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モバP「雪美さんといっしょ」
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あと、割となんでもありです
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1
モバP「雪美ってもしかして、俺のことが好きなのか?」
雪美「……ん……何……?」
モバP「隙あらば膝の上に座るからさ」
雪美「…………そういうつもりじゃ……ない……」
モバP「じゃあ今はどんなつもりでおられるのかな?」
雪美「……背中を……預けられる……我が友……」
モバP「おう?」
雪美「……別に……好きとか……そんなんじゃ……ないんだから……」
モバP「ハハッ、こやつ、愛いのう」ナデナデ
雪美「……ふふ」
ちひろ「こやつら遊んでますね」
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2
モバP「よく思うことを一つ」
雪美「……ん」
モバP「俺がイスになり雪美が普通に座る、それが当たり前だ」
雪美「……じゃあ、Pも……私に……座りたい……の?」
雪美「…………がんばる……」
モバP「神に誓ってそうではないのでそんな悲壮感のある目をしないでくれ」
雪美「……」ホッ
モバP「で、いつもそうだから、たまには対面で座ったりしないのか?」
雪美「! ……へんたい」
モバP「そんなつもりじゃないんだがな」
雪美「……冗談。……でも……ちょっと……恥ずかしい……」
モバP「こやつ、いちいち愛いのう」ナデナデ
雪美「……んんっ」
ちひろ「なぁにやってるんですかねえ」
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3
モバP「雪美、目を閉じてごらん」
雪美「……うん」
モバP「何も見えないな?」
雪美「……見えない」
モバP「でも俺は雪美を見つけられる」ポン
モバP「これが超能力だ」
雪美「……すごい」
雪美「……なんて……言うとでも……思った……?」
雪美「……Pは……目……開けてる……」
モバP「冗談です、はい」
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モバP「だが子どもの頃は、自分の見えないものは周りにも見えないと思っていた」
モバP「客観的な視点に立つ、というのは大人になってもなかなか難しいものだ」
モバP「頭隠して尻隠さず――と、そんなことが多いなと自省するよ」
雪美「……目、閉じて……?」
モバP「はい」
雪美「……ん」チュ
モバP「……?」
雪美「……見えなくても……守ってくれてる……気がする……」
雪美「……Pの、そんなところは……超能力? かも……」
モバP「良いこと言うね」ナデナデ
雪美「……」ムフー
ちひろ「周りは見えていないようですね」
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4
モバP「ふう……少し休憩するかな」 ガチャ
モバP「ん、誰か帰ってきたみたいだな」 パタン
雪美「……」テクテク
モバP「お、雪美か」
モバP「……!」
雪美「P……ただいま……」
雪美「……?」
モバP「おっと。雪美、おつかれさん」
モバP「珍しい格好だな。ドキッとした」
雪美「……」キラキラ
モバP「……やだ破廉恥」
ちひろ「何てこと言ってんだ」
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モバP「髪はツインテール、服はキャミソールとパーカー、ミニのプリーツスカートにストライプのニーハイ」
モバP「小悪魔っぽさが出ているな。何となく梨沙や美玲の好みそうな感じのコーディネイトだ」
雪美「悪魔……それなら、私は……あなたの……使い魔……かも……?」
モバP「俺の使い魔か。それなら何か命令をしても良いのか?」
雪美「……どんな……命令……?」
モバP「さあねえ……あんなことこんなこと凄いこと、何をしてもらおうか」
雪美「……」ドキドキ
モバP「よし。そんな挑発的な格好をしている君には膝上に座して貰おう」オイデオイデ
雪美「……任せて……」 ポスッ
モバP「まあ普段から雪美さんは膝上にいるんだけどねえ」
雪美「……P……これ……似合って、いる……?」
モバP「勿論だとも。この私を誘惑するとは実に怪しからん」
雪美「……誘惑……成功……///」カァッ
モバP「恥ずかしかったのね」ナデナデ
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モバP「ところでその服を選んだのは誰かな」
雪美「ちひろさん」
ちひろ「わたしがやりました」
モバP「即答ですか」
雪美「……ぐっしょぶ……」b
ちひろ「☆」b
モバP「しかし、露出は衣装で見慣れているはずなのにガツンと来るなあ」
雪美「……?」
モバP「それでいて雪美にしか出せない独特のクールな雰囲気が良い」
雪美「……ふふ……うふふっ」
モバP「どうした?」
雪美「……こういうのは……あなたにだけ……見せる……」ニコ
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5
モバP「よし……んー」ノビー
ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」
モバP「恐れ入ります」
ちひろ「エネルギー補給に各種ドリンクはいかがですか?」
モバP「今日は遠慮しておきます。たった今アイドルからの差し入れでバナナを貰いましたので」
ナターリア「あげタ!」ヒョコッ
ちひろ「おー」
ちひろ「ってどこから出てきたんですか」
モバP「ただ仕事帰りに寄っただけらしいです」
ナターリア「アイジンカンケイってやつですナ!」
ちひろ「穏やかじゃねえな」
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ちひろ「皮が黒くなってますよこのバナナ」
モバP「バナップルとかいう品種でそれが普通みたいです」
ナターリア「そうだヨー。オイシイものは山分けするノ」
モバP「おすそ分けじゃなくて山分けなんだ。家族みたいだな」
ナターリア「カゾク! ファミリア! ソクシツ!」
ちひろ「何かとんでもない単語が最後に聞こえましたけど」
モバP「それはそうと、ちひろさんもどうですか?」
ちひろ「良いんですか? それじゃあいただきます」
パクッ
モバP「名前の通りちょっとリンゴに近い味がするんだな」
ナターリア「面白いでショ?」
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雪美「……P……何、食べてるの……?」
モバP「雪美か。ちょっと変わったバナナだよ、食べてみるか?」
雪美「……」コク
モバP「はい、あーん」
雪美「……あーん」パク
雪美「……おいしい……」
ちひろ「自分の食べかけを普通に食べさせるのはどうかと」
ナターリア「いいナ! ナターリアにもシテ!」
モバP「良かろう。さあ口を開けたまえナターリア君」
ナターリア「ンッ♪」ハムハム
ナターリア「Pの……おいシイ」トロン
ちひろ「ここでその顔は駄目です」
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モバP「美味しかったよ。ありがとうな、ナターリア」
ナターリア「ン。また面白いバナナ見つけたラ持ってくるヨ」
雪美「……ナターリア、ありがとう」
ナターリア「!」
ナターリア「……ユキミは可愛いナ」ナデナデ
雪美「んっ」
ナターリア「ネ、ナターリアがPのソクシツになってもイイ?」ヒソ
雪美「……?」
ナターリア「ユキミがセイシツで良いからサ」
ちひろ「ナターリアちゃ〜ん?」
ナターリア「なんてネ。チャオ!」
雪美「……??」
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6
カタカタ
モバP「何々……自分とは真逆の人に憧れを持つことは普通にあることなのか」
ちひろ「相補性の法則、というやつですか」
モバP「つまりキャラクリエイトや主人公の性別選択制ゲームで女の子を選ぶのは当然と」
ちひろ「何かちょっと違う気もしますけど。逆に類似性の法則というのもありますし」
モバP「自分と似てない人が好きだったり、似てる人が好きだったり、これもうわかんねぇな」
ちひろ「まあ心理学ってそういうものですからねえ」
雪美「……P……ちひろさん……調べ物……?」
モバP「おお雪美さん。なに、休憩時間のちょっとした雑談だよ」
モバP「……しかし、俺は雪美さんに憧れているのかもしれないな」
雪美「……私に……憧れ……?」
モバP「凛とした佇まいとか、猫のような繊細さとか、良いよね」
雪美「……やだ……照れる……」
-
ちひろ「プロデューサーさんは結構体格がある方ですよね」ジー
モバP「おかげで雪美をいつでも膝に乗せていられます」
雪美「……」(つ゚ー゚)つ
モバP「ん、ほいっと」ヒョイ ポスン
モバP「このまま仕事するのも良いもんですよ。意外と捗りますし」
雪美「……♪」
ちひろ「……ある意味で相補性が完成してますね」
モバP「…………雪美……」
雪美「何?」
モバP「……このまま……寝ていい……?」
雪美「うん。おやすみ」
ちひろ「寝るな。というかキャラ逆転しないでください怖いですから」
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7
ニャー
モバP「おう、ペロか。調子はどうだい」
ニャ?
雪美「P……その子は……ペロじゃない……」
モバP「ん? ……なるほど。よく見たら違うな。首輪が無いし」
モバP「すまなかったチビさん。お前さんの名前は何て言うんだい」
ンニャー
雪美「この子は……Mr.Midnight……」
モバP「飼い主の女の子が壮絶な冒険をしそうな名前だなあ」
雪美「……?」
モバP「知らないなら知らないでおこう。ちょっとエグい元ネタだ」
-
モバP「それにしても、この子は一体どこの子?」
雪美「……ペロの……友だち……」
モバP「同じ黒猫の友人か」 ニャー ニャ? ミュウ
モバP「って何か黒いのが一斉に集まってきたな」
雪美「……ジジ……ゴウト……ベルンカステル……。久しぶり……ね」
モバP「なかなか貫禄あるお名前の方ばかりで」
雪美「今日は……ここが……集会場……だって」
モバP「黒猫の集会とは壮観だなあ。サバトかな?」
モバP「しかし、肝心のペロの姿が見当たらないな」
フナー アーオ
雪美「……ペロ……ポポイと……いっしょ……? ……分かった」
モバP「どうやら連れと遅れて来るみたいだな。待たせてやろうか」 コク
モバP(何かそれから猫たちに触られまくってるんですが) ニャーニャーニャーニャー
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8
モバP「俺がクイズ番組に出るとする」
雪美「……うん」
モバP「問題が出題される」
モバP「科学は英語でサイエンス、では化学は英語で何という?」
雪美「……?」
モバP「……」
モバP「……分かんないなあ、と今ふと思った」
雪美「……Pにも……分からないこと……ある……」
モバP「普段使わないと分からないんだよな」
ありす「はい! 化学はケミストリーですよ。もっと勉強しましょうねPさん」ドヤ
モバP「今タブレットで調べたでしょ」
ありす「ちっばれたか」 ソリャソウダ
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おまけ1
雪美「……これが……Pの……卒業アルバム……」
『将来のゆめ 4年1組 モバP』
『ぼくはえだ豆のうす皮のような人になりたいです』
雪美「…………ノーコメント……」
モバP「全くふざけた小学生だな。どこのどいつだか」
ちひろ「お前じゃい」
おまけ2
モバP「ナターリアのくれたバナナは美味しかった」
モバP「でも普通のバナナなら熟す前のちょっと青いくらいの時が好きですね」
ちひろ「うわぁ……ロリコン」
モバP「そんなひどい」
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今日はここまで
もはやこれまで
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おつおつ
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>ちひろ「周りは見えていないようですね」
誰が上手いこと言えと
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9
雪美(……P……)
モバP(ファミチキください?)
雪美「……違う……」
モバP「冗談です。ふむ……お姫様抱っこを体験してみたいのか?」
雪美「……」コク
モバP「任せろ。でもどうしてだ?」
雪美「……膝には……乗れるのに……してもらったこと……ない……」
モバP「雪美が寝落ちした時にはよくそれで運んでいるぞ」
雪美「えっ……。覚えて……ない……」
モバP「あらら、そう気を落とさない。この仕事が片付いたら思う存分やってあげよう」
雪美「……分かった……約束……」
ちひろ(あれ、このブラックコーヒー甘くね?)
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モバP「おや、雪美さん」
雪美「……P」
モバP「宿題とはえらいね。今終わった所かな?」
雪美「……うん」
雪美「……P……こんなことでも……褒めてくれる……」
モバP「些細なことで褒めてくれる人ってなかなか少ないからな」
モバP「心に余裕がないと人を褒めるのは難しいもんです」
雪美「……心に……余裕……」
モバP「効果の保証はできないが、自分なりの簡単に心に余裕を作る方法を教えてやろう」
モバP「お腹を満たすことさ。雪美、ご飯食べに行かない? 中華料理」
雪美「! ……うん」
モバP「ぼかぁ、炒飯は山型をレンゲで食べたいお年頃なのよね」
ちひろ「余裕持ちすぎてもいけませんけどね」 チヒロサンモドウデス? エ? ア、イキマスイキマス
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雪美「……P……もっと……このまま……」
モバP「おやあ、お姫様抱っこがそんなに気に入ったか?」
雪美「……うん」
モバP「それは良かった」
モバP「にしても雪美は軽いなぁ。そして意外と体が柔軟だよな」
雪美「……アイドル……だから……」フンス
モバP「さすが。それに、いつもの服装じゃないのも新鮮だな」
モバP「今日はカラーシャツにショートパンツとラフな格好、後ろ髪はお団子でさっぱりスポーティー」
雪美「……」キラキラ
モバP(雪美のきれいで華奢な膝が、俺の左腕を挟んでカーブしている)
モバP「そなたは美しいな」
雪美「……それは……あなたのせい……」
-
――
モバP「ついでに肩車もやってみたが、怖くないか?」
雪美「……平気……。繋がってる……感じ……」
モバP「俺は組体操で上側をやったことがないから怖さが分からん」
雪美「……高い……でも……あなたになら……体を……委ねられる……」
モバP「委ねてくれるなら俺もしっかり支えようぞ」
モバP「しかし、こういうのは信頼だな。半端にヤンチャで仲が良い奴だと、上でふざけてくる」
雪美「……そう?」ペタペタ
モバP「そう。頭や顔に触るくらいなら良いが、目隠しとかしてくるんだよな」
雪美「……する……?」
モバP「今はしても良いぞ。少しだけ悪い子になってみるか?」
スッ
雪美「……悪い子……だ……にゃー」
ちひろ「……スカートじゃあんなことできないですね」
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七海「プロデューサー、何してるんれすか〜」
モバP「見ての通り、糸にイチゴを括りつけて釣りをしているんだ」ドーン
七海「……ええー」
モバP「なぁに、うちの娘たちは皆ノリが良いから食いついてきてくれるさ」
ガチャリンコ
凛「こんにちは」
モバP「ヨーウ」
凛「…………ちょっとそれはフリが適当すぎない?」
モバP「そう言うな。ほれほれ」プラプラ
凛「ふーん? 分かった」ツカツカ
七海「おおっと〜、凛さんイチゴには目もくれず、プロデューサーの方へ!」
モバP「……何だ?」 ジッ
凛「ネクタイ、曲がってはいないけど私流に結び直してあげるよ」シュルシュル キュッキュ
-
――
モバP「何かプレーンノットがしぶりんノットになった所で次行ってみましょうか」
七海「どうでも良いれすが、プロデューサーってお魚は何が好きれすか〜?」
モバP「………………サーモン?」 エッ
ガチャ
ありす「夕方でも、おはようございます。橘です」
モバP「おっすおっす」
ありす「……見なかったことにして、立ち去っても良いですか?」
モバP「さあ来いアリス・タチバナ」プラプラ
ありす「橘ありすです。……イチゴ?」
七海「おおっと〜、ありすちゃん興味を示しました!」
ありす「……」 パシッ
ありす「仕方ないので、釣られてあげます。えへへ」 チョロイ! ダレガチョロインデスカ!
-
――
モバP「俺は一度、桃薫というピンク色のイチゴを食べてみたいんだ」
ありす「桃華さんと薫さんが隠れていそうな、名前ですね。あっ、おいしそう」
七海「タブレット便利れすね〜。あ、あすかルビーなんてのもあります〜」
ガチャリ
飛鳥「ボクを呼ぶ”声”が聞こえたが、その微かな響きもやがてはセカイの喧騒に埋もれてしまうのか?」
モバP「開口一番からキレがあるな。さすがは飛鳥」
飛鳥「やあ、プロデューサー。また特異な催しかい?」
モバP「イチゴで釣りをしてるのさ。実に風刺的だろう? 特に意味はないが」プラプラ
飛鳥「……ボクを試しているようだね。良いさ、ならそこに意味を見出してみせるよ」
七海「おおっと〜、飛鳥ちゃんやる気れす!」
飛鳥「釣り糸にイチゴ一つ。それはまるで蜘蛛の糸だ。”上”と”下”を隔てる境界を通れるのは一人だけ」
飛鳥「……キミは、ボクにその手を汚せというのかい?」
-
――
モバP「とりあえず飛鳥にはイチゴを食べさせておいた。飛鳥はルビー、はっきりわかんだね」
ありす「何を言ってるんですか、この人は」
七海「いつものことれす」
パタン
雪美「……こんにちは……」
モバP「おう、雪美じゃないか。まあゆっくりしていってくれ」
雪美「……?」
モバP「どうした? これが気になるか?」プラプラ
雪美「…………」ウズウズ
七海「おおっと〜、雪美ちゃん気になってしょうがない様子!」
雪美「……!」スカッ
雪美「……っ! ……っ!!」スカッ パシッ
-
――
雪美「……イチゴ……おいしい……」モグモグ
ありす「雪美さん、こっちも美味しいですよ?」モグモグ
七海「しかし雪美ちゃんが猫みたいな動きをするとは〜」
モバP「猫に好かれる人って割と本人が猫属性なこと多いよな。みくとか」
七海「それ今考えたやつれすか? じゃあ私は魚属性れすか〜?」
モバP「七海が魚を好きでも魚が七海を好きかは分からんぞ? 釣って食っちまったりする訳だから」
七海「むー、そんなこと言わないでくださいよ〜。いじわる」
雪美「……P……めっ」ピシ
モバP「申し訳ございませんでした」
ありす「これは手綱を握られていますね」
ありす「しかしPさん、こんなことをしていつまでも遊んでいて良いんですか?」
モバP「ん?」
ちひろ「はぁい、(プロデューサーさんの公開処刑)よーいスタート」ユラァ
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ちひろ「プロデューサーさんは大人のコスプレってどう思います?」
モバP「良いと思いますよ――って、あらまあ。今日は巫女さんですねちひろさん」
ちひろ「改造巫女ですけどね。正統派って案外少なかったりしますよ」
モバP「最近は改造多いですね。巫女も浴衣もメイドもミニスカートになったりして」
ちひろ「ちなみに、厳しい意見もいただいて結構ですよ?」
モバP「そうですね……大人がやるとどうしてもあざとさが出てきてしまうのが辛い所でしょう」
ちひろ「まあ、そこが難しいというか挑戦し甲斐があるというか」
雪美「……あ……巫女さん……」
雪美「……」ポー
ちひろ「あはは……年少の子に見られると結構気恥ずかしいんですよね」
モバP「大人よりも痛い所を突いてきたりしますからねえ」 クイクイ
雪美「……Pは……神主さん……しないの……?」 エッ
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14
モバP「……はー、疲れましたな。ちょいと仮眠しますか」
モバP「こういう時に座敷の仮眠室があるのは良いね。ちょいとお布団敷きまして、と」
モバP「……zzz」
ガチャ
雪美「……P……ここにいた……。……寝ているの……? …………」ピトッ
雪美「…………すぅ……すぅ……」
ガチャ
こずえ「ふわぁ……あれー、ゆきみとぷろでゅーさー…………」スッ
こずえ「……こずえも…………」スヤスヤ
ガチャ
ライラ「甘い匂いがする気がしますですねー。おぉ、プロデューサー殿と仲間たちですかー」ジッ
ライラ「ライラさんも仲間に…………」ムニャムニャ
-
ガチャ
千秋「あら、佐城さんはここにいたのね。それにプロデューサーに、ライラさんに遊佐さん」
千秋「みんなで仲良く休息、か。走り続けるばかりではいけないと、アナタは教えてくれたけど」
千秋「それにしても気を抜きすぎかしら? まあ良いわ。何事もチャレンジよ」イソイソ
千秋「…………」スヤァ
ガチャ
巴「相談があるのに一体どこにおるんじゃP……おう、ここか」
巴「……こりゃあ起こせんのぉ。全く暢気なもんじゃ」
巴「しかし、こうして見ると昔、若い衆と雑魚寝をしとった頃を思い出すわ」
巴「…………ちぃとだけ、うちも……」ゴロン
巴「……くー……くー」
ちひろ「なんだこれはたまげたなぁ」
-
今日はここまで
明日はどっちだ
-
乙
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15
ペロ「……」
雪美「……」
モバP「……」
ちひろ「あ、三段重ねだ」
モバP「鏡餅みたいに言わないでくださいよ」
雪美「……Pと……私が……おもち……?」
モバP「じゃあ、ペロが橙か」 ハハハ フフ ウナー
ちひろ「いかん。この人ら完全に寛いでますわ」
モバP「橙と言えば、正月に余った物を消費しようと絞って水割りジュースにしたことがある」
雪美「……どんな……味……?」
モバP「酸っぱ苦い」
雪美「……それは……私も……苦手……」 ハハハ フフ ウナー
ちひろ「こっちは甘ったるいんですけどね」
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16
モバP「……ふぅー」
雪美「……P……お仕事……疲れた……?」
モバP「しんどいわぁ。雪美さんも無理したらあきまへんで」
雪美「……うん……。……一緒にいても……良い……?」
モバP「かまへんよぉ」
雪美「……周子……みたい……」クスッ
雪美「……」
雪美「…………」ギュッ
雪美「………………」ニギニギ
雪美「……………………」モミモミ スススッ
雪美「あっ…………いけず」パシッ スリスリ
モバP「人のおててで遊んでくれる雪美さんに癒されます」ヨシヨシ
ちひろ「これって撮影して売っても良いんですかね?」
-
17
ちひろ「そういえばプロデューサーさんって、あまり可愛いって言葉を使いませんよね」
雪美「……!」
モバP「カワイイなら使いますがね」
ちひろ「でもそれは幸子ちゃん専用でしょう?」
モバP「独自の意味を持つ専売特許みたいなものですからね。他の子に軽々しく使ってあげたくないです」
ちひろ「プロデューサーとしての意地みたいなものですか?」
モバP「そうですね。変な所にこだわって意地を張るのが男なのかもしれません」
雪美「……」
モバP「仕事で知り合って交流の多いコラムニストさんから聞いたんですが」
モバP「可愛い、というのは古くから弱い物に対する憐れみの意味が含まれているそうです」
モバP「それを聞くと何にでもやたら可愛い可愛いと言うのは違うかなと思い至ってですねえ」
モバP「ただ、代わるしっくりくる褒め言葉をなかなか見つけられません」
ちひろ「それはまた難儀な」
-
ちひろ「みんな、本当はもっと褒めてほしいんだと思いますよ?」
モバP「そこは悪いと思っています。なるべく態度で伝わるようにしているつもりですがね」
雪美「……P」
モバP「雪美……膝に来るか?」
雪美「……」コク
ちひろ「まあ、態度で伝わっていますかね?」
モバP「だと良いんですが」 ストン
雪美「……P……私……可愛く……ない……?」
モバP「雪美はな、見た目は決して大きくないし、大人しい性格だ。異性からすれば守ってあげたいタイプのか弱い女の子に見えるかもしれない」
モバP「でも、雪美は本当は強いし、成長しようとする頑張り屋だから、可愛いという言葉で上から押さえつけたくない気持ちがある」
モバP「普段の言動と矛盾していたらすまない。確実に言えるのは、雪美はとても魅力的だってことだ」ポン
雪美「……あなたの……心……感じられた……」ギュッ
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モバP「いつかマンションに住みたいなあ」
ちひろ「戸建住宅じゃないんですか? 庭付きの」
モバP「いや、マンションかな。それも一室に階段があって二階まであるやつに憧れますねえ」
ちひろ「メゾネットタイプですか。確かにオシャレで高級感はありますけど」
雪美「……P……眺めが……良い所……好き……?」
モバP「好きだね。高所恐怖症だけど」
ちひろ「ダメじゃないですか」
モバP「三、四階くらいなら良い。タワーの端から下を見下ろすのはおまたがきゅっとなります」
ちひろ「おまた言うな」
雪美「……じゃあ……幸子に……鍛えて……もらおう……」
モバP「……そりゃあ、ヘリからパラシュートつけて飛び降りさせるようなお仕事もさせましたけどさ」
雪美「……いつか……タンデムで……私を……飛ばせて……?」
ちひろ「プロデューサーさん、スカイダイビングの練習頑張ってくださいね?」ニコ
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19
雪美「……だーれ……だ……?」スッ
モバP「んー? 誰かなー? わっかんねーなー」
雪美「……残念……私……」
モバP「何だ雪美さんかー。……ん?」
雪美「……」キラキラ
モバP「……黒のミニドレスとは粧しているな。フリルがあってリボンがあって、裾がシースルーとはまた大胆だ」
雪美「……///」
モバP「恥ずかしがるのに俺に見せたがるの好きなのね」ナデナデ
モバP「頭のミニハットと、目元のタトゥー(シール)がまた遊び心があって良いアクセントだ」
ちひろ「わたしがやりました」
モバP「よくやった褒めて遣わす」
-
モバP「ところで今回のコンセプトは?」
雪美「……とりっく……おあ……とりーと……」
モバP「ちょっと早いハロウィンか。良いぞ良いぞトリックで頼む」
雪美「……」ジッ
モバP「冗談です。いやあ、いたずらかお菓子かって面白い二択だよ」
モバP「今はちょうどよくグミがある。では、はい……あーん」
雪美「……あーん」
雪美「…………んく。……りんご味……?」
モバP「アップルグミだな。体力が30%回復するぞ」
ちひろ「テイルズオブシリーズかな?」
雪美「…………」ジーッ
モバP「……何なら、いたずらもして良いぞ? 若い内は欲張ることも必要だ」
雪美「……Pに……いたずら……///」カァッ
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20
モバP「今日はとっても楽しかったね」
モバP「明日はもーっと楽しくなるよね、雪美」
雪美「…………へけっ……」
モバP「……ハハハッ」
雪美「……!///」ペシペシ
モバP「ごめんごめん」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……今日は早く帰らないで良いのか?」
雪美「……パパもママも……今日は……忙しい……」
モバP「親には一緒にいてほしいけど、好きだから無理言えないか」
雪美「……うん」
-
モバP「どーれ、膝においでな」
雪美「…………どっきんぐ……完了……」
モバP「寂しいならいつでも……は難しいかもしれないがなるべく一緒にいるよ」
雪美「……」
モバP「見守ってもらえるって幸せだよな。口うるさく言われると煩わしくなったりもするが」
モバP「親元を離れているとたまに自分の孤独さが身に染みることがある」
雪美「……Pでも……寂しい……?」
モバP「ああ。だからその代わり、というのも変だが、賑やかで楽しいここが好きだな」
雪美「……私も……」
モバP「みんなには助けられている。勿論、雪美にもな」
雪美「……じゃあ……手も……繋いで……」
モバP「良いぞー。ほい」ギュッ
-
モバP「……」
雪美「……」
モバP「お主、安心しきっておるな?」
雪美「……P……だから……ね」
モバP「俺だから……か。あまり素直じゃない俺なんかでよろしいか」
雪美「……素直に……なろう……?」
モバP「おうふ、イインダヨとは言ってもらえませんか。雪美さんは厳しいなあ」
モバP「……ありがとう」
雪美「……どういたしまして」
雪美「…………私も……感謝……してる……」
モバP「……雪美」
雪美「……P」
ちひろ「見張り台のシータとパズーの会話を聞いてるドーラの気持ちになるですよ」
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21
モバP「街はハロウィン一色だな」
雪美「……あ、あの仮装……可愛い……」
晴「え? いやー、アレほぼビキニじゃん」
モバP「どれ……あれはロッティ・トップスのコスプレかな。この寒いのに凄いな」
雪美「……ぞんび……青い肌……すごい……」
晴「あんな格好、オレはとてもできねーな」
モバP「フリかな?」
晴「何でだよ。着せたら怒るからな」キッ
雪美「……私は……着てみたい……」
モバP「二人とももうお仕事でいろんな衣装を経験しているからな。度胸も付いたろう」
晴「そんな度胸があってたまるか」
モバP「無いのか? まあいつまでも初々しさが残るならそれはそれで良いぞ。ハハッ」
晴「うっせーバカ」
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モバP「しかしこの時期の定番として、カボチャアレンジされた期間限定パンやお菓子とかが出回るよな」
晴「何かアニキがそういうの好きで毎年、よく買ってきてた」
モバP「良い兄さんじゃないか。まあでもイチゴとかブドウなら分かるが、”カボチャ”って訴求力微妙じゃね?」
晴「んー、そうか? あ、もしかしてアンタ、カボチャ嫌いなのか?」
モバP「やあ実は、食感がどうもな。天ぷらは許容できるんだがゴロッとしたのは、あまり」
晴「子どもみてーだな」アハハハ
モバP「くそっ、小学生に子どもみたいとか言われてしまった」
雪美「……好き嫌い……ダメ」
モバP「ごめんなさい」
モバP「ただ、ああいうのが売れ残ってワゴンされているのを見ると悲しくなる」
晴「ワゴンされるって何だよ。まあ気持ちは分かるけどさ」
モバP「見捨てられずについつい買ってしまうのですよ。フードロス削減に貢献ですよ」
雪美「……P……体……壊さないか……心配……」 ウッ キヲツケマス
-
22
ペロ「……」
モバP「ペロが精悍な顔つきをしておられる。一体何を見ているんだ?」
モバP「猫は幽霊が見える説なんてロマンがあるもんだが」
ペロ「……」スクッ
モバP「おっ、何だ? 俺の膝に……」 トスン
モバP「ペロさん意外と人懐こいよねー。……ん? 誰……」
「……P……」
モバP「何だ……? 雪美……か? いや、それにしては古代エジプトのような服装……」
モバP「もしやバステト……バステトなのか? 顔がよく見えないが、雪美に似ている?」
モバP「つまり雪美はバステトだった……?」
――
モバP「うーん……うーん……Zzz」
ちひろ「あら、プロデューサーさんとペロが仲良く寝てますね」
-
今日はここまで
ほな、また……
-
>ちひろ「こっちは甘ったるいんですけどね」
相変わらずちひろさんの皮肉が鋭くて好き
-
23
モバP「雪美さんは意外とかっこいいの好きだね」
雪美「……次元大介……好き……」
モバP「それはもうかっこいいを超えてハードボイルドでシブい感じだが」
雪美「……でも……ちょっと……憧れ……」
モバP「そうかぁ」
モバP「……髪をミディアムまで短くしてソフト帽被った目隠れな雪美さんを想像してしまった」
雪美「……短い方が……良い……?」
モバP「いつまでも変わらずにいてくれ、とは言わないが、今は今の雪美が一番だよ」
雪美「……なら……ずっと……あなたに……梳かしてほしい……」
モバP「頼んでくれたら引き受けるさ。特別サービスだぞ?」
モバP「しかし、アイドルにぱっつんはいるのに両目隠れは見ないな。文香は軌道修正してしまったし」
雪美「……みんな……Pに……目を見て……もらいたい……から……」
ちひろ「恥ずかしがり屋な子は多いんですけどね」
-
24
モバP「”シートベルト”をしてほしい?」
雪美「……」コクコク
モバP「運転中はちゃんとしてるぞ」
雪美「……!」プンスカ
モバP「冗談だよ。では、腕を掛けるぞ」
雪美「……」ドキドキ
モバP「そして軽くクロスさせながらハグします」
雪美「……///」
雪美「……しばらく……このまま……」ギュッ
モバP「じゃあ、このまま雪美を捕まえているから、どこにも行くなよ」
雪美「……うん……行かない……」トロン
ちひろ「遠くへ行きたい」
-
25
モバP「雪美さんや」
雪美「……?」
モバP「ソファーに座っているとよく隣に来て、もたれかかってきますね?」
雪美「……ふふ。……にゃーん」
モバP「何だ猫か。じゃあ仕方ないな」
モバP「最近は積極的なスキンシップが多いから発情期なのではと思ったのだが」
雪美「……へんたい」
モバP「言葉を改めますね。何か欲求不満でもある?」
雪美「……上手く……言えない……」
雪美「……心配……しなくていい……。少し……甘えたいだけ……」
モバP「そんなことを言わせるのはデリカシーがなかったな。ごめんな」
雪美「……」
-
雪美「……あのね……P……」
モバP「ん?」
雪美「……私……邪魔に……なってる……?」
モバP「……」
ガシッ ギュッ
モバP「そんなことは微塵もない。むしろ俺が邪魔させてるんじゃないか?」
雪美「……なら……安心……」
雪美「……Pは……放っておけないオーラ……出てる……」
モバP「うわあ、それは何とも恥ずかしい」
雪美「……♪」スリスリ
モバP「こっちから抱き寄せた手前、この状態を解除できないなぁ」
ちひろ「そろそろ仕事してくださいね(半ギレ)」
-
26
悪魔「ケケケ、テメエにはここで死んでもらうぜ!」
モバP「くそ、ここまでか」
雪美「……P!」
モバP「雪美、来るな逃げろ!」
悪魔「嬢ちゃんはコイツの後だ。まずは大事な男の情けない死に様を見てな」
雪美「……!」
ザクッ
モバP「ぐっ……!」ガクッ
悪魔「おっと、急所は外したか。だが次でおしまいだ」
雪美「P……血が……!」
雪美「やめて……私が……代わりに……なるから……」
悪魔「おお、その迫真の表情はガキながら名女優だ」
-
悪魔「だがな、テメエの代わりなんてここには山といるぜ?」
雪美「……!」
悪魔「正確には、”いた”んだがな。ギャハハハ」
雪美「」
ツー
悪魔「ショックで放心状態か。最高の眺めだ」
悪魔「おっと、話が長くなっちまった。じゃあな、あの世でアイドル達と仲良くやってな」
雪美「……」ズズズズズ
悪魔「あん?」
雪美「……ゆるさない」
雪美「ザンマ!」ドウン
悪魔「げえっ!?」
グシャッ
-
パラパラ
雪美「P……P……」フラフラ
雪美「お願い……死なないで……」ギュッ
モバP「うう……雪美……?」
雪美「P……!」
その時の雪美は碧眼で、髪先が翼のように変化し、まるで魔物のような雰囲気を漂わせていた。
――
モバP「こうして雪美はモー・ショボーとして覚醒したのでした。続く」
雪美「///」テレテレ
千佳「雪美ちゃんかっこいい!」
仁奈「ワクワクするでごぜーます! 早く続きを聞きてーです!」
薫「せんせぇ! それ本当なの? 本当なの?」
ちひろ「小学生たちにいいかげんな話をするな」
-
27
ガヤガヤ ワイワイ
モバP「最近は日が落ちるのも早くなったなあ」
プロデューサー マタネー カゼヒクナヨー ハモミガケヨー ワハハ
モバP「歯くらい磨くよ! おー、じゃーな」
パタン
シーン
モバP「……アイドル達が帰ってしまうと部屋の温度が一気に下がってしまう気がするな」
モバP「さて、仕事すっぺか」
ガサッ
モバP「ん?」
雪美「……!」ビクッ
モバP「えっと……佐城、だったか。どうした?」
-
――
モバP「なるほど。まだここの雰囲気に溶け込めていない感じがする、か」
雪美「……」
モバP「まだ入って間もない新人さんなら仕方もあるまい」
モバP「かくいう俺もまだプロデューサー歴は浅い方でな。慣れないことも多いよ」
雪美「……」
モバP「共に精進していこう、友よ。……なんつってな」
雪美「……?」キョトン
モバP「ああくそ、オヤジギャグにするつもりじゃなかったのについ言葉の流れで」
雪美「……ふふっ」
モバP「ん? 佐城、今笑ったな?」
雪美「……?」キョトン
モバP「はぐらかされてしまった」
-
モバP「……」
雪美「……」ジッ
モバP「……?」
雪美「…………あの……」
モバP「ん?」
雪美「……私……喋るの……苦手……ダメ……?」
モバP「そんなことはないよ。静かなりの空気感というのも良いもんだ」
モバP「仕事柄、あまり好き嫌いを挟むと差し支えるから公言はしないが、どちらかと言えば俺は静かな方が好きだし、喋るの苦手よ」
雪美「……」ジトッ
モバP「これだけ一方的に喋ってたら信用ないかぁ」
雪美「……変人……」
モバP「澄ました顔して言ってくれるなぁ」
-
雪美「……はー……」
モバP「佐城も寒いのか。どうも俺だけじゃなかったようだ」
雪美「……」ジッ
モバP「この膝掛けに何か用か? いやいや分かってる。ここは名残惜しいが世の為人の為レディーの体の為――」
雪美「……でも……あなたの……」
モバP「アイドルに貰ったから使ってるだけだ。遠慮しないで良いぞ」
雪美「……なら……一緒に……使おう……」ススス
モバP「やけに積極的だな。まあ良いか」パサッ
雪美「……」
モバP「こうしてじっくり話をするのは初めてだったが、なかなか楽しいもんだな」
雪美「…………ありがとう……」
-
――
雪美「……P?」
モバP「ん……雪美か。何か白昼夢でも見ていたのかな? ボーっとしてたわ」
雪美「……大丈夫……?」
モバP「ああ」
モバP「しかし、もうすっかり秋も深まったなあ。雪美との出会いも秋だった」
雪美「……?」
モバP「秋だったよな? ずいぶん昔のことのように感じるが……何年前か」
雪美「…………」
モバP「ん……いてて、思い出そうとすると頭痛がする。大事なことのはずなのに」
雪美「……私も……よく……思い出せない……Pと……あれ……?」
モバP「やめよう。目の前にいる雪美が消失しそうな気がする」
-
28
モバP「もやしって意外と美味いよな」
みく「にゃ? もやしってサカナ?」
モバP「えぇ……。あのねぇみくさん、いくら俺が意地悪だからって何でも魚の話題から振る訳じゃないって」
みく「分かってるよ! というか意地悪は改めるべきだけどにゃ。……えっと、あのもやしだよね?」
モバP「そう。手軽に調理できて、シンプルな味付けにも合うし、最近よく食べ――」
みく「Pチャン……みくで良かったら今度ごはん奢ろうか?」
モバP「それはありがたいが、別にもやしだけしか食ってない訳じゃないぞ」
みく「アイドルもプロデューサーも体が資本だにゃ。偏った食生活は良くないよ」
モバP「袋入りの蒸し焼きそばとかも好きです。あれ安くてねぇ。あとは豆苗?」
みく「あああ〜ダメダメダメ」
モバP「コスパ良い割には美味しいから大丈夫だよ」b
みく「かな子チャンのアイデンティティがやんわり汚されているにゃ!」
-
みく「もう! Pチャンはお嫁さんいるんだから、もっと自分を大事にするべきにゃ!」
モバP「お嫁さん?」 ガチャ
雪美「……P……と……みく……お話、してるの……?」
みく「噂すれば本人登場。そう、お嫁さん」ポン
雪美「……」 ←お嫁さん
モバP「そうなの?」
雪美「嫁さん……違います……」
みく「息ぴったりだにゃ」
モバP「じゃあみく、魚料理食いに行こうぜ。偏った食事は良くないからな」
みく「……そう来る?」ガシッ
モバP「……こう来ます」ガシッ
ググググ
雪美「……かっこいい……」
-
29
ガチャ
モバP「ただいま戻りました」
雪美「……戻りました……」
ちひろ「あっ、お疲れ様です」
ちひろ「おや、また仕事の合間に手繋ぎデートですか?」
モバP「安心してくださいちひろさん。もはや日常なので」
ちひろ「大丈夫かなこの人」
雪美「……手……繋ぐと……脈まで……一緒に、なれる……感じ……」
雪美「ちひろさんも……手を……繋いで……まぁるく、なろう……」
ちひろ「えっ、それはちょっと恥ずかしいです」
モバP・雪美「……」
ちひろ「無言で期待の眼差しを向けるのはやめてください」
-
30
モバP「今日の雪美さんは伊達メガネとベレー帽か」
モバP「カーディガンとチェックのロングスカートも洒落てるな」
雪美「……」キラキラ
モバP「どれ、まだ時間があるからそこらの店でカフェラテでも飲んでいくか」
雪美「……」コクリ
雪美「……P……」
モバP「何ざんしょ?」
雪美「……ふふっ、……やっぱり……なんでもない……」
モバP「そうか」
雪美「……」ジッ
モバP「……お手をどうぞ」スイッ
雪美「……うん」ギュッ
通りすがりの美嘉「うわあ……///」
-
今日はここまで
おやつは300円まで
-
乙
嫁さん違いますは某女子高校生麻雀漫画が元ネタかな?
-
31
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……」チョイチョイ
モバP「……?」
雪美「……」チラッ
モバP「……」b
ナデナデ
雪美「……♪」
サラサラ
雪美「……」ハフー
ヨシヨシ
雪美「……」ウットリ
ちひろ(喋れねえ)
-
32
モバP「おお、そんなに目を細めて」サスサス
ペロ「ゴロゴロ」
雪美「……ペロ……気持ち良さそう……」
モバP「喉を撫でられると俺でも多分こうなるな」サワサワ
雪美「…………」
雪美「……P……私も……のど……」
モバP「撫でたいのか?」
雪美「…………なでて……ほしい……」
モバP「そいつぁ予想外だ。いいぞ」
ツツッ
雪美「……あっ……んっ……」
ちひろ「いやらしいのでアウトと判定しました」
-
33
雪美「……」パラッ
ちひろ「雪美ちゃん、お膝の上で本を読んでいるんですね」
モバP「没頭していて文香モードですよ」
ちひろ「一つ疑問なんですけど、膝ってそんなに座り心地が良いものなんでしょうか?」
モバP「どうですかね。小さい時はよく父親の胡座に乗っけてもらっていました」
ちひろ「物心つく前ですか。確かに入園前までくらいなら収まりも良いと思うんです」
モバP「そう言うならちひろさん、後で試してみますか?」
ちひろ「嫌ですよ」
モバP「一応、暑くない時は間にクッション挟んでみたり工夫はしています」
ちひろ「……プロデューサーさんは順調にイス化していっていますね」
モバP「イスというか、電話子機の充電器みたいだと言われます」
雪美「……♪」パラッ
-
34
コロッ
モバP「おっと、ペン落としてしまった。奥に行ったか? んーこの辺かな」ピトッ
乃々「そこは私のすねなんですけど……」
モバP「」
モバP「」
モバP「――はっ……!? びっくりした。素で気づかんかった。心臓止まるかと思ったわ」
乃々「すみません……でも、あの……もりくぼ、狭い所落ち着くんです」
モバP「乃々の生態は面白いな。机の下が好きな生物は他にもいるが」
乃々「プロデューサーさんに珍妙な動物扱いされるなんて、ううう……生きてく勇気をください」
モバP「そこに居場所を構えられるだけで充分逞しいから自信を持ちたまえ」
モバP「で、どうした? 用事? というか床に座るのは体冷えないか? あ、座布団敷いてるか。でもせっかくだから出てきな森久保ォ!」
乃々「むーりぃー……」
-
――
チャリン
モバP「おっと、小銭落としてしまった。どれ、この辺なら良いんだが」サワッ
美玲「そこはウチの手だッ!」
モバP「」
モバP「」
モバP「――はっ……!? まさか二日連続で来るとは思いも寄らずよ。金切り声を上げそうになったわ」
美玲「オマエ結構臆病だな。おばけとか苦手か?」
モバP「お言葉ですが、怖いのと吃驚するのはちょっと違うからな。不意打ちは卑怯だ。大抵誰でもこうなる」
美玲「なら訂正してやる。オマエはもっと身の周りを警戒しろ」
モバP「いやぁ、さすがにここに儂のタマまで取ろうなんて奴ぁおらんやろ〜」
美玲「本当にそうか……?」 エッヤダコワイ
-
――
コロリン
モバP「おっと、ツナマヨおむすびを落としてしまった。開封前で良かったぜ」ムニ
輝子「そこは、私のふともも……」
モバP「」
モバP「」
モバP「――はっ……!? いや何となく予想はしてたがまさかね。というかすまない親友」
輝子「別に、いいぞ……。侵入されるの、好きだから……」ヤメロォ
モバP「というか何で太ももに手が当たってしまった?」
輝子「……Pが、手を伸ばしてくると思って、わざと正座していたんだ。……ハニートラップ……フヒ」
モバP「しかもミニスカか。……あまりそっち方向に誘い受けしないでくれよ。セクハラだぞ。俺が」
輝子「すまない……でも、情熱的なストロークだった」ヤメロッテバ
-
――
モバP「あたしゃすっかり身に染みたよ。もう机の下をよく見ないまま手を突っ込んだりしないぞ」
美玲「賢明だな」
乃々「……でも」
輝子「……うん」
モバP「さあ、今日から席に着く前に中を確認だ。どれどれ、っと」ジロ
雪美「……」
雪美「……」ウルウル
モバP「」
モバP「」
モバP「――はっ……!? 雪美の涙目を見てしまうなんて罪悪感に満たされる……!」
モバP「あのー……雪美、さん?」
雪美「……私には……インディヴィジュアルズと……同じこと、させて……くれない……の?」
モバP「そんなことないぞ! ……よし、何も無かった! じゃあ仕事するか!」
-
――
ニャッ
モバP「おっとペロよどこへ行く。机の下か……そんな所に入るのは良くないぞっと」
モバP「んー、そこにいるのかー? 手で探っちゃうぞー?」パシッ
モバP「おうっ!? 捕まった?」
グイグイ
モバP「わわっ、引っ張るな引っ張るな。こんないたずらをする奴はどいつだぁ?」ジロ
雪美「……きて」 エッ
ズルズル ワー ニャー
美玲「……プロデューサーが」
乃々「机の下に……」
輝子「引きずり込まれた……」
美玲・乃々・輝子「見なかったことにしよう」 ガタッ ンッ モット...
-
35
キャッキャ ワイワイ
ちひろ「小学生たちは元気が良いですよねえ」
モバP「薫とかみりあとかバイタリティに溢れている感じですね」
雪美「……ちょっと……羨ましい……」
モバP「でも雪美さんも本気を出せばすっげーヤバいっすからね。マジパネェっすよ?」
ちひろ「どういうリスペクトの仕方ですかそれは」
モバP「スタミナあるんですよ。お仕事のご褒美で一日フリーで付き合った時は大変でした。健脚です」
雪美「……アイドル……だから……」フンス
ちひろ「アイドルこわい」
モバP「アイドルとはいったい……うごごご」
ちひろ「そういうあなたもそのアイドルたちを一人で面倒見ているんですから、人間離れしていますけどね」
-
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「……長生き……して……?」
モバP「何かそう心配されると不安にならなくもないが、そのつもりだよ」ナデナデ
モバP「みんなに対して大人と子どもという区別をして話をするのはあまり好きじゃないんだが」
モバP「子どもの時間と大人の時間は感じ方が違うと思う」
モバP「若ければ若いほど積み上げた人生経験が少ない分、一日が長くなる」
モバP「だから雪美。もし一日が長くて元気を持て余しているのなら、また遊びに行こう」
雪美「……いいの?」
モバP「なるべく付き合うよ」
雪美「……約束」ギュッ
ちひろ「またそうやって甘やかすんですから」
ちひろ「末永く爆発しろ」
-
36
モバP「ふむ、今日のステージ衣装はナース……じゃないな」
雪美「……」キラキラ
モバP「ナースキャップにパジャマっぽいワンピースに、ポニーテール」
モバP「夢核かな?」
雪美「……ふふっ」
モバP「ここなんて小梅みたいな袖余りだな。これが巷で言う萌え袖ってやつか」
雪美「……こういうの……好き……?」
モバP「ブカブカでルーズ、でもそれに癒される。たまんねえぜ」
モバP「それにしても、雪美も夢の中ではハイテンションだったりするのか?」
雪美「……そこそこ……ハイテンション……」
モバP「そっかー。見てみたいな、そんな雪美も」
雪美「Pと……夢で、会えたら……それはもう……あんなことや……こんなこと……する」
-
37
モバP「食パンを牛乳にひたします」ヒタヒタ
モバP「次に溶き卵にひたします」スッ
モバP「バターを温めたフライパンで表裏、焼きます」ジュー
モバP「お皿にとってナイフで斜め半分に切り、ハチミツでもかけます」トローリ
モバP「めしあがれ」コト
雪美「……いただきます」
雪美「…………」モクモク
雪美「……Yummy……」グッ
ちひろ「唐突に何やってるんですか」
モバP「雪美と英語の勉強がてらクレイマー・クレイマーを視聴していたらフレンチトーストが食べたくなりまして」
ちひろ「この人たちは……」
みちる「美味しいですね」モグモグ オマエイツノマニ!?
-
今日はここまで
いつもここから
-
乙ォ!
電話子機の充電器とか相変わらず言葉選びが珍妙(褒め言葉)
-
38
モバP「やあゆきみさんゆきみさん」
雪美「……?」
モバP「スタミナドリンクはあるかい?」
雪美「……はい……」つ赤まむし
モバP「にょろーん……ヘビだけに」
雪美「…………く……くくっ」プルプル
モバP「あっ……」
雪美「……! ……っ!」ペシペシ
モバP「すまない。ちょっとした出来心だったんだ」
雪美「……ふー……はー……、……ゆるさない」
モバP「膝を貸すからどうか勘弁してくりゃれ」
雪美「………………ゆるす……」ポスッ
ちひろ「そのドリンクは回収します」ハイライトオフ
-
39
雪美「……P」
モバP「あら、雪美はん。どないしはったん?」
雪美「……私を……かっこよく……誘って……?」
モバP「おお、なかなか難題を吹っ掛けてくるようになったな。良いだろう」
モバP「……」コホン
モバP「佐城雪美さん――俺と最悪な時間(bad time)を過ごさないか?」キリッ
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……30点」
モバP「Oh! Mamma Mia!」
雪美「……やっぱり……いつもみたいに……気さくな方が……好き……」
ちひろ「気さくすぎるんだよなぁ……」
-
40
モバP「雪美さん」
雪美「……なぁに……?」
モバP「雪美さんっていいにおい……ってね」
ちひろ「そんな童謡ありましたね」
雪美「……どんな……におい……?」
モバP「洗濯、シャボンの泡、分かりやすく言うと石鹸の香りがするね」
雪美「……当たり」
モバP「今はフレグランスもいろいろあるが、やっぱりこの香りは風呂上がりを想起させるな」
雪美「……確かに……」
ちひろ「お風呂上がりの女の子は必殺の威力がありますからね」
モバP「泊まりの仕事で旅館、温泉、浴衣、しっとり潤った髪……条件付けられそうです」
ちひろ「一体何に刷り込まれているんですかね」
-
雪美「……Pは……他に……どんなにおいが……好き……?」
モバP「王道だが柑橘系かな。ふとした時にパッと香ってくるととても爽やかだ」
雪美「……みかん……むいた時……好き」
モバP「良いよなあ、あれ」
ちひろ「はい! 私今日は柑橘系です!」
雪美「……本当だ……いいにおい……」
モバP「ちひろさん+柑橘系だと、酢橘、カボス、シークヮーサー、ライム、ヘベス、スウィーティーってイメージですね」
ちひろ「何で皮が緑色のやつばかり並べるんですか。緑色は好きですけど」
雪美「……ヘベス? ……フォボス……ディモス……」
モバP「それは火星の衛星やないかーい」
雪美「……てへぺろ」
モバP「」キュン
-
ちひろ「ちなみにヘベスとは宮崎で栽培されている香酸柑橘です」
ちひろ「この前、礼さんに作ってもらったヘベスサワー、美味しかったなあ」
モバP「礼さんは地元が宮崎ですからねえ。じゃあ、緑分を補給して元気出たんじゃないですか?」
ちひろ「私を緑色の何かが構成している集合体みたいに言わないでください」
雪美「……Pは……においで……元気に……なれる……?」
モバP「なれる。でもにおいはあくまで補助の役割であってほしいかな」
モバP「言葉よりも行動、というのと似たようなもので、みかんの香りがするならみかんを食べたい」
雪美「……ふふっ、……花より……団子……」
ちひろ「言葉よりも行動、ですか。例えば?」
モバP「”愛してる”の、その響きだけで僕は強くなれる気がしていたのかなぁ……ということです」
ちひろ「チェリーとスラムダンクの谷沢を混ぜないでください」
雪美「……P」 ン?
雪美「……じゃあ……私の……におい……つけて良い……?」 キュン
-
41
モバP「一張羅のスーツがくたびれてきたなあ」
凛「新しいの買うの?」
モバP「そろそろな。どんなの買おうかな」
雪美「……白……?」
モバP「結婚式かな? 目立ちすぎるよ」
凛「中は赤シャツでね、かなりワルい感じで行こうよ」
モバP「桐生一馬かな? 仕事できねえよ」
紗枝「髪は角刈りにして、黒地に白のピンストライプでどうですやろ?」
モバP「君らは俺をその筋の人に仕立て上げたいのかい」
ありす「いっそ、前面スーツで背面全裸で行きましょうか」
モバP「びんぼっちゃまくん!?」
雪美「それは……恥ずかしい……///」 イメージスルナ
-
42
モバP「雪美さんや、学校は楽しいかい」
雪美「……うん……みんな……よくしてくれる……」
モバP「そっかー。俺も、学校に行っていた頃があったんだよなあ……」
雪美「……どんな子……だった……? 聞きたい……」
モバP「大人しく過ごしていたよ。図書館が好きでねえ、本をよく読んでいた」
文香「ほうほう……」
モバP「ひょっとしたら文香は分かるかもしれないが、高校の図書館はカタくて合わなかったな」
文香「……そうですか? ……まあ、参考書とか専門書とか、大人向け・勉強向けが増えますから」
雪美「……絵本とかは……ない……?」
モバP「それはね。中学校には多かった小説も少なくてがっかりした記憶がある」
文香「……読まず嫌いは勿体無いです。どのジャンルの本でも、そこから得られる知識は大切ですから」
モバP「そうだな。高校の頃は少し荒んでいたか」
-
モバP「ああそうだ、小学校前半はよく覚えていないが後半は、歌うことも好きだったな」
雪美「……音楽の……授業……」
文香「……今のお仕事に通じるものがあるのでしょうか?」
モバP「うん。でもな、男子は声変わりしてしまうんだよ」
モバP「女の子のような高い声が出せなくなって、その時は変わらない女子が羨ましいと思った」
モバP「合唱ではソプラノが主旋律で男声がハモりなのは個人的に不満だったし」
モバP「今でも邦楽のキーの高い挑戦的な曲とか聞くと、歌ってやろうという対抗意識が疼いてしまう」
文香「……えと、あ、熱い、ですね」
雪美「……でも……低い声も……かっこいい……」
モバP「……ヒトって自分に無い物を求めてしまうのかねえ。声高いと低さを、低いと高さを」
文香「……かもしれません」
文香「あ、プロデューサーさん。今度みなさんと一緒に……カラオケに、行ってみませんか?」
モバP「カラオケかぁ……良いぞ。現役アイドルには負けん!」
雪美「……一緒に……ホウキ雲……歌おう……」
-
43
モバP「世間ではぶどうの飲み物が解禁したな」
杏「そこはボジョレーって言いなよ」
モバP「という訳で我々はぶどうジュースでも飲もうか。乾杯」
雪美「……乾杯」
杏「乾杯。プロデューサーのユルさは折り紙付きだね」
ゴクゴク
モバP「ぶどうにはポリフェノールが含まれているぞ。ワインよりは劣るらしいがな」
モバP「だが諸君、私は多数派には屈しない。ワインを飲めない人用にジュースを用意してくれる人の気遣いが好きだからな」
雪美「……?」
杏「ああは言うけどねー、この前なんてライチジュース飲んでぶどうっぽいなとか言ってたよ」
モバP「やめたまえ恥ずかしいではないか」
雪美「……ふふ……楽しい……」ゴクゴク
-
44
ありす「外を歩けば、冷え込みを感じる今日この頃ですね」
モバP・雪美「……」ジッ
ありす「どうしたんですか、Pさんに雪美さんも」
モバP「……女性ってさ、マフラーやハイネックコートで首から顎、口元あたりまで隠していると、こう、ミステリアスな感じがしない?」
雪美「……する。……マフラーのありす……大人っぽい……」
ありす「えっ……と、唐突に何ですか!」
モバP「昔から、首元は女性の魅力を感じるポイントの一つだな。うなじとか鎖骨とかも含む」
ありす「うう……///」
ありす「ゆ、雪美さんも、かなりミステリアスですから」
雪美「……ありがとう。……でも……そう言われるのは……慣れている……」
ありす「うっ、これが熟練者の余裕ですか……」
-
ありす「そもそも隠しているのにそれが魅力だなんて……」
モバP「隠すから燃え上がる――良いじゃないか」
ありす「何だかいやらしいです。小学生をそんな目で見ているんですか? 通報しますよ?」
モバP「おう、生意気なことを」ワシャワシャ
ありす「むぎゃー!」
雪美「……P……私は……どう……?」
モバP「ニットワンピースだもんな。そりゃあ、ねえ?」
ありす「はい」
雪美「……」キラキラ
モバP「率直に言って」
ありす「興奮しますね」
雪美「……」
雪美「……///」ポッ
-
45
モバP「仕事で行き詰まった時、外を歩いてみると、良い発想が生まれることがある」
モバP「気分転換自体が薬になるし、新たな発見があれば尚良しだ」
雪美「……P……行き詰まり……?」
モバP「気分転換したいだけっス」
雪美「……転換……しすぎに……気をつけて……」
モバP「ああ。やりすぎると大事なことまで頭から抜けてしまいかねないからな」
ブーン パー ブロロロロ
雪美「……Pは……いつも……車道側……」
モバP「別に相手に因る訳じゃないぞ。俺は室内では窓側、屋外では車道側が好きなんだ」
雪美「……」ジーッ
雪美「……そういうことに……しておく……」ギュッ
通りすがりの美嘉「……いい……」
-
今日はここまで
明日はがんばれ
-
46
モバP「これがかの有名な○○○○しないと出られない部屋か」
雪美「……」
モバP「全体的に白くて無機質感があるな。コールドスリープカプセルとかありそうだ」
ガチャン
モバP「……あれま」
雪美「……開かない……」ガチャガチャ
モバP「閉まったねー。こりゃしまった」
雪美「……」ペシ
モバP「多分隠しカメラでこっちを見ているんだろう? 仕方ない。ちょっと○○○○するか」
雪美「……本当に……する……の?」
モバP「ああ。こうなったら、大人の○○○○を見せてやる」
モバP「このたびは羽目を外し過ぎまして、本当に申し訳ございませんでした」
は ん せ い
-
47
モバP「……気がつけば雪美が膝に乗っているのが当たり前になったなあ」
雪美「…………」
雪美「………………」
モバP「今日の雪美はやけに静かだな。まあ、良いが」
雪美「……」スッ
モバP「……ん、降りるのか?」
トッ
ペロ「ニャー」
モバP「……??? 膝から降りた雪美がペロになっちまった? 何で?」
――
モバP「うーん……ペロ……待ておま……Zzz」 ニャー
ちひろ「プロデューサーさんのお腹の上に乗っているペロ、ペーパーウェイトみたい」
-
48
雪美「……」ヒシッ
ちひろ「雪美ちゃん、どうしたんですか?」
モバP「怖い夢を見たらしいです。家に帰り着けなくて独りぼっちだったと」ナデナデ
ちひろ「なるほど。何か漠然と怖いですね、そういうの」
モバP「意味ありげに思えちゃうんですよね。それで夢占いを調べてみたりして」
ちひろ「でも、実際はただの記憶の整理なんでしょうけどね」
モバP「夢がないこと言いますね。夢ですが」
ちひろ「くだらないこと言わない」
雪美「……P……もっと……」
モバP「おーよしよし」ナデナデ
モバP「帰れなくなると言えば、ドラえもんの”すて犬ダンゴ”を思い出しますね」
ちひろ「”どくさいスイッチ”とか”うつつまくら”のようなじわじわくるトラウマ回ですか」
-
ちひろ「プロデューサーさんはすて犬ダンゴされても生き延びますよね?」
モバP「やめてくださいよ。ジプシー生活には憧れが無くもないですが、家に帰れなくなるとか泣きます」
雪美「……Pも……泣くこと……ある……?」
モバP「理由は様々だがそれはあるとも。特に夢の中では大泣きしたり、喜怒哀楽が激しくなるね」
ちひろ「それ、感情を発散できない現実に不満を溜め込んでいるんじゃないですか?」
モバP「それっぽいこと言わないでくださいよ。発散しちゃいますよ?」
ちひろ「おっ、図星ですかぁ?」
雪美「……ふふっ」
モバP「どうやら、少しは元気が出てきたか」
雪美「……まだ……足りない……。……今日は……いっしょに……いて」
モバP「しょうがないにゃあ……」
ちひろ「やめい」
雪美「……あと……お風呂と……布団も……いっしょに……」ボソ
-
49
モバP「あぁ……一度猫を飼ってみたいな。名前は画鋲丸にするんだ」
ちひろ「ネーミングセンスが酷すぎる。まず、責任持って飼えますか?」
モバP「お母さんみたいなこと言わないでくださいよ。今の生活だとなかなか難しいのは分かっています」
ペロ「ふなー」
雪美「……Pは……飼わない方が……良い……って……言ってる……」
モバP「ペロに言われちゃ仕方ないか。でもどうしてだい?」
ペロ「みゃ」
雪美「…………猫と……心の距離が……近い……から」
モバP「やたら懐かれるからなあ。適度な距離感で世話するのには向いていないか」
ペロ「みゃーみゃー」
雪美「……!」
モバP「どうした?」
-
雪美「……」
雪美「……でも、仕方ないから……私が……飼われてやっても……いい……」
雪美「……べ、別に……あんたのことが……好きだとか……そんな訳じゃ……ないんだからね……」
モバP「このこまさかの」
雪美「…………後半は……盛った……」
モバP「驚かせおって。そもそもペロは雪美が面倒を見ているのだからな。俺が取り上げる訳にはいかん」
雪美「……」ジッ
ちひろ「……」ジトッ
モバP「えっ」
ちひろ「……はぁ」
雪美「……みんなで……いっしょに……暮らせば……飼える……」
モバP「そうかその手が! ……ちひろさん、佐城家に婿入りしても良いですかね?」
ちひろ「良い訳ないでしょ?」 デスヨネ
-
50
モバP「有無を言わさない事後承諾ってあるよな」
あやめ「ありますね」
雪美「……例えば……?」
モバP「おお、あやめさん。ちょうど良かった。おめえさんに頼みてぇことがあるんだ」
あやめ「おやPさん。わたくしで良ければ、何なりと」
モバP「ちょいとなぁ……」
ブスリ
あやめ「」
モバP「死んでもれえてぇ」
ドサッ
あやめ「って何であやめが殺られるんですか!」シュタッ
モバP「おお、あやめは跳ね起きが上手だな。スカートでやるのは感心しないが」
あやめ「っ!? ///」バッ
-
あやめ「」プシュー
モバP「というような感じかな」
雪美「……心得た……」
雪美「……P……ここに……座れ」
モバP「はい」
ポスン
雪美「……この膝は……妾のものじゃ……よいな?」
モバP「はっ」
雪美「……」
雪美「……何か……恥ずかしい……///」
モバP「これは良い事後承諾だな」
イチャイチャ
あやめ「むむむ、ずるいですよ! あやめも雪美ちゃんを膝に!」 エ、ソッチ?
-
51
雪美「……P!」タタタ
ガバッ
モバP「おーおー雪美よ、久しいな。レッスン帰りかな」
雪美「……うん」
モバP「最近会う時間がなくてごめんな? 寂しかったろう」
雪美「……アイドル……楽しいから……平気」
モバP「そりゃあ良かった。どれ、楽しい表情をよく見せてごらん」
雪美「……」ニカ
モバP「おお眩しい眩しい。……ところで今日はプルオーバー、ショートパンツ、レギンスか。活発でよろしい」
雪美「……」パサッ
雪美「……にゃー」キラキラ
モバP「何と、猫耳フード付き! ありがたやありがたや」
ちひろ「拝むな」
-
52
雪美「……」(-_-)ウトウト
ちひろ「プロデューサーさんってウサミン好きなんですか?」
モバP「えっ」
ちひろ「さっき偶然目に入ったスマートフォンのロック画面が菜々さんになっていましたけど」
モバP「いや、あれは只のうちのおばあちゃんです」
ちひろ「ええっ!?」
雪美「っ!」ビクッ
モバP「しーっ」
ちひろ「あっ……ごめんなさい雪美ちゃん」
ちひろ「若すぎるでしょ……エルフか何か? そんなオカルトありえません」
モバP「メイクと角度と照明と編集でそれっぽく見せているだけです。実は本人でしたなんてファンタジー展開はありません。安心しました?」
ちひろ「安心しました」
雪美「……」ウツラウツラ
-
今日はここまで
凪のあすから
-
最後がなんかえらいことになってて草
乙
-
53
モバP「雨が降っているね」
雪美「……うん」
モバP「こういう秋の物悲しさに雨とくると、頭の中に大抵、あるBGMが流れる」
雪美「何……?」
モバP「エリック・サティのグノシエンヌ第1番」
雪美「……?」
モバP「ピンと来ないか。まあ聞いてみると良い」 ハイ、スマホ
――
雪美「……」
雪美「……膝、良い……?」ズーン
モバP「良いよ。雪美も結構感受性が豊かだなあ」ポスン
ちひろ「私はジムノペディの方が好きです」
-
54
雪美「気づいて……私……ここにいる……」コソッ
モバP「ん? どうした雪美。物陰からこちらを見つめて」
雪美「……」
雪美「……Pは……発見が……早い……」
モバP「もし死角で気配を消されたらそうは見つけられないよ。雪美は加減上手だ」
雪美「見つけて……もらえないと……こわい……から」
モバP「強く自己主張したくないけど見つけてほしい、という気持ちは分かる。相手に通じたら嬉しいもんな」
雪美「うん……」
モバP「しかし、かくれんぼは人によって性格が出るな」
モバP「見つけてもらうのが好きなタイプ、完璧に隠れきることを探求するタイプ、ギリギリのスリルを楽しむタイプなどな」
雪美「Pは……?」
モバP「隠れきりたいが途中で気力が尽きてやけくその鬼ごっこを始めるタイプだ」
ちひろ「私はいつお二人に気づいてもらえるでしょうか」
-
55
モバP「まゆ。今日の仕事、よくこなしてくれた」
まゆ「うふふ……プロデューサーさんこそ」
パシッ パシッ グッ
雪美「……かっこいい」ジッ
――
モバP「それで雪美もハイタッチがしたいのか」
雪美「……」コク
モバP「では、まずは手遊びでもして息を合わせることから始めようか」
雪美「……」コク
モバP「せーの」
セッセッセーノヨイヨイヨイ アーループースーイチマ
モバP「……ん?」
雪美「……ん」
-
「……」
モバP「おお、いきなりやれと言われても戸惑うか。そりゃそうだ、ガッハッハ」
雪美「手取り足取り……教えて……」
モバP「うちに任しときんさい!」
――
モバP「ふう……こんなもんか」
雪美「……楽しかった」
モバP「やったね! ハイターッチ!」スッ
パシッ パシッ グッ
モバP「おー、何か勢いで出来てしまったな!」
雪美「……うれしい」ニヘラ
モバP「雪美さんが嬉しいと、俺も嬉しいなぁ」
雪美「でも……これは、まゆの……。私だけの……欲しい……」 ヨッシャ! ヤッタロヤナイカイ!
-
56
雪美「先輩……」
モバP「おや、雪美くんか。僕に何か用かな?」
雪美「先輩は……今年の……クリスマス……、空いて……いますか……?」
モバP「現在は予定は入っていない」フフン
雪美「……胸を張る……ところじゃ……ないです……」
雪美「だったら……私が……よ……予約……入れても……良いですか?」
モバP「分かった」
雪美「えっ……、そ、そんなに……軽く……請け負って……」
モバP「僕の一日を私にください、と言うのだろう? 快く受けようじゃないか」
雪美「……先輩…………、ふふっ……じゃあ、楽しみに……してますよ?」
モバP「良い笑顔だ。では、一緒に部活へ行くとしようか」
雪美「……はいっ」
-
モバP「――演技の練習に付き合うのはなかなか恥ずかしいな」
雪美「……P……真剣に……やってくれた……」
モバP「そうかい? 他のアイドルとこれやるとキャラを勝手に濃くするなとか言われるが」
モバP「それにしても、敬語後輩良いよなあ。ましてや雪美みたいな子に誘われたらホイホイ付いて行っちゃう」
雪美「……Pと……同じ学校……イメージ……」
モバP「そして制服同士か……あぁ、雪美の先輩になりたかった」
雪美「……でも……先に卒業されると……寂しい」
モバP「じゃあ、雪美と同級生なら……?」
雪美「P……学校に……遅れるよ?」
モバP「幼馴染か。良いなそれ」
雪美「手を繋いで……登校……」
モバP「やだ滾るわ」
雪美「……でも……けんかも……しそう」
-
モバP「じゃあ、雪美より年下だったら……」
雪美「……Pくん……ふふっ」
モバP「雪美おねえちゃん」
雪美「……」
雪美「……もう一回……言って」
モバP「雪美おねえちゃん?」
雪美「……」
雪美「……も、もう一回……」
モバP「もうダメです。恥ずかしい」
雪美「残念……」
モバP「雪美先輩、好きっス!」
雪美「! も、もう……Pくんったら……」
ちひろ「いっそ赤ちゃんまで若返ってしまえば良いんじゃないですかね」
-
57
雪美「……ふー」
モバP「レッスン、頑張っているようだな」
雪美「!」サッ
モバP「むっ、いかがなされた?」
雪美「……汗……かいてる……」
モバP「はは、お年頃だな。なら先にこっちを渡そう。タオルだ」
雪美「ありがとう……」
モバP「……」
雪美「……」ジッ
モバP「拭いてほしいのか?」
雪美「……せくはら」
モバP「あっしが悪うござんした」
-
雪美「ふふ……分かってる。……軽く、拭いて……ほしい」
モバP「合点承知の助」
――
モバP「そしてこれが水分補給用のドリンクだ」
雪美「感謝……」
モバP「夏場に比べて疎かになりがちだが、水分はこまめに取ろう」
雪美「ん……」チューチュー
加蓮「冬は乾燥するからね」
モバP「お、加蓮か。体調はもう良いのか?」
加蓮「大丈夫。それにしても、拭いてあげるなんて献身的だね」
モバP「見ていたのか」
加蓮「貧血の時の私にも遠慮なく、してくれたもんね?」ニヤ
雪美「……せくはら」 エエッ!?
-
58
モバP「雪美が俺の席に座っている」
モバP「育ちの良いお嬢さんが着ていそうな白ブラウスと黒スカート」
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美といえばこれ。物静かで清楚なイメージにしっくりくる格好だ」
モバP「膝に猫を乗せ優しく撫でる様は実に絵になる」
奈緒「ピアノとか弾きそうだな」
モバP「”猫踏んじゃった”とか?」
雪美「……猫は……踏んだり……しない……」
モバP「気づかれちった」
奈緒「ちった♪」
奈緒「……って、何言わせんだよ」 ノリノリジャネーカ
-
雪美「……Pと、奈緒……どうしたの?」
モバP「せっかくそこに座っていらっしゃるので、こっちは隠れつつどこまで接近できるかを調査していた」
雪美「……いつもの……私と……同じ……ね」
奈緒「そうなのか? 半分は隠れる気なかっただろ」
モバP「わざと見つかりやすい不利な行動を起こして、ハイスコアを狙うって寸法よ」
奈緒「ハイスコアって何だよ」
雪美「それで……この状態は……?」
モバP「何とかグレイズかパリィできたかな?」
奈緒・雪美「……できてないです」
ストッ
モバP「どうした雪美。こっちに来て、手を取って、自分に誘導して……」
雪美「……P……つかまえた」ギュッ
奈緒「掴ませてるんだよなぁ……」
-
59
モバP「仮眠室にプロデューサーがやってくる〜♪」
のあ「」バーン
モバP「ああっ! のあさんがありすポーズで横たわっている!」
のあ「うっ……」
モバP「大丈夫そうですが一応大丈夫ですか!?」
のあ「不躾なことを言うのね……」スクッ
モバP「もしかして待ち伏せってやつですか?」
のあ「渇きよ……貴方はいつも揺蕩う小舟の様」
のあ「微かな……雪美の、蘭麝」ダキッ
モバP「」
のあ「魂筥に 木綿とりしでて たまちとらせよ 御魂上り 魂上りましし神は 今ぞ来ませる」
-
ゾワッ
モバP「っ!?」
キョロキョロ
雪美「どうしたの……?」
モバP「お、雪美か……。何か今、変な”隙間”があった気がするんだよな」
雪美「……隙間? ……夢?」
モバP「そうかなあ。まあ、よく分からんが頭はすっきりしている」
ニャー
モバP「ん、猫の声か。ペロとは違うな」
雪美「……猫……いない……」
モバP「そうか? ……雪美さんが言うのなら、そうかなあ」
フフッ
-
60
モバP「もう今年もあと一ヶ月か……」
ちひろ「あっという間ですね」
雪美「……」
モバP「まあそんなことを言っていられる内が華だな。師走は仕事も忙しい」
ちひろ「ですね」
モバP「雪美もこれから大変だろうが、思う存分、暴れてくださいよ?」
雪美「……まかせろー」
モバP「ははは、こやつめ」
ちひろ「仲睦まじいのは結構ですけど、他の子もきちんとフォローしてあげてくださいよ?」
モバP「分かっています。いざとなりゃ分身でも逆藍子でもしてやります」
モバP「あ、逆藍子ってのは精神と時の部屋みたいなもんですね」
ちひろ「えぇ……」
-
今日はここまで
凶鳥イツマデ
-
>ちひろ「私はいつお二人に気づいてもらえるでしょうか」
>ちひろ「いっそ赤ちゃんまで若返ってしまえば良いんじゃないですかね」
相変わらずキレッキレで草
-
61
モバP「雪美さんにちょっと難しいことをやってもらおう」
雪美「何……?」
モバP「ホワイトボードにこのペンで”あまがみ”と声に出しながら”おむれつ”という字を書いてください」
雪美「了解……」キュポン
雪美「あ……ま……が……み……」キュッキュ
雪美「……上手く書けなかった……」
モバP「これはな、誰でもそうなるんや。多分」
雪美「……不思議」
モバP「マルチタスクが何だ。人間、シングルタスクでも良いじゃないか……と、勝手ながら思う訳です」
雪美「……じゃあ……シングルタスク……。Pに……あまがみ……する」
モバP「こらこら。なら、せっかくなんであまがみしながらおむれつは作れるのか調査してみるか」
ちひろ「タスクよりリスクを考えるべきですね」
-
62
モバP「あらかじめ言うと、これはちょっと倫理・衛生的に問題がある発言になるかもしれないが」
雪美「……何?」
モバP「俺がこうして人差し指を立てます」
雪美「……うん」
モバP「そこにイチゴジャムを垂らすとします」
雪美「……うん?」
モバP「そしたら雪美はパクッと食いついてきてくれるのか、ふと好奇心が湧いたんだ」
雪美「……」
雪美「……P……そんな子に……育てた覚えは……ないのに」
モバP「おお神よ、私は何と罪深いことを。どうかお赦しください」
ちひろ「デスソース垂らして自分で舐めてな、ボーイ」
-
63
ちひろ「プロデューサーさん、コスプレのアイデアをください」
モバP「自分から聞いてくるのか……」
モバP「希望で良いなら、じゃあ結月ゆかりで」
ちひろ「固有のキャラですか。難易度高いですけど何でまた」
モバP「直感ですがちひろさんならゆかりさんの雰囲気にアジャストしそうな気がします」
ちひろ「喜ぶべきか疑うべきか複雑ですね」
雪美「P……私も……」
モバP「じゃあ琴葉葵でどうかな」
雪美「……?」
ちひろ「こんなのです」 ハイ、スマホ
雪美「……ほー」
モバP「何なら水本ゆかりでも良いですよ」
ちひろ「所属アイドルのコスプレしてどうすんだ」
-
ちひろ「まず、結月ゆかりってよく見たら結構煽情的な服ですよね?」
モバP「はい」
ちひろ「はいじゃないが」
雪美「Pは……首周りや……脇とか……好き……」メモメモ
モバP「そのメモを何に使う気だ」
ちひろ「もうちょっと制服、とか水着、とかそういう方向で無いですか? イベントと季節感に合わせて」
モバP「ありきたりだとこの時期ならミニスカサンタですか? でもなあ」
モバP「……よし。なら、しばらく前に流行った”アレ”なんてどうでしょう」ニヤリ
ちひろ「……な、なんですか?」ゴクリ
\童貞を殺すセーター/
ちひろ「……」
ちひろ「……」ハイライトオフ
雪美「……これ……背中……寒そう」 ギャー イタイデスチヒロサン!
-
64
モバP「今年は戌年、来年が亥年」
モバP「アイドルを十二支に例えるなら誰なんだろう」
ちひろ「そういうのはチョコレート菓子やRPGの嫁論争みたいに不毛な争いを生みませんかね」
モバP「そうかな。じゃあ今パッと思いついた犬系アイドルと猪系アイドルだけ挙げてみよう」
モバP「召喚」
凛「犬飼ってる系アイドルだよ」
茜「今年いろいろありましたのでプロデューサーへのタックルは自重気味の猪系アイドルです!」
雪美「好きなもの……ベスト3は……ペロ……イチゴ……P……の猫系、アイドル……です」
ちひろ「十二支に猫はいないんですよねぇ」
雪美「……虎は……ネコ科……だから……」
モバP「虎だ! 虎だ! お前は虎になるのだ!」
雪美「がおー……」
-
ちひろ「雪美ちゃんが虎系アイドルに進化するかもしれないことが分かったところで」
ちひろ「凛ちゃんは犬系じゃないんですか?」
凛「ハナコは好きだけど、私自身が犬系という自覚はあまりないかな」
凛「というか人によっては失礼になったりするからね。犬はまだしも猪系ってどうなのと」
茜「私は光栄です! 猪は鍋にすれば牡丹鍋、つまり私は牡丹系ということでもあります!」
凛「牡丹の花言葉は高貴・富貴・王者の風格、か」
モバP「猪のバイタリティーと牡丹の貴さを兼ね備えた素晴らしいアイドルという訳だな」
茜「照れますね! この情熱を昇華させる為にここは一つ、走ってきます! ボンバー!!」
「……」
モバP「茜が王様だったら多分前線で戦う王様なんだろうなあ」
雪美「……P、今夜は……鍋料理……食べたくなった」
モバP「おっ良いね。仕事終わったら買い出し行くか!」
凛・ちひろ「君たち同棲でもしてるの?」
-
65
モバP「おはよう」
雪美「おはよう……」
モバP「ハハハ、今日も調子良さそうだな」
雪美「ハハハ……今日も……調子……良さそう……だな」
モバP「むむっ!」
雪美「むむっ……」
モバP「……ヘーイ! 今日も世界レベルに酔い痴れなさい!」
雪美「……ヘーイ、……今日も……世界レベルに……酔い痴れなさい……」
モバP「……」
雪美「……」
ポスン
モバP・雪美「……ふー」マッタリ
ちひろ「真似しない方が良いタイプの大人ですね」
-
66
モバP「……」ナデナデ
雪美「……」ニコニコ
ありす「……」ムー
ありす「雪美さん。髪は女の命、というのに遠慮なく触らせすぎじゃないですか?」
雪美「……そう?」
ありす「決して私も、撫でてほしいとか、そういう訳じゃないですからね」
モバP「素直じゃない奴よのう、橘はん」
ありす「ありすです! ……おっと間違い、橘で良いんでした? ……いや良くないです!」
ありす「とにかく! 私も撫でてください!(錯乱)」
モバP「即落ち良いぞ〜」オイデオイデ
ナデナデ
ありす「ううう……///」
-
ありす「……これ、良いですね。Pさんは太陽の手の持ち主ですか」
モバP「俺はパン職人じゃないぞ」
雪美「P……私も……もっと……」
モバP「よしよし。いやあ、両手に花とはこのことよ」ナデナデ
ありす「で、実際のところPさんには、遠慮とか無いんですか?」
モバP「そりゃあ、撫でるのはこういうことを許してくれる親密な女性だけだな」
ありす「親密……悪い気は、しませんね」
雪美「私は……Pに……命を……預けている……だけ」
ありす「上には上がいる……」トオイメ
ガチャ
桃華「あら、いらしたのPちゃま。おや……わたくしも撫でてくださいまし」
莉嘉「あっ、いーなー! 私もPくんに撫でてもらうっ!」
ありす「……”親密な女性”、多いですね?」ジトッ
ちひろ「ここまで雪美ちゃんを膝に座らせていることについてはツッコミないんですねえ」
-
67
モバP「雪美、イベントおつかれさま」
雪美「……」ニコ
モバP「コラボでPSO2のフォニュエールの格好だもんな。よく似合っているよ」
雪美「……」キラキラ
モバP「しかしまあ、よく作られてはいるが動き辛くなかったか?」
雪美「大丈夫……軽い……」
モバP「なるほどな……特殊メイクで耳なんかこんなに長くなっちゃって」
雪美「……ドキドキ……する?」
モバP「ドキドキ……どちらかというとワクワクかな。夢が広がる」
雪美「……なら、このままで……ちょっとだけ……」スリスリ
モバP「……そこまでされると、ドキドキもするなあ」 フフッ ハハハ
事務所のちひろ「お茶がうめェ」ズズズ
-
今日はここまで
今日もいい天気☆
-
乙ボンバー
PSOは2じゃないけどep1&2の方をやったことがあるからフォニュエールと聞いて懐かしい気分になった
-
68
雪美「……」ジー
モバP「アンニュイというか、ポーカーフェイスな雪美さん」
モバP「見惚れるねえ」
雪美「……私も……あなたに……見惚れている……」
モバP「しかも所作が優雅」
雪美「……そう?」
モバP「こうして見つめ合っていても、飽きないものだね」
モバP「……その目の色は何と形容したら良いのか。茜色?」
雪美「赤茶……?」
モバP「レッドアゲートっぽくもある……どれ、もっと近くで見せておくれ」スッ
雪美「うん……」ドキドキ
モバP「……綺麗だなあ」
ちひろ「それ以上やると白目を剥くことになるかもしれませんよ?」
-
69
モバP「ペロ、ゴキゲンかい?」
ペロ「ニャー」
モバP「ふぅ〜む、なるほどなるほどなるほどー」
ペロ「ンギャア」
モバP「そうですね。確かにそう思います」
ペロ「……」
雪美「……」
雪美「……分かったふり……ダメ」
モバP「さすがに雪美さんにゃバレちまいやすか」
ペロ「ニャーゴ」
雪美「ぼくと……話をするには……まだ……LOVEが足りない……、だって……」
モバP「LOVE……Level Of ViolencE?」
ちひろ「愛だよ愛!」
-
70
ちひろ「最近、お二人って割と息が合っているというか、本質が似ているような気がしてきました」
雪美・モバP「……?」
ちひろ「兄妹とかじゃないですよね」
雪美「違う……」
モバP「何を仰いますかちひろさん。雪美が妹……ひらめいた!」
ちひろ「通報した。……ってそりゃそうか」
雪美「実は……Pは……私の……操り人形」
ちひろ「まさかそんな。いくら雪美ちゃんの手にリモコンがあって、プロデューサーさんの頭にアンテナが刺さっているからって……ん?」
雪美「……ふふっ」
モバP「あなたは誰の意思で動いているんですか、ちひろさん?」ニヤ
――
ちひろ「――はわっ!?」ガバッ
ちひろ「……おのれ、こんな夢を見てしまうとは」
-
71
モバP「別館のトレーニングジムに温水プールができたらしいな。雪美さんは泳ぎの方は?」
雪美「……泳げますん」
モバP「はぐらかすか。大丈夫だ、幸子だって泳げるようになったぞ」
雪美「……鬼コーチ?」
モバP「スパルタ希望ならね。こう見えても昔、少し水泳をやっていたのだ」
雪美「……ふふ、……私も……泳げる」
モバP「あら残念。それなら雪美のインストラクターにならなくても良いか」
雪美「だめ……いっしょに……泳ぐ……」ギュッ
モバP「じゃあ、時間がある時に一緒に行くか」
雪美「うん……今でも……良い」
モバP「おお、やる気だな。えー、水着やタオルは買えるんだったかなっと」
雪美「……」ドキドキ
-
――
モバP「おまたせ」
雪美「……」キラキラ
モバP「競泳水着……ええのう!」
雪美「……///」
モバP「恥じらって顔を背けるところがレディーだねえ」
櫂「来て早々イチャついてるね。良いけど、準備運動はしっかりね」
モバP「おお、櫂か。水ある所に櫂ありとはよく言ったもんだ」
櫂「やっぱりあたしは水を得てこそ魚になれる気がするんだ」
雪美「……櫂……水着……似合う……」ポー
櫂「……競技とかでずっと着てきたタイプでも、改めて言われると恥ずかしいなあ」アハハ
モバP「例えば体育系と文化系でも、それぞれに無い良さがある。雪美も似合っているぞ」
雪美「……うれしい」 オオアツイアツイ
-
――
モバP「ふー、泳いだ泳いだ。カロリーばっちし消費しましたよ」
雪美「P……」ピトッ
モバP「ひゃうんっ!」
七海「何気持ち悪い声を出しているのれすか」
モバP「七海か。不意打ちに弱くて悪いかい」
雪美「……ふふふ……水も滴る……P」ツツー
モバP「雪美、気分が乗ると体が熱くなるのは分かるが、頭も熱くなってないよな?」
七海「止めた方が良いんれすかね?」
モバP「いや、大丈夫だ。それより七海もカナヅチだったが、そこそこは泳げるようになったんだな」
七海「本当にそこそこれすね〜。浮いてる方が合っています〜」
モバP「まあバラエティーだとまだ泳げないことになってたりするな。幸子とか」
七海「その方がキャラが立ちますからね〜」
-
七海「ところで温水プールに魚は泳いでいないのれすね〜」
モバP「一体何を放流させるつもりだ。熱帯魚とか?」
七海「ちょっとしたマリンジョークれすよ。何ならイルカと一緒に泳げませんかね〜♪」
モバP「イルカは哺乳類だろ」 テヘヘ
雪美「……P」ユサユサ
モバP「どした」
雪美「……Pに……乗せてほしい……」
モバP「プールサイドとはいえ、滑り落ちたりしないよな?」
七海「それ以前の問題れす」
ポスン ダキッ
雪美「……///」パシャパシャ
モバP「雪美さんはとてもうれしそうだ」
七海「むーっ……海の女は嫉妬深いのれすよ〜。ふぅっ!」
モバP「あぁっ、耳やめて」ゾクゾク
-
――
シャー キュッキュッ
モバP「シャワーが気持ち良かったな」
雪美「うん……」
モバP「着替えたら、何か飲もうか」
雪美「うん……。疲れたけど……さっぱり……した」
モバP「良かった。まあ、程々に、また来ような」
雪美「……?」
モバP「本格的に水泳やると肩幅が広くなる子もいて、女子はそういうのを嫌がる場合もある」
雪美「……なるほど……。でも……潜るなら……たぶん……大丈夫」
モバP「雪美は泳ぎより潜りメインか。肺活量あるからなあ」
雪美「潜水は……得意」フンス
モバP「競泳水着で胸を張る、濡れた髪の雪美さん――控えめに言って女神ですね」
雪美「……それ、いいすぎ」ニコ
-
72
モバP「お便りが来ているのでご紹介したいと思います」
モバP「神奈川県T.Mさん。……雪美ちゃん、ちひろさん、白と黒が無いパンダ、こんにちは」
雪美「こんにちは……」
モバP「白と黒が無いパンダって何が残るんですかね?」
モバP「……えー、お二人は大変仲が宜しいようですが、質問です。雪美ちゃんが反抗期になったらどうしますか? 私は一時期荒れていて、そのことを少し後悔しています」
雪美「反抗期……」
モバP「うちの雪美さんに限ってそんなことは……」
雪美「無いと……言える?」
モバP「……まあ、今を知っているだけに、例えばやさぐれて髪を染めたり、大声で罵られたりすれば、独り泣くかもしれない」
モバP「それでも、跳ね返りには上手く合わせて接していきたい」
モバP「反抗期も始まりがあればいつかは終わりもある。その時までに見放していたら、きっと後悔してしまう」
雪美「……じゃあ……ずっと……見ていて」
ちひろ「こういうノロケがある内は大丈夫なんでしょうけどね」
-
モバP「次のお便りです」
モバP「兵庫県K.Sさん。……雪美ちゃん、ちひろさん、前世はポルターガイスト、こんにちは」
雪美「こんにちは……」
モバP「前世なのに心霊現象なのか……」
モバP「……えー、雪美ちゃんは猫と話ができますが、ある日突然、猫の言葉が分からなくなったらどうしますか? 私は幽霊が見えるのですがふとそんな心配が過ぎります」
雪美「……そうなったら……とても……悲しい…………」
モバP「ねぇ……雪美。おとなになるってかなしいことなの……」
ちひろ「ヨヨはやめれ」
モバP「幼い頃は不思議な力がある、でも心の成長の中でそれが突然失われる――そんな物語はよく見かけるな」
雪美「……成長は……うれしいこと……、でも……素直に……喜べない……」
モバP「原因不明でコミュニケーションが取れなくなると困るのは人間関係でも同じ。相手と、そして周囲と、しっかり信頼関係を作っておきたいな」
雪美「理解……すること……してもらうこと……大事」
モバP「猫と話をしたり、幽霊が見えるようになりたいんだがなあ。そうすればそういう時も力になれるのに」
雪美「……やさしい」
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モバP「次のお便りです」
モバP「山梨県S.Hさん。……雪美ちゃん、ちひろさん、期限切れポイントカード、こんにちは」
雪美「こんにちは……」
モバP「財布の中にあります。すいません」
モバP「……えー、アイドルはバラエティー番組にも出ますが、もし自分の顔の木彫り像を五万円で売って来いなんて言われたらどうしますか?」
志乃「ブラックビスケッツね……わかるわ」
モバP「本人登場でセルフツッコミ入れないでください。というかそのセリフは瑞樹さんのです」
志乃「じゃあ……わかるってばよ」
モバP「それはうずまきナルトです。……酔っていませんよね?」
モバP「人間、いろいろな経験も必要だとは思います……でも自分の顔の木彫り像やクリスタル像や信楽焼のたぬきや鷹村守ばりの銅像を売って来いなんて、鬼ですよ! 鬼!」
雪美「はっきり……いいすぎ……。……でも……根性がないと……確かに……無理」
志乃「貴方のだったら、ひょっとしたら売れるかもしれないわよ……ふふ」
モバP「忘れた頃に出先で偶然見かけたりしたら恐怖なので嫌です」
ちひろ「今回紹介させていただいた方にはP画伯謹製のイラスト色紙をプレゼントします」
-
73
モバP「古い屋敷などにある、ゴーンゴーンと鐘が鳴り響く、昔ながらの振り子時計」
モバP「良いですよね」
ちひろ「あの低いトーンが静けさの中では不気味なんですけど」
モバP「ベートーベンの月光とかを聴いていてもこう、重低音は心を揺さぶってきます」
ちひろ「ちなみにボイロは?」
モバP「あの抑揚を抑えた低血圧な感じに出す調声が好きですね」
ちひろ「低血圧に失礼だぞ。……でも、プロデューサーさんは高い声にも憧れるんでしょう?」
モバP「はい。つまり何というか、”音”って良いなあと」
ちひろ「音フェチだったか」
モバP「ちょっと静かにしてみてください」 ハイ
雪美「……すー、すー」
モバP「ほら、微かに聞こえる雪美の寝息。癒されませんか?」
ちひろ「……癒されますね」
-
74
モバP「擬人化ってあるじゃないですか」
ちひろ「よくありますね。小さい子でも知っているようなものだと、鶴の恩返しとか」
モバP「はい。では、あなたと身近な関係の猫――ペロが人間の姿に変身したとしたら、どんな見た目だと思いますか?」
ちひろ「心理テストみたいな聞き方をしますね。そうですね……雪美ちゃんと瓜二つ」
モバP「それがあなたにいつか子どもが生まれた時、将来こんな風に育ってほしいと思う姿です」
ちひろ「心理テストだったんですか……」
モバP「まあ今適当に考えただけですが」
ちひろ「そんなこったろうと思ったよ」
モバP「ちなみに自分はですね、黒短髪の中性的でクールな女の子をイメージします」
ちひろ「雪美ちゃんいわく、ペロはぼくっ娘らしいですからね。場に合わせて”私”とか”我”とかも使い分けるようですけど」
ちひろ「じゃあ、アイドルで言えばあいさんや留美さんを少年っぽくした感じですか?」
モバP「良いですねえ」
-
ペロ「ふんにゃ」
雪美「話は……聞かせて……もらったぞー」
モバP「おお雪美さんとペロさん」
ペロ「Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn」
雪美「人の姿になれるのなら、私が良い……って」
ちひろ「ペロ今とんでもないこと呟いていませんでした?」
ペロ「ニャー、うー! にゃー!」
雪美「大丈夫だ……問題ない……」
モバP「猫がゴニャゴニャ意味深に聞こえるようなことを言うことはよくあるからな」
雪美「……深く……考えては……ダメ……。好きなものと……いっしょになるのが……夢……」
モバP「ペロの考えは深いな」
ちひろ「あまり深淵は覗かない方が良いってことですかね? 深く考えないでおきましょう」
-
75
雪美「……ばいばい」
モバP「おう。また明日な」
ガチャ パタン
モバP「今日は家まで送ったが、お母さんは相変わらずお綺麗だったなあ」
モバP「お父さんは何か色気があって、声をかけられると妙にドキドキするし」
モバP「……その気は無いのに何か倒錯的なんでこれ以上は止そう」
モバP「しかし、親か……人の親を見ると、実家が恋しくなるな」
モバP「元気にしているかなあ、二人とも」
モバP「こんな寒い日には、味噌汁が美味いんだよな」
モバP「おっと、いつまでもこうしちゃいられない。帰るか」
ガチャ タッタッタ ギュッ
雪美「……ごはん……食べていく……?」
-
今日はここまで
世界の車窓から
-
母親じゃなくて父親の方にときめくのか……
-
76
モバP「……」
雪美「……」
モバP「よし、ここだ」パチ
雪美「…………」
雪美「……王手」パチ
モバP「あっ」
雪美「……」
モバP「……負けました。つみです」ペコリ
雪美「……」ペッコリン
モバP「雪美さん、思ったよりも強くて負けちったぜ」
モバP「さすがに将棋入門番組のレギュラーをやっているだけはあるな」
雪美「……」ムフー
ちひろ「プロデューサーさんも本業まで詰まないように仕事してくださいね」 ハイ
-
77
モバP「雪美さんは、好きな物と苦手な物、どちらから先に食べる?」
雪美「……苦手な物……の時が、多い……」
モバP「俺と同じだな」
雪美「Pと……同じ……」
モバP「まあ、時と場合にもよるから一概に言えないというのが正直な所か」
モバP「ならばイチゴのショートケーキ。イチゴから食べる? それとも最後に残す?」
雪美「……イチゴから……先に……食べる……。……たぶん」
モバP「俺と同じだな」
雪美「! ……我が友……」ギュッ
モバP「まあ、甘いケーキの後にイチゴだとイチゴの酸味が割増しになるのが嫌、という単純な理由なんだが」
モバP「あれで後味がさっぱり締まるから良いと思う人もいるのだろう」
ちひろ「話に夢がないですね。イチゴはロマンなんですよ?」 ←最後に残す派
-
78
モバP「”名物猫ラリー”の収録、おつかれさま」
雪美「楽しかった……」ツヤツヤ
雪美「白猫が……寄ってきて……抱かせてくれた……」
モバP「雪美はロケで遠征しても地猫にすぐ懐いてもらえるからなあ」
雪美「……あの子……オッドアイだった……」
モバP「楓さん系猫か」
雪美「青と黄色の……きれいな……目……」
モバP「ほう……ひょっとしたら片耳が悪くなかったか」
雪美「! ……どうして……分かったの? ……知り合い?」
モバP「知り合いだったら世間は狭いと思うが、残念ながら違う」
モバP「白猫の青黄オッドアイはそういう子が多いことで比較的知られているんだ」
雪美「……びっくりした……P、物知り……」
-
雪美「……楓さんは……何ともないの?」
モバP「ヒトが何ともあるような話は聞いたことがないな。大丈夫さ」
雪美「……良かった……」
モバP「猫とはどんな話をしたんだ?」
雪美「……私と話ができる人は……あなたで七人目……って」
モバP「雪美以外に六人もいるのか……」
雪美「お仕事だったから……あまり長くは……お話……できなかった……」
モバP「また会いに行けると良いな」
雪美「うん……オッドアイ……」
モバP「惹かれたか。ちなみに創作の世界ではよく3Dメガネのように鮮やかな青と赤のオッドアイがいるな」
モバP「コントラストで大したインパクトだが、現実では見たことがない」
雪美「……見たこと……ある」
モバP「それはもしかしてカラーコンタクトというやつでは?」
雪美「……うん」
-
モバP「いや、でも確かに人工とはいえ、見たことがないというのは間違いだったな」
雪美「……他にも……写輪眼とか……いる……」
モバP「技術の進歩は凄いな。俺なんてコンタクト入れるのも怖いというのに」
モバP「それにコスプレ会場とかならともかく、予期せぬ場所で写輪眼持ちと出会ったら……」
モバP「まず二度見はすると思う」
雪美「佐城雪美が……命じる……膝に……乗せろ」カッ
モバP「それは写輪眼じゃなくてギアスですよ」
雪美「……そらが……あおいなー」シレッ
モバP「待たんかい」
ヒョイ ポスン
雪美「……ふふ……あなたにとって……私は猫のようでも……ある……?」
モバP「気まぐれな猫だな、とても」
ちひろ「雪美ちゃんにコードギアスなんて見せているのは誰ですかね」
-
79
雪美「クリスマスイベント……おわった……」
こずえ「ふわぁ……ぷろでゅーさー……いそがしいのー」
芳乃「そうですともー。しかし、かのかたはー、必ずどこかで見守っていましょうー」
雪美「芳乃……わかるの?」
芳乃「もちろんですともー」
こずえ「ぷろでゅーさーのくれたおまもり……あったかい……えへへー」
スタッフ「えっと……このほんわかトリオで帰還は大丈夫?」
芳乃「わたくしがー、責任を持って引率しますゆえー」
スタッフ「じゃあ、お任せしますね。お疲れ様でした」
雪美・こずえ・芳乃「おつかれさまでしたー」
テクテク テクテク テクテク
-
チャラ男「おやあんな所にロリアイドル三人衆がいるやん。声かけたろ」
ワル男「いいねぇ。その後はしっぽりやりまひょか」
サンタ「駄目です」
チャラ男「何だ駄目か」
チャラ男「って誰だお前」
サンタ「サンタです」
チャラ男「見りゃ分かるよ。さてはお前、あの子たちを襲う気だな?」
サンタ「地域の安全、笑顔を守るのが儂の役目でしてね」
ワル男「あほらし……不審者かな? 通報してやる」
エラー
チャラ男「お前のお電話壊れてるじゃねーか。……ん? いないぞ?」
ワル男「しもた、どこ行きはったんやあん子ら。はよ捕まえんと」
-
サンタ「ここにいるぞ!」
雪美・こずえ・芳乃「……」
チャラ男・ワル男「!?」
芳乃「お仕事後はー、高揚していながらも危機察知には鋭敏でしてー」
こずえ「わるいこと、しちゃ……だめー」
雪美「……」スゥー
チャラ男・ワル男「?」
雪美「……あなたも……あなたにも……幸せな……クリスマスに……なってほしい……」
チャラ男・ワル男「」
チャラ男「……俺たちは一体何をしていたんだ」
ワル男「……感動しました。雪美ちゃんのファンになります」
サンタ「雪美……」スッ コク
雪美「……これ……あげる」
-
――
サンタ「感激して泣きながら帰って行きおったわい。こういう時の為のケーキじゃ」
こずえ「ないすあしすとー……」
雪美「……Pは……何をしているの……?」
サンタ(モバP)「ばれたか」
芳乃「隠す気はありましてー?」
モバP「一応は、ねえ?」
雪美「……心配……した」モフッ
モバP「すまなかった。この時期は毎年、近所の幼稚園や老人ホームでサンタさんをやっているんだ」
芳乃「よき心掛けですー」ヨシヨシ
こずえ「ぷろでゅーさー……せいぎのみかただねー」
モバP「正義の味方になりたかった名残だねえ」
-
モバP「ここからは一緒に帰ろうか。報酬としてケーキも貰っておいたぞ」
雪美「イチゴ……?」
芳乃「チョコレート……?」
こずえ「ちーず……?」
モバP「開けてビックリ玉手箱、中身は見てのお楽しみだ」
モバP「……或いはモンブランかも?」
芳乃「そなたも楽しみなのですねー」
雪美「……ふふ……クーラーバッグを持った……サンタさん……」
モバP「さすがにケーキは大きな袋では運べないからな」
モバP「ちなみに今夜はケーキとは別に、本場のノルウェーサンタを参考におかゆを食べるつもりでな」
こずえ「ひとつぶだけ……あーもんどをいれるんだねー」
モバP「そうそう、洒落ているのよ。で、幸運のアーモンドを当てるチャレンジャーをただいま募集中だ」
雪美「チャレンジ……する」 ワタシモデシテー コズエモー
-
80
モバP「クリスマスと言えばサンタですが、この前見たんですよ」
ちひろ「何をですか?」
モバP「グリーンサンタです」
ちひろ「環境保全をテーマにしたそういう方々もいますね」
モバP「一般的に赤だったり別の色のものが、稀に緑だったりするとワクワクしませんか?」
ちひろ「スポーツカーとか某新聞の題字とかですか? ……ちなみに私は?」
モバP「ちひろさんは普段から緑基調なので特には。目には優しいですね」
ちひろ「言ったな? じゃあ赤いドレスでも着たら平伏しますか?」
モバP「赤は攻撃色でもありますからねえ。赤が緑に変わるとゴーサインですが、逆は……」
ちひろ「私が年中ゴーサインみたいに聞こえますけど」
モバP「えっ、ちひろさんにゴーしても良いんですか?」
ちひろ「馬鹿言っちゃいけねえや」
-
雪美「また二人……いちゃいちゃ……している」
ちひろ「していません。雪美ちゃん側からそう言われる日が来るとは思いませんでした」
ちひろ「ふん、いいですよーだ。プロデューサーさんには私のサンタ姿見せてあげませんから」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「って、雪美ちゃんがサンタしてる!?」
モバP「ああ〜」
雪美「……ちひろさんも……サンタに……なろう」
ちひろ「うう……かわいい」
――
ちひろ「なっちゃいました」キラキラ
モバP「即落ちいいですね!」 ソクオチイウナ
モバP「しかし、こうして揃うと仲の良い姉妹みたいです」
雪美「ちひろ……姉さん?」
ちひろ「……///」 ナゼテレル
-
81
モバP「こうして乗せて抱き締めていると、雪美はぬくいな」
雪美「……」
モバP「賢者の時間か」
ちひろ「言い方」
ちひろ「それにしてもお二人はスキンシップが好きですね」
モバP「言葉にされると恥ずかしいです」
ちひろ「言葉にされなくてももう少し羞恥心を持った方が良いかもしれませんよ?」
モバP「そうですね。実際そんなに質量を感じたいとか、体の繋がりを求めているという訳ではないです」
ちひろ「言い方」
モバP「やっぱり心……ですか。心が近い所にあるから安心すると言いますか」
ちひろ「率直に言って変態だと思います」 エー
雪美「…………落ち着く……」
-
82
モバP「雪美、おはよう」
雪美「! ……P、どうしたの……? 胸、大きいし……髪、長いし……美人さん……」
モバP「俺って人外じゃない? 実は割とその通りで、性転換もできることを失念していた」
モバP「ほら。体格は少し頼りないが、乗ってみるか?」ポンポン
ポスン
雪美「…………ママ……みたい……不思議……」
モバP「やっぱりこっちだと雪美はちょっと大きいなあ。じゃあ、今度は膝枕はどうだ?」
雪美「……」ゴクリ
――
ハッ
雪美「……夢……? ……でも……わるくない……かも……?」ポー
ちひろ「雪美ちゃんが今まで見たことない類の恍惚な顔をしていますね……」
-
今日はここまで
ホットココアで
-
83
モバP「冬は外を歩く猫を見かけなくなる季節だ」
モバP「温暖な頃にはよく見かけたあの子も、寒くなると消える」
モバP「あの子は冬を越せるのだろうか……」
雪美「不吉なモノローグ……だめ」
モバP「ごめんな。しかし雪美さんも、ある時ふいっとどこかに旅立ってしまわないだろうか」
雪美「……私は……どこにも行かない……」
雪美「だから……Pも……どこにも行かないで……」ギュッ
モバP「行くつもりはないよ。大人は止むを得ず嘘を吐かなくてはいけない時もあるが、俺の意思はその一点だ」
雪美「これだけは……絶対……約束……」
モバP「ああ。この約束が儚いものとならないように」
雪美「……はかない?」
ちひろ「人の夢と書いて、儚い」 オイ
-
84
モバP「必要ないのに”あ、これ欲しい”と思うことがあるよな」
雪美「……ある」
モバP「以前そう思って、でも持ち合わせが無くて結局諦めた物をある日見つける」
雪美「……?」
モバP「買ってしまったんだよ……天空の城ラピュタの飛行石」ホラ
雪美「それが……欲しかったの……?」
モバP「飛行石だよ? ロマンがあると思いませんか? 浪漫飛行ですよ?」
ちひろ「米米CLUB知らないでしょ」
雪美「……でも……かっこいい」
モバP「ラピスラズリ、つまり翡翠で作られているらしいな。あ、ちょっと石の上に手を重ねてもらって良い?」
ポン
雪美・モバP「……バルス!」
ちひろ「目が、目がー! って、何言わせるんですか」
-
85
モバP「冬と言えばこたつだぁ」ヌクヌク
雪美「うん……」ヌクヌク
モバP「小さい頃は潜り込んで隠れるのが好きだった」ミカンドウゾ
モバP「知らずに入って来た親を脅かしてみたりしてな」
雪美「息……苦しく……なかった?」ムキムキ
モバP「平気だった。体が大きくなってしまった今ではそんなことも難しいなあ」
雪美「……」パク
モバP「思えば好奇心が強かったんだな。そして自分のスペースを求めていたというか」
モバP「狭い所が落ち着くから押入れで寝てみたり、段ボールのトンネル迷路や隠れ家に憧れたり」
雪美「……男の子……ね」クス
モバP「そういう雪美さんも満更でもないのでしょう?」
雪美「……私も……隠れるのは……好き……」
-
雪美「……P……そこにいて」フキフキ
モバP「どうした? あっ……ふーん」
ゴソゴソ ゴソゴソ
雪美「……ばあっ」
モバP「……おいっす」
雪美「……こんにちは」
モバP「……ははは」
雪美「……ふふ」
――
モバP「そしてこたつに入っていても俺の上に座る雪美さんであった」
雪美「……みかん……おいしい」アム
ちひろ「私も子どもの頃はああして伯父さんに……って、何してるんですか!」
-
86
杏「おっす」
モバP「おう、杏か。どうした?」
杏「……雪美ちゃん、今日はいないんだね」
モバP「そうだな。寂しい寂しい」
杏「ダメだよー。最近プロデューサー、雪美ちゃんの時間を独占しすぎてない?」
モバP「……そう言われると、そうかもなぁ……いや、そうだ」
杏「いくら親しくても、親子、家族との時間はしっかり過ごさせてあげるべきだよ」
杏「個人差、環境差はあると思うけど、まだ小学生だもん。甘えたい、甘えさせたい時期だよね」
モバP「ああ。俺がわがまま言っちゃいけないな」
杏「ということで今日のプロデューサーは杏の貸し切りね」
モバP「寝取りですか」
杏「サボりだな」
-
杏「よっと」ポスン
モバP「杏は雪美とほとんどサイズ変わらないよな。おいくら?」
杏「企業秘密なんでお答えは差し控えさせていただきます」
杏「……プロデューサーはさ」
モバP「ん?」
杏「親の言うことやることが何でも正しい訳ではないと知った時、どうした?」
モバP「そうだなあ。今思えばすぐ収まった気がするが、反抗期になった、かな」
杏「……そっか」
モバP「杏の場合は?」
杏「無気力になっちゃった」
モバP「ある意味反抗だが、達観しちゃったという方が近いか」
杏「どうかなあ」
-
モバP「いわゆる典型的なダメ親ならいざ知らず、ずっと尊敬できる親だったならそれこそ」
モバP「ある時に”これは間違っている”という部分を感じ取ってしまうと、辛いんだろうな」
杏「分かんない。今でも尊敬する気持ちはあるんだけど、揺らぎやすくなったっていうかね」
モバP「親じゃないが俺に対しては?」
杏「プロデューサーは子どもが反面教師にするタイプの親だろうね」
モバP「おお、もう……」
杏「保護者がよく出来過ぎてると甘えたまま成長しないかもしれないし、頼りないくらいが良いよ」
杏「まあ、プロデューサーが頼りないとダメか」
モバP「せやな」
モバP「もし親がコミュ力の塊で、でも自分がコミュ障で孤立してるなんて知ったら」
杏「あっ」
モバP「悲しみそうだから、俺は恐らくそういう外でのことは親に相談しないな」
杏「それダメなやつ」
-
モバP「自分なりにいい顔を作ろうとして、小さな無理がどんどん積み重なって、やがて自己破綻を招く」
杏「あー」
モバP「結局ね、あたしに言わせりゃ、親より優れた子はいないし、子より優れた親もいないのよ」
杏「矛盾してるよ」
モバP「だから周りに期待し過ぎず、期待させ過ぎずに生きていくのが一番さ」
ニャニャニャンニャニャニャン
モバP「おっと、雪美からメールだ」
杏「変な着信音だね」
モバP「双子のケットシーだよ。何々……浮気してない? だって?」
杏「……」ジッ
モバP「……」ジッ
モバP「してないよなあ?」
杏「飴で手を打とうか」ニヤッ
-
87
雪美「……」キラキラ
モバP「ヘッドドレスから裾までリボンとフリルたっぷりのゴスロリのドレス」
モバP「この雪美さん膝に乗せたい。いやむしろその姿で仰向けに寝た俺の上に覆い被さってほしい」
雪美「! ……」ササッ
ちひろ「警戒してるでしょ。あまり変なこと言うと拘束しますよ」
モバP「ごめんよ。いやぁ、いつ見てもお人形さんみたいで見事な姿だが、若干メイドっぽくもあるな」
モバP「年末と言えば大掃除、掃除と言えばメイド。この時期にぴったりだ」
ちひろ「ヘッドドレスがメイドを連想させるんですかね」
雪美「……」チョンチョン
モバP「自分で触ってみているな。しかしヘッドドレスやヘアバンド、良いですなあ」
雪美「……カチューシャ、は?」
モバP「カチューシャとかカチュームとかはヘアバンドの一種らしいね」
-
モバP「それにしても昔ほどヘアバンドでおでこを見せる子をあまり見かけなくなった気がする」
ちひろ「普通に七三分けのような髪型で見せている子はよくいますがね」
モバP「髪を下ろす時のように、外した時に女の武器になるのに」
ちひろ「もう結構前ですけど、けいおんの田井中律とかですか」
ちひろ「でも、そういう世の男性方が求めるいわゆるギャップ萌えって、女の子の本質が見えていないのでは?」
モバP「そんなつもりじゃないんですがね。アクセサリーとしても良いと思いますよ」
ちひろ「まあ、時代の移り変わりはありますから、もしかしたらまた流行るかもしれませんね」
雪美「……私の……髪型は……?」
モバP「雪美さんは、言うならぱっつんかな? 髪型って様々だから一言で説明するのは大変だよ」
雪美「……ぱっつん……」
モバP「どれ、じゃあ話のついでにちょっとおでこ見せてごらん? ふひひ」
雪美「! ……」ササッ
ちひろ「とりあえずあなたの額には冷えピタ貼っときましょうかね」 ギャーツメタイ!
