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蒼い春

1 : ◆NvOkgxPxFw :2016/04/03(日) 20:27:08 cHnDGMZU0
希望.mlt


2 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:27:39 cHnDGMZU0

        ______
  ♪ \  |「 ̄ ̄ ̄ `||`l / ♪
   ─   || ォ゚゚゚Πへ.:|| :|  ─
    /  |L二二二ニ!| ;| \
       | ̄ ̄| ̄ ̄|~::|
       |__|__|/   ♪


(*゚ー゚)「…………」 ジィーッ

 ガチャッ

ミセ*゚ー゚)リ「お姉ちゃーん! そろそろご飯だよー!」

(*゚ー゚)「……」テレビジィ〜〜〜ッッ!

ミセ*゚ー゚)リ


ミセ;*゚ー゚)リ「……お姉ちゃん、またライブの録画見てるの?
       って、しかもまた同じ曲のとこを……」

(;*゚ー゚)「……えへ。大好きだから、つい」


3 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:31:24 cHnDGMZU0


ミセ*゚ー゚)リ「……まあいいや! お姉ちゃんのツンちゃん大好きっぷりは家族全員知ってるし!」

ミセ*゚ー゚)リ「あと20分くらいでライブ終わるでしょ? お父さんの料理、それまで足引っ張っとくね!」

(;*゚ー゚)「あ、いいよ。これ聞いたら行くから!」

ミセ*゚ー゚)リ「そう? んじゃ、先いってるね!」

 ガチャッ!


< 〜♪♪♪


(*゚ー゚)「…………」

(*゚ー゚)「……見つめる度に、鮮やかに遠ざかるー」



| ドア |*゚ー゚)リ チラッ


(*゚ー゚)「……私の……夢の始まりが……」


ミセ*゚ー゚)リ「……踊らないの? 踊れるのに」

(;*゚ー゚)「ッ!? こら、コノッ!!」

ミセ*゚ー゚)リ「早くしてよね〜!!」スタコラサッサー

(;*゚ー゚)「……まったく、ミセリはもうっ!」

(*゚ー゚)


(*゚ー゚)「……」


.


4 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:32:29 cHnDGMZU0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


≪1階 リビング≫


ミセ*゚ー゚)リ「――でね、友達がね」

('A`)「うんうんすげえすげえ」 パクパク


\ミセ;*゚Д゚)リ/ 「もうすっごいパフェ食べるの! スゴクない!?」

('A`)「おうすげえ。やっぱすげえよミセリは」 モグモグ

ミセ;*゚Д゚)リ「でしょお!? いや私の話じゃないんだけども」

( 'A`)σ「それより食えよたんまりと。パフェよりうめえ俺のメシを」

ミセ;*゚ー゚)リ「ってかお父さん私の話聞いてた?」

('A`)「ミセリ、愛してるぞ」

ミセ*゚ー゚)リ


ミセ*^ー^)リ「えへへ私もパパ大好き〜〜」スリヨル

ヘ('A`)ヘ 「おうおう撫でてやろう。それはもう犬猫を撫で回すようにな」 ナデナデ


(;*゚ー゚)「……ミセリ、はしたないよ。パパも止めて」

('A`)「だとよ。だから俺は言ったんだ、俺のメシを食えと」

ミセ*゚ー゚)リ「は〜い! ……改めて、いただきます!」

.


5 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:34:13 cHnDGMZU0


〜〜食後〜〜



ミセ*´ー`)リ「フィー食べた! ミっちゃんは満足なり」

(*´ー`)「うむ。おいしかったねえ」


('A`)「おうおめえら。デザートのお時間だぜ」 コトッ

('A`)「パピー特製のプリンだ。しっかり食えよな、カロリーなど気にせずに」


       + キラン
.      廿
ミセ*゚Д゚)リ∩ 「ふおお!! 我が家の至宝、パピーのプリン!!」

ミセ*゚Д゚)リ「略してパピプリン!! いただきやす!!」パクモグ!

(;*゚ー゚)「パピプリン来た!! はやく、私にもッッ!!」

('A`)「おう、しぃにはこっち。進学祝いのスペシャルパピプリンだ」 ドンッ!


  テテーン
   ヽ__    ミセ;*゚Д゚)リ「うわっ!! めっちゃすごい!!」
    |・∀・|
  へ|__|>    (;*゚Д゚)「ぜんぜんプリンに見えないッッッ!!」
       )
           ('A`)「あいにくスペシャルなもんでな。へへっ」


6 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:35:20 cHnDGMZU0


ミセ;*゚Д゚)リ「パピー凄い!! 写真とろ」 パシャパシャ
   つ〔〕

('A`)「しぃ、進学おめっとさん。おめえが頭の良い子で助かってるぜ」

   + キラン
('A`) 「お小遣いアップ、期待してくれよな」

(;*゚ー゚)「本当に!? どれくらい!?」

('A`)「……毎月、プラス、2000円ッッッッッ」

ミセ*゚ー゚)リ

(*゚ー゚)




ミセ;*゚Д゚)リ「アアッ?! なんつー高額アップじゃ!?」

(;*゚ー゚)「……いいの? いいの!?」

('A`)「うちが財政難に見えるかよ。上手く使え、この金を」

(;*゚Д゚)「ふお、おおおお〜〜〜」


(;*゚ー゚)「お父さん、ありがとうッ!」 ギュッ

)'A`) 「へへ。参ったな」

ミセ*゚ー゚)リ「便乗っ!」 ギュ〜

)'A`( 「まったくよ、この調子なら今度は抱き枕をプレゼントしねえとな」


7 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:36:30 cHnDGMZU0


ミセ*゚ー゚)リ「――そいじゃま更に改めまして、いただき」

(*゚ー゚)「待った! スペシャルパピプリン、ママにも見せてあげなきゃ!」トテトテトテ
 つ皿と


ミセ;*゚ー゚)リ「……あ、そうだね」


('A`)「……」


.


8 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:37:10 cHnDGMZU0


≪1階 仏間≫


 スゥー(ふすまを開ける音)

 ストンッ(ふすまを閉める音)


(*゚ー゚)「よいしょっと」

(*゚ー゚)「仏壇にパピプリンを置いて、っと」

(*゚ー゚)


(*゚ー゚)「ママ、ドクオさんが作ってくれたパピプリンだよ」

(;*゚ー゚)「どんどん、なんか……造形が意味不明になってく……」


(*゚ー゚)「……前も言ったけど、いいとこに進学できたよ。
     あと、なんだろう。言ってないこと……」

(*゚ー゚)「……頑張る。そのくらいー……かなっ!」

(*゚ー゚)「……」


(*゚ー゚)「……また来るね。おやすみなさい、ママ」


 スゥー(ふすまを開ける音)

 ストンッ(ふすまを閉める音)


9 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:37:50 cHnDGMZU0


━━━━━━━━━━━━━━━━


≪夜中 しぃの部屋≫


 …コンコン


(*´ー`)「……ん」


<…寝てるか?ちっと話がある


(*゚ー゚)「……お父さん……?」

<入っていいかい 悪いな


(*゚ー゚)「うん。ちょっと待って、起きるから」 スクッ


 カチッ(電気をつける音)

(*゚ー゚)「どうぞ〜」

 ガチャ

('A`)「おう、悪いな」

(*゚ー゚)「いいよ。まだ早いし」

( 'A`)「入るぜ……」


10 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:38:31 cHnDGMZU0


('A`)


(*゚ー゚)

('A`)

(*゚ー゚)


('A`)

('A`)

