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【ゆるゆりSS】向日葵「ひま子と呼ばれて」
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http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1479735972/-100
を読んでみて書こうと思いました
重めの話注意
それでもよければどうぞ
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ぐぬぬぬ…
また下着が小さくなってしまいましたわね
楓「お姉ちゃんまたおっきくなったの?」
向日葵「あら、楓大丈夫よ。バカ子あとでしめますわ…あ痛ッ!」
楓「お姉ちゃん大丈夫?」
向日葵「大丈夫ですわ。少しつったのかもしれませんわね」
なんですの…今の痛み。まあこんな日もあるでしょうし、明日に備えますわ。
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翌朝
向日葵「ふわぁぁ…痛ッ!」
昨日と同じ、チクチクとした痛みが自分の胸を襲う。成長期には痛みがあるというけどこれはきつい。
ただでさえ低血圧で憂鬱な朝が更に嫌になり、櫻子と共に登校した。
櫻子はおバカで、かわいくて、愛らしくて、って違いますの!とにかく、友達として!一応は信頼してるのですわ。ですので相談も本気で頼みたいのですが…
櫻子「朝から揺れすぎだろこのおっぱい魔人!」
向日葵「はいはい、私も好きでこうなったわけじゃないんですのよ」
櫻子「嫌味かー!おっぱい禁止!」ブルンブルン
向日葵「ッ!」
櫻子「ひ、向日葵?悪かったって。櫻子様も謝る時は謝るからさ」
向日葵「うるさいですの…。今日くらい静かにしてて下さる?」
櫻子「向日葵、なんかおかしいぞ。また胸がおっきくなったんだ」ハハハハ
やっぱりこの子には相談できませんわね…。しばらく様子を見るしかないですわ
今日の夜、普通に寝てたら命がなかったかもしれません
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楓「お姉ちゃん下着買うの。」
向日葵「私は大丈夫ですわよ。」
楓「でも痛そうだったの。きついと痛いの。」
確かに楓の言う通りだ
私はバストを測ろうとし、乳房に手を当ててみた。すると
あら?何か硬いものが…痛い!
楓「お姉ちゃん!?泣いてるの?」
向日葵「いえ、大丈夫ですわ。少し体調が悪いので明日は病院にいきますわね」
まだジンジンと痛む胸を抑え、明日に備えて寝るのだった
…………
?「あなたの望み、叶えましょう」
なんですの?あなたは
?「私は悪魔と呼ばれています。ですが体の一部を私に宿してください。そうすればあなたの願いを叶えましょう…」
悪魔…でも不思議と怖くない。安らぎが与えられる
向日葵「櫻子と、もっと仲良くなりたいですわ。この胸を捧げますわね。櫻子は嫌がってるみたいですし」
悪魔「あなたの願い、叶えましょう…」
………………
なんか変な夢を見てた気がする
今日は学校に遅刻の連絡を入れて病院に向かった
その日から、悪魔と契約した代償が始まった
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櫻子「向日葵がいないと誰が私の宿題見るんだよー!」
あかり「まあまあ櫻子ちゃん、わかんないとこあるなら教えてあげるよ」
櫻子「わーい!おっぱいと違って優しいなあかりちゃん」
ちなつ「いない人の悪口言うなんて意外と腹黒だね」
あかさく(ちなつちゃんが言うかなぁ…)
あかり「でも心配だよぉ。向日葵ちゃんなんの病気だろうね?」
櫻子「まさか!前胸が痛むとかいってたけどどうせまた大きくなるんだよ!私の予定はどうした!」
胸「ないです」
櫻子「キー!」
ちなつ「まさか大きな病気とかないよね?」
あかり「まさか、あかりたちはちょっちまっち中学生だよぉ」
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ナモリレディースクリニック
向日葵「あの、胸が痛いんですが…」
くらげ「ふむふむ。ナモナモ!?これは一大事かもしれないナモ。あっ、そうだ(唐突)。胸の悩みは婦人科じゃなくて外科にいくなも。紹介状書くから明日いくナモ」
向日葵「そうなんですのね。ありがとうございました。」
明日までお預けですわ。でも先生のあの慌てよう…。いえ、検査するだけですわ。あ、櫻子がいますわ
櫻子「向日葵ー!お前に宿題を写させる権利をやろう!」
向日葵「なんであなたが偉そうですの…。ま、明日も休みになりそうですし見て差し上げますわ。」
櫻子「なんで!?こんなに元気じゃん。ずるいずるいサボりたいー!」
向日葵「サボりじゃないですわ。明日大きな病院で検査するんですの」
大きな病院…。いくら頭が足りない櫻子でも何か嫌な予感は感じた。
櫻子「や、やだなー大げさすぎ!明後日こそは生徒会で勝負致す!」
向日葵「わかってますわ。」
また、明後日に
……………………
悪魔「明後日から、あなたの望みがかないますよ。楽しみにしてて下さい。」
向日葵「あなたの目的はなんですの…?」
悪魔「私の理想とする生き方は太く短く。これに共感する人のお手伝いをすることですかね。では、これで…」
