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魔法使いえりぽん避難所Part2

1 名無し募集中。。。 :2015/07/29(水) 23:59:12
狼で進行中の魔法使いえりぽんの避難所です

782 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 13:12:38

「魔力温存しながらって、ももち先輩じゃないのにムリでしょ〜。」

舞が頭を抱える。


「ん〜、どうしよっか…」


ドカン!

大きな音に顔を上げると、

「とりあえずパンチしてみた」

と知沙希が笑ってこちらを見ていた。

「チャレンジ精神、勉強になります!」

ウンウンとうなづく奈々美の横で
梨沙が「そっか」と声を上げた。

「ぺっちゃんこにする必要はないんだ。

 ただ、トラックに積み込みやすくすればいいんだよね。」

そうつぶやくと、車の周りをぐるぐると回りながら説明を始める。

「こことこの部分を壊しちゃえば屋根が取れるから、
 あとはここと、ここと・・・」

783 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 13:13:10


終わってみると、梨沙のおかげで魔力を大分セーブすることができた。

「いやー、頭を使うとこんなに楽になるとは、さすが梨沙ちゃんだね。」

「ももち先輩、ここまで考えて私たちに任せたのかな?

 やっぱりすごいな〜、ももち先輩は。」

「とか言って、実は何も考えてなかったりして」


「おつかれ〜、

わぁ〜、みんなすごいじゃ—ん、よくできたね〜。」

心地よい疲れを共有するメンバーのもとに、
桃子が軽い足取りで合流した。

「あ、ももち先輩、ちょうどいいところに!

 ももち先輩はこういうやり方を私たちに学ばせたかったんですか?」

「ん? やりかた?」

桃子が丸い目をしてメンバーと車を交互に見る。


「…あぁ!

そうだよー? よくできたね〜、みんな。」

「え、今最初ピンときてなかったですよね」

「いや、梨沙ちゃんの話が分かりにくかっただけ。」

「やっぱりももち先輩ちびっこ達と遊びたかっただけでしょ〜!」

784 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 13:13:52

「はいはい、じゃあももちはちょっと先に戻るから。

 みんなは気を付けて、注意を怠らないよう、帰ること!!」

「はい!!!!!!」


和気あいあいとにぎやかなチームが帰路につく。






「そういえば、鞘師さんがB.T.Sで単独試験やったらしいね、まなかん」

「うん、まなかも見学したかったなぁ〜」

「鞘師さんって、M13地区に石田さんと常駐されてるんですよね?」

奈々美が話に入る

「あ、知ってる!

M13地区って、もんのすごく怖いところだって聞いたことあります」

「あそこは協会の支部がないからね。

まなかも詳しくは知らないんだけど、特別な任務なんだと思うよ。」

785 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 13:14:53

「鞘師さんってお強いんですね。私も是非お話ししてみたいです。」

「まなかもまたお話ししたいなぁ〜。

 でも憧れの鞘師さんが目の前にいらっしゃったら
まなか緊張してしゃべれないかなぁ〜、
も〜うどうしよー梨沙ちゃあ〜ん」

デレデレしながら寄りかかってくる愛香に梨沙が笑顔を返す。

「じゃあ、稲場さんが思う鞘師さんのかっこいい瞬間ってどこですか?」

「えーー、そんなの決めらんないよ〜!

 ん〜〜、でも〜〜」

目をつぶってウンウンと悩んでから再び愛香が顔を上げる

「いっぱいあるんだけど、例えば〜で言うと、魔力を集中するときかな!」

愛香が実際にそぶりを見せながら説明する

「こうやってね、スッ! って感覚を研ぎ澄ませるときの鞘師さんが…」

と、愛香のテンションが変わる

786 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 13:15:55

「ちぃたん、後ろから何人か来てる?」

その声に全員が神経を集中させる

「後ろから7人、

 ……待って、右からも4人、微かだけど来てる!」

「2人1組で展開するよ。常に両方向に対応できる陣形で。

 適宜、お互いの連携を活かして行こう!」

「了解!!!!!」

梨沙と結、愛香と知沙希、舞と奈々美が
それぞれ魔力を高めながら展開する。

相手もこちらの動きに気づき、魔力を高める

その間に梨沙は手早く桃子にコンタクトを図っていた

「みんな、来るよ!」
知沙希の警告直後、

加速した相手7人が一気に梨沙との間合いを詰めていく


だがここは想定内、すかさず愛香・知沙希ペアがカバーに入り、
広く雷撃を張った知沙希の攻撃をかわした2人に愛香が接近戦を仕掛ける

「何者ですか?」

愛香の攻撃に対応しながらも、相手からの返事は無い

787 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 13:16:37

「後ろがガラ空きです」

愛香に引き付けられた2人の背後から結が急襲し、手早く片付ける


「梨沙ちゃん、左!」

大きく回り込んだ敵が梨沙に斬りかかる

と、横からの雷幕に寸でのところで急停止する

「ちぃさんきゅー!」

一瞬の隙をついた梨沙が華麗な回し蹴りを決めた


「おい、話とちげぇぞ」
ここで新たに4人の魔導士が敵に追いついた

「イレギュラーが考えられるって言ってたろ、勢いに飲まれるな」


「話、って何のことですか?」

「チッ、行くぞ!!」

再び態勢を整えた8人が分散する

788 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 13:18:23

「ちょっと、やなみんこれ相手本気で潰しに来てるよね、暗殺だよねこれ」

「はい、小関さん。かなり本気みたいです。

 向こうも訓練されたチームですね」

舞と奈々美は少々手こずっていた。

どうも相性が悪いようで、攻撃がいなされてしまう。

「ちぃ、舞ちゃんのカバーお願い!