('A`)


(;*゚ー゚)「……」

('A`)「……」


('A`)


('A`)「……すまん。コミュ障なんだ。なんか聞いてくれ」

(;*゚ー゚)「……何の、お話?」


('A`)「……おう。ちっと、湿っぽい、真面目な話だ」


(*゚ー゚)「……うん。そういう時のお父さん、本当に分かりやすい」

('A`)

(;*゚ー゚)「すごいコミュ障になるから……」


11 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:39:47 cHnDGMZU0


('A`)「……中学よ、わざわざ、いいとこに行かなくてもよかったんだぜ」


(*゚ー゚)「……見てたでしょ。私、自分で決めたよ?」

('A`)「……子供に気を遣われる親ってのは、案外しんどい……」


(*゚ー゚)「……謝らないよ、決めたから」

('A`)「……ま、今更だけどな。入学式は来週だ。俺もついて行くよ」

(*゚ー゚)「……」


( 'A`)っ「……これ、やるよ。明後日、ここでライブがある」

(;*゚ー゚)「……え? これって、……アスキー学園のゲストチケット?」


('A`)



('A`)「……おめえはアイドルにならない道を選んだ。
   そんなおめえに、このチケットを渡すか、正直迷った」

('A`)「アイドル養成学校、アスキーアート学園。
    勉強漬けで見学にすら行かなかったんだ。一度くれえ、と思ってな」

(;*゚ー゚)「え、でも、私は……」


('A`)


('A`)「……ダメな親でごめんな。チケット、好きにしてくれ。
    ダメだな、俺の方がなんか、未練がましい……」


12 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:40:40 cHnDGMZU0


(*゚ー゚)「……ううん。ありがとう」

('A`)

(*゚ー゚)「チケットもらうね。行ってくるよ」

('A`)「……悪いな。年甲斐もなく、ワガママを言って」

(*゚ー゚)「……お互い様だよ。お母さん、怒ってるんだからね」

('A`)「……おう。んじゃ、俺はもう寝るぜ」

(*゚ー゚)「うん。おやすみなさい」


 ガチャ バタン…


(*゚ー゚)「……やれやれ」


(*゚ー゚)「アスキーアート学園、か」

(*゚ー゚)「……一度きりの学園祭だ。へへ……」


 カチッ(電気を消す音)


 (そしてしぃちゃんは寝る)


13 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:41:06 cHnDGMZU0











.


14 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:41:49 cHnDGMZU0



 ――翌々日 早朝


ζ(゚ー゚*ζ「ほっ、ほっ、ほっ……」


 アスキーアート学園の一日をジョギングで始める生徒は多い。
 学園指定ジャージに身を包む少女・デレもまた、その一人であった。


ノパ⊿゚)「ファイトオオオオオオオオオオオッッ!!」

川 ゚ -゚)「おー」

 デレの後ろを走る二人もまた、その一人であった。(?)


ζ(゚ー゚*ζ「ほっ、ほっ、ほいっと! 二人とも、そろそろ上がる?」

ノパ⊿゚)「走るの飽きたぞオオオッッッ!!」

川 ゚ -゚)「もう七時だし、丁度いいな。ここからは歩いていこう」

ζ(゚ー゚*ζ「オッケー。お疲れさま〜」


 (以降テクテクシーンのため、地の文は休憩)


15 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:43:20 cHnDGMZU0


ζ(´ー`*ζ「あー疲れた。ちょっと疲れた」テクテク

ノパ⊿゚)「私は全然疲れてない……消化不良、不完全燃焼だッ!!」テクテク

川 ゚ -゚)「アホかヒート。本番は昼のステージ、今から疲れてどうする」テクテク

ノハ;゚⊿゚)「……そうだったアッッ!!」テクテク

ζ(´ー`*ζ「アホだねえ」テクテク

川 ゚ -゚)「ねえ」テクテク

ノパ⊿゚)「ちくしょう……」トボトボ....


                             
              /◎)))          
             / // |  ウイイイイイイイイイイン!
            / //  |
           ,/ //   .|
          / //   |
         ,/ //.    |
         / //     |
        ,/  //  ━━○=○
    ( ゚∀)/  //       ||
   | / つ¶_//_     ○ニ○
   L ヽ /. |  |   
   _∪ |___|_|   
   [____]_]           ζ(゚ー゚*ζ「ステージも絶賛組み立て中だねえ」
 /  A A 屋  _ヽ    
 |______|_|          (゚- ゚ 川 「なかなか大きいね。悪くない」
/◎。◎。◎。◎。◎ヽ= / ̄/
ヽ_◎_◎_◎_◎ ◎ノ=ノヽニヽ      ノハ;゚⊿゚)σ「あっち! あっちに大きい鳥が居るぞ!?」

                      ζ(゚ー゚*ζ「でも、これが具体的にどこら辺の部品なのか、全然分からないね……」


16 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:44:33 cHnDGMZU0


ζ(゚ー゚*ζ「今年はどんな子が来るのかねえ」テクテクテクテ

川 ゚ -゚)「さあ。でも、予想できない方が楽しい」クテクテクテク

ζ(゚ー゚*ζ「ふふ。そうだねえ、きっと今年も楽しくなるよ」テクテクテクテク


ζ(゚ー゚*ζ「新入生の子達もきっと、楽しい気持ちでいっぱいだよ!
       だからさ、私達もいっぱい頑張ろうね! 次の子達に誇れるように!」テクテクテーッ

川 ゚ -゚)「分かっているさ。私も奴らの 『ドギモ』 を抜いてやるつもりだ」テクテク

ノハ;゚⊿゚)σ「え、なんで二人とも見ないんだ!?
       あんな大きな鳥っ……あ行っちゃう!! あーーー!!」テクテクテク

ζ(゚ー゚*ζ「それに私だって期待してるんだからね?
       去年のユニットフェスで大活躍した二人にはさ」テクッテクッ

川 ゚ -゚)「……ふん。ツンと組んで優勝した奴に言われるのは悔しいな。
     今年こそは追い抜く。ツンにも言っておいてくれ、次こそはと」テクテクテクテク

ノハ#゚⊿゚)「うおおお!! なんか知らんけどうおおおお!!」テクーッ テクーッ


17 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:48:06 cHnDGMZU0


ζ(´ー`*ζ「……そうだねえ。次こそは、だねえ」テクリンテクリン

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「……やはり、決断は変わっていないのか?」テクトコテクトコ

ζ(´ー`*ζ


ζ(´ー`*ζ「……今日のライブは、ちょっと盛り下がるかもねえ」トコートコートコー

川 ゚ -゚)「……まったく。とんでもないお姫様だよ、あいつは……」トコロ コトコト

Σノハ;゚⊿゚)σ「ああーッ! また鳥だ!! 今度はいっぱいだ!」


.


