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( ;∀;)死 のようです
1
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:34:57 ID:I9FOjxLs0
創作板のほうが規制されてしまっているので、こちらで後編やります。
前編→ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353849643/l50
2
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:35:38 ID:I9FOjxLs0
ちくちくした葉っぱが、相変わらず足の裏をくすぐります。
モララーの少し前を、黙って死神が飛んでいます。
モララーはしばらく思考にふけっていました――なんだかもう一つ、足りないのです。
(,,゚−゚)「――モララー。モララー」
モララーは呼び掛けに気づかず俯いて考えています。
(,,゚−゚)「モララーってば」
どすり、とモララーの右肩が急に重くなりました。
モララーはおどろいて右肩を見ると、波打つ黒が見えました。
顔を上げると、冷たい顔で見下ろす死神が大分上のほうに見えます。
どっかりと肩に腰掛けられていました。
(;・∀・)「え、何?」
(,,゚−゚)「呼び掛けても気づかなかったもんだからね。
虐殺者の前で気を抜くなんて、虐殺してほしいのかい?」
( ・∀・)「そりゃあ悪かったけどなぜに肩に乗る」
(,,゚−゚)+「君の肩を破壊するためさ」
死神は得意げに言いました。しかし、確かに肩のみに圧力がかかっているので重いのは重いのですが、
死神は元々あまり重くないので、肩を破壊するには到底至りません。
いつもの“虐殺”か、とモララーは呆れて思いました。それから思い切り横に移動します。
支えを失った死神は落ちてしまいます、が、さすが死神、地面上の数センチで羽ばたいて、なんとか尻餅は避けました。
(;゚−゚)「危ないなぁ! 何するんだい!」
( ・∀・)「1番物騒なことを言う奴が何をおっしゃる。
で、何だったの?」
(,,゚−゚)「…あぁ、薔薇のところにもうつくよって言いたかったんだよ」
ほら、こっち、と、茂みの上のほうに浮きました。
当然モララーは茂みをかき分けねばならず、死神より歩みが遅れました。
遅いだの言っている死神の声が少し遠くに聞こえます。
茂みを掻き分け掻き分け、喪服に草がつき、髪にからまり、悪戦苦闘しながら茂みを出ました。
3
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:36:30 ID:I9FOjxLs0
まず、目に入ったのは鮮血のような赤でした。
次に見たのは茨の生えた、なにものも寄せ付けないという装いの茎でした。
それから、茨に負けず劣らず、刺々しい葉っぱも見えました。
(,,゚−゚)+ ドヤー
最後に見たのは、死神の、おそらく笑えるなら“ドヤ顔”をキメているだろう雰囲気を醸し出している姿でした。
( ・∀・)「…すごいや。ほんとに薔薇だ」
(,,゚−゚)+「だろう?」
( ・∀・)「だけど君のその誇らしげな感じはなんなの?」
(,,゚−゚)+「発見者だからさ」
( ・∀・)「ガキっぽいなぁ」
(,,゚−゚)そ
4
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:37:46 ID:I9FOjxLs0
何か言い返そうとする死神を軽く小突き、モララーはしげしげと薔薇を眺めました。
綺麗な薔薇でした。それはそれは綺麗な、花弁のふっくらとした、お高くとまる堂々たる薔薇でした。
しかし、モララーの想像していたそれとは少し様子が違います。
死の森に咲く一輪の薔薇。シチュエーションとしては、生の息吹を感じさせるようなものに感じます。
けれど、この薔薇を見ていると、生よりも死を感じさせました。
なんだか、綺麗なのにスプラッタで、グロテスクなのです。
( ・∀・)「んー…?」
(,,゚−゚)「どうしたんだい?」
( ・∀・)「いや、なんかこの薔薇、」
ここでモララーが急に口をつぐみました。ぞくりと背筋が粟立ちます。
死神も気づいたようで、薔薇からふわりと遠ざかりました。
ついに自殺者がやって来たようです。
(,,゚−゚)「…時間切れみたいだね。君、見たいなら一人で見てて」
( ;∀・)「うん、そうする」
もはや条件反射のように涙が流れました。
5
:
2レス目間違えて2レス分いれてもうた
:2012/12/02(日) 19:39:23 ID:I9FOjxLs0
死神が去ると、急に静かになったような気がしました。
薔薇と二人、向かい合わせで、黒い世界にぽつんと取り残されたような気分です。
モララーはあぐらをかいて、薔薇の前に座りました。
こうして近くで見ると、より鮮やかな赤が司会に広がります。
どうにも生気のない薔薇でした。
息が詰まりそうなほどに。
( ;∀;)「それなら、いつも通りなんだけどな?」
そうです、そうなのです
。
みな息絶えるこの森で、その薔薇は唯一違うその色をもってしても、まったく目だっていませんでした。
なぜなら、この森で死の気配をぷんぷんさせることは、なんら変わったことではありませんから。
だからいつも通りです。
しかし、それならおかしいのです。
いつも通りなら尚更、なぜ森はこの薔薇を教えてくれなかったのでしょう?
