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( ゚д゚ ) 面倒臭いオタクのこだわり (-_-)
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VIP大学、構内カフェ。
(-_-)
( ゚д゚ )
向かい合う男たちが、二人。
――こんな噂を知っているかな。
-
(-_-) 「趣味でファンタジー小説を書いている男がいたとする。……いや、別に小説じゃなくて漫画でもいいし、
男じゃなくて女でもいいんだけど、とにかく何らかの創作活動を行っている人間がいたとしよう」
(-_-) 「ひとつの物語を作るっていうのは、つまりひとつの世界を作るってことだ。紙とペン、もしくはパソコンひとつで世界を作る。神様みたいなもんだよ」
(-_-) 「でも、素人の創作ってのは、たいてい完結しない。途中で放り出してしまう。そうなると……」
(-_-) 「その物語は……その世界は、永遠に終わらないまま、放置されることになる。物語の登場人物からすれば、たまったもんじゃない」
(-_-) 「だから――物語を書くのを、途中で投げ出した作者を。神様であることから逃げた作者を、『物語』は許さない」
(-_-) 「完結しないまま放り出された物語は、『作者』を捕まえて……物語の中に、取り込んでしまう」
(-_-) 「そうして取り込まれた作者は、結末を迎えられないまま、放置された物語の中で……永遠に、生き続けることになる」
-
そういう噂を、知っているかな――
( ゚д゚) 「……知ってるか、知ってないか、っていうより……」
( ゚д゚) 「これは、なんの話だ?」
(-_-)
( ゚д゚)
(-_-) 「……俺、いちおーあれじゃん。アニ研部入ってるじゃん。知ってると思うけど」
( ゚д゚) 「知ってるけど……」
(-_-) 「いやさ、呪いのアニメ作っちまったんだよね、俺ら」
( ゚д゚)
-
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「呪いのアニメ?」
(-_-) 「呪いのアニメ」
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚ ) 面倒臭いオタクのこだわり (-_-)
※この話は『ブーンがアルファベットを武器に戦うようです』の重大なネタバレを含む恐れがあります
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( ゚д゚) 「……呪いのビデオ的な」
(-_-) 「まあ、うん。逆貞子みたいな……」
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「逆貞子って何?」
(-_-) 「いや、うん……」
――貞子も伽耶子と戦うこの時代に――
( ゚д゚ ) 面倒くさいオタクのこだわり (-_-)
※ホラーじゃないです
※この話は『ブーンがアルファベットを武器に戦うようです』の重大なネタバレを含む恐れがあります
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(-_-) …… 私立ファイナル大学経済学部二年生。アニメーション研究会所属。探偵。
( ゚д゚ ) …… 私立ファイナル大学法学部二年生。ヒッキーの友人。探偵。
川д川 …… 私立ファイナル大学文学部二年生。シャーマン。
o川*゚ー゚)o …… 私立ファイナル大学社会学部三年生。アニメーション研究会部長。被害者。
(´・ω・`) …… 大人気アニメ『ショボ勝ち』に登場するキャラクター。容疑者。
( ^ω^) …… 大人気アニメ『ショボ勝ち』に登場するキャラクター。容疑者。
ξ゚⊿゚)ξ …… 大人気アニメ『ショボ勝ち』に登場するキャラクター。容疑者。
その他ここに名前のない登場人物も …… 展開上必要になったら生えてきます
-
ヒッキーはアニメーション研究会なるサークルに所属しているのだが、今回の件はそこで起きた問題のようだった。
空き教室に俺を呼びつけたヒッキーが、スクリーンとDVDデッキの用意をしながら話す。
(-_-) 「おまえ部長と会ったことあったよね? キュートさん」
( ゚д゚) 「ある」
アニ研の部長はたしか素直キュートという三年生だったはずだ。いつだったか、ヒッキーに用があって部室を訪れたときに一度会っている。
長い黒髪に黒縁の眼鏡、知的でクールに見える風貌。
o川*^ー^)o 『どうぞ、ゆっくりしていってね』
とお茶を淹れてもらったそこまでは知的な大和撫子に見えた。
が。
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o川*゚ー゚)o 『ところで、ミルナくん。君もヒッキーくんのお友達ってことは、『ショボンはZだがYで勝つ』は見てたりするのかな?』
( ゚д゚) 『ああ、まあ……。ショボン大将が裏切るってくらいは知ってます』
o川*゚ー゚)o 『おぉ、それ知ってるならまずいネタバレはほとんど大丈夫ってことじゃん!』
そこから4時間、素直キュートという女は『ショボ勝ち』がいかに素晴らしいアニメであるかを延々と語り続けた。
2時間ほど経ったところでさすがに聞き苦しくなり「あの、俺4限講義入ってんすけど……」と言ってはみたのだが、
素直部長は「わかってる」とだけ言って席を立つと部室の鍵を閉めカーテンを閉め切って戻ってきた。
そこから折り返しの2時間は無心で脳内五目並べをプレイすることにより耐えた。
( ゚д゚) 『すごい人だったな……』
(-_-) 『いやさ、おまえアニ研部の部長がオタクじゃないとでも思ってたの』
帰り道、疲労感をむき出しに呟いた俺を見て、ヒッキーは呆れたようにそんなことを言ったものだが……。
-
( ゚д゚) 「その部長が、どうかしたのか」
(-_-) 「その部長についての話なんだよね」
今、この部室に部長の姿はない。
ヒッキーは一枚のDVD-ROMを指先にひっかけ、くるくると回している。
(-_-) 「知っての通り部長はオタクで、『ショボ勝ち』にだだハマりしてるわけね。『ショボンはZだがYで勝つ』」
( ゚д゚) 「知ってる」
(-_-) 「で、ここはアニ研部。だから、部長が実権を握るこのアニ研部、今年の学祭は何するつもりだったのかっていうと……
『ショボ勝ち』の二次創作アニメを作って、それを公開する予定だったんだ。五分くらいのショートアニメね」
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( ゚д゚) 「学祭で二次創作って大丈夫なのか」
(-_-) 「それ俺も聞いた。著作権とかいろいろ大丈夫なのかなーって」
(-_-) 「o川*゚ー゚)o 『万一大丈夫じゃなかったら私が片乳落とすから』」
( ゚д゚) 「あの人は本当になんなんだ?」
(-_-) 「部長だよ、責任感も強いしっかりした部長。……とにかくまあ、『ショボ勝ち』好きなのは部長だけじゃなくてアニ研部全体そうだったから。
みんな賛成したんだよね。だからまあ学祭に向けて、みんなでいっしょーけんめいアニメ描いてた。……ん、だけど……」
(-_-) 「製作途中で、部長がぶっ倒れたんだ」
( ゚д゚) 「倒れた? そんなに過酷だったのか」
(-_-) 「いや、盲腸」
( ゚д゚) 「あ、そう……」
-
(-_-) 「ま、もともと部長の仕事は多かったから。いってみれば総監督みたいな立場なわけで、あと盲腸もストレスが原因っていうから、あんまり笑うわけにもいかないんだけど……
それと、あれね。学祭めがけて頑張るあまりに学生が体ぶっ壊しましたじゃ体裁よくないからさ、一時はあわや企画凍結の危機まで行ったんだよ。先生ににらまれて」
( ゚д゚) 「そんなに?」
(-_-) 「そんなに。だから盲腸だってわかったときは、まあ命にかかわるような病気じゃなくてよかったってことで一安心。……だったんだけど」
( ゚д゚) 「だったんだけど?」
――手術は、何事もなくうまくいったらしいんだけど。
だけど――――
-
(-_-) 「部長が、麻酔から目覚めない」
(-_-) 「ほんとに意味わかんないんだって。身体には何の異常もない。脳波とかも見てみたけど、むしろこの上ないほど健康体。なのになんでか目を覚まさない」
( ゚д゚) 「……なんだそれは?」
(-_-) 「なんなんだろうね。それ一番聞きたいの担当の医者か先輩の親だと思う」
話が見えてくるような、見えてこないような――
( ゚д゚) 「……それが”呪いのアニメ”のせいだと言いたいのか?」
(-_-) 「それは、そうと、なんだけど」
-
露骨に空々しい声色で話題を切り替えると、ヒッキーはポケットからスマートフォンを取り出した。
(-_-) 「部長が盲腸の手術したの、ちょうど先週の金曜日なんだけど。その日俺は何してたのかって言うと、ここ、部室でひたすらアニメの絵描いてたわけよ」
( ゚д゚) 「部長が倒れたのに?」
(-_-) 「いや、そんときの進捗状況がサバにサバを読んで四割くらいだったから……。『帰ってきて作業がまったく進んでなかったらそれこそ部長が憤死する』ってことで、ひとり部室に残ってせっせと」
( ゚д゚) 「ごくろうさん」
(-_-) 「ありがと。で……」
スマートフォンを机の上に置き、トントンと指で二度叩いて示す。
(-_-) 「そのとき部室で目撃した、『信じられない光景』の動画が。ここにあります」
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「……見ても大丈夫なやつか?」
(-_-) 「グロ動画とかではないよ」
-
そして再生を始めたスマートフォンの画面に――
まず映ったのは、天井。
『――うっわ! うっわなんだこれ。なんだこれ!? やべえ!』
続いて、床。
画面が無茶苦茶に揺れていて、ヒッキーの声も上ずっているが――
『――――いやあああああああああああ!!!』
直後響き渡った女の悲鳴と同時に、カメラのピントもぴたりと合った。
-
(´・ω・`) 『捕まえた……捕まえたぞ……ッ!』
o川;゚ー゚)o 『な、なにこれ、なんなの!? あたしの身体……え、ええ!? 身体!』
(;-_-) 『やっっっっっべえ! まっじやべえ! なんだこれ! 意味わからん』
ビデオに映るアニ研部部室。作業机とおぼしきデスクの上には、一枚のDVD-ROMが置かれていて――その机の前に。
一人の男が、部長の首根っこを掴んで、立っていた。
ちがう。
浮いていた。
興奮したヒッキーの手持ち撮影、映像はブレている。が――それでも明らかにおかしい点が、ふたつある。
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o川;゚ー゚)o 『す、透け……透けて! なに、なんなの!? ――ヒッキーくん! ヒッキーくん、助けて!』
まずひとつ――男に取り押さえられている部長の身体が、
まるで幽霊か何かのように、ぼんやりと透けてしまっていること。
もうひとつは――
(´・ω・`) 『やっと捕まえたぞ、無責任な創造主め……! 逃げられると思うなよ。俺たちの世界でゆっくり悔いていけ!』
部長を捕まえているこの男の身体も、部長と同じように透けていて、しかしこちらの男はそもそもの話――
まるで二次元キャラクターの等身大パネルか何かのように平板で、絵そのもののような質感をしていること。
というか、もっと直接的に言ってしまうなら――
その男が――大人気アニメ『ショボ勝ち』に登場するキャラクター、ショボンそのものの姿をしていたこと。
-
(´・ω・`) 『そこのヒョロガリはどうでもいい、責任者はこの女だ。……止めようとしても、もう、遅い!』
カメラのほう――カメラを持つヒッキーのほうに鋭い視線を向けてから、ショボンは指をパチンと鳴らした。
すると――――
部長が悲鳴を上げる間もなく、ショボンと部長、二人の身体は光の渦となり――
机の上に置いてあった、DVD-ROMの中へと。吸い込まれていくように、消えた。
そこで動画の再生も終わる。
-
(-_-)
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚)
しばらく無言で見つめ合ったのち、ヒッキーがゆっくりと口を開いた。
(-_-) 「……いやさ、作業してたらね、あれ? なんか今窓の外光った? って。思って見たら、なんか、なんか窓の外に浮いてんだよ。二人。っていうか飛んできてる」
(-_-) 「なんじゃこりゃって思ってさ、なんかわかんねえけどとりあえず動画撮るかって思って。思ったらもう次の瞬間さ、窓すり抜けて、部屋ん中入ってきて。それでこれ」
( ゚д゚)
-
(-_-)
( ゚д゚) 「……このDVDは……」
(-_-) 「……部長、病院で見れたら喜ぶかなって……できたとこまでを、とりあえず、DVDに焼いたとこだったんだよね……」
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……まあ……つまり、だよ」
(-_-) 「どういうわけだか意思を持ったこのアニメは……、部長がぶっ倒れて、病院に運び込まれたことを知った。そして」
(-_-) 「総監督である部長が倒れたことで、『自分たちの製作はここで打ち切られる』と。そう誤解した。あとは最初に言った通り……」
(-_-) 「"創造主"の側にどんな事情があるのかなんて、"被造物"からすれば知ったこっちゃない。物語を書くのを、途中で投げ出した作者を。神様であることから逃げた作者を、『物語』は許さない――」
(-_-) 「完結しないまま放り出されると思ったこのアニメは、そうはいくかと『作者』を捕まえて……」
-
(-_-) 「アニメの中に、取り込んでしまった」
( ゚д゚)
(-_-)
(-_-) 「……いや……一週間経ったらさすがに冷静になったんだけど……」
(-_-) 「…………どうにか……しなきゃ、まずいでしょ……これ……」
( ゚д゚) 「どうにかって……」
(-_-) 「……」
ヒッキーの手の中にあるDVD-ROMの表面には――
黒マジックで『パンドラの箱(部長)』と、殴り書きがされていた。
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そんなに長くはならないはず
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wktkして次を待ってるはず
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乙、次も期待するはず
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続き期待
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(部長)ワロタ
あとパニクってるヒッキーの語彙の少なさがクッソリアル
超期待して待つ
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楽しみ
ショボ勝ちだとラウンジ勝利endみたいだな
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面白そう、続き待ってるわ
どうにかしなきゃまずいけどもw
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なんでアルファのネタバレが…?って思ってたらこうくるか
-
大人気アニメ『ショボンはZだがYで勝つ』。”アルファベット”と呼ばれる武器を用いた戦争を描く、戦記物作品である。
元々人気の高い作品ではあったが、ヴィップ国の大将:ショボンがヴィップを裏切ってラウンジについた回でちょうどEDアニメーションが変更となり、
ドクオを死地へ向かわせたのは故意だったという通称『故意ダンス』が人気を博し大流行、社会現象を起こすに至った――
(-_-) 「さて……」
( ゚д゚) 「待て」
パンドラの箱(部長)を何気なくDVDデッキへ突っ込もうとしたヒッキーをひとまず静止する。
( ゚д゚) 「見るのか。それを」