18 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:48:38 cHnDGMZU0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


≪午前10時 アスキーアート学園 校門前≫


 ようやく学園が一般に開放され、人混みがずつ門の向こうにとけていく。
 今日のライブを楽しみにしていた人達は、コミケ入場列のような長い列を成していた。

 そんな長蛇の列の大体真ん中あたりで、もがく少女が二人――


ミセ;*゚Д゚)リ「にっ人間まみれだね! お姉ちゃんッ!」

(;*゚ー゚)「ね! はぐれないようにね、手ちゃんと繋いでようね!」

ミセ;*゚ー゚)リ「ね! こ〜りゃ凄い! ひえええ!」


(;;^ω^)ノシ 「押さないでくださぁい! まだライブまで時間はありまぁす!
        座席も十分ありまぁす! ご協力おねがいしまぁす!」

(;;^ω^)ノシ 「おねっ、お願いだおーッ! お願いだおーッ!」


ミセ;*゚ー゚)リ「……あの人だけでこの列を整理するの、無理だよね」

(;*゚ー゚)「うん……。まあ、そこまで列も荒れてないし、大丈夫だよ」


19 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:49:03 cHnDGMZU0


〜〜〜〜なんやかんやで入場後〜〜〜


 校門前 噴水広場



ミセ;*゚Д゚)リ「ここがアスキーアート学園! 財力を感じる……」
   つ〔〕 パシャ

(;*゚ー゚)「すごい、財力を感じる……」

ミセ;*゚ー゚)リ「どっから回る、どっから回る!?
      敷地内、ほとんど解放されてるんだよ! すごいよね!!」

(*゚ー゚)「凄い、ここが……」



「――おほん! お二人さん、ハローハロー」


(*゚ー゚)「?」クルッ

ミセ*゚ー゚)リ「……私達?」クルッ


.


20 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:50:00 cHnDGMZU0


ハハ ロ -ロ)ハ 「――イエス! ザッツライト!!」


(;*゚ー゚)「……晴峰ハロだ」

ミセ;*゚Д゚)リ

ハハ ロ -ロ)ハ「それもイエス! 知っててくれてありがとうネ!」


(;*゚Д゚)「晴峰ハロだーーーーー!!」

ミセ;*゚Д゚)リ「うわあ、本物だあ!」
   つ〔〕 パシャパシャ


〜ひとしきり興奮した後〜


ハハ ロ -ロ)ハb 「今日は年に一度の歓迎ライブ!
         手の空いてる生徒は、こうしてゲストの案内をしているネ!」

(*゚ー゚)「まじかーまじかーあのハローさんに案内してもらえるのかーこわいなーこわいなー」

ミセ*゚ー゚)リ「おねおねおねおねちゃああんおつついて」ガクガクガkガgクガクカジョバー゙クガク

ハハ;ロ -ロ)ハ「……とりあえず、落ち着ける場所に行った方がよさそうだネ」

         ヒャッホー
三三三┏( ^o^)┛<移動シーンはカット!


21 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:50:43 cHnDGMZU0



 ――――女子寮 フラワーガーデン


 一面に広がる薔薇やらチューリップやら何やらの花!

 作者の花知識が貧困なため詳しい描写はできないが、立派なお花畑がある!


ミセ*゚ー゚)リ「……すご……」
  つ〔〕 パシャ

(*゚ー゚)「……なんだか、落ち着いてきました……」

ミセ*゚ー゚)リ「花に対してチョロすぎる私達だね……」


ハハ ロ -ロ)ハ「ここは学園自慢のお花畑! あっちに座れるトコがあるから行きましょう!」テクテク

ミセ*゚ー゚)リ「いいなあアスキーアート学園! こんな素敵な場所があるなんてさ〜」トコトコ

ハハ ロ -ロ)ハ「ハハハ!!」


ハハ;ロ -ロ)ハ「……それがそうとも言ってられなくて、花粉症には少々厳しい環境デス……」テクテク

(;*゚ー゚)「世知辛いですね……」テクテク

ハハ;ロ -ロ)ハ「アイドル、そういうものデス……」テクテクテク

.


22 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:51:21 cHnDGMZU0







 ――――ふと、どこかから歌が聞こえてきた。




.


23 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:51:46 cHnDGMZU0


ハハ ロ -ロ)ハ「……おっと。先客というか、常連さんが居ますネ」トコトコ


 その歌は、しぃが一番よく知っている一曲――


ミセ;*゚ー゚)リ「……これ、蒼い春だよね?」トコトコ

(;*゚ー゚)「……」トコ トコ


ミセ;*゚ー゚)リ「しかもこの声、って……」トコトコトコ

ハハ ロ -ロ)ハ「……ホントはシークレットなんだけど、ラッキーって事でGO!」トコトコ



ハハ ロ -ロ)ハ∩ 「ヘーーイ!! ツンデレガール!!」



 淡いピンク色のベンチに座って、そよ風に金髪ツインドリルをなびかせる少女――


 しぃは、その少女の事を、きっと、誰よりも――――


.


24 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:52:25 cHnDGMZU0




ξ ⊿ )ξ「――――……今日も、またー♪」


ξ-⊿-)ξ「私の夢に……――――♪」




(;*゚ー゚)「……ツンちゃん……」


ミセ;*゚Д゚)リ「ほげ、ほ、ほんものだよーっ!」ヒソヒソ

ハハ ロ -ロ)ハ(……ふふ。もうちょっと歌わせた方がサービスになるネ)



ξ゚⊿゚)ξ



ξ-⊿-)ξ「……お疲れさま、ハロー。新入生?」

ハハ ロ -ロ)ハ「おっと。もう歌わないです?」

ξ゚⊿゚)ξ「……歌わないわ。知ってるでしょうに」

ハハ ロ -ロ)ハ「……新入生じゃないけどゲスト。アイドル好きの姉妹だよ」


25 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:53:08 cHnDGMZU0


ミセ;*゚Д゚)リ「おげ、志ヶ谷ミセリです! 写真いいですかっ!」
   つ〔〕 ソワソワ

ξ゚ー゚)ξ「……うん、いいよ。こっちおいで」

ミセ;*゚Д゚)リ「や、ヤッター!!! わーーー!」どてどてどて

ミセ;*゚Д゚)リ「お姉ちゃんも入って! 家宝誕生の一枚に加わって!」プルプルプル......


(;*゚ー゚)


ミセ;*゚ー゚)リ「……お姉ちゃん? 気絶してない? 大丈夫?」


26 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:53:57 cHnDGMZU0


(;*゚ー゚)「………………」


ξ゚⊿゚)ξ「……貴方は来ないの? 隣、まだ空いてるよ」


(;*゚ー゚)「……年内にアイドルを辞める」

ハハ ロ -ロ)ハ

(;*゚ー゚)「っていう噂は、本当ですか……?」

ξ゚⊿゚)ξ


 風が止み、静かになる。

 今はお祭り騒ぎの筈なのに、遠くにある喧騒は、さらに遠くに離れていった。
 しぃとツンの視線は固く結ばれ、しばらく微動だにしなかった。


(;*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ「……ええ、本当よ。それも年内じゃなくて、今日のライブで発表する」


Σミセ;*゚Д゚)リ「ど、ドゥエーーーーーーーーーーーーー!??!?!?!?」ドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエ

ハハ;ロ -ロ)ハ「アーア、言っちゃった」アチャー

(;*゚ー゚)「……噂は本当だったんですね。でもどうしてっ……!」

ξ゚⊿゚)ξ「……うーん。そうだねえ」

 しぃの問いに、ツンは困ったような微笑みを見せた。

.


