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まーちゃんとまりあんLOVEりんのスーパー姉妹スレ@新狼

1 名無し募集中。。。 :2016/12/01(木) 00:45:02
。。8‘ ー‘)<避難所でもやっちゃいまりあ

川* ^_〉^)<ねえ、栗きんとんはいつ出てくるの?


。。8*‘ -‘)

。。8*‘ -‘)<…

102 まさきのマジェスティ :2017/04/26(水) 21:53:45
全身を衰弱させるように恐怖が身体を侵していった。
無煙火薬の匂いに押し潰される心地がする。

回転翼がもぎ取れて、ひしゃげたヘリが真っ黒な煙の柱を上げていた。
最新式の輸送機はグロテスクによじれた金属の固まりになっていた。

真莉愛も楓も、訓練を積んだプロとしてむごたらしい現場は見慣れていた。
しかし、この惨状からは思わず顔をそむけた。
楓は四肢を失なった人間の身体が単なる反射運動でびくびくと動くのを見て嘔吐した。

突然、誰かの声がして真莉愛はぎくっとして飛び上がった。
ジープに歩み寄り、ダッシュボードにかかっていた無線マイクをひったくった。

空電がひどいが、呼びかけている相手は周波数を調整しているようだ。
次第に理解できる言葉になっていく。

「タイフーン・ワン、どうぞ」
疲れ果てた真莉愛の耳にはそう聞こえた。
「タイフーン・ワン、こちら本部。誰かいるか?応答せよ」

真莉愛はスイッチを入れた。
だが、ついさっき起きたこと、目で見たこと。
何を言えばいいのか?何が言えるのか?

「はい」真莉愛は低い声で応じた。
その一言から情報を引き出すかのように相手は躊躇った。
「誰だ?」ようやく無線の声が言った。

「牧野です」
またしても無線の声は躊躇い、生真面目な声で問いただした。
「松原チーフがどこにいるか分かるか?呼び出しに応じない」
真莉愛は深く息を吸った。

「松原さんは死にました」
長い沈黙があった。
「応援の部隊を至急派遣する。生存者は何人いる?」

真莉愛は気を取り直してマイクを口にあてた。
「ふたりです」
無線から、これまでよりもずっと静かな声がした。
「…もう一度…言ってくれないか?」
「ふたりです!」真莉愛は怒鳴った。

真莉愛は接続が切られているのを確認してマイクを下に置いた。
そして楓に向き直って言った。
「もう心配ないよ」

真莉愛の静かな確信は、必ずしも筋が通っているわけではないが、楓の胸を打った。
「だから泣かないで、かえでぃー」

103 名無し募集中。。。 :2017/04/27(木) 18:06:14
。。8‘ ー‘)<泣かないでかえでぃーLOVEりん

104 名無し募集中。。。 :2017/04/27(木) 21:09:23
http://i.imgur.com/yT0dDxy.jpg

105 名無し募集中。。。 :2017/04/27(木) 21:17:30
マジ銃口突きつけられてる気分

106 名無し募集中。。。 :2017/04/28(金) 00:52:06
川* ^_〉^)<3つ数えな

107 まさきのマジェスティ :2017/04/28(金) 21:07:36
くしゃくしゃに乱れた髪を手櫛で梳かしながら女はベッドに腰かけた。
しっとりとした汗が肉感的な肌にうっすら浮かんでいる。
ベッドの脇に落ちていたデザイナーズ・ブランドのシャツを拾い上げた。

「よっぽどわたしに会いたかったみたいですね」
乱暴に脱がされたせいでシャツの胸元のボタンが取れていた。

ベットに上半身を起こした男が“よかったぞ”と言うように女の太股をピシャッと叩いた。
「新しいものを買ってやる」

男は浴室で鏡をしげしげと眺めた。
男の名は五木。年齢は70に近いがすこぶる健康だった。
こうして若い愛人の相手もできる。
男としての欲望も機能も、衰えることはなかった。

では、家庭を省みない男かというと決してそんなことはない。
妻子のことは愛しているし、自分なりのやり方で大切にしている。
少なくとも、妻から何かを咎められるようなことはない。
もちろん、本心など分からないのだが。

セックスの心地よい疲労をシャワーで洗い流した。
部屋に戻ると女はすでに服を着ていた。
うんざりしたような表情を浮かべていた。
男がひとり、ドアの近くに立っていた。

青白い顔をした痩躯の男だった。
くつろいだ様子で立っているが、迂闊に近づいてはいけない。
その男の本質は、岩の下に潜む毒蛇のように危険なのだ。

「説明しろ、フクサキ」五木が言った。
フクサキと呼ばれた男は軽く前傾しながら答えた。
「申し訳ありません。電話に出られなかったもので」

携帯電話を車に置いてきたのを思い出した。
五木は着替えをするためにガウンを脱いで椅子に無造作にかけた。
「緊急の要件なんだろうな?」

フクサキは顛末を説明した。
着替えを終えた五木はブラシで髪を整えた。
「…そうか。松原は使える男だったが…。残念だな」
表情からも、口調からも、全く残念などとは思っていないことは明らかだった。

「それで、何が問題だ?」五木はスーツの襟の折目を指先で確かめた。
フクサキが答えた。
「女が生きてます」

五木がフクサキをゆっくりと振り返った。
「…所在は分かってるんだろうな?」

「応援部隊が派遣されて保護されました。本部にいます」
「…とんだ失態だな。兵藤はどうしてる?」五木が深い溜め息を漏らした。

「まだ何も動きはありません。おそらく秘匿できると―――」五木がフクサキを遮った。
「甘く考えるな。あのババアは油断ならん」

五木はフクサキに向き直って静かに言った。
「対策は一任しよう。動きやすくなるよう手は尽くす。最優先で取りかかれ」

フクサキはわずかに口許を歪めた。
酷薄な光が目に宿る。「お任せください」

108 名無し募集中。。。 :2017/04/29(土) 11:42:20
通常編 オープニングテーマ セクシーキャットの演説
      エンデイングテーマ ムキダシで向き合って
まりあのオデッセイ テーマソング そうじゃない(フル)
まさきのマジェスティ オープニングテーマ セクシーキャットの演説
              エンディングテーマ ジェラシージェラシー
              最終回テーマ BRAND NEW MORNING

109 まさきのマジェスティ :2017/04/29(土) 12:13:57
捜索および救助、そして回収のためのチームが到着した。
大きな満足を感じるほど真莉愛は楽天的ではなかったが、援護はありがたかった。

彼女たちを“安全な場所”に導くよう指示されていた回収チームのメンバーが白いバンのドアを開けてくれた。
運転手が振り向いた。
「臨時基地へ連れていくよう指示されています」

