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男「友よ」 友「なんだ男よ」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/19(火) 22:03:55 ID:.QjeX5SQ
男「質問なんだが」
友「ん?」
男「例えばだけど」
友「ん?」
男「超美少女だけど性格悪い女子と」
男「超地味だけど性格良い女子」
男「告白されて付き合うならどっちにする?」
友「どうした急に」
男「いや、なんとなくお前の意見を聞きたいんだ」
44
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 02:27:49 ID:MWt5q7ek
男(解離性同一性障害……いわゆる多重人格)
男(俺の知る限り、女の人格は二つ)
男(もしかしたら他にもいるかもしれないが、それでも俺は――)
女「着いたよ」
男「え、ここは……駅?」
女「うん。もうそろそろだと思うから」
男「もうそろそろ?」
女「あ!きたきた!おーーい!」ブンブン
男「きた?きたってなにが!?」
45
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 02:29:32 ID:MWt5q7ek
女?「え……な、なんでここに……いるの……?」
男「え?え?」
女「男くんにバレちゃってたみたい、てへへ」
女?「そ、そんな……!」
男「え?え?え?」
女「大丈夫だよ!男くんは二人とも受け入れてくれるって言ってたから」
女?「二人とも!?ど、どうしてアナタも!?」
女「私が代わりに告白してあげたんだからいーじゃん!独占するのはズルくない?」
女?「それは、そうだけど……で、でもアナタは男くんのこと好きじゃなかったはず!」
女「それはなんつーか……過ごしていくうちに惚れちゃったパターン?なんちって!あはは」
46
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 02:34:28 ID:MWt5q7ek
男「ちょ、ちょ、ちょっと待てーーーい!!」
女「ん?」
男「一体どういうことだ!?」
女「ああ、紹介するね!コレが私の双子の妹だよ!」
女妹「もう!コレって、モノじゃないんだから」
女姉「あはは」
男「ふ、双子……?双子だと!?」
女妹「だ、騙していてすみません」ペコッ
女姉「てかなんでそんなに驚いてんの?気付いてたんでしょ?」
男「俺はてっきり……二重人格みたいな感じだと思ってた」
女姉「なにそれー!ありえないってば!」
男「この状況も十分ありえないけどなっ!」
47
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 02:44:05 ID:MWt5q7ek
女姉「ねぇ見て見て!」
男「ん?」
女姉「私たちってソックリでしょ?」
男「……」ジー
女妹「あう……そ、そんなに見られると……うう」
男「たしかにソックリだ」
女姉「でしょー!だからたまーに入れ替わって学校行ってたんだ!」
男「入れ替わるって……んな馬鹿な!」
女妹「わ、私は反対してたんだけど……」
女姉「そっちの方が刺激があって楽しいじゃん!」
女妹「って言われてしまって……」
男「見た目はソックリなのに、性格は面白いほど真逆だな」
48
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 03:11:24 ID:MWt5q7ek
男「てか、告白したのが女姉ってどういう事だ?」
女姉「この子に告白する勇気がないから、私が代行で告ったんだよ」
男「告白を代行……だと?」
女妹「うう……ご、ごめんなさい」
女姉「でも信じて!女妹の気持ちは本物だから!」
男「それは疑ってない。が、告白を代行するのは過保護すぎないか?」
女妹「それは……その……」
女姉「私たちって美少女でしょ?」
男「は?いきなりなんだ?」
女姉「美少女でしょ?って聞いてんの!」
男「まぁ、そうだな」
49
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 03:38:00 ID:MWt5q7ek
女姉「美しすぎるってそれだけで罪なのよ」
男「は?」
女姉「同性には疎まれて、異性には好奇な目で見られるの」
男「ああ、なるほど」
女姉「特にこの子は引っ込み思案だから、そこに付け込む男子も少なくなかった」
男「おいおい、それって――」
女姉「ま、そういう男子は私が蹴散らしたし、大事には至ることはなかったけど……おかげでこの子は男性恐怖症」
女妹「恐怖症は大袈裟だよ……ただ、少し苦手なだけで」
女姉「そんな妹が恋したのよ?姉としてはなんとかしてあげたいじゃない?」
男「だから協力した、と」
女姉「うんうん、そういうこと。でも男くんはあまりいい気しないよね?」
50
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 04:06:21 ID:MWt5q7ek
