ビスマルク「もうすぐクリスマスね」
提督「あー、そういえばそうだな」
ビスマルク「ところで、提督はサンタさんに何をお願いしたのかしら？」
提督「……ん？」
ビス「プレゼントよ。靴下の中に欲しいものを書いた紙入れたでしょ？」
提督「……いや、靴下ってお前、そもそも俺たちくらいの歳でサンタさんなんか来な－－」
プリンツオイゲン「ダンケェ！」ﾎﾞｺｩ
提督「ぐはぁっ！」
プリ「Guten Morgen！ビスマルク姉さま！」
ビス「あらオイゲン、Guten Morgen」
提督「ゲホッ、ゲホッ…いきなり腹パンって何考えてんだお前……」
プリ「ごめんなさいアトミラールさん！本日も重巡プリンツ・オイゲンが秘書艦を務めます！」
提督「よ、よろしく…」
ビス「それで提督、この鎮守府はクリスマスを祝うのかしら？」
提督「まあツリーくらいは置いといて後は各自テキトーに…」
ビス「そんなんじゃダメよ！」ﾄﾞﾝｯ
提督「お”うっ！？」
ビス「電飾は？ヤドリギは？ツリーはもちろん本物のもみの木を使うんでしょうね？シュトーレンとレープクーヘンもたくさん焼いて、鎮守府内にクリスマスマーケットも開かないと……それに煙突！この鎮守府煙突が一本も無い！これじゃ……」
ビス「これじゃサンタさんがおうちに入れないじゃない！」
提督「はぁ！？」
ビス「総統閣下が言ってたわ、日本でもクリスマスはちゃんと祝うって！サンタさんも来るって！だから私は日本に来たのよ？」
プリ「わーいサンタさん！オイゲンサンタさん楽しみー！」
提督「あのー、ビスマルクさんちょっといいですか？庁舎に煙突は防諜的にマズいし、本格的にクリスマス祝う予算も無いし、そもそもサンタさんはいな－－」
プリ「Feuer！Feuer！」ﾎﾞｶｯ ﾊﾞｷｯ
提督「ふべぁ！？」
ビス「とにかく提督、そういうことだから準備はしっかりお願いね。24日、楽しみにしてるわ」
ｶﾞﾁｬ ﾄﾞﾝ
プリ「……アトミラールさん、手荒なことしてごめんねー」ｻｽｻｽ
提督「……プリンツ、これはどういうことだ？」
プリ「うん、実はね……ビスマルク姉さまは未だにサンタさんを信じてるの」
提督「それはなんとなく分かったが……そんなに信じこんでるのか」
プリ「うん。だからドイツ海軍ではね、ビスマルク姉様を満足させるために毎年盛大にクリスマスを祝ってたの」
提督「めんどくさい話だなおい」
プリ「まあ私たちも楽しいからいいんだけどね。……それで、一度サンタさんが居ないことがビスマルク姉様にバレたことがあって」
提督「ん？それはどういうことだ」
プリ「サンタさん役の総統閣下がね……ビスマルク姉様の部屋に忍び込んで、プレゼントを置いたまではよかったんだけど」
提督「というかサンタさん総統 なのか…」
プリ「ビスマルク姉様実は寝ずにスタンバってて、いきなり起き上がってサンタにハグしたの。そしたら白ヒゲが取れて…」
提督「チョビヒゲがあらわに…」
プリ「ビスマルク姉さま、それからずっと部屋に引き込もって出撃も拒否しちゃったの」
提督「えぇ…」
プリ「最終的には頭に電極つけてクリスマス前後の記憶を消して元通りにしたの」
提督「ドイツの科学力すげえ」
プリ「昨日総統から電報が来て、『もし私のかわいいビスマルクの夢を壊すようなことがあるならば、同盟の破棄も検討せざるを得ない』って」
提督「ファッ！？」
プリ「というわけでアトミラールさん、ビスマルク姉様と日独友好のために素敵なクリスマス作り頑張りましょう！」