6
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:40:02 ID:I9FOjxLs0
( ;∀;)「うーん…?」
森は――というかそもそもが自然は、非常に合理的に出来ているものです。無駄なことはしません。
だから、何かしら意味があるのでしょう。モララーは考えます。
こんな、茂みを掻き分けてまで奥にいかないと見つからない薔薇。
自殺者に踏まれないようにするためでしょうか。
それが1番可能性は高そうですが、どうなんだろうとモララーは首を捻ります。
そもそもがなぜ薔薇を咲かせたのでしょう?
こんなの、見つからなくてはまるで無意味ではないですか――。
( う∀;)(そうだよ。こんなの無意味だ。無駄だ。変だ)
( う∀;)(死神が見つけなきゃ誰もこんなの、)
( う∀;)ピタ…
( う∀;)(死神が見つけなきゃ?)
7
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:40:35 ID:I9FOjxLs0
モララーはここに来るまでのやり取りを、頭の中で反芻しました。
死神が向けた苛立ちと呆れ。
死神に言われなくては、無視し続けていたもの。
(。・∀∩)(ひょっとして…死神に見つけてもらうために? じゃあ何故?)
(。・∀∩)(僕のおかしな考えを…打ち砕いてもらうため?)
(。・∀∩)(そしてその上で…この薔薇を…僕に、)
するりするりと、こんがらがった思考の糸がほどけていくような気がしました。
最後のパーツがそろったような気分でもあります。
すっかり森の意図を理解したときには、条件反射の涙は止まっていました。
8
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:42:02 ID:I9FOjxLs0
( ・∀・)「…全部解ったよ君達。ありがとうね」
森は返事をするように、ざわざわざわ、揺れました。
( ・∀・)「さぁ、始めておくれ。これ以上、馬鹿馬鹿しい知名度を上げないためにも、僕のためにも」
モララーはにっこりわらって、花をひと撫でしました。
( ・∀・)「なにより、みんなのために」
その瞬間、赤色がぶわりと広がりました。
* * *
.
9
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:42:35 ID:I9FOjxLs0
さて、死神はモララーと離れたあと、森の入口付近で、自殺者が死ぬのを待っていました。
('A`)「俺はダメだ…ダメなんだ…」
('A`)「ニートだし…中卒だし…親友は彼女つくるし…二次元の嫁すら結婚したし…」
('A`)「ウツダシノウ」
(,,゚−゚)(これはひどい)
木にロープをかけ、いわゆる首吊り自殺をしようとしているようでした。
死の気配が濃いのを感じます。きっと間もなく死ぬのでしょう。
(,,゚−゚)(随分簡単に死ぬんだなぁ。
借金まみれで、糞まみれで、毎日痛めつけられて、内臓もあらかた売った奴ならわかるけどさぁ。
まぁ…この森の促進効果もあるんだろうね)
揺らぐ黒は相変わらず四方八方を埋めつくしていました。
10
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:43:14 ID:I9FOjxLs0
死ぬ準備をしている人間は中々滑稽です。作業じみた、気の抜けた時間に思えます。
この自殺者ももちろん滑稽ですが、目が虚ろで、明らかに健常者でない雰囲気ですので、笑えはしません。
否、元から死神は笑えませんが。気分の問題です。
いよいよ、自殺者が手頃な岩の上に乗りました。目の前にはロープ。
死神が鎌を掴みました。
('A`)「…ん?」
今にもロープに首を通そうとした自殺者が、ふと森の奥へ目をやりました。
死神も何だろうと、つられて目を向けました。
(,,゚−゚)(…何だろこの音)
目には何も映りませんでしたが、耳が音を捉えました。
ざざざざざ、と海の波音のような、そんな音が、広範囲から聞こえてきます。
その音が
だんだん
大きくなって
近づいて 来て
次の瞬間目にしたのは、ぶわりと森の木々に絡み付く、赤色
(;'A`)「!?」
.
