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( ^ω^)は街で狩りをするようです
1
:
◆jVEgVW6U6s
:2018/08/18(土) 22:19:05 ID:/6kuSotM0
またせたな・・・!!
ィ'ト―-イ、 /\ /ヽ
以`゚益゚以 ヽ、 lヽ' ` ´ \/l
,ノ ヽ、_,,, ヽ `' /
/´`''" '"´``Y'""``'j ヽ | _ノ ̄/ l
{ ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l .l / ̄ / |
'、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ l  ̄/ / |
ヽ、, ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/ ヽ. /__/ .|
`''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r' |. レ
,ノ ヾ ,, ''";l | / ̄/ l
./ ;ヽ .|. / ゙ー-; l
.l ヽ,, ,/ ;;;l | / /ー--'゙ |
| ,ヽ,, / ;;;| .|. /_/ |
| ,' ;;;l l ;;'i, ;| |. _ |
li / / l `'ヽ, 、;| / / / l
l jヾノ ,ノ ヽ l ,i| / / / ヽ
l`'''" ヽ `l: `''"`i `l / / l
.l ,. i,' } li '、 ;;' | |  ̄ ヽ
l ; j / _, -― ' ̄ ̄`ー‐-、_ | ノ ̄/ /´
, .--、,,__,,-' ̄;;"`´ ;; __ __, -―- 、;; ̄`l / ̄ / |
;; ,__ ;;' r ' ´;;; ヽ_ゝ_;;| lヽ, / .  ̄/ / |
;, Y´| l __ /`'| | | l l;| l ヽ l . /__/ /
| |.;;l_,-'l | V | |.l .| .| l i i | ;lヽ| l
|.| ''.|/ l |;;;| | | | ;| | | ;l l| i ;;;; l | l !! /ヽ │
;; i / .il /| |.| | | i | | l i '`i l /  ̄\/ ̄ ヽノ
まとめ
ttp://localboon.web.fc2.com/040/top.html
591
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:02:09 ID:vZ751BWI0
(;゚ω゚)「い、いいじゃん別に。それもプライベートな事だし?
車やマンションの一つや二つくらい買ってもツンに何か関係あるのかお?」
ξ#゚∀゚)ξ『プライベートねぇ……先週、第4階層のカジノレストランで女口説いてたって週刊誌に書かれてるけど?』ペラペラ
(;゚ω゚)「は? え? しゅ、週刊誌ぃ!?」
ξ#゚∀゚)ξ『お相手の名前はワタナベ=サンって人らしいんだけど……ふーん、アイドルなんだ?』ペラペラ
(;゚ω゚)「……いや、それは違うお! そういうのじゃないお!
あれはただサインを求められたから応じてあげて、そのあとよく分からないけど流れで食事を一緒に――」
ξ#゚⊿゚)ξ『……この記事本当だったんだ!」
(;゚ω゚)「え? あ、あれ? え?」
ξ#゚⊿゚)ξ『それでその新車乗り回して行ったって訳ね、夜中の街に!!』
(;゚ω゚)「あ、いや、それは、だってアクセサーが故障して激混みだったから――」
ξ# ⊿ )ξ『そういう事じゃなくってぇええええええええええええ!』
(;゚ω゚)「ひっ!?」
ξ# ⊿ )ξ『どうしてその女なんかを先に新車に乗せたりしてんのよバカ!!
せっかくの休日合わせて予定空けてるのに何で誘ってくれないのよ!?』
(;゚ω゚)「……えっと、どういう事だお……?」
ξ#゚⊿゚)ξ『……バカ! ナイトウの分からず屋! なんでいつも言わなきゃわかんないの!?
もう知らない!! 帰ってくんな! ファック!!』プツン
(;゚ω゚)「あ、ちょ、ツン! ツン!?」
(;゚ω゚)「……何なんだツンのやつ……盗聴まがいの事したと思ったら突然ぶち切れやがって……
訳わからないお。これだから女って面倒くさいんだお!」
592
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:03:08 ID:vZ751BWI0
(;゚ω゚)「あ、そうだ。こんな時はドクオに聞いてみるのが一番だお」
( ゚ω゚)「親友! 応答してくれ! 親友!! 」
('A`)『どうした親友』
(;^ω^)「実はツンの奴とこんな事が……通話記録を送信するお」
(;'A`)『…………はあ、ブーン、お前すげーよ』
(;^ω^)「は? なにが?」
(;'A`)『鈍さが』
(;^ω^)「へ? 鈍いって?」
(;'A`)(だめだコイツ、まるで女心を分ってねえ……。
なんでこんなのがモテちゃうの? ねえ? やっぱりお顔なの?)
('A`)『なんで俺は貧相な爬虫類みたいな顔してワカメ乗せたような頭してんの? ねえ?』
(;^ω^)「ん? 何言ってんだおドクオ」
('A`)『あ、つい髪の毛の悩み吐き出しちゃった。てへ☆』
('A`)『まあともかくですよ。お前はツンを傷つけちまった。それはわかるな?』
(;^ω^)「機知に富んだジョークのつもりだったんだけど」
('A`)『まな板の擬人化は素晴らしいと思……じゃなくて、そういう事じゃねえんだって。
ツンは昔っからの幼馴染で、アウトブレイクを一緒に生き延びた大切な子なんだろ?』
(;^ω^)「……ちょっと恥ずかしいけど、そうだお」
('A`)『なのにお前と来たら、買った車も見せずにマンションにも招かずに、
挙句の果てに他の女とデートしちゃった』
('A`)『そりゃツンは怒るよ。ツンだからこそブッチ切れる。
あいつは天才級の頭脳はあるけど、心は普通に複雑な女のそれなんだって』
593
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:05:15 ID:vZ751BWI0
(;^ω^)「ええと、つまり、どういう事だお?」
(;'A`)『あーもう! お前もしょうがねえ奴だな!」
(;'A`)『つまりだ。あいつはお前と常に一緒がいいし、お前にとっての一番でありたいんだよ。
幼馴染で一緒に今まで生き延びて付きっ切りだった。それを手放したくねーんだよ』
(;^ω^)「そ、そういうもんなのかお……?」
('A`)『そうだ。うまくやりたいんならその辺ちゃんとしとけ。
俺達チーム構成員もその方が楽だしな。
貧乳でチビで砂利みたいだろうが、お前にとって大っっ切な存在なんだろ?』
(;^ω^)「おい! 僕の幼馴染をそんなボロクソ言うなお!」
(;'A`)『お前が言った悪口だろ……』
(;^ω^)「あ、そうだった。で、解決策は?」
('A`)『うーん、そうだなあ……あ、花でも贈ってやったらどうだ?