27 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:54:49 cHnDGMZU0


ξ゚⊿゚)ξ「……ねえ、貴方はアイドルになりたいって、思ったことはない?」

(;*゚ー゚)「え、私が……?」

ミセ;*゚Д゚)リ∩「わたしある! すごい楽しそう! 印税!」


ξ゚ー゚)ξ「……どうかな。ここに来るくらいなら、一回くらいあるよね」

(*゚ー゚)「……は、はいっ。あります、けど……」

ξ゚ー゚)ξ「なら、どうしてアイドルを目指さなかったの?」

(;*゚ー゚)「…………」

ハハ ロ -ロ)ハ「ヘイ。トップアイドルがそれ言ったら威圧だゼ」


ξ゚⊿゚)ξ「ごめんね。でもね、私にとってさっきの質問と今の質問は同じなの」

(;*゚ー゚)


(;*゚ー゚)「……わ、私ッ! ツンちゃんにアイドル辞めてほしくないです!!」

 言葉に詰まったしぃは、前のめりになって思ったことを口にした。
 一端のファンに言えることはこれしかないと、彼女は分かっていた。


28 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:55:31 cHnDGMZU0


ξ゚⊿゚)ξ「……うん。ありがとう。お昼のライブ、見に来てね」

 だが、ツンちゃんは軽く受け応えて席を立った。

ξ゚⊿゚)ξ「リハに戻らなきゃ。写真、あとで撮ろうね。
       終わったら楽屋に来て。ちゃんと通すから」

ハハ ロ -ロ)ハ「……ったく、律儀なヤツだぜ……」


(;*゚ー゚)「……」

::ミセ;*゚Д゚)リ:: 「ヤメーッ! 辞めるってーッ!! うそだァーッ!!」ワナワナ

ハハ ロ -ロ)ハb 「――ハハハ! 大丈夫ネ!!」ビシッ!

ハハ ロ -ロ)ハ「ツンはステージに帰ってくるネ!
       結局あの子はツンデレなのヨ! 大丈夫ッ!」

ハハ ロ -ロ)ハ

ハハ ロ -ロ)ハ「……ただ少し、距離を置きたいだけなのネ……」

ミセ;*゚Д゚)リ「……え、なにと、ですか」

ハハ ロ -ロ)ハ


ハハ ロ -ロ)ハ「きっと、『風桐ツン』から、少しだけ……」


.


29 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:57:15 cHnDGMZU0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


≪アスキーアート学園 ライブ会場内≫


 ざわざわ        ざわ・・・
       ざわざわ


ミセ;*゚ー゚)リ「あー始まる、始まるよぉー」

(*゚ー゚)「うん」

ミセ;*゚ー゚)リ「そわそわするね! トイレ大丈夫!?」

(;*゚ー゚)「さっき行ったよ!? ほら、もう始まるから――」


 バッ(照明が落ちる音)


( ^ω^) !?

('A`) !?


 デレレレレレレレレレ(ドラムロール)


 『――レデース、エーン、ジェントルメェーーン!!』


ミセ;*゚ー゚)リ「うおあキタッ!! ああーーーー!!」ドキドキ!ドキドキ!!

(;*゚ー゚)「……」ヒエー


.


30 : 名無しさん :2016/04/03(日) 20:58:50 cHnDGMZU0


 暗転した会場内。そこに響き渡った司会兼アイドルの声。
 ざわめきは途端に失速し、観客達の目は暗いステージの方に集中する。

 カッ!(ステージに一点のライトが!)

ミセ;*゚ー゚)リ「ああっ! ほら、あれ!」

(;*゚ー゚)「ハローさんだっ」


ハハ ロ -ロ)ハ

 照らされ出したその場所には、見知った顔のアイドルがマイクを持って立っていた。


ハハ ロ -ロ)ハ 『ハロー! 司会進行、晴峰ハローデス!』

ハハ ロ -ロ)ハ 『今回のライブ、前置きはナシッ! まずは一曲!』

 デレレッ レーレン ズデデデデデデデデ・・・(イントロ)

ハハ ロ -ロ)ハ 『ご存知学園のビッグスター!
       タッグを組んで早一年、急成長して大活躍の、超新星スーパーユニット!!』


 カッ!(ライトが点く!)(白い衣装だ!)

ノハ ⊿ ) 川  -゚)


ミセ;*゚Д゚)リ「うお、うおおおおおお!! キタ、バニブリ、ああ!_?」


 『バーニングブリザードの二人で、≪サザンクロス×ディストーション≫からだ!』


.


31 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:00:19 cHnDGMZU0

 イントロの最中、二人はステージの左右に散って互いに熱い視線を送りあった。
 ユニット代表曲であるこの曲は二人の個性のぶつかりあい、能力バトル物のような一曲!
 客にしてみれば「こんな序盤にバニブリを!?」と言いたくなるような、死ぬほど燃える一曲であった!!

 デッデーデデデン ズデデデデデデデ――!
             デデデデデデデ――!
                デデデデデ――!

 鼓膜を横殴りにするような爆音ドラム!
 それが一瞬の静止、静寂――

ミセ;*゚ー゚)リ「来るぞ・・・鳥肌注意・・・」

 ステージ上が真っ赤に染まり、エレキギターが産声を上げる――ッ!!

 ギュイッッッッ

ノハ#゚⊿゚) 『HEY! ここで逃げる訳がねえ!』

 デッデー

ノハ#゚⊿゚)『まだまッ・・・だ、まだ! 走り足りねえ!』

 爆発する歓声――熱狂は拡散するッ!!!


32 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:00:57 cHnDGMZU0


 ポロロ〜ン ポロロ〜ン(悲しみを表現)

 だがしかし、その熱量に反するはグランドピアノの冷たい旋律だった。
 ステージは青一色に! 躁鬱のような曲!

 曲調は一気に地の底へ――!


川  - ) 『――ずうと立ち止まった足が、今も動かない』

川  - ) 『悩み苦しみ、ここに残り、安心していた、自分を見つける―――』

川  - ) 『ああ、辛く苦しい悩みで、本当の自分を誤魔化している――――』


 なんという歌声! かなしみ!
 だが! 直後に曲は一転する!

 再び赤いライトが注がれ、ステージは赤と青の二色に分かれた――!


ミセ;*゚Д゚)リ「スゲー!! ワー! ウオアアアアア」

(;*゚ー゚)「……きれい……」


.


33 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:01:22 cHnDGMZU0


ノハ;>⊿<)『――ッッ!!』

 熱く叫び上げる素直ヒート!

川 ゚ -゚)『――――』

 それを冷たくいなし、かわす素直クール!

 決して交わらない二人の歌声は、この曲の最後、ほんの一瞬交差する!
 後ろの楽器が、とても曲の一部とは思えないひずみに吸い込まれて消え去り――


ノハ#゚⊿゚)『――だけど、決して!』

川  -゚)『人の言葉では終わらない――』

ノハ#゚⊿゚)『アタシは――』

川  -゚)『私は――』

 ドンッ ズデデッ



ノハ#゚⊿゚)『――ただ真っ直ぐ! 前に向かって転がり落ちていく――――!!』

      『――ただ真っ直ぐ、私の言葉を信じていく――――』 川 ゚ -゚)


 音楽が止まる……会場が静まり返る。
 二つの答え、二人の在り方。観客の胸の内でぶつかりあったそれは、すぐさま大歓声に変貌した!


