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彡(゜)(゜)「ワイは菅野直。日本帝国海軍の撃墜王や」
1
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:13:05 ID:W45WTdPQ0
“雲は天才である〟
彡(●)(●)「なにしてくれとるんじゃゴラァ!!!」=◯)`3゜)∵
彡 •⌄• )「そうよ、やっちゃえチョク兄ィ!」
彡 •⌄• )「ワタシは菅野カズコ」
菅野家の末娘
今、ワタシたちは報復活動の真っ最中なの
2
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:14:32 ID:W45WTdPQ0
(〃`3´〃)「お前!オレは上級生やぞ!!」
(〃`3´〃)「年上に手を出していいと思っとるんか!?」
彡(●)(●)「思っとるわボケェ!!!」=◯)`3゜)∵
彡 •⌄• )「そうよ、たかが数年はやく産まれたぐらいで偉そうに!」
そしてこの大暴れしているのがワタシのお兄ちゃん
3
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:15:22 ID:W45WTdPQ0
彡(゚)(゚)←菅野 直(カンノ ナオシ)
体は小さいけど俊敏でケンカに強い、明るい性格のガキ大将
直と書いて『なおし』と読むのだけど、言いにくいから
ワタシはチョク兄ィって呼んでるわ
4
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:16:12 ID:W45WTdPQ0
彡(゚)(゚)「てめえ、よくもワイの尊敬する巌兄ィをいじめてくれたな」
彡(●)(●)「これはその仕返しじゃ!!!」=◯)`3゜)∵
川´_ゝ`)「はぁ、はぁ……やっと追いついた…」
彡 •⌄• )「あ、巌兄ちゃん!」
5
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:17:34 ID:W45WTdPQ0
川´_ゝ`)←菅野 巌(カンノ イワオ)
名前の荘厳さと違って、すごく優しい菅野家の長男
学校の成績は常にトップで品行方正の優等生
でも……おとなしいからいじめられてたみたい
彡 •⌄• ) .。oO(そんなの許せない!)
チョク兄ィも同じ気持ちだったみたいで
一緒にこうやっていじめっ子に復讐してるの
6
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:18:15 ID:W45WTdPQ0
川´_ゝ`)「直、もういいから…」
彡(゚)(゚)「ふんっ、巌兄ィが言うならこれで仕舞いや」
彡(•)(•)「次やったらこんなもんじゃすまんからな……」
ε=ε= (〃"°3゜〃)「ひぃいいい」
彡(゚)(゚)「口ほどにもない奴やで」
川´_ゝ`)「直……気持ちは嬉しいけど、やりすぎだよ」
彡(゚)(゚)「でもやな……」
川´_ゝ`)「直……」
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡(-)(-)……
彡(゚)(゚)「うん、ワイがやりすぎた。反省するわ」
7
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:19:02 ID:W45WTdPQ0
彡 •⌄• )「えー!チョク兄ィは悪くないわよ」
彡(゚)(゚)「ええんやカズコ。巌兄ィの言う通りや」
彡 •⌄• ) .。oO(なによ!もう……)
チョク兄ィはいっつもこう
絶対に巌兄ちゃんには逆らわないんだから……
川´_ゝ`)「さあ、家に帰ろうか」
ワタシは二人の兄に挟まれて阿武隈川の土手沿いを歩いて帰った
8
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 00:20:48 ID:HKdhkx5s0
やったぜ
9
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 08:06:01 ID:.Y50zeqE0
史実に基づく作品なんだね。楽しみ。
10
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:04:55 ID:CqsdjXbc0
ワクテカ
11
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:42:59 ID:W45WTdPQ0
彡( 'ー`)「カズコ!なにその箸の持ち方は!!」
彡 •⌄• )「なによ!食べれてるんだからいいじゃない!!」
彡( 'ー`)「口答えしないの!!!」
彡( 'ー`)「お姉ちゃんのようにちゃんとしなさい!!」
川◦-◦)「カズコさん……お母さまを怒らせないで……」
彡 •⌄• )「嫌よ!」
母さまはとても厳しい人だった
箸の上げ下ろしから日常の立ち振る舞いまで口を出してきた
12
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:44:39 ID:W45WTdPQ0
かほるお姉ちゃん 川◦-◦)なんて初めての子だったから
特に厳しく躾けられて
親には絶対服従、口答えなんてもってのほかって考えが染み付いちゃって
親の顔色をうかがう、無口な子になっちゃった
彡 •⌄• ) .。oO(そんなのおかしいわ!)
かほるお姉ちゃんはとても温和で優しい人なのに!
チョク兄ィなんてその優しさに甘えて
中学生になるまでずっと添い寝をして貰ってたのよ
彡 •⌄• ) .。oO(あ……これは内緒だったわ)
13
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:45:37 ID:W45WTdPQ0
彡 •⌄• ) .。oO(でも、母さまは……他人の面倒見はいいのよ!)
畑を手伝いに来てくれる人にはご飯を勧めたり
寒い時には火をくべて暖を取ってもらったり
貧しい子供がいたらお小遣いをあげたり
いい人ではあるのよ!
14
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:46:22 ID:W45WTdPQ0
彡 •⌄• ) .。oO(でも、あの仕打ちだけは忘れられないわ!)
友達と遊んでたとき
その友達の服がみすぼらしいからって
ワタシの着ていたワンピースを
彡( 'ー`)「今すぐ脱いで、その子にあげなさい!!」
彡 •⌄• )「って強制されたのよ!」
あのワンピースとてもお気に入りだったのに!
15
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:47:04 ID:W45WTdPQ0
たしかにワタシたちの父は元警察署長だったから
周りと比べてそれなりに裕福な生活をしているわ
でも、よその子にそこまで親切にするなら
彡 •⌄• )「実の子にもっと優しくしてくれてもいいじゃない!!」
16
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:48:48 ID:W45WTdPQ0
ある雨の日
ワタシは友達を家に招いて遊んでいた
彡 •⌄• ) ( •⌄• ) ( •⌄• )『キャッキャキャッキャ♪』
彡(゚)(゚)「カズコ、友達か?」
彡 •⌄• )「ええそうよ」
( •⌄• ) ( •⌄• )「こんにちわー」
彡(^)(^)「いらっしゃいやでー」
17
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:49:28 ID:W45WTdPQ0
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィは男女とわず後輩の面倒見がよかった)
男の子が戦争ごっこをしている時でも
女の子がいれば看護婦役として一緒に遊んでくれた
18
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:50:09 ID:W45WTdPQ0
彡(゚)(゚)「雨やと外で遊べんから残念やな」
彡 •⌄• )「そうなの……本当は鬼ごっこしたかったんだけど」
彡(゚)(゚)「ん?鬼ごっこなら家の中でもできるやろ」
彡 •⌄• )「え…」
彡(゚)(゚)「こうやって家中の戸を開けてやな」
バーン
川´_ゝ`)「ん?」
バーン
川◦-◦)「え?」
19
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:50:49 ID:W45WTdPQ0
彡(゚)(゚)「巌兄ィもかほる姉ェも一緒に遊ぼうや」
彡(^)(^)「ワイが最初の鬼になったる」
ฅ(゚)(゚)ฅ「がおー」 ε=川◦-◦)川´_ゝ`) ε= ( •⌄• ) •⌄• )彡 •⌄• )
ワタシたちは夢中になって家中を駆け巡った
20
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:51:24 ID:W45WTdPQ0
彡 •⌄• ) .。oO(直兄ィはいつもこんな感じ)
いつまでたっても幼くてわんぱく
そして……とても優しかった
だけど……
21
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:52:02 ID:W45WTdPQ0
彡(゚)(゚)「せや、隣に住んどる甲一くんも呼んだろ」
彡(゚)(゚)「おーい屁こきの甲一、お前もこっちこいや」三3ブッ
彡 •⌄• )「友達がいるんだからそんな下品なことやめてよ」
彡(゚)(゚)「カズコ、お前もやるんや!」
彡; •⌄• )「えっ…嫌よ……」
彡(゚)(゚)「逃げるんか?」
彡`•⌄•´)「……逃げないわよ!」
彡`•⌄•´) 「やーい屁こきの甲一、こっちにいらっしゃい!」……
22
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:52:56 ID:W45WTdPQ0
川◦-◦)「カズコさん、はしたないですよ」
川´_ゝ`)「コラ、直。女の子にそんなこと言わせたらダメだろ」
彡(゚)(゚)「……ごめんなさい」
彡 •⌄• )「……ごめんなさい」
彡(ꐦ 'ー`)「コラァ!!近所中に大声でなにを言ってるの!!!」
彡 •⌄• )「やば……」
彡(゚)(゚)「本物の鬼や……」
彡(゚)(゚)「みんな、逃げるんやー」
彡(ꐦ 'ー`) ε=彡(゚)(゚) ε=川◦-◦)川´_ゝ`) ε= ( •⌄• ) •⌄• )彡 •⌄• )
23
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 18:53:29 ID:W45WTdPQ0
この後、ワタシたちは母さまに捕まってものすごく怒られた
主犯のチョク兄ィは庭先にあった柿の木に縛り付けの刑にされた
巌兄ちゃんは「俺が悪かったから堪忍して」と母さまをなだめていた
┃木┃
川;´_ゝ`) 彡(ꐦ 'ー`)彡;(゚)(゚)
24
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:12:22 ID:W45WTdPQ0
ある日
彡(゚)(゚)「はーマラソンなんてやっとられんで……」
彡(-)(-)「木陰で寝とろ」
( ゚Д゚)「菅野!なにをサボっとるか!」
彡(゚)(゚)「やば、体育教師に見つかってもうた」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「逃げたろ」
ε= (ꐦ゚Д゚)「コラァ!待てえぇ!!」 ε=┏彡(゚)(゚)┛
25
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:13:02 ID:W45WTdPQ0
彡; •⌄• ) .。oO(騒がしいと思ったら……)
チョク兄ィが校庭を猛然と走ってる
相手は体育の先生で運動が得意なはずなのに……一向に追いつけない
そして、そうこうしているうちに授業は中断され
全校生徒がこのレースを観戦し始めた
グラウンドを一周、二周してもチョク兄ィの独走は止まらない
でも、三周と半分をまわった所でチョク兄ィは足を止めた
26
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:13:54 ID:W45WTdPQ0
彡(゚)(゚)「もうええわ……今日はこの辺にしといたる」
(;゚Д゚)「ゼィ……ゼイ……」
(ꐦ゚Д゚)「お前は何様じゃ!!」ボカッ
彡;(-)(-)「痛っ!!」
( ゚∀゚)゚∀゚)゚∀゚)アハハハハ
この騒動に学校中が笑いに包まれた
27
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:40:48 ID:W45WTdPQ0
夜中
(〃`3´〃)「これより肝試し大会を始める!」
(;´Д`);´Д`);´Д`)ヒイイイイイイ
彡(゚)(゚)「ほーん」
28
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:41:30 ID:W45WTdPQ0
(〃`3´〃)「この先の寺に硯と筆と紙が置いてある」
(〃`3´〃)「そこに自分の名前を書いてこい!」
(〃`3´〃)「後で確認したときに字が震えていたり……」
(〃`3´〃)「名前がなかったりする臆病者は……」
(〃`3´〃)「非国民だ!」
(;´Д`);´Д`);´Д`)ヒイイイイイイ
彡(゚)(゚)「ほーん」
(〃`3´〃) .。oO(直め……この前の恨み忘れてないぞ……)
29
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:42:07 ID:W45WTdPQ0
三十分後
彡(゚)(゚)「よし、ワイの番やな」
彡(゚)(゚)/「ほな、行くで」
途中
(〃`3´〃)「ばあ!!」
彡(゚)(゚)……
彡(●)(●)「幽霊の恰好ぐらいしてこいや!!!」=◯)`3゜)∵
ε=ε= (〃"°3゜〃)「ひぃいいい」
彡(゚)(゚)「ホンマ芸のない奴やで……」
30
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:42:45 ID:W45WTdPQ0
途中
川д川「うらめしや〜」
彡;(゚)(゚)「なんや……雰囲気が出とるな」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「けど、よう見たら別嬪さんやな」
川д川「……///」
彡(゚)(゚)「女子が夜に外に出とったら危ないで」
彡(゚)(゚)「はよ帰り」
川д川 コクン
※パッ
彡(゚)(゚)「おお!消えよったで。どんなトリックやろ」
31
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:43:29 ID:W45WTdPQ0
寺
(〃`3´〃) .。oO(直め……このまま終わらせはせんぞ)
彡(゚)(゚)「お!これに名前を書くんやな……」
彡(゚)(゚)「あれ?」
(〃`3´〃) .。oO(ヒヒヒ、墨を空にしてやったわ)
水もないから炭を擦って新たに作ることもできない
さあ、直
これでお前は明日から人気者から
名前を書けなかった臆病者に転落だ!
32
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:44:08 ID:W45WTdPQ0
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「おしっこちー」
(;〃゜3゜〃) .。oO(は?硯に小便をはじめたぞ……)
彡(゚)(゚)「炭を擦って……」
彡(^)(^)「よっしゃ!これでおしっこ墨の完成や!」
彡(゚)(゚)「後は名前をバシッと書いて……よし!」
彡(゚)(゚)「帰ろっと」
(;〃゜3゜〃) .。oO(なんて奴だ……)
33
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:44:38 ID:W45WTdPQ0
菅野家
彡(゚)(゚)「ただいまやでー」
彡 •⌄• )「おかえりチョク兄ィ」
彡(゚)(゚)「なんや?まだ起きとったんかい」
彡 •⌄• )「うん!それで肝試しはどうだったの?」
彡(゚)(゚)「大した事なかったわ」
彡 •⌄• )「へーさすがチョク兄ィ……あれ?」
彡 •⌄• )「ねえ、後ろにいるお姉さんは誰?」
34
:
名無しさん
:2024/05/16(木) 20:45:05 ID:W45WTdPQ0
川д川
彡(゚)(゚)「お姉さん?」チラッ
※パッ
彡(゚)(゚)「そんなのどこにもおらんやんけ」
彡; •⌄• )「あれ……いない……見間違いかな?」
彡;(゚)(゚)「怖いこと言うなや……はよ寝るで」スタスタスタ
彡; •⌄• )「う、うん」スタスタスタ
川д川 パッ!
35
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 00:10:50 ID:N3UTGSdo0
乙
憑かれてるじゃないかwww
36
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:13:28 ID:avhTS1qg0
彡 •⌄• )「あちゃー川が氾濫して橋が壊れちゃってる……」
彡(゚)(゚)「台風のせいやな」
彡; •⌄• )「これじゃあ……学校に行けないわね」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「いや……行ける!」
彡; •⌄• )「え?」
彡(゚)(゚)「カズコは村の皆に橋が壊れとることを伝えるんや」
彡(゚)(゚)「ワイは泳いで学校の先生に休校にするよう言ってくる」
37
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:13:57 ID:avhTS1qg0
彡; •⌄• ) .。oO(チョク兄ィはいったい何を言っているの??)
だって、川幅はだいたい300m
壊れた家の屋根や柱、他にもいろいろなモノがすごい勢いで
流れてきているのよ……
こんな濁流の中を泳げるわけないじゃない……
38
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:14:27 ID:avhTS1qg0
彡(゚)(゚)「前方よーし!ワレ菅野直、飛び込み断行す!」
バシャン!!
彡; •⌄• ) .。oO(あわわわわ……)
本当に飛び込んじゃった……
ど、どうしよう……大人に伝えに行く?
けど、その間にチョク兄ィが溺れて流されたら……
39
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:14:58 ID:avhTS1qg0
( ゚∋゚)「おはよう、カズコちゃん」
彡 •⌄• )「あ!幸雄くん」
( ゚∋゚)←彼は玉藤 幸雄(タマフジ ユキオ)
チョク兄ィがもっとも心を許している親友
とても読書家で自分でも詩や小説を書いている
40
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:15:42 ID:avhTS1qg0
Σ( ゚∋゚)「チョク!なにしてんだあいつ!!」
彡; •⌄• )「泳いで学校まで行くって飛び込んじゃったの」
彡 •⌄• )「ワタシ、大人の人を呼んでくるから……」
( ゚∋゚)「ふっ彼らしい……ボクも負けていられないな」
彡; •⌄• )「え?」
( ゚∋゚)「とうっ!」
バシャン!
彡; •⌄• )「えぇ…」
なに?男ってみんな……
バカなの?アホなの?死にたいの?
41
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:16:21 ID:avhTS1qg0
(; ゚∋゚)「チョ、チョクー!」
彡;(゚)(゚)「お!ユッキー。来てくれたんか……」
彡;(^)(^)「心強い味方を得たで!!」
彡;(゚)(゚)「でも、ゆっくりしていては波に呑まれる!」
彡;(゚)(゚)「速攻でいくで!」
(; ゚∋゚)「応!!」
彡 •⌄• )「すごい……」
対岸の堤防まで泳ぎきっちゃった
42
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:16:44 ID:avhTS1qg0
彡(゚)(゚)「よっしゃ!ユッキーまだいけるな?」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
ε=┏( ゚∋゚)┛ε=┏彡(゚)(゚)┛
と、走って行っちゃった
43
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:17:27 ID:avhTS1qg0
一時間後
彡(#゚)(゚)「ただいまやでー」
彡 •⌄• )「おかえり……どうしたのその傷?」
彡(#゚)(゚)「教師に『こんなときに泳いで来るなんてアホか!』って」
彡(#゚)(゚)「叱られて殴られたんや」
彡(#゚)(゚)「せっかく命からがら伝えたのにふざけた話やで」
彡 •⌄• ) .。oO(それは……先生が正しいと思う)
44
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:17:55 ID:avhTS1qg0
彡(; 'ー`)「あんたたち!」
彡( 'ー`)「よかった……学校に行かずに退き帰したのね……」
彡(#゚)(゚)……
彡 •⌄• )……
彡 •⌄• )「母さま……何をそんなに慌てているの?」
彡( 'ー`)「実はね……川の様子を見に行った警察官の方が……」
彡( 'ー`)「溺れて……亡くなったの……」
彡(#゚)(゚)……
彡 •⌄• )……
45
:
名無しさん
:2024/05/17(金) 20:18:23 ID:avhTS1qg0
彡( 'ー`)「危ないから、しばらく川に近づいちゃダメよ」
彡(#゚)(゚)「はーい」
彡 •⌄• )「はーい」
彡(#゚)(゚)……
彡 •⌄• )……
彡(#゚)(゚)「ワレ九死に一生を得り」
彡 •⌄• )「カッコつけて終わらせようとしないの!!!」
彡ꐦ •⌄• )「もうこんな危ないことしちゃダメだからね!!」
彡(#゚)(゚)……
彡ꐦ •⌄• )「返事は!!!」
彡(#゚)(゚)「はい……」
46
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:06:17 ID:PhNWe7Sk0
菅野家
( ゚∋゚)「チョク、準備はできたか?」
彡(゚)(゚)「バッチリやで」
彡(゚)(゚)ノ「ほな、行こか」
彡 •⌄• )「待って!」
彡(゚)(゚)「どうしたんやカズコ?」
彡 •⌄• )「遊びに行くならワタシも連れてって」
彡(゚)(゚)「……ええか?ユッキー」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
彡 •⌄• )「やったー!」
彡 •⌄• )「それで、どこにいくの?」
彡(゚)(゚)「台風で壊れた、橋の所や!」
47
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:06:46 ID:PhNWe7Sk0
彡; •⌄• ) .。oO(え……)
なにか嫌な予感がするけどワタシは二人について行った
幸雄くんは白い布と木製の薙刀を
チョク兄ィは笛といい感じの棒きれを携えていた
いったい何をするつもりなんだろう?
48
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:07:19 ID:PhNWe7Sk0
壊れた橋
彡 •⌄• )「まだ修理の途中みたいね……」
左右に細い高欄があるだけ
通行用の板は、はがされたままだわ
彡 •⌄• )「ねえ、チョク兄ィ……」
彡 •⌄• )「なにして遊ぶの?」
彡(゚)(゚)「義経、弁慶ごっこや」
彡(゚)(゚)「それじゃあ始めるで」ヒョイ
彡 •⌄• )「あ!危ない!!」
チョク兄ィは高欄の上に飛び乗ると
ピーヒャラと笛を奏で始めた
49
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:07:44 ID:PhNWe7Sk0
すると、白い布で顔を覆った幸雄くんが威風堂々と仁王立ちし
( ゚∋゚)「我こそは武蔵坊弁慶なり!」
( ゚∋゚)「其方が黙って刀を渡すならそれでヨシ!」
( ゚∋゚)「刃向かうのであれば力強くで奪うまで」
( ゚∋゚)「さあ!どうする!?」
彡(-)(-)ピーヒャラ♪
( ゚∋゚)「なるほど……聞く耳持たんと言うことだな」
( ゚∋゚)「ならば!」
と幸雄くんは勢いよく薙刀を振った
それをチョク兄ィは大きくジャンプして避け
いい感じの棒きれを降り下ろしながら着地した
50
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:08:15 ID:PhNWe7Sk0
(; ゚∋゚)「やりよる……」
(; ゚∋゚)「其方の名を聞こう……」
彡(-)(-)「ワイの名は……」
彡(゚)(゚)「菅野直や!」ドヤァ
彡 •⌄• )……
( ゚∋゚)……
彡;(゚)(゚)「しまった……」
彡;(゚)(゚)「つい本名を名乗ってもうた……」
51
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:08:44 ID:PhNWe7Sk0
(⌐⦿_⦿)「コラァ!そこでなにをやっとるか!!」
彡;(゚)(゚)「くっ警察まで来よった……」
彡;(゚)(゚)「捕まったら面倒や……」
彡(•)(•)「逃げるんや!!」
彡 •⌄• )「うん!」
( ゚∋゚)「応!」
ワタシと幸雄くんは同じ方向に逃げた
でも、チョク兄ィは細い高欄に再び飛び乗ると
そのまま悠々と渡って行く
52
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:09:09 ID:PhNWe7Sk0
(;⌐⦿_⦿)「危ないから止めなさい!!」
との警察の言葉もなんのその……
チョク兄ィは難なく橋を渡り終え、そのまま逃げていった
チョク兄ィが警察の目を引いてくれたおかげで
ワタシと幸雄くんも無事に逃げることができた
でも……
幸雄くんのように顔を隠していたわけでもなく
まして、大声で名乗りを上げたチョク兄ィはその後、すぐ捕まり
大目玉を喰らう羽目になった
53
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:09:48 ID:PhNWe7Sk0
彡(-)(-)「ワイの名は……」
彡(゚)(゚)「石川啄木や!」ドヤァ
彡 •⌄• )「なに?どうしたの?」
彡(-)(-)「……」
彡(゚)(゚)「ワイは石川啄木の生まれ変わりや!」
彡; •⌄• ) .。oO(なにか変なものでも食べたのかしら?)
ちなみに、石川啄木は詩人よ
『はたらけどはたらけど 猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る』
が有名ね
54
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 11:10:17 ID:PhNWe7Sk0
彡(-)(-)『ここ四日 君と会わざり さびしさに』
彡(゚)(゚)『忘名草も 萎えにけり』
彡 •⌄• ) .。oO(恋人でも出来たのかしら?)
彡(-)(-)『平和なる 陽の日かがやく あしたなり』
彡(゚)(゚)『魚もとめて 童子あそぶも』
彡 •⌄• ) .。oO(いい詩ね……)
彡(-)(-)『吸という字を 書きければ』
彡(゚)(゚)『啄木の 啄という字に 似てしまうかも』
彡; •⌄• ) .。oO(日本語でOK?)
55
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:16:08 ID:ylykrhAQ0
ドリフターズ読んでから菅野直めちゃくちゃ好きだからたすかる
乙
56
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:32:08 ID:PhNWe7Sk0
ある日、チョク兄ィはとある先生をボコボコに袋叩きにしてしまった
その理由は軍事教練のために派遣されていた
井上少佐の悪口を言ったからだと言う
このことで父さまも学校に呼ばれて注意を受け
チョク兄ィを叱ったが
それでも
彡(●)(●)「ワイは悪くない!!」
と主張し部屋に閉じ籠もってしまった
57
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:32:39 ID:PhNWe7Sk0
夜中
彡 •⌄• )「チョク兄ィ?」
彡(゚)(゚)「ん?カズコか……」
彡 •⌄• )「隣に行っていい?」
彡(゚)(゚)「……ええで」
彡 •⌄• )「はい、コレ。お腹空いてるでしょ」
彡(゚)(゚)「おにぎりか……」
彡 •⌄• )「うん、川◦-◦)お姉ちゃんが持っていってあげてって……」
彡; •⌄• )「あと激おこの母さまは……」
彡 •⌄• )「川´_ゝ`)お兄ちゃんがなだめてくれてるわ」
58
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:33:06 ID:PhNWe7Sk0
彡(゚)(゚)……モグモグ
彡 •⌄• )……
彡 •⌄• )「……ねえ、なにがそんなに気に入らなかったの?」
彡(-)(-)……
彡(゚)(゚)「聞いてくれるか?」
彡 •⌄• )「うん!」
彡(゚)(゚)「あのクソ教師な……井上少佐のことを……」
彡(゚)(゚)「人殺しが偉そうにってほざいたんや」
彡(゚)(゚)「お国のために命をかけとる軍人に……」
彡(゚)(゚)「言っていい言葉とちゃうやろ」
59
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:33:38 ID:PhNWe7Sk0
彡(゚)(゚)「もののあわれを知らない奴が教師をしとるなんて……」
彡(゚)(゚)「そっちの方がおかしいわ」
彡 •⌄• )「もののあわれ?」
彡(゚)(゚)「うーん……なんて言ったらいいもんか……」
彡(゚)(゚)「人としての心……悲しみを解する心のことや」
彡 •⌄• )「ふーん」
60
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:34:15 ID:PhNWe7Sk0
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィは……)
その破天荒な行動から傍若無人で乱暴な人として思われがちだけど……
文学を愛する、とても繊細な心の持ち主だった
ある時、同級生のお兄さんで文学仲間だった月くんという子が
病で亡くなったことがあった
61
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:34:42 ID:PhNWe7Sk0
月くんの家は……その……ちょっと色々あって
近づこうとする人は少なかった
だから、チョク兄ィが月くんの葬儀に参加することを家族は反対した
それでも、反対を押し切りチョク兄ィは一人で参列した
そして兄を失い落ち込む同級生に
彡(゚)(゚)「辛いやろうけど、明日からちゃんと学校に来るんやで」
彡(゚)(゚)「ワイが待っとるさかい!」
彡(゚)(゚)「独りで抱えこまず、一緒に泣こうや……」
と声をかけた
62
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 14:35:06 ID:PhNWe7Sk0
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィはよくこう言った……)
『友の喜びにはゆっくり行き、友の悲しみには急ぎ行くべし』
彡(゚)(゚)「ワイらは喜びを共にできんくとも……」
彡(゚)(゚)「悲しみは分かち合わなアカン!」と
63
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 17:17:16 ID:PhNWe7Sk0
彡 •⌄• )「チョク兄ィ!外が大変なことになってる!」
彡(゚)(゚)「ファッ!すごい雪やんけ!」
彡 •⌄• )「どうする?学校、休んじゃう?」
彡;(゚)(゚)「そうしたいのはやまやまやが……」
彡;(゚)(゚)「今日は大事なテストの日なんや……」
彡(゚)(゚)「そんなわけで、さっさと行くで」
彡 •⌄• )「えー!」
水分をたっぷり含んだ雪の重みに堪えかねた竹がたわんでいる
そんな中でもワタシたちは進んだ
すると、途中でチョク兄ィの同級生と出会った
64
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 17:17:53 ID:PhNWe7Sk0
彡(゚)(゚)「お!佐々くんやんけ!」
( ゚∀゚)「おお!チョク、おはよう」
彡(^)(^)「おはようやで!」
彡(゚)(゚)「ん?足を引きずっとるけど……どうしたんや?」
(; ゚∀゚)「それが、雪で隠れていた溝に足を突っ込んでしまって…」
彡;(゚)(゚)「ファッ!それは大変やんけ!」
彡;(゚)(゚)「ほれ、肩、貸したるわ」
(; ゚∀゚)「気持ちは嬉しいが……」
(; ゚∀゚)「オレに合わせてたらチョクが遅刻してしまう」
(; ゚∀゚)「オレのことはいいから……先に行け」
彡(●)(●)「アホか!友を見捨てられるかい!!」
Σ(; ゚∀゚)
彡(゚)(゚)「ほれ、遠慮せずに早うつかまり」
( ゚∀゚)「……すまん」
65
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 17:18:26 ID:PhNWe7Sk0
一時間後
(; ゚∀゚)「完全に遅刻だな」
彡(゚)(゚)「別にテストなんてどうでもいいわ」
彡 •⌄• ) .。oO(口ではああ言ってるけど……)
チョク兄ィは学校の勉強をとても大事にしている
成績も常にトップクラス
だけど……皆、そのことを不思議がっていた
なんでいつも夕暮れまで遊んでいるのに
あんなにいい成績が取れるのかと
66
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 17:18:55 ID:PhNWe7Sk0
いつだったか幸雄くんに聞かれたことがある
( ゚∋゚)「チョクはいつ勉強しているんだい?」
彡 •⌄• )「それは……内緒よ!」
( ゚∋゚)……
( ゚∋゚)「お菓子をあげるよ」
彡 •⌄• )!
彡 •⌄• )「モグモグ……」
彡 •⌄• )「毎日、夜中の2時か3時ぐらいまで勉強してるわ」
Σ( ゚∋゚)
(; ゚∋゚)「あんなに走り回った後に……」
(; ゚∋゚)「どこにそんな体力が残っているのか……」
67
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 17:19:23 ID:PhNWe7Sk0
彡 •⌄• ) .。oO(だから……)
テストを受けれなかったことはチョク兄ィにとって
とても痛手なはずだった
でも、そんな素振りを一切みせていない
68
:
名無しさん
:2024/05/18(土) 17:19:48 ID:PhNWe7Sk0
彡(゚)(゚)「お、ついたで……ん?」
( ゚∀゚)「皆が体育館から出てきてるな」
( ゚∋゚)「おお!チョクと佐々、てっきり来ないものかと……」
彡(゚)(゚)「ユッキー、いったいどういうことや?」
彡(゚)(゚)「テストはまだ始まっとらんのか?」
( ゚∋゚)「ああ、校長の話が長引いてね」
( ゚∋゚)「これから始まるところだ」
( ゚∀゚)「そうか……間に合ってよかった……」
彡 •⌄• )「よかったね、チョク兄ィ」
彡(゚)(゚)「せやな……神様も味なマネするやんけ」
69
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 12:37:11 ID:ROeSyxWs0
彡(゚)(゚)「ワイは江戸時代に産まれたかったわ」
( ゚∋゚)「ほう、それは興味深い……」
彡(゚)(゚)「しっかりとした和服を着て、ちゃんとした日本語を喋り……」
彡(゚)(゚)「立派な侍として生きたかったわ」
( ゚∋゚)「なるほど……でも……」
( ゚∋゚)「侍……武士も長男に産まれなければ、ただの無職」
( ゚∋゚)「虫歯になれば死に、白米ばかり食べて病気になる……」
( ゚∋゚)「そんな時代より現代の方がよっぽどいい……そもそも……」
( ゚∋゚)「過去に戻るなんてありえないことを考えるだけ時間のムダさ」
彡(゚)(゚)……ショボーン
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィなんだか……淋しそう)
70
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 12:37:41 ID:ROeSyxWs0
彡(゚)(゚)「死んだらワイらの魂はどうなると思う?」
( ゚∋゚)「そもそも、人に魂などというものはない」
彡(゚)(゚)「いやいや……魂はあるやろ」
( ゚∋゚)「ほう、では理由を聞こう」
彡(゚)(゚)「その前に確認しときたいことがある」
彡(゚)(゚)「考えない人間はおらん。異論はないな?」
( ゚∋゚)「ああ」
彡(゚)(゚)「身体を構成するのは窒素化合物その他の物質や」
彡(゚)(゚)「でも、それらの物質が物事に対し悩むことはない」
彡(゚)(゚)「なら、考える別のなにかが人間には付与されとるはずや」
彡(゚)(゚)「ワイはそのなにか、有形無形を問わず、それを魂やと思っとる」
( ゚∋゚)「……たしかに」
彡(゚)(゚)ドヤァ
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィが……勝ち誇ってる)
71
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 12:38:26 ID:ROeSyxWs0
川´_ゝ`)「ぐすん……ぐすん」
彡(゚)(゚)つサスサス
彡 •⌄• ) .。oO(巌兄ちゃんが泣いてる……)
どうしたんだろう?
本人に聞くのもアレだし
チョク兄ィに聞いてみよう
72
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 12:38:58 ID:ROeSyxWs0
彡 •⌄• )「ねえ、なにがあったの?」
彡(゚)(゚)「ん?巌兄ィの親友の仁くんが亡くなったんや」
彡 •⌄• )「え!そんな……」
彡(-)(-)「家庭の事情とは言え……」
彡(゚)(゚)「無理して朝鮮に出稼ぎに行ったのが原因やろうな」
彡(-)(-)「体もそんな強うなかったし……」
彡(゚)(゚)「いや……元はと言えば……」
彡(゚)(゚)「この不況な世の中が悪いんやろうか?」
彡(-)(-)「ワイらは親父のおかげで、いい暮らしをできとるが……」
彡(-)(-)「世間は失業者で溢れかえっとる」
73
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 12:39:27 ID:ROeSyxWs0
彡(-)(-)「運よく仕事がある人らも……」
彡(-)(-)「産業合理化の美名のもとに……」
彡(-)(-)「低賃金や長時間労働で苦しみ」
彡(゚)(゚)「失意の中で途方に暮れ自殺する者もおる……」
彡(•)(•)「その一方で、歪な幸福を享受している輩の多いこと!」
彡(●)(●)「平気で人を騙し、蹴落とすことでな!!」
Σ彡 •⌄• )
74
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 12:39:51 ID:ROeSyxWs0
彡(•)(•)「人間は醜い闘争の動物や!」
彡(•)(•)「偽善の生物や!!」
彡(●)(●)「ワイは絶対にそんな奴らに負けん!」
彡(●)(●)「生きて、生きて、生きて……」
彡(●)(●)「戦って、戦って、戦ったる!」
彡 •⌄• )……
彡(゚)(゚)「はっ!」
彡;(゚)(゚)「ご、ごめんな、カズコ」
彡;(゚)(゚)「声を荒げてしもうた……」
彡 •⌄• )「ワタシなら大丈夫よ!」
75
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:45:06 ID:ROeSyxWs0
彡(゚)(゚)「ババンバ バン バン バン♪」
彡(゚)(゚)「ババンバ バン バン バン♪」
彡(゚)(゚)「いい湯だな〜あははん♫」
彡(゚)(゚)「いい湯だな〜あははん♫」
彡 •⌄• )「湯加減はどう?」
彡(゚)(゚)「ええ湯や」
彡 •⌄• ) .。oO(どこから見つけてきたのか……)
チョク兄ィはドラム缶に湯を沸かし、上機嫌に浸かっていた
76
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:45:32 ID:ROeSyxWs0
彡 •⌄• )「次はワタシが入るんだから、早く上がってよ」
彡;(゚)(゚)「今、入ったばかりやんけ……」
彡(゚)(゚)「それにしても……」
彡(゚)(゚)「体はポカポカ、頭はヒエヒエ……」
彡(-)(-)「気持ちええわ……」
彡 •⌄• ) .。oO(もう!早く上がってよ!)
彡`3´) 三三3フーフー
薪に息を吹きかけ火力を上げてやったわ
77
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:46:06 ID:ROeSyxWs0
彡(゚)(゚)「ん?」
彡;(゚)(゚)「熱っち、熱っち!!」
彡;(゚)(゚)「こんな湯に入ってられるかい!」
彡;(゚)(゚)「さっさと上がらな茹タコになるで」
☆彡キラリーン
彡(゚)(゚)「お!流れ星や!」
彡(゚)(゚)……
彡(;)(;)「ぐすん」
彡; •⌄• )「え?どうしたのチョク兄ィ?」
78
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:46:37 ID:ROeSyxWs0
彡(;)(;)「分からん……分からんが」
彡(;)(;)「なんか悲しくておれんくなった……」
彡(;)(;)「とりあえず拝んどこ……」
彡(-)(-)「南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏」
彡; •⌄• ) .。oO(なんだかよく分からないけど……)
お空にはたくさんの星々が瞬いていた
チョク兄ィはこの日の思いを日記に書いたみたい
79
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:47:01 ID:ROeSyxWs0
『湯を上がろうとした……僕の瞳を左上から右下に切り下げたものがある。
金星の流れ星だ。タタッターと一丈ばかり下界に向かって突進した。
気持ちがすうっとした。
すると亦なんだか悲しいような気持ちが心を占領したらしい。
悲しさに身が小さくなったようだ。
ああ、その後天空には何もない。
頭を廻らせば東の方に星は仲良くささやいていた。
人生はこれ欄干たる星辰の明滅の間。』
80
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:47:43 ID:ROeSyxWs0
彡(゚)(゚)「お!餅があるやんけ!」
彡(゚)(゚)「食ったろ」バクバク
彡(゚)(゚)「う……」
彡;(゚)(゚)「腹が痛い……」
彡; •⌄• ) .。oO(そりゃあ……)
八個も一度に食べたらお腹も痛くなるわよ……
81
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:48:10 ID:ROeSyxWs0
彡(゚)(゚)「お!カレーがあるやんけ!」
彡(゚)(゚)「食ったろ」バクバク
彡(゚)(゚)「う……」
彡(^)(^)「美味いわ!」バクバク
彡(゚)(゚)「ふー食った食った……」
彡(゚)(゚)「天気もいいし縁側で寝たろ」
彡; •⌄• ) .。oO(食べてすぐ横になったら太るわよ……)
82
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:48:48 ID:ROeSyxWs0
彡(゚)(゚)……
彡 •⌄• ) .。oO(ボーとして何を考えてるのかしら?)