-
88
モバP「足を蹴り合う仲って羨ましいと思わないか?」
悠貴「足癖が悪いのは良いことじゃないですっ」
モバP「そうだけども。ほら、向かい合った机の下でつんつくつんつんと」
悠貴「つんつくって……私はもっとキック的なそれかと思いましたっ」
モバP「昔聴いていたラジオの男女コンビのパーソナリティーが」
『こうやって話をしていますけど、机の下では足を蹴り合っていますから。ふふ』
モバP「それを聴いてすごいほんわかしてしまったのが忘れられないの」
悠貴「じゃれ合う感じですねっ! 良いっ!」
雪美「……足の長さが……足りない……」
雪美「……悠貴……任せた」
悠貴「任されたっ! ……えいっ! えいっ!」コツッコツッ
モバP「やったなこいつぅ」
ちひろ「何か違うけどこれはこれで微笑ましい」
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89
モバP「君たちの今年やり残したことを聞こう」
モバP「まずありす」
ありす「はい。大晦日に、Pさんと過ごせないことですね」
モバP「ありす……」ブワッ
モバP「でも、時系列的にまだ訪れていないことをやり残したと言うのはどうなんざんしょ?」
ありす「それもそうですね。では、去年の大晦日に、Pさんと過ごせなかったことです」
モバP「ごめんなぁ……」ブワッ
モバP「次に凛」
凛「はい。私は、プロデューサーを犬派に引き込めなかったことかな」
モバP「いや、犬も好きなんすよ。好きなんすけど、だけどやっぱりマ・マーのスパゲティ」
モバP「ねぇ知ってる? スーパーマリオの大好物って、キノコじゃなくてスパゲティなんだって」
凛「知ってるよ」 マーイーニーチーヒトーツー
-
モバP「……」
凛「……」
モバP「……凛の目は優しいな」
凛「……ふふっ、何言ってんの」
モバP「次に輝子」
輝子「フヒ。私は……プロデューサーと初体験できなかったことだぜ! ヒャッハー!」
モバP「してはいけない(戒め)」
輝子「いけないのか……? 初体験……」
モバP「おっと、変な意味での初体験でないなら良いんだぞ? おかわりもいいぞ!」
輝子「……親友の……おかわり……お腹いっぱい……フヒヒ」
モバP「一体何の初体験なんだ」
輝子「……その時が来たら、な」
-
モバP「次にあやめ」
あやめ「はっ! あやめはですね、ダーツがあまり上達しなかったことですね」
モバP「お前……みんな俺関係のことばかり言うのに、しっかり自分のことを言うとは」
あやめ「えっ、えっ? もしかして今回はそういうアレですか!?」
モバP「偉いぞ。このまま俺ネタで埋め尽くされるのかちょっと怖かったんだ」
あやめ「えへへ♪ 嬉しいです――って、ダーツに突っ込んでくださいっ!」
モバP「またまた、君の得物は手裏剣とクナイでしょ」
あやめ「投げる練習ですよっ!」
モバP「次にこずえ」
こずえ「はーい……とっぷあいどるに、なれなかったことー……」
モバP「真面目だぁ!? 力不足ですまない!」
こずえ「でもー……とっぷあいどるって……ひとりだけー?」
-
モバP「ナンバーワンじゃなくてオンリーワン。誰か歌っていたがな」
モバP「同じ方向性からトップを超えられる一人だけしか成れないものではあってほしくない」
モバP「てっぺんがいくつもあるタイプの王冠のように、それぞれが個性でトップに立てば良い」
こずえ「こせい……よーし、がんばるのー」
モバP「次にみく」
みく「はい。Pチャンにご飯作ってあげられなかったことかにゃ」
モバP「気持ちだけ受け取っておくさ。ありがとう」
みく「照れるよ……って、素直だね。嫁さんと似てきたかな?」
モバP「似てると言っても伊吹吾郎と宇梶剛士並に似てる訳じゃない」
みく「その例え分かんないよ!」
モバP「ちなみにお魚の克服は?」
みく「やっぱこの人ダメだにゃ」
-
モバP「七海ちゃん」
七海「七海ちゃん言うな。そうれすね〜、プロデューサーと海で泳ぎたかった!」
モバP「普通だな。……今から泳ぎに行くか?」
七海「行けるかい! ……って、何水着に着替えてるんれすか! え? もう出番終わり!?」
モバP「今から海に行くことになったが、最後に雪美」 エエッ!?
雪美「私は……仁奈と……お泊まり……したかった」
モバP「結構個人的なことだったかー。今度それとなく掛け合ってみておこう」
雪美「……ありがとう……そして……水着……寒そう」
モバP「何のピロシキ。……雪美さんは、今年は良い一年だったかい?」
雪美「うん……!」
モバP「ああ〜、キラキラしているなあ」
モバP「ということで今回は強引にお開き。また来年」
雪美「ばいばい……」
-
90
モバP「今年もこれで仕事納めか。はい、終わり」
ちひろ「お疲れ様でした。これ、元気が出るように、サービスです」
モバP「ドリンクですか。ありがとうございます」
キュリッ ゴクゴク
モバP「優しい味がしますね。お姉ちゃんの味というか」
ちひろ「何を頓狂なことを言ってるんですか」
ちひろ「そしてこれは雪美ちゃんからです。一年の労いの気持ちをなるべく簡素に表してもらいました」
モバP「イチゴ大福! 大好物なんですよこれ。あんこの甘さとイチゴの酸味の不思議な出会いが」
ちひろ「はいはい。どうぞおあがりよ」
パク
モバP「……イチゴ、美味しいなあ」ホロリ
ちひろ「では、良いお年をお迎えください」
-
今日はここまで
彼こそが海賊
-
乙
伯父×ちひキテル……?
唐突に出てきた乙倉くんがメッチャ微笑ましい
-
91
モバP「あけましておめでとうございます、佐城雪美さん」
雪美「あけまして……おめでとう」
モバP「今年もよろしくお願いします」ペコリ
雪美「……うん」
モバP「さて、皆にも渡していますが、はい――心ばかりのお年玉です」
雪美「……ありがとう……」
モバP「さて、目上的なことはここまで。おかえり雪美」
雪美「……」(つ゚-゚)つ
ヒョイ ポスン
モバP「定位置に戻ってきたな。これぞ実家のような安心感」
雪美「……重くなって……ない?」
モバP「ないよ。でも正月太りが心配なら後で一緒にトレーニングしようか」 ウン
ちひろ「ああ、日常に帰ってきたんだなって」
-
92
モバP・雪美「……」 ←合体中
雪美「……P、……少し……姿勢を変えたい」
モバP「分かった」
ゴソゴソ モゾモゾ
雪美「……ここは……もう少し……こう」
モバP「あっ、そこはやめろくすぐったい」
雪美「……動かないで」
ゴソゴソ モゾモゾ
雪美「……できた」
\理想の座り心地/
雪美「……♪」スリスリ
ちひろ「寝床を整える猫みたいですね」
-
93
モバP「雪美は初詣には行ったのか?」
雪美「うん……着物で……」
雪美「おみくじは……大吉」
モバP「それは良かったな。業界人たるもの、やっぱり行かないとな」
雪美「……行ってない……の?」
モバP「あああああああああ!! 忘れてたああああ!」
ちひろ「ええ……」
モバP「まあ、絶対に行かなくちゃいけないものでもないと思うんだ」
ちひろ「おいおい」
モバP「なので、行ったつもりになってこの梅ヶ枝餅でも食べましょうか」
雪美「おお……おいしそう……」
ちひろ「どちらに行ったつもりですかそれは。あ、温めましょうね。それとお茶も」
-
――
雪美「おいしい……」モグモグ
ちひろ「熱いお茶請けに良いですね」
鈴帆『年始に大宰府天満宮に行ったけん、Pしゃんへのお土産たい』
モバP「って渡されましてね。ありがたいことです」
モバP「しかし大宰府みたいな大きい所に初詣、良かですなあ」
ちひろ「今から行けば良いじゃないですか。三が日は過ぎましたけど」
モバP「おみくじとかまだ買えるんですかね? 露店はもう無いだろうなあ」
雪美「……P……私……Pの分……持ってきた」ハイ
モバP「なんと! ありがとう……おっ、これは招き猫おみくじじゃないか。開けるぞ?」
雪美「……」コク
テレレレテレレレテレレレテレレレ ゴマダレー
モバP「おお、黒猫だ」
-
モバP「黒は家内安全か。一人暮らし中ではあるが、大切なことだな」
雪美「私たちも……Pの……家族のつもりで……いる……」
モバP「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」ナデナデ
ちひろ「その家族には私も含まれているんですか?」
雪美「うん……」
ちひろ「……雪美ちゃんが言うなら仕方ないですね」
モバP「照れちゃってー。ちひろさん、雪美には甘いですよね」
ちひろ「あなたにも充分甘いつもりですよ? プロデューサーさん」
ハハハハ フフ
雪美「それにしても……Pは……黒猫に……好かれる……」
モバP「本当になあ。でもそれは多分、雪美に出会ってからだぞ?」
雪美「……あっ」
ちひろ「お二人の甘々な関係には今年も敵いそうにないですね」
-
94
ペチャクチャ
茄子「あ、自動販売機ですね。何か飲んで帰りましょうか」
ほたる「そうですね……」
雪美・モバP「賛成」
茄子「私はなっちゃんにしまーす」チャリン ピッ ゴトッ
ピピピピピ オオアタリ! モウイッポンエランデネ
茄子「ナイスですね〜、雪美ちゃん選んで良いですよ♪」
雪美「ありがとう……。カルピス……」ピッ ゴトッ
モバP「良かったな雪美」 ウン
ほたる「さて、私は……お茶にしようかな」チャリン ポチッ
シーン
ほたる「…………えっ」
-
ガチャ ガチャ シーン
モバP「釣りも出ない……飲まれたか。おのれウチのほたるを曇らせるな自販機めが」
ほたる「良いんです……このくらい」
モバP「このお茶が欲しかったんだな?」チャリン ピッ ゴトッ
モバP「はい。……コイツには後で俺からきつく言っておく、……なんてな」
ほたる「あ、ありがとう……ございます。……えへへ」パアッ
モバP「良い笑顔だぞ」
ゴクゴク
モバP「茄子は当たりを雪美にあげた、ほたるはお金を飲まれた、俺は代わりに一本買った」
モバP「これで三方一両損。大岡越前の名裁きと相成った訳だな。ハッハッハ」
茄子「でも、プロデューサーは飲まないんですか?」
雪美「はい……P」
モバP「てんきゅー」ゴクゴク
茄子・ほたる「何て自然な回し飲み……良いなぁ」
-
95
奈緒「Pさんは年末年始は何をしていたんだ? 初詣に行かなかったとは聞いたが」
モバP「もう広まっているのか……年末は七海と一緒に南半球の海に泳ぎに行った」
奈緒「本当に行ったのか……」
モバP「時間が時間だけに強行日程だったがな」
七海「本当、何させてるんれすかね〜、この人は」
雪美「……照れてる?」
七海「……///」
モバP「後は仕事して、休みは実家に顔出して、しっかり食べて、寝て、楽しんで来たよ」
奈緒「七海に変なことしてないよな?」
モバP「甘やかしはしたな。二人きりだと結構デr」
七海「プロデューサー?」ツネリ
モバP「あう」
-
奈緒「……まあこの人なら大丈夫か。普段は雪美とベタベタだし、人外だし」
雪美「……人外……」ジー
モバP「公然と人外呼ばわりはやめてくださる?」
雪美「奈緒は……休みは、何をする……?」
奈緒「積みアニメの消化をな……」
モバP「忙しくても趣味に妥協をしない所はさすが奈緒だな」
奈緒「あたしは時間の使い方が上手すぎるPさんが羨ましいんだけどな!」
モバP「そりゃ人外だからな」
七海「自分では言うのか……」
雪美「……P……今度、奈緒にも……付き合ってあげて」
奈緒「いや、別にいいよ。一緒に見るのは恥ずかしいだろ?」
モバP「はたらく細胞にする? それともちおちゃんの通学路?」
奈緒「ガッツリ見る気だな!? いいってば!」
七海「……真に恐ろしいのは人外を手中に置く雪美ちゃんかもしれないれすね〜」
-
96
礼「P君になぞなぞよ」
モバP「はい」
礼「Hになるほどかたくなるものは何だ」
モバP「鉛筆」
礼「男性が体の真ん中にぶら下げてるものは何だ」
モバP「ネクタイ」
礼「刺激を与えたりすると大きさが六倍になることもある体の器官は何だ」
モバP「瞳孔?」
礼「……こういうのは真顔で解答しちゃダメよ?」
モバP「アイドルがからかってくることも多いので、変に取り乱して墓穴を掘りたくないんです」
雪美「……P……パスポートの、性別・SEXがFって……どういう意味……?」
モバP「えっ/// えっと、その……」
礼「でも不意打ちには弱いのね」
-
97
モバP「何だかんだあって成人式。雪美も大きくなったなあ」
モバP「大正浪漫な女子袴も良いが、やはり振袖よな」
雪美「……」キラキラ
モバP「はんなり京美人、よう似合うてはりますわ。あ、皮肉やあらしまへんよ」
雪美「……またそうやって、茶化すんだから……いけず」
モバP「しかし俺も十年も経てばすっかり中年のおっさん。歳は取りたくないもんだよ」
雪美「……ごめんね……Pと……結婚……できなくて」
モバP「そんな顔しない。楽しかったこれまでの時間を気まずい思い出にはしたくないだろ?」
雪美「うん……行ってくるね」 テクテク
――
モバP「うーん……雪美、幸せになれよぉ……zzz」
鈴帆「起きんしゃいPしゃん、鈴帆が来たばい?」ユサユサ
ちひろ「いや、そこに跨るのはまずいですよ鈴帆ちゃん……」
-
今日はここまで
行けるところまで
-
98
雪美「P……」スッ
モバP「あっ」ピクッ
雪美「……耳……冷たい」
モバP「外歩いて来たからな。雪美はどうだ?」スッ
雪美「……」キョトン
モバP「おっと、こっちは猫耳か。自然過ぎて思わず間違えたよ」スッ
雪美「やっ……」ピクッ
モバP「お互い様だ。……雪美は全体的に温かいな」
雪美「……Pは……二回さわった……おかえし」ギシッ
モバP「近いよ雪美さん」
雪美「……耳……温めてあげる」ハー
ちひろ「私も拳を温めといた方が良いですかねえ?」
-
99
モバP「レッスンが上手くこなせなかったか」
雪美「……うん」
モバP「そんな日もあるさ」
雪美「……」
モバP「前を向いて行こうぜ。きっと君なら乗り越えられる」
モバP「……と、無責任な言い草かもしれないな」
雪美「……そんなことは……ない」
モバP「技術的にあまり突っ込んだアドバイスはできないが、大切なのは失敗から目を背けないことだ」
モバP「何でもこなせて当たり前、ではないからな。目標ができたと思おう」
雪美「……うん。……目標……」
モバP「それを超えた先に、達成感があるはずだ」
ちひろ「良いことは言っている風でも膝の上に座らせていると絵面がね……」
-
100
雪美「……」ジッ
モバP「……?」
雪美「……P……高い……」
モバP「それは何というか……ごめんなさい?」
ちひろ「何でもすぐ謝るのは良くないですよ」
モバP「はい」
雪美「……」
モバP「確かにこうして立って面と向かい合うと、俺は視線を下げ、雪美さんは見上げることになる」
モバP「……ならば、しゃがんでみる」ストン
オイデオイデ
ちひろ「犬を呼ぶ飼い主の図」
雪美「違う……そうじゃない……」
-
雪美「……Pと……入れ替わって……みたい……」
モバP「君の中に入ってその目から僕を覗いたらちょっとは物分かりが良くなるのかしら的な?」
ちひろ「今夜月の見える丘にかな?」
モバP「入れ替わることはできないが、代わりにこの脚立に乗ってみないか?」
ちひろ「それは年末の掃除に使ったやつですね」
トン トン トン
雪美「おお……高い」
モバP「今の雪美さんは俺より高いぞ。足元は気をつけてな」
雪美「うん……。……でも……P……来て」
モバP「ただいま参りまする。……ここで良いかな。……ん?」
ナデナデ
モバP「ああ……何と心地良い」
雪美「……Pのように……上から……こうしてみたかった……」
ちひろ「念の為に脚立を支える係やめても良いですかね?」
-
101
モバP「クラリスさんじゃないですが、糸目の人って底知れない怖さがあるキャラにされがちですよね」
ちひろ「そんなこと言って良いんですか? クラリスさんがこっち見ていますけど」
モバP「えっ」
雪美「……?」
ちひろ「本気にしましたか?」
モバP「驚かさないでくださいよちひろさん」
ちひろ「まあ、そうやって勝手にイメージを膨らませて怖がったりからかったりするのは良くないのでは」
ちひろ「そういうの、風評被害って言うんですよ」
雪美「……ふうひょうひがい……ダメ……」
モバP「一理あるな。クラリスさんはクラリスさんだ」
ちひろ「でも、どうして糸目がそういうイメージになるのかは興味ありますよね」
モバP「下敷きとなるインパクトの強いキャラクターがどこかにいるんでしょうが」
-
モバP「糸目にもカーブ系とまっすぐ系と釣り目系があって、怖いイメージを作るのは釣り目な気がします」
ちひろ「キツネ目ってやつですか。キツネは昔から人を化かす動物とされてきましたからね」
モバP「タヌキもそうなんですが、どうも見た目のせいか大らかなキャラクターにされがちと言いますか」
ちひろ「キツネはシャープですからね。更にはお稲荷さんとか九尾とか格の高そうな伝承が多いですし」
雪美「……私は……キツネと……タヌキ……どっちだと……思う?」
モバP「雪美さんは、強いて言うならキツネに近い動物なんじゃないかな」
ちひろ「動物言うなし」
モバP「でもキツネを擬人化すると大体金か、銀髪寄りになりますねえ。塩見の周子さんのような」
ちひろ「周子ちゃんがこっち見ていますよ」
モバP「二度も人を担ごうとしたってそうはいかねえや」
周子「お腹すいたーん♪」
モバP「今度は本当にいたよ」
-
周子「なになに、何の話してるの?」
モバP「教えてあげるから、ちょいと薄く目を閉じて笑ってみて」
周子「何されるのかなー? はい、これでいい?」
モバP「ん、穏やかで優しい顔に見えるな」
少女説明され中……
周子「なるほどねー、糸目かー。……んー、シューコちゃんもと思ったけどダメ。前が見えねェ」
モバP「やろうと思ったら大変なんだよな糸目って」
ちひろ「クラリスさん、あれで普通にしているのはやっぱり凄いのかもしれませんね」
周子「……糸目とは違うけど、雪美ちゃんの目も、強く訴えかける力を持っているよね」
雪美「……」ジッ
周子「むむ……おやつ食べたい? あたしもなんだよねー。という訳でPさんどこか連れてって?」
モバP「君が食べたいだけなんとちゃいます?」
雪美「たいやき……食べたい……」 ホラ
-
102
モバP「見よ、この筋肉美を」
雪美「……」(゚△゚)
モバP「栗みたいな口しやがって」
ちひろ「呆れているんですよ。というか事務所で服を脱ぐな」
モバP「いや、話の流れで見たいと頼まれたものですから」
ちひろ「自重してください」
雪美「……ちひろさん」
ちひろ「どうしましたか?」
雪美「……私も……あんな風に……なれる……?」
ちひろ「やめておいた方が良いですよ」
雪美「……いつか……Pを、肩車……してあげたい……」
ちひろ「雪美ちゃん。その志はともかく優しい心だけは捨てないでね」トオイメ
-
103
比奈「プロデューサー。今ちょっとネタに詰まっていまして……何か会心のアイデアはないっスかね」
モバP「触手純愛なんてどうだい」
比奈「アイドルに何てものを描かせる気っスか」
モバP「いや、荒木先生はR指定系もいけないことはないのでしょう?」
比奈「割とダメです」
モバP「なら、純愛なんで健全ソフト路線でも良いのよ」
比奈「プロデューサー、そういう性癖をお持ちなんっスね……」
モバP「モンスターと心通わせる系のが好きなだけで他意はないよ?」
比奈「本当っスか……? 描くとしたらギャグっぽく、ですかねえ」
モバP「良いね。今時は女騎士とオークなんかもギャグに走ることが多いし」
比奈「ただ、そういうのは結局エグい本元をリスペクトした上での面白さではないかと」
-
比奈「例えば触手とじゃれ合うにしてもどうするか、ですねえ」
モバP「まずは服を脱ぎます」
比奈「えっちぃのは嫌いです」
モバP「液でじわじわ溶かす触手くんは三下ですよ。服が勿体無いじゃないですか」
比奈「そういう問題ですか」
モバP「そしてお風呂で体を丁寧に洗ってあげましょう」
比奈「ペットか何かっスか」
モバP「あとはリラックスしてきたところにお酒でも勧めれば、気分よく絡んできてくれます」
比奈「絡み酒っスね」
モバP「……」
比奈「……もうちょっと真面目に考えてもらえませんかね」
雪美「みんな……仲良しが……一番」
-
104
カチカチ
雪美「P……何を……調べているの?」
モバP「日本海側の天気と学力の関係」
ちひろ「また結構どうでも良いことを調べていますねえ」
モバP「特に北陸ですね。金沢では弁当忘れても傘忘れるな、なんて言うそうで」
ちひろ「天気が悪い日が多いとインドア活動が中心になって勉強に熱が入るのでは? ですか」
モバP「はい。石川県は学力テスト一位だそうで、ひょっとしたらそういう関連性も? ……と」
雪美「P……」
モバP「何ですか雪美さん」
雪美「真面目に……お仕事した方が……良いと思う……」
モバP「よし、やるぞ! まずはこの書類を片づけるんだ!」
ちひろ「雪美ちゃんが煽ってくれると素直なんですよねえ」
-
105
モバP「雪が積もったので雪合戦でもしないか?」
ペロ「ニャー」
雪美「お断りします……」モゾ
モバP「しまった、そういえば雪美さんは猫属性だった。道理でコタツで丸くなる訳だよ」
モバP「……しんしんと舞い降る雪……美しい光景だな」
モバP「雨は地面に当たって音が出るが、それがない。静かだ」
雪美「雪……美しい……」
モバP「雪美……か」
モバP「小学校の宿題で自分の名前の由来を親に聞かされた記憶だけあるなあ」
モバP「その時に聞いたはずの肝心の由来はもう忘れてしまったが」
モバP「……ねーねー雪美、どうして雪美は雪美って名前なの?」
雪美「……秘密」
ちひろ「しかしペロちゃんは知っています」 ニャー
-
今日はここまで
登坂車線ここまで
-
触手純愛とはいったいどういうジャンルなのか
-
106
モバP「今日は給食に好きな物が出たのか」
雪美「うん……イチゴのムース……」
雪美「……Pにも……食べさせたかった……」
モバP「気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう」
モバP「デザート回は得した気分になれるんだよな。イチゴでもジャムだったら出現率は高いが」
雪美「あれも……ビュッフェのとは……違う……」
モバP「給食のは袋が透明だが、ビュッフェのはポーションタイプだな。あれはちょっとリッチな気分になる」
雪美「分かる……」
モバP「ああ、でも給食かぁ。また食べたいなあ」
モバP「でも、調べてみると今の給食は以前より相対的に質素になっているようだな」
雪美「……私には……ちょうどいい……量……」
モバP「君たちアイドルは な ぜ か 体重が軽すぎる子が多いので気になります」
ちひろ「タブーに触れちゃいかんよキミィ」
-
107
モバP「雪美は落ち着いた、良い声だよな」
雪美「……どう聞こえるかは……人による……」
モバP「謙遜しているな」
モバP「例えば、深夜や早朝ラジオの独特の静けさの中で淡々と喋っていたら、俺が視聴者なら惹き込まれる」
モバP「勿論、現状その時間帯に仕事をさせる訳にはいかないんだがな」
雪美「……ラジオは……あまり……聴かない……」
雪美「……でも……朗読は……好き……」
モバP「ラジオドラマも良いが”朗読!”というのもオツだね」
雪美「……私でも……できる……?」
モバP「時間があるなら、お仕事ではないが、ボイスレッスンがてらちょっとやってみるか」
モバP「雪美の感覚でこの、銀河鉄道の夜を読んでもらおう」
――
ちひろ「その後、プロデューサーさんはトリップして倒れたそうです」
-
108
雪美「いつもの……」
モバP「膝の上……」
モバP「はぁ〜、疲れている時はやっぱりユキミニウムの摂取が一番だ」
雪美「……私……吸い取られて、いる……?」
モバP「早く抜け出さないとカラカラに干からびてしまうかもなぁ〜?」
雪美「……!」
モバP「……!!」
雪美「……そんなわけ……ない……」ペシ
モバP「あろうはずがございませんわな」
モバP「まあ、あまりにも長くこの姿勢のままでいればエコノミークラス症候群にはなるかもな」
雪美「……じゃあ……降りる」ピョン
モバP「あらあら」
ちひろ「そりゃ人間は何時間も膝の上に誰かを乗せることを想定して作られていませんからね」
-
109
幸子「プロデューサーさん!」
モバP「何だい幸子」
幸子「プロデューサーさんは女の子の扱いを分かっていませんね!」
モバP「そんなことはないぞ」
幸子「ほう、ではお手本を見せてもらいましょうか」
モバP「構わんぞ。――雪美さん」
雪美「うん……」 ヨジヨジ ポスン
モバP「よしよし」ナデナデ
雪美「……」(*゜-゜*)
幸子「ボクが言いたいのはそういうことじゃありません!」
雪美「……幸子も……座ってみる……?」
幸子「い、良いんですか?」
-
【交代タイム】
幸子「……ふ、フフーン。悪くないですね!」
モバP「幸子はいつも体を張って頑張っているのに、俺はこのくらいでしか労えないな」ナデナデ
幸子「プロデューサーさんは、いろいろボクたちを楽しませようとしてくれるじゃないですか」
幸子「自分を卑下しないでください? この、撫でる手でしか伝わらないこともあるんです」
モバP「男の子の扱いをよく分かっているようだな」
幸子「当然です! アナタはボクがどんな時でもカワイイを保つ為に欠かせない存在ですから、無下に扱えるはずがないでしょう?」
モバP「優しいな。とりあえず、無理はするなよ? 俺も無理をすることになるから」ナデナデ
幸子「んっ……分かりました」
モバP「しかし幸子も膝の上に乗るのに抵抗が無いんだなあ」
幸子「何ですか、いけませんか?」
モバP「育ちの良さが普段の所作で感じられるから、こういうのははしたないとか思わないのかなと」
幸子「……背徳感はないこともないです」
-
幸子「パパ以外の異性、それも年上の膝の上で落ち着けるって何でしょうね?」
モバP「落ち着くのか?」
幸子「普段の雪美さんの気持ちが分かります」
雪美「……幸子も……ひざ教に……入ろう」
幸子「怪しい宗教ですね! でも雪美さんが教祖様なら……いえ、冗談ですよ?」
幸子「……手が止まっていますよ? もっとなでてください」
モバP「分かりましてごぜーます」ナデナデ
幸子「あっ」ピクン
モバP「どうした」
幸子「そこはちょっと、敏感なので……優しくしてください///」
モバP「外ハネに神経が通っているのか君は」
幸子「……プロデューサーさん、女の子の体のことも知らないなんて可哀想ですね」ハァ
ちひろ「謎多き乙女の構造よ」
-
110
モバP「想像すると怖いものってありますよね」
ちひろ「改まって何ですか? リアルには想像しなくても怖いものだらけですけど」
モバP「ちひろさんの怖いの基準がよく分からないですが」
モバP「例えば、偶然入ったカフェが何と男の娘カフェで、しかもその日は島風デーだったら」
ちひろ「耐性がない人への精神攻撃はやめようね」
雪美「……また、変な話……している?」
モバP「聞かれた?」
音葉「雪美さんの耳は、ヘッドホンで塞いでいたから大丈夫……」
モバP「気を利かせてくれてありがとう、音葉」
音葉「いえ……。Pさんの声、やはり直接が良いですね……」
モバP「やはりって、そのヘッドホンで何を聴かせているのかな?」
音葉「録音したPさんボイス、です……。ふふ……」
-
雪美「Pも……聴く……? これ……気持ちいい……」
モバP「いや、自分の録音された声を聴きたいとは特に思わないなあ」
音葉「心地良い波長……。そして、照れの感情が20%……」
モバP「人の声の成分分析するのか。いつか声を聴いてミックスジュースを作ったり曲を作ったりしないだろうな?」
雪美「……面白そう」
モバP「それはそうと、君たちは想像したら怖いものはあるかな?」
音葉「…………」モンモン
雪美「…………!」ピキーン
音葉・雪美「うう……」ブルブル
モバP「先にイメージしてしまったか。君たちは想像力豊かだから注意しないといけなかった」
音葉「手を握って、もらえますか……」
モバP「分かった。……雪美もな」ギュッ ギュッ
ちひろ「一体何をイメージしたんですかねえ」
-
111
モバP「こういう仕事柄か、アイドルによくお土産を貰うんですよね」
ちひろ「プロデューサーさんがしてあげるから、みんなお返しをしてくれるだけですよ」
モバP「嬉しいことなんですが……という訳で、お菓子です」ドサ
ちひろ「ウチのお菓子のストック棚が盛況していますね」
モバP「ちょこちょこつまめるのは良いんですが、太らないか心配です」
ちひろ「私もです。あと、お菓子ばかりでなく、ドリンクも飲んでくださいよ」
モバP「野菜も食べなさいみたいに言いますね? 後ろ向きに検討します」
ちひろ「ケチー」
モバP「ドリンク、効くには効くんですが、こういうのは適度に頼らないと、耐性的なものが出来て効果が薄まるんですよ」
ちひろ「本当かなー?」
モバP「まあ薬なんかは欠かさず飲み続けないと効果がリセットされるとも言いますが」
ちひろ「それは本当でしょう」
-
ちひろ「それはそうと、ここにある巨大な箱は何なんですか?」
モバP「”開けてください”と書いてありますし、大方予想はつきますが」
ちひろ「開けてみましょうか。良いですよね?」 ハイ
ババーン!
雪美「……お菓子かと……思った? 残念……私でした……」
モバP「……」
ちひろ「……」
雪美「……?」
モバP「……! こんな所に居たのか雪美、会いたかったぞ!」ダキッ
雪美「P……苦しい……///」
ちひろ「さっきの間は何なんですか」
モバP「誰か入っているとは読めましたが、中身が意外過ぎて固まってしまいました」
ちひろ「予想していなかったのか……」
-
モバP「全く。雪美が幸子みたいな茶目っ気を見せるとは思わなんだよ」ギュー
雪美「……///」
ちひろ「いつまでやってるんですか」
モバP「おっとやりすぎた」パッ
雪美「……おどろいた?」
モバP「ああ、驚かされたぞ。そして、その衣装は黒猫の着ぐるみか」
雪美「似合う……?」キラキラ
モバP「似合う似合う、お似合いですよお嬢さん。またモフモフさせろ」
雪美「本音……出てる」
バタバタ キャー
ちひろ「あれ? もう一個、怪しげな容器がある」 パカッ
ペロ「ニャ!」
ちひろ「サザエさんかな?」
-
112
モバP「小学生の諸君、寒いと朝はお布団から出るのが辛くないか?」
晴「いや? 起きたばかりで布団にこもっていても何にもならねーし」
モバP「二度寝したいとかは思わない?」
晴「何だそれ? 大人ってそんなにダルいのか?」
モバP「わたくし、疲れた大人なのでしてー」
雪美「添い寝……したら……疲れ……取れる……?」
モバP「してくれたら安心してリラックスのデトックスで疲れも取れるだろうな」
晴「何する気だよ」
モバP「でも雪美は普段、ひょっとしてペロが布団の中に入ってきたりするのかな」
雪美「……うん、する」
晴「柔らかくて温かそうだなー。オレはさすがにサッカーボール抱いては寝られねーし」
ちひろ「においが付きそう、というのは野暮ですか」
-
今日はここまで
メルモンここまて
-
外ハネに神経が通ってると髪切る時にうっかり外ハネのところを切ろうとしたら激痛が走りそう
-
113
雪美「……」パチッ
モバP「?」
雪美「……」パチパチッ
モバP「……うっふん」バチンッ
雪美「……ペロ」
ペロ「ニャー!」バッ
モバP「むごっ! ぐぐ、ふざけて悪かったから顔は堪忍してやあ」
雪美「……ふふ」パチッ
モバP「アイコンタクトも様々だが、今日は瞬きで来るか」
雪美「両目を……パチパチ、させると……猫は……リラックス……する……」
モバP「大島弓子の古い漫画に確かそんなことが描かれていたな」
雪美「Pも……リラックス……しよう……」
ちひろ「ひょっとしてプロデューサーさんって、ヒトととして認識されていないんですかね?」
-
114
モバP「寝起きの雪美さんは夢現でいることがあるね」
雪美「……うん」
モバP「大抵は無反応無表情のクール分全開だが、たまに夢と勘違いしたような行動を取るから面白い」
雪美「……してる?」
モバP「してるとも。愛を囁いてきたり抱き着いてきたり、結構大胆不敵だ」
雪美「……覚えて……ない……」
モバP「よく考えればそんな状態やそもそも寝顔なんて、たくさん見ているんだな」
雪美「もう……。……私も……Pの寝顔……知ってる……」
モバP「一緒に仮眠とかするからなあ。俺の寝ている時ってだらしなかったりしていないか?」
雪美「ううん……。でも……手を握ると……うれしそうにする……」
モバP「その時の俺はきっと良い夢を見られているんだろうな」
雪美「Pと……楽しい夢……見たい……」
ちひろ「プロデューサーさんは割と常時夢現なところありますよね」
-
115
モバP「本日の雪美さんは度なし眼鏡を付けているな」
雪美「大人の……変装」フンス
雪美「……これで……Pと……デート……し放題」
モバP「やったね!」
ちひろ「やらせません」
モバP「しかし、眼鏡をかけたくらいでは意外とバレないようでバレるんですよね」
ちひろ「経験がおありですか?」
モバP「休日にちょっと格好つけて歩いていたら道路向こうの遠目から美嘉に見破られました」
雪美「Pは……雰囲気が……出てるから……」
モバP「しかしウィッグ付けたり帽子被ったりすると結構判別が難しくなることはありますね」
モバP「雪美さん、こっち」オイデオイデ
雪美「……何?」トコトコ
-
モバP「君にはこの帽子を被せてあげよう」
雪美「……お……」
モバP「もふもふパンダのニット帽です。今日のチェックと黒柄のレイヤードのコーディネートに似合うと思います」
雪美「……ちひろさん……どう?」キラキラ
ちひろ「可愛いです。頭に何か被るとまた雰囲気変わりますね。雪かきを思い出します」
モバP「よし、デート行こうか雪美」
ちひろ「プロデューサーさんは仕事中に遊びに行かないでください」
雪美「……!」ピコーン
雪美「……変装……Pは……私が……」
モバP「おっ、俺を変身させてくれるのか? いいやつで頼む」
【コーディネート中】
雪美「……できた」
ガチャ
馬マスクP「どうですかね? これじゃ目立って仕方なさそうですが」アッハッハ
ちひろ「アフォガードかな?」
-
116
雪美「P……宇宙人って……いるの……?」
モバP「おうどうした雪美さん」
雪美「学校……クラスで……議論……してる……」
雪美「私は……いると……思う……」
モバP「俺もいると思うぞ」
雪美「……本当?」
モバP「ああ。現にウサミン星人なんてのもいるしな」
雪美「………………うん……」
モバP「そうディレイのある反応をしないでくれ。言った自分が申し訳なくなった」
モバP「コホン……宇宙人はいると思う。これだけ宇宙が広そうなのだからな」
モバP「ただそれは我々人間に認識が可能なものであるかは分からない」
雪美「……認識」
-
雪美「……宇宙人は……見えない……の?」
モバP「普通の人は幽霊が見えないのと同じように、宇宙人も五感では分からないかもな」
モバP「基本違う次元にいて、何かの拍子でチャンネルが合ったりでもしない限り」
雪美「……今、ここに……隠れているかも……しれない……?」
モバP「しれないね。第一、水に覆われたちょっと寒めの青い星で酸素で生きている生物という存在だ」
モバP「これが宇宙全体からすると割とイレギュラーすぎて、規格に合わせられない気がする」
雪美「……」
モバP「生物は宇宙空間では生きていけない。なら宇宙人は生物形ではない別の何かとして存在しているのかもしれない」
モバP「……そんな風に一般のイメージとは違う方向で思いを巡らすのも面白いな」
雪美「……未知の世界……難しい」
モバP「専ら変な話ばかりして申し訳ないね。良かったらここに座るかい?」
雪美「……うん。……頭を……リフレッシュ……しよう」 ポスン
モバP「……まあ何を隠そう、俺こそ実は宇宙人なんだがね。自慢して良いぞ」 エー
ちひろ「もうちょっと真面目な宇宙人はいないものですかね」
-
117
雪美「P……徹夜……したの?」
モバP「気象関係でトラブルに見舞われてな。大変だったよ」
雪美「意識は、大丈夫……? ……眠くない? 何か……食べる……?」
モバP「世話を焼いてくれるのは嬉しいなあ」ナデナデ
モバP「だが大丈夫だ。今から仮眠室でゆっくり休むよ。あ、相手出来なくてごめんな。おやすみ〜」
雪美「……マイペース……」
――
モバP「……zzz」
雪美「眠くない……でも……Pと、一緒にいたい……」
モバP「……ん……う……」
雪美「……苦しい、の? ……スーツのまま……だから……」
雪美「……!」ピコーン
雪美「……脱がせて……あげよう……」
-
――
雪美「……」
雪美「……無理……。……緩める、くらいしか……できない……」
雪美「こんなに……重くなる……の……?」
モバP「……zzz」
雪美「……いつも……おつかれ……さま」ナデナデ
雪美「……」ジーッ
雪美「……目……開かない……?」
雪美「……」ソーッ
雪美「…………」
雪美「……///」
――
モバP「……!」パチリ
雪美「……すー、すー」 ア、アッタカイ
-
118
ズズズ プハー
モバP「熱い緑茶が美味しいですね」
雪美「……」 ←冷ましてる
ちひろ「今の子の多くは、茶柱が立つ、と言ってもピンと来ないらしいですね」
モバP「雪美はどう? 知っている?」
雪美「……知ってる……」
モバP「かしこい」
モバP「まあ、自分も現象としては知っていますが実際に見たことはありません」
ちひろ「注いだお茶に、その元になる茎が紛れ込むことが今はほとんど無いですからね」
ちひろ「ただ、必ず茶柱が立つお茶、というのが販売されているとは聞きますけど」
モバP「へぇ……でもそれは偶然立つからありがたいもののような気がしますよ」
ちひろ「でも一度は生で立った茶柱、見てみたくありませんか?」
モバP「そうですねえ」
-
ちひろ「ペットボトルやお湯を注ぐだけの粉末も良いですけど、やっぱり急須を使って淹れたいものです」
モバP「ですが若い時分は花より団子、趣より量、という感じでお茶はガブガブ飲みたい主義でした」
モバP「丸い茶椀に慎ましやかに注がれたくらいでは物足りなかったんですね」
ちひろ「男の子ですねえ」
雪美「……んっ…………ほのかな……苦味」
雪美「……ちひろさんの……お茶……好き」
ちひろ「ありがとう雪美ちゃん」
ちひろ「ちなみに私が雪美ちゃんくらいの時はジュースとか大好きでしたね」
モバP「家では家族行事の時でもないとジュースは無かったです」
ちひろ「健康志向で良いじゃないですか。若い内からお茶に慣れておきましょう」
モバP「ただ牛乳はあったのでお茶代わりにやはりガブガブと」
ちひろ「牛乳はあまりがぶ飲みには向かない飲み物だと思うんですけど……」
雪美「……だからPは……こんなに大きい……」フムフム
-
119
雪美「P……手を……貸して……」
モバP「何か手伝うのか? ……あ、本当に”手”を貸すのか」
雪美「Pの手……大きいから……塗りやすい」
モバP「保湿クリームだな……雪美の手の動きがマッサージみたいだ」
雪美「……終わり」
雪美「今度は……顔を……寄せて」
モバP「はい」
ヌリヌリ
雪美「……できた」
モバP「至れり尽くせりで俺はお坊ちゃまかな?」
モバP「リップクリームで唇も瑞々しくなったぞ。ありがとう」
雪美「お世話……楽しい……」
モバP「ああ……もし雪美さんが専属メイドになったら俺は温室育ちのダメ男になりそうだ」
-
モバP「しかし最近は乾燥しているから、保湿ケアはしないとな」
雪美「うん……」
モバP「寒い=天気が悪い=雪=湿気ありと思いやすいが冬場は乾燥しがちだ」
モバP「乾燥時ほど猛威を振るうインフルエンザにも注意が必要」
雪美「手洗い……うがい……欠かさずに」
モバP「そうだな。最近見かけるアイドルたちはマスクを着用している者も少なくない」
モバP「幸い、感染者はまだ出ていないが気を付けていても罹るものは罹るから怖い」
雪美「体を大事に……ね」
モバP「ああ。俺が倒れるとみんなが困ることになるからな」
雪美「うん……あなただけの……体じゃない……から」
モバP「よし。じゃあ行ってくるよ」
雪美「P……行ってらっしゃいの……キス……」
モバP「リップクリームを塗ったばかりでするのかい?」
雪美「……あっ」
ちひろ「……こんな時どんな顔をすればいいか分からないの」
-
120
モバP「体が冷えるこの時期、熱い湯に浸かりたいならやっぱり銭湯だなあ」チャプ
モバP「まだ時間の早い今は他に人がいないし、貸し切り状態だ」
モバP「ふー……」
モバP「普段、俺とコミュニケーションを取るのにいろいろと遠慮がないアイドルたちもいるが」
モバP「公共の場ではさすがに分別をつけるから、まさか男湯に侵入してくるはずもなく、安心だ」
ガラッ
モバP「!」
近所の爺さん「……おう兄ちゃん、また来とるんかあ」
モバP「どうも」
モバP「と、フラグも立て放題だ」
――
モバP「上がりましたよっと」
雪美「P……温かくなった……ね」ホカホカ
ちひろ「まあ、一緒に来てはいるんですけどね」ホカホカ
-
今日はここまで
今日から俺はマ王
-
一緒に銭湯に来るちっひ何だかんだ仲良いな……
乙
-
121
モバP「最近は雪美に触発されてか膝に乗ってきたがる子が増えてきた気がする」
雪美「……大変……?」
モバP「体のことなら大丈夫だ」
モバP「撫でるオプションとかを付けると仕事はやや滞るが大したことではない」
雪美「……ご苦労を……かける……」キリッ
モバP「ハハハ、良いってこと」
モバP「……それより雪美は、他人を乗せることで嫉妬したりはしないのか?」
雪美「……しない。……それより……良さを……知ってほしい」
モバP「ならばその良さに惹かれてお客さんが増えているのは本望か」
雪美「でも……Pと……一番深く……繋がっているのは……私」
雪美「……良さを……一番、分かっているのも……私」ギュッ
ちひろ「雪美ちゃんはクールだなぁ(白目)」
-
122
モバP「アイドルには様々なお仕事があるし、企画によっては様々な衣装が用意される」
雪美「……にゃー」キラキラ
モバP「こうして雪美が幼稚園児のようなチャイルドスモックを試着しているのもその一つだ」
雪美「……にゃー」ワキワキ
モバP「ネコミミと、襟元に鈴も付いていますし」
雪美「……にゃー?」
モバP「意図せずまじまじと観察してしまう。良いぞ良いぞ」デレデレ
モバP「雪美はこういうぶかっとしたものもフィットするなあ」
雪美「ンギャア」
モバP「……俺もしかして幻覚を見ていて、ペロに話しかけたりしていないよな?」
雪美「……ふふ……ごめんなさい……大丈夫……私……だから」
ちひろ「あら、尻尾まで付いているんですね。……何か今動いた気がしますけど」
-
123
モバP「久々の何もしない休日も良いものだ」
モバP「どこにも行かず、家でのんびりと過ごす」
加蓮「そうだね」
雪美「一理ある……」
モバP「本来そこに”誰とも会わず”も付け加えられるはずなんだがな」
モバP「お聞きの通り、今日はどこにも連れて行かないぞ」
加蓮「良いよ。ただPさんと、ダラダラ過ごしたいだけだもん。ねっ?」
雪美「……」コクン
モバP「なら構わん。ただプロデューサーの男の家に女子アイドルが居て大丈夫か?」
加蓮「あまりにいろんなアイドルが頻繁に出入りしているから、お咎めなしだね」
モバP「謎理論。社宅に格安で住まわせてもらっているから贅沢は言えないが」
モバP「みんなが近くに寄った時の休憩所になっているのは確かだな」
雪美「……便利」
-
モバP「まあ俺は家に居ないことの方が多いし、物置になるよりは、節度を守って利用してもらうのも良いさ」
加蓮「……お父さ――じゃなくてっ、Pさん」
モバP「おやおや、リラックスし過ぎて間違えたか? あるあるだな」
加蓮「違うの! もうっ! そんなに歳離れてないのに!」
雪美「……P……休み……邪魔して……迷惑じゃ……ない……?」
モバP「いんや? 誰か居る方が楽しいからな。共にぐうたらしようじゃないか」
モバP「加蓮や雪美とは充分打ち解けていると思っているから、気疲れもしないよ」
雪美「……良かった」
モバP「ところで、小腹空いたろう。実家の実家から送られてきたポテトを今フライにした」コト
加蓮「わーい! Pさん分かってる〜♪」
雪美「……いいの?」
モバP「俺が好きでサービスしているんだから気にしない!」
モバP「さ、箸もディップ皿もレタスサラダも出したし、手を合わせて」
「「「いただきます」」」
-
124
モバP「はぁ」
莉嘉「どうしたのPくん」
モバP「以前は平気だった虫を触るのが苦手になって歳を取ったなと実感して」
莉嘉「そういうのいけないんだよー? 心の老化は体の老化! これお母さんの格言!」
莉嘉「Pくんは若いじゃん! 何ならアタシがそれを実感させてあげよーか?」ガバッ
莉嘉「わはははー☆」グルングルン
モバP「目が回るわ〜……パッショナブルな励ましありがとうございます」
モバP「莉嘉は虫さん平気なんだよね」
莉嘉「平気だよ☆ 大したもんでしょー?」
モバP「ああ。だがこの先もそのままでいられるかな? 若さゆえの蛮勇・無敵感といったものは誰にもあるものだ」
莉嘉「それまで平気だったことが大人になってダメになるのってさ」
莉嘉「それ、ただキョーミ無くしただけなんじゃないかな?」
モバP「そこに気づくとは大した奴だ……」ナデナデ エヘヘー
-
モバP「しかし、カブトムシなんかはまあ良いとして、どんな虫でもって訳にはいかないだろう」
莉嘉「まーそこはねー。触ると危ないのはいるし、キライな虫だっているけど」
モバP「直接触る訳ではなくても、害虫にも臆さない男勝り婆ちゃんや肝っ玉母ちゃんみたいなのは凄いよなあ」
莉嘉「それはちょーすごいってゆーか、迫力ある!」
雪美「……」テクテク
モバP「おう雪美さん。雪美さんは昆虫とか触ったりできるかい?」
雪美「……」ニコッ
雪美「……できない」
ズコー
モバP「余裕の表情と見せかけてフェイントか」
モバP「しかし、成長してから抵抗が無くなるような人もいるだろうし分からんな」
雪美「Pが……怖がってたら……私も……怖い……」
莉嘉「じゃあ、苦手は克服しないとねっ☆ Pくん?」 ウッス
-
125
モバP「街は早くもバレンタイン商戦といった風でチョコレートが嫌でも目につくな」
雪美「限定品……おいしそう」
晴「実際うまいんだろうぜ。テレビで北欧の専門店を特集していたけど、すげー気合い入ってた」
モバP「海外デザインのチョコレートって我々の感覚からすると結構ファンシーだ」
晴「町並みからして何かカラフルだったりするよなー」
雪美「……マーブルチョコレート……みたいに……鮮やか……」
モバP「最近食べてないなあ。あれを見ると碁石を思い出すよ」
晴「形は似てるけどさあ……」
モバP「マーブルチョコレートと言えば、お皿に並べてお湯をかけてカラーアートを作る動画があるな」
晴「えっ何だそれ」
モバP「色が溶け出して面白いグラデーションになるんだ。本家はチューイングキャンディーだが」
晴「へー……まあやってみたいとは思わねーや」
雪美「食べないの……もったいない……」
-
モバP「とにかくビビッドカラーは日本にはあまり馴染みきらないところがあって新鮮ではあるな」
モバP「レインボーケーキやギャラクシーケーキなんて食べ物なのか一瞬疑ってしまうよ」
晴「それはこの前のロケで見たな。確かに体に悪そうな色してたぜ」
雪美「晴は……チョコレートや……ケーキより……ガムの……イメージ……」
晴「昔から好きだからな。でもPにアイドルに誘われてから、何て言うのかな」
晴「もうガムで変にボーイッシュ? 気取らなくても良いやって思うようにはなってきたな」
モバP「晴にとってはガムは嗜好品であると同時に、自分をアピールする物でもあったんだな」
晴「かもな。まずいろんな人と交流するのにガム噛んでたらちゃんと喋れねーからな」
モバP「ハハッ、ちげえねえ」
雪美「晴……プロ意識……かっこいい」
晴「よせやい、照れるぜ」ヘヘッ
雪美「言葉選びが……Pっぽくは……なってる……」
晴「責任取れP」
-
モバP「それはそうと、ガムも最近食べないねえ。俺は口寂しい時は飴派だし」
晴「オレの好感度が2ポイント減って杏の方に行ったぞオイ」
モバP「ガムは味なくなるとペッしないといけないのがなあ。チョコと一緒に食べると溶けてくれるが」
雪美「……初耳」
晴「どっからそういう知識を仕入れてくるんだアンタは」
モバP「大人の雑学だよ。尚、口の中はあまり愉快なことにはならない」
晴「だろーな」
晴「……Pは、バレンタインはチョコレート以外でも貰えたら嬉しいもんか?」
モバP「うれしいよ! 晴がくれるものは何でもうれしい!」
晴「あげるとは言ってねーだろ。……そっかー良いこと聞いたぜ」
モバP「世間では贈るお菓子によってそれぞれ意味があるらしいが、細かいことを気にし過ぎてもな」
モバP「後でフォローが要るならそれはそれでお互いをよく知り合うきっかけになるってもんさ」
雪美「……ポジティブ……すてき」
モバP「よせやい、照れる」 オイマネスンナ
-
126
薫「おにはーそとー!」
仁奈「ふくはーうちー!」
モバP「マッチ一本火事の元ー!」
ちひろ「それは違うやろ」
雪美「鬼は……どこ……?」
モバP「鬼とはな、我々人間の心の中に潜むものだ」
雪美「私の中にも……いるの……?」
モバP「ああ。そして心が弱った隙に雪美を乗っ取って悪さをするかもしれない」
薫「大変だー!」
仁奈「一体どうしたら良いんでやがりましょーか?」
モバP「節分豆は体の中に投げる、つまり食べて鬼を追っ払えば良いのだ」
ちひろ「何か慣習を曲解しているように見えますけど」
-
モバP「という訳で小袋入りの炒り豆どうぞ」
ちひろ「……いただきます」
雪美「……」ポリポリ
モバP「よし、これでこの二人は救われた。次行くか小鬼一号二号」
薫・仁奈「世直しじゃー!」
ちひろ「想像を遥か超えてフリースタイルだった……あなたたち鬼側だったんですか」
モバP「鬼に身を窶して鬼気迫る感をですね……うっ!」ガクッ
薫「せんせぇ!」
仁奈「隊長!」
モバP「二人ともすまない。ここまで頑張ってきたが……オラもう力が出ねぇ……」
薫「死なないでせんせぇ!」
仁奈「あなたが死んだら一体誰がこの星を守りやがるんですかリーダー!」
雪美「薫、仁奈……これを……食べさせて」
薫「分かった!」
-
仁奈「はい、あ〜んしやがりください」
カリッ モグモグ ゴクン
モバP「……」
モバP「……ふ」
モバP「ふっかあああああつ!」
薫「せんせぇ!」ガバッ
仁奈「ボス!」ガバッ
雪美「……」ポリポリ
ちひろ「茶番グダグダですけど。あと呼称統一しましょう仁奈ちゃん」
モバP「仙豆食べてる気持ちになるでごぜーますよ」
ちひろ「やかましい」
薫「はいはーい! 次はかおるに食べさせてー♪」
仁奈「その次は仁奈にもおねげーします!」
雪美(……仙豆?)ポリポリ
-
127
ナターリア「P! エホウマキという訳でもナイ、ノリマキ食べヨ!」
雪美「一緒に……作ってきた」
モバP「お、ありがとう。どれどれ……?」
モバP「……すごく……太くて長いです……」
ナターリア「男の子はタクサン食べテ、大きくならないとネ! ムフフ」
モバP「最後の笑いが意味深だな。では早速いただこうか」
モグモグ
モバP「美味い。この具は、納豆、アボカド、玉子に穴子? か」
モバP「ちょっと変わった取り合わせではあるが、即効で元気が出るようだよ」
雪美「……ふふ」モクモク
ナターリア「Pに元気になってもらいたいからナ!」ニコニコ
ちひろ「地味に精の付く物を詰め込んでますね……あ、おいしい」
-
今日はここまで
まだふみも見ず天橋立
-
乙
虫が苦手じゃないデレマスアイドルといえばコハルチャーン
-
128
モバP「……」(-_-)
雪美「……」(-_-)
ちひろ「ちょっと、額と額くっつけて何してるんですか!」
モバP「静かに……」
雪美「…………」
モバP「…………」
雪美「……ん……同期……完了……」パチッ
モバP「良し。これで例えどちらかが斃れたとしても、心は共にある」
雪美「……P……行ってくる」
タタタ
モバP「ちょっとしたSFごっこです」
ちひろ「真顔で言わないでください」
-
129
モバP「雪美」
雪美「何……?」
ツン
雪美「……?」
モバP「雪美の頬、柔らかいな」
雪美「……P」
グニグニ
モバP「あっあっ、ほっぺた引っ張らないで」
雪美「Pのも……やわらかい……楽しい」グニグニ
モバP「止めないのならこっちからももう一度だ」
雪美「……だめ。……大人しく……して……」グニグニ
ちひろ「雪美ちゃん、意外とやり返しますよね」
-
130
雪美「……P」
モバP「おっ、どうした雪美」
雪美「……あげる」
モバP「チョコレートかぁ! 嬉しいな、ありがとう……って」
タタタタッ
モバP「何も恥ずかしがることはないと思うが、行っちゃったよ」
ちひろ「受け取り方が普通過ぎてつまらない-346点」
モバP「どうしろと」
ちひろ「捕まえてハグしてキスの一つでもすれば良いじゃないですか?」
モバP「して良いんですか?」
ちひろ「勿論早苗さんには通報しますけどね」
モバP「まあ、また後で会うでしょうからそこでしっぽりと」
ちひろ「置き早苗さんしておきましょうか?」
-
ちひろ「しかし、見れば可愛らしい手作りですねえ」
モバP「本当ですよ。俺はつくづく幸せ者です」
ちひろ「大人はあまり相手に渡す為に手作りを、とはなりませんからね」
ちひろ「市販の高給なやつや珍しい物をチョイスして、それをどうぞと渡す感じです」
モバP「例えは変ですが自由課題みたいなもので、センスが試されますね」
ちひろ「作るにしても買うにしても、か」
ちひろ「……で、食べないんですか?」
モバP「雪美に貰った手作りチョコレートですよ? あまりに尊くてどう手を付けたものか」
ちひろ「勿体無くて食べずにいつまでも持っておく……ベタですね」
モバP「……ちょっとだけ」
――
モバP「……食べちゃったぁ」スッカラカン
ちひろ「自制心そんなに無かったですね」
-
131
モバP「雪美さんや」
雪美「……どうした……の?」
モバP「宮本フレデリカ直伝のビズをしても良いかい」
雪美「……? ビズ……知らない……」
モバP「ヒントは挨拶の一種だ。何をやるかはお楽しみ。やるかい?」
雪美「…………」コク
スッ
チュッ チュッ
モバP「ビズはフランス語、英語ならチークキスとも言うかな」
モバP「正面から相手の左頬に右頬を、右頬に左頬をそれぞれ合わせる。That's it!」
雪美「……///」ポー
ちひろ「明らかにキスまでしていましたよね?」
-
132
巴「強くなったのう、雪美」
雪美「……ありがとう……巴」
モバP「おっ、将棋教えていたのか」
巴「おう、Pか。見ての通りじゃ」
モバP「若いもんは上達が早いけぇの」
巴「何言っとるん、うちもまだ若いわ」
モバP「しかし教える側ってのも良いもんだろ? 自分にもフィードバックされるというか」ポン
巴「人の髪を気安くさ・わ・る・な・や」バシッ
モバP「まあ教えるのも良いけど後輩として可愛がられる経験も良いよなー」ワシャワシャ
巴「やめろ言うとるんに……雪美、こいつ取り押さえてイタズラするか」
雪美「する……!」
ちひろ「若いっていいものですね。参加はしませんけど」 チョマッ ドコサワッテンデイ!
-
133
モバP「ただいま戻りましたー」
モバP「あれ? 電気消してあるし誰もいない? でも戸締りしていないとは不用心だな」
ガサガサ ガサガサ
モバP「ん、何の音だ? まさか泥棒じゃないよな?」 カチッ
カチッ
モバP「蛍光灯が切れているじゃないか。参ったな」
ガサガサ
モバP「俺の机の方から聞こえるな」
モバP「――そこにいるのは誰だっ」
クルッ
ペストマスクの怪人「……ミタナ」
モバP「ひっ!?」
-
モバP「! お、おい……そこに倒れているのは、雪美……か?」
怪人「……」
モバP「お前がやったのか? 畜生、何てことだ。そこをどけっ!」
ダッ
モバP「あっ、おい!」
ガシャーン!
モバP「待て! ここは五階だぞ!」ダッ
モバP「……!」
モバP「いない……窓の外には、誰も……一体どこに……」
モバP「いや、とりあえず雪美だ。……雪美!」
モバP「――う、う、う、う、嘘だろ……血だらけ……体っ……冷たい……」
モバP「雪美いいいっ!!」
-
――
モバP「うわあっ!」ガバッ
チク タク チク タク
モバP「……ここは……俺の家か」
モバP「生々しい夢だったなあ。ここ何年かあんな類のは見ていなかった」
トットットッ
カラス「カー」
モバP「うへっ!?」
ビクッ
モバP「あっ、驚かせてすまん」
モバP「……おいおいおい、どうして家の中にカラスが入り込んでいるんだ。どっから入ってきた?」
モバP「アイドルの誰かが手引きしたとも思い難いし……」
pipipi
-
モバP「ん? 朋からのメールか」
身近な異性の友人が大切な人の死に目に会うかもしれない
今朝の占いだよ。
こんなのが出てきたの初めてで、あたし嫌な予感がしたから一応Pに教えておくね。
モバP「……ゾッとするな」
カラス「……カー」
モバP「おっと待ってろ、今外に出してやるから」
ジッ
モバP「空きっ腹か? しかし野生のカラスに餌付けなんてして良いものか」
ジーッ
モバP「……みんなには内緒で、一回きりだぞ?」
カラスくんはリンゴを食わせてからベランダに出すと何事も無かったように飛び立っていった。
妙な胸騒ぎがしていた俺は、その後すぐに身支度をして家を出た。
冬ながら春さながらの陽気に恵まれた、そんな朝だった。
-
モバP「おはようございます」
ちひろ「プロデューサーさん、おはようございます」
モバP「ちひろさん、何かおかしなことはありませんでした?」
ちひろ「いえ。どうかしたんですか?」
モバP「無かったなら良いんです。今朝からちょっと奇妙な目に遭っていまして」
ちひろ「あなたは年がら年中奇妙ですからね。さあ、仕事しましょう」
それから、プロデューサーとしての仕事に追われながら何事も無い一日が過ぎていった。
何か引っかかる感覚がありながらも時間が経つごとにそれも薄れていく。
夕方になり、雪美が事務所に顔を出す。
雪美「……P」
モバP「どうした? 雪美」
雪美「……」プイッ
スタスタ パタン
モバP「おっ、おい雪美っ!」
-
ちひろ「どうしたんですか? 構い過ぎて遂に嫌われました?」
モバP「……」ダッ バタン
モバP「雪美! 待ってくれ!」
モバP「はぁ、はぁ……一体、どうしたんだ?」
雪美「……」
雪美「……P……怖い……来ないで」
モバP「なっ……!?」
初めて見る冷たい目だったかもしれない。
俺の足は一歩踏み出そうとしたままで動けず、彼女が視界から去るのを見送る以外に出来ることは無かった。
事務所に戻るとちひろさんが備品が足りないが手が離せないと言う。
俺は外までひとっ走り買いに行くこととなった。
モバP「……考えても分からん」
カーカーカー
モバP「まだ冬やのにカラスが仰山飛んではるわ」
-
バサバサバサッ!
モバP「わっ、何だ一斉にこっちに!? 鳥葬か? 鳥葬なのか!?」
カーカーカー
『……オモイダセ』
モバP「う、うわあああああっ!」
――
ハッ
モバP「……あれ? カラス……」
気づくと俺は、店の中で買い物かごを持って立っていた。
白昼夢を見るとはいよいよどこかおかしくなったのだろうか。
とりあえず買うものを買って戻る。
モバP「ただいま戻りましたー」
モバP「あれ? 電気消してあるし誰もいない? でも戸締りしていないとは不用心だな」
-
ガサガサ ガサガサ
モバP「ん、何の音だ? まさか泥棒じゃ……待て、……俺は知っている」
モバP「夢だ。あれと同じことが……雪美!?」ダッ
ガサガサ
モバP「――おいっ!」
クルッ
雪美「……どうして」
モバP「えっ……!?」
雪美「どうして……ペロを……殺したの……」
モバP「! お、おい……そこに倒れているのは、ペロ……か?」
雪美「……」
モバP「違う! 俺がペロを殺したりなんかするものか!」
雪美「……」ツー
モバP「雪美、口から血が……あっ」 ドサッ
-
「な、何かの間違いだ。こんなの……俺は……俺は……!」
「……!?」
俺は窓ガラスを見た。
反射して自分の姿が映っていた。
黒づくめの、ペストマスクをした怪人だった。
「俺は……Pでは……無かっタ……?」
「俺は……ダレダ……?」
「オレ……? ワタシ……?」
「コレハ……ナニ……? アアアア」
「――そこにいるのは誰だっ」
クルッ
「……ミタナ」
「ひっ!?」
-
「! お、おい……そこに倒れているのは、雪美……か?」
「……」
「お前がやったのか? 畜生、何てことだ。そこをどけっ!」
ダッ
「あっ、おい!」
ガシャーン!
「待て! ここは五階だぞ!」ダッ
「……!」
「いない……窓の外には、誰も……一体どこに……」
「いや、とりあえず雪美だ。……雪美!」
「――う、う、う、う、嘘だろ……血だらけ……体っ……冷たい……」
「雪美いいいっ!!」
-
私はどこかの草むらの上にいた。
目の前にある澄んだ湖が、私の姿を映し出す。
黒づくめでペストマスク、そして黒い翼を持った、小さな体。
「……」
煩わしくなり、マスクを外す。
宵闇の帳が下りる前の僅かな光が、私の貌を見せてくれる。
……そうだ……私は……佐城雪美だった……。
「……ふふ……ふふふ……」
――
モバP「こうして哀れなPは夢と現実の境を見失い、佐城雪美に変貌してしまったのでした。続く」
雪美「怖く……ない、よ……? まかふしぎ……ただ……それだけ……」
紗南「プレイグナイト風の雪美ちゃんかあ……そのイベントどうすれば発生するの?」
光「Pは闇堕ち怪人マスクだったか! 安心しろ、アタシがきっと救い出してみせる!」
飛鳥「迷宮に囚われたヒトはやがて自我崩壊する……山月記の様だね」
ちひろ「中学生たちにもいいかげんな話をするな」
-
134
裕子「むむむ……む〜ん……きえええぇいっ!」
シーン
モバP・雪美「……」サクサク モグモグ
裕子「……」
裕子「サイキック・ツッコミ!」ピシッ
モバP「あたっ! 何だよー」
裕子「お菓子食べながら見ていないでプロデューサー、何か助言をください!」
モバP「そうだな……音楽をかけながら作業をすると仕事の効率が良くなることがある」
モバP「こいつでリズムに乗りながらパワーを高めてみたまえ」カチッ
エッビバリダンスナーウ!
裕子「おっ? おっ? 何だかノッてきたかも? しれません!」
裕子「行きますよー、ムムムムーン……サイキック・Everybody Dance Now!」
早苗「何? ポールダンスでもしてるの?」
【さなえがしょうかんされた!】
-
135
モバP「雪美さんマジ天使」
雪美「……」キラキラ
モバP「比喩ではなく本当に天使のような衣装なんだよな」
モバP「白で統一されたドレスにふわふわの翼、足は白タイツ、頭にはご丁寧に輪っかまで」
雪美「……天使って……何をすれば……良い……?」
モバP「人の側にいて加護を与えるのはどうですかね」
雪美「……かご……分かった……」
ポスン
雪美「これで……私は、どこへも……行けない……」
雪美「あなたを……守る……」
モバP「ははは、頼もしい奴じゃ……おふっ」
雪美「……?」
ちひろ「輪っかがプロデューサーさんの顔に当たってますね」
-
今日はここまで
明日になればきっと言える
-
136
モバP「世のお菓子には割とアルコールが含まれている物が多い」
雪美「……」クンクン
モバP「例えばこの美味しいラムレーズンサンドとかもな」
雪美「……」プイッ
モバP「幸い雪美さんはアルコールに敏感でこういうものには口を付けない」
モバP「児童が興味本位で食べて体調を崩すようなこともあるから、自分の判断で忌避してくれるのは助かる」
雪美「……」
モバP「でも一度酔った雪美さんを見てみたいと思ったこともない訳ではない」
雪美「……えっ」
モバP「……十年後な」
雪美「……うん……。それまで……一緒にいて……ね?」
ちひろ「志希ちゃんなら疑似的に酔う薬とか作れそうですけど、そこは言わぬが花ですね」
-
137
モバP「志希は最近失踪しないよな」
志希「正直キミから逃げ切れる気がしないんだよねー。すぐ捕まる」
モバP「またまたご謙遜を」
志希「確かにヒントは残すし遠くには行かないし本気で逃げてる訳じゃないけどさ〜」
モバP「完璧に逃げようと思えばいつでも可能だが、それじゃつまんない! だろ」
志希「そーゆーこと。縛りの中で導き出すから楽しいのだ。……それ、どう?」
雪美「イチゴの……フレグランス……いい」
志希「それは良かった♪ にゃはは」ナデナデ
志希「こうして雪美ちゃんとキミをのんびり観察してるだけで、満足な最近のあたし。焼きが回ったねー」
モバP「じゃあ、発想を変えて新しいことにチャレンジしようぜ。筋トレとかさ」
モバP「志希がそういうこと言い出すのは、退屈になってきて現状打破したい時だろ? 知ってるぞ」
志希「そういうとこ分かってるからキミはズルいんだよねー。でも、よりによって筋トレ推すー?」
ちひろ「インテリ脳筋に目覚めた志希ちゃんは見たくないですねえ……」
-
138
モバP「雪美さんはトレンチコートも似合うんですね。実にオシャレさんです」
雪美「……」キラキラ
モバP「帽子と合わせるとアンニュイな表情が実によく決まるな」
モバP「しかしおてては」
雪美「……猫の手」
モバP「ここにきて肉球手袋がカジュアルな方向に突き抜けているな」
雪美「これ……あったかい……」
モバP「触ってみても?」
雪美「うん……」
モフモフ
モバP「やだ柔らかい……」
-
モバP「でも指が使えないのが不便だな。どうやって抜くんだ?」
雪美「…………がんばる」
モバP「まあ押さえて抜くしかないか。手伝おうか?」
雪美「まだ……このままで、いい……」
モバP「そっか。……それにしてもトレンチコートはベルトで腰をきゅっと見せるのも良いが」
モバP「こうやって前を開いて、ミニスカートとコートの裾の長さの対比に耽るのも――」
ちひろ「思春期かお前は」
雪美「……そんなPは……こうする……」バッ
モバP「うおっ、肉球手袋で対面目隠しとは! ありがとうございます!」
ちひろ「Mの素質ありかお前は」
雪美「……ふふ……これで私は……見えない……」
モバP「肉球がプニプニして面白いっすねこれ」
雪美「……じゃあ……もっと……してあげる……」グイグイ
ちひろ「日常エンジョイ勢かお前は」
-
139
ちひろ「あら、チョコレートを食べているんですね」
モバP「バレンタインにアイドルから貰ったりイベントで配られたりで山とありますよ」
モバP「チョコレートなどは幸い日持ちしますから、ゆっくり消費しています」
ちひろ「大人の方たちとかは配慮してチョコレート以外を渡されたりもしたようですね?」
モバP「違うお菓子であったり、日本酒、ワイン、焼酎。食べ物以外をくれた方もいました」
ちひろ「責任持って、平らげる訳ですか?」
モバP「勿論。男モバP、出されたものは残さず食べる!」
ちひろ「モテる男はお辛いですねぇ」
モバP「自分もアイドルだったならそれこそトラックいっぱい貰えたりするんでしょうか?」
ちひろ「まあチェック入ってそれらが口に入るかは知りませんけどね」
まゆ「プロデューサーさぁん。チョコレートが減らないようなら、加勢しましょうか?」
モバP「やぁ、まゆ。イベントで配られた奴なら良いが、アイドルから貰った物は俺が食べきるよ。ごめんな」
まゆ「いえ。貴方に渡したチョコレートなのに、食べてもらえない立場はまゆも嫌ですからね」
-
ちひろ「それにしても、プロデューサーさんがアイドルから貰う分にも、どうなんでしょう?」
モバP「どうと言いますと?」
ちひろ「疑うつもりはないんですけど、例えば媚薬とか毒とか入れられていたりしませんか?」
まゆ「割とはっきり言いますねぇ」
モバP「毒……効かない体質なんだよね、俺」
ちひろ「キルアじゃないんですからそんなところで特異体質を発揮しないでください」
モバP「まゆ。これはA社からのだけど……はい、あーん」
まゆ「あーん……ん……おいひい」
ちひろ「話の合間にイチャつくのも止めてもらえませんかねえ……」
モバP「さて、俺はこれを……」パク
モバP「……ふむ。――うまい。だが毎年調合を変えて精力剤を入れてくるのはやめようね? と」カキカキ
まゆ「誰ですかぁ?」
モバP「志希」
ちひろ「バレンタインに託けて人体実験されていませんかね?」
-
ちひろ「しかし、手紙に一枚一枚、貰ったチョコレートの感想を書くんですね」
モバP「そして怪盗のようにアイドルの枕元にこっそり置いてきます」
ちひろ「アイドルの寝床に忍び込んでいるんですか!?」
まゆ「ロマンチックじゃないですか」ウットリ
モバP「まゆには気づかれましたけどね」
ちひろ「本当に警察呼ばれてもおかしくない事案ですよ」
まゆ「そんなことしませんよぉ。プロデューサーさんは紳士ですから……うふふ」
ちひろ「含みがありますねえ」
雪美「P……アナトール……みたい」
モバP「やぁ雪美。……ネズミがチーズの味を鑑定してくれる話か。あれ良いよなあ」
モバP「まあ基本は感謝と、どこが良かったかを素直な気持ちで書き綴ります」
ちひろ「本当、マメですね。暇な奴とも言いますけど」
モバP「お酒なら一緒に宅飲みして直接感想を言いますので無駄がありませんが」
-
ちひろ「二人とも、手紙貰えるのは嬉しい?」
まゆ「はい♪ 褒めてもらえれば張り合いが出ます」
雪美「次はもっと……おいしいのを……作ろうって……思える」
モバP「( ;∀;)イイハナシダナー」
ちひろ「ソウナノカナー?」
まゆ「まゆも最初は、惚れ薬とか入れていました。今は味にこだわるようになりましたけど」
雪美「ほれ薬……Pには……効かない」
ちひろ「雪美ちゃんは既に知っているのか……」
ちひろ「あ。ちょっと疑問なんですけど、惚れ薬と媚薬ってどう違うんですかね?」
まゆ「惚れ薬は惚れるだけ、媚薬は……ちょっぴり如何わしい意味も含む、という理解ですね……」
モバP「まゆの口から如何わしいなんて言葉が……変な気分だ。チョコレートのせいかな?」
まゆ「あっ……貴方に意識してもらえた……」
雪美「私も……意識して……」
ちひろ「よく考えたら何でドリンクは効くんだろうこの人」
-
140
りあむ「うう……」
モバP「新人は最初はなかなか上手く行かないよなあ」
りあむ「ぼくはクソザコナメクジのスローロリスだよ! もうダメぽ」
モバP「少しは開き直れそうかい?」
りあむ「りあむちゃんのガラスハートはクラック。10代終わりかけでこれだよう。やむ!」
モバP「なに、年齢幅広いアイドルの子たちと接していれば自然と強心臓になれるよ」
りあむ「ここのPサマが言うとめっちゃ不安だけど大丈夫かな? かな?」
モバP「困ったら助けになるよ」
モバP「ただ油断しているといつの間にか常識人枠に入れられているかもしれないから気を付けて」
りあむ「えっなにそれこわい。ぼくが冷静にツッコミに回るとか、草も生えない! よ!」
雪美「こんにちは、りあむ……。私を……すこれ」
りあむ「早速やみ感染者がいる!? ぼくみたいになっちゃいけないよ! でも真似されたい!」
ちひろ「……また一人アイドルが変な方向に捻じ曲がった音がした気がする」
-
141
あかり「あきらちゃん! りんごをあげるんご!」ハイ
あきら「自分に? ありがとう」クイッ
ガブガブガブ シャクシャクシャク
あかり「丸かじりとはワイルドですね! だがそれがいい!」
あきら「ごちそうさまデス」フキフキ クイッ
あかり「マスク戻しちゃうなんてそんなぁ、みんな大好き顔出しタイムが」
あきら「持ち芸みたいに言うなし」
ンゴ! デス
雪美「……仲、良さそう……。……あきらは……クール?」
モバP「ああ。……ギザ歯をマスクやマフラーで隠してるのって立派な属性だよねえ」
モバP「兄ぃくんと会ったことあるんだが彼いわく、懐くと指とかガジガジしてくるらしいぞ?」
雪美「あまがみ……愛情表現……」
あきら「こらPサン! それはガセ、いいね?」
-
142
モバP「冬は夏が恋しいもんだね」
雪美「……そう?」
モバP「そう言いつつ夏になると冬が恋しくなるという逆もありきか」
モバP「様々なことに当てはまるが、気温的な意味でね」
ちひろ「現代は以前より夏はより暑く、冬はより寒くなっている実感がありますからどちらもしんどいです」
ちひろ「気温なら過ごしやすい春や秋くらいを望むべきでは?」
モバP「それが正解なんですが、やっぱり冬と対になるのは夏って認識がありまして」
モバP「こんな日に都合良く夏の時の暑さを借りてきて、打ち消し合うことが出来たら良いのになあ、と考えます」
雪美「……P……たまに……変なこと……考える……」
ちひろ「小学生でもしないような発想ということです。残念でしたね」
モバP「あっ、そっかぁ……」
雪美「でも……良いと思う……がんばれPくん……」 ガンバリマス
-
今日はここまで
お金なんかはちょっとでいいのだ
-
>>280
クソ甘ァ!!!