真莉愛も楓も消耗し、休息の必要があった。
しかし、事態は緊迫している。
タオルと食べ物と水を与えられたふたりは、名乗ろうともしない幹部たちに説明をした。

作戦行動について真莉愛は落ち着いた声で言葉を続けた。
心得顔の幹部たちに内心少し失望しながら。
兵士は死ぬために存在する。皮肉なジョークではない。事実だ。

しかし真莉愛も楓も、必要に応じてエゴを抑えられるのだ。
幹部たちに目を戻し、事実の報告を終わらせた。

幹部のひとりが合図をすると、後ろに控えていた補佐がふたりにうなずいた。
「情報は正しく使う。ふたりとも慎重に行動してくれ」

連れてこられた時と同じ白いバンにふたたび乗せられた。
司令部まで戻るのだ。

真莉愛はサンドイッチにマヨネーズとマスタードをべったり塗りつけて食べていた。
楓が表情を変えずに真莉愛を用心深く見た。
「食べる?」真莉愛は口の端をなめながら言った。

楓は苦い声で笑った。「食欲がない」
不意に真莉愛は真剣な顔をした。ゆっくり唇をなめた。
「脅威は去ってないよ」

「かえでぃー…まりあ、気がついたの」真莉愛が言った。
楓は眉を寄せた。
真莉愛は年下だが、楓の見る限り、自分よりはるかにこの世界を理解しているようだ。

楓は肩をすくめて真莉愛を見つめ、それから尋ねた。「どういうこと?」

「かえでぃーが生きてることは“想定外”だったんだと思う」真莉愛が静かに答えた。
「かえでぃーが拉致された時のこと、詳しく教えて」

110 まさきのマジェスティ :2017/04/29(土) 14:22:18
その建物はとりわけ魅力的ではないが、気が滅入るほどでもなかった。
こういう施設の基準に照らせば、ましでもなければひどくもない。

短期間しかいないにしろ、長期にわたるにしろ、要するにありふれた更生施設だった。

玲奈はだらだら続く抑揚のない仕事に退屈していた。
いつもならば仕事中に気を緩めれば、苦痛や怪我、うっかりすると死に見舞われかねない。

玲奈の商売道具は、携帯している銃と知的能力、筋力や機敏さだ。
誰かも分からない“囚人”を見張ることは本意ではない。
自分と同年代の少女だった。両足が義足だ。
その少女を見張るよう要請された。

監視が必要なほど危険な人物とは思えないが、看護師ではなく自分が割り当てられるのには何か理由があるのだろう。
義足の少女が苦しそうに頭を振り、低い呻き声を漏らした。
ひどく硬い表情を浮かべながら目を覚ました。

「あんた…誰?」
玲奈はこの質問を無視して義足の少女に顔を向けた。
部屋には優樹と玲奈しかいなかった。

「薬と水を飲む必要がある。脱水症状を起こしてるから」玲奈が言った。
優樹がテーブルの上の木箱を開いた。
「…アスピリンより強い鎮痛剤が必要なんだけど」

やっぱりただのジャンキーか。足がないことも関係しているのだろうか?
優樹は玲奈の目に同情の色があるのを見て、急に怒りを覚えた。

優樹は玲奈の腰のホルスターの拳銃を見た。
玲奈もその視線に気がついた。
石のような表情で首を振った。
優樹は出口に向かって歩いた。玲奈は反射的に行動した。

行く手を塞いで玲奈が優樹を見返した。
優樹が玲奈を力いっぱい押した。玲奈はまた反射的に銃を抜いて優樹に向けた。
優樹は無表情な顔でそれを見た。

玲奈は警戒を解かず、銃を向けたまま片手で優樹を押し戻した。
優樹は滑らかな動きで玲奈の手首を掴む。
そのまま捻り銃を取り上げると、玲奈を突き飛ばした。
そして次の瞬間、仰向けに倒れた玲奈の顔のすぐ近くに銃を突きつけていた。

優樹は倒れて恐怖に震えている玲奈を見下ろした。
昔は自分もしょっちゅう似たような状況に追い込まれたものだ。

「銃を向けている相手には近づきすぎないこと。反撃のチャンスを与えることになる。
腕の長さの2倍は距離を取った方がいいわよ」
そう言うと優樹は弾倉を抜いて、一瞬で銃を分解した。

バラバラになった銃が玲奈の胸に落とされた。
玲奈は長いこと優樹をにらみつけてから質問した。
「あなた…何者なの?」

111 まさきのマジェスティ :2017/04/29(土) 21:05:58
黒木はオフィスに入ってドアを閉じた。電話が入っているという。
コードレスの子機を見つけて応答した。「黒木だ」

「先生、まりあです。重大な事態です。
衛生電話でかけ直してくれますか?」

黒木は電話を切って、傍受不能衛生電話で真莉愛に電話をかけた。
「何があった?」

真莉愛は楓が拉致される寸前に実行した作戦行動の件を説明した。
おそらくは正式に認可された作戦ではなく“帳簿外”の可能性がある。

「内部の人間が全て仕組んでるって言いたいのか?」黒木が訊いた。
「かえでぃーのような特殊工作員を動かせるのは機密情報にアクセスできる幹部だけです」真莉愛は断言した。
黒木はその場に立ったまま、どうしたものかと頭を絞った。

「いいだろう」黒木は考えながら答えた。
「だがな、大胆かつ独創的な隠密作戦だぞ。まずいことが起これば吊し上げどころではすまねえ」

通話を終えて真莉愛は楓に顔を向けた。
真莉愛を無作法に凝視していた楓は、そのことに気がついて目をそらした。

少し躊躇ったが、楓は正直に打ち明けた。
「なんだか…昔のまりあとは違うね」
懐かしい思い出が頭をよぎった。
訓練施設での日々を思い返した。いい思い出を探す。
何度も死にかけたが、涙が出るほど笑ったこともあったっけ。

らちもないことをしゃべって真莉愛と楓は笑った。
「あんなに小さかったまりあに助けられるなんて」
「そんなに危険じゃなかったよ」
真莉愛の言い方からすると、本当に少しも危険などなかったように聞こえる。
虚勢は全く感じられなかった。

楓は気持ちを現在に戻した。
ふたりの仮説が正しければ、自分は追われる獲物だ。
真莉愛の落ち着きは頼もしいが、よけい不安になりもした。

マットブラックに塗ったジープのハンドルを握りながら、真莉愛は楓にローストビーフ・サンドイッチを差し出した。
マヨネーズまみれではなかったので楓は受け取ってかじった。

しばらくは誰にも知らされない作戦に従事することになる。
幹部連中は脇に置いて、このショーは自分たちだけで演じるしかない。
そうであれば、優樹が必要なことは考えるまでもない。

幾多の戦場の試練をくぐり抜けて任務を完遂してきた。
きっと立ち直ってくれるはずだ。

優樹も生きているという事実に楓は驚いた。高度の機密事項だ。
「非公式だけど」真莉愛は肩をすくめる。「道重さんと鞘師さんもどこかで生きてる」

楓は首を振ってサンドイッチを食べ終えた。
唇をなめて、笑みを押し隠した。
「もし会うチャンスがあれば…事前通知してくれる?」

112 名無し募集中。。。 :2017/04/29(土) 22:23:57
れいなキター!!

