桃「はぁ〜……なんで前回の周回ではわからなかったんだ」
生徒会役員B「船舶科の点検班に新一年生が混じるようになってましたからね。恐らく、自分のルートを把握し切れていなかったのではという見解です」
桃「まぁ、これだけ大きい船だから仕方ないか。この図面、持っていくぞ」
小山「桃ちゃんちょっといいかな？」
桃「ん、どうしたんだ？」
柚子「次の大洗町への高校入試広告、下書きが来週までなんだけど会議のアジェンダ消化したんだっけ？」
桃「ああ。書類は会長の判子待ちなんだ」
杏「こやまー」
柚子「会長！」
杏「これ、入試広告のやつ。急ぎだろうから」
柚子「ありがとうございます」
杏「にしても最近はいっそがしいねぇ。バタバタする時期ってーのもあるだろうけどさ」
桃「生徒会は学園内のみならず、学園艦全体をも指揮せねばなりませんからね」
小山「これでも会長やみんなのお陰でスムーズな方なんですよ」
杏「ん〜、そりゃそうなんだろうけど」
桃「とはいえ、我々を便利屋かなにかと勘違いしている生徒も多いですからね。会長の仰ることもわかります」
生徒会役員C「すみません、お取込み中の所を失礼します！」
桃「どうした」
生徒会役員C「少々問題が発生したようなので取り急ぎお伝えに」
杏「問題？」
生徒会役員C「>>3」
桃「なっ、何ィ〜！？ 多田野をここに呼べ！！」
柚子「桃ちゃん落ち着いて」
杏「それマジ？」
生徒会役員C「情報元はこの週刊誌です。偶然、購読していた生徒が見つけたものなんですが……」
杏「小山、この子の顔写真出して」
柚子「はい」ｶﾀｶﾀ
桃「なになに……『大洗女子学園の野球部員に淫行疑惑！？ 未成年にも関わらずAVに出演し、多額の報酬を受け取った』、か」
柚子「会長、この子です」
杏「ふ〜ん、確かにそっくりだね。週刊誌のページが白黒だから細かいとこまではわかんないけど」
生徒会役員C「それで、野球部の顧問の元へ取材の依頼が来たらしいんです。まだ判断はしていないようで」
杏「まぁまずは本人に確認取らなきゃダメっしょ。顧問には電話来たら取材受けるよう言っといて」
桃「いいんですか！？」
杏「本当にせよ嘘にせよ否定してもらわないといけないから」
柚子「じゃあ放送で呼び出しますね」
ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾊﾟﾝﾎﾟｰﾝ
学園艦放送『大洗女子学園野球部、多田野数人。直ちに生徒会室まで来てください』
ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾊﾟﾝﾎﾟｰﾝ
――五分後
TDN「失礼します……」
杏「いやー、急に呼び出しちゃったりしてごめんね。ちょっと聞きたい事があるんだけど」
桃「この週刊誌に載っている写真、お前で間違いないか？」
TDN「>>6」
あと私は数子です
柚子「本当に貴女なの？」
TDN「わ、私の兄です……というか、私は数人ではなく数子なんですが……」
桃「なあっ！？」
杏「こりゃ予想外だったね。どうなってんの？」
柚子「あっ、参照したデータベースが女子学園以前のものになってたみたいです……すみません」
TDN「この週刊誌はどういうことなんですか」
杏「いやなに、私たちも詳しい話はわかんない。なんでも野球部の多田野って子がAVに出てるって噂があってね」
桃「ん……？ か、会長！ これよく見たら数年前のものですよ！」
杏「えぇ……」
TDN「すみません、もうよろしいでしょうか。ちょっと早急に確認しないといけないことができたので」
柚子「う、うん。なんだかごめんね」
TDN「では、失礼します」ﾊﾞﾀﾝ
杏「なんか申し訳ない事しちゃったねぇ」
桃「あとで噂の元を辿って広めた人物を特定しておきます」
生徒会役員A「失礼します。会長、お時間よろしいでしょうか？」
杏「どったの？」
生徒会役員A「>>10」
杏「えっ、なんで？」
生徒会役員A「なんでも『多田野』と言えばわかるからと」
桃「多田野といえば、さっきの生徒の名前だが……」
杏「ははぁん。とりあえず通していいよ〜」
生徒会役員A「わかりました」
監督「失礼する。突然の訪問、申し訳ない」
