まゆ「プロデューサーさんは短冊に何かお願いしました？」
プロデューサーさんは咥えた煙草を大きく吸ってから、空を見上げて煙をふーっと吹きました。
空にはまだ夕焼けの赤色が半分くらい残っています。今日は雲が少ないから、もう少ししたら天の川が綺麗に見えることでしょう。
まゆ「短冊、書いたんですか？」
まゆ「何も書いてないかと思ってました」
P「事務所に笹を立てたからね。その時についでに書いておいた」
まゆ「ふふ…。 プロデューサーさんにも願い事があるんですねぇ…」
P「まゆも何か願い事をしたんだろ」
まゆ「しましたよぉ。ふふ…。でも何をお願いしたのかは内緒です」
P「じゃあ俺も秘密にしとくよ。大した願いじゃあないけどね」
こんな穏やかな時間をプロデューサーさんとずっと二人で過ごせたなら、どれほど幸せなのでしょう……
P「あまり遠くまで行くと休憩時間が終わってしまうよ」
まゆ「休憩時間……。短いですね」
P「今日の分は次で終わりだ。星が出てきたら撮影再開」
P「一日中浴衣での撮影で疲れているだろうけど」
プロデューサーさんは元来たほうを振り返りました。撮影班のスタッフさんたちが準備を始めているのが遠くに見えます。
まゆ「疲れてるわけじゃないんです。大丈夫ですよぉ……本当に。まゆ、きちんとやれますから…」
まゆ「ただ……」
P「…………」
ああ……この空に雲がかかって、星を隠してしまえばいいのに。
P「『星が出なければいいのに』？」
まゆ「ふふ……。バレちゃいましたね」
P「まあね……。確かに俺もこんな静かな時間が続いたらと思うよ」
まゆ「そうですね。ずっと続いたらいいのに……」
この時間が、ただ二人でいるだけの時間がずっと続いたらいいのに。
プロデューサーさんが今みたいに、まゆのことをずうっと見ていてくれたら良いのに……
P「散歩の続きはすぐにできると思うよ。撮影にそれほど時間はかからないだろう。きっとすぐにOKが出る」
まゆ「どうして？」
P「一日中いろいろ見てきたけど、その浴衣が今日着た柄の中で一番似合っている」
まゆ「そうですか…一日中…。そうですかぁ…。ふふ…。嬉しいです」
P「なんだ。打って変わって潔いね」
まゆ「まゆの七夕の願い事が叶いましたから」
P「浴衣が似合っていると言われたことか？」
まゆ「違いますよぉ。ふふ…」
まゆが歩くのに合わせて下駄がコロコロと小気味好く鳴ります。プロデューサーさんはわたしに合わせてゆっくりゆっくり歩いてくれます。
そよ風が川辺の草を揺らして、さらさらと音を立てながら通り過ぎて行きました。プロデューサーさんの煙草がチリチリと微かな音を立てて、蛍みたいに優しく光ります。
深い藍色の空の中に星が輝き始めています。プロデューサーさんは空を見上げて、煙をふーっと吹きました。
P「いや、俺のは……もうだいたい叶っているかな」
「準備おねがいしまーす」
まゆ「それじゃあ、行ってきます。ちゃあんと見ていてくださいね」
P「ああ、ここで見ているよ」
まゆ「約束です。終わったら、散歩の続きですよ」
P「ああ」
プロデューサーさんは川の音に聞き入っているみたいです。
天の川が水面に映って綺麗でした。
P「良い夜になりそうだ」
まゆ『プロデューサーさんがまゆのことを見ていてくれますように』
P『良い夜になりますように』
七夕の夜はまだ始まったばかりです。
おわり
シンプルにまとまってて良かった
次も期待してる
さくまゆスレ流行らせコラ！
そういえば織姫と彦星もオフィスラブみたいなもんだよね
スレタイに何か既視感があると思ったらそれか
言われてみれば確かにあのシリーズとスレタイ被ってますね…気づきませんでした
もっとスレタイを吟味するべきでした…
すごくいい
互いに互いの願いをそれと言わずに叶え合っているんですね…良いなあ
P「いや、俺のは……もうだいたい叶っているかな」
こ↑こ↓すき
はえー習作なんすねえ
それじゃ次も…期待してるで