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実験板企画「TwitterRPG」

1マスター ◆cxt6jyx9JU:2014/10/15(水) 21:38:00
・敢えて文字数制限を設定することで独自の地位を築き上げたtwitterのコンセプトを取り入れた実験的TRPG。
・1レス10行以内。どうしてもそれ以上になるときは分割すること。目的は短文レスを推進するため。
・文学的な心理描写、華麗な情景描写、一切必要なし。キャッチコピーは「3行でおk」
・基本順番なし。不定期参加でも一日に何回レスしてもOK。
・直接絡んでいる時は2日(48時間)ルール。忙しくて書けないという報告をするぐらいなら本スレに1行レスしよう
・トリップが付いているキャラは中の人固定のPCとする。
・トリップが付いていないキャラは誰が中に入ってもいいNPCとする。
・キャラを何人掛け持ちしてもOK。
・名無しのネタ振りもあり。参加者が名無しになってネタを振ってもいい。
・情報不足は仕様。常に後付けで広げていく事とする。

2マスター ◆cxt6jyx9JU:2014/10/15(水) 21:46:22
おいおい、そこのあなた! そう、君君。
なんだって? 冒険者になりたい? 金がほしい? 有名人になりたい?
まずは登録するこった! 登録は簡単、この紙を提出するだけさ。

名前:
外見:
備考:(あれば)

3マスター ◆cxt6jyx9JU:2014/10/15(水) 21:47:30
名前:マスター(と呼ばれている)
外見:君が望む姿に見える。絶世の美少女かもしれないし壮麗なドラゴンかもしれない。
備考:今のところ何のマスターかは不明だがとりあえずマスター。
酒場のマスターと見せかけて天と地を総べる神族のマスターか、はたまたポ○モンマスターかもしれない。

4名無しさん:2014/10/17(金) 22:01:47
ここはどこだろう?
やけに長い間眠っていたような感じがする。
普段と変わらない朝の目覚めのように、ゆっくりとまぶたを押し上げた。
私の目前に複数の顔が覗き込んでいる。
それは少女やドラゴンといった多種多様なものたち。
どうやら焦点が合っていないらしい。
ぼやけた絵の焦点が一つに合わさると、彼らは最終的に一人になった。

初対面だということは、すぐに分かった。
だとしたら、この人は誰なのだろう。

「……ここは、どこですか?」

5マスター ◆cxt6jyx9JU:2014/10/19(日) 22:55:50
「ここはどこかだって? 難しい質問だな。敷いて言うなら始まりの地、時空の狭間――
む、いくつか依頼が来ているようだ」

周囲の空間に様々な世界の映像が映し出される

「ファンタジー世界でゴブリン退治
リアルリアリティワールドで迷いネコ探し
現代異能風世界で今流行の妖怪退治なんていうのもあるね」

6名無しさん:2014/10/19(日) 23:54:25
『にゃ?』
「……にゃー」
『にゃん』
「………にゃーにゃー」
『♪』

7名無しさん:2014/10/20(月) 17:46:29
巨大怪獣から都市防衛は無いんですか!?

8ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/20(月) 19:14:34
名前:ランドール
外見:ごつい、おっさん、甲冑マント
備考:どっかの国の騎士団で団長をやっていた(本人談)
今は当てもなく諸国を放浪している

9名無しさん:2014/10/20(月) 19:20:26
ごっどまぁああん

10ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/20(月) 19:21:18
「マスター、いつものあれをくれないか」
閑散としたバーに現れたのは恰幅の良い一人の男。

「はは、いつものあれとはなんだ、って顔をしているね」
ふむ。と男は顎に手を当てて少し考えるような仕草をしてみせて


「……そうだな、私とマスターが初対面だからだろうね」

11マフター:2014/10/20(月) 19:24:55
「よくきますたーなランドール」

「私のなまえはマフター」

「あ、マスター。金のゴブリンと銀のゴブリン。
ひろってまひりまふたー」

12マスター ◆cxt6jyx9JU:2014/10/21(火) 21:01:17
>10
猫の闊歩するバーに恰幅のいい男が入ってくる。
どうやらここは猫カフェならぬ猫バーのようだ。

>「マスター、いつものあれをくれないか」

>「……そうだな、私とマスターが初対面だからだろうね」

「そうかもしれないな……猫バーと言えば定番のこれでどうだね」

猫をじゃらして遊ぶ猫じゃらし型の玩具を取り出す。

>11
「ほいさ、金のゴブリンと銀のゴブリン、確かに受け取ったー」

13マスター ◆cxt6jyx9JU:2014/10/21(火) 21:05:32
「そうそう、たった今新しい依頼も来たよ」

掲示板に依頼のチラシを貼るマスター。

「急募! 都市防衛!
敵は巨大怪獣、その名も"ごっどまぁああん"」

14名無しさん:2014/10/21(火) 23:25:15
「ちょっとあんたたち〜、夜更かししてるとごっどまんが来るから早く寝なさいよっとと」

三メートルのごっどまんが隙間からギョロリ

ごっどまんって何ですか?

それは叫ばれていたのです。
あの方が……

15ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/23(木) 02:13:29
「申し遅れた。私はランドールだ。根なし草をやっている」
固い握手を交わす二人。

「いかん、本題を忘れていた。猫と戯れている場合ではないのだ
依頼の報酬がなければ食事もままならない身だというのに」

「巨大怪獣か……腕に覚えはあるが敵う気がしないな」
実入りは多そうだが達成の自信がない。これが決断を鈍らせた。
しかし、敵が3メートルだと聞いて「いけるかもしれん」と思考が傾き、遂に怪獣退治を決め込んだのだった。

16マスター ◆cxt6jyx9JU:2014/10/23(木) 19:10:01
>15
「私はとりあえずこの世界では冒険者の猫バーのマスターという事になっているらしい
よろしく頼む」

「ごっどまん退治請け負ってくれるか。
3メートルといえど油断は禁物。仲間を集めてから行く事だ」

>11
「そうそう、はいこれ。金銀のゴブリン探しの報酬」
「早速次の依頼が来てるんだけどお前さんもいくかい?」

(マスターは以後共有NPCとして解放します)

17マスター:2014/10/23(木) 19:10:48
名前:マスター(通称)
外見:今のところバーのマスターっぽい外見
備考:とりあえず中世ファンタジー風っぽいこの世界では猫バーのマスターをやっている
   他の世界では他の顔があるのかもしれない

18トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/10/23(木) 19:12:45
名前:トラネコ
外見:どう見ても二足歩行のトラネコ
備考:以前は店の店主だったらしいが潰れたらしく今は冒険者という名の無職

19トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/10/23(木) 19:16:22
猫が歩き回る猫バーの中に、一風変わった猫がいた。
どう見ても二足歩行のトラネコである。

「その依頼、私も受けようじゃないか」

なんとこのネコ、二足歩行するのみならず人語も操る。
尤も、今の舞台はファンタジーっぽい世界観らしいのでこの世界では普通のことなのかもしれない。

>15
「おお、あなたも怪獣退治に行くのか。見るからに心強い!
私はトラネコ、見ての通り二足歩行のトラネコだ。よろしく頼むよ」

20ひやむぎ ◆kSw54Ov3vY:2014/10/23(木) 20:27:07
名前:ひやむぎ
外見:こじきのおばけ
備考:怪獣ハンター。享年十歳

「さんめーたーくらいが、一番やっかい!」

紐を引っ張ると家が爆発。

そのなかからひやむぎがとんでくる
金と銀のゴブリンを華麗に受けとると御駄賃が降り注ぎ

「大往生!」
ピシッとランドールとトラネコに指をさすのだ。

と思ったが

「きゃあああ」と路地裏から女の悲鳴。

「ごっどまんね!?追いかけましょう!」
ひゅんととんでゆく!

21ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/23(木) 22:49:17
三人が集まったところで案内されたのは、バーの地下にあるだだっ広い空間であった。
空間の中央にはいくつもの石柱が円を描くように配置されている。
そして忽然と殺風景な空間は失せ、ランドールたちは鋼の森に立っていた。

「何が起こったのだ? ……彼はとてつもない大魔法の使い手のようだな」
まやかしにかかったような心地でいると、一同の目の前を自動車が通り過ぎていく。

「見たかいトラネコくん。今、鉄のイノシシが走っていったぞ」
中世観に縛られた男の語彙では、これが限界だった。

22名無しさん:2014/10/25(土) 00:05:22
「きゃああああ」

女性の声が響く。
眼前には3メートルの人間と相違ない怪物の姿があった。
白い輪のような腰巻きを履き、肩甲骨からは羽のようなものが飛び出している。

「はらへった」
そんなことを呟いているうちに、胡散臭いカタコト怪獣ハンターがひゅんととんできた!

23トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/10/25(土) 22:38:14
>「ごっどまんね!?追いかけましょう!」

享年十歳の妖怪ハンターがどさくさに紛れて仲間にくわわった!
一行は酒場の地下からどこかにワープさせられたようだ。

>「何が起こったのだ? ……彼はとてつもない大魔法の使い手のようだな」

目の前をあっという間に鉄の塊が通り過ぎていく。

>「見たかいトラネコくん。今、鉄のイノシシが走っていったぞ」

「うむ、よく見ると車輪のようなものがあったな。馬無しで走る馬車かもしれない」

24トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/10/25(土) 22:41:42
>「きゃああああ」

現れたのは3メートルほどの人間と同じ姿をした怪物。ちょっと前に大流行した巨人だろうか。

「あれがごっどまんか! 今いくぞぉおおお!! ……ぜいぜいはあはあ」

日頃の運動不足がたたり、駆けつける途中で動悸息切れしている間にひやむぎに先を越される。

25ひやむぎ ◆kSw54Ov3vY:2014/10/26(日) 13:29:29
ごっどまん?が「はらへった」というのならトラネコかランドールを食べるかもしれないし
その逆でランドールかトラネコがごっどまんを食べるかもしれないが
馬なしで走る馬車はそれはもう車だ。それだけは確かなこと。
だがそれも一興。体力不足のトラネコを音速で吹き飛ばしひやむぎが電光石火の爆誕を魅せれば時は大不況の真っ只中。
お米さえ買えないこの時代にごっどまんは飲まず食わずで死にかけなのだった。しかし……

「食べ物なら、最初からここにあるじゃないかぁ……」
交差するひやむぎとごっどまん。
なんとごっどまんは飛び込むひやむぎをかわして転げているトラネコの尻を掴み持ち上げ口を開けるのだ。

26ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/26(日) 18:50:51
「ひやむぎ殿ッ!?」
風のような速さで突っ込むひやむぎをひょいと避ける巨人。
ランドールもその反応速度には驚きを隠せない。

「すべてを食らう怪物ならば、容赦はしないぞ」
腰から勢いよく剣を引き抜く。
剣は、柄も刀身も血が錆びて固まったような黒色をしていた。
ランドールは地面を蹴り、トラネコを掴む腕めがけてまっすぐに刃を降りおろす!

27名無しさん:2014/10/26(日) 20:21:27
どう贔屓目で見ても、甲冑を着こんだ中年の切り込みが、ごっどまんに通用するとは思えない。
例えそれが元騎士団長の熟練した技をもってしてもだ。
それで斬れるというのなら、ごっどまんはすぐに敗北するだけだ。
しかし……、ランドールの速さに対抗するにはトラネコの脂肪のつまった体は重すぎる。
ゆえにトラネコを投げ捨て空中に飛翔。
黒色の剣線は虚しく虚空を薙ぐのみだ。

28名無しさん:2014/10/26(日) 20:36:39
「キミ、大丈夫?」
先ほど悲鳴をあげた女がトラネコにとう。
だがトラネコはビックリするかもしれない。
なんと女は機械人形だった。
まわりを見渡せば鋼鉄のジャングル。
飲食店もなんにもない。
そうここは遥かな遠い未来。

「ああ!腹が減って死にそうだ!」
ごっどまんが叫んでいる。
集まってきた野次馬もみんな機械人形だった。

29トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/10/26(日) 21:04:45
「ほげぇえええええええ!? お助けー!」

すぐさまごっどまんに切りかかるランドール。
トラネコは空中に放り投げられる。

>「キミ、大丈夫?」

「機械人形……! まさか、超古代文明の遺産か!?」

イマドキのファンタジーではよく古代超魔法文明が云々で機械が登場するのだ。
見れば、彼女以外も機械人形だらけ。

「なんだここは!?」

驚きながらも、いったん物陰に隠れて野次馬機械人形達も含めて作戦会議。

「さっきの馬無しの馬車……つまり車か。あれで体当たりしてみればダメージを与えられるかもしれない!」

30名無しさん:2014/10/26(日) 22:19:57
機械の青年「でも誰が運転するんだ?おじさんかい?」
ランドールを見つめる。

機械の不良学生「俺たちは機械だからごっどまんに食べられる心配もねぇし……
ぶっちゃけ関係ねぇし」

31ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/26(日) 22:41:49
「トラネコくん、大丈夫かい!?」

巨人の速さに舌を巻きつつ一時撤退。
羽は退化していると思いきや、短時間の飛翔は可能らしい。

「くるまか……乗馬は得意なのだが……」
申し訳なさそうに頭を垂れ、そのまま貝のように黙りこんでしまった。
どうやら全力の一撃で仕留めきれなかったことが相当ショックらしい。

「だが、あれは本当にごっどまんなのかな。
羽を持つのは神の使い、そう、天使だと私は思うんだよ」
体育座りでぼそっと呟いたのはしばらくしてからだった。

32ひやむぎ ◆kSw54Ov3vY:2014/10/26(日) 22:55:58
「気にしちゃだめよおっさま。紙一重と私は思ったよ」
一人で倒せたらTRPGの意味はないし
こんな足掻く展開が最近の流行りなのだ。

そんななか、ランドールは人違い説を浮上させる。

「……そんなんだとしたらもともこもないはなしね」

ひやむぎも体育座り。

33トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/10/27(月) 22:03:09
>「トラネコくん、大丈夫かい!?」

「むう、なんとか……」

車をぶつけるにしても誰かが身を挺して運転しなければいけない。そんな自爆行為をする者は誰もいなかった。
討伐方法が暗礁に乗り上げ、今さらながら人違い疑惑が浮上。

>「だが、あれは本当にごっどまんなのかな。
羽を持つのは神の使い、そう、天使だと私は思うんだよ」
>「……そんなんだとしたらもともこもないはなしね」

「それだ、それなら私に名案があるぞ! 店をやっていたときに仕入れた真実の姿を映す奇跡の鏡、”ミラーの鏡”で……!」

なんか見た目だけはそれっぽい装飾の付いた鏡を道具袋から取り出し、ごっどまん?を映すトラネコ。

34ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/28(火) 23:40:14
「ぷるぷる ぼくは わるい ごっどまん じゃないよ」
鏡に映った3メートルのデカブツがどこかで聞いたような台詞を吐いた。
少なくとも鏡の中の方が知能レベルが高そうだが。

「そう、そいつは怪獣えんぜる。世界をリセットするために送り込んだ神の使いだ」
現れたのは仙人のような格好の青年であった。
「そして僕がごっどまんというわけ。おわかり?」
右手に持った杖で自分を指し、青年は笑う。

35ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/28(火) 23:56:12
「君たちは僕を退治しにきたんだろ?
人間狩りも飽きてきたから、遊んであげようと思ってね」
地球の頂点に人間が立って久しく、人類は人類以外の脅威が存在しなかった。
人類にとっては好都合であったが、観測者たるごっどまんからすれば退屈でしかない。

「だから僕が人類の脅威になってみたんだ。面白い遊びだろ? 創造者と人形の対決だ!」
人類は巨大ロボットなどで抵抗したが、劣勢を覆せず外宇宙へ逃げた。
地球にいるのは大半が地球再生用の機械人形である。
えんぜるもまた人類を追い地球を去ったから、人形たちもえんぜるのことを知らなかったのだ。
今ここにいる一体は、ごっどまんが連れてきたえんぜる(ハラペコ)というわけだ。

36ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/10/29(水) 00:08:09
「……すまぬ。もう一度言ってくれないか。意味がよく分からなかった」
だが中世観に縛られたランドールでは、理解が追いつかなかった。

「バカなやつだ、とにかく、僕を倒せばいんだよ!」
自称神男といえど、弱点はある。
なんかモヤシっぽいし普通に殴れば倒せそう。

「天界では全能でも地上ではただのもやしっ子に過ぎない。頼むぞ、怪獣えんぜる!」
捨て台詞を吐きながらごっどまんはひゅんと逃げていく!

37トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/10/30(木) 21:44:33
>「……すまぬ。もう一度言ってくれないか。意味がよく分からなかった」

「アレだ、ス○ーオーシャン3みたいなものか!」

イマドキは最初中世ファンタジーに見せかけて実はなんちゃってSFというのも多いのである。
要するにごっどまん?は怪獣えんぜるで、本物のごっどまんはいかにも少年漫画の敵役に出てきそうなイケメン(?)だったが
結局怪獣えんぜるを倒さなければいけないという状況には変わりなかった!
ここに来てどうやって怪獣えんぜるを倒すかという命題に戻ってしまったのである。
道具袋を漁るトラネコ。

「何か無いか何か無いか……。あった! 店をやっていた時代に仕入れたえんぜるの大好物、”えんぜるちょこぱい”〜!
ランドール殿、奴がこれに気を取られている隙に攻撃だ!」

見る限りだと何の変哲もなさそうなチョコパイを怪獣えんぜるの目の前に投げる!

38ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/01(土) 01:04:04
「うまーいッ!」
腹を空かせているだけあって、ガツガツチョコパイを食べ始めるえんぜる。
空腹を満たせればどうでもよかろうなのだ。

トラネコの奇策が成功し、ランドールは颯爽と剣を構える。
だが次の瞬間、光の輪がその屈強な肉体を拘束してしまったのだ。
「ぐっ、不覚……」
えんぜるはひやむぎに一瞥くれると再びえんぜるちょこぱいを貪りはじめた。

39ひやむぎ ◆kSw54Ov3vY:2014/11/01(土) 11:02:20
一瞥をくれるえんぜるにひやむぎは三日月のような笑みで返し
賞味期限を指差さば案の定、エンゼルパイは腐っていた。

「うわああ、お腹が〜!」
真っ赤な顔でえんぜるはトイレを探そうとしてもここは機械人形の世界でトイレもなく
仕方なく物影にダッシュしたその時……えんぜるはドーンと車にひかれてしまう。
瞬間、えんぜるの集中力が薄れランドールの拘束がゆるむとえんぜるのおしりもゆるむ。
そして白いものたちがおしりからもろもろと吹き出してきた。
それはえんぜるが今まで食べてきた人間たちの魂だった。
なので一同は解決したと思ったのも束の間、車がランドールを弾き飛ばしトラネコをもひいてしまう。

「この車、とまんないっ!」
ひやむぎ(享年十歳)の運転する車は燃料がなくなるまで被害を拡大させていったという……。

40ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/03(月) 01:23:56
「なんと御しがたい生き物か、車というものは……!」
激突の瞬間、ランドールは後ろへ飛び退き衝撃を緩和・見事な受け身を披露しつつ頭部を保護。
鎧の防御能力もあって大事には至らなかったようだ。

「うわーっ、僕のえんぜるがーっ!」
ごっどまんは暴走車に轢かれないよう電柱の上にしがみついている。
幼体とはいえ、えんぜるは戦車砲程度ではビクともしない皮膚をもつ。
それを内部から破壊?するのは慮外の出来事であった。

42トラネコ ◆77kypAAQEo:2014/11/03(月) 01:42:49
「大丈夫かランドール殿!」

そう言うトラネコは車に轢かれてペラペラの紙状態になっていた。
自分の方が大丈夫じゃないが、命に別状は無いので多分問題はない。

「チャンスだ! かみをバラバラにするチェーンソー!!」

またも胡散臭いアイテムを繰り出してランドールに渡すトラネコ。
かみが平仮名なので神なのか紙なのか髪なのかさっぱり分からないのであった。

43 ◆kSw54Ov3vY:2014/11/03(月) 12:58:08
ひやむぎの運転する車はごっどまんの登っている電柱に激突し、それはぐらりとランドール目掛け横倒しになって行く。
そして皆が見つめるなか、いたいけな少年対チェーンソーをもつおっさんとの一騎討ちが始まりかけたその時……

「ああ……、僕って大人気ないなぁ。いやんなっちゃうよ」と、上空をおおう黒い影。

「いけっゴッドマシーン!」
それは人類のロボットを殲滅し、今も外宇宙で人類を抹殺し続けている究極神様兵器「ゴッドマシーン」だった。
それはとんがりコーンみたいな飛行形態から手足が生えて人型になってゆく。

「ただの遊びなのに、少しだけ本気になっちゃって……ごめんよぉ。ごめんね〜。ごめんなさい〜」

44 ◆kSw54Ov3vY:2014/11/03(月) 13:00:16
ゴッドマシーンは頭の上に高速回転する光の輪を展開させていた。
それは一種の発電装置であった。でも秘密なのだ。

「ぐおおぉ!」
ランドールに目掛け握り拳固一発。
たとえランドールが鎧を着ていても、それを受けたら頭が亀のようにめり込んでお尻から飛び出してしまうことだろう。

「ほらぁ!なんか感動するようなこと言って斬ってこぉい!」
凄まじい拳固の風圧はトラネコを吹き飛ばす。
おまけにごっどまんもふっとんでゆく。そして一緒に飛ばされながらも
「うりゃあああ!」
杖がゴッドハサミに変化してトラネコを襲う。
【ゴッドマシーン対ランドール。ごっどまん対トラネコ】

45ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/04(火) 01:50:40
暴風雨のような拳を前にランドールは全速力で逃走を始める。
騎士団長であった時代なら腰抜けの謗りは免れないが、今はただの無職だ。

「天変地異を相手にしているようだ……グホッ!」
地を砕く拳の余波はランドールの体を紙屑のように吹き飛ばした。
直撃を避けてもこの威力。カタカナ表記は伊達ではない。

「だが、私も騎士だ。仕える主君は、今はいないが……」
勝機はある。巨大な敵を相手にして足元にいても仕方ない。
狙うは急所。すなわち頭か、心臓。体内から攻撃してもよい。
そう算段を立ててランドールはロボットの体をヨチヨチ登りはじめた。

46名無しさん:2014/11/06(木) 19:15:59
「団長さ〜ん」
思い出の世界からマーニーが呼んでいる。
ちょうどゴッドマシーンのヘソの辺りが思い出の空間。
時空が裂けてるのだ。
なんてら波が出たとき、人の心は時空を越えてゆくという。

「こっち〜」
マーニーは手招きしている。

と、ここまで書いて、何を書いてるんだろうと思いはじめてしまって
さっき、目を閉じたら文字から人のお顔がたっくさん出てきてしまいました。

47トラネコ ◆77kypAAQEo:2014/11/06(木) 23:51:29
>「うりゃあああ!」

今のトラネコはペラペラの神…じゃなかった紙状態!
はさみでチョッキンされたらひとたまりもない!
対するトラネコはかみをバラバラにするチェーンソーをもう一つ取り出す!
まさしく神VS紙! 
ごっどまんのハサミを文字通りひらり!と避けトラネコの反撃!

「うおりゃああああ!!」

ごっどまんはひらり!と避けた!が、服だけ掠っていた!
服だけがはらりはらりと舞い落ちるギャグ漫画でありがちな展開に!
そう、誰得な美少年のサービスシーンである――!

48ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/08(土) 19:31:28
ランドールの意識は騎士団時代に遡っていた。
眼前の魔物を切り伏せ、仲間とともに戦場を駆ける!
ウェイン、カレス、マルセル、アイネ……

「むぅん!!」
ごついチェーンソーが遠い記憶を引き裂く。
「マーニーなど知らん……すまぬ」
そして頭部に達すると、ランドールは神殺しの武器を降り下ろす。
首と頭を切り離して死なない敵はいない。戦場の鉄の掟だ。

49名無しさん:2014/11/08(土) 20:34:31
「いゃああぁ!!」
ごっどまんの事務所は下ネタNGだった。
なので彼は真っ赤になって右往左往している。
でも、大切なところは「見ちゃだめ護符」でかくされていた。

『ぎゃはははは!』
嘲笑が聞こえる。それは高次元の存在たちが宇宙から観測していたからだ。

『面白い猫がいるぞ。彼を我が事務所にスカウトしよう!』

50名無しさん:2014/11/09(日) 08:38:01
>「マーニーなど知らん……すまぬ」

ランドールは過去を切り裂いた。
そしてランドールの扱うチェーンソーはゴッドマシーンの脊髄回路を少しずつ切断してゆく。
それはスーパーコンピューター以上の凄いテクノロジーで出来ているから被害総額は地球の全部の土地が買えるほどの金額。

「やめてぇ!お金ならあげるからやめてぇ!あなた無職なんでしょ!」
マーニーが下から叫んでいるも、ゴッドマシーンの頭は切断されて暴走を始める。
するとランドールの直上、回転する光の輪の中から声が聞こえる。
それはネズミのようなもので一生懸命に輪の中を走っていた。

51トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/11/10(月) 21:30:38
>『面白い猫がいるぞ。彼を我が事務所にスカウトしよう!』

パァアアアッとトラネコに高次元より謎の光が降り注ぐ。
チャララララ〜ラ〜ラ〜♪
トラネコは無職→お笑い芸人にクラスチェンジし、新たな力に目覚める!

「くらえ一発ギャグ! 布団が吹っ飛んだ!」

氷結のブリザードが吹き荒れる! 全裸のごっどまんはひとたまりもない!

52名無しさん:2014/11/10(月) 22:27:09
「ねむいよ…パトラッシュ……」
ごっどまんは寒くなって、散らかってる布団に潜ったまま天に召されてゆく。
それはアニメファンが選ぶ名場面百選のフランダースの犬みたいだった。

【トラネコはごっどまんをたおした!】

53ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/10(月) 23:08:17
「無職かどうかではない! 信念の話だ!」
なんかそれっぽいことを叫びつつチェーンソーが轟音を上げる!

「……こんなものが、究極の殺戮兵器だとはな……」
不乱に走るネズミに似た何かを眺めながらぽつりと漏らした。
まるで不思議の国に訪れたような心地だ。

「今、解き放ってやろう」

ランドールは構るや、チェーンソーで輪を切断しはじめた!
最早林業のおっさんである!!

54名無しさん:2014/11/11(火) 21:42:55
>「今、解き放ってやろう」

ということで、ネズミもどきは救出され、ゴッドマシーンは動力を失い停止。
でもネズミもどきも所詮畜生なので、何にもお礼もなしに空に駆けていった。
そして去って消えると、演出からか空に大きな顔が浮かんだ。
それはトラネコとランドールの父の顔。それは土気色で死んだような虚ろな目付きではあったけどシャボン玉のように無数に下から浮かんできては消えて少しメルヘンでもあった。

55名無しさん:2014/11/11(火) 21:44:31
そのご

瀕死のおばけ、ひやむぎはマスターのもとへと運ばれた。
ごっどまんとの壮絶な死闘をたった一人繰り広げた大勇者のひやむぎ。
マスターは狼狽し薬湯にひやむぎを浸し祈祷する。

「わたし、がんばったょ……ますたぁ。がんばってごっどまんたおしたよ。ひとりで……」
ひやむぎは火垂るの墓の死ぬ前の節子のようにやつれたまま。

「ひやむぎ。ようやったで!あとは兄ちゃんが願いはかなえたるさかいなんでもいいや!」とセイタの顔のマスター

「ぢゃあ、ヴ、ヴィトンのばっぐに……えるめすのおさいふを……買って」
こうしてひやむぎはブランドものを手に入れて、その後も次の依頼がくるまでヨロヨロとしていたのだった。

56ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/13(木) 20:07:37
──金を受け取ったランドールは、ホクホク顔で猫と戯れていた。
後半正直何もしていなかったひやむぎが何故か報酬を受け取っていたのが腑に落ちない。

「猫くん……大きくなるのだぞ。トラネコくんのように」

そしてまた自分も強くあらねば。
今回の依頼で己の実力不足を痛感した(というよりピークからドンドン衰えていっている)。
報酬が尽きないうちは猫バーを拠点に修行でもするとしよう。

(まだ始まったばかりなのだからな……この果てしなく長い……騎士道は……!)

最後の最後で不吉な打ち切りフラグを立てるおっさんであった。

57トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/11/13(木) 22:22:30
「――というわけで我々はごっどまんを打倒し世界を救ったのであります、べべんべん!」

「にゃー」「にゃにゃにゃー」「にゃー」

どさくさに紛れてお笑い芸人になったトラネコは猫バーの片隅で猫を集めて芸を披露したりしている。
が、猫相手(自分もネコだけど)なので当然稼ぎにはならない。
どうやら生計を立てるには次の依頼を待つしかなさそうである。

58名無しさん:2014/11/14(金) 23:54:26
依頼「ムーンライト祭」の参加者募集☆
村に活気を与えるために毎年のように募集されている。
参加者は500ゴールドを手にいれる。
町で下準備してもよし。

麓の店
【地図100ゴールド。狼の仮面300ゴールド。ムーンライトソード500ゴールド】
【チョコレート100ゴールド。マッチ100ゴールド】

村までは山道しかなく徒歩で三時間。【体力−2】
麓の店で買い物をした場合、夕暮れとなる。
村のお店
【桃燈300ゴールド】

一日目。君たちは明日のために早めに休んでもいいし、何か行動をしてもよい。(ただし体力は回復せず)

59名無しさん:2014/11/14(金) 23:59:39
ステータスは精神力10体力10とします。
登場人物は麓の店の店員。
宿屋の店主。村のお店の店員。
その他もあり。
自由に行動なされた場合、行動判定もあります。

60ロコモコ:2014/11/15(土) 20:15:53
女。26。サイオニック見習い。
魔法学園卒業後も就職先も見つからず家事手伝いの日々。
そんななかやっと就職出来たのが小さな教会。
だが神父が呑んだくれのダメオヤジでロコモコに色々と丸投げしてくるので胃の痛い日々が続く。

今回の依頼の報酬も神父が天引きし
ロコモコには100ゴールドしか支払われていない、

61ゴーランド:2014/11/15(土) 20:50:45
ゴーランド(モブキャラ)。男。モンク。筋肉質のイケメン。性格は度が過ぎる真面目。

町外れ。

「ここからは馬車では無理のようだ。歩いてゆこう。
もたもたしていると日が暮れてしまうかもしれん」
彼の名前はゴーランド。農作物を担ぎ農民らしい姿をしているが
その肉体は農作業で作られたような体つきには見えなかった。

宿屋

宿主「いらっしゃいませ。お祭りの参加者の皆様ですね?
わざわざ遠方から御足労ねがわれた皆様からお金をとるわけには参りません。
今晩はごゆっくりおくつろぎ下さいませ」

部屋は個室で角部屋と地下が空いていた。
二階は他のお客でいっぱいのようだ。

ゴーランド【精神力10体力8】

62名無しさん:2014/11/15(土) 21:24:48
山から吹いてくる風が冷たい。もうじき秋も終わる。
ロコモコは麓の店で買い物をしていた。
と言っても少ない報酬では買えるものなどなく、先程の集団と一緒に村にむかえば良かったと思っていた。

と、店員の男が窓を閉めるために立ち上がる。
彼は杖をつき、足をひきずっていた。

そしてロコモコが村に着いたのは日も沈んだころ。

ロコモコ(モブキャラ)【精神力10体力8】

村の探索タイムです。
時系列。後追いして会話や行動も可能です。
今回は劇画調のためひやむぎは登場しません。

63ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/16(日) 19:19:28

「村……か……?」

騎士は憔悴しきっていた。
とある依頼を契機に修験の旅に出たが、無理な修練で遂に限界が訪れた。
一歩を踏むごとに肺腑が破裂しそうな激痛が走る。
足に感覚はなく、白銀に輝いていた甲冑は錆が浮いて黒ずんでいる。

やっとの思いで宿屋に辿り着いた彼は、半ば倒れこむように扉を開けた。
ちょうど宿主と農民風の男が会話をしているようだ。

「すまぬ……部屋は、空いておらぬか……」

ランドール【精神力10体力8】

64名無しさん:2014/11/16(日) 20:57:17
>「すまぬ……部屋は、空いておらぬか……」

「……あなたは?お姿からしてお祭りの参加者の方ではありませんね。
でも良いでしょう。三日後の満月の夜。
この村で素敵なムーンライト祭があります。
それまでに御休養なされてお祭りに参加していってくださいな」

疲れている様子のランドールは角部屋へと案内される。

「あ、それと、この剣は預からせていただきます。
あなたの素性を私は知りません。すいませんがどうかお察しくださいませ」
そう言って宿主は剣を預り、ゴーランドと何やら会話していた。そして……

「大丈夫か君。宿主に言って相部屋にしてもらった。すぐに休むといい」
ランドールはゴーランドと一晩を明かすことになった。

【角部屋:遠くで獣の遠吠え。精神力-2】
何の行動も起こさなかった場合、体力は翌日全回復します。

65トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/11/17(月) 09:11:49
「祭りに参加するだけで報酬がもらえるとは何てお得な依頼なんだ」

劇画調のトラネコはスキップしながら山道を歩いていた。
もちろん依頼である以上、危険な祭りだったりするのだろうがトラネコはそんな深い事は考えない。
そして宿屋に辿り着く。

「祭り参加者はタダだって? なんて良心的なんだ!」

このような場合は逆にどさくさに紛れて便乗値上げする場合が多い事を元商人のトラネコは知っていた。

「ところでムーンライト祭りとはどんな祭りなんだ?」

とかなんとか言いながらどこかの部屋に案内されていくトラネコ。
トラネコ【精神力10体力8】

66名無しさん:2014/11/17(月) 19:05:17
トラネコはスキップをしながら山道を登ったので村に到着したころは夕暮れになっていた。
村に到着したのは宿主がランドールたちを部屋に案内して小一時間たったころ。
受付にはロコモコもおり、二人は地下のフロアに案内された。

