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【四部マスSS】人探しをしよう!

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:37:31 Q7Z0oai6
仗助「あぁ〜〜〜やっと授業終わったぜェ〜〜〜…さっさと帰ろうぜ億泰」

億泰「おう、仗助!…あれ、康一は今日は一緒じゃねぇのかぁ?」

仗助「今日は図書室で勉強するんだってよ……『山岸由花子』と一緒にな」

億泰「マジかァ〜〜〜〜〜!!?最近随分と仲良くしてんなあ〜〜〜まー羨ましいとは思わねぇけどよォ」

仗助「で、今日はどうするよ億泰?帰りに『カフェ・ドゥ・マゴ』にでも寄って…」

幸子「待ってましたよ仗助くん、億泰くん!」

仗助「おわぁ!!…って幸子か!オメーこんなとこで何やってんだよ…」

幸子「お二人を待ってたんですよ!ちょっと手伝って欲しいことがあるんです!」

億泰「『手伝い』だあ〜?先に言っとくが宿題の手伝いは無理だぜェ〜?あんま勉強に自信ねぇしよォ」

幸子「違いますよ、億泰くんじゃないんですから!『人探し』を手伝って欲しいんです!」

仗助「『人探し』ィ〜?なんだ、誰か探してんのか?」

幸子「いえ、探しているのはボクではなくて……ほら、こっちに来て下さい!」

??「あ、あの……この人達が幸子ちゃんの知り合い、なんですか…?」

幸子「そうですよ、とっても強くてとっても頼りになる人達です!まあボクのかわいさには及びませんがね!」

仗助「オメーは相変わらずだな…で、この『女の子』が誰かを探してんのか?幸子、オメーの同級生か?」


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:39:54 Q7Z0oai6
幸子「いえ、彼女はこの町の住人じゃないんです。つい先日この町に来たらしいんですが…『迷子』になっちゃったらしくて」

  「『杜王グランドホテル』に泊まって、今日は一緒に来た人と町を観光してたそうなんですが途中ではぐれてしまったそうで」

  「で、先程そこの道で困ってた彼女にボクが話しかけて話の顛末を聞いて今に至る、という感じです!」

仗助(『杜王グランドホテル』…承太郎さんの宿泊してるホテルか)

億泰「じゃあよぉ、とりあえずホテルに戻ればよかったじゃあねえか?なんで全然方角も違うここにいんだ?」

幸子「バスを乗り間違えたらしいんですよ。なんでもバスの行き先表示が間違ってたとかなんとかで…」

??「ご、ごめんなさい…ちゃんと確認せずバスに乗っちゃった私が悪いんです…」

仗助「まあ今日は特に予定も無ぇし『人探し』っつうんなら手伝うぜ?億泰は大丈夫か?」

億泰「随分困ってるみてぇだしなァ〜…ま、どうせ暇だし俺も手伝うぜェー」

幸子「お二人ならそう言ってくれると信じてましたよ!じゃあ早速人探しに行きましょう!」

??「あ、ありがとうございます…で、でも『私と一緒だと危ない』と思います…」

仗助(『一緒だと危ない』…?何を…)

億泰「それより名前まだ聞いてなかったぜ!アンタ、名前はなんて言うんだ?」

??「わ、私は…」






ほたる「『白菊ほたる』って言います…よ、よろしくお願いします…」


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:42:29 Q7Z0oai6
―――その頃、杜王町某所―――



露伴(さーて、今週の分の原稿は終わった…そうだな、久しぶりにトニオさんの店にでも…ん?あれは…)

