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('、`*川 タイムレス・メモリーのようです
1
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:19:37 ID:BzDa1Vwg0
ある時、私は気が付いた。
みんなが笑っているのは、嫌われるのが怖いから。
人といたいのは、孤独はもっと怖いから。
('、`*川「むなしいね」
それから私は、なんとなく一人を好むようになった。
2
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:21:54 ID:BzDa1Vwg0
高校の卒業式の日、一番最初に教室を出た。
桜舞う通学路を、最後だなぁと思いながら歩く。
(-、-*川「私は出来損ないだ」
振り返れば、勿体ない時間の使い方をした。
あの時、少し勇気を出してれば。
逃げずにちゃんと考えていれば。
3
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:23:03 ID:BzDa1Vwg0
/ ,' 3「やり直したいか?」
ある朝起きると、枕元に小さな悪魔がいた。
絵本に出てくる虫歯菌みたいなそいつは、
おはようも無しに私の願いを口走った。
('、`*川「まあ、そりゃ・・・」
ボサボサ頭でモゴモゴ答えると、
/ ,' 3「では叶えてやろう」
('、`*川「どうやって?」
/ ,' 3「時間を戻し、遺伝子操作をするのだ。バカは死んでも治らん」
('、`*川「そんなあ〜」
4
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:23:57 ID:BzDa1Vwg0
そして悪魔の高笑いが始まる所で、毎度目が覚める。
('、`*川「はぁ」
我ながら、頭の悪い夢。
一息ついてスマホを見ると、まだ朝の5時半だ。
5
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:24:50 ID:BzDa1Vwg0
('。`*川「いらっしゃいませー」
バイトに行き、犬みたいな機械を演じるのは本当に楽だ。
20の私は惰性で生きていた。
('、`*川「おつかれさまです」
形だけの挨拶を済ませ、お店を出る瞬間。
この解放感が一日のピークだった。
6
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:25:43 ID:BzDa1Vwg0
古いアパートの207号室。
私の部屋だ。
その入り口に、誰かがしゃがみ込んでいた。
('、`*川「・・・高岡さん?」
从 ゚∀从「おー。久しぶり」
話を聞けば、高岡さんはお金に困っているらしい。
一緒だねと笑い合って、その場はお開きになった。
7
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:26:16 ID:BzDa1Vwg0
そういえば、牛乳寒天が好きだった。
('、`*川「よし」
帰り道、遠回りしてスーパーに寄る。
牛乳の小パック、寒天、白砂糖。
迷った末に、みかん缶。
8
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:26:55 ID:BzDa1Vwg0
次の日、珍しく風邪を引いた。
微熱もあるしバイトは休む。
('、`*川「腹減った・・・」
お菓子作りは中止で、牛乳は食パンと。
缶詰は、デザートにそのまま。
ちょっぴり背徳感があって、美味しさ2倍だった。
9
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:27:44 ID:BzDa1Vwg0
それからしばらくして、寒さの厳しい12月。
ストーブを買いたくてバイトを増やした。
少し貯金が出来た頃、高岡さんが訪ねてきた。
从 ゚∀从「よお!景気はどうだ!」
从 ゚∀从「・・・なるほど。ストーブをね」
从 ゚ー从「そんなの、粗大ゴミを漁りゃあいい!」
从 =∀从「ウチにはデカいストーブが10個はあるぜ」
从 ゚∀从「あと、あれ、トースターって知ってるか?」
10
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:28:47 ID:BzDa1Vwg0
らしくもなく、ペラペラ喋る高岡さん。
不思議だなと思っていたら、最後に300円請求された。
どうやら「情報料」らしい。
从 ゚∀从「もちろん、強制はしないぜ!」
そう言いながら、手のひらを差し出す高岡さん。
こんなに図々しくなってしまって。
私は少し考えて、出された手と握手してみた。
そして、目をみて微笑んだ。
11
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:30:00 ID:BzDa1Vwg0
/ ,' 3「やり直したいか?」
ある朝起きると、悪魔がいた。
('、`*川「またこの夢か」
/ ,' 3「やり直したいのだろう?」
('、`*川「そりゃそうだよ。みんなそうだろ」
/ ,' 3「ワシの力を貸してやろうか?」
('、`*川「いらない」
/ ,' 3「特別サービスで今なら100円!!」
('、`*川「胡散臭いんだよ・・・」
12