みんな、連絡は取れたよ!」

素早く陣形を整え、敵の攻撃に応戦する

だが皆は敵が散開してからの戦いにやや苦戦を強いられていた。

結と愛香の接近戦も見切られ気味で充分に押せておらず、
その分カウンターを警戒して迂闊に攻められない状態だ。

舞と奈々美の方は知沙希との連携で若干押しているものの、
そこからの接近戦でやや粘られている所がある。

これが経験の差、というものだろうか。
だが、ならば尚更相手の経験を上回る攻めが必要…

789 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 14:44:02

「フォーメーション変える!

 ちぃ!!」

それを合図に梨沙と知沙希が飛び出し、
再びの雷幕で今度は相手4人の前に出る。

知沙希と梨沙が2対4で敵を引き付ける隙に
他のメンバーが残った敵2人に対して連携で猛攻を仕掛ける。

「俺らは足止めか…! ナメんなよクソガキ共が」

相手の魔力が高まる。ここからは持久戦だ。

梨沙は再び集中力を高めた

・・・・・・・・・・・・


同時刻、魔導士協会執行局


「局長!カントリーガールズに襲撃です!

 嗣永さんが連絡を受けてすぐ向かいました!」

「周囲に出動チームと協会支部がないか確認急げ。

他のチームにも警告を発令。警戒怠るな。

それと交戦地域で犯罪が起きてないか確認も忘れるな。
襲撃が囮だとしたら時間との戦いだぞ。」

局員たちが慌ただしく動く中、局長は努めて冷静に指示を出していた。

790 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 14:44:34

執行局員への襲撃は仕事がら有り得ることだ。
そしてそれに関連した被害を最小限に抑えるのが局長としての仕事である。

と、そこに再び協会への緊急連絡を知らせるアラートが鳴り響く

「山木か!?」
生田の頭を嫌な予感がよぎる

「いえ、違います。こぶしから緊急連絡!

 任務地周辺で襲撃を受け交戦中!相手の数は15です!」

局内の緊張感が一層高まる。

同時刻に2チームを襲撃。

偶然などと楽観視するものは誰もいなかった。

「本気で戦争仕掛けるつもりかコイツら…」

生田の表情が鋭さを増す

「局外にいる全ての構成員に緊急事態を宣言、

 全チームの現在地と支援ルートを策定しろ。

 協会内にも非常警報を出せ。協会内外の警備だ」

生田は嗣永へと連絡を繋いだ。

「嗣永、あとどれくらいで着く?

 あぁ、こぶしも襲撃を受けて交戦中だ。

 おそらく、B.T.Sでの一件が引き金だ。

 お前はチームに合流後、安全を確保した後こぶしのフォローに回れ。

 こっちからも行かせはするが、できるだけ急いでくれ。」


と、通信の最中に再び、緊急連絡を知らせるアラートが鳴り響く。

791 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 14:45:28

「つばきから、支援要請です。

 敵の数は15以上、チームは2つに分かれて交戦中。

 場所はG14地区22番地周辺です。

 状況は劣勢、早急な支援求むとのことです。」

「G14の支部に連絡!周囲の局員も回せ!」

やはり来た。

だが執行局の精鋭チームをこうも手こずらせる相手とはいったい何者だ…。

と、端末越しに連絡を聞いていた桃子が声を上げる。

「局長、待って今どこって言いました?!」

「G14地区22番地だ。協会からじゃ遠すぎる場所だ。」

「……あー、
じゃあ大丈夫かも」

予想外の返答に一瞬思考が停止する。

「局長、そっちは支部と私に任せてください。
執行局オタに任せますので。

…はい。なのでつばきのみんなには5分粘ってもらってください。

あと局長はこぶしと鞘師ちゃんのフォローを。では。」


要点を素早く伝えると、桃子は手早く電話をかけ直した。

792 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 14:46:07

「あ、急にごめんね。

うん、久しぶり〜。

あのさー、
ちょっと緊急で救出任務頼まれてくれない?」



・・・・・・・・


「次!閃光弾試すよ!」

言い終わると同時に辺りがまばゆい光に包まれる。

つばきファクトリーのメンバーたちは瞬時に散開し、フォーメーションを作る。


が、それを知っていたかのように相手は閃光の中でもメンバーの背後を取ってくる

「なんで…!?」

どの陣形もフォーメーションも攻勢に転じることができない。

それは最早経験の差云々の話ではなかった。

793 名無し募集中。。。 :2017/08/04(金) 14:47:59

「強すぎる…」

自分たちの連携が通じない状況で、
チームは防戦以外の術が見つけられなかった。


と、リーダー・山岸理子の端末に局長からの連絡が入る

「局長、攻撃が通じません!!」

理子に説明できるのはそれだけだった。

「落ち着いて聞け。

通じないのは実力の差じゃない。B.T.Sだ。」


B.T.S…?