まあ、きっと文学の小難しいことでしょうけど
彡(゚)(゚)「金が欲しいわ……」
彡; •⌄• )……
彡(゚)(゚)「は〜スマホも無ェ PCも無ェ もちろんネットなんて通って無ェ」
彡(゚)(゚)「ワイはこんな村いやだ〜 ワイはこんな村いやだ〜」
彡(゚)(゚)「東京へ出るだ〜 東京へ出だなら」
彡(゚)(゚)「大学さ行って……」
彡(-)(-)「ひたすら勉強するんや……」
83
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:49:16 ID:ROeSyxWs0
彡 •⌄• ) .。oO(少し前に家族会議があった)
巌お兄ちゃんが大学に合格し
家を離れて下宿することになったの
チョク兄ィはすごく喜んだわ
彡(゚)(゚)(さすが巌兄ィや)
彡(^)(^)(立派な兄を持って誇らしいわ!)
84
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:49:52 ID:ROeSyxWs0
彡 •⌄• ) .。oO(でも、内心は複雑だったみたい)
巌お兄ちゃんの合格が決まったとき
母さまはチョク兄ィに言った
彡( 'ー`)(直……ごめんね)
彡( 'ー`)(あなたを大学にいかす余裕は……うちにはないの……)
彡(゚)(゚)……
85
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:50:21 ID:ROeSyxWs0
母さまと父さまは教育に熱心な親で
女の子でも学校に通わせようとする珍しい家庭だった
でも、学校に通うためには学費が必要になる
兄妹の全員分となるとその額はあまりに大きかった
チョク兄ィは兄妹のために……
大好きな勉学の道を諦めざるを得なかった
彡(゚)(゚)(巌兄ィが大学に進んだほうがええ……)
彡(゚)(゚)(ワイは……)
彡(゚)(゚)(軍人になるさかい)
86
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:50:55 ID:ROeSyxWs0
彡 •⌄• ) .。oO(口ではそうは言っても……)
本心では、石川啄木のような文化人として
身を立てたかったのかもしれない
それに……
•ө•)•ө•)•ө•)『チュチュンがチュン』
彡(゚)(゚)「お!スズメ三兄弟、また来たんか!」
彡(^)(^)「可愛いの〜可愛いの〜」
警戒心の強いスズメにまで懐かれる優しいチョク兄ィに……
軍人が向いているなんて思えなかった……
87
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:51:39 ID:ROeSyxWs0
( ゚∋゚)「チョク、聞いたぞ」
( ゚∋゚)「軍人を目指すんだって?」
彡(゚)(゚)「せや……」
( ゚∋゚)「勉強熱心な若者が進学を諦めないといけないとは……」
( ゚∋゚)「イヤな世の中だ……」
( ゚∋゚)「という僕も金がなくて軍人を目指すのだけどな」
彡;(゚)(゚)「ファッ!ユッキーもかいな!」
88
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:52:10 ID:ROeSyxWs0
( ゚∋゚)「それでチョクは陸軍と海軍……」
( ゚∋゚)「どちらを目指すんだい?」
彡(゚)(゚)「正直……どっちでもいいわ」
( ゚∋゚)「なら一緒に満州陸軍学校を受験しないか?」
( ゚∋゚)「受かれば学費免除だぞ」
彡(゚)(゚)「ほう……それはいい話や。乗ったわ」
( ゚∋゚)「よし!ではさっそく先生に願書を渡しにいこう」
89
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:52:52 ID:ROeSyxWs0
学校
( `Д´)「諸君の願書を受理することはできない!!」
彡;(゚)(゚)「はぁ?なんでや!」
( `Д´)「満州陸軍学校は選ばれた生徒のみが受験できる!」
( `Д´)「諸君はそれに該当しない!!」
彡(•)(•)「そんなわけあるか!!」
彡(•)(•)「ワイとユッキーはつねに学年で一位、二位を争っとるやぞ!」
彡(•)(•)「ワイらが受験できんなら誰が受験できるんや!!」
( ゚∋゚)「忖度ですか?」
( `Д´)「諸君はまだ二年生である!」
( `Д´)「よって三年生の受験が優先される!」
彡(•)(•)「待てや!受験資格には学年不問となっとるやないか!!」
( ゚∋゚)「そうです、僕たちは受験資格を満たしています」
90
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:53:44 ID:ROeSyxWs0
( `Д´)「年長者を優先するのは常識であり、当然である!!」
( `Д´)「諸君は来年受験し、今年は三年生に譲るべきである!!」
彡(●)(●)「ざけんな!!そんな理屈があってたまるか!!!」
彡(●)(●)「テストして落ちたなら自分の力不足や!」
彡(●)(●)「納得もできる!」
彡(●)(●)「でも、テストを受けるチャンスすら与えられんのは……」
彡(●)(●)「おかしいやろ!」
( `Д´)「菅野!教師に向かってなんだその口の聞き方は!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!
91
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:54:20 ID:ROeSyxWs0
彡(#゚)(゚)「この野郎……!!」
彡(●)(●)「やったろうやないかい!!!」
(; ゚∋゚)「チョク!ダメだ!!」
(; ゚∋゚)「もう一度、暴力沙汰を起こしたら君は退学だ!」
(; ゚∋゚)「そうなったら家族が悲しむぞ」
彡(●)(●)「ぐぬぬぬ………」
彡(●)(●)「クソガァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
92
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:55:05 ID:ROeSyxWs0
校門
彡(#゚)(゚)……
( ゚∋゚)「よく耐えたチョク。さあ帰ろう」
「待ちたまえ!!」
彡(#゚)(゚)「ん?」
(; ゚∋゚)「あ、あなたは……」
(; ゚∋゚)「井上少佐!!」
( ˙灬˙ )「君たち……先ほどはずいぶんと威勢がよかったな……」
彡(#゚)(゚)……
( ゚∋゚)……
93
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:55:46 ID:ROeSyxWs0
( ˙灬˙ )「君たちは軍人を目指しているのか?」
彡(#゚)(゚) ( ゚∋゚)『……はい』
( ˙灬˙ )「そうか……」
( ˙灬˙ )「軍人にとって上官の命令は〝絶対〟ということは知っているな?」
彡(#゚)(゚) ( ゚∋゚)『…………はい』
( ˙灬˙ )「なるほど……知っていて教師にあの態度だったのだな?」
彡(#゚)(゚) ( ゚∋゚)『…………』
94
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 18:56:51 ID:ROeSyxWs0
( ˙灬˙ )……
( ^灬^ )「元気があってよろしい!」
彡(#゚)(゚)「え……」
( ^灬^ )「軍人になるのだ!あれぐらいの気概がなくてはな!」
彡(#゚)(゚)……
( ゚∋゚)……
( ˙灬˙ )「君たちと共に戦える日を楽しみにしている」
( ˙灬˙ )ゞ「精進したまえ!」
彡(#゚)(゚)ゞビシッ!
( ゚∋゚)ゞビシッ!
95
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 20:33:36 ID:D0D5GmF60
乙乙
毎日のように更新していて凄いしテンポがとても良い
96
:
名無しさん
:2024/05/19(日) 20:38:18 ID:ROeSyxWs0
>>95
ありがとうございます
97
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:02:47 ID:sEJf1DRg0
春は一年中で一番楽しいときであると思い
彡(゚)(゚)「泳ぐの得意やし、海軍の学校を受験するか……」
( ゚∋゚)「ボクもそうするつもりだ」
彡(゚)(゚)「そうと決まれば、願書を書くだけやな」
彡(゚)(゚)「ん?」
彡;(゚)(゚)「なんやと……」
( ゚∋゚)「どうした?」
(; ゚∋゚)「……なんだと」
注:ブサイクは海軍士官にふさわしくなく不適格とする
彡;(゚)(゚)「こんな理由で落とされたら立ち直れんで……」
(; ゚∋゚)「たしかに……」
彡;(゚)(゚)「ワイらはブサイクじゃないよな?」
(; ゚∋゚)「あったりまえよう!」
98
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:03:49 ID:sEJf1DRg0
夏は一年中で一番愉快であると考え
川◦-◦)「お父さま、お母さま……」
川◦-◦)「長い間、お世話になりました」
かほるお姉ちゃんがお嫁に行くことになった
川◦-◦)「直さん……受験頑張ってね」
彡(゚)(゚)「うん!」
川◦-◦)「カズコさん、みんなのことお願いね」
彡 •⌄• )「うん!」
こうして、かずほお姉ちゃんは故郷を後にした
彡(゚)(゚)……
彡 •⌄• )「寂しいの?一緒に寝てあげてもいいわよ?」
彡;(゚)(゚)「う、うるさいわ」
99
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:04:32 ID:sEJf1DRg0
秋は一年中で一番悩む時とし
彡(゚)(゚)「よっしゃ!勉強や!!」
彡(゚)(゚)「フフフ……勉強は愉快や!」
彡(゚)(゚)「一つ一つの学問を征服していく気分や!」
彡(゚)(゚)「数学も英語も国語も歴史も……なんでもかかってこいや!!」
彡(゚)(゚)「すべてマスターして華々しく受験戦線に乗り出すんや!」
100
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:05:34 ID:sEJf1DRg0
冬は一年中で一番反省するに適している
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「あ……」
彡(^)(^)「ワイの番号があった!!」
彡(^)(^)「合格や!」
( ゚∋゚)「おめでとうチョク」
彡(^)(^)「ありがとうやで!」
彡(゚)(゚)「で?ユッキーはどうやったんや?」
( ゚∋゚)「ダメだった」
彡(゚)(゚)……
彡;(゚)(゚)「ユッキーは男前やで……」
101
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:06:01 ID:sEJf1DRg0
( ゚∋゚)「フッ、ありがとう。まあ、でも……」
( ゚∋゚)「二万人が受けて、合格できるのは400人という狭き門だったんだ」
( ゚∋゚)「いや……言い訳だな……」
( ゚∋゚)「自分の力不足さ」
彡(゚)(゚)「ユッキー……」
( ゚∋゚)「心配するな、まだ陸軍の試験が残っている」
( ゚∋゚)「そっちに賭けるさ」
彡(゚)(゚)「頑張るんやで!」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
102
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:06:52 ID:sEJf1DRg0
春夏秋冬どれも一番を持っているのは人間が生を楽しむからである
彡(^)(^)「よっしゃー!やっと受験から解放された!!」
彡(^)(^)「ワイは自由や」
彡(゚)(゚)「聞いたところによると、兵学校に受かったら女学生に……」
彡(゚)(゚)「MMK(もてもてで困る)らしいで……」
彡(゚)(゚)「ええ娘をナンパして一緒に映画でも見て……」
彡(^)(^)「青春を謳歌するで!!」
彡 •⌄• )つ「チョク兄ィ、海軍学校から手紙よ」
彡(゚)(゚)「おお、ありがとやで」
103
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:07:19 ID:sEJf1DRg0
彡(゚)(゚)「なんやろ?」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
彡(•)(•)「はぁ?」
彡 •⌄• )「どうしたの?」
彡(•)(•)「物のあわれを知らん軍の俗物どもめ!!」
彡(•)(•)「諸事情により四月の入学を十二月に早めるやと?」
彡(•)(•)「それやと…」
彡(●)(●)「まったく遊ぶ時間がないやんけ!!」
彡; •⌄• )「あちゃ〜お気の毒……」
彡;(゚)(゚)「くっ、せめてこの新約聖書ぐらいは読破したる!!」
104
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 20:49:26 ID:3dj.q70M0
乙乙
面白いしためになるしで読めて嬉しい
主役AAが珍しいけど、合ってるなーと納得
個人的に1エピソード毎か1回の投下の終わりに、区切りとわかる目印か一言かを付けて貰えると、乙しやすくて助かります
105
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 21:25:47 ID:sEJf1DRg0
>>104
ありがとうございます
次からは終わりの一言を入れます
106
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:32:33 ID:CMLaJ15M0
神よ人間は苦し
彡(゚)(゚)『何がなく 心かなしく 登校して』
彡(-)(-)『少佐の戦死を 聞きにけり』
井上少佐( ˙灬˙ )の戦死の報告に
チョク兄ィは深く悲しんだ
井上少佐は中国、上海付近の戦闘で亡くなったらしい
この時、日本と中国の戦争は激化していた
もしかしたら、チョク兄ィの入学が早まったのも
このことが関係していたのかもしれない
107
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:35:33 ID:CMLaJ15M0
されど神よ、人間はよろこびを持っている。生きるすべを知っている
自分の心は多恨である 自分の心は悲を認む 自分の心は非を怒す
自分の心はもどり難い 自分の心は文を好む 自分の心は傲岸だ
自分の心は飾を要す
彡(゚)(゚) .。oO
108
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:39:04 ID:CMLaJ15M0
神はすべてに宿る。醜き人にも美しき花にも之は宿る
彡(-)(-)『何もかも 心の奥にうちひめて』
彡(゚)(゚)『戦の庭に 立つや 男子』
109
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:43:22 ID:CMLaJ15M0
広島県江田島 海軍兵学校 保健室
:(´ºωº`):「凍える……凍える……」
ボクは笹林 武(ササバヤシ タケシ)
海軍兵学校に入学したばかりの一年生だ
なぜ、ボクが凍えているかって?
それにはちゃんと理由がある
ボクたち海軍兵学校第70期生は
四月入学だったのを十二月に早められた
110
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:46:21 ID:CMLaJ15M0
本来なら春の暖かい時に足腰を鍛える基礎訓練が始まり
夏の日差しが降り注ぐ中で水泳をして全身の柔軟性を養って
秋の紅葉が覆い茂る山を登って心身を鍛え上げ
冬に総締めのもっとも過酷な厳冬訓練がなされるはずであった……
なのに、前例がないからと何の配慮もなく
入学して早々のボクたちは
このもっとも過酷な厳冬訓練に初っ端から参加させられる羽目になった
111
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:49:15 ID:CMLaJ15M0
:(´ºωº`): .。oO(雪の降るなか……)
やったこともないボート訓練でびしょ濡れになる
体調を崩さないほうがどうかしてるよ
:(´ºωº`): .。oO(それでもやっぱり……)
軍人の世界だから
「根性がない!!」
「それでも帝国日本海軍の一員か!!」と怒られる
とんでもない世界にきてしまったようだ
こんなので…この先やっていけるか不安だよ……
112
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:50:33 ID:CMLaJ15M0
バン!
彡(^)(^)「フゥー寒い、寒い」
(´・ω・`) .。oO(誰だろう?)
戸を勢いよく開けて、ニコニコした男が入ってきた
彡(゚)(゚)「なんや?先客がおるやんけ」
彡(゚)(゚)「ちょっと横のベット借りるで」
(´・ω・`) .。oO(彼は……たしか同級生の……)
彡(゚)(゚)「お前、ワイと同期か?」
(´・ω・`)「うん、笹堀 武っていうんだ」
(´・ω・`)「みんなからはタケって呼ばれてる」
(´・ω・`)「これからよろしくね」
113
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:51:50 ID:CMLaJ15M0
彡(゚)(゚)「ワイは……」
(´・ω・`)「知ってるよ、菅野直だろ」
(´・ω・`)「入学式の自己紹介で……」
(´・ω・`)「さんざん上級生にしごかれて、何度も名乗ってたから……」
(´・ω・`)「覚えちゃった」
彡(゚)(゚)「なんやワイ、そんな有名人になってしもうたんか」
彡(•)(•)「それにしても許せんでアイツら……」
彡(•)(•)「ワイはちゃんと“なおし”って名乗ったんに……」
彡(゚)(゚)「何ィ〜カンノナオス〜、発音が悪い、やり直せ……」
彡(゚)(゚)「とぬかしおって」
彡(●)(●)「方言でなまるのはしゃーないやんけ!!」
(´・ω・`) .。oO(反骨精神の強い人だな……)
114
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:53:19 ID:CMLaJ15M0
彡(●)(●)「それに…こんな寒い中、あんなアホな訓練をしおって……」
(´・ω・`)「まあまあ、しょうがないよ」
(´・ω・`)「ボクたちは軍人になろうとしてるんだし」
彡(●)(●)「……」
彡(゚)(゚)「せやな!」
彡(゚)(゚)「改めてよろしゅうな タケ」
彡(゚)(゚)ゞ「ワイは菅野 直。みんなからはチョクと呼ばれとる」
(´・ω・`)ゞ「うん、よろしくチョク」
115
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:54:47 ID:CMLaJ15M0
彡(゚)(゚)ゞ(´・ω・`)ゞ
これがボクとチョクの出会いだった
彼とは気が合い、この後も長くつるむ仲となった
でも、まさかこのとき
彼の最期を見届けるのがボクになるとは思いもしなかった
116
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:56:58 ID:CMLaJ15M0
今回はここまで
117
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 23:30:20 ID:sxrhHH8c0
乙乙
118
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 23:47:34 ID:UjaD4arw0
乙です
119
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 18:58:56 ID:iV2RYsNQ0
海軍兵学校の生徒には序列がある
鬼の四年、むっつり三年、おふくろ二年、ガキの一年
下級生にとって上級生の命令は絶対だった
(`四´)「チンチンはよく洗って入れ!」
(`四´)「チンチンをタオルで隠すな!」
と風呂の入り方にも激が飛ぶ
(`四´)「湯船に入っていいのは三分までだ!」
彡(゚)(゚)「ワイらはカップラーメンかいな」
(´・ω・`)「最近は五分とか六分のも多いから……」
(´・ω・`)「カップラーメン以下だよ」
(`四´)「そこ!無駄口を叩くな!」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『はい!』
120
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:00:03 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「ふんどしは尻がキュッとなるまで締めろ!」
(`四´)「サスペンダーの付け方は分かるか!」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『分かりません!』
(`四´)「なんだと!」
(`四´)「サスペンダーはこうやって付ける」サッ
(`四´)「長さの調節はここをこのように弄ってする!」
(`四´)「さあ、やってみろ!」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『はい!』
彡;(゚)(゚)「痛っ、指が挟まった!」
(;´・ω・` )「う〜ん上手く調整できない……」
121
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:00:41 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「なにをやっているか!はやくしろ!」
(`四´)「海軍のモットーは早飯、早ぐそ、早支度だ!」
彡;(゚)(゚) (;´・ω・` )『はい!』
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『できました!』
(`四´)「よし!初めてにしてはよいできだ!!」
(´・ω・`).。oO(言葉は荒いけど……)
指導の仕方はけっこう丁寧だ
彡(゚)(゚)「おいタケ、あれ見てみ……」
(´・ω・`)「どれだい……あーそうゆうことか……」
壁の中央には堂々と大きく達筆な字で書かれた校訓があった
『目に見せて 言うてきかせて させてみて』
『褒めてやらねば 誰もせぬぞよ』
122
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:01:32 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`).。oO(兵学校の暮らしは大変だ……)
朝早くに鳴らされる起床ラッパと同時に跳ね起き
素早く着替えて、パジャマと毛布をたたんで
集合場所に飛び出していかなければならない
(;´・ω・` ) .。oO(ボクはのんびりしてる性格だから)
いつも到着するのはビリだった
(`四´)「遅いぞ!またお前か!!」
(;´・ω・` )「すみません!」
そして、毎回、怒られる
それに引き換え動きが俊敏なチョクはさっさと整列していた
123
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:02:06 ID:iV2RYsNQ0
点呼が終わると朝の体操がはじまる
(´・ω・`) .。oO(体操が終わったら朝ごはんだ)
食事にはよく鰯(イワシ)が出た
おそらく大量に獲れて安いからだろう
でも、毎回だされてたら飽きてイヤにもなってくる
それを見越してか、ミンチの団子になって出てくることもあるが……
味はイワシのままだ
ボクたちはこの飽き飽きした団子に皮肉を込めて
“粉骨砕身〟と名前をつけた
124
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:02:48 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`)「また粉骨砕身だ……」
彡(゚)(゚)バクバク
(´・ω・`)「チョクはよく食べるね……」
(´・ω・`)「イヤにならない?」
彡(゚)(゚)「ん?田舎のメシと比べたら……」
彡(゚)(゚)「ここのメシは上等やで」バクバク
125
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:03:28 ID:iV2RYsNQ0
朝食が終わると授業が始まる
訓練として軍事学、砲術、運用術、信号術、電話術
そして、剣道 or 柔道
座学に物理、化学、数学、英語、歴史
これらがお昼を挟んで午後一時まで行われ
その後は、自習をしたりと自由な時間となっていた
彡(゚)(゚)「なんや?思ってたよりプライべーな時間が多いやんけ」
彡(^)(^)「読書もできそうやな」
(´・ω・`)「チョクは本を読むの?」
(´・ω・`)「なにかおすすめを教えてよ」
彡(゚)(゚)「せやな……やっぱ啄木の一握の砂やな」
126
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:04:13 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`) .。oO(でも、軍学校はそんな甘いところではなかった)
(`四´)「お前ら!アレを持って来い!」
(`四´)「お前ら!アレをやっとけ!」
と、上級生から雑務を押し付けられた
そのせいでボクたちには自由な時間がほとんどなかった
127
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:04:46 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`) .。oO(そんな中……)
ボクたちが唯一こころを休めることができたのは……
トイレだった
( ;´-ω-` )「はあ〜疲れた……」
「はあ〜疲れた……」
(;´・ω・` ) .。oO(みんな考えることは一緒だ)
どの個室からもため息が聞こえる
彡;(゚)(゚)「は、腹が……」グーギュルギュル
彡;(゚)(゚)「ファッ!満室やんけ!!」
彡;(゚)(゚)「おい!誰でもいいから出ろや!!」
彡;(゚)(゚)「どうせ便意もないくせに籠っとるんやろうが!」
128
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:05:32 ID:iV2RYsNQ0
シーン
(;´・ω・` ) .。oO(誰も出ようとしない……)
そりゃそうだ
皆この安息の場所を奪われたくはない
ここは戦場なんだ!最後の砦なんだ!
戦場において譲り合いの精神など……
それこそトイレなだけにクソくらえだ!
彡;(゚)(゚)「あ……」
129
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:06:18 ID:iV2RYsNQ0
その後、一年生 総勢約400人がグラウンドに集められた
彡(゚)(゚) (´・ω・`)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)
(`四´)……
(`四´)「今日、一人の……尊い日本男児が散った」
(`四´)「それも仲間に見捨てられてだ……」
(`四´)「帝国軍人としてあるまじき行為だ!」
(`四´)「心当たりのあるものは一歩前へ出ろ!」
彡(゚)(゚)
一人……チョクが前に出た
(;`四´)「すまん……そういう意味ではない」
(;`四´)「仲間を見捨てたと身に覚えのあるものは前に出ろ」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`) .。oO(日本語ってなんて難しいんだろう……)
130
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:06:56 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「なんだ!誰もいないのか!!」
シーン
(;´・ω・` ) .。oO(誰も前にでない……)
そりゃそうだ
出て行ったら怒られて殴られるに違いないんだから
(`四´)「それでも貴様らは兵学校の生徒か!」
(`四´)「恥を知れ!」
(`四´)「俺は一人……前に出てきた菅野のことを考えると……」
(`四´)「涙がでる!」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`) .。oO(そりゃあ…そうでしょうよ)
131
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:07:36 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「貴様らは自分さえよければ…」
(`四´)「それでいいのか!!」
(`四´)「一兵卒なら我が身可愛さも許されるだろう」
(`四´)「しかし、我々は栄えある日本帝国海軍の士官候補生だ」
(`四´)「我々はこの先、士官として一兵卒を率い戦わなければならない」
(`四´)「だが、我が身を第一と考える士官に兵はついてこない!」
(`四´)「人を率いる者は我が身を投げ出してでも……」
(`四´)「仲間を部下を守らなければならない!」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)……
132
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:08:37 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「それができない……まして仲間を見捨てるような者は……」
(`四´)「さっさと荷物をまとめて故郷へ帰れ!」
(`四´)「今一度、問う!」
(`四´)「トイレに籠ったことのある奴は全員、前に出ろ!」
(´・ω・`)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)ザッ
みんなが一斉に一歩前に出た
(`四´)「よし!それでこそ日本帝国海軍の軍人だ!」
(`四´)「だが、今回の件は罰しなければならない!」
(`四´)「歯を食いしばれ!」
(´・ω・`) .。oO(結局、殴られるんかい)
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!
(#・ω・`)「痛ててて……」
こうして一人ずつ鉄拳制裁を喰らうことになった
(`四´)……
彡(゚)(゚)……
(`四´)「ついでだ!」
=◯)゚)(゚)∵「なんでやねん!」
133
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:09:33 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「お前ら!消毒液を補充しとけ!」
(´・ω・`)「はい!」
(`四´)「お前ら!ちゃんと掃除しろ!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` ) .。oO(上級生からの雑務の押し付けは止まることを知らない)
このまま場当たり的に対応していては
とてもじゃないがどこかでキャパオーバーしてしまう
上手いこと仕事を割り振って、効率的に人を動かさないと……
134
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:10:06 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「お前ら!アレを準備しろ!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` )「工藤くん、お願いできる?」
`0´)ゝ「了解!」
(`四´)「お前ら!アレはどうなっている!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` )「佐藤くん、確認してきてくれる?」
`0´)ゝ「任せろ!」
(`四´)「お前ら!このふんどしを洗っとけ!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` )「チョク、洗ってきて」
彡(•)(•)「だが、断る!」
135
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:10:49 ID:iV2RYsNQ0
(;´・ω・` )「忙しいんだから、我がまま言わないでよ」
彡(•)(•)「タケ!お前はワイにばっかり嫌な役をやらせやがって!」
(;´・ω・` )「そんなことないよ!君が適任なだけだよ!」
(;`・ω・´)「こっちも大変なんだから、とにかくさっさとやってよ!!」
(;`・ω・´)「君はふんどしを洗うのは得意だろ!」
彡(●)(●)「あん!馬鹿にしとんのか!!」
(ꐦ`•ω•´)「事実を言ったまでだよ!!」
136
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:11:42 ID:iV2RYsNQ0
チョクは体が小さいくせに、よく突っかかってきた
まともに組み合えば、体の大きいボクの敵ではない
でも、彼はその小柄な体を活かして
下から飛び上がるように殴って来る
そうすると顔面を突き上げるかたちになり、余計にきく
137
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:12:09 ID:iV2RYsNQ0
剣道の授業でもチョクの俊敏さは活かされていた
彼は接近戦のごちゃごちゃした揉みあいを嫌った
チョクが好んだ戦法は一瞬でかたをつける貫き胴だ
(´・ω・`)/ \(゚)(゚)ミ
少し離れた場所から体をぶつけるように踏み込み
一気に胴をなでるように切り裂いていく
「胴!!!」\(゚)(゚)ミ三三3 (。゚ω゚)/
138
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:12:46 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`) .。oO(でも、チョクを相手にして一番厄介だったのは……)
相手がどれほど大きくても臆することなく
躊躇なくぶつかっていき
なにがなんでも勝とうとする
不屈の闘志だった
139
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:13:55 ID:iV2RYsNQ0
今回はここまで
140
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 20:40:11 ID:Jdxb8MDQ0
乙乙
141
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:18:25 ID:fAkrps.k0
(´・ω・`) .。oO(海軍の訓練で一番苦しいのは…)
手漕ぎボート訓練だ
舟は十二人乗りで総重量が約二トン
オールの長さはだいたい四メートル
握るところの太さは拳一個分だ
こんな重たく大きな舟を人力で動かすのは並大抵のことではない
142
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:18:51 ID:fAkrps.k0
腕力だけではどうにもならず、強い背筋力と握力も必要とした
でも、なにより必要であったのが
仲間とこころを合わせ一致団結することだった
ボクたちは多くの時間と労力と汗を流して気持ちを一つにした
そうしてやっとの思いでゴールしたとき
それまでの苦労は吹っ飛び、なんとも言えない爽快感を味わった
143
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:19:22 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(でも、その後も大変だった)
舟の座席は固定された堅い木で出来ていたので
尻の皮がよくむけた
ほうっておけば血で、サルの尻のように真っ赤になる
だから、早急な治療が必要だった
その治療方法は……
二人一組になって片方が尻をむき出しにして
もう片方が薬を塗り、はやく乾かすために下敷きで扇ぐ
(;´・ 3 ・ ) 三3 彡(゚)(゚)「はえー」
144
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:19:48 ID:fAkrps.k0
( ;´-ω-` ) .。oO(なにが悲しくて……)
厳しい訓練の後に野郎の汚い尻を見なきゃいけないんだろう…
せっかく味わった達成感も台無しだ
でも、まあなんだかんだこういったことも含めて
ボクたちの仲間意識はさらに強く深められた……と思う
145
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:20:23 ID:fAkrps.k0
座学の真っ最中
(´・ω・`) .。oO(ヒマだなぁ)
海軍学校では軍事訓練は鬼のような厳しさだが
一般科目の授業はのほほんとしている
でも、ヒマはヒマで辛いものがある
(´・ω・`) .。oO(教授の似顔絵でも描いて時間を潰そう)
カキカキ……
146
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:20:46 ID:fAkrps.k0
( ¯灬¯ )「君……なにを描いているのだね?」
(。゚ω゚)「あ、え、その……」
(。゚ω゚) .。oO(しまった……つい夢中になっていて)
教授が側に来たことに気づけなかった
(。゚ω゚)「先生の……似顔絵です……」
( ¯灬¯ )「む!!」
(;´・ω・` ) .。oO(さすがに温厚な教授でも……)
怒られるよね……
147
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:21:14 ID:fAkrps.k0
( ¯灬¯ )「先生と言うやつがあるか!」
(;´・ω・` )「あ!すみません、教授……」
海軍学校には変なルールがあった
武官出身の先生は教官、文官出身の先生は教授と呼び分けていた
( ¯灬¯ )「違う!!教官と呼びなさい!」
(;´・ω・` )「え?えーと、すみません教官……」
( ¯灬¯ )「うむ、次から気をつけるように」
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
この先生は文官出身だったはずだけど……
彡(゚)(゚)「なんか……おもろそうな人やな」
148
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:22:07 ID:fAkrps.k0
教官について調べた
( ¯灬¯ )←は英語の先生で名前は平賀春二
江戸時代の発明家 平賀源内と同じ苗字だが関係はないみたいだ
彼は若き頃、海軍兵学校を受験したが不合格となった
それでも何としてでもこの学校に入りたいと願い
学校の先生として入校を果たした変わり者だ
でも、教授……教官はこよなく海軍を愛し、生徒を愛する
よい先生だった
149
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:22:39 ID:fAkrps.k0
とても気さくな方でもあり
ある日、チョクと立ち話していたら
彡(゚)(゚)「知っとるか?」
彡(゚)(゚)「あの芥川龍之介もこの学校で教鞭を奮っとたんやぞ」
(´・ω・`)「へー」
彡(゚)(゚)「お!あそこにおるのは……」
彡(゚)(゚)ゝ「平戸艦長、お疲れ様です」
( ¯灬¯ )ゝ「うむ」
(;´・ω・` )「え?」
名前も役職も違うけど……
どういうこと?
150
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:23:09 ID:fAkrps.k0
(´・ω・` )「チョクどういうことだい?」
彡(゚)(゚)「あの人は何か知らんが訓練艦『平戸』で寝起きしとるんや」
彡(゚)(゚)「それで、試しに平戸艦長と呼んだら気に入ってもらってな」
彡(゚)(゚)「文官出身なんに教官と名乗ったりと……」
彡(゚)(゚)「面白い先生やで」
彡(^)(^)「ワイは平賀教官が好きやわ」
151
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:23:48 ID:fAkrps.k0
(`3´)「おい、お前!」
(´・ω・` )「はい!」
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!
(`3´)「気がたるんどる!」
(#・ω・`)「はい……すみません」
(#・ω・`).。oO(兵学校には理不尽な暴力も多い)
でも、鬼と呼ばれる四年生 (`四´) には
訓示や注意で殴られることはあるけど……
私怨で殴ってくることはなかった
でも、むっつりの三年生(`3´)は四年生がいないと分かれば
なにかにつけて理不尽な暴力を奮ってきた
152
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:24:40 ID:fAkrps.k0
彡(#゚)(゚)……
(#・ω・`)「チョクも殴られたんだね」
彡(#゚)(゚)「なんやねんあのクソの三年ども……」
彡(#゚)(゚)「恨みたくはないが……忘れられんぞ」
(#・ω・`)「噂だと……彼らが入学した時の四年生がとてもヤンチャで……」
(#・ω・`)「自分たちがやられたから、下にもやり返してるんだって」
彡(#゚)(゚)「ふん!物のあわれを知らんやつらが!」
彡(#゚)(゚)「こっちが手をだせんからと、いい気になりおって……」
(`3´)「おう!言ってくれるやないか一年!!」
(;´・ω・` )「あ……」
(`3´)「上に対して敬意がない……修正だ!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!
彡(#゚)(゚)「くっ……」
153
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:25:27 ID:fAkrps.k0
(`3´)「なんだその目……反省がない修正だ!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!
(;`・ω・´)「もう、やめてください!」
(`3´)「逆らうのか?……修正だ!!!」
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!
(#・ω・`)……
彡(#゚)(゚)……
(`3´)「黙っていれば許されるとでも?」
(`3´)「気にいらんな……修正だ!!」
「止めろ!!!」
154
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:26:06 ID:fAkrps.k0
(#・ω・`) .。oO(あの人も……三年生の……)
( `_ゝ´)「もう、いいだろう」
(;`3´)「うっ……鴛淵(オシブチ)!」
(;`3´)「ちっ、善人ぶりやがって……」
(;`3´)「俺たち三年が耐えた屈辱をもう忘れたか!」
( `_ゝ´)「忘れてなどいない……」
( `_ゝ´)「だが、下級生に恨みをぶつけるのは違うだろ!」
(;`3´)「綺麗ごとを……」
(`3´)「あーあ、しらけちまった……行くわ……」スタスタ
155
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:26:56 ID:fAkrps.k0
(´_ゝ`)……
(´_ゝ`)「すまない……私がもっと早くきていれば……」
(#・ω・`)「いえ、助かりました……ありがとうございます」
彡(#゚)(゚)……
(´_ゝ`)「彼を恨まないでやってくれ……と言っても無理だろうな」
(´_ゝ`)「言い訳になるが、私たち三年は……」
(´_ゝ`)「当時の四年から…それはひどい暴力を受けた……」
(´_ゝ`)「だから、今の立派な四年生を最上級生に持てた君たちを……」
(´_ゝ`)「とても羨ましく思う」
(#・ω・`)「はい……」
彡(#゚)(゚)「言うてワイら一年も入学を早められて貧乏くじを引いとるがな」
(。゚ω゚)「チョク!」
156
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:27:28 ID:fAkrps.k0
(´_ゝ`)「ハハハハハ、正直なやつだ」
(´_ゝ`)「たしかに、そうだ!」
(´_ゝ`)「初っ端から厳冬訓練なんてやってられないよな」
(´_ゝ`)「では、ここは互いに貧乏くじを引いた者同士ということで……」
(´_ゝ`)「納得してくれないか?」
彡(#゚)(゚)「うん」
(´_ゝ`)「ありがとう」
(´_ゝ`)「では、また」スタスタ
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ねえチョク」
彡(゚)(゚)「ん?なんや?」
(´・ω・`)「リーダーとはあの人のことを言うんだろうね」
彡(゚)(゚)「せやな」
157
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:28:17 ID:fAkrps.k0
ある日、海軍学校の制服が支給された
海軍兵学校の制服は白い軍服でとてもかっこよかった
この制服を着たいがために入学を志す者もいたくらいだ
(´・ω・`)「チョク、似合うね」
(´ᴖωᴖ`)「馬子にも衣裳だよ」
彡(゚)(゚)「タケ……それ褒めてないからな……」
ザワザワ
(`四´)「お前たち!あまり浮かれるな!!」
ザワザワ
(`四´)「お前たち!静かにしないなら遠足は中止だ!!」
シャキッ!
(;`四´)「現金な奴らだ……まったく」
158
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:28:56 ID:fAkrps.k0
ボクたちは新調された制服を着て広島県呉市を練り歩いた
街の人たちの視線にさらされるのが実に誇らしかった
チョクなんてものすごいドヤ顔であるいていた
彡(゚)(゚)ドヤァ!!
