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SS・ソロールスレッド
15
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:36:27 ID:vfULsUNc
一斉に注がれる視線の先に佇むのは、焦茶色の探偵服を羽織る高校生くらいの青年。
瑠璃色の眼鏡の奥から覗く眼光はこの状況に臆することなく、真っ直ぐに全員の顔を見渡していた。
「て、てめぇ…風紀委員か…!?」
「いえ、私はただのしがない探偵ですよ……ほら、紋章がないでしょう?」
狼狽する不良の一人へ向けて、自身の探偵服を見せつけるように裾を引っ張る青年。
3人の不良が緊迫した状況の中ここまで余裕を保っているのは、恐らく何か理由があるのだろう。
自身の能力に相当自信があるのか、場慣れしているのか、本物の馬鹿か――推察するリーダーは、一先ず疑問をぶつける。
「……どうしてここがわかった」
「”落書き”ですよ、この工場跡にはほかの場所よりも一層色濃く落書きが描かれていたので。
……縄張り意識を優先するあまり、第三者からの視点を見落としていたのでは?」
淡々と紡がれる言葉の裏には一切の油断もなく、人数差があるというのにいつの間にか後退しているのは不良の方だ。
だがこの状況が不良たちにとって有利であることには変わりない。一人の部下が少女の首元にナイフの刃を当てて。
「動くなよ兄ちゃん、ちょっとでも怪しい動きを見せたら……」
「…ふっ!」
「がっ!?」
突如、青年が投擲した小石が部下の右手に被弾しナイフが弾き落とされる。
その生じた隙を見逃さず一瞬で距離を詰めれば、探偵による実戦に向けた一本背負いが決められた。
硬い地面と背中を勢いよく衝突させ悶える不良は、当分動くことすらままならないだろう。
一瞬で繰り広げられた探偵の攻撃にようやく危機感を覚えたのか、リーダー各が怒号をあげた。
「やれェ!!」
「へ、へいっ!」
スキンヘッドの部下が勢いよく返事を返すと同時に、その掌に宿るのは灼炎。
恐らくこの男は能力者なのだろう、Levelは2……或いは3といったところか。
無能力者と能力者では圧倒的な差があるというのに、探偵は微塵も動かずに徒手空拳の構えを取っている。
「いいんですか?能力を使って」
「は、はぁ…?テメェなにを……」
「私の後ろにあるオイル缶は可燃性のエンジンオイルです。
貴方の能力は発火能力……万が一にも狙いが逸れたら、全員吹き飛びますよ」
「……っ!?」
探偵の言葉を受けて怯む部下の足元へ、傍に落ちていた鉄パイプを投擲する。
短い呻きを挙げて崩れ落ちる男の胸ポケットからナイフを抜き取り、顔面へ向けて肘鉄を決めた。
鼻血を噴き出し再起不能となった男に一瞥をくれることもなく、最後に残ったリーダー格の男と向き合う。
冷や汗を頬に伝わせ拡大した瞳孔で探偵をみやり、リーダーの男は自身の上着のポケットに手を掛けた。
「銃を抜く気ですか?」
「……な…っ!」
だが――それさえも、目の前の探偵は見抜いてしまう。
「やめておきなさい、この距離ならばナイフの方が速い。
銃は抜く、構える、撃つの三点動作で初めて攻撃が成り立つ反面、ナイフは斬るの一点動作ですから」
「…っの…野郎がぁッ!!」
もはや探偵の言葉が聞こえていないのか、ポケット内の銃に手を掛けるリーダー格。
その瞬間リーダーの手にはナイフによる裂傷が刻まれ、耐え難い激痛に手を抑えながら膝から崩れ落ちた。
自身の流れる血を見て戦意を喪失したのか、呻きを上げるだけで自ら起き上がろうとはしない。
だが念には念を……動きを封じる為両足をネクタイで縛り、鉄骨に凭れさせる。
鎮圧化は完了、椅子に縛られる少女の元へ向かい拘束を解いた。
「……もう大丈夫ですよ、小早川エミさん」
「…あの、あなたは……?」
「申し遅れました、私は小柳=アレクサンドル・龍太。
先程申した通り探偵です……あなたのご友人から依頼を受けました」
探偵さん?という少女の反芻をかき消す様に辺りにサイレンが鳴り響く。
恐らく依頼人の少女が風紀委員に事情を伝えたのだろう、この場所に到着するのにそう時間はかからない。
やがて武装した風紀委員がこの拠点を絞り出し、不良達を取り囲んでこの一件は無事終わりを迎えた。
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