そのあと買ったばかりの車走らせて家に招いて、食事でもする。どうだ?』
( ^ω^)「おお! それならツンの機嫌も直るかもしれないお!」
('A`)『外に出られるお前ならではだし、いいんじゃねえかな……よし、花だ、花を探せ、ブーン」
( ^ω^)「つっても何処を探すかお?」
('A`)『ちょうど近くにブルックリンには植物園があるな。作戦区域からは外れるが、
クローンの品目も増やせるかもしれないし、名目は俺が立たせてやっから』
( ^ω^)「さすがドクオ! 伊達に若くして大学入ってねーお!」
(;'A`)『パイセンのコネで研究室使わせてくれてただけだし、
散々デジタルの女を口説きまくってただけだよ。じゃあな、頑張れよ』プツン
( ^ω^)「花か……よし、ツンが見たことも無いくらい綺麗な花を探してみせるお」
594
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:05:57 ID:vZ751BWI0
通信を切ったドクオの背後では、涙をすするツンの落ちぶれた姿があった。
まさに砂利の如く小さくなっていて、踏みつぶされても文句の言いようがない有様だった。
(;'A`)「何を泣きじゃくってると思ったらこういう事だったのか……
よう、あいつに約束取り付けてやったよ。これでうまくいくと思うぜ」
ξ;⊿;)ξ「ぐすん、ぐすん、ありがとうドクオォぉおおぉおお……」
(;'A`)「今回ばかりはマジで同情する。あいつ、あんなに鈍いなんてな」
ξ;⊿;)ξ「本当よ! わあああーん! ブーンの馬鹿あ! 死ね! 一回死ねあの馬鹿あ!」
(;'A`)「そーだねー1回死んで馬鹿直せって感じだねー」
ξ;⊿;)ξ「さすがドックン……! わかってる、アンタわかってる!
アンタをこのラボに採用して本当に良かったあ! アンタは心の支えよ〜!!」
(;'A`)「まあ、これであいつも考え方とか、お前に対する見方も変わって来るかもよ?
今はあいつの生還を無事祈ろうぜ……つっても近くだし、そんなに心配する事もねえか」
ξ;⊿と)ξ ゴシゴシ
ξ゚⊿゚)ξ「はあ、落ち着いてきた……ドクオ、ありがt」
('A`)「それにしても、まな板の擬人化かぁ、たまにうまいこと言うんだよなあいつ」ボソ
ξ゚⊿゚)ξ「……ドクオ、ちょっと一歩右に動いて? そそ、壁際に立ってみて」
('A`)「なに? こう? こんな感じ?」
ξ゚⊿゚)三●)'A`)|壁
ξ゚⊿゚)ξ )'A壁
ξ゚⊿゚)ξ「そのまま今日一日壁にめりこんどけよ?」
)'A壁「ん゙んーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ξ゚∀゚)ξ「あ〜すっきりした。ココア飲もっと。ココアちゃ〜ん!」
595
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:07:58 ID:vZ751BWI0
※
ブルックリン・ボタニック・ガーデン。
かつてから世界中の植物が集うここは、植物コレクションと専門庭園で美しさとロマンスを堪能出来る
ニューヨーク随一の観光スポットだ。
10数年前より始まった戦争と共に拡大した環境破壊は大地を枯らせ、地上の緑は年々減っていた。
しかしながらここは、観光スポットである事も加え、貴重な植物サンプルの宝庫でもあった為、
かの大手クローン会社ラウンジの庇護を受けるに至る。
世論に対するコンプライアンスが目的だったのは誰の目にも明らかであったが、世論はその行為を受け入れた。
ウィルスが訪れるまで、世界を蔓延していたのは、まるで中東から流れて来たような砂埃だった。
枯れ果てた大地が割れて砂と化し、風に運ばれて大規模な砂嵐を大陸中に見舞う。
マンハッタンは例外なく、時としてロックフェラーやタイムズ・スクウェアの広告群は砂で汚されていた。
ラウンジ社はシェルター構造をここに追加建設し、植物を砂から守り、
それから恒常的な季節感を巡らせて培養を続けた。
化粧品や薬品などの製薬研究や、クローニング技術の研究が主たる目的ではあったが、
ほんの一例だが、日本産の桜に覆われた庭園を保った事などは、世論に大きな評価を得ていた。
ここに存在する400本の桜の開花は、ニューヨークにとって重要な春の儀式であったのだ。
( ^ω^)「ここかぁ……小さい時にトーチャンとカーチャンと来た覚えがあるお」
庭園は、人々に愛されていた頃の姿をすっかり失っていた。
侵入したセカンドの仕業ではないようだ。
人の手を離れ、自然の流れに身を委ねた結果、夏の狂乱さだけが残ったような光景があった。
ジャングルさながらの空間を、ブーンは歩いてゆく。
セカンドの反応がちらつき、ノスタルジーに浸る余裕は今は無かった。
596
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:08:37 ID:vZ751BWI0
人食い花よろしく、巨大な口を得た花が道端に咲いている。
花弁の耐熱センサーが捉える反応のままに長い触手をブーンに伸ばす。
中には足腰だけを根に代えて地中に沈めた妙な者もいる。
( ゚ω゚)「散るがいい! 怒りの5.7mmBlueMachingunでなあ!?」 パパパパパパッ
セカンド《ぎゃぁああああああああああああああああああ!!!》
バラバラに散った死骸から肉片を摘まんで瞳に近づける。
視覚プロフェッサの顕微機能を最大限活用すれば、より明らかとなった。
細胞組織を簡易的に調べた程度だが、体の随所を細胞壁で構成している。
どうやらここにいるセカンドは、殆どが植物のDNAを取り込んで変異した者のようだ。
(;^ω^)「化物共め……植物すら自分を変異する材料にして、光合成まですんのかお」
( ^ω^)「ここはセカンドの反応が少ない。草食動物は淘汰されつつあるって事かお」
思えば、そうだ。
都市内に緑が復活し、セントラルパークの木々にも目もくれないのは、
連中が血眼に追っている食料とは獣や人型、蟲の類だったからだ。
故に、ここに訪れるのは生存競争のワーストに位置する弱小セカンドばかりだろう。
あるいは飢えた人間が感染したままここへ来て草木でも食べたか。
それが人食い花の餌食となってしまうか、人食い花と化して地中に根を張るかへ至ったらしい。
稀な例外として巨大な人食い花を確認できたが、
