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SS・ソロールスレッド

13”探偵” ◆NYzTZnBoCI:2016/05/08(日) 15:34:21 ID:vfULsUNc

「貴方は風紀委員に連絡を入れ、大至急ここへ来るよう伝えてください。
 私は近くを捜索していますので、時間があるようならばエミさんの親御様にも連絡を入れてくれませんか?」
「あ…う、うんっ!」

早口で捲し立てる探偵の言葉に僅かに困惑を見せながらも、言われた通りに携帯電話を取り出す少女。
しっかりした子だ、と感嘆している場合ではない。一刻も早く少女を探し出さなければ、最悪の可能性も浮かび上がる。
少女が自ら失踪した場合も考えられるがここまで条件が揃っていて、そう判断するのは愚策だ。
まずは手がかりを見つけなければ……何も残さず失踪しているとは、考えられない。

「風紀委員の人たち、すぐ来るって!」
「ご苦労様です、……エミさんの親御様にも連絡を」
「うんっ!…探偵さん、絶対えみぃ見つけてねっ!」
「……勿論です」

手から携帯を取りこぼしそうになるほど焦った様子で再び連絡を入れる少女を他所に、捜索の目を広げる探偵。
地面を這い、壁を伝い、花壇を漁り、噴水の中を覗き込み――裏通りへと続く道を歩くさなか、ふと陽光を反射する何かが目に映った。

「……これは…」

探偵が手にとったのは花柄にあしらわれた女児向けのヘアピン。
誰かに踏まれたのか、いびつな形に歪み土が付着していたが……それほど汚れてはいない。
という事はつまり、まだこのヘアピンが落とされて時間は経過していないという事だ。

「……………」

この裏通りを抜けた先にあるのは旧繁華街。人が寄らず、自然と寂れていった街並み。
少女たちがかくれんぼを行っていたのは時間にして約2時間ほど前。
そしてこのヘアピン――…探偵は弾かれるように、裏通りへと飛び出した。

背後で少女が何かを叫んでいるが、敢えて耳にしない。
これから自分が向かうのは、少女が入り込んではいけない世界なのだから。
そこで待っていてください、と、ただ一つ言葉を残して探偵は姿を消した。



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