そしてそのまま軍港へと足を運んだ
するとそこには戦艦伊勢が停泊していた
(´ᴖωᴖ`)「すごい大きいね」
彡(゚)(゚)「ホンマや」
(;`四´)「お前たち!今から我々はこの戦艦に乗船する!!」
(;`四´)「粗相のないように!!」
さすがの鬼の四年も戦艦の威圧とボクたちの熱気の前にタジタジだった
159
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:29:29 ID:fAkrps.k0
(´・ω・`)「やっぱ戦艦はすごいね」
(´・ω・`)「海の王者だよ」
彡(゚)(゚)「せやな…」
彡(゚)(゚)「けど、平賀教官から聞いたんやけど……」
彡(゚)(゚)「これからは航空母艦が戦いの主役になるかもやと」
(´・ω・`)「航空母艦?」
彡(゚)(゚)「船に戦闘機を乗せれるらしいで」
(´・ω・`)「へーあまり想像できないな」
(;`四´)「お前たち!無駄口を叩くな!!」
160
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:30:25 ID:fAkrps.k0
ボクはチョクと一緒に図書室に来た
彡(゚)(゚)「はえーこれはすごいで!」
(´・ω・`)「どうしたんだい?」
彡(゚)(゚)「ほれ、マルクスが書いた資本論が置いてあるで」
(´・ω・`)「ん?それのなにがすごいの?」
彡(゚)(゚)「これは社会主義思想に通ずることが書いてあって」
彡(゚)(゚)「その辺の書店じゃ危険思想として禁書になっとるんや」
161
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:31:04 ID:fAkrps.k0
彡(^)(^)「いやー海軍のリベラリズムもすごいもんや」
(´・ω・`)「リベラリズム?」
彡(゚)(゚)「寛容や、自由って意味やな」
(´・ω・`)「それはそんなにいいことなのかい?」
彡(-)(-)「う〜ん、まあこの辺は中々難しい話なんやが……」
彡(゚)(゚)「例えばこの前、映画を見たやろ」
(´・ω・`)「うん!あれには驚いたよ……」
(´・ω・`)「まさか外国の映画が上映されるなんて思ってもなかったし」
(´・ω・`)「オーケストラの少女だっけ?」
(´・ω・`)「あんないい映画を作れるなんて外国の人もすごいよね」
162
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:31:47 ID:fAkrps.k0
彡(゚)(゚)「それや!」
彡(゚)(゚)「良いものを良いと受け入れることができる」
彡(゚)(゚)「それがリベラルや」
(´・ω・`)「ふーん」
(´・ω・`)「でも、あんな敵性映画を流しても大丈夫なのかな?」
彡(゚)(゚)「それは難しいところやな」
彡(゚)(゚)「まあ、タケはあの映画を見て面白いと思ったんやろ?」
(´・ω・`)「うん!」
彡(゚)(゚)「なら、その気持ちを大切にすることや」
(´・ω・`)「なんだかよく分からないけど……そうするよ」
163
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:32:27 ID:fAkrps.k0
チョクは運動神経抜群だった
剣道の試合では得意の貫き胴で上級生相手でも善戦していた
そしてとても俊敏だった
水泳なんて得意中の得意でまるで魚のようだった
彡(゚)(゚)「ワイは台風で濁流した川も泳ぎ切ったんや」
と嘘丸出しの冗談も言っていた
164
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:33:06 ID:fAkrps.k0
そんな彼でも、鉄棒は苦手だった
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡(●)(●)「クソが!なんでできんのや!!」
(´・ω・`) .。oO(真面目だな)
できない自分の不甲斐なさに憤慨してるよ
165
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:33:35 ID:fAkrps.k0
(´・ω・`) .。oO(でも、チョクは真面目なだけの人間ではなかった)
彼はよく隙を見ては外出して門限ギリギリまで帰ってこないこともあった
この前なんて短剣を押さえて慌てて駆けこんできたし
いったい外でなにをやってたんだか
まあ、息抜きを覚えなきゃ
規律の厳しい軍学校での生活なんてやってられないよ
166
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:34:12 ID:fAkrps.k0
「はっけよ〜いのこった!!」
(´・ω・`) .。oO(今日は全校生相撲大会が催されていた)
日頃から鍛えている男たちが組んず解れつし
体がぶつかり合う光景はすさまじかった
さてと、そろそろボクも出てみようかな
167
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:34:51 ID:fAkrps.k0
三十分後
( ;´-ω-` )「ふぅ……ふぅ」
「はっけよ〜いのこった!!」
ドン!
(;´・ω・` )「うっ……」ズサー
( ;´-ω-` ) .。oO(いったいこれで何人目だろう……)
ボクは負けに負けまくっていた
この大会は負け残り……
つまり、負けた者はだれかに勝つまで土俵を降りることは許されなかった
168
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:35:28 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう……)
負け続けるほど体力も消耗してまた負けるという
負の連鎖が続いている
このままじゃそのうち力尽きて倒れてしまうよ……
彡(゚)(゚)ノ「よっしゃ!次はワイがいくわ」
(;´・ω・` )「チョク……」
彡(゚)(゚)「疲れ切っとるようやなタケ」
彡(゚)(゚)「今のお前なら小柄なワイでも余裕で倒せそうや」
(;´・ω・` )「うっ……」
彡(゚)(゚)「ほな、いくで!」
169
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:36:14 ID:fAkrps.k0
「はっけよ〜いのこった!!」
ドン!とチョクは勢いよくぶつかってきた
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
勢いの割には……全然、力が入っていない
彡(゚)(゚)「たく……世話がかかるやつやで……」
彡(゚)(゚)「ほれ、さっさとワイを放り投げんかい」
(´・ω・`)「え?え?」
彡(゚)(゚)「はよせい……八百長やと思われるやろ……」
(´・ω・`) .。oO(そうか……)
チョクはわざと負けようとしてくれてるんだ
ありがとう、助かったよ
グッと力を込めて押し込むとフワッとチョクの体は浮き上り
土俵の外に飛んで行った
彡(゚)(゚)「ぐえー負けたんご」
170
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:36:57 ID:fAkrps.k0
ボクはチョクに救われた
でも、チョク自身はこの後が大変だった
小柄なチョクは格好の獲物となされ
上級生からターゲットとされた
チョクは負け続けた
ボクと同じように負の連鎖が彼を容赦なく襲った
171
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:37:37 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう……)
ボクが出ていきたいけど……
一度、勝った者はもう土俵には上がれない
同期の皆もチョクを憐れんではいても
自分が彼の立場になることを恐れ沈黙している
彡;(゚)(゚)「ふぅ……ふぅ」
(`3´)「次はオレや」
172
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:38:14 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(チョク……)
彼は肩で息をし、疲れ切っていた
まるでさっきまでのボクのよう
……でも、ボクとは違って
諦めた者が放つ特有の悲壮感は漂っていなかった
彼は猛獣のような鋭い眼光で敵を睨みつけていた
173
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:38:43 ID:fAkrps.k0
「はっけよ〜いのこった!!」
;(゚)(゚)ミ三三3ダッ!!
チョクはまっしぐらに相手のふところに飛び込んだ
そして勢いそのままに敵の片足を取った
(;`3´)「なっ!!」
;(゚)(゚)ミ「うをおおおりゃああああああああ」
敵はバランスを崩し、倒れた
彡;(゚)(゚)/「よっしゃ!ワイの勝ちやあああああああ!!」
174
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:39:17 ID:fAkrps.k0
今回はここまで
175
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 20:22:23 ID:/icBeS1U0
乙!学校編面白い
176
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 23:39:21 ID:ykELnO7g0
おつです
177
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 12:49:14 ID:N67RdB7o0
乙
面白い
178
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:51:45 ID:aTqdvwio0
この日はボートレース大会だった
この大会は学年ごとではなく
4年から1年の混合チームが複数作られ競い合うものだった
ボクたちは放課後にも集まって練習に励んだ
上級生たちと一緒に練習するのは体力的にも精神的にも苦痛だった
それでも彼らと共に汗を流し
上手くなった実感を得たときの感動、褒められたときの喜びは
忘れることはできない
179
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:52:41 ID:aTqdvwio0
(´・ω・`) .。oO(まあ、結果はというと……)
上位三位にも入れなかったんだけどね
でも、精一杯やったんだから、悔いはないよ
ガヤガヤガヤ
彡(゚)(゚)「なんや?騒がしいな」
(´・ω・`)「なにか揉めてるね」
`0´)「チョク、タケ!集まるよう号令がかかったぞ」
彡(゚)(゚)「なんか知らんがいくで」
(´・ω・`)「うん」
180
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:53:52 ID:aTqdvwio0
( `෴´)「実にけしからん!!」
全生徒が集まった瞬間に怒声が飛んだ
( `෴´)「伝統あるこの大会で不正をするとはなにごとか!!」
(;´・ω・` ) .。oO(え?どういうこと?)
( `෴´)「報告よると一位のチームは……」
( `෴´)「自らの判断で勝手に舟に備え付けられていた……」
( `෴´)「鎖の金具を外したそうだ」
( `෴´)「このような不正があったのは甚だ遺憾である!」
( `෴´)「よってこの大会は中止とし……」
( `෴´)「後日、改めて大会をやり直すこととする……以上!!」
181
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:54:21 ID:aTqdvwio0
(;´・ω・` ) .。oO(ええ……そんな……)
ボクたちはこの大会に合わせて休日返上で猛練習をしてきたんだよ
それなのに金具を外したぐらいの小さなミスで
試合そのものをやり直すなんてあんまりだ……
それに、レースもやり終えた後だよ……
一位のチームが不正したなら、そのチームを失格にして
二位のチームを繰り上げて優勝にすればいいだけじゃないか
182
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:55:01 ID:aTqdvwio0
彡(゚)(゚)「物のあわれを知らん奴やな」
彡(゚)(゚)「たしかに、勝手に金具を外したことは問題かもしれん」
彡(゚)(゚)「けど、それで大会をなかったことにするのは……」
彡(゚)(゚)「やりすぎや」
彡(゚)(゚)「ワイら生徒のこれまでの頑張りを」
彡(゚)(゚)「なんやと思っとるんや……」
彡(゚)(゚)「ほれ見い、鬼の四年まで戸惑ってしまっとるやんけ」
(;`四´)「弱ったなぁ」
彡(゚)(゚)「ハーア、くだらん物言いでつまらん大会になってもうたわ」
183
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:03:06 ID:aTqdvwio0
ボクたちはこの日、海軍の飛行場にきていた
日本には陸軍と海軍があるのだけど空軍というのはない
その代わり、陸海それぞれが独自に開発した戦闘機を持っている
(´・ω・`) .。oO(一つにまとめればいいのに……)
と思うのはおそらく幼稚なのだろう
大人の事情ってやつは大人にならないと理解できないほど複雑なものさ
なんてしょうもないことを考えているボクの横では
彡(^)(^)「ひゃっほう!行け行け!!」
とチョクが大盛り上がりしていた
184
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:03:49 ID:aTqdvwio0
空の上では戦闘機によるアクロバット飛行や、模擬戦が行われていた
木材や鉄で出来た物体が空に浮くだけでも不思議なのに
好き放題、自由自在に飛び回る戦闘機は摩訶不思議としかいいようがない
彡(^)(^)「そこや!そこや!ズダダダダダダ!!」
(`四´)「菅野!いい加減にしろ!!」
(`四´)「浮かれすぎだ!!!」
185
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:04:49 ID:aTqdvwio0
彡(●)(●)「活字……活字をクレメンス……」
(;´・ω・` )「ほら、図書室に着いたよ」
彡(●)(●)「ンゴオオオオオオオオオオオ!!」
あまりに色々な行事にタダでさえ少ないプライベートが皆無になってしばらく
ある日、チョクの読書家魂が叫んだ
本を読ませろ、本を読ませろと叫び狂った
186
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:05:21 ID:aTqdvwio0
彡(^)(^)「ひゃっほう!本や!本や!」
彡(•)(•)「お!コレは……」
彡(^)(^)「吉川英治作の『宮本武蔵』の新刊やんけ!!」
彡(>)(<)「コレめっさおもろいねん!!」
彡(●)(●)「読むで!読むで!!読むで!!!」
(;´・ω・` )「チョク……少しは落ち着こうよ」
(`四´)「おい一年!!」
(。゚ω゚)「はい!」
彡(●)(●)……ギロッ!!
(;`四´) .。oO(なんという威圧感……)
187
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:06:11 ID:aTqdvwio0
(;`四´)「最上級生より先に読む奴があるか!!」
(;`四´)「俺が先に読む貸せ!!」バッ
彡(●)(●)……
(;´・ω・` )……
彡(●)(●)「あひゃひゃひゃひゃはひゃ」
(。゚ω゚)「え?」
彡(●)(●)「ヒャッハー!」ぴょーん
(。゚ω゚)「まさか鬼の四年に飛びかかる気?」
(;`・ω・´)「さすがにそれはまずいよ!」ギュッ
彡(●)(●)「武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!」
188
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:06:51 ID:aTqdvwio0
(;`四´)「そこまで読みたいのか……」
彡(●)(●)コクン
(;`四´)「ダメだ!!最上級生が優先だ!!!」
彡(●)(●)「ヒャッハー!」ぴょーん
Σ(。゚ω゚)「あ!」
Σ(;`四´)
;`0´)つ「タケ!コレを……」
(;`・ω・´)「武田くん!これは宮本武蔵の新刊じゃないか!」
;`0´)「うん、実家から送って貰ったんだ」
(;`・ω・´)「ナイスタイミング!ほらチョク、新しい武蔵だよ」
彡(●)(●)ピタ
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
( ;´-ω-` )「ふぅ……」
(;´・ω・` )「すみません、これで一件落着ってことで……」
(;`四´)「ああ……」
(;`四´) .。oO(菅野……あいつは要注意だな……)
189
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:08:25 ID:aTqdvwio0
今回はここまで
190
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 21:58:24 ID:xgmd22.I0
乙
191
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 23:24:22 ID:FlQGlRDU0
日々投下すげーぜ
192
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:18:35 ID:O8gK4oPs0
(´・ω・`) .。oO(フフフフ……)
ついにきた……ボクたちが望むアレがついにやってきた……
彡(^)(^)「夏休みや!!」
(´^ω^`)「ひゃっほい!」
初めての長期休暇にボクたちは歓喜した
世間ではアメリカとの関係が悪化したり、ソ連とひと悶着あったり
中国との戦争が長引いたり
国家総動員法なんていうおっかなびっくりな法がまかり通っていたりと
いろいろとカオスな状況だった
だけど、学校から解放され自由を得たボクたちにとって
そんなことは知ったこっちゃなかった
193
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:19:29 ID:O8gK4oPs0
(´^ω^`)「ボクは故郷に帰るよ!」
彡(^)(^)「ワイもや!」
彡(゚)(゚)「あ……」
彡(゚)(゚)「でも、その前に会いにいかなアカン人がおったわ」
(`・ω・´)「むむ!恋人かい?」
(`・ω・´)「チョクも隅に置けないね」
彡(゚)(゚)「嫁いでから元気にしとるかな……」
(;´・ω・` )「え?嫁いでるって…既婚者?」
(;´・ω・` )「チョク……不倫はどうかと思うよ……」
彡;(゚)(゚)「アホか!お前の頭はお花畑かいな!!」
194
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:20:30 ID:O8gK4oPs0
数日後
名古屋市
ピンポーン!
「はい、どちら様ですか?」
ガラガラ
Σ川◦-◦)「あら!」
彡(^)(^)ゞ「海軍兵学校生徒、菅野直!」
彡(^)(^)「ただいま帰りました!」
川◦-◦)「あら、あら、あら……」
川◦-◦)「なんて立派でたくましくなって……」
川◦-◦) .。oO(これがあの甘えん坊だった直さん……)
195
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:21:17 ID:O8gK4oPs0
彡(-)(-)「いないな〜い……」
彡(^)(^)「ばあ!!」
( 。•᎑•。)「キャッキャ♡」
彡(^)(^)「かほる姉ェに似てかわいい女の子やな」
川◦-◦)「男の子ですよ直さん……」
彡;(゚)(゚)「ファッ!ホンマかいな!」
彡(^)(^)「なら将来はイケメン確定やん!!」
196
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:21:50 ID:O8gK4oPs0
彡(゚)(゚)「ん?あくびしたで……眠たいんやろうか?」
彡(゚)(゚)「よっしゃ!とっておきの子守唄、歌ったる」
彡(゚)(゚)「こがね〜虫は〜お金〜持ちだ〜♪」
川◦-◦)「あら……その歌は……」
川◦-◦)「直さんに唄ってあげていた……」
川◦-◦)「まだ、覚えてたの?」
彡(^)(^)「うん!」
川◦-◦) .。oO(添い寝してあげてた頃の歌をまだ覚えてたなんて……)
197
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:22:28 ID:O8gK4oPs0
川◦-◦)「ところで、今日は泊まっていくのでしょ?」
彡(゚)(゚)「かほる姉ェがいいなら…そのつもりなんやが……」
川◦-◦)「一緒に寝てあげましょうか?」
彡;(゚)(゚)「いらんわ!ワイはもうそんな歳とちゃうで」
川◦-◦)「あら残念……ふふふ」
198
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:22:55 ID:O8gK4oPs0
次の日
彡(゚)(゚)「じゃあ実家に帰るわ」
川◦-◦)「あら、制服で帰るの?」
川◦-◦)「普通の楽な服装でいけばいいのに……」
彡(゚)(゚)「ワイは外に出るときは必ず制服を着るんや」
彡(゚)(゚)「その方がカッコいいやろ」
川◦-◦)「あらまあ、ずいぶんとおしゃれになって」
川◦-◦)「……元気で体に気をつけて、また顔見せに来てね」
彡(^)(^)「うん!」
199
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:23:40 ID:O8gK4oPs0
東京駅
彡;(゚)(゚)「はぁ……電車の乗り継ぎが大変やで……」
彡;(゚)(゚)「次はどれに乗ればええんや……」
「アッチだよ、チョク」
彡(゚)(゚)「おお、おおきに……」
彡(•)(•)「って誰やねん!」
( ゚∋゚)「友を忘れるとは……」
彡(⦿)(⦿)「ユッキー!!」
彡;(゚)(゚)「なんでここにおるんや?」
( ゚∋゚)「陸軍学校が長期休みに入ったんで帰郷しようと思ってね」
彡(゚)(゚)「はへーそんでまさか一緒になるとは、ホンマ奇遇やな」
彡(゚)(゚)「ほな、一緒に帰ろうや」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
200
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:24:31 ID:O8gK4oPs0
電車の中
彡(゚)(゚)「それでな、タケっていうおもろいのがおってな……」
( ゚∋゚)「ほうほう……」
彡(゚)(゚)「言うて、やっぱ海軍は厳しいとこやわ」
彡(゚)(゚)「尻を棒で叩かれたりしてな」
( ゚∋゚)「陸軍なんてスリッパで平手打ちだぞ」
彡(゚)(゚)……
201
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:24:58 ID:O8gK4oPs0
彡(゚)(゚)「海軍なんて他にもあんなコトやこんなコトもされるんやぞ」
( ゚∋゚)「陸軍なんて他にもああいったコトやそういったコトもされるぞ」
彡(゚)(゚)……
( ゚∋゚)……
彡(゚)(゚)「いやいや、海軍ではな……」
( ゚∋゚)「いやいやいや、陸軍では……」
・・・
彡;(゚)(゚)「ふぅ……ふぅ……」
(; ゚∋゚)「はぁ……はぁ……」
彡;(゚)(゚)「不幸自慢はこの辺でやめとこうや……」
(; ゚∋゚)「そうだな……あまりに不毛だ……」
202
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:25:39 ID:O8gK4oPs0
菅野家
彡(゚)(゚)「ただいまやでー」
バタバタバタ!
彡 •⌄• )「おかえり、チョク兄ィ!」
彡( 'ー`)「コラ!カズコ」
彡( 'ー`)「女の子がドタバタとはしたない」
彡( 'ー`)「それに、直もなにその挨拶は!」
彡( 'ー`)「ちゃんとしなさい!!」
川;´_ゝ`)「まあまあ、母さん……久々の再会なんだから」
彡(゚)(゚)「巌兄ィも帰ってきとったんか!」
川´_ゝ`)「ああ、大学が長期休みに入ってね」
彡(゚)(゚)「どこもかしこも休みなんやな」
203
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:26:29 ID:O8gK4oPs0
彡(゚)(゚)つ「あ、そや!これ土産や」
彡 •⌄• )「やったー!」ガサガサ
彡( 'ー`)「コラ!カズコ!!」
彡 •⌄• )「えーと“名古屋名物!金シャチショコラ〟だ」
彡 •⌄• )「え?」
彡; •⌄• )「えーとチョク兄ィは広島で学んでるのよね?」
彡(゚)(゚)「いやー土産なんてすっかり忘れとって……」
彡(゚)(゚)「それをかほる姉ェに言ったら」
彡(゚)(゚)「せめて、これでも持っていきなさいって渡されたんや」
彡(; 'ー`)「あんたって子は……」
川;´_ゝ`)「まあまあ……それで、かほるは元気だったかい?」
204
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:26:53 ID:O8gK4oPs0
彡(^)(^)「そら元気やったで!」
彡(>)(<)「めっさかわいい赤ちゃんもおってな!!」
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィが帰ってきたとたんに……)
我が家は賑やかになった
それから、この帰省をどこからか聞きつけた
チョク兄ィの友人たちも集まってきて、さらに賑やかになった
軍で矯正されてもムードメーカーでわんぱくなのは直らないみたいね……
205
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:27:45 ID:O8gK4oPs0
( ゚∋゚)「おーいチョク、みんなでキャンプに行かないか?」
彡(゚)(゚)「おお、ええやん」
( ゚∋゚)「巌さんもよかったらどうですか?」
川´_ゝ`)「いいのかい?」
( ゚∋゚)「もちろんです」
川´_ゝ`)「では、喜んで参加するよ」
彡 •⌄• )「ワタシも!」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
( ゚∋゚)「……と言いたいが……」
(; ゚∋゚)「男ばかりの中にカズコちゃん女の子一人というのは……」
彡 •⌄• )「私もいくの!!」
206
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:28:21 ID:O8gK4oPs0
(; ゚∋゚)「うーん……」
彡(゚)(゚)「別にええやろ、ワイが面倒みたるさかい」
川´_ゝ`)「直……そうは言ってもね……」
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡 •⌄• ) .。oO(巌お兄ちゃんに逆らえないのも相変わらずか……)
207
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:28:59 ID:O8gK4oPs0
彡(•)(•)「いや!連れてく!!」
彡 •⌄• ) .。oO(え?)
川´_ゝ`)「直……」
彡(•)(•)「大丈夫や!兵学校で鍛えられたんや!」
彡(•)(•)「今のワイならカズコぐらい守ってやれるわ!」
川´_ゝ`)……
川´_ゝ`)「直がそこまで言うなら、任せるよ」
彡(゚)(゚)「うん!」
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィ……)
208
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:29:37 ID:O8gK4oPs0
次の日
ワタシたちはキャンプ場に向かった
チョク兄ィの自転車の後ろに乗って一時間
太平洋の広々とした光景がとてもまぶしかった
彡 •⌄• )「チョク兄ィ!泳ぎを教えて!!」
彡(゚)(゚)「ええで」ぽいっ
彡 •⌄• )「え!」バシャン!
海に放り投げられた
彡(゚)(゚)「泳ぎってのは……」
彡(゚)(゚)「習うより慣れろや!!」
彡(゚)(゚)「危なくなったら助けたる」
彡; •⌄• )「そ、そんな教え方……アブアブ」
209
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:30:10 ID:O8gK4oPs0
このスパルタ式の教えのせいで
ワタシは塩辛い海水をたくさん飲む羽目になった
それでもなんとか、泳げるようにはなったけど……
こんなやり方は酷いわ!!
210
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:30:52 ID:O8gK4oPs0
夜
キャンプファイヤーが灯り
その周囲でどんちゃん騒ぎが始まった
見ない顔もある、どうやら地元の人も飛び入り参加したみたい
( ゚∋゚)「野菜と果物があったぞ」
彡 •⌄• )「どこにあったの?」
( ゚∋゚)「そこの畑に生えてた……」
彡; •⌄• )「それって泥棒……」
( ゚∋゚)「ちなみに酒もある」
彡; •⌄• )「未成年飲酒……」
( ゚∋゚)「お菓子をあげるから内緒だ」
彡 •⌄• )「収賄……でも、見逃してあげるわモグモグ」
211
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:31:44 ID:O8gK4oPs0
そのうち宴はヒートアップしていった
川´_ゝ`)「菅野巌!一発芸をやります!!」
川´_ゝ`)「男女が布団に入って……」
川´_ゝ`)「ハッスル!ハッスル!」
( ゚∋゚) 「ハッスル!ハッスル!」
彡(゚)(゚)「……巌兄ィがあんな下品なまねを」
彡 •⌄• )「ねえ、男女が布団に入ってなにするの?」
212
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:32:15 ID:O8gK4oPs0
彡;(-)(-)……
彡(゚)(゚)「プロレスやろうな……」
彡 •⌄• )「へー」
彡(゚)(゚)「カズコ……夜の海でも見にいこか」
彡 •⌄• )「うん!」
彡(゚)(゚)「はぁ……まさか巌兄ィが……」
彡 •⌄• ) .。oO(なんで布団の中でプロレスなのかしら……)
213
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:32:49 ID:O8gK4oPs0
その後
彡;ㅿ;)「チョク兄ィ……」
彡;(゚)(゚)「どうしたんや!?誰かにいじめられたんか?」
彡;ㅿ;)「みんなが日焼けしたワタシのことを……」
彡;ㅿ;)「黒ん坊でみっともないって……」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「泣かんでええ……元気な証拠や」
彡;ㅿ;)「うぅ……でも……」
彡(゚)(゚)「大丈夫や、日焼けした皮がむけたらかえって綺麗になる」
彡(゚)(゚)「だから堂々としとって……」
彡(゚)(゚)「美人になって見かえしたれ!」
彡;ㅿ;)「……うん」
214
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:33:41 ID:O8gK4oPs0
「いくらカズコちゃんが可愛いからって……」ひそひそ
「男ばかりのキャンプに女の子連れていくなんてね……」ひそひそ
彡;ㅿ;)「ワタシが我がまま言ったせいで……」
彡;ㅿ;)「チョク兄ィに悪い噂が……」
彡(゚)(゚)「気にすんな、言わせとけばええ」
彡;ㅿ;)「でも……」
彡(゚)(゚)「キャンプ楽しかったか?」
彡;ㅿ;)「え……うん、楽しかった」
彡(゚)(゚)「なら、それでええやん」
彡(^)(^)「連れて行った甲斐があるってもんやで」
彡っㅿ;)……ゴシゴシ
彡 •⌄• )「うん!」
215
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:34:40 ID:O8gK4oPs0
どんな噂が立とうがチョク兄ィは気にしなかった
それどころか海軍の白い目立つ制服を着て村を歩き回り
自ら人目を引いていた
ワタシはその横にピッタリと張り付いていた
彡(゚)(゚)「ワイの傍におったらカズコも何か言われるかもしれんぞ」
彡 •⌄• )「そんなの平気よ!それに……」
彡 •⌄• )「ワタシにはカッコいいお兄ちゃんがいるんだって……」
彡 •⌄• )「みんなに見せびらかしてやってるのよ」
彡(゚)(゚)「ほーん、ワイはカッコええんか?」
彡 •⌄• )「うん!」
216
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:35:35 ID:O8gK4oPs0
彡 •⌄• ) .。oO(そうこうしているうちに……)
夏休みはあっという間に過ぎて行った
彡(゚)(゚)「じゃあワイは戻るわ」
彡 •⌄• )「うん……」
彡(゚)(゚)「……お父さん、お母さん」
Σ彡( 'ー`)
Σ(゚灬゚)
彡 •⌄• ) .。oO(いつもはオヤジ、オフクロって呼んでるのに)
217
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:36:18 ID:O8gK4oPs0
彡(゚)(゚)「お世話になりました」
彡(゚)(゚)「今度、帰るときまでどうぞお元気で」
彡( 'ー`)「直……あんた……」
(゚灬゚)「うむ!立派になったもんだ」
彡 •⌄• ) .。oO(やっぱりチョク兄ィは……)
カッコいいワタシの自慢のお兄ちゃん
兵学校
(´・ω・`)つ「久しぶりだねチョク、はいお土産」
彡(゚)(゚)「は!」
彡;(゚)(゚)「またお土産忘れてしまっとった……」
218
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:36:44 ID:O8gK4oPs0
今回はここまで
219
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 11:00:06 ID:rhXOqb/E0
乙
日焼けのフォローめっちゃかっこいい
220
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:03:54 ID:O8gK4oPs0
休み明けそうそう海軍兵学校名物、弥山登山が始まった
登山といっても景色を見て楽しんだり
ヤッホーと叫んだりする遊山ではない
海抜530mの山を全力疾走で駆けあがるといった過酷なものだ
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三3
(`四´)「遅い!もっとピッチを上げろ!!」
┗(゚)(゚;)ミ┓┗(‘・ω・`;)┓三三3
(`四´)「もっとだ!!!」
┗(@)(@;)ミ┓┗(‘@ω@`;)┓三三三3
なんとか頂上まで登りきることができた
221
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:04:21 ID:O8gK4oPs0
(`四´)「よし!よくやった」
(`四´)「豚汁ともみじ饅頭を用意した」
(`四´)「好きなだけ食べてよし!」
彡(^)(^)(´^ω^`)『やったー!』
ボクたちはもう夢中になって食べまくった
222
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:04:58 ID:O8gK4oPs0
今日は帆走巡航の日だ
帆走巡航と書くとあまりに重っ苦しいが
ようは全学年合同の舟遊びだ
兵学校のきびしい規律生活から少しでも生徒を解放してやろうという
先生方の親心にはとても嬉しく思う
223
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:05:37 ID:O8gK4oPs0
(`四´)「お前たち!今日は一年も四年も関係ない」
(`四´)「無礼講だ!存分に食って歌って踊って楽しむぞ!!」
『オオォオオ!!』
(`四´)「すき焼き用のいい肉だ!死ぬほど食え!!」
『オオォオオ!!』
(`3´)「ヒヒヒ、食糧庫からコンビーフ缶詰、ようかんを拝借してきたぞ!」
『オオォオオ!!』
(´・ω・`)「BGMにクラシックでも流そうっと」
♪♪♫
彡(゚)(゚)「おお!風流やな」
彡(゚)(゚)「いい趣味しとるやんけ」
224
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:06:28 ID:O8gK4oPs0
彡(゚)(゚)「けど、ワイも負けてへんぞ……」
彡(゚)(゚)つ「ほれ、酒を持ってきたで」
(;`四´)「いや……」
(;`3´)「さすがに……」
(;´・ω・`)「お酒はヤバイでしょ……」
彡(゚)(゚)「……根性なし」ボソッ
225
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:06:57 ID:O8gK4oPs0
(`四´)「あん!」
(`3´)「だと!」
(`・ω・´)「そこまで言うなら……」
(`・ω・´)「飲んでやろうじゃないか!!」
(`・ω・´)つ「みんなグラスは持ったかい」
『オオォオオ!!』
(`・ω・´)つ「カンパーイ!!」
『カンパーイ!!!』
カツーン♪
彡(^)(^)つ”*∀∀*”⊂(´^ω^`)
226
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:07:43 ID:O8gK4oPs0
卒業式
(`四´)「しっかりやれよ」
彡(゚)(゚)「まかせい!」
(`四´)……
(`四´)「菅野のこと頼んだぞ」
(´・ω・`)「任せてください」
こうして鬼と呼ばれた四年生たちは訓練艦八雲にのって
戦場へ向かっていった
227
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:08:17 ID:O8gK4oPs0
よくも偉そうに雑用ばかり押し付けやがって……
いなくなって清々した
(´・ω・`) .。oO(と思う反面)
なんだかんだ色々あったけど
しっかりと言葉で教育しよう心がけていた紳士的でよい先輩方だったと思う
(`3´)「四年が殴らなかったから、お前たちは軟弱になった」
(`3´)「これからは俺たちが鍛え直してやる」
と豪語している新四年と比べれば本当にいい先輩方だった
228
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:08:58 ID:O8gK4oPs0
(´・ω・`)「ボクたちが最上級生になったら……」
(´・ω・`)「極力、暴力は振るわないようにしようね」
彡(゚)(゚)「せやな」
二年後
彡(゚)(゚)「ワイらはついに鬼の四年になった。これからは……」
彡(^)(^)「ワイの天下や!!!」=◯)` 0゚)∵
(ꐦ`•ω•´)「コラァ!!なに初っ端から暴力ふるってるの!!」
彡;(゚)(゚)「しまった……つい……」
( ;´-ω-` )「はぁ……」
(;´・ω・` )「殴られて育つとそれが当たり前になっちゃうよね……」
(;´・ω・` )「いやな負の連鎖だよ……」
229
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:09:43 ID:O8gK4oPs0
今日は待ちに待った、飛行訓練実践編だ
窮屈な学校から離れられる上に、飛行機にまで乗れるのだ
みんなルンルンでウキウキだった
ボクたち訓練生が乗る練習機は
片翼式九○式二号機上作業訓練機と呼ばれるもので
一機に複数人が乗れることができる
230
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:10:25 ID:O8gK4oPs0
そして、ボクとチョクは共に小川中尉の下で指導を受けることになった
(メ●灬●)←この小川中尉は歴戦の戦闘機乗りだった
小川中尉は訓練前に武勇伝を語った
その内容はすさまじかった
中尉は中国の飛行場を襲撃して大いに戦果をあげた
だが、敵の戦闘機がまだ残っている状況で弾丸を撃ち尽くしてしまった
このような時、普通なら仕方ないと引き返すだろう
しかし、中尉は違った
なんと!そのまま敵飛行場に着陸して乗機から降り
敵の戦闘機に火を点けるなどして大いに暴れ回ったあと
再び空に舞い上がり、帰投したのだ
破天荒にもほどがある
231
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:10:58 ID:O8gK4oPs0
でもその後
「なに危険なことしとんのじゃ!無事だからよかったものを……」
「それに戦闘機を敵に奪われたらこっちの機密情報が漏れるやろ!」
と軍上層部から注意を受けこのような行為は禁止されたようだ
(#●灬●)「だから君たちは決してマネしないように」
(´・ω・`) .。oO(誰がするかよ!)
と思うボクの横でチョクは
彡(゚)(゚)「はえーすっごい」
と感心していた
232
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:11:35 ID:O8gK4oPs0
(#●灬●)「よし!これより訓練を始める!」
(´・ω・`)ゞ「はっ!」
彡(゚)(゚)ゞ「はっ!」
こうしてボクたちは空に舞い上がった
眼下には美しい瀬戸内海が広がっていた
(´・ω・`)「右三十度、十海里……綺麗な海が広がってます」
彡(゚)(゚)「的角右八度、距離千五百……船に乗った漁師が手をふってるで」
(´・ω・`)「偏流を計ります、ヨーソロ」
彡(゚)(゚)「偏流角右五度」
(´・ω・`)「着陸準備!後方よろしい」
彡(゚)(゚)「着陸方向S」
233
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:12:20 ID:O8gK4oPs0
このようにしてボクたちの五日間にわたった
後半に操縦桿を握り自分で飛行機を操ることもできた
そしてあっという間に航空実習は終わった
(#●灬●)「うむ!二人とも航空機乗りの素養がある」
(#●灬●)「笹堀くんは、丁寧な操縦と常に周りを見る警戒心が優れている」
(#●灬●)「菅野くんは操縦こそ荒いが、その度胸は目を見張るものがある」
(#●灬●)「では、訓練はこれで終了だ」
(#●灬●)「お疲れさん」
(´・ω・`)「ありがとうございました」
彡(゚)(゚)「ありがとうございました」
234
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:13:19 ID:O8gK4oPs0
ある日、兵学校卒業後の進路アンケートが実施された
進路先として戦艦や駆逐艦といった船の砲術士や航海士
戦闘機乗りになる海軍航空隊
変わったところで潜水艦の乗員というのもあった
彡(゚)(゚)「ワイは航空隊を志望するわ」
(´・ω・`)「お、奇遇だね、ボクもそのつもりだよ」
彡(゚)(゚)「なんや?ワイのマネかいな」
(`・ω・´)「違うやい。ちゃんとしたボクの気持ちさ」
(`・ω・´)「その証拠にふつうなら希望先に『望』と書くのを……」
(`・ω・´)「ボクなんて『熱望』ってしたんだから」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)カキカキ
235
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:14:10 ID:O8gK4oPs0
彡(゚)(゚)「ふん!ワイなんて『超熱望』にしたわ」
(`・ω・´)「書き足すなんてずるいじゃないか!」
(`・ω・´)「ならボクだって……」カキカキ
(`・ω・´)「どうだ!『白熱的大熱望』だ!」
彡(゚)(゚)「ぐっ……」カキカキ
彡(゚)(゚)「ならワイは……『太平洋海戦的熱望』や!」
(`・ω・´)「それならボクは……」
彡(゚)(゚)「ほんならワイは……」
この後、教官に「ふざけるな!」と怒られたが
ボクたち二人は無事に航空隊へと進めることになった
236
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:14:54 ID:O8gK4oPs0
そして、ついにボクたちも卒業の時がきた
卒業式
( ¯灬¯ )「答辞、卒業生代表。平柳くん!」
(`四´)「はい!」
彡(゚)(゚)「あの平柳くんが……(`0´)→(`四´)」
彡(-)(-)「立派になったもんや」
237
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:15:35 ID:O8gK4oPs0
(`四´)「……ボクは軍人とは憧れを持たれるような職業ではないと思う」
ザワザワ
(;´・ω・` )「え?急になにを言い出すの?」
(;´・ω・` )「軍幹部のお偉いさんもいるのに……」
彡(゚)(゚)「まあ、最後まで聴こうや」
238
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:16:14 ID:O8gK4oPs0
(`四´)「軍人とは一部の者だけが使命とすればそれでよい」
(`四´)「ボクたちはこれから海へ出て戦う……」
(`四´)「だがそれは……ボクたちに与えられた使命であり!」
(`四´)「市井の人々に押し付けてよいものではない!」
(`四´)「市井の人々が、それぞれ自分の意志を貫ける……」
(`四´)「ボクは日本という国がそういう国であって欲しいと願う」
(`四´)「以上!海軍兵学校第70期代表 平柳 育郎」
239
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:17:10 ID:O8gK4oPs0
(´・ω・`)「このご時世、軍批判と思われるかもしれないことを……」
(´・ω・`)「ああも堂々と言えるなんてすごい勇気だね」
彡(゚)(゚)「さすがワイらの代表やな」
( ¯灬¯ )「卒業写真を撮るから並びなさい」
『はーい』
パシャ!