113 名無し募集中。。。 :2017/04/29(土) 22:30:00
よこやんは一応職には就いたみたいだけど、
いい意味でポンコツぶりはあんま変わっとらんな

114 まさきのマジェスティ :2017/04/29(土) 22:44:18
フクサキはその建物を完璧に見下ろせる場所に陣取っていた。
うまく身を隠せる場所を見つけて、そこから下の様子を観察した。

銃器ケースからスナイパー・ライフルを抜き出した。
レンズ・キャップを外してライフルを肩づけし、スコープを調整する。
風を読みながら、弾道の低下を補正した。

ジープが横切っていく。
ターゲットは助手席に座っているショートカットの女だ。
フクサキはスコープの十字線を女の脊柱のあたりに重ねた。
呼吸を浅くして、引き金を引く態勢に入る。

この速度で移動しているターゲットを撃つのは難しい。
だが、射撃のコツのようなものをろくに必要としない狙撃など面白味がない。

フクサキはこの距離で獲物を狙って弾を無駄にしたことは1度もない。
殺すことより、困難に挑戦する方が値打ちがあるのだ。



真莉愛がソーダ水のボトルを取ろうとして手を滑らせた。
「わ!」滴る飲み物を拭いてやろうと楓が手を伸ばして屈み込んだ。
「――――!?」弾丸がシートを貫通し、炸裂音が空気を揺らした。

「わ!わ!わ!」銃声が響き渡った。
銃弾が次々に車体を貫いてきた。「かえでぃー!」「まりあ!」
被弾はしていない。真莉愛は遮蔽物と逃げ道を探しながらジープを走らせた。

確信はしていないものの、日射しが目に当たる方角にスナイパーがいるだろう。
真莉愛は、いい遮蔽になるコンクリートのガレージにジープで突っ込んだ。

建物から武装した男たちが緊張感をみなぎらせて出てきた。
何が起きたか見当がつかない様子だが、強い敵意を持っていることは明確だ。

とてつもなくまずい事態だとフクサキは認識した。
ターゲットを仕留められなかった。
姿を見つけたならば首の付け根に銃弾を撃ち込んでやるのだが、慎重に身を隠している。
抜け目のない奴らだ。
包囲される前に撤収するしかない。

「ちくしょう!」衛兵らしきひとりの男が真莉愛たちにカービン銃を向けた。
「俺の車!」ジープにぶつけられていたようだ。

真莉愛は男たちに向けて、両手を高く挙げて見せた。
「あのー、どう言えばいいか―――面会予約した者です」

115 名無し募集中。。。 :2017/04/29(土) 22:55:13
優樹は玲奈の目に同情の色があるのを見て、急に怒りを覚えた。

116 名無し募集中。。。 :2017/04/29(土) 23:01:10
川* ^_〉^)<私のなんにもわかっちゃない

117 まさきのマジェスティ :2017/04/30(日) 00:16:58
ピカピカの硬い床とコンクリートの壁に囲まれた通路の音響効果は抜群だった。
この建物の中では、普通の足音も大きく響く。

優樹は少しも怯まずに真莉愛の視線を受け止めた。
沈黙が“多く”とまでは言わなくても、あれこれ物語った。

「気分はどうですか?」真莉愛はようやく低い声でそう言った。

一方では楓と玲奈が張りつめた表情で押し黙っていた。
ふたりは知り合いだった。親しくしていたわけではないが何度か“困難な状況”について談笑したことがあるのだ。

「あんたが見張りなら話が早い」
楓は持ってきた薄型のブリーフケースからきちんと束ねた書類を取り出した。
「佐藤さんを“塀の外”へ出すの。これに署名して」ペンを添えた。

玲奈は躊躇ったが、ペンと書類を手に取った。
正式書類ではあるが、何かがおかしい。
玲奈は楓を見上げ、冷ややかに目を合わせた。

「何を隠してるの?」玲奈が訊いた。
「隠す?」楓は驚いて訊き返した。

「もうまりあのそばから離れないでください」真莉愛が言った。
「約束してくれないなら、口を利いてあげません」
優樹の目に涙が浮かんだ。負けそうになる相手は、真莉愛だけなのだ。
「いいとも」ささやくような小声で優樹は言った。

つまらぬ駆け引きに関心のない楓は、そっけない調子で答えた。
「あんたが署名してくれないと、わたしは死ぬ。
遅かれ早かれ、みんなが死ぬけどね。
横山…悪いけど持って回ったやりとりの時間がない。お願い…」

玲奈は指示されている場所に署名して、楓に渡した。
楓は安堵もあらわに、書類をブリーフケースにしまった。
玲奈は決然と楓に告げた。
「わたしも一緒に連れていってもらう。“見張り”なんだから当然でしょ?」

118 名無し募集中。。。 :2017/04/30(日) 08:15:35
ドラクエの4人パーティぽくなってきた

119 名無し募集中。。。 :2017/04/30(日) 08:29:08
>>108
まさきのマジェスティ 後半オープニングテーマ One・Two・Three

120 まさきのマジェスティ :2017/04/30(日) 12:23:24
その後の6時間、優樹と真莉愛は心身を休めることに専念した。
といっても、うたた寝をしたり目を閉じたりしていたのではない。
意識的に腹式呼吸で横隔膜を拡げて、肺にたっぷり息を吸い込む。

長年の任務で身につけたテクニックだ。
心拍数を安定させ、胸や肩の筋肉に十分な酸素を供給する。

戦闘のストレスは銃弾や血によってだけもたらされるとは限らない。
突発的な危険にも瞬時に行動に移れるよう、心身ともに柔軟性を保持しなければならないのだ。

この種のエクササイズは、心が不活発な状態に落ち込まないようにしておく効果もあった。

そんなテクニックをまだ会得していない楓と玲奈は苛立っていた。
黒木が用意した“ネスト”で、玲奈は楓に対してヒステリーを爆発させた。
「そろそろ教えてもらいたいんだけど?何が…起こったのか?」

顔は真っ赤になっていたが、質問の最後の方はどうにか気を落ち着けて食いしばった歯の間から漏れたように見えた。
「もうすぐ分かるよ」
この短い答えは玲奈を納得させはしなかったようだ。

自分の身に降りかかる出来事を、分析どころか消化する時間もない。
「この―――」言いかけて玲奈は驚いた顔でドアを見た。
ノックもなく男が部屋に入ってきた。
「待たせてすまん。お姉ちゃんたち」

楓と玲奈は、黒木とは面識がなかった。
少年のような笑顔には愛嬌と知性が感じられた。
だが、誰かに何かを話しかけられている場合でも、
いつも心の半分は別のことを考えているタイプだ。
楓はそんな印象を抱いた。

黒木は壁際のテーブルの前に置かれた折り畳み椅子に座った。
そして、かなり性急にこの緊急任務のブリーフィングを始めた。



4人は顔をこわばらせた。黒木はしばし無言で彼女たちを見つめた。
「これがまずい展開になる道筋は際限なく考えられるだろう」黒木は咳払いをした。

自分たちが属する階級組織の頂点にいる者がくそったれどもと裏取引をしている。
張りつめた沈黙の中、優樹が椅子に背をあずけた。
「左手のやっていることを右手は知らないという事態ですね…」

