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【学園都市TRPG】電脳神話デビチル!補遺

1お菓子の魔女 ◆HTcbo8CpC2:2014/06/25(水) 19:18:22
【学園都市TRPG】電脳神話デビチル!の別冊スレです。
芸術の都編の続きをこちらで行います。
その後は二次創作スレとしてでも使いましょう。

避難所
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/20240/1398812778/l50

2カミラ ◆2OaXGIMc2E:2014/06/27(金) 00:26:29
>「さて、食事にするということは話し合いの場が欲しかったということかですよ?
 どういう目的があるにしろ、話があるのなら話で穏便に決着を付けたいですよ。
 カミラ、あなたが勝利したいというのは理解出来たですよ。
 でも、仲間である私たちを襲う理由にはならないですよ。
 カミラは既に天使と戦ったはず、もう戦う理由など存在しないはずではですよ?」

>「そうなのよね。
  世界を支配する神であるゼウスに立ち向かう方が一介のデビチルであるアタシ達を相手にするより遥かに強大で燃えると思うけど……。
  それに全力の真剣勝負がしたいと言われてもアタシ達は頻繁に魔人化するとトライブ化してしまうからなかなか全力で戦えないのよ。
  もしあなたがトライブ化しない方法を教えてくれる、なら話は別だけど……」

>「あとさ、ゼウスはまだ……〜それが出来ないなら……ファーストキスの相手を殺したくないけれども…」
  「お前をアイネが成敗する。うん、主にアイネが!」

 三人の先輩の言葉に口を挟まないように、チョコを齧りながら耳を傾ける。
 その御三方の意見を纏めた結果、戦ってくれない、とのこと。

 というか、目的を自分達から逸らそうとしてるような、というかその通りか。 

「天使倒したんだから戦う理由がないっていうか、そもそも私達よりゼウスと戦った方がいいと思いますし。
 てか、私達本気出せないでおすし、戦いたいんならトライブ化の対抗策もってこいでおすし!
 そしたらアイネ先輩がガチで戦ってやるぜ、おっすおっす!
 と、先輩達の意見を纏めるとこんな所ですかぁ? ま、ひとつひとつ答えていきましょうか」

 既に私の周りには携帯糧食の空き袋が散乱している。
 唇に付いたチョコを舌で舐め取ると、アイネ先輩を見た。

「1つ、アイネ先輩もご存知と思いますがこの都市の天使弱過ぎです。なんで欲求不満? だから先輩達とやりたいです。
 2つ、必ず勝てる相手と勝てるかどうか分からない相手どっちの方が魅力的ですか?
 もちろん、分からない相手ですよね。
 あと、私がトライブ化しないのは衝動と体質、定期的に魔人化することでトライブ化を防いでるっていうか……私的にはトライブになるも一興って感じですけどぉ。
 3つ、トム先輩の気持ちも嬉しいですけどぉ、愛した相手と殺しあう、ていうのもひとつの燃えって言うか――てか、あーそうかぁ……」

 私はそこで疑問に自己解決し手を叩く。

「先輩達には動機付けがないんですねぇ、私と本気で殺しあう動機が。 あ、じゃあ作りましょうそれがいいです!」

 言いながら憲兵服の胸ポケットから一錠のカプセルを摘んで取り出す。

「先輩、これなんだか分かります? これね、小さいですけど爆弾の起動スイッチです。
 えっとですね、こういう事態を考えて、この都市に爆弾を仕掛けました。一個でこの都市の半分が吹き飛ぶヤツを、あ〜、何個でしたっけ。
 ま、とにかく沢山仕掛けました。あ、でも見つけても解除しないでくださいよぉ。触れた瞬間、BOM!」

 手でグーを作り言葉と同時に大げさにパーにする。

「少しでも爆弾内部に異物が入り込めば問答無用でBOM! 外部から振動を与えてもBOM! 動かしてもBOM!
 信管を破壊しようとしてもBOM! コードを切ろうとしてもBOM! ていうか触れようとした瞬間BOM!
 そんな危険極まりない爆弾の起動スイッチがこれです。ていうか今時スイッチって、ま、いいです。で、これをですね……」