34 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:02:09 cHnDGMZU0


「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!」 「めっちゃ尊い・・・」
 「ぴぎゃあああああああああああ!!!」
                    「■■■■■――――ッッッッ!!」
 「ありがとーーーーーー!!」

ミセ;*゚Д゚)リ「カッコイイーーーー!! ヒートちゃーーーーーー!!」


ノハ;゚⊿゚)ノシ 「・・・あー疲れた」

川 ゚ -゚)ノシ 「大変だよな、ヒートは」

ノハ;゚⊿゚)ノシ 「まあ、今日のラストを考えたらこれでも足りねえけどな……」

 歓声に笑顔で手を振り、ステージから消えていく二人。
 それと入れ替わり、ふたたびハローがマイクをふりかざす。


ハハ ロ -ロ)ハ『ハーイ! バニブリ凄かったネー!!』

ハハ ロ -ロ)ハ『曲はまだまだ用意してあるから、どんどん行っちゃうゼーーッ!!』


ハハ ロ -ロ)ハ『次は彼女! キュートでクール! ギャップ萌え爆釣!』

ハハ ロ -ロ)ハ『ハインリッヒちゃんだ! 今日もフリフリだぞ!』


〜ステージ裏〜


从;゚∀从「おい待て!! 今日なんかいつにも増してフリフリ多くねえか!?!?」

*(‘‘)*「さっさと行ってくるですよーっ」 ドンッ

从;゚∀从「いやちょまッ! テメー覚えとけよ!?!?」

*(‘‘)*(クソザコハインちゃんかわいい・・・)

.


35 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:03:04 cHnDGMZU0



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 ――ライブは滞りなく進行し、アンコールまで終了。
 そして最後に残されたるは、学園トップアイドルの一曲――


ζ(゚ー゚*ζ「……よし。衣装もメイクもバッチリ!
       歌っておいで、歌姫さん」

ξ゚⊿゚)ξ「うん。歌ってくる、今の私で……」

 カツン カツン・・・

 ピンヒールが舞台床を打ち鳴らす。
 デレはステージに向かうツンの背中を見送りながら、腕を組んで溜め息をついた。


ζ(゚ー゚*ζ「まったく……やんちゃなんだから……」


 カツッ カツッ カツッ カツッ・・・




.


36 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:04:26 cHnDGMZU0

(;*゚ー゚) ピクッ

ミセ;*゚ー゚)リ「……あっ来た! 来たよ、風桐ツンちゃん!」

 お開きムードになりつつあった会場に、もう一度火が点いた。
 しかしなぜか客席の照明までも点いてしまい、期待の声には少しばかりのどよめきが混ざっていた。



ハハ ロ -ロ)ハ 『……エー。最後の一曲、の前に』


ξ゚⊿゚)ξ「いいわ。あと自分でやるから、ありがとう」カツカツカツ

 前振り完全無視! ツンちゃんはステージに現れ、ハローに話しかけた。


 「え?」
    「お?あれ、ツンちゃんじゃね?・・・」


ハハロ -ロ)ハ「……オーケー。曲を始める時は目配せだからネ」

ξ゚⊿゚)ξ「うん」

ハハ ロ -ロ)ハ「……知らないヨ」

ξ゚⊿゚)ξ「うん。覚悟してきたから」

 ツンに舞台を譲り、ハローは裏方に消えていった。


37 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:05:29 cHnDGMZU0


ξ゚⊿゚)ξ『――……こんにちは。風桐ツンです』

 マイクを両手で持ち、ツンは会場に向かって話し始めた。
 歓声はあがらなかった。彼女の雰囲気が、それをさせなかった。


ξ゚⊿゚)ξ『今日はお集まりいただいて、本当にありがとうございます。
      新入生、それ以外の方でも、こうして私達に興味をもってくれた事、嬉しく思います』

ξ゚⊿゚)ξ『……ここは、私がアイドルとして初めて歌ったステージです』

ξ゚⊿゚)ξ『そのステージを覚えているかた、いらっしゃいますか』

 彼女の問い掛けに、まばらな答え。
 彼女のファーストステージを知る人間はそう多くはなかった。


ξ゚ー゚)ξ『……ありがとう。これから歌うのは、あの時と同じ曲です』

ξ゚⊿゚)ξ『蒼い春、と言えば皆さんご存知かと思います。
      私が作った歌詞を親友のデレが曲にしてくれた、という裏話も、これで何度目でしょう……』


ξ゚⊿゚)ξ『学園の皆さん、私のワガママを聞いてくれてありがとう。
      私が始まった場所で、終わる事ができて、私はとても嬉しいです』

 なにかを察した客席。徐々に強まっていく雑音。

 ツンは舞台裏に視線を送る。会場が暗転し、『蒼い春』のイントロが始まる。
 ピアノの高音が雑音をかき消す。始まる――

.


38 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:06:34 cHnDGMZU0



 『私は今日、この一曲を最後にステージを降ります』


 『せめて皆さんの蒼い春が終わる事のないよう、祈りを込めて歌います――』



.


39 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:06:57 cHnDGMZU0


















.


40 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:07:44 cHnDGMZU0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


≪ライブ後 風桐ツン 控え室前≫




ハハ ロ -ロ)ハ「……お、来たね」


ミセ;*゚Д゚)リ「おおおお、お、お疲れさまです!」ペコペコ

ハハ ロ -ロ)ハ「センキュー! 楽しんでくれたかい?」


ミセ;*゚ー゚)リ「それはもう!! 豚のような悲鳴を上げましたッッッ!!」

ハハ;ロ -ロ)ハ「それは、女子としてどうかと……」

(;*゚ー゚)

(;*゚ー゚)「……あの、風桐さんは」

ハハ ロ -ロ)ハ


ハハ ロ -ロ)ハ「居るよ。中で待ってる。
       先客が居るって取材とかも断って、二人を待ってた」

(;*゚ー゚)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「……行ってきて! 私はハローさんとツーショット撮ってるから!」

(*゚ー゚)「……うん。行ってくる」


.


41 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:08:26 cHnDGMZU0


 ガチャ(ドアを開ける音) 

 キィー(きしみ)

 バタン(ドアを閉める音)




(;*゚ー゚)「……」


ξ゚⊿゚)ξ「――あ、お疲れさま。いらっしゃい」


.


42 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:08:52 cHnDGMZU0



 〜〜お茶やらお菓子やらを用意した後〜〜


(*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ


(*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ

(*゚ー゚)


(*゚ー゚)

(*゚ー゚)

(*゚ー゚)


ξ;゚⊿゚)ξ「……えっと、まず写真とる?」

(;*゚ー゚)「え、あ!? はいっ!」


 並んでパシャッ(写真をとる音)


ξ;゚⊿゚)ξ

(;*゚ー゚)

 (沈黙)


.


43 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:10:53 cHnDGMZU0


ξ;゚⊿゚)ξ「……」


ξ゚⊿゚)ξ


ξ-⊿-)ξ「……『志ヶ谷』って言ったら、私はね」

 ツンは、静かに語り始める。


ξ゚⊿゚)ξ「あの人を思い出すよ。志ヶ谷つうさん」

ξ゚⊿゚)ξ「間違ってたら失礼だけど、貴方のお母さん……でしょう?」


(;*゚ー゚)「……はい」

【 (*゚∀゚)ノシ ←つーちゃんママ(死亡) 】


ξ゚⊿゚)ξ「……あのね、私、あの人の歌に惚れ込んで、この学園に来たんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「歌もダンスも、凄かった。多分、今の私でも手が届かない、凄い人だった」

ξ゚⊿゚)ξ「私にとっては今も夢で目標なの。本当にお星様になった今でも……」


(*゚ー゚)「……なんで、辞めちゃうんですか?」

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ「……ごめんね。イメージ崩れると思うけど、甘えさせて」


.


