奮す――

『明日の戦闘教練、依姫様と豊姫様が視察に来るかもしれないんだけど…』
「――は?」


601 : ○○ :2016/11/03(木) 23:37:50 Gy5P5K6A
>>600

変なスイッチが入りかけた私のささやかな妄想を一撃をもって粉砕した。
朝一番に聞いたら眠気と一緒に心臓も吹き飛ぶだろう。

「ちょ、ちょっと○○っ!?あぁ…ついに制限区に足を踏み入れたのね?!しかも機密情報にまで手を出して…情報部にこれがばれたら冗談抜きで耳が飛ぶ―――」
『ふぅっ』
「ぴゃあっ!」

私は情けない声を発すと、そのままへたり込んでしまった。
まくし立てる私の耳に○○が息を吹きかけたのだ。
私は耳が良い。言い換えれば敏感でデリケートだ。故に今みたいなことをされると非常にびっくりする。でもちょっと興奮した。

『はい、はい、落ち着こうね。うん。冷静さは大事だよ。こんどからレイセイってよんであげよっか、ね?』
「……ふぁい」

暫く放心したのち、じゅるっ、と口から流れかけた液体をすすると、○○に向き直ってどういう事なのか聞き直した。曰く、宮中警備のお偉いさんが何人か訓練施設の周辺を調べていたのを見たとのこと。
訓練中に発見するとは凄まじい観察眼である。だが‘いつも通り’ならばその情報の真偽は今晩の桃餡饅頭の有無によって判明するだろう。私は現実味のない話を早々に忘れ、夕食の場に向かおうとした。

『まっ、まって、ちょっと!ねぇ!』
「なに?もしかして…まだよだれ残ってる?」
『何意味の分からないことを言って…ってそうじゃないっ!』
『まだ装備点検おわってないんだけど…』
「え?私はとっくにおわってるけど?」

○○と話す間に、私はさりげなく装備点検を終えていたのだ。

『はっ?いや、まって、ねぇ!時間がね!無いの!』
「そうだね、早く終わらせないと夕食抜かれちゃうね」
『…手伝ってください』
「無報酬じゃぁ気が乗らないなぁ…」
『もっ…桃餡饅頭1/4でどう…?』
「すくないなぁ…元々私のなんだから3/4はもらわないと」
『わかった、わかった、あの掛けは今回なしにっ!だからすぐ手伝って!』
「よろしい」

だらだらと会話をしているうちにも返却期限の時間は迫ってくる。とうとう○○が折れる形で交渉は成立し、私と○○は仲良く桃餡饅頭にありつくことができたのである。
自動的に‘悪い情報’のほうが忘れ去られることとなった。

その翌日のことである。

――

「……」

私はチアノーゼでも起こしたかのような顔で訓練所の応接室の前に立っていた。
胃のあたりが締め付けられるような緊張感に支配される。
きっと初陣を飾る新任士官たちはこんな気持ちになるのだろうなと考えていると、中から入室を促す声が聞こえてくる。

「――しっ、失礼します!」

まるで出来損ないのオートマタのようなぎこちない動きで部屋に入ると、月の民ならば誰もが知っている有名人がそこにいた。

そう、○○の言っていた‘悪い知らせ’の方も当たってしまったのである。
今日の訓練の最中に依姫様と豊姫様が建物の上から見ていたことを解散前の点呼で教官から知らされた。
それだけならば別に何とも思わなかったはずだが、よりにもよってこの私を直々に呼び出したのだ。
今こうして月の為政者を眼前に、私の意識はその二人ではなく自分自身に向けられていた。
訓練中何か粗相をしてしまったのではないか、はたまたいわれのない罪に問われてしまったのか。あぁ、どうか桃餡饅頭が最後の晩餐になりませんように。


602 : ○○ :2016/11/03(木) 23:39:06 Gy5P5K6A
>>601

『―――というわけで、貴女には来週から私たちの身辺警護を担当してもらいます。極めて重要な任務ゆえ心して臨みなさい』
「…はい?」

正直に言うとまったく聞いていなかった。突然告げられた栄転の通知に、思わず気の抜けたような声が出てしまう。
対する依姫様と豊姫様はそれぞれ全く表情を変えずにこちらを見ている。その視線によって今さら‘なぜ’とも聞けず、私の顔色は青を通り越して白になりつつあった。

『あぁ、ほら、そんな言い方するから気負って真っ青になっちゃったじゃない』
『大丈夫よ?お世話係とかペットとかそんな感じのものだからもっと気楽にしなさいな』

つまり、これからこの二人のそばで過ごすことになるのだ。
それを認識した瞬間、私の緊張は許容範囲を超えて意識をシャットダウンさせた。
薄れゆく意識の中で、これが夢であることを願わずにはいられなかった。

――

数時間後に目を覚ました私であったが、真っ先に視界に入ったのは天井でも○○でもなく、私に緊張を強いた張本人たちであった。現実は非常である。とてもつらい。
観念した私は、先ほどの話を緊張のし過ぎで聞き逃したことと、なぜ自分が選ばれたのかを聞くことにした。
いろいろと判断材料はあったようだが、まとめると‘戦闘のキレが良かったから’らしい。
それに加え、色々と応用が利く私の能力も決め手として一役買ったとかなんとか。

散々つらいだの何だのとは言ったが、結局辞退することはなかった。
いつの頃だったか、私は今までずっと続いてきた何も変わらない生活に疑問を感じ始めていたのだ。
毎日ひたすら同じことの繰り返し。違いといえば、ソレが餅つきか訓練か雑用かくらいのものである。
変化を忌避し、何も変わらず、すべてが完璧に管理された完璧な世界。ソレが月の都の本質なのだろう。
だからこそ私はその退屈から抜け出そうとし、差し出された手を取った。


もちろん言われたことを鵜呑みにしたわけではなく、上の思惑に振り回されて打ち捨てられないためにも自分なりにその背景を考察してはみた。
月の為政者たちが、その秩序に対して真っ向から疑念という銃を向け変化という弾丸を装填した‘有能な不穏分子’である私を直接の監視下に置こうとしたのか。
一枚岩ではない内部の情勢を憂慮して優秀な腹心を欲したのか。あるいはその両方か。

だが、依姫様と豊姫様の――月の為政者たちの周りで過ごすうちに、現実で進行中の事態は
私の想像よりもはるかに複雑で深刻なものだということが徐々に明らかとなっていった。今まで‘賤しき地上の民’と蔑んでいた者たちが脅威になりかねない状況だという。
地上の民が量子の重ね合わせの状態に気付いたことや、幾度となく血みどろの戦いを繰り返し、その中で科学と技術を目まぐるしいスピードで発達させていること。
ここ百年の間の凄まじい発展、数十年後以内に月に侵攻する可能性があること等々。

最も知りたくなかった情報は、私を世話係としたのは玉兎による潜入工作を目的とした部隊を作るための第一歩だったということだ。
それも直々に言われ、‘期待している’と念まで押されてしまったのだからたまらない。
普段の警護や世話の傍ら、情報部がもたらすデータをまとめて‘主人’に報告する日々が続いていたのだが、良いニュースよりも悪いニュースの方が多いのだ。
そんなものばかり見ていては当然気が滅入ってしまうし、最悪の事態を想定することが日常でも癖になってしまう。
つまりはどんどんネガティブ思考へと落ち込んでしまうのだ。

ベッドの中で一人頭を抱え、眠りに落ちるまで見えない何かにおびえて過ごす毎日。
配属転換からおおよそ半年経過したころには目の下の隈が消えなくなっていた。

つまるところ私は‘レイセン’という名を拝命し、変化にあふれた世界に身を投じることとなった代償として、今までの平穏と安寧を全て失うことになったのである。


603 : ○○ :2016/11/03(木) 23:40:26 Gy5P5K6A
>>602

大変なのは最初だけ、慣れればどうってことはない。確かに私もそう思っていた時期があった。
実際、私の周りにいる他の玉兎たちは今や悠々とことをこなしている。だが、私の引いたカードは唯一無二の例外、月の頂点である。
何をするのか知らされるのは当日。全て自分の頭で考え、相手にとって最善の行動をとらねばならないのだ。
一挙一動を正確に、無駄なくそつなくこなすために常に脳を全力運転する。確固たる信念も殊勝な考えもなかった私にとって、ソレは負担以外の何者でもない。
今日もお世話という任務を終えて自室に戻ると、真っ先にベッドへ倒れこむ。

「はぁ……どうしてこんなことに……」

今こうして思うのは長らく会っていない○○のことだ。
長らくといえども、たかが半年のことである。変わらぬ毎日を長く生きてきた私達にとっては大した時間ではないはずだった。
人間の感覚で例えるならば、‘さっき会った’‘昨日会った’その程度である。
だが今の私は、自分以外のすべてが昨日と異なるような変化の最中に身を置いている。流れの中にわたし一人が取り残されてしまったようにも感じる。
それゆえ‘変わらないもの’にすがろうとしたのかもしれない。○○は今頃何をしているだろうか、元気でやっているだろうか。

○○に会いたい、話したい、嗚呼――

そうこう考えているうちに、私の意識は限界を迎えて泥沼に沈んでいった。

――

翌朝、いつも通り依姫様からの事務連絡を聞いていたのだが、その内容を寝起きの脳が理解した瞬間、眠気と一緒に心臓も吹き飛びかけた。
なんと、今日から依姫様が直接訓練の指導をするというのだ。
曰く、玉兎兵の訓練を視察した後で直々に指導することを決心したとかなんとか。
あのへろへろな動きをする玉兎たちを見れば無理もないだろう。それでも真面目に訓練に臨むとは思えないのだが。
だが私の心臓が吹き飛びかけたのは依姫様が訓練を直接指導するからではない。
そう、これから訓練のある日は○○に会えるのだ。

「寝癖は…なし、服にしわは…ないね、よしっ」

いつも以上に身だしなみの確認を入念に行った私は逸る心を抑えながら訓練所への歩みを進めていた。
だが、いざ訓練所についてみいるとそこに○○の姿はなかった。
訓練中でさえその姿を確認することができない。
そんなはずはない、ありえない、と自分の耳を澄まし目を凝らしていたが、ものの数分で希望が絶たれてしまった。○○の姿は確かに存在しなかったのだ。
こうなってしまえば私にできることはただ一つ。いつもの自分に戻って頭を垂れて呼吸をすることだけしかな――


604 : ○○ :2016/11/03(木) 23:41:37 Gy5P5K6A
>>603

『――』

びくんっ、と体を跳ね上げてあたりを見回す。
今、たった今確かに○○の声が聞こえたのだ。だが訓練中の玉兎たちの姿には○○の姿はない。
幻聴かと一瞬だけ疑ったが、私の耳は幻聴を聞くような粗末な耳ではない。
ならば○○は確かにこの近くにいるはず。私は依姫様が指導に夢中になっている間に、と踵を返した…...まさにその瞬間。

『ここさ』
「うわぁっ」
『やぁ――!久しぶり!元気だった?!……っと、今はもう‘レイセン’だったね、ごめんごめん』

目の前には焦れた○○の姿が確かにそこにあった。私は思わず声を上げて一歩退いてしまう。

「なっ…あっ…○○…○○!」

驚きと共に停止していた脳が再び回転をはじめ、私は何とかその名前を口にすることができた。それと共になぜ○○が今ここに、私の背後にいるのか、訓練はどうしたのか。
聞きたいことは山ほどあったが、私から聞かずとも○○が自ら答えてくれた。

『いやさぁ、半年前…レイセンが‘レイセン’になってからさ、いつも以上に訓練に身が入らなくてねぇ』
「あぁ、サボっちゃったわけね。今こうしているみたいに」
『むっふっふっふ…兎の話は最後まできくものだよ、レイセン君』

○○は昔読んだ小説に出てくる胡散臭い紳士のような口調で、私の知らない空白の半年を語り始めた。
曰く、私が転属したことをきっかけに自身について色々と考えた結果、情報部へ転属願いを出すことにしたらしい。
現在はめでたく希望通りに配属―――とはいかず、今も情報部から与えられた課題をこなしているという。

「どおりで背後に立たれても気配を感じなかったわけね」
『いや、べつにそういう訓練とかは受けてないし、特別いつもと違うようなことをした覚えはないよ?』
「えっ…?」

いつの間にか○○は特殊な能力にでも目覚めたのかと思ったけれど、それも違うらしい。
瞬間、○○の表情が少し険しいものになる。

『あのさ…レイセン。率直に言うけどさ、だいぶ無理してるんじゃない?』
「そ、そんなことは…」
『そんなことはあるよ。まず目の下のクマ。次いで私の気配に気づかなかったこと。声にハリがないこと。』
『会話のキレは…こっちは問題ないね。あとはそう…前みたいに早とちりせずに落ち着いてること…それから…』

○○は容赦なく今の私の様子を形容していった。的確に、無駄なく完璧に。
その間37秒。まるで無駄のない言葉を、私は子守歌のように聞いていた。

『…レイセン?』
「…あっ、いやごめん!ちゃんときいてたよ?!ねてないよ!?」
『…そっか、うん。…それならよし!』

一瞬、ほんの一瞬だけ言葉に詰まったが、私の顔を見るや否や少しだけ安心したような表情になった。

『レイセンの顔もみたことだし、そろそろもどることにするよ』
「あっ…うん。○○も頑張ってね。応援してるから」
『ありがと、レイセン。それじゃあね』

軽く別れの挨拶をすると、○○は踵を返して、そして半分だけ振り返って言った。

『そっちの顔の方が断然いいよ』

それだけ言うと○○は薄暗い廊下へと歩みを進め、やがて見えなくなった。

――


605 : ○○ :2016/11/03(木) 23:43:50 Gy5P5K6A
>>604

今日もお世話という名の任務を終え、自室に戻った。
だがいつものようにベッドにダイブすることはなく、脇にそっと腰掛けて○○の言った言葉の意味について考えていた。
‘そっちの顔’とはいったい何のことなのか
私は○○の言葉を反芻する。顔?全くわけがわからない。

気分を変えようと窓近づくと外には名も知らぬ星々が太陽の光を反射して輝いていた。
こうして星を見ていると、何だか昔のことを思い出す。こうして、○○と一緒に消灯時間を無視して星を見ていたっけ。
で、翌日の起床時間には目の下に仲良くクマを作っていたなぁ。
ふと、窓ガラスに焦点が合う。映った私の顔は、半年前に戻っていた。

そこでようやく理解した。○○の表情が少し安心したようになった理由がこれだったのだ。
私はこの半年間ずっとずっと身も心もすり減らして全力疾走してきた。
そんな中で○○に会って、話しをして。今の私の顔は半年前に戻っている。
○○は私をちゃんとみてくれていた。半年前の私も、今の私も全部。
それを認識した瞬間、私の中で大きなものが渦巻き始める、そんな気がした。

――

あの日、おおよそ半年ぶりに○○に会って以来、毎日自室のベッドで○○の名を呼ぶようになった。
周囲の何もかもが激流のように変わりゆく中で、○○の存在こそが唯一私を癒す薬なのだ。

「○○…○○…あぁ…○○」

呪文のようにその名を唱えるだけで、あの時の会話を反芻するだけで幸福感に満たされる。それだけで私の心に潤いが戻る。
あの日を境に、私の中の○○という存在は私を支える柱になっていったのかもしれない。
だが○○そのものに会うことはおろか、その声を聞くことですら叶わなかった。
私は月の頂点の‘お世話’を行い、○○は○○の進む道をゆく。
二人の進路が交叉することは極端に少なく、まるで何かが私と○○を合わせないようにしているかのように思えてならない。
例えるならば、織姫と彦星のような関係。はじめのうちは○○の名を呼ぶだけで満足できた。
身体がしびれるような恍惚感と、天女の羽衣に包まれているかのような安心感を感じることができたのに。

いやしくも私は、すぐにそれだけでは満足できなくなっていった。
○○のことを考えるたび、思慕は強くなって私の心と耳にのしかかる。
でもどうしようもなく○○に会いたい、お話したい、声を聞きたい、ああでも巡り合えない。
どうしよう、どうしよう。○○、○○……。
思い悩む私の耳は、丸めて部屋の隅に投げたブラウスのようにしわしわでくしゃくしゃになってしまっていた。

こうなってしまえばあとは早い。
私の脳の余剰スペースは常に‘どうすれば○○に会えるか’に割かれる事になったのである。
ここで○○のことだけを考えて‘お世話’をおろそかにしたりしないあたりは流石私といったところだろう。
仕事は素早く完璧にこなす、そして空いた時間は全て○○に会うための手法の検討へと割かれる。冷静に、牛歩だが確実に。
ありとあらゆる可能性を列挙し、実現可能かどうかを一つ一つ検討してゆくのだ。

幸い、私の周りには月のありとあらゆる情報が流れている。耳に入れることも許されないような情報もあるが、それ以外の、
私が触れられる情報の中にも有益なものがたくさんあった。だからこそ、さほど時間をかけずに網を引くことができたのだ。


606 : ○○ :2016/11/03(木) 23:46:48 Gy5P5K6A
>>605

「――特務部隊編成に関する要綱……」

目を付けたのは、私が今ここにいる理由の一つである「対地上特殊任務に就く玉兎の選抜」だった。
通称イーグルラヴィ計画。ここ数十年で急激に懸念が高まりつつある地上からの脅威に対応すべく、
時間や場所を問わず潜入・工作などの任務を行える玉兎部隊を編成するのが目的である……と、依姫様が言っていた。
その任務の特性上、戦闘、情報収集など幅広い素養と、+αで飛びぬけた技能が要求される事だろう。
その点、○○の普段からの情報分析力はうってつけのはずだ。
そして○○が私同様に採用されれば、私と○○はまた一緒にいられる。そうなれば毎日毎日○○の声が聞ける。お話しできる。ずっとずっとずっとずっと一緒にいられる。
依姫様によると、近いうちに詳細を伏せた状態で募集と選抜試験を行うという。

この上ないチャンスを得た私は、早速○○を焚き付けることにした。
だがここで一つの問題が発生する。○○がどこで何をしているのかが分からないのだ。
だからこそ私はこんな風になってしまっているわけで。本末転倒もいいところだ。
しかし、この問題を解決するための手段を私が持ち合わせていることに、今になってようやく気が付いた。
‘耳’である。
自慢の長く感度のいい耳をもって○○を探し出すのだ。
なぜ今まで気が付かなかったのだろうかと頭を抱えそうになったが、きっとストレスのせいで思考能力が低下していたのだろうということで片をつけ、準備に取り掛かることにした。

なるべく開けた高い場所へ移動し、耳を伸ばして目をつむり、意識を集中させる。都程度の範囲ならば感度調整の必要はないだろう。数分かけて準備を終えると、脳をフル回転させて○○の声を探る。

「○○、ああ、どこにいるの?○○、○○、○○――」

嗚呼もどかしい。はやく声を聞きたい。
うわ言のようにその名を呟きながら、あまねく宇宙の中から針と糸を見つけ出すような作業に没頭した。

どれくらい時間がたったのかわからないが、しばらくして○○の声らしき音を捉える事が出来た。
何か鼻歌のようなものを歌っているようだ。同じ場所からは、トン、トン、トン、とリズミカルに机をたたくような音が聞こえてくる。だがノイズが多く、うまく聞き取れない。

「もっと…そう、この角度…集中して…集中…」

ここからさらに音を拾うことができるのが私の才能だ。

「…ンッフフフアハァッ!入った…入ったァ!アッハハァッ…!」

数秒後、はっきりと○○の声を捉えた。いや、声だけじゃない。
衣服の擦れる音や細かな息遣い、リップサウンドまで全部、全て、○○の起こす音全てを私の耳が拾い、増幅して脳へ送られる。
荒くなる息を抑え、本来の目的が何であったのかを忘れまいとするが、暖簾に腕押し、糠に釘。まったくの無駄である。久しぶりに聞く○○の声だ。高ぶらないはずがないのだ。
結局、その日は震えながら自分の肩を抱いていただけで終わった。


607 : ○○ :2016/11/03(木) 23:48:42 Gy5P5K6A
>>606

翌日以降、さすがに反省した私は今度こそはと計画を練ることにした。
○○を上手く焚き付けるためには、○○の現状を、情報部に異動した○○の現状を全て把握しなくてはならない。ついでに私生活も。いや、断じてやましい考えがあってのことではない。
現状の不満、隠された抑圧はプライベートに現れるからだ。

「そう、だからこれは盗聴とかではなくて、れっきとした調査であって、私が知らない○○の声が聴けてうれしいなんてことは全くない…わけでもないけど、いや、これは調査であって…」

連日、ひとりで間抜けな問答を行う傍らで、○○に関する‘情報収集’はこれでもかというくらいしっかり行った。
それによると、現在○○は当初の希望通り情報部配属となったが、いざ入ってみるとその仕事は書類仕事ばかり。理想と現実とのギャップを感じているらしい。
それもそのはずである。情報部は月の内側を向いた組織であって、外からの情報は‘傍受’
する程度なのである。故に○○に回ってくる仕事といえば月内部に関する書類の整理しかない。

それだけ分かれば十分だった。
あとは‘一応収集しておいた’○○の生活パターンに基づいて邂逅場所を予測し、偶然を装って会えばいい。私にとっては造作もないことである。
そうして計画は流れるように進んでいった。

「○○―!」
『んぉ?…おぉー!レイセン!久しぶり!』
「すごく久しぶりだねぇ○○、うんうん、いつ以来だっけ?」
『レイセンが死にそうな顔してた時以来だから…もうすぐ2か月くらい?』

暦上では間違いなく二か月なのだが、私にとっては二か月どころの話ではなく、既に数年は経過しているように思えてならなかった。それだけ焦れていたのだろう。
‘調査のために’○○の声を聞いていた時も、はじめのうちは電流が流れるような幸福感を味わうことができたのだが、これもすぐに満足できなくなってしまった。
そうして今目の前には○○がいる。今は平静を装っているが、実際のところ全身の震えを抑えるのと、口元から溢れそうになる液体を飲み込むので精一杯だ。

「まだ二か月しかたってなかったのね」
『そうだよーまだ二か月。どう?最近の調子の方は』
「相も変わらず。おかげで私の耳はしわくちゃよ」
『つまりは』
「今日○○にあえて良かったわ」

流石に口には出さなかったが、仕事のストレスよりも○○に会えないストレスの方が圧倒的に大きかった。
目の下のクマは濃くなる一方であり、耳はへしわしわへにょへにょ、目はいつも通り真っ赤。
こんな状態でも○○に会える日は調子が良くなる。

『あっはは!そっかそっか、それは良かった。実を言うと私もレイセンと一緒だよ』

レイセンと一緒、レイセンと一緒?私と○○は一緒。
○○の口から発せられた何気ない言葉を認識した瞬間、頭の中だけが完全に停止した。
○○の前で醜態を晒すわけにはいかないという理性によって脳内のブレーカーが作動した
結果、なんとか思考が止まる程度で済んだのだろう。
リラックスしきった状態で面と向かってあんなことを言われてしまったら、顔面の筋肉を制御できなくなる。
そうなるのは今晩のお布団の中までお預けだ。

『…レイセン?どうかした?』
「へぁ…ぁあ!ごめんごめん、今耳が変なノイズ拾っちゃって」
『耳が良すぎるっていうのも考えものだねぇ』
「あはは……。で、なんだっけ…あ、そうそう、わたしと○○が一緒ってどういうこと?」
『毎日頭を抱えて生きてるってことさ』
「希望通りの情報部配属って聞いたんだけど…結構大変なんだ」
『いやいや、悲しいことにその逆だよ』


608 : ○○ :2016/11/03(木) 23:52:43 Gy5P5K6A
>>607

なんとかその場を誤魔化した私は○○を舞台に引きずり上げるべく、会話の誘導を始めた。
○○曰く、配属転換の申し出を行って現在は希望した情報部に配属されていること。
その仕事は書類仕事ばかり、いつもいつも‘これは自分じゃなくても、誰でもできるんじゃないか’という考えが頭を離れないこと。
栄転した私を密かに羨んでいること等々。○○の口にしたことは事前の‘調査’の通りの内容である。

下準備は全て終わった。

「そっか…てっきり充実した毎日をおくってるとばかり…」
『ううん、レイセンが気に病むことじゃないって。その気持ちだけで十分うれしいよ』
「でもさ、○○。もしかしたらほんのちょっぴり力になれるかも」
『なになに?桃餡饅頭くれるとか?』
「ちーがーいーま-すぅー!」

ブレザーの胸ポケットから一枚のメモを取り出して手渡す。
イーグルラヴィ計画について自身が書き留めておいたものだ。
近々公表されるであろう内容が書かれた紙を、○○は食い入るように見つめている。


『これって…』
「私、思ったんだ。○○の得意が生かせるのは‘生きた’情報分析だって」
「だから、○○にぜひとも採用テストを受けてほしいの」


少し戸惑ったような表情をしているが、その目は上空の星屑よりも明るく輝いている。
その目をみていると何だか吸い込まれてしまいそうになる。

『ありがとう…レイセン。検討してみる!』
「うん、しっかりと準備もしてね?」
『もちろん。この○○さまに抜かりはないよ』

かくして、一通りの会話を終えた私と○○はそれぞれ自分の生活へと歩みを戻す事となった。

『それじゃあまたね』
『うん、がんばってね、○○』

進む方向は真逆、背中に感じる○○はどんどん小さくなってゆくのに、胸の奥のざわざわした感情は‘いつもと違って’霧のようにかき消されてゆく。
私の目論見は見事に成功した。あとは○○が採用されたという報告を待つだけである。
○○の実力ならばきっと問題なく採用される。
そうなれば、もう○○と離れ離れになることはない。私の視界には端に○○が映るであろう日々が現実のものとなるのだ。

「今夜の夢見は良さそうね…ンフフフフッ」

頬に手を当て、体をくねらせる様子はさながら蛇のようだ。言い方を変えると、民話伝承の類に登場する即死系の邪神のような動きである。
不気味なことこの上ない動作を継続しつつ、私は自室へと戻るのだった。

それから毎日、○○の様子を確かめた。耳で。
それによれば、○○のやる気も志も高く、ついでに鼻歌の頻度も高かった。
近いうちにこの○○の様子を間近で、しかもずっとずっと見られるようになると思うと
高ぶりが止まらない。
こんな調子で日々を送っているうちに、徐々にその時は近づいてくる。


そのとき私は、ひとつの大切なことに気付いていなかった。


609 : ○○ :2016/11/03(木) 23:57:50 Gy5P5K6A
長すぎいっぱいごめんなさいわよん...(なお前編な模様)
後編はこれから書きます。長いわハゲェ!って思った方がいたらろだ使うので言ってくださいね!
長文失礼わよん


610 : ○○ :2016/11/04(金) 01:29:38 bBE9oXrA
>>609
長いわハゲェ!大歓迎じゃボケェ!
前の作品も秀逸だった分楽しみにしてます。
ウドンゲのぽんこつかわいさよ


611 : ○○ :2016/11/04(金) 02:14:06 7FHYLosU
>>609
大作の予感...
この後地上に落ちてどうなるのかすごく気になる
こんなにうどんげが可愛い話を書いてくれてありがとう


612 : ○○ :2016/11/04(金) 10:23:51 a0sz4BnQ
>>609
中身が超しっかりした内容じゃないですかやだー!(大歓喜)
やっぱり設定とか色々考えられる人は凄いなぁ

そこまでの頭がない自分は
少しでもインパクトを与えられる短文を作れるように頑張ろう…


613 : ○○ :2016/11/04(金) 16:49:24 bBE9oXrA
>>612
自分で評価を決めると、本当に書けなくなるよ。設定がなくても良い作品は書けるんだし


614 : ○○ :2016/11/04(金) 19:22:38 a0sz4BnQ
>>613
励ましの言葉をありがとう…

したたかに男を掻っ攫ってくヤンデレっていいなと思った。
衣玖さんです


私は空気を読む存在 天候も状況も心境も読む

「あのー永江さん…」

「はい、どうしましたか?」

「実は、その…以前相談させて頂いた件なんですが」

「あぁ、例の里の女性との縁談でしたか?」

「はい、あの件についてなんですが、
 考えてもどうしようもないのでぶつかりにいこうかと思います!」

「そうですか…それがいいかもしれませんね」

「やはり永江さんもそう思いますか?」

「ええ、相手は大きな商店の娘、対するあなたは外から来ただけの一般人。
 これではまともに正面から彼女の親を説得できるはずもありません」

「そうですよね…」

「だからこそ、駆け落ちを考えたのでしょう?
 それはそれで、困難な道とは思いますが」

「でも…僕は…」

「諦めない、ですよね?
 何も心配する必要はありません。
 あなたの事は見守っていますから」

「ありがとう! 永江さん!」

あなたが一念発起するなら 私はそれを立てましょう

「なんで…どうして…クソぉっ!!」

「迂闊でした…危険な妖怪も居ない方面に誘導したつもりでしたが、
 偶然にも前日に露で地面が滑りやすくなっていたとは…」

「クソ…これなら…いっそ僕も…」

「それを彼女は望んでいないと思いますよ」

「永江さん…」

「あなたも彼女もお互いに愛し合っていたのは分かっています。
 だからこそ、あなたには生きていて欲しいと、彼女は思っている、と私は思います」

「でも、僕は…もう…」

「大丈夫です、私もただ見守るだけの存在ではありません。
 私では彼女の代わりにはならないかもしれませんが…」

あなたが辛いと思うなら 私は慰めに行きましょう

「ねぇ衣玖さん」

「どうしました○○さん?」

「僕の事を見守って、助けて、それに、
 恋人にまでなってくれて…ありがとう」

「それくらい、お安い御用ですよ。
 それにしてもどうしたんですか、急に」

「いや、なんか今までの事を思い返しただけだよ。
 なんかすごく、前より幸せだなーって」

「それでは…今までの事を忘れてしまうくらいに幸せになりましょうか?」

「そうだね、それが一番…彼女にとって良い事だろうから」

あなたが私を好むなら 私はあなたを受け入れます

だってそれは私の仕業 あなたを私に振り向かせるため

さよなら名も知らぬ彼女さん 私は彼と幸せになります

こう…計画通り!ニヤリ って感じのヤンデレに拘束されたい
大きくても小さくてもいいので


615 : ○○ :2016/11/04(金) 20:00:21 DMzU9Rc2
いいですねぇ
俺は藍姉さんに愛されたい願望を書きます

「◯◯!」

「やあ藍姉さん 買い物の帰り?」

「ああそうさ 今日のお夕飯はお前の好物の稲荷寿司に決定したぞ♪」

「本当は自分が食べたいだけだったりして…」 

「ふふ、そうとも言うな ……なあ◯◯?」

「ん?」 

「すまんが、先に帰っててほしい…」

「え…まあいいけど じゃあお先に行くね」

「ああ…」


「……何だ貴様は 何故私達の後ろにいる?」

「えっ…!?」

「バレるとは思わなかったのか?…何の用だ」

「…あの…わたし…◯◯くんにこれを…」

「ほう…手紙か…?ふん、予想はついた それは恋文だろう?」

「………」

「図星のようだな… なら消えてもらう」

「え?」

「言葉通りだ この世から消えてもらう」

「なんで…?貴女は何なんですか…?」

「私か?そうだな 彼の許嫁とでも言っておこうか 今はまだ姉の身だがな」

「お姉さん…?ならなんで…」

「私を姉と呼んで良いのは◯◯だけだ 貴様がその単語を口にするんじゃない…!」

「ひっ…!」

「目障りだ…!失せろ…!!」

「いやっ…!」


「ふぅ…今回はちゃんと消し炭に出来たな これなら紫様も褒めてくれる…あっ、このままでは◯◯が本当に先に帰ってしまうな 早く追いつかなければ…!」

◯◯は私の唯一無二の弟だ
◯◯は私の唯一無二の夫だ
◯◯は私だけのモノだ
私は◯◯だけのモノだ
奪う奴は許さない
壊す奴は許さない
世界が私達を引き裂くのなら
私は世界を消してやろう

ちょっとバイオレンスな藍姉さん
二番煎じかもしれない


616 : ○○ :2016/11/05(土) 08:20:02 9tW4kH1g
>>614
計画通りはいいよね…
手の中で踊りたいよね…
>>615
今回は、という事は既に何人も…
紫様もそれを容認しているのかな
是非このまま◯◯くんは藍姉さんと結ばれて永遠に藍姉さんのモノになっていただきたい


617 : ○○ :2016/11/05(土) 19:41:56 MebqMdUg
>>608
薬売りの優曇華を書かれた方でしょうか。
今回も後編を楽しみにしております。

>>614
腹黒い衣玖さん…いいですね
淡々としているのも衣玖さんらしい

>>615
なんという理不尽さ。だがそれが良いです


618 : ○○ :2016/11/05(土) 19:43:00 MebqMdUg
「あら、急にどうしたの?真剣な顔をして。」

「ちょっと待っててね。お茶入れるから。」

「え、要らないの…。どうしたの一体。」


「どうして、私達何か問題あったかしら。」

「ゴメンじゃ無くって、どうしてって聞いているのよ。」

「お前は強いから一人でも大丈夫って、そういう問題じゃないでしょう。」

「魔理沙は弱いからなんて、無茶苦茶な言い訳なんで通る訳ないわ。」


「そう、そうだったのね…。」

「貴方の土下座なんて要らないわ。悪いのは魔理沙でしょう?」

「ねえ、魔理沙を××させてよ。貴方の言うことなら、あの子何でも聞くんでしょう。」

「筋を通す必要なんて無いわ。泥棒に義理立てなんてする必要ないの。」

「ねえ、私そんなに間違ったこと言ってるかしら。」


619 : ○○ :2016/11/05(土) 19:44:01 MebqMdUg
「ふうん…。そうまでしてあの子を庇うんだ…。」

「ねえ、魔理沙のことばっかり言ってるけど、私の気持ちはどうでもいいの?」

「そう、そうなんだ。結局魔理沙を取るのね。」

許さない…


「こうして楽園の巫女は恋人と親友を失って、全てから中立になりました…、っと。」

「紫、幾ら何でもちょっと酷すぎないかしら。」

「あら、だから親友の貴方にだけ見せているんじゃない。真っ直ぐな妖夢には早すぎるから。」

「はいはい、お世辞は受け取っておくわ。」


620 : ○○ :2016/11/05(土) 19:56:14 MebqMdUg
以上になります。


621 : ○○ :2016/11/05(土) 22:54:12 MebqMdUg
>>618と対になる短編

 「そんなにムカつくなら、もっと殴ってもいいんだぜ。」

金髪の少女が青年にどこか媚びるような目つきで言う。自分をもっと痛めつけても良いという
狂気染みた言葉は、○○の中にある炎を燃やさんとガソリンを振りかけるが、寸での所で○○は
耐える。自分の拳を握りしめ○○はジッと魔理沙を睨み付ける。一時は激情に駆られたものの、
拳に感じた生々しい感覚と、目の前の少女にじわじわと浮かんできた赤黒い傷は彼の精神を
押しとどめていた。もっとも火が消えた訳では無い。理性の防火壁に押しとどめられているもの
の、彼の心の中では未だに炎が荒れ狂っている。脳を怒りの炎に焼かれながらも○○は堪える。
 荒い息を吐きながら手を押さえている○○。普段からは考えられない失態に歯噛みをしながら
も、自分に冷静になるように言い聞かせ目の前の少女に問いかける。

「なあ、どうしてお前が××しているんだ。」

「なあ、どうしてだろうな。」

 周囲の人を引きつけるような普段の明るい笑みと同じ様にその顔は笑っているが、口の端から
血を流しながら言うとその感覚は一転し、むしろ醜悪な感覚すら覚える。唇の端から垂れる血を
舌で舐め取りながら魔理沙は○○に話しかける。少女には似つかわしくない妖艶な姿で○○を
いたぶる姿は、過去の彼女を知る人が見ればあまりの違いに驚くであろう。


622 : ○○ :2016/11/05(土) 22:54:46 MebqMdUg
「冗談じゃない。お前とは付き合っていないんだ。そんなことなんてしていない!」

 身に覚えを無い事を言われた○○は強く魔理沙の言葉を否定するが、魔理沙はものともして
いない。嘘を付いている人間ならばどこかに表れるであろう、後ろめたさを見せない魔理沙に
○○は気圧される様に感じた。本来ならば恋人ではない彼女が言ったのならば簡単に撥ね付けて
しまえることなのであるが、○○は魔理沙の言葉が嘘だとは感じることが出来なかった。
 これがただの村娘相手ならば、簡単に嘘だと撥ね付けてしまえるのであるが魔理沙は魔法
使いである。ただの外来人には出来ない事でも、魔法使いにとっては小指一本で、或いは指を
動かしさえせずに魔法を使うことすらできる。それだけでも唯の人間である○○にとっては、
対抗できない位の大きな差であるのだが、悪い事に彼女は霧雨家の人間である。
 それも家長である父親からすれば、目に入れても痛くないほど可愛がるであろう一人娘であ
る。少し前までは魔理沙は父親と仲違いの末家出をし、魔法の森で一人で暮らしていたのである
が、今日この離れで○○と話している分をみると、和解することができたようである。
 本来ならばそれは、親しい友人である彼にとっても喜ばしいことであるのであるが、ことここ
に至っては○○にとってはマイナスであった-なにせ相手のホームグラウンドである。

「大体俺は霊夢と付き合っているんだ!お前なんかとつきあえるか!責任をとって結婚なんて
無理にきまっているだろ!」

 無理難題を迫る魔理沙の要求を蹴っ飛ばす○○であるが、勢いのある外面とは異なり内心で
は恐怖すら感じていた。いきなり交際すらすっ飛ばして既成事実を作りに行く彼女は、有り体に
言っても異常であるし、異常者が力を持っている現状は○○にとって大変危機的なものである。
外界では経験した事の無い異常事態のターゲットにされた○○は、魔理沙に追い詰められていた。
そのために○○は恐怖を吹っ飛ばすように声を荒げる。

「別れればいいぜ、私は寛大だからな。これまでのことには目を瞑ってやるぜ。」


623 : ○○ :2016/11/05(土) 22:56:02 MebqMdUg
 言うに事欠いて別れろとは、しかも目を瞑るとは何事かと○○は激高しそうになるが、ここで
怒りを露わにしてはいけないと、息を口に貯めて怒りを押し殺す。この場は冷静に切り抜ければ
ならない…。

「そもそもお前とは交際していない。子供の父親は俺じゃ無い。」

 努めて声を押し殺して攻め口を捜す○○。そもそも自分と魔理沙とは何の関係も無いのである
から、魔理沙が言っていることは何かの間違いだと自分に言い聞かせているが、一方の魔理沙は
余裕の姿勢を崩していない。押さえ込んだ不安がふつふつと沸く○○に、魔理沙は犯罪の告白を
ぺらぺらと喋っていく。

「この前の満月に○○には魔女の薬でちょっと眠って貰ってね。記憶もちゃんと消してやった
ぜ。サプライズプレゼントだぜ。」

「なんて奴だ…。」

絶句する○○に魔理沙は懐を探り決定的な証拠を突きつける。これで決まりだと言わんばかりに
○○の鼻先に突き出す。小春日の午後、うららかな太陽は○○に冷酷な事実を突きつけていた。
幻想郷に来てからはついぞ目にしたことが無い上質な紙、霧雨商店で金持ち相手に売っている
真っ白な洋紙には、簡潔な印字と流暢なサインが入っていた。

「ほら、永遠亭の診断書。永琳のサイン入りだぜ。」

「馬鹿な…。こんな物!」

「ああ、そいつなら何枚でも好きなだけ破ってくれていいぜ。文々新聞の折り込みチラシに
出来るぐらいに用意したからな。」


624 : ○○ :2016/11/05(土) 22:57:29 MebqMdUg
○○の努力を嘲笑うかのように感情を逆なでする魔理沙。これ以上魔理沙の話に付き合っては
いられないと○○は部屋を出ようとした。王の早逃げ八手にしかず、これ以上ここにいると
更なる深みにはまってしまう予感がに従い、○○は腰を上げようとした-そう、上げようと
した。

「ああ、○○、私を幾ら殴ってくれても良いけど、部屋からは出ない方が良いぜ。」

「…。」

「この部屋は離れだけれど近くに使用人がいるぜ。私が手を叩けば直ぐに来るからさ…」

にやけが止まらない魔理沙が○○の方に顔を近づける。

「うふふ、一体どう思われるだろうな。○○は。」

魔理沙の吐息からは甘いような、頭が痺れるような香りが漂っていた。


以上になります。魔理沙は自分の弱い部分すら武器にしそうな、した
たかなイメージがします。


625 : ○○ :2016/11/06(日) 16:45:36 .KKZ6mvk
皆ほんとに濃いヤンデレ書くよね尊敬しちゃう


ttp://i.imgur.com/niMywhx.jpg
「お菓子もあるが先に悪戯をしても良いぞ」
って感じの藍さん、多分凄い甘やかしてくれる
藍さんは限界突破した奉仕をするタイプかなって
あと四キャラ頑張るぞい


626 : ○○ :2016/11/06(日) 16:56:53 qvGOBkzg
>>625
素晴らしい…
藍様って何というか真面目で貞操観念も高いイメージ
というかそもそも色恋に興味が無いんだけど一度惚れたらめちゃくちゃ一途に尽くす
そういう理想のお嫁さんタイプなんだ
そしてそれがエスカレートするとヤンデレちゃんになるのだよ
…という藍様が流行ってくれる事を切に願ってます
とにかく素晴らしい絵だ!ありがとう!ありがとう!


627 : ○○ :2016/11/07(月) 01:59:06 /lY61mt.


>>624
魔理沙って直情的なようで以外と策士なイメージありますよね
外身少女の中身女って感じがいい…

>>625
ええぞ!ええぞ!
ステキなmousouがはかどりますわ…


628 : ○○ :2016/11/07(月) 02:26:47 Z7MxzTuA
徹底的な献身と、異常としか言いようがない束縛
ヤンデレの精神状態って恐ろしい矛盾を抱えてそう


629 : ○○ :2016/11/07(月) 14:45:20 tW3TqxhU
>>625
素晴らしい…!
ありがとう本当にありがとう…
>>626
俺の理想の藍様像じゃないか!


630 : ○○ :2016/11/07(月) 16:52:31 9FLXwWYg
ttp://i.imgur.com/LJJSh7N.jpg
レミリアはこんな風に開幕押し倒してきそう
いやまあ画力の関係でいないけど多分レミリアの下には○○がいるんですようん
あと描いてて思ったけどレミリアってヤンデレのポテンシャル高い気がする
性格能力立場種族どれを見ても妄想が膨らみますよね


631 : ○○ :2016/11/07(月) 16:59:00 2MSaabn.
ほのぼのな感じ?の藍様ヤンデレ(家族間)書きます


「テレビに映ってるあのアイドル可愛いよなあ」

「……◯◯はああいう女性がいいのか」

「え?」

「…」ドロン!

「あのアイドルそっくり…でも姉さん、何でそんな事?」

「私はお前の為なら別の女にだってなる… これでお前が私に振り向いてくれるなら…私は…何だってする…」

「……やっぱり、素の姉さんがいいな」

「えっ…?」

「あのアイドルより姉さんの方が可愛いよ」

「そう…か…?そうか…!」

「うん、だって俺の姉さんだもん!」

「そうだよな…!お前は私の弟だ 私が良いに決まってるよな…!」

「そうそう」

「なら私と結婚してくれ!」

「…それはちょっと違うんじゃない?」

「…(´・ω・`)」


凄いコレジャナイ感
ごめんなさい


632 : ○○ :2016/11/07(月) 17:00:48 2MSaabn.
>>630
良いぞ良いぞ!素晴らしいぞ!
レミリアに「運命の旦那様」として扱われて大事に大事にされたい


633 : ○○ :2016/11/07(月) 20:01:57 a01VF9I.
>>630
開幕押し倒しにグッときた…

>>631
GJ! 姉さんチョロすぎと思ったけど、弟だけだよね多分


634 : ○○ :2016/11/07(月) 20:19:09 2MSaabn.
>>633
弟だけに決まってるじゃないですか!当たり前でしょう!
藍姉さんにとって異性は弟だけと言ってもいい
他の男は下等生物のオスくらいにしか思ってない
藍姉さんは弟に対して今まで何度も求婚しているので一度弟がこちらに振り向いたと思うと一気にチョロくなる
ちなみにこういう掛け合いは一週間に一回必ずあるのだ


635 : ○○ :2016/11/08(火) 14:50:04 hHaCdW92
そりゃ当たり前だよな
多分弟も幼い頃に「大きくなったらお姉ちゃんをお嫁さんにする!」とか言っててそれが原因となって藍様は求婚してるんだ
藍姉さんは男も見下してるけど他の女も同様に見下している
というか紫様、橙、◯◯という家族以外は全て見下していそう
だからもし家族以外の女が◯◯に近づこうとしたら藍姉さんはそれを決して許さない


636 : ○○ :2016/11/08(火) 19:26:24 jKGMACm6
チルノ「○○を想うと苦しいんだ、心がキュッとなってうまく息が出来なくなるんだ。恋って苦しいものなんだろう?これが恋なんだ、この苦しみが恋なんだよ!日を追う毎にだんだん苦しくなっていく!!愛なんだ!!もっと!もっともっと苦しくなれば○○をもっともっと好きになれるんだ!!だから、もっと、苦しくなりたい…!」







永琳「喉からの風邪ですね」
チルノ「ケホッケホッ」
○○「チルノは風邪とは無縁と思ってたんだけどなぁ」
大妖精「ナントカは風邪ひかないって一応科学的根拠あるらしいですね」
チルノ「大ちゃん!?」
うどんげ「お薬出しときますねー」
チルノ「いやだー!苦しいのが消えちゃうと○○への好きな気持ちも消えちゃう!!いやだー!」
うどんげ「今度はカウンセリングも受けましょうねー(´・ω・`)」

チルノ「恋心が消えるのはイヤだ!!もっと○○を好きになれる薬なら飲む!!」
○○「俺をダシにして錠剤飲めないことへの言い訳はやめてくださいね」
チルノ「(¬д¬;)」
てゐ「あー飲めないコ多いよねー」
輝夜「私も未だに錠剤飲めないわよ」
チルノ「どうやって飲めばいいの?」
永琳「どうやってって普通に水と一緒にゴクッて…」
輝夜「飲める人は皆そう言うよね」
大妖精「飲めない人ってだいたい舌で薬をガードしちゃうんですよね。舌出してコップで押さえながらなら飲みやすいですよ」

輝夜「だいたいそんな薬あっても使ったらいかんでしょ道徳的に」
○○「一番ヤバイ薬を飲んだぐっちゃんがそういう道徳を問うのか…」
てゐ「まぁ人を好きになる、させる薬なんかないけどね」
永琳「あるわよ?人を好きになる薬、好きにさせる薬。八意製薬」
輝夜「!?」
大妖精「後でいただけますか?」
○○「!?」
永琳「いいわよ」
うどん「!?」

大妖精「チラッ」
○○「 なんで僕を見るんですかね 」
チルノ「((((;゜Д゜))))」




チルノ「もし苦しい時、あなたが傍にいてくれたなら。アタイはいつもより最強なので苦しくありません」

チルノ「嬉しい」


637 : ○○ :2016/11/08(火) 19:31:59 hHaCdW92
>>636
大ちゃん…!?何をする気なんだ…!?
面白かったです
いつも笑わせてもらってます


638 : ○○ :2016/11/09(水) 12:30:29 zeVsWgic
懲りずに藍姉さん妄想

「これ…◯◯のために編んだマフラーだ…///」

「くれるの?暖かそうだね」 

「うふふ…それは特製だからな…」

「姉さんの匂いがする…とってもフワフワだ…」

「そうさ…これは私の尻尾の毛で…」

「やばい…!モフモフが止まらない…!いい匂いだし…!モフモフモフモフ…!」

「ちょ、ちょっと◯◯?」

「何?」

「これは私の尻尾の…」

「そう!まるで姉さんの尻尾みたいにモフモフなんだよ!」

「…うん、まあ私の毛だからね…」

「本当に姉さんの毛なの…?」

「安心しろ 抜けた毛で作ったのさ」

「そっか なら遠慮なくモフモフ…」

「……何だか照れるよ…///」

「モフモフモフ…」

「これでお前に私の愛が伝わるのなら…」

「何か言った?」

「…ううん、何でもないよ さ、そろそろお昼にしようか?」

「うん!」

思いっきり弟ラブで求婚しまくる藍姉さんもいいけど隠れて弟に恋い焦がれる藍姉さんも良いと思うんですよね…
でもこれヤンデレになってない気がするんですよね… 
語彙も構成力もヤンデレ力も足りないんですよね…


639 : ○○ :2016/11/09(水) 14:29:50 Y8KZcv2M
口上だけだとヤンデレというよりはイチャスレ向けだけどここに地の文で藍しゃまの中で渦巻く心情を入れたら化けると思うナリよ…


640 : ○○ :2016/11/09(水) 14:50:09 zeVsWgic
なるほど…
やはりヤンデレは難しい…


641 : ○○ :2016/11/09(水) 19:34:40 SodPStz.
尻尾の毛で弟を包むマフラーを作る時点で、既に手遅れでは?


642 : ○○ :2016/11/09(水) 21:53:53 NGsWSfp2
ちょっと前に髪でマフラー作る猛者の小話がありましたな
献身系ヤンデレほんと好き


643 : ○○ :2016/11/09(水) 23:48:45 1AHmULFM
>>642献身とは上手いこと言うなw


644 : ○○ :2016/11/10(木) 00:41:42 jrlzwBjA
紺珠伝のヤンデレポテンシャル高い…高くない…?
サグメ様とか用意周到すぎて病んでても表面上は気が付かないけど裏でほくそ笑んでそう
月の監視網とかチェックして○○についてねちねち調べてるとgood
最終的に世話役と称して側におかれたいすぎる…


645 : ○○ :2016/11/10(木) 10:15:27 Z6kFZsBg
>>636
永琳「あるわよ?人を好きになる薬、好きにさせる薬。八意製薬」




うどんげ「なんでお師匠はそんなお薬持ってるんですかね…」


646 : ○○ :2016/11/10(木) 11:07:26 L8o7Wpt2
>>645
てゐ「能力で狂わせ放題のレーセンに言われても、説得力無いウサ」


647 : ○○ :2016/11/12(土) 13:50:17 4q0t5RJY
ttp://i.imgur.com/aYk0FUV.jpg
「若い子達の『こすぷれ』はそんなに良かったですか?」

聖さんは嫉妬と独占欲凄そう
けど周りに誰かいる時はそんなのおくびにも出さなくて、ふたりきりになったら爆発しちゃう感じ
公式いい人の聖さんはそんな自分が嫌でひとりになって冷静になったら後悔も葛藤もするんだけど、○○に女の子の影を感じたらやっぱりどうしようもなくなっちゃうんですよ


648 : ○○ :2016/11/12(土) 13:56:06 bsLlpZhw
>>647
GJ!!


649 : ○○ :2016/11/12(土) 15:20:48 MAK3c0nQ
>>647
めちゃくちゃ嫉妬されてめちゃくちゃ一途に愛されたい…
素晴らしい…!


650 : ○○ :2016/11/12(土) 18:05:12 4q0t5RJY
ttp://i.imgur.com/CZ39giw.jpg
あと昨日がポッキーの日だったらしいんで家に帰ったら知らないゴスロリの人が出迎えてくれた図を
色はまた夜にでも塗り塗りします
というか雛ちゃんフリル多いからすっごい時間かかったしパースとかよく分かんないから俯瞰とか無理…


651 : ○○ :2016/11/12(土) 20:16:43 zEr.v8.w
外面だけ好い人って所がまた良いよね
他のどうでもいい人には取り繕える仮面が、○○の前では剥がれちゃうの
それで醜い独占欲を剥き出しにするの

厄神様の方もGJ! 帰ってきていきなりこれはビビる


652 : ○○ :2016/11/13(日) 01:48:34 YylPVmL6
ttp://i.imgur.com/cyIqlsx.jpg
「おかえりなさい」

雛ちゃんは厄神様だけあって尽くす系ヤンデレだと良いなあ
まあいくら可愛くて知らない人が家から出てきたら怖いだろうけども


653 : ○○ :2016/11/13(日) 12:15:32 yNtJtX9s
>>652
まあいくら可愛くて知らない人が家から出てきたら怖いだろうけども


これよこれ、この恐怖こそヤンデレの真髄


654 : ○○ :2016/11/13(日) 12:34:42 A6q3TSJE
嫌われると露程も考えない独善さ…
とてもいいです!