男「二人の過去を聞いた今、そこまで悪い気はしてない。むしろ光栄だと思ってるくらいだ」
女姉「ならよかった」
男「ところで、本来ウチの学校に通ってるのはどっちだ?」
女姉「男くんと私は正真正銘のクラスメイトだよ」
女妹「私は……私立の学校に通ってます」
女姉「そそ。この子は男子が苦手だから女子校!」
男「クラスメイトの女姉でさえあまり話したがないのに、女妹なら尚更接点が無い」
男「それなのに、どこに惚れる要素があったんだ?」
女妹「そ、それは……」
女姉「てか好きになるのに理由なんてなくない?」
男「た、たしかに……!」
51
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 08:57:19 ID:MWt5q7ek
男「双子で入れ替わってた事には驚いたけど、事実を知れてよかった。だから女妹」
女妹「は、はい」
男「恋人として改めてよろしくな」
女妹「え?……い、いいんですか?」
男「もちろん」
女妹「男くん……」
男「女妹……」
女姉「ねーねー、私はどうなるの?」
男「は?」
女姉「愛してくれるって言ったのは嘘なの?」
女妹「お、男くん!?そんな事言ったの!?」
男「事実を知らなかったんだ。あの発言はなかったことにしてくれ」
52
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 17:59:30 ID:MWt5q7ek
女姉「無理!言質をとってるしー」ポチッ
男『俺は“内向的な女”も“外交的な女”もどちらも愛していく自信がある』
女『あ、あ、愛……!?どっちも!?』
男『もちろん。俺にとってはどちらも大切な人だ』
男「は!?いつの間に!?」
女姉「どっちも愛してくれるんでしょ?」
男「そ、それは……」
女姉「妹は男くんをシェアする事に反対?」
女妹「あ、当たり前だよっ!」
女姉「へぇ。じゃあもう入れ替わるのは無しね」
女妹「!?」
53
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 18:26:46 ID:MWt5q7ek
女姉「私は男くんとのスクールライフを満喫するから、妹は休日デートでゆっくり愛を育んでね」
女妹「うぅぅ……べ、別にそれでいいもん……」
女姉「文化祭に体育祭……あ、イベントといえば修学旅行もあるねっ」
女妹「修学旅行……!?」
女姉「妹が男くんと私の交際を認めてくれるなら譲ってあげてもいいと思ってたけど……嫌なんだもんねぇ」
女妹「男くんと一緒に修学旅行……行っていいの?」
女姉「もちろん!それにね……私は妹から男くんを奪いたいわけじゃないの」
女妹「……」
女姉「楽しい事も嬉しい事も、悲しい事も寂しい事も共有したいだけ。私たちはずっとそうしてきたでしょ?」
女妹「う、うん」
女姉「だから幸せも共有しよっ、きっと楽しいはずだよ!ね?」
女妹「うん……わかった!」
男「容易く丸め込まれてるがそれでいいのか!?」
54
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 20:14:16 ID:MWt5q7ek
女姉「ってことで、今後も私たちをよろしくねー!」
女妹「よ、よろしくお願いします」ペコリ
男「おお、よろしくなっ!……って言うわけあるかーー!!」
女姉「美少女二人と付き合えてなにが不満なのよ?」
男「不満もなにも、女妹はそれでいいのか!?」
女妹「不満はあるけど……姉の気持ちもわかるの。私たちは双子だから」
男「え、いや、でも――」
女姉「そもそも告白したのは私なんだから、半分は私と付き合ってるようなものじゃない?」
男「なんつー暴論っ!」
55
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 20:24:14 ID:MWt5q7ek
女姉「本人たちがそれでいいって言ってんだからハッキリしてよー」
女妹「男くん……」ジー
男「う……」
男「……」
男「わかった。覚悟を決めるよ」
女姉「男くん!ありがとう!」
女妹「男くん!ありがとう!」
男「おお、シンクロ……!」
――――
――
男「って事があったんだ」
友「は?なんだお前?自慢か?あ?今すぐ砕け散れ」
56
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/06(土) 20:45:59 ID:MWt5q7ek
友「まさか女さんが双子だったとは……ん?双子?」
男「どうした?」
友「たしか“ケツアオ”のヒロインも双子設定だったよな?」
男「ああ。よく気付いたな」
友「ケツアオのヒロインに似てる女さん。双子設定まで同じ……。なぁ、本当に偶然か?」
男「偶然だろ、んなもん」
友「ハーレム√の最後、主人公は刺されるけど……ま、偶然だよな」
男「……」
友「どした?」
男「いや、その未来もリアルに想像できてしまったというか、なんというか……」
友「ふっ、その時は骨を拾ってやるから安心して砕け散ってくれ」ポンッ
