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:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:32:03 ID:vfULsUNc
春の季節を感じさせられる陽気と桜の花吹雪をバックに、一人の青年が思いに耽る。
肌寒さも抜けて心地よい暖かさに包まれる時期となったが、青年の心は曇天のように晴れることはない。
その原因は言うまでもなく、かの陽愛社の令嬢から請けた依頼に関することだ。
身辺調査という依頼自体は珍しくもなく何度も受けてきたが、今回はその規模が違う。
単なる権力だけでは調査できない相手であり、その依頼人は世界的にも有名な社長令嬢。
視界に映る景色が全て違う世界に見えるほどに、探偵は頭を抱えていた。
「……ここまで聞き込んでも、有力な情報を得られないとは…」
一人愚痴るように溢す探偵、小柳=アレクサンドル・龍太。
”高天原いずも”の聞き込みを始めてから実に1週間、情報を尋ねた人数は200を優に超える。
そうして分かったのは高天原いずもは番長を名乗り人助けを行っていることと、第一学園に所属していることと、簡単な容姿の情報だけ。
何処に住んでいる、何処に現れる――…などという明確な情報は誰も持っておらず、殆どが無駄足に終わる。
その僅かな情報から推察するだけでも、高天原いずもという人物像はだいたい想像がつく。
お世辞にも学園都市は治安がいいとは言い切れない街だ。能力という力を手に入れたからか、悪い方向へ進む者も少なくない。
そんな中で高天原いずも、彼女は能力に溺れずに人助けという方向へ進みその名を轟かせている。
直接見なくともその情報だけで、自分よりも相当人間が出来ているのだと実感させられた。
「私が困れば颯爽と現れる……なんて、都合のいい事は起きませんよね……」
自分が態と襲われ危機的状況に陥りいずもを誘う――それも考えたが、一瞬で振り払う。
可能性はあるかもしれないが博打にしては分が悪すぎるし、何よりリスクが高い。
ならば風紀委員を頼るか?
いや、それはダメだ。自らプライバシーの侵害を犯す風紀委員など存在しないだろう。
学園の生徒に聞き込むにしても、その噂が高天原いずも本人に流れてしまったら本末転倒だ。
だとすればやはり、今自分に出来ることといえば外部からの聞き込みを行うだけ。
「――お兄ちゃん、探偵さん?」
そんな思考の中だ、探偵に声が掛かったのは。
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