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【まど☆マギSS】DAKAKA
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◎"魔法少女まどか★マギカ"の二次創作SSです
◎ たぶんR18です
◎ 登場人物の性格設定なんかが大なり小なり改変されていると思います
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今夜も魔獣狩りを終えて、あたしは帰ってきた。
居候させてもらってるさやかの家のある、高層マンションの前に。
ちょうど真上にさやかとあたしの部屋があるところまで行き、周りに誰もいない事を確認して、変身。
魔力で槍を作るとそいつを多節にして、穂先の側を鎖鎌のようにひとしきりくるくると回し、思いっきり上に放り投げる。
多節槍の先のほうが、さやかの部屋のベランダの手すりに絡みつく。
何度かクイクイと引っ張ってみて、しっかり固定されている事を確認し、穂先の方を支点にして槍を元に戻す。
その勢いであたしの体は上に引っ張られ、ベランダへ。そして変身を解く。槍も消える。
ふう、と一息吐いてから、音を立てないように慎重にガラスサッシを開け、灯りの消えた部屋に入る。
当たり前だが、まともな親なら、年頃の娘が夜中にホイホイ出かけるなんて許さない。
美樹家もそうだ。もう1〜2時間もすれば日付が変わるような時刻に、
まともな理由もなく家を出るような事をすれば、間違いなく叱られるだろう。
いや、あたし達にとってはまっとうな理由はあるが、そんなものは説明できないし、したとしても信じてはくれないだろう。
そういうわけなので、あたし達が魔獣退治に出かける時は、いつもこうやってベランダから出入りしている。
出かけている間は灯りを消して鍵をかけておけば、もう寝ているという事にしてごまかせる。
あまりにも静かすぎると不審がられるかもしれないが、部屋は地上十何メートルって高さだ。
普通の女子中学生なら、この状態で実は部屋にいない、とは思われないだろう。
さやかの両親は、さやかも、あたしも、普通の女子中学生ではない、とは思ってないだろう。
こうしていつも通り帰ってきたあたしは、着ていた服を脱ぎ捨ててパジャマに着替えると、うつぶせにベッドに倒れこむ。
「あー、疲れたーもう」
日によって数や強さにバラつきはあるが、基本的に魔獣退治は疲れる仕事だ。
命の危険もあるし、睡眠やら娯楽やら、あとまあ、勉強やらに充てたい時間を割かなければいけない。
正直あんまりやりたかないが、魔獣を倒してグリーフキューブを得なければ、あたし達魔法少女は生きていけないのだ。
仕方がないので、魔獣が出れば毎回律儀に出張っていって、退治しているってわけだ。
さっき『いつも通り帰ってきた』と言ったが、今夜はいつも通りでない事が一つある。
いつも一緒に帰ってくるさやかがいない。あたし一人で帰ってきたのだ。
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「おらっ!」
目前の魔獣に槍を突き刺す。うめき声のような悲鳴のような、気味の悪い音を立てながらそいつは消滅し、
替わりに生まれた数個のグリーフキューブがポトポトとアスファルトに落ちる。
「それで最後みたいよ」
言いながら、さやかがこちらに歩いてくる。
「そっちは全部やっつけたのか?」
「うん、アタシとマミさんで、粗方ね」
確かに、魔獣特有の禍々しい感じは、もう辺りにはない。今夜はこれで仕舞えるようだ。
「お疲れ様、佐倉さん」
さやかより少し遅れて来たマミは、もう変身を解いていた。今夜も制服姿だ。
いつも思うが、私服で来りゃいいんじゃないだろうか。
こんな時間に制服姿の女子中学生が歩いてるのを見られたら、逆に不審がられるんじゃないか?