??「…」

露伴「お前は確かジャンケン小僧…『大柳賢』…だったか?電柱の陰に隠れてコソコソと何をしているんだ?」

大柳「あ、露伴…先生!お久しぶりです」

露伴「で、お前は何をしてるんだ?まさかまた誰かとジャンケン勝負でもしようとしてるのか?」

大柳「違いますよ!ほら、あそこのショートカットの女の人…なんか迷ってる風じゃあないですか」

露伴「ん?…ああ、地図を持って辺りをキョロキョロしてるな…で、彼女がどうしたんだ?」

  「困ってるようなら道案内でもしてやればいいじゃあないか?まあ僕はやらないけどね」

大柳「道案内をするのはいいんですが…なんかあの女の人、『近寄りがたい感じ』がしてならないんです…」

露伴「そうか?僕は何も感じないがね…ヘブンズ・ドアーで調べてみるか?」

大柳「やるなら気を付けてくださいね!彼女は、何かヤバイんだ…彼女から底の知れない何かを感じるんですッ!」

露伴「まあせいぜい気をつけるさ。どれ、すれ違いざまに本に変えてみるか…」

??「えーと、杜王駅からこの道を来たから…ここは…」

露伴「……『ヘブンズ・ドアーッ』!!彼女を本に変えて情報を読み取れッ!!」ズ…

??「…あら、これは…『スタンド』?デフォルメされた子供みたいな…可愛いスタンドさんですね〜」ナデナデ

露伴(何ィィーーー!!?ヘブンズ・ドアーを『見られて、触られている』ッ!?まさかッ!スタンド使いかこの女ッ…)

  (いやっそれより!確かにヘブンズ・ドアーは発動した!なのにこの女、全く本になる気配が無いだとッ!?一体何が…)

??「あの〜…すみません、この可愛いスタンドさん、あなたのスタンドですか?」

露伴「うおおおおッ!?…な、何だお前は!?」

??「私はですね…えーと、その前にちょっとお尋ねしたいのですが…この写真の子をどこかで見かけませんでしたか?」

露伴「まさかスタンド使いの新たな刺客じゃあ……って、え?……写真の子だと?」


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:44:40 Q7Z0oai6
露伴「『写真の子』…いや、見たことは無いな…君の妹か?」

??「いえ、彼女は私と同じプロダクションに所属している『アイドル』なんですが…先程はぐれてしまいまして」

露伴「へえ、同じプロダクションの…ということは、君もアイドルなのか?悪いが芸能関係には疎くてね」

??「アイドル、と言ってもまだ卵のようなものでして…それで、彼女をどこかで見かけませんでしたか?」

露伴「いや、僕は見ていないな。ついさっきまで仕事をしていてここには来たばかりだしな」

  「…ところで僕からも質問をしていいか?」

??「ええ、構いませんよ。私に答えられることでしたら♪」

露伴「…君は『スタンド使い』なのか?」

??「いえ、違いますよ〜。私はスタンドは見えるんですが、スタンドは使えないんです。触ることは出来るんですけど」

  「知り合いのアイドルの子に何人か『スタンド使い』はいるんですけどね〜」

露伴「それは嘘だろう?僕はさっき君にスタンド能力を使ったんだ。けど君には何の変化も起きなかった。」

  「『何かスタンド能力を使って僕の攻撃を防いだ』んだろう?どういう手段かは分からないがね」

??「いえ、私は本当にスタンド使いじゃないんですよ。本当に、何もしてないんです。」

露伴「……そうか。すまなかったな、変なことを聞いて。ところで君は、今その写真の子を探しているんだろう?」

  「…ちょうど仕事も終わったばかりで少し時間がある。折角だ、その子を探すのを手伝おうじゃあないか」

??「え、手伝っていただけるんですか!ありがとうございます!私はここのことを全然知らないので助かります!」

露伴(この女…とぼけてるのか知らないが間違いなく『スタンド使い』だ。何としても化けの皮が剥がしてやる)

露伴「僕の名前は岸辺露伴という。君の名前を聞いてもいいか?」

??「はい、私は…」





茄子「鷹富士茄子。一富士二鷹三茄子で、鷹富士茄子(カコ)と言います。よろしくお願いします、岸辺露伴さん」


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:46:58 Q7Z0oai6

仗助「ドラァッ!!」バギィッ!!

幸子「うわわわ!…あ、危なかったぁ〜…」

ほたる(え、あの標識…折れた倒れてきたはずなのに…『直ってる』…?)