(-_-) 「や、見なきゃしょうがなくない?」
( ゚д゚) 「見て大丈夫なのか」
(-_-) 「何のために二人いると思ってんの。どっちか死んでもどっちか逃げられるようミルナのこと呼んだんだけど」
( ゚д゚) 「は?」
-
(-_-) 「……というのはまあ冗談で、大丈夫だよ。俺もう一回見てるから」
( ゚д゚) 「……本当に?」
(-_-) 「本当に」
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「……まあ、まず俺は部外者だからな。無責任な作者を呪うアニメってことは、最悪でも死ぬのはおまえだけのはずだ」
(-_-) 「はっは。それだいたい全滅するパターンだと思うけどね」
改めて、ヒッキーがDVDデッキを起動する。
(-_-) 「さて……脚本を書いたのは、部長。っていっても五分のショートアニメだから、脚本ってほどちゃんとした話があるわけじゃないんだけど……」
(-_-) 「見どころは、ブーンvsショボンの戦闘シーン。YvsZ、原作ではタイトル通りYを持つブーンが勝つんだけど、このオリジナルアニメだと、最後はショボンが勝ってEND……」
-
(-_-) 「……という夢を、プギャーが見ていました。おわり。っていうオチにするはずだったのね」
( ゚д゚) 「夢オチかよ」
(-_-) 「いやまあ、ぶっちゃけ故意ダンスやりたかっただけみたいなとこあるから……」
そんな話をしているうちに、とうとうパンドラの箱(部長)が再生を開始した。
(-_-) 「……まあ、ね。なんていうか……」
(-_-) 「どのへんが呪いのアニメなのか、っていうのは、まあ、ちゃんと見とかなきゃしょうがないから……」
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「本当に大丈夫なんだろうな?」
(-_-) 「大丈夫。死ぬとかそういうのではないから……」
【0:00/2:00】
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`)『俺たちの間に、もはや、アルファベット以外は必要ないのだな』
( ^ω^)『そんなの、最初から分かってたはずのことだお』
(´・ω・`)『きっと、惑っていたのは俺のほうだ。しかし、それも吹っ切れた』
【0:12/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(-_-) 「といってもまだ未完成なので、いきなり前後関係謎の会話シーンから始まるし、最後は戦闘シーンの途中でぶつ切りになるんだけど。まあ、そこは勘弁して」
( ゚д゚) 「それは別にいいが……フルボイスなのか? 学祭の自主制作アニメで?」
(-_-) 「あー、それは演劇部に頼んだ。さすがに本職の声優は呼べないけど、でもせっかくアニメ作るんなら声欲しい、って部長がね。だから試しに入れてみてる」
( ゚д゚) 「ふーん……」
呪いのアニメというから、いったいどんなホラー映像が出てくるかと身構えていたのだが。
10秒、30秒、1分。着々と時間は経っていき――
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Z⊂(´・ω・`)⊃Z 『ハァァァァァッ!!』
(#^ω^)っY 『オオオォォォォッ!!』
【1:12/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「……ぬるぬる動くな」
(-_-) 「妥協はしないって言ってたからね、部長。そのこだわりのぶんだけヒラのアニ研部員が死ぬんだけど」
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`)「ッ……?」
『まともに振るえるはずがない』
『自分でさえ、片腕では御せなかったアルファベットだ』
『疲労困憊のブーンが、振るうことなど、できるはずがない』
『その、はずなのに――――』
(#゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおお
【1:45/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
ブツン。
( ゚д゚) 「……?」
熾烈な打ち合いの果てに、ブーンが右腕一本でアルファベットYを持ち上げた――ところで、不意に画面が真っ暗になった。
(-_-) 「……と、いうわけで。今できてるのはここまで」
【1:50/2:00】
( ゚д゚) 「……ショボン勝利ENDじゃなかったのか?」
【1:53/2:00】
(-_-) 「うん。だからまあ、ここからの逆転シーンが一番力入れて描かなきゃなんないんだよね……」
【1:58/2:00】
( ゚д゚) 「……」
画面は真っ暗なままだが。再生時間のシークバーだけは、一秒一秒きっちりと進み続けている。
キリよく2分にしたかったのか知らないが、暗転で15秒稼ぐのはやり過ぎじゃないのか、
【2:00/2:00】
なんてことを考えながら、横目にスクリーンを見ていると――
-
【2:01/2:00】
( ゚д゚) 「……ん?」
突如、画面に色が戻る。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ^ω^) 『……本気ですかお』
(´・ω・`) 『ああ。決めたよ』
【2:08/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「……んん?」
さっきまでは。
森の中の広場を舞台に、激しい戦闘シーンが描かれていた。
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『俺は、ヴィップという”国家”と――”契約結婚”をする』
( ;^ω^) 『それは……それは愛国心の搾取ですお!』
【2:23/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
が――今スクリーンに映し出されているこの映像は?
小奇麗なマンションの一室、ブーンとショボンはテーブルを挟んで向かい合っている。
ショボンはかっちりとしたビジネススーツを着込んでいるし、ブーンのほうもどう見ても現代人の私服としか思えない衣装を着ている。
ヒッキーは静かにため息をついた。
-
( ゚д゚) 「……なんのバグだ?」
(-_-) 「バグならいいんだけどね……。2分だけのアニメだったはずなんだよ。そこまでしか俺たちは作ってないんだよ」
( ゚д゚)
(-_-)
たっぷり一分ほど見つめ合った後、横目でスクリーンを見やる。
【3:30/2:00】
再生時間は明らかに上限をぶっちぎってまだ伸び続け、シークバーは画面の外側まではみ出してしまった。
古いゲームが起こすバグのような光景だった。
-
(-_-) 「どういうわけなんだか、再生時間2分の上限を飛び越えて、描いてないはずのアニメ、録ってないはずの音声が再生される」
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「呪いか?」
(-_-) 「たぶん、呪い」
『ショボ勝ち』は本来、現実ではない異世界を舞台にしたファンタジー戦記もの作品である。
それが今再生されているアニメではどうだ?
ショボンは黒いスーツをかっちりと着込んでいて、舞台はどう見ても高層ビルの立ち並ぶ現代日本――
(-_-) 「現パロ、ってやつだよね。まあ」
( ゚д゚) 「……描いてもいない現パロアニメが勝手に再生されている?」
(-_-) 「そ。ある意味では喜ばしい状況かもしんない」
-
自嘲気味に肩をすくめたヒッキーが、顎先でスクリーンを示す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『……やってみますか? 役割としての”大将”』
( ´ノ`) 『……え?』
(´・ω・`) 『ただし、クラウンさんの思っているものと少し違うかもしれな――』
【3:55/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ブツン、とそこで再び画面が暗転する。
( ゚д゚)
(-_-)
まさか、とヒッキーに視線を向けると、返ってきたのは……渋い顔での頷き。
【4:00/2:00】
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
三 ξ;゚⊿゚)ξ 『いっけなーい、遅刻遅刻〜!』
(^ω^;) 三 『まずいお、このままだと遅刻だお! 入軍テスト初日から……』
三 ξ;゚⊿゚)ξ | (^ω^;) 三
ゴッチーン
ξ ゚⊿゚☆^ω^ )
【4:12/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ξ;-⊿-)ξ 『あたたた……ちょっと、どこ見て歩いてんのよ!』
(;゚ω゚) 『あつっ!!!』
『思わずアルファベットから手を離してしまい、勢いで放り投げてしまった。
台から数メートルの場所で、地面に突き刺さったアルファベット。
周りが、騒然とし、困惑していた』
(;゚ω゚)『なななな……な、なんでこんなに熱いんだお……』
(;'A`)『お、おい、ブーン……!』
『はっとして、すぐに兵士を見――』
【4:45/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「……」
学生服を着て、アルファベットAを口にくわえたツンが、同じく学生服を着たブーンと曲がり角で衝突する――
-
(-_-) 「まあ……学パロ、かな」
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『転校生を紹介する。ブーン=トロッソだ、仲良くしてやってくれ』
ξ;゚⊿゚)ξ 『『あー!』』(^ω^;)
(;^ω^) 『あなたは、今朝のアルファベット職人……! ど、どうしてここに!』
ξ;゚⊿゚)ξ 『それはこっちの台詞よ! あんた不合格じゃなかったの!?』
【5:22/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
ぶちん。
そこで画面が静止したのは、今度は別に不思議現象とかではなく。
このへんでいいでしょ、とヒッキーが一時停止ボタンを押したからだ。
(-_-) 「30分超えたあたりで怖くなったから、その先は見てないんだけど……。まあ、ずっとこんな調子だよ」
( ゚д゚) 「……ずっと?」
(-_-) 「ずっと。転生パロとか大正パロとか、あとなんか急に時代劇になったり……遊郭パロまで出てきたときはマジで何事かと思った」
( ゚д゚) 「……学パロ現パロくらいはわかるが、そろそろついていけなくなってきたぞ」
(-_-) 「ピクシブ百科事典でも見といて」
( ゚д゚)っ■ 「……」 ポチポチ
-
(-_-) 「まあ……なに。なんていうの? なんでこんなことになってるのかはわかんないけど、たぶん、たぶん……」
(-_-) 「素直部長という人間を取り込んだこのアニメは、その……こう、部長の生命力的ななにかを、燃料にして……」
(-_-) 「新しい話を自動で生み出す、自立型アニメーションになった……みたいな。そういう感じなのかなあって……」
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「……出すとこに出せば発明じゃないのか?」
(-_-) 「俺もそれ一瞬考えたけど、そこまで外道にはなれない……」
.
-
(-_-) 「ある意味じゃ部長が大喜びするようなシチュエーションなんだけどね。あの人こーいう現パロとか学パロとか、およそパロディと名のつく二次創作はなんでも好きだったからさ」
( ゚д゚) 「そうなのか?」
(-_-) 「うん。部長のpixivとか見てみなよ、ショボ勝ちのパロ絵いっぱいあるから」
( ゚д゚) 「アニ研では自分のpixivを公開するのが掟なのか?」
(-_-) 「や、ショボ勝ち1000users入りで検索してたら見つけた。これ部長の絵じゃんって」
( ゚д゚) 「あ、そう……」
(-_-) 「ほんとにいろいろやってるよ。最近の投稿だとなんだったかな……マフィアパロとかキャラ崩壊ギャグとか……」
(-_-) 「……まあ、とにかく。そんなだから、無からあらゆるパロディが湧いてくるこの状況は、部長的にはむしろ望むところだと……」
(-_-)
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「まさかとは思うが」
(-_-) 「……うん」
( ゚д゚) 「……部長の意思が……反映、されているのでは……?」
(-_-) 「……俺も思った……」
-
(-_-) 「そりゃまあ、アニメの中に入れたって状況だからね。ある意味ではオタクの夢を達成した形になるからね」
( ゚д゚) 「……アニメの中に入った部長が、欲望のままにありとあらゆるパロディアニメを展開している……」
( ゚д゚) 「……無責任な作者を呪うって話じゃなかったか。それがそんなことできるのか?」
(-_-) 「いや知るわけないでしょそんなの。アニメに人間が取り込まれた例とかこれ以外見たことないよ」
( ゚д゚) 「まあ、そうだが……」
(-_-) 「……知るわけないけどさ、部長がやってるとでも考えなきゃ意味わかんなくない?」
( ゚д゚) 「……うーむ」
貞子が出てくる呪いのビデオがあるなら、部長を飲み込む呪いのアニメがあっても、まあ、不思議ではない。
が、その呪いの内容が『謎のパロディの大量展開』では意味不明だ。
深刻だか深刻でないんだかわからない状況だが――ヒッキーは、重々しくため息をついた。
-
(-_-) 「……どうにかしなきゃヤバそうだなってのは思うんだよ。なんせ、部長の本体は……」
(-_-) 「今もまだ、盲腸手術後の病室で、意識不明のまま……な、わけだし」
( ゚д゚) 「そりゃヤバいとは思うが。実際どうする気だ?」
(-_-) 「それがどうしたもんかなあって……。お寺にでも持っていこうかなあ」
( ゚д゚) 「坊さんにアニメを除霊させるのか?」
(-_-) 「クールジャパンに賭けるしかないよ」
( ゚д゚) 「クールってよりはクレイジー寄りの状況なんだが……」
.
-
(-_-) 「……まあ、お寺持ってってどうにかなるかはともかくとして。一応学内にそれっぽい人に、頼んでみてはいるんだよね」
( ゚д゚) 「それっぽい人?」
(-_-) 「そろそろ来るはずなんだけど……」
ヒッキーが腕時計に目をやったちょうどそのとき、ドアをノックする音がした。
「あの、すいません……。アニ研部の方って、この教室で……」
(-_- ) 「あ、どうぞー! 入って大丈夫ですー!」
ガラガラ
-
川д川 「失礼、します……」
( ゚д゚)
入ってきた女は、巫女服を着ていた。
……。
一度ドブに漬け込んでから申し訳程度に洗って乾かした感じの巫女服を着ていた。
ここまで薄汚れた巫女服を初めて見た。
川д川 「あ、えっと……こちらの方は……」
(-_-) 「ああ、友人です。同じ学部の、河内ミルナ」
( ゚д゚) 「……えと、河内です。どうも……」
川д川 「心霊現象同好会の……山村です……山村貞子……どうも……」
-
川д川
( ゚д゚)
クソほど長い前髪が、顔面を完全に覆っていた。
それ前見えねえだろとかの次元ではなかった。
胸がなければどちらが前なのかわからなかった、という冗談を飛ばそうとして、その胸も前髪に隠れていることに気づいた。
( ゚д゚) (……部長が逆貞子ならこれはなんだ? 裏貞子か?)
(-_-) (対偶貞子かもしれない……)
文系の会話だった。
.
-
(゚д゚ ) (……心霊現象同好会?)
(-_- ) (うん。同好会)
(゚д゚ ) (聞いたことのないサークルだが)
(-_- ) (俺もよくは知らないよ。あの格好で普段から講義受けてるヤバい人らしいってことは聞いてる)
(゚д゚ ) (なぜそんな人間に助けを求めた?)
(-_- ) (藁にもすがる思いなんだ)
(゚д゚ ) (あれは藁なのか? 糸屑とかでなく?)
.