彡(゚)(゚) (´・ω・`)`四´)`四´)`四´)`四´)`四´)`四´)
これがボクたち海軍兵学校第70期生 約400人
全員が揃った最後の写真となった
こののち戦争によって282名の級友が戦死することになる
240
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:19:09 ID:O8gK4oPs0
今回はここまで
次回からは戦争偏に突入です
241
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 20:33:22 ID:ufYxbhsc0
おつ
242
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 09:54:26 ID:RvdBVo7o0
昭和十六年十二月八日午前六時
霞ヶ浦飛行場
彡(-)(-)Zzz……Zzz……
(。゚ω゚)「チョク!!大変だよ、起きて!!」
彡(゚)(゚)「ん?どうしたんや?」
(。゚ω゚)「山本五十六長官が率いる……日本帝国主力海軍が……」
(。゚ω゚)「アメリカ…に宣戦布告……」
(。゚ω゚)「ハワイ諸島を攻撃したみたい……」
彡;(゚)(゚)「ファッ!まじかいな!!」
243
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 09:55:04 ID:RvdBVo7o0
彡;(゚)(゚)「それで……どうなったんや?」
(´^ω^`)「大勝利したみたいだよ!!」
彡;(゚)(゚)「ファッアアアアアアアアアアアア!」
彡(^)(^)「やったやんけ!!」
彡(゚)(゚)「……ん?」
彡(゚)(゚)「なんでそんな大事な戦にワイらは呼ばれてないんや?」
(;´・ω・` )「あっ……本当だ……」
彡()()「カァアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
彡(●)(●)「一世一代にあるかないかの大戦に参加できんとは!!!」
彡;(゚)(゚)「なんたる不覚や……」
244
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 09:56:08 ID:RvdBVo7o0
それからも日本帝国海軍の戦勝報告は続いた
華々しい戦果が次々と届いた
だが、ボクたちには出番らしい出番はなかった
彡;(゚)(゚)「なんでや!なんでワイらにはお呼びがないねん!!」
(;´・ω・` )「まあまあ、今は辛抱のときだよ……」
(´・ω・`)つ「ようかんでも食べて気長に待とうよ……」
彡(゚)(゚)「……まあ、それもそうやな」
この時、ボクたちは……いや、日本国民全員が勝利に浮かれていた
超弩級メリケン国家アメリカにケンカを売ったその意味を知っていたのは
おそらくごく少数だったに違いない
245
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 09:57:09 ID:RvdBVo7o0
ボクたちが霞ヶ浦飛行場に派遣された
そこで待っていたのは座学だった
すぐに戦闘機に乗れると思っていただけにガッカリだ
そんなわけで気晴らしにチョクと近くの町を歩いて回った
彡(゚)(゚)「お!写真館があるやんけ!」
彡(^)(^)「せっかくやし撮ろうや」
(;´・ω・` )「えー君は制服でバシッと決めてるからいいけど……」
(;´・ω・` )「ボクは私服だからイヤだよ……」
246
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 09:57:47 ID:RvdBVo7o0
彡(゚)(゚)「ワイのを貸したるさかい行こうや」
彡(゚)(゚)「ワイらはいつ死ぬか分からんのやから」
彡(゚)(゚)「形あるものを残すのは大事やぞ」
(´・ω・`)「それもそうだね……」
パシャ!
こうして撮った写真は後の世にも残ることになる
(´・ω・`)「あ!ポラロイドカメラだ」
(´・ω・`)「買っちゃおっと」
247
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 09:58:31 ID:RvdBVo7o0
三か月後
ついに待ちに待った飛行実習だ
(´・ω・`) .。oO(実習といっても真剣そのもので……)
一瞬、一瞬がこれすべて戦闘だった
たいした時間を飛んだわけではないのに
地上に降り立つと顔中がほてって眠たくなった
そしてお腹もすごく減る
でも、次第に操縦に慣れ始めると
四方の景色を見る余裕もできる
天気がよければ東京湾越しにあの名峰富士も見ることが出来た
248
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 09:59:15 ID:RvdBVo7o0
二か月後
(´・ω・`) .。oO(この時期になると……)
離着や平行飛行ぐらいならもうマスターできていた
でも、飛行訓練の本番はここからだ
ここから先は特殊飛行と呼ばれ
垂直旋回、宙返り、失速反転、急反転、横転といった
アクロバットな飛行を身につけていかなければならない
このような特殊飛行をするにはいろいろと複雑な操作に加え
体にすさまじいG(重力)がかかるので肉体的疲労も大きなものになる
あのタフなチョクでさえ
彡(×)(×)「あーへばった……目がくらむ……」
と参っていた
249
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 10:00:24 ID:RvdBVo7o0
ある日、二人乗り戦闘機にチョクとペアで飛んだときのこと
(´・ω・`)「チョク、そろそろ帰る時間だよ」
彡(゚)(゚)「……同じとこばっか飛んでつまらんな」
彡(゚)(゚)「せや!ちょっと東京上空を遊覧しようや!」
(;´・ω・` )「え?なに言ってるの?」
(;´・ω・` )「そんなことしたら規律違反で処分されるよ」
彡(゚)(゚)「ばれなければ問題は問題にならん!!」
(;´・ω・` )「無理だよ!東京に行って帰って来る時間はないよ!」
彡(゚)(゚)「んなもん、エンジンをフルスロットにすればええだけや!!」
彡(●)(●)「行くで!!」ギュン!!
(。゚ω゚)!!
250
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 10:01:19 ID:RvdBVo7o0
ガタガタガタガタ
(。゚ω゚)「あわわわわ」
エンジンを全開にしたから機体が震えてるよ
(。゚ω゚)「チョク!少しは加減しようよ」
彡(゚)(゚)「飛行機ってのは最大限まで性能を活用せんといかんのや!!」
彡(゚)(゚)「お!東京や!!」
彡(゚)(゚)「タケ!どこを見にいきたい?」
(。゚ω゚)「そんな場所ないから早く帰ろうよ」
彡(゚)(゚)「なんや、せっかく来たのにつまらんな」
251
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 10:02:12 ID:RvdBVo7o0
(。゚ω゚)「っていうか下手に飛び回ってたら不審機として迎撃されない?」
彡;(゚)(゚)「アカン!それはまずい」
彡;(゚)(゚)「さっさと帰るで!!」
でも、この時
日本帝国にはそんな余裕はなかったかもしれない
昭和十七年六月七日
ミッドウェー海戦においてイケイケドンドンだった日本は
アメリカに敗北していた
252
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 10:03:55 ID:RvdBVo7o0
今回はここまで
253
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 14:23:37 ID:XcvkKVgU0
乙乙
昨日巌兄ィにドン引きしたばかりなのに…
なんとも言えない気持ちになる
254
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 15:57:06 ID:RvdBVo7o0
昭和十八年二月一日
訓練を終えたボクとチョクは大分航空隊に配属された
ボクたちは岩下教官(⌐●ゝ●)の下で実戦訓練をすることになった
この段階になると実戦さながらの空戦を体験することになる
教官VS訓練生一対一でのバトルの始まりだ
空戦では高所をとった者が有利になる
だが、そのハンデを貰っても負けるのだから
技量の差が圧倒的であったことがうかがえる
ボクと同じようにチョクも戦う度に必ず敗れた
255
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 15:58:04 ID:RvdBVo7o0
(´・ω・`) .。oO(ボクなんかは…)
相手が教官なんだから、負けて当然じゃないかという気持ちが強く
あまり敗北して悔しいとは思わなかった
(´・ω・`) .。oO(でも、チョクは違った…)
彼は負けるたびに本気で悔しがった
そして、なんとか教官にも勝つ方法がないものかと必死に頭を捻っていた
(´・ω・`) .。oO(正直……そんな方法はない)
教官は“ひねり込み〟という技を使っている
この技は一部のエースパイロットにしか使えない必殺技だ
この技を使われると、瞬時に機体を見失ってしまい
気づけば真後ろにつかれている
もちろんボクたち訓練生にはできっこないし、攻略法もない
256
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 15:58:45 ID:RvdBVo7o0
(´・ω・`) .。oO(それでも、チョクは諦めなかった……)
そして、なにか閃いたようだった
彡(゚)(゚)「この方法しかない……」
257
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 15:59:25 ID:RvdBVo7o0
ある日
彡(゚)(゚)「教官、一戦よろしいでしょうか」
(⌐●ゝ●)「いいだろう、では先に飛んで高所をとりたまえ」
彡(゚)(゚)「いいえ、ハンデなしでお願いします」
(⌐●ゝ●)「……わかった」
彡(゚)(゚)「それと……本気できてくだい」
(⌐●ゝ●)「…………いいだろう」
258
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 15:59:53 ID:RvdBVo7o0
(;´・ω・` ) .。oO(なにを思いついたのか分からないけど……)
本当に大丈夫なのかな?
こうして岩下教官VS訓練生チョクの空戦が始まった
二人は空に舞い上がり距離をとった
そしてお互いにさぐりを入れつつ向かい合う
バトル開始だ
模擬戦ではまずできるだけ相手を目掛け接近していく
そして、あるていど距離が縮まると互いに反対方向に切り返すのがセオリーだ
でも、このときは違った
チョクはどれだけ距離が縮まろうと避けようとしなかった
(。゚ω゚) .。oO(このままじゃ正面衝突だ!!)
259
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:00:47 ID:RvdBVo7o0
(;⌐●ゝ●)「ぐっ……」
教官が機体をそらし衝突を避けた
彡(•)(•)「今や!!」
チョクはその僅かな動きで生じた隙を見逃さなかった
すかさず教官の後ろをとった
(;´・ω・` ) .。oO(すごいけど……)
いくら後ろを獲ったからといっても教官はひねり込みで
この状況をあっという間に巻き返してくるに違いない
そうなれば、逆に後ろをとられることになり……
ゲームオーバーだ
260
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:01:39 ID:RvdBVo7o0
彡(●)(●)「ぐぬぬぬ、ここが勝負所や!!!」ギュン!!
チョクの乗る機体がスピードを上げ
ものすごい勢いで教官機を猛追していく
(。゚ω゚) .。oO(もしかして!!)
機体をぶつける気!!
(;⌐●ゝ●)「くっ……止めだ!」
危険を感じた岩下教官が機体の操作を緩めた
そこを狙ってチョクはピッタリと教官の真後ろについた
チョクの……勝ちだ
261
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:02:15 ID:RvdBVo7o0
地上
(ꐦ●ゝ●)「バカ者が!!あんな危険な方法をとるとは何事だ!!」
(ꐦ●ゝ●)「貴様とはもう二度と一緒には飛ばん!!」
そう言って教官は腹を立てながら去っていった
(;´・ω・` )「君は本当になにを考えているんだい」
彡(゚)(゚)「…………フフフフ」
(;´・ω・` )「チョク?」
彡(^)(^)「よっしゃあああああああああ!」
彡(^)(^)「勝ったで、ワイは勝ったんや!!」
彡(゚)(゚)「見とったやろタケ!あれはワイの勝ちやよな!?」
(;´・ω・` )「……うん……まあ」
彡(゚)(゚)「やろ!やろ!そうやろ!」
彡(^)(^)「よっしゃあああああああああ!」
262
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:03:12 ID:RvdBVo7o0
(´・ω・`) .。oO(勝ちは勝ちだけど……)
ルール違反だって抗議されても仕方のない勝ち方だよ
教官は訓練上の保安に関して責任があるんだから
事故が起きるまえに安全な行動を取らなければならない
だからチョクのやった乱暴な戦い方は
それこそ卑怯と呼ばれるやり方なのかもしれない
でも、実戦でそんなことを言っていられるだろうか?
負けたのは相手が卑怯だったからだと
言えるはずがない
だって、そのときにはもう……敗者は死んでいるのだから
死人に口なしとはよく言ったものだ……とカッコつけてみたけど
彼のやったことには賛否両論あるだろう
263
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:03:38 ID:RvdBVo7o0
(´・ω・`) .。oO(まあでも……)
訓練生が教官に勝ったなんて聞いたことがない
まったく……なにはともあれ……
大した男だよ君は……
264
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:04:12 ID:RvdBVo7o0
教官との一戦でなにかを掴んだのか
チョクの覚醒が始まってゆく
その兆候が見え始めたのが実弾射撃訓練だ
この訓練では前方を飛ぶ飛行機がターゲットの的をぶら下げており
それを狙って実弾を放つ
チョクの射撃の命中率は断トツでよかった
でも、それには理由がある
単純なことだが遠くからよりも
近くから銃を撃った方がよく当たる
チョクはそれを愚直にやっただけにすぎない
けど、あまりにも接近しすぎるものだから
誰もがチョクとペアを組むのを嫌がった
彡(゚)(゚)「タケ……」
(;´・ω・` )「えぇ……またボク……」
265
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:05:21 ID:RvdBVo7o0
ある日
(´・ω・`)「ふぅ……今日はチョクの単独飛行の日だから……」
(´・ω・`)「相手をしなくていい分、気が楽だ」
「おい!どっかのバカが着陸禁止エリアに突っ込もうとしてるぞ!」
「はぁあ!?」
(´・ω・`)……
「あんなところに不時着してみろ……」
「ブレーキなんて効かずに機体がひっくり返るぞ」
(;´・ω・` )……
「どこのどいつだ、その自殺志願のアホは?」
「あれは……菅野だ!菅野の機体だ!!」
( ;´-ω-` )……
266
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:06:08 ID:RvdBVo7o0
ドカン!ボオーン!!グルン!!!ギャイーン!!!!ギギー!!!!!
:(´ºωº`):……
「あれは……死んだな……」
┗(`・ω・´;)┓「チョ、チョクー!!!」三三3
(;´・ω・` )「あぁ……なんてことだ……」
訓練機がボロボロになってひっくり返ってる……
そんな……君との別れがこんなのってイヤだよ……
(;´・ω・` )「あれ?」
コックピットがもぬけの殻だ……
どういうこと?
267
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:06:58 ID:RvdBVo7o0
「おーいタケ!そんなところにおったら……」
「火が出てガソリンにでも引火したら丸焼きやぞ」
(;´・ω・` ) .。oO(え?遠くからタケの声が……)
(。゚ω゚)「あ!!!」
チョクが遠くでゲラゲラと笑って立っていた
彡(^)(^)「いやー死ぬかと思ったで」
(。゚ω゚)「幽霊?」
彡(゚)(゚)「アホか!ワイはこうしてピンピンしとるわ」
(ꐦ^ω^)「どういうことだい?」
268
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:07:41 ID:RvdBVo7o0
彡(゚)(゚)「ワイはひっくり返るぞと思った瞬間……」
彡(゚)(゚)「座席をめいっぱい下げて身体を縮めたんや」
彡(゚)(゚)「で、ひっくり返って滑って止まったから」
彡(゚)(゚)「機体の隙間から這い出たんや」
(ꐦ^ω^)……
(ꐦ`•ω•´)「そんなこと聞いてるんじゃないよ!!」
(ꐦ`•ω•´)「なんでそんな危険なことをしたのか聞いてるんだよ!!」
彡(゚)(゚)「……そこに滑走路があったから」
(ꐦ`•ω•´)「アホか君は!!」
269
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:08:33 ID:RvdBVo7o0
この後もチョクの蛮行は止まらなかった
無茶な操縦で訓練機を一機、また一機とどんどん破壊していき
計五機の訓練機をお釈迦にした
そして、いつからかチョクはこう呼ばれるようになった
菅野デストロイヤーと
270
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:09:25 ID:RvdBVo7o0
今回はここまで
271
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 16:29:01 ID:q2S/O8Ig0
乙!
272
:
名無しさん
:2024/05/26(日) 21:42:42 ID:9DvQYzoY0
乙
273
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 00:20:20 ID:HMK3OkYk0
おつおつ
274
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:54:01 ID:8rdzps2w0
日本帝国は苦戦をしいられていた
連合艦隊司令長官 山本五十六はすでに戦死しており
当初の計画は狂いに狂ってしまっていた
そのため前線では重苦しい空気が漂い始めていたが
そんな中にあっても
(´^ω^`)「はい王手!」パチ
彡;(゚)(゚)「ま、待った!」
(´^ω^`)「待ったは禁止だよ〜」
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡;(゚)(゚)「下げて逃げるしかない……」
(´^ω^`)「はい王手飛車取り!」パチ
275
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:54:32 ID:8rdzps2w0
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡;(゚)(゚)「ちっ嫌な相手に会っちゃったわ……」
なぜだか分からないけどチョクのこの苦し紛れの一言
「嫌な相手に会っちゃったな…」が基地内で流行語になった
何かにつけてどこでも皆がこの言葉を使うものだから
基地内は嫌な奴だらけになっていた
でも、雰囲気は戦時中とは思えないほど意気揚々としたものだった
276
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:55:14 ID:8rdzps2w0
ボクたちは遂に実戦部隊“隼〟に配属になり
マリアナ諸島に派兵された
(●෴●)「我々が迎撃しなければならい敵は……」
(●෴●)「大型爆撃機B-24,通称リベレーターだ」
(●෴●)「攻撃方法としては高所をとり後ろ上方からの射撃が有効だ」
(●෴●)「以上!諸君の武運を祈る」
と告げると指揮官はさっていった
277
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:55:53 ID:8rdzps2w0
(;⌐●_●)「なにが有効だよ、そのやり方で……」
(;⌐●_●)「どれだけのパイロットが戦死しているとおもってるんだ……」
彡(゚)(゚)「そうなんか?」
(;⌐●_●)「ん?ああ新入りか」
(;⌐●_●)「俺たちが相手をするのは移動要塞と思えばいい」
(;⌐●_●)「動きは遅いが……」
(;⌐●_●)「あちこちに機銃を装備していて守りが固い」
(;⌐●_●)「やみくもに突っ込んでも死ぬだけだ」
(⌐●_●)「まっせいぜい長生きしろよ、新人くん」
278
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:56:35 ID:8rdzps2w0
彡(゚)(゚)……
(;´・ω・` )「なかなか手強そうな相手だね……」
彡(゚)(゚)「なんで死ぬと分かっとるのに誰も手を打たんのやろ……」
(;´・ω・` )「そんな手なんてないからでしょ」
彡(゚)(゚)「ホンマにそうなんかな……」
279
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:57:17 ID:8rdzps2w0
そして遂にこの時がきた
敵機襲来の警報と共に出撃命令が下った
(´・ω・`)「これに乗ってボクたちは戦うんだね」
彡(゚)(゚)「せや……」
ボクたちに与えられた機体は零式艦上戦闘機
通称“ゼロ戦〟だ……
彡(゚)(゚)「ほな、いくで」
(´・ω・`)「……うん、あ!待って」
彡(゚)(゚)「どうしたんや?」
(´・ω・`)「記念にゼロ戦の前で写真撮らない?」
彡(゚)(゚)……
(;´・ω・` )「不謹慎かな?」
280
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:57:52 ID:8rdzps2w0
彡(゚)(゚)「ええやん」
彡(^)(^)「撮ろうや!」
彡(゚)(゚)「こんな感じか?」ドヤァ
(´・ω・`)「お!いいね〜」パシャ!ウィーン
彡(゚)(゚)「はえーすっごい」
彡(゚)(゚)「撮った瞬間に写真になるんかい」
彡(゚)(゚)「せや」カキカキ
(´・ω・`)「なにを書いたんだい?」
『stantハ終ワッタ』
彡(゚)(゚)「よっしゃ!ここからは気を引き締めていこか」
⊂(゚)(゚)ミ⊃三三3「菅野 直、ゼロ戦!出るで!!」
⊂(・ω・´)⊃三三3「笹林 武、ゼロ戦!出ます!!」
281
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:58:38 ID:8rdzps2w0
上空
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「……」
(⌐●_●)「新人たち、怖くてだんまりかい?」
(⌐●_●)「そう緊張するな、最初は俺たちの戦いを見物していればいい」
(´・ω・`)「……はい」
彡(゚)(゚)……
(⌐●_●)「ほら、敵さんがやってきたぜ!」
⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3
(⌐●_●)「さーて……今回は何人が生き残れるかな……」
彡(゚)(゚)「やるなら……」
彡(●)(●)「今や!!」ギュン!!
(。゚ω゚)!!
チョクが一人突然、機体を垂直にして真っ逆さまに突っ込んでいった
282
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 18:59:21 ID:8rdzps2w0
(;⌐●_●)「なにやってんだあいつ!!」
(;⌐●_●)「くっ……なんて角度で突っ込んでいきやがる……」
(;⌐●_●)「援護もできん……」
彡(●)(●)「八百……五百……三百」
彡(●)(●)「ここや!!」ズダダダダダダ
(。゚ω゚)「ぶつかる!!」
チョクの乗るゼロ戦が銃を乱射しながら敵機に肉薄する
だが、すんでのところでぶつかることなくB-24の後方をすり抜けていった
(((BOMB)))⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3
283
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:00:01 ID:8rdzps2w0
(;⌐●_●)「なんてやつだ!!一機撃破したぞ!!!」
彡(●)(●)「ちっまだや!まだワイはビビっとる!!」
彡(●)(●)「もっと攻めなアカン!!」
チョクは上空へと舞い上がっていく
そして再び同じように機体を垂直にして真っ逆さまに突っ込んでいく
(。゚ω゚)「あ!ダメだチョク!!」
敵のアメリカ機はもうすでに対策をとっている
さっきチョクは、B-24の後方をすり抜けていった
だがその場所にはすでに弾幕が張られ警戒されている
なんて対応の早さだ
敵はバカではない
このまま飛び込んでも餌食になるだけだ
引き返すんだ、チョク!!
284
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:00:57 ID:8rdzps2w0
(;´・ω・` ) .。oO(……あれ?)
さっきよりもタイミングもスピードも早い……
まさか!
前方を通り抜けるつもりなの!!
(;`・ω・´)「そんなの無茶だ!!」
当たり前だけど、敵だって前に向かって動いているんだ
正面衝突になるよ!!
彡(●)(●)「ぐぬぬぬ……大丈夫や……」
彡(●)(●)「僅かやけど隙間はある……」
彡(●)(●)「そこを通り抜けるんや!!!」ズダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB)))⊂(★_★-)⊃三3
(。゚ω゚)「すごい……」
(。゚ω゚)「まるで流星が敵の機体を貫いて見えた」
285
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:01:44 ID:8rdzps2w0
(;⌐●_●)「初陣で二機を撃墜だと……」
(;⌐●_●)「ん?」
チョクの鬼気迫る突撃に恐怖した敵は
撃墜される前、慌てて回避しようとしたようで
炎を纏いながらもう一機のB-24に、もたれかかるように衝突した
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
(;⌐●_●)「一回のアタックで二機同時に撃墜……」
(;⌐●_●)「化け物かあいつは……」
驚愕するボクらを尻目に
再び舞い上がってきたチョクは
笑顔で拳を突き上げていた
彡(^)(^)/
286
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:02:33 ID:8rdzps2w0
チョクは隊長へと昇進した
チョクの隊に配属されたのは腕は立つが暴れん坊で
他の隊では敬遠された不良たちだった
でも、チョクはそんなことをまったく気にせず
部下をこよなく愛し
部下もまたチョクを慕っていた
その部下の一人に杉田くんがいた
287
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:03:11 ID:8rdzps2w0
(〃゚3゚〃)「杉田といいます」
(〃゚3゚〃)「どうぞ、これからはよろしくお願いします」
彡(゚)(゚)「よろしゅう」
(´・ω・`) .。oO(杉田庄一……)
彼はあの山本五十六長官の護衛を務めたほどで
凄腕の超一流の戦闘機乗りだった
288
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:03:43 ID:8rdzps2w0
(´・ω・`) .。oO(……これはチャンスだ!)
チョクは隊長になったのだから彼には護衛が必要になる
でも、チョクの奇想天外な飛行についていくのは並大抵でなく
彼の護衛役になる者には大変な苦労と力量が求められる
長年の付き合いからボクがその役をしなければならないかな
と思ってたんだけど
(´・ω・`) .。oO(正直……)
ボクの技量では荷が重かった
だから、杉田くんにこの護衛役を任せてしまおう
289
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:04:16 ID:8rdzps2w0
彡(゚)(゚)「せや、せっかくやしちょっと手伝えや」
(〃゚3゚〃)「はい」
彡●_●)彡●_●)彡●_●)『オレたちも手伝います』
(´・ω・`) .。oO(……ゼロ戦に集まって何かし始めたぞ)
彡(゚)(゚)「この辺を黄色のストライプ模様にしたいんや」
(〃゚3゚〃)「なんでそんな目立つことを?」
彡●_●)彡●_●)彡●_●)『そうですよ、敵に狙われますよ』
彡(゚)(゚)「目立った方が隊長機ぽくてカッコええやんけ」
290
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:04:53 ID:8rdzps2w0
彡(゚)(゚)「それにワイが敵の目を引き付けたほうが……」
彡(゚)(゚)「お前らも戦いやすいやろ」
(〃゚3゚〃)「自分の身を危うくしてでも、俺たちのことを思うその優しさ」
彡●_●)彡●_●)彡●_●)『そこにシビれる あこがれるゥ!』
(´・ω・`) .。oO(うんうん、いい光景だ……)パシャ!
彡(゚)(゚)「おいタケ!なにしとんねん!!」
(´・ω・`)「ごめん、ごめん。ボクも手伝うよ」
彡(゚)(゚)「ちゃう、撮るならワイをズームで撮れや」
彡(゚)(゚)「ほれ」ドヤァ
(;´・ω・` )「う、うん」パシャ!
291
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:05:40 ID:8rdzps2w0
ある日
「すみません」
(´・ω・`)「はい」
「この基地に菅野直少尉がいると聞いて伺ったのですが」
(´・ω・`)「ああ、菅野は今、訓練中です」
「そうですか……見学して待たせてもらうことは?」
(´・ω・`)「いいですよ、どうぞこっちに」
・・・
「……あれは……なんの訓練を……」
(´・ω・`)「前上方背面垂直攻撃です」
292
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:06:25 ID:8rdzps2w0
「……えっと」
(´・ω・`)「まあ、簡単に言いますと……」
(´・ω・`)「菅野がB-24を撃墜したときの戦法です」
(´・ω・`)「それを隊員一人ひとりが出来るように訓練してます」
「……あのような無茶な運転を……一人ひとりがですか……」
(;´・ω・` )「はい……これしか勝つ方法はないと……」
「大変ですね」
( ;´-ω-` )「……はい」
293
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:07:02 ID:8rdzps2w0
(´・ω・`)「降りてきましたね」
(´・ω・`)ノ"「おーいチョクーお客さんだよ」
彡(゚)(゚)「ん?」
彡(•)(•)「お前は!」
( ゚∋゚)「久しぶりだな、チョク」
彡(^)(^)「ユッキーやんけ!!」
彡(゚)(゚)「でも、陸軍のユッキーがどうしてここに?」
( ゚∋゚)「僕も陸軍でパイロットになってね」
彡(゚)(゚)「ホンマか!!」
( ゚∋゚)「ああ、だが我が隊はB-24に苦戦していて」
( ゚∋゚)「だがどうだい、海軍にB-24を落とす名人がいると聞いて……」
( ゚∋゚)「調べてみたら、なんと君だ!」
( ゚∋゚)「だから、こうして飛んで来たのさ」
294
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:07:54 ID:8rdzps2w0
彡(゚)(゚)「そうやったんか」
彡(゚)(゚)「ならさっそく今から教えたるわ」
彡(゚)(゚)「もちろんやるやろ?」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
(´・ω・`) .。oO(ノリのいい人だな)
彡(゚)(゚)「タケ、お前のゼロ戦を貸してやってくれや」
(´・ω・`)「うん、いいよ」
(´・ω・`)「あ!ちょっと待って!」
彡(゚)(゚)「なんや?」
(´・ω・`)「は〜い二人ともそこに並んで……」
彡(゚)(゚) ( ゚∋゚)
パシャ
295
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:08:23 ID:8rdzps2w0
(´・ω・`)「うん、いい写真だ」
(´・ω・`)「もう、行っていいよ」
・・・
(; ゚∋゚)「死ぬかと思った……」
彡(^)(^)「おおげさやな」
彡(゚)(゚)「ところでユッキーこの後、時間は?」
( ゚∋゚)「大丈夫だ問題ない」
彡(゚)(゚)「なら、飲みにいこうや」
( ゚∋゚)「お!いいね」
彡(゚)(゚)「お前らもくるやろ?」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)『あったりまえよう!』
( ゚∋゚) .。oO(ずいぶんとノリのいい部隊だな)
296
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:09:09 ID:8rdzps2w0
飲み屋
「あいにく大部屋は一杯で……席は別々でよろしいでしょうか?」
彡(゚)(゚)「かまへんで」
・・・
( ゚∋゚)「おお!あなたがタケさんでしたか」
( ゚∋゚)「チョクはあなたをよほど気に入っているようですよ」
(´・ω・`)「へーそうなのかい?」
彡;(゚)(゚)「そ、そんなわけないやろ」
(´・ω・`)つ「なんだよ、もっと素直になれよ」ぐりぐり
( ゚∋゚)「そうだぞ“直〟なだけにな」
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
297
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:09:51 ID:8rdzps2w0
「ふざけんな!もう一度言ってみろや!!!」
( ゚∋゚)「なんだ?ケンカか?」
(´・ω・`)「あの声は……」
彡(゚)(゚)「杉田やな、まーた暴れおってからに」
( ゚∋゚)「止めなくていいのか?」
彡(゚)(゚)「いつものことやし、ええやろ」
「突然なんだ!無礼だろ 貴様らどこの隊だ!?」
「二〇一空の三〇六飛行隊じゃボケェ!!」
(´・ω・`)「あちゃ〜名乗っちゃったね」
「けしからん!!けしからん!!逮捕だ!逮捕しろ!」
(; ゚∋゚)「もしかして相手は憲兵隊か?」
298
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:10:36 ID:8rdzps2w0
┗(゚)(゚)ミ┓三三3
(。゚ω゚)「チョク!待ってよ!!」
彡(•)(•)「待てや!!ワイの部下に何する気じゃ!!」
(〃゚3゚〃)「隊長……」
(⌐⦿_⦿)(⌐⦿▃⦿)(⌐⦿_⦿)「ん?貴様が隊長の菅野直か……」
(⌐⦿_⦿)(⌐⦿▃⦿)(⌐⦿_⦿)「そこの罪人を引き渡して貰おうか」
彡(•)(•)「ワイの隊にそんなやつはおらん!!」
(⌐⦿_⦿)(⌐⦿▃⦿)(⌐⦿_⦿)「そやつは憲兵隊長の私を愚弄したのだぞ」
(⌐⦿_⦿)(⌐⦿▃⦿)(⌐⦿_⦿)「さっさと引き渡せ!!」
彡(●)(●)「誰が渡すか!!」
彡(●)(●)「ワイの部下には指一本ふれさせん……」
299
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:11:20 ID:8rdzps2w0
(⌐⦿_⦿)(;⌐⦿▃⦿)(⌐⦿_⦿)「噂どおりの猪武者が!!」
(⌐⦿_⦿)(;⌐⦿▃⦿)(⌐⦿_⦿)「お前たち!こいつを取り押さえろ!!」
(⌐⦿_⦿)(⌐⦿_⦿)「はっ!」
『そうはさせない!!』
(´・ω・`)( ゚∋゚) (〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)ザッ!
(;⌐⦿_⦿)(;⌐⦿_⦿)……
(;⌐⦿_⦿)(;⌐⦿▃⦿)(;⌐⦿_⦿)「くっ……覚えてろ」ダッ!
( ゚∋゚)「口ほどにもない」
(;〃゚3゚〃)「隊長……」
彡(●)(●)……
彡(゚)(゚)「ふぅ……いったいどうしたんや?」
300
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:12:06 ID:8rdzps2w0
(;〃゚3゚〃)「あいつらが隊長はどうせ早死にする……」
(;〃゚3゚〃)「いい気になっていられるのもどうせ今のうちだ」
(;〃゚3゚〃)「と言ったもんでつい我慢できず……」
(´・ω・`) .。oO(前線に出ようとせず……)
内地で威張り散らすしか能のないやつらがよく言うよ
彡(゚)(゚)「……なにがいい気になっとるや」
彡(-)(-)「ワイは必死になっとるだけや」
(;〃゚3゚〃)「すいません……自分が軽率でした……自首してきます」
彡(゚)(゚)「行かんでええ……」
彡(゚)(゚)「杉田は悪くない……」
彡(゚)(゚)「なにがあろうとワイが守ったるさかい安心せえ」
301
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:12:50 ID:8rdzps2w0
(;´・ω・` )「でも、あいつら絶対に仕返しにくるよ」
彡(-)(-)「うーん……」
彡(゚)(゚)「やっぱ黙らせるしかないわな」
( ゚∋゚)「相手は憲兵隊だ、脅しなんて効かないぞ」
彡(゚)(゚)「さすがにワイもそこまでアホではないわ」
( ゚∋゚)「なにか考えがあるんだな?」
彡(゚)(゚)「せや!」
彡(゚)(゚)「タケ、頼みがある」
(´・ω・`)「なんだい?」
彡(゚)(゚)「ユッキーが無事に帰れるように手配を頼むわ」
(´・ω・`)「わかったよ、それで君はどうするんだい?」
彡(゚)(゚)「ワイは(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)らを連れて……」
彡(゚)(゚)「戦場に行く」
302
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:13:36 ID:8rdzps2w0
上空
彡(゚)(゚)/「お前ら!ついに訓練の成果を見せる日や!!」
彡(゚)(゚)「思う存分に暴れてこい」
(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)「ラジャー!」ブーン
ズダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
彡(゚)(゚)「やるやんけあいつら……」
彡(●)(●)「ワイも負けてられんな!」ブーン
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)「スゲー!一人で無双してる」
303
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:14:18 ID:8rdzps2w0
彡(゚)(゚)「ふぅ……こんなもんか……ん?」
⊂(★_★-;)⊃三3
彡(゚)(゚)「まだおったか……」
彡(●)(●)「逃がさへんで!!」ブーン
カスカスカス
彡;(゚)(゚)「ファッ!弾切れや……」
⊂(★_★-;)⊃「ホッ……」
彡(●)(●)「安心するのはまだ早いで!!」ギューン
Σ(〃゚3゚〃)「はっ!隊長、なにをするつもりで!!」
彡(●)(●)「もぎるんや!!」
(〃゚3゚〃)「え?」
彡(●)(●)「ぶつかってでも敵の翼をもぎ取るんや!!!」ギューン
304
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:15:19 ID:8rdzps2w0
ドギャーン
⊂ / Σ(★_★-;)⊃三3
(〃゚3゚〃)「片翼を失った敵がバランスを崩して落ちていく……」
彡;●_●)彡;●_●)彡;●_●)「あ、でも!隊長も落ちていく!!!」
彡(×)(×)「うーん……」
彡;(゚)(゚)「はっ!衝撃で気絶してしまっとった」
彡;(゚)(゚)「このままやと墜落して死んでまう」
彡;(゚)(゚)「緊急着陸!緊急着陸!!」
305
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:16:03 ID:8rdzps2w0
(´・ω・`)「ということで十七機を撃墜、四十六機を無力化したみたい」
(; ゚∋゚)「いろいろとおかしいだろ」
( ゚∋゚)「まあ、これだけの戦果を出したんだ……」
( ゚∋゚)「憲兵隊も手だしはできなくなったろう」
( ゚∋゚)……
( ゚∋゚)「タケくん、お願いがある」
(´・ω・`)「なんです?」
( ゚∋゚)「これからもチョクのことを頼む」
( ゚∋゚)「友として、僕が傍にいてやれればいいんだが」
( ゚∋゚)「いかんせん、陸軍と海軍では隔たりが大きい」
306
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:16:50 ID:8rdzps2w0
(´・ω・`)……
( ゚∋゚)「チョクは強い男だが、繊細なこころの持ち主だ」
( ゚∋゚)「おそらく、いや確実に……この先、戦況は悪化していく……」
( ゚∋゚)「しかし、それでも彼はあらゆる苦難にも勇敢に向かっていくだろう」
( ゚∋゚)「そして誰もがチョクを頼りにするようになっていく……」
( ゚∋゚)「……チョクはその全てに応えようとするだろう」
(´・ω・`)「きっとそうでしょうね……」
(´・ω・`)「チョクはそういうやつですもん」
( ゚∋゚)「フッ……分かってるじゃないか……」
(´・ω・`)「ボクも彼とは長年の付き合いですから」
307
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:17:35 ID:8rdzps2w0
( ゚∋゚)……
( ゚∋゚)「誰からも頼りにされる……」
( ゚∋゚)「そんな重圧に一人で耐えられる人間などいない……」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ボクが彼の傍にいます」
(´・ω・`)「まあ、気休め程度ですけどね」
( ゚∋゚)「それで十分さ……」
( ゚∋゚)ゞ「頼んだぞ」
(´・ω・`)ゞ「はい!」
308
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:18:54 ID:8rdzps2w0
今回はここまで
309
:
名無しさん
:2024/05/27(月) 19:26:33 ID:AX1XWD0Y0
乙乙乙
310
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 00:27:55 ID:dL7DAnqs0
乙!
