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イン・サーティ・ミニッツ・フイフティ・サウザンド ・エン
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重酸性雨と雑踏の音楽が響くネオサイタマ。
おぞましいまでに蠢く人の流れとネオン看板のまっただ中にヤモト・コキはいた。
耐酸性雨素材のPVCコートを着て、フードを目深く被った彼女の足取りはどこか覚束なく、目の色は少し澱んでいた。 1
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(((お腹すいたな…)))
今やヤモトの心を支配する物はこれしかない。迫り来るソウカイヤの追手、息を落ちつかせぬ日々。日に日に減っていくマネー!
いや、金は手に入る。ヤモトがフードを取れば声をかけてくるヨタモノから奪えば良いのだ。 2
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しかし、それはヤモトの心情に反する行為だ。なにより、そんなことをすればソウカイヤにたちまち嗅ぎ付かれてしまう。
(((お腹すいた、スシが食べたい…)))
最後に食べたのは三日前。転倒したスシ・デリバリーのバイクから頂戴したパックのスシを食べた。 3
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それからは、ついでに頂戴したボトル入りのチャを飲んで過ごしていた。
いかに、ニンジャ持久力を持っているヤモトでも、そろそろ限界が来よう。おお、ブッダよ!この哀れな少女を救わないのですか!
ヤモトがタラバー歌カニの店舗の前に差し掛かると、降りしきっていた酸性雨が止んだ。 4
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ヤモトは沈んでいた気持ちを切り替えようと、フードを取り空を見上げた。
マグロツェッペリンが空を飛び、サーチライトが空を飛び交う。正に漆黒の海のようだ。
これまでの事、これからの事、様々な思いがヤモトの平坦な胸に去来する。
そんな憂いを帯びたヤモトの顔を、見ている人影がひとつ。 5
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ヤモトは5分ほどそうしていただろうか。そして軽くため息をつき、フードを被って歩き始めた。
(((今日はヨヨギ・テンプルで寝よう)))
ヨヨギ自然公園の中に佇む廃テンプルは格好の隠れ家だ。足取り重く、ヤモトがそこへ向かおうとしたその時。
「ねえ、そこのアンタなにしてんの?」女の声がした。 6
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ヤモトは声を無視して歩こうとする。
「ねえ、待ってよ。ヨヨギ・テンプルに行こうってんでしょ?やめときなよ、今日はデッカーのガサイレだよ」
廃テンプルの様な巨大な廃棄建造物には犯罪者が巣食うことが多く、ネオサイタマ市警も手を焼いている。そのため、定期的にデッカーによるガサイレを行い犯罪者を逮捕しているのだ。 7
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奥ゆかしいヤモトは誰のものかも知れぬ忠告に礼をするため、足を止め振り返る。「ドーモ、ありがとうございます…」「いいって、いいって!ダイジョブダッテ!ほら、肩ぶつかるもタショーの…なんだっけ?」
どこか茶目っ気を感じるその女はピンク色の髪を後ろに束ね、オイラン・カンザシを刺していた。 8
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学校の制服を着ているが、着崩れしておりどことなく猥褻さが感じられ、豊満な胸がこぼれそうだ。
「あー、ドーモ、ミカです。…ねえ、ご飯食べてないでしょ?一緒に食べない?奢るよ!ほら、アタシ、一人で食べるのサミシクテ少しニガテで…ほら、ちょうどタラバー歌カニの前だし!」「ドーモ、ヤモト・コキです。大丈夫です、用事があるので」 9
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「あっと…もしかしてカニが苦手?それならオイランバーガーとか…」「いえ、大丈夫です」奥ゆかしくヤモトは断る。
「アー!モー!待ってよー!そんな死にそうな声して大丈夫なワケナイデショー!」ヤモトの腕を掴みながらミカは大声で言った。
「…ならオイランバーガーで」この街では珍しい優しさに、ヤモトは多少困惑しながらも甘えることにした。 10
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「ふーん、アンタ働いてないんだ?」ワサビバーガーをかじりながらミカは言った。「ハイ、でもなんとかやれてます」対するヤモトはシュリンプテンバーガーを口にほうばりながら答えた。
「でも、ヤレテナイジャン!チャで三日過ごすとかアリエナイ!」「…ハイ」しょんぼりとヤモトは答えた。 11
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「まあ、働けないワケは聞かないけどさ…なんかしないとジリー・プアーだよ実際」「アッハイ」実際ヤモトの所持金は心もとない所ではない。ヤモトがヨタモノ的思考を持っていたなら強盗をやっていただろう。
「…ねえ、人手が足らない仕事があるんだけどさ。やらない?」ミカは人懐っこい笑顔でヤモトを誘った。 12
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「仕事?」ヤモトは少し身構える。「あっ、マッテマッテ!そんな怪しい仕事じゃなくって…でもたくさんお金が貰える仕事だよ!30分で五万!」「30分で五万!?」破格の仕事だ!例えばここ、オイランバーガーの店員の時給は840円!
