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魔法使いえりぽん避難所Part2

1 名無し募集中。。。 :2015/07/29(水) 23:59:12
狼で進行中の魔法使いえりぽんの避難所です

885 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:38:31


と、衣梨奈からいつもと違う感覚を覚える。

それは頼もしく、そしてどこまでも幸せな魔力…。


「あれ、神社の…!」

遥が思わず声に出した。


そう、それは皆が大好きな神社で感じる
独特な感覚と同じだった。

和みスポット、だとか幸せスポット、などと呼んでいるが、

なぜそれが今、衣梨奈の魔力に混ざっているのか。


亜佑美は一瞬だけ思考を巡らせたが、
答えは出さず、直ぐに考えるのをやめた。


今は自分の役割を全うする時だ。



衣梨奈の魔力は、
荒々しさから徐々にリラックスしたものへと変わってきた。

それに呼応するかのように、
後ろでタイミングを計る3人の神経も冷静に、
水を打ったようなクリアな状態になっていた。

886 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:39:42


流れるように、風が1つ。


…来る。


それは一瞬、息を吸う間の出来事だった。


タイミングを掴んでいた亜佑美でさえ
反応が遅れたほどのスピード。


二人の魔力が光ったのを見た敵は
慌てて小刀を振りかぶる。

その鋭利な刃は、
二人の柔らかく温かい首へ入り込んでいく
手前でピタリと止まった。


「なっ…!?」


敵はこの状況を飲み込む間すら与えてはもらえなかった。


聖は自らの死を覚悟して目をつぶっていたが、

聖を押さえる手が離れるのと同時に
聖を包む優しい感覚に目を開ける。


「恐い思いさせてごめん。でも、もう大丈夫やけん」


聖の心へ流れ込んでくる温かい感覚。

思い出せないけれど、
楽しい夢を見た後のような、幸せな気分。

つい数秒前まで死を覚悟していたのが嘘のように、
聖の心はリラックスしていた。


「ありがとう、えりぽん。」

衣梨奈の笑顔は本当に癒される。

887 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:53:05


「えりぽん、来るよ。」

香音に声をかけていた里保が敵に向き直る。


「さっきの魔法、今も使える?」

「もう無理。」

「なんじゃそりゃ。」


「でも里保が来てくれとったお陰で
 刀を止めた後に敵倒すのがスムーズやったよ。」

「…嫌味に聞こえるんじゃけど。」


「お前ら調子乗ってんじゃねぇぞ…」

怒りに震える敵達の魔力が一気に高まり、

合図を待たずして突如皆に襲い掛かってきた。


待ち構えていた亜佑美が遠距離攻撃を防御しつつ、
スノードームを精製して聖と香音を覆う。



「怒っとるのはこっちも同じ。」

里保と衣梨奈は正面から突っ込んでいく。


亜佑美はスノードームに最大限の魔力を注ぎつつ周囲を防御し、

他の皆はそれを囲むようにして応戦する。


と、外円の敵が突然魔力を失っていく。


衣梨奈達がその方向を見ると、

M13地区の魔導士達がもの凄い勢いで流れ込んで来るのが見えた。

「てめぇらマジぶっ殺してやる!!」

「クズ共がぁ!!!」


聖や香音と交流のある魔導士を筆頭に、
皆がその怒りを敵にぶつけているのだ。

888 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:53:38


「みなさん、お待たせしました!

