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いつか、帰る……
1
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 21:03:02 ID:9UPTmWMYO
俺がなぜここで倒れているのか。それは、わからない
ここが武器屋の店先であることと
妙齢の女店員が、俺を心配そうな顔で見つめ
介抱しようとしてくれているのは、わかる
ひどく腹が減っている……
眠い
2
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 21:07:15 ID:9UPTmWMYO
いつかの1
「こちらケンベック商店!御用があればなんなりと!」
3
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 21:13:40 ID:fqyLKCNQ0
お?
4
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 21:13:44 ID:9UPTmWMYO
事情あり。更新はかなり遅くなるので短気な者は読まない方がよい
更新したとしても、僅かずつになると思われる
5
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 21:15:24 ID:fqyLKCNQ0
なんてこった
6
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 21:31:53 ID:9UPTmWMYO
意識が戻れば、目の前にいたのは
店員とおぼしき妙齢の女
云うには
俺はこの武器屋「ケンベック商店」で
丸二日も気を失う様に寝ていた。と
俺は詫びと感謝を言葉にし、だがそれ以外になにもこの恩人に報いる術をもたぬから
速やかにベッドからはい出、これ以上の迷惑をかけまじと
部屋を、そして「ケンベック商店」を出て行かんとした
といって
俺はどちらへ向かえば良いのか。何をしにこの地を訪れたのか。それも、わからない。が
7
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 22:00:36 ID:9UPTmWMYO
J( 'ー`)し「ちょいとお待ちよ。私のダイエットに付き合っておいき」
J( 'ー`)し「アンタの分までサンドイッチを作っちまったからねぇ。食べてって貰わなきゃさ」
そう言って俺の後ろ手を掴む女
冷たい手だ。つめたい
俺は肩をすくめ
あえて固めていた腹から力を抜く
とたんに
正直な胃がグウと鳴き出す。女は吹き出す。俺は恥っかきの汗をかく
J( 'ー`)し「そうだろうそうだろう。アンタのような大の男が行き倒れになってたんだ。お腹が減ってるに決まってるよ」
観念し、また有り難くもある
いわれるがまま、俺はテーブルにつかされた
8
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 22:16:03 ID:9UPTmWMYO
サンドイッチと、後はよくわからないこの地方の豆?のスープで朝食を取りながら
女ととりとめのない話をし
その話の中で、彼女の名がジアであり、ケンベック商店の主人であるということや
俺が背に担いでいた剣を、ジアが勝手に磨いでおり、それがまだ仕上がっていないこと
肝心なようでどうでもいい、俺の名前が俺にもわからないということ
そして、俺が何をしにこの地に来たか、これから何をすべきか、何もするべきでないのか
そんなことがわかったりわからなかったりした
9
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 22:32:40 ID:9UPTmWMYO
J( 'ー`)し「アンタはかなり適当に生きてるんだねえ。いや、そう決めつけるよ?」
頭ごなしに言われたが、それを否定できる何をも俺はもたぬ
J( 'ー`)し「金もない。行く宛もない。することもない……ときたんなら、次はわかるよね?」
俺は、まあ、うなずく
J( 'ー`)し「アンタさ。ウチの商売に力を貸しなよ。勿論、賃金は払ってやるからさ」
しかし俺にしてみれば意外なことに、手を貸せでもなく、働けでもなく
ジアは「力を貸せ」と言った
J( 'ー`)し「店のね?仕入れを任せたいのよアンタに」
首をかしげる俺。イタズラっぽく笑うジア
J( 'ー`)し「この地方の仕入れにはね?力がいるのさ。実力がね」
10
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 23:00:04 ID:9UPTmWMYO
J( 'ー`)し「この地方にいる危険な人食い妖怪共がね、妙な知恵をつけてさ」
J( 'ー`)し「人間の武器を奪って、抵抗できなくしてから襲う……ってセコいやり方を覚えたんだよ」
J( 'ー`)し「妖怪もいろんなのがいるから、奪った武器を使うのもいるけど」
J( 'ー`)し「武器を使えないタイプの妖怪までが人から武器を奪うんだ。不自然な知恵だろ?そんなことしてないで、とっとと取って食えばいいじゃないか?」
そんなことは他所から来た俺に聞かれても困るのだ
黙るしかない
J( 'ー`)し「私は、妖怪に入れ知恵している黒幕がいると踏んでるんだけどね?それはまあいいよ」
J( 'ー`)し「アンタの仕入れの仕事ってのはつまり、そういうことさ」
俺が妖怪から武器を奪い返し、というかぶんどって、それをジアが研ぎ直したものを商品として店に出す
素晴らしいアイデアである。なにせ仕入れにほとんどコストがかからない
それが可能かどうかに目を瞑ればだが
11
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 23:15:48 ID:9UPTmWMYO
J( 'ー`)し「商売ぬきの話をすれば……」
J( 'ー`)し「私は、妖怪に親兄弟を食われちまった人をたくさん見てきたんだ」
J( 'ー`)し「カタキを討ってやるってのでもいい。この先同じ目にあう人を少なくする為ってのもいい。なんなら、堂々正義をふりかざすのもおかしくはないよ?」
頭を掻く。どうもジアの本心は妖怪退治にあるようだ
語り口の熱から見ても
しかし俺には、誰でなく俺にとっては
前者の理由がふさわしい気がする
なぜだろう?人の為に妖怪と戦う。というのは俺には気恥ずかしく思える。頭が痒くなってくる
なぜかはやはり、わからないけれど
12
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 23:26:59 ID:9UPTmWMYO
第一に、俺が戦えるか?という疑問がある
剣を担いでいたのは確かだが、俺は強いのか?誰と比べて?
強ければ行き倒れなどにならずに済んでいたのではないか?
J( 'ー`)し「アンタの剣を手入れして分かったけどさ?」
J( 'ー`)し「アンタ少なくとも10人は殺ってるね?敵の剣を受けて出来た小さなキズ一つ一つが、アンタを呪ってるようにすら感じたよ」
……わからない
そんなことを、俺が?
13
:
同志名無しさん
:2016/07/24(日) 23:55:32 ID:9UPTmWMYO
J( 'ー`)し「だからさ。理由はいいよ。アンタが好きに決めたらいい。ただ、アンタがそれを出来そうだから話したんだよ」
俺は肩をすくめ、ジアに尋ねてみた
ケンベック商店が特に仕入れたい商品……武器はどれなのか?と
J( ;ー;)し「ありがとう。やってくれるんだね?」
なぜかぼろぼろと涙を溢しているジア
なぜの涙。なぜ?
ジアは商品台帳をレジカウンターの引き出しから取り出し
台帳のリストに大量に列記された武器名の内三つに、ペンでチェックマークをつけて俺に見せる
J( 'ー`)し「まずこれ……バスタードソード」
J( 'ー`)し「一般的なブロードソードより、柄が少し長く作られている剣さ。片手でも両手でも使えるようにね」
J( 'ー`)し「その取り回しの良さが利点。素人でも比較的使いやすいんで、商品としては売れ線だから……」
なるほど。普段は片手で使い、いざというときには両手持ちで破壊力を増すことができるわけか
14
:
同志名無しさん
:2016/07/25(月) 00:07:39 ID:HNSsONO6O
J( 'ー`)し「次にこれ。鉄のブーメラン」
J( 'ー`)し「鉄製だから戻ってくると危険なんだけど、普通のブーメランとは違って戻りを考慮に入れてない仕様なのさ」
J( 'ー`)し「要は、チャクラムとか円月輪みたいな手投げ武器ってことだわね」
ふむ。
俺にはこれの存在意義がわからない
第一こんなもの売れるのか?
J( 'ー`)し「そして、最後は……」
15
:
同志名無しさん
:2016/07/25(月) 00:23:36 ID:HNSsONO6O
J( ;ー;)し「……」
言葉に詰まったかのように黙り、またしてもはらはらと涙を溢すジア
J( ;ー;)し「……みっともなくってごめんね。この品はなんとしても回収してもらいたいモノなんだけどさ」
ジアの涙にまつわる品。ということなのか
俺は深入りしてはならぬ気がし、だから訳を聞かぬ
J( ;ー;)し「妖刀村正……ただの刀だよ。最上物だけどね」
J( ;ー;)し「この村正はね?持ち主を不幸にする……なんていわくがあるんだ」
持ち主を不幸にする
この言葉が俺の心にひっかかる
俺は何故か
いつか
そう呼ばれたことがある
16
:
同志名無しさん
:2016/07/25(月) 00:44:59 ID:HNSsONO6O
J( ;ー;)し「確かにいい刀だよ……だからこそ」
J( ;ー;)し「持ち主は思い上がるんだ。この村正があれば、絶対に負けない!っていう風にね……」
J( ;ー;)し「絶対に負けないのは村正であって、使い手じゃないのに……刀を過信して死にに行き、村正は敵の手に渡る」
J( ;ー;)し「そうやって、未熟な使い手の血を啜りながら人の手を渡り続けた結果、村正は妖刀って呼ばれるようになったのさ」
妖刀村正……その逸話が真実ならば……
それが今妖怪の手にある。ということは
何者かが
世のため人のため、妖怪を討伐せんと手にし戦ったという
こと、か
刀を使えるのは一人だ
たった一人で、その愚か者は死地に向かったという
こと、か
17
:
同志名無しさん
:2016/07/25(月) 00:54:41 ID:HNSsONO6O
それを妖刀の呪い、と呼んでいいのか
人の為に身を捨てて戦う……
それは
誠(まごころ)
と言ってやるべきでは
ないのか?
