■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
【SS】もこっち「マウンドの記憶?」
-
・クロスオーバー?みたいな感じのSSです
・ひとつの元ネタは『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』です
・もうひとつの元ネタは『マウンドの記憶―黒木知宏、17連敗の向こう側』です
・登場人物はわたモテのキャラのみ。程度の差はあると思いますがみんなキャラ崩壊気味です
・キャラ全員、『喪128 モテないし回る』までの記憶を持っている事とします
・それだと遠足後の話になっちゃうけど、岡ネモやゆりキバがどうなったかとかは今回関係ないので問題無いと思います
・長いです
-
(3-5教室にて)
ネモ「小宮山さんさあ、こないだ新クラスの自己紹介の時、ロッテの選手の…何だっけ?デパス?」
こみ「……?ああ、OPS(オプス)ね」
ネモ「そうそれ。全部暗記してるって言ってたよね」
こみ「うん、誰の成績でも空で言えるよ。根元さんは誰のが知りたい?角中?鈴木キャプテン?アジャ?(食い気味)」
ネモ「あ…ゴメンそれはいいや。プロ野球ってあんまり興味ないから」
こみ「あっ、そうなんだ…。そうか…、そうか……」
ネモ(すごい残念そうな顔してる…)
ネモ「ごめんね?小宮山さん。単に、そんなにたくさんのデータ暗記できるってすごいなーって思って」
こみ「へっ!?…いや、その、ありがと…///」
-
もこ「もっと有効な事にその能力を生かせよ…」
こみ「ああ!?なんだァ?てめェ…」
ネモ(クロ、小宮山さんとはふつうに喋るよね。仲良いのかな?)
もこ「…いやさ、朝の電車とか、新聞読んでるおっさんいるだろ?」
もこ「満員だし、そういうのが近くに立つ時あるだろ」
もこ「別に読みたいわけじゃないんだけど、近くに新聞あったらつい記事を目で追っちゃうだろ?」
ネモ「ああー、なんかわかる」
もこ「それでちょっと知ったんだけど、ロッテって今、クソ弱いんだろ?」
こみ「ーーーッッ」
-
もこ「そのー、オソマ?だっけ、よく知らんけど。成績の良い悪いを表す指標?なんだろ?」
こみ「ま、まあ、大雑把に言えばそんな感じだけど」
もこ「当然、悲惨な数字が並んでるんだろ?」
こみ「」
もこ「中学の頃にさ、ゆうちゃんの通信簿見ちゃった時あるだろ、覚えてる?」
こみ「…あったな、そんな事」
もこ「通信簿の1は都市伝説だと思ってたけど実在してたな」
もこ「あの時みたいな気持ちにならないのかなー、って思ったから」
-
こみ「…うるせえよ!強い弱いじゃねーんだよ!ロッテが好きなんだよ!」
こみ「好きな事についてだったら色々調べて覚えたりするだろ!」
もこ「まあ、わからん事もないけど…」
もこ(こいつ弟にストーキングとかしてねえだろうな…)
こみ「千葉にプロ野球チームができた事がどれだけ嬉しかったか!」
ネモ(千葉ロッテできた頃って私たちまだ生まれてなくない?)
こみ「地元に球団あったら応援するだろ!私はJリーグだとレイソルが好きだ!」
もこ(Jリーグはどうでもいいだろ今…)
ネモ(地元だったらジェフの方なんじゃ…?)
-
こみ「大昔は弱かったし今も弱いけど、そこそこやれてた時期もあったんだよ!」
ネモ(『強かった時期』とは言わないんだ…)
こみ「酸いも甘いも噛み分けて応援してんだよ!」
もこ「ガムの話だったっけ?」
こみ「ちげーよ!」
こみ「弱いときも強くなったときも!また弱くなったときも!全部引っくるめてのロッテファンなんだよ!」
こみ「確かに去年のロッテの色んな数字見てると頭痛がしそうな時もあるよ?」
こみ「それでも!悪い数字だけれども!それを見る事で次のシーズンに向けての改善点が見えたりするだろ!」
もこ「一ファンがそんな事考えたって何もできないだろ」
こみ「わかってんだよそんな事は!!」
-
こみ「別にロッテに物申してこうしろああしろとかそんな気はねーんだよ!…ほんのちょっとしか」
こみ「『こういう補強したら弱点が補えるのになー』とか妄想するのが楽しいんだよ!」
こみ「ハァ…ハァ……」
こみ「なんかごめん根元さん、熱くなっちゃって…」
ネモ「え?いいよいいよ。ちょっとわかるなーって部分も結構あったし」
こみ「ありがと、根元さん。だが…」
こみ「許せないのはコイツだ!」ビシィッ
もこ「指差すなや」
-
こみ「偶然か何かわからんが、うちのクラスはロッテの選手と同じ苗字の人が多い」
ネモ「そうなんだ」
こみ「例えば“小宮山”は千葉ロッテ最初期のエースピッチャー」
こみ「“根元”は内野全てのポジションに加えて外野もできるユーティリティプレイヤー、ルックスもイケメンだ」
こみ「だが“黒木”!お前どうして“黒木”なんだよ!!よりにもよってよォ!」
もこ「どうしてってそりゃ、親の苗字がそうだからに決まってんだろ…」
こみ「マジレスすんな!」
もこ(何かわからんが怒られた…)
こみ「さっきから口を開けばクソしょうもない正論ばっか吐きやがって…。ここはロッテ大松スレじゃねーんだよ!」
ネモ(大松スレ…?)