 ようやく街の魔導士全体がまとまりました。

 街のみなさんが、こちらの味方です!」

なだれ込む住民に紛れて春菜が合流する。


こうなったら後は駆逐するだけだ。

衣梨奈・里保を筆頭に
今まで以上の勢いで敵を圧倒していく。


衣梨奈が向かってくる水球と雷撃を砂壁でガードすれば
横から優樹がカウンターで襲い掛かり、

敵が遥を囲めば里保が炎を纏った刀で敵を薙ぎ払い、
遥がそれに合わせて水柱を叩き込む。

住民たちも互いに連携しながら次々に敵を片付けていき、
もはや完全に流れを掴んだと断言できるまでになっていた。



「お前が生田の娘か。」

不意に、男が衣梨奈の前に立ちはだかった。

おそらく、敵のリーダーであろう。

里保も近くでその男に注意を注いでいた。

前線に現れたという事は、やはり敵も策が尽きたという事か。


「そうですけど、あなたはここのリーダーですか?」

「だとしたら?」

「本気でやります。」

衣梨奈の魔力が再び跳ね上がる。


「…クソガキが。こちとら計画おじゃんでお先真っ暗なんだよ。

ぶっ殺してやる。」

敵の魔力は相当なもの。里保も衣梨奈の隣に立つ。

889 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:54:09

「里保、ここはえりが…」

言い終わらぬうちに、敵が突進してきた。

その速さは狗族に匹敵し、咄嗟にガードした衣梨奈は
あまりの衝撃に攻撃をはじいてしまう。

懐に入り込もうとする敵を慌てて蹴りで牽制し、
その隙に里保が刀で切り上げるがそれは空を切る。

身体を反った敵はそのまま瞬時に回転を利かせて
里保の肩へと蹴りを入れた。

「里保!!」

背後から殴りかかる衣梨奈の拳を左腕でガードすると、
その腕を払いつつ右拳で衣梨奈のみぞおちを狙う。

だが衣梨奈も咄嗟に掌底で拳を受け止め、
その右手を両腕で掴んだまま跳び上がって相手の顔に蹴りを入れた。

体勢の崩れた敵だがなんとかふんっばって里保の刀を受ける。

だが里保の刀が赤く光ったかと思うと、男の体を炎が包んだ。


「ぐぅっ…。 だが…、まだ!!!」

魔力を焼かれながらも火の手を脱した男は魔力で刀を取り出し、
里保と激しくぶつかり合う。

間を取るたびに仕掛けてくる衣梨奈は
炎や雷の魔法で牽制したり斬りかかったりすることで攻撃を防ぎ、

とにかく里保を仕留めようと
素早い太刀裁きと移動スピードで里保をジリジリと押していく。


敵はもう少々の被弾は捨てている。

今は執念だけで、とにかく目の前の里保を消そうとしている。

対する里保はかすり傷でも太刀を受けないよう立ち回っているため、
どうしてもその動きに差が出てしまう。

このままではいずれ手傷が増えていく。


どうすれば…

890 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:54:53


「里保、飛んで!」

衣梨奈の声で里保が風に乗ると、
衣梨奈の砂壁が敵の太刀を止め、飲み込んだ。


「今!!!」

衣梨奈の合図で疾風に乗った里保が
炎を纏った刀を振り抜く。


敵はうめき声を上げながらその場に倒れこんだ。



「大丈夫?里保。」

「うん。」

駆け寄る衣梨奈に返事を返す。

だが、里保の鋭い感覚はもう一人、異質な男の存在を捉えていた。


「ブラボー!  まさかやっつけちゃうとはね。びっくりした!」


40代後半だろうか、敵意のない魔力を纏った男が拍手をしていた。

891 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:55:23

「誰ですか。」

「そんな冷たい対応しないでよ。
俺さぁ、ちょっと君たちに惚れちゃったんだけど。」


と、倒れていた男の言葉に里保は警戒をさらに上げた。


「…おい、依頼主は出しゃばんねぇでくれないかね。

 これは俺たちの仕事なんだよ。」

「うるさいよ。てかそもそも俺の依頼と違うことやってんじゃん。

 それに人質なんて最悪だよ? もうあり得ないっての。」 

「黙れ。とにかくじゃまし…なぃ…、で…」

男は言い終わらないうちに気絶した。


いや、気絶させられた。

「もう、ほんと困っちゃうよな。

 ゴメンね?おれも傭兵雇うの初めてだったから
 こんないい子たちを攻撃するなんて思ってなかったわけよ。」


「あの〜、おじさん何者なんですか?」

まったく話についていけていない衣梨奈がしびれを切らせて質問してみる。