マミなら、少し大人っぽい服でも着ていれば、大学生かOLにでも見えるだろう。発育いいんだし。
まあ、わざわざ聞きゃしないけど。めんどくさいし。
「それじゃあ、今夜は解散ね。二人とも、気をつけて帰るのよ」
「おう、お疲れ」
「マミさんも気をつけてねー」
マミは向こうへ。あたしとさやかはあっちへ。それぞれ、帰る家のある方向に別れた。
二人で歩き出して、しばらく。
住宅街の中、T字路に突き当たる。右に曲がるのが家の方向だ。
しかしさやかは、左に曲がりかけつつ、
「ごめん杏子、アタシちょっとやる事あるから、先帰ってて」
と言った。
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ここ一週間ほど、さやかは、あたしと別行動を取る事が多くなった。
例えば、数日前の学校終わり。
HRも終わり、「帰ろうぜ」と声をかけたが、「ごめん、先に帰ってて」と返された。
図書室で調べ物があるらしい。
「ホラ、杏子は図書室なんか来ても退屈でしょ?」
と言われた。
まあ、確かにその通りだな、と思い、その日は一人で帰った。
あるいは、別の日。これも学校終わり。
ちょうど今みたいな感じで、帰宅途中で別れた。
「ちょっと魔法の特訓しよっかなって」
手伝ってやろうか、と言ってみたが、ちょっと見られるの恥ずかしいから、との事。
まあ、失敗して、それを見られると恥ずかしいだろう。気持ちはわかる。
「わかった。あんまし魔力の無駄遣いすんじゃねーぞ。じゃーな」
別れ際にそう声をかけ、その日も一人で帰った。
「今日も特訓すんのか?」
「んー、まあそんなとこ」
「さっきの狩りで魔力使ったんだから、あんま無茶すんじゃねーぞ」
「わかったわかった。じゃ!」
さやかは、あたしが行く(というか帰る)のとは別の方向へと駆け出した。
全力疾走だ。魔獣狩りのあとだってのに、タフな奴だ。
あんなに急いで何しに行くのか少し興味が湧いて、尾けてってやろうか、と一瞬思ったが、やめた。
あたしはそれより帰って寝たい。
…とまあ今夜はそんなわけで、あたしは一人でさやかの部屋にいるってわけだ。
「魔法の特訓っつったって、何やらかすつもりなんだ?あいつ」
寝返りをうって仰向けになり、一人ごちる。
しかし、あたしの思案は、そこで止まった。
このベッドとかいうやつに疲れた体で寝転がると、たちまち心地良い眠気をくれるのだ。
いつもは「脱いだら畳め!」と小うるさいのがいるが、今はいない。
目蓋がどんどん重くなり、あたしは誰にも邪魔されずに、夢の世界に落ちていった。
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『…らさん、佐倉さん』
誰だよ、あたしを夢の世界から連れ出したいのは…。
まだ夜中だろ、カンベンしてくれよ。
『佐倉さん、助けて…』
ん?助けてだって?
あたしは目を覚まし、上半身だけ起こした。
今のは、マミからのテレパシーだった。半分寝ていたとはいえ、付き合いの長いマミのそれを、別の何かと聞き間違えはしないだろう。
距離があるのか、それとも弱っているのか、ずいぶん弱々しい聞こえ方だった。
『マミか?どうした?』
テレパシーを返してみたが、返事はない。
『おいマミ!』
やはり返事がない。
まずくないか?これ。
両手でほっぺたを何度か叩き、夢の世界から完全に抜け出す。
そしてあたしはパジャマのままで変身し、ベランダに出て、手すりを勢いよく跳び越えた。
いつもはもう少しおとなしく出て行くが、今は一刻を争う、のかもしれない。
「ったく、さやかはこんな時にどこ居やがんだ、あの不良少女め!」
落下しながら毒付いてみる。
さやかは部屋に戻っていなかった。
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とりあえずマミの家がある方角へ駆け出したあたしは、走りながら目の前にソウルジェムをかざす。
マミの魔力を探ってみたら、弱々しいが感じられた。とりあえず死んではないようだ。
そして魔力の位置も、マミの家のようだった。このまま走ればいいらしい。
『さやか!聞こえるか?マミがなんかヤバいみたいだ!』
さやかにテレパシーを送る。帰ってないという事は、まだ例の特訓中だろうか。
『さやか!聞こえてんのか!?』
…こいつも返事しやがらねえ。
特訓に夢中で聞いてないのか、それともさやかも"取り込み中"なのか。
さやかの魔力も探ろうと思ったが、マミの部屋のあるマンションに着いてしまった。
さやかの事は取り合えず置いといて、まずはマミからだ。