植物が結ぶのは人の好奇心と喜びであるという基本構造は、未だ変わっていないように思える。
( ^ω^)「BLACK DOG」
議会に提出するレポートの為に考察を端末に自動記述させつつ、ブーンは愛機を呼び出した。
手には汚染されていない桜の枝が持たれている。
BLACK DOGのシート下に格納する収納を展開して、そこから取り出したカプセルに桜の枝を収める。
( ^ω^)「うまくいきゃ、来年は地下で春の儀式だお」
ブーンはBLACK DOGを率いて静かに進み、日本風の庭園を抜ける。
見つけたいのは、絵に描いたような立派な花だった。
597
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:09:51 ID:vZ751BWI0
( ^ω^)「あった! アレだお!!」
望遠機能を駆使し、荒れた花壇の中で美しく生き延びる花達を見つけた。
濃密な色で花弁を染め上げ、見事に渦巻く蕾に見る人に神秘的な情熱を与える花、薔薇だ。
ここの電源とシステムがまだ生きているようで、庭園は部分的だが庇護を受けていたらしい。
確かに妙だった。外とは気温も湿度も違う。区画によっても差を設けているようだった。
思わぬ発見だった。
探索を進めれば、セントラルで利用できる物が多く眠っているかもしれない。
ブーンが薔薇を嗅ぎに行こうとBLACK DOGと鼻先を前に進めてゆく。
しかし、巨大な咆哮と共に現れたウィルス反応を上空で検知し、停止する。
地を響かせて、それは降り立った。
( ゚∋゚)《ドゥドゥ……クックルドゥドゥ!!》
(;^ω^)「なんでニワトリが……しかもガッチムッチじゃねえか」
目の前のセカンドをニワトリとは言ったが、侮れない相手だとブーンは経験から悟った。
3メートルを超える巨躯は分厚い羽毛に覆われ、スキャンすればはち切れんばかりの筋肉が詰まっている。
異様に肥大化した心臓が鼓動する度に全身が波打っている。
顔面の大半を占める嘴は槍のようにギラリと輝きを放ち、血走った目の視線と共に、獲物を狙っている。
598
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:10:16 ID:vZ751BWI0
3又の鉤爪を持つ長い両脚を地に蹴りつけて動作した。
対応して視神経に直結する視覚プロフェッサが、ARを次々に生み出してブーンに回避行動を導く。
反射的にブーンはARの軌跡を追って“ニワトリ”の攻撃範囲外へ脱出、BlueBulletGunの銃口を向ける。
だが、熱と対物感知で追ったエイムシステムのターゲティングフィルターが捉えたのは薔薇だった。
瞬間、背後で捉えた反応を追って、ブーンは視界の十字型フィルターを伴って振り向く。
いない、速すぎる、どこだ――――そう思った瞬間、腹部の装甲に拳が突き刺さった。
ブーンはシェルターの強化ガラスを割って別テーマの庭園が擁する森へと吹っ飛んでゆく。
(;゚ω゚)「うっ!? おえっ!」
( ゚∋゚)《ドゥドゥ!!》
(;゚ω゚)「くっ―――――」
臓器が悲鳴を上げて血を吐かせる内に、“ニワトリ”が躍動してブーンの目前に迫る。
再度、振るわれた拳をいなして躱す。顔面の表層が剥ぎ取られ、銀色の装甲を露出させる。
続く拳の連打、出だしを右腕で受けるが破砕、耐久度を完璧に上回る敵に対し、
ブーンはBLACK DOGを呼び出しつつ回避行動を続ける。BLACK DOGは木々を斬りながら急速接近している。
(;゚ω゚)「クソッ! 死ねるか、こんなところで!」
跳躍し、木々の間をジャンプして上り、空中でスライドするBLACK DOGに飛び込む。
急旋回が起こす強烈なGを体感しながら、対象へ向けてBlueBulletGunが唸りを響かせた。
45cm大に増幅した抗ウィルスエネルギー弾が、接近するセカンドの胸板に着弾、光が爆ぜる。
望遠とスキャニングを同時起動した視界には、体内外に毛筋程の傷も無い筋肉が映し出されている。
体温変化も無い。ダメージは一切無いようだ。
599
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:10:55 ID:vZ751BWI0
( ゚∋゚)《クックル!! ドゥドゥドゥ!!!》
奇妙な鳴き声を森の中に鳴り響かせて、手首にも及ぶ巨大な翼を広げ、飛んだ。
翼で木々を切り裂きながらブーンに接近する様は、ライフルの弾丸のようだとブーンに思わせた。
(;゚ω゚)「こちらも次はライフルだ―――喰らえお!」
ブーンの手には長身のライフルが握られていた。
完璧な白さに包まれた銃身にはSniperという蒼い装飾文字が描かれている。
手を覆うトリガー機構にリンクしたブーンの視界に専用のUIが展開されると同時、
Sniperは銃声音とは程遠い甲高く抜ける音色を光と共に放った。
,;:@∋゚)《ドゥ……ドゥ……》
突貫力に富んだ超高速の弾丸がターゲットの頭部を破壊し、抗体を神経に流した。
融解して混ざる脳漿と肉と骨のジュースが、どろどろと足元を汚す様を、
“ニワトリ”は半分に減った視野で茫然と見つめた後、その巨躯を溶けた血肉の中に沈めた。
(;゚ω゚)「終わりだ」
痙攣し、ガラスを引っ掻いたような断末魔を絞り出すセカンドを睨み、
ブーンは容赦なくSniperのカートリッジを使い切った。
(;゚ω゚)「はあ、はあ、危なかった、こんな奴がいるなんて……舐めてたお。
地上はやはり危険だ……どこも、危険なんだ」
対象から微弱な心音が消えると、自分の心臓が装甲の中を叩きつけている事に気づき、
ブーンは無意識に胸元から煙草を一本、取り出した。
600
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:11:38 ID:vZ751BWI0
(;^ω^)「クッソ……脳が揺れてフラフラするお……。
ツンのご機嫌取りが、まさか命がけになるなんて」
ブーンは軸のぶれた足取りで赤く染まる花壇へと近づき、花の前で腰を下ろした。
棘を持つ赤い蕾。
使い古された表現ではあるが、確かに、棘があるのかもしれない。
ツンの女心というのは、容易に触れてしまえば手痛い失敗を負わせる物なのだと、
そして簡単に崩れてしまう蕾である事なのだと、ブーンは思う。
( ^ω^)「……ん? なんか案内に書いてあるお」
薔薇の花ことばを知ってますか?
