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平野院長「これぞ脳書きですな!」
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下北沢にある立教大学、
坊主頭で体つきが少々だらしないMURという普通の青年がいた
彼は自分の性格について悩んでいた
というのも早合点してしまう上に、よく忘れものをしてしまう。という少し困った性格をしているからだ
そんなある日、彼は友人たちと歩いていた
「でさ、またアイスティー買い忘れちまったんだよなぁ・・・」
「MURさん、また買い忘れたんですか?」
体つきががっちりした短髪の青年、田所が尋ねた
「おう、KMRのアドバイスどおりメモしたんだがそのメモを忘れてきちまった」
「カバンの中に入れておけば良いじゃないですか」
KMRと呼ばれた目元がくっきりしていて、体つきがそこそこ良い青年が言った
「書いたあとに、トイレ行きたくなってな・・・」
「そのまま、ですね」
「何とかしねぇとな〜俺もな〜」
「でも、MURさんの場合勉強には支障ないですし俺の頭と交換して欲しいわ〜」
「お前は勉強してないだけだろ」
MURは笑いながら突っ込んだ
「あ、そうだ(唐突)」
KMRが思い出したように突如口を開いた
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「MURさん! 良い情報ありますよ!」
「何だゾ?」
「何でも、忘れたくないことをちゃんと覚えさせてくれる医者がいるとか」
「それは本当か!?」
「はい、確か・・・平野記憶保持医院 とかいう変わった名前の病院? らしいですけど」
「一度行ってみるかな〜? 相談とか受け付けてくれるんだろ?」
「はい、これ名刺渡しておきますね 裏に地図が書いてあるので」
「サンキュ でも、どうしてこんなこと知っているんだ?」
「今朝、母の知り合いの虐待おじさんが遊びに来たんですよ
昔の知り合いが店開くからもし良かったらって名刺くれたんですよ」
「はぇ〜、じゃあひで君も来てるんだ?」
「来ましたね 先輩たちと遊びたがってましたよ」
「また、かわいがってやるか しょうがないな〜」
田所はにこにこしながら言った
その後、他愛のない話をして3人は分かれたあとMURは「平野記憶保持医院」に行ってみることにした
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「うわー・・・すげー人・・・」
一見普通の家にしか見えない場所に多くの人だかりが出来ていた
「本当に効果あるかもな・・・とりあえず、並ぶか」
最後尾に並び、30分くらい経ちようやく家が見えてきた瞬間
「えー、ただいま12時をもって一時中断させて頂きます
次は14時からとなりますので、またお越しください・・・」
と眼鏡をかけた白髪の男が言うと、人だかりが少なくなっていった
MURも帰ろうとしたとき
「なお、初診の方は13時まで受け付けておりますのでいらっしゃいましたらお残りください」
という朗報がMURの耳に入った
MURは少し驚いた表情のまま、受付をしに病院内に入って行った
幸運なことに、数人しかいなかったためすぐに診てもらうことが出来た
「お待たせしました MURさんですね 私が院長の平野と申します」
少しよれよれの白衣を身にまとい、無精ひげとぼさぼさ白髪の男が聞いた
「どのような悩みでこちらに?」
「実は、物忘れが激しくて・・・」
これまでの出来事や悩みを打ち明け、平野はうなずきながらMURの話を黙って聞いた
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「なるほど、では物忘れを直したいと・・・」
「しかし申し訳ありませんが、私の力ではMURさんの物忘れを治すことは出来ません」
「え、どうしてですか?」
「具体的な物の名前や出来事、名前などでないと効果が発揮されない・・・」
「例えば、MURさんの場合なら 大学終わったら飲み物(アイスティー)を買う といったように
具体的な内容でないと効果が発揮されないのですよ」
「なので、物忘れをなくす と書いても効果がありません」
「じゃあ、大学が終わったら飲み物(アイスティー)を買う で良いのでお願いします」
「分かりました では、治療するので横を向いてもらって良いですか?」
「はい」と椅子に座ったまま90度横を向くと、平野はMURの頭に指で何か書き始めた