-
こみ「いいか!?ロッテファンにはなぁ…ロッテファンにとって“黒木”は特別な名前なんだよ!」
こみ「お前みたいなクソ虫が名乗っていい苗字じゃねーんだよ!」ドン!
もこ「何でそこまでdisられなきゃいけないんだよ…」
こみ「…黒木、この本をお前に貸してやる。返すのはいつでもいいけど、ちゃんと読んでから返せ」
ネモ「なんてタイトル?…『マウンドの記憶』?」
こみ「すごくいい本だよ。私は五冊ストックしてる」
ネモ「五冊!?」
-
こみ「一番ダメージが少ないやつが保存用、自分が読む用が一冊、残りは予備兼布教用。今黒木に貸したのは布教用」
もこ「なんでそんなもん常に持ってんだよ…」
こみ「牧師が聖書を持ち歩くのは普通だろ?」
もこ(何言ってんだこいつ)
こみ「この一冊はこれからこいつに貸しちゃうけど、根元さんも興味あったら言ってね。予備持ってくるから」
ネモ「あ、うん、そのうち」
こみ「いいな黒木!絶対読めよ!」
-
(もこっち帰宅。自室にて)
もこ「めんどくさい事になったな…」
もこ「野球とか全然興味ないのにどうすりゃいいんだよこの本…」
もこ「読んだって嘘付いて返すか…。でもなぁ」
(こみ「おっ、読んだのか。じゃあちょっと感想聞かせて」)
もこ「とか言い出すだろうしなあ」
もこ「一応全部サッーと目を通して、ちょっとした感想くらいは言えるようにしとくか…。めんどくせえ…」
-
もこ「とは言え、野球はルールも用語もわからんからな…。スマホをWikipediaにして…っと」ポチポチ
もこ「わからん用語はこれですぐ調べられるようにしとこう」
もこ「さて、じゃあ読むか…。気ぃ乗らないが…」
もこ「正式なタイトルは『マウンドの記憶―黒木知宏、17連敗の向こう側』、著者は平山譲、全然知らん…」
もこ「そこそこ年季入ってる本だけど、いつ出た本なんだ?奥付は…っと」
もこ「2000年8月28日初版発行?結構古いな…」
もこ「私がお母さんの胎内にいた頃…下手したら卵巣とキン○マにいた頃だな」
もこ「この黒木ってやつ、けっこうイケメンだな。こみなんとかが特別入れ込んでるんだろうな。なんかキレてたし」
もこ「“くろきとも”まで私と読みが同じ…」
もこ「私と弟の名前、こいつが由来なんじゃ…?まさかな…」
-
もこ「サヨナラ負けって何だ…?」スマホポチー
もこ「『後攻チームが、最終回または延長回の攻撃において、決勝点を上げると同時に終了する試合』がサヨナラゲーム」
もこ「相手が点入れた瞬間に負け確になったって事か。それはヘコむな」
もこ「体力僅差でタイムアップ直前にぷっぱ食らって判定負けになる感じか」
もこ「黒木は抑えやりたくないんだな。新人の頃に4回やって全部負けとか、そりゃダメだわ。向いてない」
もこ「こいつ“ジョニー”ってあだ名なのか。“黒木”だと自分に言ってるみたいでアレだし、私もそう呼んどこう」
もこ「興味が大してないものをいちいち調べながら読むのってダルいな…」
もこ「晩飯食ったあとだし眠い…、あっ寝そう、寝…」
-
??「…ニー、ジョニー。起きてよ」
もこ「…ん〜、んん?寝ちゃってたか…」
清田「やっと起きた。オギーが職員室来てくれってさ」
もこ「あ、わ、わざわざ、どうも…。ジ、ジョニーって、何?」
清田「ジョニーだからジョニーなんじゃん。じゃあ俺、帰るから」テクテク
もこ「????」
もこ(わけわからん…というか、自宅で寝落ちしたような気がするけどここ学校だな)
-
もこ(…ああ、ジョニーって、黒木知宏のあだ名のジョニーか)テクテク
もこ(リア充グループの奴らは私をそう呼んでるって事か)テクテク
もこ(何がジョニーだよ…名前の途中まで同じってだけじゃねーか。ナメやがって…)テクテク
もこ(あ、職員室着いたわ)
もこ「失礼しまーす…」ガラララッ
荻野「……」
もこ(何かすごい落ち込んでんな…。デリカシー0でもこういう時あるのか)
荻野「…ああ、黒木」
もこ「す、すいましぇん。教室で寝てて、呼ばれたって気付きませんでしたっ」
荻野「…ああ、大丈夫。私が直接清田に言伝てしたの。校内放送で呼んだわけじゃないから」
-
もこ「あ、あのー、わたひ、何かやらかしましたっけ…?」
荻野「いや、そういう話じゃないのよ。私から黒木にお願いしたい事があって呼んだの」
もこ「は、はあ」
荻野「…黒木、クローザーになってほしい」
もこ「……えっ!?」
荻野「黒木が先発で頑張ってるのは私も嬉しく思ってる。成績も伴ってるし」
もこ(こいつが何言ってるのか根本的にまったくわからない)
荻野「…知っての通り、3-5は今5連敗中。しかも昨日一昨日と二日連続の逆転負けだった」
荻野「この連敗の最も大きな要因は、中継ぎと抑え」
荻野「連敗中、二番手以降で出した投手が漏れなく失点してる。全員ね。崩壊してると言っていい」
もこ(……ああ、これ、夢だな。夢見てるんだ)
-
荻野「先発投手はみんなゲームを作ってくれてる。中継ぎが崩れて逆転された試合もあるし、申し訳なく思ってる」
荻野「今の状況で勝ちにいくとしたら先発に完投してもらうしかないけど、そうなると先発陣の負担がとても大きくなってしまう」
荻野「次善の策として、先発から一人クローザーに回ってもらおうと考えたのよ」
荻野「先発に行けるとこまで行ってもらって、その後は信頼できる投手に託す」
荻野「私は黒木が適任だと思ってる。黒木しかいない。どうか受けてほしい」
もこ(夢にしたってどういう状況なんだよこれ…。あの便所コオロギに押し付けられた本のせいで見てんのか?)