俺には、わからない
18
:
同志名無しさん
:2016/07/25(月) 08:06:44 ID:HNSsONO6O
俺の剣が仕上がるまでの二日間は、町で妖怪共の巣食っている場所や妖怪そのものについて聞き込みをしてまわったり
武器を入り用としていそうな警備隊や旅人やごろつきなどに、御用聞きをして過ごした
その時、遠い国から良質な刀を求めて旅をしてきたという武者修行の男に出会った
この地方に村正を探してはるばるやってきたのだと
まさに俺はそれを仕入れる為に妖怪退治に行くつもりなのだ。と話すと
( ・∀・)「フンム……面白し。拙者のこの旅、武者修行を兼ねておるゆえ貴公の助太刀つかまつりたい。要らぬ世話であろうか?」
などと協力を申し出られもし
その報酬は、ケンベック商店に村正が商品として並んだ際には優先買い付けの予約のみでよいというのだから
俺にとっては、妖怪退治の得難い仲間かつケンベック商店の顧客確保ともなり一石二鳥といえるが
19
:
同志名無しさん
:2016/07/25(月) 08:32:03 ID:HNSsONO6O
( ・∀・)「拙者、ジエン・モーランと申す。貴公の名を伺いたい」
わからない。と答える。しかないのが事実であるとも
( ・∀・)「それは難儀な。では貴公と呼ばせていただく」
ジエンはそうして、ケンベック商店へもついて来
助太刀としてジアへの挨拶を済ませ、客としても店にある在庫を見て回り
短刀などいくつかを買い求めていった
( ・∀・)「ジア殿は、拙者の母上の若い頃に似ておる。佇まいと言うか優しげな物腰が」
母上……かあちゃん。か。なるほどジアはいかにもそれらしい
それ以後俺はジアをカアチャンと呼ぶことにしたが
J( 'ー`)し「なら私はアンタをギコと呼ぶよ。ジエンさんと同じにね。いつまでも名前で呼べないのは不便だからねえ」
ここでカアチャンはモランの云う「貴公」と「ギコ」を聞き違いしていたことが判明したが
まあ、どうでも良かった
20
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 05:21:18 ID:ZTHow7mUO
王道ファンタジーの予感。期待してる
21
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 08:45:55 ID:gr2exvk.O
そして
俺の剣が仕上がり
つまり仕入れの日が来た
まずは集めた情報の中では近場でもあり
手始めとしてバスタードソードに狙いを定め
ジエンと共にコンヌ遺跡跡へと向かう
持ち物はカアチャンの手弁当一つのみ
22
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 09:13:26 ID:gr2exvk.O
コンヌ遺跡にまつわる歴史は古いらしいが、俺達は遺跡巡りの観光ではない。興味なし
森に囲まれた場所にあり
百年も昔に崩壊し、打ち捨てられた寺院であり
妖怪共の棲みかの一つとなっている。らしい。だけで十分である
( ・∀・)「他の……リスト外の武器が回収できし際にはいかがする?持ち帰った方がジア殿には良いのだろうが」
カアチャンが買い取りしてくれる手筈になっており
担ぐ余裕があれば持って帰るのが良いだろうと話すと
( ・∀・)「では大八車を引いて来るべきであったな!持ちきれぬ位回収できようからな。フハハハハ!」
ジエンは笑っているが、その自信は一体何処からくるのか
とりあえず大八車を買えるだけの金を集めよう。それからだ
まさに取らぬ狸の皮算用
23
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 10:30:08 ID:gr2exvk.O
コンヌ遺跡が程近くなるにつれ
言い様のない禍々しさ……気のせいかもしれない。俺の妖怪への怖れがそう思わせているのかもしれない……が強くなる
( ・∀・)「怖じ気づいたと見える。いや、馬鹿にしてはおらん。むしろ良いことよ」
( ・∀・)「無理となれば、撤退するのは恥ではござらん。生きて命を繋ぐことこそ肝要」
( ・∀・)「拙者も貴公も命を張る程価値のある件ではないしな」
そうだ。そうだった
なんなら、妖怪を退治せずに武器を盗み出すだけでもよい
俺は商品の仕入れを請け負ったのだ。それ以上は必要にかられた場合のみだ
24
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 11:05:11 ID:gr2exvk.O
遺跡裏手にあたる、崩壊した外壁前で俺達は突入準備を整える
広さはかなりのものだが、平屋建てで、上階はないように見える
( ・∀・)「フンム。この外壁に開いた穴からでも入るのは可能だが、あるいは正面からか?」
俺は剣を地面に立て、手を離す
剣はぱたりと倒れ、朽ちた正面門を指す
( ・∀・)「決まりだな。ゆくぞ」
朽ちた門は開かれている
勿論、最近出入りした足跡がある
何かがいるのは間違いない
それが、商売になる相手であればいいが……
25
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 22:13:45 ID:gr2exvk.O
遺跡の門を抜けた先は、門外から窺って想像した様子とあまりにかけ離れている
外から見た時には、かなり広そうではあるにせよ平屋の寺院にしか見えなかったこの場所が
いざ門をくぐったとたんに見た風景は開けた草原
草原にぽつ、ぽつと数件の寺院らしき建物が建っている。という
( ・∀・)「面妖な……これは面白し!」
人を惑わす妖術の類いであろうことは、俺にもジエンにもわかったが
受け止め方が違う。俺にはとても面白くなど感じられない
( ・∀・)「貴公の、その不可思議を警戒する感覚こそ大事。それが拙者をも救うやも知れぬのだからな」
しかし俺に言わせれば、ジエンの陽気さや剛胆さが
俺達を前に進ませる勇気にもなっている
案外、コンビとして悪くないのかもしれない
26
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 22:25:17 ID:gr2exvk.O
とにかくも
これで、ここがコンヌ寺院跡と呼ばれず、コンヌ遺跡と呼ばれている理由はわかった
数件の建物……この場合寺院だが……の密集地であるから
全部ひっくるめた言い方である遺跡と呼ばれているわけか
( ・∀・)「さあて、どの寺から回るべきか」
そんなもんはどれからだって一緒だ。アタリハズレの運試し
右。と答える。根拠はない
( ・∀・)「よし」
ジエンにも異論などないようだった
27
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 22:46:17 ID:gr2exvk.O
ふと
俺に
とある、重大かもしれない、しかし大きな的外れかもしれない考えが生まれた
だがそれはよく考えれば、ジエンに話しても意味のないことだとも悟る
なので、今は他人には黙っておく
もしかしたら
この地に妖術があるのであれば
今初めてその妖術に触れたのではなく
すでに……いつからかはわからないが、気づかぬうちに俺は妖術に惑わされ続けている可能性が
否定できない
28
:
同志名無しさん
:2016/07/26(火) 22:48:02 ID:gr2exvk.O
否定できないではないか
29
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 02:53:04 ID:9o.E3K3gO
( ・∀・)「む……?」
おもむろに、俺達の向かわんとした最右手の寺院の戸が開き
そこから現れたおぞましき者共よる、出迎えが始まった
どうやら俺達は大歓迎されているようだ
ただし、ご馳走を振る舞う側として
( ・∀・)「ひー、ふー……みー……いかにも腹を減らしておるようだな。痩せっぽちではないか!」
痩せっぽちというより、骨しかないと言うべき4人の出迎の骸骨戦士
俺達に向かってそれぞれ武器を抜きつつ駆け寄ってくる
残念ながら話は通じそうにない
俺は渋々、背なの剣を引っこ抜いた
30
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 03:15:36 ID:9o.E3K3gO
ずい、と前に出
俺を守る様に立つジエン
腰の刀を鞘から抜かぬままに、鞘つきのまま地ずりの下段に構える
( ・∀・)「音に聞こえし村正とまではゆかずともだ。拙者の剣とて自慢の一物よ……貴公、さがっておれ」
その刀、鞘と鍔を決して抜けぬように硬ひもで二重三重にと縛ってある
まさかそのまま、鞘ごとの刀にて撲殺する。というのか
骸骨共は迫ってくる。何をも怖れず構わず。ただひたすらまっすぐに
( ・∀・)「この刀、人呼んで……」
31
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 03:33:01 ID:9o.E3K3gO
(#・∀・)「大!」
(#・∀・)「通!」
(#・∀・)「連ッッ!」
……その凄まじき技。
下段から背に振りかぶっての回転三連袈裟斬り。いや、袈裟殴り
最も力を乗せられる振りにて
あばら、上腕骨、頭蓋骨を粉々に叩き割られた一体目の骸骨戦士は砕け飛び
もはや何もなすことはない
その刀、名を大通連……
抜けぬようこいくちを固く縛られ封じられておるため、切れ味はわからぬが
ことジエンの手にあるならば
確かに名刀、神刀である
32
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 03:48:14 ID:9o.E3K3gO
俺はジエンの技と大通連の威力に驚いていただけではない
すべきことはする
遺跡入り口の正面門まで下がり、ジエンを呼ぶ
応!と答えて走り戻りくるジエン、それを追う骸骨共
ジエンが門をすり抜けたのを確認し、俺は力一杯門を閉め
追っ手の骸骨の一体を挟み潰す
朽ちた門とはいえ、人骨ごとき訳もなく砕く威力を見せる
(*・∀・)「おお!貴公もやるのう!その技、名付けるならば羅生門、いや、地獄門よな!ふははははは!」
33
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 04:19:08 ID:9o.E3K3gO
しかしまだ笑ってる場合ではない。二体の骸骨は門をこじ開けてこちらに来ようとしている
そうはさせじと俺とジエンは門を外から押さえているが
先ほど挟み潰した骸骨の亡骸……骸骨の亡骸?が残っているせいで門には隙間があり、突破される恐れがある
(*・∀・)「一二の三で門から手を離すのだ。きゃつらにたたらを踏ませてやるのよ!」
一……二の……三!
その目論見は当たり、急に開かれた門によって蹴つまづき
派手につんのめる骸骨ども
すかさず飛び込み、その背骨を踏み、押さえつけた上で俺の剣を頭蓋に叩き込む
こしゃっ!