実は色だけでなく、渡す時の本数で意味が変わるんです!!
1本 「一目ぼれ」「あなたしかいない」
2本 「この世界は二人だけ」
3本 「愛しています」「告白」
4本 「死ぬまで気持ちは変わりません」
5本 「あなたに出会えた事の心からの喜び」
6本 「あなたに夢中」「お互いに敬い、愛し、分かち合いましょう」
7本 「ひそかな愛」
8本 「あなたの思いやり、励ましに感謝します」
9本 「いつもあなたを想っています」「いつも一緒にいてください」
10本「あなたは全てが完璧」
11本「最愛」
12本「私と付き合ってください」
13本「永遠の友情」
大切な恋人に渡す時13本は注意です! 友情となってしまいますので。
( ^ω^)「へーこんなのがあるのかお」
601
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:12:11 ID:vZ751BWI0
21本「あなただけに尽くします」
24本「一日中思っています」
50本「恒久」
99本「永遠の愛、ずっと好きだった」
100本「100%の愛」
101本「これ以上ないほど愛しています」
108本「結婚して下さい」
365本「あなたが毎日恋しい」
999本「何度※※==+わ::****※#る」
※ 品質によって異なりますが、100本の相場は150ドル〜500ドルが相場となっております。
( ^ω^)「999本はかすれていて読めないお」
(;^ω^)「ってかなんか、全部重いって思われないかお……13本にするかお」
(;^ω^)「いや、ドクオの言ってた事を思い出すお。慎重に考えるお」
( ^ω^)「あ、そもそも、あいつがこんな意味知ってると思えないお。
アホだからたくさん持ってけば死ぬほど喜ぶはずだお」
ブーンはシステムの洗練された動作で薔薇をごっそりと採り、
BLACK DOGのコクピット内を真っ赤に染めていった。
( ^ω^)「家に帰るお、BLACK DOG」
ドゥルルン
602
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:13:18 ID:vZ751BWI0
―― ラボ ――
( ^ω^)「ただいまー」
('A(「おかえりー……ってなんじゃその損傷は!? 腹ぐしゃぐしゃに割れてんぞ!?」
( ^ω^)「クソ強いニワトリに襲われたんだお。ぶっ殺してやったけどな」
('A(「何があったか全く想像できねえけど、生還してくれて良かったよ……損傷個所はそこだけか?」
(;^ω^)「ってか僕はドクオが心配だお。その顔どうなってんだお?」
('A(「昨日ツンをからかったら壁にめり込んだんだ、一日中な。元に戻らねえ」
( ^ω^)(何で生きてんだこいつ……)
( ^ω^)「僕の損傷は見た目より大したことないお。
それよりドクオ、ツン知らないかお? 連絡つかねーんだお」
('A(「ああ。なんか一回家に帰って着替えてくるとかって」
('A(「帰って来たお前から素敵なプレゼントとデートがあるって教えてあっからさ、
きっとおめかししてるんじゃねーのかな」
( ^ω^)「そうかお。別に普段のままでいいのに。じゃ、ラボで待つとするかお」
('A(「ところで、俺へのお土産は?」
( ^ω^)「マルボロ一箱拾ったからやるお」ポイッ
('∀(「ブーンちゃん!! 愛してりゅうううううううう!!」
( ^ω^)「僕もドクオの事はめちゃくちゃ好きだお」
('A(「俺達の聖域― 喫煙所 ―に行こうぜ親友」
( ^ω^)「おうよ親友」
603
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:13:40 ID:vZ751BWI0
ξ*゚⊿゚)ξ「ココアココアココア〜♪ ココアを飲んでると〜♪
ココアココアココア〜♪ 胸が膨らむの〜♪」
支度を終え、上機嫌な調子で第3階層の内壁に沿う研究区画の街を往くツン。
ちょうどチーム・アルドリッチのロゴ輝くエントランスを通り過ぎる。
いつもなら避けて通る道だったが、ブーンの事で頭がいっぱいで、その意識が向かなかった。
エントランスのシャッターが自動で開かれ、一台の赤色のオープンカーがマフラーを派手に吹かす。
( ゚∀゚)「ハイン、次の出撃はまだかよ?」
从 ゚∀从「まあ慌てんなって。とびっきりのミッションを持ってきてやっからよ」
( ゚∀゚)「早く空を飛びたいモンぜ。お前のバトルスーツは最高の――――」
从 ゚∀从「ジョルジュ! ちょっと! あれ見て! あれ!!」
( ゚∀゚)「あーン?」
ξ*゚⊿゚)ξ「ふふふ、皆アタシを見ちゃってる! ちょっと今日の服可愛すぎたかな!?