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:31:21 ID:BzDa1Vwg0
そして、高笑いで目が覚める。
私は23歳になっていた。
未だにこんな夢を見る。
生活も大して変わってなかった。
('、`*川「高岡さん、元気かな・・・」
あの冬の日以来、高岡さんとは会ってない。
思えば、もう少し親切にしても良かった。
私は出来損ないのまま。
13
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:31:57 ID:BzDa1Vwg0
高校の同級生で、デレちゃんという子がいた。
少し変わった子で、グループからは浮いていた。
何回か話した気がするけど、一体何を話したっけ。
('、`*川「はぁ」
ボンヤリしていた私に、手を差し伸べてくれる人は割といた。
拒んだのは私。
そしてタイムアウト。
もう、完全な一人ぼっちだ。
14
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:32:47 ID:BzDa1Vwg0
('、`*川「いらっしゃいませー」
(´・_ゝ・`)「ちょっといいかな?」
ある日、店長に呼び止められた。
なんでも、私の挨拶が間延びしすぎてるらしい。
(´・_ゝ・`)「君ももう長いんだから。後輩のお手本にならないと」
そう言われても困るけど、働けないのはもっと困る。
その日は声を張って過ごした。
15
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:34:28 ID:BzDa1Vwg0
(´・_ゝ・`)「悪いけど、明日から来なくていいよ」
('、`*川「・・・はあ」
挨拶を注意されてから、一週間。
私はいきなりクビになった。
理由を聞くと、もっと若い子を入れたいからと。
('、`*川「困ったな。マストだったのに」
バイトは掛け持ちしてたけど、空いた穴は大きい。
先の事を考えると、居ても立っても居られない。
16
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:35:12 ID:BzDa1Vwg0
シフトが午前で終わった、ある日。
なんだかとても疲れてて、遠くへ行こうと思った。
お金を沢山おろして、知らない駅から駅へと乗り継ぐ。
('、`*川「・・・・・・」
電車に乗るのは、ボンヤリできて好きだ。
景色を眺めるだけでいい。
それだけで、目的地へと向かってくれる。
世界で一番、安心できる場所かもしれない。
17
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:35:42 ID:BzDa1Vwg0
中学生の頃、居眠りしてたら怒られた。
怒られ続けたら、怒られなくなった。
大人なんてチョロいと思った。
('、`*川「あ、海だ」
窓からは潮風。
次の駅で降りよう。
後悔を忘れよう。
18
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:36:08 ID:BzDa1Vwg0
( ´_ゝ`)「い、伊藤さん、ちょっといい?」
('、`*川「うん?」
(;´_ゝ`)「あ!急に声かけちゃってごめんね!」
高校2年生になりたての、ある日。
妙に怯えた男の子が、私に話しかけてきた。
19
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:36:35 ID:BzDa1Vwg0
ある日私は、部屋で倒れた。
左胸が異様に痛い。
('、`*川「・・・あぁ・・・・・・」
床の木目がグルグル回る。
意識が飛びそうだ。
幼い日の思い出が、脳裏に映る。
20
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:38:04 ID:BzDa1Vwg0
これが、走馬灯か。
なら、最後は、初恋の思い出で死なせてくれ・・・
21
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:38:49 ID:BzDa1Vwg0
あぁ、ゼリー作りかけだっ。
たの。
n
22
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 15:42:39 ID:BzDa1Vwg0
前編おしまいです
一応後編があります
今回は以上です
23
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 20:08:27 ID:mVQVKMFo0
乙
24
:
名無しさん
:2021/08/11(水) 22:54:01 ID:dDa9I5eg0
乙 期待
25
:
名無しさん
:2021/08/16(月) 23:58:00 ID:fqokUQBA0
死んだ人間の記憶はどこへ行くのだろう。
(゚、゚トソン「記憶っていうのは、ザックリ言うと脳細胞」
うんうん。
(゚、゚トソン「だから、体が灰になったら、記憶も一緒に灰になる」
なるほど。寂しいもんだね。
(゚、゚トソン「記憶も結局、生きるための手段の一つだから」
おっしゃる通り。
(゚、゚トソン「さて、伊藤ペニサス。お前は死んだ」
あ、やっぱり。・・・じゃあここは?
(゚、゚トソン「ここは言うなれば、本当の死への休憩所だ」
ほう。なんだそれ?