と小気味いい音をさせて割れ、動かなくなる
ジエンをみやれば
うつ伏せに倒れた最後の一体の骸骨の両腕のみを見事にたたき壊し、抵抗する力をなくさせている
俺が止めとばかりに、頭を蹴り飛ばす
首からはずれた頭蓋骨は、森のはるか奥へと消える
(*・∀・)「貴公もやりおる……まこと頼もしきことよ!ふはははは!」
34
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 04:55:37 ID:9o.E3K3gO
額に吹き出してやまぬ冷や汗とも油汗つかぬをぬぐい
俺はほう。とため息
ジエンは骸骨の亡骸……まったくおかしな表現だ!……を見て回っては
(*・∀・)「お、剣だ。戦鎚だ。小刀だ。これはなかなかの業物にみゆるぞ……?」
などと戦利品の物色。楽しげに
貴公より、拙者のの方が商人に向いているかもわからんぞと笑う
そうかもしれないな。と俺も笑い返し
こうして、初めての仕入れはどうにか成功という形にはなった
35
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 05:07:15 ID:9o.E3K3gO
戦利品は、剣、戦鎚、小刀、折れたこん棒(門で挟み潰した骸骨もろとも折れてしまった)の四点
ジエンと相談した結果、これらを持ち歩きながら戦闘を継続する不便さを鑑み
一度ケンベック商店に納品しに戻ることとなった
( ・∀・)「まあよいではないか。焦って無理して、怪我でもしたらそれもつまらぬしな」
確かにそうだ
それに、これらを買い取ってもらえばその金で大八車が用意できるだろう
そうすれば次は戦利品を沢山持ち帰れるようになり、大きく稼げる……
俺は笑う
我ながらずいぶんと気が大きくなったものだ。ゲンキンなものだ。と
36
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 05:25:49 ID:9o.E3K3gO
J( 'ー`)し「おかえり。首尾よくいったみたいだね?どれ、商品を見せておくれ」
( ・∀・)「なんの!まだまだほんの手付けでござるよ。拙者達はこの店の品揃えを天下一にしてみせようぞ。ジア殿。ふはははは」
……ジエンは何か、自分の本来の目的を見失っている気もするが……
J( 'ー`)し「なかなかいいじゃないか。シミターに、ウォーハンマー……それからこれ。ショートソード+1これはなかなかの掘り出し物だよ」
(*・∀・)「おお!やはり!拙者の目は悪くなかったか」
J( 'ー`)し「短い剣だからアンタ達にゃちょいと役不足だけど、微弱ながら魔力がこもってる。腕力のない者にはありがたい品さ」
魔力……か。そして妖術、妖怪……
カーチャンがそれら不思議なものを特に不思議としていない様子から
この地方には、まだ俺が予想もできぬ何かがごまんとあるのだろう
そして、その大半はよくあることなのかも知れぬ
俺がコンヌ遺跡で感じた、思ったあの不安は
まだしばらくは黙っておこう
37
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 07:00:12 ID:9o.E3K3gO
それら戦利品を買い取ってもらい、俺達はまあ少なくはない金を手にした
その俺達相手にカアチャンはすかさず商売を始める
J( 'ー`)し「ギコにジエンさん。アンタ達何か鎧でも買っていかないかい?生身じゃ危ないよ」
(;・∀・)「あいや、拙者は身軽な方が戦い易いゆえ……」
ジエンの力まかせの戦い方を見れば頷ける理由ではある
俺はありふれた皮鎧を求める事にした。音を立てる金属鎧では妖怪に気づかれやすくなるだろうと
ジエンも鎧を着ないのだから、こちらから不意打ち戦術を使っていく手もある
J( 'ー`)し「なら少しサービスするよ。普通のより少し手の込んだ作りの硬い皮鎧だ。着てみな?」
ごわつきはあるが、軽く、思ったより硬くつくられているそれは俺の体によくなじむ
J( 'ー`)し「なかなかのもんだろ?普通の皮鎧の値段でいいよ」
厚意にありがたく甘えることとし、代金を支払う
38
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 07:23:47 ID:9o.E3K3gO
残金の大半で道具屋にて大八車を手配し……その際も代金据え置きのままリヤカーに化かすカアチャンの交渉術に舌をまき……
そんなこんなで、また明日の仕入れを待つ
39
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 13:20:32 ID:YUghc.vM0
モンハンスタッフにAA板住人がいるんじゃないかってぐらいしっくりくる名前だ>ジエン・モーラン
40
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 21:54:59 ID:9o.E3K3gO
リヤカーを用意したのは大成功だった
あらかじめ幾つかの武器をリヤカーに積んでおくと
妖怪共はそれを奪わんと襲ってくる
そこで俺達はあえてリヤカーから離れ、隠れて様子を窺う
妖怪共がまんまとリヤカーの周りに掘っておいた落とし穴にはまるのを待ち
後は頭上から投石攻撃だ
いささか汚いとは思うが、危険を冒すのは真っ平である
ただし、飛行する妖怪が出て来た場合はそうもゆかぬであろう。今のところその手の妖怪には遭遇していないが
コンヌ遺跡付近にもいるとは聞いている
その対策は火急的速やかに考えねばならぬ……
41
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 22:11:46 ID:9o.E3K3gO
また、妖怪がなぜこうも武器に釣られるのか。にもぼちぼち真面目に向き合って考えた方がよい。という気もしている
カアチャンは妖怪に入れ知恵している者がいるのかも……と言っていた
( ・∀・)「フム。一理ある」
ジエンは納得しつつも
( ・∀・)「だがしかしだ。理由は知らねども事実そうなのだ。という結論に基づき行動するのが拙者だ。推測は貴公に任せたい」
この男、戦闘に於いては頼もしいが
そうでない事柄に対しては雑にできているようである
それが愉快でもあるので、悪いとは思わぬが
42
:
同志名無しさん
:2016/07/27(水) 22:40:14 ID:9o.E3K3gO
コンヌ遺跡付近で仕入れを始めて一週間が過ぎた
俺達はあえて立ち並ぶ四軒の寺院に立ち入る危険を冒さずにいた
お宝はそこにたんまりと溜め込んであるのだろうが
妖怪共の待ち伏せやワナにかかる可能性がある
たった二人で殴り込みをかけるより
妖怪共がのこのこ出てきたところを始末している方が楽だし安全だとの判断
しかし、どうも今日は勝手が違うようだ
寺院を監視していたジエンが、珍しく血相を変えて俺にがなる
(;・∀・)「これはいかぬ!」
何事かと尋ねれば
(;・∀・)「左の寺院に小娘が一人で入って行くのが見えたのだ!」
(;・∀・)「あの小娘、放っておいては妖怪に取って喰われるぞ!」
なんだと!
自殺志願か!?愚かな!
……やむを得ん。ということで俺達は同意
小娘が入った左手の寺院に向かう
勿論舌打ちくらいはした上で
43
:
同志名無しさん
:2016/07/28(木) 19:16:08 ID:97edN0ZkO
軋みながらも入り口のドアは開き
予想通り予想外の、当たり前に異常な空間に足を踏み入れる
一面土間のエントランス。というか、ただの土間
中央には、底知れぬ緩やかな螺旋階段が下へ向かっている
妖術によるものと断定するが、炎によらぬ不思議な明かりが辺りを照らし
それは螺旋階段にも点々と灯っているようだ
とりあえずなんの気配もない。螺旋階段のはるか下からかすかに響く、一人分の足音の他には
謎の明かりが灯っているということは
ここ……寺院でないことは疑いようもない……に棲む妖怪に限り、夜目は利かぬのだろう
( ・∀・)「まっこと奇っ怪至極な光景よ……なれど、行かねばなるまいな?」
そう。せねば
小娘こそが誘いの罠だとしても。だ
44
:
同志名無しさん
:2016/07/28(木) 19:48:56 ID:97edN0ZkO
足音が止む
俺はあえて、足音の途絶えをすなわち小娘の緊急事態であるとは考えぬ
あるはずの、妖怪に襲われたような騒音がなかったからだ
( ・∀・)「急がずともよいのか?」
そんなことは、俺にわかるはずもないが
俺達は冷静でなければならぬことと
いざ退却すべき時、あまりに下まで降りすぎていれば逃げきれぬことを伝える
( ・∀・)「確かにな……」
俺達に命を張る義務はない。とは伝えぬ……
45
:
同志名無しさん
:2016/07/28(木) 22:25:33 ID:97edN0ZkO
ペースを変えず、比較的慎重に螺旋階段を降りていく
につれ、不安が増していく
下から、何かが?
あるいは、上から?
俺の、内側から?
まさか
46
:
同志名無しさん
:2016/07/28(木) 22:42:46 ID:97edN0ZkO
どれだけ下り続けたろうか
かなり長い間、同じ風景しか見ていない……と感じた頃
ほんの数段先を行くジエンが立ち止まる
( ・∀・)「見よ。壁面に横穴が開いている……」
螺旋階段は、いまだ下へと続いているが
ジエンの見つけた横穴をくぐり抜けて行くこともできそうだ
横穴にもやはり、謎の明かりは灯されているが
十メートル先で右への曲がり角に突き当たり、その先は窺えぬ
小娘はこの横穴に入ったのではないだろうか?
階段を降りていったなら、足音が途切れないはずだ
( ・∀・)「曲がり角の先に扉でもあり、その先に小娘が行ったとすれば……足音は確かに消えような……」
47
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 02:44:03 ID:GZ7XAL0sO
横穴は直径が5メートル程ある
崩落せぬように天板が張られ、足元は整地されてもいるとなれば
ジエンが想像した如く、その先に扉などあってもおかしくはない
ただ、妖怪がこのような土木作業をしたとは考えにくいので
もとからこう作ってあった。と考えるべきか
俺は腕を組み、しばし考える
行く道二つ、戻る道一つ
下へ行くか横穴か、あるいは撤収か
いずれにせよ、俺達が別行動する選択だけはない
48
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 03:03:08 ID:GZ7XAL0sO
( ・∀・)「拙者、階段を下ってゆけばまたこのような横穴、いや、脇道がいくつかあると思うのだが……」
それもあり得る
( ・∀・)「とすれば、この脇道を先に調べておくべきではないか?小娘や妖怪共がいるにせよいないにせよ、後顧の憂いを断つ意味でも」
なるほど。半ば合理的
どちらに行くせよ途中で妖怪と一戦交える事になる可能性はある。ならば、段差のある階段より脇道の方が足場が良い
横道の奥に何もなく行き止まったとしても、休憩するポイントぐらいにはなる
俺はジエンに同意し、横穴改め脇道に入る
49
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 03:42:35 ID:GZ7XAL0sO
脇道の曲がり角の十数メートル先の突き当たりに、俺達が予想した通り
朽ちかけた樫板の扉がある
鬼が出るか蛇が出るか
( ・∀・)「なに。鬼に逢うては鬼を斬り、仏に逢うては仏を斬るまでよ。ふははははは!」
そんなジエンの豪胆さに支えられつつ
できるだけ音を立てぬよう扉をそっと押し開ける……
扉の向こうは開けており、直径20メートル程の円形の部屋になっている
中央には石造りの、砂時計を携えた女神像が立っており
その足元には、膝まづき
女神像に祈りを捧げている小娘がいる
小娘は部屋に入った俺達に気づき、振り向く
妖怪と思ってか、怯えた表情
( ・∀・)「どうやら拙者らは間に合ったようだな」
俺は努めて穏やかに
小娘に声をかける
俺達はお前が寺院に入るところを見かけた武器商人であり、保護する為に来た
妖怪の棲みかであるこのコンヌ遺跡に、何用があって女一人で来たのか?と
50
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 04:03:20 ID:GZ7XAL0sO
(;゚ー゚)「わた、わたしは、その、あの、僧侶で、ただ、お神さまにお祈りを」
( ・∀・)「小娘。怯えずともよいぞ。拙者ら人は取って食わん」
俺は笑う
ついさっきまでは鬼も仏も斬って罷る!と意気込んでいたではないかと
(;・∀・)「貴公〜、今この状況でそれを云うかァ〜?」
俺の突っ込みとジエンの脱力感溢れる芝居じみたリアクション
甲斐あって、小娘の表情は幾分か柔いだ
( ゚ー゚)「見ず知らずの方々にご心配をおかけしてしまったのですね。申し訳ありません……」
( ・∀・)「なぁに。妖怪の餌にするには惜しい器量だ。とツレが申したのでな。ふはははは」
云ってねえ
51
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 04:26:07 ID:GZ7XAL0sO
小娘はしぃと名乗り
妖怪からは身に付けた法力で身を守れるのだともいう
(*゚ー゚)「まだまだ未熟者ではありますが……はい」
(*゚ー゚)「お神さまにお祈りを済ませたら直ぐに帰りますので」
( ・∀・)「つまり、ここは本物の寺院だったということか。武器の仕入れをしている拙者らにとってはハズレだな」
むしろ、今回はハズレであって良かった
不用意に立ち入るはめになってしまったここが妖怪の本拠地であれば
今頃俺達やしぃはどんな目にあっていたことか
( ・∀・)「しかし法力とな……まことこの地方には驚きに事欠かんな?なぁ」
全くだ
( ・∀・)「貴公、袖すり合うも多少の縁。という。しぃが街に戻るまでは……」
いいだろう。そのつもりで危険を冒したのだ
今日のケンベック商店の業務は護衛の押し売りだ
銭はいらぬが、拒否はさせぬ
仕事はきっちりとせねばならぬのだ。それが店の信用に繋がる
52
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 04:38:22 ID:GZ7XAL0sO
このコンヌ遺跡付近に妖怪が出没することはしぃも嘆いており
妖怪がよそに行くことを神に祈っていたのだという
(*゚ー゚)「よろしければ、わたしもケンベック商店で働かせて頂きたいのです」
( ・∀・)「拙者らと共に、妖怪退治をする。と?」
(*゚ー゚)「是非」
俺は、スポンサーかつ店主の判断に任せる。とだけいう
この小娘しぃが、戦力になるとは思えない
法力とやらが、いかほどの物かをまだ目にしていない現状では
53
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 05:09:14 ID:GZ7XAL0sO
遺跡正面門付近にもどる
予想通りリヤカーに積んであった武器はなくなっている
くそッ!妖怪共め!