「関与しているのが誰なのか証拠を集めます」真莉愛が言った。
優樹も真莉愛も冷徹なプロフェッショナルの顔つきになっている。 
「仲間を見殺しにはできませんから」

黒木はうなじの毛が逆立つのを感じた。
相手にしなくてはならないのが誰かというのは、このお姉ちゃんたちには“小さな問題”のようだ。

敵は“司令官”だ。

121 名無し募集中。。。 :2017/04/30(日) 18:21:17
https://youtu.be/Mjl47n1DLZI
戦闘シーンのイメージ

122 まさきのマジェスティ :2017/05/05(金) 21:40:04
「わたし、あんまりあの人たちに好かれてない気がする」
玲奈は不満そうに言い、ペットボトルの水をごくごくと飲んだ。

朝食テーブルを挟んで玲奈の向かいに座った楓は、牛乳をかけたグラノーラを食べていた。
「お互いのことを知らないんだから当然でしょ」

“お互い”は正しくない。
真莉愛と名乗ったポニーテールの女は、楓と玲奈を朝5時前に起こしに来た。
そして新品の衣服を渡してくれた。
その中にはTシャツとランニング用の短パンも含まれていた。

楓も玲奈も文字どおり着の身着のままだった。
前日に服のサイズは告げていたが、翌朝にぴったりの服が用意されているとは思ってもいなかった。
自分の情報は残らず調査されている、と玲奈は思った。

横で木の扉が開く音がして、優樹が部屋に入ってきた。
ダイエットコークの缶を握って口元に持っていく。くたびれた様子で歩いてきた。
椅子を引いて、玲奈に並んで座った。

隣に座ったので、ついさっきシャワーを浴びた優樹から石鹸の香りがした。
髪はまだ湿っていて、ゆるくカールして垂れている。
洗われたばかりの狼のようだ。
血は洗い流されているが、獲物を仕留めた直後のような殺気がくすぶっている。

ランニングウェアを身に着けた上半身は体操選手のように引き締まっていた。
くびれた腰と太腿は短距離走者を思わせ、膝上から人工の足がついている。
施設での“優雅な動作”からして戦闘要員だ。
それは間違いない。

玲奈は鋭い視線で優樹を見据えた。
「いったいあなたたちは何者――――」
言いかけて玲奈は動揺した。
いつの間にか、優樹の手にはずんぐりしたリボルバーが握られていたからだ。

「考え抜いた上で決意した?」
優樹の声に感情は一切なく穏やかだった。
「ここに、こうしているだけで危険なんだよ」

無意識に玲奈の身体に震えが走った。
気づかれることを恐れ、くしゃみをするふりをしてごまかした。
「五木長官の背信行為が確実なものなら…大変な裏切りでしょ」

玲奈はゆっくり息を吸った。
その真剣な表情を優樹も楓もじっと見ていた。
そのとき、正面ポーチにバイクが滑り込んできた。
後輪で砂利と赤土を飛び散らせてから停まった。

部屋に入ってきた真莉愛がヘルメットを外した。
情報提供者のうち数人と“話”をするために出かけていたのだ。

「どうだった?」優樹が訊くと、真莉愛は重苦しいため息をついた。
「大変でしたよ」言いながらキッチンペーパーでナイフの血糊を拭った。

「当然あんたの―――何と言ったらいいか―――説得力が物を言ったんでしょうね…」
優樹は低い声で言いつつ、頭の中ではすでに慌ただしく計画を練っていた。

123 名無し募集中。。。 :2017/05/06(土) 16:18:15
説得力……(゚A゚;)

124 名無し募集中。。。 :2017/05/07(日) 08:36:53
MY VISIONのそうじゃない
間奏明けでまりあがデーンと歌ってる脇、カメラに見切れるかきわどいとこで
まさきが超高速でマイク回しててワロタ
今きづいた

125 まさきのマジェスティ :2017/05/07(日) 12:38:18
ずんぐりしたメルセデスの黒いボックストラックがブレーキを軋ませて停まった。
助手席のドアが開き、全身黒ずくめの男が降りた。

軽い足取りでコンクリートの階段を上り、目的の部屋へ向かった。
灰色の金属製のドアがあった。ここだ。

フクサキはひとり、うっすらと笑みを浮かべた。
見ている者がいた場合に備えてわざわざノックをする。
中からくぐもった声がして、スリッパを引きずる音が続いた。

「誰だ?」
身に染みついた習慣でフクサキはドアの正面に立つことを避けた。
ドアを閉じたまま目に見えない敵に向かって発砲する者もいる。

「兵藤局長からの使いの者です」
フクサキは、はっきりしない声で口にした。「緊急です」

「暗号の言葉は?」
黒木は暗号の言葉を聞くためにわずかにドアを開けた。
訪ねてきた男の顔を見て取るなり、ドアに体当たりして閉めようとしたが手遅れだった。

フクサキは慌てている黒木の鼻に拳を叩き込み、スタンガンを喉に押し当てた。
電気ショックで全身を痙攣させながら黒木は床に倒れる。
フクサキは肩でドアを押し開けて中に入った。

引き裂くような痛みに、黒木は気を失いかけていた。
自分を見下ろしている男の顔が視界に入った。
神経質そうな顔に残忍な笑みが浮かんでいる。

視界をはっきりさせようと黒木はまばたきした。
口の筋肉を小刻みに震わせながらも、どうにか声を絞り出した。
「だ…誰だ?」

「使いの者ですよ、黒木さん」フクサキが耳障りな笑い声を発した。
「ただし、兵藤局長ではありません―――五木長官からです」

あごを蹴りつけられて、黒木の頭の中で光が弾けた。
目がくらみ、火花が散っていったと思ったら真っ暗になった。

「運ぶぞ」フクサキが無線機に向かって言った。
気絶して転がっている黒木に、腰を屈めて近づいた。
「協力してもらいますよ…」

携帯電話を見つけたフクサキがスクロールして通話記録に残っている番号を見ていった。
にやりと笑みを浮かべた。「これは興味深いな」

手下の男たちが黒木を運び出した。
「おまえは部屋を漁れ」フクサキが指示をする。
「楽しませてもらおう…」ひとりごとのようにフクサキは囁いた。

126 まさきのマジェスティ :2017/05/07(日) 20:02:11
がらんとしたコンクリートの立方体のような部屋だった。
蛍光灯のどぎつい光がまぶしい。
床のくぼんだ中央には排水溝がある。
壁のフックには、とぐろを巻いた黒い蛇のようなホースがかけられていた。

拷問や処刑に使う部屋だ…。
黒木はスチールの肘掛け椅子に座らされていた。
トランクス以外、何も身につけていない。
手足はナイロンの結束バンドで椅子に縛りつけられていた。

「あの小娘たちを匿っているのは分かっている」フクサキは唇を歪め、ゆっくりと言葉を発した。
「居場所を教えてもらう必要がある」

フクサキが黒いポリ袋を手にしながら黒木の後ろにまわった。
「それに…どういう会話を交わしたか、一言一句、正確に思い出してほしい」

黒木の頭に袋をかぶせ、顔にぴったり押しつけて空気を抜く。
結束バンドを首の周囲にまわして締めつけた。

「!!!!」息を吸おうとする度にポリ袋が口にへばりつく。
狼狽して喘ぎながら息を吐き出す。
袋のどこかに残っているかもしれない空気を探して頭を必死にめぐらしても空気はない。