26
:
名無しさん
:2021/08/16(月) 23:58:42 ID:fqokUQBA0
例えるなら、ビルの隙間の細い路地。
主観はあるけど体は無くて、見た事もない暗闇が浮かんでる。
遠くでまた一つ灯りが漏れて、一つの扉が閉じる。
(゚、゚トソン「ああ・・・確かに君は死んだ」
(゚、゚トソン「今こうしてる間にも、物凄いスピードで脳細胞が死んでいる」
手を伸ばそうとしてみると、腕が無い事に気が付く。
次の瞬間には、その感覚すら忘れてしまう。
27
:
名無しさん
:2021/08/16(月) 23:59:18 ID:fqokUQBA0
(゚、゚トソン「ここも長くは持たない。ここを作った神様は・・・」
恐怖が、消えた。もう感じる必要が無いのだろう。
自分の見た目と名前も消える。
言葉にも、映像にもできない、今までに感じた何か。
あたたかなそれだけが、今の私を満たしている。
28
:
名無しさん
:2021/08/16(月) 23:59:43 ID:fqokUQBA0
(゚、゚トソン「それでは、良き死を」
結局誰か分からない、きっと私が作った幻覚。
そいつもついに消えていく。
あぁ、こと葉のし考がぶつぎりでむつかしくなっていく。
私が、ワタシでなくなっていく――。
29
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:00:42 ID:b9H47X9A0
良く晴れた木曜日。
一人の影が古いアパートのドアを叩く。
从 ゚∀从「おーい。伊藤ー。開けてくれ〜」
从 ゚∀从「・・・そうだ、大家さんを呼ぼう!」
伊藤の死後硬直から1時間。
脳細胞も全滅で、彼女が本当に死んだ頃。
从 ゚∀从「すっみませーん」
(・∀ ・)「はいはい。私が大家です」
从 ゚∀从「2階の伊藤さん、ノックしても返事が無くて」
(・∀ ・)「それは変ですね。マスターキーの出番だな」
30
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:01:15 ID:b9H47X9A0
(・∀ ・)「では開けますよー。ヨイショッ!」
从 ゚∀从「お邪魔しまー・・・ん?」
(;・∀ ・)「どうしまし・・・うわっ!」
从;゚∀从「大変だ!救急車!」
(・∀ ・)「いや・・・手遅れでしょう。脈が無い」
从 ゚∀从「なんてこった・・・」
(・∀ ・)「事故物件の誕生です」
从;゚∀从「・・・いやいや」
(・∀ ・)「大家としては、こんな遺体は隠してしまいたい」
从;゚∀从「サイコかお前?」
31
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:01:54 ID:b9H47X9A0
(・∀ ・)「はは。ウソウソ冗談ですよ」
从;゚∀从「だよな!驚かせるなよ・・・」
(・∀ ・)「場を和ませようと思って」
从 ゚∀从「それよりケーサツだ。ケーサツ呼ばないと」
(・∀ ・)「貴方ケータイ持ってます?」
从 ゚∀从「いや。あんたは?」
(・∀ ・)「・・・しばしお待ちを」
从;゚∀从「おい、何やってんだ!」
(・∀ ・)「胸ポケットかな?尻ポケットかな?違うな・・・」
从;゚∀从「公衆電話使うから!無暗に遺体をまさぐるな!」
32
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:02:45 ID:b9H47X9A0
〜10分後〜
('A`)「犯人はお前だな?」
(・∀ ・)「・・・?」
('A`)「このアパートを燃やした犯人だよ」
(・∀ ・)「・・・??」
('A`)「なんで燃やした?」
(;・∀ ・)「・・・???」
('A`)「なんか言えよ!」
(・∀ ・)「・・・」
('∀`)「・・・なんか言えよ〜」
(#・∀ ・)「黙秘拳を行使する!」
33
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:03:25 ID:b9H47X9A0
(;゚A゚)「グハーーーーーーーーッ!」
(#・∀ ・)「・・・・・・フン」
从;゚∀从「大丈夫か!警察さん!」
(#・∀ ・)「タイトルジャックだ!!」
从 ゚∀从「・・・何、急に」
(#・∀ ・)「タイトルジャックだ!!」
从#゚∀从「だから何だよ!」
(#・∀ ・)(食らえ黙秘拳!!)
从;゚∀从「うわっ!あぶねっ!」
(#・∀ ・)「・・・チッ」
从#゚∀从「急に無言で殴り掛かるな!怖えよ!」
34
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:04:01 ID:b9H47X9A0
(#・∀ ・)「伊藤ペニサスは俺が火葬した!さあどうする!」
从#゚∀从「うるせえ死ねっ!」
(;>∀ <)「痛い!すね毛を抜かないで!」
从 ゚∀从「ハハ!さっきの恨みだ!」
(#・∀ ・)「物語は終わりだよ!終わり!」
从#゚∀从「あ?物語って何だ!」
(#゚∀ ゚)「終わりだっ、つってんだよッーー!!」
从 >∀从「ハクショイ!」
( >∀ <)「ハクショイ!」
从 ゚;∀从「何だ・・・急にクシャミが」
( ・;∀ ・)「コショーでも舞ってるのか・・・?」
35
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:04:34 ID:b9H47X9A0
('、`*川(違います・・・これは灰)
('、`*川(私の遺灰です)
('ー`*川(どうか皆さんお元気で・・・)
(・∀ ・)「なんだ・・・この声」
从 ゚∀从「どこかで聞いたような・・・」
('、`*川(できれば私の事も・・・忘れないで下さいね)
('ー`*川(あなた達が生きてる限り、私は『永遠』です)
('、`;川(あ・・・急に風が強く・・・)
( >∀ <)「ハクショイ!」
从 >∀从「ハクショイ!」
36
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:04:58 ID:b9H47X9A0
(・;∀ ・)「ぶはー。行っちゃったね」
从 ゚;∀从「一体何だったんだ・・・」
37
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 00:05:29 ID:b9H47X9A0
('、`*川 タイムレス・メモリーのようです
完!