最初、理子には全く見当がつかなかった。
だがその疑問はすぐに晴れた。

「B.T.Sの演習データが漏れた可能性がある。

 お前たちが演習で使った戦術はすべて研究されていると思え。

 だが5分もすればこっちからの支援が着く。

 5分粘れ、山岸。できるな?」

「やります。」

理子は通信を切り、小さく息を吐いた。

「演習でつかった戦略は全部使えない。

でも…」

理子はまっすぐに敵を見据える。

「がんばるよ、みんな!」


ーーーーーーーーーーーー

794 名無し募集中。。。 :2017/08/06(日) 15:31:10



演習で手の内をほぼ晒してしまっていたこぶしとつばき。

だが、それとは対照的に
ほとんど手の内を見せなかったチームもあった。


「みんな、ももち先輩から!」

梨沙が敵の足止めをしながら声を上げる

「敵はB.T.Sのデータでうちを研究してる!

 だから、私たちはチームワークで対応するよ。

 固まって、一気に行く!」

それを合図に足止め役の梨沙と知沙希が攻撃役に合流、挟み撃ちをかける

敵も二刀流で応戦するが、
前後が入り乱れる攻撃に次第にダメージが増えていく。

「無視すんなって!」

敵も慌ててカバーに入ろうとするが、
飛び出してきた舞の刀に気を取られて一瞬注意を怠った。

「後ろ!!!」

ハッと気づいた時には、もう既に結の術中。

振り返ることすらできず、その場に崩れ落ちた。


「こっちもオッケーだよ」

猛攻に耐え切れなくなった敵2人を片付けたまなか達が合流する。

795 名無し募集中。。。 :2017/08/06(日) 15:31:43

完全に勢いに乗ったカントリーガールズを前に、
残った相手はもはや戦意喪失していた。


「…撤退だ。」


じりじりとあとずさりする敵を
逃がすまいとタイミングをうかがう。



知沙希もメンバーと共に相手の出方をうかがっていたが、

知沙希の集中を強烈に乱す何かに気づいて神経を研ぎ澄ませる。


それは大きくて、まがまがしくて、
もの凄い勢いでこちらへ迫ってくる。


恐ろしい魔力。

だけど、
知沙希はこの災厄ともとれる魔力に
自分の胸が高鳴るのを感じていた。


知沙希の赤くなる顔に気づいた梨沙・愛香をはじめとして、
メンバーの表情がどんどん明るくなる。

その異変にようやく気付いた敵がなりふり構わず逃げ出すも、
『それ』は圧倒的なスピードで敵に振り掛かってきた。


衝撃と砂煙。


煙の晴れた先に立っていたのは、

とてつもなく冷たい目で敵を見下ろす桃子の姿だった。


「ももち先輩!!!!!!」

796 名無し募集中。。。 :2017/08/06(日) 15:32:18


みんなの声を聴いた桃子の表情は一瞬暖かくなったが
すぐに怒りをまとった災いへと姿を変えた。


「あんたたち、誰に手ぇだしてんのかわかってんでしょうね?」

心の中から凍ってしまうのではないかと思うぐらいに冷徹な、
何の容赦もないとはっきり分かるその桃子を、

メンバーの皆も真剣な表情で見守っていた。


「すいません、すいません…。

 も、もうしませんから…。二度と手ぇ出さないですから…」


必死に命乞いをする男に桃子がしゃがみ込む。


「当たり前でしょ。」



そのまがまがしい魔力を目の前にして、
男はもはや正気など保ってはいられなかった。

797 名無し募集中。。。 :2017/08/06(日) 15:32:51


梨沙たちはまじまじと見せつけられていた。

これが嗣永桃子の怒り。力。

魔法を使うまでもなく、
その圧倒的な魔力だけで相手を飲み込んでしまう。

自分たちとは途方もなくかけ離れた場所を歩いている存在。


だが、それを実感すると同時に、
皆それぞれに、自分が目指す先を再確認していた。


その巨大な力に憧れる者、頭の回転の速さと対応力に憧れる者、
桃子の内に秘める優しさに憧れる者、ストイックな姿に憧れる者。

それぞれが内に秘める桃子への、
理想の魔導士への熱い情熱が沸き上がっていることを感じていた。



「みんな、遅くなってごめんね。」


目の前には、優しい笑顔を向ける桃子がいた。


皆が一斉に走り出し、桃子に飛びつく。


それをまんざらでもない笑顔であやしながら、
桃子は一時の幸せをかみしめていた。


「みんな頑張ったね。ももちも感心!
 