「あ、どうも。ユースケ・サンタマリアです。」

892 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:55:55


聞きなれない名前に戸惑うが、ユースケはお構いなしに話を続ける。

「いやオレはね、ここM13地区が協会と距離を置いてんのに
なんでこんな風にやっていけてんのかなぁって気になったわけよ。

でもさ、えりぽんだっけ?君みたいな子たちがいるんなら納得したよ。
オレもうファンになっちゃったもん。」

「えー、ほんとですかー?!」

素直に喜ぶ衣梨奈の横で、まだ里保はユースケを疑っていた。

「あの、協会の襲撃はなぜやったんですか? それにB.T.Sも。」

「それも彼らが全部勝手にやったことだよ。

 俺も様子見ようと思って話聞いてみたら
全然違う方向に進められちゃってたからびっくりしたんだよ。

だから人質になってた二人にはほんとごめんな!
俺のせいで危ない目に合わせちゃってほんと申し訳ない。」

敵の雇い主が頭を下げる。戦場においてなんとも異様な光景だった。


「でもほんとさぁ、これからもえりぽん達のこと応援してっから。

がんばってよ!」


嘘を言っているようには見えない。
だが、里保は執行局員として引き下がれなかった。

「すみませんが、このまま逃がすわけにはいきません。
 一緒に執行局へ来てください。」


だが、それを止めたのは意外にも衣梨奈だった。

893 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:58:21

「いいよ、里保。 ユースケさんは大丈夫。」

「えっ、何で?

 ここで引き下がるわけにはいかんじゃろ。

 局長になんて言う気?」

「パパには『解決したからもう大丈夫。』って言っとけばいいけん。」

衣梨奈が涼しい顔で話す。

「里保の任務は『相手の目的を探ること』やろ?

 それにここはM13地区やし。
勝負してもない相手を捕まえるのはタブーっちゃろ?」


考えていないようで痛いところをついてくる。

里保にはこれ以上食い下がることはできなかった。


「オレも執行局には行かないけど
えりぽん達の質問に答えたりするぐらいなら協力するよ。」

「じゃあユースケさん、こんどまた話聞かせてくださいね。」


初対面の相手をこんなにもあっさり信用するなど
里保には到底できなかったが、

優樹に目をやってみると、こちらも特に警戒している様子はない。

こういう場合は衣梨奈と優樹を信じる方が良いのだろう。


聖と香音を傷つけようとした敵は倒したし、

敵も既に戦意喪失している。


里保は赤く彩られた空に終局を受け入れた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

894 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 01:58:53


衣梨奈達の戦いを遠くから眺めていた菅井は、
柔らかい表情で神社へと入って行った。


「まったく、思い出すまでずいぶん苦労したわよ。」

そう毒づく菅井の身体をピンク色の魔力が包んだ。

――ありがとうございました、菅井先生――

優しいピンク色の魔力から、そんな声が聞こえた気がした。


いや、たぶんきっと聞こえたのだろう。

なんてったって彼女のことだから。


「いいのよ、あたしも久しぶりに教えることができて楽しかったわ。

まぁ、あなたの記憶が無いのはたいへんだったけどね。」

ピンク色の光が申し訳ないと言うように揺らめく


「伝承の魔法、我ながら良い魔法ね。

 無理矢理にでも引き寄せてくれて嬉しかったわよ。
 

感謝してます、ありがとう。」


その言葉に呼応するかのように
菅井を包む魔力が強い光を放つと、

光が消えた後、菅井の姿は無くなっていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

895 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:13:54
まさかのユースケw

菅井ちゃんは…さゆが呼び出した魂だったって事なのかな?

896 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:28:19
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「…そうか、みんなケガはないんだな。