数秒後、黒木はパニックに襲われて叫んだり拘束を振りほどこうと無益にもがいた。
「居場所を言え!」フクサキが強く促した。
「急いで言わないと死んでしまうぞ!」

まもなく黒木は完全にパニックに陥り、拘束されている身を狂ったようにばたつかせた。
フクサキが左右の掌で黒木の両耳を痛打して意識を失わせた。

意識と血色を失った黒木がまた呼吸ができるようにするために、フクサキが袋を剥ぎ取った。
黒木は頭部をだらんと横に傾がせたまま動かない。

部屋の端にいた五木が嫌悪を込めた目で問いかけた。
「通常、これを何回繰り返す必要があるんだ?」
フクサキが五木と目を見交わす。

「この野郎は筋金入りなので、これまでの連中より長く抵抗できるかもしれません」
「任せる」うんざりした表情で五木が言った。

背を向けた五木は振り返りもせず部屋から出ていった。

フクサキは嗅ぎ塩の気つけ薬を黒木の鼻先に持っていった。「起きろ」
ほぼ即座に黒木が目を覚まし、強烈な臭いを嫌がって顔をそむけた。
「あいつらはどこだ?」すぐさまフクサキが尋ねた。

「ふん!」黒木が唾を吐きかける。
フクサキが黒木の横っ面を思いきり殴りつけた。
奥歯が砕けたのが分かった。

「もう一度訊こう。あいつらはどこだ?」
殴られて紫色に腫れつつある唇がプルプルと震えた。
「なんだ?」

顔を近づけたフクサキに黒木が言った。
「…もう一度袋をかぶせろ…オカマ野郎…」

127 まさきのマジェスティ :2017/05/07(日) 23:34:21
「ねえねえ」真莉愛が玲奈にささやきかけた。
「こういう状況の演習は経験した?…悪者が立てこもってる建物の制圧?」

バンの後部座席では、優樹がシステムモニターをチェックし、スクリーンにタッチペンを走らせていた。
非常に特殊なマルチコプターを飛び立たせたところだった。

運転席の楓が振り返った。
「黒木さん…無事なんでしょうか?」

黒木のアジトにこっそり盗聴器をセットしたのは優樹だった。
案の定、敵は罠に食いついた。
何度も囮にされたことがある。些細なお返しだろう。
それに施設に収監されたのは黒木が手配したからだ。
多少、痛い目に遭ってもらうのも悪くない。

「怖い人…」真莉愛がうめいた。
「でも、かえでぃーも横山ちゃんもこういう陰険なやり方も学習しなくちゃね」
「何か言った?」優樹が鼻にしわを寄せながら真莉愛たちを見た。

「さてと。何か計画がありそうな顔だね、まりあ」優樹が訊いた。
楓も玲奈も真莉愛に顔を向けた。
「考えはこうです」
口に出してしまったら、この計画が頭の中にあったときほどクレイジーに響きませんように、と真莉愛は願った。

じっくり計画を練っていたら―――黒木は殺されてしまう。
偵察と突入は同時進行するしかない。

「先陣はまりあがやるから」片方の目をつぶる。
「かえでぃーは横山ちゃんと連携して敵を撹乱して」

真莉愛たちはエアロステッチのトランジット・レザーで仕立てた装甲スーツを着た。
衝撃吸収素材に防弾シールドも加えた特注品だ。
マントのないバットマンのようだった。

真莉愛はレミントンMSRを胸の前にかかえ持ち、無線からの優樹の指示に従って進んでいった。
「見張りがいる。始末して」

真莉愛はレミントンの折り畳み式銃床を広げてから肩づけした。
ふたりの男が肩を並べるように立ってタバコを吸っている。
少し角度を変えれば、1発で仕留められると判断した真莉愛は急いで移動した。
新たな射撃位置につき、レティクルの中心を近い側の男の腰に重ねて引き金を引いた。

かすかな銃声が漏れ、発砲の反動を感じた。
ターゲットが銃創から内臓を撒き散らしながら折り重なって倒れた。
真莉愛は念のため、サイレンサーを装着したグロックで頭部に弾丸を撃ち込んだ。

「まりあ…屋根の上にスナイパー」優樹が告げた。
「ふたり。お互いが見える位置にいる。どうする?」

「わたしが」楓が割り込んできた。
「かえでぃー?ライフル持ってないでしょ?」真莉愛が訊いた。
「接近してナイフで“静かに”やるから大丈夫」
頼もしい答えが返ってきた。

128 名無し募集中。。。 :2017/05/08(月) 07:31:13
ドキドキ!

129 まさきのマジェスティ :2017/05/09(火) 23:47:03
密やかさが必要な状況ではナイフはこの上なく効果的だ。
様々な武器を用いる幅広い機会に恵まれている真莉愛もナイフでの仕事は好きだった。

血生臭い殺害現場は敵営の人間に精神的なダメージを与える効果がある。
一時期の真莉愛はそれにこだわるようになり、ナイフと絞首具を有効に活用していた。

そうした任務遂行の仕方は味方の間でも評判となった。
現場では頼りにされるが、任務以外の場面では避けられるようになった。
ちょっとセンチメンタルな思い出だ。

「じゃあ、まりあもナイフでやる」
なぜか対抗心を燃やして宣言した。
「何言ってんの?効率性と安全性を優先して。時間ないんだから」
優樹が真莉愛を叱った。

スナイパーに音もなく近づいた楓は背後から男の喉を切り裂いた。
チーズカッターのようにすっぱり肉が断ち切られた。

もうひとりのスナイパーが不都合な事態が生じたことを察知した。
ライフルをめぐらそうとした瞬間、真莉愛が放った弾丸に心臓を撃ち抜かれた。
そのまま屋根の向こうへ吹っ飛んでいく。
真莉愛はスコープから目を外すことなくボルトを操作し、楓を見た。

射撃姿勢を保ちながら見ていると、気づいた楓がドヤ顔でこちらを見返した。
真莉愛は引き金を絞った。

玲奈を見咎めたふたりの男が近寄ってきていたのだ。
ふたりとも脳みそを撒き散らしながら倒れて痙攣していた。
楓も玲奈も息を飲んで後ずさって、壁際に身を縮めた。

「アマチュアじゃないんだから」真莉愛が噛みつくように言った。
玲奈はへまをやらかしたことを悟った。

「おっと、気づかれた」優樹の声が無線を伝わった。
すると突然、建物群から大勢の叫び声が聞こえてきた。
楓と玲奈が、恐怖に見開いた目を見交わす。
「ごめんなさい!わたしのせいで…」
玲奈は泣きそうになっていた。

「全員、傾聴!とりあえず無人機で援護するから」優樹が言う。
「ちなみに気づかれたのは横山ちゃんのせいじゃない」

「まりあ、あんたが吹っ飛ばしたスナイパーの死体が発見されたのよ」
「ええ!?」真莉愛が手で口を覆い、顔を歪ませた。
「…ごめんちゃいまりあ」

マルチコプターにセットされたガトリング銃が火を噴いた。
毎分3000発の速度で発射される弾を浴びせられた敵どもが四方八方へ逃げていく。
熱い曳光弾が赤いレーザービームのように彼らを追った。
3桁の弾を食らった人体が次々に爆裂する。

