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まーちゃんとまりあんLOVEりんのスーパー姉妹スレ@新狼

86まさきのマジェスティ:2017/04/23(日) 07:34:23
午前8時。
黒木は身なりを整えた。
司令部のお偉方にどう思われようと関係ないが、多少のプライドを保つのは重要だ。

優樹と真莉愛は黒木に脇に呼ばれた。
「いいか、おとなしくしてろよ」
優樹も真莉愛も黙っていた。
「先が思いやられるな…」黒木がつぶやいた。

職員にエスコートされて会議室に入っていくと、数人が視線を動かした。
警戒もあらわに見つめる者、ぴりぴりしている者。
だがほとんどが黒木たちを無視していた。

男がひとり、近寄ってきた。
他の者とは違って警戒心と称賛の入り混じった態度だ。
見覚えがある。松原だった。

その時、重鎮のひとりがわざわざドアを開けて女性を会議室に迎え入れた。
兵藤局長だ。
テーブルのそばで足を止めると、座っていた面々が全員立ち上がった。
ほぼ中央にある1席に、手にしたファイルをぴしゃりと置いた。
「座ってちょうだい」
局長は言葉を切り、ファイルを見て、それから黒木たちに目を向けた。

全員押し黙っていた。
昨夜からの短時間でこれだけ駆り集めるのは容易ではなかったはずだ。

「黒木班長。それにお嬢ちゃんたち。なぜ“ここ”にいるか承知してる?」
黒木は落ち着き払って答えた。
「よく分かっています」

局長は少し躊躇った後、かすかな笑みを浮かべた。
「いいでしょう。司令部はあなたたちの活躍と、戦場での勇敢な戦いぶりはよく承知しています。
そして私個人は、佐藤さん、牧野さん、あなたたちが大義のためにしてきた全てに感謝しとるのよ」

局長は束の間、言葉を切り笑みを消した。
「地下組織の情報収集が任務だったわよね?」
しかしながら現実は、その施設は完全に破壊され、跡形もなくなった。
誰ひとり、何ひとつ残らなかった。
巨大な陥没が残っただけだ。

マスコミ向けには化学工場の不幸な爆発事故と報じられた。
真相は表沙汰になることはないだろう。

「局長」と黒木は切り出した。
「昨夜の作戦を不満に思ってるのは知ってますが結果オーライじゃないすかね?」
自重するとか言ってなかったっけ?
優樹が口をすぼめて笑いをこらえている。
真莉愛は下を向いてニヤニヤしている。

黒木がまた口を開こうとすると、局長は間髪を入れず手を挙げてそれを制した。
「意見の相違があるようね。でも本気でやり方を改めてもらいたいわけ」

黒木がわざとらしく咳払いした。
局長は優樹と真莉愛を振り向いた。
嫌味が口を衝いて出た。
「日本政府と台湾政府を思い止まらせるために私がどれだけのことをしたか。
分かってるならもうちょっと感謝してもよさそうなもんよ」

優樹と真莉愛の顔がこわばった。
ふたりの神経は最高度の警戒態勢に入った。

兵藤局長は黒木の方を向いた。
加減を測った口調でこう締め括ってから出ていった。
「じゃあ黒木班長、以後、状況は逐次報告してもらいますよ」


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