 …あぁ、わかった。今日はとにかく休んでくれ。ありがとう。」


通信を切った生田は、大きな安堵のため息を吐いた。



「じゃあ局長、行ってきます。」

「嗣永、俺は本当に居ない方がいいのか?」

「はい、やっぱりお別れはチーム水入らずで。」

桃子は少し力なく笑うと、
メンバーの元へ足を進めた。



稲場の離脱。

執行局の、もう1つの大事件だった。


カントリーガールズが襲撃に遭った後、

愛香は持病の発作により協会の警護任務から外れていた。

これは以前より懸念されていたことではあったが、
稲場の状態は想定より速いペースで悪化していた。


リスクを抱える人間を戦闘に出すわけにはいかない。

今の状態の稲場に、できることはなかった。

897 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:28:52


「…正直、すごく悔しいです。」

メンバーを前にしてまず出たのは、
愛香の率直な思いだった。

それからみんなに迷惑をかけて申し訳ないという謝罪、

でも新メンバーの成長やみんなを信頼していることを思うと
大丈夫だという確信があることが伝えられた。


「これからは、治療と共に一人の人間としても、
もっともっと様々な経験や勉強をして、
成長していかなくちゃいけないと思ってます。

みんなには、迷惑をお掛けしてしまいますが、
すみません。宜しくお願い致します。」


梨沙は感情をこらえきれず、愛香に抱きついた。


こうしないと、愛香がどこか遠くへ行ってしまうような、
また大切な何かを失ってしまうんじゃないかというような、

そんな気持ちが沸き起こって仕方がないのだった。


メンバーを失うのは、これが初めてのはずなのに。

898 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:29:24


「…待ってるから。待ってるからね。

絶対、帰ってきてね。」

それを聞く愛香の目からも涙が流れる。

「うん、ありがとう梨沙ちゃん。」

温かい、きれいな涙だった。

「まなかん!!」

他のメンバーも、もう誰一人溢れ出る涙をこらえようとせず
二人のもとへ駆け寄る。

「ありがとうみんな。

まなか、少しでも早く帰ってこられるように頑張るね。」


桃子も皆と同様、
愛香が絶対に執行局へ帰ってくることを信じていた。


今度こそ失わない。諦めない。
今度こそ、守り抜く。

桃子は静かに、だが断固とした誓いを立てた。

899 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:30:06


・・・・・・・・・・・・・・・・・



日が落ち、辺りが暗くなった頃、

M13地区の住民たちは続々と海岸に集まっていた。


衣梨奈達も同様に、海岸に集まっていた。

無事だった聖と香音も、ずいぶんと元気になっていた。

二人はそれを衣梨奈の魔法のおかげだと言っていたが、
衣梨奈は「そんな魔法は知らん」と、どや顔で笑っていた。


「はるなんすごいね、この戦いで一気に昇進しちゃったよね。」

集まった住民達への挨拶回りに奔走する春菜を見ながら皆が笑う。

「でもよかったよ。これでM13地区も安定しそうだから…ぁあっ!」

階段をおりる鞘師が突然声を上げたと思うと、

たった数段の階段を見事に踏み外し、
砂浜に突っ伏して体を震わせていた。

「いったぁい…」

「ヤダ!アッハッハッハッ!」
「大丈夫ですかぁ!?」

みな笑いながら鞘師に駆け寄る。

「はるなんにも見せてあげたかったね。」
「後から悔しがるだろうね〜。」

砂を払う里保をよそに春菜の姿を探すと、
春菜は初老の魔導士とにこやかに話をしている所だった。

900 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:30:36


「流石は情報屋さんですな、我々のような変わり者をご存じだとは。」

「いえ、変わり者ではなく才能に溢れた方々だと思いますよ。

でも恥ずかしながら、実はワタシも驚いてるんです。」

「ほう、というと?」


「私、皆さんの居場所を調べたことはないと思うんですけど、
何故か皆さんのことを知ってたんです。

誰かに教えてもらっていたような気もするんですけど、
でも覚えてなくて…。」

首を傾げる春菜に初老の魔導士が優しく笑いかけた。

「そうですか。ではこれも何かの巡り合わせということでしょうな。

いやはや、世の中は不思議なことだらけですなぁ。」

「はい。でもそのおかげで、
こうやって今日、皆で花火を見ることができるので。

その巡り合わせに感謝です。」

「そうですな。
 我々も全力で、ご期待に応えさせていただきますぞ。」


春菜は計画を練っていた時から、
今日のような日には魔法花火が必要だと思っていた。