11
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:43:50 ID:I9FOjxLs0
木の葉っぱの間の空を埋めるように、赤色が木に絡み付きます。
しゅるしゅるしゅると、とんでもないスピードで茨の茎を伸ばして。
(,,゚−゚)(ば、ら?)
死神は呆気にとられていました。あの赤い薔薇が、頭上を飛ぶように木々に絡み付いていくのです。
まんまるくしたオッドアイの紅色と、赤色が混じります。
みるまに薔薇の大群はそのへんの木に絡み付きつくし、自分たちの後ろの木へとその茎を伸ばして通り過ぎていきました。
たった一瞬の出来事でした。
点々と頭上に散る薔薇を、死神は自殺者と二人、しばらく呆然と見ていました。
自殺者は腰を抜かして、岩から落ちています。
森の木々は赤い薔薇を纏っても、死の気配をなおもぷんぷんさせていました。
むしろ、死の気配が格段に強くなっています。
死神が身じろぐほどに。
12
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:44:31 ID:I9FOjxLs0
黒色に散った赤はさながら血のようで。
自殺者も目を零れそうに丸くしながら、ずり、と尻で地面を擦り、後ずさります。
( A )「ぁ、」
掠れた声をあげながら、またもう少しずり下がって。
( A )「ぁあ…ああああああああああああ!」
這うようにして、走り去って行きました。
走り去った方向は町のほうです。きっと家に帰ったのでしょう。
死神は自殺者が途中で自殺を放り投げたのなんて、初めて見たので驚きに目をぱちくりさせました。
(;゚−゚)「一体何が起こってるんだい?」
一人呟きます。わけがわかりません。
「それはね、死神」
(;゚−゚)「!」
( ・∀・)「死を真正面から見たからさ」
13
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:45:51 ID:I9FOjxLs0
ひょっこり、死神の背後からモララーが顔を出しました。
(;゚−゚)「び、びっくりした…おどかさないでよ」
( ・∀・)「ごめんごめん。叫び声が聞こえたからさ」
幾分すっきりとした面持ちで、軽く頭を下げたモララーの鼻先に何か見えます。
(,,゚−゚)「あ、それ…」
( ・∀・)「あぁ、うん、薔薇。いっぱいあるから花束つくってみた。とりあえず十束」
(,,゚−゚)「多いね」
( ・∀・)「いやいや、少ないくらいさ」
死神は首を傾げました。モララーはそれを見て、「まぁ、とりあえず話を聞いてよ」となだめます。
14
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:46:48 ID:I9FOjxLs0
( ・∀・)「あの後ね、薔薇――あ、もちろん最初の一輪の薔薇ね――の前にしばらくいたんだけど…」
モララーの話はこうでした。
薔薇が咲いていたのはモララーの“意志”がある程度、あらかじめ森に届いていたからでした。
しかし、まだ森はモララーの中途半端な意志には納得していなかったのです。
だから、死神に薔薇を見つけさせた。
そしてモララーに足りないものを自分達――森のかわりに、伝えさせたかったのです。
(,,゚−゚)「でも僕は、思ったことを聞いただけで…」
( ・∀・)「“あいつら”は、森で起こったことはなんでも知ってるんだよ。
死神がそういう質問をするまで待ってたんだろうね」
(,,゚−゚)「…そうかい。で、その結果がこれなのかい?」
死神は上空を指しました。
15
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:48:52 ID:I9FOjxLs0
( ・∀・)「うん、まぁそうだよ」
(,,゚−゚)「…むしろ死をよりリアルに彷彿とさせる見た目になってるけど。本末転倒じゃないのかい」
( ・∀・)「いいや、それが狙いだよ」
モララーが森をぐるりと見渡しました。
薔薇の絡み付いた木々、その辺に転がる死体、黒々とした見た目。グロテスクな森でした。
( ・∀・)「僕に足りなかったのは、死を、真正面から受け止める覚悟だ。
泣いて遠ざけるのではなく、受け入れた上で嘆き弔うことだ。
この森は、そういう覚悟がない奴も引き寄せて死なせてしまうから」