真莉愛の血がたぎった。ミスを挽回しなくちゃ。
武装した男たちをひとり、またひとりと倒しながら突き進んだ。

130 名無し募集中。。。 :2017/05/11(木) 11:20:36
くろっきカッコいいな

131 名無し募集中。。。 :2017/05/20(土) 12:14:50
続き待ってます

132 まさきのマジェスティ :2017/05/20(土) 14:32:16
男たちが武器を手にして真莉愛たちのあとを追う。
真莉愛が夜の闇の中から影のように滑り出た。
2秒とかけず、その全員の身体のど真ん中に銃弾を叩き込んだ。

そのあと、頭部に1発ずつ弾を撃ち込んでいく。
ほぼ4秒後、グロックの遊底が後退してロックされる。
最後に排出された空薬莢が床の上に転がった。

真莉愛はマガジン・リリースを親指で押して空の弾倉を落とし、新しい弾倉を挿入する。
スライド・リリースを押して薬室に弾を送り込んでから走り出した。

一方、楓と玲奈は黒木が拘束されている部屋を目指した。
騒動を聞きつけた男たちが急ぎ足で出ていった。
姿を見られないように身を平たくし、じっと動かずにいた。

男たちが走り去っていき、楓が玲奈に身ぶりを送る。
玲奈が楓を見つめる。楓がドアを指さし、うなずきながら身を転じた。

楓たちはノック抜きにドアを開いて中に踏み込んだ。
黒木を見つけた。両手首をひとまとめに縛られ床に転がされている。

次の瞬間、楓と玲奈はへまをやらかしたことを悟った。
部屋の隅を確認するのを忘れていたのだ。
不必要だろうと思い、すっかり失念していた…それが失敗だった。

背後から撃たれた楓はどさっと倒れた。
「かえでー!!」玲奈が跳びしさって男に応射を浴びせる。
血が噴水のように飛び散り、男が床に転倒した。
身を縮めながら玲奈は続けざまに発砲し、男の頭部を撃ち抜いた。

「かえでー!!」また玲奈が叫んだ。
「…落ち着いて」陰気に楓は答えた。
楓は生きていた。途端に玲奈は肩の力が抜けて安堵した。
レザー製ジャケットの肘に沿って大きな裂け目ができている。
防護スーツのおかげで助かったのだ。

銃弾がジャケットに開けた穴に玲奈は指を突き入れた。
傷口から出血していたが重傷ではない。
楓は玲奈と短く目を合わせてから喘ぐように言った。「脱出するわよ」

助け起こされた黒木は手酷く痛めつけられていた。
顔が傷だらけになり、鼻梁が裂けて出血している。
玲奈に渡されたベンゼドリン・カプセルを苦しそうに飲み下した。

「走れますか、黒木さん?」楓が問いかけた。
「…ああ」低いが断固とした声だった。
落ちくぼんだ目で楓と玲奈を見つめて、ごくんと唾を飲んだ。
「ありがとよ、お姉ちゃんたち…」

黒木は純然たる意志の力のみでふたりに向かってにやっと笑いかける。
「では、すぐに動くとしよう。スケジュールに遅れが出てるからな」

133 まさきのマジェスティ :2017/05/20(土) 17:14:59
次第に敵の数が少なくなっていく。
だからと言って油断は禁物だ。侵入者を捜している連中はまだいるに違いないのだ。

真莉愛はどんな小さな動きも見逃すまいと神経を研ぎ澄ましながら進み続けた。
動くものを反射的に撃ちそうになった。
さいわい、引き金を絞る直前に思い止まった。

のっそり現れた猫は尊大な目つきで真莉愛をじろりと見る。
人間たちの騒動には頓着していない様子だった。
尻尾をひと振りしてゆっくり立ち去った。

安堵の息をついた瞬間、消音された銃声が低く響く。
痛烈な衝撃で、身体が浮き上がり壁に叩きつけられる。
肺の空気が押し出されるが防護スーツのおかげで死んではいない。

真莉愛はまだ自分がキルゾーンの範囲にいることを察して即座に身を隠した。
グロックは手から滑り落ちていた。
M4カービンを構えた痩せた男が近づいてくるのが見える。

手榴弾のピンが抜かれる音がした。
痩せた男が投じた手榴弾が自分の背後に転がる音を聞きつけた。
猛烈な爆発を間一髪で回避したが、聴力が失われた。

高周波の耳鳴りだけがする中で、真莉愛は懸命に反撃する。
相手の男は真莉愛の頭を狙って発砲してきた。
空間を作ってはいけない。頭を撃ち抜かれる。
渾身の力を振り絞って真莉愛は男の構えたM4カービンを蹴り上げた。

M4カービンが乾いた音とともに床を滑っていく。
真莉愛はさっと振り返り、その痩せた男、フクサキの手首を掴んだ。
そのまま腕をひねって床に転倒させる。
ブーツでフクサキの喉を蹴りつけた。
「ぐ!!」延髄をへし折ろうと足を上げた真莉愛はフクサキに足首を掴まれた。

仰向けのままフクサキがバネのように跳ね起き、真莉愛は背中から床に叩きつけられる。
フクサキは雄牛のように唸って真莉愛に組み合った。
真莉愛は絶え間なくフクサキの肋に打撃を加える。

顔面のガードがおろそかになったところで、真莉愛はフクサキの目に爪を立てた。
「が!!」眼窩に指を深々と食い込ませた。
たまらずフクサキが真莉愛から離れる。

激痛で吐き気を感じたが、アドレナリンの冷たい奔流が全身を駆けめぐった。
「…さすがは…精鋭部隊の生き残りだ…楽しませてくれる…」
真莉愛には聞こえていなかったのだが。

脳震盪から次第に回復し、全身の痛みのせいで逆に頭がはっきりしてきた。
真正面に対峙しているフクサキがポケットからナイフを取り出す。
真莉愛はハーネスにつけたパウチのひとつから絞首具を取り出した。

絞首具の両側についている木製の持ち手を左右の手に握る。
網膜をえぐられて目から血を出しているフクサキが突進してきた。

フクサキの死角から真莉愛は敏捷に動いた。
持ち手をつないでいるワイヤーをフクサキの喉にまわして絞めあげる。
呼吸と脳への血流が瞬時に停止させられた。

フクサキの手からナイフが落ちて必死に喉をかきむしるが無益なあがきだった。
真莉愛は自分から床に倒れて体勢を安定させる。
そのまま着実に絞めあげていった。

フクサキが苦悶しながら声もなく息絶えようとしたとき、真莉愛は耳元でささやいた。
「あの世で片目に慣れてくだちゃいまりあ♪」

134 まさきのマジェスティ :2017/05/20(土) 21:54:13
五木はふたりの護衛に挟まれる格好で走っていた。
駐車場の念入りに洗われた車へと向かっている。
手近な出口を目指して駆けながら叫んでいた。