仗助「いきなり標識が折れて倒れてきた……クソッ!『また』かよ!」

億泰「さっきはバイクが歩道に突っ込んできたしよォ〜…さっきからどうなってんだぁ?な〜んかおかしいぜェ…」

幸子「バスに乗っていければ良かったんですけどね…バスがエンストしたせいで運休なんてまさかの事態ですよ!」

仗助「バスは運休、猫の大群に追われる、ブロック塀が崩れる、バイクが突っ込んでくる、標識が折れる…」

幸子「こんな不運が重なるなんて今日は一体なんなんですかね…いわゆる厄日ってやつですか?」

ほたる「……ごめんなさい、すみません…私のせいで…早く、早くしないと…」

幸子「何を言ってるんですか!ほたるちゃんは全く関係無いでしょう!長い人生、こんな日もありますって!」

仗助(さっきからの不運な出来事の連続…そして、『私と一緒だと危ない』…)

  「まさか……ほたる、これはオメーが原因なのか?」

ほたる「……!」


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:48:38 Q7Z0oai6
幸子「何を言ってるんですか仗助くん!ほたるちゃんだって巻き込まれてるんですよ!失礼じゃないですか!」

億泰「でも幸子よぉ〜〜〜…流石にこれは異常だぜェ…なんか原因があるとすればほたるだって思わねえかぁ〜?」

幸子「うぐっ…!で、でもほたるちゃんだって…」

ほたる「ほ、本当にごめんなさい…!全部、全部私のせいなんです…」

仗助「…やっぱ原因は…オメーなのか!もしかしてお前…『スタンド使いの刺客』じゃあねえだろうなぁ?」

ほたる「ス、スタンド使い…?スタンドって、なんですか…?」

億泰「とぼけても無駄だぜェッ!『ザ・ハンド』ッ!」ズアッ

幸子「億泰くん、やめて下さい!まさかほたるちゃんに『ザ・ハンド』の能力を使う気ですか!?」

億泰「そんな訳ねぇだろうがよ!だが、俺らがスタンドを出して脅かしゃあほたるもスタンドを出すしかねえ!」

ほたる「え…え…?何…なんですか…?一体、何があるんですか…?」

仗助「……!!」

億泰「まだとぼける気かァ〜?こうなりゃ空間を削りとって…」グアッ

仗助「待て億泰!ほたるの奴、マジでスタンドが見えてねえ!ザ・ハンドが動いても何のリアクションも起こしてねえ!」

億泰「ハァ!?マジかよ!?」

幸子「……ほたるちゃん、説明して下さい!『私のせい』ってどういうことですか!?何か知ってるんですか!?」

ほたる「……わ、私の周りでは、いつも不幸な出来事が起こってしまうんです…」

   「私と遊んでた友達が怪我をしたり、私が以前いたプロダクションが倒産してしまったり…」

   「私と一緒にいる人が、いつも不幸に巻き込まれてしまうんです…本当に、本当にごめんなさい…」

   「だから、早く『タカフジさん』を見つけて会わないといけないんです…」

幸子「『タカフジさん』…ほたるちゃんが話していた探し人ですね?その人と会えば、なんとかなるんですね?」

ほたる「は、はい……だから、早く、早く会わないといけないんです…」

億泰「スタンドが見えてねえってこたぁスタンド使いじゃあねえ…つまり『不幸体質』ってやつなのかァ〜〜〜?」


7 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:50:18 Q7Z0oai6
仗助(こいつァ…グレートにまずいんじゃあねえか…?スタンド使い相手ならスタンドを倒せばなんとかなるかもしれねえ…)

  (だが、ほたるはスタンド使いじゃあねえ…スタンド使いじゃねえ以上こっちは『何も出来ねえッ』!)

  (スタンドがいねえ以上『倒しようがねえ』ってことだからなァ〜〜…)

  (クソッ!!どうすりゃあいい…今更ほたるをほっといて逃げるってわけにもいかねえ…)

  (結局…はやいとこ『タカフジさん』とやらを見つけなきゃあいけねえってわけかよ!)

億泰「とりあえずよォ〜…人通りの多いところにでも行かねえかぁ?多分相手だってこっちを探してるだろうしよォ」

幸子「そうですね、急ぎましょう!ほら、ほたるちゃん。ボクの手を取って下さい!」

ほたる「だ、ダメですよ!そんなことしたらまた幸子ちゃんに迷惑かけちゃうかもしれないし…」

幸子「なーに言ってるんですか!また迷子になったら困るでしょう!?」

ほたる「で、でも…」

幸子「ボクは『幸せ』な『子』と書いて幸子って言うんです!不幸なんてボクのカワイイオーラで全部弾いちゃいますよ!」

  「だからほら、手を繋いで!絶対に離さないで下さいね!」

ほたる「…は、はい…えっと、よろしく、お願いします…」

仗助「カワイイオーラって何だよ…聞いたことねえぞそんな愉快なワードはよォ〜」

幸子「仗助くんには見えないんですか!?この不幸を弾き飛ばして幸福を招き入れるこのボクの偉大なるオーラが!」フフーン

仗助(…ま、そういうとこがオメーらしいっつうか…オメーの良い所なんだろうな)