311
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:28:34 ID:lMD5ChYI0
彡(゚)(゚)/「よしお前ら!今日も元気に出撃や!!」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)『おー!!』
ブーン
彡(゚)(゚)「ん?」
彡;(゚)(゚)「おい大和!お前の機体から煙が出とるぞ!!」
彡●_●)「え?あ!本当だ……」
彡(゚)(゚)「明らかに機体不良やから、戻って今日は休んどれ」
彡●_●)……
彡●_●)「イヤです」
彡(゚)(゚)「は?」
彡●_●)「ボクは戦えます、連れていってください」
312
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:29:20 ID:lMD5ChYI0
彡;(゚)(゚)「いやいやいや、なに言っとんねん」
(´・ω・`) .。oO(チョクを動揺させるとは……将来が心配だ)
(〃゚3゚〃)「三時の方向から敵機!!」
彡(゚)(゚)「くっ……このまま戦うしかないか」
彡;●_●)「あれ?機体が上手く動かない……」
彡;●_●)「や、やられる!!」
彡;(゚)(゚)「だから言わんこっちゃない!!」
彡;(゚)(゚)「あーもう世話のかかるやつやで!」
(´・ω・`) .。oO(チョクに護衛をさせるとは……ますます将来が心配だ)
313
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:30:00 ID:lMD5ChYI0
なんとか戦闘には勝つことができた
でも、やはり機体不良から大和くんは途中にあった島に不時着した
すぐにでも助けたかったがボクたちの機体の燃料も底をつきかけており
ひとまず基地に帰ることした
基地
彡(゚)(゚)「タケ!後のことはまかせたわ」
彡(゚)(゚)「ワイは大和を迎えに行く」
(´・ω・`)「一人で行くきかい?」
(´・ω・`)「誰か連れて行ったら?」
彡(゚)(゚)「んー護衛がおると逆にそいつのことが気になってしまうからな」
彡(゚)(゚)ノ「一人で行くわ、ほな」
314
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:31:10 ID:lMD5ChYI0
彡(゚)(゚)「たしか、この辺に降りたはずなんやけど……」
彡(゚)(゚)「お!おったわ」
彡(゚)(゚)「迎えにきたで」
彡;●_●)「隊長!わざわざすみません」
彡;●_●)「それに……スイマセンでした!!」
彡;●_●)「我がままいって付いて行ったのにあのザマなんて……」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「まあ、疲れたやろ」
彡(゚)(゚)「はよ、帰るで……乗りい」
彡;●_●)「……はい」
ブーン
315
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:31:51 ID:lMD5ChYI0
彡●_●)「地上のあちこちから煙が上がってますね」
彡(゚)(゚)「あれはゲリラの信号や」
彡(゚)(゚)「あんなところに着陸したら虐殺されるさかい……」
彡(゚)(゚)「絶対に降りたらアカンで」
彡;●_●)「……はい」
彡(゚)(゚)「あとな大和……今回のことやけど……」
彡;●_●)「……」
彡(゚)(゚)「勇気と無謀を履き違えたらアカンで……」
彡;●_●)「……はい」
彡(゚)(゚)「うん、ワイが言いたいことはそれだけや」
彡●_●)「はい」
316
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:32:50 ID:lMD5ChYI0
夜中
(´・ω・`)「お!やっと帰ってきた」
(;´・ω・` )「けど、夜間着陸は危険なんだよな……」
(;´・ω・` ) .。oO(チョクは前科もあるし……)
スーキキッ
(´・ω・`).。oO(おお!なんて綺麗な着地だ)
あのバカをやった経験がここで生きたのかな
317
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:33:21 ID:lMD5ChYI0
彡(゚)(゚)「ただいまやでー」
彡;●_●)「ただいまです……」
(´・ω・`)「おかえり」
(´・ω・`)「大和くん、なんであんな無茶をしたんだい?」
彡;●_●)「えっと……」
彡(゚)(゚)「説教はワイがしたし、もう勘弁してやってくれや」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「……夕飯、食べてきなよ」
(´・ω・`)「みんなも待ってるよ」
318
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:34:01 ID:lMD5ChYI0
彡(゚)(゚)/「よしお前ら!今日も元気に出撃や!!」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)『おー!!』
ブーン
⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3
彡(゚)(゚)「敵機を確認!!」
彡(●)(●)「ほな行くで!!」
(;-★_★)「イエローファイターだ!」
(;-★_★)「逃げろー!!」
ε=ε=⊂(;-★_★)⊃ε=ε=⊂(;-★_★)⊃ε=ε=⊂(;-★_★)⊃
彡(●)(●)「は?どこいくねん!」
彡(●)(●)「正々堂々と戦えや!!」
319
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:34:55 ID:lMD5ChYI0
(´・ω・`) .。oO(そりゃあ、そうなるよ)
チョクはこれまでの戦いでアメリカ軍にも名が知れるようになった
機体に黄色いストライプ模様があったことから
イエローファイターと呼ばれ恐れられるようになっていた
アメリカ軍は不利だと分かればさっさと撤退していった
……どんな状況だろうが気合と根性で戦おうとする
ボクたち日本人とは大違いだ
320
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:35:27 ID:lMD5ChYI0
まあ、攻勢をかけてきているアメリカ軍と違って
日本側は守勢だから退くに引けないって理由はあるけどね
ボクたちが逃げたら、仲間や一般人が一方的に殺戮される
それだけはなんとしてでも阻止しなくちゃいけない
でも、ボクたちだけでアメリカ軍の猛攻を止められるはずはなかった
チョクがどれだけ奮闘しても形勢は変わらず
日本はどんどんと追い詰められていった
321
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:36:02 ID:lMD5ChYI0
彡(゚)(゚)/「よしお前ら!今日も元気に出撃や!!」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)『おー!!』
(〃゚3゚〃)「三時の方向から敵機!!」
彡(゚)(゚)「よし!今日は逃がさんで!!」
彡(゚)(゚)「ん?」
(´・ω・`)「あれは……」
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
322
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:36:50 ID:lMD5ChYI0
(´・ω・`) .。oO(今までの敵とは少し違う……)
B-24よりもひとまわり大きく、翼や胴体はすらりとしている
見るからに高性能……きっとアメリカ軍が投入した新型だ
(;´・ω・` )「どうするチョク……」
彡(゚)(゚)「ひとまず攻撃して様子見や……」
彡(●)(●)「行くでお前ら!!」ギューン
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)『応!!』ギューン
ズダダダダダダ
(;`・ω・´)「ぐっ……弾幕がいつもより濃い」
(;`・ω・´)「でも、これぐらいなんだ!!」
(;`・ω・´)「照準よし!距離もよし!当たれー!!」ズダダダダダダ
(;`・ω・´)「よし!当たった!!」
323
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:37:42 ID:lMD5ChYI0
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
(;´・ω・` )「え?落ちない……どうして?」
(;´・ω・` )「翼にも胴体にも大きな穴があいているのに……」
彡;(●)(●)「ぐっ……」
(;〃゚3゚〃)「ダメだ……いくら当ててもビクともしない……」
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
彡;(●)(●)「もう一回や!!」ギューン
彡(●)(●)「お前ら!同じところに当ててもダメや!」
彡(●)(●)「もっと狙いを広範囲にするんや!」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)彡●_●)『応!!』ギューン
324
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:38:16 ID:lMD5ChYI0
ズダダダダダダ
(((BOMB))) ⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
(;`・ω・´)「やった!落ちた!!」
(;`・ω・´)「みんな!あそこだ。あそこが燃料タンクだ!!」
彡(●)(●)「ようやったタケ!!」ズダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB)))⊂(✪_✪-)⊃三3
彡●_●)「なるほど……あそこを狙うんだな」ギューン
(;´・ω・` )「あ!ダメだ大和くん!!」
(;´・ω・` )「狙いすぎで動きが単調になってる!!」
325
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:38:59 ID:lMD5ChYI0
ズダダダダダダ
彡;●_●)「う、うわー」
彡(●)(●)「大和!!!」
(;´・ω・` )「あぁぁ……被弾して空中火災が……このままじゃ……」
彡●_●)……
彡●_●)「どうせ死ぬなら!!」
火を纏ったゼロ戦が敵機に一直線にむかっていく
ε=ε=⊂彡●_●)⊃ ⊂(✪_✪-)⊃三3
(((BOMB))) (((BOMB)))
(;´・ω・` )「あぁぁ……」
(;〃゚3゚〃) 彡;●_●)彡;●_●)『そ、そんな……』
彡(●)(●)「大和!!!!!!!!」
彡(●)(●)「アアアアアアアアアアアアア!クソが!クソが!クソが!」
326
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:40:04 ID:lMD5ChYI0
基地
(;´・ω・` )「チョク……大丈夫かい?」
彡(゚)(゚)……
彡(-)(-)「……大和も軍人や」
彡(゚)(゚)「死ぬ覚悟はできとったやろ」
彡(゚)(゚)「それに……」
彡(゚)(゚)「果敢に敵に突撃していったあの最期……」
彡(-)(-)「実に立派やった……」
(´・ω・`)「うん、そうだね」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「でもな……」
彡(゚)(゚)「やっぱ……悲しいわ……」
(´・ω・`)「うん……」
327
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:41:11 ID:lMD5ChYI0
速報が届いた
それはボクとチョクにとって吉報であり悲報でもあった
ボクたちと同期で海軍兵学校第70期生の関くんが
新設された神風特別攻撃隊に編成され、出撃し
アメリカ軍の航空母艦を沈めたというものだった
戦闘機で空母を撃沈させるなんてとんでもない偉業であった
でも、この攻撃で関くんは死んでしまった
328
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:41:58 ID:lMD5ChYI0
神風特別攻撃隊、神風特攻隊とも略されるこの隊は
爆弾を積んだ戦闘機による体当たり攻撃を目的として結成された隊
こんな言いかたはしたくないけど……
パイロットの命を犠牲にすることを前提にした
自爆攻撃をするために結成された隊だ
関くんはこの特攻隊員として見事に目的を達成し
戦果をあげて散華した第一号の英雄として讃えられた
いわゆる名誉ある戦死というやつだ
329
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:42:59 ID:lMD5ChYI0
(´・ω・`) .。oO(ボクは軍人として…日本人として……)
彼のこの死を誇りに思い、喜ばなければならないのだろう
でも、どうしても悲しみが先にきてしまう
それと……こんな作戦を決行しないといけないほど
日本はアメリカに追い詰められているのかと不安に思ってしまった
そんな暗い気持ちになっていたとき
横でボソッとチョクはつぶやいた
330
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:43:52 ID:lMD5ChYI0
彡(゚)(゚)「ワイが関くんの代わりに突っ込んでいってもよかったんにな……」
彡(゚)(゚)「自分が情けない……」
(;`・ω・´)「バカいうなよ!」
(;`・ω・´)「死のうが生きようが、国に尽くす心は同じだよ」
(;`・ω・´)「どっちにも優劣なんてない」
(;`・ω・´)「それともなにか?チョクは特攻で死んで有名になりたいのか!?」
彡(•)(•)「そんなわけあるかい!」
彡(-)(-)「……でも、どうせなら……」
彡(-)(-)「一番にいきたっかたわ」
彡(-)(-)……
彡(゚)(゚)「……いや、ワイは生きる」
彡(゚)(゚)「絶対に生きて、とことん戦ったる!」
331
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:44:58 ID:lMD5ChYI0
チョクは本人の意志もそれ相応の心構えもなしに
いきなり特攻に指名するような、搭乗員の気持ちを全く無視するやり方を嫌った
だから、部下の中から特攻要員として誰かを指名するよう命令されても
彡(●)(●)「断固拒否する」
と答えた
上層部も、その抜群の腕を持つチョクを特攻に出したくなかったようで
彡(●)(●)「部下を出すくらいなら自分がいく」
というチョクの申し出を受けるわけにはいかず
諦めざるを得なかった
332
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:46:11 ID:lMD5ChYI0
「敵襲!!敵襲!!」
「敵上陸用舟艇多数見ゆ!!」
「各員戦闘配置につけ!!」
(;`・ω・´)「チョク!みんな集まったよ!!」
彡;(゚)(゚)「急な事態やが落ち着いていくで!!」
彡;(゚)(゚)「あと、戦闘機は離陸するときに隙が生じやすい」
彡;(゚)(゚)「気をつけるんやで!!」ギューン
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)『応!!』ギューン
333
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:46:50 ID:lMD5ChYI0
彡(゚)(゚)「よし……全員無事に飛べたな」
彡(゚)(゚)「で、敵はどこにおるんや?」
(;`・ω・´)「九時の方向、敵影ナシ!!」
(〃゚3゚〃)「三時の方向、敵影ナシ!!」
彡(゚)(゚)「どこにもおらんやんけ?」
(;´・ω・` )「もしかして誤報?」
彡(゚)(゚)「うーん……とりあえず一回りしてから基地にもどるで」
彡(゚)(゚)「敵がおると思って、油断するなや」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 彡●_●)彡●_●)『了解!!』
でもやはり、アメリカ軍はどこにもいなかった
空には周辺区域から来た援軍も多く見られた
そして皆が一様にセブ島基地に着陸するよう命令が下された
334
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:47:45 ID:lMD5ChYI0
セブ島基地
彡;(゚)(゚)「すごいゼロ戦の数やな」
(´・ω・`)「百機近くいるね」
彡;(゚)(゚)「こんな一ヶ所に集めて大丈夫かいな」
(´・ω・`)「仮に今、攻めてこられたら一網打尽だね」
彡(゚)(゚)「心配やし、ちょっくら上に言ってくるわ」
(´・ω・`)「うん、いってらっしゃい」
・・・
彡(゚)(゚)「アカンわ……順次帰投させるとしか言ってこん……」
(´・ω・`)「なにもなければいいけど……」
彡(゚)(゚)「まあ、そう願うしかないわな……」
335
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:48:32 ID:lMD5ChYI0
翌日
「敵襲!!敵襲!!」
「敵戦闘機多数見ゆ!!」
「各員戦闘配置につけ!!」
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
彡;(゚)(゚)「まったく!言わんこっちゃない!!」
ひゅーんドカーン!!
(;`・ω・´)「くっ間に合わなかった」
(;`・ω・´)「敵の攻撃の方が早い」
「出撃できる者から出撃していけ!!」
彡;(゚)(゚)「指揮系統もあったもんやないやんけ!!」
336
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:49:22 ID:lMD5ChYI0
ひゅーん
(;`・ω・´)「危ない!!チョク!」バッ
彡(×)(×)「ふぎゃ」
爆弾が落ちてきていたので咄嗟に飛び出し
チョクにタックルをした
ドカーン!!
彡;(゚)(゚)「危機一髪……助かったで、ありがとうなタケ」
(;´・ω・` )「どういたしまして……でも……」
(;´・ω・` )「ボクたちの機体はもうダメだ」
337
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:50:10 ID:lMD5ChYI0
(〃゚3゚〃)「隊長!!」
彡;(゚)(゚)「おお!杉田も無事やったか」
彡;(゚)(゚)「ん?瑞宝と翔鶴は?」
(;´・ω・` )「あ!今、まさに飛び立とうとしてる!!」
彡;(゚)(゚)「なんやと!!」
ε=ε=⊂彡●_●)⊃⊂彡●_●)⊃
彡;(゚)(゚)「瑞宝!翔鶴!」
ズダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB)))
338
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:50:44 ID:lMD5ChYI0
彡;(゚)(゚)「あ……あ……」
彡(●)(●)「クソがああああああああああああああ!!」
彡(●)(●)「どの機体でもええ、ワイによこせ!!」
彡(●)(●)「かたき討ちじゅあああああああああああ!!」
(;`・ω・´)「ダメだ!この辺の機体はもう全滅だ!!」
(;`・ω・´)「早く避難しなきゃ!!」
339
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:51:16 ID:lMD5ChYI0
彡(●)(●)「なに言っとんじゃ!!」
彡(●)(●)「瑞宝と翔鶴が目の前で殺られたんやぞ!!」
(;`・ω・´)「杉田くん、手を貸して!!」
(;`・ω・´)「チョクを力強くでも連れて行くんだ!!」
(;〃゚3゚〃)「は、はい!」
彡(●)(●)「なにするんじゃ!!」
彡(●)(●)「離せや!!」=◯)`ω゚)∵
(;〃゚3゚〃)「タケさん!!」
(#`・ω・´)「大丈夫……さあ、行こう」
彡(●)(●)「離せ!!離せや!!」
彡(●)(●)「うわあああああああああああああああああああ!!」
340
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:52:04 ID:lMD5ChYI0
今回の襲撃でボクたちは多くの勇敢なパイロットと
数多のゼロ戦を失うことになった
そして、この一戦を契機にアメリカ軍の猛攻が始まった
でも、ボクたちには空に飛び立つ機体はなく
悔しく歯がゆい思いで身を守るしかなかった
341
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:52:43 ID:lMD5ChYI0
(#・ω・`)「チョク……命令が出たよ」
(#・ω・`)「内地に行って、戦闘機を調達するようにだって……」
彡(•)(•)「なに言っとるや!もうじきここらで大戦闘が起こるに決まっとる」
彡(•)(•)「あいつらの仇を討つチャンスやろうが!!」
(#・ω・`)「そんなこと言ったって……」
(#・ω・`)「肝心の機体がないじゃないか……」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」
彡(•)(•)「だったら他のやつの機体をワイに回せ」
彡(•)(•)「絶対にそいつよりもええ働きをしたる!!」
342
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:53:31 ID:lMD5ChYI0
(#・ω・`)「そんなことしたら、その人が戦えなくなるよ……」
(#・ω・`)「大事な人を亡くしたのはボクたちだけじゃないんだよ」
彡;(•)(•)「ぐぬぬぬ……」
(#・ω・`)「それに……」
(#・ω・`)「これが最後の戦いってわけじゃない……」
(#・ω・`)「この先……嫌になるほど戦うことになるよ……きっと」
(#・ω・`)「だから……いい機会だと思ってさ」
(#・ω・`)「日本に戻って羽を休めようよ……」
彡;(-)(-)……
(#・ω・`)……
彡(゚)(゚)「…………わかった」
(#・ω・`)「うん」
こうしてボクたちは日本に帰国することになった
343
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 18:55:49 ID:lMD5ChYI0
今回はここまで
344
:
名無しさん
:2024/05/28(火) 19:55:33 ID:RGV2x1P60
乙乙
コミカルな分刺激が抑えられて読み進められるけれど、こんな思いをした人が沢山いるのかと思うと辛くなってしまうな
乙
345
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 00:08:12 ID:vvgCviZo0
乙乙
346
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:30:44 ID:nYSk8D6s0
ボクたちは新たに生産されたゼロ戦の動作テストしていた
でも、あまりに多くの不具合が発生した
原因は次のとおりだ
戦争が激化するにつれて資材の確保の難化
軍上層部からの過大な増産要求
不慣れな作業者の増員
不慣れな者が低品質の素材で無理をして生産する
日本はこの悪循環から抜け出せなくなっていた
347
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:31:20 ID:nYSk8D6s0
また、作業員のモラルの低下も見られた
我慢を強いられる日々、貧しくなっていく日常
そして軍部による息も詰まるような統制された状況
こんな中で作業者にモチベーションを保てと言う方が無理な話だ
とボクは思う
工場内の雰囲気は陰々滅々としていた
チョクはそんな中でもすべての機体を一機ずつ自分でテストし
不具合箇所を具体的に上げ、修理を依頼していた
でも思うように作業は捗らなかった
348
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:32:04 ID:nYSk8D6s0
遅々として作業は進まないにも関わらず
戦地では仲間たちが苦戦を強いられ死んでいく状況にチョクは焦り
上層部に戦地への帰還を何度も要請した
だが、上層部は「予定通り機体を整備空輸せよ」としか言ってこない
チョクのイライラは目に見えてわかった
ガス抜きのために遊びに誘っても断られ
家族に会いに行って気晴らしをするよう勧めても
そんなヒマなどないと相手にされなかった
そんな日が続いていたある日のことだった
349
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:32:28 ID:nYSk8D6s0
(;〃゚3゚〃)「タケさん!!大変です!」
(´・ω・`)「どうしたの?」
(;〃゚3゚〃)「隊長が民間人に暴力を!!」
(。゚ω゚)「なんだって!!」
ε=ε=┏(;`・ω・´)┛
なにやってんだよ、チョク……
軍人が民間人に手を出すなんて……あってはならない
こんなこと……君がなによりも知っているはずじゃないか……
350
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:33:11 ID:nYSk8D6s0
彡(●)(●)「お前ら!!なにをちんたらサボっとるんじゃ!!」
彡(●)(●)「戦地でどんな戦争が行われとるか知っとるんか!!」
彡(●)(●)「どいつもこいつも……」
彡(●)(●)「その根性を叩き直してやるわ!!」
(;´Д`);´Д`);´Д`)ヒイイイイイイ
(;`・ω・´)「なにやってんだよチョク!!」
(;`・ω・´)「正気にもどれ!!」=◯)゚)(゚)∵
彡(#゚)(゚)「ぐっ……」
彡(●)(●)「なにするんじゃゴラァ!!!」=◯)`ω゚)∵
351
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:33:51 ID:nYSk8D6s0
(#`・ω・´)……
彡(●)(●)「なんや!その目は!!」
彡(●)(●)「ワイが悪いって言うんか!?」
(#`・ω・´)「ああ!君が悪い!!!」
彡(●)(●)「なんでや?ワイは真面目に任務に励んどるだけや!!」
彡(●)(●)「それでもワイが悪いんか!?」
(#`・ω・´)「君が悪い!!!」
彡(●)(●)「なにがや!なにが悪いんや!!」
(#`・ω・´)「そんなの……」
(#`・ω・´)「当たり前のことだろ!!」=◯)゚)(゚)∵
352
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:34:28 ID:nYSk8D6s0
彡(#゚)(゚)……
(#`・ω・´)「君の気持は痛いほどわかるよ」
(#`・ω・´)「今、ここに並んでいる機体が使えたら」
(#`・ω・´)「どれだけ前線で戦っている人間にとって助けになる事か」
(#`・ω・´)「なのに不具合ばかりが出て送ることができない」
(#`・ω・´)「その間に、戦友たちがどんどん死んでいく……」
(#`・ω・´)「そんな中で苛立ちを覚えるのは当然だ!」
(#`・ω・´)「だからってその苛立ちを彼らに向けるのは違うだろ!」
353
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:35:13 ID:nYSk8D6s0
(#`・ω・´)「ボクたちは軍人だ」
(#`・ω・´)「軍人の役目は戦えない者を守ることだ」
(#`・ω・´)「チョク!君も軍人ならその役目をまっとうしろ」
彡(#゚)(゚)……
(#`・ω・´)……
(;〃゚3゚〃)「二人とも、とりあえず一旦落ち着こう……」
354
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:35:48 ID:nYSk8D6s0
夜
彡(#゚)(゚)「タケ……少しええか?」
(#・ω・`)「……うん」
彡(#゚)(゚)つ「……ほれ酒や」
(#・ω・`)つ「コレ……どうしたんだい?」
彡(#゚)(゚)「かっぱらってきた」
(#・ω・`)「まったく……またそんな無茶を……」
彡(#ˇ)(゚)「まあそういうな……」
彡(#゚)(゚)ゴクゴク
(#・ω・`)ゴクゴク
355
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:36:26 ID:nYSk8D6s0
彡(#゚)(゚)「ぷはー」
彡(#゚)(゚)……
彡(#゚)(゚)「ワイはな……兵隊が嫌いなんや」
(#・ω・`)……
彡(#゚)(゚)「本当は大学に行って……研究者にでもなって」
彡(#゚)(゚)「静かな生活を送りたかったわ」
彡(#゚)(゚)……
彡(#゚)(゚)「こんなワイでもな……無理しとるんやで」
356
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:36:59 ID:nYSk8D6s0
(#・ω・`)……
(#・ω・`)「ボクも軍人の役目とか言ってカッコつけたけどさ……」
(#・ω・`)「……ボクは軍人として失格なんだと思う」
(#・ω・`)「ボクは君より責任感がないから……」
(#・ω・`)「作業員がサボってようが怒る気にもならなかったし」
(#・ω・`)「それに……戦地を離れることができて実はホッとしてるんだ」
彡(#゚)(゚)……
(#・ω・`)「正直……お国のためなんかに死にたくないよ……」
彡(#゚)(゚)「……カッコ悪いな……」
彡(#゚)(゚)「ワイもやけど……」
357
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:37:50 ID:nYSk8D6s0
彡(#゚)(゚)……
(#・ω・`)……
彡(#゚)(゚)「はーあ、なんでやりたくもないことをやっとるんやろうな」
(#・ω・`)「そういう時代……そういう世の中としかいいようがないね」
彡(#゚)(゚)……
(#・ω・`)……
358
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:38:17 ID:nYSk8D6s0
彡(#゚)(゚)「ま!人生なんてそんなもんやで」
彡(#゚)(゚)「それに嫌なことばかりでもない……軍人になっていいこともあった」
彡(#゚)(゚)「心身ともに鍛えられたし、いろんな奴と友になれた……」
彡(#゚)(゚)「戦闘機のパイロットなんて普通に生きとったらなれんしな」
(#・ω・`)「そうだね……それに一度、空を飛ぶあの感覚を味わったら……」
(#・ω・`)「もう止められないよね」
彡(#゚)(゚)……
(#・ω・`)……
彡(#゚)(゚)「……スマンかった」
(#・ω・`)「ボクもごめん」
359
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:39:13 ID:nYSk8D6s0
ある日
彡 •⌄• )「チョク兄ィ!」
彡( 'ー`)「カズコ!はしゃがないの!!」
彡;(゚)(゚)「ファッ!なんでカズコとオフクロがここにおるねん!?」
彡 •⌄• )「チョク兄ィがここにいるって手紙がきたの!」
彡;(゚)(゚)「ワイはそんなの書いてないで……いったいどこのどいつが……」
(´• 3 •`)〜♪
彡;(゚)(゚)「タケ!お前か!!」
(´・ω・`)「さあ?なんのことだか」
彡;(゚)(゚)「とぼけおってからに……」
360
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:39:59 ID:nYSk8D6s0
彡 •⌄• )「そんなことより!」
彡 •⌄• )「せっかく来たんだからチョク兄ィが飛行機に乗ってるところを……」
彡 •⌄• )「見てみたいわ!」
彡;(゚)(゚)「そんな急に言われても……」
彡;(゚)(゚)「忙しくて……そんなヒマないわ……」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「まあ、ここはボクがやっておくから……」
(´・ω・`)「チョクは家族を連れて施設見学でもして来ればいいよ」
彡 •⌄• )「えー!ワタシはチョク兄ィが飛んでるところが見たいの!!」
(´・ω・`)「食堂に牛乳とチョコレートがあったはずだよ」
361
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:40:42 ID:nYSk8D6s0
彡 •⌄• )!!
彡 •⌄• )「早くいくわよ!」ダッ
彡( 'ー`)「コラ!カズコ、待ちなさい!」ダッ
彡;(゚)(゚)「勝手に行くなや!」
彡;(゚)(゚)「スマン、タケ!後は任せた!」
(´・ω・`)「うん」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「君たち、ちょっといいかな……」
(;´Д`);´Д`);´Д`)『は、はい』
(´・ω・`)「そんなに怯えないでよ……」
(´・ω・`)「お願いしたいことがあるんだ」
362
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:41:24 ID:nYSk8D6s0
次の日
電車の中
彡 •⌄• )「ちぇっ!結局、チョク兄ィが飛んでるとこをみれなかった」
彡( 'ー`)「はぁーあんたって子はいつまでたっても……」
彡( 'ー`)「直はあんなに立派になったのに……」
ブーーーーーーーーン!!
「なんだ?なんだ?なんの音だ?」
「戦闘機だ!」
「はぁ?なんで戦闘機がこんなところを飛んでんだよ!!」
「そんなもん俺が知るかよ!」
彡; •⌄• )「母さま……アレって……」
彡( 'ー`)「あれはウチの息子よ!」
363
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:42:03 ID:nYSk8D6s0
⊂(゚)(゚)ミ⊃三三3
彡 •⌄• ) .。oO(窓を開け外を見るとゼロ戦が一機……飛んでいた)
そしてワタシたちが見ていることに気がついたよう
宙返りといった色々なアクロバット飛行を始めた
電車の中は急に始まった曲芸に大盛り上がりになった
「次はなにを見せてくれるんだ?」
「お!近づいてきたぞ……」
「なあ……近づきすぎじゃないか……」
「ぶつかるぞ!!」
彡(ꐦ 'ー`)「ウチの息子がそんなヘマするわけないじゃない!!」
『すみません……』
364
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:42:49 ID:nYSk8D6s0
⊂(^)(^)ミ⊃三三3
チョク兄ィは顔がはっきり見えるほど近づき
手を振っていた
彡 •⌄• )ノ"「チョク兄ィ!!」バサバサ
ワタシたちも夢中で手を振った
すると、チョク兄ィも翼を上下に振ってくれ
少しずつ遠ざかっていった
彡( 'ー`)「もうこれで見納めだね」
と言って母さまは腰を下ろした
電車の中は興奮の余韻に包まれていた
365
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:43:40 ID:nYSk8D6s0
ブーンキキッ
彡(゚)(゚)「ふぅ……帰ったで……」
(´・ω・`)「おかえり、間に合ったかい?」
彡(゚)(゚)「ああ、喜こんどったわ」
(´・ω・`)「それはよかった」
彡(゚)(゚)「……いらん気をつかいおって……」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「……ありがとな」
(´・ω・`)「お礼をいうならボクにじゃないよ」
(´・ω・`)「作業員の彼らが頑張ってくれたんだよ」
彡(゚)(゚)「ん?」チラッ
(;´Д`);´Д`);´Д`)ビクビク
366
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:44:21 ID:nYSk8D6s0
(´・ω・`)「彼らに事情を話してたら……」
(´・ω・`)「快く受けてくれたよ」
(´・ω・`)「機体の出来は最高だっただろ?」
彡(゚)(゚)「……ああ、完璧やった」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「……たくっ」
彡(゚)(゚)「できるなら……最初からしとけや」
(;´Д`);´Д`);´Д`)ヒイイイイイイ
367
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:44:56 ID:nYSk8D6s0
彡(-)(-)「いや……できる者を腐らせとったワイがアカンのやな……」
彡(-)(-)……
彡(゚)(゚)「お前ら!おおきに!!」
( ゚∀゚)゚∀゚)゚∀゚)ぱー
彡(゚)(゚)「……うん、今日は仕事はなしや」
彡(^)(^)「ワイの奢りや!今から飲みにいくで!!」
( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜
368
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:45:57 ID:nYSk8D6s0
無事にゼロ戦を調達できたボクたちは前線に戻ることになった
⊂(゚)(゚)ミ⊃三三3⊂(〃゚ε゚〃)⊃三三3⊂(・ω・´)⊃三三3
彡(゚)(゚) .。oO(アカン……どの基地に降りればええか分らんくなった)
彡(゚)(゚)「まあ……適当に降りればええか……」
(´・ω・`)「なにか言ったかい?」
彡(゚)(゚)「なんでもない、ただの独り言や……」
彡(゚)(゚)「お!日本軍の基地や……」
彡(゚)(゚)「……降りたろ」
彡(゚)(゚)「お前ら!着陸準備!」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃)「ヨーソロ」
369
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:46:42 ID:nYSk8D6s0
バンバン飛行場
ブーンキキッ
彡(゚)(゚) (´・ω・`)(〃゚3゚〃)『とうちゃーく』
( `෴´)「貴様らは誰だ!!」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃)『え?二〇一空の者ですけど』
( `෴´)「バカモーン!!」
( `෴´)「自分の部隊の飛行場を間違えるとはなにごとか!!」
彡(゚)(゚)「……やっぱりアカンかったか……」
(;´・ω・` )「やっぱりってどういう……」
( `෴´)「まったく……貴様らのような気のたるんだ者がいるから」
( `෴´)「軟弱なアメリカ人ごときに負けることになるのだ!!」
彡(●)(●)「あん?」
370
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:47:19 ID:nYSk8D6s0
(;〃゚3゚〃)「タケさん……これって……」
(;´・ω・` )「うん……絶対になにかやるよ……」
彡(●)(●)「お前らワイの合図でエンジンを全開にしろや」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃)「え?」
彡(●)(●)「今や!!」三三三3ブーン!
(´・ω・`)(〃゚3゚〃) 三三三3ブーン!
(; `෴´)「な、なにをする!」
(´・ω・`) .。oO(エンジンを全開にしたこことで……)
ゼロ戦のプロペラが勢いよく回り
その風圧で指揮所のテントが吹っ飛んでいった
371
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:47:59 ID:nYSk8D6s0
彡(^)(^)「ざまぁみい!」
(;´・ω・`)(;〃゚3゚〃)「えぇ……」
(; `෴´)「貴様ら……!!」
彡(゚)(゚)/「お前ら!さっさと逃げるで!!」ブーン!
(;´・ω・`)(;〃゚3゚〃)『お、応』ブーン!
(; `෴´)「待てえええええええええええええ!!」
⊂(゚)(゚)ミ⊃三三3⊂(〃゚ε゚〃)⊃三三3⊂(・ω・´)⊃三三3
この後、ボクたちは無事に?
二〇一空本部のマバラカット基地に着くことができた
仲間たちはボクたちの帰りを待ちわびていてくれたようで
歓声を上げ、笑顔で迎えてくれた
372
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 18:49:13 ID:nYSk8D6s0
今回はここまで
373
:
名無しさん
:2024/05/29(水) 23:42:12 ID:3h1ZADUc0
乙
息が詰まりそうな状況で辛いけど、頑張っている姿やふとした笑顔にジーンとくる
374
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:33:25 ID:yqlhYnuk0
この頃になると日本軍の戦い方は特攻攻撃が主流となっていた
特攻攻撃は特攻する部隊とそれを護衛する部隊に分かれる
ボクたち、自分で言うのもなんだけど……
腕のいいパイロットは後者の護衛部隊に配属された
特攻とは爆弾を積んだ戦闘機による体当たり攻撃のことだ
僅かな例外を除き、特攻に臨んだ者は……
攻撃が成功しようが失敗しようが死が待っている
どんな危険な任務であっても、僅かでも生還の可能性がある限り
ボクは飛ぶことができた
でも、彼らは違う……
彼らが任務を完遂するためには死ななければならない
375
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:34:13 ID:yqlhYnuk0
彼らがどのような気持ちで死に向かい合ったのか……
生きる望みのある者が推し量ろうとするのはあまりにも傲慢なことだ
と、ボクは思う
それでも……彼らのことを思うとボクは辛かった、悲しかった
そして、悩んだ……
どんな覚悟で彼らを見送ればいいのか分からなかった
だから、チョクに相談した
376
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:34:56 ID:yqlhYnuk0
彡(゚)(゚)「男の死ぬ場所、死ぬ時期は神様しか知らん……」
彡(゚)(゚)「でも……死に様は自分で決めることができる」
彡(-)(-)「そうは言っても……」
彡(゚)(゚)「死ぬ場所と死ぬ日を指定された場合は……勇気がいる」
彡(゚)(゚)「この心境は人間の究極のところであり」
彡(゚)(゚)「そんな生死の悟りの中にいる彼らにワイらができるのは……」
彡(゚)(゚)「淡々たる心境で特攻隊員を誘導していく……」
彡(゚)(゚)「不動盤石の姿勢が大切やと思う」
(´・ω・`)「そんなものなのかな?」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「そうとでも思わんとやっとられんで……」
377
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:35:45 ID:yqlhYnuk0
数日後
とある一室
ダーン!!