>「ところでムーンライト祭りとはどんな祭りなんだ?」

宿主「三日後の満月の夜に行われる幻想的なお祭りでございますよ。
その歴史も古く五穀豊穣、子孫繁栄、無病息災などを祈祷するお祭りでございます。
まあ、詳しいことは参加してからのお楽しみということで……」

宿主「あ、それと夜に外出なされるときは売店で桃燈をお買い求め下さい。
月明かりがあるとはいえ、森に囲まれたこの村の暗がりは本当に深い闇ゆえに……」

ロコモコ「桃燈ってあの300ゴールドもする丸っこいやつでしょ。貧乏人にはお金がなくって買えませーん。
……にしてもここって地下だからかなぁ?おそろしくさむいんですけど」

宿主「もうじき、冬がまいりますから……」

二人は隣り合わせの部屋に案内される。

67名無しさん:2014/11/17(月) 19:07:12
トラネコとロコモコは隣り合わせの部屋。
室内は暖炉に火がくべられており暖かかった。
各々の部屋に食事も運ばれ、しばらくして……

「ふぎゃああ!やっぱりぃ〜!」ロコモコの悲鳴。そして……

「ちょっと猫のおじさま!手伝ってもらえないっ!?」コンコンとノックの連打。

「部屋つきのお化けにとりつかれてしまったの!
で、そのお化けがお外に出たいみたいなんだけど、
外って真っ暗じゃない?でも、おじさまは猫でしょ?月明かりでもよく見えると思って道案内をお願いしたいのっ!」

地図を入手していた場合は使用可能。
お化けに遭遇。精神力−2。ロコモコ【精神力8体力8】

68ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/18(火) 19:12:40

「魔物め……! おのれ、私が相手だ!」

獣の遠吠えに魘され何事かを騎士が叫ぶ。額には大量の汗が滲んでいた。
修験の旅で尋常でないほど己を追い込んでいたことが窺えよう。

──翌朝。

本調子でないにせよ、体力は概ね回復した。
年をとると筋肉痛が明後日にやってくる。明日は地獄だ。

「昨日は世話になったね。私はランドール。
 旅人……いや、冒険者といった方がよいか。とにかく、ありがとう」

そう礼を言って頭を下げると騎士は些かの違和感を覚えた。
如何にも農民風の男だが、服越しにも分かる強靭な肉体と纏っている気は農民のそれでない。

69ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/18(火) 19:23:31

普段なら相手の事情を推し量って何も聞かなかっただろう。
だが、久方ぶりに人間と会話を交わしたということが、騎士の口を滑らかにしていた。

「ただの農民……というわけではなさそうだね。
 宿に泊まるということは、この村の人間でもないようだ」
訝しむというよりは男の鍛え上げられた肉体に感心して、という調子であった。

「ああ、そういえば祭りが開かれるんだったな……
 君もその祭りに参加するのかい。村以外からも人を集めるとなると、結構な規模だ」
その後騎士は「昨日の礼をしたい。金でも良いが、何かできることはないかな」とも言った。

【精神力8体力10】

70名無しさん:2014/11/20(木) 00:31:22
翌朝。ゴーランドはランドールの回復に安堵した。
何か悪い病気なのではないかと思っていたのだが、ただの老化だったのだ。

>「昨日の礼をしたい。金でも良いが、何かできることはないかな」

「……お〜、なんということだ!これも神の御導きか。
それならば私と共に調べてもらいたいことがある。
じつは毎年、祭に参加した者がそのまま山からおりてこなくなるのだという。
だから君は私と共にその真贋を見極めて欲しい」

「私の名前はゴーランドだ。よろしく頼む」
と、ゴーランドは合掌して御辞儀。

71名無しさん:2014/11/20(木) 00:47:52
……と、二階から階段を降りてくる複数の足音が聞こえる。
見れば数人の傭兵と、召し使いに囲まれた小太りの商人らしきものの姿がある。
商人はランドールに目を止め一瞬嫌そうな顔をして何処かへ歩いてゆく。
それが気になったゴーランドは彼等を尾行することにした。
そして君たちが宿を出て村の中央広場まで出るとそこでは肉が焼かれていたり、野菜のスープが煮られていたりしていい匂いががするだろう。
小さな村にしてはなかなか豪華な感じだった。彼らは屋台のテーブルで朝食をとるようだ。

「準備は万端でおじゃるかな?」と商人が召し使いにとう。

「はい。満月草も充分に成長しております。あとは満月の夜に生け贄を捧げるだけでございます」

「ん、生け贄にするのはいきのいいウサギだけにしたいものじゃのう」
商人はぐるんと後ろを振り替えった。

72トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/11/20(木) 17:16:44
>67
「わっ、なんだなんだ!?」

ロコモコからお化けが外に出たいから道案内をお願いしたいという妙な依頼。

「ちょっと待て、君はもう取りつかれているのか!?」

ロコモコの背後を凝視してみるが、残念ながらトラネコに霊能力はなかった。
からかわれているのかもしれないとも思いつつ、とりあえず引き受ける。
とりあえず外に出て桃燈を購入するトラネコ。それで買っておいた地図を照らす。

「お化けさんはどこに行きたいと言っているのだね?」

【トラネコ 精神力8 体力8】

73名無しさん:2014/11/20(木) 23:54:58
>「お化けさんはどこに行きたいと言っているのだね?」

お化けの丸い手が地図にぺたりとひっつき湖からずんずんと伸びて国境付近に移動したかと思えば、ぐるぐるとその手は円を描き何が何だかよくわからなくなる。
それでちょっと怒った様子のお化けは普通に「あっち」と指差した。お化けには地図がわからなかったのだ。
そしてお化けに導かれ、トラネコたちは遠くの小屋に連れて来られる。
するとお化けは小屋のなかに消えて行くのだった。

トラネコがその小屋に入ると本がパタパタと飛んでいることだろう。
それはブラッディムーンの作り方。所謂研究ノートだった。
『私の実験は成功した。湖の中央の小島にエサと例の狼を放ち、満月の夜に食べさせたら湖面は真っ赤に染まり月も赤くなった。
すると湖に浮かぶ満月草の花はブラッディムーンへと変わり若返りの妙薬となったのだ。
偉大なる魔術師たちが失敗してきたことを私は簡単に見つけた。私はえらいのだ。
でも、強欲なあの商人は私に若返りの妙薬で得た利益を半分もくれなかったのだ』

74名無しさん:2014/11/21(金) 00:01:41
お化けは真っ赤な顔でぷんすかしている。

「もしかしてあなたってこの本を書いた人?それで商人に恨みをもっているってこと?」
ロコモコが問うとお化けはブンブンと首肯。

その時だった。小屋の外から唸り声が聞こえる。それは怨念のような人の声でお化けも震えるほどの迫力があった。
なので二人はここで一夜を明かすことになり翌日。

「なんだか嫌な予感がする。私はサイオニックなの。この村からははやくおりたほうがいいかも……」とロコモコ。

宿に帰る途中、湖岸を美しい少女が歩いているのが見えた。
【怨念の声。精神力−2。小屋まで移動。体力−2】
【ロコモコ精神力6体力6】

75ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/21(金) 19:33:36

「そんなことで良いのかい? お安い御用だ」

ゴーランドに倣って合掌。ランドールの故郷にはない文化だ。
そんなことをしていると、通りかかった商人が嫌な顔をして去っていく。
無理もない。風呂に入って少々さっぱりしたものの、鎧は薄汚れ髭は伸び放題ときている。
騎士より落ち武者に近かった。

農民風の男に従い商人を尾行すると中央市場に到着。不意に商人が後ろを振り返った。
この騎士は温厚だが、大らかゆえに動じないところがある。

「このまま尾行を続ければ、奇襲くらいは食らうかも知れぬな」

逆説、相手に後ろ暗いモノがあるという証左に他ならない。
ならば敢えて乗ってやれば話が早いな、とランドールは言っているのだ。

76名無しさん:2014/11/21(金) 22:26:03
>「このまま尾行を続ければ、奇襲くらいは食らうかも知れぬな」

ランドールとゴーランドは尾行のプロではない。だがそれはランドールも百も承知で
あえての行動だった。
己を知っている中年の行動も決してバカにできるものではない。

「なるほどな…」ゴーランドも納得のようす。

商人も神経質になっているらしくランドールたちの尾行にいち早く気づくと先手をうってくる。
まわりはすでに傭兵たちに囲まれている。

「助けを求めても無駄だぞ。ここの村人たちも大商人ドルバコ様のおかげで今の豊かな生活を維持している」

「この者たち、いったいどうしますか?」

「ここでは目立つのじゃ。フェリルの屋敷に地下牢がある。そこへぶちこんでおけぃ」

77名無しさん:2014/11/21(金) 22:28:07
古びた大きなお屋敷。それは代々この村を守ってきた一族『レム家』のものだった。
今ではレム家もフェリル・レムという少女が一人。衰退の道を辿っていた。

傭兵「おらっ、おっさんはここに入っとけ!」
牢屋に押し込まれる二人。

ドルバコ「ぬしらは誰のまわしものじゃ?見当が多すぎてわからぬわぁ」

ゴーランド「私は誰の回し者でもない。ただこの村で起きている謎の噂の真贋を見極めるためにここに来た。
彼もその手伝いをしてくれているただの旅人だ」

ドルバコ「バカじゃのうおぬしらは……。金貨一枚にもならぬことを……」
ランドールたちは捕まってしまった!

78トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/11/21(金) 23:57:44
お化け(に導かれるロコモコ)に導かれて辿り着いた小屋では、ポルターガイスト絶好調だった。
どうやらお化けは、強欲な商人に利益を横取りされて恨みを持っているらしい。

「商人の風上にも置けん奴だ! まさか……君はその商人に殺されたのか!?」

と、お化けも怖がるほどの恐ろしい唸り声。お化けであっても怖い物は怖いようだ。
トラネコ達はそのままそこで眠れぬ夜を過ごした……。
次の日、湖岸を美しい少女が歩いていた。

「君は……この辺の住人かな? 昨日の夜変な唸り声が聞こえなかったかい?」

【トラネコ精神力6体力6】

79ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/23(日) 00:13:12
瞬く間に傭兵に囲まれた騎士と農民。
腰に剣が差さっていれば抵抗もできたが、生憎宿屋に置いたままだ。
無抵抗で捕まったのが功を奏したらしく、これといった暴力も振るわれず地下牢へ放り込まれる二人。

ドルバコ「バカじゃのうおぬしらは……。金貨一枚にもならぬことを……」

「人は利だけで動くのではない。心の中の気高きものを信じて、力強く立ち向かえるのだ」

少なくとも騎士はそう信じている。そして、隣の農民風の男もそうであると。
この二人の偉丈夫の背後に何もないと知った商人は哀れな囚人をどうするだろうか。
聞き出すことがないならさっさと殺してしまうだろう。ましてや、不都合なことを聞いていれば。

「満月草とやらの贄にでもしてしまうか。私は、望むところだ」

騎士が、不敵に笑った。

80ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/23(日) 00:15:06
大商人ドルバコと対峙しつつ騎士はぼそりと呟く。

「ゴーランド殿。腕に自信はおありか?」

今は脱出できない。だが商人達が二人を始末する瞬間こそ好機。
首を吊るか首を斬るか、はたまた牢屋で斬り殺すかは判然としないが、その瞬間必ず牢が開く。
経験上そのときを狙うのが無難であろう。スプーンで壁を掘るような時間はない。

騎士は人を殺さない。殺さず捕まえて身代金をせしめるのが常道だ。
もちろん元騎士・ランドールは両方経験している。捕まったときは必死で逃げたが。

「それまで待つのだ。そして、真贋を見極めよう」

妙に頼もしかった。彼の精神テンションは今、騎士団長時代のそれだったのだ。

81名無しさん:2014/11/23(日) 17:34:21
>78
>「商人の風上にも置けん奴だ! まさか……君はその商人に殺されたのか!?」

お化けはわんわんと噴水のように涙を流しながら朝陽に溶けていった。
そして夜があけて宿に帰る途中、湖岸を歩く少女の姿があった。

>「君は……この辺の住人かな? 昨日の夜変な唸り声が聞こえなかったかい?」

「あなたは、どうしてそんなことを聞くのでしょう?
まさかあれが、私の悪夢から生まれた影の住人とでもいいたいのですか?
いいえ、その前に私の名を名乗りましょう」
少女の名前はフェリルと言った。トラネコもロコモコも挨拶をするとフェリルはお屋敷に来なさいとなかば強引に誘ってくる。
ロコモコはなんとなく少女に破滅的な危険な印象を受けたが不眠不休で身も心も疲れていたし
何よりお金持ちそうなのでお友達になるのもよいかもと思いついて行くことにした。

82名無しさん:2014/11/23(日) 17:36:40
>79-80
>「満月草とやらの贄にでもしてしまうか。私は、望むところだ」

「まあ、そう急くではない。二日後の満月の夜まで待つでおじゃる」とドルバコ。

>「ゴーランド殿。腕に自信はおありか?」

「人一倍、鍛練はしてきたつもりだ。負ける理由は見当たらぬ」

>「それまで待つのだ。そして、真贋を見極めよう」

「わかった」

決意を秘めた二人の様相に、ドルバコは気付いていないわけではなかった。
ただどうすることも出来ないはずとたかをくくっていたのである。

83名無しさん:2014/11/23(日) 17:41:17
お屋敷では、ドルバコたちのお出迎えが待っていた。
ドルバコたちはフェリルと商談を結んでいて、親密ではないがフェリルがお屋敷を解放しているのだ。
もちろんランドールたちのことは秘密である。
彼らは適当に自己紹介を終えるとトラネコたちの食事に付き合うという。
それがロコモコにはとても怪しく思えて

「わたし、食事をさせてもらったら帰ります……」と、彼女が言うと、ドルバコが何かあったら傭兵たちに守らせるという。
それほどお祭りには、見る価値があるのだと力説してくる。

そして食事も終わり正午過ぎ。

84名無しさん:2014/11/23(日) 17:43:22
トラネコのもとにフェリルがやって来る。
するとフェリルはトラネコに悩みを打ち明けてくる。
フェリルは満月の夜になると悪夢の中に迷い混んだようになり記憶もあやふやとなるのだという。
それはいったい何の病気なのだろう?

「村の外の方たちならば、よい薬でも知っていると思っていたのですが」
フェリルはうつむいていた。

「あ、そう言えば、お供の方は?」顔をあげるフェリル。

すると「お帰りになられましたよ」と傭兵が階段から上がってくる。
彼の腰には地下牢の鍵がカチャカチャとぶら下がっている。

85名無しさん:2014/11/23(日) 17:47:19
ランドールさん。待機ということで
トラネコさんの行動後にロールを回したいと思います。

86ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/23(日) 21:50:34
分かり申した!

87トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/11/24(月) 10:56:16
不思議な少女フェリルに何故か強引に屋敷に招待されたトラネコ達。
そして彼女に悩みを打ち明けられる。
昨日の心霊現象と何か関係あるのだろうか……。

>「村の外の方たちならば、よい薬でも知っていると思っていたのですが」

祭りは次に満月となる二日後。

「どちらにしろ祭りに参加しようと思って来たんだ。
もしよければ私が君の様子を見ておこうか。何か分かるかもしれない」

>「あ、そう言えば、お供の方は?」>「お帰りになられましたよ」

そう言いながら登場した傭兵を見て随分仰々しい鍵を持っているなあ、とトラネコは思った。
サイオニックのロコモコ(+お化け)がいれば意見を求めようかと思ったが、いないものは仕方がない。

88名無しさん:2014/11/24(月) 15:30:10

>「どちらにしろ祭りに参加しようと思って来たんだ。
もしよければ私が君の様子を見ておこうか。何か分かるかもしれない」

「……ありがとう」

そして二日後の翌朝。ムーンライト祭の日。

ドルバコ「なんですと?神降ろしの儀式の補佐をトラネコ殿に頼みたいというでおじゃるか?」

フェリル「はい」

と、いうことで、トラネコはフェリルと一緒に湖の中央の小島に連れて来られた。
そこには小さな塔があり装飾された扉や石柱からして魔法の宿っているものとわかる。
ドルバコの話では、祭のこの儀式は、フェリルの神通力を高めて村を守護するものだという。

ドルバコ「トラネコ殿には、満月が天頂にのぼり、この島に祭の参加者が運ばれたあと、太鼓の合図のあとにフェリル様を屋上にエスコートしていただきたいでおじゃります」
そう言い残し、ドルバコたちはそそくさと消えた。

89名無しさん:2014/11/24(月) 15:32:47
あのあと、帰ろうとしたロコモコは傭兵たちに囚われ地下牢に入れられていた。
そこで彼女はランドールたちと情報交換をする。

そして地下牢に何度目かの食事が運ばれてくる。
たぶん、これは早めの夕食。それは今宵がムーンライト祭だったからだ。

月明かりのなか、ランドールたちは舟に乗せられ湖面を進んで行く。水上に花開いた満月草が金色の花粉を湯気のように撒き散らしている。
目的地の小島では先に到着していた祭の参加者たちが眠り薬で眠っているようだ。

「あとはお前たちで最後だ。まあ、冷たい湖水を泳いで逃げることなど出来んとおもうが、……念のため半殺しにしておくか」
ランドールを地面に突き飛ばすと、傭兵がモーニングスターで殴りかかってくる。

90名無しさん:2014/11/24(月) 15:35:45
ドルバコ「満月が天頂に達したでおじゃるな。太鼓の合図じゃ」

小島から離れた小舟の上から太鼓の音が響き渡る。
すると対岸の村人たちが演奏とともに歌を歌い始める。
と、時を同じくして意識が朦朧としているフェリルを塔の屋上へとエスコートするトラネコ。

するとなんということだろう。
フェリルが大きく美しい狼へと変身をしていったのだ!その大きさは象よりも大きい。
フェリルは遠吠えをすると人の匂いを嗅ぎ付け塔からひとっとび。
狂気の演奏とともに傭兵の一人を噛み砕いた。
だがそれはランドールたちを助けた訳でもなく、フェリルが人の肉を欲したからだ。

「ち〜!ドルバコのやつ、まだ俺たちが脱出してないっていうのに!」
傭兵たちの武器は銅の剣やモーニングスター。古来から人狼の弱点とされる銀の製品は持ち合わせていない。
狼の爛々とした瞳はランドールをとらえている。

91ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/26(水) 23:29:27

牢屋に新たなるメンバーが加わった。名はロコモコ。
ロコモコと捕まった経緯などを交わす内に事の全容が薄ぼんやり見えてきた。

「狼に餌を食べさせることで満月草が若返りの妙薬になる……か」

そして大商人は件の妙薬を売り捌いて利益を得る。
村人側の意思が判然としないが、黙認している可能性は否めない。
ムーンライト祭は狼の餌を集めるための罠という訳だ。
いずれにせよ犠牲の上に成り立つ商売など容認するべきではない。

「私は、狂気の祭りなど止めて然るべきだと思うが。ゴーランド殿は如何か?」

この中年は頼まれた付いてきただけの部外者。
止めるか逃げるかはゴーランドの意思を尊重しようと思ったのだ。

92ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/26(水) 23:30:29
ムーンライト祭当日。舟に乗せられた三人は湖中央の小島へ向かって進んでいく。
腕には枷。両脇には物々しく武装した傭兵達。祭りの参加者は一様に眠っているらしかった。

「幻想的な美しさは、吸った命のぶんだけ……ということか」

小島に着くと不意に突き飛ばされ先制攻撃の憂き目に遭う騎士。
鉄球が腹部を強打。骨は軋みを上げ、中年の顔が苦悶に歪む。

「や、やってくれる……」

鎧を纏った敵と相対する時、最も有効なのは打撃である。
中年には重過ぎる攻めだ。血反吐が出口を求め喉元で暴れている。
しかし、この程度のダメージは幾度も経験している。戦闘に支障はない。
鎖付き鉄球相手なら、上手く懐に潜り込めば素手でも倒せるはずだ。

93ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/26(水) 23:32:48
素早く起き上がり傭兵との距離を詰めて──太鼓の音が響いた。

「あれが狼なのか……?」

その巨躯は既に"狼"の範疇を超えていた。
諸国を漫遊していた折に象という生き物を見たが、遥かに大きい。

「貴殿等は逃げられよ。命を懸けるほどの仕事でもなかろう」

傭兵達にそう告げて騎士は狼と対峙。腕に枷をつけて魔物と戦うのは流石に経験にない。
だが眠っている祭りの参加者を見過ごして逃げるのは騎士の信条に反する。

「私が相手だ。薄汚れていても銀の鎧。少しは加護になってくれよう」

そう言って乾いた笑みを浮かべると、狼へ果敢に突っ込んだ。囮役を果たすために。

94トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/11/28(金) 00:15:50
フェリルのエスコート役として祭りに参加することになったトラネコ。
祭りの一般参加者達は、何故か眠り薬で眠らされるようになっているらしい。
不自然さを感じつつもフェリルを言われた通りに塔にエスコートすると、なんと彼女は巨大な狼に変身したではないか!

「あ……あわわ……」

あれよあれよという間に傭兵の一人を噛み倒し、甲冑の騎士と対峙する巨大狼。

「なんと、ランドール殿ではないか! そいつはただの狼ではない。人狼だ!
これでどうだ、とおう!」

トラネコは巨大狼にミラーの鏡を突きつける! 
ただし今回は劇画調なので効くかどうか甚だ疑問である。

95名無しさん:2014/11/28(金) 00:30:43
>「私は、狂気の祭りなど止めて然るべきだと思うが。ゴーランド殿は如何か?」

「年齢は違えど貴方とは気が合いそうだ。
……狂気の祭り、必ずや止めてみせよう!」
ゴーランドは決意を胸に秘め、その時が来るのを待つことにした。
そして、とうとうその時がやって来る。

巨大な狼が塔の天辺から降りたち一同に襲いかかる。

>「貴殿等は逃げられよ。命を懸けるほどの仕事でもなかろう」

「か、かたじけぬ!」
傭兵たちは慌てて小舟に乗り込んでゆく。
それを見た狼は彼らを追いかけようとするが……

>「私が相手だ。薄汚れていても銀の鎧。少しは加護になってくれよう」
立ちはだかるランドール。
それが邪魔だとばかり食らいつく狼。

96名無しさん:2014/11/28(金) 00:34:50
だが狼の鋭利な牙はランドールの銀の鎧を噛み砕けず致命を与えることも出来なかった。
狼は焼け石でも食べたかのように苦しんでいたが、騎士をくわえたまま湖に顔面を突っ込む。
ランドールを溺死させるつもりなのだ。

「ランドールどのぉ!」己の手枷を腕力で破壊するゴーランド。

そんななか、トラネコがミラーの鏡を使用。
すると狼は元の人間へと戻ってゆく。

それを見て激怒したのはドルバコ。
しかし傭兵たちの舟が接近してくるのを見て彼は逃げ出した。

そして夜があけ、事件は見事、解決の方向へと向かって行くのだった!

97名無しさん:2014/11/28(金) 01:05:21
う〜ん。お付き合いいただきましてありがとうございました。
進行の罪悪感っていうか、因果応報をひしひしと感じております。

次シナリオもありましたら
よろしくお願いいたします。

98ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/11/28(金) 01:26:12
ううむ、私が進行面を考えずキャラの性格だけで動きすぎてしまったのやも
やはり年甲斐なくハシャぐものではない……すまぬ

だが話の結びは書きたいのでしばし待って頂きたい

99ひやむぎ ◆kSw54Ov3vY:2014/11/30(日) 00:19:14
キャラの性格通りの行動はベストです。
ただそれを計算して活躍の場を提供するのが進行の仕事なのです。
おっさまは悪くないのです。

100ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/01(月) 02:57:15
所要で投下が遅れそうだ
いい加減明日には書き込みたいと思う。申し訳ない……

101ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/02(火) 07:58:10
「ゴーランド殿ッ!」

枷で拘束された手で人に戻ったフェリルを必死で掴む!
そして海中の二人をゴーランドが引き上げ、騎士と少女は命を拾った。
逃げて行くドルバコを眺めながら騎士は思う。
戦いは確かに終わった。だが、果たしてこの騒動に決着を付けられたのだろうかと。
かえって事態を混乱させただけではないのか?
このか弱い少女と村は一体どうなるのだろう?

「己の正体が恐ろしい狼だと知って……」

見上げた空には美しい満月が輝いていた。

102名無しさん:2014/12/03(水) 01:14:46
そして夜があける。ランドールとトラネコにとっては解放された日々の再来だ。これも解決の一つと言える。

ゴーランドはランドールの騎士道に人の心の希望を見いだし里を去った。
彼が事件の真相を大僧正に話せば、取り敢えず生け贄の儀式は今後一切廃止されるはずだ。
ただフェリルは密かに村人たちに崇拝され続ける。
そしてフェリルは己の宿命を受け入れ生きてゆく。

【ランドールさん。トラネコさん。ありがとうございましたっ】

103トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/04(木) 18:26:32
トラネコが使用したミラーの鏡は劇画調シナリオでも無事に効力を発揮。
そしてフェリルは人の姿に戻り……ひとまず一件落着。

「生キロ……!」

自分の正体を知り混乱するフェリルに
トラネコは某も○のけ姫のキャッチコピーを言い残して帰っていくのであった。
めでたくもありめでたくもなし。

【ひやむぎ殿、誘導役お疲れ様だった! ありがとうございました!】

104ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/07(日) 19:05:13
事件翌日、騎士は宿屋に一時帰還した。
そこで野放図の髭を剃り、伸び切った髪を切ってオールバックに整える。
薄汚れた白銀の鎧もピカピカに磨いて整備してやった。

「やはりこうでなくては」

そこには落ち武者でなく豪傑の騎士が在った。しかしその表情は何処か暗い。
勢いで首に突っ込んだが果たして己は独善でなかったか。
無関係の者が物事に介入する場合、それが独り善がりにならぬよう留意せねばならない。
フェリル少女の運命をいたずらに弄んだだけではないか──胸の刺さった棘は未だ抜けていない。

105ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/07(日) 19:10:59
「考えても仕方がない、か」

部屋の扉を開ける。ゴーランドは先に村を去った。
彼という好漢に出会えたことはこの出来事における唯一の喜びだ。

(また会おうゴーランド殿。気まぐれな運命の輪が、再び廻るその日まで……)

店主に預けていた愛用の黒剣を受け取る。
次は何処へ行くのだろう。騎士の旅はまだ終わらない──


【少し遅れたが、騎士のエピローグはこれにて終いとさせて頂く】
【今回の話はランドールをいきいきと動かせたのでひじょーに楽しかった】
【次のシナリオがあればその時にあいまみよう。さらば!】

106名無しさん:2014/12/07(日) 22:52:40
トラネコさんもランドールさんもお疲れ様でした!

名前やちほ
外見ひやむぎと瓜二つ

能力は破壊を司る女神のちから。ただし生き物だけは破壊できない。
それは人間の体を借りているための制約。
触ってるものの破壊を自由自在に操作するため逆もまたしかり、爆裂寸前の爆弾を触って爆発を止めることもできるのだ。

舞台は変なところ、いや人によってはまともなのかもしれないところから始まる。
それはなぜかと聞かれたらヤチホが爆誕したあの日から、この世の何かが破壊されてしまったのだから。
でもきっと、君たちには元に戻れる日がやってくる。
明日を信じて生き生きしていたら、破壊されたぶんの法則がご都合主義と変化して星空から降り注ぐのだ。

107名無しさん:2014/12/07(日) 22:59:52
「このうぱ、手が再生しないからキケイね」

ヤチホがビニールの袋に水をつめて、うーぱーるーぱーを見せてくる。
そのうーぱーるーぱーは指がいっぽんすくなかった。

マスターは天井にぶら下がったまま。
いったいこれはいったい。

「トラネコ君にランドール君は、とんでもないことをやってしまったなぁ」
マスターは思い出して嘆いていた。

スレのコンセプトにあわせて、後付け仕様となりました。

108ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/10(水) 03:27:14
【二日越えてしまったな。申し訳ない。

明日あたりに投下するので待ってくれ】

109トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/10(水) 22:44:10
さて、毎度おなじみのトラネコである。
どうやら今章ではとんでもないことをやらかすらしい。
(毎回やらかしているという説はこの際置いておく)

トラネコは例の地下への入り口で、今回一緒に依頼をこなすことになったランドールを待っていた。
何故毎回彼と一緒になるのかって? それは大人の事情もとい多分偶然である。

110ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/11(木) 00:28:49

「待たせたねトラネコくん。見てくれ、ちょっとお土産を持ってきたんだ」

到着した騎士がゴソゴソと包みを取り出す。
それは明確に水槽であった。

「ウーパールーパーと言うらしいんだが、行商人から譲り受けてね……」

ガラスの箱に浮かぶ白い両生類は妙な愛嬌があった。
これから依頼をこなそうと言うのに呑気なおっさんである。

「ん? 転移の魔法陣から何か出てくるぞ」

バチバチと平素とは異なる電気的な音を発しながら何かが爆誕。
中世世界の猫バーを恐怖のどん底に陥れた、それの名は──

111ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/11(木) 00:36:32
【非常にどうでも良いことなのだが、ひやむぎ殿は女性だったのだな】
【いや、私はずっと槍を持ったガチムチのインディアン風の姿を想像していたものでな……】

112名無しさん:2014/12/11(木) 22:22:34
109
やちほが現れた!いや、正確にはやちほになるまえのやちほだ。それは神であり世界の始まり。
法則のない混沌だ。生まれたてのやちほには実体がなく、ゆえに無限の破壊が可能だ。

だから世界は形状を維持することも叶わず溶けて行く。
このままでは始まってすぐに完だ!

「逃げるのだー!」
ひやむぎの怒号がこだまする!

マスター「あ、ちなみに今回の依頼は、ペットのモンブランちゃんを捕獲することですよ」

【ミッション。モンブランちゃんを見つけ出すついでに世界の破壊を食い止めよ!】

113名無しさん:2014/12/11(木) 22:43:54
ひやむぎ「あ、マスター。モンブランちゃんってなに?」

マスター「ん?モンブランちゃん?何かねそれは?」

ひやむぎ「え……記憶喪失なの!?」

のんびりときえてゆく世界。
なぜかマスターも様子もおかしい。

うーぱーるーぱーは笑ってるような顔で見ている

114ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/11(木) 22:59:18
「クソッ! これでどうやって>>107に繋げろというのだーッ!」

半ばキャラ崩壊したランドールがキレ気味に叫ぶ!
開始早々世界の命運を賭けた依頼が開始してしまった!
だがシブイオジサマ騎士は突如このカオスに道標を与える妙案を閃く!

「そうだ! 実体がなければ与えてしまえばいい!」

誰かの身体をやちほの容器にしてしまえば良かろうなのだ!
名付けて人柱計画! 恐らくムーンライト祭りの騎士なら絶対にしない非人道的なアイデアだッ!
だけど今はギャグ空間なんだァー! 不条理ギャグに倫理など必要ないんだァー!!!!

「ひやむぎィィイイイ!! 貴様が犠牲になれーッ!!」

やちほをワシ掴みにしてひやむぎに突っ込む……が、掴めない! ああそうだ実体がないんだったクソッタレ!!

115名無しさん:2014/12/11(木) 23:13:50
114の続きは少々お待ちください。

マスターは暗い場所でスポットライトを浴びていた。
そこには若きランドールが鎖に拘束され血だるまになり聖痕が刻まれている。

「あの時、トラネコ君はどうしたのかね?」

槍をもったインディアンは手が8本。
謎の槍を振りかざしランドールを睨み付ける。

「もうじき会えるよ」
地球の底に、生まれたての満月が浮かび上がっている。
マスターは無言。硬直していた。

116名無しさん:2014/12/12(金) 00:00:32
ランドールが鷲掴みにしようとすれば、それは逆に鷲掴みされたことになる。
天に唾を吐いたら自分に返ってくるもの。
ランドールの手はやちほになっていた。

「きゃっきゃっきゃつ」

彼の手は、とったものの何かをランダムに破壊する。
それは記憶力かもしれないし、万が一の時の瞬発力かもしれない。
でもそれにランドールは気づいているのだろうか?
やちほは破壊とともに伝染するのだ。
しっくりくる肉体を求めて。

酒場は全壊したが静けさを取り戻している。

「やったねおっさま。はやくモンブランちゃんを捕まえにゆこう?」とひやむぎ。

「あれ?マスターは?」

「死ぬか思たぁ〜」マスターはランドールの顔寸前にヌッと現れた!

「ここにいますよ!ですがトラネコさんは壮絶な最期でしたねっ!」

「……え、マスター?お店が全壊しちゃったから変になっちゃったの?」

「トラネコさぁんっ!」
【今回はここまでです。回想シーンとか色々と入り乱れますがよろしくです】
行き当たりばったりですが御了承下さい。TRPGを始めた頃のようなカオスに、わざとしてみたく思いました。

117トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/12(金) 21:11:46
地下の魔法陣からぽわっと神が登場!
その瞬間、トラネコは恐ろしい光景を垣間見るのであった。(>115)

我に返ってみると、ランドールの手がやちほになってしまっていた!
これぞ鬼の手ならぬ神の手、地獄先生ぬ○べーならぬ天国騎士ランドールの爆誕である!
そしてマスターの様子がおかしい。

>「トラネコさぁんっ!」

トラネコは直感した!

「それはマスターではないっ! 本物のマスターは異空間にとらわれている!
ランドール殿! 神の手をもって空間を切り裂き異空間への扉を開くのだ!
救出しにいくぞ……! マスターと……そして若き日の君自身を!」

118ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/14(日) 18:59:30
「なんということだ……」

人ならざる者と化した己の手を見てショックを受ける騎士。
地獄先生のパロディにしては若干賞味期限が過ぎてるぞッ!

「マスターもギャグ空間で頭のネジが吹っ飛んでいるようだな。私もだが」

転がり始めた話の着地点は誰にも分からない。
全壊したバーからどうやって>>107に繋がるのかも不明だッ!
だが騎士の意地なのか、なんとか話を纏めてやるぞという気概だけは十分ッ!

