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【きんモザSS】陽子「ゼラニウムと共に」【鬱】
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【SS】綾「起きるのがつらい・・・」【鬱】の陽子ちゃん視点兼続編です。
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/20196/1479059594/
なるべくこれだけでも楽しめるよう善処します
暗いので閲覧注意
では、どうぞ
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中学の時、ひとりでおどおどしてた女の子がいた。私はその子を守りたいと思った。首輪をつけてと言った時はさすがに怒られちゃったけどね。でもあれは本心なのかもしれない
私はそこそこ人とは話せるほうだ。でも、自分の全てをさらけだせるのはこの子、小路綾だけ。綾とは真の友情があると思う。
そんな彼女の様子が、最近おかしくなってきた。
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最近いらいらしてる。前から私の鈍感さでバカと言われることはあったけど、なんとなくだけどそれは温かみのあるものだった。
最近は綾の言葉が刺さる。最近は私を信頼していないみたいだ。相談に乗るといっても聞いてくれない
普段照れて赤くなるところでは、今日は驚くほどに白かった。
ピンク色の綾は、白くなってしまった。
真の友情にためらいが見られた。
私だけではどうにもならない。他のみんなに聞こう
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忍「綾ちゃん、確かに最近少し元気ないですね。」
カレン「ヨーコがまた乙女心に気づけなかったからデス」
陽子「私だって乙女だよ!」
アリス「心配だよ〜。ヨーコ、今すぐアヤに謝ったら?」
陽子「ええ!?私!?」
違う、とは言えなかった。もしかしたら自分に愛想を尽かしてしまったのかもしれない。
綾に捨てられる
黒い水が溜まる。不穏な単語が並ぶ。それを振り払う。
カレン「しょうがないデスネー。明日みんなで遊びに行くデース!アヤヤがすきそうなところ探すデース!」
忍「あ、それなら近所に美味しいケーキ屋さんが出来たんですよ。是非明日行きましょう」
そんなことで解決しないよ
自分の嫌な言葉を消しながらカレンの案に賛同した
綾が見ていることに気づかないで・・・
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私の話をしている...
それだけは分かった。でも近づかない、近づけない。きっと話をやめるから。
モブ1「ねーあいつむかつかない?」
モブ2「ほんとほんと。今度シカトしよっとw」
体が痙攣する。人の話し声が全て悪口に聞こえる。それだけ、私は恨まれてる。死ぬべき存在ってこと。陽子たちだってきっと...
「アヤ...謝ったら?」
確かにこう聞こえた。やっぱり私はみんなを傷つけてた。私は、ここにいるべきでない。
軽くなった体と重い足。アンバランスな自分を消すことに集中して、夜の分の睡眠時間の確保に尽力するしかなかった。
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陽子「ただいまー」
自分でも驚くほど低い声でそう呟く
空太・美月「おかえりお姉ちゃん」
空太「なんかテンション低いね」
美月「また綾お姉ちゃん怒らせたの?」
陽子「まあ、そんなとこかな」
美月「綾お姉ちゃんならきっと大丈夫よ。お姉ちゃんのこと好きなんだし」
空太「よしよし」
空太がからかって撫でてくる。いつもなら突っ込むところだけど今日はこのままでいたかった。
空太・美月「お姉ちゃん、今日気持ち悪い」
陽子「ひでーなおい!」
いつも通り接してくれるきょうだいに感謝しつつ、そのお詫びにゲームでボコボコにされるのだった
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綾「陽子、大好きよ」
陽子「綾、そんないきなり」
頬をいつものように赤くして微笑む綾
でも、自分の気持ちになぜか素直になれなかった
陽子「ごめん、私女の人とは恋愛できない」
半分嘘をついた。綾なら大丈夫、と心のどこかで思っていた
綾「そうね。これで後悔はないわ。」
綾は恐ろしいほど綺麗に笑い。そして、染まっていた頬は、彼女の液体でより紅く...