「くそったれ!これだけの人数がいてなぜ始末できんのだ!」
駐車場の整備エリアにあるSUVに3人がたどり着いた。
五木は護衛を両脇に従え、短気を起こして怒鳴り散らしていた。

背後で何かが割れる音がした。
拳銃を抜きながら護衛ふたりが揃って振り向くと、ショットガンを構えた優樹が立っていた。

ひとりが胸にぽっかり大きな穴を空けて吹き飛んだ。
もうひとりがショックを浮かべながらも必死に反撃する。
だが優樹のスピードと機敏さには勝てなかった。
猛然と、しかもジグザグに進んでくる優樹は銃弾に当たることなくショットガンを連射する。
護衛の顔面が熟れたメロンのように割れた。

五木はパニックにかられて、手の震えを抑えようとしながら護衛が持っていた拳銃を拾い上げた。
優樹がムエタイ流のキックで五木の手首を蹴りつけた。
金属製の足に蹴られて、骨が折れる音が響いた。

「あがぁぁっっ!!」
続けて鼻柱に優樹のかかとがめり込む。
骨が砕け、軟骨が引き裂かれて鼻はほぼ粉々になった。
五木は意識朦朧となった顔を鮮血で染めながら、呻き声を発して倒れた。

ぼやける意識の中でも身を守るかのように折れていない片手を上げて目を閉じた。
殺される覚悟をしたが殺されなかった。

優樹がリュックサックから携帯用パソコンを取り出す。
何度かキーを叩き、いくつかボタンを押すと小さなモニターが明るくなった。

「さてと、長官。コードを教えてくださいな。あなたの“隠し資産”の」
優樹が五木の目の前にすっくと立っている。
五木は腕の激痛に吐き気を催したが、折れていない方の手を床について優樹を見上げた。

「…何の…話だ…」砕けた鼻のせいでゴボゴボと音がした。
「本人名義の銀行のキャッシュカードなら簡単ですけどね」優樹は首を振った。

世界中の悪党の資金洗浄。
テロや犯罪組織と渡り合う人物の裏の顔だ。
「必要経費はいただきますよ」優樹は深呼吸をして下唇を噛んだ。

「…ふん…」五木は目つきを険しくして、混じり気のない憎しみをあらわにした。
かろうじて聞き取れる声で言った。
「…おまえたちも…ただの泥棒だ…私と何が違う?…」

「違うなんて…言ってませんよ」時間の余裕はなく優樹は迅速に行動に移った。
「アクセスするためのコード、そして長官、あなたの“生体認証”が必要なんです」
優樹の左手にはバイスグリップが握られている。

「協力してくれたら、より早く死を迎えられます。そうでなければ…どうなるか…」
優樹はバイスグリップの先端のねじを調整した。

そのとき無線から声が聞こえてきて優樹が応答した。
「了解。こっちは任せて」
優樹は五木に冷たく告げた。「全員、排除しました。あなたが生き延びることはない」

五木はたじろぎ身構えた。
「もう…チャンスはないのか…」
「残念ですが」つぶやくような声になった。
「急いでください、長官」

135 名無し募集中。。。 :2017/05/21(日) 02:00:50
いいね

136 名無し募集中。。。 :2017/05/21(日) 08:02:00
いたたたた

137 名無し募集中。。。 :2017/05/21(日) 08:12:26
訓練生時代の4人の写真
http://livedoor.blogimg.jp/cutesokuhou/imgs/4/9/49036097.jpg
http://livedoor.blogimg.jp/cutesokuhou/imgs/5/1/51485c8b.jpg
http://livedoor.blogimg.jp/cutesokuhou/imgs/5/8/581bd096.jpg
http://livedoor.blogimg.jp/cutesokuhou/imgs/1/8/181eaab6.jpg

138 まさきのマジェスティ :2017/05/21(日) 14:52:18
無線の通話装置を介して、雑音混じりの優樹の声が響いた。
「了解。こっちは任せて」

真莉愛は黒木たちと合流するために広い廊下の出口へ向かった。
出口の前に立ちドアノブを握ったまま、しばらく呼吸を落ち着けることに集中した。

優樹が問題を解決してくれれば、未知のセキュリティシステムに挑まずに莫大な“報酬”が手に入る。
それがあれば引退できるだろう。ささやかな希望だ。
真莉愛は口にペパーミントキャンディを放り込んだ。

そのとき背後から冷たいナイフが胸郭に突き刺される感触があった。
「う!」真莉愛は襲ってきた相手に振り返った。
フクサキが立っていた。

真莉愛はフクサキの体重がかかっている方の脚の膝の裏側を蹴りつけた。
バランスを崩しながらもフクサキは真莉愛から離れた。
真莉愛の背中から引き抜かれたナイフは薄い血に覆われていた。

防刃加工されていない部分にナイフを突き刺されていた。
正面に立っているフクサキはぜえぜえと息をしている。
目から出血し、歪めた口の両端に唾をこびりつかせているが“生きている”。
死んではいなかったのか。いや、ゾンビか?

フクサキと対峙しながら真莉愛は自分の状態を分析した。
傷は深い。まだしばらくは動けるがこのままでは肺に血が溜まって窒息する。

真莉愛はわずかに腰を屈めて両腕を垂らした。
どの方向にも動けるように重心を分散した。

真莉愛は左手でフェイントをかけてフクサキの性急な反撃を誘う。
その攻撃を身体をひねって避けながらフクサキのあご先に下から手加減なしの肘打ちを見舞った。
真莉愛はナイフを握るフクサキの手を力いっぱい捻る。
手首の腱が引きちぎれ、骨が外れた。

ナイフが床に落ちてくぐもった音を響かせた。
「うぐ!」「げふ!」
真莉愛とフクサキは同時に叫び声を発した。
真莉愛の胸腔に空気が流入してきていたのだ。
肺が押し潰されて気道が圧迫されている。気胸を起こしかけていた。

フクサキの異常に興奮した脳は、手首の痛みを無視して真莉愛にヘッドロックをかけた。
真莉愛は激しい咳の発作に襲われた。
死の恐怖が波になって全身に伝わった。

次の瞬間、銃声が真莉愛の耳に届いた。
フクサキが後頭部をコンクリートの壁にめり込ませてグシャッという胸が悪くなる音を響かせた。
壁にピンク色の血糊の筋を残して崩れ落ちる。

「まりあ!」「牧野さん!」
走ってくる楓と玲奈が見えた。
その向こうに目を見開いて拳銃を構えている黒木がいた。

139 名無し募集中。。。 :2017/05/21(日) 15:51:47
川* ゚_〉゚)<まりあ!