こんなにみんなが頼もしくなるなんて、ももち思ってなかったよ…。」


桃子は再び皆を抱きしめ、大きく息を吐いた。

798 名無し募集中。。。 :2017/08/06(日) 15:58:28


「よ〜し、じゃあみんな、
他のチームは一応救援が行ってるみたいだけど、

でもやっぱりうちらが助けに行かなきゃだからね、急ぐよ!」

「はい!!!!!!」


一同は自然と軽くなった体でこぶしのもとへと向かっていった。




・・・・・・・・・・


同じ頃、つばきファクトリーもその勢いを増していた。

連携が見切られ焦りはしたが、
種が分かればこちらも執行局。

個々のスキルとチームワークを活かした即興の連携とで
徐々に主導権を握りつつあった。


「みんな、油断しないでね!」

心を緩めず相手を警戒していた理子達だったが、

こちらも急速に接近する魔力に表情が明るくなる。


「来た!!!」


もとは執行局員として、
そして今は魔法の開発研究見習いとして
研究にいそしんでいる魔導士。


「ごめんおまたせ。

 でもやっぱり押してるみたいで流石執行局だなぁ〜。」

799 名無し募集中。。。 :2017/08/06(日) 15:59:07

「福田さん!!」


つばきからの声援にまんざらでもないドヤ顔を見せた福田花音が
一気に相手の撃所へ入り込む。


氷を纏った一発を相手の腹に打ち込むと、

横から迫る刀を瞬時にかわして回し蹴りを放つ。

一発一発が力強く、そして重い攻撃だ。

「じゃあこれ試してみよっかなぁ。」

次々と攻撃を放ちながらも、
花音は魔法の属性・性質をさまざまに変化させている。


「ちょっとガード堅いな、じゃあこれでどう!」

囲まれながらも炎弾を放ち、爆発させる。

「あんたたち、
手の内知らない相手にはぜんっぜん張り合いないわね!」


いや、これは手の内の問題ではない。

おそらく敵が花音のデータを持っていたとしても、
全く対応できずに終わってしまうだろう。

それだけ福田花音が強いのだ。


これがかつて神童と呼ばれた魔導士の力。

Factoryの意思を知る者の実力。



戦いは瞬く間に終結した。

だがそのたった数分の戦いは、

つばきファクトリーの皆にとって
永遠に忘れられないほどの衝撃を残していた。


今度は、自分たちが。


皆が、その拳を固く握りしめていた。



――――――――――

800 名無し募集中。。。 :2017/08/06(日) 17:03:16
新スレ
娘。小説書いた!『魔法使いえりぽん』73
http://matsuri.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1502005895/

801 名無し募集中。。。 :2017/08/08(火) 13:24:18
やっと追いついた…

>>714
新作来てて嬉しい!一気に読ませて貰いました…スピード感ある戦闘シーン良いですね〜
でも唐突のナキ子と菅井ちゃんに混乱w


>>654
ももち最終章…心待ちにしてます
物語の行く末をこの目にするまでは『8人の幼い魔女達』にかけられたら魔法は解けないのだから・・・

802 名無し募集中。。。 :2017/08/10(木) 22:09:31

ナキ子と菅井ちゃんはホントにただただ出したかっただけです。(笑)

803 名無し募集中。。。 :2017/08/10(木) 22:10:23
・・・・・・・・・


「鞘師ちゃん!」

「鈴木さん!状況は!?」

こぶしファクトリーのもとへ向かう道中、
里保と合流した鈴木愛理は現状を手短に説明する。


「…そうですか、じゃあ、あとはこぶしファクトリーだけですね。」

「いや、鞘師ちゃんとこぶしのみんなだと思うよ。

 鞘師ちゃんもB.T.S入ってたでしょ?」

「たしかに、そうですね。

 でも、鈴木さんと一緒にいるところを狙ってくる人なんて
なかなかいないですよ。」

警戒はつづけているが、
鈴木愛理と鞘師里保が揃う場面で襲撃などというのは
よっぽどの物好きだけだろう。


ほどなくして、二人はこぶしファクトリーの魔力をとらえた。

「みんな頑張ってるね。ほんとフナフガフナフガフガ…」

「あ、はい、そうですね。」

「じゃあ、ちょっとがんばろっか。」

二振りの刀を抜き、愛理の顔つきが変わる。

戦士の顔だ。

愛理の迫力に
里保の胸が大きく高鳴なる。

「はい。」

804 名無し募集中。。。 :2017/08/10(木) 22:10:59

里保は不謹慎にもこの状況に喜びを感じていた。

鈴木愛理の持つ技術全てを盗んでやろうと、
全てのシーンを見逃すまいと、

その小さな眼をハンターの如く鋭く見開いた。



・・・・・・・・


「増援来たよ!」


「鞘師さんと鈴木さんだ!!」


その名前に敵が動揺する。

だが逃げ出す暇もなく愛理が敵に突っ込み、

閃光の如きスピードで敵を切り抜く。

そこへ負けじと
里保が炎を纏った刀で敵を振り抜く。

こちらはパワフルに、勢いで敵を圧倒していく。


「鞘師ちゃんパワーあるね〜!

でもあんまり飛ばしすぎちゃうとバテちゃうよ〜?」

なめらかな刀さばきで敵を倒しながらも
愛理の動きは軽く、ムダがない。

「せっかく風を読むのが上手いから、
流れに上手く合わせたらもっと省エネで行けると思うよー。」

805 名無し募集中。。。 :2017/08/10(木) 22:11:31

そう話す愛理の立ち回りを今一度注視してみると、

なるほど、戦闘の衝撃や力の流れを上手く利用して
自身のスピードを上げているようだ。


太刀筋を完璧に見切ろうとするのはリスキーだが、
流れを利用するということなら風の魔法で鍛えている。

そうときたらまず風の魔法で補助をしながら
相手の攻撃に動きを順応させていく。

1人目は勢いを殺してしまって結局力で押し切りもしたが、

敵の動きから生じる微細な風に意識を傾けることで
だんだんとコツを掴んできた。

この調子でもう少し慣れていけば
完全にモノにできそうだ。

「やっぱりセンスいいね!