陽子「うわあああああ!」
嫌な夢を見た。私は、それでも少し高揚感があった。
一つは自分の気持ちに気づけたこと
もう一つは、今の綾が分かった気がするから
待っててね
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次の日、いつもの時計台に綾は来なかった
最近寝不足みたいだから、今日は寝坊したのかもしれない
そう思い、小路邸に向かった
綾と登校する。途中取り留めのない話をしようと試みた。
私は、あまりの冷たさに手を離してしまった。あや、私にもその苦しさ、教えてよ
途中、綾は休ませてほしいと語り、近くのベンチに座った。綾は運動音痴だけど、こんなに体力がないはずない
陽子「綾、疲れてるのか?」
綾「大丈夫よ」
陽子「今日、みんなで遊びに行こうつって話あるけど、今日は休む?」
綾を楽しませるつもりだったのに意外な言葉が出てきた
綾「ううん、たまには気分転換も必要だものね」
綾はいつも通り笑った。その笑顔の下、私にも見せてよ。真の友情はどこにいったの
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カレン「え!?アヤヤと遊ばないデスカ?」
陽子「今日は疲れてるみたいだしさ。」
アリス「ヨーコ、だからこそだよ!ヨーコがそばにいなきゃだめだよ」
忍「でも陽子ちゃん王子様みたいです。やさしいですね」
そんなことない。王子様なら、私は綾を助けられる
忍「あ、ですので陽子ちゃん今度馬に乗って登校してみては?」
陽子「本気でいってるのか!?」
結局、綾と一緒にケーキ屋に行くことになった。綾はいつも通り、笑ってた。
でも「いつも通り」すぎる。甘い物が好きな綾なら少しはしゃぐのに、今日はまるで作業のようにテキパキとチョコレートケーキを食べていた。
私は、ショートケーキを口に含んだ。甘い。
陽子「きっと綾とは違う味なんだろうなぁ...」
忍「陽子ちゃん、チョコレートケーキとショートケーキじゃ味が違うのは当たり前です」
シノの天然さに助けられて、つぶやきは大喜利に変えてもらえた
帰り道、綾と2人で帰った
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綾「今日はありがとうね。今度はちゃんと宿題するのよ。」
綾と普通の会話をして、帰ろうとした
陽子「あやっ」ギュー
綾「え、ええ!?///」
あやが久しぶりに照れてる。こう見るとかわいい。
陽子「綾、また明日学校で」
綾「わ、わかったから暑苦しいわよ!/////」
綾はあたふたしてるこれで大丈夫かなと、慢心していた
陽子「じゃ、また明日な」
綾「ええ、また明日」
綾「これでもう、未練はないわ」ボソ
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キラキラと朝日が差し込む
そこに天使がいた
「陽子、私、もう行くわ」
「やだっ!行かないで!綾とまだ...」
夢の途中で目が覚めた。丁度朝になっていて、きんいろの世界が広がっていた。
私は、支度を終えると真っ直ぐ小路邸に向かった。
今日も、綾が寝坊する気がしてならなかったから
今日、昨日のこと、今までのことを謝ろう。そうすれば必ず綾がまた心の底から笑ってくれる
神様はひどい人だった
ゼラニウムは白から、深い紅に変わっていた
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小路綾が紅く染まっていた
救急車の回転灯が不快な程に目に入る。そして、綾の顔は夢に見た顔だった。自らの血で真っ赤に染まり、虚空を見つめていた
陽子「あやーーー!!」
呼びかけても応えてくれない。これは、綾なりの復讐なのかもしれない。救急車が去った後、呆然と立ち尽くした。
いつの間にかきんいろの世界は黒い雲に覆われ、私の心を冷やし、湿らせた。綾のおばさんが帰宅するまで、自分への罰のために黒い水に打たれ続けた。
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綾ママ「寒くない?」
陽子「平気です。ありがとうございます。」
綾が受けてきた仕打ちに比べたら。
綾ママ「ごめんね陽子ちゃん。命に別状はないけどしばらく入院するって。」
陽子「それで、綾はどうしてこんなことを?」
綾ママ「..まだわからないわ。でも、あの子うつ病だったんだって。母親の私が気付けなくて、最低だわ」
陽子「おばさん、そんなことないです」
そんなこと言われたら、私だって
白いゼラニウムは真紅のゼラニウムに変貌した。この折れてしまいそうな可憐な花をどう支えていこうか、せめてもの贖罪にしようと考えた。
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おばさんに連れられて、綾が入院した総合病院にいく。今は原則家族しかきちゃいけないから。
綾は外科で応急処置を受けたあと、7階にある精神科病棟に移った。看護師さんが病棟の鍵を開けると警告音がなり、入室をうながされた。
精神科といっても意外と「普通の人」が多い。少しぐったりしてたり、お空にむかって会話してたり。そういう人が休憩室に多数いた
...少数を除いては
そこは、鉄でできた扉を更に開け、また扉を開けた先に綾はいた。
そこには、私の知らない人がいた
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綾「嫌よ、私は死ぬべきなの!殺して!殺してよ!殺せ!じゃないと死ぬわ!」
医師「落ち着いてください!おい鎮静剤持ってこい」
看護師「はい!小路さん、大丈夫ですから、落ち着いてください」
綾「いや!それいやなの!誰か助けてよ」
私は思わず窓に触れてしまった
看護師さんが少し強い力で手首を掴み、首を振る
なんでだよ...、綾がこんなに苦しいなら楽にしてあげなよ...!