まあいっか! たまにはナイトウに女の子っぽい一面も見せておかないとね!?」
全身、靴から小物までをココア色で統一したツンがニヤけた顔で飛び跳ねて、
道行く人々の視線を独り占めしていた。
( ゚∀゚)「……クソに塗れたバービー人形が歩いてやがる」
从 ゚∀从「ぶっひゃっひゃっひゃwwwwクソに塗れたバービー人形wwwwww
ジョルジュ、ちょっと車近づけてくれよ! からかってやろうぜ!」
( ゚∀゚)「いいだろう。ディレイク共を笑い物にする良いネタになりそうだ」
604
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:14:45 ID:vZ751BWI0
ξ*゚⊿゚)ξ「ココアココアココア〜♪ ココアを飲んでると〜♪
ココアココアココア〜♪ 背が伸び伸び伸び〜るよ〜♪」」
「ヘイ! どこ行くんだそこのまな板ぶらさげた砂利ッコ!」
ξ*゚⊿゚)ξ「コ」ピタッ
ξ´゚⊿゚)ξ「ああん!? いまなんて言った!? ツンちゃんよく聞こえな――――」
从 ゚∀从 ニヤニヤ
_
( ゚∀゚) ニヤニヤ
ξ;゚⊿゚)ξ「げえ!? エセエモ牛女とクソ眉毛ェ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ(……しまった! 浮かれてて気が付かなかった!!
ここ、連中のラボの真ん前じゃないのよ!!)
从 ゚∀从「おーおーえらくご機嫌だなぁツンちゃん? どこ行くんだーい?」
( ゚∀゚)「ヤボな事聞いてやるなよハイン。
あの恰好を見りゃ分かるだろ?なんたって全身クソまみれなんだ」
ξ;゚⊿゚)ξ「はあ?」
从 ゚∀从「いやいや意味わかんねーよ。何で自らクソ塗れの恰好でトイレなんて向かうのさ?」
( ゚∀゚)「便所が好きなンだろ?」
605
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:16:04 ID:vZ751BWI0
从 ゚∀从「それかもう便所か下水に突っ込んできた後のコスプレとか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「コスプレって……まさか、私のココアファッションをディスってんの!?」
( ゚∀゚)「あーあり得るな。何たってあのチーム・ディレイクだ。
哀れだぜ。何処にでも迷走しちまうような頭の持ち主なンだろうよ」
从 ゚∀从「あーそうかも。なんだかチア部を思い出しちゃったぁ……。
あんなんがハイスクールにいたら仲良くしてやっただろうなぁ」
( ゚∀゚)「俺もフットボール部の頃が懐かしいぜ。タックルで便器に突っ込んでやった野郎がいたな。
しかし自らクソ塗れになった奴は流石に知らねえ。世も末って感じだ」
从 ゚∀从「おうおうそう言ってやるなよー? かわいそうな子なんだぜぇ?
毎日毎日クソの役にも立たないクソサイボーグの開発にご熱心なんだ。
頭がどうにかしちゃうのも無理は無いって話だよ」
( ゚∀゚)「それもそうだな……お、そうだ、涙かクソを拭くティッシュくらいはくれてやるよ。
鬱の相談サービスに繋がる電話番号入りのポケットティッシュさ」ポイッ
从 ゚∀从「ぶっひゃひゃひゃひゃひゃwwwwあー面白いwwwはらいってえwwww」
( ゚∀゚)「笑ったら腹が減って来た。ホットドッグでも食いに行こうぜ」
从 ゚∀从「じゃあな〜クソに塗れたバービー人形www
ジョルジュの優しさにうるっちまったらそのティッシュでも使ってくれやwwww」
ドゥルンドゥルーン プップー
ξ゚⊿゚)ξ
ξ ⊿ )ξ
ξ;⊿;)ξ「うわーん! ナイトウ! ドクオ! ナイトウオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ツンはその場でへたりこんで、速攻でブーン達に電話した。
606
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:16:44 ID:vZ751BWI0
(゚A゚)「なあ親友」
( ゚ω゚)「なんだい親友」
(゚A゚)「あんなんでもツンは僕達のチームリーダーだ。俺達のヘッドなんだよ。
クソを乗せたまな板だと? コケにしやがって……連中を許しちゃいけねえ……」
( ゚ω゚)「そんな事言われてたんだっけ? 確か、まな板を抱えたバービー人形とか……」
(゚A゚)「クソをまな板に乗せるバービー人形だったっけ?」
( ゚ω゚)「ともかく、今回ばかりは流石の僕も腹が立った。勝手に目の敵にしてくれるのは構わん。
だが僕の大切なまな板……じゃなくて幼馴染を泣かせやがって! ゆるさんぞ!」
( ゚ω゚)「それで、準備の方は?」
(゚A゚)「完璧だ。モナーさんに頼んだら快く買い取らせてくれたよ。
何に使うの? なんて聞かれたから答えてやったよ――――正義の為です、とね」
( ゚ω゚)「ああ、親友、その通り。我々が遂行するのは正義だ」
(゚A゚)「BLACK DOGに牽引車を繋いで積載もバッチリ済ませた。往こう、親友」
(゚A゚)「――――オペレーション・ココア発動! 目的地は第4階層 5号線だ! 」
( ゚ω゚)「行くぞBLACK DOG!!」
( ゚ω゚)「覚悟しろよアルドリッチのクソ共!!」(゚A゚)
.
607
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:18:00 ID:vZ751BWI0
―― 第4階層 一般車道 ――
从 ゚∀从「あ〜ひっさびさに笑えたぜwwwww
ポケットティッシュを茫然と見たあの顔wwww何回思い出しても腹が痛いwwww」
( ゚∀゚)「しばらく連中もデカい顔で歩けないだろうぜ。
俺達のラボを無断で横切るなンて真似もそうだが、明日から連中には道を譲ってもらわねえとなあ?」
从 ゚∀从「そりゃいいや。そうなったら予算会でも声を大きく出来ねえだろうからな。
地上の任務は私達に任せて、第5階層で貧相な暮らしでもしてりゃいいんだよ」
( ゚∀゚)「ガキ共の出る幕じゃねえってこった。ま、しばらく大人しくしてるだろうよ」
ドゥルルルーン!!
