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SS・ソロールスレッド
12
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:33:22 ID:kPdKZ8zY
思案の渦から我に返り視界に映ったのは、一人の小学生くらいの少女。
探偵だと訪ねてきたからには、青年の容姿を見てそう判断し何か用事があって声をかけたのだろう。
焦げ茶色の探偵服を羽織り直し、警戒させぬよう声の主へと微笑みを向ける。
「ええ、その通りですよ。……ご依頼ですか?」
「あのね、あのね……えみぃを探して欲しいの!」
「えみぃ……とは?」
慌てた様子で身振り手振り説明する少女は、どうやら人探し或いはペット探しを依頼している様子だ。
だがその慌てぶりから恐らく居なくなったのは気ままなペットではなく、身近な人間だろう。
視線を合わせるように座り込み穏やかな口調で尋ねれば、少女からはやはり予想通りの返答が返ってきた。
「私のお友達!小早川エミちゃん!
……今日のお昼、広場でかくれんぼしてたら居なくなっちゃったの…」
「…なるほど、分かりました……その広場へ案内していただけますか?」
こくりと大きく頷き、探偵を先導するように駆け出す少女。
追い越さぬように背後を付いていきながら、探偵は静かに思案する。
人探し自体は珍しい依頼ではなく、特にこの街ならばそういう話は多い。
大半は迷子だとか家出だとか、探偵が大した活動をしなくとも自発的に解決するケースも多いが。
だが同時に自発的に解決できないケース――すなわち、”人攫い”などの場合があるのも否めない。
言い知れぬ焦燥を抱きながら、探偵たちは”現場”へと向かった。
―――――
―――
―
「ここだよ!ここでかくれんぼしてたの…っ!」
「…………」
数十分移動した末にたどり着いたのはいたって普通な、噴水がシンボルの平凡な広場だ。
外景だけならば昼時には学生や子供が集まり、穏やかな時間を過ごしていても何らおかしくはない。
だが、それでもこの時間に人っ子一人いないのは相応の理由があってこそのものだ。
そう、この広場は近場では有名な不良達の集い場。事案も多く発生し風紀委員が手を焼いている。
滅多に人も訪れないこの場では目撃証言も期待はできないだろう。
そんな場所で小学生ふたりがかくれんぼ等をしていたらどうなるのか――想像は容易い。
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