 言いながら口の中に放り込む。口の中でカプセルが踊り、喉を通り腹部に落ちていく。

3カミラ ◆2OaXGIMc2E:2014/06/27(金) 00:27:22

「ごっくん! はい、飲んじゃいましたー! あと48時間、これが爆発のタイムリミットです。
 このスイッチは飲まれた後、私の内臓に癒着します。つまりぃ排出されずに体内にとどまり続けるって事ですねぇ。
 でぇ、スイッチは私の心臓の鼓動を絶えずモニターしてます。48時間、私の鼓動が続いていれば爆弾はBOM!」

 そう捲くし立て、私は口角を吊り上げ狂気的な笑みを作る。自分で作れる最上にして極上の笑みだ。

「ね? これで先輩達の動機付けが出来ましたねぇ。私の心臓を止めないとこの都市は吹き飛んじゃいます。
 今から全住人の避難を開始しますかぁ? 48時間以内にぃ? あは、間に合いませんよ?
 先輩達だけなら出来るでしょう。でも住人の皆さんに罠を潜り抜けられますかぁ? そとのガトリング砲は? 地雷は?
 ねぇ? 一番手っ取り早いくて現実的な方法、先輩達も分かるでしょう?」

4アイネ ◆ch6TRNt0B6:2014/06/28(土) 19:54:53
カミラに対する皆の意見に耳を傾けつつ、私はひたすらにレーションを飲み込んでゆく。
空き袋が散乱しているが、これはあとでちゃんと片付けよう。レーションを食べる際のルールである。
ちなみに話の途中でトムが私に戦いを押し付けようとしてきたが、私は無言のままトムの手を払って黙らせる。
トムは相変わらずヘタレである。厄介な衝動さえ持って生まれなければ、きっとリンネで静かに暮らせた事だろう。
話を聞くカミラは不満げな様子だ。無理もない、私たちは戦闘などしたくはないのだから。

>「1つ、アイネ先輩もご存知と思いますがこの都市の天使弱過ぎです。なんで欲求不満? だから先輩達とやりたいです。
> 2つ、必ず勝てる相手と勝てるかどうか分からない相手どっちの方が魅力的ですか?
> もちろん、分からない相手ですよね。
> あと、私がトライブ化しないのは衝動と体質、定期的に魔人化することでトライブ化を防いでるっていうか……私的にはトライブになるも一興って感じですけどぉ。
> 3つ、トム先輩の気持ちも嬉しいですけどぉ、愛した相手と殺しあう、ていうのもひとつの燃えって言うか――てか、あーそうかぁ……」

確かにこの街の天使は弱かった。私一人でも簡単に制圧出来るくらいに。
見た所平和な街らしいし、今日まで武力を行使する理由がなかったのであろう。
だから私は他の街を目指せば良いと言おうとした……が、その言葉は喉に引っかかって出てこなかった。
次の街こそ強い天使が出て来るとは限らない。そうすれば、カミラの欲求不満は溜まるばかりだ。
今の彼女はピンの抜かれた手榴弾と同じようなものだと思う。適切に処理しないと、どこに被害が及ぶかも分からない。

>「先輩達には動機付けがないんですねぇ、私と本気で殺しあう動機が。 あ、じゃあ作りましょうそれがいいです!」

そう言いつつ胸元から一錠のカプセルのようなものを取り出すカミラ。

……嫌な予感がした。

今すぐに彼女を止めなくてはならない。しかし、行動に出たときには全てが遅過ぎた。
物騒な言葉と共に、彼女はそのカプセルを飲み込んでしまう。
爆弾の起爆スイッチ……確かにそう言ったか。
おそらくは服用者が死んだのを感知して起爆させるスイッチであるはずだが、彼女はそれにアレンジを加えたのだろう。
リミットは48時間、確かそう言ったか。その間に私たちに何が出来る?
カミラを殺して起爆スイッチを停止させる?否、そんなことはとても出来ない。
可能性としては、もうひとつだけ……。

