グレイズ隊は大破撃墜、キマリストルーパーも勢いを見せず惨敗だった
コクピットに響く己が啜り泣く声、どこからか聞こえる親友マクギリスの嘲笑
敵機接近の警戒音が鳴る中、ギャラルホルンの特務三佐ガエリオ・ボードウィンは独り泣いていた
ギャラルホルンで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる戦友・・・
それを今のギャラルホルンで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」ガエリオは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、ガエリオははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいコクピットシートの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってアルミリアの相手をしなくちゃな」ガエリオは苦笑しながら呟いた
コクピットを開け立ち上がって伸びをした時、ガエリオはふと気付いた
「あれ・・・？誰かそこにいるのか・・・？」
キマリスから飛び出したガエリオが目にしたのは、エドモントンの草原を埋めつくさんばかりのギャラルホルン軍人たちだった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにギャラルホルンの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とするガエリオの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ガエリオ、我々の正義の戦いだ、早く行くぞ」声の方に振り返ったガエリオは目を疑った
「マ・・・マクギリス？」 「なんですかボードウィン特務三佐、居眠りでもしていたのか？」
「ア・・・アイン？」 「なあにガエリオ、自分の部下を死人みたいに」
「カルタ・・・」 ガエリオは半分パニックになりながら整列するMS隊を見上げた
１番機：シュヴァルベ・グレイズ(アイン機) ２番機：グレイズ(地上戦仕様) ３番：グレイズリッター(カルタ機) ４番：シュヴァルベ・グレイズ(マクギリス機) ５番：グレイズ(クランク機) ６番：ガンダムキマリス ７番：グレイズ指揮官機 ８番：グレイズ ９番：グレイズリッター
暫時、唖然としていたガエリオだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
親友マクギリスから友情の証を受け取り、キマリスへ全力疾走するガエリオ、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、大破したキマリストルーパーのコクピットで冷たくなっているガエリオが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った