柚子「よかったらこちらに掛けて下さい」
監督「これはこれは」
桃「して、貴方はいったいなんの用でここに？」
監督「あー……まぁなんと言いますか、そのぉ……」
杏「多田野ちゃんのこと？」
監督「やはり知っておられる」
杏「まぁついさっきの話だしねぇ。もしかして数子ちゃんが何かしちゃったのかな」
監督「ええまぁ。急に電話が掛かって来て、『あんたが肯定さえしなければ兄もおもちゃにならずに済んだのに』と言われてしまいまして……」
桃「我々はこの件については詳しく知らない。昔、何があったんだ？」
監督「多田野がうちの野球部に居た頃、他の部員と一緒にAVに出演しとる疑惑があがったんですわ」
監督「自分も最初は冗談やろと笑っとったんですが、ある記者がビデオ持って取材に来ましてね」
監督「そのビデオに写っとったんが多田野だけじゃなく、大坊や羽田野も一緒にいたもんですから……ついうっかり『なんだこれは、たまげたなぁ』と言ってしまいまして」
監督「それからは大騒ぎですよ。多田野は記者会見で釈明するハメになるし、大坊や羽田野も……」
杏「なるほどねぇ」
監督「昔の話ですからね。知らん人は知らんでしょう。多田野も必死来いて家族に隠してたんでしょうが、まさか今更バレるとは思っとりませんでした」
桃「しかし、だからといって我々が多田野数子をどうすることもできないぞ」
監督「説得してもらうとか……あの様子じゃ刺されちまいそうで」
柚子「お兄さんに頼むとか」
監督「それができたらやっとりますわ」
杏「じゃあ>>15でいいんじゃない？」
桃「えっ」
監督「えっ」
杏「多分、数子ちゃんは兄が周りから昔の事で笑われてるのを心配してると思うんだよね」
杏「だったら、その事件を知る人間がいねいであろうここで働いてもらえば兄も妹も平和になれるんじゃんないの？」
柚子「なるほど……でも、大坊さんと羽田野さんは？」
杏「そりゃあの二人だって身バレしちゃったんだから、もしかすると同じ境遇かもしれないじゃん」
監督「要するに多田野をこっちで働かせれば妹さんも私のことをとやかく言わなくなると」
杏「……まぁ、そうじゃない」
監督「いやあ助かった助かった！ 肩の荷がスッと下りた気分ですわ。ほな、自分帰りますんで」ｶﾞﾁｬｯ
桃「いいんですか？」
杏「はぁ、いいよ。三人に連絡つけといてね」
桃「わかりました」
――別の日
杏「例の件どうなったの？」
桃「は。三名ともこちらの交渉に応じ、明日からこちらの学園艦に移るとのことです」
柚子「三人にはそれぞれ寮の管理と用務員をやってもらおうかと」
杏「ん、おっけー」
ｺﾝｺﾝ
杏「お？ どうぞー」
みほ「失礼します」
桃「西住か。どうかしたのか」
みほ「いえ、ちょっとご相談したい事があって」
杏「珍しいねぇ、西住ちゃんがそんなこと言うなんて。なになに？」
みほ「>>19」
杏「えっ」
桃「えっ」
柚子「えっ」
みほ「？」
杏「……西住ちゃんさぁ、マジで言ってる？」
みほ「はい。明日こちらに来られるようなんですけど、実は前から知り合いで……」
みほ「まさか職場が大洗の学園艦になるとは思ってませんでしたけど、これを機にお付き合いすることになったんです」
杏（まったくもってそんなつもりじゃなかったんだけどねぇ……）
桃「」
柚子「桃ちゃんが立ったまま気絶してる……」
杏「まぁなんてーの？ 不純異性交遊は一応禁止だから、ほどほどにね？」
みほ「えへへ、はい！ じゃあ失礼しますね！」ﾊﾞﾀﾝ
桃「…………ハッ！！ こらぁ西住！！ 待てぇぇぇぇぇぇぇ！！」ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ
柚子「予想外の展開でしたね」
杏「予想外っていうか寝耳に水っていうか……まぁいいや、うん」
――別の日
杏「三人はよく働いてる？」
柚子「はい。仕事も覚えが早く、貴重な男手が増えて助かってるみたいです」
桃「それと！ 多田野と西住が二人でいるところを数人が目撃してます！！ いいんですか会長！！」
杏「別にダメって言う理由もないしね」
ｺﾝｺﾝ
杏「どうぞー」
沙織「失礼しまーす」
柚子「武部さん。どうしたの？」
沙織「少しお話したいことが……」