>「ね? これで先輩達の動機付けが出来ましたねぇ。私の心臓を止めないとこの都市は吹き飛んじゃいます。
> 今から全住人の避難を開始しますかぁ? 48時間以内にぃ? あは、間に合いませんよ?
> 先輩達だけなら出来るでしょう。でも住人の皆さんに罠を潜り抜けられますかぁ? そとのガトリング砲は? 地雷は?
> ねぇ? 一番手っ取り早いくて現実的な方法、先輩達も分かるでしょう?」

「方法は他にもあるですよ。お前を捕まえてスイッチを無理にでも吐き出させ、服従させる事。
 ひとつ、生死を問わないバトルではない……そう、ゲームをしようですよ」

「ルールは簡単、カミラは私たちから48時間逃げ切れば勝ち。それ以前に拘束されたら負け。ですよ。
 カミラは全力を出して戦って構わないですよ。でも私たちは全力ではない、あくまであなたを捕縛するですよ」

獲物を殺すのではなく捕縛するのは、その三倍もの難易度になると言う。
しかし今はそれ以外に方策はない。彼女を、そして街の人たちを守るためである。
内臓に癒着するカプセルをどう処理する?そんなことはあとで考えれば良い。
私たちは正義のヒーローなのだから、選び捨てて良い命などは存在しないのだ。
両方助ける。それが私たちにとって唯一の選択肢。他に選びようなどあろうはずもないのだから。

5シャルル ◆HTcbo8CpC2:2014/06/30(月) 23:28:01
>「1つ、アイネ先輩もご存知と思いますがこの都市の天使弱過ぎです。なんで欲求不満? だから先輩達とやりたいです。
 2つ、必ず勝てる相手と勝てるかどうか分からない相手どっちの方が魅力的ですか?
 もちろん、分からない相手ですよね。
 あと、私がトライブ化しないのは衝動と体質、定期的に魔人化することでトライブ化を防いでるっていうか……私的にはトライブになるも一興って感じですけどぉ。
 3つ、トム先輩の気持ちも嬉しいですけどぉ、愛した相手と殺しあう、ていうのもひとつの燃えって言うか――てか、あーそうかぁ……」

定期的に魔人化することでトライブ化を防いでいる――
体質によって差はあれど、アレルギー治療における減感作療法と同じような原理で
トライブ化を克服できる可能性があるというのか。
だとすればそれはアタシ達にとって大きな希望である。
もし彼女を降参させる事が出来たらその辺りについてじっくり聞きたいところだ。

「先輩、これなんだか分かります? これね、小さいですけど爆弾の起動スイッチです。
 えっとですね、こういう事態を考えて、この都市に爆弾を仕掛けました。一個でこの都市の半分が吹き飛ぶヤツを、あ〜、何個でしたっけ。
 ま、とにかく沢山仕掛けました。あ、でも見つけても解除しないでくださいよぉ。触れた瞬間、BOM!」

そう言ってカミラは爆破スイッチを握りしめてみせる。

「ぎゃああ!」

手を開く。幸いスイッチはまだ押されていない。

「もう、からかうんじゃないの! 物騒な物で遊ぶのはやめなさい! 今すぐそれ離して!!」

「少しでも爆弾内部に異物が入り込めば問答無用でBOM! 外部から振動を与えてもBOM! 動かしてもBOM!
 信管を破壊しようとしてもBOM! コードを切ろうとしてもBOM! ていうか触れようとした瞬間BOM!
 そんな危険極まりない爆弾の起動スイッチがこれです。ていうか今時スイッチって、ま、いいです。で、これをですね……」