ここまで言われれば、死神にも意味は解りました。さっきの自殺(未遂)者が逃げていったのも解りました。
死がなんたるかを、思い切りこの森で表現したのです。死神ですら身じろぐほどなら、逃げ出すのは当然のことでした。
今までこの森は、死へと誘っていました。いわば死のいいところだけを見せていたのです。
しかし、今はいいところも悪いところも、全部ぶちまけたようになっています。
16
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:51:03 ID:I9FOjxLs0
(,,゚−゚)「なるほどね…」
( ・∀・)「そういうことさ。――ありがとうね死神」
(,,゚−゚)「…へ?」
( ・∀・)「僕に何が足りないか教えてくれたのはお前だよ。
ありがとう」
(,,゚−゚)「は」
死神は飛び退さりました。ものすごく不本意そうな顔です。
_,
(,,゚−゚)「…だから僕は思ったことを聞いただけだってば感謝とかねえ君馬鹿じゃないの?」
( ・∀・)「やだ超早口。まぁ君が例え不本意だとしても、僕は有り難かったんだよ。
勝手な僕が勝手なこと言ってるだけ」
_,
(,,゚−゚)「ほんとに勝手だよ」
( ‐∀・)「感謝は素直に受け取っておくものだよ、死神」
17
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:51:43 ID:I9FOjxLs0
死神はぷいと横を向きました。
虐殺者がどうのこうの、ともにょもにょ言う声が聞こえたので、
多分また、くだらないことを言っているのだろうな、とモララーは少し笑いました。
何故笑ったかって、モララーはそれが照れ隠しだということを知っているからです。
そうとは知らない死神は、笑われたことにさらに不本意そうにしました。
(,,゚−゚)「…そんなことよりその大量の花束はなんなんだい」
死神は顔を前に戻して半ば無理矢理に話題を変えます。
モララーはその様子にまた笑いそうになりましたが、堪えました。ここで笑えば、今度こそ死神はへそを曲げてしまうでしょうから。
( ・∀・)「ああ、これ? それもお前が教えてくれたことの副産物だよ。
死体に花を手向けにいくんだ。そんでその前で、ちゃんと泣く」
(,,゚−゚)「…自己満足な気もするけどね?」
( ・∀・)「なんでもいいんだ。ただ、僕は、」
(,,゚−゚)「いい。それ以上言わないで」
死神はモララーの隣に並びました。着いていく、という意志表示でしょう。
(,,゚−゚)「大体わかるからさ」
18
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:52:41 ID:I9FOjxLs0
モララーは一人ずつ、近場にあった死体を回りました。
花を手向けて、手を組んで。ほろりほろりと泣くのです。
やはりそうすぐには直るものではないのでしょう、死体に目を向けるのは、少々辛そうでした。
死神は鎌をしまうのもわすれて、ぼうっとその光景を見ていました。
特に、モララーの横顔を。
今まではただメソメソという感じだったのに、今はかすかに笑っているその横顔を。
モララーは最初に持っていた花束をすべておくと、また花束を作り始めました。
まさか今日中に全部回るつもりなのか、と死神が問うと、「そのつもり」と途方もない返答。
死神は少し気が遠くなりましたが、それでもモララーとならんで、ずっと着いて行きました。
――数時間後。
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/40.jpg
(,,゚−゚)「…これで最後?」
( ;∀;)「うん」
19
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:53:28 ID:I9FOjxLs0
モララーはひざまずいて手を組み、涙を落としました。
何十回――いえ、百回をこえているにちがいないその行為には、一回目と変わらない真面目さがありました。
( う∀;)「…ん、終わり。死神、付き合ってくれてありがとうね」
(,,゚−゚)「別に…」
(。・∀∩)「……」
(,,゚−゚)「何だい?」
(。・∀∩)「手」
(,,゚−゚)「て?」
手がどうした、と死神は自分の手を見て仰天しました。