杏「（なんにもなきゃいいけど……）まぁまぁ言ってみー？」
沙織「>>23」
桃「」
杏「……いやー、ビックリビックリ。アルマゲドン起こってたかー」
杏「で、何の映画の影響受けたの？」
沙織「あー！ 会長信じてませんね！」
柚子「いきなりそんなこと言われたらこうなると思うけど……」
杏「作家も裸足で逃げ出す急展開だよねぇ」
沙織「証拠があります！」
杏「ほー。どれどれ？」
沙織「これです！」
>>25
〜観賞中〜
杏「…………」ﾋﾟｯ
沙織「…………」
杏「一ついい？」
沙織「はい」
杏「世界救われてんじゃん！！！！」
桃・柚子 ﾋﾞｸｯ
杏「せめて！！ せめて隕石が落ちてたなら納得したよ！？ いや巨大隕石が落ちたのに私たちが平然としてるのはおかしいけどそこはおいといて！！」
杏「落ちてないじゃん隕石！！」
沙織「そ、そうみたいですね」
杏「映像持ってきたのになんでそんなに他人事っぽいのかわっかんないなぁ私……」
沙織「えっと、し、失礼しましたー！！」ﾀﾞｯ
杏「……かーしまー」
桃「はっ、はい」
杏「後で武部ちゃん捕まえたら病院に送り込んでおいてね」ﾊｧ
桃「わかりました……」
――別の日
杏「なんかもうねぇ、今日は嫌な予感ビンビンだから帰っていい？」
柚子「まだ仕事残ってますからやめてください！」
杏「だってさぁ」ｺﾝｺﾝ
杏「そらきた……はぁい」
華「失礼します」
桃「五十鈴か。どうかしたのか？」
華「少しお話が……」
杏「あー……うん、言ってみて」
華「>>32」
安価なら下
桃「なに？ 付きまとわれているのか」
華「いえ、実際にそうというわけではありません」
杏「ちょっと詳しく話してみてよ」
華「はい。以前、大会でサンダースと当たった時にある男性から声を掛けられまして」
華「試合を見ていてⅣ号の砲撃が素晴らしかった。貴方が砲手だったのか、と」
華「間違いはありませんから『はい』とお答えしたら、よければお話したいとのことでしたので連絡先を交換したんです」
桃「そんな安易に男と連絡先を交換など――」
華「あの時は既に学園艦に戻るまでの時間が近かったのでそうするしかなかったんです。わたくしとしても、少々嬉しい気持ちもありましたから」
柚子「じゃあ、言い寄られてるっていうのは？」
華「はい。最初はあちらも戦車のお話のみで会話をしていたのですが、連絡回数が増えるにつれ私的なことも混ざってきてしまって」
華「気づいた時には『お食事に行きませんか』とか、『今度お会いしませんか』というようなことを言われるようになってしまいました」
杏「なるほどねぇ」
華「わたくし、どうしていいかわからなくて……」
杏「>>40したらいいんじゃない？」
華「で、デートですか」
杏「そ。五十鈴ちゃんはその男子のことどう思ってるの？」
華「えっと……戦車に興味があって、かなり積極的な性格の方なのだなと……」
杏「いやいやそういうことじゃなくて、もっと簡単なことだよ。優しそうだとか、面白いとか」
華「……わかりません」
杏「そっかぁ。まぁでもさ、そういう意味でもデートしてみた方がいいんじゃない？」
杏「直接会って話してみれば相手がどんな性格なのかもわかるし、意外と悪くないかもしれないよ？」
杏「もしこの時点でその男の子のこと嫌いならわざわざ相談しに来ないもんね」
華「！！」
杏「なんかあったらいけないし、一応こっちからは河嶋つけてあげるから」
桃「えっ」
華「ありがとうございます」
杏「いいよいいよ。私がデートしてこいって言ったわけだしね。結果報告、楽しみにしてるよ」
華「はい。では、失礼します」ﾊﾞﾀﾝｯ
杏「というわけで河嶋、頼んだ」
桃「……はい」
――別の日
桃「結局、この日がやってきてしまったか……」
桃「会長の命令だ。しっかりと二人を監視しなければ！」
桃「にしても五十鈴のやつ、随分と気合いの入った服装だな……」
桃「！ 男の方が来たか」ﾊﾟｼｬｯﾊﾟｼｬｯ
桃「ほぉ……なかなか悪くないじゃないか」
桃「しつこく言い寄るような男とは思えんが、人を見かけで判断してはいけないな」
桃「ん、動くのか。私も見つからぬよう行くか」
二人の行動（向かった場所、もしくは終始平和だったとかぎくしゃくしていたとかの結果でも） >>43