もこ(クソ教師の性格的に、首を縦に振るまで延々説得されそうだな…。夢なんだし、テキトーに返事して終わらせよう)
もこ「わかりました。頑張ります」
荻野「ありがとう。きついかもしれないけど、連敗を止めるまでの一時の事だから、なんとか我慢してほしい」ペコリ
-
(翌日、運動場のはしっこ)
もこ(くそっ…夢だとわかってるのに目が覚めん。明晰夢ってやつ体験したいって思ってたけど、何でこんな夢でなんだ…)ビュンッ
もこ(どうにもならないっぽいし、今どういう状況なのか調べてみたけど…)パシッ
もこ(どうも原幕の三年がクラスごとにチームになって、野球のリーグ戦やってるらしいな…)ビュンッ
もこ(しかも試合は公開されてて、保護者や近隣住民がわんさか観戦に来てるっていう…なんだこのクソ設定)パシッ
もこ(…まあ、夢だとわかってればそれを逆手に取ることも可能)ビュンッ
真子「投球練習、この辺までにしとこうか、黒木さん」パシッ
もこ「あ、うん、そうだね。じゃあこれラストね」
もこ(今の私の野球力はプロ並みまで上がっている…夢だからこの位よゆうよ、よゆう)ビュンッッ
真子「今日はすごく球走ってるね黒木さん!」パシッ
もこ(…思う存分、ヒーローになっちゃいますか!)ニヤッ
-
もこ(とは言え、今日は…)
真子「今日の二木さん、絶好調だね。8回まで無失点だよ」
もこ「ああ、うん。そうだね」
もこ(ポテンシャルさん、このまま完投しそうだな…。出ないでいいなら出ないに越した事はない)
清田「ジョニー!」
もこ「おわっ!えっ、何?」
もこ(いちいち気にしてても仕方ないし、ジョニー呼びを受け入れよう)
清田「オギーから伝言。次の回から行くから準備しといてね!ってさ」
もこ「へ?」
-
(最終回のマウンド)
もこ(クソッ、クソッ!ポテンシャルさん完璧だったじゃねーか!完投させとけよクソ教師!)
もこ(しかも実際出てきてみたら思ってた以上のプレッシャー…今グラウンドにいる全員から注目されてるもんな…)ゾクッ
もこ(……)ブルブル
荻野「黒木、ゴメン。二木はベストピッチだったけど、球数がちょっと多い。9回もそれまでと同じようにいけるか不安だった」
荻野「それに2点勝ってる。クローザーとしての黒木を試すにはいいチャンスだと思ったの」
もこ「はい(上の空)」
荻野「それじゃ、あと3アウト、任せたわね」バチン☆
-
(数十分後、校舎裏)
もこ「クソがぁあああああ!!」(その辺の物に当たる音葉)
もこ(打たれまくった!3点取られた!)ドカッ
もこ(夢でも緊張はどうにもならねーし!夢だから身体能力上げてみたら敵の強さもそれに合わせてくるとか!ロマサガかよ!)バキッ
もこ(よく考えたらそりゃそうだわ周りも上がってなきゃガチレズさんが150キロとか捕れるわけないもんなあ!)ドボォ
ネモ「うるさい!…なんだクロか」
もこ「!」
もこ(ネモが居たのか…)
もこ「…ごめん。今日はもう帰って横になるわ…」トボトボ
ネモ「……」
-
(もこっち自室)
もこ「……」
スマホくん「とぅるるるるるる(迫真)」
もこ(…着信?こんな時に誰だよ)
もこ「…ゆうちゃんか。出とくか」
-
ゆう『それで負けちゃったんだ…』
もこ「うん…」
ゆう『…ねえ、もこっち』
もこ「うん?」
ゆう『もこっちしか居ないって言われて、クローザーに回されたんでしょ?』
もこ「うん…」
ゆう「もこっちを責める人なんて、いないよ。今日の事は、もう忘れちゃおうよ!」
もこ「……忘れる、か。そうだよね、それがいいか」
-
(翌日の試合、最終回のマウンド)
もこ(マジで毎日試合やってんだな…学生の本分とは)
吉田「…おい、聞いてんのか?」
もこ「あ、ごめん」
もこ(今日のキャッチャーはヤンキーさんか…ってなんか顔がすごい事になってる!)