从 ゚∀从「んだようるっせえなクソバイクが!」
「――――そういう事かよ、話には聞いてたが汚ねえ連中だ」
「――――アンタ達がアルドリッチの頭か……お初にお目にかかる」
从;゚∀从「なっ、何だお前ら!」
( ゚∀゚)「……チーム・ディレイクか。何の用だ?」
(゚A゚)「ウチのチビッ子はまだ一人じゃケツを拭けない子でね……代わりに来てやったよ」
( ゚ω゚)「報復にね」
ブーンとドクオはBLACK DOGに乗って、上空からハインリッヒとジョルジュを見下ろしている。
608
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:18:53 ID:vZ751BWI0
从;゚∀从「報復だと?」
( ゚∀゚)「金髪のサイボーグのガキ、お前がB00N-D1か」
( ゚ω゚)「そういう貴方はジョルジュ・ジグラード隊長ですか。僕がブーンだが、それが何か?」
( ゚∀゚)「俺を知ってるなんて光栄だな……いずれお前から地上調査のミッションを全て奪ってやるよ」
( ゚ω゚)「それは無理な話になりますな」
( ゚∀゚)「何?」
(゚A゚)「ガキだガキだとナメんじゃねえぞ。
お前らがデカい面して歩くのは今日でおしまいだ」
从;゚∀从「どういう意味だ?」
( ゚ω゚)「ドックン、確かあいつら、ツンに巻きグソ垂らしたバービー人形がどうとか言ったらしいな」
(゚A゚)「らしいぜ。ウチの子が頑張ってお洒落したのを、
巻きグソを乗せたまな板持ってるクソ色のバービー人形だとコケにしてくれたそうだ」
( ゚ω゚)「あいつらちょっとうまいこと言いやがって……これは許せんなあ?」
(゚A゚)「俺達にも思いつかないような悪口言いやがって……許しちゃおけんなあ?」
从;゚∀从「そこまで言ってねえけど……ああそうさ! クソみたいだからクソみたいだと笑ってやったんだよ!」
( ゚∀゚)「クソと涙をふくためのティッシュを渡してやってな。それがどうしたってンだ?」
(゚A゚)「そのティッシュ、アンタ達に返すぜ。すぐ必要になるからよ」ポイッ
609
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:19:26 ID:vZ751BWI0
( ゚ω゚)「尤も、そんなチャチなティッシュじゃ拭き切れない量を用意してきたがね」
(゚A゚)「もし頭がイカれちまったら、その電話番号にでもコールしな」
从;゚∀从「なんだ、何をする気だ……?」
(;゚∀゚)「何だ? あのバイクがけん引するコンテナから、なにか異様な――――」
(;゚∀゚)「――――まさか……ハイン! 逃げるぞ!!」
(゚A゚)「遅い!!」
( ゚ω゚)「BLACK DOG!!」
ブーンの合図を受け、BLACK DOGに繋がれた巨大な2tコンテナが開かれる。
ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!
(;゚∀゚) 从;゚∀从「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
(゚A゚)「そいつは肥やしさ。第4階層のプラントにバラまく予定の物を買い取った、ね」
( ゚ω゚)「中身は発酵させた生ゴミなどだが、隣の親友の“したて”も混ざってる。香ばしいぜ」
ハインリッヒ、ジョルジュはクソの中に沈んだ。
食べかけのホットドッグも、自慢げな赤いオープンカーも、ポケットティッシュも、全てクソに覆われた。
ジョルジュとハインリッヒの助けを求める手が、クソの中から伸びて、びくびくと痙攣している。
凄惨たる光景を見ながら、ブーンとドクオは煙草の煙を静かに胸に入れるのだった。
610
:
名無しさん
:2019/02/13(水) 23:19:35 ID:jF/x8w7c0
お、お題拾ってくれたのかありがたや
611
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:20:12 ID:vZ751BWI0
(゚A゚)「終わったな。スッキリしたぜ」
( ゚ω゚)「長い便秘から解放されたみたいにな」
「ちょ、ちょっとなんだあれ……通報しなきゃ!」
(;゚A゚)「――まずい、パンピーが通報しやがった! 逃げるぞブーン!」
(;゚ω゚)「BLACK DOG! 全速力でここから脱出するぞ!」
ドゥルルーン
从 ;∀从「うわーん! く、口ん中までえええおええ! おえええええええ!」
(;#゚∀゚)「く、クソォ――――――――――ッ! 覚えてろよあいつら……!」
オペレーション・ココア。
またの名を、バービー人形事件と呼ばれるこの一件を切っ掛けに、両チームの関係は更に悪化した。
612
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:20:33 ID:vZ751BWI0
(゚A゚)「俺はここでいい。ショボンの所で一杯やってくるとするよ」
( ゚ω゚)「そうか……ドクオ、また今度この勝利を共に祝おう」
(゚A゚)「それより、お前にはまだやる事が残ってるだろ?
ほら、急げ。あんまり待たせてやるなって」
( ゚ω゚)「ああ。そろそろこのシリアスモードも解いてな。お前は目がしぱしぱだろ?」
('A`)「いざって時はドライアイ上等さ。じゃ、うまくやるんだぞ!」
( ^ω^)「おっおっ。任せとけお」
―― 待ち合わせ場所の第4階層の雑多なアクセサーターミナル前 ――
ξ;⊿;)ξ「うわーん! アタシはうんちじゃないもん! ココアなんだもん!!」
(;^ω^)(何を分からん事を泣き叫んで注目集めてんだあいつ……近寄りたくねえ……)
ξ;⊿;)ξ 「あっ」ピタッ
(;^ω^)「あっ、やべ、見つかった」
ξ;⊿;)ξ「ナイトウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」がっし!!
(;^ω^)「ちょ、鼻水付けんなあ!」
ξ;⊿;)ξ「すっごく嬉しかった!! あいつらをクソ塗れにしてくれて!」
( ^ω^)「マジモンのクソを被ったあいつらこそクソだお。だから泣き止むお」
ξ;⊿と)ξ「うん」
613
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:21:41 ID:vZ751BWI0
ξ゚⊿゚)ξ「……泣いたらお腹空いちゃった。あとココア欲しさで辛い」
( ^ω^)「じゃ、メシ食べに行くお」
ξ゚⊿゚)ξ「何処に?」
( ^ω^)「そりゃ僕ん家だお。アクセサーじゃなくて新車に乗って行くお」
ξ゚⊿゚)ξ「え」
ξ*゚⊿゚)ξ「い、いいの? 部屋にあがって」
( ^ω^)「部屋に女の子を招くのは、ツンが初めてだお」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「は、はじ、めて……」ボソッ
ξ*///)ξ「し、仕方ないわね! ど、どうしてもって感じだし?