ｲﾗｯｼｬｲﾏｾｰ
店員「一名様ですか？」
桃「ああ」
店員「お好きな席へどうぞ」
桃（ふふふ、難なく隣の席をゲットできたぞ。これで会話もばっちり聞こえる）
男子生徒「けどあの砲撃は本当にすごかったですよ」
華「ふふ、またその話ですか？」
男子生徒「いやいや！ 見ていて心臓飛び出るくらい驚いちゃって！」
華「そこまで言って頂けるのなら嬉しいです。でも、あれはわたくしを信じて下さった皆さんのお陰です」
男子生徒「謙遜までしてチームメンバーを立てるなんて……やっぱり優しい方なんですね」
華「そんな……わたくしなんて全然」
男子生徒「そういえば、戦車道はまったくの初心者だって言ってましたけど、戦車には慣れました？」
華「はい。実は、同じチームに戦車に詳しい方と戦車道の家元の方がいらっしゃいまして」
男子生徒「へー！ それはとても心強いですね！ そのお二人が指導をなされている」
華「主に家元の方が訓練を先導されてますわ。でも、知識面では戦車に詳しい方に頼ることも多いですね」
男子生徒「なるほど。じゃあ――」
――その後
男子生徒「なんだかすみません。わざわざ来てくださったのにずっと喫茶店で喋るだけだなんて……」
華「いえいえ、楽しかったです」
男子生徒「ほ、本当ですか？ その、もしよければまた今度お会いしませんか？」
華「……また、機会があるのなら」
男子生徒「わかりました！ じゃあ次に空いてる日を選んでおきます！！」
桃（結果は喫茶店で長々と戦車道トークをしただけ、か）
桃（一般的なデートに分類できるかどうかはともかく、平和に終わってよかったな）
桃（五十鈴も満更ではないようだし、さっさと戻って会長に報告しておくか）
――別の日
杏「へぇ。じゃあ別に悪い人じゃなかったんだね」
桃「ええ。どうやら悪意を持って近づいたわけではないようです」
柚子「よかったですね」
杏「ウチは女子学園だから出会いも少ないし、みんなには機会を大事にしてもらいたいもんだね」
ﾄﾝﾄﾝ
杏「はいよー」
>>46「失礼します！」
桃「もう少し静かにできんのかお前は」
杏「おー、珍しいねぇ。どうかしたの？」
典子「実はお話したいことがあって……」
杏「ますます珍しい。まぁまぁ、話してみー？」
典子「>>48」
杏「ああー、バレー部は人数不足してもんねぇ」
柚子「私たちは希望者がこんなに少ないのは意外だと思ってたんだけど……」
典子「いや、もう少しはいましたよ」
桃「ではなぜ今は四人しかいない？」
典子「残りの人たちには気合いが足りてませんでした！！」
桃「わけがわからん……」
杏「まぁあれでしょ？ 磯辺ちゃんは自分のお眼鏡に敵う子がいないって言いたいんでしょ？」
磯辺「はい！！ 本気でバレーやって、本気で勝ちたいと思ってる子と一緒にやりたいんです！！ これは他の三人も同じ意見です！！」
杏「それで廃部じゃ本末転倒だと思うんだけどねぇ……」
磯辺「といわけで、なんとかならないでしょうか！！」
杏「そうだねぇ……>>51」
桃「えっ」
磯辺「ベレー部に増員ですか！！ やった！！」
桃「ちょっ、ちょ、会長！？」
杏「頑張れ〜」
磯辺「これからよろしくね！！ いやぁ、身長が高いからありがたいよ〜！！」
桃「あ、あぁ……柚"子"ち"ゃ"ぁ"〜"ん"！！」ｸﾞｽﾞｸﾞｽﾞ
柚子「会長、あまりにもいきなりすぎるのでは……」
杏「何言ってんの、広報の腕の見せ所でしょ」
柚子「と言うと？」
杏「まず河嶋が一時的な助っ人としてバレー部に入ってバレーを直に体験するでしょ？」
杏「で、体験を元にバレーがいかに面白い競技なのかを宣伝してやればいいんだよ」
杏「それで部員も増えれば河嶋は晴れてお役御免。バレー部も復活出来て万々歳ってわけ」
桃「さ、さすが会長です！！」
柚子「立ち直り早いね桃ちゃん」
杏「だから頑張ってきてね。河嶋ならやれるよ」
桃「はっ！ 河嶋桃、必ずやバレー部の宣伝に尽力し、会長の目論見を果たして見せます！！」
こうして翌日、全身筋肉痛の桃が柚子へ泣き付くのに杏と典子は「やれやれ」と首を振るのだった
滅茶苦茶な安価も捌けててすごい（小並感）
西住さんとTDNは......相性良さそうやな色んな意味で