志希にゃん以外からも薬盛られてるの草
-
143
雪美「ふふっ……つかまえて……ごらんなさーい……」
モバP「あははっ、雪美、待て待てー」
雪美「こっちよ……はやくはやくー……」
モバP「お転婆な奴めー、逃がさないぞー」
雪美「……ふふっ」ギュンッ
モバP「……っ!?」
モバP「雪美っ! ちょっ、まっ! 速いって! 足速っ!」
モバP「ふんぬっ! 負けるものかぁああ!」ダッ
モバP「ぬおおおおおおおおお!」
――
モバP「夢の中って上手く走れませんよねえ。いつも雪美に追いつけません」
ちひろ「夢でまでいつも雪美ちゃんに会えるなんて羨ましい」
-
144
モバP「おや……雪美、おはよう」
雪美「……うん……おはよう……」ポー
モバP「ぼんやりしているなあ。珍しく髪がハネているし」
雪美「えっ……本当……?」
モバP「おっちょこちょいさんめ。待ってろ、髪様を鎮めてあげよう」
――
モバP「はい。これでいつものクールに決まった雪美だ」
雪美「ありがとう……でも……」
モバP「何だ?」
雪美「Pも……髪が……はねてる……」
モバP「……あらー」
雪美「……座って……。Pのは……私が……鎮める……」
ちひろ「私の心も鎮めてほしいなあ」
-
145
モバP「バニーガールは欧米だと性の象徴とされ場によっては規制対象だ」
モバP「ましてや未成年にバニーの衣装なんて着せていたら」
モバP「日本ってクレイジーやな、と外国の人は思うのだろうか?」
雪美「……猫と……そんなに……違わない……」キラキラ
モバP「しかし雪美は着たがりさんだった」
モバP「頭にウサ耳、バニースーツの上に薄手のスラックスを重ね穿き……何か鼻がツンとするな」ムー
ちひろ「ちょっと刺激感じ過ぎじゃないですか? でも前髪の横分けでグッと大人っぽくなりますねえ」
雪美「……ドキドキ……してきた」
モバP「雪美が爆発しないか不安だ……これ一体どこから持ってきたんですか?」
ちひろ「コスプレ好きを侮るべからず。私のルートですよ。いろんなサイズあります」ジャン
モバP「あんたも好きやのう……」
ちひろ「あら、でも雪美ちゃんで見られて嬉しいでしょう?」
モバP「本当に感謝しかないです。一体何を企んでいる?(錯乱)」
-
モバP「これ、スラックスの下は普通にレオタードなんですか?」
雪美「……見る……?」
ちひろ「ダメですよ〜。愛梨ちゃんのような直レオタードはお見せできません。想像で補完してくださいね」
雪美「……ダメ……だって。……ふふっ」
モバP「ぐぬう」
モバP「しかしアイドルと言えど小学生、お仕事であまり煽情的な衣装は風紀上NGな訳で」
モバP「これは実質、激レア雪美だな。よく目に焼き付けておこう」
雪美「……これを見た……あなたは……ラッキー……♪」クルン
ちひろ「ドリンクなど買っていただければ後で写真送りますよ?」
モバP「商売すな! ……言い値で買います」
千秋「私にもください」
ちひろ「千秋ちゃんいつの間に……」
雪美「千秋……! ……千秋も、一緒に……バニーに……なろう……」
千秋「えっ……それは……///」
-
146
モバP「雪美さん雪美さんあそぼじゃないか」
雪美「……今は……ダメ」プイッ
モバP「……しょぼん」
千秋「誰だって一人になりたい時はあるものよ。仲睦まじい人でも例外ではないわ」
モバP「そうだな……」
――
雪美「P……かまって……」
モバP「雪美すまない。今はどうしてもこの作業を終わらせねばならんのだ。今度にしてくれ」
雪美「……分かった……」
雪美「……」ジッ
モバP「……ここをこうして……ああ、いかん。やり直しじゃないか……」
雪美「……またね……」 パタン
-
――
モバP「話をしようと思ったが、ハードスケジュールでくたびれて寝てしまったか」
雪美「……すー、すー」
モバP「こんな社用車ですが、家まで送っていきますよお姫様。ゆっくりお休みになられてください」
モバP「ふわぁあ……っと、いかんいかん。俺も疲れているのかな。気を付けよう」
――
ギィ
雪美「……P……?」
ちひろ「あら、雪美ちゃん。もしかしてプロデューサーさんに用があるの?」
ちひろ「残念ですけど、打ち合わせに付き添いにで、今日も夜まで帰って来ないと思いますよ」
雪美「……」
ちひろ「そんな悲しい顔をされると辛いです……」
ちひろ「そうだ、お菓子でも食べていきませんか?」
-
――
杏「最近雪美ちゃんの相手してる?」
モバP「それが近頃は間が悪くて、なかなかね」
杏「雪美ちゃん、気を抜くと自分のことは後回しで良いからって遠慮し始めるからね」
モバP「最初の頃はそうだったな。分かっているつもりではあるんだ」
杏「分かってるつもりで相手の気持ちの確認を怠っていると、すれ違いが起きるよ」
モバP「疲れや忙しさに気を回しすぎず、俺から話しかけるべきだったか」
杏「でもボタンのかけ違いに気づいた時には、大切な人は寝取られていた」
モバP「鬱展開の王道はやめてくれ」
りあむ「Pサマ〜! めっちゃやむ! 本当にやんじゃうぞ! 良いのか!?」
モバP「おーよすよすどうした」
杏「……うちのプロデューサーって替えが利かないのがシステムとしては致命的だよねえ」
モバP「システム言ってやるな」
杏「ここは杏が面倒見るから、行ってあげなよ。――りあむ、一緒にサボろうぜ!」 オイコラ
-
――
雪美「……」
ガチャ
ちひろ「はい、あとは若い二人でね」 エッ
バタン
モバP「いきなり休憩室に連れて来られた……雪美か?」
雪美「……P!」ダキッ
モバP「おお……不安がらせていたみたいだな。ごめんな」ナデナデ
雪美「違う……私が……Pの誘い……断ったのが……」
モバP「そんなことで雪美と距離を置いたりしないよ。後でフォローしなかった俺の慢心だった」
モバP「雪美は俺が思っている以上に、俺のことを考えてくれているんだな」ギュッ
雪美「……」ギュー
モバP「……」ヨシヨシ
-
雪美「………………ふぅ……ありがとう」
モバP「いい顔だねえ。解決したら気持ちの切り替えが早い、さすがだ」
雪美「……でも……Pに、かまってもらいすぎ……良くない……?」
モバP「どうかな……雪美は俺に構ってほしいんだな?」
雪美「……うん」
モバP「良かった。俺もよく雪美に構ってほしくて誘ったりしているから、お互い様だ」
雪美「……なるほど……」
モバP「そして今はお互いに受け入れる余裕もある。このままゆっくりしよう」 ウン
――
ガチャ
モバP「……戻りました」
雪美「……///」ポーッ
ちひろ「事後っぽい雰囲気を醸し出すのやめましょうね」
-
147
モバP「美味しそうなドーナツがいっぱいだな」
雪美「……カラフル」
法子「おひとつどーぞ♪」
モバP「このグリーンはメロンチョコかな? それともアイシングかな? いただきます」ヒョイ
法子「雪美ちゃんも、選んでね?」
雪美「ピンク色……貰う……」
モグモグ
モバP「美味しいなあ。こんな見て良し味良しの市販ドーナツ、幼い頃はたまにしか食べられなかった」
法子「じゃあ、反動が来ていたりする? よくドーナツを大人買いしちゃうとか」
モバP「いや、代わりにカーチャンがよく揚げドーナツを作ってくれていたから満たされていたよ」
モバP「ホットケーキミックスか何かを使っていたのかな? 型抜きした穴の部分の丸ドーナツも食べたなぁ」
法子「家庭の味ドーナツ……何だかそれはそれで羨ましいかも」
ちひろ「もしかして:アメリカンドッグ」モグモグ
-
148
モバP「たまにボウリングに行くと筋肉痛になりません?」
ちひろ「……本格的に歳ですかあなたは」
モバP「普段使わない所を動かしているせいなんでしょうが、人間の体って面白!」
ちひろ「客観的に言いますねえ」
モバP「それとはまた違いますが、昨日は雪美と張り切り過ぎまして若干腰が痛いのです」
ちひろ「……」チラッ
雪美「……?」キョトン
モバP「ダンスのことなんですが、何を想像して雪美の方を見たんですか」
ちひろ「いや何しでかしたのかと。まあプロデューサーさん、身持ちが堅いと身内から評判ですからね」
モバP「それは女性に対して使う言葉な気が」
ちひろ「それにしても破天荒な存在のあなたでも人並に体を痛めたりはするんですね」
モバP「いや〜それほどでも〜」 ホメテナイ
雪美「……Pの腰使い……激しいから……」 イミシンデスネ イミシンイウナ
-
149
こずえ「ぷろでゅーさー……だっこしてー」
モバP「……すまないこずえ。見ての通りだ」
杏「おっす」
仁奈「えへへ」
モバP「右に杏、左に仁奈と小脇に抱えていて俺の手は塞がってしまっているのだ」
雪美「……」ヒソヒソ
こずえ「……んー……なるほどー」
こずえ「だったらー……かたぐるまで、たのむー」
モバP「よっしゃ、それだったら良いぞ!」
【合体】
モバP・杏・仁奈・こずえ「わっはっはっはー」
雪美「P……とても……立派……」パチパチパチパチ
ちひろ「アイドル三刀流とは腕を上げたなあいつ……」
-
150
雪美「私は……Pにとって……どんな存在……?」
モバP「一つに絞れないが、とりあえず神様みたいな側面はあるな」
雪美「……神様……?」
モバP「膝の上に御座す神様――膝神様とでも言おうか」
雪美「……」
モバP「徳の高い神様だよ。雪美さんが俺に乗ってくれていると、何もかも上手く行く気にさせてくれる」
雪美「させてくれる……だけ?」
モバP「神様はきっかけをくれるだけ。人は最後は自らの手で切り開かなくてはならない」
モバP「でも、だけでも心強い。ここで護ってもらっているという安心感があるというかね」
雪美「……私の方が……護られて……いるのに……変なの……」
モバP「まあそれで言うと俺の膝は神様を祀る神棚ってことになるのかな」
ちひろ「プロデューサーさんには榊の代わりにイチゴの葉でも飾りましょうか」
-
今日はここまで
俺たちに明日はない
-
乙
モバマスは未成年どころか年齢1桁台の薫ちゃんに白ビキニ着せたりするからなぁ
-
151
モバP「雪美。クッキー作ってきたんだが一つ食べるか?」
雪美「うん……」
サクッ
雪美「おいしい……形も……P……上手……」
モバP「些細なことでも褒められると本当に嬉しいな〜このやろ〜」クネクネ
ちひろ「トナカイかな?」
雪美「……でもP……失敗……しない……」
モバP「それは表に出さないからそう見えるだけだよ。お仕事も多くは本番の成功のみを見せる」
モバP「裏で多くの失敗や過程があっても、身も蓋もない言い方をすれば結果だけが残るんだ」
雪美「……みんな……努力、してる……Pも……」
モバP「そう。人の見えない所まで想像して理解するのは難しいが、そうなれたら立派だな」
ちひろ「でも私には訳ありの割れクッキーいっぱいくれますよね」サクサク
-
152
雪美「……どう……?」キラキラ
モバP「雪美さんはどうして何を着させても、俺のハートを射抜いてしまうのかしら?」
モバP「ノースリーブとミニスカートのチア衣装、良いぞ。ロングポニーでステージでも必ず目立つ」
雪美「……私が……チア……。……変な……気分……」
モバP「チアリーディングをやっている女子はアメリカのスクールカーストでは上位とか聞いたことがある」
モバP「海外学園ドラマによくいる勝気系ボンキュッボンな子がこれだったりそうじゃなかったり」
雪美「……Pは……私より……智香みたいな……体……好き……?」
モバP「本場を理想としてチアを追い求めるなら成長して鍛えられた体の方が見映えする」
モバP「ピラミッドを組んだり、跳ね上げたり、受け止めたり、アクロバティックなことをするからな」
モバP「だが、今の雪美は雪美として出来るチアをやれば良い。それが一番だ」
雪美「……了解……私のチアを……やってくる……」
雪美「……がんばれ……がんばれ…………と、がんばる……」フレフレシャンシャン
モバP「この独特のローテンションが好きなの」
-
153
モバP「……俺は今、夢の中か」
雪美「……P」
モバP「お、雪美だ。何の用事かな」
雪美「……今日こそ……私と……契りを……交わして……」
モバP「そうだったな。何がそうなのか知らんが夢はそういう設定で動くもんだからな」
モバP「うーむ、こんな明晰夢を見るのはいつ以来か」
雪美「……キス……して」
モバP「夢とはいえ知り合いとストレートなキスをするのは気が引けるが……流れに従うか」
チュッ
モバP「……」
チュチュ
雪美「……もっと……んっ」
-
雪美「ん……んん……」
モバP(うわあ、何か罪悪感と情けなさを自覚する)
モバP(でも柔らかくて悪くない心地だ……)
雪美「……ぷは……」
ガバッ
モバP(雪美、俺に乗りかかっているのに軽いなあ。俺の頭の中にある仮想の存在だからか)
雪美「もっと……深く……繋がりたい……」トロン
モバP「! ……ごめんよ。俺はもう――」
――
モバP「……」パチリ
モバP「――目が覚めてしまったんだ」
晶葉「おはようP。夢の映像化実験、終了だ……雪美が好きなのは分かるぞ? だが……」
モバP「うわ、よりによってこんな時にあんな夢を見たのか」
晶葉「……雪美に扮したショゴスを愛でるのはどうかと思う」 エッナニソレハ
-
154
モバP「ひな祭りイベントもこれにて一段落。皆さんお疲れ様でした」
モバP「……ふぅ……春の陽気が一気にやって来て活気づくとはこのことか」
雪美「……P」ヒョコッ
モバP「何だ雪美さんか。どうした? 私をさらって一緒に遠くまで逃げてくれるとか?」
雪美「……変なこと……言わない。……Pも……おつかれさま……」
モバP「基本的に自分たちは裏方だから最後もアイドルの皆を労う立場だ」
モバP「じゃあ裏方は誰に労ってもらえば良いのか? という時にアイドル側から一言でも声をかけてもらえるのはとても嬉しい」
モバP「ありがとう、佐城雪美さん」
雪美「……P……まっすぐ……見てくれるから……好き」
モバP「……雪美」
雪美「……P」
ちひろ「先に恥ずかしくなって目を逸らした方が負けなのか、ずっと見つめ合っていますね」
-
155
モバP「ちょっと早いが春はイチゴの季節だな」
雪美「……イチゴ狩り……行きたい……」
ありす「良いですね。行きましょうよ、Pさん」
モバP「イチゴガールズよ、その手のお仕事はしっかり受けてあるぞ」
雪美「……ノー、お仕事」
ありす「イエス、家族サービス」
モバP「俺はお父さんじゃないから。……まあ、誘ってもらったら行かなくてはな」
ありす「さすがPさん、話が分かりますね。下調べは任せてください」
雪美「……勝負下着……何にしよう……?」
モバP「堂々と勝負下着言うな。オフで一泊遠征はさすがに時間が取れないので近場日帰りでお願いできませんか」
ありす・雪美「……残念」
ちひろ「お父さん、仕事してください」
モバP「あ、今の”お父さん”は熟練度高いですね」 ハ?
-
156
モバP「……」テキパキテキパキ
美優「Pさん、今日はいつにも増して真剣ですね……」ポー
ちひろ「普段から真剣みたいな言い方ですけど、最近暖かくなってきたせいかポンコツ化していましてね」
ちひろ「ちょっとコレで気合いを入れてもらいました」
早苗「ちひろさん特製ドリンクを授けたと。あらま献身的だこと」
ちひろ「私もたまには楽をしたいんです。他意はありません」
早苗「そんなこと言って随分と仲良いじゃあ〜りませんか」
ちひろ「まあ日常で異常なハードワークをこなしている友人ではありますね」
美優「基本ほぼ二人で二百人アイドルの事務所を回しているって非常識ですよね……」
ちひろ「鬼や悪魔の方がもう少し良い職場にいるんじゃないかと思いますよ。見たことないですけど」
美優「少し、手伝いますね……」 アリガトウゴザイマス
早苗「確かにそれで相方に気を抜かれちゃうと死活問題だわね。でも、気候の問題かな?」
-
ちひろ「と言いますと?」
早苗「P君って暖かくても寒くてもアイドルたちとよく遊んで食べて眠ってない?」
美優「ふふっ……そう言えば」
ちひろ「食う寝る遊ぶの三大欲求に正直なのは羨ましいことです」
早苗「でも大人向けの”遊ぶ”だったらシメなきゃいけないんだけどね」
ちひろ「じゃあ、あれは片桐判定としてはどうです?」
雪美「……P……お仕事……?」
モバP「……雪美……ちょっと懐に来い」ヒョイ
雪美「えっ……あ……」ポスン
雪美「…………仕方ない、にゃー……」
美優「カンガルーの子どもみたいですね」ホワホワ
早苗「満更でもなさそうなのがなー。でもあれはなー」
早苗「あたしもやってもらったことあるからアウトにできない……」 オオ、モウ……
-
157
モバP「紗南の番組にゲストとして出るからゲームに慣れたい?」
雪美「……」コク
モバP「なるほど、雪美はテレビゲームの類はやらないタイプだよなあ……わかるわ」
モバP「じゃあ、畳部屋だがここで、少しマリオカートでもやってみるか」
雪美「……じゃあ……Pが……私の……コックピット……」ポスン
モバP「雪美は大胆だなあ」
【レース中】
モバP「…………ふふふ」
雪美「……何……笑って……」
モバP「コーナーで体が傾くタイプか。親近感が湧いてつい。すまん」
モバP「俺の体まで一緒に傾いてしまった。そういう特徴は好きだぞ」
雪美「……それなら……許す。……♪」
ちひろ「女の子を乗せているとはいえ、胡座でゲームしている後姿は何とも哀愁が」
-
今日はここまで
夕食はドン勝だ!
-
しょご……
初めての出番で他人がちゅっちゅしてる夢を見せられた晶葉ェ
-
158
モバP「日常の一風景」
モバP「ボルダリングをする雪美さん」
雪美「んっ……」
雪美「……ほっ……」ヒョイッ
雪美「……うう」
雪美「…………よっ」パシッ
雪美「やった……P……見て……!」
モバP「見てるぞー。雪美さんは今日も絶好調だな」ニコニコ
雪美「……ふう」
ストン
雪美「……これ……伝わりにくい……」
モバP「でも雪美さんの掛け声を聴いているだけで耳が幸せ」
ちひろ「ここの社内ジム何でもあるな」
-
159
モバP「雪美さんは水着でも薄着でもあまり気にせず俺の上に座るじゃないですか?」
雪美「……うん」
モバP「俺も何でもないかのように平然と座らせているじゃないですか?」
雪美「……うん」
モバP「……毎回理性を保っている自分が怖い」
雪美「……怖くない、よ……? 大丈夫……」
雪美「……あなたは……私の……Pだから……変なことは……しない」
モバP「雪美は俺を誘惑するがな。しかも俺はそれを楽しみにしてしまっている」
雪美「……でも……この繋がりは……もっと……崇高な……ものだから」
モバP「崇高、か。難しい言葉を知っているなあ」
モバP「ちなみに今日の、チュニックワンピース&スパッツという格好も、結構クるものがあるね」
雪美「……それは……ほめてるの……?」キラキラ
ちひろ「変に溜め込む人は破局的な爆発をしたりしますからね」
-
160
モバP「温水プールで雪美を見ていて思ったんだがな」
雪美「……うん?」
モバP「ゴーグル女子って良いね。陳腐な言い回しをするなら、萌えるってやつだ」
雪美「萌え萌え……?」キョトン
モバP「雪美にそれをやられると感情が芽吹くというより燃え滾ってしまうな」
雪美「P……気をつけて。……燃えすぎると……灰になる……」
モバP「ハイにはなっても灰にはならんさ」
雪美「……はい?」
モバP「……それはともかく、ゴーグルだ。スイマー系、ライダー系、スノースポーツ系、エンジニア系など様々だが」
モバP「目を保護する装備感、それを女性が着ける凛々しさ。何かに立ち向かう感じがする」
モバP「ちょうどここにバイク用のがあるんだ。良かったら着けてみたまえ」
雪美「……」スチャッ
モバP「雪美はこっちのゴーグルも似合うね」
-
雪美「でも……外した方が……Pは……見やすい」
モバP「普段は外す、そのオンオフがまた魅力だな。……いつか二人でバイク旅しない?」
雪美「……Pは……バイク……乗れるの……?」
モバP「お恥ずかしながら、免許は持っているが趣味のレベルにまでは昇華出来ていない」
雪美「……免許……いいな……」
モバP「でも自分の為じゃなくて誰かの為に趣味に入れ込めるのってちょっと憧れなのよ」
雪美「……Pの場合……ただ旅を、したいだけ……かも……」
モバP「見透かされているな。……二人で旅する時は、雪美さんが運転、俺は喋るモトラドかな」
雪美「運転するの……私……?」
モバP「冗談だよ。でも雪美に運転や整備してもらえるのなら俺はエルメスになっても良いや」
雪美「……P……バイクに、なると……困る」
雪美「抱きしめて……もらえない……」
モバP「……そういうことをさらっと言っちゃう雪美にはかなわんな。悶えるぞ?」
ちひろ「そういうとこだぞ」
-
161
みく「Pチャン、また袋ラーメン食べてる」ガサガサ
モバP「ゴミ箱を調べるでない。猫かお前は」
みく「心配なの。アイドルのセーフハウスと化したPチャン家だけど、独りの時は食事が雑だもん」
モバP「孤食はつい作るのも手抜きをしてしまいがちだな。社会問題とされるのも分かる。健康に悪そう」
みく「他人事みたいに言わないの。……これはチキンラーメンだね」
モバP「同じラーメンでも鍋汚して洗わなくて済むから楽なのよ。最悪お湯入れずに齧っても良いし」
みく「想像以上に酷い不精だにゃ……早く何とかしないと」
モバP「外食でなく自宅で孤食という機会自体はそんなに多くないんだがな」
モバP「男メシとか、やる気がある時は作るんだよ。キャベツの千切り丼とか」
みく「それは男メシじゃなくて貧乏飯!」
モバP「李衣菜には、ロックですね! と言われたぞ」
みく「ロックされるのはこっちの食欲にゃ。ええい、今からみくがご飯作る!」
-
モバP「……」
みく「あ、サカナ料理は作らないよ」
モバP「まだ何も言っていない。……でも以心伝心って凄いなー」
みく「図星かっ!」
雪美「……みく。……Pも……どうしたの?」
みく「雪美チャン! 聞いてよ〜、またPチャンが堕落してるの!」
雪美「いつものこと……」ニコ
モバP「」ガーン
みく「人をもてなしてばかりで自分を大切にしないPチャンにはおしおきが必要にゃ!」
モバP「何か理不尽」
雪美「おしおき……プロレス……?」ワクワク
みく「いや、ご飯を作ってあげたいんだけど……Pチャンは普段お嫁さんに何を仕込んでいるの」
モバP「雪美さん意外とアグレッシブなの……」
-
――
みく「という訳で買い出しに出た訳だけれども」
未央「みくにゃんの手料理楽しみだなあ。不肖本田未央、ご相伴に与らせていただきます!」
卯月「未央ちゃんったら。私たちも手伝うんですよ?」
凛「働かざる者食うべからずってね。ただしプロデューサーは台所に立つの禁止」
みく「何か増えた」
モバP「仕事終わりのニュージェネに出くわすとは、犬も歩けば棒に当たるもんだ」
雪美「……にぎやか……楽しい……」
みく「みくがPチャンにご飯作ってあげる予定が、何か趣旨がズレて行きそうだにゃあ」
藍子「あっ、一際目立つ集団がいると思ったら、Pさん御一行じゃないですか!」
響子「また何か面白いことでも企んでいるんですね? 私たちも乗りますよっ!」
みく「どんどん増えるよ!?」
雪美「……町は……アイドルで……いっぱい」
-
162
ちひろ「今日は一日、忙しそうでしたね」
モバP「ホワイトデーの贈り物を皆さんに渡して回っていまして」
ちひろ「数が多いのに手渡しにこだわるところが律儀ですね」
モバP「そこが自分の唯一の取り柄ですから」
ちひろ「勉強できる子がテスト日に全然勉強してないよって言うのに似た嫌味に聞こえますけど」
モバP「では、嫌味ついでにお菓子も受け取ってください」ハイ
ちひろ「ありがとうございます。……手作りなんですね。まさか全員に?」
モバP「基本はそうですね。知り合いの櫻井君の屋敷の大きな厨房を借りて作りました」
ちひろ「櫻井……屋敷……あっ」
雪美「……P……やっぱり……ここにいた……」
モバP「おっと雪美さん! 実はな、雪美さんに渡したいものがあって」
雪美「……! ……えっ……なぁに……?」 ハイコレ ワァ
ちひろ「……私の扱い軽くないですか?」
-
163
モバP「先日他所の事務所のプロデューサーと話す機会がありまして、情報交換などしたんです」
モバP「何でもあちらさんは家が頻繁に燃えるらしいですね」
ちひろ「それは尋常じゃありませんね」
雪美「……どういうこと……?」
モバP「車が突っ込んできて炎上したり、延焼に巻き込まれたり、火の玉が降ってきたり、とにかく運が悪いと」
モバP「憐れんだアイドルの家に居候するようになってからはそんなことも起きなくなったそうだ」
雪美「……良かった……火事……怖い」
モバP「別のプロデューサーも対人運が悪いようで、よく担当アイドルに刺されるとか」
ちひろ「よく刺されるってその方のアイドルは蚊か何かですか」
モバP「でも強靭な肉体と豪運で事なきを得て、今では壁を乗り越えてハーレムを作っているそうです」
ちひろ「……プロデューサー界は魔境ですね。それらの話が本当であるならですけど」
モバP「まあ自分もアイドルと懇ろになるなんてオチは都合が良すぎるとは思いますが」 ソッチジャナイ
雪美「Pは……Pだから……良い……」
-
164
モバP「本格的に温かくなってきましたねえ」
ちひろ「エルニーニョ現象のターンでは暖冬冷夏だとか言いますね」
モバP「厳寒猛暑は辛いのでその方が助かると言えば助かりますが」
雪美「……同意」
モバP「ただ温暖化の影響で冷夏も冷夏になりきらないんじゃないかって天気予報士が言っていました」
ちひろ「次にまたラニーニャ現象のターンが来た時を考えると憂鬱ですねえ」
モバP「それはそうと沖縄では三月からもう海開きだそうで」
ちひろ「へぇ、早いですね。私も一度はプライベートで泳ぎに行ってみたいものです」
雪美「……いっしょに……行く……?」
ちひろ「うん、行く」
モバP「即答か」
ちひろ「何だったら有給取りますよ? アイドルと一緒に素の旅行なんて贅沢は滅多に味わえません」
雪美「……でも……Pも……いっしょに……来てもらう……」
ちひろ「二人して休んだら会社回らないですね……」 カナシイナァ
-
165
ペロ「ニャー」
モバP「おうペロっち。元気にしていたか? 良い気候になってきたな!」
ペロ「フシャー!」
雪美「……ペロっちは……馴れ馴れしい……だって」
モバP「それはすまなんだ。では改めて……ペローンちゃんおっは!」
ペロ「ンギャギャ!」
雪美「……ぼくを……ドローンみたいに……呼ぶな……」
モバP「分かった。……ペロお嬢様、湯浴みなどなさいませんか? どうぞこちらへ」
ペロ「…………うー」フイッ
ペロ「……」チラッ
雪美「……普通に呼んでよ……ばか……」
モバP「ペロ」 ニャ!
ちひろ「通訳雪美ちゃんが割と迫真なんですよね」
-
今日はここまで
今日も今日とて
-
>>321
お嫁さん……仕込む……プロレス……よし閃いた!
-
166
モバP「世の中にはドールというものがあり、表情のバリエーションの一つに眠り目がある」
雪美「……」ウトウト
モバP「眠りかけのような薄目の状態――ちょうど今の雪美さんみたいな」
雪美「……ん……」カクッ カクッ
モバP「雪美……?」
雪美「……!」ピクッ
雪美「…………P……?」
モバP「仮眠室に行こうか」
雪美「……ん」コク
ちひろ「おねむな雪美ちゃんは口数が減りますねえ。まあ誰でもそうでしょうけど」
モバP「学校で体育の後の授業中とか、一度こうなるとなかなか起きていられないんですよね」
モバP「では、ちょいと夢の旅に行ってきます」
ちひろ「あ、プロデューサーさんは添い寝なんてせずに早く戻ってきてください」
-
167
モバP「日常の一風景」
モバP「宵の空の星を眺める雪美さん」
雪美「……いい……天気……」
雪美「暗く……なっていく……」
雪美「空気も……冷たく……」
雪美「…………」
モバP「?」
雪美「……さみしい……」
モバP「スケールの大きな存在に臨むと圧倒されるよな。そして孤独感を覚えたりする」
モバP「もしも倒れそうになっても、俺が雪美を受け止めてやるさ」
雪美「……頼りに……してる……」
ちひろ「私を受け止めてくれるのはこの土手の原っぱだけでしょうか」
-
168
モバP「雪美よ、世界は広いか?」
雪美「……うん」
モバP「俺が少年の頃も、世界は広かった。そう見えたよ」
雪美「……今は……違うの……?」
モバP「今は世界は狭まった。技術の発展が理由じゃない。それもあるのかもしれないが」
モバP「肝心なのは自分の体が大きくなって、頭の容量、もとい知識も増えたこと」
雪美「……」
モバP「単純に体の大きさが二倍になればスペースの感じ方も変わる」
モバP「広かった実家の部屋も今では小さなものさ。広さは変わっていないのにな」
雪美「……Pも……いつか……小さく……見えるように、なる……?」ペタペタ
モバP「ああ、相対的にな。そして老いると今度はまた世界が広く、遠くなっていくのかもな」
雪美「……ふくらんで……しぼむ……風船……みたい……」
-
モバP「風船か……そんな膨らむ前の雪美さんだが、今は今を心行くまで楽しんでほしい」
モバP「歳なりの制約はあるだろうが、様々な経験をしてほしいんだ」
雪美「……校長先生が……そういうこと……言う……」
モバP「それがいつか、懐古する楽しみになる。それは悪いことではないと思う」
雪美「……Pは……楽しかったの……ね」
モバP「うん。昔は良かった昔に戻れたら、ではなく楽しかった過去があるから今と未来がある」
雪美「……思い出が……支えに……なる……」
モバP「個人的見解だがな。でももし良かったら、一緒に楽しい思い出を作ろうや」
雪美「……良かったら、なんて……分かりきってる……くせに……」
ギュッ
雪美「……Pは……私にとって……あまり、プロデューサー……らしくはない……かも」
モバP「そこはちょっと危惧する所ではあります」
雪美「でも……大事な……友達……、……それ以上…………」
ちひろ「プロデューサーらしさも取り戻してください」
-
169
かな子「Pさんは食べるの好きですよね」
モバP「これだけが楽しみなんですよ――ってのは冗談だが、異論はない」
かな子「何で太らないんですか?」
モバP「いろいろ削ぎ落した実にスリムな質問だな」
モバP「端的に返すと、その分だけ頭と体を働かせているんだヨ☆」
かな子「……」ジーッ
モバP「疑いの眼差しを向けるのはやめたまえ。……もしかして、少しはぽっちゃりしていた方が好き?」
かな子「そんなことはないですよ。ただ、ちょっと羨ましいなって」
モバP「自己管理も仕事の内だが、あまり気にし過ぎると体に毒だぞ」
モバP「自分も以前、ちょっと増えたことに焦って食事の量を減らしたことがあるが、体調が悪くなった」
かな子「それはいけないですね。ケーキ食べます?」
モバP「いただきます! 飲み物はコーヒーにする? それとも紅茶?」
-
――
モバP「かな子の作るケーキは美味しいな。夕飯が食べられなくなりそうだ」
かな子「Pさん、いつも美味しそうに食べてくれますね♪」
モバP「美味しく作ってきてくれるんだもの。当たり前だ」
かな子「でも、夕飯を食べられなくなるのはちょっと、良くないかな?」
モバP「そういう時は時間を空けた上で軽いものでバランスを取るから俺は平気だよ」
雪美「イチゴ……イチゴ……♪」ハムッ
雪美「んん…………おいしい……!」ニマー
モバP「雪美がトロットロに蕩けておるよ。いい仕事してますねぇ」
かな子「えへへ、うれしいなぁ」
モバP「さて。食べた分はしっかりパフォーマンスに変換してみせるぞ」
雪美「カロリーは……レッスンで……使う……! かな子も……やる……?」
かな子「う、うん。……いっぱい食べる人はフットワークも軽い、かぁ」
ちひろ「そこの二人は代謝が良いというか、燃焼効率が良いんですよね」
-
170
モバP「雪美さんは基本的に対外には清楚系路線で売っている訳だが」
モバP「プライベートでは結構意表を突くような多彩な変化をする」
雪美「……P……?」
モバP「見惚れていた。伊達メガネにスタジアムジャンパー、デニムのミニスカートに(倒置法)」
雪美「……もっとよく……見る……?」キラキラ
モバP「見過ぎると良識が弛緩しそうなので、参りましょうか」
雪美「……参る」
モバP「デニムのミニスカートは裾がフレア状になっているのも良いが、やっぱりスクエア型は破壊力があるな」
モバP「シンプルでアクティブに見えてコケティッシュ。雪美が一般人であっても目を惹くよ」
雪美「……みんな……私とは……思わない……はず」
雪美「……でも……これもたぶん……あなたのせい……。……喜んで……くれるから……」
モバP「何だか、ごめんねぇ……そういう方向性を目覚めさせちゃって」
通りすがりの美嘉「アタシは逆に肌を隠す方向にするのもアリ……?」
-
171
文香「……」パタン
モバP「読み終わったみたいだな」
文香「……はい」
モバP「どうだ? 俺のおススメは面白かっただろう」
文香「大どろぼうホッツェンプロッツ……何故またこの本なのでしょうか?」
モバP「たまには童心に戻って児童文学をじっくり読み直してみるのはいいぞ」
モバP「意外と幼少時には読み取れなかった新しい発見があったりする」
文香「……プロデューサーさんらしいですね」クスッ
――
モバP「話は変わるが、今日の文香はオフショルダーか。いつか着たことがあったな」
文香「はい。……自分で言うのも何ですが、大胆ですね」
モバP「そういう服を着てみるのは、ちょっとしたスリルがあったりするものか?」
文香「……どうでしょうか」
-
文香「……しかしプロデューサーさんは、絶妙な露出具合が好きだと、小耳に挟んだものですから」
モバP「俺に見せるのが目的とは……アイドルの君たちも、さりげないアピール好きだよねえ」
モバP「そういう所は俺も好きだが」
文香「……それはプロポーズの言葉として受け取っても?」
モバP「面白いことを言いなさる」
モバP「あ、俺はワンショルダーもオシャレだなと思う。あとは片方だけ肩紐を掛けてみたり」
モバP「オフショルダーならタートルネックくらいのノースリーブと合わせるとこれも変則的で良い」
文香「……ほうほう、その手が……プロデューサーさんのフェティシズムは深いですね」
モバP「何か突然キャラ変わった?」
文香「いえ、全然……」
雪美「……こんにちは……あっ……! P……文香と……逢引?」
モバP「逢引や逢瀬とは違うよ。読書タイムが終わって息抜きの最中だ」
モバP「雪美も読む? マチルダは小さな大天才、という本だが」 ヨンダコトアル ナニッ!?
文香「……読書も良いですが、プロデューサーさんの観察も面白いですね」
-
172
モバP「雪美のランドセルは何故赤い〜」
モバP「それは緑じゃないからさ〜」
ちひろ「何言ってんだこいつは」
雪美「……P……来た……、今日も……よろしく……」
モバP「ほい、ではランドセルを下ろしてもらいまして」
ポスン
雪美「……雪美……着艦」
ちひろ「雪美ちゃんは艦載機だったのか……」
モバP「つまりわたくしは空母ということですわね」
ちひろ「やめろ気色悪い」
雪美「……航空機は……燃料ないと……飛べない……。だから……いっぱい……補給、して……?」
モバP「はいよ。今日も寿命が長く保つように80%の満タンで良いな?」 ウン
ちひろ「バッテリー式なのかよ!」
-
今日はここまで
長崎は今日も雨だった
-
173
モバP「日常とは異なる一風景」
モバP「山奥のバス停の待合所に座っている雪美さん」
雪美「……バスは……二時間に……一本……、そんな……秘境……」
雪美「……団長の……気持ちに……なるですよ……」
ニャー
雪美「あっ……猫……、……ふふっ……一緒に……待つ……?」
地猫・雪美「………………」
ブロロロ
雪美「? ……きた……!」
プシュー ガシャ
雪美「……○○……一緒に……帰ろう……?」
ちひろ「このPV、動画サイトに上げたら再生数が凄いことになっていますね」
-
174
雪美「……プロデューサー、さん……」
モバP「佐城さん、これが今日のスケジュールです」
雪美「……」
モバP「……雪美と敬語で呼び合うのはどうもしっくりこないな」
雪美「……」コク
モバP「フォーマルシーンや単純に仕事の場でタメ口を使っていると咎められても仕方がない」
モバP「だから使い分けるのだが、ついつい素が出てしまったりするな」
雪美「……難しい……」
モバP「でも、親しい年下の子が常に敬語で話してくるのはそれはそれでロマンはある」
モバP「言葉だけ敬語で態度は対等、もしくは少し上から目線なんてなかなか強烈よね」
雪美「……そうですね。はぁ……全くこの人は……、……こんな感じ……?」
モバP「雪美は理解が早いなあ」ナデナデ
ちひろ「ロマンとは」
-
175
モバP「年度末、卒業シーズンだなあ」
ちひろ「もう大方はその段階を過ぎて春休みに入っていますけどね」
モバP「この時期になると人の環境は常に新しく変化していく無常なものだと思い知る」
モバP「憂鬱ですよ……本当に」
雪美「……P……何か……あるの……?」
モバP「……実はな、俺……」
雪美「……」
ちひろ「まさか退職するとか異動するとか担当外れるとか言いませんよね?」
雪美「……えっ……」ジワッ
モバP「そんな安いドッキリはしませんって。雪美、悲しい顔をするのやめて心が痛い」
雪美「……いなくなるの……許さない……」ギュッ
ちひろ「罪作りな男ですね」
モバP「ちひろさんが不穏なことを言うからです」
-
ちひろ「まあ会社が絶対に辞めさせませんから要らぬ心配ですよね」
モバP「なにそれこわい」
ちひろ「あなたが会社の主柱になってしまっているということです。人柱ですね」
モバP「同僚を人柱呼ばわりする人がいますか」
ちひろ「でも責任感の強いプロデューサーさんは、そういう扱いも悪くないと思っている」
モバP「……///」ポッ
雪美「……P……やめたくても……やめられないの……?」
モバP「みんなと仕事や交流が出来て楽しいから辞めたいと思わない。役得ですもん」
ちひろ「下心満載じゃないですか」
モバP「というかそもそも辞める気なら年度末にいきなり言うのは社会人にあるまじき様ですよ」
モバP「遅くとも一ヶ月前には報告して充分な引き継ぎをしておかないと迷惑がかかります」
ちひろ「そこは真面目なのか」
雪美「……良かった……。Pが楽しいなら……みんなも……うれしい……」
-
モバP「……雪美」
雪美「……P……」
ダキッ
モバP「プロデューサー楽しい……ヤバい……へへ……」
ちひろ「利害が一致しているのは結構ですけど、ところで一体何に憂鬱だったんですか?」
モバP「おう、それそれ。実は昔から行きつけだった駄菓子屋さんがあるんですが」
モバP「そこが三月限りで辞めるそうで。おばあちゃん高齢だったし仕方ないのかなあ」
ちひろ「個人的な事過ぎませんかねそれは」
モバP「古いゲーム台とかもたくさん置いてあって今でもたまにアイドルたちと行っていたんですよ?」
雪美「……あそこ……無くなるの……? ……悲しい……」
モバP「冗談でしょうが、おばあちゃんから”お店継ぐならあげるよ?”って言われた時は心が揺らぎました」
ちひろ「……割とプロデューサーさん離脱の危機だったんですね」
モバP「雪美。最後にもう一回、遊びに行くか!」 ウン
-
176
モバP「雪美はプロデューサー業には興味ある?」
雪美「…………えっ」ポカーン
ちひろ「相手は何歳だと思っているんですか」
モバP「まだ早いのは承知で、雪美は俺の良き理解者だ」
モバP「俺の仕事をよく(膝上で)サポートしてくれるし、体力があって気が利いて度胸もある」
モバP「勿論、アイドルとして昇り詰めてくれるのが本望だが、もしも同じ道を志したいと思うのなら」
モバP「いつか一緒にプロデューサーをやってみたいものだな。見果てぬ夢だ」
ちひろ「修羅の道に誘うのはやめなさい」
雪美「……先のことは……分からない……けど……今はまだ……アイドルで……いたい……」
雪美「……でも……プロデューサーだったら……Pと…………ん、……何でも……ない……」
モバP「夫婦プロデューサーとかカッコいいよな」
雪美「……はっきり……言うの……ダメ……」コツン
ちひろ「こういうムードの時は正直席を外したいんですけど仕事があるし……」
-
177
杏「プロデューサーってさ」
モバP「ん、何だ?」
杏「雪美ちゃんと同衾したことはあるの?」
モバP「……アルヨ」
杏「声を上ずらせるならそこはせめて”ナイヨ”でしょ」
モバP「シンプルに同じ布団を被って休むくらいは、多少はね?」
杏「人畜無害だねえ。そこが良い所でもあるんだろうけどさ」
モバP「同衾(意味深)について聞きたいのであれば、分かりきったことじゃないですか」
モバP「それやっちゃうと犯罪。豚ボックスに入ることになるよ」
杏「モダンな言葉を使っちゃって……そっかぁ、思ったよりもまともだね」
モバP「まとものハードルが地面すれすれレベルに低くないですか?」
杏「そんなプロデューサーに当たって良かったと思うよ」
-
雪美「……P……レッスン……終わった……」
モバP「おかえり雪美。ちょっとやる気が欠乏しているんでハグさせてくれないか?」
雪美「……めっ」
杏「冷静に見ると最後の一線は越えていなくてもこういうのは結構アウトだよね」
モバP「ジョークで軽口叩き合っているようなものだと思ってもらえれば」
杏「思えないよ」
モバP「あっはい」
雪美「……杏と……Pは……息が、合っている……」
杏「友人だからね。その割には仕事では手心を加えてくれないのが不満かな」
モバP「君にはこれでも最大限好きにさせてあげているつもりだよ」
杏「杏だけ好きに出来てもプロデューサーが付き合ってくれないとなー。例えば同衾とかね」
モバP「そろそろ杏ちゃんには口を閉じていただきましょうかねえ」ハイアメ
杏「貰える物は貰っておく」パクッ
雪美「……どうきん……?」
-
178
「「「ごちそうさまでした」」」
モバP「ロケの帰りに寄ってみた食事処だが、川のせせらぎが聞こえるのが実に落ち着くな」
モバP「水が絶えず流れる音を聞きながら寝たり休まると何か心が安らぐ気がするよ」
小梅「でも水辺は……良からぬものを……引き寄せるよ」
モバP「そんな話も聞くが、実際多いものなのか?」
小梅「うん。でも、プロデューサーさんは大丈夫……だと思うよ?」
小梅「見えない人は……あっちもそんなに、干渉できないから」
モバP「霊感ないんだよなあ。信じていない訳じゃないが心の底では信じきれていないのか」
小梅「ただ、見える人と一緒にいれば……つられて見えるようになるかも……えへへ」
モバP「OH……。って、雪美はさっきから大人しいがどこを見ているのかな」
雪美「…………」
雪美「! ……? ……私……今……何を……」
小梅「雪美ちゃんは……うん。何か強い力で守られているよね」
-
179
雪美「……P……」
モバP「……?」
雪美「聞いた……。喋り過ぎて……のど……痛いの……?」
モバP「……」コク
雪美「分かった……。……今日は代わりに……私がいっぱい……喋る……」
モバP「……?」
雪美「……? ……大丈夫……私も……やる時はやる……」フンス
モバP「…………」
雪美「……ふふっ……喋らなくても……何となく……分かる……? ……遠慮しないで」
雪美「…………えと……あ……最近は……花粉が……多い? けど……大丈夫……?」
雪美「…………やっぱり……こういうのは少し……苦手……」 ナデナデ
雪美「ん……ありがとう……じゃあ……Pに……甘える」スリスリ
ちひろ「何か起きそうで何も起きないいつもの展開でした」
-
180
モバP「桜が咲いているねえ。早いもんだ」
雪美「……きれい」
モバP「桜は散るのが早く、見頃はすぐに過ぎてしまう」
モバP「そんな儚さに美意識を見出すのが和の心と言えるのかな」
雪美「……」ジッ
モバP「ちなみに今の私の心は君のそのジャンパースカート姿にかき乱されているが」
雪美「…………Pは……儚くは……見えない……」キラキラ
モバP「言ってくれるなあ」
モバP「良いさ。俺は少し捻くれていてね、美化してもらえなくても長く咲き続けたいんだ」
雪美「……でも……その方が……安心……できる……」ギュッ
モバP「参った、雪美さんに手を繋がれると弱いんだよ」
雪美「……ふふ……これからも……ずっと……」
ちひろ「エンディングNo.180 『桜と共に』」
-
今日はここまで
ここはどこの箱庭じゃ
-
乙
同衾ネタを見てたら比奈せんせぇが添い寝に誘ってくる健全絵を思い出しました(スレチ)
https://twitter.com/fnfall1a1/status/958081835291918337
-
181
モバP「おはよう雪美」
雪美「……P……! おはよう……」
雪美「これから……お仕事……行くの……? 私も……学校……」
雪美「場所はちがっても……いっしょだね……。途中まで……二人で……行こう……」
モバP「おお、良いねえ」
テクテク
モバP「……雪美は最近、感情表現が豊かになってきたなあ。よく喋るようにもなったし」
雪美「……そんなこと……ない……」
モバP「無表情クール系ヒロインはそのままでも良いが、それが心を開くとよりグッとくる」
雪美「……?」
モバP「だが人を属性・記号で見ている訳ではないぞ? 雪美は雪美だから好きなのだ」
雪美「……Pは……好きなものに……正直……だね……」
雪美「私も……もっと正直に……なる……」ダキッ
-
182
モバP「日常の一風景」
モバP「首を傾げる雪美さん」
雪美「……」キョトン
モバP「あざとい」
雪美「……」クイッ
モバP「あっ、元に戻った」
雪美「……」
モバP「でも艶やかで滑らかなその髪が重力に沿って傾き垂れるのはたまらないものがあります」
雪美「…………」キョトン
モバP「あっ、また……。雪美の髪は量も多いせいか結構ダイナミックに動くねえ」
雪美「……」クイッ
ちひろ「雪美ちゃんは結構素で猫のような挙動をしますよね」
-
183
ガチャ
ちひろ「こんにちは。新しいアイドルの子ですね?」
雪美「……うん」
ちひろ「担当になってもらうプロデューサーを早速、呼び出しますから少し待っていてくださいね」
雪美「……」
ちひろ「千川です。……はい。……ええ、そうです。来てもらえますか?」
ガチャ
モバP「来たぞ」
ちひろ「お早いですね。佐城雪美ちゃん、こちらがプロデューサーさんです」
雪美「……」ポカーン
モバP「私がプロデューサーのモバPだ。君のような年頃の子は初めてだが、これからよろしく」スッ
雪美(……丸太、みたいな……腕……、手も……大きい……)
雪美「……」ブルブル
-
ちひろ「あら、怖がらせちゃダメですよ? プロデューサーさんったら」フフフ
モバP「こんな外見だ。所属アイドルからは熊男と呼ばれているが、まあ最初は仕方あるまい」
雪美(……浅黒い肌……髭……鋭い目……)
モバP「まずはその天中殺か暗剣殺といった顔は私に全部預けて、笑顔の練習から始めようか」ギラッ
ちひろ「プロデューサーさんの笑顔、素敵です……」
雪美(……笑顔が……邪悪……すぎる……)クラッ
雪美(つっこみ……不在の……恐怖)
雪美(……たすけて)
――
ちひろ「こうならなくて済んだ今の世界は、絶妙なバランスで成り立っているのかもしれませんね」
モバP「雪美ならこれはこれで何とか適応していきそうだがな?」
雪美「……私を……買い被らないで……」
ちひろ「ところでプロデューサーさんはキャラ変えとかなさらないんですか?」 ナイデス
-
184
モバP「たまに自分でも意外なくらい仕事に集中・没頭できて高揚感を感じる時はないか?」
凛「あるよ。言うなら、ゾーンに入る、って感じだね」フッ
モバP「あれは気持ちが良いよな。作業も捗るし」
凛「だね」
ちひろ「それを狙って発揮できるようになれたら良いんですけどね」
モバP「人間のやる気スイッチに通じるものがありますね。なかなか見つからないが」
ちひろ「第一あなたは普段から雑念が多すぎるんですよ。そりゃ見つからない訳です」
モバP「男は敷居を跨げば七人の敵ありとはよく言ったもんでござい」
凛「プロデューサーの敵は……内にありそうだね」
モバP「俺の中には傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲の七人の侍が」
ちひろ「それは七つの大罪だ」
凛「敵だらけ……それでも私たちは戦わないといけないんだ、現実と」
-
モバP「とりあえずゾーンに入っている最中は作業の手は区切りがつくまで休めない方が良い」
モバP「何かの拍子に接触が切れてしまうと、それまでの勢いが忽然と止まってしまう」
ちひろ「ただし止まろうがやる気が削がれようが、仕事は待ってくれませんけどね」
モバP「で、結局モチベーションが戻らないまま手を付けることもしばしば。乗りきれないのです」
凛「相当にマイペースだなぁ。……あっ、雪美だ」
雪美「……こんにちは」
雪美「……P……乗せて……?」ピョンピョン
モバP「……」
モバP「……いいぞ〜。こいこい」ニヘラ
ヒョイ ポスン
雪美「……」ムフー
凛「ぴょんぴょんは反則だよ……」
モバP「はぁー……何か雪美が乗ると余計な思考は全部吹っ飛ぶね」
ちひろ「なおその後のインプットが」
-
185
雪美「最近……学校で……よく声を……かけられる……」
モバP「知名度的にはもう、ちょっとした有名人さんではあるだろうからな」
雪美「……少し……うれしい……」
モバP「良かったなあ。雪美は見てくれも良いから隙が無い」
雪美「……良くしたのは……P……」
モバP「せやろか? まあ芸能活動を始めて垢抜ける子は多いから間違いでもないか」
モバP「プロデューサーはシンデレラに魔法をかける魔女のようだとか誰か言っていたな」
雪美「Pが……魔女……」ジッ
雪美「……ふふっ」
モバP「笑うな」
雪美「……でも……Pは……王子様……の方が……合ってる……」
モバP「王子様、か」
モバP「俺は裏方側の人だから王子様役としてはどうなんだかな」
-
雪美「シンデレラが……がんばるのは……王子様の……ため……」
雪美「……私も……Pのためなら……がんばれる……」
モバP「雪美……」ジーン
モバP「ただそれだと魔女がちょっと立場がないから……魔女と王子様は実は繋がっているということで良いかな?」
ちひろ「何だその新解釈」
モバP「で、そんなシンデレラの体現とも言える雪美さんは現在上下ともジャージで膝の上な訳ですね」
雪美「……たまには……がんばらない……シンデレラ……」キラキラ
モバP「頑張らないのにこんなにキラキラできるとは……やはり天才か」
モバP「それにしても学校生活は上手くやれているようで何よりだ」
モバP「俺からすると有名故に高嶺の花として周りから距離を置かれたり遠慮されたりしないのかと思うが」
雪美「……みんな……エリート……だから……浮いてない……」
モバP「個性が特別にならない良い環境にいるんだなあ」
ちひろ「やさしい世界……なのか?」
-
186
モバP「俺の膝の上は特に誰の物とかではなく、いわば無料で一般開放しているようなものだ」
モバP「しているようなものなんだが」
輝子「どうした……?」ギシギシ
モバP「そうバウンドしないでくださらない? スタイル良い子がミニスカートで無防備ですよ?」
輝子「フフ……良いじゃないか、親友……。はしゃぎたくなるんだ」グリグリ
モバP「おい尻……君はどうしてそうなってしまったんだ星くん」
輝子「さあ、どうしてでしょう……?」クスッ
モバP「!」ドキッ
輝子「フーッハッハァァ!! このまま組んず解れつで――!」
雪美「……」ジーッ
輝子「レスリングでもしようかー」
雪美「わーい……」
ちひろ「事務所で何やってんだあんたらは」
-
187
ちひろ「今日のおやつは桜餅ですよ」
雪美「……」モグモグ
雪美「……少し……塩気……あって……おいしい……」
モバP「”今日のおやつ”が事務所で振舞われるのが何かもう生活感に満ちていますよね」
ちひろ「職場でもぐもぐタイムは賛否両論と聞きますけど、ここではもう定着していますから」
雪美「でも……桜もち……二種類……ある……」
ちひろ「関東の長命寺と関西の道明寺ですね。これは皮で巻いた前者ですけど」
モバP「西日本育ちの雪美はこっちの桜餅はあまり馴染みがない方かな?」
雪美「ん……でも……そういうの……他にも……たくさん……」
モバP「あるな。例えば雑煮とか、餅に餡子が入っていたり具や出汁が違ったり、地域で様々だ」
雪美「……ラーメン……うどんも……」
モバP「仕事で各地を回ったりするからメシもいろいろ知れて楽しいよな」
ちひろ「……結構庶民派なんでしょうか? 私たちって」
-
今日はここまで
ここで会ったが百年目
-
188
モバP「雪美さんのちょっと色気のある瞬間」
モバP「結んだ髪を解く時」
雪美「……」パサッ
モバP「……桃源郷はここにあったか」
雪美「……」フルフル
モバP「髪にボリュームがあって羨ましいなあ。俺も伸ばそうかな」
雪美「……それは……やめた方が……」アッハイ
モバP「それにしても、髪を下ろす時、よりガツンとくるのは普段から常に髪を結んでいる子だと思う」
雪美「……結んでいる……方が……良い……?」
モバP「雪美に、特にベッドとかでそれをされるとオーバーキルだから、今のままで」
雪美「……分かった。……大切に……してね……?」
モバP「ああ、大切にするよ」
ちひろ「な、何の話だったの?」
-
189
モバP「主に夏、傘を持たず外を歩いていたら、すごい通り雨に遭う――」
モバP「そんなことは油断の多い小学生の頃はよくあった」
雪美「……」
モバP「大体はどこか適当な建物に入って雨宿りをして止むか弱まるタイミングを待つものだが」
モバP「たまに開き直ってそのまま雨ざらしになったりもしたな」
雪美「……風邪……ひきそう」
モバP「本当にね。水を吸った服をそのまま着ているのは普通に心地も良くない」
雪美「……うん」
モバP「家に帰ったら勿論すぐ風呂場行きで着替えさせられたよ」
モバP「……雪美の濡れた髪をバスタオルで拭いてあげたりしたいがなぁ、俺もな〜」
雪美「……///」
ちひろ「普通の会話から突然豹変するのはやめようね」
-
190
雪美「……」シュルシュル ファサッ
モバP「……?」
雪美「……! ……P……これ……どうしたの……?」
モバP「あきらに噛まれたんだ。ちょっと興が乗りすぎてね」
雪美「……キスマーク……?」
ちひろ「どれどれ見せなさい」
ちひろ「って、何だ……これはキスマークではなく歯形ですよ」
ちひろ「というか事務所で首元を肌蹴させないでください。変態ですか」
モバP「雪美が脱がせてきたんです。……”雪美が脱がせてきた”、何か響きがえっちぃですね」
ちひろ「だまらっしゃい」
ちひろ「第一、首筋を噛まれるってどんなムーディーな遊びをしているんですか」
モバP「あきらあかりりあむの三人と親睦を深める為に王様ゲームを」
ちひろ「はいぃ?」
-
モバP「ソフトな感じにやるから! と、りあむからの提案で参加したんですが」
モバP「最終的にあきらが吸血鬼の真似をすることになり、こうガブッと」
ちひろ「ガブッとじゃないですよ。そこはきちんと監督してください」
雪美「……」ムー
モバP「ゆ、雪美さん?」
ガバッ
雪美「……私も……Pに……印……付ける……」
カプッ
モバP「うっ……!」
雪美「…………ん……できた……ふふ」
モバP「」
ちひろ「」
雪美「……♪」
-
191
紗南「聞いてよPえも〜ん!」
モバP「どないしたんや」
紗南「雪美ちゃんにまた負けたの〜!」
モバP「ゲームでか? 紗南が雪美にゲームで負けるたあ天変地異の前触れかい」
雪美「……失礼な……」
モバP「だがジャンルにも寄るな。アクション、格闘、落ち物パズル等いろいろあるが」
紗南「桃太郎電鉄」
モバP「ボードゲームの引き運はね……」
雪美「……今日は……絶好調の……日だった……」
紗南「雪美ちゃんさくま並に強いんだよ?」
まゆ「呼びました?」ヒョコッ
紗南「うわあっ!? びっくりした!」
-
モバP「紗南。ウチにはこずえとか芳乃とか人知を超えた存在がいるだろう」
紗南「その二人も勝負事とかはやたら強いんだよね」
モバP「雪美だったらそんなことはないはずと油断してかかったのではないか?」
紗南「うう……まさかそんな」
モバP「もっと技術の要るゲームなら勝てるだろうに」
紗南「そこはほら、ゲストと経験で差が出るもので対決するのは何だかなって思うじゃん」
モバP「人には得意分野があるからな。クイズゲームでもノンセクションより特定ジャンルが正答率高いとか」
まゆ「まゆはプロデューサーさんに関するクイズなら負けませんよ」
雪美「……Pの、ひざのことなら……」
モバP「俺の膝に関するクイズの出題とは何ぞや」
モバP「しかし雪美は将棋とかも出来るから、ただ運だけで勝ってくる訳じゃないぞ」
紗南「Pさんが特訓してたりはしないの?」
モバP「してるわ」 オイコラ
-
紗南「というかPさんも一緒にやろうよ! まゆちゃんも!」 イイデスヨ
モバP「いやあ、桃鉄とか人生ゲームとかは最悪リアルファイトになるでしょ」
まゆ「プロデューサーさんとリアルファイト……」
雪美「Pと……」
紗南「……」
三人「……///」
モバP「何故照れる」
紗南「でも、やっぱりこういうのは四人プレイでやるのが一番面白いよね!」
モバP「普段ソロプレイのぼっちを舐めんなよ」
紗南「あっ……ごめん」
モバP「いや、気を遣われると逆に申し訳ない」
雪美「準備……できた……。……始めよう……」ポスン
紗南・まゆ「対戦でも膝に乗るのか……」
-
192
モバP「」
菲菲「出端から硬直してるネ。プロデューサーさん、ふぇいふぇいダヨー」
雪美「……雪美だよー……」
モバP「はっ……!? 君たちチャイナドレスではないか!」
雪美「……」キラキラ
モバP「一般的なサイドスリットのワンピースだけでなく、スカートと合わせているんだな」
菲菲「春麗みたいに露出するのはネー、ちょっと勇気が要るヨ」
雪美「……きたえぬかれた……太もも……」
モバP「あれはさすがにね……股圧でリンゴ潰せるんじゃないかみたいな」
菲菲「発想が斬新ダヨ……それはそうと! プロデューサーさんに桃まんを作ってきたヨ!」ハイ
雪美「私が……調理補助……した」エッヘン
モバP「わお! これは美味しそうだ。食べよう食べよう」
-
――
モバP「いや、実に中華情緒のある味がしたよ。ごちそうさまでした」
菲菲「お粗末様でした」
モバP「菲菲と雪美二人でよく作ったな。手作りはさすがだ」
菲菲「もっと褒めても良いんダヨ? 遠慮いらない」
モバP「それにしても何故桃まんなんだね?」
菲菲「プロデューサーさんは桃が似合っているから……仙人みたいだもんネ」
雪美「……」コク
モバP「俗世から離れているというか浮世離れしているとは言われることもあるが」
菲菲「普段は隠しているだけで空を飛んだりできそう」
モバP「ないよ。そんな便利が力があったら出社する時に使うわ」
雪美「……本当かな……?」
-
モバP「……そういや雪美が菲菲みたいにシニヨンを二つ作っているのは珍しいな」
雪美「……髪型の……練習中……」
モバP「ほう。……まあ、雪美娘々はいろいろと変化してくれる方が俺は嬉しい」
雪美「……にゃんにゃん?」
菲菲「娘々とは……かくかくしかじか……ダヨ」
雪美「……にゃ〜ん……」
モバP「まあ日本ではあまりニャンニャンは使わないか。変な意味に取られかねないし」
雪美「……?」
菲菲「日本のニャンニャンってどういう意味ネ?」
モバP「30年以上前でもう完全に死語と化しているかもしれないが、何々とか××とか」
モバP「人前で言葉に出すのが憚られることだ、うん」
菲菲・雪美「……?」
ちひろ「理解できる自分が少し悲しい」
-
193
紗南「レッドスクリーンってびっくりしない?」
モバP「どうした。何をしたらそんなものを拝むことになる」
紗南「exeゲームをやっていたら脅かしでやられちゃってさ」
モバP「なるほど。ああいうのは悪意が露骨だからな。レッドは目にくるし勘弁してほしいね」
モバP「全画面攻撃はブルースクリーンでもブラックバックに白字でも怖いのに」
紗南「そんなに詳しいということは、Pさんもホラーゲームやるんだね」
モバP「いや、どちらかと言うとPCやゲーム機本体のエラーだ」
紗南「えぇ……。Pさんこそ何をしたらそんなものを拝むことに」
モバP「紗南、突然理不尽に訪れる現実ほど怖いホラーは無いんだ。バックアップはしっかり取っておけ」
モバP「でないとこうなる」
雪美「brinGmeBAckthereIaMaLivehereIwilLneverletYouforgetabOutme」
紗南「ひいっ!?」
――
紗南「……あ……ゆ、夢かあ……」
-
194
モバP「俺は常日頃甘かった。生チョコ&ミルクの欲張りダブルホーン並に甘かった」
モバP「雪美め、何をしても俺ならやり返さないと侮りおって。許さん! お仕置きじゃあ!」ガバッ
雪美「……きゃー」
モバP「今回の罰は、おお何と恐ろしい! くすぐりの刑だ!」コチョコチョコチョ
雪美「……ふふっ、……あはははっ!」
モバP「どうだどうだ〜! 足の裏は!」コチョコチョコチョ
雪美「や、やめて……あはははははっ……ひーっ」
モバP「まだまだぁ! 容赦せんぞぉ!」コチョコチョコチョ
雪美「……っ! ……っ!!」バンバン
モバP「とどめは脇だ、くらえ!」
パシッ
モバP「誰だ、邪魔をするんじゃな……あ!」
巴「楽しそうじゃのう? うちも混ぜてくれんか?」ゴゴゴゴゴ
-
195
モバP「仕事に没頭していたらエイプリルフールをすっかり忘れていた」
ちひろ「今日はなんにもないすばらしい一日だったまる」
モバP「ぼくなつはやめて」
ちひろ「何かとっておきの嘘でも吐いてみる計画だったんですか?」
モバP「今日はエイプリルフールじゃないぞ? という嘘を」
ちひろ「すぐバレる嘘を吐くな、と言われたことありませんか?」
モバP「ありますあります」
雪美「……P……」
モバP「お、どうしました雪美さん」
雪美「今日は……一体……何日……?」
モバP「そりゃあお前……四月一日だろう。わたぬきさんですよ」
雪美「……じゃあ……昨日は……?」 ン? アレ?
ちひろ「こいつらいつも無限ループにはまってんな」
-
今日はここまで
今日と明日が出会う時
-
乙
あかりあきらりあむの3人がモバPとソフト王様ゲームで遊んでるところを想像すると和む
>>286で出てた噛みネタを今になって回収してくるとは
-
196
雪美「……P……あそぼ」
雪美「……P……元気……ない……? 私が……元気に……してあげる……」
雪美「……P……もっと……私に……頼って……」
雪美「……もう……くすぐったい……ふふっ」
雪美「……いけないおてては……この子……?」
雪美「……あっ……そこ……気持ちいい……もっと……ほしい……」
雪美「……P……温かい……」
雪美「……いつまでも……どこまでも……深く、繋がって……いよう」
――
ちひろ「お前はなんちゅう犯罪的なボイスを録っているんだ」
モバP「普段のやり取りを録ってみただけなんですがね」
モバP「まあ改めて聴き直すと何とも微笑ましく……はなく千枝ちゃん並には危ないなこれ」
ちひろ「物分かりが宜しいようで」
-
197
モバP「日常かどうかは知らない一風景」
モバP「暗闇で目を光らせる雪美さん」
雪美「……」キラッ
モバP(やだ……物陰からこっち見てる……)
雪美「……」ジリジリ
モバP「…………」ソワソワ
雪美「…………」ジーッ
モバP「……今だ逃げるっ!」ダッ
雪美「待てっ!」バッ
ガバッ
雪美「P……もう……どこにも……逃がさない……」
モバP「たはは……参ったなあ」チラッチラ
ちひろ「よぉし、その男はおまえにくれてやる。好きにしろッ!」 ヤッタゼ
-
198
モバP「お父さん、お母さん、お元気ですか。私もペロもとても元気です」
モバP「仕事の方も何とか軌道に乗って少し自信がついたみたい」
モバP「(中略)落ち込むこともあるけれど、私、雪美の長い髪が好きです」
雪美「お、おう……」
ちひろ「お前は一体誰目線で独白をしているんだ」
モバP「でも雪美がおかっぱだったとしたらそれもそれで全然アリだと思います」
ちひろ「同意します」
雪美「……短く……してほしい……の?」
モバP「長いままでいてほしいし短い君を見たくもあるという二律背反だよ」
雪美「もう……わがまま……」
ちひろ「ですけど芸能の仕事をしていると例えばドラマに出演するなら、髪型指定されたりしますよね」
モバP「ショートボブでオファーが来たら雪美はどうする?」
-
雪美「…………」ウーン
モバP「髪は伸びるものとは言っても、元が長いと一朝一夕で元通りとはならないから悩んで当然か」
雪美「……とりあえず……今は……このままで……」
雪美「……でも……小学校……過ぎたら……少し短く……する、かも」
モバP「そうか。まあ、小学生くらいなら良いけど中高であまり長い髪の子はそういないよな」
ちひろ「その辺は校則とかありますからね。結ぶか、肩までにしろなんて言われたり」
モバP「もし、雪美が阿良々木月火みたいにばっさり短くしたら……ああ」
雪美「……短く……したら……?」
モバP「いや、やめよう。想像するだけで平静を保てなくなりそう。仕事なんか手に付きやしないだろうね」
ちひろ「はた迷惑な大人だなあ」
モバP「突然髪を切ってきましたとか言って目の前に現れたら卒倒も辞さない」
雪美「それは……びっくりする……でも……面白そう……!」
モバP「面白がるな。しかし乙女の脅かしは許せちゃうのが悔しい」
ちひろ「プロデューサーさんは実に守備範囲の広い面食いですよね。でないと務まらないでしょうけど」
-
199
モバP「じゃあ逆に雪美にさせてはいけない格好を考えてみませんか」
ちひろ「突然何が”じゃあ”なんやら」
モバP「ツインエンジェルBREAKのエンジェルサファイアとか」
ちひろ「はあ」
モバP「魔法騎士レイアースの龍咲海(魔神モード)とか」
ちひろ「はあ」
モバP「ファンタシースターオンラインの青フォニュエールとか」
ちひろ「どうしてあなたはそう同系統の物を羅列するんですか」
モバP「青基調の涼やかなトップスに、黒のレオタード風ボトムス。半分水着みたいでセクシーです」
ちひろ「如月すみれや龍咲海みたいな中学生でもアレなのに小学生に着せたら犯罪臭MAXですね」
ちひろ「……いけなくなかったら着せたいつもりじゃないですよね」
モバP「ソンナコトナイヨー」
ちひろ「こいつすげぇ変態だぜ?」
-
雪美「……楽しそうに……話、している……ね」
ポスン
雪美「……Pの温度は……今日も……快適……」
ちひろ「本当、膝乗りに飽きませんねえ」
雪美「それが自慢……」ニコ
ちひろ「はう……こんな無垢な良い子に私欲で破廉恥な格好をさせるのはダメです」
モバP「分かってますって」
ちひろ「本当ですかね」
モバP「良いこと悪いことの線引きも大事ですが、ちひろさんは冗談を冗談と分かった上で乗ってくれますから」
モバP「そういうところ、嫌いじゃないですよ」
ちひろ「……あなたも、本当に悪いことする時は黙って実行するでしょうからね」ハァ
モバP「そうそう、ここで話をしている限りは安全です――って、しませんよ」
ちひろ「まあ、雪美ちゃんが乗っている限りはそう悪さも出来ないのは確かですね」
雪美「……ふふふ」
-
200
モバP「春も酣。過ごしやすい朝だね、雪美さん」
雪美「ええ、Pさん……」
モバP「雪美さんと一緒になってもう四十年か」
モバP「楽しいこと、喜ぶこと、驚くこと、辛いこと、悲しいこと――いろいろあったな」
雪美「……それでも……早いものです……」
モバP「ああ。俺も今じゃすっかり老けてしまって……」
モバP「雪美さんのおかげで歳の割には若く格好良くはいられているが」
雪美「……あなたはいつまでも……私の一番です」
モバP「うん……そうなんだがな」
雪美「……?」
モバP「雪美さんは四十年……どころか下手すると出会った頃から本当に変わらないな」
雪美「まあ……お世辞は結構ですよ」
-
モバP「いや、冗談抜きに雪美さん、全く歳を取りませんよね」
雪美「……」キラキラ
モバP「こうして着物が似合う、物腰はすっかり落ち着いた上品な女性なんだがな」
雪美「……猫だって……見かけはほとんど……老けないでしょう……?」
雪美「こう見えても……昔のような激しい運動は……もう、できませんよ」
モバP「何てことだ、雪美さんは猫だったのか。もしくはエルフか?」
雪美「エルフは……晩年に外見も一気に老いて死ぬ……なんて言いますね」
雪美「もし私が……先に、逝くようなことがあれば……その前に姿を消したい……」
雪美「ペロも……衰弱した自分の死に際は見られたくないと……旅立ってしまった……」
モバP「そんなこともあったな……だが、子どもたちや孫たちはどうする」
雪美「……冗談ですよ。……でも……あの時のように、綺麗なまま引退するのも……悪くない……」
モバP「アイドル活動か……まだ未練があるか?」
雪美「いいえ……あなたと一つになれて、これだけ幸せに恵まれたんですもの……」
-
ピンポーン ハイハイ ガチャ
こずえ「雪美さんとPさんに、ご挨拶に来たよー。元気そうだねー」キラキラ
芳乃「おや、懇ろな一時をお邪魔してしまいましてー?」キラキラ
雪美「あっ……こずえさんに芳乃さん……ふふふ……こんにちは」
雪美「まあ上がって……お茶でも入れますよ」
モバP「……外見が変わらない子が多すぎやしませんかね?」
――
モバP「……」パチリ
モバP「――はぁー」
晶葉「おはようP。未来の今日を体験できる装置はどうだったかな?」
モバP「う〜ん……俺の心象風景が映し出されたのかなあ。あれが未来だとちょっと怖いわ」
晶葉「……未来とは人の希望でもある。つまりはそういうことでは?」 エッナニソレハ
-
201
紗南「このおっさんはどうしてこう攻撃を外すのかなー」
モバP「おや、実況収録中……ではなさそうだな」
紗南「あっPさん。残念だけどこのゲームは一人用なんだ」
モバP「良いってことよ。誰かのプレイをただ見つめるのも好きだ」
モバP「ついでに言うと酒とつまみでも横に置いてまったり観戦だね」
紗南「プレイするより動画見るのが好きなタイプかな? でもこのゲームは長丁場だよ〜」
ピロリ ザザッ ピロリ
紗南「ああ〜何連続で外すんだ! あっという間にピンチじゃないか!」
モバP「トルネコのおっさんやシレンのおにいちゃんはそれが様式美だから仕方ない」
紗南「目の前で寝ている相手に対しても攻撃外した時はさすがに絶句だよ」
モバP「試行回数が多いゲームだから割と奇跡的な屑運に遭遇することも多少はね」
モバP「ローグライクは奥深い。底なし沼かもしれないがそれが良い」
-
雪美「……ローグライク……?」
モバP「おう雪美。そういうゲームのジャンルだよ」
紗南「雪美ちゃん! あたしに引き運ちょうだいな〜」
雪美「やってみる……。……むむむ……む〜ん」
紗南「あ、サイキックパルプンテはたまに事故るからやめとこ?」
モバP「前科あるのか……怖や怖や」
雪美「……何が、起こるか……分からないのが……人生……」キリッ
アハハハ
紗南「他愛ない話だけどさ」
モバP「何だい」
紗南「ローグライクにアイドルがモンスターとして出てきたらって妄想しない?」
モバP「しますねえ。いろいろアイデアが膨らみますですよ」
モバP「もっとも、本家もびっくりなくらい種類が多すぎて全員は出せないだろうがな」
-
雪美「……」
モバP「雪美さんは何となくこっちを沈黙状態にしてきそう」
紗南「メルモンかな?」
モバP「というか雪美さんに口を塞がれて沈黙状態にされたいですね」
雪美「……」ムギュッ
モバP「……!」
雪美「……大人しく……なったね……」
紗南「雪美ちゃんに大人しくさせられちゃうとか、良いなあ」
雪美「……たまに……口で……塞いだりも……する」
紗南「Pさん……いくら仲良いからって乳繰り合うのも程々にね」
モバP(そこはさすがに誇張表現だよ)
紗南(はっきり否定はしないのか……というか脳内に直接来ないで)
ちひろ「不埒な意識を感知したのでプロデューサーさんを捕まえに来ました」ガチャッ
-
202
モバP「んー、んまい」モグモグ
ちひろ「プロデューサーさんのお昼ごはんはたこ焼きなんですね」
モバP「笑美が差し入れてくれました。かつお節がたっぷり乗っていてボリュームありますよ」
ちひろ「へー」
モバP「お一ついかがです? はい、あーん」
ちひろ「勢いで何をやろうとしているんですか。結構です」
モバP「残念。しかし容器がまた発泡で無地の折蓋で、昔ながらのファストフード感があって良いですよね」
ちひろ「シンプルイズベスト、ですか。今はたこ焼きだと木舟のようなオシャレなものもありますからね」
雪美「……」アーン
モバP「……ん? ……はい」 パクッ
雪美「……ん……これは……いいダシを使ってる……」
モバP「雪美さんは意外にも食通やね」
ちひろ「たこ焼きや焼きそばは青のりが歯に付きやすいんで、食べたらしっかり歯磨きしましょうね」
-
今日はここまで
なのにあなたは京都へゆくの
-
乙
ピロリ ザザッ ピロリとかメッチャ聞き覚えのある効果音で草
-
203
モバP「雪美はカレーライスは好きかい?」
雪美「……すき」
モバP「基本的に外れがないよな、カレーって」
雪美「……辛いのは……少し苦手……」
モバP「まあ意図的にやたら辛くしてあるのはね。ただ基本は誰でも好きな定番中の定番メニューだ」
雪美「……うん」
モバP「ただ家で作ろうとすると、野菜と肉を切って火を通して水を入れてルーを溶かして、と手間だ」
モバP「どうしても一度にそれなりの量を作ることになりがちで、独身だと持て余す」
雪美「……誰かと一緒に……食べるのが……おいしい……」
モバP「そういうことだな。……俺、久々に家カレーを作りたいんだ」
雪美「……いいよ」
モバP「やった!」
ちひろ「炊飯器のスイッチを押し忘れないようにしましょうね(経験者)」
-
204
モバP「日常ではない一風景」
モバP「絶海の孤島を旅する雪美さん」
NO DATA
ちひろ「シチュエーションないのか。まあ、あったら驚きますけど」
モバP「南大東島や青ヶ島あたりに行って、本土から隔絶された場所で一人きり」
モバP「世界から取り残されたような気分に浸って軽く絶望を感じちゃったり?」
ちひろ「島民の方に失礼だぞ」
雪美「……遠い……帰りにくい所に行くのは……こわい……」
雪美「でも……一緒にいてくれる……仲間がいれば……」
モバP「もしそんな仕事が来たなら俺がスタッフになって同伴するよ」
雪美「……心強い……約束……ね」
モバP「まあそういう私も結構離島恐怖症ではありまして、オアフ島規模でも不安になるくらい」
ちひろ「それただのホームシックでは」
-
205
モバP「このところはすっかり暖かくなり日中20℃は軽く超すようになってきたな」
雪美「……うん」
モバP「雪美は元気そうだな」
雪美「私も……ペロも……元気……」
モバP「良いことだ。寒いと身を寄せ合って暖を取るというのが動物的で情緒があるが」
チョコン
雪美「……?」
モバP「暖かくてもこうして膝の上に乗って接してくるのは雪美的だな」
雪美「……私的……? ……変なの……」
モバP「晩春から夏、初秋あたりまではここに乗ってくれる子は減るんだ。ぬくいからね」
雪美「……」
-
モバP「その点、雪美は物好きだと言えるかもしれないな」
雪美「……別に……物好きじゃ……ない……」
モバP「そうか? ちなみに、こうしても暑苦しくはないか?」ギュッ
雪美「……うん……大丈夫……」
モバP「例え暑くても寄り添えるのはよほど相手を気に入ってでもいないとできないことだ」
モバP「気に入ってもらえているのなら素直に嬉しいが」
雪美「……どんな時でも……これが……Pとの……共鳴……」
モバP「じゃあさ、俺が風邪に罹ったとしても、雪美はお構いなしに膝に乗るかい?」
雪美「……乗っていたら……うつる……かも……」
雪美「……でも……一蓮……托生……」
雪美「Pと、私……二人で……溶け合う……」
モバP「……病気には罹らないようにしなくちゃなあ」
ちひろ「ベタベタし過ぎて脱水症状とか起こさないでくださいよ?」
-
206
モバP「疲れたぜ」
奈緒「どうしたんだぜ?」
モバP「ちょっと間違った霧雨魔理沙みたいに言うのね。……不覚にもときめいた」
奈緒「ば、ばかっ! つい韻を踏んじゃっただけだ!」
奈緒「……Pさんは東方も知っているんだな」
モバP「奈緒こそ。まあ、本家のシューティングゲームはやったことがないんですがね」
モバP「サブカルに触れていると独り歩きした音楽やキャラが知らず知らずの内に侵食してくるジャンルだよ」
奈緒「あたしもそんなに詳しい訳じゃないけど、気づいたら知ってたな」
モバP「まずシューティングって精密動作を要求されるから苦手で、パロディウス以来触っていないね」
奈緒「パロディウスはネタを理解するのが難しい気がする……」
奈緒「脱線から話を戻してさ、Pさんはどうして疲れているんだ?」
モバP「よくぞ聞いてくれました。事の始まりは一週間前のことなんですがね――」
奈緒「あっこれ面倒臭いやつだ」
-
――
モバP「という訳で、ペロとその友だち五匹とかくれんぼをしていましたらくたびれまして」
奈緒「一週間前の前置きは結局関係ないのかよ……」
雪美「……Pは……ペロたちに……とても、気に入られている……」
奈緒「しかも話の合間に雪美が設置されてるし」
雪美「……ぶい」v
奈緒「…………ぶい? ……へへっ」v
モバP「この世の天国かな?」ジーッ
奈緒「まじまじと見つめるな!」
奈緒「……はぁ……だいたい猫とかくれんぼって、仕事しなくて良いのか?」
モバP「それをちょっと本気を出して片づけたところで今に至るんですよ」
奈緒「それで片づけられるのも凄いよ……あっ、書類ここ間違ってないか?」
モバP「ん、どれどれ…………」
モバP「……奈緒、天才」b ヤメロヨ
-
207
ダダダダッ
肇「あ、Pさんだ。……Pさん!」
モバP「はっ? ……や、やぁ肇」ゼェゼェ
肇「器はあっても心ここにあらずという様子ですね」
モバP「そういや心を丸洗いしてベランダに干しているままだった」ハァハァ
肇「ふふふ、ユニークな冗談。なんだいつもの調子のPさんでした」
モバP「今、追われているのよ。意識がそっちに向いてしまっている」フゥ
肇「それは大変! 誰に?」
バサバサバサ
モバP「ひいっ!? お、お助け〜!」バッ
肇「大量の形代……というか人形? ちょっ、Pさん抱き着かないで///」
??「むぅ……肇さんを盾にするとは〜」
肇「この声……」
-
??「そ〜な〜た〜」 バサバサバサ
肇「人形が寄り集まっていく……!?」
芳乃「……此度はー、わたくしのおせんべいを勝手に齧ってー、不敬でしてー、出ませいー」
肇「……芳乃ちゃんが顕現した……」
モバP「悪気はなかったんだ! 許してくれ、この通りだ!」
芳乃「……では、何故逃げるのでしてー?」
モバP「芳乃が追いかけてくるからだよ!」
肇「追いかけられると逃げたくなる……人間心理ですか」
芳乃「ふむ……では少し落ち着いて話をしませー」
モバP「ああ。……いやあ、何かから逃げるってのはスリル満点で生きてる実感がするね本当」
芳乃「楽しそうですねー。ではもっと楽しみましょうかー?」 バサバサバサ
モバP「わーっ!? やっぱり今の無しでお願えしますだーっ!」ダダダッ
肇「あっ……Pさん、もっと構ってほしかったです……」プクー
雪美「…………すごいものをみた」
-
208
モバP「働けど働けど猶我が生活楽にならざりじっと手を見る俺モバP」
ちひろ「余分な物が四字ほどくっついていますね」
モバP「オーバーな引用をしましたが、我々の給料って適正なんでしょうかね?」
ちひろ「個人的には不満はありません。強いて言えばあなたがドリンクなどを買ってくれたら私は潤います」
モバP「そこは隠しませんね。まあ、食欲がない時にぐいっと一本飲むと効きますから重宝はしていますよ」
ちひろ「待て、私のドリンクは胃腸薬じゃない」
雪美「P……貧乏……?」
モバP「いんや。豪勢な暮らしとは無縁だが貯金は作れているからな」
モバP「要求するとしたら自分の賃上げよりアイドルの待遇向上になるだろうね」
ちひろ「まあご立派だこと」
雪美「……埋蔵金……探しに……行く……?」
モバP「社会の授業で出てきたのかな? 最近”埋蔵金”なんてロマン単語は聞かなくなったなあ」
ちひろ「昔はテレビでよくやっていたらしいですけどね」
-
むつみ「埋蔵金……金色の響きがしますね!」
モバP「おうむつみよ、息災であったか。息子がお前の帰りを待ちわびておるぞ」
むつみ「世界中を飛び回って滅多に家に帰ってこない冒険家の父親みたいな扱いですか?」
モバP「ああ良いっすねえ」
ちひろ「埋蔵金探しが流行らなくなったのは、今の時代、科学が発展したからなんでしょうかね」
モバP「地中に大判小判ざっくざくあったりしたら探知できそうではありますね。つまり、ない……」
雪美「昔話では……大判小判……よくあるのに……」
むつみ「でも、石油や温泉を掘り当てるとかよりは、やっぱり金銀財宝ですかね! 光り物は強し!」
ちひろ「私は石油や温泉でも充分です」
モバP「何にしても、地道に財を築くことに専念するより、たまには一獲千金を夢見るのも人間らしさだな」
むつみ「その通りです! という訳で取り出しましたるは謎の宝の地図」 オォー
モバP「何か物件拝見トレジャーバトルで見たようなそれだが、出所は?」
むつみ「麗奈ちゃんですね」
モバP「……ここは釣られようか」
-
209
モバP「今朝は変な夢を見たんだよ」
雪美「……ほー」
モバP「UFOに蘭子ダイブ姿の蘭子が何十人もキャトられているのを呆然と見ている夢だ」
雪美「……宇宙人……蘭子を集めて……何をする……」
モバP「さあな。後で闇に飲まれてブラックホールになったりして」
雪美「……こわい」
モバP「ただ、逆再生の夢を見ていた可能性もあるな。たまにそういうことあるんよ」
モバP「つまりUFOから何十人という蘭子が降り立ってくる侵略」
雪美「……それもこわい……」
モバP「怖いだろう? 怖いねぇ。怖いから、俺、寝る」
雪美「……また寝るの……? ……次元大介……みたいに……言って……」
アハハハ フフフ
ちひろ「頭の中身が前衛的過ぎませんかねこの人」
-
210
モバP「雪美さん……変わり果てた姿に……」
雪美「……?」
モバP「それは杏の”働いたら負け”Tシャツじゃないか」
雪美「ユニフォームとして……もらった……似合う……?」キラキラ
モバP「何のユニフォームだよ。似合うがさ。いや、似合っちゃいけないんだよ」
雪美「プリントシャツは……いろいろ……ある……」
モバP「結構ロクでもない類の標語とかキャラクターとか書かれた物も巷には多いな」
雪美「……これで……バンダナ巻いたら……ラーメン屋さん……」
モバP「さすがにこれ着て営業しているラーメン屋さんはないよ!?」
雪美「Pも……着たい……? 待って……」
モバP「待て待て脱ぐんじゃない。さすがにサイズが合わないから」
雪美「じゃあ……もう一つ、手に入れて……ペアルック……しよう……」
モバP「不健全なペアルックだなあ……」
ちひろ「違う意味でも不健全に見えますけどね」
-
今日はここまで
あなたは私 私はたわし
-
211
モバP「ただいま戻りました。すっかり夏ですね」
ちひろ「あらプロデューサーさん。ついこの前は春とか言っていたのに」
モバP「春と思えば夏が来て夏と思えば夏のまま、ですよ」
ちひろ「それは嫌だなあ……おや、顔に汗が」
モバP「日差しが強かったものですから」フゥ
雪美「……おつかれさま……」フキフキ
モバP「ありがとう雪美さん」
雪美「……P……暑がり……?」
モバP「ああ。体温調節力が人並以上って訳じゃないから気を付けないと自律神経失調症が怖い」
雪美「……暑がりなら……同じ……だね……」ニコ
モバP「じゃあ、一緒にシャワーでも浴びてきますか?」
雪美「賛成……」
ちひろ「流れるようにアウト」
-
212
モバP「日常の一風景」
モバP「モロッコヨーグルを食べる雪美さん」
雪美「……」アム
雪美「……ん」
雪美「…………んんん」ニマ
モバP「雪美さんは駄菓子も意外といけますよね」
雪美「……Pにも……はい」
モバP「……ん、良い味だな。ついでに間接キスをありがとう」
雪美「……?」
モバP「……そういうことはあまり気にしないのか。いや、何でもないよ」
雪美「そう……。……」アム
雪美「……次は……またPに……」ハイ
ちひろ「一口ずつ交互にとかナカガイイナー」
-
213
モバP「いよいよ元号が変わる……感慨深いですね」
ちひろ「そして世の中は十連休だそうで」
モバP「もっとも十連休を取得できる人が世にどれだけいるかは分かりませんがね」
ちひろ「我々はいつも通りですね」
モバP「長期休暇前に銀行から生活費を下ろしたり引き落とし分の入金は万全ですか?」
ちひろ「聞き飽きるほど聞いた注意喚起をしないでくださいよ」
ちひろ「というかもう連休に突入しているんですけど今更確認してもですねえ」
モバP「自分はちょっと必要な分のお金を下ろすのを忘れていました」
ちひろ「どうするんです?」
モバP「ちひろさん。コレ、少し貸していただけませんか? なんつって」
ちひろ「十日で十割で良ければ」
モバP「トジュウとは暴利を貪りますなあ」
-
モバP「まあそう来るとは分かっていましたよ。借りずにコツコツ日雇いのバイトでもします」
ちひろ「副業禁止ですよ」
モバP「なぬ!?」
ちひろ「なぬじゃないです」
モバP「いや、それも社会人ですから知っていますが……まあ、手数料払って普通に下ろせば済みますよね」
ちひろ「口座凍結していたら面白いのに」
モバP「とりあえず生活費は足りているんですよ。無いのはずばり遊ぶ金ですね」
ちひろ「プロデューサーさんの遊ぶ金は家族サービス的な意味ですからねえ」
モバP「のんびり競馬でも見に行ってみようかと思うんですよ」
ちひろ「ギャンブルですか。あなたにしては意外ですね」
モバP「この前の皐月賞で見たサートゥルナーリアの太い首が格好良いなーと」
ちひろ「首フェチ!?」
雪美「……P……たまに、首を触るのは……そういう……?」
-
214
モバP「夢ネタしつこいかもしれませんが」
朋「何?」
モバP「泥吐いたり虫吐いたり、最近何かを吐く夢をよく見る気がするんですよ」
朋「虫はデトックス、でも泥は隠し事をバラされてみんなから嫌われるメタファーね」
モバP「やだ怖い……やめてください……」
朋「Pの思想として悪い物を排出して身軽になりたいという意識があるのよ、きっと」
モバP「千と千尋の神隠しが思想形成に影響していそうだ。オクサレ様とか泥団子とか」
朋「そんなPの本日のラッキーアイテムは……雪美ちゃん!」
モバP「具体的すぎない? 星座占いの一つにラッキーアイテムが特定の人物とか」
朋「星座占いとは言ってない。P占いだから」
朋「さあ、幸運を味方につけて、今日も一日頑張っていくわよ!」
モバP「アイアイサー!」
自宅の雪美「……今日の占い……年上の異性と……相性良い……ふふ」
-
215
モバP「レイナ様」
麗奈「はいはいレイナサマよ。何かしらP?」
――
モバP「時子様」
時子「あら豚、殊勝にも躾けてほしいようね?」
――
モバP「雪美さま」
雪美「……」
雪美「……P……おすわり」
モバP「……くぅーん」
凛「……猫じゃなくて犬扱い!?」
奈緒「なんて三段オチだよ」
加蓮「あれで結構ノリノリという」
-
216
モバP「雪美よ」
雪美「……?」
モバP「その格好は一体何だね? おいちゃんに説明してみなさい」
ちひろ「おいちゃんって誰や」
雪美「……」キョトン
モバP「言わぬなら自分から言うぞ」
モバP「ポニーテールに大きなリボン、カットソー、キュロットがとても愛くるしい」
モバP「由詑かなみかな? 羨ましいぞ」
ちひろ「何が」
モバP「そんな服を着られて、しかも似合うことがだ!」
ちひろ「自分も着たかったのか……」
雪美「Pも……女の子に……なれば……」
-
モバP「まあ俺が自然の摂理を捻じ曲げてTS出来たとしても、年齢と身長肉体的に……」
ちひろ「ついでに若返らないとですね」
モバP「若いってええなあ……」
雪美「……私は……Pみたいに……大きく……なりたい……」
モバP「おっと話が逸れてすまない。雪美のその格好は誰が?」
ちひろ「久しぶりの私です」
モバP「GJ……結構そっち系の趣味がおありだったりするんですか?」
ちひろ「そっち系って何だよ」
モバP「でも良いですね。雪美がかなみなら自分はクーガーになりたいです」
ちひろ「カズマじゃないんかい」
モバP「では、せっかくなんで千秋に見せびらかしに行くか!」
雪美「……おー」
千秋「……クッ! この悪寒は……?」ゾクッ
-
217
モバP「雑誌を見ていたら”姉にしたいし妹にしたいアイドルランキング”というのが載っていました」
ちひろ「姉妹どっちの役も親近感あっていけるって貴重かもしれませんね」
雪美「……私だと……姉には……なれない……」
モバP「二十代向けのやつだからな。俺は雪美が姉でも一向に構わんが」
モバP「家族構成次第では年上の妹や年下の姉ができることだってあるしな(雪美がそうだとは言ってない)」
雪美「……年下なのに……姉……? ???」
ちひろ「例えばの話、プロデューサーさんが成人した莉嘉ちゃんと結婚したら、美嘉ちゃんは年下の義姉になります」
雪美「……」 ←分かったような分からないような
モバP「ちなみにランキングの1位はな……なんと……驚きの……」
雪美「……?」
ちひろ「誰ですか?」
モバP「高垣楓さんでした」
ちひろ「……あー……わかるわ」
-
今日はここまで
そのひとつは希望
-
218
モバP「雪美の変な写真を親御さんから預かって参りました」 エー
ちひろ「何の為に持ち出したんですか」
雪美「……そうだそうだ」
モバP「選挙のアピール材料にできないかとね。雪美には内緒ですまない」
雪美「……それで……何の……写真……?」
モバP「これですな」ピラッ
雪美「………………」
雪美「」プシュー
ちひろ「えっ、ちょっとどんな恥ずかしい写真ですか私にも見せてください」
モバP「食いつき良いですね……はい。布団で簀巻きになっている雪美さんのエレガントなお写真ですよ」
ちひろ「ああ〜」
ちひろ「藤和エリオみたいですね。でも顔が隠れているので支援に使うには微妙ですねえ」
雪美「……返して……これは……だめ……///」 アッハイ
-
219
モバP「日常の一風景」
モバP「マットで前転する雪美さん」
ピー
雪美「……いきます……」
ゴロンゴロンゴロン
雪美「はいっ……!」バッ
モバP「フィニッシュポーズが決まっていますね」パチパチパチ
雪美「……」キラキラ×2
モバP「半袖とハーフパンツの体操服も麗しい」
モバP「でも、さすがに髪はしっかりまとめて結んでいるか」
雪美「……体育で……長いと……大変……」
モバP「じゃあ次はこの跳び箱なんてどうです?」
ちひろ「その体育用具はどこから持ってきたんですかね?」
-
220
雪美「……P」ヒシッ
モバP「……雪美」ヨシヨシ
ちひろ「人目を憚らずイチャつきおって」
モバP「しばらく会えないのでこうして。忙しい身はなかなか辛いものですよ」
雪美「……」
モバP「そうだ、俺がいない時の身代わりにこれをあげよう。チューインガムだ」
ちひろ「これまたテキトーな身代わりですね」
モバP「ところがどっこい、このチューインガムは特別でな。そのまま持っていても結構だが」
モバP「緑色になるまで噛んでから土に埋めると、なんとガムの木が生るんだ」
雪美「……ふふっ……もう……嘘ばかり……」
ちひろ「エルマーのぼうけんかな?」
モバP「晴にも一発で看破されたよ」
-
雪美「P……いないと……さみしい……」
モバP「暫しの別れだが悲観せずとも良い。良い子で待っていろ」
雪美「……待ってる……だから……必ず……戻ってきて……」
モバP「ああ……約束するよ」
雪美「約束……重ねて……私とP……もっと……近く……」
モバP「幾重にも絡みついた糸の中にいるように、段々と離れられなくなっていくな」
ちひろ「……」イライラ
モバP「なお、あまり一つに依存しないように多角的に物事を見ることも大事ですね」
ちひろ「ですね」
雪美「……行ってらっしゃい……。おみやげ……忘れずに……」
モバP「行ってくるよ。グンマーとサイタマでの仕事にな」
ちひろ「そんなに遠くないじゃないですか。何を今生の別れみたいな寸劇やってるんですか」
雪美「……楽しいから……ねー?」 ネー?