仗助「とにかく駅にでも向かおうぜェ〜〜〜…億泰、何が起こっても大丈夫な様に警戒はしとけよ」

億泰「おお、任せとけ!いつでも『ザ・ハンド』は使えるようにしとくからよォ〜〜」

ほたる「よ、よろしくお願いします…」


8 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:54:01 Q7Z0oai6
――杜王町駅前通り――


仗助「ふう〜〜〜…何度かトラブルもあったがなんとかここまで来れたな…」

億泰「しっかしバナナの皮で滑って転ぶなんてよォ、漫画でしか見たことなかったが実際にあるもんなんだなァ〜〜」

幸子「意外に滑るというのは新たな発見でしたね…誰が捨てたんでしょう」(←転んで後頭部強打、クレイジーDで治療)

仗助「全く気をつけろよなァ〜…急に転んで頭打った時は漫画みたいに笑うどころか本気でビビったぜ…」

幸子「無事だったからいいじゃないですか!それよりほたるさん、『タカフジさん』はここにいらっしゃいますか?」

ほたる「ええっと……あ!いました、道路の向こう側にいるショートカットの…あれ、一緒にいる人達は…」

億泰「ショートカットの…お、あの女の人かぁ?……もしかして一緒にいるの、露伴先生じゃあねえか?」

仗助「んん?おお、ありゃあ確かに露伴先生だな。……まさか露伴先生もこっちを探してたってえのか?」

幸子「ともかく見つかってよかったです!露伴せんせーい!こっち!こっちですよー!」ブンブン

仗助「良かったな、割とすぐ見つかってよ。じゃあ道路の向こうに渡って…ってオイ幸子!上だ!!」

幸子「上?上って…ふぎゃああああああああ!!なんか降ってきたあああああ!!」

ほたる「幸子ちゃん!危ないっ!」ドンッ

幸子「…え?ほ、ほたるちゃん!!」

仗助(工事現場の足場か!!クソッ!判断が遅れた!間に合わねえ!)

億泰(ザ・ハンドで空間を削って…!ダメだ!引き寄せる時間がねえ!)

ゴオッ!!

仗助・億泰(!?)

??「―――!――――――!」

仗助・億泰(な、何ィィィィィ―――!!!?)

ドグシャァァァァ!!!ガラガラガラガラ……


9 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:55:21 Q7Z0oai6
―――時は少し遡り、杜王町某所―――



茄子「へぇ〜…露伴さんは漫画家で、今とっても人気の漫画を描いているんですね」

露伴「『ピンクダークの少年』、本当に知らないのか?そこそこ有名な作品だと思ってるんだが」

茄子「ちょっと漫画には疎くて…ごめんなさい、今度買って読んでみますね♪」

露伴「まあ君のような若い女にぼくの漫画の面白さが理解できるかどうかは分からないがね」

大柳(こういうことを本人の目の前で言っちゃうあたりが子供っぽいよなぁ〜…露伴先生って)

露伴「それにしても珍妙な名前だよなァ、鷹富士茄子とは…漫画のキャラクター名でももう少し捻るもんじゃあないか?」

茄子「ええ、よく言われます。面白い、珍しい、可笑しい、変な名前だって」

露伴「だろうなァ〜〜…名前のせいで大変だったことも一度や二度じゃあないだろう?」

茄子「それはもう、数えきれないほど。……でも、とっても縁起の良い名前なんですよ。」

露伴「一富士二鷹三茄子、だろ?初夢の時に見ると縁起が良いとかいう…」

茄子「この名前のおかげか、人より運に恵まれまして。結構順調に人生を過ごせてます♪」

露伴「運が良い、ねェ〜〜〜。羨ましいよ、さぞかし人生も楽勝モードなんだろうねェ〜〜〜?」

大柳(この人は…なんとも大人げないなァ〜〜〜!)