655 : ○○ :2016/11/13(日) 16:04:40 HKfYw6ww
>>652
色がついてもっと良くなった…!
こっちは彼女を全然知らないのにきっと彼女はこちらの事を知り尽くしているんだ

文ちゃん妄想書きます

文「ねぇ◯◯さん…?私の事好きなんですよね…?」
◯◯「えっ?」
文「今朝聞かれてたじゃないですか…好きな異性のタイプの事を…」
◯◯「ああ、そんな事もあったなぁ」
文「あなたは『一途で自分だけを愛してくれる女性』が好きなんですよね…?」
◯◯「まあそうだが…どこで聞いた?」
文「そんな事どうでも良いじゃないですか それより、一途な女性が好きって事は…私が好きって事ですよね…?一途にあなただけを愛する女性…それは私の事…違いますか?」
◯◯「え…?」
文「まだわかりませんか?あなたは私のような女性が好き…ううん、あなたは私が好き…ハッキリとそう言いました…これはプロポーズですよね…?」
◯◯「すまん…理解が追いつかない…」
文「うふふ、ちょっとおバカなところも愛おしいです…♪ あなたは私が好き…私もあなたが大好き…結婚するには充分ですよ…♪」
◯◯「つまり…これは逆プロポーズなのか?なら俺はYESとは言えない…俺達は種族も違うし、それに俺に結婚は早すぎる…」
文「えっ……………」
◯◯「すまん!お前の気持ちは嬉しいが…」
文「…まさか、他の女が好きなんですか…」 
◯◯「えっ?」
文「そんなの認めない… 私の初恋はあなたなの…あなたの初恋も愛する人も私でなければならない…!」
◯◯「落ち着けよ…怖いぞ…?」
文「怖い…?私が怖いんですか…?おかしい…そんなのおかしい…きっと◯◯さんは薄汚い雌豚共に騙されてるんです!あなたが信じるべき女性は私だけ…!」
◯◯「なんなんだよ…?」
文「まだ私の想いがわかりませんか…?うふふ、そうですよね…◯◯さんは少しおバカさんですもんね… 取り乱してごめんなさい…でももう大丈夫です 私、決めました」
◯◯「お、落ち着いたのか…?」
文「あなたを少し教育します…あなたを本来のあなたにするために…だから少し眠ってくださいね?」バコッ
◯◯「ぐあっ…!?あ……文……?」


656 : ○○ :2016/11/13(日) 16:09:01 RHrQ9PtU
>>650
>>652
絵だけ見ればただの可愛い雛ちゃんなのに言動がバッチリおかしいのが良いね
この手のタイプが一番何するかわからなくて怖いから好き


657 : ○○ :2016/11/13(日) 16:17:41 HKfYw6ww
>>655の続き

◯◯「……あ……っ……ここは…?」
文「…起きました?」
◯◯「文…?」
文「おはようございます、◯◯さん♪」 
◯◯「ここはどこなんだ…?」
文「ここは私と◯◯さんの愛の巣です♪ この場所で、私があなたを本来のあなたに戻してあげます…♪」
◯◯「何の話だ…?というより俺はさっきまで何をしてたんだ…?」
文「あらあら、記憶が飛んじゃいましたか?少し強く殴ってしまったのかも…」 
◯◯「えっ…!?」
文「何でもありません♪ まずは安心してください♪ もう酷い事は絶対にしませんから♪」 
◯◯「一体…なんなんだ…?」

文章力も構成力も発想力も何もかも欠けてる ごめんなさい


658 : ○○ :2016/11/14(月) 01:41:07 mlO/0grg
コミカルなヤンデレも悪かないだろ


楓の葉が落ちる頃になれば、凛とした空気が肌をさすようになる。目が覚めたものの、いつもより早い時間におきてしまったようで、冬の乾いた寒さと被さる布団の熱でもう少し寝ようと思った。
体勢を変えて、つぎはぎの麻布団にくるまると、古く乾いた布地の匂いと蒸れた髪の匂いがした。
今日は日雇いの予定もなく、時間も気にせず二度寝が出来るとは、幸せなものだなと感じながら、枕に眠り沈み込んでしまおう、瞬間、ふと香ばしい暖かみのある上手そうな香りが通り過ぎた。味噌だ。この世界に来るずっと前には、いつも母親が台所で味噌汁を作り、魚を焼いていた。
懐かしい香りだ。そう感じながら、どこから漂ってきたのだろうとふと疑問に思った。
自分がすむ男所帯の長屋で、朝飯を作ろうとする奴がいるのか。さては、どこのどいつか上手いこと作った女が転がり込んだな。そう考えていると眠気が覚めてしまって、水を呑もうかと起き上がるとそこに女がいた。
茶髪で、眼鏡を掛けた細身の女は機嫌のよい調子で鼻歌を歌いながら料理を作っていた。
捲れた布団の擦れた音で、女はこちらを振り向いた。
「おはよう、〇〇。上手い飯はいかがかな?」
にしし、と細い目をさらに細めてそいつは笑った。

誰だよ、お前


659 : ○○ :2016/11/14(月) 17:22:47 d4YLWm2o
魔理沙とか押し掛け女房っぽそう
アリスも半自立人形を無理矢理押し付けそう


660 : ○○ :2016/11/14(月) 19:18:25 1Ar4g.Xw
>>655
>>657
文ちゃんに監禁再教育されたい…
定番って感じで良いですね

>>658
全然知らない女の子が家にいる…
なのに彼女こちらの事は知っている…
こういう恐怖が面白い

ヤンデレちゃんの重くて深い愛を何の抵抗もせず受け入れて会いしたらどうなるんだろう
ただのデレデレなカップルになるのだろうか
僕はゆかりんの好きなように教育されてスキマ妖怪に身体を改造されずっとずっと愛し合いたい
永遠の時を一緒に生きていたい


661 : ○○ :2016/11/14(月) 20:55:21 NdlQpx4w
>>657
すれ違いって悲しいですよね
妖怪や神の方が力が強くてごり押されるのもまた辛いところ

>>658
押しかけ女房(物理)
幻想郷において家の安全性ってそう高くないんだろうなあ

>>660
本人達敵にはそうなんでしょうね
はたから見たら多分狂気でしょうが



ttp://i.imgur.com/19gN7Q9.jpg
「お菓子持ってないんだってね。じゃあわちきがいーっぱい驚かせてあげる」
どう驚かされるかはご想像にお任せします
しかし影つけたりのガチ塗りしたら時間かかるなー精進せねば


662 : ○○ :2016/11/14(月) 21:09:27 1Ar4g.Xw
>>661
巨乳…!!!
かなりエロいよこの小傘ちゃん…!


663 : ○○ :2016/11/14(月) 21:29:36 IUTaWD7A
書いといてなんだけどヤンデレ…かなぁ?
単にイチャついてるだけのような…まあいいか
三妖精で書いてみた


 ここ最近、幻想郷での生活が段々快適になっている。

<おっきろー!! 朝だぞー!!>

 まず朝は目覚まし時計。
朝食は準備済み。
弁当も何故か配置してある。

 あからさまに怪しく思われるが、
個人的には面倒な事全てをやってくれているので大変満足している。
どうせ、知り合った奇跡の巫女の神パワーやらなんやらで生み出されているのだろう。
だったらその恩恵は素直に受けておくべきだろう。


<後ろの茂みに隠れて!!>

 外出、または仕事中に妖怪に遭ったら、
どこからかこんな感じで救助もしてくれる。
完全に視線が合っているはずなのに見つからないのだから、
この神の声とやらは凄いものである。
誤って音を立ててしまっても何故か気づかれないし。


<その探し物はそこの右から3本目の木の根元にあるわ!>

 仕事についてもこんな感じに神の声でサポートしてくれる。
すごいなぁ神様。 ありがとう神様。

<それほどでも…>

 神様も照れるんだね、可愛い。



 それにしても幻想郷という世界は外から来た男には中々辛い環境だ。
何が辛いって、可愛い子が多すぎるのだ。
はしたないとはいえ、これでは溜まるものも溜まってしまう。

 だから恥ずかしながら、次の日も冷静な賢者でいられるべく、
夜のうちに処理をしておくのだ。
ここでまた神様が大活躍する。

<え、えっと…私が手伝ってあげようか…?>

 なんともまあ至れり尽くせりな神様で。
もはや完全に新妻か何かである。
残念ながら感触と声しか確かめられず、姿は見れないのだが。
ああ、私に霊感的な何かでもあれば、
きっとすばらしい事になっているのが分かるのだろうが。


664 : ○○ :2016/11/14(月) 21:31:39 IUTaWD7A
「今日の目覚まし係はー? じゃーんけーんぽんっ!」

「やった! 私よっ!」

「ちっ、運がいいわねサニー」

「やったー! じゃあ、朝ごはんの用意よろしくっ」タタッ


「ルナー? 朝食は任せるから、お弁当は私が作るねー?」

「あらスター? 両方共私が作るに決まってるでしょ?」

「そうは行かないわ! 私にも意地があるんだもの!」ゴゴッ


「まあいいわ…○○を見守れるのは私だけだし」

「私もいるでしょ」「私もだけど」

「うぅ…1人では気配の察知しかできない自分が恨めしいわ…」

「いいじゃない、○○の仕事に直接役に立てるんだから」

「私なんて音を消すくらいしか出来ないわ」

「私は姿を消せるのよ!」

「あなた達のほうがよっぽど有利じゃない!!」

「あ! ○○に危険が!」シュンッ


「結局私の能力意味ないじゃない!!」

「まあまあ」「まあまあ」

「もう少しで○○のエグイ姿を見るところだったわ…」

「大丈夫大丈夫」「そのうち活躍できるから」

「だからそのうちって…あら、逃げたときに地図を落としたみたい。
 お仕事も含めて誘導しなくちゃ」


「…」ホケー

「いいなーいいなー」「○○に可愛いって褒められて照れてていいなー」

「うっ、うるさいわね!」


「じゃ、じゃあ、今日の夜だけど…」

「わ、私だよね、今日の当番は」

「うん、今日は、ルナ、だね」


「ど、どうだった…?」

「○○…可愛かった」

「あ、明日も楽しみねっ」

「う、うん!」

でも相手の知らない所でコソコソやってる可愛い系のヤンデレ(?)もいいなと思ったんだ。
まあ澱んだ光のない目で妖精たちに見つめられながら目をさますのもとても気持ちよさそうだけど(回りにいる妖精の瞳から視線をズラしながら)


665 : ○○ :2016/11/14(月) 21:55:32 bPGCJ.Vg
>>661
可愛い(かわいい)
こんな小傘に驚かされたい
しかし影がつくとやっぱり良いというか貴殿画力上がってない?

>>664
現段階だとまだギリ恋する乙女達
こっからの成り行きが楽しみ
さあ三妖精を病ませる作業に戻るんだ


666 : ○○ :2016/11/14(月) 22:46:15 IUTaWD7A
>>665
どこぞのスレに貼ってあった病み三妖精が理想としてはいいのですが
自分にはそういった情景的なものはうまく書けないので
レッツ妥協


「香霖さん、お疲れ様です」

「おや、もうそんな時間かい。
 じゃあ、そろそろ閉めようか」

 彼の名前は○○。
外来人でありながら、この店に働きに来ている若者だ。
こういう人は外から流れてきたものの事をよく知ってるから非常に優秀だ。

「今日はどんなお客さんが居たんだい?」

「えーっと…チルノやその友達…だったと思います。
 外の世界のおもちゃを見てはしゃいでましたね」

 そう言いながら彼は紐と変な三角形の物体を僕に見せる。

「それは?」

「コマって言って、紐を使って回す遊びですね。
 結構大受けでしたよ。
 いやあ、可愛かったなあ」

「それは良かった。
 でも、よく妖精相手にイタズラされなかったね」

「友達の子がチルノの事をよく見張ってましたからね。
 一瞬姿が見えなくなったりはしましたけど、
 特に店が荒らされたりはしませんでした。
 イタズラされたかったなあ」

 ○○くん、君は所謂ロリコンとかいう奴なのかい?
それにしても妖精がいたずらをしないというのも珍しいね…。

「ふーん…そういえば友達は何人くらい居たんだい?」

「…何か色々居ましたね。
 緑の髪の子とか赤というかオレンジというか…
 あ、そういえばチルノがあの三妖精と仲良くしてたんですよ」

「へぇ、それは珍しいことだね。
 あの子達はいつも小競り合いをしているからね」

「普段だったら『○○はあたいのだー』とか『私達のものよー』とか色々言い争いながら
 おもちゃで遊んでたり弾幕を撃ち合ってたりしてるんですけどねー」

「ははは、まるでこの前君が言っていた、ひるめろとかいう奴みたいだね」

「まっさかー、あんな小さい子達に取り合いをされるような存在じゃありませんよー。
 あ、もしものことがあればされてみたいですけどねー?」

「まあ、雑談はここまでにして…そろそろ寝ようか。
 明日もまた、変わったお客さんが来るだろうからね。
 それじゃあお休み」

「そうですね、お休みなさい」

 普段仲違いをしているものが仲良くしている。
それが大体悪い事を予感させるのはいつものことだ。
僕は自分の寝室に入り、机に手紙と僅かばかりのお金が置いてあるのを見つけた。


 拝啓 香霖様
 ○○を買い取らせていただきたく存じ上げます。
 品物は今夜受け取りに行きますので
 どうか物音がしてもそのまま気づかないフリをして眠っていてください。


 一体誰が書いたんだろう…?
と考えながら一言。

「よかったね○○君。
 選び放題だよ…多分」

>テ、テンチョー! ダレカニハコバレテ、アッー!

 翌日、○○くんが居なくなったのを寝室と店の周辺を歩いて確認し、ため息を付いた。

「次の外来人は誰に捕まるのやら…」

意外とヤンデレwikiだとこういう小話系が多いよね
長編だったりストーリー性がガッツリあるのも好きだけど


667 : ○○ :2016/11/14(月) 23:12:45 mlO/0grg
>>660
こんな感じかな?

「くせぇよ、お前」
鼻をつまみんだ正邪の顔は、天の邪鬼で言っているわけではなく本気で嫌がっている様子だ。バタバタと手を振って拡散させようと必死だ。
「じゃあ、近寄んな。このガキんちょ」
あんまりうるさいから、思い切り吸い込んだ煙を顔に吹き掛けてやると、ぐわーっと大袈裟に仰け反り、裸足で脇腹をげしげしと蹴りつけてきた。離れりゃいいのに、誰んちだと思ってんだ。
「禁煙だ‼没収だ‼お縄につくんだ‼この糞親父‼」
「やーだーね、家主はおれだ‼この家では俺がルールなわけよ。悔しかったら、家買ってそこで住みやがれ」
そんなやり取りをしていると、正邪が立ち上がって手四つてを仕掛けてきた。正直拍子抜けするほどの弱さだったが、ヘボいくせに粋がろうとする自分の娘っこの、何度も折ってやった鼻っ柱をこれしきのことで痛め付けるには忍びない。
「わかった、わかった。今日は何か、あれだ。飯飯、上手いの食わせてやっから」
「うそだ、どうせ豆の含め煮とか魚の頭盛りとかだ。分かる、分かるぞ。何年一緒にいると思ってんだ」
バレてしまっている。


668 : ○○ :2016/11/15(火) 00:10:21 bEsjF0FA
「だから、煙草やめろってー」
争いが一息ついた後、はしゃいだ分お互いに疲れきってしまっていた。俺は座蒲団の上に、正邪は俺の膝の上に、頭をのせて寝そべっていた。
「やめれるんだったら、やめてるっつーの。バカ」「バカって言う方がバカなんだぞ」「その発言が既にバカなんだよ。ばか」
「もーいい、飯。腹へったわ、私」
正邪は起き上がると、そのまま台所に行き、飯炊きを始めた。俺も、立ち上がって薪を取りに外へと出ていった。
外へと出ると既に、遠く山の上の茜色の空に黒い墨が混じり始めていた。下に目を落とすと、一匹のデカいカラスがこちらを見つめていた。
「なんだよ、文。きてんなら手伝えよ。俺はもう腰がいてぇんだよ」
「えへへ、今日も来ちゃいました。」
突然、カラスの姿が歪んでぶくぶく膨れ上がると、そこにはいつもの見知った女が立っていた。

二人で薪を持って入ってくると、
「遅いっ。・・・・何だ、文さん来てたんだ」
正邪は包丁を持って、こちらを振り向いたが何故だか少し元気が萎んでしまったかのように見えた。
「こんばんはー、文ちゃん。一昨日ぶり」
「一昨日ぶり」 
「ぶりぶり」
「やだっ、〇〇さん。真似しないでよー、あはははっ」そういって、文は俺の肩にすり寄ってきた。
正邪の方をちらりと見やると、ザルに研がれた米をじゃっじゃっと水を切っていた、真顔で。
こいつ、分かりやすいなーと思っていたら、
「早く、火起こしてよ。炊けないじゃん」
と文句をかましてきた。

「やっぱり、文上手いわ、飯。こりゃあ、就職先も安泰だわ」
「褒めるのに、素っ気ないだもん。やりがいがないわ、この人」プイッとそっぽを向くと、彼女の髪が揺れて、爽やかな女の匂いがした。
ブスッと向かい側の席で、間抜けな音が聞こえたかと思えばバカが風船みたいな顔をしていた。
「ブスみたいな顔をして、どうした正邪。上手い飯作ってくれたんだから文にお礼言え。」
「・・・しだ…て、作っ……ーの」
「あんだってー?」
「バカ、煩いよ。文さん、ごはん美味しい。」


669 : ○○ :2016/11/15(火) 00:47:40 bEsjF0FA
飯を食べた後、俺は渋る文を送り帰している頃だった。
「文ちゃん、ほんと可愛いんだもん。娘にしたいぐらいだわ」
「あいつは、構ってちゃんだからな。すねてんだよ」
辺りは静かで、砂利道を踏む音しか聞こえない。
「・・・・・・・わかってるのに気付かないふりして、文ちゃん可哀想よ?」横目でこちらを見やる彼女はころころと笑っていた。
「・・・・・今のは聞こえないから。バカだから、視野が狭いんだよあいつ」
なんでまた、こんな奴をね。他にももっとマシな奴がいるだろうに。一瞬、俺にイタズラを仕掛けた時の正邪の笑った顔が浮かんだ。
煙草を一本口にくわえると、文がそっと火をつけてくれた。やっぱ、良い女だわ。吸わねーのにな。
彼女の細い手は、優しく火を覆った後パッと俺から煙草を奪いとった。
「・・・・ッフー。不味い。あなたのキスの味」
「うるせぇよ」
「照れてる」両手を後ろにやって、ふりふりと体を揺すった。小さく笑っている彼女の姿を見ていると俺が惚れるのも仕方がないと思ってしまう。
「いつまでも、ぐずぐずしてるとあたし、我慢出来なくなって、〇〇さらっちゃうかも」
「わかったから、怖いことを言うなよ」

柔らかいキスをした。

「じゃあまたね、〇〇。送ってくれてありがと。」
「おやすみ、文」
五歩進んだ先で、彼女は闇に溶け込むようにその姿を消すと、バサッと何かがはためいた音がした。そして、その大きな羽ばたきは徐々にどこかへと遠ざかっていった。


670 : ○○ :2016/11/15(火) 01:27:47 bEsjF0FA
「おかえり」
正邪は、外で俺を出迎えてくれた。
「寝とけって、つったろ正邪。ほら、風呂入るぞ」
そうやって、腕を持って引っ張るとそれはひどく冷たかった。

風呂に入ったあと、外で一服していると裾をグイグイと引っ張られた。無視をしていると、今度は黙って抱きついてくる。昼とは違い、ひどく甘えてくるようで、ただぐいぐいと体を押し付けてくるだけで小さい子どものようだった。
「匂い、臭い」
「だから、近寄んなって」
「消してるの」
「無理だろ」
「……知らない」
それからはぐりぐりと、体をこすりつけてくるだけだった。
 
「おやすみ」
「うん」
豆電気を消して、俺と正邪は床についた。時計の針が何周か回った頃、既に眠気でまどろんでいた俺のもとへと、もぞもぞと正邪が布団の中に入ってきた。
俺はなにも反応せずに既に眠っているふりをした。俺の胸元まで来ると、体をぴったり押し付けてそのまま動かなくなってしまった。ほんとに、子どもみたいだなこいつ。と思いながらそのまま眠りに落ちていった。

犬に顔中を舐め回される夢をみた。

終わり


671 : ○○ :2016/11/15(火) 01:28:48 bEsjF0FA
ようやく終わった。。はよ寝よ


672 : ○○ :2016/11/16(水) 17:22:51 cbNkDv.M
動物系の妖怪達にとっては、抜け毛で防寒着ってのは最大の愛情表現なのかもしれない
マーキングと言う意味も含めて


673 : ○○ :2016/11/16(水) 17:53:55 B5Exh4r2
他の女が近づかないようにマーキングされたいよねわかる

○○「ねぇフラン姉様…そろそろ助けてよ…」
フラン「…何で…?○○は言ったじゃない…私と一緒にいるって…私を一人にしないって…」
○○「でも…ずっと鎖で繋ぐなんて…」
フラン「私はずっと寂しかったんだよ…?495年間閉じ込められて…大好きなあなたとも少ししか会えなかったのだから…」
○○「でも…!こんなのってないよ…」
フラン「痛いの…?それくらい我慢してよ…あなたを捕まえておかなかったら、またお姉様達があなたを奪っていっちゃうんだよ…?」
○○「………」
フラン「そんなの絶対に嫌…あなたはここで私とずっと一緒にいるの…」
○○「それなら…レミリア姉様や咲夜と一緒に皆で暮らす事だって…!」
フラン「嫌!あなたは私のモノなの…!破壊されたくないでしょ…?私がずっと護ってあげるよ…!?」
○○「姉様…」
フラン「あなたは私のモノ…お姉様になんか渡さない…奪うヤツは…破壊してやる……!!」

フランは妹ポジが多いけどフランをお姉様をやってみたかっただけ
皆みたいに文学的なヤンデレ書いてみたいよ…


674 : ○○ :2016/11/16(水) 21:21:34 f3bq.AMU
鈴仙「最近の妖夢なんかみょんにかわいくない?化粧とか変えた?」
妖夢「えっ?そ、そんなことないですけど…」
咲夜「そういえばみょんに女の子っぽくなったというか…」
鈴仙「さては…『オトコ』ができたな!?白状しなさい!」
咲夜「田舎の両親が泣いてるぞ、吐け」
妖夢「!!!」

妖夢「///」
鈴仙「間違いねぇ、姐さんこいつはクロです」
咲夜「署で詳しい話を聞かせてもらおうか」

鈴仙「そういえば先月の女子会(笑)来なかったわね、アリバイを聞かせてもらおうかしら」
妖夢「○○さんと映画を見に行きました…///」
鈴仙「その後は?」
妖夢「その後は、近くのカフェでご飯を食べて…ショッピングモールでお買い物を…///」
咲夜「そしてそして?」
妖夢「それからレストランでディナーを…///」
鈴仙「そして?」
妖夢「え、そ、それからですか?」
鈴仙「とぼけるんじゃない!!デートの最後には紅魔館みたいなホテルで大人の弾幕ごっこイベントが残っているでしょう!!」
咲夜「風評被害やめーや」

妖夢「そ、そんな///まだそんな仲じゃ…///」
鈴仙「じゃあどこまでいったのよ!!教えなさいよ!!教えてくだスワぁい!!お願いします!!」
咲夜「ほら、手とか…///…握っちゃったんでしょ///ね?ねぇーッ///」
妖夢「キャー///手、手を握るだなんてそんな///」
鈴仙「キャーキャー///不潔ー///」
咲夜「キャーキャー///」



妖夢「ま、まだ住所突き止めたぐらいで///」

        !?

鈴仙「……!?……あ、ン?」
妖夢「手をつなぐとかデートとかは全然///」
咲夜「…でも、さっき…?」
妖夢「…?あーっ!ごめんなさいなんか勘違いさせちゃいましたね!」

妖夢「 つ い て っ た だ け で す ///」
鈴仙「…つ、いてっ…った…?」
妖夢「はい!!休日の○○さんの行く場所についてっただけです!」
咲夜「……それ、○○さんは知ってるの?」

妖夢「え?知らないですよ?私が勝手についてっただけですから…」 !?
咲夜「((((;゜Д゜))))」ガクガクブルブル
鈴仙「(((( ;゚Д゚)))」ガクガクウサウサ


675 : ○○ :2016/11/16(水) 22:03:23 ugE7cvJs
>>670
せーじゃ…せーじゃ!(針妙丸並感)
これ○○が深い部分で依存してるかんじなんでしょうか
>>672
影狼さんの身体とぅるっとぅるになってるとおもってたらプレゼントされたマフラーが影狼100%とかいいですねぇ…
>>673
弟様をめぐって病み病みハーレム紅魔館ができそうな予感…
ぜひとも書いてみてくださいな。起承転結だけ四行で書いてみてそれに肉付けしていけばそれっぽい長いのができますよ
>>674
無自覚ヤンデレいい…しかも妖夢の中で勝手に関係が進んでるっぽいのがグッときますね
あとうどんちゃん達もウブというか地味にポテンシャル高いのがいい…


676 : ○○ :2016/11/17(木) 14:02:16 7vMcvHws
目が覚めると、そこは薄暗い見知らぬ空間だった。
これだけでも充分奇妙だというのに、おまけに身体も動かない。
縄で縛られているわけでもないのに、不思議な力で拘束されている。
「おはよう○○…目が覚めたんだね…」
耳元で声がして、俺はハッとした。
声の主は俺の背中から離れ、俺の正面に座る。
俺の妻、八雲藍だった。
「藍…?ここはどこなんだ…?」
「ここは紫様のスキマ空間の中…そしてあなたが動けないのは私が術を使っているからなんだ」
「何故こんな事を…?」
「わからないのか…?本当に…?」
わからない。それどころか今まで何をしていたのかすら良く思い出せないのだ。
「もしかしたら術を強くしすぎたのかもしれないな… ではあなたに説明してあげよう…」
藍は俺を優しく抱き寄せ、口を耳に近づける。

「…結婚した時にあなたにプレゼントしたあのマフラーは、私の毛で作ったんだ… そしてそれにはある結界を施してある…」
「その結界というのはな、あなたに私以外の女が近づいた時に…その事をを私に知らせるための仕掛けなんだよ もしそうなったら紫様のお力を借りてあなたを監視するんだ…どうだ?完璧なシステムだろう…?」
どこか自慢げに語る藍に対して、俺はただ呆然とする事しかできない。
「そして昨夜…その仕掛けが作動し、私は事態を確認する事になった いつものように単なる仕事での接触だろうと思っていたよ………… でも、違ったんだ あなたは私の知らない女と楽しそうに話していたんだよ」
それを聞いて俺は思わず「えっ?」と声を出してしまう。

続きます


677 : ○○ :2016/11/17(木) 14:28:17 7vMcvHws
「うふふふ…やっぱり覚えていないんだな 私は紫様の協力を得て、その女と話している途中のあなたをこの空間に連れ去ったんだよ…?」
藍の説明を受けて、朦朧としていた意識が目覚めていく。
それに連れて薄れていた記憶も戻ってきた。
「…その女の人はどうしたんだ?」
「………それをあなたが知る必要はないさ…まあ…相応しい罰を受けているだろうがな…♪」
「……」
「…ソイツが心配なのか…?私より…ソイツが心配なのか…?生涯を共にすると誓いあった私より…?……そんなの許さん………でも、そうじゃないとわかっているよ あなたは騙されているだけなんだよね…」
「えっ…?」
「あなたはあの女に騙されているんだよ 卑劣な手を使ってね… きっとヤツは私が羨ましかったんだ 誰よりも素敵なあなたに生涯を捧げたこの私をな… 何百年も運命の人を待ち続け、そしてその運命の人と結ばれた… 私はあなたに全ての初めてを捧げ、あなたも私に同じ物を与えてくれた… 初恋、純潔、ファーストキス… 全てがお互いの色で始まり染まっていく…そんな完璧な純愛が羨ましかったんだ」
「藍…」
「…ソイツは私達の世界を侵そうとした… 私のあなたに術をかけ、あなたを奪おうとした…!でももう大丈夫だよ…?私がその術を解いてやる…再び私の匂いで、私の色だけで染めてあげる…!」
藍は俺を抱きしめる力を強くする…。

次が最後


678 : ○○ :2016/11/17(木) 14:47:49 7vMcvHws
藍と俺は口づけをし、藍は強引に舌を絡めてくる。
「○○は私だけを愛せば良いんだよ…?私の生涯において愛する人があなただけのように、あなたの生涯で愛する女は私だけでなくてはならない…」
痛いほどに強く、苦しいほどに深く唇を重ねる。
俺はそんな藍を一度離れさせ、口を開いた。
「…なあ藍、俺の鞄はどこにある…?」
「鞄?それならすぐ近くにあるが…」
「その中に…その…白い箱はなかったか…?」
「箱…?まさか…」
藍は鞄を持ってきて中から白い箱を取り出す。
「これの事か…?」
「ああそうさ…開けてみてくれるか?」
俺がそう言うと、藍は恐る恐る箱の蓋を開ける。

「これは…首飾り…?それに…私とあなたの名前が彫ってある…?」
「うん、プレゼントだよ… 今までの感謝と、これからの誓いを籠めた… 昨日はそれを買いに行ってたんだ」
「で、でも…!じゃああの女は…!」
「職場の先輩だよ… こういうプレゼントって何をあげたらいいかわからなくて…相談に乗ってもらっていたんだ」
「じゃ、じゃあ…アイツが吐いた言葉は事実だというのか…?そんな…なら私は…!」
藍の瞳からぽろぽろとしずくが流れ落ちる。
そしてその場所に崩れ落ちてしまう。
それと同時に俺の拘束はなくなり、俺は藍を抱きしめた。
「誤解…解いてくれたかな…?」
「うっ…ううっ…ごめんなさい…!私…私っ…!」
「こんなに藍が俺を想っていてくれるのに、俺が浮気なんてするわけないだろう?…愛してるよ、藍…」
「ひぐっ…あなた…!あなたっ…!ありがとう…!愛しています…!これからもずっと…!」


あーもー!
ちょっと小説っぽく書いてみたらこれだよ!
俺にとって藍様のイメージは真面目で貞操観念が非常に高くて、惚れたらその人と必ず添い遂げようとする女性の鑑的なイメージ
それをエスカレートさせたらこうなるのでは?という妄想でしたすみませんでした


679 : ○○ :2016/11/17(木) 18:45:06 oFqFD8oM
先輩とばっちりワロタ
その身勝手さが妖怪の癖に人間らしくて、なんだろう、涙とか色々流して
○○にすがり付くようで、シズル感たっぷりなのがいいです
また見てみたいです


680 : ○○ :2016/11/17(木) 18:55:30 7vMcvHws
>>679
お褒めにあずかり恐悦至極でございます…!
今までは口上ばかりだったのでこれからは皆様の作品を参考にしつつそれっぽいヤンデレを書いてみたいです
ちなみに先輩は拷問の後野良妖怪の食糧になる予定でしたが、拷問の直前に誤解が解けたので無事です
もちろん記憶を消されていますが


681 : ○○ :2016/11/18(金) 00:17:43 2iySviUk
先輩が助かったようでなりよりです

妖怪らしさというかって重要だよな


682 : ○○ :2016/11/18(金) 02:24:05 arWCSajc
>>674
この妖夢すき
っていうかこんな感じのヤンデレが好きなのかも


683 : ○○ :2016/11/18(金) 19:55:50 le5WJmgc
チルノ「絶対に逃がさない、アタイのものにする、捕まえて、一緒にいる、逃がさない、逃がさない、逃がさない!!!」





○○「だから捕まえるときはHP減らしたり状態異常とか使わないと捕まえにくいって」
チルノ「ぬわー!!また捕まえられなかった-!」カチカチ
フラン「チルノへたくそ〜」カチカチ
大妖精「捕まえる時のボタン連打意味ないってわかっててもついつい押しちゃいますよね」カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

チルノ「やったー!ポケm…モノノケゲットー!」ピョンピョン
フラン「いつも○○にとやかく言ってつきまとう癖にゲームの新作出た途端これだもん」
○○「いつもうるさいのが大人しくなると寂しいもんだよ」
小悪魔「あれ?あれれ?あれれれ〜?もしかして○○さんまんざらでもないんじゃないですか〜www」
○○「そんなんじゃないぞ」
小悪魔「こういうのは子どものうちだけですよ、大きくなったら今のことなんか忘れて別の男とキャッキャッウフフですよ」
○○「そういうのマジ萎えるから…」
小悪魔「落ち込まない落ち込まないwww大丈夫?おっぱい揉みます?」
○○「揉むけどさ」
小悪魔「キャーッ///やだーっ///ってちょっ待っギャー!ギャーッイヤーッ!!!冗談なのにホントに揉むんだもんこの人ォー///」
○○「隣でこんだけやってもゲームに夢中なんだよなぁチルノ」
チルノ「むむむ」カチカチ
大妖精「<◎><◎>」
フラン(大ちゃんがすごい見てるけどあたしはなにも見てない、見てない、見てないッ)

美鈴「大ちゃん交換しようアル、ヌリカベくださいアル」
大妖精「いいですよ、じゃあ私はイソナデでいただいてもいいですか?」

メーリンから『イソナデ』のショーロンポーが送られてきました!かわいがってあげてネ!

大妖精「わーっありがとうございます!おいしそうなニックネームつけてるんですね!」
美鈴「(*´∀`)bアルヨー」

ダイから『ヌリカベ』の○○が送られてきました!かわいがってあげてネ!

美鈴「   」
大妖精「大事にしてくださいね、逃がしたりなんかしないでくださいね、絶対絶対かわいがってくださいね…」
美鈴「((((;゜Д゜))))」








大妖精「捕まえる時は」

大妖精「体力を減らしたり…」

大妖精「状態異常にしたりするんですよ…」




今朝思いついた突貫工事の一日クオリティです(��´ω`�� )
チルノちゃんお休み回


684 : ○○ :2016/11/18(金) 20:26:47 xc4/uI0I
GJ!
今日も笑わせていただきました
小悪魔ちゃんに言っておく、普通の女なら過去を忘れて別の男に行くかもしれない
だがヤンデレはそれを覆すのだよ…!
いつまでもいつまでもただ一人を愛し続けるのだよ…!


685 : ○○ :2016/11/18(金) 20:27:18 xc4/uI0I
GJ!
今日も笑わせていただきました
小悪魔ちゃんに言っておく、普通の女なら過去を忘れて別の男に行くかもしれない
だがヤンデレはそれを覆すのだよ…!
いつまでもいつまでもただ一人を愛し続けるのだよ…!


686 : ○○ :2016/11/18(金) 20:28:20 xc4/uI0I
うわバグって連投されたごめんなさい


687 : ○○ :2016/11/18(金) 22:24:40 zqUk8WvQ
○ちゃん
「大事すぎることなので二回いいました」


688 : ○○ :2016/11/19(土) 16:45:16 vgoJqaEQ
皆の投稿する話は週末の癒しだなあ
きゅんきゅんした後にスマホ用ペンを持つ本当すごく捗る


今回のはちょっとえっちいので苦手な方は画像を開かないようお願いします

ttp://i.imgur.com/EytQoeC.jpg
「貴方の全てを貰いに来たわ。代わりに私の全てをあげるから、ね?」
危険度極高人間友好度最悪の幽香さんが恋したら色々凄そう
そして最後にしてコスプレ衣装思いつかなくなったから某吸血鬼シリーズから拝借
最終的にハロウィンからは大きく遅れたけどこのシリーズ描くの楽しかったです


689 : ○○ :2016/11/19(土) 17:04:38 ZcPJv8rA
す、すげぇエロいけど素晴らしい…!!!
お疲れ様でした…!ありがとうございました…!!
恋というのは多分、生殖本能などから生まれるんだろう
だから妖怪(強ければ強いほど)は恋をする事がない
でももしそんな妖怪が恋をしたら、きっと物凄い事になるだろう
それが幽香ちゃんなら尚更だ
何が何でも○○を手に入れようとするし手に入れたら何があっても離さない
未来永劫○○だけを深く深く愛するんだ
そして大妖怪の場合はそれが初恋だって可能性が高いのが個人的に凄く燃えるんだ
長く語ってしまったが何が言いたいかっていうとヤンデレは最高の純愛だって事なんだ


690 : ○○ :2016/11/19(土) 20:10:52 OvN3srkg
>>688
おっつおっつ!
〇〇の手が埋まってもなお余りあるおっぱいの感じ良いな
モリガンじゃなくてリリスなのも拘りを感じる
ゆうかりん阿求には散々書かれてるけど、その愛を受け入れればきっと誰も見たことのないような優しい笑顔を見せてくれて尽くしてくれるんだろうな


691 : ○○ :2016/11/20(日) 18:27:43 DmvZkBlw
俺の中でゆうかりんの性知識は
「雄しべと雌しべが〜」みたいな植物に寄ってるから「唾液を交換(キス)すると妊娠する」ぐらいに思ってるという妄想

なので自分から迫っておいて「聞いてたんと違う!」みたいなことになりそう


692 : ○○ :2016/11/21(月) 03:07:28 7vN828Lg
ノブレス・オブリージュに囚われて(97)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=87

妖夢って剣術は一流だろうけど、精神面ではもろそうと言うか浮つきやすそうと言うか
そこがまた可愛い所なんだけど
でも白玉楼には女中とかいなさそうだから良いけど、稗田家の女中は生きた心地しない日が多そう
そういう意味じゃ半隔離状態の場所に居を構えてる人妖はまだマシなのかも


693 : ○○ :2016/11/21(月) 06:55:05 eJ/3bPOk
>>692
入りたての人は、当主の爆弾を踏まないように気を使うのに苦労する
イメージがします
長年の使用人に至っては、洗脳というか、「お嬢様の幸せが第一です。」
みたいなのをそれこそ代々使用人の家系でやってきそうな…
本気を出した霧雨家にも同じポテンシャルがありそうです

当代の息子の親への怒りが愛情から出て来て、それが潰れてしまって諦めに
変わってしまったような印象でした。
「ああ、こいつ遂に本当に駄目なんだな」という息子の悲哀が伝わってきました。
乙でした。


694 : ○○ :2016/11/21(月) 15:20:32 rTUFbuTY
>>692
投稿お疲れ様です
目を覆いたくなるような重い展開いつも楽しく読ませて貰っています
文才のない私には輝かしい物語だ


ttp://i.imgur.com/VDtdBjV.jpg
私服でデート椛ちゃん
いやあ千里眼って便利ですよね、相手との距離が遠くても産毛が認識できるくらい近くに見えるから


695 : ○○ :2016/11/21(月) 22:47:28 eJ/3bPOk
GJです!
ひょっとしてデートって後ろからストーカー…


696 : ○○ :2016/11/21(月) 23:36:53 27T7q3CM
こうやって一方だけの関係が進んでいくんだなぁ…(遠い目)


697 : ○○ :2016/11/22(火) 14:06:38 fy/nMIc6
>>694
デート(接触があるとは言っていない)
洋服椛良い!塗りもいつもと違って良い!


698 : ○○ :2016/11/23(水) 15:13:38 eQ03/Ako
清蘭「あ、○○さん起きました?」

清蘭「びっくりしましたよ、お部屋に来たら倒れててすごい熱だしてるんですもん」

清蘭「あ!いまおかゆつくってますんでできら持ってきますね!」










○○(……誰?)


699 : ○○ :2016/11/23(水) 19:42:49 RrPjSX5A
ナチュラルに○○の身の回りに存在しちゃう青蘭さんいい…
青蘭の脳内で何が起こっていたのか気になりますね


700 : ○○ :2016/11/23(水) 19:54:45 RrPjSX5A
青蘭……?清蘭!チガウヨーマチガエテナイヨー!ウ,ウワー !


701 : ○○ :2016/11/23(水) 19:57:07 OKGpnQ8o
青蘭は一体何物なのか・・・

>>518
の設定で一つ
とじーのイメージが湧けばまた追加します


702 : ○○ :2016/11/23(水) 19:57:51 OKGpnQ8o
 もし貴方が、突然恋人から別れを切り出されたらどうするだろうか。驚くだろうか?問い
詰めるだろうか?それとも怒りを露わにするだろうか?人によって色々な感情の表れがあるの
だろうが、私にとっては全て-そう全てが何か遠い出来事のようで、何か反応をするまでも
なく全ての物事が過ぎ去ってしまっていた。あの頃に戻ってやり直すことが出来てもやはり、
やはり何も出来ないのかも知れないが、それでも私は戻りたいと思っている。全ての事が
終わってしまった今であっても。

 私が恋人の幽々子から別れを告げられたのは一年程のことであった。秋になり木々の葉が色
づきそして散っていく頃であったが、私はその日彼女の住んでいる白玉楼にいて彼女と食事
を摂っていた。幽霊が作る物といえど豪勢な食事は屋敷の豪華さとひけをとらないものであり、
私は旨い食事に舌鼓を打っていた。メインデッシュたる懐石料理を終え、幽々子が楽しみにする
デザートを待つばかりとなっていた束の間に、幽々子はふと思いついたかのように私に言った。
「私達、別れないと駄目ね。」


703 : ○○ :2016/11/23(水) 20:00:41 OKGpnQ8o
 あまりにもあっさりした彼女の物言いに私はすっかり動転してしまい、何と言葉を返したか
は記憶に霞がかかっており今でも思い出す事ができない。気の利いた言葉でも言っていれば
幽々子に心変わりさせることもひょっとすれば、万が一程度の確率であれば、可能であったの
かもしれない。しかし私は、紅葉の葉がハラハラと風に吹かれて舞い落ちる最中に漏らした
彼女の言葉を聞いたその瞬間に、もう駄目だと思ってしまっていた。別に彼女との仲が険悪
になっていた訳では無い。そして別に彼女に飽きていた訳では無い。そして別に彼女に不満が
何か有った訳では無いのに、私は特別に何か反論する訳でも無く彼女からの別れの言葉を
受け入れてしまっていた。彼女に深く踏み込まないのは卑怯なのかもしれない、或いは惚れた
女に執着しないのは淡泊過ぎるものなのかもしれない。後からそう噂する人も居たであろう
それに対して、私はある種の当然と言わんばかりの態度でその申し出を受け入れていた。

 其れまで私は白玉楼にて、庭師の様な役割で働いていたのであるが、彼女と別れてし
まっては今までの様に働くことは出来ない相談である。彼女が突然の気まぐれで私と別れた
のならば私はそのまま身一つで放り出されてしまっていても可笑しくないのであるが、彼女
は有り難くも伝手を使って次の就職先を探してきてくれていた。彼女に気を遣わせてしまい
申し訳ないという気持ちと、次の働き口が見つかって助かったという姑息な気持ちがない交ぜ
となっていた中で、私は紹介された職である神霊廟へ向かったのであった。

>>701の清蘭間違えた。これは何処かのヤンデレの陰謀に違いない、はず


704 : ○○ :2016/11/23(水) 21:06:08 OumPcxZY
捨て子だった○○を拾って育てた紫ママのヤンデレをやってみる

「○○ちゃん…聞いたわよ…?あなた、昨日人里の女に告白されたそうじゃない…」
えっ?まあうん… でも母さんには関係ないだろ?
「えっ…?関係あるでしょう…!いいかしら?私はこの世界に妖怪として生まれて数千年…ずっとあなたを探していたのよ?私と運命で結ばれたあなたを…!夢にだって見たわ あなたの姿も全てね」
だからといって、母親がどうこう言う話か?
「………確かに私はあなたの母親よ …でも血なんて繋がっていないじゃないの 結婚だってできる…!いえ、あなたは私の夫になる運命なのよ…!そのために純潔も全て守ってきたのよ…?」
またそれか…
「……ごめんなさい」
えっ?
「○○ちゃんは今『反抗期』ってヤツなのよね…?自分の気持ちに素直になれないだけ… 藍を育てた時にはなかったから、私は少し焦ってしまっただけなの…反抗期…そうに違いないわ…♪」
ちょっと母さん…?…うわっ!スキマ!?

「到着よ…♪」
ててて… ここは…?
「私の創った私達だけの世界…♪ ここでしばらく生活する事にするわ…♪」
は…?
「邪魔な奴等はどこにもいない…♪この理想の世界で、いっぱい教えてあげる…♪ あなたがどう生きるべきか…あなたにとって何が幸せなのか…他にもいっぱいあるわ…♪」
母さん…
「悪いけど、藍と橙にも会わせないわ お姉ちゃん達に会えなくて寂しい?でも大丈夫、私がずっとそばにいてあげる…♪」
何だか…意識が…?
「術が効いてきたみたいね…♪ 移動中にかけておいたの…♪ 大丈夫よ…目が覚めれば楽になれるから…♪」

「あら○○ちゃん…♪目が覚めたのね…?おはよう…♪」
おはよう母さん…何か頭痛がするよ…
「そうなの…?大丈夫よ…私が妖気で治してあげる…」
ありがとう…
「ところで○○ちゃん…」
何?
「…誰かに告白された事あるかしら…?」
えっ?ないけど… それより、修行を始めようよ せっかくの母さんと二人だけでの合宿なんだしさ
「そうね…♪それでいいのよ…♪私はあなただけのモノ…あなたは私だけのモノなんだから…♪…早く一人前になって私を妻にしてね…♪」
ん?何か言った?
「いいえ、何も♪」


705 : ○○ :2016/11/24(木) 22:01:16 b6R8z9IQ
>>703自分が考えた設定でストーリーを書いてくれるのは、嬉しいな
続きも楽しみにしています


706 : ○○ :2016/11/24(木) 22:11:25 Vsoj1O0o
>>704
○○の記憶を捻じ曲げてまで○○と結ばれようとする紫ママの執念いい…
何百年何千年とずっと○○を探して○○を愛し続けるという人間には考えられない事をするのが妖怪らしくていい…


707 : ○○ :2016/11/24(木) 23:09:03 b6R8z9IQ
オリ設定とか余裕で美味しく頂ける守谷教信者に捧ぐ 多分シリーズ化 

「雨の町は、」

そこら辺の道のりを思いだして、ふらふらと横路を歩いて行けば、小さな民家が見えた。ああ、あそこだ。懐かしさと寂しさが、流れる凪と共にやって来た。帰ってきた。いや、帰ってきてしまったと言うべきなのだろう。ここへ、そして彼女の元へと。

彼女は、私の全てであり、私は彼女の全てだった。

幻想郷へ流れてきた私は、異世界において、全ての人間が守らなければならないしきたりとタブーを理解し溶け込むことが出来なかった。最初、私がたどり着いた町はあまりにも鮮烈的なものであった。旧守谷神宮町、山なりに沿って造られたその町は、人と妖怪が共に暮らし互いに依存し合うところ、そして余りに悲しい場所だった。その頂上に位置する守谷神宮は、数十年程前までは二人の神と一人の巫女によって絶大な権力と富を有していた。その勢いは、一時は幻想郷の中でも紅魔の吸血鬼と肩を並べる程でさえあった。彼らは多くの信者を従えて、この山に町を造り守谷の総本山とした。雲をつかめる程の高い標高から続く街並みは遠くから見るほど、その壮観さに圧倒される。かくいう私もその一人であった。

ここへ連れてこられて、さまようままに私がこの町にたどり着いた時、町の関門で
「外来人だな?」と髪や髭が異様に長く、片目だけを覗かせた男に問われた。
「ここは?」そうきくと彼は実に気持ちのよくない顔で笑い、大きく手を広げてこう言った。
「ここは、我等が守谷教の総本山、旧守谷神宮町だ」
「守谷教。」
「ああ、外来人は知らないだろう、世界で一番素晴らしく尊い宗教だ。」
「世界で一番。」
「そうだ。」
「総本山なのに、旧がつくのか?」
「それは、我が教祖様が異世界で新しい守谷神宮町を建てたからだ。」
どうやら、聞いたところに寄ると、守谷教には二人の神と一人の巫女がいるそうで、その中の巫女が異世界に守谷教を広めようとして旅に出たらしい。
そして、数年後彼女はこの世界に戻ってきて、新たな守谷神宮を建てたと大々的に公表した。その功績を元に、彼女は自らを神と呼び、守谷の一神と触れ回った。当時、より強い影響力を求めた若い世代の信者は彼女を盲信した。一時は、彼女を一目見ようと他所から押し掛けた入信者が、町を埋め尽くしたこともあるそうだ。結局一年も立たずして、巫女は彼らを連れて再び異世界へと旅立っていった。


708 : ○○ :2016/11/24(木) 23:10:31 b6R8z9IQ
「とまあ、こんな感じだな。」髭ながの男は満足そうに言った。
「他の二人の神は反対しなかったのか?」
「それは、もうしたさ。なんたって、子どもの頃から面倒を見ていたらしいからな、我が子同然だろう。一人だちしようとするにはまだ若いとえらく引き留めてたよ。」
巫女と二人の神は、第三者から見てもそれはそれは仲睦まじい様子で本当の親子以上の関係だったそうな。彼女らは、共に境内に住み、飯を食う、それを何十年も続けてきた。そんな時に突然、巫女が異世界に旅立つと言った時に二人はどのような心境だったのだろうか。
「まあ、ここは腐っても幻想郷随一の経済の中心地だ。そら、これで十日は持つだろうよ。」髭ながの男はそういって、番台の上に麻袋をほうり投げた。どさっ重い音を立てたそれを開くと中には、籾が六合ほど入っていた。
「ここでは、物々交換が主流だ。秋に収穫される米は、秋姉妹の不在でめっきり流通量が減ったのさ。貴重な分、もちろん価値がはね上がる。今や通貨として扱われるようになった。まあ、これは栄えある外来人への俺からの餞別さ。これが切れる前には、自分で食い扶持を稼げるようになっとけよ」髭ながの男は痰の絡まった咳をしながら、追い払うように手をひらひらとさせて煙草に火をつけた。

町の中へと入ると、上へと永遠と続く細い階段に面して多くの商店や露店が賑わっていた。階段に寝そべる女、風呂敷を広げて大きな声を挙げて客を呼び込む少年、さらに横道は縦に続く道と違い平坦で、奥へ進めばさらに密度の濃い多種の雑貨や住宅街が見えた。さらにはここに住む者達さえも、余りに多様であった。茅葺き屋根の下で日差しを避けている、丸々と太った着物姿のカエルが煙管を加えて、大量の白い煙を道行く人々に吹き掛けている。煙を嫌がる顔を見せた者達の中には、目だけが異様に赤く充血した女や首から下にかけて斑模様の鱗がまとわりついている老婆など奇怪な姿をした者達が多く、ようやく見つけた、ごくごく普通の人間だと思えば、二尺はある舌を入れたり出したりしていた。
「熱い……」
密集した人混みのなかでは、やはり熱気が篭る。それだけではなく、この町は異様な湿気に満ちていた。シャツの下の肌はもう大量の汗をかいており、鼻先にも汗粒が散らばっていた。
たまらなくなった私は、近くの飲食店らしき場所へと逃げ込んだ。
静かな店内は、古いアンティークや南蛮風の置物、二足で華美な装飾をつけた象や蛙を丸のみしようとする蛇などが所狭しに置かれていた。
「いらっしゃい」奥の簾から、顔を出すように出てきたのは若い女であった。実りを吹かせた稲畑のような金髪が前髪にかかり、そこから覗く蒼い目と尖った耳、二十歳前後といったところだろうか。
「冷たいお茶と軽い食べ物、お願い出来ますか」
「はい、すぐに用意するわ」
二、三分待っている間私は窓から、通りすぎて行く人々をぼんやりと眺めていた。
異形の住む町、旧守谷神宮町。大変な所へときてしまったのかもしれない。


709 : ○○ :2016/11/24(木) 23:12:13 b6R8z9IQ
「おまちどうさま」
気づけば、蒼い目の女がお盆を持って側に立っていた。出てきたのは、冷えた麦茶と蕎麦のような黒い麺とすでに葱と香辛料が入った出汁だった。なかなか、手をつけるには勇気のいる見た目だったが、食べてみれば何のことはなく美味かった。
「あなた、外来人よね」
「はい、今朝まで仕事へ行く途中だったのに気づいたここへ流されてきました」
ふんふんと何度か頷き少し考えた後、彼女はにこりと微笑みかけてこう言った。
「これから帰ろうにも、いつになるかわからないし、それまで生きていく手段もない」
「はい」
「あなた、ここで働かない?」急な提案だった。
「何だか、急な話ですね」
くすくすと笑いながら彼女は値踏みをするように話を続けた。
「あなた、顔が良いもの。好みなの」
嘘をついている、お世辞にもそのようなことを言われたこともなかった。というよりは彼女の顔が笑っている。
「ありがとうございます」満面の笑みでそういってやった。これくらいの皮肉は許されるだろう。
「ぷっ、あははははは」突然腹を抱えて笑いだした。
「面白いね、あんた。合格よ、もういいじゃない何だっていいでしょ理由なんて。あんたも食い扶持が稼げるし、私も雑用係が増えて楽だし、お互いに得があるじゃない」
確かに、この世界で多少なりとも生き抜くためには仕事が必要なのは理解できる。そんな中に垂らされた餌は、柔弱な自分には針が覗いていても魅力的だ。
しかし、この女性かなりの美人である。

決定。

「よろしくお願いいたします」


710 : ○○ :2016/11/25(金) 20:58:46 Wcu2Q/lM
 ……ハハハ、酔った酔った、大いに酔ってしまいました……。
イエ、もう結構です結構……。しかし珍しいですね。あの仕事一優先の四季様が直々に見学だなんて……いったいどうしたんです……。
……なるほどナルホド、ハハア、最近私がアノ人と惚気ているようですから説法に来たと……それはマタご苦労千万な事で……。
しかしご心配はいりませんよ。私はチットモ惚気てなんかおりません……むしろ仕事の効率が良くなってきているくらいです。
アノ人の御陰様で…………。

 ……ヘエ……私と彼の馴れ初めが聞きたい、ですか……。えぇ、構いませんよ……しかし馴れ初め……馴れ初めですか……えへ、えへへへ……。
…すみません、「馴れ初め」と言われると素敵にうれしくってうれしくって…。酒のせいでしょうかネ……。