「トラネコくんの言う通りとにかく移動しよう。このままでは話が進まぬ。
転移の魔法陣も故障しているようだし……えーと、モンブランちゃんを探すのだったな」

破壊の女神の影響で軽く記憶が混濁している騎士は、お菓子の世界への扉を開いた。

119ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/14(日) 19:04:08
【うむ……投稿が終わってないのに早とちりして投下してしまったようだな(>>114)。すまぬ】
【そしてこのカオスから後付けでどうやって最初に繋がるのか少しワクワクしている騎士だ】

120名無しさん:2014/12/14(日) 23:16:31
「こげなもぉおんっ!」
チョコレートケーキの王様が、ポッキーでトラネコの頭をぽかん!
すると今度は後ろからスキヤキの王様がランドールの頭を牛蒡でしばく。

なんと辺りは戦乱の真っ只中だった。
これは3時の国のオヤツたちと七時の国の晩御飯とのあつい闘い。
消費税の影響でオヤツのクオリティを下げるか晩御飯を一品減らすかを決める壮絶な戦いだった。

「……焼豚はまかせろ 」
トラネコと対峙するのは白い恋人を象る賢者。魔法の杖を振りかざす。と、

「きさまら、モンブランを何処に隠した!?
我が王宮で逃走するひやむぎの後ろ姿を確かに見たとメイドたちが言うておるのだ!」
チョコレートケーキの王様がポッキーでランドールを突いてくる。

注、パーティーにいるひやむぎはすでにお化けです。たしかテンプレに書いてあります。ということは何かがあったという設定です。

121名無しさん:2014/12/14(日) 23:18:41
>「それはマスターではないっ! 本物のマスターは異空間にとらわれている!

いきり立つトラネコに、マスターは歯ぎしりしていた。

「もともとは私は、このようなお茶目さんなんですけどねぇ!」

ただ目の前にヌッと現れただけで偽者扱いされるのも変な話だし
頭のネジがとれているとか何を根拠にしてのことなのだろう。

>「トラネコくんの言う通りとにかく移動しよう。このままでは話が進まぬ。
転移の魔法陣も故障しているようだし……えーと、モンブランちゃんを探すのだったな」

一同はランドールの神の手で何処かへと移動する。
そして、ヌッと現れたのはお菓子の世界。

122名無しさん:2014/12/14(日) 23:23:19
すいません。レス、前後しています。

少しまとめると、トラネコ、ランドールの両名はとんでもないことをした(回想シーンから)
いずれ、ひやむぎの体はやちほになる。
モンブランちゃんは行方不明。
マスターのハートは不安定(偽者説あり)なぜか沸々と怒りがわきはじめている。

今回は、失われたものの探索。
設定の後付け?そのような感じになるかもです。

気楽に気長にやっていきましょうね〜。

123ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/17(水) 03:02:38
「私はモンブランなど知らぬ。ウーパールーパーでその怒りを収めてはくれまいか」

わりと冷静になってきた騎士がデカい水槽をスッと王様に差し出す。
なんか茶色い棒きれで突いてくるので齧ってやるとこの世のものとは思えぬ味がした。

「──昔を思い出す味だ。そう、この天上にも勝る甘さを私は祖国で感じたことが……」

急に懐古をはじめる騎士。
長い貧困生活は騎士団長時代の豊かな舌を痩せたものにしていた。

「本題に戻ろう。ひやむぎ殿は我らの仲間です。私達と彼女には『信頼』があります。
 罪を犯したと聞かされたとて俄かには信じられませぬ。不躾ながら、異界の王とあれば尚更……」

そうそう、これこれ。これが騎士の本来のキャラなのだ。
冒頭>>114は何かが狂っていた。ここはどうか彼のためと思って忘れてあげて欲しい。

124ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/17(水) 03:03:55
「ですが、ちょうど我らも件のモンブランを探しに参った次第──異界の国王よ。
 場を弁えぬ提案ではありますが、まこと御容赦頂きたい。無礼を承知でお願い申します。
 どうか私達にモンブランの捜索を手伝わせて欲しく思います。そして何卒、仲間の潔白を証明させてもらいたい……!」

なんかそれっぽい事を喋りながら頭を垂れる騎士。
その姿はいつもの能天気なおっさんではない。
久々に真面目な顔して疲れたのかポッキーをもうひと齧りしなければ完璧だったぞ。

(……出会いがよくなかった。一応へりくだってみたが、もしや従者に「無礼者!」とか言われて追われる流れではあるまいか)

中年ゆえの経験則が、何らかの運命力により碌な目に遭わないことを予感していた。
※まだ軽く記憶が混濁しているので若い自分云々は忘れてます。

125名無しさん:2014/12/17(水) 19:33:49
チョコレートケーキの王様ザッハトルテはニヤリと笑った顔を硬直させ、じっとりとランドールを凝視している。
献上されたうーぱーるーぱーに、ザッハトルテは興味を示さなかった。しかしランドールの言葉に王は……

「ぐははははは!ほがねば、やっせんぼおっ!」
何を言っているかはわからないが、ニュアンスからは「それならやってみろ」と返しているらしい。
王はランドールに好意を寄せたわけではなかったがポッキーの食べっぷりと希望を失っていないその目が愉快だったのだ。

となると、黙っていないのは七時の国の晩御飯たち。敵国の人間であるモンブランが万が一にでも見つけ出されてしまうのは癪にさわる。

「10年以上も前に行方不明になったもんが、今さら見つかると思うてんのかいいぃっ!」
晩御飯たちのいっせいのツッコミ。

126名無しさん:2014/12/17(水) 19:36:12
その時だった。マスターの顔が閃きで輝いた。

「10年前……。ああ?っ!ひらめいたっ」

「ランドール君、君の手で現在を破壊しすべてを過去にするのだ!モンブランちゃんのいる時代に戻ってその子を保護する。
そして商人であるトラネコ君には世界の財政破綻を阻止してもらおう!どうだ?良い考えだろう!」

財政破綻まではどうかと思うがなかなかの妙案であった。

「そうしよう!ランドール君!」
マスターはランドールとがっちりと握手をした。すると次の瞬間、マスターは大爆発。
そしてランドールからマスターへ、人知れずやちほは移動していた。

舞台は変わりここは懐かしい場所。時の砂がキラキラと輝き風に吹かれている。
そんななか破壊の女神やちほの魂は歯噛みしていた。
マスターの体は何故かとてつもない神通力を持っていて、完全に憑依出来れば生き神ともなり得る感じなのに複数の魂がそれを阻害してくるのだ。

「多次元に肉体と魂を同時にもつ存在なんて、ありえるものなの?」
一先ずやちほは乗っ取りを諦めマスターの無意識の海に潜んでいる。

127名無しさん:2014/12/17(水) 19:41:54
とある酒場。ランドールを介抱するバーテンダーのトム。遠くからはマスターがじっと見ている。

「お菓子の国のモンブランちゃん……ですか……。旦那、ちょっと飲み過ぎじゃあありまへんか?
いやぁすんまへん。もっとも王様たちがあれじゃあ騎士団長様も飲まずにはいられねぇってことなんでしょうけどねぇ」

「きっと王妃様の浪費癖とお菓子好きがごっちゃになって何か悪夢になってしまったんでございましょうね」

そこへ占い師シャルロットが登場。
女は不思議な首飾り(ドリームキャッチャー)を身に付けていた。

「団長さま。きっとそれは夢のお告げでございますよ。たぶん、これから王国に起こる何かを暗示しているのでしょう」

夢のお告げ?だとしたら何処から何処までが……。やちほ爆誕までも夢のお告げだったというのだろうか?
すると突然、となりのテーブルから絶望の悲鳴。男がポーカーで大負けしたのだ。

「もう金がねぇから、このウーパールーパーで勘弁してくれよぉ」
それは最近、その可愛らしさで売れに売れているペット。品切れ状態の金のウーパールーパーだった。

128名無しさん:2014/12/17(水) 19:54:26
街の中心部。初代王様の石像の前。暗い空から雪が落ちてくる。

「マッチはいかがですか?マッチは……」
そこには生身のひやむぎがマッチを売っていた。

「……はああ、もっと売れるものを売れたら、お金持ちにもなれるのに」

「どけ!こじき!」
ぱぁあん!ぶつかりマッチが散乱する。
ぶつかった男は後の悪徳商人ドルバコ。今はドルマンと名乗っていた。
彼は変装になりすまし、情報操作はおてのもの。ここでの彼は何か悪い儲け話を策略していたのだ。

これからのあらすじ。

王家の命運をかけ、モンブラン探索を開始するランドールたち。
ひやむぎの肉体を手にいれるやちほ。
結局とんでもないことをしでかした?トラネコたち。
すべては回想シーンに繋がってゆくのだった!

129名無しさん:2014/12/17(水) 22:01:59
あ、これからのあらすじとは
そんな感じに進んでゆくかもということなのです。
打ちきり終了みたいなのではありません。いちおう……。

130トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/18(木) 22:39:23
>「ランドール君、君の手で現在を破壊しすべてを過去にするのだ!モンブランちゃんのいる時代に戻ってその子を保護する。
そして商人であるトラネコ君には世界の財政破綻を阻止してもらおう!どうだ?良い考えだろう!」

「それはいい、財政破たんを阻止すれば昔潰れた私の店も復活するかもしれない!」

歴史改変するとタイムパラドックスとか色々ややこしいことが絡んできそうだがトラネコには難しい事は分からなかった。

>「そうしよう!ランドール君!」

すると突如マスター大爆発!

「ああっ、マスターぁああ! いや、偽マスターか?」

マスターは同時にあらゆる次元に存在できる超越的存在っぽいのだがトラネコはそんなことは知らなかった。
そんなこんなでやってきました過去の世界。

131トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/18(木) 22:48:11
そこでは若いランドールが拘束されて血だるまになっていた!

「大変だ! 若き日のランドール殿を助けなければ財政破綻してしまう!」

何故それが財政破綻に繋がるのかって?
きっと風が吹けば桶屋が儲かる方式のバタフライ効果というやつだ。
そう、万物は繋がっているのである。敵は8本の手を持つインディアンだ!

「なんのっ、ならばこちらも……秘儀、千手観音!」

トラネコはお笑い芸人のスキルを発動!
これは一昔前のギャグ漫画の登場人物がよく使用する、手を超高速で上下させることによって無数に手を分裂させる技である!
その手にかみをバラバラにするチェーンソーを装備してインディアンに切りかかる!

132名無しさん:2014/12/19(金) 00:57:36
>「なんのっ、ならばこちらも……秘儀、千手観音!」

千手観音とはギャグ漫画なのだそうだ。調べてみたらわかって、わーい知らなかった〜。すごーいと喜ぶインディアン。それはさておき

「切れるものなら切ってみなさいよ。私の美しい黒髪を……」
わぁさぁと香りたつ黒髪が風でなびく。
目の前には湯あみのインディアンがドライヤーで髪をなびかせキラキラと輝いている。

あろうことか、インディアンはトラネコのように直感ですべてを理解できた。
あれは神と髪をかけて切断する究極の駄洒落アイテムと。
だがそれが弱点でもある。お笑いのキャラが人様の髪を切断すれば大顰蹙をかうはずだ。
例えばデブの中年芸人がアイドルを丸坊主にして笑いをとれるのか?
きっとツイッターは炎上し殺害予告さえも出てしまうことだろう。

133ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/19(金) 23:59:30

「私は嗜む程度にしか飲まない」

どうも記憶が曖昧だ、と騎士は思った。団長と呼ばれていたのは昔の話だった気がする。
一方で確かに騎士団長ランドール・オクタウィアである気もする。

騎士は自分が若者だったか中年だったか忘れてしまっていた。
やちほが原因で軽い記憶の混濁が、軽くない記憶の混濁へ悪化しているのかも知れない。
今すぐ顔を確認したかったが、生憎手鏡の類は持っていない。

「夢のお告げか……そうかもしれないな」

モンブランちゃんを探しているのは何故だったか。靄のように理由を思い出せない。
ただ探さねばという使命感だけが騎士を動かしていた。

134ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/20(土) 00:00:13

(とにかく、ウーパールーパーを探さねばな)

モンブランと爬虫類が混ざりはじめ本格的に危うい状態になってきた。
ちょうどポーカーに敗北した男がウーパールーパーを持っている。
渡りに船とはまさにこういう事を言うのであろう。

「そのウーパールーパーを譲ってくれないか。言い値で買うよ」

騎士団長はその立場ゆえ金銭で困ったことがない。
後のことを思えば雲泥の差である。

135名無しさん:2014/12/21(日) 00:22:43

>「そのウーパールーパーを譲ってくれないか。言い値で買うよ」

「うほっ!ありがとな。それじゃあ10万ゴールドだ!」

賭けに負けた男は大喜びでランドールにウーパールーパーを手渡した。
するとそれを見ていた小汚ない飲んだくれの男たちがランドールの目の前に並んで、ウーパールーパーを差し出してくる。

「騎士様。私の娘は病気なのです。どうか御慈悲を……」

「騎士さま。働きたくありません」

などと色々な理由をつけ、男たちはウーパールーパーを売りつけてくる。その数はざっと20人ほど。
果たしてランドールはこれを乗りこえ、これからどうするのであろう。

136トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/21(日) 11:50:13
なんとインディアンは美少女キャラだったらしい。とんだ大誤算である!
これでは容赦なくギャグ漫画的ノリで倒すことができない。
千本に分裂した手で頭をかきむしりついでに全身をかきむしるトラネコ。
いつの間にか全身が泡だらけになっている。
黒子が出てきてバケツで水をぶっかけ、火炎放射器でかわかす。

「ドライヤーの熱を味方に! モッ○ヘアー!」

黒焦げになったトラネコはシャンプーのボトルを片手にインディアンの美少女と共にポーズを決める!

「はいカーット!」

お笑い芸人がCMに起用されることは昔からよくあるのだ。

137トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/21(日) 11:57:13
そんなことをやっている間に若き日のランドールは別の意味で窮地に陥っていた!
どのウーパールーパーがモンブランちゃんなのか分からない以上買うしかないのだろう。
ところでCM出演というのはドラマ等に比べてものすごくコストパフォーマンスがいいらしい。
このCMのギャラ次第でまかなえるかもしれない。
トラネコは商人スキル”ヨイショ”を敢行する!

「いやぁ監督、まさかシャンプーのCMとは思わない導入部分からのあっと驚く展開、流石ですね!
ところでその今日のネクタイのセンスも素晴らしい!」

138名無しさん:2014/12/21(日) 17:28:52
>「いやぁ監督、まさかシャンプーのCMとは思わない導入部分からのあっと驚く展開、流石ですね!
ところでその今日のネクタイのセンスも素晴らしい!」

「いやいや、君こそ面白いよ!センスのかたまりじゃないか!」
監督であるハゲの筋肉質の大男がトラネコを愛でる。
ちなみに監督は裸にネクタイ。スポンサーはつるつるのハゲ社長。

それはさておき、トラネコのおべっかと良い作品を作れた興奮からか、監督は他のCMにもトラネコを起用したいと言い出す。

「どんぺいの新商品、金のウパに青いタヌキ役で出てくれないか?」

139名無しさん:2014/12/21(日) 17:30:20
そう言うやいなや、セットが変わってゆき撮影が始まる。だがしばらくすると

「どないなってんねん!」
芸人界の重鎮、青狸染五郎師匠が小さいからだを怒りで膨らませながら扉から飛び出して来た。

「それ、わてが先に契約しとった役やぁ!君、どこの事務所やぁ!」
トラネコを睨み付ける師匠。続けて監督を睨み付け

「あ〜、わての番組で、放送作家しとった若造が監督になったとたんにこれかい?今では立派な天狗かいな?なあっ!?」

「この人はトラネコ君です。才能が溢れる芸人さんです。私がこの人をこのCMに起用したいと思い、勝手に判断してしまいました」

ざわざわ……。なんだかドッキリのようになるスタジオ。トラネコの運命は如何に。

140ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/22(月) 23:44:32

「一匹いればそれでいい」

ぴしゃりと言ってのけると、ずんずんと人ごみを掻き分けていく。
外に出るとマッチ売りの少女(こじき?)がマッチを拾っていた。

「……ひやむぎ殿?」

だが、少し様子がおかしい。
なんというかこう、前は足の辺りが半透明だった。いやマジでマジで。

「そうだ、君の潔白を証明する為に私はこうしてモンブランちゃんを探しているのだったな。
 だというのにひやむぎ殿、なにゆえマッチを売っているのだ? 汚名を被っているのは貴女なのだぞ」

やちほが消えたお陰か、記憶の混乱には波があった。
騎士は曖昧な時と明確な時を煩雑に行き来している。

141トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2014/12/27(土) 01:52:29
>「どんぺいの新商品、金のウパに青いタヌキ役で出てくれないか?」

「勿体ないお言葉! 私でよければ是非!」

単純なトラネコはすっかりその気。だがその役に先に契約していたという人物が登場。まさかのダブルブッキング。

「申し訳ありませんっ! ロケ現場を隣と間違えてしまいました!」

慌てて言い訳するトラネコ。丁度隣ではマッチ売りの少女の撮影を行っていた。丁度マッチョな騎士が少女に話しかけているシーンだ。

>「そうだ、君の潔白を証明する為に私はこうしてモンブランちゃんを探しているのだったな。
 だというのにひやむぎ殿、なにゆえマッチを売っているのだ? 汚名を被っているのは貴女なのだぞ」

「普通にマッチ売りの少女をやったのでは今の子供達に人気が出るとは思えません。ここはいっそマッチョ売りの少女にしてみてはどうですかね、監督」

斬新なアレンジを提案するトラネコであった。

142名無しさん:2014/12/27(土) 14:22:45
その頃。暇をもて余した破壊神のヤチホはマスターの無意識をメルヘンチックにサンタにのって漂っていた。
時や空間を越え、色々な世界に場所にマスターは形を変えて存在していて、
ふとヤチホの目に止まったのは、「お菓子を食べている少女を見ているマスター」だった。
その者の記憶をさぐってみると、どうやらお菓子の国のマスターらしい。

それはさておき、おなかの空いたヤチホはマスターの体を操り、思わずお菓子に手を伸ばしてしまう。
だがしかし、食べることもかなわず、ヤチホはお菓子のなかに憑依してしまうのだった!