もこ「よ、吉田、さん?」
吉田「何だ?」
もこ「左のほっぺためちゃくちゃ腫れてるけど、だ、大丈夫なん?」
吉田「ああ、これか?おととい顔にデッドボール食らっちまってな」
もこ(喧嘩じゃないのか…)
-
吉田「気にすんな、ちゃんと見えてっから。テメーの球は全部捕ってやる」
もこ(いや、見えてないだろこれ…。今右手でFU●Kポーズやってるのに全然気付いてない…気付く前にやめとくか)
吉田「もし捕れないにしても、身体で止める。全部止める」
もこ「誰かにキャッチャー交代してもらった方が…」
吉田「…5組の捕手は全部使い切っちまった。もう私しかいねーんだ」
吉田「テメーだって他にやるヤツがいねーから抑えに回ったんだろーが。おんなじだ、おんなじ!さっさと投球練習すっぞ!」
-
主審「プレイ!」
もこ(投球練習、全部違うコースに違う球種投げたけど、ホントに全部捕ってたな…)
もこ(見えてるのか見えてないのかわからんが、すげーなヤンキーさん)
もこ(人が大勢いるプレッシャーは…だいぶ慣れたな。昨日よりは随分マシに感じる)ビュンッ
吉田「!」パシッ
吉田(高めに抜けやがった!しかもいつもよりキレがねえ…)
吉田「テメー黒木!力み過ぎだバカ野郎!」ビュン
黒木「あー、ごめん…(上の空)」パシッ
吉田(私の心配してる場合じゃねーだろアイツ…)
-
主審「ストライク!バッターアウッ!」
吉田「おっしゃ!ツーアウトだあと一人!」
吉田(あのヤロー相変わらず力みっぱなしみてーだが、何とかここまで来れたな)
吉田(ランナーは一人。もしヒット打たれてもまだ同点だ…大丈夫、負けねー!勝てる!)
-
主審「ファール!」
もこ(当ててんじゃねーよクソが!最高のストレート投げたってのに…)
もこ(でもこれでツーストライク、あと一球で終わり…)
吉田(今のはいい球だったな…もう一回あそこにあれを放れば、多分当てられねー)
吉田(黒木、今のだ!最高のストレート、さっきとおんなじ所に投げろ!)クイッ
もこ(さすがヤンキー、こういう度胸は座ってんな…。私もそのサインが欲しかった!)
もこ・吉田(この一球で…終わらせる!!)
-
もこ「」
吉田「……すまねえ」
吉田「…まさかホームランになるとは思わなかった。私のミスだ、すまねえ」
もこ「」
吉田(聞いてねーのか…)
吉田「私は教室戻る。じゃあな、また後で」スタスタ
もこ「……」
もこ(…気付いたら、3-5の連中もう誰も居ないな。さっさと教室に引き上げたのか)
もこ「…こういう時はぼっちって便利だな」
もこ(合わせる顔が無いもんな…)
-
(教室)
荻野「…みんな、今日もお疲れ様」
荻野「苦しい試合が続いてる。今一番欠いているのは運だと思うけど、他にも色々足りてない」
荻野「本来なら吉田は顔の腫れが引くまで出すべきじゃないのはわかってる。今日出てもらうハメになったのは私の采配ミス」
吉田「……」
真子「先生」
荻野「なに?」
真子「黒木さんの起用法は、このままでいいんでしょうか…?」
荻野「…起用法は変えない。クローザーは黒木でいく」
真子「……」
荻野「それにしても…、うちの勝利の女神は、どこ行っちゃったんだろうね」
-
(数日後、運動場のはしっこ)
もこ「今日のネモいいな…」
真子「そうだね。延長10回まで投げきって一失点はすごいよ」
もこ(…もう私じゃなくていいだろ、連敗止めるのは)
もこ(あれから私は試合出てないけど、その間も全部負けてる。連敗は9まで伸びた)
もこ(ネモでいいんだよネモで。連敗止めてくれよ)
-
主審「ストライクバッタアウッ!チェンジ!」
キバ子「あー、この回もダメかぁ。ちょっと野手だらしなくない?」
清田「おーい南さーん!出ろって」
キバ子「え?あーし!?」
清田「左バッターが続くからねーおなしゃーす!」
キバ子「ええー…」
もこ(何驚いてんだコイツ…。サウスポーお前しかいないんだから心の準備しとけよ…)
-
もこ(連敗ストッパー、もしくは大台2ケタ10連敗の栄誉はお前にやるよ、キバ子)スタスタ
清田「あっジョニーどこ行ってたの!」
もこ「いや…トイレに」
清田「まあいいや、今すぐ準備してよ!」
もこ「はぁ!?キb…南、さんは?」
清田「先頭打者抑えたけど次に打たれた!ワンナウト三塁!」
もこ(あのボケェエエエエエ!!)