そんなことをぐるぐるさせながら、鎮静剤が効き、落ち着いた綾を見て帰った
今日はすごく疲れた。でも、わたしにはやらないといけないことができた。
私は悪魔に魂を売った。体を蝕みつつ、私に知恵をくれた
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次の日、私はフラフラと教室に向かい、みんなに綾の状況を報告した
忍「そんなっ。私が無神経な発言を繰り返したからかもです...」
カレン「私もアヤヤをからかいすぎたデス...。イジメしてたかもデス...」
アリス「アヤには迷惑掛けすぎたよね...」
みんなが暗い。私はこの空気に耐えられなかった
陽子「確かに、私も眠れなくて猪熊が出来ちゃったよ〜なんて」
みんなの引きつった笑いは単に滑ったからでないことは私でも分かった
私は図書館で何冊か本を借りた。精神医学や心理学に関する本。普段は漫画しかみない私は苦労した。それでも夜通し見ていてもなぜか疲れなかった。
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次の日
雨が続き、私の心は尚更荒んでいた。
体重は減り、目にくまがあるのは当たり前になった
でも、一番苦労してるのは綾だ。それに、他のみんなも
忍「みなさん、おはようごさい...」zzz
陽子「シノ、ちゃんと寝てるのか?」
忍「眠れるわけないじゃないですか。綾ちゃんの分まで起きてるつもりです。」
アリス「見て見てヨーコ、私綾の分のノート全部写したよ!」ゲッソリ
カレン「Hey!みんなまで元気なくなるのはダメです!ハッピーになる方法教えマス!」
陽子「へー、何が必要なの?」
カレン「カッターかカミソリさえあればみんなハッピーデス!」
陽子「スキあり!」
カレンの白い綺麗な腕には、均一な赤い線がなぞられていた
カレン「アヤヤがなんでこんなことしたか確かめてみたんデス。こうすれば辛いことも忘れられマス。アヤヤの気持ちに近づけたデス!」
カレンは私に許しをこうように畳み掛けた
ダジャレは、くまより鬱はうつるのほうがピッタリだった
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私は、最近学校を休みがちになった
シノは金髪の本をやめて完全自殺マニュアルという本をじっくり眺めている
アリスは貧血でたおれて今日早退した
カレンは切り過ぎたから今日は病院にいってから来るらしい
5人でジャンプするのもいいかな...そう考えてるとおばさんからメールが届いた
『今日見せたいものがあるからきてくれないかしら』
外に出るのも億劫だったけどしかたなく、私は準備を始めた
鉛と化した足をズルズルと引きずる。今日で外に出られるのも最後かもしれない
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読んでて辛いけど引き込まれるSSだ
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綾ママ「陽子ちゃん、いらっしゃい。少しスリムになった?」
おばさんも少し白髪が増えた気がする
綾ママ「そうそう、今まで隠しててごめんね。これを陽子ちゃんに見せなきゃって。綾、今日から隔離室に移れるみたいだから」
そこにある『遺書』と書かれた紙を見つめ、綾のホントの気持ちを少しだけ知ることが出来た。
血の色は抜け、綺麗な赤色となった彼女は、今は陽子にとって唯一の幸福となった
それを読み終わり、雨が降る中、私は綾に会いに走り出した。
綾、もう少しだけ、私のそばにいて
嫌なら、ほんとに首輪でつないじゃうから
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綾、私はあなたが大好きです
それを告げると、今までいた冷たい少女は姿を消し、ポロポロと涙を流す綾が出てきた
綾、ずっと一緒だよ。
私はとんでもない人に恋をしてしまったのかもしれない。憂鬱で、そして私にとっての幸福、小路綾。唯一の友達『だった』人。
私と綾は、負けなかった。でも辛いこともあったな
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綾「嫌、飲みたくない...」