向日葵「あっ、待ちなさいな…」
……………………
朝目が覚める。張り裂けそうな胸の痛み。ただ事ではない。さわるとコリコリしたしこりが
急いで紹介状を貰った病院に向かった
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七森大学医学部附属病院乳腺外科
医者「確かに小さなしこりがありますね。念のため検査します」
私は胸を潰されたり、注射されたりした。これでほんとに何かわかるのかしら…
医者は深刻な顔をして親を呼ぶように伝えた
医者「古谷さんは乳がんです」
両親が崩れ落ちる。楓が大泣きする。私は呆然とするしかなかった。ひとまず帰宅し、近々入院することが決まった
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ちなつ「えぇ!?向日葵ちゃんが入院!?」
あかり「大丈夫なの!?心配だよぉ。」
向日葵「早めに治療すれば治る病気ですわ。スグに戻りますの」
櫻子「グスンッおっぱい禁止!」ブルン
向日葵「ッ!何するんですの!」
櫻子「…向日葵、帰るぞ」
向日葵「え、ちょっと待ちなさいな」
櫻子はアホの子。でも、直感で生きてる子って鋭かったりする。私は櫻子の幼なじみとしてわかっていた
この子には正直に話そう
向日葵「櫻子、私の病気のことなんですけどね…」
向日葵「私、乳がんらしいんですの」
ハイライトが消える。毎日晴天の笑顔は消え、大雨が降っていた
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櫻子「嫌だ…」
向日葵「櫻子…?」
櫻子「嘘だ、そんなのやだよ!誰が私の宿題教えるんだよ!一緒に帰ったり喧嘩したり、あそんだりできないの!?」
向日葵「櫻子、大丈夫ですのよ」
櫻子「でも、ガンって死んじゃうんでしょ!?ヤダヤダ、嘘だ嘘だ嘘だ」
櫻子はしょうがないですわね。ちゃんと教えて差し上げますわ
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向日葵「死にませんわよバカ櫻子」
櫻子「なっ、バカってなんだよ私は心配してっ」
向日葵「きちんと手術をすれば、命には関わらないとお医者様も言ってましたの」
櫻子「そ、そうなの?なんだ良かったー」
向日葵「良くありませんわよガンなんて」
櫻子「だって手術すれば治るんでしょ?だったら良いじゃん!元気になったらかわいい櫻子ちゃんと一緒にいれるんだぞー?」
向日葵「それは…!そうですけど」
櫻子「それで?手術って何するの?」
向日葵「…乳房の、切除ですわ」
櫻子「えっ?乳房って何?」
向日葵「おっぱいですわ」
櫻子「…え?」
向日葵「あら、いつも通りでいいのですわよ『おっぱい禁止』になりますわ」
櫻子「言ってたけど!そんなのやだよ!」
向日葵「嫌だって言われても」
櫻子「おっぱい無くなった向日葵なんて向日葵じゃないもん!」
向日葵「じゃあ私に死ねって言いますの!?」
櫻子「それも嫌だもん!向日葵死んじゃうなら私も死ぬ!!」
向日葵「櫻子…私を困らせないでよ…(私だって乳房切除なんて本当は…)」
櫻子「うわああああああああああああああ」
向日葵「ま、最初は切らないように治療するんですわよ」
櫻子「え?」
向日葵「放射線とか抗がん剤とかいろいろありますの。大丈夫ですよ」
櫻子「プルプル…やっぱりおっぱい禁止!」
櫻子にはそう安心してもらえた。
…そして、覚悟も持ってもらえた。必ず私は生きて戻りますわ
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医者「まずは放射線治療を行って、その後胸が残るようにがん細胞を手術で取り除きます。その後は抗がん剤を服用して経過観察ですね」
入院してから3日。放射線治療は確かにふらついたりしてしんどい。でも、毎日が楽しいですわ
なぜなら
櫻子「ひっまわりー、あっそっべー!」
向日葵「また来たんですの?でも、うれしいですわ」
櫻子「さ、櫻子様は本当のライバルだから、弱ってるところを狙うなんてしないのだ///」
向日葵「うれしいですわ。今日は宿題が出たんですの、さーちゃん」
櫻子「う、うっさい////」
櫻子がよく遊びに来てくれるようになりましたの。昔みたいに呼んだら照れてくれるようになりましたわ。それだけで幸せでしたの…
そして手術の日
医者「古谷さん、落ち着いてくださいね」
櫻子「ひまちゃん、がんばれ」
櫻子から昔の呼び名で呼んでくれた幸せを感じながら、私は麻酔の海に沈んでいった
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悪魔「ふふふ、楽しんで頂けているようですね」
向日葵「またあなたですの?今度はなんですの?」
悪魔「あなたが何かくれるならまた一つ願いを叶えてあげようと思ってね。結構居心地がいいんだよ」
向日葵「私は…櫻子と家族になりたいですわ。ずっと一緒に暮らして、楽しい生活を送るんですの」
悪魔「代償は?」
向日葵「どこをあげればいいのかわかりませんわ。悪魔さんが決めてくださいまし」
悪魔「なら、その蒼い美しい髪を。安心しなさい、蒼くないけどそのうち髪は生やしてあげるから」
向日葵「…わかりましたわ。」
悪魔「あなたの願いを叶えましょう」
……………
麻酔から目覚める。
医者「手術は成功です」