男「縁起でもない事言うなっ!」
おしまい
57
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/07(日) 23:23:19 ID:XMieaxE2
男「友よ」
友「なんだ男よ」
男「廊下に委員長がいるぞ」
友「委員長っ!?」ビクッ
委員長「……」ジト
友「あ、う……う……」ビクビク
男「だ、大丈夫か!?」
友「大丈夫、だ……」
男「この前の事で苦手意識がついちまったか」
友「苦手というか……ほら、見ろよあの視線」
委員長「……」ジロッ
友「あの汚物を見るかのような視線」
男「ああ」
友「たまんねぇよな」ゾクゾク
男「!?」
58
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/07(日) 23:25:22 ID:XMieaxE2
男「お前……新たな性癖に目覚めたか?」
友「馬鹿言え!そんなんじゃねーよ!」
男「……」
友「ただ、女子に存在を全否定されたのは初めてで、それがかなりショックでさ」
男「ああ」
友「数日間はかなり落ち込んでたけど、最近気付いたんだ」
男「気付いた?」
友「ああ。好きの反対はなにか分かるか?」
男「好きの反対……そりゃ嫌いだろ」
友「普通だったらな。だが恋愛においては違う」
59
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/07(日) 23:26:50 ID:XMieaxE2
男「どういうことだ?」
友「恋愛による好きの反対は……無だ!」
男「無?」
友「興味だったり関心が一切ない状態だ」
男「へぇ」
友「嫌よ嫌よも好きのうち、とよく言うだろ?」
男「まぁ……うん」
友「だから委員長にあの視線を送られるたびに俺は思うんだ」
友「俺のことが気になってしょうがないんだなぁ。と」
男「お前のそのポジティブ思考、嫌いじゃないぜ」
60
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/08(月) 19:17:15 ID:e1eDHBLM
友「委員長ってさ、メガネかけて如何にも優等生って感じだろ」
男「そうだな」
友「そんな子に罵られるのって、なんか……良いよな」
男「やっぱり目覚めてるじゃねーか」
友「違うってば……///」
男「委員長か……そういえば前に……」
委員長『思った通り、とても良い反応してくれるわ』ニヤァ
友「ん?」
男「……案外相性いいかもな。友と委員長」
友「だろ!?ちょっくら委員長との仲を深めに行ってくるわっ!」
男「待て、それは早計だ!」
友「あばよっ!」
その後、変わり果てた姿で友が発見されたとかどうとか
おしまい
61
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/08(月) 19:42:31 ID:e1eDHBLM
女妹「お、男くんっ」
男「どうした女妹」
女妹「もしよかったら、その……あの……」モジモジ
男「ん?」
女妹「い、一緒に、その……」モジモジ
男「いいぞ。昼飯だろ?」
女妹「う、うん!でもいいの……?」
男「彼女なんだから遠慮するなって」ナデナデ
女妹「はう……うぅぅ……///」
友「うおーーー!!!」
男「!?」
女妹「っ!?」ビクッ
友「はじけてまざれっ!!!」グッ
62
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/08(月) 19:43:32 ID:e1eDHBLM
男「女妹が驚くから急に大声出すな」
友「うるせー!!教室で堂々とイチャつくお前らが悪いっ!!」
女妹「イチャ……あう……///」
男「別にイチャついてないだろ」
友「あ?じゃあお前、俺の頭ナデナデしてみろよ、おら!」
男「は?なんでお前の頭を撫でなきゃならんのだ」
友「ほらみろ!特別な関係じゃなきゃナデナデはしねーんだよ!それを教室でよぉ――」
男「うるせーな、そんなして欲しいならやってやるよ」ナデナデ
友「ふぇ…………」トゥクン
男「ときめいてんじゃねーよ!!」
おしまい
63
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:13:43 ID:BvchCW6Y
男「おはよう」
女「あ、男くん……おはよう……」
男「その感じ、今日は女妹か?」
女「……」コクン
男「そうか」
女「……」
男「……」
女「なーんて嘘っ!今日はお姉ちゃんでしたー!」
男「!!」
女姉「パッと見て気付かないなんて男くんは彼氏失格だぞ!」
男「そう言われてもなぁ、ソックリだし」
女姉「よく見たら違う所もあるよー」
男「どこらへんが?」
女姉「んーとね、右胸にあるホクロとか?」
男「そんなの確認しようがないだろ!」
64
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:15:27 ID:BvchCW6Y
男(女姉の発言も理解できる)
男(二人を見分けられない……これは恋人として致命的なんじゃないか?)