提督「むーん、同盟破棄なんてことになったら提督更迭軍事裁判開廷待ったなしだな…仕方ない…やるか」
プリ「やりましょう！あ、それと」
提督「なんだ？」
プリ「追伸で『やっぱゆーちゃんはドイツに返して』だって」
提督「それは無理だ」
その夜・提督居室
プリ「お茶が出来ました！」
提督「ありがとうプリンツ……しかし何だよ全く。俺はクリスマスよりおこたとミカンとお茶が好きなんだけどなあ」ｽﾞｽﾞｰ
プリ「私もこたつ大好きです！隣失礼しますね……ああ〜〜あったかいでね〜」ﾎﾟﾜｰﾝ
提督「おお、プリンツも和の心が分かってきたな。……ビスマルクも日本文化はいっちょまえに楽しんでたが」
プリ「ビスマルク姉様のお部屋にもこたつが出来てました！」
提督「なのにクリスマスに関してはドイツ人なんだよなあ……しかしどうする。クリスマスまでもう時間が無い。急いで準備を進めないと」
？？「クリスマスのことならお任せですって！」ﾆｮｷｯ
提督「ぶふぉっ！！……だ、誰だお前！？」
呂500「♪あめはよふけすぎ〜に〜ゆきへとかわる〜だ〜ろーちゃんですっ！」ﾋﾞｼｨｯ
提督「ゲホッゲホッ…こたつの中からろーちゃんが……ってどこで覚えたんだそんな渋いクリスマスソング」
プリ「タツロー・ヤマシタいいよね〜」
呂500「恋人はサンタクロース、ですって！」
提督(こんなんだからもうドイツには帰せないんだよなあ…)
呂500「ろーちゃんお祭り大好きですって、クリスマスにも詳しいから任せてって」
提督「分かった、分かったからまず膝から下りてくれ」
数十分後
プリ「ﾁｷﾁｷ!ビスマルク姉さまに捧ぐ！クリスマス電撃作戦会議〜」
Z1・Z3・呂500・伊8「「「「おー！」」」」
提督「お、おー……」
Z1「さっそくだけど提督、『アドヴェント』って知ってるかい？」
提督「えーと、準備……みたいな意味か？」
Z3「そう。ドイツではクリスマス前の1ヶ月をアドヴェントと言って、クリスマスの準備をしたり、前祝いをしたりするの。ある意味クリスマスより楽しいのがこのアドヴェントね」
提督「あー、気持ちは分かるかもしれん。子供の頃はその時期が一番ワクワクしたな」
Z1「ドイツの街ではアドヴェントになるとイルミネーションの他に、屋台が立ち並んでおいしい食べ物やクリスマスの飾りがたくさん売られるんだ。これがドイツ名物『クリスマスマーケット』だよ！」
提督「ビスマルクが言ってたやつか」
Z3「姉さまほどじゃないけど、私もクリスマスマーケットに行かないとクリスマスになった気がしないわね」
提督「なるほど屋台か……わかった。急いで手配させよう」ﾒﾓﾒﾓ
プリ「そうそう、アドヴェントと言ったらアドヴェントクランツ！」
提督「それは何だ？」
プリ「小さいリースにろうそくを4つつけて、日曜日が来るたびに一本ずつ火をつけていくの！こういうやつ！」
http://imgur.com/9Gq01sK.jpg
提督「火が全部灯ったらクリスマスの到来か……洒落た仕掛けだ」
プリ「鎮守府のあちこちにこれを置きましょう！」
呂500「イルミネーションも大事ですって！」
提督「電飾か？いつものやつじゃダメなのか？」
Z3「ショボすぎるわ。この時期アメリカ人の凝った電飾も話題になるけど、街ぐるみのイルミネーションではドイツに敵う国は無いわ。大規模なコンテストも毎年やってて、有名なベルリン大聖堂までクリスマス一色よ」
http://imgur.com/uAW4xQl.png
http://imgur.com/MoEmALm.png