今日はアンタの家でご飯一緒に食べてあげるわよ!!」
( ^ω^)「はいはい」
( ^ω^)(……昔は自分の部屋のように僕の家に上がり込んでたくせになぁ)
614
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:22:52 ID:vZ751BWI0
― ブーン宅 ―
宅配注文した濃厚なシカゴ・ピッツァを平らげ、アイスココア片手に談笑中。
ξ;゚⊿゚)ξ「にしてもビックリしたっていうか呆れたっていいうか……アンタが買った部屋が、
元は高級リゾートホテルの最上階のスイートルームだったなんて」
( ^ω^)「フフフ! 第4階層の夜景は僕のものだお……。
ジャグジー付きのバス、もっふもふのソファとベッド、屋上のプールも僕のもんだお」
ξ;゚⊿゚)ξ「月々の返済いくらなのよ?」
( ^ω^)「月40万セントラ。なお、この最上階の住民は僕だけだお」
ξ;゚⊿゚)ξ「たっか! アタシの部屋の10倍よ、10倍!」
( ^ω^)「お前から受け取る給料とは別に、地上に出ると色々手当とかたっぷり出るんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「そりゃ知ってるけど……払えるの?」
( ^ω^)「車のローンと所有やら運転の権利費も合わせるとギリギリだお」
ξ゚⊿゚)ξ「でしょうね……つって給料上げられるか分からないわ。
っつーか車なんか外で乗ればいいのに。乗るにしてもBLACK DOGでいいじゃん」
( ^ω^)「この地下都市を贅沢にマイカーで走るのがたまんねえんだお。ツンには分からないおきっと」
ξ゚⊿゚)ξ「全く理解出来ないわね、男の趣味って……」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、そうだ。いいこと思いついた。アンタ本でも書いてみたら?」
( ^ω^)「本?」
ξ゚⊿゚)ξ「そ。地上を歩くアンタにしか出来ない事だわ。足りない語彙力さえ補えば売れるかも」
( ^ω^)「それいいかも……語彙力をシステムに追加してくれお」
ξ゚⊿゚)ξ「分け前の一部はラボに落としてよね」
615
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:23:36 ID:vZ751BWI0
ξ゚⊿゚)ξ「それより、なんだけど」
( ^ω^)「なんだお?」
ξ*///)ξ「その、今日は、お家に招待してくれて、その、う、う、嬉しかったわ……」ボソボソ
( ^ω^)「……あ、そうだ。ツン、ちょっと屋上のプール行くお」
ξ゚⊿゚)ξ「ふぇ?」
( ^ω^)「ツンの為にプレゼント用意してんだお」
― 屋上のプール ―
ξ*゚⊿゚)ξ「わあ…………」
水が張られたプールサイドに、大量の薔薇が飾られていた。
ライトを受けて、そのハート型のシルエットは水面で一層大きく映し出されている。
製作に使った数はブーンの視覚プロフェッサでもないと数え切れないだろう。
ツンは、その光景にただ息を呑んでいた。
( ^ω^)「今日の任務で、採ってきたんだお。
その内、どこかのバイオテクにでも献上して街づくりに貢献しようと思うお」
(:^ω^)「その前に見せておきたくって……その、ツンだけに。
もう絶対に見る事も貰う事も叶わない、この999本のバラの光景を、ツンに」
ξ*゚⊿゚)ξ「ナイトウ……」
ξ*゚⊿゚)ξ「すっごくキザくてエモくてキモいわ、アンタ」
( ^ω^)「おう言うんじゃねえ」
ξ*゚⊿゚)ξ「でも」
616
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:24:05 ID:vZ751BWI0
ξ*///)ξ「す、すごく嬉しいわ」ボソ
( ^ω^)「喜んでくれて僕も嬉しいお。
良かったら何本か持っていって、部屋に飾ってくれお」
ξ*゚⊿゚)ξ「うん」
ξ*゚⊿゚)ξ「それにしても、999本の薔薇かぁ……意味知ってて用意したの?」
(;^ω^)「え!? まさか本数の意味知ってるのかお? 凄そうだから999本揃えたけど……
教えて欲しいお。実は案内がかすれてて読めなかったんだお」
ξ*-⊿-)ξ「なーんだ……さーねー。知らなーい」
(;^ω^)「ちょ、おい! 教えてくれお!」
ξ*゚⊿゚)ξ「じゃあ捕まえたら教えてあげるわ!」ドボン
( ^ω^)「……お前、このブーンに挑もうというのか」ドボーン
ξ;゚⊿゚)ξ「あ! そうだった! あんたアタシが改造したサイボーグだった!!」バシャバシャ
ξ*゚⊿゚)ξ「ふへへ」
ツンはバラの前まで泳ぎ、バラを見つめる。
思いも寄らないプレゼントに気分は最高潮だった。
( ^ω^)「何にやけてんだお。はい、捕獲」
ξ*゚⊿゚)ξ「うわ、捕まえに来るの早すぎ。あ、分かった。そんなにあ、アタシの事が、す、す、すすすす、」
( ^ω^)「ニヤケ面が気持ち悪いからリリースするお」ポイッ
ξ;⊿;)ξ「―――――ちょお! 上空に放り投げんなああああああああああああああ!」ヒューン
ドボボボーン
ξ゚⊿゚)ξ「もっかい今のやって。楽しすぎるわ」
( ^ω^)「はいよ」
617
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:24:41 ID:vZ751BWI0
― 翌日 ラボ ―
('A`)「おうブーン。昨日はどうだった?」
( ^ω^)「ツン、すごく嬉しそうにしてたお。あいつガキで単純だし」
(;'A`)(お前も相当だけどな)
('A`)「そっか。良かったな」
( ^ω^)「ドクオのおかげだお」
ピンポーン
('A`)「ん? お客さんかあ珍しい。はいはー……」
( ´∀`)「やあ、ドクオ君。ブーン君」
('A`)「モナーさん!」
( ^ω^)「モナーさん! こんにちはですお」
('A`)「昨日、おかげさまで無事正義を執行する事が叶いましたよ」
( ´∀`)「そうか。それは良かった。実はね、私がここに寄ったのも正義の為でね」
( ^ω^)「と言いますと?」
618
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:25:04 ID:vZ751BWI0
(#´∀`)「一般車道を肥やし塗れにしたよね? コンテナも置き去りにして」
('A`)「ええ、私の本物入りの肥やしを……それが何か?」
(#´∀`)「払ってもらうよ、罰金と清掃費用」
(;^ω^)「え?」
(#´∀`)「え? じゃなくて。皆のセントラル汚しちゃったんだから」
(;'A`)「えええええええ!? あ、ああいうのってアンドロイドか何かが掃除してくれるんじゃないんですかぁ?」
がっし!!
