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( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ 第三部
1
:
◆MgfCBKfMmo
:2016/06/10(金) 21:01:44 ID:U0jBOVFc0
第二部までのお話はBoon Roman様に収録されています。
http://boonmtmt.sakura.ne.jp/matome/sakuhin/tender/
(リンク先:boon Roman)
941
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:52:41 ID:DwD.EnMM0
ζ(゚∀゚*ζ「そんなの知らない。もうやっちゃったんだもの。気にするだけ無駄よ」
(;'A`)「無駄とかそういう、うお!」
ζ(゚ー゚*ζ「口ばっか動かしてないで、足掻いてみなさいよ。全部叩き潰してあげるから」
濁流のごとく、刃が鈍い光が反射して、ドクオの後を追ってくる。
先陣のいくつかをドクオは剣で払いのけ、続きは逃げて身を躱した。
(#'A`)「……っ、…………ぐっ」
剣を退ければ次の剣が飛んでくる。
見た目も派手だが、人相手とはまるで違う感覚に混乱させられる。
言葉を放つ余裕はなかった。
942
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:53:20 ID:DwD.EnMM0
光が見えたらとにかく払う。その途中、岩場を抜け、民家を潜る。
砕けた壁にいくらかの刃が突き刺さった。
ζ(゚ー゚*ζ「逃げてばかりじゃジリ貧よ?」
(#'A`)「わかってるっての」
デレは宙に浮いている。おいそれとは攻撃できない。
隙をついて物を投げるにも、銃弾さえ防がれるのだから、望みは薄い。
ただ、突破口が見えないわけではない。
例えば、ドクオの剣は未だ彼の元から離れない。靴も服も、操られはしない。
物体を従えるという能力だが、いくらかの制限があるらしい。
それを見抜き、衝くことができれば。
943
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:53:44 ID:DwD.EnMM0
(;'A`)「うっ」
頭で考えているうちに、刃の波は一層厚みを増した。
銀の鱗の蛇のように、頭をもたげて飛びかかってくる。
('A`)「!」
刃が一直線に並ぶのを見た。
デレを目がけて、道ができている。
ドクオは反射的に脚を掛け、一気に駆け上がった。
短い叫びとともに、跳び上がる。
ζ(゚ー゚*ζ「!」
944
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:54:20 ID:DwD.EnMM0
デレの瞳が見開かれている。
ドクオの身体がデレよりも高い位置に上がり、腕を振り上げる。
瞬間、視界が白く染まった。
( A )「がっ――」
巨大な拳に殴られたような感覚がした。
( A )「――雪」
ζ(゚ー゚*ζ「動かせないとでも思った?」
945
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:54:45 ID:DwD.EnMM0
操れると言いながら、襲ってくるのは凶器ばかり。
だからこそ、雪は動かせない側のものなのだと勝手に結論づけていた。
落下したドクオを雪が受け止め、跳ね上がる。
雪片に赤の混じるのを見て、痺れた頭の感覚の原因は悟られた。
あたりが血で染まっていく。
ふと気づくと、手が何も掴んでいなかった。
幾重にも並んだ、デレの刃の先頭に、そのドクオの剣はあった。
ζ(゚ー゚*ζ「この剣は、モララーさんのじゃないのね」
羽ばたきを弱め、デレが呟いた。
946
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:55:09 ID:DwD.EnMM0
二年前、ラスティア城に忍び込んだ際、ドクオはモララーの剣を奪取していた。
あとでモララーの墓に供えるつもりだったのだが、叶わなくなって、時間が経ってしまっていた。
( A )「あれはな、俺にはもったいないものだったんだよ。だからここにはない」
ζ(゚ー゚*ζ「ふうん」
デレは冷めた顔で言い、指を動かした。
剣の一団がドクオを取り巻いていく。
隙間はない。
( A )
947
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:55:38 ID:DwD.EnMM0
デレは説得できそうにないな。
身を固めつつ、ドクオはそう思った。
昔のの自分と同じだと。
怒りで我を忘れ、ひたすら魔人を殺したとき、ドクオは誰の声も聞いていなかった。
一番そばにいて、心通わせたと思っていたモララーのことでさえわかっていなかった。
彼がどんなことを考えながら戦っていたのか、昨日になってようやくわかった体たらくだ。
自分は虚ろだった。
戦い続けている内に、過去から目を逸らし、現在を壊し続けた。
948
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:56:19 ID:DwD.EnMM0
デレを止めたいわけじゃない。
だが、否定はしなくてはならない。
モララーの死が、彼女の暴走を招いたというなら、
ドクオはその事実に堪えられなかった。
だが、そんな憤慨も結局、デレにしてみたらどうでもいいことなのかもしれない。
あるいは自分は、傲慢でさえあるだろう。
デレのいうとおりだ。
その決意を止める明確な理由があるわけじゃない。
勝手にモララーを持ち出して、説得材料として使おうとしているだけだ。
そうして、自分の過去を償ったことにしたいだけだ。
949
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:57:01 ID:DwD.EnMM0
刃の群れが動き始めた。
初めはじわりと、それから一斉に、速度を速めた。
反射光が鋭く光る。目に痛い。
( A )「……報いなのかもな」
誰も救えなかった、救おうとしなかった自分への報い。
呟いた言葉を拾う者はいなかった。
刃の波の擦れる音が、耳をくぐり、
思考を覆い隠さんばかりに響き渡る。
950
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:57:50 ID:DwD.EnMM0
.