「押すなよ? 絶対押すなよ!?」

力付くで止めようにも、刺激を与えたらはずみでスイッチが押されかねないのでうかつに近づけない。
慌てるあまりコントのような言葉が出る始末である。

6シャルル ◆HTcbo8CpC2:2014/07/01(火) 20:29:33
>「ごっくん! はい、飲んじゃいましたー! あと48時間、これが爆発のタイムリミットです。
 このスイッチは飲まれた後、私の内臓に癒着します。つまりぃ排出されずに体内にとどまり続けるって事ですねぇ。
 でぇ、スイッチは私の心臓の鼓動を絶えずモニターしてます。48時間、私の鼓動が続いていれば爆弾はBOM!」

「飲んじゃいましたー!じゃないわよ! それどっちにしてもあなた死ぬじゃない!」

アタシ達が人生最後の対戦相手ということか。全くもって狂っている。
どちらにせよ最初からタイムリミットはあった。
実のところ、仲間のトライブ化を避けるためには最悪殺さなければならないと思い始めていたところだ。
しかし、それでは相手の思うつぼだった事がこれでよく分かった。

>「ね? これで先輩達の動機付けが出来ましたねぇ。私の心臓を止めないとこの都市は吹き飛んじゃいます。
 今から全住人の避難を開始しますかぁ? 48時間以内にぃ? あは、間に合いませんよ?
 先輩達だけなら出来るでしょう。でも住人の皆さんに罠を潜り抜けられますかぁ? そとのガトリング砲は? 地雷は?
 ねぇ? 一番手っ取り早いくて現実的な方法、先輩達も分かるでしょう?」

言葉巧みに模範解答へと誘導するカミラに、アイネが毅然と珍解答を提示する。

>「方法は他にもあるですよ。お前を捕まえてスイッチを無理にでも吐き出させ、服従させる事。
 ひとつ、生死を問わないバトルではない……そう、ゲームをしようですよ」
「ルールは簡単、カミラは私たちから48時間逃げ切れば勝ち。それ以前に拘束されたら負け。ですよ。
 カミラは全力を出して戦って構わないですよ。でも私たちは全力ではない、あくまであなたを捕縛するですよ」

こんな珍解答を出すのは天才と馬鹿ぐらい。それがデビチルクオリティ。

「捕縛する動機ならある。
自分では意識してないでしょうけどあなたは全デビチルの希望になるかもしれない個体なのよ。
死んでもらったら困る。トム君も……そうよね?」

トム君にとってはファーストキスの相手だし、理由は違えど生け捕りに賛成してくれるはずだ。
爆弾の摘出については、ヴィエナに連絡を取れば何とかなるだろう。
改造人間やらを作りまくっていたぐらいなのだから、爆弾を摘出する程度の医療技術はあるはずだ。

7トム ◆GAazGNP2wQ:2014/07/03(木) 15:13:10
>「1つ、アイネ先輩もご存知と思いますがこの都市の天使弱過ぎです。なんで欲求不満? だから先輩達とやりたいです。
 2つ、必ず勝てる相手と勝てるかどうか分からない相手どっちの方が魅力的ですか?
 もちろん、分からない相手ですよね。
 あと、私がトライブ化しないのは衝動と体質、定期的に魔人化することでトライブ化を防いでるっていうか……私的にはトライブになるも一興って感じですけどぉ。
 3つ、トム先輩の気持ちも嬉しいですけどぉ、愛した相手と殺しあう、ていうのもひとつの燃えって言うか――てか、あーそうかぁ……」

「1つ!どぅーあーかーらこの都市のじゃねえで他の都市の天使と戦えっちゅーとるやろうが!
2つ!何で勝てるといいきれんだお前は!あれか、達人か!戦いが始まった瞬間結果がわかるんか!
3つ!!…………ありがとう、いや、その…でもあれだ、俺達、お互いの事知らんし、それにほら、あれ不意打ちだし…」