ヤモトは悩んだ。五万円、五万円あったら…ご飯が食べられる。屋根のある所で、暖かいフートンで眠れる。 13
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「五万円ー、もっと私をカワイイにしてみせるー」「五万円ー、貴方もそれで楽しい気持ちでしょうー」店内に流れるネコネコカワイイの曲がヤモトに決断を急がせる。
「…まあ、胡散臭い話だと思うならいーよ。ゴメンね、びっくりさせちゃって」「やります!」「アイエッ!?」結局、ヤモトは五万円を取った。いや、負けた。 14
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もう始まってる!
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オイランバーガーで食事を終えた二人はレンタル・ドージョーにいた。
「どんな仕事をすればいいんですか?」「うん、ちょーっとマッテテ…紹介してくれる人と話すから」ヤモトの問いにミカは携帯端末でIRC通信をしながら答えた。
#DANGOU:akimmika@video:ドーモ、モスキート=サン。///15
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ワッザ!?
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#DANGOU:Mosquito@fi-hihi!:ドーモ、ミカ=サン。///
#DANGOU:akimmika@video:いいの若い奴見っかったんですよぉ〜。でぇ〜オナニーで、10万円でどうですか?///
#DANGOU:mosquito@fi-hihi!:フィーヒヒヒ!チクビクリチャン重点な!それならいい!!///
#DANGOU:akimmika@video:ハイ、ヨロコンデー!頑張りますんで。ハイ。どうも〜失礼しま〜す。/// 16
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おお、ブッダ!ミカは違法ビデオ業者だったのだ!高校生でありながら高校生を食い物にするなど正にヒレツ!
「ゴメンねー、待たせちゃって」「イエ…」「それでさー仕事の前にちょっと色々確認させてね?」ミカはヤモトの手を取り、じっと見つめた。
「綺麗な手してるね」「ア、アリガトゴザイマス!」ヤモトは少し恥ずかしかった。 17
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原作のアトモスフィアを出しつつロード・オブ・NaNジェイの興味を引きそうなタイトルと登場人物スゴイ
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「いいねー、綺麗なのにしっかりしてる手だし…なんかやってた?」「あ、えーとオリガミを少し…」手を褒められるのは初めてのヤモトは顔を赤らめて答える。
「ああ〜!どーりでねぇ〜!…いいね〜!ふ〜ん…」ニンマリとミカは口を歪めた。「それで、結局何をすればいいんですか?」
「ちょーっとオナニーしてる映像を撮らせて貰うだけだよ」事も無げにミカは言った。 18
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「パパパッとやればすぐ終わるか…」「イヤーッ!」ヤモトは目に捉えられぬスピードでバタフライナイフを展開し、ミカの首筋に安い輝きの刃をあてがう!
「アッアイエエエエエエ!?」「…そのためにアタイにご飯奢ったの?」ヤモトは感情の感じられぬ虚ろげな声でミカに問いかける。コワイ! 19
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「ヤ、ヤモト=サン落ちついて…ね?」「イヤーッ!」「ンアーッ!」ヤモトのキックがミカのわき腹に炸裂!
「ゴボーッ!」ミカは口からワサビバーガーのなれの果てを吐き出す!
「ゲ、ゲホッ、ケホッ…別にさせるために奢ったワケじゃない…でも、アタシ達が稼げるお仕事なんてこれぐらい…ゴボーッ!」内臓を痛めたのか、ミカは血も吐き出す! 20
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「ア、アタイ…」「ゴメン、ゴメンね…ハーッ…ハーッ…」ミカは吐瀉物にまみれながらも謝った。
「もう、いーやなんか…ほら、これ持っていきなよ」ミカは自分のサイフからマネー素子を取りだし、ヤモトにポンと投げ渡した。「これは?」「マネー素子だよ…知らないの?」「使ったことない」「どこのオジョーサマ…いや、いいや…とりあえず店で出せば使えるからダイジョブダッテ…」 21
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「ア、アリガトゴザイマス!」ヤモトは頭を下げ礼をいう。「別にいーってば、アタシからのお詫びなんだし。それよりさ、早く行きなよオーナーがコッチ来てて、アンタを品定めに来るって通信入れてる」「ハイ!オタッシャデー!」ヤモトはレンタル・ドージョーの窓を突き破り、飛び降りて消えていった。 22
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女子高生直結!元締めと化したモスキート=サン
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「ここ20階…あー、そっかそれであんなにカラテがスゴかったんだ…」ミカはどこかスッキリとした顔でヤモトを見送ったその瞬間!
ミカの胸を硬質のニードルが貫いていた!「ドーモ、モスキートです。モデルチャンは何処だフィーヒヒヒ!」ヌルヌルと、クネクネとしたアイサツを針の持ち主はした。インガオホーだとミカは血を吐きながら思い、ヤモトの無事を祈りながら死んだ。 23
イン・サーティ・ミニッツ・フイフティ・サウザンド ・エン 終わり
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ナムアミダブツ!
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ポエット!
忍殺世界におけるショッギョムッジョとサツバツ感をよく再現したラストすき
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良心を見せたらすぐ死ぬ
なぜですかブッダよ!まだ寝ているのですか!
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ショッギョ・ムッジョな…
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適度にインム要素を含んだ実際奥ゆかしい文でした
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インガオホー!
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珍しくAILE君が忍殺スレを残してる…
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淫夢やエア本=サンは実際残りやすい
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