男(二人をじっくりと観察できれば、見分けることは可能になるかもしれない)
男「女姉」
女姉「はい?」
男「今日の放課後、時間あるか?」
女姉「もちろん!どこか行きたい所あるの?」
男「俺の家に誘おうと思って」
女姉「えっ……それって……」
男「嫌か?」
女姉「い、嫌じゃない!けど、突然過ぎて……えと、どうしてかな?」
男「恋人として、もっと前へ進みたいと思ってる」
女姉「ええぇぇ!?」
65
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:17:04 ID:BvchCW6Y
男「だから放課後、な」
女「え?で、でも……準備とかしてないし……心も身体も……」モジモジ
男「準備なんて必要ない。女妹も誘っておいてくれ」
女姉「妹も!?そ、それって三人でするってこと!?」
男「もちろん」
女姉「ええぇぇっ!?」カァァァ
男「やっぱりじっくり見られるのは嫌か?」
女姉「じっくり!?そ、それはちょっと恥ずかしいかなぁ……あはは」
男「それでも俺は恋人として必要なことだと思う」
女姉「!?」
男「頼む」
66
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:22:43 ID:BvchCW6Y
女姉「ど、どうしよう……今日可愛いの着けてきてたかな……ううぅぅ」ブツブツ
男「ん?俺の家が嫌なら別の場所にするか?」
女姉「別の場所……?」
男「外とか」
女姉「そ、外でするの!?ダメダメ!それは絶対ダメ!」
男「やっぱり外は落ち着かないよなぁ」
女姉「それもあるけど!落ち着かないとかじゃなくて!わ、私だって初めてだし……妹もそんなの嫌だと思うから……」
男「初めて?何の話だ?」
女姉「それは……その……って!女の子の口から何言わせるつもりっ!?バカバカっ!」ポカポカ
男「いて、何をそんなに怒ってるんだ?」
女姉「だ、だって男くんが……え、え、えっちなこと言わせようと……」ゴニョゴニョ
男「えっ!?おま、なにを勘違いしてるんだ!俺はただ二人を見分ける為に観察したかっただけだ!」
女姉「観察!?それならそうと早く言ってよ!もー!」ポカポカ
67
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:24:26 ID:BvchCW6Y
男の部屋
女妹「こ、ここが……男くんのお部屋……」ドキドキ
女姉「へぇ、意外と片付いてるんだね……」ドキドキ
男「さて始めるか。とりあえず二人ともベッドに腰掛けてくれ」
女妹「お、男くんの……ベッド……」ドキドキ
女姉「ほ、本当に観察するだけだよね?」ドキドキ
男「当たり前だろ」
女姉「わ、わかった。妹も隣座って」ポスッ
女妹「う、うん」ポスッ
男「よし、じゃあこれから二人をじっくり観察したいと思う。リラックスしててくれ」
女姉「う、うん」
女妹「は、はい」
68
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:25:45 ID:BvchCW6Y
男「……」ジー
女姉「……っ」
女妹「ぁ……」
男「……」ジー
女姉「……っっ」ドキドキ
女妹「す、すごい見られてる……」ドキドキ
男(まいったな……全然わからん)
男(普段は表情とか話し方で判断してるけど、同じ表情されるとさっぱり見分けがつかん)
男「髪を耳にかけて顔をよく見せてくれ」
女姉「う、うん」スッ
女妹「はい……」スッ
男「……」ジー
男「あ、よく見ると耳の形は微妙に違うな」
姉・妹「えっ!?」
69
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:27:48 ID:BvchCW6Y
男「ほら、女妹の耳はここが、こうなってて」フニフニ
女妹「ひゃッッ!?」ビクッ
男「女姉はこうなってる」サワサワ
女姉「ふぁっ!?」ビクッ
男「あ……悪い、くすぐったかったか」
女妹「ぁ……ぅ……///」
女姉「ち、ちょっと!いきなり触るのダメ!」
男「たしかに軽率だったな、すまん」ペコ
女姉「それで、何か分かった?」