あたしは槍を作り出すと、そいつをバラして、マミの部屋の方に勢いよく伸ばす。
マンションの外壁に食い込んだ感触があったので、そっちを支点にして槍を引き戻し、マミの部屋のベランダへ。
外壁に穴を空けてしまったが、非常時なので仕方ない。後で魔法で直すなり、しらばっくれるなりすればいい。
『マミ!聞こえるか!』
マミにテレパシーを送ったが返事はない。
寝てる…んじゃないよな。多分、気絶しているのだろう。
一応、もう一度マミの魔力を探る。確かに生きてこの中にいる。
とりあえずベランダから中を覗いて様子を確かめたいが、生憎カーテンが引かれ、中は見えない。灯りは点いている。
「カギは…かかってねえ」
鍵がかかってたらブチ破ってやろうと思っていたが、ガラスサッシの鍵はかかっていなかった。
マミがかけ忘れたのか、それとも…。
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音を立てないようにサッシを開け、まずは耳を澄ます。
「水音…、シャワーか?」
少しカーテンをずらして、浴室の方を見た。そっちも灯りが点いている。
誰かがシャワーを浴びてるのか?だが、だとしてもそれはマミではないだろう。
あんなテレパシー送っておいて、来てみたら呑気にシャワー浴びてるとか、ありえない。
浴室はとりあえず置いておき、別の方向を見る。
床に、茶色いストッキングが落ちている。いつもマミが履いているやつだ。
おかしい。お行儀のいいマミが、こんな風にストッキングを脱ぎ捨てるか?
そう思いつつさらに視線を動かすと、それは見えた。
「!…マミか?あれ」
あたしが視線をやったのは、いつもお茶会してる応接セットの方。
そっちにあるソファの手すりから、人間のつま先がはみ出しているのが見える。
ベランダから見てソファの座面は反対側になっているので、はみ出したつま先しか見えないが、誰かが寝転がっているのだ。
さすがにつま先だけで人間の判別はできないが、状況からしてマミの可能性が高いだろう。
ともかく、それが誰なのか、どうなっているのかを確かめなければ。
あたしはサッシをもう少し開け、空き巣犯のように慎重に、室内へ入っていった。
「マミ!」
やはりそいつはマミだった。ソファの上に、うつ伏せになって気絶している。
ストッキングが脱がされていたが、その他の着衣も乱れている。
上半身はさほどでもないが、スカートは辛うじて尻を隠しているといった状態。
さらに、パンツも片足の腿の途中に引っかかっているという有様だ。
何より異常なのは、マミやその周りに、ぶち撒いたかのように付着している、半透明の白い液体。
見た目はドロドロしており、嗅いだ覚えがあるようなないような、喩えようのない臭いを放っている。
ここまで状況が揃えば、いくら"そっち"方面の知識に明るくないあたしの頭でも、答えは導き出される。
「どういう事だオイ…、こいつ、レイプされてるじゃねえか…!」
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一体、何がどうしてこうなってやがるんだ。
レイプされた?マミが?…そんなのおかしいだろ。
いくらお人好しのマミだとしても、自分をレイプしようとする男が向かってきたら、抵抗するだろう。
撃ってもいいし、縛って動きを止めてもいい。
それ以前に、変身しなくたって、魔法少女は強い。魔力で肉体を強化できるからだ。
大人の男を相手にしたって、互角以上のはずだ。簡単にあしらえるだろう。
だが現に、巴マミはこのザマだ。
不意に、浴室のシャワーの蛇口を捻る音が聞こえ、ずっと流れ続けていたシャワーの音が止んだ。
あたしとした事が、浴室に誰かいるかもしれない、という事をすっかり忘れていた。
今、目の前にあるこの光景が、衝撃的すぎたからだろうか。
いや、いるかもしれないどころじゃない。いるんだ。確実に、誰か。
マミをこんなにしやがった野郎が、呑気にシャワーを浴びてやがる。
あたしは静かに浴室の方へ歩いていき、浴室のドアの横の壁に背を預け、すぐ突き出せるように槍を構えた。
ここから出てくる野郎をとっ捕まえてやる。その後どうするかはわからないが、痛めつけてやる事は間違いないだろう。
死なない程度…いや、死ぬ寸前までってとこか。それなりの報いは受けさせる。
ドアが開いた。
「…おい、動くなよ」
言い放ちながら、野郎が敷居を跨ぐより早く、あたしは槍を突き出した。
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「ちょ、そんな物騒なもんしまいなよ」
…ん?女の声??
