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街角都市伝説のようです
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おぼろげな月の光が路地裏に差し込む時間帯、若い女がふらりと街角を歩いていた。黒のレザージャケットを着てヘッドフォンを首にかけた、彼女は夜の町に静かに浸っていた。
無名のヘヴィメタバンドの曲がかかりっぱなしのヘッドフォンはわずかに音漏れしているが、当人に気にした様子はないようである。
夜になると、あまり人の通らないこの道は、かつては口裂け女が出ると噂になっていたものだが……。最近とんと聞かなくなった。
とかく、人間とは飽きの早い生き物である。一昔前なら、背伸びしだした子供達が心霊番組を見て、うっそだー、こえー、なんて話したりしていたのに。学校でも、誰々のお兄さんが見ただの、曖昧な噂であれだけ盛り上がっていたのに。
最近の子供達はどうやら家でゾンビを撃ち殺すほうが楽しいらしいのだ。
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メタ*' -')ル「んぁ」
向こうから人影がやってくる。髪の長い美人な女。よく目を凝らしてみれば、どうやら知り合いのようだ。
メタ*' -')ル「クーちゃん?」
川 ゚ -゚)「……? ああ、メーちゃんじゃないか。久しぶりだな。どうした、随分雰囲気が変わったじゃないか」
メタ*' -')ル「あれ、仕事着だから。ああいう系の服、私嫌いなの」
川 ゚ -゚)「そうなのか。へぇ……」
メタ*' -')ル「クーちゃんこそあのクソ趣味悪いワンピどしたの。捨てた?」
川 ゚ -゚)「あれも仕事着だ。汚れが全然取れなかったから捨てた。趣味もまぁ、確かに悪かったしな」
メタ*' -')ル「ほん」
どちらから言うこともなしに道の端によって、懐かしい話をぽつりぽつりと話始める。メー、と呼ばれたほうの女は、話の邪魔になるかとヘッドフォンの先に繋がったウォークマンを片手で操作して切った。
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メタ*' -')ル「それにしてもこんなとこで何してたの?」
川 ゚ -゚)「家がこの近くなんだ。新しい仕事場が反対方向だから普段はこっちはあまり通らないんだが、今日はハーちゃんのとこに遊びに行ったから」
メタ*' -')ル「うわ懐かしい名前来た。ハーちゃん今何してるの」
川 ゚ -゚)「OL」
メタ*' -')ル「っはー、意味分かんなーい。もっとあのデカい体使える仕事に就けばいーのに」
川 ゚ -゚)「お前の姉妹は?」
メタ*' -')ル「仕事着がそーとー気に入ったらしくて、原宿でアパレル系の仕事してるってこの前メール来た」
川 ゚ -゚)「……LINEじゃないのか」
メタ*' -')ル「若いもんにはついていけねーかんね。こっちのが楽よ」
川 ゚ -゚)「ウォークマンは使いこなしてたのに?」
メタ*'―')ル「あら、見られちゃった」
メタ*'―')ル「時代にね、ついてけないとわたしらみたいなのは生きてけねーからね。それでも携帯は前から同じの使ってんだけどね」
川 ゚ -゚)「あの仕事にも使ってた……?」
メタ*'―')ル「そ」
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懐から、メーの雰囲気にはあまり似合わないピンクのかわいいガラケーを取り出す。古くさいが、月光と錆びた電灯の灯りしかない暗い中でも、かわいらしさがはっきりと分かるデザインだ。
メタ*' -')ル「これ古いやつだからライン、だっけ。入んないんだよね」
川 ゚ -゚)「買い換えればいいのに」
メタ*'―')ル「でも、これがわたしが持っている“わたし”を証明する唯一のものだからね。
服も靴もメイクも口調も、何もかも変えちゃったわたしだけどさ、まだこれだけは捨てらんのよ」
川 ゚ -゚)「そうか」
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昔懐かしいあの子やその子、聞くたびに驚きや笑いが溢れる楽しい話。そんな話もいつかは尽きて、やがては現在の話になる。
川 ゚ -゚)「なぁメーちゃん、昔に戻りたいって思ったりしたことあるか?」
クーがふとそんな言葉を洩らした。それは、今に対しての不満とも、昔の栄光を懐かしむものとも、またはただの興味からきた純粋な疑問にも聞こえた。
メタ*' -')ル「……ない、かなぁ。好きな格好して、大学行って、彼氏も出来て、そこそこ充実してるし」
川 ゚ -゚)「ええ!? 待って聞いてない!」
メタ*' -')ル「言ってないもん」
川 ゚ -゚)「私知ってる。リア充って言うんだろそれ」
メタ*'―')ル「うふふふふ」
川 ゚ -゚)「その格好でうふふはないだろ」
メタ*' -')ル「あやっべ。つい癖で。ちなみにクーちゃんは?」
川 ゚ -゚)「こんなに美人なのに男がなかなか寄りつかない」
メタ*' -')ル「クーちゃん笑顔ぶっさいくだしね。しゃーないしゃーない」
川 ゚ -゚)「だ れ が ぶ さ い く だ っ て ?」
メタ*' -')ル「やだメーちゃんうっかり。鎌で刺されちゃう」