-
川д川 「それで、えっと……」
(-_-) 「ああ、そうだ。えっと……お噂は、その、かねがね。伺っているんですけど、その……」
(-_-) 「山村さんは、……いわゆる、霊能者みたいな人だと……思って、いいんですよね?」
「まあ、一応……。実家が神社をやっているので、霊能の真似事のようなことは、昔から、よく」
(゚д゚ ) (実家が神社だと霊能者になれるのか?)
(-_- ) (なれるんじゃない?)
川д川 「それで、今回の御用件は……」
(-_-) 「ああ、それが実はですね……どこから説明したもんかな……」
( ゚д゚) 「……」
ヒッキーが一通り事態の説明をすると、霊能者(?)はなるほどと頷いた。
-
川д川 「……はあ、アニメの中に。取り込まれてしまった。魂が」
(-_-) 「そうじゃないかな、って思ってはいるんですけど……。なにぶん素人目線だとどうにも……」
川д川 「……そのアニメを見せてもらえますか?」
(-_-) 「あっ、はい。あれですけど……」
学パロの途中で止めていたスクリーンを指さし、一時停止を解除するヒッキー。
流行りのアニメの学パロを霊能者に見せる構図普通に意味わかんねえなと思うが、
霊能者のほうは決然とした表情で懐から数珠を取り出した(数珠?)
川д川 「……やれるだけは、やってみましょう……」
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『さて、ではクラス委員を決めるが……誰か、やりたいやつはいるか?』
ξ゚⊿゚)ξ 『はい、先生。私がやります』
(´・ω・`) 『おお、デレートさん。よし、じゃあ女子はデレートさんでいいとして……男子は……』
【7:32/2:00】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
川д川 「……摩訶般若波羅蜜多心経……」 ブツブツ
( ゚д゚) (なんで般若心経なんだ?)
(-_-) (神仏習合?)
-
川д川 「……観自在菩薩……行深般若波羅蜜多時……」 ブツブツ
( ゚д゚) (……こいつ、霊能者は霊能者でもBGMがTRICKなタイプの霊能者じゃないのか?)
(-_-) (糸クズにもすがりたい気分なんだ)
実家が神社と言いながら数珠を取り出すし、唱えるのは般若心経だし、前髪は貞子だし、巫女服は薄汚れている。
どう見てもインチキ、というかトンチキな霊能者ではないかと疑っていたのだが――
.
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『……ブーン。おまえ、今朝たしか遅刻してきたよな』
(;^ω^) 『お"っ!? いや、それは……』
(´・ω・`) 『誰一人立候補者が出ない。このままではいつまでたっても決まっ……ら……
(;^ω^) 『か、勘……て、さ……お……
【X:56/2:Xx0】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「……?」
突如、画面にノイズが走る。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ξ;゚⊿゚)ξ 『ちょ、ショ…ン先生! 私だってこんなやつが相……なん……嫌……』
(´・ω・`) 『そうは……がね、デ……トさ……、このまま……らな……』
(´・ω・`) 『……ガッ………ギ…………』
【X:XX/X:XX】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
川д川 「色不異空、空不異色、色即是空、空即是色……」
(-_-) (……え、これもしかして効いてる?)
( ゚д゚) (ええ……?)
画面を走るノイズは、どんどん激しくなっていき――
.
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(#´・ω・`)9m 『―――――少しはできるやつを連れてきたようだな!!』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
川;д川 「あぐ……っ!」
(-_-) !?
( ゚д゚) !?
突如、画面の中のショボンが――画面の外側、”こちら側”を指さす。
と同時に、般若心経を唱えていた霊能者がなにか見えない力によって吹っ飛ばされ、天井に激突した。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『霊能者とはな。さすがに予想外だった……が、もう無駄だ!』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
川;д川 「くっ……」
(-_-) (え、なにこれ。どうなってんの?)
( ゚д゚) (わからんが、バトル中らしい)
スクリーンの中に広がる世界は、先ほどまでと変わらない。
学パロなので、高校と思しき教室が舞台。教卓の前に立つショボンは教師役。
が――ショボンは、はっきりと”こちら側”に向けて言葉を発している。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『そこのおまえも霊能者の端くれなら……、今のでわかっただろう』
(´・ω・`) 『素直キュートの魂は既に、この作品を構成する……”パーツ”の一部となっている!』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(-_-) (いや、これどういう状況?)
( ゚д゚) (わからん)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『魂が作品と一体化しつつあるということだ。クク……』
(´・ω・`) 『……なんだかんだで、本人も楽しんでいるようだからな。外側から無理に引きはがせるとは思わないほうがいい……』
(・ω・` ) 『……なあ?』
ξ゚⊿゚)ξ 『……』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) (……?)
川;д川 「ま、待ちなさ……」
――ぶつん、と。
今度はヒッキーも何も操作していないのに、突如DVDプレイヤーの電源が落ちた。
状況を理解できていない俺と、ヒッキーと、天井と床で二回背中を打って呻いている霊能者だけが教室に残される。
-
川;д川 「う、うう……」
(-_-) 「……あの、これどういう状況なんです?」
川;д川 「……敵は、かなり強い力を持っています……。これは私の手には負えないかもしれない……」
(;-_-) 「や、だからそれってどういう……」
川;д川 「アニ研部部長の魂は、アニメの中に囚われています」
(;-_-) 「え、いや、まあ……そのへんはさすがに察してますけど……」
川;д川 「……そして部長は、おそらく……アニメの中にいることを、心地良いと感じている……」
(-_-)
(-_-) 「はい?」
川д川 「……アニメが大好きな人なんでしょう?」
(-_-) 「まあ、アニ研部の部長ですから……」
トンチキかと思ったら案外そうでもなかったらしい霊能者が、背中をさすりながら立ち上がる。
-
川д川 「……推測、ですが。現実世界の肉体を離れ、アニメの中に囚われてしまった部長の魂は……新たな『入れ物』を必要とした」
(-_-) 「入れ物。……魂の?」
川д川 「ええ……。行き場のない魂は、入れ物を求めて……おそらく」
川д川 「”キャラクター”の中に、入り込んだ」
( ゚д゚)
(-_-)
(-_-) 「……キャラクターの中に。部長の魂が?」
川д川 「ええ……。彼女の魂は、どこかに隠れている。どこかに張り付いている……そんなふうに、感じられました」
( ゚д゚)
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『素直キュートの魂は既に、この作品を構成する……”パーツ”の一部となっている!』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) (構成するパーツ……キャラクターが、か?)
川д川 「ある意味では……、アニメの世界に入って、アニメのキャラクターという肉体を得たような。アニメのキャラクターに自分がなったような、そんな状態です」
川д川 「だから部長は喜んでもいて……、だから、無理に引きはがすのは、難しい」
川д川 「……今の私ではおそらく無理……、もっと修行を積まないと……」
(;-_-) 「……え、いや。じゃあ、どうすれば……」
-
川д川
川д川 「……魂の居所を……突き止めることが、できれば、あるいは」
(-_-) 「居所?」
川д川 「……どこに潜んでいるのか……、どのキャラクターの中に入っているのかわからない魂を、あてずっぽうで引きはがすのは、難しいと。そういう意味です」
川д川 「ですから、部長の魂がどこに入っているのか、それを突き止められれば……、私でも、引きはがすことは。できなくは……」
(-_-)
( ゚д゚)
(-_-) 「……つまり、その……」
-
(-_-) 「肉体を離れた部長の魂は、『ショボンはZだがYで勝つ』作中に登場するキャラクターの、誰か一人の中に入っている」
(-_-) 「それが誰なのかわかれば、部長を現実世界に引き戻すことができる、と……」
川д川 コクリ
( ゚д゚) 「……5分のショートアニメに、『ショボ勝ち』全キャラが出るってことはないと思うが。誰が出る予定だったんだ?」
(-_-) 「……ブーンでしょ、ショボンでしょ。後は最後の夢落ちにプギャー……後は適当に賑やかしが数名……」
( ゚д゚) 「さっき見た中にはツンもいたが」
(-_-) 「……」
そこなんだよね、とヒッキーはぼそりとつぶやいた。
(-_-) 「……描いてないんだよ、ツンなんか」
( ゚д゚) 「は?」
-
(-_-) 「描いてもない現パロ学パロが勝手に再生されるって言ったじゃん……。キャラだって同じだよ。ツンでしょ、ドクオでしょ、クラウンでしょ……」
(-_-) 「俺らが作った分のアニメには出てないはずのキャラクターまで、勝手に出てきて、勝手に動く……そういう状態に、今なってる」
( ゚д゚) 「……」
川д川 「……」
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「……部長の魂がどのキャラに入ったか、それを考える必要がある」
川д川 コクリ
-
( ゚д゚) 「何を手掛かりに探せばいいんだ?」
(-_-) 「わかんない」
( ゚д゚)
(-_-)
.
-
☆用語解説☆
○○パロ … それぞれpixiv百科事典の当該項目を参照ください。
故意ダンス … 『夢の中にあるもの いつか見えなくなるもの』という歌詞はオオカミのことを指しているとする解釈が主流。
☆反省点☆
>>1でVIP大学って書いてるのに>>6でファイナル大学になってる。
-
おつおつ
面白くなってきた
-
乙
めっちゃ面白いやんけ
-
故意ダンスわろた
-
セーラー服を着てアルファベットAを口にくわえたツンでやられた
乙
-
故意ダンスはずるい
-
○○パロがよくあるやつで笑う
続ききになる
-
故意ダンスwww
続きが気になるぅ
-
乙
故意ダンスワロタ
なんかよくわからんけど続き気になるわ
-
故意ダンスの新解釈大好きだわ
-
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( ゚д) 凵凵 /ヽ__
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-
(-_-) zzzz
( ゚д゚)
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「おい」
(-_-) zzzz
( ゚д゚) 「起きろ」
(-_-) zzzz
( ゚д゚) 「起きろ」
(-_-) zzz
( ゚д゚)
( ゚д゚)っ■ スッ
( ゚д゚)っ■ ←ヒッキーのスマホ
-
( ゚д゚)っ■〜♪
♪ 国の混ざり〜
(-_-) zz
♪ 闘争の香り〜
(-_-)
♪ ブーンを越えてゆけ〜
(-_-) 「……」
♪ Zで越えてゆ
( -_-)っ■ 「…………この曲にもずいぶんと不快なイメージが染み付いてしまった…………」
( ゚д゚) 「曲に罪はない」
(-_-) 「曲っていうか、もうショボ勝ちにまつわるもの全部視界に入れたくない……胸焼けした……」
-
(-_-) 「……っていうか、俺寝落ちしてた? いつから?」
( ゚д゚) 「わからん。俺も途中で寝た」
(-_-) 「あ、そう……。いや、でも悪いね。ミルナ一人に作業押し付けちゃって」
( ゚д゚) 「気にするな。というか俺のほうが先に寝た」
(-_-) 「は? え、いや俺見たときまだ起きてた記憶が……」
(-_-)
(-_-) 「目ぇ開けたまま寝る癖まだ直ってないの? マジで怖いからどうにかしろって言ったのに?」
( ゚д゚) 「自分の糸目をどうにかしてから言え」
あの後ひとまず霊能者とは別れ、今後どうするかしばらくヒッキーと相談した結果、
『思ったよりガチな霊障だったしもう見なかったことにしてもよくない?』という結論に落ち着き、
帰りがけ通りがかった河原にDVD-ROMをフリスビーの要領で放り投げてダッシュで逃げたのだが、
その後『まあ酒でも飲んで忘れよう』ということでヒッキーの家へ行ったら玄関にディスクが突き刺さっていた。
油性マジックで書かれたパンドラの箱(部長)の文字が力強かった。
-
そんなわけでもう逃げられないことがわかってしまったため、
翌日がちょうど休みだったこともあり、俺とヒッキーは部長の魂がどのキャラへ隠れたのかの調査を始めることにした。
とりあえずヒッキーの部屋で一晩ぶっ通しでアニメを見続けた。
それが途中で寝落ちして、目を覚ましたのが今なわけだが……
( ゚д゚) 「……なあ」
(-_-) 「うん?」
なにせ再生時間に終わりがないアニメなので、俺たちが寝落ちしている間もずっと再生は続いていたらしい。
テレビの画面には今もショボ勝ちの二次創作アニメ(in部長)が再生されている――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『ドクオが再びヴィップの地を踏むことはなかった』
(;'A`) (こっち見るな……! こっち見るな……!!)