「菅野!貴様!!銃を撃つとはどういうつもりだ!?」
「たまたま暴発しただけや!!たかだが銃弾一発にそんなビビんなや!」
「特攻隊員は激しい対空砲火の中に突っ込んでいって死んだんやぞ!」
「それも司令官のお前の命令でな!!」
「なのに目標が沈んだかどうかの戦果にしか関心がないとはどういう了見じゃ!!」
「あいつらがどんな覚悟で散っていったと思っとるんじゃボケェ!!」
(◦灬•)「ん?なにやら威勢のいいのがおるな……」
378
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:36:45 ID:yqlhYnuk0
輸送機の中
(´・ω・`)「あーあ、チョクが上官に暴言を吐くから左遷されたじゃないか」
彡;(-)(-)「す、すまん……」
(´・ω・`)「なんてね」
(´・ω・`)「よくぞ言ってくれたよ」
(〃゚3゚〃)「そうですよ」
(〃゚3゚〃)「特攻隊員の中には一度目の攻撃に失敗した後……」
(〃゚3゚〃)「自らやり直して再び突撃して散った勇士がいたほどです」
(〃゚3゚〃)「そんな彼らを蔑ろにしていいわけがない」
彡(゚)(゚)「お前ら……」
379
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:37:26 ID:yqlhYnuk0
(;⌐●_●)「うわー大変だ!!」
彡(゚)(゚)「なんやねん……せっかく感動的な場面やったのに……」
(;⌐●_●)「敵に見つかりました!!」
(;⌐●_●)「僕たちはもうダメです!皆さん、さようなら!」
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3
彡;(゚)(゚)「はぁ?諦めるの早すぎやろ!」
彡(●)(●)「どけぇ!ワイが操縦する」
(;´・ω・` )「君は輸送機を操縦したことはあるのかい?」
彡(●)(●)「ないわ!!」
彡(●)(●)「飛行機なんてどれも一緒や!!」
(;´・ω・` )「えぇ……」
380
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:38:21 ID:yqlhYnuk0
ズダダダダダダ
彡(●)(●)「ふん!」ギューン
紙一重で敵の銃弾を避けたチョクは高度を下げ
海面すれすれを這うように飛行した
(。゚ω゚)「あわわわわ」
(;〃゚3゚〃)「し、死ぬ……」
(。゚ω゚) .。oO(輸送機で戦闘機まがいの飛行をするなんて無茶苦茶だ)
敵も呆れかえっているよ……
「正気か?」 「アホか」 「狂ってる……」
<(★_★-;)>三3<(★_★-;)>三3<(★_★-;)>三3
381
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:39:01 ID:yqlhYnuk0
彡(●)(●)「お!島が見えたぞ。あそまで行けば逃げ切れる!!」
彡(●)(●)「お前ら!いつでも飛び出せるようにしとけ!」
(。゚ω゚) (;〃゚3゚〃) (;⌐●_●)「お、おう……」
ズサァアアアアアア
輸送機は滑り込むように海岸の砂浜に胴体着陸した
彡(●)(●)「今や!」ぴょーん
(。゚ω゚) (;〃゚3゚〃) (;⌐●_●)ぴょーん
ズダダダダダダ
飛び出した瞬間に敵が銃撃をしてきて輸送機は炎上して大破した
ボクたちは近くにあったジャングルに逃げ込んで難を逃れることが出来た
382
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:40:00 ID:yqlhYnuk0
彡;(゚)(゚)「ふぅ……危機一髪……」
(。゚ω゚)「チョクーーーーーーーーー!」
彡;(゚)(゚)「あん?次はなんやねん!!」
(-ω-)/(-ω-)/(-ω-)/「ルバ!ルバ!ルバング!」
彡;(゚)(゚)「こいつらは……原住民!!」
彡;(゚)(゚) .。oO(アカン……このままやと虐殺される……どうする……)
(-ω-)/(-ω-)/(-ω-)/「ルバ!ルバ!ルバング!」
彡;(゚)(゚)「ワイは……」
彡(●)(●)「日本の王カンノや!!」
(;´・ω・` )「チョク……頭、大丈夫かい……」
(;〃゚3゚〃)「不敬罪だ……」
383
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:40:43 ID:yqlhYnuk0
彡;(゚)(゚)「アホか!張ったりでもかまして……」
彡;(゚)(゚)「なんとか乗り切ろうとしとるんやろうがい」
(;´・ω・` )「そんな……自分で王を名乗る怪しいやつの言うことを……」
(;´・ω・` )「誰が信じるんだい……」
(-ω-)/(-ω-)/(-ω-)/「王!王!日本の王!」
(-ω-)/(-ω-)/(-ω-)/「ソ・ノ・ナ・モ……カンノ!!」
(。゚ω゚)「えぇ……信じちゃうの……」
その後、救助がくるまで
ボクたちは王様のようにもてなされた
384
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:41:33 ID:yqlhYnuk0
大分基地
(◦灬•)「諸君……よくぞ集まってくれた」
(◦灬•)「航空作戦主務参謀の源田実である」
なんと!
ボクたちが集められたのは左遷されたからではなく
日本の制空権奪回を目的として設立された精鋭部隊
通称、剣部隊の一員としてのようだ
385
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:42:15 ID:yqlhYnuk0
各地から激戦を生き抜いて来た猛者たちが一同に会する光景は圧巻だった
年齢層としては二十歳前後の若者がほとんどだ
翼が生えるか生えないかの姿で戦場に投入され
闘志と若さで戦場を乗り切り
戦運に恵まれて銃火の洗礼の中で育ってきた若者たちだ
386
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:43:00 ID:yqlhYnuk0
(◦灬•)「これより、この部隊の肝となる三人の隊長を指名する」
(◦灬•)「呼ばれた者は元気よく前にでるように!」
(◦灬•)「一人目……菅野直くん!」
彡(゚)(゚)「はい!」
(´・ω・`) .。oO(さすがチョクだ……)
一番最初に名を呼ばれるなんて、よほど期待されているんだろうな
(◦灬•)「二人目……鴛淵孝くん!」
(´_ゝ`)「はい!」
(´・ω・`) .。oO(あの人は二年上の先輩だったオシブチくんだ……)
あの頃からリーダーの風格があったけど
実戦を経験してさらに磨きがかかったようだ
387
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:43:48 ID:yqlhYnuk0
(◦灬•)「三人目……笹林武くん!」
(´・ω・`)……
彡;(゚)(゚)「おいタケ!お前のことやぞ」
(;´・ω・` )「え?あ!はい!」
(;´・ω・` ) .。oO(呼ばれるはずがないと思って油断してた……)
え?てか、ボクが隊長だって?
冗談というか……なにかの間違いだろ
(◦灬•)「……うむ。各員、精進するように」
こうしてチョク、オシブチ、ボクの三人が隊長に任命された
388
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:44:30 ID:yqlhYnuk0
チョクが率いる三〇一飛行隊、別命“新選組〟
彡(゚)(゚) (〃゚3゚〃)彡●_●)彡●_●)彡●_●)
オシブチくんが率いる七〇一飛行隊、別命“維新隊〟
(´_ゝ`) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)
ボクが率いる四〇七飛行隊、別命“天誅組〟
(´・ω・`)(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)
(´・ω・`) .。oO(新選組、維新隊、天誅組……)
なんてかっこいい!ココロオドル素晴らしい隊名なんだろう
命名者である皇族の久邇宮殿下は絶対に中二病の心の持ち主に違いない
389
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:45:08 ID:yqlhYnuk0
(◦灬•)「選ばれし君たちにはゼロ戦に代わる新たな機体を用意した……」
(◦灬•)「その名も紫電である」
(´・ω・`) .。oO(うわーすごい……かっこいい)
ずんぐりとした中翼、脚は二段引込式
四枚羽根プロペラエンジンがいやに大きく
二十ミリの銃身が四本も突き出ている
見るからに強そうだ
390
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:45:43 ID:yqlhYnuk0
(´・ω・`) .。oO(ん?)
胴体がかなりオイルで汚れているぞ……
ハハァこれは油圧系統に問題があるな
それにしてもこの形……
(´・ω・`)「それとなく虻に似ていて……」
(´・ω・`)「チョクそっくりだね」
彡(゚)(゚)「は?どういうことやねん!」
『わははははは』
彡;(゚)(゚)「皆して笑うことちゃうやろ……」
391
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:46:24 ID:yqlhYnuk0
剣部隊に配属されてからしばらく
ボクたちは紫電のテスト飛行を繰り返していた
ゼロ戦と比べて機動性は多少落ちていたけど
パワーは桁違いでひこうき雲を引くくらいスピードがでた
その分、重力のかかり具合も半端なく
目の前が真っ暗になってもうろうすることもあった
そんなときは「まだまだ」と気合で乗り切った
そして基礎訓練が終わると
ボクたちはそれぞれの隊に分かれて空戦訓練に励んだ
392
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:47:18 ID:yqlhYnuk0
でも、ここにきて問題が生じた
チョクもオシブチくんも、これまで隊長として戦ってきた
でもボクは違った
ボクはチョクの陰に隠れるように、彼の後ろに付いてきただけだ
だからどのように隊員たちを引っ張っていけばよいか分からなかった
(´・ω・`) .。oO(チョクに相談しよう……)
あれ?いないな……
それにチョクの機体もない
393
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:48:05 ID:yqlhYnuk0
(´・ω・`)「杉田くん、チョクの居場所を知らないかい?」
(〃゚3゚〃)「隊長なら松山基地に行くと飛んでいきました」
(´・ω・`)「え?なんでまた……」
(〃゚3゚〃)「ここの基地は狭く、規律も厳しいんで……」
(〃゚3゚〃)「こんなとこ性に合わん、別の基地に行くって言って聞かなく」
(;´・ω・` )「いつものことだけど好き放題やってるな」
ブーン
(〃゚3゚〃)「あ!帰ってきましたよ」
(´・ω・`)「ほんとうだ」
スーキキッ
彡(゚)(゚)/「おい!松山に決めたぞ」
彡(゚)(゚)「なんやタケもおるやんけ、どうしたんや?」
394
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:48:51 ID:yqlhYnuk0
(´・ω・`)「実はちょっと……相談したいことがあって……」
彡(゚)(゚)「別に構わへんけど……」
彡(゚)(゚)「どうせなら少し抜け出して温泉にいこうや」
彡(゚)(゚)「汗をかいたからひとっ風呂浴びたい気分やねん」
(;´・ω・` )「えぇ……バレたら大変なことになるよ」
彡(゚)(゚)「バレへんってホンマに心配性やなタケは」
彡(゚)(゚)「杉田!みんなと引っ越し準備しといてくれや」
(〃゚3゚〃)ゞ「了解です」
彡(゚)(゚)ノ「ほな、いこか」
395
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:49:45 ID:yqlhYnuk0
温泉
ボクたちは一杯やって湯船に入った
湯気がもうもうと立ち込めていて、人影もまばらだった
彡(-)(-)「ふぅ……ええ湯や」
(´-ω-`)「そうだね」
彡(-)(-)……
(´-ω-`)……
彡(゚)(゚)「で?相談ってなんや?」
(´・ω・`)「実は……」
・・・
彡(゚)(゚)「ほーん、どうやって隊を率いればいいか分からんとな……」
彡(゚)(゚)「んなもん、コレだ!なんて解があるわけないやろ」
396
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:50:26 ID:yqlhYnuk0
(´・ω・`)「でも、君は隊長としてうまくやっているじゃないか」
彡(゚)(゚)「うーん……特になにか意識しとるわけでもないしな」
彡(゚)(゚)「ワイはワイで好きにやっとるんやし……」
彡(゚)(゚)「タケはタケで好きにやればええんやないか」
(;´・ω・` )「そんなこと言われても……」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「じゃあ、あいさつ代わりに部下を殴って従えさせればええんちゃうか?」
彡(゚)(゚)「恐怖で隊をまとめとる隊長なんて、これまでに散々見て来たやろ」
(;`・ω・´)「そんなことボクにはできないよ!」
彡(゚)(゚)「……分かっとるやんけ」
397
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:51:25 ID:yqlhYnuk0
(;´・ω・` )「え?」
彡(゚)(゚)「人にはそれぞれ個性がある、好き嫌い、向き不向きがある」
彡(゚)(゚)「ワイが『動』なら、タケは『静』な人間や」
彡(゚)(゚)「アドバイスが欲しいなら同じ静なタイプの(´_ゝ`)に聞いたほうがええ」
彡(゚)(゚)「オシブチくんなら相談にも真剣に応えてくれるやろうし」
彡(゚)(゚)「ワイよりもいいアドバイスをくれるやろ」
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)「まあ、お前は相手を思いやることができる優しい人間や」
彡(゚)(゚)「その気持ちを忘れん限り……きっと大丈夫やとワイは思うで」
(´・ω・`)「チョク……」
彡(^)(^)「心配性で臆病で腑抜けな所は玉にきずやけどな!」
(`・ω・´)「なんだよ、それ!」
398
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:52:28 ID:yqlhYnuk0
「うむ、うむ。よきかな、よきかな」
(;´・ω・` )「あれ?この声って……」
風が吹き、湯けむりが薄れた
(◦灬•)……
彡;(゚)(゚)「ファッ!」
(。゚ω゚)「源田司令官……」
(。゚ω゚) .。oO(ヤ、ヤバイ!)
多少、大目に見て貰っているところはあるとはいえ
勝手な外出は軍規違反だ
それもよりによって最高責任者の源田司令と鉢合わせするなんて……
なんて運が悪い……絶対に怒られる……
399
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:53:03 ID:yqlhYnuk0
彡;(゚)(゚)……
(。゚ω゚)……
(◦灬^)「温泉はいいのう。気をつけて帰れよ」
(。゚ω゚)「え?は、はい……」
彡(゚)(゚)「さすがやな」
400
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:54:15 ID:yqlhYnuk0
ボクはボクなりに隊長として頑張ってみた
オシブチくんにも助言を貰いにいったりもした
(´・ω・`)「すみません……」
(´_ゝ`)「ん?どうしたんだい」
┃)(゚)チラリッ…
401
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:54:50 ID:yqlhYnuk0
それでも分からないことだらけで、確信なんか持てず
手探り状態だった
だから、部下にもたくさん苦労をかけたと思う
部下の中には明らかにボクよりも
経験もあり、腕も立つ人がいた
ボクはまず、そのことを素直に認めようと思った
(⌐●ω●)「先頭の隊長が急に動かれると……」
(⌐●ω●)「後ろのボクたちは振り回されて大変です」
(´・ω・`)……
(⌐●ω●)「さっきの訓練ではついていきにくかった」
(⌐●ω●)「今度からはもう少し遠回りにしてください」
(´・ω・`)「分かったよ、次からは気をつけるね」
┃)(゚)チラリッ…
402
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:55:37 ID:yqlhYnuk0
立派な隊長になれるよう努力はしてみたけど……
(´_ゝ`)「戦いは僕たちパイロットだけで出来るわけではない」
(´_ゝ`)「整備をしてくれる裏方の作業員の尽力が必要不可欠だ」
(´・ω・`)「ふむふむ……」
(´_ゝ`)「彼らは朝の三時、四時頃からもう点検作業に入っている」
(´_ゝ`)「僕は毎日それに付き合うようにしている」
(´_ゝ`)「君もよかったら参加してみないかい?」
(´・ω・`)「分かりました」
┃)(゚)チラリッ…
403
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:56:10 ID:yqlhYnuk0
オシブチくんに誘われ一日か二日は出てみた
けど……それ以降は眠くて仕方なかったので止めてしまった
ボクの性に合ってなかったんだ……
できないものはしょうがない
:(´ºωº`):「凍える……凍える……」
今日はなんて寒さだ……
こんな中で練習なんてやってられないよ
:(´ºωº`):「今日は休みにして……みんなで温泉にいこう……」
(;⌐●ω●)「え?いいんですか……」
:(´ºωº`):「バレなきゃいいよ……それともこんな中でも練習したいの?」
(;⌐●ω●)「……いえ……温泉にいきたいです」
:(´ºωº`):「なら、いこう…いこう……早く温まろう」
(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『はい!』
404
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:56:50 ID:yqlhYnuk0
彡(゚)(゚)「なんやかんや……うまくやっとるやんけ……」
(´_ゝ`)「そのようだね……」
(´_ゝ`)「これで君もちょくちょく隠れ見る必要がなくなったね」
彡;(゚)(゚)「な、なにを言っとるんや……ワイはずっと松山におったで」
(´_ゝ`)「フフフフ……名前と違って素直じゃないね君は……」
彡;(゚)(゚)「な!」
405
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:57:30 ID:yqlhYnuk0
十二月二十日
離陸した際、高度不足のため堤防に激突し
一人が殉死
ふしぎなものでこれまで事故なんておきてなかったのに
この一度を契機に事故が続くようになってしまった
それも……チョクの部隊で頻繁に……
406
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:57:54 ID:yqlhYnuk0
十二月二十七日
当日、雲が多く千五百メートル付近に厚い雲があり
条件としては良好とは言えなかった
そんな中で高度二千メートルで特殊飛行の練習に入った直後
背面錐揉み状態になってしまい墜落
一人が殉死
407
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:58:22 ID:yqlhYnuk0
十二月二十九日
着陸時、エンジンが不具合により停止したため滑空による不時着を決行
しかし、不具合により機体の片足が出ず、やや突っ込みぎみで
スピードを殺しきれず着地
接地と同時に大きくジャンプしてしまい、民家の二階に激突
その後、病院に運ばれたが二時間後に絶命
一人が殉死
408
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:58:45 ID:yqlhYnuk0
十二月三十日
着陸時、エンジンが不具合により停止
約百二十メートルの高度から浅い角度で海に向けて降下
海上に水煙を上げて突入
その後、必死の捜索にも関わらずパイロットを発見できず
死亡と認定
一人が殉死
409
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:59:10 ID:yqlhYnuk0
一月一日
チョクは部下を率い讃岐の金毘羅宮への空からの武運長久祈願を実施
朝から小雪まじりの悪天候
飛んでいるうちに雪は段々ひどくなって視界が悪化
それでも金毘羅宮を参拝し帰還
だが着陸時、一機が地上滑走に入るや滑って横転
搭乗員は頭が潰れ即死
事故原因は降雪で飛行場の地面が軟弱になっていたこと
紫電のブレーキ不良が重なったものと推量
一人が殉死
410
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 18:59:43 ID:yqlhYnuk0
彡;●_●)彡;●_●)彡;●_●)『こんなんでこれから先、大丈夫かよ……』
(;〃゚3゚〃)「隊長……」
彡(•)(•)「ワイらは……この試練を乗り越えていかんとアカン」
彡(•)(•)「決してくじけることなくやっていこうや」
(;〃゚3゚〃) 彡;●_●)彡;●_●)彡;●_●)『は、はい……』
彡;(-)(-)……
大分基地
彡(゚)(゚)「タケ…ちょっと……相談があってな……」
(´・ω・`)「うん、じゃあ温泉にいこうか……」
411
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:00:28 ID:yqlhYnuk0
温泉
彡(-)(-)……
(´-ω-`)……
彡(゚)(゚)「もう……耳にはいっとると思うが……」
(´・ω・`)「うん……不運が重なっちゃったね」
彡(゚)(゚)「不運と言うか……機体の不具合も原因やとは思う」
彡(゚)(゚)「けどな、タケもオシブチくんも事故を起こしとらんやろ……」
彡;(-)(-)「ってことはやっぱワイのやり方がアカンのかな……」
彡;(-)(-)「けど……手を抜いた訓練をしとったら実戦であいつらが死ぬ」
彡;(゚)(゚)「でもや!訓練で死なせとったら元も子もない」
(´・ω・`)……
彡;(-)(-)「どうしたらええんやろう……」
( ´-ω-` )「うーん……」
412
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:01:21 ID:yqlhYnuk0
(´・ω・`)!
(´・ω・`)「チョクのあの経験の話をしてみたらどうだい?」
彡(゚)(゚)「あの経験?」
(´・ω・`)「ボクたちがまだ飛行訓練生だった頃……」
(´・ω・`)「着陸禁止エリアに突っ込んでいったあの経験だよ」
(´・ω・`)「君はあんな誰もが死んだと思った状況から生還したじゃん」
彡(゚)(゚)「ひっくり返るぞと思った瞬間……」
彡(゚)(゚)「座席をめいっぱい下げて身体を縮めるアレか?」
(´・ω・`)「そうだよ!」
(´・ω・`)「それを改めて徹底させてみればいいんじゃないかな」
(´・ω・`)「っていうかボクの部下にもそのことを話してやってよ」
(´・ω・`)「誰もやろうとしなかった貴重な体験なんだからさ」
413
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:01:55 ID:yqlhYnuk0
「それはいいね」
風が吹き、湯けむりが薄れた
(´_ゝ`)「僕もお願いするよ」
彡;(゚)(゚)「ファッ!またこのパターンかい!」
(。゚ω゚)「オシブチくん……」
魅惑な南の夜空を仰いでの座談会が行われることになった
414
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:02:25 ID:yqlhYnuk0
彡(゚)(゚)「ひっくり返るぞと思った瞬間……」
彡(゚)(゚)「座席をめいっぱい下げて身体を縮めるんや!」
彡(゚)(゚)「このとき、頭をちゃんと守るのがポイントや!!」
(〃゚3゚〃)彡●_●)彡●_●)彡●_●)「ふむふむ……」
(⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)「ふむふむ……」
(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) 「ふむふむ……」
でも、若いボクらにこんな勉強チックな話は永つづきしなかった
(⌐●ω●)「ところで隊長」
(´・ω・`)「うん、なんだい?」
(⌐●ω●)「この間、隊長と一緒に歩いていた綺麗な人は……」
(⌐●ω●)「隊長の……コレですかい?」
(;´・ω・` )「え、えっとあの人は……」
彡●_●)「そういえば……杉田さんも美人なひとを連れ添っていましたよね?」
(〃゚3゚〃)「あれは俺の恋人だ!!」
彡(゚)(゚)「なんや二人とも隅に置けんな」
415
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:03:08 ID:yqlhYnuk0
(;`・ω・´)「そういうチョクだって喜楽の琴子ちゃんといい雰囲気だったじゃないか」
彡;(゚)(゚)「ファッ!あの娘は既婚者やで……なに言っとんのや!!」
『わはははは』
(〃゚3゚〃)「あれが星でなく金平糖だったらいいのに……」
彡(゚)(゚)「ほんと杉田は花より団子やな」
(´・ω・`)「でも、金平糖なんて贅沢品……最近はもう食べられないね」
416
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:03:36 ID:yqlhYnuk0
(´_ゝ`)「金平糖の代用品にはウィスキーが最適だ」
(´_ゝ`)「っと言うことで、こっそり持ってきた」
『オオォオオ!!』
彡(゚)(゚)「なんや兵学校時代を思い出すな」
(´・ω・`)「あのときは君が持ち込んだんだよね」
(´_ゝ`)つ「みんなグラスは持ったかい」
『オオォオオ!!』
(´_ゝ`)つ「カンパーイ!!」
『カンパーイ!!!』
カツーン♪
彡(^)(^)つ”*∀∀*”⊂(´^ω^`)
417
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:04:05 ID:yqlhYnuk0
その後も事故は絶えなかったものの
死亡事故はピタリと収まった
418
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:04:34 ID:yqlhYnuk0
今回はここまで
419
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 19:17:17 ID:mMfllGvA0
乙
絆が深まるほどに別れが辛くなるわ…
420
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 21:19:51 ID:1CZ.eqQ20
乙です
421
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 21:29:30 ID:5MWhLaKo0
乙!
422
:
名無しさん
:2024/05/30(木) 22:05:52 ID:PvOoPNSo0
おつおつ
423
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:28:41 ID:oBeQqRWk0
料亭喜楽
彡(^)(^)「かあちゃん!今日もきたで!!」
(;´・ω・` )「年下の子をかあちゃんって呼ぶの毎回どうなの?」
J(„❛⌄❛„)「気にしないわよ」
J(„❛⌄❛„)「私は一児の母でもあるし」
彡(^)(^)「赤ちゃんにとっておきの子守唄、歌ったるで〜」
(;´・ω・` )「もう寝てるじゃん、起こしちゃダメだよ!」
J(„❛⌄❛„)「フフフ」
(´・ω・`) .。oO(彼女は……)
喜楽亭の女将、琴子ちゃんJ(„❛⌄❛„)
ボクたちより二つ年下
ボクたちはこの店の常連で、よく集まっては飲み明かしていた
424
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:29:26 ID:oBeQqRWk0
J(„❛⌄❛„)「はい、すき焼き、おはぎにお寿司……」
J(„❛ꇴ❛„)「そして、とっておきの酢の物よ」
彡(^)(^)「ひゃっほい!」
彡(^)(^)「ワイはかあちゃんが作る酢の物が大好きやねん」
(´・ω・`)「それにしても……」
(´・ω・`)「よくこのご時世にこんなにも食材があったね」
J(„❛ꇴ❛„)「闇市に行けばなんでもあるわよ」
(;´・ω・` )「危なくないのかい?」
J(„`ꇴ`„)「ぜんぜんへちゃらよ!」
(´・ω・`) .。oO(強い人だ……)
425
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:30:05 ID:oBeQqRWk0
(〃゚3゚〃)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)「おくれましたー」
彡(゚)(゚)「ちょうど料理がきたところやで」
彡(^)(^)「ほんじゃあ飲んで歌って騒ぐで!!」
(´・ω・`)(〃゚3゚〃)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)「おー」
一時間後
‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/›› ‹‹\( ´ω`)/››~♪「らららーらー♫」
彡(^)(^)「ええぞタケ!もっと踊れ!!」
(〃゚3゚〃)「杉田!どじょうすくいをします!!」
(〃゚3゚〃)「アッそっれ!アッそっれ!」
J(„`ꇴ`„)「よっ日本一!!」
『ぎゃはははっははは』
426
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:30:50 ID:oBeQqRWk0
「やかましい!静かにせんか!!」
(。゚ω゚) .。oO(うわ!怒られた)
どうやら隣の座敷でも宴会がおこなわれているみたいだ
彡(●)(●)「あん?」
彡(●)(●)「なにがやかましいじゃ!!」バン!
チョクは荒々しく仕切りのふすまを開けた
するとそこには……
ベタ金の襟章を付けた海軍少将や参謀肩章を吊った左官クラスの
お偉方ばかりがぞろりと並んでいた
(;´・ω・`)(;〃゚3゚〃)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)「やっべー……」
とボクたちは青くなった
427
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:31:55 ID:oBeQqRWk0
でも、チョクは違った
ひるむことなくドシドシ真っすぐ突き進み
テーブルに並べられていた料理を蹴とばしながら歩き続け
少将の前までいくと、そのままあぐらをかいて座り込んだ
そして……
彡(●)(●)「明日の命もわからん搭乗員に何を言うか!!」
と啖呵をきった
428
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:32:22 ID:oBeQqRWk0
まさに一触即発……
顔を真っ赤にした周囲の将官たちはチョクに詰め寄ろうとしていた
だが……
(◎灬◎)「やめい!」
と、この場で一番偉い海軍少将が周りの将官を制して
(◎灬◎)「もうよい、帰れよ」
と静かにチョクをなだめた
彡;(●)(●)「ぐっ……」
冷静な少将の言葉に、さすがのチョクも居心地が悪くなったのか
早々に引き揚げた
429
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:32:56 ID:oBeQqRWk0
翌日
ボクとチョクが廊下を歩いていると
前から源田のオヤジと昨日の少将が並んで歩いて来た
(◎灬◎) (◦灬•)「お前たち!」 彡(゚)(゚)(´・ω・`; ) .。oO(やっべー)
(◎灬◎) (◦灬^)「昨日は元気だったようじゃの」 彡(^)(^)(´-ω-`) .。oO(ほっ)
430
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:33:36 ID:oBeQqRWk0
そうこうしているうちに一日いちにちと時が過ぎて行った
そして……とうとう実戦のときが来た
(◦灬•)「諸君、偵察隊の報告から……」
(◦灬•)「近々、敵機動部隊の来襲は必至である!」
(◦灬•)「わが剣部隊は、この敵部隊を迎え撃って痛撃を与える考えである!」
(◦灬•)「一機でも多くの敵戦闘機を射落とすように心掛けよ!!」
『はい!!』
431
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:34:20 ID:oBeQqRWk0
(;´・ω・` ) .。oO(正直……言うと)
訓練にはあと……二、三か月ほど欲しかった
でも、戦争はこっちの都合を待ってはくれない
ボクたちにはもう後がなかった
アメリカの魔の手は日本本土に及ぼうとしていたのだから……
432
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:34:45 ID:oBeQqRWk0
(◦灬•)「もう一つ、皆に知らせることがある……」
(◦灬•)「隊長の三人は前に出てくるように」
彡(゚)(゚) (´_ゝ`)(´・ω・`)ザッ
(◦灬•)「これまでの訓練のデータを基に……」
(◦灬•)「隊長たちには特別な機体を用意した」
(◦灬•)「その名も……」
(◦灬•)「紫電改である!!」
彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)『スゲーかっけええ!!』
433
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:35:20 ID:oBeQqRWk0
(´・ω・`) .。oO(紫電改は……)
胴体の中ほどから主翼が出ている紫電と違い低翼でかなりスマートになっていた
乗り込んで座ってみると
前方の視界もよくなっていて、シートの座り心地も改善されていた
それだけじゃない
機銃は翼内に収めれられ、給弾方式もドラム式からベルト式になっていた
これで携行弾数も大幅に増加した
彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)「いいな、いいなー」
と、みんなが機体のまわりに集まった
そんな時だった……
434
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:36:02 ID:oBeQqRWk0
「敵襲!!敵襲!!」
「各員!飛ばれたし!!」
(;`・ω・´)「くっこんなタイミングで!」
<(・ω・´)>三三3「天誅組 笹林 武、紫電改!出ます!!」
<(´<_`)>三三3「維新隊 鴛淵 孝、紫電改!出る!!」
<(●_●ミ>三三3「新選組 近藤 勇、紫電改!いっきまーす!!」
ん?
彡;(゚)(゚)「おい!待てや!」
彡;(゚)(゚)「なんでお前がワイの紫電改に乗っていくねん!!」
(´・ω・`) .。oO(チョクの機体を強奪するとは……なかなかの強者だな)
435
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:36:26 ID:oBeQqRWk0
今回の警報は誤報だったようで
いささか拍子抜けだったが
本番前の予行演習ができて、若干の余裕なようなものが生まれた
436
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:36:51 ID:oBeQqRWk0
午前零時
仮眠もそこそこに整備員たちは受持機のもとへ向かった
真っ暗な中で、懐中電灯の光だけが頼りの整備は本当に大変だったと思う
午前五時
(◦灬•)「搭乗員整列!!」
の号令と共に
彡(゚)(゚) (〃゚3゚〃)彡●_●)彡●_●)彡●_●)
(´_ゝ`)(⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)
(´・ω・`)(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)
ボクたちは並んだ
437
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:37:26 ID:oBeQqRWk0
午前五時四十五分
偵察部隊が南の空に向けて飛び立った
午前六時五十分
「敵機動部隊見ユ、室戸岬ノ南三十カイリ」
(;`・ω・´) .。oO(ついにきた……)
全機一斉にエンジン発動を開始
「敵ノ大編隊、四国南岸を北上中」
「敵トノ距離、約八十カイリ」
(◦灬•)「全機発進!!」
438
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:37:52 ID:oBeQqRWk0
彡(゚)(゚)「新選組、出るで!!」
(〃゚3゚〃)彡●_●)彡●_●)彡●_●)「おーう」ブーン
(´_ゝ`)「維新隊、出る!!」
(´_ゝ`)(⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)「ラジャー」ブーン
(;`・ω・´)「天誅組、いくよ!!」
(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)「OK!!」ブーン
439
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:38:27 ID:oBeQqRWk0
午前七時十分
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3
(⌐●ゝ●)「敵機三十機見ユ」
(´_ゝ`)「よし!一番槍は僕たちが貰う」
(´_ゝ`)「行くぞ!!」
(⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)「よしゃああああああああ!!」
彡(゚)(゚)「ちっ、先を越されてしもうた」
(;`・ω・´)「さすがだオシブチくん」
前方では戦闘機が入り乱れて巴戦が展開している
群るような黒点が、中天で或いは近づき或いは離れ
或いは上り或いは下り、まんじ巴の激戦に入った
440
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:39:12 ID:oBeQqRWk0
戦闘開始後、三十秒も経ったかと思う頃
真っ先に引導を渡された一機がくるりくるりと錐揉み状になって落ちていった
続いて火を噴くもの、空中分解するもの、墜落する飛行機は増えていく
『ぐわあああああああああ』
<(★_★-;)>三3<(★_★-;)>三3<(★_★-;)>三3
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
(;⌐●ゝ●)「ぐっ……」
(((BOMB)))
(;`・ω・´) .。oO(どんなに精鋭揃いだといっても……)
無傷の勝利なんてありえない
絶対に仲間は死んでしまう……それが戦場だ
441
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:39:53 ID:oBeQqRWk0
彡●_●)「新手の敵だ!!」
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3
彡(●)(●)「おっしゃ!次はワイらの番や!!」
彡(●)(●)「行くで!!」
(〃゚3゚〃)彡●_●)彡●_●)彡●_●)「おしゃあああああああああああ!!」
彡(●)(●)「カウルフラップ全開!」
彡(●)(●)「OPL点灯!!」
彡(●)(●)「空戦フラップ切り替え!!!」
彡(●)(●)「くらえやあああああああ!!!!!」ズダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
彡●_●)彡●_●)彡●_●)「す、すげえ……」
(〃゚3゚〃)「お前ら!離れるなついてこい!!」
彡●_●)彡●_●)彡●_●)「はい!」ブーーーーーーーーン
442
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:40:44 ID:oBeQqRWk0
(⌐●ω●)「隊長!ボクたちもいきましょう!!」
(;`・ω・´)「待って!!ボクたちはさらに上昇して敵の奇襲に備える!」
(;`・ω・´)「ついてきて!!」
(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)「おう!」
(;`・ω・´) .。oO(やっぱりチョクはすごい)
チョクは先頭を切って鬼神のごとく突っ込んでいき
恐怖したアメリカ軍は陣形を保つことができずに散らばっていく
あんな戦い方、ボクにはできない……
443
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:41:47 ID:oBeQqRWk0
(;`・ω・´) .。oO(でも、チョクだって万能なわけじゃない)
彼にだって死角になる場所はある
そんなところを襲われたら、いくらチョクだからといって無事ではすまない
でも……そこはボクが補う!!
(⌐●ω●)「雲の中に敵機!!」
(;`・ω・´)「ありがとう!よく見つけてくれた!!」
(;`・ω・´)「みんな!ボクに力を貸して!!」
(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)「がってんでい!」
(;`・ω・´)「いくよ!!」
(⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)「しゃあああああああああああ!!」
『な!見つかった!!』
<(★_★-;)>三3<(★_★-;)>三3<(★_★-;)>三3
(;`・ω・´)「一斉射撃!!」
ズダダダダダダダダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
444
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:42:19 ID:oBeQqRWk0
この戦いでボクたち剣部隊はアメリカ戦闘機
ヘルキャット、コルセア、ヘルダイバーの計五十七機を撃墜した
でも、十五人の戦友は空に散ってしまった
445
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:43:44 ID:oBeQqRWk0
剣部隊としての初陣を華々しい勝利で飾ったボクたち
その後も、何度も何度もアメリカ軍と戦った
パイロットの技量は絶対にボクたち日本人が優っていた
でも、アメリカ軍は倒しても倒しても
次から次に新たな部隊を投入してきた
その物量を前にボクたちは戦う度に機体も……
そして、搭乗員の命も消耗していくことになった
そんなある日、チョクが敵に撃墜され病院に運ばれたと報告が入った
┗(`・ω・´;)┓「チョクー!!!」三三3
446
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:44:18 ID:oBeQqRWk0
病院
(;´・ω・` )「あぁ……なんてことだ……」
あの……チョクが……
男前のチョクが……
包帯でぐるんぐるん巻きになってミイラ男になっていた
447
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:44:47 ID:oBeQqRWk0
彡;(-)(-)「痛てててて……」
(´・ω・`)「ケガの状態はどうあれ……」
(´・ω・`)「よく生きてたね」
彡;(゚)(゚)「いや……ホンマに死にかけたで……」
彡;(゚)(゚)「撃墜されてパラシュートで脱出したまではよかったんや」
彡;(゚)(゚)「でも、不時着したところで……」
彡;(゚)(゚)「危うく現地の日本人に殺されるとこやったわ」
(;´・ω・` )「そんなまさか……」
彡;(゚)(゚)「ホンマやって!!」
448
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:45:22 ID:oBeQqRWk0
彡;(゚)(゚)「ちゃんと説明したんやで」
彡;(゚)(゚)「ワイは日本人やって」
彡;(゚)(゚)「けど……ヤケドして顔は火ぶくれで髪も伸びとったから」
彡;(゚)(゚)「アメリカ兵やと勘違いされたんや」
(´・ω・`)「それでどうしたんだい?」
彡;(゚)(゚)「たまたま日の丸が入った腹巻をしとってな」
彡;(゚)(゚)「それを見せてようやっと信用してもらったんや」
彡;(゚)(゚)「竹やりを携えた婦人会のおばさま方は……」
彡;(゚)(゚)「そら恐ろしかったで」
449
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:46:01 ID:oBeQqRWk0
彡;(゚)(゚)「あれはほんまもんの鬼や」
(´・ω・`)「またまた……そんな……」
彡;(゚)(゚)「ホンマや!タケも結婚するときには気をつけや」
彡;(゚)(゚)「見てくれに騙されたらアカン!」
彡;(゚)(゚)「女は怖い生き物や……」
彡(×)(×)「あ痛たたたたた……」
(;´・ω・` )「ほらほら興奮しないで……安静にしなよ……」
まったく入院中ぐらい大人しくしてればいいのに
それにしても……
結婚か……
450
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:46:43 ID:oBeQqRWk0
ボクにはJ(„`ꇴ`„)の紹介で付き合うことになった恋人がいた
基地の隅
(´,,•ω•,,`)つ「これ……」
(´・ω・`)「これは……」
(´,,•ω•,,`)「マフラーを編んでみたの」
(´^ω^`)「ありがとう!!すごく嬉しいよ」くるくる
(`・ω・´)「どうだい!似合ってるかな?」
(´,,•ω•,,`)「うん」
451
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:47:24 ID:oBeQqRWk0
「敵襲!!敵襲!!」
(;`・ω・´)「くっこんなときに……」
(;`・ω・´)「彼女を非難させなきゃ……」
ε=ε= (´,,•ω•,,`)つ⊂(;`・ω・´)「こっちに!!」
(;`・ω・´)「この防空壕の中に隠れているんだ!」
(;`・ω・´)「絶対に出てきたらダメだよ!」
(´,,•ω•,,`)「う、うん……」
(;`・ω・´)「大丈夫さ!ボクたちは負けないから!」
(;`・ω・´)「じゃあいくね」
(´,,•ω•,,`)……
452
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:47:57 ID:oBeQqRWk0
(´・ω・`)……
(´,,-ω(-ω- `)「ぜったいに帰ってくるから」
・・・
(;´・ω・` )「ごめん!遅れた」
彡(゚)(゚)「遅いぞ!タケ!!」
彡(゚)(゚)「ん?そのマフラーは……」
(;´・ω・` )「あ、えっと……コレは……」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「カッコええやん……ほな、はよ、いくで」
453
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:48:37 ID:oBeQqRWk0
ブーーーン
(;`・ω・´)「当たれ!!」ズダダダダダダ
(((BOMB)))
(;`・ω・´)「よし!この調子で」
プスプスプス
(;´・ω・` )「あれ?エンジンの調子が……」
<(★_★-)>三3ブーーーーーーーーン
(。゚ω゚)!!