140 まさきのマジェスティ :2017/05/21(日) 18:06:27
楓が真莉愛の脇の下に肩を入れ、玲奈がもう一方の脇の下へ肩を入れる。
ふたりは力を合わせて、できる限りの速さで真莉愛を引きずっていった。

黒木が無線で優樹を呼び出した。
「お姉ちゃん!さっさとここを離れるぞ!相棒が死にかけてる!」

激昂した頭脳が優樹に命令を下してくる。
尋問する対象は目の前にいてガタガタと震え、縮こまろうとしていた。
必要な情報はまだ得ていない。

五木は愚かにも、これでいくらか時間が稼げたと思い込んだ。
サディスティックに目が輝いた。

優樹は一瞬も躊躇わずに五木の眉間に2発の銃弾を撃ち込んだ。
そして廊下に飛び出した。

バンの後部座席に真莉愛を運び入れた。
身体の横を下にして真莉愛は喘いで息をしている。
血が筋を引いて垂れ、粗いシートに染みを残した。

車のハンドルは黒木が握った。
猛スピードで運転しながら携帯電話を耳に押し当てる。
「もしもし、翔子か!?緊急のオペを頼む!そっちへ向かってる」

冷たい水が顔にかけられ、包まれていた闇が消えていく。
うっすらとものが見えてきた。
「まりあ!」顔の前で誰かが叫んだ。「まりあ、聞こえる!?」

教会の鐘のような耳鳴りがしているが、その声ははっきりと聞き取れた。
佐藤さん…。ぼうっとした顔が見え、目の焦点が合ってきた。

「まりあ、聞こえる?聞いてちょうだい。よく聞いてよ。
答える必要はない。ただ、まーが言ってることを理解しようと努めてちょうだい。頭を働かせておくの。いい?」

真莉愛は口を開いたが気道が詰まっていて声が出せない。
「このままじゃ死んじゃう!」玲奈が泣き叫んだ。

真莉愛の顔が青ざめて、唇が腫れつつある。
「呼吸ができるようにバルブをつけなきゃ」優樹が言ってキャメルバックの水筒を引き抜いた。

「胸腔の排液をしなきゃいけない。かっちゃん、まりあをうつ伏せに寝かせて押さえて!」
「や、やり方、分かるんですか?」
楓が真莉愛の両肩を押さえ込む格好で身体をかぶせて震える声で問いかけた。

「教わったことはある」優樹が言った。
優樹がナイフで真莉愛の上着の後ろ側を切り裂いて肌を露出させた。
「しっかり押さえて!」ナイフの切っ先を真莉愛の腰に突き刺す。
上方、胸腔と思われる位置の下端へと徐々に潜り込ませる。

真莉愛は銛に刺された魚のようにもがいた。
喉に血が詰まって息をすることも叫ぶこともできない。
優樹がナイフを抜き、傷口に指を深く差し入れてから、硬い水筒のストローを潜り込ませた。

そして、胸腔の空間だろうと思われるところにストローを滑り込ませることができた。
5秒が過ぎた。真莉愛の身体から淡い赤の体液が流れ出てきた。

「やった!」優樹が息をついた。
30秒が経った頃、真莉愛はまた呼吸ができるようになってきた。

“相田医院”と看板を出している開業医のところへ真莉愛は運び入れられた。
手術用マスクを頭の後ろで結びながら医者が近づいてきた。
ストレッチャーに乗せられた真莉愛の怪我の程度を測るように目を走らせている。
見覚えがある顔だ。あのときの女医だ。

優樹の顔も見えた。
かすかに湧いていたアドレナリンが消え失せ、真莉愛は気絶した。

141 名無し募集中。。。 :2017/05/21(日) 18:31:19
相田翔子?w

142 まさきのマジェスティ :2017/05/21(日) 21:21:12
【エピローグ】

真莉愛は病院用ベッドの端に腰かけていた。
廊下にいる楓と玲奈が手を振った。

黒木も含めた全員が“組織”によって身柄を確保された。

「ここに滞在することになるんですか?」真莉愛はぼそぼそと優樹に話しかけた。
優樹は背もたれに身体を預け、しばらく天井を見つめていた。
やがて両手を広げて膝に置いた。
「“拘禁”かな。正確に言うと」

優樹は深いため息をついた。
政府機関のエージェントである優樹たちは複雑な機密情報そのものだ。
組織自体に法的承認がない。
ありがたいことに刑務所暮らしをすることはないが、似たような暮らしをすることはある。

ここは壮大な煉瓦造りの屋敷だった。
立派なプラタナスの大木が並んで植えられている。
優樹はその環形の私道をじっと眺めた。

楓と玲奈は廊下の先にある部屋に向かった。
これから数週間、あるいはもっと長い期間ここで過ごす間、彼女たちの食堂であり共用スペースになる。

屋敷の中は自由に動き回ることができるが、外部との接触は一切できない。
政府の秘密機関――特別委員会と呼ばれている――が結論を出すまでは。

黒木がわびしげな風情で舗道を散歩していた。
(分別のあるところを見せてくれて嬉しいわ)
兵藤はそう言っていた。
五木の背信行為についての供述書はうわべを取り繕ったものだった。

“組織”にとってダメージが最小限で済むように責任を分散させた悪あがきだ。
自分が闇に葬られることなど気にもならないが、まだ若い女の子たちを矢面に立たせることは我慢できなかった。



ほどなくして屋敷を管理監督している男に命令が下った。
“全員を自由にするように”
電話が鳴った。男が対応する。電話の相手は兵藤だった。

この“組織”で無条件に命令に従うべきごく少数の幹部の中では、兵藤はリストのトップにくる。
「承知いたしました、兵藤“長官”」



おわり

143 名無し募集中。。。 :2017/05/21(日) 22:38:56
自由……

144 名無し募集中。。。 :2017/05/22(月) 01:25:14
乙した
面白かった

145 名無し募集中。。。 :2017/05/22(月) 08:44:46
めちゃくちゃ面白かった
Dとよこやんが生き残っ…いや生き残れなかったのか?

146 名無し募集中。。。 :2017/05/22(月) 11:20:41
。。8*‘ -‘)<佐藤さん、ご飯を幾ら食べてもお腹いっぱいにならないんですけどどうしてでしょう……

川* ^_〉^)<あ、肺じゃなくて間違って胃にストロー刺しちゃってた
        んで抜くの忘れてた ごめーん

。。8*‘ -‘)

。。8*‘ -‘)

147 名無し募集中。。。 :2017/05/22(月) 11:32:58
川* ^_〉^)<拘禁されちゃったねー

。。8*‘ -‘)<まりあそんなに汚く無いですよ

川* ^_〉^)

川* ^_〉^)<抗菌じゃねーよ!

148 名無し募集中。。。 :2017/05/22(月) 12:19:52
分かりにくかったかな
エピローグの時点で5人とも生きてます
ただそのあと“自由”というのはいろんな解釈ができるようちょっとアンフェアな書き方しました
引退生活を満喫してるかもしれないし以前のようにエージェントとして働いてるかもしれない
あるいは…粛清されて…とかね

読んでくれたひと どうもありがとう
また書いたら付き合ってください

149 名無し募集中。。。 :2017/05/22(月) 12:38:27
拘禁とは保護されている事でもあって、それを解く=自由にする、で後はどうなろうと関知せず、か

作者さん有難う御座居ました
出来たらまたスピンオフも読みたいです(^-^)

150 名無し募集中。。。 :2017/05/22(月) 20:24:48
楽しかった
ここ最近一番楽しみにしてました
ありがとう

151 名無し募集中。。。 :2017/05/23(火) 00:08:00
ありがとう
面白かった


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