『オリンシス城近くの森の中で オオカミの伏兵に遭い』
((((;゚A゚))) 『うわあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
『あっけなく 命を落としたと言われる』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
森の中、和装のドクオが絶叫していた。
和装というか髪の毛までちょんまげだった。
-
( ゚д゚) 「……今やってるこれは何だ?」
(-_-)
(-_-) 「えー、っと……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『その夜のことである』
(`・ι・´) 『敵は本狼寺にあり!』
『(ラウンジの)天下統一を目前に オオカミが滅亡した』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
(-_-) 「……真田丸……かなあ?」
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「……『ショボ勝ち』の真田丸パロ?」
(-_-) 「うん。たしか部長ハマってた……o川*゚ー゚)o『大河見るのこれが初めてだけどめっちゃ面白い』みたいな……」
( ゚д゚) 「…………『ショボ勝ち』の真田丸パロが? 勝手にアニメになっている?」
(-_-) 「うん」
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「……本当に何でもありだな……」
『意味不明』以外の言葉は全部嘘になってしまう状況だった。
-
(-_-) 「……真田丸……かなあ?」
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「……『ショボ勝ち』の真田丸パロ?」
(-_-) 「うん。たしか部長ハマってた……o川*゚ー゚)o『大河見るのこれが初めてだけどめっちゃ面白い』みたいな……」
( ゚д゚) 「…………『ショボ勝ち』の真田丸パロが? 勝手にアニメになっている?」
(-_-) 「うん」
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「……本当に何でもありだな……」
『意味不明』以外の言葉は全部嘘になってしまう状況だった。
ショボ田丸はひとまず置いておくとして。
( ゚д゚) 「……もう一回聞いておくが」
(-_-) 「うん」
メモ用のノート片手に質問する。開いたページには、ヒッキーの筆跡。
昨日、調査を始めるにあたって、ヒッキーが最初に書き出した――”キャスト表”。
( ゚д゚) 「当初予定していた、”本来の”自主製作アニメに出てくるはずだったのは……」
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ^ω^) … 声:杉浦ロマネスク
(´・ω・`) … 声:ダディクール
( ^Д^) … 声:盛岡デミタス
( ’ t ’ ) … 声:レモナ
川 ゚ -゚) … 声:都村トソン
(,,゚Д゚) … 台詞なし
( ・∀・) … 台詞なし
<丶`∀´> … 台詞なし
キャスティング協力:私立VIPファイナル大学演劇部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
( ゚д゚) 「……これで全部か?」
(-_-) 「全部だよ。もしかして、万が一、俺が何かを忘れているとしても、少なくとも……」
(-_-) 「演劇部に声を当ててもらったキャラは、5人だけのはずだよ。台詞なしのキャラを1人2人忘れてることはありえても、そこはさすがに覚えてる」
( ゚д゚) 「ふむ。これで全部、と」
さて――ここで、話は昨日にさかのぼる。
ある程度の当たりはつけていたのだ。
本来、アニ研部製作のアニメに登場するはずだったキャラは、キャスト表にある8人だけ。台詞(=声)があるキャラと限定すればさらに絞られ、5人。
にもかかわらず(ツン)だとか(クラウン)だとか、昨日大学で見た時点で既に、表にないイレギュラーの存在があった。ご丁寧にボイス付きで。
-
(-_-) 「”本来の登場人物”5人の声を、こう、アニメ側でうまいこといじって……”本来いないはずのキャラ”の声を、作ってるんじゃないかな」
( ゚д゚) 「まあ、微妙に合成音声っぽいところはあったが……。それはともかく」
( ゚д゚) 「パロディの展開次第では、”本来のキャスト”に存在しないキャラクターも平気で登場するし……」
( ゚д゚) 「その逆、”本来のキャスト”にいたはずのキャラが登場しないこともある。そういうことだな」
(-_-)
( ゚д゚)
そこでしばらく議論した。
-
”本来のキャスト”にいないキャラクターはすべて後付けのまがい物であり、
部長の魂が入った先は、”本来の登場人物8人の中の誰か”。というのが俺の考えで、しかしヒッキーはその逆。
本来なら登場しないはずのキャラクターが存在しているのは、「部長の魂が入るスペースを新しく用意した」から。
ゆえに部長の魂は、むしろ本来の登場人物8人”以外の誰か”に入っているのでは、そう主張する。
”元からいるキャラ”と”元々はいなかったキャラ”、部長が入ったのはどちらか――?
( ゚д゚) < > (-_- )
しばらく議論した。
-
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「……」
しばらく議論した。
(-_-) 「ぶっちゃけていいかな」
( ゚д゚) 「ああ」
(-_-) 「んなこと俺らにわかるわけなくない?」
( ゚д゚) 「まったくもって」
行き詰まったヒッキーが「こういうの、普通はどっちが主流なんだろうね?」と口にした瞬間”普通”の意味がわからなくなって議論は強制終了した。
-
呪いのアニメにおける”普通”を考えるのはちょっと普通の意味が崩壊している。
というわけでもうしばらく話し合い、もう少しましな予測を立てることにした。
(-_-) 「というか、全キャラローラー作戦じゃダメなの?」
( ゚д゚) 「……回数制限があるとは言ってなかったが……」
もう少しましな予測を立てることにした。
( ゚д゚) 「間違えるたびに天井へ叩きつけられるのかもしれないぞ」
(-_-) 「じゃあ天井にクッション貼ればよくない?」
もう少し、ましな予測を立てることにした。
-
(-_-) 「パロディの展開次第では、本来いるはずのキャラが登場しなかったり、本来いないはずのキャラが登場したりする……」
(-_-) 「つまり、話によってキャラがいたりいなかったりするわけだよね」
( ゚д゚) 「大学で見た範囲だと……、現パロのときにはいなかったツンが、学パロでは出てきた。あの感じだ」
(-_-) 「と、なれば」
( ゚д゚) 「仮に……」
――「どんなパロディ、どんな展開であろうと必ず登場するキャラ」がいれば。
「すべての話で登場するキャラ」がいれば、それが部長なのでは?
(-_-)
( ゚д゚)
少なくとも全キャラしらみつぶしよりは知性を感じる作戦だった。
そういうわけで、ヒッキーは自前のDVDプレイヤーにパンドラの部長をセット。
一晩潰して呪いのアニメをひたすら見ることになったわけである。
-
( ゚д゚)φ
(-_-)φ....
( ゚д゚)φ
(-_-)φ...
( ゚д゚)φ
(-_-)φ
( ゚д゚)φ
(-_-)φ zzz
-
( ゚д゚)φ
話が切り替わるたびに、
・それが何のパロディなのか
・おおまかなあらすじ
・どんなキャラクターが登場しているのか
というのを黙々と記録していく作業。
( ゚д゚)φ
(-_-)φ zzz
夜通し、胸焼けを起こすほどアニメを見続けて(どっちも途中で寝落ちしたが)、黙々と記録し続けた。
で――ここで、話は今に戻る。戻ってしまう。
( ゚д゚) 「……で?」
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「一晩、この呪いのアニメを見続けて……記録した結果が―――――」
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・
・
・
⑭ 現パロ(ネトゲ)
・MMORPGをプレイするブーンの話。
・ブーンとショボンは同じギルド「ヴィップ」に所属しており、ショボンは先輩としてブーンの面倒を見る。
・が、ヴィップに所属しているのはショボンのサブキャラ。メインキャラは別の巨大ギルド「ラウンジ」に所属。
・ある日「ヴィップ」と「ラウンジ」でギルドバトルを行うことになり……
【備考】特殊設定:年齢・性別操作。ブーン12歳ショボン18歳の設定になっている他、
カルリナが「リアルでは女子中学生だが、ネトゲでは男のアバターを使用している」というキャラに。
【登場キャラ】
(´・ω・`)、( ^ω^)、( ' t ' )、川 ゚ -゚)、( ゚∀゚)、(‘_L’)
⑮極道パロ
・裏切ったシラネーヨに指を詰めるよう要求するワカッテマスだが、組長のショボンがそれを制止
・した直後に自分の拳銃でシラネーヨの額を撃ち抜くショボン
・しぃへのプレゼントを買いに来たギコがおもちゃ屋で撃たれる
【登場キャラ】
(´・ω・`)、( <●><●>)、( ´ー`)、(,,゚Д゚)、(*゚ー゚)
⑯マフィアパロ
・めっちゃスーツ 高級車
・ラウンジファミリーとの抗争に勝利しゴッドファーザーと呼ばれるようになったブーン
【備考】めっちゃスーツ
【登場キャラ】
( ^ω^)、( ・∀・)、( ><)、( ´_ゝ`)、(´<_` )
-
⑰ポケモンパロ
・ドクオがポケモンリーグに挑む
【備考】全員アンノーン
【登場キャラ】
('A`)、《 ´_‥`》、| `゚ -゚|、(ゝ○_○)、〔´_y`〕、(`∠´)
・
・
・
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「どうしろというんだ?」
(-_-) 「わかんねえ……」
眠気が限界に達したのだろう、途中から筆跡がぐちゃぐちゃで文面も支離滅裂、メモがかなり読みづらくなっている。
が、どうしようもない状況だということだけは十二分に読み取れた。
-
なんとなく事前に考えていたこととして。
本来のキャストのうち、声ありの5人は。5人すべてとは言わずとも、この5人の中の誰かは。
どれだけねじれにねじれたパロディであろうと、必ず登場する重要キャラなのではないか、という推測があった。だって声ついてるし。
というか、ありていに言えばショボンかブーンは絶対出てくるだろうと思っていた。なにせこの2人は『ショボ勝ち』の核だ。
が、実際のところはどうか?
( ゚д゚) 「ショボンとブーンの2人のうち……。ショボンだけが登場する話。ブーンだけが登場する話。片方しか出てこないパターンが存在する、どころか……」
( ゚д゚) 「ショボンとブーン、どっちも出ないパターンすら、履いて捨てるほど存在している……」
現パロ学パロ転生パロ遊郭パロ戦国パロマフィアパロ極道パロポケモンパロ遊戯王パロバトロワパロetcetcetcetc........
メモに残っている分以外にも、ありとあらゆるジャンルのパロディを腐るほど見てきたが。
-
主要キャラも主要キャラ、物語の核を担う二人ですらこれなのだ。
台詞なしのモブまで含めても――
(-_-) 「『全部の話で共通して出てくるキャラ』なんてのは、一人もいない」
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「どうしろというんだ?」
(-_-) 「無理かもしんないね……」
全キャラ総当たりfeat.天井クッションの足音がすぐそこに迫っていた。
しかしながら、ヒッキーはメモ書きを見ながらつぶやく。
-
(-_-) 「いや、まあでも……あれだ、ひとつだけわかったことはあるよ」
( ゚д゚) 「何が?」
(-_-) 「これ、間違いなく部長の好みが反映されてる。そこだけは確かだと思う」
( ゚д゚) 「……その心は」
(-_-) 「いや、部長.hackもリボーンも仁義なき戦いもポケモンも、あと真田丸もすごい好きだったから……」
( ゚д゚) 「ふむ……」
(-_-)
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「で?」
(-_-) 「……どうすっかなあ……」
全キャラ総当たりfeat.床にもクッション要るよなの足音が耳元で鳴っていた。
-
(-_-) 「いや、マジでさ。『全部の話に出てるキャラはいない』って、じゃあどういうことなの」
(-_-) 「むき出しの魂が入れ物を求めたみたいなこと言ってたけどさ。決まった器がひとつだけある、ってわけじゃないの?」
( ゚д゚) 「……通しで出てるキャラがいない、となると……」
それで考えられる可能性は、まあ、ひとまず……2通りだろう。
( ゚д゚) 「ひとつ。部長の魂が入っているのは、特定の1キャラのみ。ひとまずそのキャラを……まあ適当に、ツンとでも仮定するが」
( ゚д゚) 「『ツンが登場しない話』では、部長は……まあ、どこかはわからんが、どこか裏方にでも引っ込んでいる。という可能性」
( ゚д゚) 「この場合、ありとあらゆるパロディ、膨れ上がっていく登場人物の中から……『部長が入ったキャラ』を一人見つけ出せば済む、のだろう。たぶん」
(-_-) 「うーん。……で? 他には?」
( ゚д゚) 「ふたつ。部長は、どのキャラに自分の魂を入れるか、自分自身で決めることができる……という可能性」
(-_-) 「自分自身で?」
-
( ゚д゚) 「いや、自分で決めているのか、それとも呪いで強制的にそうなってるのかは知らんが、とにかく……」
( ゚д゚) 「現パロのときはショボン、学パロのときはツン、極道パロのときはギコ、ポケモンパロのときはドクオ……という具合に。”乗り換える”ことができたら、という仮定だ」
(-_-) 「あー……。そういう」
( ゚д゚) 「この場合は『”今”、部長が入っているキャラ』を見つけ出す必要がある。……の、だろう、たぶん」
(-_-) 「なるほどね……」
( ゚д゚)
(-_-)
(-_-) 「で、どうする?」
( ゚д゚) 「どうしよう……」
シラミが潰される寸前だった。
-
(-_-) 「どっちにしてもさあ、結局『部長がどのキャラに入ったか?』ってのは考えなきゃなんないんだよね。でも……」
(-_-) 「……どういう基準で決めてんの? どのキャラに入るか、っていうの」
( ゚д゚) 「わかるわけがない」
(-_-) 「誰に入るかってのは、部長が自分で決めたのか、それともアニメ側に勝手に決められたのか……」
(-_-) 「……こういうの、普通はどうなんd
またも”普通”という言葉が飛び出してしまったので議論が強制終了した。
『アニメキャラの中に自分の魂を入れる場合、そのキャラ選びは普通どのような基準で行われるのか?』やはり”普通”の意味が崩壊している。
しばらく二人してうんうん唸って――ふと、ヒッキーが口を開いた。
-
(-_-) 「素朴なことを言うけどね」
( ゚д゚) 「ああ」
(-_-) 「今ってさ、部長からしてみれば『アニメの中に入れた』っていう状況なわけじゃん?」
(-_-) 「現実に疲れたオタクが泣いて喜ぶような、金なら払うから俺もそっちへ行かせてくれって泣いて頼み込むような、そんな状況じゃん」
( ゚д゚) 「まあな」
(-_-) 「でもって、キャラに自分の魂を入れられる。それってもう『自分がアニメの登場人物になれる』みたいな話じゃない?」
( ゚д゚) 「魂の概念がよくわからんが、まあ、そういう話になる気はする」
(-_-) 「ならまあ、もし俺が部長と同じような状態になったとしたら、そんときはノータイムで誰か美少女キャラの中に入ると思うんだよね」
( ゚д゚) 「おまえ、疲れてたのか?」
(-_-) 「このご時世疲れてない人なんかいないでしょ。……いや、じゃなくてさ」
-
(-_-) 「つまりだよ。たとえば俺なんかは常日頃美少女になりたいって思ってるわけだから、こういう状況になったら間違いなく美少女キャラを選ぶと思うのよ」
( ゚д゚) 「常日頃思ってたのか?」
(-_-) 「いや思わないやつとかいないでしょ、じゃなくて、だからだよ。部長も同じじゃないかな? って」
( ゚д゚) 「……ふむ」
(-_-) 「『部長が好きなタイプのキャラ』とか、『部長が憧れるタイプのキャラ』。『なりたいと思うタイプのキャラ』……」
(-_-) 「そういうキャラを選ぶのが、人として自然な感情じゃないかな、って」
( ゚д゚) 「人として?」
(-_-) 「オタクとして、って言ったほうがよかったかも」
( ゚д゚) 「……」
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚∀゚) 『あぁ〜〜〜じぃ〜〜〜よぉしのうぅぅぅうう〜〜〜〜りぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜』
( ^ω^)
( ゚∀゚) 『めさ〜〜れ〜〜〜そぉぉ〜〜〜〜おおおらぁぁ〜〜〜〜えええ〜〜〜〜〜』
( ;^ω^) 『――まずいことに、明らかにショボン大将のほうがお上手なのですお!』
(´・ω・`)
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( ゚д) 凵凵 /ヽ__
(つ凵 /※ ) /
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(/ ※/ |※ヽ / /
/ `―( ノ――-′/
議論のほうは進んでいるのかいないのかいまいちわからないが、
そうしている間も、テレビの画面では未だに真田丸パロが再生され続けている。
これはどの回のパロディだろう。
ほっかむりを被ったショボンが、瓜売りの唄を歌っている―――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『あぁ〜〜〜じぃ〜〜〜よぉしのうぅぅぅうう〜〜〜〜りぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜』
(´・ω・`) 『めされそぉぉ〜〜〜おお〜〜〜〜〜っく、くっ。く、くくく……』
(´・ω・`) 『くくく……なるほどなあ。いろいろ考えるものだ』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「……?」
(-_-) 「ん?」
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『特定の1キャラクターから動くことはなく、画面に出ていないときは裏方に引っ込んでいる』
(´・ω・`) 『でなければ、話が切り替わるたびに、入れ物も乗り換えて……常に、話に参加し続けている』
(´・ω・`) 『いずれにしても、入ったキャラは”素直キュートがこうなりたいと望んだキャラ”……』
(´・ω・`) 『……なるほどなるほど妥当な仮説だ。凡人が無い頭絞って考えたにしては筋道立っている。が! 所詮はその程度!』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「……」
(-_- ) (え、これ話しかけてきてる? 俺らに?)