(;'A`)「あっ、初老とは思えないすごい握力が両肩に」
(#´∀`)「君達はよく働いてくれていると思って甘く見ていたが……よく聞けクソガキ」
(;'A`)「は、はひ!?」
(;゚ω゚)(こえええええええええええ!!)
(#´Д`)「君のような勝手な奴がいたから地球が汚れたんだ……ぶっ壊れたんだよ。肝に銘じておけ。
考えが変わった……清掃費用は免除してやる。代わりにお前達二人が掃除するんだ、いいな……?」
(;゚ω゚)「そ、そうだ、地上行かなきゃ。今日も地上の掃除がんばらなきゃ!!」ダダダダダダダッ
(;'A`)「し、親友!? おい! 俺を置いていくのかよ!? ブーン!?」
(#´∀`)「さあ、行こうか……自分のも混ざってるんだろ? じゃあ自分で掃除しなきゃな。
私にも責任はある……終わるまで見届けてやるからな……」
(;A;)「ち、ちくしょー! なんで俺だけなんだー!! ブーンのやつ覚えてろよー!!」
619
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:26:22 ID:vZ751BWI0
― 地上 ―
(;^ω^)「すまぬ、すまぬ、我が親友よ……僕は地上の街でセカンドを狩らねばならん。
だから、ほとぼりが冷める頃に帰ってくる。必ず土産は持って。だから許してくれ」
プルルルッ
( ^ω^)「あ、ツンからメールだお」
『昨日は楽しめたわ。まあだからって訳じゃないけど、給料30%カットは無しにしてあげる。
あと、バラを瓶に入れて窓辺に飾ってやったわ。ありがたく思いなさいよね』
( ^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)「本数の意味は知ってるのにどうしてこうなる」
( ^ω^)「こいつ、人が命がけで採って来たバラをココアん中に挿してやがるお……」
『PS.999本の薔薇の意味はね、
“何度生まれ変わっても貴方を愛します”って意味よ。素敵な意味ね
……でも、人生なんて一回きりって事を、アタシ達はとうに学んでるわ。
死んだら絶対に赦さないからね』
( ^ω^)「今日も頑張るお、BLACK DOG」
LOG「オペレーション・ココア 2055年4月17日 - 18日」終
.
620
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:28:25 ID:vZ751BWI0
以上で投下終了です。ありがとうございました。
お題ありがとうございました!
またお題投げてくれると嬉しいです。
拾いきれるか分かりませんが、過去のブーン達の日常なんかを書くのが捗ります
621
:
名無しさん
:2019/02/13(水) 23:29:51 ID:jF/x8w7c0
おつおつ
622
:
名無しさん
:2019/02/13(水) 23:33:26 ID:UaLwCMbY0
乙!
ガニシュカ大帝を思い浮かべたわ
623
:
◆jVEgVW6U6s
:2019/02/13(水) 23:52:41 ID:vZ751BWI0
次の予定を書き忘れていました。
次は3月中になります。
ちょっとだけ間が空いて3月末になるかもしれません。
624
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 08:19:09 ID:6SKGTWGc0
>>531
爪#゚Ⅳ〉《バラッバラになりやがれッ!」
爪#゚Ⅳ〉《バラッバラになりやがれッ!》
625
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 08:19:59 ID:6SKGTWGc0
>>560
久しぶりのイトーイに安心するわ
626
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 12:13:40 ID:/ABOrq2E0
ここまで怒涛の展開でやっと一件落着と思ったらセントラルが……次も楽しみだけど怖い
親友のしたてワロタ
お題ゲーム
627
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 17:40:53 ID:CbRsRaA20
おつでしたー
628
:
名無しさん
:2019/02/16(土) 16:40:37 ID:fxyBf/Pk0
一段落かと思いきやまた急展開……
ところであんたの影響でウォーキングデッド見たけどシーズン7の1話が辛すぎて泣いてしまった
629
:
名無しさん
:2019/04/10(水) 23:53:07 ID:bav8VI5.0
桜も散り始めたぞコノヤロー
630
:
名無しさん
:2019/05/19(日) 17:58:06 ID:KzZ5po0E0
戻ってくるよな?
631
:
名無しさん
:2019/05/20(月) 17:51:58 ID:ybFoK4aw0
納得のいく出来にしたいから時間をかけるとツイッターで呟いてたから大丈夫だろ
632
:
名無しさん
:2019/07/09(火) 10:40:30 ID:sveEtEDg0
続き来ないのかなぁ
633
:
名無しさん
:2019/07/09(火) 18:26:41 ID:mwYUboVI0
梅雨にござる
634
:
名無しさん
:2019/08/22(木) 11:57:48 ID:tWd9PFu20
また数年コースか…好きだっただけに残念
635
:
名無しさん
:2019/08/22(木) 14:00:22 ID:T5FuOOJQ0
夏休みも終わっちゃうぞイトーイ
636
:
名無しさん
:2019/08/22(木) 17:46:35 ID:61dK7IKg0
これはアレか大晦日元旦に大量投下あるで
637
:
名無しさん
:2019/09/19(木) 21:27:21 ID:ISCTXPe20
イトーイの日までには投下する宣言きたぞ
638
:
名無しさん
:2019/11/13(水) 04:48:07 ID:4l2KmZlk0
嘘つき記念age
639
:
名無しさん
:2019/12/12(木) 10:33:55 ID:jFs8EbgQ0
また書きたいシーンが終わってしまったからなのか?
640
:
名無しさん
:2020/11/09(月) 18:47:04 ID:1etW1kpY0
FC2のホームページも消えてるね
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