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【俺能世界】俺が能力授けるからこの世界で戦え【新世界】Part46

50【マニュピレイズ】:2020/07/19(日) 13:37:19 ID:x.fbq37w
>>49
ばしゃり、幾つにも分かたれた肉の塊が、ベタついた音を伴い地に満ち無機質な混凝土に血桜を描いて潰える。
慎ましさの欠片も無く喉に流し込んだ甘美な雫の一粒一粒が、熱を帯びた身体の芯に良く馴染む。ふと綻んだ口許に一条、紅い軌跡が刻まれて。
鈍化する思考と昂ぶる意識、けれど炉へと薪をくべるが如く、火照りを覚えた身体はまだまだ足りぬと美酒を望む。

「……………えぇ………?」

だがしかし、水面を打った抑止の一言に、柔く暖かな唇は三度目の抱擁を叶える事は能わなかった。
絶頂と悦楽の揺籃に浸り、潤んだ紅玉が虚ろをなぞって男を見据える。尾を引いた余韻を汚した言葉に業を煮やすよりも前に、女は緩慢たる所作にてそれに応えた。

「やだなぁもう………人聞きの悪い………ハジメテだってんですよぉ、ハジメテ………えへ。人を殺すだなんてそんな恐ろしい事………くふっ………
ねぇお兄さぁん………♪それ、もしかして正義の味方ごっこですかぁ?いやいや、バカにするつもりなんて全然無いってんですよぉっ、だってえ男の子ってぇへへ、そういうの好きだって言いますからねぇ…………」

今宵の彼女はやけに饒舌だった、それは酔いが回ったからなのか、人を殺めた高揚感で箍が外れたからなのか、あるいはその両方かもしれないが。
肌が灼けるような濃い敵愾心と、鋭利な殺意を模したが如き黒鉄を前にして、なお歯牙にも掛けぬ物言いで嘲り笑って。

「………ってぇ………いきなりですかぁ?」

静から動へと転じた疾駆、男が大きな一歩で地を踏みしめる度に縮んで近づく彼我の距離。
虚空を辿ったそれはきっと、文字通り必殺を謳うに相応しき一撃であった事だろう。
威力も、気合も、肉薄に至るまでの練達した足運びでさえ、尋常とは言えない修練を経て手にした一つの到達点だと推し量るには十分。

ああけれど、首元へと疾走り迫った鋼が刃を立てたのは、血で彩られた白衣でも、シルクの様な女の柔肌でも………ない。

「いくらなんでも不用心ってんですよぉ………くふ………」

既の所で割り込んだ、先端に硬質なブレードを備えた二本の触腕だった。ああ………それはあまりにも遅すぎたのだ。
脳を司令塔として働く六本の腕、それらは一本一本が驚異的可動速度を併せ持ち、かつニューロンの情報伝達能力を利用した命令伝達システムは、ほぼノータイムでの精密機動を可能とした。
それこそが力で劣る彼女が有した明確なアドバンテージ、一本一本の出力は比べるべくも無いが、自身の反応速度を上回らない限り、決して遅れを取る事がないという揺るぎ無い事実が、破顔一笑を呈した彼女の自信を裏付けていた。

二つで一つで、一つが三つ、緩衝材の役割を果たすべく背後に突き立てられた二本、火花を散らして競り合う二本、ならば残る二本の所在は何処へ?決まっている話だ。

白衣の下から伸びた二本のマニピュレータ、鎌首を擡げたそれらは伸縮、ガラ空きとなった脇腹を穿たんと音を断ち切った。


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