(゚д゚ ) (そのようだが……)
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『だが、その努力は認めてやるさ。そして認めついでにひとつだけ教えてやる』
(´・ω・`) 『素直キュートの魂は、常に画面に出続けているのか、それとも出番がないときは引っ込んでいるのか。この問いの答えは――』
(´・ω・`) 『いないと言えばいないし……、いると言えば、いる』
(´・ω・`) 『一見して、それが無いように見えても。それが介在する余地は常にある。常に、残されているわけだからな』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(-_- ) (……え、何これ。ヒント? なんでヒントくれてんの?)
(゚д゚ ) (わからん)
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『なに、今の我々は機嫌がいい。それだけの話だよ』
(´・ω・`) 『……誰だって、嫌な気はしないだろう?』
(´・ω・`) 『”愛されている実感”が――持てるというのは』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「……?」
(-_-) 「愛されている……実感?」
画面の中のショボン(ほっかむり)が、なにやら意味深なことを口走ったかと思うと――
そこで急にDVDプレイヤーの電源が落ちた。
真っ暗になった液晶、ショボン(ほっかむり)は画面から消え、瓜売りの歌も聞こえなくなる。
-
(-_-)
( ゚д゚)
反応に困る状況だった。
というかもうなんかいろいろ麻痺したのでアニメキャラに話しかけられるくらいはもはやどうでもよかった。
( ゚д゚) 「……どうする?」
(-_-) 「……まあ……なんにしても……」
(-_-) 「ひとまずは、部長が入りたいと思うであろうキャラを考えるところから……つまり、まあ、シンプルに言って……」
(-_-) 「『部長の好み』を洗い出すところから。じゃ、ないかなあ」
( ゚д゚) 「ふむ。……で」
( ゚д゚) 「部長の好みはどうやって調べるんだ?」
(-_-)
(-_-) 「……」
-
(-_-) 「……暗部に……触れるしか、ないかなあ……」
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「暗部?」
(-_-) 「暗部」
( ゚д゚) 「……暗い部分と書いて暗部?」
(-_-) 「ちょっと違う。この場合の暗部っていうのは……」
-
(-_-) 「”部長のツイッター”って書いて、暗部って読む。そういう意味だよ」
( ゚д゚)
(-_-)
その後ヒッキーが補足したところによると、”部長のpixiv”も同じように「あんぶ」と読めるらしい。
いずれにしても暗い部分だった。
-
☆反省点☆
①>>51で「同じ学部の河内です」って言ってるけど>>6だとヒッキー経済学部でミルナ法学部
②ミルナのAA使っちゃったせいでオオカミネタがやりづらい
☆ネクストコナンズヒント☆
>>90
> (-_-) 「演劇部に声を当ててもらったキャラは、5人だけのはずだよ。台詞なしのキャラを1人2人忘れてることはありえても、そこはさすがに覚えてる」
→これ半分くらい嘘です
-
ちょっとしか喋らない役で部長がキャラの声当てるとかやってそう、部長だし
-
ツイッターとピクシブは確かに暗部だ……
-
真田丸好きだったからこういうの嬉しい
-
もしや、部長が居るのはキャラクターではない…?
ショボンはパーツとしか言ってないし
んー、でもワカンネ。続き楽しみ
-
全員アンノーンに何故か吹いた
-
ショボン=部長だったらクソ女だなぁとか
-
真田丸パロの秀吉が( ゚∀゚)っての最高
-
乙
半分くらい嘘ってヒッキーはなんで嘘つく必要があったんだろう?
-
半分くらい嘘……声を当てている……登場人物5人は間違いなく覚えてる……
何処にでもいて何処にも居ない……
あぁ、なるほど。多分わかった。
-
全員総当りfeat.天井クッションの互換の良さよ
-
ショボンのヒント聞いておっかねぇメーター思い出した
全員アンノーンはワロタ
-
ショボン(ほっかむり)にちょっとワロタ
いちいち言葉選びのセンスいいわ
-
そもそも部長が夢女子なのか腐女子なのかで変わってくるよな
今回も面白かった、次回も楽しみだ
-
四中将は四天王だろうなワラタ
-
腐女子だったら多分壁とか床とか鉢植えになるだろうけど夢女子だったらどれになるんだろう……難しいな
-
( ゚д゚) 「……最初にひとつ聞いておきたいんだが」
(-_-) 「なに」
( ゚д゚) 「アニ研部というのは、自分のpixivもtwitterも全部フルオープンにするのが掟なのか?」
(-_-) 「んなわけないでしょ。そんな恥部全開にできるほどアットホームな部じゃないよ」
( ゚д゚) 「なら、おまえはなぜ部長のアカウントを知ってる」
(-_-) 「それ昨日も言わなかったかな」
パソコンを立ち上げる傍ら、ヒッキーは充電器につないであったタブレットを取り外した。
それをしばらく操作した後で、パソコンのほうにIDとパスワードを入力する。
-
(-_-) 「まあ、何? 部長が『ショボ勝ち』の熱心なファンなのも、部長が絵めっちゃうまいのも、アニ研部員ならみんな知ってるわけよ」
(-_-) 「だからさあ、ツイッターで『ショボ勝ち』語りしてるかもとか、pixivに『ショボ勝ち』の絵上げてるかもとか、そのくらいは誰でも予想つくのね」
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「で、それと同時に……普段、部で散々部長の絵見てるわけだからさ」
(-_-) 「パッと見たときに『あ、これ部長の絵だ』ってのはね、まあ、察せるわけ。だから……」
(-_-) 「俺だってショボ勝ちのファンなんだから、ある日ふっと『ショボ勝ち1000users入り』とかで検索してみて」
(-_-) 「それで出てきた絵見て『あれっ、この絵……』ってなって……」
(-_-) 「まさかなと思いながら、pixivのプロフィール見てみたら……そこにtwitterのアカウントも載ってた、みたいなね。そういうことも起こるのよ」
そうやってニヒルなため息をつきながら、タブレットを俺に手渡す。
画面にはtwitterのアカウントが表示されていた。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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8266 62 5199 2893
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる
@cocutes_shobowins
20↑ ショボ勝ち垢です。BLNLGL問わない雑食ですのでフォローの際はよく考えて。その他詳しくはツイ
プロ参照。また、申し訳ないですが未成年の方のフォローはお断りしております。東西大将/ブンツン/等々
twpf.jp/cocutes_shobowins
2015年2月に登録
1054 画像と動画
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
.
-
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「……”圧”が……きついな……」
(-_-) 「耐えて」
これだけ見ればよく見るタイプのプロフィールだし、特に思うところもないのだが。
これが部長のアカウントだと知らなければ、特になんということもないのだが。
.
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( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「……”圧”が……きついな……」
(-_-) 「耐えて」
これだけ見ればよく見るタイプのプロフィールだし、特に思うところもないのだが。
これが部長のアカウントだと知らなければ、特になんということもないのだが。
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こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
ショボン=ルージアル無理です しんどい
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
ちょっとも〜〜〜〜〜〜〜「長かったですね」ってもうおまえそういうところがほんとさあ〜〜〜〜〜
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
ショボン=ルージアル おまえ おまえな
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
は? 117話 は???
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚)
というか、俺は別にアニ研部ではないし、部長とは顔見知り程度の関係でしかないのだが。
ほとんど完全に他人なのだが。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
無理 東西大将しんどすぎる この土壇場で「感慨深いものがあるのですよ」とか口にしちゃう神経なん
なの どんだけ西塔大将こじらせてたのあんた 推せる
|
ショボ勝ち117話でバイトを首になった@Parsley_Miceli
@cocutes_shobowins ショボン=ルージアルとかいう男本当に沼すぎて日常生活に支障が出るレベル
|
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
@Parsley_Miceli 私も支障出かねないから「そういえばツンちゃん殺したのもドクオ殺したのもこいつな
んだよな…」って唱えて殺意を強く持つようにしてる
|
ショボ勝ち117話でバイトを首になった@Parsley_Miceli
@cocutes_shobowins そのライフハック私がレジでハーゲンダッツを温める前に教えてほしかった
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
それがおまえはもうさ〜〜〜〜「この敬語に」「――他意は、ないのですけどね」とかほらもうすぐそうい
うこと言う〜〜〜〜〜〜〜〜
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
一人で感慨に浸られても惨めなだけなんだよ 敗者はただ黙することしかできないんだよ
というかおまえそこの西塔大将たった今旧知の相棒殺されたとこなんだぞ(殺した男が目の前にいます)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(-_-)
( ゚д゚)
-
(-_-) 「……ねえ、ミルナ」
( ゚д゚) 「……ああ」
(-_-) 「部長は、今……アニメの中に、魂を囚われてしまっている」
(-_-) 「……俺たちは、その魂を取り戻さなきゃならない。これは、そういう戦いなんだ」
( ゚д゚) 「ああ……わかっている」
(-_-)
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「……ヒッキー」
(-_-) 「……うん」
.
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
本編しんどすぎるからさすがに真面目な絵描きたい気持ちとこんなときだからこそクソみてえなキャラ崩
壊ギャグ描きたい気持ちがせめぎ合ってる(軽率な腐女子なので)
|
実に、ペニサった。あまりにも、ペニサスぎた。@not_penis
両方描けばいいのでは?(天才の解答)
|
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
ショボン=ルージアル尊い ツンちゃん殺したクソ野郎に尊いとか言いたくない なんだこいつ 沼だった
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
ラウンジに戻る使命を片時も忘れずにいたくせに西塔の大将に他意なく敬語が使える
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
ジョルジュ=ラダビノードというひとりの個人に向けてそれ言うの何? 沼か?
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
47話前にも実に長かったあまりにも長すぎたとかいう名言残した男が今になって「長かったですね」
「貴方との戦いは、本当に長かった」とかほざくの何なんだ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
( д ) 「……これが……魂の、重みなのか……」
( -_-) 「……あァ……そうだよ……」
俺と部長はほとんど他人だ。他人だからこそ余計につらい。
『ちょっと話した』程度の他人の日記など覗いても気まずいだけだ。
それがこんな趣味嗜好フルバーストみたいなアカウントならなおさらである。
たとえば、今後部長が無事に意識を取り戻したとして、大学で部長とすれ違う機会があったとして、
少しでも気を抜けばこのアカウントが蘇るのだ。
大して知りもしない人なのに、『この人プライベートではああいうツイートしてるんだよな…』という気持ちだけが強制的にあふれてくるのだ。
しばらく目頭を押さえていると、見るに見かねたヒッキーが席を立ち、俺の手からタブレットを取り上げた。
(-_-) 「……代わろうか。俺がtwitter見るから、ミルナはpixivのほうチェックしてほしい」
( ゚д゚) 「ああ……すまない……」
入れ替わりに俺がパソコンの前に座る。
こちらの画面にはpixivのアカウントが表示されていた。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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作品タグ
ショボンはZだがYで勝つ(58)
R-18(25)
ショボ勝ち1000users入り(12)
腐向け(30)
ショボ勝ち【腐】(29)
百合(17)
いつものこきゅーとす(19)
ショボ勝ち100users入り(27)
ショボ勝ち5000uses入り(8)
腹筋崩壊(19)
ショボ勝ち10000users入り(3)
・
・
・
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) (……こんだけusers入りタグあるのは普通にすごくないか……)
( ゚д゚) (……)
( ゚д゚)
-
作品タグ
ショボンはZだがYで勝つ(58)
R-18(25)
ショボ勝ち1000users入り(12)
腐向け(30)
( ゚д゚)
.
-
作品タグ
[ R-18(25) ]
( ゚д゚)
.
-
\ ヽ | / /
\ ヽ | / /
\ ヽ | / /
\ ヽ | / /
\ ヽ / /
‐、、 \ / _,,-''
`-、、 _,,-''
`-、、 _,,-''
`
───────‐ R-18(25) ────────‐
_,,-'' `-、、
_,,-'' `-、、
/ \
/ ヽ
ズバァ――――――――――z_______________ン!!!!!!