 それじゃあドコから申し上げればよいでしょうか……。
そうですね……まずは彼がこの地霊殿へ来た経緯から、ですかね……。


711 : ○○ :2016/11/25(金) 21:06:36 fse1l7kQ
>>704
こういうシンプルなヤンデレいいなあ


712 : ○○ :2016/11/25(金) 21:44:10 Wcu2Q/lM
 地底は陰気なところです。ソンナ陰気な場所の住人がより一層陰気になるのは必然でしょう…。
そこに現れた一縷の光明、私が唯一無条件に信頼できる存在……それこそが○○さんでした。

 彼が地霊殿に現れたのは、いつも通り陰鬱な午後に私が煙管を吹かしていたときでした。
モクモクと上っては消える煙をナントモナシに見ていると、ペットが急に私の部屋に侵入してきました。
リラックスタイムを邪魔されたんですから、多少はイラッとしましたが、主人としてそんな過敏な神経を露呈するわけにはいきません。
私は仕方なしにペットの心を読み取りました。

 ドウヤラ、ペットによると、地霊殿入り口付近に外来人の男が一人行き倒れているらしいのです。
私はその日、別に用事があるわけでもなかったので、暇つぶしにその哀れな男の顔を嘲笑しに行くことにしました。

 私はピンクのスリッパを脱いで、外履きに履き替えてから、ペットと共に外に出ました。
すると、ホントウに玄関のすぐ傍……というところに、外界特有の奇天烈な衣装をした男が倒れていました。
私は首を伸ばしてイッタン男の全身を一瞥して、次にマジマジとその男の顔を凝視していますと、ウッスラと男が目を開けました。

 ……私はあのときほど仰天したことはありません。そしてこれからも永遠にないでしょう……。
似ていたのです。瞳が。………その男の瞳孔が、私にソックリソノママ……瓜二つなんです。

 男の目は、世の中に心底ウンザリし疲れきった……そんな目をしてしまいました。


713 : ○○ :2016/11/25(金) 22:05:57 Wcu2Q/lM
 私は妙にこの男に心を惹かれましたから、とりあえず介抱して、その淀んだ瞳の秘密を暴くことにしました。
ほんとにその時の心情は奇妙なものでしたので、明確に言い表すことはできませんが……キット、仲間が欲しかったんでしょう。

 私は男を医務室のベッドに寝かして、二言三言話を交わしました。幻想郷へ流れ着いた経緯や外界では何をしていたか……主にソンナ内容を。
男は私の推察通り、現世に疲労困憊しきった末、幾度の自殺未遂を繰り返した果てに此処に流れ着いたらしいのです。

 彼との対話は、摩訶不思議な中毒性を孕んでいました。
私は彼が回復するまで、毎晩毎日のように病室に向かい、薄暗い会話を繰り返しました。
人間の、生物の心というのは様々な多面性を帯びていて、コロコロ変わるもので、私はその変動が嫌で嫌で仕方がありませんでした。

 しかし彼にはソンナ心の上がり下がりが全くないのです。
彼の心にはピンからキリまで一定とした……薄暗い空気が纏っていたのです。

 気づいたときには、私の心は、彼の心に見事に食い破られ、侵食され、犯され、一切の自由が効かなくなっていました。


714 : ○○ :2016/11/25(金) 22:30:05 Wcu2Q/lM
 私はチョットだけ悩んだ末、彼をこの地霊殿に定住させることにしました。
この考えには、彼も大賛成で、すぐさまyesの返事を貰えました。……ドウヤラ、彼も私との度々の会話で、私の思想にマッチしてくれていたようでした。

 さて、地霊殿の彼の働きぶりは、トテモステキに素晴らしいものでした。
彼は移住してタッタの一ヶ月で、旧地獄のアイドルと化しました。
彼はペット、妖怪、全てに分け隔てなく、笑顔で接していました。それが陰鬱な住民達の心をガッチリ掴んでしまったのでしょう。

 ……しかし、彼は本心から笑顔を「振り撒いていた」わけではありません。
彼の本心は地霊殿の住民に負けず劣らず捻くれていましたので、かなり疲れきっていました。

 次第に彼は、鬱と躁の二重が交差し、此処にきた時異常に悲観的になってしまいました。
その心を支えたのが……他でもない私でした。

 私は彼が疲労している時には進んで声をかけました部屋に向かって励ましのことばをかけてあげました愚痴も聞いてあげました時には哲学的な話も交わしました。
シダイシダイに彼も私も私が必要彼が必要と交錯し密着し依存し合いました彼には私の心がシッカリと理解できるようになりました。
私と彼は表裏一体二人で一つ同じ生物同じ人物のように溶けあい混ぜあいとろけました。
彼の心がドキンドキンと鳴ると私の心もドキンドキン鳴るのです……えへへ、えへへへへへへへ…………………………。


715 : ○○ :2016/11/25(金) 22:49:16 Wcu2Q/lM
 私の心は彼と同様……私の瞳は彼と同じ色……。
ある晩、私は彼の寝床に忍び込み、無理やり刃物で心臓を突き刺しました。

 彼の血管は悉く破れ、そこから血がドクドクと脈打ち、鮮血がベッドも、私の心も真ッ赤に染め上げてしまいました。
……こう話しているだけで頭が狂ってしまいそうなんですから、その時の私の興奮具合はもう思い出すことさえできぬほどです。

 私はサード・アイのチューブを引き裂き、彼の心臓に突き刺しました。

私と彼の心は完全に繋がれたのです。

 彼は小さな声で言いました、
「ドウシテだ……さとり……ドウシテドウシテドウシテドウシテ……」
 私の心に彼の声が流れて来ました。
彼の血液がドクドク溢れる……そしてピクッ…ピクッ…と微動する……それが私の体にも微弱ながら、だからこそ大きな意味を持って感じられました。

 私はツイニ興奮の絶頂に達しました。

私はオモムロに、馬乗りになった状態で、彼の血液が付着した唇を奪いました。
私はまず舌を侵入させ、彼の舌にピッタリくっつくようにしました。彼が逃げよう逃げようとしてン――ッ、ン――ッとウネリ声を上げ、体を揺らします。
スルト……口の中でピチャピチャと血液と唾液が交じり合った音が、閑散とした部屋の静寂に寂しげに響きました。

…………………………その音が私のココロに流れ込んで来ました。同時に彼のオボロゲで消えそうなココロも共に…………………………。

私はあまりの変態性欲の絶頂のあまり、そのあとがどうなったか覚えていません。


716 : ○○ :2016/11/25(金) 22:54:29 Wcu2Q/lM
 私が話せるのはここまでです。四季様。


717 : ○○ :2016/11/26(土) 01:34:10 /Nv9TEws
>>709
早苗さんのいない世界でどんなヤンデレが来るのか期待。

>>716
以前フランを書かれた人でしょうか。さとりの孤独と欲望が
ドロドロと流れ出しています。妖怪の独善性がいい味わいでした。

次より投下します


718 : ○○ :2016/11/26(土) 01:35:07 /Nv9TEws
「いらっしゃい。あら、また来てくれたのね。」
「貴方程まめに来てくれる人は珍しいから。アガサクリスQの本が入ってるわ。」
「え、そっちじゃないの?」
「へえ、貴方はコナン=シャーロックのファンなんだ。」
「里の人は大体アガサQのファンなのに・・・。あの博麗の巫女でさえそうなのに。」
「ありがとう、そう言って貰えると嬉しいわ。」
「そう、実は私があの本の作者なの。」
「小鈴の「こ」と「す」をもじって良い語呂を考えてたら、外界の本が目に入って。」
「うーん、なんでって言われても・・・。何となくかな。そんなに深い理由で書き始めた
訳じゃ無いし。」
「アガサQ程は上手く書けないから、評判もそんなに良く無かったんだけど、でもやっぱり
楽しんで貰えると嬉しいわ。」
「何っていうかね、紙に自分の気持ちを書いていくのが楽しいっていうか、自分のドロドロ
とした部分をそのままインクの染みに乗せていけるような気がして。」
「ねえ、知ってる?外界の大作家って言われている人は、よく精神的に不安定ってこと。」
「きっと自分の欲求や不安を、書いて紛らわせようとしたのかもね。」
「もしかしたら、書かずには居られないような突き動かされるような、胸の奥から叫びたく
なるような、そんな気持ちに追い立てられるように書いたのかもしれないわね。」


719 : ○○ :2016/11/26(土) 01:36:37 /Nv9TEws
「でも、そんな風にしても結局駄目。」
「幾ら紙に書いても、本物の安心は手に出来ないわ。」
「だから、貴方は私の物になって欲しいの。」
「驚いた?でもね、私は本気よ。」
「冗談じゃないわ。そう思うなら、その椅子からどうして立って出て行かないの?」
「うん、そう。貴方が私と話している間に、色々仕掛けたの。ここには魔法の本もあるし。」
「どうして?だから言ったじゃない。不安を消すためにって。」
「結局書いても心が少しすっきりするだけで、やっぱりすぐに元通り。」
「貴方に愛して貰えればきっと、私の心の隙間が埋められると思うの。」
「だから、ね、私を見て。直ぐにそんな事なんか気にならなくなるから。」

以上になります。


720 : ○○ :2016/11/26(土) 02:37:19 5tNtCC1Y
>>719
喪黒福造 "ガタッ"


721 : ○○ :2016/11/26(土) 13:47:35 9TUJZZow
文才無いけどフラン姉様に愛されたい

「○○…?さっきまで何をしてたの…?」
「ふーん…妖精と遊んでたんだ… やっぱりそうなんだ…」
「楽しそうだったよねぇ… ○○もアイツも… でもごめんね?アイツとはもう遊べなくしたから♪」
「どういう意味って…そのままの意味だよ?ブッ壊したの♪アイツの存在を全てネ…復活だってさせないわ…♪」
「悲しい…?悲しいの…?私の気持ちよりアイツの存在の方が大事なの…?…そんなのおかしい…そんなの認めたくない…!」
「あなたは私の弟なの!あなたは私とずっと一緒にいなきゃいけないの!!…私には…あなたがいないとダメなの…」
「○○がいないと私は苦しくて…寂しくて…とっても痛いんだよ…?心が張り裂けそうになる…もし他の女と話していたら、ソイツをぶっ壊したくて仕方なくなる…!」
「昔言ってくれたよね…?『大きくなったらお姉様と結婚する』って… なのにどうして他の女と話すの…?咲夜も美鈴もパチェも小悪魔もお姉様も…皆あなたが好きなんだよ…?皆あなたに夢中になってる… それでもあなたは私を選んだじゃない…!それを今更裏切るの…!?」
「『僕達は姉弟でしょ』…?何でそんな事言うの…?姉弟は結婚しちゃイケないの…?なんで…?ねぇなんで…!?ナンデナンデナンデナンデ…!?」
「そんなルールを決めたヤツはブッコワス…私達を邪魔するヤツもブッコワス…!○○だって…私を好きじゃないなら壊すよ… 壊されたくないよね…?そうだよね…?」
「お姉ちゃんのコト、スキだよネ…?」


722 : ○○ :2016/11/26(土) 21:25:33 BwXSu0tY
さんざん脅迫してから好きだよねって言う、その盲目さが好き


723 : ○○ :2016/11/27(日) 00:31:55 p6.Ay7mw
>>722
矛盾してるはずなのに矛盾させない説得力()があるヤンデレって良いよね

駄文ですが紫。


何度も何度も記憶を消して それでもあなたは繰り返す

変わらぬ動作を繰り返す

「おかーさん、おはようございます」

「あら○○、おはよう。
 今日は早起きね」

「きょうはなにかだいじな日だったきがするのー」

「ふぅん…何があったかしらねぇ?」

「う〜ん…わかんない」

「お母さんに関係のあることかしら?」

「うん! それはまちがいないよ!
 だからほら! お花あげるね!」

「お母さんの記念日覚えてくれてたんだぁ…良い子ねぇ」


まるでそれは本のよう 読み直し続ける本のよう


「紫、おはよう」

「あらあなた、随分早起きじゃない? 珍しいわね」

「今日は紫との記念日だっただろう?」

「覚えててくれたのね…」

「だからほら、花の冠って奴だ」

「まあ、素敵ね」


だから最後は読み直し こうして話は終わらない


「おかーさん、おはようございます」

「あら○○、おはよう。
 今日は早起きね」

「きょうはなにかだいじな日だったきがするのー」

「ふぅん…何があったかしらねぇ?」

「う〜ん…わかんない」

「お母さんに関係のあることかしら?」

「うん! それはまちがいないよ!
 だからほら! お花あげるね!」

「お母さんの記念日覚えてくれてたんだぁ…良い子ねぇ」

個人的に紫とヤンデレの相性が良すぎて困る
このスレでも昔から結構、書かれてたのを見てたからなんだろうけど


724 : ○○ :2016/11/27(日) 05:39:18 FT/MkLN.
ノブレス・オブリージュに囚われて(98)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=88
最近書く人多くて嬉しい
書き続けてハイになると楽しいし気持ちいいぞぉ……

>>723
純狐が出てくるまでは、紫が一番母性のあるヤンデレ出来そうだなと考えてた
スキマが万能すぎて先回りには事欠かないところも良い
紫様なら箱庭とかいくらでも作れそう

>>721
フランって、レミリアよりもお姉さんと言う役をやりたがりそう
レミリアは最終的に私の所に戻ってくるのよと言う余裕のあるヤンデレだけど
フランは過保護的な、余裕のないヤンデレっぽそう

>>716
心読みすぎちゃって狂っちゃったのか……さとり様は
心変わりする前に、全ての心をサードアイに永久保存とかゾクゾクする

>>709
守矢神社の二柱がやばそうな事しそう


725 : ○○ :2016/11/27(日) 11:13:19 zhcWi8U2
幽々子「あなたが望むなら、なんだってしてあげるわ…嫌いな子とかいる?」

幽々子「コロしてあげてもいいわよ…!」


○○「じゃあそこのみかんとって」
幽々子「…」

幽々子「……!」グッ

幽々子「届かないから無理」
○○「少しコタツからでるだけじゃないか」
幽々子「妖夢、みかんとって」
妖夢「今ポケモンしてるので忙しいです」ピコピコ
○○「頑張って!幽々子ならできるって!みかんとってくれたらもっと好きになるかも!」
幽々子「!!」



幽々子「おこたには勝てなかったよ…」ガクッ


726 : ○○ :2016/11/27(日) 11:40:58 msewuOtA
ttp://i.imgur.com/ciHN6ty.jpg
>>698の人の清蘭ちゃんを描いてみました
イメージと違ってたらごめんね
というか髪下ろして割烹着着せたら良いんじゃないかと書いてみたら色違いうどんげちゃんみたいになったのは内緒


727 : ○○ :2016/11/27(日) 12:24:24 fuP4P7E6
>>726
いいなぁ…
ちょこんと出てる尻尾がかわいい

フラン姉様に続いてヤンデレメイドの咲夜さん

「○○おぼっちゃま、お帰りなさいませ お荷物をお預かりいたしますね?」
「ああ…/// ○○様の匂い…//// …あっ、何でもございません…///」
「レミリアお嬢様とフランお嬢様がお待ちです ○○おぼっちゃまの好きなチョコレートも用意してあります♪それではお部屋までご案内致しますね…」

カチッ

「時は止まった… ここからは私とおぼっちゃまだけの世界…//// はぁ…/// おぼっちゃまのお顔…可愛らしいです…////」
「頬ずりしてしまうはしたない従者をお許しください…//// ○○様…/// 愛しています…/// 幼い頃にレミリアお嬢様に拾われた時から…ずっとあなただけに恋をしてきたんです…////」
「けれど…私があなたと愛し合えるのはこの止まった世界だけ…/// ○○様は答えられなくても…きっとお喜びになられてますよね…////」
「このまま私だけの○○様にしたい…!○○様の全てを奪いたいです… 私はもう○○様にファーストキスを捧げているんですよ…○○様はそんなの知らないですよね…?」
「私の全てを知ってほしい…!こんな醜い姿も全部…!私はあなたの世界になりたい…!ただの従者のままなんてイヤ…」
「……時間切れみたいです… 悔しい…悔しい…ッ!」

カチッ

「…さあおぼっちゃま、行きましょうか…♪貴方様には…この咲夜がいつまでもついていますからね…♪」


728 : ○○ :2016/11/27(日) 13:52:38 FfKyQ9gg
>>726
露出少ないのにそこはかとなくエロ良い…
熱でぼーっとして頭回らないまま看病されてそのまま押し掛け女房的に居座ってほしい

>>727
自分しか存在出来ない世界でしか好きな人に愛を表現できないってのは残酷な話なのかな


729 : ○○ :2016/11/27(日) 19:39:15 o5Abt1zM
 八意永淋様へ
 
 最近視線を感じます。
 ドコに行くにしてもナニをするにしても、ジィッ……と抉られるような視線を感じるのです。
 
 外から迷い込んだ際に介抱して下さった貴女ならご存知でしょうが、僕はカナリの思想家で、時々ボウーとして何ともなしに天井や景色を眺めることが多々あります。
 そうなってしまうと、必ずや少女…?の面影を視認するのです。
 そしてハッとして意識を取り戻すと、たちまち霞のように消えてしまうのです。

 これだけではありません。

 僕は最近低給でいくつかのバイトをしながらなんとか生活をしている身ですが、毎日毎日帰宅する度に
 僕とその少女が描かれている可愛らしい絵と
 僕が仕事をしている写真と
 下手な食事と
 紙一面ビッシリの書置きが置いてあるのです。

 『おはよう○○!明日早いんだからアンマリ夜更かししちゃダメだよ?』
 『今日もおつかれさま、イヤなことあっても気にしないで!私がなんとかしてあげるから!』
 『明日は休みだよ○○!晴れたら一緒に散歩しようね!』
 『どんな辛いことがあっても落ち込まないで!私がズット見てるし応援してるよ!』

 内容自体はこんなふうに可愛げがあるのですが、これが毎日途切れもせず、さらに誰が書いたのかも分からないんですから、恐ろしいことこの上ありません。
 しかもこれだけではなく……時にはコンナことまで書かれているのです。
 
 『今日女の人にからかわれてたよね?彼女ナシ彼女ナシーって……。ダイジョウブ、気にする必要ないよ。私がそばに居るから。いつでも、どこでも』
 『気づいて貰えなくたっていいよ。私はアナタの隣にいるだけで幸せなんだから』

 嗚呼、僕はもうオカシクなってしまいそうです。
 最近では仕事仲間にさえ妹がいると勘違いされてしまっています。

 この手紙を書いてる今も、キット少女に見られているのです。

 貴女のお仕事が精神科の方面ではないことは重々承知なのですが、どうかお助けをくれませんでしょうか……。
 ドウカドウカドウカドウカドウカ………………………。


730 : ○○ :2016/11/27(日) 22:11:23 soBHxRnU
誰かな?


731 : ○○ :2016/11/27(日) 22:12:51 ZdbEVkdQ
こいしかと思ったけど


732 : ○○ :2016/11/27(日) 23:33:44 Qj0cZQL2
>>724
果たして息子は、ヤンデレには勝てなかったよ…となってしまうのかどうか
続きが楽しみです

>>725
何でもしてあげるって言いながら、炬燵に入っているっていう竜頭蛇尾感イイね

>>727
>>728に加えて、しかも一方通行の愛しか表現できないんだよね…

>>729
こいしちゃんなら、永遠亭に駆け込めば助かるかも…入院させられるかもしれないけど
うどんちゃんなら、飛んで火に入るなんとやら…


733 : ○○ :2016/11/27(日) 23:35:39 fe2UDinY
果たして無事に手紙が届くのか……


734 : ○○ :2016/11/28(月) 10:19:39 Jodr6sUc
ttp://i.imgur.com/9dqw2R2.jpg
ふと目を動かすと必ず視界に映る少女
恋って無意識のうちに落ちるイメージだけどその後はどうなんでしょうね
しかし前の絵描いてからスレ見ずにこっち描いてたけどこの短い期間でキャラ被りしちゃってびっくり


735 : ○○ :2016/11/28(月) 12:28:30 AlG../Z2
>>734
(≧ω≦)b
こいしちゃんはデフォでヤンデレ入ってる感じがしていいよね


------



にとり「盟友のこと世界で一番愛してるよ、それ以外のことなんかどうだっていい…盟友さえいれば、盟友、盟友、盟友…」


じゃあ俺ときゅうりどっちが好き?

にとり「ウー(;-`ω-)-ン」

にとり「きゅ」

にとり「盟友に決まってるじゃないか」

今、なんか間があったけど


736 : ○○ :2016/11/28(月) 14:29:14 dg8/lsRo
>>709
「いい返事が聞けて良かったわ、あー本当人手不足でねー。あ、宿とかはここで泊まってくれたらいいわ」
「私は、橋姫。名前は……忘れた」そう言う彼女はどこか皮肉げに笑っていた。
「忘れたのはあれですか、大きな事故とか病気みたいな……」
「うーん、ある意味では事故かも」
「何てお呼びしたらいいんですかね、ハッシーとか」
「いや。お姫でいいじゃない。別にタメでいいわよ」
「じゃあ、お姫。短い付き合いになることを祈って、よろしく」
「いい性格してるわ、あんた。まあまあ、よろしく」あ、手柔らかい。
彼女が切り盛りする喫茶「ペルシアン・レター」は、つい最近オープンしたらしい。この町は四層に分けられており、商業区、民間区、貴族区、そして宗教区。ここは商業区の東側に位置しており、他都市からの商人も多く存在し、交易の要となっている。その分、客は河童や天狗などの一級の妖怪などが多い。
私の仕事は、主にウェイターを任されていた。
「お客様、お飲み物はいかがなされますか?」
「お湯。あと、油揚げ、甘くしてね」
「かしこまりました、すぐにご用意します」
こういう少し、変わった注文は日常茶飯事で慣れたが、
「太った男の生き血」若い身なりの女性は顔を変えずにそういって僕の顔を青ざめさせたりする。
「お姫さん、客待お願いいたします」
「今度は何よ」
「太った男の生き血」
「あー……、はい」
この店は簡単なものなら、何でも提供するというモットーを売りにしているのだが、サービス側の私にはたまったものではない。
「痩せた男の生き血なら、すぐにご用意出来ますが」
「仕方ないわね」
短いやりとりを終えるとお姫はにこにことしながら此方へと向かってきた。
「生き血何て本当にあるんですか」
「あるわよ」
そういって、僕の腕を指差した。
おかわり三杯目で倒れた。


737 : ○○ :2016/11/28(月) 14:30:28 dg8/lsRo
>>736
「あー、死ぬ」私は、二階の座敷で寝そべりながら、貧血で項垂れていた。
「ご苦労様」お姫は苦笑しながら、お茶を出してくれた。
「おかわりするほど、美味しかったのね。あなたの血って」
「うなぎ奢ってください、じゃなきゃ明日には辞表がポストに投函されてます」
「頑張ったしね、じゃあ何処か食べに行こ」
「うなぎ」
「何食べようかなー」お姫は私の言うことは聞いてくれないらしい。
茅葺きの天井から、ぽとりと一滴の雫が滴り落ちてきた。
窓の向こう側から、雨粒が早足に降り始める音が聴こえてくる。
通り雨は、今日で三回目になるだろうか。
よく降るといるよりも、これではじょうろで水撒きをしているみたいだ。
「よく、降りますね」
「ええ、雨の町だもの」
「雨の町」
「私は、ここへ来て三年目になるけれど、今日まで雨が降らない日はなかったわよ」
「ここの気候が亜熱帯みたいな感じですか」
「気候。ではないのよ、花に水をあげるみたいなもん」
「それは、どういう」その時、外からわっと大きな歓声がした。


738 : ○○ :2016/11/28(月) 17:16:42 fBkvFCMw
>>734
深秘録目お団子こいしちゃんくそ可愛い
無意識のうちに恋に落ちて無意識のうちに好きな相手の近くにいる…素敵やん?


739 : ○○ :2016/11/29(火) 02:25:55 Px41zwG6
>>737
これは大作来る予感……!
ふと思ったけどこれもしかして書き溜めの投下じゃなくてリアルタイム連載……?


740 : ○○ :2016/11/30(水) 18:33:40 u1WUXwa.
>>739そうですよー
その分亀ですが……

窓を開けて、通りを見下ろすと多くの人々がひしめき合って一つの方向へを投げ掛けていた
。その先を見遣ると、大きな御輿が十数人の持ち手に担がれて通りの中を突き進んでいた。えんやこらさっさえんやこらさっさ、逞しい体つきをした者達は全て蛙の頭や黒く丸いタガメのような顔をしていた。その奇妙な集団は、鼓太鼓を持って奇妙なテンポを鳴らしながら大声で掛け声をあげている。道に込み合っていた人々は彼らの通り道を開けるように端に詰め合い、膝まずいて平伏した。
担がれていた御輿は華美な装飾、よく見れば天窓に蛙や牛が人間に何かを指示しているような絵などが彫り込まれていた。中にはどんな人物がいるのだろうか、前面には紫色のカーテンが引かれていて姿は見えない。
「諏訪湖様のお通りね」いつの間にか、お姫は隣で窓縁にもたれ掛かりながら、何処か可笑しげにそう言った。
「女性の人なんですね」
「女性というよりは女神へ、この町のトップよ」
「哀れな人達よね、あんな姿になってもあれだけ崇拝出来るなんて」
「どういうことですか」
「あの女神さまはね、この町が雨の町といわれる所以なのよ」
彼女はその場から離れると、畳に座って冷めた茶を飲み始めた。
私もそれに習って座った。
「あの人が雨を降らせていると言うことですか」
「そうよ、あれは神と呼ばれるけれど、それは伊達じゃない。化け物クラスの妖怪だってそんなこと出来やしない」
「そんなに凄い神様なんですね」
「だから、誰も逆らえない」
「え?」
「あんな風に崇めたてられて、それこそ様付けなんてされているけど、そんな可愛いものなんかじゃない。あれの本質は醜い化け物なのよ」
「酷い言いようですね」あまりの言いように苦笑してしまう。
お姫は突然立ち上がり、窓に近づくとばさりとカーテンを閉めるとくるりと振り返った。
あ、かわい。
「1つ昔話をしてあげましょうか」


741 : ○○ :2016/11/30(水) 19:05:13 aQWnZF9k
こいしちゃんいいすねぇ…

紅魔館ヤンデレハーレム 美鈴編+α

「あっ、○○様じゃないですか こんな時間にどうしたんですか?」
「えっ…?これは…?私に…プレゼント?あ、開けていいですか…?」
「うわぁ…!マフラーと手袋じゃないですか…!助かります…!えっ?これ○○様が編んだんですか?凄いですよ…!」
「嬉しいです…!ホントに…!○○様の編んだマフラーと手袋…○○様の匂いがする…//// えっ?あっ、何でもありません…///」
「もう一つあるんですか?わぁ…!ありがとうございます…!温かい飲み物までくださるなんて… えへへ、私は幸せな門番ですね…////」
「はい、ではまた夕食の時に…///」

「はぁぁぁぁぁ……/////// ○○様の編んでくれたマフラーと手袋…/////// 嬉しいっ…嬉しいっ…////」
「きっと○○様は私の事を…//// 両思いなんですね…///// 生きててよかった…///// 未来永劫大切にします…///// 」
「いつか絶対○○様に私の全てを捧げますからね…//// 私だけのモノになってくださいね…///」
「……ん…?この気配は…」

美鈴「何だ、咲夜さんじゃないですか」
咲夜「時を止めて来たのに気配がわかるなんて、やっぱり貴女は只者じゃないわね 夕食の時間よ 館に来なさい?」
美鈴「はーい♪お腹ペコペコですよー♪」
咲夜「ところで…さっきまで○○おぼっちゃまと何をしていたのかしら?」
美鈴「えっ?聞きたいですか?○○様にマフラーと手袋をプレゼントされたんです♪」
咲夜「そう… それは嬉しいわね…
美鈴「…嫉妬ですか」
咲夜「えぇ、もちろん 私は生涯をかけて○○様を愛してきたのに、どうして貴女のような妖怪が○○様にプレゼントを貰えるのかとね」
美鈴「…この前咲夜さんだって○○様と仲良く話していたじゃないですか 身の回りのお世話を毎日できて… お互い様です」
咲夜「…言うようになったじゃない」
美鈴「それに、私だって○○様が初恋です ○○様以外を愛するつもりなどありませんよ…!」
咲夜「そう… 結構長く生きている妖怪のクセして一途なのね」
美鈴「…妖怪だからこそです…何なら、戦って決めますか?どちらが○○様に相応しいか」
咲夜「…うふふ、うふふふふ…!わかってないわね ○○様は家族間での争い事を深く悲しまれるのを知らないの?○○様はこの館で生きる全ての人妖を家族として見てくれているの… それを知らないあなたには負けないわ」
美鈴「くっ… ならもうやめましょう… ○○様が悲しむ事はしたくないですし… お腹も空きましたし…」
咲夜「…そうね ○○様も待っていらっしゃるでしょう 急ぐわよ、美鈴」
美鈴「はい…」

なんかコレジャナイ感ある


742 : ○○ :2016/11/30(水) 19:37:50 Un8keEOo
負ケジト此方モ長編ヲ……


743 : ○○ :2016/11/30(水) 19:38:44 Un8keEOo
 歯車

  一

 俺は今日も暇だったので、知人を訪ねてみることにした。
俺は和服の上に、手軽なバッグ、黒いマントを着て、妖怪の山の、草が生い茂った道を登っていった。
……この妖怪の山の住人に気に入られるのも随分ムヅかしかったナ……なんてことを考えながらトボトボ歩いていると、先程から薄く立ち込めていた霧がヒドクなってきた……。

 進むにつれて、霧から顔を覗かせるブナや樅の、青々した葉が時々俺の顔にピタリピタリくっ付いた。
俺は鬱陶しく思って葉を掻き分け掻き分け、霞の中を進むと、急にパッと視界が開けて、九天の滝へと着いた。

 俺はその雄大な情景を眺めながら昼飯でも食おうかと考え、滝の飛沫が当たらない位置にある大きく平らな石に腰を掛けた。
……スルト、何者かが俺の左肩をコツコツ叩いている……。
俺がパッと後ろを向くと、一人の少女がキュウリを齧っていた。
「やぁ、おはよう盟友」
彼女はニッコリ笑ってそう言った。


744 : ○○ :2016/11/30(水) 19:39:53 Un8keEOo
 二

 俺は彼女のフシギな道具のおかげで、無事霧を抜けて、彼女への工房へと辿り着いた。
俺が感謝の言葉を述べると、彼女は唯ニコニコと笑っているだけであった。

 彼女の名は河城にとり、河童である。
俺は元々外来人で、今現在は小説家として筆一本で生計を立てている身であるのだが、彼女とは小説の題材として取材をしたのをキッカケに仲良くなった。

それ以来、俺はよくここへ小説を書きに来るようになっていた。この工房はナントナク落ち着くのだ。
また、にとりの発明群を観察することで自然にアイデアも出るので一石二鳥というわけだ。

「デ……今日はどうしたんだい?また小説執筆?」
「あぁ、いい題材を見っけたからな」
にとりは薄汚れたバッグの中からペンチだの鉄鎚だのを取り出しながら質問した。
「フーン……。その題材っていうのは一体ドンナ……」
俺はバッグの中をガサゴソとあさって、一つの新聞紙の切り抜きを取り出した。
「最近人里である男が自殺をした事件は知ってるか……」
にとりは機械をガチャガチャ弄りながら言った。
「知らなーい」

 【耐えかねた結果か―――老人無理心中自殺画策】
『前日未明、人里から数千里離れた小さな川で、遊郭の女の証言により、先日より行方不明の男の水死体が発見された…………一部省略。
……この男は天涯孤独の身であり、遊郭の女との無理心中自殺を図るが、見事に女にも逃げられてしまい、仕方なしにモルヒネや大麻、睡眠薬等を注射した後に独り入水し、自殺したと考えられる……………云々。』

俺はこの【文々。 新聞】特有の煽るような文面の事実を、省略省略しながら話した。
しかし、にとりは右から左といった風で、たまに相槌をうつのみで機械の改造を進めた。

「しかし、カワイソウだね。この男も……」
「そうなんだよ。孤独に圧された末の自殺……俺にも他人事じゃないかもシレヌ…………………」
俺がこう言うと、にとりはピッタリと手を止めた。
「……へぇ……ナンデ?」
「……え……イヤ……俺も一人でいることが多いから……この男みたいになっちまうカモと……」

 俺がこう言うと、にとりはクスッと笑った。
「ナァーンダ……アハハハハ……それは杞憂だよ盟友……」
「……どうして……」
にとりはクスクス笑いながら、さも当然という顔で、振り返って言った。
「盟友には私がいるじゃないか」


745 : ○○ :2016/11/30(水) 21:56:08 EyfohwLM
最近の長編ラッシュ嬉しい


746 : ○○ :2016/12/01(木) 00:29:39 cSSJFnRo
「あなたみたいに、一人の外来人がこの町にふらふらとやってきたのよ」
「でも、超不細工」ひどいなぁ。
「そんな彼は、この町で職探しを始めた」
「苦節あって下水菅の整備の仕事についたわ。この町もまだまだ発展途上でね」
そういえば、雨の町というだけあって水道設備が異常と言ってよいほど完備されている。道沿いの下水道しかり、蛇口も捻ればちゃんときれいな水が出る。修学旅行で言った東南アジアよりも綺麗だった。
「熱い炎天下の下で、永遠と道を掘り進めていた彼は喉がカラカラだった。」
「堪らなくなって、こっそり仕事を抜け出して喫茶店に行ったのさ」
「急いで目ぼしいものを頼んで、ごくごくと飲み干した」
「一息ついて、さあ仕事に戻ろうとしたとき、彼のポケットには財布がなかった」
「何処かに落としたのか、仕事場に置き忘れたのか、慌てた彼は急いで店員に言い訳をした」
「だが、そこは商人の町の人間。払わなければ、呪いを掛けてもらうといい始めた」
「呪い……ですか?」
「ええ、呪いというものは金になるのよ。今は廃れてしまったけど、何件かはあるわよ」
「話が逸れたわね、この町では罪を犯したものには呪いがかけられてしまうの」
「それを聞いた男は大慌てで弁明を図ったけど、それですんだら呪いはいらない」
「店の中は大騒ぎで、通りを歩いてきた人も野次馬になって集まった」
「その中で一人の女性が人混みをわけいってきて、店員に対してこういった。この人、私の知り合いなんです」
「それを聞いた店主は青ざめて、慌てて彼に謝った」
「すみません、大変なご無礼を働いてしまいました、どうかどうか呪いだけは……とね。」どうやら話が見えてきた。


747 : ○○ :2016/12/01(木) 15:57:52 cSSJFnRo
「ええ、構いませんよ。この人ってドジだから、すぐに物を落として行ってしまうのよ、ほらこれ、あなたのでしょ?」
「その手には彼の財布が握られていた」
「ああ、ありがとうございます。男は髪が垂れ下がるほど彼女に何度もお礼をした」
「いいんですよ、これも神のお導きということで。そう言って彼女は彼にほほへキスをした」
「初な男は固まってしまい、その原因はひらひらと手を振ってその場からさってしまった」
「その日から男の生活は一変した。」
「こき使われていた周りの人間からは、手を擦りながら媚びを売られて」
「町行く人達には気さくに声を掛けられ、買い物へ行くとおまけで手が塞がる」
「彼はこう思った、彼女のキスのおかげだって」
「そういうステキな生活を幾ばくか送っていると、家のドアを誰かが叩いた」
「はいはい、何時もなら居留守を使っている内気な彼も、そのときは陽気なお兄さんになって来訪者を出迎えた」
「守谷神社の□□ですが」出た、怪しい奴ら。
「〇〇さん、私達とご同行お願いいたします」
「その時、彼はどんな顔をしていたのかしらね」
「彼は民間区、貴族区そして、宗教区にへとたどり着いた」
「そこでは大きな図体を構えた女が待ち構えていた」
「君か?〇〇くんは、早苗も親と似て趣味が悪いなぁ、あははははは」
「私は、神奈子というものだ。神をやってる」何と言うか、雑な自己紹介、
それでいいのか神奈子とやら。
「おどおどしていた〇〇は、ある女性を見付けてとびきり喜んだ」
「女神様‼あのときのキスの女性がそこにいた」
「彼女は此方を振り返ると、大きな笑みを浮かべて彼の方へと向かってきた」
「ああ、来てくれたのねと彼女は彼の手を握ってそう言った」
「ねえ、お話したいから此方へ来てちょうだい」


748 : ○○ :2016/12/01(木) 20:21:35 SColU2GY
早苗さんに惚れられたのかしらん?
続きが楽しみです


749 : ○○ :2016/12/01(木) 21:16:14 BluGEaQM
ふと思いついたネタ

藍「○○がいなくなってもう二年ですね…」
紫「…そうね けれど再生は着実に進んでいるわ 私の中でね…」
藍「えぇ… 私も感じています ○○の命を……」
紫「もうすぐよ○○… もうすぐママとお姉ちゃん達が連れて帰ってあげますからね…」
ドタドタドタ
橙「大変です藍様!紫様!奴等が…」
紫「…」
藍「…行きましょう、紫様 私達の愛する○○のために…」 
紫「…ええ、そうね」

死神1「八雲紫とその式神よ!貴様らは包囲された!大人しく魂を開放しろ!」
紫「あらホント… 随分手の混んだ事をするものね…」
死神2「死んだ者の魂を現世に無理矢理留まらせるのは重罪だ!大人しく開放しろ!」
藍「○○が…死んだ…?クッ…ククククッ…」
橙「あは…あはははは…」
死神2「な、何がおかしい!」
紫「○○は死んでなどいないわ… ただ今の肉体が使えなくなってしまっただけよ だからあの子は私の胎内で再生しているの… ○○と私の遺伝子を媒体としてね」
死神3「何言ってんだ…?」
藍「生まれ変わるんだよ ○○は紫様の正真正銘息子としてな ただお前達の力を借りないだけだ」
紫「あの子は私達と出逢った時から私の息子であったけれど… どうせなら血も繋がっていたいでしょう?」
橙「そして○○は私達と結婚するんです…!家族の壁を超えて一夫多妻の夫婦に…!」
死神1「…つまり、開放する気は無いという事か」
紫「ええ、もちろん 彼は私の息子であり私と運命の赤い糸で結ばれた男… そして私の娘である藍と橙とも堅く結ばれているわ 自分と娘の幸せを守って何が悪いの?」
藍「私達は全てを○○に捧げると誓った… そして文字通り全てを捧げてきたのだ 貴様らなんぞに邪魔はさせん…!」

死神4「隊長!大変です!」
死神1「何だ!?」 
紫「あらあら…うふふ」
死神4「家を包囲してたB班C班共に壊滅…!残っているのは僕達だけです!」
死神1「なんだと…!?」

幽々子「ごきげんよう… 死神さん達?」
妖夢「紫様!助太刀に参りました!貴方達に○○くんは渡しません!」
死神1「貴様らは…!裏切ったのか!?」
幽々子「あらあら?私達は最初から敵よ?○○ちゃんの復活を妨げる者は許さないわ…」
死神4「仲間を殺したのもオマエラが…!?」
幽々子「ええ…私の能力と妖夢の剣の前には無力だったわ そんなんで紫達の邪魔をしようなんて巫山戯てるわね」
死神2「ちっ…!」
紫「うふふ…そういう事よ… 残念だったわね?幽々子達も○○を愛する同志なのよ…」
藍「どうする?尻尾を巻いて逃げるか?それとも消されたいか?」
橙「答えは聞かないけどね…!」
妖夢「私も○○くんを愛する女の子として…貴方達を許してはおけません!」
幽々子「安心しなさい…私達は優しいから…一瞬で消してあげるわ…!」 

紫「片付いたわね…」
藍「ええ、私達の愛に勝てる者などいません」
幽々子「紫… ○○ちゃんの方は順調?」
紫「ええ、もうすぐでまた生まれてこれるわ…」
幽々子「そう…♪またあの小さな○○ちゃんを見れると思うとワクワクするわぁ…♪」
妖夢「記憶は引き継がれるんですか?」
藍「ああ、もちろんだ 私達の事だけしっかりと憶えているぞ」
妖夢「そうですか…安心しました…」
橙「それじゃあ宴会でもしますか?○○防衛成功記念ということで♪」
紫「うふふ、そうね お腹の○○にも栄養を与えてあげないと…♪」
藍「なら美味しい料理をいっぱい作らないとですね…♪」
紫「もうすぐ…また会えるからね…私達の愛しい○○…」

駄文駄妄想すぎる


750 : ○○ :2016/12/02(金) 19:28:01 0KPVuBzs
八雲家&白玉楼組のヤンデレハーレム団結力凄い…


751 : ○○ :2016/12/03(土) 17:32:21 8pQFKp3w
ttp://i.imgur.com/0vvOoPE.jpg
絵を描くのに使っているアプリのアップデートで楽々コマ割りが出来るようになったので試しに使ってみたりして
いやー難しいっす


752 : ○○ :2016/12/03(土) 18:12:19 55H54dzg
すげえぞ遂に漫画が来やがった
そして幽々様の脅してるような懇願してるような言葉良いっすねえ


753 : ○○ :2016/12/03(土) 23:48:48 YoqQJsjM
捨てたらどうなるんですかねぇ…


754 : ○○ :2016/12/04(日) 17:59:59 C9FNtR6c
文体の練習をかねて即興で短編ヤンデルーミア


 警備団のけーねさんは言いました。
「あれは人食い妖怪だ」
この言葉に男はビックリしてしまいました。
「……人食い妖怪……ルーミアが?アンナ可愛らしい可憐な少女が?……冗談はやめてくださいよ」
「いいや、冗談なんかじゃない。奴らはどんな成りをしていようと妖怪なんだ」
「………まさか………」
けーねさんは、うつむく男を哀れそうに見ながら、厳粛な顔になって言いました。
「とにかく、命が惜しいのならば、彼女には一度も会わないことがいい。妖怪は仲良くしたとしてもケガをしないとは保障できない」


755 : ○○ :2016/12/04(日) 18:16:03 C9FNtR6c

  ★

 俺は慧音さんの言及を受けて、今一度ルーミアに問うてみた。
……お前は人食い妖怪なのか……ドウナンダ……と。
するとルーミアは臆面もなく言った。
「うん、そうだよ。アナタの言うとおり。私は人食い妖怪だよ」

 俺はタチマチ動揺してしまった。
すると、ルーミアはそれを察したらしく、急いで補足を加えた。
「……そんなに怖がらないでよ……。……モチロンアナタは食べないよ……好きだもん」

 この言葉に少なからずホッとした俺は、ルーミアを悲しませてはすまないと思い、へらへらしながら言った。
「……ハハハ、そうだよな。大体人を食うのだって人間が家畜を食べるのとソンナに変わらないもんな」

 この回答に、ルーミアの表情はパアァ…っと明るくなった。
「わはっ……わはははー。わかってもらえて良かったのかー」


756 : ○○ :2016/12/04(日) 18:32:35 C9FNtR6c

  ★

 ある日の時計の針が深夜の時間を指したころ、人食い妖怪が男の家のドアをドンドドンドンと力いっぱい叩きました。
男が驚きながら、ドアを開けると、人食い妖怪は小さい体と綺麗な金髪を震わせシクシク泣いていました。

 男がドウしたんだイッタイ……と聞くと、人食い妖怪はこう言いました。
「…………アナタがいなくてコワイの。コワくてコワくてしょうがないの……。
アナタと一緒にいないと、オカシクなってしまいそうなの…………。怖い……恐いよぉ……」
人食い妖怪はピッタリと男に抱きつきました。

 男は一旦事情を聞くためにくっついた人食い妖怪を離そうとしました。
しかし人食い妖怪は爪を立ててギリギリと力イッパイ男の肌と洋服を掴んでいるらしく、トテモ話せそうにありません。
しかたなく男は人食い妖怪を家に招き入れました。


757 : ○○ :2016/12/04(日) 18:39:56 C9FNtR6c

  ★

 俺は、ルーミアをベッドに寝かして、泣き止むのを持った。
俺が安楽椅子に座りながら書物を読んでいると、次第にルーミアのススリ泣きは落ち着いてきた。

 俺は書物にしおりを挟んで、机の上に投げ出して、事情を聞こうとした。
すると、ルーミアはただコッチを見ながら手でベッドをポンポンと叩いている……ドウヤラ添い寝してほしいらしい。
俺は別に少女との添い寝ぐらいは何とも思わない性格だったので、ルーミアの頼みにしたがった。


758 : ○○ :2016/12/04(日) 18:48:15 C9FNtR6c

  ★

 俺と同じ布団をかぶったルーミアは、俺の手をガッシリ掴んで離そうとせず、時々涙目で俺の体に頭を擦り付けたり、頬を摺り寄せたりした。
俺はこの様子に対してトテモ可笑しく感じた。
…………何が人食い妖怪だ……蓋を開けりゃタダの寂しがり屋な少女じゃあないか…………。

 俺が何があったのか聞くと、ルーミアはユックリ話し出した。


759 : ○○ :2016/12/04(日) 19:04:43 C9FNtR6c

 ★

 ……何時からかな。……アナタがいないとトテモ不安になるの。
…………前までは、コンナことなかった。……ただ配給された人間を食べて、テキトウに暮らすだけだったから。
…ケド、アナタと出会って、私は変わっちゃった。
アナタは私に優しくしてくれた。……人を食べると知ってもなお、好いていてくれた。
だから、私もアナタのコトが好きになっちゃったの。
…でも、妖怪と人間は仲良くしちゃイケナイ。殊に私みたいな人食い妖怪は。

 ……よく説明できないけど、アナタがいないとき、宵闇を纏ってると、不安でしょうがなくなるの。
……アナタが突然私を恐れて、拒んで、去って行っちゃうんじゃないかって。

…………だから…………だから…………。


760 : ○○ :2016/12/04(日) 19:47:36 C9FNtR6c

 ★

 ルーミアは、話しているうちに、またカタカタと震えだした。握られた手には汗が浮き出てきた。
「アナタに嫌われちゃったら……私もう生きていけない……生きていたくない……
…………だから…………イッショにいて……お願い………お願いだよぅ……」

 俺はルーミアの悲痛な訴えを聞いて、同情をせずにはいられなかった。
ルーミアが話終わると、俺はわしゃわしゃとルーミアの撫でた。
「……もちろんさ。ルーミアを見捨てることなんてゼッタイにしない、誓ってもいい」
これを聞いた刹那、ルーミアの震えは止まった。
「ホント…………?」
「あぁ、ホントさ」
ルーミアの顔が、ポッと赤くなった。
恥ずかしくなったのか、ルーミアはコッチに背を向け後ろを向いた。

「……わはっ……わははははっ……イッショ……ずっとイッショにいられる……………いてくれる………
 ……やった……やった……ずっと……ズットズット……」


761 : ○○ :2016/12/04(日) 20:12:34 C9FNtR6c

 ★

 人食い妖怪と共に住み始めた男は、ある朝人食い妖怪と共に人里に買出しに行っていました。
人食い妖怪と男が喋りながら歩いていると、横からスッと、人里の女が入り込んで、男と人食い妖怪に挨拶をしました。
ドウヤラ男と女は顔なじみのようです。

 この女を見ると、男はタチマチ人食い妖怪そっちのけで長話をし始めました。
二人の会話を聞いて、人食い妖怪は時々ギリギリ歯軋りしながら女の方を睨んでいました。

 会話が終わって、女が去っていくと、人食い妖怪はすぐさま男に詰問を始めました。
「……ネェ、あの女の人誰なの?どういう関係なの?どうしてアンナ嬉しそうに話してたの?」
「……あぁ、そうだった。ルーミアには言ってなかったっけ……。
  あの女の人はね、俺の彼女さんなんだよ」

 人食い妖怪は思わず…えっ…と声を出しました。
そして不機嫌そうな顔を前面に表しました。
人食い妖怪は、スッカリ口を告ぐんでしまいました。

 この人食い妖怪の態度を、男は不思議に思いました。


762 : ○○ :2016/12/04(日) 20:16:30 C9FNtR6c

 ★

 ある朝、男は自宅に彼女を連れてきました。
いずれは同棲を始めるので、その前に人食い妖怪と仲良くなってもらおうという算段からでした。

 男は二人を打ち解けさせるため、二人を家に残して、自分は買出しへ向かいました。


763 : ○○ :2016/12/04(日) 20:46:21 C9FNtR6c

 ★

 買出しから帰ってきた俺は、家の中の有様に、思わず呆然としてシマッタ。
……彼女の服が部屋に散乱している……。
……至るところに鮮血が飛散している……。
……その鮮血がルーミアの口元にも付着している……。
「……ルッ……ルーミアッ…………!」
「……あ、おかえり○○ー」
「……ナッ……何があったんだこれは……」
「ナカナカ美味しかったよ、あの女の人」
…………俺は思わず仰天してしまった……。
「……ナンデ……ドウシテ……」

 ルーミアはニッコリ笑って話し出した。
「だって、いらないじゃん。○○には、私以外の彼女なんか」


764 : ○○ :2016/12/04(日) 21:22:48 C9FNtR6c

 ★

 俺が憮然として佇んでいると、ルーミアは慌てて椅子から立ち上がった。
「あっ……こんなに散らかしてゴメンね……今拭くからネ……」
俺は、この一言に、風穴を開けられたようなポカーンとした心から、フツフツと怒りが湧き上がってくるのを感じた。
「ねぇ○○ー、雑巾ってどこに置いたっけー?」
「………ルなよ…」
「あっ……私の机にあった…。ゴメーン○○、気にしなくていいからねー」
「フザケルナッ…………!!」

 俺がルーミアを殴ったパンッ……という音が、空虚に響いた。


765 : ○○ :2016/12/04(日) 21:33:09 C9FNtR6c

 ★

 俺はルーミアの、短い金髪を掴んで、それを引っ張って投げ倒した。
手には金髪の髪が6、7本ほど引っ付いた。
「……っ……○○……!?」
 
 俺は倒れたルーミアの腹を思いっきり蹴った。
「がっ……痛いよ○○っ……!やめ…」
「ウルセェウルセェウルセェウルセェウルセェウルセェウルセェウルセェ!!!
畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜畜生畜生畜生畜生生畜生畜生
畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生
畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生
こンの外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道
外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道
外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道
外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道……」

 俺は何度もルーミアを蹴った、殴った、掴んだ、投げた。
俺の拳にはルーミアうす赤い唇が切れた血が付いた。
殴る音の合間にルーミアの痛がるこえが聞こえた。
俺は殴り続けた。

「外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道
外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道
外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道外道……」


766 : ○○ :2016/12/04(日) 21:42:05 C9FNtR6c

 ★

「あっ、○○。そこ段差あるから危ないよ」
「…………うん」

俺は、あの日以来、視力を失った。
反撃されたルーミアに目を潰されたのだ。

今や俺はコイツ無しには生きられない廃人になってしまった。
光なんかない。
ただ、深い宵闇が広がっているばかりだ。

今、思えば大人しく慧音さんの意見を聞くべきだったと悔やんでいるが、すべてはもう元には戻らない。

「……ゴメンね…目を潰しちゃって……でも、これで今度こそズットイッショだよね…」


767 : ○○ :2016/12/04(日) 21:43:08 C9FNtR6c

 ★

「あっ、○○。そこ段差あるから危ないよ」
「…………うん」

俺は、あの日以来、視力を失った。
反撃されたルーミアに目を潰されたのだ。

今や俺はコイツ無しには生きられない廃人になってしまった。
光なんかない。
ただ、深い宵闇が広がっているばかりだ。

今、思えば大人しく慧音さんの意見を聞くべきだったと悔やんでいるが、すべてはもう元には戻らない。

「……ゴメンね…目を潰しちゃって……でも、これで今度こそズットイッショだよね…」


768 : ○○ :2016/12/05(月) 00:48:05 WtTfIhg.
やったね○○!ルーミアとずっと一緒だよ!(目玉ぐるぐる)
妖怪ってやっぱり人間より、ずっと力がありますからね。
妖怪の残酷さと、愚直な一途さが混ざっていい作品でした。


769 : ○○ :2016/12/05(月) 00:52:39 y5ruI/.g
>>767カタカナにするのには何の意味が?


770 : ○○ :2016/12/05(月) 07:58:00 dExcmoKc
面白かった
けど>>769の言うように度々入るカタカナが気になったのと、この情報量なら三人称視点の所を男かルーミアの視点にしてもいいかも?