でも残念、続きは訓練でね!」


振り返ると、既に仕事を終えた愛理がこちらに笑顔を向けていた。


「みんなも無事みたいだし、こっちはこれで大丈夫そうかな。

 他のチームも制圧したよ。」

「はい、いろいろ教えていただいてありがとうございました。」

「鞘師ちゃんの覚えが良いからだよ〜。
また何かあったら頼っちゃうね〜!」

愛理の笑顔はいつ見ても癒される。

戦闘の疲れが吹き飛びそうだと里保は思った。

806 名無し募集中。。。 :2017/08/10(木) 22:12:10


「愛理〜!

 お、うちでももちの次ぐらいに人気のある鞘師ちゃんも!」

里保たち一同に合流したのは桃子だった。

と、笑顔で手を振りながら二人を通り過ぎて
拘束した敵の前に進む。


「あんんたたち、誰の差し金?

 てか次どこ狙うの?」

はぐらかそうとする敵を恐ろしい笑顔で黙らせる。

「ももちー、教えてほしいんだけど?」


後ろから見ている里保ですら背筋の凍る桃子の語りかけに
敵も顔面蒼白だ。

「ほらもも、かわいそうだから。」

仕方ないと言うように愛理が止めに入る。

「ごめんなさい、ももはキレると止めらんなくなっちゃうから、
 皆さんのためにもしゃべってもらってもいいですか?」


愛理の控えめなお願いに、
先ほどまでの抵抗がウソのように敵が一斉に口を割り出した。

桃子は少々不満そうだったが、

おそらく北風と太陽の効果でうまく話を聞きだしたのだろう。

807 名無し募集中。。。 :2017/08/10(木) 22:12:45


「あの、詳しくは知らないですけど、

 でも、協会を挑発してからM13地区におびき寄せるってことは聞いてます。」


……ん?


「そうそう、怒り狂って怒鳴り込んできたところを逆手に取るって。

 うちのボスがもう張り切っちゃって、めちゃくちゃでかいことやるんすよ俺ら。

 なんかもう国作るみたいな? やべーっしょ。」


桃子が男の胸ぐらをつかむ。

「知ってること全部話して。」

「いや、俺らも下っ端なんでこれぐらいしか知らないんですよ。

 …いやホントですって!勘弁してください!」


「鞘師ちゃん…!」

里保は既に亜佑美へと連絡を取っている所だった。

「鞘師ちゃん、危なくなったら撤退しなよ。」

「はい、でもできるだけ私達でやってみます。

 皆さんは、M13地区には…」

「悪いけど、ももちも愛理も
危ないと思ったらM13地区の敵全員倒すから。」

この二人ならやりかねない。でも…

808 名無し募集中。。。 :2017/08/10(木) 22:13:31


「ありがとうございます。でもすみません、

できるだけ任せてください。」


里保の決意は固かった。


「あ、亜佑美ちゃん、異常はない?

 …うん、警戒の連絡は行ってると思うけど、
 
次はM13地区かもしれん。

うちも急いで戻るけど、それまでみんなのことお願いね。」


通信を切ると、ちょうどカントリーガールズも合流したところだった。

「みんなも来たし、後は任せて。」

「はい、ありがとうございました。

 …失礼します!」


里保は再び魔力を開放すると、急いでM13地区へと飛び立った。



・・・・・・・・・・・・・・

809 名無し募集中。。。 :2017/08/14(月) 22:47:23






その頃、M13地区の生田邸では
里保からの突然の知らせで大騒ぎになっていた。


「ちょ、あゆみん狙われんの?

 ってなったらあゆみんがいるココに来るってことだよね?

 てことはハルたちも戦闘?!」


「私戦闘魔法は得意じゃないんですけど、
猫の姿で譜久村さんにだっこして頂いててもいいですかね。」

「でもなんでここなの?