143名無しさん:2014/12/27(土) 14:24:31
>「普通にマッチ売りの少女をやったのでは今の子供達に人気が出るとは思えません。ここはいっそマッチョ売りの少女にしてみてはどうですかね、監督」

「よしっ!素晴らしいアイディアだぞトラネコ君っ!
君の言う斬新なアイディアというものを皆に教えてやってくれ!」と監督。それにひやむぎは

「普通にマッチ売りって、こっちは真面目な商売だっつうの!」と激おこ。
よくあの人は今とかであの歌姫が大阪でホステスとか言われるけれど立派な商売なのだ。

「でもマッチョを売って生活するのもなかなか面白いかも。……って、それって人身売買じゃないのっ!」

と、のりつっこみをしてマッチに火をつけるひやむぎ。

「さっきおっさまが言ってたモンブランちゃんってお菓子のことじゃないの〜?」
するとなんということだろう。
もやもやとマッチの明かりから空間にテーブルが現れてその上にはお菓子の山。

「これ、とっても美味しいの。おっさまもたべる?このマッチって魔法のマッチなのよ」
と、ひやむぎはお菓子を食べてもぐもぐしている。もしゃもしゃ小さな口を動かすひやむぎに、きっとランドールは夢か現かわからない変な気持ちになることだろう。
すると向こう側の空間から

「それ、あたしのお菓子だもんっ!」
変な子が飛び出して来た!
と、マッチの明かりと共に空間は消える。

「きゃあああ!」と顔を見合わせて絶叫する少女たち。

144名無しさん:2014/12/27(土) 14:27:42
ヤチホ入りのお菓子を食べたひやむぎはころりと転げ沈黙。
一方でマッチの明かりの向こう側の世界から現れた少女は目を輝かせていた。

「これが、芸能界なのね〜!」
体いっぱいで表現している少女の名前はなんとモンブランだった!

ごごごごご…

するとランドールの背後でゆらりと立ち上がるひやむぎの体のヤチホ。

「きゃっきゃっきゃ」
ヤチホがぴょんぴょんジャンプするとスタジオの証明がガチャンガチャンと落ちてくる。
そんななか、モンブランは自慢の歌唱力を監督にアピール。

「あ、あぶなぁいっ!」

ガッシャアンッ!
ライトがランドールの頭にぶち当たった。
否、よく見ると金のウーパールーパーがその身をていしてライトを支えていた!
小さな体を筋肉でムキムキにしてランドールの頭に乗っかると、ライトで彼が圧死するのを防いだのだ!

「うわぁあ!はやく、はやく撮影を終わらせよう!」監督は号泣しながらメガホンをとる!

145ランドール ◆ct40QFXlbk:2014/12/30(火) 22:41:00

「う、ウーパールーパーーッ!」

一匹の両生類の死に、騎士が覚醒した。
やちほの影響の残滓を振り払って剣を引き抜く。

「君の決死の行動を、勇気を私は生涯忘れぬ! 彼女は命に賭けて連れ戻すッ!」

金色ウーパーを丁寧に水槽に収める。
落下してくる照明を剣で払いながらモンブランに肉薄する。

「モンブラン殿、事情は問いませぬ。ただ私と共にザッハトルテ陛下の下へお帰り願いたい!」

ザッ、と歌うモンブランの前で片膝をつき頭を下げた。

146名無しさん:2015/01/01(木) 17:13:57
>「モンブラン殿、事情は問いませぬ。ただ私と共にザッハトルテ陛下の下へお帰り願いたい!」

モンブランはランドールを見つめている。

「はいっわかりましたっ」
沈黙ののちに、モンブランは答える。
騎士の力なら、無理やりにでも王女を連れ帰ることもできる。
だがそれをしないのは彼が本物の騎士だからと感じたのだ。

その一方で、暴れるやちほに破壊されてゆくスタジオ。
照明の電気がパチパチと火花を散らして火災を誘発する。
それに撒き散らされた魔法のマッチが反応して燃え上がり無数の異空路が出現していた。

147名無しさん:2015/01/01(木) 17:15:24
異空路からは恐ろしい化け物たちが覗いていたりしている。こちらの様子を見ているのだ。そんななか……

「あれですっ。あれがお菓子の国の入り口ですっ」

モンブランが指をさすも、真意は誰にもわからない。
自由を求めている王女が嘘をついている可能性もある。
だが王女はスカートをたくしあげ、てけてけと異空路の向こうに消えた。

そして……

「……やっぱり、ここは水晶山だったのですねっ」

クリスタルの木々に虹色の炎がゆらめいていた。大岩の上に突き刺さっている美しい剣。
あの伝説の剣士、ティルトの剣だ。
剣士はここで剣のみを残し、何者かに破れたのだという。

148名無しさん:2015/01/01(木) 17:17:01
「王国に帰るまえに一度見ておきたかったのですっ。この世で一番美しいと吟われている伝説の怪物の姿を……」とモンブラン。

【明けましておめでとうございます。今年もなにとぞよろしくお願いいたします】

149トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/03(土) 10:36:53
「あけまして……」 異空間の縁に手をかけ……

「おめでとうございますっ!」勢いよく押し広げながらくぐる!

>「王国に帰るまえに一度見ておきたかったのですっ。この世で一番美しいと吟われている伝説の怪物の姿を……」

「かっ怪物う!?」

慌てて回れ右しようとするトラネコ。だがすでに異空間路は閉じていた。なんてこった!

ゴゴゴゴゴゴ……

謎の声【我が眠りを妨げしはお主らかっ!?】

コマンド?
→はい
いいえ

150名無しさん:2015/01/04(日) 19:51:48
「我が眠りを妨げしはお主らかっ!?」

謎の声の主の主はなんと自分自身だった。
モンブランの前には美しいモンブラン。トラネコの前には美しいトラネコ。
ランドールの前には美しいランドールが現れていた。

それは理想の自分であり、目覚めたのは妥協しない自分。
美しい理想に溢れている自分自身だ。

「私は民を愛し、この人生を民に捧げるつもりでおります。なのにもう一人の私は自由を求め、出来ればその定めから逃げ出したいと思っている……。
なんと嘆かわしいことでしょう。そんなことではいけませんよモンブラン」

ぽわんと偽モンブランが魔法を使えば偽ランドールの剣にフレアが宿る。
そして銀光一閃!汚れなきランドールの剣が美しく弧を描きランドールに迫る。

「その錆びた剣は、今の貴方の心を表しているのか!?答えろランドール!」
ランドール16歳がランドールに斬りかかる。

151名無しさん:2015/01/04(日) 20:04:25
一方でトラネコのほうは美しいトラネコが通せんぼしていた。

「あれほどこの山には登るなって言ったのに……
あれ?言ってなかったっけ?まあいいや。
君にはこれをあげるよ」

「ねこよけペットボトロル〜」

水の入ったペットボトルのトロルがのしのしとトラネコに迫る。

それは透明の体に光を乱反射させて目がチカチカするのだ。

152ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/05(月) 01:02:22

「……感謝致します。モンブラン殿」

ひやむぎがモンブランを連れ去ったのは真実なのだろうか。
どうしてモンブランが異界でアイドルを目指しているのか。
騎士には全てが謎であったが、その辺りを急にズケズケと聞くのは流石に失礼だ。
マイペースな中年もそれぐらいは理解している。

「お菓子の国にこのような場所が存在していたのか……」

水晶の森で揺らぐ炎が虹色に反射して輝く。
そこではプリズムの木漏れ日が幻想的な風景を生み出していた。
突き刺さっている剣は過去にここで戦い敗れた剣士のものであろうか。
戦場に身を置く者ならば一目で鍛え抜かれた名剣だと分かる。

153ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/05(月) 01:03:22

「その……怪物が見たかったのですか?」

騎士は反射的に身構えた。
王侯貴族の生活も、視点を変えればある種不自由な暮らしと言えなくもない。
牢から解き放たれ一人の女性として人生を謳歌する彼女を、騎士は連れ戻そうとしている。
これぐらいの我儘を許してもばちは当たらないだろう。

「モンブラン殿、この老いた騎士に一つだけお聞かせ願いたいのです。
 貴女を城から連れ出したのはひや……」

続きの台詞は突如として響いた謎の声に掻き消された。
眼前には若く精悍な十六の自分。

154ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/05(月) 01:04:20

「……妖術かッ!?」

愛剣を抜くと若い騎士と中年騎士の剣が激突。
炎を纏う美しい刀身が年季の入った黒剣をちりちりと焼く。

「錆びている? 馬鹿なッ、私は愛剣の手入れを怠ったことなど……」

騎士は目を疑った。握られている剣は見るも無残に薄汚れ、随所が錆ついている事に。
剣は騎士の象徴だ。愛用の黒剣の現状は、己自身を映し出しているのか。

「忠誠を尽くす相手の居ない騎士など、錆びつき使い物にならぬ剣と同じということか……!?」

瞬発力に圧され騎士(中年)は剣の射程圏外へ後退。
若い自分は追撃を掛けるべく愚直に突撃──猛攻を仕掛ける。

155ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/05(月) 01:05:52

「私が斬ったのは間違いなく魔物だったのだ……!
 あの時私がやらねば奴の鋭い牙は間違いなく王の首を裂いていた!」

「戯けるな! 味方殺しの騎士団長だと自負しているから、貴方の剣は穢れているのだろう!」

剣が再び交錯。魔法の付加がある分こちらの不利は明白であった。
熱と力で徐々に圧される中年騎士。

「そうかも知れぬ……それに奴が魔物だと皆に認められなかったのは事実だ……」

「ならば未来の私に引導を渡そう! あの時大臣の助言を振り払い、過ちを犯した未来の私をッ!」

中年を騎士を力任せに弾き飛ばすと、若い騎士は右腰から第二の剣を抜く。
それは代々騎士団長のみに与えられる聖剣であった。
白雪の如き刀身は当時の己にように真っ直ぐで淀みない。

156ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/05(月) 01:07:15

「思い出したか? この『右の聖剣』ブランネージュと、『左の魔剣』カリギュラを?」

二刀流が繰り出す、防御を知らぬ苛烈な連続攻撃が騎士本来の戦闘スタイル。
国外追放の処分に遭ったとき聖剣は次の騎士団長に受け継がれ、己には『左』だけが残った。

「せめて安らかに眠れッ、朽ちた騎士!」

若き日の一撃がランドールの五体を裂いた。
血を噴き出しながらどさりと水晶の草葉に崩れ落ちる。


【あけましておめでとうございます。アンドすまぬ。長くなってしまった】

157名無しさん:2015/01/07(水) 00:43:50
「騎士さまっ!」
と叫ぶモンブランにピシャッァとサンダガが落ちる。

「うくっ……。ほんとう、あなたたちは美しい怪物です。人の心を知らない純粋無垢な怪物たち。
それゆえに人の気持ちも考えないで自分の意見だけをベラベラと話すのでしょう?
相手のことも考えず、ただ打ち倒せば良いと思っている」

偽「では逆に、貴女とその老騎士を守る理由はあるのでしょうか?
仲間殺しは重罪なのではありませぬか?」

「黙りなさい偽モンブラン!このかたはそのようなことはなさっておりません。目をみたらわかります。
きっと何か他のことが、このかたの剣を鈍らせているのです」

そう言うとモンブランは歌い始める。力の限り友愛の歌を。それに対して偽モンブランは鼻白んだ顔

偽「まあなんと薄っぺらい歌を……。一ヶ月に一度、従者たちの給料計算をし、それだけでちゃっかり一ヶ月分の給料貰っているお姫さまが歌いそうな歌ですこと!」

歌声が響く。モンブランに出来ることはこれしかなかった。
主を失った騎士の誇りに代わるもの。立ち上がる勇気の言葉。
そんな大層なものを生憎モンブランは持ち合わせていなかったのである。

偽「まったく耳障りな歌ですこと!メテオっ!」
天をさき、灼熱の隕石群が降り注ぐ!

158トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/07(水) 00:46:10
トラネコの前にはやたら毛並がつやつやしている綺麗なトラネコ。
それは空前の好景気の元で順風満帆に店を経営していた時代のトラネコだった!

>「ねこよけペットボトロル〜」

「うおっまぶしっ!」

ねこよけペットボトロルはねこよけの光を放った!
トラネコはうおっまぶしっのポーズを取りながら吹き飛ばされた!

>「せめて安らかに眠れッ、朽ちた騎士!」

隣では中年が少年とチャンバラごっこをしてやられたー!と倒れた。
(ように端から見ているトラネコには見えた。幻術の類なのかもしれない)

「ランドール殿、ふざけている場合ではないぞ。それはそうと……イケメンやんけー!」

159トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/07(水) 01:06:40
トラネコは綺麗なランドールを追いかけ始めた!

「ぎゃあああ! 汚いトラネコが追いかけてくるぅうう!」

逃げ惑う綺麗なランドール。

「ああ、何時からこんな風に汚くなってしまったんだろう。
そうか、店を失って野良猫になってからだ……」

猫避けペットロボトル――
全国の庭へのノラ猫の侵入に悩む者達に贈る、若かりし日のトラネコの一世一代の大発明。
これは売れる、と確信したトラネコは、大量発注した途端にバブル崩壊――
店は倒産し、皮肉にも自分が野良猫の身に堕ちることと相成った。

160トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/07(水) 01:07:51
そこに響き渡るモンブランの友愛の歌。

「でも……店を失ったからこそ野良猫の気持ちを知ることができた……
野良猫の気持ちを知らない自分に戻りたいなんて思わない、これで良かったんだ!」

野良猫の悲哀を知らぬ若かりし日の自分に言い放つ!

>「まったく耳障りな歌ですこと!メテオっ!」

「猫避けペットロボトル……君の本当の使命は野良猫避けなんかじゃない……。
守ってくれ、この世界を!」

メテオを迎撃すべくペットロボトルロケットが発車される!

161名無しさん:2015/01/07(水) 21:46:16
ペットボトルのロケットはメテオを相殺してゆく。でも一個だけすり抜けてくる。
そのときだった。ペットボトルのロケットの中から桃太郎のように黒猫が現れた。
黒猫の名前はチャトラ君。彼はメテオを受け止めるとゴミ箱に放り込む!