今日の稼ぎはくたび儲けか……
カアチャンから渡されていた二人分の弁当を三人で分けて食い、とぼとぼと帰路につく
道中
あの階段をさらに降りていった場合、なにがあるのかをしぃに尋ねた
(*゚ー゚)「わたしが調べたところによると、異教徒を閉じ込めるの為の地下牢とか、地下書庫とか、異端審問に使った拷問部屋があるらしいです」
(*゚ー゚)「わたしはお二人にお会いした、お神さまの円堂までしか行ったことはありません……やっぱり怖くて」
案外厳格で恐ろしい神なのかも知れぬ
像は柔和な顔をしていたが……
54
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 05:44:23 ID:GZ7XAL0sO
J( 'ー`)し「アンタたち、時間神ナルゥ様に感謝しなきゃいけないよ?」
俺達から今日の話を聞いたカアチャンは、稼ぎがないことに小言も云わず
むしろしぃを連れてきたことを喜んでいる
(*゚ー゚)「カアチャンさん。お神さまの事をご存知なのですか?」
(;・∀・)「カアチャン……さん……?」
J( 'ー`)し「いや、私は金銭崇拝だからねえ。神様のことはあんまり知らないけどさ」
J( 'ー`)し「しぃちゃんは時間神ナルゥ様の僧侶なんだろ?なら、コンヌ遺跡辺りの商売は大成功間違いなし!なんたってナルゥ様のお膝元だ。ご加護バッチリ!大もうけ!」
そうは言っているが
カアチャンは俺達がしぃを……人を助けようとした事を……喜んでいるのであろう
(*゚ー゚)「カアチャンさん。わたしを、皆さんのお仲間に入れて貰えないでしょうか?」
J( 'ー`)し「妖怪と戦うんだ。死ぬかも知れないよ?覚悟の上かい?」
ちなみに俺はそんな覚悟はしていない
(*゚ー゚)「はい!頑張りますので!」
J( 'ー`)し「い〜い返事だ」
40秒で支度しな!
とは言わなかった
55
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 06:54:00 ID:GZ7XAL0sO
さて
明らかに戦力としては期待できないしぃを連れ、それでも最低限の仕入れを成功させねばならぬ
俺達はコンヌ遺跡正面門で作戦を練る
( ・∀・)「分かっているのは、左端の寺院に向かうのはしぃ嬢の為にしかならず、しかも長い螺旋階段で体力を消耗する」
( ・∀・)「逆に右端の寺院には確実にに妖怪が棲む。つまり危険度が高いという事」
のこりの二つの寺院については何も分かっていない
また、正面門からでなく遺跡裏手の壁の穴からの突入も試していない
裏手から入った場合、地形を惑わす妖術に掛からずにすむかも知れず
その時はもしかしたら、状況が一変するかもしれない
どうしたものか……
56
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 07:15:08 ID:GZ7XAL0sO
(;゚ー゚)「あの……お二人はもしかしてわたしを気遣っておられます?」
そりゃな
(;゚ー゚)「一応、法力で自分の身を守る事くらいならできますし、あと」
(;゚ー゚)「ケンベック商店で、カアチャンさんおすすめの杖も買わせて頂きましたので……借金しましたけど」
……だから余計に稼ぎを増やさなきゃならんのだがな……
( ・∀・)「ま、拙者が助太刀する限り、何が起きても心配ござらんがな」
頼りにするさ。頼りになるのはジエンだけだ
俺は、俺をも頼りにしていないのだから
57
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 07:31:56 ID:GZ7XAL0sO
( ・∀・)「だがしかし。拙者はあくまでも助太刀」
俺に向かって何度めかの宣言をするジエン
m9っ(・∀・)「方針は貴公が決めよ」
( ・∀・)「拙者、その方針を……か細き針から強き剣に変える者ぞ」
またか
思考の放棄だろ?それは
しかし俺は今回も笑った
58
:
同志名無しさん
:2016/07/29(金) 20:14:17 ID:Pb5XKRQA0
面白いな、続きが楽しみ
59
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 16:53:26 ID:gtiJY6mUO
などとまごまごしていたならば
しびれを切らしたか、右の寺院より湧いて出でたる
青白き5体の妖怪共
( ・∀・)「せっかちな。では拙者の大通連のサビにしてくれるか」
俺達はしぃを後ろに回し、武器を抜いて待ち構えんとする
俺達は勝つことに慣れすぎていた
油断
奴等は妖怪なのだ。あり得ない存在なのだ
返り討ちにせんと構える俺達の20メートル前で
(;・∀・)「な、なんとッ!?」
5体の物の怪は、風に扇がれた凧の様に空にまい上がり
こちらの手の届かぬ位置から一方的に攻撃をしかけんとしたのだ
60
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 17:03:56 ID:gtiJY6mUO
奴等に翼などない。見かけは腐り果てた人の屍だ
物の道理で飛行しているのでは決してない
ちっ。と舌打ち
対空手段を考える前に対地攻撃されるとは
前もって飛行する妖怪がいるという情報を得ていたというのに
俺は己の甘さを呪う
どう、生き抜くか
61
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 17:18:50 ID:gtiJY6mUO
は、あっさりとしぃが示してのけた
(*゚ー゚)「ちゃーんす!ナルゥ様より授けて頂いた法力は……」
(;・∀・)「前に出てはいかぬ!」
慌てるジエン。しかししぃは冷静だ
(*゚ー゚)人「わたしの未熟さもあって、妖怪を軽く麻痺させる程度ですが……この状態ならば!エイイイッ!」
両手を合わせ、気合い一発
空中で麻痺させられる……つまり、飛行が中断……
要するに
5妖怪は真っ逆さまに墜落
地面に派手に叩きつけられ、腐った肉が弾け千切れる
(*゚ー゚)「今ッ!」
応!と答え、俺とジエンはほぼ即死に近い妖怪に飛び掛かり止めを刺す
法力とは、これ程のモノであったか
62
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 17:34:27 ID:gtiJY6mUO
ジエンは感心しきり
( ・∀・)「これは参った……拙者、しぃを侮っておった」
(*゚ー゚)「いえ、たまたま妖怪が飛んだからうまくいっただけです。普段はちょっと手足を痺れさせる程度のもので……その間に逃げるくらいしか……」
その麻痺こそ対空手段として良く噛み合う技だ
俺は無言のまま、しぃの肩をポンと叩く
(*>ー<)「あ、あの……えへへ……」
顔を真っ赤にしたしぃは放っておき
俺とジエンはお宝の確認を始める。今はお仕事中だ
( ・∀・)「弓矢と……剣が二本、槍に奇妙な刃物……だな」
弓矢か。コイツに空中から射たれていたら手も足も出ない所だった
(*゚ー゚)「この刃物は何でしょう?」
それがどんな武器?なのかは良く分からないが、カアチャンに鑑定してもらうことにしよう
63
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 17:46:39 ID:gtiJY6mUO
その他の戦利品は、俺達の目には並みのシロモノにしか見えない
槍を手にしてみる
まあ、ごく普通の槍だが屋外で戦うならば多少役に立つか?と
その程度の感想
(*゚ー゚)「儲かったかしら?かしら!?」
( ・∀・)「そうでもなさそうであるが……三人の日当にはなろうぞ」
俺もジエンと同意見だ
(*゚ー゚)「そうですか。でも、お役に立てて何よりでした」
法力……使いどころを見極めれば、かなりの威力を発揮する……
そちらが、俺達の最大の儲けとなった
直接金にはならないが
64
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 18:11:31 ID:gtiJY6mUO
ケンベック商店で、カアチャンに戦利品を見せた所
J( 'ー`)し「やるねぇアンタ達。一つ目の目標のお宝ゲットだよ」
(*・∀・)「それはまことか?ジア殿?」
J( 'ー`)し「そうとも。剣二本の内、片方がバスタードソードだったよ」
(*゚ー゚)「わあ!やった!」
幸運だ
只の数打ちの剣と見た物が目的の品の一つとは
J( 'ー`)し「買い取りにちょっと色をつけとくよ。でもまぁ、魔力なんかはない普通の品だから……ちょっとだけね」
有り難い
今後もコンヌ遺跡付近で仕入れを続けるに当たり、張り合いが出る
戦いなれた場所でもまたバスタードソードを回収できるかもしれぬ
65
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 18:23:44 ID:gtiJY6mUO
しかししぃが作った借金を棒引きにすることまではできず
(;・∀・)「ぬぅ。今一つか……しぃの杖はなぜああも高価だったのだ?」
( ・∀・)「業物の剣に匹敵する値だったが」
答えてカアチャン
J( 'ー`)し「しぃちゃんの杖はね?見かけは只の杖だけど……かなり強い魔力が籠ってるのさ」
それは予想したが
どんな?を聞いていないぞ。と不満を漏らせば
J( 'ー`)しフフン「聞きたいかい?」
カアチャンはイタズラっぽく笑う
当たり前だ。商品の使用法くらい説明するのが商売人だろう
66
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 18:32:02 ID:gtiJY6mUO
J( 'ー`)し「世にも珍しい逸品だよ。良く聞いて驚きな!」
もったいつける……のは商売には大事だとはわかるが……
(;゚ー゚)ゴクリ「まさか恐ろしい大破壊魔法が使えるとか……」
(;・∀・)「ビームか!?ビームなのか!!」
俺は呆れる
恐ろしい魔法……なんてのが使えるならば、とうに妖怪などカアチャンが滅ぼしてる
もしくはカアチャンが世界を支配してる
と言うかジエンよ……ビームってなんだビームって……
J( 'ー`)し「その杖はね……」
67
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 18:51:53 ID:gtiJY6mUO
J( 'ー`)し「禍の杖。って云うんだ」
禍……?縁起が悪いな
J( 'ー`)し「使い方はね……特になし」
……あん?