 そんな狙うような理由なくない?」

「亜佑美なんかしたんでしょ。

 どーせまたどっかでケンカ売って来たんじゃないの?」

「いやケンカ売ったこと一度もないから。

 でもみんなホントに家から出ないでね。
 何かあったら、私がみんなを守るから。」

「いやあゆみんそれはないね。」

「え、なんで。」


「ハルたちだってみんな守りたいと思ってるし、

 大体あゆみん1人じゃ大群が来たらもたないでしょ。

 譜久村さんと鈴木さんはハルたちみんなで守るんだからね。」


たしかに、そうだ。

執行局員として自分が、と力んでいたが、

ちょっと空回りしていたようだ。

810 名無し募集中。。。 :2017/08/14(月) 22:47:55


「まぁでも、どぅーが言うと中二病っぽく聞こえるけどね。」

その一言で皆に笑顔が戻る。



「さぁ〜て、作戦会議といきますか!」


もう皆の表情に、先程までの慌てた様子はなかった。


いい顔してるな。

聖は皆の頼もしさに笑みがこぼれそうになるのを引き締めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・


春菜が敵の偵察へと向かう間、

他の皆は戦闘場所の選定と
協会や里保から送られてきた資料の分析を行っていた。


「…つまり向こうの目的は、ここに協会の魔導士を侵入させることで
 街の犯罪者の人たちと戦わせようってこと?」

「たぶんね。

 協会が負けるとは思えないけど、

 それでも本気で街を制圧しようと思ったら犠牲が出るから…。」

「たとえわたしと鞘師さんが無事だったとしても、

M13地区は協会と敵対する大きな組織になっちゃうってこと…?」

「でも、だからってハルはあゆみんを犠牲になんてしたくないから。

 この街全部が敵に回っても、
ハルは絶対あゆみんのこと守ってやるから。」

「大丈夫、それはここにいるみんなが同じ気持ちだよ。」

聖が遥の肩に手を置く。

811 名無し募集中。。。 :2017/08/14(月) 22:48:35


「…でも、そうなってくると厄介だよね。」

「…うん。」


誰も犠牲にすることなく亜佑美を守るためには
自分たちだけで敵を倒すしかない。

それも、相手の強さはおろかまだ数さえも分かっていない敵。


「でも、やるしかないっちゃろ?」

不意に衣梨奈が口を開く。

「みんなを守るための方法がそれしかないんやったら、
 
 もうその方法でやるしかないやん。


 心配せんでも、みんなが無理な相手は
えりが全部やっつけてあげるけん。」


衣梨奈が皆に笑顔を向ける。

これはその場しのぎのものではなく、
衣梨奈は本気で言っているのだ、と
皆はその笑顔を見て確信していた。


と、そこへ春菜から連絡が入る。


「おまたせしました。
みなさん、わかりましたよ。

敵の数は大体ですけど50はいます。

イメージとしては、ならず者と傭兵の中間ぐらいです。

それが私とあゆみんが見つけた複数のアジトに分かれて準備しているみたいです。

さすがにもうコソコソしていないので割と簡単に調べられました。

あまり時間は無いみたいで、
おそらく準備でき次第向かってくると思います。」


戦闘魔法をあまり得意としない春菜を抜いた現状の4人で戦うには数が多すぎる。


「1人当たり12人以上か。」

「じゃあえりはとりあえず半分くらい倒すね。」

「いや、いくらえりちゃんが強くても、

 後から増援とか来ちゃったらバテちゃうんじゃないの?

 それこそ、この街の人が加勢してくるかもしんないんだよね?」

「えり身体は丈夫やけん。」

衣梨奈が笑ってみせる。

812 名無し募集中。。。 :2017/08/14(月) 22:51:26


「あの、その話なんですけど…」

端末越しに春菜が会話を遮る。


「あの、そこは、

…ワタシに任せてみてもらえませんか?」

突然の提案に一同が首を傾げる。

「はるなん、なんかいい策でもあると?」


「確証はないんですけど、たぶん、

いやきっと、大丈夫だと思うんです。

それに上手くいけば、いろいろと事が上手く運ぶと思います」

遥や聖が策の内容を聞きたいという思いに駆られる中、
衣梨奈はいつも通りに応答していた。


「任せていいん?」

「はい。あ、これはまーちゃんにも手伝ってほしいんだけど、いい?」

「んー、いいよ〜。」

こちらもさらっと返事する。


このあまりにも軽々しいやり取りは
聖たちには到底理解できなかったが、

それでも彼女たちの間には
独特のリズム感というものがあるのだろうとみな理解することにした。


「じゃあ、みんな場所も策も当てができたことだし、

 そろそろ移動する?」

聖が遠慮がちに皆をまとめると、

なんとなくではあるが
皆が己の役割を確認しながら準備を始めたのだった。


まずは里保が来るまでの時間稼ぎ。

そして里保が到着次第一気に攻勢に出る。


そしてその他の懸念は春菜の策に据えて委ねる。


相当粗削りな戦略ではあるが、

それでも皆がのびのびしている分
それは適切なのだろうと聖は自分を納得させた。


「じゃあ、みんな。

 怪我、無いようにね…。」

「はい!!!!!」


それぞれが不安を抱えながらも、

皆は各々の準備にかかって行ったのだった。


・・・・・・・・・・

813 名無し募集中。。。 :2017/08/15(火) 01:14:57
はぁー次の展開が楽しみすぎるっす

814 名無し募集中。。。 :2017/08/15(火) 06:45:39
こっちの聖はただ守られるだけのお嬢様ではなくさり気なく皆をまとめてる感じが良いね

815 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 00:08:16
パーティーの終わった会場は人気もなく静かにその刻を進めていた。
もともとは100年前に政府高官が自身の別荘として使っていた建物。

それを家主がなくなると同時に国が買取り、国賓を招く際の施設として改築を行った。
そう言った理由もあり、建物の見てくれこそはモダンなものであるが一度熱気が覚めると一気に100年の歴史が立ち込める。

そんな中、Can girlのメンバーたちは、あたりに不審な人物や物がないか目を光らせていた。

「うぅ。。。やっぱ夜は寂しいね、梨沙ちゃん。なんか出たらどうしよぅ。」
「こら結!変なこと言わないでよ。本当に出たらどーすんのよ!」
「だって。。。怖いもんは怖いし。」
「あぁもう!結がそんなこと言うから私まで怖くなってきちゃったじゃない!」