「(ん? アイス・・・ もしかして頭に書いているのか?)」MURは緊張した
「(この人大丈夫なのか!? いや、でも人だかり出来ていたしおそらく・・・)」
「終わりました」と頭に感触がなくなると同時に平野が言った
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「はは、驚きますよね」
「いつの間にかですね、頭に具体的な文字を書くとその人の頭脳に刻むことが出来るんですよ」
「重複可能なので重要な約束や、暗証番号の設定に刻まれる方が多く利用されているのです」
「私も忘れっぽいので苦しさも分かります、なのでこの能力を使って悩みのある人を救おうと思っているんです」
「これぞまさに脳(能)書き てやつですね」平野はドヤ顔で言った
「ンンッ! 失礼しました///」
「今回MURさんは初めてですので、1000円で結構です」
「2回目からは2000円になりますので、ご注意ください」
帰り道MURは
「効果はどうあれ、良い先生だったな〜 しかし、2000円ぽっちで生活できるのだろうか?」
という疑問が残りながらも家に着いた
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次の日、大学終了後MURは
「今日も大学キツかったゾー 支度したらひで君と遊んでやるか〜」
飲み物のことを忘れていた そのとき
「大学終了後、飲み物(アイスティー)を買う」という言葉が浮かんだ
「あ、そうだ! 忘れていたゾ・・・買わなくちゃ」
MURは無事に、忘れることなく飲み物を買うことが出来た
その後、KMRの家に行きKMRにさっそく効果が発揮されたことを伝えた
「すごい効果あったぞ!! KMRに感謝するゾー!」
「そんな大げさですよ、それに治したのは僕じゃなくて平野さんでしょうに・・・」
まんざらでもない笑顔で返した
「Foo! ひで君スマブラ強いねぇ!!」
「ありがにょ 田所さんのドンキーも強くて憧れちゃうにょ」
「それほどでもない」
そんな楽しい一日を送った
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その次の日、大学も終わりMURは帰路につこうとしたとき
「大学終了後、飲み物(アイスティー)を買う」という言葉が浮かんだ
「あ、いけね! 忘れていたか・・・買わなくちゃ」と言いアイスティーを買った
家に着き、MURは驚いた
「なぜアイスティーがあるんだ?」
家には先ほど買ってきた同じ2Lのアイスティーが冷蔵庫にあった
「参ったな・・・流石に2本は入らないぞ・・・しかし、何でアイスティーがあるんだ?」と考えると
「そうか、治療してもらったからだ・・・」と平野医院の出来事を思い出した
その日のうちに平野医院に行くと幸い人が少なかったため、すぐ診てもらうことが出来た
「いや〜、MURくんも運が良いね 今日は平日だからか人が少ないんだ
今日はどんな用事で?」
「実は、前に書いてもらった内容を消して欲しいんです」
「そうか・・・実は 確実に消す、ってことが出来ないんだ ごめん! 先に言っておくべきだったね」
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「そんな、何とかならないのですか?」
「そうだね、一応出来ないこともないが・・・」
「それをお願いします!」
「うーん、分かった! やってみよう」というとMURの頭に二本の線が書かれる感触があった
「よし、これで良いはずだ 駄目だったらまたおいで、お金を返してあげるから」
「ありがとうございます」と言い2000円支払った
次の日、大学からの帰り何事もなくMURは帰路に着いた
「おー! 良かったー! やっぱ・・・平野さんに頼んで・・・正解やったな!」と喜んだ
しかし、頭の中にもやもや感が残った
確かに、何かを頼んだのだが 何を頼んだのか忘れてしまったのだ
必死に考えても分からないため、頼みに行った
「すみません、平野先生 何を頼んだのか忘れてしまったので思い出させてもらえますか?」
終わり
あ、そうだ(唐突) SSです
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落語にありそう
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毎回思うんだけど淫夢ネタ入れない方がいいんじゃないですかね
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