ちひろ「……雪美ちゃんは可愛いから許す」
-
221
モバP「♪♪♪」
ちひろ「おやまあえらく上機嫌ですね」
モバP「雪美が俺にお弁当を作ってきてくれまして♪」
ちひろ「いよいよもって内縁の妻か何かですか」
モバP「それだけで事実婚になるんだったら今頃何重婚ですか」
ちひろ「そういえば他のアイドルにも時々手作り弁当貰ってますね。爆ぜろ」
モバP「このお昼ごはんの時間が楽しみで楽しみで仕事が手につかないのなんの!」
ちひろ「道理でハッピー状態なんですね。爆ぜろ」
モバP「という訳で開けてみましょう玉手箱」パカッ
モバP「おおおお」
ちひろ「ご飯の上に鮭フレークでハートマークですか」
ちひろ「敢えて桜でんぶで来ない所が個性ですかね? この幸せ者め」
-
モバP「……自分で自分の弁当を作る時はこういう凝り方しないですから、新鮮ですよね」
モバP「しかもハート。雪美の愛情が伝わってきますね。嬉しい、実に嬉しい」
ちひろ「良かったですね。爆ぜろ」
モバP「それに、鮭フレーク大好きなんですよ」
モバP「昔から好きなご飯のおかずベスト3は辛子明太子・鶏そぼろ・鮭フレークですからね」
ちひろ「男の子してますね」
ちひろ「ほう……野菜も肉も簡単ではありながら彩り豊か。そして玉子焼き」
モバP「玉子焼きは定番ですね。これ一品でランチタイムの満足感が一気に上がりますよ」
モバP「果たして雪美は甘い派でしょうか甘くない派でしょうか。これは楽しみな一番です」
ちひろ「そして別の容器にデザートまで。ああ妬ましい」
モバP「イチゴですね。一から十まで手を抜かない構成、グッドです」
モバP「じゃ、ワシは食べます。悪く思わんでください!」
ちひろ「では私は外でヘビーなロブスターでも食べてきてやりますよ」
モバP「豪勢だなあ。いただきます」パチ
-
――
モバP「雪美」
雪美「……?」
モバP「お弁当、ごちそうさま。とても美味しかったよ」
雪美「……良かった……」クス
モバP「また、時間がある時で良いから雪美の手作りが食べたいな」
雪美「今度は……二人で……出かけた時に……」
モバP「お弁当を作ってピクニックか……良いな。行楽にはちょうど今くらいが良いし」
雪美「……花嫁修業……にもなる……」ボソリ
モバP「え? なんだって?」
雪美「……何でも……ない」
モバP「まあ聞こえているんですがね」
雪美「……もう……ふふっ」
-
222
モバP「がさつで当たりが強い関西弁の少女って良いと思いませんか。猿柿ひよ里みたいな」
ちひろ「ストライクな属性のデパートですかあなたは」
雪美「……」
ちひろ「しかもそれを雪美ちゃんを膝に乗せた上で平然と言っちゃうんですから」
モバP「それだけ信頼しているしされているということです。手は今ちょっとニギニギされていますが」
雪美「……」ボー
ちひろ「はいはいごちそうさま」
ちひろ「所属アイドルにはいないタイプですね。関西弁でなければ……失礼ですけど、巴ちゃんとか?」
モバP「巴とか晴とか、分かるんですがやっぱり何かクールなんですよね、基本」
ちひろ「何ですか、そういうツンな子を自分色に染めたい的な願望でもおありで?」
モバP「いや、染めずにそのまま戯れたいですね。罵声貰ったり噛みつかれたりしながら」
ちひろ「好き者ですね全く」
雪美「……P……なでて……ほしい……」 ハイヨ
-
223
モバP「事務所に爆弾が仕掛けられるなんて、こんなことってあるかよ」
雪美「……」
モバP「それも俺と雪美だけ取り残されて……晶葉の電話指示で解除は進めてきたが」
カチ カチ カチ
モバP「……最後に青い導線と赤い導線が残ってしまった。これは晶葉に聞いても分からない」
モバP「残り時間は3分46秒……もう悩んでいる時間はないが」
雪美「……P……」
モバP「赤にするか……」
雪美「……Pと……繋がっている……赤い糸……切る……の?」
モバP「……ううむ」
モバP「ヒントとして犯人らしき人物の置手紙があるが、”青を切れ”――これは罠かもしれない」
朋『Pの今日のラッキーカラーは赤ね!』
モバP「今朝、朋はそう言っていた。ラッキーカラーを切るのが正解か切らないのが正解か」
-
カチ カチ カチ
モバP「ダメだ……運の二択に失敗は再送じゃ済まん。どうしたら……」
モバP「……雪美」
雪美「……?」
モバP「雪美の好きな色は何色だ?」
雪美「…………ピンク……」
モバP「探してもピンクはどこにも無いんだ、すまない」
モバP「青と赤ならどちらの方が好きだ?」
雪美「青と赤……両方好き……選ぶことなんて……できない……」
モバP「……」
雪美「……」
カチ カチ カチ
-
モバP「……分かった」
雪美「……?」
モバP「どちらも切らない」
雪美「でも……それだと……爆発……する……」
モバP「俺も蒼と紅、どちらも好きだからな。これが凛とまゆだとしたら、どちらも切れん」
雪美「……P……」
モバP「優柔不断でごめんな。でも俺は第三の選択をしてみることにするよ」
雪美「……分かった……最後まで……付いて行く……」ギュッ
カチ カチ カチ ピー!
――
晶葉「バーチャルテスト終了だ。お疲れ様、P」
モバP「それで、バーチャルとは言っても結局正解は何だったんだ?」
晶葉「そんなものはないぞ。あの時限爆弾は偽物、という設定だからな」
モバP「なんだ……まあ爆発オチなんてサイテーだからね」 ソウイウコトダ
-
224
雪美「……」プクプク
モバP「雪美さんがシャボン玉を吹いている」
プカプカ
モバP「辺り一面シャボン玉――ティーンや大人ではまず見かけない微笑ましい光景よ」
雪美「……」プクーッ
モバP「おお、大きい」
モバP「ファンタジーの世界なら大きなシャボン玉に包まれた人が空に浮かんだりするが」
ポテン
コロコロコロ
モバP「浮かばないし割れなかった」
雪美「……? ……P…………見た……?」
モバP「えっ、見ちゃいけないものだった?」
雪美「……バルーン……触ってみる……?」 エッ サワッテイイノ?
-
225
モバP「出会った頃の雪美は大変でしたよ」
ちひろ「どんな所が?」
モバP「異性に抱き着かれるとね、猫になっちゃうんですよ」
ちひろ「フルーツバスケットの物の怪憑きかな?」
モバP「契りを交わしたおかげで呪いは解けて今のように膝に乗せても平気になりましたがね」
雪美「……」(*゜-゜*)
ちひろ「つくならもうちょっとまともな嘘をつきましょうね」
モバP「今でもたまにこうやって耳生えたりしますが」サッ
Λ....Λ
雪美「……」(*゜-゜*)
ちひろ「咄嗟に猫耳カチューシャ被せて言いなさんな」
モバP「いやいや、耳だけでなく尻尾も――」パシッ
ちひろ「雪美ちゃんのどこに触ろうとしてるんですか」
-
今日はここまで
鯛やひらめの舞踊り
-
そ、それはシンデレラガールズ劇場1263話のポリバルーンネタ!
おつー
-
226
雪美「……すー、すー」
モバP「晩春のお昼寝、か。実に幸せそうな寝顔をしておる」
雪美「……」コロン
モバP「おっと、こっちに寝返りを打ってきた」
雪美「……」バフッ
モバP「そんなに密着して大丈夫か? 息苦しくならないか?」
雪美「……」ダキッ
モバP「抱き枕に全身埋めているようなものかね? 俺なんてそんなに柔らかくないのにな」
雪美「……」スリスリ
モバP「起きてるな貴様」
雪美「……残念……ばれたか……」
ちひろ「春眠暁を覚えず」
-
227
モバP「日常の一風景」
モバP「割烹着を着た雪美さん」
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美さんは結構和装のお仕事が多いが、やっぱり似合うんですねぇ」
雪美「……そうだとしたら……うれしい……」
モバP「ハハハ、自信を持って良いぞ! 雪美はどこに出しても恥ずかしくないアイドルだ」
雪美「……うん……!」
モバP「それにしても割烹着は昭和のお母さん的なイメージが乗る。雪美も少し大人びて見えるな」
雪美「……これで……ひざに乗ったら……少し……変……?」
モバP「お母さんを膝の上に乗せると考えると……」
雪美「……?」
モバP「少し新鮮だな!」
ちひろ「やだアブノーマル」
-
228
モバP「思えば、杏はよく俺の相談に乗ってくれるよなあ」
杏「感謝したまえ」
モバP「気分が悪ければ休みなさい、横になってなさいと言ってくれるし」
杏「働き過ぎは良くないからね」
モバP「ちょっとした心のケアもしてくれるし」
杏「話を聞くだけだけどねー」
杏「って杏は保健室の先生じゃないぞ」
モバP「でも他のアイドルからもそういう所、割と頼られているでしょ?」
杏「……そういえばそうかなぁ」
モバP「自覚がないということはごく自然にやっているということか」
杏「プロデューサーの話は割と聞き流しているよ」
杏「杏は自分のことで手一杯なのさ。親身に付き合うなんてないない」
モバP「とか言いつつこうして二人でキャンディブレークしてるがな」
-
杏「プロデューサーの飴チョイスが絶妙だからついつい釣られるんだよねー」
杏「何だかいつも見たことない知らない飴をくれるよね。どこで見つけてくるのさ?」
モバP「コーヒーと輸入食材の店とかだな。海外のお菓子がズラッと並んでいて楽しいぞ」
モバP「暇な時はそういう場所によくいるのが俺だからな」
杏「えー、良いなー」
モバP「ちなみに玩具売り場のレゴブロックのコーナーなんかもそこだけ欧米の空気感があって好きよ」
杏「でも積極的に海外に行きたい訳じゃないんだね」
モバP「一庶民としてぼんやりと憧れているくらいが一番楽しい気がするんよ」
杏「……賛成しかねるようなちょっと分かるような」
雪美「……P……ちひろさんが……呼んでいる……」
モバP「おっと、休憩も終わりか。ほいじゃ、お互いもうひと頑張りと行きましょうか」
杏「いや、杏は頑張らないけど」
雪美「……」
杏「まあ少しは頑張るよ、うん」
-
229
モバP「GW明けたし働くぞ働くぞ働くぞ」
ちひろ「ワーカホリックかな」
モバP「世の中には仕事してないと落ち着かない、休むと不安になるって人もいるようですね」
ちひろ「並行世界のあなたのことかもしれませんよ」
モバP「何を仰います、仕事人間になりきれない従順な社畜とは私のことですよ?」
ちひろ「収まりが悪い社畜ですね……まあ休日も有って無かったようなものですしね」
モバP「業界人はその分、ちょっと遅めのGWとか休暇を取られる方もいますね」
ちひろ「アナウンサーとか一週間ほど普段と違う人が入ったりしますね」
モバP「自分も一週間くらい代理立てても良いですかね」
ちひろ「一週間経って帰って来たらすっかり立場乗っ取られていたりして」
モバP「こわやこわや」
-
ちひろ「で、あなたの代理とは? Y内さんとかT内さんみたいな名字ですか?」
モバP「いえ、池袋博士が作ったロボットですね。人工知能搭載ですがベースは自分と同じくらいです」
ちひろ「さすが21世紀だなあ」
モバP「今は研究室でメンテナンス中なのでお見せできませんが、ちなみに雪美型もいますよ」ハイ
ヤァ
ちひろ「何ですかこの茶筒に目と手と足が生えたメカ沢くんみたいな何かは」
モバP「雪美の影武者です」
ちひろ「それは無理があるやろ。手乗りサイズですし」
ワタシ……ココニイル…… キコキコ
モバP「ほら、実に雪美でしょう?」
ちひろ「それを雪美ちゃんと言い張るのはやめましょう」
雪美「……」ジーッ
-
モバP「おっ! 雪美サンテレビ」
ちひろ「何じゃそりゃ」
……
雪美「……」
ワタシジャナイ!
雪美「……私の……そっくりさん……」
ちひろ「いやおかしいですから! 既に雪美ちゃんが言わないようなこと喋ってますし!」
モバP「感動的な邂逅だな」ウンウン
ちひろ「分かったように頷くな」
カタカタカタカタ カタッ
雪美「……? P……、止まった……」
モバP「この子はゼンマイ式だから背中のネジを回してあげればまた動くぞ」 ワカッタ
ちひろ「くそぅ、二人して私をからかってる気がする……!」
-
230
モバP「にゃんみくってさ、かつお節は大丈夫なんでしょ?」
みく「ニャンポコみたいに言わないの」
みく「そりゃあ、お好み焼きやたこ焼きにだって入っているもん」
モバP「最近ね、高菜チャーハンにかつお節をかけて食べると美味しいことが分かったんだ」
みく「Pチャンはシンプルなご飯が好きだにゃあ」
モバP「で、今度みくにひとつ、かつお節を使った料理を作ってほしいと思いまして」
みく「良いけど……でも何でまたかつお節にゃ?」
モバP「乾物は長持ちするからか贈答品や仕送りで結構貰う割に、俺こんななんで余らせていまして」
みく「なるほど」
モバP「で、かつお節と言えばねこまんま、ねこまんまと言えば一緒にねこまんま食べたいアイドルのみくを誘おうと」
みく「変なものにノミネートしないでよ」
-
モバP「ちなみに雪美は一緒にツナマヨトーストを齧りたいアイドルです」
雪美「……わたしです」エッヘン
みく「嫁さんにも変なことを吹き込みまくるのはやめようね!」
モバP「そういやみく、元々はご飯奢るって話だったのがいつのまにかご飯作るにすり替わっているな」
みく「Pチャンにご飯奢るのは何か違うと思ったの」
モバP「未成年年下にご飯を奢られるのもなかなか格好つかないものではあるからな」
みく「アイドルをまとめるプロデューサーだからね」
モバP「まあご飯を作って胃袋から掌握するやら餌付けするやらってのもされる側の格好がつくかは別の話」
みく「でもそういう姉さん女房はいるにゃ」
モバP「雪美もある意味では心の姉さん女房みたいなものでもあるんだよね」
雪美「……そうなの?」
モバP「そうです」
みく「それはどうかと思うよ?」
-
231
モバP「……」
雪美「……」
モバP「雪美、今日こそどちらが立場が上かはっきりさせようじゃないか」
雪美「……のぞむところ」
モバP「いざ、勝負!」
――
ポスン
雪美「……これで……34勝……6敗……」
モバP「……俺の勝率1割5分か……雪美さんには敵わないなあ」
ちひろ「また負けたのか」
ちひろ「まあ、大の大人が本気出す訳にもいかないでしょうけど」
モバP「分かっていても男には勝負しないといけない時があるんですよ」
ちひろ「でもちょっと男の勝負を安売りしすぎじゃないですか?」
-
232
モバP「ほれほれ」フリフリ
ペロ「ウニャッ!」ガバッ
モバP「おあっ! ……まただ、おかしいなあ」
雪美「P……どうしたの?」
モバP「いや、ペロの前で猫じゃらしを振ってみるんだがな」
モバP「このようにじゃれてくれずに俺の腕に巻きついてしまうんだ」
ペロ「ニャー」
雪美「…………」
雪美「……P……変な……暗示をかけてる……」
モバP「そんなことは意図していないぞ? ただこうやって普通に振ってさ」フリフリ
雪美「……P……!」ガバッ
モバP「って、雪美までどうした抱き着いてきて」 スリスリ
ちひろ「偶然暗示をかけてしまうって危ないですねこれ」
-
今日はここまで
おかげで今夜も
-
233
モバP「おう雪美さん、いないと思ったらこんな所に」
雪美「……P……また……見つけてくれた……」
モバP「だが、探してもらう為に隠れていた訳じゃないんだろう?」
雪美「……」コクン
モバP「隣に失礼しますよっと……狭くてごめんね」
雪美「……かましまへん……」
モバP「……」ホー
モバP「なるほど。雪美さんは暑いと涼しい場所を、寒いと温かい場所を見つけるのが上手いな」
雪美「……私の……得意技……」
モバP「まるで猫みたいだ」
雪美「猫だ……にゃー」
ちひろ「若干一名、たむろしてタバコ吸ってるヤンキーみたいな座り方してますね」
-
234
モバP「仕事する」
雪美「……一休みする」
モバP「そして仕事する」
雪美「……遊ぶ」
モバP「更に頑張って仕事を片づける」
雪美「……デート、する」
モバP「うん、実に健全な日々だ」
ちひろ「結構コンプライアンスがクライシスだと思いますけど」
モバP「逆に考えればメリハリをつけることでこれ以上爛れなくて済んでいるのでは」
雪美「ただれると……どうなるの……?」
モバP「二人の世界に閉じこもって他を顧みなくなったりするかもな」
ちひろ「今でも結構一心同体でしょうあなたたち」
-
235
モバP(普段通る道が工事で通行止めときた)
モバP(急いではいないんでちょっと遠回りして行くか……ん?)
モバP(おや、ここの壁にぎりぎり通れそうな穴が……)
モバP(って、通る訳ないだろ。こんな分かりやすいトラップあるか。閊えるのがオチだ)
――
モバP(ほう……こっちの通りはあまり通らなかったが……良いな)
モバP(小さな店が出来ている……ケーキ屋さんかな? 外観はなかなか良い雰囲気だ)
モバP「へぇ〜」
モバP(おっ、フェラーリが停まっているな。くぅ〜、憧れるなあ)
モバP(運転したいかどうかは別として、見た目がやっぱり心を掴んでくるね)
モバP(あの丸いテールランプ……)
モバP(怪しい人みたいになるのでジロジロ見たりはしないが)
-
モバP(おや、女の子が立っている)
モバP(雪美に何となく雰囲気が似ているな。……雪美と触れ合いすぎて認識までジャックされている?)
モバP(変なことを考えていないで行くか)
少女「……あの」
モバP「……はい?」
少女「……が、いつも……お世話になっています」
モバP「……??」
少女「……今度は……私とも……遊びましょう……?」
――
モバP「……事務所に来る前のあれは何だったんだろう? 人違いって雰囲気ではなかったが」
ペロ「ウニャー」スリスリ
モバP「おっ、ペロ。どうした? いつになく甘えてきて」
雪美「……好きな人を……褒められて……うれしい……って……」
-
236
ガチャ
ちひろ「プロデューサーさん、休むだなんて一体どうしたんですか? 様子を見に来ま――」
グニャア
ちひろ「あっ、SUN値とヒューム値がピンチだ」
モバP「テケリ・リ」
ちひろ「ああ、なんてこと。黒ずんだスライム化してるじゃないですか。目も口もどれがどれやら」
雪美「……」
ちひろ「雪美ちゃんも一緒ですか。これは、どういうことです?」
雪美「闇に飲まれて……いる……」
ちひろ「これ以上ない説明をありがとうございます」
ちひろ「冷静を装っている私が言うのも何ですけど……この状態で平然として見える雪美ちゃんが怖い」
モバP「テケリ・リ、テケリ・リ」
-
雪美「……P……ちょっと……頑張り過ぎた……だけ……」
雪美「……だから……大丈夫……」
ヌチャ
ちひろ「……!」
雪美「……元に戻るまで……私が……そばにいる……」ダキッ
モバP「……」フシュルルル
ちひろ「ああ……これが……無償の愛、ですか……」
ちひろ「触手が雪美ちゃんを包み込んで……っっ」ゾクゾク
――
ちひろ「雪美ちゃんは、プロデューサーさんがどんな姿になっても、拒絶しないでしょうか?」
モバP「どんな姿とは?」
ちひろ「それはもう冒涜的な」
モバP「……変な夢でも見たんですか?」 ゴメイトウデス
-
237
モバP「ピクルスを使ってハンバーガーを作るのに最近ハマっていましてねえ」
ちひろ「美味しいですよね、ピクルス」
モバP「あの酸味が良いですね。最初食べた時は外国原産の食材かと思いましたが、キュウリでした」
ちひろ「でもピクルスって酢漬け野菜という意味みたいですね。キュウリのイメージが強いですけど」
モバP「その点は浅漬けと似ているかもしれませんね。大根やニンジンを使ったりもして」
ちひろ「で、他には何を挟むんです?」
モバP「シンプルにパティ、レタス、トマトですか。PLTサンドです。ピクルス入れたらPPLT」
ちひろ「PPAPじゃないんですから」
雪美「Pの、ハンバーガー……おいしかった……」
モバP「材料費と人件費他を考えたらこれ一個いくらで売れるかな? なんて話をしながら家で作ったな」
雪美「……300円……くらい……?」
ちひろ「小学生とする話にしては現実的過ぎる」
-
238
モバP「ここにドクロマークの描かれた青い液体の入ったフラスコが置いてあるのは何ですか?」
ちひろ「他人からの好感度をゼロにする薬です――と言ったらどうします?」
モバP「物騒ですね」
ちひろ「まあゼロなんで嫌いになる訳ではなく、初対面状態にリセットされるだけですけど」
モバP「いずれにせよ飲みませんよ。そんな都合の塊みたいな薬を飲んだら頭が正常作用しなくなりそうです」
ちひろ「信じていないんですね。信じられるなら、飲みますか?」
モバP「メリットが無いです……でも、周りが仮に好感度マイナスな人だらけなら良いのか」
モバP「そもそも好感度なんてものが共通で数値化できるものなのか」
ちひろ「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる――ジュール・ヴェルヌ」
モバP「で、本当は何の薬品ですか?」
ちひろ「新しいエナジードリンクの試作品です。志希ちゃん共同開発で」
モバP「それでこの見た目は遊び心あるなあ」
-
ちひろ「で、飲んでみます? 勿論毒じゃありませんけど、強制はしませんよ」
モバP「それならば飲んでみます」
ゴクゴク
モバP「んー……いつものよりは甘酸っぱくて良い感じですね……ん?」クラッ
バタン
――
雪美「……P……起きて……」
モバP「……ん……おう……ああ、いつの間にかすっかり寝てしまっていたようだ」
モバP「んん〜……雪美が起こしてくれたおかげで最高の寝起きさ。体も軽い」
雪美「……」
モバP「どうした?」
雪美「……別に……。……早く……行こう……」
モバP「お、何か意味深だな――って、待ってくれよ〜」
ちひろ「プロデューサーさんは、一人じゃないですからね」
-
239
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……P……起きて……」
モバP「……」
雪美「……」
雪美「……目を……覚まして……」
モバP「……」
雪美「…………」
雪美「…………好き、だから……大好きだから……約束……したのに……こんなの……いや……」ギュッ
モバP「そこまで言われたら起きるぜ」
雪美「! ……はぁ……そこで起きたら……練習に……ならない……」メッ
ちひろ「現金な奴だ」
-
240
モバP(今日は雪美は両親と水入らずの時間を過ごしている)
モバP(俺は夜からは会社に戻らないといけないが、今は家で一人で夕飯の支度だ)
モバP「……エビフライ」
ジュワジュワジュワ
七海「タルタルソース〜」
シャカシャカ
茜「キャベツの千切り!」
トントントントントントントントン
モバP(今は家で一人で夕飯の支度だ――ったはずなのに気づいたらアイドルが来ている)
モバP「何か、ありがてえなあ」
七海「どうかしたんれすか〜? はい、レモンとトマトも切っておきました!」キラキラ
茜「今夜はエビフライだと聞いて黙っていられずに来ました! お腹が空きませんか? 空腹は最高の調味料ですねっ!」ドバーン!
モバP「でも君たちエビフライってキャラだっけ?」 ウミノサチレスカラ セヤナー
-
今日はここまで
まあエンヤでも聴けや
-
エビフライ系アイドルか成る程……(豚バラ串の着ぐるみを桃華に着せつつ)
-
241
雪美「……」ボー
モバP「……」ポケー
ちひろ「選挙が終わり雪美ちゃん大躍進というのに、燃え尽きですか?」
モバP「五月病です」
ちひろ「そうですか」
ちひろ「……くたびれたマリオ的な?」
モバP「懐かしいですね。あんなに絵が上手になりたいものです」
ちひろ「私たち、ただでさえ仕事をしているシーンがあまりなく雑談ばかりしている風に見えますし、もう少しやる気を出せませんか?」
モバP「メタなこと言わないでくださいよ」
雪美「……やる気……出す……」
ビシッ! クタッ ビシッ! クタッ
モバP「雪美さんが膝の上でストレッチを始めましたね」
ちひろ「とりあえずお二人は分離する所から始めませんかね?」
-
242
雪美「P……」コッチコッチ
モバP「おや、何かな雪美さん」
雪美「耳……貸して……」
モバP「内緒話かな?」スッ
雪美「……」コショコショコショ
モバP「……っっ!」ゾクゾクッ
雪美「……!?」
モバP「おおう、驚かせてすまない。雪美の声があまりに透き通っていて身震いした」
雪美「……話は……聞いていた……?」
モバP「すまん、もう一回言ってくれ」
雪美「……」コショコショコショ
モバP「……っっ!」ゾクゾクッ
ちひろ「いつから君らはコントをするようになったのかなあ」
-
243
モバP「ちひろさんちひろさん」
ちひろ「その話しかけ方は若干気になりますけど何ですか」
モバP「5月23日ってキスの日なんですね。奏に教えてもらうまで忘れていました」
ちひろ「覚えていたらプロデューサーさん、アイドルにちょっかいをかけていたでしょうから良かったです」
モバP「いや、さすがに”なのでフリーキスしましょう”なんてことはやりませんよ」
ちひろ「あなたはこのドリンクの飲み口とキスをしていてくださいな。フリーではありませんけどね」
モバP「ちひろさんは厳しいや。いただきます」
ちひろ「どうぞ」
キュリッ ゴクゴクゴク
モバP「うん、おいしい!」
ちひろ「暑くなってくると喉が渇きますからね」
-
雪美「……P……私のも……ふた……開けて……」
モバP「雪美も一本飲むのかな? と思ったら違うようで」
モバP「ジャムの蓋か。待ってろ、こんなのはちょちょいと……ぬぐぐぐぐ」
ちひろ「何で事務所でジャムの蓋を開けるようなことになっているんでしょう?」
モバP「しょうがない、滑り止めにハンカチを使うか」
カポッ
モバP「開いたぞ」
雪美「……ありがとう……」
雪美「これは……お礼……」チュッ
モバP「」
ちひろ「」
雪美「……また……ね……」
モバP「…………相手から頂いたのでこれはセーフですねえ」
ちひろ「私は何も見ていない」
-
244
モバP「ファイナルファンタジーのイベントで未央がⅧのガーデン制服を着ることになった」
モバP「……学校が採用している制服としてはミニスカ過ぎねえか?」
未央「私は慣れている方だけど、これはなかなか……鉄壁スカート技術が要りますなあ」
モバP「あれは技術なのか……まあスカートで踊るアイドルなんかは不必要に捲れないような動き方ってのはあるよな」
未央「そこはプロとしてね」グッ
モバP「よっ、本田プロ」
未央「何か女子ゴルフみたいな響きだなあ」
モバP「まあモデルとなっているセルフィは私服もミニな訳で、何ともね」
モバP「だが未央とはイメージカラーも髪型も若干近い所があるね」
未央「うん! だからしっかりセルフィやるよ〜! ヌンチャクだってこの通り!」クルクル
雪美「……おおお……!」
-
モバP「そして美波はSeeD服か。こっちは少しスカートの丈が長いんだよね」
美波「うふふ、似合います?」
モバP「ああ。でも何かシュウ先輩っぽい雰囲気が出ているな」
美波「先輩、かぁ……良い響きですね」
美波「でも、なれるのであれば、人並に弱さも見せられる先生も良いものですね」
モバP「分かるぞ。キスティスか……美波が先生なんてその生徒が羨ましいが」
美波「もしプロデューサーさんも生徒なら私に、壁にでも話してろよ、とは言わないでしょうね?」
モバP「俺が壁だ」ドン!
美波「あら、良い壁♪」
雪美「カッコいい……!」
モバP「雪美もいつかは制服やこのスーツのような服がフィットするようになる時が来るのかしら」
美波「作中では年少の子は制服を着ていないようですからね」
雪美「……今でも……ガールスカウト……くらいなら……似合う……」フンス
-
モバP「そしてアーニャは風神か。クールの塊ですね」
アナスタシア「хорошо……そうですか?」
モバP「見ているこっちはСпасибоだがな」
アナスタシア「そういうもの……ですかね」
モバP「眼帯は気にならない?」
アナスタシア「Да……でも、蘭子は、目を輝かせていました」
モバP「邪王心眼的な何かかと思ったのかな?」
モバP「しかし、こういう本来非攻略対象のサブヒロインやライバルヒロインが味を出してる作品は良いな」
モバP「例えばアマガミの塚原響やポケモンのムサシに根強いファンがいるように」
美波「一方、プロデューサーさんは私たちの攻略対象ですけど、ね」スッ
アナスタシア「Я согласна」ギュッ
未央「輝く星になるまで、私のことも見ていてくれないとダメだよー? えへへっ」ダキッ
モバP「しまった、囲まれた!」
雪美「……にげる」ササーッ アッマッテユキミサーン
-
245
モバP「瓶ピクルスを見ていると、皮を剥いたキュウリがぎっしり漬けてあるじゃないですか」
ちひろ「パッと見はワーム的な生物のホルマリン漬け感はありますよね」
モバP「それがよくよく考えると何か言い知れぬ恐怖を感じます」
ちひろ「プロデューサーさんには懐かしい光景なんじゃないですか?」
モバP「ああ、僕は培養槽生まれのクローンですからね――って違うわ!」
モバP「何か動き出したりしそうじゃありませんか?」
ちひろ「結構妄想力逞しいですね。教室で授業受けていたらテロリストがとか考えていませんでした?」
モバP「あり得ないような活躍でテロリストをとっ捕まえてヒーローになりたい願望でしょう?」
モバP「現実的には淫らな行為や銃乱射の被害者という凄惨なことにしかならない気がします」
モバP「で、同級生が犠牲になるのを間近で見たPTSDで、何も出来なかった自分の無力感に打ちのめされて――」
ちひろ「暗い! 今日はやけにネガティブじゃないですか?」
モバP「元々はそういう性格でしたよ。雪美に出会って変わりましたがね」
ちひろ「一体どこに変わる要素を見出したんだろう……?」
-
246
モバP「運動会とか体育祭のシーズンですね。アイドルからそんな話をよく聞きます」
ちひろ「最近は気温が高いですから大変でしょうね」
モバP「自分の時はまだ秋開催でしたが、日中は結構日差しも強いですからね」
雪美「……」チョコン
ちひろ「雪美ちゃんも膝の上でややお疲れ気味ですか」
モバP「当時は暑くて自分たちばかり苦労したような気でしたが、今思えば」
モバP「当日のテントや連続旗や入場門の設営をしてくれる方々がいたことに感謝です」
ちひろ「アイチャレ大運動会等のイベントにも言えるかもしれませんね」
モバP「ですが、運動会モードの雪美も見てみたいですね。頭にハチマキしてね、クルーネックのシャツとブルマで」
雪美「……?」
ちひろ「小学生の雪美ちゃんにブルマなんてこのプロデューサー筋金入りである」
モバP「短パンでも良いです(震え声)」
雪美「……学校のは……ハーフパンツ……」 デスヨネー
-
247
モバP「人も物も外見をちょっと飾るとあら不思議、一気に高級感がってのはよくある話でして」
芳乃「でしてー?」
モバP「本日はお仕事を頑張ったご褒美として、みなさまのためにぃ〜、こんなお菓子をご用意しました」
モバP「瓶プリンです」
雪美「……びん……!」
こずえ「びん……?」
芳乃「これはまことに高級品ですねー。そのようなものをそなたから頂いてもよろしいのでー?」
モバP「笑顔と引き替えならお釣りが来るぜ。遠慮しないでどうぞ」
こずえ「いただきまーす」アム
こずえ「んん〜……おいしいよぉー、ぷろでゅーさー」ニコ
雪美「……いつもと……違う……ふしぎ……」ニコニコ
モバP「良い笑顔いただきましたー!」
-
芳乃「では、わたくしもー」パクッ
芳乃「……!」
ゴクン
芳乃「……瓶……恐るべし……なのでしてー」トロン
モバP「良かった、限定品でこれだけしか買えなかったんだ。みんなには内緒な?」
こずえ・雪美「……はーい」
芳乃「なんとー、そなたの分も無いではありませぬかー」
モバP「俺は別にいいんだ。ほら、さっさと食っちまいな」タハハ
芳乃「わたくしの分を一口あげますゆえー、そなたも笑ってくださいませー」
雪美「私のも……あげる……。苦笑いは……ダメ……」
こずえ「こずえもー。ぷろでゅーさーは……さいごにわらわなきゃ、いけないんだよー?」
モバP「芳乃、雪美、こずえ……お前ら何て優しいんだ」ホロリ
ハイ、アーン キャッキャ
ちひろ「でも私の分はしっかり確保してくれているのがずるいなあ。……おいしい」
-
おまけ3
モバP「ところでSUN値って何です? SAN値なら知ってますが」
ちひろ「ぷよぷよSUNのゲージでしょ(適当)」
モバP「太陽ぷよを消すんですね。紗南とレトロゲームを漁っている時に見ました」
モバP「ドラコケンタウロスみたいなスポーティーなハイネックビキニが似合う娘いないかなあ」
ちひろ「どうせ私は似合いませんけどね」
モバP「んなこたー言っとらんです」
おまけ4
雪美「……」クンクン
プイッ
モバP「雪美はスタドリエナドリ系には興味を示しませんね」
ちひろ「味や匂いの若干のケミカルさはどうしても隠せませんからねえ」
モバP「……普通の人に飲ませちゃいけないものなんじゃないですよね?」 マサカー
-
今日はここまで
ここまでったらここまで
-
248
モバP「雪美さんワンシーン」
サラサラサラ
雪美「……」ジーッ
サラサラサラ
雪美「……」ジーッ
サラッ
雪美「……」
雪美「……」チラッ
モバP「砂時計の砂が落ちきって何か訴えかけるように俺に視線を向ける雪美さん」
モバP「そういう何気ない仕草が好きなんです」
雪美「……」ツンツン
ちひろ「雪美ちゃんの気持ち、ちゃんと伝わっていますか?」
-
249
雪美「Pの……ワンシーン……」
モバP「あっ、くしゃみ出そう」
モバP「は……は……は……っ」
モバP「……」
モバP「……はー」
モバP「うう、出そうで出ないと何か気持ち悪い」
モバP「…………」
モバP「………………」
モバP「ふぇっくしゅっ!!」
ビクッ ガタッ フニャッ!?
雪美「……びっくりした……でも……かわいい」
ちひろ「プロデューサーさんの気持ちは分からんなあ」 フェックシュ!
-
250
モバP「雪美はお手玉が上手だな。実に器用だ」
雪美「……ん」ポンッ ポンッ ポンッ
モバP「自分はどうも上手くできない。特に高さ調整?」
雪美「……?」ポンッ ポンッ ポンッ
モバP「球技もあまり得意じゃないんだよな。テニスのサーブが長らく上手く出来なかった」
雪美「……あっ」ポトッ ポトッ ポトッ
モバP「空間認識能力とかも関係しているのかなあ。それにしても実に良いテンポを刻んでいて見惚れるな」
雪美「……もう……止めてる……」
モバP「おっと、残像が見えていたぜ」
雪美「……お手玉は……芳乃に……教えてもらった……」
モバP「芳乃は伝承遊びはお手の物のようだからな」
モバP「何事も練習によってある程度は上達するものだと思うが、上手い人にはそう敵わない」
-
モバP「昔の遊びとは違うが、意外にフラフープが上手い人っているよな」
雪美「……法子……?」
モバP「意外、は失礼か。法子の場合はリング状の物に愛されているというか愛しているというか」
雪美「……ドーナツの……ちからって……すごい……」
モバP「それでフラフープもな、上手くできないんだ。回らずにすぐ落ちてしまう」
モバP「まず男性がフラフープで腰を振っているのをあまり見ないな。元が女性向きなのかな?」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「ちひろさんはフラフープとか出来ます? シャンティみたいにセクシーに」
ちひろ「シャンティみたいな腰振りじゃフラフープ回らない気がするんですけど」
ちひろ「私ですか? 以前やった時は出来ませんでしたね」
ちひろ「逆にプロデューサーさんは何だったら得意なんですか?」
モバP「んー……因数分解?」 ナンジャソリャ
-
251
晶葉「できたぞ、ドリームキャスト(仮)だ」
モバP「おおー! これ、どうやって使うんだ?」
晶葉「この装置が起動中、自分が他人の夢の中に登場すると、一回につき500円」
晶葉「何とギャラが振り込まれるんだ!」
ちひろ「なにそれすごい」
モバP「相変わらず池袋博士の技術は凄いなぁ」
晶葉「そうか? もっと褒めてくれても良いんだぞ? ん? ん?」
モバP「褒めてやるさ。いくらでもな」
モバP「ただしその前に、雪美が分身できるようになったのは君の仕業?」
「……P」 「……ふふふ」 「……っ」 「……ねむい」 「……うう」 「……!」 「……♪」
ちひろ「うわあ……」
晶葉「正直すまなかった」
-
252
モバP「晶葉の発明した才能開花マシンとやらで雪美が遊んだ結果」
あやめ「結果――?」
モバP「雪美が分身できるようになっちまった!」
雪美「……影分身の……術」 「……ふしぎ」 「……うん」 「……変な顔」
「……Pも分身……しよ」 「……それいい……!」 「……え……できない……?」
モバP「ごめん。面白いけど収集つかないから収納してもらって良いかな?」
雪美「……マーモリー……シューノー……」スッ
雪美「……できた」
モバP「タンスかな?」
あやめ「羨ましいです! P殿、あやめもリアル分身しとうございます!」ユサユサ
モバP「そうは言っても晶葉いわく、想定外のことらしいぞ? 謎の適性があったとしか」
モバP「代わりにあやめはほら、隠れ身の術が使えるじゃないか。電柱とかに」
モバP「これで”殿中でござる”とでも言えば流行語間違いなしだぞ」 ウルサイデス!
-
253
モバP「雪美の良さの一つは”いじらしさ”だとファンは言う」
雪美×7「……」ジーッ
モバP「それに反して素の雪美は自己主張が激しくなってきた気がする」
――
清良『P教授の総回診です』
雪美
雪美 モバP 雪美 ザッザッザッザッ
雪美
奈緒『あれがインペリアルクロスか』
加蓮『斬新な並びだね』
――
モバP「この前もこんなことがあったしなあ」
ちひろ「どんなシチュエーションだ」
-
254
雪美「すぅ……すぅ……」
朝目が覚めると、雪美が俺の布団の中に潜り込んでいた。
何故か全裸でな。俺が寝てから入ってきたんだろうが、まあギョッとしたね。
とりあえず俺は寝巻の上を脱いで雪美に着せ、朝食を作りに台所に出た。
別の雪美「……起きたのね……ふん」
モバP「おう……おはようさん」
雪美は最大で六人、自分の分身を作ることができる。
人懐こいキュート、元気なパッション、賢いクール、ツンデレなホワイト、臆病なロスト、危険なアウト。
今、目の前に居るのは、銀髪のホワイトだ。
ホワイト雪美「……今……あなたの好きな……玉子焼き……作ったところ……」
モバP「どれどれ?」パクッ
ホワイト「こら……! つまみ食い……ダメっ」ピシッ
モバP「切れ端だったから良いかなと……悪かった。そう怖い顔をするな」
ホワイト「……ふん」
-
今は実験的に雪美の分身の内、例外側の三人を自宅で預かって様子を見ているところだ。
分身を元に戻す時には情報の集合処理が行われる。
フィードバックの誤差が大きいほどオリジナルが混乱するので、気を付けないといけない。
ちなみにキュートはちひろさんに、パッションは芳乃に、クールは千秋に預かってもらっている。
モバP?「君は……素直じゃ……ない……ふふっ」
ホワイト「……何?」
俺の口を勝手に動かして、雪美の一人が喋る。
彼女はアウト。某ネメシスや忍野忍のように人の体に憑依ができる。
アウト雪美(……あなたも……”私”に……手を出さない、から……)
モバP(手を出しちゃいかんでしょ)
今は思考も共有状態なので俺の考えていることが筒抜けになる。
一方、アウトが深い所で何を考えているのか、俺には読み取ることができない。
アウト(……起こしに……行かない……の? もう一人の……かわいそうな……私を……)
モバP「あ、最後のお寝坊さんも起こしてくるよ」
ホワイト「そう……」
しかし身近なだけでも雪美が三人も同時に存在しているとか天国である。
本物の嫁艦隊デッキを拝めるなんて夢のようだ。
-
モバP「雪美、起きろ。朝ごはんだぞー」
ロスト雪美「ん……? うあ……P……?」
モバP「そうだ。あなたのPさんですよ」
ロスト「……だっこ」(つ゚-゚)つ
ロストは他の雪美より甘えんぼうだ。
神経質で内向的な割には物理的な距離が近く、よく俺に抱き着く。
思えばそれぞれの雪美が元の雪美の成分を少しずつ受け継いでいるのかもしれない。
モバP「どーら、どっこいしょ! っと」
ロスト「……わーい……」
ホワイト「……どっこいしょは……おじさんくさい……」
アウト(……どっこいしょは……おじさんくさい……)
モバP「何だよ! あ、何でもないよ雪美」
ロスト「……うん……」ダキッ
-
彼女たちには如何わしいことはしていない。敢えて言うなら番号確認だ。
オリジナル以外の雪美の体にはそれぞれ番号が振ってある。
右の肩口に1ならクール、臍の左に2ならキュート、左胸に3ならパッション。
ロスト「……Pの温度……快適……」スリスリ
俺の上着に隠れた背中の右肩甲骨に4ならロスト。
アウト(……いやらしいこと……考えてる……?)
右の太腿にXならアウト。
ホワイト「……少しは……手伝いなさい……ばか……」
ホワイトには番号がないが、彼女は銀髪なので見分けられる。
――
モバP「そんな雪美さんに囲まれた生活がしてみたい」
ちひろ「できたとしてもさせねえよ」
雪美「P……分身に……そこまでは……できない……」
ちひろ「まあ分身できるだけでもおかしいですけど」
-
255
モバP「六月は学校のプール掃除の季節ですね」
ちひろ「何ですかそのとても限定的な季節感は」
雪美「……一年に……一回だけ……」
モバP「そうなんだよ。毎夏プールの授業はたくさんあるが、まとまった掃除は一度しかない!」
モバP「教室・校舎なんかは毎日掃除するから印象に残りにくいが、特別行事は数が少ないからぼんやりとでも残るものだ」
雪美「……Pの……思い出は……どんなの……?」
モバP「それこそぼんやりとだが、みんなで水着の上に体操服・シャツなど着まして」
モバP「水を張っていないプールに下りてびしょ濡れになりながらブラシでチャンバラしたり滑ったり」
ちひろ「そこは真面目に掃除しろ」
雪美「……楽しそう」
モバP「そして女子たちの水着姿が印象的だったなあ。うちの学校では授業だと男女別だったから」
雪美「……P……プール……行こう……。……その印象は……上書き……する」
ちひろ「さて、仕事しますか(現実逃避)」
-
今日はここまで
甘さは此処に置いて行け
-
256
モバP「アイドルにはいろいろなユニット活動がある」
モバP「一人がある時はA、ある時はBを掛け持つなんてことも珍しくない」
雪美「……みんなと……いっしょ……楽しい……」
モバP「合同イベント以上に他の子と交流もできて、良い経験になっているだろうな」
モバP「でも複数のグループに籍を置いていると混乱したりしないかい?」
雪美「……そんなことは……ない……」
モバP「平気そうだな。俺は考えすぎなのか、よくこんがらがる」
モバP「学校で部活動(クラブ活動)、委員会、選択授業、掃除当番、給食当番、日直などいろいろな役割を当てられ、それが時に都合まで絡み合う」
雪美「ん……よく考えると……多い……」
モバP「当時の自分はこんなのをよくやり過ごしていたなと」
雪美「……そのおかげで……今のPが……あるのかも……」 ナルホドナァ!
ちひろ「やり過ごしたらいかんのでは」
-
257
J( 'ー`)し「タカシ(仮称)、今日の昼ごはんは冷麦だよ」
モバP「カーチャン、また素麺? 夏の昼飯は何か冷やし中華とか素麺多くない?」
J( 'ー`)し「そんなことないよ? 素麺は在庫がいっぱいあるけどね」
モバP「お米とお肉が食べたいなあ」
J( 'ー`)し「しょうがない子だねえ。夕飯を楽しみにしときなさい」 ワーイ
――
雪美「P……、今日は……そうめん……食べよう……」
モバP「……素麺、か」
モバP「……あっ……」ホロリ
雪美「! P……そうめん……いやだった……?」オロオロ
モバP「嫌なもんですか。何か、元気な頃のカーチャンを思い出しただけさ」ナデナデ
ちひろ「ふとしたフレーズと条件一致がノスタルジーを呼び起こすこと、ありますね」
-
258
モバP「やあ雪美」
雪美「……P」
ヒョイ ポスン
雪美「やっぱり……ここが……好き……」
モバP「出会って三秒で合体とは正にこのこと」
ちひろ「いかがわしい慣用句を用いるな」
モバP「しかし色白美人さんな雪美さん」
雪美「……///」グリグリ
モバP「こらこら、頭でぐりぐりは反則ですよ。何ですかこの尊い小動物は」
ちひろ「私はプロデューサーさんの頭をぐりぐりしたくなってきたなあ。げんこつで」
モバP「規制があまり厳しくなかった頃のみさえですか」
-
モバP「それはそうと、そんな雪美さんもこんがり日焼けとかしてみたいと思ったりするのかな」
雪美「……私は……似合わないと……思う……」
モバP「そんなことはない。普段整った黒髪ロングのお淑やかな子が大胆に変身していると男子は気になるぞ」
モバP「短髪で活発な子が日焼けしているのも夏の風物詩感はあるが、ギャップが大きいと更に目を惹く」
雪美「……Pも……気になる……?」
モバP「ああ。雪美の仕事の性質とかを考えると肌管理は必要だから、敢えて焼くことは望まないが」
モバP「日焼けしてちょっと開放的な服を着た雪美と一緒にいたら……テンションが上がり過ぎると思う」
ちひろ「日焼けした薄着の少女って魔力ありますからね。服にもよりますけど」
モバP「小中学校は一夏休み越えた九月の始業式に小麦色になって学校に来る同級生も多いことだろう」
雪美「……うん……多い」
モバP「アウトドア派なら海に行ったりプールに行ったりそれでなくても野外活動が多くなりがちだからな」
雪美「……私も……Pと、いっしょなら……海……プールは……行きたい……にゃー」
モバP「なんと! 雪美に誘われたなら行くしかないっしょ! よし行こう!」 ウン ヤクソク
ちひろ「うっかり焼けて帰ってきそう」
-
259
ニャー
モバP「おう、最近よく黒猫と出くわすなぁ。どれどれ、観察してやりますか」
ミャミャ
雪美「……あなたが……P? ……私は……豆助……って言ってる……」
モバP「名付け親さんはこの子が風呂敷巻いた柴犬に見えたのかな?」
ナーウ
雪美「……あなたは……黒猫の……素質……あるって」
雪美「P……評判……みたい……」クス
モバP「黒猫のネットワークで今話題の人になってるなんてにわかには信じがたいな」
ニャン
雪美「…………! ……分かった……」
モバP「えっ何」
雪美「……秘密」
-
260
ソナター
モバP「んっ、どこからか芳乃の声g」
芳乃「そなた、捕まえたのでしてー」ギリッ
モバP「うげげ、やめて芳乃、チョークスリーパーはやめて」タップタップ
芳乃「仕方ありませぬー。では」ストッ
モバP「ふひー、いきなり何しやがるんですか」
芳乃「わたくし、そなたを召し捕えに参ったのでしてー」キラキラ
モバP「くっ……ミニスカくノ一衣装とはやりおるな。誰の差し金じゃ」
芳乃「はてー? ところでそなたー、この服は似合いますー?」
モバP「破廉恥です。似合っています。というか何で清楚な子に限ってそんな恰好で攻めてくるのか」
芳乃「知れ渡っておりますよー。そなたの弱点はー」ワキワキ
モバP「おのれ邪鬼王!(錯乱)」
雪美「……」ジーッ
-
モバP「ぐぬぬ、こうなったら逃げるしかない」
芳乃「おっとそちらはー」
モバP「!」
雪美「あっ……!」キラキラ
モバP「って、雪美までミニスカくノ一だとぉ?」
雪美「///」カァッ
モバP「……!」ボシュー
BOMB!!
バタン
芳乃「おやおやー、やはり溜まっておられましたかー」
雪美「……P……猫に……なった……」
芳乃「雪美さんを普段から抱かれていて、それゆえの望みでもありましょうー」
-
――
モバP(……うう、何てこった。いくら何でも急に気を失うなんて)
モバP(ん?)
雪美「……?」ナデナデ
モバP(何か気持ち良いと思ったら撫でられてるし、俺が座ってるのって……)
ニャア!!
雪美「……P、気がついた……の?」
モバP(うわ、雪美の生膝の上だよ。そして俺の体は真っ黒だ)
雪美「…………」ナデナデ
モバP(……慈愛にあふれた雪美の手が気持ちいい)
雪美「……P……ようやく……私に……座って……もらえた……」
雪美「いつも……ありがとう……」ナデナデ
モバP(ああ)
モバP(こっちこそ)ニャ
-
261
ゴクゴク
モバP「ふぅ……スタドリエナドリ掴み取りも良いが、たまにはこれも良かろう」
雪美「P……ジュース……飲んでいる……の?」
モバP「おや雪美はん。……これは甘酒だよ」
雪美「……お酒……?」
モバP「特殊なお酒、かな」
モバP「物によってアルコール分が強いのもあるから要確認だが、未成年でも飲んでも良い”お酒じゃない甘酒”も多い」
モバP「これはノンアルコールな甘酒。まあそれでも飲むと酔った風になったり顔が赤らむ人もいる」
雪美「……」スッ
モバP「……?」ハイ
雪美「……」ソーッ
-
クンクン
雪美「……」
ブンブン
モバP「ダメそうか。まあちょっと微妙な感じだよな」
雪美「……Pは……これが……好き……?」
モバP「特にそういう訳でもないけど自分の舌には合っている方かな。甘さと酸味が」
雪美「……お返し……する……」ハイ
モバP「どうも。で、飲む点滴などと言われ熱中症や夏バテ対策に良いらしい」
雪美「……外は……暑くなって……きたから……」
モバP「ああ。だからこれ飲んで元気出していきますよっと」グビッ
モバP「……んー、今日の雪美さん、いつもより色気……というかフェロモンが出ていません?」
雪美「……P……酔ってる……の……?」
ちひろ「世の中にはジュースやお茶で酔っ払う人もいますからね」
-
262
モバP「水着を買いに行こう!(提案)」
ちひろ「念の為お伺いしますけど誰と行くんですか」
モバP「雪美と千枝とこずえとナターリアと芳乃と唯と裕子と……あと予定では」
ちひろ「もういいです。役得そうで良いですねプロデューサーさん」
モバP「女性の服選びにかける時間を甘く見ちゃいけませんよ?」
モバP「アイドルと連れ立ってショッピング、しかも試着なんて見れたりして羨ま血涙、なんてのは幻想です」
ちひろ「はいはい。で、どんな水着をお買いになるんですか?」
モバP「普通のボクサー型にしようかと」
ちひろ「ボクサー型!? あ、自分のも買われるんですね」
モバP「まあアイドルたちの意見も頂戴しますから、最終的にどんな水着になるやら知れませんが」
ちひろ「変なテンションでギャグに走ってワンショルダーとか買うのはやめてくださいよ? 多分捕まりますよ」
モバP「際どいのはさすがに自重しますから」
-
モバP「というかブーメラン程度なら分かりますが、ワンショルダーとか何でそんなに詳しいんですか」
ちひろ「えっ」
モバP「えっ」
ちひろ「ああ水着のことでしたら仕事柄そういう話題も先方としたりするでしょう」
モバP「なにそれこわい」
ちひろ「で、雪美ちゃんにはどんな水着を選んで差し上げるおつもりで?」
モバP「そうですね……んー、283の八宮めぐるちゃんが着ていたようなタイプを探したいですね」
ちひろ「満場一致でアウトでしょそれ」
モバP「いや、それそのものって訳ではなく、要するにビキニをと」
ちひろ「大ざっぱかい! それならクーリッシュスタイルがあるのでダメとは言いませんけど」
モバP(よし、楽しく話せたな)
ちひろ(でもそのオチはダメです)
雪美「……Pの水着……選ぶの……楽しみ……♪」
-
おまけ5
ちひろ「プロデューサーさんは最近やらかしたことってあります?」
モバP「”収拾をつける”を収集と変換しちゃった問題に収拾をつけたいです」
ちひろ「……まあ、良いことありますよきっと」
雪美「……」テクテク
モバP「あ、雪美がミニスカートだ。良いことありましたね」
ちひろ「それでいいのか」
おまけ6
モバP「最近ナターリアのスキンシップが激しくて嬉しいです。こちらも健全な男子なもので」
ちひろ「建前だけでもそこは嬉しむんじゃなくて困っときましょうよ」
モバP「日焼けとか褐色系にも実は弱いってバレたんでしょうかねえ」
ちひろ「あなたは何にでも弱いでしょ」
-
今日はここまで
書き込みに失敗したので初投稿です
-
乙
黒猫の素質のエピソードは夢オチでも何でもなく本当に黒猫になってるのか……(困惑)
-
263
雪美「……」テクテク
モバP「雪美ぃ!」
雪美「えっ……P……?」
モバP「……はぁ、はぁ……雪美……やっと見つけた……はぁ」
雪美「どうしたの……? そんなに……息を切らせて……」
モバP「俺は、どうしてもお前に、伝えなきゃいけないことがあるんだ」
雪美「……落ち着いて……はい……深呼吸……」
スゥー ハァー
雪美「それで……私に……伝えること……って……?」
ガシッ
モバP「雪美の作ってくれたフルーツサンド……美味かった。天にも昇るほどにな……」ガクッ
雪美「……ふふふ……ありがとう。……それだけのために……探してくれたの……ね」
事務所のちひろ「一切れ食べるなり飛び出していきましたけど何だったのかなー?」モグモグ
-
264
モバP「天才の私がふと気づいたことがありまして、草食動物の肉は実質野菜ですよね?」
ちひろ「んな訳ないでしょう。ピザは野菜だとかカロリーゼロ理論並のガバガバですよ」
雪美「ピザは……野菜……? 赤、黄色、緑……バランスは……良い……?」
キャシー「ピザは一部野菜だねー! おっと、ならば割合的にハンバーガーも野菜か♪」
加蓮「ポテトは野菜。これは疑う余地もないね」
ナターリア「スシは野菜カナ? ネギトロのネギ、タコワサグンカンのワサビ!」
モバP「たこわさ軍艦って通やなナターリア」
ちひろ「……皆さん、普段の食事でしっかり野菜を取ってますか? 結構心配です」
モバP「まあ、あまり食生活が乱れるようならウチで自炊合宿させますから」
ちひろ「一番心配なのはあなたですよ」
モバP「いやね、これでも健康志向の一環で自家菜園でも始めてみようかなあとは思っているんですよ。あまり世話をする時間がないですが」
キャシー「朝摘みキュウリやトマトを齧りながらいなせに会社に来るPさんは見てみたいね!」
ちひろ「これ以上この人の個性を増やすつもりですか」
-
265
雪美「……こんな所に……帽子……? P……これは……?」
モバP「よくぞ聞いてくれた。これはな、晶葉が作ってくれた組分け帽子だ」
雪美「組分け……帽子……?」
モバP「何と、被った人をキュート・クール・パッション・それ以外のどれかに判定してくれるんだ」
ちひろ「ホグワーツ魔法魔術学校かな?」
モバP「被ってみるか?」
雪美「……」コクコクッ
モバP「はい、どうぞ」
スポッ
帽子「……」
帽子「……レイブンクロー!」 ビクッ
ちひろ「どれだよ」
-
モバP「えーっと……レイブンクローはクールですね。取扱説明書にそう書いてあります」パラパラ
雪美「……ドキドキ……した……」
モバP「ちなみにキュートはグリフィンドール、パッションはハッフルパフとなっております」
ちひろ「何か一つ欠けていませんか」
モバP「それは我々が被ってみれば分かります」ハイ
ちひろ「……」スポッ
帽子「こいつぁスリザリンだな! 純度100%のスリザリン!」ケラケラケラ
ちひろ「誰が狡猾で野心家やねん!」ペシッ
帽子「いてえなオバハン!」 ダレガオバハンジャ!
モバP「……それ以外はスリザリンになります」
雪美「これ……誰がかぶっても……元のタイプに……なるの?」
モバP「それが意外とそうでもなさそうで……李衣菜とかどうなるか」
オフの李衣菜「へっぷちっ!」 ダリー、カゼカ?
-
266
ピカッ!
雪美「!」
ドシャーン!! ゴロゴロゴロ
雪美「!!!????」
モバP「わー、結構近くに雷が落ちたなあ」
雪美「P……こわい……」ギュー
モバP「大丈夫だぞ、と言いたいところだが落ちるときは落ちるもんだ」
モバP「とりあえず直撃の可能性を考えたら、屋内でも壁際、蛇口、コンセントからは1m離れてようか」
雪美「……ここに……落ちる……の……?」
ピカッ!
雪美「!!」
ズーン! ゴゴゴゴゴゴ
-
雪美「……」ヒシッ
ちひろ「ふぅ……雷は嫌ですねえ」
モバP「大きな音がするのでそれだけでも面食らいますね」
ちひろ「音だけなら良いですよ。身の危険もありますし、停電が起きれば厄介です。夏場は冷蔵庫の中身が……」
モバP「後は雷サージでPCがやられたら死活問題ですね。うちは可能な範囲での対策はしていますが」
雪美「……早く……遠ざかって……ほしい……」
モバP「そうだな。まあ雪美に限らず、雷は皆苦手だろう。得意な人なんていたら特異ですよ」
ピカッ
モバP「あふんっ」
「……」
ゴロゴロゴロ
ちひろ「一度大きいのが通るとしばらく稲光だけでも過剰に反応してしまいますね」
雪美「……あふん……って……ふふふ……」
モバP「べ、別に怖くなんてねーし?」
-
ちひろ「それにしても、急な落雷とか通り雨が来ると夏なんだなって気がします」
モバP「ですね。自分が学生の時、初夏でしたか……学校に雷が直撃したことがあります」
モバP「その時は周りが黒雲に覆われて昼間なのに夜並の暗さになって皆と騒いでいました」
ちひろ「仲間が多いと異常事態で謎にテンション上がるのは分かります」
ちひろ「ところで」
雪美「行った……かな……? 手は……まだ……離さないで……」ギュッ
輝子「プロデューサーのおしりが、こんな近くに……」サワサワ ヤメーヤ
幸子「ボクがカワイイばっかりに雷さんもはりきってしまいましたかね」ブルブル
小梅「えへへ……みんなでこうしていると、楽しい」グイグイ
乃々「雷はイヤなんですけど、ここにいるのも何か暑いんですけど……」ヒシッ
美玲「そろそろ離れるぞ……ってコラッ、どこ触ってんだ、この手はプロデューサーかっ!」ガウッ
まゆ「年長のまゆがしっかりしないと……! でもプロデューサーさんと対面で密着……///」ポーッ
ライラ「あっ、おしくらまんじゅうですねー。ライラさんも混ざりますですよー」ピトッ
ちひろ「これはヒナをハドリングするコウテイペンギンの群れか何かですか?」 ゴランノアリサマデス
-
267
モバP「創作で記憶喪失もののストーリーはよくあるが、実際になったらどうしようと思うことがある」
雪美「……私のこと……忘れる……?」
モバP「俺が雪美のことを忘れるはずがない! と言いたいが人間何があるか分からんからな」
モバP「特に怖いのは、元と違う新しい記憶で上書きされて本来あるべき記憶が取り戻せなくなることだ」
ちひろ「タイムトラベルもので時間軸・世界線が分岐するアレみたいな?」
雪美「Pが……Pじゃなくなるのは……イヤ……」
モバP「俺もだ。ただ、どうしようもなくなった時の最後の手段で雪美に託している物があります」
雪美「……これ」つ◎
ちひろ「これは?」
雪美「……リカバリー、ディスク……」
ちひろ「プロデューサーさんはOSか何かなんですか」
モバP「これをPヘッドの後部にあるドライブに差し込むと、初期化をすることができます」 ヘースゴイナー
-
ごしゅじんさまの、もってる、えむいーのディすく、すてないでください。
あたしが、はいっています。いまのあたしじゃ、ないけど、あたしです。
ときどきみたり、さわったり。、してくれるとうれしいです。
モバP「このディスクはこういうことです。しかし泣けてくるコピペですね。物を大切にしようという気になります」
ちひろ「何の話や」
雪美「Pがもし……消えてしまったら……、これが……形見で……Pの……心の……かけら……」ギュッ
モバP「俺なのに俺じゃないものがあるって何か変な感じね」
モバP「まあ、ヒトは大切な物が壊れても頑張って作り直す逞しい生き物だ。何かあった時は俺を――頼んでおくよ」
雪美「……P……」
ちひろ「何かヘビーな話題になってきたなあ」
モバP「それは1985年型のスラングですか?」
ちひろ「私はマーティ・マクフライじゃありませんよ」
雪美「……デロリアン……好き……」
ちひろ「あのガルウィングが斬新ですよね……って雪美ちゃんよく知っていますね?」
モバP「仕事の合間、移動中に映画とか見せていまして。タイムトラベルものの定番ですね」
-
ちひろ「ところでプロデューサーさんってイラストでよく見かけるデフォルメのようなPヘッドだったんですか?」
ちひろ「どこをどう見ても普通の人の顔ですけど?」
モバP「ホムンクルスのフラスコやタワー型デスクトップPCみたいなものでPヘッド(本体中枢)は独立しています」
ちひろ「理解が追いつきませんよ」
雪美「P……未来の……サイボーグ……、顔は……やわらかい……」グニグニ
モバP「一体何者なんでしょう?」
ちひろ「こっちが聞きたいですよ」
モバP「まあそれらは全部冗談としてですね」 オイ
モバP「記憶喪失と言ってもいろいろですが、地味に困るのがPCの復帰パスワードを忘れることです」
ちひろ「急に現実的な話になったな……確かに困りますけど」
モバP「ふとしたことでも度忘れすることがあるくらいですからね。かと言って書き置きは防犯意識欠如ですし」
ちひろ「心配しなくてもプロデューサーさんのPCを覗こうなんて人が………………」
ちひろ「やっぱり何でもないです」 エッ チョッ
-
268
楓「プロデューサー」
モバP「楓さん。温泉ロケ、お疲れ様でした」
楓「撮影も早く終わって、ゆっくり浸かれて疲れが取れました……ふふっ」
モバP「ご機嫌も良さそうで何より」
楓「余は非常に満足であるぞー」
楓「そういえば、貴方が欲しいと言っていたアレはどうなりました?」
モバP「アレですか? まだ手に入っていないんですよ」
楓「あれあれ……」
モバP「まあ、突発的に欲しくなっただけで、無くて困る物じゃないので」
モバP「自分にもし家内がいたなら、また変な物買ってきて! どこに置くのよ! とか言われそうです」
楓「貴方の奥さんになる人はそんなこと言いませんよ、きっと♪」
-
雪美「……P……何か……欲しい物……あるの……?」
モバP「聞かれたか。いや、大したことじゃない。温泉に置いてあるアレが欲しいだけだ」
雪美「……あれ?」
楓「足つぼボードですよ」
雪美「……?」 ←ピンとこない
モバP「今度買ったら見せてあげるよ。いつになるか分からないが」
楓「美優さんとか早苗さんとか菜々ちゃんとか、プロデューサーがそれを欲しいのは知っていて」
楓「見かけたら買ってプレゼントしてあげようかな、なんて言いながらお互いに遠慮して踏み出せず」
雪美「恋の……ライバル……!」キラリ
楓「ではなく、多分もう誰かが買ってあげてるか、自分で買っているだろうから要らないかなという」
モバP「えぇ……、傍観者効果ですか」
モバP「ただ、プレゼントって何気に渡したのが被っていると凄く悔しいですからね」
楓「そんなわけで、私たちには期待しないで、自分で買うのが一番早いと思います♪」 ゴモットモデス
-
269
乃々「プロデューサーさん、あの……今日のお仕事について話があるんですけど……」
モバP「おっ? ずいぶんと積極的だな。良いぞ、聞こうじゃないか」
乃々「それで……ここはこうで……はい……はい……そこは……がんばります……」キラキラ
モバP「……」
乃々「……」
モバP「乃々、大丈夫? おっぱい揉む?」
乃々「私は愛海さんじゃないんですけど……」
乃々「その代わり……親愛度? が100になったら指輪が欲しいんですけど」
モバP「ウチにケッコンカッコカリ制度はないぞ」
乃々「……!? もりくぼのレベルキャップ解放、隠された底力的なものはないんですか……!?」
モバP「欲しいのはそっちか。いや、パワーリストを外して体が軽くなる的な展開には期待しないで地道に……」
乃々「じゃあ帰ります……やっぱりアイドルむーりぃー……」 オイィ!
雪美「分身すれば……いいと思う……」 ソレヲイウナ
-
270
モバP「日曜朝、家族とまったりアニメを見る幸せ」
奈緒「ああ、平和だな。何に急かされるでもなくのんびりと、朝食でも取りながら」
モバP「ただ女の子向け枠はそんなに見たいものじゃなかった。男子としては何となく恥ずかしいしな」
モバP「姉や妹がいたから俺も、多分親も、付き合って仕方なしに一緒に見ていたりして」
モバP「……あの時間も今となっては良い思い出だ」
奈緒「Pさんって姉妹いたんだな。アイドルは一人っ子も少なくないからなあ」
雪美「……」ハラハラ
仁奈「……」ドキドキ
薫「……」ワクワク
光「……意外と面白いなこれ」 ←普段特撮だけ見ている
モバP「今みんなとこうして、隔たりなしにアニメを鑑賞しているのもいつか追憶する日が来るのだろう」
奈緒「でもこの構成だと、Pさんがお父さんであたしがお母さんみたいだな……な、なんだよ? ニヤニヤすんな!」
ちひろ「プロデューサーさんの姉妹って全国に200人くらいいそう」
-
今日はここまで
わかっちゃいるんだ妹よ
-
乙
奈緒とかいうグリフィンドール
-
271
雪美「……」
雪美「……ほっ」
カコン
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美さんはけん玉もお上手ですことね」パチパチ
雪美「……///」テレテレ
モバP「自分が雪美くらいの時はとめけんも出来なかったよ」
ちひろ「それは根気が足りなかったのでは」
モバP「皿に乗せるのは出来たんだがなあ」
雪美「……もし、もし、かめ、よ……かめ、さん、よ……」コン コン コン
モバP「おお……この子、コツを掴むとあっという間に上達していくのねえ」
ちひろ「アイドルの成長を見ている時が一番嬉しそうですね?」
-
272
スッ
グルン
シュタッ
雪美「……できた」
モバP「雪美さんは鉄棒もお茶の子さいさいなんですのね」パチパチ
雪美「……そうでもない……」ドヤッ
モバP「自分が雪美くらいの時は逆上がりが苦手でねえ。出来るようにはなったが」
モバP「でもアイドルやる子はみんなそれなりに運動神経良いよなあ。時々羨ましいくらい」
雪美「アイドルは……ダンス、やっている……から……」
モバP「ダンス万能説か」
モバP「しかしこうなると運動神経にはそれなりに自信あったこのモバP、男の闘争心に火がつくな」
モバP「次は俺にやらせてくれ」
ちひろ「小学生と張り合うのはどうなんですかね」
-
273
モバP「足つぼボードは手に入っていないんだが、代わりに面白い物を買った」
雪美「……おもしろい……もの……?」
モバP「健康サンダルです」
雪美「おお……でこぼこ……」
モバP「今日はこれを履いて仕事してみようかな」
ちひろ「どんな自由すぎる職場ですか。何か言われても知りませんよ?」
モバP「冗談ですって。でも、せっかくなんで少しだけ」
――
モバP「靴下まで脱いでから履いてみましたが、気持ち良いですねこれ」
雪美「P……はだし……なかなか見ない……」
モバP「雪美も黒タイツ脱いじゃえーしてみる?」
雪美「……それは……恥ずかしい……///」
ちひろ「何で脱ぐ必要があるんですか?」
-
ちひろ「しかしスーツにサンダルっておかしな姿ですよねえ。間が抜けていると言いますか」
モバP「これが何か革命でも起きて当たり前になればそうは思わなくなるんでしょうがね」
ちひろ「そうでしょうか?」
雪美「……P……、サンダル……もう一つ……ある……」
モバP「ああこれはな、すごく痛い健康サンダルといってね。ツボを押す石が尖ってるでしょ?」
モバP「今履いている方を中辛カレーとするならこっちは激辛、ビターチョコだとするとカカオ86%くらい痛いのです、たぶん」
ちひろ「ややこしいな」
雪美「…………はいてみて?」
モバP「……分かった」
スッ
モバP「つっ! 痛たたたた!! 痛い痛い! 何これになこれ!」
ちひろ「じゃあ、それ履いてぶら〜り近所に買い物にでも行ってきてくださいな」
モバP「行けるかあ!」
雪美「私は……そんなに痛く……なかったのに……」 エッ
-
274
ソヨソヨソヨ
雪美「……♪」
モバP「ちょっと暑い時には良いですな、扇風機」
雪美「すずしくて……きもち……いい……」
モバP「そりゃ良かった。俺も俺で眼福なのですよ」
雪美「……?」
モバP「等間隔に雪美さんの長い髪がね、いかにも柔らかそうに靡くものだから」
雪美「……変なの」
雪美「……」
雪美「…………」スッ
モバP「おっと、今意識して髪を押さえてみましたね?」
雪美「……あまり……見られると……こまる……」
-
モバP「でも雪美さん、普段はよく俺のことをじぃっと見てくるじゃないですか」
雪美「……」プイ
モバP「やっぱり気になる人っていうのはついつい見ちゃうものなんでしょうな」
雪美「……Pは……私が……気になる……?」
モバP「気になるよ」
雪美「……そう」
モバP「好きだからね」
雪美「…………」
モバP「あら、つれないのね」
雪美「……そういうこと……さらっと……言わないで……」
モバP「こりゃ失礼。もっとねっとり言ってみましょうか?」
雪美「もう……ふふっ」
ちひろ「隙だらけですね」
-
275
モバP「やぁ、雪美」
雪美「! ……P……美玲……みたい……」
モバP「はっはっはっ、オシャレ眼帯だ。どうだ良いだろう?」
雪美「……」ポーッ
モバP「雪美も着けてみるか? こういう時の為にいくつか数があるぞ」
雪美「……」コク
モバP「では俺がクラブ柄だから、雪美はダイヤにしとく?」
雪美「……」コク
少女装着中……
雪美「……」キラキラ
モバP「ん、よく似合うぞー。ではせっかくだから仲間集めに行くか」
雪美「……仲間……?」
-
モバP「眼帯はあと二種類ある。スペードとハートだ。これの持ち主に値する子を探しに北へ!」
雪美「……いざゆかん」
ちひろ「……何か、着けたらビジュアルが大人びて剣士になりそうですね」
モバP「十兵衛ちゃんみたいな成長変身ヒロインは男子の性癖を少なからず歪めそうですが」
モバP「雪美さんが大人化する眼帯なんてあればごはん三杯は食べられてお話が一本書けますよ」
雪美「……晶葉なら……作れそう……こなみかん……」
ちひろ「いやあなた小学生ですから」
モバP「ところで、眼帯ですが」
雪美「……ちひろさんも……着ける……?」
ちひろ「いえ、遠慮しておきますよ」
ちひろ「というかプロデューサーさんが眼帯をしているとオシャレというかものもらいに見えます」
モバP「私だって中二病でオシャレしたいんです!」
雪美「……Pは……大人だから……ね」
-
ちひろ「それはそうと、トランプの柄って職業を現しているとも言いますね」
モバP「ダイヤが商人、クラブは農民、スペードは騎士、ハートは僧侶――でしたっけ」
雪美「私は……商人……?」
モバP「俺は農民か。でも、勇者パーティの職業でなりたいものを考えるのも良いものですな」
雪美「……武道家」
モバP「あの中華風コスチュームが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……戦士」
モバP「あのビキニアーマーが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……遊び人」
モバP「あのバニースーツが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……賢者」
モバP「あのさとりのワンピースが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……P……しっかりー……」 チーン
ちひろ「パリピですねえ」
-
276
ちひろ「プロデューサーさんはこの前、やけにプレゼントを貰っていましたけど誕生日か何かだったんですか?」
モバP「自分は可変誕生日なんで違います」
ちひろ「可変? 2月29日生まれ的なやつですか」
モバP「四年に一回しか歳を取らないって良いですよね」
ちひろ「そんなことある訳ないでしょう。で、何があったんですか?」
モバP「父の日ですね」
ちひろ「え」
モバP「事務所の中で紅一点ならぬ黒一点的な存在だからか、父性を感じてしまうアイドルも多いようで」
ちひろ「……プロデューサーさんに父性か……ぷぷ……あっ、笑っちゃいけませんね」
モバP「いえ、割と自分でも意外ですよ。マネージャー的な役割で慕われやすいのもあるんですかね?」
ちひろ「さあ、どうでしょうね……雪美ちゃんからも何か貰ったんですか?」
モバP「はい、下着を頂きました」 シタギ!?
雪美「……サイズ……合ってた……?」
-
277
モバP「雪美さんって箱入り娘というか、親御さんから大切に育てられているんだなと見て取れる」
雪美「……うん。……パパと……ママ……やさしい……」
雪美「今は……少し……忙しい……だけ」
モバP「なるべく寂しくはさせないよ」
雪美「……ありがとう……Pに……心……通じてる……」
モバP「でも、良い所のお嬢様なんかは正直、どう接したものかと思うことがある」
モバP「例えば、NHKしか見たことがない、なんて純粋培養な子が来たら話が合うのか心配だ」
雪美「……NHKも……楽しい……」
モバP「確かに教養・ドキュメンタリー系の番組をぼんやり見るのは何か満たされますが」
雪美「……大丈夫……こまったときは……いっしょ……。二人で……悩もう……」
モバP「そうだな。二人で……ん?」 ポスン
雪美「ここなら……もっと深く……分かり合える……ね」ニコ
ちひろ「三人寄れば文殊の知恵、私も混ぜてくださいよ〜」
-
今日はここまで
ここまでが今日
-
小学生の頃は長い髪の同級生の女子が鉄棒してるのを見るのが好きでした(隙あらば自分語り)
NHKだとチコちゃん、ブラタモリ、ダーウィンが来た、家族に乾杯、世界ネコ歩きが好き(隙自語)
-
278
モバP「小腹が空いたのでチーズトーストでも食べよう」
雪美「……うん」
ジリリリリリ チーン
モバP「焼けたのでいただきます」
雪美「……いただきます」
ハムッ
ミョーン
モバP「チーズが伸びるなあ」
雪美「……ん。……P……食べずに……私を見て……どこか、変……?」
モバP「いや、食べるのも好きだけど人の食べっぷりを眺めるのも好きなだけさ」
雪美「あまり……見られると……食べづらい……」
モバP「おうすまない。じゃあ俺も食べるとするか」
ちひろ「ナチュラルに朝食も一緒とはプロセスどこ行った……チーズだけに」
-
279
モバP「競泳水着の奈緒、ブルマの美玲……こういう仕事をやっていると常々思いますが」
モバP「頭沸騰しそうです」
ちひろ「許容量オーバーしている感じですか? 私がコスプレしても平気そうなのに」
モバP「大人がそういう格好をするのは切り離して見ることができますからね」
モバP「瑞樹さんの水着マフラーも至って冷静にグッドを出しました。しかし高校生以下は何かいけないことをしているような」
ちひろ「良心の呵責がありますか。意外と常識的な所もありますねプロデューサーさん」
ちひろ「冗談で露出を促すようなことは言うのにいざ脱がれると臆しちゃうなんて」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「ただ、薄着の雪美ちゃん抱えながら言われても説得力が吹き飛ぶんですよねえ」
モバP「……自制心と耐性をつけるべく修行中です。雪美の誘惑に打ち勝つんだ!」
雪美「……というか……いっしょに……いたいだけ……」
ちひろ「常識と非常識、いや真面目と不真面目が同居してますね」
-
280
雪美「昨日は……仁奈と……お泊まり……した……」
仁奈「楽しかったでごぜーます!」
モバP「おお、良かったじゃないか。道理で今日は二人の距離が近いと思ったよ」
仁奈「えへへ……みんなと過ごすのも良いですけど、二人きりも新鮮でやがります!」
雪美「今度は……三人で……」キラキラ
モバP「考えておくよ」
ちひろ「考えておくな」
仁奈「そして雪美ちゃんに分身の仕方を教えてもらったので、これでひとりでもさびしくねーです!」
モバP「あれは教えられるものだったのか」
仁奈「でも、もし分身を愛してしまったらどうなるのでやがりましょうか?」
ちひろ「ナルキッソスかな?」
モバP「可視化できるようになったとはいえ自分は自分だ。それを他人のように隔てて依存すると分身が可哀想だぞ」
仁奈「自分は自分、ですか……」
-
モバP「まあ自分の世界にこもるようではいけないが、セルフトークはメンタルトレーニングとも捉えられる」
モバP「自分を好きになる、自己肯定は過ぎなければ悪いことではないと思う」
仁奈「やっぱり自分だけじゃ生きていけねーんですね。Pやみんながいて良かったですよ」
雪美「Pは……いいお兄ちゃん……」
モバP「お兄ちゃん気取るにはちょっと歳が離れているがな」
仁奈「アニキと呼ばせてくだせー!」
モバP「うむ、良かろう」
ちひろ「良いのかい」
モバP「そういや自分が小さい時には近所によく遊んでくれる兄ちゃんがいたな」
ちひろ「男女で少し感じ方も変わるでしょうけど、そういうのは良いですね」
モバP「自分には兄も従兄もいなかったから、身近な兄貴分を知る良い機会になった」
仁奈「仁奈は昨日、雪美ちゃんがお姉ちゃんみたいに感じましたですよ!」
雪美「……仁奈ったら……ふふっ」
ちひろ「人間、無いものを求めてしまうものですね」
-
281
ちひろ「”MISSION”惰眠を貪るプロデューサーさんを起動せよ」
雪美「……らじゃー」(゜-゜)ゞ
トコトコ ガチャッ
雪美「P……まだねてる……?」
モバP「……」スヤスヤ
雪美「……起きて」ユサユサ
モバP「……」スヤスヤ
雪美「……P……どうすれば……。…………あっ……!」ピコーン
雪美「……分身のじゅちゅ!」 アッカンダ
ボンッ!
雪美×7「……起きないなら……こうする……! とつげきー」 ワアアアー!
雪美雪美雪美
雪美モバP雪美 ドン!
雪美雪美
ちひろ「スズメバチを撃退するミツバチかな?」
-
282
ナターリア「ムウ、Que lastima……今日はエレベーター、使えないみたいダ」
モバP「点検中だな。安全の為だ仕方ない、階段で行くか」
ライラ「ライラさんは階段を使う人、頑張り屋さんだと思いますですよー」
モバP「ライラに頑張り屋さんと褒めてもらえるなら喜んで階段使うよ」
ナターリア「じゃあワタシたちモ、がんばってPについてくゾ!」
モバP「でも超高層ビルなんかはエレベーターが使えないと大変な苦労だろうな」
ライラ「ブルジュ・ハリファのエレベーターが止まったら大変でございますですよ」
モバP「見てきたかのような口ぶりだが、そこは敢えて突っ込まないでおこう」
モバP「だが、160階建てビルを階段で登ろうとか気が遠くなるのは間違いない」
ナターリア「上に取り残されても大変だナ! スライダーでもあれば良いケド!」
モバP「高さ828mの滑り台ってどんな絶叫アトラクションより怖いわ。お尻も痛いじゃ済まない」
ライラ「この前、大きな公園で初体験したローラースライダーもお尻が痛くなりましたですねー」
モバP「貴重なシーンを見逃した気がする」
-
ナターリア「ウォータースライダーならオシリも痛くならないのにナ!」
モバP「これからの季節、良いですな。人間流し素麺のように無心になって流されて」
ライラ「一人よりはボートでみんなで流れるのが好きかもしれませんですねー」
ナターリア「いいナ! ヨシ、やりたいことリストに付け加えておくゾ!」
モバP「仕事以外でナターリアとライラを連れてプールに行ったら嫌でも目立ちそうだ」
モバP「話はエレベーターに戻るが、じゃあもし俺たちがエレベーターに閉じ込められたら?」
ライラ「それは助けを待ちますですよ」
ナターリア「助けがいつ来るカ、分からないとこわいナ」
モバP「あの空間で何時間も、となるとな」
ナターリア「こわいからPに元気をもらうんダ!」ギュッ
モバP「ナターリアと極限状態に置かれたら一線超えてしまいそうだ」
ライラ「ライラさんもー」ギュッ
モバP「そんな形でライラと一線超えたら後で罪悪感で鬱になりそうだ」
-
モバP「……しかしこの346プロは広いな」
ナターリア「何でもアル! アイビキ部屋だってネ!」
ライラ「あらびき部屋? とは何でございますですか? ソーセージが食べられるのですか?」
ナターリア「……///」
モバP「ナターリア、耳年増でもそれで変なものを連想したらいかんぞ」
ライラ「???」
モバP「後でバナナアイスパフェを食べに連れて行ってあげるから、この話はやめよう」
ナターリア「エ? いいのカ? ワーイ!」コロッ
ライラ「豪華なアイス……! プロデューサー殿は太っ腹でございますですねー」キラキラ
モバP「よし、じゃあ行きますか……って……うん?」 シュコー
雪美「……」トコトコ
ライラ「……作業服のユキミさんが、点検中のエレベーターから出てきましたねー」
モバP「雪美さんは神出鬼没だなあ」
-
283
モバP「夢を打ち砕くような話を敢えてするのならば」
モバP「みんなの願いは同時には叶わないように世の中は出来ているのだと思う」
モバP「調和、バランスというものがあるからな」
モバP「極端な話が、Aが不老不死になりたいと願い、BがAに死んでほしいと願う」
モバP「一方の願いを叶えれば一方の願いが反故になる」
飛鳥「……ジレンマに塗れたセカイ、か」
飛鳥「それでもボクは、進める処まで進みたい。その先が袋小路だったとしても……」
グウウウウゥゥウ
「「「……」」」
雪美「……今のは……P……」
モバP「……すまん、俺はどうやらハラペコのようだ」
飛鳥「……フフッ。そんなに自己主張されちゃ、続きは後日にお預けだね」
ちひろ「今すごい腹時計が聞こえたなあ」
-
284
モバP「雨の季節は手持ちがかさばるな。徒歩なら傘が要るし、自転車に乗るならレインコートが要る」
雪美「……ながぐつ……も」
モバP「長靴か……歳を重ねるに連れ、全然履くことがなくなったな」
雪美「Pが……魚屋さん……とかなら……」
モバP「それなら履くかもな。ただサラリーマン的な仕事では使わないし」
モバP「プライベートでも女性ならブーツの感覚で履けるかもしれないが、男はねえ」
雪美「……そういう……もの……?」
モバP「ちなみに先日のキッズモデルの仕事で洒落乙なレインコートと長靴を着ていた雪美さんは素晴らしかった」
雪美「……本当……?」
モバP「ああ。ただレインコートは着ても外出先で結局脱ぐことになるのが勿体無いな。濡れているから置き場にも困るし」
雪美「うん……。……それは……ある」
ちひろ「何よりこの時期レインコートを服の上に着て自転車移動って結構暑いんですよね」
モバP「レインコートの下に下着だけって訳にはいかんですものね」 ソレハヘンタイデスネ
-
285
モバP「……」イイコイイコ
雪美「……♪」ムフー
ちひろ「おや、また雪美ちゃんを撫でてあげているんですね」
モバP「気持ち良さそうにしているでしょう? 雪美鳥は警戒心が強い分、慣れるとよく懐くのが特徴です」
ちひろ「何を仰っていますやら」
ちひろ「……雪美ちゃんはそんなに撫でられるの、好き?」
雪美「……うん……やさしい、手……。……それに……大きくて……形も……」
ちひろ「まさかの手フェチ!? まあ分からなくもないですね……この血管の浮き方やゴツゴツとした甲が」スッ
モバP「ちひろさんも男の手には一家言ありますねえ」
雪美「指を絡めて……手をつなぐと……ドキドキ……する……。ちひろさんも……やる……?」
ちひろ「やりませんよ。でも、良い手ですね」
モバP「ちひろ様はこの手を好きだと言うてくれる、働き者のきれいな手だと言うてくれましたわい」
ちひろ「そこまでは言ってません」
-
今日はここまで
野郎ども引き上げだ
-
乙
アイエエエ!?点検中のエレベーターから作業服の雪美が出てくるのナンデ!?
-
286
ガタンゴトン ガタンゴトン
雪美「……」スヤスヤ
モバP「俺にもたれかかり、眠る雪美さん」
モバP「ここは海辺の単線を走るローカル線」
モバP「座席はロングシート型で通路が広いが、二両編成で乗客はほとんどいない」
雪美「……」スヤスヤ
モバP「……静かだ」
雪美「…………ん……? ……P……?」
モバP「お、瞼が少しは軽くなったかい?」
雪美「……私を……置いて……行かないで……」ギュッ
モバP「安心おし。行き先が例え沼の底駅でもお前さんを一人にはしないさ」ナデナデ
モバP「しかし、海原電鉄を思い出すくらいだ。何かとても遠くへと行く感じがするね」
天の声ちひろ「プロデューサーさんがちょうどカオナシのポジションですね」
-
287
モバP(雪美さんは肝が据わっている、いや、場数を踏んで据わってきたと言えようか)
雪美「……」
モバP(だが今日は規模の大きな会場で、重要なイベント。さすがに気圧されているか……?)
雪美「……」
モバP(自分の弱みをあまり周りには見せたがらない所はあるので、一見はそんな雰囲気も出さない)
雪美「……」
モバP(集中力を高めているのかもしれないし、緊張を解そうと話しかけては却って良くないか)
雪美「……」ジーッ
モバP(でもこの子、目の前で俺のことを観察しているんだよなあ)
雪美「……Pと……私は……鏡……。Pが……不安だと……私も……不安……」
モバP「! ……心配させてごめんな。俺が思い詰めた顔をしていたらダメだな」
雪美「……うん……いい顔……」ニコ
-
288
モバP「アイドルは恋愛禁止なんて昔から言いますが」
雪美「……」チョコン
ちひろ「………………そうですね」
モバP「その長い間は何ですか」
ちひろ「別に」
モバP「気を取り直して、ここって自分以外は基本男っ気がないじゃないですか」
雪美「……P……ハーレム……だね……」
モバP「どこでそんな言葉を覚えたんだ……それでみんな異性と接点を持つのはなかなか大変だろうなと」
ちひろ「出会いは無いですね。もっとも同性で話は結構合いますから良いですけど」
モバP「そこです。自分だけは逆に異性としか接点がないんです。男子トークが出来る人がいないんです」
モバP「同性同僚の親友ポジション的な人が欲しいです」
ちひろ「いろいろと諦めてください」
モバP「(´・ω・`)」
-
ちひろ「私が思うに、プロデューサーさんが仮に315プロの人だったら、もっと周りに女子が欲しいとか言ってますよ」
モバP「……言いそう」
ちひろ「ヒトとは無い物ほど欲しくなり、美味しい物に恵まれてもそればかり食べていると飽きてしまう因果な生き物です」
モバP「で、水嶋咲ちゃんに癒しを求めたりしてしまう訳ですか」
雪美「……満更でも……なさそう……」
モバP「でもこの仕事に就いてから普段周りは女の子ばかりで、自分まで女子に染まりつつある感じがするんです」
ちひろ「あまり変に拗らせてプロデューサーさんがオネエみたいになってしまったら困りますねえ」
雪美「大丈夫……、Pは……頼もしい……男性……」
雪美「それに……他の男性が、入ると……たぶん……嫉妬する……」
ちひろ「あらあら」
モバP「妹や弟が生まれて構ってもらえなくなったお兄ちゃんじゃあるまいし……まあ嫉妬はするが」
ちひろ「するのかよ」
ちひろ「……プロデューサーさんって実は独占欲強くてめんどくさい系?」 ギクッ
-
289
モバP「多くの音を聞きながら過ごしていると、時に静けさが恋しくなる」
モバP「車の走る音、工事の音、民放番組のBGM、賑やかな人々の会話……それらから離れて、例えば丘の上」
雪美「……」
モバP「雪美と二人で、その声と息遣いまでよく聞こえる場所で、座って景色を眺める」
雪美「……」
モバP「……いいねぇ」
雪美「……少しは……賑やかな方が……楽しいのも……ある」
モバP「それもそうか」コロッ
雪美「でも……Pと……二人きりも……好き……」
モバP「せやろせやろ」コロッ
モバP「まあ、何しに来たかと言うと写真集の撮影なんですがね。そろそろ次行こうか」
雪美「……うん」
-
――
雪美「……たくさん……階段……上ったね……」
モバP「そうだな」
ソヨソヨ
雪美「ん……涼しい……」
モバP「そびえ立つ、ではオーバーかもしれないが見上げるほどの階段の先にある、木造のお堂」
モバP「高い木々に周りを囲まれて鬱蒼としてさえある場所にポツンと目立たずに在る」
モバP「過去、確か幼稚園の頃に似たような場所に遠足に行った記憶があるが、ここ自体は来たことのない場所だ」
モバP「にも関わらず、懐かしさを感じるな」
雪美「……ふしぎ」
モバP「雪美はこういうロケーションにも綺麗に溶け込むなあ」
モバP「さあ、良い写真を撮ろうか」
雪美「……うん」
事務所のちひろ「スタッフ無しの個人撮影とかこれもうデートでしょ」
-
290
プクプクプク
モバP「……」
ツン
モバP「?」
七海「よっ」
モバP「おう七海か。今日もマーメイドのような瑞々しさだな」
七海「七海はいつも新鮮ピチピチれすよ〜。こんな所で何をやってるんれすか?」
モバP「たまたま入った店にアクアリウムがあったものだからつい眺めていました」
七海「そうれすかそうれすか〜、プロデューサーも分かってきましたね〜♪」
七海「水槽を見ていると癒されるんれすよね〜。そこに小さな世界があります」
モバP「水族館のスケールと比べると小さいが、こだわりが出るよな」
七海「オブジェの配置一つにもセンスが……いえ、主役はお魚れすけど!」
-
――
ゴクゴク
モバP「ふう……暑い日差しが照りつける夏は、涼しい所でアイスコーヒーを一杯」
モバP「たまらんですな」
七海「プロデューサーはコーヒー豆を買いに来ていたんれすね〜」
モバP「ああ。志保にコーヒーミルを貰ったから最近は家でも淹れるんだ」
モバP「コーヒー豆のレーダーチャートは見ていて飽きない。……これ見る? チラシだが」ハイ
七海「ふんふむ……イラストや図にすると分かりやすいれすね。で、プロデューサーの好みは?」
モバP「酸味のあるモカが好きだな。まあいろいろ飲み比べてフードペアリングを考えるのも楽しい」
七海「すっかり影響されていますね〜。……プロデューサー、海釣りに興味は?」
モバP「今の所は……しかし七海は髪のボリュームがすごくて目立つな。見惚れちまうぜ」
七海「羨ましいれすか? ウェーブしていてしかも長いれすからね〜、えへ♪」
七海「って、魚じゃなくて七海を釣る気れすかっ!?」
雪美「……Pに釣られた……アイドル……数知れず……」
-
291
モバP「食堂で食べるカレーライスと納豆は何故あんなに美味しいのだろうか」
ちひろ「どこの食堂ですか」
モバP「一般開放されている近くの社員食堂ですね。しかも安い」
ちひろ「プロデューサーさんはどこにでも出没するんですね」
モバP「想像してみてください。シンプルな内装に折り畳みテーブルとイス」
ちひろ「はい」
モバP「具がゴロゴロとしていないサラッとしたカレーライスに鮮やかな赤い福神漬け、コップの水」
ちひろ「(赤い福神漬けは着色料的にどうなのかな)はい」
モバP「陶器の小鉢に控えめに盛ってある納豆に、刻みネギ」
ちひろ「(今時の社食って納豆を器で出すんですかね?)はい」
モバP「いやあ、侘び寂びの風情がありますね。でも家で食べるより何故か美味しいんです」
ちひろ「そもそも食堂に行くなら定食とか食べましょうよ」
雪美「……学校の、給食のカレーも……とてもおいしい……」
-
292
雪美「……」ジーッ
モバP「雪美さんに対面で膝の上に座られていると不覚にも鼓動が高まりますね」
雪美「……」スッ
サワサワ
モバP「んふっ……」
ちひろ「!」
モバP「あぁっ……何か、変な、感じがする、から……そこは、やめっ」
ちひろ「雪美ちゃん、プロデューサーさんの一体どこを触っているんですか?」
雪美「……のどぼとけ……大人の……男性にだけ……ある……ふしぎ……」サワサワ
モバP「ああぁぁぁ」
ちひろ「私がもし男性ならそこ(喉仏)はあまり触られたくないと思いますよ?」
雪美「……本当……? P……」
モバP「……いや、意外と気持ち良いですこれ」 エェ…
-
今日はここまで
今日はCoCoカレー
-
乙
アイマス系の世界のPはアイドルを一本釣り(スカウト)するのが仕事だからね仕方ないね
-
293
モバP「七夕も無事に終わったな。イベントというのは来るまでは今か今かだが過ぎればあっという間だ」
雪美「……うん……。……織姫と……彦星が……一年に一日だけ……会える日……」
雪美「……今年は……会えた……?」
モバP「会えたことだろうよ。年一ルールなのに中止ありとかやってられん。俺なら天女連盟に異議を申し立てる」
雪美「ふふ……。一年も……会えないと……話したいこと……いっぱい、あるはず……」
モバP「ああ。俺なんて雪美と一日会わないだけでも話したいネタがどんどん湧いてしまうのに」
雪美「それに……二人……黙って、繋がっているだけでも……幸せ……」
ちひろ「しかし障害は恋する二人の思いを熱くすれば良いですけど、逆に冷ましてしまうかもしれません」
モバP「遠距離恋愛で自然消滅はきつい……お互いに吹っ切れるなら良いんでしょうが」
モバP「願い事を書いた短冊を吊るした笹の葉も七夕過ぎれば撤去ですから、この世は無常でもありますね」
雪美「……使った笹の葉は……どこに行く……?」
モバP「公園に持ち寄って供養するように焼くんだろうか?」
ちひろ「どんど焼きのしめ縄じゃないんですから」
-
294
雪美「……」
ムニムニ
ペタペタ
モバP「雪美さん、俺の顔に何か好奇心をそそられるような発見でも?」
雪美「P……おひげ……ない……」
モバP「ああ、しっかり剃ってケアしているからな。ご要望であればオシャレに髭を蓄えてみるが」
ちひろ「貫禄は出そうですよね」
雪美「……いい。……このままで……気持ちいい……から」
サワサワ
雪美「……♪」
モバP「最近他の子も何かこの顎を頻りに撫でてくるが、別に御利益なんて無いんだぞ?」
ちひろ「ビリケンさんの足の裏みたいな扱いですかね」
-
295
モバP「麦わら帽子に白いワンピースの女の子と言えば何をイメージしますか?」
ちひろ「夏の田舎の田園風景ですね。気が付けばこう刷り込まれていました」
モバP「ほぼ同じです。理想の美少女の一つの形なんでしょうかね」
モバP「さて、今日はそんな格好を雪美さんにしてもらいました!」
雪美「……どう……?」キラキラ
ちひろ「あらかわいい」
モバP「パーフェクトだ、ウォルター。よく似合ってるな。つまり雪美は理想の美少女。Q.E.D.」
雪美「……///」クイッ
モバP「麦わら帽子のつばで顔を隠そうとする恥じらいが初々しい」
ちひろ「ちなみにこれはどこで」
モバP「ワンピースは今日の仕事に使った衣装を借りてきました。麦わら帽子は……ホームセンターで購入」
モバP「という訳で帽子の方は雪美にそのままプレゼントだ。日差しが強い時に被ると良い」
雪美「……ありがとう……。大事に……する……」
-
ちひろ「何故にホームセンター」
モバP「ちょっと工作用に板を探しに行ったところ、見かけてティンときたものですからね」
モバP「この帽子は何か他とは違う。雪美にぴったり合うんじゃないか? と」
ちひろ「その発想力を別の方面に活かせないものですか?」
雪美「Pは……自由人……だね……」
モバP「せやで。で、ワンピースはミニ丈の物もあったのですが、このゆったりした長さのを選びました」
モバP「肌の露出控えめなイメージの雪美が薄めの白ワンピにノースリーブでミニスカートだとオーバーキルですからね」
ちひろ「プロデューサーさんのHP、頻繁にマイナスになってませんかね?」
雪美「……Pは……自由人で……むっつり……」
モバP「はい、むっつりはん」のヮの
ちひろ「その顔やめい」
雪美「……ちょっと……たくしあげて……みる……」ソーッ
モバP「雪美さんが魔性の女に……でも感じちゃう」 カンジルナ
-
296
モバP「……」
こずえ「……」チョコン
ちひろ「ありそうであまりない膝ペアですね」
モバP「そんなことはないでしょう? 本日は雪美さんはオフでいませんからね」
ちひろ「プロデューサーさんの膝占有率は雪美ちゃん八割で他二割という印象ですよ」
こずえ「こずえ、あんず、になもー……よくのるよー?」
ちひろ「サイズが小さい子ばかりですねえ」
モバP「大きい子は恥ずかしがると言いますか、作業中とかは邪魔になるから遠慮する感じですね」
ちひろ「頭で視界が遮られたら仕事は出来ませんしね」
モバP「我々大人の懐に収まる子なんて、普通は幼稚園児くらいまでです」
こずえ「ぷろでゅーさー、おっきいからねえー」
モバP「膝の上と言いつつ股の間に座らせるならもう少し身長あっても大丈夫ですね」
ちひろ「アイドルの子を乗せない、という選択肢はそもそも無いのか」
-
こずえ「ぷろでゅーさー……もっと、ぎゅーってしてー……しろー」
モバP「はいよ」ギューッ
こずえ「ふわぁ……」
ちひろ「うわぁ……」
ちひろ「……雪美ちゃんと抱き心地はやっぱり違うものですか?」
モバP「はい。感触とか匂いとかで目を閉じていても誰だか分かりますよ」
ちひろ「ある意味ソムリエですね。ワインとかと違って利用方法が無さそうですけど」
こずえ「……こずえもぷろでゅーさーに……ていすてぃんぐされるのー?」
モバP「何かやらしい」
ちひろ「こずえちゃんをテイスティングなんてとんだ変態ソムリエもあったものです」
こずえ「ぷろでゅーさーなら……なにしても……いいよー?」
モバP「そーかい。そんな天然で際どいことを言う子はこうしたるわー」ワシャワシャ
こずえ「えへへー……」
-
ちひろ「雪美ちゃんも最近は垢抜けてきましたけど、こずえちゃんは結構アプローチが大胆ですよね」
こずえ「そうかなー?」
モバP「あざとい。でも憎めない。目に入れても痛くない」
ちひろ「そういえば紅葉温泉の時、浴衣が少し着崩れ、というかはだけたのが映っていましたね」
モバP「あれは後で直してあげたんですが、何故か直す前のが使われていましたねえ」
ちひろ「プロデューサーさんが直したんですか?」
モバP「はい。普段から服を着せてとか言われますし、その時はスタイリストになりきります」
こずえ「いつもありがとうー……えらいぞー」
モバP「わーい、こずえは優しいなあ」
ちひろ「……」
ちひろ「……ところでプロデューサーさんって雪美ちゃん以外にはさん付け混ぜたりしませんよね」
雪美(そこは……私の……絶対特権……)
ちひろ「何かテレパシーが飛んできたなあ」
-
297
柚「Pサンって巴チャンと相性良いよね?」
モバP「良き友人とは思っているが、どうしてそう思うんだい?」
柚「だっていちごパスタをうめーうめーって食べるでしょー?」
モバP「ああ。……そのくらいで相性良かったら人類皆家族だよ。ワッハッハ」
モバP「いや、癖はあるかもしれないが常識に囚われなければ美味しいと思うよ」
柚「いつか髪がイチゴ色になりそうだよね」
モバP「オラのPちゃんが不良になっちまっただ! って親から言われそうだ」
柚「Pサンのお母さまはチチだったのかあ……ってそんな訳あるかいっ!」
モバP「でも、家族は顔が似るっていうのが食べ物によるそれだとしたらさ」
モバP「例えば俺が柚と同じものをずっと食べていたら、俺の髪が柚みたいな色になっていく可能性も……?」
柚「……もしそうなったら、髪型もおそろでいきたいねっ♪」
モバP「男のぱっつんはちょっと憧れるが、平子真子みたいにそれなりに美形でないとなあ」
雪美「……Pは……きれい系よりは……かわいい系……」 エッ
-
298
モバP「今年は梅雨入りも明けも遅いですね。雪美さんの髪も湿気でやや跳ねてます」
雪美「……」チョコン
ちひろ「それでも膝の上には乗るんですね」
ちひろ「梅雨は、偏西風が蛇行しているせいで季節進行が遅いんでしょうかね? 知りませんけど」
モバP「梅雨の花と言えば紫陽花。しようか、と書いてアジサイです」
モバP「雪美……しようか」
雪美「……うん。……して……」
ちひろ「何をおっぱじめるんですかね」
モバP「男女が密着してすることと言えば決まっているでしょう」
モバP「髪を梳かすんですよ」
ちひろ「あっはい」
-
モバP「今日の雪美には、そうだなあ……三番櫛を使おうか」
ちひろ「ここは3番アイアンで打とうかみたいに言うんですね」
モバP「髪は繊細ですからね。状況・状態に合わせて歯数やヘアブラシを使い分けています」
――
サラサラ
雪美「……♪」
ちひろ「気持ち良さそう」
モバP「凛に聞きましたが、紫陽花の花言葉は”家族の結びつき”や”移り気”とかあるそうで」
モバP「色によっても変わるらしいですが、とにかく良くも悪くも様々です」
ちひろ「プロデューサーさんは変な所で知識が豊富ですね」
モバP「アイドルに教えてもらうことはいろいろとありますが、頭に残りやすいものとそうでないものはあります」
モバP「紫陽花は、ポガティブな曲を聴くのと似ているかもしれません。何か好きなんですよね」
雪美「……私も……好き……」
-
299
モバP「エレベーターで異世界に行く方法なるものがあるらしいな」
小梅「そういうのはね……それに興味を持った時点で、引き込まれやすくなるんだよ……」
モバP「やだこわい」
モバP「まあ一人でエレベーターで遊ぶなんていい大人失格なので、やりませんがね」
小梅「今、私たち……三人だから、ね……」
モバP「もう一人はどの辺にいるのかな?」
小梅「ここ、だよ」
モバP「あ、どうも。こんちゃっす」
小梅「……ふふ……こんにちは、だって」
モバP「でもこういう狭い空間で下を押しているのにどんどん上がっていったり、行けない階に行ってしまうのは怖い」
小梅「う、後ろの張り紙が、書き変わっていたり……三階までしかないのに、四階に行ったり……?」
モバP「ライトを消すだけの高時給な宿直かな?」
-
チーン ゴカイデス プシュー
雪美「……」テクテク
モバP「お、雪美が乗ってきたな」
小梅「……?」
シュー ガタン
モバP「さあ、このまま一階まで止まらずに行けるかどうか……って、あれ? 何か上昇し始めてない?」
小梅「惨劇の、予感……」ドキドキ
チーン &%$カイデス プシュー
モバP「……!!」 …ン?