771 : ○○ :2016/12/05(月) 09:01:41 mZwogQwI
わりかしある表現じゃない?
俺は好きだよ、好き、スキスキ

普通はカタカナ表記しない

普通の状況ではない
狂った様子、自己の中で完結していて他人には理解不能な理屈や言葉になる
受け入れがたい真実への動揺
洗脳されて自分の意思ではない≒ヤンデレ意思に支配されて正常な判断ではない
宇宙人、外国人が不慣れな言葉使う際
『携帯電話』を『ケータイ』と呼ぶように本来同じ意味なのに捉える人によってはどこか意味の異なるものになってる。

ちょっと考えてみたけどこうかなぁ
さくっと考えただけだからアテにはできないけど…


772 : ○○ :2016/12/05(月) 10:26:18 dzKkTLok
以前粗製乱造なヤンデレを書いてたときは
ひらがな←標準、まだ理性がある、耐えてる
カタカナ←異常、本ノウ、アイジョウ
って感じで私は書いてましたね

普通の文章だけだとなんかおかしくなったのって描写し辛いんだよね
自分の頭の中ではおかしくなったキャラの映像は浮かぶけど
それを文章でうまく表せないみたいな
地の文とか、荒っぽい言動とかで補おうとはするけど


773 : ○○ :2016/12/05(月) 10:29:39 9f.AVIQ2
>>772
地の文が地のあやに見えてしまた


774 : ○○ :2016/12/05(月) 10:30:31 9f.AVIQ2
>>772
地の文が地のあやに見えてしまた


775 : ○○ :2016/12/05(月) 16:51:01 y5ruI/.g
>>765ディスってるわけではないけど、こういう同じ単語の反復って、ヤンデレを稚拙に見せる、害悪なものじゃないかと思うんだが。。。


776 : ○○ :2016/12/05(月) 16:59:17 y5ruI/.g
>>775その表現自体に罪はないんだが、流石に二回に一回位の頻度で出てくると、飽和気味になってんだよな。
とりあえずこれ書いとけってなっている感じがするよね。俺は一度出たら、絶対に書かないっておもうんだがなあ。


777 : ○○ :2016/12/05(月) 18:08:40 JEofBfmY
え、この人なんで自分で自分の意見に賛同してんの怖い怖い


778 : ○○ :2016/12/05(月) 18:30:24 WtTfIhg.
カタカナにしてみると、誰か前に言ってくれてたみたいに、大正ロマン?みたいな、
古い雰囲気でのハイカラのような独特の味わいがあるんで、いいと思うよ


779 : ○○ :2016/12/05(月) 18:47:27 y5ruI/.g
続けて書いたんだけど見直したら>>777が言うようにも見える構成だったわ、勘違いさせてすまんな


780 : ○○ :2016/12/05(月) 19:43:18 nhvFKcWo
色々な意見ありがとうございます。
元々、この文体は好きな作家様の文体を真似たものなのですが、
ケレン味を出そう出そうと苦心する余り、つい過剰になってしまいました。
次からは出来る限り抑えようと思います。

また>>775さんの「安易な反復はヤンデレを稚拙に思わせる」という意見は全くその次第だと思います。
僕自身こういう捻くれた中学生のような表現技法はあまり好きではありません。

しかし、これは言い訳になるのですが、
この場合は「ヤンデレ少女自身の狂気を示す稚拙な表現」としてではなく
「ヤンデレ少女の狂気に当てられた被害者も狂気に陥る」として書いたため、

「ヤンデレ少女自体を幼稚に見せるような表現を使っているわけではない」
と思い、投稿したものです。

ともかく、次にまた投稿する機会があれば、キチンと読み手のほうを考慮しながら執筆するようにします。
長々とすみませんでした。

それと、こんな駄文を批評、さらにお褒めの言葉さえ頂いてとても嬉しい次第です。


781 : ○○ :2016/12/05(月) 19:56:24 IdtBssCM
似たようなギャグ回ばっかり書いてる私の方がよっぽど稚拙で害悪だと思うのですが…(´・ω・`)

本人さんから一段落ついたのを荒らすようであんま書きたくないのですけど、私のは一部のかたにウケてるだけで実際煙たがられてたりするんですかね…?
前によそのスレでそれで荒らしちゃったんで、辞めて欲しい表現を指摘してもらうのはありがたい反面、メンタルは紙切れなんで「もう書きたくないでござる」と思ってしまうほどは人間なわけで…
私は書きたいから書いているだけなので、それで困るのは「ホントは書きたい自分」だけなんですけど…


782 : ○○ :2016/12/05(月) 20:05:44 WtTfIhg.
読み手が楽しい文章を書くよりも、自分が書きたい文章を書いた方が
個人的には楽しかったです。今までの経験上

真面目な印象を受ける方ですので、外野の意見なんぞ半ば無視する位でも…
と思った次第です。>>780さんが書かれた文章は、どれも大変面白く読ませて頂けたので
自分が好き勝手に書いても「面白い!」と思う人は最低此処に一人居る
と伝えたくて書かせて頂きました。勿論、ただ私が勝手に思った事ですが、
何やら気に病まれているようでしたので、お節介ながら失礼。


783 : ○○ :2016/12/05(月) 20:21:54 WtTfIhg.
>>781
ヤンデレが○○を諦める確率よりかは高いかも…

と冗談は置いといて、私は>>781さんが書かれた作品はどれも好きですよ。
賑わいにはなれこそすれ、害になるなんてもっての外です。

作品を書かれた人ならば解ると思うんですが、文章を書いていてアドバイスも有難いのですが、
一番嬉しいのはGJ!とかの一言でさえも、面白いとかの読者の方々の応援でした。
この分野が好きな人が集まっていて、更に良い作品が見たいから、私は他の方への応援を
する次第です。勿論、どうするかは個人の自由なのですが…


784 : ○○ :2016/12/05(月) 20:38:28 .ZgbLUAo
>>779
読み取り方を違えちゃったかこっちこそごめん
自演して自分の嫌いな作品を排斥するタイプの輩と勘違いしてしまったよ

>>780
あまり難しく考えず書きたいものを書いてね
別にメアリ・スーみたいな要素があったわけでもないしちゃんとヤンデレだったわけだしさ

>>781
もしかしてイラスト化してもらった人?
違ってたら申し訳ないけど合ってるならそれって誰かのインスピレーションに訴えかけるものを書けてるってですぜ?
そもそもさっきのやり取り見て分かると思うけど自分含めてここの人って思ったことはわりとグイグイ言うしそういうことを言われてないってことは皆楽しんでるんだよ


785 : ○○ :2016/12/05(月) 21:00:13 y5ruI/.g
>>783
はっきり言ってもらいたい人間だしその分言いたい面倒くさい奴だから、さっきみたいに意見を述べたよ。でも、作品自体は面白かったし、ここ惜しいなあと思ってああいうこと言ったから、その事自体には謝る気はない。でも、重複表現の意図を完全に汲み取れていなくて発言したのは思慮が足りていなかったから反省してる。
そんで、自分が書いた作品を言わないのはズルいから、アリス長編と関西熟年夫婦、どっちも続き書くから、ボロクソ言ってくれ。


786 : ○○ :2016/12/05(月) 21:01:30 9f.AVIQ2
ギャグ系でも絵師兄貴でも割と何でもいけるタイプだから投稿ラッシュ嬉しい…嬉しい…


787 : ○○ :2016/12/05(月) 22:00:24 kstiMhgk
秋口の頃からスレに勢い出ててウレシウレシ…
みんな何て言うか文章みてると個性あって何となく誰が書いたのかわかるからおもしろいなって思うの
それはさておき皆ってどんな感じで文章かいてるんだろう

足元から積み上げるみたいにスタートからゴールまで順番に書く
結末から遡上しながら書く
造船よろしく各ブロックごと分けて書いて最後に合体させる

色々ありそう


788 : ○○ :2016/12/05(月) 23:16:10 ROdUHkOo
先輩系お姉さん系ヤンデレに色々やられたいです先輩
駄文ってレベルじゃないね!

「もう、いつまで寝てるの?」

「おはようございますアリス先輩…ってはい?」

「何で私がここにって…私はあなたの先輩でしょ?
 先輩が可愛い後輩の面倒を見るのは当然でしょ。
 あなたのお母様にも許可は取ってあるわ」



「何? 弁当忘れた?」

「あ、すみません…食堂で買ってこないと」

「大丈夫よ、こんなこともあろうかと1人分くらいは用意してあるわ…なんてウソよ。
 あなたが慌てて外に出たときに弁当箱を忘れていたから、ちゃんと持ってきてあげたのよ」

「えっ、忘れてましたか!? すみません何から何まで…」

「はいはい…今度から大慌てで物を忘れたりしないようにね?」



「○○、今日の手芸部は…」

「はい、そういえば休みでしたね」

「ええ、だから放課後一緒に寄りたい所があるのだけど、いいかしら?」

「先輩のお誘いですからね、お受けいたします」



「先輩凄いですね…腹話術やら糸人形やら、凄い器用…」

「そう? これくらい、あなたでも簡単に出来ると思うわよ?」

「いやー、自分はそんな器用な真似は出来そうにないですし…」

「まあ、その内コツの一つや二つ教えてあげるわよ。
 それさえ分かればこれぐらい簡単に出来るわ」

「ありがとうございます、先輩!」

「どういたしまして…
 あ、野暮用が出来たからここでお別れね」

「あ、はい分かりました! それではまた明日!」



「…居るんでしょ、そこに誰か」

<!?>

「男? 女? 私に用? それともあっちの○○に用?」

<え、えーと…>

「で、何の用かしら」

<○○さんにちょっとお伝えしたいことが…>

「ふぅん。
 お慕いしていたとか、付き合ってくださいとかそんなところかしら?」

<べ、別にあなたには関係ないじゃないですか…>

「関係ない? 私は彼の先輩よ」

<それはただの学校での上下関係であって…>

「あらそう、じゃあ簡単に教えてあげる。
 私は彼の先輩であり、恋人よ」

<…!>

「どう? 引き下がる気になった?」

<例えあなたが恋人だろうと関係ない…私は○○さんが好きだから!!>

「あら、他人の恋人を奪い取るだなんて…泥棒猫か何かかしら。
 まあ、そんな女は友人としても恋人としても○○には…不要よね」ニヤッ



「あの、先輩…なんで僕の家にいるんですか?」

「お休みまできちんと監視するように、と
 あなたのお母様からは許可を取っているわ。
 ほら、お休み」

「え、えーと…お休みなさい先輩」


789 : ○○ :2016/12/05(月) 23:17:29 IdtBssCM
>>783
>>784
ありがとう(´;ω;`)

…とか言いつつ実は今回の騒動をネタに一本書いてたという不真面目不謹慎っぷり(´pωq`)
ネタが降りてきたら書かずにはいられないのです……


ブチギ霊夢「私の○○さんに文句とか許せないんですけど」
○○「まぁまぁ、ほら、より良い世界になるのに賛成意見ばかりではいけないということだよ」
萃香「喧嘩だ喧嘩だ!!酒もってこい!酒が飲めるぞー!」
○○「いつも飲んでんだろ」

霊夢「ボムどこにしまったっけ」ゴソゴソ
○○「こらこらこら」
萃香「もう一本!」
○○「もうカラにしたのか」

霊夢「良いとか悪いとかじゃないわよ、○○さんに文句とか言った時点で夢想封印決定なんですけど」パスウェイジョンシャキン
○○「……」

○○「そんなことするならもうチューしてあーげないっ」プイッ
霊夢「 」

霊夢「オロオロ」
○○「…」プイッ
霊夢「(´・ω・`)」
○○「……」チラッ
霊夢「(´;ω;`)」ウルッ
○○「ウッソーwww」チュッチュッチュッチュッ
霊夢「キャー///」
萃香「良心に負け奴」










霊夢「ホントだったら○○さんに夢想封印ぶちこまなきゃいけないとこだったー」
○○「((((;゜Д゜))))」
萃香「((((;゜Д゜))))」


790 : ○○ :2016/12/05(月) 23:18:27 ROdUHkOo
これだけだと微妙だったので更に追加


「おはよう、○○。
 元気かしら?」

「……」

「ふふっ、愛してるわ、○○。
 今日も一杯愉しませて?」

「……はい」



「大好きっ! 大好きっ!
 私の中をあなたで一杯にしてぇぇ!!」

「…ッ!」

「うふふ…やっぱりあなたの側が一番落ち着くわ…
 あなたは何も話さないけど、私のことは構ってくれるものね」

「……」

「言葉なんて不要な関係。 そう言いたいんでしょう?
 素晴らしいわ本当に。
 こうして言葉にしないとあなたに愛を伝えられない自分が惨めなほどに」

「……」

「さあて、私はまた仕事をしてこないとね。
 あなたの側から離れるのは嫌だけど、
 日常を崩すことで誰かに感づかれるのは面倒だからね」



 私が彼女に囚われてからどれだけの月日が経つだろう。
彼女は初め、私にたどたどしく、初々しく接してきていたのを憶えている。

『まるで、男を知らぬ生娘のように』
『まるで、恋に恋する乙女のように』

私は普段通り他人に接していた。
私としてはそのつもりであったが、どうやら彼女は違っていたらしい。
彼女は私に愛を強いて来て、自分だけに愛を貫くように言ってきた。

 この手のタイプは無視する、あるいは適当に受け流すのが有効。
それが外の世界の場合の対処の仕方だった。
だが、常識外れのこの幻想郷の世界では外の世界と同じ方法は意味がなかったらしい。
気が付けば私は部屋に拘束され、閉じ込められていた。

 例え捕まったとはいえ相手は自分と同じ生き物。
知恵を生かせば脱出など造作も無い。
そう思っていた…彼女の力を目の当たりにするまでは。

 彼女がこの世界で名のある存在である、
ということに気づかされるのに時間はそれほどかからなかった。
私は絶望した。

『逃げ道のないこの状況に』
『自分の処理能力を超える異常事態に』

この状況を打開するべく私は変わることにした。
相手の言うことを聞くだけの人形のように。

 相手の要求を満たし続ければその内飽きてくる。
その状況に慣れてしまう。 そうすれば彼女は新しい刺激を求めるだろう。
刺激を与え続け、いつかネタも尽きたとき…私は消されるか、追い払われるか。
どっちにしても彼女から開放される良い方法であると私は思っていた。

『女は自分勝手である』
『熱しやすく冷めやすい』

その考えも間違いだと気づくのにもやはり時間は掛からなかった。

 私が彼女を喜ばせれば喜ばせるほど彼女は私をより受け入れようとする。
私が彼女を突き放せば彼女は私に縋ろうとする。
例えどれだけ極端に接しようとも、彼女は私との関係を解消しようとしない。
何をしようとも彼女は、私を離そうとしないのだ。

『もう無理だ』『諦めよう』『受け入れよう』

そんな考えが頭の中を少しずつ支配していく。
既に理解はしている…もう抜ける事が不可能な沼に入ってしまっている事は。
そして、その沼は入ったものを捕らえ続けて離さないということも。

 きっと私はいつか人でなくなるのだろう。
きっと私は人ならぬものにされて愛され続けるのだろう。
いつかお互いが滅ぶ時まで、永遠に。
その時の私は何を考えているだろうか。

『情欲?』『絶望?』『肉欲?』『希望?』『それとも…何も考えてない?』

私がまだ『私』であり続けている事を願うばかりである。


791 : ○○ :2016/12/05(月) 23:20:41 ROdUHkOo
私が彼を壊したのか 彼が彼を壊したのか

真相は知っている 全ては私のせいだから

 女は涙を流していた。
大切なものを見つけ出せた喜びからか、
大切なものが壊れてしまった悲しみからか。
それとも両方か。

 彼を離したくはない。
けれども彼は離れたがっている。
当然だろう、彼は帰還希望者なのだ。
私に捕まり、永劫に愛されることなど考えもしなかったであろう。

『けれど私にとって彼は全て』
『彼がいれば何にもいらない』

驕った考えである事は理解している。
私にとって彼が全てであれば、彼にとって私が全てであろうとするなど。
そのために彼には何でも与えた。
食事を出し、愛を与え、自分で与えられるだけの力を与えた。

 けれど彼が望んでいた事は変わらなかった。
彼が欲しいのは食事でも愛でも力でもなんでも無い。
外の世界に帰りたい、ただそれだけだった。

 でも、私の側から離れる事は許さない。
外の世界に帰ろうとする事は絶対に許さない。
だからこそ、他の方法で気を引き、彼を幸せにしようとした。
…自分勝手な理想のために。

 彼と身体を重ねているとき、私は嬉しく感じた。
彼が達するとき、そのときだけは氷で張り付いたような表情が一瞬だけ弛緩する。
私を喜ばせるためなのか、それとも雄としての生理的な現象なのか。
ともかく、いつも見る表情とは異なる顔を見せてくれる。

その氷を取り除き いつものあなたを見せて欲しい

あなたを帰してやれないけれど 他のことならしてあげるから


「こういうことされたいです!!」っていう妄想を元に書いちゃうから
過程だったりとか始まり方が妙な感じになっちゃうんだよね


792 : ○○ :2016/12/06(火) 03:09:55 iVobiKeQ
>>789
失言一つでどこに被害が出るか分からない恐ろしい怖い可愛い
そう考えたらヤンデレって爆弾みたいですね

>>791
決定的に埋まらない溝があると悲しい結末を迎えてしまうんだなあ
読んでて妙とは思いませんでしたしそんな妄想を書き起こせるのはやはりすごいです



ttp://i.imgur.com/b4Xj9G0.jpg
そういえばまだ主人公描いてないやと思って霊夢描いてみた
人間だけどこの子が病んだら色んな面で大変そう
しかし改めて見ると作品毎で霊夢の格好ってかなり違うよね
絵に反映されてる?ように自分は花映塚のふわっふわの髪の毛が好きだけど皆さんはどうでしょうか?


793 : ○○ :2016/12/06(火) 12:35:04 2ZcXZwDA
拙者的には鈴奈庵霊夢さんの髪型のもうちょっと髪長めっぽいのが好み
あの髪の上半分を後ろで結って下半分を普通に垂らしてる髪型なんていうんだろ

ヤンデレ的には
『あなたが望むならどんな髪型にでもする』
『あなたが誉めてくれたからずっと同じ髪型』
『あなたの髪をちょうだい』
『私の髪をあげる』


794 : ○○ :2016/12/06(火) 19:57:31 qpcdPZug
>>789
封印したら霊夢自身も触れられない…
つまりこれはブラフ!
と言ったら本とうに封印されそうな

>>791
それって賢者○ードじゃあ…
GJでした。

>>792
調停者の癖にそれを投げ捨てるとか反則だよね その狂喜が良いよね…


795 : ○○ :2016/12/07(水) 06:46:39 4gcUVPO6
ノブレス・オブリージュに囚われて(99)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=89
レティさんが本気出してきたなぁ……


796 : ○○ :2016/12/07(水) 09:19:37 vpz/zxpI
ttp://i.imgur.com/2gOxinj.jpg
○○が永遠亭に来てから妹紅との殺し合いで重症を負って帰ってくるようになった姫様
死ねば全快するのに○○の怒ったような心配しているような表情が見たくて痛みに耐えるんだ


797 : ○○ :2016/12/07(水) 20:15:27 49jZHe9E
>>795
遂にヤンデレの枷が外れたか…
乙です。

>>796
死んでも良い蓬莱人だからこそできる荒業
死んでも生き返れるのに、わざと死なずにいるっていうのが、逆に命とか
倫理観をぶん投げているっていう皮肉めいたのが良いよね


798 : ○○ :2016/12/07(水) 21:49:40 .BgbV4Qw
>>796
正当派ヤンデレっぽいわ
多分最初はホントに怪我とかしたのを心配してもらえて嬉しかったんだよ
それが『怪我したのを心配してもらえた』から『怪我をすれば心配してもらえる』にすりかわっちゃった
『嬉しかった』それだけなのに、たったそれだけなのに


799 : ○○ :2016/12/08(木) 00:11:13 FXtEkIQ2
>>795
もうグチャグチャじゃないか(歓喜)
複数人の感情を表現するのって、ほんと難しいから、ノブレス見てるとすごい参考になる。
個人的には作中で文が一番好き。


800 : ○○ :2016/12/08(木) 00:14:36 FXtEkIQ2
>>747
「そう言って、彼女は彼の手を引いて彼女の部屋へと向かった」
「ねえ、〇〇。私、あなたに恋をしてしまったみたいなの」開幕ジェットコースター。恋は突然に。
「だから、私と一緒に協力してほしいの」
「この町をもっと良くするために」


801 : ○○ :2016/12/08(木) 00:16:32 FXtEkIQ2
「〇〇くんだっけ、楽しかった?この数日感」彼女は大きな柱にもたれ掛かりながら、くすくすと笑いを堪えながら、此方を上目づかいで見上げる。僕の天使は先ほど「」とは何処か印象が違って見えた。
「いろーんな人に親切にしてもらって、あなたに偉そうにしていた人からも媚びへつらわれてさ気持ちよかったでしょ?」彼女は僕の胸元をぐいっと引っ張ると、鼻がぶつかりそうなほどに顔を近づけた。
「私のキスも満更じゃなかったでしょ」湿った息をはあっと僕の唇に吐き出した。
「こんな生活をもっと続けたいと思わないかしら、金も人も良ければ女もついてくる。どうよ、キモいおにいさん」この子は本当にさっきまで笑顔を振り向いていた子なのだろうか。
吊り上げて、細めた青い目は僕をまるで虫か何かと区別しているように冷めていて、頬まで裂けそうに広がった口はどこかのマフィア映画さながらのようだった。
「返事くらいしたら?それともブルッちゃったのかな?」
「あ、あなたは本当に天使ではないのですか」
しばらく、彼女は固まった様子で僕を見上げていたが、口から汚い屁のような音を立てて吹き出し、ひきつったような笑いでばんばんと近くの壁を叩いた。
「あんた、本当にキモいね。天使とかガチで言う人初めて見たよ」
心底可笑しげに彼女は笑いながら、息を切らせていた。
「話、戻すけどさあ、この生活を続けてみたいと思わない?派手で、楽なこの生活をさ」
「何が条件なんですか」
「お、話が早い。見た目よりは馬鹿じゃなさそうね」
「この町にはね、まだあなたみたいに守谷を信仰していない時代遅れな人間が沢山いるのよ。彼らを、ウチにがっちり引き込むためには」
「デモンストレーションが必要なわけ」


802 : ○○ :2016/12/08(木) 00:17:24 FXtEkIQ2
「貧しく醜い新参ものの外来人、汚い仕事場。つらい作業、そんななかに1つの光か、指したこんだ。そう、この守谷神宮の巫女、洩矢早苗がね。」それを言う彼女はどこか投げやりで、自らを皮肉っているようでもあった。
「彼女は彼を守谷神社の使徒に選んだ。彼は守谷の看板を背負って、無知で愚かな民衆に教えを説いていく。彼の手には、象牙の指輪が、彼の服は絹で織りこまれた高価な法衣。宗教を信じない奴にはうちの財力を見せつけてやればいい商売相手になる。馬鹿な奴には、善行とパンを、こすい奴らには金と商売の匂いを。あんたにはそういう役目をしてもらう。」
気がつけば、夏の大きな太陽は、俺達の真上に登って、真っ白な光を浴びせかけていた。熱さに眉をひそめた彼女は、陰のようにするすると草履を脱いで、屋敷の中へと入っていった。障子から、生っ白い細腕がひょっこり出て、此方へ来るようにと手招きをした。彼女の豹変ぶりに、俺は唖然としていると、さっさと来て‼、と怒鳴られた。
急いで、縁側を上がって部屋に入ると、早苗は靴下を脱ぎ捨てて横になって寝そべっていた。
「それと、あんたにはもうひとつ役目かあるの」此方を振り向かずに彼女は言った。
「あんたには、いずれ私の婿になってもらいたいのよ」
「え、それは洩矢さんの夫になれと言うことですか?」
「表向きにはね、あんたが外来人って言うのがミソなのよ」
「洩矢には現世に支局が欲しくて堪らないの、今得ている信仰だけでは全然足りないのよ。そのためには、最低でも私クラスの巫女か現人神がいなきゃいけないの」
「だから、うちのクソババアどもは私を嫁がせようとしているの。そんなのごめんだわ、ただでさえ化け物にされてやりたくもない宗教なんかやらされているのに」
「何で、それを俺に言うんですか?他の人に喋ったら、大変なことになるかもしれないのに」
またもや、彼女は笑い声を上げた。しかし、その笑いは酷く渇ききっていた。
「あたしが、何であんたみたいなブスにキスなんかしたと思うの?別に、やらなくてもあの場で救ってやった借りで呼び出せたでしょ」
早苗は、自分の薄い唇を、指でゆっくりなぞりながらこういった。
「呪いよ、永遠に解けない。」
彼女が俺ににじりよると、頬に触れた。


803 : ○○ :2016/12/08(木) 00:18:36 FXtEkIQ2
「蛇の毒は神経毒、出血毒、筋肉毒の3つがあるの」
「私がかけたのは神経毒、最初は体がだるくなる、次は指先が震え出したり頭痛がし始める」
「最後は……まあ、なってからのお楽しみ」早苗は俺に顔を近づけて、蛇のように長い舌ずりをして見せた。
「どうする、のかな」
こいつは最初から、取引なんかする気が無かった。俺に選択肢なんざない。
「あ、あの……俺はただの凡人で、そんな事業には役にたたないと思います」
「うん」深い緑の瞳孔と鮮やかな青の光彩はさながら、蒼い太陽が彼女の瞳に宿っているようだった。
「でも、あう、うん。あの頑張りますから、助けて下さい」
「よし、契約成立ね。じゃあご褒美、上を向いて口を開けて」
「何、をするんですか。あの、僕は何もいらないので大丈夫です」
彼女は鬱陶しそうな顔で、舌打ちを鳴らすと、立ち上がって僕の顎を掴み上げて、見下ろすように言った。
「あんたはもうあたしの奴隷なんだよ、口答えすんな」
彼女の頬は少し蒸気して、目は嗜虐的に歪んでいた。ゆっくりと彼女の小さな口から舌が表れると、一度上唇をなめつけ、そして僕の口元へとつきだした。
それは、尖った舌先で、潤みから徐々に雫となり、そして糸を垂らしながら落ちていった。


804 : ○○ :2016/12/08(木) 02:04:19 .u3VDsbM
>>796
ここしばらくで一番キュンキュンしたぞこれ
上手く言葉にはできないんだけどこういう感じ好き
ほんとなんというかマジで好き


805 : ○○ :2016/12/09(金) 10:49:48 9qiBv0do
ttp://i.imgur.com/lFUEBEi.jpg
特に設定とか考えずに描いたこあちゃん
何も考えなかった時に限って絵が会心の出来になる悲しみ


806 : ○○ :2016/12/09(金) 19:19:42 CAwgjUZ6
>>805
溢れ出る色気っ…!
小悪魔って言っても悪魔なわけだし執着されたらただの人間なら抗うことも出来ずえらいことになりそう


807 : ○○ :2016/12/09(金) 20:16:33 54dUAPVI
小悪魔ちゃんを見て何となく思いついた駄妄想 
経験豊富そうな女性が○○一筋で初めても全て○○に捧げようとするというのが好きなんです許して下さい

「○○さん…♪今日こそ私の旦那様になってくれますよね…♪」
くそっ…魔法で拘束までしやがって…
「そうでもしないと○○さん逃げちゃうじゃないですかぁ…♪」
…何が目的だ
「○○さんの妻になる事です…♪」
お前は悪魔だろ?そんな事言って、俺を騙して生気でも奪うつもりか?
「そんな事しませんよ…♪」
どうだかな…本には書いてあったぞ?女の悪魔は男を騙して弄ぶってな
「まぁ…確かにそういう奴らもいますけど…私はそんな事しません…♪それに、私の身体は○○さんのモノになるんですよ…?他の男に触らせるわけないじゃないですか…♪」
あのなぁ…お前はかなり長い事生きてるんだろ?こういう事言って騙すなんて容易に想像できる…
「………まだ言うんですか」
え?
「私はあなた一筋です… この身体も心も全部あなたこモノになるんです…あなたで始まってあなたで終わりなんです… 他の男に触れさせた事なんてありません…!」
ぐあっ…!離せよ…!
「あなたにとって私は単なる悪魔かとしれません…!でも私にとってあなたは運命の人なんです…!ずっとずっとあなたを待ってたんです…!生まれてからずっと…!」
わかった…!わかったから…!
「じゃあ誓ってください…!もう酷い事言わないって…!認めてください…!私の愛を…!ずっとあなただけを愛してきたんです…!」
ちか…誓う…から…!
「………はぁ……はぁ…」
はぁ…はぁ…
「ごめんなさい○○さん…首なんて掴んで…痛かったですよね…?今治してあげます…」
あ、ああ…
「でも○○さんが悪いんですからね…?私の真剣な愛情を否定して…私をあんなビッチどもと同じにして…」
……
「でも○○さんは反省してくれてますよね…♪さすが私の旦那様になる人です…♪」
……
「パチュリー様達も祝福してくれるはずですよ…♪だから…結婚しましょう…♪私を正真正銘あなただけのモノにしてください…♪」
……
「……どうして黙ってるんですか」
い、いや…
「ああ、わかりました…♪嬉しかったんですよね…♪そうですよね…♪男の人の理想は自分だけを永遠に愛してくれる一途な女性ですから…♪」
ああ…
「そうなんだ…♪嬉しい嬉しい嬉しいっ…♪やっぱり私達は運命で結ばれてるんですよ…♪」
……
「そうですよね…?○○さん…?」
ああ…
「なら…『俺と結婚してくれ』と言ってください…♪言えますよね…♪」
………
「…もうあなたを苦しめたくありません…♪だからね…♪早く言ってくださいよ…」
俺と…結婚してくれ…
「やった…!やったやった…!あああ…///// もうこれで私達は夫婦です…!誰もこの繋がりを断つ事はできない…!うふ、うふふふふふふふふふ…!」
……
「それじゃああなた…♪パチュリー様に挨拶に行きましょうか…♪その後は結婚式ですね…♪その時は…その…私のファーストキス、受け取ってくださいね…♪」


808 : ○○ :2016/12/10(土) 00:26:46 JchMXbAc
>>805 から連想してみました
イメージと違ったらスマヌ
いつも貰いっぱなしは性にあわなねぇ、借りはかえさないとね





踏み越える瞬間はあっけなかった

なにも忘れていない
がっつり覚えてる
いつもみたいに、二人っきりで飲んでいた。
コンビニで買ってきたツマミを頬張りながら、仕事の愚痴を言い合っていつの間にか寝てて朝になってた
今夜もそうなると思ってた
ただ、今夜は珍しいお酒を見つけて、すごく美味しくて
……飲み過ぎていた。

どこかで心の箍が外れていた

酒の勢いで、体を重ねてしまった

嬉しくないと言えば嘘になる、密かに秘めていたものが満たされていくのを感じていたし
『こんな関係』を、心の隅で望んでいたのも本当。
けれど手をあげてバンザイできるほど現状を喜ぶことはできなかった
今回のことは、理性の延長にはない性欲を零してしまっただけのことだったから
愛はなかった
仲は良くても、軽口が言えても、馴れ馴れしくても、どこまで行っても私たちの関係は友人止まりで、そこにある愛は男女のものではなかった
少なくとも彼はそう思ってる

彼は、何か言おうとしていた。
でも、多分かける言葉を見つけきれないでいた。
今回のことを何も言わないまま全部アルコールのせいにして『しょうがなかった』と元の関係には戻れない。
けど、だけど、こんなことになって『じゃあこれからはこういう関係になろう』とはならない…彼は私のことを愛してはいないから
友人としての責任を探してる
わかってる、今回のことはそういうものだ。でもやはり目の前で罪悪感にかられる彼を見ると…心は痛む
友人だけど、女の端くれだから

「ホラ、お互い、酔ってたんで、お互い、ね?だからぁ…まぁ何ですか?水に流しましょうよ!ハハハ!ほら!もう起きないと仕事間に合わないですよ!」

気休めにもならない言葉だった。もう少し言葉を選べなかったのだろうか私は
『こんなこと』になってどの面下げて友人に戻れるというのか…
だから彼は必死に言葉を選ぼうとしていたのに…

そう、戻れるはずなんかなかった……


809 : ○○ :2016/12/10(土) 00:32:03 JchMXbAc
>>808

あれから顔を合わせる度にギクシャクした。
決まった曜日にやっていた二人っきりの飲み会もなくなって、寂しく思うけどそれでホッとしてる自分がいる
でもやっぱり面白くなかった。友人として彼は誠実に悩んでくれているのに、女としてのちっぽけなプライドがそこをつっついていた
考えようとするのを辞めようとするほどにそのことがぐるぐる頭の中を走り回っている
そうやって頭を悩ませながら眠りについた時、決まって『あの夜』のことを夢に見る

確かに、確かに『あの夜』は言いようのない感動があった。素晴らしいものだった、夢みたいで、お互いに産まれたままの姿になって普段のストレスや悩みから解放されて、本能のままに獣のように求め合った
痛みさえ、置いてきぼりにして。
……ずっと言えなかった好きという言葉も、私の嬌声が代替わりしてくれるだなんて、馬鹿なことを考えてた。
体を求めてくれることに、一方的な好意を感じていた。もちろん私の勘違いなのだけど


でも、その時だけだった。
気持ちいいのは『その時』だけ…
できるならば、『愛』が欲しかった
そういう末に辿りつきたい場所だったのに
初めても、こんな風に散らしたくはなかった
酔って、ムードもなく、愛もなく、ただ酒の勢いで…
しかも、そんなこと言っておきながら私から迫った。なんて女なんだろう

元の関係に戻れるのなら

もしくは

ずっとずっと『あの夜』のままいられたら……


……

…………………


『もし』なんて言いたくはないけれど
もし、あの夜に戻れて
過ちも全部許せる言葉を彼にかけてあげられていたならば……

そこに愛はあっただろうか


810 : ○○ :2016/12/10(土) 00:38:48 JchMXbAc
>>809

本当に自分の弱さが嫌になる。

あれから、ほんの一時の愛が欲しくて私は過ちを犯した
お酒に薬を混ぜて、彼を惑わせた。
私も彼を誘惑した。
何故なんだろう、こんなもので得られるものなどまがい物なのに。きっと愛ではないのに
何度も口づけをして、何度も何度も彼の体を貪り、私も彼に身をゆだねた

本当はもっと優しくて、温かくて、愛おしい。
そんなものなのに、なんで、どうして
こんなまがい物から逃れることができないのだろう

どこでつまづいたんだろう

ほんとはそうじゃないのに…




その朝、彼はまた項垂れていた。
私も死んでしまいたかった。




それでも、私はやめられなかった
その後も同じような手口で彼と『あの時』を繰り返した
彼が渋る時は無理矢理組み敷いたりもした
でも次第に彼から求めてくれるようにもなった
けど、お互い笑顔になれたことはなかった
あなたの笑顔が好きだったのに
本当に、最低だった。

けれどまた
また
何度でも
彼を誘惑するのだ。
指をたてて、唇に押しつけて
『また後でこっそり、皆にバレないように』
淫靡に、下品に。彼の男である本能に訴えかけるように。

惨めなのに、もう抜け出せない

アルコールが全身にまわっていく
もう、抜けないだろう
まわっていく、まわっていく。
あの頃、まだ笑えていた頃の気持ちを侵していく…


オワラナイ


811 : ○○ :2016/12/10(土) 20:14:21 ua/jX6DI
>>803
毒使いの早苗さん良いよね
非力な人が、他人の自由を奪うってのが震えるよね

>>805
他の人のコメントから、アイデアが生まれる事もあるかも

>>808
恋愛観を拗らせすぎるとこうなるのだろうか…GJでした。

>>810
秘密兵器導入まで、後三ヶ月…
になるのかしらん


812 : ○○ :2016/12/10(土) 20:27:14 zNle0J4.
>>807の小悪魔も>>808の小悪魔も狂気を感じるほどに一途で素晴らしくだいすき…


813 : ○○ :2016/12/10(土) 22:54:49 7o21koDQ
こあの赤髪繋がりで雷鼓さんが浮かんだ
雷鼓さんは表向き普通で素敵なお姉さん、二人きりになるとめちゃくちゃ重いんだけどどこか放っておけない感じがするし案外居心地が良いから結局ズブズブの共依存になっちゃう…みたいなのいいよね…よくない?
純狐さんでもいけそう…アッアッ…


814 : ○○ :2016/12/11(日) 20:59:26 sS/iJxjY
フラン「○○は私のモノだよ…?私のおもちゃと一緒に毎日ずっと遊ぶんだよ…?壊れるまでずっと遊んであげるからね……?」



○○「ワー。゜(゜´Д`゜)゜。ーン」
フラン「!?」
○○「ガクブル」

美鈴「どうしたアルか」
○○「フランちゃんが俺のこと遊んで壊すって」ガクブル
美鈴「それは恐いアルねぇ」ガクブル
○○「ワーン、恐いよー!美鈴助けてー!」サッ
美鈴「これじゃもう○○サンは妹様と一緒に遊んだりするのは難しいアルョ」
フラン「えっ」

○○「エーン(´pAq`)エーン」コワイヨー
フラン「オロオロ」
○○「エーン(´pA・q`)エーン」チラッ
フラン「(´;ω;`)」
○○「エーン(´p∀・q`)エーン」フヒヒ
美鈴(マダダ…マダワラウナ…)ヒクヒク


815 : ○○ :2016/12/12(月) 13:37:54 My8R.ffs
ノブレス・オブリージュに囚われて(100)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=90

まさか100話超えるとは思わなかった


816 : ○○ :2016/12/12(月) 16:13:11 cmXtJ80I
文章付けありがたい
こういうのめっちゃ嬉しいですね


ttp://i.imgur.com/nMA4mLv.jpg
囚われのお燐ちゃん
まあいつでも抜け出せるんですけどね、○○さん


817 : ○○ :2016/12/12(月) 18:18:25 wXTyu096
>>815
100話超えおめです
もう文庫本の小説くらい文字数あるんじゃないですかね
完結まで応援させていただきます

>>816
あたいに乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに!(歓喜)
人間相手ならそういう風に仕向けるのも容易でしょうねえ
丸見えの脇!横腹!太股!がまたGJです


818 : ○○ :2016/12/12(月) 18:25:20 yYPyu7gs
わざと囚われて○○が助けにくるのをずっと待ってるのかもしれない
捕らえる側はお燐のグルなので乱暴はしないが○○を上手く誘導しつつ疑われないように演技する
策士なヤンデレお燐…!


819 : ○○ :2016/12/12(月) 19:59:05 fGD3emzs
>>815
永琳がまともになったと思ったら、かえって悪くなっているという…
真面目な人がプツリといけば、その分酷いのでしょうか
乙です。

>>816
○○と誘拐犯に未来は有るのか?!
GJでした。


820 : ○○ :2016/12/13(火) 13:44:57 /JjFRdR2
ttp://i.imgur.com/AQpGiWR.jpg
わかさぎ姫は愛は重いけど害は無さそうかなって
湖から離れられないわかさぎ姫は健気に○○が来るのを待ってるんだ


821 : ○○ :2016/12/13(火) 15:35:55 Ft1/hnDY
>>820
ああいい…
ヤンデレにおいて一途と健気は重要なポイントな気がします

変な妄想 
女の子が処女厨みたいなね
妖怪なら有り得そう

○○「今日も寒いねえ」
紫「そうねぇ」
○○「ところで紫?何かおかしいとは思わないか?」
紫「え?何かしら?」
○○「その…この手錠とか首輪やらかな」 
紫「これ?お揃いで良いじゃない♪あなたのと私のを繋げておけば離れられないでしょう?夫婦なのだから離れてはいけないわ♪」
○○「俺の知ってる一般的な夫婦とは大分違いますがね」
紫「一般なんて知らないわ 私達は私達でしょう?」
○○「まあそうだね でもこんな事しなくても俺は離れないよ?」
紫「あなたが離れなくても、誰かが離そうとするかもしれないじゃない」
○○「え?」
紫「いいかしら?あなたはとっても優秀な人間なの かっこよくて優しくて賢くて… そんな雄を人間の雌は放っておくかしら?」
○○「えへへ…そんな事言っても何もでないよ?」
紫「真面目に聞きなさい?私はあなたの妻であると同時に、育ての親でもあるのだからね?だからこそ解るのよ あなたが優秀だって事が」
○○「あっはい」
紫「人間という種族は個体として脆弱な生き物よ 故に、子孫を残していかなければならない 繁殖欲ばかり進化した今の人類は特にね」
○○「はぁ」
紫「そんな種族の雌が優秀な雄を見つけたらどうする?奪おうと思うはずよ 私は妖怪だから何千年も純潔を守ってこれたし、あなたに全てを捧げられた でも人間はそんな綺麗な生き物じゃないのよ…」
○○「…?」
紫「…あんな穢れた淫乱動物にあなたは汚させない…!だからあなたはずっと私の隣にいて欲しいの…!ずっと二人で想い合っていたいの…解ってくれるかしら…?」
○○「うん、わかったよ 俺は紫から離れない ずっと一緒にいるよ そう誓ったもんな」
紫「○○…/// 流石私の息子…/// ううん、今は旦那様よね…///」
○○「紫…///」

紫「…そうそう、間違っても藍に手を出しちゃダメよ あの子も大妖怪だし、幼い頃から貞操を守り続けるように教えてそうプログラムしてるから大丈夫だと思うけど…」
○○「信用ないなあ 俺が見てるのはいつだって紫だけだよ」
紫「も、もう…/// 私しか意識できないようになりさない…/// 私はもうあなたしか見えてないんだからね…///」


822 : ○○ :2016/12/13(火) 18:33:07 RdH9O1d2
>>820

『これ、尻尾を人間の脚に変える飲み薬なんだけど欲しい?』


なんとなくだけど、人魚姫みたいな結末になりそうで不安です…


823 : ○○ :2016/12/13(火) 21:28:37 n9fDfan6
>>820
ハート目姫超可愛い
無害ちゃんは悲恋になりそうでハラハラしますね

>>821
受け入れる系ハッピーエンドって〇〇もけっこう歪んでますよね


824 : ○○ :2016/12/13(火) 21:36:23 JwxzutRI
駄文なゆかりんだよ! 病んでない気もするけどごめんね!

 今日は俺が幻想郷から帰還する日。
そう決まっている。
地道に幻想郷の実力者から様々なアイテムを貰い
この世界から逃げ出すために使う時…!

「○○ー♪」

「紫様…ごめんなっ!」

「きゃっ!? 何よこれ〜?」

「博麗神社特性の妖怪封印の御札だ…
 これで俺は幻想郷から帰らせてもらうぜ」スタスタ

 後ろのほうでうんうん唸りながら御札を剥がそうとする紫氏。
これで問題なく出られるな。
さあ、目の前にあれ、見覚えのある人影が…

「はい捕まえた♪」

「えっ?」

「残念だったわねぇ…あれ、藍よ?」

「…マジですか」

<相手は良く見てアイテムを使うことね>

「はい連行〜♪「うそおおおおおおおおお」」



 まだだ、いくらでもアイテムはあるんだ。
色々使えばその内脱出方法くらい見つかるはずさ。

<らーんー? ○○がどこにいったか知らないかしらー?>

 いまだ、この八卦炉で不意打ちするっ…! カチッ ミュイーン

「どうしたの○○、発光してる石なんて手で構えながら見せ付けて」

「あはははは…なんでなんですかね」

<魔力不足だぜ。 出直してきな>

「さあ私達の愛の巣(死語)に行きましょうね〜「ちくしょおおおおおお」」



 次だ、次。
アリスから貰った人形…ってどうやって使えば良いんだこれ…。

「シャンハーイ」「ちょ、喋るな!?」

「あら…まさかそういう趣味…だったのね…?」

「何ですかその家政婦は見たみたいな言い方は!?」

<ごめんね○○、発声機能は不要だったかしら>

「大丈夫よ○○…私が正常な女性との付き合い方を、
 手取り足取りetcで教えてあげるから…「いいからはなせえええええ」」



 次、妖夢の刀。

「紫、覚悟ぉぉぉぉぉぉっ!!」ザシュッ

「ぐはっ!?」

 え?

「○○…あなた、本当に、私の事が…嫌いだったの…?」

 あ、え?

「ごめんね…そんなに嫌われてたのに私…こんなことしてたんだ…ごめんね…」

 ちょ、ちょっと待…

「もう…どうしようもないけど…ごめん、な…さ…」

「ゆかりいいいいいいい!!」

 なんて事を…俺はなんということを…。
たとえあまり好きではなかったとはいえ俺に惚れてた人を殺すなんて…!

「ごめん紫…俺、帰らないと…」

<人を切るのはその罪を背負うことです。 あなたにその重みが分かりますか?>

 冷たいな、俺。
でもしょうがない…これも、1つの選択なんだろ?



「やっほー「ちくしょおおおおおおおおおおおおおお」」


825 : ○○ :2016/12/13(火) 21:42:36 V1Sg29yA
>>824

最後は外の世界に戻っても突撃してきた、と


826 : ○○ :2016/12/13(火) 21:46:57 JwxzutRI
あとアリスさんもぺたり


きっと君は恨んでる 君を捨てようとした僕のこと

きっと君は憎んでる 君から逃げ出す僕のこと

きっと君は好いている それでも君は僕の事を

「ねえ」

「何かしら?」

「…恨んでる?」

「私が? ○○のことを?」

「だって、僕は…」

「ええ、私を置いて外に逃げ出そうとした回数が54回。
 私と外出している最中に霊夢や魔理沙などの外部の協力者を使って逃げ出そうとした回数が5回。
 それと…魔道書を使って強行突破しようとした回数が10回…だったかしら?」

「…よく、憶えてるね」

「当然よ? 愛する人の行動をこの目で、脳で、記録しておくのは」

私はあなたが好きだから あなたの事はなんでも知ってる

私はあなたが好きだから あなたの事はなんでも学ぶ

私はあなたが好きだから 何をやっても結果は同じ

「それに、私は嬉しいわ」

「…脱走した事が?」

「そう。
 私はあなたの人形が欲しいわけじゃない。
 私が欲しいのは○○自身だから。
 あなたが逃げようとするって事は、それって…私の事を考えて行動してくれてるってことでしょ?
 私の行動パターン、私の考え方、私の能力…ぜーんぶ、○○が考えてくれてるのよね?」

「……」

「相手の事をどこまでも考えて行動する…それってつまりは愛じゃない?
 だとしたら私達…最高に幸せな恋人同士よね?
 相手の事をどこまでも深く考え、行動し続けているんだから」

僕にはもう分かっている どうあがいても逃げられない

彼女の糸は巻きついている まるで絶対に逃がさぬように

けれども僕は諦めない いつかは逃げてみせるから

「それは…独り善がりな恋だよ…」

「ええ。 あなたからの愛のお返しがない以上、これは全部独り善がり。
 ただただ一目にあなたを見つめて、呟いてるだけの片想い」

「悪いけどそれは諦めて欲しい…
 僕を外に帰して欲しい」

「…私はあなたが好きだから、あなたを傍から離したくない
 あなたが外に逃げたなら、二度とは帰ってこないでしょう?
 あなたには支えが有ったとしても、私は誰も支えてくれない。
 だから誰かが欲しかった、傍に誰かが欲しかった!」

「結果がこれじゃあ本末転倒だよ」

「あなたが私を愛せば良い、それで全部が片付くの。
 あなたは帰れなくなるけど、幸せな人生を保証するわ」

「悪いけどまだ諦めたくない」

「…よろしい、ならば続けましょう。
 私とあなたの人形劇を。
 私が悪かあなたが悪か、長い物語を続けましょう?」

私は絶対諦めない あなたの愛が貰えるまで

恋はどこまで落ちたとしても 最後は2人は結ばれるから

たとえ過程がおかしくなっても 終わりが良ければ全て良いのよ


アリスとか紫とか(その他色んな人達)、優しそうな人がいきなり束縛してくるとちょっとした悪寒を感じそう
本当は淀んだ瞳の妖精さんたちに囲まれるようなのが書きたいのに思い浮かばないのです、ちくしょう


827 : ゆっくり土竜 :2016/12/13(火) 22:21:32 gXTEqf.2
すみません。皆さんに質問があるのですが、東方で一番ヤンデレになったらヤバいキャラって誰だと思いますか?因みに自分はフランちゃんです


828 : ○○ :2016/12/13(火) 22:23:50 EGx8Ez7U
どうだろう、底知れない人の方が怖そう


829 : ○○ :2016/12/13(火) 23:51:43 IdsHOeZA
○○にその気が無いという条件ならフランは割とマシな方ではないだろうか
フランは洗脳に使える能力もなければ堪え性もなさそうだから し あ わ せ ルートはないだろうしいざとなったらスパッと死ねる
なんか価値観が狂ってる気がするけど幻想郷は魂ごと捕らえたりできる連中がゴロゴロしてる場所だからね…

日光を浴びて自殺するため紅魔館を破壊しようとする吸血鬼化させられた○○とそれを必死に止めようとするフランというシチュが浮かんだ
ハッピーエンドになってくれなくて困る


830 : ○○ :2016/12/14(水) 00:27:57 i8gozsqM
お燐だと魂ごと持ってかれそうだけど本人の性格的に自然死するまで気長に待ってくれそう
…あれこれってただのおr


831 : ○○ :2016/12/14(水) 04:15:35 eSoLfkmM
>>599-608の続き


○○を焚き付けてからしばらく。イーグルラヴィの要員採用試験が実施されて数週間程度が経過したころ。

掲示モニターの前で今か今かと待ちわびている玉兎たちの集団を尻目に、
私はいつもの‘お仕事’をするべく建物の中へと足を踏み入れた。そう、今日が結果発表日なのだ。
あの集団の中の玉兎以上に、私はこの日を待ち焦がれていたといっても過言ではないだろう。
心なしかいつもより時計の進みが遅い気がする。

軽快な足取りで向かう先は情報部、目的は人事データの受け取りとなっている。
ここで受け取った情報を整理して豊姫様に報告するのが定例だ。


「レイセンです。本日の情報書受け取りに参りました」
『はい、お待ちしてました。いつもご苦労様ですね』


迎えるのは最早顔馴染みとなった情報部の玉兎。仕事時間中に怠けるために、仕事時間前に仕事を終わらせる変な兎だ。
見た目こそ平凡そうではあるがそれなりにデキる様子であり、この調子じゃ交代した玉兎に仕事が回ることはないだろうな、と毎回羨ましく思う。
私の替わりに"レイセン"になってくれたら楽なのに。

だが現実としてそんな夢のようなことは起きるはずがない。現状私の替わりを勤まる玉兎はいないからだ。
私が下らない想像に現を抜かしている間に彼女はうず高く積み上げられた封筒の山から必要なものを抜き出して持ってくる。


『これです、これ。はい。持っていってくださいな』
「中身は?」
『特務要員選抜試験全結果12ページ冊子1部、採用者配属情報5ページ冊子1部。以上です』
「はい…はい、確認しました。冊数、ページ数問題なしです。」
『んじゃぁここに受領印お願いします』
「ほい、これで大丈夫?」
『はい、結構ですよ〜』

そんないつも通りのやり取りを終え、中身を見たくてはやる気持ちを抑えながら、自身の仕事部屋へと向かった。


部屋に入ると先ず鍵を掛ける。機密性の高い書類を扱うならば当然の措置であるが、私にとってはまた別の意味をはらんでいた。
大事に抱えた封筒から冊子を2つ、確かに取り出す。

「…ンフッ…○○…○○…きたよぉ…まっててね……ンッフフフ…あぁ……うれしい、うれしいよぉ……」


ついに、ついにこの時が来た。待ち焦がれていた瞬間が。
ページをめくれば答えがそこにある。
しかし私は、まるで冒険譚を読み進めるかのごとく一字一句噛み締めながら、その先にあるであろう輝かしい記述を目指して読み進めていった。


832 : ○○ :2016/12/14(水) 04:17:52 eSoLfkmM
>>831


========================================


申告名:セイラン  担当:前線操作担当

備考:

頭の方の成績は、選抜者の中では平々凡々。要努力。
戦闘においては飛びぬけている。素早く正確な射撃、瞬時の判断能力に優れ常に優位に立てるような戦い方をする。
彼女のような存在は積極的に前線へと送られるだろう。

鉄砲玉として使い捨てられるようなことにならないことを祈りつつ、アタマの方の成績を伸ばしていってもらいたい。



========================================


人事報告書…というには些か主観にまみれすぎているモノからは、見知った玉兎の名前をチラホラ見かけた。
それもそうだろう。何を隠そう私のいた部隊は厳しい事に定評があったのだ。
故にこの名簿に知り合いがいてもおかしくはない。

むしろ一人もいなければあの訓練はまるで無駄だったということになってしまう。
そういった意味で、顔見知りの名を見掛けるだけでも誇らしい気持ちになる。
それも相まって今の私の耳は今季最高の美しさと手触りを誇っている。

だが、一向に私と○○の名前が出てこない。
それもそのはず、前方部隊の次に後方部隊の名簿が来るのだ。
一枚、また一枚とゆっくりと読み進める。
後に引き延ばすほど私の期待は蓄積され、高まってゆく。

========================================

申告名:リンゴ  担当:直接指令担当

備考:

戦闘面は選抜者の平均に埋もれてしまうほどしかない。
大局的な視点での状況判断、得た情報を上手く作戦に反映する能力を高いレベルで持ち合わせている。
閑職に追いやられることがないように、アタマの成績の方よりも戦闘面を伸ばしていってもらいたい。

========================================



そしてついに、その時は訪れた。



========================================

申告名:レイセン 担当:情報分析担当   

備考 :

綿月様直属。イーグルラヴィ選抜基準者につき評価試験免除。勅令により配属先を決定。
戦闘及び情報の取り扱い等についても高いレベルで両立している。
上層部からの人事情報中、ストレス耐性評価に関して疑問点あり。言動及び耳を要観察のこと。

========================================









「 以上 」


833 : ○○ :2016/12/14(水) 04:20:19 eSoLfkmM

>>832


「…は?」

頬や身体から一気に熱が引き、頭の先から氷水を掛けられたかのように凍りつく。
そこにはあるべきはずの名は無く、その替わりにその役職にあるまじき者の名前があった。

「…なに…これ…なんで…」

どうして私の名前がここにあるのか、なぜ○○がいないのか。
冷や汗が吹き出し、息を吸えているのか吸えていないのかまるでわからない。
震える身体を何とか押さえつけ、書類の不備という奇跡に一縷の望を掛けて最後の頁をめくる。
だが、その目に映ったものは幾つも押された検印と、その数と同じだけの署名だった。

つまるところ、○○が当然いるべきと思っていた役職に私がいたのは間違いでもまやかしでもなく
紛れもない決定事項だということだった。

事実を認識できても、それを脳が受け入れられない場合は自身の時間が停止する。
そして、外力がなければ再び動き出すことはない。

『――呼び出し。レイセン、レイセン。可及的速やかに104号面談室、綿月様の元へ出頭せよ。繰り返す――』

どれだけの時間が経過したのだろうか。自身の名を呼ぶ大音量の放送が流れ、私は漸く我に帰った。
時計を見れば豊姫様に報告をする時刻をとうに過ぎている。
必要な書類を掴み取ると、よたよたとした足取りで、それでも急いで豊姫様の元へと向かった。

『――前回の報告についてだけど、確かに貴女の分析は適切だったわ。槐安通路なら確かに効率がいい。でもねレイセンそれはあくまでも特殊な例なの。
『槐安通路だと獏に左右されかねない面もあることを念頭におきなさい。それから今回の人事報告だけど――』

報告を終えた後で、豊姫様は何事もなかったかのように口を開いた。
それなりに仕事には慣れたつもりではあったが、私の纏めたものに対してああでもないこうでもないと添削を始めることが多々あった。
しかし流石はと言うべきか、その学の高さ故に話のキレがあり、内容もとても面白く感じるのだ。
○○と引き離された後に積み重なってきたストレスを僅かながら和らげる数少ない楽しみの一つと化してた。

だが今の私にはただの波、複数の周波数から成る音の塊としか認識出来ない。
何を言っているのかもよく理解できない。

そう、あの配属情報の冊子を見て以来、私は"何故○○の名前がないのか"についてずっと思考を割いていたのだ。
そして私はあるひとつの結論に辿り着きつつある。


いくら対地上の任務が重要だとしても、だ。
月の為政者たる綿月姉妹が訓練に出向いて選び抜き、直々に手元に置いた優秀な玉兎を帰還不能の可能性のある地上に送るだろうか。
否、送るはずがないのだ。現実的に考えれば、手元に置きたがるのはあたりまえである。

その上、イーグルラヴィの基準として最初に選び、期待していると声をかけたからにはただのお世話役では終わるはずがない。
ならば配属先はイーグルラヴィの職のうち、内勤以外に選択肢はない。

私にずっと情報部のパイプ役をやらせ、外からの情報…すなわち地上の情報をまとめて報告させたことも、お世話の時、当日になってはじめて情報を与えることも
「情報を得た瞬間に適切な判断を下す、あるいは適切な手段で分析をしてまとめあげる訓練」だったのだろう。

とどのつまり、私の仕事は世話役と情報分析官の2つだと初めから決まっていたのだ。
答えにたどり着くためのヒントも初めから用意されていた。それも目の前に。

結局、○○と一緒に居たいがために私のしたことがもたらしたのは、結果のみえた出来レースに○○を引きずり込み
希望を持たせた挙げ句に不採用という形で○○を傷つけるという最低にして最悪の仕打ちだった。


834 : ○○ :2016/12/14(水) 04:21:51 eSoLfkmM
>>833

あぁ何てことを、私はなんてことをしてしまったのだ。
あぁ○○、○○ごめんなさい私なんかのせいで○○は――

ぐらぐらと視界が歪み、周りの音が遠くなる。
後悔と絶望と自責の念を綯い交ぜにしたどろどろとした感情が神経を媒介して全身に広がって行くのを感じながら、私は只立ち尽くすより他になかった。

『――イセン!レイセン!しっかりしなさい!レイセン!』
「けひゅっ…」

がくがくと前後に揺さぶられ、普通に生きていれば発することのなかったであろう音を口から発すると共に、私の再び視界に色が戻る。

「とっ…豊姫様…?あぅっ…なにっ…をっ?」
『どうしたもこうしたもないでしょう!まさか貴女、自分が何をしてたのか覚えてないの…!?』

曰く、突然ガタガタと震えながら何かに向かってひたすら懺悔と謝罪の言葉を呟いていたとのこと。
気が付くと豊姫様が私を揺さぶっていた、それが私の認識であり、豊姫様の反応は寝耳に水であった。
だがその原因が何なのかは、それだけははっきりとわかる。

『……兎に角、今日のところはもう下がりなさい。寄り道せずに自室に戻って休むこと。いい?』
「はっ…はぃ…」

その言葉には有無を言わせぬ圧力があり、その言葉のままに自室へと足が動いた。

だが今朝と同じ場所を通っているのにも関わらず、たった一人だけ、この世界から締め出されてしまったような得体の知れない不安感に襲われる。
何か悪いことが起こる前は、決まってこの感覚へと陥るのだ。優秀すぎる耳と感覚がこれまでになく必死に警報を発している。
一刻も早く繭の中へ籠らなければと歩みを早め、廊下を曲がったその瞬間――。

「○……○○っ…」

そこにいたのは、これまでずっとずっと恋い焦がれ求めて止まなかった、そして今一番会いたくなかった者の姿だった。
どうしてこういう時に限って、こんなにも嫌な形で偶然遭遇するのだろうか。

『……レイセン。……………ぁあ、レイセン!どうしたのさー!まだ仕事時間でしょう?』

いつもと変わらぬ元気の溢れる台詞。
だが声が僅かに震えていることを、私の耳は聞き逃さなかった。目尻はうっすらと朱に染まり、直近の過去に何が起きたのかを否応なく私へ流し込んでくる。

「――」

私は何か必死に言葉を紡ごうとするが、口から出るはずの言葉は、どす黒い濁流に飲み込まれて消えてゆく。
必死に言葉を紡ごうと口を動かすが、掠れた吐息と冷や汗だけが出てくる。
互いに見詰め合い、永遠のような十数秒が経過する間、○○の表情はみるみるうちに曇っていった。早く、何か、何か言わなくては!