茄子「う〜ん…そうですねぇ、確かに私は運に恵まれてますけど…それなりに努力だってしてるつもりですよ」

露伴「努力ゥ〜?運に恵まれるための努力をしてる、とでも言うのか?」


10 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:57:04 Q7Z0oai6
茄子「そうですね〜……幸運というのは、『正しい行い』をした人にこそ与えられるものだと私は思うんですよ」

露伴「正しい行い?」

茄子「人は正しい行いをすることで、幸運を享受することができる。私は、常にそう思ってます。」

  「誰にも恥じることのない、正しい行いを心がけて実践する。そうやって、『自分は幸せになってもいい』」

  「そう思えるようになれるまで努力して、研鑽を積んでいく。そういう人にこそ幸運は訪れるんじゃないかなって。」

  「何もしていないのにただ幸運が訪れても、人って素直に受け入れられるとは思えないんです。」

  「『何か反動があるんじゃないか』『何もしてない自分が幸せになってもいいのか』って感じに」

  「だからこそ、自身に訪れた幸運を素直に受け入れられるような…そんな人間であろうって心がけて、頑張ってるんですよ♪」

露伴(この女…ただの運頼りの能天気な女、って訳でも無さそうだな…)

茄子「……今探してるこの子も、そんな風になって欲しいと思いますね〜」

露伴「この女の子にも何かあるのか?」

茄子「ええ、まあ。この子は…」

大柳「あっ!あれ、写真の子じゃないですか!?ほら、道路の向かい側の工事現場の前…」

露伴「ん?…確かにそう見えるな…ってなんで仗助達が一緒にいるんだ!」

大柳「もしかして、あっちも鷹富士さんを探してるんじゃあ…あ、向こうも気づいたみたいですよ、手振ってます」

露伴「何にせよ見つかって良かったな。……それじゃあ僕はこの辺りで失礼するよ」

茄子「えっ?彼らとは知り合いじゃないんですか?お礼もしたいですし、折角なら会っていっても…」

露伴「あいつらは知り合いであっても仲良しじゃあないんだよ!あいつらに会うといつも面倒なことになるんだ!」

大柳「じゃあぼくが付き合いますよ…って向こう!ビルの工事現場の足場が崩れて落ちて―――」

茄子「露伴さん!!私をあなたのスタンドで向こうまで飛ばして下さい!!」

露伴「何ッ!?…くそっ!『ヘブンズ・ドアー!!彼女の身体を向こうまで吹きとばせ!!』」ズギュゥゥゥゥン

大柳「ちょっと待って露伴先生!道路を見てッ!左右から車が走ってきてますッ!」

露伴「しまっ…!!(周囲の確認を怠っていた!!これはどうしようもない…ッ!!)」

茄子「大丈夫ですよ、露伴さん、賢くん。私は『運がいいんです』!!」

ドヒュウウウウウウン!!

露伴(何ィィィィ―――!?左右から来る車の間をすり抜けていっただと!)

大柳(まるでガラスのシャワーを浴びて無傷だった時の僕のようにッ!『いつものことです』みたいな表情で躊躇なくこんなことをッ!)

ゴオッ!!

茄子「ほたるちゃん!私の手を取って!」

ほたる「た、鷹富士さん!?は、はい!」ガシッ





ドグシャァァァァ!!!ガラガラガラガラ……


11 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:59:07 Q7Z0oai6
仗助「何ィィッ!!いきなり突っ込んできた女の人が巻き込まれたぞッ!!」