モバP「これは……丸くて青い、地球……なんてことだこれは軌道エレベーターだったのか!」
晶葉『あー、すまない。雪美だけだと思って誤ってM8階への停止許可を出してしまった』
モバP「晶葉か? これ……マルチディスプレイか」
晶葉『そうだ。そこはちょうど良い空間があるので私の実験に使わせてもらっている』
雪美「……私も……お手伝い……してる……」
-
300
モバP「最近ズボンを履き忘れる夢をよく見るんですよ」
雪美「……夢じゃなくても……ある……?」
モバP「そこまでうっかりはしない。昔草履で小学校まで行って気づいたことはある」
ちひろ「いや充分うっかりでしょうそれ」
モバP「で、その道の専門家にお尋ねしたところ」
朋『自分を見失っているんじゃないの?』
モバP「と言われました」
ちひろ「朋ちゃんは夢占いの専門家だったのか……」
雪美「服……着てなかったら……すぐに……気づく……」
モバP「やっぱりそんなもんなのかな?」
モバP「夢では何か、家から遠くまで来てしまって、取り返しのつかない段階で気づくんだよね」
ちひろ「で、衆目に晒される訳ですね」 ハイ
-
雪美「…………P……そういうことが……したいの……?」
モバP「したくないよ。さすがの俺もある程度の恥の概念は持っているからな」
モバP「でも潜在的な露出願望があるとすれば洒落にならないから不安だな」
雪美「……良かった……。……ならたぶん……大丈夫……」
ちひろ「人に見られたい願望くらいはあるかもしれませんね?」
雪美「……だったら……いっしょに……アイドル……やればいい……!」
モバP「プロデューサーであるだけで精一杯だよ。やりたいとほんの少しも思わない訳じゃないがさ」
ちひろ「ほんの少しはやりたいのか……」
モバP「女性の場合は、スカート忘れても気づかないことってあるものですか?」
ちひろ「下にレギンスやショートパンツを穿く用のミニスカートをそのまま素で穿いてしまうことはあるかもですね」
モバP「アンダースコートを忘れてスコートしたり、サポーターを忘れて水着着たり、裸エプロンするようなものですかね」
ちひろ「最後の! ……とにかくスカート部分が全く無いのに気づかないことは普通は無いと思いますけど」
雪美「……裸エプロンは……忘れただけで……本当は、上に……何か……着る……?」
ちひろ「それ普通のエプロンとしての役目ですね」
-
今日はここまで
そら(いきなりPC落ちて書き溜め消えたら)そう(やる気無くなる)よ
-
乙
つば広帽+ロングヘア+ゆったりした長さのワンピース とかいう数え役満
-
301
モバP「床屋で髪を切ってもらった。すっきりしたよ」
雪美「……つるつるには……しないの……?」
モバP「そこまで全力でボケる気はない。俺は普通オブ普通の社会人だ」
雪美「……」ジーッ
モバP「言っとくが薄毛で悩んだりはしていないぞ? 特別剛毛って訳でもないが」
雪美「ふふっ……分かってる……」
モバP「でもな、散髪した後って何故かいつも体の調子がほんの少し崩れてしまうんだよ」
モバP「髪も体の一部なのだろうな。養分を一方的に吸うだけではなく、共有しているというか」
ちひろ「頭が軽くなって一時的に平衡感覚が崩れているんじゃないですか?」
モバP「髪の量が雪美さん並ならそうなるかもしれませんが、切ったのはほんの少しですし」
雪美「Pも……ウィッグ……着けてみたら……髪の重さ……分かるかも……」
モバP「腰まで届くロングヘアーにしたらどれだけ頭の感覚が変わるのかはちょっと興味あるな」
モバP「……ところでたまにはサイド三つ編み以外のちひろさんも見てみたいです」
ちひろ「指名料取るぞ?」
-
302
モバP「夏と言えば、でアイドルには水着仕事は定番だ」
モバP「種類は様々あるが、未成年がよく着せられがちなのがスクール水着」
雪美「……着てると……思った……? 残念……いつもそう……甘くない……」
モバP「そんなガードが固い雪美さんもいい女やで」
雪美「……そう……?」
ちひろ「本当にガードが固かったら膝の上に座ってないと思うんですよ」
ちひろ「でもスク水って、こう言っちゃなんですけど、当時ダサいというか野暮ったく思ったものです」
モバP「地味で均一的で……でも学校アイテムは青春補正で素朴でも輝いて見えますよ、多分」
雪美「……青春……すごい……」
モバP「まあ今の学校指定水着ってスパッツ型セパレートタイプが多くて何か窮屈、というか運動着感が強いな」
雪美「スカートの方が……かわいく……見える……」
モバP「スカートはスカートで水泳するのに邪魔にならないか? と思わなくもないが」
モバP「雪美のはスパッツ型だからなあ。着てみたいのは分かるぞ」 ウン
ちひろ「どうして知っているんですかねえ」
-
303
雪美「……」ジッ
モバP「雪美さんが物陰から顔だけ出してこちらをじっと見つめている」
モバP「保護したい」
モバP「無視できないから俺も雪美さんの方をじっと見てしまって仕事が手につかない」
ちひろ「これは雪美ちゃん依存症を起こしていますね」
ササッ
モバP「あ、隠れてしまった」
モバP「……よし、仕事するか」
雪美「……」ヒョコッ
モバP「と思ったらまた……」
雪美「……」ニコッ
モバP「……」ムラッ
ちひろ「おい待て何でそこで興奮する」
-
モバP「誘っているんだろうが俺はここから動かんぞ」
雪美「……?」
モバP「雪美からこっちに来なければ俺の膝には座れない。さあどうする」
雪美「……」
モバP「さあさあ」
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「一体いつから……ひざの上にいないと……錯覚していた……?」
モバP「……何っ!?」
雪美「……気づいて……私は……ここ……」チョコン
モバP「……??? どうして俺の膝の上に雪美がいる……? ではあそこにいる雪美は……いない!?」
モバP「……ウチの雪美さんの人間離れが半端ない」ナデナデ
雪美「……これが愛の……なせる業……♪」
ちひろ「幻影を見るようにまでなったか……まあ私も見えましたけど」
-
304
仁奈「がおー! お姫さまは渡さねーでごぜーますよ!」
モバP「ぬぬぬ、現れたな強そうなドラゴンめ」
仁奈「これでも喰らいやがれくださいですよ! うがー!」ボバアアア
モバP「熱っ! くっ、こんなん貰ってたら薬草がいくらあっても足りねえぜ」
モバP「こうなりゃ短期決戦だ、覚悟っ!」シャキン
モバP「でやああああっ!!」
テレレレレーン
仁奈「きゅ〜……」
モバP「はぁはぁ……やっと静かになったか。こっちが美味しく焼き上がっちまうところだった」プスプス
モバP「さて……ローラ姫様、遅くなりました。今助けに参りましたぞ」
雪美「……おお……勇者さま……」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
-
モバP「……いやぁ、何か思ったよりも幼いお姫様ですね」
雪美「……勇者さまは……思ったよりも……大きい……」
モバP「ハハハ、言うね。大きいのと小さいのとで案外釣り合っているかもしれないな」
雪美「……うん」
モバP「さて、こんな辛気臭い洞窟とはおさらばしやしょうぜ」
雪美「……」(つ゚-゚)つ
モバP「……モンスターが出たら降ろすぞ?」
雪美「……」コク
ザッザッザ ギュイーンギュイーン(キメラ)
モバP「そんなことがあってやっとドラゴンの手からローラ姫を救い出した」
モバP「しかしラダトームに着いたのは夜だったので、仕方なく町の宿屋に泊まることとなった」
テレレレテテテーン
葵「おはようございます。ゆうべはおたのしみでしたね」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
-
葵「ふふふ、照れんでも良いっちゃ良いっちゃ」ニヤニヤ
雪美「……///」
モバP「今何となくその場の流れに乗ったな?」
葵「で、どこまでやったんよ?」
モバP「言えるかそんなの。王様に引き渡さねばならんのに」
雪美「……勇者さま……夜も……勇者さま……」
モバP「ベタな下ネタやめんか。ほら、行きますよローラ姫」
雪美「朝ごはん……まだ……」
葵「用意しとるけん☆」
モバP「……まあ、これまで幽閉されていて食事もロクに取れなかっただろうから仕方ないか」
雪美「……よく……種や木の実……もらった……。……ドラゴンさんに」
モバP「あ、貰っていたのか」
雪美「おかげで……スプーンより……重いものも……持てる……」フンス
モバP「力の種投与されまくったかあ……」
-
【食事後】
葵「でも勇者さん、隅に置けないっちゃ。町娘さんとも何度も泊まったけんね?」
雪美「……」ジト
モバP「だって後ろに着いてくるんだもん。いろいろ試すだろう?」
モバP「どうにかして旅に連れて行けないかと思ってねえ。勇者ロトは三人連れだったらしいのに俺は一人旅だし」
雪美「……このローラも……つれていって……くださいますね……?」
モバP「そんなひどい」
雪美「それ……私の……セリフ……」
モバP「連れて行きたいのは山々なんですがまだ竜王を倒していないから……」
葵「ほうほう……倒したら責任取ると?」
モバP「……責任取る前に言質を取られそう」
仁奈「もういっそ竜王もみんなで倒せば良いんでごぜーますよ」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
仁奈「!?」ガタッ
-
雪美「ドラゴンさん……ついてきた……の……?」
仁奈「負けたからお仕事なくなりやがりました。がんばったのに……」
モバP「俺がやったこととは言え、何か気の毒になってきた」
雪美「勇者さま……」
モバP「ドラゴンよ、昨日の敵は今日の何とやらだ。共に行くか?」
仁奈「良いんでごぜーますか? ルールとか、その……」
種バ種「ルール? なぁに大丈夫だ、戦闘に参加せずともちょいと種を集めてきてもらえりゃ……」
葵「目が種になっとるっちゃ」
――
モバP「これが我々の前世または別次元の出会いだったんじゃ……。続く」
雪美「……そうだったのかー……」
ペロ「ニャー」
ハナコ「ワン?」
ぴにゃこら太「ぴにゃー……」
ちひろ「動物その他にもいいかげんな話をするな」
-
305
モバP「雪美と一緒にドラえもんを見ていたんですが」
ちひろ「本当、何でも見ますねえ……」
モバP「宿題をやってもらうのに二時間後と四時間後と六時間後と八時間後の自分を呼び出すって斬新ですよね」
ちひろ「そんな回ありましたね。ただ斬新と言っても初出は半世紀近く前とかだと思うんですけど」
雪美「……半世紀……五十年……?」
モバP「情報が無いと五十年前なんて想像がつかないよな」
雪美「私が……生まれる前から……世界がある……ふしぎ……」
ちひろ「とりあえず、使えるひみつ道具はありそうなのにあの選択をしちゃうドラちゃんはちょっとポンコツだと思います」
モバP「そうかな? 自分も未来から自分を何人か借りてきてみたいものですがね」
ちひろ「やろうぶっころしてやるされるかもしれませんよ?」
モバP「大丈夫。未来の自分は未来に返さずに借りパクしますから」
ちひろ「未来こわれる」
雪美「……未来を……盗んだ男……P……」
-
306
モバP「夏場の印象的な格好の一つに裾結びというのがある」
モバP「グラビアではシャツを使ってビキニやショートパンツと組み合わせることが多いな」
雪美「……着てると……思った……? ……着てる……」キラキラ
モバP「突発的に大胆になる雪美さんがまた好きです」
雪美「……そう……///」
ちひろ「ガードが固いのはどうした」
モバP「裾結びはへそ出しでなくてもいろいろオシャレにアレンジができるから良いぞ」
モバP「まあ今の雪美さんはばっちりへそ出しだが」
雪美「……変じゃ……ない……?」
モバP「ああ。煽情的もとい健康的で大変なことにいや大変よろしい」
雪美「……」ホッ
モバP「へそ出しに慣れたら今度はベリーダンスの衣装とか着てみないかい?」
ちひろ「この大人は……」
-
307
雪美「……こんにちは……」
ちひろ「あら、雪美ちゃん。ごめんなさい、今プロデューサーさんは不在です」
雪美「……いない……? ……残念……」
ちひろ「もう少ししたら戻ってくるかもしれませんから、待っていますか?」
雪美「……うん」
テクテク
雪美「……」ジッ
ちひろ(……プロデューサーさんの席にまっすぐ向かって行きましたね)
雪美「……よ……っと」
雪美「……Pの……イス……、今は……私の……」チョコン
ちひろ(微笑ましい)
ちひろ(……私も社長がいない間に社長室の立派なイスに座ってみたいと思うことはありますけど、それとは違うなあ)
雪美「……P……まだかな……♪」
-
今日はここまで
そんなもんだろう
-
そうだろうか(妖怪惑星クラリス)
-
308
心「やっほ、プロデューサー」
モバP「あれ、ちひろさんじゃない。ちひろさんどこ?」
心「お姉ちゃんとはぐれた少年みたいだなおい☆」
心「ちひろちゃんはお休み。はぁとが代役だぞ♪」
モバP「わぁいはぁとちゃん、Pはぁとちゃんだいすき。カシューナッツみたいなツインテール」
心「カシューナッツ言うな。これ結構作るの時間かかるんだぞ」
モバP「アイドルが事務員の代役してて良いんですかね……?」
心「急に素に戻らないのっ。はぁとが直々に手伝ってあげるよ♪ 嬉しいだろ? ハイって言え☆」
モバP「はい、よろしくお願いしますね」
雪美「心……Pも……こんにちは……」
モバP「おお雪美。Ich liebe dich!」
雪美「……Danke」
心「甘ぁ〜い! はぁとよりスウィーティーだし何故かドイツ語だし?」
-
309
モバP「天然パーマで羽が生えていて金属を齧ったり分裂したりする妖精アイドルが欲しいです」
心「プロデューサーったら、ガッちゃんなんかアイドルにして何をする気だ☆」
モバP「世界征服はできそうですよね。ゴム以外何でも食べるようだとアイドル事務所は廃業になりそうですが」
心「可愛い顔で『クピプー』じゃすまないな♪ 変なこと言ってないで仕事しろよ☆」
モバP「分かってますって。それはそうとモノマネ上手いっすね」
心「はぁとのこと惚れ直した? んもう、もっと素直に褒めてくれても良いんだぞ?」
モバP「じゃあもう一回お願いします。次はしっかり録音もするので」 ヤメロヨ☆
雪美「ゴムは……かじれない……斬鉄剣も……こんにゃくは……切れない……」
モバP「下手に硬い物より柔らかい物の方が苦手、とはコミュニケーションにも通ずるものがあるな」
心「フワフワぽよぽよしてる子ほど何考えてるか分からないってのはあるかも?」
モバP「カービィかな? まあ、人の考えていることなんてそう分かるものじゃありませんがね」
雪美「……Pは……私のこと……分かってくれる……のに……?」
心「プロデューサーと雪美ちゃんは人並以上の関係ってことか♪ 砂糖吐くぜ☆」 サトウダケニ? オイコラ☆
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310
モバP「外暑いっすね心先輩」
心「はぁとって呼んで♪ てか心さんまでは良いとして先輩って何だよ☆ はぁとはそんなにパイセンか?」
モバP「はぁと」
心「うん、なぁに?」
モバP「あなたは休憩時間にお茶じゃなくてタピオカジュースを持ってくるんですね」
心「良いじゃんタピオカ☆ スウィーティーでトロピカルだぞ」
モバP「まあ良いでしょう。それにしても空調効いた事務所から出るとムワりますよ。参っちゃう」
心「プロデューサーは飛び回るのが仕事だから大変だわな〜」
モバP「そして戻ってきてみれば何故か目の前には事務員服のしゅがーはぁとですよ。新鮮!」
心「うふふー、もーっとはぁとを見てくれても良いんだよ♪」キラキラ
雪美「……便乗……」キラキラ
モバP「ミニ事務員服の雪美さんまで……! 剥き身のエビをぶら下げられているに等しいな」
心「プロデューサーに喜んでもらえるから着てるんだもん♪ それっ、昂れ昂れ〜☆」
-
モバP「」シュウウウウウ
心「ヤバい、プロデューサーから煙が出てるっ!」
雪美「P……もどっておいで……」
モバP「呼び戻されました」
心「便利な構造してるんだな☆ ……アイドルが全員サキュバスになっても良いようにはしとけよ?」
モバP「この世の終わりかな?」
雪美「……でも……この服……スカートの……スリット……大胆……///」
モバP「改めて言われると意識して見てしまうんだが」
心「意識しなくても清純派雪美ちゃんの腰つきをチラチラ見てただろ? はぁとも見ろよ☆」
モバP「……」ジッ
心「きゃっ、そんな熱い視線を注がれたら〜……おい、目を細めすぎだぞ。そんなに眩しいか☆」
モバP「こんなミニのタイトスカートが正装になっているちひろさんや音無小鳥さん、七草はづきさんといった世の中の事務員さんは凄いですね」
雪美「……いなくて分かる……ちひろさんの……すごさ……」
心「本人はそういう所で分かってほしくはなかったと思うけどな☆ まっ良いか♪」
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311
モバP「雪美さんは夏場でも相変わらず体を寄せることを厭わない」
雪美「……寄らば……大樹の……陰……」
モバP「それが落ち着くと言うのなら良いが、汗とかニオイとか、こうしてほしいというのがあれば遠慮なく言ってくれよ?」
雪美「……ん」コク
モバP「……思えば、以前はもう少しプラトニックな距離感だった気がするな。いつからこうなったか」
雪美「……Pと……私が……けんかした……日……」
モバP「ああ、そんなこともあったな。あれだけ強く衝突したのは初めてだった」
モバP「雪美が泣いたんだった……。表情を変えず、声も出さず、ただ涙だけが溢れ出すように流れていって」
モバP「それを見た時、俺はとんでもない喪失感に苛まれて、年甲斐もなく一緒に泣いてしまった」
雪美「……Pに……初めて……強く……抱き締められた……」
雪美「たくさん……謝られた……。……それから……ずっと……抱き合って……後は……よく、覚えて……ない……」
モバP「それからだろうか、何だか共依存みたいな状態が始まってしまったのは」
雪美「……」
-
モバP「喧嘩の理由など肝心なことが思い出せないし、あれはただ変な夢を見ていただけなのかもしれない」
モバP「それにしては共通してリアルな出来事として記憶に残っているのが不可解だ」
雪美「……」
モバP「もうこの話はやめようか。……そういえば、雪美を背負うことはあまりなくなったな」
雪美「……えっ? ……そう……?」
モバP「膝に座らせたり抱える方が頻繁なせいか、最近は背中が寂しいね」
雪美「……じゃあ……今度は……おんぶ……して……?」
モバP「任せろ!」
雪美「……でも……あなたの……背中……、いつ見ても……大きい……」
雪美「……頼りがい……あって……少し……うらやましい……」
モバP「俺は雪美に頼られることに幸せを感じるから問題ない」
雪美「……ずるい……私だって……Pに……頼られたい……」
イチャイチャ
心「やっぱりはぁとも喋らせろよ☆」
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312
雪美「……」チョコン
モバP「……心先輩も膝に乗ってみます?」
心「じっとしてるのは性に合わないから乗らないぞ☆」
雪美「……でも……本当は……?」
心「はぁともあすなろ抱きしろよお兄ちゃん☆」
モバP「……ん? お兄ちゃん?」
心「痛い姉を見るような視線と歳を示唆する反応はやめろ☆ はぁとが妹だったって良いだろ?」
モバP「現実ではお姉ちゃんだから、妹になってみたい願望は分かります」
雪美「心は……妹……いる……」
心「ラブリーマイシスターよっちゃんが実家にね♪」
モバP「よっちゃんさんとはこの前会いましたが……心先輩が溺愛するのも頷けます」
心「何勝手に会ってんだよおい☆ ってマジ?」
モバP「お姉ちゃんトークで盛り上がりましたよ。先輩愛されてますね」
心「後で詳しく聞かせてもらうからな☆」
-
モバP「それはそうと、創作世界では姉より妹の方が優秀にされがちな風潮ありますね」
心「人のコンプレックスをあまり抉るなよ☆」
モバP「まあ序列と逆転してるから目立つだけで実際統計的にそうなのかは怪しいもんです」
モバP「個人的には長女長男としての立場の苦悩とかは理解できるので、そういう時はお姉ちゃんを応援したいです」
美嘉「プロデューサーがアタシを応援してくれると聞いて」
モバP「おお美嘉。美嘉は例えばお姉ちゃんなりの妹へのジェラシーとかある?」
美嘉「あるよ。莉嘉、人と仲良くなるのがめっちゃ上手いんだよね。ほんと太陽みたいな子っていうか」
美嘉「アタシはプロデューサーの前だから素に戻って言うけど、結構根暗だし、莉嘉とは正反対かも」
モバP「それでも理想のカリスマギャルになるべく、強気で努力しているんだよな」
美嘉「姉としてギャルとして尊敬されてるから頑張らないとって思うし、やっぱり莉嘉が可愛い」
心「莉嘉ちゃんは周りを引っ張る力があって、誰にでも好かれたり慕われるタイプだな♪ 姉でなくともそう勝てる子はいないっしょ☆」
美嘉「そうやって莉嘉のこと褒められると何かアタシまで嬉しくなるんだよねー……ヘヘ★」
モバP「ふむ、姉妹は仲良しが一番だな。これ以上の平和があろうか、いやない」
美嘉「……ところでプロデューサーの膝に乗る雪美ちゃん、いつ見ても良いなあ」
雪美「ここが……私の……特等席……」
-
313
モバP「時間があったので社内ジムのフィットネスバイクを使用させてもらっている訳だが」
雪美「……」
モバP「これでもかとペダルを漕いでいる所を雪美さんに見つめられているのは恥ずかしいな」
モバP「しかもスポーティーな半袖とショートパンツ姿でいられたらこちらも見ない訳にはいかない」
モバP「っと、坂道モードで重くなった……」
雪美「……」
モバP「雪美は何もしないのか?」
雪美「……Pを……見ていたい……」
モバP「そっかー」
――
モバP「ふう、このくらいにしとこかー」
雪美「……おつかれさま……堪能できた……」ツヤツヤ
モバP「何か潤ってる」
-
モバP「それにしても、ジムのこういうのを見るたびにこれで発電できたらな、と思う」
雪美「……発電……?」
モバP「ああ。例えば自転車の前輪に付いている発電ライトだ」
モバP「自力で漕げば漕いだ分だけ光る――自給自足で夜道もより安全だ」
雪美「……」コク
モバP「これがジムなら運動して鍛える為にペダルを漕ぐだけで、副産物で電気まで作れる」
モバP「作れるのに発電装置が無いとその漕いだエネルギーが利用できないのが勿体無く思ってしまう」
モバP「……まあ、一人が発電できる量は頑張って漕いでも僅からしいがな」
雪美「みんなでやれば……大きな力に……ならない……?」
モバP「アイドルはみんなで大きな力になるが、自転車発電は実際は費用対効果が見合わないのかもしれん」
モバP「SFではよく見かけるんだがな。奴隷や囚人なんかが自転車漕いで電気を作ってそれを売って生活」
晶葉「科学がより進歩すれば、発電効率が上がって夢じゃなくなるかもな」
雪美「……晶葉。……晶葉も……運動……?」
晶葉「籠ってばかりいても良くないからな。このランニングマシーンで、発電してる気になってリフレッシュだ」
モバP「つもり貯金みたいだな」
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314
モバP「百貨店デパートなどに行くと、化粧品売り場を通ることがある」
モバP「そこ、すごい甘い、甘ったるい匂いがするんだよ」
雪美「……私は……平気……」
モバP「そうか? クラクラしないか?」
雪美「……大丈夫」
モバP「大丈夫か。でも、カーチャンの化粧品もあんな匂いだったな」
モバP「男だから慣れないのかなあ」
雪美「……」
モバP「……」スンスン
モバP「こうして膝の上にいる雪美さんの匂いには、もうすっかり慣れたがな。安心する匂いだ」
雪美「……におい……かがれると……はずかしい……」
モバP「ちょっと調子に乗った。すまない」
雪美「……いい……でも、最近……Pのにおいが……薄くなってる……。……もっと……包んで」
心「これではぁと、じゃなくて心が折れないちひろちゃんは凄いなーって☆」
-
315
ザザーン
モバP「ウェミダー!」
雪美「……何語……?」
モバP「わぁ、これが346プロ所有のプライベートビーチですかー」
モバP「洞窟からしか入ってこられない入り江に砂浜……秘境だな」
雪美「……ロマンチック」
モバP「ただ、立地的に来づらくて不便なのであまり利用されていません」
モバP「という訳で、我々が現状視察に来ました」
芳乃「調査員一号でしてー」
七海「調査員二号れすよ〜」
風香「ちょ……調査員三号です……」
雪美「……調査員……四号……」キリッ
モバP「……どう見ても遊びに来たようなメンバーだなあ」
-
モバP「じゃあプロデューサースキルで手早く周辺調査してくるんで」
シートシキーノパラソルタテーノニモツオキーノ
モバP「君たちはこのあたりで砂の感触や水の冷たさ、水着の着心地などを調査していてくれたまえ」
「「「「はーい」」」」
――
モバP「ふーむ……この辺りは危険な野生動物がいる訳ではないし、そもそも手入れはしっかりされている」
モバP「景観を考えると人工物は入れない方が良いのだろうが、どうも物寂しい。小屋とか置けないかな」
モバP「いろいろと浮かぶアイデアを報告書にぶち込みまして……こんなもんか」
モバP「ただいまー」
風香「あっ……おかえりなさい」
モバP「風香一人か。みんなは……って」 スクッ
風香「Pさん! えっとですね、えっと……こ、この水着、どうですか?」バッ
モバP「……目の前でラッシュガード脱いで見せつけてくるとは驚いた気合いの入り方だ。無論とても良い」b
風香「ご、ごめんなさい……じゃなくて、ありがとうございます///」
-
――
モバP「いかん、あのボディーで胸の開いたビキニは下半身に悪い……芳乃はこの辺にいるんだったか?」
芳乃「あっ、そなたー」
モバP「芳乃も水着に着替えていたんだな。芳乃は市松模様や縦縞横縞がよく似合うな」
芳乃「そなたが好きだと言いますのでー、紐のような物の方は諦めましてー」
モバP「紐なんて着られたらこっちの理性がポップコーンのように弾け飛んでしまうわい」
芳乃「失せ物探しはお手の物ですー。そなたの理性も拾い上げて見せましょうー」
モバP「言いおるわ」
モバP「それでどうした、その大きな貝は。拾ったにしては大きいな?」
芳乃「ふふふー、実はー、そなたを待ち伏せしていたのでー。ぶおおー♪ ぶおおー♪」
――
モバP「あれー? おかぴーぞー? 一瞬で岩場に移動したなあ」
モバP「お、七海じゃないか」
七海「プロデューサー! 七海はこうして釣りをしているのれすよ〜」
モバP「君らは相変わらず自由に行動し過ぎだよなあ」
-
七海「プロデューサーと海に来るのは久しぶりれすね」
モバP「ああ」
七海「……あっ///」
モバP「?」
七海「何かあの時の記憶が甦ってきたれす。あわわわわ……釣りは平静釣りは平静」
モバP「ハハハ、でも七海はこうして見るとやっぱり海が似合う。釣りをする姿も様になっているよ」
七海「もう……プロデューサーは女たらしれす!」 クイクイ
モバP「おい、引いてるぞ」
七海「わっ!? ちょっ!」
――
モバP「さて、俺も少し泳いでみるとするか……って何だこの水着布地少なっ」
モバP「誰がこんなハイビスカスブーメランとすり替えたのか……あっボイスレコーダーだ」
麗奈『アンタもたまには恥ずかしい目に遭うといいわ! アーッハッハッ……ゲホゲホ』
モバP「………………まあすぐ着替えるから我慢しよう」
-
【着替えタイム】
モバP「……はぁ、サポーターだけ穿かされてる気分だ」
モバP「どれ、準備体操はしっかりとやっておきましてっと……そういやあいつら準備体操したのか? 日焼け止めは?」
オイッチニ オイッチニ
モバP「合流したら聞くか。さあ入ろう」
チャプ
モバP「……おお、やっぱり海水は海水でなかなか冷たいな。少しすれば慣れるか」
モバP「少し深いところまで行ってみようか……」
ザバザバザバ ザバッ!
モバP「うわっちょ!?」
雪美「……P……おそい……」ダキッ
モバP「雪美さん……何してたんすか」
雪美「ゴーグルして……海の中……見ていた……」
-
――
モバP「ふう。不意打ちするから何か未確認生物に襲われたかと思った。でも良かった、雪美で」
雪美「……私になら……おそわれても……良い……?」
モバP「雪美さんは鮫のように齧ってきたりはしないだろうからな」
雪美「……」
モバP「ふう……しかしやっぱり波打ち際に座る程度が良いや。深い所は何か嫌な感じがする」
モバP「昔溺れかけたことがあるせいかな。プールじゃ平気なのにな、ハハハ」
雪美「……ごめんなさい……」
モバP「気にするな。それより水着、スカート付きのビキニか。うーん、いつまでも見ていたい姿だな」
雪美「……じゃあ……もっと近くで……見て……」
ポスン
モバP「雪美さんは遠慮が無いなあ」
雪美「それは……Pの……せい……。たぶん……」
雪美「……P」
モバP「……雪美」
-
風香・芳乃・七海「……」ジーッ
モバP「……お前らもいつの間にか近いな」
雪美「……」キョトン
芳乃「皆で平等にー、そなたとの時間を求めたゆえー」
七海「でもそこまでいくとずるいれす〜」
風香「……」ドキドキ
モバP「分かった。この辺で個別面談は終わりとして、後はみんなで遊ぼうじゃないか」
雪美「……ざんねん……もうちょっと……だったのに……」
風香「ところでPさん、そ、その水着……」 エ?
「「「!?」」」
「へ、変態れす///!」「そ、そなた……///」「……すごい///」
雪美「……あっ」
雪美「……///」カーッ
モバP「……自分なりの釈明はしたいが聞き入れてもらえるかなあ、これ」
-
――
ブロロロ
モバP「やれやれ系もびっくりなやれやれだ。結局がっつり海で遊んだよ」
モバP「幸い曇っていたし日焼け止めはしっかり塗っていたからみんな今後の活動に支障は出まい」
モバP「俺の立場的な支障は知らんが、この子たちは物分かりが良い方だから大丈夫なはずだ」
雪美「……」スゥスゥ
芳乃「……」スゥスゥ
七海「……」スピー スピー
モバP「みんな車ではよう眠っとるわ。疲れたかな」
風香「Pさん」
モバP「あ、一人は起きてるパターンでしたか。何だい風香」
風香「その、今日はありがとうございます。また少し、自分を変えられた気がします」
モバP「それは良かった」
風香「あと、常識も少し変わりました」 ダメダッタ
-
今日はここまで
だけどぼくにはクーラーがない
-
316
モバP「言うまでもないことだが雪美さんはクールだ」
モバP「無愛想とまではいかないが表情や感情の起伏は大きくなく、ちょっとやそっとでは動じない」
モバP「だから天然で思わぬボケを披露したり、不意にドキッとさせる言動をしたり、良い意味でこちらのペースを乱される」
雪美「……」ウツラウツラ
雪美「……っ!」
雪美「……」キョロキョロ
雪美「……P……どこ……? さっきまで……いたのに……いない……」
モバP「後ろだ」
雪美「……そこに……いたの……」ホッ
雪美「…………私の……そばに……いて」
モバP「……!」ズキューン
モバP「……不覚にもその言葉に堕ちた。――雪美も離れるな。俺のそばにいろ」
雪美「……」ドキドキドキ
-
317
モバP「はぁ……」
雪美「P……どうしたの……?」
モバP「俺がピアノ経験者ということがどこからかバレてしまって、一曲弾いてよ、とアイドルたちにせがまれてさ」
モバP「謙遜しながら仕方なく満を持して披露したら、何か思ったよりも下手になっていた」
雪美「……がっかり……された……?」
モバP「致命的な下手じゃないが上手くもない、ネタにもならない微妙なムードというか……うん」
モバP「こういうのは続けていないと腕が鈍ってしまうんだなと思い知ることになった」
雪美「……Pの……そんな、かっこわるい所も……Pらしさ……」
雪美「でも……ピアノ……弾けるの……すごい……」
モバP「女子にモテたくて一時猛練習していたからな。おかげで指使いは研ぎ澄まされ」
モバP「こう見えても学生時代はゴールドフィンガーと呼ばれていた」ワキワキ
雪美「……そう……私は……Pの……ゴールドフィンガーに……いつも……弄ばれて……」
モバP「……下ネタだなあ。ごめん」
-
318
モバP「雪美よ、アイスでも食べるか」
雪美「……」コク
モバP「よし分かった。こういう時の為に冷凍庫に入れてあるものがある」
ガチャ パタン
モバP「これよこれ。チューブアイスだ」
雪美「……すき」
モバP「では半分に割るぞ」
雪美「……」コク
モバP「……集中」
カッ
モバP「せいやっ!」
パキッ
雪美「……割れた……」
-
――
シャリシャリ
雪美「……冷たくて……おいしい……」
モバP「夏は普通のアイスクリームやかき氷のような氷菓も良いが、何かやっぱりこれが好き」
雪美「……二人で……分けられるの……良い……」
モバP「お一人様ならただ冷やしてから取っ手をねじってそこから中のシロップを吸う食べ方もあるようだが、喉にくるんだよな」
モバP「だからよくこうして誰かと分けて食べていた」
雪美「……割るの……手……汚れなかった……?」
モバP「コツを掴めば、きれいに分かれなかったり飛び散ったりせずに割れる」
雪美「本当……?」
モバP「まあ良い子は真似せずにハサミとかで割るのが良いのかな?」
モバP「柔いと割るのに失敗しやすいが、半冷凍くらいのが美味いのが悩ましい」
雪美「……P……少年の目……してる」クスッ
-
319
モバP「たまに雪美から感じられる猫っぽさを挙げようと思う」
雪美「……?」
モバP「暑い時はそうでもないが、一眠りする際に体を丸める時がある」
モバP「膝を曲げて横向きに寝る雪美さんを見ると、鍋に丸まって寝る猫を連想する」
雪美「…………無意識」
モバP「いや実は俺も結構そうなっていることがある。狭い所好きな性質が寝相に出てしまうのか知らないがな」
ンナア
雪美「……ペロが……いっしょに……おひるね……しようって……言ってる……」
モバP「ペロからお誘いか……猫の睡眠時間は一日で平均十四時間。薄明薄暮性で朝と夕が主な活動時間」
モバP「夏は特に日中が暑いからな。気温の下がってきた夕方あたりが動きやすい……と言っても都会の夏は夕方でも暑いが」
雪美「……おひるね……しないの……?」
――
モバP・雪美・ペロ「Zzz……」
-
320
モバP「日本のお菓子にしては良い形をしているな、と思うものに鈴カステラがある」
雪美「……」モクモク
モバP「この鈴のようでいてウキや栗のような目を惹く上下二色」
雪美「……」ハムハム
モバP「……雪美は何をしていても、食べ方一つ取っても絵になるなあ」
雪美「……」ゴクン
雪美「Pは……これ……何で……知った……?」
モバP「ローゼンメイデンの翠星石が美味しそうに食べてるイラストを見かけたのがきっかけで」
雪美「……ほー」
モバP「俺はアニメやゲームで美味しそうな食事シーンを見ると、同じ料理を食べたくなる病なんだ」
雪美「……私も……。例えば……トムとジェリーの……ゼリー……とか」
ガシッ
モバP「雪美ってば本当、気が合うな!」
雪美「……Pったら……大胆……///」
-
321
モバP「雪美、卓球しようぜ」
雪美「……?」
モバP「今度の仕事で卓球やるかもしれないだろ? ちょうど遊戯室に卓球台が入ったんで練習しとこう」
雪美「……良いの?」
モバP「周りが慣れているのに自分だけずぶの初心者だと疎外感が出たりするからな」
モバP「というか旅館で風呂上がりに浴衣をはためかせて卓球する雪美さんが見たい」
雪美「……それは……ともかく……、うん……やる……」
モバP「よし。そのやる気がまずは何よりの強みだ」
――
カコッ カコッ カコッ
キュィィィィン コンッ
雪美「……やった」グッ
モバP「ボールが物凄い変化したぞ今。というか初心者じゃない?」 …ウン
-
322
モバP「雪美は暑さが苦手である」
モバP「またそれを我慢しがちな性格のため、体調には気をかけてやりたい」
雪美「……夏祭りや……プールは……好き……」
モバP「雪美は喋るのがあまり得意でない」
モバP「ただし意思表示を嫌う訳ではなく、彼女なりのペースで伝えようとしてくる」
雪美「……」ジーッ
モバP「雪美は大きな音を好まない」
モバP「怯えてしまうのと、小さな声で伝えたい言葉をかき消されてしまうのを怖れる」
雪美「……聞こえなかったら……悲しい……」
モバP「そんな雪美だが、なかなか充実した生活を送っていると言える」
雪美「……みんなが……そしてあなたが……優しくしてくれる……から……」
モバP「たまには静けさの中で彼女の息遣いに耳を澄ませてみるのも良いだろう」
雪美「……それでは……また……あした……」
-
今日はここまで
タピオカココナッツミルクだって?
-
323
雪美「……」テクテク
雪美「……!」ササッ
モバP「……」スタスタ
雪美「……」ジーッ
モバP「……??」
モバP「……」スタスタ
雪美「……」テクテク
スタスタ テクテク
モバP「……?」
クルッ
雪美「……あっ……気づかれた」
モバP「何か御用かな? それともスニーキングミッション?」
雪美「……P……見つけると……うれしくて……尾行……したく……なる……」 ホドホドニナー
-
324
モバP「夏休みといえばキャンプよな」
モバP「大自然の中でテントを張ってカレーライスを作ったり夜に天の川を見たり」
雪美「……だれと……行くの……?」
モバP「家族と、ということもあれば小中学生対象のサマーキャンプに親から派遣されることもある」
モバP「夏休みだからって家でダラダラすんな、修行してこいって感じで」
雪美「……そんなこと……あるの……?」
モバP「ああ。当然ダルいとか言って行きたがらない子もいる。不便な非日常の環境に置かれる訳だから」
モバP「だが終わってみれば友達も作れて楽しい良い思い出になるものさ」
雪美「……キャンプ……」
雪美「……Pと……私と……みんなで……行きたい……ね」
モバP「アイドルをやっていると却ってそういう機会が巡って来にくいだろうからなあ」
紗南「行くならやっぱり連れにキャンプガチ勢がいると良いよね」
モバP「だな。俺はアウトドア用品を見るのは好きなんだが、大抵はそれで満足しちゃう頭でっかちだ」
紗南「Pさん、PCで登山グッズとかよく検索してるもんね」 ア、ミタナ?
-
325
モバP「暑い夏――アイドルたちの疲労も溜まってきている」
モバP「屋外では容赦のない日差しと高温。屋内でも舞台に立てば、照明に熱を浴びせられる」
雪美「……」クタッ
モバP「おつかれさま、雪美」ナデナデ
雪美「……ん」
比奈「ソファーでプロデューサーの膝枕にうつ伏せしてる子は初めて見たっス」
モバP「比奈も疲れたろう。無理してないか? 俺が少しでも肩代わりできたら良いんだがな」
比奈「してないっスよ。プロデューサーと一緒でスね」
モバP「おや、俺が無理していないとは心外……いや否定はしないが。では、割と余裕?」
比奈「手を抜いている訳じゃないっス。ただ、倒れたり怪我したりして迷惑かけたくないでスからね」
比奈「無理して原稿を落としては元も子もないのと同じでスよ」
モバP「さすが眼鏡を外すと覚醒する美人だ。考え方が立派」
比奈「マンガのそういうキャラ好きっスけど……描く側の私がそれに当てはめられると何か恥ずかしいっスね」
-
モバP「ところで、お疲れならマッサージなどしませんか?」
比奈「男のプロデューサーが女のアイドルにマッサージってそれなんて」
モバP「変なもんじゃありませんよ。通信教育で習った本場のテクニックをご堪能あれ」
比奈「それって本場と言えるんスかね……?」
モバP「ちなみに、雪美さんには既に施術済です」ポン
ピクンッ
雪美「あっ……! ふぅ……」
比奈「……小学生相手にいろいろと何してるんスか」
雪美「これ……とても……よく……きく……。……おすすめ……」クタッ
モバP「どうです〜? やりませんか〜? ぐひひひひ」
比奈「怪しすぎるっスよ! ここは私が止めなきゃいけないんスよね!?」
亜季「P殿のマッサージでありますか! 是非とも受けてみたいものですな!」
比奈「」
――
比奈「あ……肩が軽くなった……」 ワタシモデアリマス!
-
326
モバP「むむむむむ……」
雪美「……P……何してる……の?」
モバP「ああ、スマホに液晶保護フィルムを、ズレたり気泡ができたりしないように貼ろうとしているところだ」
モバP「――よし、できた」
雪美「……P……結構……器用……?」
モバP「几帳面なだけで不器用な方さ。まあこんなもんだろう」ポチポチ
雪美「……見えない」
モバP「覗き見防止タイプのだからな。昔集めていたレンチキュラーのシールやカードみたいだ」
雪美「じゃあ……こうする……」
ムニッ
モバP「頬っぺた同士をくっつけるのってかなりの恋人ムーブじゃないですかね」
雪美「……こ、恋人じゃ……ねーし……」テレッ
凛「恋人というか……正妻ムーブ?」
-
327
モバP「雪美さんは座っている時は何かイス状の物に腰掛けていることが多い」
モバP「では畳や芝生といった段差のない所ではどうだろう」
雪美「……」チョコン
モバP「体育座りです」
モバP「しかもスカート……ふおおおお」
雪美「……?」キラキラ
モバP「今日はあなた、長いのじゃなくてミニ気味のフリルワンピースなのよ?」
雪美「……ふぅ……これ……涼しい……」
モバP「それで体育座りって、何とは言わないが見えちゃうでしょ? 脛で絶妙に隠せてはいるものの」
雪美「……」ジト
モバP「でも見えそうで見えない――これが良い。この角度が一番魅力的だ」
モバP「顔はもう少し物憂げに、視線は逸らして……うん、完璧ね!」
雪美「……P……欲求を……隠さなく……なってる……?」
モバP「夏の雪美さんの肌色に堪え兼ねてポンコツ化してるなと我ながら」
-
328
雪美「P……それは……時計……?」
モバP「これは懐中時計だな。成人祝いに祖父から貰ったアンティークだ」
雪美「……おおー」キラキラ
モバP「小さい頃に見せてもらってからずっと欲しいと思っていた物だから、それはもう嬉しかった」
雪美「……すてき……」
モバP「元々鎖がないから吊るすことはできないが、俺のとても大切な宝物だな」
雪美「……それなら、いつか……Pに……鎖を……プレゼント……したい……」
モバP「他の誰でもない雪美に、鎖を補ってもらえるならこれ以上の幸せはないな」
モバP「だが、鎖を買う為に黙ってその長い髪を切って売ってしまったりはしないでくれよ?」
モバP「俺は俺で雪美に、とびきり良い櫛をプレゼントしたいと思っているからな」
雪美「でも……そんな行き違いも……きっと……しあわせ……かも……」
雪美「”賢者の贈り物”……知ってる……」
モバP「良い話だよな、あれは」
モバP「それはそうと、以前は懐中時計って海中でも使える防水時計だと勘違いしていたなあ」 チガウノ?
-
329
モバP「おやおや、こんな所にカラフルな海苔巻きかな?」
メアリー「ダーリン、それはカリフォルニアロール、ヨ。アタシが作ったのだから間違わないでほしいワ」
モバP「何と……すまんなあ。おっちゃん流行り物には疎くて。パッと見た感じだと色的にソイシートかと思ったよ」
雪美「……ソイシートも……はやりもの……だぞ……」 ソウカ?
モバP「で、これメアリーが作ったのか? へぇ、本格的だなあ……いや、本格的カリフォルニアロールは見たことないが、雰囲気がね」
メアリー「レディーなら母国の料理も作れて当然ダワ♪ さ、食べて?」
モバP「はむ……んん……おお! アメリカ料理にしてはなかなかエスニックだな。美味い!」
メアリー「本当? 嬉しいワ、ダーリン。ウフフ」
モバP「じゃあ俺はメアリーにジャパニーズ海苔巻きを御馳走しよう。ポークたまごおにぎりだ!」ジャン
メアリー「何コレ! おっきなスパムと玉子焼きが……ワイルドダワ!」
雪美「それ……日本というか……沖縄……」 マアヒトクチドウゾ
――
雪美・メアリー「おいしかった」ニパッ
-
330
モバP「……ちょっくら休憩するか」
ボスン
モバP「事務所のソファーの座り心地はいつでも快適だな」
ガチャ
雪美「……」
モバP「?」
テクテク
雪美「……」
ポスッ
雪美「……ちょっと……休憩しに……来た……」
モバP「奇遇。俺と同じだな」
雪美「Pも……? …………同じで……良かった……」ポテッ
モバP「膝の上じゃなく隣に座って寄りかかってくるのはいつもと違うな」
雪美「……今日は……ひかえめ……。……でも……これも……いい……」
-
おまけ7
ちひろ「プロデューサーさん、私は事務員じゃなくてアシスタントですからね」
モバP「失礼致しました。訂正してお詫びを申し上げます」
ちひろ「まあやっていることはアシスタントの域を超えているとは思いますけどね」
モバP「……」
ちひろ「……」
モバP「……私のアシさん、かぁ」
ちひろ「アシさんはやめて」
おまけ8
モバP「ニッポンの夏はいつからこんなってくらい暑いなぁ。雪美は大丈夫か?」
雪美「……」
雪美「……私は……兵器……」オメメグルグル
モバP(……アカン)
-
今日はここまで
またすこし しあわせになった。イーペーコー
-
春菜「は?(威圧)」
比奈は眼鏡かけてても美人だろいい加減にしろ!
というかむしろ眼鏡かけてる時の方が好き(隙あらば自分語り)
-
331
モバP「ひと夏の思い出”かき氷”」
モバP「ぬおおおお」ガリガリガリガリ
雪美「がんばれ……がんばれ……」クルクル
モバP「おおおおお」ガリガリガリガリ
雪美「もう少し……」クルクル
モバP「お、お、お」ガリガリガリ
雪美「ん……きれいに……お皿に……山になった……」
モバP「よし! ではかき氷シロップをかけて食べよう!」
雪美「イチゴ……メロン……ブルーハワイ……どれが……いい……?」
モバP「一説によると基本どれも同じ味らしいが、イチゴにするか! 練乳もかけて……っとこんなもんか」
モバP「では……はい、あーん」
パクッ
雪美「……ん……甘い……。……二口目は……Pに……あーん?」 アーン
凪「事務所に不自然な手回しかき氷機、Pの私物でしたか。草生えますね」シャリシャリ
-
332
モバP「……」スヤスヤ
ガチャ
雪美「……P……? ……あっ……お休み中……?」
モバP「……ゆきみぃ……いいぞぉ……」ムニャムニャ
雪美「……ふふ……やっぱり……私がいないと……ダメ……ね」ゴソゴソ ダキッ
雪美「……」
雪美「……しまった……ねむくない……」
雪美「…………!」ピコーン
カシャ カシャカシャッ カシャッ
雪美「……送信」
――
モバP「何か最近自分の寝顔写真が出回っているらしいですが心当たりとかないですか?」
ちひろ「いえ、全然?(雪美ちゃん、私にまで送ってくるんですよねえ……ふふっ)」
-
333
モバP「ひと夏の思い出”スイカ割り”」
凪「suicaを割り勘するのですか? 天才のピー氏はやはり考えることが一味違いますね」
モバP「そうじゃなくてほら、雪美を見てみろ」
雪美「……」 ←目隠し・水着・棒装備
モバP「そのままではまっすぐこちらに来れてしまうので、十回くらい体をスピンさせようか!」
雪美「……分かった……」クルクルクル
モバP「そしてスイカがこちらになります」ドスッ
凪「ばっちぇ冷えてますね。冷えてないスイカは生まれてこの方食べたことがありません」
颯「準備おっけーだよ! なー、Pちゃん!」
モバP「よし、では青春のスイカ割り開始だ!」
雪美「……」ヨロヨロ
颯「あっ、雪美ちゃん雪美ちゃんそっちは海だよ」
雪美「……わかった……」クルッ
-
雪美「……P……どこ……?」
モバP「俺はこっちだぞー! 雪美ー!」
雪美「……? ……!」
雪美「……」フラフラ
凪「わーお、あっという間に近づいてきました。Pのラブコールは効果抜群ですね」
モバP「よし、そこでストップ――って、こらストップストップ! こっちじゃない!」
雪美「……P……ここに……いた……」ダキッ
――
凪「結局巻きで次のPが割ってくれまして、凪たちは冷たい内のスイカにありつけたのでした、まる」シャクシャク
颯「はーたちもスイカ割りやってみたかったなー。でも、スイカおいしいね♪ なー?」シャクシャク
モバP「君たちも水着差分ができたらやらせてあげよう」シャクシャク
雪美「差分……?」シャクシャク
凪「なるほど。つまり、はーちゃんの悩殺水着姿はよ、と催促しているのですね? 凪も見たいですが」
颯「もう、そんなこと言ってー! 可愛い水着は着たいけど、って早くしないとシーズン終わるよね?」
-
334
友紀「ふんふーん♪」
モバP「あっ、キャッツが勝ったんやな」
友紀「理解が早いねプロデューサー。そうだよ! 良い所で岡本がホームラン打ってさ!」
モバP「良い勝ち方したり連勝中は楽しいよな。夜のスポーツニュース梯子なんてしてな」
友紀「そうそう♪ それにビールが美味しい!」
友紀「ところでプロデューサーはどこの球団のファンなのか、そろそろ教えてよー?」
モバP「俺も一応キャッツだがさ、最近は何だか負けが怖くなってしまって試合結果を見るのも恐る恐るでな」
友紀「そこはもうちょっと頑張ろうよ」
モバP「友紀でもたまには贔屓無しの試合を落ち着いて楽しみたい時はないか? 今なら高校野球とか」
友紀「キャッツの試合がない日や時間はそれもそれで良いよね。純粋に野球を楽しむっていうか」
モバP「それが行き過ぎて、いつの間にかシーズンよりもドラフト会議の方が楽しみになっていたりするんだ」
友紀「おいおい。まあ、それはそれで一大イベントだよね。アイドルの総選挙みたいなものでさ」
雪美「……P……また……サクセスモードで……私を……作ってる……」
-
335
モバP「最近仕事が捗らないな。こう、天啓が降りてこないと言いますか」
ちひろ「それは一体何日ぶり何度目のことですかね」
雪美「……P……スランプ……?」
モバP「アイデアが断片化しているんだ。これが上手くまとまれば一気に勢いに乗れるんだが」
ちひろ「そういう時はじたばたしてみるしかないでしょう。仕事して、仕事して、仕事しまくる」
モバP「でもやっぱり出来なかったら?」
ちひろ「仕事するのをやめる。散歩をしたり、景色をみたり、昼寝をしたり、何もしない」
モバP「……」ポカーン
ちひろ「何ですか?」
モバP「ちひろさんが何もしなくて良いなんて言ってくれるとは……惚れそうです」
ちひろ「何もしなくて良い(何もしなくて良いとは言ってない)」
モバP「うーんこの」
-
ちひろ「こほん……そのうち急に仕事がしたくな〜る、したくな〜る……ダメ?」
モバP「なるかしら」
ちひろ「ならなきゃクビですからね」
モバP「現実を見せられた」
ちひろ「まあ普段から気分転換にテレビを見てたり漫画を読んだり寝転がってみたり電話をかけたりギターを弾いたりぶら下がってみたりくらいはしてるでしょうし」
ちひろ「悪いなりにでもノルマはしっかりこなしましょうね」
モバP「雪美さん助けて」
雪美「……救い料346億万円……ローンも可……」
モバP「救いのヒーローか、それとも八百屋の冗談かな?」
モバP「それはそうとちひろさん、お休み中に夏は満喫できましたか?」
ちひろ「おかげさまで」
雪美「……私も……夏……楽しい……」ベッタリ
モバP「猛暑続きでなかなかきついですが、お盆も過ぎたことですし頑張りませんとね」ナデナデ
ちひろ「事務所でも目の保養地が欲しいんですけどね」
-
336
ちひろ「プロデューサーさんはFGOで好きな女の子キャラは誰ですか?」
モバP「まず酒呑ちゃんですね。それからふーやー、エレナ、ジャック、アビゲイル、ニトクリスとかですか」
ちひろ「露出度の高い小さい子だらけですね」
モバP「ニトクリスは小さくないです。アビゲイルは……まあ水着がね……」
モバP「ソシャゲの女の子の痴女衣装率が高いのはこれはもう仕方のないことです」
ちひろ「それにしても何故真っ先に酒呑童子」
モバP「京言葉が妖艶で良いんですよね。雪美さんにも旦那はんと呼ばれてみたいです」
雪美「……旦那はん?」
モバP「」
雪美「……どう……?」
モバP「……よろしおすなぁ。何か雪美が酒呑童子のように見えてきたよ。格好まで」
雪美「……///」ペシ イテッ
ちひろ「自分の目を騙し始めましたよこの人」
-
337
モバP「ひと夏の思い出”お祭りと花火大会”」
こずえ「おまつり……すきー……」
雪美「……花火も……好き……」
モバP「白浴衣と黒浴衣のコンビネーションが抜群だなあ」
こずえ「……えへへー」キラキラ
雪美「……でも……短いのが……少し……恥ずかしい……」キラキラ
モバP「まあ、たまにはこういうのもな? 俺も甚平で膝下出ているし」
雪美「Pの……じんべい……癖になる……」スリスリ
モバP「いやん、すりすりはやめて」
こずえ「ぷろでゅーさー……はやくいこーよー」
モバP「そうだな。屋台巡りと洒落込むか。人が多いから、しっかり手は繋いでような」
こずえ・雪美「はーい」
――
-
モバP「お面どうでしょう」
雪美「……こーん」
こずえ「こんこん」
モバP「ふーむ、浴衣にキツネの面は何か幽玄の雰囲気を作り出すな」
雪美「Pは……悪いキツネに……化かされる……こんこん」
こずえ「こずえたちがー……きつねだよー……」
――
モバP「射的どうでしょう」
パーン
雪美「わっ……! びっくりした……、反動……強い……」
バキューン
こずえ「あれー? 当たったよぉー?」
店主「やるねぇキツネのお嬢ちゃんたち。はい、これは戦利品だ」
こずえ「おおー……おんなのこのぬいぐるみー……ぷろでゅーさーに……あげるー」
モバP「ありがとう。ほう、こいつぁ良い浦風だ。また来るぜオヤジ」
-
――
モバP「ヨーヨー釣りどうでしょう」
こずえ「……むむむむー」
雪美「……あっ……釣れた……P……釣れた釣れた……ほら……」
モバP「雪美さんってば無邪気だなあ。……ん、中に何か入ってるな」
店主「玩具が入ってるんですよ。チョコエッグみたいに二度美味しいでしょ」
雪美「透かしたら……猫の顔……みたい……」
――
モバP「景品くじどうでしょう」
モバP「昔一等を当てたことがある強運の右手が唸るぜ……これだ!」
バッ
店主「はい。末等は光るスポンジスティックだね。お連れさんに一本おまけしよう」
雪美「……おお……きれい」キラキラ
こずえ「わあ……おにいさんありがとー……」キラキラ
モバP「こんなはずでは」
-
――
モバP「いやあ、時間を忘れて回ったな」
雪美「りんご飴……Pも……なめる……?」
こずえ「ちょこばななもー……おいしいよー?」
モバP「この焼きトウモロコシもな、焦がし醤油が食欲をそそる――って、こうしている場合じゃない急ぐぞ雪こず!」
モバP「もうすぐ花火の時間だ、見やすい場所に行こう」
――
モバP「……着いた」
加蓮「やっほー、場所取りばっちりだよ」モグモグ
奈緒「加蓮はトルネードポテト好きだなあ」
モバP「そっちも撮影が終わったか。お疲れさん」
凛「やっと来たね、プロデューサー。花火終わったら今度は私たちとも付き合ってよ?」
モバP「分かっているとも。約束していたからな」
雪美「……凛……Pのじんべい……いいにおい……する……」
凛「えっ? ……ふーん……あ、本当だ……まあ、悪くないかな……」
-
――
ヒュー ドーン パラパラパラ
ヒュルルルルルル ドーン パラパラパラ
雪美「……」
こずえ「……」
モバP「二人とも熱心に眺めているな……しかしきれいだ」
凛「えっ? 私のことかな?」
奈緒「花火のことだよ」
モバP「俺の地元でも以前は毎年打ち上げ花火をやっていたんだが、ある時火事が起きてから無くなった」
加蓮「そういうこともあるよね」
加蓮「……私は一度だけ、入院中に部屋割りが良くて窓から花火が見えるタイミングがあったな〜」
モバP「花火は、その場の言葉が無くても、誰か一緒に見てくれる人が欲しいな」
加蓮「うん。病室に私一人、花火を独占できても寂しかった。こうしてみんなと見る方が好き」
ヒュー ドーン パラパラパラ
モバP「良い条件がいくつも重なって、最高の花火は見られるんだな」
-
加蓮「パッと光って咲いたー、はーなびを見ーていたー♪」
奈緒「くくく……セルフBGMかよ」
モバP「でも、直に夏は終わっていくんだなあ」
凛「今過ごしているこの夏は、一生に一度しか来ないからね。今日ここに、私たちの足跡は残せたかな?」
モバP「少なくとも俺の記憶には残ったさ。……はしまき食べる?」スイッ
凛「もう、デリカシーに欠けるなあ。……ふふふっ」
凛「っていうか色んな物持ち過ぎだってプロデューサー。ヨーヨーにトウモロコシに浦風に光る棒に、はしまき?」 ホカニモアルゾ? エェ…
雪美「P……一番……はしゃいでたね……?」
こずえ「はしゃいでたねー……えへー……よかったねー……。ふわぁ……」
モバP「アイドルを差し置いて同行のプロデューサーが一番楽しんでるってどうなのよ(自問自答)」
凛「まあ、良いんじゃないかな? プロデューサーだし」 アハハハ
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「……楽しかった……。また……来ようね……? 来年も……その先も……」
モバP「そう言って雪美は照れ隠しにお面を被るのでした。かーっ! 惚れるねい」 Pサンウルサイ!
-
今日はここまで
ただそれだけでよかったのに
-
338
雪美「……P……何を……背負っている……の?」
モバP「これは多腕ロボットアームだ」ウィーン
モバP「最近は薫やこずえや仁奈や小春が一度に来ることが多いから、それぞれに遊んであげられるように、な」
モバP「晶葉が発明したこの通称”千手観音”は俺の思考を読み取り、それぞれ独立して動かせる」
雪美「……」ホー
モバP「まるで自分に新しい腕が生えたような感覚だ」クネクネ
雪美「動き……なめらか……。……さわっても……いい……?」
モバP「良いぞー?」
雪美「……やわらかい……ふふふ……」ムニムニ
モバP「逆にこっちからも雪美を撫でてあげよう」ナデナデ サスサス
雪美「……んっ……Pの手……いっぱい……」
ちひろ「でもそれ、昆虫みたいでちょっと気持ち悪いです」
モバP「」ガーン!
-
339
カンカン カンカン カンカン
ガタンゴトン ガタンゴトン
モバP(駅前の踏切は開かずの、とまでは言わないが結構待たされることがある)
モバP(上りが行って下りが来てまた上りを待つとか、遮断機が上がったと思ったら数秒してまたカンカン鳴り出すとか)
カンカン カンカン カンカン
モバP(踏切は冷静に考えると結構怖い。単調な音が不気味だし、赤色灯の点滅も電車が近づくと急に動き出すから心臓に悪い)
モバP(ただ、本数が少ない時間や路線でその鳴り出しを待つのが、子どもの頃のちょっとした楽しみだったりした)
カンカン カンカン カンカン
ガタンゴトン ガタンゴトン
カンカン カンカン グゥーン
モバP(お、開いたな。行くとするか……ん?)ザワッ
雪美「……あっ……P……!」フリフリ
モバP(今の楽しみは、こうしてふとした場所で、雪美と出会うことかもしれない)
-
340
モバP「……サンドイッチって良いよな」
雪美「……うん」
モバP「どこぞの伯爵がトランプゲームをしながら気軽に食べられるものを、ということで考案されたと聞くが」
モバP「具のバリエーションが豊かで、玉子、キュウリ、ハム、チーズといろんな物が合う」
雪美「おにぎり以上……かも……」
モバP「お米と違って甘い物も幅広く合うからな。雪美の作るフルーツサンドは絶品だ」
雪美「……また……作る……」
モバP「是非お願いします。週三くらいのペースで食べたい」
ちひろ「無茶言うな」
モバP「何せどこの名店のレシピかと思うほど美味しくて、自分じゃ再現できないんだ」
雪美「……調理実習の……プリントを見て……作っただけ……」
モバP「最近の調理実習はレベルが高いんだなあ……」
-
モバP「サンドイッチ……欠点らしい欠点があるとすれば、食パンの耳が除かれるところか」
雪美「……そういえば……端っこの……耳は……切る……」
モバP「雪美はパンの耳は苦手な方? そういう子は割といるが」
雪美「……普通。……分かれていたら……気にならない……」
モバP「嫌いじゃないが食べる時にちょっと違和感というか気になるというか、は誰しもありそうだな」
モバP「パン耳のラスクなんかは安くて重宝するし、意外と分かれていた方が存在感があったりして」
雪美「ラスク……あまり……食べたこと……ない……。…………あっ……!」ピコーン
雪美「……私が……白い部分で……フルーツサンドを、作る……」
雪美「……Pが……耳の部分で……ラスクを、作る……」
雪美「……食パンを……余すことなく、使えて……役割分担……できる……」
モバP「ナイスアイデアだな。今度やってみるとするか!」
ちひろ「サンドイッチの話題で盛り上がっていますけど」
ちひろ「そうして雪美ちゃんにサンドイッチされていることについてはツッコミ待ちですか?」
雪美・モバP・雪美「?」
-
341
モバP「盆に実家の物置を漁っていたら面白い物が見つかりましてね」
ちひろ「ほう」
モバP「携帯ゲーム機です。それもキーホルダーサイズ」
ちひろ「うわ小っちゃ!」
菜々「あっ、懐かしいですね! テトリスとかスネークゲームとかレースゲームとかブロック崩しが入っていて……」
モバP「いろいろな亜種があるようですが、これが流行ったのは22、3年は前のようですね」
菜々「クラスの子が持ってて羨ましくて……あ、菜々は17歳なのでこれは前世の記憶です」
モバP「そうはならんやろ」
ポピーピピー♪ ポピーピピー♪
雪美「……あ……動いた……」
モバP「ボタン電池は新しいのに変えたが、まだ動くことに驚きだ」
菜々・雪美「おおー……」ピッピッピ
ちひろ「菜々さん少なくとも三十代までは行ってないはずなんだけどなあ……」
-
342
モバP「巨大な346プロには使われていない未知の部屋がいくつかある」
モバP「中には開けてはいけない危険な扉も――」
雪美「……」
ちひろ「それで、プロデューサーさんは一体何をしているんですか」
モバP「何故か座敷牢のある部屋があったんでちょっと自主的に囚われてみました」
ちひろ「自分からお縄につくとは殊勝な心掛けですね」
モバP「僕何もしていませんが」
雪美「……P……悪いこと……したの……? 怒らないから……言ってみて……」
モバP「本当に何もしていない。ちなみにそう言う人は実際に白状したら怒るんだよなあ」
モバP「痛かったら手を挙げてくださいね、と言われたから手を挙げたのに治療をストップしない歯医者に類するものがある」
ちひろ「何をごちゃごちゃと。で、じゃあ謹慎のつもりか、でなければ誰かから隠れてでもいるんですか?」
モバP「いえ。ただ軟禁される気分はどんなものかと思いまして」
-
モバP「ほら、よくヤンデレが好きな人にする愛情表現の定番です」
ちひろ「そんな愛情表現は真っ平御免です」
ちひろ「でも監禁とか軟禁とか……いつか本当にそういう目に遭いそうですよね」
モバP「冗談きついっす」
雪美「……好きでも……人を……閉じ込めて……自由を奪うの……ダメ……」キィ パタン
モバP「お、雪美も入ってくるのか」
雪美「……P……一人じゃ……心細い……でしょ……?」
雪美「……! ……ここ……意外にも……おちつく……」
モバP「不思議と居心地は悪くないよな」
ちひろ「好奇心でこういう曰く有り気な所に頭を突っ込まない方が良いと思いますよー。呪われたりしそうです」
モバP「ではどうしてそういう部屋があるんでしょうかね?」
モバP「部屋に限らず、女子寮にも夜に外を出歩くと魔女に連れて行かれたりする、なんて話がありますし」
雪美「……魔女……いるの……?」ブルブル
ちひろ「一体346プロを何だと思っているんですかねえ」
-
343
愛海「お山の大きさに貴賎は無いって言うでしょ?」
モバP「ああ」
愛海「でもあたし、男と女では正直に言って別物だと思うんだ」
モバP「何が言いたいのかね?」
愛海「プロデューサーのパイスラは、あまり嬉しくないよ……」
モバP「……?」
モバP「ああ、このネックストラップな。長いからこう、ショルダーバッグのように斜めがけしてみたりして」クイッ
愛海「あー……でも……もうプロデューサーでもいっか!」ワキワキ
モバP「ちょっと待て。俺でも良いかとは何やねん」
愛海「うひひひ……そんな風に見せつけて誘惑するのが悪いんだ」ガバッ
モバP「ひいっ!?」
雪美「待って……。私が……何でもするから……Pには……手を、出さないで……」
モバP・愛海「ん? 今何でもするって」
ちひろ「何でプロデューサーさんまで一緒になって言ってるんですかねえ」
-
344
モバP「雪美たちが手伝ってくれたおかげで今日の夕食のおかずは鶏の唐揚げだ」
モバP「いやあ、ボリュームあるねえ。それも揚げたて! ご飯がさぞ美味かろう」
凪「唐揚げにレモンかけておきました! しても良いですか?」
モバP「待て待てストップ。それ嫌がる人もいるからな? 事後報告でなくて事前に聞くその姿勢は良し」
あきら「じゃあ、抹茶塩かけても良い?」
モバP「既に味が付いているから。そもそも抹茶塩をかけるのは鶏の天ぷらだ」
モバP「やるなら十把一唐揚げにしないで、自分の取り皿に取ってから。ね?」
凪「おけまるー」
あきら「おけまるー」
雪美「…………え、私も……?」
雪美「……おけまるー」
あきら「♯今日の雪美サン いただきデス」
凪「P、ニヤついていますね。わかりみです、凪もニヨニヨです」
モバP「お前ら仲良さそうで良いが、唐突におけまるーはズルいわ」
-
345
モバP「雪美……そ、それは……!?」
雪美「……某小学校の……制服」キラキラ
モバP「ブラウス、吊りスカートに、制服小学生特有の帽子……これは思いがけぬ僥倖」
雪美「……P……似合う……?」ドキドキ
モバP「いいところの子って感じが引き立つねえ。うん、とても似合っているぞ」
雪美「ありがとう……」テレッ
雪美「でも……Pは……いいところの子……じゃなかった……の?」
ちひろ「プロデューサーさんのご実家、割とお金持ち説がありますからね」
モバP「まさか。でも、制服のある小学生って都会でないと見かけないイメージがあります」
モバP「自分はとある地方の町出身ですが、当時は私服登校でしたし他学区でも私服の子しか見かけませんでした」
雪美「幼稚園と……中学生からは……制服なのに……、小学校だけ……私服……なんでだろう……?」
モバP「んー、何でかな? 個人的には雪美の私服がたくさん見れるから、それはそれで嬉しいが」
ちひろ「逆に私とプロデューサーさんはお互いに私服をあまり見ないですよねえ」 デスネ
-
今日はここまで
それがヒトが下した決断か
-
346
モバP「346プロの七不思議って知ってるかい?」
雪美「……?」
モバP「いや、俺も知らないんだがねー」
紗枝「フレデリカはんみたいなこと言わはりますなぁ」
モバP「噂じゃそういうものがあるらしい。そもそもここは不思議が多すぎて七つじゃ収まらないか」
紗枝「でも、大抵はプロデューサーはんのことですやろ?」
雪美「……」コクコク
モバP「いや、俺はただのプロデューサーだ。不思議なことなんてそう起こせはしない」
モバP「君たち一人一人が凄いんだよ。俺に想像を超えた不思議を見せてくれるのはいつも君たちだ」
紗枝「まあお上手。けどうちかて、ただのプロデューサーはんの力ではここまで大きくなれまへんでしたえ?」
雪美「……!」コクコクコクッ
モバP「俺ってもしかして凄いのかな……とりあえず、雪美を撫でようか」ナデナデ
紗枝「さっきからほんまかいらしいわぁ」ナデナデ
雪美「……」ムフー ←気持ち良さそう
-
347
モバP「本日の馴染み過ぎた関係」
モバP「人の家のベッドでうつ伏せ姿勢で漫画を読む雪美さん」
雪美「……♪」パタパタ
モバP「しかもスカートで、足を曲げたり伸ばしたりしている」
モバP「自室のようにリラックスし過ぎではないか? もはや自室なのか?」
雪美「……」パタン
モバP「お、読み終わったらしい」
雪美「……んん……」ノビー
雪美「……」
雪美「……」ゴロンゴロン
バフッ
雪美「……」ムフー ←枕ふかふか
モバP「もしや自分の前世は徳を積みまくった聖人なのだろうか? 感謝しかないな」
-
348
モバP「今年のサマーも終わりか。早いなあ」
雪美「……」コク
ちひろ「まだまだ暑いですけどね」
モバP「でも盆過ぎから結構冷え込んだり冷え込まなかったりで、涼しくなっていますよ」
モバP「おかげで寝不足が解消されつつあります」
ちひろ「プロデューサーさんは暑いと寝られないタイプですか」
モバP「寝入ることは出来るんですが、眠りが浅くなって二、三時間で起きてしまいノンレム不足です」
ちひろ「夢を見ている浅い眠りの状態がレム睡眠、頭が完全に休まる深い眠りの状態がノンレム睡眠でしたっけ」
雪美「P……寝不足……だったの……?」
モバP「まあいろいろ工夫したり謎のドリンクを飲んだりしたから問題は無かった」
ちひろ「謎のドリンクっておい」
モバP「でも自然にぐっすり眠れるのは良いもんです」
ちひろ「まだしばらくは油断すると暑さの揺り戻しが来そうですけどね。季節の移ろいはそんなものかと」
-
モバP「とりあえず今は暑い夏を乗りきった充実感で漲っています。ウェルカム秋の夜長」
雪美「P……夏は……楽しかった……?」
モバP「ああ。意外でもなく忙しかったが、雪美たちと充実した日々を送れたと思うよ」
モバP「きついこともあったが、良い夏だった」
雪美「……良かった……。……私も……楽しかった……」
モバP・雪美「……へへへ」
ちひろ「お二人は本当、和気藹々ですねえ」
雪美「P……今日は……どこに……連れて行って……くれるの……?」
モバP「夜、少し街はずれにでも行ってみようか」
モバP「先日通ったら、鈴虫が鳴いていてな。秋の訪れを感じに行こう」
雪美「……楽しみ」
ちひろ「静かな中であたり一面の鈴虫の鳴き声……良いですね」
モバP「今こうしている間も何だかあの鈴虫の声が聞こえてくるようでして」
ちひろ「それは耳鳴りとかじゃないですよね?」
-
349
モバP「屋外の流れるプールで見かけるフロートは目を惹くな」テクテク
雪美「……」プカプカ
モバP「流れる雪美さん、つい追いかけたくなる……しかしそれに乗れるって良いなあ」
雪美「……Pも……乗る……?」
モバP「いや、普通の浮き輪やバナナボートとかならともかく、この歳で黒猫のフロートに乗るのはね?」
雪美「……これ……好き……」ダキッ
モバP「自分の歳が一桁くらいだったらそのお誘いは受けていただろう」
モバP「それに、撮影後で貸し切りとは言ってもアイドルの中に男の俺が一人飛び入りして一緒に遊ぶわけにはいかんのだ」
雪美「そんなこと言って……P……アロハシャツ……サングラス……」
モバP「気分だけでもみんなと一緒にな――」
法子「油断大敵! クールスプラーッシュ!」ピューッ
あやめ「わたくしも! 水遁・水鉄砲の術!」バシャー
雪美「あっ……」
モバP「……まあこういうことも想定してだな」ビショビショ
-
モバP「それにしてもお前ら、水のある所でこれほどの水遁を……」
輝子「ヒャッハー! P、捕まえたぁーッ! 新鮮なマッシュルームをゲットだぜー!!」ガバッ
小梅「ナイス、輝子ちゃん……そのまま、こちらの世界に……引きずり込んじゃえ」
モバP「っとっとっと、不意を突かれたと言っても輝子、お前だけで俺を動かせるかな?」
拓海「よぉP、遊ぼうぜ? 年少組が元気でアタシらだけじゃ手が足りなくてさ」
雫「こっちもですよー。Pさんも一緒に楽しみましょー!」
茜「……!」ウズウズ
モバP「あ、これ力負けいや圧力負けしそう」
――
モバP「そして俺は気づいたらプールの中にいた」
モバP「自分だけは安全圏からちひろさんに水鉄砲当てながら過ごしたかったのに……」
ちひろ「残念ですけど私ももう水着になっちゃってるんですよねー」キラキラ
モバP「あっちひろさん。……いやあ、しゃがんだちひろさんに見下ろされるとは壮観。水着、お似合いで」
ちひろ「ありがとうございます。でも私は水鉄砲の的じゃありませんからね」
-
モバP「ちひろさんシューティングまたやりましょうよ? すっごい避けるし透けるし濡れるし最高です」
ちひろ「そんなに私を撃ってぐしょ濡れにして遊ぶのが愉快でしたか……ほーん」
モバP「いつもの服であんなことを許してくれるちひろさんは、本当サービス精神に溢れていますよ」
ちひろ「はぁ……だったら、普段からもっとそのサービスに報いてくださいね?」ニコ
幸子「ちひろさんは笑顔が反則ですね。ボクも一目置くカワイさですよ」 ダナ
志希「アイドルじゃないのが勿体無いくらいだねー♪」 マッタクダ
愛海「お山登りたい」 ソレハチョットナ
ちひろ「おーおー好き勝手言いなさる。たまには私からやり返しても良いですかね?」
早苗「ちひろさん、見ーつけた!」ピューッ
ちひろ「冷たっ! ちょっと早苗さん!」 ワーニゲロー
モバP「こっちにも良い武器がございますぜ(スプラスコープ)」
ちひろ「いつの間にこんな物を配って……もはややりたい放題ですね」
モバP「ここらで一つ、プロデューサーとアシスタントの怖さをみんなに再教育してやるとしませんか?」
ちひろ「手を組む訳ですか。……良いでしょう、こうなりゃヤケです」
-
楓「おや、我々とやり合うおつもりで?」
ちひろ「こちらも伊達にスーパー裏方やってませんからね」
ザバッ
モバP「助っ人も呼んでおきましたよ」
雪美×7「……私たちは……Pと……ちひろさんの……味方……」
拓海「面白くなってきやがった」スチャッ
亜季「こういうサバゲーもたまりませんな!」チャキッ
ちひろ「覚悟は良いですか? 全主砲斉射、てーっ!」
――
――
雪美「……大丈夫……?」
モバP「ああ。しかし負けたぜ……数の暴力には勝てねえ」プカプカ
ちひろ「良い慰労にはなりましたけどね」プカプカ
雪美「……二人とも……いい笑顔……」クス
-
350
モバP「夏はアイドルたちの水着姿をたくさん見ることができたなあ」
みく「Pチャンはそういうとこ、隠さないにゃあ」
モバP「自慢のアイドルの晴れ姿に胸が躍らない訳がない」
モバP「プロデューサーであると同時に、俺が一番のファンでもあるつもりだしな」
みく「何言ってんだか。でもPチャンに見られてもイヤな感じはしないのは確かだにゃ」
雪美「……不思議」
みく「……Pチャンってたまに出す男の子臭さを除くと中性的だよね。実は女の子じゃないよね?」
モバP「男だからな? でも何かそう言われると自分は本当に男なのか自信が無くなってくるな」
雪美「……P……まかせて……、私が……自信を……取り戻させる……」
モバP「雪美……あっ、ちょ……ダメだって……そこは……」
――
モバP「……ふぅ。やっぱり俺は男だった(健全)」
みく「さすがのみくも自分を曲げそうになるよ?」
-
351
モバP「ふと思ったんだが」
杏「そうだ、今日はいい天気だし仕事は休みにしよう!(声真似)」
モバP「どれだけ気ままな自営業だよ。ちゃうちゃう」
杏「プロデューサーがそういう振り方する時はどうせロクなことじゃない」
モバP「そうか? では敢えて口を閉じておこうか。この出かかった賢者のアイデアを」
杏「まあ、一応聞いといてあげるよ」
モバP「牛乳にきな粉混ぜたら実質豆乳じゃね?」
杏「違います(即答)」
モバP「……はぁ……いや本題はね? 最近の小中高生ってさあ、宿題をきちんとやるんだなって」
杏「誰もギリギリになって宿題終わってないから手伝ってと言って来なくて寂しいの? 良いことじゃん」
モバP「まあな。アイドル同士で勉強会とか開いて協力し合っているようだし……俺は溜め込んで必死にやったりしていたのに」
杏「だってプロデューサーと缶詰で宿題するよりは、終わらせて一緒に遊ぶ時間を増やした方が良いし」
雪美「……だからPも……お仕事……早く片付けよう……?」 ハイ
-
352
モバP「語尾が伸びる女性ってちょっと良いですよね。特に関西弁の」
モバP「口調から作り出されるどことなく天然そうでおっとりした雰囲気……癒されそうです」
ちひろ「あずまんがの春日歩ちゃんみたいな? ……ただし可愛い女の子に限る」
モバP「悲しいなあ……まあ、例えばチャラ男系が語尾を伸ばした喋り方をしていたら確かにキツいですが」
雪美「……P……こっち向いてー……向けー」
モバP「こずえかな?」
雪美「……語尾を伸ばすって……こういう……こと……? ……難しい……ね」
モバP「違和感があるなら意識して変えてみなくても良いさ」
ちひろ「自分がこの方が喋りやすい、と思ってその口調にしていく訳ですからね」
ちひろ「プロデューサーさんも雪美ちゃん向きと私向きとでは口調を使い分けていますけど、未だに何だかぎこちないですし」
モバP「それはちひろさんが年上ゴホンゴホン、お互い節度ある大人の距離感として、この方が自然かなと判断してですね」
ちひろ「何故そこで咳き込んだよ」
雪美「……二人は……何歳……なんだろう……」
-
今日はここまで
おつかれさまでした。このまま電源をお切りください。
-
353
雪美「……あっ」
モバP「左右に扉がある」
モバP「……俺の勘がここは右に行った方が良いぞと告げている」
雪美「……左に……行きたい……」
モバP・雪美「……むむむむむ」
モバP「……こういう意見が分かれた時の為にガイドラインを設定しておかねばなるまい」
モバP「よし、コイントスで決めるとするか。表なら俺の意見を、裏なら雪美の意見を採用する」
雪美「……依存なし」
キンッ クルクルクルクル パシッ
モバP「……裏、か。よし、左に行こう」
雪美「……あっ……でも右から……良いにおいが……する……」
モバP「右に行くか」コロッ
ちひろ「コインに託しておいて即翻すとは適当極まりますね」
-
354
モバP「はぁ……雪美さん……」
雪美「……?」
モバP「今日の格好も格別だね」
モバP「麦わら帽子に三つ編み、オーバーオールが決まっている。見惚れるよ」
雪美「Pが……見とれて……くれる……」キラキラ
モバP「雪美さんが人の心を鷲掴みにするものだから……恋煩いのようだ!」
雪美「……ふふっ……そのまま、私から……目を……離さないで……」
モバP「……こんな姿もあんな姿も、宣材写真にしないと勿体無く思えてくるぜ」
モバP「それにしてもオーバーオールに三つ編みってカントリー感八割増くらいあるよな」
雪美「……そんなに?」
モバP「そんなに。だから、連鎖的にカントリーマアムをそっと隣に置いてみてもあら自然」
雪美「……自然……?」
モバP「自然さ。何せ餡子も入っているしな(謎)」
-
355
モバP「雪美さんが時々とても大人に見える時がある」
雪美「……?」
モバP「穏やかで品があって、俺が無茶やっても暖かく見守ってくれる感じがですね」
ちひろ「呆れて生暖かい目で見ているのではないですか?」
モバP「そんなことはないだろう?」
雪美「……あまり……無茶は……しないで……ほしい……」
モバP「はーい」
ちひろ「どちらが保護者格か分かりませんね」
モバP「でも、老成しているというか知識豊富で頼りになる感じがしませんか?」
ちひろ「それは分身でフィードバックしているからじゃないですか?」
モバP「ファンタジーですね」
ちひろ「今更」
-
雪美「P……こっち……おいで……」
モバP「何? 雪美さん」
雪美「おこづかい……あげようね……。みんなには……ないしょ……」
モバP「わぁい」
ちひろ「おばあちゃんかな?」
モバP「ロリータなおばあちゃん、浮世離れで人間離れした万能感が味方にいると心強い」
雪美「……そのかわり……妾を……乗せるのじゃ……」
ちひろ「まさかののじゃロリ?」
モバP「どうぞどうぞ、こんな粗末な席で宜しいのならいくらでも」
雪美「……」ポスン
雪美「……なでなで……してくれない……の……?」
モバP「でもやっぱり雪美は年相応な面も見せてくれるのが好きだね」ナデナデ
雪美「……んっ……もっと……なでて……」トロン
ちひろ「年相応ならこんなことはしてないと思いますけど」
-
356
パクッ
雪美「……キャラメル……」ウットリ
モバP「雪美と食べるおやつのホーキーポーキーは美味い」
ちひろ「容器の大きな業務用アイスですね。こんなのどこで買って来るんですか」
モバP「ニュージーランドから買い付けています」
ちひろ「……プロデューサーさんって結構計り知れないですね」
モバP「この仕事をさせてもらっているおかげですよ」
モバP「話は変わりますが、秋と言ったら肝試しですよね」
ちひろ「いえ夏です」
モバP「あっそうか夏か」
モバP「……あれー? 何で秋だと思ったんだろう」
ちひろ「しっかりしてくださいよ? まあ春とかでもあるにはありますけど」
-
モバP「今年はアイドルたちと肝試し大会をやりたかったのにすっかり忘れていました」
ちひろ「肝試し大会とは古風ですね」
モバP「娯楽の制限される部活合宿とかオリエンテーションでの定番の息抜きイベントですよ?」
ちひろ「ですかね? 学校の時は班行動で雑談しながら夜道を歩いただけで終わってつまらなかったです」
モバP「それは仕掛け側の段取りが悪かったんでしょう」
モバP「もしくは、実は大変な目に遭ったりしたのに、そこだけぽっかりと抜け落ちて忘れているだけかもしれない」
ちひろ「小さい頃の記憶って結構曖昧ですからね。しかしそれは無い」
雪美「P……きもだめし……したいの……? ……こわがり……大丈夫……?」
ちひろ「え、そうなんですか?」
モバP「雪美と遊園地を回った時におばけ屋敷で半泣きになってやりましたよ!」
ちひろ「自信満々に言うことじゃない」
モバP「でも、一度は肝試しのような形のドッキリのターゲットにされてみたい気はします」
モバP「”プロデューサーを驚かせたら金一封!”なんてね」
ちひろ「アイドルじゃなくてプロデューサーさんがされる側ですか……」
-
357
早苗「P君、雪美ちゃんに手を出したでしょ?」
モバP「はて? 何のことでおじゃるか? 麻呂は俗世のことは分からぬでの」
早苗「出したの? 出してないの? 目を見て言ってごらんなさい」ジッ
モバP「……いや、近いっすよ」スッ
早苗「……あ、目を逸らした。怪しい……」
雪美「……大丈夫……Pは……羊さん……」
早苗「冗談よ。鎌をかけてみただけ。逮捕はしないから安心しなさい」
モバP「ほっ……仮に本当はやっていたとしても?」
早苗「逮捕はしないだけで通報はするわね」
早苗「でも、相変わらず誤魔化し方が下手じゃない? 普段職質に遭った時にテンパったりしてない?」
モバP「職質は受けたことがないのが自慢です。自転車の防犯登録をしているか聞かれたくらいで」
早苗「それも職質だから。……くれぐれも手錠かけられるようなことはしないでね?」 ウッス
-
早苗「それにしても、普段からそれだと欲求不満になったりしない?」
雪美「……」チョコン
モバP「そんなことはないですよ。膝上モードだと周りからはあれどう見ても入ってるよねとか言われますが」
モバP「わたくし法令順守がモットーなので。それに……やったら体に悪いと思います」
早苗「普通そこで体に悪いなんて言葉が出てくる?」
モバP「忌避する簡単な理由付けの一つですかね。健やかな成長の為には良くないことだと認識しています」
モバP「互いに思いやればこそ、そういうことをしようとする考えには至らないですね」
早苗「そっかあ……って、雪美ちゃんいるのにこんな話は良くないか。ごめんね? そろそろ行くわ」クルッ
雪美「……P」ヒソ
モバP「……? !」
チュッ ササッ
早苗「……ん? 今あたしが背を向けた時に何かした?」
雪美「……別に……何も……」シレッ
モバP(でも雪美さんは割と狼さん)
-
358
雪美「……Pは……どうして……私に……こんなに、よくして……くれるの……?」
モバP「理由なんて多分ないさ」
雪美「本当……?」
モバP「……ああ」
雪美「……」ジッ
モバP「……こういうのはどうだ? 俺は世界の終わりを何度か見ていてな」
雪美「……?」
モバP「隕石落下、火山噴火、津波、核攻撃……それらに巻き込まれて死の瞬間に目が覚める」
モバP「それは夢かもしれないし、何も無かったように修正された現実のやり直しかもしれない」
モバP「ただ、世界が終わる時、俺はいつも雪美のそばにいてやれない。助けてやれないんだ」
モバP「だからかな――雪美といないと……怖い」
雪美「……P……あまり……思い詰めないで……」
雪美「……私が……Pを……守る……から……」ギュッ
ちひろ「プロデューサーさん、貸していた最終兵器彼女の最終巻返してもらえます?」
-
359
モバP「及川牧場の牛乳は美味いなあ」ゴクゴク
雪美「……」ゴクゴク
モバP「雪美も牛乳は好きか?」
雪美「……うん」
雪美「……でも……好きと言うよりは……早く……大きくなりたいから……飲む……」
モバP「男子と比べると伸び幅は小さいかもしれないが、年齢的には伸び盛りだもんな」
モバP「765プロの双子姉妹は見る見るうちに身長が伸びていったし」
雪美「……私も……Pの……隣が似合うような……大人に……なりたい……」
モバP「気持ちは嬉しい。でも雪美はそのままのサイズでも充分魅力を放っているよ」
モバP「それに、今の体格差だから膝上にすっぽり収まるというのもあるしな」
雪美「……でも……Pも……牛乳飲んでる……。……まだ……大きくなる……」
モバP「俺はもう伸びないと思うぞ? 骨とお腹に良いから飲んでいるがな」
雪美「……それを聞いて……安心……。……いつか……追いつく……!」
-
360
モバP「ちひろさんは学校の運動会でパン食い競争ってやったことあります?」
ちひろ「芳乃ちゃんがやっていたあれですか」
モバP「ぴょんぴょんする芳乃は伝説ですね」
ちひろ「あなた割と普段から芳乃ちゃんにぴょんぴょんされてませんかね?」
モバP「あれはじゃれているんでしょう。よしのんが本気を出すと自分なんて簡単に飛び越されます」
ちひろ「忍者かな? あ、パン食い競争については学校では無かったですね。借り物競争はありますけど」
モバP「自分もです。あれ、ちっともやらないのは衛生上の問題なんでしょうかね? それともパンを数用意するのが大変?」
みちる「お昼のお弁当を食べられなくなるからだと思います!」
モバP「みちるから真っ当な答えが返って来た……なるほどな」
みちる「でもパン食い競争は好きです! ジャムパン、あんぱん、クリームパン!」
雪美「……私は……メロンパン……」
モバP「ああ、良いよなあ。競技に参加するだけでパンを食べられるなんて……俺はラピュタパンかな!」
ちひろ「目玉焼きトーストが吊るしてあるパン食い競争は嫌だわ」
-
今日はここまで
ルヴァン症候群
-
361
モバP「佐城さん」
雪美「……」
モバP「佐城さん?」
雪美「……」
モバP「あれ? 呼んでも返事をしませんね」オーイ
雪美「……」プイッ
モバP「……佐城さん、どうしたんですか?」
雪美「……」ツーン
モバP「雪美」
雪美「ん……何……?」コロッ
モバP「橘ですと言いつつ名前で呼ばないと怒るありすみたいだ。そんなに名前の方が良いか?」
雪美「うん……。だって……私の……名字は……やがて……Pに……変えられる……から」ニコッ
ちひろ「あの人まーた待てますかされてる」
-
362
モバP「巨大な剣を振り回す少女キャラって最近見ませんよね」
ちひろ「一昔前? のアニメゲーム漫画にありがちですね」
モバP「非力そうに見える外見と不釣り合いに大きな剣で躍動する姿はわくわくさんしませんか?」
ちひろ「留美さんじゃないわくわくさんなら、段ボールで剣とかをつくってあそぼで出来そうですね」
ちひろ「でもあれってそういう風に剣が異常に軽いのか、それとも使い手側が怪力なのか……と見るたびに思います」
モバP「剣が軽いというか、実は地球基準の重力じゃないのかもしれませんね」
ちひろ「やたらアクロバティックなアクションが出せるのも重力が弱かったりする影響?」
ちひろ「でも重力が違うと今の人の形って果たして保てるんでしょうか」
モバP「星が小さいと重力が弱く、生物は大きくなるという話を聞いたことがあります」
モバP「昔の地球は正にそれで、神話に巨人が出てきたり、恐竜が世界を支配したりしたとか」
ちひろ「……それはそうとプロデューサーさんは長身ですけど、自重に悩まされたりはしていませんか?」
モバP「いいえ? ただ雪美さんサイズになってみたいとは思いますね。体がとても軽く感じられるのでしょうか」
雪美「……なって……みる……?」 エッ
-
363
ちひろ「プロデューサーさん、最近千夜ちゃんと仲が良いようですね」
モバP「料理を教えてもらっていますね。なかなかスパルタですよ」
モバP「前に小腹を空かせたちとせに自作弁当の玉子焼きを与えていたら千夜にも味見されまして」
千夜『お前は玉子焼きを薄焼き玉子をただ巻いただけの物だと思っているのか?』
モバP「と、指摘を受けたものですから」
ちひろ「確かに、玉子焼きはふわふわが良いですねえ」
ちとせ「でも、あなたの安定しない玉子焼きも、日々を面白く生きる糧になっているよ♪」
モバP「ありがたい。毎日作っている甲斐があるってもんです」
千夜「お嬢さまに変な物を食べさせないよう上達しなさい、いいですね?」
モバP「はい、先生」
ちひろ「毎日食べさせてるんですか……」
ちとせ「ちなみに、今日の玉子焼きは、シチリアのブラッドオレンジのような、爽やかな仕上がりだったね」
ちひろ「それは堅気の玉子焼きじゃないと思うんですけど」
-
雪美「Pは……何でも……食べる……ね」
モバP「結構貧乏舌なところはあります」
雪美「……ゆえに……たまに……独特な料理も……作る……」
ちとせ「美食家の私の舌を唸らせるには、まだまだ」
モバP「唸らせてみたいなあ」
千夜「ならば20代で1000万円食べなさい。そして一流の舌を身に付けろ」
モバP「そう言う千夜は一流の舌なのか?」
ちとせ「んーん。その件は、私が千夜ちゃんに、ちょっとオーバーに教えてみただけ♪」
千夜「お嬢さま……戯れを」
モバP「でも、そうだな。いつか、これだ! という料理を食わせてやる。待ってろよちとせ」
ちとせ「うん。……見守っているよ」
千夜「それで、その料理というのは?」
モバP「満漢全席なんてどうだ」
千夜「お嬢さまの胃が壊れるのでそんな野望は全力で阻止します」
雪美「……まんかん……?」 ア、ソレハデスネ・・・
-
364
モバP「……」
雪美「……」チョコン
モバP「……中秋の名月、だな」
雪美「……うん」
モバP「またの名を十五夜。普段はそうでもないすすきと団子が実に役者になる一時だ」
雪美「……うん」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……こんな時でも膝の上から、お月様を眺めるんだな」
雪美「…………うん」
モバP「ふふ……静かだな」
雪美「……」
モバP「……」
-
モバP「うさぎうさぎ何見て跳ねる」
雪美「十五夜……お月さま……見て……はねる……」
モバP「ボーパルバニーは首をはねる……」
ちひろ「ぶち壊しじゃないか」
雪美「……」
モバP「……」
モバP「……愛しています」
雪美「……えっ……?」
モバP「おっと失礼。月が綺麗ですね」
雪美「……」
モバP「……」
雪美「…………月は……ずっと、前から……綺麗……」
モバP「……」グッ
-
ヒュウウウー
雪美「っ……」
モバP「……風が冷たいですね」
雪美「……寒い」
モバP「……」ガバッ
雪美「あっ……///」
モバP「……」
雪美「……暖かく……なった……」ギュッ
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……雨、やみませんね」
ちひろ「天候操作をしだすな」
雪美「……ふふっ……今日は、とても……幸せ」
-
モバP「それにしてもお月様がまるいねえ」
雪美「……うん」
モバP「世界のどんなまるよりまるい気がする」
ちひろ「ニャースかな?」
雪美「……P」
モバP「何だ」
雪美「お月さま……どうして……昼は白くて……夜は黄色い……の?」
モバP「空が青いからだよ」
モバP「元は黄色く見えるのが、昼は周りの空の青色に影響されてより白っぽく見えるんだ」
雪美「……空が青くなかったら……違う色に……なる……?」
モバP「だろうね。正しくは光の色や波長の説明になって長くなるのでこの辺で」
モバP「でも、白と黄色で良かったよな。銀と金と思えば何だか神聖な感じがするし」
ちひろ「赤い時もありますよ?」
モバP「その時は銅で」
-
雪美「……」
モバP「……」
モバP「……雪美さんといっしょだといつまでも月を見ていられるなあ」
雪美「……あなたと……ずっと……」
グゥゥ
モバP「」
雪美「……P……お腹空いてる……?」
モバP「いやはやお恥ずかしい。そろそろ切り上げます?」
雪美「ん……ありがとう……。……Pとの……繋がり……また……増えた……」ピョン
モバP「さて、何食べようか。そうそう、この時期はマクドナルドの月見バーガーが恋しくなるね」
ちひろ「ここでジャンクフードですか」
モバP「うどんやそばにはない、常に人気なのに徹底して期間限定というのが良い!」
雪美「お月さまは……見ている、けど……ちょっと体に悪いもの……食べよう……」
ちひろ「その後は三人でマクドナルドに行きました。ま、たまにはね?」
-
365
ちひろ「プロデューサーさんはもう一度食べたい最高の料理ってあります?」
モバP「作り方を忘れたカーチャンのカレー……ではなく本場福建省の佛跳牆ですかね」
ちひろ「それはまた……食べに行ったことがあるんですか?」
モバP「お仕事の付き合いで一度だけですね。坊主が塀を乗り越えるのも頷ける美味さでしたよ」
ちひろ「ずるい」
モバP「ちひろさんも嫉妬する高級料理……今度作りましょうか?」
ちひろ「作りましょうかって、作れるんですか?」
モバP「千夜に教わります」
千夜「私はお嬢さまの従者であって万能料理人ではありませんし、教える義理もない」
ちとせ・雪美「食べたい……」キラキラ
千夜「……おい。沽券に関わるので作れないとは言わないが、言い出したお前が何とかしろ」ヒソヒソ
モバP「そんなこと仰らず手を貸してください、先生」ヒソヒソ
千夜「ちっ……どうして私が……。……佛跳牆、ですか……」
-
366
輝子「……」カリカリカリ
モバP「勉強中の凛々しい輝子」
モバP「……イケメンだなあ。新たな発見」
小梅「こっちこっち……」クシシシ
モバP「歯を見せていたずらっぽく笑う小梅……あの子と鬼ごっこ中かな?」
モバP「……無邪気だなあ。新たな発見」
幸子「……プロデューサーさん、何をニヤニヤしているんですか? ボクが挨拶に来たというのに」
モバP「そしていつもの幸子」
モバP「……カワイイは不変だなあ」
幸子「なっ、何ですか! ボクだけ何も成長していないみたいじゃないですか!」
モバP「成長はしているさ。その上で変わらなさを評価したくなるのが幸子の個性だ」ナデナデ
幸子「ふふん♪ それなら仕方ありませんね! 変わらずカワイイボクを存分に堪能あれ!」
雪美「……幸子は……いつでも……どこでも……幸子って分かるの……すごい……」
-
367
モバP「体の柔軟さで思いつくアイドルと言えば綾瀬穂乃香だ」
穂乃香「そこはバレエの経験が活きているなって思います」
モバP「でも活動は本当にマルチだな。表現力をめきめきと伸ばす姿に心が豊かに」
穂乃香「Pさんが導いてくれたからですよ? でもストレッチは手を抜きません」ググッ
モバP「ぴにゃああああ!」
穂乃香「わっ、ぴにゃこら太みたい! 一体どこからこんな声が?」
モバP「俺もちょっと体を柔らかくしないととストレッチに参加したが、これがなかなか……ぬぎぎぎぎ」
雪美「……♪」
忍「雪美ちゃんは結構体が柔らかいね。Pさんも負けないで!」
柚「アタシたちが肉体改造、してあげよっか?」
あずき「プロデューサーさん改造大作戦! 良いですね♪ たっぷり柔らかくするよー!」
モバP「ああ、俺はフリルドスクエアされちゃうのか……良い人生だった――あっこれ以上は曲がらなっ」
ちひろ「女の子たちに囲まれても緊張はしないのに体はカチカチですねえ」
-
おまけ9
モバP「牛〜乳に相談だ」
ちひろ「いつのコマーシャルですかねそれは」
モバP「”おいかわ牧場の牛乳”、ちひろさんもどうです?」
ちひろ「また表記を間違えたんですね……いただきます」
ゴクゴクゴク プハーッ
ちひろ「スタドリより美味しいですね(自虐)」
おまけ10
雪美「……」スヤスヤ
モバP「依存することに異存のない雪美さんよ」
モバP「この無防備な寝顔――彫刻のような美しさにただため息しか出ない」
雪美「……///」スヤスヤ
モバP「ん? 何だかほんのり赤くなってきた?」
-
今日はここまで
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました
-
乙
フリルドスクエアされるとはいったい
-
368
モバP「病院はいつ行っても無機質な感じが怖いねえ」
雪美「P……どこか……悪いの……?」
モバP「実は俺の細胞を使った研究を――という訳ではなくて」
モバP「この前、健康診断をしてきたんだよ。悪い所でもあっては困るからね」
清良「でも、プロデューサーの細胞が特殊で研究対象なのは本当ですけどね」
モバP「自分の細胞が実は凄かったなんてジョン・ムーアみたい」
清良「あ、結果はどこも異常なしでしたよ。この診断書に詳しく書いてあります」つ□
モバP「ありがとうございます。これで安心して仕事ができそうです」
ちひろ「疲れた時はしっかりドリンクを飲んでくださいね」
晶葉「もし体の不調などを感じたら診てやるからすぐにウチに来い」
志希「キミの細胞と遺伝子はあたしがしっかり管理するから安心していーよ☆」
モバP「助かります先生方」
雪美「……病院……?」
-
369
モバP「献血に行って来たんだが、注射ってのは大人になってもなかなか怖いものだな」
雪美「……そう……?」
モバP「雪美も、小学校で予防接種などの注射はやるはずだ」
雪美「……注射は……好きには……なれない……」
モバP「それが普通なんだろうな。自分も小学校の頃はあの順番待ちが嫌な感じだった」
モバP「でも打たれると思ったより痛くないんだよな」
雪美「……ちくって……するくらい……だね……」
モバP「あと、慣れない消毒液の独特な臭いが記憶に残る」 ウン
モバP「ああいうのは誰かが怖がると自分も怖くなるところが集団ヒステリーに通ずるものがあると思う」
雪美「……自分を……強く持つ……、それが……大切……」
雪美「……でも……こわいものは……こわい……」
モバP「まあ注射を怖がれるのは元気で健康な人の特権かもな。病んで注射慣れはしたくない」
ちひろ「点滴とか受けるくらいしんどい病人は、怖がる元気すらなかったりしますからね」
-
370
雪美「……」コクコク
雪美「……おいしい」
モバP「オレンジジュースを飲む雪美さん、美味しそうです」
雪美「……P……私を……食べたい……の……?」
モバP「いや、飲みっぷりが良いからオレンジジュースが美味しそうに見えてね」
雪美「……私も……おいしい……よ……?」
モバP「……そんなに? 味見しても……?」
雪美「冗談……。……Pも……オレンジジュース……飲もう」
モバP「いただきます」 トプトプ
クイッ
モバP「ぷはーっ、暑い日にはキンキンに冷やしたオレンジジュースが美味いねえ!」
雪美「飲みっぷり……Pの方が……いい……」クス
-
モバP「雪美はオレンジジュースにこだわりはあるかい?」
雪美「……?」
モバP「果汁100%が良いとか産地はここが良いとか、或いは特別な日はバヤリースの瓶を開けたいんだ、とか」
雪美「……最後だけ……具体的……」
モバP「瓶は他より何故か美味しく感じるの法則」
雪美「私は……こだわりとか……ない……」
雪美「……Pが……注いでくれたら……それだけで……」
モバP「欲が無いなあ。いや、ある意味一番欲に忠実かな?」
雪美「……誰かと……飲むのが……おいしい……、あなたが……教えてくれた……」
モバP「そっか。……まあ俺は独りだと調子に乗って飲み過ぎそうだから、止め役が居てほしいのはある」
モバP「よし。ではこだわりを見つけるべく、今度その場で絞った本物のオレンジ100%ジュースを飲んでみないか」
雪美「……酸っぱそう」
モバP「まあな。大抵オレンジはジュース用の物を使って、果汁100%でも更に加糖されていたりするから」
ちひろ「ちなみにうちのスタドリエナドリの成分は100%国産です」 ソウナノ?