今日のような日には、うってつけ。

以前見た時にでも、その印象が強く残っていたのだろうか。

901 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:31:15


「はるなーん! まだ〜?!」

優樹の催促に振り返ると、

もう皆、準備は万端のようだ。


「じゃあ、あとはお願いします。」

春菜はニコリと会釈をすると、優樹たちの中へ加わった。


「お待たせしました。」

「はるなん!さっきやっさん階段から落ちたんだよ!」

「えー、大丈夫だったんですかぁ〜?」

「いやウチこけてないし。」

「なんで急に白を切り始めるんですか鞘師さん」

「もう、鞘師さんもそんなことはいいから早く座りましょ!」

「いやどうでもよくないし! 大体…わあっ!!」

「ちょ、なんでまたコケてるんすか鞘師さん!」

「あたしたち何もしてないのに!」
「もうサイコー!」

902 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:31:51

ひとしきり騒いだ春菜たちがようやく腰をおろすと、

ちょうど大きな音を上げて、最初の花火が打ち上げられた。



不思議な花火。

衣梨奈達も、そして住民の皆も、
ただただ感嘆の声をあげながら花火を楽しんでいた。


「魔法花火って、お願い事したら叶うかなぁ?」

不意に、優樹が声を上げた。

「まーちゃんそれは流れ星だけだと思うよ。

 まぁでもお願いしといたらもしかしたら叶うかもね。」

「優樹ちゃんは何をお願いしようと思ったの?」

「まさね、優樹達のこと見ててくださいねってお願いした。」

「あ、もうしたんだ。」

「へぇ〜、神様とか?それとも天国の人?」

「いや、死んじゃった訳じゃないんですけど、
 でも神様にちょっと近いかもしんないけど多分違うんですよ。

 なんていうか、空の上と天国の間っていうか…」

「なんそれ、死にかけやない?」

「違いますよ〜!

 とにかく! まさき達のことを見てくれてる人です!!」

「ふ〜ん、そっか。」


「その人はまさき達に1本ずつ薔薇の花をくれてて、

まーたちはそれに金の粉をかけて、
みんなの薔薇を集めて、花束にしなきゃならないんですよ。」

「なにそれ、まーちゃんロマンチックだね。」

「もう、わかんない!? まーの言ってること!!」


「ん〜、なかなか難しい表現だけど、

でも正直、まーちゃんの言ってることを
どこかで素直に受け入れてる自分がいるのは事実だよ。」


メンバーたちは皆、同じ思いだった。

903 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:32:27


「みんなで、これから頑張っていこうね。」

「はるなんは代表になるわけだし。」

春菜は茶々に赤面しながらも、その眼はとても頼もしく見えた。


「じゃあ、気合入れでもしちゃおっか!」

聖の提案で皆が円になり、手を重ねる。

「まーちゃんの言う、聖たちを見ててくれる人に。

 一生懸命、がんばっていきまぁ〜〜っ…」

「 しょいっ!!!!!!!!」



見上げた空には、美しい花火が満開で皆を照らしていた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

904 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:33:14
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


〇Epilogue 



たくさんの絵に囲まれた部屋。


「できた…。」

少女が一人、ちょうど1枚の絵を描き終えたところだった。


花火の絵なんて、初めて描いたなぁ。


急に思い立って描き始めたものだったが、
なんとか間に合わせることができたようだ。


― ピーンポーン ―

「は、はいっ!」

チャイムに思わず姿勢を正し、慌てて階段を下りる。

「あやちゃん、こんにちは。」

ドアを開けると、そこには春菜と、そして…

「こんにちは。」

柔らかな笑顔で微笑むさゆみの姿があった。

905 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:33:57

「あっ、お、お久しぶりです!」

二人を出迎えた少女、和田彩花は
やや緊張しながらも二人を部屋へと招いた。


「やっぱりいつ見てもあやちゃんの絵はきれいだなぁ〜。」

「あ、ありがとうはるなん。

 あ、あとこれ、さっき描き終わったばっかりなんだけど、
 道重さんに見せたいなって、思って…。」

彩花が恐る恐る見せた絵に、二人は感嘆の声を上げた。


「わぁ〜!魔法花火!! あの花火大会の時の絵ですかね!