-
(11回表のマウンド)
もこ(確かこのバッター、めっちゃホームラン打ってる奴だよな…。敬遠気味に行くしかないか…)
もこ(……)ビュンッ
主審「ボールフォア!」
もこ「…これは、しゃーない」
もこ(次の奴は…代打か。知らない奴だな…)
もこ(そうだ、知らない奴だ…知らない奴なんかに打たれてたまるか!)
-
もこ「ファースト!」
塁審「アウト!」
もこ「ふぅ、やったぞ…」
もこ(内野ゴロならゲッツー取りたかったけど、あそこに飛んだら無理だよな。アウト一つ稼げただけでも良しとしないと)
もこ「あと一人…!」
-
主審「ボー」
もこ「振ってたろ!!(半ギレ)」
主審「…」チラッ
塁審(スイングのジェスチャー)
主審「…ットラーイク!」
もこ「っし!」
もこ(カウント2-2、追い込んだ…!)
もこ(こいつにはここまでスライダー投げてない…スライダーで決める!)
もこ「っらあ!!」ビュンッッ
-
主審「スt…ボールッ!!」
もこ「何でだよ!!」
荻野「黒木!落ち着けー!」
主審「ボール」
もこ「チッ…(舌打ち)」
もこ(ストライクって言いかけてたじゃねえかよ。腕だって半分上げてたろ…!)
もこ(もう一球投げろって言われても投げれないくらいの最高のスライダーだったろ…!)
もこ「……」(ロジンを掴む音葉)
もこ(そんなに連敗させたいのかよ…。かわいそうだと思わないのかよ…)
もこ(それなら…こっちも開き直らせてもらうからな!)ビュンッッッ!!
-
もこ(真中中央ストレート!打つなら打てよ!!)
(打ち損なった音葉)
もこ(打ち取った!)
吉田「よっしゃ!ボテボテだ!!」
荻野「勝てる…、勝てるんだ!」ガッツポ
もこ「サード!!」
-
(女子トイレの個室内)
もこ(安藤は裏切るからな…。いや、絵の描ける安藤はサードやってただけで別に悪くないが…、悪いのは運だが…)
もこ(これを打ち取ったら10連敗を免れる、最後の一球)
もこ(150キロで投げた直径65ミリの玉ころ、直径70ミリの棒切れで打ち返して)
もこ(27メートル先にある38センチ四方のベースに当たってヒットになるって、どんな確率だよ…)
もこ(内野安打になって同点にされて、その後さらに打ち込まれた……)
もこ「10連敗か……」
もこ「神様って、いるのかよ…?」
-
(トイレを出てすぐの廊下)
真子「黒木さん、なかなか出てこないね…」
ゆり「そうだね…」
もこ「……」トボトボ
真子(やっと出てきた…)
ゆり「……」スタスタ
(もこっちの肩を叩く音葉)
もこ「……」
ゆり「……」スタスタ
真子「ちょ…待ってよゆり!…ごめん黒木さん、私たち、帰るね」
もこ「……」
真子「……」スタスタ
-
(数日後、職員室)
荻野「辛かっただろうけど、もう抑えは終わりよ。…すまなかった、黒木」
もこ「…いえ」
荻野「私も高校時代ピッチャーだった。自慢になっちゃうけど、校内では敵無しだと思ってた」
荻野「何十回と先発して、何十回も勝った」
荻野「でも抑えでは、ダメだった。何回か投げたけど、成功したのはたった1回」
荻野「すごいプレッシャーを感じたわ、荒れたマウンドに向かう時は」
荻野「自分じゃ務まらなかったことなのに、黒木に強いてしまった。本当にゴメン」
もこ「……」
荻野「次は、クローザー黒木じゃなくて、スターター黒木と心中するわ。最終回だけじゃなく、試合全部を、任せる」
荻野「先発だと、次の登板予定日は…7月7日、七夕の日ね。調整、頼んだわよ」
-
もこ「失礼しました…」ガラララッ
もこ「……」トボトボ
もこ(やっと抑えの役目から開放された…)
もこ(こんなに辛い夢ってなんだよ…。明晰夢なんてもう絶対試さないからな…)
もこ(リア充グループの誰だったかの提案で、近くの神社に厄払い行くって言ってたな…。そこまでしなきゃ勝てないのかよ…)
もこ「さびしいよな…」
うっちー(何かボソッと独り言言ってる…キモイキモイキモイ)
壁の学校新聞『神も見放した 勝てない3-5 15連敗』
-
(グラウンド一塁側、3-5用のスペース)
もこ(7回までに10失点、こっちは3得点。今日もダメっぽいな…)
もこ(サッカーだったらファンが暴動起こすな…フーリガンこわい)
もこ(これ負けたら16連敗か…。なんかもう、見るのつらいな…)
もこ「…先生」
荻野「…ああ、黒木。どうしたの?」
もこ(レ○プ目になってんな…)
もこ「軽く熱中症みたいなんですけど…」
荻野「そっか。もう2イニングで終わるけど、早退しとく?」
もこ「はい、できれば…」
-
(校門付近)