男「驚くほどソックリだなって改めて思った」
女姉「でしょー?ふふっ」
男「髪型も眉毛の形も同じなのはどういう事だ?敢えて似せてる様な気がするが」
女姉「それはねー」
男「うん」
70
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:28:50 ID:BvchCW6Y
女姉「それは入れ替わったりするから!」
男「なるほど」
女姉「それに、二人同じの方がいいじゃん!双子なんだし」
男「そういうもんなのか?」
女姉「そういうもんなの!ね、妹?」
女妹「う、うん」
男「仲良いんだな」
女姉「えへへ」
男「そうなると外見で判別するのは難しいな……外見……外見か……あっ」
女妹「?」
女姉「?」
男「そうか、その手があったか」
71
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:30:01 ID:BvchCW6Y
女姉「急に外に出ようだなんて、どうかしたの?」
男「来週なにがあるか分かるか?」
女姉「来週??」
女妹「一ヵ月……かな?」
男「そう!女妹、正解!」
女姉「あー!付き合って一ヵ月ってことね!」
男「一ヵ月記念ということで、二人に何か贈りたいと思ってな」
女姉「それでココに?」
女妹「ショッピングモール……」
男「ああ」
女姉「わーい!何買ってくれるのー!?」ワクワク
男「できればアクセサリーが良いと思っている」
女姉「本当に!?やったー!」
女妹「え、そんなの悪いよ……お金かかっちゃうし……」
男「バイトしてるから結構貯金あるんだ、気にしないでくれ」
72
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:30:47 ID:BvchCW6Y
女妹「で、でも……」
男「俺が贈りたいんだ。二人への感謝の気持ちだと思って受け取ってほしい」
女姉「さっすが男!惚れ直しちゃうっ!」
男「女妹も、な?」
女妹「……う、うん」
男「迷惑か?」
女妹「そ、そんなことないよ!」
男「じゃあ決まりだな」
女姉「あ!私可愛いのがあるお店知ってるんだー!行こ行こー!」
男「おお、案内よろしく」
73
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 19:32:28 ID:BvchCW6Y
女姉「着いたよー!」
女妹「わぁ」
男「なんというか……キラキラしてて俺には無縁の場所だ……」
女姉「で、で、何をプレゼントしてくれるの?」
男「女妹の学校は校則でアクセサリーは禁止されてるのか?」
女妹「うん……」
女姉「こっそりネックレスしてる子は何人かいるよー」
男「ネックレスか……よし、じゃあそれにしよう」
女姉「やったー!ね、妹!どれにしよっか?」
女妹「え、えーと……」
男「あ!選ぶ前に一つだけお願いしたいことがある」
女妹「?」
女姉「なあに?」
74
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 20:00:08 ID:BvchCW6Y
男「お揃いの物じゃなくて別々の物で頼む」
女姉「え?まぁ、別にいいけどー」
女妹「……もしかして、見分けるために?」
男「ああ。だけど二人にプレゼントしたい気持ちも嘘じゃない」
女妹「うん……ありがとう、男くん」
女姉「いつもお揃いだから、たまには別々の物もいいかもねっ!」
男「そんなわけで後は好きに選んでくれ」
女姉「何言ってんの?男くんも一緒に選ばなきゃ意味ないじゃん!」
男「俺はそういうの疎いから」
女妹「一緒に……だめ?」
男「あー……」
男「わかった」
75
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 20:01:17 ID:BvchCW6Y
――――
女姉「結局同じデザインの物になっちゃった、ごめんね」
男「双子だと好みも似るんだな」
女姉「そりゃ、ねぇ……」ニヤニヤ
女妹「う、うん……」
男「まぁ色が違うから全然問題はない。むしろそっちの方がありがたいな」
女姉「ね、ね!早速つけてくれる?」
男「ああ」スッ