44 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:11:57 cHnDGMZU0


ξ゚⊿゚)ξ「なんていうかね、ああ、終わったなあと思っちゃったんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「もちろんまだまだ先はある。今も全然トップじゃない。
       アイドルとしてあと20年、歌手としてなら50年は戦えるし」


ξ゚⊿゚)ξ「……でもね、なんていうか、違うの。
       私は、私の為にしか歌えなくて、みんなの言うような理想のアイドルじゃなくてさ……」

ξ゚⊿゚)ξ「……なんだろうな。場違い、っていう感じかな。
      アイドルは私の居場所じゃないって、思い始めちゃって……」


ξ゚⊿゚)ξ「……理想の私と、今の私が、違うの。
       歌いたいように歌っていた筈なのに、私はもう、自分がどこに居るのか分からなくて……」


(;*゚ー゚)「そ、そんなっ……!」ガタッ


(;*゚ー゚)「ツンちゃんは凄いアイドルだよ!?
     わたし、ライブのビデオ何回も見直してて、歌も踊りもっ……」

(;*゚ー゚)「……お母さんみたいだなって、思ってたのに……!」


ξ゚⊿゚)ξ「……それは、私にとって褒め言葉じゃない。
       私は私として、ここまで来たかった……」

ξ゚ー゚)ξ「……いいえ、これはワガママかな。
      そうね、私が私を認められないから、ここまでにするって決めた、かな」


.


45 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:13:06 cHnDGMZU0


ξ゚⊿゚)ξ「……それで、貴方はどうなの?」

(;*゚ー゚)


(*゚ー゚)「……え、いや、私ですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「私は答えたよ。だから今度は貴方の番」

(;*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ「どうして、アイドルを目指さなかったの?」


(;*゚ー゚)「……私が、そう望まないからです」

ξ゚⊿゚)ξ「……ふふ」


(;*゚ー゚)「……おかしいですか?」

ξ゚ー゚)ξ「いいえ。でもね、ふつうは答えないわよ。
      目指さなかった人はね、目指さなかった理由なんて考えないもの」

(;*゚ー゚)「そ、そうですか……?」

ξ゚⊿゚)ξ「諦めたーとか、無理そうだったーとかならすぐ言えるけど、それは目指さなかった理由じゃない。
       頑張らなかった言い訳でしかない。今の答えはね、用意しないと出せないものよ」

(;*゚ー゚)

ξ゚⊿゚)ξ「……この後ね、新入生だけでやるコンテストがあるの。
       よかったら出てみない? 貴方の歌とダンス、とても興味がある」

ξ゚⊿゚)ξ「つーちゃんの娘は、いったいどんなアイドルなんだろうって」


46 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:15:28 cHnDGMZU0


(#*゚ー゚)「……いいんですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「もちろん」

(#*゚ー゚)「……人生で、二度目のステージです」

(#*゚ー゚)「やるからには優勝しますけど、いいんですか」

ξ゚⊿゚)ξ「もちろん。参加者みんな同じ気持ち。
      そこに参加する意味、つまり、プロ意識はあるかしら」

 しぃは席を立ち、控え室を出ようとドアに向かって歩き出した。

(*゚-゚)「……追ってきた背中が違います。心意気だけは、出来てます」

ξ゚ー゚)ξ「……うん。私、見てるから」


ξ゚⊿゚)ξ


ξ゚⊿゚)ξ(……私は、あの人の背中を追いかけてここまで来た。
       貴方もそれは一緒のはず。だから、見せて……)

ξ ⊿ )ξ(ここで終わりじゃないって、思わせて……)


.


47 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:16:23 cHnDGMZU0


 ガチャ(ドアを開ける音)


 キィー(KISHIMI)


 バタン(ドアが閉まる音)



(*゚ー゚)「――終わったよ」

ミセ;*゚ー゚)リ「あっやべ切るね」 ササッ

(*゚ー゚)「……電話?」


ミセ;*゚Д゚)リ「ままままままああぁんね!?」アタフタ

(*゚ー゚)「……まあいいや。ハローさん、私この後のコンテストに出ます」

ハハ;ロ -ロ)ハ「え、でもあれは新入生だけのヤツで……」

ミセ*゚Д゚)リ「マジで!?!??!?! じゃあ急がなきゃ!!!!!」セナカグイーー

(;*゚ー゚)「おっ押すな! 危ないでしょっ!」


ハハ;ロ -ロ)ハ

ミセ;*^ー^)リ「えへへ、えへ、うふ、エフッ!」


.


48 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:17:06 cHnDGMZU0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



≪アスキーアート学園 外れの森の中≫




      ,, プハー
( 'A`)y━”




( ^ω^)「……煙草、辞めたんじゃないのかお」

('A`)y━”「嫁にはそう約束した。が、おめえにはしてねえ」


( ^ω^)「……しぃちゃん、ステージに上がるかね」

('A`)y━”「……さあな。ま、ツンちゃんに一芝居うってもらったんだ。
       俺が単なる親バカ迷惑野郎で終わるか、未来のトップアイドルの立役者になるかはアイツ次第だ」

( ^ω^)「とっくにバカ丸出しだお」

( 'A`)y━”「だったな。ケツ丸出しよりダメなやつだ」


49 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:18:33 cHnDGMZU0

( ^ω^)「……このステージで色んな人に見込まれないと、入学は無理だお」

('A`)y━”「わあーってる。だがよ、そうでねえとやりきれねえんだ」

 ドクオは灰皿に煙草を擦りつけ、青空を見上げ、カッコつけて言った。


('A`)「できるのにやらねえ。そればっかりのアイツを見てるとな、罪悪感がすげえんだ」

('A`)「それに、挑戦も挫折もねえ人生なんて子供にやらせたら、俺があいつに怒られちまうしな……」


( ^ω^)「……あとでしぃちゃんに謝っとけお」

('A`)「大丈夫だよ、あいつにも禁煙を約束するつもりだからさ」


( 'A`)



('A`)「やっぱ……もう一本吸っとくか」

( ^ω^)「……付き合うお。これが、最後の一服になるといいNE」



.


50 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:19:15 cHnDGMZU0



















.


51 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:20:15 cHnDGMZU0


≪ステージ奥 控え室≫


ミセ;*゚Д゚)リ「ホゲーホゲーー!!」
   つ* ポンポン!

(;*゚ー゚)「ちょ、ミセリ落ち着いて化粧やってよ……」

ミセ;*゚Д゚)リ「うるせえやい!! 化粧はノリだってパピーが言ってたんだもん!」
  つ*” ポポポポポン!

(;*´ー`)「はいはい……」


ハハ ロ -ロ)ハ「ヘイ!! 準備はどうよ、お二人とも!」
       +
ミセ;*゚Д゚)リ∩「もうちょっちです!!」

ハハ ロ -ロ)ハ「オッケー! しぃちゃん、確認するけど曲は……」

(*゚ー゚)「はい。ツンちゃんの、『蒼い春』でいきます」

ハハ ロ -ロ)ハ「……本家の後だからハードル高いけど、頑張ってネ」

(;*゚ー゚)「ですね。今これしか出来ないから、仕方ないんですけど……」


52 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:21:05 cHnDGMZU0


\ミセ;*゚Д゚)リ/ 「ッッッシャオラ!! 完成ッッ!! ヤッターーーー!!」


 ガチャ(ドア)


川 ゚ -゚)「おお、この子が噂の」

ハハ ロ -ロ)ハ「やっほークール! 見に来たのかい?」

川 ゚ -゚)「ああ。ステージ前の顔を見たくてな」

(;*゚ー゚)「あ、わっ……お疲れさまです!」

川 ゚ -゚)「お疲れさま。ステージ、頑張ってくれ」


(;*゚ー゚)

川 ゚ -゚)「……フッ。なんだ、ピッタリじゃないか」 カミファサー


 キィィ(軋み)

   バタン(閉まり)