38
:
名無しさん
:2021/08/17(火) 13:03:13 ID:sb28L8ww0
乙。
39
:
名無しさん
:2021/08/19(木) 20:17:08 ID:BOKAMT2A0
乙でした!
40
:
名無しさん
:2021/08/28(土) 13:30:34 ID:Tqpqclkk0
歌うように過ぎていく文体大好き
不思議に後味が良いね
41
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:46:59 ID:3NEniHB.0
片思い中、一度だけ目が合った。
その時の瞳を、今も忘れられない。
( ∵)「・・・全然違うなぁ」
ダイヤモンド、サファイア、オパール。
安月給を貯金して、宝石を買った。
分かったのは、ただの石ころって事だけ。
42
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:47:54 ID:3NEniHB.0
( ∵)「素敵な夕日を見に行こう」
会社を辞めて旅に出た。
宝石はお金に換えた。
街灯なんて無い場所で、星空を見たりした。
( ∵)「・・・違うなぁ」
思ったのは、青空がいちばん。
入道雲の夏休みなんて、最高だった。
43
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:48:27 ID:3NEniHB.0
そして今、僕は布団で寝込んでる。
昼間から毛布をかぶって、ただボンヤリしてる。
( ∵)「違うなぁ・・・」
何か分からない違和感が、どうやっても消えない。
自分なりに手術したけど、取り除けない。
こんな人生、いつまで続くんだろう。
44
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:48:57 ID:3NEniHB.0
三か月ほどすると、大家が僕を追い出した。
家財一式は取り押さえられ、本当に裸一貫だ。
寒空の下、どこへ行く当てもない。
( ∵)「まいったな」
もうじき日が暮れる。
吹奏楽部の練習だろう。
遠くから、間延びした金管楽器の音。
懐かしの母校からだ。
45
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:49:27 ID:3NEniHB.0
( ∵)「何年ぶりかな」
僕は勝手に門をくぐり、大きな校舎を仰ぎ見た。
今でも忘れるはずがない。
あの下駄箱で、目が合った瞬間。
いつまで引きずればいいのだろう。
もう、取り返しもつかない。
( ∵)「死ぬ前に、もう一度だけ・・・」
完全な不審者だろうが、一歩踏み出し校舎の中へ。
ひどい風体だから、誰かに見られたらおしまいだ。
46
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:50:00 ID:3NEniHB.0
人気のない階段を選んでのぼり、空き教室をさがす。
残ってる生徒の笑い声が、あちこちから聞こえてくる。
きっと彼らには暖かい家と、明るい未来が待っていて。
僕はもう、絶望さえできない。
間延びした闇を前に、ただ諦めが横たわる。
( ∵)「ああ」
歩いてるうち、5階の隅。
学習机が静かに並び、黒板はほこりを被ってる。
ここなら誰も来ないかな。
47
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:50:47 ID:3NEniHB.0
僕は窓際の席を選んで、イスを降ろす。
どこかツンとした木の匂い。
日が暮れるにつれ、学校から音が消えていく。
ほおづえをついたまま、窓に映った顔を見る。
窓の外では仲良しグループが校門をくぐる。
( ∵)「・・・・・・」
やっぱり、ここは落ち着くな。
一人ぼっちでも安心なんだ。
できることなら、ずっとこのまま。
48
:
名無しさん
:2021/09/03(金) 23:55:30 ID:3NEniHB.0
( ゚∋゚)「次やったら殴るからな」
でも現実は甘くない。
夜も更けた2時間後、巡回の職員につまみ出された。
( ∵)「はぁ」
だけどもう、十分だ。
コンクリートにゴロンと大の字。
硬くて冷たいけど、体は楽だ。
街灯に蛾が群がっている。
もういい。
今日は眠ろう。
あした、腹が減ったら。
その時は、警察の世話にでもなればいい。
寝たいのに、雨が降ってきた。
やっぱ路上じゃ無理あるな。
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