もこ「……ゆうちゃん?」
ゆう「あっ、もこっち!」
もこ「何でここに…?」
ゆう「もこっちのクラス、こないだの電話の後もずっと負けてるって聞いて…応援しに来たの!」
もこ「…学校はいいの?」
ゆう「うちの学校7時限目無いから、終わってすぐに来たの」
もこ(7時限目無い学校なんてあるのか…クソザコだな)
もこ「ふーん。…どうする?見てく?私は帰るとこだけど」
ゆう「まだ試合やってるのに帰っていいの?」
もこ「私は次の試合の先発だから、今日は早く上がっていい日なんだ(…って事にしとこう)」
ゆう「うーん…もこっちが帰るんなら、今日はやめとこっかな」
-
(帰り途)
ゆう「……」テクテク
もこ「……」トボトボ
ゆう「…前にね、こみちゃんに誘われて、マリンスタジアム?に3人で行ったでしょ?」
もこ「ああ、うん。そんな事もあったね…」
ゆう「あの時こみちゃんが応援してたチームってね、連敗の日本記録?持ってるんだって」
もこ「へえ…何連敗したの?」
ゆう「じゅうろく…なな、あれ?はち?」
もこ「覚えてないんだ…(流石数学1取ってただけあるな)」
-
ゆう「うん、ごめん。それでね、それまでの日本記録に並んじゃった日に、ファンの人達が歌をつくって、歌ったんだって」
もこ「へえ…」
ゆう「ロッテの選手や監督がね、それ聴いてすごく励まされたんだって」
もこ(連敗の記録作ってヘコんでるとこに自作の変な歌聴かされるとか、最悪だろ…)
ゆう「私は歌を作ったりできないけど、もこっちのクラスが勝てるように応援するから」
ゆう「次の試合、もこっちが投げるんでしょ?私また見に来るよ、絶対」
もこ「ゆうちゃん…」
-
(もこっち自室)
もこ「……」スマホポチー
もこ「これか…聴いてみよ」
もこ(何かはわからんが、どっかで聴いたことあるようなメロディーだな…替え歌みたいなもんなのか?)
もこ「……おれたーちのー、ふっふふー、ふふふふんふー」ジワッ
もこ「どんなときもーおれたちーがーついてるーぜー」ポロポロ
もこ(…!?何で泣いてんだ私!)ポロポロ
もこ「…疲れてるんだな。今日は早めに寝よう」
-
(数日後、グラウンド)
もこ(夜に投げるのは初めてだな…。グラウンドのでかいライト光ってるの見たの、初めてかもしれん)
もこ(終わりが22時くらいになりそうだけど、いいのか…?まあ仕事でやってるわけじゃないし、いいのか…)
もこ(夜だからか知らんけど、今日はいつもに増して客多いな…。そんなに17連敗が見たいか)イラッ
ゆう「もこっち〜」
もこ「ゆうちゃん!来てくれたんだ…」
ゆう「当たり前だよ。今日は夜からだから、最初からもこっちが投げる所見れるからよかったよー」
ゆう「七夕の短冊にも『もこっちが勝てますように』って書いてきたから!」
もこ「あっそっか、今日は七夕か」
もこ(現実なら原幕でも笹飾ったりしてたな…。夢だからか、今日はやってないっぽいけど)
-
荻野「黒木」
もこ「アッハイ」
もこ(そういえば去年の七夕はこいつのせいで恥かいたな…)
荻野「その子は?友達?」
もこ「中学の時の友達が見にきてくれて…」
荻野「へぇー、中学の時はちゃんと友達作りできてたんじゃないの」
もこ(だからそういう事をズバズバ言うんじゃねえよ!ゆうちゃんもいるってのに…)
-
ゆう「あっ、こんばんわ。もこっちの友達の、成瀬優です」
荻野「黒木さんの担任の荻野よ、よろしくね」
荻野「“もこっち”ねえ。あだ名で呼ばれるくらい仲良い友達なのね」
もこ(このクソ担任の辞書には『デリカシー』って単語は載ってないのか…)
荻野「黒木は幸せ者だね。他校の友達が来てくれたし、来賓の数だっていつもよりずっと多い。みんなが黒木に注目してるのよ」
もこ(ついでにハードルまで上げてきやがるとは…害悪しかねえ)
荻野「この試合、優勝決定戦だと思って投げなさい。連敗記録じゃなくて、優勝が決まる試合って気持ちで投げてみて」バチッ☆
荻野「成瀬さん、黒木を応援してあげてね。それじゃ私はベンチに戻るから」
-
もこ「やっと行ったか…」
ゆう「もこっち、あの先生嫌いなの…?」
もこ「嫌いっていうか…まあ苦手ではあるけど」
もこ「脳筋だからデリカシーっていうのが一切無いんだよなあいつ…」
ゆう「…?」
もこ「わかんないかー。まあゆうちゃんには関係ないからいいよ、二度と会わないだろうし」
もこ「…さて、そろそろ始まるからもう行くね」
ゆう「うん。…勝ってね!」
もこ「うん」(親指を立てようとして間違えてうっかり中指を立てそうになる)
もこ(今夜で終わらせる…!連敗も、この悪夢も…!)