『……やっぱり駄目。ごめんレイセン……今日は……もう帰るね』

俯いて踵を返し、小走りで離れて行く○○の背を眺めながら、私は未だになにも出来ずにいる。

「――待って○○」

漸くその一言を絞り出す頃には、すでに○○の姿はなく
無機質な色の壁と立ち尽くす私だけがその場に残されていた。


835 : ○○ :2016/12/14(水) 04:23:59 eSoLfkmM
>>834

「ぁ…○○……」

こんな状態で、こんな気分でどうやって自室に戻れというのか。後を追うのか。いや、私にそんな勇気はない。と、すればやることは一つだ。
グッと唇をかみしめると、○○の進んだ方向と逆へ走り出す。
行き先は‘いつもの場所’――すなわち、周りよりも背丈のある建造物。これまで幾度となく○○の声を、○○の奏でる音を聞いてきたあの場所だ。

坂を上り扉を開け
階段を上りまた扉を開け
鍵を閉めて奥へ進み窓を開ける

荒くなった息を整え耳のブレを抑えると、窓からそっと身を乗り出す。
ここまでは狙撃よりも簡単だ。
この時間なら、もう○○は自室にいる事だろう。方角、俯角、距離、全て間違いない。
耳をターゲットへ正確に向け、そのまま意識を集中する。
○○は、今○○は何をしている?何を考えている?全て知らなくては、○○のために、そして私のために。

『――っ―――ぅ』

入った。○○の声だ。もっと、もっともっと明瞭に、その全てを聴きとらなければ――
呼吸を止め、目をつむり、全神経を耳へと集中して耳以外の情報を遮断する。

だが耳に入って来たものは

何かを啜る音
何かを破く音
鼻歌ではなく嗚咽交じりの呼吸音

私が心のどこかで求めていたものの対角線上に位置する反応であった。

○○は今、悲しんでいる。
○○は今、絶望している。
こんなひどい仕打ちをしたのは誰?

――わたしだ。


私が○○を焚き付けなければこんなことにはならなかった。全部、全部、全部全部わたしのせいなのだ。
例の人事報告書を読んだ後に自らその結論へ至ったのは確かなのだが、心のどこかで‘○○はそこまで落ち込まないだろう’という予防線を張って目を背けていた。
そしてたった今、○○の絶望する姿を突き付けられ、それが致命傷になった。

「――――――――」

狙撃手が逆に狙撃されたときはきっとこうなるのだろう。
私は一言も発することなく上半身を大きく仰け反らせ、後ろへ倒れる。
思考はぐしゃぐしゃで何も考えることが出来ない。ただただ認識してはいけない現実が無理やり脳に流れ込んでくる。

「……あぁ…あ…ぁぁああ…!」

倒れてから一瞬の静寂の後、叫び声が上がる。私の声だ。
頭の中へ流れ込むモノは怒り、悲しみ、絶望、怨嗟の声。○○の声なのか自分の妄想なのかもはや区別がついていない。
見えない何かが私を囲んで指を指している。おまえのせいだ、おまえのせいだ、と。

「うわぁぁああああぁぁあ――」

床に崩れ落ちて地べたをのたうち回り、無様に悲鳴を上げる自分の声を 私はどこか遠いところから聞いていた。


836 : ○○ :2016/12/14(水) 04:26:43 eSoLfkmM
>>835

――

あの後どうやって自室まで戻ったのかは分からない。
気が付くと私は着の身着のまま自分のベッドの上に倒れていた。

昨日あれほど取り乱していたのにもかかわらず、一夜明けた自分の姿は驚くほど冷静だった。
自責の念で終ぞおかしくなってしまったのだろうか。


否、新しい結論へと辿り着いたのだ。


○○の絶望はイーグルラヴィの採用試験に落ちたために発生した。
そしてその発端は私。原因も私。
ならば○○をこの絶望から引きずり上げ、幸福の絶頂へと導くためにはどうすればいいのか。
聡明な私にはすぐにわかった。

ベッドから這い出すと、しっかりとした足取りで机に向かう。

「……特務要員選抜試験全結果12ページ冊子1部」

あの時私が受け取った冊子は配属情報のものともう一冊。
ここに記してあるのは受験者全員の詳細な評価であり、当然○○についての情報も記載してある。
ページをめくり○○についての記述を探す。
つい昨日のソレと全く変わらないが、一枚一枚の紙がとても重かった。

「……あった」


==============================================

申告名:○○  

備考:
   勅命により採用見送り。保安上の理由と思われる。
    試験結果に関しては十分なため、現担当者の代替要員として登録。
引き続き動向調査のこと。


==============================================


○○を採用しなかったのは保安上の理由、とある。
○○の素行は優良というほどではないが、採用に影響を及ぼすほどではない。
むしろ情報の扱いについては私に勝るとも劣らないのに――

と、ここまで考えて気が付く。そういうことか。
保安上の理由というのは○○がダメなのではなく、単に機密情報を扱うの者が少数の方がいいということなのだ。
イーグルラヴィの要員が収集した情報は分析官のもとに集約され、情報部を介すことなく直接月の為政者へと送られる。
そのため分析官のポストには‘絶大な信頼を得た者’が就かねばならない。

「何が何でも私のせいってわけね…ホントにもう…!あぁ!どうしてこうもままならないの!!」

バンッ!と勢いよく両手の拳を机に叩きつける――が、現実を変えるほどの外力になどなりえず、
机からの抗力によって自身の手がダメージを受けただけで終わった。
現状どうあがいても○○は私のいるポスト、すなわち情報分析官にはなれない。


私が優秀過ぎるせいで。


「―――ふ、ふふっ…フフ…」


そう、わたしは優秀過ぎた。なればこそ、こんな突飛な考えが頭に浮かぶのだ。

「ンフフフフ…!代替要員…!これ…これだ!アッハハハハ!」

書類によれば○○は確かに私の代替要員になっている。ならば話は早い。そう、話は簡単だ。

私という存在をこの月の都から消し去ってしまえばいい、たったそれだけのことである。
かくも重要なポストに空白が生じたならば、当然ながら速やかに代役を据えなければならない。
それこそが○○の理想を叶えるための唯一にして最高の手段なのだ。

どうして今までこんなにうじうじしていたのだろうか。
今の私は叶えるべき目標を見つけて生き生きとしている。それもまぎれなく○○のため、○○の嬉しそうな姿のためであり、最終的には私の行動次第で○○の運命が変わるのだ。

私は決断してから行動するまでが早い。
○○の嬉しそうな顔を眼球の裏に浮かべながら、私は私自身を消し去るための計画を練り始めるのだった。


837 : ○○ :2016/12/14(水) 04:31:41 eSoLfkmM
以上中編です。後編はこれからryわよん。
病み描写弱くていっぱいごめんなさいしなきゃ...


838 : ○○ :2016/12/14(水) 23:37:02 S13Il3LU
>>826
優しいけど話が通じない恐怖がいいです

>>827
常識が通じない+本人にゴリ押し出来る実力がある+周囲が協力しそう
=早苗さんかしら?

>>837
既に十分レイセンは歪んでいる気が…
乙でした。後編待ってます。


839 : ○○ :2016/12/16(金) 20:03:59 46o8x4vc
響子「朝のお掃除は私と○○さんのお仕事ですよっ(∪`Д´)」

響子「落ち葉を集めます!」ホウキデサッサッ
○○「うぅ〜シバれるなぁ〜。響子さんおはようございます!早起きですねぇ」
響子「(∪*´∀`)おはよーございまーす!!」
○○「いやはや朝が辛い季節になりましたね〜((( ´w` ))) この木もすっかり葉が全部落ちて丸裸になってしまって…」
響子「これぐらいの寒さで音を上げるなんて修行不足ですよ○○さん!」ブルブル
○○「響子さんは元気ですねぇ((( ´w` ))) しかし毎朝毎朝お掃除大変ですねぇ昨日よりいっぱい落ちてる気がしますよ。早くお部屋に戻りたいですなぁ、さて弱音ばっかり吐いてられませんね。お掃除頑張りましょうか!」
響子「(∪*⌒▽⌒*)」


翌朝


響子「おはよーございまーす!」
○○「はいはいおはようさんですっ…っと、今朝は一段と冷え込みますねぇ。箒も手袋がないと握れない冷たさに((( ´w` ))) 」
○○「今日も落ち葉がたくさんですねぇ…いつもより時間がかかるかも…さてさてお掃除お掃除…」
響子「頑張りましょうねっ!ウェヘヘ///」








○○「ふぃーお勤め終わりました」
響子「(∪*´∀`)」
聖「いつもご苦労さまです」
○○「おはようございますっあー寒いっ!寒い寒い!コタツコタツゥー!!賢将ォー!脚伸ばしすぎですよ!!」ゲシッゲシッ
ナズーリン「多分今蹴ってるのコタツに潜り込んでるご主人だからな」
○○「えっ」
星「(´;ω;`)」

マミゾウ「みかんとってきておくれ」
○○「はいはい掃除でもなんでもこの時期に辛いお仕事は私にお鉢がまわってきますねぇはいはい、誰かたまには朝の掃除かわってくださいよ」
ぬえ「寒いの苦手なんで」
水蜜「夏も暑いの苦手とか言ってなかった?」
一輪「いうて毎日毎日掃除してんだからゴミの量だってそんなにないし楽でしょ。寒いだけで」
○○「いやいやありますよ落ち葉とかめっちゃ落ちてますからね」


雲山「昨日、木の葉全部落ちてるって言ってなかった?」


○○「え?」

○○「ん?」

ナズ「あれれーお掃除をサボってるんじゃないのかなー?」
○○「そんなことないですよ!毎朝響子さんと一緒に全部集めて」
一輪「じゃあなに?」





一輪「『掃除に行く前にあそこにゴミをばらまいてるやつがいる』とでも言うわけ?w」










響子「………………」


840 : ○○ :2016/12/16(金) 22:48:07 c9KjQb3Y
>>839
気づいてはいけない事に…コレはいけませんねぇ…

選択肢のない選択肢を要求してくるさとりんっていいよね

<俺はいつだって傍にいる>

「ねえ、○○さん」

<そう、絶対にだ>

「あなたは…私の事を愛してくれてるでしょうか」

<何があっても離れはしない>

「…不安なんです」

<俺は、さとりの味方だから>

「今、そうして私の事を考えているあなたは嘘なんじゃないかと」

<俺は、さとりの恋人だから>

「私の隙をうかがって逃げ出そうとしているのではないかと」

<俺は裏切らない>

「知ってますか? 心にも、薄いところと深いところがあるということを」

<俺はさとりを愛しているから>

「私は…深いところを覗き込んで、結果として他人と触れ合うことが嫌いになりました」

<こうして傍にいるのは証明の1つだろう?>

「例え表面上繕っていても、心の奥底で何を考えているか…
 分からないのが生き物であり、私達という存在でもあります」

<こうして2人仲良くしているのは証明にならないのか?>

「ごめんなさい。
 でも、私は心の全てで私を感じて欲しい。
 信じて欲しい。 愛して欲しい。
 だから…見させていただきます」

『かえしてくれ もういやだ』『おれはかえれないのか』

「やっぱり…でも安心しました。
 予想通りで」

『これいじょうなにをするつもりだ』『おまえといっしょうなんてすごしたくない』

「大丈夫ですよ、○○さん。 なにも怖い事はしません。
 ただ、心の奥底から私の事を想って欲しいだけです」

『ふざけるな』『もういやだ かえせ』

「ふふ…まるで悪い人に捕まった子供みたいな表情ですね?
 生の感情なんて昔は嫌っていましたが…
 愛しい人の感情は例え憎しみに満ちていようとも素晴らしいものです」

『おまえはおかしい』『いかれてる』

「ええ、いくらでも罵ってください。
 私はおかしくなってしまっているのです。
 あなたのせいで。 だから…」

『…!?』『やめろ、おもいださせるな!!』

「あの宴会のときの過ちを私は忘れはしませんよ…?
 あの女の侮蔑に満ちた目、本当にたまりませんでした。
 まさか、酒に酔った勢いで行こうとして間違えて私を誘うなんてね」

『いやだ、まって!』『いくな、いくな!』

「ねえ、もうあんな女は放っておきましょう?
 あなたに必要なのはお互いをどこまでも深く分かり合える伴侶。
 たった1度の過ちであなたを見捨てるような女ではないでしょう?」

『ちがう、ちがう』『やめろ、やめろ!』

「私はあなたを救ってあげられる。
 私はあなたを癒してあげられる。
 私はあなたを許してあげられる」

『……』

「ダメ。 人形になるのは許さない。
 答えなさい」

『!?』『このきおくは…もういやだ…』

「私のものになると。 心から私の恋人になると。
 私の傍にいると。 私を愛し続けると」

『だれか…たすけて』

「私のものになるトラウマか。 トラウマを見せられ続けるトラウマか。
 どちらがあなたにとって楽かなんて、よく分かっていることでしょう?」


841 : ○○ :2016/12/16(金) 22:55:00 c9KjQb3Y
カッチカチでどこかおかしくなったアリスさんも良いかもです


「そ、そんな…」

「ごめん、だから恋人とかそういうのは…その…」

「…分かったわ」

「か、勘違いはしないでくれ! 別に、君のことが嫌いなわけじゃない…
 ただ、仲のいい友人として居て欲しい、それだけ…」

「友人…ふふっ、やっぱり優柔不断。
 分かった。 私はあなたの『友人』としてこれからは振舞うわ」

「我侭みたいで…ごめん」

「あなたは悪くないわ。
 友人の過ちを許すのも正すのも『友人』の努めでしょう?」



<あぁ、○○。
 今回はこの植物の採集をだな…>

「やれやれ…こんな森の奥まで地図もなしか…
 こりゃあ外来人にしか任されないわけだ」

「あら、何をお探し?」

「何でアリスがここに…まぁいいや。
 こういう植物を探してる」

「ふーん。
 だったら私が場所を教えてあげるわ」

「ごめん、恩に着るよ」

「いえいえ、これも『友人』の努めよ」



<いいですか○○さん! 私はあなたが好きなんです!>

<何言ってんのアンタ!? コイツはアタシのものなのよ!!>

「えぇと…お2人とも落ち着いて…」

<じゃあどっちを選ぶか決めなさいよ!!>

「ひ、ひぇぇ…」

「あら、またお困りかしら?」

「…アリス」

「しょうがないわね…困っている友人を助けるのは『友人』の務めだものね。
 ちょっと、あなたたち…」



<あー…よし、○○。
 装備はやるから妖怪退治してこい。
 あの森の中散策できるくらいの力があれば何とかなるだろ>

「アリスのおかげとはいえ依頼を果たしたせいで
 より危ない仕事を押し付けられてしまった…」

<ガルルルッ…>

「うへえ…狼の妖怪なんてのもいるのかよぉ…」

「ごきげんよう○○」

「こっちは最悪だよアリス」

「しょうがないわねぇ…ま、人形達が居れば安全でしょ。
 心優しい『友人』に感謝なさい?
 ほら、さっさと安全な場所に避難しなさい」

「ありがとう、アリス」



「それにしてもずいぶんとタイミングよく現れるねアリス」

「あなたの行動範囲が私の行動範囲と重なってるのよ。
 それにあなたはか弱いただの人間。
 誰かが守ってあげなきゃすぐに死んじゃうでしょう?」

「あー…っと、いつもありがとうアリス」

「お気になさらず。
 あなたの友人として私はあり続けるから」


842 : ○○ :2016/12/16(金) 22:56:12 c9KjQb3Y
私は彼が好きだった けれど彼は私を好かない

そして彼は私の心に 友人の烙印を押す

恋人としていられないなら せめてそうして側に居よう



魔法の森にやってきた 植物求めてやってきた

随分酷い依頼者ね 彼には相応しくない仕事だわ

私は彼の後ろを付けて タイミングよく声を掛ける

そして彼の手助けを 助け合うのが友人だから



今度は里で女に囲まれ 黄色い声を受けている

彼に騒がしいのは合わないわ 彼に合うのは物静かな女

貴女達には合わないから さっさと身を引いたほうがいい

しょうがないから彼女らを説得 しかしこいつらは話を聞かない

ならば仕方ない実力行使 そんなに彼の側がいいのなら

人形にして付けさせてやるわよ



またも森を散策してる 今度は妖怪退治の準備

いくら里人ではないからとはいえ 酷い仕事を与えたものね

妖怪に相対する彼を さっさと呼んで後ろに引かせる

さあ来なさい下っ端妖怪 私の友人に手を出すな



彼は私に感謝する いつもお世話になってる礼

その言葉をもっと側で 聞けたら幸せでしょうけど

だけどいつか覚えてなさい 例え今は友人でもね

関係はいつか変わっていくの あなたの知らないところでね


名も聞いたことのない美少女に
気がついたら親族の外堀を埋められているような体験をしてみたいです(贅沢)
でもやっぱり妖精さんたちに囲まれたいです


843 : ○○ :2016/12/17(土) 14:28:00 0DQc70Ik
ノブレス・オブリージュに囚われて(101)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=91
アリスさんの人形って、本気で活用されたら逃げ場がないよね
○○も半ば気づいてるんだけど、幻想郷を歩くのに心強い護衛だから強くも言えない


844 : ○○ :2016/12/17(土) 16:50:14 AOUyp2VY
>>842
頭の切れるヤンデレちゃんは怖そうでいいですね


ttp://i.imgur.com/fW7rEYL.jpg
阿求ヤンデレ漫画の導入のようななにか
思いついたままに描いただけなので続きはないです


845 : ○○ :2016/12/17(土) 20:31:25 w0HkCuPk
そういえばあっきゅんのまじめ回も途中まで書いたまま眠ってますねぇ…
お蔵入りにしたのをたまにひっぱり出したりするので気が向いたら続きかこうかなぁ


846 : ○○ :2016/12/17(土) 21:13:40 V3NvV5Hk
>>844
同情から気遣ってしまう〇〇とその気遣いを好意と捉えてしまう阿求
阿求の好意に気付いてこれでは阿求を傷つけるだけだと距離を置く〇〇に困惑する阿求
そこに現れた新たな女と〇〇が良い仲になっていく様子を見せつけられ嫉妬に狂っていく阿求…ってとこまで妄想した
というかそのまま漫画書きやがれ下さい!


847 : ○○ :2016/12/17(土) 22:05:22 Mj0fb9Kg
阿求の短命って公式設定なんですかね?

「なあ、芳香」
「あー、うー」
「なあ、芳香」
「あー。▲□◇?〇◎*&」
「なあ、芳香」
「う、あ。は、い。」
「なあ、芳香」
「〇、〇だ。あ、ぶぶふ」
「なあ、芳香」
「もう、帰る、の?」
「なあ、芳香」
「いひ、うふふ。たの、し」
「なあ、芳香」
「もっと、いてくれ」
「なあ、芳香」
「あいたかったよ」
「なあ、芳香」
「うん」
「好きだよ」
「私も」
「な、あ、芳香」
「ええ、〇〇」
「な、よし、か」
「ずっと傍にいるから、寝てなさい」
「……」
「今日も静かなのね」
「冷えるわ、一緒に寝ましょ」


848 : ○○ :2016/12/18(日) 00:11:49 j/5REh2U
>>843
遂に壊れたか…
乙でした。

>>844
好意を寄せてくれる人に愛情を抱かない
すれ違いが起こりそうな予感!

>>847
何故芳香は頭が良くなっているのかしらん?


849 : ○○ :2016/12/18(日) 00:21:59 5tAH2zYs
>>845
阿求好きなので是非書いてほしいです

>>846
素晴らしい妄想力だあ
一枚絵でさえ実力不足で書けないポーズがあるのになんのノウハウもない漫画はちょっと無理かなって思うんですよ…申し訳ない

>>847
求聞史紀で三十迄生きる事は出来ないだろうって本人の独白で書かれてますね
お話の方は…これは、どういう状況なんですかね?



ttp://i.imgur.com/udL1r0d.jpg
うどんちゃん
この子の能力はヤンデレと相性良すぎると思うの


850 : ○○ :2016/12/18(日) 02:44:00 fjgzMj32
本人じゃないけど勝手に解説すると愛によって芳香さんは段々変わっていき普通に話せるようになったが、
そこまでなるのに○○は年老いていったという感じだと解釈した。


851 : ○○ :2016/12/18(日) 11:43:34 4zmNZtEQ
私の姉は妖怪だ。
『鴉天狗』という種族らしいが、姉からは妖怪としての威厳や威圧感をまったく感じられない。
部屋を散らかしても片付けようとしないし私が準備をしなければ平気で仕事道具を忘れる。
まさに典型的な駄目妖怪である。
だが、この典型的な駄目姉に対して感謝しても感謝しきれないことがたった一つある。
それは私をここまで育ててくれた事だ。
今から十年前、幻想郷に迷い込んだ私を引き取ってくれた日のことを鮮明に覚えている。
当時幼かった私は自分が体験した出来事に訳も分からず泣きじゃくってしまった。
そしていないはずの親の名前を呼んでは自分が一人だと痛感して余計恐怖心を煽ってしまった。
不安で心が限界に達したときだった。

目の前に私の姉、『射命丸文』が現れたのは。

ずっと一人だった私は涙を流しながら彼女に抱きついた。
一瞬動揺した彼女は何かを察したらしく、すぐに微笑んで「よく頑張ったね」と私を抱きしめてくれた。
(あとで聞いた話だが、私はこの後緊張が解けて死んだように眠っていたらしい。
今更だが何故姉さんはあの場にいたのか。今度聞いてみ――


「手が痛くなる作業だな…」

筆を置き大きく伸びをする。
長時間座っていたため体からパキパキと枯れた枝が折れたような音がした。
喉が渇いたので少し休憩しようとしたら背後に姉が立っていた。

「おやぁ?これは面白そうな匂いがしますね。お姉ちゃんに見せてくれます?」

「無理です。ところで『原稿が終わらない』ってぼやいていましたけど終わったんですか?」

顔が青くなっても笑顔を保ち続けるのは流石だなと思った。
だが情けない姉の姿を見て自然と溜息が出てくる。

「あ、あの、疲れてますよね?一緒に休憩しましょうよ!」

「はぁ…棚の奥にお菓子が入っているので取ってきてください」

小刻みにパタパタと翼を揺らしながら姉さんは台所へ向かう。
「これで家事ができたら完璧な姉だったんだけどな」と小声で呟く。
……何か忘れているような気がしたが、どうせ取り留めもないことだったのだろう。

そんな事を考えてたらおねえちゃんがかえってきた
なんでわらってるの?おねえちゃん?
なにかたのしいことでもあったの?

「はい、とても楽しくて嬉しいことですよ」

その言葉を最後に私の意識は手放された


852 : ○○ :2016/12/18(日) 16:11:59 5tAH2zYs
>>850
なるほどなー

>>851
○○の運命やいかに!



ttp://i.imgur.com/1JGHv1a.jpg
早苗さんはストーカー似合いそう


853 : ○○ :2016/12/18(日) 17:58:55 dTl9UWik
犬の十戒という本を読み思い浮かんだ早苗さん
駄文すぎて申し訳ない
つまりですね、早苗さんに依存されたいんですよ
一途に深く深く愛され続けたいのですよ

「○○さん…私から離れないでくださいね…?」
「あなたには友達がいっぱいいると思います… でも私にはあなただけなんです…」
「神奈子様も諏訪子様も…お父さんとお母さんでも埋められなかった私の心の溝を…あなたは埋めてくれました…」
「あなたがいなくなれば私はきっと消えてしまう…私じゃなくなってしまう…」
「私の初恋も一生を共にする相手も…全部○○さんなんですよ…?私の全てはあなたなんです…」
「だからずっとそばにいてくださいね…?私をあなただけの早苗でいさせてください…」
「愛しています○○さん…子供の頃…緑髪だからってイジメられてた私を助けてくれた時から…それからずっとあなただけを想い続けてきたんです…!」
「あなたの為ならどんな奇跡でも起こします…!どんな願いも叶えてあげますから…!」
「あなたは私の希望なんです…!あなたは私の世界なんです…!あなたは…あなたは…」
「絶対に離れないでくださいね…私だけの○○さん…!」


854 : ○○ :2016/12/18(日) 20:00:56 wBTmRpZk
>>849
うどんちゃんの能力も性格もひっくるめてポテンシャル高いよね…
催眠とか駆使して○○を手込めにして理想の○○を作り上げるんだけど 時々それは催眠の効果であって本当の意味で○○が自分を見てくれていないってことを意識しちゃって散々葛藤してほしい…
でも最後には幸せになってほしい…

>>851
やっぱり文ちゃんはちょい年上のお姉ちゃんポジがいい…
○○の幻想入りに一枚噛んでるのかそれとも…

>>853
早苗さんは何かあっても「自分が至らないせいで…」って思い詰めちゃいそう
支えてあげなきゃ…(使命感)


855 : ○○ :2016/12/18(日) 21:05:57 5tAH2zYs
>>853
早苗さんって原作だとかなりはっちゃけてるんだけど何故かこういう健気というか必死なのがしっくりきますん


ttp://i.imgur.com/S6hoq9r.jpg
誰かが○○に手出した時の早苗さん
紺珠伝の髪型にしようと思ったけどなんかおかしくなったのは内緒


856 : ○○ :2016/12/18(日) 22:22:09 gVAZDlsY
はっちゃけているのは○○を心配させない為か、それとも「元気な早苗が好き」と言われたりしたからか
色々と妄想が捗るのう…


857 : ○○ :2016/12/18(日) 23:43:34 gYCbGVdQ
「早苗って髪長くて綺麗だよねー、イメチェンとか考えないの?ショートとか」

って言ったら目の前でハサミで髪をジョキジョキして「似合います?ショート好きなんですよね?」って…


858 : ○○ :2016/12/18(日) 23:48:11 5j.Y62Ro
>>857稲川淳二の話に出てきそう


859 : ○○ :2016/12/19(月) 00:36:20 w3ua49Vw
>>847さんの芳香で、一場面を書いてみた。

日に日に年を取っていくと風邪の治りが遅いと感じる。少し蒸気している頬と頭では、外の冷たさはいい薬になる。彼女へ会いに行く先にある、池の表面には子供が駆け回れる程の分厚い氷が、気づかぬうちに張り巡らされ、冬限定の近道となる。ボロボロで固い上着のポケットに冷えた手を突っ込んで、氷の上をしっかりと踏みしめて歩き進んでいく。凍える静かさの中で、唯一自分の吐息だけが聞こえる。ポケットに突っ込んではみ出したマフラーが、歩く度にゆらゆらと振れる。
遠くで誰かの声が聞こえた、前を見上げると


860 : ○○ :2016/12/19(月) 08:51:12 W3q5Cs4o
「失礼するわ、○○。起きているかしら?」
「うふふ、眠っているみたいね…。なんて愛おしい寝顔なのかしら…大きくなっても変わっていない…。」
「…今日であなたが私を拒んでから256日が経過したわ…。もっとも、あなたの記憶には無いのだけれどね…。」
「あの日、私はあなたに告白をした。
この生涯で初めて…最初で最後の愛の告白を…。けれどあなたは言った。『母さんとは恋仲になれない』。私は絶望したわ…。」
「でも当然といえば当然よね…。あなたにとって私はただの育ての母親…。でもね○○…?私はずっとずっとあなただけを愛してきたの…。」
「私は八雲紫という妖怪としてこの世界に誕生してから…ずっとある夢を見ていたの。一人の少年が私と手を繋ぎ、共に未来へ歩んでいく…。その内容の詳細はわからなかったけれど、その少年が私にとって大きな意味を持つ事だけは理解できたわ。」
「そしてそれから1000年以上も経ったある日…私はある赤ん坊を見つけたわ。その子は捨て子だった…恐らく外の世界で捨てられ、この幻想郷に迷い込んだのね。普通なら見捨てるはずだった…でも私はその赤ん坊に運命的な何かを感じずにはいられなかった。だからその子を私の息子として育てる事にしたの…。」
「…その子に私は○○と名付けた。そう、あなたの事よ…。私の式であり娘達…藍も橙もあなたを弟のように可愛がったわ…。まあ、二人とも私の恋敵のようだけれどね…うふふっ。」
「○○は瞬く間に成長していった。結界術も妖術も扱えるまでに…。私はそんなあなたの姿を見て確信したわ。夢に見た少年はあなたなんだって。そして気がついたの…私はあなたに恋をしている事を。私は誰かにそんな感情を抱いた事なんてなかったから、とても混乱したわ…。そうよ…あなたは私の初恋の人なの…。」
「母親としてあなたを護り続けたい気持ちとあなたの妻として共に歩みたい気持ち…そのどちらもが私を埋め尽くした…。私は母親でありながら妻になると決意をした…。あなたにとっての『女性』は全て私でいてほしかった…。私の全てであなたを満たしたかったのよ…。」
「そして私はあの日、あなたに全てを打ち明けた。今までに見た夢の事…あなたへの想い…愛情…。けれどあなたは私を拒んだ。だから仕方なかったのよ…だって…あなたにそんな歴史はいらないものね…?」
「私は能力を用いてあなたの意識に介入し、記憶を書き換えた。私があなたに告白した事実も、あなたが私を拒んだ事実も全て消去したわ…。全てをやり直すつもりでね…。」
「それから私は…告白しては拒まれ、告白しては拒まれ…そして消去する。そんな事を何十回も繰り返しているのよ…。」
「あのビジョンはなんだったのか?頭がおかしくなりそうだった…精神が狂いそうだった…私が消えてしまいそうだった…。でも私は諦めないの…あなたと永遠に結ばれる…その未来を勝ち取るのだから…!」
「…長くなってしまったわね…。では要件だけ済ませましょうか。今日はあなたの意識や記憶に問題が無いか点検に来たのよ…。大丈夫、すぐに終わるわ…。ん?何かしらこれ…。」
「xxさんへ…?これ、まさか…恋文…?…うふふ…あはは…あはははは…あーっはっはっは!!そういう事だったのね!何でこんな簡単な事に気がつかなかったのかしら!恋は盲目ってヤツかしらね!」
「あなた…!この女の事が好きだったのね…!だから私を拒んだのね…!だったら話は簡単じゃない…!ソイツに関する記憶も!ソイツの存在そのものを!全て消し去ってしまえば良いの!そうすればあなたは私を見てくれる…!そうよね!そうなのよね!」
「うふふふ…こんなに嬉しいのは久しぶりよ…!あなたに誕生日プレゼントを貰った時以来かしら…!今すぐに消してやる…!私の○○を汚す淫乱な雌豚共はこの世から一匹残らず!!!」
「……うふふ…取り乱してしまったわ…いけないいけない…。起きていないわよね…?うん、眠っているわ…そういうところ…私に似ているわよね…♪大丈夫よ…目が覚めたらもう全て解決しているから…♪安心しておやすみなさい…。」
「私の可愛い坊や…私の唯一無二の旦那様…♪」

紫ママに一途に深く愛されて眠りたい


861 : ○○ :2016/12/19(月) 19:56:27 FLwHy/e6
>>860
紫さんの能力便利過ぎる…



ttp://i.imgur.com/9lqxlZB.jpg
朝チュン・ノーレッジさん
特にシチュは考えてないので皆さんの脳内補完力に任せます


862 : ○○ :2016/12/19(月) 20:14:53 W3q5Cs4o
パチュリーさんいい…
夫婦の営み後の翌朝に○○の寝顔を眺めうっとりするパチュリーさん
大好きな○○を独占して自分の色で染め上げられる喜びを噛み締めている
…と、私は瞬間的に妄想しました!


863 : ○○ :2016/12/19(月) 23:01:43 FpY9memY
>>860
誰か紫にそうでは無いと忠告出来ないか…。したら本人の身が危ないか。

>>861
GJ!

触発された訳では無いが、パチュリー物を投下。


864 : ○○ :2016/12/19(月) 23:03:59 FpY9memY
易経講座

 私はいつものように彼女の所へ行く。古びた蔵書の臭いは黴臭さを鼻に訴えかけるが、同時に
何やら外の世界で慣れ親しんだ安心感の様な物を私に感じさせてくれる。静かな部屋の中に足音
が良く響き渡る中、重い本棚を曲がった先のテーブルに本を山のように積み、彼女は安楽椅子に
もたれ掛かって本を読んでいた。動かない図書館と彼女が言われて久しいのであるが、成る程
折角来客が訪れたと言うのに、立ち上がりもせずに椅子を勧めるのではホストとしては少々問題
があるように思われる。しかしそれはいつもの通りであるので、私は彼女に声を掛けてから
椅子に座り、前に読んだ本の続きを読むこととした。
 外界では丁度明治か大正に当たる時代に差し掛かっているこの幻想郷では、最近易経が流行
しているらしい。私も外の世界では時折手相占いを兼ねた易者が駅の近くで座っているのを
見た事があるのだが、幻想郷では最近凄腕の占い師が居たらしい。何でもよろず占いと称して
仕事やら家庭やら恋愛やら、果ては外来人の帰還の可否まで占っていたらしいが、最近風の噂で
は自殺をしてしまったらしい。そしてその占い師が書いた本を、村の半獣が大層な剣幕で貸本屋
から回収していたらしく、今では希少本となっているようである。偶々紅魔館に出入りしていた
私が彼女の書庫でその本を見たのは全くの偶然であったが、これも易経で教える「運」だったの
かも知れない。私はその本を見た時から目が離せず、彼女に頼んで漸く見る事が出来た次第で
あった。


865 : ○○ :2016/12/19(月) 23:06:23 FpY9memY
 回収された筈の希少本だけあって、彼女は中々この本を見せる事を渋っていたが、彼女の見て
いる前でならばこの本を読んで良いと許してもらい、私は此処でこうして椅子に凭れている次第
である。最も、あれだけ見せるのを渋っていた貴重な本という割には、彼女は私の前に座って
自分の好きな魔道書を読んでいるだけであり、ちっとも此方を監視しようという気では無い。
ならば勿体ぶらずにあっさりと本を貸してくれても良さそうなものであるが、私の前でリラック
スして本を読む彼女を見ると、単に本を一緒に読む友人が欲しかっただけではないかと思ったり
もして、私はここ最近休日には彼女と本を読む様になっていた。
 そして肝心の此の本であるが、易経の解説が載っており入門者にも理解し易い様に親切に解説
をしており、此の本の作者が大変中国の古典に詳しいことが伺えた。そして此の本には易経の
解釈のみならず、占い師が易占の参考に出来るように占例が掲載されていた。それがどれも
これも恋愛に関する事が大半であり、しかも妖怪と人間の恋愛がその中でも多数を占めていたの
には驚かされたが、古今東西で惚れた腫れただのは人間の関心の最たる物であるのは、真昼のテレ
ビのワイドショーを見れば納得出来る話である。私はページを開き前回の続きを読んでいった。

地火明夷 

この卦は地面を表す坤の要素と、火を表す離の要素が入っている卦です。この卦はあたかも、
太陽が地面の下に潜ってしまっている事を示しています。周囲は暗闇となり何も見え
なくなってしまうでしょう。古代の聖人はこの卦の時には悪い王様の目に留まらないように、
無能な振りをしてひっそりと隠れていました。貴方も次に備えて身を潜めましょう。明けない
夜は無いのですから。


866 : ○○ :2016/12/19(月) 23:07:13 FpY9memY
占例 地火明夷 四爻

 ある日自分がある若者を占った時にこの卦が出ました。その若者は、冥界の主に気に入られて
今度白玉楼に住み込みで働くことになったが、その働き口が良い物か占って欲しいとの依頼で
したので、卦を立ててみるとこの卦が表れました。この卦は太陽が沈んで暗い状況を表しており
一般的に悪い状態を意味するので、普通の占いでしたらこの卦が出た時には行動を見直すように
勧めるのですが、太陽が地面の中に潜るということは、夜の世界、あるいは冥界を表すこととも
考えることが出来ます。そこで今回は爻と呼ばれる詳しい部分を解釈することとしました。
 易経において六十四の「卦」の中に各々六個の「爻」があります。それぞれの爻は卦の詳細
な解説をしますので、ここを分析するとより状況が詳しく分かることとなります。
 今回の四爻の部分を占いの原典で見てみると、「相手の支配者の内部に、プライドを捨てて
潜り込んだ。相手の考えていることが全て分かったので、直ぐに逃げ出すべきである。」
と大体このような事が書かれています。ここでの支配者とは、地火明夷にてのさばっている
とされる人物のことで、この人に頭を下げて衝突を避けながらも、自分の意思を貫くべきで
あると易経は教えております。
 しかし相手の男性に聞いてみても、このような悪いことに思い当たることが無いとの回答で
した。普段からそこの女主人には良くして貰っており、感謝こそすれ、害を被ることは何も無い
と言います。ならば他に女主人が頭が上がらない人物がおり、その人が悪意を持っているのでは
ないかと尋ねましたが、やはり親友がいるとは聞いているが、直接その友人を見たことは無いと
のことでした。それに従者に聞いてみても、そのような相手には思い当たることが無かったとの
事であり、私は不安を抱えながらも若者に対して、
 ・何か不遇にあった時には、表面上やり過ごしつつも、自分の意思を貫き機会を窺うこと。
 ・逃げるときにはだれか協力者を得ることが望ましい。それも主人の下にいる従者が
  適当である。


867 : ○○ :2016/12/19(月) 23:09:01 FpY9memY
という助言を行いました。最初の回答は、地火明夷そのものの解釈から導き出されますが、
次の回答は当時の若者の状況から得られたことです。原典には庭を出て直ぐに逃げるように
と書かれており、従者が庭師を兼任していること。更に易経では、火、地、水などの世の中の
様々なことを分類して、それぞれの卦に分類すると同時に、一から六までの爻にも同時に
社会の人々を当てはめています。一爻は下働きの者、二はその上にいる者、などと分類して
おり、五爻の主人に仕える人物として四爻の人を定めています。依頼者の話を聞いていると、
主人の従者もまた、依頼者に対して良くしてくれている様です。ですので何か苦境から脱する
際にはこの従者の手助けを得る事が、恐らく必要となってくると依頼者の男性に伝えました。

 果たしてどうなったかと申しますと、依頼人に助言をした後、依頼人をとんと見る事が
無くなっており、私自身も彼が苦境になってはいないかと心配をしていたのですが、後に
風の噂で冥界に幽閉されており、そこから従者の助けを得て逃げ出し、後に遠い場所で幸せに
過ごしているとの話を、伝手を辿った末に「風の噂」という形でのみ聞くことが出来ました。
 読者の皆様に置かれましては、では一体依頼者をそのような目に遭わせた人物の方はお咎め
無しかと憤懣遣る方無し、という方も居られるかもしれません。しかしそこは天の網は粗い
ように見えて悪人を漏らす事は無し、ということです。易経においてもそのような悪人の
末路は示されております。地火明夷の最後の爻である六爻にはこの様に書かれています。
「暗君は、始めは天に昇るようであるが、後に地に墜ちる。」
「天に昇るとは、周囲に君臨するという事である。そして無茶苦茶なことをして人の道に
外れてしまうので、後に排除される。」
中国での革命において、王様はしばしば物理的に排除されてきたことを考えると、地に墜ちる
という言葉も、殺されて地面に埋められると考えた方が印象として合致するのかもしれません。


868 : ○○ :2016/12/19(月) 23:10:10 FpY9memY
 周という国の元を作った文王という人がいますが、この人は暴虐な王様に捕らえられて幽閉さ
れていたことがあります。その時に文王は大変な苦労を味わいながらも、耐えて後に偉大な
功績を残しました。貴方も困難に出会ったとしても、いずれ脱出できる事でしょう。
 あと、貴方が占いを行いこの卦がでた時の注意として、この卦は女難の卦と言われております。特に幻想郷では
美麗な女性が多いですから、貴方もゆめゆめ注意をなされんことを…。

以上になります。ラストまでは遠い…


869 : ○○ :2016/12/20(火) 07:55:47 7AgxO9R.
>>860の続きっぽいやつ

「…どうして…どうして…どうしてまた私を拒んだの…?あの女は消したじゃない…記憶だって…なのに…なんで…?」
「○○は私と一緒にいたくないって言うの…?ただの親子でいたらいつか離れてしまうのよ…?夫婦になれば絶対に消えない絆で結ばれる…!今より強く深い絆で…!」
「まだ他に好きな人がいるの…?それとも…私があなたの母親だから…?血の繋がりなんてないのに…?結婚できるのに…?それでも私はただのお母さんなの…?」
「なら…私との記憶を消してしまえばいいの…?そうすれば私達は親子じゃなくなるの…?嫌…そんなの嫌…あなたの母親は私なの…!あなたとの思い出を消すだなんて…できないわよ…」
「嫌よ…○○…私と一緒にいてよ…他の誰かのモノになんてならないでよ…お願い…お願い…」

おまけ(ハッピーエンドルート)
「やっと…結ばれたんだね…/// 今までひどい事してごめんね…/// でももう大丈夫…私が永久に護り続けてあげるから…///」
「私はあなたのお嫁さんになったけれど、いつでもママに戻ってあげる…お姉ちゃんにだってなれるわ…/// あなたにとって女性は全て私なのよ…///」
「もちろん私もよ…/// 私にとって男性はあなただけ…/// あなたしか知らない…あなたにしか満足できない…//// あなただけに満たされて…全てを捧げ続けるの…////」
「純潔もファーストキスも全て捧げてあげられた…/// 愛するあなたに…全部全部…//// あなたの初めても全て貰えた…///
お互いが最初で最後の相手になるのね…//// いつまでも私はあなただけを見続けるのよ…///」
「好きよ○○…/// もうあなたと離れる事はない…/// だってあなたはもうスキマ妖怪なのだから…私と同じ『種族』になったの…///」
「だから寿命の事なんて気にしなくてもいい…例えあなたが先に死んでしまっても…私も一緒に死ぬのだから…/// そうなってしまっても幽々子の家に泊めてもらえば良いだけだもの…何も恐れることはないわ…///」
「私達は二人で一人…どちらかが欠けてはいけないの…/// あなたがそばにいない私は私じゃない…私がそばにいないあなたはあなたじゃないの…////」
「ずーっと…ずーっと愛し続けるわ…あなただけを愛しているの…/// だからあなたもそうしてね…浮気なんてしたら…」
「また『やり直し』なんだからネ…///」


870 : ○○ :2016/12/20(火) 15:57:43 WyG9.a32
>>859
遠くのほとりで小さな人影が見えた。ああ、可愛い奴め。口元がにやけてしまうのを感じながら、僕は足元に気をつけながらも彼女の方へと走り出した。
「ぶぶふ、ああ、ううん」
彼女は、うつ向きながらぶつぶつと何かを呟いていた。見れば白い雪が彼女の華奢な肩とピンと突き出した両手に積もっており、見ていて凍えそうだった。
「なあ、芳香。待っていてくれたのか」
「ううん、あ、ああ、〇〇だぁ……」
僕を、確認したのか芳香はぱっと笑顔を咲かせて、にこっと笑った。すると、彼女の紫色の唇がぱきぱきと割れてしまう。彼女の頬に振れると、少し凍ってしまったのか雪のように冷たかった。
「無茶しちゃダメじゃないか、また、青娥さんに怒られてしまう」
「怒られ、る?それ、よ、りも」
彼女は僕の説教をよそに視線を僕の手元に移した。
「て、つなぐのが、いい、な」
「でも、その手では握れないだろう?」
「*&ゞゞ&□〇」
「はい、はいわかったわかった。こうすればいいんだろ」
そういって、僕は彼女の腕を握って思いきり引っ張った。凍ってしまった彼女の腕の付け根から、気の抜けた軽い音がすると、だらりと片腕が垂れ下がった。
「痛くない?」
そういって、彼女の肩をさする。そして、膝まずいて彼女の手を両手で持ち挙げて、自分の息をかけてたり、握ったりして温めてやる。
「冷たいね。いつから待ってたの?」
「あの、青、娥がどこか、に出掛けてから」
「そうか」
雪が積もるころから、青娥が町に来ているのを聞いた。彼女が待ってたのは、おそらく何日も前からではないのか。
「ありがとう。こうすれば少しは寒さが紛れるだろう」
彼女に痛みも寒さもないのはわかっている。でも、ここまで自分を慕っている女にはそれなりの感謝と気持ちを示さなければならない。
「なあ、芳香」
「◎×*&ゞ□〇」
「君のことを愛しているよ」 
いつか君が僕の言葉の意味をわかってくれるまで僕は彼女の名を呼び続けるだろう。

芳香可愛いよ可愛い


871 : ○○ :2016/12/20(火) 22:44:44 OX3/vuvg
皆様投稿されているので、此方もラッシュに乗じて投稿

易経講座2

 今日も今日とて紅魔館に向かう。私が彼女の図書館に向かう様になってから、昔はちょこ
ちょこと行っていた馴染みの居酒屋や食べ物屋といった、他の場所にはめっきりご無沙汰と
なっている気がする。居酒屋で知り合いと駄弁るよりも、図書館で本を読む事の方が最近楽し
くなってきていたし、図書館に行けばそこらの食堂では見かけられない様な、分厚いステーキ
や卵をふんだんに使ったオムレツといった食事が、年代物のワインと共にいつの間にか出て
くる。幻想郷ではまだまだ貴重な、砂糖を贅沢に使ったパンケーキを食べながら、紅茶を
飲みながら本を読む彼女を見る。貴重な図書ならば、食事をする時ぐらいは片付ければよさ
そうなものであるが、彼女はその本を常に机の上に置いている。まるで私とその本から片時も
目を離したく無い様にも思えるが、この本の魅力からすれば些末なことであるように思える。
私は今日も本の続きを、ページを捲ることすらももどかしく感じながら読んでいった。

 乾為天

 この卦には天を表す要素が二つ入っております。まさに古代中国で偉大とされた天子、即ち
皇帝として中華全土に君臨するように、大きな力が集まりさながら竜のような巨大なものと
なっているイメージが適当でしょう。大きな力が得られますので、貴方の願いを叶える最適な
状況と言えるでしょう。古代の聖人はこの卦を竜の一生に例えて、人生の状況を比喩しており
ます。この卦は最初の卦であり、この卦の次に紹介されている卦と合わせて、物事の基本とも
言えるのかもしれません。


872 : ○○ :2016/12/20(火) 22:45:27 OX3/vuvg
 占例 乾為天 変爻無し

 ある人物が、とある女性との縁談について相談に訪れられたことがあります。元々はその
女性は父親との反目の末、里を飛び出して魔女となった末に一人で魔法の森で生活をされて
いたそうですが、年頃となり気になる外来人の男性が出来たそうで、仲人を通じて縁談を
申し込んできたとの事でした。魔法の森に住む魔女となれば外来人ならずとも、いや信心
深い里の住人ならば一層そうなのかも知れませんが、普段は気乗りがする話しではないので
すが、男性にとってこう、言っては何とも意地汚い話ではあるのですが、その女性は里で
一番大きな店の主人の娘であり、しかも婿養子になった暁には将来の大旦那となることが
約束されているという、なんともはや、見逃すには少々惜しい話であったのでその男性は
この縁談に乗って良いかと相談に来た次第でありました。しかしやはり気になるのは、女性と
結婚して上手くいくかというものです。いくら愛が有ろうとも、魔女の秘薬で無理矢理作られた
愛では、相手が例えなよ竹の姫といえども無理になるからには、是が非でもこの縁談に乗りたく
男性としては相談にやってきた訳でありました。
 
 今回の男性の縁談について占ったところ、乾為天の変爻無しという結果となりました。
以前の占いでは変爻として一から六までの数字が示されていましたが、占いの方法によって
は、変爻が出ない場合があります。その場合は乾為天の中で全ての要素を含むものとして、
全部の爻を参考にして結論を出す場合が一般的です。
 乾為天は竜の一生を表しています。竜は万物の中で剛胆な力を表すものであり、昇竜門と
いう故事から分かる通りに立身出世の象徴でもあります。そこで此の縁談についても男性の
栄達からすれば最良と言うべき卦でありますが、易経は出世の方法についても伝授しています。
 原典の最初には「小さな竜は使ってはならない」としています。これはいまだ権力が小さい
内には積極的に打って出るのでは無く、地盤を固める必要があると教えています。そしてその
次の文章には「地上に上った竜は、賢者の力を得なければならない」と意訳すると書いてあり
ます。賢者に当てはまるのは当然に元魔女であるその女性となり、彼女の力を得て大空に羽ば
たくように勢いを増すことが出来ると、易経は教えていることとなります。


873 : ○○ :2016/12/20(火) 22:46:30 OX3/vuvg
 その他にも色々と易経は教えているのですが、ひとまずは之れを心の中に置き、商売に専心
するように男性には伝えておきました。ちなみに男性が大変気にしていた縁談の相性ですが、
世に一つとまではいかなくとも、相当に良いと占いは告げておりました。私はそれを見てある
懸念があったので敢えて、「大変に良いので絶対に逃してはならない」と助言致しました。
それを聞いて男性は是非にと縁談に臨み、大いに商店を発展させました。


 さて、ここまでは目出度し目出度しというお話でありますが、易経にはある原則があります。
即ち世の中には常に同じでいる物は存在しないという、中々捕らえようによっては残酷なもの
が御座います。平家物語のくだりを暗唱する琵琶法師ではないですが、驕れる物は久しからず
と言われるが如く、易経の乾為天の卦においてもその栄光は永遠に続くものではありません。
乾為天の六爻において「昇りきった竜は下がるのみ」と、その幸福の終焉を予感させる文章が
告げられています。
 男性の商売には現代の知識を利用したものであったため、女性の実家から元手を引き出せれば
勝負あったりという状況で、しかも女性が魔女として鳴らしていた時代に築いた魑魅魍魎の人脈
によって向かう所に敵は無しと言わんばかりものでありました。ですのでその女性については男性
としても喉から手が出るばかりに欲しいものでありました。昔は。
 しかしながら乾為天の豪運は男性に実力を呼び寄せたと錯覚させるものであり、次第に英雄色を
好むと言わんばかりの状況となっていました。次第に女性の方は悲嘆に暮れ、男性の心変わりを
恨むようになりました。すると流石は腐っても鯛と言わんばかり、魔女の呪いはその男性を覿面
に蝕んでいきました。そしてとどめとして周囲の人間が男性にそっぽを向けば、あとは男性の
運命は易経の教え通りに崩れていき、最後には全てが無くなりました。

 私としてはこれを見越しており、男性に対して仕事に集中すべきと助言した訳ですが、それでも
真面目な好青年をここまで変えた運命は、非常に荒々しく恐ろしい物だと思わされました。しかし
男性にも一つだけ望みがあります。私が以前に絶対に逃してはならないと助言した女性をそれで
も失わなかった事です。全てを無くした男性に唯一残った女性こそが、この運命を切り開く鍵とな
るのです。易は変化を司ります。今はどん底の男性であっても再び蘇るでしょう。

以上になります。


874 : ○○ :2016/12/23(金) 11:56:34 xqcfTOpQ
メリー「○○くん」

メリー「私VR買ったんだ」

メリー「うん、だから遊びにおいでよ」

メリーさんち

メリー「うん入って入って」

ガチャ「チェーンロック」

メリー「……」

メリー「寒かったね〜、なんかあったかいものでも淹れるねw」

メリー「じゃぁ…あったまったところで…早速VR!やっちゃおっか」

メリー「まずこの椅子に座ってねー」

メリー「このヘッドセット被ってね、ここでサイズが調整できるからピントをあわせてね」

メリー「どう?ばっちり?ん?『周りなんにも見えない』?すごいでしょ〜?」

メリー「ヘッドホンもしてねー、『ゲームの音しか聞こえない』?へへ〜でも私の声も辛うじて聞こえるでしょ〜?大丈夫大丈夫……大丈夫だよ」

メリー「危ないから立っちゃ駄目だよ?さっきも言った通り『周りも見えないし音も聞こえないから』ね」

メリー「じゃあ始めるよ〜」



○○くん
クリスマスに女の子の家に上がるって…
『そういうこと』でいいんだよね…?
視覚も聴覚も、姿勢も私に委ねてくれて…
じゃあもう『次』も私に委ねてくれるってことでいいんだよね…?
こんなに近くで見つめているのに
こんなに危ないオンナがすぐ近くにいるのに
気づかないなんて、危ないなぁ
私が守ってあげなきゃ駄目だなぁ…









○○「うわ」
○○「あぁっ」
○○「!?」
○○「す、すごい…w」
○○「あっ!?ゴズラが…!!」
○○「!?!?上から音が聞こえる…!?ヘリが飛んでる!!ゴズラに攻撃してるw」
○○「えっえっえっ待ってゴズラこっちに来てるよ?えっあっ……!」
○○「うわーーw岩が飛んできたーwうわーーwうわーーw」ビクッ
○○「えっえっゴズラが…目の前に…あっうわっ…で、でけぇ…えっあっ」
○○「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!」ビクビクッ ←飛んできた岩が自分に落ちてきてる
メリー「!?」ビクッ
○○「あ、あぁ…」ガクッ

○○「VRすげぇ…舐めてた…も、もっとなんかやりたいんだけどwい、いいかな?」ワクワク
メリー(め、めっちゃ楽しんでる…)

メリー(……)

メリー(も、もうちょと一緒に楽しんでもいいよね?)