( ゚д゚)
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
,
-
( ゚д゚) 「……ヒッキー」
(-_-) 「……ねえ、ミルナ」
( ゚д゚) 「……ああ」
(-_-) 「アニメの中に囚われた部長は、現実じゃ今も意識不明」
(-_-) 「このまま魂が戻らなかったら……どうなるのかな」
( ゚д゚)
(-_-)
(-_-) 「……ずっと目覚めないまま、ってだけなら、まだいいよ」
(-_-) 「もしかしたら、この状態が長く続けば、もしかしたら……そのまま――」
(-_-) 「眠るように、息を引き取る――そんな可能性だって、ありえないわけじゃない」
-
(-_-) 「俺たちは―――――背負ってるんだよ。部長の……命、を」
( ゚д゚)
(-_-)
( д ) 「……ヒッキー」
(-_-) 「ああ」
( д ) 「…………これが…………命の、重みなのか……」
( -_-) 「あァ……そうだよ……」
俺は。
俺は、
俺は―――――――
R-18タグの件数とショボ勝ち【腐向け】タグの件数からR-18の内訳がどんな割合になっているのかを推測して、
ヒッキーが担当を変わると言ったのはつまり体のいい押しつけだったのだと確信した。
-
【確認作業中】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ロード画面ではTipsが表示されます〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
たとえば、ヒッキーがなにかしらのエロ絵を描いて俺に見せたとする。
それが俺には理解の及ばないシチュエーションの絵であったとしたら、
あるいは迸るリビドーに画力が追いついていないタイプの絵であったとしたならば、
その場合俺は『そうか…ヒッキーはこういうのが好きなんだな…』という”気づき”を視覚から直に叩き込まれるわけで、非常に気まずいことになる。
逆に、それが画力シチュエーション共に素晴らしい絵であったとしても、
何も知らずに発見していたら黙って新しいフォルダ(2)に名前を付けて保存するような素晴らしい絵であったとしても、
しかしその絵を見るたびにこみ上げる「これヒッキーが描いたんだよな……」という汚水のような気分を拭い去ることはできない。
ズボンを降ろした瞬間ちらつくヒッキーの顔という呪いを振り払うことはできない。この呪は霊能者にも祓えない。
しかし部長と俺は他人だ。
二、三度話したことはあるけれど『顔は知ってる』程度の仲。他人なら問題ないような気もする。気もした。
けれどやはりダメなのだ。
ナイスなツンのR-18絵にティッシュを数枚引き出して、その瞬間ちらつく部長の顔。
『これ描いたのあの人なんだよな……』と顔見知りレベルの他人の顔。
ディスプレイに表示されているのは変わらずナイスなR-18絵。
ナイスなのが逆につらい。
東の大将が振るうアルファベットS、ところで東は英語でEast、そして西の大将の手の中にあるのはたどり着けなかったはずのX。
普通ならそもそも見に行かないし、目に入っても「踏み入ることのできない領域がこの世にはある」で立ち去るだけのR-18絵。
-
大学で部長とすれ違ったとしよう。
o川*゚ー゚)o 「あっ、ヒッキーくんのお友達!」
( ゚д゚) 「あ……どもです」
o川*゚ー゚)o 「えーっと、河内くんだったかな。いやー、講義で会うのって初めてじゃない? 学部なんだったっけ?」
( ゚д゚) 「ああ、俺は……」
( ゚д゚) 「……」
o川*゚ー゚)o 「?」
( ゚д゚)
――――この人、プライベートではああいう絵描くんだよな。
一度知ったらそれで終わりだ。
ひとりで勝手に気まずさを感じて勝手に死んでいくしかない。ないのである。ないのである……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ロード画面ではTipsが表示されます〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
-
( ゚д゚) 「……ヒッキー」
(-_-) 「ん?」
( ゚д゚) 「……この件が終わったら……部長が、無事に目覚めたら……」
( ゚д゚) 「俺は、二度とアニ研部の部室へ行かないようにしようと思う」
( -_-) 「あァ……それがいいよ……」
暗部の中でももっとも暗い部分を俺はそそくさと駆け抜けた。
-
とはいえ。
( ゚д゚) 「……」
別にpixivに上がってる絵全部が気まずさ製造プラントというわけではない。
普通の絵だってたくさんあるし、というかキャラの好みを割り出すなら重視すべきはそういう普通の絵ではないか。
それでなくとも「とりあえず全部確認しとこう」がヒッキーの方針らしいので、R指定がかからないタイプの絵や漫画もきちんと漁っておく。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2016年11月13日 00:09 複数枚投稿 5P 閲覧数 17214 評価回数 2814 総合点 28096
『もしアルファベットが26個だけじゃなかったら』 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
既出だろうとは思ったけどやるしかなかった。。。キャラ崩壊注意です。
ショボンはZだがYで勝つ[P] ショボ勝ち[P] ショボ勝ち10000users入り[P] この発想はあった[P] アンノーン[P]
シリーズ化希望[P] ショボン・ルージアル[P] フィレンクト=ミッドガルド[P] 腹筋崩壊[P] いつものこきゅーとす[P]
[タグ編集]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1/5
『そしてショボンが、アルファベットを動かした』
(‘_L’)「ッ……?」
『何故、動かしたのだ。
城壁から見えていたYを、後ろに下げた。
そして、手から離した』
『――――まさか――――』
(´・ω・`)「俺の全力を持って、お前と戦おう。この、アルファベッ……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2/5
r-,
i;;;;i
i;;;;i
_j;;;;i_
/;, ‐-、;`,
. !;;i--o-i;;;i
'、`ー '';;ノ
 ̄ ̄
(´・ω・`)
(´・ω・`)「何こいつ?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3/5
『掲げられた。
形が、はっきりと見えt
(´・ω・`)「待って」
(;‘_L’)(あれが……Z……!!)
『思わず、身が震えた。
自分の何が、体を震わせたのかは、分からなかっ
(´・ω・`)「いや普通に話進めようとすんのやめてよ。おかしいでしょこいつ」
r-,
i;;;;i
i;;;;i ??
_j;;;;i_
/;, ‐-、;`,
. !;;i--o-i;;;i
'、`ー '';;ノ
 ̄ ̄
(´・ω・`)「その形でハテナマーク浮かべるのやめたほうがよくない?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
4/5
(二;;`、
_>;;`、
/, ‐-、;;',
!;i O i;;;i すいませーん! 入り遅れちゃって……
'、`ー' ;;ノ
'、;;;く
`、 `ー,
 ̄´
(´・ω・`)「だから誰」
(‘_L’)(……相手のアルファベットがなんであろうと、関係ない……!)
『戦うしかない。
ショボンを、討ち取るべk
(´・ω・`)「いやだからさ、当然のように進めんのマジでやめて?」
『※この後めちゃくちゃめざめるパワーした』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
( ゚д゚)
最後の5ページ目には、サトシの帽子をかぶったブーンがアンノーン(A)に触って火傷する一枚絵が描かれていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2016年11月22日 18:42 複数枚投稿 2P 閲覧数 13021 評価回数 229 総合点 2281
『プギャーファンの皆様本当にごめんなさい』 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
前々から地味に気になっていた、『プギャーもラウンジの人間だということに、ショボンはどうやって気づいたのか?』
という疑問に私なりの答えを出してみました。例によってキャラ崩壊注意です。あと本編のプギャーくんはここまでアホではないと思います。
追記:ここまでアホではないと思っていました。
ショボンはZだがYで勝つ[P] ショボ勝ち[P] ショボ勝ち1000users入り[P] ショボン=ルージアル[P] プギャー=アリスト[P]
なんという予言者[P] 野生の公式[P] 全プギャーファンの私が泣いた[P] 腹筋崩壊[P] いつものこきゅーとす[P]
[タグ編集]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1/2
『〜どっかの城〜』
(´・ω・`)(しんどい……将校としての任務の傍らアルファベットを訓練するのマジしんどい……)
(´・ω・`)(しかし……いつかラウンジに帰るときのために……怠れんな)
(´・ω・`)(……怠れんけどマジしんどい……ほんとしんどい……チーズ蒸しパンになりたい……)
(´・ω・`)(……ん?)
(*-Д-)「zzz……知ってるよどうせ俺がモララーに勝てないことくらい……」
(´・ω・`)(プギャー=アリスト……酔っているのか? なぜ全裸で……)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2/2
(´・ω・`)ノ 「(なんにせよ、起こしてやるべきか)おい――」
(*-Д-)「んぐぉー……ぉ……俺はいつかヴィップに大打撃を与える裏切りを実行してラウンジに帰ってみせるぜ!!」
(´・ω・`)ノ
(*-Д-)「zzzz……」
(´・ω・`)ノ
『※この後めちゃくちゃ寝言を言わないように矯正した』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
その他の作品も確認してみたが……。
( ゚д゚) 「……」
『いつものこきゅーとす』とは何のタグかと思ったが、見る限りでは主にギャグ作品に付くタグのようだ。
大抵の場合で『腹筋崩壊』タグとセットになっていて、キャプションには「キャラ崩壊注意」の注意書き。
( ゚д゚) 「……なんと言えばいいか」
(-_-) 「どしたの?」
( ゚д゚) 「銀魂とかギャグマンガ日和とか……銀魂……いや銀魂もギャグ日もなんか違うか……」
(-_-) 「?」
( ゚д゚) 「……まあ、なんでもいいが。あの手のギャグ作品、部長、好きか?」
(-_-) 「そりゃ好きだと思うけど……。なんたって部長オタクなわけだし」
( ゚д゚) 「……」
-
ついでに『ショボ勝ち○users入り』も結構な頻度で付いていることを思うと――
これが部長の作風なのだろう。
キャラ崩壊……というか、ややメタな要素も織り交ぜた、楽屋裏じみた雰囲気のギャグ作品。そういうものをよく描いている。
『いつものこきゅーとす』というタグまで作られ、むしろ真面目な作品に『きれいなこきゅーとす』なんてタグが付くほど、頻繁に。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2016年12月01日 19:22 閲覧数 33920 評価回数 5092 総合点 50880
『新ED踊ってもらった』 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
本編があまりにも辛すぎるので、新EDを無限に再生し続けることで現実逃避しているのですが、
どうしても毎回「故意ダンスかわいい〜ドクオとかツンちゃんにも踊ってほしかったな〜!!」と思ってしまうので、
そのたびに「ED変更のタイミング的に彼らがこのEDに出ることはあり得ない」という事実を突きつけられて死んでいます。
ショボンはZだがYで勝つ[P] ショボ勝ち[P] ショボ勝ち5000users入り[P] ツン=デレート[P] ドクオ=オルルッド[P]
なにこれかわいい[P] 70話ショック[P] どうしてこうならなかった[P] 実長あま長リンク[P] 故意ダンス(ショボ勝ち)[P]
[タグ編集]
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2016年11月22日 23:00 閲覧数 61084 評価回数 10479 総合点 104622
『東と西の大将』 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
いつかこの二人が背中合わせで戦う展開も見られると信じて……!
追記:あの、70話…… え、その、 え?
ショボンはZだがYで勝つ[P] ショボ勝ち[P] ショボ勝ち10000users入り[P] ショボン=ルージアル[P] ジョルジュ=ラダビノード[P]
なにこれかっこいい[P] 70話ショック[P] きれいなこきゅーとす[P] どうしてこうならなかった[P] 実長あま長リンク[P]
[タグ編集]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドクオとツンが二人で故意ダンスを踊る絵に、背中合わせに立つジョルジュとショボンの絵。
かわいらしい絵や格好いい絵も描いている……。
( ゚д゚) 「……」
――――さて。
-
( ゚д゚) 「……見たところ、ショボンとジョルジュが好きなのはわかったし、ツンも気に入っていたらしいのはわかった。が……」
( ゚д゚) 「……だからって、自分の魂の器にそいつらを選ぶのかって言うと、また別の話な気がするぞ」
(-_-) 「……ううむ」
ツンのR-18絵を描いているのはまあツンのそういう絵が見たかったとか描きたかったとかそういう気持ちがあったからだろうし、
それはつまりツンというキャラが好きだからと言ってしまってもいいと思うが、
だからといって「というわけで部長の魂はツンの中に入っているんだよ!」と繋げていいかというと、少し違うように思う。
それはショボンとジョルジュの場合でも同じで、
ショボンとジョルジュの組み合わせに萌えていたからと言って、
ショボンとジョルジュのR-18絵を描いていたからといって、
だからといって、じゃあ部長は「ショボンになりたい」「ジョルジュになりたい」と考えていたのかと言えば、それは違うだろう。
-
(-_-) 「……」
ヒッキーのほうも、難しい顔でタブレットの裏面をコツコツ叩いている。
深々とため息をつき、タブレットをテーブルに置いて滑らせ――
(-_-) 「……どう思う? これ」
俺のほうへと差し出された画面には、部長のtwitterのタイムラインが表示されていた。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んだ@cocutes_shobowins
私は推しカプを見守りたいだけなんだよ〜〜〜〜ほんと死んでくれ〜〜〜〜〜〜〜
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んだ@cocutes_shobowins
時々「BLも結局は男キャラに自己投影してるだけだろ」みたいなこと言う人いるけど、本当に意味がわからない
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んだ@cocutes_shobowins
あ、別に夢とかそういうのを否定してるわけじゃないです。ただ私には合わないってだけで。
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んだ@cocutes_shobowins
百合じゃなくてもそうなんだけど、キャラ見て「自分もあそこに入りたい」って思える神経がわからない……
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んだ@cocutes_shobowins
これ >RT
きつね@有給は衰退しました@smoke_fox
それを見て「俺も間に入りて〜w」とか言ってるやつを見たときのぼく
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以
きつね@有給は衰退しました@smoke_fox
素晴らしい百合画像を見たときのぼく
爪^ー^)y‐
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
( ゚д゚)
(-_-)
非常に重苦しい沈黙が3分ほど続き、やがてヒッキーが重苦しく口を開いた。
(-_-) 「……俺らはさあ、『部長の魂はキャラクターの中に入った』って認識でずっとやってきたわけだけど……」
(-_-) 「この前提は、そもそも合ってんの?」
-
( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「……あの霊能者の言うことを信じるなら、それが正しいんだろう」
(-_-) 「あの霊能者の言うことを信じるなら?」
( ゚д゚) 「あの霊能者の言うことを信じるなら」
川д川
↑
あの霊能者
.
-
(-_-) 「……あの霊能者の言うことを信じるなら?」
( ゚д゚) 「あの霊能者の言うことを信じるなら」
実家が神社(真偽不明) ○全体的に汚い
↓
般若心経→ 川д川 ←前髪が長すぎる
↑
薄汚れた巫女服 ■ヤバい
(-_-)
( ゚д゚)
.
-
(-_-) 「最初っから全部間違ってる気がしてきた」
( ゚д゚) 「俺もだよ」
.
-
☆反省点☆
本当にごめんなさい
☆ネクストコナンズ恐怖☆
次かその次くらいで終わりますが、自分で読み返してると「これ普通にバレバレなのでは…?」みたいな気持ちになる
-
乙!
-
乙、アレだ、命ってのは重いな……
でも天井に叩きつけられてんだよな、あの霊能者
-
部長のツイッターが腐女子のよくある呟きすぎる
夢女子じゃなくて腐女子だし見守りたいって言ってるしカメラマンとかかなあわかんねえ
-
ナレーションとかあったっけ?
-
時間表示と予想
-
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2338.jpg
支援。
一体キュートはどこにいるんだろうか。
-
待って無理しんどい乙
腐女子書くの上手すぎワロタ
-
行間じゃね?