 あ、ワタシもいる!」

興奮する春菜に、さゆみが優しく目配せをする。

「すごいね。ちなみにこれは、どういうきっかけで描いたの?」

「あ、なんというか、急に思い立ったんです。

 道重さんに見せたい! って。」

「わぁ、嬉しい! ありがとう!」

さゆみの笑顔に、彩花もようやくリラックスした笑顔を返した。

906 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:34:29


「あの、道重さんが、題名を考えてもらえませんか?」

「この絵の?」

「はい。 描いている時から、
この絵は道重さんのために描いていたので。」

「わかった、帰るまでには考えとくね。」





「…じゃあ、いまスパゲッティつくるので、ちょっと待っててください。」

「はるなんも少しは習ってくるといいよ。

 でもお手伝いは程々でいいからね。」

苦笑いの春菜を送り出し、さゆみは再び絵と向き合った。

その表情は清らかで、母性に溢れていた。


「頑張ったんだね、みんな。」


本当に頼もしくなった。さゆみも安心しちゃったなぁ。



さゆみはしばらくその絵を見て微笑んでいたが、

キッチンが騒がしくなってきたのに気づいてようやくペンを取った。



『Message』


そうタイトルをつけると、
さゆみは音程のおかしな鼻歌を歌いながらキッチンへと歩いて行った。




                             完

907 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 12:40:18

ちょいちょい端折ってるので回収してない所もありますが、
ようやく終わりました。

本編や他の外伝からいろいろ設定をもらったり
オマージュを入れたりしてます。

菅井ちゃんは、
さゆが消える前、自分の魔法の影響で
M13地区に何かあっても大丈夫なようにと唯一仕込んでいたものです。

あくまで本編作者さん作『卒業』の世界観とよく似た
パラレルワールドでの出来事ですが。

908 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 13:11:26
避難所の『Message』の結末きたぞ

909 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 13:12:01
誤爆しました

910 名無し募集中。。。 :2017/09/24(日) 23:35:12
>>909

いや、ありがとうございます。by作者

911 名無し募集中。。。 :2017/09/25(月) 11:21:44
完結お疲れ様でした

912 名無し募集中。。。 :2017/09/25(月) 13:51:26
そうか…すでさゆが旅立った後の世界だったのか
なぜ出てこないんだろうと思ってたからこれで納得w
完結お疲れ様でした!やはり鞘師はこけましたねw

913 名無し募集中。。。 :2017/09/27(水) 20:14:50
本スレ落ちてる・・・

そろそろこっちに移行する潮時かな

914 名無し募集中。。。 :2017/09/28(木) 07:28:44
本スレ終わりなの

915 名無し募集中。。。 :2017/09/30(土) 00:43:13
立てば保全の協力は惜しまないけど

916 名無し募集中。。。 :2017/09/30(土) 06:29:05
避難所の外伝もちょうど完結したし…本編作者さんや外伝作者さんが再開する時改めて立てても良いんじゃないかな?

917 名無し募集中。。。 :2017/09/30(土) 07:12:09
iテキストからDropboxにアクセス出来なくなった
鬱だ

918 名無し募集中。。。 :2017/10/16(月) 07:09:11
もうサポートやめたのかと諦めてたらiテキストのアップデート来てた
放置してたSSの続きを書いてみようかな

919 名無し募集中。。。 :2017/10/16(月) 10:32:53
続き待ってます

920 名無し募集中。。。 :2017/10/18(水) 07:29:30
待ってるよ

921 名無し募集中。。。 :2017/10/27(金) 01:39:07
やっつー漫画の人はどこに行くんだろ

922 名無し募集中。。。 :2017/11/04(土) 04:34:24
そろそろCHO DAI

923 名無し募集中。。。 :2017/11/19(日) 01:21:00
スプ水先生異聞

「スマホになりたい」

924 スマホになりたい :2017/11/19(日) 01:21:38
目を覚ますと、私はスマホだった。

何でこんなことになってしまったのか、もちろん理由はさっぱりわからない。
……と、言いたいところだけれど、実は心当たりがないわけでもない。

考えられる可能性はただ一つ。
私自身が、スマホになりたいと願ったから。

それもただのスマホではなくて。
それは……。


♪We're BRAND NEW MORNING! 新時代の幕開け!!
♪We're BRAND NEW MORNING! 時間(とき)を超えて行くぞ!!

スマホになった私から、大音量で「BRAND NEW MORNING」が流れ出す。
セットされていた目覚ましが、設定時間になり稼働したためだ。

そして目覚ましを掛けた持ち主は、大音量にすぐに反応して起き上がる……こともなく、
まったく耳に入ってもいないかのように、スヤスヤと眠りの世界に浸り込んだままだった。

その安らかな横顔に私はそれだけで蕩けそうになりながら内心で小さくため息を吐く。
普段の凛々しさと無防備な寝顔のギャップがたまらない、その人物は……。

925 スマホになりたい :2017/11/19(日) 01:22:22
加賀楓さん。

あれは確か、研修生発表会でしたトークの一場面。
「もし人間以外でなれるなら?」という質問に、

「加賀さんのスマホになりたいです!」

と答えたあの願いが、本当に叶ってしまったということらしい。


冷静に考えて、これはきっと夢を見ているだけなのだろう。
でもこんな素晴らしい夢が見れるのなら、もちろん大歓迎。

もしかしたら何かの拍子に本当にスマホになってしまった、
なんてこともあるのかもしれないけど、それならそれで構わない。

たとえ井上ひかるの人生がスマホとして終えることになるとしても、
ずっと加賀さんと一緒にいられるのであれば、これ以上幸せな一生はないのだから。


その時の私は、半ば本気でそんなことを思っていた。
そう、その時は……。


(つづく)