951
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:58:24 ID:DwD.EnMM0
「許さないよ」
.
952
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:59:02 ID:DwD.EnMM0
挿入歌 All I need is love(酒井ミキオ/『スクライド』より)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3164282
953
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 21:59:28 ID:DwD.EnMM0
____
/´ ̄ ̄ ̄`` 、
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954
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:00:07 ID:DwD.EnMM0
「勝手に助けておいて、勝手に死ぬなど、誰が許してやるものか」
.
955
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:00:29 ID:DwD.EnMM0
金属片の奏でる音を掻き分けて、その声は清冽だった。
.
956
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:00:53 ID:DwD.EnMM0
( A )
('A`)
許さない。
こればっかりだ。
(゚A゚)
957
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:01:21 ID:DwD.EnMM0
どれだけ勝手にしようとも、
自分を見限ろうとしてさえも、
それを許さない誰かがいる。
煩わしいことこの上ない。
「聞こえているか、ドクオ」
.
958
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:01:41 ID:DwD.EnMM0
('A`)「……」
でも、その煩わしさこそが、地に足着ける理由でもある。
('A`)「ああ」
「……よし。それじゃあ、前を向け」
.
959
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:03:56 ID:DwD.EnMM0
ー=ミh、`㌻´=‐- _ -ー==㌻` ,.ィi{ー===ー㌻` ,ィ( ー==ミア‐ニ/ / ‐-
ニミh、アニ=‐- -ー=ニこ㌻` ,.ィi{ー===ー㌻` ,ィ( -==ミアニミ∥ ∥ニ‐
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- ‐ ニ/====ー -,ィi{=‐゛ _‐=ア ,心= ー===/ Гニ==={{ }}=-‐
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_ ニニ7=ー -=ニア゜ ,ィ(⌒ヽ` /== ー==ア |ニニー==ⅱ jj三こニ
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_ ∥== ‐ミアxf〔==ー ニア ,'== -==/ |ニニー==ⅱ ∥こニ=‐
_ ‐ ∥==ー ミ/===‐ =‐゛ ,―‐ == ニ,' |三ー-=={{ ∥ニ-ー=
ミ-∥==ー ミ/===‐ ,-ー=== ニ,: |Ξー-=={{ ∥ニ- ー=
ニ∥==‐ ん==‐ ,―‐=== ニ,' 川‐-===}j ,心‐ ニΞ三
ミ∥==‐ ∥=‐ ,―‐=== ニ,' /ソノ ‐==弖 心ニΞ三ニー
`∥==‐ ∥ー‐ /―====こ∥ ,心 - ‐ニΞ弖 ,心三Ξニー -=
'∥=- ,″ ∥=ー===ニ∥ ,ィi{Ξ‐_ ーニΞ三リ ,ィ(三Ξニ=- ニ三
,″ ∥=-===ニ∥ ,.ィ(=‐ ̄_ ‐ニΞ三ア ィ(三三Ξニ-Ξニ/
∥= ー==こ∥ ,xf{ニ‐ _ ‐ニΞ三㌻゜ ,ィ(三三ΞΞニΞ三ア
舞い散る粉雪の上で、 ∥= ー==こ∥ xf〔三Ξ三ニ=‐ -=ニ㌻゛ ,ィ(三三ΞΞΞ三三ア
∥= -==ミ{{ィi{Ξニ ニ ニ三ニ=‐ ニア ,ィi{三Ξ ̄ ‐==ニ三ア
無数の枝が交錯し、凶刃を制止させていた。 ∥= ー==ミ{{Ξニ ニ ニ 三ニニΞア ,ィi{三Ξ ̄ ー==ニ二ア
960
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:04:47 ID:DwD.EnMM0
根元にあたる場所は、ドクオの目の前だ。
棚引く深緑のコートから、樹木と融け合う右腕が見える。
川 - )「ずっと、言い忘れていたことがあった」
川 - )「あのときは助けてくれてありがとう」
「だから、今は」
961
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:06:17 ID:DwD.EnMM0
川 ゚ -゚)「私がお前を死なせない」
.