などとごにょごにょと言っている俺を無視し、カミラと先生らの話は続く。

で……

>「ね? これで先輩達の動機付けが出来ましたねぇ。私の心臓を止めないとこの都市は吹き飛んじゃいます。
> 今から全住人の避難を開始しますかぁ? 48時間以内にぃ? あは、間に合いませんよ?
> 先輩達だけなら出来るでしょう。でも住人の皆さんに罠を潜り抜けられますかぁ? そとのガトリング砲は? 地雷は?
> ねぇ? 一番手っ取り早いくて現実的な方法、先輩達も分かるでしょう?」

「はえ!?」

何かカミラがすげえ厄介な爆弾を起動させてしまった。
カミラを殺さなければその爆弾は止まらないらしい。

………いや、ちょっと待て、それ、確かにさ、こう、理屈的に戦う動機づけはできっけど、何かすごい盲点がある気がするんだが、それ。
うん、あれだ、カミラと戦わなきゃならんのはわかったよ。
けどこう…何か引っかかるというか、別の事故が起こりそうというか…。

……爆弾、人近づいたら爆発すんだよね?
で、都市半分吹っ飛ぶんだよね?

>「ルールは簡単、カミラは私たちから48時間逃げ切れば勝ち。それ以前に拘束されたら負け。ですよ。
 カミラは全力を出して戦って構わないですよ。でも私たちは全力ではない、あくまであなたを捕縛するですよ」

>「捕縛する動機ならある。
自分では意識してないでしょうけどあなたは全デビチルの希望になるかもしれない個体なのよ。
死んでもらったら困る。トム君も……そうよね?」

「あの…お取込み中大変申し訳ないのですが、俺気づきました。」

ぴよっと手を挙げて意見する俺。
どうしたトムとみんなの視線が俺に集まる。

「爆弾…人近づいた時点で爆発するんすよね?
……鬼ごっこの最中にあるのわからんで近づいたり、民間人が間違って外出て引っかかったりするんじゃないっすか?
それ。
いや、そう言う危険の無いとこに仕掛けたっていうかも知んないけど、俺達わりかしどこでも入って行くからカミラと戦う前に爆弾起爆させてTHEENDになる可能性大じゃないか?」

「それも含めて危険なゲームだから早くしなければやばいって事じゃないのかね?」

俺の疑問の声に、風呂の方からおっさんが応えてくれた。
あーなるほど、そりゃあヤバイやー……。

……。
俺は速攻銃を引き抜き、カミラめがけて撃ちまくった


「このアホおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ヴぁあああああくだんまああああああああああああああああ!!」


叫びながら、俺はカミラめがけてレーザーじゃない普通の銃を連射した。
どーせ防弾着来てるだろうし、当たったって4〜5発で死ぬわけねえし死んでも自業自得!!
っつーかどうせ当たらん!!
兎に角、俺はこのイカレポンチにブチ切れてしまった。

ぜってーヤバイじゃん!ちびっこがこっそり脱出して爆弾をこれなんだろーとか言って迂闊に近づく未来が見えるじゃん!!
ヤバイってば!!ちくしょお!

8カミラ ◆2OaXGIMc2E:2014/07/08(火) 02:11:58
>「方法は他にもあるですよ。お前を捕まえてスイッチを無理にでも吐き出させ、服従させる事。
  ひとつ、生死を問わないバトルではない……そう、ゲームをしようですよ」

 「はいぃ?」

 あまりに予想外の答えに思わず間抜けな声が口からもれる。

 もしかして私、舐められちゃってますぅ? 舐めプ? 舐めプですか?
 そんな言葉が一瞬口から出掛かるが、即座に飲み込む。

 私を殺さずに捕まえて、服従させカプセルを吐き出させる、アイネ先輩の人ならそれがどれだけ無理難題か分かるはずだろう。

>「ルールは簡単、カミラは私たちから48時間逃げ切れば勝ち。それ以前に拘束されたら負け。ですよ。
  カミラは全力を出して戦って構わないですよ。でも私たちは全力ではない、あくまであなたを捕縛するですよ」