櫻子「向日葵!それでこそ私の下僕!」
向日葵「櫻子はいつも通りですわね。それでいいのですわ。」
それでよかった。私が欲張ったばかりに、悪魔に食い尽くされ始めていた
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抗がん剤治療が始まった
朝起きると、蒼い繊維が、床を舞っていた
向日葵「ヒッ、嫌ッ!」
脱毛、抗がん剤の副作用では一般的と聞いてはいた。だが、いざ自分の身に降り掛かってみると、言われも無い恐怖と悲しみが襲った
櫻子「ひっまわりー!あれ?なんで帽子被ってるの?」
向日葵「…櫻子には関係ないですわ」
櫻子「カチン、隙あり!」バッ
ひまわりは太陽を向くという。それに似合わない雨が、彼女を濡らしていた
櫻子「あ、ごめん…なさい」
櫻子は私に優しく帽子を戻してくれましたわ。私の、殿方みたいな坊主頭を見ても、好いてくれる貴女に感謝してますの
それからも櫻子は優しかったですわ
櫻子「ねえねえこのウィッグ似合うぞー。なんちゃってちょん曲げでしたー」
櫻子「向日葵、櫻子様みたいな短めの髪を参考にしたまえ」
そんな櫻子に
私は、近づけましたの
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抗がん剤を少しずつ弱いものに変えていく
髪が少しずつ生えてくる。でも、おかしさに気づきましたわ
向日葵「茶髪…?」
これを先生に話したら、1度髪が抜けたらストレートだった人にカールがかかったり、白髪だった人が黒髪になることがまれにあるという。つまり私も…?
医者「これで退院です。よくがんばりましたね。」
あかり「ひまわりちゃん退院おめでとう!髪の色どうしたの?」
向日葵「えっと…ちょっとイメチェンですわ」
ちなつ「髪もセミロングだしおっぱいある櫻子ちゃんみたい」
櫻子「うー、おっぱい禁止!」ブルン
こうして日常が戻った、そう思ってた
悪魔は、まだ存在する
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何度か通院を続けてるうちにしこりを確認するのが日課になっていた
すると
向日葵「痛い痛い!」
以前より大きく、より痛いシコリがあった。
すぐに入院となり、その日は眠った
……………………
悪魔「さあ、あなたの胸を頂きにきました。」
向日葵「いや、助けて!」
悪魔「契約違反は困りますよ。また、お呼びください」
向日葵「え、それってどういう…」
医師からは胸の全摘が必要と診断された。不思議と、受け止められた。
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向日葵「櫻子、笑わないんですの?」
櫻子「笑えないよ」
向日葵「ほら、おっぱい禁止ですわ。」
櫻子「もおおお、やだ!おっぱいのない櫻子なんて向日葵じゃない!」バタン
向日葵「あ、櫻子…」
ふふふ、私が悪いんですの、さーちゃんのいない世界なんて、意味が無いですわ
辛い治療を耐える精神力は彼女に残ってはいなかった。眠れなくなり、同じ病院の精神科からハルシオンをもらい無理矢理床についた
………………
悪魔「大変そうですね」
向日葵「またあなたですの…。もう、あげるものはありませんわ」
悪魔「いいえ。あなたが幸せになれる方法でもう一つ願いを叶えてあげましょう」
それがどういう意味か、私にはわかっていた。その上でお願いした
向日葵「どうか、さーちゃんが好きな人と結婚できて、幸せに暮らせますように」
悪魔「叶えて差し上げましょう…。では、こちらへ」
月からキラキラと道ができている
私は窓のヘリに足を載せ、そこを渡ろうとする、そして…
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櫻子「…ひまちゃん、ひまちゃん!」
向日葵「さー…ちゃん?」
櫻子「バカ!私と一緒に宿題やるんだろ!こんなことするなよー」
櫻子「それに」
くしゃくしゃになったそれを見て、小さい頃の記憶が蘇る
櫻子「さーちゃんはわたしのつまになる人だ!だから大室家の一員なんだよ!」
向日葵「なななな/////」
突然のプロポーズに驚きつつ、いつも通り振舞った
向日葵「確かに、私髪の色も今は似てますし、ある部分も…」
櫻子「私は将来バインバインだぞ!」
向日葵「というわけで、私の妹さん、宿題は済ませたの?」
櫻子「確かに大室家だけどさー…妻になる人だからな!」
バカ子には参ったものですわ。これからは櫻子と、色んなものを共有できますわね
おわり
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これって向日葵ちゃんは悪魔についていかなかった=生きる事を選んだって事ですかね…?
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ついていくつもりだったけど櫻子の想い人が向日葵だったから魂を奪えなかったのかなって想像しながら書いてました
もちろん解釈はまかせます
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>>19
解釈次第とは切ないですね…取り敢えずお疲れ様でした
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