J( 'ー`)し「持ってるだけでいい。杖の魔力は持ってるだけで発揮されるんだ」
……ああ。大体わかった……
J( 'ー`)し「妖怪が寄って来やすくなるのさ。魔力に釣られてね」
……
J(*'ー`)し「妖怪を誘き出してしっかりお稼ぎよ!?ギコ?アハハハハ!」
そんなこったろうと思った……
つまりカアチャンは、俺達に更なる稼ぎをさせるためと店からの厄払い。そして、それを高額での売却……という
一石三鳥を見事にしてのけたと言うわけだ
ケンベック商店の女主人、ジア・クレメンスは
根っからの商売人である
68
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 19:04:21 ID:gtiJY6mUO
J( 'ー`)し「……」
J( ー )し(私は、アンタ達に賭けるしかないんだよ……)
J( ー )し(あの子の為に……)
69
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 19:52:56 ID:gtiJY6mUO
ともあれ
稼ぎ自体は悪くはない
妖怪共は今のところ愚かで、俺達が待ちの戦術を取る限りにては有利に事が運べている
と、考えた途端にまた不安になる
つまり、ちょっと知恵のある妖怪が出現したり
あるいは妖怪に知恵を授ける者が背後に現れたなら
このイージーな仕入れに慣れた俺達は、簡単に敗北しかねない。と
飛行する妖怪の時もそうだった
俺達は油断し、思考を止めていた
結果を危うくしたではないか
そういう、イージーな環境に慣れさせるという「敵」の術中に
見事にハマっているとは考えられないか……
うまく行き過ぎている気がする
70
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 20:09:10 ID:gtiJY6mUO
( ・∀・)「ところで、あの奇妙な刃物は何であったのかよ……」
今日もコンヌ遺跡に向かうその道中
ジエンは気になっていたらしいあの刃物……前回回収した戦利品だ……について
(*゚ー゚)「大工道具のノミだそうです……」
しぃがつまらなく話を終わらせ
(;・∀・)「ああ……ノミ……か」
た
そういう、ことも、よくある……
71
:
同志名無しさん
:2016/07/31(日) 21:33:53 ID:gtiJY6mUO
コンヌ遺跡の裏手、例の外壁の穴前に俺達はいる
前々から、ここから遺跡に入れる事は気になっていた
そうしなかったのは、正面門側での稼ぎに不足がなく、手を変えてみる必要は特になかったからだ
だが、俺はちょっと足を止めて思案する
いつもの如く正面門に回り込むか
この穴から入り込んでみるか
あるいは?
72
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 02:44:37 ID:rNPDoY6AO
(*゚ー゚)「あのう……ギコさん?どうしたんですか?立ち止まっちゃって」
この穴から侵入したらどうなのかと思っている……と答える
(*゚ー゚)「……行きます?」
穴は狭く、くぐった先までリヤカーを引いていくことはできないので
ここに置いていくことになるが……
( ・∀・)「拙者としぃがリヤカーの番をし、貴公が穴の向こうの様子を見てくる。というのはどうであろう?」
ジエンの人選は最良だ
しぃを単独にするのは危険極まりなく
かといって妖怪を呼び寄せる杖の魔力が要らぬトラブルを引き起こす可能性があるので、潜入捜査には向かない
つまりしぃともう一人は残留確定
また、おおざっぱなジエンが調べに行ったのでは俺が納得する程の調査ができるとは限らぬ
この男、案外抜け目がない
73
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 02:59:46 ID:rNPDoY6AO
つまり
1・俺が単独で入ってみる
かもしくは
2・いつも通り正面に回り無難にいくか……
外壁の穴の奥を、ここからうかがい知ることはできない
妖怪が飛び出してくる様子はなさそう
これは感覚論であり、確たる証拠などないが
74
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 07:26:24 ID:hCuMOugoO
安価ではない様だけど一応1を推しておこう。
75
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 19:05:58 ID:rNPDoY6AO
俺は二人にリヤカーを任せ、外壁の穴から遺跡すると決めた
( ・∀・)「……貴公らしくないな」
ジエンはポツリと俺に言う
( ・∀・)「いつもの貴公ならば、一度戻って拙者と二人で挑むと云うはず」
……!
この意見には驚かされた
明らかにジエンは俺よりも俺の事をよくわかっている
俺がいつも何かに怯え、恐れている事を見透かされている
俺が心底からの臆病者だと知っている
( ・∀・)「だがしかし。そんな本来弱虫な貴公が必死に妖怪と戦ってきた。拙者はそれを側で見てきた」
( ・∀・)「貴公の本意はわからぬが、世のため人のために勇気をふるう姿は……」
( ・∀・)「拙者にとって、あまりにも眩しい……」
……
( ・∀・)「だからこそ、拙者はそんな貴公を守るためにおる。義を見てせざるは勇なきなり。尊きを見てせざるは誠なきなり……とよ」
俺は何も言えない
俺が臆病者と知りながら、それだからこそいる。助太刀をする。というこのジエンに対して
かける感謝の言葉すら……
( ・∀・)「どうだ?酔狂であろう?拙者はサムライでござるからなぁ!」
76
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 19:31:55 ID:rNPDoY6AO
(*゚ー゚)「でも、わたし臆病っていいことだと思います。それは、仲間や、もしかしたら敵をも傷付けないようにしたい。っていう思いやりと取ることができると思うんです」
(*゚ー゚)「ギコさんやジエンさんやカアチャンさんが強いだけじゃないってわかるからこそ、私も一緒にお仕事をさせてもらってるんです」
こいつらなりに……俺の事を考えて付いてきていたのか
( ・∀・)「とまあ、拙者らがこのような要らぬご託を延べさせてもらったからにはだ」
(*゚ー゚)「ギコさんが決めた事に、わたしたちは反対しません!って宣言みたいなもので……」
二人は妙に息が合っている
俺に対しそれぞれ異なるがしかし同じ意見で
( ・∀・)「ここは任せよ」
(*゚ー゚)「辺りの妖怪は引き付けておきますから、パッと見てきて下さい!パパッとね!」
俺は二人背を向け、黙ったまま手を挙げて答える
ここは頼んだ
お前らこそ、無理すんな
と
77
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 19:45:22 ID:rNPDoY6AO
穴をくぐる
予想の通り、正面門から入った時とは大分様子が違う
抜けた先は石造りの暗い廊下だ
螺旋階段の寺院?にあったものと同じような魔的な明かりがうすぼんやり灯っている
建物の内部……おそらくは寺院の……飾り気のない廊下は
左右に約10メートル延びている
右手の廊下は扉で突き当たり、左手は10メートル先で右に折れる通路だ
俺は、足音を出来る限り立てぬようにそろりそろりと
右手の扉に向かってみる……
78
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 19:53:56 ID:rNPDoY6AO
扉は樫で作られている
金属のプレートが目の高さに貼られ
それには砂時計のような紋章と部屋名が刻まれている
「5号室」
とある
ドアノブを掴み、そっと押し開けてみる……
79
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 20:06:03 ID:rNPDoY6AO
正方形に近い部屋
一片が7メートル程で、広くはない
右奥の隅にベッドが一つ置かれていることで、寝室と分かる
ベッドに腰掛けていた、こちらに気づき驚いた風の
ぎょっとした目……いや、ぎょろっと飛び出した目の……妖怪が悲鳴を上げる
「ひええええっ!」
その妖怪の奇っ怪な風体、体色にこっちだって悲鳴をあげたい位だが
なんとか恐れを隠し、背から剣をひっこ抜く
びびっているなら、今が好機とばかりに
俺は妖怪に走り寄る。コヤツに何をもさせてはならじ!と
80
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 20:18:20 ID:rNPDoY6AO
妖怪は、ベッドの薄汚れた毛布を頭からかぶり、そうして身を守っているつもりのようだが
汚い尻が出ている。ガタガタと震えている。尿をももらしている
剣に対して毛布がなんの守りの役に立つわけでなし
妖怪が俺以上に臆病で無力そうだと踏んだ俺は
ダメ元で妖怪に話しかけてみる
何らかの情報が得られれば、と
妖怪が話しができるのかは、わからぬが
俺はここに巣くう妖怪から、武器を奪返するために来た商人である。命惜しくば武器のありかを吐け!と
幸運にもその妖怪は、俺の呼び掛けに答え
毛布から頭を出して恐る恐る語り出した
81
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 20:31:25 ID:rNPDoY6AO
彡;(゚)(゚)ヒエエエ!「こ、殺さないでクレメンス!」
妖怪はまず命乞いから口にしたが
ちょっと口調が独特過ぎた
俺はそれを油断なく観察する
人と、あえて言えば竜か?の合の子のような姿
オレンジ色の体色
禿げている頭、だが後ろ髪だけは長い
飛び出たようなぎょろっとした目玉
妖怪の分際で、人間様のベッドで一寝入りしようとしていたらしく
故に武器の類いは持っていない
冷静になった俺は、妖怪の奇っ怪さを
むしろ面白気持ち悪く見る……
82
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 21:01:05 ID:rNPDoY6AO
彡;(゚)(゚)「ワイの知ってる事なら何でも話しますよって、命だけは助けてクレメンス!」
俺は無言でうなずく
彡;(゚)(゚)「ワイは、妖怪ちゃいますんや!元は人間で、ヤメーテいいます!」
言うに事欠いて、自分は人間だと言い出した
彡;(゚)(゚)「この寺院で、ふっるい魔導書を研究しとったら、いつの間にかオノレが妖怪の姿になっとったんです!妖怪を操る魔法の研究です!し、信じてや!」
……
俺はこの、面白気持ち悪い妖怪の出任せを
あえてじっくり聞いてみる事にした
慌てふためくこの妖怪、見ようによっては……楽しい
彡;(゚)(゚)「ワイは元々あんさんと同じ目的で、妖怪退治に出たんやけど……実家からいい武器持ち出してな……それで妖怪のカントクのタマ取ったろて……」
彡;(゚)(゚)「せやけどワイの打率ではあかんかった。ワイは打撃戦には向いてなかったんやね」
……打率?やはり奇妙な物言いだ
彡(゚)(゚)「ワイはヒットマンにはなれんかった。せやけど、なんとか妖怪共をやっつけたくて必死やったんです」
彡(゚)(゚)「そして、ある時ふと思い付いてん。打撃がダメなら、妖怪を操る魔法で勝負や……と」
彡;(゚)(゚)「コンヌ遺跡に、ふっるい魔導書があると聞いたワイは、ここに移籍して来て……遺跡だけに」
……
彡;(゚)(゚)「そして妖怪を率いる立場……ワイ将となるはずやったんやけど」
彡;(゚)(゚)「なんか魔力でオノレまでもが半分妖怪みたいになってもうたんです……ハイ」
83
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 21:17:41 ID:rNPDoY6AO
おれはこの妖怪の言葉を何一つ信用できぬ
しかしこの出任せは聞いていてなんとも愉快。もうしばらく喋らせておくとする
彡;(゚)(゚)「ホンマでっせ?」
彡;(゚)(゚)「実際、ワイは妖怪のカントクになる術を知ってます。ワイが完全に妖怪になってしまうよって、使われへんけど……」
俺は笑いを堪えながら
では簡単な魔法を一つ披露せよと言ってみる
彡(゚)(゚)「わかりましたで。じゃあ、こんなんどうでっか?」
彡(゚)(゚)「ソーサレオ!」
オレンジ妖怪が短く呪文を唱えると
なんと俺の体が宙に浮き出した
飛んでいる訳ではない。浮いているのだ
ただし、床上15センチだけ
彡(^)(^)「面白いでっしゃろ?そのまま歩けるんやで」
歩いてみる
確かに浮いたまま歩けている!