男(姉の方はホワイトゴールドのネックレス)
女姉「ふふっ、ありがとっ」
男「女妹も、ほら」スッ
女妹「う、うん」
男(妹の方はピンクゴールドのネックレス)
女妹「わぁ……ありがとう、男くん」
76
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/13(土) 20:02:36 ID:BvchCW6Y
女妹「こんな高価な物……本当によかったの?」
女姉「本当それ!二人分だし出費も二倍だよ!?」
男「金額的には全く問題ない。気にしないでくれ」
男(思ったより高かったが……これで二人の見分けがつきやすくなった)
男(それに二人の笑顔はこのネックレス以上に価値がある。まぁ……そんな事は恥ずかしくて口が裂けても言えないが)
女姉「えへへ、彼氏からのプレゼントがこんな嬉しいなんて思わなかったなー」
女妹「うん……大事にするね、男くん」
男「ああ。喜んでもらえて良かったよ」ニコッ
姉・妹「はぅ」キューン
女妹「いつも無愛想な男くんが優しく微笑んでる……」ドキドキ
女姉「これがギャップ萌えってやつね……」ドキドキ
男「どうした?帰るぞ」
おしまい
77
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/18(木) 22:51:52 ID:x3PKzEYg
友「男よ」
男「なんだ友よ」
友「学校の七不思議ってあるだろ?」
男「七不思議?」
友「そう、七不思議」
男「小学校の頃に流行った怪談系のやつか?」
友「ああ、それの事だ」
男「それがどうした?」
友「最近この学校で新たな不思議が追加されたのは知ってるか?」
男「いや、そもそもこの学校に七不思議がある事自体初耳だけどな、俺は」
78
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/18(木) 22:52:50 ID:x3PKzEYg
友「新たに追加されたこの学校の七不思議の一つ、それは――」
男「それは?」
友「お前と女さんが付き合ってるってことだ!!」ドンッ
男「あー……」
友「全校生徒が疑問に思ってるぞ!『なんで男と?』ってな」
男「だろうな」
友「だろうなって何だよ!お前当事者だろ!」
男「実際俺もわからないんだよ。どうして告白されたのか」
友「まぁ……傍から見ててお前と女さんの接点なんて一つもなかったからな」
男「だろ?」
友「だろ?じゃねーよ!なんらかの接点があったから告られたんだろ!?俺とお前の間で隠し事はなしだ!正直に話せ!!」
79
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/18(木) 22:54:02 ID:x3PKzEYg
男「とは言われても本当に心当たりがないんだ」
友「シスターズとそういう会話はしないのか?」
男「そういう会話とは?」
友「どこが好き?とか、どうして好きになったの?とか、付き合いたての恋人がするような甘々トークのことだ!言わせんな!」
男「そういう話はしないなぁ」
友「は?なんでしないの?バカなの?」
男「わざわざ聞く事でもないだろ。あとバカって言うな」
友「 わざわざ聞く事に価値があるんだろーが!」
男「んー……?」
80
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/18(木) 22:54:44 ID:x3PKzEYg
友「お互い好きなところを伝え合うことで愛を確かめ合うのさ」
男「はあ」
友「そうするとどうなると思う?」
男「さあ」
友「良い雰囲気になるんだよ」
男「へえ」
友「そしてその雰囲気のまま、ガッといく訳よ」
男「ほお」
友「って!なんだその気の抜けた返事はっ!!真面目に聞けよっ!!」
男「それを実行したところで、お前は怒るだろ」
友「当たり前だっ!!惚気るやつは万死に値する!!」
男「言ってることめちゃくちゃじゃねーか!」
81
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/18(木) 22:56:15 ID:x3PKzEYg