提督「え、何これは…」
Z3「この十分の一でいいから提督も頑張ることね」
呂500「ドイツのクリスマスへのこだわりはせかいいちーっ！ですって！」
プリ「あの『キヨシ この夜』もドイツから有名になったんだよ！」
提督「おい元監督が出てきてるぞ。『きよしこの夜』な。……それにしてもやはりドイツ、クリスマスも先進的…」
Z1「あと最後に大事なものがあるよ！」
提督「まだ何かあるのか」
プリ「お菓子！お菓子よ！」
提督「あー、例の酒盗なんちゃらか。カ〇ディで買えるかな」
伊8「グーテンナハト！」ﾄﾞｽｯ
提督「があぁっ！魚雷がみぞおちに…」
プリ「『シュトーレン』ですっ！確かにカ〇ディにも売ってるけど、やっぱり手作りが食べたいよね」
提督「それってどういう食べ物なんだ？」
伊8「クリスマスのお菓子の代表といったらやはり『シュトーレン』だろう。
これは、こってりとした酵母の入った生地に、レーズンとレモンピール、オレンジピールを練りこんで焼き上げたケーキで上には粉砂糖がたっぷりかかっている。中にはマジパンが入ったものやラム酒入りの大人向けのものもある。薄めに切って食べるものだが、一切れでおなかがいっぱいになるくらいほど密度の濃いケーキである。[要出典] ドイツ全国どこでも手に入るが特に有名なのはドレスデンのシュトレンで、バターがたっぷり入った濃厚な味で値段も高め。中には美しい缶のケースに入っているものもあり、日持ちするのでおみやげとしても大変喜ばれる高級なお菓子なのだ」
http://imgur.com/fyCsVtu.png
提督「おいそこのドイツかぶれ、wikiを読み上げるな」
伊8「安心してください、機銃と一緒に持ち帰ったレシピを間宮さんに渡してますよ」
提督「お、それは有能」
プリ「あとはレープクーヘンやプレッツヒェンかなー、色んな形にかたどったクッキーのお菓子で、見てるだけで楽しいんだよ！」
http://imgur.com/HxDGmcq.png
http://imgur.com/dfnBoOs.png
提督「ドイツの菓子も作って用意…と」ﾒﾓﾒﾓ
Z1「準備ができたらあとはどうクリスマスを盛り上げていくか考えないとね」
提督「うーむ、面倒だが……ビスマルクはこの一年艦隊のためによく働いてくれたからな。やるからには、ドイツに帰った気分になるくらい盛大にやってやるか、クリスマス」
Z1「ドイツ艦みんなで協力するよ」
呂500「ろーちゃんもお手伝いするって！」
プリ「アトミラールさん、ご一緒に頑張りましょう！」
翌日の朝礼で提督よりクリスマス布告が出され、艦隊業務と平行して大々的なクリスマス・アドヴェント、およびクリスマスの準備が鎮守府総出で行われることとなったのだった－－。
鎮守府・運動グラウンド
龍驤「いらはいいらはい〜クリスマス風たこ焼きやで〜」
瑞鳳「瑞鳳の作ったクリスマス風卵焼き、たべりゅ？」
提督「……なんか思ってたのと違うが」
ビス「ん〜美味しいわ〜Es schmeckt gut！！」ﾎｸﾎｸ
提督「クリスマスマーケット、楽しんでもらえてるようで何より」
プリ「この鎮守府らしくていいと思います！」
隆法「て、い、と、く？」ﾁｮﾝﾁｮﾝ
提督「お、どうした？」
龍鳳「シュトーレンの準備が出来ました。お味見いかがですか？」
提督「流石は精鋭お菓子班、仕事が早い。どれどれ…」ﾊﾟｸ
提督「うん！甘くてそれでいてベタつかない…」
伊良湖「ドライフルーツの代わりに小豆を入れてみたものも作りました」