>「捕縛する動機ならある。
  自分では意識してないでしょうけどあなたは全デビチルの希望になるかもしれない個体なのよ。
  死んでもらったら困る。トム君も……そうよね?」

 これ、は……先輩2人のなんとも予想外の答えですねぇ。
 予想すらしていなかった珍回答に私は苦笑いするしかない。そしていつしか苦笑いは満面の笑みへ変わっていた。

 先輩は言った、殺す気はない絶対に捕縛してみせる、と。
 私の誘いに対して、明確な拒否を示した。

 だけど、いや、だからこそ先輩達と殺し合ってみたい。難易度が高ければ高いほどに私は燃える性質なのだから。

 『じゃあ殺し合おう』

 そう素直に言われるよりも胸が高鳴り、息が荒くなり、期待に気分が高揚する。
 あぁ、なんて素敵だ。なんて素晴らしい先輩達なんでしょう。

>「あの…お取込み中大変申し訳ないのですが、俺気づきました。」

 私がトリップを決めている最中、唐突にトム先輩が手を挙げ言葉を発する。

9カミラ ◆2OaXGIMc2E:2014/07/08(火) 02:13:54
>「爆弾…人近づいた時点で爆発するんすよね?
  ……鬼ごっこの最中にあるのわからんで近づいたり、民間人が間違って外出て引っかかったりするんじゃないっすか?
  それ。
  いや、そう言う危険の無いとこに仕掛けたっていうかも知んないけど、俺達わりかしどこでも入って行くからカミラと戦う前に爆弾起爆させてTHEENDになる可能性大じゃないか?」

>「それも含めて危険なゲームだから早くしなければやばいって事じゃないのかね?」

 あ〜、そういう細かな設定考えてませんでしたねぇ。
 私の考えじゃそれを聞いた先輩達が怒って即戦闘開始になる展開しかなかったんでぇ。

>「このアホおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ヴぁあああああくだんまああああああああああああああああ!!」

 そうそう、こんな風……に!?

 トム先輩の叫びと共に撃ち出された弾丸は私の身体に容赦なく叩きつけられる。
 言葉を発することすら許されず、身体に一発受ける度に衝撃と共に後ろへよろめく。
 それを数度繰り返し、私は壁に貼り付けにされ、そして倒れた。

 瞬間的にDLした防弾チョッキは身に纏う状態で送られてきたので致命傷はなんとか防げた。
 しかし、衝撃を完璧に殺すことは出来なかった。
 肋骨の何本かには亀裂が入り、内臓にも多大なダメージを与えていた。だが……。

「うふ」

 私はもうすでに、そんなことはどうでも良かった。

「うふふふふふふふふふ、あは、あはははははははははははははは」
 笑いと共に口から血が溢れる。身体に走る痛みを意に介さずゆっくりと起き上がる。
 起き上がると同時に身体に変化が起こる、湾曲した角が現れ、鱗が走り、翼が生える。
 ああ、いけない、と思った時にはもう遅い。悪い方向にスイッチが入ってしまったのだ。

「Amazingですよトムせんぱぁい! 最高の宣戦布告をありがとうございまぁす!」

 両手に二本の軍刀をDLし、構える。
 
 今回はお話だけで済まそうと思ったけど、あぁこれは駄目です我慢できません!
 お腹が減ってきゅーきゅー鳴っている時に、ご馳走出されて我慢できます? 出来ないですよねぇ! そうですよねぇ!