効果はたったの15センチだが……
84
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 21:37:45 ID:rNPDoY6AO
その魔法で、人を襲うつもりならば許さぬと脅しをつければ
彡;(゚)(゚)「そないなことあらしまへん!ワイは人様を守る為に妖怪をやっつけるつもりで魔法を学んでますんや!」
……
彡*(゚)(゚)「せや!信じてもらうために、ワイもあんさんの子分にしてもらえへんやろか?」
はあ?何言ってんだコイツ……
妖怪の癖に、妖怪退治をする俺達に加わりたいだと?
彡(゚)(゚)「せやで!」
せやで!じゃない
妖怪を連れて帰れば、しぃとカアチャンは卒倒するであろうし
ジエンは大通連の鯉口を切り、その未だ見せぬ切れ味をいやと言うほど見せるであろう
彡;(゚)(゚)「そら……信じてもらわれへん……ですよね……」
なんだか妙に気の毒になってきた
皆の反応は予想した通りだろう
だが
じゃあ俺の反応は、どうなのだ
85
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 21:45:18 ID:rNPDoY6AO
不意の、刹那のフラッシュバックが俺を苛む
「お前は、人を不幸にする」
「出ていけ」
「迷惑な奴だ」
「とっとと死ねよ」
俺は、いつか遠い昔に
こんな風に
まるで、このオレンジ色の妖怪のように
人から嫌われていた
と
思う
86
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 22:15:55 ID:T/YYVwB.0
初期のWizっぽいな
87
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 22:17:45 ID:T/YYVwB.0
あエルミの方がしっくりくるかな
88
:
同志名無しさん
:2016/08/01(月) 22:20:00 ID:rNPDoY6AO
返事はせず、話題を変える
このコンヌ遺跡付近の妖術は、お前が仕業か?
そうとして理由は?と
彡(゚)(゚)「そうやで!ワイの魔法で幻覚地形やら明かりやらを作ってますんや」
彡(゚)(゚)「ワイはこんな姿になってもうたから、人に見つかれば襲われてしまう……」
彡(゚)(゚)「かといってもはや元には戻れんし、人様を守る為の魔法の勉強はまだまだせなアカン」
彡(゚)(゚)「だから、人様から身を隠す為の手段として、無害なのを選んで術をかけたんですわ」
付近の妖怪もお前が呼び出したのか?という問いには
彡;(゚)(゚)「めめめ滅相もない。妖怪はワイが来る前からおったんです。おったからこそ来たんやで?操ってやっつけたろ思て……」
妖怪共が溜め込んでいる武器の在りかは?
彡(゚)(゚)「正面門から入って右とその隣の寺院に集めとるようやで?妖怪もわんさかおるようでっけどね……」
……さて
俺は、このオレンジ色の妖怪をどうするべきなのか
89
:
同志名無しさん
:2016/08/02(火) 23:01:44 ID:lBhBXpJg0
ナルゥってことはエルミナージュだな
バケツ首になるまではやってたわ
90
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 11:49:52 ID:54w3.cA.O
ふと閃いた事を提案してみる
今すぐお前を信じて町に連れ帰るわけには行かぬが、暫くはここコンヌ遺跡付近限定の道案内と支援戦力として同行せよ
それにより信用に足ると我々が判断できたなら、その時はお前が町に帰る事ができるように便宜を図ってもよい。と
彡*(^)(^)「ホンマでっか?サンキューイッチ!」
彡(^)(^)「その提案、ワイに不満なんかないで!一人で妖怪をぶちのめすのは難しけど、味方が居れば魔法を唱えるチャンスが増えるやん!」
彡(^)(^)「ぶっちゃけワイはあんさんらの都合のいい奴隷やんか。死ね」(よっしゃ!やったるでー!)
このオレンジ妖怪。お調子者かつ本音を隠せないタイプのようである
彡(゚)(゚)「妖怪化せん程度の魔法なら、あんさんらにももしかしたら使える素質があるかも分からんね」
彡(゚)(゚)「その気があるなら言うてや。お教えするやで〜」
91
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 12:04:48 ID:pUjFbDmc0
古参AAで固めてくるかと思いきやなんJ民を入れてくるセンス
92
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 12:53:43 ID:54w3.cA.O
俺は得体の知れないモノに興味はない。とぴしゃり
彡;(゚)(゚)「ハヒィ!」
ジエンとしぃに事情を説明するため、廊下を戻り
外壁の穴から出る……
どうやら、いいタイミングで戻ったようだ
浮遊する黄金の巨大な仮面と小手が
大通連の鞘によって弾き返されながらもジエンとしぃに襲いかかっている
(;・∀・)「ぬう!らちが明かぬ!いくら叩いてもこやつらビクともせん!」
(;゚ー゚)「ギコさん!撤退しましょう!法力で足止めしながら逃げれば……」
黄金の仮面と小手である
この妖怪を倒せば一財産だ
やれ!
彡#(゚)(゚)「任しとき!イクでぇ!」
93
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 14:44:06 ID:54w3.cA.O
両の拳を前に突きだし
中腰に構えるえーと何だっけそうだヤメーテ。面倒だ。オレンジ妖怪
どっしりとした構えとも見えるが
へっぴり腰と言う方が正しい
突きだした拳に輝く古ぼけた指輪に、大気中から何やら不思議な茶色の光が集まる
そして!それは放たれる!
彡#( )( )「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ブリブリブリッブリッッッミチミチミチミチッブブリッブビービーブビー゙ビーミチヤッ……プー……
(;・∀・)
(;#゚ー゚)
彡(^)(^)
うんこ
94
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 14:56:35 ID:54w3.cA.O
仮面の妖怪も、嗅覚があるのやらはしらぬがあわてて小手で鼻にあたる部分を押さえる程の悪臭
彡#(゚)(゚)「よっしゃ!チャンスやで!奴らは身動きが取れん!」
彡#(゚)(゚)「地獄のコンビネーションNo.1や!」
俺達も身動きは取れない。というか、状況を理解したくないという正しい理性が働いている
半分意識が飛んでもいる
彡#(゚)(゚)「原ちゃん!」
彡#(゚)(゚)「ジャコビニイイイ……流星イイイイイイ……」
95
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 15:20:49 ID:54w3.cA.O
(#´・ω・`)「アターックッッッ!! 」
元は白い体色らしいが、不浄の茶にまみれた
丸っこい妖怪が天空より突然現れそのまま落下
かろうじて仮面の妖怪はガードするも
彡#(゚)(゚)q「クラッシュ!」(#´・ω・`)
スガドーン!