-
(数時間後)
ゆう「もこっち、すごい…」
ゆう「7回まで投げて1点しか取られてないし、ヒットもほとんど打たれてない」
ゆう「いけるよ、もこっち!」
-
主審「ボール!ボールフォア!」
吉田「…タイムだ」
主審「タイム!」
(捕手がマウンドに向かう音葉)
吉田「ちょっと疲れたか?」
もこ「いや、大丈夫…」
吉田「球速もコントロールも落ちてきてっぞ。汗だってすげーかいてるし」
もこ「暑いしまあ、多少はね?」
もこ「でも大丈夫。まだ、いける…」
-
主審「ットラーイクバッターアウッ!チェンジ!」
もこ・吉田「よっしゃあ!!」
もこ(2点勝ってる。あと3人抑えれば、勝てる…!)
もこ(正直、6回くらいから体痛いし力入れにくい…。夢の中で疲れるとか意味わからんが、元々意味わからん夢なんだし仕方ない)
もこ(まあ、こんなでも、あと3人くらいどうにかなるだろ…)
-
もこ「…よし、ついにここまで来た」
ゆう「あと一球!あと一球!」
もこ(あとアウトひとつ。ランナーが一人いるけど、そいつが生還してもまだこっちの勝ち)
もこ「それにしても…」チラッ
もこ(次のバッター、どう見ても外人じゃねーか…さすがにこれは夢限定設定だよな。原幕でかい学校だけどあんなのは見た事ないぞ)
もこ(…流石ブラック・パワー。背も高いし筋肉もモリモリだな…)
もこ(ち○こもデカいんだろうな…)
もこ(…まあ、真芯で打たれたらヤバそうだけど、今までと同じにやってたら大丈夫だろ)
もこ(内角が苦手らしくてボックスの外ギリギリに立ってるが、おかげで外角ギリギリに投げたら、先っぽに引っかかる)
もこ(そんな風に打ったってそうそうヒットにはならない…運が悪けりゃヒットになるだろうけど、そんなヒットなら問題ない)
-
塁審「ファール!」
もこ「…くそっ!」
もこ(まあ、いい加減対策するよな。スイングの時の踏み込みがだんだんでかくなってやがる…)
吉田(3球連続ファール…しかもだんだん芯でとらえて来てやがる)
吉田(ノーツーだし、一球様子見するか…)クイッ
もこ(そこにその球か。様子見って事だな)
もこ「おりゃっ」ビュンッ
(バットに当たる音葉)
ゆり「…ふっ!」(ダイビングキャッチを試みる)
塁審「ファーール!」
ゆり「…っ!」(地面にゆりドン)
もこ(あいつ…陰キャだと思ってたけど、熱くなる時もあるんだな…)
-
吉田(もう間違いねえ、外角狙いだこいつ。外側の逃げる球に当ててきた。内角にも意識を散らさねーと、ヤバい)
吉田「……」クイッ
もこ(内角ストレートのサイン…。どこかで投げる必要はあるけど、今でいいのか?)
吉田「……(同じサインを出す)」クイッ
もこ(いいんだなヤンキー?投げるぞ?本当にそれ投げるぞ!?)
ゆう「あと一球!あと一球!もこっちー!頑張れー!」
もこ「……」バッ…
もこ「うぉりゃあー!!」ビシュッッ
-
もこ「」
もこ「」
もこ「」
-
ゆう「……」
ゆり「……」
吉田「……」
荻野「……」
清田「…どーてーん!まだ同点だよ!終わってない!終わってない!でしょ?オギー!」
荻野「…え?あ、うん、そうね」
荻野(清田の言う通り…まだ同点、負けてない!黒木も続投させ…)
荻野「…交代ね」
清田「ええ!?ジョニーと心中するって言ってたっしょ!?」
荻野「黒木を見て」
清田「あっ……」
荻野「マウンドに行ってくる」
ネモ「……」
-
もこ「うっ…くっ、うぇっ、うう…」ポロポロ
荻野「…黒木、交代よ。お疲れ様」
荻野「自分で立って歩ける?…無理そうね」
荻野「成瀬さーん!ちょっと来てくれる!?」
ゆう「あっ、はい!」トコトコ
荻野「他校の生徒にこんな事頼むのはアレなんだけど…、黒木を保健室に連れてってあげて欲しいのよ」
ゆう「は、はい!」
荻野「あそこに見えるあの部屋が保健室だから。…悪いんだけど、黒木をお願いね」
-
(保健室)
養護の先生「そこのベッドに寝かせてあげて」
ゆう「はい。…ほらもこっち、あとちょっとだよ」
(ベッドに横たわる音葉)
もこ「……」
ゆう(もこっち…)
もこ「へぐっ!?」ビクンッ
ゆう「もこっちどうしたの!?」
もこ「いだい…全身が、攣ってる…」ピクピク
養護の先生「疲労と脱水が原因ね。水分を摂らないと」
養護の先生「これ、経口補水液。あなた飲ませてあげて」
-
(後日)
もこ(……)
もこ(結局あの試合は負けた。次の日も負けた)
もこ(その次の試合でネモが完投した。6点取られたけど9点取り返して、連敗は18で止まった)