「戦術赤熱!」

 私が叫ぶと持った軍刀の刀身が熱を帯び真赤に染まっていく。
 刀身の耐久ギリギリまで熱を与え、『焼く』と『切る』を同時に行う兵器とする。
 単純に攻撃力を上げるのみならず、これに切断された部位はもう二度とくっつける事が出来なくなる。

「こうなった責任取っちゃってくださいねぇ! IReally Like You! トムせんッぱぁああああい!」

 そう叫びながら私はトム先輩に飛び掛った。

10アイネ ◆ch6TRNt0B6:2014/07/14(月) 20:16:36
>「あの…お取込み中大変申し訳ないのですが、俺気づきました。」

緊張する空気の中、トムが声をあげる。
彼が気付いたのは、今もって爆弾が不用意に誤爆する恐れがあるということだった。
その可能性は最初から頭に入っている。ここの住民がどう動くのかは予測出来ないのだ。
48時間とは言われたが、実際には丸一日が限界だろう。その前に彼女を説得出来るかどうか。
街を半壊させる爆弾……ひとつでも爆発したら、おそらく他も誘爆するに違いない。
そうなったらこの街も、住民の命もおしまいだ。一刻も早い解決が望まれるだろう。

さて、その危険に気付いたトムは、迷うことなく銃を取り出し発砲した。
迷いのない不意の行動。これにはさすがにカミラも反応出来なかったのか、避ける事は敵わずまともに銃弾を浴びる。
しかし相手もさる者。どうやら防弾チョッキで防いだようだ。あれ、そんなもの着ていたっけ?
カミラは銃撃の衝撃で後ろへ叩き付けられ、床に崩れ落ちる。
だがそれも一瞬。あれほどのダメージを受けながらも、彼女は笑いながら平然と立ち上がる。
どれほどの精神力が彼女を支えているのだろう?戦闘衝動が彼女を駆り立てているのか。
立ち上がりながら、カミラの体に異変が起きる。あれは紛れもなく魔人化だ。

>「Amazingですよトムせんぱぁい! 最高の宣戦布告をありがとうございまぁす!」

内なる戦闘衝動がそうさせるのだろう、魔人化したカミラは軍刀を呼び出し、構える。
しかしあの武器をDL出来る装備は本当に便利そうだ。あとで科学者連中に発注してみよう。
そんなことはともかく、現状は最悪だ。魔人化した彼女に真っ向から立ち向かうのは危険である。
しかも彼女の持った軍刀、見る間に赤く染まっていく。肌に熱気が感じられた。
先ほどの炎の壁と言い、カミラの能力は炎系?いずれにしても、あんなものを食らったらただでは済まない。主にトムが。
傷口を焼かれてしまったら、瞬時に肉体の再生が可能なトムでも回復に時間が掛かるであろう。
もちろん、再生能力のない私たちが食らったら洒落にならないこと間違いなしだ。
どうする?水を大量に集めて熱を奪うか?否、そんな大量の水は魔人化しないと手に入らない。

そんな事を考えているうちに、カミラの狙いはトムへと定まったらしい。一直線に向かって来る。
……考えるより先に体が動いていた。
トムとカミラの間に体を割り込ませ、先ほどの血で作った短剣で軍刀を受け止める。
一瞬で血の短剣は蒸発。やはりあの程度では無理だったか。
即座に判断し、自分より図体の大きいトムの体を抱え後ろに跳ぶ。
後はシャルルが何とかしてくれるはずだ。そう願いつつ、私たちは家から転がり出た。
狭い室内での戦闘は何かと問題が多い。罠の存在が心配だが、外で迎え撃つ方が良いだろう。

ふと振り返ると、今出てきた家のすぐそばに井戸があった。
これはちょうど良いかも知れない。大量の水が確保出来れば、あるいは勝てる可能性があるのだから。
まぁ、仮定の話である。とりあえず私は井戸の前に立ち、ありったけの水を吸い出し始めた。
吸い出した水は球体となって私の周りを飛び回る。バスケットボール程の大きさのそれは、五、十、更に増えていく。
こうなったら物量で勝負だ。その気になれば私は一トン以上の水を自在に扱うことが出来るのだ。

11シャルル ◆HTcbo8CpC2:2014/07/16(水) 14:04:51
>「Amazingですよトムせんぱぁい! 最高の宣戦布告をありがとうございまぁす!」