友「お前は女さんと付き合った事で、多くの男子達を敵に回した自覚はあるのか!?」
男「まぁ……すれ違うだけで舌打ちされる事は増えたな」
友「はっは!ざまぁ!」
男「……」
友「だが!男子の評価とは相対的に女子の評価は上がっている。なぜだかわかるか?」
男「わからん……ってか評価が上がってるって俺がか?」
友「ああ。女子ーズからしたら女さんが男と付き合った事で強力なライバルがいなくなったわけだからな」
男「そういえば色んな女子に感謝されたな」
友「だろ?ったくよぉ、お前ばっかり良い思いしやがって!」
男「俺からしたらそんな事はどうでもいいんだよ」
友「あ?」
男「女子の評価が高くなろうが、男子を敵に回そうが俺にはどうでもいい。友がいつも通り接してくれることの方が俺は嬉しい」
友「え……」トゥクン
82
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/18(木) 22:58:09 ID:x3PKzEYg
男「そうだ!今度みんなで遊びに行かないか?」
友「みん、なで……?」
男「俺と友、女姉妹と委員長の五人でどこか遊びに行こうぜ」
友「いや、お前らの邪魔になるし……委員長も俺がいたんじゃ来てくれないと思うし……」
男「そこは俺がセッティングするから」
友「でも……」
男「友のことを邪魔だなんて思うわけないだろ。俺はお前のこと親友だと思ってるぜ?」
友「男……!!」
男「それでどうする?行くか行かないか」
友「そりゃもちろん……」
友「行くに決まってるだろーが」ニッコリ
おしまい。
83
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/20(土) 23:27:41 ID:5atGmWC2
委員長もっと欲しい
84
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 20:44:55 ID:RPq/mdqs
――カフェ
男「このケーキ美味しそうだな」
女妹「うん」
男「こっちのケーキも美味しそうだ」
女妹「うん」
男「女妹はどっちを食べたいとかあるか?」
女妹「え、あの……えと……」
男「……」
女妹「うー……私は……どっちでも……」
男「それなら両方買って食べるか」
女妹「う、うん」
女妹(はぁ……)
女妹(本当に自分自身が嫌になる)
女妹(どうして私はいつもこうなんだろう)
85
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 20:45:58 ID:RPq/mdqs
女妹(私は社交的な姉とは正反対で、昔から人付き合いが苦手だった)
女妹(人と距離をとって過ごすのは苦じゃなかったから、そのままでいいと思っていた……けど)
女妹(だけど今は……)
女妹(このままだといつかきっと男くんに愛想を尽かされてしまう)
女妹(もしかしたらもう既に……)
女妹「うぅ……」
男「どうした?」
女妹「な、なんでも……ない、です」
男「??」
女妹「……」
男「もしかして口に合わなかったか?」
女妹「ううん!そ、そんなことないよ!」
男「ならいいが……」
女妹(ああ、気を使わせてしまった。だめだ、頑張ってお話しなきゃ!)
86
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 20:46:50 ID:RPq/mdqs
女妹「あ、あの……!」
男「ん?」
女妹「ネックレス……!あ、ありがとう……」
男「ああ。向こうの学校でも着けて行ってるのか?」
女妹「う、うん」
男「バレたら怒られるだろ」
女妹「いつも襟元までボタン閉めてるから……大丈夫、だと思う」
男「そうか」
女妹「……」
男「……」
女妹(うわぁぁぁん!)
女妹(か、会話が終わっちゃったよぉぉ!)
87
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 20:47:38 ID:RPq/mdqs
男「……」
女妹「……」
女妹(ど、どうしよう!男くん、きっと退屈だよね?どうしよう!)