この後むちゃくちゃVRした


完全に私ごとなのですが先日VR体験しました
ゴジラの他にカプコンの「キッチン」ってやつをやったんですが…申し訳ないが恐いだけの女の人はNG…すごい怖かったです…


875 : ○○ :2016/12/24(土) 08:24:47 lk4YX4ts
>>874
ワロタwww


876 : ○○ :2016/12/24(土) 16:16:38 jrjonceA
ttp://i.imgur.com/sx2XZX0.jpg
クリスマスイヴということでサンタみすちー置いておきますね
靴下やプレゼントの中には婚姻届とか色々入ってるんじゃないかな


877 : ○○ :2016/12/24(土) 17:47:52 TwjC.sLg
>>876
目が覚めてワクテカ状態でプレゼント取り出したら片方記入済みの婚姻届けが入ってる時の恐怖




チルノ「今日はサンタさんがくるから帰るね!!」
チルノ「私に会えなくて寂しいだろうけど我慢してね!!」
○○「なんで俺が我慢する側になってるんですかね」

大妖精「私は○○さんに寂しい思いさせませんよ」
○○「できれば恐い思いもさせないでほしいです」

○○「大ちゃんは帰らないの?サンタさんくるんじゃない?」
大妖精「私、サンタさんにはお断りのお手紙を出しておきました」

大妖精「『欲しいモノ』は勝ち取る主義なので…」チラッ
○○「((((;゜Д゜))))」


878 : ○○ :2016/12/24(土) 21:59:03 uvoxxdD2
>>876
うちに来てくれよお!!
あと関係ないし上から目線ぽくて失礼かもしれないんだけど、貴方の投稿してきた絵を見直してみたら段々上手く?と言えばいいのかわからないんだけど、俺好みの絵柄になってきてて凄いと思った(小並感)
やっぱ継続してると実力付くものなんだなって

>>877
サンタ「アッハイ」
大ちゃんから漂う強キャラ感


879 : ○○ :2016/12/25(日) 03:08:27 uESDk2ss
>>873
バックでかなり設定練ってらっしゃるのでしょうか…読んでいるとそんな気がしてきます
続きも待ってます!

>>874
メリーだ!メリーだ!ありがとうございます…アリガトウゴザイマス…
これVRだからVRだからって言いながらリアル結界暴きに巻き込んできてほしい…

>>876
羽を抜いて作った羽毛の寝具とかプレゼントにほしいです
あぁでも逆に「お前がプレゼントになるんだよ!」パターンでお持ち帰りされるのも…

>>877
大ちゃんの表イメージが真面目でいい娘な分病んだ時のウフフ具合が…ね!ステキですよね!


880 : ○○ :2016/12/25(日) 07:25:38 0KZj8hvk
ノブレス・オブリージュに囚われて(102)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=92
絵も文章も、続けないとうまくはならない


881 : ○○ :2016/12/25(日) 19:48:43 dIf0.InY
>>879
ご感想ありがとうございます。
あと少しで区切りまでいけそうです。

>>880
助けて永琳と叫んでも答えが返ってこないこの状況…
続きを楽しみにしております。

次より投下


882 : ○○ :2016/12/25(日) 19:49:15 dIf0.InY
 易経講座3

 最近本を読み進めるに至って、紅魔館に入り浸るばかりとなってしまった。仕事と最低限の
休息を除けば、大抵は図書館の中で本を読んでいる。本も中盤になり面白くなってきた頃であり
他の何よりも本を読む事が楽しくなってきている。騒々しい外界に居る時には、こんなにも読書が
面白いなんて思いもしなかったが、最近はすっかりと活字中毒となってしまった。今日もいつも
のように図書館へ行くと、彼女はいつものように自ら紅茶を煎れてくれる。茶葉の微かな苦みを
引き立てる甘いミルクの味を楽しんでから、僕は前回読んでいた本を開けようとするが、彼女は
本を開こうとした僕の手を押さえる。白くほっそりと柔らかい彼女の手であるが、意外にも力は
強く、僕の指は少しも動かない。お腹が空いている時に目の前の食事へのお預けを食らった様な、
強烈な飢餓感を感じて思わず彼女に文句を言いたくなるが、彼女の真剣な目を見ると興奮がやおら
醒める様な気がした。透き通った水の様に僕を見透かすような、だけれど温かいお湯の様に僕を
気遣うような、そんな目で彼女は僕を見ている。

 「大丈夫かしら、貴方疲れている様だけれど。ちょっと熱を入れすぎじゃないかしら。」
 彼女は僕の手を握りながらそう言うが、本を読みたい僕は彼女をやり過ごそうと適当な事を
言う。まるで道化の様に振る舞る姿は、どこかで見た薬物疑惑が報じられた有名人が、空元気を
出して否定をするような姿であった。


883 : ○○ :2016/12/25(日) 19:51:21 dIf0.InY
 震為雷 

 この卦は天から雷が落ちる様を表した卦です。古代の中国では天からピカリと落ちてくる
その姿を見て、速い動きを意味する震という文字を当てはめました。夏目漱石の様な作家は
電光影裏に春風を斬るなどと著作の中に書いておりましたが、正にそのように一瞬の電光石火
の様なイメージを持つ卦であります。その卦では雷が鳴ると人は驚き慌てるが、落ち着いて対処
すれば、雷が音だけ響く事と同じ様に実際は大して問題は無いであろうというシュチュエーシ
ョンを表しております。附和雷同と言われますが、そのような態度では問題が有るでしょう。
ここはしっかりと冷静に対処するべきです。

 占例 震為雷 一爻

 私が以前占った人でありますが、ある男性が女性より猛烈なアプローチを受けたため、それに
対してどのように対応するべきかと、質問を受けた事があります。普段は私は筮竹を用いたり
することが多いのですが、その人の話を聞いて卦を立てることがあります。易は色々な状況を
整理しているため、その状況に当てはまる卦を選びアドバイスをすることが有ります。よく筮竹
をじゃらじゃらかき混ぜて当てずっぽうで占っているのに、正しい答えが出る物かと疑う人が
居られますが、それにはこの様な裏が隠されていたのですね。
 さて、今回ですが男性から聞いた話が大変この卦に当てはまっていたため、直ぐに自信を持っ
て回答することが出来ました。なにせ女性の名前は某天子と仰られる方でおり、しかも地震を
起こす能力をお持ちの方。ここまでくれば易の立て方は自ずと定められます。男性の方には驚く
ことがあろうが、落ち着いて対処すれば問題は無いとアドバイスをしました。
 そしてその後、相手の女性の方もまた、私の所にて易占を求めにやってこられました。私は
驚きながらも、男性と同じ様に易の卦を求め、女性の方に対しては二人で力を合わせるように
すれば、問題が無いと答えました。そしてその後、男性と女性はお幸せになられたそうで、
目出度し目出度しというお話ですが、実はこの話には続きがあります。


884 : ○○ :2016/12/25(日) 19:53:31 dIf0.InY
 男性も女性も両方共に私の所に来たのは偶然では無く、両人ともにある人物から勧められた
からという言葉を、私は易占の時に聞いていました。後日その人物について調べたところ、竜宮の使いで
あることが分かりました。古来竜宮の使いは竜神の意思を伝えるために、空気を読む力を持っているので
すが、この能力は古代中国では、立派な人は身につけるべき能力であるとされていました。
 別に単に人に謙りお世話をするというのではなく、物事の前兆の空気が震えるように微かな兆しを察知
するという能力であり、これで時流に乗り遅れずに付いていくという能力です。これだけ見れば、単にそ
のお付きの女性が主君の身を案じ、一肌を脱いだだけなのかも知れませんが、お付きの女性はその後で直
ぐに婚約に至ったそうです。
 ところで、某天子なる女性は大変行動力がある、と言えば聞こえはいいですが、我儘放題をしていたと
いう中々の評判を、迷い家の住人より聞く事が出来ました。もし使いの女性に恋人がいたのならば、仕えて
いる主人に嗅ぎつかれる事が一番厄介でしょう。邪険にすることができず、然りとて放っておいては、我儘
な総領の娘に奪われるやもしれず。となっては夜もおちおち眠れないでしょう。主人に隠れて交際する内に
バレてしまっては、飽き性の彼女が隠していた男性に興味を抱くのは目に見えています。
 自分の恋人を奪われることを恐れた彼女がとった行動は、先に主人に良縁を宛てがい、その後
自分の婚約に持ち込むことでした。そのためには主人の恋愛が上手くいかなくてはなりません。
主人は見た目は大変麗しいものの、その言動は我儘放題、まるで雷か地震の如くとあっては
相手の男性はそれに耐えなければなりません。そのため女性の方には多少の自重を求め、男性の
方には外堀と内堀が埋まるまで、全く動かないでもらえるようなアドバイスをする人物が必要
であったのかも知れません。
 勿論これは全ては私の想像にしか過ぎません。しかし私が聞いた事の中で一つ確かな事を挙げる
とするならば、お付きの女性は主人の女性よりも一ヶ月程早く、お子様を授かられたそうですよ。

以上になります。あと少しでラスト


885 : ○○ :2016/12/25(日) 20:49:20 dIf0.InY
 易経講座4

 ここ最近はあの本の事ばかり考えしまっている。著者の作る大きな易経の世界に魅せられて、
どうしてもあの本の事が頭から離れない。本が読める日が待ち遠しく感じて、家の中を落ち着き
の無い犬の様にウロウロとしてしまう。時間が経てば経つほどその焦燥は増していき、とうとう
紅魔館に行こうと決心した。約束の日までは間があるが、あそこに居る魔女は滅多に外出して
いないようで、いつ見てもあそこで座って本を読んでいるのだから。逸る心臓を押さえつけて、
僕は仕事そっちのけで紅魔館に向かうのであった。
 紅魔館に着くと、普段は昼寝をしている門番が珍しく起きている。ははあ、さては今日は来る
と前もって言っていなかったから警戒しているなと思いつつ、僕は彼女に話しかける。いぶか
しげな目で僕を見た門番の女性は、やおら太極の構えをとろうとするが、次の瞬間に僕はいつも
の図書館のテーブルに座っていた。

「珍しいじゃない。明日来るはずじゃなかったの?」

そう言う彼女に僕は突然来たくなったと返事をし、何時もの本を見せて貰えないかと頼む。
数秒考え込んだ彼女に、僕はあの本が読めないかと不安になる。折角ここまで来たのに、それで
は意味が無い。

「私の隣でレミィが居ても良ければ、大丈夫だけれど…。」

なんだそんな条件かとホッとした僕は、彼女の隣に座った女性の事など半ば無視をして、出され
た本を読みふけった。残りページはあと僅か。


886 : ○○ :2016/12/25(日) 20:50:03 dIf0.InY
 水火既済

 この本で書かれた易経の世界も、ついに終わりに近づいて来ました。この卦は調和、既定路線
という意味の卦です。これは一見良さそうな意味ですが、易経の世界では完成したらそれで終わ
りではなく、そこから混乱が始まると見ます。永遠など無いとするのなら、栄華は衰退への第一
歩であるのかもしれません。この卦でも始めは良いが、後に悪いと書かれています。その際には
無闇に進むので無く、じっと堪えて我慢することがベターでしょう。

 占例 水火既済 上爻

 ある所に一人の易経を修めた人物が居ました。その人は色々な人から相談を受け、易を用いて
占っておりました。幻想郷という世界には色々な妖怪や、はては神といった人間を越えた人々が
おり、その人々がなす世界を見ていると、その易者からすれば何だか今の世界は色褪せて見えて
来ました。しかしその人物は人の身、そのままでは博麗の巫女の様な力でも無い限り、とてもと
ても人知を越えた領分には踏み込めません。そこでその人物は考えました。転生すればこの矮小
なる人の身から抜け出し、妖怪としてこの幻想郷を人外の領域から、眺めることが出来るのでは
ないかと。そこで易者は自分が良く知っている易を用いて、転生の手法を採る事としました。
念のために本を複数用意して魂と呪法を込めておき、そのどれかに読者の生命力が触れた時に、
妖魔本の回路が作動して、読者の生命力と魂の吸い取り、

 それをもって私は妖怪に転生を果たすのです


887 : ○○ :2016/12/25(日) 20:51:14 dIf0.InY
 ああ、もうこの本を閉じようとしても無駄な事です。すでに貴方はこの本の虜となっています。
そもそもこの本は、貴方の「元となる気」を得て作動すると共に、貴方の知識も得ていわば成長
する本として作ってあるのですから。どうして本の内容が、貴方が聞いた事のある人間ばかり
だったのでしょうか?どうして本の中身に明治ならず大正の人物まで描かれたのでしょうか?
どうしてこの文章に外来語がふんだんに使われていたのでしょうか?それも後半になれば成る
程に!
 この本は貴方の力を使って、成長していったものなのです。貴方の知識と力は全てこの本に
吸い取られ、貴方は私の転生の犠牲となってしまうのは、もはや水火既済の示す通りの予定
調和の事なのです。まさに原典にて「川を渡ろうとして動き回ったところ、溺れてしまった。
凶。」と書かれているこの状況そのものなのですよ。

以上になります。 次で終わりたい


888 : ○○ :2016/12/25(日) 22:19:18 dIf0.InY
これでラストです

 易経講座5

 貪るように本を読んでいた○○の体から、力が抜けて崩れ落ちる。彼の体が床に落ちる前に
指を振って彼の体を浮かせて、此方まで引き寄せる。本来は妖魔本に生命力を吸い取られて死ん
でいる筈なのだが、来る度に振る舞っていた紅茶に魔女の秘薬を混ぜていた所為で、体の方は
気絶だけで済んだようである。
 妖魔本の方は、○○の力を切っ掛けに妖怪を生み出そうとしている。どうせ前回は霊夢に頭を
一撃でかち割られたを聞いているので、あまり力の無い妖怪なのであろうが、一応話半分に妖怪
の話を聞いておく。魔方陣を床に発光させながら。

 「待ってくれ、話せば分かる。」

 魔術の回路を見た瞬間に実力が分かったようで、いきなり許しを請うように低姿勢で来た妖怪
の易者であるが、すでにそいつのことは占ってある。

 「何かしら。」
 「そこの男の記憶を私は持っている。もし私を見逃してくれたなら、記憶を返してやるぞ。
  もし私を此処で殺してしまえば、その男の記憶は永遠に失われるぞ。」

此方になんとしても訴えかける男の姿であるが、私は何の感慨も無く魔方陣を発動させる。する
と慌てた易者は、考えを変えさせようと必死に説得を続けてくる。無駄な事であるのに。

 「良いのか、この男を見殺す様な事をして良いのか!」
 「貴方、嘘ついてるでしょ。」


889 : ○○ :2016/12/25(日) 22:19:56 dIf0.InY
 「ついてなどいない!」
 「水火既済から火水未済を狙ったようだけれど、残念。内心に嘘をついているとはっきりと
  出ているわ。ついでに易経には力の無い子狐が川を渡ろうとして失敗する。と書かれている
  わ。つまりここでおぼれ死ねってこと。」

水符を発動させて易者目がけて莫大な量の水を叩き付ける。魔方陣の周囲には水飛沫一つ飛ばず
に周囲の本が濡れる心配は無いが、魔方陣の中には妖怪の存在を一欠片も残さずにかき消す程の
水が荒れ狂っている。

  「やめろ、やめっ、ウヴォボボ、ヴォ・・・。」

 あっさりと消滅した妖怪は意識の先に追いやり、○○の容態を見る。魔力の乱れは無く、意識
も直ぐに戻りそうである。彼にそっと起こすように声を掛ける。起きた○○であるが、どことな
く焦点が合っていない様相である。

  「大丈夫?」
  「ここは、どこでしょうか?」

彼の記憶が混濁していることを確認しながら、更に会話を続ける。

  「紅魔館という名前に聞き覚えは?」
  「いえ・・・。ありません。」

  「自分の名前は分かる?」
  「分からないです・・・。」

 彼の記憶が妖魔本に吸い取られてしまったのは、始めから分かっていた事である。館に出入り
している○○を見た時に、私は彼を絶対に自分の物にしようと思った。そして彼が里で回収さ
れた妖魔本に興味を示した時に、私は之れを利用して彼を手に入れる事を思いついた。この妖
魔本を使って、彼を虜にした挙げ句に記憶を全て消去させてしまえば、彼は私の元に身を寄せ
る他はない。彼が今までに私の知らない所で過ごした時間を全て消し去り、全てが真っ白な
彼を一から育てると考えると、私の胸はとても高鳴った。全てを私が思うがままに出来ると思う
と、思わず涎が出てきそうになる程である。横のレミィは少々面白く無さそうな顔をしている。
運命が見られると誘ったのに、運命が変化することなく終わったからであろう。


890 : ○○ :2016/12/25(日) 22:21:35 dIf0.InY
 「何か、一気に運命が変わりそうな雰囲気だったのに、結局規定通りの運命だったじゃないの、パチェ。」
 「レミィ、それは当然よ。運命が変わる火水未済を反対側の立場から見ると、水火既済、つま
  り規定事項の通りってことなのだから。」

 「ふぅん・・・。まあ、歓迎するわ貴方。紅魔館へようこそ。」

 じゃあね-と言って彼女が去っていった後、私は状況を掴もうとしている○○に話しかける。
易は流転する。水火既済は火水未済となることで世界ほ未完成となり、再び乾為天より始まった
世界にて、私は彼を水雷屯の卦の通りに生みだした後に、山水蒙の卦にて教育する。まずは彼に
名前を付けなければ成らない。

 「貴方の名前は○○よ。」
 「○○・・・。」
 「ねえ、○○。私の所に来ない?きっとこれは運命の出会いなのだから。」

 万物は流転する。易を利用することで、この流れを都合の良いように変えたり、都合の悪い結
果を変化させることも出来る。そして人はこれをこう言った、当たるも八卦当たらぬも八卦、と。 

以上になります。途中ご感想を頂きましてありがとうございました。


891 : ○○ :2016/12/26(月) 01:03:15 dggwGrqk
>>890
お疲れ様です
話が良くて読み終わった時に大作を読み終わったような感嘆のため息が出ました
次作が投下されるのが楽しみです




ttp://i.imgur.com/cDeXUHs.jpg
マジギレフランちゃん
相対してるのは○○でしょうか、紅魔館の住人かどこぞの泥棒猫でしょうか
この子は少々気が触れていて情緒不安定らしいから○○も周りも大変そう


>>878
ありがとうございます
自分自身では出来の振れ幅が大きいだけだと思っているのですがそう言って貰えると嬉しいです
もっと色んな可愛いヤンデレちゃんを描けるよう精進しますね


892 : ○○ :2016/12/26(月) 21:04:03 Xm7qeEHs
>>890
乙!
易経って儒教かなんかの関連だっけ?その辺知ってたらもっと面白く読めたんだろうなって思った
というかこんな話どうやったら思いつくんだすげえよ



>>891
◯◯でも女の子でも妄想が広がるな
◯◯の世話をする咲夜に嫉妬するけど殺そうとするとレミリアが出てきてそれにパチュリーや美鈴が組するみたいな
あと絵の方は振れ幅もあるかもしれないけど絶対上手くなってるってこのフランちゃんめっちゃ良いし


893 : ○○ :2016/12/27(火) 16:47:59 GpMiDTYs
うどんげお姉ちゃんとずっと一緒にいたい

「○○…○○…///」
お姉ちゃん…
「大好きだよ○○…/// 実の姉弟でもいい…絶対に結婚しようね…///」
おねえちゃん…おねいちゃぁ…おねちゃ…
「○○…?どうしたの…?…あーあ…狂わせすぎちゃったか…」
おね…だいすき…れいせ…
「よいしょっと…うん、これでよし」
あれ?僕何してたんだっけ…
「おはよう○○♪今日も可愛い寝顔だったよ♪」
おはようお姉ちゃん 今何時?
「んっとね…16時くらいかな?」
えっ!凄い寝坊じゃん!師匠に怒られる…
「もー♪寝ぼけちゃって♪○○はお昼寝してたんだよ?ある程度のお仕事も終わらせたじゃない♪」
そうだっけ?
「そうなのよ♪それより、お姉ちゃんを抱きしめて…♪」
うん…
「はぁ…/// 幸せだなぁ…/// 愛してるわよ○○…///」
なんか…実の姉弟でこうしてるのって恥ずかしいね
「いいじゃない…いずれ夫婦になるんだし…///」
へへ…そうだね…
「○○…○○…///」
お姉ちゃん…
「絶対に結婚しようね…/// ずっと私だけを見ていてね…/// 」
うん…!
「嬉しい…/// 私にはあなたしかいないの…/// ずっとそばにいてね…///」
お姉ちゃん…おね…ちゃ…
「…あれ?またか… 大丈夫、すぐに直してあげるからね…」
お姉ちゃん…愛してる…
「これでよし…/// 私もだよ○○…/// 私達の愛は誰にも邪魔させない…誰にも汚させないんだから…///」


894 : ○○ :2016/12/28(水) 00:56:26 AFZRGGO.
愛恋の罪


――幽々子様、もうおやめ下さい。これ以上は戻れなくなりますよ

妖夢?何を言ってるのかしら?どうしてやめなくちゃいけないの

――幽々子。それ以上したら、私は貴女を...。消さなければならなくなるわ

紫まで。二人して言ってる意味がわからないわ

――やっぱり亡霊なんて消しておくべきだったわね。もう情状酌量の余地はないから。消えなさい

博麗の巫女。貴女こそ消えなさい。目障りよ

はぁ...。私は〇〇の為を思ってやってるだけなのに。何がいけないのかしら?
だって〇〇だけが地獄に行って、虫以下の夾雑物共がのうのうと生きてるなんて。あってはならないことよ。
だから”差”を無くしてるのよ。
そう、私の力はその為にあるのだから。
そしたら〇〇は私を褒めてくれるの。頭を撫でてくれるの。幽々子、ありがとうって!
なんて...なんて幸せなのかしら!はやく、はやくはやくはやくはやく〇〇に会いたい!

――死を操るものが無意味に殺めるなど。あってはならないことです。
西行寺幽々子。貴女は重罪です。地獄へ落ちるだけでは済まされません。

あらあらこれはこれは閻魔様。
私はね、あなたが、いっちばーん憎いわ。憎くて憎くて、憎くて、憎くて、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎憎憎.........。


「ああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

..................。
...ねぇ、何故あなたに行き先を決めつけられなければならないの?
私は、地獄に行くの。きっと○○も寂しがっているだろうし。


ですから!!


全員、私の前から!!!!


消えて!!!!!




久々に書いてみたら頭の中でこんな惨劇が思い浮かんだ。でも今までに比べると短い気も。
というか自分の中で妖々夢のキャラは病みやすいと思ってんのかなぁ。


895 : ゆっくり土竜 :2016/12/28(水) 01:03:41 TjaGeS8Y
誰か、小鈴のヤンデレ物書いてくれないのだろうか…(他力本願)


896 : ○○ :2016/12/29(木) 01:20:55 CI96rGw2
知らないうちに後ろでニヤッと微笑んでいる、そんなヤンデレさんが欲しいです
慧音さんでございます

この歴史はお前のために
ただただ大事なお前のために
作り創って入り込む

「おはようございます、旦那様?」



最初は気にも留めなかった 迷い込んだだけの彼
少し里に住まわせて 帰して終わりの存在だった

「いつもありがとうございます…よければこれを」

彼から贈り物を貰ったときに 私は自分に気が付いた
私はただの守護者ではなく 彼の前では一人の女だと


私は彼の事を知ろうとした 生活の仕方、女の好み
たぶんそれはあくまでも 人間として愛する事を考えていたからだろう

「毎日大変そうですね…何かお手伝いできますか?」

一心不乱に彼を見るうち 私は私ではなくなっていく感覚に囚われた


彼の好みも把握して いよいよ行動を考えたとき
現実は地獄を突きつけた 私の喉元に突きつけた

「実は私、外来の方で好きな人が居まして…
 恥ずかしながら、直接会った事も、話せたこともないんですが…」

彼には惚れている女が居た 私ではなく別の女
私は人として女として ただただその女が恨めしかった


絶望に深く漬かっていた時 私は自分を思い出す
そうだ私には力がある そこらの女には到底ないものが

いまだ彼は抽象的にしか その女の姿を見ていない
ならばそこに成り替わるのは 非常に簡単なことだろう


会いたいならばツテがある 私が呼んで来てやろう
そうして彼を誘い込む

「ありがとうございます慧音さん!
 名前もよく分かってないのに、よく調べられましたね…」

里の守護者として 住人の事はよく分かっている
もっともらしい事を言い 私は着替えに行ってくる


今から私は慧音を捨てる 全ては大事な彼のため
彼の傍に居れるなら この名前なんて必要ない

「あなたが探していた人ですね」

何も気づかず喜ぶ彼 私はそれを見てそっと微笑む
ああ幸せだ 幸せだ 大好きな彼の傍に居れるなら

>>895
そこで一歩でも踏み出してみるんだ! きっと良いことがいっぱいあるぞ!


897 : yuyuyu :2016/12/29(木) 03:32:48 wgutilIA
こういう風に文章を投稿するのは初めてだから、おかしいところもあるかもしれません。
そこらへんは、笑って許してください。

私には親友がいました。東方やヤンデレといったオタク系の話題を話せる親友が。
ある日、親友は言いました。
「前にネットサーフィンしてたらさ、『幻想郷への行き方教えます』ってサイトがあって!
 開いたら『まずはメールを送ってください』って出て!
 面白そうだからメール送ったわwww」と。
数日後、親友は言いました。
「最近とうとう幻想入りしたぞ!……ま、夢の中でなんだけどwww」と。
数日後、親友は言いました。
「ゆかりんと仲良くなったぞ!……もちろん、夢の中でだぞ?」と。
数日後、親友は言いました。
「そういえば、『幻想郷への行き方教えます』ってサイトにメールを送ってから目線を感じるようになって………
 気のせいかな?」と。
数日後、親友は言いました。
「最近部屋が荒らされるようになった……」と。
数日後、親友は言いました。
「夢の中でゆかりんに監禁された!ヤンデレktkr!」と。
「なぜ監禁されたのか」と聞くと、
「どうやらリアル世界で女性と話してたからっぽい。
 『あの雌豚どもは駆除しないと……』とか言ってたけど、夢の中だしwww」と親友は答えました。

数日後、親友が仲良くしていた女の子が事故死しました。

数日後、親友は言いました。
「夢の中でゆかりんが『そろそろあなたもこっちに来させるわ』とか言ってるけど……大丈夫だよな?俺」と。

数日後、親友はいなくなりました。
親友の部屋には、なぜか金色の髪の毛が落ちていたそうです。
以上になります。お目汚しすいません。


898 : ○○ :2016/12/29(木) 17:33:02 j/zKNTSg
怖い!!


899 : ○○ :2016/12/29(木) 18:24:29 l4Cpacyw
揉み合いになって抵抗した結果髪の毛が抜けたと思うと興奮する


900 : ○○ :2016/12/31(土) 22:53:00 pcw2Rb1w
>>897
いろんな意味で都市伝説っぽいリアル感があって怖いと思った…
ホントに友人は夢の中で会ったのか、それとも出てきたのを夢と勘違いしたか、
それとも一時的に本当に連れて行かれていったのか…

永琳さん(および永遠亭の皆さん)です


あなたは私を信頼してる 私のことも知らないで

あなたは私を信じている 私の思いも知らないで

あなたは希望を持っている 私達の仕業とも知らないで


みんなが励まし応援してる こんな重病のこの僕を

いつもの如く必死な鈴仙 何故か慌ててるてゐ

いつもの優雅さはどこへやら ただ涙を流すだけの輝夜さん

大丈夫です 大丈夫 永琳さんの手にかかれば

きっとたいした病気じゃない きっと大丈夫平気だよ


準備に大変お待たせしたわ それじゃあ部屋に連れて行く

助手は必要ないからね みんなで祈りを捧げてて

私は努めて冷静に しかし焦りも孕んだ声で

みんなに応援をお願いする

それが自分を苦しめる 言葉になるのは知っている

それが私たち皆を苦しめる 言葉になるのは知っている


皮肉なものよねお医者様 病気になるのがお医者様

患者は病気をしていない していないけれど病人に

私の病を治す方法は たった1つの方法よ

彼を不死身にすれば良い

彼の病を治す方法は これもたった1つの方法よ

彼を不死身にすれば良い


彼を寝かせて薬を入れて それで全ては終わってしまう

非常に簡単なことだけど それで全てが変わってしまう

彼が不死身の存在程度なら 外の世界には帰れるが

待っているのは不和の道 居場所がなくなる不和の道

誰もがリスクは理解する 彼の人生を狂わせる

しかし誰もが欲しがっている 彼の側という立ち位置を


優曇華だろうと てゐだろうと

姫様だろうと 私だろうと

みんながみんな狙ってる 彼の側にいるために


全てが終わり 報告を

手術は無事に 成功したと

患者は笑顔で ありがとう

みんなも笑顔で ありがとう

私も笑顔で どういたしまして

純な笑顔は1人だけ 患者1人の笑顔だけ

さよなら昔の永遠亭 ようこそ狂気の永遠亭


泣きはらして心配している裏で実はほくそ笑んでいるとか最高ですよね(煩悩全開)


901 : ○○ :2017/01/01(日) 00:00:12 LTKO0tsg
チルノ「一年の終わりの日だよ?特別な日だよ?だから特別な日は特別な相手と過ごさなきゃいけないんだからね…新しい年になったカラずうっと一緒だよ……?」


チルノ「zzz」
○○「12時までもたなかったか」
大妖精「ウフフ…これで二人きりですよ…?」

大妖精「まだ掃除し終えてないところがありますよ?」
大妖精「他の女の汚れをキレイにしないといけませんねぇ…!」
大妖精「ごめんねチルノちゃん…○○さんと年越しするのはこの私なの…」


大妖精「zzz」
○○「大ちゃん?一緒に年越しするんじゃなかったの?」
大妖精「Σ(゚Д= )」フガッ
大妖精「(´pωq`)」ゴシゴシ
大妖精「(つд=`)」ムニャ

大妖精「おきて……ます……おきて…○○しゃんと……とし……こ………しゅ…」
○○「うん、うん。わかったからもう寝ようね」
大妖精「……らいねんも……いっしょ……に……zzz…zzz……」

○○「…ま、まだこどもってことね…」
チルノ「zzz」
大妖精「zzz」
○○「さて風邪ひいちゃうな、布団かけてやらないと…ん?大ちゃんなんか持って……?」

ビン「睡眠薬」
○○「((((;゜Д゜))))」



くぅ疲


902 : ○○ :2017/01/01(日) 01:50:25 .v67ljRU
>>896
それで良いのかけーね先生は 良いのだろうな・・・

>>900
皆○○を狙っているのでしょうか 永琳と輝夜が一歩リードしそう

>>901
八意印か・・・ 大妖精恐ろしい子!

次より投下します


903 : ○○ :2017/01/01(日) 01:52:53 .v67ljRU
>>702->>703の続き

 神霊廟で私は働き始めて幾時が経ち、私はそこで馴染むことが出来た。そこにいる仙人達が
流石徳の高い仙人達であり、私の様な未熟な者に対しても親切にしてくれたことも一因であるが、
最大の要因は屠自古の存在である。私が以前冥界で手ひどく振られて以降、傷心していて人と
関わることに億劫になっていた時にも、彼女は私に少々お節介なまでに話しかけてきてくれた。
 彼女の存在無しには私は、いつまでもとは言わないまでも相当に長い間、失恋を引きずって
いたであろうし、はっとする様な美しさではないものの、横にいると元気づけられる様な彼女の
笑顔によって、私は以前よりも明るくなっていた気がする程である。
 そして私にとって嬉しいことに、彼女の方もまた私に対して良い印象を持ってくれたようで、
私と屠自古は恋人となっていた。見た目の明るさとは異なり、二人っきりになると奥手な彼女で
あるが、私は彼女とのそんな関係に満足していた。自分は人間であり年老いていくのであるから、
亡霊の彼女とは数十年後になると不都合が出てくることは分かっていたが、それでも私はとても
幸せであった。彼女が泣いて帰って来る迄は。

 私はいつも幸せであった。しかしその幸せは彼女の献身で成り立っていた様である。盲目の愛
で見えない振りをするという献身。疑惑の心が芽生える毎に軋んでいった彼女の心が、決壊を迎
えたのは、奇しくも私が幽々子と別れた時と同じ、桜が舞い散る季節であった。


904 : ○○ :2017/01/01(日) 01:54:37 .v67ljRU
 その日屠自古は珍しく遅くなって帰ってきた。普段は私と一緒に夕食を摂りたいと、此方が
嬉しくなる事を言ってくれて、なるべく早く帰って来るようにしている彼女であったが、その
日に帰って来たのは夜も大分遅くなってきた頃であった。私は彼女の帰りをじっと待っていた
のであるが、半月が漸く山の裾より顔を出す時分になって弱々しく戸を叩く音がしたとき、最初
に感じたのは安心であり、そして屠自古の顔を見た瞬間に湧いてきたのは喜びであった。そして
私の喜んだ顔を見た屠自古は、溜めていた感情を吹き上がらせるように、氷柱が溶けて雪解け水
が滴り落ちるように、涙を溢した。心配したと言う私に対して、彼女は細い今にも消えそうな
声を出した。

 「○○、私時々聞いていたんだ。」

 何を-と目的語が無い私の当然の問いかけに屠自古は答える。地を這うように低く。

「前に人里の子供が言っていたんだ、○○が私じゃない女の人と歩いているって。」
「その時は見間違えだって、優しく言ってあげたんだ。」

「すこし前に紅魔館の近くにいる氷精が言ってたんだ、○○が私じゃない綺麗な着物を着た、
女の人と腕を組んでいたって。」
「その時は嘘を付くなって、怒鳴りつけたんだ。○○はそんなことする人じゃないから。」

「この間、キョンシーを連れた青娥が言ってきたんだ。○○から私じゃ無い女の人の香水の匂い
がしたって。桜の匂いって。」
「その時は決闘したんだ。○○の名誉を汚すなって、スペルカードで相手を吹っ飛ばして。キョ
ンシーも一緒になって泥に塗れて。」

「ちょっと前に、布都に忠告されたんだ。○○が私じゃ無い女の人と冥界の白玉楼で食事をして
いたって。」
「その時は布都を何度も何度も殴り付けたんだ。そんなことは絶対に有り得ないから。○○を狙う
泥棒猫って言って顔を殴ってやったの、○○を狙わないように。」


905 : ○○ :2017/01/01(日) 01:56:00 .v67ljRU
「さっき、太子様に警告されたの。○○が私じゃ無い女の人とキスをしていたって。
西行寺幽々子としてたって!」
「その時は、私刺そうとしたの、でも、出来なくて、ねえ、太子様が○○と私の仲を引き裂こう
としているだけだよね、殺して良いよね、○○は浮気なんてしないよね!絶対だよね!」

 私は泣き叫ぶ彼女を抱きしめる。私の肩に顔を乗せ、服に大粒の涙を流す屠自古の背中を撫で
て、宥めることしか出来ない。私には身に覚えが無いのに一体・・・。
 ふと、泣いていた屠自古が固まる。私の首筋を一点に見つめているようであるが、首を捻って
見るには角度が急である。どうしたかと尋ねる私に、屠自古は泣きすぎて枯れた声で答える。

「何でもないよ○○。うん、何でもない。そう、こんな痣擦れば消えるよ。あの女の形の痣なん
て、直ぐに消えるよ、うん、うん、そうだよ。」

ちょっとゴメンね、と言って私の首筋を擦り出した屠自古であるが、段々と力が強くなって
くる。そして擦っている範囲が徐々に広がっている。いくらなんでも痛い位に腕を動かす屠自古
を止めようと声を掛けるが、一向に収まる気配が無い。

「消えない、駄目、消さなきゃ、広がってく。蝶なんか、あの女になんか、○○は渡しはしない
絶対に渡さないっ!」

 そして屠自古は糸が切れたように崩れ落ちた。

 崩れるように眠った屠自古を布団に横たえる。捲れた服を直して赤くなり所々血がにじむ自分
の背中を隠しておく。服が触れて痛いが、屠自古の痛みに比べればマシであろう。静かになって
気づくが部屋に紫色の蝶が飛んでいた。暗い中にぼんやりと光る蝶が扉の方へ消えていくのを見
て、私は扉に手を掛け静かに引いた。


906 : ○○ :2017/01/01(日) 01:58:35 .v67ljRU
 其処には妖夢が居た。静かに立つその姿は、普段であれば立派な従者として私の目には映るの
であるが、今の妖夢は余計な感情が死んでしまった冷酷な剣士に見える。妖夢にここにいる訳を
尋ねると、低い通る声で返事が返ってくる。

「幽々子様に、○○さんをお連れするように命じられましたので。」
こんなことをした訳を重ねて妖夢に尋ねるが、妖夢は黙って家を剣で差す。壁を取り巻く千では
きかない数の蝶を見て固まる私を、妖夢は背後から肩を掴んでさっと飛び立った。

 白玉楼で幽々子と対面する。一年ぶりでずっと会わなかった彼女であるが、記憶の中の彼女よ
りずっと綺麗であった。幽々子の対面に座り正面を向いて彼女の方を見る。以前よりも細くなっ
ているような気がするが、逆にそれが彼女の美しい、日本刀の様な鋭利な美貌を引き立てていた。
 改めて彼女に、何故私と幽々子が一緒にいる場面を、皆が見ているかと尋ねる。扇子で口元を
隠しながら、彼女は答える。ゆらゆらと扇子を揺らしながら。

「私、死を操る能力を持っているの。」
知っている-と返すと、幽々子は言葉を続ける。

「その力強すぎたのよ私。自分の死体で西行妖を封じた所為か、死だけじゃなくって、感情とか
意識とか、命以外を殺すことができるの。」
「まあ、手加減はできるんだけれど、でも自分にもその力が影響するの。亡霊だからこれ以上
死ぬ訳じゃないんだけれど。」
「でも、感情は死ぬの。別の言い方をすれば失われていくって事ね。だから、私の愛は消えて
いくの。」

私の知らなかった事実が彼女から告げられる。愛情が無くなり好意となる-かつての幽々子の
私への憂いを秘めた笑顔に納得する自分がいた。


907 : ○○ :2017/01/01(日) 02:00:52 .v67ljRU
「貴方と別れたのも、その為。貴方との愛が減っていくのが分かるの。徐々にすり減っていく
この気持ち、貴方が好きなのに愛せなくなっていくの。」
「一度はそれでもいいと思ったの。例え情熱的な愛が消えてしまっても、貴方と毎日過ごす日々
で生まれる穏やかな感情と、一緒に生きていければ良いって。でも・・・!」

感情を高ぶらせた幽々子は扇子を叩き付けるように閉じる。口元からは白い歯が覗いていた。
「でも、貴方が他の女と喋っているのを見て、私嫉妬したことがあるの。そしたら、薄れかけ
てた愛が嫉妬で燃え上がったの。」
「貴方が欲しい、渡したくない。他の女に少しでもやるもんかっていう、醜い感情が、私の貴方
への愛を満たすの。だから、貴方と別れたの。」

「一度別れて、他の女を思っている貴方を愛すれば、私の○○への愛は永遠に消えないでしょうから。」
「悔しがる女を尻目に、記憶を殺した○○を愛するのは楽しかったわ。私がこの能力を持って
心底良かったって、千年以上生きてきて初めて思えたぐらいですもの。」

 幽々子は私に抱きつき、耳元で話す。
「だから、○○。あの女を好きでいてね。私が○○をそれ以上に愛すから。」
それと、-と幽々子は私を見下ろしす形で付け足す。
「もし貴方があの女を愛さなくなったら、あの女を××て×をそこの床の間に置くから。」
貴方とのを見せつけてやれるし、亡霊だから腐らなくて便利よね-と言いながら上から見下ろし
て、私の胸に手を入れる彼女の美しさは、文字通り魂が抜かれるほどであった。

以上になります。遅れましたがこれにて完


908 : ○○ :2017/01/01(日) 12:33:53 LTKO0tsg
謹賀新年

2017年 うーん、ひよこw年

今年も宜しくお願いします


蓬莱山輝夜









○○(この人毎年年賀状くれるけど誰だろ?)


909 : ○○ :2017/01/01(日) 21:58:03 KHjgTTf6
>>908
自分は知らないのに相手は知っている・・・
これぞホラーの醍醐味ですね

22スレ35までまとめを終了 ミスっていたらゴメンね
左メニューの編集にはパスワードがいる様ですので、
宇佐見菫子の文章は現在秘封倶楽部に入れています。


910 : ○○ :2017/01/01(日) 22:15:11 2dlU5FI.
紫「あけましておめでとう○○ちゃん…♪」
あけましておめでとうママー!
紫「それじゃあお年玉をあげるわね…♪なんだと思う…?」
お金!
紫「残念…♪違うのよ…♪あなたにあげるお年玉は私…私そのもの…♪」
???
紫「もう○○ちゃんったら鈍いんだから…♪結婚しましょうって事よ…♪」
そんなのだめだよ 僕達は親子なんだよ?
紫「そうよ…♪確かに私達は唯一無二の親子…でも血の繋がりはない…だから結婚できるのよ…♪」
それでもだめだよ…
紫「どうして…?ママはこんなにもあなたが好きなのよ…?あなたが初恋で、これからもあなたに全てを捧げてあげるのよ…?」
でもだめだよ…
紫「………………………」

紫「あけましておめでとう○○ちゃん…♪」
あけましておめでとうママー!
紫「それじゃあお年玉をあげるわね…♪なんだと思う…?」

紫ママには愛する○○と結ばれるためなら時間すら巻き戻しそうな凄みがある!
あけましておめでとうございます


911 : ○○ :2017/01/02(月) 23:46:03 CUceImFY
>>907
おおう...。割と最初に幽々子がフェードアウトしたからもう出てこないと思ったら...。
屠自古の愛も幽々子の愛も両方受け止めてあげたいですね。
次回作、楽しみにしています。


912 : ○○ :2017/01/03(火) 01:42:25 AJAivE9A
>>907
新年早々なのに、ここ最近で一番のクオリティじゃないかな。
三回読んだ。


913 : ○○ :2017/01/03(火) 21:30:53 LNB.tT6o
>>909
まとめてくれてありがとうございます。


914 : ○○ :2017/01/04(水) 01:11:47 c6Q.vKMk
感情表現できるのいいなww


915 : ○○ :2017/01/04(水) 01:12:32 c6Q.vKMk
誤爆申し訳ない


916 : ○○ :2017/01/05(木) 17:59:03 hqeasiE.
新年早々、サグメ様は迂闊に喋れないのを苦に重い
自分で自分の舌を引っこ抜きそう


917 : ○○ :2017/01/07(土) 20:11:56 /hu10qT.
絵師ニキがそろそろ振袖ちゃん投下してくれてたりしないかと思ったけどそんなことなかったた
しかしそれに限らずSS投下も少ないのは皆仕事や休暇で忙しいのだろうか


918 : ○○ :2017/01/07(土) 21:05:14 z2Ls7HPM
筆が進みすぎて加筆→投下できないループ現象に入ってる…


919 : ○○ :2017/01/07(土) 21:46:19 s2fL7L5E
一晩置くとつい気になってしまうのわかる…
アルコールを飲んだ後で一気に書くと、誤字脱字が多くなるし…


「貴方に宛てて書いたものの、ついぞ出せなかった手文です。」

そう言って彼女が出した紙は、文というよりも最早、文々新聞に入れ込む折り込み広告の束の様に見えた。
紙に書かれた文字は達筆であり、それがびっくりと書かれている様は一種古文書の様ですらある。
俯き加減の顔を上げると、眼には情念がありありと浮かんでおり、文字に秘めたる思いは霧散することなく、
返って凝縮、いや腐敗している様ですらある。
余りの想いを突然にぶつけられた此方としては、只呆気に取られるしかないのであるが、其れは彼女にとっては
やや、物足りない感覚を呼び覚ました雰囲気が感じられた。

「ああ、無論貴方の事ですから、私の事を其の様な目で、伴侶として見て頂けるとは思ってはおりませんでした…」

しかし―と赤い紅を引いた唇を動かし、彼女は言葉を紡ぎたてる。

「其れは其れでやはり、乙女心は傷が付くという物でございます。」

先祖代々より乙女の名で呼ばれていますので―と言い、冗談がさぞ面白かったかの様に彼女はくつくつと笑う。

「愛とは与える物と蘭学では教えるそうですが、でしたら是非に貴方様からも頂きたく存じます。」

気圧されて指一本すら、いや最早呼吸すらまともに出来なくなっていた私は、彼女の口付けを拒む事は出来なかった。
蜂蜜を塗っている訳でも無いのに、ひたすらに甘く、脳髄でえぐみすら感じる程、私の理性は溶けていった。


920 : ○○ :2017/01/07(土) 21:51:40 s2fL7L5E
>>910
無限ループって良いよね
妖怪が無茶を通すようで

>>917
げ、幻想入りとか…


921 : ○○ :2017/01/08(日) 01:43:18 6nNLVFRo
学部4年の時に言葉巧みに進学側へ導いて以降事あるごとにアカデミックへの道を奨めてくる蓮子。
その上に夜寝てるときに『蓮子ちゃんとドクター進む蓮子ちゃんとドクター進む…』みたいに耳元で暗示を仕込む蓮子。
因みに発案及び監修は我が大親友まえりべりー.H氏によるものです。彼女にはこの場を借りて感謝申し上げます。(謝辞)
Q.早口で三回唱えてください
A.まえりべりー…まえりべりー…まえりb……メリー!

結局暗示の効果によって見事に博士へ進む決断をしてしまう○○。やったね。

Q.ところで蓮子さんどうやってアパートに入ったんですか?
A.電子ロックのスキミング余裕でした^^

途中で少しでも弱気になったり就活を匂わせると椅子に縛り付けて気絶するまで「特別講義」を続ける蓮子。でも流石はプランク並の脳をもつ蓮子の講義。質の悪いことにきちんと身に付いてしまう最強カリキュラム。
一方で○○の不満を感じ取ったかのように定期的に遊びに誘う蓮子。当然乗っちゃう現金な○○。
Q.プレゼントした腕時計は特製?
A.○○の色々な生体信号をpc側で常時記録できるよ!暇潰しに分析するとたのしい

共同研究&蓮子&共同研究&蓮子&蓮子の日々に他の女の子と関わる機会はゼロ。おーるうぇいず蓮子。
なんやかんやで二人ともポスドクへ進みその後独立、同じ大学で別々の研究室を持ち、大学生の間で『京都のダブル宇佐見』とかいう謎の語が生み出される
Q.what is ダブル宇佐見?
A.プロポーズされちゃった…ンッフフフ…‼

因みに我が大親友まえりべりー.H氏も素敵なパートナーを絡め取ったそうです。せっかくなので同時に結婚式を挙げました。

優しい世界


みたいなネタを思い付いたんだけど誰か書いてくれないかな…

>>919
その反応は予想澄みだけどそんなこと関係ないよねー愛しちゃうよー愛してるからしかたないよねー的な文ちゃんさんいい…


922 : ○○ :2017/01/08(日) 02:11:42 4yOjHG3M
>>921
ぶっ飛びまくっててとんでもないけど
その実うふふふふっなことになってるのって中々良いですね

こころちゃんと慧音さんで謎の発想


人間は愛って物があるから悩むんだって 戸惑うんだって

それって妖怪にはないのかな 妖怪には愛ってないのかな

私なりに考えて…見つかったのが この答え

「…ああ、また何か壊しちゃったんだな、こころ」

「うん、私なりに家事をやろうとして失敗しちゃって…
 そのまま自分の思うままに暴れちゃった…」

「ああ、分かってるさ。
 まだ、感情の抑え方とかそういうのがわからないんだもんな」

「ごめんね、大切にしてたお皿だったのに」

「いや、こころが困っているのに助けに行けなかった僕が悪い。
 こころは悪くないよ」

○○は決して悪くない 悪いのは全部私のせい

愛っていうのはよく分からない けれど○○の大事なものに私が1番になっていて欲しい

私が○○の1番になりたい それっていわゆる愛なのかな



人が人を大事にすることを愛と呼ぶらしい それは妖怪と人間でも成立するのだろうか

前例が無いのならば やってみたほうが良いのだろう

ちょうど私の近くには 私に相応しい男がいる

「なあ○○、私はこんな存在になってから人間らしさを失ってしまった気がするんだ」

「そうなんですか慧音さん? 僕にとっては外の世界の女性と何ら変わりない…いや、
 それ以上にキレイで、人間らしいと思うんですが」

「ほう…私が外の世界の女たちよりも綺麗だと…? それは口説き文句かな?」

「あ、いやあ、別にそんなわけじゃあ…」

「口説き文句ならばそれに応えない訳にはいかないなあ」

正しい愛は知らないが 新しい愛はこれから作る

私と彼でこれから作る

もし間違っているならば 間違っている方を直せばいい


長編を書いたら余分な箇所がどんどん出てくるから大変だ
でも病み病みに愛されたい止められない止まらない


923 : ○○ :2017/01/08(日) 03:47:22 bPwEPw5A
蓮メリに愛されている○○は、大学生活を果たしてまともに送れるのだろうか


924 : ○○ :2017/01/08(日) 06:38:06 2WpB6mCk
>>919
AQN?