-
371
ちひろ「プロデューサーさん、またぶっ倒れたんですか?」
モバP「いやあ、すません」
夕美「私のPさんがご心配をおかけしました」
ちひろ「いえいえ。プロデューサーさんを膝枕して甘やかさなくても良いですからね?」
モバP「頭重くないかい」
夕美「そんなことないよ? こうしているとPさんだってお花のように……は見えないけど」
モバP「夕美にこれだけ近づくことはそうないが、良い匂いがするな」
夕美「何言ってるのかなあ、もうっ」
ちひろ「それで、こうなってしまった経緯は」
モバP「梨沙が雪美に、雪美が梨沙にコーディネートをするという企画がありまして」
モバP「その結果、雪美の格好をした梨沙と、梨沙の格好をした雪美が出来上がりまして」
モバP「……」b
ちひろ「ああ(察し)」
-
雪美「……///」キラキラ
梨沙「アンタにわざわざ見せに来たのに、だらしがないわね」キラキラ
ちひろ「あらかわいい」
モバP「でしょう? 梨沙のゴシックロリータのドレス姿にまずびっくりして見惚れる」
雪美「……これは……自信……ある……」
モバP「オトメのポリシーの時に近いのを着ているからまだ致命傷で済んだ」
モバP「と思ったら追撃で雪美のヒョウ柄タンクトップとミニスカート姿ですから思わず眩暈がしまして」
梨沙「アンタはセクシーなの好きだから。どう? 気に入った?」
モバP「気に入ったしエモいですね。エモくてなかなか直視できない。何だこの欲張りセットは」
雪美「もっと……しっかり……見つめて……」ズイッ
モバP「はい」ジッ
梨沙「見つめすぎ。ヘンタイ」
モバP「ハハ、しかし俺には出来ないことを梨沙がやってくれるとは、まったく、小学生は最高だぜ」
ちひろ「完全にやましい意味にしか聞こえない……」
夕美「雪美ちゃん、その服で前屈みになると胸元が」 !?
-
372
モバP「最近の雪美さんはセクシーさを意識している感じがして興奮します」
ちひろ「捕まりたいのか君は」
モバP「梨沙の影響でしょうかね。まあ普段着が一番好きではあるようですが」
雪美「……ペロも……布地……多い方が……好きみたい……」
モバP「露出多めの衣装は代わりにアクセサリーでゴテゴテしたりするからな」
ちひろ「あ、次は左足の黄色ですよ?」
モバP「よっと。……もはや雪美と触れ合うのが日々のルーチンワークになっていますが」
モバP「今日はツイスターゲームでコミュニケーションになるとは思わなかった」
雪美「……ハプニングが……起こるかも……?」
ちひろ「起きたら止めますよ? 雪美ちゃんは右手を赤に」
雪美「……P……上を……失礼……」 ア、オシリガチカイ
モバP「ちひろさんもどうです? 裸足になって絡み合いませんか?」
ちひろ「このスカートでやれと?」
-
373
モバP「三好課長はまた新たなゲームにチャレンジしているのか?」
紗南「うん。バーチャルコンソールだけどね」
♪♪♪
モバP「ああ、ゲームボーイ音源が心地良い。このチープだけどゲームって感じが沁みるね」
モバP「これはゼルダの伝説の夢を見る島か」
紗南「正解! へぇ、Pさんもやったことあるんだ?」
モバP「以前に友人の家でな。その時はソフトをアドバンスに差していたはず」
紗南「じゃあ、最後まではやってないの?」
モバP「いや、まずまともに始められなかったんだよな。剣消失バグで海岸に剣が無かった」
紗南「えぇ……」
モバP「でも良いなあ。いつか紗南と一晩中思う存分ゲームしたい」
紗南「あたしも! お菓子とか持ち込んで、不健康かもしれないけどゲーム好きには至福の一時になりそうだね!」
雪美「……私だと……すぐ寝落ち……しそう……」
-
374
モバP「初期のセーラームーンってあれで中学生なんだよな」
ちひろ「突然何をまた。……そうでしたね」
モバP「制服の時はああね、なんですが、変身してレオタードになったら、思いませんか?」
モバP「中学生であそこまでスタイル良いもんですかと。足長いっす」
ちひろ「侮っちゃいけませんよ? 近代の子は発育が良いですしね」
モバP「まあ例えば悠貴なんて13歳の中学1年生ですからね」
ちひろ「それに制服を着込んでいたらスタイルなんてそこまで分からないものです」
ちひろ「というか創作ですから、現実と間に受けたら負けですよ?」
くるみ「ぷろでゅーしゃー、台本、覚えるの……てつだってぇ……」
モバP「おお、中学生……良いぞ。レッスンルームに行こうか?」
くるみ「わぁい! くるみ、がんばって覚えるからねぇ〜」
モバP「くるみはもう簡単に泣かなくなってきたなあ。偉いぞ……って、即席で嬉し泣きとはやるな」 ナイテナイモン!
雪美「……私も……これから……大きくなる……?」ペタン
-
375
モバP(今日もいろいろあった)カタカタ
雪美「……」チョコン
モバP(明日もいろいろあることだろう)ムムム
雪美「……」クアア
モバP(上手く行かないことや余裕がないことにも直面するかもしれない)カチャカチャ
雪美「……ん」ウツラウツラ
モバP(それでも俺は前に進むことをやめない)ターンッ
モバP「……よし、一通り片付いたぞ」フゥ
雪美「……」カクッ カクッ
モバP「雪美……? ………………?」
雪美「……すぅ……すぅ……」
ちひろ「あらあら、待ちくたびれてしまったみたいですね。あったかそうな巣だもの」
モバP「何言ってやがりますか。……雪美さんは基本的に寝つきが良いので、睡眠不足じゃないか心配です」
ちひろ「それだけ濃密な時間を過ごしているってことに、しておきましょう」
-
今日はここまで
でっていう乗り捨て
-
乙
雪美はくるみの胸じゃなくて乙倉くんの身長を目指そう(多分そっちも無理だけど)
-
376
モバP「これやこの〜行くも帰るも〜別れては〜」
雪美「……」
モバP「知るも知らぬも〜逢坂の関〜」
雪美「……」キョロキョロ
雪美「!」パシッ
モバP「見事。……百人一首はどうだね?」
雪美「かるたより……難しい……」
モバP「上の句で下の句を連想しなければいけないからね」
モバP「歌を覚えるにはリズムも大事だが、意味を知って情景を思い浮かべたり感情移入してみるのが良い」
雪美「それで……強く……なれる……?」
モバP「雅な雪美さまのことです、きっとなれますよ」
モバP「ついでに言えば札取りは勢いだ。相手をビビらせて優位に立つ」 ナルホド…
ちひろ「こら」
-
377
モバP「……」ダキッ
雪美「……」ホッコリ
飛鳥「キミたちはいつも一緒にいるが、時に煩わしくなったり厭になったりしないかい?」
モバP・雪美「……?」キョトン
モバP「……ある?」
雪美「……」フルフル
モバP「協議の結果、”いや全然”という答えが出ました」
飛鳥「フフッ……本当にそうだろうか?」
モバP「なったとしても表に出さない。それが紳士であり淑女ってもんさ」
モバP「それにそう四六時中べったりしている訳じゃない」
モバP「だが少し距離を置いてみれば、自然と会いたくなってくる……理屈じゃない、片割れのような存在だ」
雪美「……それは……恋……? でも……初めて、会った時から……運命を……感じた……」
飛鳥「キミたちはやっぱりバカップルだと思う」
-
378
モバP「ジョークグッズ的な玩具は世の中に多い」
モバP「さっき小梅にネイルスルーフィンガーを見せられて、一瞬取り乱しかけた」
雪美「……?」
モバP「まだ持っていると思うから見に行ってみるか? ちょっとショックを受けるかもしれないが」
雪美「……」コク
――
雪美「……あれは……ダメ……」
モバP「雪美さんは驚くと飛び上がったり悲鳴を上げたりするよりは硬直するタイプだからな」
ちひろ「猫みたいですね。ホラー映画やパニック映画だと早々にやられちゃいそうです」
雪美「……それは……困った……」
モバP「意外と万能サポート役や死んだと見せかけての黒幕役で生き残るかもしれませんよ?」
雪美「……私が、黒幕で……迫力……出る……?」
モバP「そこは演出と演技力だな。たまに華奢なビジュアルで迫真の怪演する子もいるし」
-
モバP「話を戻して、俺も一つ手に入れてきましたよ。じゃん!」
雪美「……ナイフ……」
※ ナイフはどこだ。
ちひろ「ヒエッ……」
モバP「じゃあちょっと掌で切れ味を確かめてみましょうか」
雪美「……P……? ……えっ……!」
シュコッ
モバP「はい刺さりましたね」
雪美「……」ドキドキ
ちひろ「切っ先が物に当たると引っ込むおもちゃのナイフですね」
ちひろ「でも見た目は本物のナイフみたい。ラバーナイフでもリアルな物は多いですけど」
モバP「それなりに先端は尖っていますからジョークで使うにはやや痛いです」
モバP「ある意味これぞがっかりの剣ですよね」 ユキミモタメシテミルカ? ウン
ちひろ「魔法陣グルグルかな?」
雪美「……こわい……でも危ない物……恐れる気持ち……大事……」シュコッシュコッ
-
379
モバP「誰が言ったか、魂の重さは21g」
雪美「……どのくらい……?」
モバP「1円玉が21枚分。500円玉でおよそ3枚分」
ちひろ「何かいまいちピンと来ない表し方ですね」
モバP「じゃあブラックサンダー1個分で」
雪美「おお……!」キラキラ
ちひろ「分かりやすいんですけど、雪美ちゃん意外にもブラックサンダーに関心」
モバP「自分は魂ってもっと軽い気がしていました」
モバP「ゆで卵を作った時、下に窪みができるあの空間くらいかと」
ちひろ「それっぽいことを言いますね」
モバP「まあ、それだけなんですが」
ちひろ「思いついたことをとりあえず言ってみるスタイル」
-
モバP「でも、魂というものがあるのだと信じてはみたいですね」
モバP「死んだらそれで終わりなんて……雪美さんより先に逝ってしまうなんて嫌です」
ちひろ「プロデューサーさんは死とは無縁の超越者か何かだと思っていましたけど」
モバP「まさかそんな」
ちひろ「だってあれだけスタドリエナドリ飲ませても――おっと」
モバP「あれ毒か何かなんですか!?」
雪美「……P……私も……信じている……」
雪美「……生まれる前から……Pと……ずっと……繋がっている……こと……」
雪美「これからも……いっしょに……。……例え死んで……生まれ変わっても……。それが……望み……」
モバP「……雪美は結構凄いことを言うよな。だがそんな所が好きだぞ」ナデリ
雪美「……ん」
モバP「……あ、今度魂という単語をブラックサンダーに変換してもらう装置を晶葉に作ってもらおう」
ちひろ「くだらないことを考えるの好きですねえ」
――
蘭子「魂(ブラックサンダー)が……ヴァルハラへと旅立ったようね――ん?」
-
380
みく「Pチャン、夫婦円満の秘訣って何?」
モバP「干渉し過ぎないことかなあ」
みく「聞かれて答えられるってやっぱり雪美チャンと夫婦だにゃ。面食い〜」
モバP「普段からお前らみたいなアイドルに囲まれていたら面食いにもなるわい」
みく「最近はちゃんとご飯食べてるみたいだね」
モバP「アイドルたちが来て料理を作ってくれたりくれなかったりするからな」
みく「くれないの?」
モバP「くれなくてもゲストだからね、何かそれなりの物を作らないと失礼だ」
みく「まあ、Pチャンがちゃんとご飯食べてくれているなら良いにゃ」
モバP「みくがダメ男製造機やってくれても良いんだよ?」
みく「やらないにゃ!」
モバP「あら残念」
雪美「……また……やってる……」
-
みく「雪美チャンはPチャンをあまり甘やかしたらダメだよ?」
雪美「ん……。Pを……甘やかすと……調子に……乗る……」(つ゜-゜)つ
モバP「母性に飢えているからね、仕方ないね」ダキッ
雪美「……♪」
みく「言行不一致だにゃあ……。お姫様抱っこ……今ミニスカートじゃなければなぁ……」
みく「それにしても本当、いつからそんなに? ってくらい仲良しだにゃ」
モバP「否定はしないが、みくだって俺のことをよく気にかけてくれるだろ?」
モバP「普通の仲じゃそこまでできないだろうし、いつも救われているよ」
みく「みく、人気がなかったころのハングリー精神を忘れてないにゃ。だからかな? 気になるの」
モバP「苦労を経験していると、か。……しかし、そんなストイックなみくにもたまには息抜きが必要かもしれんな」
モバP「よし、今度は俺がみくに料理を作ってあげよう! 白雪先生に習ったとっておきのメニューを」
みく「嬉しいけど、そんなこと言って魚料理じゃないよね?」
モバP「食卓を囲む機会が増えれば、相手の好みに合わせるようになるものさ。大丈夫、鯨は魚じゃない」
みく「その手で来たか」
-
381
ちひろ「プロデューサーさん、どこに行ったんでしょう?」
ンギャ ニャア
ちひろ「あら、ペロ……と、あなたはどちら様ですかね?」
ちひろ「……でも、ペロとよく似ていますね。ふふ」
ピョン
ちひろ「わっ、ダメですよ? 事務所には留美さんも来るんですから、あまり跳び回ったら」
ちひろ「……仕方ありませんねえ」ダキッ ニャッ!?
雪美「……ただいま、ペロ……Pも……」
ペロ「ミャウー」
雪美「おいで……」スッ
雪美「……ペロは来た……でも……Pは……捕まった……ね」チラッ
ちひろ「えっ、何ですか? この子がどうかした……ん?」
ちひろ「……えっ、プロデューサーさんじゃないですよね!?」 ニャー
-
382
雪美「……今日のパーティー……嬉しかった」
モバP「盛大に祝ってもらったからな。うちの子たちはサプライズも仕掛け慣れたものだよ」
雪美「……まさかの……タイミング……だった……。ふふっ……」
モバP「改めて、雪美さん誕生日おめでとう」
雪美「ありがとう……」
モバP「これは俺個人としてのプレゼントだ。とある場所で見つけて、これがどうしても欲しかった」
雪美「……開けてみて……いい……?」 イイゾ
パカッ
モバP「双子の猫のペアネックレスだ。極小サイズだが左にブルーサファイア、右にピンクサファイアが埋め込まれている」
雪美「……私の……誕生石……」
雪美「……左が……Pで……右が……ペロ……みたい」
雪美「…………宝物に……する……」ウルウル
モバP「良かった。時々着けて見せてくれると嬉しい。……こりゃ次回のハードルが上がったか」
部屋の外のちひろ「……まあ、こういう時くらいは二人きりにしてあげましょう」
-
今日はここまで
雪美さん誕生日おめでとう
-
383
モバP「格ゲースリット三強と言えば? はいちひろさん」
ちひろ「何ですか私に振るんですか? えっと……春麗と、不知火舞……もう一人誰にしましょうか」
ちひろ「……ライチさん?」
モバP「ブレイブルーのライチさん良いですね。乳の人!」
モバP「でも春麗と不知火舞に並べるとしたら、自分は真鏡名ミナですかねえ」
ちひろ「二強が強すぎて即座に名前と絵が一致しませんが、見たら知ってる! ってキャラですね」
モバP「DOAの霞やスリットじゃないですがモリガン・アーンスランドなんかも、煽情的な格好は印象に残ります」
ちひろ「セクシー担当ですか。アイドルのユニット衣装にもそういうのがあったりしますね」
雪美「……参考資料がないと……分からない……」
モバP「よし。ではカチャカチャっと検索しまして、はいこんなもんで」
雪美「……おお……。……P……こういうのが……好き……?」 マアネ
雪美「……よし……」
ちひろ「よし、じゃないですよ。一体何を決心したんですか」
-
384
雪美「……♪」
モバP「雪美さんが誕生日プレゼントに貰ったお気に入りのビーズクッションを抱いている」
モバP「あの触り心地は本当に癖になるからなあ」
ちひろ「そばがらやパイプや綿の入った枕とは違った弾力で、初めて触れると驚きますよね」
モバP「ふかふかなものを抱いたり触っていると安心するのは赤さんの時の名残ですかね」
ちひろ「外道発言しそうな呼び方はやめましょう」
モバP「……」ジーッ
雪美「……?」
雪美「……Pも……さわる……?」
モバP「そうだな。少しだけビーズクッション分を補給したい。ついでに雪美分も」
雪美「……ふふっ……分かった……」
雪美「たくさん……さわって……?」
モバP「……ちひろさん、死後の事は任せました」
ちひろ「仕事は自分で片づけてください」
-
385
晶葉「できたぞ! 未来を見る装置だ!」
雪美「このヘルメットを……被って……ゴーグルを……装着する、だけ……」
モバP「それはすごい。では早速俺が」
晶葉「Pはこれを変なことに利用しそうだからな。自分で試す」
モバP「のび太じゃあるまいし、そんなことしないって」
晶葉「ほう? では未来の何を見る気だ?」
モバP「ちょっとロト6の当選番号を見ちゃうとどうなるのかなという興味」
晶葉「悪用する気じゃないか。まあ未来は常に変化するものだろうが……」カパッ
晶葉「……ふむ」
晶葉「…………えっ」
晶葉「………………あ、ああっ」
晶葉「………………///」ハァハァ
モバP「様子がおかしいが、大丈夫か晶葉?」
-
カポッ
晶葉「うぅ……何てことだ……///」
モバP「どうした晶葉、そんなに顔を赤くして」
晶葉「お前たちの未来は爛れ過ぎている! あ、あんな淫らなことを……///」
雪美「……何が……見えたの……?」
晶葉「ダメだ、雪美には見せられん!」
雪美「……えー……」
モバP「まあ、未来は常に変化するものだから大丈夫でしょう」カパッ
晶葉「あっこら」
モバP「………………」
モバP「………………」ガタガタガタ
カポッ
モバP「……未来の俺が俺の方を見て警告してきた」
雪美「……」ソワソワ ダメダゾ? エー
-
386
モバP「アイドルに帯同して泊りがけの仕事に行った時にありがちなこと、それは」
モバP「眠れないアイドルたちが部屋に集まってくることだ」
凛「はい、このババ抜きはプロデューサーの負けだよ。それじゃ一枚脱いで」
モバP「なんでやねん」
卯月「ちょっと凛ちゃん。そんなルール追加したら私たちは?」
未央「大丈夫。プロデューサーだけの特別ルールだから!」
モバP「不公平だぞ。しかし俺から、じゃあお前らも脱げって言う訳にもいかんな」
愛梨「あっ、何だか暑いですし、私が代わりに脱ぎましょうか?」
未央「身代わりを立てるとは、プロデューサーも隅に置けない奴よのう♪」
モバP「愛梨はただ脱ぎたいだけじゃないよな? 駄目です」
藍子「ふあ〜……」
モバP「藍子、もう休むなら部屋まで送っていこうか?」
藍子「それも嬉しいですけど、まだここに居たいです……」 ムリスルナヨ?
-
モバP「しかしこうしていると修学旅行を思い出すな」
愛梨「Pさんは修学旅行で、女の子の部屋に遊びに行ったりはしました?」
モバP「行けたらどうなっていたんだろうな。一夜限りのアバンギャルドなアバンチュール?」
藍子「Pさん……」ジト
モバP「まあ部屋と部屋の距離が離れていて無理だったが、男子同士ではよく遊んだよ」
モバP「翌日、寝不足で大丈夫かなと思ったら、これが意外とシャキッとしているのよね」
愛梨「興奮している時や緊張している時って、少ししか寝なくても保つんですよね〜」
藍子「でも反動で、帰りのバス移動とかでみんなぐっすり寝ちゃったりします」
モバP「あの静かな空間は一周回って面白いなと思う」
雪美(私も……修学旅行……行ってみたい……)
モバP「ああ、そういえば雪美は小学校の修学旅行もまだか……って、早く寝なさい」
卯月「プロデューサーさん、誰と話しているんですか?」
モバP「いや、雪美がテレパシーを送ってきてな。なぁにいつものことだ――って俺の上着が無い!?」
凛「さ、次のゲームをやろうか。プロデューサー」 ←犯人
-
387
モバP「ゲームの主人公にはなりたくないですよね」
ちひろ「どうしてですか?」
モバP「運が悪いとリセットで突然世界が真っ暗になるんですから」
ちひろ「種吟味でもしてるんですかね」
雪美「個体値……リセマラ……」
ちひろ「雪美ちゃんに変な言葉を覚えさせるのはやめろ」
モバP「僕じゃありません。……リセットマラソン略してリセマラってあまりピンと来ないスラングですよね」
ちひろ「マラソンというか同じ作業を繰り返す苦行感的にはシャトルランに近いですね」
モバP「最初聞いた時はストレートな下ネタかと思っていました。思っているだけで口には出しませんがね」
ちひろ「そのまま出さずにおいてくれれば良かったのに」
モバP「でも、リセットされたり死んでもリスポーンできるというのは恐怖を感じますよ」
雪美「この後……全部ノーミスなら……お釣りが来るので……続行します……」
ちひろ「やっぱりあなたですね」 ボクジャアリマセン
-
388
モバP「ここに何の変哲も無い、ひみつの小夜曲風衣装を着た佐城雪美が一人」
モバP「ですがこの雪美さん、どこかが少しだけいつもと違うんです」
雪美「……」
モバP「さあ、どこが違うのでしょーうかっ?」
千秋「どこかしら……」
瑞樹「……わからないわ」
ありす「……ギブアップです」
モバP「では正解――雪美さん、ちょっとスカートを」
雪美「うん……」ペロンッ
千秋「ぶはっ!!?」
モバP「正解は太ももにレッグシース(ナイフホルダー)を装着している、でした」
瑞樹「私は君の嗜好が時々わからなくなるわ」
ありす(片足だけ……そのアンバランスさが、かっこいいですね!)キラキラ
-
389
幸子「プロデューサーさんは、女性の一番官能的だと思う体の部分はどこですか?」
モバP「輝子といい愛海といい、そういうことに興味のあるお年頃か」
幸子「ち、違いますよ! ボクがカワイさを磨くための参考にしようと、身近な男性に聞きたかったんです!」
モバP「ふむ、一番と言うのは難しいな。今の気分で答えても良いか?」
幸子「(ボクを見て答えてくれるんですか?)……はい」ドキドキ
モバP「……あー、これは……人によっては引くかもしれんぞ? それでも聞く?」
幸子「なんですか、ボクから聞いたんですから引いたりしませんよ」
モバP「それじゃ言うが……鼠蹊部だな」
幸子「……鼠蹊部? ?」
モバP「ローライズとかを穿くと下腹部に見える足の付け根のラインの切れ込みだ」
幸子「……さすがはプロデューサーさん! 目の付け所がマニアックですねっ!」グリッ
モバP「うっ! 幸子よ、ニッコリ腹パンはやめて」
幸子「引かないと言いましたから、代わりに押しました」
-
幸子「……プロデューサーさんは、ボクの鼠蹊部を想像したんですか?」
モバP「いや、あくまで一般的な女性のイメージで言った」
幸子「はぁ……でも、そうですね。ボクが官能的を目指すにはまだ早かったですね」
モバP「そうでもないぞ?」
モバP「幸子が視界に居るとカワイイフィルターがかかってしまうから、敢えて除外させてもらっただけだ」
幸子「……え?」
モバP「幸子の官能的な所は仕草だな。自分をカワイく見せようとする姿勢」
モバP「さり気無い所から露骨な所まで、見る人から見ると常に誘惑されているようなものだ」
幸子「……そ、そうですか?」
モバP「ウインクとかも結構あれ、色気あるからな? 普通幸子の歳じゃなかなか出せない味だ」
幸子「……ん、良いでしょう。そんなにボクを官能的と思ってくれるなら♪」テレテレ
モバP「自信を持って良いぞ。ついでに鼠蹊部の美しい大人になろう!」ナデッ ブスッ!
幸子「でもプロデューサーさんは髪の毛の扱いはなっていませんね?」 イテテテッ!
雪美「……この(髪ハネの)強度……さすが、メイド・イン・ジャパン……」
-
390
杏「P、おはよう」
モバP「……ん……ああ、おあよ」
杏「ふふ、顔洗ってきたら? 朝ごはん、出来ているからさ」
モバP「おお、そいつは助かる」
ジャー パシャパシャパシャ
モバP「ふー……朝の水は冷たくて気持ちが良いな」
モバP「…………」
モバP「……!?」
モバP「あ、杏!?」
杏「どうしたの? P」
モバP「お前が俺より早起きして朝ごはんまで作ってるってどういうことだ? てかお前、何で俺の家に?」
杏「嫌だなあ。また過去から来た、とか言ったりしないよね?」
杏「杏とPは、結婚してもうすぐ一年だよ?」
-
モバP「……いや、そんな急展開はあり得んぞ。過去から来たんだよそれは」
杏「……そっか」
モバP「以前にも同じようなことがあったようだな?」
杏「うん。ほんの数分で戻っちゃったけどね」
モバP「俺は初めてだぞ? バージンタイムリープ!」
杏「何言ってんの。あー、それか別世界のプロデューサーが紛れ込んで来ているのかだね」
モバP「信じがたいことだが信じるしかないか。いやあ、すまんな突然お邪魔して」
杏「邪魔するなら帰って」
モバP「そう言うな。で、未来はどうだい? 満喫している?」
杏「そうだね。Pと一緒になれて、幸せだよ」
モバP「ほっほう、そいつは……そうなるような出来事があったってことか」
杏「プロデューサーの世界で起こることかは分からないけどね」
モバP「ああ。俺がこうして杏に会ったことで人生の選択を変えたらこの未来は無かったことになるからなあ」
杏「ifの世界ってやつで良いと思うよ」
-
モバP「で、ここの世界のみんなは元気でやってる? って、聞くのはノーグッドかな?」
杏「そうだね。プロデューサーが落ち込むといけないから言わないでおく」
モバP「そんなことを言われると気になるな」
杏「プロデューサーは、誰と仲が良いの?」
モバP「俺か? 俺は……雪美かな」
杏「……雪美ちゃん……か」
モバP「あ、今のはオフレコね。実際は杏や他の子たちとも長い付き合いさ」
杏「プロデューサーは、きっと誰にでも優しいよね」
杏「……未来かもしれないこと、教えるのはきっと良くないんだろうけど、一つ忠告をあげよう」
杏「ハッピーエンドで終わった映画のその後を想像したことがある?」
杏「いつか訪れる結末は、別れなんだ。それが辛くならないように、手抜きで生きよう」
杏「みんな何もかも全部守ろう、救おうとしないで。救えないものだってあるからね」
モバP「……ベストを尽くすよ」
モバP「はうっ……起きたばかりなのにまた強烈な眠気が」
-
杏「……帰る時間が来たんだよ。おやすみ、プロデューサー」
モバP「ああ……じゃあな。……未来の……杏」クタッ
杏「……」
モバP「………………」
モバP「……ん?」
晶葉「意識が戻ってきたようだな」
モバP「何かリアルな夢を見ていたような……」
晶葉「未来を見る装置の改良型だ。こちらは俯瞰視点でなく主観視点になる」
モバP「んあ……なるほど、タイムリープ形式か。ただ、内容をすぐ忘れちゃうなこれ」
晶葉「頭が夢と同一視しているのだろう。今後も改良が必要なようだな」
モバP「……思ったんだが、晶葉って元々ロボット制作がメインじゃなかったっけ?」
晶葉「まあそれはそれだ」
雪美「次は……私が……やる……!」キラキラ マアオチツケ
-
今日はここまで
仮にそれをAとする
-
イザナミだ
-
391
モバP「……」
雪美「……」チョコン
ちひろ「お二人は座禅なんて組んでどうしたんですか?」
モバP「しっ。……悟りを開こうとしているのですよ。無の境地に立ち返り世界を見ようと」
ちひろ「……雪美ちゃんを膝に乗せて煩悩が払えますかね?」
モバP「これも修行、修練の一つです。同時に酔拳の空気イスでの重石のような意味もあって」
モバP「雪美の重さを全く感じなくなれば二人は一体と化したようなものです。嘘です」
ちひろ「なんだうそか」
モバP「脳内BGMは将軍令ですね」
ちひろ「無の境地じゃなくてクライマックスに向かってそうですね」
雪美「……もう、Pのひざ……でないと……ざぜん……できない……」
雪美「……責任……とって……」
モバP「あっ、ズシリと来た」
ちひろ「自分の置かれている立場にもズシリと来てくださいね」
-
392
モバP「ここ何年かでチーズ料理をやたらあちらこちらで見かけるようになった気がする」
雪美「……そう……?」
モバP「チーズタッカルビだとか、フィラデルフィアチーズステーキだとか、とろ〜り3種のチーズ牛丼だとか」
ちひろ「最後はすき屋か」
ちひろ「ハンバーグやパスタやピザとかではお馴染みなんですけどね」
モバP「今はより多様化した感じがしますね」
雪美「……チーズだと……おいかわ牧場の……カマンベールチーズ……すき……」
モバP「カマチは一般のチーズよりちょっと高いが、とろける美味しさだよなあ」
ちひろ「スモークチーズをスモチと略すように略したな」
雫「カマンベールチーズは、元々はフランスの村発祥の名前なんですよー」
モバP「それが今やこういう製法のチーズということになって、国産でもカマンベールになるわけだ」
雫「面白いですよねー。そんなチーズ好きな皆さん! 今日はチーズフォンデュしませんかー?」
モバP「よっしゃ、バゲットと野菜とソーセージ買いに行こか!」
ちひろ「食べたかったんですね。ちなみに普通のチーズフォンデュは白ワインが入るので留意を」
-
393
ガチャ
ちひろ「――あっ、雪美ちゃんお帰りなさい」
雪美「ただいま……ふふ」
雪美「……ちひろさん……これ……」
ちひろ「あら。私に、ですか? プロデューサーさんじゃなくて?」
雪美「うん……」
ちひろ「何だか……ありがとうございます」ジーン
ちひろ「開けてみても良いですか?」
雪美「……」コク
ちひろ「……では」パカッ
ちひろ「これは……アイスクリーム――じゃないですね」
ちひろ「分かりました。バスボムですね?」
雪美「……うん。お仕事で……作った……」
-
ちひろ「雪美ちゃんの手作りバスボム……これは良いものを頂きました。早速今夜使わせていただきますね♪」
ちひろ「これ、お風呂に入れるとシュワシュワ溶けて……気持ちいいんでしょうねえ」
モバP「一見落雁とかマカロンみたいな質感とパステルカラーに惹かれます」
ちひろ「わっ!? びっくりした……居たんですか」
モバP「良いなあ、バスボム。それも綺麗にラッピングされて」
ちひろ「私のですからね?」
モバP「取ったりしませんよ。何か自分まで参加させてもらって作っちゃいましたんで」
ちひろ「器用というか抜け目がないというか」
モバP「じゃあ雪美、今日のお風呂はこれを使ってみるか」
雪美「……Pの……銀河系バスボム……楽しみ……」
モバP「雑貨屋でちょいと良いバスライトも手に入ったことだし、暗くして宇宙感に浸ろうじゃないか」
雪美「うん……♪」
ちひろ「ちょっと待って、まるで普段から一緒にお風呂に入ってるような雰囲気ですけど」
モバP「さすがにそれはね。あ、ちひろさんもご一緒したいんですか?」 チガイマス
-
394
モバP「日菜子は水着の上にシャツかパーカー、どちらが良い?」
日菜子「むふふ……やっぱりパーカー、少しだけ長めのやつですね〜」
日菜子「下の、見えそうで見えない感じが、たまりません」
モバP「一理ある。だがシャツもほんのり透ける感じが良いじゃあありませんか」
日菜子「はい、どちらも人に見られちゃったら……むふふふ」
モバP「自分が実際に着たいかは別として、ギリギリを攻めるのって良いよな」
日菜子「ですねぇ〜。妄想の中では日菜子、好きなだけ大胆になれますよ〜」
モバP「じゃあ例えば他にも、長袖ジャージにブルマとか競泳水着の組み合わせ」
モバP「上はしっかりガード、下はすらっと生足――どうだろう」
日菜子「ジャージ無しよりも羞恥心がかき立てられる気がしますね、むふ」
日菜子「季節は多分秋……むき出しの足が寒そう……誰かに寄り添いたいところです」ポワァ
モバP「その尊い足を独り占めしたい」
ちひろ「……中学生男子トークか」
-
ちひろ「全く、日菜子ちゃんを変態談議に染めたのはどこのどいつだ」
モバP「妄想はタダですからね〜」
日菜子「はい〜♪」
雪美「……私も……もうそう……する……」
ちひろ「雪美ちゃんはあちらのグループには入らないようにしましょうね」
雪美「……」コク
モバP「雪美もこっち来いよ〜。……でも雪美の素の妄想ってどんなものなのか興味があるね」
雪美「……知りたい……? ……Pにだけ……教える……。耳……貸して……」
モバP「聞かして聞かして?」
コショコショコショ
モバP「……うむ、分かった。結構シュールな妄想だな」
ちひろ「え? 何ですか気になるんですけど」
雪美「……ふふふ」
日菜子「雪美ちゃんの妄想は何なのか妄想するのも楽しそうですねぇ」
-
395
モバP「最初はグー」
「「じゃんけん、ぽん!」」
雪美「ん……。私の……勝ち……」
雪美「グ……リ……コっ」トントントンッ
モバP「次は負けんぞー。最初はグー!」
「じゃ「じゃんけん、ぽん!」
雪美「……まだまだ」
雪美「チ、ヨ、コ……レ、イ、ト……」トットットッ トットットッ
「じゃーんけーん「……じゃんけん、ぽん」
雪美「パ、イ、ナ、ッ、プ、ル……あっ」
モバP「……おーい! そこからでもいけるか? うおお、何故こうも勝てんのだあ」
雪美「……こんなに離れると……だめ……だね……」
-
――
モバP「いやあ、じゃんけん強いな雪美は」
雪美「……そんなこと……ない」
モバP「俺の手を読んでいたり、する?」
雪美「……」フルフル
モバP「では抜群の動体視力で相手の手に合わせて……はないか」
雪美「……運、だから……」
モバP「運に任して無心で来る相手って勝ちたい人にとっては一番手強いよな。心理戦とか通じないし」
モバP「何かモテ期のように異様なくらいじゃんけんで勝てる日が、俺にもあったが」
モバP「今思うとその時たまたま、みんな深読みとかして自滅したのかもしれないな」
雪美「……Pも……モテ期? ……あったの……?」
モバP「見栄でなく、ちゃんとあったともさ」
モバP「ただそれも一日で終わったから、俺の意識外で何か偶然良い条件が噛み合っただけなのかもな」
雪美「……P……気づいてない……。今も……モテ期……」 エ?ナンダッテ?
-
396
モバP「この時期はスポーツのイベントが多くて楽しいなあ」
悠貴「はいっ!」
ちひろ「施設のロビーや待合室にあるテレビとかでスポーツをやっていると何か良いですよね」
雪美「……土曜日、日曜日は……お昼からでも……スポーツは……多い」
モバP「心にゆとりが出来る休日に、まったりスポーツを見て過ごす――極上ではないが小さな幸せの一時かもな」
ちひろ「ところで、悠貴ちゃんのトレーニングを見ていたんですか?」
モバP「ええ。一緒に世界陸上の録画を見ていたら悠貴のスイッチが入ってしまいまして」
悠貴「私も負けていられないって思いで、体を動かしたくなりましたっ!」
ちひろ「元気ですねえ。それにしても陸上ですか」
悠貴「世界のアスリートはスケールが違いますねっ」
モバP「本当にな。国ごとのユニフォームもデザインが凝っていてスタイリッシュだった」
悠貴「女子走り幅跳びのミハンボ選手が印象に残りましたっ」
ちひろ「ハードルじゃないんですね」
-
モバP「でも陸上、なかなかのめり込みますよ」
モバP「パフォーマンスやダイナミックなフォーム、躍動感。そして鍛え上げられた肉体美」
雪美「……変な目で……見てない……?」
モバP「……どうだろ。変な目で見てないと言えなくもない……?」
ちひろ「自信を持て」
悠貴「Pさんは私のことも、もしかしてそういう目で……?」
モバP「あっはっは」
雪美「……ごまかした」
モバP「ただ、プロフのままだとほっそくて大丈夫かなと時々心配にはなるな。生野菜食べてる?」
悠貴「はいっ! ……それなりに」
モバP「まあ悠貴は野菜以外が不足気味なのかもしれないが、好き嫌いをしていると大きくなれないからな」
悠貴「体作りに努めます、コーチっ!」
モバP「まあうちのマッマのお言葉だからあまり間に受けなくても良いよ」 ズルッ
-
モバP「しかし中学の友人男子に悠貴と同じくらいの痩せ型がいたが、肋骨が浮いていたくらいで」
モバP「それにしては悠貴はスタイルもおっすおっすばっちしで羨ましいというか不思議」
悠貴「きらりさんには敵いませんけどねっ」エヘヘッ
モバP「そう容易く敵ってもらっちゃ困るぜ」
モバP「しかし陸上、特にトラックを見ていると何だか次はオリンピックかっていうワクワク感が一気に込み上げてきますね」
ちひろ「陸上競技は昔からの定番感がありますからね」
モバP「それに陸上のアスリートはみんな、かっこいいし美しい。勝負前の顔とかグッときます」
悠貴「私も美しくなれますかっ?」
モバP「なれるとも」
雪美「私は……?」
モバP「そなたは美しい」
ちひろ「雪美ちゃんはプロデューサーさんの中では完成系なんですね……」
モバP「そういえば体育の日は来年からスポーツの日に名称が変わるようで」
ちひろ「当たり前だったことも変わっていくものですね。変わらないものもありますけど」チラッ ナニカ?
-
397
モバP「もうすぐ一周年か」
雪美「……?」
モバP「何のかって? ……そう言えば何だろう? 一周年ってことだけが頭に」
ちひろ「何かしらのイベントから一周年ってことですかね? それとも個人的な?」
モバP「……何故そう思ったのか自分でも分かりません」
モバP「ただ明日になれば、この一年がリセットされてしまうような気がします」
雪美「……そんなことには……ならない……。安心……して……」
ちひろ「そうですよ」
モバP「……そうだよな。いや、心配をかけてすまない」
モバP「ところで雪美さんは今何歳?」
雪美「……10歳」
モバP「…………」
雪美・モバP「……あれぇー?」
-
今日はここまで
アルストツカに栄光あれ
-
乙
言われてみれば今日でこのスレも一周年か
日菜子の思考回路が微妙に男性寄りっぽくて草(日菜子このスレ初登場おめでとう)
-
398
モバP「自宅を整理していると黒いノートが出てきました」
ちひろ「黒いだけでデスか厨二か、とにかく嫌な予感しかしませんね」
モバP「ご明察。厨二ノートでした」
モバP「燃やして焼き芋の火種にでもしようかと思ったんですが、つい思い出の品と躊躇しまして」
ちひろ「厨二ノートを燃やしたら黒い炎が出そう」
ちひろ「処分保留は良いですけど、誰かに見られなきゃ良いですね」
モバP「影響を受けて人が変わってしまったりするかもしれませんからね」 マサカソンナ
雪美「……ダークマスター、いざ共に征かん」
モバP・ちひろ「あっちゃー……」
雪美「……冗談。……Pのノート……面白かった……。でも……それだけで……変わらない」
モバP「良かった。俺のせいで雪美が厨二病になってしまったら、一生後悔することになったやもしれん」
雪美「……その、後悔する……はずだった……一生……、代わりに……私に……くれる……?」
モバP「契約を誘う悪魔のようだ。でも雪美のような悪魔になら堕落させられても良いかも」
ちひろ「346プロはその筋の人からは別名伏魔殿と言われていますからね」
-
399
チュンチュン チュンチュン
モバP「スズメの鳴き声が爽やかな朝だな」
泰葉「はい。……街に生きるスズメは、自由なんでしょうかね?」
モバP「基本的に群れで行動しているし、制限無く生きているとは考えにくいな」
泰葉「では、本物の自由は何だと思いますか?」
モバP「本物の自由は風くらいなものか。……いや風も、勝手気ままに吹ける訳ではないか」
モバP「よく”風になりたい”って表現があるが、何かに囚われてこその生き物らしさかもしれない」
泰葉「私は人形じゃない、籠の中の鳥でもない――そう気づくまでに時間がかかりました」
泰葉「でも……そうですね。発想を少し変えてみて、今は誰かの手の中にいるのも、悪くない気がします」
モバP「アイドル事務所は”鳥かご”だって言う人もいるな」
モバP「俺は狭苦しい籠じゃなくて、帰る場所として安心できる巣や止まり木になれたらと思う」
泰葉「現実はいつまでも甘くないかもしれない……でもプロデューサー、今は優しい籠でいてくださいね?」
雪美「……Pに包まれると……居心地……良いから……ね」
-
400
モバP「最近、ふと思うのね」
雪美「……?」
モバP「雪美のことを考えていると楽しい、というかそれだけで多幸感」
雪美「……P……そんなに……私のことを……」
ちひろ「いつか雪美ちゃんを自力で具現化させそうですね」
モバP「雪美を一日中弄ったり触感を確認したり写生したり眺める舐める音を立てる嗅ぐするのか」
ちひろ「クラピカ的な具現化をするつもりですか。鎖ならともかく女の子相手にそれは猟奇的なのでNG」
雪美「……P……そんなに……私のことを……」
モバP「ものの例えだからそんな軽蔑的な目で見ないでくれ」
雪美「……でも、なめる以外は……そんなに……怒らない……」
ちひろ「海よりも寛容ですねえ」
雪美「いつもと……変わらないから……」
モバP「舐める以外はいつもやっているという風潮」
-
モバP「まあ、日頃の接触で雪美さんの触感は体が覚えてしまったと言えなくもない」
モバP「彫刻で全身再現しようと思えばできるかもしれません」
ちひろ「芸術ですか」
モバP「いいえ、変態です」
ちひろ「それじゃダメだろ」
ちひろ「にしても、好きな子のことを考えているだけで幸せって乙女みたいですね」
モバP「……だ、誰も雪美のことが好きで好きでたまらないとまでは、い、言ってないですし」
ちひろ「それでもバレてないつもりだったんですか」
雪美「P……分かりやすい……」
雪美「……でも……私も……Pのこと……考えている時……幸せ……」
モバP「雪美……」
雪美「ふふ……愛い奴じゃ……。……どれ……もっと顔を見せよ……」
モバP「ああその不敵な笑み、そんな表情もできるのか」
ちひろ「プロデューサーさん、年齢約半分も年下から手玉に取られていませんか?」
-
401
モバP「分数の割り算ってただ何となくそうなるで覚えがちですよね」
ちひろ「割る方の分母と分子をひっくり返す、ですね」
モバP「社会ではあまり使わないですよね。理屈や考え方はともかくとして」
雪美「……パズル……みたいで……好き……」
モバP「でも分数を分数で割る、これをリンゴの切り方で説明できますかと言われるとむーりぃー」
モバP「2/3のリンゴを1/4で割ったら2と2/3に増えるんだからな。増えるリンゴ」
ちひろ「岡島タエ子かな?」
モバP「子ども心に他のジブリアニメに比べてほうれい線が気になって仕方ないアレ」
雪美「リンゴは……分けることはできても……増殖……させることは……できない……」
モバP「1/1を2/1で割ると1/2になる、なら分かるのに……果物の王様はやはりパイナップルではなくバナナ」
ちひろ「それ違う場面の話だから。パイナップルは何も悪いことしてないのに」
あかり「いいえ! 果物の王様はりんごですよっ。一日一個のりんごは医者を遠ざけるんご!」
雪美「……一理んごある……。……でも……イチゴは……?」
モバP「イチゴは果実的野菜の女王様ってところじゃないかな」 オウサマハ? メロンカナ
-
402
♪♪♪〜
雪美「あっ……」
雪美「……きれいな……メロディ……」
ソーッ
雪美「……P……ピアノ……弾いている……の?」
♪♪♪〜
モバP「……ふぅ。何か下手でもたまに弾きたくなっちゃうんだよな」
雪美「……」ポー
モバP「……ん? おおっ!? 雪美さん、いつの間にかそこで聴いていたのか」
雪美「さっきから……そばに……いた……」
モバP「ごめんね。集中していて気づかなかった」
雪美「……もう……」
-
モバP「文香も読書中は周りで何が起こっても動じず本を読み続けることがあるが」
モバP「ピアノも集中していると周囲に意識が向かなくなる気がするな」
雪美「……P……弾いていた曲は……なに?」
モバP「ウォン・ウィンツァンの夜明けのまなざしって曲。NHKでたまに流れる」
雪美「……あとで……もう一度……聴きたい……」
モバP「良いぞ。テクニック面はまだまだだがな」
モバP「旅のはじめにって曲もスローテンポで心に響く。教えてくれる久美子と音葉に感謝だな」
音葉「貴方の奏でる旋律は、丁寧で……優しい……」
久美子「好きだと思った曲を自分で弾けるって、楽しいよね」
雪美「! ……二人がいるの……気づかなかった……」
音葉「気配を消していたから……」
久美子「Pに夢中になっていたのかな? 見惚れちゃうものね。指だってほら、キレイ」
モバP「お褒めの言葉をありがとう。この調子で東方の曲とかも弾けるようになるぞー」
久美子「私でも弾けるか分からないわよ? それ」
雪美「……P……いろいろできて……実は……アイドル向き……?」
-
403
雪美「///」マッカッカ
ちひろ「プロデューサーさん、今度は何をやっちゃったんですか? ラッキースケベですか?」
モバP「僕は結城リトでも結城晴でもありません」
晴「オレをラキスケ能力者と並列にすんな」
モバP「いやね、先日見かけたプリクラで雪美と一緒に遊んでみまして」
ちひろ「ああ、加工とか落書きとかいろいろ出来ますよね。私には証明写真機の方が縁がありますけど」
モバP「元がプリント”倶楽部”で、既に字面から妖しさが――とか言いつつ、二人で撮りました」コレネ
晴「おっ、このシールは雪美とPで写ってるんだな」
モバP「その際筐体が狭い個室のようになるので、二人きり密着感が強調されます」
雪美「シールを……見ると……その時の、ことを……思い出して……///」
ちひろ「やっぱり何かしたんでしょう?」
モバP「普通に撮っただけです。試しにカップルモードにしてみたら音声ガイドに煽られましたが」
晴「P、ふざけてたり真面目な顔したり、表情作りノリノリだな」イイナー
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404
ちひろ「プロデューサーさんって割と外国語堪能ですよね」
モバP「いえ全然」
ちひろ「この前も海外ロケで普通に現地の人と喋っていたと聞きましたよ?」
モバP「ああ、それはですね」
モバP「頭と頭を軽くごっつんこさせるんですよ。すると相手の言葉が日本語で聞こえるようになりますし、日本語で相手に通じるようになります」
ちひろ「ちょっと何言っているか分からない」
モバP「自分はこれをチャンネルを合わせる、と呼んでいます。まあ一つの特技みたいなもので」
ちひろ「それは特技ではなくて異能の領域です」
雪美「……そういえば……Pは……人外……だった……」
モバP「まあ、素では英語とかの外国語を使うのは苦手です」
ちひろ「人間アピール乙です。いや、人間アピールというか、凡人アピール?」
モバP「でもフィクションでは外国人や外国の英霊や擬人が普通に日本語を使う不思議」
雪美「……P……あなた……疲れてる……」ヨシヨシ
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405
雪美「……」チョコン
「……」
雪美「……P」
「……」
雪美「……P……?」
「……」
雪美「……」クルッ
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……Zzz」
雪美「…………」クイクイッ
雪美「……P……今は……本物の……イスみたい……」
ちひろ「あの人、ぴしっと座ったまま硬直して寝ていますね……」
-
今日はここまで
パンにはやっぱりネオエクスデス
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406
モバP「ラテン系美女って良いですよね」
ちひろ「あなた何でも良いと言ってませんか?」
モバP「私はこう見えても欲張りでしてね。何か一つだけでは満足できないのです」
ちひろ「優柔不断だといつか困りますよ」
ちひろ「ラテン系美女ですか――黒髪で眉がきりっとしていてスタイル良くてスペイン語とか話しそうな」
モバP「ええ。更には彫り深めで目力が強い感じ……カッコいいなと」
ちひろ「何に影響されたんですか? 最近そういう子を見かけたとか?」
フレデリカ「んっふっふー♪ フレちゃんエキゾチックだと言われるからねえ、仕方ないかー」
モバP「映画ですね。いかにもペネロペ・クルスのような女優」
フレデリカ「がっくーん。そこはフレちゃんと言うべきだろうプロデューサーくん」
モバP「君ラテン以前にエキゾチック感そこまであるかな? まず杉坂海に勝てる?」
フレデリカ「負けそう☆」(゚∀゚)
雪美「……私は……私の武器で……勝負する……」
-
407
モバP「雪美ー♪」ナデナデ
雪美「うふふ……なぁに……?」ツヤツヤ
モバP「何でもなーい。ただ呼んでみただけー」
雪美「……じゃあ……私も……意味もなく……呼ぶから……」
雪美「……P……♪」
モバP「もう、雪美さんまで……アハハッ☆」
ちひろ「普通、過度なスキンシップって嫌われたりするものなんですけどね」
モバP「……実際どう? 少し過剰で嫌だったり鬱陶しかったりしないか?」
雪美「……問題ない……こうされているの……好き……。……目を見て……?」
ジーッ
モバP「……偽りのない目だ。何と美しい」
モバP・雪美「……」キラキラ
ちひろ「無言で見つめ合われると気が散るんですけど」
-
408
モバP「世には色仕掛けで異性を思い通りに操る人がいる……怖いですねえ、怖いですよ」
ちひろ「プロデューサーさんみたいなタイプは特に注意しないとですね」
モバP「あたしはちひろさんやアイドルたちにしっかり首根っこを押さえられていますから大丈夫です」
ちひろ「そこまでバイオレンスなことはしていませんけど……とりあえず仕事してください」
モバP「はーい……なかなかやる気が出ないぜ……」
ガチャ
雪美「……こんにちは……お話し中……?」
モバP「こんにちは雪美。いつもの雑談さ」 コンニチハ、ユキミチャン
モバP「……いやあ、誰か来ると、特に雪美さんが訪れると事務所の空気が一気に華やかになるねえ」
ちひろ「それどういう意味ですかね」ギロッ
モバP「いやん、視線で首根っこ締め上げるのはやめて。ちひろさんも華ですよ?」
ちひろ「視線だけでそこまで出来たらエスパーですよ」
-
雪美「……P……注目……」
モバP「……スカートがどうかしたのか?」
スススッ
モバP「あっ、そうやって捲り上げるのはさすがにちょっとまずいですよ雪美さん……って、あら」
モバP「いつもは黒タイツなのに、今日はオーバーニーソでしかもガーターベルトだと……?」
雪美「……似合う……? 桃華に……もらったの……」
桃華『これを着けて見せれば、Pちゃまはとても喜ぶと思いますわ』
モバP「……似合うに決まってんだろうがよ……」<●> <●>
モバP「やる気が漲ってきました。ちょっと待ってろ、こんな仕事は十秒で終わらせてやる」ザザザザッ
ちひろ「プロデューサーさんがすごい気持ち悪い挙動を始めましたね……」
ちひろ「……しかし桃華ちゃんがガーターベルトを持っていることに驚きです」
雪美「……千枝も……持ってる……」
ちひろ「日本は大丈夫なんでしょうか」
モバP「終わりました!」 ハヤイワ!
-
409
モバP「今年もこの時期はハロウィンムードだな」パリポリ
晴「そだなー」パリポリ
モバP「……よし。えー、おほん……晴」
晴「ん?」
モバP「トリニクオアトメイトゥ?」
晴「トリックオアトリートだろ。何だよ、鶏肉とトマトって」
モバP「言ってみただけさ。今日の夕飯は鶏肉のトマト煮込みでも作ろうかしら」
晴「カボチャのチップスを食べながら言うことか?」
モバP「カボチャ美味しいよね!」
晴「いつか笑ったのを根に持ってんな……それにしてもこれ自作なんだな。美味いじゃん」
モバP「ありがとう。薄くてパリパリのチップスにしたら大抵何でも美味いよ」
モバP「これはオーブンで作ったノンフライだが、油で揚げるのも良い」
モバP「世のネタフードには揚げバターとか揚げオレオとかあるし油は万能だ」パリポリ
晴「バターやオレオを揚げてどうするんだよ……」パリポリ
-
モバP「晴よ、もう一度行くぞ」
晴「えっ」
モバP「フィッシュオアチキン?」
晴「機内食かよ。そういう聞かれ方でまず思いつくのは飛行機だな」
モバP「俺はプレートに乗った機内食画像集をいくらでも見ていられる人種です」
モバP「あと、上げ膳据え膳だからちょっとリッチな感じもする」
晴「P、何か平和な趣味してるよなー」
モバP「仕事の関係で飛行機にはよく乗るからな」
モバP「晴、もう一度だ」
晴「まだやるのか?」
モバP「フィッシュアンドチップス?」
晴「イングランドのファーストフードかよ。もはやオアでもないし、トリックもトリートも原型ないし」
晴「いいかげんハロウィンに話を戻せ」パリポリ
モバP「左様でございますな」パリポリ
-
晴「……P」
モバP「何だ?」
晴「もしオレが仮装して、Pにトリックオアトリートってやったら、何をくれるんだ?」
モバP「晴が頑張った仮装で赤面しながら言って来たらと思うと興味があるが、そうだな……」
晴「変なイメージを付け加えるな」
モバP「真心を込めた愛をあげようか」
晴「……割と真顔で何言ってんだよ」
モバP「まあハロウィン用に、こうして飴の入ったポット容器を多数準備していますから、こっちでもOK」ドン
晴「駄菓子屋かよ。よくまあ、こんなにいっぱい……お、ガムのもあるじゃん」
モバP「プロデューサーを辞めたら駄菓子屋になるのも良いな。346の隣に店構えてさ」
晴「えっ、P……辞めるのか?」
モバP「まあ、あるとしても半世紀先とかじゃないかな」パリポリ
晴「それはそれで遠すぎるだろ……」パリポリ
雪美「……P……駄菓子屋さんより……駄弁り屋さん……」
-
410
モバP「雪美と住宅展示場に行ったのですが」
ちひろ「ご夫婦で新居探しですか? 仲睦まじいことで」
モバP「いえコマーシャルの仕事の付き添いで。……分かってて言っていますよね?」
ちひろ「いつか冗談じゃなくなりそうな気はしています」
モバP「ちひろさん……どうしてこんなに荒んでしまったのでしょう? 以前はあんなに笑顔で優しかったのに」
ちひろ「過去を捏造するな。原因は主に私の目の前にありますよ」
雪美「……私……?」シュン
ちひろ「あっ! いや、違いますよ? 雪美ちゃんは大好きです!」
モバP「良かったな雪美」
雪美「……うん。……私……ちひろさんに……嫌われて……なかった」
ちひろ「ちょっとプロデューサーさん、雪美ちゃんを盾にするのは卑怯です」
モバP「間が悪かったですね。ちひろさんのちょっとそういう抜けているところ、好きですよ?」
ちひろ「……(無言の腹パン)」
モバP「はい。ごめんなさい」
-
モバP「それにしても最近の家って凄いなと思いました」
モバP「火を使わないコンロとか、オール電化の波なんでしょうか」
ちひろ「お風呂なんて自動で水を張って湧かしてくれますからね」
雪美「……ロボットが……おそうじしたり……電気を付けたり……自動で、音楽を流したり……」
モバP「ペットの代わりにルンバ数台室内に放し飼いとか面白そうですよね」
ちひろ「それは面白いんですかね……?」
モバP「でも、やっぱりエネルギーミックスが必要だなとも思うわけです」
モバP「停電した時に火を使ったりお湯を沸かしたり出来ないと困りますし、ガスも大事」
ちひろ「そういうエネルギーミックスですか」
ちひろ「まあ災害に強い家も良いですが、災害リスクを分散できる家の方がより良い気はしますね」
モバP「ただ大災害が来たら結局インフラ全滅もありそうで、それにどうやって備えるか」
モバP「空飛ぶ家、地下シェルター、モービルホーム(キャンピングカー)などアイデアは尽きないですが、何が最適なんでしょうかね?」
ちひろ「若干一つ、今の技術では難しそうなものがありますねえ」
雪美「……空飛ぶ家……住んでみたい……」
-
411
モバP「オリンピックの日数って二週間半なんだなって今知りました」
ちひろ「意外なことですか?」
モバP「何か一ヶ月くらいやっているイメージがありまして」
ちひろ「そんな長丁場ではないでしょう。パラリンピックを合わせたら一ヶ月はいきますけどね」
モバP「でも、二週間半って結構あっという間ですよね」
雪美「……楽しい時間は……すぐに……過ぎてしまう……」
モバP「このまま時間が止まれば良いのに! なんて無理だと理解しつつも思ってしまう」
ちひろ「プロデューサーさんはどうもピーターパンに憧れている感じはしますよね」
モバP「ピーターパンも失敗するとチンクルみたいになっちゃいますから良し悪しです」
モバP「それはそうと、運動会の延長でアイドルオリンピックとか見てみたくありません? 全競技やれそうです」
ちひろ「オリンピックの参加選手約11000人とかですから、他と合同で300人集めたとしても全然足りません」
モバP「世知辛い……まあ、全競技は無しとしましょう」
ちひろ「一部競技でもやろうと食い下がるな」
雪美「……どの種目に……出ようかな……」 ノリキデスネ
-
412
モバP「雪美は飛行機に乗るのを怖いと思ったことはないか?」
雪美「……」フルフル
モバP「そっか。飛行機がどうしてもダメって人も稀にいるからな」
雪美「……何が……ダメなの……?」
モバP「あんな鉄の塊が空を飛ぶのがおかしい、落ちたら怖いから乗れない! とか」
ちひろ「偏見ですね」
モバP「過去には衝撃的な飛行機事故とかも何度も起きていますからねえ」
ちひろ「でも今、事故に遭う可能性って諸説紛々ありますけどかなり低いはずですよ?」
モバP「それも分かります。ただ、実際初めて乗った時は離陸時の感覚に不安になりました」
雪美「……それは……私も……」
ちひろ「まあ、最初は仕方ないのかもしれませんね」
モバP「ところで、”もう助からないゾ♡”って何も知らないとナターリアのセリフっぽくありません?」
ちひろ「ナターリアちゃんがそのセリフを言う場面が想像できません」
-
今日はここまで
混ぜ込みわかめ
-
乙
災害云々の話題に対して何か書こうと思ってたのに”もう助からないゾ♡”で全部吹き飛んだ
-
413
モバP「そういえば今年は旬の生茄子を味わえなかったなあ」
茄子「えっ、プロデューサー……私を味わうつもりだったんですか?」ゴクリ
ちひろ「遂に本性現したなエロ魔人」
モバP「いや、カコじゃないですよ? 野菜のナスです」
茄子「うふふっ、分かっていましたよ。過去、身に覚えが無いですからね〜♪」 カコダケニ? ウルサイ
雪美「……ナスを……生で……?」
モバP「おう。普通のナスではなく水ナスといって、リンゴに近い食感と甘みが特徴で、採れたては生食が出来る」
雪美「……興味……ある」
モバP「来年は一緒に食べに行こうな」
雪美「……先だけど……約束……うれしい……」
茄子「私も水ナス、ですか? 一度食べてみたいですね〜」
モバP「普段の火を通すナスが当たり前だと思っているとなかなか食べることが無いよな。分かった、茄子もな」
茄子「はいっ! ふふっ、約束ですよ♪」
ちひろ「同僚が隙あらばデートの予定作るイケメンで辛い……」
-
414
モバP「……」
雪美「……」チョコン
モバP(雪美と一体化していると、心が安らぐ……)
雪美(Pのひざに……すわっていると……落ち着く……)
モバP(こんなに頻繁にくっついていること――そりゃあ好きじゃないと)
雪美(……こんなことは……しない……)
モバP(でも、敢えて無い物ねだりをするのなら)
雪美(幼なじみ……じゃないのが……惜しい……)
モバP(雪美が俺と小さい頃から付き合いのある同い年、もしくは1、2歳差だったらなとたまに考える)
雪美(……Pが……私の……同級生だったら……)
モバP「まあ、今これはこれで最高の」
雪美「……パートナー」 ダナ ウン
ちひろ「はー全く、下手な夫婦よりラブラブですよねえ」
-
415
テレビ「東京モーターショーが……ガヤガヤ」
モバP「雪美たちが取材で行きましたけど、今はモーターショーシーズンですね」
ちひろ「ですねえ。最近はクルマ関連は未来志向が進んできて別物感があります」
美世「速さやデザインだけにこだわるのは限界があるんだと思うよ?」
モバP「だろうが、スタイリッシュなスポーツカーとかの見本市的なモーターショーが好きです」
美世「スポーツカーだけじゃなくて、普通車も今はずいぶん変わってきたよね」
ちひろ「以前はまだ生き残っていた角ばったセダンタイプの車、今ではもう一部のタクシーくらいしか見かけません」
モバP「曲線的で中の空間広めで、機能性だの電気自動車だの自動運転だの、そういうのも悪くはないんですがねえ」
ちひろ「ドローンがすっかり普及しつつある世の中ですし、空飛ぶ車とか作らないんでしょうか?」
雪美「車も……良いけど……女の人が……かっこよかった……」
モバP「その声は雪美さんか。どうぞこちらへ」
雪美「……ありがとう」ポスン
モバP「コンパニオンな。落ち着いた制服的な衣装やカジュアルなドレスを着た女性がたくさん」
ちひろ「そっちの方をメインでチェックしちゃいましたか」
-
モバP「中には例えばメタリックなヘソ出しトップス&ホットパンツといった露出度の高い人もいますね」
雪美「アイドルの……衣装に……近い……かも」
ちひろ「その筋の事務所から派遣して貰うんでしょうけど、中には見てくれの良い社員さんが直接やっていたりして」
モバP「うちで言えばちひろさんがコンパニオンをしてくれる感じですか? それは興奮しますね」
ちひろ「するな。でも、普段会社で見かける女の子がタイトな衣装着て参加してたら、見る目変わりますよね多分」
雪美「私も……衣装を……着込んでいって……少しだけ……コンパニオン……体験を……した」テレッ
モバP「あれは良かったぞ。下に着て行くのは良い! 特に脱ぐ時がたまらん」
美世「Pさん結構嗜好が具体的でマニアックだよね……」
モバP「当然ですが、まるで美嘉とかが着るようなそれよりはずいぶんマイルドなものでしたよ?」
モバP「今は知りませんが以前はアイワという、コンパニオンがシースルーにTバックビキニという過激な所がありまして、それセーフなのかと」
ちひろ「うひゃあ……他より頭一つ抜けて目立つでしょうね」
モバP「自分の中で他のコンパニオンの印象が全部持って行かれました。それに比べたら、何でも健全に感じます」
美世「さすがにもうちょっとクルマの方を見ようよ」 ウン デスネ
モバP「……女の子もしっかり見るのが一応仕事なもんですから……あ、はい」
-
416
仁奈「P、ちょっと聞きたいことがあるですよ」
雪美「……」コク
モバP「お、俺に質問か。良いぞ、答えられる問いであるならじゃんじゃん持って来てくれて構わない」
仁奈「……舌切りすずめって昔話のことでごぜーます」
雪美「スズメが……おばあさんの……洗濯のりを、食べてしまう……」
仁奈「くっつける方ののりって食べられるんでやがりますか?」
モバP「何気ない日常の疑問だな。よし、答えよう」
モバP「昔の糊って何で出来ているかというと炊いたお米なんだ。そのままじゃなく簡単に加工はするが」
モバP「だから、スズメにとっては食べ物になる」
仁奈「ふむう……食べ物を食べ物以外に使ってやがったんですね」
雪美「でも、一人……いや、一羽? で……全部、食べてしまうのは……いやしんぼ……ね」
モバP「このお話の隠れた教訓は、食い意地を張り過ぎるなということなのかもな。少し失敬するだけならセーフだった……?」
ちひろ「そんなスズメ側の教訓は嫌だなあ」
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417
モバP「アイドルたるもの言葉には気を付けないといけない。特に物騒な言葉」
ちひろ「それは本当に。カットとか規制が入ったり最悪削除されますからね」
モバP「”コロコロする”とか”殻す”とか”ころがす”とか”お前をピヨす”なら何とか」
ちひろ「そういう偽装もダメです。というかピヨすって何ですか、音無さんが聞いたら怒りますよ?」
モバP「ツッパリがよく、おめーら調子こいてっとボコすぞピヨすぞって言うような」
ちひろ「格闘ゲームで”ピヨる”は聞きますけどね。何にせよ暴力を連想させるので良くありません」
モバP「まあ、うちのアイドルは基本的に”言葉は優しく心は厳しく”自制が出来る子が多いのが幸いです」
ちひろ「学級スローガンとして教室に貼ってありそうな言葉ですね」
モバP「雪美さん雪美さん」
雪美「……呼んだ……?」ヒョコッ
ちひろ「机の下にいたんですか……まず大人が子どもの前で汚い言葉は控えましょうね」
モバP「御意。……ちなみに雪美さんの教室にはどんなスローガンが貼ってある?」
雪美「……”未来は僕らの手の中”……だったと思う……」
ちひろ「賭博に溺れるなという皮肉かな?」 カングリスギィ!
-
418
モバP「……はぐっ! もぐもぐ……うん、うまいっ」
雪美「P……ワイルド……すてき……」キラキラ
ちひろ「袋から出したバゲットをそのまま齧ってる……みちるちゃんみたいですね」
モバP「お店に一個だけ値引きで売れ残っていたのでつい救済してしまいました」
ちひろ「ついって……あ、話をすればみちるちゃん」
みちる「パンの気配に誘われて……」ジーッ
みちる「……客観的に見ると、人前でバゲット丸かじりって結構恥ずかしいですね……///」
モバP「えっ、何か梯子を外された気分なんですが」
みちる「冗談ですよ。あ、ちょっと待ってくださいね」
スッ タラーリ
みちる「はい、お皿にオリーブオイルを用意しました!」
モバP「お、気が利くねえ」
ちひろ「お皿とオリーブオイルまで持ち歩いているのか……」
-
419
モバP「洋画を見ていてかっこいい! と思った場面」
モバP「寒空の下、防寒具に身を包んだ男がポケットからウイスキーの入ったスキットルを取り出し、くいっと飲む」
モバP「あれは当時子どもだった自分から見ても、すごく美味そうに見えてならなかった」
ちひろ「アウトドアやミリタリーシーンで使いそうな小型水筒ですか。アルコール度数高そう」
雪美「……お酒を……おいしそうに飲む人を……見ているのは……好き……」
モバP「そして美味しいお酒は好きな人にも飲ませたい」
ちひろ「ダメですからね? 雪美ちゃんが飲める歳になるまで待ちましょう」
雪美「……大人になったら……苦手でも……飲めるように……なる……?」
モバP「それは分からない。俺も若い頃はある時を境に体質も精神も一気に大人に変わるものだと思っていた」
モバP「現実はそんなに急には変化しない。だからゆっくり大人になれば良い」
ちひろ「他人より少し遅れたり早かった……ら、お酒はダメですけど、みんな20歳きっかりで実質の大人になれる訳ではないですからね」
楓「25歳児が通りますよー」
モバP「自称するんですか……」
-
楓「スキットルも好きになっとるんですけど……ふふっ」
楓「でもやっぱり徳利も良いですね。最近のは出来が良くてびっくりどっくり!」
雪美「ぷっ……! もう……笑わせないで……」
モバP「徳利……ああっ……! 瓢箪酒も風情がありますねえ。腰に吊るして持ち歩いてみたいものです」
ちひろ「お酒の水筒って独特のロマンがありますよね」
楓「お店で升で飲むのも良いんですけどね♪ 今度、角打ちに行きませんか?」
モバP「良いですね。是非」
楓「やったぜ。……プロデューサーは誘いやすくて助かります」
ちひろ「この人は誘われたら大抵どこにでも付いて行くし、チャレンジしますからねえ」
モバP「まあ、こうは言ってみても自身そんなに酒が好き! という訳ではないんだなこれが」
モバP「……でも、20歳になったら雪美、一緒に飲もうな? ちょっと口を付けるだけでも良い」
モバP「それまで雪美の舌に合いそうな、とっておきのやつを探して見つけておくから」
雪美「……うん。……忘れないように……二人……心に……刻み込んで……」ギュッ
楓「お酒って、一緒に飲んでいるという、雰囲気だけでも特別に良いものですからね」
ちひろ「でも20歳になったら一緒に飲もう、は一番はお父さんに言わせてあげて? と思います」
-
420
モバP「においに敏感な子っているよな。身近なところでは志希」
雪美「うん……。学校にも……いる」
モバP「もっといくと、犬の鼻はとても利くことで有名だ」
雪美「猫は……目が良い……。犬は……ハナが良い……」
ペロ「フニャー」
モバP「ペロは暗くても周りがよく見えるだろうし、良いよな。家では寝る時も雪美と一緒だろう?」
ペロ「……ンゴ」
モバP「んごです。雪美さん、ペロは何を言っているんでしょうか」
ペロ「ミャーミャーミャー」
雪美「……家では……あんな姿や……こんな姿も……見てる……。P……うらやましい……? だって」
モバP「羨ましい! 俺も猫になりたいね」
ちひろ「なれるでしょあなた」
-
モバP「でも鼻の場合、あまり利くとシュールストレミングとか嗅いだら大変なことになりそう」
雪美「……?」
モバP「世界一臭い食べ物と言われている発酵缶詰だ」
雪美「……気絶……しそう……」
モバP「普段から嗅覚があまり優れていると、いろんな臭いを感知出来過ぎて大変なのかもなあ」
雪美「……でも……においは……慣れたら……大丈夫……なことも……ある」
クンクン
雪美「……ん。……今は……すっかり……Pのにおい……好き……」 ニャー
モバP「変わったにおいがしているのかと思うとちょっと複雑」
モバP「猫と犬はよく比較されるが、身体能力もどちらかと言えば猫が瞬発系、犬が持久系になるのかな?」
ちひろ「そうでもないでしょう。ネコ科のチーターはスプリンタータイプと言われたりしますけど」
雪美「……私も……スプリンタータイプ……?」
モバP「雪美は瞬発力も持久力もあって猫であり犬のような所もありまたは鳥のようでもある、通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃みたいな存在だからこれと言いきることは出来ないかな」
ちひろ「智天使ケルビム並のよくばりセット」
-
今日はここまで
炊き込みごはん
-
421
モバP「最近”飛び方を忘れた鳥”というフリー称号を貰った僕です」
ちひろ「ペンギンかな? それともダチョウ?」
雪美「……P……飛べない……の?」
モバP「俺はもう飛べないんだ……純粋さを失ってしまったからな」
雪美「……そんな……Pは……純粋……なのに……」
ちひろ「いい大人が純粋なままというのもそれはそれでどうなのか」
モバP「悲しい顔をしないで。代わりに雪美が飛んでくれていれば良い」
モバP「アイドルたちが空中にある限り、私の負けはない」
ちひろ「イエス、ケストレル」
モバP「ちひろさん、エスコン5とかよく知っていますね」
ちひろ「私は04の黄色中隊が好きです」
モバP「とりあえず、飛行機で例えるならパイロットがいないと空は飛べない。そういう意味では俺は飛行機の方かもしれない」
雪美「なら……私が……Pの……パイロットに……なる」 オッ? プロポーズカ?
ちひろ「管制官は誰がやるんですか?」
-
422
モバP「番組ロケで紅葉狩り、良いよなあ」
雪美「お仕事……だから……ね」
モバP「俺も雪美さんと紅葉狩りに行きたいです。でもいろは坂はちょっと苦手です」
雪美「……どうして?」
モバP「あのぐにゃぐにゃ左右に振られる道は、人によっては車酔いしやすいんですよ」
モバP「俺は少年時代にそういう山道で思いっきり車酔いが悪化したことがあって、その時は生きた心地がしなかった」
雪美「……Pも……苦労……している……」ナデナデ
モバP「今は慣れたものだが。……雪美さんは平気なんだ?」
雪美「雪美さんは……平気……です」フンス
モバP「雪美さん強い子。……でも、○○狩りって何かを採りに行くイメージだよな。潮干狩りやキノコ狩り」
モバP「そこに紅葉狩りに行こうと言われたら、紅葉食うのか? って思わないか?」
雪美「……少し……。でも……もみじまんじゅう……」
モバP「食べる紅葉もあるにはあるな。桜狩りなら桜もち。蛍狩りならほた……いやそれはないか」
ちひろ「狩り、には採集だけでなく観賞の意味もあるようですね」
-
423
モバP「佐城雪美さんは、今好きな人とかはいますか?」
雪美「……気になる人は……いる……」
モバP「おっ、これはスクープです!」
ちひろ「取材やトークでアイドルがそういう存在をほのめかすのは、あまり好意的な反応にはならないことが多いですね」
モバP「唐突に聞かれるとついうっかり口が滑って本音が出る、なんてこともありますね。雪美くらいの歳なら微笑ましいですが」
モバP「……それで、その気になる人って、どんな人?」
雪美「……大きくて……優しくて……いつも楽しそうに……している……」ジッ
モバP「……? あらやだ、目が合ったわ。もしかして彼女私に気があるのかしら」
雪美「……どうかな……?」
モバP・雪美「……ふふふっ」
ちひろ「白々しい。年少でも大人・年上が好きと言い出すと、イメージ的には何か危ない感じがしてきます」
モバP「同級生の子が好き、とかなら受け入れられそうですが、そんな場合、自分は間違いなくその男の子に嫉妬します」
ちひろ「大人気ないぞ」
-
モバP「でも普段からこうして練習していれば、いざ好きな人は? と聞かれても上手く躱せるはず」
ちひろ「どうでしょうねえ」
雪美「……Pは……大丈夫……?」
ちひろ「大丈夫。プロデューサーさんには記者から質問なんてそう無いでしょうし」
モバP「応対することもありますがね。それにこう見えてもあたくし口が堅いですよ?」
モバP「外部の人間からは”岩のモバP”と呼ばれ一目置かれています」
ちひろ「個性派刑事の異名かな? 自分で言うな」
雪美「……ん、大丈夫そう……。目を見れば……分かる……」
モバP「雪美さんは話が分かるなあ」
ちひろ「しかし今の時代はSNSで失言多言で炎上というパターンもありますから要注意ですね」
モバP「自分は普段、自己発信はオフラインですから安心です。ブログより日記帳です」
雪美「……でも……アイドルは……えつらん自由……」
ちひろ「そういえばプロデューサーさんの活動日記って、校内通信みたいに事務所内の掲示板に張り出してありますよね」
モバP「読みたい人がいるようなので、印刷して貼ってみたら好評でした」
ちひろ「……この事務所どうなってるんだろう」
-
424
モバP「乃々はどうしていつも目線が泳いでしまうのでしょう」
乃々「うう……」
モバP「そこで私ね、一つ仮説を思いついたんですよ」
雪美「……?」
モバP「……顔って、怖くないですか?」
乃々「えっ……?」
モバP「壁のシミや模様、果てはテレビの提供クレジットなんて、じっと見ると人の顔のように見えたりする」
モバP「それがこっちを監視するように見ている。目が合う……きゃー怖い!」
ちひろ「シミュラクラ現象的な何か?」
モバP「そういうトラウマが深層にあって、相手の顔を真正面から見るのに抵抗感を覚えるのなら、俺も分かる気がする」
乃々「もりくぼは、別に顔恐怖症というわけではない……と思います……」
モバ「違うか……。じゃあこちらからこうして乃々の顔を覗き込むのは問題なさそうだな」 チカインデスケド!?
雪美「……私は……顔より……カメラ目線の方が……慣れない……」 イロイロアルナ
-
425
モバP「今日のステージ、大成功だったな!」
雪美「うん……♪」
モバP「雪美の表情も以前の落ち着いた控えめなそれより、自然体の笑顔が増えたな」
雪美「……変じゃ……ない……?」
モバP「ああ。少し陰のある雰囲気の雪美も良いが、今はとてもアイドルしていると思うぞ」
雪美「……良かった……。アイドル……楽しい……」パアッ
ちひろ「ユキミチャンカワイイヤッター」
モバP「あ、その言葉最近バズっていますよね」
ちひろ「いえ別に。というかバズるってまた今時の言葉を使いますねえ」
モバP「今時入った子たちから教わるんですよね。あきらとか、凪とか、りあむとか」
モバP「新人組では意外にも一番背丈が小さいりあむも、まだちょこちょこやらかしはしますが、少しずつアイドルの顔になってきた気がします」
雪美「……そして……Pの手によって……女の子の……顔にも……」
ちひろ「オトすなオトすな」
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426
モバP「ドレスにちょっとしたボレロを合わせるととても気品が出るのが雪美さん」
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美さんはいろんな格好をじっくりと見せてくれるから……良いよね!」
雪美「……見てほしい……から」
モバP「そんなことを言われたら穴が開くほど見てしまうぞ」
雪美「……穴は……開けないで……?」
モバP「はっはっは、本当に穴が開いてしまったらどうしよう」
ちひろ「オプティックブラストでも出すんですかね」
雪美「……Pは……サイクロップス……だった……?」
モバP「どちらかと言うとウルヴァリンになるのを夢見ていたなあ。また一緒に見ようなX-MEN」 ウン
ちひろ「雪美ちゃんを英才教育するのも程々にしておいてくださいよ? 親御さんびっくりしますから」
モバP「分かりましたー(空返事)。……しかし、もう立冬で暦だけで言うなら冬の始まりだ。やはり上着は無いとな」
雪美「……無い時は……Pの上着……かけてくれても……いい」ヌギヌギ
モバP「俺を試しているのか、雪美? ……でもかけちゃう」パサッ
-
427
紗南「しすたーかわいいよしすたー」ピコピコ
モバP「どうした? クラリスさんがそんなに気になるのか?」
紗南「違うよ。スラもり2のしすたー」コレ
モバP「ああ……一見スライムがシスターの頭巾を被っているだけなのに侮れないキャラよ」
紗南「でしょ? 愛で性能を超えて、出撃メンバーにずっと入れておきたいくらいだね」
バシーン ナニスルスラー
モバP「しかし全体的に伸びたり弾んだりしてぷるぷるどころかゴムゴムしいな。こういう玩具あるよな」
――
雪美「……」ピョコ
紗南「よーし、勇車バトルだ。ここのスライバ戦のBGM好きなんだよねー」
モバP「王者はどちらだ、だっけな? ライバルとの対決はアツいよな」
雪美「……私も……小さくなって……Pの中から……大砲とか……うってみたい……」キラキラ
モバP「カポネ・ベッジかな? でもそんなことできたら面白そうだなあ」
-
今日はここまで
今日という今日は
-
428
モバP「お仕事する時に後ろをまとめ髪にする雪美さん良いですよねえ」
モバP「上げたり下ろしたりメリハリを付けていると、何だかとても大人に感じてしまいます」
ちひろ「私は特に見ないんですけど、幻視ですか?」
雪美「……一人で……まとめるのは……難しい……」
モバP「窓の向こうに映る少し未来を見ていました。スーツを着て働く雪美さん……麗しい」
ちひろ「ちょっとこのポンコツ叩いてみても良いですかね」ハー
雪美「げんこつ……ダメ……。……私が……やる……」
雪美「……P……かむばっく……」コツ コツ
モバP「おれは しょうきに もどった!」
ちひろ「本当かなあ」
モバP「……雪美さんのノックって絶妙な加減がされていて本当に心地良いですよね。ずっと叩いてほしいくらい」
雪美「……調子に……乗らないっ」ピョン ドスンッ ウッ
ちひろ「しかし膝には乗る」
-
429
モバP「アイドルたちの綺麗な髪を見ていたら、髪の毛は大事にしないといけないって思うなあ」
雪美「……どうしたの……? 将来が……不安……?」
ちひろ「プロデューサーという人たちの頭は危険に晒されやすいですからね」
モバP「何でや! まだあるし! フッサフサやし!」
ちひろ「必死に言い返すほど何か危ないフラグが立っていくような……」
雪美「私は……Pが……どんな頭でも……付いて行く……」
モバP「潔く丸刈りにしたろか」
モバP「でも、歳をとるとボリュームが減る。特に髪を洗った後が……って親が言ってました」
雪美「……今度……シャンプーブラシで……洗ってあげる……」
モバP「ああ、形は剣山みたいなやつだな。あれは好きだ。是非頼む」 ケンザンイウナ
モバP「話は飛躍して、落ちた髪の毛から情報採取してその時点の記憶まで再生してクローンとか作れないものかなとたまに思います」
雪美「一年前に……抜けたかみなら……一年前の……私が……生まれる……?」
ちひろ「髪からクローンって何か孫悟空が分身作るやつを思い出しますね」
-
430
モバP『この度はウチの財前と城ヶ崎を使って頂きありがとうございます』
モバP『メロンです』コトッ
モバP『請求書です』ピラッ
『……さ、346万円だって!?』
亜子「――Pちゃんってそんな風にお偉いさんの所に出没してお金貰ってるって本当なん?」
モバP「んな訳ないでしょ。名医紹介所でもブラックジャックでもないです」
モバP「万が一にもそんなことをしていたらちひろさんに背後から撃たれる」
亜子「大袈裟言ってー、ほんまに撃たれたことないやろ?」
モバP「はっはっは」
亜子「いや、そこは否定しや」
モバP「……」
亜子「あっ、ごめん……そこまで沈痛な顔をされるとは思わんかった」
ちひろ「撃つか!」
-
亜子「でもPちゃん、サラリーは結構貰ってるでしょ?」
モバP「……まあね。ただこれはさすがに身内にもおいそれと公表出来るものではない」
亜子「えー、聞かして聞かして? アタシだけ! 誰にも言わないからっ♪」
モバP「ダメだ。こういうのは隠し通すのが賢い生き方だ。宝くじの高額当選者のようにな! 当選したことないが」
亜子「ぶー」
雪美「……」テクテク
亜子「あっ、雪美ちゃん!」
雪美「……?」
亜子「ふふふ、雪美ちゃんは案外知っていたりしてな? ねえねえ、聞きたいことあるんやけど!」
カクカクシカジカシカクイニカク
雪美「……私も……知らない」
亜子「えー」
モバP「残念だったな、誰にも教えていないんだ。というか知ってどうするそんなもの」 ソラアレヨ ナンダヨ
ちひろ「私は知っていますよ?」 エッ!?