女妹(ああ……姉だったらこんな時……。うう、やっぱり私なんかじゃ……)
男「なんかいいな、こういうの」
女妹「…………え?」
男「女姉は良い意味でも悪い意味でも騒がしいから、二人でのんびり過ごすのも良いなぁって」
女妹「……」
男「あ、今の発言、女姉にはナイショで頼む」
女妹「……」
男「どうした?」
女妹「わ、私といても退屈、だと思う……」
男「そんなことないぞ?」
女妹「そんなこと……あるよ」
88
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 20:48:45 ID:RPq/mdqs
男「もしかして俺の態度で不安にさせてたか?」
女妹「ちがっ!男くんのせいじゃなくて!」
男「……」
女妹「私は、姉と違ってお喋りも上手じゃないし……愛想も良くないし……良いところなんて一つもなくて、その……」
男「あるよ、女妹の良いところ」
女妹「え……た、例えば?」
男「女妹はすごく可愛い」
女妹「……見た目……かぁ……」
女妹(容姿は……少しばかり整っている自覚はある)
女妹(それだけで言い寄ってくる人は沢山いたから)
女妹(男くんに可愛いって言ってもらえるのは嬉しいけど……だけど……)
女妹(今、そのセリフは聞きたくなかった……かも)
89
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 20:53:04 ID:RPq/mdqs
女妹「……」シュン
男「女妹」ジー
女妹「……な、なに?」
男「口の周りに食べカスが付いてるぞ」
女妹「ふぇっ!?」ササッ
女妹「……うぅ……と、とれた……?」カァァァ
男「ははは、嘘だ」
女妹「へ?」
男「なんか急にからかいたくなったんだ」
女妹「か、からかい……!?」
男「あはは」
女妹「むー……」ムスッ
男「ほら、やっぱり女妹は可愛い」
女妹「え?」
女妹(い、今の一連の流れで可愛い要素なんてあった?)
90
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 20:54:28 ID:RPq/mdqs
男「女妹は口数少ないけど、顔とか態度に感情が表れやすい」
女妹(え……バカにされてるのかな?全然嬉しくない……)
男「さっきも凄く美味しそうにケーキを食べてた」
女妹「そ、そうかな?」
男「ああ。ニヤニヤしてたぞ」
女妹「ニヤニヤって……」
女妹(やっぱりバカにしてる……!)
男「ほら今だって不貞腐れた顔してる」
女妹「むー」
女妹(そんな事言われたら誰だってこういう顔しますよー、だ)
男「でもな」
女妹「……」ムスッ
男「そんなところがすごく可愛い」
女妹「え……」
91
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 21:06:26 ID:RPq/mdqs
男「可愛いというか、愛おしい」
女妹「いと……!?」カァァァ
男「ほら今だって」
女妹「そ、それは……!お、男くんが急にそんなこと言うから……うぅぅ」モジモジ
男「はぁ……ったく」
女妹「え……な、なに?」
男「いちいち反応が可愛すぎる」
女妹「ふぁっ!?」
男「これからも色んな反応を見せてくれ」
女妹(は、反応を見せてくれって言われても……そんなの自分じゃわかんないよぉぉ)
男「あ、できれば俺の前限定で、な?」
女妹「!!?」キュゥゥゥン
女妹(えっ、まってまって、そこで独占欲だしてくるなんてズルくない!?はぁ、どうしよ…………好き……)
92
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 21:08:05 ID:RPq/mdqs
男「他にもあるぞ、女妹の魅力」
女妹「ほ、他にも!?」
男「例えば――」
女妹「い、いい!もういいから!」カァァァ
男「え?」
女妹(こ、これ以上言われたら恥ずかしい過ぎてどうにかなっちゃう……!)
女妹「も、もう大丈夫……だから」
男「そうか」
女妹「うう……」
男「それなら自分には良いところが一つもないなんて言わないでくれ。俺にとっては魅力的な女の子なんだからさ」
女妹「!!」
93
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/03/21(日) 21:09:07 ID:RPq/mdqs
女妹(私は人と接するのが苦手で)
女妹(自分の気持ちをはっきり話すこともできなくて)
女妹(そんな自分がとても嫌になってしまう時もある)
女妹(だけど……)
女妹(そんな私にも……)
女妹(理解のあるステキな彼くんがいます!!)
おしまい。
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