962
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:06:39 ID:DwD.EnMM0
('A`)「……クー」
彼女の腕は、ドクオがその手で引き裂いた。
その腕が、今は絡みついた枝で奇妙に構成されていた。
屹立する彼女へ向けて、ドクオは言葉が追いつかなかった。
思考はとっくに止まり、呆然と、吐息の出るに任せていた。
静寂を切り裂くように、はばたきの音がする。
963
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:07:26 ID:DwD.EnMM0
\ }: : : : : : : //.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : :\
.. \ |: : : : : //: :.::..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : \
. \ {: : : // : : : :.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : \
. \ ム// : : : : : : :.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : ____,\
. }\ /,ベ: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:_ -  ̄ ̄ \
. |: : \ // } : : : : : : : : : _,. ´ `ヽ、 / :.\
\. |: : : : \ // | : : : : / / / \ \ /: : : : : : : \
: : \. |: : : : /`x´ | :/ ,' / ' , } _,.. ´: : : : : : : : :
: : : : ∨. |: : : : {/: :\ | ' { { 0 }_ - ¨´: : : : : : : : : : :
: : : : : ∨ |: : : : : : : : : : \ } ´ _ 廴 .{__, - ´: : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : }. /: : : : : : : : : : : : ,\ {.:.:.:.:.:.:.:´: : : : : : : : : : :.:: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : j/: : : : : : : : : : : /¨´ \ゝ..::.::.::.:: : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : ./: : : : : : : : : : : : : : :.::.::.:: : . : : : : : : : : : : 「……誰よ、その女」
964
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:08:05 ID:DwD.EnMM0
冷めた声の他、何もなく、空気が張り詰めていく。
その静寂を、
「ドクオさーん!」
と、聞き慣れた声が破った。
('A`)「タカラ!?」
遠くから、その姿は確認できた。
狼煙が見えていたとはいえ、距離からして、歩けば一時間以上はかかる道だ。
いくらデレと戦っていた間、その時間はどう見積もっても三〇分はこえない。
それなのに、タカラは諸手を上げて振っていた。
( ,,^Д^)「途中で仲間に会えたんです。
シナーさんが送ってくれた、非正規の別働隊ですよ」
965
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:08:42 ID:DwD.EnMM0
タカラの背後には、兵士らしき者たちが立っていた。
金螺旋の刻まれた赤い旗。たなびくそれらはテーベの旗だ。
しかし、彼らはドクオの見慣れない深緑の軍服を纏っていた。
( ,,^Д^)「ドクオさん、シナーさんが俺たちを送ってくれたときのこと、覚えていますか。
『信頼できる部下を寄越す』って、あの人言ってましたよね。
それがこの人たちです。テーベの中には、いてはいけない人たち。
ドクオさんなら、わかるでしょう?」
タカラの言わんとするところは、確かにドクオにも伝わってきた。
戦闘中は必死でいたために気づかなかったが、今そこには獣の匂いが満ちていた。
それらはデレのものではない。明らかに、立ち並ぶ兵士達から漂ってきていた。
(;'A`)「……魔人、なのか?」
966
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:10:27 ID:DwD.EnMM0
川 ゚ -゚)「信頼していい。私の仲間だ」