しかもすごく聞き覚えのある。
戸惑いと驚きで、うっかり槍を構える腕力が緩む。その槍を片手で前に押し退けながら、そいつは出てきた。
「…さやか!?」
槍を退けるのに出した手とは反対の手で、体に巻いたバスタオルを押さえながら出てきたそいつは、間違いなく美樹さやか。
マミの姿を見た時からずっと混乱している頭が、さらにこんがらがった。
なんでこんな状況で、こいつはここでシャワーを浴びている?
「おめー…、何してんだよ?」
混乱ですっかり舞い上がって上擦りそうになる声を、何とか抑えて、聞く。
「何って…、シャワーだけど。汗かいたりして体ベタベタだったからさ、借りてたんだ」
「シャワー浴びてたのくらいわかってるよ!あたしが聞きたいのは」
「ああ、マミさん?アタシがやった」
あたしの中で、この状況を必死に整理していた回路の、ヒューズが飛んだような気がした。
「はあ!?おめー、さやか、女じゃねーか!マミ、あれ、白いの」
カタコトの外人のようにまくしたてる。もう何が何なんだか全くわからない。
「ああ…、そりゃあ、さやかちゃん…」
バスタオルを押さえていたさやかの手が、そこを離れる。体を覆い隠していた白い布が、はらりと落ちた。
「これ、付けちゃいましたからね〜」
「!?」
あたしはもはや声すら出せず、ただ目を白黒させるだけだった。
真っ裸のさやかの股ぐらからぶらさがっているモノは、間違いなく"アレ"だった。
いや、実物なんて見たことはないが(覚えてないだけかもしれないが。親父のとか)、さすがにそれが何なのかは知っている。
「どういう事だオイ…、ち○こ付いてるじゃねえか!!」
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美樹さやかは女だ。間違いなく女だ。
マミほどじゃあないが出るとこは出て、女らしい身体をしている。
そのふくらみが本物である事も知っている。たまに一緒に風呂に入るから、裸は何度か見ている。
だが、胸のふくらみは見た事があっても、股間のふくらみは今初めて見た。そんなものは今まで付いていなかったからだ。
そもそも、少女でなければ魔法少女にはなれない。
魔法少女に、あるはずのないち○こが付いている。
それをぶら下げている張本人であるさやかは「付けちゃいました」と言った。
つまりは…、
「それ、魔法で生やしたのか…?」
「そだよん」
反射的に、知らない単語が脳内に浮かぶ。「それを口に出せ」と脳から命令がきたような気がして、あたしは口走る。
「おめー、生やしたって…、エロ同人誌かよ!?」
何だよえろどうじんしって。
「何でそんなもん、お前…、どうやって!?」
混乱しすぎて、言葉が上手く出てこない。
「『どうやって?』って?それ聞いてくれちゃう?くれちゃう?結構コレ苦労したんだよー」
もうあたしは、どうしていいのかわからなかった。
この状況に対して何もできないあたしに、さやかは話し始めた。得意気に。
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今回はここまでとなります。ありがとうございました。
今回投下分は前半部で、次回投下する後半部で完結となります。
次回投下時にこのスレが残っていればこのスレに投下し、残っていなければ新スレを立てます。
Tactics AILE -タクティクスエイル-の第2部以降は、このSSが完結してから書くつもりです。
そちらをお待ちの方がいらっしゃったら、申し訳ありませんが、もう少しお待ちください。
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乙シャス
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