鎌をしまいわすれていたのを今更思い出したのです。
20
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:54:09 ID:I9FOjxLs0
しかも片手で持てています。プルプルしていません。
死神の力を、うまく使って補えています。
(。・∀∩)「お前それ、」
(;゚−゚)「うん…な、なんか使えるようになってる…!」
(。・∀∩)「ええぇ…なぜにこのタイミング…」
もうそんなに自殺しなくなるだろうタイミングです。一足どころか二足も三足もおそいタイミングです。
死神は落胆しました。つくづく自分は間抜けだと、認めざるを得ません。
(。・∀∩)「なに落ち込んでんの」
(;゚−゚)「だってこんなさ…こんなのってさぁ…」
(。・∀∩)「いや…」
(。‐∀∩)「むしろ絶好のタイミングだと思うけどね、僕は」
(;゚−゚)「え?」
21
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:55:01 ID:I9FOjxLs0
死神が聞き返したその直後、モララーはぱたりと地面に倒れました。
死神がおどろいてしゃがみ込み、顔を覗きますが、顔色は悪くありません。
はっきりと意識を持った目が見返してきているので、自分で倒れたのだとわかりました。
(;゚−゚)「…何してるんだい?」
(。・∀・)「…あのね」
流し忘れた涙が一滴、頬をながれ落ちました。
( ・∀・)「いまなら、いいよ。虐殺しても」
(;゚−゚)「!」
一瞬、死神はわが耳を疑いました。
( ・∀・)「言ってただろ。今が“もう少し”さ」
――心配しなくても、もう少ししたら虐殺されてやるよ。
その“もう少し”とはいつ来るんだと、自分がじれったく返したのを死神は思い出しました。
でも。
そんな急に。
.
22
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:56:56 ID:I9FOjxLs0
( ・∀・)「僕を虐殺したいんだろ?
僕はやるべきことはもうやった。もう自分の生に執着する理由はないよ。
死がどういうものかはわかるけど、約束は約束だからね」
(,,゚−゚)「…っ」
死神は固まりました。声も出ません。
その間も本能は、殺せと囁いてきます。前よりいっそう声高に。
そうなのです。森がいっそう死の気配漂う装いなのですから、高ぶって当然なのです。
(,,゚−゚)(…何を、何を戸惑う必要があるっていうんだ)
(,,゚−゚)(モララーは僕のことを間抜け呼ばわりする泣き虫の馬鹿なんだ、無礼者だ)
(,,゚−゚)(急だろうがなんだろうがいいじゃないか、千載一遇のチャンスだろう)
(,,゚−゚)(……)
死神は呆けるように黙りこくりました。鎌を掴む手が、ぎしりと軋むように強張ります。
23
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:57:53 ID:I9FOjxLs0
( ・∀・)
(,,゚−゚)
二人はしばらく、黙っていました。
モララーは完全に力を抜いています。隙だらけでした。
今なら、鎌も扱える死神なら殺すのなんて朝飯前でしょう。
(,, − )
ぐ、と手に力を入れて。
鎌を振り上げました。
モララーはあくまで穏やかな顔でそれを見ていました。
そして死神は、モララーの頭めがけて、鎌を一思いに振るいました――
( ‐∀‐)
24
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:58:31 ID:I9FOjxLs0
( ‐∀‐)ザクッ
( ‐∀‐)
( ‐∀‐)
( ‐∀・)「…?」
鎌の先はモララーの頭から外れて、すぐ横の地面に刺さっていました。
まさか外したのか、とモララーは思いましたが、それにしてはあまりにきわきわの位置で。
わざと外したのだとモララーは直感しました。
( ・∀・)「……なん、」
(,, − )「君はつくづく馬鹿だね」
( ・∀・)
(,,゚−゚)「君が…言ったんじゃないか!」
25
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 19:59:21 ID:I9FOjxLs0