綾が飲んでいるのは三環系抗うつ薬という薬らしい。こういう無駄な知識だけは図書館で身につけた。この薬はよく効くけど副作用が強いらしく飲みたくないのはわかる。
綾は退院後もこれらの服用を義務付けられた。
綾「嫌!だから私死んだ方がいいっていったじゃない!」
陽子「お願い。こうしないと私は綾と会えなくなるんだよ」
綾「陽子がついてきてよ」
心中
この二文字はいつも闘ってきた。綾を支える中でなぜか綺麗なものに見えてくるからだ。愛する人と共に朽ちるのは美しいかもしれない。
でも、私は気づいた。一番美しいのは愛する人を朽ちさせないこと
陽子「綾、キスしない?」
私は口にトフラニールを含み、綾に呼びかけた
綾「...陽子、薬は健康な人がのんじゃダメなのよ」
舌を絡め、薬を綾に送り込む。薬を飲んでからも水音を立て、お互いを勇気づけた。
綾「陽子...私がんばるから」
陽子「いや、がんばんなくていいよ。ただ生きてて」
私は、綾のためなら何でもしようと思った
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しばらくは体調を考慮して家で勉強をする
アリスがまとめてくれたノート。可愛らしい字で、時々メッセージもあり、勉強が苦手な私にもわかりやすいものだったが...
綾「だめ...読めない...」
綾曰く文字が滑るらしい。その感覚はわからないけど、とにかく頭に入らないことだけは分かった
陽子「じゃあ読むよ、原子核は中性子とようこで...」
綾「陽子、それ、ようしだからね」
綾がクスクス笑う。ぼけたつもりはなかったけど、最近は笑ってるくれることも多くなった。
少しずつ、進めればいいかな
そして、綾が復学した
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忍「綾ちゃん、大丈夫なんですか?」
綾「まだ少し教室に入ると呼吸が苦しいけど、平気よ」
アリス「いざという時はゆっくり休んでね」
カレン「そうデース!くれぐれもカッターとかはダメデスよ?」
アリス「カレンがそれ言うのー?」
いつもの5人組に戻りつつある、そう思った
でも綾が少し後ろに下がったのを見逃さなかった
陽子「綾、これは何?」
私が綾の筆箱を漁ると刃の曲がったカッターが見つかった。相当強く押し付けたらしい。
綾「!返して!これさえあれば私も...」
陽子「綾、自傷したらしばらくデート抜きにするから」
綾「嫌よ!がんばるから許して!」
私は綾をゆっくり抱きしめた
陽子「私は、信じてるから」
私は本来文房具だと信じて、それを綾に返した
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綾は決意した。刃物を全部私の目の前で捨てた。
そんな綾に、そして自分にも、そろそろご褒美がほしいところ
陽子「なあ綾」
綾「なに、陽子」
陽子「今のうちにアリスとカレンに英会話習おうか」
綾「? どうして?」
陽子「このまま無事大人になれたら、イギリスに行こう。イギリスは、私たちも結婚できるからさ」
綾が顔を真っ赤にしてバカってそっぽをむいた。
いつか5人で、イギリスで暮らす日を夢見て今日も黒い水をもがく
ゼラニウムが咲き乱れる花畑を目指して
終わり
支える立場の人は自分がなってないので尚更難しいですね
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花言葉にはポジティブなものとネガティブなものがあります
まさに人間みたいですね
ゼラニウムの花言葉をここで調べました
https://horti.jp/1186
あっ、そうだ(唐突)
暗い気持ちにさせて、センセンシャル!じゃけんあかるい映画見ましょうね〜『きんいろモザイク Pretty Days』は絶賛公開中です。映画館が限られてるからちゃんとcheckしてホラ
http://www.kinmosa.com/theater.html
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この終わりの見えない感じがああサイコサイコ...
思わず引き込まれた
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カレンは確かに興味本位でリスカしそう
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