トム君が不意打ちを決めるが、カミラはそれに大興奮。
いきなりヤバそうな技を発動してきた。

>「戦術赤熱!」

軍刀の刀身が加熱されて真っ赤に光る。燃え上がる情熱はもう誰にも止められない!
しかしトム君にこのアプローチは過激すぎて焼け死んでしまう。

>「こうなった責任取っちゃってくださいねぇ! IReally Like You! トムせんッぱぁああああい!」

とっさにアイネが割って入り、血で作った短剣で応戦。トム君を抱えて飛び退る。
すかさず追撃しようとするカミラだが……

「snou cone!」

頭上から大量の雪を落として足止めする。
少年漫画にありがちな異能バトルというのは能力の定義に当てはまってさえいれば謎の屁理屈がまかり通るジャンルだが、それはこの世界でも例外ではない。
大量の雪に見える物は実はかき氷。かき氷も立派なお菓子の一種なのだ。
外ではアイネが、井戸の水を利用して迎撃の準備を整えていた。
アイネの能力は大量の水が調達できれば魔人化しなくてもかなりの威力を発揮できる。
もしかしたらこれを狙って外に出たのかもしれない。
アタシは大鎌を持つ漆黒の魔人へと変化する。

「アイネ、軍刀の冷却を頼んだ! そこをアタシが叩き潰す!」

熱した金属を水等で急激に冷やすと、切れ味は鋭くなる反面極端に脆くなるという。
大鎌は当然刃物だが、刃の面で切り結ぶのではなく腹で叩き潰すように使ってやれば鈍器としても十分通用する。
何とも大ざっぱな作戦だが、もしも武器ダウンロードの個数制限があって途中で打ち止めになってくれれば儲けもの。
無制限だったとしても今考えている時間はないのでその時はその時だ。

12トム ◆GAazGNP2wQ:2014/07/21(月) 12:59:08
>「Amazingですよトムせんぱぁい! 最高の宣戦布告をありがとうございまぁす!」

「やっぱ駄目か畜生!」

俺の放った銃弾はカミラに何発も命中するが、やっぱり奴には通じない!
変な遠慮せずレーザー使えばよかったんだ畜生。

>「こうなった責任取っちゃってくださいねぇ! IReally Like You! トムせんッぱぁああああい!」

「No I don`t KURUNAAAAAAAAAA」

英語の成績2のため何を言ってるかわからんが、とにかく英語で何やら言いながら切りかかってくるカミラ。
俺は応戦しようと英語(?で応えながら手にした拳銃を撃とうとするが、さっき弾切れまで撃ってしまったのでカチカチ言うだけで弾が出ない!

…え?トム・ジリノフスキ―なんてもろ英名なのになんで英語がわからんのかって?
リンネの標準語は日本語だからさ。

と、そんな俺の前にアイネが登場!
俺の血の短剣でカミラの剣を受け止め、俺を抱えてその場からダッシュで脱出する!
アイネさんかっけーーーー!!
惚れちまうぜ!

アイネは俺を後ろにほっぽりだすと、自分は井戸から水を吸出し、戦闘態勢をとる。
中ではシャルル先生が魔神化!カミラに応戦を開始した!

……ん?待て待て、何で水道があるのに井戸があるんだ?
………芸術の都だから現代アート的な意味があるんだろう。

俺も今しがたまで使っていた銃を腰に戻し、別の銃を引き抜くが、カミラが早すぎて狙いが定まらない。

だが、俺にはデビチルの孔明たる天才的な頭脳(?がある!!

「アイネ!シャルル先生の氷が解けた奴が足元にたまってるだろうから、それを使ってカミラの足を滑らすんだ!!」

横のアイネの肩をたたいて床を指さしながら、俺は叫んだ。

どうでもいいが、こいつ、華奢な見た目と裏腹に、中身がずっしり詰まったように重い。
まるで銅像のようだ…。


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