大きな声で話をしているつもりはないのだが、もともとの建物の造りのせいなのか自分たちの話し声が
何重にもあたりに響き渡り、さらに恐怖感を煽る。
心なしか懐中電灯を掴む梨沙の手にも力がこもる。

時刻は零時をまわりそろそろ交代の時間が近づいてきた。
やっとこの空間から解放される。

二人が安堵の表情を浮かべたその時。

816 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 00:08:50
パリンッ

階下で何か割れる音がした。
反射的に身をすくめる結。
そして恐々と梨沙の顔を見る。

梨沙の顔は緊張に包まれていた。
「梨沙ちゃん。。。今のって聞こえた?」
「下の階からね。。。」

そう梨沙は言うと口をキっと結び、あたりの様子を探る。
魔道士の気配はない。

しかしそれは逆に梨沙に一つの考えを浮かび上がらせる。

「プロかもね。。。」

817 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 00:10:11
今回の任務が厄介なことの大きな点として、
襲撃者が魔道士であるとは限らないということがあった。

魔道士同士の戦いであれば、いくら熟練の魔道士でも攻撃を加えようと魔法を使った瞬間、
魔力を察知されたちどころに居場所が割れる。

そうなれば、当然警備に当たっているメンバーだけでなく他の休んでいるメンバーも
事態の異変を察知し駆けつけることができるであろう。

しかし、相手が魔力を持たない一般人、しかもプロであった場合、話が変わってくる。
下手なことをすれば自分たちの手には負えなくなるばかりか犠牲者も出かねない。

こうした背景があることから梨沙は音の正体を探りに行くのを一瞬躊躇した。

相方は、結である。

互いに気心の知れた仲であるから一緒に行動することは苦にならない。
しかし、戦力として捉えるとなると少し不安であるのも事実であった。

もう少し、時間が経てば、次のメンバーたちが起きてくる。
そこまで待てる猶予があれば梨沙はそうしたかった。

その時である。
廊下の先でぼんやりと光っていた非常灯が音もなく消えた。
それと同時に足元に何か硬いものが転がり、それは煙を吹きはじめた。

818 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 00:11:43
「まずい!!結、口を!」

そう言いかけた梨沙であったが、途端に強いめまいに襲われ、目の前の視界が暗くなる。
「むす…ぶ…。にげ…」

時を同じくして、見張りの交代のため部屋を出ていた、舞と奈々美もまた何者かによる襲撃を受けていた。

しかし、この二人は周囲の探査能力に優れた魔法を得意としているため,いち早く事態を察知することができた。
立ち込める煙を避け、階下に降りた瞬間、舞は頭に衝撃を受けた。

薄れゆく意識の中で舞が見たものは同じように地面に倒れていた奈々美の姿であった。


翌朝、騒ぎを聞きつけた魔道士協会が現場へと急行したが、
そこで彼らが見たものは、誰一人いないもぬけの殻となった建物であった。

その日、会議に参加をしていた各国首脳並びに魔法世界の有力者、
そして執行局から警備に出ていたCan girlメンバーの全員が忽然と姿を消したのであった。

すぐさま、捜査本部が置かれ行方不明者の捜索、犯人の手が掛かりについて懸命な捜査が行われたが、

結局見つけることはできず、未解決事件となってしまったのであった。

続く

819 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 00:14:08
こんばんは

ついに本編が終わってしまいましたね
ほのぼのとしたあの世界観がとても好きで
何度となく励まされたのがいい思い出です。

久々の更新になります

まだ読んでくれる人がいるかどうかはわかりませんが
一気に更新していきたいと思います

作者

820 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 00:18:51
おぉ、待ってました!