926 名無し募集中。。。 :2017/11/19(日) 01:22:52
※参照
@
人間以外でなれるなら

井上ひかる
加賀さんの携帯になりたい
加賀さんが使ったらずっと見つめあえるじゃないですか。

927 名無し募集中。。。 :2017/11/19(日) 01:24:35
※スプ水先生シリーズが一段落したらはーでぃーネタを書きたい
なんてことを言っておきながらズルズルと時ばかりが過ぎてしまい、
挙句の果てになぜだかパッと閃いてしまった
ほぼ出オチに近いネタを書き始めてしまいました。

これもきっと今のままでは途中で挫折すること請け合いのため、
とりあえず出だしだけ投下しておいて自らを背水に追い込み
たとえ時間はかかってもどうにか完結まで持っていきたいと思います。
(順調なら次回で完結予定)


なお一人称で書いておきながら井上ひかるんのキャラがよくわかってないという
ダメダメな状況のため、口調等はテキトーなものとなっています。
もしひかるんヲタの方も読む機会があれば申し訳ない限りですがご了承ください。

928 スマホになりたい :2017/11/23(木) 22:19:28
私のことを真っすぐな瞳で見つめてくる加賀さん。
こんなに間近で加賀さんと見つめ合えるなんて、もちろん初めての経験だ。

とはいっても、加賀さんにとってはただスマホの画面を凝視しているだけなんだけど。

スマホのアプリに没頭する加賀さんは、真剣な表情から熱くなった表情、
悔しがる姿や無邪気に喜ぶ様子、果てはニヤついた笑顔まで、
普段はなかなか見せない一面を私だけにさらけ出してくれる。

こうなりたいと願った通りの光景に、私は完全に夢見心地だった。

もちろんスマホと向き合っていない時でも、
加賀さんが私のことを肌身離さず持ち歩いてくれている。
その事実だけで私の心はこれ以上ないほど満たされ、
「夢ならこのまま醒めないでほしい」と、この時ほど本気で祈ったことはない。

でも……。




929 スマホになりたい :2017/11/23(木) 22:20:56
「……その時の宗谷名人が、ミステリアスですごい痺れるんだよね」

真夜中のホテル。
ベッドに寝っ転がった加賀さんが止まらないアニメトークを聞かせてる相手は、
隣りのベッドですでに限界に近い状態となっていた。

「零くんがまたいいんだ……って、聞いてる横山!?」

「……聞いてるよぉちゃんと」

「聞いてないじゃん、さっきから頭ガックンガックンさせてばかりで」

隣りのベッドに身体を乗り出して、完全に落ちかけてる横山玲奈ちゃんの肩を揺さぶり
無理やり話を聞かせようとする加賀さん。

加賀さんがこんなにも自分のワガママを押し付けようとする姿は
自制心の強い普段の様子からはなかなか見られないもので、
やっぱり飾らない素を見せていける同期というのはいいものだ。

なんてほっこり眺めてたけど、そんなワガママに巻き込まれた横山ちゃんにとっては
たまったものじゃないわけで、ついには堪忍袋の緒が切れて
おもむろに身体を起こすと加賀さんに思いっきり抗議をぶつけだした。

930 スマホになりたい :2017/11/23(木) 22:22:12
「ああもう! いい加減にしてよかえでー!! 今何時だと思ってるのさ!! 
明日もライブで大変なんだからもう寝かせてよ!!!!」