「ま、間に合ってよかったぜ……ぐはっ」
ばたりと倒れるチャトラ君。その肉球は腫れ上がっていた。
彼はかつて野良猫界の魔王と呼ばれた大悪猫だった。

「どうしてそんな都合よく現れるのですか!」と偽モンブラン。

「ぐははは!奇跡ってものはな嬢ちゃん、10回続けて起こったら必然に変わるんだよ!
って、それは冗談だ。あのトラネコは俺様の親友だ!だから盗聴器で細かな会話も毎日チェックしていたんだ!
そうさ、いつでも助けられるようになぁ」

「えぇ〜……気持ち悪。あなたは狂っていると思います」ドン引きする偽モンブラン。

「狂った世界で狂うなら、そりゃまともだ!ぬはははは」

「くっ、だまりなさい外道!」モンブランは爪先で脇腹を蹴る。

「ぐぇ!……あのとき、俺は世界を闇に変えると言った。だがトラネコ、あいつは俺を闇から救うと言った。だから俺は来たのだ!それに御都合主義も糞もあるかぁ!」

「ええい黙りなさい!たかが野良猫の戯れ言など、ほうれいせんと一緒に消し飛ばしてさしあげますわ!……ひっ!?」

ペットロボトルがパンチをし、偽モンブランがしゃがみこむ。

「ありがとな、ペットロボトル。そしてすまねぇ、トラネコ。俺はやっぱり、こんな外道にならなきゃ、お前たちを守れねぇ……うおぉおわぁ!」
チャトラ君は大魔王に変身してゆく。そう、呪いの猫人形の異名をもつあの時の姿に。

162名無しさん:2015/01/07(水) 21:47:14
その一方で、偽トラネコが怒鳴っていた。

「おろかものたちめぇ!貴様らの心には一欠片の美しさも残っていないのか?それはなぜだ?人はなぜ我々をすてるのだ?」
なんと偽トラネコの顔が溶けだしている。
激怒して本性が現れはじめているのだ。

「いいや。トラネコは捨てちゃいない。その証があのロボトルだ。
あいつは吹っ切っても悟ってもいねぇ。でっけえ悩みを抱えたまま、大人になった大馬鹿者なんだわ」とチャトラ君。

「なあ、そうだろ!そうなんだよぉ!
お嬢ちゃんも、そこの旦那もよぉ。
どちらか選べねぇなら、2つ持って進めばいいじゃねぇかぁ!はぁっ!」
大魔王になったチャトラ君の変身が完了する。
と、同時に美しいものたちが合体する。そして次の瞬間。
ペットロボトルが火炎をあげて崩れ落ちた。
なんとそこにいたのは合体した美しいものたち。

163名無しさん:2015/01/07(水) 21:54:01
それは夢魔だった。インディアンのような衣装を纏い手を八本持つ化け物。
ドリームキャッチャーの捨てる部分、悪夢から生まれし混沌の集合体。

そんななか、幻なのか。ランドールの前にはひやむぎと金のウパが正座していた。

ひやむぎ「おっさまはがんばったよ。だからもう寝ててもいいんだよ。主がいなくっても皆を守ってくれたし、それで充分じゃない?
もう美しいランドールに勝つ意味なんてないでしょ?
だから私はここでいつまでも寝てたらいいと思うのよ」

金ウパ「そうだよ。寝てて。立ち上がったら苦しいよ。昔の自分の心を、否定しちゃだめだよ」

やちほ「そのウパ。手が再生しないから奇形ね。もとから指が一本足りないの」

夢魔は剣を構えている。ランドールには夢魔が若き日の自分に見えていることだろう。

164名無しさん:2015/01/07(水) 22:05:27
長くなってしまってすいません

165ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/10(土) 23:54:08

騎士・ランドールは今まで民を、国を、主君を守るために戦ってきた。
国王の首を狙う魔物を斬り、誤解から国外追放に処されたことも恨んではいない。

だが致命的なことに騎士でなくなったランドールは存在理由を見失った。
騎士であることを誇りに思い、理想の騎士を追い求めた騎士・ランドールは死んだのだ。
当てもなく町から町へ、国から国へ渡る根なし草。
また、騎士という華やかな世界で生きた彼にとって、そこはあまりに過酷な世界であった。
突如負の側面を突きつけられ、それに対して何もできない無力感──現実があまりに深く突き刺さる。

ゆえに、若い己がこの上なく眩しい。
昔の自分はああも輝いていたのか。
羨ましいとすら感じていた。

166ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/10(土) 23:54:58

いっそ、本当に死んでしまった方が良いのかもしれない。無意味な生など手放せばいい。
未練がましく騎士然とした恰好で、幽鬼の如く彷徨を続けるのは滑稽なだけだ。

>ひやむぎ「おっさまはがんばったよ。だからもう寝ててもいいんだよ。主がいなくっても皆を守ってくれたし、それで充分じゃない?
>もう美しいランドールに勝つ意味なんてないでしょ?
>だから私はここでいつまでも寝てたらいいと思うのよ」

>金ウパ「そうだよ。寝てて。立ち上がったら苦しいよ。昔の自分の心を、否定しちゃだめだよ」

>やちほ「そのウパ。手が再生しないから奇形ね。もとから指が一本足りないの」

暗い思考を後押しするように、金のウーパールーパーややちほ達の声が聞こえた。

(そう、だな……理想の自分に負けて、後は美しいもう一人の自分に託してしまうのも良いかもしれない……)

167ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/11(日) 00:00:48

(……そして、誰がモンブラン殿を守るというのだ……? 中途半端で全てを終えるのか、ランドール……!)

血を噴き出しながら徐々に立ち上がる中年の元騎士。
騎士の称号を失ったとしても、虚しく滑稽だとしても、やはり彼の心は何処までも騎士だ。
辛い現実に挫折したとて、彼はヨロヨロと立ち上がって歩き続ける。元騎士の売りは愚直さだ。

「理想の私は、一片の曇りもなく美しい……」

微かに聴こえる歌が元騎士を奮い立たせ、少しずつ身体を持ち上げた。
ありふれた旋律。ありふれた友愛。元騎士が信念を貫くには、それだけで十分だ。
騎士でなくとも、頼まれなくとも、彼は人を守り続ける。彼が愛する人たちを。

「比べて辛い現実に理想を砕かれ、時には暗い感情すら生まれる私は、なるほど醜いかも知れぬ……
 だがそれでも理想を拾い集めて前に進めるはずだ……! 吹けば飛ぶようなか弱い足取りだが……」

168ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/11(日) 00:01:26
一歩。理想に自分に歩みよる。

「それが人の美しさだ。濁っていようと、清くあろうとする姿こそ美しいのだ……!」

一歩。錆の浮いた剣を振りかぶる。

「私の大切な人を傷つけるというのなら、私は理想の私とだって戦ってみせる――!」

中年の騎士が、遂に夢魔へと黒剣を振り下ろした。

169名無しさん:2015/01/11(日) 16:08:42
>「私の大切な人を傷つけるというのなら、私は理想の私とだって戦ってみせる――!」

ランドールの太刀を受けた夢魔は微笑んでいた。微笑みながら泣いていた。

「私はとうのむかしに、あなたに捨てられていたと思っていました。でもそれは違っていたようです。
……あなたはまだ、大切に握りしめていてくれたのですね。……粉々に砕け散ってしまった夢の欠片を、希望という形に変えて……」

本当は夢魔は知っている。人の夢とは儚いものだと。
波際の砂の城のように脆く、故に尊く美しいものなのだと。

ランドールは、赤の他人のモンブランを命がけで守ろうとしていた。
その必死さは自分が自分であるための最後の抵抗なのだろう。
自分であるための今を彼は命がけで守ろうとしているのだ。

170名無しさん:2015/01/11(日) 16:10:21
夜明けと共に夢魔は朝日に消えるのだと言う。
そんななか、夢魔はこんなことも語った。

「ここは星の記憶の世界なのです。ゆえに過去も現在も混同してしまっている。
あなたたちがここへ迷い混んだのも、現実が何者かによって破壊されてしまったからでしょう。
もし、あなたたちが現実世界を復旧したいと言うのであれば、お城の地下にある禁断の泉へと足を運ぶと良いはずです」

こうして夢魔は光になって消えた。

「ありがとう」
己の行きべき道の向こうに何があるのかを、ランドールたちに教えられたのだ。
だから夢魔は誇らしげな笑顔で消えてゆく。

……そして、ひやむぎたちは王宮に招かれた。
あのとき、マッチの炎で異次元に穴を開け、結果的にモンブランを連れ去ってしまったことは
ランドールの活躍によって水に流してもらった。

「ありがとうランドール。貴方は正真正銘の騎士でした。なので、こんがりぷちしゅーの称号を受け取っていただきたいのですが?お願いできますか?それと」

モンブランが目配せすると財宝が入った宝箱が運ばれてきた。
それは皆が何かを言う前にひやむぎが受けとると迅速に金ウパに運ばせる。
そして禁断の泉へ。

171名無しさん:2015/01/11(日) 16:12:29
「どうかお気をつけて。ぷちしゅーの騎士ランドールよ」
モンブランは固い信念で結ばれていると信じていた。ゆえに強い視線でランドールを見送る。
彼には新しい名を与えた。もはや味方殺しのランドールではない。
否、真偽など関係なく、息子を信じる母親のような視線でランドールを見送るのだ。

「ではそろそろ行こうぜ兄弟!」
大魔王のチャトラ君が泉に飛び込んだ。続けて宝箱をもった金ウパ。
それにひやむぎ(やちほ)が続く。ひやむぎはちゃっかりティルトの剣を持っている。
ここが本当に記憶の世界なら、この剣も情報の塊のはず。
やちほは剣が記憶している剣技を少しずつ盗むつもりなのだ。破壊のすべてを極めるために。

【世界の復旧編へ続きます。続きは考えていませんのでもし宜しかったら何かのネタを投下していただきたく思います】

172トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/12(月) 20:40:31
突如現れた黒猫チャトラ。彼の口から唐突に語られるキ○グダムハーツ的な過去設定。

>「ありがとな、ペットロボトル。そしてすまねぇ、トラネコ。俺はやっぱり、こんな外道にならなきゃ、お前たちを守れねぇ……うおぉおわぁ!」

「チャトラ……、また会えたな。安心しろ、お前はもう呪いの猫人形じゃない!」

どうやらトラネコ、商人時代に相当いろいろな経験をしているらしい。
まあ某ゲームには勇者のご一行に入って魔王を倒した商人もいたのであながちあり得ない事ではない。
チャトラの後押しもあって覚醒したランドールが自らの影を打ち砕く。

>「ここは星の記憶の世界なのです。ゆえに過去も現在も混同してしまっている。
あなたたちがここへ迷い混んだのも、現実が何者かによって破壊されてしまったからでしょう。
もし、あなたたちが現実世界を復旧したいと言うのであれば、お城の地下にある禁断の泉へと足を運ぶと良いはずです」

「な、なんだってー!?」

モンブランを助けて一件落着と思ったのも束の間、引き続き世界の復旧編の始まりと相成った。

173トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/12(月) 20:49:14
>「ではそろそろ行こうぜ兄弟!」

「応ッ!」

不思議な泉に飛び込むご一行。
みよんみよんとワープして、気づくとそこは……雑誌の編集社のようなところだった。
一人の編集者が編集長にどやされている。

「バッカモーーン!! TwitterRPGはうちの雑誌の花形、休載は許されないのだぞ!?」

「はっ、それが……確かに原稿を回収してここに置いておいたんですが忽然と姿を消していてこのような書置きが……」

【原稿は1ページごとにバラバラにしたうえで世界各地に封印しておいた。
休載にしたくなければ世界に散った原稿の欠片を集めてみせよ!】

174名無しさん:2015/01/12(月) 22:01:54
「……だそうなんだけど。説明してくれる?」

と、やちほはランドールを見つめた。

175ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/14(水) 23:09:20

「忘れてなどいない。私は、いつまでたっても理想を追い求める愚か者だからな……」

元騎士の背後から陽光が射した。
黄金色に輝き、白んでいく空のように夢魔が空に溶けていく。

「ありがとう。君が、夢があるから私は前に進めるのだ。だから……ありがとう。若き私よ」

そして王宮に招かれ、再び騎士として(それも異界の)叙勲を受けたランドール。
名実共に騎士となった中年はこれからも年甲斐なく頑張ったりしちゃうのだろう。

「ぷちしゅーの騎士の名、恐悦至極でございます。モンブラン姫」

似合わぬ称号を背負うと、騎士は己の世界を正常に戻すべく再び異界の門を叩くのだった。

176ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/14(水) 23:10:08
泉に飛び込むと何やら問題が発生しているようで、やけに忙しい。
説明を求められても、中世に生きる彼に編集者だの何だのと理解できるはずがない。
「羊皮紙如きで何を慌てているのか」と編集部内にて突っ立つこんがりぷちしゅー。

「良く分からないが……ゲンコーを書いた人間にもう一度書いてもらえば良いと、私はそう思うぞ」

非常識も甚だしい意見であったが、ある種仕方のないことであった。
わりと勢いで飛び込んだこの世界──彼らはまだ「どうやって」世界を復旧するのか知らない。
それ以前に手掛かりの断片すらも掴めていない状況だ。

「そのゲンコーとやらも大事かも知れぬが、私は私の住む世界の人々が気掛かりなのだ。
 寄り道に現を抜かして手遅れになってしまったらどうする? キューサイは人の命と釣り合う程のモノなのか?」

ゆえに、騎士がやや性急になっているのも無理からぬ話であった。

177ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/14(水) 23:14:02

「とはいえ何をするべきか……とりあえず、私たちはそのゲンコーを書いた人間に会いに行くとしよう。
 この世界に我らの世界を復旧させる方法がきっとあるはずなのだ。まずは情報を集めなければ」

こうして一同はTwitterRPG作者、岸 井路伊子(きし いろいこ)先生の下へ向かうこととなった──!
M県S市森国町に居を構える岸先生は偏屈で知られるベテラン漫画家だ。
代表作・少女の不思議な冒険はコアな人気を誇り第八部まである。最近三部がアニメ化された。

「僕の原稿を紛失しただとォ〜〜〜〜ッ!? ハンッ! 呆れてモノも言えないな」

ヘンテコなバンダナを付けた男は開口一番にそう言った。

「言っておくが、そりゃ完全に編集部の責任だからな……代原は自分で用意しなよ。フザケやがってッ!
 新人時代に描いた僕の漫画カラー原稿とか、読み切りとかも一度失くしたことがあったっけな。思い出したらムカムカしてきたぞッ!!」

岸先生はたっぷり一時間騎士達に罵詈雑言を浴びせ、コーヒーを一杯飲むと「そういや君達、変なカッコしてるね」と言った。

178名無しさん:2015/01/15(木) 18:57:49
岸に一方的に愚痴を言われ、むかむかしているやちほ。

「変わってるのはあなたのほうよ。偉そうにしてるけど、あなたこそなんなのよ?」

今のやちほの頭のなかにあるのはイライラのみ。
世界に散らばった原稿を集めるとか、新人のころの読み切りなど
色々な情報はあってもそれはモヤモヤなのだ。
だが一触即発のところでチャトラ君がズゴゴゴとわってはいる。

「まあ待て。俺たちの目的は世界の復旧だ。そうケンケンすんじゃねぇ小娘。
……で、トラネコはそいつに詳しく説明してやってくれねぇか。
俺たちが何者で、何処から来て何処へ向かおうとしてるかをよぉ」

179トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/18(日) 00:19:12
>「まあ待て。俺たちの目的は世界の復旧だ。そうケンケンすんじゃねぇ小娘。
……で、トラネコはそいつに詳しく説明してやってくれねぇか。
俺たちが何者で、何処から来て何処へ向かおうとしてるかをよぉ」

「私たちはここではない世界からやってきた。
だけどその世界は破壊されてしまった……私達は失われた世界を取り戻すためにこの世界に来たんだ」

黄色い救急車を呼ばれかねないトンデモな話を岸は否定するでもなく聞いて一言。

>「そういや君達、変なカッコしてるね」

そう言いながらバンダナを結びなおそうとして外した時だった。
バンダナの中から原稿が一枚はらりと落ちる。

180トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/18(日) 00:19:56
「なんだ……? TwitterRPGの原稿じゃないか! 編集者に渡したところなのになんでこんなところに……」

そしてトラネコ達の方を向き、突如驚愕する。

「君たちは……僕の漫画の登場人物じゃないか! いや、そんなはずはない、コスプレか……?
でもどうしてさっきまで気付かなかったんだ……まさかそんなことが……!」

チャトラ君がすかさず解説を加える。

「そのまさかだよ。癪だがどうやら貴様が俺たちの世界の創造主らしい。
世界が1ページ救出されたから記憶の断片が蘇ったのだろう」

181名無しさん:2015/01/18(日) 10:45:17
やちほ「なるほどぉ。じゃあ、今の私たちのことは誰が書いているの?」

チャトラ君「禁断の扉から飛び出した時点で、文字どおりキャラが一人歩きしてるってことになるんじゃねぇのか?」

やちほ「じゃあ、ここに来る前の私たちは?原稿の中に記録として入っていたの?
それと私たちの記憶は?その岸って人につくられたものなの?」

チャトラ君「創造主ってことはそうなんだろうがよ。だがそれにも外的要因や、無意識。色んなものが影響しているはずだぜ」

大魔王は窓から空を見上げている。

チャトラ君「……そうなんだよなあ。創造主だって無からすべてを生み出してるわけじゃねぇだろうし外的要因ってものが多々あるわけだ……。
つか誰がこっちの世界で原稿ってやつをバラバラにしたんだろうなあ。
そいつがあっちの世界でいう破壊神ってやつの正体なんだろうがよ。元ネタっつうかモデルみたいなもんがあるはずなんだわ」

やちほ「……ふ〜ん。まあそんなことはどうでもいいとして、今までのこと、全部つくりものなんだとしたらこのままのほうがよくない?ね、おっさま?」

ひやむぎの体に憑依してるやちほはひやむぎのあさましさや記憶を受け継いでいる。
だからランドールにむけてそう言ったのだった。

182ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/21(水) 21:27:52

「マジかよ……」

あまりの出来事にキャラ崩壊した騎士は部屋の隅で四つん這いになって項垂れている。
自分が誰かが作ったお話の存在だなんて言われたらそりゃそうなる。

「だがひやむぎ殿、当然このままで良いはずがない!
 自分の自由と世界の崩壊を秤にかけるなど、あってはならないことだ!」

くわっと集中線。
自分の世界の人間を見捨てるくらいなら作り話の住人でいる方がマシらしい。
浅ましさを通り越して悪魔の発想だ、と言わんばかりにひやむぎに迫る。

「僕が創造主か、リアリティないな。漫画のネタには使えそうもない」

唐突すぎてわりと平然としてる岸は暇を持て余したのかネームを切りはじめた。

183ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/21(水) 21:28:32

「フン、だいたい創造主ったって僕にはカンケーないね。自分の漫画のキャラじゃネタにもなりやしない。
 どうでもいいが、失くなったのは最終回の原稿だし、どうせ終わる予定だったんだぜ、君達の世界は」