プリ「これが日独友好…」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
間宮「はーい押さないでねー、みんなに一つずつありますよ」
大井「こんなお菓子…クリスマス前に太っちゃう！」ﾊﾑｯ
潮「全くです」ﾊﾟｸﾊﾟｸ
吹雪「赤城さん！シュトーレンの在庫を確保しました！後は食べるだけです！」
赤城「でかした！」
提督「一人一個だバカチンども」ｺﾞﾁﾝ
吹雪・赤城「ぐへぇ」
提督「技術班、イルミネーションはどうだ？」
明石「開発は順調に進んでますよ！例えばこれとか」
提督「電飾のついたヤドリギ……なんだこれ？」
明石「提督知りません？ヤドリギの下で会ったらキスしていいって話」
提督「ん、聞いたことあるな」
明石「このヤドリギライト、近くにいる女の子の脳波をキャッチして、青く光ったらキスお断り、赤く光ったらキスミーベイベー！て仕掛けです」
提督「青く光ったらクッソ傷つくなそれ！てかカップルがいない鎮守府で需要あんのか？」
明石「提督、最近は女の子同士も進んでるんですよ……」ｼﾞﾄｰ
提督「マジか！なんとふしだらな……却下だ却下。それを寄越しなさい」
明石「あ、提督ちょっと待って引っ張ったら－－」ﾎﾟﾁｯ
ヤドリギ「ﾍﾟｶｰ」(赤ライト)
提督「……え？」
明石「……あ」ｶｧｧ
提督とドイツ艦たちのプロデュースのもと、クリスマス・アドヴェントは順調に進んだ。
駆逐艦たちは庁舎を次々に飾り付け、鎮守中に置かれたアドヴェントクランツに灯をともした。建造妖精たちは夜を徹して仮設煙突やイルミネーションを生産し、間宮はお菓子を焼き、潜水艦隊はオリョール海を回った。
そしてクリスマスイブの朝－－。
ビス「わー！雪よ雪！ホワイトクリスマスよ！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ
プリ「……ビスマルク姉さま、喜んでる」
提督「ああ。間に合って良かった」
プリ「スキー場から造雪機を借りてきて、艦爆に吊るして鎮守府中を真っ白にするなんてびっくり！」
提督「……供与品のスツーカをこんなことに使ったって上が知ったらめちゃ怒られそうだな」
プリ「総統閣下なら誉めてくれます！ナイスアイデアです」ｸﾞｯ
提督「パーティーは艦娘たちに一任してるからとりあえず大丈夫だとして、後はプレゼントだな……」
プリ「やっぱり提督サンタ？」
提督「それしかあるまい。変装は万全で行く」
プリ「そういえばろーちゃんが姉さまの部屋に潜入してお願いの紙を取ってきたって、何て書いてあったんですか？」
提督「秘密だ」
プリ「えー！気になる気になる、教えてくださいよー、ねー！ケチー！」ﾍﾟﾁﾍﾟﾁ
提督(『ブリキュア変身セット』が欲しいなんてバレたら、ビス子のメンツが丸潰れだ…)
あのさぁ…
艦隊勤務が終わり、夜になるとクリスマス実行委員会による盛大なクリスマスパーティーが開かれた。
間宮謹製の巨大クリスマスケーキ、こんがり焼かれた七面鳥、怒る瑞鶴、クリスマスソングの合唱。
パーティーは盛況のうちに終わり、そして消灯時間後－－。
ビスマルク居室前
サンタ提督「〇二〇〇、草木も眠るメリークリスマスだ……行くぞプリンツ」
トナカイプリンツ「オッケー……任せて」ﾋｿﾋｿ
ｶﾞﾁｬ
提督「鍵開いてて良かった…では行ってくる」ﾋﾟｼｯ
プリ「ご武運を」ﾋﾞｼｨｯ
提督「さてビス子は…」
ビス「ｽｰ…ｽｰ…」