-
431
モバP「唯って赤いリボンでポニーテールにしてもイケてるよな」
唯「えへへっ、ありがとー♪ 確かにこれは、けっこーイケてるね!」
モバP「奏もちょっと粗雑で腕っぷし強いキャラでも意外とマッチする」
奏「そう? でも演技には自信あるし、幅広くこなせるようにはなりたいわね」
ちひろ「アイドルたちでリバーシティガールズでもやる気ですか」
モバP「良いなと思ったらすかさず取り入れて試してみたくなるものです。インスピレーション!」
雪美「……Pは……コーディネート……考えだすと……止まらない……タイプ……ね」
モバP「おっ、雪美……お前――」ジーッ
雪美「……なに……?」
モバP「眉上ぱっつんにしたら似合うかもしれんな」
唯「先駆者の泰葉ちゃん仁奈ちゃんがいるじゃん? 個性は出ると思うけどさー」
奏「ロングの眉上ぱっつんは純朴で愛され系なイメージがあるわ。制服とか合いそうじゃない?」
ちひろ「……吊りスカ? ブレザー? セーラー? スカートは長め? 短め?」モンモン
モバP「何かちひろさんが壊れかけていませんかね?」
-
432
モバP「ぶるるる……今日は冷えるなあ」
雪美「冬は……これから……」
モバP「慣れると和らぐが、慣れていない内の寒さ直撃は応える」
法子「こんな日はドーナツでも食べない?」
モバP「寒い日にぴったりのドーナツか……できたてを買うとか?」
法子「それも良いんだけど、あたしはただ何となくドーナツが食べたいのだ」
雪美「……文学的な……セリフ……」
モバP「……まあ、あったかいものでなくても冷えた気分をアゲるには甘い物だな」
法子「そういうことっ!」
雪美「でも……このあたりに……ドーナツの……お店……ある……?」キョロキョロ
モバP「アップルパイのお店ならあるんだが、この前食べたしなあ」
モバP「コンビニドーナツは個性があって良いが、スーパーのドーナツとかはどんな?」
法子「最近はご無沙汰かな。ここは敢えて行ってみますか!」
-
――
モバP「マンハッタンにケーキドーナツ、ヤングドーナツと割とあるもんだな」
法子「リョーユー、ヤマザキ、ミヤタの定番商品だね。とりあえず買って帰って来ちゃった」
モバP「ヤングドーナツ……良いよなあ。貧乏なころは時々お世話になった」
雪美「……小さくて……食べやすい……」モクモク
モバP「小さいのに食感が良いよな。一口で食べてしまうと勿体無いくらいだ」
法子「蜂蜜が入っているのがポイントだね。ハニードーナツはもうこのサイズって感じがあるよねっ♪」モクモク
モバP「冷やすと甘さって鈍るものだが、これは冷蔵庫で冷やすとチョコっぽく甘さが凝縮される感じがするんだよな」
法子「変わったことするね? プロデューサーも割とドーナツにこだわりがある?」
モバP「どうかな? こういうのは気になると一通り試し食べをしてみたくなるんだよ」
雪美「……ドーナツ屋さんの……ドーナツも……行くたびに……別のを、買う……、それがP……」
モバP「でもまあ美味しいから週一くらいでなら同じものばかり食べたとしても多分飽きないと思う」
法子「お気に入りはね! でも週一はまだまだ愛が足りないよー」
雪美「…………あれ……? マンハッタンと……ケーキドーナツに……ついては……?」
鈴帆「九州でしか見らんやったマンハッタンがなしてこげんとこに!?」
-
433
モバP「雪美ぃ〜……えへへへへ」ポワーッ
雪美「P……ふふ……ふふふふっ」ポワーッ
ちひろ「私の知る佐城雪美ちゃんはこんな子じゃなかったような……」
モバP「人は変わりゆくものです。男子三日会わざれば刮目して見よ、ですよ」
ちひろ「女子だろ」
雪美「……女子です……。男子同士……だったら……それは……」 エヅラガアブナイ
ちひろ「はぁ……お二人って喧嘩とかしそうにないくらい仲良しですねえほんと」
モバP「しますよ?」
雪美「する……」
ちひろ「するんですか?」
モバP「人間ですもの。全く衝突しないというのはあり得ません」
雪美「けんかするほど……仲良しに……なる……」
ちひろ「しないとそれも割り切って冷めた感じには見えるでしょうけど、喧嘩する風には見えませんね」
-
モバP「この前もちょっとお互いに相手のどこが好きかで山手線ゲームをやっていたら」
ちひろ「はいゲロ甘」
モバP「あ、違った。これはただの自慢です」
ちひろ「しばいたろか」
モバP「本当は、眠そうな雪美のために本を読んであげていた時に、ついイタズラ心で」
ちひろ「……セクハラとかしていませんよね?」
モバP「いえ、ちょっとオーバーな声芸を入れて不真面目に朗読を」
雪美「……笑って……目が、覚めた……」
モバP「睡眠阻害されて機嫌が悪い雪美にポカポカ叩かれました」
モバP「むすっとふくれた顔もそそるなあ、とか思いながらもごめんなさいですね」
雪美「……見事……成敗した」ブイ
モバP「まあ本気の喧嘩と言うには程遠いかもですね。俺も雪美も、相手を傷つけることに臆病ですので」
ちひろ「糖分マシマシなのは理解できました。何だこれ」
雪美「ちひろさんは……Pと……けんか……しないの……?」
ちひろ「もうそういう関係は通り越していますから」ニコ
-
434
モバP「さあ、今日も真面目に仕事していきましょう」キリッ
雪美「……行ってきます」キラキラ
ちひろ「いつになくやる気がありますね。何分持つか分かったものじゃないですけど」
――
モバP「……次はこの書類か……」カチャカチャ
雪美「……はっ……はっ……」 ←レッスン中
――
モバP「――そこにウチのアイドルを是非使っていただけませんか?(営業)」
雪美「……」ニコ イイエガオダヨーユキミチャン! パシャパシャ
――
モバP「……今日も一日お疲れ様、雪美。そしてちひろさんにも感謝です。ドリンクまで頂いて……ありがとうございます」ビシッ
ちひろ「お、おう……。何か今日はずっと真面目でしたね。一年に数回ある躁気味の日とかじゃないですよね?」
モバP・雪美「……?」
ちひろ「え、何かオチは無いんですか?」
-
435
モバP「ああ、バウムクーヘンが食べたいなあ」
ちひろ「プロデューサーさんは最近法子ちゃんに付き合っていろいろドーナツを食べているそうですね?」
モバP「はい。さすがドナドル、知識も豊富で」
ちひろ「ドナルドみたいに略すな。……バウムクーヘンもそういえばドーナツ型ですね」
モバP「あの形、見ているだけで北欧情緒を感じます。シフォンケーキとかも」
ちひろ「まあ、端を切り落としてより綺麗に見せるんですけどね」
雪美「バウムクーヘン……他のお菓子より……少し……高め……」
モバP「作っている所を見学に行けば分かるが、あれは手間がかかるからな」
ちひろ「基本材料は卵・小麦粉・砂糖・バターなどお菓子にありがちな物ですからね」
モバP「その生地を棒に付け、回しながら焼いてまた付けてを繰り返して大きくしていくんだよ」
ちひろ「それで独特の木の年輪のような層ができるんですね」
雪美「……二人とも……くわしい……。そんなに……好きなの……ね」
ちひろ「いえいえ。でも、プロデューサーさんが変なことを言うから私まで食べたくなったじゃないですか」
モバP「……買いに行こうか雪美。と、堂々とサボりの口実にしてみる」 ダメデス
-
今日はここまで
それが最後でも
-
乙
アイドルたちの綺麗な髪いいよね……モバだとユッキが、よそだと琴葉やいおりんが好き(隙自語)
-
436
プロデューサーマタネー タッシャデナ ヨフカシシタラダメダヨー? シュクダイハシタノ?
モバP「おかしいな、俺君たちより年上のはずだよね? ……あったかくして寝ろよー」
パタン
雪美「……P……みんなと……仲良し……」
モバP「それなりに長い道のりがあってどうにかな。俺の第一印象が良かったと言う子は少ないと思う」
雪美「……前は……もっと……真面目……だった……の?」
モバP「雪美が今見たら驚くくらいは真面目だったと思うぞ」
雪美「そう……。でも……今でも……たまに……真面目なのは……好き……」
モバP「たまにはね。ただ一般的に、真面目もプラスに働けば良いんだが真面目の皮を被った単なる無気力とかだと大変だしな」
雪美「……Pは……そんなこと……ない……」ニコ
モバP「自信を持って言うんだな? まあ確かに雪美さんをお迎えしてから無気力になる暇が無いからな。いい女やでほんま」
雪美「……ばか」
ちひろ「まだ初々しかった頃のプロデューサーさんが懐かしいなあ」
-
437
モバP「ただいまー」
雪美「お帰りなさいませ……御屋形様……」
モバP「」
雪美「……? 御屋形様……?」
モバP「ふぅ……御屋形様は反則じゃ雪美姫」
モバP「旅館の仲居さんのような和装に負けていない立派な姿だ。何でも頼りたくなってしまう」
雪美「……うれしい」キラキラ
モバP「この前は洋装、いわゆるメイド服の雪美さんもグッドだったな」
モバP「あの日のようにたどたどしくご主人様、なんて呼ばれて側に控えられた日には平常心でいることなぞ不可能」
雪美「……あなたのために……着たから……少しくらい……さわっても……いい……」
モバP「良いのか〜? 少しじゃ済まないぞ? しばらくは抜け出せないくらい抱き締めるぞ?」
雪美「……かまわない。……して」(つ゜-゜)つ
ちひろ「プロデューサーさんが感激で悶え転がっていますね」 ウワアアアア!
-
438
雪美『赤い……目玉の……さそり……』
こずえ『ひろげたわしのつばさー』
雪美『青い……目玉の……子犬……』
こずえ『ひかりのへびのとぐろー』
雪美・こずえ『おりおんはたかくうたい……つゆとしもとをおとす……』
♪♪♪――
モバP「……浄化されますね」
ちひろ「浄化されます」
千秋「一理あるわ」
アヤ「不覚にも涙が」
モバP「星めぐりの歌って何かロマンチックで切なくて童心を思い出させる感じがします」
ちひろ「少年少女合唱団のあどけなくも純粋な歌声を聞くとああ……ってなるのを思い出しました」
モバP「中学生以降や大人の綺麗なコーラスもうっとり聞き惚れるんですが、これは一回りして神秘的ですよね」
-
ちひろ「それにしてもこうしてテレビで歌っている姿を見ると、二人とも高みに行った感じがします」
モバP「普段は身近なのにどこか遠い存在に見えてくるんですね」
千秋「そう? 離れていても繋がっていると思うの。それに、画面越しでも癒されるわ」
アヤ「ま、信頼していても、つい心配になって様子を見たくなるんだよなあ(保護者)」
モバP「一応、お守りとか渡していたりするんだがな」コレデス
ちひろ「フェルトに綿を詰めて作った、パネル状のPマークお守りですか。ボンバーマン4のプッシュみたい」
モバP「あとはこの黄色い三角形を配って、雪美が勇気、こずえが知恵、自分が力を受け持つという形で結束を高めたり」ハイ
ちひろ「三つを揃えると願い事が叶うトライフォースかな?」
アヤ「良いな……シンプルだけど、そういうのもさ」
千秋「……貴方、マスコットの佐城さんを作ったりは出来ないの?」
モバP「一度作ってみたいが、実在人物のマスコットを本人にお守りとして渡すというのは何だし」
モバP「かと言って俺が勝手に個人的に愛でる用に作るのもな」
モバP「あ、だったら雪美とこずえのフェルトマスコット、千秋とアヤに作れば良いのか」
千秋・アヤ「……良いの?」キラキラ
ちひろ「手先が小器用……家庭的な人だなあ」
-
439
モバP「世の中にはいろいろなりんごがあると思いませんか、りんこさん」
あかり「りんこさん違うんご! ”り”しか合ってないです!」
モバP「おっと、りんごに気を取られて……あかりちゃんで間違いないな?」
あかり「もー、からかわないでくださいよ? あかりんごですけどあかりはあかりですっ」
モバP「で、名字は紲星でしたっけ?」
あかり「ち・が・い・ま・すぅー! 誰がご飯をいっぱい食べるボイスロイドですか!」
モバP「でもさ、下の名前が分からない芸人とかはよくいるが、上の名字が分からないアイドルって新しくない?」
あかり「失礼だなあ! それはプロデューサーさんだけかと思うんご」
モバP「君もウチでは入って日が浅いとはいえ、他の子のフルネームを度忘れすることが無いとは言えめえ」
あかり「それはまあ……」
モバP「という訳で、えっと……辻野くん」
あかり「思い出してもらえたんご!」
モバP「そうそう辻野だ。辻野らいと」
あかり「せっかく上を思い出したのに下がもう跡形もなくなってるじゃないですか!?」
-
モバP・あかり「うぇ〜い」 パシン
ちひろ「うぇ〜いじゃないです」
雪美「私も……」
モバP・あかり・雪美「うぇ〜い」 パシッ
モバP「それにしても秋だねえ。世の中にはいろいろなりんごがあると特に思わされるのがこの季節だ」
あかり「紅玉をよく見かけますね。そのまま食べても良いですけどアップルパイに最適!」
モバP「紅玉をそのまま食べる人はなかなか物好きな感じがするが、とにかく酸味特化型だな」
あかり「逆に甘さ特化は赤りんごではなく青りんごの王林です。辻野あおりんご!」
モバP「煽るな。そうね……香りも良いし、TIMEも増えるしな」
ちひろ「TIMEが増えるのはマリオワールドだけだぞ」
モバP「他にもふじやらジョナやら秋映やら、チャートを見るのが楽しい物の一つだな」
あかり「秋映の黒にすら近い深い赤色はドキッとしますね〜」
雪美「二人とも……りんご……好き……ね」
雪美「でも、P……たまには……イチゴの話も……しよう……?」 イチゴンゴ! ナンジャソリャ
-
440
モバP「ああ、また外れか」
雪美「P……どうしたの……? SR……当たらなかったの……?」
モバP「いや、ガチャを回したりしている訳じゃないからな。というか雪美でもそういうことは知っているのか」
雪美「うん……。でも……私は……Pと……直接……遊ぶ方が……楽しいから……しない……」
モバP「まあ射幸心課金商売に付き合うよりは昔ながらの遊びの方が心も楽か」
ちひろ「身も蓋も無いことを」
モバP「で、これはチョコボールだよ。エンゼルが居なかった」
雪美「……! 銀なら五枚……金なら一枚で……缶詰が……当たる……?」
モバP「そうそう。おもちゃのカンヅメだな。以前知り合いに中身を見せてもらったことがある」
雪美「……中身は……?」
モバP「言って良いのかな? まあちょくちょく企画が変わっているだろうから、良いか」
モバP「普通に玩具の小物が何個か入っているものや、全体がオルゴールになっているものとかがあったな」
雪美「……」ホー
-
モバP「で、俺も欲しいなと思って店で見かける都度、チョコボールを買っているんだが」
モバP「俺の前に幸せのエンゼルは訪れてくれないのだ」
ちひろ「アイドルの中には当てた人や当てるのが上手い人はいそうですね」
モバP「でもやっぱり自力で当てたいじゃないですか」
雪美「……エンゼル」
モバP「エンゼル……そろそろ来てくれても良いのになあ」
雪美「……P……私が……いるじゃない……!」
モバP「雪美……!」
雪美「…………///」
ちひろ「何となく言ってみたら恥ずかしくなったパターン」
モバP「でも、そうだな。俺の幸せのエンゼルは、いつも側にいる雪美だったのかもな」
雪美「……P……」
モバP「エンゼル雪美……やっと見つけたぞ!」ガバッ
雪美「……///」
ちひろ「はいはい茶番」
-
モバP「そういえば、エンゼルって大体は裸なんだよな……」
雪美「……」
モバP「……」
ちひろ「……」
モバP「雪美、チョコボール食べる? いちご味」
雪美「うん……!」
ちひろ「何だ今の間は……私にもください」
モバP「どうぞ。……にしても、金一枚と銀五枚が同価値な訳だが、もう少し出やすい銅のエンゼルも欲しい」
ちひろ「金と微妙に判別し辛い上に20枚くらい集めさせられそう」
雪美「……銀行の……両替……みたい」
モバP「銀行は何故金行では無いのかというと、日本で制度が出来た当時銀本位制だったからとか言いますね」
ちひろ「突然の謎知識」
モバP「あと、金行だと禁后みたいで嫌だと思う人はいるかもしれない」
ちひろ「何故そこにオカルト」
雪美「……銅があるなら……プラチナの……エンゼルも……」 フエルナァ
-
441
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー」
雪美「おおー……」パチパチパチ
ちひろ「シリーズやめろ。雪美ちゃんも拍手しないの」
モバP「さて、今回取り上げるのは”踊り子の服”」
雪美「……ダンス衣装……?」
ちひろ「……範囲広いですけど、まあそう名の付く特定物は大体はいけない気はしますね」
モバP「ドラゴンクエスト4のマーニャの格好をイメージしたら分かりやすいでしょう」ハイガゾウ
ちひろ「シリーズでデザイン変わっていきますけど特に露出度高くていけないやつですそれは」
雪美「……スタイル……かっこいい」
モバP「褐色でより妖艶に見えますね。でもこれで防御力は高いし装備買い替え時の下取り額も高いという」
ちひろ「下手な防具より強いとか不思議ですねえ。高値で売れるのは……うん」
モバP「これを、経験として一度は着てみたい! と興味をお持ちだったりはしませんか雪美さん」
雪美「……今の私には……似合わない……」フルフル
モバP「それは残念です。……次回に続く」 ツヅクナ
-
442
モバP「ああ……諸行無常な気分だ」
雪美「……どうしたの……?」
モバP「さっき車で通った所にさ、以前は松林の私有地があったんだが、もう無くなっていたんだ」
雪美「松の……林……?」
モバP「ああ。日本の三大松原とかと違ってそんなに広い面積ではないが、気になる場所だった」
モバP「ここでかくれんぼとかしたら面白いだろうなって十数年前の自分は思っていた」
雪美「……自分が……どこにいるか……迷いそう……」
モバP「今の日本で、松林や竹林で軽く迷う感覚を味わえるって結構すばらじゃありません?」
雪美「……そう……?」
モバP「360度見回しても松林、でも鬱蒼とした内陸の樹海と違う整然とした木々の間隔」
モバP「細長く伸びた幹に、先の針のような葉。そこから差し込む光の明るさ加減は幽玄の世界」
モバP「ちょっと進めば抜けられそうな所でも、敢えて腰を掛けて途方に暮れてみたいというかね」
雪美「……そんなこと……していると……妖怪に……会いそう……」
ちひろ「……ちょい迷いたい系男子ですか」
-
今日はここまで
いつも何度でも
-
443
モバP「はぁ〜あ……」ナデナデ
雪美「……」ムフー
モバP「雪美さんってほんと……ほんともう何て言うか……言葉では言い表しきれない存在」
雪美「……そんなに……?」
モバP「そんなにだよ。一億人から君を見つけ出したみたいな幸運」
ちひろ「こなぁぁぁゆきぃぃぃ」
雪美「……でも……私は……成長して……しまう」
雪美「……心も……体も……変わっていく……」
モバP「大人は、テレビで見る子役が成長してしまった時に複雑な感情を抱いたりするね」
雪美「……Pも……そうなる……?」
モバP「かもな。でも、人間であれば大人だって同じ一年で一歳のペースで歳を取るんだ」
モバP「その上で、本質はきっと、ずっと変わらないさ。大きくなっても、例え生意気になったとしても」
雪美「……なら、良い……。それに……もし変わるなら……Pも……私が……変える」
ちひろ「プロデューサーさんは人間かは怪しいところですけど」 ソレヲイワナイデ
-
444
モバP「……」ジーッ
ペロ「……」ジーッ
モバP「……ペロ」
モバP「……あんた、お顔をよう見たら、べっぴんさんやなあ」
ペロ「……」
モバP「……」
ペロ「……」スッ
パシッ!
モバP「ふぉっ!? う……目にも留まらぬ一発を貰ってしまった。何でや!」
ペロ「ふんぎゃーす」
雪美「Pが……変なことを……言うからだ……って」
モバP「お厳しい。心当たりは多いがな」 パシッ イテッ
ちひろ「ツッコミの猫パンチは猫好きにはある意味ご褒美です」
-
445
モバP「雪美よ、ちょっとした質問をさせてくれ」
雪美「……分かった……。……どうぞ……?」
モバP「雪美は今から一人で旅に出なくてはいけません」
雪美「……一人は……苦手……」
モバP「そこで知り合いの博士に、火属性のトカゲ、水属性のカメ、草属性のカエル」
モバP「このどれか一匹をお供に付けてあげるから選べと言われました」
ちひろ「ポケモン初代……というかフシギダネってモチーフはカエルだったんですか」
モバP「さあ、どれを選ぶ?」
ポク ポク ポク チーン
雪美「……カメ……?」
モバP「ほほう。何故そう思った?」
雪美「……長生き……しそう……と思ったから……」
ちひろ「結構現実的な理由だった」
-
雪美「……電気属性の……ネズミ……は……? ……それか……イーブイ」
ちひろ「イーブイ言っちゃったよ」
モバP「まあまあ。でも偶然にも俺と一緒だな。俺もカメを連れて行く」
モバP「ゲームだとトカゲは序盤が厳しく、カエルだと逆に易しくなる。だからその中間にする」
雪美「……」
モバP「真ん中を選べる人というのは実は強いんだ」
ちひろ「雪美ちゃんにそんな意図は無かったと思いますけどね?」
雪美「……」コク
モバP「……まあ、だから? と言われればそれまでだが、何となく聞いてみたくなったんだよ」
ちひろ「でも、三竦みで一点物の御三家を最初に選択するシステムって良いですよね」
モバP「いきなり運命の選択をさせられるという容赦のなさ」
モバP「それと人間キャラのデザインですね。歴代女主人公とか服装がジュニアモデルみたいで衣装の参考になります」
雪美「……良い意味で……日本っぽくない……感じ」
ちひろ「あ、ちなみに私もゼニガメ派です。アイテム増殖するんで何でも良いですけどね」 オイオイ
-
446
モバP「美人を現す四字熟語ってありますよね。羞花閉月」
ちひろ「なかなかマイナーな所を持ち出しますね。閉月羞花と言うのもありますし」
雪美「四字熟語……あまりよく……知らない……」
ちひろ「容姿端麗とか美人薄命とか……傾国美人、とか」
モバP「僕も妲己みたいな美人に破滅させられたいなー」
ちひろ「冗談はPヘッドだけにしといてくださいよ?」
モバP「とにかくいろいろありますね。でも、羞花閉月って何だか卍解っぽくありません?」
ちひろ「天鎖斬月や鏡花水月かな?」
モバP「他にも一部の四字熟語って斬魄刀に出来そう……出来そうじゃない?」
雪美「……例えば……?」
モバP「覚醒(おこ)せ、夙夜夢寐」
ちひろ「解号まで考えるんですか」
雪美「難しい漢字……使うところが……オサレ……」
-
モバP「で、羞花閉月だったら美人過ぎて眩しい的な能力になるんでしょうかね?」
モバP「暇があればアイドルたちの斬魄刀を一本一本考えたりしてみたいものです」
ちひろ「蘭子ちゃんや乃々ちゃんでもノートにそんな厨二構想は書いてないと思うなあ」
雪美「……アイデア……ポエム……、思いは……人それぞれ……」
モバP「それにしても、花も恥じらう乙女・美人、良いですよね。雪美さんのような」
雪美「……普通に……そういうこと……言う……///」
ちひろ「何でも雪美ちゃんですねえ」
モバP「まあアイドルの子たち全般に乙女は多いと思います」
ちひろ「私も乙女ですよ?」
モバP「えっ?」
ちひろ「いえ、やっぱり何でもないです」
モバP「失礼しました。いえ、ちひろさんが乙女なのを疑うつもりは無くですね……」
モバP「でも乙女と言うよりは、観世音菩薩みたいというのが先に来ます」
ちひろ「何ですかその参照先を間違ったような言葉の豹変は」
雪美「……ナチュラル……パワーワード……」
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447
雪美「P……っ!」バタンッ!
モバP「雪美、心配して来てくれたのか?」
雪美「Pが……交通事故に……あったって……聞いて……!」
モバP「いや、交通事故ってほどではないが……でもやっぱり交通中の事故なのかなあ」
雪美「……何が……あったの……?」
モバP「ちょっとサイクリングをしていたらバードストライクを受けてしまってな」
雪美「……??」
モバP「信じられないかもしれないが運悪く低空飛行しているカラスと衝突したんだよ」
モバP「大した傷ではなかったが転倒したし、こうして一応病院で診てもらったんだ」
雪美「………………うん……良かった……」
モバP「あ、思考停止したな? 驚いたんだぞ? いきなりガツン、だから一瞬銃撃でも受けたのかと思って」
雪美「……」ギューッ
モバP「心配させてすまなかった」
ちひろ「……巷のカラスの標的になっていたりしませんよね?」
-
448
モバP「今日は杏にプレゼントをあげようと思って来ました」
杏「……何かの記念日?」
モバP「いや? 何でもない思いつきの奇襲プレゼント攻勢だ」
杏「まあ、貰える物は貰っておく主義だよ。仕事以外ならね」
モバP「という訳で、お宝オープン!」テレレレレン
雪美「……こちらに……なります」
杏「おっ、これは……カレンダー?」
モバP「それもちょっと立体的でしょう」
雪美「クリスマスまで……カウントダウン……する……アドベント……カレンダー……」
杏「ほう……ちなみに隣の雪美ちゃんもセット?」
モバP「雪美は別売りになります」 コクコク
杏「売ってるんだ……」
-
杏「それにしても、どうしてアドベントカレンダー?」
モバP「日付の引き出しを開けると玩具の小物が入っていたりお菓子が入っていたりするが、これは飴なんすよ」
雪美「……キャンディ……バージョン……!」
杏「へぇ。アドベントカレンダーは知っていたけど、そんなのまであるんだねえ」
モバP「ショップで見かけてこれは直感的に杏の元に行かせるべき代物だと思ったので購入した」
モバP「毎日一つ、開ける度に違う、珍しい飴が入っていて楽しめると思うぞ」
杏「プロデューサーはこういうの好きだね。嬉しいけど」
モバP「欲張って先食いするなよ? 一日一個だからな?」
杏「信用無いなあ。そこまで食い意地張っちゃいないって」
杏「……でも、ありがと。使わせてもらうよ」
モバP「おう。しかし、今日の分が無いな。開けられるのは一日からだし……ということで雪美さんから」
雪美「……はい。……これは……サービス……」
杏「あっ、レモン飴だ……いただきます」 ビリッ パクッ
モバP「……食ったな?」 エ? ナニコワインダケド
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449
モバP「外は雨。こういう日はカラッとしている時より気温は下がらないんだよな」
雪美「……でも……ぬれる……」
モバP「そうだな。それに雲がかかっていると日中でも薄暗くて何となく陰鬱な気分になったりする」
ちひろ「明るさで気分は結構変わりますよね」
モバP「秋の日は釣瓶落としと言いますから、ただでさえ明るい時間が少ないですからね」
雪美「てるてるぼうず……でも……作る……?」
モバP「てるてる坊主はなぁ……何か生贄にしているみたいで可哀想に見えるんだよな」
ちひろ「饅頭なんかは元々本当に人の頭を人身御供で捧げていたそうですね」
雪美「孔明……すき」
ちひろ「よく知っていますねえ。教えたのまたプロデューサーさんですか?」 ウン
モバP「あはは……しかしここ何ヶ月か、週末土日ってほとんど雨や曇りばかりらしいですよね」
ちひろ「ここ数年は週末ばかり狙ったかのように雨が多くていつもガッカリしている気がします。もちろん晴れた日もあるはずなんですけどね」
雪美「私は……Pと……いつもいっしょに……いる気がする……」
ちひろ「それは気がするんじゃなくて実際にいます」 イヤァテレルナァ
-
450
ちひろ「雪美ちゃんって慣れているとしても、プロデューサーさんを怖がらないですよね」
雪美「……こわがる人は……少ない……」
モバP「わざと脅かしたりしない限り、本気で怖がる子はアイドルたちにはいません。多分」
ちひろ「いたら反省してもらわなきゃいけないわけですけど」
ちひろ「でもちょっと頭を空っぽにして見てみれば、プロデューサーさんって大柄ですし」
雪美「……大きくて……頼もしく……見える…………」
モバP「ほら見なさい、怖くないです」
雪美「……でも……Pのこと……知らなければ……こわいかも……」
ちひろ「とのことですよ?」
モバP「そういえば雪美を放課後の学校に迎えに行った時、周囲の子に引かれたなあ」ショボン
雪美「……しょぼくれるの……かわいい……」
ちひろ「私でも大きいなと思うのに、更に低い視点から見たらそびえ立って見えると思いますよ」
モバP「……怖くないですし」
雪美「……分かってる……。Pは……こわくない……」ヨシヨシ
-
今日はここまで
とかく女の好むもの 芝居浄瑠璃芋蛸軟禁
-
乙
巷のカラスの標的で草生えまくった
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451
モバP「さきほど車で送迎をしていたらフェラーリ308GTBを見かけまして」
雪美「青い……フェラーリ……見とれた……」
ちひろ「フェラーリと言うとまず赤ってイメージですから珍しいですね。それも308って結構古いやつですよ」
モバP「リアウィングとか付いていないオーソドックスで慎ましやかなボディが却ってセクシーなんですよねえ」
モバP「雪美もいつか、フェラーリが似合う女に――」
ちひろ「フェラーリが似合う女(リフレイン)」
雪美「……運転は……P……。私は……助手席の……方が……良い……」
モバP「俺にフェラーリは釣り合わないよ。それよりは某冠城くんの乗っているスカイラインセダンのV37あたりが欲しいです」
ちひろ「プロデューサーさんはエルグランドもしくはマイクロバスあたりが似合うと思いますよ?」 バス!?
ちひろ「しかし、フェラーリなんて個人的に所持している人は私の友人でもそんなにいませんね」
雪美「……少しだったら……いるの……?」
ちひろ「まあ四、五人はいます。乗っているのは新しめのやつですけどね。ロータス乗りの方がまだもう少し多いです」
モバP「フェラーリに乗れる友人が片手で数えるほどいるちひろさんって一体……」
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452
モバP「外は寒いですなあ」
ちひろ「よっこいしょと言って物を持ち上げてると老けると言いますけど、同様に寒いのを寒いと言うのも老けそうです」
モバP「まあ言ったからって例えば気候を変えられる訳じゃありませんからね。同調を得るための呟き以外にはなかなかなりません」
雪美「……ふぅ。……ココア……温まる」
モバP「こんな日に飲むホットココアは美味しいだろう?」
雪美「……うん……。ささやかな……幸せ………」
モバP「ココアの入った湯気立つマグカップに口を付ける雪美さん……本日のベストショットだな」
ちひろ「何気ない仕草まで見逃すまいとするその姿勢、とことん雪美ちゃんフリーク、或いは煩悩の域ですね」
モバP「もし自分の目に録画機能が備わっていたら、多分今頃は雪美ファイルだけで保存容量がパンクしている自信があります」
雪美「その目は……もっと……他を、見ることにも……使うべき」
ちひろ「ですって」
モバP「仰る通りではある」
雪美「……でも……なるべく……私の方も……見ていて……?」 アアモチロン!
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453
モバP「雪美にはちょっと早いかもしれない質問」
モバP「好きなだけお金が貰えるならいくらくらい欲しい?」
ちひろ「雪美ちゃんにそれ聞きますか?」
雪美「……みんなが……幸せに……なれるくらい……」
モバP「みんなが幸せになれる金額ってどれくらいだろうな」
雪美「……それは……見当も……つかない」
モバP「俺でも分かりかねるくらいだ。でもその、まず人のためという発想が出てくるのは優しい」ナデナデ
ちひろ「例えば今時のちょっと賢い子が、グラハム数です、なんて言い出したら、私なら可愛げないなーって思いそうです」
雪美「グラハム……? ……クラッカーしか……思いつかない」
モバP「グラハムクラッカーは存在感あるよな。砕いてタルトの台にするとまたこれが美味いんだわ」
ちひろ「おっほん……グラハム数は気の遠くなるどころじゃ済まないほど多い数のことですよ」
モバP「京とか恒河沙とか無量大数くらいでドヤるならまだお茶目なもんです」ナデナデ
雪美「……なですぎ……。……もっとやれ……」
モバP「……秘法ナデナデをあまり安売りしたくはないのだが、手が止まらん……!」ナデナデ
-
モバP「お茶目といえば、5000兆円欲しい! なんて誰が言い出した言葉か……これも結構極端ではある方ですよね」
ちひろ「そんなお金だけが忽然と現れたらとんでもないインフレが起きますね」
モバP「しっかり国立印刷局で刷ってもらったお札でないと、記番号が同じだったりしたら使おうとしても偽造扱いで捕まるという」
ちひろ「ブラックジャックが宇宙人を手術した時のバッドエンドみたいになるんですね」
雪美「……お金のコピー……絶対に、ダメ……。……子ども銀行券で……汗をふくなら……良し」
ちひろ「それは高度な複合技ですね……。子ども銀行券というフレーズは懐かしいです」
ちひろ「……現実的にいくらあれば充分かというと、10億円くらいになるんですかね」
モバP「ちひろさんが言うと説得力がありますね。さすがは現代のルキフグス」
ちひろ「誰が地獄の宰相やねん。私は金の亡者ではありません。良いですね?」
モバP「押忍。……でもちひろさん個人としては10億じゃ足りないでしょう?」
ちひろ「それはもちろん――っておい」
モバP「あ、そういえば一万円あれば日本ではピザ二枚とちょっとしたサイドメニューくらいで終わりですが」
モバP「海外のどこかでは村規模の総出で何日かパーティーができる、というテレビ番組を見て印象に残っています」
雪美「……一万円で……みんなを……幸せに……することも……できるの……ね」
ちひろ「幸せの金額換算は一人一人の受け取り方や使い方で変わるから難しいものです」
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454
モバP「ヨーグルトって物によってプレーンでも味がいろいろ違うんですよねえ」
ちひろ「と、アイドルが出演する教養バラエティ番組を見たばかりで言っております」
雪美「……利きヨーグルト……対決……楽しかった……」
モバP「ヨーグルトを味わう雪美さんは繊細で美しい。思わず見てはいけない神域を覗いたような気になり色めき立ってしまう」
ちひろ「ヨーグルトくらいで大袈裟ですよ」
雪美「……いつもの……こと……」
モバP「雪美は免疫と整腸のビフィズス菌、口臭改善・胃潰瘍予防・整腸のアシドフィルス菌、歯周病口臭予防に整腸のカゼイ菌など、どれが好みかな?」
ちひろ「どれも整腸は入っているんですね。というか乳酸菌等の好みを聞かれてもっていう」
雪美「ビフィズスは……ねっとり……。アシド……フィルスは、さらさらで……すっぱい……」
モバP「その時に食べたヨーグルトだとそんな風だったんだな」
雪美「プレーンで……いつも……食べている人……少し……尊敬、する……」
モバP「確かに。俺は砂糖なりジャムなり入っていないとなあ。食べられない訳じゃないが」
ちひろ「そういえば乳酸菌飲料で甘くないやつは見たことが無いですね」
モバP「人間たるもの、苦いだけなら我慢出来るが酸っぱいだけだと厳しいのだ」 メイゲン…?
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455
モバP「好きな動物ってなかなか一貫しないものだよな。それも一番となると」
雪美「私は……ずっと……猫……」
モバP「猫一筋とは貞淑だなあ。まあこれから変わっていくかもしれない」
雪美「……そう……?」
モバP「俺は雪美に影響されて最近は猫が好きになり、今では頻繁に夢に出て来るようになったくらいだが」
モバP「様々な情報から受ける影響というものはやはり大きい。以前はペンギンが好きだったのに」
雪美「……ペンギン……どうして……?」
モバP「どうしてだろうな。幼い頃にコナミのゲームとかをやっていたからかなあ。愛嬌のあるあのシルエットが気に入ったんだと思う」
モバP「猫は結構スレンダー体型が多いが、俺はどちらかというと丸っこい物に親しみを持っていた」
雪美「……女の子も……丸い方が……?」
モバP「ぽっちゃり系やふくよか系は包容力がありそうなのが強みだな。ただ、いくら丸くても体型には一定のバランスやメリハリも必要だが」
かな子「正直に言って私はセーフですか?」
モバP「何を言うか。セーフだし。まあ、BMIだけなら標準でも体脂肪率とか一見では分からないからなあ」 ウッ
雪美「……少しは……重い方が……張り合い……ある……?」 ユキミハソノママデ
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456
モバP「ちひろさんはゆで卵をどうやって食べます?」
ちひろ「……それはコロンブスの卵的な答えを期待しているんですか?」
モバP「殻を割って食べますドン! ということじゃなくて、どう料理に使うとかどう味付けするかです」
モバP「一時期餃子は焼くより茹でて食べた方が老けない、とかいう情報が話題になったでしょう?」
ちひろ「なりましたね。あまり気にしていませんけど、卵もそうなんでしょうかね」
モバP「それから何となく卵はゆで卵で食べることが増えたような気がするんですよね」
雪美「……はい。……私は……ゆで卵は……塩で……」ノ
モバP「雪美さんは塩派か。俺はマヨネーズの方が多いんだ」
ちひろ「卵オンマヨネーズって炭水化物をおかずに炭水化物を食べるのに似た感じがありませんか?」
モバP「言われてみれば……マヨネーズは主に油とお酢と卵で出来ていますからね」
雪美「卵を……塩にしたら……フレンチ……ドレッシング……。よく……作る……。……油2……対……酢1」
モバP「作り方を把握しているとはさすがよ。この前はマリネ風にアレンジもしていたし、本当料理上手な奥さんや」 …テレル
ちひろ「また自宅で料理部ですか? あ、私はゆで卵はスライスしてサラダ派ですかね」
雪美「卵に……フレンチドレッシング……なら……それも、ある意味……マヨネーズ……?」 アタマイイナ
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457
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー」
雪美「おおー……」パチパチパチ
ちひろ「プロデューサーさんは最近欲求不満か何かなんですか?」
モバP「遠回しに注意喚起を促す意図が大きいと思ってください。芸能界は広く、所によってはクレバスのように底が深い穴も開いている。だから、お仕事でこういうのを頼まれてホイホイ着たらいけませんよという常識を持ってもらえたらと考える次第でありまして」
ちひろ「あいつやましい話になると早口になるな」
ちひろ「それと、あとは雪美ちゃんの興味チェック的な?」 ハイ! ゲンキイイナオイ
雪美「……前置き……長い……。……早く……」
モバP「おうそうだった。という訳で今回は参考資料(絵)をパネルにしてみました。じゃん!」
雪美「……レオタード……」
モバP「はい、ということでけものフレンズのコウテイペンギンです」
ちひろ「さすがに軽々とアウト踏み抜きますね」
雪美「……ペンギンなのに……寒そう……矛盾……」
雪美「……でも……P……ペンギン……好き……だから……着てほしい……?」
モバP「」クラッ アアップロデューサーサン!
-
今日はここまで
夢の世界へ駆け上がれ!
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458
モバP「女の子に体重が増えたことを示唆するのは失礼だ」
モバP「だが抱っこした時などに否が応でもそれが動作に出てしまうことがある」
ちひろ「アイドルを普通に抱っこしているのが実際は普通じゃないんですけどね」
雪美「そんな時……どうする……?」チョコン
モバP「……俺の筋力も落ちたもんだな、と自分を責める」
ちひろ「気を使われたようでショックだと思いますけど」
モバP「じゃあ、”お前さんも成長期なんだなあ”と感慨に浸ってみる」
ちひろ「明らかに太っただけだったらそれ通用しないです」
モバP「なら、”何のコニシキ、余裕過ぎて逆にびっくりしたわ〜”でどうでしょう」
ちひろ「さらっと重みを暗示させるフレーズを混ぜるな」
モバP「ううむ……柔軟で適格なフォローってなかなか難しいものですね」
雪美「……でも……Pに、言われたとしたら……しっかり……受け止める……」
モバP「イッツフレキシブル! そういうの好きよ」
ちひろ「同じストレートな指摘でも日頃の接し方で差が出るんでしょうね」
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459
モバP「やらなきゃいけないことが手につかない……はぁ」
雪美「……なかなか……重症……?」サスサス
モバP「心配してくれてありがとう雪美。……いや、それでありがとうも何かおかしいな」
ちひろ「テスト前に部屋を掃除し始めるような精神状態にでもなっているんですか?」
モバP「心理学でいうセルフハンディキャッピングですね。かもしれません」
モバP「とにかく当初の目的を脱線して、何か違う方向ばかり捗っちゃうんですよ」
ちひろ「なるほど。……人にはそれぞれ適性がありますから、直感の赴くまま進んでみるのも良いんじゃないですか?」
ちひろ「ただ、人と違う道を行くなら何かあっても誰も助けてくれませんから、そこは覚悟すべきです」
モバP「月島雫のお父さんみたいなことを言いますね。……分かっていますよ」
雪美「……Pなら……乗り越えて……くれる……。信じてる……」
モバP「雪美…………雪美の目には説得力があるなあ」
雪美「応援……する……。……がんばれ♡……がんばれ♡……」
モバP「……元気が出てきた。今度こそありがとう、かな?」
ちひろ「でもどこかの伊東さん風応援はダメですよ」
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460
モバP「黒猫を見ると魔女を連想する私って変ですか?」
雪美「……変……かな……?」
モバP「あれ、雪美さんはあまりそんなイメージは無いですか。使い魔とか」
雪美「……私の……イメージだと……トカゲ……カエル……」
雪美「そして……白い……フクロウ……とか」
モバP「白いフクロウは神々しくて憧れるなあ。そんなの従えていたら主人公補正マシマシやん」
モバP「世の茶色いノーマルフクロウと比べるとそれだけでレア度が高そう」
ちひろ「何言ってやがんでい」
雪美「ペロと……私は……使役する……される関係じゃ……ない……」
ペロ「……」
雪美「……そう。……対等な……友人……」
モバP「もはや鳴かずとも分かるのか。俺も種を超えて相手の気持ちを分かるようになりたいな」
モバP「しかしそれっぽい仕事はしたが雪美は魔女の格好も似合うと思う。紺のワンピースに赤いリボンに箒でね」
ちひろ「魔女の宅急便の先入観が多分に入っていませんか?」
-
雪美「……でも……魔女、だと……こわい……感じ……する」
モバP「まあな。魔女狩りなんて物騒な言葉もあるし、魔法使いの方が良いのかな」
ちひろ「私の魔女のイメージは薬草とかキノコと言った植物系の知識豊かな薬学者です」
モバP「森の一軒家に菜園とか作って暮らしていそうで良いですね」
雪美「そんな絵本……読んだこと……ある」
ちひろ「まあトリカブトやジギタリス、ベラドンナとかも育てていて毒にも詳しかったりはしそうですけど」
雪美「薬と……毒は……紙一重……」
モバP「そんな話を聞くだけでも中世西洋のファンタジー的な世界観が頭に浮かんで好奇心をくすぐります」
雪美「……ファンタジーの……舞台……。……行ってみたい……ね」
モバP「ドゥブロヴニクやアマルフィやモン・サン・ミッシェルとかな。写真や動画でも圧倒されるが実際はもっと凄いんだろう」
ちひろ「クロアチアのドゥブロヴニクはともかく後二つはあまり魔女関係なくただのプロデューサーさんの好みですね?」
モバP「はい」
ちひろ「正直でよろしい。私もユングフラウヨッホ、メテオラ、ノイシュヴァンシュタイン城とかは見たいですけども」
雪美「……海側のP……山側のちひろさん……。ペロは……どっち……?」 ニャー?
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461
凛「プロデューサーって、芸能人になれるとしたら誰になりたい、とかいうのはある?」
モバP「沢村一樹かな」
凛「即答……なかなか濃い目が好きなんだね」
モバP「割とね。まあ気分ですよ気分。明日は阿部寛かもしれない」
凛「ふふっ。でも実際に身長あるし、分からなくもないかな。大きい男の人って良いよね」
凛「こうして、どっしり受け止めてもらっている感じ……悪くない」キリッ
モバP「膝の上でポーズを取ってみる子はよくいるが、凛も意外と姿勢がダイナミックだよね」
凛「……悪い?」
モバP「いんや? でも、ここは普通に大人しく座ってみるというのはどうかなと」
凛「……普通にしていたら何か赤面しそうだからやめとく」
モバP「恥ずかしく感じる着火点がいまいち読めないな。顔は近いし体にも触れているのに」
凛「……言葉にされると意識しちゃうからやめて」
雪美「……私には……出せない……しっとりした……ふんいき……。ペロも……そう思う……?」 ニャー?
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462
モバP「アメリカの警察官はドーナツ屋でドーナツを食べているイメージがあります」
早苗「それはちょっとした刷り込みが入っているかもよ?」
モバP「でしょうか」
早苗「うん。例えばそこはピザやベーグルでも違和感ないでしょ」
モバP「そうなんですが、以前にドーナツを無料で食べられるという作り話を聞いて警察官=ドーナツという方程式が頭の中で形成されまして」
早苗「それは方程式未満よP君」
法子「無料でドーナツと聞くと居ても立っても居られない!」 アッノリコ
モバP「作り話だがな。でも無償のドーナツを美味しそうに食べるビッグなアメリカンポリスを想像すると……」
モバP「何だか大食いバトルを見ている時のような不思議な食欲が湧いてきます」
早苗「あっちのフードファイターって大抵イメージそのままに大柄よね」
モバP「日本人は体が小さいのに何でそんなに入るの? というタイプが多くて得体の知れない怖さの方が先に来てしまう感じです」
モバP・早苗「……」ジッ
法子「……どうしてあたしを見るのかな?」 ←割と大食い
-
モバP「でももし本当にドーナツがタダです、なんて謎特権があったなら、僕も警察官になりたい」
モバP「デニッシュパンでも良い。そしたらコメダのシロノワールを腹いっぱい食べることにする」
早苗「無料サービス目的で警察官を志すのは志望動機が不純というか軽すぎない?」
法子「あたし個人的にはそれもアリだと思います! 正義=甘いもの!」
雪美「他は……できても……シロノワールは……無料にならないと……思う」 アッユキミ
みちる「そんな……救いはないんですか!?」 アッミチル
モバP「いや、どこかにまだ裏技があるはずだ……どこかに……!」
早苗「観念して買いなさいよ、そこは。横着しないの」
法子「だったら、そのお店でアルバイトしたらどうかな?」
モバP「なるほど、飲食業にはまかないとかがある仕事も存在するからな」
モバP「そういえば以前パン工場でアルバイトしたら、食堂に市販のパンが置いてあってタダで食えたな」
みちる「ほうほう」
モバP「どこかではお持ち帰りまでさせてもらった気がする。まあそこでバイトしてまで食いたいか? だが」
みちる「……永久機関ですね」
-
モバP「他にもコンビニでも廃棄前の弁当を貰えたり、ホテルでも余りのパンをこっそり貰えたり?」
早苗「体に悪いんじゃない? というかいろんなことをやっているわね……」
早苗「それはそうとP君、最近ドーナツやパンの話が多くなっているわよ?」
雪美「……まさか……」
モバP「……え?」
法子「……ちょっと調子に乗ってドーナツに誘いすぎたかなあ」
みちる「調子に乗ってオリーブオイルの次にアマニ油とかココナッツオイルを持ってきたから……」
早苗「まあ大した害は無いから良いわ」
モバP「放置処分になった」
モバP「ううむ……しかしこの俺がドナ堕ちパン堕ちしていたとは……自覚症状が無かった」
モバP「いかんな。ここは一旦落ち着いて楓さんに貰った鮭とばといぶりがっこでも食べよう」スッ
早苗「あー、何かもう多方面からちょっかい出されてるってのは分かった」
モバP「ヘンゼルとグレーテルのように俺を太らせて食べようとでもいうんですかね?」 ナンデヨ
雪美「違う……。Pは……いっぱい食べて……冬眠……するの……」 ソレモナンデヨ
-
463
こずえ「……ぷろでゅーさー」
モバP「……こずえ」
ちひろ「見つめ合う二人」
雪美「……それを見つめる……私と……ちひろさん……」
モバP「何の儀式なんでしょうねこれは」
ちひろ「意味があって見つめていたわけじゃなかったんですか」
モバP「いや、こずえって吸い込まれそうな目をしていますからね。つい引き寄せられて」
こずえ「こずえ……ぶらっくほーるじゃ……ないよー?」
モバP「でもこずえみたいなブラックホールなら吸い込まれてみたいかも」
こずえ「……いったなー? どうなっても……しらないよー」ゴゴゴゴ
モバP「嘘です冗談です許して」
モバP「だが、目は良くても背中で語る力はまだまだ雪美の方がリードしているな」
ちひろ「こずえちゃんは対面で接することが多いですからね」
雪美「……私……そんなに……背中……見せてる……?」
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464
モバP「遊園地に行って一番がっかりすることって何だろう」
雪美「……ごはんが……おいしくない……とか?」
モバP「間違いではないが、それより肝心なことがある」
モバP「身長制限で乗れないアトラクションがある、ということだ」
雪美「……あっ」
モバP「雪美は嫌でも経験するだろう。あの門前払いみたいな疎外感」
雪美「……仕方ない……。危ない……から……」
モバP「物分かりが良いな。だがせっかく来て入園料まで払っているのに、一番それを楽しめそうな層に乗れない物があるのは理不尽に感じてならない」
モバP「世の高さ制限というのは安全のためであっても時に不便を強いられるものだな」
雪美「高すぎても……だめなことも……ある……」
モバP「日本では少数だろうが例えば2mだと引っかかる物もな。あとは体重体格もオーバーだとお断りかも」
モバP・雪美「…………」
雪美「……でも……二人いっしょに……乗りたい……ね」 ソウダナ
-
465
モバP「名前に縁起の良し悪しってありますよね」
ちひろ「ありますね。私は平仮名なのでともかく漢字は結構意味が固まるので下手に逃げられません」
モバP「自分にもいつか子どもが生まれたら、占いの本と辞書と首っ引きで一週間悩むんでしょうか」
ちひろ「で、極めて何事もないありふれた名前にする気でもいざその時になってみると――いや、やめよう」
雪美「……私の……名前は……どう……?」
モバP「親近感を持ち過ぎてじっと見る雪美という文字がゲシュタルト崩壊気味だな。時々こんな字だっけ? と思うことが」
ちひろ「こんな字です。気を確かに」
モバP「で、名前だが、水関係の漢字、さんずいやあめかんむりを縁起が悪いと考える人もいなくはない」
雪美「……ゆき」
モバP「後はくさかんむりやきへんは枯れるから、季節を表す春夏秋冬とかは時が経つから――って言いがかりに際限が無くなりそうだなこれ」
雪美「……Pも……”P”だから……ね」
モバP「……それはな、ちゃうねん。いろいろあって便宜上”P”なんよ」
モバP「とにかくよほどのキラキラ当て字ネームとかでなければ、問題ないと俺は思う。……あ、画数のことは知らん」
雪美「なら良い……。私は……自分の名前……好き……。ペロも……ね?」 ニャー!
-
今日はここまで
僕はただ、あの笑顔の意味を知りたいと思っただけなんだ
-
乙
縁起云々はよく分からないけどモバの名前だと日菜子が個人的に好き
-
466
モバP「最近パッと時計を見たら大抵いつも3時46分なんだが、これは何かの前触れなんだろうか」
雪美「……?」
ちひろ「よくそんな時間帯に限って時計を見ようとしますね」
ちひろ「でもまあ無意識に体がそう動いているのかもしれません。シンクロニシティですね」
モバP「意味がありそうでただのルーチンワークの一環だっただけ、とかですか」
雪美「もしくは……3時46分だけ……印象に……残っている……」
モバP「普段からいつでも時計は見ているが、都合の良いことだけ強調される――ありそうだ」
モバP「後はデジタルじゃなくて秒針のある時計を見ると、最初だけ針が進むのが凄くゆっくりに感じるんですが、これは超能力ですか?」
ちひろ「それはクロノスタシス現象といって、錯覚です」
雪美「……ちひろさん……ものしり……(尊敬の眼差し)」
ちひろ「えへへ……照れちゃいます」
モバP「世の中の”ん?”と思う事象って意外と名前が付いていたりするものですねえ。Soteriophobiaとか」
ちひろ「いくら私でも何でも答えられる訳じゃありませんよ?」ナンデスカソテリオッテ
-
467
モバP「雪美は円周率はもう習っているのかな?」
雪美「……?」
モバP「あっ、ない……」
ちひろ「習うのは確か五年生からでは?」
雪美「じゃあ……まだ」
モバP「うっかりしておりました」
ちひろ「ちなみに計算時に小数点以下を入れるか入れないかで世代が分かれると聞きますね」
モバP「半径×半径×3.46=円の面積」
ちひろ「数字間違ってて世代以前の問題だったー!? そこは3.14ですよ。適当言わないでください」
雪美「……逆に……314プロ……どこかに……あるかも……」
モバP「円周率プロダクションか……315ならあるんだがな」
モバP「でも、円周率ってずっと計算し続けていますが、いつか割りきれる時が来るんでしょうか」
ちひろ「あれは割りきれるものではない、と割りきらなきゃいけないと思いますよ?」
雪美「Pも……みんなでは……割りきれない……」 コワイコトイワナイデ
-
468
モバP「クリスマスイルミネーションの散りばめられた色取り取りの光を見ると、季節を実感するなあ」
雪美「……きれい……」ギュッ
モバP「雪美と俺の手は大きさこそ違うが、まるであの導線のようにしっかり接続されているな」
雪美「……ほどけないように……しないと……ね」
雪美「……Pの手……通して……私が……光る……から……」
モバP「雪美が電球で俺が電池か。じゃあ+と-で両手を繋がないとな」ギュッ
雪美「……ふふっ」
モバP「はははっ」
お姉さん「ほほう……良いねえ。見ているこっちも幸せになりそう」
モバP「……移動販売の店員さんがこちらを見ている」 ……ウン
お姉さん「あ、こんにちは〜。タコライスでも買っていきませんか?」
モバP「良いですね! と言いたいところですがちひろさんに衝動買いは慎むようにと言われているからなあ……」
モバP「3つ貰おうかな。それぞれアボカド、チーズ、卵で」
雪美「……でも買う……」
-
お姉さん「やーりぃ! 今はちょうど空いているのですぐ用意しますね!」
お姉さん「それにしても私、お客さんの顔は忘れないんですけど、あなたは初めてなのによく見かける気がしますね」
雪美「……」キョトン
お姉さん「気のせいかな? でもとっても可愛い……娘さんですか? で、そちらがお父様」
雪美「……」ムッ
モバP「いや……」
お姉さん「じゃあ、妹さんと、お兄さん?」
雪美「……」ムムッ
モバP「いや……」
お姉さん「じゃあ、思いきってご夫婦とか? なーんて、それは飛躍し過ぎですね」
雪美「……」キラキラ
お姉さん「って、ええっ!? そうなんですか? ……いや、愛に歳の差は関係ありませんから! えっ、違う?」
モバP「――ふぅ、終始ノリの良い店員さんだったな。また来よう」
雪美「……私と……P……、夫婦に……見える人も……いる……」ホクホク
-
469
モバP「芳乃って大抵語尾を伸ばしてくることが多いんだよな」
雪美「……うん」
モバP「ところがこの前は”そなた”と短く呼ばれた」
雪美「……うん」
モバP「その発音が何というかな、草壁メイがトトロの名前を呼んであげる時のそれに似ていた」
雪美「……それ……細かすぎて……伝わらない……例え……」
モバP「……だよなあ。でも雪美は何となく分かっている顔だな」
雪美「……Pのことは……分かる……」
モバP「頼もしいな。……で、ちょうど今の雪美のように、俺の膝の上に座って寄りかかるようにしていた時だな」
モバP「三文字の最後にアクセントを置く呼ばれ方をされると不覚にも……効くね」
雪美「……P……トトロみたい……だから……ね」ポフ
モバP「あんなに毛深くてふかふかそうではないがな」
ちひろ「トトロみたい←new!」
-
470
モバP「おーい、雪美。こっちこっち」
雪美「P……見つけた……今行く……」パタパタ
モバP「急がなくても逃げないから」
雪美「あっ」ツルッ
モバP「危ない――っ!」シュンッ
ダキッ
雪美「……(呆然)」
モバP「……ふぅ、ずっこける前に捕まえられて良かった」
雪美「…………P……あ……えっ……」
モバP「……はい、深く息を吸って――吐く」
雪美「……はー……すー……はー……」
モバP「落ち着いたか? 転倒して怪我でもしたら、みんなを悲しい顔にさせるから、今後は気を付けような?」
雪美「……分かった……。…………P」 ナンダ?
雪美「P……今……とても……かっこいい……」ポーッ
-
471
雪美「……こんにちは……」
ちひろ「あら雪美ちゃん。プロデューサーさんは出かけていますよ?」
雪美「……サンタの……アルバイト……?」
ちひろ「もとい、ボランティアでしょうかね。今年はイヴちゃんとブリッツェンも一緒だそうです」
雪美「……イヴ……イブニング……日本語では……夜……」
ちひろ「イヴちゃんを日本語にすると夜ちゃんになるんでしょうか」
ちひろ「本来はクリスマスの夜のことをクリスマスイブと呼ぶようですね。そのまんまですけど」
雪美「お仕事で……習った……」
ちひろ「あ、例の常識クイズ番組ですか? 雪美ちゃんの存在でずいぶん和やかな雰囲気だったとか」
雪美「あまり……いじって……もらえなかった……」
ちひろ「間違いにスポットが当たって目立ちがちですけど、雪美ちゃんは真剣に真面目にやるから良いんですよ」
雪美「……みんな……真面目……」
ちひろ「それは失礼しました。確かに、わざとふざけていたらいけませんもんね」
ちひろ「ただ、真面目に変な解答をする天然さを面白がって、おバカキャラとして周知させるのは個人的には何かモニョります」
-
ガチャ
モバP「途中の仕事を片づけるために戻って参りました」
ちひろ「仕事放って外出するのは感心しませんよ?」
モバP「なるべく支障が出ないようにスケジュールを組んでいるんですがね」
雪美「……P」
モバP「おう雪美、ちょいと早いがメリークリスマス。これは俺からのこれまたちょいと早いクリスマスケーキだ」つ函
雪美「……ありがとう」 チヒロサンニモアリマスヨ
雪美「……また……少ししたら……出るの……?」
モバP「ああ、今年はイヴをサポートするって約束していたからな」
雪美「……」ジッ
モバP「……うっ、すまない。一緒に過ごしたかったか?」
ちひろ「大切な日なのに仕事が忙しい家庭のお父さんみたいですねえ」
モバP「夜遅くで良かったら一度寄ろうか?」
雪美「……無理しないで……いい……」
ちひろ「雪美ちゃんは今夜はお父さんお母さんと過ごすんですよね?」 ウン
-
ちひろ「それが良いと思います。日本ではクリスマスは恋人と過ごすものとされがちですけど」
モバP「P知ってるよ! 聖なる6時間ってやつですね」
ちひろ「それ、神聖で厳かなふりをして、大人のお遊びに興じるように聞こえますね」
雪美「……好きな人と……過ごす……クリスマス……イブ……」
モバP「代わりにこの仕事中は一緒にいるから。ほらおいで」
雪美「……」ポスン
雪美「………………」
モバP「心苦しいなあ」
ちひろ「自力で乗りきってくださいな」
モバP「せめてこの仕事はゆっくり進めて、少しでも雪美を満たしてあげよう」
ちひろ「お言葉ですけど、こちらが困りますのでそれは急ピッチで片づけてください」
モバP「うう……クリスマスなんて中止になれとは言わないからせめて100日くらいに増えないかなあ」
イヴ「日本の”毎日がエブリデイ”という思想ですね〜」コンニチハ
ちひろ「イヴちゃん、変なスラングを身に着けないでください」ハイコンニチハ
イヴ「これから年に一度の大仕事ですから、テンション高い高いですよ♪ でも今は、静かに闘志を燃やしましょう〜」
-
――
イヴ「終わってみれば、早いものですね〜♪」
モバP「アイドルサンタのお仕事、隣に居て改めて大変で忙しいものだと実感したよ。よく頑張った、イヴ。偉いぞ」
イヴ「私もブリッツェンも、Pさんがいてくれて心強かったですよぉ〜。打ち上げにも来てくださいね〜?」
モバP「ああ。だがその前に、この辺に用があるから先に行っておいてくれないか?」
イヴ「分かりました〜。一年間良い子にしていた彼女のもとへ、ですね」
イヴ「ご健闘を〜♪」
シャンシャンシャン
モバP「……ふう。……さて、もう夜中だ。イブニングよりもナイトの時間帯だ。そんな中でインターホンは押せん」
モバP「――着いた。さあ、この玄関前で念じる……それでダメなら諦めるさ」
モバP「…………雪美……………………」
ガチャ
雪美「…………? ……!」
雪美「……P……、やっぱり……Pだ……」
-
モバP「寒い中訪ねて申し訳ないな。でも会いたいという思いだけで通じるとは」
雪美「……声……音……聞こえた気が……したから……」ギューッ
モバP「雪美さんは本当に神経が研ぎ澄まされているなあ。第六の方までも」ナデナデ
雪美「……P…………部屋……来る……?」
モバP「えっ……? いや、ちょっと立ち寄って顔を見せるだけのつもりだったんですが……」
雪美「……」ジーッ
モバP「……あああああ」
――後日
同級生「あーあ、サンタクロースなんて今時信じられないよねー」
雪美「……ううん……。……実際に……いる」
同級生「それはお父さんやお母さんの変装だって。本物なんていないよー」
雪美「……今年は……会った……。……意外と……身近な人……」ウットリ
同級生「えっ、身近なの……?」
雪美「……」ニコ
事務所のちひろ「恋人はサンタクロース、か……いや、恋人はダメでしょ」
-
472
紗南「フンフンフン♪」
モバP「おう、何か季節感のあるゲームをやっているじゃないか」
紗南「お、Pさん! そうだよ、この時期ならではの良さだよね」
雪美「毛糸の……カービィ……、それも……雪の……ステージ」
モバP「タマゲールせつげんなあ、もうこれでもかと言うくらいにクリスマスミュージックだよな」
雪美「……鈴の音、だけで……もうクリスマス……っぽくなる……ふしぎ……」
モバP「任天堂は欧米のクリスマスの雰囲気を出した音楽やステージを作るのが上手いわ」
紗南「さて、来たからには2Pでフラッフやってもらおうか。Pさんでも雪美ちゃんでも良いよ?」
モバP「この病院の待合室のようなリラクゼーション的ヒーリングミュージックに聴き入っていたいので俺はパス」
紗南「えー……じゃあ」チラッ
雪美「? ……えっ……私……?」
――
ユキミチャンソッチハアブナイ ソウソウウマイヨ ソウ……? ジョウズジョウズー♪
モバP「仲良く協力プレイしているのを後ろで眺める――これも絵に描いたような幸せ」
-
今日はここまで
トゲめかないスピカ
-
473
モバP「……」カチャカチャカタカタタッタカター
ちひろ「……」
ちひろ(プロデューサーさんは、アイドルにモテる。……気がする)
ちひろ(一体どこがそんなに良いんでしょうか)
ちひろ(そのアイドルたちに聞いてみますけど、どうも釈然としません)
雪美『……Pの……どこが……良い……?』
雪美『……それは……ギャップ……』
雪美『……アイドルとも……普通の人とも……違う』
雪美『……でも……よく見せる……人っぽさ……笑顔に……とりこに……なる』
ちひろ(雪美ちゃんですらこうですからねえ)
モバP「よし、とりあえずこんなところだろう。お待たせ雪美、行こうか」
雪美「……ん」
ちひろ「何故でしょう、人と化け物が心を通わせる絵本が読みたい気分です」
-
474
モバP「百貨店は本当に広いなあ」
雪美「……」
モバP「お、雪美さんどういたしました?」
雪美「……見て。……立体的な……アニメの……キャラクター」
モバP「おお、バーチャルなインフォメーションの女性」
雪美「……生きている……みたい……。……左右に……ゆれて……」
モバP「Live2DとかFaceRigとかそういう類には詳しくないが、よく出来ているよなあ」
雪美「あっ……手を振った……笑った……」キラキラ
モバP「一挙手一投足に注目されて、まるでアイドルのようだ」
雪美「……技術って……すごい……ね」
モバP「作ろうと思うなら雪美を作ることだってできるんだろうな」
モバP「まあ、本物がそばにいるのにそっくりなアバターを作っても仕方ないが」
雪美「……私は……分身で……充分……」 ヒトマエデハヒカエヨウナ?
-
475
雪美「こんにちは……P」
モバP「ん?」
雪美?「……あっ」チョコン
雪美「えっ……!?」
「「「……」」」
雪美「……私がいる……!」ズガーン!
モバP「どういうことだ? 雪美の分身じゃないのか?」
雪美?「……ばれては……仕方がない」バッ
娘「私は……パパと……ママ……、あなたたちの……子ども……」
娘「そう……未来から……やってきた……!」
ちひろ「またトンデモなSFファンタジーが展開していますね。慣れましたけど」
モバP「子どもだってさ、雪美」
雪美「……Pとの……子ども……///」ボシュッ
-
モバP「それでそちらから来るとは一体どんな用だい?」
娘「……私の……夢だった……こと……」
モバP「……」ゴクリ
娘「……それは……パパの……膝に……座ること……」
モバP「……ちょい待ち。未来の俺は娘に膝を貸してあげないと言うのか?」
雪美「……私が……独占……している……の?」
娘「そんなことしない……。でも……”全盛期のパパの膝はとにかく凄かった”……ってママから……いつも聞く……」
娘「それを求めて……ここに……来た甲斐があった……。ママが……夢中になるのも……分かる」
モバP「俺の膝上は一体どんなマジックスポットなのかと。……にしても雪美そっくりだなあ」シミジミ
娘「あっ……晶葉さんの作った……タイムマシンの……効果が……切れそう……」ザッ ザザー
雪美「……ホログラム……みたいに……ノイズが……」
娘「ん……もう時間切れ……かな……。今日はこの辺で……また会おう……ね」
ピシュン
モバP・雪美「……消えた」ナマエシリタカッタノニ
ちひろ「ずいぶん気軽にコンタクトしてきましたけど対消滅とか無いですよね?」
-
476
モバP「みんなで分けて食べることがほぼ前提の駄菓子って良いよな」
晴「何だそれ?」
モバP「せっかくなので買って来たんだが、さあ何でしょう?」
雪美「ん…………雪見だいふく……とか……?」
モバP「ピノやアイスの実とかならまだしも、雪見だいふくを一個頂戴は割とギルティ案件だったりするな」
雪美「……確かに……私……間違っていた……」
晴「納得しすぎだろ。まぁ、オレでもさすがに一個は譲らねーな」
モバP「雪見が雪美だいふくを食べるという字面と絵面はとてもほんわかもちもちで良いとして」
晴「逆になってんぞ。……てか、まずそういうアイスを駄菓子とは言わないしな」
モバP「正解はこれです。すっぱいレモンにご用心」
晴「食べたことはあるけど……それかー」
雪美「……?」 ←食べたことない
モバP「これは三つの内、二つは美味しいが一つはとてもすっぱい味のガムだ」
モバP「いわゆるロシアンルーレット的な遊びが出来る。これは分けて食べなきゃ勿体無い」
-
晴「Pってそういう趣味もあるのか」
モバP「まあ話の種になれば良いかなと思ってな」
モバP「シュークリームにカラシ、お寿司にわさび等はバラエティではもはやほとんど見なくなった」
モバP「ちょっとした刺激が欲しくはないか?」
雪美「……面白そう」ヒョイ
モバP「ということで晴も一個どうぞ」
晴「強制参加かよ。良いけど……じゃあ貰うぜ」ヒョイ
モバP「さてもう一個はそこの幸子」
幸子「誰がそこの幸子ですか! 数合わせに捕まえるのはやめてください!」
モバP「さっきからチラチラ見てただろ」
幸子「何で見る必要が……こほん。ボクはただ、みんなで何の話をしているのかなと思っただけです」
幸子「それに言い出したプロデューサーさんが参加しないのはフェアじゃありませんよ?」
モバP「確かにな。だが、こういうおいしい時に黙って見ているだけの幸子ではあるまい」
幸子「いえ、黙って見ていますけど?」
モバP「そこは頼むぜ。ほら、晴と雪美も待っているんだしさ」 エー
-
――
モバP「では一斉に、どうぞ!」
パクッ
三人「……」モグモグ
モバP「……あれっ?」
幸子「っ!! すっ、あっ! ……うっ……やっぱりしゅっぱい……」
モバP「何だ、時間差で来たか。良かった」 ヨクナイデス!
晴(……幸子に全部持って行かれた感じだなー)モグモグ
雪美(おいしい……)モグモグ
幸子「……全く、プロデューサーさんはカワイイボクを何だと思っているんですか」ブスー
モバP「まあまあ。これを当たりと取るかハズレと取るかは考え方次第だ。ご褒美有りならどうだ」ナデナデ
幸子「ん、もう……調子が良いんですから」
モバP「でも実際、そんなにすっぱかったか? たまにこういうのに耐性がある人もいるが」
幸子「思ったよりは大したことなかったです」 キタエラレテル……
-
477
雪美「……」アム
雪美「……ん……おいしい」
雪美「……Pにも……はい」
モバP「……ん、良い味だな。ついでにまた間接キスをありがとう」
雪美「……気に……ならない」
モバP「無防備でクールな雪美さん……これを倒せるものがあるか! いやない」
雪美「……そう……? ……Pなら……私を……いつでも……倒せる……」ハイ
モバP「しかし、簡単に倒してしまっては面白みがないのだ」パク
雪美「……楽しまないと……ね」
モバP「ああ。この青りんご餅&さくらんぼ餅もこうして楽しんで食べるに限る」
モバP「やっぱり買い物は決まった予算でたくさん買うのが楽しいから駄菓子が良いな」
雪美「……P……すっかり……駄菓子のおにいさん……」フフッ
ちひろ「爪楊枝で間接キスとは妙に危ないですね」
-
478
モバP「ちひろさん、事件です」
ちひろ「また一体何を目撃してきたんですか」
モバP「女性の、髪をかき上げて耳にかける仕草が色っぽくてあきまへん」
ちひろ「下を向いて何かしている時にありがちですね。ラーメンを食べる時とか」
モバP「的確ですね」
ちひろ「人生楽しそうで良いですねえ」
雪美「……」サラッ
モバP「……」
雪美「……」サラッサラッ
モバP「……うん。できればもっと自然なタイミングでされると、うおっ綺麗だなあと印象づく」
雪美「……分かってる……。でも……私の思いつき……Pは……すぐ気づく……」
モバP「そりゃあ毎日が貴重映像だからな。見逃して後悔はしたくない」
ちひろ「人生楽しそうでも収集癖は程々に」
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479
モバP「皆さんとの忘年会もあっという間でした。いやぁ、飲んだなあ」
ちひろ「そして我々は事務所に帰って来るという」
モバP「やっぱりここが本陣って感じですよね。家、一国一城というよりは控室に近い」
ちひろ「本陣というと宿舎より甲冑着込んで床几に座って軍配を持つイメージです」
ちひろ「何にしてもいよいよ年の瀬ですねえ」
モバP「師走、瀬。忙しさを感じさせる言葉で飾られることが多いですね」
モバP「一年を船旅とするなら年の湊、とかでも良いかもしれません。終着地です」
ちひろ「春の湊に、みたいですね」
モバP「年の瀬と言えば、クリスマスや新年等の特番って、生放送は別として、あれ前撮りなんですよね」
ちひろ「一足早くクリスマス・お正月という体で収録することになりますね」
モバP「あのちょっと浮いた雰囲気がハラハラします。素面でメリクリあけおめテンションなんて初心者には出せませんよ」
ちひろ「プロデューサーさんの発言の方にハラハラですけど」
モバP「ドラマだって、撮影時期と実際の放送日のずれを季節感と合わせないと不自然に見えます」
モバP「この業界にいるから分かりますが、番組制作は大変ですね」
-
ちひろ「それは視聴者の立場でも分かると思いますよ」
モバP「まして今年は暖冬でなかなか冬感が出ない」
ちひろ「ようやく寒くなってはきましたけど、何だか季節の移行が一ヶ月くらい遅れている印象はありますね」
モバP「列車の遅れや大相撲の取組のようにどこかで帳尻合わせしないと一年が13ヶ月になってしまうかもしれませんね」 ナニヲイウ
ちひろ「ところでプロデューサーさんは、今年は誰と海外旅行へ?」
モバP「……前回は思いつきでしたが、また七海と行きたいですね。いつか七つの海を制覇したいなと話していたところです」
ちひろ「行くところによっては今は泳げないのに行くんですか」
モバP「まあ今じゃなくて折を見てですね。この忙しい年末を選んでわざわざ行く奴なんて変わり者です」
ちひろ「あんただよ」
モバP「でも、行くなら移動手段の延長としての飛行機・船より、よく広告等で見かける10日間くらいのクルーズ旅行に憧れます」
ちひろ「今は割と格安ツアーとか多いですよね。船酔いしやすい体質だと全然楽しめないでしょうけど」
モバP「問題はそこですね。自分、結構船酔いする方でして。海の上じゃ逃げ場も無いですし」
モバP「かと言って車はたまに酔う、新幹線は耳が痛くなることがある、飛行機も怖い時は怖い」
ちひろ「地に足を付けて生きましょう」
モバP「何事も慣れだとは思うんですがね」
-
モバP「それで、移動中の体調の変化には気を使うようになりました。自分だけでなく周りにもです」
ちひろ「経験、体験を活かして人にアドバイスや手助けができるのは良いですね」
モバP「でも思うんですが、アイドルたちって強いですよねえ」
モバP「雪美とか乗り物は基本何でも大丈夫なんですよね。我慢しているとかでなく」
ちひろ「それは持って生まれた体質もあるでしょうし、メンタル的な部分もあるかもしれません」
モバP「自分はよく超人みたいに言われますが、こういう所ではみんなの方が凄いですよ」
シューマーツノオオドオリニー
モバP「お、雪美さんから電話だ」ピッ
ちひろ「選曲が渋い」
モバP「こんばんは雪美、どうした?」
雪美『……忘年会……楽しかった……?』
モバP「はい。雪美さんから言われていたように酔い潰れない程度にしました。残り仕事を終えたら帰るよ」
雪美『……ん……待ってる……。声を……聞けて……良かった……』
モバP「俺の方こそ雪美の声を聞けて気が引き締まるよ。ありがとう、また後でな。愛してるぜ?」
ちひろ「あーねんまつだなあ」
-
480
モバP「今年も一年お疲れ様でした」
雪美「おつかれさま……でした……」チョコン
モバP「年末と年度末があるけどやっぱり年末の方が特別な変わり目という感覚は昔から変わりません」
雪美「……いつか……おおみそか、も……いっしょに……過ごしたい……」
モバP「特別な日に一緒に、というのはなかなかな。でも、いつとは言えないがいつかは必ず。約束するよ」
雪美「……」コク
モバP「さあ、今年最後の充電も名残惜しいがこれで完了かな?」
雪美「……最後に……もっと……ぎゅって……してほしい……」
ギューッ
雪美「…………」(-_-)
モバP「……事務所が静かになった。ほんの数日でも、別れとはいつも悲しいものだ」
モバP「今年も置き土産はイチゴ大福。その味は――ん。少し、すっぱい気がした……はぁ」
ちひろ「では、良いお年をお迎えください。プロデューサーさんはやる気出して」
-
今日はここまで
デザートは…要らねェか
-
乙
わざとらしく連続で髪サラッサラッをやってる雪美を想像したら草生えた
-
481
雪美「ぐうぅ……ううっ……!」
モバP「選ばれし者だった!」
モバP「961を倒すはずのお前が、961に付くとは!」
モバP「アイドルにバランスをもたらすはずが、闇に囚われてしまった!」
雪美「……ぁあんたが憎いィ!!」
モバP「……妹だと思っていた! ……愛していた!」
雪美「うう……ああァ……!」メラメラ
――
ガバッ
モバP「はっ! ……夢? ……嫌な初夢だぜ」
ちひろ「お水を持って来ましたよ」
モバP「ありがとうございます。……ふぅ……、主人公が斬られて燃やされて闇堕ちエンドはきついですよねえ」
ちひろ「どんな悪いことしたらそんなことに」
-
482
♪ ♪ ♪
モバP「……」
ちひろ「プロデューサーさんは何を聴いているんですか」ヒョイ
モバP「あっ、ちょっとヘッドホンを取らないでくださいよ」
カパッ
ちひろ「……んー、何というか随分とチップチューンというか、ゲームミュージックですね」
ちひろ「……良いですね」
モバP「それは風来のシレンGB2のアテカのテーマですよ」
モバP「エンディングでイルパの町を救って明け方に旅立つシレンたちをお姫様が見送る別れの切なさと曲がぴったり合っていてそれまでの展開とシリアス緊迫ホラーなBGMをゲームボーイ特有の音源で聴かされ続けだったプレイヤーを一種の達成感と解放感で満たしてくれる名曲だと思いますし前作がビターエンドだったから余計にでしょうかこう希望が垣間見える感じが良いのとラスボス倒した直後の和風の黄金都市テーマと一転して一呼吸置いてこれが来る演出がまた自然でニクいの一言ですかね」ペラペラ
ちひろ「長い。どこが一言ですか。3行17文字くらいにまとめて説明してください」
モバP「次の冒険も どうかいい風が ふきますように 旅の神クロンの追い風を!(字余り)」
ちひろ「字余りどころか自由律が過ぎる。しかし、まるで年明けから感傷的な気分にでもなりたいようですけど」
モバP「……寂しいんですよ」 デショウネ
-
483
モバP「改めまして、あけましておめでとうございます、ちひろさん。今年もよろしくお願いします」
ちひろ「こちらこそ、よろしくお願いします」
モバP「……ほんの僅か前の去年の話ですが、年越しそば、おいしかったですね」
ちひろ「まさか二人きりで食べることになるとは思いませんでした」
モバP「アイドルはみんなカウントダウンイベントで出払っていたり帰省していたりで事務所に誰もいなかったという」
ちひろ「みんなを差し置いて私がプロデューサーさんと大晦日を過ごした形ですね」
モバP「その後は出たり入ったり送り迎えもあったんですが」
ちひろ「……おそば、豪華でしたね。プロデューサーさんが用意してくれましたけど」
モバP「特別な日くらいはちょっと豪勢に海老天そばが良いんです」
モバP「海老天のご褒美感とボリュームは器を華やかにしてくれる」
ちひろ「でも、かけそばで質素に年越しでも別に良かったんですよ?」
モバP「詫び寂び……まあ翌朝雑煮やおせちが待っているとするなら、軽く済むかけそばは正しいかもしれませんね」
ちひろ「……忙しい今、正月料理をゆっくり食べる余裕はないですね」
モバP「今年はおせち無しでも良いのでせめて若桃の甘露煮単品だけでも食べたいなあ」
-
ちひろ「緑色で柑橘っぽい見た目で桃。香りも良いんですよねえ」
モバP「おせちって元々三が日それだけで済むように保存食としてどっさり作るものだったと祖父から聞きました」
モバP「……だからか味が濃かったり甘いものが多い。その中でもどれか選ぶなら若桃が好きです」
ちひろ「甘味系のみで揃えたおせちとか好きそうですね。一段重に笹団子とか寒天とか詰めて」
モバP「それならすっきり食べきれそうです」
モバP「あ、そうそう。……はい、これは年賀状です」
ちひろ「手渡しですか。せっかくの切手不要が」
モバP「でも、例えば近所の人に届けるのにわざわざ郵便局を経由させるのはロスだと思ったりしませんか?」
ちひろ「経済的にはそこは敢えて遠回りさせてあげてください」
モバP「近年は効率主義なのか、メールやLINEなんかで年賀状を済ます人も多いですし」
モバP「いつかキャッシュレス年賀状でお金だけ63円振り込む人も出てくるかもしれません」
ちひろ「それはもはや年賀状じゃない」
モバP「…………」
ちひろ「こういう時、横に雪美ちゃんが居てくれると良い反応をしてくれるんですけどね」 ハイ
-
484
モバP「鹿児島県とかけて、最近のSNS女子とときます」
ちひろ「その心は?」
モバP「地鶏が美味い(自撮りが上手い)でしょう」
ちひろ「せやろか?」
モバP「今思いついたんです」
ちひろ「落語家や放送作家とかが既にもう346人くらいは思いついてそうですけど」
モバP「雪美もいつかSNSで自撮りUPしたりするんでしょうかかかっか」
ちひろ「自分で言って自分で動揺しないでくださいよ」
ちひろ「その時になってみたら割と冷静になれるんじゃないですか?」
モバP「見たら意外に”誰これ?”ってなったりして」
ちひろ「今は顔面補正とかしてくれるアプリなんてありますし、実際少女漫画みたいな顔の自撮りをよく見かけますね」
モバP「……雪美の顔がアプリに勝手に弄られたらそれはそれで……」
ちひろ「過保護だなぁ」
モバP「正月は気が緩みがちなので心配の種は尽きません」
-
ちひろ「かくいう私たちも事務所でテレビを見ながら雑談をしていますけど」
モバP「可能なら家に帰ってこれが良いんですが、仕事のことを考えると下手に帰る方が逆に面倒臭い状態という」
ちひろ「家に帰るのが面倒というブラック……体を壊さないようにしないといけませんね」
ちひろ「……あ、駅伝やってますね。こんなお正月からランナーも過酷です」
モバP「マラソンや駅伝を見ていると誰でも一度は思うことってありますよね」
ちひろ「何でしょう?」
モバP「ランナーの走りを10秒間だけ肩代わりしてあげたい」
ちひろ「……せやろか?」
モバP「10秒間なら全力疾走できますから助けになるはずです」
ちひろ「ランナー側はいきなり10秒間だけ休めてもあまり楽にはならないのでは」
モバP「でもそんな観客が100人いればリレー形式で1000秒休めますよ?」
ちひろ「16分半も休んだらランナーの存在意義が危ういです」
モバP「まあ、苦しみは肩代わりできないので声援とかで気持ちを託すんですよね」
ちひろ「私の仕事でしたら肩代わりしてくれても良いですよ?」 イヤソレハ
-
485
ちひろ「プロデューサーさんは何か欲しい物ってあります?」
モバP「んー、強いて言えばシボレーのコルベットc6ですかね」
ちひろ「聞いておいてなんですけど、いきなり想定のかなり上空を飛びましたね」
モバP「いやあ、何せ昔からテールランプは丸型の四灯が好きでして」
モバP「今の国産車はLED主流ですが、やっぱり立体的な丸に電球の明るさが灯るというのがロマンでありアーティスティックです」
ちひろ「全体の形とか中身よりそこにこだわるんですか」
モバP「普段走行時に人から一番見られやすいのって後ろだと思うんですよ。背中の佇まいは人でも車でも大事です」
モバP「前面でも丸目四灯は良いですね。ランチアデルタHFインテグラーレとか」
ちひろ「目は丸い方が好きと……しかし趣味がいちいち古風ですよね」
モバP「営業等ではその方が相手のお偉いさんと話が弾んだりしますし」
モバP「それにしても、どうして欲しい物なんて聞くんです?」
ちひろ「……今後の展開のこともありますから、ひとまずお疲れ様という形で何か贈れたらと。高級車はダメですけど」
モバP「なるほど(察し)。そうか……体感ではもう8年の付き合いですからね」 タイカンッテ
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486
モバP「書き初めをやってみたんです」
ちひろ「おや、形からだとしても気合が入っていますね」
モバP「書道の授業は墨を磨るのが何となく苦手でした」
モバP「でもお題が自由なら書くのは楽しいんですよね。大喜利的な意味でも」
ちひろ「プロデューサーさんがやるよりアイドルみんなでやった方が面白いと思いますけどね」
モバP「真面目な目標を書く子やネタに走る子、それだけでワンコーナーいけますね」
ちひろ「ところでどんなことを書いたんですか?」
『 適 当 モバP』
モバP「これが一年の目標です。まあ、適当にね?」
ちひろ「ホーホケキョとなりの山田くんかな? マイペース宣言とはたまげたなぁ」
モバP「山田くんって放映は20年前なんですよね。ほとんどの人は知らないのでmyネタで通せます」
ちひろ「いかんでしょ」
ちひろ「ところで、スルーしてましたけどプロデューサーさんの顔に○とか×とかあるのは羽根つきでもやったからですか?」
モバP「はい。墨が余ったのでついでにアイドルと遊びました」 アラッテキナサイ
-
487
モバP「……」ボーッ
ちひろ「聞かずとも分かりますね。雪美ちゃんが恋しくて無気力なのでしょう」
モバP「……え?」
ちひろ「ダメだこりゃ……直接会えはしなくても文明の利器を使ったやり取りは出来るでしょうに」
モバP「それはしていますがやっぱり私ね、雪美さんといっしょにがモットーなんですよ」
モバP「その雪美さんが不在なんて酢豚が入っていないパイナップルのようなものです」
ちひろ「そんなプロデューサーさんに、ゲストですよ」
ガチャ
雪美「……P……こんにちは」
モバP「やあ雪美」キリッ キラキラ
ちひろ「立ち直るの早いなあ」
雪美「……元気……だった?」
モバP「勿論さ。雪美はどうだい?」
雪美「……パパ……ママと……いろんな所に……行って……満足……」
-
雪美「でも……Pと……早く、会いたかったから……」バフッ
モバP「予定より一日早くこっちに顔を出しに来たという訳か」ナデナデ
モバP「おかえり、雪美さん」
雪美「ただいま……P」
雪美「そして……あけまして……おめでとう……」
モバP「あけましておめでとう。やっぱり直に会って言葉で聞いてこそ新年が始まる気分だな」
モバP「せっかく来てくれたんだし今日はちょっと遅れたが二人の正月を満喫しようか」
ちひろ「仕事は」
モバP「自然の摂理、物理法則を捻じ曲げてでも時間作るぞオラァ!」
雪美「……それも……良いけど……」(つ゜-゜)つ
モバP「ん、分かった」ヒョイ ポスン
雪美「……新年……初ひざ……」ムフー
ちひろ「ちなみに今年のプロデューサーさん初膝は茄子ちゃんでした」
モバP「初めてをあげられなくてごめんな……。ちなみにのあさんや友紀なんかも先着だ」
雪美「……Pのひざ……縁起物……みたい……ね」
-
今日はここまで
コマ回しに明け暮れて
-
488
♪♪♪〜
モバP「……ほ、上手く弾けた」
雪美「……Pは……ピアノの……P」
モバP「あはは、まだまだだよ」
雪美「……きれいな……曲だった……。……なんていうの……?」
モバP「”Encounter in space”だ。深夜のNHKで流れていそうな曲」
雪美「……私も……ピアノ……練習……しようかな……」
モバP「弾き手冥利に尽きる。久美子師匠もきっと草葉の陰で喜んで」
久美子「死んでないから!」ビシッ
久美子「それと、流れていそうな曲じゃなくて実際に流れているよ。でもなかなか様になってきたね」 ウッス
雪美「……次は……どんな曲……弾いてくれる……?」
モバP「次は”ザナルカンドにて”にしようかなあ」
久美子「楽しそうにピアノに没頭しているけど、弾きたい曲は切ない系なんだね」
-
489
モバP「由愛」
由愛「……どうかしたんですか?」
モバP「由愛って時々、俺の思考を見透かしていないかい?」
由愛「そんなことはないです……多分」ジッ
モバP(今、グァバジュースが飲みたい気分なんだよな)
由愛「……Pさんは、ハワイに行くと……いつも、飲みますね」
モバP「ほら。やっぱり由愛はサードアイを持っているんだ」
ちひろ「古明地さとりと由愛ちゃんはそこまで似ていませんから」
雪美「……私も……Pの……考えていること……分かる……。つまり……Pが……さとられ……なのかも……」
モバP「え、実は俺の方から無意識に筒抜けだだ漏れ垂れ流しの発信しているの? なんなのなの?」
由愛「思ったことは結局……口に出すとすれば、同じかも……。えへ……」
雪美「目を……見るだけでも……分かりやすい……なんでだろう……」
モバP「……まあ悟られて困るようなことはあまり考えちゃいないつもりだが」 ソレモスゴイナ
-
490
ちひろ「プロデューサーさんは、個人的に感情を読みにくい子っています?」
雪美「……気になる」
モバP「特別誰が、というのは無いですね」
モバP「まず感情とか、人の考えることなんてそんなに分かるものではありません」
モバP「自分のことすらたまに分からなくなるくらいですよ?」
ちひろ「そりゃそうですけど、あなたがそれを言うか」
雪美「……Pでも……自分を……見失うの……?」
モバP「ああ。過去を思い返して、どうしてあの時あんなことをしたのかと思うことはないか?」
雪美「……ある……かも……」
モバP「行動は覚えている。だがその時の心境を説明できない。確かに自分のことのはずなのに」
雪美「……」
モバP「新陳代謝によりヒトの細胞は日々入れ替わっていく。……過去の自分は自分であって自分でないのかもな」
ちひろ「今はただでさえデジタルでいろいろと残りますから、発言とか、あれは僕じゃないは通じませんけどね」
モバP「そっちも怖い」
-
モバP「あ、でも感情の話だと、こずえやライラなんかはちょっと他と違う感じがします」
ちひろ「こずえちゃんとライラちゃんですか。不思議な雰囲気はありますよね」
モバP「やっぱり目の透明感、ですかね?」
モバP「それで物怖じや恥じらいを込めずにまっすぐこちらを見てきますから、これは自分より上手で、強いなって」
雪美「……私……は?」ズイッ
モバP「近い近い。……雪美は目、そして表情も柔らかさを見せるようになった」
モバP「言い方は何だが勿論悪い意味でなく、媚びや演技の力が身に付いてきたかな?」
雪美「……」ニコッ ←営業スマイル
モバP「!! どっくーんときた……。目の前にピンクのエフェクトがかかったぞ」
ちひろ「シンデレラに魔法をかけられるプロデューサーさん」
モバP「……でも演技と素の二面性がある方が、却って何を考えているか分かり辛くなるかもな」
雪美「……それが……大人になる……ということ……?」
モバP「素だけ晒して生きていくのはなかなか難しいからな。建前を織り交ぜて駆け引きをするのが大人の生き方とも言える」
モバP「感情は天体のアルベドみたいなものだ。光を反射しないほど暗く、見えにくくなる」
ちひろ「私はプロデューサーさんが何を考えているのかの方が時々分かりかねます」
-
491
モバP「たまに難しいことを考えると疲れてしまうな」
ちひろ「あなた難しいことなんて考えていたことありましたっけ」
モバP「世の中難しいことだらけです」
雪美「……」チョコン
モバP「今朝は環境問題について考え、午後は街で見かけたフルーツバーガーに思い煩い」
モバP「今はこうして雪美さんに膝上から愛を込めて留め置かれ、どう一言添えてこの場を立つのがスマートなんだろうかとか、思念に余念がありません」
ちひろ「誰でも彼でも気前良く乗せるから……」
雪美「フルーツで……バーガー……とは……世界は……広い……」
ちひろ「それはもう一般的なバーガーよりもかなりデザート成分に侵食されてそうですね」
モバP「ちなみに自分も雪美にかなり侵食されている気はしますよ」
ちひろ「プロデューサーさんは侵食されても押し返しそうです」
雪美「……」コクコク
モバP「やだなぁ、押し倒しそうだなんて」 イッテナイ
-
492
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー」
雪美「……こたつで……アイス……おいしい……」
ライラ「悪魔的なうまさっ……! 寒い日に暖かい室内で食べるアイスの背徳感……!」
ちひろ「飽きられてませんかねえ。あとライラちゃんにカイジ読ませたのは誰ですか」
モバP「このくらいでは泣かないぞ」
モバP「という訳で今回は、ドラゴンボールのチチの服」
ちひろ「……チチって天下一武道会に出てその後結婚して家庭に入ったあたりの?」
モバP「幼少期に、ドラクエの女戦士の青バージョンみたいな格好をしていた時があるでしょう」
ちひろ「ああ、あれはダメだ」
モバP「この前どこかで雪美のそんな画像を見かけてしまった気がします」
ちひろ「そんなこと報告しないでください」
モバP「……今思うと時代を先取りしすぎたデザインですよねえ。ビキニアーマー黒髪美幼女って、80年代ェ……」
ライラ「ユキミさんはプロデューサー殿のヨメに行くのでございますかー? ライラさんもー」 ジュウコンェ…
-
493
紗南「……ポケットモンスターは剣が良いのか盾が良いのか」ピコピコ
ザッ
紗南「……ん?」
モバP(女装)「ねえねえ」
紗南「……!?」
モバP(女装)「わたくしのポケットモンスターと勝負しな-い?」
紗南「……あんただーれ?」
モバP(女装)「やぁーん」
紗南「……いや、通信ケーブルをクルクルさせないの! 危ないよ!」
モバP(女装)「真っ当なご指摘痛み入りますわ。鎖鎌みたいですわよねこれ」
紗南「何やってんのさPさん」
モバP(女装)「大人グループのちょっとした罰ゲームですの。お付き合いくださって?」
紗南「あ、あっちで菜々さんや心さんが笑ってる」
モバP(女装)「主に二人のコーディネートとメイク(悪乗り)でこうなりましてよ」
-
モバP(女装)「それにしても、ポケットモンスターって元々大人向けでしたのよね」
紗南「それは聞いたことあるよ。初代はいろいろとネタが……何とは言わないけど」
モバP(女装)「というわけでわたくしのキリキリバッタとあなたのダークドレアムをトレードしましょ」
紗南「それゲーム違うから! しかもコラッタとミュウツーみたいな格差じゃん!」
モバP(女装)「ではわたくしが負けたら雪美を一日好きにして良い」
モバP(女装)「ただし紗南さんが負けたらロワイヤルスタイルのような衣装を着て撮影会をするというのはいかがかしら?」
紗南「仲間を売るなんて酷いよ!?」
雪美(男装)「勝負の商品は……私だ……」キラキラ
紗南「あっ、雪美ちゃんカッコいい……」ポッ
紗南「じゃなくて、それに何であたし狙い撃ちでまたあれを着せようと思うの? 結構恥ずかしいよ!」
モバP(女装)「ハスラーやディーラーの服とか好きなんですの。ベスト・シャツ・ミニスカートの組み合わせがたまりませんわ」
紗南「ロリータ衣装を着ているPさんが言う? しかも一応女の子っぽく見えはするという」
雪美(男装)「……? よく見たら……P……じゃない……? 何だ……君は……」
モバP(女装)「何だチミはってか? え? そうです私が……山手線ゲームに負けて女装しているのはどこのどいつだーい? ――あたしだよ!」
紗南「菜々さんや心さんが爆笑してる」
-
494
モバP「……」ボーッ
雪美「……」ボーッ
ちひろ「二人して同じ方向を見つめていますけど、そこに何かあるんですか?」
モバP「いいえ。でも、例えば何も考えずに天井や壁のシミとか模様を見つめていると顔が見えてきたりしませんか?」
ちひろ「大した答えが返ってくるのかと思ったら空虚だった……まあ見ようと思えば」
雪美「……」
モバP「雪美の考えていることも実は意外とそのくらいのことかもしれませんよ」
ちひろ「そうでしょうかねえ? プロデューサーさんよりは画期的なことを考えているのかも」
雪美「……」クイッ
モバP「お、視点が動いた。……雪美さんは何を見ているんだい?」
雪美「……風景……パズル」
モバP「あ、あれは始点の丸だったか」
ちひろ「頭がThe Witnessになっていましたか……」
-
495
ブロロロ……
奈緒「Pさんはあたしらがいる時はいつも安全運転だな」
モバP「いかにも。アイドルのために無茶な運転はしませんよーぅ」
奈緒「良いけど……私生活で一人の時でもそうなのか?」
モバP「普段からの心掛けが大事だろうからね。羽目を外して癖が付いたら元も子もない」
奈緒「……何かをきっかけに豹変したりはしないのか。ふーん……」
モバP「こち亀の本田かな? んー、そうだなあ」
モバP「ユーロビートとか流れてくれば飛ばすかもな」
奈緒「安全運転妨害用BGMってやつか」
モバP「頭文字Dとか想起させられるとね。後はユーロビートじゃないがアウトランのBGMとか」
モバP「まあ気持ちは急いても公道でドリフト溝落とし速度超過とかはしないよ」
モバP「でも、ご希望ならこのままドライブでもしようか? 峠道や海岸線を駆け落ちのように」
奈緒「ばっ……! 雪美だっているんだから、まっすぐ事務所に帰れよっ」 アハハ
雪美(みんなで……家族……みたい……Zzz)
-
今日はここまで
この辺に折り返しコーン
-
折り返しコーンが折り返しゴーンに見えた俺は多分疲れてる
-
496
雪美「……」ジーッ
ちひろ「雪美ちゃんがPCを凝視していますけど、何を見せているんですか?」
モバP「個人製作のストップモーションアニメだそうです」
ちひろ「パラパラ漫画みたいなテクニックですか。被写体を何にするかによりますね」
ちひろ「数十秒の動画なら良いでしょうけど、30分の長編とか作ろうものなら一秒二枚として3600コマ撮り……」
モバP「クレイやレゴでそれに近いことをやる人がいるという」
雪美「……ひとやすみ……する」ポチ
雪美「……レゴ……よく動く……」
ちひろ「レゴでしたか」
モバP「とても真似はできないが、俺もレゴブロックで洋風の街並みのジオラマくらいは作りたい人生だったなあ」
雪美「……人生は……まだ……終わってない……。チャレンジ……あるのみ」ガッツ!