クーがこともなげに言う。
(;'A`)「な、仲間!? それってどういう意味だ」
川 ゚ -゚)「話はあと」
川 ゚ -゚)σ「でないとキレるぞ、あの姫様」
クーが指差した上空で、デレはぎりりと歯を鳴らしている。
ζ(゚-゚*ζ「……この期に及んで、まだ、邪魔物が」
ζ( - *ζ「でも、関係ない」
デレの腕がまた広がると、新たな剣が民家から飛びだしてきた。
ζ(゚Д゚*ζ「私の道を邪魔する奴は! 全て私で切り裂くまでよ!」
967
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:11:18 ID:DwD.EnMM0
咆哮とともに、白刃が群れを成す。
(;'A`)「逃げろ! クー」
咄嗟に言うが、クーは首を横に振る。
川 ゚ -゚)「……気づいているか、ドクオ。あの念動力、万能じゃない。
あいつが飛ばしてくるものは、全て、人の身体から離れている」
クーは落ちついて、その腕を伸ばした。
絡まりついた枝からなる腕の先で、指が開かれ、伸びていく。
川 ゚ -゚)「この私の腕も、人と見做してくれるのは嬉しい話だよ」
延びていく枝に触れられた途端、刃たちは勢いをなくしていった。
968
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:11:48 ID:DwD.EnMM0
('A`)「……なんだ、その腕」
川 ゚ -゚)「「魔人からの授かり物だ。古代の知恵なんだってさ」
動かなくなった刃をクーは振り下ろす。
刃は次々と地面に突き刺さっていった。
川 ゚ -゚)「お前のその能力、私とは相性が悪いようだな」
ζ( д *ζ「……ああ、ああああ」
('A`)「……」
デレの変貌がただの誤魔化しとは、ドクオには思えなかった。
実験がどんなものかはわからないが、精神的に作用しているように見える。
出たり入ったりしていた魔人の気配が、今は魔人で一色だ。
969
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:12:30 ID:DwD.EnMM0
ζ(゚ ゚*ζ「……消えて」
顔を擡げて、デレが呻いた。
半月を描いて持ち上がった腕と合わせて、続々と刃が現れる。
細やかなガラス片や、瓦礫の類いもその波に加わった。
ζ(゚ ゚*ζ「邪魔なのよ、貴方たち、全員……全部!」
吊られた刃が、一陣となって、真っ直ぐに向く。
川 ゚ -゚)「ドクオ、身体は」
('A`)「ああ」
膝の震えもとうに消えた。
('A`)「大丈夫だ。戦える」
970
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:13:02 ID:DwD.EnMM0
川 ゚ -゚)「よし、作戦を――」
('A`)「いい」
手を振って、ドクオは制した。
('A`)「あの動きは、わかる」
クーは虚を突かれた様子で、それからすぐに、鼻を鳴らした。
川 ゚ ー゚)「助かる」
途端、デレの叫び。
それは人というにはあまりにも荒々しかった。
971
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:13:39 ID:DwD.EnMM0
ζ(゚ ゚*ζ「全部、全部、全部っ!!」
繰り返される言葉に乗じて刃は重なり合っていく。
ζ(゚Д゚*ζ「消えてなくなれえええええええええ!!!」
白刃の波。
それが先刻の攻撃とまるで同じことに
デレは気づいていない様子だった。
('A`)「ふんっ」
地面を蹴って、その切っ先に載る。
972
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:14:09 ID:DwD.EnMM0
(#'A`)「デレエエエエエエエエエエエエエ!!」
金属を打ち鳴らし、ドクオは一気に駆け上がっていった。
背後で樹木が広がる。
刃の全てが枝に絡められていく。
警戒していた雪の塊も、飛来してくる様子はない。
届かないと思っていた視線が、交わった。
ζ(゚Д゚#ζ「邪魔ああああああ!!!!」
波から外れた刃が方向を変える。
勢いはある。だが、数は少ない。
ドクオはそれらを打ち払い、さらに強く、刃を踏みつける。
973
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:14:34 ID:DwD.EnMM0
(#'A`)「かぁ!!」
ドクオもまた一身に叫んだ。
黒剣ではない。
代わりに構えたのは、今し方クーよりもらいうけた剣。
ζ(゚Д゚;ζ「そ、それは――」
赤い宝石が日を撥ね返す。
('A`)「そうだよ」
ドクオは低く答えた。
('A`)「モララーの、剣だ」
974
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:15:02 ID:DwD.EnMM0
('A`)
(-A-)
お前に掛ける言葉をずっと探していた。
.