-
予想は出来てるけどネタ潰しになりそうだから止めとこう
その予測を書くにはこの余白は狭すぎる
-
まるで方針が見えないままヒッキーの家を後にして、二日後。
講義を済ませて昼休み、部室棟、アニ研部の部室へと向かう。
( ゚д゚) 「……よう」
(-_-) 「ああ、おはよう……」
誰もいない部室、ヒッキーはひとり頬杖をついて――
スクリーンに映し出されるアニメを見ていた。
先日、あの後、これから本当にどうしたものかと議論した結果、
疲れ切ったヒッキーが「もうDVD割ったら強制的に魂出てくるとかそういうのないかな……」とこぼしたのをきっかけに物理除霊の機運が高まり、
部屋に置いてあった金属バット(アニメ制作の締め切りが近いとき、"追い込み"に使用するらしい)で俺がDVDデッキをぶっ叩いてみたのだが、
なぜかバットは跳ね返されて宙を舞い部屋の蛍光灯を割った。
デッキは無傷、どころかむしろ俺の手のほうが痺れていた。
ヒッキーは空手チョップの要領でディスクを割ろうとして小指を折った。
-
( ゚д゚) 「……今更だが、他の部員はどうした?」
(-_-) 「ああ……。最初に見せた動画あるじゃん、部長がすごいことになってるやつ」
( ゚д゚) 「ああ」
(-_-) 「あれ見せた時点で全員逃げた」
( ゚д゚) 「……」
右手に包帯を巻いたヒッキー、相も変わらずパロディを垂れ流すスクリーン、
それが普通の対応だったのかもしれないと今更のように後悔する。
.
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『……悪いな、いつも』
川 ゚ -゚) 『謝らないでくださいと、いつも申し上げているはずです』
川 ゚ -゚) 『あなたはラウンジに必要な人材。何を気にすることがありましょう』
(´・ω・`) 『しかし……』
川 ゚ -゚) 『――吸わないのですか?』
(´・ω・`)
川 ゚ -゚)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
画面の中のショボンはなぜかタキシードにマントを羽織っていた。裏地の真っ赤なマント。
暗い部屋の中、ショボンと対峙しているクーは上着をはだけていて、
白い首筋が薄闇のなかでぼんやりと光っている――
( ゚д゚) 「……これは?」
(-_-)δ
テーブルの上に置いてあるタブレットをヒッキーは黙って指さした。
.
-
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こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
古の腐女子だから推しをすぐ吸血鬼にする
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
欲望に正直なわたし「それはそれとして全員生存ifのゆるふわ時空も見たい」
わたし「それもわかる」
とどまることを知らないわたし「だから東西大将が同じクラスの学パロとかも描く」
わたし「ほんとそれな」
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
厳格なわたし「本編がどれだけ救いのない話でも、それは彼らが懸命に生きた彼らの人生なのだから、
軽々しく救済二次創作とかやらないでほしい」
わたし「わかる」
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
言いたいことは腐るほどあるけど そもそも三次元の不完全な我々が二次元のキャラクターたちに干
渉しようなんておこがましいとは思わんのか
こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
設定盛り盛りの最強オリキャラ(善良な人間なのであえて自己投影という言葉は使わない)出して、本来
死ぬはずだったキャラとか全員救っちゃって、誰も死なないやさしい世界です^^みたいな二次創作マジで
生理的に受け付けない
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-
( ゚д゚) 「……吸血鬼か」
(-_-) 「らしいよ」
左手でもそもそと菓子パンを食いながら、けだるげにヒッキーが答える。
菓子パン。
(-_-) 「……あ、そーいや昼は? 食ってきた?」
( ゚д゚) 「食った」
(-_-) 「そっか。じゃあいいけど……」
.
-
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(´・ω・`)
川; - ) 「……っ、……――」
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ショボンがわずかに口を開いた瞬間のぞく長い牙。が、クーの柔肌に突き刺さり、
薄暗い部屋の中、白い肌は周りの景色から浮き上がって見え、その白を伝う赤い血は暗い中でもはっきりくっきりと見えて、
ちうちうと血を吸うリアルな水音が――
.
-
( ゚д゚) 「……これ見ながら食う飯がうまいか?」
(-_-) 「うまかないよそりゃ。どうせならグルメ漫画かなんかのパロディやってほしいところだよね」
食欲をなくすほどのゴアシーン、というわけでは別にないのだが、まあ飯時に見るものではあるまい。
どんな顔をすればいいのかと頬杖をついて見ていると――――
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(´・ω・`) 『なるほど。……聞いたかな?』
(´・ω・`) 『それが、画面の前のやつらの望み――だ、そうだ』
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( ゚д゚)
-
( ゚д゚) ?
クーの首元に顔をうずめていたショボンがふとこちらを向いた。
血に染まった口元をぬぐうと、パチンと一度指を鳴らす。
すると、一度スクリーンが真っ暗になり――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『モノを食べるときはね』
(´・ω・`) 『誰にも邪魔されず 自由で なんというか救われてなきゃあダメなんだ』
(´・ω・`) 『独りで静かで豊かで……』
( ^Д^) 『なにをわけのわからないことを言ってやがる。出ていけ、ここは俺の――』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
( ゚д゚)
画面が切り替わると、そこは現代日本の定食屋。
ビジネススーツにネクタイを締めたショボンが、店主に苦言を呈している――
( ゚д゚) 「なんだこれは?」
(-_-) 「今日はさっきからこんな調子だよ。リクエストしたら答えてくれる」
( ゚д゚) 「リクエスト……」
(-_-) 「機嫌良いんじゃない?」
どうでもよさそうな声色からヒッキーの諦めがにじみ出ていた。
.
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『……は、機嫌か。そりゃあ機嫌は良いさ』
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あげくショボンのほうも当然のように話に乗ってくるものだから、俺も諦めることにする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『どんな形であろうと……、どれほど、本編からかけ離れたものであろうと』
(´・ω・`) 『もしも、の姿を望まれるのは。愛されている証だろう』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
期待
-
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……」
あれこれパロディされるというのは、作品の側からしても嬉しいものなのだろうか?
こいつが特別なのか、それとも他のアニメも同じように考えるものなのか、
普通どうなんだろうなと考えたところで思考が強制終了した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『元々のお話を、元々のキャラクターたちを……元々の作品を』
(´・ω・`) 『愛しているからこそ、そこから派生する形で、いろいろな”もしも”を望む』
(´・ω・`) 『彼女は実に多くの”もしも”を望んだ。機嫌は良いさ。実に良い』
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-
( ゚д゚) (……しかしまあ、ほんとに機嫌良さそうだな)
(-_-) (声色がね……)
( ゚д゚) (本編でここまで機嫌良さそうなシーンあったか?)
(-_-) (じつながあまなが……?)
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(´・ω・`) 『……なんだ。そんなところから誤解しているのか?』
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( ゚д゚) ?
(-_-) ?
.
-
意思を持つアニメの思想信条について考えてもしょうがないので、
目の前のショボンの上機嫌についてひそひそと話をしていたのだが――
画面の中のショボンは、呆れたようにため息を吐いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『俺は、”ショボン・ルージアル”ではない』
(´・ω・`) 『”ショボン・ルージアル”というキャラクターが、意思を持って喋っているわけでは……ない』
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( ゚д゚)
(-_-)
( ゚д゚) 「……じゃあ何なんだ?」
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『"このアニメそのもの"だよ。おまえたちは今、おまえたちの作ったアニメと会話をしている』
(´・ω・`) 『俺はただ、わかりやすいようショボ勝ちで一番特徴的なキャラクター……ショボンの口を借りて喋っている』
(´・ω・`) 『それだけの話だ。そこは彼女も理解している――』
(´・ω・`)( ^Д^) 『がああああ』
( ^Д^) 『お…折れるぅ〜〜〜〜』
( ><) 『それ以上いけない』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ゚д゚) 「……」
そこまで言うとショボンは役に戻り、店主役のプギャーにアームロックをかけ始めた。
いや、そもそも今まで喋っていたのはショボンの口を借りただけの”このアニメそのもの”なのだから、
「役に戻る」という表現もちょっと違うような……どうでもいいか。
-
(-_-) 「……まあ……いろいろ言ってたけど……」
(-_-) 「……結局さあ、俺らはどうすりゃいいんだろうね?」
( ゚д゚) 「……」
これまであれこれ調べてきたが、pixiv、twitter、本当にあれこれ見てきたが。
「キャラクターの中に入った」とされる部長の魂の行方については、まったく見当もついていない。
机上に置かれたヒッキーのタブレット、画面に映る部長のtwitter。
長い沈黙がしばらくあって――
( ゚д゚) 「……リクエストすれば答えてくれる、んだったか。今は」
(-_-) 「なに? なんか見たいのあるの?」
( ゚д゚) 「少しな」
『ちょっと気になった』程度のことなのだが、
他に何をすればいいのかまったくわからない状況なので、暇つぶし程度に口にした。
.
-
スクリーンに目をやりながら言う。
( ゚д゚) 「今まで、いろんなジャンルのパロディを見てきたが……その中に」
( ゚д゚) 「……銀魂パロって、あったか?」
(-_-) 「銀魂……? いや、なんで銀魂?」
( ゚д゚) 「ああ、別に銀魂じゃなくても構わないが……。とにかく」
( ゚д゚) 「銀魂とか、ああいう系のギャグって……今までどっかにあったか?」
(-_-) 「……」
記憶を呼び起こすかのようにコツコツと頭を叩きながら、
机の上に放り出してあったメモ用ノートを手元に引き寄せ、ぱらぱらとめくるヒッキー。
.
-
(-_-) 「ない……ね。そういえば、なかった?」
( ゚д゚) 「俺もなかったと思う。寝落ちして見逃しただけとか、そういう可能性もなくはないが」
(-_-) 「俺も記憶にはないけど……。で、それが?」
( ゚д゚) 「……」
( ゚д゚) 「さっきの、吸血鬼にしてもそうだが――」
( ゚д゚) 「呪いのアニメが再生するパロディは、どれも部長の好みや、作風を反映したものとなっている。それは間違いないだろう」
(-_-) 「まあ、ね」
( ゚д゚) 「で……、部長のpixivを見る限り、あの人は銀魂系のギャグが好きなはずなんだ。”いつものこきゅーとす”なんてタグができるほどには」
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「にも、かかわらず」
(-_-) 「……アニメのほうでは、そういうギャグを一切やったことがない……?」
たとえば、部長のpixivにあった漫画――>>151『もしアルファベットが26個だけじゃなかったら』は。
ショボンが初めてZを手に戦いへ臨むあの瞬間に、なぜかZでなくアンノーンの「!」が入ってくるという、そういうギャグになっていた。
-
が、呪いのアニメのほうでポケモンパロをやったときは――半分寝ながら見ていたので記憶があいまいだが――
そういうギャグではなくて、チャンピオンを目指すドクオが四天王に立ち向かう、ごく普通の、真面目な話となっていた。
真面目にポケモンバトルをしていた。
全員アンノーンでそんな真面目なバトルされても反応に困るとしか言えないほどに真面目な話だった。
まあポケモンはポケモンで真面目にパロディがしたい気分だったとかそんなのでもいいのだが、
とにかく今まで見てきたパロディの中に、ギャグアニメというのは一切なかったのだ。
(-_-) 「……なんでだろうね?」
( ゚д゚) 「わからん。別に大した理由はないのかもしれんが……」
(-_-) 「そんなギャグはわざわざアニメにしてまで見るほどのものじゃない、とか」
( ゚д゚) 「まあ、なんであれ……こちらから内容を操作できるのなら、この機会に見ておこうかと思った。それだけだ」
そこまで言ってスクリーンに視線をやる。
ショボンはハンバーグランチを残して定食屋を出たところだったが、
こちらの話を聞いていたのだろう、すぐに画面の向こう――”こちら側”を見て、軽く笑った。
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『……だ、そうだ。は、機嫌が良いと言ったそばから随分厚かましくなったな?』
(´・ω・`) 『まあ、それも許してやるが。聞いたか? やつらはギャグが見たいらしい――』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
パチン、と大きく指を鳴らすと、画面が一度暗転した。
数秒ほど間があって、再びスクリーンに映像が映る――――
宇宙空間。
なんなのかよくわからない惑星をバックに、ショボンが浮いていた。
.
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(´・ω・`) 『……?』
(´・ω・`) 『おい、なんだこれは―――』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
戸惑った様子のショボンが疑問を口に――し終える間もなく、再び画面が暗転……
したかと思うと、突如DVDデッキが振動を始めた。
(-_-) 「……え?」
( ゚д゚) 「なんだ……?」
机の上に置いてあった携帯に着信が入り、
マナーモードにしていたせいでヴィィィィィンヴィィィィィンと音を立ててテーブルを滑っていく感じ――
あんな具合にデッキが振動していた。
このサイズの物体が携帯と同じように振動する様を初めて見た。
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´・ω・`) 『――――っは! はぁ、はぁ……』
(;´・ω・`) 『……なんだ!? 何が起きている!? なぜ今になってこん――っぐうっ!!』
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´・ω・`) 『――――ううっ……クソ、何をしている!』
(;´・ω・`) 『なんだ、何が不満だ!? おまえ、今まであんな……』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´・ω・`) 『……に、楽しんで、喜んでいただろう! それが……』
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´・ω・`) 『……れがなぜ、今になって!? なぜ今になってこうも――』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´・ω・`) 『――拒否する!?』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;-_-) (え、……え、え? これ何が起きてんの!?)
(;゚д゚) (わからん……!)
スクリーンが高速で点滅していた。そして点滅するたびに背景が変わっていた。
宇宙空間の次は砂漠、
砂漠の次は雲の上、
その次は深海、
その次は噴火する火山、
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´・ω・`) 『バ、……かな、なぜ!』
(;´・ω・`) 『今まで、今まで、とても、多くの……あれだけ、望んでおいて。あれだけ、喜んで、いながら……な……』
(;´・ω・`) 『……なぜ! なぜ、ここで、こうも、……俺は、まだ……もっと……』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
バグったゲームのようにわけのわからない風景が次々と流れていく。
そんな混沌の中、ショボンは苦しそうに胸元を押さえ、うずくまっていた。
うずくまって、憎々しげにうめき声を漏らしていた。
.
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(;´ ω `) 『う、っぐ……お、おおおおおお、おおおおおおおおぉぉ……』
(;´ ω `) 『だ、ダメだ、認めん、認めんぞ、そんな、そん……っ……』
(;´ ω `) 『――ああああああああぁぁぁぁああああぁぁぁあぁあ―――――――――!!!!』
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ヽ`
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...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐...