間近に浮く死神の顔。燃えて揺らぐ紅い目が、モララーの目に映ります。
(,,゚−゚)「黙って虐殺される奴なんかいないんだろう?」
( ・∀・)「いやそれは」
(,,゚−゚)「僕のプライドをそうやって傷つけようったって、そうはいかないよ!」
(;・∀・)「そんなつもりは」
_,
(,,゚−゚)「うるさいね」
(;・∀・)「痛い! 耳を掴むなってば!」
手を払おうとするモララーに、死神は満足そうに頷きました。
(,*゚−゚)「そう、そういう反抗をしてくれないと意味ないだろう?」
耳から手を離すと、死神はひょいとモララーのそばからどきました。
いつの間にか、鎌はしまわれています。虐殺する気はもうないようでした。
(,,゚−゚)「今の君を虐殺しても意味がない。
…だから僕は死神として、君がまた生に執着するまで待つよ」
(;・∀・)「でも、そんないつ来るともわからないようなさぁ…」
(,,゚−゚)「それとね」
26
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 20:00:06 ID:I9FOjxLs0
死神はふわりと地面に降り立つと、頬を少しだけべに色に染めました。
(,*゚−゚)「君のコーヒーとクッキーが、とてもおいしいからね。
…ねぇモララー、まだ何か理由がいるのかい?」
笑えないはずの死神が、笑ったような気がしました。
さぁ、と死神が手を差し出します。
――帰ろうよ、モララー。
――…うん。
.
27
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 20:00:45 ID:I9FOjxLs0
ある郊外に、たいして広くもない森がありました。
くろぐろとした葉っぱに血痕のような薔薇が絡み付く、おどろおどろしい森です。
その森の中、これまたくろぐろとした小屋がひっそりと建っています。
そこには、泣き虫な少年とオッドアイの死神が、今でも住んでいて、仲良く――
(;・∀・)「グハァッ!? なにこのコーヒー辛っ! 死神お前何入れやがった!」
(,,゚−゚)「タバスコ」
――仲良くティータイムをしているということです。
おしまい。
.
28
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 20:01:25 ID:I9FOjxLs0
締め切り大幅にズレてすみません。ここにモララー置いとくんで僕のかわりに殴ってかまいません。
僕の大好きなぎゃしゃを描いてくれた絵師様、読んでくれた読者様、双方に感謝申し上げます。
最後に僕の嫁ぎゃしゃたんをおまけで置いておきます。
ttp://uploda.cc/img/img50bb2ded1fc66.jpg
ありがとうございました!
29
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 20:27:05 ID:Bb0Tu2mk0
(,,゚Д゚)≡○) ∀・)・∴'.これは乙じゃなくて血飛沫なんだからね!
30
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 21:03:28 ID:2heNRwJ.O
おつ
待ってたよ。面白かった
31
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 21:14:15 ID:Db7efb2E0
おつ!面白かったです!
絵を使ってくださりありがとうございましたー!!
32
:
同志名無しさん
:2012/12/02(日) 22:20:17 ID:tiMsKa6s0
乙!
ぎゃしゃかわいいな、面白かったよ!
33
:
同志名無しさん
:2012/12/03(月) 23:21:15 ID:pWTUYstQ0
これは乙
34
:
同志名無しさん
:2015/07/12(日) 03:13:07 ID:Ps0UEew2O
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1434797077/
35
:
同志名無しさん
:2015/12/10(木) 18:33:22 ID:UWcCkVtYO
゚
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