億泰「とにかく早く助けようぜ!!生きてたらおめーの『クレイジー・ダイヤモンド』で治せるからよォ!!」

幸子「ほ、ほたるちゃああん!!なんでボクを庇ったんですか!!早く、早く助けなきゃ!!」

仗助「くそっ!!舞い上がった煙で前が見えねえ!!」

億泰「お、おいあそこだ!煙の向こうに動く陰が見えたぜェ!」

幸子「ほたるちゃん!!無事ですか!?無事でしたら返事をして下さい!!」ダッ

仗助「おい待て幸子!まだ何が起こるか分からねえのに突っ込むんじゃあねえッ!」

??「ゴホッゴホッ……!うぅ、けむたい…!大丈夫?怪我はない?ほたるちゃん」

??「わ、私は大丈夫です…鷹富士さん、ありがとうございます…あ、幸子ちゃん…」

幸子「え…?えぇぇぇ!!?」

仗助「お、おいマジか…!?嘘だろ!?」

億泰「まさか、あの事故で『全くの無傷』だってえのかよォ〜〜〜!?」

茄子「あら、煙が晴れて……えっと、あなた達がほたるちゃんをここまで連れて来てくれたのですか?」

仗助「……それじゃあアンタが『タカフジさん』なのか?」

茄子「ええ、私が鷹富士です。一富士二鷹三茄子で、鷹富士茄子と申します♪」

億泰「一富士二鷹三茄子で……タカフジ…ナスさんっすかァ?変な名前っすねェ〜〜〜」

茄子「ナスじゃなくてカコですよ〜」

幸子「ちょっと億泰くん、失礼ですよ!えっと、本当に大丈夫なんですか?怪我は無いんですか?」

茄子「大丈夫ですよ。ほたるちゃんも、ほら無傷です」

ほたる「ご、ごめんね幸子ちゃん…心配してくれてありがとう」

幸子「全くですよ!ほたるちゃんが怪我でもしたらどうするんですか!!」

ほたる(もしかしたら自分が怪我をしていたかもしれないのに…自分のことじゃなくて、私が傷つくことに本気で怒ってくれてる。)

   (やっぱり、幸子ちゃんって強い子だなぁ…私も、こんな風になれたらきっと…)

億泰「しっかしあれだけの事故でよく怪我しなかったよなァ〜〜〜…これが『不幸中の幸い』ってやつかぁ?」

茄子「ええ、私は人よりちょっとだけ『幸運』なので♪」

ほたる(ちょ、ちょっと…?)

億泰「???」

幸子「何にせよ良かったです!ほたるちゃん、やっと『タカフジさん』に会えましたね!」

ほたる「う、うん…幸子ちゃん、本当にありがとう…本当に…」ポロポロ

幸子「うわわわ!泣いちゃダメですよ!良いことがあったら笑うんです!ほら、カワイイボクのように!」

仗助(……こいつぁグレートだぜ、幸子…)

露伴「おい仗助!何が起こったんだ!別にお前の心配などしていないが一から説明してもらうぞ!!」

仗助「ええ〜…説明しないといけないんスかァ〜?めんどくせえなァ〜〜〜」


12 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 21:59:42 dGeO3e/U
復活記念


13 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:00:24 Q7Z0oai6
―――その後、プロダクションの関係者が事故現場に現れ、皆の代わりに警察と事後の対応や処理をしてくれたらしい。

仗助くん達はちょっとしたお礼ということで、杜王グランドホテルで食事を振る舞われたそうだ。

鷹富士茄子さんと白菊ほたるちゃんは、その後2・3日ほど杜王町に仕事で滞在した後、杜王町を離れていった。

幸子ちゃんはほたるちゃんと随分仲良くなったらしく、別れを惜しんでいたが連絡先を交換して、これからも交流を続けるみたいだ。

ちなみに仗助くんたちはあの二人と出会ってから、何度か幸運な出来事があったらしい。これが、鷹富士茄子さんの幸運の力なのかな?

結局彼女はスタンドが見えるだけで、スタンド使いでは無いそうだ。露伴先生は最後まで彼女を無意識のスタンド使いだと疑っていたけど…

ただ、話を聞く限りではとても良い人そうだった。僕も、一度会って話をしたかったなぁ。(語り:広瀬康一)


14 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:01:21 Q7Z0oai6
露伴「ふう、ちょっとした気まぐれだったが思った以上に時間を食ってしまったな…」