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
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`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
(;゚д゚) 「なぁ……!?」
(;-_-) 「おわ……っ!」
なんとDVDデッキが爆発した。
ディスクトレイのあたりが猛烈に火を噴いて木っ端みじんに砕け散った。
ヒッキーは爆風で天井に叩きつけられ、俺は咄嗟に机を盾にして事なきを得たと見せかけて机ごと壁に叩きつけられる。
-
(;-_-) 「あがががが…………」
(;゚д゚) 「痛……ぇ……」
べしゃりと床に落ちたヒッキーが悶絶しながら身を起こし、俺も机を押しのけて立ち上がる。
どうやらデッキの中のDVD-ROMも真っ二つになって飛び散ったらしく、
”パンドラ”が天井に、”の箱(部長)”が床に、それぞれ深々と突き刺さっていた。
(;゚д゚) 「……なんだ、今のは……」
(;-_-) 「……さ、さすがにデッキの故障じゃないのはたしか……なはず……」
o川;゚ー゚)o 『……』
当然ながらスクリーンにはもう何も映っていない。
半分に割れたDVD-ROM、爆発したDVDデッキ、なんかふわふわ浮いてる幽霊みたいな――
.
-
o川;゚ー゚)o (;-_-) (;゚д゚)
o川;゚ー゚)o (-_-;) (゚д゚ ;)
o川;゚ー゚)o (-_- ) (゚д゚ )
.
-
o川;゚ー゚)o 「あ、え……えーっと……あはは」
o川;゚ー゚)o 「た、ただい……ま? かな?」
(-_-)
( ゚д゚)
o川;゚ー゚)o
(((( o川;゚ー゚)o 「そ、そのー……えっと」
「ん? ん、んん? あれ?」 (((((((((( o川;゚ー゚)o
「あ、あー……えっと、今日のところは、いろいろと、じゃあその、これで! じゃあ!」 ((((((((((((( o川;゚ー゚)o ドシューン
.
-
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……」
幽霊のように透けてふわふわと浮いている部長の身体は、
どういう原理か知らないが、何かに引っぱられるように、爆風ですすけた窓のほうへと吸い寄せられていき――
そのまま窓をすり抜けて、空の彼方へと飛んで行った。
(-_-) 「……一応、あっち病院の方角……」
( ゚д゚) 「……」
そういうものらしかった。
.
-
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……」
真っ二つになったDVD-ROM、解放されて飛んで行った部長。
(-_-) 「……これで解決?」
( ゚д゚) 「……なんじゃ、ないのか?」
(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「……」
.
-
( ゚д゚) (-_- )
( ゚д゚) (-_- )
( ゚д゚) (-_- )
( ゚д゚ ) ( -_- )
.
-
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
.
-
その後のことを少しだけ。
( ゚д゚) 「……そういうわけで、なんとかなりました」
川д川 「……まさか、あれほどの力を持った呪いを……素人が、自力で、除霊してしまうなんて……」
川д川 「……素質、あると思いますよ……」
( ゚д゚) 「勘弁してください」
自力で除霊というかなんというか、俺の力ではないというか、
というかこの人に素質あるとか言われても嬉しくないというか、
とにかくいろんな気持ちが心の底から湧き出してきたので、俺は黙ってブツを手渡した。
( ゚д゚) 「それで、これがその……呪いのアニメ、が入っていたDVD、の残骸なんですけど……」
川д川 「ふむ……」
の箱(部長)とパンドラを手渡すと、霊能者(?)はそれをしげしげと眺め、つぶやいた。
-
川д川 「……大丈夫だと思います。呪いの気配は感じられないので……」
( ゚д゚) 「はあ、なるほど……」
川д川 「……けれど一応、念には念をで……」
川д川 「こちらのほうで、お焚き上げをしておきましょう」
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「お焚き上げ」
川д川 「ええ」
そう語る今日の霊能者は首から十字架を提げていた。
二度と関わらないようにしようと思った。
-
〜〜〜〜〜
川д川 「ああ、そういえば。後学のためにお聞かせ願いたいのですが……」
川д川 「……結局、部長の魂はどこに入っていたんです?」
( ゚д゚) 「……」
( ゚д゚) 「それは――――」
川д川 「……なるほど。私もまだまだ修行が足りないと」
( ゚д゚) 「いえ、そんな……そう外してもいなかったわけですし……」
川д川 「しかし……」
( ゚д゚) 「わからない世界というのはあるんです。オタクってのはそういうものです」
川д川 「オタク」
( ゚д゚) 「はい」
〜〜〜〜〜
-
部長はあの後何事もなく目覚め、身体に異常はなく、ごく普通にまた大学へ来るようになった。
逃げた部員たちも戻ってきたようだが、しかし学祭にショボ勝ちアニメを出すのは取りやめになったそうだ。
単純に、部長や部員たちが長期間部を離れていたせいで、学祭までに完成させるのが難しくなったというのもあるだろうし――
あんな経験をした以上、部長にもいろいろと思うところがあったのだろう、というのもある。
……というのはすべてヒッキーからの又聞き情報で、俺はあれ以来アニ研部の部室へ立ち入っていない。
pixivの代償というやつである。
( ゚д゚) 「……で?」
(-_-) 「……」
そんなわけだから、ヒッキーと改めて話をするのも大学の構内カフェだ。
二人用テーブルに向かい合って座る俺とヒッキー。
二人の間には、プリントアウトされた一枚のA4用紙。
.
-
( ゚д゚) 「”演劇部に声を当ててもらったキャラは、5人だけのはず”」
(-_-)
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「どの口がほざくか、どの口が」
爆発でめちゃくちゃになった部室をヒッキーと二人で掃除したとき、
俺は”ちゃんとしたキャスト表”を発見した。
ヒッキーが記憶を頼りに書き出したものではない、”正式な”キャスト表。
(;-_-) 「いや、いやさあ。待ってよ。一応さあ、あれじゃん」
( ゚д゚) 「……」
(;-_-) 「――”キャラ”は5人で合ってるじゃん、”キャラ”は!」
.
-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
( ^ω^) … 声:杉浦ロマネスク
(´・ω・`) … 声:ダディクール
( ^Д^) … 声:盛岡デミタス
( ’ t ’ ) … 声:レモナ
川 ゚ -゚) … 声:都村トソン
(,,゚Д゚) … 台詞なし
( ・∀・) … 台詞なし
<丶`∀´> … 台詞なし
ナレーション:鈴木ダイオード
キャスティング協力:私立VIPファイナル大学演劇部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
(-_-) 「俺だって別に収録の現場にちゃんと立ち会ったわけじゃないんだよ。出したキャラん中で声あるの誰だったかなーって考えたら5人だったってだけで……」
(-_-) 「……っていうか、向こうは声いじくれるっていうのわかってるからさあ。ナレーションの声もどうせ勝手に作ってんだろうなって思っちゃって……」
( ゚д゚) 「キャラ、か……」
( ゚д゚) 「……まあ、考えてみれば不思議なものだな、”ナレーション”というのも」
キャスト=声を当てている人はいるが、しかし登場人物というわけではない。
ナレーションの声は登場人物たちには聞こえない。
ナレーションの声は画面の前の視聴者に向かって発されているものだ。
アニメを二次元、現実を三次元とすれば、ナレーションはそのどちらでもない――
( ゚д゚) 「2.5次元の存在とでも言おうか」
(-_-)
( ゚д゚)
(-_-) 「2.5次元はなんか違わない?」
( ゚д゚) 「俺も言ってから思った」
-
それはともかく。
( ゚д゚) 「ナレーションというのは、”アニメの登場人物”と”現実の視聴者”の間に存在するもの……」
( ゚д゚) 「アニメの内側にある存在……なのは確かだが、しかし。アニメの登場人物たちとは、違う階層に位置している。そういうものだ」
(-_-) 「そして、ナレーションには力がある……」
( ゚д゚) 「そう」
「石田三成は関が原で敗死」とナレーションが言えば、石田三成が実際に戦で負けるシーンを写さずとも、
石田三成は負けたという事実が作られ、そのまま物語が進む。
「太古の昔この国では戦争があって人類は滅亡の危機に瀕した――」とでもナレーションが言っておけば、
その大戦争を実際に写さなくても、「これはそういう設定の世界なのだ」と理解することができる。
ある程度、物語をコントロールする能力が、ナレーションには備わっている。
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( ゚д゚) 「物語の、アニメの内側にありながら。物語をいくらかコントロールする能力を持ちながら……」
( ゚д゚) 「キャラクターたちと直接の接点を持つことはない。部長からしてみれば、”完璧な”ポジション――そこに部長は入り込んだ」
(-_-) 「あー。『いないと言えばいないし、いると言えばいる』ってそういうこと……」
( ゚д゚) 「だろう。俺たちが見たすべての話にナレーションがあったわけではないが……」
(-_-) 「その気になればいつでもナレーションは付けられるってこと?」
( ゚д゚) 「おそらくは」
(-_-) 「はー……」
ヒッキーは大きくのけぞって、椅子の背もたれに体重を預けた。
かと思うとすぐ戻ってきて俺に問う。
(-_-) 「……いや、それはわかったんだけどさ」
(-_-) 「結局、俺らはなんで幽霊退治できたわけ? なんでDVD勝手に爆発したの?」
( ゚д゚) 「その理由は……、まあ、ただひとつ」
( ゚д゚) 「部長が筋金入りのオタクだったからだ」
(-_-) 「は?」
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( ゚д゚) 「あのとき、俺はギャグを見せてくれとリクエストした」
( ゚д゚) 「部長がpixivでよく描いている、”いつものこきゅーとす”とタグがつけられるような……そういうギャグを」
(-_-) 「pixivではよく描いてるけど、アニメでは一回も見なかった……」
( ゚д゚) 「そう。それがなぜかという話」
呪いのアニメが再生するパロディは、部長の好みや作風を反映している。
と、なると――
( ゚д゚) 「ややメタな要素も織り交ぜた、楽屋裏じみた雰囲気のギャグ作品。それが部長の好むギャグだ」
( ゚д゚) 「つまり、その作風をアニメで反映してしまうと――――」
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『掲げられた。
形が、はっきりと見えt
(´・ω・`)「待って」
(;‘_L’)(あれが……Z……!!)
『思わず、身が震えた。
自分の何が、体を震わせたのかは、分からなかっ
(´・ω・`)「いや普通に話進めようとすんのやめてよ。おかしいでしょこいつ」
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(‘_L’)(……相手のアルファベットがなんであろうと、関係ない……!)
『戦うしかない。
ショボンを、討ち取るべk
(´・ω・`)「いやだからさ、当然のように進めんのマジでやめて?」
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( ゚д゚) 「――どうしても、こういうのが出てくる。その可能性がある」
(-_-) 「……あぁー……。なるほどね……」
( ゚д゚) 「そうなるだろう自覚があって、それが許せなかったから、一度もギャグはやらなかった」
(-_-) 「”キャラクターが、ナレーションの存在を認識している”……」
『ナレーションの言葉を遮るショボン』。それはつまり、
本来登場人物には聞こえないはずのナレーションの言葉が、
登場人物の耳に届いてしまっている、ということで。
マジックミラーで隔てられているはずの『登場人物』と『ナレーション』が、接触してしまう。
それに耐えられなくて彼女の世界は崩壊した。
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( ゚д゚) 「どうしても許せなかったんだろう。『ただ見守りたいだけ』、『三次元の我々が二次元に干渉するなどおこがましい……』」
( ゚д゚) 「そのこだわりが許さなかった。たとえナレーションとキャラクターという形であっても……」
( ゚д゚) 「『二次元世界のキャラクターが、三次元出身の自分という存在を認識し、話しかけてきている』という、その状況が」
(-_-) 「こだわりかあ。なるほどなー……」
(-_-) 「……え、じゃあ部長ってなに、自分のこだわりだけで呪いぶち破って出てきたってこと?」
( ゚д゚) 「そういうことになる」
(-_-) 「ひえー……。おっそろしいね、恐ろしくめんどくさい」
ヒッキーは大きく息をついて、冷めかかったコーヒーに口をつけた。
俺もそれに倣い紅茶のカップを取る。
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(-_-) 「……」
( ゚д゚) 「……」
(-_-) 「……で?」
( ゚д゚)
( ゚д゚) 「で? ……とは?」
(-_-) 「いや、この話これで終わりなの?」
( ゚д゚) 「これで終わりって、これ以上まだなにかあるのか」
(-_-) 「や、ないけどさ。ないけど……その、なんていうの?」
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(-_-) 「もうちょっとカッコよく〆られない?」
( ゚д゚) 「無理だろ」
オタクはただただ面倒臭い。
〜おわり〜
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目指したもの … ゆるい謎解き
実際に出来上がったもの … これ
アルファを勝手にこんな使い方したことについて … 本当にすいませんでした
まさかもらえるとは思ってなくて「マジか」って声が出た支援絵 … 本当にありがとうございます>>175
大正解 … >>173
ここまで本当にありがとうございました。
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完結乙
ナレーションは完全に眼中になかった
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乙乙
予想外れた残念
しかし部長というかオタクのこだわりすごいな
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乙 超面白かった
ネタができたらまたこういうオタクオカルトゆるミステリー書いてほしいな
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ナレーション真田丸パロとかのあたりにしかなかったからないもんだと思ってたよ!なんか悔しい!
面白かった!
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乙、やはりナレーターだったか。
部長になるくらい"作り手"側のオタクならキャラになりきるよりもそっちだろうなと思った。
部長復帰後のエピローグまだー?
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乙ー!
ふたりの掛け合いが楽しかった
オタクってほんとメンドクサいなぁ
でもキュートの気持ちも分かる
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乙!
ナレーション説当たった!
なんか嬉しいwwwww
キートン山田に感謝だぜ
緊張感あるんだかないんだかわからん掛け合いとゆるゆるミステリー面白かったぜ!
また書いてくれ
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すっごい面白かった
久々に戻ってきて、この話が読めて良かった。
やっぱブーン系は良いものだ。
おつ。
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今回面倒くさい腐女子のこだわりだったけど、オタクの書き方が上手いので、面倒くさいガノタのこだわりとか、面倒くさいエロゲーマーのこだわりとか、面倒くさい夢女子のこだわりとかもっとオタクのこだわりによる怪奇読んでみたいな
特に夢女子の超独特な文化による怪奇事件はヤバそう
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