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【艦これSS】「改二」
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「艤装の返却に来ました」
トラック泊地周辺の警戒監視から帰投した叢雲は艤装を返却しようと装備品保管庫を訪れていた。
艦娘の中には自分で艤装を整備する者もいるがどちらかというと少数派だ。多くは整備班に任せる。
そして、彼女の目の前には40歳ほどのつなぎを着た男性がいた。叢雲の艤装整備担当の前田だ。
「お帰り叢雲ちゃん。その様子だと何もなかったようだね」
「ええ、ここ最近は潜水艦とかも見かけませんから」
「君たちにはホント頭が上がらないなあ……」
前田は苦笑いをする。
10代から20代ほどの少女たちが戦うことに負い目を感じている大人は多い。彼もその内の一人なのだろう。
「私たちが戦えるのは前田さんたちがいるからです。あまり卑下しないでください」
「ありがとう。あっ、そういえば提督が来るそうだよ」
「司令官が?」
人を呼び出すことが多いあの司令官がわざわざ来るとは何かあったのだろうかと叢雲は思った。
すると、白髪が混じりの男性が保管庫に入ってきた。二人は敬礼をしてトラック泊地の長を迎え入れる。
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「失礼するよ」
「お待ちしておりました」
「わざわざ司令官が来るなんて珍しいわね。そんなに早く報告が聞きたかったの?」
「違うわい……二人に話しておきたいことがあってな」
「私もですか?」
前田が意外だといった表情を見せる。
「ああ」
「早く言ってくれない?艤装をまだはずしてないんだから」
「なに、すぐ終わる」
一呼吸おいて提督が口を開く。
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「叢雲。お前さんに更なる改装が許可された」
「……は?」
叢雲が聞き返す。
「何、エイプリルフールの嘘?」
「嘘じゃない。これを見てみろ」
提督が一枚の紙を渡し、叢雲と前田が覗き込む。
そこには「特型駆逐艦5番艦、叢雲の更なる改装を許可する」と書かれていた。
何度も見てきたから間違いない。上からくる正式な書類だ。
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「先ほど届いたものだ。艤装を扱う者には早めに伝えておこうと思ってな」
「なるほど」
前田がうなずく。
改造によって艤装が変化する場合が多い。そのため本人だけでなく、整備の者にも伝えたかったのだろう。
だが、感心する前田に対して改装を受ける本人の態度はそっけない。
「ふーん」
「おや、あまり興味がないのか?」
「まぁ、駆逐艦の改二なんて最近では珍しくないし」
「確かに増えてきましたね」
初期のころは空母や巡洋艦など、少数の艦にしか更なる改装、俗にいう改二が許可されていなかった。
しかし、近年では駆逐艦にも許可が下り、改装を受けている者も増えていた。
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「で、改装はいつやるの?」
「4月10日を予定している」
「4月10日ね、分かったわ」
「了解しました」
二人が返事をする。
「話はこれで終わり?」
と叢雲。背中の艤装を指さし。
「これ外していい?報告書も書かなきゃいけないんだから」
「ああ、呼び止めてすまなかったな」
その後、叢雲は艤装を返却して。
「後で警戒監視の報告書持っていくから執務室で待ってて」
「分かった」
「では前田さん、艤装のことよろしくお願いします」
叢雲は残る二人に礼をして保管庫から出て行った。
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少女が去ったのを確認してから前田が言う。
「すごく喜んでいましたね」
「だな、頭のやつがチカチカしとったわ」
そう言いながら提督が手を使って真似をする。
「あれは感情によって色が変わったり点滅したりしますから」
「素直に喜べばいいんだがなあ……昔から変わらん」
「なぜ隠そうとするんですかね?」
「あいつは照れ屋だから恥ずかしいんだろう」
「ああ、なるほど」
「一緒にいて実に楽しい」
「分かります」
二人の顔には笑みがこぼれていた。
後日、艦娘たちが暮らす寮にあるカレンダーの4月10日の日付に、誰が書いたのか分からない、赤い丸印がつけられていたという。
〜おわり〜
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以上で終わりになります
また、4月10日のアップデートで叢雲改二が実装されることとなりました
おめでとうございます
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頭のピコピコかわいいっすよね
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龍田といいあれは一体なんなんだろうか
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龍田…パルック
叢雲…バーコードリーダー
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コレデヨイ…
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叢雲に酸素魚雷をぶち込まれたい
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やったぜ
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前田って誰だよ(哲学)
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あぁ^〜
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