凄まじい轟音とともに大爆発を起こし、砕け散る白茶の妖怪
爆風に、茶を乗せて
爆発が収まり
しかし、俺達が自分を取り戻すのに5分はかかった
仮面の妖怪は、爆風と熱によりもはや動かぬ仮面と化していた
小手は恐らく、バラバラに吹き飛んだと思われ、影も形もない
黄金の仮面は手に入ったが……汚い黄金つきである
彡(^)(^)「やったで!勝利や!」
俺は
無言で背中の剣を抜いたが
汚れるのを嫌い、鞘に納めた
96
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 15:24:54 ID:YRuWDK/.0
うんこ…………
97
:
同志名無しさん
:2016/08/03(水) 15:26:26 ID:54w3.cA.O
白茶い(汚い)妖怪も、爆発して消え去っている
(;゚ー゚)「いや……だめでしょ……?」
(;・∀・)「だめ」
……だめだ
彡;(゚)(゚)「えっ……」(困惑)
絶対にだめだ
98
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 00:40:09 ID:yj5aCs2c0
ジャコビニだけでうんこ要らなかったんじゃね
99
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 02:38:51 ID:1USNUemYO
反省会
だめな所を
いやむしろ良かった所を挙げなさい(3つ以上)
彡;(゚)(゚)「召喚した妖怪による自爆テロで勝利したで……」
彡;(゚)(゚)「脱糞によって敵を怯ませてこそ……成り立つコンビネーションや……」
……
彡;(゚)(゚)「ワイ将の非情なな采配と、自爆妖怪・原住民選手の卓絶した技……」
彡(^)(^)「いかんのか?」
(#゚ー゚)「いかんでしょ」
100
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 02:56:26 ID:1USNUemYO
言い出しにくい状況ではあるが
俺はこのオレンジ妖怪についてジエンとしぃに説明
( ・∀・)「確かに今すぐ町に戻す訳にはゆかぬようだ。あらゆる意味で」
(#゚ー゚)「いかんでしょ」
彡;(-)(-)「はい……」
力は認めるが、何か間違っている。というか間違ってない所が少ない
半妖怪となったせいで人間性が失われてしまったのか
彡(;)(;)「あんさんらのお役に立ちますよって、二軍でもエエから仲間にしてクレメンス……」
(#゚ー゚)
しぃのコメカミに浮かんだ怒りシワが消えない
( ・∀・)「面白き、こともなき世を、面白く」
己を納得させるための言葉をやっと見つけたらしいジエン
101
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 03:16:06 ID:1USNUemYO
さしあたり川か井戸か風呂か。とにかく水場に案内せよ。とヤメーテに命令する
彡;(゚)(゚)「正面門から入って左から2つ目の寺院の中に、聖なる泉があるやで……多少の怪我なら治してくれるありがたいご利益のある水が湧いとるんや」
彡(^)(^)「時の女神ナルゥ様の聖水やで!」
(#゚ー゚)「死ね」
なぜかしぃは、ヤメーテに石を投げ出した
俺はしぃがなぜ突然怒りを爆発させたのかはわからぬまま
とにもかくにも、体を清めようと。それが今大事だとしぃを説得
(#゚ー゚)「はい。無神経な口にぶちきれました。殺そうと思いました。でも今は落ち着いてます。大丈夫です」
大丈夫ではなさそうに見える
102
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 03:47:12 ID:1USNUemYO
レディファーストと言うことでまずしぃに身を清めさせる
頭も少しは冷えるだろう
この寺院は、建物丸ごとがヤメーテにより幻覚地形で作られているそうで入り口はない
ように見えるが壁を通り抜けて入る事はできる……泉を妖怪から守る為にかけた魔法だと云う……寺院自体はハリボテみたいなモノだ
しぃが水浴びをしている間、俺達三人は近寄ってくる妖怪に警戒しつつ
魔法について話を聞く
彡(゚)(゚)「さっき見てもらった地獄のコンビネーションの時の(´・ω・`)は、ワイの召喚契約した妖怪やで。コンヌ遺跡にもともと住んどった原住民やから原ちゃんと呼んどります」
(;・∀・)「大爆発して粉微塵になったが、死んでしもうたのか?」
彡(゚)(゚)「せや。けど、ワイが呼び出す度に復活するんや。召喚魔法ってのはそういうもんなんやで」
(;・∀・)「脱糞なしでは呼べぬのか?」
彡(゚)(゚)「できるやで〜?けど、召喚には隙がありますんや。せやからワイ将は隙消しの為に脱糞を併せ技として使うてるわけや」
彡(゚)(゚)「ちょっと呼んだりましょか?原ちゃ〜ん!?ご指名やで!」
空間を歪め、先の白丸い妖怪が出現する
(´・ω・`)「……ぶち殺すぞ?」
初手から物騒な白丸。しかしいきなり爆発したりはしないようだ
103
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 04:00:56 ID:1USNUemYO
彡(゚)(゚)「原ちゃんは妖怪の中でも特殊な部類やね」
彡(゚)(゚)「レイバーロードって云う種族に属しとって、敵もろとも自爆し、生涯を終える……って性質を持っとるんやけど」
(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」
彡(゚)(゚)「召喚契約すれば、召喚の度に復活やで。ワイとの契約は原ちゃんの為にもなっとるんや」
(´・ω・`)「僕のすみかのコンヌ遺跡から出てってよ……おにいちゃんたち」
(;・∀・)「いや、ヤメーテはともかく、拙者らはここに住もうとはしておらぬぞ」
(´・ω・`)「そっか。ならきうりおくれ。したら許すよ」
きうり?
( ・∀・)「きうり?」
(´・ω・`)「きうり!」
104
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 04:17:59 ID:1USNUemYO
愛嬌があると言えばあるその白丸に
次来た時には胡瓜を持ってきてやると言ってみる
(*´・ω・`)「わあ!やったね!」
彡;(゚)(゚)「すまんこってす。原ちゃんはきうりに目がないんや」
(´・ω・`)「ねえやきうのおにいちゃん。僕達囲まれてるけどぶち殺していい?」
(;・∀・)「囲まれ?……ッッッ!」
骸骨の様な妖怪が、辺りに7体。いつの間にやら忍び寄っている
それぞれ様々な武器を携えている
やれやれ。仕入れのお仕事の時間ようだ
彡;(゚)(゚)ヒエエ「数が多いで……時間稼いでや、原ちゃん」
( ・∀・)「しぃの身仕度の邪魔はさせぬ。拙者と大通連がお相手致す!」
105
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 04:25:51 ID:1USNUemYO
(´・ω・`)「危ないから僕の近くでは戦わないでね?バラバラに吹っ飛ぶよ」
(;・∀・)「了解」
白丸が敵左翼に突っ込んでいく
俺とジエンは右翼だ
ヤメーテは何やら術を使うらしく、意味不明なダンスを始めている
脱糞するなよ!と釘を刺しておく
彡;(゚)(゚)「わ、わかってますやで!」
106
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 04:49:41 ID:1USNUemYO
(´・ω・`)「汚ねぇ花火だ!」
チュドーン!
白丸は先ほど見せた大爆発を再び見せる
木っ端微塵に吹き飛ぶ白丸と左翼三体の骸骨共
己を汚ねぇ花火と称するのは正直どうかとは思うが
そんな事を気にしている場合ではない
(#・∀・)ウォォ「大!通!連ッ!」
回転横凪ぎ三連。骸骨の一体を弾き飛ばし、その大腿骨を叩き折るジエン
その大振りの隙を埋めるのは俺の仕事だ
ジエンの背を狙う骸骨の刀を剣で止め、当たるにまかせた蹴りで間合いを拡げる
その間に術が完成
彡#(゚)(゚)「ストーマや!」
奥に控えていた槍の骸骨が、その場で硬直し、動けなくなる
当然、パタリと倒れる
彡#(゚)(゚)ドヤァ「どや!?骸骨らしゅう地面に転がっとれダアホが!」
107
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 05:09:24 ID:1USNUemYO
二体に立て続けに狙われ、俺は肩にナイフの一撃を受ける
浅く刻まれ、悲鳴をあげて転げ回る無様さ
(#・∀・)「お、おのれ!拙者が守るべき者をよくも傷つけてくれたなアアアア!許さぬぞッ!!」
俺の傷を見て俺以上に怒るジエン
幸いにも浅手で済んではいる。カアチャンからすすめられた硬い皮鎧のおかげだ
俺はあえて立ち上がらず、這いつくばった格好のまま反撃
脛を掻ききるように狙いバランスを崩させる
ジエンがそれに回転三連切り上げ。見事に鞘を顎に叩き込み、砕く
彡#(゚)(゚)「魔法はこれで打ち止め!ミサーマや!」
最後の一体に対し術を唱えるヤメーテ
とたんに、骸骨はその場にくたりと脱力し
何といびきを掻いて眠りこけた
(;・∀・)「骸骨が……寝るとは知らなんだわ……」
俺はいびきの元を、手近の大きな石で叩き割った
108
:
同志名無しさん
:2016/08/04(木) 13:41:39 ID:0rwrsccM0
レイバーロード自爆ナツカシス
109
:
同志名無しさん
:2016/08/16(火) 13:50:59 ID:VjzOABU6O
そろそろ続き来るかな?
110
:
同志名無しさん
:2016/08/18(木) 11:24:34 ID:WanMs3520
事情アリ。半月まて
111
:
同志名無しさん
:2016/08/24(水) 02:53:58 ID:87lEj5G.0
まだ半月経たんのか!
112
:
同志名無しさん
:2016/09/18(日) 09:22:27 ID:FAIPqqLUO
半月…
113
:
同志名無しさん
:2016/09/20(火) 04:50:13 ID:53E56S3Q0
この調子だと2カ月だな
114
:
同志名無しさん
:2016/11/12(土) 09:51:48 ID:ooYgBy5o0
そして3ヶ月が経ちましたとさ
115
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 21:36:46 ID:nlOg8b.s0
…………
116
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 21:40:58 ID:nlOg8b.s0
俺がなぜここで倒れているのか。それは、わからない
数枚のカードが、俺の周りにばらまかれている理由もだ
117
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 21:45:33 ID:nlOg8b.s0
這いつくばる俺を見下ろしている男がいる。不敵に笑っている
俺はこの男に倒されたのか
何も分からない
118
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 21:49:59 ID:nlOg8b.s0
いつかの2
「プレインズウオーカー」
119
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 21:54:57 ID:nlOg8b.s0
男はしかし、俺に止めを刺せずにいる
息も絶え絶えな俺が握りしめる一枚のカードが
男を、その思考を、虚ろにしているからだ
120
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 22:02:55 ID:nlOg8b.s0
分からない。
しかしながら、そうなのだ
俺の思考が、まるで二つあるかのような理解出来ぬ理解
俺は俺の状況が飲み込めていないにもかかわらず
だからこそ取るべき対策も立てられぬまま、這いつくばったまま
しかし、俺は男を制していた
121
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 22:09:56 ID:nlOg8b.s0
時はあまねく総てに対し平等に流れる
ただし、「宿命」を背負わせたなら
すなわち、「停滞」
122
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 22:17:39 ID:nlOg8b.s0
分からない。のは
多分、俺があるべき時間を飛び越えたから
こうなった理由経緯を、飛び越える何かをしたから
だと 思う
123
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 22:25:02 ID:nlOg8b.s0
数分前、俺は男に殺されかけた。のだろう
だが、男は動けない。ピクリとも。
これからはその顔に残忍な笑みを貼り付かせたまま
永久に立ち尽くし、見下ろし続けるのだ
124
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 22:34:00 ID:nlOg8b.s0
やれやれ
俺はピクリとも出来ぬ男の鞄を探り、小壷に入っていた「治癒の軟膏」を傷口に塗りたくる
ついでにマジックで男の額に
肉
と書いてその場を後にした
125
:
同志名無しさん
:2017/08/04(金) 23:33:12 ID:uIASFY5E0
続き来た?