821 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 00:20:04

・・・・・・・・・・



「あー、アイス食べたい
クーラーガンガンに聞かせて。」


ここは魔導士協会。

事件の事後処理をするため、
福田花音は久しぶりに執行局を訪れていた。


「お待ちしておりました。

最近暑いですね。」

受付が笑顔で出迎える。


「ほんと溶けそう アイスないと。」

花音が暑さに顔をしかめる。


「ですよね〜、普段氷の上にいらっしゃるのにこんな暑いところに…」
「それアザラシな。」

「え、本日は地球温暖化防止フォーラムへのご出席では?」

「いや、アザラシじゃないです。

執行局に用があって来た元局員です。」

花音が遠慮がちに訂正する。

822 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 00:20:36

「大変失礼いたしました。 あ、じゃあ水槽と氷の手配は…」

「いやだからそれアザラシな。いらないです。

てか、逆にそこまで準備してくれようとしてたんですね、 
なんかありがとうございます。

いやお礼言うのもおかしな話ですけど。」


また局長のイタズラか、もしくはこの人が生粋の天然なのか…。

まぁ、だとしても局長の教育不足か。


そんなことを考えながら
花音はエレベーターへと向かったのだった。

823 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 00:21:11



「…ハックション!」

「風邪ですか?局長。」

端末越しの鈴木愛理が心配そうな顔をする。

「いや、鈴木。お前も知っての通り、

俺は身体だけは丈夫なんだ。」

生田が愛理に苦笑いを返す。

そこへ茶々を入れたのは
愛理の横から顔を出した桃子だった。


「局長〜、早まらないでくださいよ〜?」

「心配いらんさ。二人とも充分強いからな。

 だがもし、二人に何かあったときは…」

生田は1つ息を吐き、続けた。

「そん時は容赦しないがな。」

824 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 00:21:48

「奇遇ですね、私たちも同じ気持ちです。」

二人が笑って見せる。


「さて、私たちも一応準備しますか。」

「あぁ、よろしく頼むよ。」


通信を切ると、生田はため息交じりに呟いた。


「ばか野郎。心配せん訳ないだろうが。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





衣梨奈達が戦いの場に選んだのは、

海岸近くの開けた場所だった。


その理由は大きく3つ。

1つは遥の魔力消耗が少ないこと。

もう1つが、海からの襲撃は困難であること。

そして最後に、街への被害が最小限になること。


「譜久村さんたちは、予定通り地下に隠れててください。

 まぁこの家も無駄にセキュリティ厳しいですから大丈夫ですよ。

それに並の魔導士なら
地下室入った途端あそこの魔力でぶっ倒れますから。」

「いやほんと慣れないわあそこ。」

825 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 00:22:19


魔導士でない聖と香音は、
戦闘となればただの足手まといでしかない。

どれだけ作戦を立案しても、

実行する時、自分はこうして隠れている。

聖にはそれがもどかしくて仕方がなかった。

そんな聖の心を知ってか知らずか、香音は

「あたし達はあたし達の役割を全うしよう。

自分ができることをやればいいじゃん。」

と、聖に向日葵のような笑顔を向けた。


自分たちにできること…。

それは、みんなを全力でサポートすること。


自分の気持ちよりも、今は皆のことを…。


聖は心の底で渦巻くもどかしさに
半ば強引に蓋をするように地下室のドアを閉じたのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・

826 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 00:23:51

本来ならばさっさと戦いに入るべきところなんですが、

どーしても、まろのくだりがやりたくて。。

827 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 18:15:23
「ううぅん。。。ここは。。。?」

硬い床の感触に顔をしかめながら愛香が顔を上げる。
さっきまで自分は宿舎のベッドで仮眠を取っていたはず。

しかし、あたりを見回すと石造りの壁が広がるのみで
そこに今まで自分が寝ていた部屋の面影はなかった。

「ううん。愛香ちゃんもうちょっとだけ。。。えへへ。。」

ふと横から寝ぼけた聞き覚えのある声が聞こえてくる。
愛香がバッと下を見るとそこには知沙希がいた。

「ちぃちゃん!起きて!!ちぃったら!!」
愛香がその体を大きく揺すると、知沙希は寝ぼけ眼のまま体を起こす。
「どうしたんだよ愛きゃん?
 まだこんなに真っ暗だよ。今何時。。。?
 ってえっ…!?もう5時?やばいやばい寝坊したーーー。」

「ちぃ。落ち着いて!!どうやら私たち寝てる間に誘拐されたみたいなの。」
「えっ!?」

愛香の発言に急に目を覚ます知沙希。そして逆にパニックに陥る。

828 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 18:16:21
「えっえっ!?ここどこ?みんなは?
 てか、愛香ちゃんなんでそんなに落ち着いてんのさ!?」

愛香はその知沙希の質問には答えず、もう一度あたりを注意深く見渡す。
桃子の教え。

窮地の時こそ思考を止めない。
生き残りの可能性を常に求める。

今現在自分たちの置かれている状況がはっきりとわからないのであるならば
情報収集をする必要が有る。

しばらくすると次第に知沙希も落ち着きを取り戻し周囲の観察に加わった。

「ねぇ、ちぃ?」
「なに?」

「どう思う?この建物。」

愛香の問いに知沙希はゆっくりともう一度周囲を見渡す。
「そうだね。ここ、たぶん。。。愛香ちゃんが思ってるのと私も同じ意見だよ。」

829 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 18:18:39



「ええぃ、なんで何にも情報がないんだ!」
執行局の局長室では生田が複数の書類に目を通しながら
半ばイラついた表情で報告をしてきた局員にいう。

「お気持ちはわかりますが局長。
 時間帯も深夜で目撃情報もなく犯行の動機も犯行声明も出ていないので。。。」

「それを調べつくすのが諜報班のつとめだろ?」

「しかし、局長。今回は我々執行局にも嗣永さんが付いているという点から慢心があったのは事実です。
 現場の指揮、運用は全て彼女の判断に委ねられていましたから。
 それがCan girlだけでなくまさか嗣永さんまで。。。」

「待て。」
諜報班の言葉にふと引っかかるものを感じた生田は局員の言葉を遮る。

「そうか、てっきり全員さらわれたものだと思っていたのだが。
 確かに嗣永がいくら深夜帯の襲撃とはいえなにもこちらに痕跡を残さないというのは考えにくい。
 だとすると、答えは2つだ。」

「2つ?」

「切迫し痕跡を残せない状況下だったか。もしくは。。。」

「もしくは?」

局長は慎重に言葉を紡ぎだした。

「嗣永が黒幕かだ。」


続く

830 ◆JVrUn/uxnk :2017/08/17(木) 18:19:10
時系列がバタバタしていて申し訳ない

作者

831 名無し募集中。。。 :2017/08/17(木) 21:34:36
気にしない気にしないw
それより続き待ってるよ

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