川 ゚ -゚)「夜道には気をつけろ……」
メタ*' -')ル「夜道! ……ってここが夜道じゃん!」
川 ゚ -゚)「今日がてめえの命日だ!!」
メタ*' -')ル「べっこう飴あげるから許してー」
川*゚ -゚)「許す!」
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長話、いつの間にかに時間がたち、月も大分傾いた。もうすぐ朝だ。
朝になったら彼女達はまた日常へと戻る。もしかしたら、今日が最後の非日常かもしれない。もう、昔とは時代が違うのだから。
メタ*' -')ル「都市伝説ってさぁ、今も信じてる?」
川 ゚ -゚)「信じているさ。私が生きている間は、お前が生きている間は」
メタ*' -')ル「そうかなぁ。わたしだってもう、ほとんどただの人間なのに」
川 ゚ -゚)「また誰かが語り継ぐのさ。それが伝説ってものさ」
メタ*' -')ル「じゃあ後輩とも会えたりするのかな。もし会えたらジュース奢ったげよっかな」
川 ゚ -゚)「ふふ、それはちょっと面白そうだな」
不意にクーが顔を歪める。メーがクーの視線の先に目を向ければ、朝日が顔を出そうとしていた。
メーはあの光が、今でも少し嫌いだ。自分達を追い出すように差す、あの光が。
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メタ*' -')ル「……そろそろ帰らなきゃね」
川 ゚ -゚)「……そうだな」
星と月は、少しずつ薄くなっていく。鬱陶しい太陽が世界を覆っていく。
彼女達もまた、もとの世界へと──かつては日常と呼ばなかった世界へと──帰っていく。
川 ゚ -゚)「そうそう、これだけは言っておかないと帰れないな」
誰もいない細い道路の真ん中に飛び出し、かなり気取ったポーズをとって、クーは笑った。
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川 ゚―゚)「ねぇ。私、綺麗?」
薄明かるい空を背景に、ガウチョパンツを持ち上げて、少しおどけてクーが言う。顔が崩れない程度に口元を上げた笑顔は本当に綺麗で、かつてのひどい笑顔とはあまりにも違うものだから──。メーは少し寂しく思った。
メタ*' -')ル「綺麗だよ」
川 ゚ -゚)「ふふ、久々に言われたよ。やっぱり嬉しいね、ありがとう」
メタ*' -')ル「じゃあ。次は電話して遊びに行くよ」
川 ゚ -゚)「あぁ、待ってるよ」
互いに反対方向に歩きだす。数歩して、同時に振り返った。
メタ*' -')ル「またね」
川 ゚ -゚)「また会おう」
もう振り向かずにメーは歩きだす。ヘッドフォンをつけて、無名のヘヴィメタバンドの曲をかけながら。
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次の夜までは、そうしているつもりだ。
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すみません、途中でトリップにミスがありましたが、別の作品の仮トリップで、個人を特定出来るものではないのであまり気にしないでください。申し訳ありません。
もしなにか問題がありましたら教えてください。お願いします。
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口裂け女でクーちゃんか!!
こういうの、なんかワクワクするな
乙!
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おつ
都市伝説たちがひたむきに生きてる感じ好き
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べっこうあめであっさり許しちゃうクーちゃんかわいい
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もしかしてだけどメーちゃんがメリーさん的なアレかな
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ハーちゃんは八尺様?
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途中送信してしまった
面白かったです 乙!
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メリーさんだから携帯なのね
乙
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【業務連絡】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。
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なるほど珍しいAAだと思ったら名前はそういうことなのか
おつおつ
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乙
名前が都市伝説とつながってるのか、なるほどな
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