終わるのが早いか遅いかだけなんだよ、と言って岸は再び原稿に向かった。
そして、何かを思いついたように再びこちらを向く。

「……そうか。終わらないから世界が崩壊に向かっているんだな。
 未完の物語なんて、そりゃ世界(ものがたり)として破綻してる。だからお前らの世界は崩壊寸前なんだ」

新たな漫画のネタが思いついたように岸の口数が増していく。

「そうなると、君たちの世界はいつから始まったんだろうな──僕が原稿を書き終えた瞬間?
 いいや違うッ! それはきっと『雑誌に掲載された時』だッ! 作品として世の中に提示されたとき、はじめて世界が生まれるんだッ!」

岸は引き出しから原稿用紙、仕事道具一式を取り出すと机に並べ始めた。

184ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/21(水) 21:29:10

急ぎ足で部屋から出ていくと、折り畳みの机をがちゃがちゃと運ぶ。
そこに予備の仕事道具を三人分並べた。

「だったら──原稿を取りに行くより書き直した方がきっと早いぜ。
 僕の原稿は他の物語世界に散らばってるんだろ?
 それじゃ回収したって締切には間に合いっこないさ……あと19ページあるんだからな」

最終回は巻頭カラーだったため通常の18ページプラスカラー原稿3ページぶんある。

「いいか、僕はこれまで締切に遅れたことがない……ただの一度もな……
 それは僕が『漫画家』だからだ! 読者に新作を送り届ける漫画家だからなのだッ!
 だが、その僕があろうことか原稿を落とそうとしている! これはとても我慢ならないッ! 沽券に係わるからだッ!」

185ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/21(水) 21:29:54

「いくら僕といえど今から書いてたら締切には間に合わない……アシスタントを取ってないからな。
 だが君達が加われば、滑り込みで印刷までにはどうにか間に合うかもしれないッ!」

岸がGペンを振るうと下書きもない原稿用紙に一瞬で絵が刻まれた。
ヒトの短い生涯のうち、大半を机の前で漫画に費やしてきた男のみが可能とする奥義、『一発書き』である。

「自分の漫画の最終回を、自分のキャラと描く……こんな経験中々ないかもしれない。
 締めくくりに相応しいってヤツだ……別に君たちに絵を描けって言ってんじゃないよ。ベタやトーンだけでいい。やり方は教える」

かくして一同は世界を修復するため──否、終わらせるために──漫画を描く事になった!!

186トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/01/25(日) 00:03:48
どうでもいいがTwitterTRPGはバラバラになった世界の欠片を集めるなんて陳腐な王道展開とは無縁な漫画であるそうだ。
かくして、元商人でお笑い芸人のトラネコは漫画家のアシスタントを勤めることになった。
文字通り"猫の手も借りたい"とはこのことなのだろう。
猫の手でどうやって細かい作業をしているのかは永遠の謎だが
作業は意外と順調に進み、このペースでいけば印刷に間に合うのではないかと思われたそのときだった。
ドアをバーンと開け何者かが乱入してきた。

「コラー! せっかく人が創意工夫をこらしていろんな場所にページを隠したのに探してくれないなんて酷いじゃないか!」

おそらくこいつが世界崩壊させようとしている犯人なのだろう。
しかしとんでもない逆切れである。

187名無しさん:2015/01/27(火) 22:48:34
返信が遅れてしまってすいません。
少し休ませていただきます。
お話のほうは進めてくださってもけっこうです。

188ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/30(金) 00:24:54

「強引な手段で申し訳なく思うが、上手く引っ張り出せたようだな……」

岸の瞳がきらりと光る。

「フン! 所詮悪役なんてチャチな理論武装で身を固めただけのお子ちゃまよッ!
 他人を振り回すのはいいが、自分がいざ振り回されると怒るなんてのは最初からお見通しさ……」

岸もわりとそういうタイプであることを留意していただきたい。

「僕は漫画家だ。回収できる見込みのない、アンフェアな戦いを挑む主義じゃない。
 原稿はすでに完成寸前だッ! あとは入稿が終われば君の野望も潰えたと言えるな……」

得意げな顔の岸にチッチッチと舌を鳴らす黒幕。

「あまい、あまいよ岸イロイコ。お前は自分がわりと賢いとか僕は他人とは違うとか
 そういう優越感ってヤツが心のどこかにあるタイプだろう……それを私は知っている!」

189ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/30(金) 00:25:34
「なに……どういうことだ?」

眉根を寄せる岸に、黒幕は下衆なスマイルで応えた。
ちなみに黒幕は今コナンの犯人状態なので表情は分かるが人相まで分からない。

「お前が入稿を終える前にネットにバラまいてやると言っている。
 アップローダーというアップローダーに撒き散らし、ありとあらゆる場所に拡散させてやろう」

「馬鹿な! 貴様の目論見は依然として分からんが、少なくとも僕の作品と世界を終わらせるのが目的だったはずだ!
 これが世に出た時点で敗北は確定するんだぞ……! 相打ち覚悟だとでも言うのか! 気が狂ってるッ!」

「貴様の最終回をクソにミソつけて終わらせられるなら何でもやってやろうじゃないか」

奪った原稿を取り出すとヒラヒラと扇子のように仰いでみせる黒幕。

190ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/01/30(金) 00:27:04

「言っておくが私のバレは海外経由なんてチャチなものじゃないぞ……!
 2ちゃんねる、twitter、ふたば……少なくとも有名どころには全て投下する!
 やられたらやり返す! 振り回されたら振り回し返す! 百倍返しだ岸ぃぃ〜〜」

「……何が条件だ?」

黒幕の勢いに遂に屈した岸。
流石の彼も違法アップロードは看過できない。

「そうだなぁ、貴様の完成寸前の原稿を賭けて……ゲームをしよう。
 単純なゲームだ。お前が勝てば入稿には間に合うくらいの長さのゲームを」

黒幕が提案するゲームとは、一体どんなゲームなのか!?
その内容は次のレスで明かされる!!(無茶ぶり)

191トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/01(日) 23:36:29
「してそのゲームとは……?」

一同が息を飲む中、黒幕の口からゲームの名が語られる。

「そのゲームとは……モッツァレラチーズゲームだッ!!!」

「モッツァレラチーズゲーム……だと……?」

トラネコは戦慄した。

「時計回りに順番にモッツァレラチーズと言っていくだけのゲーム。
ただし次の人の前の人よりもテンションをあげて言わなければいけないッ!
狂気の世界に旅立つ者が続出しその危険性故に法律で禁止された国もある恐怖のゲームだ……!」

「そうだ、果たして君たちはこのゲームの宇宙的恐怖に耐えられるかな?」

残酷にもゲームの火ぶたは切って落とされた。

192トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/01(日) 23:38:09
「モッツァレラチーズ……」

最初からハードル上げ過ぎては大変と、出来うる限りのテンションの低さで言うトラネコ。
次は黒幕の番だ。

「モッッツァレラァアアああチーーーーーーーーズーーーーーーーーーーー!!」

初っ端からいきなりハードル上げすぎだろ。
どうしよう、シリアス枠(多分)のランドールにキラーパスが回ってしまった、と狼狽えるトラネコであった。

193ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/04(水) 00:17:42
笑いのコツは緊張と緩和だそうだが、今回は忠実にセオリーを守った流れと言える。
具体的に言うと岸が思わず噴き出すくらい安心感のある面白さだ。
ただ隣の騎士は顔面蒼白で今にもぶっ倒れそうなくらいテンションが低い。

(黒幕のくせに威厳も何もあったものではない)

モッツァレラチーズゲームとかいう狂気の祭典を提案するぐらいの御仁なので仕方ない。
話が逸れた、問題はそこではなく騎士はわりとシリアスポジのキャラであり
こういった流れには天然ボケでやり過ごすタイプだ。果たしてあれ以上のテンションで叫べるのか。
一番マズイパターンは恥ずかしがって間を置いてしまうことだ。
時間が空けば空くほど場の空気はシラケモードに入りハードルがかえって上がっていくッ!

194ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/04(水) 00:18:57
「――ムゥゥォォッツァレラチィィィーーーーーーズゥァァァァァァァァアアアアッッ!!!!!!」

瞬間、いい年こいた中年が枯れたテンションで叫んだ!
隣の岸がほくそ笑む。騎士の背中には「ランドールは黒幕より高いテンションで叫ぶ」と書き込まれていた。

「フッ! 忘れたか、僕が原作者であることを!? それがキャラ崩壊であろうと、何人たりとも作者の方針には抗えないのだ!」

なるほど、ランドールが話の端々でギャグ空間に呑み込まれたテンションに陥ってたのは岸のせいらしい。
終始どや顔の岸だったがハッとなった顔で周囲をキョロキョロ見渡し段々落ち着きがなくなっていく。
どうしたんだろう。

(マズイ……次、僕の番だ……)

この男があれより高いテンションで叫べるはずもない。
頭を抱えた原作者の視界にニヤニヤ顔の黒幕。うぜえなぶん殴るぞ、と心の中で囁く。

195ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/04(水) 00:32:15

(くっ、フザけやがってェェ〜〜ッ。そもそも何なんだコイツは!
 色々な世界を自由に出入りできるだとォ!? のっけから普通の人間じゃない!)

高速回転する岸の思考。

(……世界を自由に行き来できる存在……世界を……まさか……いや、そんなッ!?)

そしてついに岸の灰色の細胞?が犯人へ到達した。

「そうか。そういうことか。君の正体が分かったぜ、黒幕……いやッ!!」

腰を捻りつつ指を黒幕に向けて決めポーズ。

「TwitterRPGの狂言回し、マスターッ!
 すなわちその元ネタである担当編集……内藤編集長、貴様だなッ!!」

このDr.マシリト理論は果たして当たっているのだろうか!?

196トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/07(土) 01:09:01
「ご名答――
そうだ、今回序盤から私の様子がおかしかったのはこのための伏線だったのだッ」

黒幕の顔が様々な顔に目まぐるしく変わり、一同が見慣れた猫バーのマスターの顔に落ち着いた。
もしかしたら岸には内藤編集長の顔に見えているのかもしれない。

「何故こんな事を……!?」

マスターはその辺のRPGのラスボスが言いそうな事を言い出した!

197トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/07(土) 01:09:31
「それは君達に可能性を見出しているからだよ。
超越存在というのは存外孤独なものでね……
全てが自分の思うままになってしまう恐怖が君たちに想像できるか?
それに耐えきれなくなってきた、そんな時に現れたのが君達だった。
さあ来い、創造主たる私を打ち負かしてくれ!」

あふれ出る正統派ボス戦の雰囲気に身構えるトラネコ。
しかしマスターが付け加えた一言が雰囲気をぶち壊した

「モッツァレラチーズゲームで」

「えっ、まだモッツァレラチーズゲーム引っ張っちゃう!? やめとこ!?」

果たしてモッツァレラチーズゲームは続行されてしまうのか!?

198ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/10(火) 00:42:28
【遅れてすまぬ、明日返します】

199ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/10(火) 20:38:32

「ま、またモッツァレラチーズゲームだと……」

このゲーム、そもそも複数で挑む側が不利にならざるを得ない。
そしてマスターはしょっぱなからテンションマックスで叫ぶ空気が読めないタイプ。
家庭用ゲームでワイワイやらずにわりとガチってくるタイプの人間なのだあの男は。

「いいだろう……受けて立ってやる……見せてやろう、この岸イロイコ一世一代の大勝負を……!」

額に汗が滲む。軽く息を吐き、そして肺腑の限界まで酸素を溜めこんだ。

「ムゥゥゥゥウウウオオオオオオッツァァァアアアレエエエエラアアアアッッチイイイイイイイズウウウウウウウーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!」

轟いたのは奇声に近い何かであった。正直テンションが狂っている。
ターンは一巡し次はマスターの番。このテンションを超えなければ彼は敗北する。
だが岸も騎士も、そしてトラネコも直感した――こいつは、このテンションを超えてくる――!!

200ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/10(火) 20:40:23

刹那、対面の騎士が腰から剣を引き抜きマスターの顔面へ振り下ろした!

「そう! モッツァレラチーズゲームはただテンションを上げて言うだけのゲーム!
 逆説それ以外は何したって構わないんだッ! このゲームの本質は水面下の『暗殺』だッ!
 相手に悟られずいかに敵を殺す(リタイヤさせる)か――それが宇宙的恐怖の真相なんだッ!!」

騎士の一撃は純然たる暗殺だ! まともに食らえば脳天かち割れて死ぬ暗殺攻撃なのだッ!
次の手番はマスター。彼が死ねば自動的に敗北となり、トラネコ達は勝利する!

201トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/14(土) 02:14:55
>「そう! モッツァレラチーズゲームはただテンションを上げて言うだけのゲーム!
 逆説それ以外は何したって構わないんだッ! このゲームの本質は水面下の『暗殺』だッ!
 相手に悟られずいかに敵を殺す(リタイヤさせる)か――それが宇宙的恐怖の真相なんだッ!!」

「そうか、確かに死亡すればモッツァレラチーズと言う事はできなくなる……。
しかも暗殺はルールで禁止されていないッ!!」

ランドールの滅茶苦茶な超理論に真顔で驚きつつ解説を加えるトラネコ。
マスターは、致命傷を受けながらも歓喜に震えていた。

202トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/14(土) 02:15:30
「はは、ははははは! そうきたか……!
これぞ狂気のゲームのルールの間欠を突いた無限の可能性!
私は大きな勘違いをしていたんだ、もはや”セカイ”は私の手を離れ自らの手で歩き始めていた……。
最後に一言だけ言わせてくれ。
チョッコレイトォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

渾身のの断末魔だがモッツァレラチーズでないので自動的に敗北となり、それっぽい演出でキラキラと消えていくマスター。
戦いは――ひとまず終わったのだ!
なんとか>107に収められそうな雰囲気である。

203ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/19(木) 01:12:34
待たせてすまぬ。このままやちほ殿をどうにかして一件落着といけそうだが、どうしたものか。
ひやむぎ殿が帰ってくるまで繋ぎの話で持たせた方が良いのだろうか……

204トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/19(木) 19:07:56
明日帰ってくるかもしれないし暫く帰ってこないかもしれないからなんとも……
・なんか忘れてる気がするけどまあいいか(丸投げエンド)
・無限の可能性を見せてくれたお礼にとマスターが収めてくれた(ご都合エンド)

思いつく案としてはこんなもん

205ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/21(土) 23:46:14

マスターを倒して無事原稿を取り戻し、印刷に間に合った岸先生。
時を同じくして崩壊に向かった世界は修復され、安定に向かいつつあった。
トラネコ達は無事使命を果たし元の世界に帰って行く。
そして今回の騒動で創作意欲を刺激された岸はまた新しい世界を生み出すことだろう。

「――トラネコ君にランドール君は、とんでもないことをやってしまったなぁ」

何処からともなく響く声。そう、全てが終わったわけではない。
破壊の萌芽を残したまま、トラネコ達の世界は復旧を迎えたのだった――。





            【TwitterRPG 世界の復旧編 完】





                 だが、戦いは続く。

206ランドール ◆ct40QFXlbk:2015/02/22(日) 00:05:36
【妙案が思い浮かばないので十八番の丸投げで締めと致した次第です。
思えばサッと話を畳もうと焦りすぎて足を引っ張りまくっておりました。
やはり私は分を弁えて受けの民に徹するべきでしたね。本当にすみませんでした。

以上のことも踏まえ、私はここで身を引かせて頂きます。
トラネコさん、ひやむぎさん、お付き合い頂きありがとうございました】

207トラネコ ◆cxt6jyx9JU:2015/02/22(日) 15:23:54
【そんなことないですよ〜
ひやむぎさんもですけどこんな思いつきで立てた実験的スレにお付き合いくださってありがとうございました!
今のご時世始まる前に終わるスレや牛歩自然消滅が多い中で
数か月まともに稼働した上に多少打ちきりちっくであっても一応完結までいったのは素晴らしい事だと思います。
お二人のお蔭です。
幸いこの板だとスレが落ちる事もないですしまた機会があればご一緒しましょう!】

208名無しさん:2015/02/22(日) 23:13:04
「嘘の世界だから綺麗事を言い続けられるのに……」
冷笑するひやむぎ(やちほ)の顔は享年10才のあどけなさと融合し不気味。

それはとにかく物語が終わればその後のやちほは自由である。無であるゆえに可能性は無限。
読者はその後のキャラクターたちの人生を自由に想像する。大袈裟に言えば人々の糧となり共に歩むのだ。

ここまでは書いていたのですが、
色々と間が悪かったのでした( ノД`)…
間が入れず、ぽかぁんとなってしまって。

それはさておき、みなさん。
お疲れさまでした。ありがとうございました(^-^ゞ


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