プルルルルルル…プルルルルル…

露伴「ん?電話か…誰だ?」ガチャ

??「あの…岸辺露伴様のお宅でしょうか…?私…鷺沢書店のものですが…」

露伴「ぼくが岸辺露伴だが……鷺沢書店?この声は確か…鷺沢文香、だったか?」

文香「はい…その節はご迷惑を…」

露伴「あの時のことはもう気にしちゃあいないさ。それで、突然何の連絡だい?」

文香「以前、岸辺さんが欲しがっていた絶版でプレミアが付いている本なのですが…私の知り合いの方に相談しまして…」

露伴「ほう?(相変わらず聞き取りづらい声だなァ〜…もっとハキハキ喋れないのかこの女は…)」

文香「岸辺露伴という方がその本を欲しがっている…という話をしたところその方の娘さんが岸辺さんの大ファンらしくて…」

  「サイン色紙をいただけるなら自分のツテでその本を探して手に入れてあげよう、とのことで…」

露伴「…何?」

文香「それで本日、うちに本が届きましたので…その方に贈るサイン色紙を持ってきていただけないか、と思いまして…」

露伴「本当か!?」

文香「!(ビクッ…は、はい…先程到着した本は確認済みです…保存状態も良好なので、問題は無いかと…」

露伴「ああ分かった、今すぐそっちに向かうッ!サイン色紙だけでいいのか!?」

文香「せ、先方からはそう伺っております…お金はいらない、直筆のサインをいただければ譲る、とのことでした…」

露伴「サイン色紙なんぞ何枚でも書いてやる!すぐ行くから誰にも売るんじゃあないぞッ!!」

文香「は、はい…。お待ちしております…」ガチャン

露伴「まさかあの本が手に入るなんてなァ〜〜〜!!いやぁ、本当にツイてるぞ!」

  「……ツイてる、か…(幸運…ふんっ、偶然さこんなものは…決してあの女のお陰とかそういうわけじゃあない…)」

  「……まあ、せいぜい漫画のネタに使ってやるぐらいのことはしてやるさ」


15 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:03:18 Q7Z0oai6
茄子(あの町…杜王町には、何か嫌なものを感じました)

  (一見平和でのどかな所。だけど何か…何かどす黒いものが混じっている、そんな感じ…)

  (『スタンド使い』の人たちが多く集まる町。きっと、あの町にはたくさんのスタンド使いがいる)

  (そして露伴さん達もスタンド使い…これからも色々なことに巻き込まれると思います)

  (私があの町に住んでいる人たちに出来ることなんて何も無いですけれど…せめて…)

茄子「皆さんにどうか―――『幸福がありますように』」

ほたる「…?鷹富士さん、どうかしましたか?」

茄子「いいえ、なんでもありません。さ、行きましょうほたるちゃん。次のお仕事が待ってます♪」



???((幸福が、ありますように…))ズズズ…



スタンド名---『???』
本体---鷹富士茄子(20歳)
【破壊力-なし / スピード-なし / 射程距離-なし / 持続力-なし / 精密動作性-なし / 成長性-なし】
本体を不運から遠ざけ、本体とその周囲の人間に様々な幸運を与えるスタンド。
直接的な戦闘力は皆無だが、そのスタンドパワーは絶大であり、物理法則や運命すらも操り幸運を与えることが出来る。
鷹富士茄子の「幸運とは正しい行いをすることによって与えられるもの」という考えに沿い発現するため
無条件に幸運だけを得ようとする行いに対して幸運が与えられることは無い。(本体を含む)
本体と一体型のスタンドのためスタンドビジョンは無い。そのため、鷹富士茄子は自身を「スタンドが見えるだけの人間」と思っている。


「迷子を探そう!」・END


16 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:07:38 Q7Z0oai6
短いですが以上です。
元々一発ネタだったスレにちょっと話を足しただけだからね、仕方ないね

鷺沢さんのエピソードはこ↑れ↓、勝手に設定借りて申し訳ナス!
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1461811319/


17 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:10:24 7CR.wEiE
乙ゥ〜
物理法則すら操るって絶対強い(確信)


18 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:10:34 nzu1BISc
オツシャス!


19 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:14:23 8kFkc0Zk
いいSSやこれは……


20 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:49:10 kMRiZKFQ
茄子さんの「幸運」をジャンケン小僧の過去のシーンで説明したのは巧妙だと思いました


21 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 22:50:27 dGeO3e/U
やっぱ休日だとみんなSS書いてくれてうれしい


22 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/06(月) 11:32:56 NaWic0sI
乙ゥ〜
発動さえすれば負けなしですねこれは…
そして幸子は本当にいいこ


23 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/06(月) 11:52:19 YXccHdBw
SBRのスタンド詳細公開されるまでヘイ・ヤーがこういう能力だと思ってたゾ


24 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/06(月) 12:26:58 bWVq0bcQ
ポコロコと似て非なるかんじですね


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