モバP「……よし。じゃあまず本場デンマークにパーツを買い付けに行くところからか」 オイマテ
翠「その前に愛知のレゴランドはどうです?」 イイネエ! イイノカ…
-
497
モバP「もう一年の24分の1が終わってしまったんだなあ」
雪美「……もう……そんなに……?」
ちひろ「一年を24等分するのってそういうことを言う以外に使わない気がしますね」
モバP「光陰矢の如し。油断していると時間はあっという間に過ぎてしまう」
ちひろ「今この時もですね」
雪美「……今の……一秒前は……すでに過去……」
モバP「またこの小半年は年度末シーズンなので特に追い込まれる気分ですね」
モバP「一月は犬、二月は雉、三月は猿と言って」
雪美「……桃太郎……かな……?」
ちひろ「一月は行く(往ぬる)、二月は逃げる、三月は去る、が正しいですよ? 間違いを誘発していませんか?」
モバP「ちひろさんが訂正するまでがセット学習です」 ナニヲイウカ
モバP「今日の冬服雪美さんもちょっと季節が進めば拝めなくなると思うと惜しさもひとしおです」
雪美「……おおげさ……」
ちひろ「何だかんだ言ってもまだ一月ですからね。一日一日をもっと大切に」
-
498
モバP「ネットには以前よく、名言格言のコピー&ペーストが出回っていました」
ちひろ「今のSNSでは長文を引用して会話というのはあまりしない気がしますね」
モバP「その類かどうかは分かりませんが、ちょっと懐かしいくらいの話題の種を一つ」
モバP「”理想の身長差”です」
雪美「……おー」
ちひろ「定番ですね。日常系ショートストーリーでプロデューサーさんとアイドルがそういう雑談をしている光景は想像に難くありません」
モバP「観測者ですか。それはともかく、挙げてみましょう」
モバP「キスしやすい身長差は12cm」
雪美「……」(゜-゜)
モバP「理想のカップルの身長差は15〜6cm」
雪美「……」(゜-゜)(゜-゜)
モバP「ハグしやすい身長差は22〜32cm」
雪美「……」(゜-゜)(゜-゜)(゜-゜)?
ちひろ「雪美ちゃん!? 増えてる! 増えてる!」
-
モバP「一気に行きますよ」
モバP「なでなでしやすい身長差は16cm」
モバP「結婚相手に向いている身長差は25cm」
モバP「肉体対話をしやすい身長差は22cm」
雪美「……」(゜-゜)!
ちひろ「あ、戻った。……どうも媒体によって結構差があるようですね」
ちひろ「あと、行為を肉体対話と言うくらいならこの場では除外しましょうよ」
雪美「……私は……Pと……どれも……当てはまらない……」シュン
モバP「雪美とハグするにしても頭が胸から腹の辺りだからな」
雪美「……」ズーン
モバP「……」ヒョイ ポスン
雪美「……!」
モバP「なら、俺と雪美で何ができるか、しやすいかを考えてここに追加すれば良い。まずはこの体勢とかな」
モバP「同じような身長差の人たちを勇気づける存在になろうぜ」 ウン!
ちひろ「プロデューサーさんとだと他のアイドルもほぼ厳しい」 ニョワ?
-
499
モバP「雪美さんは一人でおつかいに行ったことはあるかい?」
雪美「……」コク
モバP「実は何と俺もあるんだよ。いつも紆余曲折で命懸けの大冒険で」
ちひろ「おつかいはエクストリームスポーツじゃないですよ」
雪美「……頼まれて……買い物……ドキドキ……する」
モバP「自分で自分の為にお菓子とか買いに行くのと違って、任務だからな」
雪美「……責任……重圧……」
モバP「そんな雪美さんのはじめてじゃないおつかいも一部始終を見てみたいです」
ちひろ「カメラさんが隠れながら付いて行くんですか?」
雪美「……今の、私……なら……カメラ……気付く……」
モバP「まあカメラ同伴もな。じゃあドローンでも飛ばそうか」
雪美「……そこまで……するか……」
モバP「そしてハンターに捕まったらアウトでね」
ちひろ「おつかいって何だよ」
-
500
雪美「……///」プシュー
モバP「雪美……すまん」ペコペコ
都「仮眠室……ここが犯行現場ですか」
ちひろ「雪美ちゃんが俯いて目隠れ気味に顔を赤くしていますね」カワイイ
都「コホン……一体何があったんですかPさん」
モバP「……悪気はありませんでした」
モバP「雪美と添い寝をしていたんですが、設定していた目覚まし時計が鳴って」
都「ふむふむ……続けて」
ちひろ「添い寝については不審には思わないんですね?」
モバP「寝惚けながらアラームを止めようと手を伸ばして、どこだったかとあちらこちら探して」
モバP「そうしたら雪美の体を弄ってしまっていたようで」
都「まさぐるとはまた……アウト?」
ちひろ「何か言い残すことは」
モバP「正直に申し上げたのでどうか寛大な処置を」
-
都「雪美ちゃん、今の供述は正しいですか?」
雪美「……うん」
都「ですが、疑問があります。いくら寝惚けていたとは言ってもPさんがつい少し前に設定したはずの目覚まし時計の位置を忘れるとは思えないこと」
都「そして感触ですぐ気づくはずの雪美ちゃんの体を執拗に触り続けたこと」
モバP「執拗にって……でも元ある場所に無かったんですよね。音はするのに」
都「……ほう。そういうことでしたか」
都「――雪美ちゃん。あなたが隠したんですね?」
雪美「……」コク
ちひろ「どうしてそんなことを」
雪美「……Pと……もう少し……ゆっくり……していたかった……」
雪美「でも……止めても……また鳴り出したから……手でおさえて……」
モバP「そういうことだったのか。分からずにこんなことをして、悪かった」
雪美「……私こそ……ごめんなさい……。それに……触られて……嫌じゃない……から……///」
都「おやおや。何はともあれ事件はすぐに解決できたかな?」
ちひろ「またすぐ事件が起きそうですね。いや、事案か」
-
501
モバP「奇跡の一枚ってあるじゃないですか」
ちひろ「メイクで化ける的な?」
モバP「はい。アイドルたちは元のレベルが高いので、どちらかと言うとイメージチェンジですが、雪美さんにも変身してもらったんです」つ□
ちひろ「……制服ですね。しかもカーディガンを腰に巻いてるのが少し美嘉ちゃんっぽいですね」
モバP「参考にしました。シャツの袖は折って、スカートも短めでね。これで黒髪ぱっつんロングなのが清楚系ギャル感を煽ってくる」
ちひろ「……」グッ
モバP「……」ニヤッ
雪美「……二人とも……何を……見てるの……?」
モバP「ん、これか? これはこの前撮影した……はい」つ□
モバP「これを見ると雪美さんには無限の可能性を感じちゃいますよ」
雪美「……この服……私じゃ……ないみたい……」
モバP「ところがどっこい、あなたですよ? 改めて見ると実感が湧かないか」 ウン
ちひろ「そういえば私、最近コスプレしてないなということに気がついた」
-
502
チュー
雪美「んっ……流行りの……味……」
モバP「タピオカ良いなあ。俺も雪美さんの流行りの味になりたい」
ちひろ「何を味わわせるつもりですか。……そのタピオカ熱もそろそろ落ち着いてきましたけどね」
モバP「熱を付けるとデング熱の仲間みたいな語感がしますね」 シマセンヨ?
モバP「にしても、タピオカは何か見た目から味わいまでちょっと変わっていて良いですね」
ちひろ「タピオカのブームって過去に二回来ているそうで、そこからまたリバイバルヒットするという」
モバP「ティラミス、クレームブリュレ、ナタデココ、パンナコッタ、ベルギーワッフル、生チョコ、エッグタルト、マカロン、パンケーキ、ロールケーキ、生キャラメル、カヌレ、マンゴープリン、バウムクーヘン、クリスピークリームドーナツ等は二度は来ていませんからね」
雪美「……よく知らない……ものが多い……」
モバP「俺も知識の上では知っているが食べたことのない物もあるからな」
ちひろ「で、タピオカの次に流行るものは何でしょうね? ある人はバナナジュース、またある人はピスタチオとか言いますけど」
モバP「或いはチーズティー、もしくはコーンフレーク?」
雪美「コーンフレークは……確かに……売りきれて……いた……」
ちひろ「コーンフレークをそこに入れて良いんでしょうか……?」
-
今日はここまで
ツモで箱割れ
-
503
モバP「行きましょうか、雪美さん」つ
雪美「……うん」ギュッ
菜々「良いですね〜……」ホワァ
モバP『行くぞ、雪美』キリッ
雪美『はい! P様!』トテトテ
菜々「えっ……」ゴシゴシ
雪美「もう……慌てないで……」
モバP「あはは、すまない」
菜々「……何だか二人の関係、殺生丸とりんちゃんを思い出しますね」
凛「りんちゃんとは私のことでは……なさそうですね」
菜々「ちょっと前に流行った”犬夜叉”のりんちゃんです♪ でも、プロデューサーに殺生丸は美化しすぎでしょうか」
凛「ちょっと前……? でも、ああ見えて心を開いた相手には犬っぽさは見せますよね、プロデューサーって」
菜々「凛ちゃんがハナコちゃんを見るような目に……」
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504
モバP「マリオになって危険が迫るギャラクシーでスターを見つけたのにほうき星の天文台に帰れなくて途方に暮れる夢を見た」
朋「それはPが現状に行き詰っていて不安を感じているのかも。だから変身したいのね」
モバP「そんなことはないつもりなんだがなあ」
朋「ま、あまり意味を気にしても、夢なんて何本立てで見たらほとんどは最後以外忘れているものでしょ?」
モバP「確かにな。それに変な既視感あったり超展開気味のフリーダムだし」
モバP「でも占い好きの朋がそれを言う?」
朋「だからあたしは夢占いはそこまで得意分野じゃないから!」
雪美「P……顔に出さない……悩み……多い……?」
モバP「そうだな。ベテルギウスの超新星爆発でガンマ線バーストが来るのではとか、各地の自然災害を見て明日は我が身ではないかとか」
朋「気持ちは分かるけどそんなだと幸せは逃げちゃうわ。プラス思考も必要よ」
モバP「杞憂であるのが一番なんだがね。雪美さん、慰めてけろ」
雪美「よしよし……大丈夫……。……私が……ついてる」
朋「ちょっとそこはあたしにも慰めさせなさいよ」
-
505
モバP「雪美」
雪美「……何……?」
モバP「これはまだ未定で、仮の話として聞いてほしいが」
雪美「……うん……」
モバP「他の事務所と合同のプロジェクトが発足するかもしれない」
モバP「すると何人かウチのアイドルを選んでホスト側に派遣することになる可能性がある」
モバP「そこで、とりあえず雪美は行きたいか、志願できるか、一応聞いておきたい」
雪美「……はけん……?」
モバP「ああ」
雪美「……P……は……?」
モバP「俺は直接は関われない。そこのプロデューサーにしばらく預けることになる」
雪美「……えっ」
モバP「プロデューサーの候補は何人か挙がっているが、俺と付き合いがある人ばかりで、人柄も腕も信頼はできる」
雪美「……えっ」
-
モバP「それに、ちひろさんもそっちにヘルプに行くことになるかもしれないからな」
雪美「……待って……本当……?」
モバP「……これは移籍ではないし、俺が担当を外れる訳でもない。アイドルとしてはステップアップになることだと思う」
モバP「……ただ、俺がいない、しばらく離れた環境に置かれることになっても、問題はないか?」
雪美「……」
雪美「…………P……」
モバP「……」
雪美「……」
雪美「……うん……平気……」
雪美「……あなたの……アイドルは……そんなに……やわじゃない……」
モバP「おお……それを聞いて安心した」
モバP「大袈裟かもしれないが業界は何があるか分からないから、日頃からこんな気構えを頭の片隅にでも持っておいてもらいたかった」
雪美「……話……そのものは……本当に……あるの……?」
モバP「……作り話ですよ」 ……アヤシイ
-
506
モバP「僕が先に好きだったのにってありますよね」
ちひろ「寝取られの派生みたいなものですか」
モバP「以前から気になっていたあの子が、貴族と結婚して届かぬ花になってしまった――この辛さ」
ちひろ「それは実際の経験ですか?」
モバP「いえ、映画の話です。感情移入はしました」
ちひろ「でも始まる前の関係ならそんなに未練も残らない気がしますね」
モバP「その前に募る思いや時間があるんですよ。あとは横から掠め取られてからの落差ですね」
モバP「普段の仲睦まじい様を見せつけられたり、ビデオレターが送られてきたり、そんなの自分が情けなくなって塞ぎ込んでしまいます」
ちひろ「ビデオレターを送るって確実に何か浅からぬ因縁があると思うんですけど」
ちひろ「私はネガティブに考えすぎて勘違いをしてすれ違いで拗れに拗れる、とかの方が面白いと思います」
モバP「泥沼劇が好きなんですねえ」
ちひろ「展開が型通りだとどうしても飽きてしまいますから、二転三転するなど想像の上を行ってほしいですね」
モバP「……」
ちひろ「……」
-
モバP「雪美さんがレッスンから帰って来るのはまだかなー」
ちひろ「着地点を決めずにジャンプするのやめてくださいよ」
モバP「そこも私のチャームポイントです」
ちひろ「……」シラー
ちひろ「BSSやNTRに関して言いますと、プロデューサーさんは不特定多数の敵を作ってそうです」
モバP「……アイドルたちも学校とかで好意を持たれていたりはするでしょうからね」
モバP「それを俺が間男のようにかっさらってグヘヘなことやってるんだと」
モバP「俺を何だと思ってるんだ!」
ちひろ「セルフツッコミやめい。……でもまあ、世の皆さんはくれぐれも思い込みとかで自分の脳を破壊しないでもらいたいものです」
バタン!
きらり「ちわーっ☆ きらりん宅急便だよ! Pちゃんにお手紙だにぃ!」ハイ!
モバP「おう、きらりありがとう。……んーどれどれ」
『雪美ちゃんは預かった。返してほしくば双葉杏に休みを与えろ。誠意ある対応が無い場合はプロデューサーがBSSすることになるだろう。 Mr.X』
モバP「あんにゃろうめ、これは挑戦と見て良いな? きらり、この渡し主の元へ連れて行ってくれ」 オマカセアレ!
ちひろ「プロデューサーさんはプロデューサーさんで、どこかで一度女性関係で痛い目を見た方が良いかも分かりませんね」
-
507
モバP「暖冬だな」
雪美「あたたかい……ね」
モバP「今年は雪美とかまくらを作って中で一緒に過ごしてみたかったのになあ」
ちひろ「都市部でかまくらを作るほどの積雪はもっと北国でもないと厳しいかと」
モバP「でも雪が降らないのだ」
雪美「……かまくらは……そんなに……快適……?」
モバP「キャンプでテントを張るようなもので、雰囲気を楽しむものであって機能的ではないかもな」
雪美「……かべ……地面……そのままだと……冷たい……」
モバP「中は暖かいと言うが、普通のかまくらは外よりは相対的に暖かいだけだからな。防寒具は脱げない」
モバP「でも、スウェーデンのアイスホテルなんて存在を知ってしまうと、自分も背中を丸めて収まるようなサイズじゃなくて、高級かまくらを作りたくなる」
雪美「……アイス……ホテル……。……氷の……お城の……イメージ」
モバP「雪の女王様が住んでいそうだな。実際は、内装はともかく外観はかまくらっぽいらしいぞ?」
ちひろ「その前に、ホテルでお城を連想してしまうのってよくあることなんでしょうか……?」
-
508
雪美「……♪」 ←膝の上を独占中
テレレンテレレンテレレンテン テレレンテレレンテンテンテテテン オフロガワキマシタ
モバP「お、沸いたみたいね。雪美さんは、お風呂には入ります?」
雪美「……」フルフル
モバP「じゃあちょっくら入ってくるとします」ゴメンネ スクッ
雪美「あっ……」
――
ガラガラッ
モバP(まだ日が高い内からひとっ風呂浴びる……贅沢だなあ)
ザバッ パシャッ
モバP(さて、しっかり体を洗いたいが雪美を一人であまり待たせるのも悪い)
モバP(短い時間で大きな効果、密度の濃いバスタイムにするぞ)キリッ
ゴシゴシ シャカシャカ
――
-
雪美「……」ポー
雪美「……」 ←1人でつまらない状態
雪美「……」 ←そうだ何かPにサプライズを仕掛けようと思いつく
雪美「……?」 ←何が良いだろう? と考えている
雪美「……!」ピコーン
雪美「……」 ←水着を着て突撃するのはどうかと考えている
雪美「……」 ←でもその前に出てきてしまったらどうしようと考えている
雪美「……」フルフル ←そもそも成功したとしてその後どうするのかと考えている
雪美「……」
雪美「……///」
雪美「……」フルフル ←大人しく待つことを選ぶ
――
モバP「雪美さん、上がりましたよ。お待たせ」
雪美「……もう少し……考える……時間……欲しい……」 ナンノハナシダ?
-
509
モバP「こたつで食べるみかんは美味しいな」
雪美「……」コク
モバP「また、この一連のセッティングが我が家の和みを体現していて落ち着く」
雪美「……ふふっ」
モバP「……そこに雪美さんまで付いてくるんだから、ええなあ」ヘラヘラ
雪美「P……すっかり……ゆるい……表情……」
モバP「気が緩まったまま、ついみかんを食べ過ぎてしまいがちだ」
モバP「そして後に残されたみかんの皮の儚さよ」
紗南「あたしはこの場にいて良いのかな?」
モバP「おや。紗南はバーチャルの世界から戻ってきたようだね」
紗南「一休みだよ。ゲームは一日一時間、はちょっと厳しいと思うけど、一時間につき十分くらいの休憩は必要」パリッ
モバP「紗南はスナック菓子を箸で食べるんだな。コントローラーや携帯機を汚さないためか?」ア、ミカンドウゾ
紗南「あ、これ? そうだよ。マナーは良くないかもしれないけどね」
紗南「それと、今はみかんはいいや。食べ始めると意外と手が離せなくなるから」
-
モバP「みかんは筋とか剥く性格だと時間がかかるよな。昔、給食の時はそれで苦労した」
雪美「……Pは……筋をむく……タイプ……」
モバP「本当は筋ごと気にしないで食べた方が、体には良いそうだがな」
紗南「筋は食感がね」
紗南「それにしても、みかんの皮を見ていると、Eversionを思い出すよ」
モバP「以前にチャンネルでプレイしていたアクションゲームか。主人公をみかんの皮呼ばわりは笑うが」
雪美「……みかんの皮が……アクション……。……面白そう……」
モバP・紗南「……」(´・ω・)(・ω・`)
モバP「あー……んー……まあ面白いかな? でも雪美くらいの歳の子にやらせて良いのかどうか」
紗南「ちょっとトラウマになるかもしれないし、ならないかもしれない」
雪美「あっ……。……こわい……ゲーム……?」
モバP「大体お察しの通り。これを明るいゲームだよと偽ってプレイさせる奴がいるなら、結構食わせ者かも」
雪美「そんな風に……言われると……結局……気になる……」 スマン
紗南「まあ、あたしもやったんだからさ。大丈夫だと思うよ」 ホントカ?
-
510
モバP「小腹が空いた……こういう時は自販機のパンが食べたくなるなあ」
雪美「……それは……味が……変わった……パン……?」
モバP「いや、普通の菓子パンとかだよ」
ちひろ「敢えて自販機を指定する必要性とは何でしょうか?」
モバP「……自販機でパンを買うという優越感を味わいたいのかもしれません」
ちひろ「はぁ……。でも、一般的なパンってそんなに日持ちしませんよね?」
モバP「ところが自販機向きのパンというのがちゃんとありまして」
みちる「コモのパンは良いですよね! パネトーネ種が独特で……あ、差し入れにお持ちしました!」
モバP「おお、それだ。このコンビニとかスーパーではお目にかかれない袋――ありがとう!」
モバP「でも、ウチの事務所には無いのかしら。コモの自販機」
みちる「施設探索が足りませんね。実は一台、この346プロの中にもあるんですよ? そこで買って来ました!」
モバP「何と……それは知らなかった。というかオフィスの近くに無いんだが、一体どこだよ」
雪美「……今度……探してみよう……」
ちひろ「広すぎて把握できない我が職場」
-
今日はここまで
ホットスパにスパゲティは無い
-
乙
夕飯時のつまみをスナック菓子で済ます場合は箸で食べる派
-
511
仁奈「クマの気持ちになるですよ!」
モバP「大きなクマです」
ちひろ「中くらいのクマです」
雪美「ちっちゃな……クマ……です……」
仁奈「仁奈はクマじゃなくてゴルディロックスの少女でごぜーますか」
仁奈「……ここがクマのハウスでやがりますね。あ、スープにイスにベッドがあるですね」
モバP「仁奈にとって、俺のスープは熱いだろうし、イスは大きすぎるだろうし、ベッドは固いかもな」
ちひろ「仁奈ちゃんにとって、私のスープは冷たくて、イスは大きくて、ベッドは柔らかすぎるかも」
雪美「……」
仁奈「……雪美ちゃんクマのスープ、イス、ベッドなら仁奈にはちょうど良いですよ」
雪美「……私の……分……」
仁奈「冗談でごぜーますから! 雪美ちゃんの分を取ったりしねーです!」
ちひろ「原作は小さなクマが救われない話だったなあ」ボソリ
-
512
雪美「……P……?」テクテク
モバP「……」ズーン
雪美「……! ……ソファーに……すわって……項垂れて……顔を……覆って……」
雪美「……そんなに……辛いこと……あった……の……?」
モバP「……大したことじゃないよ。ただちょっとしんどいことが続いて気分が沈んでな」
モバP「情けない姿を見せて心配かけてすまない。すぐ立ち直りたいがもう少しだけ待ってくれ」
雪美「……」
雪美「分かった……。……今日は……ひざには……乗らない……」
雪美「となりに……いる……」
ポンポン
サスサス
ナデナデ
モバP(本当に大したことないのに何か泣きそうになってしまうなこれ)ジーン
-
513
モバP「この前ゲームセンター巡りをしたんですがね」
ちひろ「よくそんな時間を見つけられますね」
雪美「P……スケジュール……作るのが……上手……」
モバP「分刻み秒刻みで動いていますゆえ」
ちひろ「これだけいつも雑談はしているというのに?」
モバP「雑談の時間も大事ですよ。ねー雪美?」
雪美「うん……。家族の……会話……大切……」
ちひろ「ここは家庭じゃなくて職場ですからね?」
モバP「それで、雪美とエアホッケーなどをして遊びました」
雪美「……エアホッケー……楽しい……」
ちひろ「ぼっちでは遊べないやつですね」
モバP「だからこそ連れがいるとついやりたくなるんですよ。商売上手な存在です」
モバP「まあ、勝負は一対二とハンデを付けて負けましたがね。雪美さんにはダーツ挑戦権と交換できる金貨が送られます」
ちひろ「二人目は誰ですかね? それと何ですかそのどこかで聞いたことあるシステム」
-
モバP「パージェーロ! パージェーロ!」
ちひろ「懐かしのパジェロ」
モバP「あーっと! たわしでしたー……なんてね」
ちひろ「10万円相当の金貨で得られるたわしとはさぞ良い物なのでしょう」
雪美「……金の……たわし……」
モバP「金のバナナや金の柿の種といった純金製○○的なものって昔から結構何でもあるな」
ちひろ「でも私なら空気読まずに金貨を持って帰って換金すると思います」
雪美「……撮れ高が……ひどいことに……」
モバP「それはそうと、エアホッケーの他にピンボールの台もあって、短い時間ながら満喫できました」
ちひろ「ピンボールに目を付けるとは、また雰囲気重視ですね」
モバP「やっぱりピンボールは画面越しでやるより直接やる方が球やフリッパーの挙動の重さを感じられて良いです」
ちひろ「ちなみにどんなやつを」
モバP「GottliebのSuper Mario Bros.ですね。雪美が意外に上手くてエクストラボールを出しまくっていました」
雪美「コインの……バンパーに……当たると……音が出て……光るの……好き……」
ちひろ「よくそんな台が残っていましたね」
-
514
モバP「趣味でも何でも、何かを始める時、ビギナーズラックを持っている人って良いですよね」
ちひろ「常に運が良いのと違って、初心者限定ですか?」
モバP「はい。常に運が良い人はそんなにいませんが、ビギナーズラックはそれなりの割合でいる印象で」
雪美「……Pは……持ってない……?」
モバP「あまりその力を実感できた場面は無いなあ」
モバP「最初の一回で良い思いができたら、続けていこう、研究しようという気力になるのに」
ちひろ「運を運たらしめるのは、それまでの人生経験とか予備知識とか運動能力とか反射神経とか、そういう蓄積だと思いますけどね」
モバP「運も実力の内とは言いますし、やっぱりそういうものなんでしょうか」
雪美「……私は……アイドルに……なるのに……最初に……ここに……来られた……」
雪美「P……ちひろさん……そして……みんなに……会えた……」
雪美「それは……ビギナーズ……ラック……かも……」
モバP「……本当にほぼ運というか、巡り合わせな事例も確かにあるな。雪美……」ナデリ
雪美「……♪」
ちひろ「まあ自分は運が良いと思い込むのも大切ですかね」ナデリ ……♪
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515
モバP「ゴンドラからの眺めは良いものだなあ」
雪美「……」コク
モバP「……フハハハ、人や車がおもちゃのように小さく見えるぞ!」
雪美「……ふふっ」
モバP「……いやあ、高くて怖いねえ」
雪美「……P……大丈夫……?」
モバP「観覧車の管理者さんを信頼しているから大丈夫だ。それにしっかり窓だけだからな」
モバP「これが中国のガラスの橋みたいに足場まで透明とかなら少し発狂するかもしれないが」
雪美「……足場……透明だと……スカート……下から……見える……」
モバP「……雪美のスカートか」
雪美「……何を……考えたの……?」コツン
モバP「ごめんなさい」
モバP「……二人きりだな」
雪美「……小さな世界に……私と……Pだけ……」
-
モバP「もう最高地点くらいまで来たんじゃないかなあ」
モバP「……怖いんで手を握ってもらっても良いですか?」
雪美「……本当に……こわい……?」
モバP「本音は雪美と手を繋いでてっぺんを通過してみたいだけです」
雪美「正直で……よろしい……」ギュッ
雪美「……ふふ……もし、ここで……止まったら……どうしよう……?」
モバP「そんなの骨組みを伝って自力で降りるしかなかろう」
雪美「早まったら……ダメ……」ガシッ
モバP「まあいきなり止まるなんてそんなことある訳が――」
ガコンッ
モバP「……スナイパーが誰かを狙っていたり狙われていたりすればあるかもな」
雪美「……Pったら……。……今のが……一番上……?」
モバP「……他のゴンドラの高さを見てもどうやらそのようだな」
モバP「それにしても、観覧車と言えば遊園地というイメージが強いが、こういう複合商業施設併設も目立つな」
雪美「……特に……海が……見える所……良い」 タシカニナ
-
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「私……どう……見える……?」
モバP「楽しそうに見える」
モバP「雪美の感情の機微は、表情や声、その他の特別なファクターでしっかり推し量れるよ」
雪美「……良かった……」
モバP「でも、心なしか少し緊張してないか?」
雪美「……当たり」
雪美「……誰かに……見られるかも……そんな……気がしたから……」
モバP「……見られて困るようなことをする気かい?」
雪美「……」
モバP「……ああ、そんなことを言っている内に一周が終わってしまう」
雪美「……残念……。……次こそは……」
モバP「次回一体何が起きるのか」
-
516
みく「Pチャンはまた袋ラーメンを食べてるの? 懲りないにゃあ」
モバP「珍しい物を貰ったらたまにだよ。今はラメ友の四条さんからお試しでどうぞと貰ったやつをね」
みく「四条さんってみくたちが知ってる四条さんじゃないと良いけど……」
みく「というかラメ友だとネイルか何かの友みたいに聞こえるにゃ」
モバP「みくも食べてみるか? 辛いぞ?」ホレ
みく「辛いのを承知で勧めるんかい!」
モバP「念の為言うがこれは魚じゃないから安心しろ」
みく「インスタントラーメンにある程度形のあるお魚が入ってたら恐慌をきたすよ!」
みく「えっと、これにゃ? 辛ラーメンって書いてあるけど」
モバP「よう見てみ。それは辛ラーメンやなくて韓国風大辛ラーメンや」
みく「えっ? ……本当だ」
モバP「紛らわしいが国産で、これがなかなか美味い。辛いがな」
みく「分かった、辛かったんだね……」
-
モバP「あと、炊飯もしっかりやるようにしてはいるんだ。最近はだしでご飯を炊いたりする」
みく「何かにつけてアレンジが好きだにゃあ」
モバP「お客様がいる時はなるべく普通に作るが、一人の時は自由だからな」
雪美「……P……今日は……私が……作る……」
モバP・みく「!!」
雪美「……?」キラキラ
モバP「ラフな私服にエプロン……」
みく「いい……」
雪美「……本日のメインは……植物性……ハンバーグ……」
モバP「おお、今話題の。ソイミート等は以前からあるが、より技術が進んでいるってな」
みく「家畜、特に牛の排出するメタンガスによる環境負荷がやっぱり気になるのかにゃ?」
モバP「さすがみく、詳しいな。他にも思想や宗教により特定の肉を食せない人とも一緒に食べられるかもしれないし、そういった――」
雪美「……本当は……ただ興味で……食べて……みたいだけ……でしょ……?」
モバP「はい!」 ……フフッ
みく「嫁さん力が上がってるにゃあ……」
-
517
モバP「先日ね、最近増えてきた連節バスに乗ったんだよ」
雪美「……真ん中が……アコーディオン……みたいな……?」
モバP「その発想はあった。……ああ、蛇腹になっていたな」
雪美「……車体が……とても……長い……」
モバP「中から見ても奥行きを感じたよ。素人目だとBRTとかでないとあの長さは一部のバス停では停車スペースが足りないと思った」
雪美「……ベーコン……レタス……トマト……」
モバP「それはBLTだ。BRTとはバス・ラピッド・トランジット。専用のレーン等を使って大型バスで人をより多く速く運ぶこと、かな」
雪美「……今以上に……速く……たくさん……?」
モバP「これでも結構積み残しとか出る所は出るからな」
雪美「……じゃあ……この都市にも……作る……?」
モバP「作っちゃいましょうか、佐城市長!」
雪美「……うん。……設置は……任せた……副市長」
紗南「最近の若いPさんと雪美ちゃんはCities:Skylinesもやるんだなあ」
-
今日はここまで
恋するトマホーク
-
518
モバP「……ふー、うめぇなあ」
ちひろ「また市販のドリンクを飲んでいる……」
モバP「日頃ちひろさんのドリンクばかりではなんですからね」
ちひろ「でもプロデューサーさんは豆乳とか甘酒とかりんご黒酢とか生姜湯とかいろいろ飲みますよね?」
モバP「これはアーモンドミルクです」
ちひろ「まだ他に手を出していたんですか」
モバP「健康志向なんですよね。他にも甘めの青汁とかコーヒーとかココアとか飲みます」
雪美「……アーモンドといえば……チョコレート……」
モバP「ナッツ系はおつまみでもチョコレートでも良いよな。カロリーがあって旅のお伴にもなるし」
ちひろ「種状態ならともかく、それだけいろんな物を飲んでいたらお腹タプタプになりそうです」
モバP「一斉に飲む訳じゃないですが、まあ水分補給は大切だと思って」
雪美「……たぷたぷ……」サワッ
モバP「……あっ、雪美さんお腹を愛撫するのやめて///」 アイブイウナ
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519
モバP「ああ、雪美のおでこが見たい」
雪美「……?」
モバP「分かっている。そう呆れた顔をしないでくれ。でも、そんな気分なのだ」
雪美「別に……あきれてない……。……見たい……?」
モバP「ああ」
雪美「……じゃあ……かわりに……さこつ……見せて」
モバP「交換条件か。ちょっと恥ずかしいが……良いぞ」シュルッ
雪美「……」ドキドキ ジッ
雪美「…………ふぅ……ありがとう……。次は……Pの……番……」 イクゾ
サラッ
第三の目「!」ギロッ
モバP「うおっ!!」ビクッ
――
モバP(……なんてことがあったりしないかな) P……ナニカンガエテルノ……?
-
520
肇「Pさんはお茶椀とか小鉢とかのお皿はどんな色や模様が好きですか?」
モバP「白ベースに深い青の丸を花のようにあしらったものとか、好きだね」
肇「具体的ですね。そして、青ですか」
モバP「ちょうどそんな柄のものを実家でずっと使っていたから馴染みがある」
肇「ふふっ。なるほど」
モバP「それと曜変天目茶碗なんてギャラクシーな色彩をしていて見惚れるね」
肇「一気に凄いのが……知識が無くても分かる芸術ですね」
モバP「あの艶のある色って釉薬で出すんだよな? 青なら主にコバルトだっけ」
肇「その辺は話し始めると長くなりますし、今度また時間を作って一緒に器を作ってみましょうか?」
モバP「良いですね〜」
雪美「……立派な器で……京料理……食べたい……ね」
モバP「それも小粋な小料理屋のカウンター席でね。”割烹雪美”なんて店名が想像できる」
雪美「……いつか……本当に……作ったら……どうする……?」
モバP「毎日通うぞ」
-
肇「こんにちは雪美ちゃん。雪美ちゃんは最近、料理を習っているんですね」
雪美「千夜……おっと……千夜先生に……」
肇「千夜さんはいつの間にか先生ポジションに……?」
雪美「千夜……先生は……優しい……。Pには……少し……厳しい」
モバP「でもふいに見せてくれる優しさに、勇気とパワーが湧いてきます」
肇「それだけ期待されているんだと思いますよ?」
肇「さっきの話ですが、Pさんがそんなに青が好きとは少し意外でした」
モバP「寒色はクールである」
モバP「それと青色は自然界に少ないから神秘と、可能性を感じてしまうのかもしれない」
雪美「……青いバラや……青い鳥……珍しい……」
モバP「赤等の暖色が多いと攻撃タイプ、青等の寒色が多いと魔法タイプ、白黒等のモノトーン系が多いとバリアタイプ、なんてゲームがあったな」
雪美「……ラクガキ王国……。……まほう……強い……」
モバP「でも上級者はバリアを使いこなすらしいがな……って、話が逸れたな」
モバP「そういえば肇や雪美もクールの属性で、イメージカラーは青だったな。……いかんいかん、特定属性に肩入れし過ぎか」
肇「この場くらいはこっそり肩入れしてくれても良いですよ?」
-
521
モバP「突然ですが、プリン&ホイップクリーム&サクランボの組み合わせって王者の風格があると思いません?」
ちひろ「アラモードですか。確かに市販品でも少し盛り付けをしただけで見た目がより華やかになりますけど、突然ですね」
モバP「まるで自分と雪美のような関係と言えましょう」
雪美「……♪」チョコン
ちひろ「はいはい。でもサクランボって国産はなかなかサイズの割に高めですよね」
モバP「ですね。しかもアメリカンチェリーの肉厚さを一度知ると、いつものサイズでは何か物足りなく感じたり」
ちひろ「小ぶりながら美しい形と色に希少さや値段から”赤い宝石”とはよく言われたものです」
モバP「イチゴでも赤い宝石と言ったりするような……」
モバP「サクランボに似た物だと茱萸もなかなか見ませんね。幼い頃はたまに食べていましたが」
ちひろ「茱萸は種が大きくて食べ応えが……美味しいですけど」
雪美「……グミに……種……?」
モバP「甘酸っぱい実が特徴だ。ゼラチンを使ったお菓子じゃないぞ?」
雪美「……グミじゃない……グミがある……?」
モバP「雪美さんにもいつか食べさせてあげよう」
-
モバP「ひょっとしたら雪美さんは木苺とかも直接食べたことがないのかな」
雪美「キイチゴ……それは……イチゴ……? 私も……食べてみたい……」
モバP「ラズベリーと言えば分かるかもな。見た目は小さなブドウに似ている。上部が窪んでいてイチゴより感触が柔らかい」
雪美「……ベリー……それなら……知ってる……」
モバP「Berry good, Berry nice。ジャムやちょっと良い所のケーキやタルトのトッピングでなら見かける、あれだ」
ちひろ「プリンは上にサクランボ、ケーキやタルトは上にイチゴが多いですけど逆は意外と無いですね」
モバP「その辺も理由があるのか、結構興味深いところです」
モバP「話を戻しまして、サクランボと言えば、軸を舌で結ぶ遊びがありますね」
ちひろ「プロデューサーさんならいとも簡単に出来そうなイメージです」
モバP「そんなに器用そうに見えますか?」 ハイ
雪美「……P……できると……思う……。舌……上手……だから」
ちひろ「……プロデューサーさん?」
モバP「……結べる人はキスが上手いとか言いますね。いえ、私は違いますよ? 舌が回る方ではあると自任しておりますが不埒なフレンチキス的なことは誓ってしておりませぬ」
雪美「……お話……だけじゃなくて……キスも……上手……なの……?」 イエイエソンナ
ちひろ「その舌は二枚舌だったり舌先三寸ではないでしょうね?」
-
522
モバP「雪美さんに着せても良い服シリーズー」
雪美「……///」キラキラ
ちひろ「結構恥じらっているようですけど」
モバP「今回はゼルダの伝説、少年リンクの初期寄りの格好です。ブラボー……!」
ちひろ「緑の三角帽子に緑のチュニック? は何だかエルフみたいですね」
モバP「最初はスカート状で生足だったのが中性的な外見を強調していましたね。シリーズが進むごとに白タイツを穿いたりするようになりましたが」
雪美「私……かみの色が……金や……茶じゃない……」
モバP「でもちょっと長い付け耳をすれば、コキリ族にいても違和感はないかも」
ちひろ「最近の青年リンクはというと美人系ですね。踊り子に女装したりして」
雪美「Pも……女装……して……」
モバP「いや、俺がやるとやっぱりゴツいから……」
雪美「つべこべ……言わない」ガバッ
アッー
ちひろ「しかしコスプレ雪美ちゃんと絡み合うプロデューサーさん羨ま――いや、目の毒ですね」
-
523
モバP「ケンタッキーのバーレルやミスタードーナツの箱詰めを見るとワクワクする夕方」
ちひろ「お腹が空いていらっしゃるんですね」
モバP「仕事に根を詰めていると飲まず食わずで長時間平気だったりして」
ちひろ「そして落ち着いて気が抜けた時に反動で気持ち悪くなる、と」
雪美「しっかり……食べないと……良くない……」
モバP「本当にね。でもそんな集中状態の時は飲み食いする時間も惜しいというか、頭も体も空腹に気づかない」
ちひろ「在庫のCPブレッドでも食べたらどうです?」
モバP「あ、そういうのもそういえばありましたね」
ちひろ「そういうのもって何ですか」
モバP「最初はブレッドと聞いてパン的なものをイメージしていたら、ショートブレッド系だったなあと」
雪美「……バランスパワーや……カロリーメイトの……仲間……」
モバP「ちょっとパサパサして水分を持って行かれる感じがするのはカンパンの親戚味もある」
雪美「……Pは……そういうのは……あまり……食べない……ね」
モバP「非常食っぽいものはやっぱり非常時にな、と」
-
ちひろ「でもやっぱり普通のパンじゃなくて保存食的な物になるのは仕方ないですよ」
モバP「ですかねえ」グゥゥ
雪美「……ふふっ……。P……何か……食べる……?」
モバP「さすがにここで頼んで作ってもらうのは悪いよ」
モバP「……しかし、お腹が空くと思い出すのは”ぼくは王さま”という絵本シリーズだなあ」
雪美「……くじらの、たまご……はりより細い、ニンジンスナック……じゃぐちから、スパゲティ……」
モバP「知っていますねえ。あとはジョーカーがくれる極小の料理とか……空腹を誘う表現が多いんだ」
雪美「それでいて……ふしぎな……お話……多い……」
モバP「夢オチ幻オチで読後感がふわふわするというかね」
モバP「でも、目玉焼きの半熟の黄身を開いてソースにして白身にまぶして食べる的なこだわりを披露する所が俺は一番好きかも」
ちひろ「そこを覚えているプロデューサーさんのこだわりというか執念も……」
モバP「という訳で肉や魚や甘い物なんて言いませんので、何か卵料理が食べたいな」
ちひろ「がっつりリクエストしてますよこの人は」
雪美「食べに……出かける……?」 デスヨネヤッパリ
-
524
モバP「今年もバレンタインの季節か」
雪美「みんな……目が……ギラギラ……してる……」
モバP「まあ、程々になと言いたいところだがそれは野暮か」
モバP「俺も女子同士の友チョコ感覚でチョコレート交換とかしてみたいなあ。それは男の場合逆チョコと言うのかな」
雪美「……Pには……ホワイトデーが……ある……」
モバP「あるんだが、後で返礼をするとしても一方的に貰うだけでは疎外感がな。男女に友情は成立しないのだろうか」
雪美「……友情は……ある……。それに……」
蘭子「我が友! 白の日と対となる恐怖の日に、同盟として甘き心臓を捧げ合わないか? 供物は一つと限らぬぞ」
輝子「親友……わ、私は親友として交わすのも……男女として交わすのも……両方いいぞ……」
雪美「……やってくれそうな……子がいる……。……Pが……求めるなら……私も……応じる」
モバP「みんな……。ならばやろうじゃないか、友チョコってやつを!」
モバP「だが、二重のチョコで苦労も二倍になりそうなのは大丈夫なのか?」
雪美「Pに……比べたら……It's a piece of “chocolate” cake……」 エ、イマチョコレートケーキツクルッテ
ちひろ「不公平だからと友チョコ用も関係者全員分用意し始めそうではありますよね」
-
525
ちひろ「プロデューサーさんのPCのデスクトップに変な名前のファイルが」
ちひろ「“カーテンに隠れる雪美ちゃん”? ……ちょっと覗いてみましょうか」カチカチッ
ちひろ「これは……カーテンに包まってこそっとこちらを見ている雪美ちゃんが写ってますね……」キュン
モバP・雪美「……ちひろさん」
ちひろ「いっ!?」ビクッ
モバP「ちょっと席を外している間に我が秘蔵映像に目を付けるとは、血は争えませんね」
ちひろ「何の血ですか。……すいません、つい」
モバP「雪美をカーテンからクルクルと引き抜く動画もあるんですが、一緒にどうです?」
ちひろ「帯回しもどきですか。見たいです」
雪美「……はずかしいから……お許しを……」
モバP「よいではないかよいではないか〜」
雪美「あーれー……」
モバP「……本当の帯回しもやってみたいな、雪美で」
ちひろ・雪美「……調子に乗らない」 コツン×2
-
おまけ11
ナターリア「そういえば、Que lastimaってスペイン語だったナ!」
モバP「ナターリアの公用語はポルトガル語か。じゃあ以前に言ったあれは一体?」
ナターリア「無問題! ナターリアはマルチリンガルだカラ!」
モバP「頭良いのねえ。実はナターリアって天才か?」
ナターリア「正しくハ、マルチリンガルめざしてガンバってる、だけどネ!」
モバP「何だい、えらく14歳離れしていると思ったぜ。スタイルも含めて」
ナターリア「ちなみに同じザンネン、はブラジルではQue penaって言うヨ」 ニテルネ
おまけ12
雪美「……」チョコン
ちひろ「また雪美ちゃんを膝の上に乗っけているんですか。それも抱え込むように」
モバP「仕事終わりで気持ちと体が熱くなっているので、粗熱を取っているんですよ」
ちひろ「雪美ちゃんは料理ですか。そしてプロデューサーさんで冷ますのか……」
雪美「……♪」
-
今日はここまで
されば南条の光
-
乙
女子小学生にお腹を愛撫されるのを想像すると何だか興奮する///
-
526
モバP「はい、あーん」
雪美「……あむ」モクモク コクン
雪美「……こんな……こんなのって……」
雪美「……おいしい」ニコッ
ちひろ「満面の笑みだあ。一体、何を食べさせたらこんなことに?」
モバP「この、インスタにも映え映えするゴディバのチョコレートディップドストロベリーです」
ちひろ「Oh……GODIVA……」
モバP「と見せかけて、ただイチゴを溶かしたチョコレートにディップして固めたものです」
ちひろ「セコい。しっかり模様も付けてあって、言わなければ本当にそれっぽいですけど」
モバP「作り自体はシンプルですから自分チョコとして作っておいたんですが、せっかくなのでお裾分けです。ちひろさんもどうです?」
ちひろ「はえー、友チョコ用とは別に自分用とそのお裾分け用まで作ったんですか……でもおいしそうですね」
雪美「ちひろさんも……あーんして……」 アーン パクッ
ちひろ「……おいしいです」ニコッ
モバP「ちひろさんがあーんを許すとは雪美さん恐るべし」
-
527
モバP「人の優しさには二種類あるかもしれない」
雪美「……」
モバP「一つは人生経験、特に苦労を重ねた故の優しさで、重みと説得力がある」
モバP「もう一つは常識的な優しさで、当たり前のことに気を使える細やかさに惹かれる」
雪美「……Pは……どっち……?」
モバP「俺は……俺に、重みのある優しさはあるんだろうか」
モバP「思えば薄氷の勝利を繰り返してここに立っているような気がするが」
ちひろ「人生は勝負の連続でしょうけど、負けないと得られない物もあるかもしれませんね」
モバP「……」
雪美「……」
ちひろ「……」
モバP「まあ、無理に苦労人ぶるよりは俺は俺らしく自分を伝えて生きる方が良いな」 ズルッ
雪美「……前向きなのは……良いこと……」
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528
モバP「バレンタインデーもだが、恵方巻と節分も終わったな」
雪美「のり巻き……豆……そして……チョコ……」
モバP「次は桃の節句に雛あられや菱餅、ホワイトデーにクッキー、端午の節句にちまきや柏餅――」
ちひろ「食べ物で彩られた一年ですか」
モバP「豆まきと言えば、寺社や町祭りとかで高台から投げられた物をキャッチするのが楽しかった思い出です」
雪美「……今年も……Pと……いくつか……とれた……」
ちひろ「プロデューサーさんの昔話と思いきや随分新鮮な思い出でしたか」
モバP「豆キャッチは球場でのホームランボール、ファールボールや結婚式のブーケトスを取る気持ちが少し分かります」
雪美「……その二つは……まだ……経験……してない……」
モバP「俺は試合観戦で直接キャッチではないがファールボールを拾ったことはある。ブーケはない」
モバP「そもそも未婚女性が取ると次に結婚できるとかいう代物を、女性でない俺が取ってどうするという」
ちひろ「女性に紛れてブーケトスを取りに行くプロデューサーさんを想像したら滑稽そのものですね」
雪美「私は……取っても……いいの……?」
ちひろ「……雪美ちゃんはもう結婚するつもりですか」
-
モバP「まあ、ブーケトスは最近は賛否両論あって配慮とかでやらない人も多いようですね」
ちひろ「詳しいですね。ということはプロデューサーさんの方は結婚に興味または願望が?」
雪美「……」ジッ
モバP「……待ちます。何にとは言いませんがしばらくは」
モバP「しかし、大きい所の豆まきは何が来るか分からないのが良いですね」
ちひろ「小物だったり落花生だったりお餅だったり……種類が多すぎるとちょっと節操がない気がしないでもないですけど」
モバP「更に豆も袋入りで、それもシンプルな炒り豆じゃなくて、お菓子の豆だったりそもそも豆でもないお菓子だったり」
雪美「……豆……甘い方が……みんな……喜ぶ……?」
モバP「ああ。俺にとっては節分豆にもグレードがあり、そのままより糖衣、糖衣よりチョコがレアで、イベントでチョコ入りが出ると嬉しかった」
ちひろ「グレードってコーヒー豆みたいに言いますね。でも普通の豆は特に味が付いてないですからね」
モバP「それにやっぱり鬼に向かって豆そのものを投げてぶつけて床に散らばしたりするのはねえ」
雪美「食べ物……粗末にしては……いけない……」
モバP「そう教わってきたからな。それに砂糖がけの豆は金平糖ほどじゃないがでこぼこしていてぶつけられるとちょっと痛い」
ちひろ「ぶつけられたことあるんですか」 ハズデス ハズカ
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529
雪美「Pと……翠……、二人で……何を……見ているの……?」
モバP「これはレゴのカタログだよ」
翠「プロデューサーさんが貰ってきてくださったんです」パラパラ
翠「……こういう物もあるんですね。ふふっ」
雪美「……違うカタログが……いくつも……ある……」
モバP「最新の物と実家の物置から持ってきた20年前くらいの物と見比べてみているんだ」
モバP「前者はスターウォーズやマインクラフトコラボだったりスマホアプリ連携企画とかあって、パーツも多彩になり、色使いや世界観もアメコミ的というか濃ゆいな」
雪美「……見ていて……面白い……かも……」パラパラ
翠「時期ごとにカタログが新調され、商品が少しずつ入れ替わる様に時代の流れを感じます」
モバP「しかしこうして見ると中世の城や海賊船あたりが俺の好みなんだが、今は無いんだな。復刻とかしていないのかしら」
翠「そこでレゴランドですよ。きっとお目当ての物が見つかるはずです!」
モバP「レゴランドにこだわるなあ? それよりはストアやクリックブリックのような専門店を探すべきじゃないか? つまり……天然か!」
翠「天然じゃありませんから! ……プロデューサーさんは、私とレゴランドに行きたくありませんか?」 イキタイ!
雪美「翠……実は……愛知の……観光大使……?」
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530
モバP「バレンタイン禁止令、チョコレート禁止令なんてのも世の中にはあるんですね」
ちひろ「イベントに浮ついて学業社業を疎かにするなってことでしょうか」
雪美「……」
モバP「おおそうか、あまり縁が無い立場の人たちの嫉妬のように感じるか」
雪美「……そんなことは……言ってない……」メッ
モバP「分かっているとも、雪美さんがそんなことを言わないなんて。からかってごめんよ」
モバP「でもまあ、ダメと言われるほど、制限されるほど、燃えてくるものではあるよな」
雪美「……P……悪い子……ね」
モバP「今頃気づいたかい? 悪い子ですよ俺。……アメリカには禁酒法なんて時代があったがそんな中で何とかして飲む酒はさぞ美味かっただろう」
ちひろ「ゲームの初代マフィアの時代背景になっているあたりですね」
モバP「俺もあんなタクシードライバーに……はちょっとなる度胸が無いですが」
ちひろ「もしプロデューサーさんが火遊びや反骨精神を抑えきれなくなった時は、私がこの手で引導を渡しますから安心しておいてください」
モバP「そんな日が来ないよう努めます」
雪美「……遠回しな……告白……?」
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531
モバP「雪美、目を閉じて」
雪美「……ん」
モバP「これを握って」
雪美「……ん……、……大きい……」
モバP「こいつは雪美の手には少し大きいかな」
ちひろ「……膝の上で何をさせているのでしょうか」
モバP「ストップウォッチ十秒チャレンジです。これが結構やり始めると盛り上がるんですよね」
ちひろ「それなら大丈夫ですか」
雪美「……始めて……良い……?」
モバP「自分のタイミングで良いぞ」
雪美「……分かった」カチッ
モバP「ただし気は散らせるからな」コチョコチョ
雪美「きゃっ……! ……もう……集中……できな……あっ……」
ちひろ「やっぱり大丈夫じゃなかった。取り上げますよ?」 ドッチヲ? ドッチモデス
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532
モバP「県境ってたまにラインが引いてあるよな、ここのように」
雪美「……うん」
モバP「日本は島国だから歩いて国境を越えることはできないが、県の境界線なら一緒に越えられる」
雪美「……じゃあ……手……つないで……」
ギュッ
モバP「せーの」
ピョンッ
スタッ
モバP「到着……雪美とやりたかったことの一つが叶えられた」
雪美「……どういたしまして……?」
モバP「……一線を越えてしまったな、俺たち」
雪美「うん……。……えっ……何か……深い意味……?」
モバP「あっいや、そのままの意味だ。……ありがとう雪美」
雪美「……もっと……一線……こえる……?」 ブホッ!
-
今日はここまで
ふりだしにもどる
-
乙
綺麗なロングヘアの子がコチョコチョされてると髪がサラサラと動いて艶めかしいよね(ゲス顔)
-
533
杏「プロデューサーって何でちっちゃい子が好きなのさ?」
モバP「別に特にちっちゃい子が好きですと表明した覚えはないんだが」
杏「……普段の言動の節々に傾向があるよね」
モバP「そんな莫迦な。……でもそうだな、小さいと便利な時がないか?」
モバP「小回りが利くとか、低い所に目や手が届くとか、俺には出来ないことをやれそうな魅力を感じる」
杏「プロデューサーは背が高いから分からないかもしれないけど、不便だってあるよ」
モバP「じゃあ逆に杏よ、君は何故、おっきい人が好きなんだい」
杏「好きというか、杏クラスになると集まってくるよね、おっきい人の方から」
モバP「ホストさんの格言か何か? それは身長関係なく、杏の器量というか人徳だろう」
杏「意外と評価高いなあ。でも、好きにまでなるには杏のこと養ってくれないとなー。プロデューサーでも良いよ?」
モバP「またまた。それに、いざ養われると手持ち無沙汰になると思うぞ。何か生き甲斐を見つけないとな」
杏「プロデューサーは懐の広さもその身長並になってほしいなあ」
モバP「残念だがこの懐はよく貸し出されるからな。主に雪美に」
雪美「……現在……進行形……」チョコン
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534
モバP「昨今は昼間でも随分とお寒う御座いますなあ」
雪美「……うん」
モバP「少しwarmな本日も雪美さんはフリースを着て参っておられるようで」
雪美「……」キラキラ
モバP「ボアパーカーやセーターなんかもそうだが、ふわふわもこもこしたアウターは良いね」
雪美「セーターは……ちくちくしたり……する……」
モバP「繊維がね」
雪美「……ほら……これは……手触り……良い……」スッ
モバP「あっ」
モバP「……本当だな。しかし、自分から手を取って服越しとはいえ体を触らせてくると、意識してしまうね」
雪美「……///」
モバP「OK雪美、落ち着くぞ。落ち着いて膝の上にご招待」 コク
ちひろ「恥じらいの最中でもべったりくっつくんですねえ」 ナンカアツイナユキミ ウン
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535
モバP「芳乃は石ころ集めに失せ物探しに悩み事解決が得意なんだよな」
芳乃「いかにもー」
モバP「じゃあ、俺が昔無くした親指サイズの石を探すことは出来る? 水晶なんだが」
芳乃「なんと無茶を言いなさるー」
芳乃「しかし、声を探すことはできるかもしれませぬー。力をお貸ししましょー」
モバP「言ってみるもんだな。お願いするよ」
芳乃「まずはわたくしを、雪美さんのように、抱き締めてくださいませー」
モバP「えっ……」
芳乃「わたくしはそなたの石と面識がありませぬゆえー、そなたに深く触れ、記憶を辿るのでしてー」
モバP「……冗談を言っているような目ではないな」
芳乃「冗談でそのようなことは申しませぬー。わたくしは、真剣でしてー」
モバP「分かった。膝に乗せて、抱き締めれば良いんだな?」
芳乃「わたくしを探している水晶だと思ってー……その記憶をなるべく克明に思い出しながら、会いたいと、願うのですー」
モバP「……人から頼まれた時っていつもこうなのか?」 ハテー?
-
モバP「やりますよ」
ヒョイ ポスン ガバッ
モバP「……テーマパークの石屋さんで買ってもらったんだよな。大事に持っていたのに、演劇を見に行った日に落とした――と思うんだ」
芳乃「……おお……ほー……」
モバP「失くした物への後悔はずっと残るものだが、あの水晶には罪悪感もある」
芳乃「……そなたは一言、詫びたかったのですねー」
モバP「ああ。声が届くなら……そういうのはアニミズムなのかな」
芳乃「お手をー、お貸しくだされー」ギュッ
芳乃「……そなたは愛されていましてー。僅かな時間でもこの手が、そなたが、石を愛していたようにー」
モバP「声が、聞こえたのか?」
芳乃「……聞こえましてー。そなたは、声に呼ばれたから今日、石のことを追憶したのでしてー」
モバP「本当かな? でもそれを聞いたら心なしか少し気持ちが和らいだよ」
芳乃「罪悪感など持たれぬようー。その素直な心、良きかな、良きかなー」
雪美「ひざの上も……人が変われば……儀式みたい……」
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536
モバP「うーん」グググ
ちひろ「どうしたんですか? 体を仰け反って」
モバP「いや、えーっと……言うのはちょっと恥ずかしいですね」
ちひろ「何ですか、隠さないで教えてくださいよ」
モバP「笑ったりしませんか?」
ちひろ「よほど奇天烈な理由でもなければしませんよ」
モバP「……実は、タピオカチャレンジをやってみたくてですね、イナバウアー姿勢の練習中です」
ちひろ「……?」
モバP「巨乳の人が胸を台にしてタピオカミルクティーのカップを置いてストローで吸うような」
ちひろ「事もあろうにどうしてプロデューサーさんがそれをやりたいと望むことになったのか」
モバP「ノリですよ」
ちひろ「ノリか。まずそんな変な姿勢じゃまともに飲めませんからね」
雪美「……」グググ
ちひろ「って、雪美ちゃんも!?」
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537
モバP「雪美さんの百面相、とは過言かもしれないがオフショットをいろいろと見てきた俺だが」
モバP「肉まんにかぶりつく雪美さん、幸せそうで良いな」
雪美「……どこで……その写真を……手に入れた……」キッ
モバP「お母様から」
雪美「ママ……もう……」
モバP「これを見ると季節が季節だし、肉まんを食べたくなるなあ」
ちひろ「ちなみに肉まんは基本牛肉で、豚まんは豚肉、○○まんの総称が中華まんとのこと」
雪美「角煮まんは……肉まん……?」
ちひろ「長崎名物! 中華まんとしては形はちょっと変わり種ですけど、そうだと思いますよ」
モバP「角煮まんは肉まんのうちに入りますか? というタイトルのライトノベルがあっても良いくらいだな」
ちひろ「どうやって話を広げるんですかそれ」
雪美「……擬人化……?」
モバP「肉まんピザまんあんまんカレーまんたちのクラスに転校生の角煮まんが来てみんなで取り合うスラップスティックなラブコメディだな。そこに焼き芋やたい焼きや今川焼まで乱入してきて大騒ぎ!」
雪美「今川焼……まで……?」 ソコツッコミマス?
-
538
モバP「100円ショップでよく足を止めてしまうコーナーと言えば」
ちひろ「大抵は立ち止まって見ませんかね?」
モバP「大抵は立ち止まって見ますねえ……」
ちひろ「そこはもう少し粘って」
雪美「……私は……砂時計や……水時計……」
モバP「あれな。あれはついひっくり返して観察してしまう。俺もそうだった」
ちひろ「水時計は、粒状になった液体が傾斜や水車を流れていくアレですね?」
モバP「実際水だけだとああはならないので、正しくはオイル時計と言うみたいだな」
雪美「……オイル……だったの……」
モバP「俺の妹はあれが何か生理的に気持ち悪いとか言ってたな。分かる気もするが」
雪美「生きているみたいに……見えるから……?」
モバP「ありそうだな。それと当時の妹いわく、下に落ちた粒がブクブクしている感じが苦手だとさ」
ちひろ「それは集合体恐怖症の気があるかもしれませんね」
-
モバP「しかしオイル時計、並べると色鮮やかで良いよな。見ているだけで知育がなされる気分になる」
雪美「……不思議で……楽しい……」
モバP「というかガリレオファクトリーとかピタゴラスイッチみたいなスロープギミック、もといコースターが好き」
ちひろ「ショッピングセンターでたまに見かけますね、そういうの」
モバP「ショーウィンドウの大きなボールコースターなんてずっと見ていても飽きません」
雪美「あっ……! ……最近……お仕事終わりに……Pと……見つけた……ね……」
モバP「そう、あれだ。正しく人類のロマンですな」
ちひろ「でもプロデューサーさんがそこに齧りついていたらとても不審者です」 カナシイ
ちひろ「話を戻して、色合いがオイル時計に似た物だと、私はガリレオ温度計が好きですね」
雪美「……それは……持ってる……」v
ちひろ「そうなんですか? 角煮まんを食べたことがあって、ガリレオ温度計もお持ちとは……」
モバP「雪美さんは趣味の人ですからね。自宅にはきっとネオンサインの看板とかだってあるはず」
雪美「それは……ない……多分……」 タブンカ
モバP「ガリレオ温度計はインテリアに良いんですが、時間が経つと変色するのがなあ」アト、ワレルトアブナイ
ちひろ「雪美ちゃんを趣味の人に誘っているのはプロデューサーさんですよね?」
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539
雪美(身長170cm)「P……お仕事……行くよ……」
モバP(身長140cm)「プロデューサー」
雪美「……どうしたの?」
モバP「どうしてこの事務所のタレントはオレ以外に女子しかいないの?」
雪美「……んー」
雪美「……女子高が……共学になったようなもの……かな……」
モバP「じゃあ早く男子増えないかなー」
雪美「それは……Pの活躍に……かかっている……」
雪美「あと……新人さんが入ったら……Pが先輩だから……その自覚もつけないと……」
モバP「えー……それはちょっと大変そうだなー」
雪美「ふふふ……がんばれ……」ギュッ
――
モバP(現実)「……」
ちひろ「何か黄昏の雰囲気で独り黙想されていますけど、あれは大したこと考えてないですね」
-
540
モバP「買い物に行くとついつい買ってしまう坂金製菓のヘルシーむぎスナック」
雪美「……緑の……ふくろ……中身は……多い……」
モバP「コーヒー豆みたいな窪みがあるのが特徴的だな」
雪美「……本当……ね」
モバP「こういうのにチョコレートがコーティングされた麦チョコの方がよく見かけるタイプだが」
雪美「……麦チョコの……チョコなし……」
モバP「引き算で考えるとちょっと悲しくなるな。でもこれだって美味いぞ? 牛乳をかけてもいける」
雪美「……チョコクリスピーの……下位互換……」
モバP「おい。ジャンボコーンもそうだが、それでもポン菓子系の言ったら何だが素朴さで勝負する感じが好きでな。俺みたいで」
雪美「……Pは……素朴……?」
モバP「以前、麦チョコが売っていなかったので代わりにコーヒービーンズチョコレートを買って食べてみたら、コーヒー豆が割と硬くて拙者には向かぬと思ったんだ」
雪美「……それは……素朴……とは違う……」
モバP「通らないかー。おっと、早く買い物を終わらせようか」 ……ダネ
雪美「……私は……素朴……?」 ソココダワルネ
-
今日はここまで
したらばが書き込ませてくれなかったので初延期です
-
541
雪美「……P」
モバP「何だね?」
雪美「私……重い……?」
モバP「この乗せ心地、心を充足感で満たしてくれる重みはあるな。過重ではない」
雪美「……ちがう……重み……」
モバP「愛が重たいとかそういう比喩的な重みか」
雪美「私……Pに……重なり過ぎて……いる……?」
モバP「そんなことはない。一緒にいられて単純に嬉しいんだがなあ」
モバP「寧ろ俺が雪美さんを受け身にさせて引っ張りすぎていないか?」
雪美「……」フルフル
モバP「良かった。たまにはああしてこうしてと、おねだりをしても良いんだぞ?」
雪美「……じゃあ……イチゴ……食べさせて……」
モバP「雪美さんに頼まれると腰が軽くなってしまうな。じゃあ買いに行くか!」
ちひろ「私の気分は重いです」
-
542
雪美『……』ジーッ
フクロウ『……』ジーッ
モバP「お仕事でフクロウと対面した時の雪美さんがテレビで放送されているな」
モバP「一生に一度は見ておきたいコラボレーションが実現したな」
雪美「……目……真ん丸……だった……」ウットリ
モバP「虹彩が黄色で瞳孔が黒のタイプか。これで結構目線が合いっ放しの見つめ合いになるという」
雪美「目力……強い」
モバP「ヒトは写真写りを良くする為に、瞳孔を大きく見せようとしてシャッター直前まで目をつぶったりつぶらなかったりするが」
モバP「フクロウのあの目で瞳孔をグッと大きくされると怯む自信がある」
ちひろ「黒目が大きすぎると恐怖を感じてしまうのは何となくありますね」
モバP「でもフクロウ自体は脅かすと体が細くなったり、爪切りでショック死することもある繊細な生き物です」
雪美「……ストレス……気を付けないと……ね」
モバP「雪美さんも繊細だから、爪を切ってあげる時は細心の注意を払ってですね」
ちひろ「それは自分で切れば良いと思うんですけど」
-
543
モバP「ホー、ホケキョ」
雪美「……?」
モバP「ホー……ホケキョッ」
雪美「……ウグイスが……鳴いている……」
ちひろ「鳴き真似上手ですねプロデューサーさん」
モバP「! ケーケケケケケケケキョケキョケキョケキョケキョ!」
ちひろ「誰がウグイスの谷渡りまでしろと」
雪美「……同じ……ウグイスなのに……まるでちがう……鳴き声……」
モバP「カラスとかが接近するとこういう声を出すんだな」
モバP「この二種類の鳴き声が何気なく聞こえてくると、春が来たんだというDNAレベルでの安心を感じます」
雪美「私も……、……ホー……ホケキョッ」
モバP「あはは、まだまだ。そこはもっと頭のてっぺんから声を出すようにだな」
ちひろ「何を教えているんですか……でもそうですよ、もう三月ですねえ」
モバP「バードウォッチングに行きたいものです。山でなくても少し広い公園とかに」
-
モバP「気が逸って雪美さんのためにバードコールも作って参りましたよ」
雪美「……バードコール……?」
モバP「こうして中のネジと周りの木を擦り合わせることで鳥の鳴き声のような音が出るのだ」キッキュ
雪美「……おしゃれ……」
雪美「……♪」キッキュキッキュ
ちひろ「黒板を引っかく音はあんなにも拒絶反応が出るのに、音って不思議ですね」
ちひろ「きっと同じ高い音でも耳障りなものは周波数が違うんでしょう」
モバP「それを利用してネズミを駆除する超音波装置や、犬猫にだけ聞こえる犬笛とかありますね」
雪美「……ペロも……私が聞こえない音……うるさがったり……する……」
モバP「今はあまり犬笛は見かけないがな。あとは、若者にだけ聞こえるモスキート音というものもある」
ちひろ「あれは若者だけってのがポイントですよね。聞こえないともう若者じゃないのかという」
モバP「個人差はあるでしょうが、年齢の炙り出しみたいになるのがちょっと嫌ですね」
雪美「……Pは……モスキート音は……聞こえるの……?」
モバP「聞こえるさ! 俺はまだ若い。……でも年々夏の蚊の羽音に煩わされなくはなってきたなあ」
ちひろ「それは環境が変わってきただけじゃないですか?」
-
544
モバP「……ぬぅぅ」
雪美「……」チョコン
モバP「……ぐぐっ、静まれ俺の猛き右手よ……」プルプル
雪美「……蘭子みたいな……セリフ……」
雪美「……P、……いつものように……なでて……くれないの……?」
モバP「いや雪美さん、一度立ち止まってよく考えてみよう」
モバP「聖地甲子園の土は球児が持ち帰りすぎると無くなってしまう。だから補充される訳だが」
モバP「雪美さんもあまり撫でると頭を刺激しすぎて薄毛になってしまうのではなかろうかと」
モバP「この手で女性の命である頭髪を枯らすことなど、それがしにはとても出来ませぬ!」
ちひろ「甲子園のくだり特に必要でした?」
雪美「……この私を……なでられないと……言うの……?」ゴゴゴ
モバP「滅相もございません! ……良いんですかい? はぁ、雪美さんがそう仰るのなら――ヒャッハー!」ナデナデナデ
ちひろ「優しく撫でていれば別に問題ないと思うんですよ」
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545
モバP「……ぬぅぅ」
雪美「……」チョコン
モバP「……ぐぐっ、またもその髪は俺とこの右手を蠱惑する……」プルプル
雪美「……蘭子みたいな……セリフ……」
雪美「……P、……いつものように……なでて……くれないの……?」
モバP「いや雪美さん、我に返ってよく考えてみよう」
モバP「ヒトは重力によって上から押さえつけられ身長を決められてしまう。それに抗うようにカルシウムなどで背を伸ばす」
モバP「撫でることは即ち頭を押さえつけることでもあり、それで雪美さんの成長を妨げてしまうのではなかろうかと」
モバP「この手で本来伸びるべきものを止めてしまうなど、それがしにはとても出来ませぬ!」
ちひろ「考えすぎなんだよなあ。寧ろ狙ってやってるのかと」
雪美「……そうなの……? 私は……小さくないと……ダメ……?」ゴゴゴ
モバP「滅相もございません! 雪美さんの心も体も撫でて伸ばしてみせますよっと、おらっしゃああ!」ナデナデナデ
ちひろ「優しく撫でていれば別に問題ないと思うんですよ(二回目)」
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546
モバP「戦国武将の名字って由緒ある感じがするよな」
仁美「慶次様の前田とか憧れるよね」
モバP「仁美もほら、丹羽長秀の丹羽じゃないか」
仁美「米五郎左! 織田信長の家臣だね。たまに丹波って間違って呼ばれるのが難点」
モバP「歴史に疎くなくても最初は読み間違えそうな名字よな」
仁美「自分の名字も良いけど、どうせなら柴田とか本多ならもっと良かったな〜」
モバP「柴田仁美……、本多仁美……。俺は、丹羽仁美が一番良いな。しっくりくる」
仁美「プロデューサーはそれで慣れているからそう感じるんじゃないの?」
モバP「いや、姓名が奇数だと川柳俳句の五や七のようにリズムが良く聞こえる。陰陽五行の陽の思想だ」
モバP「それと、他の仁美はどこかにいそうな名前だが、丹羽の仁美はただ一人しかいない気がする」
仁美「そこは盲点であった。でもアタシの名前を種族名みたいに言わないでくだされい」
モバP「信長関係だと別の事務所には徳川さんがいるし、ここにも佐久間がいるな」
まゆ「佐久間です」
仁美「信盛かあ」
-
モバP「佐久間信盛。“木綿藤吉、米五郎左、かかれ柴田に退き佐久間”とされ、殿の上手い武将だったそうだが」
まゆ「まゆは歴史にはあまり詳しい方ではないですねぇ」
モバP「まあ信盛というと佐久間折檻状の印象が強いんだよな」
まゆ「折檻されるんですか?」
モバP「いわゆる戦力外通告だな」
仁美「“尾張の大うつけ”と呼ばれていた頃からずっと仕えてきた人なのにね」
モバP「生え抜きの部下も容赦なく切り捨てる――第六天魔王や革命家には必要なことかもしれないが」
モバP「俺がそういう立場になるのはとても無理そうだ。君たちアイドルをリストラするなんてね……」
仁美「日頃の人間関係であまり上手くいってない誰かに明智光秀されそうだね」ニヤ
モバP「アイドルの誰かを、この金柑頭! といびるようなことはしていないから大丈夫……大丈夫だよね?」 サァネ?
まゆ「ご安心を。まゆがプロデューサーさんを討たせはしません(忠犬)」
雪美「……右に同じ(忠猫)」
モバP「まゆに、雪美もいたか……何とも心強いものよ。枕を高うして寝られるわい」
ちひろ「忠猫って主君を守れるんでしょうか?」
-
547
シトシト
モバP「春の雨だねえ」
雪美「……うん」
モバP「その名の通り、春雨だ」
モバP「雨には様々な呼び名があるな。天気雨を狐の嫁入りと言ったり」
周子「こーんこんこんかきくけこーん」
モバP「別名、周子の嫁入り」
周子「お前にウチの娘はやれんぞ」
モバP「そういう厳格なお父様を納得させるのは大変そうだ」
周子「でも筋は良いからウチで修行して店を継ぐなら考えてやる、って言ってた」
モバP「周子の実家にご挨拶に行ったことはあっても、お嬢さんを俺にくださいなんて一言も言ってないんだがな」
雪美「……P……ヘッドハンティング……されちゃう……?」
モバP「他の子の親御さんからもリクルートのお誘いがよくあるが、素人ですよ俺」
周子「そこがいいんだよ。変に癖が付いてない方が教えやすい」
-
周子「ところでPさんちって広いよね」
モバP「突然何だ? 広いが」
周子「女性用の着替えとか入っているクローゼットもあるし」
モバP「俺の知らぬ間に一室がそういう来客用に整備されてしまっているな」
雪美「急な雨で……ぬれたら……Pの家に……立ち寄れる……」
モバP「俺の家とは一体何だろうな」
雪美「……安心できる……場所……」
周子「ずっと居着いていたいくらいだね」 コラ
周子「でも、一度くらいはお風呂上がりに着る服が無くて仕方なくPさんのシャツ一枚だけで過ごすって経験もしてみたかったなー」
モバP「裸ワイシャツか。勇気が要るが、やると男が喜ぶやつだな」
モバP「普通に着替えなさい」
周子・雪美「……見たくないの?」
モバP「そんな姿を易々と男に晒すと、いろいろと後戻りができなくなるぞ」
モバP「雨に濡れたブラウスが透けるくらいはしょうがないがな。一度雪美がやったが」 ……///
ちひろ「裸ワイシャツって体格差があると裾が際どくならずにブカブカになりそう」
-
今日はここまで
減速不安定走行
-
548
モバP「長い人生、時には非常事態でしばらく屋内に篭り続けないといけない時だってある」
モバP「そんな時、テレビ番組や動画が通常進行で流れているのを見ると、ありがたくて勇気付けられるものだ」
モバP「アイドルたちもイベント中止とかがあるとこうして――」
あきら「みんな、大変な時の息抜きにでも、この動画を見て楽しんで頂けたら幸いデス」
雪美「じゃあ……あきらと配信……やっていく……」
モバP「ええなあ」
――
モバP「放送が無事に終わったのは良いとして」
モバP「飲み物や資料を運んだりカンペを出したりして良かったんだろうか?」
あきら「♯背景にチラチラ映り込む謎のアシスタント役 は良い味出してたよ」
モバP「長いハッシュタグだなあ。……モブやエキストラ的な? まあそれも演出か」
雪美「身長……高くて……見切れてた……かも」
あきら「そういうとこも含めて、Pサンのおかげで話題性沸騰だね。ほら、チャットでも人気」
モバP「だが女子配信とは言え、俺に女装までさせる必要あった?」キラキラ
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549
モバP「いつかの迷路を歩いたことがあったよな」
雪美「……クリスタルメイズ……」
モバP「あれは神秘的だったが、あんなのやミラーハウスのような大層な物じゃなくても」
モバP「壁で仕切られた巨大迷路ってワクワクしません? それでなくても一方通行の美術館とか」
雪美「……そう……?」
モバP「ゲームだと迷路ってトップビューから神様視点で操作するようなものが多いが」
モバP「3Dダンジョン式の一人称視点というのもあって、それを現実で体験できるという逆の面白さがある」
雪美「……私は……迷路……少し……不安になる……」
モバP「似たような光景が続くし、壁に囲まれて圧迫感はあるな」
モバP「だがチェックポイントを通って無事開けた明るいゴールに辿り着いた時の、やっと外だという解放感ともう終わりかという一抹の寂しさのブレンドが好きだな。逆走や再入場はできないから、出口を振り返って名残惜しい気持ちに浸れる」
雪美「……だったら……二人で……行く……? 今は……立体迷路が……ある」
モバP「あれは面白そうよな……ただ立体だけあって高さもあって難解なのと、高い所は怖い……」
雪美「大丈夫……私が……手を引く……」フンス
ちひろ「私は旧ドラえもんのホームメイロの夢をよく見ます」 アレハココロガオレマスネ
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モバP「雪美さんは役者としても最近注目されてきているな」
雪美「……あまり……実感……ない」
モバP「アイドルでありながら女優、という線もありかもしれない」
雪美「……そう……?」
モバP「そう。演技の幅が出てきたと思うよ」
モバP「この前のドラマでは無表情でおどける子という難しい役をよくこなしたじゃないか」
雪美「……その方が……合うのかも」
モバP「一周回ってハマっていたのは否定しないが、表情豊かな雪美さんだって好きだよ」
雪美「…………」
モバP「おろ、極めて冷静だな」
雪美「……もう一回……言って……///」
モバP「顔に出にくい割に打たれ弱い所も揺さぶりをかけてくるね」
ちひろ「失礼ながら、雪美ちゃんのドラマのリテイク・NGシーン集とか見てみたいです」
モバP「DVDに付いたりする特典メイキング映像ですか。観賞用に是非欲しいですね」 モウ……!
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ちひろ「そんなプロデューサーさんはドラマや映画で印象に残る子役っています?」
モバP「クリスティーナ・リッチ、ナタリー・ポートマン、エマ・ワトソン、ダコタ・ファニングとかですか」
ちひろ「思ったより気合の入った人選ですね」
モバP「王道どころだと思いますよ? あと日本だと……安達祐実?」
ちひろ「家なき子は我々だと世代が結構ズレますね」
雪美「……でも……なつかしの……ドラマ特集で……見かける……」
ちひろ「そういうので把握しているんですか……」
雪美「アダムス・ファミリーも……Pと見た……。……ウェンズデー……かっこいい……」キラキラ
ちひろ「あれは確かにインパクト強いですね。そしてプロデューサーさんは意外とああいう系のビジュアル性格がお好き?」
モバP「ん〜、どうでしょう? 現実にいたらエキセントリックな気はします」
モバP「でもウェンズデーの三つ編み、マチルダのボブ、ハーマイオニーのスパイラルとか役に合っていて感嘆はします」
雪美「……役作り……髪も……大切……」
ちひろ「ここでは所属アイドルが多い分、髪型を弄ると大抵他の子と被っちゃったりして変えにくいのが難点と言えるかもしれませんね」
モバP「ちなみに細い左右三つ編みとかは幼さというか少女感が強調される気がします。逆にちひろさんはアダルトな三つ編みと言うか」
ちひろ「アダルトって……雪美ちゃん、私の髪型をやってみません?」
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モバP「長期休みの時って自由課題とか出るだろう?」
雪美「……」コク
モバP「どんなアイデアでいつもやっているんだ?」
雪美「……ネコの……観察……?」
モバP「観察と言っても何をどう、どこまで調べるかだよな」
モバP「日常で疑問に思ったことを調べて、それを実際に検証してみるのは良いと思う」
雪美「……なぜ……ネコはよく……眠るの……? ネコ100匹に……聞いてみた……」
ちひろ「ネコの声を聞くという手は他の人では再現性が無いのが問題ですねえ」
モバP「発想を変えて、自由課題の作り方を自由課題にしてみてはどうでしょう」
ちひろ「自由の隙間を突くようなテーマで評価を貰えるんでしょうか。自由課題というか卒論でやる人はいるかもしれませんけど」
モバP「まあどんなことでも自分なりに真面目に調べて発表すれば、そのデータは何かしら世の中の役には立つものだと思う」
雪美「……自信を……持つこと……!」
モバP「こんなことして何になるんだろうって冷めたら手が止まるからな。モチベーションを保つ工夫や練習でもあろう」
ちひろ「プロデューサーさんのモチベーションは大丈夫ですか?」 ハイ……
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モバP「雪美もいつか免許を取れたらスクーターに乗って一人でキャンプとかしに行くようになるのかな」
奈緒「ゆるキャンのしまリンかよ。雰囲気は似てなくもないけどさ」
モバP「頭にお団子を作ったり、早太郎みくじを買ってきたり」
奈緒「どちらかと言うと長野の光前寺じゃなくて、猫のいる福井の御誕生寺とかに行きそうだな」
モバP「ああ、この前のゴリパラでやってたな」
奈緒「Pさんは何でも見てんだな」
モバP「気が向いた時だがな……ああ、ゆるキャンで出てきたほうとうが食べたい気分だ」
奈緒「自由すぎるなあ。……疲れてんのか?」
モバP「本当はもっといろいろはっちゃけたいんだが、何かテンションが乗らない」
雪美「P……幸子のように……旅がしたいの……?」
モバP「旅がしてえなあ。……幸子が以前チャレンジした地名しりとりとかサイコロの旅みたいな」
奈緒「えぇ……幸子、そんなのもやってたのか」
雪美「幸子は……移動距離……ナンバー1アイドル……」 スゴイナ
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モバP「世の中には仕事のパフォーマンスを上げる為にお昼寝の時間がある会社がある」
モバP「俺も少しお昼寝といこう」
雪美「……休息は……大切……。ゆっくり……休んで……」ナデナデ
モバP「……」スーッ
――
モバP「……ん、ここは……? ……何かの泉?」
女神「……私は……この泉の……女神です……」
モバP「雪美! 古代ギリシャのキトンのような服装が……濡れてない」
女神「……P」
モバP「はい。……透けていたらどうしようかと」
女神「こほん……私は……雪美では……ありません……」
女神「そして……あなたは……この泉に……落とし物を……しましたね……?」
モバP「何か始まってる! ……じゃあ、はい」
-
女神「……よろしい。……では……あなたが……落としたのは……」 パァァァ
??「あら、ココノツ君。すいぶんと老けた――というか違う人?」
女神「この幸子ですか? ……それとも」 パァァァ
??「助手君? 何かいつもよりおっきくなっちゃったけど、もしかしてすごいマジックを成功させちゃった?」
女神「この幸子ですか?」
モバP「……どちらも俺の知らない幸子なんだよなあ。こっちの人はヨーグレットのPTP包装みたいな目をしているし」
モバP「元の世界に返してあげてください」
女神「……あなたは……正直者ですね……。でも……正直者が……バカを見る……」
女神「あなたには……この幸子を……さしあげましょう……」 パァァァ
??「先輩は相変わらず細かいッスね。もう少し大らかに生きた方が良いッスよ?」
モバP「進化前の幸子を返してもらうことはできませんかね?」
――
雪美「……」スゥスゥ
モバP「……俺は何という夢を見ているのだ」
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モバP「……」ギュッ
雪美「……」ギュッ
モバP「……」ギュギュッ
雪美「……」ギューッ
モバP「小さな手だ」
雪美「……大きな手……」
モバP「あまり強く握り締めたら良くないが、ずっと握っていたいような手」
雪美「大きくても……ちょうど良い……強さ……」
モバP「だが、繋いで歩いていると腕を上げっ放しになって疲れたりしないか?」
雪美「Pに……パワー……もらえるから……疲れない……」
モバP「それは凄い。……たまには手より、他の子のように腕にぶら下がってみるのはどう?」
雪美「……私は……手の方が……好き……」
ちひろ「ぶら下がり雪美ちゃん……良いことを思いついたぞ」
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モバP「ホワイトデーも終わりにけり」
ちひろ「今年も何種類かのお菓子を配っていましたね」
モバP「はい。しかしいつも思うんですがね」
ちひろ「何でしょう?」
モバP「バレンタインデーがチョコならホワイトデーにはホワイトチョコと、チョコに統一すれば良いと思うんです」
ちひろ「文字通りで分かりやすくはなりますけど、でもホワイトチョコって少しバターっ気が強くて好みが出ますからね」
ちひろ「それと製造過程的に同じカカオからでも作れる量が少ない分、やや高めになります」
モバP「貰う方ではなくあげる方の言い分ながら、個人的には二色あればホワイトチョコを選ぶくらいには好きなんですがねえ」
モバP「……いつか白のチョコレートファウンテンを思いきりフォンデュで食べてみたいものです」
ちひろ「胃もたれしそう……それにしてもプロデューサーさん。これ、悪くないですよ」サクサク
モバP「どうも。今年はみんな大好きメロンパンの皮や端っこのクッキー感にこだわってみました」
ちひろ「毎度力の入れ所が予想を超えてきますね」
雪美「……♪」サクサク
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今日はここまで
もうちっとだけ続くんじゃ
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556
みく「……ふぅ」
モバP「おや、眼鏡のみく。勉強中?」
みく「メガネの三城みたいに言わないの。学生の本分は学業だからね」
モバP「ありすもそんなことを言っていたな。努力する習慣が身に付いているのは誇って良い」
みく「大したことじゃないよ。Pチャンだってやる時はやるでしょ?」
モバP「勉強にあまり苦痛を感じずに生きて行けるのは一つの才能だ。俺は才能が無かった」
みく「またそんなこと言って〜。勉強が好きな人は珍しいと思うけど、みくはあまり苦手じゃないにゃ」
モバP「きっと好奇心や探求心を培う良い環境で育ったんだろうな。……そうだ、これをあげよう」コト
みく「チロルチョコ?」
モバP「定番のミルクだ。コーヒーぬわーーっっ!! と迷ったが歯にくっつかないこちらにした」
みく「そこを気にするの……でもありがとね。お昼、何も食べてなかったから」
モバP「みくも意外とそういう所があるんだな。まあこれ一個じゃ気休めみたいなものだが」
みく「ふふふ、これじゃあPチャンの食事を咎められないにゃ」
雪美「……ベビーパンサーは……チロル……」
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モバP「……」ニコニコ
雪美「……♪」
凛「プロデューサーの膝の上の雪美」
凛「美女と野獣みたいな関係だね」キリッ
未央「プロデューサーは魔女にあのようなお姿にされてしまった……?」
卯月「皮を被せられただけで、元の姿はハリマのような青年だと良いですね」
モバP「雪美に十市媛のイメージを重ねてしまうじゃないかやめろ」
未央「むしろさ、私は嘘つき姫と盲目王子のように見えるよ」
モバP「俺は元々化け物だったのか。それともこれから女の子に化けるのか」
卯月「私はチュチュと合体したカービィに見えます」
モバP「雪美はタコかスライムか何か? どれも似て非なるものだなあ」
凛・未央・卯月「……」バチバチ
モバP「そんなことで張り合わないでくれないか」
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モバP「別れの季節がまたやってきたなあ」
雪美「……ゆううつな……季節……」
モバP「死あれば生あり、破壊あれば再生あり、別れあれば出会いあり」
モバP「失うことは辛いが、それでも我々は前に進み、生きて行かなければならない」
雪美「……私は……Pとは……別れない……から……」ギュッ
モバP「それはまだ先だな」
ちひろ「いつかは別れることを示唆するんですか」
モバP「いつかはですね。物事に無限はありません」
雪美「……そんなの……悲しい……」
モバP「でも、決して絆が消えることもありません。1が0.00000001まで小さいものになったとしても、0にはならない」
ちひろ「また何かふわっと感覚的なことを言ってますね」
モバP「サザエさん時空で一万回同じことがループしても一万一回目は何か変わるかもしれない」
ちひろ「回数のくだりはよく聞くフレーズですね」
モバP「――そんな風に希望を持たないとやってられないのが本音です」
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モバP「とりあえず安心してほしいのは、今俺はロス:タイム:ライフの途中じゃないってことだな」
雪美「……あれは……切ない……ね」
ちひろ「死後や今際を描いた作品ってこうあったら良いなという願望も見えますけど、結構優しい話が多いんですよね」
モバP「GANTZみたいなものもあるにはありますがね」
ちひろ「プロデューサーさんは、何かあったらどれくらいロスタイムを貰えると思います?」
モバP「346日くらいですかね」
雪美「ほぼ一年……」
ちひろ「一体どこでそんなに無駄な時間を使ってしまったんですかね」
モバP「この業界に入って雪美と出会ってからが夢のようで、それまでの人生の多くはずいぶん無駄があったような気もするんですよ」
雪美「……過去を……ムダだと……思わないで……」
モバP「分かっているよ。半分冗談だが、後悔的なものがないとロスタイムを貰えないのが悩ましい」
ちひろ「そもそも今はロスタイムという言葉が古くなってしまいましたね。アディショナルタイムですし」
ピー!
モバP「えっ、何か審判みたいな服を着た人が入ってきた?」
茜「さあみんなで、ワンチームです!」 ナンダラグビーカ
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559
モバP「最近は逆バニーなるものが流行っているらしいですね」
ちひろ「周りが女子ばかりなのによくそういう話題を持って来られますね」
雪美「……黒い……バニー……?」
モバP「白とは逆ってことか。そもそもバニーガールは黒い方が主流の印象だが――その逆ではない」
雪美「……分からないから……ありすに……聞いてみる……。タブレットで……けんさく……」
ちひろ「プロデューサーさん」
モバP「すまぬ。雪美さん、こっち」チョイチョイ
コショコショコショ
雪美「……納得」
ちひろ「えぇー? 一体何を言ったらそういう反応になるんですか?」
モバP「内緒ですよ。まあ、普通の色合いを敢えて反転させたような斬新なデザインの衣装は好きですね」
ちひろ「……プラグスーツ的な? 特にエヴァンゲリオン破版のアスカのそれは逆バニーに通じるものがある気がします」
モバP「良いですね。更に足の付け根に沿ってカッティングなんてあるとより挑発的です」
雪美「……モデルで……着せる……?」 マダダメ! マダッテナンデスカ
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モバP「自宅運動でテレビ体操というのも良いなと最近思います」
雪美「Pといっしょに……やれるから……ね」
ちひろ「知り合いでテレビ体操やっている人を見たことないです」
モバP「やる気があるならそれよりはヨガとかやるでしょうからね」
雪美「……ホットヨガや」
モバP「インフェルノヨガ……楽しいですよね」
ちひろ「暴動都市か何かですか?」
モバP「しかしテレビ体操を見るとレオタードで、昔のエアロビクスを思い出します」
ちひろ「水着みたいな格好で踊っていた時代もあったようですね」
雪美「……ビリーズ……ブートキャンプ……」
ちひろ「雪美ちゃんは筋肉方面に興味が行ってませんかね……?」
モバP「まあ、まずは定番のラジオ体操ですね」
モバP「第一は体が覚えているんですが、第二までやることってあまり無くて忘れています」
雪美「第二まで……やると……少し長く……感じる……」 ダガソレモイイ
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561
ガチャ
モバP「やあ杏」
杏「おっす」
モバP「どれ、隣に良いかい」ギシッ
杏「ダメだって言うかもしれない前に座ってるじゃん」
モバP「黙って座ると怖いからな、一言挟んだまでだ。文句は聞くが異論は認めない」
杏「なかなか横暴なことをするようになったねプロデューサーも」
モバP「へっ。……しかし良いもんだな。この喫煙室ならぬ喫飴室」
杏「きつい室……よく設置をOKしてくれたよね」
モバP「俺の力添えに感謝するが良い」
杏「うっさいぞ」
モバP「まあまあ、このどんぐりガムコーラでも食べたまえ」ハイ パクッ
杏「あわ玉黒コーラを食べたばかりなのに。ま、良いけどさ」コロコロ
雪美「……この部屋……どうして……仕切りの必要が……?」
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562
モバP「雪美さんといっしょ――そんな時間も、もう終わりが近づいております」
雪美「……え…………もう……?」
モバP「もうです。皆さん、お別れの時間がやって参りましたが、いかがでしたでしょうか」
雪美「P……私とは……遊び……だったの……?」
モバP「なぁに、新たな雪美さんとの日々がこれから始まるに過ぎない」
雪美「なら……いい……。……いつもの……して……?」(つ゜-゜)つ
モバP「……お任せを」ヒョイ ポスン
雪美「……♪」
モバP「さて、この番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。悩み相談や質問など、リクエストを添えてお寄せください」
モバP「お葉書の宛先は○○○-△△△△、346ラジオCinderella BARまで。メールの宛先等はホームページでご確認いただけます」
モバP「ここまでのお相手はわたくし、モバPと」
雪美「……佐城雪美……でした」
雪美「それでは……また次回……。……おやすみなさい……」
ちひろ「やっぱりエンディングは週末の余韻に浸れるジャズバラードですねえ」
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今日はここまで
詰め込めるだけ詰め込もうぜ〜
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乙
筋肉方面のテレビ体操なら「みんなで筋肉体操」を雪美に勧めたい(ゲス顔)
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次のスレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1585401402/
糸冬
制作・著作
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