925 : ○○ :2017/01/08(日) 08:25:18 6nNLVFRo
朝起きて>>919読み直したらあっきゅんだった
なんで文ちゃんだと思ったんだろう…


926 : ○○ :2017/01/08(日) 08:33:57 hlG7sGio
>>925
お前は俺かw


927 : ○○ :2017/01/08(日) 08:34:27 hlG7sGio
失礼ageてしまった


928 : ○○ :2017/01/09(月) 01:32:50 P9yYNjJA
そろそろ女の子が主役のssが来てもいいと思うんだ、、、


929 : ○○ :2017/01/09(月) 02:35:43 /NC0g74A
>>922
ヤンデレちゃんもヤンデレちゃんなりに必死に考えて変な方へ拗れちゃう感じがいいですね…
何気にレアなこころちゃんヤンデレ

>>928
それはつまり女の子○○との百合ヤンデレ?
それともヤンデレ少女が主人公?


930 : ○○ :2017/01/09(月) 04:22:58 Ej2aLIHI
>>929百合ではないだろ
女の子視点からのヤンデレじゃないかな


931 : ○○ :2017/01/09(月) 14:24:26 0.dr5e.I
随分前に書いてたがオクラ入りしてた奴


にとり「盟友ゥー!」
○○「その声は我が友、河ちゃんではないか」

にとり「デュフフ今日は面白いモノを作ってきたよ」ガサゴソ
にとり「『好感度測定眼鏡』〜!」
にとり「この眼鏡をつけて見た相手の自分への好感度がわかっちゃうっていう優れものさ!」
○○「うーん、面白そうだけどちょっと恐いな低かった時とか…」スチャッ ピピピピッ
にとり「うわー///いきなり私を見るなー///」 32
○○「32?」
にとり「関係を聞かれたら取り敢えず『友だち』って言っとくクラスメイトレベルだね」
○○「盟友とはなんだったのか」

神奈子「○○じゃないか、参拝か?取り敢えず上がっていきなよ。茶菓子も出すぞ」185
諏訪子「後でモンハンしよーぜ」56
○○「56」
にとり「都合のいい友だちレベルだね、モンハンを円滑に進めるための効率的存在でしかない感じ」
○○「…もうなんも信じられねぇよ……神奈ちゃんは200近いけど?」
にとり「あ、それ?普通に好きレベル」
○○「…………」
諏訪子「あれwww赤くないですかwww」
○○「ななななってないし」

早苗「あっ○○さんじゃないですか!どうぞ上がっていってください!シュークリームがありますよ!」172
○○「アリガトォー!!」
早苗「え?え?」172

早苗「キャーッ///私の気持ちを知られてしまいましたァー(*艸)///」
神奈子「ふっふっふっこの八坂神奈子、きもっ気持ちを知られた程度であわあわ慌てはせんよ」
諏訪子「赤くなってますよ」
神奈子「ななななってない!」

神奈子「まぁバレてしまったものはしかたない、しかし私の好感度が一番高いな。これは一歩リードしてるということかな?フフフ」
早苗「ムムム!負けてられませんね!本気を出します!!これからはグイグイ行きますからね///」

早苗「フンッ!はぁぁぁ……!」278  ゴゴゴゴ
○○「……は?」
早苗「はぁぁぁぁぁぁぁ……!!」689  ゴゴゴゴ
○○「なっ!?好感度がどんどん上がって…!?」ピピピピッ
神奈子「ほう、実力を隠していたか…好感度を操作できるとはなかなか」
にとり「『こうかんどをそうさ』…?…?」
諏訪子「なんかどっかで見たことある設定ですね…」
早苗「どうです?これで私が一番じゃないですか?私がどれだけお慕いしているかわかってもらえました…?」871 ギュワン ギュワン ギュワン
○○「(;゚д゚)」
神奈子「フンまだまだだな早苗、ハァッ!」1547 カッ!!ギュイーンッ!!
にとり「ヘンなオーラでた!?」

神奈子「まだまだこの程度ではないよ」2079 ゴゴゴゴ
早苗「いえいえ、私だってまだまだですよ!」2397 ゴゴゴゴ
○○「3000…4000…まだ上がって…うおっ!?」ボンッ
にとり「スカウターが壊れた!?……計りきれないほどの好感度だというのか…?」
諏訪子「スカウターって言っちゃったよ」

○○「最後6000ぐらいに跳ね上がったけど…」
にとり「……なんかもう自分の好意優先でお互いの関係に相手の意思は関係ないレベル…」
○○「(;◎Д◎)」

早苗「私が一番…ですよね…?選んでくれますよね?」ゴゴゴゴ
神奈子「フフフ、何も言わなくてもわかってくれるよね?」ゴゴゴゴ
○○「((((;゜Д゜))))」

○○「安心して接することができるのが諏訪っちだけという事実…」

諏訪子(牙だしてちゃ獲物に逃げれるじゃないか)ニヤリ


932 : ○○ :2017/01/09(月) 21:37:37 pLz0MrAc
>>928
魔理沙まじめ回を書いてるんだが今スレでは間に合わないかも(´・ω・`)


933 : ○○ :2017/01/09(月) 23:12:39 HLRqNuDU
ちょっと見てみたいけど、一気に完結までみてみたい…
悩ましい


934 : ○○ :2017/01/10(火) 16:39:25 5l6JCXXI
>>932
書いてくださるだけでもありがたいです。
百合でもなんでもいいのでみてみたいです。


935 : ○○ :2017/01/11(水) 04:20:04 4ZRgR6FU
ノブレス・オブリージュに囚われて(103)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=93#kiji
十日以上も過ぎていますが、あけましておめでとうございます
>>932
さぁ、その欲求を文章にぶつけるんだ!


936 : ○○ :2017/01/12(木) 22:39:59 od2DWxgM
こころちゃんで書いてみました
書いてて他のキャラと比べて独自の味付けが中々難しいキャラクターだと思う


彼には色んなものを貰った

喜びという感情 楽しいという感情

嬉しいという感情 恋という感情

「もう…いいよね…
 これが、私の怒りという感情」

代わりに別の感情も貰った

怒りという感情 悲しみという感情

彼以外のものに対する 憎しみという感情

『待ってくれ…止めろ、謝るから…やめてくれぇぇぇぇ!!』

知る限りの感情は全て揃った

だからもう、容赦はしない



 彼と初めて会ったのはいつだったか。

「どうしたの、そんなところでぼけーっとしてて」

確か、初めてのときはそんな感じに声を掛けられた気がする。

「分からないの」
「分からない?」
「感情ってなんだろう、生きてるって何だろう。
 誰も教えてくれない」

まるで、彼が言うところのテツガクシャという人種のように、
そのときの私は話していたらしい。

「だったらまあ…教えてあげようか?
 あんまり勉強は好きじゃないから詳しくは教えられないかもしれないけど…」
「あなたが教えてくれるの?」
「えーと…まあ、そんな感じ、かなぁ」
「分かった。 私はこころ、あなたは?」
「○○」
「よろしく、○○」
「そういえばこころちゃん、お家は?」
「ない」
「みなしごかな…? まあいいや、だったらウチで寝泊りする?」
「そうする」

こうして、彼による私の質問への長い回答が始まった。

「ごめんこころちゃん、ちょっと手伝って欲しい事があって…」
「分かった、任せて」
「…大分適当かもしれないけど…よく頑張ったね、ありがとう」
「ありがとう。 ありがとうって何」
「えーと…感謝の気持ち、かな」
「感謝。 感謝を貰うとどういう気持ちになる?」
「嬉しいとか、頑張ったなぁ…って努力を実感する…と思うよ」
「分かった、これが嬉しいという感情」

彼からは色々教えてもらった。
例えば感情について。

「○○、今日は一緒にお出かけ」
「ああ、そういえば魔法の森に出かける予定だったね」
「すごく…なんだろう、身体がウズウズして来る」
「それは多分、楽しみにしているってことじゃないかな」
「楽しみ?」
「友達とかと一緒にどこかに行ったりするのは、
 きっと楽しみにしているってことじゃないかな」
「なるほど…これが楽しみという感情」

例えば友達という概念について。


937 : ○○ :2017/01/12(木) 22:41:00 od2DWxgM
「ねえ○○、私のこと好き?」
「!? こころちゃん、どうしたの一体!?」
「…この本に書いてあった」
『あ、友人に貸してもらったのをちゃんと隠しておけばよかったなあ…」
「…聞こえてる」
「あっ、えーと、なんというかなんだけど…」
「この本の2人は抱きしめあったり、抱きしめる前にさっきの言葉を言っている。
 あの言葉は何?」
「えーと、愛情というか、恋の確認というか…」
「恋? 愛? それは一体何?」
「えっとー…例えば誰かといたりすると嬉しいとか、楽しい気分になる事がないかな?
 まあ、基本的には僕と一緒にしかいないんだけどさ」
「ある」
「恋って言うのは、そういうものなんだ…多分」
「私は○○と一緒に居ると嬉しいし、楽しい。 これは恋?」
「多分、そうじゃないかな…うん、多分。
 でも大丈夫、こころちゃんならもっと良い人が見つかるから」
「良い人?」
「こころちゃんが自分の中でこの人とだったら一生を添い遂げても良いっ!!
 って人のことだよ」
「今のところ、そう思えるのは○○だけ」
「ま、まあまあまあ…まだ教えられてる身なんだしさ?
 色々習ったあとで世の中を見ればまた色々変わるさ」
「ふーん」

恋というものについて。
そして…

『おい○○! お前、妖怪を家に泊めてるだろ』
『ああ、しかも見慣れない新種の妖怪だな』
「妖怪って…単に髪を染めてる外来人の可能性だってあるかもしれないじゃないですか」
『あの桃色の髪の毛…ひょっとしたらあのさとり妖怪の親戚かも知れねえ』
『なんて恐ろしいものを家に上げてるんだお前は!』
「そんな…誤解ですよ、現に妖怪だったとしたら既に私は死んでるかもしれないじゃないですか」
『お前は妖怪に操られてるんだよ、このっ!!』
「痛っ…ちょっと…誤解…」
『妖怪に操られやがってこいつー!!』

「○○、どうしたの? 怪我だらけ」
「…いや、ちょっと酔っ払いのケンカに巻き込まれただけだよ」
「そうなの…何か、嫌な気持ちになる」
「それは…悲しいという感情かもしれない。
 自分を信じて欲しいのに分かってもらえないという気持ち、かも」
「そう…私は悲しい」
「ごめん…」

嬉しくない、楽しくない、負の感情のことも知った。

「ねえ○○、一緒に散歩しよ」
「ああいいね、たまには行こうか」

○○と一緒に歩いているのは楽しい。
時々、お菓子を買ってもらったりするのは嬉しい。

『随分と仲が良いねえ、お二人さん?』
「…またあなたたちですか」

2,3人の大柄の男かこちらをニヤニヤしながら睨みつけてくる。
折角の楽しい時間を邪魔されて何かむしゃくしゃする。
○○が言っていた。 これが苛立ちという感情。

『いやあ、この辺に妖怪を連れた不届き者が闊歩しているという話を聞いて飛んできたわけよ』
『人里の中を新手の妖怪に偵察されて、襲撃を受けたらたまんねえからなあ』
『そしたらなんだ、中々可愛いお嬢さんじゃないか』
『妖怪ならよし、人間なら人間で…ヘヘッ』
「…クズが。 逃げよう、こころ」

○○の背中が震えている。
これが恐怖という感情。 それは自分が窮地に陥ったときの感情。
けれど、私を巻き込まないために彼は何かを考えている。

『おっとごめんよ兄ちゃん』『はいとおせんぼー』
『どうせお前さんのことだからと思ってバッチリ張っておいたんだよ』
『いやあ、自分から里のはずれのほうに来てくれるとはなぁ』
『後始末も楽ってもんよ』
「ぐ…マズイな…」
『おっと、囲まれていることを忘れちゃいけねえぜっ!!』ガッ!
「がッ!?」

○○が地面に倒れた。
幸い、怪我は酷くないようだ。
助けなくては…でも、どうやって。


938 : ○○ :2017/01/12(木) 22:42:20 od2DWxgM
『よお、お嬢ちゃん名前は?』『おれっちは__と言うのさ』
「へえ。 で、何を教えてくれるの」
『なんだこの嬢ちゃん…おぼこなのか』『そいつは幸運だな』
『まあ、その前にちょっとだな…』

○○の身体を踏みつける。 蹴り付ける。 殴る。
この違和感、このこみ上げるもの、これが…怒り。
解き放てばきっと、私は○○にとって危険な存在になるかもしれない。
でも、解き放たないと…○○が死んじゃうかもしれない。

『近くで見ると中々すっげえ格好してるなこの嬢ちゃ…ぐげぇあ!?』
『これで初物とか○○にはもった…ごふっ!?』

気が付けば私は薙刀で私の側に居た男2人を切っていた。
残りは…4人。

『いやあ、日頃から気に食わなかったんでなぁ』
『こういうときに取っちめると大義名分もあって最高だよなぁ!!』
『いやあ爽快爽快』
『おーいお前らもそのお嬢ちゃんと一緒に…えっ?』

1人の男がこちらに振り向き、状況に気づいたらしい。
私は薙刀を構え、疑問を投げかけながら男達の方に歩く。

「何で○○をいじめるの? 教えて」
『なんでってそりゃあ…なあ』
『えーと…あれよ、うん、日頃の恨みってやつ』
『近頃、悪いことばっかりしてたから制裁って奴よ…うん』
「ふーん」

男たちに驚きの表情が浮かぶ。
これは、自分たちにとって抱えきれない問題が起きたときに覚える感情。
○○が傘の妖怪にお願いして驚かしてもらうことで教えてもらった。

『なあお嬢ちゃん、この事は謝るからその物騒なものを仕舞ってくれないかなあ…?』
『そ、そうそう…今ならまだ…うん、問題ないからさ』

そして、何とかして標的を逸らして問題を解決するときに取る表情。
嫌な気持ちで一杯だけれど、タイギメーブンのため、一旦矛を収める。

「わかった。 これでいい?」
『かかったなあ女ぁあ…あ?』

別に、わたしの武器は薙刀だけではない。
扇子も私の武器の1つ。
残りは3人。

『うわああああああああああ!!』
『あああああああああああああああああ!!』

傘の妖怪が言っていた。
人間は驚かされて極限まで追い詰められると正常な判断が出来なくなると。
きっとこの、武器も持たずに殴りかかってきているこの2人はそういう状態なのだろう。

「じゃま」スパッ
『ああああ…あ、あ』
『嫌だ…いや、だ』

残るは1人…いない。 逃げた?
ともかく、○○を連れて帰らないと。

『ヘヘッ…隙ありぃぃぃぃぃぃ!!』ガッ

痛い。 頭の後ろを叩かれた。
お返し。 …少しはずした。

『あ、足、足がぁぁぁああ!?』
「ねえ、どうして○○をいじめるの」
『分かった、もう何もしない! 謝るから助けてくれ!!』
「ねえ、教えて」
『頼む! この事は内密にするから!!』
「私は聞いているの、何故かを」
『死にたくない…死にたくない!!』

この男の言葉を聞いていると苛立ちが止まらない。
きっと、この男が私の新しい負の感情を教えてくれたに違いない。

「もう…いいよね…
 これが、私の怒りという感情。
 あなたにも身をもって…教えてあげるね?」
『待ってくれ…止めろ、謝るから…やめてくれぇぇぇぇ!!』


939 : ○○ :2017/01/12(木) 22:45:29 od2DWxgM
全てが終わったあと、私は○○を連れて○○の家に戻った。
○○が目を覚ましたのはあれから2日後のことだった。

「おはよう、○○」
「あれ、確か僕は誰かに殴られて…」
「えっとね…○○が倒れた後、すぐに別の人に見つかって、連れて行かれてたよ」
「ああ、じゃあ慧音さんあたりに見つかったのかな…いやあ助かった」

嘘。 だけど、時には付かなくちゃいけない嘘もあるんだ、って○○は言ってたよね。

「はいこれ、新聞…だよね?」
「ああ、ありがとう…うわ、なにこれ」

<人里のはずれで事件発生!?>
<犯人は低級妖怪が暴れだしたものと思われる>
<里の守護者こと慧音さんの意見は『こちらの力が至らず申し訳ない』とのこと>
<なお里長によると『あいつら日頃から危険なところばかり行っておるからこうなるんじゃ』とのこと>
<編集長は『ミステリー…と言うほどでもありませんね。 
 皆さん、危ないところへのお出かけは控えてくださいね』と話している>

「どうしたの?」
「いやあ、何か里の人が妖怪に襲われたらしくてね」
「妖怪? それって強いの」
「少なくとも僕は戦ったところで勝てないだろうね…」
「じゃあ、私が守ってあげる」
「ああ、ありがとう…って、そんな大変な思いをさせるわけには行かないよ」
「むー、私だってやれば出来るのに」
「君は女の子なんだから、危険なときは僕が守らなきゃ」
「女の子だからってか弱いと思ったらおおまちがいだよ?」
「…それも、本で読んだのかな?」
「うん。 女の子が男の子を守ってたよ」
「…そういう立場になりたくはないんだけどなあ」

私に教えてくれた人 私が大事にしたい人

あなたが全部教えてくれた

だから私はあなたと共に 私はそばで生きていたい

私が妖怪であることを 打ち明ける恐怖とともに


表情はお面で変わるこころちゃんだからこそ、
態度や行動で自分の心境を表し始めると恐ろしいことになりそうな気がする


940 : ○○ :2017/01/12(木) 23:35:14 nld0OtW2
>>931
諏訪子様は蛙の神様なのに、蛇のように強かなイメージがあう。
いつも笑わせて貰ってます

>>935
乙です!
連鎖的な崩壊かしらん ヤンデレを覗くものはヤンデレに取り込まれるのでしょうか

>>939
純真無垢な人物程、ヤンデレのポテンシャルが高そうな
あと、新聞編集長のコメントを読んでから、もう一度慧音のコメントを見ると、あれっ…この人何か知ってね?みたいな気が…
GJでした


941 : ○○ :2017/01/14(土) 22:46:26 RpUPFgc2
1月9日と1月10日にまとめてくれた方 ありがとうございます。


942 : ○○ :2017/01/15(日) 01:11:00 oEGASU2s
関西熟年夫婦4 藍夫妻編

廁へ行こうと、縁側への障子を開くと昨年ぶりの雪が降っていた。ああ、今年も自慢の尻尾はもう出せなくなってしまうのかな。目の前の景色に情緒もなく、ため息が出てしまうのはこの地に住み慣れてしまったからだろう。ああ、この様では、紫さまに俗物と呆れられてしまうだろうよ。
「おかあさん、雪降ってる!」
「そうね、綺麗ね」
障子戸の隙間から顔を覗かせて、幼い次女は私が初めてこのクニに来たときのようにはしゃいだ。
「ウチ、外で遊びたい」
「ダメよ、◎◎。もうこんな時間何だから、明日にしなさい」
「ケチな事言わんといて、ウチは妖怪やねんから体力あんねん」
ピンと背筋をはると、後ろから金色の尻尾がふわりと表れてぶんぶんと左右に触れた。もう生意気になっちゃって、ホントに誰に似たのかな、あの人に決まってるだろうけれども。
「問答無用!」
「きゃー!」
私はがばっと娘を担ぎ上げると、そのまま寝間にまで、ややとあやすように運んでやる。
「ほら、あなたが朝早起きしたら、もっといっぱい雪が積もってるわ。そしたら、雪だるまもかまくらも色んな遊びが出来る。だから、少し我慢して今日は寝なさい」
「もう、わかった。おかあさんに免じて、我慢する」
そんな言葉、どこで覚えてきたんだ小娘。


943 : ○○ :2017/01/15(日) 12:59:36 nO5YUvsI
メリー「<○><○>」

メリー「<●><●>」

メリー「<◎><◎>」

メリー「へっ」

メリー「( >Д<)゜。フェックシャーンッ!!」

メリー「うぅ寒い…雪降ってきたし…」ズズ

メリー「○○くんの部屋の灯りまだつかないなぁ…」

メリー「あー寒い寒い…はぁ…早く帰ってこないかなぁ…」


944 : yuyuyu :2017/01/16(月) 18:07:13 JjReM632
新年初の駄文投稿。

○○先輩に初めて会ったのは高校生の時だった。私が一人で泣いていた時、

「......こんな面白い話、知ってる?」

そう言って励ましてくれたその人が○○先輩だった。



その日から○○先輩と仲良くなった。
○○先輩はどうやらフラッと居なくなったと思ったら
いつの間にかひょっこり現れるような、よくわからない人みたいだった。

そんな○○先輩とは話をしていて飽きなかった。

『幻想郷』と呼ばれる不思議な里の事。そしてその里で起きた『異変』と言われる出来事。

例えば、
紅い霧が空を覆う。
3月なのに気候が冬のまま。
夜が異常に長くなる。

「作り話として聞いてくれ」と言っていたけど、○○先輩はまるで自分が体験した事を懐かしむように話してくれた。


そして数週間後、私はいつの間にか○○先輩に恋をしてしまった。そして私は○○先輩に告白をした。

「......こんな、俺でいいのかい?」

○○先輩は私にそう返した。

その日から私は○○先輩と恋人になった。


945 : yuyuyu :2017/01/16(月) 18:08:02 JjReM632
>>944

○○先輩と恋人の関係になってから、私は何故か視線を感じるようになった。
後ろを振り返っても誰もいない。
......私は誰かから怨みを買うような事をしただろうか......?


視線を感じるようになってから何日か経ち、何故か私の周りでおかしな事が起こり始めた。

何も無い空から私目掛けて植木鉢が落ちてくるようになったり、

私の家が火事になりかけたり、

夏なのに氷柱が私に飛んで来たり等と言った奇怪な事が起きた。

そしてこの出来事には共通して、
『○○に一切関わるな』
と書かれた手紙が落ちていた。


その事を○○先輩に説明した時、○○先輩は怒りと困惑がごちゃ混ぜになった顔で、

「....何であいつらが...?」

そんな事を呟いていた。


946 : yuyuyu :2017/01/16(月) 18:08:41 JjReM632
>>946

○○先輩に相談した途端に奇怪な出来事は治まった。
相変わらず視線は感じたままだけど。......こんなことを考えても仕方ない。

今日は気分転換に散歩でもしよう。



私が交差点に差し掛かった時、

急に誰もいないはずの後ろから


「私の○○に貴女みたいな女は相応しく無いわ」


一切の抑揚の無い淡々とした声が響いた。

それと同時に私は背中を押され、私の体はトラックの前へと飛び出した。

誰が?

何故?

私を?

次々に浮かぶ私の疑問は誰にも答えて貰う事は出来なかった。

真っ赤に染まって行く視界で私が見たものは、謎の空間に戻っていく狂った笑顔を浮かべる女性達だった。


947 : ○○ :2017/01/16(月) 22:02:03 9CZny6Bo
>>941
御感想ありがとうございます。
最近何回かまとめをしていますが、間違い等ありましたら教えて頂けると
ありがたいです。
作者の方でしたら、自分の作品を見た時に間違いを見つけられましたら
どんどん直して貰えるとなお・・・
編集の仕方はまとめサイトに載っておりますので、妖精でも大丈夫です!!

投稿して頂いたヤンデレ絵を、どうしようかと考え中・・・


948 : ○○ :2017/01/16(月) 23:39:06 Qh2qXx4g
>>947
すいません私は作者ではありません
掲示板の移転前後だから第20夜だったかな?
それぐらいからチョクチョクまとめていた者です。 最後にまとめてから色々とやりたいことが増えて後回しにしていました。申し訳ない


949 : ○○ :2017/01/19(木) 03:51:54 h3irm3jA
ノブレス・オブリージュに囚われて(104)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=94
この寒さも、レティさんが元気なんだなと思うと
不思議と辛さが減る

あと、図々しいのは承知なんですが
やっぱり感想があるとうれしいんです。心の報酬をください


950 : ○○ :2017/01/19(木) 20:58:48 s.N8/6cA
中々どん詰まりの状況になってきましたね。オラ、ワクワクしてき(略)
乙です!


951 : ○○ :2017/01/19(木) 21:29:23 gLROURe6
>>949
短編ギャグものばっかり書いてる身としては長編まじめモノ書けることは羨ましい限り
なーんか俺が書くヤンデレは変なんだよなぁ
オイラもまじめ回書いてるがなかなか進まんなぁ

------

○○「今日は健康診断か」

鈴仙「受診表をお願いします」
○○「はいはい」スッ
鈴仙「今朝は飲食されてませんね?」
○○「お水ちょっと」
鈴仙「大丈夫です、検尿も今朝一番のものですね?」
○○「はい」
鈴仙「なにかここ三ヶ月以内でご病気などは」
○○「11月と今月の始めぐらいに風邪を、なんかもう歳も30近くなるとガタがくると言いますかなかなか治らなくて…」
鈴仙「彼女はいますか」
○○「え?」
鈴仙「交際してる女性はいますか?」
○○「い…ないです」
鈴仙「血圧はかります」
○○「はい」
鈴仙「採血しますね、チクッとしますよ」
○○「(針刺さるのみるの苦手なんだよな、目つぶっとこ)(´>ω<`)ハーイ」

注射「血ゴクゴク」
注射「ごっつぁんです」ゲプッ
鈴仙「…」
○○「(´>ω<`)マダカナ」

鈴仙「ウマクトレナカッタンデモウイッカイヤリマスネ」
注射「!?」
○○「(´。>ω<。)ソンナァ」





鈴仙「血…貰っちゃった」
鈴仙「どうしよう、なんか衝動的に採っちゃったものの…使い道が…」




鈴仙「 飲 ん で も 大 丈 夫 か な ?」


952 : ○○ :2017/01/21(土) 06:10:35 jSztCac6
>>949
長いの書いてると感想が心の支えになりますよねぃ…
個人的には当代様どうなっちゃうんだろ…って気になってます。あとうどんちゃんかわいい

>>951
う”ど”ん”ち”ゃ”ん”か”わ”い”い”!”
こんな感じの直球なかわいさのあるヤンデレを書けるようになりたいです

以下>>599-608,831-836の続き

――――――

それからというもの、私は「イーグルラヴィの情報分析官」「綿月姉妹の世話役」という立場を利用し、行方を眩ますのに必要な情報を集め続けた。
月の都は常に全てが完璧に管理された「理想郷」であり、この中には私がひそめる場所などどこにも存在しない。では都の外、たとえば「静かの海」はどうか。
ここのほとりならば文字通り静かに暮らせるだろうか。答えは否、ここには月に周期的に災いを引き起こす元凶が住むとされており、いずれはここにも監視の目が広がるかもしれない。
では静かの海、その結界の外側はどうか。もちろん、ここもダメ。穢云々どころかそもそも生命が存在できるような条件が整っていないのだ。
青く澄み渡り波音以外に存在しない静かの海も、結界の外側ではただの窪地、不毛の大地となる。

「どうしたものか……うむむ……」

ありとあらゆる可能性を検討し、否定する。その繰り返しをする中で辿り着いた結論は'地上へ堕ちる'ことであった。
一般的に言えば、穢れの蔓延る地上へ行くことはこの月においてこの上無い処罰となる。
実際、過去にも重罪を犯した月の姫が地上へと堕とされた。ここまでならば教科書にも書いてある。

たが調査を進める中で気になる記述を見つけた。
本来ならば罪を償った後で使者が遣わされ、月に帰還する筈であったのだ。
しかし、どういうわけだか当人はおろか、月から送った使者達ですら帰還することはなかったという。

――と、閲覧権限の関係上私が知り得たのはそこまでだが、 私の背中を押すには十分なものだった。

地上へと堕ちた月の姫は後に回収される手筈であった。つまり、"地上で罪を償っている間に死ぬことはない"ということなのだ。
則ち地上の穢れによって月に住むものが即死することはないと言えるだろう。
さらに、迎えとなるはずの月の使者が帰還を果たさなかったと言うことは、地上から月への移動は当初の予想に反し極めて困難であったのだと考えられる。
つまり、私が"優秀すぎて"何かの拍子に月へ連れ戻される心配もないということになる。

気になる事と言えば肝心の地上での暮らしだが、これも問題は無さそうだ。
月の都の開祖たる月夜見様も、元はと言えば地上で生まれ、それから穢れを捨てて月へと移り住んだという。
それが事実ならば、穢れによって本来私達が持ち得ない"寿命"というものを得ること――すなわち月の民の言うところの"賎しき地上の民"となる以外に目立った不利益もないことになる。

「決まり、ね。私はこれから地上へ墜ち、死ぬまで自分の罪を償う」

「そして○○は夢を叶え、私の替わりに情報分析官に任命されるの!完璧!完璧じゃない!あっははは!」

一介の玉兎の発想としてはあまりに完璧。耳と頭と勘の良い私だからこそ、そして○○を心の底から想うからこそこんな事が思い付く。実行できる。
全部、全部全部全部○○のため。

勢い良く立ち上がり、すぐにでも駆け出したかったがなんとか堪えた。
月から地上への移動にはいくつかある槐安通路のうち一つを使うのだが、その特性上それなりに監視の目がある。
つまりタイミングこそが何よりも重要であり、決行日は慎重に選ばねばならない。

しかし、これもまた大した労力をかけずに決めることが出来た。
近々イーグルラヴィ結成最初の演習が行われるという情報を手に入れたのだ。
イーグルラヴィに関する情報は必ず一度は私の耳へと入るため、当然といえば当然だが。


953 : ○○ :2017/01/21(土) 06:14:00 jSztCac6
>>952

そしてその演習だが、特殊部隊らしく目的地へ素早く展開、浸透するというものだった。
移動先は都から距離のある拠点となるため、通常の移動手段ではなく槐安通路を使用する。
槐安通路とは都から遠方への移動を目的として整備された、文字通り‘夢の通路’である。
だが今までに使用されたことはなく、今回は安全な使用が可能かどうかの確認も含めているのだろう。

それを踏まえて私の立てた計画は至って単純なものだ。
表向きは演習中の事故に見せ掛け、地上へと繋がる槐安通路、すなわち「第四槐安通路」を用いて月から消え去る、たったそれだけのことである。

勿論、強行突破などという愚かな真似はしないし、そもそも不可能だろう。
基本的に重要施設は厳重に監視がされており、正当な理由がなければ立ち入りは出来ない。
強行突破しようにも玉兎よりも何倍も屈強な衛兵達が立ちはだかるため、結局は正規の手段で堂々と立ち入ることが最も安全かつ容易なのだ。

何はともあれ、さして苦労もせずに計画を立てた私は一時的に普通の生活へと戻ることにしたのだが、
計画のその一切を気取られてはならないため、刻一刻と決行日が迫る中でも身辺整理一つしなかった。
部屋の中まで監視されているわけではないが、心境の変化で身辺整理をするその逆、
身辺整理によって自身の心境が目に見えて行動に出てしまうことを避けるためだ。

それは同時に、月を離れるにあたって○○との思い出の品も何もかもを全て捨て置くことも意味していた。
寂しくないと言ったら嘘になる。だが全ての発端は私であり、当然報いを受けてこそ○○の気も晴れると言えよう。

だから、私は――


『――通達、2130時に槐安通路連絡口へ集合せよ。以上』

不意に脳内に響いた声によって私の思考は遮断された。
抑揚のないその声は演習時刻を告げる念波通信だ。
壁の時計を確認すると、現在時刻は午後7時。気が付けば残された時間は3時間を切っている。
「……行こう、地上へ」

軽くため息をつき、壁に掛けてあったブレザーに袖を通すと
二度と戻らないであろうこの場所に別れを告げ、足早に部屋を後にするのだった。


―――――


月の都にある槐安通路の連絡口は、為政者達の集う宮殿の敷地内にある。
その広大な敷地をぐるりと囲うかのように高い塀が築かれており、その出入り口には‘いかにも’な門と衛兵が配置されている。
それゆえ正規手順以外では何人たりとも入ることが叶わないのだ。


954 : ○○ :2017/01/21(土) 06:19:59 jSztCac6
>>953

「レイセンです。勅命により参上しました。開門許可を願います」
『しばし待て――。よし、確認した』

しかし、私にはここに立ち入る正当な理由がある。
重厚な音色を響かせながら徐々に開いてゆく鉄扉を前に、顔の筋肉が弛緩し始めるのを感じた。

――何も知らずにそこでずっと立っているがいい。

そんな事を考えながら、私は門の内側へと足を踏み出した。
いくら頑丈な門を築き屈強な衛兵を置いたとしても、一度許可が出てしまえばだれも止める者は居ない。そのはずだった。

『――おい待て。お前、何を笑っている』
「はひっ?!」

とっさに声のした方を見ると、衛兵の一人が私を睨み付けていた。その目には明らかな疑いの色と"やっと仕事が出来る"という期待の色が見てとれた。

「あぁ…!私、耳が良すぎるんです。だから開門の音がこそばゆくて、ついつい笑いが…」
『本当に?』
「本当に!」
『…そうか。まあ良い。中ではくれぐれも失礼のないように』

どうやら私は思った事が顔に出やすいらしい。
この先、あまり調子に乗らない方が良いかもしれない。
追求が案外緩かったことに胸をなでおろしつつ、槐安通路がある建物へと足を進めていった。


集合場所には既に多くのメンバーが集まっており、私が到着して間もなく依姫様が壇上に立った。
『――これより本演習に関する補足事項を通達する!』
凛とした声が響き、今回の演習の主目的である「槐安通路の使用」についての説明が始まった。
どいつもこいつも聴いているのかいないのか、欠伸を噛み潰している者も居れば上の空になっている者さえいる。特務部隊の要員としてあるまじき態度だが、誰も注意する者はいない。
身勝手な玉兎ではあるがここに集まった者達は皆厳しい選抜を勝ち上がって来ただけあって、聴いていないようで実は聴いているのだ。
かく言う私もまともに依姫様の話を聴いてはいない。勝手に聞こえてくる情報は無意識のうちに脳が処理してくれるからである。
そして私の耳が聞き取ったところによると、話の要点は次のようになる。

・槐安通路の入り口はこの建物の中にあり専用の扉が存在する。
・扉の中は真っ暗だか進むにつれて光が見え、さらに進むと幾つかの扉が現れる。これが各槐安通路に接続されている。
・今回使用するのは第一、第二槐安通路の2つ。
・槐安通路は"夢"を用いた通路であることから、複数名が同時に入ったとしても互いの存在を認識したり干渉したりすることは不可能であること。
・入り口の扉を潜った段階で夢は始まるので、連絡事項は前もってしておくこと。
・槐安通路において、緊急時は獏を呼び出し、その指示に従うこと。

これは事前の書類連絡とほぼ同じ内容であり、私の脱走計画が決行可能という確認がとれたことになる。

時は来た。

『――以上である。………現時刻をもって演習を開始する!状況開始!』

依姫様の号令が響き、皆が皆堰を切ったように槐安通路連絡口へと駆け込んでゆく。
私もその流れに乗り、大きく口を開けた扉の中へと吸い込まれていった。


955 : ○○ :2017/01/21(土) 06:22:28 jSztCac6
>>954

 ̄ ̄ ̄ ̄
気が付くと私は暗い闇の中に佇んでいた。
辺りを見回しても一面の闇が広がり、手元すらまともに見えない。
自慢の耳をピンと立てて意識を集中するが、物音一つ聴こえず、気配も存在しない。

「事前の説明の通りだけれど……本当に"誰もいなくなる"のね……」
槐安通路が夢の通路ならば、この闇は夢を見るのに必要な闇である。

そんな空間にいると、かつて○○が私に話した事が脳裏に浮かんでくる。

"孤独、闇、静寂。この三つの条件下に置かれた者が抱く感情はふたつにひとつ。安堵か絶望のどちらかである"
というものだ。そして今の私が抱く感情は"安堵"。

これから始まる前代未聞の脱走劇を前に、私を止めるものが一人もいないのだから当然かもしれない。
ゆっくり歩みを進めると視線の先にうっすらと明かりが見え始める。
その光を目指して更に先へ進むと、一から十まで書かれた扉が、その数だけ佇んでいた。

四と書かれ扉の前に立ち、そっと指を這わせてみる。
すると扉がまばゆく耀き、一瞬にして光の渦へと変換された。
この光の渦に身を投げればその先は第四槐安通路である。

「ここを抜けたらいよいよね………ふぅっ……!」

一呼吸おいてから脚に力を入れ、まばゆい渦の中へと飛び込む。
その瞬間、渦巻く光が私を包んだかと思うとすぐに流れ星の如き勢いで流れてゆく。
落ちているとも歩いているともとれる奇妙な感覚を忘れてしまうほどに、ソレは美しい。
○○と一緒にこの感覚を共有できたのならば、いったいどれ程幸せなのだろう。そう思わずにはいられない。


視界を埋め尽くす美しい幻想に見とれているうちに、全ての流れ星が小さな光として固定されてゆくことに気が付いた。
反射的に周囲を見渡すと、一面に瞬く大小様々な星々が見えた。勿論、月も。

「月……月?月ってあの……月よね?」

そう、そこには広大な宇宙が広がっていたのだ。

正直言うと、槐安通路は暗いトンネルのようなものを想像しており、ここまでのものとは全く思っていなかった。
私は今、自身の存在も意識も霞と消えそうな程に圧倒的で、無機質で、冷たくて美しい宙の海に、たった一人で浮かんでいる。
もし一歩でも歩みを進めれば崖から転げ落ちるように突き進み、二度と戻ってこられないとすら感じてしまう。
しかし、○○のためにはここから前へ進むことが唯一の正解となる。ここまで来た私に最早選択肢などないのだ。
ならば、有終の美を飾ってやろう。

「見ていてね○○……私は……私は○○のためなら世界中を欺くことだって出来るんだからッ!」

両腕を広げて有らん限り大きな声で、月にいる○○へ向けて思いの丈を叫ぶ
この言葉は決して○○に届かないだろう。だがしか

『そうですかそうですか。いやぁとても友人想いなのし、そうと分かっていても叫ばずにはいられない。これは○○への言葉であり、そして不退転の決意の表明でもあるからだ。
○○のために、私は今これから地上へと堕ちるのだ!ですねぇ……ンフフフ……私もそんな大切な誰かが欲しいものです』
「ひゅぃっ?!?!」

さっきまで私以外に誰も存在しなかった空間に、突如として声が響き渡る。
そこには艶かしい……というか大分特徴的な笑みを浮かべる変な服の何かが居た。

「えっ?!なにっ?!だっ…誰?!」
『私はドレミー・スイートです。あぁ……獏です、獏なんですよ、私』

想定外の出来事に当惑する私を余所に、獏──ドレミー・スイートと名乗る獏は愉しそうに言葉を紡いでゆく。

『あれ…もしかして伝達ミス?私や槐安通路についての説明はちゃんとありましたよねぇ?』
「あっ……はぃ、それは一応……」
『ンフフフ……それは良かった。もし私の伝達ミスだったらサグメに何を言われるやら…』
『......おっといけない、危うく本題を忘れるところでした』

彼女から柔和な笑みが消え、突如真顔になる。さしずめ“仕事モード”に入ったという感じだろう。


956 : ○○ :2017/01/21(土) 06:23:44 jSztCac6
>>955

『今回、第四槐安通路は使用されないと聞いていたのですが……これは事故……ではありませんよね?』
「…通報するつもりですか」

そこまで分かっているのならば、と私は身構える。
ここまで来て水を注されるわけにはいかない。彼女の返答次第では"そういうこと"をしなければならない。この目で、瞳で。
しかし彼女の返答はまたもや私の想像の斜め上をゆくものだった。

『いいえ、別になにもしませんよ?仕事の範囲外なので』
「え?あ…あぁ…はい」

『…何か?』
「てっきり私の目的を阻止するために送り込まれたのかと…」

『私は妖怪獏です。月とは貴女の上司を通しての関係しかありません』
『そして私の居場所は"夢"という"現実"全てにあります。月の都の内部情勢などというちっぽけなものはどうでも良いのです』
『ですから、貴女が脱走しようと私には関係ないことなのですよ』

貴女が"夢"の使い方を誤りさえしなければ、と付け加えると再び笑顔へと戻った。

どうやらこのまま槐安通路を使う分には問題ないらしい。
そう言えばいつであったか、豊姫様も"槐安通路は獏に左右されかねない"と言っていたような。
とにかく無事に目的を達するには彼女に従い、協力を仰ぐべきだろう。

「あの、一ついいでしょうか?」
『ええ、なんでしょう』
「この通路って地上へつながってるんですよね。他の槐安通路は目地直通だけど、この第四槐安通路は地上のどこへ繋がっているのですか?」
『何処と言われましてもねえ…ンフフフ…何処でも行けますよ』

まさに僥倖だった。とりあえず地上へ行くとは言ったものの、出口がどこになるのかは知らなかったのだ。
陸上ならまだしも、海の上に出たものなら目も当てられない結果になってしまう。
ゆえに出口を任意に決められるのは非常にありがたい事なのだ。

「ええと…昔、月の姫が地上に送られたのは知ってますよね?その姫を送った時と同じ場所に繋げてください」
『フフフ…物好きですね。ええ、良いでしょう』

彼女がわざとらしく指鳴らす。すると、広大な宇宙に赤い碁盤の目のような模様が浮かび上がる。

『誘導灯を点けておきますので、今一番近いこれに沿って進んでください。あ、そうですそうです、この赤い線です』
「わかりました。……ええと、ありがとうございます」
『いえいえ、礼には及びませんよ』
『それではこれにて。――良い夢を』

そう言うと彼女は溶けるように宙へと消えてしまった。
出会いも別れも嵐のように突然ではあったが、結果的に大きな収穫であることには違いない。
月に別れを告げて踵を返すと、そのまま地球へ向けて飛び立つ。
第四槐安通路を用いれば、遥か38万4千キロをたったの数時間で移動できてしまうという。夢ってすごい。そして変な服の彼女、ドレミー・スイートにも感謝しなければならないだろう。
彼女が出てこなければ、私は今頃こんな安らかな気持ちで飛んでいなかったはずだ。

このままいけば“無事に地上へ堕ちる”ことができる。

「○○はきっと栄転して願いをかなえる。そして私はそれを地上から見守る。あぁ、なんて、なんて素晴らしいの」

穢れに染まった自分の姿と、栄光を手にした○○の姿を想像しながら
私は目指すその場所に向けて加速して行くのだった。


957 : ○○ :2017/01/21(土) 06:25:56 jSztCac6
>>956

――――――

地上へたどり着いた後は『鈴仙』という名前を使い、人里離れた山奥に潜伏していた。

簡単に潜伏とは言ったが、衣食住から重力加速度に至るまで何もかも不慣れな中で正気を保ち続けるのには非常に苦労したし、
その後に『幻想郷』と呼ばれる場所にたどり着くまでを全て話せば、涙なしには語れない。おそらく本棚を一つ占領するほどの長編小説が書けるだろう。

それはさておき
幻想郷に辿り着いたところで月の姫と、そのお付きの賢者についての情報を入手した。この穢れに満ち満ちた地上において、いまだに生きているというのだから驚きである。
事情は違えど、同じ月から堕ちた者同士だ。きっと想像を絶する苦悩を乗り越えて今に至っているに違いない。
妙に親近感を覚えた私は、今後身を寄せる場所の確保もかねてその2人の元を訪れることにした。
そこで会った二人に、月に嫌気が差して逃げ出し、命辛々ここへ辿り着いたと説明したところ快く私を迎え入れてくれた。
満身創痍になってまで、噂を頼りに必死になって辿り着いた健気な玉兎を見れば匿いたくもなるだろう。
実際、月を出て着の身着のままずっと過ごしてきたせいで服はぼろぼろ、耳はしわしわで通信どころではない状態だった。

そんな私を迎えた二人。

その一人は誰もが知る月の賢者、八意永琳だ。
その頭脳は天才以外に形容する言葉はなく、彼女が居なければ月の都も蓬莱の薬も存在しなかっただろう。
あまりに畏れ多いのでこれから先はお師匠様と呼ぶことにする。

そしてお師匠様に蓬莱の薬を作らせた張本人、「元」月の姫は自身を『輝夜』と名乗った。
名前は自身に非常に良くしてくれた老夫婦からつけられた名だという。
月に居た頃の名前は忘れたが、とにかく月に住むものならその存在を知らぬものはいない。
未だに地上人から付けられた名を名乗り続けるということは、何か思うところがあるのだろう。
地上に堕ちた記念にと、お師匠様は私に『優曇華院』という名前を付けた。
そのくせ私を呼ぶときは「ウドンゲ」と省略して呼ぶ。天才の思考はよく分からない。

因みに、その名の由来は「優曇華」という花らしい。
千年に一度だけ咲く、などという言い伝え付きである。
しかもこの花、ただ珍しいだけではなく月との所縁があるのだ。
それはなにかと言えば、秘宝『蓬莱玉の枝』である。地上の民でも歴史物語で読んだか人伝に聞いたか、そのどちらかはあるだろう。

そしてその『蓬莱玉の枝』が実をつけたものがこの地上では『優曇華』と呼ばれているという。
植物は穢れを吸って成長する。『蓬莱玉の枝』も御多分に漏れず、永い間穢れを吸って成長するはずだ。
しかし、穢れそのものが排除された月の都をはじめ、永遠に時が止まったこの屋敷では『蓬莱玉の枝』が『優曇華』に成長することはないだろう。

そして、月を捨てた月の姫も私に名を付けた。
……付けたのだろうか。
姫様は私を「イナバ」と呼ぶ。彼女はここ――永遠亭にいる兎と私を大して区別していないようだった。その上、他にも人の型を持つ兎がおり、そいつも苗字を「イナバ」と名乗っていた。
何が何だかわからなくなってくるが、その洗練されていないややこしさも地上の趣というやつなのだろうか。……やはりよくわからない。

かくして、私は『鈴仙・優曇華院・イナバ』という名前を持つに至ったのだ。
長ったらしい名前だが、案外気に入っている。

今までの私は○○の存在と自分の優れた能力でアイデンティティを確立してきた。
それが崩れ去った今、改めて自分の存在、立場を認識させてくれるのがこの名前なのだ。
月から地上へ、自ら不可逆変化を起こした私に相応しい名前。


958 : ○○ :2017/01/21(土) 06:28:31 jSztCac6
>>957

「……ついにやり遂げたのね……私」

与えられた殺風景な自室から外を、空を見上げる。眼前に広がるのは全てを覆い隠さんとする竹藪、その隙間からはつい最近まで自身がいた場所が、夜空から私を見下ろしている。
あそこには今、この瞬間も○○がいるのだ。あぁ○○、○○、○○――

「――っ!」

意識が上空へ飛びかけていたその時、何かが動く気配を感じた。
咄嗟に身をかがめ、あたりを見渡す。誰か、誰かに見られているのだろうか。
自慢の耳もノイズだらけで何も捉えるとこができない。視線を上下左右に動かし、気配の正体を探ってゆく。やはり何も見つからない。
気のせいかと肩の力を抜き、溜め息をついて足元を見る。すると、そこに白い塊が見えた。

「うわぁっ?!」

殆ど本能のままに飛び退く。しかしそこにいたのは、この屋敷で飼われている何の変哲もない兎だった。

「……なぁんだ、兎か」

たかが兎ごときに何をやってるのだろうか。こんな今の自分の状態を思うと悲しくなる。
疲れているのかもしれない。何せ短期間の間に余りにも多くのことが起こり過ぎたのだ。 そうなるのも致し方ないであろう。

「今はゆっくり休もう……」

何の変哲もない、この先の安寧を夢見て何気無く放った言葉だった。
しかし、実際は心の安寧が訪れるどころかその逆に進み始めていた。

────────────────────

ゆっくりと休養をすれば、体調が良くなる。体調が良くなれば、思考が冴え渡る。耳にもハリが出る。
思考が冴え渡るとどうなるか、それはお察しの通りである。今○○がどのような状態にあるのか、それが気になって仕方がなかった。
そもそも今私がここにいるのも、○○の為にイーグルラヴィの情報分析担当のポストを空けようとした結果なのだ。
当然、私の行動が成果となって現れてもらわなければ困る。

この永遠亭に匿われてから10日経つ頃には、自慢の耳を駆使して月の通信の傍受を始めた。
月を離れて地上に潜伏し、此処へとたどり着くまでに一月近く費やしている。
それに、私の役職は「綿月姉妹の世話役兼イーグルラヴィのメンバー」だったのだから、脱走すれば月に何らかの動きがあって然るべきだろう。

深い竹藪の中のいくらか開けた場所まで移動し、耳をこれでもかと真っ直ぐ伸ばす。

「方角は…よし、遮蔽物なし。集中して…集中…」

方角や角度を合わせて意識を集中すると、多少のノイズ混じりではあるが、玉兎たちの他愛もない会話が聴こえてくる。

「わぁお……」

この耳が遠距離通信に秀でているとはいえ、まさかここまでの距離があってもまともに聴こえるとは。
やはり私はとんでもないくらい優秀なのだろう。
ふふんと自慢気に鼻を鳴らすが、それを聞く筈の相棒はいない。
何とも言えない虚しさを覚えつつ、情報収集を始めた。
お喋りばかりのオープンな回線、イーグルラヴィ専用回線、情報部専用回線、連絡用回線…
自身が今までに使用してきた様々な念波帯域、周波数に合わせ、耳に入る情報を片っ端から貪る。

『訓練が厳しい』『誰かが消えた』『桃餡饅頭が2つ余っていた』『集合時刻変更』『寝込んだらしい』『捜索再開打診中』『4号案否決』『お夕飯抜き』等々

一つ一つの情報だけでは何の役にも立たなくとも、それらを一つ一つ紐付けていけばやがては大きな「絵」になることもある。

私が知り得た情報から有効なものを抜き出して纏めると次のようになる。

演習中に私が行方不明になったという一報が届き、すぐさま捜索が始まったという。
当然だが、いくら探せど見付からず仕舞い。
そこで槐安通路で移動中に何らかの事故が起きた可能性を検討した。
獏によれば『全員が全員、それぞれ行くべき目的地へ到達したのを確認した』とのことであり、再び月中の捜索がなされる。
しかし見付からず、最終的には結界の外側へ弾かれてしまったという結論に至り、つい数日前に捜索が打ち切られた。
情報部に再捜索案が出されたのが昨日であり、今朝それが否決された。

と、こんなところである。ありがとう変な服の妖怪獏さん。

皆のお喋りが過ぎるお陰で、今日一日だけでも、私の居なくなった月で何が起きたのかを大分知ることができた。

「通信暗号を強化するより玉兎の口に戸でも立てた方が良いと思うわね」

しかし、肝心の○○に関すること何一つとして手に入れることはできていない。
まだまだ聴き足りないが、もう戻らねばならない時間だ。結局、そのまま永遠亭へと戻らざるを得なかった。


959 : ○○ :2017/01/21(土) 06:32:55 jSztCac6
>>958

それからというもの、毎日毎日暇さえあれば耳を立てた。
兎達がお喋りというのもあって、一週間もしないうちに月の詳しい内情が明らかとなった。

情報分析官の権限が見直され、私のように‘機密情報を握ったまま行方を眩ます者’の出現に備えて分析官は必ず情報部への情報伝達を行うことになったらしい。
最初から手間を省こうとせずおとなしく私と○○を同じ場所に配属していればよかったのだ。
愚かな為政者め、と心の中で毒づく。

更に数日後には、綿月姉妹の世話役には別の玉兎が充てられたとの話も耳にした。後任となる"二代目レイセン"の声を確認したが、少なくとも○○ではないようだ。
これだけ色々な会話を盗み聞きしているのに、○○の声はおろか、その動向すら聞こえないのはいくらなんでもおかしい。

「なんで…○○……どこ行っちゃったの?○○…」

もう二月近く○○の声を聞いていない。 会えないどころか声も聴けないのがこれほどまでにつらいとは思いもしなかった。

○○に会えなくなるのは少し寂しいが仕方ない。全てはわたしのせい。
これは自分自身への罰なのだ。受け入れろ。
この地上へと来た当初の目的ソレであった。その筈だったのに。