提督「よし寝てる……こんばんはー……サンタさんだよー……」ｿﾛｰﾘ
プリ「ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ」←小さくベルを鳴らしてる
提督「そーっとそーっと」
ビス「ﾑﾆｬﾑﾆｬ……」
提督「靴下にプレゼントとメッセージカード(筆:プリンツ)を入れて、と………よし」ｸﾞｯ
プリ「ばっちり」ｸﾞｯ
提督「よし後はスタコラサッサ－－」
ビス「……てい……とく」
提督「ッ！？！？！！」ﾋﾞｸｩｯ
プリ(やばい……！)
提督(バレたか………？)
ビス「……んー……ﾑﾆｬﾑﾆｬ」
ビス「……ていとく……みんな……あり……がと……」
ビス「………」
提督「………」
ビス「………ｽｰ…ｽｰ…」
提督「全く……いい顔で眠りやがって」
プリ「ふふ……姉さまかわいい」
提督「いつもきつい任務ばかり与えてごめんな……今はゆっくり休んでくれ」
提督「メリークリスマス、ビスマルク」
提督居室
提督「はああーー！！やっと終わったー！」
プリ「疲れましたー！でもよかったですね」
提督「ああ……あの寝顔見てたら今までの苦労も報われた気がするわ」
プリ「明日の朝が楽しみですね」
提督「ああ……」
プリ「……ところでアトミラールさん。準備ばっかりでクリスマスパーティーも全然食べてなかったでしょ？どうですか？私と二人で」
提督「いいなそれ……よし、シャンパン出してくる」
プリ「私おつまみ取ってきます！」
提督「じゃ、ビスマルクリスマス作戦成功と、ささやかなクリスマスパーティーってことで……乾杯」
プリ「Prost！」
提督「ん……さすが鳳翔さんの料理は冷めてもいけるな」
プリ「この煮込みテールも美味しいです！」
提督「……」
プリ「……」
提督・プリ「なあ」「アトミラールさん」
プリ「……どうぞ」
提督「実はな、プリンツにもプレゼントがあるんだ……はい」ｺﾞｿｺﾞｿ
プリ「ほんとですか！わあ……忘れてなかったんですね」ｼﾞﾄｰ
提督「当たり前だろ？」
プリ「開けてみても？」
提督「どうぞ」
プリ「これは……ネックレスですね！素敵です！……あ、これもしかして」
提督「まあうん、合うかなと思ってな、その……指輪と。同じブランドのにしたんだ」
プリ「……大事にしますね！アトミラールさん、プリンツオイゲンからもプレゼントがあります……はい」
提督「これは……懐中時計？」
プリ「私のオーパとオーマ……祖父母が持ってたものです。こっちが対の時計……これからも、ずっと一緒に時間を刻んでいけたらいいなって」
提督「ふふ……なんからしくないな」
プリ「むっ！宝物なんですよー！茶化すなら返してください！」
提督「いや、ありがとう」ｷﾞｭｯ
プリ「あっ……」
提督「絶対大事にするから」
プリ「……うん、Danke」ｷﾞｭｳｳｯ
提督「……なあプリンツ」
プリ「なぁに、貴方」
提督「……眩しいな」
プリ「ふふ、消しましょうか……ヤドリギライト」
提督「お、雪が降ってきた」
プリ「たぶんスツーカの雪ですよ？」
提督「さあ……どうかな」
この後滅茶苦茶ダンケダンケした
〜Frohe Weihnachten〜
艦！
ドイツ艦の面子に何か足んねぇよなぁ？
カオスなギャグ展開を最後は甘々しっとりにまとめあげたシュトーレンのような良作
1145148101919点
突然現れるイタコやめろ
11451419198104545点
突然の大川総裁の登場はもう許さねぇからな〜
でも突然現れた総裁に草が抑えきれなかった