(。゚ω゚) .。oO(やられる……)
454
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:49:10 ID:oBeQqRWk0
ズダダダダダダ
(((BOMB)))
(;´・ω・` )「……生きてる?」
(;⌐●ω●)「隊長!!」
(;´・ω・` )「ありがとう服部くん!!助かったよ」
(⌐●ω●)「どういたしまして」
(⌐●ω●)「でも、隊長の機体はもう戦えません」
(⌐●ω●)「隊はボクに任せて……」
(⌐●ω●)「隊長は戦線を離脱してください」
(;´・ω・` )「で、でも……」
(;⌐●ω●)「早く!!」
(;´・ω・` )「うん、ごめん!あとはお願い!」
455
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:49:44 ID:oBeQqRWk0
基地
ブ、ブーンキキッ
(;`・ω・´)「機体不良だ!代わりになる機体は他にないかい!?」
(;´Д`)「訓練用のゼロ戦なら」
(;`・ω・´)「もう型落ち感は否めないけど……」
(;`・ω・´)「この際だしょうがない」
(;`・ω・´)「ゼロ戦で再び出る。案内をお願い」
(;´Д`)「こっちです!」
ダッダッダッ
456
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:50:10 ID:oBeQqRWk0
(´・ω・`) .。oO(勢いで言ったものの……)
今さらボクが飛んだところで
いったい何になるというのだろう……
型落ちのゼロ戦じゃ戦力になれるかも怪しい
このまま戦場に向かっても死ににいくだけなんじゃないか?
このまま安全な基地に残っていてもいいんじゃないか?
機体不良が原因だったんだ
誰もボクを咎めようとはしないだろ
457
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:50:47 ID:oBeQqRWk0
そしたら……ボクは……生きて
彼女(´,,•ω•,,`)に会うことができる
確実に生き残って恋人と再会する選択をした方が賢いんじゃないか?
ブンブン
(-ω-`;≡;´-ω-)
そんなはずはない!
そんなのは賢くもなんともない!!
そんなのはただの卑怯なだけだ!!!
458
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:51:09 ID:oBeQqRWk0
(´・ω・`) .。oO(恋人より自分の矜持を優先させるなんて……)
ボクは自分が思う以上に軍人に染まっているみたい
でも、そっか……
ボクは明日の身さえ分からない軍人だったんだな
459
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:51:43 ID:oBeQqRWk0
(;´Д`)「準備完了!ゼロ戦、飛べます」
(;`・ω・´)「ありがとう!!」
ブーン
⊂(・ω・´)⊃三三3
(´・ω・`)「静かな空だな……」
でも、安心してはいられない……
この頃には日本の空はもう日本人のものではなく
アメリカ軍が日本の空域に網を張って待ち構えているなんて日常茶飯事だ
460
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:52:20 ID:oBeQqRWk0
(;`・ω・´)「ん?あれは……」
黒っぽいずんぐりとした機体……
味方か?敵か?どっちの機体だ?
遠目からじゃ日本機とアメリカ機の区別なんてほとんどつかない
(;`・ω・´) .。oO(あの動き……)
こっちに向かって急降下しようとしている
くっ敵だ!
上を取られた不利な体勢からの戦い……
こうなったら覚悟を決めるしかない
こっちは腐ってもゼロ戦だ
機動性を活かしてギリギリまで引きつけて後ろを取ってやる!!
461
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:52:59 ID:oBeQqRWk0
ギューン
どんどんと互いに近づいて行く
空戦は自分との戦いでもある
近づいてくる敵に恐れをなして早々に銃撃を始めてもまず当たらない
銃弾を当てるにはできるだけ敵を引き寄せる必要がある
そのためには恐怖心に打ち勝つ屈強な精神力が必要だ
(;`・ω・´) .。oO(敵もなかなかのものだ……)
並のパイロットならそろそろ撃ち始めてきてもおかしくないのに
真っ直ぐこちらに向かってくる
462
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:53:37 ID:oBeQqRWk0
(;`・ω・´) .。oO(八百……五百……三百……)
(;´・ω・` )「あれ?あの機体は……」
(。゚ω゚)「紫電改!!」
彡;(●)(●)「ゼロ戦!!」
(。゚ω゚)「チョク!」
彡;(●)(●)「タケ!」
ボクとチョクはお互いの顔が認識できるまで肉薄していた
このままじゃ正面衝突だ!
間に合え!!と慌てて回避行動をとった
463
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:54:00 ID:oBeQqRWk0
ビュン!
(。゚ω゚)「あぶねー」
すれすれのところでなんとか避けることができた
彡(●)(●)「タケ!!」
彡(●)(●)「なんでこんな所をボヤっと飛どるんじゃい!」
彡(●)(●)「危うく、攻撃するところやったろうが!!」
(ꐦ`•ω•´)「チョクこそなんだ!!」
(ꐦ`•ω•´)「何年もゼロ戦に乗ってきたのに気づかないとは何事だよ!」
(ꐦ`•ω•´)「それにこっちはわざわざ戻ってきてやったんだぞ!」
彡(●)(●)「なんやと!!」
(ꐦ`•ω•´)「なんだよ!!」
464
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:54:52 ID:oBeQqRWk0
彡(●)(●)「てか、一人さっさと戦線を離脱した臆病者は……」
彡(●)(●)「お前やったんかタケ!」
彡(●)(●)「戦闘機乗りは戦闘第一の気持ちが大事やろうが!」
彡(●)(●)「命を惜しむ者が一人でもおると戦いに勝てんやろうが!!」
(ꐦ`•ω•´)「機体不良だったんだからしょうがないだろ!!」
(ꐦ`•ω•´)「こっちは大事な恋人を待たせてまで来てやったんだ!!」
(ꐦ`•ω•´)「それなのに……戦闘が終わってるなら!ボクはもう帰る!!」
(ꐦ`•ω•´)「じゃあね!」ブーン
彡(●)(●)「待てや!恋人ってなんの話や!!」ブーン
465
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:55:38 ID:oBeQqRWk0
防空壕
(;´・ω・` )「待たせてごめん……もう大丈夫だよ」
(´,,•ω•,,`)「……無事でよかった」
(`・ω・´)「ちゃんと帰って来るって約束したからね」
(´,,•ω•,,`)……
(´・ω・`)……
(´,,-ω(-ω- `)
┃)(゚)チラリッ…
466
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:56:20 ID:oBeQqRWk0
喜楽亭
彡(゚)(゚)「ようもまあ、あんなにイチャイチャとできたもんやで」
J(„❛⌄❛„)「フフフ……二人の仲もだいぶ深まったみたいね」
『ヒューヒュー』
(;´・ω・` )「……そんなに茶化さないでよ」
J(„`ꇴ`„)「もう、結婚しちゃいなさいよ」
467
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:57:00 ID:oBeQqRWk0
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ボクは軍人でいつ死ぬかわからないし……」
(´・ω・`)「お嫁さんはもらえないよ」
彡(゚)(゚)……
J(„❛⌄❛„)……
彡(゚)(゚) .。oO(はぁー本当に世話のかかるやつやで……)
彡(゚)(゚)「タケ……本当に貰わんのか?」
(´・ω・`)「うん……」
彡(゚)(゚)「そか……」
彡(^)(^)「ならワイが代わりに貰ったる」
彡(^)(^)「かあちゃん!その子を紹介してくれや」
J(„❛⌄❛„)「ええ、いいわよ」
468
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:57:53 ID:oBeQqRWk0
(;´・ω・` )「え……それはダメ……」
(;`・ω・´)「彼女はボクのものだ!!誰にも渡さないよ!」
彡(゚)(゚)「ほーん」
J(„❛⌄❛„)「ふーん」
(;´・ω・` )「あっ……」
469
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:58:31 ID:oBeQqRWk0
彡(゚)(゚)「お前ら!今のを聞いたな!!」
(´_ゝ`) (〃゚3゚〃)彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)「おー」
彡(゚)(゚)「そうと決まれば、さっそく結婚式や!!」
(´_ゝ`) (〃゚3゚〃)彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)「おー」
彡(゚)(゚)/「ワイらが総力を挙げて豪華な式にしたろや!!」
(´_ゝ`) (〃゚3゚〃)彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)「おしゃあああああああ!」
(;´・ω・` )「え……え……」
J(„❛⌄❛„)「男なら腹をくくりなさいな」
470
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 18:59:14 ID:oBeQqRWk0
彡(゚)(゚)「なにやっとるんやタケ!」
彡(゚)(゚)「さっさとプロポーズしてこいや」
(´・ω・` )……
(`・ω・´)「うん!いってくる!!」ダッ
彡(゚)(゚)「……まったく」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「ワイもお嫁さんが欲しいわ……」
J(„`ꇴ`„)「私がその内、いい子をお世話してあげるわよ」
彡(゚)(゚)「うん……いや、やっぱ遠慮しとくわ」
J(„❛⌄❛„)「どうして?」
彡(゚)(゚)「うーん……なんとなくや」
471
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 19:00:12 ID:oBeQqRWk0
彡(゚)(゚)「パッパカパーン♪」
(´_ゝ`) (〃゚3゚〃) J(„`ꇴ`„)『パッパパパーン♫』
彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)『パッパパパン♪パッパパパン♪』
(´,,•ω•,,`)……
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)「新郎タケ!汝はここにいる城北ちゃんを……」
彡(゚)(゚)「その命ある限り真心を尽くし愛すことを誓いますか?」
(´・ω・`)「はい!誓います」
彡(゚)(゚)「新婦 城北ちゃん!汝はここにいるタケを……」
彡(゚)(゚)「愛し 敬い 慰め合い 共に助け合うことを誓いますか?」
(´,,•ω•,,`)「はい、誓います」
472
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 19:01:18 ID:oBeQqRWk0
彡(゚)(゚)「では、誓いのくちづけを……」
(´,,•ω•,,`)……
(´・ω・`)……
(´,,-ω(-ω- `)
(´_ゝ`) (〃゚3゚〃) J(„`ꇴ`„)『おめでとおおおおおお!!』
彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)『お幸せにいいいいいいいいいい!!』
彡(゚)(゚)「おめっとさん」
彡(゚)(゚)「末永く幸せになるんやで……」
473
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 19:02:07 ID:oBeQqRWk0
J(„❛⌄❛„) .。oO(それから一か月ちょっと……)
戦争は激しくなるばかりで……
菅野さんは九州の鹿屋基地に移られ
二度と戻ってはこられなかった
何ものをも恐れない菅野隊長が
ゆっくりくつろげる家庭が欲しい
愛する者が欲しいと思われたこと
一方では未練を残す者がいてはならないと思われたことも事実で
ゆれ動く心のはざまにもう一歩踏み込んで
終止符を打ってさし上げられなかったことが……
悔やまれます
474
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 19:03:08 ID:oBeQqRWk0
今回はここまで
475
:
名無しさん
:2024/05/31(金) 23:07:02 ID:s93R0NTM0
おつ
476
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:51:19 ID:0Q8TUiro0
(;⌐●ゝ●)「ぐっ……」
彡;●_●)「う、うわ!」
(;⌐●ω●)「いやだ……」
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
( `_ゝ´)「坂本!!」
彡(●)(●)「近藤!!!!!!!!!」
(;´・ω・` )「服部くん!!!!」
( `_ゝ´)「くそったれ!!」ズダダダダダダ
彡(●)(●)「死ねやあああ!!」ズダダダダダダ
(;`・ω・´)「よくも!!」ズダダダダダダ
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
477
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:52:00 ID:0Q8TUiro0
ボクたちはいつになったら終わるのか……
まったく見当もつかない中で戦っていた
鹿屋基地では桜の花もすっかり散りはて、若葉が美しかった
でも、この頃になると日本の防衛線は完全に破綻していた
「敵襲!!敵襲!!」
「各員、防空壕に避難せよ!!」
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
ひゅーんドカーン!ひゅーんドカーン!
(;´・ω・` ) .。oO(飛ぶこともできず……)
敵の攻撃が終わるまでやり過ごすことも増えてきたな……
それに、みんなとコミュニケーションをとる機会も減った
一度の攻撃で全滅するのを防ぐために各隊は分散配置された
478
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:52:43 ID:0Q8TUiro0
前までは……
夕食なんかもみんなで食べていたのに
彡(゚)(゚) (´・ω・`) (〃゚3゚〃) (´_ゝ`)彡●_●) (⌐●ゝ●) (⌐●ω●)
(´・ω・`)(⌐●ω●) (⌐●ω●)
それすらもできなくなっていた……
さらにつけ加えるなら
源田のオヤジ(◦灬•)も自ら現場に出てくること回数も減った
安全のためとはいえ遠く離れた本部と連絡を取るため
電話での意思疎通が増えた
こういう状態ではなかなか思うような戦闘なんてできっこない……
479
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:53:21 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`) .。oO(今日は気が重い朝だな……)
(⌐●ω●)「隊長!!」
(⌐●ω●)「新選組が出撃しようとしています!」
(;´・ω・` )「え……そんなの聞いてないよ」
(;´・ω・` )「ボクは様子を見に行くから君たちは待機してて……」
(⌐●ω●)「分かりました。お気をつけて」
┗(‘・ω・`)┓三三3
480
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:53:54 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`)「あ!チョク」
(´・ω・`)「君は出撃したんじゃないのかい?」
彡;(゚)(゚)「それがワイもよう分からんのや」
(;´・ω・` )「え?どういうこと?」
「敵編隊、鹿屋に向かって北上中」
ブーン
(;´・ω・` )「誰かが出撃したみたいだ……」
彡;(゚)(゚)「あの機体は……」
彡;(゚)(゚)!!
ε=ε=<(〃゚3゚〃)>
彡;(゚)(゚)「杉田!!!」
481
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:54:27 ID:0Q8TUiro0
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3
(;´・ω・` )「え?なんで敵がここに!?」
彡;(゚)(゚)「やめろおおおおおおおおおおお!!」
ズダダダダダダ
(((BOMB)))
彡;(゚)(゚)「あ……あ……」
彡(●)(●)「杉田アアアアアアアアアアアアア!!!!」
(。゚ω゚)「そんなぁ……杉田くんが……」
482
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:55:15 ID:0Q8TUiro0
杉田 庄一(スギタ ショウイチ)
ミッドウェー作戦を始め数多くの戦闘を生き抜いた
公認記録によると個人撃墜七十機、共同撃墜四十機
その勇猛果敢な戦闘ぶりは群を抜いていた
性格は豪放そのものであったが部下の面倒見はよく
菅野に心酔し、菅野も杉田と気心を通じ合わせ
その信頼関係は上官と部下の域を超えた
まるで仲の良い兄弟のようなところがあった
483
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:55:55 ID:0Q8TUiro0
(;◦灬•)「菅野大尉……私の発進中止命令が遅れたために……」
(;◦灬•)「杉田を殺してしまった……全くすまない」
彡;(-)(-)……
(;◦灬•)「君もさぞ力を落としたと思うが……私は天に誓って……」
(;◦灬•)「杉田に劣らないほどの操縦者を補充するから……」
(;◦灬•)「しばらく待ってくれ……」
(ꐦ`•ω•´)「ふざけるな!!!」
(;◦灬•)「なっ……」
彡;(゚)(゚)「タ、タケ?」
484
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:56:35 ID:0Q8TUiro0
(ꐦ`•ω•´)「代わりの者を補充するだって!?」
(ꐦ`•ω•´)「それが大切な人を亡くした人にかける言葉かよ!!」
(ꐦ`•ω•´)「あんたたちは一体……人の命をなんだと思ってるんだ!!」
ザワ…ザワ……
(; `෴´)「貴様……源田司令になんて無礼な!」
(; `෴´)「そいつを取り押さえろ!!」
(⌐●_●) (⌐●_●) (⌐●_●)「ハッ!」
(ꐦ`•ω•´)「なんだよ!!離せ!離せよ!!」
(;◦灬•)……
彡;(゚)(゚)……
485
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:57:15 ID:0Q8TUiro0
( `෴´)「兵隊が上官に逆らうとはあってはならぬことだ……」
(´・ω・`)……
( `෴´)「特攻をかけて死んで償え」
(´・ω・`)……
( `෴´)「黙っていないで“はい〟と言え!!」ドン!
( ´-ω-` )「は……」
「待てや!!」ドカン!!
(; `෴´)「な……」
(´・ω・`)「チョク……」
彡(●)(●)……
チョクがドアを蹴とばして入ってきた
486
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:57:46 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)「くだらん下衆の勘繰りをしおってからに……」ズカズカズカ
彡(●)(●)「タケを特攻に出すなら……」
彡(●)(●)「ワイも特攻で出る」
(; `෴´)!!
彡(●)(●)「源田のオヤジにもそう伝えておけ」
彡(●)(●)「言えるもんならな……」
(; `෴´)「ぐっ……」
彡(●)(●)「タケ……行くで……」ズカズカズカ
(´・ω・`)「……うん」スタスタスタ
(; `෴´)「待っっっ!」
バタン!!
487
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:58:15 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)……
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)「ふぅ……寿命が縮んだわ」
彡(゚)(゚)「ホンマにお前は……ワイ以上のアホやな」
(´・ω・`)「だって……」
彡(゚)(゚)「だってもヘチマもあるかい!」
彡(゚)(゚)「あそこは別に怒るとこちゃうやろ……」
彡(゚)(゚)「源田のオヤジの立場も考えろや」
(´・ω・`)「うん……ごめん」
彡(゚)(゚)「まあ、でも……なんや……」
彡(゚)(゚)「ありがとな……」
488
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 09:59:24 ID:0Q8TUiro0
源田のオヤジがチョクの護衛にと目を付けたのは
横浜基地所属の武藤 金義少尉(҂`ハ´)だった
彼は“空の宮本武蔵〟と称されるほどの男だった
だが、そのように優秀なパイロットを所属部隊が手離すわけがなく
交渉は難航していたようだった
489
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:00:01 ID:0Q8TUiro0
(;◦灬•)……
彡(゚)(゚)「オヤジ……ムリに武藤少尉を引き抜かんくてもええで……」
彡(゚)(゚)「ワイは一人でもやってけるさかい」
(;◦灬•)「そういう訳にはいかん!!」
(;◦灬•)「お前のような闘魂を持った飛行隊長をむざむざ殺したくはない……」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`) .。oO(源田のオヤジはチョクのことを大切に思っていた……)
むざむざ殺したくはない……これはオヤジの本心だろう
490
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:00:30 ID:0Q8TUiro0
チョクは一人でもやっていけると言ったが
そんなはずはない
杉田くんが抜けた代償は大きかった
チョクがどんなに勇猛果敢で超一流のパイロットであっても
十分に飛び回るためには……
彼の破天荒な動きにも付いていける優れた護衛の存在が必要不可欠であった
そういった意味でも……
チョクと杉田くんは離してはいけないベストパートナーであった
491
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:01:08 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`) .。oO(少しでもチョクの力になりたかったけど……)
ボクにはそのような技量はなく
また隊長として部下を率いる責任があった
言い訳だね……
どんなにでかい口を叩いても、行動が伴わない卑怯者……
これがボクの本性だ
醜い偽善な生き物……それがボクだ
本当に……自分のことがイヤになる……
492
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:01:35 ID:0Q8TUiro0
ザワ…ザワ……
(´・ω・`)……
(;⌐●_●)「近寄るな……むこうに行くぞ」
(;⌐●_●)「おう……」
源田のオヤジに暴言を吐いてから
ボクは基地内で煙たがられていた
493
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:02:04 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`) .。oO(それもそうだ……)
当然の反応だよ
身を挺してまで庇ってくれたチョクが変なのであって
普通、こんな厄介者に近づこうする物好きなんていないよ
(´・ω・`) .。oO(でも……)
ボクのせいで肩身を狭くしている部下たちには……
本当に申し訳ないことをしてしまった
どうしたらいいものか……
彡(゚)(゚)……
494
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:02:34 ID:0Q8TUiro0
翌日
「敵襲!!敵襲!!」
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
(´・ω・`) .。oO(またか……早く避難しないと……)
でも、いっそ……死んでしまったほうが楽になるかも……
495
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:03:02 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)「おい、タケ!」
(´・ω・`)「なんでチョクがこんなとこにいるんだい?」
彡(゚)(゚)「細かいことはええやん」
彡(゚)(゚)「ちょっと付き合えや」
(;´・ω・` )「なに言ってるんだよ……」
(;´・ω・` )「早く避難しなきゃ、ボクたち丸焼けになっちゃうよ」
彡(゚)(゚)「そんときはそんときや……はよ、こい」
(;´・ω・` )「え?えぇ……」
彡(゚)(゚)っ(;´・ω・`) 三三3
チョクに連れられ指揮所の椅子に座らされた
496
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:03:34 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)「よっしゃ!今から根性試しや!!」
彡(゚)(゚)「お前の臆病なところを鍛え直したる」
(;´・ω・` )「なにを言い出すの……」
ひゅーんドカーン!!
近くの建物が爆撃で吹っ飛んだ
:(´ºωº`):「ひぃぃいいい……」
彡;(^)(^)「ビビりすぎやで……」
:(´ºωº`):「なに言ってるんだよ……君だって冷や汗をかいてるじゃないか」
彡;(^)(^)「はあ?そんなわけないやろ」
497
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:04:05 ID:0Q8TUiro0
ひゅーんドカーン!!
:(´ºωº`):「ダメだ!早く逃げよう!!」
彡;(^)(^)つ「逃がすわけないやろ」
:(´ºωº`):「離してよ!!」
彡;(^)(^)つ「大丈夫や!死ぬときは一緒に死んだるさかい」
:(´ºωº`):「全然、大丈夫じゃないよそれ!!」
ひゅーんドカーン!!
:(´ºωº`):「ぎゃああああああああああああああ」
498
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:04:28 ID:0Q8TUiro0
(◦灬⦿)「バッカモーーーーーーン!!!」
(◦灬⦿)「お前らはいったい何を考えておるか!!」
彡;(-)(-) ( ; ›ω‹ )『ごめんなさい!』
(;⌐●_●)「おい……あいつら只者でないぞ……」
(;⌐●_●)「ああ、なんて根性のあるやつらだ」
こんなアホでバカでどうしようもないことをやったのに
改めてボクはみんなに認めてもらえた
499
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:05:30 ID:0Q8TUiro0
今回はここまで
500
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:32:16 ID:r5aBzk6Q0
乙乙
一般人側の話は読む事多いけど軍人側はあまりないから新鮮というか、別角度からの平和を願う気持ちを持った。
あと、見せしめの特攻命令とか他にもあったのかなと思うと、色々と暗い気持ちになる。
501
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:52:08 ID:FXXezkU20
乙です
502
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 10:56:00 ID:ALw0JeJw0
無茶しやがって…乙!
503
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:24:33 ID:0Q8TUiro0
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
(;◦灬•)「くっ……」
(;´_ゝ`)「どうやったらあの空浮く巨大要塞を落とせるのか……」
(;◦灬•)「誰でもいい!なにか案のある者はいないか!!」
彡(゚)(゚)/「はい!」バッ
(;◦灬•)「おお!菅野……どのような方策か!!」
彡(゚)(゚)「前上方背面垂直攻撃や!!」
(;◦灬•)「は?」
彡(゚)(゚)「タケ、説明を頼む」
(´・ω・`)「うん」
(´・ω・`)「前上方背面垂直攻撃とは……」
(´・ω・`)「前上方から背面になって垂直降下し、敵編隊の中を突き抜けるという……」
(´・ω・`)「非常に危険できわどい攻撃方法です」
彡(゚)(゚)「説明、ご苦労さんやで」
504
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:25:27 ID:0Q8TUiro0
(;◦灬•)「なんだ……その狂った攻撃方法は……」
(;´_ゝ`)「そんなやり方が本当に可能なのか?」
彡(゚)(゚)「できるよな?」
(´・ω・`)「まあ、何機か落としたことはあるけど……」
(◦灬•)「なぜ、そのような大切なことをこれまで黙っていたのだ?」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)(´・ω・`)『聞かれなかったから……』
(◦灬⦿)「バッカモーーーーーーン!!!」
彡(-)(-) ( ; ›ω‹ )『ごめんなさい!』
505
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:25:54 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)「タケ!こうなったらワイら二人であの⊂(✪_✪-)⊃を……」
彡(゚)(゚)「実際に落としに行くで!!」
(;´・ω・` )「えぇ……B-29はそんなに簡単に落とせるような機体じゃないよ」
彡(゚)(゚)「大丈夫や!あのときはゼロ戦やったが……」
彡(゚)(゚)「今のワイらには紫電改がある」
彡(゚)(゚)「きっとやれるはずや!」
(;´・ω・` )「そうかな……」
彡(゚)(゚)「ええから、はよいくぞ」
彡(゚)(゚)っ(;´・ω・`)「やっぱり、二人でなんて無茶だよ」三三3
506
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:26:28 ID:0Q8TUiro0
ブーン
彡(゚)(゚)「ほなら、まず一人一機ずつ落とすで!!」
(;´・ω・`)「できるかな……」
彡(゚)(゚)「できる、できないやない……」
彡(●)(●)「やるんや!!」ギューン
(´・ω・`) .。oO(チョクはまるで矢のように……)
B-29の編隊に一直線に突撃していった
次の瞬間、B-29の一機がまるでビデオでスローを見るかのよう
敵の主翼が吹っ飛び、ガクッと機首を下げて真っ逆さまに落ちていく
紫電改に装備された二十ミリ機銃の一撃がこれほどの威力があったのだと
改めてこの機体のすごさを痛感させられた
(;`・ω・´)「よし!ボクだって!!」ギューン
ズダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB)))⊂(✪_✪-;)⊃三3
507
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:27:04 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)「よっしゃ!あと一機や行くでタケ!!」ギューン
(;`・ω・´)「うん!!」ギューン
(´_ゝ`)「左右に交差しながら飛び交う……」
(´_ゝ`)「なんて……息のあった攻撃なんだ」
(◦灬•)「うむ……」
ズダダダダダダダダダダダダダ
(((BOMB)))
彡(^)(^)「よっしゃ!全機撃墜や!!」
(´^ω^`)「久しぶりの大戦果だね!」
後日、源田のオヤジはチョクの護衛にボクを指名した
ボクもそれを了承し、チョクとボクの隊は合流して一つの隊となった
508
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:27:40 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)/「よしお前ら!今日も元気に出撃や!!」
(´・ω・`)彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『おー!!』
彡●_●)「三時の方向から敵機!!」
<(★_★-)>三3⊂(✪_✪-)⊃三3<(★_★-)>三3
彡(●)(●)「よっしゃ!いくで!!」ギュン
(;`・ω・´)「ぐっ……」
(;`・ω・´)
ついていくだけでも精一杯
509
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:28:08 ID:0Q8TUiro0
(;`・ω・´) .。oO(やっぱり杉田くんはすごかったんだ……)
彼は護衛の任をこなしながら、部下にもしっかりと気を配っていた
でも、ボクにはそんなことはできない
なら!せめて護衛の任だけはしっかり努めるだけだ!
操縦桿、フットバーを細かく操作する
そのとき、チョクが最初の攻撃を終えて引き起こしにかかるのが
照準器の端に映った
すぐさま操縦桿を引き起こし、右足を踏んで右に上昇旋回
レバーを一杯にしてチョクの後ろについた
510
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:28:39 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)ズダダダダ
(((BOMB)))
(;`・ω・´)「敵一機撃破を確認!!」
彡(^)(^)「了解、了解。ほんじゃ次いくで!!」ギューン
(;`・ω・´)「OK!!」ギューン
ズダダダダダダダダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB)))
(;`・ω・´)「敵機全滅を確認!」
彡(^)(^)「よっしゃ!じゃあさっさと帰るで」
彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『あの二人……すげぇ』
511
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:29:18 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)/「よしお前ら!今日も元気に出撃や!!」
(´・ω・`)彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『おー!!』
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
(;´・ω・` ) .。oO(あいつら……)
海面の近くまで高度を下げて飛んでる
このまま前上方背面垂直攻撃をしたら……
ボクたちが海面に突っ込んでしまう
彡;(●)(●)「ぐっ……」
彡(●)(●)「お前ら!ここは最後尾の一機を確実にしとめにいくで!!」
彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『よっしゃあああああ!!』ブーン
512
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:29:59 ID:0Q8TUiro0
(;`・ω・´) .。oO(ボクたちは……)
獲物を狙う狼の群れのように素早く攻撃した
⊂(✪_✪-;)⊃三3「このままでは……」
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3『仲間を見殺しにはしない!!』
⊂(✪_✪-;)⊃三3
彡;(●)(●)「な!!」
(;`・ω・´)「敵ながら天晴だ」
先行していた二機のB-29はスピードを落として
遅れていた被弾機に寄り添うように編隊を組み仲間を守った
でも、深手を負っていた敵は少しずつ高度を下げていき
数分後には太平洋上に墜落した
だが、そこでさらに驚くべき光景をボクたちは目の当たりにした
513
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:30:39 ID:0Q8TUiro0
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3『大丈夫か!!』
\(✪_✪-;)/
恐らく無線で連絡をしていたのだろう
救助部隊がすぐさまやってきて、危険を犯してまで着水し
仲間を救っていた
(;`・ω・´)「救助のためにここまでするなんて……」
もうそんな余裕はないにせよ
特攻をしかけ兵たちに死を命じる日本とはあまりに対照的だ
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『隊長!!』
彡;(゚)(゚)「一機は撃墜したんや……ここは退く」
514
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:31:18 ID:0Q8TUiro0
彡;(-)(-)「ああも海面の近くを飛ばれると……」
彡;(-)(-)「前上方背面垂直攻撃ができん」
彡;(-)(-)「どうしたものか……」
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『う〜ん……』
(´・ω・`)!
(´・ω・`)「ボクたちも爆撃をしたらどうだろう」
彡(゚)(゚)「爆撃?」
(´・ω・`)「うん、特攻用の爆弾は腐るほどあるんだし」
(´・ω・`)「当たったら儲けもの、当たらなくても爆風で倒せると思うんだ」
彡(゚)(゚)「ほう……ええ案やな」
515
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:32:01 ID:0Q8TUiro0
彡;●_●)「ですが、爆弾を抱えて飛ぶなんて危険では?」
彡;●_●)「機動性は落ちます。それに弾丸がかすっただけでボカン!ですよ」
(;⌐●ω●)「でも……特攻隊員はその状況で飛んでるんだ」
(;⌐●ω●)「ボクたちだけが危険だからって逃げるのは……」
彡;●_●)「むぅ……たしかにそうだけど……」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「タケ……お前がやれ」
(;´・ω・` )「えぇ……いやだよ……」
彡(゚)(゚)「言い出しっぺやろうがい」
(;´・ω・` )「おもいつきで言っただけで……危険性にまでは……」
彡(゚)(゚)「日本男児の漢気をみせい!!」
516
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:32:44 ID:0Q8TUiro0
(;´・ω・` )……
彡(゚)(゚)「……嫌ならええ、無理強いする気はない」
彡(゚)(゚) /「ワイがやるわ」
彡●_●) /「隊長がやるというなら俺が代わりに!」
(⌐●ω●) /「いや、僕がやる!」
(;´・ω・` )「待って……」
( ;´-ω-` )「ボクがやるよ……」
彡(゚)(゚)つ彡●_●)つ(⌐●ω●)つ『どうぞ、どうぞ』
(;´・ω・` )「このやり取り卑怯じゃない?」
(;´・ω・` )「絶対に逃げられないじゃん!!」
彡(゚)(゚)「安心せい!ワイが護衛して絶対に守ったるさかい」
517
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:33:29 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)/「よしお前ら!今から元気に出撃や!!」
(;´・ω・` )彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『おー!!』
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
(;`・ω・´)「敵機を確認!」
彡(゚)(゚)「よし!やったれタケ!!」
ポチ……
(;´・ω・` )「あれ?爆弾が落ちない……スイッチを間違えたのかな」
518
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:33:58 ID:0Q8TUiro0
ポチ……
(;´・ω・` )「ダメだ……やっぱり落ちない」
彡(゚)(゚) .。oO(なんや?留め具に問題でもあるんかな?)
彡(゚)(゚)「見にいったろ……」
(ꐦ`•ω•´)「ああ!もう!!!」
ポチポチポチポチポチぽろっ
(;`・ω・´)「よし!やっと落ちた」
彡;(゚)(゚)「ファッ!爆弾が降ってきよった!!」
彡;(゚)(゚)「緊急回避!緊急回避!」
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『隊長!!』
(;´・ω・` )「えぇ……なんでチョクがそんなとこにいるの?」
(;´・ω・` )「それに爆弾もまったく見当違いな場所で爆発してるし……」
彡;(゚)(゚)「作戦は失敗や!基地に帰還する」
519
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:35:11 ID:0Q8TUiro0
基地
彡(●)(●)「おいタケ!お前、パイロットなんてやめちまえ!!」
(;`・ω・´)「そんなこと言ったって、動作不良なんだから仕方ないだろ!!」
彡(●)(●)「お前のことや!どうせ後方確認もせずにボタンを連打したんやろ!!」
(;´・ω・` )「あっ……」
(;`・ω・´)「でも、爆弾を下から覗き見ようなんて危険なことをしたのは君自身だろ!」
彡(●)(●)「なんやと!!」
(;`・ω・´)「なんだよ!!」
彡(●)(●)「お前は口だけは達者やな!!」
ムッ
(ꐦ`•ω•´)「分かったよ!!そこまで言うなら……」
(ꐦ`•ω•´)「明日、敵を撃墜できないようだったら。ボクはもう帰ってこないよ!」
520
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:35:46 ID:0Q8TUiro0
彡;(゚)(゚)「待てや……ワイはそんなつもりで言ったんとちゃう……」
彡;(゚)(゚)「運が悪くて墜ちないときは仕方ないやん……」
彡;(゚)(゚)「そんなに気負うことないやろ……」
(ꐦ`•ω•´)「いいや!それじゃあボクの気がすまない」
(ꐦ`•ω•´)「一機も落とせなければ絶対に帰ってこない」
彡(●)(●)「そんなに言うなら好きにしたらええわ!!」
彡(●)(●)「その代わり、ワイも敵を墜とせんかったら帰ってこんわ!!」
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『二人とも……』
521
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:36:36 ID:0Q8TUiro0
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
(´・ω・`) .。oO(あんなにムキになるなんてボクらしくなかった……)
だけど、ボクにはこの攻撃を絶対に成功させないといけない理由がある……
整備員のみんなにお願いしたから、きっと動作不良は起きない
でも、ただ落としたんじゃダメだ
ただ落としたんじゃ……昨日みたいに変なところに落ちてしまう
確実に当てにいかなくちゃ
そして確実に当てるためには……この方法しかない……
522
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:37:04 ID:0Q8TUiro0
(;`・ω・´)「やってやる!!」ギュン
彡;(゚)(゚)「な!?どういうつもりや!!」
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『あれは前上方背面垂直攻撃!!』
彡;(゚)(゚)「海面すれすれを飛んどる敵に……まさか!特攻!!!」
(;`・ω・´) .。oO(違うよ……)
特攻をする勇気なんてボクにはない
ボクは自分の命が大事なんだ
お国なんかのために命を散らすなんてまっぴらごめんだ
ボクは特攻が嫌いだ
日本がなぜこのやり方に固執するのか分からないけど
命を捨てさることを美化しようとする特攻精神なんてクソくらえだ!!
こんな手段しか思いつかない大本営の無能さには本当に腹が立つ
523
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:38:17 ID:0Q8TUiro0
でも、文句を垂れるだけじゃなにも変わらない
口先だけじゃダメなんだ
それに口だけの人間じゃ……チョク、君の横に立つ資格なんてない
ボクはこれからも君の傍にいたい
だから、君に口だけの男だなんて思われたくはない
(;`・ω・´)「いくぞ!」
(;`・ω・´)「前上方背面垂直急降下爆撃だ!!」ポチ
ひゅーん……ドカーン!!!
