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【学園都市TRPG】電脳神話デビチル!補遺

10アイネ ◆ch6TRNt0B6:2014/07/14(月) 20:16:36
>「あの…お取込み中大変申し訳ないのですが、俺気づきました。」

緊張する空気の中、トムが声をあげる。
彼が気付いたのは、今もって爆弾が不用意に誤爆する恐れがあるということだった。
その可能性は最初から頭に入っている。ここの住民がどう動くのかは予測出来ないのだ。
48時間とは言われたが、実際には丸一日が限界だろう。その前に彼女を説得出来るかどうか。
街を半壊させる爆弾……ひとつでも爆発したら、おそらく他も誘爆するに違いない。
そうなったらこの街も、住民の命もおしまいだ。一刻も早い解決が望まれるだろう。

さて、その危険に気付いたトムは、迷うことなく銃を取り出し発砲した。
迷いのない不意の行動。これにはさすがにカミラも反応出来なかったのか、避ける事は敵わずまともに銃弾を浴びる。
しかし相手もさる者。どうやら防弾チョッキで防いだようだ。あれ、そんなもの着ていたっけ?
カミラは銃撃の衝撃で後ろへ叩き付けられ、床に崩れ落ちる。
だがそれも一瞬。あれほどのダメージを受けながらも、彼女は笑いながら平然と立ち上がる。
どれほどの精神力が彼女を支えているのだろう?戦闘衝動が彼女を駆り立てているのか。
立ち上がりながら、カミラの体に異変が起きる。あれは紛れもなく魔人化だ。

>「Amazingですよトムせんぱぁい! 最高の宣戦布告をありがとうございまぁす!」

内なる戦闘衝動がそうさせるのだろう、魔人化したカミラは軍刀を呼び出し、構える。
しかしあの武器をDL出来る装備は本当に便利そうだ。あとで科学者連中に発注してみよう。
そんなことはともかく、現状は最悪だ。魔人化した彼女に真っ向から立ち向かうのは危険である。
しかも彼女の持った軍刀、見る間に赤く染まっていく。肌に熱気が感じられた。
先ほどの炎の壁と言い、カミラの能力は炎系?いずれにしても、あんなものを食らったらただでは済まない。主にトムが。
傷口を焼かれてしまったら、瞬時に肉体の再生が可能なトムでも回復に時間が掛かるであろう。
もちろん、再生能力のない私たちが食らったら洒落にならないこと間違いなしだ。
どうする?水を大量に集めて熱を奪うか?否、そんな大量の水は魔人化しないと手に入らない。

そんな事を考えているうちに、カミラの狙いはトムへと定まったらしい。一直線に向かって来る。
……考えるより先に体が動いていた。
トムとカミラの間に体を割り込ませ、先ほどの血で作った短剣で軍刀を受け止める。
一瞬で血の短剣は蒸発。やはりあの程度では無理だったか。
即座に判断し、自分より図体の大きいトムの体を抱え後ろに跳ぶ。
後はシャルルが何とかしてくれるはずだ。そう願いつつ、私たちは家から転がり出た。
狭い室内での戦闘は何かと問題が多い。罠の存在が心配だが、外で迎え撃つ方が良いだろう。

ふと振り返ると、今出てきた家のすぐそばに井戸があった。
これはちょうど良いかも知れない。大量の水が確保出来れば、あるいは勝てる可能性があるのだから。
まぁ、仮定の話である。とりあえず私は井戸の前に立ち、ありったけの水を吸い出し始めた。
吸い出した水は球体となって私の周りを飛び回る。バスケットボール程の大きさのそれは、五、十、更に増えていく。
こうなったら物量で勝負だ。その気になれば私は一トン以上の水を自在に扱うことが出来るのだ。


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