「あと少しくらい大丈夫だって、今ちょうど話がいいところな……」

「れいなはもう眠いんだから邪魔しないでよ!!!!!」

怒り心頭に発した横山ちゃんが加賀さんに襲い掛かり、
不意を突かれた加賀さんの身体を仰向けに倒して押さえつける。

「かえでーもいい加減に静かに寝て!!!」

でも体格差は歴然、加賀さんがあっさりとひっくり返すと、
今度は加賀さんが横山ちゃんの身体を押さえつける体勢になった。

「だからもう少しだけ聞いてくれたら満足して寝るって……あうっ!!」

横山ちゃんにわき腹を強く突かれて怯んだところをもう一度ひっくり返され、
そのまま2人はベッドの上でもつれ合い攻守を交代しながらゴロゴロと転がる。

これも普段は見られない加賀さんの痴話喧嘩姿で、なんとも微笑ましい。

そんな風に、余裕を持って見ていられたのは最初だけ。
段々と息遣いが粗くなっていく2人の様子がおかしな熱を帯びてくると、
見ている私もなぜだか胸の鼓動が収まらなくなってきた。

そして……。

931 スマホになりたい :2017/11/23(木) 22:23:29
「アニメばっかのその減らず口を塞いでやる!!」

えっ!? 嘘……。

私の目の前で、覆いかぶさった横山ちゃんが加賀さんの唇を塞いだ。
それも自分自身の唇によって……。

加賀さんのそれ以上の抵抗を許さない、激しくそして濃厚なキス。
動きを止めた加賀さんの手が横山ちゃんの背中に回ると、ギュッと身体を抱き締めた。

「これでもう……諦めて寝てくれるよね」

紅潮した顔でゆっくりと唇を離す横山ちゃん。
その額が薄らと汗ばんでいるのが、年齢に似合わぬ色気を醸し出している。

「……まだ寝ない。ううん、もう寝かさないし!」

「えっ!?」

ドヤ顔を向ける横山ちゃんに、放心状態だった加賀さんが突然牙をむく。
力づくで横山ちゃんを押し倒すと、強弱をつけて柔らかく身体中を愛撫していく。

「ちょっ……あぁっ! かえでーばかり……ズルいから!」

横山ちゃんも負けじと加賀さんに攻めかかり、そこからは2人とも言葉もなくなり、
お互いの身体を本能のままにまさぐりあい、口から洩れるのは悩ましい喘ぎ声だけ。

932 スマホになりたい :2017/11/23(木) 22:24:26
なんで……なんで一体、こんなことに。

加賀さんと横山ちゃんがこんな関係だったなんて、一ミリたりとも考えもしなかった。
加賀さんとずっと一緒にいたい。加賀さんのことをずっと見つめていたい。
そう願っていた私だけど……。

こんなあられもない加賀さんの姿なんて、見たくない!!!!

沸騰した感情が爆発しそうになりながらも、
私は2人の激しい絡みから目を離すことができなかった。

だって、今の私はスマホだから。
電源が切られでもしない限り、目を閉じることも目を背けることもできない。

……もう限界。

もしこれが私の願いの結果だというのなら、加賀さんのスマホになりたいなんて、
こんなお願いをするんじゃなかった。
もしこれが夢だというのなら、この悪夢から早く醒めて!!!


血を吐くような哀願に神様が憐れみをかけてくれたのか、
私の視界が暗転しゆっくりと意識が遠のいていく。

そして……。


(つづく)

933 名無し募集中。。。 :2017/11/23(木) 22:25:30
※1回の更新で終わりませんでした……。
次回こそ完結予定……なはず。


参考


横山「わたしは加賀に謝りたくて。よく加賀と一緒の部屋になるんですけど、
寝ようとベッドに入る時に、加賀の好きなアニメの話をしだすんですよ。
それを『へぇーそうなんだー』って聞いてる風にしてるけど、実は全然ついていけてません」
石田「じゃあそろそろ準備終わったみたいなんで、加賀ぁー!」


ムッとした顔で出てくるかえでぃー

生田「じゃあ優しい先輩のわたしが聞いてあげる!」
加賀「ほんとですか!?'(*゚▽゚*)」
横山「生田さん、ほんとやめたほうがいいです、とんでもないことになりますから!」
譜久村「13期は仲良くやってねw」


ナルチカ抽選会でのフリートーク

野中「じゃあ横山ちゃんが聞いてくれなかったアニメの話する?」
加賀「いいんですか?!」
横山「違うんです!だって長いんです!2時まで話してるんですよ!」
加賀「じゃあマクロスの話しますね!Δも好きなんですけど、やっぱりフロンティアが音楽も…

934 名無し募集中。。。 :2017/12/09(土) 05:10:56
久しぶりに来たら新作が

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