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『三機を一度に!!』
彡(゚)(゚)「タケ……やるやんけ……」
(。゚ω゚)「うわあああああああああああああ」
(。゚ω゚)「爆風ってこんなにスゴイの!!」
(。゚ω゚)「寸でで離脱したと思ったのに機体の制御が効かない……」
(。゚ω゚)「た、助けてええええええ!!」
524
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:38:49 ID:0Q8TUiro0
彡;(-)(-)「はぁ……締まらんな……」
彡(゚)(゚)「ホンマに世話がかかる奴やで……」
彡(゚)(゚)「はよパラシュートで脱出を……ん?」
⊂(✪_✪-;)⊃三3「よくも仲間を!!」
彡;(゚)(゚)「なっ!一機、生き残っとったやと!!」
(。゚ω゚)「え?前にB-29が……」
ε=ε=<(。゚ω゚)> ⊂(✪_✪-)⊃三3
525
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:39:33 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)「タケエエエエエエエエエエエエエエ!!」ビューン
(;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『隊長!!』ビューン
彡;(●)(●)「ぐっ……間に合わん!」
(。゚ω゚)「ボク……死ぬんだ……」
彡;(●)(●)「諦めるなボケェ!!」
⊂(✪_✪-;)⊃三3「死ねええええ!!」
彡;(●)(●)「あああああああああ!!なんでもええ!誰でもええ!」
彡;(●)(●)「タケを助けてくれええええええええええ!!」
526
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:40:16 ID:0Q8TUiro0
☆彡キラリーン
ε=ε=<(。゚ω゚)> ☆彡 ⊂(✪_✪-)⊃三3
ε=ε=<(。゚ω゚)> 彡(゚)(゚) ⊂(✪_✪-)⊃三3
(。゚ω゚)「え?チョク?」
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
彡;(●)(●)「タケエエエエエエエエエエエエエエ!!」
527
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:47:52 ID:0Q8TUiro0
……
……
……
「あぁ……なんであんなこと言ってしまったんやろ……」
……ん?
チョクの声だ
あれ?ボクはどうなってるんだろう
動けない
身体が火照ってとても熱い
528
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:48:26 ID:0Q8TUiro0
「なぁ……目を覚ませや……頼むわ……」
どうしたんだろう……
チョクがこんなにもか弱い声を出すなんて
……
そうだ……
ボクはあのときB-29と衝突したんだ
直前にチョクが間に入ってきた気がしたけどあれは何だったんだろう?
幻覚でも見たのかな?
ん?てか、ボク生きてるの?
あの状況から?マジで?
まあ、でもそうだよね、生きてるからこうやって色々と考えているんだ
529
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:48:55 ID:0Q8TUiro0
そっか……生き残れたんだ
それならそうと……
早くチョクを安心させてあげないと……
( ;´-ω-` )「ん……ん……」
ダメだ、まぶたがとても重い
「タケ!!!気づいたんか!!」
「先生!!!先生!!!!タケが生き返った!!」
( ;´-ω-` ) .。oO(動揺するなんて君らしくもない……)
それに生き返ったってなんだよ……
まあ、それだけ心配をかけたってことだよね……
早く起きないと
530
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:49:33 ID:0Q8TUiro0
(;´・ω・` )「ん……」
(。゚ω゚)!!
彡(;)(;)「目が開いた!!!生きとる……ホンマによかった」
(。゚ω゚) .。oO(そんな……あのチョクが泣くなんて……)
(;´・ω・` )「ごめん……心配かけたみたいだね」
( ;´-ω-` )「あ痛てててて……」
彡;(゚)(゚)「アカン!!そんな無理したらアカンで!!!」
彡;(゚)(゚)「重症なんやさかい、大人しくしとらんと!」
531
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:50:15 ID:0Q8TUiro0
(;´・ω・` )「そんな……大袈裟だよ……」
(;´・ω・` )「意識もハッキリしてるし……え?」
右足がない
彡;(゚)(゚)……
ボクの右足がない
(。゚ω゚)「エエエエエエエエエエエエエエ」
532
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:50:51 ID:0Q8TUiro0
数日後
(◦灬•)「笹林 武くん、君は今日をもって海軍を除隊することになった」
(◦灬•)「君のような勇士がいなくなること……とても残念だ」
(;´・ω・` )「そんな……ボクが勇士だなんて……」
彡(゚)(゚)……
(◦灬•)「君の後任になる者を紹介したい……」
(◦灬•)「武藤 金義少尉だ」
(҂`ハ´)ゞビシッ
(´・ω・`)ゞ「あなたがアノ……空の宮本武蔵と呼ばれている……」
533
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:51:41 ID:0Q8TUiro0
(҂`ハ´)「私が参りました以上、菅野大尉を殺させるようなことは致しません」
(´・ω・`)「なんて頼もしい……チョクのことよろしくお願いします」
(҂`ハ´)ゞ「ハッ!」
(´・ω・`)ゞ
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)「チョク……こんな形で抜けることになってごめんね」
彡(゚)(゚)「足がなくなったんやし……しゃーないやろ」
534
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:52:39 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)……
(◦灬•)「我々はこれより大村基地に向かう」
(◦灬•)「これが今生の別れになるかもしれん」
(´・ω・`)「そんなことないよね、チョクが死ぬなんて想像もできないもん」
彡(゚)(゚)「当たり前や!ワイを誰やと思っとるねん」
(´・ω・`)「うん……だから、またね」
彡(゚)(゚)「うん……」
(´・ω・`)「約束だよ」
彡(゚)(゚)「ああ、男と男の約束や」
それから時の流れは早かった
535
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:54:04 ID:0Q8TUiro0
春は一年中で一番楽しいときであると思い
大村基地
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『痛てててて……』
彡(゚)(゚)「どうしたんや?」
彡;●_●)「ここに来る途中、燃料補給のために出水基地によったんですが……」
(;⌐●ω●)「味方識別をしなかったとその基地の責任者に殴られて……」
彡(●)(●)「なんやと!!」
彡(●)(●)「よっしゃ!今からワイがそいつをぶん殴りに行ってきたる!!」
彡;●_●)彡;●_●)『隊長!気持ちは嬉しいですが……』
(;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『それはやりすぎです!!
536
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:54:53 ID:0Q8TUiro0
夏は一年中で一番愉快であると考え
( ⁎ˆᴗˆ⁎ )( ⁎ˆᴗˆ⁎ )( ⁎ˆᴗˆ⁎ )( ⁎ˆᴗˆ⁎ )
彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『女の子がこっちをみてる///』
彡(゚)(゚)「ヨーシ、手のすいている者はみんな立って一列にそこに並べ!」
彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●)『ハッ!』
彡●_●)彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ω●).。oO(カッコいいところを見せてやる!!)
537
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:55:19 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)「そこで小便をしろ!」
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『えぇ……』
彡(゚)(゚)「なんや!ワイの命令が聞けんのか!!」
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)『は、はい……』
(;⌐●ω●) .。oO(後ろ向きだし、距離もある……見られることはない)
( ⁎ˆᴗˆ⁎ )( ⁎ˆᴗˆ⁎ )( ⁎ˆᴗˆ⁎ )( ⁎ˆᴗˆ⁎ )「なにか始めたわよ」
カッコ悪いと思いながらも隊員たちはモソモソとズボンの前を開いて
オチンチンを取り出した
すると……
538
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:55:44 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)「全員、回れ右!!」
彡;●_●)彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ω●)「え、え、え……」
彡;●_●) (;⌐●ω●) .。oO(しまった!いつものくせで体が勝手に……)
大小とりどりの砲列が並び立った
(⁎˃ᴗ˂⁎)(⁎˃ᴗ˂⁎)(⁎˃ᴗ˂⁎)(⁎˃ᴗ˂⁎)『キャッ!』
と、乙女たちは逃げていった
539
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:56:09 ID:0Q8TUiro0
秋は一年中で一番悩む時とし
540
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:56:30 ID:0Q8TUiro0
(;◦灬•)「報告が入った……」
(;◦灬•)「敵が数百機の大軍勢で日本に空爆をしかけようとしていると……」
(;´_ゝ`)「そんな……我々の戦力は全盛期の半分以下の二十一機です」
(;´_ゝ`)「あまりに無謀です」
彡(゚)(゚)「でも、戦わん訳にはいかんやろ」
(;◦灬•)「その通りだ……」
(;◦灬•)「我々は敵を奇襲した後、援軍が来る前に素早く引き上げる」
(;◦灬•)「各員戦闘準備!!」
彡(゚)(゚)(҂`ハ´)彡●_●) (⌐●ω●) 『了解!』
(´_ゝ`) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)『ハッ!』
541
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:56:56 ID:0Q8TUiro0
ブーン
<(★_★-)>三3⊂(✪_✪-)⊃三3三3⊂(✪_✪-)⊃三3<(★_★-)>
<(★_★-)>三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3<(★_★-)>
<(★_★-)>三3⊂(✪_✪-)⊃三3三3⊂(✪_✪-)⊃三3<(★_★-)>三3
(´_ゝ`)「これまでにないすごい数だ……」
(҂`ハ´)「短時間のうちに戦闘を済ませ、素早く離脱しましょう」
彡(●)(●)「よし……いくで!お前ら!!」ギューン
(҂`ハ´)彡●_●) (⌐●ω●)『おっしゃ!』ギューン
( `_ゝ´)「いくぞ……」ギューン
(⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)『イエッサー』ギューン
542
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:57:20 ID:0Q8TUiro0
<(★_★-)>「上空より日本軍……あれは剣部隊だ!」
⊂(✪_✪-)⊃「守りを固めよ!!決して油断するな!!」
(-★_★)(-✪_✪)(-★_★)『OK!!』
( `_ゝ´)「ぐっ……数に奢ることなく警戒していたか……」
(҂`ハ´)「勢いそのまま突っ込むしか道はなし!!」
彡(●)(●)「お前ら!!行くぞ!!!」
彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ゝ●)『おっしゃあああああああああ!!』
543
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:57:46 ID:0Q8TUiro0
壮絶な空中戦が展開された
空では敵味方の戦闘機が旋回、上昇、下降と入り乱れる混戦となった
( `_ゝ´)「な!エンジンに被弾だと!!」
( `_ゝ´)「クソおおおおおおおおおおおおおお!!!」
(((BOMB)))
(⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)『隊長!!!!』
(⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)『よくも!!!』ビューン
彡(●)(●)「アカン!あいつら突っ込みすぎや」
彡(●)(●)「新選組!!ワイの後に続け!!!」ギューン
(҂`ハ´)彡●_●) (⌐●ω●)『おっしゃ!』ギューン
544
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:58:10 ID:0Q8TUiro0
(;⌐●ゝ●) (;⌐●ゝ●) (⌐●ゝ●)『ぐっ……』
(((BOMB))) (((BOMB))) (;⌐●ゝ●)「ぐぬぬぬ……」
(-★_★)(-✪_✪)(-★_★)『墜とせ!!』
彡(●)(●)「させるか!!」ズダダダダダダ
(҂`ハ´)彡●_●) (⌐●ω●)ズダダダダダダダダダダダダダ
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
545
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:58:40 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)「お前ら!!あいつを連れて逃げい!!」
彡●_●)「隊長は!?」
彡(●)(●)「ワイは残って時間を稼ぐ」
(;⌐●ω●)「そんな無茶な!!」
彡(●)(●)「ワイの心配をする暇があるならさっさと逃げい!!」
彡(●)(●)「これは命令や!!!」
彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ゝ●)「……はい」ビューン
(-★_★)(-✪_✪)(-★_★)『逃がすな!!』
彡(●)(●)「させるか!!」ズダダダダダダ
<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3<(★_★-)>三3
(((BOMB))) (((BOMB)))<(★_★-)>三3
546
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:59:04 ID:0Q8TUiro0
彡(●)(●)「くっ……一機外してもうた」
<(★_★-)>三3「死ねえええええ!イエローファイター!!」
(҂`ハ´)「ふん!」ズダダダダダ
<(★_★-;)>三3「な!」
(((BOMB)))
彡(●)(●)「武藤!!助かった!ありがとやで!!!」
(҂`ハ´)「お礼は無事に帰ってから頂きます」
彡(●)(●)「せやな……ワイらも逃げるで!」ギューン
(҂`ハ´)「ハッ!」ギューン
547
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 16:59:43 ID:0Q8TUiro0
(-✪_✪)『アメリカ空軍の意地を見せろ!!なんとしてもやつらを墜とせ!!』
ズダダダダダアアアアアアアアアアアアアアア
ズダダダダダダダダダダダダダダアアアアア
ズダダダダダダダダダダダダダダダダアアア
彡(●)(●)「どけや!!」ズダダダダダダダダダダダダダ
(((BOMB))) (((BOMB))) (((BOMB)))
(((BOMB))) (((BOMB)))
548
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:00:08 ID:0Q8TUiro0
大村基地
彡;(-)(-)「はぁ……はぁ……はぁ……」
彡;●_●)「隊長!!よくぞ無事に!」
彡;(-)(-)「おぉ……よかった……お前らも無事やったんやな……」
彡●_●) (⌐●ω●) (⌐●ゝ●)「はい」
彡;(゚)(゚)「そや……武藤は?」
彡;(-)(-)「必死で……どこではぐれたのかも分からんのや……」
(◦灬•)「武藤少尉はまだ帰還していない……」
彡;(-)(-)「……そか、なら……迎えに……行って……やら……」
バタン!!
彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ゝ●)『隊長!!』
(;◦灬•)「疲労が限界に達したのだろう……早く医務室へ」
549
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:00:57 ID:0Q8TUiro0
彡;●_●) (;⌐●ω●) (;⌐●ゝ●)『はい!!』
彡;(-)(-)「…………むとう……今、いくで……」
でもその後、武藤少尉(҂`ハ´)が帰ってくることはなかった
彡;(-)(-)………
550
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:02:06 ID:0Q8TUiro0
冬は一年中で一番反省するに適している
(´_ゝ`)(〃゚3゚〃) (҂`ハ´)を始め
剣部隊は結成時から八十名近い戦死者を出していた
(◦灬•)の要請によって搭乗員の補充が行なわれた
だが、新しい搭乗員が戦闘になれて戦力を発揮するようになるには時間がかかる
しかも、空襲や資材不足で工場の生産性はガタ落ち
機材の消耗に補充が追いつかない状況となり
搭乗員が補充されても乗る機体がなく
さらに、燃料不足で訓練はおろか出撃すら難しい状況となっていた
このような状況から大本営は本土決戦に備えた極力温存策を決めた
551
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:02:39 ID:0Q8TUiro0
⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3⊂(✪_✪-)⊃三3
ひゅーんドカーン ひゅーんドカーン ひゅーんドカーン
空襲警報が発令されると
整備員、その他の基地要員は基地内の防空壕に避難した
それなのに戦闘機のパイロットは特別待遇で
トラックに乗り付近の山に隠れることになっていた
大勢の戦友を残して自分たちだけ安全な山中に逃げること
また、逃げ惑う一般人の傍らを砂塵をまきあげて追い抜いていくことに
戦闘機乗りは申し訳ない思いでまともに目を合わせることができなかった
552
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:03:06 ID:0Q8TUiro0
「あれだけの敵がわれわれ国民を苦しめているのに……」
「なぜ航空隊は迎撃に飛び上がらないのか……臆病者どもめ」
「食糧、酒、衣類など優遇されているくせに……」
「一体、なにをしているのか……卑怯者どもめ」
彡;(-)(-)………
553
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:03:54 ID:0Q8TUiro0
神よ人間は苦し
( ゚∋゚)「はぁ……今日もまた無駄な会議か……」
( ゚∋゚)「この期に及んで陸軍と海軍が協力しようなどと……」
( ゚∋゚)「そんなこと……この国が滅んでも起きるはずがないだろに」
( ゚∋゚)「体裁をとりつくろうだけ会議のなんて本当にくだらない」
会議中
( ゚∋゚) .。oO(それにしても……最近は若い戦隊長が増えた)
喜ばしいことに見えるが……それだけ若者が酷使されてるというだけだ
Σ( ゚∋゚)「ん?」
( ゚∋゚)「あそこにいるのは……チョク!!」
彡(•)(•)!
554
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:04:15 ID:0Q8TUiro0
( ゚∋゚) .。oO(向こうもこちらに気づいたようだ)
会議が終わったら話しかけよう
「では、本日の会議はこれで終わりとする」
( ゚∋゚)「おいチョク、久しぶり」
彡(•)(•)「なんだ?こんなところで」
( ゚∋゚) .。oO(??……なにか雰囲気が変わったような……)
彡(•)(•)「せっかく会ったんや飲みにいこうや!」
( ゚∋゚)「お、おう……」
555
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:04:57 ID:0Q8TUiro0
飲み屋
彡(•)(•)「姉ちゃん、酒のおかわりや!」
(; ゚∋゚)「何杯目だ、大丈夫か?」
彡(•)(•)「飲まんとやっとられんわ!!」
彡(•)(•)「どうせワイの命ももう長くはないんやからな!!」
(; ゚∋゚) .。oO(これがあのチョクだと?)
飲みっぷりといい、粗野な態度といい、まるで与太者だ
556
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:05:35 ID:0Q8TUiro0
(; ゚∋゚)「なあチョク?」
彡(•)(•)「なんや?」
(; ゚∋゚)「いや……そうだ!タケくんはどうしたんだ?」
彡(•)(•)「タケやと!!また懐かしい名前を出してきたな」
彡(•)(•)「あいつは戦いで右足が吹っ飛んで軍人を辞めたわ」
(; ゚∋゚)「なんだと……」
彡(•)(•)「まあ、あいつは生きることに対してものすごい執着があったから本望やろ」
彡(•)(•)「怪我の功名ってやつやな」
彡(•)(•)「いくら軍でも、足のない障害者を引っ張ってくることはない」
彡(•)(•)「もともと、あいつは軍人に向いてなかったしな……」
(; ゚∋゚)「そんな言い方はないだろ!」
彡(•)(•)……
557
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:06:23 ID:0Q8TUiro0
彡;(-)(-)「そ、そうやな……すまん」
彡(゚)(゚)「そうや、思い出した!!タケの戦い方がまたすごくてな」
( ゚∋゚)……
いつものチョクに戻ったか?
( ゚∋゚)「なあチョク?」
彡(゚)(゚)「なんや?」
( ゚∋゚)「君の所属……剣部隊といったかな……居心地はどうだ?」
彡(゚)(゚)「ん?ええ所やで……」
彡(-)(-)「まあ……いろんな奴が死んでいって……」
彡(゚)(゚)「隊長がワイ一人になってしもうたけど……」
彡(゚)(゚)「部下はワイを慕ってくれとるし……」
彡(゚)(゚)「源田のオヤジもワイを頼りにしてくれとる」
彡(゚)(゚)「まあ、なんとかやれとるわ」
( ゚∋゚)「そうか」
558
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:06:49 ID:0Q8TUiro0
( ゚∋゚)(誰からも頼りにされる……)
( ゚∋゚)(そんな重圧に一人で耐えられる人間などいない……)
(´・ω・`)……
(´・ω・`)(ボクが彼の傍にいます)
(´・ω・`)(まあ、気休め程度ですけどね)
( ゚∋゚)(それで十分さ……)
( ゚∋゚)ゞ(頼んだぞ)
(´・ω・`)ゞ(はい!)
559
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:07:21 ID:0Q8TUiro0
(; ゚∋゚) .。oO(くそ……僕が陸軍でなく海軍にいれば……)
なんて歯がゆさだ!
このまま何もできず……静観するしかないのか
彡(゚)(゚)「どうしたんや?」
(; ゚∋゚)「いや……なんでもない」
彡(゚)(゚)……
560
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:08:50 ID:0Q8TUiro0
されど神よ、人間はよろこびを持っている。生きるすべを知っている
病院
(´・ω・`)……
(´,,•ω•,,`)「どうしたの?」
(´・ω・`)「うん……ちょっとね……」
(´,,•ω•,,`)「菅野さんのこと?」
(´・ω・`)「……うん、チョクは今、どうしてるんだろうって」
(´・ω・`)「無理をしてなきゃいいけど……」
(´,,•ω•,,`)「大丈夫よ、あの方は強い人ですもの」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「……ねえ」
(´,,•ω•,,`)「なに?」
(´・ω・`)「お願いがあるんだ」
561
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:12:27 ID:0Q8TUiro0
神はすべてに宿る。醜き人にも美しき花にも之は宿る
1945年8月1日
(◦灬•)「占領された沖縄基地からB-24が三十機……」
(◦灬•)「出撃したとの報告があった」
(◦灬•)「そして我らが迎撃にあたることになった」
彡●_●)「久々の出撃だな……」
(⌐●ω●)「大丈夫さ、隊長がいる限り僕たちは負けないさ」
彡(•)(•)……
(◦灬•)「……飛び立つ前に一人……紹介したい者がいる」
(◦灬•)「さあ、出てきたまえ」
562
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:13:11 ID:0Q8TUiro0
スタスタスタ
ザワ……ザワ……
彡(•)(•)「え……」
彡●_●)「まさか……」
(⌐●ω●)「本当に……」
(◦灬•)「皆もすでに存じているだろうが、改めて紹介する」
(◦灬•)「本日付けで剣部隊に復帰することになった……」
(◦灬•)「笹林 武くんだ!!」
(´・ω・`)「えっと……その……」
(´・ω・`)「皆、久しぶり。元気だった?」
563
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:13:56 ID:0Q8TUiro0
彡(•)(•)「タ、タ、タケ……」
(´・ω・`)「ん?そうだよ。ボクだよ」
彡(•)(•)「どうしてや?」
(´・ω・`)「義足を作って貰ったんだ。ほら、よくできてるでしょ」
彡(•)(•)「なんでや?なんで戻ってきたんや?」
(´・ω・`)「良くも悪くも今の日本は飛べる人間は誰でも飛ばす国だからね」
(´・ω・`)「だからこうやって戻ってこれたのさ」
彡(•)(•)「ちゃう……ワイの聞きたいことはそんなことじゃない」
彡(•)(•)「なんで……臆病で腑抜けで生きることに固執するお前が……」
彡(•)(•)「わざわざ戦場に戻ってきたんや?」
564
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:14:42 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「そんなの決まってるじゃないか……」
(´・ω・`)「君のことが心配だからだよ」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)「そうか……」
彡(゚)(゚)「よう戻ってきた!戻ってきてくれた!!」
彡(゚)(゚)「さすがワイの親友や……」
彡(゚)(゚)「見直したで……タケ」
(´・ω・`)「面と向かって言われるとむずがゆいね」
565
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:15:18 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)「遅れてごめん」
彡(゚)(゚)「ええんやで」
566
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:16:04 ID:OfvsgNYU0
>>432
567
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:16:08 ID:0Q8TUiro0
ボクたちは九州西岸に沿って高度をとりながら南下を続けた
視界は良好で、地図そのままの薩摩、大隈両半島をはるか下に望み
東シナ海に出て高度六千メートルで屋久島達した
島の西方、高度五千メートル辺りにB-24が
編隊を組んでゆっくり旋回していた
⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3
彡(゚)(゚)「なんで三機しかおらんのや?」
(´・ω・`)「きっとこの辺りを集合場所にしてるんだよ」
彡(゚)(゚)「油断しすぎやろ。もう勝った気でおるで」
(´・ω・`)「まあ、日本の負けはもう確定してるけどね」
彡;●_●)「えぇ……」
(;⌐●ω●)「思ってても誰もが口を閉ざしてるのに……」
568
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:17:34 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)「言うようになったやんけタケ」
(´・ω・`)「もとからボクは正直な男さ」
(´・ω・`)「君と違ってね」
彡(゚)(゚)「なにを言うとんのやワイは直やぞ」
彡(゚)(゚)「ワイはこれまで正直に真っ直ぐ生きてきたつもりや」
(´・ω・`)「よく言うよ、軍人なんて物騒な生き方……」
(´・ω・`)「本当は嫌なくせに」
(´・ω・`)「もっと素直になれよ……“直〟なだけにさ」
彡(゚)(゚)「ホンマに言うようになったわ……」
彡●_●)(⌐●ω●)(⌐●ゝ●)「隊長……」
彡(゚)(゚)「まあ、今は戦争中や。そんなことは後で考える」
569
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:18:19 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)/「よっしゃ!ほな、いこうや!!」
(´・ω・`)彡●_●)(⌐●ω●)(⌐●ゝ●)「おー」
ボクたちは進路を約五十度南寄りに変え、敵編隊の前方に位置するよう
降下気味に進んだ。
左斜め前方約千メートルにつくと、チョクはチラッと後ろ上方を見たあと
機首を下げ、敵と反抗態勢で攻撃に入った
敵も応戦してきた
ズダダダダダダダダダ
シューッ、シューッと赤い炎が行き交じる
(;`・ω・´)「なにを!!」ズダダダダダダダダダ
と急降下しながら反撃する
570
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:18:47 ID:0Q8TUiro0
⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3⊂(★_★-)⊃三3
だが、B-24はこれまでのB-24ではなかった
強力な防弾鋼板のほか、外周を厚い防弾用のゴムでおおわれた燃料タンク
を装備していた
タンクに命中してもゴムが溶けてすぐに破孔を防ぎ
失火しても消火装置が働いて火がすぐに消えるように改良されていた
571
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:19:15 ID:0Q8TUiro0
(;`・ω・´)「くっ……もう一回だ!!」
『ワレ機銃管内爆発ス、ワイ菅野一番』
(;´・ω・` )「え?チョクの声?」
彡●_●)(⌐●ω●)(⌐●ゝ●)『うおおおおおおおおおお!!』ギューン
(;´・ω・` )「あれ?みんなには聞こえてないの?」
(;´・ω・` )「ボクの聞き間違え?」
『ワレ機銃管内爆発ス、ワイ菅野一番』
(;´・ω・` )「やっぱり聞こえる……チョクはどこに……」
戦闘を離脱し、機を引き起こしながらチョクを探した
どこにもいない……
機を水平に戻して、四周を見まわしたがやはり見えない
翼を傾けて、右下方を覗く……
572
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:19:47 ID:0Q8TUiro0
(。゚ω゚)「いた!!」
チョクはずっと下を水平に飛んでいた
すぐに降下して接近した
チョクの紫電改の左翼に穴が空いているのが見えた
少し高度を高めて近寄り、上から覗き込む
翼の中央、日の丸マークの少し右に大きな破孔がある
すると、チョクと目が合った
573
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:20:18 ID:0Q8TUiro0
彡;(゚)(゚)
チョクは「しまった」と言いたそうな表情だ
(´・ω・`) .。oO(自分で危機を知らせておいて……)
なんだよ、その顔は……
(´・ω・`)「コチラ笹林三番、菅野一番応答セヨ」
ザーザー
(;´・ω・` ) .。oO(アレ?無線の調子がおかしい……)
さっきまであんなにはっきりとしていたのに……
どうしてだろう
(;´・ω・` )「コチラ笹林三番、菅野一番応答セヨ」
ザーザー
(;´・ω・` )「ダメだ……使い物にならない」
まあいい……
チョクの異変に気づけたんだ
このまま護衛してチョクを守ろう
574
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:20:51 ID:0Q8TUiro0
彡;(゚)(゚)/
チョクは指先でB-24の方向を指示した
(´・ω・`) .。oO(ワイに構わず敵と戦えと言っているのかな?)
そんな……君を放っておくなんてできないよ
二、三度、軽くうなずいて見せたが、彼の傍を離れなかった
575
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:21:23 ID:0Q8TUiro0
彡;(•)(•)/
すると今度は左手で何度も敵の方向を指しながら、睨んできた
(´・ω・`) .。oO(やっぱり攻撃しろって言ってるんだ)
でも、そんなことはできない
とりあえず左手を上げてチョクの意図は分かったと示し
子供をあやすように「よし、よし」と
大きく二、三度うなずいて見せた
ふと、前を見た
彡;●_●)(;⌐●ω●)(;⌐●ゝ●)『ぐっ……』
(;´・ω・` ) .。oO(改良型B-24に苦戦してる)
それに……チョクがいないのが分かったのか
みんな浮足立ってる……
でも……今はチョクを優先させなきゃ……
576
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:22:01 ID:0Q8TUiro0
チョクに視線を戻す
(。゚ω゚)!!
彡(●)(●)
チョクはものすごい形相でボクを睨みつけていた
完全に怒りの形相だ……
『ワイの代わりにお前があいつらを守らんでどうするんや!!!』
(;´・ω・` ) .。oO(え?無線が復活した?)
ザーザー
ダメだ、やっぱり調子がおかしい
577
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:22:39 ID:0Q8TUiro0
(;´・ω・` ) .。oO(それじゃあ今の声は……)
心とは裏腹に……身体が自然と動き
紫電改は高度を上げていく
(;´・ω・` ) .。oO(え?なんで?)
待ってよ、ボクはチョクを助けたいんだ
戻らなきゃ
ふと振り向く
するとチョクの顔がはっきりと見えた
彡(^)(^)
さっきまでの怒った顔がまるでウソのよう
やわらいだチョクの顔は微笑みで一杯だった
(´・ω・`) .。oO(……うん)
ボクは戦場に戻るため……再び空に舞い上がった
578
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:23:20 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)「ったく……どこまでも世話のかかる奴やで……」
彡(゚)(゚)「まあ、ワイの親友なだけあって……」
彡(゚)(゚)「あいつはやる時はやる奴や」
彡(゚)(゚)「タケならきっとなんとかしてくれるはずや」
彡(゚)(゚)「後は……頼んだで……」
579
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:23:48 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚)「それにしても……いい天気や」
あの雲なんてめっちゃいい形しとるやんけ
啄木は地上からでも、雲の良さを見抜いたっていうのに……
空を飛び回っとったワイは雲を見る余裕すらなかったんやな
人間、必死になると目先のもんも見えなくなる
大事なもんも、大切なものも見えんくなる
極限状態にあればこそ見える境地もあるんやろうけど
そんなええもんじゃないで
碌なもんじゃないわ
特攻隊員に死を命じ続けた上官たちのように
人の命を軽んじるようになったら終わりや
もののあわれを忘れてしまったら終わりやで
580
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:24:41 ID:0Q8TUiro0
せや、もののあわれを忘れたらアカン
人としての心……悲しみを解する心を忘れたらアカンのや
もののあわれさえ持っとれば
どんだけ人間が醜く偽善の生き物でもあっても
きっと歯止めになる
最期の一歩を踏みとどまることができるはずや
581
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:25:09 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚) .。oO(ん?)
ワイはアホか!なに感傷に浸っとるねん!!
ここは戦場やぞ
友と部下だけを戦わせておいて
なに高みの見物を決めこんどるねん
ワイはいつからそんな最低な人間になったんや!!
彡;(゚)(゚).。oO(けど、どないしよう……)
今のワイが行っても足手まといになるだけやしな
うーん
582
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:25:43 ID:0Q8TUiro0
彡(゚)(゚) .。oO(ん?)
なんや!簡単なことやんけ
仕切り直しや!やり直せばええだけやん
せや、なんせワイは菅野直や!!
名前の通り、いくらでもやり直せるわ!
『空戦ヤメ!集マレ!!』
583
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:26:13 ID:0Q8TUiro0
チョクの言葉を受けボクたちは急いで戻った
でも……
(;´・ω・` )「どこにもいない……」
チョク!チョク!と何度も無線で呼びかけた
(;´・ω・` )「反応がない……」
(;´・ω・` )「もしかしたら不時着したのかも」
上空から翼を傾けて海岸を念入りに見て回った
(;´・ω・` )「機体らしいものはない……」
(;´・ω・` )「基地に帰ったのかな?」
584
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:26:55 ID:0Q8TUiro0
大村基地
(;´・ω・` )「オヤジ!チョクは帰ってきた?」
(◦灬•)「いいや、帰ってきてはいないが」
(;´・ω・` )「チョクの機体が管内爆発を起こし、行方不明です」
(;◦灬•)「なにッ!」
(;´・ω・` )「時間をかけて探したけど、ついに発見できませんでした」
(;◦灬•)「もしかたしたら他の基地に不時着したのかもしれん」
(;◦灬•)「急ぎ確認する!!」
585
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:27:19 ID:0Q8TUiro0
ボクはそれからもチョクも帰還を待った
望遠鏡で空を覗いたり、電話に聞き耳をたてた
でも……
(´・ω・`)「どれもむなしい期待に終わった」
586
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:27:51 ID:0Q8TUiro0
チョクがいなくなってもボクたちは戦わなければならなかった
戦闘機も搭乗員の数も少なく、補充もなかった
(´・ω・`)「それでも……」
士気については、それこそ一分の衰えもなかった
(´・ω・`)「よし!行こうか」
彡●_●)(⌐●ω●)(⌐●ゝ●)『おー』
587
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:28:16 ID:0Q8TUiro0
ブーン
空を飛んでいると、突然、頬に暖かさを覚える巨大な閃光が目に入った
やや間をおいて大音響とともに巨大なキノコ雲がムクムクと上昇していた
そのさらに上空には白く光ったB29が一機、東南の方向に去っていった
1945年8月15日
日本降伏
588
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:28:53 ID:0Q8TUiro0
一九四五年九月二十日 二階級特進海軍中佐 菅野直
源田のオヤジの具申をもってチョクは正式に戦死したと認定された
589
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:29:23 ID:0Q8TUiro0
彡(ꐦ 'ー`)「直が帰ってきても、絶対にあんた達には渡さないんだから!!」
(★_★-;)(★_★-;)三3「ひぃ……」
(´・ω・`) .。oO(さすがチョクのお母さんだ……)
ボクたちが追い払えなったアメリカ兵をああも簡単に追い返してしまった
ボクはチョクの名残を求めて
彼の故郷をしばらく歩いて回っていた
すると……
590
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:29:47 ID:0Q8TUiro0
( ゚∋゚)「やあ、タケくん……」
(´・ω・`)「あなたは……」
( ゚∋゚)「久しぶり」
(´・ω・`)「幸雄くん……」
( ゚∋゚)「どうだろう、一緒に歩かないか?」
(´・ω・`)「うん……」
591
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:30:17 ID:0Q8TUiro0
トボトボトボ
( ゚∋゚)「君はチョクが本当に死んだと思うかい?」
(´・ω・`)「どういうことです?」
( ゚∋゚)「チョクは戦死したことになっているが……」
( ゚∋゚)「それは状況判断でしかない」
( ゚∋゚)「行方知れずのチョクは今もどこかで生きてるんじゃないか……」
( ゚∋゚)「と、僕は思いたいんだ」
592
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:30:46 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ボクは……」
(´・ω・`)「チョクは死んだんだと思います」
( ゚∋゚)「……理由を聞いてもいいかな」
(´・ω・`)「だって、チョクが生きていたら……」
(´・ω・`)「彼の破天荒な行動は目立つはずだから」
(´・ω・`)「それに……」
(´・ω・`)「チョクは雲隠れして家族や仲間を悲しませるような男では決してない」
( ゚∋゚)……
それから少し、無言の時間が過ぎた
593
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:31:35 ID:0Q8TUiro0
( ゚∋゚)「君はこの後、どうするつもりだい?」
( ゚∋゚)「軍に残るのかい……」
(´・ω・`)「……源田のオヤジにも誘われましたけど」
(´・ω・`)「断りました」
(´・ω・`)「ボクは普通に生きるつもりです」
( ゚∋゚)「普通?」
(´・ω・`)「はい、嫁さんと子どもと一緒に暖かい家庭を築いていきたいです」
(´・ω・`)「そしてできるだけ長生きをして死にたいです」
( ゚∋゚)「ありきたりな人生だな……」
594
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:32:03 ID:0Q8TUiro0
(´・ω・`)「ありきたりじゃないですよ」
(´・ω・`)「ボクたちの世代は普通な生き方さえ出来なかった人が大勢いる」
(´・ω・`)「チョクだって……その一人です」
( ゚∋゚)……
(´・ω・`)「チョクのようなカッコいい生き方はボクにはできません」
(´・ω・`)「だからボクは……」
(´・ω・`)「チョクが出来なかった生き方をしたいと思います」
( ゚∋゚)「そうか……」
こうしてボクたちは別れた
595
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:32:48 ID:0Q8TUiro0
……ねえ、チョク
君がもし生き残っていたら、どう生きたんだい?
使命のために命燃やす生き方?
家族を大事にする生き方?
それとも……
気の向くまま風の向くまま……雲のような自由な生き方?
……
596
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:33:31 ID:0Q8TUiro0
まあ、なんにせよ
最期にこれだけは言わせて欲しい
君はもうなにも背負う必要はない
無理をする必要はないんだよ
だから、こころ優しい素直な君のまま
どうか安らかに眠ってね……チョク
597
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:34:16 ID:0Q8TUiro0
おしまい
598
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 17:34:51 ID:0Q8TUiro0
長い間読んで頂きありがとうございます
599
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 19:44:04 ID:r5aBzk6Q0
乙乙乙!
毎日本当に心待ちにしてました
語らずとも感情を読ませるのがとても上手で、一喜一憂しっぱなしでした
新作沢山読みたいので、どうかここにしばらく居着いてはいただけないでしょうか
今作で参考にした書籍なども教えてほしいです
600
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 19:57:08 ID:0Q8TUiro0
>599
ありがとうございます
感想とても嬉しいです
今作で参考にしたのは
碇義郎著 最後の撃墜王です
これからもよろしくお願いします
601
:
名無しさん
:2024/06/01(土) 23:12:08 ID:RGQNLVas0
とても良かった
乙
602
:
名無しさん
:2024/06/02(日) 05:39:57 ID:sM2NPaW.0
>>601
ありがとうございます
603
:
名無しさん
:2024/06/02(日) 12:02:03 ID:OYCjraoM0
乙!!
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