「あっあっ…○○いない…いないよぉ…」

○○のためにと勇んで行動に移したは良かったが、結局は寂しくなってこのざまである。
浅ましく、情けないことこの上ないが、かといって穢れに堕ちた私に今さら何ができるわけでもなし。
この先も膝を抱え、耳を立てて○○の名を呼び続けるだけしか残された道はないのだろうか。

だが、その心配は稀有に終わることになる。

――――――――――――――――――

私が月の通信を傍受し始めてはや1ヶ月。
永遠亭での生活にも慣れ始め、何かと雑用を任されるようになったためにこうして深夜になっては屋敷を抜け出し、竹林をさ迷い歩くようになった。
こうして外に居れば周囲を気にすることなく耳から入る音に集中できる。

「――現在時刻、子の刻1分前…月位相、下弦。天候確認…よし」

誰もいないその場所で独り言をつぶやく。これは確認をする時の昔からの癖なのだ。
自慢の耳を月に向けてピンと立てる。数だけは多い玉兎ではあるが、この長い耳を持つ者はその母数に対してそれほど多くは居ない。
このタイプの耳は、所謂ロップイヤー型の耳を
持つ者に比べ、遠距離の繊細な念波通信を非常に得意としている。そのためか玉兎の中でも特殊任務を負っているものが多い。その反面繊細であり、ストレスによる受信感度変化の振れ幅も大きくなってしまう。故に通信時は必ず感度調整を行う規定になっていた。

地上に堕ちた今では規定を気にする必要はないが、私の耳もストレスの影響を受けやすいため念波通信時の感度調整は必ず行っている。
○○に会うことはおろか、その声すら聴くことのできない今となっては尚更だ。

「方位よし、直上遮蔽物なし、感度調整はじめ」

首から上、さらには耳の先へと神経を集中させてゆく。先ほどまで聞こえていた竹葉の擦れる音も、頬を撫でる風の音さえも消えて無くなってゆく。
地上の音全てが消え、私の意識は一気に遥か上空へと引き上げられる。
まさにその時だった。


960 : ○○ :2017/01/21(土) 06:34:55 jSztCac6
>>959

『… 宛 ……部………時報…はじ…』
「っ…!?」

唐突に聞こえてきた音に心臓を直接握られたかのようで
あまりの衝撃でそのまま尻餅をついてしまう。

「今の……声って…...まさかっ……!」

まさかも何もない。私のこの耳が聞き間違えるなどあり得ない。
まぎれもなく○○の声だ。

すぐさま耳を伸ばし、これでもかと意識を集中する。
ザザザ――という微かなノイズの後に、追い求めて止まなかったその声がはっきりと聞こえてきた。

『――は特に問題点を認められず。今後の使用に支障なし』
「○…○、○○っ!○○だぁ!」

短距離を走りぬいた直後のように心臓が早く鼓動し、息が荒くなる。
自身の生み出すその音にすら気が付かないほどに、私は○○が紡ぎだす声に時間さえ忘れて聞き入っていた。

『――以上である。定時報告終わり。通信終了』

それ自体は数分もかからなかっただろう。
型にはまったような“お堅いセリフ”を一通り話し終えると、○○の声は止まってしまった。

「ぁ…おわっちゃった……」

口元を伝っていた液体を拭うと、途端に虚しさがこみあげてくる。
例えるならば、線香花火のその最後の火球が地に落ちて消えてしまった時のソレに似ている。もっと見たいと思うのに、必ず時間切れは訪れてしまう。

○○の声はわたしの中に小さな光を灯し、そしてその光ごと消えていった。
残されたのは孤独、暗闇、静寂。


そんな状況に置かれたものが抱く感情は二つに一つ。安堵か絶望。
今の私に迫り来るものは後者だ。
真っ暗な塊が蛇のようにはい上がってくる。その感覚が胸元にまで達した瞬間。


先ほど○○声が止まって20秒も経っていないくらいだろうか。
突如として‘続き’が始まった。

『――聞こえる?レイセン』
「ひゅっ…!」
『聞こえて…いるかはわからないけど。あのね、レイセン。もし無事だったら返事がほしい』
『私…イーグルラヴィに配属になったんだ。レイセンがいなくなったすぐ後に』
『で、レイセンの後釜についたわけなんだけど、レイセンがどこに消えちゃったのか…。捜す手立てももう無くて…それで…』
『……あぁ、時間…。それじゃあね、いつでも返事待ってるから!』

一分、あるいはもっと短い時間だったのだろうか。
私の思考が追いつく間もなく○○の通信は、私宛のメッセージは打ち切られた。
しかし今度のソレは線香花火などではなく、強烈なスパークのように私の中を照らしたのだ。

「ひゅ…」
「ぁ……○○が……○○が心配してくれてるよぉ……」
「うれし…うれしいよぉ…あっはははぁ…!」

○○は確かに「レイセンの後釜」と言った。つまり私がここに来た目的もめでたく達されたというわけなのだ。

私の行動によって○○は夢を叶えた。
そして○○は行方を眩ませた私のことを気にかけ、心配してくれている。
あぁ、なんという幸福。何もかもが完璧ではないか。

その後数時間ほどの間、 頬に両手を当てて身体をくねらせながら
この悦びを反芻し、噛み締めていた。


961 : ○○ :2017/01/21(土) 06:40:14 jSztCac6
>>960
──────

それからおおよそ24時間後、私は昨日と同じ時刻、同じ場所を目指して竹林の深くへと歩みを進めていた。
昨日の事が、○○が私に向かって語りかけるソレが私には忘れられなかった。
私は○○にひどい仕打ちをしてしまったのに、まだ愛想を尽かしていないどころか、心配し、気にかけ、探し回ってくれているのだ。どうして落ち着いていられようか。

「はやく…あぁ、はやく準備をしなくちゃ…」

地上からの通信には長い手順があり、まず月位相を確認する。
満月では月との通信に大きなノイズがのってしまうのだ。
地上にいる妖怪達が活発になるという話も何らかの関係があるかもしれない。

そして次に天候、方位、直上の遮蔽物、全ての確認を終えてようやく感度調整に入る。
耳を伸ばし、任意の念波を捉え、距離に合わせて耳で増幅し、最後に脳へと送るのだ。
こちらから発信する際は単にその逆をすればいい。


「感度調整終わり…帯域は…昨日と同じ……よし。子の刻まであと…46…45…」

面倒な手順を焦らず確実に、焦っても確実にこなす。
全ての準備が整う頃には昨日の“定時報告の時刻”まで一分を切っていた
あの定時報告という言葉を額面通りに受け取るならば、この通信は毎日の頻度で決まった時間に行われることになる。
そしてその度に○○の声を聞き、私宛の想いを耳元で感じることが出来るのだ。

『――発 ○○。 宛 第一管区情報部。定時報告はじめ――』

定刻通りに始まった“お堅いセリフ”の中には非常に機密性の高い情報が含まれているのだが、今の私にとっては○○の声が聞こえてくるという以外に何の価値も存在しない。
そしてこれは前座でしかないのだ。この長ったらしい“前置き”の後に、○○は私宛に独り言を放つ。

『――以上、定時報告終わり。通信終了』

主目的はこの後の‘続き’なのだ。

『あー…、よし。レイセン。聞こえている…のかな』
『こうして何回も呼びかけているけど、中々うまくはいかないね』
『でもレイセンからきっと返事が来るって信じてるよ!』

私がいなくなってから、○○は毎日こうして私のことを想ってくれていたのだろう。
今すぐにでも○○に返事をしたい。

私はここにいるよ!
○○がイーグルラヴィに入れるようにポストをあけたんだよ!
うれしいでしょう?!
○○の為に地上まできたんだよ!頑張ったんだよ!
凄いでしょう?偉いでしょう?○○、○○、○○……

しかしそれが念波として発信される前に、脳に浮かんでからほんの一瞬も経たない間に
私の耳は"くしゃり"と潰れた。
それに伴い、ノイズ一つ無く○○の声を拾っていた通信はそのまま切断される。

「ぁ……」

触ってみると完全に縮み上がっているのがわかる。
踏み潰された道草、干物、投げ捨てたブラウス
何れとも形容出来ないような状態。
極度の負荷がかかると反射的にこうなることがあるし、そうなること事態は生理現象なので特に不思議はない。
問題はその生理現象を生み出した源だった 。

耳が潰れる直前、一つの考えが頭を過った。
もし○○の呼び掛けに応答したのなら、○○は一体どんな反応をしてくれるのだろうか と。
○○は私の無事を知り喜ぶだろう。生きていたことに安堵するだろう。
ではその後どうなる?

あぁよかったと安心したら、○○はそのあと私宛の独り言を止めてしまうのではないだろうか。
そうなったら、日々の仕事に忙殺されて私のことなんて忘れてしまうに違いない。
そうなれば、もう二度と○○の声を聴くことが出来なくなる。
唯一の心の支えが失われてしまう。

想像力豊かで頭の切れる私が素早くその答えに辿り着いた結果、それが今のこれなのである。

「返信……できない……だめ……」

さっきまでとはうって変わって今は歯を食いしばり、ままならないこの状況に耳と頭を抱えている。
だが、それも長くは続かなかった。
今ここで短期的な欲求を満たすために○○に念波を送ってしまえば、この先私にとっての光が完全に失われてしまう。
しかしそれを我慢すればこの先ずっと○○の声をその身に受けることが出来る。どうするかなど、あらかじめ決まっているようなものだ。

こうして、この先数十年に渡る日課が始まったのである。


以上後編(1/2)です。ここまでクソ長いけど次で終わるからユルシテ…ユルシテクラウンピース…
(わりとマジでロダ使った方がいいんじゃないかって最近思うの…)


962 : ○○ :2017/01/21(土) 10:49:20 iBFfowUA
>>961
まだ…続くだと…(;゜Д゜)
いったいどんな結末をむかえるというのだ…

うーんオイラも前長いの書いたけど(つっても8レスぐらい)普通に投下したなぁ…
ろだ使ってみたいってのはあるけど使うほど長いのは書けないし使ったことないしちょっと不安
拙者はケータイのメールに書いてて一レス一メールみたいな感覚で書いてる
「このへんでくぎれば次レスに行ってもわかりにくくないかな」とか、演出のひとつとしてもいったん区切りたいって時もあるから普通に投下してるなぁ
ろだ使ってみようかなぁ


--



青娥「…『なぜ』」

青娥「『愛しているのに僵尸にしたのか』…ですって?」

青娥「…わかってないわね」

青娥「愛しているから僵尸にしたのよ」


963 : ○○ :2017/01/21(土) 20:12:38 IumnfD3A
>>961
ロダだと何回も読み直すときに、手間がかかるから、個人的には今のままが嬉しい…
毎度ながら、めっちゃ作り込んでる感じが好きだったり。後半その2楽しみです。

>>962
愛しているから、自分の側に置く。
「外道と分かっていても」…なのか、

「え、彼が可哀想? 私の側にいて嬉しいに決まってるでしょ」
「どうして? 私が彼にいて欲しいから、彼もそうに決まってるでしょ」
と、自分の世界に入っているのか…
短い中で深い作品です。


964 : ○○ :2017/01/21(土) 23:39:27 mpi9YcjM
病み嫁ゆうかりん

「えっ!?あなた怪我したのっ!?」
「ただの切り傷のようね…大した事はなさそうね、これくらいなら妖気で治せるわ それより…」
「それより…その…あなたの血…舐めてもいいかしら…?」
「どうしてって…その…愛するあなたの体液でしょう?私の体内に入れておきたいの…♪妻として…ね?」
「ふふっ、ありがとう…それじゃ…ぺろっ」
「…鉄の味ね、でもあなたの身体から出た物だと思うと…身体が熱くなってくるわ…♪汗とはまた違う感じ…♪」
「血を飲むなんて初めて…♪でもこれでまたあなたに初めてを捧げられた…うふ、うふふふふ…♪」
「大好きよあなた…♪ずっとずっと大好き…誰にも渡さない…私だけの旦那様なんだから…♪」

「ところであなた、指を怪我したなら料理するのも不便なんじゃない?」
「なら今日は私が作ってあげるわ…♪あなたの大好物を作ってあげる…♪」
「手伝うですって?もう…無理しちゃって…そんなところが好きなのだけど…///」


ヤンデレを受け止めた時、そこには最高の純愛が生まれる…!


965 : ○○ :2017/01/22(日) 04:40:59 fzapWNSk
>>964
素敵だぁ……(恍惚)
やっぱりヤンデレは『大好き』のベクトルがおかしな方を向いてるだけでひたすらに純愛なのが魅力なんですよねえ

――
>>955の後半の文章が一部崩壊してたので文章後半の修正版を下においておくわよん

―ココカラ修正―

両腕を広げて有らん限り大きな声で、月にいる○○へ向けて思いの丈を叫ぶ
この言葉は決して○○に届かないだろう。だがしかし、そうと分かっていても叫ばずにはいられない。これは○○への言葉であり、そして不退転の決意の表明でもあるからだ。

○○のために、私は今これから地上へと堕ちるのだ!

『そうですかそうですか。いやぁとても友人想いなのですねぇ……ンフフフ……私もそんな大切な誰かが欲しいものです』
「ひゅぃっ?!?!」

さっきまで私以外に誰も存在しなかった空間に、突如として声が響き渡る。
そこには艶かしい……というか大分特徴的な笑みを浮かべる変な服の何かが居た。

「えっ?!なにっ?!だっ…誰?!」
『私はドレミー・スイートです。あぁ……獏です、獏なんですよ、私』

想定外の出来事に当惑する私を余所に、獏──ドレミー・スイートと名乗る獏は愉しそうに言葉を紡いでゆく。

『あれ…もしかして伝達ミス?私や槐安通路についての説明はちゃんとありましたよねぇ?』
「あっ……はぃ、それは一応……」
『ンフフフ……それは良かった。もし私の伝達ミスだったらサグメに何を言われるやら…』
『......おっといけない、危うく本題を忘れるところでした』

彼女から柔和な笑みが消え、突如真顔になる。さしずめ“仕事モード”に入ったという感じだろう。

―修正ココマデ―


966 : ○○ :2017/01/22(日) 17:22:42 LSYONbqc
フラン「(´・ω・`)ピーマンキライ…」
美鈴「ワタシ頑張って作った炒飯アルヨ…食べて欲しいアル」
咲夜「妹様、好き嫌いをすると大きくなれませんよ」
パッチェ「レミィも大きくなれてないからセーフ」
レミィ「」
○○「…」

○○「忍法『ピーマン大好きの術』ぅ〜!!」
フラン「!?」
○○「ハフ!ハフハフ!モグモグ!んぅー!!ピーマンおいすぃー!ハフハフ!モグモッエフゥ!!ゴホッガハッ!!ゲホゲホッ!」
小悪魔「あーあー急いでかき込むから」セナカポンポン
フラン「…」

フラン「モグ(`;ω;´)モグ」
美鈴「(*´∀`)」
小悪魔「じゃあレミリア様も食べましょうね」
レミィ「」

咲夜「妹様、おもちゃのお片づけは?」
フラン「プイッ」
○○「ω・)」
フラン「…」
フラン「お片づけする!」
○○「(*´∀`)」

フラン「お花にお水あげる!」
美鈴「(*´∀`)」
○○「(*´∀`)」

フラン「お掃除手伝う!」
咲夜「(*´∀`)」
○○「(*´∀`)」

フラン「図書館のお手伝いもしちゃう!」
パッチェ「(*´∀`)」
小悪魔「(*´∀`)」
○○「(*´∀`)」

フラン「お姉様は…別にいっか」
レミィ「ちょ」

フラン「いいこ?」
○○「いいこ!」ナデナデ
フラン「(*´ω`)」



『いいこ』でいることが

あなたの気を惹くたった一つの方法だと思ってた


なのに

なのに

なのになんでフランを選んでくれなかったの

いいこでいたのに

もっと『いいこ』じゃなきゃいけなかったの?











だったらもう、『いいこ』でいる必要なんかないよね?


967 : ○○ :2017/01/22(日) 23:48:08 qmIT4hzU
>>964
純愛っていいよね
時々無性に読みたくなってしまう感じ

>>966
良い子 このワードでどれだけ狂わせたのか…
純粋な少女程、裏切られたと思うと反動がくるのでしょうか。
愛着障害の子供にとって、唯一の支えが消えた時は、正に世界が壊れる
のと同じなのでしよう。乙でした。


968 : ○○ :2017/01/23(月) 08:55:39 CbqLpvVc
>>966
美鈴の語尾ってアルだったっけ?


969 : ○○ :2017/01/23(月) 10:27:14 0wEj86XQ
>>968
サーセン、違います
ただワタシの中ではメイン以外ではこういうキャラ付になってるだけです。美鈴好きの方はすいません


970 : ゆっくり土竜 :2017/01/23(月) 20:34:52 NlBMjXf6
お茶を濁す程度のヤンデレですがよろしくお願いします

 私とあなたは、ずっと一緒でした。
小さい頃から巫女としての修行の毎日で、周りとも馴染めず一人ぼっちだった私に笑って「一緒に遊ぼうよ」って言ってくれました。
 それから修行の合間を縫っていっぱい遊んだり、お話したりしました。今思えば私はあの頃からあなたの事が大好きだったんだと思います。
 そして時は流れて私は、幻想郷へ旅立たなければいけなくなりました。私はつい抱きついて泣いてしまいましたでもそんな私にあなたはあの時と同じ笑って「ずっと一緒いるよ」と言ってくれました。結果私は幻想郷へ旅立ちました。 
幻想郷で数々の異変に巻き込まれながらも、私は平穏な日々を過ごしました。そんなある日人里で途方に暮れるあなたを見つけました!!私は思い余って抱きつきました!あなたは驚きながらも嬉しそうに破顔し「まるで『奇跡』のようだ」と言いました

 えぇ、これこそ『奇跡』なのです♪ パタン 

 「『奇跡』か…全くあんたのそれは『奇跡』じゃなく『呪い』じゃないか」
あの二人は、不自然な程ずっと一緒だった。一体どのタイミングで仕込んだのかはわからないが、秘術の一種だろうおそらく内容は「術者と対象を引き合わせる。又対象が術者と一定期間離れると術者の元へ強制的に転移させる」といったところだろう。
 「まぁ、どうでもいいか、それにあんたが幸せならそれでいいさ    早苗」


 すみませんこれがあっしの限界です。


971 : ○○ :2017/01/24(火) 01:00:54 AEFcUOvA
怒り、悲しみ、嫉み、驕り
そういものに囚われない修行をしてきた
鍛えれば鍛えるほどに、精神は高潔で健全でなければならない。力の使い方を誤るからだ
…では、正しさとはなにか。
自分の感情にのまれること、それが誤りだというのなら…
この気持ちも誤りだというのでしょうか






彼は読んでいた本を閉じるとぐっと背伸びをする
目を閉じる私が寝ているのか確認するためなのか、私の頬を撫でる。
そろそろ起きないとまたおこられるぞ美鈴、と優しく囁いてくれた
口の端がつり上がりとっくに狸寝入りはばれているだろう、彼もそれを知ってイタズラをしかけてくる
頬を撫でた指は唇に軽く押しつけられる、口づけされたのかと驚くがすぐに他愛ないイタズラだと気づき思わず笑みをこぼしてしまう
私は仕返しとばかりに彼の頬を捕まえて、こちらに引き寄せる。
彼の頬が紅潮する。私もこんなに彼の顔が唇が近くにあって紅くなっているかもしれない
額が合わさる。唇と唇を近づける、吐息がわかるぐらいに、近くて

柔らかく優しく、愛しくひとつになる
頭と体に温かな彩りがゆっくりと広がっていく…
時間を忘れてしまう
魔法のようで
運命はここなんだと感じる
嫌な気持ちを、破壊していく

顔を合わせて、二人して笑う


美鈴、そろそろ起きないとおこられるぞ

大丈夫です、大丈夫









起きなくても、大丈夫


972 : ○○ :2017/01/24(火) 01:02:08 AEFcUOvA
>>971

ドレミー「人が眠る時、魂の置き場が必要となります。それが枕です」

必ずしも枕が必要というわけではありませんが
睡眠とは肉体と同じく魂も休める行為なのです
睡眠時に魂は肉体から離れます、夢の世界へ
ただ、稀に
『帰ってこれなくなる』ことがあります
すると現実と夢の境目が不安定となり、魂の戻らない肉体の覚醒を妨げます
仮に肉体が覚醒しても、魂は戻ってきてはいないので現実を『夢』だと錯覚します

紅美鈴は今まさにその状態です

夢に囚われ、起きることができません
起きたとしても魂は帰ってきていないのなら
それは『紅美鈴』に似た『誰か』です
『紅美鈴』ではありません
無理矢理起こすことも可能です、眠らせないことも同じく
ですが、魂は帰ってきません
それができるのは紅美鈴の魂と肉体を繋ぐ精神ただひとつ
彼女の魂は今夢の世界で『幸福』に包まれている
『起きたくない』と、思っているのです
私には、どうすることもできません

誰かに否定できますか?
誰かの『幸福』を
少なくとも私にはできません

最後にひとつ
この状態が続くといずれ肉体はいらぬものになり魂だけの存在になります。繋がっている精神も消えます
…どういう意味か?それ以上の言葉はありません。『そのまま』の意味です


973 : ○○ :2017/01/24(火) 01:06:26 AEFcUOvA
>>972


小悪魔「あなたの、せいじゃありませんよ」

…【俺が美鈴をふらなかったら】?
それは、それはあんまりですっ…
『ひどい』です!
こうなることがわかっていたなら美鈴さんをふらなかったとでも!?なんですかそれ…
それのっ…それのっどこにっ…『愛』があるっていうんですか!?
それが『優しさ』だってあなたは言うんですか!?
そんなのっ…ひどすぎます!優しさなんてこれっぽっちもない!!自分勝手でっ…残酷な言葉ですよ!
自分にっ…責任があった方が気持ちの置き所があるからっ…そう思いたいだけ!
惨めで哀れなだけです!!あなたも!!美鈴さんも…!
私も!!

じゃあ、こんなことになるんだったらって、わかってたら

『恋が叶わない』って最初からわかってたら!!

『好きになるな』って言えますか!!
『好きにならずにすんだ』って思いますか!!
『誰も不幸にならなかった』って…そう、思いますか…?

…美鈴さんが、弱かった。それだけの話じゃないですか…叶わなかったからって…本当に、それだけ…
…私はそうなってないでしょう?
私だって、好き。あなたのこと
だったら私も同じことをするって言えば付き合ってくれますか!?愛を囁いてくれますか!?
嬉しく、ないですよそんなの…
…叶わなかった、それだけなんです
それだけ、なのに…

悲しみを糧にできるほど、強くはなかったから




うーん、うまいオチを作れなかった


974 : ○○ :2017/01/25(水) 19:02:18 KN.6RVx6
>>970
最後のモノローグは神奈子様のものかしらん
乙でした。

>>973
勝ち逃げは幸福なのか否か…
考えると深みにはまりそうな


975 : ○○ :2017/01/26(木) 04:30:37 hm5WW6ag
>>971
ここ好き


976 : ○○ :2017/01/26(木) 11:29:33 TQsK2W4I
ヤンデレ早苗さん

「あっ…○○くん…起きたんですね…?おはようございます…♪」
「とっても可愛い寝顔でした…♪見ているだけで癒されるような…♪」
「えっ…?どうやって入ってきたか?ふふっ…それは秘密です…奇跡だと思っていてください…♪」
「今日はあなたに伝えたい事があってきたんです…聞いてくれますよね…?」
「ありがとうございます…♪やっぱり○○くんは優しいですね…♪」
「私とあなたが出会ったのは…私達がまだ幼い頃でしたね… 私が男の子達にからかわれているのを、あなたは庇ってくれました…」
「そしてあなたは、私にとって最初のお友達になってくれた… あなたは神奈子様や諏訪子様の存在…私の髪色…私の力…それらを全て信じ、受け止めてくれましたよね…」
「そこから私達はずっと一緒でした…学校でイジメられた時も、あなたは私を守ってくれた…私を闇から救ってくれたのはずっとずっとあなたでした…」
「あなたはいつか、言ってくれましたよね…『早苗は笑顔が似合う』って… その時から私は、よく笑うようになりました…あなたのおかげで、明るく前向きな女の子になれたんです…」
「ずっとあなたと一緒にいたい…ずっとそう思っていました…でも…私達は幻想郷に行く事になって…」
「あなたと離れるのなんて考えられない…でも…現人神の使命には逆らえなかった…」
「幻想郷に来てからずっと…私は暗い闇の中にいました… 表面上はあなたが似合うと言ってくれた笑顔の早苗でいましたけれど…それでもやっぱりあなたがいない世界は暗くて…苦しくて…何の価値もない あなたがそばにいない私は早苗じゃないって…」
「そんなある日です…私はあなたともう一度出逢う事ができました…あなたは妖怪に襲われた私を守ってくれたんです…」
「どうしてあなたがここにいるのか?どうして妖怪と戦えたのか?そんな疑問の前に、私は嬉しいという気持ちでいっぱいになりました…これは運命なんだって… 私達は、運命で結ばれているんだって…♪」
「はい…そうです…私は…東風谷早苗は…あなたの事を愛しています…ずっとずっと昔から…」
「あなたが初めての友人で、あなたが初恋の人なんです…大好きで大好きで大好きで…狂いそうなほど愛おしいんです…」
「でも…あなたはきっとそうじゃない…私はただの幼馴染なんですよね…」
「あなたの優しさは私だけに向けられるものじゃない…あなたはその力と優しさで、色んな人を助けていたんですよね…」
「辛いです…辛い…辛いです…!あなたに擦り寄る女どもを見るのが…!あなたを奪われるって思うのが…!」
「だから…私は決めました… あなたをこの部屋に閉じ込めます 私と一緒にここで過ごすんです…」
「安心してください…あなたが私だけを見て…私だけを守り…私だけを愛すると誓ってくれればお出かけも許してあげます…私と一緒にですけどね…?」
「私こそが純粋にあなただけを想っている女だって…その身と心にいっぱい教えてあげます…」
「そして…この告白の答えをずっと待っています…何十年だろうと…何万年だろうと…♪焦らなくていいんです…ゆっくりでいいんですよ…♪私がじっくりと教えてあげますから…」
「私とあなたは…結ばれる運命なんだって…♪愛しています…○○くん…♪」

欲望を殴り書きしただけだからめちゃくちゃだけど早苗さんはこういうヤンデレが似合うと思います!!!
○○が必ずしも普通の人間である必要はないなあとも思って書きました


977 : ○○ :2017/01/26(木) 11:32:57 TQsK2W4I
似合うっていうと似合わない子がいるみたいになっちゃうから訂正します
どっちにしろヤンデレは究極の純愛なのです早苗さんだいすき


978 : ○○ :2017/01/26(木) 19:06:05 d.t2/QCA
影狼「あなたを誑かそうとするオンナは許さないよ。どんなオンナだろうが私があなたを守ってあげる、どんな手段を使っても…私が、あなたを、守る」



犬「(∪・ω・)」
影狼「ちょっやだっ待っだめっだめだめ!犬は駄目!私犬苦手なの!!」
○○「工工エエェェ(´д`)ェェエエ工工」

○○「守ってくれるって言ったじゃん」
影狼「今日は調子が悪い、見逃してあげるわ」
犬「(∪・ω・)クゥーン」
影狼「やだやだやだやだやだ待って待ってこないでこないで!!追い払って!追い払ってよっ!」
犬「(∪`Д´)ワンワンッ!わんっ!」
影狼「ワーーーーーン!!!」ダッ
○○「えっ俺置いて逃げちゃう?」

犬「わんわん!」タッタッタッタッ
影狼「ヤダー!追いかけてくるー!」タッタッタッタッ
犬「わんわん!」タッタッタッタッ
影狼「タスケテ-!たすけってっ!た゛す゛け゛て゛ぇ゛!!」タッタッタッタッ
犬「わんわんわんわん!わんわーん!」タッタッタッタッ
影狼「しにだぐないっ!し゛に゛た゛く゛な゛ーい゛っ゛!」タッタッタッタッ

○○「どうどう」ナデナデ
犬「(∪´∀`)ヘッヘッヘッ」
影狼「ありがとう、愛してるわ」ゼェーゼェー
○○「変わり身はやいな君…」

○○「へー子犬って思ったより重いなー」グッ
犬「(∪´∀`)ワンワン」ダッコ
影狼「…」パル…
○○「かげろんも撫でてみなよ、おとなしくてかわいいよ」スッ
影狼「やめ」サッ

○○「ほら」スッ
影狼「やめてください」サッ

○○「…」
影狼「…」アトズサリ

○○「ニヤリ」
影狼「!?」


979 : ○○ :2017/01/28(土) 00:24:30 hTcOmRJc
>>976
早苗さんめっちゃ怖い…

>>978
ワロタ


980 : ○○ :2017/01/28(土) 04:53:22 Am1JkiDQ
ノブレス・オブリージュに囚われて(105)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=39700&n=95
そろそろ次スレ、もう建ててしまっても良いのかな?


981 : ○○ :2017/01/28(土) 08:38:45 hTcOmRJc
長編さん乙です。
大丈夫だと思います。


982 : ○○ :2017/01/28(土) 09:07:30 3nf7IoI.
(やべぇもうすぐ次スレなのに書いてるやつ全然進んでねぇ(;゜ω゜)ま、まぁ次スレまでには完成するやろ、はは、ははは…)


983 : ○○ :2017/01/28(土) 12:54:41 ClbcI6WY
>>947 948
まとめてますアピールうざい。なに?私たちまとめているんだから
お前ら感謝しろよとでも言いたいの?
てゆうかここでグダグダ言ってる暇あるんなら作品まとめろよ。まとめ人としての意識が足りてないんじゃない?
1つの作品ができたらすぐまとめろ見る側や作者にたいして失礼だろ
ここにいるみんなそう思っているからな


984 : ○○ :2017/01/28(土) 13:01:34 .oVYtzhc
ヤンデレに愛されてスレまとめもできないんだろ察してやれ


985 : ○○ :2017/01/28(土) 13:14:10 Y7xK5s.w
その程度でキレんなよ
どんだけ心に余裕がないんだよ


986 : ○○ :2017/01/28(土) 15:29:13 3nf7IoI.
>>983
俺は思ってないよ
失礼もなにもあんたにも礼節だってひとつもないよね


987 : ○○ :2017/01/28(土) 17:19:21 hd7.r8OI
幽香「外は危険よ?」
みたいな感じで、幽香さんは過保護っぽい
同じように幽々子様とか紫様とか
外とあんまり関わってない方は○○を囲い混みそう


988 : ○○ :2017/01/28(土) 19:50:23 kOyohau2
>>987
外に関わっていないってことは、それが出来る力があるってことでしょうね
独り占めすれば、奪われないというのは、とても良いです。

 幻想郷の舞姫

 石炭をば、はや積み果てつ。平成の世にて月日重ぬ折り、我は一人の少女を見たり。年の頃おほよそ
二十歳を越ゆ様に覚へ、金の髪と翡翠の目を持てり。帝国の首都の大通りより筋を入りし裏道にて、
彼女は途方に暮れなぜり。我は彼女に、如何として、ここに居らんと尋ねれど、彼女は頑なに口を
閉ざさすのみ、雪が舞ふ中、薄ひ姿で居るのは寒かろうと言えども、貝の如く口を閉ざしけり。埒が明
かぬとは此の事なれば、我は金の時計を与え、質草にせんとて少女に給ふ。
 次の日に又、我は同じ場所にて彼女に会ふ。我には先日と同じ様に途方に暮るる様に見へ、その日は
近くの食堂に彼女を誘ひたり。平成の世に在れども、未だにオムライスの存在を知らぬ様に見へ、彼女
は初めて食べんとて、黄色の卵を口に運ばん。ケチャップの赤色が頬に飛べし事にも気付かぬ程に、い
と美味しき物でありにけらん。

 更に明くる日、我の姿を見た彼女は此方に向けて微笑まん。先日と同じ様に食事に誘へば、やはり
つひてけり。その日は牛肉屋に連れてゆき、分厚いビフテキをあてがえれば、以前の素っ気無さがまが
ひ物と思わん程の笑顔なり。食後の珈琲を女中に頼み、少女に元の家に帰る様に勧めるも、彼女は家に
戻れなしと言ふ。路銀ならばついでに貸し与えんと言ふも、少女は金子の問題に非ずと言ひけり。
 平成の帝都の折りに帰れんとは、家庭の問題が有らんかと尋ぬるも、やはり少女は違ふと言ひけり。
なれば我には分からぬといへば、少女は己が妖怪だと我に告ぐ。文明開化の音がして早百年、機械の発達
せしこの折りに、妖怪とは我もさては担がれたかと思へど、此の少女はあくまでも真剣であつた。
 それ程までに妖しであると言ふのなら、なれば我が家にて身を寄せんかと尋ぬると、彼女は其れは
願ってもなきことなりと言ひ、かくして我が家に妖しの少女が一人住まわん。
 暫く我とその少女は同棲をせり。その少女は妖怪と言へども見た目は人間と相変わらず、さりとて怪し
げな術を使ひたるかと思えども、さにはあらじ。なれば我も単に少女が住んでいるものと思ひたりて、
そのまま生活を続けたり。二人共に暮らさんば、その少女も此方に心を開きたりて、いつしか懇ろになり
たまひけり。

 或る日我の元に電話が掛りたり。田舎に住まいし我が親は農業を行いけれども、突然の事によりて暫く
の間動けなくなりければ、我が帰りて家を継ぐべしとの事なり。我は以前より畑は面白くなく思ひており、
されば帝都にてホワイトカラーの職に就きたらん。其れを何とぞ考えたるかと、電話口に居る妹に向けて
怒鳴れども、さりとてむべならん。
 田舎に少女を連れて行きたきことは重々であるが、我が故郷は古の場所なれば、そのような所に行けれ
ば返って好奇の目に晒されん。さりとて、この電話を破り捨てたる訳にもいかじと煩悶すれば、少女も我
を訝しみて、訳を尋ねけり。
 少女に隠すことも出来ずに我はその話をせども、少女の方は我に捨てられんと思ひて、すさまじく乱れ
狂わん。さては妖しの力なりと思えども、その力が単に妖力なれば、我の苦境を解決するにあらじ。我は
幾夜も閨にて少女と話せども、吾を見捨て給ふなと少女は言ひ募りて、唯いたずらに月日が過ぎ去らん。
 つひに我が田舎に戻る日と成りて、流石に寄る辺無くなる少女が哀れに思へし我は、少なひながらも
金銭を渡して、少女に達者にせんと言いたり。彼女は、貴方が居らねば達者も何も有りはせんと言ひ、
涙が零れるも、我はそのまま列車に乗りにけり。走りたる列車の窓よりホウムを見返さば、少女は渡した
封筒を地面に落としたまま、そのままずづと立ちにけり。


989 : ○○ :2017/01/28(土) 19:58:48 kOyohau2
新規スレ作成
幻想郷の女の子に愛されて眠れない(東方ヤンデレ)スレ第23夜
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/22651/1485600953/

何か付け足し等ありましたら、お願い致します。


990 : ○○ :2017/01/28(土) 20:01:49 kOyohau2
>>988
続き

 我は田舎にてその後暮らせば、一年経てば田舎での暮らしに慣れにけり。あれだけ嫌がっていた農業も、
すんなりと馴染みたるは我も驚きけり。此の地でも良い縁が出来、このまま暮らしていきしかと思ふとき
に、あの少女が現れり。我は大層驚けども、少女は只ならぬ様子を示し、正に夜叉の如くなり。
 少女は我に、貴方に一年会えず、エリスの如く狂ひたらんと言ふ。少女は椿姫の妖怪なれば、嫉妬の余
り狂いたることなり。一体どふしたと此方が言えば、彼女は我に、邪魔ものを消したりと告ぐ。以前頬に付
けたるはケチャツプなれば、では今の之は何ぞと問わば、彼女は唇を歪めて笑えど一様に答えず。ならば我
の家族は無事かと問へば、人を見るに罵声を浴びせ、日本語すら覚束なし、教養無き様は最早人に有らじ、
それが齢二十を越ゆて生きし様なれば、その人生は貴方の如き人ならじ。さりとて妖しでもなきことなれ
ば、最早其れは人以下の物であらん。さの様な奴を如何せんとて、なんとならんと言へば、我はついに言葉
を失ひて、ただ立ちつくすのみなり。
 そして我は今、地獄の橋の家に居たらん。暖炉は赤々と燃ゆれば、我の前に座りたらん少女の緑の目を
良く照らす。石炭をば早積み果てつ。我が此処よりいでし日は来たらんや。

以上になります。ふと思いついて書いてみた。


991 : ○○ :2017/01/28(土) 21:08:27 RSAjH1VA
最後まで読んで、パルパルであることに気づいた。


992 : ○○ :2017/01/29(日) 00:05:34 sQFDOEW.
ちきゅーティア あなたの幸せが私のしあわせなのよん…そのためならなんでもしちゃうから
→妄信的に○○を慕うタイプ

月ーティア 邪魔者はスッキリお掃除したわ!あなたが私を見ないからいけないの!て言うかあんなのいらないでしょ?
→周りに手を出して囲い込むタイプ

異界ーティア あなたの中じゃ私が絶対的一番なんでしょ?だから私は他の女と何しようが眼中にないわよん?…へぇ…違うのね。ちょっとこっち来なさい。
→さでずむ&ご褒美で○○そのものをねじ曲げるタイプ

みたいなmousouが同時進行出来るあたりにヘカーティアのポテンシャルの高さを感じる…

>>980
読むごとに良い感じに絶望感が濃くなる感じ…いいですぞ…

>>982
首をばんきっきにしてまってますね(ニッコリ

>>987
そのあたりの大妖怪は自分固有の活動エリアがあるから封じ込め安定なんでしょうか
逆に寺に留まらず気ままに放浪してそうなぬえちゃん様は○○の行く先々に出没しそう

>>990
ふとそれが思い付くあたりに高いヤンデレ力を感じる…


993 : ○○ :2017/01/29(日) 13:51:05 Da8kqemg
激しく小ネタ。
相手が誰かはご自由にご想像下さいませ。


あなたには私が相応しい 私が何でもしてあげる

だってあなたは欲しいでしょう? あの子には出来ないあんなこと

あの子がやっても出来ないことを あなたは望んでいるんでしょう?

だから私を選びなさい? あなたが望んでいるのなら


いいから私を選びなさい なんであの子を選ぶのよ

あの子があなたに何をした? あなたに何をあげたのかしら

好きであの子を選んでる? 愛より実績、それが1番よ


私があなたの側にいる 一生ずっと側にいる

あなたは私を選べばいい そうすればあなたは幸せになれる

他の子なんて蹴散らすわ あなたが笑顔になるのなら

だから笑顔を見せなさい 私があなたの『相棒』よ


非想天則やってて負けが込む状態になり始めたら
上位ランクキャラにあま〜い言葉で囁かれます…


994 : ○○ :2017/01/29(日) 22:41:44 Zx1UTsvc
>>992
イイmousouです。

>>993
あの子では出来ない「あんなこと」や「こんなこと」という響きに惹かれてしまいます。

 易経講座 EX

最近僕は紅魔館に、人里の商店で買った物を配達をしている。人里の村人は妖怪に対しての警戒心が
強い所為か、こういった人外の者が住む場所に者を配達するのは、僕らのような外来人がほぼ全てであ
あった。最初はあの吸血鬼が住んでいる場所であるので、「二度と帰って来れない」だったり、「吸血
鬼や魔女の生贄にされてしまう」といった根も葉も無い噂が飛んでおり、商店の店員も散々に僕を怖が
らせてから送りだしたのだが、存外普通のメイド長が対応しており、いつでも逃げ帰れるようにと、巫
女の札を握りしめて訪問した割には、拍子抜けやらあっけにとられるようなものであった。
 その内に慣れて何回も紅魔館に出入りするようになった僕は、他の商店からもこれ幸いと押しつけら
れる様になった商品を運ぶために、しょっちゅう館と里を往復する様になった。今までは人間のメイド長ぐ
らいしか接していなかったが、門番の女性は言われるまでは妖怪と気がつかなかったし、図書館にいた女性
も普通の人間、それも病弱ではっきり言って僕よりも弱い様に見受けられた程であった。流石に司書の
女性は悪魔の翼を持っていたし、当主も吸血鬼であることは一目了然であったが、しかしそれはそれ、
正直自分にとって害が有るものでなければ、何度も目にするうちにどうでも良くなって来るもの-つまり
は慣れというものなのであろう。僕からしてみれば最近里の貸本屋で暴れて、巫女に真っ二つにされて
退治されたという奴に代表される野良妖怪の方が、遥かに人間に危害を加えられそうで危ない気がするし、
図書館に何時も居る彼女がいくら界隈では知られた魔女と言われても、僕にとっては何の感慨も起きない
物であった。


995 : ○○ :2017/01/29(日) 22:42:27 Zx1UTsvc
 ある日何時もの様に、里の霧雨商店からの配達の品物を厨房へ持って行き、その後で香霖堂からの古書
を図書館へ持って行った時、最近では配達ついでに時々紅茶を頂くまでになったパチュリーが、何冊かの
本を机の上に置いているのが目に入った。彼女はいつもの様に、机の上に何冊もの本を置いていただけで
あったののだが、僕はなんだか一冊の本が目に入って気になってしまった。古ぼけた和紙の表紙に、手作
業で作られたのことが良く分かる紐綴じの本、御世辞にも美麗とは言えない本であるが、僕はその本を見か
けた瞬間に、丁度ふとした時に、偶然忘れ物を見つけた様な心持ちがして、僕は彼女に思わず彼女に、その
本を見せて欲しいと言った。
 すると彼女は僕がその本に興味を持った事が分かると、暫く答えを返さずに黙り込んで考えていた。横に
いる司書の女性ですら、話しかけることが出来ない程の圧迫感。何かを決めた様な、真剣な顔をした彼女は
僕に話しかける。
「貴方、この本を知っているの?」
-全然知らない-と僕が答えた返事を聞くと、彼女はまた暫く考える。突然ふわりと空中に、幾何学的な
模様が浮かぶ。魔法をひとしきり僕に掛けた後で、彼女は僕に訳を話す。
「この本は妖魔本なの。」
-ヨウマ、本?-聞きなれない言葉に疑問を返す僕に、彼女は答える。
「ざっくりと言えば、本に特殊な仕掛けがしてある本の事ね。」
-それとも、読んだら呪われる本とでも言った方が良いかしら-悪戯をするかのように、僕の目の前に乗り
出して、挑発するように彼女は言う。
 -君でも手に負えない様な本かい-とあえて此方も煽り返す様に答える。彼女の性格からすれば、ムキに
なってくるのであろうと思いつつ。
「魔女の私の手に負えない訳ないでしょう。私の。」
呆れたように彼女は言う。ならば大丈夫じゃなかいと僕は返すが、彼女は焚書となり、里の貸本屋や香霖堂
から回収された内の一点物だから、貴重なものだと言う。
僕が尚も彼女に迫ると、ならば、と彼女は条件を僕に付けた
一つ、必ず彼女の目の前で読む事 一つ、その本を読む事は紅魔館以外の誰にも話さない事 一つ、この本
を読んで何が起こっても、文句を言わない事。
-呪いで死ぬのかい?-と軽口を叩く僕に、彼女は-そんな物貸すわけ無いじゃない-と冷静に返す。
-それじゃ、大丈夫だ。-と僕は本を読み進めていった。


996 : ○○ :2017/01/29(日) 22:42:57 Zx1UTsvc
沢風大過

 この卦には風の文字が入っています。それはあたかも強い風が吹きつけ、家の柱が撓んでいるかのような場
面を想像すれば良いでしょう。何か強い物が圧し掛かり、その重圧に耐えている様な状況を表しております。
自分の力を越えた様な大変な重みがかかっている場面ですが、その重みに耐えて対策を講じれば苦境は脱出出
来るでしょう。その際には、柱がどっしりと構えて何事にも動じない様に対応するべきでしょう。

占例 沢風大過 五爻

 私がある日客を待っていたところ、一人の死神の女性が飛び込んできました。その女性は大変慌てた様子で
あり、今すぐにとある男性の行方を占って欲しいとの事でした。私としては、その男性の事を十分に聞いてか
ら占いを行った方が確実だと申し上げましたが、その女性はその時間も惜しいとのことでした。そこで私が占
ったところ、沢風大過の五爻という結果と成りました。
 その男性は行方知らずでありましたが、生死すら分からぬという状況でありましたので、まずはそこより易
の神託を見ることとしました。この卦は俗に言う遊魂の卦とされており、魂がどこか彷徨う状況を示しており
ます。まさに生死が不明のその男性と同じ様ですが、死亡を意味する帰魂の卦では無いので、首の皮一枚繋がっ
ていると見ることも出来ます。
 続いて、五爻の中身を原典より参照しますと、「枯れ木に花が咲く様に、年を取った女性が若い男性を夫と
した。」と記載されております。女性からしますと、お叱りを受けそうな中々の書きっぷりですが、これはどう
にかご勘弁願いたく思います。そこで死神の方にはそれらを伝えますと、流石は地獄にお勤めの様で、これだけ
の情報で見当が付いたようです。ひとしきり恐らくは上司の方でしょうか、私ではとても恐れ多くてこの場では
言えない程の方に向けた怒声を叫んだ後、釣りは要らないと代金を叩きつけてあっという間に去って行きました。


997 : ○○ :2017/01/29(日) 22:43:59 Zx1UTsvc
 その後私は、死神の彼女が彼を見つけることが出来たのかと気になり、私は占いを行って様子を覗き見てみま
した。その結果は山風蠱の四爻でした。この山風蠱は古くなった物事を打ち破る卦であり、一見この場合、彼女
にとっては良い結果を暗示するようです。しかし爻の部分を解読するといけません。「前任者の失敗を大きくし
てしまった。」と書かれています。これが三爻や五爻ならば、解決が出来たと予測できるのですが、この場合は
解決できなかったとみるべきでしょう。
 ならば、その後彼女はどうなったのでしょうか。山風蠱は先に書いた通りの帰魂の卦であります。ここでは
六爻に至る時に命運が尽きる、つまり彼女の命は尽きていないと考える事も出来ますが、相手の方はそれ程生易
しい相手では無いと思われます。その点を踏まえて山風蠱の成り立ちを考えることが適切でしょう。
 果たしてこの卦は、何かが腐敗して虫が湧く様な状況を表しております。恐らくは死神の女性は・・・。私は
惨すぎてこれ以上、ここで書く事が出来ません。ああ、この占いは是非に外れて欲しいと存じます。


 酷い話を見てしまい、彼女はどうすれば良かったのかと、横で読んでいるパチュリーに思わず尋ねてしまう。
私の微かな狼狽を感じたであろう彼女は優しく答える。
「易経には、三日前に準備を終わらせるように、と書かれているわ。つまり、事前の準備をしっかりしてから
臨めってことね。同じ事は争いを示す他の卦でも記されているわ。結局、何かを成し遂げたければ準備をして
から本番に臨むべきって事ね。」
彼女の目は深く優しく、僕には見通せなかった。

以上になります。いよいよこのスレも終わりになりました。


998 : ○○ :2017/01/30(月) 23:09:10 wuEd..ro
なんやかんやあった後に○○が記憶喪失になってみた

霊夢

「あら、どうしたの紫。
 顔色が悪いようだけど」
「…え?」


「大丈夫…○○?」
「私がちゃんと巫女のお勤めをしていればこんなことにならなかったのに…ごめんね…」
「『多分、あなたは悪くない』…? ○○はいつでも優しいんだね…」


「どうしたの、紫? 『元凶』を見つけた?
 ふーん…こいつが○○を襲ったのね」
「ちょっと話が出来すぎてる感あるけど…まあ、これも必要な犠牲よね」


「どうしたの? 『異変の元凶』さん? 『頼まれてやっただけ』? そう、それで?」
「私からすれば誰に頼まれようが何しようが人間に危害を加えた時点であなたは退治すべき対象なのよ」
「何々…『俺は八雲紫に頼まれてやっただけ』? 『お前は騙されてる』? そう」
「じゃあ、あんたを退治した後に八雲紫も退治すれば良いわけね」
「大丈夫よ…あとであなたの依頼主も同じところに送ってあげるわ」


「片付けてきたわ、紫。 ええ、紫が言ってた通りのことしか言ってなかったわ」
「それにしても凄い考えね。 外の世界の記憶があるから逃げ出すというなら、記憶喪失にしちゃえだなんて」
「分かってるわ。 紫が義理の母で、私がその娘。 で、○○はこの幻想郷で私達家族の元で暮らしてた」
「これでもう、誰かに取られる心配はないわけね」
「ありがとう、『お義母さん』」




「彼を私のものにするのに一番楽な方法、それでいてかつ
 出来る限り彼の反抗の可能性を削るには…記憶喪失が良さそうね」


「ねえ霊夢、こういう筋書きを考えたんだけど…」
「そう、了承してくれるのね。
 分かったわ、手頃な妖怪に襲撃をさせることにしましょう」
「一番良いのは彼を傷つけないことだけど…ショックを与えた方が記憶は飛びやすいらしいし…」
「それに、私や霊夢が彼を傷つけたらお互い、殺しあっちゃうかもしれないじゃない?」


「ねえ、そこのあなた? 私は妖怪の賢者、八雲紫。 あなたに用件があるの」
「簡単な話よ。 3日後にこの道を歩いている人間を襲撃してちょうだい」
「大丈夫よ、襲撃するにあたって面倒な護衛とかはいないから」
「…もしもの時用にあなたにちょっとした術くらいは掛けてあげるわ」
「さあ、勤めを果たしなさい?」


「あら、どうも○○。 今日はちょっとお話があってここにきたの」
「なんてことはないわ。 3日後の夜に宴会があるから来て欲しいという話よ」
「あ、夜に来ると流石に危ないから昼ごろに先に霊夢の神社に来て待機しているのが1番だと思うわ。
 あの子のそばにいれば厄介ごとに巻き込まれる心配も無いでしょうし」
「そう、来てくれるのね。 ありがとう」
「あ、何かあっても良いようにまじないを掛けておくわ」


「ふむ…妖怪は問題なく待機中。 ○○も向こうから来てるわね」
「…予定変更。 2人とも、喰らいなさい」
「やっぱり誰かも知らない馬の骨には任せておけないわ。
 それにしっかりまじないは掛けてあるから私の弾幕を喰らったところでどうにもならないし」
「さて、○○の記憶の境界を弄って…そろそろ大慌てで宴会に行きましょう」


「大変よ霊夢!! ○○が!!」
「えぇ…妖怪に襲われたみたいなの、怪我はそれほどでもないけど…
 もしかすると…記憶は失ってるかもしれないわ」
「ただの人間を呼ぶなら警戒しておくべきだったわ…わたし、と、したことがぁ!」
「あら、私泣いて…だ、だいじょうぶよ。 ありがとう…萃香」


「…霊夢、こいつが今回の異変の『元凶』よ。
 今までの奴と比べると悪人面に、小物っぽい理由。実に分かりやすいわね」
「ええ。 ○○には守護のまじない、『元凶』には脱力のまじないを掛けておいたわ。
 万が一の事を考えてね」
「ああ、『元凶』さんなら既に別室に捕まえておいてあるわ。
 あとは人間の手で『解決』すれば全て終わり」


「無事に『解決』できたみたいね」
「さて、○○との関係についてだけれど…」
「えぇ、その通り。 流石ね、『霊夢ちゃん』」

記憶を無くされて何もわからぬまま幻想少女に愛されてみたいものです
…だって、怖かったという経験がなければ…何も怖くないでしょう?


999 : ○○ :2017/01/31(火) 11:22:13 dh2t.g6A
菫子「これからもずっと一緒だよ…ずっとずっと…スレが終わっても逃がさないからね…」





大人になっても?

菫子「そうだよ、次のスレでも次の次のスレでもずっと一緒だよずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとッッッッと…」

それってプロポーズってことでいいのかな?

菫子「  ェ  」

結婚って意味じゃなかった?

菫子「!?!?!?え、いや、えっと、あー、うぅ、ち、違う!」

おいどん、ショック

菫子「まだ…そういうの困るけど…せっ…先輩がし、たい…なら…」

ウサミン氏はしたくないの?

菫子「……する……」

そっか、じゃあそうなれるように付き合っていこうね

菫子「……」コク


1000 : ○○ :2017/01/31(火) 12:38:17 Yc1halp2
埋めネタ幻想郷アメリカンジョーク

Q スカーレット姉妹と古明地姉妹の共通点は何か?

A 姉と付き合って妹と浮気すると次の日の朝にバレること

Qもう一つの共通点は?

A 妹と付き合って姉と浮気すると、バレた次の日の朝を拝めないこと

幽香にとっては人間は二種類に分けられる

○○と其れ以外

Qなら、○○に好意を寄せるライバルは?

A貴方害虫を人間扱いするの?

三人の男が自分の妻を自慢していた。
「僕の妻の紫は、能力で何でもしてくれるんだ」

「いやいや、僕のさとりは、いつも俺の考えていることをしてくれるんだ」

「甘いね。うちの奥さんは、俺が浮気した時には、苦しまずに一思いにやってくれるぜ」


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