本気で嬉しい
126
:
同志名無しさん
:2017/08/06(日) 00:58:32 ID:9GA7rLwI0
スレタイをしっかりと実行してくれたな
127
:
同志名無しさん
:2017/08/11(金) 14:56:15 ID:s8KWJacM0
帰ってきてるやんけ!!待ってたぞ!!
128
:
同志名無しさん
:2018/09/02(日) 00:54:23 ID:s9Vydve.0
俺がなぜここで倒れているのか。それは、わからない
よたつきながら立ち上がり辺りを窺えば、眼前に天高くそびえ立つ塔
まるで塔自体が、我の他に何も無し….と語っているかのような……圧倒的存在感
まどろみ、半ば以上呆けたままの頭を振ってみるがしかし
やはり塔しか認識できぬ……
確かにそれを取り巻くだだっ広い草原には、他に何も見当たらぬのだ
129
:
同志名無しさん
:2018/09/02(日) 00:58:45 ID:s9Vydve.0
いつかの3。そして始まりとすべて
「塔」
130
:
同志名無しさん
:2018/09/02(日) 01:38:43 ID:s9Vydve.0
昔、戦があり
二人の旅人が戦に参加し、大きな功を立てた
恩賞として彼ら旅人が領主に望んだものは、僻地の極々小さな土地と、そこへの塔建設だ
誰にも邪魔をされることなく戦いの修練を積む為の塔。更なる強さを求める場
二人曰く「荒修練の場としたいゆえ、塔内で何があろうと干渉無用。危険につき余人決して近寄らせぬよう」と
領主は….二人の大功に報いるにはあまりにささやかな……望みを叶えた
131
:
同志名無しさん
:2018/09/02(日) 02:59:47 ID:s9Vydve.0
二人の旅人
一人は、異国産の長剣を携えた年若い戦士
今一人は、黒灰色の長衣を纏う、禿頭猫背の従者
二人は主従関係にあったらしい。と伝えられるが
完成した塔に入った二人を、その後見た者はおらぬ
塔内で、彼らが如何なる修行を積んだのか?はたまた他の意図があって塔に籠もったのか?
….其れは、まだ語る訳にはゆかぬ….…
132
:
同志名無しさん
:2018/09/02(日) 03:23:18 ID:s9Vydve.0
なんにせよ
領主は二人との約束を守り、領民を塔に近付かせなかった
そして数十年かが過ぎ、更なる何度かの戦によって領主がそのたび毎に代わり
しかし塔のある場所は、何の資源的価値なく軍用、農地としても役に立たない僻地であり見向きもされなかった為
塔は人知れぬ、ゆかりなき、風雨に曝された岩とレンガの積み重ねになっていった
133
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 00:46:27 ID:lFx2ypjY0
私はなぜここで倒れているのでしょうか。それは、わかりません。どうでもいいのです。もう
動けそうにないですねぇ
壁にもたれかかって、しばらく経ちました
お腹が空きました….けど、懐には銅貨一枚すらありませんし、この街に知り合いはおりませんから助けなど望めません
このまま、飢え死に。ですかね……
ああ、眠くなってきました……
眠ってしまえば、楽になれますかね
134
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 00:56:18 ID:lFx2ypjY0
申し訳ありませんが
私がここでみすぼらしく屍をさらし、皆様に不快な思いをさせてしまうこと、ご容赦願います
もう、本当にそれだけが、私の願いです
壁に私の腐敗臭が染みついてしまったら、それも申し訳ない。ですけれども
135
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 01:17:19 ID:lFx2ypjY0
せめて心おちつかせ穏やかに逝きたいと思い、目を閉じてみましたが
たくさんの辛い思い出が闇に溢れて泣けてきます
水分も足りておりませんので、涙は出ませんが
お前は邪魔者だ
早く死ね
目障りだ
顔ない皆様に、そう言われ続けて生きてきました
皆様のおっしゃる通りだと思います
136
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 01:33:21 ID:lFx2ypjY0
どなたかは存じませんが、私の傍を通り過ぎて行かれたかたがおります
私のもたれかかっている壁の近くには扉があったようです
軋みながら開く扉の音、中に入って遠ざかる足音
私は目をあけずにおりましたから、よく分かりませんでしたが….多分そうなのでしょう
よかった。私などに気を止める事がなくて
137
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 02:05:59 ID:lFx2ypjY0
( ,,^Д^)「さてさて、噂は本当かな?」
安物の革鎧を纏い、腰には異様に曲がりくねった小剣を下げた男が一人、塔に入り込む
カンテラで辺りを照らし、慎重に様子を窺っている
数日前、男はこの朽ちた塔に古代の宝が隠されているという噂を耳にし
それを手に入れんとのこのこやって来たのである
塔はうすらカビ臭く埃だらけで暗い
もちろん、人など住んでいるわけもない
( ,,^Д^)「ま、宝とまではいかんでもよ?小遣い銭になるくらいのモンがありゃそれでいいがな……」
廃墟狙いのコソ泥だ
138
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 02:40:25 ID:lFx2ypjY0
このコソ泥男、名を「タカラ」という
あちらこちらでセコい悪行を重ねてきたため、賞金稼ぎに追われている
辺境僻地に来たのは、そもそもは追っ手をまくためであった。塔の宝の噂はたまたま聞いた、もののついで
( ,,^Д^)「住めそうなら……しばらくここで身を隠すのも……ありっちゃありかな」
しかし実のところ
タカラを追っている賞金稼ぎ達は鼻がきき、目ざとく、執拗で
タカラが思っているより近くまで迫っている
塔のことなど何も知らない者達が集い
そして塔に飲まれていく
塔のカードは
139
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 03:14:29 ID:zwEut//U0
なんだスカピン生きてたのか
あれスカピンだよなスカンピンだったか?
140
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 03:21:04 ID:lFx2ypjY0
俺達は何とか骸骨共を片付け、安堵から大きくため息をつく
( ・∀・)「ふぅ、此度の敵は数がいたが……魔術?妖術?の威力まっこと恐るべし。見かけはともかくも心強いものよ」
その台詞だけを聞けば、まるでヤメーテの術にジエンが感心したように聞こえはするが
無表情で骸骨共からの戦利品を物色している態度を見るに、明らかに本心からの言葉ではない。口だけだ
まあそれも、ヤメーテの側に多大な問題があるので仕方なしではある
苦笑しつつ、俺も戦利品回収の業務にかかる
そしてその品の中に、不気味な札の貼られた刀を見つける
刀身に、直にベタ貼りされた札
これも、この地方特有の妖術に関わるものなのか?
そうでなければおかしい。札が戦いの邪魔になるはずだ
あるいはカーチャンならば鑑定は出来ようか……?
141
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 03:48:05 ID:lFx2ypjY0
俺の肩からひとしずくの血が刀身に垂れる
( ・∀・)「貴公、いいから傷の手当てしながら少し休んでおれ。戦利品回収は拙者が引き受けよう」
ジエンの言葉に甘えるとしよう。また俺はジエンの頼もしさに甘えるしかないのかと、少なからず自己嫌悪を覚える
水浴びをしている最中であろうしぃのこともあり、今の俺達は隙だらけだ。と感じもした
ヤメーテに周囲の警戒をさせるべく、声をかけようと……し、たが
142
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 04:06:54 ID:lFx2ypjY0
ヤメーテは、俺の手元を、いや、手元の刀を、でもなく
刀に貼られた札を見て、突然絶叫をあげた
彡;(゚)(゚)「ぎいやあぁあぁあアアぁああ!」
な、なんだというのだ!?
彡;(゚)(゚)「あ、アカン!あんさん!そら、そらアカンで!!何でそんなモンが!」
??
彡;(゚)(゚)「そのカードはアカンやつや!!メッチャヤバイやつやで!はよ捨ててや!」
カード???刀に貼ってあるこの札のことか???
彡;(゚)(゚)「それは、ネク……黒い」
143
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 14:59:34 ID:lFx2ypjY0
夫が、古代の宝が隠されているという塔へ向かってもう十日になる
私は夫の捜索願いを出した
街で数名規模の捜索小隊が編成され、夫を連れ戻すべく塔へと進軍していく
私は大袈裟に泣き芝居をしてみせたりなどし、夫を思うあまり心が弱っている。と街人に印象づけて家に閉じこもった
ζ(゚ー゚*ζ「これでよし。と」
私はあの塔に宝があるのかは知らない。おそらく無いと思っているが、夫には街で聞いた宝の噂をそのまま伝えた
私が知っているのは
塔には邪悪な人食い妖怪が複数棲んでいることと
それらは、少なくとも数年おきには食事を採らねばその身が朽ちてしまうこと
ζ(゚ー゚*ζ「後はもう暫く待ってみて……かな?」
夫も捜索隊も戻らなければ……
144
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 15:04:00 ID:lFx2ypjY0
ζ(゚ー゚*ζ「お家に」
145
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 15:05:32 ID:lFx2ypjY0
いつか、帰る……
146
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 15:11:22 ID:lFx2ypjY0
ζ(゚ー゚*ζ「うふふ……ああ、早く帰りたいなぁ」
147
:
同志名無しさん
:2018/09/03(月) 15:20:45 ID:lFx2ypjY0
半月後のある夜
不意に私の寝室の扉が開かれた
ζ(゚ー゚;ζ「 」
骸骨は「ただいま」と言った
148
:
同志名無しさん
:2018/09/04(火) 12:06:09 ID:xOW5glfg0
おつ!いいはなしだった!きえろ!
149
:
同志名無しさん
:2018/09/04(火) 23:59:22 ID:5iBEY4lM0
怖い話だったんだな
150
:
同志名無しさん
:2019/01/31(木) 15:18:44 ID:kpknfJb.0
忘れた頃にちゃんと更新してくれるから嬉しい
次回も楽しみにしてる
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