(;*゚ー゚)「……?」

ハハ ロ -ロ)ハ「あの人なりに褒めたんですヨ。
       それじゃあ、あと5分で始めるからネー」

 ハローも控え室を後にし、部屋にはしぃとミセリだけが残った。
 沈黙はどんどん不安に変わっていく・・・それを察したミセリが、咳払いをしてから話し始めた。


53 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:23:42 cHnDGMZU0


ミセ*゚ー゚)リ「……あのね、お姉ちゃん」

(*゚ー゚)


ミセ*゚ー゚)リ「……歌うのも、踊るのも、自由だよ。
      人の為に我慢するようなものじゃないって、私は思う」

ミセ*゚ー゚)リ「お母さん死んじゃってさ、お父さんもメイクの仕事辞めちゃって。
       うちはどこにでもある普通の家庭になったけどさ」

ミセ*゚ー゚)リ「……お母さんはアイドルだったんだよ。
      それだけはさ、いつまでも変わらないじゃん」

(*゚ー゚)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「私はね、お姉ちゃんにアイドル目指してほしいよ。
      お母さんよりもっと凄いアイドルになって、笑ってほしいんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「もちろん今も楽しいし幸せだよ。
       でもね、お姉ちゃんだけ我慢してるの、私もお父さんも分かってるんだ……」




.


54 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:25:54 cHnDGMZU0

ミセ*゚ー゚)リ


ミセ;*゚ー゚)リ「……そんな感じ! とにかくさ、めいっぱいやってきて!
       楽しいし、幸せな感じじゃん!? アイドルって!!」

 語彙力、崩壊――!



ミセ;*゚Д゚)リ「やっぱりさ、思うんよ! やっぱさ、自分が幸せじゃないと!
       そこからだよ! 人に気を遣ったり、人を幸せにしようとすんのはさ!」

(;*゚ー゚)「ミセリ、語彙力が……」


\ミセ;*゚Д゚)リ/ 「どうせなら希望に立ち向かおうよ!
          暗いことばっか思って我慢してもダメ! ダメ〜〜〜〜ッッ!」

ミセ;*゚Д゚)リ「希望まみれで転ぼうよ!! 私はそんなお姉ちゃんが見たっ――」


 ぎゅっ・・・・

(* ー )

 感動的、抱擁――――!



(* ー )「それ以上言ったらダメ。メイク、崩れちゃうから……」 ギュウウ

ミセ*゚ー゚)リ(すごい良い匂いがする)ジュルリ


ミセ*゚ー゚)リ「……おねーちゃん。お願い、一回だけ。
      みんなにお姉ちゃんの本気、見せてやってよ」 ナデナデ

(* ー )「……うん」

ミセ*゚ー゚)リ「思いっきりやろう、ね? お母さんも絶対見てるからさ……」


55 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:27:06 cHnDGMZU0



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


≪5分後 舞台裏≫



( ^ω^)「……おっ。おでまし」


(*゚ー゚)「すみません、お待たせしました!」

 しぃは裏方で働く全員に一瞥を送り、深く頭を下げた。
 舞台裏には歌う順番の早い他の新入生アイドル達も待機していた。


(*゚ー゚)「1番、志ヶ谷しぃです。よろしくお願いしますッ」

「・・・志ヶ谷?」ザワザワ
 「しがやって、まさかつーちゃんの・・・!?」ザワメキザワメキ


( ^ω^)「ほいっ! マイクだお!」
  つⅰ

(*゚ー゚)「ありがとうございます、行ってきます!」ダッ

 しぃは、ライトアップされたステージに向かって駆け出した。




.


56 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:29:01 cHnDGMZU0



ハハ ロ -ロ)ハ『――さあッ!! なんか今年は飛び入り有り! ヒヨコカップ!!』

ハハ ロ -ロ)ハ『本日最初のヒヨコアイドルは志ヶ谷しぃちゃん!
       この名前にピンと来たならご覧あれ! 私も見たくて堪らないッ!』




 ――ステージの中央に辿り着く。


 そこで足を止めて、客席を一望する。



(;* ー゚)(いっ――息も心臓も止まりそうっ――――)


 だけど、彼女は知っていた。アイドルにとってステージは絶対。
 ここが全て。それを生き様で証明してきた母親の背中を、彼女はずっと見続けていた。


 見るだけで、追わなかった。

 それが今、ほんの少し、変わり始めた――……

.


57 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:29:50 cHnDGMZU0



(;* ー )(お母さん、少しだけ、頼らせてッ――)


 お母さんなら、今ここで何を思うんだろう。

 ハローさんも舞台裏に行っちゃって、『蒼い春』のイントロが始まってしまった。

 あと十秒もしたら始まる! 呼吸、間に合わないっ……!


(;* ー )(――いや、違う。お母さんなら、もう息を吸い始めてるっ)

(;* ー゚)(ダメだ、お母さんに怒られる! お母さんの真似をしたら、ダメだッ!)


 残り五秒。

 しぃは思いとは裏腹に凝り固まった体に対して、もう、ただ一つ、これだけを命令した。


(;* ー )(――動きたいように、歌いたいように)

(;* ー )(私らしく、お母さんとの思い出も私の一部にして、アイドルをやる――――!)


 いち、ぜろ。

 始まる。


.


58 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:30:14 cHnDGMZU0





















.


59 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:31:01 cHnDGMZU0


≪客席2階 スペシャルゲストルーム≫



 『――見つめる、度に、鮮やかに遠ざかる―――……』


 『私の夢の始まりが、今も心に残ったまま――……』



J( 'ー`)し

('A`)




J( 'ー`)し「……始まったわね……」

('A`)「ええ。あの子の歌が」


J( 'ー`)し「……つーちゃんと瓜二つね」

( 'A`)「……いや、本人はあれに似せようなんて思ってねえッスよ。
    だから瓜二つなんだ。あの二人は親子以上の似たもの同士なんです」


60 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:32:09 cHnDGMZU0


J( 'ー`)し「ふふ、そうかもしれないわね。
      最初は疑っていたけど、今なら貴方が推すのも理解できる」

( 'A`)「もちろん実力はまだまだ。でも、校長なら分かるでしょう」

J( 'ー`)し「……ええ。あの子はようやくスタートラインに立った。
      いえ、もしかしたらずっと立っていたのかもね。つーちゃんと同じ、スタートラインに……」


ξ゚⊿゚)ξ


('A`)「……ツンちゃん、どうだい。君の『蒼い春』だが、どう聞こえる」

ξ゚⊿゚)ξ


ξ゚⊿゚)ξ「……失礼ですけど、ヘタクソです。
      歌もダンスもギリギリ入校を許される程度の実力……」

ξ゚⊿゚)ξ「……とても、あの人の娘とは思えない出来です」


('A`)「……」

ξ゚ー゚)ξ「……ただ、今は」

 ツンは、ステージ上でぴょこぴょこしているしぃを見て微笑む。


ξ-⊿-)ξ「……私よりも、あの子の方が『蒼い春』が似合っていると、そう思います」




.


61 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:33:12 cHnDGMZU0



 『今日もまた、私の胸に、蒼い春が来る――――♪』



ξ゚⊿゚)ξ「……新しい歌を作らなきゃ。
      自分ですっかり忘れてた。あれは、始まりの歌だったのに……」

 ツンはライブ中にも関わらず立ち上がり、どこかに行こうとする。
 だが、ドクオも校長も、その足を止めようとはしない。


J( 'ー`)し「いいと思うわ。今の貴方なら、きっと次のステージに行ける」

ξ゚ー゚)ξ「はい。……どおりであの子に似合う訳よね。
      ちょっと寂しいけど、今の私に、あの曲は似合わないのね……」


 ギィ バタン・・・


( 'A`)「……いつか、あの二人が組んだら……」


J( 'ー`)し「……ドクオ君。それはまだ気が早いんじゃないかしら?」

('∀`)ヾ「……へへ。そっすかね、へへ……」




 『――明日もまた、私の夢に 今が重なるー……♪』



.