975
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:16:21 ID:DwD.EnMM0
見殺しにしてしまったことや、わかってやれなかったことを謝りたかった。
何を考えていたのか、どこかで訊いてやればよかった。
後悔はいつまで経っても終わらない。
今、ようやくわかった。
俺は後悔し続ければいい。
このしがらみは、苦しみじゃない。
むしろ俺をここに繋ぎ止めてくれている。
お前に掛ける言葉はようやく見つかった。
謝罪なんかもうしない。
そんなものをいくら言っても、お前には絶対に届かない。
976
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:17:46 ID:DwD.EnMM0
言葉は常に、送るものだ。
だから俺はお前に言う。
俺はお前を許さない。
勝手に死んだことや、何も言わなかったこと。
大勢の人を悲しませたこと。
どんな目的があろうとも、
周りを見失ったお前のことを俺は許さない。
お前は死んだ。もういない。
俺は、しぶとく生きている。
もうこの世に何もすべきことなどないようにも思えたていたが
どうしても、許してくれない奴らがいる。
そしてきっと、お前もそうだろ。
……俺もだけど。
977
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:18:18 ID:DwD.EnMM0
だから、俺はまだ、戦おう。
お前が巻き込まれていたしがらみを全て解きほぐし、
お前の生が決して無駄ではなかったと言い切るために。
そしてその先でも、お前のことを決して忘れない。
('A`)
ようやく、決めた。
聞け、モララー。
俺はこれから、
お前を背負って生きていく。
978
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:19:06 ID:DwD.EnMM0
動きは止まった。
目を見開いたデレは身をひいた。
それすらも、ドクオには見えていた。
振り下ろされた、赤い宝石の剣。
デレが歯噛みして、刃を手繰り寄せる。
バランスが崩れ、はばたきは途絶え、身体は墜ちていく。
ζ( *ζ「――――っ!!!
甲高い悲鳴の最中、白銀の刃は振り抜かれた。
.
979
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:20:20 ID:DwD.EnMM0
.
第二十七話 君死に給ふことなかれ(雪邂永訣編⑤) 終わり
第二十八話 永訣の朝(雪邂永訣編⑥)へ続く
.
980
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/07/11(水) 22:21:39 ID:DwD.EnMM0
本日の投下はここまでです。
雪邂永訣編は次回で終わりです。
次の投下は新たにスレを立てて行います。
それでは、また。
981
:
同志名無しさん
:2018/07/11(水) 23:31:29 ID:B0Ofs63o0
乙
982
:
同志名無しさん
:2018/07/12(木) 05:34:50 ID:aQjSWKQ.0
乙乙
983
:
同志名無しさん
:2018/07/12(木) 17:33:16 ID:Pi/xlsq.0
乙
984
:
同志名無しさん
:2018/07/13(金) 21:56:13 ID:5VkjohwQ0
おつおつ
シナーは柔軟なんだな
985
:
同志名無しさん
:2018/07/29(日) 19:45:13 ID:983yhYHc0
おわぁぁぁぁ何年かぶりに見たけどまだ続いてる!!!好き!!!
986
:
同志名無しさん
:2018/08/10(金) 12:50:28 ID:/1r7.5ig0
相変わらず面白すぎるマン
987
:
◆MgfCBKfMmo
:2018/12/30(日) 23:31:32 ID:SK6Si69Y0
誘導です。
衛兵王女につきまして、次回からは自サイトでの更新に絞ります。
(再掲 自サイトの衛兵王女のページ↓)
http://cloudcrying.blog.fc2.com/blog-entry-45.html
(経緯 自ブログの記事↓)
http://byebyecloud.hatenablog.com/entry/2018/12/30/230009
うっかり長年の連載になってしまった本作、ご愛顧いただきありがとうございます。
まだしばらく物語は続きますし、終わらせるまでは死ねません。
突然の発表となってしまったこと、ご容赦ください。それでは。
988
:
同志名無しさん
:2018/12/31(月) 03:43:33 ID:Vv34rGsM0
FC2はスマホで見ると大型AAがズレるんだよなぁ
989
:
同志名無しさん
:2018/12/31(月) 04:32:35 ID:BXXEjdn60
ありがとう。衛兵王女1話目当時の頃を思い出したよ
お元気で
990
:
同志名無しさん
:2019/01/07(月) 00:42:49 ID:Qi6X85vc0
経緯読んだやで!
どこに移動しても応援してるで
俺もこれが読んでる唯一の現行だし、これからも楽しみにしてる!
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