もこ(ヤンキーさんは17連敗目の試合で骨折した)
もこ(……)
もこ「呪われてたのかな……」
-
(後日の後日、女子更衣室)
もこ「……」
ネモ「……」
もこ「…連敗止まってから、ずっと勝ってるね」
ネモ「独り言?声小さくて聞こえなかったんだけど」
もこ「…あの日、絶対勝ったと思った。けど…」
ネモ「ねえクロ」
ネモ「あの時、ホームラン打たれたあと、崩れ落ちてたよね」
もこ「え…?」
ネモ「何で崩れ落ちたの?」
もこ(何言い出す気だよこいつ…。崩れ落ちた?覚えてねーよホームラン打たれた瞬間から記憶飛んでるし)
-
もこ「……」
ネモ「もし私が同じ事になっても、私は崩れ落ちないよ。クロ、どうしてかわかる?」
もこ「……」
ネモ「同点ホームランだったからね。サヨナラじゃなくて、同点」
もこ「…!」
ネモ「まだ試合、続いてたじゃん。あそこで崩れちゃダメだよ」
ネモ「あそこで降りちゃダメなんだよ。最後まで、全部終わっちゃうまで、諦めちゃダメだよ、クロ」
ネモ「それじゃ私、教室戻るから。クロも早く着替えなよ」テクテク
もこ「……」
もこ(すげーなネモは。あの試合見てた奴らほぼ全員、私をただ哀れんでるだけだってのに…)
-
もこ(私も着替え終わったし、教室戻…)
もこ「ふぁ…」
もこ(何か眠いな…。こないだの疲れがまだ残ってんのかな)
もこ(とか思ってるうちに眠気増してきた…。もうここで寝ちまうか。私しか更衣室いないし)
もこ(椅子を並べて…っと、横になろう)ゴロン
もこ(……)
もこ(ZZZ…)
-
(もこっち自室)
もこ「…?」ガバッ
もこ(寝てたのか…晩飯のあと、こみなんとかに借りた本読みながら寝落ちしてたんだな)
もこ「今、何時だ…?」
スマホくん『03:34』
もこ(20時くらいに落ちてたんなら、7時間半も寝てた事になるのか…)
もこ(何かクソ長い夢見てたような気がするが…よく覚えてないわ)
もこ(二度寝したいが、えらくシャッキリ目覚めてしまった…寝れん)
もこ「…あっ、そうだ」
もこ(あの本読もう。また寝落ちできるかも)
-
もこ「……」ペラッ
もこ「……」ペラッ
もこ(…おかしいな、野球もジョニーも全然知らんはずなんだが…)ペラッ
もこ(一回読んじゃった本みたいにスラスラ読み進めている…)ペラッ
-
(3-5教室、朝のHR前)
もこ「これ、返すわ」
こみ「だからちゃんと読んでからって…もう読んだのか!?」
もこ「うん」
こみ「で、どうだった?読んだんなら感想言えるよな?」
もこ「…プリアムって出てきたろ」
こみ「うん」
もこ「すげーち○こでかいんだろうなーって思った」
こみ「うん、貸した私がバカだったってわかったわ。ありがとう」
もこ「ふぁ…」
こみ「眠そうだな」
もこ「それ読んでて寝損ねたんだよ…」
-
ネモ「あっクロ、その本小宮山さんに返すの?」
もこ「うん、全部読んだし」
ネモ「…小宮山さん、それ受け取ってすぐで悪いんだけど、次私に貸してくれないかな?」
こみ「え?ああ、いいけど…。野球興味なかったんじゃなかったっけ?」
ネモ「その、まあ、ちょっとね」
ネモ(…クロが1日で読破した本とか、面白そうだし!)
-
もこ「あっそうだ(唐突)」
もこ「こないだゆうちゃん言ってたぞ。『こみちゃんにはいつまでたっても苗字にさん付けで呼ばれるからちょっと距離感じる』って」
こみ「そうなの!?」
もこ「そうだよ(大嘘)」
もこ「ゆうちゃんは“ゆうちゃん”でいいとして…」
こみ「お前の事これから“もこっち”って呼ばなきゃいけないのか…」
もこ「いや、その呼び方はゆうちゃん専用だからダメだ」
こみ「じゃあ…“クロ”とか」
ネモ「それは私の」
もこ・こみ(そうなの?)
もこ「…思いつかないなら、私が考えてやるよ」
もこ「“ジョニー”と呼んでくれ」キリッ
こみ「ぶち殺すぞ!!」
-
おわりです
-
わたモテで野球SSとはたまげたなぁ
-
大作でいいぞ〜これ
この時間にやってしまったこと以外は完璧
-
>>73
昨日の昼間に立てたら途中でスレ落ちたんですよ…
完走したかったのであえてド早朝にしました、AILEくん寝てるだろうし
-
>>74
間違えて消える事もあるから多少はね?
あと朝方はスレ削除されてるしAILEくんは早起きゾ
-
面白かった
もうそんなに前か…
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■