62 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:34:04 cHnDGMZU0



 ――ミセリの言う通りだった、と思う。

 暗い感情に立ち向かっても、それは希望にはつながらない。

 どうせなら希望に立ち向かう……うん。曲を作るときはミセリに作詞を頼もう。


 お母さんが死んで、私の中の何かが欠けて、頑張って、頑張って……。

 それで色々、本当に色々思ったけど、それでもやっぱり私はアイドルが好きで、

 お母さんが輝いていた、あのステージが大好きで――……



.


63 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:34:41 cHnDGMZU0



 ――夢の、ままじゃ、違うなって、やっぱりどこかで思ってたんだ。


 そういう明るい希望に向き合うのが、私は怖かったんだ。


 だから、これからは―――――


 大好きで、どうしようもなくて、辛くて、頑張ってもダメな、私の夢に立ち向かっていくんだ――――



.


64 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:36:25 cHnDGMZU0











                   ヒャッホー
(過去)    三三三三┏( ^o^)┛    (未来)














.


65 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:36:54 cHnDGMZU0







〜〜 1年後 アスキーアート学園 〜〜







ζ(゚ー゚*ζ「ほっ、ほっ、ほっ……」

 アスキーアート学園の一日をジョギングで始める生徒は多い。
 学園指定ジャージに身を包む少女・デレもまた、その一人であった。


ξ゚⊿゚)ξ「デレおそいよー」

 そして、デレの先を走る彼女もまた、その一人であった。


ζ(゚ー゚*ζ「はいなー」

 朝霧たちこめるグラウンドを数周してから、二人は休憩に入った。


ξ;゚⊿゚)ξ「フィー」アセフキ

ζ(´ー`*ζ「フィー」アセフキ


ξ;゚⊿゚)ξ「……よし、もう一周!」

ζ(´ー`*ζ「ツーンちゃーん。ソワソワするのも分かるけど、本番はお昼だよ〜」


ξ;゚ー゚)ξ「……ふん! なら私一人で走ってくるもん。
       次の世代に追い抜かれても知らないんだからねっ」タタッ

ζ(´ー`*ζ「はいな〜。いってらっしゃ〜〜〜」


.


66 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:37:40 cHnDGMZU0


 ザッ 

川 ゚ -゚)「やっているなあ」

ノハ#゚⊿゚)「うおおおツンが走ってる珍しい!!」


ζ(´ー`*ζ「あ、おはよ〜」

≡≡┏ノハ#゚⊿゚)┛ 「ツーン! 追い駆けるから追いついたら私の勝ちだぞーー!!」ズデデデデデ!!


<は!? 知らないわよッ!


川 ゚ -゚)「気合入ってるなあ」

ζ(´ー`*ζ「だねえ。ライバルが来るからって、前にも増して全速力だよ」

川 ゚ー゚)「ふふ、例の子か。才能だけでどこまでいけるか、見物だな」

ζ(´ー`*ζ「……私もそれ言ったらねぇ、ツンに怒られたよ。
        才能なんて言葉で、自分の努力を誤魔化すなーって」


川 ゚ー゚)「ふん、なんとでも言え。あの子と先に競うのは私達なんだからな」

ζ(´ー`*ζ「だねえ。先は長いねぇ……」





.


67 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:38:45 cHnDGMZU0




〜〜 朝 しぃちゃんハウス 玄関前 〜〜




('A`)「おうおう、朝飯食ったか」

ミセ*゚-゚)リ「さっき三人で食べたじゃん。痴呆?」
   つ〔〕

('A`)

('A`)「たった一年で反抗期を迎えた娘に悲しみを覚えるパピーだぜ」



(*゚ー゚)「カバンよし、制服も、その他のあれこれもよし!」ピシッ

('A`)「気ぃつけてな。アイドルは肉体労働だ、頑張りな」

(*゚ー゚)「うん! それじゃあ、行ってきます!」


ミセ*゚-゚)リ「……お母さんのこと、忘れてない?」チラ

(*゚ー゚)「……大丈夫、ちゃんと言ってきたよ」ワシャワシャ

ミセ;*゚-゚)リ「うぐっ、撫でるな……」

(*゚ー゚)「それじゃ行ってきます! 絶対見に来てよねっ!」


.


68 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:40:32 cHnDGMZU0





 ――同日 アスキーアート学園 ライブ会場内




 ざわざわ        ざわ・・・
       ざわざわ



 ……私は今、きっと、ようやく、歩き始めたんだ。

 この果てしなく長い、アイドル坂をよ……




ξ ⊿ )ξ「――言っとくけど、これは私の復帰ライブでもあるんだからね」

(* ー )「はい!」


ξ゚⊿゚)ξ「失敗したら許さない。間違えたって許さない。
      カンペキにやるわよ、全速力でついてきなさい」

(*゚ー゚)「――はいッ!」

ξ゚⊿゚)ξ「その上で貴方の全速力がまだまだ全然ダメだってこと、分からせてあげるから」

(*゚ー゚)「はい!」


(;*゚Д゚)「でももう行きましょう! 時間ですっ!」ダッ!!

ξ;゚⊿゚)ξ「――え、マジ!? うわっ!」ダダダッ!!


  ピャーー
三三(;;^ω^)⊃ⅰ「二人ともマイク忘れてるおーー!!」
      つⅰ



.


69 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:41:06 cHnDGMZU0




 ……私はこの最高に輝いてるステージに立ち向かっていく。




 私の春は、たった今、始まったばかりだ――――…………




.


70 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:41:39 cHnDGMZU0
      ._
       \ヽ, ,、
        `''|/ノ
         .|
     _   |
     \`ヽ、|
      \, V
         `L,,_
         |ヽ、)  ,、
        /    ヽYノ
       /    r''ヽ、.|
      |     `ー-ヽ|ヮ
      |       `|
      |.        |
      ヽ、      |
        ヽ____ノ


┼ヽ  -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ  __ノ


71 : 名無しさん :2016/04/03(日) 21:44:04 cHnDGMZU0
はじめて作詞をしました/////
アイカツもアイマスもラブライブもプリパラも ぜんぶいいぞ


72 : ◆mQ0JrMCe2Y :2016/04/04(月) 02:08:20 QcMQTuPg0
【連絡事項】
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73 : 名無しさん :2016/04/05(火) 21:27:39 AIJ504fM0
乙乙
面白かったよ


74 : 名無しさん :2016/04/06(水) 12:20:19 Jv0EBWGk0
ちょいちょい笑わせてくるのが好き アイドル坂でお茶吹いた
ドクオがいいキャラしてる
学園入場した二人の感想一言目が「財力を感じる」でワロタ


75 : 名無しさん :2016/04/08(金) 02:18:43 r3fIuNSw0
いいじゃん青春じゃん
あげたろ


76 : 名無しさん :2016/04/08(金) 22:00:57 iX/V8nbI0

アイドルはいい
反抗期を迎えたミセリに悲しみが止まらないんだぜ


77 : 名無しさん :2016/04/13(水) 16:03:04 cy/PN.sQ0
なんてぇ爽やかな話なんだ…
歌詞も良い…


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